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政府委員(
西村健次郎君) 御説明に入ります前に、お手元にこまかい表が配ってございますが、多小数字のミスがございますので、先にちょっとお直しいただきたいと思います。昭和三十五年度
水産関係予算一覧表というお手元にお配りしてありますiの
本庁関係の八番目の「
漁村青壮年実践活動促進」とございます、そこの三五年度予算Cというところに、九八五六とございます。これは九八五九でございます。次は二枚目をめくっていただきまして、これは間違いじゃございませんが、一番トップの数字の「
北海道鮭鱒ふ化場」の一二四七九二でございます。ちょっとわかりにくい印刷になっております。それから同じ紙のずっと下に参りまして、「公共」の欄の
水産庁所管のずっと下の「
漁港施設災害復旧事業」というところがございます。「直轄」と「補助」に分かれております。そこの一番最初の七三六、九六九とございますが、これは七六三、九六九でございます。それから下の
伊勢湾高潮対策事業費、その下に計とございます。その計の数字の三十五年度予算Cの四、六八四、一八〇とございますが、これは四六八九、一八〇でございます。それだけでございます。
それでは、昭和三十五年度の
予算要求中におきます
水産関係予算について、その概要を御説明申し上げたいと思います。まず、
水産関係予算全体の規模でありますが、他
省庁計上分、これはたとえば経済企画庁とか、あるいは北海道開発庁、それから労働省というようなものでございます。他省庁の計上分も合わせたもので見ますと、
公共事業を含めました
一般会計予算は百三億三千万円でありまして、三十四年度の当初予算に比べますと、二十五億一千万円、約三〇%の増加となっております。
次に、三十五年度予算のおもな内容は、
沿岸漁業振興諸施策の
整備充実と、
沿岸漁業振興のにない手である
漁業協同組合の
整備促進、
漁業生産の基盤を整備するために必要な
漁港整備事業及び
国際漁業対策の基盤となる
資源調査並びにサケ、マス等の
時化放流事業の推進、
流通対策としまして、水産物の
価格対策の一環としての
調整保管事業、昭和三十四年度から始まりました
調整保管事業の
継続実施、さらに
漁業経営安定対策として必要な
漁船損害補償制度の改正及び
漁業共済事業の充実、
災害防除及び、
災害復旧事業の推進、これらのいろいろな項目でございますが、以下これらにつきまして概略御説明いたします。まず
沿岸漁業振興の諸施策について申し上げます。昭和三十三年——一昨年の十一月一日現在で実施しました
沿岸漁業臨時調査というセンサスの結果によりますと、いわゆる
沿岸漁業には、全国の
漁業経営体総数の八六%を占める零細な
沿岸漁家がこれに依存しておるという現状でございますが、その生産額は、日本全体の
漁業生産額の一八%程度にすぎない、
経営体総数では八六%を占める
沿岸漁家が、生産額では一八%程度にすぎない、いわゆる低い生産性と低い
所得水準のもとにあえいでいるわけであります。一方、郡市の発展とか鉱工業の発達によって、漁場が漸次狭隘化するとともに、ての水質の汚濁等による漁場の荒廃化というものがもたらされつつ
ありますりで、三十五年度の予算におきましても、やはり引き続き
沿岸漁業の
振興車夫に重点を置いて、その拡充をはかることといたしております。その第一は、
漁場改良造成及び
種苗対策事業並びに
沿岸漁業振興対策事業でございます。
漁場改良造成及び
種苗対策事業は、投石と
岩礁爆破、あるいは漁礁及びいわゆる
大型漁礁の設置、あるいは
ノリ漁場の造成、ノリの人工採苗施設の設置等の
沿岸漁業資源の
改良造成を行なう事業でございますが、国の助成額を三十四年度に比べますと、全体で一〇%程度増加しておりまして、約二億円を予算上計上しております。
沿岸漁業振興対策事業につきましては、
沿岸漁業への依存度が高く、かつ、
漁業所得水準の低い地域を重点的に対象とし、その地域の
漁業振興に最も適する生産、加工、流通、
技術指導等の施設の設置に対し
特別助成をすることとし、この施策を昭和三十二年度以来、いわゆる
沿岸振興対策として実施してきたのであります。三十五年度はさらにこれを計画的に推進することとし、三十四年度予算を三五%程度上回る一億三千五百万円をこれに計上しております。この事業の実施にあたりましては、いたずらに総花的になるということのないように、さらに
漁場改良造成、あるいは
種苗対策事業というものとも、できるだけ有機的に関連をせしめつつ、適地に対し年々計画的に実施して参りますとともに、
対象地域につきましては、この事業の成果が十分に上がるように、事前に周到な調査を水産庁と県当局とが協力し、行なう、このような調査に基づいて
事業計画を樹立し、その地域の
沿岸漁夫の振興に必要な施設を整備して、
沿岸漁業の振興に寄与して参りたい、こういう考えております。なお、昨年非常に、いわば社会的問題ともなりましん
水俣病被災漁民の
漁業転換を促進する対策としまして、
水俣病漁業対策事業を実施することにいたしまして、このため約一千万円弱を計上してございます。
沿岸漁業振興施策の第二点は、
水産業改良普及事業及び
漁村青壮年実践活動促進事業でございます。先ほど申し上げました第一の
沿岸漁業振興対策の諸事業が、いわば施設面での
沿岸振興対策であるのに対し、この第二の事業は、人の面の対策ともいえるものであろうと思います。このうち
改良普及事業につきましては二千七百万円を計上しておりますが、その内容のおもなものは、本事業の中核となる
沿岸漁業改良普及員の拡充をはかる、こういうことにした点でございます。
沿岸漁業改良普及員は、三十四年度におきまして、新規に四十八名の設置を見たわけでございますが、三十五年度におきましては、さらに四十八名を増員して、合計九十六名に拡充いたしたい。そうして漁村に常駐して、
沿岸漁家に対する経営及び技術の改善に関する指導を行なうことにいたしておる次第でございます。なおこのほか、
県水産試験場に設置され、
専門分野において普及員を援助するとともに、漁民に対する指導に当たる
専門技術員、これは従来通り百五人の設置を継続いたしますほか、その機動力を高めるという趣旨から、新たにオートバイを十台ばかりでございますけれども、これは配置するということにいたしております。なお、この
改良普及事業に関連いたしましてこれまで漁村の
生活改善普及事業というものは農村に比べて非常に立ちおくれております。その
生活改善の指導の内容というのが全く違うために、片手間ではできない、こういう事情もありましたので、三十五年度、これは振興局の予算ではございますが、新しく
漁村専門の
生活改善普及員が三十名程度認められることとなります予定でありますので、これが実施にあたりましては、
水産業改良普及事業と表裏一体をなして、適切にその何と申しますか、指導の実があがるよう、漁村の
生活改善の推進に努力して参りたいと、こういうふうに考えております。また、漁村の
青壮年実践活動促進事業は、
沿海漁業振興の中核的な推進力であります
漁村青壮年の
自主的研究グループの
実践活動を促進援助し、その能力の向上をはかるということを目的としまして、
研究協議会とか
技術修練会等の開催、あるいは漁業についてのいわゆる先進地を視察するとか、
実践活動機材の貸与ということ等をその内容といたしておりますが、これらはおおむね前年度並みに実施することといたしておりまして、このため約一千万円を計上いたしております。さらに、
沿岸振興の実は、これは第三の柱といっていいと思うのでございますが、今申し上げましたように、施設面あるいは人的な面、こういう面と、もう一つ、
沿岸振興で非常に大切な漁業者の組織の面、これにつきましてちょっと御説明申し上げたいと思います。すなわち、
漁業協同組合の
整備促進対策ということでございます。今まで御説明いたしました
沿岸漁業振興のためのいろいろな施策というものを真に実効あらしめ、
零細漁家の経営を維持改善していく、その
経済的地位を向上させるためには、やはり漁民の
協同組織の
整備充実ということが最も重要であるということは申すまでもないことでありまして、
漁業制度調査会が昨年の秋、
農林大臣に対して行ないましたその中間報告におきましても、
漁業協同組合は
沿岸振興のにない手であり、その充実をはかる必要があるということが指摘されているのであります。ところが、御承知の
通り漁協の現状は必ずしも満足すべき状態にない、いわゆる沿海の
出資漁協で、しかも、
経済行為のある漁協中、
販売事業を中心とする
経済事業を実施している組合は約一千五百ございます。そのうち欠損金が百万円以上のものが約五百という状況で、いわゆる
不振組合というのが五百以上という状況でありまして、このように財政的あるいは経済的な内容が脆弱な
漁業協同組合の基礎をもっと強化するということが、
沿岸振興のために何よりも必要になってくるのであります。そこで、三十五年度予算におきましては、
経営不振組合の整備を促進しますとともに、組合に対する
指導事業態勢を整えるため、新たに
漁業協同組合の
整備基金を特殊法人として設置し、
経営不振組合を対象として、欠損金に見合う借入金につきまして
利子補給を行なわせるとともに、
漁業協同組合を
整備強化するための
指導事業もあわせ行なわせるということにいたしたい、こう思っております。この基金は
漁業信用基金協会、
漁業協同組合連合会、
農林中央金庫等の出資する一億円を基金といたしますが、国はこれに対し、三十五年度において一億円を無利子で貸し付ける、これもやはりこの基金の
利子補給なり活動のもとになるわけでございます。合計二億円の資金の運用益によって
不振漁協に対する
利子補給等を行なおうとしているのでございます。基金の
利子補給の割合は三・二%ということを一応予定しておりますが、このほか
都道府県等からも相当程度の
利子補給が行なわれることを期待しております。このような
利子補給措置と並行いたしまして、組合の
経営再建のためのいわゆる
能率指導ということが必要になってくることは申すまでもないのであります。このため、これまで実施しておりました
漁業協同組合に対する
駐在指導あるいは
巡回指導の措置を引き続き実施し、この
整備強化というものと関連せしめつつこれらの
駐在指導なり
巡回指導を実施し、
不振組合に対する総合的な整備の措置を講じたい、こういうふうに思っている次第であります。今、申し上げました
漁業協同組合の
整備強化につきましては、基金の設置その他につきまして、これは一連の
立法措置を必要としますので、これに必要な法案につきましては、後日御審議をしていただくことになる、こういうふうに考えておる次第でございます。なお、これに関連しまして、実は
漁業協同組合はその沿革等もこれあり、非常に規模が過小なために経済的に伸びない、いわゆる
不振組合というものが相当あるのでございます。これらに対しましては、その
経営基盤を強化するため極力合併を奨励して参りたい、こういうふうに考えております。以上の
漁業協同組合の
整備強化対策の実施に必要な経費としましては、貸付金の一億円というものを含めまして一億五百万円の予算を計上いたしておる次第でございます。
次に、
漁業生産基盤の整備に関する諸施策について申し述べたいと存じます。その第一は、
漁港整備事業の実施でございます。
漁業生産と
漁業経営の安定的な発展を期するため漁港の合理的、
計画的整備をはかることが重要であるということは申すまでもありませんが、昭和三十五年度におきましては
漁港整備計画に基づき継続四百港、新規四十九港の
修築事業を実施するとともに、引き続き
局部改良事業を実施することといたしており、これらに要する経費といたしまして、北海道における国の
直轄事業を含めて四十五億八羊七百万円を予算に計上しておりますが、これは三十四年度に比べまして四億一千二百万円の増ということでございます。
次は、
資源調査の充実並びに
公海漁業における
指導取り締まり態勢の強化に関する事項でございます。
公海漁業における
国際的制約というものは、いろいろな面におきまして漸次強化されてきております今日におきまして
国際協調のもとに
公海漁場を確保するとともに、
既存漁場の合理的な利用、開発を推進することが強く要望されておりますので、今後、
資源調査、
漁場調査を実施していくことが非常に必要になって参ります。昭和三十五年度におきましては、特に国際的に問題の多い
北洋サケ、
マス資源の調査を拡充実施することといたしたい。これは現に開かれております
日ソ漁業委員会ということで毎年々々いろいろな資源問題、あるいはそれに関する、これから発生しますいろいろな規制問題が問題になっております。昭和三十五年度におきましては、日本海におけるサケ、マスの調査を手がけ、あるいは
太平洋岸におきまして、北緯四十八度以南の漁場における
資源調査というものをやって参りたい、こういうふうに考えております。それから、これはやはり
日ソ漁業委員会の交渉と直接に関連しますが、新たにニシンの
産卵量調査を実施したい、こう思っております。また三十四年度に引き続き以西の
トロール底びき
漁業資源、
北太平洋の
クジラ資源等の調査を行ないますほか、
東カムチャツカ海域の
北洋漁場、大西洋のマグロ新漁場についての開発、調査を実施することといたしております。これらに必要な経費として一億一千九百万円を計上しております。なお、この公海における
漁業操業秩序の維持ということが、特にいろいろな面で国際的な関連もありまして重要でございます。特に問題の多い北洋及び東海黄海につきましては、
指導取り締まり態勢を強化する。
指導取り締まりに要する経費二億八千百万円を計上いたしております。
漁業生産基盤の整備に関する第三の事項は、
鮭鱒孵化放流事業の拡充でございます。
鮭鱒資源の
維持培養を積極的に推進することは、問題の多い
北洋サケ、
マス漁場におけるわが国の
国際的立場を強化するためという意味からも必要でありますとともに、サケ、
マス漁業の経営安定にも大きな見地からいえば資するということもいえますので、三十五年度におきましては特に本事業の
拡充整備をはかって参りたい、こう思っております。すなわち、本事業を実施するために設置されております北海道における国営のサケ、
マス孵化場の施設を近年における北海道諸河川に対するサケ、マスの遡河状況に対応して計画的に整備して参りたい、このために一億三千九百万円を計上しておりますとともに、東北地方は、これは民間でやっておりますサケ、
マス孵化放流事業に国が補助するという格好になっております。これに要する経費は八百万円を計上いたしておる次第でございます。なお、内水面における
資源維持対策としまして、アユの
県営放流事業に対する助成、これはおおむね三十四年度と同程度の規模で実施することといたしております。
次は、水産物の
価格安定対策でございます。これは三十四年度に引き続き多獲
性大衆水産物であるサンマのかす及び
スルメイカの
調整保管事業に対する助成を行ない、魚価の安定をはかることといたしたい、このため前年度と同額の千二百万円を計上しておる次第でございます。
次に、以上の諸対策のほか、
漁業経営の安定を目的といたします諸施策について一括御説明申し上げます。第一は、
漁船損害補償制度の改善でございます。現在
漁船保険加入隻数は約百十万隻ということになっておりますが、なお、それを分析してみますと、小型船の加入率が低く、
沿岸漁業振興の見地から見ましても本制度の目的は十分には実施されていないということもいえるのじゃないか、今後の
漁船保険事業の健全な発達をはかるためには、いろいろこれに関連して問題となる点がありましたので、昨年
漁船損害補償制度調査会を臨時に設けまして、
学識経験者によって種々検討を加えてもらいました結果、その答申を基礎としまして、三十五年度に相当大幅な改正を行なって参りたい、こういうふうに考えております。改正点の第一は
保険料率の
合理的改訂、これは現在の料率が小型船を
單位組合に入れることで
單位組合の経営が悪くなるというようなことに関連しまして、
保険料率を合理的に改訂しまして、
普通損害保険及び
満期保険の損害分について、
保険料率及び再
保険料率を期限率を基礎として定めることとしておりますが、これは特に小型船を主体とする
保険組合の経営が困難である現状を改めまして、小型船の
引き受け態勢を整備することをおもなねらいとするものであります。改正点の第二は、
義務加入制度の改善であります。すなわち、
義務加入漁船に対しては、従来は一律に保険料の二分の一の
国庫負担を行なってきたのでありますが、今回は台風、風浪というような
異常災害に対応する
保険料部分は
全額国庫負担とするということにするほか、通常の危険に対応する
保険料部分につきましては、漁船のトン数、改装に応じまして六〇%から四〇%の間の異なった率を適用して
国庫負担をするということにいたした。これらの結果、保険料は無動力船の階層が
現行料率と同じであるというほか、階層により多少の差はございますが、加入者の
自己負担の軽減が行なわれる、それと同時に、先ほど申し上げました第一点の
保険料率の
合理的改訂と相待って、ことに小型船の加入がより容易になり、加入が促進する道がこれで期待される、こういうことであります。改正点の第三は、
集団加入制度の新設でございまして、この制度は
義務加入の成立が困難な事情にある保険料の
国庫負担の恩恵に浴し得ない
小型漁船を対象としまして、
一定隻数以上の
小型漁船が集団的に漁百船保険に加入した場合の
義務加入の場合に
国庫負担のそれぞれの半分程度の負担を国が行なうというものであります。
義務加入の第一歩といいますか、前段階と申しますか、加入ができないというものについて一つの新しい制度をここに設けたい、こういう趣旨でございます。以上の改正点を内容とする
予算措置を昭和三十五年度予算において講じておりまして、漁船再
保険特別会計繰り入れ等に必要な経費として四億八千三百万円を計上しております。なお、このほか漁船再
保険特別会計から
漁船保険中央会の行なう漁船の
事故防止事業に対しまして新しく千七百万円を助成することといたしておりますが、この事業は
漁船検診技術員三十五名を設置し、
保険加入の漁船の検診を行なって事故の防止をはかろう、こういう趣旨のものでございます。
漁業経営の安定を目途とする
安定施策の第二は、
漁業共済制度の
試験実施であります。本事業は三十二年度以来、
全国水産業協同組合共済会において実施中のものでございますが、昭和三十五年度においても沿海三十八
都道府県において
継続実施いたしますとともに、
北洋サケ、
マス漁業の漁具に対する
共済事業を新たに開始することにいたしております。これらのために、
試験実施調査委託費三千五百万円を計上いたしますとともに、昭和三十五年度契約分について共済金の支払いに不足を生じた場合におけるその不足額を補てんするための
共済掛金の一・五倍に相当する額、あるいは一億三千万円を限度とする
国庫債務負担契約を結ぶことといたしておる次第でございます。第三は、
中小漁業融資保証制度の改善でございます。本制度は
中小漁業経営者に対する融資の円滑化をはかるため、
中小漁業者が
金融機関より融資を受ける際、
漁業信用基金協会がその債務を保証できる、これをさらに政府が保険するという仕組みになっております。三十五年度におきましては、現行の
保険金支払いに伴う政府の
求償権取得制度を
漁業信用基金協会の政府に対する
納付金制度に改め、政府の被保証人に対する債権の管理及び回収の円滑化をはかるため、所要の改善を加えることにいたしております。以上のほか安定的な
漁業経営に資する目的のために従来
都道府県水産試験場に助成して
漁業海況予報を実施いたしております。三十五年度におきましても、引き続き同様の規模で実施することにいたしております。以上が
漁業経営の安定をはかるための諸施策の主要なものであります。
次に、
災害防除及び
災害復旧事業について申し上げたいと存じます。まず、
公共事業関係についてでございますが、三十四年度におきます
伊勢湾台風による災害の甚大であったことにかんがみまして、防災及び
災害復旧事業は、昭和三十五年度予算において特に重視しているところでございます。
防災対策事業といたしましては、
伊勢湾台風により被害を受けた
伊勢湾等に面する漁港に対しまして
復旧改良工事を
伊勢湾高潮対策事業として実施するため、新たに五億五千百万円を計上いたしました。
治山治水事業の一環といたしまして
漁港区域の海岸にかかる
海岸保全施設整備事業を推進するために、他
省庁計上分を含めまして三十四年度に比べて一億円増の二億五千万円計上いたしております。なお、
漁港施設災害関連事業の一環としまして、
漁港区域の
地盤変動対策を新たに実施することとして、これの予算千四百万円をあわせ計上いたしております。次に、
災害復旧事業でございますが、
漁港関係の災害の
早期復旧を極力推進することといたしております。昭和三十五年度におきましては、三十二年災は完了、三十三年災は八五%、三十四年災は六五%の
復旧進度を確保しますとともに、三十四年災につきましては、三十四年度
補正予算に引き続いて激甚地の
補助率引き上げの措置を講ずる、
漁港施設災害復旧費として三十四年度に比べ十億円増の十八億千五百万円、
漁港施設災害関連事業費として、さきに申し述べました
地盤変動対策事業を除き、三十四年度に比べて五千万円増の八千百万円を計上いたしております。以上のような
公共事業費によるもののほか、三十四年度
補正予算によって実施いたします
共同利用小型漁船の
建造事業及びノリ、カキ、
真珠等水産養殖施設の
復旧事業の残りを、前年度に引き続き実施することとしております。これらに要する経費として一億六千百万円を計上いたしております。
最後に、
水産関係の
財政投融資計画といたしまして、
農林漁業金融公庫の
貸付金額について申し上げます。昭和三十五年度における公庫の
水産関係費貸付金額は五十億円でございます。三十四年度に比べ三億円の増加となっておりますが、これは最近の
融資実績に基づきまして、主として漁船の融資額の拡大をはかったものでございます。
以上をもちまして
水産関係一般会計予算及び
特別会計予算並びに
財政投融資計画のごく概要の御説明を終わりたいと存じます。