○
政府委員(増田盛君) ただいまから補足
説明をいたしますけれども、大体三つの項目に分けましてお話し申し上げたいと思います。
第一が経緯でございます。すでに御承知の
通りでございますけれども、果樹
農業振興対策実施の動きは、
農林省といたしましては
相当以前からあったのでありますが、三十二年度におきまして、振興局特産課を園芸特産課に改めまして、定員の
増加を見まして、さらに園芸振興調査会を設けまして、果樹を
中心とする園芸振興の基本的
方向について諮問答申がなされたのであります。こえて三十三年度におきましては、園芸振興調査会の専門
委員会におきまして、果樹
長期生産計画について調査
検討を行ないますとともに、果樹
農業の現状と
問題点について分析
検討が行なわれた次第でございます。さらに三十四年度におきましては、右の成果を基礎といたしまして果樹
農業振興対策樹立のための作業を開始し、省内におきまして慎重審議の結果、三十四年の十一月十日に果樹
農業振興総合対策要綱を決定いたした次第でございます。この要綱に基づきまして、三十五年度の
予算要求、
公庫融資の要求等が行なわれ、また果樹行政の一元化を
中心とする行政機構の整備のための
検討も行なわれ、こういういろいろな作業
努力が積み上げられて参りまして、今回、
果樹農業振興特別措置法案の国会提出を見る運びに至った次第であります。
いきさつに関しましては以上の
通りでございますが、次に、
法案の概要に関しまして補足いたします。
おもな内容に関しましては、すでに提案理由
説明の際述べられたところでございますが、結局、本
法案の内容は大きく分けまして次の三本の柱から成り立っているということができると思います。まず第一は、
公庫資金の
貸付、第二が国、都道府県による援助措置、第三点が果樹
農業振興審議会の設置、こういうことであろうかと思います。第一点の
公庫資金の
貸付に関しましては、これはもうすでに御
説明申し上げました
通り、
農業者の集団またはその組織する法人が果樹園経営計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた場合に、
農林漁業金融公庫が果樹の植栽その他に要する
資金を
長期低利で
貸し付けることといたしておるのであります。この場合に、
対象果樹の種類には、
法案によりまして、政令で定めることになっておるわけであります。この具体的な種類に関しましては、
大蔵省におきましてもいろいろ意見がございまして、まだ政令の内容が具体的な形で最終決定を見ておりませんが、私ども振興局の立場といたしましては、できるだけ広い範囲で種類を入れて参りたい、かように
考えておるわけであります。現在主要果樹の七つの品目が入りますことは確実でありますけれども、自余の、栽培が比較的地方の特定地域に限定されまして、地方特産物というような色彩の濃厚なものに関しましては、
大蔵省等にいろいろな意見があるわけでございますが、できるだけ近い機会に詰めて、やはり比較的小さい栽培面積のものでありましても、農家経済あるいは
農業経営という点、それから地方産業という点からきわめて主要である、その
意味で国民経済に大なり小なり
相当な貢献をしているという果樹につきましては、極力取り上げて参りたい、しかも、本
法案のねらいでありますところの集団化あるいは共同化の効果を上げ得るような種類の果樹に関しましては、できるだけ中に包含して参りたい、かように
考えております。
それからいわゆる巷間でいわれております
農業法人の取り扱いでございますが、本
法案に関しましては、これに対しては直接触れてございません。本
法案の
貸付の
対象となっておりますものは、個人の集団——個人が集まって共同で果樹園経営計画を作る場合、それから
農業協同組合等の組織でやはり果樹園経営計画を作成して推進してゆくこういう場合を
対象にして規定しておるわけでありまして、新しい形のいわゆる
農業法人というものが今後どういうふうに規定されるか、将来の問題でございますし、聞くところによりますと、農地局におきまして現在鋭意
検討中のように聞いておりますので、私どもといたしましては、そういう来たるべき
農業法人というものの姿が具体的にはっきりして参りましたならば、そちらの方の法律、すなわち農地法あるいは
農業協同組合法、こういうものの改正案の中で
貸付対象に入れるように本
法案を改正するということで十分な効果が期待できると思いますので、もしそういうものが具体的に近い将来にはっきりして参りましたならば、そちらの方で追加してそういうものを
対象に入れる、こういうことにいたしたいと
考えております。
それからもう
一つ、本
法案の
一つのかなめになっております植栽
資金の
貸付の諸条件に関してでございますが、そのうちで
金利が特に問題でございます。
金利が
法案によりますと、七分以内というふうに規定してございます。据置期間は十年以内、それから償還期間は十五年以内とありまして、特に
金利が問題なのでございますが、
金利は七分以内というふうにありますが、これは
農林漁業金融公庫が実際に
貸し出す場合の実効
金利、いわゆる実効
金利におきましては私どもは六分にするということで
大蔵省と長い間折衝を重ねてきたのでありますが、
大蔵省は文字
通り七分以内の最高の七分ということで主張が対立を見まして、両々相譲らず、なかなか決着を見ないままになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり七分では高い、できるだけこの七分の
金利をわれわれの主張の
方向に引き下げるように早急に
努力したいと
考えるわけであります。なお据置期間十年以内に関しましては、これはおそらく果樹を二つのグループに分けまして、すなわち育成期間の長い種類のものと比較的短いものとあるわけでございまして、その間に据置期間に差等を設ける、長い方は十年、短い方は七、八年、八年ぐらいになるだろうと思いますが、そういうところで
考えております。償還期間の十五年は、これはこのままにして、実行上も十五年ということでやって参りたい、かように
考えておる次第でございます。
なお、
先ほど触れましたが、認定期間の問題でございます。これは果樹園経営の計画を立てる者が計画を作成しまして、これを知事に提出して、知事がその内容を
検討して認定して初めていろいろな実際上の効果が出て参るわけでございますが、その場合の認定期間を
昭和四十年の三月末に限定いたしたのであります。それまでに認定をして、その後の期間でさらにまた金を借りるわけでございますが、なぜ今後五年間というふうに限って認定期間を限定したかという問題があるのでございますが、これは私どもはやはり先々のこと、少なくとも五年間、認定するにしましても実際この果樹が——これに基づく果樹園計画というものが計画として完了しますのは、今後十年ぐらいかかるわけでございます。従って、今後九年ないし十年という先の方を予測しまして、その中で認定期間は五年ぐらいにするのがいいだろう、その先のことはやはり実績を見て、さらに
検討をしていった方がいいんじゃないか。しかも、事柄の性質上
融資でございますし、
融資の特例でございますから、やはり期間はある
程度限定を見た方がいいんじゃないか、かような
考え方で一応五年間というふうにしたわけでございまして、実はこの前に成立を見ました北海道の寒冷地畑作地帯の
融資に関します特別措置法に関しましても、
資金融通臨時措置法でございますか、その法律の制定に関しましても、やはり認定期間を限定いたしておるわけでございます。なお、知事が認定する場合の基準でございます、これはこのうちで特に大事なのは集団化の度合いでございます。農地が集団化する、いわゆる作付面積が、植栽面積が集団化する、これが
一つの基準になっておるわけでありますが、この基準を十町歩ということにきめたわけであります。この十町歩は果樹園経営
合理化ないし近代化の最小の単位じゃないか、従って現在十町歩なくても、計画におきまして十町歩にするという計画であれは十分でございます。現在すでに十町歩をこすものは、さらに増反して面積をふやす場合におきましても当然該当することになるわけでありまして、この十町歩という単位は集団化、共同化、しかもこれは単に生産面だけじゃなしに選果——果実を選果する、いわゆる共選といっておりますけれども、共選の過程あるいは共同出荷の過程におきましても、現在のような高度の商品生産という性質から
考えまして、私は最小の単位ではないかというふうに
考えておるわけでありまして、それに足らないものはそこまで引き上げるように
努力するという精神でございます。さらに
法案の第七条におきまして、経営計画の樹立実施に当たって助言、指導、それから援助等の規定があるわけでありまして、これに対しましては特に
中心をなしますものは、果実の需給の
長期的な
見通しによりまして新改植の適正化のための情報を提供するということだろうと思うのでありますが、これはあとで後段で
説明申し上げたいと思います。なお、こういう生産面から流通、加工、消費にわたってもいろいろ指導援助に努めたいと
考えておる次第であります。さらに
法案の第三の柱でございますが、果樹
農業振興審議会を設置するわけでありまして、これに対する将来の期待というものは非常に大きいだろうと思うのでありまするが、
法案におきましては、審議会の
構成あるいは調査審議事項、専門
委員の制度等を規定しておりますが、特にもう生産から流通、加工、消費万般にわたってこれに対して重要事項に関しては諮問するつもりでございますが、特に大きいものは、
先ほど述べました
長期需給の
見通しに関して、この審議会において十分
検討して意見を聴取するという点にあろうかと思うわけであります。
第三に、
法案に関連する諸対策に関して簡単に申し上げます。まず、その一は、果樹行政機構の強化の点でございますが、今国会に別途
農林省設置法の一部改正
法案を提出いたしておるのでありますが、これによりまして果樹その他青果物に関する行政を一元的に振興局の所掌に属せしめるとともに、
農林省組織令を改正いたしまして、振興局に新たに園芸課を設置して果樹行政機構の強化をはかることとしておる次第であります。
次に、生産対策に関してでございますが、まずその
一つは、果樹園経営の共同化、集団化の促進でございますが、これは果樹
農業の
合理化、近代化、そして生産性の向上というものにとりましても、必然の道程のように見受けられるのでありまして、最近におきます果樹
農業におきますいろいろな諸現象はこれを裏づけるもののようでございますが、私どももあくまでもこの果樹
農業をやっております農民の自主的な創意工夫を尊びまして、この共同化ないし集団化を推進していきたいということを
考えておるわけでございまして、
昭和三十五年度の予管要求におきましても、特にこういうねらいから果樹園経営改善促進実験集落というものの
予算を計上いたしておるわけでありまして、これを全国的に生産から選果、出荷等にわたるいろいろな
段階がございますが、その
段階を通じましてそれぞれの過程を共同化していこうと、そうして現在すでにあちこちで行われておりますこの共同化の現象に対しまして、はっきりした
方向を確立いたしたい、こういう意図のもとに実験集落ということで実験的に試みようとしておるわけであります。
次に、果実の
長期的な需給安定の問題に触れたいと思うのでありますが、果樹
農業の今後の安定的発展のためには、果実の
長期的な需給安定策が強く望まれておるのでありますが、
農林省といたしましては、今後果樹の主要な種類につきまして生産及び消費の動向に関する
資料に基づきまして
長期的な需給
見通しを実施いたしまして、果樹の新改植適正化のための諸情報を提供する制度を確立して参る
考えであります。現在のところ
長期的な需給計画に関しましては、手段
方法に関しましてはきわめてむずかしい面が多いのでありますが、どうしても現在までやってきた
努力を積み上げまして、これを具体的な姿で計数的に把握して参りたい、そうしてこれを全国に流したいというふうに
考えております。
最後に流通、加工、消費、輸出等の諸対策があるわけでございますが、これはお手もとに対策要綱として私どもの
考え方の素案を提出いたしておりますので、その中に大体盛り込まれておるわけでありますが、流通、加工、消費、輸出の各対策が生産対策に劣らず、きわめて重要なウエートを占めておるわけでございますが、今後はこういう諸対策に関しましても、行政機構の一元化の措置ともにらみ合わせまして従来よりもより強化して果樹
農業全体の発展に資したいと、かように思っているわけであります。
最後に、これらの諸対策をやる場合におきまして、果樹
農業に関する統計調査かきわめて不十分でございますので、三十五年度から新しく果樹の基本調査を統計調査部の方で実施することになりました。この面に関しまして逐次年を追うに従いまして整備して参りたい、かように
考えておる次第であります。
以上をもちまして補足
説明にかえさせていただきます。