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1960-03-10 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            藤野 繁雄君            亀田 得治君            北村  暢君            中田 吉雄君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 増田  盛君    農林省畜産局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○果樹農業振興特別措置法案(内閣送  付、予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(閣法第四十四号、予備審査)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 この法案の審議とは直接関係はございませんが、農林金融の全般の問題について御質問をいたしまして、それから今度の改正点についての質問に入りたいと思いますが、まず第一番目にお伺いしたいのは、ここ二、三年農林金融交通整理の問題がやかましくいわれてきたのでありますが、この点については、私ども何回か質問をしてきておりますけれども、一体、これがどういう結末になっておるのか、一体、どういうような状況になっておるのか、この点についてまず御説明一ついただきたいと思います。
  4. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 農業金融交通整理と申しますか、合理化と申しますか、そういうような問題につきましては、数年前からいろいろ問題になっておるところでございまして、実は三十五年度の予算編成に際しましても、政府の部内でいろいろ検討をいたされましたところでございます。一番やはり身近な問題といたしまして感じられまする問題は、長期低利融資をしますところの農林漁業金融公庫と、それからどちらかといいますれば、短期の経営資金中心として融資をいたしますところの組合系統金融、こういう二つの分野調整というような問題が大体中心の問題だろうと思うのでございます。三十五年度の予算編成に際しましても、公庫資金を十分に確保するというような意味からいたしまして、一方、協同組合系統内部におきましては、余裕金相当額に達しておるというような状況でもございますので、そういうようなものを何か公庫方面長期あるいは低利融資に使える方法はないだろうか、こういうようなことを中心にいたしまして検討して参ったわけでございまするが、昭和三十五年度の場合におきましては、そういうことを具体的な方法を講ずることをいたしませんでも、一応、農業に対しまするところの長期低利融資の財源として公庫貸付ワクを五百十七億というようなところまで伸ばすことができましたので、一応そういう農業金融の基本的な問題は、本年一ぱい一つ検討いたしまして、三十六年度以降におきまして、あるいは三十六年度の予算編成というような時期までには一つ筋道考えようじゃないか、こういうようなことで現在検討に着手をしておる次第でございます。その考え方といたしましては、公庫資金が今後将来とも農業の需要に応ずるほどどんどん拡張されるというようなことも、そう簡単な問題ではないと思うのでございまするので、できますれば一つの問題といたしましては、公庫が現在貸し出し対象にいたしておりまするところの対象の中から、たとえば共同利用施設であるとか、あるいは主務大臣指定施設であるとか、そういうようなもので、本来からいいますれば、組合系統金融でまかなってもいいのじゃないか、こういうような性格のものがあるのでございまして、そういうものを組合系統金融でまかなうという態勢をとっていったらどうだろうか、こういう点が一つでございます。それからさらにそのほかに、それでは組合系統の金を利用いたしまして、組合金融によって相当部分農業金融分野をまかなってゆくということにいたしました場合に、現状におきましても問題になりますのは、やはり組合系統におきまするところの金はありましても、たとえば金利が高いとか、あるいは債務保証損失保証というような点につきまして欠けるところがありまするので、そういう点をどういう工合合理化していったらいいかというような問題がありますわけでございます。従いまして、その金利の低下あるいは貸し倒れに対しまするところの準備というようなものを組合内部におきましても、あるいは場合によったら外部からも債務保証というようなものをある程度考えてゆくというようなことも考えたらいいんじゃないか、あるいは場合によったら政府利子補給というようなことも一つ検討すべき問題じゃないだろうか、こういうようなことでその問題が一つ中心の問題にありますわけでございます。それからそのほかに組合系統の中におきまして資金の姿を見てみまするというと、いわゆる組合で集めた預金のほかに、たとえば農協でやっておりまする共済責任準備金積み立て相当もう最近でも五百億を突破しておるというような状況でもございまして、こういうものはコストが非常に低いものでございまするから、そういうものを何か長期低利融資に使っていく、振り向けていくというようなことも別に一つの問題として、今後の問題として検討すべき問題じゃないだろうかというようなことがあるのでありまして一そういうような問題をいろいろ総合的に合わせまして本年一つ検討をいたしまして、そうしてできるだけすみやかに結論を得たいと、こういう工合考えておる次第でございます。
  5. 北村暢

    北村暢君 ただいま説明がありましたけれども、交通整理問題点が自分ははっきりつかめないのでございますが、まず、この交通整理の問題はいろいろ案件があるのですけれども、一つの問題は、公庫中金貸付対象の重複の問題が一つあるんじゃないかと思うのですが、これについては共同施設の面が非常に重複している、こういうことが従来いわれておったようでございますが、この問題について一体どういうような調整がとられたのか、解決しているのか、していないのか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  6. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 公庫協同組合金融との重複しておりまする点として共同利用施設の問題は、まあ金融といいまするものはできればあらゆるところから金が借りられるという態勢にある方がこれは便利であろうと思うのでございまするけれども、一応筋といたしましては、ある程度はっきりした筋がついておる方が、これは制度としてはいいんじゃないかというふうな感じもいたすのでございまして、現在、共同利用施設として公庫から貸し付けられておりますのは大体三十億円前後のものでございまして、そのほかに協同組合系統の中におきましても、いろいろ随時共同利用施設に出ておるわけでございまするが、そういう点を、あるいは公庫負担を軽くするというような意味におきまして一それから協同組合の本来の金融の姿といたしましても、共同利用施設というものが大体中心協同組合系統貸していくのだというようなことに持っていくべきではないだろうかというような考え方をいたしておるのでございます。そういうことで今後一つ検討していきたい、こういう工合考えておるわけでございます。なお、三十五年度の公庫融資ワクを決定いたしまする場合におきましても、三十五年度におきましても、一部は今まで全国段階のもので公庫等から融資をいたしておりました共同利用施設に対しまして、これは一部、事実上の問題といたしまして農林中央金庫から肩がわりをいたしまするとか、あるいは従来であれば公庫に持っていきまするようなものを農林中金公庫と同じ条件で貸していくというような問題も、三十五年度の問題としても一部は実行に移していきたいというようなことで考えておりますわけでございます。
  7. 北村暢

    北村暢君 それからもう一つは、共済資金の問題ですが、これは先ほど説明がありましたけれども、現在どのくらいになっておって、これは将来どの程度積立金というものになっていくのか、この方向をちょっと説明願いたいと思います。
  8. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 農業共済責任準備金積み立ては、年を追って増加をしてきておるのでございまして、昭和三十三年の末におきましては三百九十七億、大体四百億ぐらいでございましたが、昨年の各月を見ますると、非常にどんどんどんどんふえて参りまして、大体この三月ごろには六百億ぐらいになるのじゃないか、それからこれが近い将来、一千億ぐらいまで達することもそう遠いことではないのじゃないのだろうかというふうに考えております。
  9. 北村暢

    北村暢君 これの資料をいただいておりますが、農村に還元されておる状況資料でいただいておるわけなんですが、大体これによりますというと、信連を経由して融資しているもの、これが四十九億、約五十億ぐらい信連を経由して三十四年度で農村に還元しているようです。それからまた共済自身が直接貸付をやっているものが五億あるわけですが、これについて共済が直接貸し付けるということと、信連を経由して貸すということと、これは信用事業共済連が行なう、こういう問題の方向として、直接貸しすればこれは利子ももちろん安くなるのでないかというふうにも考えられるのですが、この点を一体今後の方針としてどういうような考え方を持っておるのか、また全国共済がこれを取り扱うというような問題もあって、いろいろ論議になっておるところでございますが、今後の方針として一体どのような形に持っていこうとしておるのか。  それからもう一つは、これの貸付利子でございますが、いろいろこの前お伺いしたのでありますが、相当低い利子でもって貸せる、貸すことができるようになるわけなんですが、これと私は公庫金利、これが相当低いものが出て参りまするので、公庫との競合の問題が出てくるのじゃないかと、このように思うのですが、一体この共済資金運用について、そういう面からしてどのように将来考えられるか、相当大きな資金源になるのじゃないか、こういうふうに思いまするので、この運用相当農林金融の上において大きな影響を持ってくると思いまするので、この点をいかなる方針で対処しようとするのか、方針があれば承りたい。
  10. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 共済責任準備金の現在の姿は大体九九%、九八%ぐらいのものが信連に対する預金となってきておるのでございまして、それが当然農林中金に対する預金となって上ってきている、こういうような実情でございます。そこで、農林省方針といたしましては、共済責任準備金がどんどんどんどん毎年ふえていくのでございますが、これにつきましては、できる限りやはり信連系統、いわゆる農業協同組合系統の金にこれを一本にいたしまして、そうして農協としてこれを運用するというような方針で指導してきておるのでございまして、その結果、大部分信連預金となり、それから農中へ上ってきておる、こういうような形でございます。しかし、一部共済組合の、農業共済をやっております農業協同組合財産運用といたしまして、一部農協が、共済をやっている農協が直接貸し運用といたしましてやってもいいということを認めておるのでございまして、これは昭和三十三年の九月から農林省令を公布いたしまして、財産運用として一部は直接貸しをやってもいいということを認めておるのでございます。これはきわめて例外的でございまするが、従いまして、その残高も、この資料にありますように、五億四千万という程度のものにとどまっておるわけでございます。で、この金は責任準備金でございまするので、コストといたしましてはこれはいろいろ考えようがあると思うのでございますが、普通の預金と違いまして、やはり本来のコストは安いわけでございます。従いまして、これを原資といたしますれば相当やはり低利融資ができる、それから資金性格からいたしましても、相当長期のものでございまして、積立金でございまするので、長期のものでございますから、相当長期低利融資が可能だということが考えられるのでございまして、従いまして農業金融の今後の問題を考えていきます場合におきましても、この資金相当やはり重要視いたしまして、この運用といいますか、利用十分考えにゃいかぬだろうというふうに考えておるのでございます。その方法といたしましては、あるいはそういうコストの低いものを直接公庫に持ってきて使うのがいいのか、あるいは系統の中におきまして長期低利融資をやらしていくというような方向考えるのがいいのか、これはいろいろ実情に応じて検討しなければならぬ問題だろうと思っておりますわけであります。
  11. 北村暢

    北村暢君 これは直接貸しをする場合と信連を経由する場合と、貸付金利の問題はどんなような差があるのでしょうか。直接貸しの方が安く貸せるというような形になるのでしょうか、どうでしょうか。
  12. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) もちろん直接貸しをいたします方が金利といたしましては安いということは当然であろうと思うのでございます。しかし、ここにございまする資料によりますと、信連から出しておるものも相当安い金利のものが出ておるわけでございますが、これは大部分府県等利子補給をいたしまして、そうして利度的にこれを運用しておるというようなものがあるのでございまして、大体この資料のうちで七分五厘以下の金利運用されておるものというようなものは、大体、県等利子補給をして、そうして運用しておるというようなものが大部分でございます。ですから理論的に申し上げますと、直接貸しの方が当然金利が安いのがあたりまえだということであろうと思います。
  13. 北村暢

    北村暢君 先ほどおっしゃっておるのは、コストが安くつくので、しかも、長期資金になると、こう言っておるんですが、これを見ますと、いろいろあるわけですが、五分程度から、あるいはまあ九分くらいまであるわけなんですが、もっとですね、県が利子補給をしなくても、この資金性格からいって金利が安くなるんじゃないかと思うのですが、これは高いのはどういうことなんでしょう。九分くらいのもあるわけなんですがね。
  14. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 個別にはいろいろ利子がございまするけれども、全体的に見ますると、この共済責任準備金につきましても、ほかのいわゆる生命保険会社等との競争の問題もございまするし、あるいは加入者に対しまする配当であるとか、そういうようなものも当然ある程度やっていかなければならないというような面もございまするので、そういう点で全然ただというわけには参りませんで、大体のところ、まあ県段階まで参りまして、七分から七分五厘くらいまでの間のものが大体コストとして考えられるんじゃないかというふうに考えております。従いまして、それ以下の金利で貸すといいまする場合には、やはりその加入者のことやなんかを考えますと、そうコストを切り詰めるというわけにも参りませんので、まあその県等利子補給をやっておるというような実情でございます。
  15. 北村暢

    北村暢君 責任準備金ですから、全部使うわけにはもちろんいかないでしょうけれども、どの程度までこの農村還元のための融資に使えるのですか。
  16. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) これは責任準備金でございまして、まあ責任準備金の機能を果たさなくなるような姿までこれを貸し出してしまうというわけには参らぬと思うのでございますが、大体今までの集まり工合を、あるいはその共済の方の支払いの状況というようなものを検討してみますると、ぎりぎりこの積立金の三分の一くらいまでは、これは運用してもそう心配はないんじゃないだろうかというふうな観測をいたしております。
  17. 北村暢

    北村暢君 そこで、先ほどお答えありましたけれども、この資金運用というものは、将来相当大きなウエートを持ってくると思うのですが、これについてはまだはっきりした方針はないようでございますが、系統金融を通じてやるか、あるいはこの公庫へ持っていくかというようなことについては、まだはっきりした方針はないようでございますが、この点は将来これは非常に大きなものになり、額からいっても相当なものでありますから、これはやはり明確にしていかなかればいかない問題だと思います。先ほど直接貸しの問題も出ておりますが、この点もやはりはっきりとしておかないというと、やはり金融面における混乱が来るのではないかというような感じがいたしますので、これは十分注意をしてもらわなければならないのではないかと思います。  それから次にお伺いしたいのは、公庫のことでございますが、大体、公庫資金の問題で資料をいただきました中にもあるわけですが、公庫資金構成の問題でございます。これにつきましては、資金運用部借入金、これがふえております。今度の場合も投融資部分が約七十七億ふえておるわけでございますが、この七十七億ふえたものというのが、これがやはり一般会計からのは七億で、あとは資金運用部借入金がふえておるわけです。こういうような点からいきますと、公庫資金構成の中において非常に公庫自体が苦しい状態になってくるのじゃないか、このことが心配されるわけでございます。資料をいただきましたけれども、昭和二十六年から三十五年までの出資金借入金の比率が出ておりますが、この資料によりましても、だんだん借入金の率の方が多くなっている、出資金が少なくなってきているわけでございます。この点が非常に公庫性格からいきまして問題があるのじゃないか、こういうふうに思います。従って、御質問したいのは、産業投資特別会計の今後の見通しですが、これはどんどん減ってきて、従って、公庫出資をすることが困難になってくるのじゃないかということが心配されるのですが、産業投資特別会計の方の会計事情をまず御説明をいただきたいと思うのです。  それからこのような状態からいって、今後公庫資金構成において一体こういうような状態が続いてくるというと、公庫長期低利融資目的に合わなくなってくるのじゃないか、いわゆる公庫法の第一条の「農林漁業者に対し、農林漁業生産力維持増進に必要な長期且つ低利資金で、農林中央金庫その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こういうふうに公庫法目的が示されているのですが、この目的を達するのに非常に支障が来るのじゃないかということが心配されるわけなんです。それで今申したように、産投特別会計事情と、この資金構成における資料に出ている形について、公庫法の第一条の目的の達成の意味からいっても、どのような方針で今後臨まれるのか、この点を一つ。これは相当重要なことだと思いまするので、政務次官から一つ答弁をお願いいたします。
  18. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 御指摘通りでございまして、今年度の予算編成にあたりましても、産業投資特別会計の増額の要求をいたして、いろいろいたしたのでありますが、諸般の事情からいたしまして、資金運用部資金の方を回すことで話が結着となりましたので、その間におきましても、御承知の、先ほど指摘のございました例の系統金融の方の余裕金をこちらの公庫の方に回して、利子補給などの方法で、それらの面を系統金融の方の負担部分をカバーしながら、公庫の方の資金源増加するような考えももちまして折衝した経緯もございます。結局の形からいきまして、今後は資金運用部資金総額ワク増加するので、まず今年は、これでやってくれという、折衝の結果、御指摘のような形で、好ましくない形でございますが、総額増加ということで折り合わざるを得なかったのでございまして、われわれといたしましては、当然産業投融資の鐘を回して、低コストのもので構成をするのが姿だと思いまして、なお、その努力を続けるつもりでございます。
  19. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 御質問のように、非常に年々借入金とそれから出資金との姿が逆になってくるというような状況でございまして、その結果、公庫の採管の上にも、ある程度影響を与えつつあるような状況でございます。そこで、産業投資特別会計の今後の見通しでございますが、これは、昨年は総額といたしまして、三百八十二億の出資を各公庫等にいたしておったのでございまして、三十五年の総額は二百六十億でございます。なお三十六年度になりますると、今のところ正確な見通しはございませんけれども、大体二百億前後、二百十億あるいは二百億くらいというようなことになるのではないかというようなことを大蔵省方面では言っておるような状況でございまして、いろいろ今後ガリオワ資金の返済だとか、そういうような問題が起こって参りますると、相当やはり産投の金を食う面がふえてくるのでございまして、なかなか産投会計そのものは非常に窮屈になってくるというようなことじゃないかと思うのでございます。そういうような状況でございまするが、先ほど政務次官から御答弁がありましたように、産投の中におきましても十分これは資金を確保するというような方向でいきますと同時に、やはり何らかの形で公庫長期低利資金源を確保いたしまするためには抜本的な解決をしませんと、なかなかスムーズにこの長期低利資金ワクをふやしていくというようなものがいかなくなるんじゃないかというような心配を持っておるのでございまして、農業金融の全体の検討とあわせまして、一つ速急に最善の努力をいたすようにしたいというふうに考えております。
  20. 北村暢

    北村暢君 この問題は、今答弁のあったことでは、今年度はこれで切り抜けるといたしましても、これは将来やはり問題が起こるのです。産業投資特別会計の、これは大蔵省に聞かなければわからないかもしれませんけれども、この見通しですね、これがどんどん減ってくるということになれば、これからの出資金を求めるといってもなかなか簡単にいかないので、今のやはり公庫資金構成の内容を見まして、も、どうしてもやはり借入金でいくということは、六分五厘の資金運用部の金を借りるということがふえるということになれば、それは目的に沿わなくなってくるんじゃないか、系統金融組合金融利子等においても大した差がなくなってくる、こういうことになれば、公庫自体設備資金としての長期低利融資という目的が達せられないんじゃないか、こういうふうに思いまするので、この点は早急にやはり解決されなければならない問題だと思いますが、資金がないのじゃなくして、系統金融組合金融についても、余裕金というものは相当信連段階においても、中金段階においても相当あるわけでありますから、これに利子補給をする、こういうようなことも考えられたというのでありますけれども、それの利子補給ということをやって系統金融の金を持ってくる、余裕金を持ってくるということは可能だと思いますけれども、どういうことで利子補給をして系統金融の金、余裕金を持ってこれなかったのか、その理由をちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  21. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 昭和三十五年度の予算編成段階でも十分そういう問題も検討したのでございまするが、とにかく、いろいろ農業金融の問題につきましては、根本的に、先ほどから御質問ございました通り交通整理といいまするか、もう少し実体的なものを全体として片づけなければならない問題もございますので、そういう問題と一緒にいたしまして総合的に一つ本年至急に検討しようじゃないか、こういうふうなことで一応本年はそういう問題を見送るようにいたしておりますわけでございます。
  22. 北村暢

    北村暢君 今申した点は早急に解決されなければ、公庫自体がこれはもう大へん苦しくなるのじゃないかというふうに思いますから、早急に一つ結論を出すように要望をしておきたいと思います。  それから次にお伺いしたいのは、公庫の支店の設置の問題ですが、これは資金量が多くなってきたために、まあ支店を設置する、こういうことになって、直接貸しもやる、こういうことのようでございますが、これは資金コストの面からいって、それからまた農林中金との関係からいって、この支店の設置の問題が非常に、交通整理の問題とも関連して非常にややこしくなっておるのじゃないかと思うのですが、支店設置そのものについていろいろ見方はあるようでございますけれども、資金コストの面からいって支店設置の方が有利なのでしょうか、それとも委託していった方が有利なのか、委託手数料を払っていった方がいいのか、この点についてお伺いしたいと思うのです。それで委託手数料というのは一体どのくらい払っておるか。まあ中金の職員二千名のうち約三百人くらいは公庫の業務をやっておる、こういうふうにもいわれておるわけですが、この委託手数料と公庫の支店設置の関係ですね、これについて御説明を願いたいと思います。
  23. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 公庫の支店は現在までに六カ所ございまして、そのほかに三十五年度において三カ所追加しょう、こういうようなことで、大体支店網はこれで完成するというような形でございますが、この支店を設置いたしまする理由は、いろいろ先ほど仰せのように、金融交通整理等の問題もあるのでございますけれども、一応やはり公庫として相当その貸付金の管理というような面も考えまして、何から何まで全部委託して、そうしてそれを公庫が全部責任を負わなきゃいかぬというような状態におきますことも、全体の資金の管理の面からいいましてもいろいろ問題がございまして、そういうような点からいきまして、ある程度のものはやはりまあ公庫としても直接貸しをいたしまして、そうして直接責任を負うというようなこと、それから農林中金あるいは信連等に委託をいたしまして、そうして貸付が便利なものにつきましては、そういうような方向でもっていくというようなことで、そういう点が、ある程度やはり直接自分で責任を負うようなものもはっきりいたしておきませんと、資金量が非常にふえて参りますると、なかなか問題が多いのでございまするので、そうしてある程度そういうことができまするような範囲で支店の設置をいたしておりますわけでございます。その結果といたしまして、実際委託をいたしまする場合には、委託の手数料を払っておるのでございまするが、この手数料とそれから支店を設置いたしました場合の経費というようなものを比べてみまするというと、これは一応三十三年からの試算をいたしてみますと、経費におきましては、支店設置当初におきましてはもちろん経費がある程度よけいにかかります。しかし、その後は委託手数料が節約をされまして、差引をいたしますと、大体、経費といたしましては非常に節約になって参っておるのでございます。委託手数料の節約の面を見ましても、昭和三十三年には丁五六、それから三十四年には一・四〇、三十五年には一・三〇というふうにこの手数料が下がって参るというようなことでございまして、経費の状態から申しますると、むしろ今までの姿は、支店を設置いたしまして自分の経費をかけましても、委託手数料の節約の方がさらにそれよりも上回わって節約されるというような姿でございまして、公庫の経費あるいは採算からいいましても、支店設置が今までではプラスになっているというような状況でございます。
  24. 北村暢

    北村暢君 公庫の支店の設置の方がプラスになってくる。一応の支店設置の計画が三十五年度で終了する、こういうことのようでございますが、支店を設置した方がコストが下がるということになれば、これは委託業務というものをだんだんなくしていった方が資金コストの面からいってプラスだろう、こういうことになるというと、方針としては、現在の支店の設置の状況で大体全部に占める貸付の決定の額からいって、農林中金と地銀、それから公庫扱い、信連扱い、こういうものが相当出ておりますけれども、これはどのくらいにもっていこうと、三十五年度で支店設置の計画が終わればどのくらいのものが公庫の直接貸付として取り扱われるようになるのか、そのことが将来の方針としても、この委託というものをだんだん減らしていこうと、こういう考え方なのか、そこら辺を一つ説明を願いたいと思うのですが。
  25. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して。支店ができることは直接貸付と関係ないのじゃないですか、その点を一つ
  26. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 先ほど北村委員の御質問のように、それは資金直接貸しをすれば、全体のコストは比率としては手数料よりも手数料の節約の方がウエートとしては大きいということであれば、全部直接貸しにもっていったらいいじゃないかというようなこともこれは考えられるのでございまするが、しかし、これは実際の運用上の問題でございまして、現在までの段階では、支店を設置する、そうして経費のある程度の節約になって参っておりますけれども、これを全部に及ぼしていくというようなことまで考えていった場合に、はたしてほんとうに現実にコストが節約されるかということになると、これはいろいろ問題だろうと思うのです。資金のボリュームの問題もありましょうし、いろいろこまかい繁雑な仕事もございまするので、そういう点を、あるいはある部分については委託でこれはやっていった方が非常に合理的だというようなものもあるでしょうし、そういうようなことで一応の、現在の計画といたしましては、三十五年度の三支店の増設で、一応とにかく支店の設置は終わって、そうして運用していって見ようという考え方でございまして、その運用状況を見て、まだ改善しなければならぬような問題があれば、またその後これは考えればいい問題じゃないだろうか、非常に幅のある問題でございまするから、そう一概に直接貸しをやったら、ずっと広げていけば広げていくだけコストが下がるんじゃないかというふうには言えないというふうに考えております。  中田委員の御質問の支店の設置と直接貸しとは関係がないんじゃないかというお話でございますが、これは大体考え方としては、支店の設置によって、直接貸しの量をふやしていくというような考え方でございまして、もちろん支店を通じて委託をするというようなものもございまするけれども、大体ウエートとしては、直接貸し相当ウエートがかかって参りますのでございます。そういたしまして現状では、昭和三十四年の十二月末で大体見まするというと、残高を見てみまするというと、中央金庫の委託が七百五十億、それから地方銀行に対して委託しておりまするものが二百二十億、それから県信連に委託しておりまするものが五百七十億というふうなことでございまして、直接貸しは九十六億でございます。現在、今度の三支店を設置いたしまして、直接貸しが大体どのくらいになるかという見通しははっきりした数字はございませんけれども、一応、大体新規の分については総貸付額の一〇%くらいなところが直接貸しで扱われるというふうに考えられます。
  27. 北村暢

    北村暢君 直接貸しをやる場合に、何かワクとか何かきまっておるのでしょうか。貸す額の何十万以上とか、何百万以上とか、こういうふうな大口のものだけしか支店の直接貸しとして取り扱わないとかなんとか、そういうような方針があるのでしょうか。そうでなければ直接貸しをするもの、まあ信連が一番多いわけですが、信連で貸すものとの区別はどんなようなことで運用されているのですか。
  28. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 直接貸しと委託貸しとの区別につきましては、これは画一的なきめ方をしているわけではございませんので、昭和三十三年に初めて支店を作りました場合に、公庫とそれから各受託金融機関とでそれを十分検討いたしまして相談いたしました結果、大体次のように取り扱いをきめておりますわけでございます。それは一つは、土地改良事業とか、それから漁港修築事業というような公共事業につきましては、大規模のものは直貸しでやります。小規模のものは委託貸しといたしましょう、こういうようなことでございます。それからその次は、共同利用施設とか、主務大臣指定施設というような、かなりの部分組合系統資金との協調融資によって行なわれておりますようなものにつきましては、組合系統機関の委託貸しをやっております。そのほか、あるいは会社とか、個人を対象とするものや、新規用途事業等につきましては、直接貸しをするというような考え方公庫と各受託機関と相談をいたしまして、そういう取り扱いの細目をきめて、それで運用しておるわけでございます。
  29. 北村暢

    北村暢君 最後に、再び金融全体の問題について御質問したいのですが、この農林省の農林政策の、いわゆる補助金から融資政策を転換する、こういうことがなされまして、まあ今年度は若干補助金もふえているようでございますが、だんだんそういう方向に切りかえていく、こういう考え方があるわけでございますが、従って、この農林金融というのは農政上の非常に大きな要素をなしておる。ところが、この問題がそういう方向にいったにかかわらず、実際問題として、金利の点からいって相当組合金融——政策金融はこれは別としても、組合金融その他で金利相当、市中銀行の金利から比較して決して安くない、こういう問題が一つあると思うのです。従って、この資金金利の引き下げの具体的な対策というものは一体どのように考えられておるのか、これを一つ説明いただきたいことと、それからそういうような融資政策に変わったのでありますから、この農林金融がほんとうに合理化されていくために一体どのようなことを考えておられるのか。それからまた、資料にもいただきましたが、農民が実際に金を借りる場合に、系統金融あるいは制度金融を通じて農民が実際に借りている金というのは、そのうちの半分くらいは系統金融あるいは制度金融外から金を借りている、こういうような形になっておるんじゃないか。しかも、農林金融機関における余裕金というのは非常な巨額に上っているわけです。にかかわらず、この系統金融、制度金融外から農民が実際に高い利子の金を借りているという実態、従って、農民のための金融ということになっておらない。農協等についても、貯金は農協にということは出ておりますけれども、貸し出しを農協が積極的にやる、こういうようなことはあまり聞かない。実際に借りたくても借りられない、こういう状態で、中金の問題でも関連産業等に員外貸付というものが非常に多いわけです。まあそういうような点から、極端にいえば員外であって貸付をして、そしてもうけて、金利で利ざやをかせいで、そして農民に還元すればいいのだ、こういうような極端なことを言う人すらおるわけなんですが、そういうことは農林金融全体の問題として、私はこれは抜本的にやはり考え直さなけりゃならないのではないかというふうに思うのです。そういう点に対して、実際に農民のための金融になっておらぬということについて、一体政府はどんな具体的な対策を今講じようとしておるのか、この点についてまあ金利の引き下げなり、あるいは貸し倒れ準備金等で実際に持って、そして農民が希望する融資はどんどん金が貸せる、このことが私は対策として非常に大事じゃないか、こういうふうに思うのです。そういうような点について、一体どのような対策を持っておられるのか、この点についてお伺いいたしたい。
  30. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) お話の通りに、現在の農業協同組合におきまするところの金融が必ずしも十分な姿ではないというようなことは、私たちも認めておるのでございます。そこで、実際を見まするというと、現実問題といたしまして農協系統資金が非常にまあコストがかかっておる。で、これは実情金融全体として考えなきゃならぬ問題であろうと思うのでございまするが、たとえば資金を集めるにいたしましても、預金を集めるにいたしましても、ほかのいわゆる地方銀行等との競争もございまするし、そういうような銀行がいろいろ競争的な立場で動いております関係上、農民といたしましても、あるいは単位の農協といたしましても、できるだけやはりこれは有利にとにかくその預金等も預かってもらいたい、こういうような考え方で、預ける場合にそういうことが非常に強い要望になって上に突き上げてくるのでございます。そういう点もある程度やっぱり信連なり、それから農中なりから考えてこれを預かっていきませんと、なかなか金も外に逃げてしまうというような状況があるのでございまして、そういう点でどうしてもやむを得ずある程度コストがかさんでくるというような状況があるのでございます。結局、そういう全体のほかの出先金融機関との関連も一緒に考えて、コストを下げていくという問題は考えなければいかぬと思うのでございまするが、日本の金融全体が非常に金利が高いというような状況でございまするから、ひとりこれを農業金融だけでコストを下げろといってもなかなかむずかしい問題だろうと思うのでございます。しかしながら、現実の姿を見てみますると、そういう状況で金を、預金を集めていますので、現実に預金は非常に集まっておりましても、なかなか農業に対して貸出ができない、農業のような部門では低利のものでなければなかなか金を借りて仕事をやるというようなわけにも参りませんので、そこで、非常に金利が高いものですから、なかなか農業には還元融資はできないというような実情もあるのでございまして、この間もある県の状況を見ますというと、信連の貯金が百億を突破をしておる、しかし、まあそのうち大体貸付をしておりまするものは十二、三億である、そのうちの十億は経済連に対するこげつきの貸付になっておるというような状況で、信連段階ではそういうような貸し出しの状況になっておるというようなことで、非常に系統金融の問題としては将来とも憂慮しなきゃならぬ問題じゃないかというふうに考えておるのでございます。で、これは結局問題は農業協同組合内部で自分の系統金融を、系統利用というものを十分認識をいたしまして、そうしてお互いにコストも下げ、それからその金をお互いに内部で使っていくと、こういうような態勢を作っていかなければ、なかなか簡単には解決しない問題であろう、こういう工合考えておるのでございまするが、まあ具体的な問題といたしましては、できる限り各労働組合あるいは信連等で部門別の数字も非常にはっきりといたしまして、できるだけ経営の合理化をはかって、コストの引き下げをはかっていくというようなことで、これは逐次そういう方向へ切りかえて指導をしていかなければならぬというようなことで、いろいろ働きかけておりますというか、指導をいたしておりますわけであります。それと同時に、そういう金利の問題はそういう簡単に片づくというような状態のものでもございませんので、これはやはりある程度制度金融というようなもので、あるいは国からの利子補給なり、あるいは債務保証なり、そういうようなものも一面考えてつつこの系統内部に集まった金を農業金融に使いやすい形で一つ還元していくというような点も積極的に考えていかなければいけないんじゃないだろうかというふうに考えておりますわけでございます。
  31. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お尋ねいたしますが、実はきょういろいろとお尋ねをしなくても、農林省の方ではたぶん準備をしていただけるだろうと思っておったのでございます。それは牛乳処理に対します設備資金のことでございますが、なぜそういうことを申し上げまするかと申しますれば、三十四年の三月二十日の衆議院の農林水産委員会で酪農振興法の一部改正のときに附帯決議になっております。また参議院では三月二十六日に、文句は違いますがいずれも附帯決議になっておりまするが、その決議を見ますると、私がとやかく申し上げなくてもちゃんと農林省の方では御心配いただかねばならぬ責任があると思っておったのでありますが、このたびの改正法が出たのを見ますると、農林漁業金融公庫の土地改良に対する一部の改正、これがだめだ、こういうので一つぜひ実現をしたいと思っておりますが、御承知の通り、私も酪農というものは酪農家に乳牛導入資金貸し、また畜舎建設資金貸し、サイロの建設資金貸してやればそれでうまくいくのだ、こういうことも考えておりましたが、全然それは違っておりまして、牛を飼うのはさほどめんどうではございませんが、乳をしぼってあとの問題が非常に困難でございます。ことに北海道のことを申し上げますと、全数量の八〇%は処理加工せなければならないという立場にあるようなわけで、その設備費が非常に高くつくし、なかなか簡単なものではございませんので、私は借金の専門家、金貸しの専門家でございまして、いずれも知っておりまするが、金利くらいおそろしいものはございません。そこで、設備に対する金は償還期限が非常に大事でございますが、わずか五厘、三厘というものが長い期間においては非常にものを言うのでございまして、酪農の牛乳処理のような場合、施設資金が非常に高くついて、なかなか酪農家の方にもうまくしてあげなければならないし、消費者のこともおしかりをこうむらないようにしてやらなければならない。どうしても容易なものではございませんが、一つ農林省の方で、さきに申し上げました二つの決議を見ますると、十分その旨のことが書いてございまするから、すでに、御心配願っておることだと思いまするので、一応お伺いしたいと思います。
  32. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 乳業に対しまする資金融資につきましては、これは酪農振興という建前からいいましても、非常に大事な問題でございまして、仰せの通りできるだけこれに対する資金の融通には長期低利なものが出るように一つ努力をしなきゃいかぬということにつきましてはお説の通りでございます。従いまして、三十五年度におきまして、三十五年度の予算編成にあたりましても、この乳業に対する融資をどうするかというような問題を十分いろいろ検討いたしたのでございまして、政府の部内でもそういたしまして、とにかくそこで三十五年度におきましては、乳業に対しましては特別に日本開発銀行、それから北海道東北開発公庫というようなところを主体にいたしまして、そうして長期低利融資をはかっていくというようなことに一応結論を得まして、そうして大体三十五年度におきましては開発銀行が責任をもって一つ乳業の資金はまかなうようにいたしましょう、こういうようなことでございまして、従いまして、農林漁業金融公庫の方におきましては、その資金予算も組んでございませんし、一応そういう予定もいたしておらないというような状況でございます。開銀におきまする利子はこれは九歩でございまして、農林漁業金融公庫に比べますればある程度は高いのでございまするけれども、一般金融に比べますると相当安いものでござまして、期限も、据置期間も長いし、それから償還期限も相当長い長期低利の大体金融機関として、あらゆる方面融資をしておるものでございまするので、そういう線で三十五年度においても実行していきたいというように考えておるわけであります。
  33. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今の局長の御答弁では承知できないのでございます。と申しますのは、問題は利子と償遺期限でございますが、開発銀行の金を借りられるにいたしましても九分でございます。公庫の方では最高七分五厘でございますから、公庫の最高をお借りいたしましても、今十万石の処理工場を作りますと、少なくとも処理乳量十万石当たり五億七千万円の資金を必要としますし、今ではもっと高いと思いまするが、私がいろいろと計算してみますと、大体五億七千万でございます。そこで、五億七千万という金を借り入れた場合の金利差、つまり九分と七分五厘はその金利差は大体九百万の違いがございます。それが一年でございます。そこで、酪農業者はあの汗と涙の結晶のしぼった乳のうちから二%出して、何とか増資しようというふうにやっているにもかかわらず、現実は長期低利資金融通措置が開かれておらず、また、できることをしないでおくわけには参りませんので、どんな困難がありましても、これを今度はその道を開いてもらいたいと思います。そこで、法律を改正しなくてもやれる方法もございます。実は私は渡部次官に話をしました。あれはえらいことを言うのでちょっと工合が悪くて言えぬが、とても局長というのはけしからぬ役目なので、局長がみずから進んでやらなければだめだ、こう言って怒っておられたが、これを次官が何と言うても、大臣が何と言うても、局長がごてごて言ったらなかなか実現できずだめなんだ。結論は、局長がやらなければよくならないわけでありますから努力してほしいし、また、できぬということでなしにやる方法が幾らでもございますから、その方法をすみやかに講じてもらわなければならぬのでございます。何日かかってもこれはやろうと思いますから、そのつもりで善処され、かつ、御答弁願いたいと思う。やる方法を具体的にお考えになっておられますか。また非常におかしいことは、九割牛飼いが株を持っておる株主の会社には農林金融公庫の金が借りられるということになっております。これは法律にもございましょう。ところが、渡部さんは五割でいいじゃないか、こう言っておられる。ところが、それは会社によりましても雪印会社などは、全く協同組合の総会が非常にやかましいものでございます。連合会の総会も全くそれを聞きました人は、どぎたない寄り合いだ、こう思うぐらいやかましいのでございます。雪印会社はそれ以上でございます。それは会社に来る人間は全部の代表者が来るというのでなくて、ほとんど酪農者の代表が出席するのでございますから、やかましいのでございます。あれを見たら、五割、六割というような区別はおかしいのでございますが、今株の所有を見ると、農業者は六〇%を出る程度でございましょうが、そういう点を考えると、九〇%とか七〇%とかの数字にとらわれてあれこれと理屈を言うことは現実に照らしてみるとき、当たらぬと思うのです。ですからそれは法律をいじくらなくても大蔵省農林省とがよく相談してもらえば、業務方法書の改正ぐらいでできると思いますが、この点どう考えますか。何といたしましても今度こそは長期低利資金融通の道を開き、何んとかめんどうを見てもらわぬと承知できません。農林省は少なくとも二つの委員会で付帯決議をしたごとも前述の点にあるわけです。現状ではわれわれもなかなかそれを承知できないのです。ここではっきり申し上げますと、酪農振興法改正に対する衆議院の決議はまん中ほどから「必要な長期低利資金農林漁業金融公庫、開発銀行等から貸付けることができる途を拓く」こととされたい旨書いてあるが、その開発公庫等から借りると、これは金利が高くてだめだから、どうしても農林漁業金融公庫の金を貸してもらわなければいかぬ。これは年利ですが、市中銀行と農林漁業公庫との金利差が一分五厘ですし、これは大へんなんですよ。これは借金したことのないあなた方はわからぬが、借金してごらん、大へんなんです。この金利差一分五厘というのは大きな負担となり、製品原価にも大きな差を生じます。それも五億、六億、十億、と資金量がふえますと大へんなんですよ。ですから農林省には、えらい局長さんがおられるが、局長さんがたばになってやろうという気があれば何んでもやれるんです。ところが、それがやる気にならないから話にならない。役所でえらい役人がやる気になったら何んでもできるものです。ですからやる気にならなければ、どうしてもできない。僕は次官にそういうことをお願いしませんが、局長にお願いしておきます。これはどうなんです。どうか実現できますようお願いしたい。
  34. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) いろいろ国会の附帯決議等もあるのでございますが、それは結局、乳業会社に対しまする資金融資長期低利なものにする、こういう趣旨でございまして、開発銀行あるいは東北開発公庫等も、そういう趣旨で低利融資をするようになっておるのでございます。各乳業会社におきましても、現実の問題といたしましては、やはり開発銀行あるいは東北開発公庫等に持ち込みまして、現にいろいろ話を進めておるわけでございまして、今までの実態から見まして、一般金融に依存いたしまするよりも、相当これは低利になっております。長期の安定した金が借りられるという道をはっきりと一つ三十五年からつけよう、こういうことでつけたのでございまして、その運用状況を見ていく、現在の状況といたしましては、大体その程度一つ考えて様子を見ていったらどうだろうというふうな考え方でございます。
  35. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それは前にもお聞きいたしましたが、そういうことはわかっているのです。ところが、それではどうにもならなくなるから早く道を開けというのでございますから、どうしても実現できないというのならやむを得ませんが、そうじゃないと思う。ですから、これはまだ予算に組んでないというお話でございますが、そう五十億も六十億もほしいとは申しません。ですからやりくりのできるようなところろの範囲内で出してやろうという気になれば、必ずできる。ところが、やらぬ気ならこれは方法がつかない。だから農林省でもこの際しようがないから積極的にやろう、こういうことになればできると思う。要は、腹の問題です。ところが、えらい局長さんが、やる気にならぬとこれは非常にむずかしいのであって、そっちがむずかしいと、ごつちもむずかしくなる。それじゃいかぬと思う。ですから一つ、何も文句はない。やる気になってやりなさい、こうお願いしておるのです。いろいろと議論も理屈もありましょうが、やろうと思えば、こんなことは何でもない。要は金利は七分五厘で長期低利資金が借りられさえすればいい、それをやればいいのであって、努力すれば何ぼでもできると思います。私は、ずいぶんいろいろと体験してきましたが、努力次第であり、こっちの腹次第なんです。よしこれならといって何でもやってきた、そうすれば何でもできます。ことに渡部次官というようなえらい方を持っておるのを幸いに、局長はこの際うんとふんばって、一つやってもらわなければいかぬ。おっしゃるように条件が九分の五年じゃどうにもならない。現実には、七分五厘の五年で借りるというほかの道もあります。七分五厘で五年くらい据え置き、償還は十五年くらいにしてもらいたいのでございますが、それじゃいけない、ということであれば今でも七分五厘でなら方法は何ぼでもあると思います。いろいろとその方法はございます。局長がやる気になって、次官も一つやれというようにしてもらいたい。これはできませんと言われればできないで済むが、できませんと言っても、えらそうなことを考えておるのだから、どんなに食い下がってもやろうと思えばできないことはない。これができないようじゃ参議院議員になりましたなんて大きなことを言ったってだめです。困ったことには、この附帯決議を全然考えておらぬ。参議院の連中、衆議院の連中は、議院の附帯決議をしているにもかかわらず、それをさっぱりやろうとしていないのが現状じゃないですか。それではわれわれも許しておけない。断じて戦います。附帯決議だけじゃありません。ですからだれも言わないが、僕は現在までやっておったけれども、鋭意やっていこうと思っておる。ですから局長はそういうことばかり言わないで、どうもしょうがないから、じゃ、みんなが協力してもらってやろう、こういう返事をしてもらえば簡単です。何も要らぬ。それだけです。できないといえばできないことだし、やろうと思えばできる方法は幾らもあるのです。私がかわってやるなら何ぼでも解決の方法はあります。局長に念を押して、一つふんばってやってもらわぬといかぬ。信念をよく確かめておいて、自分の信念でやれるということでないとなんにもならない。やる方法がないものはだめなんですから、自分でよく考えて、幾らも方法があってやれるということは、どんな方法でもやるということでないと、ただ時間を費やして議論をしたって始まりません。だから一つやってもらおうというのですから、まあ局長さんははなはだ御迷惑であっても、やむを得ないから、これは一つみんなの立場で、経済局が積極的になってもらわなければ、解決できない。協力してもらって実現してもらう、これをぜひやってもらいたい。
  36. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) この乳業会社に対しまする資金につきましてのいろいろ経過を申し上げますると、実は三十五年度の予算編成の場合におきましても、国会の附帯決議の例の趣旨もございまして、とにかく今まできちんとした姿で長期低利融資が出ていなかったというようなことは、非常に酪農振興のためにも支障になっておるのでございまして、そこでこれは、あるいは開発銀行なり、あるいは北海道東北開発公庫なり、それから農林漁業金融公庫なり、いずれかのところでその融資の道を開かなけばれいけない、こういうことでいろいろ検討をいたしたのでございます。そこで、開発銀行におきましても、それから北海道東北開発公庫等におきましても、特にこれは地元の問題でもございまするので、これは責任を持って一つ私の方でやっていきましょう、こういうようなことでございまするので、それでは、そこでその道がきちんとはっきりするのであれば、しいて農林漁業金融公庫から、三十五年度においては出さなくてもいいんじゃないか、こういうようなことで、そういう結論に達しまして、そうして三十五年度は、農林漁業金融公庫でこれを組むことをやめまして、開発銀行とそれから北海道東北開発公庫に責任を負わしてぜひやっていこう、こういうようなことで今まで来ておるわけでございます。そういうことでございまして、乳業会社等におきましても、いろいろ金利等については御不満もあるかもしれませんけれども、現実の問題といたしましては、各会社からも開発銀行、北海道東北開発公庫にも融資の申し出もございまして、一部はどんどん融資の決定を見ておる状況でございます。そういう状況でございまして、金融機関といたしますれば、公庫にいたしましても、あるいは開発銀行にいたしましても、やはりその産業のために金を貸すという腹をきめました場合には、これが非常にぐらぐらした形でいくということは、金融機関としても非常に心配なものだろうと思うのでございまして、一応手をつけていく以上は、これは責任を持って一つやっていくという態勢でございませんと、非常に影響も大きいのではないだろうかという感じもするのでございまして、三十五年度は、大体今までの既定の方針に従いまして、関発銀行で特に今までに比べて低利の、それから長期金融の道が開けたのでございますので、その線を進めていきたいというふうに考えております。
  37. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この話は一ぺん聞いたらわかりますが、九分の五年ではだめなんです。農林省の方で利子の補給もし、その年限を十五年にするなら、皆来るのであります。それを借りるなら、七分五厘で五年の道がございますから、それではだめなんです。借りかえということは、おどりを取られてだめなんです。ですから、やはり初めから一本でなければだめなのでございます。七分五厘と九分の違いは先ほど申し上げましたが、五年据え置きの十五年年賦なら、満足に償還できるし、今のようなことはございません。これはあらゆる面で、長期の金でなければなりません。局長さんは事情を知らぬから、そういうことをおっしゃるが、せっかくの道が開けても、株主の実態によって借りなければならぬことになっておりまして、それが貸す原則なんです。ですから、それができないというのはおかしいのです。どうしても、そうでなしに、今おっしゃった九分五年の低利長期——何も低利長期ではございませんが、五年の九分では高利の短期です。五年以上が長期でございます。これは長期に入りません。ですから、中央金庫さえも五年にしております。短期です。長期ではございません。だから、そうではなしに、ほんとうの長期という名目に沿うような、七分五厘以下で十五年の金でございませんと、これからの酪農処理については大へんでございます。今申し上げませんが、金利の違いも書いております。バター一ポンドで十円ほど違うし、チーズ一本でなんぼ違うということを書いております。これはそういう金さえ出れば何でもないわけで、そういう道を開くということですね。僕は、もしこれからの六年間のうちに、ここに附帯決議をつけた農林省関係の仕事がありましたら、どんなことがあってもやっていただきたい。ここに詳しく書いておるわけです。それでなければ、何のためにやらしておるのか。やかましいからというようなことでは——立法府と行政府は違いますが、違うなら違うように、また別のおきゅうをすえなければなりません。それではうまくありません。それですから、立法府のしたことについては、行政府も守るということにしなければならぬ。次官も、かわれば議員になって出てくるわけであります。そうすると、立法府でございます。かわったら、行政府と同じことをやっておられる。これは大きなじゃまがございますから、仕方がございません。ですが、これはどうしてもやってもらわなければならぬ。次官、一つあなたからも、局長はああいうことを言っておられるが、えらい局長でございましょうが、次官もおられるから、これはどうしてもやるようにしなければいけません。必ずやってくれればよいと思う。何も遠慮することはない。今年はこういうわけで予算がないから、そのかわりこういうふうにしてやるということもあると思います。でございますから、方法はなんぼでもあります。その方法を一々僕から言ったのではおかしいから、あなたの方で一つやってもらって、そうしてやらにゃいかぬ。畜産局長が来ておられるが、お尋ねしたら答弁長いかもしれませんが、長い答弁は要らぬのだ。簡単です。七分五厘以下の金利で十五年以上の金を貸してくれろと、そうしなければ乳牛の処理は困難だと、こう言うておるのですから、何も理屈じゃございません。
  38. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) お名ざしもありましたので、ただいまいろいろ農林省内部の問題に対しても御研究いただいて恐縮でございますが、私も衆議院の農林水産委員といたしまして、そのことにも参加いたしておりますので、趣旨は十二分に承知しておるものでございます。今回もその意味で、大臣も北海道などでは元気のよい発言をしたごとも、私ども承知しておるのでございます。ただ、交渉経過におきまして、先ほど局長から説明いたしましたような形で、とにかく開銀でそういう形を今年はまずやることにいたしましたので、先ほどもそういう答弁局長が固執しておるのでございますが、趣旨といたしましては、今の員外利用の問題も先ほど御言及がございましたが、私どもの考え方としては、やはり、いわゆるアグリ・ビジネスの考え方農業全体を見ていかなければ農政の発展はないというふうに見ておりますので、法制上あるいは方法論として、まだ難関があるようでございますが、そういう問題に対しましても、決して低くものを考えるのではございませんので、アグリ・ビジネス全体という問題で農産物のはけ口を考えなければならぬと思っております。十二分に附帯決議の御趣旨をさらに尊重いたしまして、部内でこのことを強力に主張を続けまして努力をいたします。
  39. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 われわれの味方である次官から、なかなかよい御答弁をいただきましたが、実は私はばかで何もわかりません。仕事だけはけっこうやるつもりであります。百姓の関係のことは何でもやろうと思っておりますが、この酪農業の振興方策は一番大きな問題でございまして、内部に入ってみますると、実際に北海道のような悪いところで酪農の処理をいたしますると非常に困難でございます。十四日に会議があるから帰ってこいという電報がゆうべ参りましたが、帰ってもさっぱりだめだよという返事はできません。もしそうなら、僕は議員なんか腹切ってやめてしまう。やる必要がないがどんなことをやっても、乳製品の処理については、これからだんだんめんどうになりますし、また、御承知のように、ここ十年もしますると、乳量は今の倍以上になりますよ。そういうことでございますから、今次官のお話のように、畜産局長も、経済局長も、実にいい頭を持っておるので、もう理屈を覚えたり、編み出したりするのは名人でありますから、編み出しの名人に一ついい方法を編み出していただき解決していただくようにお願いを申し上げておきます。
  40. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ただいま岡村さんから発言がありましたが、そういう大きな会社に対する便法をはかって酪農を振興していただくことも大切ですが、何分方法書が、中小企業等協同組合という法的な方法書の問題があるので、そういう際には、声のないもっと同じようなものも実はたくさんあるのです。開銀の対象にはもちろんならぬし、そういうのも一つぜひ——私は実際中小企業等協同組合だけを貸付の相手方にしておる方法書に問題があると思うのですが、あわせて一つその点は、岡村議員の設立の御希望と関連して、上まで声の来ない、やはりこういう長期低利資金融資しておるものについても御考慮願いたいということを申し上げておきます。局長がさきに、再編成にからんで、公庫負担を軽くするために共同利用施設資金系統金融へ移管したらどうかという問題がありましたが、それは根本的な再編成とからんでやられるのですか、暫定的にやられるのですか。その点を私は、現在でももう中金がありながら、たくさんのピークのときには二千億近い金を持ちながら、むしろ農協でも農林漁業金融公庫に依存しておる現状で、根本的なメスを入れることなしに、その問題だけを取り上げることはどうかと、こういうふうに思うのですが、その点いかがでしょう。
  41. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 公庫の中の融資対象になっております共同利用施設というようなものは、どちらかといいますれば、系統金融でまかなってしかるべきものだろうというように考えるので、全体の金融の再編成といいますか、要するに合理化考える場合は、ぜひそういう線で、すっきりした姿を考えたい、こいいう工合に思っているわけでございますけれども、三十五年度におきましても、実際問題といたしまして、実際の運用上は公庫で、当然今までは公庫対象になっていたというようなものの一部につきまして、農林中央金庫公庫と同じ条件でこれをある程度引き取って貸していくというようなことは、事実上の問題として一つ指導をして着手をしていきたいというふうに考えておりますわけであります。  それから、先ほどの中小企業の問題でございますが、これも先ほど大きな会社に対しましては、開発銀行、それから中小企業につきましては中小企業金融公庫というようなものに対しまして、農林省でも融資のあっせんを行なっているのでございまして、そういうようなことで、できる限り、金融の面も片づけていきたいというように考えております。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その際に、共同利用施設対象になっているものは、中小企業等協同組合もあって、農業関係もあるわけです。これを共同施設を移していかれると、中金なんかでは対象にならぬでしょうし、そういう際、残しておくとか、やはり全面的に移管されると、これは非常に問題があると思うのですが、これはどうなんですか。
  43. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 実際に実行いたします場合には、そういう問題をいろいろ調査して検討して調整しなければならぬと思っております。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 根本的な問題にからむのですが、最近農林省金融関係の人の書いた論文を見ると、三段階を肯定するような言説が非常に多いので、これは、私は資金コストの面からいって、市中銀行は本店、支店ということで大体そうなっているのですが、中金があり、その支所があり、信連あり、単協あり、しかも、今度農林漁業金融公庫があって、その支店網が確立し、代理業務、農協というようなことになって、こういうところに農林省をやめられた人が就職されるというわけでもないでしょうが、三段階の問題は、非常に資金コストとからんで、これを何とかすることは、非常に重要な資金コストを下げる問題として取り上げておったのですが、最近こういう論文を見て、大体三段階制の中で合理的な運用を期待することがはなはだ可能だというような、そういうことで、はたして私は市中銀行と全体の関係を言われましたが、この点非常に問題だと思うのですが、どうなんですか。
  45. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) どういう論文か私見ておりませんけれども、三段階制の問題は、これは非常に金融問題といたしましても、団体問題といたしましても、非常に大きな問題でございまして、三段階制をどうするかという問題を、今のところ根本的にこの問題検討をいたしております段階ではございません。ただ問題は、三段階制あるいは二段階制というようなものについて、何もしいてこだわらないで、結局、農民から集まった金が、単協の段階では単協の段階で農民に直接貸される、それから県の段階では県の段階でその分を農民に貸し付けていくというような仕組みで、中央の農中のようなものは、できれば全国的なものとか、あるいは全体の各信連調整的な機能を持つというような形であれば、いわゆる段階制をそう気にしなくても相当金融合理化というものはやっていけるのではないかというような感じもいたしておるのでございまして、これは政府といたしまして、こういうことでやっていくのだということをはっきり最終的にきめておる問題ではございませんけれども、一応私たち、いろいろ金融問題を検討して参りますると、そういう実際の方法としては、そういうことでできるだけ下の段階で、もう身近かなところで直接貸していくというような態勢を作っていくことが一番手っとり早い方法ではなかろうかというような感じがいたしております。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はきょう時間がありませんから申し上げませんが、市中銀行がやはり本店、支店という二段階でやって、なかなかビジネスライクに、大野次官が言われたように、アグリ・ビジネスでやるためにそういう段階をたくさんつけて、しかも、ビジネスは相当銀行なんかと対比して役員がしょっちゅう変わるというような問題もあり、なかなか私は問題で、局長の言われたニュアンスはこの三段階の合理的な運用というようなことであまり問題にせぬでもいいんじゃないかということと符合を一にしていると思うんですが、私はやはり他の金融機関と、ビジネスライクにやっている、最も能率的にやっている銀行に対抗するために、はたしていいかどうかという点は十分考えていくべき問題じゃないかというふうに思うわけであります。  時間がありませんし、それからこの再編成の根本的な問題は別にしまして、先般いただきました農林金融に関する資料を見ましても、北村委員からも質問がありましたが、農民の資金需要の四割五分くらいしか取り扱っていないわけであります。中金なんかはピークのときには千八百億から二千億近いものがあって、協同組合、全購連、全販等に貸すよりかも、市中銀行に対しては日歩一厘くらい安く貸しているという例もあるのでありますが、それは別としましても、大きな関連産業が資金を必要とするので、いろいろ資金を下から吸収して貸付を抑制するような措置をとられている。これはなぜかといいますと、協同組合の総会の決議事項で四十五条の四ですか、貸付の利率と最高限度をきめるようになっておるのですが、いつまでも単協の総会がある際には、貸付限度を非常に低く押える指導をやっていくわけなんです。貸付最高限度を三万にせい、五万、十万というのはほとんどないわけです。各単協を見ると、とうていそういうことでは農家のごく日常の資金需要に応ずることもできるのですが、私は一つは、そこにもすぐ解決できる問題は毎年総会があるのですが、いつでもこれをきめるときには貸付の利率と最高限度をきめるというときには信連等が中心となり、あるいは中央会が中心となって貸付限度をできるだけ低く決定する指導をやるのです。これは全国共通だと思うのですが、このことが下から預金だけ吸収して貸し付けることが少なくて、農家の資金需要の四割五分くらいしか農協がまかなわぬ。中金には二千億も余裕金が余るというようなことになり、しかも、ごく根本的な改正なしでも、私は、協同組合なども関係があるのですが、これはいつも春の総会時期になると、定款をどうせい、役員はどうせいというような指導とあわせて、貸し出し最高限度を押えていく指導がなされているところに、中金が単協を通じ、信連を通じ、金を集めて一そうして巨大産業に出していく一つの布石ともとれぬこともないのです、少し悪く解釈すると。しかし、それでおきながら、頼母子講や相互銀行や、また日歩三銭何厘というような、もっと高い五銭というようなもので借りたりしている、余裕金はうんとこさある。そういう点は、しかも、私なんかが見ても、割合、小農、貧農等の貸し出し倒れはない。「農林時報」にも、貸し付けた金の安全性という点では、小農はむしろりちぎ者で、回収は安全だというようなことを書いてあり、私たちの経験からいってもそうなんです。そういう点で私はぜひ金融協同組合等と十分お打ち合せをいただいて、この指導方針といいますか、もう少し資金を日常の必要なものに還元するようなことは、私は根本的な改正を待たずして直ちにやれる最も重要な問題だと思うのです。その点はいかがですか。
  47. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) お話の通りに従来どうも農協の実際の貸し出しの態勢というものが十分でなかったというふうに私どもとして見ておるのでございます。農協自体も非常に不安定であるというようなことからできるだけ、金を上にあげ、上にあげというようなことで、たとえば信連預金として集めそして信連のものはできるだけ中金に集めるというような形で来ておりましたのが実情ではないかというふうに考えるのでございまするが、もちろん、だんだん農協の内容も充実して参りまして、金融についての扱い方、そういうようなものにつきましても十分熟練をして参りますると、いわゆる金融機関として農協もやはり組合員に貸す、金を集めるだけでなくて貸すという態勢をやはり整備していかなけりゃいかぬ、だんだんそういう点は整備をされて参っているのでございまして、最近の状況では県の信連貸しまする状況よりも単協で出しているというようなものがだんだんふえて参っているような状況でございまするけれども、そうして農協の中身が充実して参りますると同時に、やはりそういう点も貸し出しの最高限度を押えるというようなものもできるだけ実情に合うように、農協の金が農民に流れますように指導していかなければならぬと考えております。御趣旨のような線で、実情に即しまして農林省としても指導していくように考えて参りたいと思っております。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 最後に、この改正の問題で先般北村委員からも質問があったのですが、便宜をはかるために振替貯金を利用できるようになっておりますが、これらの手数料の問題がはっきりしなかったのですが、金額との関係はどうなるんですか。
  49. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) これは普通の郵便振替貯金の手数料は、大体普通で参りますると千円未満が二十五円、それから千円から一万円までが四十五円、一万円以上が六十円、こういうことになっているのでございまするが、公庫の場合におきましては、公金扱いといたしまして、一件当たり十五円ということで、全部どういう金額にかかわらず一件当たり十五円というような扱いにしたい、かように考えております。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 わかりました。
  51. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  52. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本件は本日はこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩いたしまして、午後は一時半から再開をいたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後一時五十八分開会
  53. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再会いたします。  果樹農業振興特別措置法案(閣法第四十五号、予備審査)を議題といたします。  本案につきましては、去る二月二十三日提案理由の説明を聴取いたしました。まず補足説明を求めます。
  54. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいまから補足説明をいたしますけれども、大体三つの項目に分けましてお話し申し上げたいと思います。  第一が経緯でございます。すでに御承知の通りでございますけれども、果樹農業振興対策実施の動きは、農林省といたしましては相当以前からあったのでありますが、三十二年度におきまして、振興局特産課を園芸特産課に改めまして、定員の増加を見まして、さらに園芸振興調査会を設けまして、果樹を中心とする園芸振興の基本的方向について諮問答申がなされたのであります。こえて三十三年度におきましては、園芸振興調査会の専門委員会におきまして、果樹長期生産計画について調査検討を行ないますとともに、果樹農業の現状と問題点について分析検討が行なわれた次第でございます。さらに三十四年度におきましては、右の成果を基礎といたしまして果樹農業振興対策樹立のための作業を開始し、省内におきまして慎重審議の結果、三十四年の十一月十日に果樹農業振興総合対策要綱を決定いたした次第でございます。この要綱に基づきまして、三十五年度の予算要求、公庫融資の要求等が行なわれ、また果樹行政の一元化を中心とする行政機構の整備のための検討も行なわれ、こういういろいろな作業努力が積み上げられて参りまして、今回、果樹農業振興特別措置法案の国会提出を見る運びに至った次第であります。  いきさつに関しましては以上の通りでございますが、次に、法案の概要に関しまして補足いたします。  おもな内容に関しましては、すでに提案理由説明の際述べられたところでございますが、結局、本法案の内容は大きく分けまして次の三本の柱から成り立っているということができると思います。まず第一は、公庫資金貸付、第二が国、都道府県による援助措置、第三点が果樹農業振興審議会の設置、こういうことであろうかと思います。第一点の公庫資金貸付に関しましては、これはもうすでに御説明申し上げました通り農業者の集団またはその組織する法人が果樹園経営計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた場合に、農林漁業金融公庫が果樹の植栽その他に要する資金長期低利貸し付けることといたしておるのであります。この場合に、対象果樹の種類には、法案によりまして、政令で定めることになっておるわけであります。この具体的な種類に関しましては、大蔵省におきましてもいろいろ意見がございまして、まだ政令の内容が具体的な形で最終決定を見ておりませんが、私ども振興局の立場といたしましては、できるだけ広い範囲で種類を入れて参りたい、かように考えておるわけであります。現在主要果樹の七つの品目が入りますことは確実でありますけれども、自余の、栽培が比較的地方の特定地域に限定されまして、地方特産物というような色彩の濃厚なものに関しましては、大蔵省等にいろいろな意見があるわけでございますが、できるだけ近い機会に詰めて、やはり比較的小さい栽培面積のものでありましても、農家経済あるいは農業経営という点、それから地方産業という点からきわめて主要である、その意味で国民経済に大なり小なり相当な貢献をしているという果樹につきましては、極力取り上げて参りたい、しかも、本法案のねらいでありますところの集団化あるいは共同化の効果を上げ得るような種類の果樹に関しましては、できるだけ中に包含して参りたい、かように考えております。  それからいわゆる巷間でいわれております農業法人の取り扱いでございますが、本法案に関しましては、これに対しては直接触れてございません。本法案貸付対象となっておりますものは、個人の集団——個人が集まって共同で果樹園経営計画を作る場合、それから農業協同組合等の組織でやはり果樹園経営計画を作成して推進してゆくこういう場合を対象にして規定しておるわけでありまして、新しい形のいわゆる農業法人というものが今後どういうふうに規定されるか、将来の問題でございますし、聞くところによりますと、農地局におきまして現在鋭意検討中のように聞いておりますので、私どもといたしましては、そういう来たるべき農業法人というものの姿が具体的にはっきりして参りましたならば、そちらの方の法律、すなわち農地法あるいは農業協同組合法、こういうものの改正案の中で貸付対象に入れるように本法案を改正するということで十分な効果が期待できると思いますので、もしそういうものが具体的に近い将来にはっきりして参りましたならば、そちらの方で追加してそういうものを対象に入れる、こういうことにいたしたいと考えております。  それからもう一つ、本法案一つのかなめになっております植栽資金貸付の諸条件に関してでございますが、そのうちで金利が特に問題でございます。金利法案によりますと、七分以内というふうに規定してございます。据置期間は十年以内、それから償還期間は十五年以内とありまして、特に金利が問題なのでございますが、金利は七分以内というふうにありますが、これは農林漁業金融公庫が実際に貸し出す場合の実効金利、いわゆる実効金利におきましては私どもは六分にするということで大蔵省と長い間折衝を重ねてきたのでありますが、大蔵省は文字通り七分以内の最高の七分ということで主張が対立を見まして、両々相譲らず、なかなか決着を見ないままになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり七分では高い、できるだけこの七分の金利をわれわれの主張の方向に引き下げるように早急に努力したいと考えるわけであります。なお据置期間十年以内に関しましては、これはおそらく果樹を二つのグループに分けまして、すなわち育成期間の長い種類のものと比較的短いものとあるわけでございまして、その間に据置期間に差等を設ける、長い方は十年、短い方は七、八年、八年ぐらいになるだろうと思いますが、そういうところで考えております。償還期間の十五年は、これはこのままにして、実行上も十五年ということでやって参りたい、かように考えておる次第でございます。  なお、先ほど触れましたが、認定期間の問題でございます。これは果樹園経営の計画を立てる者が計画を作成しまして、これを知事に提出して、知事がその内容を検討して認定して初めていろいろな実際上の効果が出て参るわけでございますが、その場合の認定期間を昭和四十年の三月末に限定いたしたのであります。それまでに認定をして、その後の期間でさらにまた金を借りるわけでございますが、なぜ今後五年間というふうに限って認定期間を限定したかという問題があるのでございますが、これは私どもはやはり先々のこと、少なくとも五年間、認定するにしましても実際この果樹が——これに基づく果樹園計画というものが計画として完了しますのは、今後十年ぐらいかかるわけでございます。従って、今後九年ないし十年という先の方を予測しまして、その中で認定期間は五年ぐらいにするのがいいだろう、その先のことはやはり実績を見て、さらに検討をしていった方がいいんじゃないか。しかも、事柄の性質上融資でございますし、融資の特例でございますから、やはり期間はある程度限定を見た方がいいんじゃないか、かような考え方で一応五年間というふうにしたわけでございまして、実はこの前に成立を見ました北海道の寒冷地畑作地帯の融資に関します特別措置法に関しましても、資金融通臨時措置法でございますか、その法律の制定に関しましても、やはり認定期間を限定いたしておるわけでございます。なお、知事が認定する場合の基準でございます、これはこのうちで特に大事なのは集団化の度合いでございます。農地が集団化する、いわゆる作付面積が、植栽面積が集団化する、これが一つの基準になっておるわけでありますが、この基準を十町歩ということにきめたわけであります。この十町歩は果樹園経営合理化ないし近代化の最小の単位じゃないか、従って現在十町歩なくても、計画におきまして十町歩にするという計画であれは十分でございます。現在すでに十町歩をこすものは、さらに増反して面積をふやす場合におきましても当然該当することになるわけでありまして、この十町歩という単位は集団化、共同化、しかもこれは単に生産面だけじゃなしに選果——果実を選果する、いわゆる共選といっておりますけれども、共選の過程あるいは共同出荷の過程におきましても、現在のような高度の商品生産という性質から考えまして、私は最小の単位ではないかというふうに考えておるわけでありまして、それに足らないものはそこまで引き上げるように努力するという精神でございます。さらに法案の第七条におきまして、経営計画の樹立実施に当たって助言、指導、それから援助等の規定があるわけでありまして、これに対しましては特に中心をなしますものは、果実の需給の長期的な見通しによりまして新改植の適正化のための情報を提供するということだろうと思うのでありますが、これはあとで後段で説明申し上げたいと思います。なお、こういう生産面から流通、加工、消費にわたってもいろいろ指導援助に努めたいと考えておる次第であります。さらに法案の第三の柱でございますが、果樹農業振興審議会を設置するわけでありまして、これに対する将来の期待というものは非常に大きいだろうと思うのでありまするが、法案におきましては、審議会の構成あるいは調査審議事項、専門委員の制度等を規定しておりますが、特にもう生産から流通、加工、消費万般にわたってこれに対して重要事項に関しては諮問するつもりでございますが、特に大きいものは、先ほど述べました長期需給の見通しに関して、この審議会において十分検討して意見を聴取するという点にあろうかと思うわけであります。  第三に、法案に関連する諸対策に関して簡単に申し上げます。まず、その一は、果樹行政機構の強化の点でございますが、今国会に別途農林省設置法の一部改正法案を提出いたしておるのでありますが、これによりまして果樹その他青果物に関する行政を一元的に振興局の所掌に属せしめるとともに、農林省組織令を改正いたしまして、振興局に新たに園芸課を設置して果樹行政機構の強化をはかることとしておる次第であります。  次に、生産対策に関してでございますが、まずその一つは、果樹園経営の共同化、集団化の促進でございますが、これは果樹農業合理化、近代化、そして生産性の向上というものにとりましても、必然の道程のように見受けられるのでありまして、最近におきます果樹農業におきますいろいろな諸現象はこれを裏づけるもののようでございますが、私どももあくまでもこの果樹農業をやっております農民の自主的な創意工夫を尊びまして、この共同化ないし集団化を推進していきたいということを考えておるわけでございまして、昭和三十五年度の予管要求におきましても、特にこういうねらいから果樹園経営改善促進実験集落というものの予算を計上いたしておるわけでありまして、これを全国的に生産から選果、出荷等にわたるいろいろな段階がございますが、その段階を通じましてそれぞれの過程を共同化していこうと、そうして現在すでにあちこちで行われておりますこの共同化の現象に対しまして、はっきりした方向を確立いたしたい、こういう意図のもとに実験集落ということで実験的に試みようとしておるわけであります。  次に、果実の長期的な需給安定の問題に触れたいと思うのでありますが、果樹農業の今後の安定的発展のためには、果実の長期的な需給安定策が強く望まれておるのでありますが、農林省といたしましては、今後果樹の主要な種類につきまして生産及び消費の動向に関する資料に基づきまして長期的な需給見通しを実施いたしまして、果樹の新改植適正化のための諸情報を提供する制度を確立して参る考えであります。現在のところ長期的な需給計画に関しましては、手段方法に関しましてはきわめてむずかしい面が多いのでありますが、どうしても現在までやってきた努力を積み上げまして、これを具体的な姿で計数的に把握して参りたい、そうしてこれを全国に流したいというふうに考えております。  最後に流通、加工、消費、輸出等の諸対策があるわけでございますが、これはお手もとに対策要綱として私どもの考え方の素案を提出いたしておりますので、その中に大体盛り込まれておるわけでありますが、流通、加工、消費、輸出の各対策が生産対策に劣らず、きわめて重要なウエートを占めておるわけでございますが、今後はこういう諸対策に関しましても、行政機構の一元化の措置ともにらみ合わせまして従来よりもより強化して果樹農業全体の発展に資したいと、かように思っているわけであります。  最後に、これらの諸対策をやる場合におきまして、果樹農業に関する統計調査かきわめて不十分でございますので、三十五年度から新しく果樹の基本調査を統計調査部の方で実施することになりました。この面に関しまして逐次年を追うに従いまして整備して参りたい、かように考えておる次第であります。  以上をもちまして補足説明にかえさせていただきます。
  55. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本案に対し質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  56. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 果樹農業振興に関してただいま局長からお話があったんですが、法案の内容は局長のお話のように三つの柱になっておると、そこまではわかったのですが、果樹農業振興という立場からいいますと、物理的にいうならやはり気候、土壌その他の関係からしても、いわゆる適地の選定の問題がまずあります。それから、そういう点から見た、いわゆる適種の選定がある。それからいま一つは、若干局長説明にもあったんですが、長期の需給推測とでも言いましょうか、そういう点から見たやはり適種の選定という問題もある。まず、そういうような問題について、どういうふうに考えておられるか、あるいは、この法律ではどういうところでそういうようなことが行なわれるのか。知事の認定ですか、その場において、そういう問題がどういうふうに取り上げられるか。まず、最初にそれを一つ説明を願いたい。
  57. 増田盛

    政府委員(増田盛君) まず第一点の、適地に関する諸条件でございますが、これは御存じの通り法案の第六条の第一項第一号に、「農林省令で定める基準」ということで、立地条件というものを規定いたしておるわけでございます。で、この中で、この立地条件というものの中には、自然条件並びに経済条件があると思うのでございますが、自然条件の中では、やはり適地、適品種というものがその主たる内容になるわけでありまして、その土地の気温、あるいは雨量、気象状況、あるいは気象災害、こういうものが一つ中心になり、経済的な条件といたしましては、ここでは一そういう自然的な条件から見て適地であっても、経済的に見て、たとえば、非常に金のかかる、病虫害がその付近に多発すると、こういうような地帯は、やはり避けていかなけりゃなりませんので、そういうことのないような条件というものが必要になるわけでございます。私どもは、そういう点で、やはり、適地、適品種、あるいは適種類というものを、ある程度の基準というものを農林省令で定めまして、さらに、その背後にあります技術的な、または栽培的な面におきますいろいろな考え方というものが当然あるわけでありますが、こういうもので裏づけをしまして、指導に誤りのないように期して参りたいと、かように考えるわけでございます。そして、なおその点に関しましては、この第六条の法案にも触れておるのでございますが、もう少し大きな意味の経済的な事情等も、やはり最後に考えて参らなければならぬと思うのであります。たとえば、第一項第三号に掲げております「果実の需給事情に照らし適当と認められるものであること」、こういう規定があるわけでありますが、こういう面からも十分に考えていく。マーケットというものを考えながら、これは知事としての面から、具体的に、認定を下す場合に、やはり、その県内で生産される果実の県内消費あるいは県外出荷、いろいろこういう点に関して条件が変わっていくわけでございまして、この変わる条件の中で将来の見通しを立てまして、ある程度見通しを立てまして、それで判断していくと、こういうことになるわけであります。そこで、勢い、こういうものをやる場合には、どうしても、この経済性の中で長期的な性質を持つものに触れざるを得ないわけでございまして、それがお尋ねの第二点かと思うのでありますが、この長期の需給推測を私どもぜひやりたいと、こう先ほど申し上げたのでありますが、実は、試案としてはやったことがあるわけでございます。と申し上げますのは、まず需給の趨勢をつかんで、そして、それに対して長期的な生産の計画を立ててみると、こういう努力をしたことがあるわけでありますが、この場合の、これを規定する主要因といたしましては、需給の場合には、この国民の所得の伸びをどう見るか、それから、一人当たりの支出の伸びをどう見るか、将来における人口増をどう見るか、しかもそれが果樹ごとにやはりいろいろ違うわけでございまして、果樹の、果実の総需要量としては計数的に一定の算式によりましてつかまえても、これを果実の種類別につかまえるということが、合わせて必要なわけでございまして、私ども作業いたしましたのは、一定のそれぞれの条件に対して、この条件におきまして、総需要量としての算定を実はいたしたわけでございます。これは園芸調査会に諮って一応試算をしたものがありますが、これによりますと、おおむね十年後に、果樹の需要が一七五%——七五%伸びて一七五%になる。現在を一〇〇としまして一七五になる。ただし、こは非常に修正をいたしまして、農村の伸びというものを修正いたしております。大体年率六・五%の条件ではじきまして、大体七五%と、そのかわり、農村におきます伸びに関して修正しております。  それから、最近におきましては、基本問題調査会におきまして算出しているのがありまして、これは所得倍増計画等の構想を参酌しまして、年率七・二%としますと、この需要はおそらく非常に大きいものになります。現在の大体三倍近い数字になるわけでありますが、これはむしろ単純に計算したという数字でございまして、私先ほど申し上げました七五%増というものは、いろいろな点で政策的に修正は見ております。  こういうことで、果樹の総需要はいろいろ計算できるのでありますが、しかし問題は、種類別の果樹がどう動くかということは、計数的には非常にむずかしいのでありまして、大ざっぱな傾向としては言えるのじゃないかと思いますが、まだまだ検討の余地があろうかと思います。  そういう点に関して、私はやはり基本になるのは、果樹の消費統計を整備する意味で、現在ははなはだ不完備でございますので、こういう点もやはり都市、農村をあわせまして整備していく、こういう努力が必要かと思うわけであります。  なお、生産計画に関しましては、現在のところ、長期生産計画というものは樹立いたしておりません。これは国の指導で、府県計画が、最近二年がかりでやっと出て参ったわけでありますが、この府県計画をどういうふうに見るかという点は、今度のこの本法案によって誕生いたします審議会に諮って、いろいろな角度から慎重に検討して、実際に実用的な、価値のある数値を出していただきたいというふうに考えているわでけあります。
  58. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の御説明によりますと、結局第六条第一項第三号の、いわゆる「需給事情に照らし」云々とある、長期の需給事情統計とでも言いましょうか、そういうものが現在の段階では不整備だ、そこで、先ほどのお話の、三十五年度以降ですか、統計調査部で、果樹に関する統計を整備していきたい、こういうお話だと、こういうふうに了解してよろしいわけですか。
  59. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 大きな、大ざっぱな、まだ—私先ほど申し上げたのは、大体それでよかろうと思います。  ただ、この第六条の、知事がやる、需給事情に照らすというのは、少し色彩が違うのでありまして、私がむしろ全国的なものを申し上げましたのは、これは審議会に審議する全国的視野からの問題でございまして、その場合に、その全国的視野のものがある程度わかっておっても、県別にどうするかという問題が実は出てくるわけでございまして、その県別にどうするかというものを、どういう基準で判定するかということは、これは非常にむずかしいわけでありますが、私はきわめて常識的に申し上げますと、やはり県内消費の見通しとか、出荷県外の見通し、それからマーケットがどう動くか出荷市場がどう動いていくか、こういうような点をとりあえず知事が判断をして、そういう趨勢とあまりたがわないように考えたらどうか。およそ全国的な見通しがある程度つきましても、府県別の見通しというものは非常にむずかしいじゃないかと思うのでありまして、私はその中でできるだけ努力するという意味で実は第三号を書いたのでございます。
  60. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 全国的な需給見通しが立って、いわゆるこれは一つ農林省の見方になると思うんですが、それを都道府県におろし、知事が第三号に照らしてその計画の適否を判断をしていくという場合に、全国的な需給の立場と知事の判断というのは、ある意味では違ってくる。と申しますのは、知事の場合には、たとえば輸出の場があまりなくって、国内的にほぼ充足されておっても、自分の県が県外移出上伸びる段階にあるとか、あるいは移入県であっても、その移入を防止するために自分の方としては増産することが妥当である。そういうような判断をここにすると、農林省考える、あるいは審議会が考える需給の見通しから出た果樹振興の立場とは、非常に違ったものが出てくるおそれはないか。そういう点はどうですか。
  61. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 現実には、ただいま御指摘のような点が私は必ず出てきまして、個々の府県の知事が自分の県の立場から考える場合におきましては、いろいろなやはり競合といいますか、競争というものがある程度は起こってくるんじゃないかと思うのでありますが、これは原則的にはなかなか容易に防ぎ得ない。作付の割当等を何かの資料でやる方法があればいいのでありますが、そういうことも不適当でございまして、これはなかなかできにくいだろうと思いますが、私どもは、しかし指導によって一つ相当程度これが抑制されるんじゃないか。それからもう一つは、全国的な立場に立ちまして、やはり資金ワクをある程度調整できるわけでございます。まあこの二つで相当程度私は規制を見るんじゃないかと思う。しかし、それにつきましても、ぎりぎりぴちっと当てはまらない場合におきましても、やはり果樹農業に関しましては、産地の移動ということも起こりますし、それから消費経済の特質上、ある程度の競争はやむを得ませんので、いい意味の適正競争というものは、やはりある程度残してもいいんじゃないかというふうに考えております。
  62. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 もう一つ、果樹振興の立場からいうと、苗木の問題、特に生産過程において、苗木の問題というのは非常に大事な問題じゃなかろうかと思うのです。この法案では、苗木の問題というようなことには全然触れておらない。現実に果樹の苗木というものは、非常に妥当な価格で優秀な品種が民間業者から十分供給されるような段階になっておるかどうか。そういう点は、私はよく知りませんので伺うのですが、たとえば最近審議した養鶏法案というものの立場からいうならば、種鳥からとった卵とひなという問題が、むしろ養鶏振興法案では一番柱になってきておる。同じような見方で果樹振興という立場からいうならば、優秀な苗木を確保するということが、一つの出発点として一番大事な問題じゃないかと思うのです。特に長期の投資のものですから、あとで悪い苗木をつかまされたとか、あるいはこれは話が違っておったとかいっても取り返しのつかないことになるんだが、現実に苗木の供給というものは、十分その点法律でどうこういう必要のない程度によくなっておるかどうか。
  63. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 苗木の供給の形は、これは一つは大体全国的に特産地が形成されておりまして、商品的な取引に関しましては、非常に進んだ形態を持っております。しかもそれぞれに特産地におきましては、県条例をもって検査規格を制定しまして、これに対して検疫等の面でも非常にやかましくやっておりまして、私どもも植物防疫課の方からもある程度の補助金を出してこれを励行させております。問題は、やはり苗木自体としての規格なり品質、あるいはその病虫害の点から心配がないというような点に関しましては、私は大体現在円滑に行なわれておると思うのでありますが、果樹の品種そのものが、やはり単純な市場取引だけにまかされておったのでは、なかなか需要供給の問題で、これが正確に要求する方と供給する方とぴったり合うということにはいきかねると思うのでありまして、私はこの点に関しましては、契約栽培を今から奨励しよう、苗木の集団育成をやらせて、産地は限定されていますから、産地の苗木業者との間に契約栽培をやらせまして、できたらその品種の親になるものくらいは希望する側の方から提供させる。そうしてそれを育てて、またそれを引き取る。その間に価格その他の取引条件に関しましては一定の契約をする。そうしてそれを引き取って、生産側におきましては共同育苗をやって組合員に配布する。こういう体制が地方的にぼつぼつ出てきておるわけでありまして、これ等も拡大して参りたい。従って、こういう場合に対しましても、私どもとしましては、新しく植栽資金貸し出しを認めていきたい、かように考えておるわけであります。
  64. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 よく私ども新聞とか雑誌なんかで見るのでありますが、たとえば苗木供給業者あたりに発注をしたら、カタログにないような品物を送りつけてきて、これでいいんだといって押しつけられるとか、あるいは何年間かたってみると、カタログで説明を受けたものとは全然違ったものを押しつけられたとかいうようなこともときたま目にしたり耳にしたりするわけです。苗木供給というものについて、もっとはっきりした、何といいましょうか、しばりとでもいいましょうか、もう少し何か法律上きめ手を置いていく必要は実際上ないのか。それからいま一つは、優秀な品種等の配布というようなことについて、国立園芸試験場あたりというものは、何らそういう役割を果たさないのか。その点はいかがですか。
  65. 増田盛

    政府委員(増田盛君) あとの点の国立の試験場自体は、これは品種の育成でございますから、苗木自体の配給に関しましては、直接タッチいたしておりません。
  66. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 配給という意味ではなしに、配給業者がいい品種を供給するという意味合いにおいて……。
  67. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは原種あるいは原々種として育てていく元になるものを試験場で育成しておるわけでございますから、結局現在の育成品種というものも、結局は苗木業者の手に渡って拡大して配布されるということにはなるわけでございます。その点は他のものとそう変わりなくやっておるわけでございます。あまり問題ないんじゃないかと私思うわけであります。ただ苗木に関しましていろいろ御指摘がありまして、確かに先ほどお話のありましたように、注文と送ってきたものが違うというような事例もないわけではないと思うのでありますが、この点に関しましては、特に私どもの方としまして、本法案に盛り込んで取り締るという面までは、実は考えていないわけでありまして、将来苗木業者の、先ほど言ったいろいろの団体取引の形なり方法は推進します。生産の共同化に見合ってきて、やはり苗木も自分で育てる、そしてその元になるその苗木自体を購入する場合は、これは委託契約で元木を出して、委託契約で自分の指定した品種を作らせるということにすれば、これは一番いいわけでございますから、私どもそういう方法を逐次拡大しまして、同時に、やはり苗木業者自体に対しましても、計画的な取引ができるような指導をすれば、大体足りるのじゃないか。従って、それをやれば、現在の検疫行政等における援助をもってすればいいんじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  68. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 増田局長は担当責任者として十分研究しておられる、私は実態を知らない。実態を知らないが、今の局長のお話だけで、そうですが、けっこうですというふうには私はまだ納得できないのです。というのは、そういうことを目にしているわけであるからですが、それからまたほかの部門においては、やはり国がもっと優秀な品種を提供する、あるいは不良品種が出回ることを防止する、そういう積極的あるいは消極的の場に、やはりある程度国が手を出しているのじゃないか。果樹の苗木に関する限り全く野放しでいいんだ、そうしてここに新しく果樹振興法を出そうという、その場においても苗木の問題は全く野放しでいいんだ、そこまで私はりっぱに言い切れるかどうか、非常に疑問を持つ。どうでしょうか。もう一度その点を……。
  69. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私どもも、ただいま申し上げました通り、指導で万全を期していきたいということで考えておるわけでございますが、もう少し研究いたしまして、御発言の内容等に関しまして、私の方で考えてみたいと思います。
  70. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 それでは、今の点は、後ほどまた局長から考えた結果をお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一つは、この法案の第二条の第一項第二号ですか、「前号に掲げる果樹農業者が構成員となっている法人」というこの「法人」は、どういう法人をいうのかということが第一点。  それから、果樹の種類は政令で定めるというお話がありまして、現在七つはきめておるのだということであって、なおあとの分は政令案としては未決定といいましょうか、大蔵省とまだ話がついてないのだ、こういう説明でありましたが、少なくとも、現在政府間で話のついておる七つの品種は、何々であるかということが一つ。  それからいま一つ先ほどやはり局長説明で、流通、加工それから国内消費、輸出等のもろもろの関係の諸対策を強化したいというような説明があったわけでありますが、それは具体的にはどういうことを考えておられるか。以上、お尋ねしたい。
  71. 増田盛

    政府委員(増田盛君) まず最初の、法人の内容でございますが、これは、「果樹農業者が構成員となっている法人」とありますから、具体的に言いますと、町村の総合農協——総合農業協同組合、それから果樹単独のものがあるわけです。果樹農協と称するものがございますが、果樹を主目的にいたしております農業協同組合、これが具体的な対象になっておるわけでありますが、そのほかにしいてあげますと、いわゆる農協じゃないのでございますが、農業者が組織している特殊な法人があります。これは先ほど申し上げました農業法人とはまた違うのでありまして、今の愛媛県の吉田町にあります立問でございます。立問法人と呼ばれております。四十一があります。あれもこの果樹農業者が構成員となっている法人、果樹農業者が耕作農業者としておって、そのほかにそれが土台となって別個に法人を作っているケース、それも入るのであります。  それから果樹の種類、第二条の第一項第一号の、政令で定める果樹七種類は、大体意見がないわけでありまして、これは、ミカン、夏ミカン、リンゴ、桃、ナシ、ブドウ、カキ、大体この七つでございます。  それから、もう一点は、私どもの方と、それぞれ現在の所管局であります農林経済局、それから食糧庁と相談いたしまして、お手元に「果樹農業振興総合対策について」という刷り物を配っているわけでございますが、その中で項目をあげまして書いてございますが、たとえば流通対策に関しましては、共販体制の強化、おもだったものだけ申し上げますと、それから、情報提供体制の確立とか、品質、等級および包装の標準、卸売市場対策の強化、これは将来とも農林経済局の所管に残るわけでございますが、こういうのをあげておりまして、新しく三十五年度から予算化したものでございます。加工対策に関しましても、加工企業の合理化、あるいは生産者と加工工場との適正取引の確保、という点をあげております。消費及び輸出対策に関しましては、これも国内消費の増進、それから海外販路の拡張、というふうに分けております。  大体、ここに示してありますような点に関しましては、予算等もふやし、あるいは今まで懸案のあった事項もございますので、もう少し問題を詰めまして、具体的な措置になるようにいたしたいと、かように考えまして申し上げた次第でございます。
  72. 大河原一次

    大河原一次君 法人の問題を聞こうと思っておったら聞かれましたが、一つは、果樹園経営の計画策定に当たって、その場合、農林省の省令に定める基準に適合しなければならぬ問題として出て参りまするのは、面積の問題ですが、面積の問題は、基準は十町歩以上といわれておりますけれども、いま一つこれは面積の問題ですが、集団する度合いというのがあるのですが、この集団する度合いというものをどういうふうに考えておられますか。
  73. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは、たとえば集団地の面積が十町歩といたしましても、集団するのか、点在するのかという問題に関連してくるわけでありまして、現地をわれわれが見てきた場合に、経営者は個別に存在するわけでございますから、それぞれの所有地の状況なり、地勢なりあるいは圃場の形態によりまして、おそらくは一つの果樹園が十町歩で全部一圃場のごとくつながっておるということは、これはむずかしいのじゃないかと思うわけでございます。従って私はある程度とぎれておっても、十町歩という範囲は認めていきたい。ただこれがどこでけじめをつけるかといいますと、やはり私は本法案のねらいといたしますところは、果樹園経営の合理化、近代化という点にあるのでありまして、技術的な面あるいは選果、出荷等から見まして、これが全体としてやはり一つの計画として動ける、こういうことになりますと、若干とぎれた部分がございましてもそれを一つの集団地として取り扱う。従って一つの集団地として取り扱って、そこに共同圃場あるいは共同選果をする、あるいはそのほかの作業といたしまして剪定、整枝、いろいろあると思いますが、そういうものを共同でやる単位としては、経営条件から考えまして一つの集団地として見ていいという場合には、一つの集団地として考える。ただし、これを非常に抽象的な文句で集団の度合いとして、どういうふうに規定するかということはむずかしいのじゃないか。しかし、運営に当たってはそういう気持で運営したいと思います。
  74. 大河原一次

    大河原一次君 その場合、必ずしもやはり十町歩以下ではならぬということのあれがありますか。原則的なものによって拘束されるものか。いわゆる集団の度合いというものと、それから経営面積というものの間におけるいわゆる関連性と申しますか、たとえば具体的には、戦後集団入植があって、きわめて小範囲面積のところにおいて、十軒、十五、六軒というような集団入植があって、一人当たりが一町歩にも満たない、五、六反の耕地のもとにナシをやる、あるいは、ミカンをやる、リンゴをやる、そういう場合、全体としては十町歩にならぬけれども、集団がそういう十戸、十五戸、二十戸というような部落が相当あるわけでございます、特に東北に行ってみますと。しかし、今申しましたように、経営面積が十町歩に満たないという場合、集団する度合いというのは相当強いのだけれども、総体的に面積は十町歩にならぬ。そういう場合に、これは対象にならぬと思うのですが、僕は今果樹振興というのは、一面にはやはり食糧農産物振興によって、何といいますか、国内の食糧自給に対する一つの解決の道を与えるということもありますが、同時に果樹振興というのは、一面において国内における食糧自給はこれによって補給をすると同時に、一面にはやはり果樹農業者の経営が安定しなければならないということを考えるのです。従って、そういう一町未満程度のいわゆる果樹園を持ちながら一カ所に集団しておるというような、そういう部落があるわけですから、そういうところが実際は面積が十町歩にならぬためにいわゆる資金借り受けの対象にならぬということになると、私は不合理というふうにも考えられるのですが、そういう点でお聞きしておるわけです。
  75. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私ども本法案にある計画を進める場合におきましては、やはりその集団化ということを目標にし、そしてまた共同化ということを目標にする場合には、どうしてもやはり個々ばらばらの経営ではだめなんで、これが集まらなければならぬという趣旨でございます。しかし、これをどこで切るかという点、確かに切らなければならぬのでありまして、これがどこまでも下げるということではまた目的に合致しないわけであります。たとえば定置式な配管によって、パイピングによって防除する、あるいはスピード・スプレアーによって防除するということはやはり非常に大きな面積が必要でございまして、そこで私どもは十町歩と区切ったのでありますが、十町歩という面積は、現実に十町歩ということでなしに、目標面積でございますが、これはやはりきびしくその線を通していきたい。ただ現在は十町歩なくてもいいわけでございますから、今後数年間に十町歩以上になる計画があればいいわけでありますから、その計画の面で私は救っていきたい、こういうふうに考えて、そこで一線を画していこうじゃないかというふうに考えているわけであります。
  76. 大河原一次

    大河原一次君 現在集団化の度合いにおいて、あるいは経営面積の問題においても基準に合致する地帯においてはこの対象になり得るのですが、今度新たなる計画によって基準に適合するようなそういう方向を選ぶという場合に、たとえばここにナシを植えつける、あるいはカキを植えつけるという場合に、よく私ども桃、クリ三年、カキ八年と言いまして、既設のものは現在条件が整っておられるが、今後新しく入植する入植者が新しく開拓して、このような適合地を得られるというような場合、その貸付を受けられる資金の金額、それは既設のものと同一と考えていいか、これから新たに出発するところは、三年なり、五年は無収入地帯になる。こういった場合、どのように考えているか。
  77. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 資金貸付の標準といいますか、限度といいますか、これは、たとえば、ミカンの場合には反歩六万円程度考えているわけでございまして普通の統計調査部の生産費調査でいいますと、これは非常に大きい金額でございます。ただ、なぜこういう大きな金額にいたしますかと申し上げますと、やはりいろいろな場合を考えまして限度でございますから、園地の整備などはあとでやる人もあるわけでございますので、当初から園地の整備などを十分やっていかなければならぬということで相当大きくいたしているのであります。従って具体的にはおそらく農林漁業金融公庫からの貸付金額の決定の場合におきましては、ミカンの場合はおおむね六万円という最高の限度内で、いろいろ運営の面で弾力性をもって決定するということになるのではないかと思います。従って公庫融資の場合におきましては、いろいろこまかい相違によります融資条件の差というものを法案で規定する例はないわけでありまして、全部農林漁業金融公庫運用、具体的に申し上げますと、業務方法書、融資要綱等で定めることになっておりますので、その場合にいろいろ運営の仕方に、やはり今言いましたような個別的に事情のやや異なっておりますものを、使い分けてきめていきたい、こういうことを考えているわけであります。
  78. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどちょっと法人の問題が出たが、この法案は現在問題になっている法人とは関係なしとのことですが、しかし御承知のように、今日特に果樹農業者は、共同作業あるいは共同出荷というようなことから法人の問題を強く要求されている。徳島県やあるいは鳥取県で問題になっているのですが、これは法人化のための道を開くということで、大臣はさしあたり単独立法はしないが、農地法の改正や協同組合法の改正によって法人化の道を開くというふうに言われているのですが、法人化の道を開くということになれば当然対象になるわけですね。
  79. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいま当然対象になるようにいたしたいと考えております。すなわち向こうの法律で、本法案を改正して、この中に入れるということになります。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 第三条ですね、貸付条件の。第三条には「年七分以内」と書いてあって、附則の別表中の「一の二」果樹の植栽に必要な資金、年八分」こう書いてあるのはどういうような関係でしょうか。さっきの説明と違っているようにも思われるが。
  81. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいまの御質問は、この法案構成にも関連してくる問題でございますが、御承知のように、農林漁業金融公庫の現行の資金の中には果樹の植栽資金が入ってないわけでございますが、これは基本的に公庫にそういう能力を与えなければならないわけでございまして、法律の立法技術としていかにして公庫にそういう能力を与えるかということになりますと、これは公庫法の改正をやらなければいかぬというのが、実はこの附則の別表を改正したゆえんでありまして、まず別表を改正しまして、年八分にいたしまして、公庫法を改正する一般的に公庫法を改正して、一般的に果樹植栽資金に関しては年八分以内で貸せ、何も今までなかったわけでありますから、こういうことをまず規定してそれから今回のように集団化、共同化を前提にした果樹農業の経営合理化、近代化というものを内容とした特別措置法であるから、八分は高い、八分は高いというよりも、八分よりも利息を下げろ、この場合には特例として下げろ、こういうことで、この法律によりまして、これを第三条で、一般的には公庫法が八分ということに改正されましたものを、この法案に該当する場合に限って七分にする、こういう性質で七分にしたわけでございます。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 果樹振興法の目的は将来における日本の農村の振興のために非常に必要であるということは、私なども非常喜んでおるのでありますが、一体この法律から私などが考えてみるというと、一番先に、日本の南から北に非常に長くなっておるところの、地形が変化し、気候が変化しているところに、いかなる果樹をどの地方に栽培するか、こういうふうなことが一番最初の問題じゃないかと思っているのです。適地適作ということでありますが、一体どの地方にどういうふうな果樹を栽培しようという、政府の根本的の方針があるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  83. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいまのお話しのように、南北に細長い、気候の変化の多い条件下におきます日本の各地域にそれぞれ適当した種類、そうして品種、これを植えるということは、果樹農業振興のやはり最も大事な点であろうと私思うのでございます。現在この点に関しましては相当程度の事実が判明しておるわけでございますが、ただこれが何と申しましてもやはり国段階で申し上げますと、相当大ざっぱなものでございます。たとえばミカンの場合におきましては、その最低気温がマイナス五度を下らない地帯で、積算温度がどれどれあるとか、こういう非常に大ざっぱでございまして、どこの村、どこの町、そうしてどこの地盤がそれに合致するかという点は実はまだこれからでございます。この点に関しましては、私どもといたしましては大きな果樹の地帯区分というものは国立の農業試験場、所要の地に園芸部がございまして、ここで気象条件なり土壊条件なりその他の条件によっていろいろ作業を進めておりますが、やはり県の園芸試験場あるいは果樹試験場が強化されなければ、精密な構造図が描けないわけでございまして、この点なども卒直に申し上げまして、従来の国の力が非常に足りなかったんじゃないかというふうに、実は卒直に反省をいたしておるわけでございまして、今後は国のみならず県の園芸試験場なり果樹試験場に対しまして、私ども予算その他の面でできるだけ援助しなければならぬというふうに考えまして、現在そういう面からも検討いたしておる次第でございます。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今のお話はわかるんですがね、貿易自由化というようなことも一方の方にはうたわれているし、またその結果、日本の果樹で輸出するところのものもあろうし、輸入するところのものもあるだろうと思う。そういうふうな場合に、日本の果樹というものはいかなる種類のものを、どのくらいの程度奨励するんだという根本方針をまず国がきめて、そうして国がきめたところの範囲内において地方の方で知事がいろいろの農林省令で定めた基準によってやる場合においては、その基準に沿うたようにせなくちゃいけない、こう考える。であるから、農林省令で基準をきめられるということであれば、その基準をきめるのについてはどの地域にはどういうふうなものだということをあらかじめ決定しておかなければ、予想しておかなくては、どこもここも同じ種類を作った、そうすると、生産過剰になった、輸入がある、輸出はできない、こういうふうなことでせっかくの計画が行き詰まるような状態に追込まれないとも限らないと思っているんです。そういうふうな点でどうお考えですか。
  85. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 将来の果実の需給計画に関しまして、特にこれに関連して参りますのは、やはり外国からどういう種類の果実がどのような価格でどのような時期に入ってくるだろうかという点だろうと思います。こういう点に関しまして、まず貿易自由化の問題に関しまして、果実並びに果実加工品の輸入をどうするかという問題に関しましては、現在慎重に省内で検討しておりまして、私ども果実生産を守る立場といたしましては、貿易自由化の趨勢はわかるわけでございますけれども、現状にあまりに急激な変化を与えまして将来日本の果樹がつまずくことのないように、この点は十分注意をして考えて参りたいと思うのでありますが、その場合にやはり現在のところ国内生産でどう対抗していくかという問題に関しまして、私はやはり輸出の場合に大きく伸びますのは、何といいましてもやはりミカンでございます。ミカンはなまミカンでも参りますし、カン詰にしても参りますし、これは将来とも私は果実輸出の大宗であると考えておるわけでございますが、これも私は相当な勢いで今後も伸びていくんじゃないか、これに対しましては輸出市場の開発に対しましては相当政府も補助金等を出して努力をいたしております。このほかに主として東南アジア市場を目的にしますリンゴ、ナシ、桃、こういうものの生果ないしカン詰等の加工品があるわけでございますが、この点に関しましてもなかなか品種等に関しましても何でもいいというわけでもございませんし、それから価格等に関しましても競争品との関係でなかなか楽観を許さないという問題があるわけでございまして、これは御承知の通りでございます。こういう状況におかれまして、輸出の伸長というものは、私ども十分に考えなければならぬわけでありますが、もう一つ国内の加工、消費の伸びというものを相当重要視しなければいけない。現在は国内生産の全果実の中で加工に回されるものは一割ないわけでございまして、九%程度でございます。先進国の諸外国の例に徹しましても、私はこれはもうずっとずっと高められていいんじゃないか、しかも生果としての使用におきましても、家庭で調理用に、この調理食物として、相当使う道もあるわけでございまして、新しい角度から見ますと、やはりPRの方法もいろいろあろうかと思うのであります。そういう点をいろいろ考えまして、私どもまあ果実の種類によりましては問題があるものもございますけれども、総体的に見ますと、相当な伸びが期待し得るのじゃないかと思うのでありますが、この点に関しましては、実は私どももなかなか正確な資料が現在得られにくい状態にありますけれども、それだけで安閑としているわけにいきませんので、二年前から大ざつぱな長期需給見通しに基づきまして、府県の計画を詳細に聴取したのであります。いろいろそういうものを聴取して、検討して、最近は府県計画がやっとまとまりまして、印刷にも出ております種類別、年次別の生産計画、これは十カ年計画としてまとめてあるのでございますが、しかし、そこにはいろいろまだ問題点がございます。従って、これはとしても、この法案によって審議会ができますので、審議会に有識者を全部集めまして、ここでとにかくいろいろな角度から検討しまして、早急に国としての長期需給計画を作る、こういう作業をやってもらわなければならぬわけでありまして、私ども今の御主張の点はよくわかるわけでございますけれども、そういう点で、その御主張の線に沿って、しっかりした計画を作るように努力いたしますので、しばらく私たちの努力というものを見守っていただきたいというふうに考えます。
  86. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今お話もあったいろいろ統計表や、あるいはその他のものを見てみるというと、一番伸びるのは柑橘類じゃないかと思っている。それで柑橘類についても、ある程度の加工をして売り出すというようなことになりつつあるように、また政府の奨励によって進んでいるようにも見受けられます。しかし、現在において、日本で生産しているところのジュースで、あるいはミカンのカン詰で、現在においてさえも輸出ができないように生産が多いのじゃないですか、そして将来においてこれで奨励するということでは、ますますカン詰が多くなってくる。多くなるが輸出はできないということであれば、せっかくこの振興法によってミカンを奨励し、カン詰を作ったけれども、販売はできないということに追い込まれるおそれがありはしないかと心配しているのですが、その点いかがですか。
  87. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ただいま加工品に関連しまして過剰になりはせんか、過剰生産を起こしはせんかというお話でございますが、特にその中で、カンを引用してお話があったのでございますが、私は全般的に見ますと、いろいろ問題もあるものもあると思いますけれども、まず輸出の大宗であり、まあ国内生産から言いましても、ミカンとリンゴといいますと、生産から言いますと、二つだけで六割くらい占めているわけでございまして、そのうちお互い同士大体半々しているというわけでございます。ミカンは国内消費がきわめて順調に伸びておりまして、むしろ東京市場におきましては品薄という、時期的にはいろいろ問題がございますけれども、全般的に見ますと、ミカンは品薄という現象が他のものに比較して強いわけでございますし、輸出にいたしましても、私はもう一千万ケースになるのがそう遠い将来じゃないのじゃないか、しかもこれはロンドン市場並びにアメリカ市場が中心でございますから、今後それに西独が一部ございますが、その他の、ロンドンないし西独以外のヨーロッパ市場が相当開発されますと、その分もふえますし、もうすでに今その輸出しております市場におきましても、これはもう相当要望が強いわけであります。むしろ問題は、そういう輸出の伸びに対する問題というよりも、原料価格の取引のところに問題があるように聞いておるわけでございまして、現在農林経済局でもその点非常に苦慮しておられるのじゃないかと思いますが、これはやはり生産を伸ばして、そうしてしかも生産費を低減する方向で生産を伸ばしていく。従って、加工企業に回すのと生食に回すのと値段がその年々によって大きな違いがあるということは、これはどうしても健全な加工企業というものの発展も危ぶまれるし、従って、輸出にも関係すると思いますが、私は問題はむしろその辺にあるのじゃないかと考えます。今のミカンのことでありますけれどもその他の果樹にいたしましても、これはどうしても需要なりあるいは輸出というものが先決問題でありますから、これに見合うような形でこれはやらなければならぬと思います。それにジュース等の問題もございますが、ジュースは、いろいろ過去におきましては、新しい企業が起こって参りまして心配もあったようですが、ストレートにいたしましても、コンセントレートにしましても、あるいは最近出ておりますカン詰等にいたしましても、季節的ないろいろだぶつきも若干見られたようでございますけれども、これは相当将来需要が伸びるというように私見ておるわけであります。しかし、そういう点をただ手放しに楽観はかりしておるわけじゃございませんので、いろいろな種類に関しましては、あらゆる方面の意見を聞きまして、具体的に素地を固めておいてやって参りたい、それで生産計画を作っていく、こういうことにしたいと考えております。
  88. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、またミカンの例をとりますが、ミカンのカン詰は、本年生産したところのものは、全部輸出の見込みがあるのですか、あるいは残がある見込みですか。
  89. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 今のミカンのカン詰の点でございますが、これは私、一千万ケースと申し上げましたけれども、これは国内生産の目標がまあその程度までいくだろうということで、輸出、国内需要合わせて申し上げたわけでございますが、輸出だけ申し上げますと、三十三年は輸出販売の数量は四百万ケースでございます。販売の実績じゃありません。販売可能の見通しは四百万ケースであったのでありますが、原料不足のために三百三十万ケースにとどまったということでございまして、その結果、夏にはすでに品がれということでございまして、私、実は昨年ニューヨークに立ち寄った場合にも、これが日本商社の方で非常な問題になっております。これじゃなかなか販売の拡張ができないじゃないかということで、しかられたのでございますけれども、やはり問題は売れないという問題じゃないのでありまして、アメリカ市場でも、幾らでも売れるから持ってこいということでございますが、国内的に原料が加工用に回ったかと思うと生食用に回る、その値段によって上ったり下ったりして、きわめて不安定であるということが一番大きいのじゃないかというふうに観測いたしております。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは、将来において果樹の奨励をやったらば、生食でやるのも相当量伸びるだろうけれども、この果樹というものは、どうしたって加工してカン詰その他でいかなくちゃいけない。であるから、一方の方においては、この計画のうちにはそういうようなことも加味して進められるであろうと思うのでありますが、一体どんな果樹を、どういうふうに加工しようという計画をしておられるか、承りたいと思います。
  91. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 加工計画に関しまして、特に現在より種類として大きく変化してくるものは、特別考えられないわけでございまして、やはり戦後の需要が、どういう種類で、どういう製品で伸びているかと、こういうことで私ども考えておるわけでありまして、この点なかなか、具体的に申し上げますと、むずかしい面もあるわけでありますが、たとえば、ジュースの場合には、果汁協会という——それはそれぞれの協会がございます。ミカンカン詰、リンゴ、ナシ——洋ナシでございます。桜桃等に関しましても、カン詰協会がございまして、こういうところと数字的に打ち合わせしながら、私どもも将来の予測をしておるわけであります。まあそういうことで、きわめて大ざっぱでありますけれども、園芸調査会等にも諮問いたしまして、私どもといたしましても数字を出しておるのでございますが、やはり、このジュース関係、それからミカン等のカン詰関係におきましては、これはもう相当急激な勢いで伸びるんじゃないか。しかし、中にはきわめて停滞的なものがあります。というのは、ほしガキのようなものですね。これはどうもなかなかわからないんで、十年後の先を見通ししろといってもむずかしいんですが、現在の消費状況からしますと、まあ大体横ばいじゃないか。それから、たとえば、ブドウ酒等の売れ行きの見通し等も、これはなかなかむずかしいんで、山梨県の醸造組合等の意見を中心にしていろいろ考えておるのでありますが、ブドウ酒自体としましての売れ行きは、これも、まあ生活の洋式化等から、ある程度見込まれますけれども、例の甘味ブドウ酒としての売れ行きがまあ相当あるんじゃないか。最近の売れ行きから見ますと、ブドウ酒を甘味ブドウ酒にして、そういう形で売れる。そういうことで、従って、そういう点も割合生産の伸びが期待できるんじゃないか。まあ数字的に一応試算したものはあるのでございますが、加工の伸びというものをいろいろ考えてきますと現状を基礎とする限り、私は相当期待していいんじゃないかと思っておるわけでありますが、ただ問題は、このままでいいのか、もう少し何か新加工品といいますか、全く国民の嗜好に適した新カン詰、新飲料というものが出ないかどうかです。これを一体どこでやるのかといいますと、一つは、企業家が自分で努力するということであります。もう一つは、国立等の試験研究機関でやるということでありますが、どうも、私どもの所管いたしております国立農試の園芸部におきましては、こういう加工面の努力が、現在、施設その他、非常に足らぬわけでございます。それから、食糧庁の所管しております食糧研究所におきましても、果実の加工に関しましては、やはり、あまり大した施設がないようでございます。この面等も、国の方でも力を入れるし、それから企業方面も力を入れるということで、私は、もう少し、今すぐどうということは申し上げられませんけれども、将来として相当期待を持っていいんじゃないか。また、そのように私どもも、予算面その他で努力しなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  92. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから、将来の加工の形式ですね、加工の形式では、でき得るならば農村工業として、農業団体がやるべきであると考えているのです。しかし、たくさんの金がかかって、設備質金が要ってできないというようなことがある場合もないとも限らないが、一体将来において、この果樹園芸を将励せられ、果樹園芸を奨励せられる結果、加工して売り出さなくちゃできないという場合に、いかなる形態のものに加工をさせていかれる計画があるか。もし計画があったらば、承りたいと思うのであります。
  93. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 将来のこの企業の形式でございますが、これは、いわゆる資本家ないし企業家という人がやる場合もありましょうし、それから、やはりこの農協系統でおやりになる場合にもやはり一つの企業として、これを処理し得るような基礎を十分につちかわなけりゃならぬと思うのであります。で、私どもといたしましてもどちらじゃなけりゃいかぬということは言っておりませんし、現実においても、農協系統相当活発な生産活動をして、市場に現われているのもございますし、それから、企業家で、やはりその大きな企業意欲にものを言わせて、市場の開発をしているような形も見受けられるのでありまして、従いまして、私ども、いい意味で、この加工の面に関しましては、お互いに努力し合って、いい企業を伸ばすということで進んでいきたいと思うのでありますが、ただ何といいましても、農協系統が、自分が材料を加工して販売するというのが、これは一つの本来の筋であろうと思うのでありまして、これに対して、やはり非常に小さい工業が、農村工業という名前で、小さいなりに小さい市場、小さい流通範囲というか、あるいは資金範囲ということで、今まで、いろいろ作ってきたものもあるようでございますけれども、そのような形では存続が非常にむずかしいわけでございまして、特に高度の商品性を持っておりました果樹の、果実の加工品が、一定のブランドのもとに、品質、規格を統一して、大量に消費宣伝して、大量に販売するという段階に入って参りますと、小さい資本じゃなかなかできないのじゃないか。従って、やはりこの生産販売から加工に進むに従って、大規模な農協系統化といいますか、大企業化といいますか、そういう大きな組織でやられるということが必要じゃないか。このために、これに対しましては、当然農林漁業金融公庫資金も引き当てになされるわけでありますし、あるいは農林中金余裕金等も当然借りられるわけだと思うのでありますが、ただ、この際申し上げたいことは、私どもの考え方としまして、あまり今例がないわけでありますけれども、やはり大資本、大企業を前提とするような特殊な商品におきましては、いろいろ形だけにこだわらず、たとえば都会におきます、消費宣伝を基礎とする大企業というものと、そして、これと地方におきます農業資本がタイ・アップして、共同資本の形で市場開拓なり、企業の発展ができないか。これは新しい一つ考え方でございますが、他が他を支配するという形じゃなしに、共同資本の形で、お互いにいいところを生かして、そして終局的には両方の企業を発展させていくという、そういう企業の形態ができないかどうかという点も実は考えておるわけでありまして、この点も今すぐに具体案はないわけでございますが、将来といたしましては、私は相当検討に値する事項じゃないかと思っております。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の問題では、一つ十分に検討していただきたいと思います。  それから、果樹の種類ですね、特殊の地帯を申し上げてはどうかと考えますけれども、たとえば長崎県であるとか、あるいは鹿児島県であるとか、あるいは千葉県であるとかというようなところは、特にビワの産地ですからね。そしてこの地域からは、これ以外には収入の上がるものがないといたしましたならば、こういうふうな地帯の特殊の果樹は、将来において考えられる御方針であるか、——さっきでは考慮中というようなことだったが、こういう問題についてどうお考えであるか、承りたいと思います。
  95. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ビワ等に関しましても、本法案対象にするように努力いたしたいと考えております。
  96. 青田源太郎

    青田源太郎君 ちょっと金利のことで尋ねるのですが、むろんこの果樹振興事業は、長期の、しかも低利な金でなくてはならぬと思うのでありますが、そういう意味から年七分以内ということに、こういう法を改正していただくことは非常にけっこうであると思うのでありますが、それでこの金利が末端金利においてどのくらいなことで貸し出しをするという計画であるか、またこの据置期間は、御承知の通り金利を払うだけであって何ら収入がないわけでありますが、据置期間の金利と償還年間の金利、こういうふうなものをどういうふうなことで当局はきめようということの方針であるか、承りたいと思います。
  97. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 金利の点は先ほども申し上げました通り、法律では七分以内と書いておりますけれども、私ども実効金利の方は、これは農林漁業金融公庫が七分以内の範囲内できめることになっておるわけでありますから、これに関して私どもは六分を主張しておるわけでございます。これは末端金利でございます。金利そのものとしては私どもは末端金利として六分を主張しておるわけであります。それに対して、なかなか大蔵省がいいと言わないのであります。それで向こうは七分だと言っておるわけで、ほとんど毎日折衝しておるわけでありますが、なかなかいかない。ただ向こうの言い分は、果樹農業振興だけでなしに、農林省でいろいろ引き下げの要求があるので一つ一つやるのじゃ大へんだから一括してやれ、こういうことで、農林経済局長をとっちめようと、こういうことなんです。私どもが六分と言うのは、実は私の方はこれは費用価計算をはじきまして、乏しい資料の中から目ぼしいものを拾い上げまして六分がいいのだという主張をやっておるのでありますが、大蔵省の方はそういう手には乗らぬ、われわれの方は一般的な金利水準でいくのだ、で、農業漁業金融公庫金利は大体資金運用部資金の金が中心だから、その金利は六分五厘だ、従って六分五厘以下には絶対にさせるわけにいかぬと、こういうわけで、まだ相当隔たりがございますが、今努力いたしておりますので、いずれきまるだろうと思います。  それからこの金利は据置期間、償還期間とも通じまして、私どもの要求といたしましては、同じ金利でいこうと、それに対して大蔵省はまだ提案じゃないのでありますけれども、据置期間と償還期間内の金利を少し差当をつけてもいいじゃないかという案を、案と申しますか、そういうサゼスチョンをやっておるのでありまして、まあしかし、私どもは一律六分ということで今後とも主張したいと思っております。
  98. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 あまりやつちゃ悪いのですが、きょうは出席者が少ないのでもう少し……。先ほど伺った第二条の政令で定める果樹、それは七つだけはさまったという説明は、私質問して伺ったのでありますが、その説明の中のミカンというのはいわゆる例の日本のミカンだけをさすのか、柑橘類の中にはほかに優秀なものが非常にたくさんあるのですが、その点はどうですか、まず承りたい。
  99. 増田盛

    政府委員(増田盛君) ミカンは正確に言いますと、温州ミカンでございます。それからもう一つは夏ミカン、夏ダイダイでございまして、この二つは主要品目になっておりますので、大体間違いないと思います。
  100. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私はよく名前知らないのだが、そのほかに、たとえばハッサクとか伊予ミカンとか、三宝カンとかあるいは最近暖い方でやっておるグレープ、フルーツなんかもあるし、非常に優秀なものがたくさんできる。なぜそういうものを入れないのか。それからもう一つさかのぼって、政令で果樹の種類をきめなければならぬのかどうかという点に若干疑問を持つわけであります。先ほど私が質問した苗木の問題にも関係するのでありますが、苗木の問題について、何ら法律で定める必要がないのだ、こういうなら、政令で一体果樹の種類を定める必要があるかどうかという点にも、私は若干疑問を持ちます。その点、まず政令で果樹を限定するこうした法律案を出したことの根拠と、それから今申し上げたような、たとえばということで例示した、そうした果樹の種類がなぜ入らないか。それから、あるはまたクリのようなものはどういうふうに考えておるか。クリとか、あるいはクルミとか、特に北米あたりは、私ははっきりしたこと知らないが、クリはほとんど全滅しておるはずです。米国あたりは非常にクリというものを珍重しておる。こういうものは輸出の果実として考えることが将来できるのじゃないかと思うのですが、そういう点について、なぜこうした政令にまず入ってこないのか。
  101. 増田盛

    政府委員(増田盛君) まあこれは、いわゆる果樹という呼称で呼ばれる対象はきわめて種類が多いので、われわれが普通果樹と言う場合の対象とは相当かけ離れたものもあるわけでありまして、たとえばアンズ、スモモ、イチジク、そのほかたくさんございます。梅もありますし、これはみんな果樹でございますし、もっとたくさん——ちょっと今浮かんだだけでそれだけございまして、こういうものの振興ということになりますと、これはなかなかどうも統計表にも何もない、マーケットにもなかなかあまり現われないというので、非常に全部包含することは考えにくのじゃないか。こういう点は、果樹というものはいろいろさまざまでございますからやはりそのうちどこかで切らなければいかぬ。そこで先ほどのクリ、クルミ、それからいろいろな雑柑と称するものの種類でございますが、これに関しましても、私どもはできるだけ入れて参りたい。その場合に基準となるのは、十町歩というような集団的な栽培が一体あるのかないのかですね、その果樹の性質上、全く散在樹であって、散在樹のままでいいのだというような経営形態のものをしいてこれに入れるべきではない。その中でいろいろ共同作業をやったり、それから共同出荷をやったりする関係もございますから、そういう実績とからみ合わせて私どもとしましては検討をして、しかもそれに合格したものはできるだけ私どは入れていきたい。大蔵省考え方としましては、むしろ国民経済的に重要かどうかという視角からやはりしぼっていきたい、ちょっと違うのです、角度が。そのために政令果樹というものがよけいにいろいろやかましい議論になっておるわけでありまして、私どもはできるだけ農業経営、そうしてこの法案による実用的な価値、こういうものをねらって進めていきたいというふうに考えます。
  102. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の局長説明によると、この法案に対する目的とでもいいましょうか、その目的が、あるいは目的を生かす手段として、若干農林省大蔵省に意見の食い違いがある。その食い違いの具体的な現われが、たとえば樹種の指定である、こういうようなふうに了解できるのですが、国民経済的な見地から、その手段として果樹の振興をはかると、こういう見解に立つなら、そうしてまた農家所得の安定と向上という見地から果樹の振興をはかるとすれば、あまりあれこれとお役所が網をかぶして、この樹種でなければいけないというようなことをきめつけることは、私はいかがであろうかと、こういう意味質問もあったわけなんですが、その点についてはどうですか。
  103. 増田盛

    政府委員(増田盛君) お説の通りでございまして、どうも両方でいつまでも意見の食い違いがあってはならぬことでございますが、なかなかどうもいろいろなものを盛ってずっと種類が多くなってきますと、やはりどこかで向こうは線を引きたい、私どもは線を引かせずに、できるだけ入れておいて、実施の面で、運用の面で該当しないものは落としたらいいじゃないかというのがわれわれの態度で、やはりどうも出発点にちょっと違う点がありますから、なかなか話がきまらぬ。しかし、これは今後努力をしまして、私どもの立場をできるだけ貫くようにいたしたいということで御了承を願いたいと思います。
  104. 仲原善一

    ○仲原善一君 先ほど藤野委員も御指摘になりましたが、需給関係の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  第一条の「果樹農業の健全な発展に資することを目的とする。」ということになっておりますが、やはり需給関係ということが非常に重要なことであろうと思いますが、これは五条ですか、五条の二項の四で果実の生産及び販売の数量に関する計画というものが出ることになりますけれども、こういうところで、需給調整をやるために抑制したりするような考え農林省としておありになるかどうか。これは第六条にすぐ関連して、知事が認定する場合に、六条の一項の三号にありますが、「計画が果実の需給事情に照らし適当と認められるものであること。」というふうで、多少その辺に需給関係を調節して、本計画を進めていくというような構想があるようですが、どうもこれは抽象的でして、適当と認めるときには県知事が認定するということになりますが、これが各県によって知事の認定の仕方が非常に違ってきますと、ある県は非常に資金が膨大にいく、ある県は押えられるというような関係にもなろうかと思います。もっと、適当と認めるというようなことの内容を、これは需給関係に非常に影響があることでありまするし、特に三年も五年も先になって初めて果実が実るような段階になりますので、間拍子に合わぬこともありましょうし、その辺を、適当と認めるというような内容について若干お伺いしておきたい。これは各県共通の一つの標準によって全国的に推進していただけるということであろうと思いますけれども、もっと具体性がその辺にないと、地方々々によってでこぼこができはしないかという心配がありますので、その点をお伺いします。
  105. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この法案運用する場合におきまして、いろいろむずかしい点があるのでありますが、やはり一番基本的で、一番むずかしい点は、各県別の需給計画というものをいかにして立てるか、あるいは立て得るか、いつ立てられるかという問題だろうと思うのであります。これに関しましては、一応作業といたしましては、先ほど申し上げましたように、二年がかりで府県の生産計画の数字はあるわけでございまして、これは相当部厚い資料として、実は私の方で、今内部検討資料で作っておるわけであります。この可否に関してこれをどう判断していくかという点になってくると、これは非常にむずかしいわけでございまして、なかなか簡単に結論をおろせないわけであります。すなわち私どもとしましては、全国一本の需給の数字というものは、ある一定の条件の上ではじき出して示すことはできると思いますが、どこの県がどうだということが非常にむずかしいわけでありまして、どうしても府県知事にやってもらいますのは、逆の見方で下から積み上げてきた数字といいますか、われわれも全国的な数字のはじき方は一定の数字を前提にしてはじいていくより仕方がない、すなわち都市の家計調査とか、それから農村の経済調査、そういうものから都市、農村における消費支出の伸び率等を算出しまして、それに人口の伸びとか、所得の増というものを勘案してはじいてくるわけであります。むしろ県の方は、やはり県内消費の見通し、これは具体的な町や村で、おそらく、特に卸売り市場を形成しておる場合においては、ある程度つかみ得るのではないか、それから県外出荷の場合も、東京市場に対するふえ方の見通しとか、あるいは大阪市場に対する転換する可能性があるかどうか、こういう点など、やはり知事が府県行政の立場から、独自の方法でこれをつかんで、それによって、自分の県内の動向等から、生産計画をきめていくというようなことになろうかと思います。御心配の、県によって何か基準なしに県でやって、でこぼこするようなことがあってはならぬわけでありますが、どういう具体的な基準をきめるかという点は、私は結局するに基準をきめましても、各府県の生産計画、その基礎になっている数字というものを私どもの方で個別に打ち合わせまして、それによってきめる、その場合に、やはりどうしても重要事項として、これを果樹農業振興審議会の審議に付す、こういう手段を通して、もう与えられた条件の中で最大限度の努力をするという以外に方法はないのではないか、そういう努力を積み重ねていって、一方におきましては、統計調査部の資料等も相当固まってきて、初めて私は相当真実に近いものが出てくるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、ただ、心配されるような府県計画のでこぼこ、従って資金のでこぼこが恣意的になされることだけは、できるだけ防ぎたいというふうに考えておる次第であります。
  106. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で大体わかりましたが、裏から申せば、この認定の権利を農林大臣がやってはなぜ悪いのかという一つの問題があります。それが一つと、それからこのままでやる場合には、知事の認定の場合には、農林省が大いに干渉をして、何か裏からよく見てやっていくということをお考えになりますかどうか、その点をお伺いいたします。
  107. 増田盛

    政府委員(増田盛君) あとの点から申し上げますが、私の方としては、個別的にあがってくる経営計画でございますから、これは普通の農業指導と同じように、府県知事がおやりになるのがいいと思うのでありますが、ただ、これのどうしても府県間のアンバランスというものは、先ほど言ったように、府県で出してきました生産計画を中心にしまして是正しなければならなぬわけでありまして、それは農林漁業金融公庫資金ワクの設定にあたりまして、農林大臣が規制をするという方法をとりたいと思うのであります。  なお、最初の第一問の、なぜ農林大臣はやらぬかという点でありますが、これはただいま申し上げましたように、やはり一般の府県の農業指導でございますから、他の作物と同様、知事がまず責任をもって県内の農業を指導していく、あるい奨励していく、こういう立場に立ってやった方が適当でございまして、まあ事務処理上も、直接に農林省でやるということはとうてい不可能なのでございますので、かようなことにした次第でございます。
  108. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は、第二条の問題ですけれども、「二以上が共同してその樹園地における果樹の栽培を計画的かつ効率的に行なおう」というその文句ですけれども、二つ以上というのは、これはもちろん協同組合も入ると思いますけれども、そうでないのは、どういう貸付対象になりますか。二以上というのは、まあ申し合わせの組合でいいのか、あるいは何か合法的な形式を整えた法人でなければならないのか、その辺は、ただ二人おりさえすればいいのかどうか。
  109. 増田盛

    政府委員(増田盛君) この第二条第一項第一号の方の「二以上が共同して」云々とございますが、これは個人の場合を規定しておりますから、二人以上なら、差しつかえないわけでございます。法律上は、二人以上共同しておれば差しつかえないわけでございます。いわゆる普通の共同でございますから、任意組合でもけっこうでございますし、特別の組合を作らないで、いわゆる共同で、共同施行するというものでもけっこうでございます。貸付は、この場合には、個人々々が借り受けてやるわけでございまして、場合によりましては、連帯で金を借りる場合もあろうかと思いますが、普通の行き方からいきますと、契約は一つでございますけれども、たとえば植栽資金等は一人々女が借りる、こういうことになっております。
  110. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 ちょっと関連して。今の二つ以上というのは、個人経営者二人以上ということと、集団地十町歩以上ということと、例の農地法に限定する経営面積との関連上多少矛盾が出ませんか。
  111. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 私の説明が不十分でございましたので、申し上げたいと思いますが、二つ以上という場合は、文字通り二つ以上でございまして、法律的に見ますと、単数ではいかぬ、二つ以上であればいいということでございまして、実際の農業経営の面から見ますと、十町歩以上の経営ということになると、保有面積の限度もあるだろうと思いますが、開墾地の場合はいざ知らず、普通はなかなかできにくいことでございまして、私どもはやはり十人以上あるいは数人以上集まつて一つの集団地を形成するということが、これが妥当であると考えております。実際的な指導の問題と法律上の解釈の問題とごっちゃにしたことになりますが、御了承願いたいと思います。
  112. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で、債務者は個人々々になるという点は、はっきりしましたが、共同でいいという共同の内容ですが、どの程度まで共同をしてこれが適用になるかどうかは、内容が、非常に共同ということはたくさん種類がありますので、どの程度のことをお考えになっておるのか、その点……。
  113. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは経営契約でございますから、やはり生産面がどうしても入ってくると思うのであります。そうして生産面を中心にしまして、その一部である選果、それから出荷、それからものによっては、加工という段階も、その規模の大小によってあろうかと思うのでありますが、私どもは少なくとも、加工だけ共同にしようというものをこの契約で認めるということにはいかぬのじゃないか。また実益もございません。加工だけ共同というのじゃ、経営契約でございますから、生産を母胎にして、その上にいろいろな出荷、加工までの作業の諸過程があるわけでありますから、それを経営全体から見て、やはり共同でやる、施設を共同にする場合もありますが、作業を共同にする場合もございます。一々につきましては、この法案では別に規定してないのでありますが、いわゆる共同化という概念にいろいろなタイプがあるわけでありますが、私は趣旨がそういうことであれば、その度合いがやはり多少違いがあっても、この法案対象にして貸付をしていきたいというふうに考えておる次第であります。
  114. 大河原一次

    大河原一次君 一つだけ。櫻井委員、それから藤野委員の言われことで、いわゆる長期の需給の見通しということについて、僕は非常に大きい不安を持っているわけで、果樹振興、もちろんこれはけっこうなことだと思います。けっこうなことだと思うんですが、このことが再びかつて河野農林大臣のときに、適地適作をやる、あれもやれ、これもやれということで、その結果としましては、やはり農作物の過剰傾向ということを現出した記憶を、われわれは真新しいものを持っておりますが、果樹振興、もちろんけっこうですが、今いただいた資料を見まして、一番最後の十七ページですか、輸出、輸入のことが出ているのですが、その場合の輸出の面における鮮果の小計と輸入の場合の鮮果の小計が、昭和三十三年の小計が出ているわけです。これを見ますと、もちろん、先ほど局長は、今後も輸出の面も相当伸びるだろうということを言われまして、力強い発言があったのですが、鮮果の場合における輸出入の、貿易の推移をながめますと、三十三年の価額の面においては、輸出は十七億六千二百万円、これに対して輸入は二十八億になっている。この傾向が、先ほど藤野委員指摘されたように、貿易の自由化ということによって、むしろこちらから出すいわゆる輸出よりかも輸入の面が増大してくるのではなかろうか。こういうふうに一応考えられるわけであるし、特にこの資料の面からいっても、今後さらにそのような傾向が貿易自由化によって強くなってくるのではなかろうか、こういうふうに考えましたときに、先ほど、力強い局長の輸出面の増大ということが言われておりますが、これに対して、ほんとうに局長がそのような、言われたような長期にわたる需給の見通しとして、特に貿易面においてこのような傾向が、安心して輸出の面が増大するというふうに考えていいかどうかということが、非常に不安に思うわけですが、この問題に対して一つ一点だけ最後にお聞きしておきます。
  115. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 貿易の推移についてでございますが、特に輸出に関しましては、やはり鮮果と加工品で、種類によって相当な消長があるものと考えます。従って果樹の種類によりまして、大ざっぱに言いますと、やはり柑橘類の輸出というのは、私はこれは国内のいろいろな諸条件が改まってきますと、生産の伸びによって相当大幅に増大するものと、私は考えるわけでありますが、しかし、その他の鮮果、たとえばリンゴあるいは西洋ナシ、こういうものにつきましては、これが主としてマーケットが東南アジアの関係がございますので、特に中共製品との激しい輸出争いをしなければならぬという現状でございます。こういう点で、私はやはり率直に申し上げまして、こういう種類のものはなかなか楽観を許さぬのじゃないかという点で、考え方を持っているわけでございまして、今後、この方面におきます輸出の伸び方に関しましては、やはりそういう配慮をしながら考えなければいかぬのじゃないか。ただ問題は、鮮果はそうでございますが、やはり加工品に関しましても、そういういろいろな種類によって違いがあるわけでございますが、私はミカンのカン詰を中心とした輸出は、原材料さえ十分に出回われば、これは大幅に伸びるという確信を実は持っているわけであります。ただ、これも種類によってやはりいろいろな違いがありますので、その種類、種類によりまして、仕向け国が違うわけでありますから、それぞれに応じた対策をとらなければいかぬのじゃないかと思います。  なお、輸入の問題は、これはまことに大事な問題でございまして、今にわかに全部を自由化しますと、これはやはり相当影響が国内生産にあるのじゃないかと思われるわけでありまして、いろいろ対策を講じながら、競合性の薄いもの、あるいは競合しておっても対策がはっきり立ってから、それによって逐次緩和していくということで、全般的に申し上げまして、一挙に自由化に突入するということは考えものじゃないかというふうに考えるのでありまして、農林省内部におきましても、そういう立場に立ちまして、私ども現在折衝いたしているわけであります。しかし、これも具体的に申しますと、やはり果樹の種類が限定されております。非常に多いものといたしましては、やはり鮮果ではバナナ、それから加工品におきましてはパイナップルのカン詰でございます。こういうもの、それから将来増大を予想されるオレンジ類とか、レモン類、こういう点も国内対策を十分に検討して、しかる後にしっかりした具体的な方策を立ててから、自由化の方策に沿い得るものは沿うていくという態度をやはり堅持していかなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  116. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 私もちょっと質問したいと思いますが、この第五条の二項の二にあります「樹園地の所在及び面積」ということで伺いたいと思うのですが、これは行政区域を単位とするのではなかろうと思われますが、たとえば二カ町村にまたがりまして同じ共同選果場、集荷場でやっておる場合にはその系統組合に所属するものは違っておっても集団という、共同化という点においてはおおむね一致したものがあると思います。なお、たとえばこれは非常に少ない例ではありますが、私の知っているところでは二県にまたがっておるというようなところもあるわけです。それを単に行政だけの中で樹園地の所在と面積というものを十町という単位でくくろうとすると弊害が出てくるのではなかろうか、こういうふうに考えるのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  117. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは普通すらっとしたわれわれの考え方は、実は、所在といいますのは、これはその所在町村大字地目地番で個々の樹園地に関してこうだということをとにかく確認しておきたいということでここにあげたのでありますが、今おっしゃるようなその両方にまたがる場合でございますね、ことに県が違った場合等に関しましては、両方を平均させるか、あるいはその他のいい方法があるかどうか、これは私の方で施行までに十分検討いたしたいと考えております。
  118. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) これは部落できめるということは非常に弊害があると思います。私は少なくとも出荷協同組合選果場等はおおむねその農業協同組合の所在地を一括いたしておるのが普通でございまして、部落ごとにあり得ることは非常に少ない現象だと思いますから、それはやはり市町村単位でおきめになるのが金融の関係としても非常に取り扱いがいいのではないか、こう思います。これは果樹というものは行政区域でものがきまったりするのではない、つまり日当たりだとか、気温だとか、地質だとかというものと集荷の度合いがまことに都合がいいということできまる場合が、そういうことが基本的原則となりますので、私はこれが施行については十分に考慮を払って運営上弾力のある運用をされるのがよいのではないか、かように存じますので、お願いを申し上げておきます。  もう一点、輸入果の問題でお話がございまして、資料を要求いたしたいのでありますが、最近の果樹についての割当制とAA制の果樹別における輸入取り扱い上の問題並びに現在までの実績数量というようなものがわかりましたら何か一覧表をお願いいたしたいと思うのであります。御参考までに申し上げたいのでありますが、一月から三月までの輸入に対しまする申請書を取りつけて通産省が計数を発表いたしておりますが、それによりますと、五百万ドルの予定に対して七千万ドルぐらいの申請書が出てきたということであります。それの七割に近いものが食料品でございます。これを見ましても、この自由化がいかに農産物資に非常な影響を持つかということが、この統計の上からでも、それだけでもうかがい知ることが私はできると思います。たとえばその最たるものは、つまり乳製品、それから果実、それからくだもの加工品というものが非常に驚くべきこれはけた違いの数量が申請書に出てきております。たとえばジュース一つとらえて見ましても、アメリカでのジュースは九五%まで原果汁が入っているものでなければジュースという名称が与えられないことになっております。それがその九五%も含んでいるジュースが日本に入って参りますと、十六円から二十円ぐらいで一合が入って参ります。わが国のジュースは一〇%ないし一五%原汁が入っておりますが、一五%のものが少ないのでありますが、それで四十五円であります。これはとても競争になろうはずがないのであります。しかるにもかかわらず、だから今日事、農のつきまする産物で輸入したら、もうからないものは一つもない。こういう結論になるから、さような申請書が出てきた、こういう結果になるわけでありますので、将来輸入という問題、貿易の自由化というものと農業という問題につきましては、今の一点だけを指摘いたしましても重大な問題を含んでおりますので、今後通産省との間にあるいは相談等もあろうと思いますが、十分な警戒をされていかれますように要請をいたしておきたいと、かように存じます。  本日はこの程度にとどめまして、これにて散会をいたします。    午後四時六分散会