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1960-04-07 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月七日(木曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員異動 四月六日委員高橋衛辞任につき、そ の補欠として梶原茂嘉君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            梶原 茂嘉君            重政 庸徳君            藤野 繁雄君            亀田 得治君            北村  暢君            戸叶  武君            中田 吉雄君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君   政府委員    農林省農地局長 伊東 正義君    食糧庁長官   須賀 賢二君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米穀管理に関する件)  (北洋漁業に関する件)  (愛知用水に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  四月六日高橋衛君が辞任、その補欠として梶原茂嘉君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 米穀管理に関する件及び北洋漁業に関する件等を一括して議題といたします。  これらの件について、かねて福田農林大臣に対し質疑の御要求がありますので、この際、順次御質疑を願います。  なお、先刻申し上げておきましたように、農林大臣は午後一時には御退席の予定でありますから、あらかじめお含みを願います。
  4. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私は、農林大臣に米の問題に関連しまして二、三御質問申し上げたいと存じます。御承知のように、最近の米の需給実態相当変化が起こって参りました。生産面におきましても非常な変化がありますと同時に、消費需要の面におきましても相当変化があるのであります。現在、厳重な食管制度でありますために、生産の面と、需要消費の面との連係といいますか、つながりが断ち切られておるような状態でありますために、これらの変化からいろいろと不合理と思われるような現象が起こってきつつあるのであります。もちろん、大臣しばしばお考えのように、食管制度根幹は、これは何としても堅持していかなくちゃならぬということは、私も当然のことであろうと思う。だが、そういいう考えのもとにおきましても、こういう現実変化に対処する施策というものは十分講ぜられないと、将来に禍根を残しはしないかということが憂慮されるのであります。こういう観点から、先般食糧庁長官見解を公にされたようでありますが、二、三私、大臣のお考え承知したいと思うわけであります。  第一は、早期栽培米の問題であります。御承知のように早期栽培米関東以西、いわゆる南西暖地方面相当急激にふえて参りまして、昭和二十八年でしたか、早期栽培米奨励政府として取り上げて行なわれました時分は、目標も六万町歩くらいの目標でありましたが、早期栽培米適用地帯といいますか、その面積も十五、六万町歩でしたかな、そういう見当奨励に入られたと思います。ところが、その後、毎年計画以上に急激にふえて参りまして、三十四年産も二十万町歩近い大きな面積に広まって参りまして、三十五年はおそらく二十五万町歩をこすであろうというふうに一般に見られておるのであります。私もおそらくそうであろうと思う。もちろん、台風を避けるとか、あるいは農業労力のあんばいとか、いろいろな面から、特に早期栽培米の反当収量がおしなべて非常にふえる、少なくとも三割見当増産されるということも、これは経験に徴してはっきりしておる。そういうことから見ますると、早期栽培米がふえることは、私は当然であり、そのこと自体は喜ぶべきことだと思う。ところが、何分にも西南暖地において、八月の暑い時に取り入れをし、調製をするのですから、でき上がった米をさてこれを消費する立場になりますというと、いろいろの問題があるわけなんです。毎年々々問題が繰り返されてきたわけであります。品質的にまちまちであり、調製が不十分であるために精白度合いが悪いとか、胴割が非常に多い、特に食味の点について、消費者方面からは非常な評判が——実は現実に悪いのであります。小売の方で制約をして、消費者配給をする、消費者は一応それを受け取ってわざわざそれを小売屋に返しに行くというふうな事例が決して少なくないわけなんです。最近、御承知のように関西におきましては、どうもこういうものは政府の方から払い下げを受けても引き取るわけにいくまいというふうな空気が一部に起こりつつあることも御承知通りであります。数が少ないときは、何とかこれは困難がありましても、適当な調整方法を講じて配給をしていくことは可能でありましたけれども、量がこういうふうにふえて参りますというと、なかなかそれは容易じゃないのが、これが現実実態であります。それで、これから先、早期栽培米生産についての指導方針をどういうふうにされておるのか、もともと相当の準備をして政府としては奨励にお入りになったけれども、準備不十分の間にどんどん現場の方では伸びていって、なかなか政府指導が追いつかないというのが、どうも実情のように思われるのであります。品種の面におきましても、東北方面のわせが、何といいますか、思い思いに導入されて栽培されておるというのが、どうも実情のようであります。調製についてもいろいろ指導をされておりますけれども何分にも急激にふえるために、なかなかその指導一般に行きわたらないというのがどうも現状のように思われるのであります。これが最近政府では、早期栽培米西南暖地における適用面積は五十万町歩を越すであろうというふうに今いわれておるのであります。だんだん政府の見込みよりも毎年ふえてきているようなんです。五十万町歩になりますと、反当生産量相当いいのですから、相当巨額の量になるわけなんです。私は、日本米作の歴史の上でこういうふうに短い期間に急激に伸びて、将来も伸び得るようなケースというものはおそらくこれは初めてじゃないかと思うのでありまして、米穀の問題としても、食糧政策の点からいいましても、相当重要な問題だと思います。従って、政府のこれから先の早期栽培米に対する指導方針等考え方というものをまずお伺いしたいと、こう思うのであります。
  5. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はかねがね皆さんにも申し上げておる通り、今の配給制度はあくまでもこれを維持していきたい。生産者並びに国民消費者大衆両方の利益のために、さような考えを持っておるわけです。ところが、これもお話のように、刻々と米を取り巻く四囲の環境というものが変わってくる、それに対しましては、ただいま申し上げたような基本方針を守る、こういう見地を中心にいたしまして弾力的な運営をしていかなければならぬ、こういう考えを持っておるわけであります。それで今御指摘の早期米でございまするが、これも一つの問題があるというふうに考えておるわけでございまするが、ともかく、消費者から見ました最近の傾向というものは、需給の量の安定というものがあるものですから、今度は味の方に関心が移ってくる、こういうことは自然の勢いかと思うわけでありまして、これからは、食管制度維持するという見地からいうと、やはり政府といたしましては、いい米を消費者に販売するという考え方をとっていかなければならぬかと、こういうふうに思うわけです。早期米につきましては、どうもそういう品質、特に食味におきましていろいろと批判もありますので、私どもも何とかしてそういう批判を解消するように努めなければならぬというふうに考えまするが、それには早期米といたしましても、うまいものができればこれは一番いいわけでございまするが、まあ、さようなうまいことがいかない場合にどうするかというようなことにつきましては、利とももいろいろと検討しておるわけであります。それで、確かにお話のように、この点は問題なのでありまして、そういう米の今後のあり方ということにつきましては、私どもも、すみやかに私ども考え方をまとめまして、これは米価にも関係する問題でございます。十分御審議を願っていきたい、こういう考えを持っておるような次第であります。
  6. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 量がだんだんふえて参りまして、この味の問題に消費者気持が動いてくる、これは当然であることは大臣お話通りなんです。ところで、うまいものといいますけれども、長年統制下にありますために、ぜいたくといいますか、ぜいたくの気持でうまいものというわけではないのであります。普通であればいい。それはほんとうにうまいものはけっこうですけれども、普通であれば一般消費者も文句をそう言わないのであります。特に悪い、特に悪いものが非常にふえつつあるというところに私は心配すべき問題があると思うのです。普通であればいいのであります。早期栽培米も早く消費すれば、それで私は悪くはないようであります。それが今時分まで持ち、これから梅雨にかかっていくようになりますと、外米以下になるようなものがあるようなんです。こうなって参りますると、単純にうまいものというのじゃなくて、ものが非常に悪くなった、統制ですから、本質的に質を悪くするということは統制の持っておる必然的な悪だと言い切ればそれまでですけれども、戦争中の統制と違いまして、食管制度が恒久化して参った今日においては、質が低下していくということは、これはどうしても責任者としては防いでいかなくちゃならない。消費者の意向、需要というものが生産に直接反映しないのですけれども、そこは政府責任としてよほど考えてもらわないというと、いかに農林大臣食管制度根本を堅持するのだと言われましても、現実はなかなかそうはいかない。そういう方面で、配給辞退の非常に多い原因はやはりそういうところに一つの大きな理由があると思うのですね。十分お考えを願いたいと思います。なお、これは価格の問題にもお話のように当然関連をするのであります。当面やはり円滑にさばいていくためには、若干ものは悪いけれども、そのかわりに価格は幾らか安いぞということも、消費者立場に立てば当然お考えをいただかないというと消費者は納得しないという状況でありまするから、十分お考えを願いたい。私は早期栽培米だから特に生産者価格を安くしたらいいだろうということまで申し上げる気持はありません。これは、やはりそういう地帯における農家立場考えれば、これは十分保護されてしかるべきだ。ただ調整の結果、非常にロスが多い、そういう面は、これは当然価格形成の上においても考えることがこれは合理的であろう、こう思うのであります。一つ検討はぜひお願いしなければいけませんけれども現実は非常な勢いで、大臣考えられておる段階ででもどんどんふえていっている実情十分一つ御認識をこの上ともお願いしたいと思います。  それから次は、これもめんどうな問題ですけれども陸稲の問題であります。最近、非常に米の生産が伸びておると言われましたけれども、特に伸び方において、オカボ——陸稲伸び方が多いのであります。これはもちろん日本畑作農業立場からいいまして、オカボがふえますことは、これはまた一つ必然性があると思います。それはそれでけっこうだろうと思います。ところが、従前は陸稲のうちでも、大体もちと、うるちは半々くらいで、むしろうるち——普通の米の方が多かったと思います。ところが最近、昭和三十年あたりからの状況を見ますると、そのオカボの中のもちふえ方が、もち米ふえ方が非常に急激でありまして、現在においてはおそらく一対三くらいの割合になってきているのじゃないかと思います。これも単に増産という観点からいえばけっこうですけれども、反面、消費需要がそれに伴っているかというと、遺憾ながら伴っていない。最近、御承知のように、若い青年連中にいたしましても、都会といわず地方といわず、もちに対する需要というものは、まあ伸び悩んでいるといいますか、むしろ減退しつつあるようなのが今日の実情であります。ところが、そういう実情にあるにもかかわらず、もち米の方は遠慮なしにふえていく。最近におきましては、古いもち米政府相当手持ちを持って実はお困りになっておるようなのが現実であります。増産はけっこうだけれども、やはり需要と見合った一つ増産政策をとっていただかないというと、これは必ずしも、農家のためにも、私は将来を考えるとならないのじゃないか、こう思うのであります。もち米は大体正月に相当使うわけでありますけれども、古い前年のもち米もちを作ったて、これはさばけっこないわけであります。漸次そういう古いもち米手持ちがふえていくという状況を見ますると、非常に私は心配になるのであります。最近、このもち加算配給面においてお下げになる、私は非常にけっこうだと思います。もう少し思い切ってお下げになって、早くさばく工夫をされる方が、これは食管特別会計経理面からしましても、消費者立場からいいましてもけっこうなんです。先になってものを悪くしてやむを得ず下げていくというよりは、早きに及んで、幾らか下げて処分をするということの方が私は賢明であろう、こう思うのでありまして、オカボ自体につきましても、ことに大臣よく御承知だと思うのです。関東方面じゃ産地なんです。そういう地帯配給にはずいぶん苦労を実はして、そういう地帯県民諸君は非常に割の悪い立場に立たされて参ったのであります。数年前に、オカボ配給面価格を下げて、それによって大体円滑になったような経過もあるわけであります。従って、オカボ加算の問題は、当然に検討されていいんじゃないか、こう私は思うのであります。まあ米全体の面から見れば、部分的の問題かもしれませんけれども、私は決してそうじゃないと思う。食管制度の面と、需要の面との一つの食い違いという点から見まするというと、非常に私は重要な問題の一つだ、こう思うのであります。大臣一つ考えを伺いたいと思います。
  7. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話通り、私ども陸稲につきましては、そういう問題点が出てきておると思うのです。特にもち米は、ただいま二十万トンくらい手持ちを持って、その売りさばきに苦慮しておる、中でも三万トンくらいの三十三年米があるというような状況でありますので、近くキロ九百三十円というのを八百五十円に下げまして、その売りさばきをやってみたい、何とかして古米手持ちをなくしてみたいと、こういうふうな感じを持っています。やっぱり食管制度維持していくためには、食管制度の運用というものが、これは経済の大きな原則というか、流れですね、それと非常にかけ離れておるというような事態になりますると、維持運営というものに支障を生じてくるのではあるまいかというふうな考えを持っておるのであります。そういう古米を持っておる、あるいは保有米が二十万トンもあるというようなところであれば、普通の企業でいいますれば、金利倉敷というようなことを考えると、相当思い切ったやり方があると思いますが、政府とすると、会計上なかなかそういうことも民間のようには参りませんが、まあ経済流れというものには逆らうことはできませんから、法の許す範囲内におきまして、でき得る限りお話のような方向の努力を続けて、とにかくこの食管制度を守っていきたい、こういうふうな考えを持っておる次第であります。
  8. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大臣趣旨はよく理解されました。ところが、その現実の面を見ておりまするというと、その趣旨自体がなかなか現実化されないというのが、どうもこれまでの実情のようでありますけれども一つ思い切って弾力的な運営をすることによってのみ私、食管制度根本を持続できると思うのであります。お考えを願いたいと思います。  最後に、早場米奨励金の問題であります。最近は時期別格差という名前に変わりましたか、これは、当初できたときの建前と現在の実態とでは多分に変わってきたことは、これは周知の事実であります。ただ奨励金的のものを加算していくということ自体ならば、これはそれでいいんでありますけれども、先ほど申しました九州地方早期栽培米にいたしましても、ともかくも八月にとれちゃうのです。しかも、それが非常にふえている。品質はよろしくない。将来の消費から見るというと心配すべき事態にある。そういうものは時期が早くとれるからというので特別に割高に政府が買われる。たんねんに作ったものはかえって虐待される。オカボにいたしましても比較的早くとれる。オカボもち米も比較的早くとれる。そういうものは早場米奨励金がつく。しかも、それを流通面に持っていくというと、なかなかさばきがつかずに古米になってもそれを持って、多額の金利倉敷政府は負担をする、安く売らなければ売れない、こういうふうな実態考えてみますると、私はもうこの段階になると、いわゆる早場米奨励金は再検討を要する。今まで長年にわたって米価加算されてきているのですから、それをやめちゃうわけにいかぬと思う。当然農民立場からいって、既得権というわけじゃありませんけれども米価形成に不可分になっている。本来の米価にこれを織り込んでいったらどうだ、そういう施策があるために、たとえば検査も十分に行なわれ得ないし、調製も十分できない、そういうしわが流通面にずっと出てきている。これは国民経済の面からいいましても、私は非常に不合理であろうと思う。私は貿易自由化の問題をここでどうこう言うわけでありませんが、大臣は、米麦については貿易自由化圏外に立つのだという考えを出しておられる。それはそれでいいんですけれども、その貿易自由化の持っておる一つの意味合いといいますか、これは米麦であろうと私は圏外に立つことはできないと思う。少なくとも質をよくして価格を適正にしていく、生産性を向上していくということは、これは貿易自由化に準じて当然考えなくちゃならない。それと逆行していくような姿をそのままにしておくということは、私、大臣食管制度根幹を堅持していくという考え方と背反しておると、こう思うのであります。今の早場米奨励金に対するお考え方一つ伺いたい。
  9. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話通りのいろいろな問題があるわけであります。さようなことでありまするが、米価問題は、政府としては米価審議会に諮ってこれをきめるという建前をとっておる次第でありますが、さような問題も含めまして米価審議会一つ審議を願いたい。なおまた、食糧庁当局にもいろいろ問題もありますので、そういう問題の所在、さようなものにつきましては十分検討さしたいと、かように存じております。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 時間がきわめてわずかですから、簡単に問題点をお聞きをしたいと思います。特に私がお聞きしたいものは、四月四日に、食糧庁長官もち米加算等について、こういう発表がありました。これは生産農民に非常な誤解、不安を与えております。中身について若干後ほどまた聞きたいと思いますが、同日の発表農林大臣十分承知をされて行なわれたものだというふうに伝え聞いておるわけですが、その点は間違いないでしょうか。
  11. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 実は率直に申し上げますと、今、梶原さんから御質問がありましたが、もち米がとにかく三十三年米が三万トンもたまっておる。三十四年度米を入れますと二十万トンもある。これはもう何とか早く手を打たないと、これは非常に国家に損失をかけることになるのではあるまいか、そういうようなことでもち米引き下げ、売り払い価格引き下げということを実行する考え方をきめておるわけです。同時に、配給実態から見まして、北海道、新潟、群馬、鹿児島ですね、この地区の配給価格を若干引き下げるという考え方を打ち出したいと、こういうふうに考えたわけです。そういうことをやりまする政府部内の意見調整ということになりますると、今までもいろいろ問題が出ておる。これは亀田さんも御承知通りだと思います。もち米生産者価格加算金をどうするのかというような問題もあります。さような政府部内の関係もあるし、また近く米価審議会の方も本格的な御審議をお願いしなければならぬ、そういう際に農林当局はどういうような考え方問題点はどういうふうにあるのかということに対する見解を、これはあらかじめ持っておいてもらった方がよかろうじゃあるまいかとも考えまして、食糧庁長官として、今問題点はどこにあるのだということを一つ話しておきたい、こういう話がありまして、私もそれはけっこうではないかと、こういうように申しました。同時に、大蔵省にももち米についてはこういう問題点があり、検討しておるということを申し入れ、それと並行して四道県の引き下げ、また、もち米古米廉価払い下げということをきめると、こういういきさつでございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 時間がありませんので、できるだけ一つ答弁の方も簡単に。生産農民が不安にかられたといいますのは、発表の内容から見て、結局は生産者米価引き下げてくるのではないか、こういう点についての疑問を相当起こしたわけです。そういうことで、翌日の四月五日に農民代表の方が約三十名食糧庁長官にお会いをしまして、相当長時間これらの問題について交渉いたしました。その結果、食糧庁長官はこういうふうにおっしゃったわけです。「現在の米価水準を」——これは生産者米価水準——引き下げることを意図してこのような検討をしたものではない」、こういうふうにはっきりおっしゃっております。これは大臣の了承も得て、こういうふうに言明をなされたようでありますが、この点も、大臣として御意見長官と同じでございますか。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話通りであります。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、一応声明について起きた若干の疑惑というものは、多少解消すると思います。そこでもう一つ腑に落ちないのは、米価審議会で、今生産費並びに所得補償方式ということで非常にめんどうな検討をやっておる最中ですね。従来大臣は、米価については米審の決定を尊重していくんだ、こういうふうに再三おっしゃってきたわけです。これは、私たちの団体が直接大臣にお会いをしていただいた回答を見ても、こういうふうに書かれておる。これは時期別格差のことについてですが、「これは農家米作収入維持と米の収穫安定に寄与したことは十分認められるところであるので、その取り扱いについては、米価審議会意見も聞き、特にこれは慎重にするつもりである」、必ず手続としては、米審を通し、そして特に慎重にするというふうに私たちも聞いておる。ところが、米審の方の取り扱いはまだそこまでいっておらないわけですね。米審の小委員会においても、時期別格差等の問題について入ったらどうかというふうな御意見も一部出たようでありますが、もう少し先ということになっておるのが実情のようですが、これは長官もその場に出られて、そういうふうになっておると聞いておる。そういうふうに進行しておるときに、米審を出し抜いて、こういうものを食糧庁長官名前発表してしまうということになりますと、どうも政府は、米審という機関があるのに、そういうものを何か尊重しないで、そうして別なやり方で、政府考えておる考え方というものを新聞に発表して、まず空気を作っていると、こういうような憶測もされるわけでして、なぜ米審でそういう慎重な扱いをやっておるそのさ中に、こういうものを発表されたのか、この点がはなはだ腑に落ちないわけです。
  15. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、しばしば申し上げておりまする通り米価審議会の結論というものは、これはできる限り尊重していきたい、こういう考えでございます。これを尊重したる上で米価は慎重にきめていきたい、こういう考えです。今度食糧庁長官が資料を出しましたが、これは米価審議会のことを別に頭に置いておるのじゃないのです。これは今いきさつを概略申し上げた通り政府部内の関係もありまするし、同時に、こういう問題があるということを農家の方にもよくわかっておいてもらった方がよかろう、こういうことでございます。米価審議会審議並びに結論につきましては、極力尊重するつもりであります。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっとはっきりしない点がありますが、それでは、かりにこの三つの問題の中でも、特に時期別格差の問題が非常に重要でしょう。こういう問題はいずれ米審で扱われることになります。米審政府考えているのと違った結論を出してくる、こういう場合には、その方を重んじますか、せんだって四日の日に発表された食糧庁長官の声明書は、決して単に問題点だけをあげて検討するというものではなく、多少そこに一つの方向というものを出しながら発表しているわけなんです。だから、その方向についての考え方がもし食い違ってきた場合には、私は従来の大臣の言明から言うならば、当然米審の方の考え方というものを尊重してしかるべきものだと思うわけなんですが、その辺どうお考えでしよう。
  17. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) かりに、非常に基本的な問題で意見政府米審と違うという際には、極力米審とも話し合いをいたしまして、その意見調整をはからなければならぬと思いますが、しかし、私の基本的な考え方といたしましては、米価審議会の結論はこれを極力尊重するという建前でございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、こういうふうにお聞きしておいていいのですね、せんだっての食糧庁長官発表は、決して米審考え方を拘束するものではない、結論的にはこういうふうに承ってよろしいでしょうか。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御意見通りでございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことであれば、なおさら発表もする必要がなかったと私は思いますしね、こういう考え方があるのなら、まず米審、特に小委員の諸君が非常に苦労されている、そういう諸君に政府の最近考えているものを示す、そうして発表したい、いろいろな生産者との関係等もあるから発表もしたいというふうな考えがあるなら、そういう意味で発表もしたいと思っているが、どうだろうかといったようなやはりやり方をとるのがほんとうじゃないかと思うのですがね、法律によって設置された米審なんですから。森さんもおそらくそういう点は非常に憤慨されていると思う。その辺の手続は多少まずかったと私は思うのですが、その辺のところ大臣はどういうふうにお考えですか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもは、これはもう米審の方を向いている発表というか、見解じゃないのでありまして、これは先ほど申し上げた通りでございます。でありまするが、しかし、もう農耕期も始まりまするから、こういう事情にあるのだということは、農家の人にもわかってもらっておいた方がよかろうし、かたがた配給制度維持するという見地から、制度について、二、三ただいま申し上げたような改正をするという必要もありまするので、政府部内の措置というようなことから考えても、こういうことをする必要を認めましたので、そうしたわけなんであります。米審をあくまで拘束するとか、そういう考えは持っておりません。従いまして、米価審議会にお諮りするとか、申し上げるということを特にいたさなかった次第であります。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 それはまあ、直接は政府部内のいろいろな取り扱いの問題とかというようなことのようですが、米審に向けてのものじゃないといいますが、まあ、新聞に公表されれば、ともかく政府の公表ですから、部内とか部外じゃなしに、これはもう国民全部に対して向けたことに結局はなるわけでして、そういう点はやはり慎重にやってもらいたいと思います。  最後に一点、多少基本的な事柄ですが、大臣一つ大まかな考え方をこの際関連してお聞きしておきたいんですが、米の需給が緩和してきたら当然値段といいますか、買い入れ価格を下げるべきだ、こういったような考え方が一方にあります。私はこういう考え方は非常な間違いだと、もう確信しているんです。米は何といっても、農家の所得の一番柱ですから、それを下げる、需給が緩和したから下げる、こういうことは、結局は農家の所得の切り下げになるわけです。これは生産資材との関係なり、いろいろな点の検討もこまかくやっての議論をしなければならぬわけですが、大まかに言って一応の手取りというものは下がるわけです。ところが、どの職業の分野を見ても、大小の違いはあっても、多少は上がっていくわけです。私は農家の場合に、いや米が余った、余った、私は余ることはいいと思うんです、足らぬよりは。だけれども、そのことが即生産農民の今まで獲得しておるその所得、それに響くのは当然だとはっきりと言うておらぬかもしれないけれども、自然だといったような考え方というものは、これは非常な間違いだと思うんですね。ことに現在でも農家とそれ以外との格差というものがあるわけですから、そういう面から見て、せっかく今まで獲得しておるものを、さらに少しでも切り下げるということは、非常な私は政治の全体から見ても間違いだと思っておるんですがね。その辺のところの一つ基本的な考え方をお聞きしておきたいと思います。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 亀田さんのおっしゃる通り、私も何とかして生産者米価収入ですね、これは逐次向上していくということがよろしかろうというふうに考えておるわけです。ただこれが国民経済の発展というようなものと調子をはずして、大幅に一挙にというようなことは、とうてい私はできないと思います。どこまでも経済の大きな原則、経済原則といってもいろいろありますが、いろいろな角度の原則から見まして、大筋をはずさないということは、これは見ていかなければならぬと思いまするが、しかし、日本経済も発展し、日本の国民の所得も向上する、それに農家の方の所得のテンポはややもすればほうっておくとおくれがちであるということも考慮しつつ、米の価格というものを逐次上昇して、農家の所得の確保に役立つという方向に進むことを私は希望しております。こういうふうに考えております。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 それから最後にもう一点だけお聞きしておきますが、農家の方は御承知のように、名目はどういうことでもいいわけですね。ともかく全体の手取りが幾らか、この問題なんですから、もし農林省の方で時期別格差の問題等に手をつけられても、それから出てくる金というものはやはり基本米価に足していく、まあこういうところでは、基本米価加算だと言ってみても、百姓の方はそんなことは考えていない。全体として農家の手取り、こう考えているわけですから、この点は特に一つ、私は当然そのつもりでおやりになっているだろうと思いますが、まあ強く要望しておきます。特に昨年の十二月の十二日だったと思いますが、大蔵大臣生産者代表の諸君が十四、五名米価の問題で、ちょうど予算編成期でありましたのでお会いしたことがあります。そのとき大蔵大臣が非常にはっきりと、二回にわたってこの回答をしてくれたことがあります。それによりますと、生産者米価は今より下がるようなことはない、はっきりこう言明している。ほかでも言明しているかもしれませんが。もう一つは、時期別格差、その他の加算については今すぐこれを廃止することはない。これは私たち、大蔵大臣は金を出す方だから、多少は色をつけて、政治的に答えるのじゃないかと思ったのですがね、打ち割ったところ。ところが、きわめてはっきり佐藤大蔵大臣は、百姓代表に答えている。それで私、大蔵大臣見直したわけですが、それで大蔵大臣すらがこれだけはっきりした態度をとっているのですから、私は、今後五月、六月とこの問題がだんだん煮詰まっていくわけですがね、農林大臣としては、一つ農民立場をやはり守るという立場で十分努力してもらうことをお願いして、一つ決意のほどをちょっとお聞きしておきます。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 価格の問題につきましては、先ほどお話もありましたように、米価審議会の御意見を伺いまして、特に慎重に決定いたしたいと思います。
  26. 東隆

    ○東隆君 私は農林大臣が今度モスクワに行かれるので、このことについては、就任のときに、実は農林大臣を二人作ってもらいたい、こういうお話を申し上げたわけです。それで大臣になる方に相当な権限を委譲しておいていただかないと、審議が思うようにいかないと思うのであります。この点一つお聞きをいたしておきます。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も今回の日ソ漁業交渉はなかなか、不漁年であるというようなことにもなりまして、種々複雑な経緯があろうというふうに予想しで、最終段階におきましてはモスクワに出かけなければならぬというふうに考えておったわけです。ともかく中間報告をこの段階で聞いておこうというので、塩見顧問を呼び戻したわけでございます。塩見顧問の報告によりますると、中旬から本格的な問題が討議される、あるいはその討議が委員会段階で片づかない場合も予想されますので、すみやかに所管大臣がモスクワに出張することを要請する、こういう話がありましたので一昨日の閣議におきまして、私と門脇駐ソ大使、高碕達之助氏を代表として任命するという手続をとった次第でございます。総理とも基本的な問題に対する態度について打ち合わせをいたしましたが、まあ三代表において一つ現地で相談をして、弾力的な措置をとられたい、こういうことでございますので、日ソ交渉に臨む態勢としては、お話通りな線で整った、かように御了承を願います。
  28. 東隆

    ○東隆君 私は、特に国会において審議が十分に果たせるように一つ考えを願いたい、こう考えるのです。  そこで、私は北洋漁業関係についてお伺いをいたしますが、私は今の交渉の過程において、禁漁区域の拡大であるとか、あるいはその他いろいろなことを持ち出されて、そして結局、漁業資源の確保という点において、日本側の要求がことごとくじゅうりんされていると思います。従って、そういうような関係で私はどうしても孵化場を起こして、孵化をどんどんやるという態勢を作らんければならぬ、同時に、さらにもう少し積極的に向こうと交渉するための条件を持っていかなければならぬ、こういう考え方を持つわけでありますが、今回おいでになるときに、私は今までのような考え方でいっては、そういい結果は出ないと思う。そこで、何か強力に向こうの方に向かって主張し得るようなものをお持ちでありますか、それをお伺いいたします。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) サケ、マスその他北洋の漁業につきましては、日ソ漁業条約におきまして、毎年その漁獲の総量とか漁獲の条件でありますとか、これを日ソ漁業委員会においてきめるということになっております。委員会の主たる話題は、資源論争、資源に対する基本的な考え方としましては、日本の国民の長い食生活ということを考えますると、わが国といたしましても、北洋の魚の資源につきまして、これを枯渇させるということがあっては絶対に相ならぬというふうに考えておるわけです。しかし同時に、資源を保存しつつ適正なる漁獲を行ないまして、そして国民の生活のために尽くさなければならぬということは、これは当然でありますので、私どもは、資源論争段階におきましては、私どもの持っておる資料を洗いざらい提供いたしまして、ソ連側との突き合わせをやっておる。ソ連の方は、沿岸と申しますか、川にさかのぼる魚をとる関係がありますので、さかのぼる魚に関する知識は相当持っておるわけです。しかし、わが日本の方は、公海におきまする大洋漁業、これにつきましての知識はソ連以上に持っております。しかも、川に関する知識につきましても、領土を失います以前におきましては、相当のものを持っておるわけでございますので、私ども検討資料というものにつきまして、自信と権威とを持ってソ連側に当たるということが最も大事であるというふうに考えておる次第でございます、御指摘のように。しかし、魚族を保存するというようなことにつきましては、特に考えなければならぬと思いますので、養殖、人工孵化でありますとか、あるいは食害——サケ、マスを食う魚族、獣類についての対策というものにつきましても、いろいろと工夫をこらしておる。そういうこともソ連側に申し上げる。かようなことにいたしておる次第でございます。
  30. 東隆

    ○東隆君 私は、今の孵化事業の関係、これを私は極力国内でもってやり得る範囲のものについて相当な力を注いでやるべきでないか。これの決意が必要であろうと思う。それと同時に、今お話しになりました食害ですね、天敵でありますが、これについては、オットセイは、オットセイのあの条約でもってセーブされておる。従ってまた、イルカのようなものもこれをとることができないような形になっておる。あらゆる方面でもって天敵に相当するものはみんなふさがれておるように思います。しかし私は、オットセイその他の問題の場合に、いろいろ聞かされたことでありますけれども相当な量を食っておるわけであります。そこで新たに、たとえばトド、アザラシ、あるいはネズミザメ、そういうようなものについて、私はこの際、早急に考え方をまとめて、そして実際にそういうものを実行に移すのだ、このくらいの決意をもってモスクワに農林大臣は行かなければ、あまりいい結果は期待できないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点、もし具体的なものがございましたら、この際一つ強力な決意をする必要があろうと考えるので、それを発表していただきたいと思うわけです。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 人工孵化につきましては、これは学界におきましていろいろ議論があります。そんなことをしても何ら益はないのじゃないかというような見方をする有力なる意見もあります。しかし、常識的というか、に考えまして、人工孵化ということは、これは私どもは有益な魚族保存というか、増殖の手段であるというふうに考えますので、お話通り、今後これを大いに、今もやっておるわけでございますが、拡大していきたい、こういう考えです。  それから第二の、天敵に対する問題でございまするが、これは国際条約なんかにもいろいろ関係する複雑な問題を含んでおるわけであります。そこで、なかなか全部ということにも参りませんが、とりあえず、モウカザメというのがあるわけでありまして、これが非常に食害を及ぼすというふうに見られておるわけであります。これに対しましては、新たに一つ業界の協力も得まして、相当大規模な駆除措置を講じてみたい、かように考えておるわけであります。
  32. 東隆

    ○東隆君 時間がありませんから、その点は一つ強力に計画を進めて実際に移していただきたい。こう考えるわけであります。  そこで、北方漁業はもう一つあると思うのであります。それは根室近海の安全操業の問題。それで、この点は問題がたくさんありますが、歯舞、色丹の返還の問題、それから択捉、国後は固有の領土である、こういうふうに声明をされておるのでありますから、私は、当然あすこの領土に対する潜在主権といいますか、領土に対する主権の潜在権があるのじゃないか、こういう考え方をとるわけであります。そこで、孵化場は戦前にあすこでやったわけでありますから、孵化などもどんどんあすこでやれるような交渉も私は必要でないか、こういうことを申したところが、外務省の方では、そういうようなことをやって、借りるというような形をとると、これは今後の交渉にはなはだ迷惑をする、こういうようなことを言われてうやむやになっておりますけれども、しかし私は、固有の領土で潜在主権がある、こういうように考えると、そういうような問題も、考えようによって進めることができると思う。  さらに、漁業基地の問題、それからその次には避難港の問題でありますが、これは私は、北方のサケ、マスの漁業の問題に力を入れるよりも、根室近海の安全操業が確立して、計画的に漁業をやれば、水掲げは十分に北方の方を償うくらいなものが確実に得られると思う。そういうふうな見地から、どうしても避難港を作らなければならぬ。今の日ソの間にかわされておる避難港は、それは難破をした船が、もう水の中にもぐるようなときでなければ、というような状態のときにだけ入ることが許されているわけであります。日中関係の場合にはどういうようになっておるかというと、危険なときには避難をすることができるようにちゃんとできておるわけです。日ソの関係においては、そういうような場合でなければ避難することができない、こういうふうになっておるのでございますから、この際、これをもう少し広げて、危険である、こういうことで避難をすることができるようなことにしていただく必要があろう。それには、日本の北海道その他に避難をすることができるような港をやっぱり作らなければならぬと思うのでありますが、こういうようなことを当然やって、相互の間で漁業の安全操業をやる、こういうことは私は進めて差しつかえのない問題だ、こういうように考えますが、この三つの点、どういうふうに考えられるか。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 歯舞、色丹、国後、択捉ですね、これにつきましては、わが国の領土であるという主張を一貫して政府はとっておりますのでありまするから、ここへ出漁をいたしまして操業が安全にできるということは、これは当然のことでなきゃならぬというふうに思っております。ところが、実際問題といたしますると、なかなかさようなわけに参りませんのは御承知通りでございます。今回、私モスクワに参りまするが、私が参りまする任務は日ソの漁業交渉、すなわち漁業委員会の関係の仕事でございますので、政府から委託せられました仕事といたしましては、安全操業の関係は、私の政府の代表としての任務のはかなんでございます。しかし、お話のように、安全操業問題というものは非常に重要な懸案であり、別に外交的な措置を要する問題でございまするが、いい機会でありますので、たまたま高碕さんが大日本水産会の会長であり、かねて最も重要な関心を持っておる団体でございますので、適当な機会を見てこの話も持ち出してみたいと、こういうふうに考えております。
  34. 東隆

    ○東隆君 農林大臣はある特定の用件でもっておいでになるようでありますが、その機会に話し合いを、高碕氏を通して話し合いを進めると、こういうお話でありますけれども、私は、農林大臣として、今私がお聞きをした関係のことは、これは国内の漁業に関係をしておる問題であります。農林大臣、あんまり遠慮をされないで、一つ相当ワク外になるかもしれませんけれども、これは交渉を進めてもらわなきゃ困る問題だと思うわけです。  それから千島その他におった漁民の補償関係というものが一つもまだ講ぜられておらない。三宅島であるとか、その他小笠原関係その他の方面、これは漁業関係は非常に補償なんかも行き届いております。北方のものに関する限り一つも進められておらぬ。北方のものについては一つも進められておりません。そうして拿捕された者は李ラインの者よりも多いのであります。ただ船はとられておるようでありますが、漁夫は、それは国柄の関係かどうかしりませんけれども、帰されている。しかし、帰されるけれども、向こうの方では滞在している間ですか、拿捕されている間ですか、そのときの滞在費を要求しておるとかいうようなことも聞いておる。解決を一つもしておりませんから、それで私はこの際モスクワに行かれるんでありますから、しかし、これは根室を中心にしての北方漁業の安全操業の問題で、そうしてここは非常に近距離の間でもって、そうして私はかえって鮭鱒の方面の、北方漁業よりももっと計画的に漁獲を上げることができる地帯なんです。これは世界の三大漁場の一つに入っておった所なんでありますから、こいつを腹を据えて一つ解決をつけていただかなければ、これは私は簡単にモスクワに福田農林大臣行かれては困ると思いますが、そいつを一つもう少しお考えを強くして行っていただきたいと思うんだが、所見を一つお伺いしたい。
  35. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 引き揚げ漁民といいますか、北方漁民の困窮の状態につきましては、私も非常に実は心配いたしておるのです。かつて政府の方で見舞金を出そう、こういう申し出をしたことがあるのですが、それは不満であるというので立ち消えになったような事態があります。そこで、政府の方では引揚者の特に多い、あるいは操業のできなくなった方々の特に多い北方の根室付近の漁民に対しまして、あるいは共同施設をいたしますとかいたしまして特別の援護措置というかをやっておるわけなんです。しかし、私も補償という問題になりますると、これはなかなかいろいろひっからまりがありまして、むずかしいのでありますが、その他の考え方におきまして、これは非常に名案だというのがありますれば、何とか北方漁民の気持に沿っていきたいという気持を持っておるのです。昨年の暮れ北方漁民の方々にお目にかかりましてつぶさに状況を伺いましたが、今、水産庁当局におきましても、何か適切な立ち上がりの方法はあるまいかというので検討させております。また結論が出ましたならば、御審議をわずらわしたいと、かように存ずる次第であります。
  36. 東隆

    ○東隆君 私はマッカーサー・ラインが北海道にあったのでありますから、従って、そういうような関係で補償の条件が十分備わっておるし、私はそれを急速に進めていただきたいと、こう思うわけであります。ことに南方の方ですと裸でいいのですけれども、北の方はこれは裸じゃおれないのですから、こういう一事だけを考えてみても、私は北方の方に力を注がないのは、これははなはだもって政治の正しいところじゃないと、こう考えますので、その点十分にお考えを願います。
  37. 千田正

    ○千田正君 私は、ただいままでの東委員の御質問に対する農林大臣のお答えを聞いておりますと、漁業に限ってだけ大臣はいわゆる代表としての権限をまかされておる。私の方から考えますと、この北方における漁業は即日本の権益を代表しておるものである。今日、日本は防衛であるとか、あるいは軍備とか、そういう再軍備というような問題はこれはもう問題外でありますから、軍事的基地とか、そういう問題は問題にする必要はない。日本の今日における権益といいますれば即産業の権益である。産業の権益であるとするならば、北洋における漁業というものは、日本の最大の権益を守るという意味におけるところの、あなたはこのための代表として行かなければならない。私はその覚悟でお答え願いたいと思うのであります。  どうも昨年は、私はオホーツク海を放棄した場合において、これはちょうど大阪城の落城直前におけるところの外堀を埋められた感があるのじゃないか、やがては内堀を攻められてくる。これは絶対譲るべきでないということを、私は予算委員会その他で主張して参りました。しかしながら、政府の弱腰は残念ながらとうとうオホーツク海を放棄した。それで今日に至ってはさらに最近それを、四月一日の十七回の日ソ委員会におきまして、御承知通りあなた方はようやく発表しましたけれども、東経百七十五度、それから北緯四十度に及んで、まさに北海道の霧多布の先端に至るまでの禁止区域を向こうが要求しておる。これは無謀もはなはだしいのでありまして、こういうことになると、公海におけるところの操業の自由という原則などというのはとうてい望めない。それで、私は第一番に、二月十一日に第六回の日ソ漁業会議におきまして、ソ連の代表のモイセーエフが日本側に対して提示したところの問題について一言お尋ねしたいと思うのであります。モイセーエフが主席委員として日本側に要求した問題は、第一番に、日本漁船の協定違反が多かった、日本側のこれに対する取り締まりが非常に不徹底である、そうしてそういう関係上マスの資源が極端に減少したというので、一九六〇年には北西太平洋全域にわたってマスの完全な漁獲禁止を要求するという、この大きな問題を一つ向こうが要求しております。第二番目は、紅ザケ、白ザケの回遊状況も非常に減少したのだから、これに対して北西太平洋におけるところの日本の沖取り漁業に対しては全面的禁止を要求しております。この二つに対しまして日本側はどういう反論をこれに対して与えたか、この点をまず一つお伺いしたいと思います。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまのお話は、これは提案というよりは資源的に見た場合の見解というようなことでございます。それで、もとよりわが方におきましては、そういう見方はできないということを申し入れておるわけであります。そうしたところ、たとえばマスの禁止という点につきましては、実は禁止といったのじゃないのだ、川にのぼるその経路を禁漁区というか、漁獲を制限しなければならないのじゃないかというようなことを申し入れたのだというような弁明がソ連側からあったような次第であります。これは提案というのはあとになって出てきておりますが、資源段階における一つ見解だというような程度のもので、ごく私どもその問題は軽く——軽くと言っては語弊がありますが、経過的なものであるというふうに見ておった次第であります。
  39. 千田正

    ○千田正君 向こうで要求してきた問題の大きな問題は、まず第一に、禁止区域の拡大という問題、その次は、漁具の網目の問題、さらに漁獲量の問題、この三つの問題がおそらく今度あなたがいらっしゃつても最終段階において決定しなければならない問題であろうと思うのであります。そこで、私が特にあなたにお尋ねいたしたいのは、一九五二年から、いわゆる日本側からいいますというと、かつて河野元農林大臣がモスコーにおいて結ばれたところの漁業会談においては、奇数年偶数年の問題がありました。そのときの話し合いは、日ソ双方で十五万トンから十八万トンがいわゆる奇数年におけるところの豊漁年における漁獲量の定め方、それから不漁年の偶数年は九万トンから十一万トンの間で話をきめよう、こういう話し合いで従来は進んできたわけであります。ところが、昨年の豊漁年においては、あの通り八万五千トンと押えられる直前に政治折衝をしなければならないときに至りまして、岸総理大臣はやむを得ないから八万トンと九万トンの間で話をつけようじゃないか、こういうことで、昨年は八万五千トン、今年はどうなるかということなんですね。これが非常にわれわれとしては大きな関心を持つのでありますが、まず大体、漁獲量の問題は従来の通り、偶数年におけるところの最大量の十三万トンを日本側が要求するかどうかという問題、最低におきましても、昨年、岸総理大臣が最後に断を下されまして九万トンと八万トンというこの範囲内において取りきめようじゃないか、このラインでこれより一歩も後退できない、私はそう思うのですが、こういう点を、漁獲量の点についてまず第一番にお伺いしたいと思います。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 漁獲量は昨年は十六万五千トン言い出しまして、結局、半分近い八万五千トンできまっておるというようなわけで、非常に申し入れと決定との間の開きが大きいわけでありますが、十六万五千トンというのが、私は科学的に見てこれが悪いというわけではございませんが、私ども検討いたしました科学的根拠と同時に、今までのいろいろないきさつもありますので、そういうようなものを見まして、がんばり得る最も適正な線をことしは打ち出しまして、そうしてそれを中心にいたしましてどこまでもがんばっていきたい、かように考えております次第であります。数字のことは機微の問題でありますので控えさしていただきたいと思います。
  41. 千田正

    ○千田正君 だいぶ時間がないということでありますから、最後の問題を私はお尋ねいたします。それから網目の問題もついでに一つお答え願いたいのであります。向こう側の網目と日本側がそれに応ずるかどうかという考え方ですね。最後の大きな問題としましては、御承知通り、先ほど申し上げました通り、この東経百七十五度と、それから北緯四十度、四十五度の線からさらにたんざく型に下に下がって四十度まで向こうは拡大して要求してくる。四十度の線をまっすぐに日本側の領土に引くというと、北海道の東北端の霧多布の先から直角に行くわけなんです。あそこまで禁止区域をやられたのでは、日本の漁民はとうてい漁どころの騒ぎではないわけです。これはもうあくまで内堀を埋めようとする向こうのいわゆる外交交渉に対しては断固として反対しなければいけない。日本側の提案としましては、カムチャッカの沖から千島列島の東端に対する二十海里の線を、一つこれでこれ以外には引かれないという線を出して、この線をあくまで堅持してもらわなくちゃならないのですが、それはどこまでもがんばると大臣はおっしゃるでしょうが、もしこれをかりに一歩でも譲るようなことがありますと非常に問題になってくるのですが、大臣は覚悟はどうですか。片桐且元みたいに大阪落城の前、桐一葉まさに散らんとするようなふぜいをもって行かれるのじゃ困ります。一つ覚悟のほどをお述べを願いたいと思うのであります。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 四十五度以南、たんざく型といわれております地域の問題につきましては、これは日ソ漁業条約を修正するという必要もある重大な問題でございます。さような問題は私どもは軽々にこれを受諾するというようなことはいたしません。どこまでも私どもはただいまお話通りこの問題につきましては、ソ連側の間違いを指摘して日本の主張を押し通す、かような考えでソ連に向かうつもりでございます。
  43. 千田正

    ○千田正君 もう一点、それで昨年の規制区域外の漁業に対しましても、非常に向こうは干渉をしてきたわけですね。いわゆる流し網とか、あるいはそういう問題に対しまして非常な規制を向こうは要求してきました。しかし、公海の自由操業という原則からいたしますと、そういう問題は相手側から強要される必要はないと私は思うのです。しかも、オホーツク海という広範な領域を昨年は放棄して向こうの意思に沿うためですから、こちらは太平洋のどまん中まで一々向こうの規制に応じなければならないという理由はないと思うのです。日本のしかもこれは大漁業じやなくて、零細漁業に毛のはえたような人たちがやっているのですからね。この問題に対しましても、あくまでこれはがんばっていただきたい。大臣一つほんとうに命がけでやるつもりでやってきていただきたい。どうも日本大臣は内側では勇ましいことを言いますけれども、外へ出るというとみんなおとなしくなってしまうので、まあ福田農林大臣はそういうことはなくて、むしろ内剛外柔じゃなくて外剛内柔かもしれませんが、がんばっていただきたい。一応、とにかく行くに際しまして、われわれ農林委員会の期待に沿うような所信を一つ明らかにしていただきたい。最後にお願いいたします。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 必ず本日の当委員会の皆さんからの御鞭撻、御期待に沿うように努力をいたして参りたい、かように存ずる次第でございます。私出発後におきましても、何かと御協力、御声援あらんことをお願いいたす次第でございます。   —————————————
  45. 森八三一

    ○森八三一君 再び生産者米価体系の問題に移りまして二、三の問題をお尋ねいたします。米価の問題が、生産者消費者に非常に密接な、重大な関係のあることは申すまでもございません。同時にまた、この問題は賃金や俸給なんかにも累を及ぼすというわけでございまするから、まさに国民経済全体に非常な関係のある重要な問題であります。でありまするから、これが取り扱いにつきましては、大臣もしばしばおっしゃっておりまするように、きわめて慎重でなければならぬことは当然であります。同時にまた、法律によって定められておる米価審議会意見を十分に取り入れて取り組んでいかれるという態度もこれは当然なことであると思うのであります。そういうような基本的な態度についてはしばしば表明されておりますので、私もその御趣旨は十分了解をいたしております。ところが、この四日の日に食糧庁長官の談として発表されたものは、私はこれは事務的な発表と見ておりましたが、先刻亀田委員の質問に答えられまして、大臣も了解の上でこういうような発表が行なわれたというに至りますると、私は非常に遺憾の意を表明しなければならぬ。と申し上げまするのは、新聞記事でありまするが、米価体系の問題点と是正の方向は次の通りだとして数項目があがっておりまするが、今日、米価の問題で一番重要なポイントになっておる問題はいわゆる生産費所得補償方式による生産者米価をどうするかということが、この米価体系の一番基本的な大きい問題なんです。そういう問題を伏せてしまって、派生しておるこの各種の加算金だけが、米価体系の問題点と是正の方向だということでは、これは米価の問題を真剣に考えていらっしゃらぬということにしか理解ができないのです。そういうことになりますると、この発表というものは、何か含むところがあってこういう発表をなすったのじゃないかというような憶測もしてみたくなってしまうのです。基本的なその生産費所得補償方式による基本米価がどうあるべきかということが今日の米価に関する一番重要なポイントなんです。その問題をはずしてしまって、派生的に起きておるその他の問題だけが是正の方向である、問題点である、こういう見解を表明されたということは、私は米価に取り組んでおる態度としては受け取りがたいのです。何かこういうことを発表して今、米価審議会で非常に苦労をしておる問題に対して、何か牽制的な態度をとられておるというようにしか受け取れぬのですが、一体、米価問題に対する大臣の基本的な態度というのはどこにあるのですか。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 米価につきましては、米価審議会に諮った上、それを尊重しながら慎重にきめるということが基本的態度なんです。それで、四日に発表いたしましたのは、一つは、今何か含むところがありそうだというお話でございまするが、含むところがあるのですよ。その含みというのは、一つは、大蔵省との関係におきまして、私どもどうしても協議をしなければならぬ立場にあるわけでございまするが、ところが、このもち米の問題なんかになりますると、これは大蔵省ではいつもこの加算問題につきましてある種の見解を持っていることは、これは森さんもよく御承知通りであります。そういうことにつきまして、われわれとしても検討するのだというようなことが必要になるわけなんでございまして、さような観点の態度というものが一つあったのです。それから同時に、もう一つは、これもあなたがよく御承知通りもち米論争がありまして、最後に、ことしはこれはもう変えるわけにはいかないのだ、これについて、なぜ政府は何らか検討しているというくらいのことを、春のうちに、まき付けが始まる前に言っておかないのだ、こういうようなお話があるわけなんです。そういうようなことも考えまして、もしこれが、米価審議会はあくまで尊重いたしまするが、米価審議会においてさような結論が出た場合におきまして、まあ弾力的な考え方がとれる措置もとっておく必要があるのではあるまいかというようなことでございます。米価体系全体につきまして何ら含むところはない、どこまでも米価審議会を尊重して参る、こういうふうな考えでございます。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 そういうような御答弁が他日起きるであろうと私もかねがね考えおりましたので、今年度の予算の審議にあたりまして、政府の態度といたしましては、もちろん基本的には、米価審議会の結論を待って、それを十分に考慮しながらきめるということは、これは申すまでもございませんが、そういう結論が出る前に、現政府の態度としてはどうかということをだんだんお伺いをいたしましたし、また政府も、書きものにして、昭和三十五年産に取り組む態度として発表されておりますのは、まず国内生産米麦の買い入れにつきましては、三十五年産米は、その集荷数量を五百十万トン、麦は買い入れ数量百十三万トンと予定いたしておる、また国内米の政府買い入れ価格は、百五十キログラム当たり一万三百三十三円とし、消費者価格は現行価格といたしましたほか、これら米麦の管理につきましては、すべて従来の方針を継続して参ることといたしております、こう明確におっしゃっております。その後、しばしば各種の機会におきまして表明されておる言葉といたしましては、現在の米価水準は変更をしない所存である、こう説明をされております。  そこで予算委員会で、今お話しになるようなことが直ちに起こる危険があると考えましたので、直接米価に関連することではございませんが、間接的に、当然これは生産者としては米価の一部と考えております例の予約減税の問題、これを取り上げまして、政府は現行の考え方を、米価審議会が別個に答申をしたら別ですけれども、そうでない場合には、変えぬかどうか——だといたしますれば、予約減税の問題にいたしましても、従来の方針を継続される、こういうふうに了解いたしますが、いかがでございますか、こういうことを大蔵大臣に質問いたしましたところが、大蔵大臣は、三十五年産の米価については、米価審議会が別の方針を出せば別でございますが、そうでない限りにおいては、従来の方針を踏襲することでございますから、予約減税の問題も当然そういう措置は考えるのでございます。こういう御答弁でございます。でございまするから、この政府見解方針というものが明確である限りは、米価審議会が別個に答申をすれば別でございますが、そうでない限りは、大体従来の方針というものがそのまま継続されるということは、これは農民はすでに了解済みの問題だろうと思うのです。方針として、文書にも明確に出ておるんですから。それはどうなんですか、従来の米価水準は変更いたしません、それから管理につきましては、すべて従来の方針を継続いたします、という政府の言明は、昭和三十五年産米については従来、ということは、昭和三十四年産米の取り扱い方針というものをそのまま踏襲していくのだというように生産農民は了解をして、現に種もみの準備もしておれば、塩水選もやっていれば、苗代の準備もしている、こう私は受け取っておるんです。ですから、昨年ももち米加算を云々いたしましたときに、今になってやるのはひどいじゃないかと私は申し上げました。もっと事前にそういう態度を明確にしておいて、そういうことになれば、もち米を作りたくない、うるちに転向するという連中に、転向の自由というものをあらかじめ与えておくという態度が政治じゃないか、ところが、本年ははっきり従来の方針を踏襲いたしますと言明され、米価水準は変えないと言明されておるんですから、生産者は去年と変わらぬものと了解をして、一切の生産準備を進行させておるというのが私は実態だと思うのです。米価審議会で別の結論が出れば別ですが、政府の態度としては、そういうことだと了解するのが常識的な当然な私は方向だろうと思うのですが、いかがでございましょうか。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 米価水準につきましては、ただいまお話がありました通り考え方を持っておる次第でございます。しかし、私は先ほども申し上げましたが、管理制度はどうしてもこれは続けていかなければならぬ、そういうふうに考えており、それに対しましては、これはいささかもその方針がゆらぐようなことがあってはならぬと、かような考えでございます。ところが、それは手ぶらでそういうことがうまくやっていけるかというと、それはなかなかやっていけません。これは先ほど梶原委員からもお話がございましたが、いろいろな問題が出ておる。さようなことも考慮して、今後この米価水準とか、米の統制根幹についてこれを動かす考えはありませんけれども、しかしながら、そういう方針を貫くために必要な改善というか、工夫ですね、これはこらしていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。まあ、もち米の問題、常に議論になる次第でございまするが、これにつきましても、米価審議会にお諮りをして、まあ結論が出ますればさようなことにさしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 森八三一

    ○森八三一君 ここにはっきり農林省からちょうだいした大臣の予算説明書に、一万三百三十三円としておる。こういう明確な数字を示して従来の方針を継承すると、こうおっしゃっておるのですね。ところが、一万三百三十三円というのは、もう申し上げるまでもない、基本米価に各種の加算金がついて構成されておるのです。農民からいえば、これが米価なんです。これが米価なんです。一万三百三十三円が米価なんです。それを継承すると、こうおっしゃっておるのですから、そのことは農民も十分了解の上で各種の作業を進めておると、その内容に重大な変更を及ぼすということについては、米価審議会が別の方針を出せば別です。そうでない限りは、政府としては、これを踏襲していくということをお考えにならないと、ここでははっきり一万三百三十三円をやりますよと、こう言っておいて、四日の日には、いや、そうじゃございません。各種の加算金はやめたいとか半分にするとかということになると、この一万三百三十三円というのはこわれたということですね。これはこわれちゃう。それはどうなりますか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうはならないのですね。一万三百三十三円は、御承知通り基本米価、それに各種の加算金が入ってのお話でございます。基本米価が一体どうなるのか、まあそれが一番大きな要素でございまするが、私どもは、通じまして、いかなる工夫がこらされてもこの水準を引き下げるというような考え方をいたしておるわけではない、かようなことを申し上げておるのであります。
  51. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、もし基本米価が昨年通り九千七百十五円というふうに生産費所得補償方式で出た場合には、各種の加算金には手をつけないと、こういう考えであると了解していいのか。逆に生産費支出補償方式による結論が基本米価において一万円ということになりました場合においては、各種の加算金は三百三十三円の中でしかるべく米審意見を聞きながら考えていこうと、こういうことだと、こう了解していいのかです。私どもは一万三百三十三円がよろしいということを申し上げておるのじやございません。ございませんが、予算の建前から、一応政府としては一万三百三十三円というものは、実質農民の手取りにおいてはいかなることがあってもこれを変更しないというのが考え方だと、こういうように了解してようございますか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話通り、問題になるのは手取り額でございます。そのうち一番大きな要素を占めるのは、これは基本米価でございまするが、基本米価考えるにあたりましても、技術的にあるいは関連的に各種の加算金にもいろいろの配慮が加えられるということにまあなるだろうというふうに考えるわけでございます。そういうようなわけで、私どものただいまの考えといたしましては、通じまして、一万三百三十三円ですね、この水準も引き下げるという考え方は持っておりませんが、しかし、食管制度維持運営していくために必要な工夫はこらさなければならぬと、こういうふうに考えておる、かような次第でございます。
  53. 森八三一

    ○森八三一君 私がその含むところがあるのじゃないかと申し上げましたのは、おそらく生産費所得補償方式について今、大臣から諮問されておる算式というものを見つけて参りますると、これは九千七百十五円ということではなくて、多少こう上がっているような基本米価が出てくるだろうと私は想像しておりまするし、おそらく大臣もそういうことを暗に考えていらっしゃる。そうするとですね、一万三百三十三円との間に、各種の加算金を据え置いた場合には狂いが生じてくる。だから、そういうことになっては大へんだから、ここに長官をしてこういう発表をせしめて、ちゃんとその牽制の手続をしていらっしゃるのだ。その説明としては、いろいろ一般会計の基本を維持していくためには、もち米加算とか、あるいは西南暖地の早場米とか、そういうものについて消費者関係から相当の異論があるということに説明づけて差し引き結論を導き出そうというような御意図があるようにしか受け取れぬのですね。そういうことになっておるということでございますれば、これは押し問答いたしましても解決いたしませんのでそれ以上はいたしませんが、しかし、何ら含むところはないのだと、そうして前年の方針を踏襲ということについても変更がないということに了解をいたしておきます。それでようございますか。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話のような深慮遠謀をいたしておるわけではございませんが、昨年通りの主義でいくということが前提として了解するという点につきましては、それは米価の水準とか基本的な考え方につきましては、もうまことにさような通りでございまするが、それが枝葉の点と申しますか、各具体的な点にまでわたりまして昨年通り一々もう全部動かせないのだというような考え方は私はいたしておらないのでありまして、率直に申しまして、これは米価審議会の結論にもよりまするが、食管制度維持運営のために必要な工夫は、これだけはこらしていかなければならぬ、こういう考え方でございます。
  55. 森八三一

    ○森八三一君 くどく申し上げるようでありますが、一万三百三十三円というものと、そうして従来の方針を継承するというこの表現ですね、金額を示して従来の方針を踏襲するというこの考え方農民が、素朴な農民が受け取った場合には、各種の加算金というものを加えて一万三百三十三円が構成されておるのですから、これは変更のないものだと了解するのが、これは私はもう通念だと思うのですね。その場合、米価審議会は実際問題としてこれはやめるがいい、これをもっとふやすがいいという結論を出して政府が考慮されるのはけっこうでございます。けっこうでございますが、現段階における政府方針としては従来のものを踏襲すると、米価の水準は変えないというこの表現ですね、これを素朴な農民生産者が受け取った場合の感じとしては、これは従来とちっとも変わらぬのだというように了解するのは、これはあたりまえだと思うのですね。それを、その実態によって操作することがあり得るということになりますると、昨年と同じような議論で、いよいよ田植えをしちまってから、どうももち米の方は減らすぞと、こうおっしゃるなら、もっと早く言ってもらえば私は、うるちを作って、収量の少ないもちは作らぬはずだと、こういう小言が出てくるのですね。ここで方針を明らかにされたのですから、そのことは、時間がございませんからもうこれ以上申し上げませんが、ほんとうに純朴な農民気持というものをよく察して行動をしていただきたい。大臣農民から信頼されておる大臣ですから、まさか農民の素朴な気持を裏切るという行動はなさらぬと思いますが、これを受け取っておる農民の素朴な気持というものは、これはなるほど福田大臣けっこうだ、去年より変えぬとおっしゃっているのだから、各種の加算金もやつてもらうのだ、こう了解して、もみの手当から苗代の手当をやっておるという現状だと私は思うのです。その点は十分御考慮おきをいただきたいと思います。  いろいろ承わりたいのですが、大臣の時間の関係で、十分前に終われということでございますから、あとは他日にいたします。
  56. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) さきに申し上げましたように、農林大臣の御都合もありまして、これらの件につきましては、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  57. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員長から福田農林大臣に対し壮行のあいさつをいたしたいと思います。  福田農林大臣の御出発にあたって一言ごあいさつを申し上げます。  福田農林大臣におかれましては、今般、日ソ漁業問題交渉における日本政府代表として大任を帯びモスコーへお出向きになることになり、近く御出発になるように承るのでありますが、御苦労様に存じ上げます。  日ソ漁業交渉の結果いかんは、わが国にとりましては実に重大なことでありますが、報ぜられるところによりますと、ただいまきわめて容易ならぬ状態にあるようでありまして、この成り行きに対しまして、国民ひとしく非常な関心を払っておるところでございます。どうか、福田農林大臣におかれましては、十分御健康にお気をつけをいただき、交渉が所期する成果をおさめることができまするように、最善のお骨折りを賜わりますよう心からお願いを申し上げましてごあいさつにする次第でございます。(拍手)
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまは、委員長から、特に私今回訪ソをいたしまするにつきまして御激励を賜わりまして、まことに感銘の至りでございます。  私、塩見顧問の報告に基づきまして急劇モスコーに立つことに相なりました。この交渉は、先ほども答弁の中で申し上げました通り、今年は特に複雑な経過をたどるだろうと、かように存ずる次第でございます。まことに微力ではございまするが、全力を尽くしまして皆様の御期待に沿いたいと、かような考えでございまするが、ただいま九千万国民を代表する本院におきまして、委員長から特に激励を与えられましたことは、私の交渉に臨む元気づけというふうに相なります次第かと存ずる次第でございます。皆さんの御期待に沿うように大いに努力をするということをお誓い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手)
  59. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここでしばらく休憩し、午後二時から再開をいたします。  休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    —————・—————    午後二時十九分開会
  60. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  愛知用水に関する件を議題といたします。愛知用水の工事の進捗状況等について説明を求めます。
  61. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 愛知用水関係の工事の状況等につきまして、ごく簡単に御説明申し上げます。  愛知用水の工事の期間でございますが、これは大体当初より三十五年度一ぱいで完成するという予定になっております。実際の工事もいろいろな途中で支障等もございましたが、今の見通しで参りますと、大体三十五年度には大部分の工事を終わりまして、三十六年度の植付には間に合う見通しのもとに今工事を進めております。大体ということを申し上げましたのでございますが、三十六年以降に残りますものは、たとえば支線関係で、あの辺は中京工業地帯になっておりまして、宅地化するというようなところに若干支線の問題がございます。そのほかに東郷調整池という池が、これが昨年の十二月に着工いたしたのでございますが、これが完成をいたしますのは、三十六年になってから。ただし、三十六年の植付までには、工事の途中でも十分間に合いますので、その関係等が若干三十六年度に残りますが、大部分のものは三十五年度中には工事が終わるという見通しのもとに、今工事を進めておるような次第でございます。工事の中で一番大きな牧尾のダムでございますが、これにつきましては三十三年度に、実は仮締め切りが台風のために決壊等いたしまして、非常におくれるんじゃないかというような憂慮をされますような事態もあったのでございますが、その後関係方面とも連絡がつき、また工事も進みまして、むしろダムにつきましては一番工事が進んでおります。契約ベースで約九〇%くらいのものはもう契約いたしまして、三十五年度内には築堤を終わりまして、あとゲートの取りつけとか何かは、三十五年の十二月ぐらいには築堤を終わりまして、三十六年一月以降はゲートの取りつけという付帯工事がございますが、もう三十六年の四月には水の貯溜も始めまして、三十六年度の植付には間に合わせるというような段取りで進んでおります。これは非常に途中等でいろいろな災害等の影響がございましたが、今は非常に順調に進んでおる次第でございます。  それから幹線でございますが、これは全長約百二十キロでございますが、御承知の木曾川を下って参りまして、兼見というところから、師崎の近くまでいくのでございまして、知多半島を縦断いたしますが、これにつきましても全工区現在着工いたしております。工事内容はトンネルでございますとか、あるいはサイホン工事等いろいろございますが、仕事の順序といたしまして、相当長く時間を要しますところのトンネル等に、実は早くかかっておりましたので、大きなトンネル等はほとんど貫通いたしております。兼見でありますとか、愛岐でありますとか、富士でありますとか、白山でありますとか、大きいトンネルがございますが、こういうものはほとんど貫通いたしまして、今、巻立等をやっておるというような状態でございます。またサイホン等もほとんど全部着工いたしております。一番長い上野サイホン等につきましても、半分以上できておるというようなことで、特に時間を要しますトンネル、サイホン等に早く手をつけました関係上、これも順調に進んでおります。七〇%くらいの契約を終わりまして、まあ工事を進めておるわけでございます。まだ若干都会近辺では、用地買収等の難航しておる地点も短かい距離でございますけれどもあります。幹線水路につきましても、これはダムと一緒にほとんど同時に全部完成するだろうという見通しのもとに、工事を進めておる次第でございます。  それから幹線から出ております支派線の支線でございますが、これは実は公団が自分でやっております分と、それから岐阜県と愛知県に委託しておる分とございます。実はこの支線につきましていろいろ問題といいますか、いろいろ批判を受けたのでございますが、それは幹線ダム、幹線はできても支線がなかなかできぬじゃないか、特に愛知県等においては、支線の工事が非常におくれておるというような批判を、実は受けたのでございますが、その後愛知県等でも、この愛知用水関係の技術者が百二十名くらいおったのでございますが、それを二百七十名くらい、倍くらいにふやしまして、あの災害のさなかにありましても、実はほとんど支線の方は影響ございませんでしたので、災害の方を手伝わんで、こっちの方を約二百七十名くらいの人がかかってやるというようなことをやりまして、突貫工事といってはなんでございますけれども、だいぶ支線につきまして一時いろいろ批判がありましたけれども、これもだいぶおくれを取り戻しておりまして、幹線ができても支線に水がいかぬじゃないかというようなことには、おそらくならぬだろうという見通しで今やっております。ただ、先ほど申し上げましたように、支線につきましては一部住宅地化するというような問題がございまして、若干のものは三十六年度に回るというようなことがあるいはあるかもしれませんが、大部分のものは三十五年度中にできまして、先ほど申しましたような、三十六年度については間に合うだろうという見通しでございます。パーセンテージで申し上げますと、公団がやっておりますのは五五%の契約が終わっております。岐阜県委託が七〇%、愛知県委託が四六%というふうに、大体半分ないしそれ以上のものは契約をしまして、仕事を進めているような状態でございます。  それから水源のダム、幹線水路、支線のほかに、岐阜県にございますが、松野という調整池、愛知県にございます三好池、東郷調整池というようなため池を作っております。これにつきましても約二百万トンためまして、三好池というものは完成して、すでに灌漑用に使っておりますし、岐阜県の松野池というため池も七、八〇%はもうできている。東郷調整池につきましては、実は先ほど申し上げましたように、用地買収その他の関係で着工がおくれましたが、これもすでに着工いたしまして、三十六年度の湛水には間に合わす、その部分の仕事はできる。完成は三十六年度になりますが、これも大体三十六年の植付には間に合うというふうな見通しを持っております。  それから開墾でございますが、これは大体予定しておりました面積の七〇%くらいの未墾地買収を終わりまして、これも工事にかかっております。これにつきましては当初より若干あの辺の宅地化その他の関係で面積は減っておりますが、これも約七〇%買収を終わりまして、すでに入植したところもございます。  それから末端の耕地整備でございますが、これは土地改良区に委託してやるということで今やっております。これも実は最末端でございますので、若干今までおくれておりますが、これも水のいきますまでには、何とか間に合わせるというようなことで、土地改良区に頼んでいるわけでございます。  それから愛知用水事業は、農業だけでなくて、水道——上水道、工業用水道、それから発電というものがございますが、上水道、工業用水道につきましては、これもだいぶ進んでおります。あの辺の工業化等の問題、あるいは人口増等の問題もございまして、愛知県の関係市町村は非常に熱心でございまして、特に工業用水道関係は七四%くらいの契約を終わっている。上水道が約四〇%くらいというようなことで、これも農業の方と合わせましてだいぶ進んでおります。発電につきましては、関西電力とアロケートしまして、牧尾のダムで発電をし、予定は一万キロでございますが、それから下流の、関西電力の、下流増もあるという計画をしておるのでございますが、発電だけ実はおくれまして、関西電力は一万キロ、さらにもっと大きく三万キロくらいのものにしたいというような要望もございまして、今交渉いたしておりますが、発電につきましては、実はまだおくれております。ただ、発電がおくれましても、農業の方には支障がないというようなことで、工事を進めておるような次第でございます。  大体、以上が愛知用水の工事の進捗状況でございまして、今申し上げましたように、当初予定しておりましたように、三十五年度中には大体工事を終わりまして、三十六年度の植付には間に合うという実は明かるい見通しをもちまして、今せっかく公団で工事をしてもらっております。三十五年度はほとんど最盛期というような形になるわけでございます。  それからもう一つ、公団につきましての事業費の問題でございますが、これは実は予算の御審議をいただいたわけでありまするが、事業費につきまして増加が実はございます。当初予定しておりましたのは、建設期間中に三百三十一億ということで予定をいたしておりましたが、その後いろいろ物価の問題、あるいは工事の内容の問題、あるいは災害等の関係、いろいろな原因がございまして、現在では四百二十三億ということで予定をいたしております。ふえましたのは、用地関係等でも実は十数億当初に見込みましたものよりもふえております。堰堤関係で、用地費を含めまして約三十億くらいふえております。それから幹線水路で二十五億、支線水路で二十一億、補助ため池で八億というようなものがふえました大きいものでございますが、特に堰堤等におきましては、災害の関係で、従来予定しておりましたものよりも用水ばけを大きく計画を変えますとか、あるいは仮締め切りの決壊の関係で二重手間がありましたり、あるいは地すべり地帯が出て参りますとか、またあそこはロックフィルダムでありますので、ダムの取り場が少しよけいかかった。いろいろな点がございまして、堰堤が一番経費を食います。それから幹線につきましては、幹線、支線ともにそうでございますが、用地買収の関係等からいたしまして、特に幹線等は山寄りに当初計画より追い上げられたような形で、構造物の関係、開渠よりも構造物がトンネルでありますからサイホンがよけいになります。あるいは支線水路でいきますれば、排水路で通そうと思いましたものが管水路になりますとか、あるいは断面を広く、勾配がゆるくなった関係で、断面が大きくなる。いろいろな事情がございまして、やむを得ない事情がございまして、事業費が先ほど申し上げましたように上がっております。それで、この事業費だけ、今、上がりましたものだけで参りますと、実は農民負担等も相当上がる計算になるわけでございますので、今、農林省といたしましては、極力農民負担は上げぬようにしようということで、今、各方面と実は交渉をいたしております。  実は愛知用水公団の仕事が始まりましたあとで出てきました問題で、東海製鉄という問題がございます。あすこの工業用水を、必要な工業用水を愛知用水の幹線水路を使わして提供してもらいたいというような、実は新しい申し出もございます。また、建設利息等の関係も、建設期間中に予定しておりましたものよりも、あるいは若干変更があるかもしらぬというような問題、いろいろございます。それから電力会社とのアロケートの問題、またアン・ノーン・ファクターがだいぶ実はございまして、そういういろいろな関係のもので事業費が増加いたしましても、農民負担はなるべく上がらぬようにというようなことを今実は各方面と交渉中でございまして、私どもといたしましては、極力この点につきましては努力をいたしたいというような考え方でおる次第でございます。  それから三十五年度の予算でございますが、これはお手元に差し上げました「愛知用水事業計画概要」の二十六ページに三十五年度の予算が書いてございますが、三十四年度と比較してございます。三十五年度は百三十四億一千八百万、そのほかに予算外契約としまして、二十七ページの一番下にございますが、五十二億六千万というものがございます。これは百三十四億の収入でございますが、ここにございますように、補助金が二十五億になっております。そのほかに、借入金、おもなものは預金部資金の六十億、昨年ほとんどございませんでした見返り資金の四十五億というものが収入の大部分になっております。それから支出の方は、ごらんになりますように、事業費が百六億五千二百万で、先ほど申し上げました堰堤なり幹線水路になり支線水路でございますとか、こういうものに使う予定になっております。  それで、先ほど申し上げましたように、大体事業といたしましては、三十五年度中に完了する、ほとんど大部分が完了するということになっておりますが、支払いの関係から言いますと、全部三十五年度中に支払いませんでも、請負者との契約で三十六年度に回せるものもございますので、なるべく、三十五年度の財政投資の苦しい時期に全部支払うということでなくて、来年度に支払ったらどうかということで、ここにございますように、五十三億の予算外の契約というようなことを予算上考えたわけでございます。このほかに、実はこの予算にはございませんが、約百億の債務負担行為をいたしております。これは、国の補助金が、今まで出ました補助金と、将来これは三十五年度から五カ年で支払うということになっておりますが、五カ年の債務負担行為、国の補助金が約百一億予算に計上されまして、このほかに、そういう債務負担行為をしているような状態でございます。予算的には、今申し上げたようなことで、大部分三十五年度に仕事を終わりまして、所期の目的を達成したいという考えでおるわけでございます。  それからもう一つ愛知用水ができ上がりましたあとの問題でございますが、これにつきましては、大臣も数回国会で御答弁をしておられますが、農林省といたしましては、これは来年の予算を大蔵省に要求する時期といいますか、五月中くらいには、愛知用水公団と機械開発公団というものを一緒にしまして、将来農地の開発についてどういう形が一番いいかということについて検討をいたしました上で、結論を出したいというふうに考えております。希望といたしましては、せっかくりっぱな技術者がまとまっており、とうとい経験を得られたのでありますから、何かこれはそのまままとまって活用できるようなことが一番望ましいことではなかろうかというような希望は持っておりますが、こういう問題につきまして五月一ぱいくらいには大体の方向を出したいということで、今内部で検討をしておるような次第でございます。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  62. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  63. 森八三一

    ○森八三一君 私も先日、伊藤理事の御案内によりまして、大半の現地を視察いたしました。今までは想像して、私非常に工事がおくれて、三十六年の植付には相当、間に合わぬのではないかというような心配も実はいたしておったのでありますが、公団の御努力があり、農林省の督励によりまして、私が想像しておった以上に工事が非常に進捗しておるということは感謝いたしております。今、局長御説明のように、三十六年の植付には十分一つ間に合わすように、御説明通り完成するように今後とも最善を尽くされたいと思うのでありますが、そこで今、御説明がありましたが、また先日、大臣にも予算の分科会で質問をいたしました点もございましたが、せっかくこういうような優秀な技術というものがまとまっておるのですから、これを分散せしめないように、五月中には結論を出そうということで、大臣もそういう御答弁でございましたが、このことが、私は三十五年度中にこの画期的な大事業を完成して参りまするための仕上げに対しては非常に大きな条件になると思うのです。と申し上げまするのは、三十五年度中に事業が終わってしまうんだということになると、その先の身の振り方というものがはっきりきまらなければ、それは人間の情として、一生懸命やるということはどうしても鈍るというのが、残念なことですけれども、これは否定のできない問題なんです。そこで、ことしの五月中にはそれぞれ結論を出してほんとに腰を落ちつけてやれるような態勢を作ろうということですから、それ以上私はかれこれ申し上げませんけれども、そのことも私は三十五年度中に完成するかせぬかのきめ手になるというように感ずるのであります。でございますので、職員の皆さんがほんとに落ちついてこれに専念ができるという、先の明るい見通しを一刻も早く一つやっていただきたいということをお願いいたします。そこで、五月中に大体の結論が出るというなら、もう四月も半ばになったのですから、おおむねの見当というものは事務的には出ておらなければならぬはずだと思うのですね。これは閣議決定だとか、あるいは大臣の承認を得るとか、手続上の問題は、それはもちろん残ります。残りますが、当面の責任者である局長としては、大体こんな構想でいけば職員の皆さんに心配なくいけるんだという構想というものは大体おありにならぬというと、五月一ぱいにはそういう結論は出ないんじゃないか、三十六年度予算とからみ合わせて考えるとなりますると、これは非常におくれますので、事前に構想だけは伝達をする必要があると思う。それには、大体の構想はおありにならなきゃ、もうあと一カ月では結論が出ようはずはないので、もしここでこんな気持で局長としては取り組んでおる、もちろんこれは大きな事業ですから、仕上げはどうなりまするか別問題にいたしまして、御発表を願えますれば、今申し上げましたような趣旨で多数の諸君が安心してやっていけるということにも、ささえになると思いますので、その点を一つお漏らしを願えれば……、事務的な構想だけでも御発表願いたい。  第二の点は、これは御説明ございました九十億の工事費が予算外において膨張したのですから、それは農民全体として転嫁されないように、今、各方面に折衝中であるということでございまして、結論においては、農民負担が増加いたしませんように善処していただけるものと私は期待をいたしておりますが、これも考えてみますれば、なかなかそう口で言うほど簡単な問題ではないと思います。東海製鉄の問題ができて、幹線水路を使うから、そっちの方から新しい収入が上がる道があるなどと言いましても、これはわずかなものでありまして、九十億という膨大な予算に対する工事費の増加量というものを穴埋めするのには微々たる存在であろうと思うのです。そこで、農業部面における償還計画として二十四ページに上っております償還期間が農業だけが十カ年とか十五カ年で、電力とか水道部面はいずれも二十カ年というふうに償還期間が相当長い。これは資金の性格からもくるわけでございますが、こういうようなことをもう少しお考え願えれば、実質的負担というのは相当に軽減し得る道もあるのじゃないかと思いますが、今、お考えになっておる農民の負担を増加させないということ、このことも今後の末端の土地改良組合等の分担する仕事を進めていきます上には、農民諸君がしっかり協力していくかいかぬかという問題にも関連してくると思いますので、農民側の負担がこういう工事費の増加によって増加しないのだというようなことについて、ただ抽象的にあっちこっち折衝しておりますというだけでなくして、もう少し何か具体的に、こういう方法もある、こういう方法もある、という、考えていらっしゃる内容をもう少し詳細にお話し願いますれば、今後末端の工事を進めていく個々の農民諸君も元気よくやっていくということに非常に裨益をすると思うのですが、そういう点はどうでございましょうか。以上二つの点をまずお伺いしたい。
  64. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 最初おっしゃいましたように、三十五年度中に完成をするためには早く職員の諸君が将来の問題も安心してやれるということが一つの大きな条件じゃないかとおっしゃいました。私も全然同感でございます。それで、大臣もおっしゃっておりましたように、大体五月中と言っておりますのは、農林省は大体来年の予算の要求の準備をするような時期を頭に置いて実は五月中ということを言っておるわけでございますが、私も先ほど申し上げましたように、技術者がまとまっておるのでございますから、これをちりぢりばらばらにせんで、まとまったままでマスで働けるということを希望するということを私からちょっと申し上げましたが、大体事務当局といたしましても、そういう線で物事を考えていきたいということで、中で実は検討いたしております。まあ御承知のように、実は公団ができましたあとに特別会計という制度ができまして、国が特別会計で干拓も全部、新規の土地改良も大部分それでやっていこうというようなことから、特別会計の制度ができたものでありますから、それとの関連が実は率直に申し上げまして、一番どういうふうにこれと調整していくのだということが悩みの種でございます。それで、まあ私の方としましては、開墾でありますとか、干拓でありますとか、あるいは土地改良あるいは場合によりましては、そのほかの水道とか電気とかいうような他種事業でやりますもので、ある一定の規模以上のものは、こういうことで考えたらどんなものだろうかというようなことで今議論をしております。中心はそういうようなことで議論を実はいたしております。申し上げましたように、特別会計との関係が一番頭痛の種で、財政当局等にこれは当然折衝する問題でありますので、その点に頭を悩めながら、何とかこれをマスで利用するという方法の結論を出したいということで実は検討いたしおりますので、今の段階ではその程度で御勘弁を願いたいと思います。  それから農民負担の問題でございますが、これは先生おっしゃいますように、なかなか口で言うほど簡単でございません。今のこのままが、従来の政令の方式で農民負担になるということになりますと、従来四万三千円といっておりますのが、五万五千円くらいになります。これをどういう方法で軽減するかということでございますが、実はもっと具体的に内容を言えというお話でございますが、実は先ほど申し上げました工業用水道等の問題も一つの大きなファクターとしては考えております。あるいはそのほかに電気の問題等は、実は先ほど申し上げましたように、まだ当初一万キロといっただけで、最近ではもっと大きいものを作りたいという話があるだけで、ある程度電力は幾らにするということは実はきまっておりません。増加分につきましてはそういう関係、それから県の負担等実はいろいろ事情がございまして、今これとこれだといって一つ一つは申し上げかねるのでございますが、先生おっしゃいました償還期限の問題等は、実はこういう問題につきましては一般の土地改良と一緒で、大体完成後十年、干拓でございますと二十五年でございますが、従来の土地改良と一緒に実はこれを考えておりましたので、この点につきましてはまだ考えておりませんでしたが、こういうものも一つ要素に入れまして今後検討いたしていきたいと思います。この農民負担の問題につきましては大臣もはっきり言っておられますが、極力上げないように一つ最善の努力をするということは大臣も言っておられますので、われわれとしても事務的になるべく早い時期に問題を詰めまして農民諸君の期待を裏切らぬようにこれをいたしたいということを考えております。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 あとの資金の問題ですが、これはもちろん補助金で九十億いただければ一番いい方法には違いありませんが、これは言うべくして実際はそうむちゃも実現されようはずもございません。それで私考えますのに、この工事の結果相当の利益がこの印刷物にありますように一応想定できるということですから、農民の負担のトータルの問題ではなくて、私は償還が非常に気楽にできるという状態を作ってやることが問題の解明のためには一番いい方法じゃないか、それで金も少なければ一番いいには違いございませんけれども、そう欲張って不可能なことをいつまでも論議しておってもだめですから、私は方向としてはなるべく、積み上げてみた結果の決算としては、あるいは相当の負担増になってくるかもしれないけれども、年々の負担から申しますれば、利益の増加する部分のごくわずかを充足することによってそう苦労なしに償還ができていく、こういう状態を作ってやることが一番親切な行き方であろうというように考えますので、そういう点で期限の問題を承ったのでございますが、これは必ずしも今までの土地改良であるとか干拓だとかいうような例に拘泥することなしに、そういう方向を一つ十分考えていただきたいということを希望として申し上げたいのです。このことは、やろうと思えば私は不可能な問題ではないと思う。もちろん国の投資も回転をして新しい事業の方に新投資しなければならないという要求もございますので、いつまでも釘づけをしておくわけにはいきませんけれども、補助金を考えるのと、そういう方法を考慮するのでは非常に難易の程度は違うけれども、そういう点を十分一つ考えて、要するに私が申し上げるのは、関係の農民諸君が気づかぬうちに借金が済んでいたというように、気楽に払える制度というものを一つ構想していただきたいということであります。  それから特別会計との関係で人の問題で非常に苦労をしておるということはよくわかります。わかりますが、現在行なわれている工事で愛知用水にいる人を転用するということは、地点によっては私は具体的に考えられるのじゃないか、もちろんこの用水公団の全員を一セットにして持っていくということは、これだけの大規模な事業はございませんから容易ではございませんけれども、分散せしめないという前提と、そうしてその優秀な技術というものを活用するという二つをよくあんばいをして考えますれば、現在の相当大人数の要員を何セットかに分割をいたしましてもその目的は十分達成せられるという道が開ける、そういうように構想して参りますれば、もう具体的に一セット、一セットはどの地点にいくのだということが、現に着工している工事の中でも考えられる点が相当あると思う。このことは、私が専門家でない立場から申し上げぬでも局長は十分御考慮願っていると思いますけれども、そういう部分部分も早く一つ示していただけるということが安心を得るのに非常に助けになると思いますので、五月末ということでなしに、なるべく早く一つきめていただきたいということを希望として申し上げておきます。
  66. 東隆

    ○東隆君 今の問題の構想の中に機械開発公団との統合の問題があったように思うのですが、この問題はそんな方向じゃないのですか。
  67. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは愛知用水公団の将来を検討いたしますときに、実は機械公団につきましても今のままでやっていっていいかどうか、開発地点の問題がいろいろございますので、両方一緒に考えてみたらどうだろうか。結果におきましてどういうことになりますかは別といたしまして、場合によっては統合という考え方一つ考え方だというふうに、愛知用水公団だけでなくて、機械公団につきましても一緒に再検討してみたいというふうに考えております。
  68. 北村暢

    ○北村暢君 私も時間がないようですから簡単にお伺いしますが、森委員も心配しているのですが、やはり公団の性格として臨時的なものである。これはもう当初から予定せられていた通りなんです。これは森林開発公団の経験から見て、三年の事業が終了して、なお、他に事業を求めて今継続してやっている実態があるわけです。それで特別会計との関係もあるでしょうけれども、特別会計と競合しない新規事業として予定せられるもの、これを愛知用水の事業として、まあ森さんも言われているように、この愛知用水のように規模の大きなものというのはそうはないのですから、分かれるとしても、これはやはり当初から実は心配の種であった。われわれも愛知用水が終ったならば一体どうするのだろう、これは非常に心配の種であったわけです。従って五月ごろまでに検討したいというのは、これは当然のことなんですけれども、今、森委員も言っているように、大よその見当というものが私はなければ、方針として、一体愛知用水の技術者、従業員、これをいかにかかえていくか、自後どういうふうにしていくかということが一つ方針としては私はあっていいんじゃないかと思う。それでないと、これは全員というわけにいかないでしょうが、農地局から相当人員が行っていることも事実でしょうし、そういう人は農地局で収容するとか、今後の方針として一番心配になるのは、失業者の出ることが一番心配なんです。そういうことのないようなことで、責任を持って農地局はこの処理をすると、こういう方針でやられるのかどうなのか。そこの方針だけを一つ伺っておきたい。
  69. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 御心配われわれも全然同感でございまして、やはりわれわれといたしましては、農林省としましては当然そこで働いている人の再就職の問題でありますとか、あるいはマスでいきます場合にはどういう形でいくかということの将来の問題につきましては、当然責任を持ってお世話すべきだというふうに考えております。
  70. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 森委員等からすでに出た話でもありますが、農地局長は五月ごろまでに大蔵省と話を固めたい、というのは、来年度の予算方針も若干手をつけるから、こういうことでありましたが、実は、私はこの問題、今日までこの委員会で農林省の意向をただしたいと思っておったのでありますけれども、先般、衆議院の農林水産委員会でありましたか、どなたかから質問があって、農林大臣は、今、伊東局長が答えたような意味合いのお答えをなすった。ところが、そのあとで大蔵省の相沢主計官がこれを全然ひっくり返すようなことを言っておる。同じ政府部内で、しかも、主計官が言ったのを大臣がひっくり返すなら一向かまわぬけれども、いやしくも一省の大臣が言ったことを主計官がひっくり返すような答弁をしておるのでは、これは話にならない。もう少し話が固まったころに私は質問したいという気持でおったのでありますが、今、局長のお話では、五月ごろまでに固める、これはぜひ固めてもらいたいと思うのでありますけれども、予算と関連してということになると、ようやく七月ごろに大蔵省と予算の話し合いが始まるかどうかという、そうした段階でないかと思うのでありますが、五月に固まるかどうか、それについての局長の自信をまずお尋ねいたします。
  71. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先生がおっしゃいましたように、予算の分科会でそういうことがございました。私どもとしましては、まだ農林省がこういう考えで、どの地点をどうやってやっていくのだという、実は具体的なものを固めまして大蔵省へ折衝するということをまだ一回もいたしておりません。それで、私ども考えておりますのは、大体の中の検討を終わりましたならば、抽象的じゃなくて、こういう地点、こういう地点という地点までも選びまして、そうして大蔵省と折衝したいというようなつもりでいるわけでございまして、五月と言いましたのは、来年の予算を要求するまでには、こういう大きい問題については何とか目鼻をつけておきたい、予算の折衝のごたごたした際にやるのではなくて、十分前に財政当局とも話をしたいというようなつもりで時期の問題を申し上げておるようなわけでありまして、極力、私どもとしましては、それが三十五年度完成の大きな私も要件だというふうに考えておりますので、極力農林省全部として努力したいというふうに存じております。
  72. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 五月の中ごろから終わりごろになったら、またあらためて質問いたしますから、それまでには一つぜひ自信のある御答弁を固めていただきたい。  それからいま一つは、電力の問題でありますが、局長の答弁によると、関西電力との話はまだ固まっていない、ところが、来年の灌漑期に工事が完了して、それから間もなしに農民から償還が始まるという段階において、農民なり、工業用水なり、上水道はそれぞれ費用のアロケーションを受けて償還を開始する、ただひとり電力会社だけが今日まだ固まっていないということになりますと、従って工事がおくれる、おくれれば発電の効果を発生する時期が食い違ってくる、発電の償還がおくれるということが、そのこと自体が他の部門に悪影響がないということであるなら、これはある場合にはやむを得ぬかと思いますけれども、発電がおくれるということによって、農業あるいは上水道、工業用水等にいやしくも悪影響を及ぼすというようなことがあったら、これは私は大へんな問題だと思う。その点について局長の御意向どうでしょうか。
  73. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今の償還の問題でございますが、実は償還といいますか、それも含めて電気の問題でございますが、電気が、実は、最近、あそこは一万であったが、三万四千くらいの規模のものをやりたいというような話も実は持ってきております。その場合の、実はアロケーションとの問題、その他につきまして、事業費の増高とも関連しまして、どういう負担をするかということが実はまだ話がついておらぬのでございますが、電気がおくれたことによって、電気の償還はおくらすということはしないで、向こうも自分がおくれたことの責任といいますか、償還の問題については十分考えるというような話を実はいたしております。それは完成しない前にもこっちから出す金の問題もございますので、その問題については好意的に考えてもいいという意味の話も実はございます。私どもとしましては、なるべく早く、実は今月末に電源開発審議会もございます。それが話をつける一つのめどではなかろうかというふうにも考えておりますが、実はいろいろ交渉中でございますので、どうなるかわかりませんが、なるべく早く電気との話も、公団、農林省一緒になりまして話をつけて、ほかの方に迷惑になるべくならぬようにということにいたしたいと思っております。
  74. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 もう少しお尋ねしたいこともあるのですが、時間がありませんので、私はまた次の機会に譲ります。電気の問題と、例の東海製鉄を考慮に入れての工業用水の問題、できるだけ早い機会にはっきりおきめいただくことを希望いたしまして、きょうの質問を終わります。
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 一点だけお伺いいたしますが、公団方式と国の直営の方式ですね。愛知用水は、公団はもちろんでありますが、たとえば八郎潟などでは国営をやっておられますけれども、まあ何かの標準があって、これは国営、これは公団方式というふうな、基本的な方針があるのかどうか、その利害と得失というようなことはどうなんですか、たとえば、まあ将来、私の方も中ノ海で二百億程度の干拓をお願いしなければならないという計画を持っておるわけですけれども、これは公団方式の方がいいのか、国の直営方式がいいのか、将来公団方式を残していかれる方針なのか。そうなれば、先ほど森委員からのお話のあったような、職員なんかも分散せずに、何かそのまま残しておいて有効適切に使う方法もありましょうし、その辺の公団方式に対する将来の方針というようなものがきまっておればお知らせを願いたいと思います。
  76. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先ほど申し上げましたように、特別会計との関係を苦慮しておると申しましたのは、実はどういう基準でものを考えていくかという基準の問題で実は苦慮しています。というのは、御承知のように、公団が先にできまして、そのあとに特別会計という制度ができて、特別会計でも借入金をして工事をやっていくということに新しい制度を作ったわけでございます。本来ならば、私はそのときに、将来の公団との問題はどうだということを議論すべきでなかったかと思うのでございますが、その点は十分ほされておりませんので、将来、私どもの希望としましては、公団方式というものを残して事業をやったらどうかという希望を持っておりますので、特別会計はどういう分野をやり、公団はどういう分野という基準につきまして実は検討いたしておるわけでございます。その点が一番苦慮いたしておる点でございます。振り返ってみまして、この事業を普通の国営でやっていたら、こういう期間にできたかといいますと、これはできなかったろう、やはり公団という方式をとりまして、ある程度弾力性を持たせまして借入金等も十分にしてやっていく、世銀の金は実は今十七億くらいございまして、ほとんど預金部資金なり、見返り資金でやっておりまして、世銀は呼び水的なものになっております。大部分は国内資金を使っておりますのでございますが、普通の今までの国営でありますれば、こんな大事業が、こんなテンポではおそらくできなかったろうと考えておりますので、将来も大きい事業につきましては、私どもとしましては、こういう構想でやった方がいいんじゃなかろうかというように実は考えております。
  77. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 時間の都合上、質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  78. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時十六分散会