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1960-03-08 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月八日(火曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            北村  暢君            戸叶  武君            中田 吉雄君            藤田  進君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林省畜産局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省畜産課長 占野 靖年君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○養鶏振興法案(第三十一回国会内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。院農林水産  養鶏振興法案内閣提出衆議院横付、第三十一回国会閣法第百八十五号)を議題といたします。  本法案は去る第三十一回国会昭和三十四年四月三日内閣から衆議院提出され、四月四日本院予備送付の上、当委員会に付託されました。委員会におきましては、四月七日提案理由説明を聴取したのみで継続審査はいたしておりません。衆議院におきましては、第三十一回国会、第三十二回国会及び第三十三回国会とも継続審査をいたしております。ただし、第三十二回国会においては、委員会修正議決されましたが、本会議議決に至らず継続されました。その間、当委員会は昨年十二月十日及び十二月二十六日調査事件の一環として畜産局長から本法案政府提出案及び衆議院農林水産委員会において修正された部分等について説明を聞き、質疑が行なわれたのであります。  以上が先国会までの本法案経過でありますが、今国会においては、衆議院農林水産委員会は去る三月一日本案修正議決、同四日の同院本会議においても委員会修正の通り議決されました。なお、同日本院に送付され、当委員会に付託されました。  まず、本法案について提案理由説明を求めます。
  3. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 養鶏振興法案提案理由を御説明申し上げます。  わが国養鶏は、今次の戦時及び戦後の諸事情から一時大きい打撃を受けましたが、その後一般的な食糧事情委員会会議緩和国民経済の成長を背景とし、農業経営及び国民生活近代化の要請に促されまして、その勢いを回復し、昭和二十八年前後には、産卵鶏羽数におきましては戦前の水準に復帰いたしました。さらに昭和三十三年におきましては、養鶏農家数は全農家戸数の約七割を占める四百二十万戸となり、産卵能力の上昇を伴いつつ、飼養羽数は約五千万羽を数えるに至りました。この結果、鶏卵生産量は年間約八〇億個に達しようとしており、これに鶏肉等を加えた養鶏生産物の粗生産額は、ほぼ一千億円に近いと推定されるのであります。すなわち、今や養鶏生産物価額わが国農畜産物生産価額の中においては、米についで最も上位にあるものの一つとなっておるとともに、その飼養状況は、小羽数飼養者が多いのでありますが、また、それだけに、地域的にも、階層から見ましても、わが国農家経営中最も普及度の高い畜産部門であります。  従って、養鶏振興わが国農家所得確保と優良な国民栄養供給に大きい関係を有すること言を待たないところであります。  しかしながら、養禽及び養鶏生産物現状についてみますと、種禽改良確保養鶏飼養管理から生産物生産流通消費並びに価格等の各面にわたりまして、今後一そう施策を強化し制度整備いたしまして、それらの改善に待つところが多い実情にあります。  政府といたしましては、今日まで試験研究のほか、国立種畜牧場整備等を行ないますとともに、養鶏技術改良普及関係共同施設設置助成に意を用い、さらに飼料供給確保価格の安定及びその品質の改善等につきまして、関係法律施行及び食糧管理特別会計運営等によりまして努力を続けておるところであります。  さらに鶏卵肉等流通に関しましては、特に最近、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会法律に基づきまして設置いたし、その改善の方途につき権威のある方々の御尽力をわずらわし検討をいたしまして成案の上はその実現を希望いたしております。  さらに養鶏発展合理化に意を注ぐこととし、関係施策を今後逐次実施したい所存でありますが、まず第一に、その最も基礎的なことに属しまする優良な資質を備える鶏の普及をはかる制度を定めることにより、養鶏振興に寄与することといたしたいのであります。  以上がこの法律案の基本的な理由であります。以下、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。  第一は、以上申し述べました優良な資質を備える鶏の普及をはかるため、優良品種につき外形上の特徴をもって定める標準鶏制度を設け、その標準鶏から生まれた種卵及びこれから孵化したひなについて、その生産者は、一定表示を附することができるものとしたのであります。  これによりまして、種鶏業者及び孵化業者が、優良な種卵及びひな生産を一段と積極的に行なうようにするとともに、養鶏農家が優良な資質を備える鶏を容易に識別して購入できるようにいたしたいのであります。  あわせまして、この法案規定に従って右の表示ができる場合のほかは、その表示またはこれとまぎらわしい表示が行なわれることを禁止しますとともに、種卵生産者はその飼養する鶏が標準鶏であるかどうか判定しがたい場合には、都道府県知事に申請してその認定を受けることができることとしたのであります。  次に、第一の措置に照合して国及び都道府県が行なうべき優良資質を有する鶏の普及のための措置について規定いたしました。  これは国及び都道府県がその生産にかかる標準鶏及びこれによる種卵経験施設その他所定の事項を勘案して適当と認められる種鶏業者に配付し、資質のすぐれた鶏を効率的に供給し得るようにしたのであります。  さらに、以上のような制度措置効果確保するため、種鶏業者及び孵化業者においても、伝染性疾病発生を予防するために、みずからその事業場施設に必要な整備をするよう努力すべきものといたしております。  最後に、国及び都道府県は、この法律に基づく措置を実施するため、種鶏業者及び孵化業者の必要とする設備資金融通あっせんその他養鶏振興のため必要な援助に努めることといたしました。  以上がこの法律案の主たる内容でございます。何とぞ慎重なる御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、本案について補足説明並び衆議院における修正部分説明を、便宜畜産局長に求めます。
  5. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お許しを得まして、補足説明を申し上げます。  ただいま大野農林政務次官から提案理由を申し上げました政府提出案は、第一に目的を書きまして、その目的は、「優良な資質を備える鶏の普及を図るための制度を定めることにより、養鶏振興に寄与することを目的とする。」のであります。次に、標準鶏制度を設けまして、標準鶏は、法律案文をもちまして明記してあるもののほか、なお、農林省令で定め得る制度を設けております。次には、種卵及び鶏のひなに関する表示等に関する規定でございまして、標準鶏の雄、雌の交配にかかる種卵及び種卵から孵化した鶏のひなについて、また、それらの容器包装一定表示をし得ることにいたしました。標準鶏以外から生じまするそれらにつきましては、その表示をなすことができないという制度にいたしております。また標準鶏認定制度を置いておりまして、標準鶏であるかどうかが判別しない場合には、関係者都道府県知事にその認定の申請をし得る制度にいたしております。認定がありました場合には、その鶏に一定の標識をつけるということでございます。  なお、さらに第五点といたしまして、優良な種鶏確保するための国及び都道府県措置規定しておりますし、第六点としまして、施設整備に関しまして、種鶏業者及び孵化業者は、一定衛生設備等の、事業場施設整備に努めなければならないことを規定しております。  さらに、最後の一点としまして、資金融通あっせんなどにつきまして、国及び都道府県は、関係業者に対する必要な指導その他の援助措置に努めなければならないことを規定しております。  三月四日に衆議院の本会議修正議決になりましたその修正案要点を、お許しを得まして私から御説明を申し上げますと、第一は、目的でございます。関係条文は第一条でございますが、政府案をさらに進めまして、単に、優良な資質を備える鶏の普及のための制度のみならず、さらに、養鶏経営改善のための措置等を定めまして、もって農家経済の安定と国民の食生活の改善に資することを目的とするように修正案ができております。  さらに、孵化業者につきまして登録制度を設けることの追加修正がございます。この登録制度任意登録でございまして、住所地を管轄するところの都道府県知事登録制度でございます。任意登録でございます。孵化場が二つ以上の府県にまたがります場合は、住所地以外において孵化場を持ちまする場合は、その孵化揚所在地都道府県知事確認を受けまして、確認を受けました証明書住所地都道府県知事提出をいたしまして、登録をすることになっております。登録業者には孵化場施設種卵孵化等につきまして、一定必要要件がきめられてございます。この孵化業者登録に関しまする規定は七条、八条、九条、十条、十一条、十二条、十三条、十四条、十五条、十六条でございまして、資格要件を欠きました場合には、登録取り消しをなし得る旨、また登録有効期間は三年としまして、登録及びその取り消しをした場合の双方の効力は、都道府県知事が行ないますが、全都道府県に及びますることも規定がしてあります。また登録孵化業者義務といたしましては、孵化場ごとに優良な孵化事業を行ない得まするような、伝染病疾患に関する事項あるいは販売、購買に関する事項等を、記帳を明確に整理しておいたり、また、これを都道府県知事に報告をしなければならない義務を負わせますると同時に、さらに、十分なる伝染性疾病発生の予防または蔓延防止のための措置について十分に留意をしなければならない旨も規定をしてあります。また登録孵化業者については、登録業者なる旨の表示をし得ますと同時に、登録孵化業者以外の孵化業者はその旨の表示を禁止をいたしてあります。なお、登録孵化業者の監督につきましては、都道府県知事はこの法律施行に必要な限度において立ち入り検査をなし得る等の規定がございます。  さらに修正案につきまして重要な点は、十七条でございますが、養鶏審議会農林省に置くことが規定してあります。委員の数は二十名以内で組織することにいたしまして、この審議会におきまして鶏の改良増殖、あるいは養鶏経営合理化養鶏生産物の規格の設定その他流通改善、あるいは養鶏生産物価格の安定、輸出、加工消費等に関しまして重要な事項審議することになっております。二十名以内の委員は、養鶏経済、鶏の改良増殖種卵孵化及び養鶏生産物の処理、加工、保管、出荷、販売または消費に関して学識経験を有しまする者の中から農林大臣が任命することになっております。  さらに十八条に、二項でございますが、国及び都道府県の行なう措置政府案の範囲をさらに拡充いたしまして、国及び都道府県は、優良な資質を備える鶏の供給を十分に確保するような必要な措置を講ずべき旨が規定してございまして、ただいま国では、養鶏に関しまする国立牧場都道府県におきましては養鶏試験場または養鶏に関しまする種畜場等がございますが、それらを民間に向かいまして十分に優良な資質の鶏を備え得るようなための措置を講ぜよということが規定してあります。あわせまして、国及び都道府県が優良なる鶏の生産をいたしました場合には、これを効率的に普及をはかることについて規定がございましてその国及び都道府県生産にかかわる標準鶏ひな及び標準鶏の雄及び雌の交配にかかわる種卵経験度合い事業能力、鶏の飼養施設状況その他の状況を勘案しまして適当な種鶏業者に効率的に配布するように努めなければならない旨が規定してあります。  最後に、国及び都道府県養鶏振興をはかるために、現状試験研究技術普及をもって満足しないで、積極的にこれらのことを助長をする、そういう助長規定がございます。  修正案の大綱の要点は以上のようでございます。
  6. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本案について御質疑のおありの方は順次御発言を願  います。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 この養鶏振興のためになすべき手段はいろいろあると思うのですが、本法は、まあその一つである優良な資質を備える標準鶏を設定して、それを普及するというところに置かれておるように思うのですが、第二条の標準鶏外形の問題ですね、これは大体強健で多産ということが目的だろうと思うのですが、外形多産関係一体外形多産とどういう関係にあるか、また、そういう素質というものは遺伝するものであるかという点についてお伺いいたします。
  8. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これはなかなかむずかしい畜産学のことに属しまするが、ただいまのところ、養鶏では品種改良が相当進みまして、品種改良の現段階におきましては、主として採卵用鶏でございますが、鶏の品種の純粋さと卵の生産能力の高いこととはちょうど照応いたすようになっておりまして、第二条に掲げました品種につきましては、その品種について純粋であれば純粋であるほど能力が高いという試験研究の結果が出ておるのであります。また、これは一般普及された養鶏についてもそうでございまして、そうすれば純粋なことを示すということは、能力の高いことを示すことでありまして、これはもって、この品種については外形特徴で見るのが一番最大公約数だということであります。なお、外形特徴を備えないで、たまたまもちまして遺伝的形質一般的に持たないで能力が高い鶏が出ることもございます。しかしながら、この養鶏振興法は、国で法律を定めまして一般客観的にいいというところをねらいたいということをもちまして、外形特徴を持っておりまする品種を指定して奨励的な品種であるという意味標準鶏にいたしたい、こういうような意味でございます。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 純粋さの高いほど、純粋度の高いほど産卵が多い、それは外形的な特徴ではっきりしておるということですが、では、そういう実際試験研究の、すぐわれわれでもわかるような……必ずしも外形——しょうしゃなスタイルの鶏が産卵がいいかどうか、これは一がいに言い得ないのじゃないか。全く外形特徴を把握して、それが直ちに優良資質だというふうな規定になっておるようですが、その辺をもう少しはっきりしてもらいたいことと、この飼育管理飼育管理の方が一体産卵に影響する度合いが多いか、あるいは資質の方が——まあ相互関係があると思うのですが、私はやるえさ飼育管理、その関係が非常に関係が深いと思うのですが、そういう点でも先般質問申し上げたように、えさの問題が重要だと思うのです、私は、特に鶏においては。そういう素質が優良な素質であり、同時に、飼育管理も適切だということが大切だと思うのですが、その関係をもう少しはっきりしてもらいたいと思うわけですが、乳牛等でもいろいろ等級をつけたりするのを外形で主としてやったりするのですが、もう少しそういうことを、計数的に出ていますれば、外形で直ちに産卵度合い等が、われわれが納得できるような一つ試験研究の結果でもあれば、それらとの関連で御説明を願いたい。
  10. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お示しし得るような実験、統計学上の数字というので、誤差率の少ない数字を十分に持ち合わせてはおりませんが、全国の国立牧場におきまして、能力検定、その能力検定も集団的な能力検定をいたしましたり、また府県におきまして、条例をもちましていろいろの制度を設けておりますが、その結果によりましてあるデータ等府県庁その他農業団体養鶏団体とも協議をいたしまして、一番穏当なところを書いたのでございまして、特に先ほども御説明を申し上げましたように、標準鶏であるかどうかわからぬ場合には、都道府県知事認定制度を設けておりますが、この遺伝的計数外形特徴で把握できない場合は非常に不安でありますので、最も普及性が多くて、また制度化してよろしい最小限度と申しますか、そういう意味で、外形上の特徴をとらえたものを品種改良経過と申しますか、試験研究経過と申しますか、そういうものから出したのでございます。もちろん産卵一つをとりますと、飼育管理ということとか、その一部の通風、採光、畜舎の作り方でありますとか、えさ給与の仕方でありますとかということが、遺伝的資質からいたしますと、優良なものと合致いたしまして、卵を作る機械のような精巧な鶏でございますが、産卵結果というものは、そういうところから複合的に出てくると思いますが、単なる品種の何であるということとか、特に品種を示す外形を持っておるかどうかばかりでは出て参りませんが、しかし、能力といたしましては、今の農林省技術段階では、一般養鶏実情をもにらみ合わせまして、この制度が一番いいんじゃないか、こういうことでございます。もし、第七号の農林省令で定める品種についてのことでございますが、外形上の特徴以外に、さらに研究が進歩しまして、外形上の特徴というものをしいて書かない、規定しなくても、能力がはっきりして一般農家に安心がいけるというようなものが出て参りましたならば、現在日本にいなくて、輸入品であるとか、新たに造成された品種であるとかいうことと同時に、七号で適切に追加規定をしたい、こういうふうに考えております。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは産卵だけですか。卵肉兼用もあるようですけれども、一体養鶏振興法はどちらなんです。
  12. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 先ほど、便宜採卵用鶏についての産卵について御説明を申し上げましたが、卵肉兼用種産卵もよく、採肉もよろしいというところまでで確実と思いますのは、六号までに規定しまして、七号の十定といたしましては、採肉専門でも、能力の高いものは将来指定したいと思っております。養鶏振興法養鶏そのものは、採卵、採肉用鶏全部でございます。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 さっきもちょっと質問したのですが、能力ですね、多産というのは遺伝するものなんですか、これほどうなんです。
  14. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 品種が純粋なものについては遺伝するということであります。農林省西ケ原農技研におきましては、放射能等を使いまして、大体この鶏は一生に何個ぐらい卵を生む能力があるものだということは、ほぼ研究されつつあります。それが飼育管理の仕方によりまして、実際、人間に役立つような卵が何個生まれるかということの差が出てくるような研究も今進みつつあるわけであります。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 今、盛んに出ていますいろいろの強化飼料といいますか、ビタミン剤といいますか、そういうものはやはり産卵にどういうふうですか。かなり著名な製薬会社がたくさん作ってやっているようですが、それはどうなんですか。資質との関係もあると思うのですが、それはもう公認の結果が出ていますか。
  16. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) えさ給与と申しますか、養鶏に対して栄養飼育管理上与えるということと、能力を発揮させるということにつきましての相関関係は、なかなかまだむずかしいのでありますが、養鶏の大体の品種につきまして、全部ではございませんが、どのような栄養素を粗蛋白澱粉固形物その他貝殻のようなものも一種の栄養になるわけでございますが、カルシウムなどでございますが、そういうものを、どのような飼料標準であればよろしいかという研究は逐次進んでおります。それを体型が大きい鶏、小さい鶏、ここの場所ではどんな具体的な栄養素を持っているものをどのくらいの量やればよろしいかということを、給与基準と言っております。一方は飼養基準、一方は給与基準と言っておりますが、これも逐次研究はいたしておりますが、従来の配合飼料あるいは単味の飼料について、御指摘のことを見ますというと、従来の飼料が穀物、特に澱粉質のものに多くよっておりましたこと、蛋白澱粉に重点を置いておりましたこと等になお欠陥があるということがだんだんわかっております。そこで、微量要素とか、ビタミン剤とか、抗ヒスタミン剤とか、ことに量的に多いのは動物質蛋白、すなわち魚粕、魚粉とか、フィッシュ・ソリューブル等でございますが、それらによりますと、動物蛋白を中心にした栄養食品である卵、肉等ができます場合に非常に効果がある、そういうことは出ているのであります。また糖蜜などにつきましては、これは食欲の高進を来たさせるという試験場研究者の意見も出ておりますが、決定的な要素ははっきりわかりませんが、糖蜜を利用する場合にも相当効果がある、こういうことなどが出ております。ただこれも、養鶏は経済的な動物と申しますが、経済的な飼育をする要がございますので、これに飼料がいろいろないいものをまぜましても、経済的であるかどうかということも考えなくちゃいけませんので、まあそれらについては、経済面と実質的な栄養面と、各飼料効力といいますか、効果面とをまあ研究中でございます。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 この第八条修正案ですね、「登録ふ化業者が新たにふ化場を開設するときは、」云々とあり、「都道村県知事の確認を受けなければならない。」、これまだ全部読んでいないのですが、「確認しない旨」というのとどう違うのですか。その関係を少し説明して下さい。第八条の修正、配られました十ページ。
  18. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 登録孵化業者登録要件は、第七条から始まるわけでございますが、この場合は「住所地を管轄する都道府県知事登録を受けることができる。」その要件は一号と二号であるということでございますが、孵化場が他の都道府県にある場合がございますので、住所地以外に孵化場所在地がある場合は、その孵化場所在地当該都道府県知事確認書をもって住所地の方へ届け出さえすればよろしいということにいたしておるわけでございまして、それを受けまして第八条は、すでに登録を受けた業者が新たに増して孵化場を開設する場合について書いてあると思うのでありまして、従いまして、これはすでに登録を受けた業者であるから、第七条のような要件を備えれば、第七条の二項の各事項について確認を受けて届けを提出すればよろしいと、こう書いてあるのでございます。「登録ふ化業者が新たにふ化場を開設する」というのは、すでに登録を受けた業者が追加して孵化場を開設すると、こう御解釈を願いたいと思います。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 そしてその第二項に、「確認した旨又は確認しない旨の決定をした都道府県知事は、その旨を登録ふ化業者住所地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。」とあるわけでしょう。一体、これは確認したやつとしないやつはどういう関係ですか。全部読んでみないとわからないが。
  20. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 孵化業者は、一般農民に影響の多い鳥のひな生産し、販売する業者でありますから、そこで、孵化場施設にどんな設備を設けるか、コンクリートの能率的な構造基準を持つかというようなことにつきまして、七条一号のような基準に適合しなければならぬと思うのでありますが、あわせまして第二号で、重要な生産業を行ないまするので、孵化場につきまして一人の、まあいわば専門家と申しますか、一人以上の専門家を置くと、その専門家は種卵孵化に関して経験者である——学校を出たり、一定の年限経験を経た専門家という意味でございますが、それらの要件を持ちませんと、新設の孵化場登録孵化業者が設ける場合におきましても、要件を欠くことになりますので、この場合には確認を受け得ない。さらに設備基準経験者等について整えることをしなければ確認を受けられないということがあるわけであります。そこで、確認したものか、確認しないものかを、住所地本位に——一応登録業者制度がございますので、住所地の方へ通知をすることにいたしておるわけであります。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点はわかりました。次に、この法律案規定されたようないろいろな施設をするためには、かなり近代的な設備——孵化場を消毒できるようにしたりするので、私の知る限りではかなり資金が問題で、孵卵育雛業は危険な、必ずしも安定した事業でないというので金融業者が喜んで積極的に融資することがなかなか困難です。しかも、これをやっているのは共同施設としてやらない場合が非常に多い。そこで、農林漁業金融公庫等の設備資金の融資もなかなか受けがたいというような点から、規定されたような登録業者、「種鶏業者及びふ化業者事業場施設の取得、改良又は復旧に要する資金」を調達することは、そう一、二年で投下資本を回収できないのですが、この点は他に出ています農林漁業金融公庫法の一部改正でも実は質問したいのですが、この点について、農林漁業金融公庫から出た業務統計を見ても、孵化育雛に対してはまあほとんど、ほとんどではありません、三十三年度の報告ですが、ごく数件だけしかない。実際この規定を入れても、農林漁業金融公庫法の業務規定といいますか、改正なしにはこの法律は生きてこない。共同施設でやる場合は別ですが、相当大きな孵卵育雛施設は多く法人組織でも、個人といいますか、実質はそういうもので、何万も、何十万羽もやって、そうしてしかも、それは養鶏振興に非常に大きな役割を果たしている。しかし、それは農林漁業金融公庫法の貸付規定ではなかなか困難ではないかという実情にあるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  22. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 種鶏業者、特に孵卵業者施設を設け、また運転資金を必要とする場合におきましての融資のことでございますが、これはすでに中田先生御研究の通り、農協加入者と加入者以外に分かれるわけでありますが、農協加入者につきましては、御承知の通りまだ十分ではないかと思われますが、農林漁業金融公庫、さらにいわゆる系統資金がございますが、農協共済の責任準備積立金の利用を上手に運用でお世話したい、こう思っております。また農協加入者以外のものについてでございますが、ただいま全国養鶏農業協同組合連合会等もございまして、農協加入をするのがいい、また、し得るのだ、そういうふうに根本は思っておりますが、加入をせられないお方、特にこれは大きなお方も多いと思いますが、これは国民金融公庫、また、この関係は商工組合中央金庫、中小企業金融公庫等の活用も不可能ではないのだ。従来まちまちに行なっておったのであります。それを伊勢湾台風の養鶏の東海地方におきます被害等を契機にいたしまして、融資あっせん力を増すようにして、農林省経験を経ましたので、本法案は幸いに議員修正によりましてその点を御指摘願いましたので、法案が通りますれば、できるだけすみやかにその金融確保措置をとりたいと思う。将来はもっとはっきりした金融制度なり、その専門、専用のワクと申しますか、金融のワクも設けたい、こう思っておる次第であります。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 この三十三年度の農林漁業金融公庫の業務統計を見ると、孵卵育雛施設で貸し付けられた件数が全国で七つある。これがまあどういうものかわかりませんが、将来は農協組織でやった方がいいかもしれませんが、私は孵卵育雛のパイオニアは残念ながら実際開拓法人とか個人の大規模な業者が多いと思う。そこでやはり至急にこの関係をやっていただかぬと、ただここに農林漁業金融公庫の業務規定を見ると、この畜産関係では農業協同組合、開拓農業協同組合連合会並びに農業畜産業及び養蚕業を営む者のうち農林漁業金融公庫が定めるものという規定があるので、この規定を弾力的に解釈して営業できぬかと思うのですが、たった七件しかないので、私はやはり金融関係整備を、まあ農業共済にたくさんの金があるから、それを動員していただくこともけっこうですが、登録していろんな施設をやるための資金手当をやりませんことには、まあ画龍点睛を欠く。この点を一つ早急にやってもらいたいし、さきに国民金融公庫と申されましたが、とても金融公庫の貸付の最高限度は二百万、とても孵卵施設をやったりするのに間に合わぬし、それから中小企業金融公庫、商工中金というようなものは、こういう生きたものを生産する上には貸さない。生きたものを作って加工する段階になればたしか融資の対象になると思いますが、生物等の、こういう生命のあるものを育てる段階は融資の対象にならぬので私はやはりその点をぜひとも手当をしていただくことが大切であると思う。そして将来はまあ共同施設を中心にやっていくこともいいでしょうが、養鶏振興する現段階ではやはり何らか態勢の整った法人組織でもいいし、できるような、数十万羽、数万羽育雛しているものをしなくては、おそらく間に合わぬじゃないかというふうに考えるので、その点希望を申し上げておく次第であります。  次に、大野次官がおいでになっていますので、お伺いしたいのは、まあ養鶏振興するためにはなすべきいろんな手段があるわけですが、幸いにそういう問題を取り上げるために農林省養鶏振興審議会を置くことができるようになっておるのですが、これはもしこの法案が通ればすぐ置かれるでしょうか。その点はいかがでしょう。
  24. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) この件につきましては、予算の計上もございますので、新年度早々に取りかかるようにいたすつもりでございます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう一つ次官にお伺いしたいんですが、さきにも申し上げましたように、まあいい素質能力の高いものを作ると同時に、まあ飼育管理、特にえさの問題が私は非常にこれが重要で、いかにいい素質でもこれにいい飼育管理が伴わなければ高い能力を発揮することはできないと思うのですが、先般も福田大臣、安田局長出席の際に申し上げたんですが、最近私質問しました後に調べても、まあ一千億といわれるえさに対して、もうかなり大量にこの來雑物がまざって、しかも、その案件はなかなか減ってきていない。中央畜産会等で調査した月報を見ましても、あちこちに竹を粉末にしたり、あるいはカキのからを粉末にしたり、まあ若干カルシウムの供給にはなるかもしれませんが、あるいはもみがらを大量に粉末にする会社ができておる。あるいは日清製粉のふすまを買って、中を出して、そしてほかのものを入れて、その袋にアイロンをかけ、のりをつけて、日清製粉の商品として出している。そういう例もはっきり出ている。これはもう非常に必要なことで、この問題を私の党でも最近本格的に取り上げていこうというふうに考えているんですが、まあ安田局長等が値段を昨年ストップしていただくといういい措置をとっていただいたんだが、原料が暴騰したというような理由もあって、一そう來雑物をまぜる率が高くなって、また、それを口実に値上げのきっかけにしよう。まあ品種によっては一割近くもまぜているものが、最近私ずいぶん見せてもらったんですが、ともかく日清製粉のいいふすまを買って中を出して、そうして來雑物のまじったものを入れて、袋にアイロンをかけ、そうして新しい品物として日清製粉の品として出しておる。こういうことがあるので、これは一つ養鶏だけでなしに畜産振興全般の問題として至急取り上げていただきたいと思うのですが、御所見を承っておきます。
  26. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 中田委員の仰せの通り、実はこちらの方でも異物混入の実例などの違反事実の問題も統計でいろいろ二十八年以来のさまざまな変化も記録してございますが、お説のような遺憾な事実が確かにございます。それで現在、その事柄自身が任意登録になっております関係から、登録の中でさらにまたそういう事故も起きておるようなことで、取り締まりの強化を考えなければならない段階に来ておると思います。そこで今回は、飼料検査所も今回の新予算で計上させていただいております。そういう形の飼料検査所の設置をいたしまして、特にその意味での業務、品質の分析から鑑定など、技術的な意味合いで掘り下げて取り扱う行政機関を独立させるようにいたして参っております。それでただいまの検査の取り締まりの点におきましても、今の任意登録飼料登録という制度自身がさらに検討いたしまして手を入れないと、せっかくの養鶏振興が阻害せられると思いますので、その問題を含めまして検討をいたしておる次第でございます。
  27. 東隆

    ○東隆君 私は、この法律でもって議員提出案と、それから政府提出案、それから衆議院修正と、その三つを比べて、目的のところで、「需給調整のための必要な助成措置」とあります点が実は今回の法案には抜けておるわけです。そしてここら辺の関係は主として審議会の方にお譲りになっているようですが、私は養鶏振興の中心になるのは、この需給調整をやはりこの法律が相当考えなければ意味をなさないと思うが、そこで、この点は先ほどの説明では、中央卸売市場の調査会その他の答申によってお考えになる、こういうような点は承知をいたしておるのでありますが、それ以外に私は十分お考えを願いたいことは、これはちょうど豚と同じように、非常に短期間に都合が悪ければすぐやめてしまうし、そういうような関係が非常に多いと思います。そこで、どうしても恒久的に続けていくと、こういうような態勢を確立していかなければならぬと思うので、需給調整の面においては非常にお考えを願いたいと思う。それで、この点何かお考えございますか。
  28. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 東先生の御意見はごもっともだと思います。その意味におきまして、施策化し得ることは、法文であろうと、行政措置であろうと、その他の間接的に影響を及ぼし得ることでありましょうと、できる限りのことを努力したいのでありますが、御承知の通り、畜産物あるいは家畜につきまして、流通機構が非常に未整備でございますので、生産農家から消費者に至りますまでの流通の過程の重要な駅とでも、ステーションとでもいうべきところの整備を、中央卸売市場また集散地の販売施設、産地の共同出荷施設、そういうような点にわたりましてステーションの整備をまずいたしたいと思っておるのであります。これはただいまの御質問の中にもありましたように、大消費地の卸売市場とでもいうべき段階は重要でございますので、鶏卵も食鳥も、両方につきまして今民間の任意の市場等が東京都にありますが、大阪には中央卸売市場でありますが、これらを整備したい。また産地の共同出荷等につきましては、新農村建設の予算の中に相当の養鶏関係の補助予算がございますし、さらに生産物の需給調整をやったらどうだ、こういう御意見でございますが、私もだんだんその方向に持っていく必要がある。その理由一つは、日本養鶏をさらに一そう数の上においても増させると同時に、経営において生産性を向上する要がある、農家の所得を増す要がある。また目下のところは、中共の卵が香港等にストップしておりますからでありますが、関西方面からは日本の卵の輸出が相当ございます。また最近の新規用途としましては、マヨネーズとか、その他の新規用途が非常にふえている点もございます。これらに応じまして、需給の状況に応じまして、また、それと照応する価格状況に応じまして、需給調整及び価格安定は必要なことだと思います。貿易の自由化というのは、この方面ではそう簡単にしてもらうわけには参りませんけれども、国内の農家の所得、農業生産力の増強から以上のような点が必要だと思うのであります。ただいまのところでは、これらの措置養鶏審議会等において御審議を願いまして、いい需給調整の措置が考えられ、また、その必要があるということの御審議をいただきましたならば、将来なるべく近い時期にそういうことの実現のために努力すべきだと思いますが、御承知の通り、養鶏は春びなが六、七割くらいの生産を持っておりますので、春びなの生産販売等に対しまする適切な指導と駄鶏淘汰等をよろしくいたしますというと、価格を相当安定させることができるのであります。養鶏審議会においていい御方策の御審議の結果が出ますまでそれでやっていきたいと思います。目下のところでは、大消費地の卸売価格におきまして、鶏卵で申しますと、一キロ二百円を上に一割五分ないし二割、下の方に一割五分ないし六分、そういうところで安定をさせるように各種の努力をいたしますというと、それはそう不可能ではないと思います。昨年以来そういう努力をいたしておりますが、行政措置によりましても、農業者団体、養鶏団体等の御尽力を得ますというと相当できるように考えておるのであります。飼料価格におきましては、養鶏経営の安定の見地からいたしまして、鶏卵の値段とにらみ合わせまして販売飼料の需給及び価格の安定措置を講じておる次第であります。
  29. 東隆

    ○東隆君 孵化業者の方は別として養鶏業者の方ですね、これは自家用に少し飼う者も含めての数字説明されたようでありますが、私はある程度専業養鶏業者というものを前提にされておるのじゃないかと思うのです、これを見ますと。それで、専業養鶏業者というのは、私は、農業のうちどれくらいの割合を占めておるか、これは見当つきませんけれども、それを一つ考える必要があろうと思うのです。それからもう一つ、小さなものはやはり組織化することが必要だろうと思うのです。これは農業協同組合等で組織化すべきであろう、こういう考え方を持ちますが、そういう点について、私は、協同組合の指導の中に、たとえば養鶏農業協同組合というようなものをお作りになるような考えは出てくるのじゃないか、こういうふうに考えますが、これは協同組合関係ではいろいろ問題があろうと思いますが、その辺はどういうお考えですか。
  30. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第一に、この法案は専業的養鶏業者のみを、あるいは専業養鶏業者を主として対象として考えることをいたしておるのではございません。四百二十万戸近くにわたりまする養鶏飼育をしておる農家経営改善のためにつきましても努力をすると同時に、孵化業者等においてはこの零細で多数の養鶏家に向かいましてひな供給して参る業態でありますから、本法案提出いたしましたし、また衆議院登録業者等にする制度を、あるいは国、都道府県措置についての修正案政府は同意をいたしておるわけであります。  第二の点の、日本養鶏経営の零細あるいは専業的な大きなもの等について、農業団体関係しましてどう考えておるかということでございますが、現在日本養鶏は、飼育戸数をもちまして養鶏飼養羽数を割りますと、一戸当たり十二羽程度になってしまう。二十羽以上飼っておる者はほんの数%でございます。約十五%であると思います。私どもの研究によりますというと、せめて五十羽ないし百羽のところで、農家が立地条件その他労力条件等を考えまして経営されれば、相当零細少羽数飼育よりは有利なるもので、また、その形態が大きくなれば、生産物の共同販売えさの共同購入等についての有利性も相当増すように思います。現在団体といたしましては、比較的大きい方を持って成り立っておりまするところの養鶏農業協同組合がありまして、これは全国団体もございまして、全国養鶏農業協同組合連合会というのがございます。また大部分の養鶏家を包含しておりますものに、いわゆる総合農協、全国団体は全販連でございますが、あるいは全購連でございますが、それらがあるわけでございますが、御承知のように例を申しますと、神奈川県の座間地区のように、十人未満の方で十二、三万羽を、農業協同組合でありますが、共同飼育をしておられる方がある。また島根県の大東町等におきましては数年前は一戸当たり平均四羽くらいの養鶏をしておられまして、農家の中の養鶏普及率もそう多くない。しかし、一般耕種農業ではまことに貧弱な村でありましたのを、全町あげましてその翌年は一戸平均が四十羽になる、現在ではそれ以上になりまして、その町には十万羽の養鶏があります。その経過を見ましても、ちょうど私がただいま申し上げましたように、養鶏飼育の費用も合理化し、低減されますと同時に、共同販売、共同購入の効果などが非常に多い。あわせまして養鶏飼育し管理する施設といたしましては、ケージ養鶏をしましたり、バタリー養鶏をしましたり、採光、通風その他養鶏能力を発揮するのに非常に適するようになって参りますので、日本養鶏は小規模経営も捨てないと同時に、政府側としては、これを対象としないということのないようにすると同時にもう少し大規模、合理的な、生産費の安い経営をされるようなふうに御奨励申し上げたい、さように思っております。団体間同士のことは養鶏農家のお方が自分で選択されるべきことと思いますが、おのおの総合農協の方と専門農協の方で特徴もございますが、いいところを伸ばし合って、製品の鶏卵その他の販売面とか価格維持面とか飼料上に対する要望をとりまとめて出して、これを実現するということには共同歩調をとっていただくのがいいのじゃないか、こういうふうに思っております。
  31. 東隆

    ○東隆君 今の共同歩調というのは、たとえば総合農協を利用するのと、それから養鶏農協というような特殊農協を利用するのとは、だいぶいろいろな面で違ってくると思います。そこで、私は施設その他に対する助成あるいは金融は総合農協に重点を置かれるのか、あるいは特殊農協に重点を置かれるのか、そういうようなことによって非常に違った形が出てくると思うのです。それで議員提案されたときの議員の考え方は、どういう考えであったかわかりませんけれども、しかし、今の日本の状態からいくと、飼料の購入であるとか、その他全般の点を考えてくると、やはり総合農協を中心にしてぐっと進めていくのがいいじゃないかという気がするのです。総合農協の中に作って、そしてこれは一定の区域内で両者が下部で争うのですから、下部で争うというようなそういう状態を起こさないようにいたしたい、そういう考え方なのです。その点、共同歩調、こういう言葉でいわれておりまするが、はっきり割り切っておいて、そして金融その他の面でもってお考えになった方がいいじゃないか、こういう気がするのです。その点は先ほどと逆の考え方なのですが、私の考え方を言っておきます。
  32. 仲原善一

    ○仲原善一君 この修正案につきまして、第一条に、農家経済の安定ということが目途の一つに入っているわけです。そういう立場から、今度の法案がもちろん大いに役立つことは役立ちますけれども、この完璧を期する点からいいますと、だいぶ落ちている点がたくさんあろうかと考えます。たとえば流通対策あるいは価格の問題、えさの問題等、それぞれ前の委員から御質問がありまして、そういう点については審議会において今後は善処しようというようなお話でございますが、特に価格の問題、これは同じ年度の中でも、いただいている資料によりますと、一貫当たり五百五十円くらいから高いときは八百円をこえるというような非常な変動があります。もちろん審議会等でよく検討していただくことでありましょうけれども、農家の経済の安定という立場から考えますと、価格対策というものが重要な意義を持つように思いますので、もう少し突っ込んだ価格対策というものについてのお考えがあれば、もちろん審議会でよく検討されるでありましょうけれども、農林当局としてお考えがあれば、お聞かせ願いたいのであります。
  33. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 流通対策、価格対策、飼料対策等が少し弱い、まだ未解決である、こういう点は、今後努力しなければならないじゃないかという点については、ほんとうにそうでございますが、御承知の通り畜産関係におきましては、従来この面において、他の農林水産物と比較しまして、一般的に申しまして非常におくれがございます。後進性がございます。そこで、先ほど申し上げましたように、流通対策のもととしまして、条件整備と申しますのがいいかと思いますが、流通過程におきますステーションをまず当面整備しよう。それは産地では共同出荷、それも消費地まで伸ばすことでありますし、冷蔵施設を設けることでありますし、包装容器をもっと合理化することでありますし、東京などには札場と申しまして、神田には商人の任意にやっている市場がございます。現物取引であると同時に、商品の性質上、一部の清算取引もしております。大阪においては中央市場が扱っておりますが、他の地方におきましては明確なステーションが、いい施設としてございません。そこで、価格の問題もこれとにらみ合わせましてやはり対策を講ずべきであるというので、先ほど東委員の御質問に対しまして申し上げたような段階で逐次整備をいたしていきたいと考えておるのでございますが、目下のところといたしましては先ほどのひな生産のうち、春びなが七割近くを占めるものである。四月になると鶏卵は毎年一番安くなる。ある意味で安くなることは供給が豊富なときには、原価を割らないような場合には、飼料価格なり経営費などをにらみ合わせて、はなはだ低いということでない場合には、一種の季節変動、需給に応じた価格としてあっていいと思うのでありますが、異常な価格の高騰と暴落等は畜産物、農産物を通じまして、避くべきことでありまして、養鶏経営の安定と振興にぜひ必要なことだと思いますので、駄鶏淘汰とか飼料対策等でやりますほか、さらに突っ込んで、幾らぐらいの安定帯にある場合、日本鶏卵はいいだろう、それをその安定帯に維持する場合には、新規用途のマヨネーズとか、香港輸出とか考える場合にどうだろうか。そういう場合におきましては、全販連、全鶏連、卸関係、小売り関係消費者の方々と打ち合わせて、事実上の措置としまして、今価格の安定措置を努力しておる、これを制度化する場合にどうかということにつきましては、審議会で御検討願いまして将来を期したい、こういうふうに思っております。
  34. 仲原善一

    ○仲原善一君 えさの問題についてでありますが、先ほど中田委員から來雑物の問題でお話がありまして、これも重要な問題と思いますが、自給飼料と購入飼料とに分かれておると思いますが、農家経済の安定の面から見ますると、やはりこの自給飼料の率をふやしていくということが相当重要であろうと思いますので、そういう意味の対策はお考えになっておるのかどうか。その点をお伺いいたします。
  35. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 養鶏におきまする自給飼料は御承知の緑飼等は農家あるいは生産者で大体自給をされておると思いますけれども、経営規模が大きくなりますと、これももっと供給確保、そのもとである生産確保もしなければならぬと思う。この場合、現在では穀物のくず類でありますとか、ある一部では大麦、小麦、そのほかのものもやっておりますが、アルファルファは非常にいい自給飼料である、目下のところはミールにしましたいろいろなアルファルファ・ミールを外国から輸入して分析したり、試験したり、あわせてよさそうでありますので普及をしたりしておりますが、イモ類等につきましては相当自給飼料として使い得るように、なまばかりでなしに、サイロのものばかりでなしに、相当の規模をもって生産費を安く、乾燥し固形化する場合等はいいんじゃないか、こういう意味でいろいろ研究及び契励をいたしておるわけであります。
  36. 仲原善一

    ○仲原善一君 農家経営の安定の立場から見ますと、この中心になっております卵も重要でございますけれども、肉の問題、廃鶏の問題、肉の処理の問題についてはこの法律は触れてないと思いますが、農林省の指導方針と申しますか、処理その他についてのお考えがあれば伺っておきたいと思います。
  37. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この法案に関しまする鶏肉の問題は、審議会のところで一つ、おくれた行政、態勢にありまするから御研究を願いまして、それによりまして今後の施策化を早く進めたいと思いますが、養鶏生産物と書いてありますのは、おもなるものをあげますれば、鶏卵、鶏肉、鶏ふんその他のものでございます。直接に条文を起こして実体規定を置いておりませんけれども、元来、御承知の生鮮食料品卸売市場対策調査会、さらにこれに加えますに家畜取引制度調査会の二つの調査会を三十四年度は設けていただきまして、それぞれ御答申をいただきまして、結論を一言に申し上げますというと、その御答申の線に沿いましてすみやかな実施をしたいと思っているのでございます。その内容のおもなるものといたしましては、鶏肉の方は、養鶏生産地帯の方から申しますと、非常な小さい、自転車などに乗って集荷する小商人、通称元売りと言っているようでございますが、それらの人が集められまして、いわゆる共同集荷が行なわれておりません。一部また行なわれているものでありましても、東京都の個人商店のようなところへ出荷されまして、その取引形態や方法もよろしくございません。市場はございません。そこで、いろいろ研究いたしましたところ、やはりこれは大消費地、特に東京などにおきましては中央卸売市場の一部としましてこれを取り上げて、その設備を作って、ブロイラー、普通売られておりますようなふうの売り方も進めていく、すなわち贈答品などの場合には、一羽まるまるを商品にしていく、また小売販売業の方に正肉販売の切り売りができるようにして参る。値段はせり売り、入札の方法を原則としてとっていただきたい、こういうようなことで関係業界の代表にも御同意をいただきまして、それらの施策を講ずることとなっているわけでございます。
  38. 仲原善一

    ○仲原善一君 この法律施行する場合に必要な予算とか、あるいはこれに関連した政府の財政投融資、そういうものはどういう見当になっておりますか、それをお伺いいたします。
  39. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 予算といたしましては、この農林省畜産局計上で約六百万円でございますが、政府案の分につきましては孵化場種鶏場の調査をいたしまして、さらに今後の審議会に備えまして鶏卵生産費調査、畜産物の取引規格の設定をいたします、生産物の出荷調整をする、市況通報をする、需要動向を調べる、そういうことをもちまして運営をいたしていきたいと思いますが、修正案に伴いまする場合は、修正案がまだ正式に御可決をお願いしておりませんでしたので、その分に充てるものとして養鶏審議会の運営その他養鶏振興法施行に関する経費としまして当面五十三万六千円を計上いたしているようなわけであります。農林漁業公庫の資金面でございますが、酪農を除きました畜産共同施設面としまして養鶏が従来非常に多いのです。最近養豚等もふえて参りましたが、ワクとしましては去年の約一割増しの五億五千万円くらいの融資ができるところを予定いたしております。  なお、経営指導、駄鶏淘汰等につきましては、中央畜産会、都道府県畜産会が各養鶏団体と連絡をとりまして養鶏団体の専門技術員を雇い入れまして、経営診断事業を行なう予算としましてほかの家畜——乳牛、酪農等がございますが、四千六百八十四万七千円を計上いたしてあります。そのうちの二割くらいは養鶏でございます。なお、いわゆる新農村建設費二十八億の予算のうち約三割が畜産でございますが、大家畜等に使うものもありますが、共同施設助成その他共同出荷場の助成としまして、この畜産予算の畜産関係の約三割の範囲内において養鶏関係の助成をいたしていこうと、こういうふうに思っております。
  40. 仲原善一

    ○仲原善一君 地方庁で養鶏関係の職員が非常に少なくて、県によっては一名か二名でてんてこ舞をしているわけですけれども、そういう面の都道府県に対する助成というものは考えていないわけですか。
  41. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 考えたことはありますが、まだ実現をいたさないのであります。それは、畜産につきましては酪農、肉畜、養鶏、綿羊等、指導態勢がどうも強くございませんので、それらにつきまして、本年度私どもの原局からはその補助職員の予算の要求をいたしましたが、ことしの段階では、県庁の補助職員というのは貧弱であってもまあどれも認めないという原則を立てるからというので困難でございます。しかしながら、養鶏の方についてみまするというと、現在各県は条例をもちまして種鶏の検査をいたしておるものがございます。この法案ができますれば、その調整をいたしますと同時に、孵化業者登録制度とか府県知事の標準鶏認定制度等がございますが、事務費活動の予算は農林省からも出ますが、これはいろいろ研究しましたところ、受益者が穏当な範囲におきまして手数料を出してもよろしいんじゃないかということがございますので、現在の都道府県養鶏奨励官あるいは養鶏関係の指導監督官というものにつきましては、種畜場のような場所、試験場のようなところの職員はそのままとしまして、そのほかにおきましても、これらの財源をもちましてもっと整備ができるかと思っております。
  42. 仲原善一

    ○仲原善一君 最後に、現在都道府県では養鶏関係について、今お話のありましたような条例を作っているところがたくさんあろうと思います。ところが、この条例は、現在上程されております養鶏振興法内容よりももっと積極的な意味を持った条例であろうかと思いますが、そういう場合に、この法案が通過した場合、県の条例との関係ですね、この法律の方に依存することになるのか。それとも、もっと積極的に働いておる県の条例の方が優先するのか。その辺はどういうふうに御指導になり、あるいは御解釈になるのか、その点をお尋ねいたします。
  43. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 現在都道府県におきまする養鶏関係の条例は、ある傾向、ある内容を持ってほぼそろっておるとも見えますが、各県まちまちだとも見られるわけでございます。そのうちで重要な一点を申し上げますと、大家畜におきましては、国の法律としましては家畜改良増殖法がございまして種畜の検査を行ないますが、養鶏の方にはこれは適用がございませんので、これを補完する意味において、種鶏を検査しまして、検査の合格書等を出しまして、ある場合は、検査に合格しないものは種鶏に使用してはいけない。また第二の点は、種鶏としまして検査に合格しなければ他の県外に移出と申しますか、販売してはいけないというようなところもございます。使用、販売の制限が検査に関連してあるところがございます。また孵化業者について登録制度をもちまして、その県独自の登録要件を必要とすると規定しておるところがございます。最初の代表的な例で一番強い条例を持っておりますのは、例を申しますと愛知県、第二の例で申しますと、大分県などがそうでございまする他の府県もその中間のような形で条例が出ております。  これと本法との扱いでございますが、第一に、標準鶏制度を今回国の法律をもちましてとろうといたしておりますので、これはすでに各県とも研究的態度をもちまして、県の意向も正式にいただくようにしまして打ち合わせをしておるのでありますが、この法律案に従いまして標準鶏制度をとる、そしてそれと違いましたものは、次のもの以外は廃止をしてもらうということにしております。それは全国共通のレベルにおいての制度を本法律案標準鶏として品種を指定し、その外形で確かめるというような制度でありますし、また、わからない場合には、その標準鶏であるやいなやの府県知事の認定をすることになっておりますが、そのラインは、そのレベルにおきまする標準鶏制度をとっております。しかも、国の奨励品種としての標準鶏という制度である、こういうふうに打ち合わせをしております。その標準鶏の中で、自分の県は先進県でもあり、関係業界でもむしろ一致した要望が多いというような場合には、ちょうど等級の差がありますように、標準鶏の中で上、中、下を設ける、そういう場合は条例を出してもいいのじゃないか、こういうふうに思っておるのであります。  孵化業者登録制度をすでにとっておりまする県が、本法律案と違いまする場合には、国の法律が出ました以上は国の法律の諸条項に従っていただいて、従来の条例は廃止をしていただく、こういうように思っておるのであります。また種鶏を、条例に従う種鶏でなければ使用してはいけない、あるいは販売してはいけないということにつきましては、慎重検討を要しまするので、これは一つ法律論、一つ制度が幾つもあっていいかどうかということの実用論、この二つの問題がございますので、まあ法律論としてすでにあるから違法とは言いかねますが、検査に合格しないものは販売してはいけない、こういうのは少しどうかと思いますので、検査の等級がありましたならば、その等級差を付して販売するということが適法であり、妥当であろうと思います。使用することを得ずというのは、目下の農林省の見解といたしましては、養鶏におきましては、県の検査とか、それに類する処置をとったもの以外は種鶏として使ってはいけないというのはもう廃止していただくのがいいのじゃないか。標準鶏制度表示制度を使いまして、省令のような形で、農家のためによろしくないということは、農家を保護する上においての表示制度を使うのがいい、こういうふうに思っております。
  44. 仲原善一

    ○仲原善一君 重ねてちょっとお伺いしますが、標準鶏については、これは全国一律のやり方で済む、各県ごとにはならないという結論になりますか。
  45. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御質問の通りでございますが、問題は、ある県が現在の条例等によりまして二種または三種だけ品種を変えておるところがあります。自分の県では目下ほとんどほかの品種がいないからそれだけやるということであると思いますが、農林省が青森から熊本まで種鶏場を置きまして、いろいろなお試験研究機関も持ちまして研究しましたところ、この標準鶏最後の第七号に従いまして追加をすることがありましても、削る要はない。みな優良な品種だという意味におきまして、また生産物の需要の動向が単なる採卵用鶏一本と言っても過言でないような過去よりも、採肉用になりましたり、採卵、採肉兼用種になりましたりしておる動向の時期でございまするので、標準鶏としてはこの法律案通りにしていただくのがよろしいと、こういうふうに思っております。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 さきにちょっとお話が出ていたのですが、鶏卵のコスト分析ですね、生産費、四キロですと労賃費、あるいはえさ代のパーセント等、具体的にわかれば知らしていただきたいし、同時に、養鶏業者の手を離れて最後消費者までの間の諸段階のコスト分析ですね、それのあらましを一つ聞かしていただきたいと同時に、ありましたら、一つ簡単な一覧表を作って配付を願いたいと思います。
  47. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この鶏卵生産費調査は、調査戸数その他欠陥がまだ多いので、どうかと思いますが、かねてやっておりますから、委員長及び中田委員その他の委員お許しを得まして、ここにその集計の一部がありますのをごらん願いまして、あとで御提出しても審議はよろしいということにお願いしたいと思います。
  48. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) いいでしょう。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  49. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここでしばらく休憩し、午後は一時半から再開をいたします。    午後零時十三分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開会
  50. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  養鶏振興法案(第三十一回国会閣法第百八十五号、衆議院送付)を議題といたします。  午前に引き続き本案に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  51. 北村暢

    ○北村暢君 最初に質問いたしたいのは、標準鶏というのを設けるわけですが、今度法案で出ております種卵のための種鶏業者あるいは孵化業者、こういう品種改善のための、改良普及のための施策というのが種畜牧場との関係一体どういうことになるのか、ちょっとこの法案だけではわかりませんので、全国の種畜牧場との、業者との関係一つ説明をしていただきたい。
  52. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 養鶏に関します種畜牧場は、まず、その飼っておりまする、あるいは増殖をいたしまする鶏の品種としましては、第二条に掲げておりますものの範囲でやっております。今後は食肉用鶏、肉専用鶏のようなものも国立牧場でやりたいという希望を持っております。国立牧場の任務は、試験研究機関からの技術を応用、実験いたしまして、優秀な原々種とでもいうべきもののひなの造成、——改良と同時に造成というわけですが、それをやる目的を持っておりますが、そのほかに、民間の委託を受けまして、産卵能力を検定する事業もいたしております。それは特に一羽だけの鶏あるいは雄、雌一つがいだけの鶏ではなしに、集団的に能力検定をすることもやっております。国の施設と県の施設と民間の種鶏場、孵化業者改良普及事業農家関係を申し上げますと、国立種畜牧場では原々種の改良、造成をいたしまして、雄、雌の区別をつけませんで、県の種畜場に払い下げするのが原則であります。これは、このような優良な原々種は雄、雌ともに貴重であるからであります。その払い下げを受けました県の種畜場は、これを民間の種畜場へ払い下げるのが原則であります。で、民間の種鶏場はこれを、この卵から出ました標準鶏を用意しまして、また自分で工夫した鶏を持っていることもありますが、孵化業者に卵を卸しまして、孵化業者がその卵から農家販売するためのひなを造成しまして、雌雄鑑別をして、大体雄を除きまして——除くのが原則でありますが、そして販売して参るのであります。養鶏農家と普通言っておりまする採卵のためないしは採肉のための養鶏は、孵化業者からひなを仕入れまして、成育いたしまして採卵経営をいたしまして、採肉経営をいたしまして、最後は廃鶏にいたしまして、これをまあ廃鶏処理するために売る、そういう機構になっているのでありますが、私が御説明の中で、国立種畜牧場につきましても  県の種畜牧場ないしは養鶏試験場でありますが、につきましても、原則としてと申し上げましたのは、そのルートがおもでありますが、国立牧場から、付近の要望によりまして、民間の種鶏場へ払い下げているところも一部ありますし、県の種畜場、養鶏試験場が同様にしている場合も一部あるのであります。今後はこれを、従来もそう不合理ではないかと思いますが、種鶏場、孵化業者等を、三十四年度以降の予算をいただきましたので、それぞれ調査をあらためてし直しておりますが、それらを考えまして、この法案の運用によりまして、効率的に配布して参るというつもりであります。なお、国立牧場のうち、養鶏に関しましては、青森、大宮、岡崎、播磨、熊本に所在する五カ所の牧場がございますが、長期計画をもちまして、これを整備拡充するつもりでございますが、ただいまのところは大宮種畜牧場のその施設の拡充を終わったところでございます。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 この国立牧場の所管の区域、まあ全国に五カ所ですから、所管の区域がきめられておると思いますが、大体この原々種ともいうこの国立牧場種鶏が、この全国的な種鶏の上に及ぼす影響というものは大体どの程度に影響を及ぼしているのか、この種鶏の今度の制度を設けた標準鶏の影響をしている範囲ですね、どの程度、何%ぐらいいっているのか、こういうことはちょっと数字的にわからないものでしょうか。
  54. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) それは計画を立てまして、その効果が末端の農家養鶏経営に響くようにと念願しておりますが、大宮の種鶏場の整備を終わったばかりの段階でございますから、いささか困難なことがございますが、従来からやっておる業務もございまして、大体民間種鶏家に対しまして、すなわち孵化業者種卵を売る種鶏家でございますが、国の方から行くものと、県を通じて行くものと合わせまして、現状におきましては二割であります。そのもとになりまするまあ設備と申しますか、設置したものと申しますと、国立牧場は五カ所で、今、種鶏羽数は三千八百、約四千備え付けておりまして、県の段階で四万、民間の種鶏段階で四百四十五万、ひな生産数はそれに応じまして国の牧場で二十万、県の種畜場では百四十万羽、民間の種鶏場へこれが移っていきましてふえていきますが、一億二千万羽でございます。
  55. 北村暢

    ○北村暢君 一億二千万羽って、これ全国で四千万羽ぐらいしかいないのじゃないですかな。
  56. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 国立牧場段階は、雄、雌ともに貴重品でありまして、両方活用するのでありますが、民間種鶏場から出て参りまして農家へ行く場合は、さっき申しました雌がおもで、雌雄鑑別していくわけでございますから、鳥も大体半々雄雌が生まれますので、半分になって参るわけであります。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、第一条で、農家養鶏が「農家経済の安定と国民の食生活の改善に資する」と、こういうのですけれども、これはなかなか行政的に私は困難な問題で、先ほどの御答弁でも、専業農家ばかりでなしに、零細な養鶏農家というものも対象に考えているんだというふうに言われておりますけれども、その品種改良なり普及なりということは、種鶏種卵種鶏業者と、やはりこの孵卵業者というものを規制することによって改良していくという考え方の方が非常にまあ大元で押えていこうと、こういう考え方になっているんじゃないかと思うのです。従って、最初の政府の原案にありました着想というものが大体の考え方でないか、修正された部分における農家経済の安定のところまでこの法律によってやっていくということは非常に行政的に困難があるんじゃないか、こういうふうに実は感じておるのです。五十羽以上の飼養農家というのが六万五、六千ですか。それからまた、五十羽以下というのが四百三十一万戸というのですから、従って、五十羽以上というのが大体——五十羽じゃ専業にはもちろんなりませんけれども、それにしてもまあ養鶏らしい養鶏をやっている、まあこういうことだろうと思うのです。その占める数が大体五十羽以上のところが全羽数の約二割程度でしょうかね、占めておる。従って、この五十羽以上の飼養農家というものがまず対象になるんじゃないかと思います。それ以下のところは行政的にいっても改良普及するということがなかなか困難じゃないか。しかも、その農家の戸数からいっても、羽数からいっても、相当大きな部分を占めておるわけですが、実際に今法案で出ております、こういうことを実施しますと、まあ国営の牧場が五カ所、それから県の種畜牧場、それから民間の種鶏家、こういうものを通じて改善していくというのに、一体これらのうちでどの程度まで改善がこの法律によってできるのかということが私まあ疑問ですし、はっきりしないわけですね。零細な飼養農家というものについて改善をしていくということが行政的に非常にむずかしい、こういうふうに思うのです。で、私はこれは抽象的な質問で恐縮なんですけれども、一体どの程度のことを考えておられるのか、それをまずお伺いいたしたい。
  58. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私が先ほど国立牧場につきまして整備計画を云々しておりまして、そのうちの大宮の国立牧場施設のほか、養鶏飼養羽数においても整備を終わりまして、この次はその他に移りますという意味のことを申し上げましたのは、まあ大体昭和四十一年ぐらいを目標にいたしまして、国立牧場には原々種の種鶏を六千六百羽、今の約倍ぐらいを飼養するようにいたしまして、県に相当程度の努力もしていただかなければなりませんが、そこから県施設へ払い下げするのを加えまして、県施設には常時種鶏を四万羽、そういたしまして最終の目標を民間の種鶏業者には五〇%ぐらい。民間の種鶏家が孵化業者にまあ自分の作りました種卵販売するのでありますが、この民間種鶏家に国立牧場から払い下げるのがまあ手近でいい、種鶏家の信用とか、従来やっておった鶏の関係からいいということもあるので、直接に国立牧場から行く場合と県施設から行く場合とを一応まあ考えておりますが、先ほども申し上げましたように、国立牧場から民間種鶏家へ直ちに行きますのは、県施設の拡充に応じましてだんだん少なくしていく、県に払い下げるのが原則と、こうまあ持っていきたいと思っておりますし、その意味におきまして、県施設に飼っておりますものの半分、民間種鶏家の半分、その双方の数が相当違いますが、そういう目標を持ちたいと思っております。もしそういうことが可能になりますれば、今まで申しましたのは、民間の種鶏家は民間の原種種鶏家であります。国立牧場から民間の原種種鶏家でありますが、それだけ整備いたしますと、一般の民間の種鶏家でありますが——原種でない種鶏家でありますが、その生産ひなを年に一億八千万羽くらいにふやしまして大体これで供給できる、標準鶏のものが供給できる、こういう目標でございます。
  59. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、次にお伺いしたいのは、第三条で品種表示をする、それから種卵容器包装に対して品種を示す、農林省で定める様式の表示をするということなんですが、これは孵卵業者が全国で相当、千四、五百あるんでしょうか、そういうところで種卵を出す場合に、その包装に対して表示をするというのは一体どういう機構でこれをやられるのか。それからそのあとでは相当、最後の条項では罰則なんかあるわけですね。そうしてまた、この包装の表示したものを使用をしたあとは、まああき箱ですね、あき箱に対する表示を消すことをやる、こういうことになっておるようですけれども、これは一体どういう機構をもってやられようとするのか、その監督等はどういうふうな形のものを考えておられるのか、この点を一つ、罰則なんかもあることでございますから、どういう形でやるのか御説明を願いたいと思います。
  60. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今回の政府案は、標準鶏制度につきましては、標準鶏の雄雌の交配から出てくる種卵、それから出てくるひな、子烏でありますが、ひなについて考えておるわけでありまして、この場合は生産販売するお方が、その標準鶏から出たものですという表示をしていただく。それで自分で認定しにくいときは、県の種鶏場を含めまして県の機構で認定をいたします。従いまして、虚偽の表示をいたしますものは、第四条でございますが、まぎらわしいものや虚偽の表示はだれもしてはいけません。従って、罰則をつけるということでございます。簡単に申し上げますと、当業者の自主責任において正確な表示行為をすることを期待しまして、表示があるものとないものとの間には、品質上また信用上の区別ができる。他方二カ年にわたりまして、本年度、すなわち三十四年度——大半終わりましたが、それと三十五年度によりまして、国の予算をもちまして県をして行なわしめるのでありますが、種鶏場と孵化業者との調査をいたしておりまして、新たに発生するものにつきましては、孵化場登録制度でやる。そこで、登録をします場合は、追加された、増設されたものでございますが、その際に調べる。その調査を基礎にし、登録を基礎にいたしまして、常時養鶏振興法施行に当たる意味におきまして県をして監督せしめようと、こういうことでございます。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると孵化業者種鶏業者も、登録になるのでしょうかね。それで登録をして、県からそこへ行って、登録したものが正しいかどうかということを検査する。そうすればその登録されたところから出るものは、自主責任でもって容器に表示をする、こういうことになってくるんじゃないかと思うのですが、その場合、まぎらわしい表示とかなんとかではなしに、登録されないものに対して表示をするというのは、その表示が、そこの区別をする場合に、登録したところにその表示の様式とかなんとかいうものを県から交付する、それ以外のところにはいかないような仕組みになっておって、そういうまぎらわしいことが起こらないような形になっている。それからまた、一ぺん表示をしたあき箱を、から容器のものを、これを消さなければならないというのは、消すのは一体だれが消すのかですね。そうでないというと、一度表示したものが、登録業者でないところへあき容器が行くということになれば、そこら辺の検査というものはやるわけじゃないですから、自主責任で包装に表示をするということになると、そこのところはどれだけの厳密な、何といいますか、区別がつくのかどうかということですね。その検査の方法なんかがあるのかどうか、これを一つお伺いしておきます。
  62. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御質問の点は、第三条に、標準鶏の雄、雌からできまする卵、そのものの上に表示することと、その包装容器もそうでありますが、さらに二項によりまして、ひなとその容器について表示をすることとありますが、最近は工夫をされておりまして、ひななどで例を申し上げますと、そのからだの羽の部分に一度使用してはずしますというと、二度と使用できない標識がございます。標識の態様、材料といいますか、格好といいますか、そういう耐久性と申しますか、そういうものには、そういうものを使うつもりであります。あわせまして表示の中身、内容といいますかは、この何種の雄と何種の雌から出てきたものである、一代雑種を認めるわけであります。同じ優良品種標準鶏品種でありますから、何種と何種、A種とB種ということではなしに、A種だけということになるわけであります。雄、雌両方表わす意味でありまして、包装容器の点を御説明申し上げますと、卵でもひなでも、今、包装容器に多数入れまして、長距離輸送もできる段階になりまして、日本の国内はもちろんのこと、外国との間もできるほどになっておりますので、その容器と同様のものをする、この場合は金属類でもって、一度使ってはずせば二度使えないというものではないのでありまして、そういう表示であると思います。その様式も農林省令によって定める表わし方をしまして、登録孵化業者はだれ、種鶏業者はだれという生産者及び販売者の名前を記載させることを予定しているのであります。建前は、お話の通りに、自主責任が第一で、多年やっておりますから、標準鶏を法文化すればそれの識別がつく、さらに外形でこれを押えるのは、そこにもまた意味があるので、原則としては生産者販売業者においてできると思っておりますが、あわせまして、まぎらわしい容器はだれでも付してはいけない、登録業者はまた登録業者である旨の——衆議院修正案によりますれば——表示をすることになり、実行的にこの法案を運営する技術と慣習がすでにあるからできるだろうと、こう見ているわけであります。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、この法律でいきますと、種鶏業者、それから孵卵業者の大部分は登録される、こういうふうに見ていて差しつかえないのでしょうか。相当この法案が通りましてね、種鶏業者、孵卵業者登録をしないか、また登録に該当しなかったというような人ですね、そういう業者が非常にたくさんあるというと、これは問題が起こると思うのでありますが、非常に少ないのだということになれば、行政上大して顧慮する必要がない。自主的な責任において表示するということで事足りるだろうと思うのでありますけれどもね。そうでないというと紛争が起きるのじゃないかというような感じがしますね。その点は、見通しとして、一体この登録業者というのは、大多数の人が登録するというふうに見て差しつかえないものかどうか。
  64. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 現在おります孵化業者は、原則として任意登録でございますから、登録し得るし、登録を希望してくると思います。一つ指導を要しまするので、指導をして要件整備しますれば、登録を受け得るし登録を希望してくるだろうと思う点があるのでありますが、それは新しい孵化場をこれから設けたり、特に住所地以外の他府県において孵化場を設けました場合のことでありまして、これは官庁の——県でございますが、県の指導によりますことと、また両県あるいは数府県にわたりますので、一年未満のごく短期間の時間の差による、そういうことだと思うのであります。それを解決いたしますれば、できると思います。あわせまして孵化業者登録業者になることと、標準鶏表示をしますことと、登録業者であることの表示をいたしますことは、表示をしない場合とはおそらく種卵ひな販売価格においても差がつきまして、悪いものが安くなることを期待いたしておるわけであります。それは国立牧場種卵及びひなの払い下げ、各県施設によります種卵ひなの払い下げということは押えてありますし、また現三十四年度の状況孵化場種鶏場ともに私どもの手において調査がしてあり、今後も残りをいたしますから、以上の措置をもっておりますというと、適格なものは一部指導を加え、一部時間的な、短期間の時間的な余裕を持ちますれば、全部登録をする、そういうふうに考えております。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 これは古い資料ですけれども、三十二年度の、前の法案の出たときの資料ですからあれですが、畜産局から出た資料で、孵卵業者が全国で千三百九十八戸あるのですが、この千三百九十八戸の孵卵業者が、今の説明によりますというと、大多数が登録されるだろう、登録されるためには信用度なり、あるいは設備なり、一定要件なりそろえてこなければ登録を受け付けないということになっていますから、登録しないことにもなるでしょうが、大体そうすると千三百九十八戸というこの統計上のものが、大部分が現在の設備なりなんなりで登録され得るであろう、若干の改善は要するかもしれませんが。それからまた、今申しているように登録しないものは、値段も安くなるから、自然淘汰されていく形になるでしょうけれども、その悪い種卵なり種鶏なり、ひななりというものがどのくらいの割合で出るだろうということを想像しているのですか。大部分といいましても、今相当数の孵卵、孵化業者登録になるということを考えれば、悪いものというのはほとんどなくなってくるのじゃないかという感じがするのですけれども、これは一体どういうふうになるでしょうか。
  66. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第七条に——衆議院修正案でございますが、ありますように、一般孵化業者登録は、その孵化場施設についての施設構造基準、原材料の基準、コンクリートとか、消毒施設を設けるとか、孵化に関しまする機械の程度でありますが、だんだん高能率で大規模な孵卵機も出ておりますが、現状普及しておりますものならば差しつかえないと思います。従いまして、第七条の第二号の種卵孵化に関して孵化場に、先ほど専門家と申し上げました種卵孵化に常時従事する者を一人置くか置かぬかというところに今では重点が置かれると思うのであります。それから孵化業者は千三百九十八戸——三十二年度調査でありますが、それほど数はふえておりません。一業者の規模が非常に大きくなっておるものはございますが、業者数はそれほど変化はございませんが、先ほど申し上げましたように、標準鶏ですでに民間にあるものもあります。国立牧場が創設以来、原々種を配る、それを多数に仕立て上げまして孵化したものもございまして、原々種から行くものが目下二割であります。標準鶏でないものというのは、そう多くはないのであります。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 それからもう一つ孵化業者に比べて種鶏業者というのが相当多いわけですね。三十二年で三万八千七百四十五戸というふうになっておりますが、そうすると、孵化業者より種鶏業者の方がはるかに多いのですが、種鶏業者登録ということはないのでしょうか。
  68. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今回の衆議院修正案では、種鶏業者登録を省略させております。それは現在の実態が、孵化業者が発注をいたしまして、孵化業者の特約的な種場、種を作るところ、そういうふうに一応の構成がなっているから、この際は、種鶏業者登録をやめようということの御趣旨であったように私は了解しております。国立牧場、県の種鶏場から配分される直接の相手は、種鶏場、種鶏家であるわけでありますが、その実際の関係が孵卵業者に、まあ従属しているというと言葉が悪いのでございますが、特約関係にあるものとして成り立っているのが実情である。今後のいろいろな発展は違ってくるかと思うのでありますが、そういう意味登録をさしておりません。
  69. 北村暢

    ○北村暢君 大体わかりました。それから最後一つお伺いしたいのは、先ほど仲原委員も触れられておったのですが、第一条の農家経済の安定ということですが、一体農家経済の安定というところまで養鶏というものを進めていくということになれば、これはやはり相当総合的に考えていかなければならない。養鶏の技術面における改良普及的な業務ばかりでは簡単にいかないのではないか。農家経済の安定ということになるというと、やはり鶏肉、肉の面、それから卵を主とする場合であっても、若い雄びなの処理、これらなんかも相当考えられなければ、従来雄びなが出るというと、これは豚のえさぐらいにしかしなかったというようなことで、経済ということにまで頭が行ってなかったというのが、やはり養鶏の場合、非常に多いのではないかと思うのです。ですから農家の副業的にやっているというような副業も、何といいますか、ほんとうの経済を度外視したところの副業というものが非常に多かったのではないかと思うのです。従って、養鶏農家経済の中に持っていく、いわゆる営農類型の中における養鶏は幾ら、中家畜は幾ら、大家畜は幾らというようなことで、総合的に加えれば非常に計画的にできるのでしょうけれども、そういうところまで今のところはなかなかいってないというのが実情であろうと思う。従って養鶏振興ということの最初のところで考えておられる技術の改良だけでなしに、農家経済の安定というところまでいきますというと、やはりそこら辺まで真剣に考えていかなければ、指導上からいっても簡単にいかないのではないかというふうな感じがするわけです。従って現状はそういうような形にはなかなかなってないわけですから、今後養鶏振興して農家経営、経済ということまで考えていくということになると、よほど指導面において考えられなければならないと思うのですが、その点については総合的に、この養鶏振興法だけではいかないのかもしれませんけれども、そこら辺のところが、目的にはうたってあるのですけれども、実際にはそういうような具体的なことがこの法律には触れていないのじゃないか、まあ金融の面等において若干出ているようですけれども、やはりそういう面まで、融通面まで考えて指導していかなければならないと思いまするので、これは、この法律だけでは目的を達しないような感じがするんですよ。それで、目的には載せてあるんだが、実際にはどういうことを規定していくのか、まあ、先ほど養鶏振興審議会においてそういう具体的な問題はやるんだ、こういうことになっていますけれども、こういう面はやはり実際には非常にむずかしい問題だと思うのです。従って今後一体、この養鶏というものを振興していく過程において、農家経済というものにどの程度までに養鶏振興ということをやっていこうというふうな考え方を持っておられるのか。これだけでは私は非常に不備だと思うのです。従ってまあ今後どういうような形で農家経済にまで影響するまで経済という名のつく、名前に値するような形にまで持っていこう、こういうふうな具体的な計画があるのかないのか、それをお伺いしたい。
  70. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 養鶏振興農家経済の安定、国民食生活の改善に関しまする非常に重要な御質問だと思いますが、私どもは、政府といたしましては今回の養鶏振興法は、大家畜におきまするすでにありまする法律の家畜改良増殖法に匹敵する標準鶏、種、その表示、ないし優良な資質を備える鶏の改良普及制度をまずきめよう、それすらないからそれをきめよう、その法律施行に関しまして必要な種鶏業者孵化業者と、養鶏経営者すなわち養鶏農家でございますが、それに対する施設等の資金あっせん措置、あるいは指導援助措置規定するのをつけ加えまして御提案申し上げたのでございますが、衆議院では、現在の段階はいかに農林行政がおくれておったり、養鶏が副業中心であったりいたします場合でも、すでに広くいえば畜産、その中の重要な養鶏が、それ自身も産業として成長したり、生産性を増したり、企業の合理化をはかった形態で発展することも望ましいし、またさらに目標を大きく、養鶏振興法というのだから、いろいろ日本の各地においても養鶏でもちまして農家経営の安定をはかっておることもあるのだ、耕種農業、その他の家畜を飼育しながらさらにそこへ養鶏を入れて一そう農家経済の安定をはかるところもある。あわせまして日本国民現状から申しますと、畜産物の中で一番安易になれて、日本人の食生活をまかなっている優良蛋白食料は鶏卵だといって過言ではない。従ってもう少し規模を広大にして、いろいろな施策がまだ具体化しない場合には一般養鶏農家経済、流通経済の発展度にもよるけれども、これについて助長をしましたり、促進しましたりする手段を講じまして、養鶏審議会をそれだから設けまして、そこでよく審議をいただいて、目標は少し大きく出せという御修正をいただいた、こういうことでございます。そこで私どもは特に畜産の生産面におきまする点でも品種改良、あるいはその改良品種普及等については相当の進歩の度合いを持っておりますが、養鶏経営という生産面につきまして、また養鶏生産物流通消費の過程におきましては非常に後進性と申しますか、封建性と申しますか、合理化をされておらない、近代化されておらない点がございますので、まず第一に養鶏経営につきましては、濃厚飼料がどんどんふえるのは目標ではないが、現在の程度をだんだん減らしていけば濃厚飼料を相当買ってもよろしい、そういうような意味におきまして、酪農なんかよりは濃厚飼料に依存する度合いがある程度のウエートを持ってもよろしいから、養鶏経営合理化を、多数飼育といいますか、規模を大きくしましてするように、そうして生産の増強ができますように合理化をされていくといいと思うのです。この意味におきまして考えてみまするというと、越ケ谷付近でも数千羽、五千羽から一万羽くらいの、水田耕作をして農家養鶏をしているのが相当ございます。豊橋付近にも三万羽くらい飼っているのがあります。神奈川では十人未満の農業協同組合で約十三万羽飼っているのもある。また、村全体としましても、先ほど島根の大東町について言いましたが、四十羽くらいがだんだんこえて、全戸が、村では十万羽をこえて飼っている。これは養鶏農業を行なっているような村であり、そこで共同事業が行なわれましたならば単に購買事業販売事業の共同事業ばかりでなしに、近く農林省も協同組合を骨子にしましたり、その他一部の会社形態のものでも認めようというような農業を共同化する農業法人と申しますか、農業法人の案を提案しようとしておりますが、これはよく話題に上る果樹経営などだけでありませんで、養鶏とか一部の酪農にはそういうことは相当今でもありますし、今後も行なわれるものだと思います。他方少羽数でも、せめて二十羽以上、ほんとうは希望いたしますのは五十羽ないし百羽の間にありますが、それくらいの経営規模を持ちますようにと思うのであります。また、そういう農業経営は、その他の各種の面から生産を伸ばし、経営合理化する必要があるのでございますけれども、流通面といたしましては生産面の共同化に従って共同出荷、共同購入も卵や飼料について行なわれるように援助すべきだと思います。それからあとは共同出荷施設につきましては、団体の力も期待しなければいけませんが、卸売市場とか、新規販路でありますとか、こういうことを考えて助長いたしていきたいのでありますが、現在四百万農家で五千万羽の鶏が飼育されておりまして、約八十億個の鶏卵生産されておりますが、このうちの七割が販売用に大体回っております。その際に農村の、農家の営業上から見ましても、需給調整、価格の安定という点から見ましても、肉類とか牛乳等でも同様のことはありますが、慣習的に消費しやすい、この鶏卵とか、鶏肉というものは、農村消費も相当大きな基盤を持っている、養鶏経済と申しますか、養鶏経済が安定するように持っていくのが必要なことだろうと思うのです。またあわせまして、この農家経済の安定は養鶏によりまする農家所得の増加安定を意図するわけでありますが、貿易の自由化というようなことの意味でありませんで、やはり消費者の立場から見ましても国際水準におきまする生産費、あるいは価格によりまする養鶏を作り上げていかなければいけませんので、関税の問題とか、輸出入、貿易の点もありますが、幸いにして今は香港に相当の輸出もいたしまして、全販連がこれをやりましたり、関西の養鶏鶏卵業者がやりましたりいたしておりますが、それらの点も広くより広い地域の経済として安定するように持っていくべきだと思うのです。消費面から見ましても、先ほども農村消費のことを申し上げましたが、まだ先進諸国に比べまして非常に消費量も少ない日本全体の消費水準の状況でございまするから、一そうこれを消費増加に向かいまするというと、それらの総合施策をもちまして相当程度に農家の経済安定と国民食生活の改善に資することができると、こういうふうに期待いたしている次第でございます。
  71. 北村暢

    ○北村暢君 畜産関係は、私は非常に将来有望ですしね、酪農から、肉類から、こういう畜産の総合的な考え方からいって、この養鶏というものは経済に乗って将来消費の拡大その他を考えるというと、一体どのくらいまで伸びる見通しがあるのでしょうか。
  72. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まだ皆様方に聞いていただく段階になっておりませんが、もう相当年月をかけまして、一年足らずの間畜産の、単に改良増殖ばかりでありません、農家経営としましても、また日本の産業としましても、経営形態としましても、その生産性と申しますか、経営合理化と申しますか、そういう面につきましても、政府施策を加えました内容を持った長期計画を今作業中でございます。畜産全体でもそうでありますが、養鶏のことでございまするから、全国民経済の中でうまくこれをその作業のできましたものをおさめるというのは、何回も練り直しをしなければならぬと思いますが、個別の産業部門の一部門でありますから、まず穏当な範囲内であれば、これを目標を立てて技術的、経済的に可能というものがあれば要求をしまして、より大きい経済の計画に出ればいいだろうという気持でやっているわけであります。あわせまして、しかし、他の経済部門が影響を与えることもありますので、一応まあ所得倍増計画というようないろいろの内容もありましょうけれども、それらと歩調を合わせる要もあろうかと思いまして、昭和四十四年度に一応の計画年次を終るところで目標を立てたいと思っておるのであります。その際に、今御質問の点を申し上げますと、生産とか農業経営上可能であるかということであります。消費がアンバランスでなしについておるか、ないしは消費生産が追いつかないからこれを到達させるといいじゃないか自給し得る生産、国際水準のことも考えながら生産を伸ばすことを考えて国内自給をはかる、こういうことを考えてもいいじゃないかという、そういうような気持で立てています目下の試算を申し上げますと、所得弾性値を、言いかえますと現在までのありますような資料で所得の増加に応じて鶏卵消費量、鶏肉の消費量等を勘案して、その所得増加の割合で皆国民消費してくれると、こういうような観点から消費の方を押えますと、鶏卵は今八十億個というのが約倍以上、百七十二億個ぐらいまで持っていってもいいのじゃないか、これは飼養羽数の増加と一羽当たり平均の産卵数を増すという、こういう面で考えていってもいいと思いますが、経済面価格の面をもちまして、鶏肉につきましては、従来の廃鶏——採卵用鶏の廃鶏を肉とするということばかりではありませんで、ブロイラーといっておりますが、初めから短期飼育をして肉を供給するという面に持っていってもいいのじゃないか、この面においてもこれは卵以上の増加率を示すように目下試算中であります。この場合の飼養羽数を目下農林省の技術的観点からしますと、すなわち飼養管理がやさしいし、日本で飼養している卵や肉の生産、つまり能率を上げるという観点をも加味しまして、現在五千万羽を約倍の九千六百万羽前後に持っていくのがいいじゃないか、それには国立牧場整備とか、県の牧場の整備とか、こういう養鶏振興法とか、流通過程、消費過程、価格政策とかを逐次整備していくがよろしい、こういうふうに考えております。
  73. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  74. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  それじゃ、私、二、三質問をいたしたいと思いますが、第二条の「標準鶏」というものの品種を決定するために、「外形上の特徴農林省令で定める」こういうのでありますが、これは私この前の審議のときにもお伺いしたのでありますけれども、きょうもどなたかからお話がございましたが、外形上の特徴できめるということがまことに非科学的だと私は思う。これは何かよるべき基準というものがなければ腰だめで主観がまざって混同されて、そして標準鶏というものをきめるというところに非常な矛盾が起こりはしないか、こういう心配をいたしております。将来は、和牛あるいはホルスタイン、ジャージーというのは体型的にそれぞれの基準がございます。たとえば高さと長さの比例、あるいは胸幅と腰幅の比例、そういうちゃんと一つの体型標準というものが科学的に立てられて、その優良品種が決定され、種牡牛、種牡馬、種牡豚、そういうものが選定をされるルールがございます、ところがこの養鶏振興法では外形上の特徴だけでものをきめよう、こういう立場に立っておりますので、今申し上げましたように、私は非常な不安があるのでありますが、しかし、今の段階としてはやむを得ない、かようにも存じます。そこで、この外形上の特徴というものを文章で表わさなければならぬと私は思う。その人個人々々が証明のつかない感じ方で標準鶏と指定されたのでは、私は根拠があまりにも薄弱であるという気がいたしますが、それは省令で定めるということになっておる。その省令で定める基準がすでにできておるのか、今後今までの学問上あるいは実験産卵計数等から、かくのごときものであるという標準がすでに定まっておるのか、今後定めようとするのか、定めようとする場合には一体どういう方法で定めようとするのか、それを伺いたいと思います。
  75. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この問題は、国勢調査の養鶏振興法事前懇談会で委員長から御質問もありまして、農林省試験場及び畜産局、さらに県の畜産関係の当局も入れて研究しました結果、農民を保護することも考慮の中に入れまして、能率の高い、省令を、国の法律をもってし得るのは、品種を指定したり、かつ外形上の特徴を押えるというところがいいということで、そういたしましたとお答え申し上げましたが、そうでないものにもっといい能力のものはないかというと、固定しない関係のものではある。全くないわけではないと思います。農林省令につきましては用意がございますが、なお検討を要することはするつもりでございますが、お許しを得まして畜産課長から申し上げます。
  76. 占野靖年

    説明員占野靖年君) この品種農林省令に定める外形上の特徴でございますが、品種はこれは外貌とその資質、こういったもので判然とした特徴を持っているものを申すのでございまして、農林省令で定める外形上の特徴といたしましては、いろいろな点を考えておりますが、たとえば単冠白色レグホン種は冠の型は単冠である。羽色は黄色、それから目の色は赤栗色である。
  77. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) もういいです。そういった個々の問題はわかりました。  速記をとめて。    〔速記中止]
  78. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、質疑はつきたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 私は今議題になっておる養鶏振興法に賛意を表しますが、もちろん養鶏振興をはかりまするために、この法律が相当の効果をもたらすことは確信をいたします。しかし、真に養鶏振興を策しまするためには、生産物流通過程に関する措置、これをよろしきを得なければ、仏作って魂を入れないというようなうらみが残るのではないかと、さらに何と申しましても一番生産費の大部分を占めまするのは飼料関係にあると思いますので、その飼料関係につきましては、別に飼料に関する法律等もございまするが、必ずしもその法律生産者諸君の要請しておりまするごとくにしっかりと動いてはいないといううらみがないわけではないと思います。そこでこの法律に直接しておるわけではございませんが、今申し上げました生産物流通過程の問題と、生産の基礎をなすえさの問題等につきまして、この法律の趣旨が生きていきまするようなことに持っていくための措置について格別の配慮と申しますか、工夫と申しますか、ということをすみやかに十分におとりいただきまするようにという注意なり希望を付しまして賛成をいたしまする次第であります。
  81. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、討論を終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。養鶏振興法案を議題に供します。  本案衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条によって議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  85. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。  本日はこれをもって散会をいたします。    午後二時五十八分散会