運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-01 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月一日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員異動 二月二十六日委員清澤俊英君及び大森 創造辞任につき、その補欠として藤 田進君及び亀田得治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            田中 啓一君            北村  暢君            戸叶  武君            中田 吉雄君            藤田  進君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省蚕糸局長 大澤  融君    水産庁次長   高橋 泰彦君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁漁政部漁    船保険課長   杉田 隆治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査繭糸価  格に関する件) ○漁船損害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  二月二十六日清澤俊英君及び大森創造君が辞任、その補欠として藤田進君及び亀田得治君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここで御了解を得たいと存じます。  それは、過ぐる第三十三回国会において成立を見ました繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律に対し、当委員会において附帯決議が行なわれ、その中に「売渡先の選定に当ってはこれが直接輸出並びに織物の生産等実需者に限定し、実需を伴わない転売等によって投機的利潤を与える結果にならないよう充分留意すること。」ということが掲げられておるのであります。ところが、この売り渡し先について、過般の懇談会によって御了承のように、生糸問屋を加えましても決議趣旨に反するようなことがないという理由で、このほど農林省蚕糸局長から繭糸価格安定審議会委員了解を得、売り渡し先問屋を加えることにいたしたいから、当委員会了解を得たい旨申し出がございました。過般の懇談の次第もあり、了承を与えることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本件につきましては、二月二十三日に提案理由を聴取いたしました。生ず補足説明を求めます。
  6. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、さきに政務次官より御説明のあった通りでございますが、本改正案概要及びその趣旨につきまして、私より補足的に御説明申し上げたいと存じます。  申し上げるまでもなく、漁船損害補償制度は、漁船損害補償法第一条に明記されております通り、「漁船につき、不慮の事故による損害の復旧及び適期における更新を容易にし、もって漁業経営の安定に資することを目的とする。」制度でございまして、現在保険加入隻数は約十万隻に達している状況でございますが、なお、小型漁船加入率は低く、沿岸漁業振興の見地からも本法目的は十分には実現されていないなど、今後の漁船保険事業の健全な発展をはかるためには、なお改善を要する点が見受けられることは、先日の提案理由説明で御説明があった通りでございます。このような事情にかんがみまして、政府漁船損害補償制度調査会の答申を基本といたしまして、制度改善のための所要予算措置を講ずる一方、これと並行いたしまして所要立法措置を講ずることとし、今回この法律案を提出いたしました次第でございます。  次に、改正法案内容について概要説明申し上げます。  改正案骨子の第一は、料率体系合理化をはかったことでございます。そうしてその第一点は、保険料率の具備すべき基準を法定したことでございます。現行法におきましては、保険料率定款記載事項といたしまして、定款変更認可要件規定適用があるだけでありまして、その具備すべき要件に関しましては何ら特別の規定を置いていないのでございますが、このような事情もありまして、純保険料率は必ずしも保険収支均衡をはかり得るよう危険率基礎として定められていない実情でございます。その結果、純保険料にかかわる保険収支大型漁船関係では黒字、小型漁船関係では赤字となっておりまして、そのため保険組合におきましては小型船を引き受けようとする意欲が比較的低調であり、また小型船を主体とする保険組合におきましては経営の困難、執行体制脆弱化などの問題を惹起している状況でございます。本来、小型船階層近代的企業として純化されておりませず、また物的担保を信用の基礎とするような近代的金融ともなじみが少ない等のため、保険需要が低調であり、従って、その保険需要を積極的に開発して参るためには、保険者側小型船階層に対しまして積極的に働きかけることが当然要請されるわけでございます。しかるに、料率体系がアンバランスでありますために、小型船に対しまする保険組合の積極的な働きかけが阻害される傾向がございますので、この際、保険料率の具備すべき要件を法定いたしまして、純保険収支均衡をはかり得るようにいたしまして、この点の是正をはかることとした次第でございます。なお、満期保険積み立て部分全額保険でございまして、保険組合保険収支関係がなく、また特殊保険は元来危険率測定そのものが困難であるという特殊事情がありますので、保険料率の具備すべき要件はこれらの保険以外の保険、すなわち普通損害保険及び満期保険損害部分のみについて規定することといたしました。普通損害保険及び満期保険損害部分の純保険料率の具備すべき要件といたしましては、第百十三条の四におきまして、危険区分ごとに定めること、それから各組合当該保険にかかわる危険率基礎とし保険収支均衡をはかり得るように定めること、及び再保険料率を下ってはならないことの三点を法定いたしております。このうち第二点が中核をなす要件でありますが、特に第三点を法定いたしましたのは、元受保険料率危険集団の大きさが再保険の場合よりも小さいため、料率設定にあたって安全率のウエートを高くする必要があることから当然再保険料率よりも高く定めなければならないためでございます。  第二点は、再保険料率算定基準を法定したことでございます。現行法におきましては、再保険料率は純保険料率同率とすると規定されているのでありますが、本来、再保険と元受保険とは危険分散範囲を異にしておりますために、元受の段階において保険収支均衡するように純保険料率を定め、この純保険料率をそのまま再保険料率として適用いたしますと、再保険料が若干取り過ぎとなる結果を生ずるのでございます。従って、再保険料率原則として元受純保険料率と切り離して定めることといたしまして、その算定基準も元受保険料率とは別個に法定することといたしました。ただし、満期保険積み立て部分全額保険であり、また特殊保険は性質上厳密な保険理論適用は困難でございまするので、これらについては、従前通り保険料率は純保険料率同率とすることといたしております。普通損害保険の再保険料率は第百十七条第一項に規定しております、すなわち、普通損害保険の再保険料率異常危険部分に対応する部分の率と通常危険部分に対応する部分の率とを合計した率とするものとし、そのそれぞれにつきまして算定基準を明示いたしました。まず、異常危険部分に対応する部分の率は、一定年間における各年の組合ごと及びトン数区分ごと台風その他の異状な天然現象による危険率のうち、標準危険率を越えるものの、その越える部分の率、すなわち異常危険率基礎として農林大臣組合ごと及びトン数区分ごとに定めるものでございます。ここに一定年間と申しますのは、台風等損害——週期性を考慮いたしまして、料率算定の日の属する年度の三年前の年度からさかのぼって十年間とする予定でございます。ただし、改正法施行後、当初に定める再保険料率につきましては、資料の制約から九年間とする予定でございます。また標準危険率と申しますのは、発生頻度から見まして異常と考えられる部分の率と通常考えられる部分の率とを区分する標準となる危険率の意味でございまして、農林大臣トン数区分ごとに定めるものでありますが、各トン数区分ごとにそれぞれ発生頻度九五%までの危険率通常危険率とし、その他を異常危険率と定める予定でございます。なお異常危険率に対応する率を組合ごとに定めるものといたしましたのは、台風などの地域性を考慮したためでございます。また、トン数区分ごとに定め、危険区分まで細分化して定めないことといたしましたのは、台風などの危険率が同一トン数階層間における船質設備等危険区分を分類する他の要素によって左右される度合いは比較的少ないと考えたためでございます。  次に、通常危険率に対応する率は前述一定年間におけるすべての組合の各年のトン数区分ごと危険率から異常危険率を控除した率を基礎として算定される全国平均危険率基準とし、これにトン数区分間の調整を施したものを基礎といたしまして、危険区分ごと農林大臣が定めることとしております。この場合、トン数区分ごと全国平均危険率基準とすることといたしましたのは、異常危険率と異なる地域性をそれほど考慮する必要がなく、再保険本来の全国分散の建前に立って料率を定めることが可能かつ適当と考えたためでございます。また全国平均危険率トン数区分間の調整を施すこととしたのは、トン数区分ごと危険率基準としつつも保険料国庫負担を勘案して大型船小型船間自己負担均衡をはかるためには、ある程度相互扶助的原理によりまして小型船料率大型船に転嫁する必要があると考えたためでございます。満期保険損害部分にかかわる再保険料率は、第百十七条第二項において、普通損害保険の再保険料率同率とする旨を規定いたしております。  改正案骨子の第二は、純保険料国庫負担方式改善をはかったことでございます。まず、その第一点は、義務付保等に伴う保険料国庫負担方式改善合理化でございます。現行法におきましては、義務付保等の場合につきましては大型船小型船を問わず、一律に一定保険金額に対応する純保険料の二分の一に相当する額を国庫が負担することとしておるのでございますが、漁船の大小による被害の受け方及び漁業経営階層差を考慮いたしますれば、このことは必ずしも合理的とは考えられませんので、国庫負担方式を次のように改めることにいたした次第であります。すなわち、まず異常危険は本来不可抗力的なものであり、また、その発生負担能力の劣弱な小型船階層に特に多いことを考慮いたしまして、保険金額に再保険料率のうち異常危険率に対応する部分の率を乗じて得た額、すなわち異常危険に対応する純保険料全額国庫が負担することといたしました。この部分の純保険料は異常危険の性格にかんがみ、組合員かわり国全額負担する趣旨でございます。この場合、異常部分国庫負担を異常再保険料率によって行なうこととし、異常純保険料率によって行なわないこととしているのは、異常再保険料率組合ごとに定められる結果、これをそのまま異常純保険料率と見なすことが可能であると考えたためであります。  次に、通常危険率に対応する純保険料については、原則として保険価額の五割に相当する保険金額に見合う通常部分の純保険料に対し、漁船対象に応じて最高百分の六十から百分の四十までの割合を乗じて得た額を国庫が負担することとし、小型船に対する国庫負担を従来よりも増額する措置を講じたのであります。以上の措置によりまして、危険率基礎として純保険料率を定めることに伴う小型船料率の上昇に対応いたしまして、保険加入促進に資することとしたのでございます。なお、五トン未満動力船について、附則で当分の間通常危険率に対応する純保険料国庫負担率を百分の六十とすることにいたしておりますが、これは百分の五十五の国庫負担率では自己負担軽減は困難であり、また、この階層沿岸漁業振興の主要なにない手として特に育成する必要がありますので、当分の間、無動力船並みに百分の六十の国庫負担率適用することとしたのでございます。  国庫負担改善に関する第二の改正点は、義務付保等以外の場合について、新たに、一定要件のもとに保険料国庫負担を行なう道を開いたことでございます。今次の改正による料率体系合理化に伴いまして、小型船料率相当程度引き上げになりますため、義務付保等の場合については、前述通り小型船に対する国庫負担の増額をはかり、自己負担軽減措置を講じたのでありますが、諸種の事情により、義務付保に必要な一定数同意が得られない場合には、小型船自己負担が増加し、保険加入の障害となることが懸念されるわけでございます。従いまして、このような場合に対応することといたしまして、小型船保険加入促進に資するために、新たに加入区内小型指定漁船、すなわち加入区内根拠地を有し、年間六十日以上漁業に従事する二十トン未満動力船の二分の一以上かつ一定数以上が保険加入した場合について、義務付保の場合の二分の一に相当する額の保険料国庫負担を行なうことといたしました。第百三十九条二の新設の規定がそれでございますが、この場合の国庫負担要件といたしましては、加入区内小型指定漁船の二分の一以上かつ一定数以上が付保されている状態があれば足りるわけでありまして、必ずしもこれらの漁船が一括して同時に付保されることを要するものではございません。また、この場合の一定数としては、一応現在義務付保成立していない漁業協同組合地区内の小型指定漁船在籍船数平均二十八隻程度であることを勘案いたしまして、その二分の一、つまり約十五隻程度政令規定する考えでございます。なお、本条の要件を具備する加入区内住所を有する者が所有し、または当該加入区内に主たる根拠地を有する小型動力漁船及び無動力漁船は、小型指定漁船以外のものであっても国庫負担対象となりますが、この点は義務付保の場合と同様でございます。  改正案骨子の第三は、義務付保などの単位となる地区の範の明確化及び合理化をはかったことでございます。現行法におきましては、義務付保成立及び運営にあたって漁業協同組合の果たすべき役割が大きい点にかんがみまして、漁業協同組合地区をそのまま義務付保単位となる地区としているのでございますが、その結果、漁業協同組合地区変更などによりまして、対象地区範囲が不明確となるおそれがあるほか、漁業協同組合地区に重複がある場合、その地区が著しく広い場合、離島などのため、その地区内の交通が不便な場合、それから指定漁船所有者の数が著しく多い場合などには付保義務発生が不円滑となるおそれもなしとしないわけでございます。従って、これらの点を改善するために、対象地区都道府県知事指定することといたしまして、その確定をはかることともに、その指定にあたりましては、漁業協同組合地区と一致するように指定することを原則としつつも特別の事情がある場合は、農林大臣認可を受けて漁業協同組合地区の一部を対象地区として指定することができるごととしたのでございます。  なお、原則として、漁業協同組合地区指定地区とすることに伴いまして、漁業協同組合地区変更があった場合などには、対象地区変更することになりますが、対象地区変更によりまして付保義務消滅を来たし、新たに付保義務発生手続を更新する必要を生ずることになりまするので、現に付保義務発生手続が進行中の場合、付保義務発生後一年を経過していない場合など、政令で定める場合には、漁業協同組合地区変更があった場合でも、対象地区変更を要しないものとして取り扱う考えでございます。  以上の三点が本改正法案骨子でありますが、なお、このほか、次の諸点についてもあわせて改正を加えることといたしております。  第一は、役員等に関する規定の整備でありますが、役員及び総代の任期が短期間でありますため、執行体制の確立の困難な向きも見受けられますので、その任期の延長をはかるとともに、役員責任体制を確立いたしまして、組合運営適正化に資するため、農業協同組合法等規定にならいまして、役員忠実義務及び賠償責任に関する規定を設けることといたしたのでございます。  第二は、満期保険以外の保険についても、広く保健関係承継または存続の道を開いたことでございます。現行法におきましては、漁船の譲渡があっ出た場合において承継人組合員たる資格を有しないときは、当該漁船にかかわる保険関係は、満期保険以外は承継できないものとしているため、このような場合には、承継人組合員資格を有している保険組合に新たに当該漁船を付保する必要がありまして、その新たに付保するまでの間において、一時的に無保険状態を生ずることとなって、取引の実情に適しないのでございます。従って、満期保険以外の保険についても、このような事態を防止するため、広く保険関係承継の道を開くこととしたのでございます。同様の趣旨によりまして、組合員が、住所または主たる根拠地の移転により、組合員たる資格を喪失したため組合を脱退した場合にも、広く保険関係存続を認めることといたしております。  第三は、組合経理に関してでありますが、組合経理明確化及び適正化をはかるため、保険事業種類に応じて経理を区分して、別会計とすることにいたしました。ただし、業務の執行にかかわる収入及び支出につきましては、その支出面保険事業種類ごとに区分することが困難であるという事情がありまするので、特に普通保険会計において一括経理することといたしております。  第四は、付保義務消滅に関する規定改正であります。従来、付保義務は、一たん発生すれば、指定漁船所有者一定数付保義務消滅に関する同意をした場合を除きまして、特別の事情のない限り、永久に継続するとしているのでありますが、時の経過に伴って、付保義務発生に関する同意をした者が変更することを考慮いたしまして、四年ごと付保義務消滅するものといたしまして、付保義務発生に関する手続を四年ごとに更新することによりまして、義務付保制度運営適正化をはかることとしたことがおもな改正点でございます。  第五は、再保険料延滞金に関する規定を新設したことでございます。従来、再保険料納入遅延は、本法には規定しておらず、遅延した場合には民事法定利息年五分による遅延利息を徴していたわけでありますが、今回これを法定するとともに、適正な遅延利息を徴収することができることとして、国の債権の管理適正化をはかろうとするものでございます。  以上で、本法律案概要趣旨についての補足説明を終わる次第でございます。
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本件に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法律案のうちで、再保険料納入が遅延した場合に、延滞金を取るという規定がここにできたのでありますが、これは延滞利息というものを政令割合をきめるというふうに規定にあるようでありますが、どれくらいにきめるつもりでございますか。
  9. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) ただいまの御質問は、再保険料延滞利息はどの程度上がるかということでございますが、先ほど御説明いたしましたように、現在の再保険料納入のおくれます場合は、特にきめられておらず、民事法定利息の年五分による延滞金を徴しているのでありますが、これをある程度引き上げたいとは考えております。ただ、一挙にこれを引き上げますと、漁船保険組合経理上にもいろいろ問題もあるようでございまして、考え方といたしましては、まあ若干の引き上げというような考え方でただいま考えておるわけでございますが、ただいまの時点におきまする率その他の具体的な数字につきましては、漁船保険課長から一つお答えさせていただきたいと思います。
  10. 杉田隆治

    説明員杉田隆治君) この延滞利息につきましては、今、大蔵省と折衝の段階でございまして、大体大蔵省了解を得た程度数字でございますが、一応申し上げますと、債権管理法に基づきますると日歩二銭四厘ということになるのでございまして、大体この二銭四厘を最高限度としまして、また、先ほど次長からお答えしましたように、一挙に上げるということは困難な情勢もございますので、一応三年計画で、二銭四厘の利息の線まで上げていくというようなことで、大蔵省の一応了解を得ております。そうしますと、第一年目は、従来五分のものが六分二厘五毛になります。第二年目は七分五厘、第三年目が八分七厘六毛というようなことになるわけでありますが、大体以上でございます。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この従来の五分という延滞金といいますか、延滞利息といいますか、その程度であれば、まだどうにかしんぼうができるのでありますが、大体保険内容を見ますというと、百トン以上の比較的大型漁船になりますと、船価も非常に高くなっておりますので、従来組合保険すなわち政府のやっております漁船保険——漁船損害補償法による保険に加入して、さらにまた民間会社保険にも入らないと、たとえば一億五、六千万円もするような船、最近はカツオ、マグロの船だとかいうような船ができますと、大きな金額になる。大体政府で取っております保険金額は七千万円か八千万円というのが大かた限度になっておって、それ以上のものは民間保険につけるというようなことになっている場合が多いのです。しかもまた、民間では小型漁船保険に取りませんけれども、大型のはどしどし取る。そうして大型保険につきましては、民間では分割払いを認めておる。最初加入しまして、その四分の一あるいは半額なら半額というものを納めておきますと、あとの半分は二回なり三回なりに、漁をして帰ってきたたびにそのうちから保険料を納めていくというふうな分割払いをして、そうして保険をかける人たち、被保険者に非常に便宜をはかっておるわけであります。のみならず、また保険会社といたしましては、保険に加入しておりますと、いろんな面で金融もつけてやるというような便もある。民間保険会社は、いろいろ魅力のある点で、この保険を吸収しよりとしておるのでありますが、保険料率からいきますというと、組合保険料率は安いけれども、組合保険だけでは全額かけることができないから、二つにまたがってかける。あるいはもうめんどうだから、いっそのこと組合のをやめて、会社にかけた方が何かと便利がある、一ぺんに払わなくてもいいからというようなことで、最近大型船がだんだん組合から離れていこうとする傾向があるんです。これは先ほどもお話のありましたように、保険組合経理状態から見ますというと、小さい小型漁船をたくさん取りましても、一こうこれは経理上うまみはない。非常に金額が小さいために、手数ばかりかかって、実際は組合としてはあまり利益がない。そうしてその経理をどうしておるかというと、大型船は事故も少ないし、大型船をよけい取りますというと、組合は非常に黒字で工合がいい。言いかえれば、大型船保険料でもって小型船がある程度カバーされているといったような状態経理に今なっておるんです。それが漸次大型船組合から離れていって、民間会社に入るということは、これは保険料からいうと、被保険者は損でありますけれども、そのほか分割払いであるとか、あるいは金融の面であるとか、何かに便利がある。あるいはリベートがあるとかいったようなことで、漸次組合から離れていこうとする傾向が、だんだん見られてくるようになりました。そこで私どもとしては、政府の再保険につきましても、将来というか近いうちに、大型船については、分割払いをある程度認めてはどうかというふうに考えているのですが、この点は水産庁としては、どういうふうに考えておられますか。中には先ほどの言葉のうちにもありましたが、分割払いを認めると、どうもその保険料が入りにくくて、経理に困るということがありましたけれども、これは本来認めていないのをそうするから困るのであって、もう法律でもってそれを認めれば、その心配はないことになる。ことにまた私どもの考えでは、ごく小さなものについての分割払いは、ちょっと考えにやならぬ点もあるかと思いますが、百トン以上の船についての分割払いとなりますと、そうその危険はない。そうしてむしろその加入者をふやしていく方が有利じゃないか、保険の面からいっても有利じゃないか、こういうふうに考えたのですが、当局はどういうふうな考えを持っておられますか。
  12. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) これは現行制度でもさようでございますが、今度の改正にあたりましても、御指摘の分割払い制度をどうするかというふうなのが、かなり重要なポイントであろうかと思いますので、まず、その分割払いの現況について、若干御説明しておいた方が御審議によかろうと思いますので、その点も若干説明させていただきたいと思います。  一般的な概況につきましては、ただいま秋山委員の御指摘になった通りでございますが、若干事務的に説明させていただきますと、一部の大型漁船などにつきましては、保険料が御指摘のように非常に多額に上ります関係で、これは現在は漁船保険組合の定款で定めているわけでございますが、現状を見ますと、定款で三回以内の分割払いを実施している組合が多いようでございます。そこで、この三十三年度あたりの決算を拝見いたしますと、過年度の未収保険料は約一億四千万円あるわけですが、このうち倒産とか転廃業、住所不明といったような理由によりまする回収不能と思われるものは、約二千七百万円程度というふうに推定されておりまするので、未収保険料発生の原因は分割払いであろうというふうに一応考えられるわけでございます。従いまして、組合経理上の問題もありまするので、実はできるだけ分割払いは廃止するような方向で指導したいと考えておりますし、この漁船保険に関しまする調査会の御意見も、大体そういうことのように承っているのでありますが、しかし、御指摘のように、民間保険との関係もございまするので、今直ちにこれを廃止することは、やはり御指摘のように困難ではないかと考えているわけでございます。それが大体分割払いの現状でございますが、ただ分割払いはできるだけ廃止する方向で考えたいと申し上げましたが、今これを今度の改正にあたりまして、分割払いをしてはいけないということを法制化してはどうだというふうな御意見もあったわけでございまするが、しかし、そのようなことは今の段階では諸般の情勢も考えまして、まだ実態としては無理であろう、ただ、これにつきましては、現在の分割払いが、若干、現行法でそれでは真正面から認めているかどうかという点についても、若干法制的な疑義もないわけではございませんが、しかしこれもまた、はっきり違法ということも解釈上どうかと思う点がありまするので、結論としては、この問題につきましては法制化することを避けまして、指導方針として漸次少なくしていくという方向で善処して参りたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういう御意見は一前々から私ども承っておるのですが、今の法律上は分割払いは認めておりません。けれども各組合が、組合員実情をよく見ますというと、一ぺんに全部の保険料を取り立てるということになりますととてもかかれない、そうすると結局、民間保険の方に逃げてしまう、これはどうもせっかく組合を作って、そこでやっている保険を弱体化させるから、定款である程度の分割を認めておる、しかも、この定款というものは農林大臣認可を受けてやっているわけです。だからしてまあ政府はある程度認めておる。しかし、法律では認めてないというのが、いわゆる再保険納入を一気にすれば、組合分割払いをしていることは、分割して納入をさしていることは、まあまあ認めよう、こういったような気持だろうと思うのです。そこで、組合といたしましても、政府に納めるのは全額一ぺんに納めなければならぬ、そうして被保険者から取る分は三べんなら三べんに取るというと、その一回分は取りましてもあとの二回分というのは組合が立てかえをしなければならない、こういう格好に現在なっておるわけです。そこで、その金額もある程度かさまりますが、その立てかえていく分は、この法律によりますと金利がついてくるわけですね。今までは年五分の程度のいわゆる非常に低い民事法定利息ということできておったようでありますけれども、今度は、今お話のように、二銭四厘まで取っていこうということになりますと、今度は組合は非常につらいことになる、そうすると、組合としては分割払いはできるだけお断わりするということになりますと、そうするとその分は民間へ逃げていく、こういう結果が出てくるのです。そこで痛しかゆしのところもありますが、その危険度、危険率というものをよく考えなければなりませんけれども、だんだん大型船になりますと危険の率は少なくなってくる。そこで、ただ漁業経営状態、あるいは漁協の状態等によりまして、その経営者が非常に苦しい経営になってくるというと、分割せられたあとの分が払えないということも出てくるわけでありますが、一面その間に事故を起こせば払ってないと困るわけです。しかし、事故を起こせば、分割払いを認めておればそれは取れるから、その保険料でもって支払いができるわけです。そこで組合としましても、分割払いを認めてもらいたいというのと、それから下手に認めるというと、いわゆる未収入がたくさんふえるから困るのと二通りあるのですが、この点は非常に研究を要すると思いますけれども、漸次これが民間に置きかわっていきますというと、保険組合経理というものは非常な苦しいものになると思うのです。その点をぜひ一つ考えなければ、せっかく今日ここまで発展してきたものが、民間に取られてしまうというと、この保険事業というものは衰退していくという結果になりはせぬかと思う。そこで、あなた方の指導によって、漸次分割払いをなくしようというけれども、これは下手やると角をためて牛を殺すような結果になりはせぬか、むしろ法律的にある程度分割払いを認めて、そうして分割払いを認めるについては、ある程度の条件でもつけていくといったようなことにしてやった方が、むしろこの組合保険事業を将来発展させるために非常にいいのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えますが、これはいかがでございますか。
  14. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) これは非常にむずかしい問題でございます。まず原則論だけからいいますと、分割払いは認めない方が健全な漁船保険発展のためによろしかろうというふうに考えるわけでございますが、しかし、御指摘のように、民間保険会社との競争の関係で、そういうかたいことばかりいいますと、事実上、特に大型漁船につきましては、民間保険が流れていきまして、その結果として漁船保険組合経理が非常に苦しくなってくるというお話については、全く私どももそのように考えるわけでございます。これは非常にむずかしい問題で、私どもいろいろ検討いたしましたのですが、結論としては、とにかく今の段階で、これを法律の上でぴしゃっときめることは非常に困難でございますので、その点は、方針としては、分割払いをなるべく認めていかないという方針のもとに、御指摘の問題につきましては、実態に合わせながら、その運用面で考えていかなければならぬのではないか、大体こういう方針で現在おるわけでございますが、御指摘のように二つの違った要請が同時にございまするので、その点は、私どもとしても苦慮しているような次第でございます。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 とにかく保険料からいきますと、組合の方がずっと安いのです、現在は。だからなるべくなら、組合に入りたい、組合保険に入りたいという感じを持っておりましても、一ぺんにこれをかけなければならぬということになると、たまらぬ。まあ金を借りるにしても、銀行で借りれば利息は安いが、非常にむずかしい。仕方がないから、利子は高いけれども、高利のものを借りようというようなことになるわけで、そこに、かかる被保険者としても非常に苦しいわけです。だから、一部は組合にかかっておいて、あとはまた民間にかかる、こういうようなことをやっている組合がたくさんあります。これは保険金額限度というものもありますけれども、この限度もある程度引き上げていいのではないかと私どもは思っておりますが、何分にも、安いけれども一ぺんに払うのに払えないから、入れないという船がたくさんある。そこでやむを得ず今のような、再保険金額組合全額を納める、多少遅延するかもしれぬけれども納める。けれども、組合自体は分割で、三べんなら三べんに取っているということになりますと、その間の金利は非常に大きな負担になるわけです。そこで、その金利を被保険者にかける場合もありましょうし、組合が負担する場合もありましょうし、そこは組合によっていろいろ違っているかもしれませんが、いずれにしても、そういう点について、この保険についての延滞金というものが、非常な重荷になってくるのです。今までは五分くらいのものでいっておったやつが、今度は二銭四厘にも上がってくるというと、かなりな——今、五分というと、一銭五厘か六厘ですか。
  16. 杉田隆治

    説明員杉田隆治君) 一銭三厘五毛です。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、一銭以上上がるということになるのですね、二銭四厘ということになると。これはまあ一銭といっても、金額が大きいから非常に大きなものになるのです。そこで、私どもはこれを今お話のようにいろいろな関係から、急に分割払い法律で認めることができないとしますれば、事実は分割払い組合はある程度認めておりますから、その延滞利息というものをできるだけ軽くしてやって、そうしてその組合から逃げる業者をも助けてやる。逃げるということは、苦しいから逃げるのですから、そういったふうにしなければならぬと思っておりますが、今後この法律案の審議が進むに従いまして、私どもはこの点に少し文句をつけたいと思っております。せっかく進んできておるものを、ここでもってぴしゃっと押えてしまうと、これは後退することになります。危険なものもありましょう、それは倒産するものもできてきましょうが、これは漁船ばかりではありません。景気いかんによっては、ほかの企業にもありましょうし、また、漁場の状態によって、そういうことも起こってきましょうけれども、それはごく一部分であります。危険が事故によった場合は、これは問題ない。事故でない場合に、何がしかのものが引っかかるということはありますが、それは組合自体として、非常に危険な、脆弱な経営をしておる者に対する分割払いに対しては、組合自体が保険を取るときに考えるはずなんです。けれども、うまくいきよったやつがうまくいかなくなるという例もありますから、それは絶対に安全だとは言えませんけれども、今、私どもが懸念しておりますようなことで、漸次せっかく安い保険料組合がここまできたやつが、だんだんとよそへ取られていく。そうすると、この保険料は、なるほど表面は安いけれども、いろいろ裏で分割払いを認めるとか、あるいはリベートを出すとか、事故が少なければまた何とか考えるというようなことになると、案外保険料も高いものでないことになってくるのです。そこで、政府としては、再保険をするのだから、がっちりやっておって、一切損害の起こらないようにやるということは、それはもっともでありますけれども、そこまで行ってしまうというと、いわゆる牛を殺してしまう結果になるということを非常におそれるわけであります。なおこれは、今後十分一つ検討して、私としては、場合によっては、この法律改正を、今回はやらぬにしましても、将来考えなければならぬかと考えておりますが、政府としても、いろいろな面から資料を収集して、そういう場合にどうすれば  いいか一この法律改正の際に、いろいろな意見が出て、分割払いを認めるにしても、何かの条件をつけて認めたらどうかというような意見もあったようであります。これも私は一案だと思います。これは非常にむずかしいと思いますけれども、銀行あたりの保証でもとってやればいいのだというようなこともあるわけでありますから、何らか、そういうふうにして、せっかく便利といいますか、安い保険料損害を補償してやろうというこの制度が後退しないような方法をとりたいと考えておりますので、この点一つ十分検討していただきたいと思います。同時にまた、大蔵省との折衝によって、何もこれは延滞利息をよけい取ったからといって、国家の収入として大したことじゃないのですが、そういう意味でもって、この延滞利息というものはそんなに高くしないようこということを、一つなお重ねて折衝していただきたい。きょう一日でこれは上がるわけでもありますまいから、われわれとしてもう少しこの点を考えたいと思います。
  18. 東隆

    ○東隆君 私は、秋山さんのと少し反対のような質問になると思いますが、組合は地域組合と業態組合とになっておるわけですね、それで、業態組合の方は、私は大型船が多いと思うのです。それから、地域組合小型船が多いと思います。そこで、この漁船損害補償法というのは、私は、小型船のようなものに対して損害を補償することをこれは前提に置いてやっているものじゃないかと、こう考えるのですが、この点はどうですか。
  19. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) この漁船損害補償法は、特に国の費用においてこの事業の円滑な発展を援助いたしておるわけですが、その国の財政的な裏打ちで御援助を申し上げる趣旨は、御指摘のように、主として小型漁船のただいまの経済状態から見まして、それにつきまして費用の軽減をはかるという趣旨で国が御援助申し上げておる、このように理解して参っております。
  20. 東隆

    ○東隆君 そこで私は、この組合種類及び区域をこういうふうに二つにお分けになった理由は、これは組合運営上、非常に性質の異なったものだから、こういうふうにおやりになったのだろうと、こう理解するのですけれども、しかし、地域組合が都道府県の区域を原則にしておるわけですね。従って、これくらい大きい区域でありますから、協同組合の船も地域組合の中に入れて、そうして保険対象にすべき筋合いのものではないかと、こういう考え方を持つわけですが、それをことさらに二つに分けた理由、これはどういうところにあるのですか。
  21. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) お答え申し上げます。まず現状の若干の御説明と、それに関するただいまの御質疑のお答えをいたしたいと思います。現行法におきまして、保険組合には、御指摘のように、地域組合と業態組合の二つがあるわけですが、この地域組合の方は、御指摘のように、県単位でございまして、ただ兵庫県は、御存じのように、日本海と瀬戸内海と二つあること、それから北海道におきましては、あまりにも広過ぎまするので若干違っておりますが、原則としては県単位に設立されておるわけでございます。それから業態別組合の方は、特定の漁業種類について設立が認められておるのでありまして、この問題につきましては、競合などの問題も若干ございまするので、いろいろ配慮しておるわけでございまするが、現行法は、地域組合または業態組合のいずれか一方の保険目的となっておる漁船は他の組合保険目的とはなり得ないというふうにいたしまして、その限度で両者の競合を防止するような措置を講じておるわけでございます。ただいまのところ、地域組合は業態別組合に比較して財務の内容が多少劣るようでございますが、しかし一方、業態別組合の方からも、漁業種類の制限を緩和してもらいたいという希望も出ておりまするので、御指摘のように、地域組合のシステムでいくか、業態別組合のシステムでいくかという問題につきましても、慎重に検討いたしております。これは、漁業協同組合におきましても、地域単位のいわゆる地域漁業協同組合というのと、業種別の漁業協同組合がありまするように、やはり水産業の現状は、かなり階層別に、職能別に分化いたしておりまするので、そのような業者を対象といたしまして保険組合考えて参ります場合に、やはり地域の単位保険組合と業種別の保険組合との二本建でいくのが、実態としては一番よいやり方ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  22. 千田正

    ○千田正君 関連して。今の東委員の質問に対するお答えを聞いていると、業種別に加入しているのは、今度は地区別のやつにはダブって加入することはいけないわけですか。
  23. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) その通りでございます。
  24. 東隆

    ○東隆君 今お答えになった点で不審に考えるのは、片方の営利保険の方にかけることもこれは可能だと、業態組合ですか、その場合のものだろうと思うのですが、大型の船は保険会社にかけてもよろしと、それから一部分はこのなににかけてもいいと、ただし、地域組合とそれから業態組合は、これはダブってはいけない、こういうことなんですがね、これは何か少し金融だのなんだの、そういうような面だのなんだのいろいろお考えになってのことだろうと思うけれども、私はかえって業態組合の者が地域組合に加入をして、そうして一本の形になった場合に、そのうちのある者が営業保険の方にかける、こういうんなら話はわかるんですけれどもね、こういうふうに分けて、そうして一つのものは、営利会社の方はこれは差しつかえないと、こういうのだったら何だか非常に矛盾したような形になっておるように思いますがね、これはどうなんですか、ここのところは。
  25. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 先ほど秋山委員からも実態の御指摘がございましたが、実は大型漁船につきましては、漁船保険組合の方の保険に入ると同時に、民間保険に入っているのが実情でございます。そのことはまた私どもの方で別段これを制限する等の措置は講じておりません。ただ保険組合というものを考える場合に、これは漁業の実態からも来るわけでございますが、ある一つの漁業者の集団を把握して、漁船について何らかの集団的な措置を講じていく場合に、現在のカツオ、マグロ等の実態を拝見いたしますと、なかなかこれを地域団体としてこれを一括することが実態上非常に困難でござ  いまするので、その点はむしろカツオ、マグロというものをつかまえまして、その一団の漁船について漁船保険をかけていきます方がより実態的のように考えられております。しかしながら、保険の業務といたしましては、その性質上いずれか一方の方に入るということにしていただいた方がいろいろな調整上都合がいいと思いまするので、さような措置をとっておる次第でございます。
  26. 東隆

    ○東隆君 私はよくわかるのですけれどもね、小型漁船の加入の割合が悪いと、こういうお話がありましたし、それからそれの方は地域組合の方が中心だと、こういう問題になりますと、これは地域組合を強化しなきゃいかぬと、強化をする場合にはやはり保険対象になる船が地域組合の中にたくさん入ってもらった方がこれはいいと思うのです。その形でもって進むべきではないかとこう思うのですが、それから業態の組合でみんなカツオ、マグロだのなんだの遠洋の問題なんかをお考えのようですけれども、しかし、その船といえども船籍はちゃんと一定のところにあるのじゃないかと思うのですが、そうするとその地域のものに入っても差しつかえないのじゃないか。ことさらに分けてそうしてやるよりも地域組合の中でもって計算を分けてやればいいので、それをことさらに分けるものだからどういうことになるかというと、漁船損害補償法という、私はこれの実態は協同組合だろうと思うのです、この法人の性格というものは。それは非常に変なものになってくるわけです。だから私は漁船損害補償法によるところの組合は、国家がそれに対して補償をするという意味を十分に考えてくると地域のものも中に入れる。しかもカツオ、マグロのものは協同組合を組織しているものが多いのですから、そうするとその形でもってやればいい。それから企業の方、株式会社やなんかでもってやっておる場合には、これは協同組合の中に入ってくるのは一つの違法だと思うのです。だからそういうものについては営利会社保険に入るとか、そういうような態度をとって、そうして協同組合としての資格を持っておる組合ですね、これを共済組合というような、そういう意味を持っておるものを強化していくと、そういう考え方をとるべきではないか、まあそういうことを考えるわけですから質問をしたのです。
  27. 高橋泰彦

    政府委員高橋泰彦君) 筋は御指摘の通りです。ただ多少誤解があるようにも聞き取れたのですが、まず現状を御説明いたしますと、たとえば御指摘のカツオ、マグロ漁船が地域の保険組合に加入するか、職能別の保険組合に加入するかは自由でありまして、いずれに加入してもけっこうでございます。従いまして、もし地域集団としてまとまる方が漁業者にとってベターであるときには、おおむね地域の方の漁船保険組合に加入しておるようでございます。ただ、ある程度水揚げ地その他の関係で御承知のように必ずしもその当該県にだけおらないような漁船も相当ございますので、そういうところまで発展して参りますと、これは当該漁業者と申しますか、業態でまとまった方が事務的にベターだという場合があろうかと思いますが、しかしながら、いずれにしても、いずれの組合に加入するかは本人の自由といたしております。  それから小型船の問題についての御指摘でございますが、御指摘のように小型船加入率が必ずしも十全ではございませんので、今般の改正もいろいろな角度から小型漁船の加入を促進させていこうというのが改正趣旨でございます。  それからおのずから漁船保険組合にも階層的な限度があるのではないかという御指摘でございますが、私どもも全くそのように考えております。やはりおのずからこの漁船保険組合制度を利用してやっていくためには、国の相当の財政の負担もございまするので、相当資本的な発展を遂げた経営体については、むしろ一般の保険会社のベースでいくべきであって、漁船保険組合に無条件で入ってくるということもいかがと思われますが、ただ先ほど秋山委員の御指摘のように、一体それは何トンくらいを限度とすべきかということについては、いろいろと御論議があるわけでございますが、ただ私どもとしては、やはり限度があるべきだ。たとえば、具体的な数字を申し上げて申しわけないのですが、たとえば一万トン・クラスの漁船が入るということは、これはやはり考えるべきではなくて、おのずからそこには一定の限度があろうということについては御指摘の通りだというふうに考えております。
  28. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  29. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をつけて。   ここでしばらく休憩をいたしまして、午後は一時半から再開をいたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会
  30. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、二月二十三日に提案理由説明を聴取いたしました。まず補足説明を求めます。
  31. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) それでは農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして補足的な説明を申し上げたいと思います。  まず第一点の資本金の増額に関して申し上げますと、昭和三十五年度におきますところの公庫の貸付予定計画額は、土地改良資金百七十三億六千万円、このうち三分五厘の資金が九十一億円ございます。自作農資金百三十億円、林業資金が四十三億八千万円、漁業関係の資金が四十一億九千万円、共同利用施設が三十一億五千万円等総額で五百十七億円でありまして、これを前年度の四百三十二億円に比較いたしますると、八十五億円の増加となっているのであります。増額いたしましたおもなものは土地改良資金が三十一億二千二百万円、このうち三分五厘資金が二十八億円でございます。それから自作農資金が三十億円、さらに三十五年度から新たに貸付されることとなりました果樹園の造成資金が、五億円というようなものがおもなものであります。  三十五年度におきまして総額五百十七億の貸付を行ないますための原資といたしましては、まず政府からの出資金が七十七億円、これは前年度と同じでございます。資金運用部等からの借入金が二百五十八億円、これは前年度よりも四十三億円の増でございます。それから回収金が百五十四億円、これは前年度に比べまして三十四億円の増、合計四百八十九億円となっております。出資金七十七億円のうち七十億円は産業投資特別会計からの出資金でありますが、残りの七億円は国有林野特別会計の剰余金のうち一般会計に繰り入れられたものの一部を、さらに一般会計から公庫に出資されるものであります。公庫の造林事業のための貸付の原資に充てられるものであります。以上の通り政府が一般会計及び産投会計から七十七億円を出資することになっておりますので、現行資本金に関する公庫法第四条の規定改正することといたしたのであります。  次に、第二点の貸付金の回収等業務の円滑化をはかりますための郵便振替貯金または農林中央金庫、もしくは銀行への預金について申し上げます。農林漁業金融公庫は、三十三年度以来着々支店の設置を行なって参りましたが、三十五年度における三支店の新設を含めまして全国に八カ所の支店、これは札幌、仙台、京都、岡山、福岡と前記の三支店及び一営業部、これは東京でございますを持つに至りましたのであります。このような支店設置に伴ないまして、その貸付も従来の委託貸付から順次公庫支店を通ずる直接貸しに切りかえて参っているのであります。ところが、このようにして公庫が直接貸し付けた資金の回収方法は現行の公庫法によりますと、日銀またはその代理店、これは全国で五百五十店ほどでございまするが、この代理店を通じて回収するのほか方法がございませんので、著しく不便であるばかりでなく、借入者に対しましても非常な不便をおかけしているのであります。この点を考慮いたしまして、ほかの公庫の例にならいまして、新たに郵便振替貯金による返済の道を開くほか、同様の趣旨から農林中金あるいは銀行に預金口座を設けまして、借入者がこれら農林中金または銀行の預金口座に払い込むことによりまして、公庫に返済する道を開くことといたしたのであります。  なお、この点に関しまして、本法律案の附則第二項で、郵便振替貯金法の一部を改正いたしまして、郵便振替貯金における公庫への償還金の取り扱いを公金並みの取り扱い、たとえば取り扱い料金についていえば、金額の多少にかかわらず、一件当たり十五円というような扱いとすることといたしております。  最後に、第三点の土地改良資金の据置期間の延長について申し上げますと、現在据置期間は、公庫法上最長五年ときめられております。しかし、公庫の土地改良資金のうち、都道府県営の土地改良事業に対し、補助残融資として貸し付けられます資金につきましては、現在都道府県営土地改良事業の完成が、補助金の交付状況などからして着工後平均約七年かかっているにもかかわらず、その据置期間は五年ときめられています関係上、まだ工事が完成しない前に公庫からの借入金を返済しなければならない事態も発生することとなっているのであります。以上のような実情から、据置期間はこれをさらに二年延長いたしまして七年とする必要があるのであります。  以上がこの法律案改正案を提出いたしましたおもなる内容でございます。
  32. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本件に対し御質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと存じます。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明の、今回の法律改正に直接のことではありませんが、災害等の場合に、公庫を通じていろいろな資金が出る、あるいは政府利子補給の資金が出るというような形態が行なわれておるわけでありますが、借り受ける農林漁業者は、その経済が一つですから、自作農創設資金、あるいは天災融資資金だ、あるいは施設の復旧資金だというようなことで、いろいろな手続をしなければならぬという繁雑な、昨年の伊勢湾台風の結果から見ましても、痛切に考えられるわけですが、こういったことについて公庫で、そういうような災害の場合に対象となる農家に、そういう用途別の、目的別の資金を一括して貸すような道を考えるというようなことの御研究がございますかどうか。実際これは、期日にぶつかると非常に手続が煩瑣で困っておるのですね。もちろん、資金の内容には長期のものもあれば短期のものあるというふうですから、例をあげれば一農家に対して五十万なら五十万というものを貸して、そのうちの幾らは何年のものであり、幾らは何年のものであるというふうに区別しておけば、それで目的を達成すると思うのですが、そんなことをお考えになったことがあるかないか、その辺いかがでしょう。
  34. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいまの御質問は非常にごもっともな御質問でございまして、私たちも、農林金融をいろいろ扱っております場合に、いろいろのルートからいろいろの制度が作られておるのでございますが、借り受ける農民の立場となった場合には、できるだけ簡略にして、しかも窓口はなるべく一本にまとまった方がいいというような感じはいたしておるのであります。現実問題といたしまして、災害等の場合には、金融措置が講じられますのは、農林漁業金融公庫からいきます災害資金と、それからあとは天災融資法による災害資金、この二つの筋が大きな筋だろうと思っておるのでございますが、いずれも、実際問題といたしましては協同組合を通じて流れているというような形でございますので、その点は、農民といたしましては、窓口としては大体協同組合へ行けば金が借りられるのだというようなことで、そう窓口の点においては不便はそれほどないのじゃないか。こういうような感じがいたします。ただ、手続の問題につきましては、仰せのように非常に複雑なものがございます。特に自作農創設資金なんかを借り入れます場合におきましては非常に厄介な手続があるのでございまして、この点につきましては、昨年の伊勢湾台風の場合におきましても、できるだけそういう点を、借入者の便宜のために手続を簡素化するという制度を農林省としても講じておりまするし、それから公庫におきましても、運用の上からいって、できるだけ簡素化していこうというような線で今までも実行いたしましたし、また今後もそういう線でますます検討して改善して参りたい、こういうふうなことで考えております。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話で、御研究願うということですが、さらにその貸し出し手続を簡素化するというようなことで一件お伺いしたいのは、自作農創設資金の原則は、担保を徴せずにいくというのが原則と思いますが、実際問題としては、所有の土地を担保にして借り受ける場合が相当に多い。そこで、担保貸しの評価について、現実にほんとうの山村でございますればそういう場合はないかと思いますが、平坦部においては、どこへ参りましても、一反歩二十万円、三十万円というような価値を持っておる地帯が多いと思うのです。ところが、その対象になる評価については、非常に実態とかけ離れた低い評価よりしていただけない。そこで、わずかに五万円か六万円借りるのに、二反も三反も担保に提供する手続をしなければいかぬという問題があるのですが、こういう評価について、実態に即するような再検討ということはお考えになったことがあるのかないのか。今後はどういうような運びをされようとするのか。その辺いかがですか。
  36. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 農林漁業金融公庫から自作農資金を貸し付けます場合におきましては、御承知のように、担保を取るとか、あるいは保証人を要するというようなことに相なっておるのでございまして、その担保の実際の実行上、いろいろ農地の価格についての問題がある。こういう御質問でございまするが、この点は、やはり借り入れる者が災害を受けている者、あるいは農地を手放さなければいかぬというような事態に立ち至っておる農民でございまするので、十分そういう点を考えなければいかぬというふうに考えておりますけれども、これを、あまりその担保の価格に融通を持たないような運用がございますると、農地の価格、いわゆる農地制度の方にも非常に関連して参りまするので、そこら辺の運用は、そういう面も一面やっぱり考えて、そうしていかなければいかぬじゃないかというふうに考えております。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 もちろん農地制度関係はありますが、実際に現実に行なわれておる実態というものは、これはまるきり問題にならぬ。非常に厳格といいますか、昔の評価そのままでやっていらっしゃるところが、事実はどんどん進行しておる。あまりにもその間の遊離がひど過ぎると思うのですね。ですから、農地制度をそのままにしておくとひび入るというのじゃなしに、実際の経済の動きとして存在している現実を無視したという姿ですね。これをもう少し考える必要があると思うのですが、もちろんそういうことによって、あるいは固定資産税の方の、税金の方へはね返ってくるという危険もないではございませんから、単純にはいきませんが、現行の公庫で認定されておる限度というものは、あまりにも現実離れがし過ぎておるという感じを持つのですが、そういうことの御検討はあるのかないのか。どうなんですか。
  38. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 非常に詳細な末端のところまで私たちも今のところまだ調査といいますか、存じ上げませんので、まことに申しわけございませんが今申しましたように担保を取ります場合に、農地の価格というものは農地制度にも関係いたし、税金等にも関係いたしますので非常に慎重に考えなければいかぬということに考えておりますが、一面そこで担保で間に合わないような場合には保一証人というような制度もあるのでございまして、いろいろあれこれ運用いたしまして目的を達するというふうにやっていただければ非常に穏やかじゃないかというふうな感じがいたしております。
  39. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の坂村局長説明では、都道府県営の土地改良事業が平均七カ年かかる。平均七カ年かかるから据置期間を七カ年にする必要がある、従って現行法の五年を七年に延ばしたいと、こういう説明でしたが、平均七カ年かかるということについても私多少疑問もあるのですが、かりに平均七年と、こうしても、平均七年だから七カ年据え置きにする必要があるのだ、これはちょっと私は議論にならないのじゃないか。最高七年かかるから最高七年の据置期間、こういうことなら理論的であるのだけれども、平均七年かかるということは五年で終るものもあるが、十年かかるものもあり、十数年かかるものもある。そういうものについては、それじゃまだ経済効果を発揮しない期間中の負担分の借り入れについての据置期間はどういうふうにお考えになるのか。
  40. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 私、ただいま申し上げましたのは、平均七年かかるから七年の据置期間にするということを申し上げたのではございませんで、おおむね七年でございまするから、ですから七年の据置期間にしたと、こういう御説明を申し上げたはずでございます。
  41. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 まあ多少何か言葉じりみたいになりますけれども、趣旨としてはそれじゃどうですか。もっと長い年月のかかるものについてはもっと長い据置期間が必要であろう。が、しかし、改正法律案としては七カ年の据置期間だ、それについての理論的な考え方というのはどうなんですか。
  42. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この点は、結局補助残融資でございますから、その補助金をどうするかという問題とも一面関連して考えなければいかぬと思うのでございまして、そういう点、今後補助金をできるだけ少なくしていくということでありますればこれは相当長期間やはり見ていかなければならぬということにも考えられますが、補助金と両々相待ちまして土地改良を完成していく、こういうことで考えていきました場合には、大体今までの実情を見ましておおむね七年程度で終っておりますので、七年程度で抑えていくと同時に、補助金の方もそれに応じて確保していくという態勢でいった方が事業の運営上いいのじゃないか、というふうに考えております。
  43. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 何か非常に心強いような、弱いようなお話なんですが、補助金で確保していくという坂村局長の答弁をそのまま正直に受け取りますと、七年以上かかる都道府県営の土地改良事業は今後なくいたしますと、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  44. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 現実問題といたしまして、私は農地局長ではございませんので、今この場でそういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、できるだけそういう方向で補助金につきましても長期間かからないように、というような方向で補助金をつけていくというふうに進むべきじゃないだろうか、というふうに考えております。
  45. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 所管の局長でないから、幾らだめ押しをしても希望みたいになりますけれども、せっかく改正法律案としては据置期間を延長しようとしておる。延長するからには、この延長期間というものがまことに妥当適切な延長期間であることを立証する意味からいっても、今後の県営事業は長いものでも七カ年で完了するように農林省——あえて坂村局長に答弁を求めるわけじゃないけれども、農林省としてそういう方向に最大限の努力をする、そういう趣旨のもとに七カ年延長というふうに御提案なすった、こう了解してよろしいでしょうか。
  46. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) そういう気持で今後も一生懸命努力をしたい、こう考えております。
  47. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私はこの七カ年というものは意味がないように思う。それで、これは一つ農地局と相談して、今年度の予算で今着手しておるものが何カ年で完成するかということを示す数字を、表を一つ出してもらいたい。この七カ年ということは、三十四年度、今年度から農林省は県営事業を七カ年に上げるという要求をしている。三十五年度の予算もその通りなんです。ところが、それは要求だけで、結局その要求を満たしておらないのだ。そこへもってきて今言うおおむね七カ年に完成するから七カ年の据置期間をここで法律できめるということは、私どもは将来、今までの行き方を考えてみると、やはり生産が上がってから償還に入ろうという考え方なんだから、それはいい考え方だ。だから、この点からいくとこの七カ年は大いに疑問がある。私はこれで、はあ、そうですかと、補助金と何とかと何とかという説明がありましたけれどもが、今の延長する趣旨として納得するわけにいかない。それからもう一つ、この県営事業というものは、ただ県営事業をやったから直ちに農民がその事業に対する排水なり、あるいは用水の場合には水を享受するという便宜を得るものじゃない。その次に来たるいわゆる団体営事業を遂行して初めて農民はその利益を享受する。土地改良はそういう段階になっているのですよ。そういうことから言うてもこの七カ年ということは、生産が上がってから償還に入ろうという考え方、いい考え方が意味をなしておらぬように私は思う。で、まあ経済局長はそういうことは自分は知らぬというような御答弁があるかもわからぬが、それはまあそれでもいいが、一つ私が今要求したおおむね七カ年でできるかどうかというやつを出してもらいたい。
  48. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 重ねての御質問でございまするが、今三十五年度におきまして都道府県営の事業の残事業数を見てみますと、大体七カ年という残事業量になっているわけでございます。まあ、そういう状況でございまするので、一応七カ年ということに延長いたしまして、それも今まで五カ年ということで非常に不合理でありましたのを、とにかく現在の実情がおおむね七カ年でございまするので、それに合わして七カ年というふうに直そうという意欲は非常にこれは出ているのでございまして、一つ御了承いただきたいと思います。
  49. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 了承するわけにいかぬから経済局長いま一つ、もう一ぺん重ねて申し上げますが、県営事業をやったのみで農民が直ちにその利益を享受するわけじゃないのです。それが終了したところが、結局それに次ぐ団体営事業として、団体営としての工事を遂行せなければ農民はその利益を享受できない、これが土地改良の今までやっておる段階なんです。そういう意味からしても、やはりおおむね七カ年で完了して、生産物による償還能力ができたときに償還に入るという考え方が根本的に誤っておるというように私は思うのです。それは間違いないのです。だから一つ、現在もうすでに十三年も四年もかかっておるものがある……。
  50. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) まあ、こういう非常に今までの無理がありまして、むずかしい問題で、なかなか解決しなかった問題でございますが、一歩々々一つまあ踏み出しまして、そうして実態に合わせるように一つ持っていきたい、こういう工合に考えております。
  51. 東隆

    ○東隆君 農林漁業金融公庫法の第二十五条の余裕金の運用等の規定の2項ですね。「公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。」こういうのと、改正の第二十六条の第2項ですね。今度は広げるわけですね。農林中金、振替、銀行、それは何か二十五条と二十六条の条文からいくとだいぶ矛盾したような感じがするのですが、このことを説明願います。
  52. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいま御質問の農林漁業金融公庫法第二十五条におきましては、非常に制限された金の運用方法が書いてあるのでございますが、これを、先ほど申し上げましたように、実際の運用上からいきましても、非常に不便でございまするしそれから借りた人からいたしましても不便でございまするので、その点を実情に合わして便利のように一つ改正しよう、こういう考え方でございまして、これは中小企業金融公庫法等におきましても、これと同じような内容でこの例外規定といってもいいと思うのでございまするが、これの例外で運用を認める、運用といいまするか、こういう支払いの方法は認める、こういう考え方でございます。中小企業金融公庫法におきましても、第二十六条で余裕金の運用等という項がございまするが、「公庫は、左の方法による外、業務上の余裕金を運用してはならない。」その2項に、「公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。」という条項があるのでございます。その例外規定として、二十七条の2項に、「公庫は、業務を行うため必要があるときは、政令で定めるところにより、業務に係る現金を郵便振替貯金とし、又は銀行に預け入れることができる。」こういうようなことがございまして、この例にならいまして運用上の便宜を考えたわけでございます。
  53. 東隆

    ○東隆君 私は、農村金融の立場からいって、かえって公庫のまねをされない方が農村金融の筋を通す上において必要だと思うのです。商業関係は銀行を主として使っておるわけです。それで、中小金融公庫、あるいは商工中金、これなんかの動き方というのは私は非常に少ないと思うのです。ところが、農村に関する限り、漁村に関する限り、協同組合金融というものが主になっているわけです。だから、農林中金を広げられるのは私はわかるけれども、銀行を中に入れて、そうして便宜をはかることは私はかえって問題を遊離化——農村金融がせっかく一本化しているんですから、これを非常にこわしていくのじゃないか、こういう心配があるわけです。それでかえって広げ過ぎて、そうして公庫の方に便宜を与えることによって、当然農村関係の方に預託されなければならないものが銀行の方面に流れていく、そうして、しかも銀行の方面では低利の資金を預かるのですから、そっちの方では大へん都合がいいかもしれません。それで、かえってこの道を狭めておいた方がいいんじゃないかと思うのです。銀行をかえって切った方がいいんじゃないか、逆に、銀行のかわりに都道府県の信用組合連合会を入れたらいいんじゃないか、こういうような感じがするのですが、それは農村金融の系統的な、あるいは統一ということを考えて、特にそういう感じがするわけです。商工金融の方はもう今言う通り金融機関が支離滅裂になっているから、それでもって非常に困っておるわけです。そういうまねをする必要はないと思う。この際、二十六条のもし二項を改正されるとするならば、私は銀行をかえって除かれたらいいのじゃないか、こういう感じがするのですが、その点はどうですか。
  54. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいまの問題は、先ほど御説明申し上げましたように、公庫の業務上の現金を預託するというものでございまして、農民の金を預託するのではございませんので、公庫が、たとえば、実際自分の支店とか、あるいは本店とかに使っております業務上の金、たとえば、職員の給与に当たる金であるとか、そういうようなものがあるのでございまして、これを銀行等にも預けてもいい、こういう規定でございますので、今の御質問の御趣旨とはちょっと違うのじゃないかと思います。
  55. 東隆

    ○東隆君 普通、今までの二十五条でもってやれなかったのですが、今のようなことは。
  56. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今までの二十五条では、「公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。」こういうことで、国庫だけに預けておったわけでございます。だから非常に不便でございまして、この点を実情に合うように便宜にしよう、こういうことでございます。たとえば、農林金融公庫が有楽町にございますので、すぐそこに第一銀行があったら、そこに俸給に払う金くらいは預けたらいいじゃないか、こういうことでございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 これは各地に支店ができたから、従って支店ができ、直接貸しをする、そういうようなことからこういう規定が必要になってきたわけですか。
  58. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 支店ができまして直接貸しがふえたという関係で申し上げますると、むしろ系統送金をする、あるいは信連を通じて系統送金をするとか、郵便振替貯金をするとか、そういうようなものが、支店がふえて直接貸しがふえたということに基づくものでございまして、今の業務上の現金を預けるという問題は、それとはちょっと性格の違うものでございまして、実際の、公庫の日常の業務の運営上の問題でございます。
  59. 東隆

    ○東隆君 これを少しそうすると限定をされないのですか。この「業務を行うため必要があるときは、」というので、何か私はだいぶ広義に解釈ができそうにも思うのですがね、この字句は。
  60. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) これは政令で定めるというようなことでございます。政令でそういう点をよく限定をいたしまして、非常にあやふやでないように一つはっきりしたいというふうに考えております。
  61. 東隆

    ○東隆君 その政令の案はお持ちですか。
  62. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) これはまだ政府部内で相談のついた最終案ではございませんが、一応こういう内容政令といたしましてはと考えております。業務にかかる現金の取り扱いにつきましては、「公庫が法第二十六条第二項の規定により業務に係る現金を郵便振替貯金とし、又は農林中央金庫若しくは銀行に預け入れることができるのは、公庫があらかじめ主務大臣の承認を受けた事由がある場合とする。」それから「公庫が法第二十六条第二項の規定により業務に係る現金を農林中央金庫又は銀行に預け入れることができる期間は、災害その他止むを得ない事由がある場合及び主務大臣が定める場合を除き、日を越えてはならない。」というようなことで、こういう制限的な運用にいたしたいというふうに考えております。
  63. 東隆

    ○東隆君 その業務上必要のというのは、人件費だの何だのそういうまあ何というのですか、一応令達か何かされるようなそんな形で出るのですか。
  64. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 業務上必要な金といいまするのは、月給とか旅費とかそういうような、業務を執行する上に必要な金でございまして、それをそういうものに限りまして政令規定をしようというふうに考えておりますわけでございます。
  65. 東隆

    ○東隆君 そうすると、特に銀行なんかのために、特に何といいますか、利益になるようなそういうようなことは絶対起きないと、こういうことが言えますね。
  66. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) その通りでございます。
  67. 仲原善一

    ○仲原善一君 改正についてまあ三点ここにあげてありますが、そのうちの二番目の、直接貸付を拡充するための措置になっていると思いますが、この直接貸付と、それから銀行など受託の機関を通じて貸し付けている額とどういう現在比率になっておりますか。
  68. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) これは累計総額が二千百七十七億のうち、直接貸しのものが三十二億でございます。ですから、今までは直接貸しというものは非常に少なかったのでございまするが、今後支店も増設されましたので、この直接貸しの比率というものは今までよりも相当上がるのではないかというふうに考えております。
  69. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で、大部分は直接貸付でない、ほかの金融機関を通じてということになろうかと思いますが、銀行などは大体どの県でも指定になっているわけですか、それとも特定の銀行に限ってあるわけですか。
  70. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) その他の扱いで、大部分は中金の系統でございまするが、銀行では地方銀行が大体その委託機関になっております。
  71. 仲原善一

    ○仲原善一君 特に銀行の場合に限って、しぼってお尋ねしたいわけですけれども、かりにその銀行を通じて貸し付けた場合に、債務者の方が返済をしないような場合には、銀行の責任額と  いうものはあるわけですか、その場合に。
  72. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 銀行の責任額は二割でございます。
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 そうしますと、まあ手数料と申しますか、銀行関係に公庫の方から、そういう事務を取り扱わせるための手数料といいますか、何かそういうものは払っているわけですか。
  74. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 委託手数料を払っております。
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 その委託手数料というのはどのくらいの金額になるのですか。
  76. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 一分から二分二厘の間でございます。残高に応じましてその手数料は違いまするが、幅は一分から二分二厘の間でございます。
  77. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで問題になりますのは、金融公庫はいわゆるまあ政策金融を大いに推し進めていかねばならぬ立場ですね。銀行の立場から申しますと、これは必ずしもその公庫の意思通りに動かない、非常に債権確保の建前で、要望のある資金についても自分のところで押えてしまうという実例を聞いているわけなんですけれども、そういう場合に問題になりますのは、結局まあ今の直接貸付を大いに拡充して、ほんとうの政策金融のやり方を、本質を発揮してもらえばいいわけですけれども、今のお話の通りに、まあ非常にやっている直接貸付の量が少ないわけですから、大部分は特に銀行の場合にしぼって、銀行の意思というものと政府のまあ政策金融趣旨というものは合わない場合が相当あるわけですね。そういう場合について、どういうふうな指導を公庫を通じて銀行にやっておられるのか。全くその点は銀行にまかしてあるのか。ときどきそういうトラブルの問題が起きますので、方針を一つお伺いしておきたいと思います。
  78. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今まではそういう点で、政策金融として、必ずしも末端に行きました場合にはしっくりしないような点もないでもなかったと思うのでございまするが、そういう場合におきましても、農林省は公庫を通じ、あるいは都道府県等におきましても、いろいろこういう公庫の金融等につきましてはタッチをいたしておるのでございまして、そういう点でできる限り政策金融として効果を発揮いたしまするように、もちろんこれは金を貸すのでございまするから、非常に無理に、あるいは県知事あるいは農林省が、こういう金を貸せないようなものに、どうしても貸さなければいかぬということで押しつけるわけには参りませんけれども、実情に応じまして政策金融の効果が現われまするように指導して参っておるのでございまして、今後は、先ほども御説明申し上げましたように、公庫の支店も八店できまして、八カ所もできまして、そういうものにつきましては直接貸付という範囲が非常に広がって参るのでございますので、そういう点も逐次是正されていくんじゃなかろうかというふうに考えております。
  79. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまお話の通りに御指導願いたいと思うわけですが、直接貸付の場合、金額とか何とかについて条件があるわけですか、何万円以上でなければ直接貸付はできないとか、そういう何か一定の基準があって、直接貸付と受託金融との相違が自然にできてくるのか、今のお話のように、むずかしいものについてはどんな小さな金額でも直接貸付ができるのかどうかですね、そういう点をお伺いいたします。
  80. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 業務を委託する分野といたしまして公庫がきめておりますのは、現在農林中央金庫と地方銀行との間に同じように扱かっておるわけでございますが、信連につきましては、信連に委嘱する場合は、一市町村の区域を越えない農業協同組合、もしくは土地改良区が行なう土地改良事業であるとか、あるいは牧野の改良事業であるとか、造林、それから農業、林業、畜産、蚕糸その他の共同施設というようなものにいたしておりまして、それから信連に委嘱しまする業種は、原則として農林中金はこれを取り扱わないものといたしております。
  81. 仲原善一

    ○仲原善一君 金額等については制限はないわけですか。
  82. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 金額については、特に幾らのものは直接貸付だというような、そういうきめ方はいたしておりません。ただ支店と本店との間におきましては金額の差別をいたしております。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この公庫の三十五年度の貸付予定計画五百十七億で八十五億ふえておるのですが、予算要求はどの程度だったのですか。
  84. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おおむね五百十七億をある程度上回る程度のもので、農林省といたしましても、大体所期の目的通りの貸付決定額ではないかというふうに一応考えております。
  85. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、そういう意味では非常に努力をしておられるようでもありますが、たとえば三十五年度の財政投融資の総額は五千九百四十一億になるんです。人口で四割五分も占めておる農業全般に対して、農林漁業金融公庫の貸付の額は五百十七億で、農地開発機械公団、愛知用水公団を含めても全体の一割にもならぬ、これでは私はやはり農業と鉱工業生産とのアンバランスというようなものは、これはとうてい取り戻すことができないので、どうしても農業の近代化をはかるためには長期かつ低利の財政投融資計画をもっと大幅にふやすことが、予算要求額の一〇〇%近い額が認められたということよりも、もっと大きな構想を持っているがこの程度だったという方が私はいいと思うのです。これは福田大臣に実は尋ねたいと思っていたのですが、福田大臣がよく言われる所得倍増計画にからんで、農業のおくれを取り戻すというためには、どうしても長期の低利の財政投融資を大幅にふやさぬことには、農業のこのおくれを、アンバランスを取り戻すことは私は非常に困難だと思う。どういうふうにお考えになりますか。
  86. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 財政投融資の計画、あるいは今後の伸ばし方といたしましては、それは相当非常に大きなものが考えられると思うのでありまするが、三十五年度におきましては、現実にいろいろ投融資財源等の関係もございまして、農林漁業金融公庫に出資をいたしました産業投資特別会計でございまするが、これは総額二百六十億でございまして、そのうち農林漁業金融公庫には七十億という大きな金が出資をいたされておりますわけでございます。そのほかに一般会計から七億というようなことで、七十七億の出資といいますることは、ほかのいろいろ投融資の需要面を見ましても、たとえば住宅公団が七十億、それからあとは住宅金融公庫が五十億というようなものでございまして、その他は輸出入銀行十億、それから中小企業信用保険公庫が十八億というようなことで、そういう産業投資特別会計の中の資金の配分の面からいきましても、ことしの農林漁業金融公庫に対しまする財政投融資の計画は相当思い切って投資をしておるというようなことが言えるのじゃないかというふうに考えておるのでございまするが、そのほか、この融資の方でございまするが、資金運用部あるいは簡易保険資金というようなものの借り入れの面は、これは金利の面からいいましても相当低い、いわゆる出資と違いまして金利を払わなければならぬものでございます。もちろんこういうようなものを拡大いたしまして、それでまあその農業関係の財政投融資を広げていきますことは非常に大事なことでございまするけれども、特に金利を下げるという面からいきますると、出資財源をできるだけ多く持つことの方が効果が大きいのでございまして、そういう面からいいますると、不十分ながらも全体の姿の中から見まして、農林漁業金融公庫に対しまする投資というものは相当重点を入れてやっておるというふうに見ていただいてもいいのじゃなかろうかというふうに考えております。
  87. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 出資の額については、そういう点は了承しますが、とにかく六千億近い投融資全体の計画から見て、農業関係では農林漁業金融公庫、愛知用水公団、農地開発機械公団を合計しても、ちょうど一兆五千数百億の予算の中で農業予算が占めると同じようなまあ大体のパーセントなんです。私はこれではやはり所得倍増計画という問題と取っ組んで、ますます開くアンバランスを少しでも取り戻すことは、やはり新しい角度から考えていかなければいかぬのじゃないかということを、これはまあ適当な機会に大臣に御出席を願ってお願いしたいと思うのですが、この際お願いいたしておきたいことは、農林漁業全体の、農林金融全体の中で農林中金、農林漁業、あるいは最近非常に伸びている農協の共済というような全体の統計表を、しかも仲原さんも御質問になりましたが、業金融公庫の各府県別の貸付残高というようなものも一つ次の機会にはぜひ出していただきたい、そのことをまずお願いしておきます。  それから、五億ですか、果樹園の資金を出されたのですが、これは見方によっては農林漁業金融公庫が中期資金ですね、短期、中期、長期の、中期の資金の貸付に踏み切ったともとれぬこともないと思うのですが、果樹園の資金というものは、これは長、中、短からいえばどこら辺の性格の資金なんですか。
  88. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 十年以内ということで考えておりまするので、どちらかといいますると長期の部類に入るのではないかというふうに考えております。
  89. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 じゃあ、長短を分ける区分は十年——十年を区分というのはどういうことなんですか。それは十年目くらいが最盛期という意味ですか。十年目くらいから果実がとれてくるというような意味ですか。それはどういうふうに見ているのですか。
  90. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今答弁を間違えましたが、十年据え置きの十五年償還ということで考えておるのでございまして、まあその長期、短期を何年で区別するかということになりますと、これは非常に、何といいまするかむずかしいのでございまするが、どちらかといいますれば、そういう観点から言いますると、果樹振興のこの金というのは長期の部類として考えていいのじゃないかというふうな気持でございます。
  91. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは、果実が実りかけてからだんだん収穫をして、いつごろの辺を言っているのですか。最盛期が済んだころ、もう老齢化してしまうようなころを言っているのですか。それがいつを償還の初めを基準にしているのですか。どうなんですか。
  92. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) もちろん果樹の中にもいろいろの種類がございまして、場合によれば非常に早く、あるいは三年なり五年なりで果実がなって返せるというようなものもあるかもしれませんし、あるいは七、八年かからなければいかぬ、十年かからなければいかぬというものもございましょうけれども、そういうものは実際の運用上、そういう果樹の種類に応じてきめていかなければいかぬだろうというふうに考えております。
  93. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 じゃあ一体、これは従来貸付対象にならなかったのですか。私が聞いているところでは、やはり農林中金との関係等もあって、やはり長期的な性格が問題で、対象にならなかったように承っているのですが、その関係はどうなんですか。これまでなぜしなかったものが今度対象になったか。
  94. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 従来、果樹園芸につきましては、どちらかと申しますると個人的な企業のものが多いのでございまして、そういたしまして、自分の金で、あるいは蓄積で果樹の造成をするとか、あるいは銀行から借りてやるとか、いろいろそういうようなことで、どちらかと申しますれば国のめんどうが非常に生産面まで届いていなかった、こういうような感じがするのでございまして、そういうようなことからいたしまして公庫の融資の対象にも具体的には入っていなかったというようなことでございました。しかし、今言いまするように、最近におきまして、とにかく農民の所得の増加、こういう点に重点を指向いたしまして、いろいろ農業の施策をやっていきます場合におきましては、果樹の部門が非常に大きなウエートを持って参りまして、こういうようなものも共同化等の組織を通じましてできるだけ積極的に推進したい。こういうようなことで積極的に取り上げて参りましたわけでございます。
  95. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、借り受ける対象が主として個人的な性格で、協同組合というような性格に合わなんだことが主なんですか。私は農林中金との競合といいますか、そういうようなこととだいぶ承っておるのですが、その関係はどうなっておるのですか。
  96. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) どうもどういう理由で今まで取り上げられなかったか、それから果樹に対してどうも金融がどういう理由でうまくいかなかったかというような問題につきまして、もう少し、これは今までのことでございますけれども、どういう理由で公庫で取り上げていなかったかという問題につきましては、一つ調べてお答えを申し上げたいと思いますが、今のところは、先ほど申し上げましたような事情でございます。
  97. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は果樹園を対象にして貸し付けられるような改正には賛成しておるのです。それと関連して具体的にいろいろ申し上げねばならぬと思うのですが、そういう意味で、もうすでに特別会計からやった当時からすると九年もたって、だいぶやはり再検討を要する必要があるのじゃないか。特に私は中期の資金に対しても一つその解釈の問題ですが、やはり必要があるのじゃないか。この法律には「長期且つ低利」ということになって、そういう意味で私は実はもっと拡大していくべきではないかという問題から質問をしておるわけなんです、実際は。
  98. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 農林漁業金融公庫の貸付対象も、御承知のように発足いたしましてから数年以上たちまして、その間に、あるいは災害のつどであるとか、あるいは何かの機会にいろいろこれが改正されましたこともございまして、そういうような意味から申し上げますると、この貸付対象の全体の姿がはたしてこのままでずっと永久に持っていっていいかどうかという問題につきましては、十分これは検討してもいいような段階に来ておるのではないかというような感じはございます。あるいは項目によってある程度の矛盾を持っておるというようなものもないではございませんので、そういう点につきましては、今後も一つ実際の運用上の実績等も見まして十分検討していく必要があるのではないかというふうに私たちも考えております。
  99. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私この問題、公庫法の貸付規程なんかも持ってきてもっと具体的に次の機会に少し長期、中期といいますか、そういう問題について御質問したいと思います。私はもっと、農林中金との関係もありましょうが、やはりもっと弾力性のある態度を持ってもらった方がいいのじゃないかという考えを持っておるものでありますから、果樹園の貸付ということはけっこうなんですが、そういう角度から貸付規程を持ってきて具体的なことをいろいろ矛盾があるので、この次の機会に質問をしたいと思います。  それからこれは何ですが、これにからんで造林資金を一体経済局長は、あるいは金融課長はつんぼさじきにおって、ついに上の方の高等政策で公有林野の造林資金を、どうしてああいうことについては、ほんとうに公有林野を植林するにはどっちがいいかというような、基本的な態度で大臣に意見を申し上げることは職務に忠実なゆえんであろうと思うのですが、全く渡部事務次官と福田大臣と石原長官、小林自治庁の事務次官との中に隠密裏に進んでいったというのですが、どうなんですか。
  100. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 公有林造林の問題は、自治庁との関係につきまして三十四年度におきましてもいろいろまあ両方で調整をとりまして実行して参ったわけでございまするが、実際問題といたしましては、自治庁におきまして起債の許可をするというような仕事の関係もございまするので、そういう点が両方ともうまく調和がとれて、そうして、実行されるといいますことが公有林造林を進めるゆえんであろうというふうに考えるのでございまして、そういう点を、いろいろの方法があろうと思いますし、いろいろの実行方法については意見もあろうと思うのでございまするが、一応とにかくああいう方法で、別に農林漁業金融公庫に金をつけまして、そうして公営企業金融公庫の方に事業を委託をいたしまして、そうして実行していくというようなことで一つやってみましてそうして実際の運用上どういう線に問題があるか、どういう線に不便があるかという点を見てみたいというふうに思っております。
  101. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この問題はこれ以上申し上げませんが、しかし、住宅金融公庫なんかは公営住宅——市町村でやったり、県営住宅が建ったりしておるのは、やはり起債のワクというようなことで、自治庁がやっておるような、他の水道の起債、あるいは交通、バス、小水力発電というような総合計画からいえば、これなんかもやはり公営企業金融公庫に一まとめにしなければならぬので、そっちはやっていないのですよ。その辺どうも少し私はふに落ちないので、特に専門家も少ないし、なかなか支障があるのじゃないかと私は実際危惧するわけなんです。全林野の一五%も公有林があって、最も粗放で、最も立木も少なくて、森林資源も十分開発しなければならぬ大きな分野で、はたして私は自治庁所管の立場でやり得るだろうかということを危惧するものですから、やってみて結果を見るということですから、一つ刮目をしてみたいと思います。
  102. 東隆

    ○東隆君 今の問題ですが、あれはこの公庫を通して出すということによって分収造林ですか、分収造林の方、これはできておるのですがね、これをやる場合に、結局土地を出した者と、それから造林業者と、それから何ですか、三者でもって分けるようになっておる。それが結局植林をやった者が一つも後になって分け前をもらえないようになっておるのです、分収造林の形で。そこで、公有林の造林をする場合に、造林業者である森林組合がかりに公庫から金を借りることによって、今度将来における分け前を十分にもらえることになるんです。ところが、何ですか、自治体の方に移りますと、それができなくなるわけですね。それであのときに初めて公庫を通して出るということで私は納得をしたんですがね。ところが、その道がふさがれてしまつたわけです。だから、分収造林によるところの利益は、その資金を出した者の方にいってしまうわけです。造林者には一つも利益がいかない。単なる労働者になるわけです。そういう形ができるので、それの補正のために、この前公庫を通して資金を流す、こういうことになっておったわけです。だから、これは相当問題があると思うんですがね。資金を流す者は、結局どういうことになるかというと、パルプ業者なんかが流すことになるんです。そこで成長の暁に、それを分けるときに資金を出した者の方にいってしまうわけです。だから、造林業をやるその地域の森林組合なんかは一つも利益を得ない、こういうことになるわけです。だから、公有林を開発するのに、その地域の森林組合などが公庫から金を借りて、そうしてやれば造林業者の方に分け前がくるわけです。だから、そういう道を開いた、こういって私は説明されておったものをとんびに油あげをさらわれたように、持っていかれたわけです。その問題、私問題があると思います。
  103. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 非常にただいまの御質問は専門的なことで私もちょっとわかりかねますが、ただちょっと考えてみまして、森林組合等が金を借りまして、そうして市町村と契約をやって、部分林契約をやって植えるという場合に、当然金も貸せますし、そういう方法もあるんじゃないかというふうに私は考えておりますが、その問題はよく専門家の方に調べましてお答え申し上げたいと思います。
  104. 北村暢

    ○北村暢君 私は資料を要求しておきたいと思いますが、やはり問題になっているのは、各委員から出ているように、制度金融と、それから制度金融の混淆している問題からいって、この際公庫の金融と中金、それから市中銀行との比較をしてみたいと思うんです。それのわかるような資料を一つ出していただきたいと思うんですが、このいただいている関係資料の中の十四ページのところに、公庫の貸付金の種類の利率の最高について表が出ているのですが、これは最高でありますから、最低の区分したやつを一つ知らしていただきたい。最高だけになっていますから……。それを一つ知らしていただきたいことと、それから今度の改正の中で一点だけ質問しておきたいのは、この郵便の振替貯金ですか、これをやるということになっているようですが、これの手数料はだれが負担するか、払込者が負担するのかということ、それと同時に、先ほど来出ているように、公庫の出張所が六カ所ありますが、これとの関係からいって、公庫発足以来の資金のコストについてわかる資料を出していただきたい。これできるでしょうかね。
  105. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) はい、できます。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 それからもう一つ、これは質問ですが、いただいた資料によりましても、出資金と借入金のパーセンテージが出ておりますが、出資金の方がだんだん少なくなっているのですね。この問題に対して、パーセンテージがだいぶ下がってきておるのですが、それと資金運用部からの借入金の利子、その他幾種類かありますが、これらについての利子について調査をしていただきたいと思います。それを一つできましたならば資料をお願いしたいのですが、今出資金と借入金の関係からいって、率が下がっているということについては、返済金等も出てきておるわけですが、その関係で、出資金が率が下がっても、公庫の資金コストに影響のしないようになっているのかどうなのか、その実情を一つ知らしていただきたいと思います。  それから資金運用部からの借入金ということをやらないで、これは私は農林中金の金を借りて、そして利子補給をしたらいいんじゃないかと思う。それでなくても中金の金は系統外へ流れるというので問題が起こっておるわけですから、中金の金を公庫が借りて、それに利子補給をするという方法は考えられないものかどうか。資金運用部から借りた場合とそれからその利子補給をする場合とどっちが財政負担としてよけいかかるのかどうなのか、この点を一つ比較してわかるようにしていただきたい。このように思うのですが、今申したうちで二、三質問したい点がありますのですがその点について、今おわかりの点は御答弁を願って、わからなければ一つ資料で出していただきたい、こういうふうにしていただきたいと思います。
  107. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいまの北村委員の御質問、資料要求の中では今お答え申し上げられますものにつきましてはお答え申し上げまして、あとは御要求の資料によってお答えいたしたいと思います。初めに郵便振替貯金で払い込みます場合の手数料でございますが、これは一般の場合には、金額によっていろいろ違うのでございますが、公金並みの扱いをするというようなことで今度の場合考えていきたいと思っておるのでございまして、これは金額の多少にかかわらず、一律に一件十五円というような考え方でございまして、特にその他の公庫等で扱っております場合にもそういう例で扱っておるのでございまするので、そういうような扱いにしたらどうかというふうに考えておりますわけでございます。  それからもう一つは、農林漁業金融公庫の資金の構成でございまするが、これは三十五年度におきましては七十七億の出資をいたしたのでございまするが、それにもかかわらず借入金は非常に大きいのでございまして、借入金と出資金とのバランスはだんだん逆になって参るというような状況でございます。資金運用部からの借入金の金利は六分五厘でございまして、農林漁業金融公庫の運用利回りを見ますと、大体五分五厘ないし四厘というような状況でございます。といいまするのは、御承知のように、非常に低利の金を貸しているというような状況でございますので、五分五厘ないし五分四厘というような程度でございまして、そういう面からいいますると、借入金の金利が六分五厘でございますので、だんだん農林漁業金融公庫の内容は非常に窮屈になって参るというような状況でございます。で、従いましてこういう点につきましては、三十五年度の問題といたしましては、それほど大きな問題でもございませんけれども、いずれにいたしましても将来におきましてこの問題をもっとすっきりと片づけなければいかぬというような問題があるのでございます。三十五年度の予算要求の場合におきましても、一つ資金の貸し付けワクを増大するということと同時に、農林公庫の採算の内容を悪化させないというようなことのために、農林中金の金を公庫に持って参りまして、それで国でもってこれに対して利子補給をやったらどうかというような考え方を、一応私たちも考えてみたのでございまして、大蔵省ともいろいろ話し合いをいたしたのでございまするが、これにつきましてはいろいろの金融と農林漁業金融公庫と、それから農業協同組合系統金融というようなものの、そういう大きな柱でもってどういう工合に将来根本的にすっきりさしていったらいいのか、どういう工合に持っていったらいいのかというような根本的な問題が、相当大きな問題がありますわけでございまして、そういう点もこれは同時に考えて、そうして公庫の今後の資金源、それから協同組合の系統金融をどういう格好で持っていくか、それから系統金融の内部におきましても、金利の低下とか、あるいはその他の問題がいろいろありますわけでございますので、そういう点も十分根本的に検討しなければいかぬじゃないかというような、そういう結論になりまして、一応本年度はそういう措置をとらないで、資金運用部その他からの借り入れでまかなうというような状況に相なっているのでございます。従いまして今後農業金融問題を考えていきます場合には、どういたしましても系統内部におきまして相当剰余金があるのでございますので、これをいかに有効に農村に還元していくかという問題を中心にいたしまして、それに農林漁業金融公庫の長期低利の融資も合わせまして、根本的に検討していかなければならぬというように考えておりますわけでございます。
  108. 北村暢

    ○北村暢君 もう一つ資料をお願いしたいのですが、各資金の種類別の回収の率ですか、期限が参りまして延滞になっていっている分の回収の率ですね、これを一つ、わかる資料がありましたら、種類別にお願いいたしたいと思います。
  109. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 承知いたしました。
  110. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十分散会