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1960-03-11 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十一日(金曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————    委員異動 本日委員高橋衛辞任につき、その補 欠として大谷贇雄君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            大河原一次君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            田中 茂穂君            藤野 繁雄君            北村  暢君            棚橋 小虎君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林省振興局長 増田  盛君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林大臣官房文    書課長     和田 正明君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林省及び水産庁機構に関する  件) ○果樹農業振興特別措置法案(内閣送  付、予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日高橋衛君が辞任、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 農林省及び水産庁機構に関する件を議題といたします。  今回、農林省設置法及び水産庁設置法改正する法律案が提出されておりますが、一応その内容について説明を求めることにいたします。
  4. 和田正明

    説明員和田正明君) 農林省設置法及び水産庁設置法のそれぞれ一部改正法律案について御説明を申し上げます。  お手元に少し分厚い縦とじの書類で、農林省設置法の一部を改正する法律案以下、一、二、三、四、五と書きましたものと、少し薄く、水産庁設置法の一部を改正する法律案関係資料と申しますものと、それから横とじの農林省設置法の一部を改正する法律案参考資料というのが三つお配りをしてございますが、その資料で最初に、農林省設置法の方から御説明申し上げます。部厚い縦とじの方の九ページの所から要綱がございますので、それをお開きいただきたいと思います。  農林省設置法の一部を改正する法律案は、非常に事務的なものも含めまして、八点ほどの改正点になっております。その第一は、その要綱にございますように、青果物行政の一元化を図るため、青果物流通及び消費改善等に関する事務振興局に移管する。」、横とじの資料の一ページの所を見ていただきますと、現在、くだもの及び蔬菜に関します行政事務につきましては、生産関係振興局園芸特産課所掌いたしております。それは一ページの所にワクに入れました資料のまん中からちょっと左に寄った所に、園芸特産課という四角なワクがございますが、そこの一という所に「工芸農産物及び園芸農産物生産流通及び消費増進改善及び調整を図ること。(そ菜その他の青果物流通及び消費に関することを除く。)」という規定がございますが、この規定で、蔬菜青果物流通消費を除きました分については、園芸特産課所掌いたしておりまして、除かれました部分は、その前の方に、五という所でワク書きで、「そ菜その他の青果物流通及び消費増進改善及び調整を図ること。」というのが企業市場課所掌事務としてございますが、端的に申しますと、園芸特産課では生産に関します仕事を担当し、それの流通及び消費の問題は農林経済局企業市場課で担当する。そのほかに、その表の一番左にございます食糧庁食品課飲食料品生産流通ということで、ジュースでありますとか、あるいはカン詰とかいう加工品飲食料品一般として食品課所掌するという形で経済局振興局食糧庁というふうに三課に分かれて所掌いたしております。御存じのように、最近一般消費動向が変化をいたしまして、くだもの蔬菜に関します消費が非常に伸びて、また、その生産も著しく増大をいたしておる段階でございますので、別途果樹農業振興に関します対策要綱を決定し、それに伴いまして、法案もすでに提案をいたしまして御審議をいただいておるわけでありますが、そういう行政面青果物生産あるいはその消費流通という問題に今後力を入れて参りますことと関連をいたしまして、各局長に分掌しておりました所掌事務振興局の方へまとめまして、一元的に処理をして参る、その方が、今後の行政の重点として考えておる問題でもあり、また生産者あるいは消費者へもいろいろと事務処理上便宜であろうというふうに考えたわけでございます。  一ページの表の下の方に実線で書いてございます部分が、今度新しく振興局園芸課という課を設けまして移す部分であります。点線で書いてあります部分につきましては、所掌事務そのもの園芸課に移りますが、たとえばジュースと申しましても、くだものを使いませんで人工甘味料だけで作りますジュースもありますし、あるいは競合品としてのサイダーとかラムネとか、そういう問題もございますので、そういうものを園芸課所掌させるのは適当でございませんので、飲食料品一般としては食糧庁食品課にそのまま所掌を残しますけれども、くだものそのものを使いますジュースとか、あるいは蔬菜カン詰というものについては園芸課で直接所掌させる、そういうふうに考えておるわけであります。  それが改正点でございまして、今度作ります園芸課は、横とじの資料の次のページにございますが、とりあえず二十三人の定員で課を設けるというふうに考えております。内訳としては、現在振興局果樹蔬菜関係で十七名の人がおりますが、そのほかに経済局から五名持っていき、さらに内部のやりくりで一名を加えまして、二十三人でとりあえず出発をいたしたいというふうにに考えております。それが要綱の第一点でございます。  それから第二は、農林省付属機関として、農作物及び林木品種改良のための放射線利用に関する試験研究を行なう機関である放射線育種場茨城県に設置する、これは、原子力の平和利用の一環といたしまして、従前から試験場等放射室というのを設けまして、ある程度試験を進めて参ったわけでございますが、放射室というような室内処理をいたしますと、気温でございますとか、日照でございますとか、そういうことが、全然自然条件のもとに置かれませんで、どうしても室内の、屋内の状態での処理になりますほかに、一時に大量のものについて試験をいたすことができません。今度茨城県の水戸の郊外の大宮という所に放射線育種場というのを設けまして、圃場で、自然の条件のもとで、一般農作物あるいは桑、果樹、そういう木を植えまして、その植えた所へ放射線をかけて実験をして参りたい、こういうことを考えておるわけであります。放射線利用いたしました育種は、相当前からいろいろ行なわれておりまして、たとえば、私の知る限りで申しますと、アメリカなどでは、これを利用して一九四〇年代ごろに非常に多収穫のタバコの品種を作り出した、あるいは普通の桃よりも十五日ぐらい早く結実をいたしますわせの桃の品種を作り出した、そういう実験例もあるようでございまして、諸外国も最近こういう施設を設けましていろいろやっておるようでございます。三十四年度と三十五年度と、両年度にまたがりまして、この施設費を計上いたしまして、今申しました自然条件圃場に、米類はもちろん、果樹、茶あるいは一般品種の木を植えまして、そこでコバルト六〇という放射性元素を使いまして、放射線による突然変異を起こさせまして、それに基づいて多収穫あるいは耐病性の品種を作っていくということを考えておるわけであります。農林省には林業試験場とか、茶業試験場とか、蚕糸試験場とか、いろいろございますが、個々の試験場ごとにそういう設備を設けますのはむだでございますので、取りまとめて一カ所で全部を処理していきたいというふうに考えております。  それに伴いまして、予算関係は、横とじの資料の四ページの所にございますが、三十四年度で四千六百五十万ばかり、三十五年度で五千五百万ばかりの施設費を組みましたわけです。五ページに、それに伴います運営費を計上してございます。定員関係は六ページの所に表が出ております。将来は十七名ということにいたしたいと思っておりますが、三十四年、三十五年合計では九名という定員処理をいたして参りたい、そういう方針でございます。  それから第三の、農林省付属機関として、飼料検査を行なう機関である飼料検査所東京都に設置する、これは、数年前に飼料品質改善に関する法律というのがすでに制定をされておりまして、飼料につきまして二種類の取り締まりをいたしております。その一つ方法は、登録制度というのでございまして、民間の飼料業者から登録の申請がありましたものにつきまして、農林省で定めました一定の規格に合う品質を備えておる、それから製法等についても、その品質を確保し得るような製法で行なわれておるということを確認をいたしましたものを飼料として登録をいたしまして、それを処理していく。大体年間三百件くらいの登録が出ております。  それからもう一つ取り締まり方法は、業者のところへ出向きまして、抜き取り検査で収去して参りまして、それを分析して毒物が入っていないかとか、あるいは飼料として役に立たないものをまぜていないかとかいうような検査をいたしますが、大体収去件数は年間千件くらいずつを今までやっております。で、今申しましたように、取ってきましたものを試験管に入れて薬をかけて分析をしたりいたします関係で、仕事として本省の中で処理できませんので、従前も目黒に分室という形で置きまして、処理をいたしておったわけでございます。分室ということでは事業もはっきりいたしませんので、明年度これを独立をいたしまして、飼料検査所として独立して出発をいたしますとともに、今後一そう充実して飼料取り締まりに当たりたいという考え方でございます。で、検査所予算関係は八ページの所にございます。定員は九ページの所にございますように、所長以下二十人という考えであります。  それから四番目の生糸検査所でございますが、「生糸検査所において繭糸価格安定のための買入れ及び売渡しを行ない得ることとする。」、これは御存じのように、現在神戸横浜生糸検査所がございまして、輸出生糸検査をいたしておるわけでありますが、今度この生糸検査所に、単に検査ばかりでなしに、繭糸価格安定法に基づきます買い入れ及び売り渡し実務を行ない得る権限を与えたい、こういうことでございます。これは繭糸価格安定制度ができましたときから、買い入れ、あるいは売り渡し事務をどこで処理するかということは当然問題であったわけでありますが、できました当時には、そういう問題が現実にあまり起こりませんでしたので機構的に処理をしてございませんでしたが、御存じのように昨年、一昨年以来、繭糸価格安定のための政府買い入れ、あるいは売り渡し仕事が非常にふえて参りまして、それに伴いまして現実に、最高の方針はもちろん本省できめまして、いつ何俵くらい売ると、あるいは価格はどうするとかいうようなことは本省できめるわけでありますが、それに基づきまして競争入札事務をいたしますとか、あるいは現物の引き渡しをいたしますとか、あるいは代金の納入の手続をさせますとか、そういうきわめて会計法上の事務的な仕事は、今のままですと、神戸あるいは横浜から一々東京まで出てきませんと処理ができませんので、そういう実務について両検査所でやらせたい、そのために糸価安定特別会計から定員を四人振りかえまして、それぞれの検査所定員を増加してそういう実務をやらしめるようにしたい、そういう改正でございます。  それから五番目の「伊勢湾における高潮対策を急速に実施するため、名古屋農地事務局臨時高潮対策事業部設置する。」と申しますのは、御存じの昨年の伊勢湾台風によりまして、伊勢湾におきます干拓堤防その他が大へんな被害を受けたわけでありますが、それの復旧をいたしますために、昨年の臨時国会特別措置法等制定をされ、また建設省も名古屋地建対策の特別の部を設置をいたしておりますが、農林省といたしましても、この仕事を急速に実施をいたして参りますために、名古屋農地事務局にこの事業継続期間中だけ臨時高潮対策事業部設置をいたしまして、災害復旧のみならず、改良事業と申しますか、そういう関連の工事を早急に実施をさせたいという考え方であります。事業部には十八人の人を置き、その下に事業所二つ置きまして、その資料最後ページの所に載っておりますが、鍋田事業所、それから碧南衣ヶ浦事業所二つを置きまして、直轄の事業実施をいたしますほかに、関連補助事業につきましての実施、設計あるいは技術上の指導補助金交付等事務従前建設部事務と切り離して実施をしていきたいということで、臨時にこういう事業部を設けて参りたい、そういうことであります。  それから六は「国有林野事業特別会計に新たに設けられる治山勘定経理に関する事務林野庁林政部所掌とする。」、これは御存じのように、今度治山治水の五カ年計画でございますか、十カ年計画でございますか、それによって治山治水を重点的に取り上げて参りますことと関連いたしまして、治山関係については農林省林野庁所掌することになりまして、そのために、別途、大蔵委員会で御審議をいただいておると思いますが、国有林野事業特別会計治山勘定というのを設置をいたしまして、民有林治山関係経理をこの特別会計の中でやっていくことにしたわけでありますが、この治山勘定従前林野庁林政部林政課一般会計補助金交付という仕方でやっておりました仕事事業量を拡大をして、この特別会計の中へ治山勘定として取り入れたものでございますので、企業会計としての国有林野の本来と申しますか、従前からやっておりました事業とは、やや会計経理事務内容が違いますので、治山勘定という形で国有林特別会計の中へ取り込みましたけれども、従前と同じように、従前一般会計補助事業の場合と同様に、林野庁林政部治山勘定部分だけは経理事務をやらせていくという趣旨でございます。従って、新たにそうするというのではなく、現在林政部所掌しているままに、治山勘という特別会計にはなったけれども、従前のまま林政部所掌として処理をしていこう、そういうことでございます。  七は「臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会廃止する。」、これは昨年の通常国会調査会設置をいたしまして、一年以内に答申をしなければならないというふうに定められておったわけでありますが、先般答申もすでに提出されましたので、この機会に調査会廃止をする、そういうことでございます。  それから最後に「その他中国農業試験場移転に伴いその所在地を広島県に改める等規定を改整備する。」というのは、従前中国農業試験場というのは、兵庫県の姫路にありましたあれでございますが、中国というのが、管轄区域中国地方広島、岡山、山口、島根、鳥取等管轄をいたしておりますので、兵庫ではやや偏在をしておりますのと、手狭でございます等の関係から、適当の場所を探しておりましたところ、広島県の福山市に適当な場所が見つかりましたので、そこに試験場移転をいたしたい、そういうことでございます。このほかに、若干事務的な規定の整備をいたしておりますが、政策的にどうという問題もございませんので、省略をいたします。  それからもう一つ水産庁設置法の一部を改正する法律案関係資料というのがございますが、これは内容は一点だけでございまして、現在サケマスについて国営孵化事業をいたしまして、その稚魚各地配付をいたす、マスでございますが、各地の内水面の湖に配付をする、あるいは孵化をいたします前に採卵をいたしまして、卵の形で配付をいたしまして内水面漁業育成をはかっておるわけでありますが、そのための施設として北海道一つと、それから十和田湖一つ二つ従前から処理して参って、そういう事業をやっておったわけでありますが、最近北海道支笏湖にございます事業場事業成績が非常によろしくて、大体国内の各湖面で必要といたします移殖用の卵が、年間二百万粒程度でございますが、大体支笏湖事業場でまかない切れる状態になりましたので、十和田湖孵化場を、この際国営廃止いたしたい、廃止後の処置につきましては、地元でございます青森県、秋田県等といろいろ協議をいたしまして両県の県営で今後引き続き処理をしていく。なお、十和田湖に内水面漁業協同組合がございますが、そこで将来力がついて参りました場合には組合営に移していくということに地元と話し合いがつきましたので、八月一日から、と申しますのは、昨年の秋、採卵をいたしましたものを現在孵化育成中でございますので、それが各地に放流し得る段階まで成長いたしました上で県に引き継ぎをいたす、こういう趣旨で八月一日から施行するという趣旨でございますが、そういうことで廃止をいたしたい。それだけが水産庁設置法の方の内容でございます。  以上簡単でございますが説明を終わります。
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に対し御質疑のおありの方は御発言を願います。
  6. 大河原一次

    大河原一次君 定員ですが、名古屋の十八名あるいはまた衣ヶ浦の四十二名という定員、これはどこから持ってくるのですか。
  7. 和田正明

    説明員和田正明君) 名古屋農地事務局高潮対策部定員のうち十八名、これは新規でございます。新規増でございます。それから鍋田新規でございます。衣ヶ浦内部振りかえでございます。
  8. 大河原一次

    大河原一次君 新規の問題はわかりますが、内部の操作の問題、これはどうなんですか、結局、内部から操作していくわけでしょう。その場合に現在のポストといいますか、その辺については、結局それは補充するのですか。
  9. 和田正明

    説明員和田正明君) 私は今逆に申し上げましたが、鍋田既定定数振りかえで、碧南衣ヶ浦の四十二名が新規でございますが、この鍋田の方は干拓のための事業所従前ございましたので、それを災害復旧事業所振りかえて堤防をやっていくそういうことでございます。
  10. 青田源太郎

    青田源太郎君 この農林省設置法資料の八のその他の中の中国試験場広島移転の問題でございますが、これはもともと、今説明がありましたように、中国試験場兵庫県は近畿であって中国でないので、中国の適当な所ということでそういうふうに移転になったわけですが、この移転のことにつきましては、現在のいわゆる姫路中国試験場を何か一つあと引き続いて農林関係に活用していただくということをその当時強く要望して地元としてもあるわけでありますが、この移転後の姫路の現在の試験場農林省が何とかそういう農林関係に活用していただくということを地元として非常に強く希望しておるのであります。そういった点についてお考えがありましたら一つ承っておきたいと思います。
  11. 和田正明

    説明員和田正明君) 姫路試験場の面積のうち借地等もございますので、それらにつきましてはむろん返還をいたしたり、あるいは一部は県に委譲いたしたりするつもりでございますが、まだ大部分につきましては最後処理方針は決定をいたしておりませんが、いろいろ地元の御意見その他を伺いまして、最も適切だと考えられる処置をいたしたいということで現在せっかく研究中でございます。
  12. 青田源太郎

    青田源太郎君 御配慮を願っているのは非常に感謝にたえないのでございますが、どうぞ一つこれをさらに、せっかく農林省の方で取得されているりっぱなものでありますので、何とか研究してそういう農林関係に活用していただくということを一つ留意していただく。さらに地元においてもこれが活用ということについて目下研究しているということを聞いておりますので、移管後もさっそくそういう処置をするということについては、十分地元等とも相談の上で善処していただきたいと考えます。
  13. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 水産庁設置法の一部改正についての説明でありますが、従来十和田湖孵化場採卵がどの程度であったか。そうしてそれはどういう府県に配付され、どの程度配付されているか。
  14. 和田正明

    説明員和田正明君) 十和田湖採卵の実績はあまり芳しくございませんで、むしろ最近は逆に支笏湖でとれましたものを十和田湖へもう一度入れてこざるを得ないという状況であったのであります。それにとれます親魚の数量が毎年どうも急に減ったりふえたりしておりまして、支笏湖の場合は、支笏湖へ返しますほかに外へ回す余力があったのございますが、十和田の場合にはあまり最近は外へ回し得る余力がないばかりでなしに、むしろ支笏湖から逆に入れるというような実情にあったようでございます。
  15. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 政務次官に伺いますが、先般、農林省水産庁予算説明がありましたときにも私多少質問もし、意見も申し上げておいたのでありますけれども、どうも水産庁予算案を見ると、内水面増殖という点について、非常に力の入れ方が足りないという印象を強くするのであります。私、今はっきり覚えておりませんが、三十五年度予算案では、たしかアユに関する若干の予算と、それから草魚の中国からの輸入、それの増殖ということでも若干の予算、この程度しか内水面増殖では組まれておらなかったのじゃなかろうかと今記憶しているのでありますが、それらとも関連して考えられることは、何かしらん国内のこうした設備に対してあまり力を入れておらない印象を非常に強くする。これから多目的ダム等もたくさんできますし、国内の内水面あるいは従来河川等についても、どうも淡水魚の増殖ということは何かしらん遊魚と結びついているという考え水産庁が力を入れていないのじゃないかという感じを受けるのですが、政務次官、どういうふうにお考えになっておりますか。
  16. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 予算の細目を、ただいま資料を持ち合わせて参りませんでしたが、御指摘十和田湖の問題は、ただいまの資料で申し上げました通りに、親魚を非常に乱獲をするそうでありまして、まあ十和田湖自身の漁家の実態が、卵を孵化して増殖するということに、やはり漁民に対する指導が足らない点もあったようでございます。しかし、現実に今の支笏湖が非常に成績がよくて、そちらから逆に十和田湖に入れるような状況になったものですから、十和田湖自身孵化の問題を支笏湖でまかなっておるような形になりましたので、この問題は合理化をしたい、こういうのでございます。  それから内水面の問題に対しましては、実は、サケマスのこれ自体の問題につきましても、内水面関係サケマスの業界からも私どもいろいろ陳情を受けたりいたしておりまして、私のところの国などでも三面川などがございますが、こういうところの放流関係などの問題もいろいろあって、私どもとしても内水面魚族繁殖増加によって、乏しくなった魚類の手近なところでとれるようにということで、非常に気にはいたして、主張しておるのでございます。御指摘の、予算面の上で詳細にどうであったかというのを、ただいま資料がございませんので、お答えいたしかねますが、アユ稚魚の購入の補助とか、マスの養殖などに予算がとってあります、数字が出て参りませんので、答えにくうございますが、決して内水面魚族増殖ということに対しましてちゅうちょしておるような状況はございませんと思いますが、担当がきょう参っておりませんので、この点は重要なことでございますからその点、次回に資料をもちまして確実にいたしたいと思います。
  17. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 私、政務次官にあまりこまかい数字を求めたわけではないのであって、政府考え方を伺ったわけであります。先般予算のときの質疑応答の際に、どうも内水面増殖という点は、遊魚につながる面もあるので、どうこうという言葉も実はあったわけであります。私は、たとえそれが遊魚につながってもけっこうじゃないか、とにかく現在ある水面利用し、多目的ダムその他で相当ふえるであろう水面利用して、国内の蛋白資源をふやすということ自体が非常に有効なことであるし、国民の保健につながるという点でも、あるいは健康なレクリエーションにつながるという点から、何かそれはぜいたくだというふうな考え方水産庁がお持ちになっておるような印象を私は受けたのです、答弁で。ところが、あるいは文部省なり、厚生省なり、そうした方面では、国民の健康、保健、あるいは何といいますか、私はよく名前を知りませんが、山の中にいろいろな宿泊設備を作ったり、いろいろ国費を使って施設をやって、国民の健全な、平和なあり方というものに国費でささえをしておる、そういう点から見ても、水産庁の内水面増殖という点にもっと力を入れてもらってやることが、どの面からいっても私は非常に有効な施策じゃなかろうか、こういう意味で政務次官考えを伺ったわけでありまして、計数的に答弁を求めているわけではありません。その考え方について、恐縮ですがもう一度お答えをいただきたい。
  18. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 櫻井委員の、水産庁の担当官の説明のうちに、もしそういう言葉が触れておったといたしましたならば、私は多分予算折衝の途上において、大蔵当局などの考え方にもそういう部門があって抵抗があるのも事実でございますので、そんなような経過をうっかり漏らしたものだろうと思われますが、私どもといたしましては、櫻井委員のお説の通りに、内水面増殖に対しては熱意を持っておるのでございますから、これが釣その他の遊びと結びついて云々というのは考え過ぎだろうと思います。マスの放流にいたしましても、釣を楽しむかもしれませんが、それだけでなく、やはり蛋白資源になるのでざいますから、御趣旨のような考え方で、内水面魚族増殖に対しては努力をいたします。
  19. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私、飼料検査所のことでお尋ねしたいと思いますが、最近、畜産の奨励、発達に伴って、飼料の需要が増加して参った結果、今回飼料検査を設けられたということはまことに喜びにたえないのでありますが、これは中央における検査であって、地方においてはこれに対応して何か方法を講じておられるのであるか、それをお伺いしたいと思っております。
  20. 和田正明

    説明員和田正明君) 先ほどちょっと申し上げましたように、登録飼料のほかには、現地へ出かけまして飼料のサンプルを収去して参りまして、それの分析をいたしておりますが、それは東京ばかり、あるいは東京の周辺ばかりではなしに、旅費等の許す限りにおいて、それぞれ地方へも出かけ行っておるわけでありますが、そのほかに、飼料品質改善に関する法律、あの法律に基づきまして、検査権限を都道府県知事に委任をいたしておりますので、それぞれ県庁でも、重要な県では、県条例等を作りまして処置をいたしておるわけでございます。
  21. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、肥料の検査は、各県に肥料検査官を設置してあるわけですね、そういうように、今後は、肥料よりもかえって飼料検査の必要があると考えるのでありますが、そういうふうな、省庁に飼料検査官というようなものを置かれる意思があるかどうか、お尋ねしたいと思っております。
  22. 和田正明

    説明員和田正明君) 飼料につきましても、実は現在地方の肥料取り締まり関係には補助職員という制度はとっておりませんで、地方交付税交付金等の問題になっておるわけであります。えさにつきましても、さしあたって補助職員を設置するというところまでは考えておりませんけれども、今お話のように、相当事業量もふえて参りますので、地方交付税交付金の算定基礎等につきましては、自治庁等とも折衝いたしまして、できるだけ地方に委譲してある権限が有効に活用されますように検討していきたい、そういうふうに考えております。
  23. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 飼料の地方における実際の状況から考えてみますというと、私は、おそらく肥料よりも、この前も中田委員がお話しになったように、飼料には不正のものが多いと思っているんです。不正のものが多いといたしましたならば、これは畜産奨励上重大なる問題になります。でありまするから、私は、今後の政府方針といたしましては、肥料以上に飼料検査に力を入れて、農業の振興のためにも、所得倍増のためにも、何とか対策を講じていかなければいけない。現在においては、まだそういうふうな不正の飼料が少ないといたしましても、今後は増加の機運にあるのであるから、増加してしまってからこれをやめさせるというようなことは困難だから、未然に防止する策といたしましては、さっきも申し上げましたように地方交付税交付金でやるにいたしましても何にいたしましてでも、政府の方で、飼料についてはこういうふうな政府方針であるからこれに基づいて飼料検査は十分にやるべきものである、こういうふうな方針を決定せられるのが現在の政策上適当であろうと思うのでありますが、政務次官の御意見を承ります。
  24. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) えさの問題が畜産関係その他相当基本でありますることはごもっともであります。従いまして、まず中央で検査所の拡充強化をはかったわけでございますので、県の方の補助職員の段階までには至らないので、交付金でまかなうという御答弁をいたしたわけでありますが、これを県の段階においてどういう形で行政の上に表わすかということになりますと、まだ予算その他の面でも検討を要する点がございますので、この席上でその点についての確答はいたしかねますが、御趣旨はわれわれ全く同感でございますので、まず中央の検査所の活用をはかりまして、大体製造所は各地に散ってはおりますけれども、優秀メーカーのものを普及させるような形に指導いたしましたり、また県のそれぞれの畜産課その他担当の課がございまして連絡は密でございますから、そちらを通じまして、御趣旨のような形で、現実に県内の事故の起きないように通達その他で指導して参りたいと思っております。
  25. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。
  26. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 果樹農業振興特別措置法案(閣法第四十五号、予備審査)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  27. 北村暢

    ○北村暢君 お伺いいたしますが、まず第二条の果樹振興資金の貸付のことについてお伺いいたしますが、この法律によりますというと、計画の認定を受けたものに対して、その計画を達成するために必要な資金を公庫から融資をするようになっておりますが、この果樹農業振興資金のことですね、公庫法の第十八条の第一項第一号、第一号の二、第七号または第八号と、こうなっておりますが、従来の公庫の果樹関係に対する融資の状況を見ますというと、主務大臣の指定する施設果樹だな、それから主務大臣の指定する施設災害復旧のための果樹貯蔵庫、まあこれが貸付の対象になっておるようでございます。そのほか農林漁業者の共同利用施設の改良、造成、復旧、これについて、まあ一般農業と同じだろうと思うのですが、農機具あるいは農業倉庫、こういうようなものが出ておるのでありますけれども、第七号、八号を適用すると、こういうのですが、今まではこの農機具だの何だのという問題については、これは農業と同じに取り扱われていなかったのかどうか、この点一つお伺いしたい。  それから全般的に果樹の公庫資金の融資しておった状況についてですね、簡単に御説明願いたい。
  28. 増田盛

    政府委員(増田盛君) まず、農林漁業金融公庫法の第十八条に掲げております各号に関してでありますが、第七号は共同施設、第八号は今御指摘の主務大臣指定と、こういうことに相なっておるかと思うわけでございますが、第七号に関しましては、共同施設といたしまして貸し出しできるわけでございまして、現在までもこれによって相当貸し出しがあるわけでございます。ただ、借り受け主体といたしましては、これは農業協同組合というふうになっておるわけでありまして、これに対する特例といたしましては、新農村建設計画によります特別助成の場合におきましては、これは農協が事業主体になる場合ももちろんございますけれども、それ以外の、部落で事業主体になる場合等がありますので、この部落が助成を受けて、補助を受けて事業をする、その補助の残に見合う融資は、これはこの場合に限って個人ないし連帯という形で貸し出しが認められておるわけでございます。しかし、今回の果樹の場合におきましても、本法案の第二条第一項第一号の形をとる場合におきましては、やはり同様な筆法におきまして貸し出しを受けるということにしたいと思っております。  第八号に掲げておりますのは、これは主務大臣指定の場合で、これは特別に果樹に限ったわけではないわけでございますが、一般的に農業経営の必要な施設が掲げられておるわけでありまして、これに対しても従来農業経営の立場からの個人貸しが認められておるわけでありまして、今回におきましても、同様に、果樹業者に対しましてもこの資金を認めていくということで第二条に規定しておるわけでございます。  これらの資金が従来農林漁業金融公庫から果樹農業振興に限ってどの程度貸し出されておりますかは、実は公庫の方にも問い合わせておるわけでありますけれども、新しい資料が手持ちしてないということでありまして、直ちにお答え申すわけにはいかぬのでありますが、公庫の方ともさらに問い合わせまして、集計の時間その他どの程度かかるのか、それによりまして私の方で資料にいたしまして提出いたしたいと思いますが、従来の例によりますと、これが個票から積み上げて参りまして、支店ごとに集計をするという段階が必要なわけでありまして、あるいは精密な数字はそのような段階を経て参ることになると思うのでございますが、大ざっぱな推定でももしできるようでございましたならば、お手元に資料にして差し上げたいと思っております。
  29. 北村暢

    ○北村暢君 さらにお尋ねしますが、十八条の七号、八号の問題について説明がありましたけれども、公庫法の第七号が「農林漁業者」ということになっているわけなんです。そして、その貸付対象が、これは共同利用施設ですが、これについて、共同利用施設のものについて、今までの農業施設の中に入って、果樹農業が共同利用施設として取り扱われてきたということのようですが、そうしますというと、農業倉庫、肥料施設、農機具と、こういうふうになっておるわけですよ。その中に入っておるとするならば、第七号を、わざわざここに適用するということを掲げなくとも、これは従来からやっていることなのですから、法律でうたわなくともいいような感じがするのですが、従来、農業協同組合を対象に今言ったような施設について融資をしておった、こういうことでないかと思うのです。従って、これは新たに果樹関係の倉庫、あるいは選果所、そういうようなものまで入るのかどうなのか。また、公庫の業務方法書ですか、これを改正をして新たに果樹というものを入れて、一般の農業協同組合ばかりではなしに、果樹関係の協同組合、こういうものも含めて貸付対象にしようと、こういうことでないかと思うのですけれども、そこのところを一つ、もし前者の通りであるとするならば、何もここに第七号というものを入れる必要はないと思うのですが、従って先ほどの説明ですというと、第七号の共同利用施設の中で果樹関係に貸しておったというように聞こえますので、その点を一つお伺いしたいと思います。
  30. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 先ほど御指摘願いました七号資金でございますが、果樹関係に関しましては、この業務方法書に書いてございますこの細目に、その他の共同利用施設というのがございまして、これによって片づけておったわけであります。従いまして、本法案の第五条に、果樹園経営計画に関しまして規定いたしておりますが、その第二項の第三号のイ、ロ、ハ、ニのハには「病害虫の防除施設」それからこの「選果施設」それから果実の集荷、貯蔵または販売の施設、ここにいろいろ共同施設が網羅してあるわけでございまして、すなわちハの共同防除施設、その他果樹のために必要な施設、それから選果、それから収穫、集荷、共同集荷場、それから貯蔵庫等の一連の共同施設である共同利用施設というものがあるわけでございまして、これに対しましては、今申し上げましたその他の共同利用施設というところで該当いたしますので、これで公庫が貸し付けておったわけでありますが、そこでこの御論点の、このお話しになりますところの、従来とどこが違うのかという問題でございますが、私どもは実はばらばらに解体いたしますと、全く新しい資金といたしましては、植栽資金が中心でございまして、その他の資金というものは、樹園地の造成にいたしましても、共同利用施設にいたしましても現在貸し出し得る道が開かれておりますので、それでよいわけでございます。その法律的なあるいは資金の根拠になる法規といたしましてはこれいいのでございますけれども、ただわれわれが実際に果樹園経営計画を運営して参ります場合におきましては、一定の計画というものは総合的なものでございます。植栽だけの果樹計画じゃないわけでございまして、樹園地造成、そしてそれに共同利用施設、そういうものが一体になりまして果樹園経営計画を構成しているわけでございまして、従いましてこれを一つのまとまった、統一した計画として出してくる場合におきましては、そこに計上されております資金というものは、まとまって貸し付けるという考え方に立っているわけであります。植栽資金だけは貸すけれども、共同利用施設の方は金かないから待ってくれ、こう言われますとちぐはぐになりますので、その計画書に従って貸し出す。これは私どもといたしましては、植栽資金が一つの中心にはなりますけれども、その他の土地改良等の資金に対しましても、それから共同利用施設にいたしましても、優先的に計画にあるのは貸し出していく、こういう思想を持っているわけでありまして、われわれはこれをある意味のセット融資と申しております。セットとして貸し出すのだ、こういう考え方に立っておるわけであります。やはりそういう立場に立ちますと、本法案によって、一連の融資措置を網羅して統一した形で打ち出した方がいいのじゃないか、こういうような考え方から実はここにあらためて規定しているわけでございます。
  31. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると第八号で、公庫法の十八条の八号で、主務大臣指定の内容、主務大臣が指定するといっているのですが、その内容はどういうものを考えておられますか。
  32. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいまの主務大臣指定施設は、先ほど申し上げましたように、農業経営全体に対して規定されておるわけでございまして、その立場から業務方法書におきましても各種の施設が取り上げられているわけであります。特に農業経営という立場から、やはり果樹業者に共通して畜舎あるいは堆肥舎等が必要だと思うのでありますが、直接にやはり果樹農業のため必要なものとしましては、そのほか農機具あるいは排水施設、灌水施設、温室あるいは果樹だな等があげられておるわけでございまして、私どもといたしましては、間接的なものも取り上げるものが出てくるわけでありますし、それから直接的に果樹農業に結びつくものも取り上げられておる。従って、この主務大臣指定施設というものが当然にセット融資として借り入れの対象になるのだというふうに考えておるわけであります。
  33. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、現在の業務方法書にあるもの以外はあまり、新たなものというものは、増加されるものというものは考えておらない、こういうことですか。
  34. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 個人用のものといたしましては、今あげられておるもので大体済むのじゃないかというふうに考えております。
  35. 北村暢

    ○北村暢君 そうするというと、七号、八号というのは今まで通りでということになるというと、貸せるということになれば、ここでわざわざ法律の中に七号、八号というものを掲げなくても、今までも融資されておるという解釈になるのでしょう。そうすれば、ここに、法律にわざわざあげなければならないというのはちょっとわからないのです。この第一号の二の中に新たにこの果樹の植裁資金ですね、これを入れるというなら話はわかるのです。果樹の植栽に必要な資金というものを入れるならわかるのですが、七号、八号は今までの融資を受けることができた、こういう解釈に立てば、わざわざ入れる必要はないのですが、新たに入れるというのは何か変わったことがあるのではないか、そこで御質問したのですが、新たには考えておられないようでございますから、果樹だなだけ、そのほかの農機具だとかいろいろな個人的な施設、そういうものについては従来あげているものの通りだという、その以外に何か新しいものがあるのではないかと思ってお伺いしたわけです。  そこで、昨日出ておりましたミカン畑で一反歩六万、こういうことのようでございましたが、この一反歩六万というものは、この今申す果樹農業振興資金、こういうことでもってセット融資のものが一反歩六万、こういうふうな考え方でございますか。
  36. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 昨日申し上げました六万円ミカンに関しまして、正確に申し上げますと五万八千円少し超過しております。これは植栽資金が中心でございます。園地の形を整える、あるいは傾斜を緩くする、石垣を積む、その上に深耕をしましてそして苗木を植える、こういう植栽の資金が大体ミカンに関して五万八千円ということでございます。
  37. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、一反歩約六万というのは植栽の資金が主である、こういうふうに理解していいわけですね。そうしますと、従来、この果樹の作付面積の増加している状態資料によって見ますというと、これは相当な面積になっておるわけです。昭和三十年度で約五万五千町歩ふえておりますし、三十一年では一万九千町歩、それから三十二年度で五千五百町歩、三十三年度で八千町歩、こういうふうにふえているのです。そうしますと、大体一反歩六万というと、今度の公庫の果樹園造成の資金として、公庫から新たに融資するもの約五億貸し付ける、こういうことになっていますね。そうしますと、五億というと、大体一町歩までいかないわけですね、一反歩約六万と見て。これはミカンの場合、リンゴの場合いろいろ違うのだろうと思うのですけれども、果樹全体からいくというと、相当な面積の増加がある。作付、植栽面積が非常な大きな増加を示しておるわけであります。そうすると、公庫で融資するものについては、そのうちの約二割程度しか融資できない。そうすれば、結局はこの振興計画の、知事の認可を経なければならないようになっておるようですが、その認可というところで規制をして、公庫融資の約五億に合うようなものに振り分ける、こういうような結果になるのではないかと思うのです。そうしますと、二割くらいのものですからね、増加する面積の約二割くらいのものを公庫融資でやろう、これは選ぶのに大へんな問題になってくるのじゃないかと思う。十町歩を目標にして共同経営のできるような形、こういうもので非常にむずかしい、計画に合致しないというと認可しないのだ、こういうようなことになってくるのじゃないかと思うのですね。それで当局としては、一体その基準を、公庫の融資の運営上の問題にもあるのでしょうけれども、大体各県に幾らということを割り当てて、そうしてそれに合わせるように計画的に認可していく、こういうようなことになるのではないかというような気がするのですが、従ってこの面についての意見をお伺いしたいのと同時に、法律によって、これも第二条によってこの植栽の資金ばかりでないのですよ、この融資をするということについては。従って、その他に必要な経費というものは公庫から融資する。先ほど言っておるように、いわゆるセット融資をするというのでありますから、植栽の場合はこれはきのうのお話ですと、利率七分、その以外の施設、農機具、いろいろなもの、これについてはそれぞれに規定された利率で貸される。こういう結果になると思うのですが、従ってこの植栽に応ずるところのセット融資をするというなら、それに対するやはり計画に基づく植栽に付随したところの融資のワクというものが公庫になければならない。それについて一体どの程度のものを考えておるか。それで先ほど私は、今までの公庫の果樹に使った、融資しておる状況を聞きたかったわけであります。それでその状況がわからないというと、今後一体農林省はどの程度公庫でもって五億の植栽面での拡大に伴う事業資金、こういうものを考えていくかという、総ワク的なものはやはり考えておられなければならないはずだと思う。それがどのくらい増加するかどうかということをお伺いしたいために、従来の公庫の貸し出しがどうなっておるか聞きたかったのですが、それは直接おわかりにならないようですから、そういうところまでやはり資金計画としてはあるべきだと思うのですが、その点一つお伺いしたい。  それからもう一つは、公庫融資の約二割程度しかならないということになれば、これは何かの資金によっておるのだろうと思うのです、従来。果樹、土地改良その他の金も使っておるでしょうけれども、果樹造成、樹園地造成のためにほかの融資を受けておるのではないか。こういうような感じがするわけです。これが系統資金の金を借りておるかどうかということでございますが、相当なやはり果樹農業全体としての融資系統資金あるいは組合系統の資金、あるいは制度資金、こういうようなことであろうと思う。そういうようなことについての調査がなされておるのかどうなのかを一つ伺いたい。それ以外の、この法律でいう公庫以外の資金計画というようなものがわかっていれば御説明願いたい。
  38. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この資金計画でございますが、大体大ざっぱな考え方といたしましては、本法案による融資対象は、あくまでも集団地という建前だと思います。従いまして新植、改植等の面積は、大体今後、この本法案によります予定に従いますと、九年間に十二、三万町歩の伸びをするのじゃないかと見ておるわけでございますが、その中で、集団地として貸し出し得るものが一体どのくらいあるのか、これはミカンとかリンゴのように、集団化の比較的高いものだけじゃないのでありまして、貸し出すものが、たとえばカキということになりますと、これは家庭樹であり、あるいは散在樹の形をとっておるものが非常に多いわけでありまして、なかなか、これがどの程度集団化するだろうかという点は、将来これを見通すということは、実はむずかしいわけであります。全体の農業者が本法案が施行されて、そのうちにその趣旨がわかって希望が出てくるということなら、これは容易なのでありますけれども、本法案による具体的な運営というものがまだ明らかでない場合に、現在散在しておるものが、どの程度集団化するかという見通しはなかなかっきにくいわけであります。私どもは、その点は、府県の報告によりまして、きわめて大ざっぱな数字でありますけれども、やはり将来の集団地等をある程度にらんでおるわけでありまして、大体三千五、六百程度の集団地が、五年間にできるのじゃないか。従ってこういうものに対して、今後五年間に認定していくわけで、一年間に七百程度認定していくと、それでいけるわけでありますが、大体そういう大ざっぱな目標を立てまして、しかも新改植のうちで、そういう集団化するものを選んでいくということになりますと、私は大体そういうものが全体の新改植面積の三割ないし四割程度を占めるのじゃないか、たとえば四割占めた場合におきましても、これをまるまる公庫の融資の対象にするのじゃないのでありまして、特定の果樹の場合には、すでに自分で果樹を経営しておって、その中で余剰金を蓄積しながら拡大してきたというのが今日までの姿でございまして、結局融資に仰ごうが何にしようが、現在までは新改植に対する長期的な資金というものはないのでございますから、やはり自力というものを基礎に置いて、自前農業として現在まで発展してきたのじゃないか。従って、それが今後集団化による合理化をやっていくために、本法案実施の対象になるわけでございますから、私は、そういう従来からやってきた果樹業者の場合には、相当程度の自己資金等が捻出できるのじゃないか、こういう考えに立ちますと、大体大ざっぱにいって、自己資金を、あるいは短期的な資金を借りる場合もあるでしょうけれども、とにかく自分で調達するものを大体半分と見ますと、まあ、二〇%程度のところで公庫の対象にしていくと、新改植全体の二〇%程度のものを貸し出す、そしてそうすることによって大体まかなえるのじゃないかというふうに考えておるのであります。
  39. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、新改植の経費の二〇%程度を公庫融資でやっていく、こういうことですとね、これはほかの融資と比べて、大してありがたくないのじゃないかと思うのですがね。まあ十町歩の共同化というのですから、一反六万で十町歩だというと六百万、そのうち二割の百二十万貸す、こういうことに考えておられるのですか。
  40. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私の説明が不十分なので、若干誤解を招きましたようですが、私の方は、要するに集団地でございます。従って、従来通り家庭樹と散在樹、あるいは十町未満の零細樹としてやっていくというのは、最初から本法案の対象から除いてあるわけであります。従って、そういうものは新改植の中で相当除かれるわけであります。それはもうむしろ集団化する方が、全体の面積からいえば、今後九年間では少ないのじゃないか、できるだけ集団化するように持っていきたいわけでありますけれども、今の現状の段階から言いますと、果樹の種類によって——ミカン等は相当集団化できますけれども、集団化ができにくいものがあるわけでありますので、全部ひっくるめた統計で説明しているわけであります。そのうちで集団化するものの中で、どの程度貸すかということは、私は平均的に申し上げますと、その中にはもう従来すでに相当な経営面積を維持している農家があるわけでございまして、そういうところは大まかにいって、これは平均的に申し上げて、半分ぐらいは、個々のケースの場合には八割くらい貸し得る農家も当然ございます。ただ平均してみますと、こういう長期低利の公庫資金を要求するその資金源としては、大体半分ぐらいを考えておったらいいのじゃないか、きわめて大ざっぱでありますが、もしこれでどうしても足らぬということになれば、将来実績に照らし合わせまして、増額するという措置をもちろんとるわけでございますが、初年度といたしましては、大ざっぱにいって五億という数字は、そういう目見当で実は要求いたしまして、それによってきまったわけであります。
  41. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、大体様子はわかりましたが、私はそうすると、集団化する面積の増加、将来まあ約五カ年間ぐらいでもって十二万町歩ぐらいふえるだろう、こういう想定の中で集団化していくものは、そのうちでもごく二〇%ぐらいしか集団化していかない、こういうふうに見ておられるのじゃないかと思うのですがね。その二〇%にしても、約二万五、六千町歩ぐらいになりますかね。そういうことになるのだろうと思うのですが、どうもそうしますというと、この法律の建前は、集団化して合理化されていく面については、低利の公庫資金が借りられる、ところが集団化しないものが、約八割というものは残っている、果樹樹園地にですね。そういうものについては低利資金というものが融資できない、こういうことになってくるのではないですか、結果的に。そうしますというと、これが合理化される、共同化される、まあ土地の条件、いろいろ整ったところはますます合理化されていくのだけれども、集団化したくてもできないというところ、また個人経営の能力でやっていけるところはいいでしょうけれども、できないようなところ、こういうものについては格差がついていくんじゃないかというような感じがするのです。従ってこの法律が、果樹農業振興の特別措置法なんですから、果樹農業として、五カ年計画くらいで特別に集団化のための、しかもこれは補助をやるわけではないので、この最もいい特典というのは、公庫の七分で借りられるやつが、この法律の中心になっておりますがね、そういうことでこの法律趣旨からいって、金を貸してやる、低利の長期融資をするから、一つ集団化をしろ、こういうことを目的とする、こういうような感じになるんじゃないか。しかもそれが全部融資の対象になるのかならないのか、実際においてわからない。また、計画的にいって、一応の計画はあるのでしょうけれども、この五億の融資のワク内でもって認定を受けてくるものの、樹園経営計画ですか、この計画を出すもののどのくらいが認可を受けて、そして集団化されていくか、まあ集団化——それに該当しないものでも計画を一応出す、そうして実際に計画通りやっていくということになるのかもしれませんが、そういうものの中に、実際にこの低利の融資を受ける者は非常に少ない部分だ、こういうことではせっかくの目的というものは達せられないんじゃないか。この五億程度あれば、そういう計画を出してくるという目標のものが、大部分この農民の集団化する希望にこたえられるというふうに見ておるのか、それとも相当程度のものがふるいにかけられるということになるのか、その点を一つお伺いしたい。
  42. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 繰り返して申し上げますが、私どもといたしましては、資金面としては大体新改植の所要資金のやはり二割程度のところで、初年度といたしまして五億を考えておるわけでありますが、しかし、集団化ということにしぼりますと、集団化される面積というものは、やはり——これは五年じゃなくて九年でございますが、九年で、認定期間が五年でありますが、実行は九年でございます、法案の建前からいいますと。九年間に集団化した形でできるものは、そのうちやはり五万町歩か幾らということになるわけでありまして、ただこれをやる場合に、通常の融資の実際の金を出す場合には自己資金を合わせまして、平均的にいって、半々くらいのところでいったらどうか、こういうことでございます。従って対象としては、やはり面積としましては、われわれは一応五万町歩程度のものを対象としているということが言えると思います。これは集団化していくものを対象にするのだということでございますから、そういう建前を貫きたいと思います。ただ、それが今のお尋ねのように、はたして末端から出てくる要望にこたえ得るかどうかという点は、これはいろいろ見方があると思いますが、私は初年度はなかなかPRその他、それから計画にいたしましても、そうすらすら計画がいかないわけでありまして、ことに果樹のように、どういう種類の、どういう品種を植えて、しかも共同防除を最も合理的にやるためにはどうするか、それからあるいは剪定、整枝あるいは摘果を専門的に一定の労働組織を作って、最も合理的にやるという場合だって、そう簡単に出てこないわけでありまして、私は初年度はとにかく五億程度あったらできるんじゃないか、植栽資金だけでございますから。次年度以降は相当これはふえるわけでございます。私は初年度もし五億で足りない場合におきましても、あるいは公庫資金ワクの操作によって、これはある程度の手直しはできるかということも考えられますし、それから三十六年度以降に、大きく資金ワクとして初めから手直しをする、増額をするという方法もあるわけでございまして、今のところそう窮屈なふうには考えていないのでありまして、りっぱな計画を作って持ってきたものには、しかも知事の認定がきわめて適切なものであれば、そういうものは資金ワクをできるだけ拡大いたしまして、そしてそれによって正しい運用をしていきたいというふうに考えております。
  43. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどちょっと質問して、答弁あったのかもしれませんが、ちょっと聞き落としましたが、セット融資の場合ですね。だから、植栽のための資金に付随するセット融資の、公庫のいろいろな事業計画に基づく資金のワク、共同施設とかね、そういうものを一体どの程度考えておられるか。
  44. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは、現在は特別その他に関しましてはワクを設定しておりません。そこで当初は一体どのくらいのワクが要るだろうかということを種々検討したのでありますが、確実なものとしましては、どうしても本法を施行して下から上がってこなければわからぬということでありまして、下手に過大なものを要求して余してしまうと、翌年度以降に伸びる場合のじゃまになりますし、それから過小なものでも同じ結果を招きますので、ことしはどうせその最初のスタートであるから、そう多額のものが上がってくることは予想されないし、大体新改植の資金が五億であるから、あるいはその他の自余の資金は三億なり、あるいはせいぜい多くても五億程度じゃないか、その程度のものは従来の経験に徴すれば既定の資金ワクの操作で十分まかない得る。既定のワクで優先的にこれは貸し出すから、それで処置してもらいたいという話なので、本年はとりあえずそういうことで運営するように考えておる次第であります。
  45. 北村暢

    ○北村暢君 それから次、お伺いしたいのですが、従来の果樹の伸び方をずっと見ておるというと、試験関係品種の改良とか、いろいろな試験施設というのは、これは県が自主的にやる。まあ青森のリンゴなら青森の県営の試験場でやる、あるいは協同組合の自主的な試験——相当協同組合が自主的に、県のものであっても相当資金をつぎ込んでやる。こういうものが多いと思うのです。    〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕 それで果樹について、国で試験研究機関というものを系統的に従来やっておられたのかどうなのか。これは私の記憶する範囲内ではないんじゃないかと思うのです。大学その他ではやっておるようですけれども、ないんじゃないかと思う。そういう面からある程度補助はやっているんじゃないかと思いますが、国営果樹試験というものはないと思いますが、果樹は相当部面農家の粗収入においても鶏と同様に総粗収入の四・五%占めておるわけですね。従ってそういう面での機関というものは非常に手薄じゃなかったかと思うのです。従って果樹振興というのでありますから、しかもそういう技術面あるいは経営面についてもこういう農家が共同の計画をするというようなことについても、相当なやはり指導というものが必要かと思います。確かに今度の予算では、これのための実験場を作るようなことになっておるようですけれども、これがやはり国営試験研究機関というもので系統的にやっていくということは必要だと思うのです。従ってそういう面の試験研究というものを設ける意思があるか。またそういう面について今後どういうふうにしようと思っておられるのか。これは果樹農業を振興する上において非常に重要なことだと思います。お伺いしたいと思います。
  46. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 果樹に関する試験研究が従来手薄じゃなかったかどうかという御指摘でございますが、私もいろいろ調べてみまして、やはりどうも日本の果樹に関する試験研究というものは、一般行政部門の立ちおくれに照応しまして、同じように立ちおくれているんじゃないかという点では同感でございます。ただこの場合に、国立の試験研究機関が何ら果樹に関する担当部門はないわけじゃないのであります。やはりあります。ありますけれども、今後の、将来を検討しますときわめて手薄いということは言えると思うのでありますが、    〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕 大体その全国的な機構を申し上げますと、農業技術研究所に園芸部があります。これは平塚にあります。それから国立地域農業試験場におきましては、園芸部を設置しておりますのは東北農業試験場、藤崎にあります園芸部、これは近く厨川に移転することになっておりまして実行中でございますが、これはリンゴを中心にしましたものをやっております。それから、これは非常に明治から発足して有名な興津にある園芸部、これは東海近畿農業試験場の園芸部でありますが、興津の試験場。それから久留米に九州農業試験場の園芸部があるわけであります。そのほかに果樹研究室を設けておるものが、北海道あるいは四国その他にもあるわけでございます。一応こういう体制で国でやっておるわけでありますが、私は正直に申し上げまして、沿革的にいって日本の農業というものがやはり米麦中心に発展してきておって、しかも立ちおくれた部門の中では畜産は世論の喚起もありまして、割合整ってきておるわけでありますが、園芸はもう少し立ちおくれておると思うのであります。こういう点では農林省といたしましては、農林水産技術会議で中心的にやっておるわけでありますが、今後のこの試験研究機関の発展方向というものを、正しく畜産並びに果樹の発展方向に合わせまして、これを拡充していくという方針をきめて現実にその現われといたしまして三十五年度予算におきまして、興津の園芸試験場をまず拡充すること。それから東北の農試の藤崎の試験場は、これは移転をしまして厨川の本場に合体して、これも拡充するという方針がすでにきめられておるのでありまして、それぞれ予算の計上を見ておるわけであります。それから問題は、この府県の試験場に対する国の援助というものが非常にこれは乏しいわけであります。現在全然ないわけじゃないので、わずかにあります。たとえば山梨県のブドウに関しては指定試験として援助しております。それから香川県等のオリーブに関しましても、指定試験として援助しておりまして、これは大体私の記憶ではその程度と、こういうふうに考えております。それから若干の所要研究費が府県の園芸費として出ておる程度でありまして、こういうふうに見て参りますと、どうもやはり口先だけで米麦中心を改めると言いましても、なかなかむずかしいのではないかと思います。私どもこの点は十分反省をしておりますし、今後進めていくという意欲にも燃えているわけでありまして、ただいまの御意見のように、できるだけの努力を払いたいというわけでございまして、その趣旨につきましては、お手元に御提出いたしております果樹農業振興総合対策の中で試験研究の拡充対策というものを実ははっきり明記しまして、これに対するわれわれの指針といたしたいというふうに考えておる次第であります。
  47. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この法律は非常にいい法律でございますが、前からお聞きしておると品種を五品目ですかに一応する、こういうお話でございますが、僕はその品種を限定しない方がいいのじゃないか。ということは、面積で限定をされているから、この間、きのうですか、あなたはイチジク——イチジクなんというものは何種類もないから、こんなものはいいが、非常にまま子扱いにされたものができると思うのですが、ですから面積でやられておるから、品種は、ミカンであろうがクリであろうがやれるようになると思いますが、どうです、品種を制限しないで面積でそうやったら。
  48. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 昨日より同様御趣旨の御意見を十分拝聴いたしておりますので、私どもといたしましては、できるだけいろいろな種類の果樹を本法案の対象として包含し得るように努力を実はいたしております。
  49. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 もう一つ試験研究のことを北村さんからも非常にお聞きになったし、答弁をされておるが、僕は非常にこれはむずかしいと思っている。と申し上げますことは、たとえばリンゴの産地は青森が一番です。そこで今お話のあるように、藤崎にりっぱな試験場がございます。行って見ましたが、まずまずあのような試験場ならばいい試験場ではないかと思う。とろが、リンゴの品種は一番青森が悪い。そこであとから出てきた岩手、秋田、長野というのが非常にいいのです。そういうわけで、この研究はどういうあれになるかわからぬが、しっかり研究してもらわぬとなかなかむずかしい研究でありまして、どんどん振興してくるというが、そうはいかぬと思うのです。ですから、研究することは間違いないから研究はできるでしょうが、非常にむずかしい研究で、ミカンにせよ、リンゴにせよ、その他の果樹にしましても非常にむずかしい。それはどういうことにお考えになっているか、一応お聞きしたい。
  50. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 御意見のように、果樹試験研究というものは、やはりこの地域性というものがございますので、なかなかむずかしい面もあるわけでありますが、特にその果樹試験研究の中でも育種、土壌管理、病虫害いろいろ分かれております。分かれておりますそれぞれによって試験方法も異なるだろうと思いますが、一番御要望が大きくて、しかも最も基礎的な研究を要します果樹品種育種の問題でございますが、この問題に関しましては、大体リンゴは、どうしても東北地方を中心にしまして、北海道あるいは関東北部の高冷地帯、こういうものを広く包括し得るような品種改良を当然行なわれなければならぬわけでありまして、それが現在国立といたしましては、先ほど申し上げましたように、青森県の藤崎というところに国の園芸部があるわけでございます。これを今度盛岡の本場の方に移転するわけでありまして、大体私は相当広範な地域に関しましては、代表性のあるリンゴの品種に関する試験研究がそこでできるんじゃないかと思っております。それからミカンその他ナシ、桃、ブドウ等に関しましても、それぞれの地域を定めて、そこで育種をやるわけでありまするが、ただこれだけでは十分ではございません。従ってどうしてもそこで育種をやると同時に、さらに各県の園芸試験場を盛り上げて、そこで品種の適用性の試験をやらなければいかぬと思います。ただ理論的にはそういう筋道で始めて、その地域に合ったリンゴというものが育成されるわけでございますけれども、一般の樹木と同じように相当長年月かかるというところになかなか問題があるわけでございますが、やはり長年月かかっても育種理論の進む道というものは、私はほかの作物と同じに考えられていいんじゃないか。従って一応国の試験研究機関育種の中心にしまして、その手足になって県の園芸試験場が動くということによって品種を大成させるということが必要だと思います。ただ、この場合にどうしても大体試験研究の結果に照らして品種選定を……、最初から大きく筋違いの品種選定をやってしまうと、いろいろ問題が起こってくるのではないか、北海道等もいろいろうわさを聞くのでありますが、最初どういう種類の品種を導入するかという問題も、品種育成と同じくらいやはり重要な問題だと思いますので、そういう点に関しましても私ども気をつけて指導して参りたいと思っております。
  51. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 まあ十分研究をやってもらいたいと思うのですが、北村さんその他からずいぶん御質疑になりましたが、資金の問題ですが、これは日本の果樹園をほんとうに理想的にりっぱな果樹園にするのには相当な金がかかると思うのです。ですから、だんだん大きくなりましょうが、おそらく青森の試験場のような形にして、大事な消毒でも、すぐスイッチを入れればどこでもやれるのだというふうになるような園芸でなければいかぬと思います。僕らの考え果樹地帯が非常にふところがいいと思っていたが、そうではないらしい。やはりなかなか困難でそういかぬようだから、一つ最初に相当な金が要ることを予想して立ってもらわぬと、中途で困るから、この点一つよろしくお願い申し上げます。
  52. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 二、三の問題をお伺いしたいのですが、この法律で、あるいはこの補足説明の中で、樹園地の集団化あるいは集団的な栽培という言葉が使ってありますが、これを一つ明確に説明していただきたい。
  53. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この樹園地の集団化に関しましては、第六条第一号に書いてありまして、「当該計画に係る樹園地の面積、その集団する度合い及び立地条件農林省令で定める基準に適合することとなること。」樹園地の面積と集団する度合いでございます。具体的に言いますと、面積といたしましては最小十ヘクタールを考えておるわけでありまして、これがやはり共同防除を中心にしまして共同選果をする。共同防除から共同選果、それから共同防除を中心にしましていろいろ生産過程における共同化が当然必要になってくるわけですが、そういうものを合理的に経済的に、あるいは効率的にやり得る最小面積が、大体従来の経験に徴してみまして十ヘクタールということになっておるわけであります。ただこの場合に、昨日もお尋ねがあったのでありますが、一体集団の度合いをどう見るのか、こういうことでございます。私は日本というような果樹園の地形なり圃場の形からいって、一人の企業家が十ヘクタール開園するということになりますと、私は相当最初から理想的な設計をして、圃場関係もきちんとして、だれもが一つの農場だといえるようにやるだろうと思うのですけれども、日本のような場合に、比較的零細な経営が集まって集団化するのでありますから、その地形、地貌、いろいろな条件を顧慮しまして、私は集団化の度合いというものに対してはゆとりを持って考えで参りたいと考えておるわけでありますが、ただこの場合にやはり集団化、そしてそれに伴う共同化の目的、趣旨に沿わないものじゃ困るので、やはりそれに沿い得るように共同防除もやっていく、共同選果も同じ所でできる。それから的確なる剪定も数人のグループによってそれぞれこれを実施する場合に、やはり効率的にできるといったおのずから経済的なまとまりがあろうと思いますから、これによって判定していきたいというふうに考えております。
  54. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 もうすでに果樹園経営をやっている農業者が、あるがままのものとして集団化するという場合ももちろんこの法律の対象になるわけですね。同時に、これから果樹園をやろうじゃないかという場合もある。御承知のように、従来やっている連中で見ますと、大体自分の持ち山を開墾して果樹園をやるということが多いわけです。そういう実態に照らして集団化ということを強くいおうとしますと、何かその集団化に対する特別の措置というものを農林省が強く推進されませんと、なかなかやっぱり集団的な果樹園経営というものを今後新しくふやしていくということは非常に困難な場合が出てくるのじゃないかと思うのですが、その点についてどんなふうにお考えですか。
  55. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 一般の農地に関しましては、これは例の農地の集団化に関する措置というものが従来とられております。現在でも農地局で補助金等も計上しまして推奨しております。私はそういう点で、農地になった形で交換分合等を通じまして集団化するという道がおのずから開かれておるわけでございまして、ただ山林のままの、もとのままの姿で集団化することは、これはなかなか話し合いによる以外はないと思います。従って今とり得る方法は、やはりお互いの話し合いで集団化する、それからしかも、それは農地の集団化というルートを通じましていろいろな種類の——これに関して交換分合の計画だとか、あるいは集団化の新しい予算もあるわけでありまして、そういう援助方法を通じて集団化を促進していくという方向を実は考えているわけでありまして、なかなかそういいましても、末端にありましては、やはりそれの共同計画を作る人たちの共同の意識がなければ、これもなかなかむずかしいのじゃないかという点もございますが、今のところそれ以外特別有効な方法もございませんので、その程度のことを考えております。
  56. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 確かに果樹農業というものは、戦後非常な勢いで伸びてきている、これは現実はそうなんですね。しかしながら、相当長期にわたる需給の動向ですが、補足説明にも書いてございますが、そういうものを見きわめないで、いたずらなる増産対策考えられない。そこで、そういった動向をどの辺のところに目安を置いてながめておられるのかという問題と、特に貿易の自由化というふうな趨勢に対処いたしまして、そういう見通しというものは、一体不安がないものかどうかという問題ですね。それからもう一つは、どの辺の果樹園——樹園地の面積ですね、どのくらいの目標で最小の規模を見られておるか、その辺の検討を私はお聞きしたい。
  57. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この長期的な需給の見通しに関しましては、昨日も実はいろいろ御質問の事項になったわけでございまして、そこに焦点を当てられたということは、私どもまさに納得できるわけで、私どももこれは相当時間をかけて考えて参ったわけでありまして、すでに長期需給の見通しいかんという問題に関しましては、私の方で設置しておりました園芸調査会に二年前に諮りまして、足かけ三年になりますけれども、昨年度答申があったんでありますが、やはりその答申を見ましても、結局は結論におきましては、非常にむずかしい。あらゆる農産物がそうであるごとく、これは果樹だけじゃなしに、あらゆる農林漁業生産物というものは、ほんとうは長期需給の見通しを立てて、それから生産の奨励をするというのが筋でございますけれども、それがいろいろな条件の変化によってなかなかできにくいということがわかったんでありますが、ただ果樹の場合には非常に勉強した結果によりまして、いろいろなことがわかってきたんでありますが、大体単純な推計をやりますと、これは単純な需要の推計をやりますと、今後十年間に二倍程度の需要増大というものはあながち不可能じゃないだろう、もちろん果樹の種類によっていろいろ差はございましょうけれども、今後の一人当たりの所得増大、あるいは国民所得の増大ですね、それから一人当たりの消費の支出増、それから人口増、こういう条件を入れて、過去の果実の消費弾力性、所得弾力性がたしか一・二三だと思いますけれども、こういう計数を利用してやりますと、どう見ても需要は二倍以上にふえる。もちろん加工生産物の、ジュースとかカン詰もふえてきます。そういうものを全部ひっくるめまして、鮮果を中心にしていろいろ加工生産物あるいは輸出等も合わせますと、大体二倍というところを目標にするということは、そうむちゃな計画じゃないというふうにいわれておるんでありますけれども、しからばこの需要に合わして種類別に、またさらにこまかにいきますと、県別にどういう種類の果実、どういう品種果樹を、どういう緩急の順序によってふやしていくかということになりますと、これはなかなか簡単に出てこないわけでございまして、一番基礎になります、たとえば果樹の植栽面積にしましても、現在の面積自体に相当不正確な点がありますし、いわんやわれわれが最も知りたいと思いまする樹齢別の面積、これによって樹齢別の、年令別の生産力を推定していかなければ作業ができないわけでありますから、それを知りたいと思っても実はそういう統計がないわけであります。そこで私ども現在は、府県から吸い上げてきたこまかい長期生産計画というやつを実は持っているわけでありますが、これを国の計画としまして公表することは、いささかはばかるわけでありまして、今後本法案によって果樹農業振興審議会ができますので、それにも諮って、一つ将来もう少ししっかり固めて出したいと、こういうように考えているわけでありまして、どうしても需給問題が中心になる、それに対して私どもといたしましては、むしろこの際困難ではあるけれども、果樹農業が先べんを切りまして、他の模範となるようにはっきりした科学的なデータの積み重ねの上に、しかも長期的な今後十年ないしそれ以上の長期的な見通しを立てて、その上に生産計画を遂行していく。これは非常に意味のあることだと思いますし、いろいろ御鞭撻を受けながらも、ぜひやって参りたいというふうに考えている次第であります。
  58. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この果樹農業の振興というものは、たとえば農業経営の近代化に資する一つの有力な手段だというようなお考えが、農林省にもおありのように思うわけです。ところでこの法律によって、いわゆる果樹農業振興資金ですか、これを貸し付けられる対象になるものは、農業者の集団またはその組織する法人ということで、個人は対象に取り上げられておられぬわけですね。これは幾らか矛盾があるのじゃないですか、この考え方は。
  59. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは、現実のこの農業経営というものを見ながら私ども考えているわけでありまして、現実の農業経営から見ますと、個人のこの農地の保有限度というものは、日本の場合はきまっているわけでありまして、個人が十町歩以上耕地を持っているという場合は、おそらくきわめて例外的なケース以外にはないと思うのでありますが、従ってそういう面積を持っておろうがおるまいが、一応個人経営の延長じゃなしに、やはり規模の小さい農家が、現実非常に努力しているような経営規模を広げると、そのためには、果樹の場合には集団化が一番手っ取り早いだろう、一番実用的な方法だ、従ってそこにはその基礎の上に共同化が展開できるのだ、こういう解釈で、あくまでも共同ということなのであります。従って本法案のねらいは、集団化であり、共同化である。従って個人的な面積拡大というものに対しては、適用しなかったわけでありますが、しかし、今の御質問で想像されますように、それじゃ個人経営の経営規模の拡大はどうするのだという問題が、当然出てくるわけであります。私ども実はこれもしかるべき時期には取り上げたいのであります。従って新改植の植栽資金に関しましては、公庫法の方にまず改正して穴をあけたわけであります。そうして本法案は、共同化、集団化ということで特例を開いて、金利も七分以内ということにしたわけであります。残された問題は、個人がやる場合に、個人が企業として発展する場合にどうするかという問題が取り残されているわけでありまして、これも野放しではなしに、その規制をしながら伸ばしていく面もあろうかと思いますが、これはむしろ今後の問題といたしまして、一応公庫の融資に穴をあけておいて、今後この法案による共同化の進み工合と、それから個人の規模拡大という面とどういうふうに関連してくるのか、われわれの主目標はあくまでもやはり零細規模なものの共同ということに期待するわけでありますが、個人企業であっても、さらに開墾をし、その規模を広げる場合もあるわけでありますから、この場合に関しましても、全然将来とも目をつぶるということじゃありませんで、むしろこの法案施行後の将来の課題として残しておいて、慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  60. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会をいたします。    午後三時二十八分散会