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政府委員(伊東正義君)
愛知用水関係の工事の
状況等につきまして、ごく簡単に御説明申し上げます。
愛知用水の工事の期間でございますが、これは大体当初より三十五年度一ぱいで完成するという予定になっております。実際の工事もいろいろな途中で支障等もございましたが、今の見通しで参りますと、大体三十五年度には大部分の工事を終わりまして、三十六年度の植付には間に合う見通しのもとに今工事を進めております。大体ということを申し上げましたのでございますが、三十六年以降に残りますものは、たとえば支線関係で、あの辺は中京工業
地帯になっておりまして、宅地化するというようなところに若干支線の問題がございます。そのほかに東郷
調整池という池が、これが昨年の十二月に着工いたしたのでございますが、これが完成をいたしますのは、三十六年になってから。ただし、三十六年の植付までには、工事の途中でも十分間に合いますので、その関係等が若干三十六年度に残りますが、大部分のものは三十五年度中には工事が終わるという見通しのもとに、今工事を進めておるような次第でございます。工事の中で一番大きな牧尾のダムでございますが、これにつきましては三十三年度に、実は仮締め切りが台風のために決壊等いたしまして、非常におくれるんじゃないかというような憂慮をされますような
事態もあったのでございますが、その後関係
方面とも連絡がつき、また工事も進みまして、むしろダムにつきましては一番工事が進んでおります。契約ベースで約九〇%くらいのものはもう契約いたしまして、三十五年度内には築堤を終わりまして、あとゲートの取りつけとか何かは、三十五年の十二月ぐらいには築堤を終わりまして、三十六年一月以降はゲートの取りつけという付帯工事がございますが、もう三十六年の四月には水の貯溜も始めまして、三十六年度の植付には間に合わせるというような段取りで進んでおります。これは非常に途中等でいろいろな災害等の影響がございましたが、今は非常に順調に進んでおる次第でございます。
それから幹線でございますが、これは全長約百二十キロでございますが、御
承知の木曾川を下って参りまして、兼見というところから、師崎の近くまでいくのでございまして、知多半島を縦断いたしますが、これにつきましても全工区現在着工いたしております。工事内容はトンネルでございますとか、あるいはサイホン工事等いろいろございますが、仕事の順序といたしまして、
相当長く時間を要しますところのトンネル等に、実は早くかかっておりましたので、大きなトンネル等はほとんど貫通いたしております。兼見でありますとか、愛岐でありますとか、富士でありますとか、白山でありますとか、大きいトンネルがございますが、こういうものはほとんど貫通いたしまして、今、巻立等をやっておるというような状態でございます。またサイホン等もほとんど全部着工いたしております。一番長い上野サイホン等につきましても、半分以上できておるというようなことで、特に時間を要しますトンネル、サイホン等に早く手をつけました関係上、これも順調に進んでおります。七〇%くらいの契約を終わりまして、まあ工事を進めておるわけでございます。まだ若干都会近辺では、用地買収等の難航しておる地点も短かい距離でございますけれ
どもあります。幹線水路につきましても、これはダムと一緒にほとんど同時に全部完成するだろうという見通しのもとに、工事を進めておる次第でございます。
それから幹線から出ております支派線の支線でございますが、これは実は公団が自分でやっております分と、それから岐阜県と愛知県に委託しておる分とございます。実はこの支線につきましていろいろ問題といいますか、いろいろ
批判を受けたのでございますが、それは幹線ダム、幹線はできても支線がなかなかできぬじゃないか、特に愛知県等においては、支線の工事が非常におくれておるというような
批判を、実は受けたのでございますが、その後愛知県等でも、この
愛知用水関係の技術者が百二十名くらいおったのでございますが、それを二百七十名くらい、倍くらいにふやしまして、あの災害のさなかにありましても、実はほとんど支線の方は影響ございませんでしたので、災害の方を手伝わんで、こっちの方を約二百七十名くらいの人がかかってやるというようなことをやりまして、突貫工事といってはなんでございますけれ
ども、だいぶ支線につきまして一時いろいろ
批判がありましたけれ
ども、これもだいぶおくれを取り戻しておりまして、幹線ができても支線に水がいかぬじゃないかというようなことには、おそらくならぬだろうという見通しで今やっております。ただ、先ほど申し上げましたように、支線につきましては一部住宅地化するというような問題がございまして、若干のものは三十六年度に回るというようなことがあるいはあるかもしれませんが、大部分のものは三十五年度中にできまして、先ほど申しましたような、三十六年度については間に合うだろうという見通しでございます。パーセンテージで申し上げますと、公団がやっておりますのは五五%の契約が終わっております。岐阜県委託が七〇%、愛知県委託が四六%というふうに、大体半分ないしそれ以上のものは契約をしまして、仕事を進めているような状態でございます。
それから水源のダム、幹線水路、支線のほかに、岐阜県にございますが、松野という
調整池、愛知県にございます三好池、東郷
調整池というようなため池を作っております。これにつきましても約二百万トンためまして、三好池というものは完成して、すでに灌漑用に使っておりますし、岐阜県の松野池というため池も七、八〇%はもうできている。東郷
調整池につきましては、実は先ほど申し上げましたように、用地買収その他の関係で着工がおくれましたが、これもすでに着工いたしまして、三十六年度の湛水には間に合わす、その部分の仕事はできる。完成は三十六年度になりますが、これも大体三十六年の植付には間に合うというふうな見通しを持っております。
それから開墾でございますが、これは大体予定しておりました
面積の七〇%くらいの未墾地買収を終わりまして、これも工事にかかっております。これにつきましては当初より若干あの辺の宅地化その他の関係で
面積は減っておりますが、これも約七〇%買収を終わりまして、すでに入植したところもございます。
それから末端の耕地整備でございますが、これは土地改良区に委託してやるということで今やっております。これも実は最末端でございますので、若干今までおくれておりますが、これも水のいきますまでには、何とか間に合わせるというようなことで、土地改良区に頼んでいるわけでございます。
それから
愛知用水事業は、農業だけでなくて、水道
——上水道、工業用水道、それから発電というものがございますが、上水道、工業用水道につきましては、これもだいぶ進んでおります。あの辺の工業化等の問題、あるいは人口増等の問題もございまして、愛知県の関係市町村は非常に熱心でございまして、特に工業用水道関係は七四%くらいの契約を終わっている。上水道が約四〇%くらいというようなことで、これも農業の方と合わせましてだいぶ進んでおります。発電につきましては、関西電力とアロケートしまして、牧尾のダムで発電をし、予定は一万キロでございますが、それから下流の、関西電力の、下流増もあるという計画をしておるのでございますが、発電だけ実はおくれまして、関西電力は一万キロ、さらにもっと大きく三万キロくらいのものにしたいというような要望もございまして、今交渉いたしておりますが、発電につきましては、実はまだおくれております。ただ、発電がおくれましても、農業の方には支障がないというようなことで、工事を進めておるような次第でございます。
大体、以上が
愛知用水の工事の進捗
状況でございまして、今申し上げましたように、当初予定しておりましたように、三十五年度中には大体工事を終わりまして、三十六年度の植付には間に合うという実は明かるい見通しを
もちまして、今せっかく公団で工事をしてもらっております。三十五年度はほとんど最盛期というような形になるわけでございます。
それからもう
一つ、公団につきましての事業費の問題でございますが、これは実は予算の御
審議をいただいたわけでありまするが、事業費につきまして増加が実はございます。当初予定しておりましたのは、建設期間中に三百三十一億ということで予定をいたしておりましたが、その後いろいろ物価の問題、あるいは工事の内容の問題、あるいは災害等の関係、いろいろな原因がございまして、現在では四百二十三億ということで予定をいたしております。ふえましたのは、用地関係等でも実は十数億当初に見込みましたものよりもふえております。堰堤関係で、用地費を含めまして約三十億くらいふえております。それから幹線水路で二十五億、支線水路で二十一億、補助ため池で八億というようなものがふえました大きいものでございますが、特に堰堤等におきましては、災害の関係で、従来予定しておりましたものよりも用水ばけを大きく計画を変えますとか、あるいは仮締め切りの決壊の関係で二重手間がありましたり、あるいは地すべり
地帯が出て参りますとか、またあそこはロックフィルダムでありますので、ダムの取り場が少しよけいかかった。いろいろな点がございまして、堰堤が一番経費を食います。それから幹線につきましては、幹線、支線ともにそうでございますが、用地買収の関係等からいたしまして、特に幹線等は山寄りに当初計画より追い上げられたような形で、構造物の関係、開渠よりも構造物がトンネルでありますからサイホンがよけいになります。あるいは支線水路でいきますれば、排水路で通そうと思いましたものが管水路になりますとか、あるいは断面を広く、勾配がゆるくなった関係で、断面が大きくなる。いろいろな事情がございまして、やむを得ない事情がございまして、事業費が先ほど申し上げましたように上がっております。それで、この事業費だけ、今、上がりましたものだけで参りますと、実は
農民負担等も
相当上がる計算になるわけでございますので、今、農林省といたしましては、極力
農民負担は上げぬようにしようということで、今、各
方面と実は交渉をいたしております。
実は
愛知用水公団の仕事が始まりましたあとで出てきました問題で、東海製鉄という問題がございます。あすこの工業用水を、必要な工業用水を
愛知用水の幹線水路を使わして提供してもらいたいというような、実は新しい申し出もございます。また、建設利息等の関係も、建設期間中に予定しておりましたものよりも、あるいは若干変更があるかもしらぬというような問題、いろいろございます。それから電力会社とのアロケートの問題、またアン・ノーン・ファクターがだいぶ実はございまして、そういういろいろな関係のもので事業費が増加いたしましても、
農民負担はなるべく上がらぬようにというようなことを今実は各
方面と交渉中でございまして、私
どもといたしましては、極力この点につきましては努力をいたしたいというような
考え方でおる次第でございます。
それから三十五年度の予算でございますが、これはお手元に差し上げました「
愛知用水事業計画概要」の二十六ページに三十五年度の予算が書いてございますが、三十四年度と比較してございます。三十五年度は百三十四億一千八百万、そのほかに予算外契約としまして、二十七ページの一番下にございますが、五十二億六千万というものがございます。これは百三十四億の収入でございますが、ここにございますように、補助金が二十五億になっております。そのほかに、借入金、おもなものは預金部資金の六十億、昨年ほとんどございませんでした見返り資金の四十五億というものが収入の大部分になっております。それから支出の方は、ごらんになりますように、事業費が百六億五千二百万で、先ほど申し上げました堰堤なり幹線水路になり支線水路でございますとか、こういうものに使う予定になっております。
それで、先ほど申し上げましたように、大体事業といたしましては、三十五年度中に完了する、ほとんど大部分が完了するということになっておりますが、支払いの関係から言いますと、全部三十五年度中に支払いませんでも、請負者との契約で三十六年度に回せるものもございますので、なるべく、三十五年度の財政投資の苦しい時期に全部支払うということでなくて、来年度に支払ったらどうかということで、ここにございますように、五十三億の予算外の契約というようなことを予算上
考えたわけでございます。このほかに、実はこの予算にはございませんが、約百億の債務負担行為をいたしております。これは、国の補助金が、今まで出ました補助金と、将来これは三十五年度から五カ年で支払うということになっておりますが、五カ年の債務負担行為、国の補助金が約百一億予算に計上されまして、このほかに、そういう債務負担行為をしているような状態でございます。予算的には、今申し上げたようなことで、大部分三十五年度に仕事を終わりまして、所期の目的を達成したいという
考えでおるわけでございます。
それからもう
一つ、
愛知用水ができ上がりましたあとの問題でございますが、これにつきましては、
大臣も数回国会で御答弁をしておられますが、農林省といたしましては、これは来年の予算を大蔵省に要求する時期といいますか、五月中くらいには、
愛知用水公団と機械開発公団というものを一緒にしまして、将来農地の開発についてどういう形が一番いいかということについて
検討をいたしました上で、結論を出したいというふうに
考えております。希望といたしましては、せっかくりっぱな技術者がまとまっており、とうとい経験を得られたのでありますから、何かこれはそのまままとまって活用できるようなことが一番望ましいことではなかろうかというような希望は持っておりますが、こういう問題につきまして五月一ぱいくらいには大体の方向を出したいということで、今内部で
検討をしておるような次第でございます。
簡単でございますが、御説明を終わります。