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1960-02-25 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十五日(木曜日)    午前十一時十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            重政 庸徳君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君            北村  暢君            清澤 俊英君            中田 吉雄君            棚橋 小虎君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 福田 赳夫君   政府委員    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局長 増田  盛君    農林省畜産局長 安田善一郎君    農林省蚕糸局長 大澤  融君    食糧庁長官   須賀 賢二君    林野庁長官   山崎  齊君    水産庁次長   高橋 泰彦君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を開会いたします。農林水産基本政策に関する件を議題といたします。  前回に引き続いて本件についての農林大臣に対する質疑を願います。  なお、質疑の時間は、前回同様に、答弁の時間を含めて一人三十分以内でお願いをいたします。
  3. 北村暢

    北村暢君 私は、まず第一点にお伺いいたしたいのは、大臣農林水産委員会における説明の中の、今回の重点施策の第一が、生産基盤強化拡充、こういうことになっておりまして、その中に林業問題について触れておられるわけですが、それについて治山造林林道ということについての将来の木材需給の見通しに即応して森林資源育成開発に努める、こういうことを言われているのですが、私は、治山並びに林道は、生産基盤拡充強化ということにはある程度該当するでしょうけれども、造林というものは生産基盤拡充強化ということに全然関係ないとは言いませんけれども、感覚的にいって、林業というものに対して、森林保安機能というものに対して、造林も確かに保安機能はあるわけですから、そういう意味においては、生産基盤拡充強化には全然ならないとは言わないのですが、それも大事ですけれども、今、林業でやはり問題になっているのは、近代化であり合理化である。これは各産業要請せられておる至上命令だと思うのです。それに対して、まず、そういう面については、一つも第二点の経営合理化なりなんなりというところには全然姿を現わしていない。大臣説明によると、生産基盤拡充強化の中に入っている。これは私は、大臣林業に対する認識が、そういう認識しか持っていないということになるとこれは大へんなことだと思う。概括的にいっても、水産の問題と食糧の問題と林野の問題、外局だからこれは関係しないというならば別ですけれども、そういう感じを非常に強く受けるわけです。まず、この第一点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話のように、まことに生産基盤と申しますれば、造林自体はそういう意味もありますけれども、生産基盤強化をいたした上で造林をするというので、むしろ造林の方が、さらに先の目標だという性格を持つことはお話通りだと思うのです。ただ、何もやっていないかというと、そうじゃございませんで、国有林民有林を通じまして、はげ山をなくするという最高の目標で努力いたしておるわけであります。国有林については国営でいろいろな施策をやっておりまするが、民有林につきましては、本年度も国から低利資金を貸すというようなことを始めましたわけでございまするが、これが非常に、地方の御要請にも即しておりますので、——今、民有林と申しましたが、公有林ですね、公有林につきましても、ことしさらに財源をととのえまして融資をするというような努力をいたしておるわけでございます。決してなおざりにいたしておるわけではないのでございます。
  5. 北村暢

    北村暢君 どうも答弁が抽象的であまりはっきりいたしませんが、現在基本問題調査会等で論議になっている農休業所得、この問題が非常に大きな問題として論議せられている。で、所得倍増計画との関連において、おくれた農林業をどういうふうに持っていくかということは、今検討中で、非常に大きな問題だと思うのです。ところが、今考えられている中で、兼業農家か非常に多くなってきている。兼業率か多くなってきている。こういう中に、第二種兼業というものは農業ではないのだ、農業対象にしないのだ、こういう考え方があるわけです。それで、その第二種兼業の中でも、サラリーマンをやっている者、あるいは商店その他の中小企業をやっている者、そのほかに山林労働に従事している者、水産業に従事している者、いろいろあるわけでございますが、その中における、兼業農家のうちで、林業に携わっている者というのは非常に多いと思うのです。この前の委員会で、田中委員からも触れられているように、林業農業とひっくるめて所得というものを考えたらどうだ、これについて出ておりましたけれども、とにかく農業としての対象として考えないということになれば、これはやはりどこかで見なければならない問題になってくる。そういうような意味からいって、特に私は林業関係して、これからお尋ねいたしたいと思うのですが、この林業生産状態と、それから所得関係が一体どのように現在なっているか、これをどのように判断をしておるかということについて、お伺いいたしたいと思います。
  6. 山崎齊

    政府委員山崎齊君) 林業におきます所得も、非常に他の農業等に比べまして低い程度ではありますが、木材需要増大、あるいはまた造林、その地各般の仕事の伸びというようなものに関連いたしまして、非常に低い状態ではありますが、幾らかの所得増大を見つつあるというふうな現状であるのとありますが、最近におきましては、木炭需要というものが減少して参り、そういうものに従来使われておりました原木資材というものが、パルプ用材その他のものに転換していくというような問題も生まれておるわけでありまして、今後の、特に山村におきます経済振興という面につきましては、林業の受け持つべきもの、あるいは農業畜産との関係、これらを総合した線で進んでいかなければならないと思っております。
  7. 北村暢

    北村暢君 今の答弁は、私は非常に適切でないと思うのです。大臣よく聞いておいて下さい。林業国民所得伸びは、国民所得白書によるというと、これは国民全体の所得伸びとほぼ一致しておるのです、林業伸びというのは。これは農業は非常におくれています。昭和二十六年を一〇〇といたしまして、農業は三十二年で一二六、林業は一九二、国民所得は一九一なんです。そうすると、林業所得伸びというものは、今、長官が言われたように伸びからいくというと、これは国民平均所得伸び程度伸びを示しておるのですよ。それにかかわらず貧困だということですね、今おっしゃる通り。そうなんです。確かにそうなんです。そういうような形にあるということは、もう国民所得白書に出ています。これが私はやはりこういう伸びを示しながら、なおかつ、貧困だということについてのやはり解明がなされなければならないのじゃないか、このように思うのです。そこでもう一つお伺いしたいのは、この所得伸びというものは、だから、最初にお伺いしたように、何が要素になっておるかというと、木材価格値上がりなんです。これが所得伸びになって現われておる、実際問題としてね。それでこの木材価格というものが一体どのような形に動いてきておるのかということをお尋ねしたわけです。ですから、その貧困だということだけではちょっと理解できないのです。
  8. 山崎齊

    政府委員山崎齊君) お説の通り事態でありまして、先ほどの私の御説明が不十分であったかと思うのでありますが、生産の面におきましては大きい増加はないのでありますが、御存じ通り木材価格というものが二十六年あたりを境といたしまして、ほかの一般物価と比べまして木材におきましては非常に大きい伸びを示しておるというところに、結果としてのお話のようなまあ所得伸びがそこに出ておるというふうに見るべきであると考えております。
  9. 北村暢

    北村暢君 そこで、確かに所得伸びておるのですが、貧困なものがある、こういうことなんでありますが、それは従って林業所得というものの内容を見ますというと、いわゆる国有林は別といたしまして、個人経営林業所得者、これは山林地主的な存在で立木を払い下げる人もおる、それから自営でもって伐出までやっているものも含まれておる、こういうようなものも含めて、この個人経営林業所得者、それから勤労所得者林業における勤労所得者、こういうものとを見ますというと、非常に大きな所得の差が現われてきているわけです。従って、この林業所得伸びというものは、いわゆる個人経営所得伸びておって、そして勤労所得というものが伸びてはいるけれども、非常に大きな個人経営者との所得伸びから比べれば問題にならない形が出ているのです。その点が個人経営所得伸びが二十六年を一〇〇にいたしまして三十二年が二二六です。経済全体の伸びが一五〇に対して林業の場合二二六と伸びておる。ところが、勤労所得の方は全経済が二二四に対して林業は一六八、こういう伸び状況です。そうしますと、この山の経営者というものの所得というものは、全産業から比べれば非常に大きな伸びを示しておる。ところが、勤労所得については、これは全産業から比べれば非常におくれておる。こういう実態が出ておる。これも国民所得白書にはっきり出ておる。こういうような所得実態というものについて、林業というものをどのように大臣は考えておられるのか。ここら辺のところを一度検討したことがあるのかどうか。
  10. 山崎齊

    政府委員山崎齊君) お説の通り森林所有者、この所有者みずからが伐採その他の事業をやる、そういうふうな層の所得が非常に大きく増加しておるということになっておるのであります。御存じ通り、戦後における一番大きい特徴といたしましては、木材その他の需要増加によりまして、あるいはまた外国からの木材等の輸入が戦前に比べて非常に減ってきたという点からいたしまして、立木価格というものが、製材品関係などの価格に比べまして、割高というような、戦前には見られなかったような、非常な特異な価格の形をとって参っておるわけでありまして、こういう点からいたしまして、森林立木価格戦前に比べれば高騰、それに伴う所有者所得増加という問題が大きくここに現われて参ったということであるのであります。また勤労所得につきましては事業量の、伐採面における伐採量増加もある程度あるわけであります。この賃金その他の面におきましては、林業というプロパーの部門における賃金構成というものが行なわれるというよりは、むしろ農業等々の関係におきまして、この賃金その他が、水準がきまって参るというような点からいたしまして、そういうふうなアンバランスというものが生まれて参ったというふうにわれわれは了解しておるわけであります。
  11. 北村暢

    北村暢君 今答弁されておるように、素材生産価格原価構成の中で、今おっしゃるように、立木代金というものが、三十一年の統計において大体四四・七%というのが立木代金、それから労賃が一三・五%、それから物的いろいろな諸経費、これが二二%、それから素材生産事業利得というのが、企業利得ですか、これが一九・八%、こういうふうに素材生産原価内容がなっておる。これは農林省調査並びに勧業銀行の調べではそういうふうになっておる。しかも、今、長官がおっしゃるように立木代金の方は最近非常にやはり値上がりを示しておる。そして逆に労賃の占める割合というものは、昭和二十五、六年から比べるというと、率は逆に減ってきておる、こういう実態です。それから諸経費はこれは下がってきております。利潤というものも実はこれは企業利潤というのは減ってきておるわけです。たとえば昭和二十五年が二五・七%の素材生産企業利潤というのがあった。それが一九・八%に下がってきておる。そういう傾向をたどっておるのです。これは私はやはり林業近代化のために相当な、その経営そのもの機械化されておるというものに対して投資が伴ってくる。それに対して利潤というものが少なくなくなってきておる。これはまあ大体この投資時期にあるのだろうと、こういうふうに判断するのですが、それに引きかえて一番問題なのは、やはり立木代金が高いということです。問題はこれは林業におけるいわゆる地主的山林所得に類するものです。黙って山を置いておくというと、立木代金値上がりによって地主的な山林所得というものがふえてきておる。これは非常に大きな割合でふえている。昭和二十五年が二〇・六%だったものが、三十一年では四四・七%を占めるようになってきておる。これは黙っていても倍の値上がりのためにもうかっていく。山林地主がいわゆる受ける利益なのです。こういう形を示しておるということは私は林業の発展のためにおいて決していい形ではないのではないかというふうに思うのです。従って、これは木材価格値上がりということは、所得としてはふえてきておりますけれども、そのうえ方の配分が地主的な所得伸び勤労者所得伸びと、それから業者の所得伸びというものが、非常に不均衡になってきておる。こういう形は私はやはり是正されていかないというと、ほんとうの意味における林業近代化ということは出てこないのではないか。そういうようなことで、私は今度の林業関係予算を見ますというと、従来林業予算というものは林道造林補助金、これは治山関係災害関係とも関連いたしますから今度は非常にふえております。しかし、林道造林だけが、これがもう林業関係予算の大部分を占めておる。まあ木炭等の奨励の面も若干出ましたけれども、ただ私はやはりこの機械化その他について近代化していくというときに、昨年あたりから行なわれておる育種の問題その他が出て、技術面というものを非常に考えられてはきましたけれども、これが農業畜産と比べますというと、格段にやはり私はおくれておると、こういうふうに思うのです。そういう面が今度の大きな農林大臣説明のかしらである生産性の向上のための合理化施策の中に入ってこないということが、私は非常に遺憾だと思うのです。で、これは国有林民有林とで非常に差があるのです、技術面においても。国有林は確かに伸びてきておる。従って、国有林勤労者賃金も上がって参りました。これも事実です。事実ですが、そういう形の中に林業国有林のように近代化されていくということが望ましいのであって、零細な民有林というものは全くおくれておる。これが林業勤労者の、山林労働者賃金にももちろん大きな国有林との差が出てきて、今日これが非常に大きな問題になっておるわけです。そういうような事態が出てきておりまするので、これらについての施策がないということは、私はやはり非常に遺憾だと思うのです。農業関係において大機械を導入するにしても、センターを作る、いろいろな施策が講じられております。しかし、民有林振興のために、そういう機械の導入ということに対して政府が積極的な補助なりなんなり保護政策というものを加えていかない限り、国有林民有林との差というものは、非常に大きな形になって出てくるのじゃないかというふうに思うのです。そういうような点からいたしまして、今度の国有林民有林に協力するということで、造林経費等も一部予算には組んでおります。組んでおりますが、今申した造林だけが、造林というのは農業でいえば稲を植えたり麦を播いたりすることなんですよ、それに補助をしなければならないというのが実態なんです。そうでなしに、生産業としての、それから林業事業ですね、伐り出してこれを素材生産をする、こういうものに対してやはり積極的な助成政策というものをやらないというと、国有林民有林との技術面においても内容においても非常な差ができてくるのじゃないか、こういうことが痛切に感ぜられるのです。そういう点について、この政策がなかったことは私は非常に遺憾だと思うのですが、そういう実情について大臣一つ認識していただきたい。これは自民党のあなた方の同志である全森連の会長の井出さんがこのことを訴えておるわけなんです。国有林造林賃金が六百五十円、ところが、県有林は四百五十円で民有林は三百五十円、この賃金においてすら約倍の賃金の差ができてきていると、こう言っているこの数字は私は統計を当たってみましたところが若干合っていません。合っていませんが、しかし、井出さんはそういうことを言って、これを何とか一つ縮める方策を一つやってもらいたいということを、あなたのところの政策マンである井出さんがこう言っているのですよ。しかも、今日の林業というものについては、やはり近代化していく上においては何としても民有林機械化のために、あるいはこの合理化のための森林組合協同組合、しかも、森林組合にしても、これは生産組合のことを意味しておるのだろうと思うのですが、そういう強力な保護政策がなされなければならないし、大幅な金融というものが考えられない限り、民有林後進性というものを永久に脱出することができない。従って、この労働者の低賃金低能率林業の前近代化的な産業から脱却することができないということを訴えておるのですよ。従って、この点について、私はやはり今度の大臣の三つの大きな基本である産業基盤拡充強化、それから経営合理化、それから二三男対策という、やはり所得政策から来るところのこういう考え方というものについて、これはやはりこの前は秋山さんが水産のことを取り上げまして、水産は全然なっておらぬと、こう言われましたが、これは林業についても、なっておらぬ状況だと思うのです。私はそういう点からいって、やはり大臣重点施策というものが、水産林業においては、これはやはり見落としているような感じを非常に強く受けるのです。そういうような点からして、これは大臣一つぜひこの問題は取り上げて慎重にやっていただきたいということを特に要望しておきたいと思いますし、また、所見を承りたいと思います。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今、日本の全体の林業は、国有公有民有でやっておりまするが、お話通り国有の方が非常に進んでおりまして、民間の方はどうも進みにくいという状態が出ておるように考えておるわけでございます。民間のこの種の事業投資年月が非常に長いわけでございまして、さようなことから、経済の成長の速度の速い今日とするとあまり喜ばれないというような傾向もあり、また、民有一つは、零細な林野で作られておる場合が非常に多いわけでございまするから、さような面からもどうもおくれがちであるという一つの理由を形成すると思うんです。しかし、おくれてはならないことでございまして、まあ今日までも森林組合等を通じまして民有林に対しまして助成の措置を講じておりまするが、お話の次第はまことにごもっともでございますので、なお、今後とも力を注いでいきたいと、かように存ずる次第でございます。
  13. 北村暢

    北村暢君 今、所得政策というものが非常に問題になって、基本問題調査会でもやっておりますけれども、今の統計書を見ますと、農業労働賃金がこれはもう格段に低いわけです。それから、山林労働賃金は、農業労働から比べればまだいいわけです。しかも、この例を一つ申し上げますというと、昭和三十一年の農業労働の男の賃金が三百十一円、女が二百四十八円、山林労働伐木が四百四十九円、それから運材が四百四十八円、それから常用労働者製造業賃金、これは月給制でありますが、月当たり一万八千三百四十八円、それから日雇い労働者、これが三百五十九円です。そうすると、これから見ますと、農業労働というものは町の日雇い労働者よりも賃金ははるかに低いということになります。それから山林労働者は、伐木運材、これは民有林の方の平均をとっていると思うのですが、約五百円程度。そうしますというと、山林労働者の方は日雇い労働者よりも若干、百四十円ばかりいい、こういうような形になって出ているわけです。従って、この農業労働の問題と山林労働の問題と、それから製造業所得の問題というのは、私は非常にこれは重要なことだと思うんです。それで、従来賃金考え方等について、国有林賃金を上げるということは、民有林が非常に安いんだから国有林賃金は高過ぎるんだと、こういう意見が出ておるわけです。これは決してそうじゃないのでありまして、賃金の面からいえば、先ほど来申し上げておるように、勤労所得というものは決してそう伸びているわけじゃないんです。従って、そういう面からいえばまだまだ上がる余地はあるのでありますが、民有林の前近代的な非経済的な低賃金というものと比較して国有林が高いというにすぎないのでありまして、そういう面からいえば、この林業民有林施策というものはもっと真剣に考えられなければならないし、それから農業労働の問題については、これはやはり今の所得部会でもって検討を加えておる時期でありますから、これは答申を待って当然所得倍増論関連して考えられる問題だろうと思いますから、この問題は私申し上げません。あまりにも低い農業労働というものを一つ大臣、はっきりその頭の中に入れておいていただきたいと思います。  それからもう一点お伺いいたしますが、今度は統計の問題をお伺いいたします。現在、統計調査部内において地域統計ということが問題になっておるわけであります。しかも、これは、各事務所長がその内容等について末端に説明をしておるということで、若干の統計職員の中に混乱が起きておるような感じを受けておるのであります。従って、私のお伺いしたいのは、この地域統計について非常に確定した案というものができておるわけでもないようでありますけれども、一体この地域統計というものについて農林省はどのような考え方を持っておりますか、まずお伺いしたい。
  14. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 担当の部長がおりませんので、私からお答えしたいと思います。御指摘になりましたように、最近の農林統計におきまして、いろいろの角度からこれを利用する部分が非常にふえて参ったわけであります。特に経済統計におきましては、最近の農家経済あるいは所得といったような面から、地域別にあるいは経営形態別にこれを分析していくというような要望が非常に強くなって参ったわけであります。そこで、統計調査部におきましても、これらの要請に対応するように、統計の仕組みにおきましても、あるいはそれの調査形態におきましても、できるだけ地域的な性格というものを持っていった方がより事態解明に役立つのではないかと、こういうような考え方をとりまして、米なり、あるいは麦なりの各種の生産費調査等をやっております。あるいは作物統計をやっております。それらも、やはり農家経済あるいは所得というようなものと相関連しまして、地域的な提出方法をとるというふうなことが今後においては必要じゃないかというような考え方に基づいて検討を行なっておるような状況であります。
  15. 北村暢

    北村暢君 その地域統計統計あり方そのものでなしに、その地域統計関連をして、統計事務所の事務体制なり、あるいは機構なりというものを合理化していこう、こういうことが考えられているようです。また、それが非常にもっともらしく説明されているようでありますがね。現在統計の出張所というのは全国約九百あるわけですが、これを三百くらいに統廃合をやってそうして事務所の体裁も農林省の出先機関らしいような役所にする、そうして事務能率も上げるようにする、そういうことの中から機動力も持たせ、地域統計の体制を整える、こういうようなことを聞いておるわけです。そういうようなことは考えておられるのかどうなのか。
  16. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 今申し上げましたように、地域的な性格を出すということになりますと、たとえば蚕糸であるとか、あるいは畜産であるとかいった場合に、全支所で一律な方式でやった方がよろしいか、あるいは養蚕なら特に養蚕地帯ということに重点を置いた地域におきましては、それを中心に主力を注ぐというようなやり方というものを考えるわけであります。そこで、統計の方におきましても、今お話がありましたように、従来の統計事務所あるいは出張所、支所等におきましてもやはりそういう地帯というものを前提といたしまして調査をやった方がより合理的ではなかろうかということで、寄り寄りそういう方向で全体の今後の計画を検討してみたいということで、一つのプランなり考え方は持っておるわけであります。しかし急速にどうというわけにも参りませんので、一つのそういう長期計画的な構想を検討しておる、こういうことでございます。
  17. 北村暢

    北村暢君 もう時間もございませんからあまり申し上げませんけれども、この問題は大臣、よく聞いておいていただきたいと思うのです。これは統計地域統計に移行し、生産農民なり、あるいは地方の農政なり、そういうものに合ったところの統計にして、そしてこれが活用されていくということについては異存もなにもないのです。ただ、その地域統計に持っていく場合一に、それに切りかえる考え方の中に、今の事務体制では、そういう最も近代的な仕事をやっている事務体制としては全然その体制ができていない、こういうことです。それで先ほどの九百カ所の統計の出張所を統廃合するということを今盛んにやっておるようですが、これは簡単になかなかいかないのです。で、ことしの予算を見ましても、出張所の新設が十カ所要求してわずかに三カ所です。ところが、統計の出張所の庁舎というものは借り上げ家屋で、今日出てゆけという立ちのきを言われているところが五、六十カ所あると思うのです。それに対してわずかの三カ所、三分の一にして三百カ所の出張所を作るにしてもこれは百年かかるのです。それは長期計画だなんというものじゃないですよ、とても。これは私は前の三浦大臣のときにもやかましく言ったんですけれども、三カ所ずつ統計の出張所を作って百年かかってやるなんて言ったって、これはだめだって言ったんです。とにかく農林省はもっと統計の出張所というものに対して、建設省の一般官庁並みの官庁営繕にまかしておったのではこれはできっこない。ですから農林省が本腰を入れて、やる気になってやらないというとこれは私はできないと思う。こういう点に対しまして、従来この統計というのは行政整理のあるたびにふらふらしてきている役所なものですから、思い切った要求というものはなかなかできない。従って、これは統計調査部長にまかしておいたのではできないので、農林省全体がやはり見ていく、大臣も非常にそういう点について意を用いていくというふうな状態でなければならない。この前にも出ましたのですが、オートバイ三百台買うというと人員百人減らすと、こういうような行き方でもっていっておるわけですよ。冗談じゃないですよ。出張所の状態では計算器もろくにない。統計をやりながら計算器もろくすっぽないような出張所がたくさんあるわけです。これじゃお話しにならないので、この地域統計の問題と関連して、やはり統計の問題については私は、非常に立川部長は情熱は持っているのですけれども、金がなくてどうにもこうにも動きがとれないというのが実態のようです。ですから、これはやはり大臣地域統計との関連において非常にいい努力を今しておるわけでありますから、これをぜひ一つ実施可能な方向に持っていくように御努力を願いたい。これに対して大臣の決意をお聞きしておきたいですね。
  18. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 統計の建物あるいは宿舎等につきまして御指摘がございましたが、われわれといたしましても、現在の統計の庁舎なり、あるいは宿舎等についてずいぶん老朽化した部分もありますので、これについては十分努力いたしておるところでございます。ただ、今お話しになりました官庁営繕の関係でいいますと、御指摘のような統計のことしの新しい移転費、庁舎の新営費というようなものでありますが、それ以外の一般施設費、これは組織別に農林省予算に計上されております。官庁営繕費でありますと建設省の所管に計上されておるのでありますが、これらをあわせまして相当の努力をいたしておるわけでありまして、統計と限らず一般的な、まあ農林省の出先機関につきましても、そういうふうな老朽化したような宿舎につきましては、年次計画を立てて整備いたそうという考え方はやっております。統計につきましても五カ年計画を立てまして逐次整備をはかろうという考えのもとに実施いたしておりまして、本年度におきましても、官庁営繕費のほか一般施設費を含めれば、新営の統計の事務所の建物並びに出張所、支所等の建物につきましても、三カ所でなしに五カ所以上の経費を計上いたしておるわけでありまして、今後といえども統計の老朽化した施設の改善、修築につきましては、今お話しになりましたような地域統計、つまりその地方、その地方における喜ばれる統計、利用される統計ということを念願にして、それに対する事務体制も整え、それに対する施設も完備していきたい、こういう考え方でせっかく努力をいたしておるところでございます。
  19. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 時間がありませんので二、三お尋ねしますが、福田大臣農業基本法についてどうお考えか。まあことしの、三十五年度予算をとらえる場合に、まあ農政も大きな転換期と称されておるのですが、それをどう理解していくかと、しかも、基本問題調査会はまだ結論が出るまでに間があるというので、実際日本農業が行かねばならぬ方向をはっきり見出して、そして基本問題調査会の結論は出ないが、当然予見せられる方向をとらえて三十五年度予算に実際具体化してあるかどうかです。この三十五年度予算の理解の仕方として正しいと思うのですが、その問題は、まあ時間がありませんので申し上げませんが、やはり明治から日本農業をずっと農林省が担当した際に一つの方向づけがあったと思うのであります。それにはやはり国民経済において日本農業をどうするかということを位置づけて、そしてまあ所得倍増計画等から関連しましても、これはいうべくしてこのアンバランスはますますひどくなり、企画庁なんかでやったのでも、まあ七%ぐらいに伸びを見て、十五年すれば倍になるだろうが、農業は五〇%くらいの伸びだろうといわれておるのですが、よほど国民経済における位置づけをはっきりして、そして予算を財政投融資を相当流してこぬと、アンバランスを調整できぬと思うのです。幸いことしは御努力によって全体の予算に対する農林予算の比率が連年逓減しておったのを防いでもらいまして、所得の格差を少なくするには、やはり相当な予算と財政投融資のてこ入れが必要だと思う。それにはやはりドイツなんかでやっておりますように、基本法によって農業の位置づけをして、そのときどきの政府の懇意によって予算が減らされないように、ある程度リンクするような、全体にリンクするぐらいの規制措置をとる基本法なしには、私は所得の格差を少なくすることもできないし、この劣勢を取り戻すことはできぬじゃないかと思うのですが、農業基本法論もだいぶ下火のようですが、それについてどういうお考えですか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 二、三年前から農業基本法をわが国においても制定したらどうかという御意見がありました。たまたま私、一昨年自由民主党の政調会長をしておりました。そのとき私どもの党の方でもいろいろ検討いたしました。その結果は基本法という考え方でいろいろな形の法制が各国であるわけです。その内容は画一的じゃございませんです。しかし、農業を大いに推進していこう、また、これを保護していこうというような考え方につきましては、みな各国の立法にもそういう思想が出ておるわけです。議論をいたしました結論は、各国のそういう法制をわが国において取り入れるということは、これはもういともやさしい問題である。問題は、その背後に横たわる農業基本方策というものをどうするかということをここで考え直してみるということが一番困難であり、今まで手がつけられなかった政策の分野ではないかというふうに考えたわけであります。従いまして、政府のそういうような考え方を受けまして、農業基本調査会というような調査会よりはさらに一歩進んで、農業基本問題に取り組むところの調査会を設置すべきであるというふうに観念いたしまして、昨年の通常国会におきまして農業基本調査会法案というものをお願いをいたしました。でありまするから、私どもは結論といたしましては、もう農業基本問題、基本法、そういう形式的なこと以上に突っ込んで、曲がりかどに来た農業というものを率直に見て、その姿に応じた政策の方向づけをしていこう、こういうところまで踏み切っておるのです。ですから、これは今お話しのように、基本問題調査会というのは衆知を集めて検討を続けておりまするが、夏ごろまでには農業問題の中間結論が出ます。引き続いて林業、漁業とやりまして、三十五年度一ぱいには総合的な結論を出すということになっておりまするが、私どもといたしましては、率直に今日の事態に目をおおうことなく、農業の現実というものを見詰めまして、これに対して抜本的な対策はどうだろうということを打ち出していきたいと思うわけであります。基本法というような法制がそれに関連して必要であれば、これはいつでも提出するにやぶさかでない、そういう考え方を持っております。
  21. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 趣旨はわかるわけですが、ドイツの基本法を見ましても、ドイツ国民経済においてドイツ農業をどう位置づけるかということをきめて、そうして毎年国会、いわゆる国民に対して農業白書を出させて、位置づけをしたが、実際はこうなんだというようなことから、ドイツ予算の中である程度リンクさして、そうしてそのときどきの悪意的なことで農業予算が減らぬようにする、消極的な防衛みたいですが、私は福田農林大臣は大蔵省のことに精通しており、幹事長もやっておられたし、幸い災害とか食管会計の問題は別にしても、年々逓減しておったのが減らないのはけっこうですが、やはり単なる一農林大臣の手腕に期待して農業予算を守るというようなことも必要ですが、それなしでもやはり国民経済において位置をつけて、そうして総予算の中で相当部分をさけるようにした方が、私は特に安保改定等をやり、第二次防衛六カ年計画、そういうものが出れば、また、しわが寄ってきたりして、どうしても弱い機関にしわが寄るものですから、私はやはりそういうふうに基本問題調査会の結論を待つことも必要でしょうが、将来やはりそういう意味で一考していただくことが重要じゃないかということを申し上げて、この問題は打ち切りますが、私はそういうふうにしないと、そのときどきの農林大臣の手腕に期待と信頼を寄せるだけでは、特に防衛六カ年計画で二千八百億から三千億の防衛庁案要るということになれば、いろいろな関係からしてしわが寄りやすいのではないか、それを防止する意味でも私は必要じゃないか、こういうふうに思います。  それから時間がありませんので、第二番目に、財政投融資の問題ですが、農林漁業金融公庫で造林の融資をする三億五千万ですか、それを自治庁所管の公営企業金融公庫に委託されたことの可否と理由なんですがね。これは山崎長官もおられるのでお尋ねしたいと思うのですが、自治庁の方はこの公営企業金融公庫法によってその目的として農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、農林中央金庫その他の金融機関が融資をすることを困難とするものに融資する。そこで、こういう林野の整備は、法的にいって農林漁業の融資対象でない、こういうことを言っているのです。それは公共団体のいわゆる造林は、生産力の維持増進じゃない、こういうことを言っている。それからもう一つは、そういう意味で市町村役場がやるのに融資するのじゃないのだ、むしろこれは財政強化とかというようなことを言っているのじゃないかと思うのですが、第二番目には、地方公共団体は林業を営むものではない、そういうものに貸し付けることは適当でない、違法ではないにしても適当でないという二つの点を、地方公共団体は生産力の維持増進をやるという目的で造林するのじゃない。地方公共団体は林業を営むものじゃない。ところが、農林漁業金融公庫はその二つの目的をやるものだから違法だ、彼らが末端に流して、下から盛り上げてきた理論はそうなんです。そこで、福田農林大臣と渡部伍良農林政務次官の高等政策で、その上の方の政策で、自治庁所管の公営企業金融公庫に委託されたやに聞いているのですが、そういう自治庁の主張に屈服してとは言いませんが、それを是としてやられたのかどうか。私は森林面積の中の一五%も公有林野がある、これは非常に粗放的の経営立木のないものが多くて、非常に森林資源の開発上から放置できぬ問題だと思うのです。それを農林漁業金融公庫がやった方がいいのか、自治庁所管の公営企業金融公庫でやった方がいいか、なわ張りでなしに、この一五%という広範の森林面積を占める公有林造林には、どっちがやったらいいかという基準でやるべきであって、私は公営企業金融公庫でやるのがはたして適当かどうかということは、実は疑問に思っている。その点はどうなんですか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御承知の通り公有林をこの際、整備しなければならないという緊急の問題があるわけなんです。その場合に一般の造林金融は公庫がやっておりますので、これで統一してやるということは、私どもはまことに好ましいことで、そうならなければならぬというふうに考えているわけです。ところが一方におきまして、いつでありましたか、三年くらいになりますか、公営企業金融公庫というものができまして、それで市町村の行なうところの公営企業の融資は、一体としてこの公庫にやらせたいという考えが打ち出されておるわけです。これは造林も市町村の行なう公営企業ということに相なりますので、自治庁の意向といたしましては、造林一つ公営企業公庫を通じて融資が行なわれるようにいたしたい、こういうことを言ってくるのが当然の勢いと思うのです。そこで、いろいろ検討してみたのですが、私どものそういう公庫の一括融資施行という主義にも反せず、また公庫中心で、公営企業金融公庫中心のこの地方自治体に対する融資という仕組みにも合う方法いかんというふうに考えますると、資金は公庫に与えて、農林漁業公庫に与えて、そうしてその公庫から公庫の統一的な見解のもとにその公有林に融資すべき部分、三億五千万円なんでございまするが、これの融資を現実には公営企業金融公庫の方に委託するという方法でやりますれば、まあ両々の目途とするところが立ち、また国会で両方のことを御決議願っておるわけですから、国会の御意思にも沿い得るゆえんではあるまいか、こういうふうに考えまして、ただいまの委託主義というものをとったわけです。さような趣旨でございまするから、これは委託はいたしまするが、その融資の実行にあたりましては農林省、すなわち、それの出先とも申すべき農林漁業金融公庫におきましては、十分自治庁並びに公営企業金融公庫と連絡をとりまして、この趣旨が実現されるように運営して参りたい、かようなことにいたしたわけであります。
  23. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も実は九年間地方行政をやってみまして、陳情を強く受けておる面もあるので、国会議員の分野でも、大体地方行政関係は公営企業でやらせるように——いろいろ複雑な情勢はあると思うのです。しかし、私は一五%もあり、これをどうするかということはほんとうに大きな問題で、ただ、これが造林資金の貸付だけでは私は問題の解決はつかぬと思うのですが、いろいろ問題があり、筋論としても、ただいま福田大臣が言われたようなことは、住宅金融公庫でも、じゃ、府県や市町村のやっている住宅金融に対して、公営住宅金融公庫でやって、実際それじゃその分だけは住宅金融公庫で投融資のワクをとって、じゃ、公営企業金融公庫に委託するかといえば、それは住宅政策の一貫性といいますか、これまで別な二本立でやって支障なしにやれているのです。そういうことからいうと、円満におさめてはおられますが、問題があるし、ただ、その際に、私は実際どっちが、私の聞いた範囲では低利の長期の融資があるというので、新しい合併町村が基本財産でも作ろうというので造林意欲が非常に高いのです。とうてい三億五千万ではこれはその要求に応ずることはできない。これはもうすでに三十四年度の経過を見てもこれははっきりしているのです。そうなると、どうなるものでしょうか。もし農林漁業金融公庫では若干のやりくりは法的にもできて、ワクがもっと多くなって、他の方のが、なかなか説明を見ても森林組合の方が不振でできない。さらにまた、造林資金としては、むしろ一番たくさんパルプ会社等が金融公庫を使ってやったりしており、その全体の調整を非常に高い地方公共団体の要請にやりくりでこたえ得ることができると思うのです。それが公営企業金融公庫に行ってしまうと、その関係はどうなる。二億五千万打ち切りということでしょうか。もっと必要があり、森林組合等がやらぬ余裕がある場合には、さらにそちらに委託の金額をふやすということになるものでしょうか、そういう点でも私若干の支障があるのじゃないか、この点はどうです。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ことしは三億五千万円でございまして、その財源は国有林野からまかなうということになっておりまするが、これはもともと私は国有林事業の会計だけでまかなうべき性格のものじゃない。これは国の一般財源まで出してもやるべきものだと思うのです。ですから実行の状況等を見まして必要がありますれば、これは一般財源から公営企業公庫の方へ資金を入れまして、そうしてこれを拡大していかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  25. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その三十四年度の実績を見ましても、三億五千万じゃ足らぬと思うのです。しかも、私は森林組合の方が、十分に予定されておる額が消化できるかどうかについては、不振組合の方々がいろいろやっておられるようですが、そういう際には、もし町村の方が多ければさらに追加されるのかどうか。
  26. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 三十四年度の実行は大体四億程度でございますが、まあ三十四年度は初年度でございましたので非常に両方が集まっておるという実情もございまして、大体三十五年度は三億五千万程度でやれるんじゃないかという見通しのもとに一応そうやっておりますわけでございますが、これは実行状況を見まして、どうしても必要な場合にはいろいろ調整するというように私は考えておるのであります。
  27. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは昨年もごたごたして話がついて、春の造林時期を失したと思うのです。本年度もまた引き継ぎ等の関係で、また実際支店も持っていない。これは地方課でいろいろ水稲や果樹や、その他の一般の起債と同じように地方課で取り扱うのですか、あるいは林務課でやるのですか、そういう点でも私は造林支店網を持たない点というようなことでも問題になると思うのですが、一体造林は春季と秋季との——秋から冬と芽が出ない落葉した時期に植えるものですが、これはまた私は春の造林時期を失してしまうと思うのです。ごたごたしてもうすでに雪がとけて暖くなれば芽が出る。そうなればだめなものですから、もう時期が三月が適期なんですが、その関係はどうなんですか。
  28. 山崎齊

    政府委員山崎齊君) これの貸付の事務的な面につきまして御説明いたしますと、市町村の造林計画を立てまして借り入れの申請希望が県の林務課と県の地方課両者に出てくるわけでありまして、その計画あるいは内容造林という面で適切であるかどうかということは林務課においてこれを逐次調査するわけでございます。一方また、地方課におきましては市町村の財政というような面からいたしまして、その計画の適否というものを調査いたしまして、両者の意見の一致によりまして、それが地方課を通じて起債の申請となり得るわけでございます。で、末端におきましては両課が密接に連絡をとって本年度もやっておりますし、今後ともそういう形で進んでいくというように考えておるわけでございます。三十五年度の融資につきましては、先ほど大臣からお話がありましたような方法がすでにきまりまして、事務当局間におきまして、具体的な方法もおそくとも今月中には決定できるような運びに進んでおるわけでありますので、この三十五年の春植えに大きい支障のあるようなことはないというふうに考えておる次第であります。
  29. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 農林漁業金融公庫は、大体三十五年度も自分の方でやれるということを予想して、三十四年度分で足りないような分は来年度つけてやるというようなことで、すでに私は植えているところが実際の話であるんじゃないかと思うのですが、実際はもう足りない、しかし、計画としても妥当だ、では次のでつけてやれというようなのがあるんじゃないかと思います。あるとは言いませんが、そういうのはどうなりますか。
  30. 山崎齊

    政府委員山崎齊君) お説のようなものも全然ないというわけにはいかぬと思うのであります。すでにそういうふうな前提に立って事業もやられたというふうなものにつきましても、今後公営企業金融公庫の方にも委託するということになりますれば、その方から優先的な措置を講じてもらうということをわれわれとしては進めてみたいと考えます。
  31. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点が公営企業金融公庫の方は、おれの方は知ったことじゃないというようなことでごたごたすることがあり得るんじゃないか。ただいま長官の言われたように、善意で、三十四年度のワクじゃ足らぬ、計画としては正しいということで私は了解さして、もう植えておるやつがあると思うのです。そういうことについては一つ移管について支障のないようにしてもらいたいという点をお願いいたします。  それからもう一つ、その問題について三十五年度の政府関係機関の予算書を見ると、これが印刷されたころはいつか知らぬのですが、百八十九ページには、公営企業金融公庫の事業計画及び資金計画のところにはすでに当然そちらに委託されたようなただし書きをつけて出しているんですが、もうそのころから話がついておったんですか、これを見ると。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはいつのやつですか、三十五年度予算ですか。
  33. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 三十五年度予算です。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もちろん、それが印刷される前に話を全部きめましてやっております。
  35. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それじゃもう一つだけ。畜産の問題ですが、えさの検査機構の問題ですが、養鶏振興法が出ましたときにも、その提案理由の説明で、鶏卵と鶏肉だけでも一千億円で米に次ぐ最大の農産物ということが提案理由の説明にもうたってあって、われわれも今さらながら、多いものだと思ってびっくりしておるのです。そうしてまあ小倉さんのやっておる基本問題調査会でも——まあ小倉学校と称されておるが、そこでの結論の方向としても、果樹もさることながらもっと畜産の方が日本農業の将来としてウエートが持たれる分野だと思うのです。その際にまあ大きな問題が、えさをどうするか、われわれの調査では、肥料が大体今千二百億くらいです。消費が。ところが、えさが一千億、一千億のえさを消費しているんです。これを自給、輸入、購入いろいろあるのでしょうが、農林統計を見ましても、濃厚飼料についてはもう七割以上を買っておるという畜産農家が八割もあるというくらいに大きな問題で、これの検査機構をどうするかということは、非常に私はえさ対策としては重要だと思うのです。幸い昨年度えさの検査機構で七百四十八万であったものが八百十五万に若干ふえて、定員も二十名になっておるのですが、最近えさに非常に來雑物をまぜて、もう全購連なんかでもあぶなくて取り扱えない、もう幾らでも伸びるから、二百億程度が限度だというくらいで、ですから全購連でもこういう來雑物を鑑定する本を出してみるくらい大へんまぜておる。たとえば栃木県では、もみがらを粉末にする会社が成立して、それをふすま、ぬかにまぜておる。それから魚粉が一番多いのですが、魚を煮てそのにおいを貝がらの粉末等につけて、そうして大量にやっておるのです。ですから魚粉は、魚粉を製造するところで買うよりか市販の方が安い。それは來雑物をうんとまぜているのです。そういうことで一千億の中で一割ともいかぬでしょうが、相当これはまぜておって、とにかく一千億の中で相当全購連等で鑑定して、二割ぐらいのものもあるし、一割くらいのものもあるし、一番多いのが魚粉、その次にはふすま、米ぬか、九州なんかでは竹を粉末にしてまぜるようなことも一つの大きな事業としてみな成り立っているというようなことで、これはどうしてもこの問題を畜産振興のためには本格的に取り上げていただかなければならぬ。それには、私はやはり肥料の検査機構と同じように、一千億と一千二百億ぐらいで、もうほとんど全額においても対々というような重要な問題ですから、これについて相当畜産団体もお願いをしておったのですが、十分でないのですが、この問題をどうお考えでしょうかお伺いをしたい。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話の点ごもっともなことでございまして、昭和二十九年に飼料の品質検査に関しまする法律ができております。それでお話のようなことがないようにという努力はしてきたのですが、やはり消費者等からもずいぶんいろいろと御注意をいただいているような次第でございまして、なお、これは一そう力を入れなければならぬかと、こういうふうに考えまして、三十五年度には飼料検査所というものを新たに設立しようという計画でございます。これは農林省設置法の改正案といたしまして別途法律案として御審議をお願いするわけでございまするが、予算の方では、それに必要な費用といたしまして千四百七十億円ばかりのものを御審議をいただいているわけです。この上とも注意をし、努力をいたすつもりであります。
  37. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう点では一歩を踏み出していただいたのですが、私はやはりこれは肥料の検査と同じような程度に充実していかぬと、この要求に応じ得ることができぬじゃないだろうかというふうに考えます。ただいま御説明の飼料の品質改善に関する法律というものですね、これを肥料取締法のような強制的な措置ができるようにできぬものかどうか。もう肥料でありましたら、硫安なら一八・幾らとか尿素なら幾らとか、含有量がほとんど間違いがない、安んじて買えるというほど検査機構が確立しまして、品質については安心できるわけなんです。私は飼料についてもそういうふうにするのには、この法律を改めることが必要じゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  38. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 事務的なことですからお許しを得まして私から……。中田先生よく御承知の肥料の品質改善に関する法律でございまするが、肥料の販売取り締まりに関しまする法律と多少違いまするが、大体御趣旨に即しましては似た運営が現行法でもできるじゃないかと思っておるのであります。ただ現在やっているのではまだ足りないと思う。あわせまして法律改正を要してなお取り締まりを強化して品質改善をする部分もあるかと検討中であります。その内容を一、二申し上げますと、ただいま販売しようとする飼料を、製造業者、販売業者のえさ飼料につきましては、そのえさそのものを公定規格として農林省で定めましたものに応じまして登録飼料制度があるのでございます。その登録内容は、素蛋白、澱粉、固形物の栄養分と販売飼料の中におきまする割合できめてありますが、農林省が基準を定めておりまする品質基準はいささか大ざっぱであろうと思います。それからもう一つの点は、そういう飼料養分で表示することが、まぜました商品的な原料、たとえば澱粉とトウモロコシとか、蛋白と大豆かすという割合ではっきり表わす義務を負わせておりませんので、そこで配合飼料を二種、三種の配合飼料等に分けまして、商品である原料そのものも明示するようにいたしたいと思って研究をいたしております。これは法の運用でできるのであります。またさらに御指摘のもみがらとか落花生がらとかいうように、栄養になりませんで、かえって栄養を阻害するような飼料を混合する、ぬか、ふすまの中に輸入飼料も国内飼料も鉄分のくぎなどがだいぶん入っておるのであります。これらを飼料製造機に磁石をつけまして何回もやりますととれる部分もあります。それは製造装置をいたします。タイ国のトウモロコシはある時期は水分が非常に多いのであります。これを飼料用に装造販売しようとする場合は、第一に、水分の多いものの輸入を少なくする措置を今指導しておりますが、飼料の製造販売をしようとするときは、乾燥をして一四・五%以上の水分はいけないというような義務を負わせることを研究いたしております。以上のこと等につきましては、現行法の運用をもってさらに改善をし得るのではないかと思います。  次は、製造販売いたします飼料の取り締まりの点でございますが、今回多年の懸案の検査所が独立をすることに政府側は予定いたしまして、予算案の御審議をお願いをすることになっておるわけでありますがその実態は、御承知の通りまだ従来の陣容に近いものでございます。若干の予算人員の増加はございますが、そういう差はありません。その実力をもちましては大体関東付近の配合、混合飼料製造業者のメーカー側を調べることがほぼ可能という陣容でございます。なお、次年度以降には必ずこれを西日本にその実力を及ぼし得るように充実をいたしたいと用いますが、初年度まず肥料の仕組みにならいました飼料検査所の独立をすることをまず第一といたしましたために、今回はそれで御了承をお願いしたいと思うのでありますがこの検査取り締まりは、飼料検査所ばかりが行うべきものではございませんで、警察、検察庁等においても、従来かなりやっておってくれる部分もあります。その成績も手持ちが今ありませんが、次のような方式で、内容のはなはだしく悪いものは告発をいたします。また、その次に位するものは、呼びましてさらにこれを確認して、飼料の売り渡しを停止いたします。それから若干軽いものは厳重な訓戒を与えまして、三種に分けましてやっておるのでありますが、逐次整備することをもって御了承願いたいと思っております。
  39. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 飼料の品質改善に関する法律と肥料取締法と比較検討してみて、運用の面でもやり得る点も局長の言われたようにあると思うのですがね。肥料取締法の方がもっと強制的で、これはやはり格段の差で私はやはりこれを検討してもらいたいということを希望しておきます。  定員の問題ですが、実は予算課長の説明を受けたときも、局長の御説明のように大してこれはふえていない。ただ機構上のなにだということだったのですが、肥料の検査所にはどれくらいおるのですか。
  40. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 数倍おります。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は肥料よりもっとバラエティがあって検査はしにくいと思います。そういう点ではとかくすると、定員という一般の概念で必要な方面も制限されるおそれがありますので、この点農林大臣も御理解いただいて、もっと全国的に検査機構を至急に確立していただきたいということをお願いしたいのであります。  もう一つ、ただ最近また一そう夾難物をまぜることが多くなった。なぜかといいますと、昨年の六月に価格をきめてもらったのであります。それがまあえさ業者、原料が上ったといって、値段がストップされているから、それで一定の収支を償わせるために最近非常にふえてきた。これはもうてんで、大へんなふえ率なんです。ですから、これをどうされるかという問題が差し迫った大きな問題なんです。昨年の六月にまあ押えるということで据置の措置をとっていただいたことはありがたいのだが、そのことが原料の高騰となって來雑物をまぜる率が一昨年、昨年よりか非常にふえてきているという事態で、この問題をどうされるかという問題、それからもう一つ出ましたが、私は一昨年国会議員として欧米を見せていただいて、タイに行きましたら、タイの大使館の人が、米が売れぬで困るが日本の畜産は盛んらしいと、こう言う。トウモロコシなどは、庭を掃いて、みんなどろをつけて掃いてずいぶん來雑物のまざったもので、よく日本の商社は、大したものだと大使館の人も言っているくらいです。それはもう驚くべきことだと言っているのです。タイの農家は、トウモロコシなんか土ごと掃いて、非常にそういうものがたくさん輸入されているということを大使館から、私が農業関係のことか少し尋ねたものだから——そういうとも注意してもらいたいと思いますから、とにかくえさの据置ということで非常にふえた。これにどう対処していただくかということを、これは緊急を要する問題でありますが、どうしていただけましょうか。
  42. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 昨年の六月、配合飼料を中心にしまして、その他大豆かす、ふすまの価格抑制措置を行政措置において行ないました。その結果、配合飼料のおもなる原料である大豆かすは、前年のおのおのの同月に比しまして一〇%ないし一五%値下げをさせてあります。ふすまにおきましても同様の時期におきまして一割、ごく最近におきまして七%の値下げをさせてあります。そこで、配合飼料の登録飼料につきまして、内容を登録してあるものに即してみまするに、政府価格安定をはかっておる原料もありますれば、外国から外割を受けて輸入するものもありますれば、国内その他の自由販売品を入手して配合の原料にしてあるものもありますが、いろいろと研究しました結果、原料の値段より配合飼料の値段が高い。大豆かすとか、ふすまの値下げを指導いたしました関係もありまして、配合飼料の値下げの要求を当局から申し入れまして、自分で努力して自主的に行ない得る範囲で、かつ、合理的になるようにというので、少なくとも五%、多いものは七%の対前年比よりの値下げをはかることになりました。その後もこれを続けております。そのときに一番大きな問題でありまして、また、中田先生の御指摘にあります二点を申し上げますと、第一点は、魚かす類の価格が不労定で、高くて、かつ、重要な飼料である養鶏飼料が七割近くも占めます配合飼料でありますと、そうであろうと思います。次は酪農用の飼料でありまするが、もう一点は、配合飼料に依存する割合割合多いのでございまして、農林省その他自給飼料の増産に努力しておりますが、単品で農家が買って濃厚飼料を使う割合が減りまして、だんだん高度の、簡便な配合飼料を使うことが、いろいろな理由がありましょうが、ふえて参っております。昨年度配合飼料の製造量は約百五十万トン弱と見積もっておりますが、三十五年度は百九十万トンぐらいになろうと思うのであります。これは畜産振興とあわせまして配合飼料の消費がふえておる、こういうことであろうと思います。政府が手配をいたしまする輸入飼料を中心にしました濃厚飼料、配合飼料の原料につきましては、その供給を来年度は三十四年度より四割増加いたしまして、価格の安定のほか、供給の不足のないように努力いたしておりますが、配合飼料に間々他の飼料の入手のことがあろうと思います。そこで、魚かすとそれらの配合飼料原料との関係からいたしまして、そこにまあ商業者——営業用の配合業者等について御指摘のような点が間々出てくる分もあるかと思うのでありますが、これは価格抑制を続けますとともに、魚かすの入手は一部ある時期だけは輸入すること等も検討をすることにいたしまして、これは近く、まだ大臣に御了承を得ておりませんが、大臣のお許しがおれば国内の魚かす製造業等に圧迫なく飼料の低廉な安定した措置を講ずるべく、全体の配合飼料の増高趨勢は自給飼料を増すと同時に、その供給を確保する、あわせまして先ほど申しました品質の確保を十分でないが、まず飼料検査所独立、また現行法の運営改善を通じてやっていくつもりであるわけであります。
  43. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 肥料検査所の定員は九十一名でございます。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この点は一つまあ、とかく定員をふやすということは非常に必要な部面でも定員法その他で問題になるのですが、配置転換等をやっていただいてでも、私はこれはすみやかに年次計画を立てて、ぜひ検査機構を確立していただきたいということを申し上げて私の質問を終わります。
  45. 仲原善一

    ○仲原善一君 関連して。今のえさの問題ですけれども、輸入のえさについて、こういうことがあるかどうかということをお尋ねしたいのですが、それはえさとして入ったものが、これが食料の方に転換される心配がないかどうか。たとえばこういうことです。大豆かすが入れば、入ったのがこれがしょうゆの方の原料に途中でかわってしまうとか、それからトウモロコシが入ればアルコールの原料になるとか、初めそういう名目で入ったのがそういう食糧関係の方に転換するおそれがあるかどうかということです。それから、それがもしあるとすれば何か調べる方法があるのか、取り締まりやなにかそういう点やっておられるのか、そういう点多少噂に聞く問題があるものですから……。
  46. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 仲原先生の御指摘でございますが、飼料に使うもののうちのかなり重要なものにおいても、本来性質はそういう可能性があると思います。たとえて申しますれば、大豆かすは飼料として重要なものでもございますが、みそ、しょうゆの原料でもあり、味の素の原料でもある。さらに小麦を輸入いたしまして、今、飼料用専門のふすまと称しておりますが、下級の麦を、マニトバ五号、六号をカナダから、豪州からオフ・グレードの小麦を輸入しまして、ふすまの方が六割、小麦粉が四割、こうひいておるものがございます。これはそのものだけをさらにふるい分けますと、皮の分と粉の分と分かれ得るので、横流れのおそれはないかとか、一、二の事例はないかとか、こういう御指摘を受けること、全くないわけではございません。それに対しましては、飼料用として特定をいたしました大豆かすを作る原料の大豆、増産ふすまを作ります原料の小麦につきましては、政府から、飼料として確実に扱いまする農業団体、飼料製造業者の団体及び北海道及び商人の一部を限定いたしまして、政府の売り渡しの相手方としては指名競争入札をまじえた意味の随契をやりまして、そうして穀物検定協会や飼料の方の団体の検査もしまして、食糧検査所の検査費を使いまして、原料を入手しました小麦、大豆と、出て参りまする増産ふすまに大豆かす、その間の加工工程と数量とを確認いたさせまして、包装容器にはその旨を表示して、会社の取扱量、販売量を帳簿で検査する、ときどき臨検検査をする形によりまして、あとは特定ルートを通じて、一部商人は別でございますが、扱い量は一・何%でございますがその他は実需者団体を通じましてルートを特定いたしておるのであります。政府が売り渡す場合に、すべてこれを条件といたしておりますので、原則としてそういう心配はない、こういうことにいたしております。
  47. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ここでしばらく休憩いたしまして、午後は二時から再開をいたします。    午後零時五十二分休憩    —————・—————    午後二時二十一分開会
  48. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  農林水産基本政策に関する件を議題にいたします。  午前に引き続き福田農林大臣に対する質疑を願います。
  49. 大河原一次

    大河原一次君 大臣に対して特に農政に対する考え方をお聞きしたいわけです。それは私が本会議でも申し上げましたけれども、本会議でもありましたし十分な、抽象的なあれになりましたですが、特にお聞きしたいのは、先ほども中田委員から冒頭に取り上げられました国民経済の中における農業の地位というものは、やはり明確にすべきではないかということがたまたま出たと思うのですが、私もやはりそういう観点に立って質問をしたいと思うのです。ということは、大臣もしばしば言葉の中に、あるいは文章等の中に農業の問題を非常に重視されて取り上げられておるのですが、しかし、その中で言われていることは、農業の問題は非常に大事であるけれども、やはりこのことは日本経済の発展全体の中で考慮さるべきものであるという、こういう表現が使われておる。私はその言葉や表現上の問題でなくて、問題はほんとうの実質、中身の問題だというふうに考えておるわけです。従って、一方には確かにこれは言葉の上であってもきわめてこのことは一般常識的の問題だと思うのです。と同時に、また、このことは単に農業の問題ばかりではなくて、他産業の場合においても同じことが言えると思うのです。やはり国民経済の中でこれを考慮するということは、どの産業部門についても言い得ることができると思うのです。ただ問題になっておるのは、今、農工の較差が増大しておる、その不均衡を是正しなければならないということが大きな問題として取り上げられておるし、そのために大臣も真剣になってこの問題に取り組まれ、所得増大をはかっていかなければならない、こういうことを言われているのですから、従って、今日の不均衡を是正するという建前に立つならば、いつでも言われるような、国民経済全体の中でこれを考慮するというような、そういうことではやはり農上の較差是正ということにはならないのじゃないか、むしろ矛盾するものじゃないかというふうに考えておる。もちろん、確かに日本経済が発達し、あるいは特に工業の発展によって、具体的に言うなら農村における二男、三男、あるいはまた余剰労働力というもりを吸収することもできまするから、こういう面を考えますと、確かに日本経済全体の発展、国民経済全体の中で考慮されるということになるのでありますが、しかし、今日当面した問題、いわゆる不均衡の是正という立場に立つならば、そういう国民経済に依存した、あるいは工業の発展に依存するという考え方に立った農政ということを考えていくならば、いつになってもこの不均衡は是正されないというふうに考えておるわけです。従って、国民経済の中における農業の地位というものを明確にして、その上に立っていろいろな、大臣が言われるようないわゆる農業基盤の拡充であるとか、あるいはまた営農の拡充であるとかいうような点が成り立つと思うのでありますが、まず、こういう考え方に納得いかぬ点があるわけなんです。従って、やはり国民経済の中における農業の地位というものをもっと具体的にこれを地位づけ、それに立った農政というものを考えらるべきじゃないか、こう思うわけなんです。抽象的な質問ですが、答えは具体的に一つしていただきたいものです。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は経済的に見ましても、社会的、政治的に見ましても、これは農業というものは大へん重要な地位にあるというふうな考え方を持っておるわけです。所得の問題は、事おのずから直接経済問題でございますので、経済的な角度から見ますと、日本の全体の経済の中におきまして、日本の農業というものがどういう立場にあるかということを考えてみれば、食糧も一ころは五億ドルも輸入しておったわけでございますが、今日それが大へん減少しておるにいたしましても、まあ四年前の昭和三十一年の米の作況というようなことを考えますると、米だけでも大へんな輸入をしなければならぬというような状態に相なるわけでございまして、日本の経済を今後発展させていくもとになる国際収支という面から考えますると、この農業生産というものはきわめて大事な地位にあるというふうな考えを持っておるわけであります。それから日本全体の経済構造から考えてみましても、農村が安定するということは地方都市が安定することであり、地方都市が安定し、また農村が安定するということに相なりますれば、それに物を供給する国の大事業が安定する、経済安定政策基本をなすものは、農家、農業の安定にある、かような考え方を私はとるべきである、そういう観念を持っておるわけでございます。まあ一方においてそういう考え方をとっており、また、とるべきであるというふうな考え方をとると同時に、今当面する農業の、また農家の悩みというもの、これを直視してみますれば、いろいろの問題がありまするが、大きく言うと、私はこの科学技術の世の中におきまして、農業というものが科学技術をフルに受け入れがたい性格を持っている。ことに日本の農業というものは零細農業であるという点から、その傾向をさらに激しくしているのだという点から、生産の効率、生産性において他の産業にだんだんと劣る状況がここに出てきていると、かように考えるわけでございます。ただ日本の農業につきましては、私はそういう非常にむずかしい事態には当面しておりまするが、しかし、意気阻喪し、農業の前途をあきらめてしまうという必要はない。農家は思いを新たにして立ち上がるべきときに今や来ている、かように考える次第でございまして、この悩みを解決するという方法といたしましては、これは農家自体だけでは解決できない、日本経済全体の中でこれを解決していかなければならない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。そのゆえんは、農家の所得を維持し発展させるというためには、どうしてもこれは農家の生産を高め、また同時に、生産効率を高めるということをさらにしなければならぬが、日本の農業というものは古来そう大きな変革がないのです、実は。今後新しい部面というものが日本の農家の将来にはいろいろと待ち受けておる。酪農しかりです、また果樹しかり、いろいろな面におきましてこれから育てていけばいいという面も多々あるわけでございます。まあ一戸当たりの農家の生産を高め、生産性を向上するという政策をとる余地というものがずいぶんあると同時に、日本の工業方面の実力というものは最近めきめきと発展をしてきております。で、これに要するところの雇用、需要ですね、これもずいぶんあるわけでございますから、労働生産性が、農業における労働の生産性が高まり、よって生ずる過剰労働というもの、これは当然生じてきます。これを受け入れて、また鉱工業の方で活躍させ得る素地というものを持っておる。そういうようなことを考えますると、これは長期の、たとえば十年計画というようなことを考えながら日本の経済を発展させ、その発展の中に日本の農家の余剰労働力というものが活躍できるという受け入れ態勢というものを組織的、計画的に実践していく可能性というものがあるわけでありますから、それを一つ総合的な計画のもとにここでやっていくべきじゃないかというようなことから、経済二倍拡大長期計画というものを政府の方では今検討中なんです。やはり日本経済全体が伸びるということに一方においては取り組みながら、一方においては、それをよりどころといたしまして農業所得を向上し、そしてその較差の解消ということを実現していくということかと、かように考えておるわけです。それで、過去の趨勢を見ましても、まあ農家の比較的安定しております三十一年から三十四年の趨勢を見ましても、農業の総生産、これは四・三%ずつの年率をもってふえております。ところが、この間に農村から都市への労働力の移動が行われておるわけでございまするから、一戸当たりの所得増加率は五%をこえる五・三というような比率になるわけであります。五・三の比率というのはこれは非常に高い比率でございます。今後のことを展望してみますると、今申し上げましたような四・三というような年率が総生産の面におきまして確保できるかどうか、これはなかなか、いろいろ議論のあるところでございまして、あるいは人によりましては二・五%くらいではないかというように低目の説をなす人もあります。あるいは、まあ三%なり三・五%くらいいけるのじゃないかというような見方をする人もあります。しかし、日本経済がどんどん拡大されるとそれに要する労働需要、そういうようなことを考えますると、今後引き続いて農村から都市への労働移動というものは、これは私どもは相当大幅に行なわれるというふうに見ておるのでございまして、まあ今後におきましても、ただいま申し上げましたような一戸当たりの農家の所得ですね、問題はそこにあると思うのですから、一戸当たりの農家の所得はそういうふうに向上するというふうに考えております。他面、それじゃ鉱工業の方はどうなるかという問題でございまするが、鉱工業の方につきましては五・三よりははるかに高い総生産が上がるわけです。しかし、農業労働もそこに加えていく結果、二月当たり所得としますると、大体農家の所得と同じような点に下がってくるという傾向を持つわけでございます。そういう大体のことを見当といたしながら、ただいま農工間の較差を解消するということが着実に実現するような施策検討中でありますから、かように御了承を願います。
  51. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどの大臣の御説明で農家経営の安定そのものが日本経済の発展に大きな役割を果たし得るのだという、そういう考え方については私は賛成です。ただ、ところが、どうも今まで受けた印象はそうではなくて、日本経済全体の中で農業経営を考えていくのだ。そういうことでは大臣か言われる、真剣に取り組んでおる較差是正ということにはならぬだろう、いつになっても同じことになるのだろうと考えておったのです。ただいまの説明の中では、一応了承することができたのです。そこで、一つお聞きするのですが、最近農林当局において、特に最近になって強く取り上げられておる構造政策の面ですね、ただいまも大臣が一応構造政策の面に直接触れられていたようですが、なるほど、今日の工業力の発展はすばらしいものがあるので、当然その工業力の発展によってそういう労働力が吸収されていくと思うのですが、いずれにしても実質的には工業生産力が伸びておることは実際でありまするが、ただその工業力の伸びによってどれだけ僕は今日の農村における過剰人口をこれに吸収し得るかどうか。今の説明では農家の所得の年率が四・二%、さらに今後工業力において人口の吸収が行なわれるならば五・五%、あるいは六%伸びるだろうということが言われておりまするが、今日から先のいろいろな状態を考えてみますると、はたしてそのように工業力の発展によって農家の余剰労働力が吸収されるかどうかということと同時に、今度は工業力の発展ばかりがいかに発展しても、御承知のように、農家には特殊性がありまして、平生の場合においては確かに余剰労働力であっても、ところが、季節的に非常に影響されるわけですね。たとえば田植えどきであるとか、あるいは収穫時であるとかというような……。従いまして、平生時におきましても、たとえば一家においても一人はこれは余剰労働力だというふうに考えられておっても、これは季節的な影響によって当然必要だとされてくる、そういう立場において、なかなか今日までは思うように工業の発展によっても吸収されない面が農業の特殊性としてあったのですね。従って、実際は労働力をかかえていて、そのために所得の低下を来たしておるにもかかわらず、それを自主的にも、あるいは他からの要請によっても工業力の方に吸収されていかないような、そういう状態にあったと思うのですよ。そういう面を考えてみますと、簡単に大臣の言われるように工業の発展によって農村からの過剰人口を吸収することはできないのではないかというように、こういうように思うのですが、その点についての大臣の見通しはいかがですか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘の季節性というような問題でございますが、やはりそういうものを克服していかなければならないと私は思うのですよ。そこで、農林省の方では集団化、共同化、農業法人化問題というものの検討にも移っておるわけでございますが、他面、機械力を導入するという政策もこれは強力に取り進めていかなければならない。さようにして、とにかく労働力というものをなるべく少なく使って効率、生産を直ちに上げるという効果をおさむべきである、そういう政策をとらなければならないという方向のことは考えておる。それが一戸々々の農家に当たってみますると、それはでこぼこもありましょう。ありましょうけれども、大きな傾向としてはそういう傾向も現に出ておるわけであります。過去数年間にわたりましてこれは実際の統計というものが有力にこれを示しておる。今後のことを展望いたしてみましても経済が二倍に拡大するというようなことを考えますと、これはよほどの人口移動というものが行なわれるのではないか。いろいろな試算はあります。正確な結論はだんだん出していかなければならないが、大幅な移動が行なわれ得るかと、かように考えておる次第であります。
  53. 大河原一次

    大河原一次君 先ほど北村委員も言われたのですが、特にその場合に大臣は個々の農家に対しても機械力を導入する。その他の面において営農の確立をはかっていくという考え方は結構なんですが、ただ問題になっておるのは兼業の、特に僕は第二種兼業の方々に対して、今、大臣がおっしゃるようなそういう機械力の導入であるとか、私は機械力の導入は不可能だと思うのですが、たとえば、その他の土地の改良問題にいたしましても、技術の革新にいたしましても、これはわれわれ自身も第二種兼業の問題、これはあらためて十分に検討しなければならない点があるわけですが、特に今、政府当局におきましては、この第二種兼業に対して今後どのような一つ手を打たれるのか、こういう問題だと思うのです。これは特に私の方と言っては申訳ないのですが、東北地方における第二種兼業増大といいますか、特に第二種兼業が非常に困窮に瀕しておる。特にまあ東北におきましては、第二種兼業の場合には、いわゆる他からの収入を得るための何といいますか、職場というものは、実際わずかに限られておるのです。出るとするならば、いわゆるニコヨンと称するそういう面に入って収入を取ってくるというしかないというので、結局、先祖伝来の土地であるからというので、わずか五反未満の零細規模のところにやむを得ずしてひしめき合っておる、こういう状態で非常に不安にかられておる。離農も簡単にできない、こういう状態に置かれておる。これらの兼業農家に対しては、もっと何か適切な対策がとられるべきではないかと思うのですが、さしあたっての農林当局として第二種兼業に対しての方策をどのように考えておるか、一つの切実な問題にわれわれは考えておるわけです。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ兼業農家というものがずいぶん多くなってきておりますが、私はこれは農家のあるべき形態といたしまして、今日の段階としてやむを得ない事態ではあるまいかというふうに考えておるわけであります。そういうまた機会を与えてまで農家の所得増加するという考え方をとるべきではないか、さようなことから通産省の方策といたしまして、工場について相談を受けるという際には、なるべくこれを分散主義で、農村の子弟が通えるような地帯に設けていただきますとか、あるいは首都圏計画というものがありますれば、そういう際にも同じような考え方をとるとか、あるいは私ども農林省考え方といたしまして、農地法で農地の転用許可という際におきましても、そういうような角度をとりますとか、いろいろそういう機会を与えることを考えていくべきであるというふうに考えるわけです。また一面におきまして、文教政策におきましては、中学校出たというだけではこれは十分な講習を受けにくい、そういう人に簡単に技術を修得させるという意味におきまして、定時制高校あるいは一般の高校を設けるという際におきましては、農村の子弟が技術を身につけ得るように、農村の子弟が通えるような地帯に実業課程の教育を施すということを頭に置いた施策を進めるとか、あるいは労働省の施策におきましては、職業訓練所、これを農村地帯に設けていく、今までの考え方は求人本位の職業安定制というものの運用が行なわれておるわけですから、それを改めて求職者、特に農村の子弟の求職者に便宜を与えるというような考え方を、これを運用していく、そのためには訓練制度というものを設けて、農村地帯に三十五年度には十四カ所の訓練所を作るというようなことを考えておる次第であります。さらに身近に各村々の子弟を一つ一つ懇切にお世話をするというような意味におきまして、職業安定所に協力員制度というものを設ける、これは協同組合長あるいは村長さんとか、そういう方をさような制度の協力員としてお願いいたしまして、身近にお世話をいたしますとか、さようなもろもろの施策を総合いたしまして、この困難なる問題の解決に当たらなければならない、かように考えております。
  55. 大河原一次

    大河原一次君 そういう対策をとられることも非常にけっこうだし、さきに言われましたそういう二男三男対策、特に兼業の方の対策として農村における工場の誘致設置ということも考えられる。あるいはまた、そういう手もとられてきたと思うのですが、そこで、私は一つ問題になるのは、これは大臣も汽車で旅行されてごらんになっていると思いますが、最近相当農村の畑の中にぼつぼつ小さな工場あるいは住宅が、場所によっては相当な敷地で建てられている。われわれの方の非常にへんぴな所にも、そういった意味で住宅なり、小さな工場等が作られる、こういうことも一つの二男三男対策になるかと思うけれども、同時に、あわせて、このことによって零細な農地が失われていくという面もあるわけですがね。こういう面の、いわゆる一つは、兼業農あるいは二男三男対策のための工場誘致ということで、一面においては農地が失われていく、こういう問題ですが、失われていく面から来るマイナスと、あるいはまた工場の誘致から来るプラスの面もやはり勘案しなければならぬと思うのですが、こういう場合の、何といいますかね、プラス面とマイナス面の具体的の調整の基準というものは一応考えなければならぬと、こう思うのですが、相当耕地等がつぶれていっているのです。こういう面に何かの手が、対策等がありましたら。非常に憂慮にたえないと思っているのです。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは農地の転用をする場合には政府の許可を得ることになっておりまして、農業委員会等に委任もしておりまするが、大きな五千町歩以上の転用ということになりますと、農林本省の許可を得るような仕組みにしているのです。お話の問題は、その転用制度の運用に大いに関係がある問題かというふうに存ずる次第でございまして、農林省といたしましては、その運用に非常に苦心惨たんをいたしているのです。今土地改良事業等におきまして、二万二千町歩くらい一年に新しい耕地ができます。反面におきまして、一万二千町歩くらい、お話のような状態で、工場敷地やあるいは住宅敷地となってつぶれていくわけでございまして、大体つぶれる方が四割、そういうような関係になって、全体といたしましては耕地はふえているというような状態でありまするが、しかし、その内容が、お話のように、じぐざぐであって、農家のまた農業のあるべき姿を乱すということになっては困るので、そこで農地の転用基準というものを、これは権威ある人にもお願いいたしまして作りまして、この運用によりまして、なるべく純朴な農村、また農地に適している土地、そういうものは保存されて、なるべく農地に適さないような土地が住宅地や、あるいは工場敷地となるということに努力をいたしている次第でございます。
  57. 大河原一次

    大河原一次君 この問題、ちょっと飛躍しますが、先ほどもちょっと触れました、政府の最近における構造政策という面が非常に強く取り上げられて、積極的にこれが推進されるようでありますし、特に農業基本法の中には、この面が強く出されてくると思うのですが、われわれの考えから申し上げますと、構造政策の面において、一体その構造政策が今日ねらっているところは何であるか。その構造政策目標はどこに置いておくかということなんですが、一面には、確かに今日の農家の所得増大ということもこの構造政策の上から来る問題だろうと思うのですが、私が聞きたいことは、ほんとうの政府が考えている当面の構造政策目標は今日問題になっている貿易、為替の自由化、これに対処するためにいわゆる構造政策が重視されているのではないかというふうに考えているわけなんですが、私の考え方を申し上げますならば、この構造政策の推進されることによって、今日の不均衡是正あるいは所得増大という、そういう方向に当然持っていかれるべきだと思うのですが、むろんこれとも関係がありますけれども、むしろそれではなくて、政府として今日非常に積極性を見せておる貿易、為替の自由化に対処するためのこの構造政策が強く志向されておるのではなかろうかというふうにわれわれ考えておるのですが、そういう点について大臣の率直なるお考えを出していただきたいと思います。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話の点は自由貿易化の問題とはいささかの関係もございません。私どもが考えておりますのは、農村の所得が国の経済の中で適正な地位を占めるということにあるわけでございます。
  59. 大河原一次

    大河原一次君 それに関連しまして、今貿易自由化の問題が出ましたが、具体的な問題でお聞きしたいのですが、さしあたり大豆の問題が出ています。それについて大豆に対する瞬間タッチ方式がとられておるわけですが、これから来る国内大豆の値下がりということが結局考えられまするが、これのための瞬間タッチ方式がとられて、製油会社ですか、大きな製油会社あるいは小さな製油工場という、そういうところから調整金でありますか、というような金を取って、これによって国内大豆の値下がりをカバーするという方式がとられるわけですが、私の考え方を申し上げますならば、もちろんこの瞬間タッチ方式にも考えられるところであろうが、今日の一〇%という関税率がむしろ低いのではないか、いわゆる瞬間タッチ方式よりも、むしろ関税の引き上げというような点が考えられるのではなかろうか、こういうことによって零細な製油会社等を守ってやるべきではないかということも考えられるわけですが、当面政府としてはどの道を考えられておるのですか、さしあたり大豆の問題を例として出したのでありますが、伺いたいと思います。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 瞬間タッチによって課徴金を取るということ、また関税を上げて関税収入を上げるということですね、これは二つとも内容は同じなんです。全然変わりない。ただ形が関税の形でやるかということなんで、ちょうど大豆につきましては価格安定制度なんかありますものですから、一応食管制度の中にこれを入れる、帳簿上の記載をするという形で課徴金を取るという、まあ関税です、これは。内容は同じなんですが、制度が違うものですから、今度はガットのような関係とか、そういう渉外問題となると、扱いがやや違ってくるわけでございます。ガットあたり関係からいうと、関税をなるべく下げようという制度でございます関係上、これを利害関係国と相談しなければならないということになるのでございまするが、瞬間タッチ方式でございますると、関税と内容は同じであるものにかかわらず、これは国営貿易という逃げ道があるような、そういう違いが出てくるのであります。それで今大豆につきまして、ことし秋あたりごろから自由化しようということを頭に描いておるわけでございまするが、その影響があるのです。影響は何かというと、まず国産大豆が値下がりをしてくる、それから外国の大豆が、今一俵二千四百円ぐらいで入ってくる、そこへ一〇%の関税がかかっておりますから、二千六百円ぐらいで取引をされるわけですね。そうすると、今の国産大豆が三千二百円ぐらいのところを歩いておる、それが六百円も下がって二千六百円ぐらいのところへ落ちてくるわけです。そうすると、これは大へんだということでありまするから、これに対しましては、政府は農家の所得を維持すると、そういう見地をもちまして、大体現在の取引の価格をもって国産大豆は全部これを買っちゃうと、こういう考え方をとるわけなんです。そういう点につきましては、今いろいろ相談をしておりますが、通産省におきましても、大蔵省におきましても、どこでも異存はございません。そうすべきであるというような考え方をとられているわけですが、さあそれには財源が要るわけですね、財源を、ただいま申し上げましたような、関税をさらに上げてこれを徴収する、あるいは瞬間タッチ方式ということで課徴金を取るか、あるいはもう、そんないずれもしないで、現在の一割関税だけにして、他に財源を求めるかということで、まだ意見がまとまりません結果、まだ法律案や予算案の御審議をわずらわさないのですが、今検討中でございます。
  61. 大河原一次

    大河原一次君 この瞬間タッチ方式によれば、確かに農業保護という立場、農民の保護ということになるのですが、その場合に何といいますか、先ほど申し上げました小さなことで言うならばみそ、しょうゆですか、そういう醸造業者ですか、中小の製油会社等の方から、結局、課徴金というのをとられるわけで、そこから大きな不満が出てくると思う。皆さんの方にもこういう業者の方々から陳情か何か来ていると思うのですが、そういう面にしわ寄せが来るのですが、そういうようなしわ寄せに対してはどんなお考えでしょうか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今申し上げましたようにやり方、この自由化のやり方、いろいろあるわけですね。私は今申し上げましたように国産大豆は全部買い取っちゃうということですから、生産者には何らの影響は、心配はありません。それから、じゃ、今度は大豆を使ってこれを加工する業者ですね、影響はどういうことなんだろうかということを考えてみますると、この影響は今私が申し上げましたように、AA制をやる場合の国産大豆の買い上げ財源を、どこに、求めるかということによりまして影響が違うのです。それで今の一割関税を一切引き上げないのだという先ほど申し上げましたような方式をとるということになりますれば、製油業者には何らの影響はございません。まあ多少たくさん大豆が入って来ますから、そうした面の若干の影響があるわけですが、それから第二の方法として申し上げました瞬間タッチですね、または関税を引き上げて、その財源で国産大豆を買い上げるのだという考え方をとりますると、今度は関税がよけいにかかるわけでございましょう。あるいは課徴金がよけいに新たに取られるということになりますから、今まで二千六百円で入っておった大豆が、あるいは二千八百円になるとか、まあ高くなるわけであります。そうすると、それを使って油をしぼる業者ですね、この業者は高い大豆を使うわけでございますから、これはそれだけ窮屈な影響を受けるわけでございます。しかし、お話のみそ、しょうゆででね、これは大体国産大豆を使うのです。国産大豆の方は三千二百円だったと思いますが、ただいま申しましたような財源を用意いたしまして、それでこれは市価で売るということになります関係上、むしろこれは今までよりは安い大豆を使うのだということになりまして、得をする勘定になってくるわけであります。それでまあ国産大豆を使う面は得をするが、外産を使う方面の油を作る方ですね、これはちょっと圧迫を受ける、こういうような関係に相なろうかと思います。
  63. 大河原一次

    大河原一次君 最後に時間がないので農業共済制度について簡単にお伺いしますが、この前の本委員会大臣と私の質疑応答の中で、農業共済制度の抜本的な改正を早急に行なうべきではないかということを申し上げたのに対して、大臣答弁は明確でなかったのですが、私が聞いておったときには、何とか早急にやらなくちゃならぬというようなことを言っております。法改正を今国会に出すかのような答えであったのですが、あとで議事録を見まするとそういう言葉ではなかったのですが、これは私の聞き違いかどうかわかりませんが、あとでなお調べなければならぬところがあるのですが、しかし、いずれにしましても、御承知のように事業停止というような形あるいは解散決議をぼつぼつやっておるところがあるわけです。従いまして、この解散決議をやったり、あるいはまたこの事業停止という、やはり今日の農業共済制度の持っておる不備欠陥というものが指摘された中でこういう問題が派生しておるのですから、私はこれは当局もそうであろうと思うし、私たちもやはりせっかく政府から年々百億以上のこれに対する資金が出ておるわけでございまするから、これを今、全く支離滅裂の状態に追いやるということは忍びないのでありまして、われわれはあくまでも解散決議をするということに対しては賛成をしておるわけでも何でもないのでありますが、従いまして、この欠陥からこのような状態が出ておることであるから、これはわれわれは決して正常な形ではないと思っておるのですが、要は切実に法改正を望んでおるのであります。従って、大臣は、ここで再度お伺いしたいのですが、明確に一つ——今国会に法改正を出されるかどうかということを一つ明確に答えていただきたいのです。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この問題は衆参両院の農林水産委員会におきましても、ずいぶん御鞭撻を受けた問題なんです。また、いろいろ御意見もあるようです。そこで、来月の中旬ごろ、大体衆参両院の議員の方にも御参加願いまして協議会を設けてみたい、そこへ私どもの考え方というものをお諮りしたいと思っているのです。その考え方がそこで調整できたというところで法案を提出するということにいたしたいと考えております。多少準備の時間がかかりますが、私といたしましては、ただいま今国会に提案をいたしたいという気持で努力をいたしております。
  65. 大河原一次

    大河原一次君 この問題に関連するのですが、現在幾つあるかわかりませんが、これ、あとでお伺いしますが、解散を決議した組合に対して、これはどのように対処するかという問題で、一つは、いわゆる農業共済組合の自主性というものがあるかどうかという問題、もちろん一面には、国家のいわゆる再保険という形で国家の資金が投入されておるから、そのことによる共済組合における自主性というものがまるまるあるというふうには考えられませんが、たとえば具体的に申し上げますと、解散した組合に対しては、知事はこれを認めていないわけです。認めていないわけですよ、こうなりますると、共済組合の自主性というものがないというふうに考えられるが、それはそれといたしましても、こういう点が非常に心配になるのですが、共済組合の中における共済職員、この職員の解散に伴う身分の問題、これがどうなるかということ、さらに具体的に申し上げまするならば、組合を解散したんでありますが、しかし、知事はこれを認めていないという場合ですから、従って、認めていないというならば、多少矛盾はあるのですが、しかし、当然共済組合に対する国家の補助金が来ておるわけですから、このことによって共済職員の方々の身分が当然守られるべきではないかと思うのですが、たまたま聞くところによりますると、県共済連ですか、県段階等においてこの金を握ってしまって、お前の組合は解散したのであるから職員に対してはそういう身分上の安定はできないぞという、明確な線ではないけれども、このような方向が出されておる。従って、解散組合における職員諸君が身分が非常な不安定にさらされておるという、こういうことなんであります。もちろん組合の自主的な、一応自主的な立場に立って解散したのであるから、その当時解散するからには共済職員の方々の身分のことまで考えた上で、いわゆる解散ということの決議もなされるべきであるかもしれませんが、そういうことをなされないままに解散してしまった。従って、職員の方々は非常な不安にかられておるというような状態なんですが、こういう問題に対してはどのように対処されるか、これを一つ具体的にお話を願いたい。
  66. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいま御質問のように、地方では解散の決議をするということがぼつぼつ出ておりまして、その解散につきましては県知事の認可が要るわけでございます、法律上。これは共済組合が解散しました場合には、もしかりに万一災害でも起こりました場合に、それに対して別の対策でも考えられていませんと非常に農民にとって困る問題題でありますから、一応農林省といたしましては、知事は認可しないように、こういう指導方針を今まで持って参りましたわけであります。そういうようなことで現在のところ解散決議はしましたけれども、知事の認可が得られないというような状況で、事実上の事業停止というような形になっておるようなものがあるのでございまして、これにつきまして職員の身分関係が非常に不安定になっておるというようなお話でございまするが、現実問題といたしましては、私の方も詳しくまだそこまでの調査はこまかくはできておりませんけれども、そういう関係でみずからの意思でやっておるんだからということでありましょうか、職員の問題につきまして、非常に不安定だから困るというようなお話も、上の方までは上がってきておらないというような状況でございます。いずれにいたしましても、できるだけ早く共済制度の方向をきめまして、そうしてそれと同時に、この問題についても対処していくようにしたいというふうに考えております。
  67. 大河原一次

    大河原一次君 私のお聞きしておることは、そういう一部の共済組合の解散から来る、そういう職員の方々の身分が不安定にさらされておるからということで、早期に早くやれという意味ではなくて、いずれにしても全国的にこの法の不備欠陥が非常に取り上げられておるから、一日も早く、こういう派生的な問題ができないためにも一つやるべきであるということを大臣にお願いしたわけでありますから……。  それからもう一点お伺いしたいのですが、これは現地の実際を見たわけではないのですが、たまたま取り上げられておるということを聞いたのですが、掛金が不納になっておると、これに対して組合の一部の方々が町村に対して、不納組合費の取り立てを町当局にした場合に、町当局は強制取り立てができるかどうかと、こういう問題が出ておるわけです。この点に対して……。
  68. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 農業災害補償制度の法律の建前からいたしますると、掛金を市町村に徴収を委託をして、国税滞納処分の例によれてこれを徴収することができるというような建前になっております。
  69. 大河原一次

    大河原一次君 最後に一つ、これは雑件になるようで恐縮ですが、これもぼつぼつ出ておる問題ですが、畜産関係の方にちょっとお伺いしたいのですが、各県にございます種畜場ですね、各県にあります種畜場に勤めておられる職員並びに労務関係の方々の住宅の問題です。これは何か前には、これら労務者の方々は無償で住宅を借り受けていられたのですが、何か法改正かなんか行なわれて、さらに最近公務員の宿舎法の改正に伴って有料化されるということについて非常に心配されておるわけでありますが、特にこの種畜場におられる方々の労務状態あるいはまた賃金体系等をちょっと聞いたことがあるのですが、相当、基準法も何も無視されておる。そうして八時間あるいは十時間等の勤務が行なわれておる。従って、実質的には拘束八時間という建前をとるならば実質的に賃金が低下しておる。にもかかわらず、最近においては、宿舎費まで取られるということになると、二重のいわゆる条件の引き下げではないかという問題が全国的にぼつぼつ出ておる。これはわれわれ非常に重大視しなければならぬと思うのですが、これに対して何か対処される点がありましたら……。
  70. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただいまのお話は県の種畜場ではなくて、地方にあります農林省直属の国立牧場のことかと思います。二千人前後の職員がおりますが、まず第一に宿舎の方でございますが、公務員の地方場所における宿舎に関しましては、それらの関係の御指摘の法律があるわけでございます。それが先般改正になりまして、三月一日から改正の分が施行になるわけでございます。その影響を受けまして、無料でありました宿舎が有料になることがあるのであります。ただいままでの現状はどういう状態でありましたかというと、原則として僻遠の地にありまして家畜を飼養管理いたしておりますので、病気等の関係もありまして、また特に朝早く必ずえさをやらなくちゃならぬ、夜でも管理事務をやらなくちゃいかぬというようなことをもちまして、立地の関係もあり、業務の実態もありまして、終戦後は総体的に全部無料宿舎になっておった。それを今般同様の、たとえば営林署の出張所とか、ほかの出先機関でも僻遠の地もあるし、そうでない土地の地域も、業務もあるから僻遠の地というようなこととか、執務の実態とかをにらみ合わせて公平を期そうというのが改正案を中心に基づいた大蔵省の意見であります。そこでいろいろ折衝しまして、実態が僻遠の地で特殊の業務をしておるから、また非常に設備が実は古いのであります。大したいい宿舎でないので、地方職員の給与上からする要望もありますので、大蔵省と私ども折衝をいたしまして、大半は無料を続けることに案ができつつあります。ところが、種鶏場を中心にしたものでございますが、青森市内とか大宮市内とか岡崎市内とか兵庫市内、熊本におきます分とか、都市部分に種鶏場を中心にした国立牧場がございまして、これは僻遠という条件を欠くと、そうすると他の行政官署の同種のものとも均衡を欠くというので、少額であるが、有料にしてくれ、東京なんかよりうんと安くするから有料にしてくれということで、まだ大蔵省と話がついておりません。もう一つは、業種の問題がございますので、これらをあわせまして努力中でありますが、全く無料にはできない部分が出てきそうなところを今研究しておるところでございます。  給与時間八時間は御指摘のような点もあります。八時間をこえるじゃないかという点もありますが、本来の職務で朝のえさづけから飼育管理から病気康生のときなど義務といいますか、実態からやむを得ないところもあると思いますが、なお研究をしたいと思います。
  71. 大河原一次

    大河原一次君 非常に今説明されたように、そういう立地的な条件あるいはまた職場、作業面から来る条件、僻地の点という、そういう悪条件下に、しかも、常駐していなければ不時のそういう病気等のために常駐していなければならない立場にあればあるほど、むしろこれらの方々の宿舎というものは、当然私はもう無料にすべきだというふうに考えられるわけでありますが、一応そういう点については、さらに大蔵省との間に折衝が重ねられるということでありますから、できるならば大して、わずかな二千幾らの数であると聞いておりますので、無料にして働きいいような、そういう態勢にしていただきたいと、こういうことを最後に要望しまして私の質問を終わりたいと思います。
  72. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 以上をもって御要求の方の質疑は全部終わりました。他に御質疑もなければ、本件についてはこれをもって終ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会