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秋山俊一郎君 今までの例を見ましても、抗議に対してわれわれの満足するような回答のあったためしは一回もないように私は
考えておる。従いまして、今回は特に
漁船を沈没せしめたといったようなひどい行為を行なっております。で、私はまあ日ごろから
考えまして、かような
状態になっておるということは
李ラインの問題につきましても、また北洋の問題につきましても、国の力というものの差によって非常な不利益をこうむっておるということは、これは私だけの
考えではなく、
一般の認めるところと
考えております。われわれの
努力によりまして
日本の国力もある
程度充実して参っておりますが、ただいつまでも同じような抗議によって向こうが、満足するような回答がないのでまあ仕方がないということに何十回もこれを繰り返しておったのでは、とうてい国民は承知がされまいと思います。ことにまた昨年の夏でありましたか
日韓会談が再開されます際に、
韓国は大村に収容されております抑留者と
韓国に今もって収容されております二百人ほどの
日本の漁夫を相互釈放しようということを申し出て、長年、五年間も抑留されておる漁夫もあるのでありますが、その留守家族は非常な期待を持ったのでありますが、それが九月に延期され、十月に延期され、十二月に延期されて、今もってまだその段階に、至っておらないのであります。かような私は不信な、言ったことを
一つも守らない相手方に対しまして、今までのような態度で臨んでは何
一つ解決する道はないと
考えるのでありますが、その点は外務省としてはどういうふうにお
考えでありますか。やはりこういうふうな
状態を繰り返していっていつの日か解決があるだろうということをお待ちになるお
考えでございましょうか。今日私
どもの承るところによりますと、もはや今度の
八幡丸事件をきっかけにいたしまして、また今申しましたような、何回にもわたる不信な
韓国のやり方に対しまして、
関係の
漁業者はどうしてもしんぼうができない。大挙して東京に出て参りまして直接な折衝に当たろうという意気込みをもって、今着々準備が整っておるようであります。これは私
どもといたしましても、まことに遺憾なことであって、かようなことがあってはならないと思いますけれ
ども、
関係者の心情を察しますというと、まことに同情にたえないところがあるのでありまして、政府といたしましては、かような事態を起こさないように、何とか貧しい
人たちが費用をかけて上京して来て、血走った目で各
方面に陳情しあるいはデモをやるといったようなことは何としても押しとどめなければならぬのでありますけれ
ども、このままでは押え切れるものではないと私は
考える。そこで外務省といたしましては、それらの問題を含めまして、一体どういうふうな処置をしていくつもりか。これは相手が相手だから、アジア
局長もさぞお骨折りとは思いますけれ
ども、その衝に当たる当局としては、ただ幾たびでもかような
状態を繰り返すことでは解決はつき得ないと思うのであります。ことに今
日韓会談を再開しておるさなかでもありますので、一体どういうふうな措置に出るつもりか。私は今までの
経過から見まして、決して
八幡丸の
事件もわれわれの納得するような回答があるものとは期待し得ないのであります。その際には一体どうするのか、こういうことを
一つ今後の外務省として日韓
交渉に対する腹がまえを
一つ伺いたい。