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1960-04-05 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月五日(火曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            藤野 繁雄君            北村  暢君            中田 吉雄君            千田  正君   政府委員    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君    農林政務次官  大野 市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省経済局次    長       高野 藤吉君    大蔵省主税局税    関部鑑査課長  木谷 忠義君    通商産業省通商    局次長     倉八  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓営農振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○開拓者資金融通法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○開拓者資金融通法による政府貸付  金の償還条件緩和等に関する特別  措置法案内閣送付予備審査) ○農林水産政策に関する調査貿易為  替の自由化農林水産業に関する  件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第七三号)、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案閣法第一〇五号)、開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案閣法第一〇六号)(以上いずれも予備審査)の法案三案を議題といたします。  まず提案理由説明を求めます。
  3. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  戦後開拓地入植した約十五万戸の開拓者の多くは、終戦直後の社会経済混乱期において、食糧の緊急増産の使命を帯びて、未開の地に入植したものでありますが、立地条件の劣悪、開墾建設工事の遅延、打ち続く災害等のため、十年余を経過した今日に至るも、いまだ営農基礎が確立せず、営農不振に悩んでいる実情であります。かかる現状にかんがみまして、政府は、昭和三十二年四月に制定を見た開拓営農振興臨時措置法中心として、開墾建設工事促進営農資金融資額の増額、負債の借りかえ等、これら開拓者経営の安定をはかるため、各般総合施策実施して参りまして、その成果を上げつつある次第であります。  昭和三十五年度は、前年度に引き続き、一段とこれらの施策拡充強化をはかることにいたし、その一環として、開拓融資保証法の一部改正により中央開拓融資保証協会に対する政府出資を増額するとともに、別に提出を予定しております法律案により、既貸付政府資金償還条件緩和債権管理簡素化等措置を講ずるほか、過剰入植地区移転対策の経費を新たに計上いたしております。  しかしながら、営農基礎が不安定な開拓者にあっては、災害による被害も受けやすく、一たび大きな災害をこうむりますと、それまでの努力も水泡に帰することが多く、このような場合には、開拓営農振興臨時措置法による営農改善計画達成もきわめて困難になるのであります。通常、農家天災により被害をこうむりました場合には、いわゆる天災融資法により、災害のため必要となった経営資金貸付けが行なわれることになっておりまして、開拓者も、もちろんその対象になっておりますし、今後もこの天災融資法による融資が行なわれることを期待しております。しかしながら、経営基礎もいまだ固まらず、営農不振に悩んでいる開拓者現状では、特に激甚な災害をこうむった場合、天災融資法その他による資金融通の恩恵にあずかり得ない場合に往々にしてあるのでございます。従って、そのような場合、開拓営農振興臨時措置法対象となっている不振開拓者について、開拓者資金融通特別会計から災害資金を貸し付ける道を開き、もって不振開拓者営農改善計画達成に支障なからしめたいと考える次第であります。  災害資金貸付の概要について申し十げますと、暴風雨、高潮、洪水その他の異常な天然現象により著しい被害を受けたため、営農改善計画達成が困難となった不振開拓者に対し貸し付けることとし、この災害資金貸付を行なう適用地域は、異常な天然現象による開拓地における被害程度が激甚であると認めて農林大臣が指定することにいたしております。また資金内容につきましては、災害を受けました開拓者営農改善計画達成するに必要と認められる農用施設災害復旧のための資金のほか、経営資金も貸し付けて参りたいと考えております。貸付金償還条件につきましては、据置期間三年以内を含めて償還期間を十二年以内、利率を年五分五厘とする元利均等年賦支払い方法によることとしておりますが、特に被害程度が著しい場合等には、据置期間五年以内を含めて償還期間を二十年以内、利率を年三分六厘五毛とする元利均等年賦支払方法によることができることといたしております。なお北海道における貸付金につきましては、災害資金以外の政府資金償還条件との均衡上、償還期間はすべて据置期間五年以内を含めて二十年以内とすることにいたしております。  なお、不振開拓者営農改善につきましては、前にも申し上げた通り開拓営農振興臨時措置法中心にその対策を進めておりますが、なお今後に残された問題がございますので、農林省開拓営農振興審議会を設置いたしまして、これらの問題を中心に、開拓営農振興に関する重要事項調査審議し、もって不振開拓者営農改善に関する政府施策に万全を期したいと考えております。  以上が、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。   —————————————  次に、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  開拓者営農基盤を確立させ、安定した自作農として農業に精進することができるようにするためには、国の大幅な助成を必要とし、このため、国は、全額国費による道路、水路等建設、あるいは開墾土壌改良入植施設等に対する補助等各般施策を行なっておるところであります。しかしながら、開拓者は、その大部分がきわめて不十分な資力で入植せざるを得ない状態でありますので、農用施設、農機具あるいは大家畜等基本的生産手段を整備するためには、なお多額資金を必要といたしますにもかかわらず、信用力の薄弱なこれら開拓者にとって、その資金調達は、はなはだ困難なことであります。  そのため、政府は、昭和二十二年二月、開拓者資金融通特別会計を設置し、主として新規入植者に対し、開拓基本となる営農資金長期かつ低利に融通する制度を確立いたしました。その後、昭和二十七年度からは、入植後三カ年以上を経過したいわゆる既入植者に対しましても、酪農経営への転換を促進する等のため、中期営農資金貸付を行なうこととし、さらにこの中期資金についての制度発展させ、昭和三十三年度からは、開拓営農振興臨時措置法中心とする既入植者安定振興対策一環として、同法に規定するいわゆる要振興開拓者に対し、その樹立した営農改善計画達成に必要な振興対策資金融資する制度を設けるとともに、その貸付額も大幅に増額し、もって開拓営農発展に資して参ったのであります。  この振興対策資金償還条件は、要振興開拓者償還能力等も考慮し、年利五分五厘、三年間据え置き、自後九年間の元利均等年賦償還方法によることといたしておりましたが、開拓者営農状態は次第に向上しているとはいえ、なお営農不振の域を脱していない現状でありますので、既貸付金につきましては、別に提出いたしております法律案により、一定の開拓者に対し、償還期間を延長する等の償還条件緩和をはかることといたしますとともに、今後の貸付金につきましても、北海道開拓者に対する振興対策資金については償還期間及び据置期間を延長ずることとしたのであります。すなわち、北海道におきましては、その経営形態から相当多額の資本を必要とし、これが償還は容易ならざるものがあると思われますので、北海道寒冷地畑作営農改善資金償還条件との均衡も考慮して、据え置き五年の後、十五年間に償還するよう変更することといたした次第であります。  一方、この特別会計貸付金は、開拓者営農の進度に応じ、おおむね三カ年間に計画的に貸し付けることといたしておりますが、従来の実績によりますと、一開拓者ごとの貸付け口数が多くなり、国の債権管理も複雑となりますとともに、開拓者の側も償還に不便を来たす結果となりますので、既貸付金については別途単純化をはかりますのと並行し、新規貸付金につきましても、毎年度の資金ごとに、据置期間を増減して、各資金償還の始期及び終期を一致させ、実質的に一本経理を行ない得るよう、法律上、据置期間及びこれを含む償還期間を、それぞれ一年延長することといたしたものであります。  以上の措置により、北海道の要振興開拓者に対し条件緩和をはかるとともに新規貸付金既貸付金と歩調を合わせ、その簡素化をはかる所存であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案提案理由を御説明いたします。  開拓者が、未開発の地に入植し、営農基盤を確立するためには、長期間にわたって多額資金を必要とすることは、言を待たないところであり、しかも、その間のたび重なる災害等により、負債はますます増加の一途をたどりながら、営農不振のため、その償還能力は増大せず、これが償還重圧は、営農不振にさらに拍車をかけている実情であります。  この現状に対処いたしまして、政府は、不振開拓者営農振興対策一環として、建設工事促進等積極的対策のほか、その負債重圧緩和するため、次のような施策をとって参りました。すなわち、いわゆる天災融資法による災害経営資金については、開拓営農振興臨時措置法により営農改善資金への借りかえを認めて、利子補給を継続しながらその償還期間を延長し、個人高利負債については、長期低利自作農維持創設資金を融通して、これが返済に充てさせる等の措置をとるとともに、開拓者資金融通特別会計から貸し付けております政府資金につきましても、国の債権管理等に関する法律により履行延期の特約を行なって参ったのであります。  しかしながら、その後の開拓者状況を見まするに、他の施策成果とも相待ち、逐次営農振興の実をあげているとはいえ、なお、既往の負債償還をなすことは容易でない状態であります。なお、国の債権管理等に関する法律による履行延期は、国の債権一般についてのものでありますため、拡大生産をはかり、早急に営農基盤を確立しなければならない開拓者にとっては、これは、必ずしも適切ではない点もあると考えられるのであります。  このような見地から、政府は、昭和三十四年度以前に貸し付けました政府資金につきまして、三十五年度以降二カ年間にわたり、営農基礎が不安定な開拓者に対し、従来の未納の元金利子及び延滞金もこれを将来にわたって分割償還できるよう一たん元金に組み入れた上、将来の償還能力も十分に考慮して、このうち特に不振な者はおおむね五年間据え置き、その他の者は据置期間を置かないで、自後おおむね十五年間に償還できるよう、償還条件緩和をはかることとした次第であります。この措置によりまして、他の諸般の施策とも合わせ、開拓営農振興に万全を期したい所存であります。  なお、この特別会計貸付金は、年年貸付件数が増加し、その経理は漸次複雑の度を加え、債権管理に困難を来たしますとともに、開拓者の側からも償還を便利にするため、これが単純化をはかる必要がありますので、この際、条件緩和を行なわない開拓者に対しましても、同じく未納金を一たん元金に組み入れた上、償還期間につき同一利率貸付金ごと償還期間残年数を平均したものに条件変更し、実質的に一本経理が可能となるようにいたした次第であります。  また、これらの措置と並行いたしまして、従来、大部分貸付金は、開拓農業協同組合に貸し付け、その組合員たる開拓者に転貸せしめる方式をとって参りましたが、この方式では、弁済充当関係から、転借人たる組合員償還と、組合の国に対する償還とが、必ずしも対応しないことがある結果、転借金償還も消極的となり、かつまた、これが、組合経理を混乱せしめる一因ともなりまして、ひいては、営農不振の原因の一つともなっていると考えられますので、今後の貸付金については、当初から直接に開拓者個人に貸し付けることを原則とすることとし、一方、既貸付金については、この機会に、個人債務引受けを認めることとして、これを個人貸しに切り換え、国において直接個人ごと債権管理を行なうこととした次第であります。  以上が、この法律案の趣旨及び内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいま説明の三法案審査は、日をあらためて行なうことにいたすこととし、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。
  6. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 貿易為替自由化農林水産業に関する件を議題といたします。  かねて問題になっておりまするこの件について委員各位から御要求もありまして、本日これを議題とし、本日はまず経済企画庁通商産業省大蔵省及び外務省当局からこの問題についてそれぞれ事情及び方針、作業の状態等について説明を聞くことにいたします。  午前中は経済企画庁及び通商産業省から、午後は大蔵省及び外務省当局から聞くことに予定をいたしております。  それでは経済企画庁調整局長大堀弘君から事情を聞くことにいたします。
  7. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指名によりまして貿易為替自由化実施進行状況及び本件の実施に至りました経緯と考え方につきまして、私から最初御説明申し上げさしていただきたいと思います。  御承知のように一月の五日の閣議におきまして、貿易為替自由化促進閣僚会議が設置されまして、お手元に資料をお配りしてございますが、ここに書いてございますように、総理が議長になりまして、関係閣僚日銀総裁等を加えまして閣僚会議を設置いたしました。これで貿易自由化促進するのだという考え方が打ち出されたわけでございます。十二日に第一回の閣僚会議が開かれまして、そこで決定に相なりましたことは、今後年次目標を定めつつ、内外諸対策の整備と相待って貿易自由化促進する、この自由化促進のスケジュールを五月末までに策定しろということが事務当局に命ぜられまして、現在企画庁が中心になりまして、関係省であります通産省大蔵省農林省その他各省、それぞれ手分けをして、所管の産業についての自由化実施いたします場合の影響及びその場合に必要とする対策、どういう段取り自由化ができるかといったような具体的な内容について、目下各省で作業いたしておるわけでございます。事務当局といたしましては、この四月、五月の間に各省持ち寄りまして、この各品目内容等について逐次検討を始めたいと思っております。現在のところはまだ各省調査をいたしておる段階でございまして、現在のところは、昨日も局長会議をいたしましたのですが、今後の段取り等を相談いたしまして、まだ具体的にどの品目をどうするという論議まで入っていない現状でございます。本日、当委員会農林水産の御関係かと存じますが、私ども立場は一応全体をやっておりますので、ほかのもの、工業関係通産省関係のものが自由化の大きな対象になりますので、それを含めまして、全般として一応御説明申し上げさしていただきたい。あと各部門ごとに大体どういうふうな考え方ができるかということを最後に申し上げさしていただきたいと思います。  自由化につきましては、本来はやはり西欧各国が非常に自由化に踏み切っている。これは一昨年の暮れから、ヨーロッパ各国が非常に急速に自由化を進めておりまして、まあ欧州地域内はもちろん、域外に対しましても、八〇%から九〇%以上自由化が進められておる。非常にそれが最近またますます促進をされておるという状況でございます。国際情勢に対応いたしまして、日本だけが非常に自由化がおくれておるということでありますると、やはり外からのある程度批判を受ける、これはまあガットでございますとか、IMF、これは日本も参加いたしておりまして、これはガットIMF自身国際貿易自由化促進するという建前の機構でありますから、日本がこれに加入いたしております以上、やはりIMF理事会あるいはガット総会等において、日本自由化がやはり批判をされる立場に相なるわけでございます。各国相当促進しておりますのに、日本だけおくれておりますと、やはり日本相当欧州先進国に続いた工業力を持っておるし、経済的にも相当力が充実してきている。従って、日本はもっと自由化を進めていいのじゃないかというのが各国の見方でございますので、昨年の秋にございましたIMF理事会で、日本のコンサルテーションの結果、勧告をされたりいたしておりますが、やはり日本はもう少し自由化促進すべきであるという批判を受けております。昨年十月、東京で開催されましたガット輸入制限協議会におきましても、日本代表各国代表から相当手きびしい批判を受けて、もっと日本西欧並み自由化まで進めるべきであるという批判を受けております。日本相当経済力が充実し、国際収支状況もよくなっており、相当力を持っているという評価を受けていると同時に、そういう批判を受けている、対外的にはそういう関係に相なっております。しかしながら、まあ私どもは、自由化はむろん、こういった外からの情勢もございますけれども自由化それ自身はやはり日本経済自身のために必要なことである、かように考えているわけでございます。  第一に、日本経済力からいって、自由化が一体可能かどうかという問題があると思いますが、この点につきまして私ども考え方は、現在外貨準備は大体十三億ドルこえておりますが、まあ来年度にかけまして、国際収支の面から見まして、数億ドルやはり外貨がふえるだろう、われわれの見通しでございますと、そういうふうに判断いたしております。現在の状況では、やはりこの数年間の設備投資の累積によって、日本生産力が非常に強化されております。従いまして、昨年、三十四年度中に鉱工業生産で二七%上回る成長をいたしましたが、それにもかかわらず物価は安定をいたしまして、相当大きな拡大を遂げることができたわけであります。来年度は鉱工業生産一二%の伸びを期待しております。国民総生産で六・六%の成長を期待しておりますが、その場合でも、これだけ経済拡大いたしましても、国際収支黒字基調を期待できるという、こういう判定になっておりますが、今後景気変動に対しまして、国内財政経済政策面で注意をいたして参りまするならば、日本経済力から見て、自由化相当に進め得る段階に近づいているのじゃないか、これは必ずしも甘い考えで、楽観だけをいたしてはよろしくないと思いますが、全般といたしては、相当な力を持っているので、今後はかなり国際経済の風に当たっても、経済全体としては、やっていける段階に来ているのじゃないか、これが一つ考え方でございます。今後の日本経済発展のために、自由化がわれわれは必要じゃないか。それは結局、自由化ということは、貿易拡大するという政策になると思います。輸出をふやすということは、一つは、やはり日本自由化いたしませんと、アメリカであるとか、西欧諸国は、日本品物を買いたがらないという一つの面があると思います。同時に、まあ自由化いたしますということは、原料買付を自由にする、従って、有利な条件原料を希望するところから随時買ってよろしいということでございます。同時に、今までは外貨割当制度がございますために、原料割当いたしますと、割当を受けた人にプレミアムがついておりまして、製品段階ではそれだけ高いコスト原料を使っている。たとえば糸、綿花割当いたしますと、綿花に、綿糸にプレミアムがつきまして、七十円というプレミアムがついております。昨年の暮れに通産大臣綿花、羊毛を自由化するということを決定されましたら、同時にプレミアムが消えたわけでありますが、要するに多かれ少なかれ全体の産業について、外貨割当にそういったプレミアムがついて、それだけ国内では高いコスト原料、糸が使われ、織物が作られる。その他の品物についても、多かれ少なかれそういう状態になっております。従いまして、自由化を進めるということは、原料コストを下げる、原材料の値段を、コストを下げるということに相なっております。従いまして、それだけ国際競争力産業の全体としての国際競争力は増加され、また国民消費者大衆にとっては、明らかにこれは消費物資も豊富になり、値段が安くなるということにおいて利益になる、こういうふうに考えられると思います。今日は為替管理によりまして、これはやむを得ず外貨が少ないために今日までやって参ったのでございますが、そのために国内では特殊なマーケットが形成されまして、経済が非常にゆがめられて発展しておる、投資も、曲がった形で投資が行なわれておりますので、今後はだんだん自由化方向に向かいますので、投資を合理化して、さらに経済成長発展に適応したつまり投資が行われていく、こういう方向へ向かうはずである、かように考えておるわけでございまして、全般といたしましては、やはりこの際、将来の日本経済発展を考えます場合には、自由化方向に進まなければいかぬ、かように大勢といたしまして考えておるわけでございます。  そこで、実際問題といたしましては、こうは申しましても、自由化いたします場合に、今日までそれぞれ割当の中で産業が育っておりますので、それに対する影響は当然ございます。そこで私ども自由化を進めます段階においては、きわめて慎重に個別の産業の実態を調べて、それに対する影響を勘案して、また、どういった対策がとられなければならぬかということを十分検討いたしまして、実施は逐次影響の少ないものから踏み切って参りまして、また必要なものは対策を講じつつ進めていく、こういう考え方でいかなければならない、かように考えております。  そこで、業種ごとに大体ここで分けてみまして、どういった影響が出るだろうかということでございますが、第一に、当委員会に最も関係の深い農林水産関係のものにつきまして、農産物等につきましては、これはやはり日本条件が国際的に比べまして非常に不利でありますために、どうしても国際価格と比べますと五割から十割も値段が開いているというふうに考えられますが、これを自由化するということは農村に対する影響がきわめて大きい。私どもはやはりこの問題は農家の、しかも、それから今後の農業生産生産性の向上のテンポが工業生産と違って非常におそい。しかも、農村相当過大な労働力がかかえられているという現状にかんがみまして、これが一挙に影響を与えるような政策ということはなかなかとりがたいと、かように一般的には考えております。ただ、農業生産物の中でも、やはりある程度、この国際情勢に即応した方向に進んでいかなければいかぬのじゃないか、かように考えまして、自由化できるものはできるだけすみやかに自由化をいたしますし、また、あまり違った方向政策を進めていくということは、必ずしも適当じゃないのじゃないか、やはりそれに向かった方へ努力をするという必要があるのじゃないか、かように考えますが、自由化段階といたしましては、やはり農林生産物に関する限り、一応自由化の最終段階に来るものが多いのじゃないかと、かように考えております。  それから第二に、石炭でございますとか鉱産物、こういった要するに天然資源のものにつきましては、やはり日本は国際的に比べましてきわめて条件が悪いわけでございます。従いまして、御承知のように石炭あたりも非常にコストが高く、これを合理化して石炭を、たとえば三十八年の秋までにトン千二百円に合理化をしてコストを下げていくという方向が今打ち出されておるわけでございますが、まあそういった努力をいたしましても、なおかつ国際競争——石油等についてなかなか競争に耐えられないというのが現状でございます。これも、やはり資源関係自由化段階からいいますと、後順位の方にいくのが多いのじゃないか、かように考えております。しかしながら、これは工業生産との関係もございますから、あまりこれにこだわっておりますと、産業全体の発展をおくらすことになりますので、その点は十分考えていかなければならぬと思っております。  第三のグループとして、これは通産省所管の主として工業生産品でございますが、これにつきましては、本来は国際競争力を持つべきではないか、しかしながら、育成過程等におきまして、なお国際競争力を持てないもの等もございますし、また今後新しく産業を育成しなければならないものもございますから、まあそういった面、現実の競争力等を勘案いたしまして、たとえば繊維工業でございますとか、あるいは雑貨関係等については、相当現に競争力を持って国際市場にどんどん伸びておるものがございますが、こういったものはまず心配ない。機械工業の一部でございますとか、化学工業の新しい部門でございますとか、そういう方面にやはり競争力で現在ではまだ不十分だと考えるものがございます。そういったものを逐次業種ごとに検討いたしまして、段階的にやはり自由化を進めていくべきじゃないか。まあその際に、一般的に申し上げまして、やはり自由化をいたしました場合には、為替割当による輸入制限、これは逐次やめていくわけでございますが、結局、産業保護ということは当然考えなければならない問題でございますから、関税がやはりこの保護の手段としては国際的に認められた制度でございますし、日本の関税が今日まで割合に為替管理でずっと二十年やってきましたので、関税問題は割合に無関心で参っております。従いまして、この際関税定率法及び関税率、関税制度の運用等について、相当根本的に考え直してみる必要があるのではないか。現在大蔵省の税関部の方で検討いたしておりますが、こういったことが今後対策として問題になって参る、かように考えております。  商品関係は概略以上の通りでございますが、なお貿易外の為替の支払いの自由化の問題につきまして一言……。これはまあ大蔵省からまた詳細に御説明いただきたいと思いますが、この自由化の順序といたしまして、これを二つに分けまして経営取引の自由化、たとえば品物を買ったり売ったりする場合の運賃の——外国の船会社に対する運賃の支払い、あるいは保険料、技術料、こういった正常な理由による、正当な理由による契約に基づく外貨の支払い、これが今まで全部為替管理で押えられておりましたが、一月にある程度解除されまして、この経営取引の方につきましては、やはり商品の自由化と同様にこれはすみやかに自由化方向に進めなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。ただ、問題は資本取引でございますが、これにつきましては、今後やはりかなり問題が、影響が大きい点もございますので、慎重に取り扱っていかなければならない、かように考えております。  まあ、ここでちょっと御参考までに申し上げておきたいことは、金解禁と自由化をいろいろと比較をされているわけでございますが、私どもの判断でありますと、金解禁は、要するに今日の言葉でいいますと、円の交換性の完全回復、円もわれわれ自身が千円持って行けば三ドルもらえるというふうに、あらゆる場合に通貨の交換性が自由になっている。完全回復でございます。ところが、今日いっております自由化ということは、商品につきましても、先ほど申し上げましたように、百パーセント一挙に自由化をするということではございませんで、今日、まあ三年間ということを私ども一応申し上げておりますが、これも何も三年間に全部やってしまうということを言っているのではございませんので、今各省が事務的に作業をいたします一応のめどとして三年間を目途に一つ作業をやってみよう。しかし、三年間でできないものはたくさんあると思いますが、それらは今後の問題でございまして、一応作業の目標として設定しているわけでございます。それにいたしましても、年次を追って逐次やるということでございます。為替自由化につきましても、ただいま申し上げましたように、資本取引等はある程度段階として相当あとになるわけでございまして、もちろん居住者——われわれ日本人がすぐに円貨をドルにかえて海外に資金を持ち出すということが自由になるという階段は相当先になる、これは今日いわれておる自由化の範囲には入らないと考えていただいて差しつかえないと思います。こういった意味で、自由化と金解禁とは非常に幅が違うということが第一でございます。  それから第二に、当時、金解禁を行ないました当時は、御承知のように四十九ドル何がしの法定旧平価に戻して、そうして解禁をした経済の実態と為替レートというものがかなり無理があった。そのためにものすごい緊縮政策をやったということになっておるのでございますが、今日三百六十円レートで自由化をいたしましても、われわれ三百六十円については相当の自信を持っていいと考えております。今日三百六十円で相当な黒字の基調を維持しておりますし、輸出はやはり伸びております。競争力としては全体としてはかなりの力を持っておりますので、この点についても当時とは事情がはなはだしく違っておるのみならず、今日は当時と違いまして、IMFという国際流通機構が整備されておりまして、IMF各国に対して通貨価値の安定を義務づけておるわけでございます。日本も三百六十円、これが一%の範囲で為替を安定しなければならぬ義務を負っておるわけでございます。各国と同様でございまして、その意味からいいますと財政金融政策によって円貨の対内、対外価値の安定をはからなければならないというのが現実でございますが、その意味からいいましても、当時のような為替レートが大幅に変動するという前提で経済の実態を考える必要はないのじゃないか、これは経済の実態がはなはだしく当時と違っておる点でございますし、国際的にも、国内的にも景気変動の幅がある程度狭まってきておる。自由経済と申しましても、景気変動がそれほど大幅でない。当時はいわゆる世界恐慌の波によりまして、非常に混乱を来たしましたが、今日、国際経済の動向といたしましては、国際的に見ましても、やはりわれわれがビルト・イン・スタビライザーというふうな言葉を使いますが、ある程度下ささえの措置もあり、従って、大きな景気変動というものがない、景気変動のある程度幅が狭まってきておる、こういう実態でございますので、当時と今日では非常に事情が違っております。内容が違っております。この点あたりが多少心配の種をまいておるのかと思いますが、そういった点は私どもはそういう意味の心配は今日必要ないんじゃないか。実質といたしましては、先ほども申し上げましたように、われわれは自由化という方向に進んでおりますが、実施段階は、各省それぞれ所管の産業を持っておりまして、産業に対する影響対策も十分検討いたしまして、この点については混乱を来たすことのないように十分注意して進めて参りたいと、かように考えておる次第でございます。  はなはだ長くなりましたが、概略私どもの進めております全般的な問題について御説明申し上げました。  なお、御質問に応じましてお答え申し上げたいと思います。
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 続いて通商産業省から御説明を願いたいと思います。通商局次長倉八君お願いします。
  9. 倉八正

    説明員(倉八正君) 私の方は貿易全般を所管しておりまして、大体の方向は今経済企画庁から申された通りでありますが、私はもう少し具体的にお話し申し上げたいと思います。  われわれが今貿易及び為替自由化というのには二つ意味があります。一つは、ほんとうの意味の自由化でありますし、一つは、貿易の制限を緩和するという二つの意味を使い分けて施策をやっておるわけでありますが、世上往々にして全部何もかにも自由化してしまうというように間違って伝えられまして、これが無用の摩擦を生じているという面が割合多いのでありますから、まずもって自由化の意義というものを御説明申し上げた方がいいかと思います。  それで今自由化には貿易面と為替面の自由化、二つの意味を含んだ自由化があるわけでありますが、結局、第一のほんとうな意味の自由化という意味に限界があるわけであります。それは物の面においては、たとえばドイツが十八、それからイギリスが二十二、アメリカがたしか十七だったと思いますが、こういう商品は自由化しておりません。ほんとうの意味の自由化をしていないわけであります。従いまして、日本自由化するという場合におきましても、これこれは自由化——ほんとうの意味の自由化はできないというものがあろうかと思います。早い話が米麦を完全に自由化ということは常識的にはちょっと考えられない。それから小さい物資でもいろいろそういうものがあると思います。それでガットの二十五条によりまして、各国はそういう保護規定というのをガットの総会——三十七カ国の総会にかけまして、そういうウェーバーという、いわゆる義務免除という措置をとっているわけであります。従いまして、日本におきましても二つの問題が残されておるわけでありまして、物においてはどういうものが自由化できないか、ほんとうの意味の自由化ができないかということと、為替の面においては何ができないかという問題があるわけであります。それで為替の方の自由化が私はずっと影響が大きいと思いますが、その為替の面では大体三つ自由化ができないのがあると思います。今、調整局長もお触れになりましたように、円の完全交換性の回復というのは、これはわれわれの時代はとてもできないと、私はこう考えますし、それから資本取引の完全な自由化というのもまあできないだろう。  それから次に、非常にむずかしい問題でありまして、これは私の私見として受け取っていただきたいと思いますが、たとえば外資導入の完全な自由化というのも、これは考えるにむずかしいのじゃないかというような感じがするわけでありまして、この三つというのが資本取引の、いわゆる為替自由化の問題点だろうと思います。従いまして、この為替の面においては、この二つというのがむずかしいだろうと思いますが、その他のものにつきましては、いわゆる制限を大幅に緩和していくべきでありまして、たとえば資本取引の完全化はできないにしても、円為替の導入、これは近くやりますが、それからたとえばその持ち株の制限だとか、五%、八%の制限だとか、こういうのは制限緩和という意味においてできるのだと思います。  そのように、為替の問題については、大蔵省があとで話すそうでありますから私は深く入りませんが、物の面におきましても、いわゆるそういうものが日本にも確かにあると思います。しかし、たとえばそういうものが幾らかありましても、それを今の形式で続けておっていいというわけでは毛頭ないわけでありまして、たとえばこれは一例、例が当たるかどうかしりませんけれど、ある農産物を全然輸入しないでおるというようなことは、これはいけないことだろうと思いまして、これは完全に自由化しなくても、ある一定量を限りまして輸入する、あるいはまあよその国との協定で買ってやるというような意味の、そういう制限緩和という意味の自由化はこれは当然はかっていかなければならない問題であります。それで、日本自由化というのが今日現在で四〇・二%でありまして、ドイツが今日現在では十七カ国のOEEC——欧州経済共同体に対しては九八%、ドル地域に対しては九三%の自由化でありますし、イギリスはその十七カ国に対しては九八%、それからドル地域に対しては九五%という自由化でありますが、この自由化日本でいう自由化というのは非常に違いまして、最近、日本自由化はごまかしじゃないかという海外からの批判が出ておるのも、私が今お話を申し上げるような理由で先生方おわかりになっていただくだろうと思いますが、日本の物の自由化というのはいわゆるポジティブ主義という主義であります。と申しますのは、御存じのように、税品目には九百四十品目ございます。これは商品の分け方によっては何万となりますが、この中で日本のやり方としましては、全部輸入というのは禁止だ、禁止だがこれこれの商品は為替割当を受ければ入れてもいいのですよという行き方であります、日本は。それが現在においては割当は七百六十三品目、それからいわゆる自動承認制が、これは三月三十一日現在でありますが、千二百九十八、これくらいの品目にすぎないのでありまして、残りの何万という品目は絶対輸入させない、こういう主義であります。ところが、欧米諸国というのは逆でありまして、物の輸入は自由だ、ただこれこれを輸入する場合は為替割当を受けて下さいという意味でありまして、英国においてはそれが二十二、ドイツにおいては、分け方にもよりますが、大体十八ぐらいです。それでほかは何でも自由に入れなさいと、こういうやり方でありますから、日本が四〇といいますと、イギリスがたとえば九八といいますと、日本はもう半分近くになっているじゃないかという議論が出ると思いますが、これはもとが違いまして、日本外貨予算の中でその自動承認制の品目が率が幾らかというのにすぎないのでありますから、日本自由化というのを外国がごまかしじゃないかというような言い方をするのも、根本はこういうところにあるわけであります。  それでしからば、今後どういうふうにやってお前たちは自由化の計画を持っているかということにつきましては、今の調整局長の言に尽きまして、われわれは五月三十一日を目途といたしまして、それの作業を進めておりますが、今、大きい割当の商品で残っておりますのが、米と麦と砂糖、大豆、カリ、石炭、石油、機械、これが大きい商品で残っております。しかし、その他の商品につきましては、私が今各国との例で比較して申し上げましたように、ほんとうはもっと入れなくちゃいかぬ商品を、最初から全然入れさせないでおるわけでありますから、そういう商品を拾い上げれば無数なものになるわけであります。従いまして、われわれとしましては、何万何千という商品を取り上げまして、どれをいつからどういうふうな自由化のやり方をするかということは、これは大仕事でありまして、たとえば一例をとりますと、これは例が当たっているかどうかしれませんけれども、たとえばバター、チーズという問題をとりましても、これもいいか悪いかという議論で、相当、何週間も費やすと思います。そういうふうな一例がありますから、何千何百の商品をあげまして、やれ、かみそりの場合どうするというような問題にまでなりますと、とてもとてもこれは短時間では実際はやれないのじゃないかというふうに考えておりますが、しかし一応、さっき調整局長のお話のように、閣僚会議でもきまっておりますから、昼夜その作業をやっておるわけであります。それで、この自由化をこういうふうな格好でやりました場合に、どういう対策政府は持っているかということにつきましても、さっきのお話で尽きておるわけでありますが、それは共通問題というのと、個々の物資に関する問題というものが二つあろうかと思います。  それで共通問題の対策としましては、結局、体質の改善と申しますか、企業力の国際競争力増進策と申しますか、それが結局、根本であり、それからそれの横のささえ柱としては、自由化になった暁の過当競争というのをどうするか、あるいは中小企業に対するしわ寄せをどうするかという問題が残されるわけであります。また対策をずっと進めていきますと、たとえば日本の金利でございますが、これは、日本の金利は必ずしも高いわけじゃありませんけれども、公定歩合からすれば高いわけでありますが、この金利のさや寄せをする、そのためには、さっきもまたちょっと触れましたように、資本の導入のある程度緩和まで進むというふうに、結局、自由化対策というものがうらはらになっていくような面もあるわけであります。この対策一つとして関税問題が出てくるわけでありまして、さっきも調整局長がお触れになったのでありますが、関税の問題というのは、日本は明治四十三年の関税表をとっておりまして、さっきも申し上げましたように、九百四十の税目に分かれておるわけでありますが、これはすでにもう時代おくれということは明らかでありまして、たとえば石油化学だとか、あるいは電子工学が出た、そういう場合にどの率に当てはめて何%の関税をかけるかということは、これはもう時代おくれでありまして、税目の整理をブラッセル方式に直して、少なくとも三千から四千くらいの品目に直さざるを得ないだろうという問題もありますし、それから日本の関税が安いと一般にいわれておりますが、これは必ずしも安いのじゃないのでありまして、財政関税たる酒、たばこは別としまして、普通の税の保護関税たる税というものは五〇%が最高でありまして、あとは十三段階にそれが分かれておりますが、この税の動かし方ということにつきましては、日本国内だけの問題ではいかないのでありまして、すでに大豆の瞬間タッチがいけないということで、先生方もすでに御存じの通りでありまして、あの瞬間タッチすらいかないのでありまして、というのは、大豆というのは、世界各国日本が譲許しておりまして、それを、たとえば現在の一〇%を幾らか上げるという場合には、日本はかわり財源を出さなければいかないというような問題がありまして、砂糖なんかの関税は自由でありますけれども、譲許されました二百七十三品目につきましては、日本自体の問題で上げられないのであります。従いまして、この関税の問題にも、ある程度譲許する場合は問題があります。ただ、今申し上げましたように、代価を出せばいいわけでありますが、そういう問題もあります。しかし、もう一つの問題というのは、関税の運用を弾力的、緊急的にできるのじゃないかというふうにわれわれは考えておるわけであります。御承知のように、アメリカ及びイギリス系統というのは、弾力条項というものを持っておりまして、大統領及び総理大臣の権限に基づきまして、固定税率の一〇%上下までは動かせるわけであります。従いまして、日本としましても、今度貿易自由化したと、その場合にどっと物が入ってくる、あるいは低賃金国からの物が入ってくるという場合には、いきなりそれをまた自由化をやめて、割当制に復活するよりも、税をそこで機動的に動かして輸入チェックの効果を持たせた方が、制度を動かすよりもベターじゃないかというようなことも考えられるわけであります。  そういうふうな問題を今われわれは取り組んでおりますが、もう一つの問題は、国会でもよく問題になります、後進国との関係であります。後進国といいましても、後進国と自由化との関係がどうなるか、後進国諸地域日本の輸出は出ないのじゃないかというような御懸念が皆さま方からよく——先生方はもちろんのこと、業界の方々からも聞かれるわけでありますが、これはちょっと私たちはそうは必ずしも考えてないわけでありまして、後進国から買う六大物資と申しますか、米、塩、砂糖、綿花、木材、それから鉱産物の一部、こういうものにつきましては、自由化したからその後進国からの物が入らないというようなのとはちょっと違いまして、それならば、今、年間二十七万六千トンの米を輸入しておるわけでありますが、米は自由化しないでも、東南アジアから減ったわけでありまして、これは自由化以前の問題でありまして、決して自由化したから後進国との貿易が萎縮するとは考えられませんが、ただ綿花については、確かに影響するだろうと、こういうことを考えまして、綿花とか、一部の物資については影響すると考えまして、われわれは今度輸出入取引法を提出さしていただきまして、そこでそういう一つの調節弁と申しますか、貿易振興に充てるというふうに考えておるわけであります。この貿易自由化というのは、さっきも調整局長がお話のように、決して外国から押しつけられたものじゃありませんで、私はその衝に直接当たりましたのですが、米国からの言われたという問題では決してありませんで、米国が言ったというのは、十品目をなぜドル地域に対して差別するか、この差別を撤廃しなさいという問題でありまして、あたかも日本がイギリスと今交渉しておりまして、イギリスが日本に対して六十二品目の差別待遇をやっているのを撤廃しろとわれわれが強く要望しているのと同じ理屈でありまして、この自由化の奥には、産業自由化促進だとかいう一般論のほかに、結局、日本の輸出を伸ばすためにも、相手方の物を買ってやる、いわゆる貿易の制限をはずし、より自由化していくというのが現実の問題だろうと私たちは考えております。  以上でございます。
  10. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上の説明に対して、御質疑のある向きは御質疑を願います。
  11. 千田正

    ○千田正君 調整局長並びに倉八次長にお伺いするのですが、この自由化にあたって、当然輸入の増加と、国内生産コストがある程度低下すると思いますが、これによって輸出が伸びると、そういう意味においての自由化を叫んでおられるようですが、そうした場合に、輸入の増加がどれくらい見られるかということと、輸出がどれくらい増加するか、このバランスはどのくらいに見ておられるわけなんですか。
  12. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これはまあ自由化を百パーセントやると今考えておるわけではございませんので、当面としては、その場合の数字を予測いたしておりませんけれども、全体としての見方から申しますと、たとえば工業原料等については、現在外貨割当をいたしておりましても、相当まあたっぷり予算ということになっておりますが、必要なものは十分買えるだけの外貨が組んでございますが、かりに、たとえば綿花、羊毛を自由化いたしました場合に、綿花、羊毛の輸入がふえるかということを考えました場合に、当面ある瞬間には、ちょっと競争が行なわれて、自分もやろうというので生産を上げますために、ちょっとふえることがあろうかと思いますが、しかし、それは長続きするわけではございませんので、結局、むしろ、長い目で見ますると、在庫はあまりよけい持っておる必要はない、いつでも買えるから在庫を減らす、在庫スリッページ減ということになりますと、それだけむしろ輸入が減ってくる。従って、大きな原料になりますと、たとえば大豆あたりをかりに自由化いたしますと、現在かなり需要に対して低い数字に押えられておりまして、かなり国内価格が高いのでありますが、それが自由化すればさらに二十万トンくらいにふえるかもしれない。こういう品物と、制限がきついために国内価格がかなり高い、そういった品種のものについては、自由化すれば相当ふえる場合があります。それも、倍になるとかなんとかいうことは少ないので、限界的に価格は高くなっておりますから、おそらく一割もふえればぐっと価格はおさまると、こういうことであると思いますので、私ども、三十五年度については、当面数千万ドル程度を考えております。しかし、全部自由化した場合には、あるいは一億ドルとか二億ドルとかいうような輸入はふえるかと思いますが、輸出の方は、現在二十八年以降、年々四億ドルくらい為替ベースでふえておりますし、今年は六億ドルくらいふえております。来年以降自由化をすれば、自由化しない場合に比べて、かなりやはり輸出が伸び得るのではないかと思います。具体的数字になりますと、はなはだお答えしにくいわけでございますが、大体の考え方としてはそう見ております。
  13. 倉八正

    説明員(倉八正君) 私の方からもお答えいたします。今、調整局長の言われた通りでございますが、その最近の動きを見ておりますと、輸入は決してふえてはいないのでありまして、輸入がふえたというのは一つありまして、機械でございます。機械というのは、今設備の近代化を急ぎまして、非常にふえております。しかし、これは、機械がふえるということは、産業の合理化の促進という意味では非常に望ましいことであろうかと思います。その他の商品につきましては、御承知のように、今買手市場でありまして、従来のように、船賃が上がってみたり、あるいは供給物資が不足するというような気配がある場合は、日本が早く輸入しまして、日本の倉庫にストックしておくということでありますが、今はそういうことをするよりも、船賃も非常に落ちついているし、それから世界が供給過剰だというようなことで、別に急いでいないということで、今輸入がふえていないのでありまして、今後も、貿易自由化すればするほど、原則としては輸入はふえないというふうにわれわれは思っておるわけであります。  それから千田先生の、輸出はどう見るかということでございますが、日本の輸出に二つのカテゴリーがありまして、一つは、日本の輸出の六割以上を占めておるものは、どっちかといえば安過ぎて海外からも絶えず文句を言われておる商品でありまして、繊維しかり、おもちゃしかり、陶磁器しかり、あるいは最近アメリカで問題になっておる洋食器しかりでありますが、その他の重機械方面こなりますと、確かに日本は、コスト高ということと、もう一つは、なじみがないということで、非常に実は出にくいのであります。これなんかは自由化しますと非常にいい影響を受けまして、現在、たとえば船舶の輸出が一億二千万ドルぐらい、機械全部で大体三億八千万ドルぐらいの輸出をしているわけでありますが、これは相当伸びるだろう、こういうふうに考えます。農産物の輸入というのは総輸入のわずか八・一%でありまして、米、麦、砂糖、大豆を入れましてわずか八・一%でありまして、米、麦というものの自由化ということは、完全な意味の自由化というのはできないということになりますと、まあ農産物の輸入も、私はさほどふえなかろう、こういうふうに考えておりまして、将来を見ましても、結局、貿易バランスというのは、外国がいかに日本の輸出制限をはかるかということにほとんど全部がかかっているのじゃないかと、こう考えております。
  14. 千田正

    ○千田正君 御説明はわかりましたが、特に私は、農林水産のうち、さっきはいろいろ酪農製品に対しての御説明がありましたが、私は一歩を変えまして、水産の問題にしましても、たとえばフィッシュ・ミールの問題にしますというと、現在フィッシュ・ミールは、国内において生産するのを、沿岸漁業で生産する面と、それから北洋の、いわゆる日ソ間の問題のサケ、マス船団によっての緩和策として、調整策として、外貨を獲得するためにフィッシュ・ミールを作らせて、海外への輸出を企図しておられる。ところが、コスト高であるために、どうしてもペルーのフィッシュ・ミールと比較した場合に、海外では競争できない。売れない。売れないから、仕方がないから国内でそれを消費しなければならない。そうしてくるというと、今度は、沿岸漁民が作ったところのフィッシュ・ミールが影響を受けて売れない、こういう問題が現在起きているのですよ。だから、これは輸入すべき目途のものじゃなくて、輸出すべき目標のものが逆に海外において、コストが高いために売れなくて、国内の方へ若干横ばいに入ってきた場合は輸入と同じような結果を来たしているという面があるわけなんですね。そういう面等を考えますというと、相当いろいろな問題が農林関係に出てくるのですよ。で、その点は、一体、その輸入という、外国から来るのばかりが輸入じゃなくて、輸入が伸びないという原因の一つとしては、輸出すべきものがコスト高のために、輸入にかわって国内に入っておるという面がどれだけあるかということも考えなければならないと私は思うのですよ。その点はどういうことかということが一点と、それからもう一点、私これだけ質問しますが、ガット関係は一体、自由化すると同時に、今まで相当日本が圧迫を受けておったガット加入についての条件がどういうふうに緩和されるか。あるいは全然問題なしに今後各国と同じような歩一調で付けるのかどうか、その点の二点だけ伺います。
  15. 倉八正

    説明員(倉八正君) ペルーのフィッシュ・ミールの問題でありますが、これはあとで農林省に対して千田先生からお聞きになった方が詳しい事情はわかると思いますが、私も貿易の所管でこれにタッチしたから申しますと、今のフィッシュ・ミールは二万トンがCIFで百十一ドルで入っております。現にわれわれの方でも割当をしたわけです。これのいきさつは、農林省の方から通産省の方に、ぜひ輸入さしてくれという正式な依頼を受けたからなんですが、こういう問題には二つ意味があるだろうと思います。それは一つは、果して輸入すべきかどうかという問題と、それと先生も御指摘になりましたように、どっちかといえば輸出市場として日本が努力すべきじゃないかという二つの問題だろうと思いますが、最初の問題というのは、今後フイッシ・ユミールというのもやはり国内需給とか、あるいは、私もよく詳しくは知りませんけれども、ある時期的に不足したという場合は、輸入せざるを得ないということもあるだろうと思います。ただ、従って、これを完全に自由化せよという問題は別でありまして必ずしもそういう漁民の生活の擁護とか、あるいは漁民の保護というためには、これを全部ことごとくに第一の意義の自由化ということは必ずしもそこまでは踏み切る必要もなかろう。踏み切る場合でも別なささえ柱が必要じゃなかろうかと考えておりますし、それから輸出市場として積極的に求めていくべきじゃないか。これはむしろ全く同感でありまして、そのためにはこのフィッシュ・ミールというのが、昨年の十二月ごろは百三十二ドルとしておったのが、わずか二カ月くらいのうちに二十ドルも下がったわけでありますが、こういう国際商品の動きに対しては、これは国際価格でも作らない以上はやるすべはないわけでありますが、輸出産業としてはもっと何か合理化していただきまして、国際競争になるように積極的な努力が必要じゃなかろうかと私は考えております。  それからガットの問題でありますが、ガットの問題につきましては、日本は今十二条国というふうに指定されておりまして、きょう現在においては外貨割当をしていいわけでありますが、今後ガットの問題が進みますし、それから七月に開かれるIMFの総会におきまして、もしも日本IMFの八条国指定ということを受けますと、私はことし中に受けるとは絶対考えておりませんが、そういうことを受けますと、今後は日本は一年ないし二年のうちに全面的な貿易自由化をせざるを得ない立場に陥るわけであります。
  16. 仲原善一

    ○仲原善一君 貿易自由化の問題で、日本の将来の経済のために自由化が必要だというお話の中で、原料が非常に安くなる。従って、生産費が安くなるというのはこれはよくわかりますけれども、関連して金利の問題、国際金利と日本国内の金利との問題、これは非常に国際金利の方が安くて日本の金利が高いという定説でございますけれども、そういう問題については、マイナスの面が相当あるのじゃなかろうかと思いますが、その問題はどういうふうにお考えになっておるか。一朝一夕にして日本国内の金利を国際水準並みに下げることも容易なことではありますまいし、いわゆる輸入の原料安をカバーする意味の金利との関係において、どちらが有利になるかというようなことを考えた場合に、非常に不安な点がたくさんありますので、日本の金利体制、そういうものについての対策といいますか、方針といいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  17. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 非常に基本的なむずかしい問題でございますが、私ども考え方を申し上げますと、日本の商品の大体競争力の問題について、一つは、原材料費が高い、それから資本が不足ということで金利が高い、資本負担費が高い。それから一方で、労働賃金は国際的に見て、先進国に比べて安い。これが一つのバランスかと思います。率直に申しましてですね。それで自由化ということは商品面の自由化で、やはり原材料費は安くなるということが言えると思います。それから先ほど倉八次長からちょっとお話が出ましたが、私どもは資本取引は原則としては特に居住者——日本自身自由化ということはかなり先の問題だと思います。非居住者——外国人の資本取引の自由化については、これは結局、外国人が日本へ資本を持ってきて、そうして日本で事業をして持って帰る。そこを自由にするというのが非居住者の資本投資自由化でございますが、結局、これは外資導入をどの程度扱うかということになると思います。従いまして、やはり商品の自由化をすると同時に、その資本取引のうちの非居住者の資本取引というものについては、ある程度外資導入をゆるやかにする、促進するという意味におきまして、これは逐次行なわれることになると思います。そういうことは結局、資本ということについては、日本は資本の供給が足りないということが金利局の一つの大きな基本的な問題じゃないかと思いますから、そういう意味から申しますと、外資導入を促進するということは、資本費を下げていく方向に役に立つ、それだけで金利を下げるという考え方じゃございません。もちろん金利を下げるということについては、現在銀行経費もかなり高くなっておりますが、この方を引き下げるために、銀行の合理化努力も要りましょうし、あるいは預金を集めるために預金金利が高い、この預金金利を下げて貸出金利を下げなければならぬという問題もありましょうし、また金融正常化という意味から申しますと、金利間のアンバランスということもありますので、私どもは金融正常化という問題は貿易自由化と並行して進めるべきであると考えております。産業界では貿易自由化によって、われわれは、自由化するのだがどうも金利が高くて困るという御意見がしょっちゅうあるわけでございます。私どもは、やはりこれは国際的に必ずしも高くないのだという御意見もございますが、やはり一般的にいえば日本の方が金利が高いということは言えると思います。従いまして、金利をできるだけ下げる方向に努力をする、長期的な問題かと思いますか、やはり自由化方向は外資導入をゆるやかにするという考え方につながった考え方でございまして、それは結局、金利を下げる方向に役立つ動きでめる、かように見ておるわけでございます。矛盾はないと思うのでございます。むしろ自由化というものは国際貿易の商品を自由化をすると同時に、資本取引についても逐次その方向へ進むわけでありまして、それは結局金利を下げる方向に働く。かように私ども考えておるわけであります。
  18. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 譲許品目が二百七十三あるとかいうお話でありましたが、その譲許品目の関税をかえようというときには、最初の相手国との協定がつけばできるのか、あるいはガットの承認を合わせてとらなくちやいけないのかということが一点。それから法律上はそれはできても、事実上はたとえば過去に例がないとか、また、ほとんどできないとかいうようなことについての事実もあわせてお答えいただきたい。  それからもう一つは、英国ではこれはドル地域とか、そうでないとか、いろいろありましょうが、大体九十数%ですか、自由化されている、と言いながら、一方には日本に対して六十二品目について制限を加えておる、こういう説明があったように思うのでありますが、そうだとすたば、その日本に対して制限しておるということと、品でいう九十何%自由化されておるということとの関連は一体どういうふうに説明できるのかということ。  それからAA制というのは、もうその品目に対しては無制限輸入ということに輸入が可能であるのか、あるいは外貨の一定のワクでも設けて、その外貨予算のワクまでは自由なんだということであるのかどうか。無制限とすれば、なぜたとえばAAという、オートマティック・アプローヴアルという言集を使ったのか、どうもその点私はわからない。その点教えていただきたい。
  19. 倉八正

    説明員(倉八正君) 第一の問題からお答えいたします。譲許品目の問題でめりますが、これはガットの三十七カ国と、日本がだれとだれが協定したかこいうことによってきまるわけでありますが、具体的にお話し申し上げますと、今、豚脂、ラードのAAを四月一日からやったわけでありますが、その中に精製ラードというのを除いたわけは、今御存じのように五%の税率であります。ところが、精製ラードを自由化するためには、一五%に上げなくちゃ日本関係業界は非常な打撃を受けるということで、一五%に上げたいという交渉を今から始めるわけでありますが、その順序としましては、日本はどこにそのラードの譲許をしたかと申しますと、アメリカとオランダであります。その場合には、日本とアメリカが五%に据え置きますよという約束をすると、自動的に三十七カ国に適用されるわけであります、ガットの最恵国という性格上。従いまして、これを今度は一〇%上げて一五%にしてくれという場合は、その主要相手であるアメリカ、それからオランダ、こういうところに交渉をしなくちゃいけないわけでありますが、オランダというのは日本に対してガットの三十五条の援用をしておりますから、これは交渉する必要はありません。従いまして、アメリカと交渉いたしまして、アメリカがオーケーといえば、一五%というのに日本はできるわけであります。その場合手続としましては、それが終わった一番近いガットの総会に報告して承認を求めるということでありまして、承認を求められて拒絶された例は今まで一回もございません。  それから英国の例でありますが、私がさっき欧州共同体、すなわち十七カ国に対しては自由化率が九八%だ。それからドル地域に対して九五%だというふうに申し上げました。それと六十二品目の関連はどこにあるかという先生の御質問でありますが、日本はこのいわゆる欧州共同体にも入っておりませんし、それからドル地域にも、英国から見れば入っていないわけであります。従いまして、九八とか、九五%というのは、日本にはこれは適用されておりません。従って、日本とイギリスとの関係からいえば、日本はこのいわゆる最恵国待遇を受けてないということでありまして、御承知のように、イギリスというのは三十五条の条項を援用しておりまして、日本には完全な意味の最恵国の待遇は与えておりません。従いまして、この点は、九八、九五というのとは直接関連がないやに私は考えております。  それからAA制の意味でありますが、オートマティック・アプロヴアルというのは、これは昭和二十五年でありますか、今の貿易及び為替管理法を作りましたときに、日本だけが持っておる特殊な制度であります。いわゆる通産大臣の許可権を甲種銀行たる十二行に委譲いたしまして、そこで承認させておるわけでありますが、これは受ける人から見れば無制限でありまして、私がたとえば木材を輸入したいというふうにしまして、甲種銀行である、たとえば三和銀行にかけ込みまして、千万ドルの許可証をくれといえば、私が金を持っている限りは、信用がある限りは、向こうは当然私にくれるわけであります。ただ別な意味から見ますると、外貨予算としてはワクがございます。たとえば二、三日前にきめました外貨予算では、AAのワクとしまして九億七千万ドルというワクを持っております。従いまして、現在大体七百六十三でございますが、それが三百四ふやしましたから、千くらいのAA品目が現在ございます。その場合、もしもどんどんどんどんこれに承認が殺到いたしまして、九億七千万ドルというワクを突破するということがありましたら、これは予備費の中から追加いたしまして、われわれとしましては絶対これを締めない、こういうつもりでございます。
  20. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の外貨予算の額に予備費から追加してワクを締めないというお話ですが、これは理論と現実と両方あると思うのです。理論的にいえば、われわれが持っている外貨というのは十三億余りだ、年間輸入額から見れば三カ月分ですか、四カ月分ですか、くらいしかないんだ、それだけの外貨しか持たないでいて、そうして自由化をやっていく。それからAA品目については、外貨予算のワクまで到達したら、あとは予備費の追加をやることによって一切締めないんだ、こういうことは理論的には言えないんじゃないでしょうか、その点いかがですか。
  21. 倉八正

    説明員(倉八正君) 理論的には先生のおっしゃる通りでございますが、現実問題といたしましては、われわれが外貨予算を組みますときは、それくらいであれば絶対大丈夫だという信念を持ってやっておりまして、現に昭和三十一年、非常に輸入が、あのときは神武景気ですか何ですか、何かの景気のときにちょっと締めたことはありますが、その後全然そういうことはしないで無傷でおります。今まで締めたことはないのであります。それから、そのもとになる現在十三億千八百万ドルありますが、それがはたして日本の今後の貿易自由化するのに十分であろうか、そういう懸念をお前たちは持たないかということでありますが、われわれとしましては、いわゆる輸出が三十七億ドル、それから独自の収入が四億ドルくらいあるだろう、こういうことで、これがそう変わるとは今のところちょっと考えられませんし、さっき調整局長もお述べになりましたように、そうスペキュレーションの輸入がどんどんふえまして、外貨が見る見るうちに減っていくということも考えられませんし、十三億何がしというものはそう心配——これは見方にもよると思いますが、心配する必要もなかろうというふうに考えておりまして、ただ英国の輸入は百五億でありますが、きょう現在においては、たしか三十億か三十一億くらいということでありますし、それからドイツなんかは八十億くらいの輸入を持っておりまして、これも最近減りましたけれども、たしか四十七、八億ドル持っていると思います。これは率から見れば相当なものでありますが、日本としましても、どのくらいが適正規模かという学者の議論もいろいろありますが、われわれとしましては十三億ドル持ちまして、それからあとは、いざというときはIMFの半分の借り入れもできますし、それからユーザンスというのもほとんど全品目に及んでおりますし、まあ、あまり心配はなかろうというふうに考えております。
  22. 東隆

    ○東隆君 私は、はなはだ幼稚な質問になるかもしれませんが、輸出をするものと、それから輸入をするものとの関係なんですが、輸出をするものは、国内でもって余って、そうして輸出をする、こういう場合には、私は無理じゃないと思うのです。ところが、国内で足りない、そうして輸出をする、こういうような、先ほどのどちらかというとフィッシュ・ミールのようなものは、これは問題があるだろう。それから輸入をする場合に、大豆のように国内生産が非常に少ない、こういうようなものは、これは海外からどんどん輸入する場合に、今、今度政府のとろうとしている瞬間タッチは別として、政府国内生産のものを買い上げるという考え方、これは私は問題がないと思うのです。政府が買い上げて何らかの形で調節するという形をとれば、これは問題がないと思うのであります。そういうような意味から考えてくると、私は一番に国でやってもいいものは、どうも石油のようなものは国内生産されるものがきわめて少ないのだから、だから海外から入ってくるやつをさっそく安くしてしまう、自由化してしまう。砂糖も私は見方によっては自由化してもいいのじゃないか、なぜこれが自由化できないか、こういう問題なんです。で、この自由化できない問題を、私はどうも勘ぐるようですけれども、業者の利益をはかるようなきらいがたくさんあるように考える。ことに石油なんかはトラスト、もうほとんどそういうような形といってもいいくらいの姿を呈している。そういうようなものについては、外貨割当をこういうような形でやっていく、だから砂糖も実は外貨割当をすることによって精製糖業者は非常な利益を上げておる、こういう問題の解決をする必要があろうと思うのです。そうして国内生産されるものは非常に少ないのですから、政府が買い上げる、こういう形をとった方がいいと思う。しかも、外国から入ってくるものから関税をある程度国内のものに割り当てていく、補給をする、こういうような形をとれば何もそんなに大騒ぎをする必要はないと思う。ただ、どうも外貨割当だの何だのということの陰には——フィッシュ・ミールだって私はどうも業者が非常に利益を壟断ずるようなきらいがある。石油の場合にもそのたぐいがある。それを調節するのがこれが一番大切なことだろうと思う。私はどんどん入って、そして安くなった方がいい、砂糖だって石油だって私は安いのが入った方がいいと思う。それをかように制限を加えていく、これは間違いだろうと思う。私は羊毛の場合も、これは北海道生産されるところのものをある程度保護するというような形をとれば、私は自由にたくさん外国から入ってきた方がいいと思う。だから、羊毛の場合なんかもそういうような方法を講ずれば私は自由化は一向に差しつかえないと思う。それからフィッシュ・ミールのような場合だって、考えようによっては沿岸でもって生産されるところの魚を、これを鮮魚でもって国内に消費の道を開くとか、あるいは冷凍だの何だのの施設をして、そしてフィッシュ・ミールより高度の、えさよりも食料に変える、こういうような方法が講ぜられて、そして海外からどんどん輸入されるなら一向差しつかえない。そういうものを一つもやらないでおいて、そうしてバランスがとれているのに輸入をする、これみんな沿岸の漁民を圧迫をすることになる。だから方法をちゃんと講じて、そうして自由化してくれるなら、これはもう一向差しつかえない。だから砂糖の問題にしても石油の問題にしても、何も援助をする必要はない、私はそういうふうに考えるのですが、これはどういうふうにお考えですか。
  23. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) フィッシュ・ミールの問題は存じませんが、ほかの問題につきまして、一般的な考え方といたしまして、御指摘のように大豆、砂糖あたりについては、御承知のようにこれは国内支持価格がございますから、ある価格以下に下がります場合には、当然これは食管で買い上げなければならない。大豆の場合は当然自由化いたしますれば、国内の支持価格が三千二十五円であり、アメリカ大豆のCIFの輸入価格は、六十キロで二千百円でございますから、関税をかけても、今のままであれば二千五百円以下の市中価格になってくるわけだと思います。輸入が自由に入りますから。そうしますと、国内農家で作りました二十万トンの大豆は三千二十五円なり、あるいはきわめられた支持価格で買い上げなければならない。それを瞬間タッチなり、あるいは関税で財源をかせいで、国内で食管が売り出す値段が二千五百円にしなければならぬ。ですから、その差額を補給する、食管が背負うという考え方で、あくまで国内の農産物に対しては影響を避けていこうと、こういう考え方で、私ども農林省はそういう考え方をしておりますのは、理由があって国内農産物に対する影響は防ぎながらそれを買い上げていくわけですが、国内の大豆相場は現在よりもずっと安くなる、それが結局、大豆を使う消費者にとっては利益である、こういう考え方で理屈が立っているんじゃないかと思います。砂糖の場合には、当然これは国内テンサイ糖保護のために関税を上げて消費税を下げて、輸入価格と国内価格との価格差は関税である程度格差がついておるわけですが、その範囲でテンサイ糖が採算がとれないかとれるかの問題はあるかと思いますが、まあやれるということであると思いますが、そういう意味からいうと、私は理論的にいうと、自由化してもそれは絶対理屈が合わぬということも言えないんじゃないか。自由化しましても、とにかく国内価格は、テンサイ糖については、買い上げ価格があるわけでございますから、農産物に対する影響は防げるはずだと思います。むしろ、いろいろ今までやはり輸入割当によって、砂糖については精製業者、あるいは大豆についても、割当をやって油にしておる人とかは既成の一つの事実があるものですから、それが変動することによる影響をおそれて反対をどうしてもされるという面があると思います。これは一般の業界についても、やはり今まで割当がありますと、どうしても多かれ少なかれ、やはりプレミアムがつくというのは避けられない現状でございますから、既成の事実といいますか、利益が剥奪されるといいますか、業界にとってはどうしてもプレミアムが消えてしまうという不利はありますので競争は激しくなります。そういう意味で、個々の業界としてはやはりどうしても反対を言いたがる。産業界全体としてはこの際は自由化しなければならぬだろうという空気は一般だと思います。個々の業界としては、そういう立場でいろいろ反対があるように私どもは受け取っておるわけであります。石油の問題につきましては、御指摘のように、やはり国内石油は大した量ではありませんから、私ども自由化、そういう意味からいうと、何ら問題ないはずだと思う。ところが、実は石炭に対する影響が非常に大きい。石炭が御承知のような状態で、三十八年までに合理化をしてコストをトン当たり千二百円下げていくというのが大体私どもの線で、そのためにいろいろ今措置をやっておるわけでございますが、それをいたしましても、石油となかなか完全な競争力を持ち得ないというのが現状でございます。そういう意味で、石炭に対する影響というものが、やはり石炭は雇用者が現在三十万人もおりますと、これが完全に石油を自由化いたしますと、やはり二千万トン、三千万トンとかというベースに下がってしまうというふうな予測もございますので、そういった面から現実にはやはり一挙にはできない。相当合理化も進め、そしてある程度競争になったところで、そこであるいは関税政策でやるか、あるいは消費者がある程度納得した方法対策を講じて自由化を進める、こういうことにいかざるを得ない。たとえば今申し上げましたことは一応例として申し上げましたので、私ども具体的な政策としては別でございますけれども、理論的なお尋ねでございましたので、一応考え方としてはそういうことでいっておるわけでございます。
  24. 東隆

    ○東隆君 石油の問題で苦労されておることはよくわかるのですがね、通商局次長さんに伺いますが、私は石油が輸入されて、そうしてそれが、必要量が高い値段でもってたとえば漁家の方に流れていくという必要はないと思うのです。現在はどういうことになっておるかというと、漁業協同組合に割り当てた分については、実は非常に安い値段で漁業協同組合の方に流れていっています。ところが、業者の手を通すと、関税が免除になっておるのにかかわらず、非常に高い値段でもって配給をされておる。これはみんな今の自由化でないものですから、しかも、外貨割当になっておるものですから、そうしてしかも、通産省の方で外貨を割り当てるときに、全漁連に外貨割当が少ないからそういう問題が起きておるわけです。で、石炭の産業をぶっこわす条件には一つもならぬわけですね。国内に入ってきたものを、必要量ですが、その必要量を漁業協同組合の系統を通して流せば安い値段でもって業界に流れていくわけです。それを石油業者の系統を通して流すと高くなるのですから、これは何も問題でないわけです。そこで、外貨割当をするときに、全漁連が実績を持っておりますから、だからそういうようなものは実績を割り当てる、こういう問題が私は当然必要だろうと、こう考えるわけですが、通商局次長さん、どういうふうにお考えですか。
  25. 倉八正

    説明員(倉八正君) 今の先生のお尋ねですが、これはまあ農水産用にA重油でございますが、これは大体八十八万キロリッターということを今期の予算にもやっておりますが、今の値段の点になりますと、直接漁連に割り当てるのは安い、それからほかのルートを通ってきた場合は高いというような先生の御質問だろうと思いますが、これはやっぱり根本的にはその需要をどう見て幾らの外貨をつけるかと、言われるだけどんどんやって、まあ石油を市場にだぶつかせるかというような問題にまで発展するかと思いますが、その今高いというのが、普通のルートを通ってきた普通の利潤よりも高いということがあるならば、私の方もきょうその資料を持ち合わせておりませんけれども調査さしていただきます。ただ、どのくらいの格差があって、それで非常に全漁連の方々がお困りになっておるかと、その点は今申し上げましたように、きょうちょっと資料を持ってきておりませんから、検討さしていただきたいと思います。
  26. 千田正

    ○千田正君 関連して。私は三十五年度の外貨割当、石油に関する分は大体重油と見合ってある程度豊富に弾力性を持った割当をやったようですが、今までのやり方はどうも生産用重油を作る、たとえば水産用あるいは農業用の重油を作るのだという意味で原油の輸入を割り当ててやっても、製油業者の方はA重油を作るということはもうけにならないのだ、むしろほかのB、C重油であるとか、そういうものを作って、あるいはそういうようなものを作った方がはるかに利潤が多いものだから、割当を受けるときには、生産用のA重油を作るのだという意味で外貨の申請をして、もらった原油はそっちの方へは出ないで、逆に灯油であるとか、あるいはその他の方の生産の方へ力を入れてしまって、実際漁業用が足りなくなってきたときには、さらにストックがないとか、あるいは一応倉庫を閉ざして市場に出さなかったりして、そういういろいろな商業上のかけ引きがあったわけですよ。そういうことで実際目の前に漁業が現われたものを、油がないために輸出ができなかったというような問題は過去においては相当多かったわけでございます。そういう意味では、実際に水産用A重油というものは、石炭との問題は競合しないんだし、何ら石炭との問題は摩擦を起こしませんし、実際に日本の水産に必要なものであるから、そういう問題に対しては十分研究して、ある程度はどんどん外貨を割り当てるべきである、こういう理論だろうと思うのです、東先生の御主張も。私どももそう思うんです。これはA重油を作るんだ、水産、農業用のA重油を作るんだと言いながら、通産省のあなたの方では割り当ててやっても、輸入した重油はその方には行かずに、逆にB、C重油の燃料等に高く売れる方をどんどん作ってしまう。そうして実際に必要な時期になるというと足りないという問題が起きているのです。来年度からはそういうようなことのないように一つ十分に弾力性を持ったやり方でやつていただきたい。これは主として農林、水産側にわれわれは要望するわけです
  27. 東隆

    ○東隆君 そこで私不思議に思うことができるわけですね。それは、農林省からの要望があったからと、こういうわけで、実はフィッシュ・ミールを二万トン外貨割当をやったわけです。これは通商局の方では、農林省割当があるのだからというわけでそいつを、輸入を簡単にお引き受けになったわけですね。これには問題があるのです。そこで、今度は石油の場合になると、これも農林省の方から要望をされるのですが、その通りにいまだかつてお聞き済みになったことがないわけですね。だから、こいつは一つ平等に扱ってもらいたいと、こう思うわけです。おそらく水産庁の方から全漁連に割当をしてもらいたい数字を、これはきっと出ると思うのです。そいつは一つ農林省の方から出る数字でありますから、そんなに何だかんだ、こういうようなことをおっしゃらずに、一つ今度は割当をすると、こういうことになりますると公平なことになる、こう思うのですが、これはフィッシュ・ミールの場合には問題があるのですよ。だから、こいつを一つよくお考え下すって、そうして今度はやっていただきたい。私はまあ矛盾を今ついただけの話なんですけれども、しかし、ここに非常に大きな問題がありますから、お考え下すって、そしてほんとうに善処していただきたい。
  28. 倉八正

    説明員(倉八正君) 検討させていただきたいと思います。
  29. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 経済企画庁及び通商産業省関係は、本日はこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩いたしまして、午後は二時から再開をいたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後二時二十一分開会
  30. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから委員会を再開いたします。午前に引き続き、貿易為替自由化と、農林水産業の件を議題とし、大蔵省及び外務当局からこの問題について、それぞれの事情、方針及び作業の状況等について御説明を聞くことにいたします。
  31. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) どういうお話を申し上げていいか、実は迷っているのでございますが、一般的な貿易為替自由化の問題につきましては、おそらくすでに経済企画庁なり、通産省の方から御説明があったのではないかと思います。私ども、従いまして、当面為替面の自由化について、種々検討している段階でございます。御承知のように、すでに御説明があったと思いますが、本年一月十二日の閣僚会議におきまして、為替面における自由化の問題点といたしまして、大体六つぐらいあげたわけでございます。一つは、非居住者の自由円勘定の創設、第二が為替集中制度緩和、これは世上いわゆる商社の持高集中制度と言っている制度でございます。それから、三番目が対外渡航の緩和、四番目が交互計算対象商社の拡大、これはあとで若干内容を申し上げます。それと、五番目、海外駐在員経費の送金の緩和、六番目の外国向け雑送金の緩和、これだけあげたわけでありますが、一の非居住者の自由円勘定の創設以外は、今日まですでに実施に移され動いております。商社の持高集中制度と申しますのは、今まで貿易商社が輸出等でかせぎました外貨を一本々々為替銀行に売らなければならぬ、十日以内に売れという規定がございました。それを今度は二十日以内に売ってもよろしいし、その間に業者が特別の勘定を設けまして、輸出した外貨をしばらくそこに置きまして、許可を受けた輸入をしようとする場合には、一々為替銀行のところに行って、売った買ったとやらないで、自分の持っている外貨で支払ってよろしい、その支払った残りの差額があります場合には、これを為替銀行に売っていきなさい、二十日に売っていきなさい、こういう制度でございます。なぜこういう制度をやりましたかと申しますと、一本々々厳重に一つずつの取引を為替銀行につなぐということになりますと、手数も繁雑でありますと同時に、為替銀行は為替の売買相場の幅におきまして手数料を取るわけです。それが商社が自分の持っている外貨で自分の支払いに充てるということにすると、そこに銀行との売買によるところの利益金の若干部分を商社に持たせることができる。従って、これによって海外貿易が活発になるという点をねらったわけであります。もちろん、為替銀行に勘定を開きますので、その事務は為替銀行がするという建前で、手数料は取れるのでありますが、今の売買相場の幅ほど大きくない、それだけもうけが大きくなり、商社の活動を強めるという意味でとったのであります。  それから海外渡航の緩和でございますが、これは今年の上期から外貨予算に組みまして三十四年度の下期におきましては、一般渡航が五百五十万ドルでございましたが、これを上期におきましては千百万ドルほどにふやしております。なお、国家あるいは地方公共団体等によりまして予算が組まれている渡航等につきましては、これは制限免除と申しますか、特別の制限をしないで、その予算の範囲内であれば許される、また渡航費につきましても、今までは一億円以上の会社についてごうごうと、一億円未満の会社についてごうこう、しかも中身は四段階に分けておりまして、重役クラス、部長クラス、課長クラスというふうに分けておりましたが、これもそういうことは会社の内部規程に譲りまして、とにかく最高が三十五ドル以内であればよろしい、ただ未成年者と留学生だけは二十ドルに限定をする、それからまたいわゆるマル特渡航、特別外貨による渡航につきましても相当フリーにいたしたわけでございます。これはもう実行済みでございます。  それから交互計算対象商社の拡大、これは海外に日本の商社が支店を出しております場合に、そことのいろいろな事務費その他のやりとりを交互計算を通じて決済をするという制度でございますが、これは従来力のある連中にだけ認めておったのでございますが、いやしくも海外に支店を持っている以上は、そういう制度を全部認めさせる方がいいだろうというので、これも商社の活動範囲を広げるという意味で認めました。これも上期の予算にはこれに必要な決済じりの予算を載せております。  それからその次の海外駐在員経費の送金の緩和、これは商社、メーカー等が海外に駐在員を派遣いたしております場合に、今まではその駐在員一人当たり幾らである、それから事務費としてこういうものに幾らということを一カ所ずつ査定をしておりましたけれども、今度は一定の単価を掛けまして、どの駐在事務所でも一定の単価を掛けて定形的にきめると同時に、従来は世界各地に駐在員がおりました場合にやはりそれぞれの駐在員事務所の経費を一つ一つきめておったのでございますが、今度はそういう単価をそれぞれの駐在員事務所に掛けまして全体をプールするといいますか、ニューヨークが忙しい場合にはカルカッタを減らしてニューヨークに金を回してよろしいというふうに、これも商社の活動分野を広げる意味におきまして簡素化いたしたわけであります。  なおその他、外国向け雑送金の緩和、これは外国にいる家族が病気をしたとか、あるいは生活費に困っているとか、また書籍類を取り寄せたいとかいう場合に、一定の限度を限ってこれは許可不要であるというような制度をとったわけでございます。  以上が今まで実施した措置でございますが、これから残っております問題は、さしあたりは非居住者の自由円勘定の創設でございます。これは砕いて申しますと、一昨年の暮れに西欧各国が自国の通貨につきまして非居住者の経営取引について交換性を回復したという事実がございます。これは御承知の通りでございますが、まあ大体あれと同じことをこれから進めようと言うわけでございます。非居住者、つまり簡単にいいますと、外国におる者でございますが、外国におる者が銀行に自由円勘定を作り、そうしてその非居住者の取引はこの勘定を通じてやる、そういう円で取引してよろしい、その円はいつでも御要求があれば外貨にかえてあげます、こういう制度でございます。これにつきましてはだんだん研究も進めておりますが、若干まだ金融面の問題その他の問題が残っております。しかし、五月ごろまでにはできたらやりたいと思っております。ただ、何さま為替に関することは、これは普通の貿易の場合と違いまして、時の金融情勢なり、国際収支なり、あるいは金利情勢といったようなものによって実施し得るか、し得ないかという周囲の環境が非常に大事でございますので、スケジュールを作ってこれをいつからやるというようなことはなかなかむずかしいのでございますが、非居住者自由円勘定につきましては、できるだけ早く関係方面との相談も終えまして実施したいと思っております。  それからその次に参りますのは、外資導入の緩和という問題でございます。この点につきましては一律に外資と申しましてもいろいろなものがございます。日本では技術導入等も外資と呼んでおりますが、これをどういうふうにゆるめていくかということでございます。まあ、抽象的な理念から言いますと、やはり西欧各国でもまず経営取引、つまり貿易とか、貿易外の普通の取引をゆるめまして、それから資本関係の取引の自由化に入っていくということになるかと思います。日本が現在のような為替管理を始めましたのも振り返ってみますと、昭和八年の資本逃避防止法から始まっておりまして、やはり資本取引の自由化というのは経常取引におくれてさらに慎重にやる必要があると思います。さればといって、経営取引の方が居住者、非居住者とも自由にならなければ資本取引は自由にできないのだということではございませんで、その過程におきましてはステップ・バイ・ステップにやはり実情に即して外資導入の問題につきましてこの緩和をはかっていく必要があろうと思います。目下いろいろな案を検討中でございますが、これもなかなか国内の金融問題あるいは国内産業問題というような問題ともからみますし、むずかしい点も多々ありますが、できるものから順次早く実施していきたいと、かように考えておる次第でございます。  そのほか、今申し上げました非居住者自由円勘定、これは一昨年の西欧各国がやりました措置と同じ程度までいこうというわけでありますが、さらにこの円為替というのをどういうテンポでどういうふうに取り入れていくかという問題が残るかと思います。この問題につきましては結局日本の円の力、これがどういうふうに回復してくるか、国際的な通貨として取引にたえ得るような強さを持ってくるかどうかというところがポイントでございますし、それには国内の財政金融政策、これが健全に進まなければ円為替の価値の維持ということはできませんので、そういう面で、一方で円価値の強化をはかるような手を打ちながら、順次この円為替の範囲を広げていきたい。円為替と申しますと、すぐに東京市場で円為替ができて、円クレジットが外国に与えられるというようなことを言われがちでございますが、そこまでいきますにはなお相当準備が要りますし、為替金融市場の規制の問題、金利の問題いろいろございますので、慎重にその辺は準備を進める必要がある、かように考えておる次第でございます。  そこで、委員長からお話がございました、農林水産関係自由化と、それから今私どもが考えております自由化関係という問題でございますが、これはむしろ企画庁なり通産省あたりからの御説明が適当であり、またそういうお話があったと思います。大蔵省といたしましては、むしろ今後の関税政策をどうするか。だんだん為替管理というような面はIMFあるいはガット等の関係からも国際的にも通用しにくくなりますし、またこれをいつまでも為替という手段をもって人為的に経済構造をゆがめていくということも得策でもございません。やはりこちらの方はこちらの方でゆるめる。しかし、その場合に、やはり日本の将来の経済構造がどうなるかということが非常に問題だと思います。そういう面におきましては、産業面におきましては正面から産業政策をとっていく。それからまた大蔵省関係といたしましては、それと一環をなします関税政策、これをどういうふうに持っていくかということが今後の一番大きな問題だと思います。やはり為替管理というものをだんだんはずしますと、それだけに関税政策のウエートがかかってくるということで、目下税関部におきまして新しい委員会などを考えて、今年中に何とか新しい関税法を作りたいということで、目下御努力中でございます。それらの点につきましては、私から申し上げるのはあまり適当でございませんので、もし御質問がございますれば、ここに税関部の関係者が来ておりますことでございますから、御質問に応じてお答えを申し上げたいというふうに考えております。  どうも御趣旨と違いましてまことに申しわけございませんが……。
  32. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、外務省の御意見を伺いたいと存じます。
  33. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) それでは貿易自由化に関しまして、外務省の考え方及び現在外国からどういう要求があって、また外務省としてはどういう態度でこれに応酬しておるかということを御説明申し上げたいと思います。  外務省といたしましては、むしろ経済局といたしまして、貿易促進、輸出の増大ということをはかることが第の使命でございます。しかし、現在だんだんそれが頭打ちになって、及び国内的には国民所得の倍増、生産額の倍増というような要請にこたえるには、やはり輸出をどんどん伸ばしていかなければならない。しかし、現状のままでは、これはなかなか今までのように伸びていかないのじゃないかということをわれわれは非常に危惧するのであります。と申し上げるのは、現在日本自由化が先進国に比べまして非常におくれている。御承知のようにアメリカ、カナダはほとんど自由になっておりますが、ヨーロッパ諸国も昨年来——おととしの終わりの交換性の回復以来逐次自由化を進めて参りまして、大体OEEC諸国内では九〇%以上、ドルに対してもその近くをやっている。日本はこの四月にだいぶ自由化いたしましたが、それでも四〇%しかなっていないということで、ヨーロッパ諸国と交渉いたします際に、三十五条を適用したりないしは適用しなくても、日本の輸出を締めるという傾向がだんだん強くなってきております。これを門戸をあけさせる努力を二カ国間の交渉でやっておりますが、向こうが口をそろえて言うのは、日本が非常に自由化をしてないじゃないか、われわれがあけるためには日本ももっと自由化を進めなければできないんだということを言って参りましたので、日本といたしましては、向こうの要望にこたえて今後とも自由化をして参りませんと、日本の輸出がだんだん頭打ちになってくるという情勢にございます。それからアメリカ、カナダは、これは原則としては自由でございますが、ただ日本としては自主規制をやっております。これもだんだん額において、またアイテムにおきまして広まってくる傾向にございます。これもやはり日本がアメリカの産物、カナダの産物に対して締めておる。従ってこれをあけなければアメリカ政府としては国内の業者を押えることはむずかしい。かたがた現在アメリカといたしましては外貨事情が、国際収支が悪いという情勢にありまして、国内産業界の突き上げに対しては政治的にはなかなかこれを防ぎ切れないという情勢にありまして、アメリカ、カナダに伸ばすためにも日本としては自由化に進んでいかなければならぬと考えておる次第であります。  次に、後進国との貿易でございますが、これは直接自由化関係ないようでございますが、しかし間接的と申しますか、部分的には大いに関係があるわけで、日本自由化しないで、ある程度政府がコントロールできている建前になっておりますと、隣の国からよけい買って自分の方はそれに比較して少ない、従って自分の方をもっと買ってくれという要望がいろいろあるわけで、最近起こりました、まあティピカルな例が米の問題でございますが、ビルマとタイとの比較において、ビルマが非常に少ないというので、ビルマが非常に怒りまして、一時貿易をとめたという事態がございまして、これも自由化と申しますか、政府が何らコントロールできないというような格好になっておれば、ビルマとしても文句を言わないけれども、差別待遇をしているというような点から、そういう輸入の制限をするという格好になるケースが多いのでございます。以上申し上げた理由から、日本としては今後貿易をどんどん進めていくには日本自身自由化をはかって、輸出するためにはある程度輸入を進めていかなければ輸出ができないという状態にだんだん陥ってくると思うのであります。しかし、現在は御承知のように、IMFからまだ為替事情によって輸入制限をしてもいいといわゆるIMFの十四条を適用することを認められておりますので、為替理由から、ある程度貿易の制限は認められておりますが、現在の日本外貨ポジションもだんだんよくなっておりまして、昨年イタリアが為替上の理由貿易制限していけないとIMFから勧告されたような事態が、日本についても近き将来来ることを、われわれとしては非常におそれておるわけであります。そうしますと、急にそういう状態に来ますと、日本国内産業に対する影響が非常に多いということも心配されますので、漸進的にそれに対応するように、IMFからの勧告がない前に早くやっておく必要があるのではないだろうか。要するに急にやりますと、フリクションが多いということを避けるために、日本としても積極的にこの問題にぶつつかっていく必要があると考えております。  それから御質問の本題になるわけでありますが、しからば農水産物関係自由化関係いかんということでございますが、どこの国もいわゆる自由化できない部面がございまして、日本といたしましては農産物関係は非常に自由化がいろいろな関係でむずかしい点ではないかとわれわれも考えておりますが、しかし、今後現状のままでいっていいかどうかということは、外国との関係においてわれわれとしては非常に研究を要する問題ではないかと思っております。具体的な問題につきましては、農林省とも相談していきたいと思っておりますし、主管官庁は農林省でございますから、農林省の方にまあ御質問していただいた方が適当ではないかと考えております。  以上、大体概括的に外務省と申しますか、世界貿易実情の中に日本がどういうふうになっているかということを御参考までに申し上げて具体的な問題につきましては、また御質問に応じてお答え申し上げます。
  34. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上の説明に対しまして、御質疑のある方は御質疑を願いたいと存じます。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 為替局長にお尋ねしますが、まだ研究中で結論は出ていらっしゃらないようですが、外資の導入に関して、いろいろ国内の金融なり産業影響する部分が非常に大きい、だから慎重に扱うために研究しておるということですが、大体の構想はどういう方向か、もう少し具体的にお話願えませんでしょうか。
  36. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 実はどの範囲でどういうことをやるかということは、まだ政府の部内で相談が固まっておりませんので、なかなか申し上げることはむずかしいのでございますが、たとえば御承知のように、ただいまは外資法によりまして市場経由で株をやります場合に、非居住者が会社の総資本金の五%までは自由に買える、しかもその配当送金は自由にできるし、また元本は二年据え置きの五年分割で返っていけるという規定がございます。さらに非制限業種と申しますか、制限業種を並べた方が早いのでありますが、たとえば銀行でありますとか、鉄道、ガス、電気といったような公共事業、これは制限業種でございますので五%でとまり、それ以外の一般の株につきましては、相対売買でやります場合にはさらに三%まで買ってよろしい、それを買った場合には外貨送金を認める、これは外資法の規定になっております。そのパーセンテージなんか、もう少し引き上げてもいいのじゃないかということでございます。ただこれを非常に大きくいたしますと、企業支配という問題にぶつかるわけでございます。その辺をどういうふうに調和するか。企業支配と申しましても、たとえば世界的に非常に優秀な技術があって、この連中が日本に来るについては、どうしても資本提携でなければいやだという事例もございます。そういう場合に、そういう技術を使わなければ日本は非常におくれてしまうという場合には、相当程度資本の持ち分をふやしてもいたし方がないということだと思いますが、そういう場合には、別に外資法による認可あるいは為替管理法による認定というものがございまして、大体認定という格好でやっておりますが、それはケース・バイ・ケースに調べていく、しかし、こまかいものまでそう制限をする必要はないのしゃないか。それから借金等につきましても、たとえば少額な借金であるならば、これは金融的な撹乱を起こす心配もなかろう、条件さえよければ、一定の条件にはまるものは、これはフリーにしてもよろしかろうじゃないかといったようなことがございます。そのほか社債等につきましても、一定の金額、小さいものであれば外国人が持っても大したことはないのじゃないか。それらの送金の仕方につきましても、今さっき申し上げたように、二年据え置きの五年分割、七年間寝てろということでございますが、今後のこれは資本面の自由化のテンポと合わして、もう少し短くしてもいいのじゃないかという感じはいたしております。ただ、それを、じゃ何年にしてどう扱うかということにつきましては、まだ関係政府部内の調整というところまでいっておりませんので、詳しく申し上げられる段階にないことは、はなはだ残念でございますが、大体そういうところでお許し願えればと思います。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話は、現行の外資法の御説明程度で、それ以上には進んだお話はないのですが、予算委員会では大蔵大臣はもう少しこう抽象的ではあるけれども、進んだような見解を表明されておったように思うのですが、今、ここに速記録を持っておりませんから、明確に私、大臣の答弁を紹介するわけにいきませんけれども、何かこう四〇%程度までくらいはというような、かなり具体的な数字を示しての御答弁があったように記憶しておるのですがね。だとすれば、まだ閣議決定ということにはもちろんなっておらないから、公の発表はできないということは了承いたしますが、大体事務的にこんな程度にまで考えておるんだというような構想をお話し願えないだろうか。そのことは、非常に国内経済なり産業影響を持つことでありまするし、国民としても大体の方向をつかみつつ今日から心がまえを持って取り組んでいかなければならぬ非常に大きな問題だと思うのです。ですから、きまったからといってぽいっと発表されたということでは非常に不測な問題を起こす危険がある。あらかじめある程度情勢というものは知らしておいた方がいいんじゃないかと、こう思いますので、重ねてお伺いいたします。
  38. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) ごもっともでございまして、これは、さっき私、ケース・バイ・ケースと申し上げましたが、まあ実例といたしまして過半数は困るんじゃないかということはございますが、まあその内容いかんによりましては四〇あるいは四五という持ち株比率になってもやむを得ないというものが出てくると思います。そういう株でなければ技術が日本に入ってこない、しかも、その技術を使わなければ世界的に負けてしまうというような場合でございますね。ただ、これを正式にそれじゃ外資法による保証付の認可にするかという点になりますと、これはそういうこともありますけれども、なるべくならば保証でなしに、条件付といいますか、あるいは為替管理法の認定と申しますか、国際収支が非常に悪くならぬ限り、必ず送らしております。ただ、国際収支が非常に状況がひどくなって、日本経済がとても持たぬというような状況になった場合には、一時これを延ばしてもらうことはあるかもしれぬというような程度のやり方で、これは西欧各国がみなそれでやっておりますが、その程度でやっていくのがほんとうじゃないか。一ぺん保証しますと、極端に言いますと、百年でも二百年でも利潤送金を保証しなくちゃならぬことになります。そういう意味では、扱いはそういう扱いをいたしておりますが、ものによりましては四 ○とか四五とか、あるいは場合によっては今後四九というものが出てくるかもしれません。ケース・バイ・ケースに、非常にメリットがあればそういうものも認めていくというぐらいの腹がまえでおるわけでございます。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 これは、為替局長ですから、お尋ねする方が少し無理かとも思いますが、そういうような外資の導入の問題と国内市場における金利の問題とは密接不可分の関係に置かれると思うのですね、具体的には。大蔵省としては、国内金融全般についていろいろな施策をとられておりまするが、僕の申し上げまするような感覚からながめて、国内における金融市場の金利というものを具体的にどうして押えていく方針なのかという点を、これは銀行局長じゃないというといかぬと思いますが、お聞きになっておることがございますれば、一つ伺いたい。
  40. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 具体策というふうにはまだ聞いておりませんけれども、今御指摘のありました点は、非常にポイントをついた点でございます。今後為替の問題を考えていきます場合に、さっきも、金融問題は非常に気をつけて検討しなければならぬと申し上げましたが、そのうちの一つは金利だと思います。まあ資本導入とこれとくっつけて考えますと、要すると、内外の金利差があるので、その落差を利用して日本へ外資を持ってきて、そこで金利をかせいで逃げていく、いわゆる世上にいうホット・マネーでありますが、これは、私どもとしては最後まで警戒を要すると思います。このホット・マネーの性格は、金利がちょっといいときには入ってきますが、多少日本経済の先行きに対して動揺があるというようなルーマーが飛びますと、一挙に引き揚げていく外資でありまして、これは非常な国際収支の撹乱要因になります。従いまして、そういうホット・マネーにつきましては、これはなかなか自由にすることは当面むずかしいのじゃないか。同時に、金利の問題でございますが、これも、日本の金利は、御承知の通り外国に比べて非常に高うございます。これは、まあ、たとえばアメリカと全然同じということにはとうていなりませんし、戦前でもそこに開きがあったわけでございます。ただ、今、金利を比較いたしますと、いかにも国際金利に対して差があり過ぎると、しかし、それは、根本的に考えてみますと、結局資金の需給関係で需要が非常に強いという点がポイントだと思います。そういう面では、安定した外資が入って参りますと、それだけ資金の供給量がふえるということで、まあ理論的には金利が下がる方向に向かうわけでございます。何にしましてもこの金利というような問題は、これは人為的に押えつけましても、裏金利、やみ金利で、結局資金の需給の強弱によってきまるものでありますから、その需要と供給をマッチさせるような方向、これをとっていかなくちゃいかぬ。まあ金融政策としてはそこは非常にむずかしいところでございますし、技術的に申しますと、それじゃ銀行の貸出金利なり何なり考えます場合に、一体今の預金金利はあれでいいのかというような問題も出てくると思います。しかし、根本的には、幾らそういう人為的な操作で押えつけましても、あるいは銀行協会に、金利が高いぞ、これをもう少し下げろと言ってみましても、やっぱりその高いレートで取り手があって、押えてみてもまた背に腹はかえうれぬというようなときになりますと、やみでも何でも高い金利で持っていくということになりますので、やはりこれは根本を立て直さなければなかなか一挙にはいかない。まあその一つ方法として、優良な、ホット・マネーでないほんとうに定着していこうという外資などもかなあらゆるめていいのじゃないか。反面、おっしゃったようなホット・マネーについては、これはやはり為替管理の最終段階まで相当厳重な規制を加えていく必要があるのじゃないか、かように考えております。  あまり金融問題につきまして政策を詳しく聞いておりませんので、私の考えておりますところだけをお答えさしていただきまして、これで御答弁にかえさしていただきたいと思います。
  41. 森八三一

    ○森八三一君 先刻お話しの非居住者自由円勘定をフリーにするということと外資導入との関係が、これはしろうと的な質問で、一つお教えをいただきたいのですが、ちょっと想像しますると、その二つの結びつきが一体どうなるのかという心配が起きるんですがね。非居住者の自由円勘定というものをフリーにする結果として、今私も心配して、ホット・マネーやなんかの関係が起きてくるような気もするんですが、そうはなりませんでしょうか。
  42. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 今の自由円勘定でございますが、これはまあ貿易貿易外の取引をするために作りまして、そのもとは、輸出、日本から見れば輸入ですが、その手取り代金であるか、向こうから送金してくるか、とにかく外貨のかわりの円でなければこの勘定は使えない。外貨の裏づけがあるわけでございます。ただ、それは、銀行に入れました場合に銀行がそれをどう運用するかというところは問題になりますけれども、実際問題として、今、日本状況からいいまして、まあ金利差をこれでかせぐというようなことは起こらんと思います。ただ、ポンド、ドルのような世界的な通貨になりますと、これは経営取引だけに認めておりますけれども、若干そこに何といいますか事実上の抜け穴といいますか、多少そういう資金の動きは出て参ります。しかし、日本は国際的にそれほど力のある金融市場でもございませんので、これはやったからといって、そういうホット・マネーがそこでがたがた動くと、こういうことはまず起こり得ないと考えております。  それから、外資導入の問題でありますが、これはまあ非居住者自由円勘定と違いまして、直接に日本の企業なり日本人に金を貸す。これは流動性がないし、一たん貸した場合に、それを何と申しますか移転するというようなことも割合に不自由にできております。社債を持ちましても一たん持った場合には、出ていくのに制限がございまして、二年据え置き三年というような格好でございますから、そういう危険性をきらうホット・マネーというものはこれでは出てこない。むしろ非居住者自由円勘定、この形で実は英米あるいは英独、米独というあたりが若干ふらふら動くわけでありますが、国際的な金融市場として東京市場というのはそれほどアプリシェートされておりませんし、また使わすにいたしましても、支払いの場合は全部為替管理法による許可あるいは承認というものが要りますから、まずそういうことは起こり得ないんじゃないか。それが起こるほど円が国際的に信任されるということであれば、またこれは反語になりますが、それほど強くなるということになれば私どもとしてはかえってうれしいくらいのものでございますが、少なくともホット・マネーの流出については起こり得ないし、起こるとすれば、それは厳重に取り締まらなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  43. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 自由化品目ですが、二百七十三ですかあるという話は聞いたのですが、それ以外の品目の輸入については関税はどういうふうになっておりますか。
  44. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) お答えいたします。今のわが国の関税率でございますが、これは昭和二十六年に一般改正が行なわれまして、その前の、いわゆる戦前の税率でございますが、それを戦後の税率として適当な税率というものに一応改正して、それが現在行なわれているわけでございます。その中で二百七十七品目というのは外国と協定税率を結んでいるということと、それ以外の品目は協定税率は結んでないわけです。それで、全部で現在のところ約九百四十三品目税率数ございますが、それだけの税率はございます。
  45. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 共産圏の国で、私よく知りませんが、ユーゴですかどこかがガットに加入している。大部分の国が加入していないというふうに聞いておりますが、ガット加盟国以外とガット加盟国との貿易というのはどういう形で行なわれているかということが一つと、それから特にその中で共産圏が、それ以外の国家群との貿易というものをどういう形でやっているかという点について、少し御説明をいただきたい。
  46. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) チェコはガットに仮加入いたしておりまして、できるだけガットの精神によって貿易をやるという趣旨でございます。それから最近またホーランドはこれに仮加入を申請しております。それ以外の国は、現在共産国では入っておりません。で、貿易は、日本にたとえてみますと、現在国会に通商協定を御審議のために提出中でございますが、あとポーランド、ソ連とは通商協定ができておりまして、この二国間の協定によってお互いに差別待遇をしないという趣旨で貿易を進めておりまして、従ってガットとは関係なく貿易が進んでいるわけでございます。  それから共産圏と自由圏との貿易は、大体、やはり二国間の協定を作りまして、それに従って貿易をやっているようでございますが、共産圏は通商政策の建前上、等額確保と申しますか、輸入と輸出をできるだけバランスするように貿易協定を作っているわけでございます。それから共産圏相互におきましては、これは主として清算勘定——オープン・アカウントで輸入しているのでございます。
  47. 東隆

    ○東隆君 関税の問題なんですが、私は占領下の関税とそれから戦前の関税、それから現状ですね、この三つの間には相当な率の面で開きがあるのですが、その変わり方ですね、そんなような問題をお聞きしたいのです、違いを。たとえば食糧が非常に不足であるというような場合には、食糧の輸入には関税の税率を非常に安くしておった。そういうような問題なんかもあるので、私は全体として見て非常に大きな変化があると思うのですよ、この三つの間に。その大略を一つ説明を願えませんか。
  48. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) お答えいたします。関税率なんですが、なかなか品目が多うございまして、概括的に申し上げますと、戦前の税率はかなり高い水準にあったと一応申し上げられるかと思います。それから戦前の税率は従量税率と申しまして、たとえば目方、その当時百斤について何円というふうな、目方幾らについて幾らというふうな税率が盛ってございました。ところが、終戦後貨幣価値が非常に下がりまして、戦前の何円というふうな税率が非常に安くなってしまったと申しますか、それで関税負担としては非常に低いものになってしまったので、税率としてほとんど役に立たないような形になってしまったわけです。それで、二十六年に、先ほど申しましたように関税の一般改正が行なわれまして、税率を全部従価税に改めたわけです。で、従価税に改めますときに、それでは戦前の税負担まで持っていったかと申しますと、そこまで持っていけなかったものがかなりございます。  それからもう一つは、その当時、終戦直後でございますが、御承知のように食糧等非常に物資が不足しておっ時代でございまして、そういう際に、外国からせっかく入ってきたものに関税をかけるのは非常に負担を重くしますので、関税はできるだけ、そういう主食あたりは免税いたしまして、関税のかかっていない安い価格で配給しようということになりまして、一般改正の前には食糧等については関税の免除を行なっておりました。それから、関税が二十六年に改正になりましたあとも、主食等については依然として関係の免除を現在まで継続しております。それからその他の重要物資についても、特に必要のあるものに対しては関税の減免を現在まで行なっているものも若干ございます。大体そういうことになっております。
  49. 東隆

    ○東隆君 はなはだ何ですけれども、麦一つとってみて、どんなふうになっていますか。
  50. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) 麦の関税率の点をかいつまんで申し上げますと、昭和の初めごろ世界的に非常に恐慌を来たして国際価格が下がってきましたときに、麦が非常に安い値段日本に入ってきたことがございます。それで、時の政府では農村保護のため麦について保護関税をとりまして、そのときはたしか百斤について二円五十銭という税率でございましたが、この二円五十銭という税率は、その当時の従価率に換算しますと約四割から五割近い税率になったと思います。昭和七年ごろですが、約四割から五割近い、相当高い関税をかけまして、麦の増産をはかったということがございました。
  51. 東隆

    ○東隆君 そうすると、これがゼロになったわけですね。
  52. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) 現行税率としましては、昭和二十六年の一般改正におきましては、従価税率で一応二割の関税、二〇%ですね。小麦に関しては二割の関税が盛ってございます。しかし、終戦後免税をいたしており、その後も引き続いて現在まで免税が行なわれております。
  53. 東隆

    ○東隆君 そうすると、これは小麦ですが、もう一つ石油を一つ、はなはだあれなんですが……。
  54. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) 石油の関税でございますが、石油につきましても、今申し上げた小麦と大体似寄ったことがございますが、戦前の税率は相当高い関税が盛られておりました。たとえば原油でございましても、軽質原油と申しまして、ガソリン分をたくさん含んだ原油でございますが、そういう原油については約四割から五割近い関税がかかっておった。それから、重質原油でございますが、機械油などがたくさんとれる重質の原油ですが、それについてはやはり二割から二割五分という程度の関税でございましたが、これが二十六年の一般改正の際には、原油については従価一割という税率が盛られました。しかし、その当時は油の輸入は非常に大切な物資としての輸入であったので、関税が——その当時、運賃も相当高く、日本へ到着する値段相当高かったので、いきなり高い関税が負担されては困るというので、一時免税になっておりました。で、今国会で原油については従価六%——四%だけ軽減されておりまして、その税率……。
  55. 東隆

    ○東隆君 農林のやつだけでしょう、免税になったというのは。
  56. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) その税率が、三十一日の国会で議決されましたので、四月一日から従価六%という税率が暫定的に適用されております。ただし、農林水産用のA重油でございますが、これはその用途にかんがみまして特に免税にするということになっております。  以上でございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 もう一つ、はなはだなんですが、砂糖ですね、問題の砂糖の変化です。これを一つ教えて下さい。
  58. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) 砂糖の関税率について申し上げますと、これは国産テンサイ糖の保護並びに沖縄の砂糖の保護ということを重点に考えまして、昨年の国会で議決いただきましたのですが、一キロについて四十一円五十銭、相当高い関税が盛られました。これはもちろん砂糖の消費税の方をある程度引き下げまして関税の方へ消費税分を持ってきたというふうなやり方で関税を引き上げた形になりましたのですが、結局、消費者にはあまり負担をかけない、それで、消費税を引き下げて関税を引き上げたという形にしまして、国産の保護、それから沖繩の砂糖の保護ということをやっております。  この四十一円五十銭という関税率でございますが、昨年輸入されました砂糖については、約一三〇%ちょっと上になりますが、相当高率な関税となっております。
  59. 東隆

    ○東隆君 私は、今の砂糖の問題で、これは戦前は関税が非常に安かったというよりか、台湾から入ってきておったわけですね。台湾で生産されたものに関税をかけるわけにいかないから、そこで、全体として消費税でもって税収を上げておったといえばいいと思うのですが、そういう形であったわけです。消費税に重点を置いておったわけですが、戦後に情勢ががらっと変わって、そうして国内のものには保護を与えんければならぬ、それから海外から来るものは値段が安いのですね。そこで、問題が逆転をしたから昨年変えたのだろうと思うのです。それで、関税の方に重点を置いてやる、こういうことになって、私ども説明を聞いたときには、五〇%ぐらいだろう、こういうような計算をしておったのですが、ところが、今お聞きすると、一三〇%になる。これは当時、食糧庁でもって想定をしておった砂糖の値段が安くなって、三セント十五ぐらいのやつが二セント台になってきたから、それで、この率が上がっただけの話で、私はやはり相当関税を価格面でもってやったんでは、三〇%もかけるというのは、これは非常に聞こえが悪いと思うのですよ。それで、これを何か目方かなんかでもって、確実に入ってきたものについて収入が入ってくるような、そういうようにこれを逆に、前の従量でもってやるような、そんなことをやった方が私は安定するのじゃないかと、こう思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  60. 木谷忠義

    説明員(木谷忠義君) 砂糖の関税率でございますが、戦前の税率は、台湾で砂糖が相当生産されて、国内需要を大体まかなう程度までいっておったわけで、台湾の糖業保護という面で関税は相当高率関税を課しておったわけであります。これはおもにジャワの——今のインドネシアですね、ジャワから当時輸入されておったのですが、台湾糖業保護、わが国の糖業保護という意味で、相当高率であったわけであります。しかし、その当時の税率としましては、約四割から五割程度のものを盛っておりました。それで、今お話しの砂糖についての税率のきめ方ですが、輸入税表は大体今のところは、従価税率を適用いたしておりますが、砂糖につきましては、お話しのように、特に従量税率を使っております。現行税率が、原料糖に対しては一キログラムにつき四十一円五十銭、この税率を算出したときは、今お話がございましたように、いまだ砂糖の値段がかなり高いころに税率を算定しておったわけであります。それで、あるいは三セント四十ですか、その程度のものでしたが、最近は大体三セント程度値段になっておりますから、最初考えておったときよりも関税の負担率が若干上がっておるかと思います。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 ちょっとお伺いしたいのですが、外資導入のことでお伺いいたしますが、先ほど来森委員の質問にもあったのですが、外資導入についての説明をちょっとお伺いいたしましたが、これを導入する場合の影響というのが私非常に大きいのじゃないかと思うのですが、まず第一点お伺いしたいのは、外資の導入の状況でございますが、三和銀行の調査部の資料によると、三十四年四月から七月までの累計で株式投資が八千三百億ドル、それから貸付債権が、これが大きく六億一千百万ドル、そのほか非常に小さいのですが、ありますが、計で六億九千五百万ドル、こういうふうな外資の導入の状況になっているのですが、その状況なんですが、大ざっぱでけっこうでございますが、まあ石油産業なんかは非常に外資の導入が大きいということは承知しておるのですが、これの大体産業の分布状態——大企業、中小企業等の産業別の外資の導入の状況がおわかりになったら、ちょっとお知らせ願いたい。
  62. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 私の手元にございますのが三十四年末——十二月三十一日現在でございます。このうち大きなものといたしましては、技術援助契約、これは幾らという金額表示ができません。しかしながら、これはまあ近代化をはかっていく上に日本では非常に重要な問題でございまして、累計いたしまして九百七十五件の技術契約が行なわれております。それから株式持ち分は十二月末で九千二百万ドルと、ドルでございます。これは仰せのように、石油会社と外国系の資本のものが相当多うございます。戦前からダンロップでございますとか、帝国酸素でございますとか、ほとんど百パーセント持っておるような連中、これがまあ増資をするというようなことでやはり入ってきております。これが九千二百万ドル、結局あと残りました分で大きいのが、おっしゃた貸付債権でございます。これは累計いたしますと十二月末で六億八千万弗ばかりでございます。これは一体どうしてこんなに大きく入っておるかと申しますと、御承知のようにこの中に世銀借款が入っております。十二月末までの世銀借款の累計が三億二百九十万ドル、それからワシントンの輸出入銀行によるものが一億五千百四十万ドル、合計しますとそれだけで大体四億五千四百万ドルでございます。ワシントン輸出入銀行から借りました分は、御承知かとも思いますが、例の綿花借款なども相当ございます。それから、たとえば日産その他の自動車工業が機械一式をアメリカで買うために大きく借款を受けたとかいうようなものがございます。ですから六億八千万ございますが、大体そのうちの四億五千万、これはまあ世銀とワシントン輸出入銀行、残りますのが一般の借入金でございますが、この内訳といたしましては、ちょっとこれは非常に業別がたくさんございますが、申し上げましょうか。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 いやけっこうです。
  64. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 各業別に分かれた数字ございますけれども、あとでごらんいただきましてもけっこうでございます。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 そこで私が心配するのは、石油産業のように、主として大資本、大企業のところへ外資が入ってくる場合は——大きな意味では影響あるのでしょうけれども、私はまあ中小企業その他に直接の影響というものはないのじゃないかと思うのですよ。ところが、外資導入の自由化によりまして、国内において中小企業的なものの競争のある企業に対して相当巨大な企業に外資が導入されるということになるというと、これは国内産業に非常に大きな影響を持ってくるのじゃないか、こういうことか心配せられます。従ってまあ国内資本や、技術の健全な発展の保護というようなことからして、外資導入の制限ということは当然考えなければならないというふうに思うのですが、そのような点が今度の自由化によってどの程度まで緩和されるような意向を持っておるのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  66. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) その前に簡単な表がございますので、さっきの業別の数字をちょっと申し上げますが、昨年末現在で六億八千のうち、電力事業が二億七千二百七十七万ドル、それから石油関係が八千四百二十八万ドル、それから鉄鋼関係が一億八千八百三十万ドル、それからタンカー、これが五千七百四十四万ドル、その他1この中にはカーボンも入っておりますが、大体七千八百九十万ドル、合計しまして六億八千万ドル、業別に簡単な表で分類いたしますと、そうなります。  そこでお尋ねの点でございますが、もちろん現在も外資導入、これ資本の問題のみでなく技術の場合もございます。これを入れる場合に、中小企業に対する影響ということは、これは一つの大きなポイントでございます。従いましてわれわれとしては、日本の中小企業の連中が、大きな技術、大きな資本が入ることによって一挙に足場をくずされてしまうということは、これはよほど慎重にやらなければいかぬというので、現在でもきわめて慎重に国内影響を考えながらやっております。将来もこの点は変わらぬと思います。ただ、まあ新しい技術等に関しましては、中小企業のために経過的にはやはり慎重にいかなくっちゃいけませんけれども、世界的な技術水準がもうどんどん進んでしまっていると、しかし、それが中小企業に影響があるからといって、日本がまた古い技術だけにたよっておるということでは、これはまた国際競争に負けますので、そういう過渡期間におきまして、できるだけ中小企業の方もそういう力をつけ、新しい技術を身につけて競争できるような策を積極的にとっていっていただかなくっちゃいかぬのじゃないか。入りますために一挙に中小企業をつぶしてしまうということは、これは不得策でございますので、これは今後、将来も気をつけて参りたい、かような考え方でございます。なお、特に技術の面につきましても、実は国産技術との競合の問題がございます。まあ国産でやれば非常に技術が高くつく、しかも特許があってどうにも動きがつかぬという場合は別でございますが、もう少し、一、二年力を貸せば国産技術がそれで育つのだというような場合におきましても、やはり性急に外国の技術を入れるよりも、場合によっては、国産技術をもう少し育てていくという配慮が必要でございまして、そういう点は今後の運用についても、自由化するからといって何でもかんでも歓迎というわけではないのでございます。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、外資審議会において、やはりある程度のチェックをしていくということは継続していく。ある程度緩和する方向はございますけれども、全然野放しでいくということはもちろん考えておらない。こういうふうに理解して差しつかえないと思うのですが、それからもう一つは、私直接こういうことを聞くのは、澱粉の糖化の問題で、アメリカのコンプロー社が味の素その他との外資提携でもって外資の導入をやる、こういうことが実際問題として起こっておるわけであります。それで、おっしゃるように、先ほどの説明のように、中小企業の非合理的なものはもちろん合理化していくという施策をとる。これは当然のことで何も反対する理由も何もないわけですが、ただ、今申されたように、この澱粉の糖化の問題については、酵素糖化法が国内にもできるようになったし、おそらく農林省の方針なんかもそっちの方向にいくんじゃないか、まあ相当、技術的にいっても、この外資導入とコンぷロー社の酵素糖化法と、それから国内の酵素糖化法も技術水準においては大した変わらない形に技術的に進歩してきておる。まあ一、二年たてば、これに追いつくというような状況の中で、もうすでに外資が導入せられることが決定的であるというようなうわさも聞いておるわけです。そうしますと、私はやはりこのいわゆる澱粉の糖化工業をやっておるものは、まあ国内的にいって味の素その他の提携しての外資とはちょっと太刀打ちのできない、国内でいえば、中小的な企業ばかりが非常に多いわけです。そうするというと、これはつぶれちまう可能性が当然出てくる。しかもこれは政府相当な助成を受けてできた企業である。それを一気につぶすということは、私は農林省としてはつぶすのにしのびない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、そういうことが、一体考えられて、外資導入ということが考えられておるのかどうか、この点を一つお伺いをしたいと思うのです。
  68. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 第一の御意見の外資審議会の話でございますが、これは外資法を直すかどうか、外資審議会残るかどうかという問題がありますが、いずれにしても、ああいう機関は必要だと思います。緩和の際に。現行の外資法によりますと、日本経済の復興開発に役立つもの、国際収支改善に寄与するものというふうにしてありまして、いずれも送金保証がついておる。これはいかなることがあっても、日本が破産しかけても必ず送るという非常にきつい保証をしておりますので、そういう制度にのっけるためには、やはり相当高いメリットのものでなければ入れられないじゃないか、まあ当時国際収支も悪うございましたし、それから日本経済発展させなくちゃいかぬので、もう戦時中の空白をおっかけて技術、資本を入れなくちゃいかぬという事情にありまして、大体非常にしぼったわけでございますが、しかし、それ以外のものにつきましても、入れたって弊害がなければいいじゃないかというものはございますので、そういう点を順次緩和していく。しかし、一方それが入ることによって仰せのような中小企業の問題に火がついてくるとか、あるいは国内市場を擾乱するとか、マイナス面が出てくることがよくあります。そういうものはやはり消極的に扱うより仕方がないのだ。中小企業の例につきましても、それは外務省にだいぶしかられたのでございますが、数年前からシンガー・ミシンの問題がございまして、あれが中小企業という意味で、なかなか技術提携を認めなかったのでございますが、そのうちに日本の、ミシン・メーカーが育ちまして、今や世界で一流のメーカーになっておる。ああいうことになりますので、その辺はよほど注意しなくちゃいかぬと思っております。  第二の、今、具体的に仰せになりました澱粉糖化の問題でございますが、具体的なケースは、私、まだどういうふうになっておるか聞き及んでおりませんけれども、もちろんそれが国内のメーカーをほとんど全部ばたばたやられてしまうというような状態であるならば、これは入れることは相当問題だと思います。まあ国産技術がその間に発達するということであればなおさらでございます。そういう考慮はもちろん払う必要がありますが、それをどう判定するかということにつきましては、技術の内容について、科学技術庁が一応技術的には御判断になりますし、業界の状況につきましては農林省なり通産省なり、あるいは船その他につきましては運輸省なりがいろいろ御判断になりました上で総合して外資審議会で検討する。外資審議会で検討いたします場合に、もちろんおっしゃるような観点は常にあるわけでございまして、今までにもそういう例はたくさんございます。これは資本導入をゆるめていくからといって、急に何でもかんでもそういうものもいいというふうにはななかなか参らぬじゃないかと思っております。
  69. 北村暢

    ○北村暢君 もう一つ経済局次長にお伺いしたいのですが、先ほど貿易自由化といいますか、今問題になっているのは輸出の関係が非常に問題になっている。それでやはり貿易振興という面において輸出が伸びなければ、これは私はいけないと思うのですよ。そりゃまあもちろんその考え方だと思うのですが、どうも輸出についての、私は東南アジアの未開発地域における輸出の伸び、それから、海外におけるまあ欧州でも、アメリカでも輸出の伸びの状況というものはどのように見られるのでしょうか、そういう状況についてどのような見方を持っておるか、概略でいいのですが、お伺いいたしたいと思います。
  70. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 日本の輸出の伸びが、過去数年間非常に急速に進歩して参りまして、一九五三年でございますか、約八年ぐらい前には十二億ドルの輸出が、昨年あたりは三十億になる。約二倍——三倍近くのものになるというので、世界の全体の輸出の伸びから見ますと、非常に伸びておるという状況でございます。先ほど申し上げましたように、このような急激な伸び方は、今後は日本が今度は輸入の方を、各国から、ある程度自由化していかないと、現在外国で、日本の商品に対する輸入制限が起こっております、及びガット三十五条を適用している国は日本に対して差別待遇をしておる、三十五条を適用していない国もいろいろ日本に対しまして急激な伸びは困るということで制限的な傾向になっております。それから、東南アジアにつきましてはいわゆる第一次生産物を買わないと、向こうはだんだん逆調になって参りまして、日本としても、これを買っていかないと、相手の国のアンバランスが非常に差が多いと、日本も輸出が伸びていかない。輸入制限をしたり、ひどいときは輸入を禁止するという傾向になっておりますので、今まで通りと申しますか、今後とも順調に一割ぐらいずつ伸ばしていくには、いろいろな手を打っていかなければならぬ。通商条約なり貿易協定を結ぶのは当然でございますが、国内的な生産関係、いろいろ施策はございますが、外務省といたしましては、日本の輸入もある程度自由化していくから、お前の方も日本の商品に対して差別待遇をしないでどんどん入れてくれという方向で進んでいきたい。まあ、このほか国内的に過当競争とかダンピングとか、非常に低価格とかいう問題がございますが、それはそうでないということを説明していきながら、相手に対してできるだけ多角的な、かつ、きめのこまかい手を打って今後いきませんと、今の伸び方がだんだんと縮まっていくんじゃないか、そういう点を心配しております。
  71. 北村暢

    ○北村暢君 もう一つ、そこで、輸出を伸ばすために東南アジアの未開発地域から日本が米の輸入を要請されておる。これに対して、まあ過剰な米を輸入しなければならぬ。貿易政策上、外交上輸入しなければならぬ、こういう問題が今起きておって、これに対して、池田通産相がライス・バンクの構想を打ち出して、これに非常な反対が起こったという状況のようでございますが、これについて、ライス・バンクの構想というのは、今後外務省としてどのように考えられていくか。これは可能性があるのかないのか、この点を簡単にお伺いしたい。
  72. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 池田大臣が、過日ライス・バンクの構想を立てられまして、農林省においても検討されていると思います。また民間におきましても、この構想について、いろいろ専門家ないしは学者が研究しているというふうに私は聞いております。で、今後これがどういうふうになっていくかということはなかなかむずかしい問題でございますが、しかし、関係の外国は、まあ必ずしもこれに対していろいろな理由で賛成していないという点は別といたしまして、これは私個人的な考えでございますが、ある程度日本の食管制度なりを検討すると同時に、ある程度の財政負担を考慮しない限り、このライス・バンクというものはなかなか動かないのではないか、私は個人的にはそう考えております。しかし、具体的に農林省でいろいろ検討されておると思いますが、今後東南アジアの米をどうするかという問題は、通商政策とも関連いたしまして、国内農業政策が非常にわれわれとしては大きな問題であろうと考えております。
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 一点だけお伺いいたします。貿易自由化と関税の問題でありますが、これは原則的には、やはり自由化を進めていくためには、この関税を撤廃するなり全撤するという形になるのが原則かと考えますけれども、先ほど外務省の当局のお話を聞いておりましたところ、IMFの十四条かによって、当分の間は何か関税をかけてもいけるような仕組みのように聞きましたのと、それから午前中、これは通産当局のお話でしたが、ガットの二十五条ですか、これによって関税をかけてもよさそうな、いわゆる義務免除の規定があるというようなお話でしたが、私はそのガットなり、それからIMF内容をよく知らぬものでございますから、その辺について、貿易自由化をして、今後二年なり三年なりの暁には相当進んでいくという見通しのもとに、関税というものはどういうふうな構想で処理されるものか、三年先には全部撤廃になってしまうのか、場合によっては国際条約等によって、相当関税によって、特に農産物資なんかについては、ゆとりのある政策が考えられるのか、その辺多少心配になるものですから。将来の関税政策自由化とし関連ですね、矛盾したような何か二つの要素ですけれども、それはどういうふうに将来お考えになるのか。その点だけをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  74. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 先ほど私が申し上げました点が、ちょっと言葉が足りなくて誤解をお与えしたようでございますが、私の申し上げましたのは、IMF十四条の関係で、まだ日本外貨準備が十分でない場合には、関税とは関係なく、輸入制限がガット上当然認められるということでございます。従って、関税いかんとは関係ないのでございます。それから関税とガット関係自由化とどういう関係になるかというお話でございますが、御承知のように、ガットは、できるだけ関税を引き下げて貿易拡大していこうというのが基本精神でございます。しかし、全然これをなくすということはなかなかできないので、そこまでは、何といいますか、企図しておりません。従って、自由化いたしまして、先ほどお話がありましたように、日本が現在九百品目のうち、約三分の一くらいガットの譲許品目と申しまして、相手の国と約束いたしまして関税をきめておるわけです。それ以外はガット上からいいまして、日本が独自に上げたり、また下げたりすることはできるわけでございますが、しかし、ガットの大きな精神並びに貿易自由化ということからいきますと、法理的には上げることはできても、一律に禁止的な関税をかけるということは、ガットの精神上、必ずしも合致していないというふうに考えております。
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 具体的な問題ですが、たとえば大豆を十月から自由化するという線のようでございますが、その場合の対策もいろいろ考えられているようでございますけれども、関税によってそれを保護するということも一つの案の中にあるんじゃないかと思います。そういう場合に、国際間の条約等に縛られずに、日本の独自の立場で、これは現在一割であると思いますが、これを二割程度に上げるというようなことは、条約上は差しつかえないですか。
  76. 高野藤吉

    説明員(高野藤吉君) 御承知の通り、大豆の対ドル自由化につきましては大きな問題になっております。この方法は、大きくいいまして、国内産業保護のために関税を上げるか、ないしは、いわゆる瞬間タッチと申しまして、関税を上げずに、差益金を取って、追徴金を取って国内産業を守るかという二つの問題があるわけであります。これがまだ関係省内で、どういう方策をとるかということは、まだはっきりきまっておりません。かりに仮定の問題といたしまして、何らかの関係で関税を上げるというふうにきまりました場合には、これは譲許品目になっておりますので、ガット上はもちろんできますが、ただし、それに代替いたしまして、ほかの譲許品目の関税を下げるということをしまして、ガット上は合法的にできる次第であります。
  77. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 大体済んだようですが、私も一つ伺いたと思いますが、これは基礎的なことで、まことに迂遠な質問でおそれ入るんですが、わが国には為替管理というもの、それから輸入制限、この二つがございます。そういう方法をとっている例は、外国でも皆そういう例をとっているわけではなかろうと思いますが、そういうものの例があるのかないのか。そういうことを伺いたいと思います。それが一点。  それから第二点は、貿易自由化と、それから為替自由化ですか、それと資本取引の自由化、この三つがあると思う。そこで国内産業に大へん影響する、というのは貿易自由化と資本導入である、こういうことをいわれておるのですが、そこで為替自由化というようなものが行なわれるということになると、為替管理をするということが緩和をされていくのか、あるいはその条文なりが整理して残滓が残るのか、その点の取り扱いが一体どうなるのかということが第二点。  それからもう一つ、外資導入について先ほど北村君からもお話がございましたが、外資導入の制限が今でもある、五%というんでございますか、それから産業別によれば三%のオーバーが認められる、こういうことのように先ほど御説明に伺ったのですが、しかし、それが今後制限産業というか、産業の種目等によってはあるいは四〇%ないしは四五%、五〇%をこえない範囲内でいろいろ許し得る、こういうことなんですか。それは外資審議会というようなものが将来なくなるということなら、科学技術庁がやるのかどうか、そういうところの判定を待ってそして外資導入の限度をきめるということになるのかどうか、その点、この三つ伺いたいと思います。
  78. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 第一点は、為替管理貿易管理に分かれるけれども、これを一緒にやっている国はあるのか、別にやっている国があるのかというお尋ねでございますが、これは両方ございます。英国とかフランスなどはたしか日本と同じように、為替面とそれから貿易面との規制を一緒にやっていると思います。それに反しまして、新しいドイツのいわゆる対外経済法——為替管理法と外資法を一緒にしたようなものでございますが、これでは為替貿易とは全然観念は違えております。まあどちらがいいかという問題でございますが、今の程度日本の管理でございますれば、どうせ輸入の許可を受けたそのものには外貨を割り当てなくちゃいけない、ですから手間から申しまして、一つの手続で許可を受けたものが、さらに為替の許可を受けないで、通産大臣なり農林大臣なんかの許可を受ければ、それでその範囲内で為替は買ってよろしい、一本にした方が便利だということで、一本にいたしております。英仏等は大体そういう方向でやっております。  それから第二点の、国内に対する影響につきまして、貿易に対する自由化為替面の自由化、それから資本導入に関する自由化、これはおっしゃるように、直接的には貿易自由化というのは、これはじかに国産のいろんなものにぶつかったり、いろいろいたしますから、そういう意味では影響が非常に大きいわけでございます。しかし、為替の面におきます自由化のこれは具体的なものにぶつかりませんけれども日本経済自身全般として国際競争にぶつかっている、為替自由化していつでもコンヴアーティプルにするというからには、これは日本の円の相場が海外で立ち、外国人の間で円の取引が行なわれてくるという格好になりますから、円の価値継持と申しますか、円為替の安定というものが中心になるわけでございまして、国内政策が健全でないとその点がすぐくずれて、そこから非常の場合にはスペキュレーションが起こるというような格好になりまして、これもやはり相当影響全般的にくるわけであります。たとえていえば、国内の好況、不況といいますか、インフレ、デフレといいますか、そういうものがじかに響く、また国際収支の方が逆にそういう作用を促進するというような面もございます。まあ為替の面の自由化も、やはりある程度貿易自由化と歩調をとってやっていく必要があると思うのでありますけれども、やはり国内態勢をそういう意味で整備しながら、貿易自由化のテンポを見ながらやっていく。  それから外資の関係でございますが、これは一面におきまして、為替自由化という範疇に入るわけでございます。これは先ほどからいろいろお答え申し上げておりますように、非常に影響するところが大きいわけでございまして、今後どうするかということにつきまして、まあ外資審議会がなくなりましても、やはりああいうふうな相談の機関を置く必要があるのじゃないか。民間の、それこそ第三者の、公平な意見もお聞きする。それからやはりそういうものを入れるについては、技術面なり産業面なりの、今言ったような悪い影響、こういうものをどう排除するか、あるいは排除できないとすれば、それをとめるかという問題もございますので、これは各関係省において、それぞれの分野で判定を下していただきまして、それを総合したところで資本導入をやっていかなくちゃいかぬ。ただいまお話のありました五%とか八%、これは実は外資法に規定がございまして、制限業種については、市場経由の場合には五%、それからそれ以外のものは五%のほかに三%相対でもらえる。しかもこれに送金保証がついているのでございますから、これは何も審査をしないで通してやるというやつですから、あまり率は大きくなくて、三分の一になっちゃうとか、過半数になるということになると、これはやはり一つ一つ審議しなくちゃいかぬ。ただ全体として五%や七%資本金が入っておっても、企業がそれだけでどうということはないということで、これは若干ゆるめてもいいのじゃないか。しかし、それはさっきも申し上げましたように、限度があると思うのでありまして、大きいものはやはり審査になっていく。もちろんこれは為替自由化はちゃんと進みまして、単に資本投資貿易だけでいいのだという状態になれば、これは非常に変わって参ります。それから昭和七年以前のように、全くフリーだということになれば、これは何ら別に問題はないわけでございますが、それにはやはり日本国内の力がそれにたえ得るような状態が備わっていないと工合が悪い。長い将来を考えますとフリーになりますが、そこに至るまで、日本の態勢を整えるまでは、おっしゃるように、あまり大きな割合を持つものについては審査を要する、こういうことだろうと思っております。
  79. 田中啓一

    ○田中啓一君 きょうの新聞を見ますと、外国の大きな製造会社、非常に大きな連中が日本でいろいろなものを売っている。そこでものを売るのですから、むろん普通なら代価をドルで受け取るわけなんですけれども、それをそうしないで円で受け取って、その円を日本投資に回す、独立してやる場合もあるし、組んでやる場合もある。これがどうも為替自由化を前提にして、そうして最近著しく目につくと、こういうことが大きく日本経済に載っているのでございますがね。そこでこれに為替のどの点を、自由化のところを、まだ大蔵省としては大へんに慎重で、ある程度自由にしなければなるまいとは言っておられても、どこをどの程度やるということは全然明らかにしておられないのですが、それはやはり商売だから早くて、この点に有利になるというところでやっていることだと思うのでございますが、そこはどこをねらっているのでありましょうか。
  80. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 実は先ほどからの議論で、ちょっと抜かしておりましたけれども、現在の外資法におきまして、外貨を持ってきて、それを円にかえて投資をすると、その返る場合に送金保証は求めないと、円で入ったままでよろしいというものにつきましては、現在の外資法は無審査でございます。自由に入ってよろしいというのが、昭和二十六年でありましたか、あの法律ができましてからの建前なんであります。従来は日本に一ぺん入ってもこれは日本がいつどういうことをやるかわからぬ、あぶないからというので、非常に危険視して、そういうものはほとんど入っておりませんでした。ところが最近、日本貿易が非常に隆々と伸びてきて、保有外貨も一年に四億もふえる。まあ、そのうちにさっきお話がありましたように、IMFから、お前のところは国際収支理由からあまり制限する理由はないと言われそうだという空気が実は外国から出てきたのでございます。アメリカあたりは特にそうでございまして、今はなるほど入っても何も送れない、送れなくてもいいのだ、そのうちにこの勢いで日本がよくなれば、四、五年先にはこれはきっと資本取引がフリーになるに違いない、そうすれば、今入ってここで事業をやって、そのときに送れると、市場を拡大しておく方が非常に得じゃないかというふうな機運が出ております。ただ外資というのは非常に憶病でございますから、日本は中共、ソ連の隣であるし、それから今後の日本政策がどうなるかというので非常に憶病な点がございますので、何といいますか、いろいろなことを調べ、そうしてわれわれに対しても、もっと自由にしろ、自由にしろというような、何か言わそうというようなことがございます。でございますが、連中の腹の中は、まあこのままでいけば、ドイツ、イタリアの例から見ても、三、四年のうちにはこれは日本も同じようになるのじゃないか、そんなら今から入って地盤を作っておけと、こういう機運がぼつぼつ出かけておる。ただ、じゃ具体的にどういうものが入っておっておるかといいますと、まだそこまでの大きなものは入っておりません。今そういう興味を示して、日本というものを少し調べようと、こういう機運が少し出てきておる段階でございます。
  81. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 大蔵省及び外務省の関係は、本日はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二分散会