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政府委員(増田盛君) この長期的な需給の見通しに関しましては、昨日も実はいろいろ御質問の事項になったわけでございまして、そこに焦点を当てられたということは、私どもまさに納得できるわけで、私どももこれは相当時間をかけて
考えて参ったわけでありまして、すでに長期需給の見通しいかんという問題に関しましては、私の方で
設置しておりました園芸
調査会に二年前に諮りまして、足かけ三年になりますけれども、昨
年度答申があったんでありますが、やはりその
答申を見ましても、結局は結論におきましては、非常にむずかしい。あらゆる農産物がそうであるごとく、これは
果樹だけじゃなしに、あらゆる農林漁業
生産物というものは、ほんとうは長期需給の見通しを立てて、それから
生産の奨励をするというのが筋でございますけれども、それがいろいろな
条件の変化によってなかなかできにくいということがわかったんでありますが、ただ
果樹の場合には非常に勉強した結果によりまして、いろいろなことがわかってきたんでありますが、大体単純な推計をやりますと、これは単純な需要の推計をやりますと、今後十
年間に二倍
程度の需要増大というものはあながち不可能じゃないだろう、もちろん
果樹の種類によっていろいろ差はございましょうけれども、今後の一人当たりの所得増大、あるいは国民所得の増大ですね、それから一人当たりの
消費の支出増、それから人口増、こういう
条件を入れて、過去の果実の
消費弾力性、所得弾力性がたしか一・二三だと思いますけれども、こういう計数を
利用してやりますと、どう見ても需要は二倍以上にふえる。もちろん加工
生産物の、
ジュースとか
カン詰もふえてきます。そういうものを全部ひっくるめまして、鮮果を中心にしていろいろ加工
生産物あるいは輸出等も合わせますと、大体二倍というところを目標にするということは、そうむちゃな
計画じゃないというふうにいわれておるんでありますけれども、しからばこの需要に合わして種類別に、またさらにこまかにいきますと、県別にどういう種類の果実、どういう
品種の
果樹を、どういう緩急の順序によってふやしていくかということになりますと、これはなかなか簡単に出てこないわけでございまして、一番基礎になります、たとえば
果樹の植栽面積にしましても、現在の面積自体に相当不正確な点がありますし、いわんやわれわれが最も知りたいと思いまする樹齢別の面積、これによって樹齢別の、年令別の
生産力を推定していかなければ作業ができないわけでありますから、それを知りたいと思っても実はそういう統計がないわけであります。そこで私ども現在は、府県から吸い上げてきたこまかい長期
生産計画というやつを実は持っているわけでありますが、これを国の
計画としまして公表することは、いささかはばかるわけでありまして、今後本
法案によって
果樹農業振興審議会ができますので、それにも諮って、
一つ将来もう少ししっかり固めて出したいと、こういうように
考えているわけでありまして、どうしても需給問題が中心になる、それに対して私どもといたしましては、むしろこの際困難ではあるけれども、
果樹農業が先べんを切りまして、他の模範となるようにはっきりした科学的なデータの積み重ねの上に、しかも長期的な今後十年ないしそれ以上の長期的な見通しを立てて、その上に
生産計画を遂行していく。これは非常に意味のあることだと思いますし、いろいろ御鞭撻を受けながらも、ぜひやって参りたいというふうに
考えている次第であります。