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政府委員(
安田善一郎君)
養鶏振興と
農家経済の安定、
国民食生活の
改善に関しまする非常に重要な御質問だと思いますが、私どもは、
政府といたしましては今回の
養鶏振興法は、大家畜におきまするすでにありまする
法律の家畜
改良増殖法に匹敵する
標準鶏、種、その
表示、ないし優良な
資質を備える鶏の
改良普及制度をまずきめよう、それすらないからそれをきめよう、その
法律の
施行に関しまして必要な
種鶏業者と
孵化業者と、
養鶏の
経営者すなわち
養鶏農家でございますが、それに対する
施設等の
資金の
あっせん措置、あるいは指導
援助の
措置を
規定するのをつけ加えまして御提案申し上げたのでございますが、
衆議院では、現在の
段階はいかに農林行政がおくれておったり、
養鶏が副業中心であったりいたします場合でも、すでに広くいえば畜産、その中の重要な
養鶏が、それ自身も産業として成長したり、
生産性を増したり、企業の
合理化をはかった形態で発展することも望ましいし、またさらに目標を大きく、
養鶏振興法というのだから、いろいろ
日本の各地においても
養鶏でもちまして
農家経営の安定をはかっておることもあるのだ、耕種農業、その他の家畜を
飼育しながらさらにそこへ
養鶏を入れて一そう
農家経済の安定をはかるところもある。あわせまして
日本の
国民の
現状から申しますと、畜産物の中で一番安易になれて、
日本人の食生活をまかなっている優良
蛋白食料は
鶏卵だといって過言ではない。従ってもう少し規模を広大にして、いろいろな
施策がまだ具体化しない場合には
一般養鶏農家経済、
流通経済の発展度にもよるけれども、これについて
助長をしましたり、促進しましたりする手段を講じまして、
養鶏審議会をそれだから設けまして、そこでよく
審議をいただいて、目標は少し大きく出せという御
修正をいただいた、こういうことでございます。そこで私どもは特に畜産の
生産面におきまする点でも
品種改良、あるいはその
改良品種の
普及等については相当の進歩の
度合いを持っておりますが、
養鶏の
経営という
生産面につきまして、また
養鶏生産物の
流通消費の過程におきましては非常に後進性と申しますか、封建性と申しますか、
合理化をされておらない、
近代化されておらない点がございますので、まず第一に
養鶏経営につきましては、濃厚
飼料がどんどんふえるのは目標ではないが、現在の程度をだんだん減らしていけば濃厚
飼料を相当買ってもよろしい、そういうような
意味におきまして、酪農なんかよりは濃厚
飼料に依存する
度合いがある程度のウエートを持ってもよろしいから、
養鶏経営の
合理化を、多数
飼育といいますか、規模を大きくしましてするように、そうして
生産の増強ができますように
合理化をされていくといいと思うのです。この
意味におきまして考えてみまするというと、越ケ谷付近でも数千羽、五千羽から一万羽くらいの、水田耕作をして
農家が
養鶏をしているのが相当ございます。豊橋付近にも三万羽くらい飼っているのがあります。神奈川では十人未満の農業協同組合で約十三万羽飼っているのもある。また、村全体としましても、先ほど島根の大東町について言いましたが、四十羽くらいがだんだんこえて、全戸が、村では十万羽をこえて飼っている。これは
養鶏農業を行なっているような村であり、そこで共同
事業が行なわれましたならば単に購買
事業、
販売事業の共同
事業ばかりでなしに、近く
農林省も協同組合を骨子にしましたり、その他一部の会社形態のものでも認めようというような農業を共同化する農業法人と申しますか、農業法人の案を提案しようとしておりますが、これはよく話題に上る果樹
経営などだけでありませんで、
養鶏とか一部の酪農にはそういうことは相当今でもありますし、今後も行なわれるものだと思います。他方少
羽数でも、せめて二十羽以上、ほんとうは希望いたしますのは五十羽ないし百羽の間にありますが、それくらいの
経営規模を持ちますようにと思うのであります。また、そういう
農業経営は、その他の各種の面から
生産を伸ばし、
経営を
合理化する必要があるのでございますけれども、
流通面といたしましては
生産面の共同化に従って共同出荷、共同購入も卵や
飼料について行なわれるように
援助すべきだと思います。それからあとは共同出荷
施設につきましては、団体の力も期待しなければいけませんが、卸売市場とか、新規販路でありますとか、こういうことを考えて
助長いたしていきたいのでありますが、現在四百万
農家で五千万羽の鶏が
飼育されておりまして、約八十億個の
鶏卵が
生産されておりますが、このうちの七割が
販売用に大体回っております。その際に農村の、
農家の営業上から見ましても、需給調整、
価格の安定という点から見ましても、肉類とか牛乳等でも同様のことはありますが、慣習的に
消費しやすい、この
鶏卵とか、鶏肉というものは、農村
消費も相当大きな基盤を持っている、
養鶏経済と申しますか、
養鶏経済が安定するように持っていくのが必要なことだろうと思うのです。またあわせまして、この
農家経済の安定は
養鶏によりまする
農家所得の増加安定を意図するわけでありますが、貿易の自由化というようなことの
意味でありませんで、やはり
消費者の立場から見ましても国際水準におきまする
生産費、あるいは
価格によりまする
養鶏を作り上げていかなければいけませんので、関税の問題とか、輸出入、貿易の点もありますが、幸いにして今は香港に相当の輸出もいたしまして、全販連がこれをやりましたり、関西の
養鶏鶏卵業者がやりましたりいたしておりますが、それらの点も広くより広い地域の経済として安定するように持っていくべきだと思うのです。
消費面から見ましても、先ほども農村
消費のことを申し上げましたが、まだ先進諸国に比べまして非常に
消費量も少ない
日本全体の
消費水準の
状況でございまするから、一そうこれを
消費増加に向かいまするというと、それらの総合
施策をもちまして相当程度に
農家の経済安定と
国民食生活の
改善に資することができると、こういうふうに期待いたしている次第でございます。