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1960-02-16 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十六日(火曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            岡村文四郎君            高橋  衛君            田中 啓一君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            亀田 得治君            北村  暢君            清澤 俊英君            戸叶  武君            中田 吉雄君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    林野庁長官   山崎  齊君    水産庁長官   西村健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁経理部長 家治 清一君    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君    水産庁漁港部長 林  真治君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和三十五年度農林省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから原林水産委員会を開会いたします。昭和三十五年度農林省関係予算に関する件を議題といたします。まず、午前中は水産庁関係予算並びに施策について説明を聴取いたします。
  3. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御説明に入ります前に、お手元にこまかい表が配ってございますが、多小数字のミスがございますので、先にちょっとお直しいただきたいと思います。昭和三十五年度水産関係予算一覧表というお手元にお配りしてありますiの本庁関係の八番目の「漁村青壮年実践活動促進」とございます、そこの三五年度予算Cというところに、九八五六とございます。これは九八五九でございます。次は二枚目をめくっていただきまして、これは間違いじゃございませんが、一番トップの数字の「北海道鮭鱒ふ化場」の一二四七九二でございます。ちょっとわかりにくい印刷になっております。それから同じ紙のずっと下に参りまして、「公共」の欄の水産庁所管のずっと下の「漁港施設災害復旧事業」というところがございます。「直轄」と「補助」に分かれております。そこの一番最初の七三六、九六九とございますが、これは七六三、九六九でございます。それから下の伊勢湾高潮対策事業費、その下に計とございます。その計の数字の三十五年度予算Cの四、六八四、一八〇とございますが、これは四六八九、一八〇でございます。それだけでございます。  それでは、昭和三十五年度の予算要求中におきます水産関係予算について、その概要を御説明申し上げたいと思います。まず、水産関係予算全体の規模でありますが、他省庁計上分、これはたとえば経済企画庁とか、あるいは北海道開発庁、それから労働省というようなものでございます。他省庁の計上分も合わせたもので見ますと、公共事業を含めました一般会計予算は百三億三千万円でありまして、三十四年度の当初予算に比べますと、二十五億一千万円、約三〇%の増加となっております。  次に、三十五年度予算のおもな内容は、沿岸漁業振興施策整備充実と、沿岸漁業振興のにない手である漁業協同組合整備促進漁業生産基盤整備するために必要な漁港整備事業及び国際漁業対策基盤となる資源調査並びにサケマス等時化放流事業推進流通対策としまして、水産物価格対策の一環としての調整保管事業昭和三十四年度から始まりました調整保管事業継続実施、さらに漁業経営安定対策として必要な漁船損害補償制度改正及び漁業共済事業充実災害防除及び、災害復旧事業推進、これらのいろいろな項目でございますが、以下これらにつきまして概略御説明いたします。まず沿岸漁業振興の諸施策について申し上げます。昭和三十三年——一昨年の十一月一日現在で実施しました沿岸漁業臨時調査というセンサスの結果によりますと、いわゆる沿岸漁業には、全国の漁業経営体総数の八六%を占める零細な沿岸漁家がこれに依存しておるという現状でございますが、その生産額は、日本全体の漁業生産額の一八%程度にすぎない、経営体総数では八六%を占める沿岸漁家が、生産額では一八%程度にすぎない、いわゆる低い生産性と低い所得水準のもとにあえいでいるわけであります。一方、郡市の発展とか鉱工業の発達によって、漁場が漸次狭隘化するとともに、ての水質の汚濁等による漁場荒廃化というものがもたらされつつありますりで、三十五年度の予算におきましても、やはり引き続き沿岸漁業振興車夫に重点を置いて、その拡充をはかることといたしております。その第一は、漁場改良造成及び種苗対策事業並びに沿岸漁業振興対策事業でございます。漁場改良造成及び種苗対策事業は、投石と岩礁爆破、あるいは漁礁及びいわゆる大型漁礁設置、あるいはノリ漁場の造成、ノリの人工採苗施設設置等沿岸漁業資源改良造成を行なう事業でございますが、国の助成額を三十四年度に比べますと、全体で一〇%程度増加しておりまして、約二億円を予算上計上しております。沿岸漁業振興対策事業につきましては、沿岸漁業への依存度が高く、かつ、漁業所得水準の低い地域を重点的に対象とし、その地域漁業振興に最も適する生産、加工、流通、技術指導等施設設置に対し特別助成をすることとし、この施策昭和三十二年度以来、いわゆる沿岸振興対策として実施してきたのであります。三十五年度はさらにこれを計画的に推進することとし、三十四年度予算を三五%程度上回る一億三千五百万円をこれに計上しております。この事業実施にあたりましては、いたずらに総花的になるということのないように、さらに漁場改良造成、あるいは種苗対策事業というものとも、できるだけ有機的に関連をせしめつつ、適地に対し年々計画的に実施して参りますとともに、対象地域につきましては、この事業の成果が十分に上がるように、事前に周到な調査水産庁県当局とが協力し、行なう、このような調査に基づいて事業計画を樹立し、その地域沿岸漁夫振興に必要な施設整備して、沿岸漁業振興に寄与して参りたい、こういう考えております。なお、昨年非常に、いわば社会的問題ともなりましん水俣病被災漁民漁業転換を促進する対策としまして、水俣病漁業対策事業実施することにいたしまして、このため約一千万円弱を計上してございます。  沿岸漁業振興施策の第二点は、水産業改良普及事業及び漁村青壮年実践活動促進事業でございます。先ほど申し上げました第一の沿岸漁業振興対策の諸事業が、いわば施設面での沿岸振興対策であるのに対し、この第二の事業は、人の面の対策ともいえるものであろうと思います。このうち改良普及事業につきましては二千七百万円を計上しておりますが、その内容のおもなものは、本事業の中核となる沿岸漁業改良普及員拡充をはかる、こういうことにした点でございます。沿岸漁業改良普及員は、三十四年度におきまして、新規に四十八名の設置を見たわけでございますが、三十五年度におきましては、さらに四十八名を増員して、合計九十六名に拡充いたしたい。そうして漁村に常駐して、沿岸漁家に対する経営及び技術改善に関する指導を行なうことにいたしておる次第でございます。なおこのほか、県水産試験場設置され、専門分野において普及員を援助するとともに、漁民に対する指導に当たる専門技術員、これは従来通り百五人の設置を継続いたしますほか、その機動力を高めるという趣旨から、新たにオートバイを十台ばかりでございますけれども、これは配置するということにいたしております。なお、この改良普及事業関連いたしましてこれまで漁村生活改善普及事業というものは農村に比べて非常に立ちおくれております。その生活改善指導内容というのが全く違うために、片手間ではできない、こういう事情もありましたので、三十五年度、これは振興局予算ではございますが、新しく漁村専門生活改善普及員が三十名程度認められることとなります予定でありますので、これが実施にあたりましては、水産業改良普及事業と表裏一体をなして、適切にその何と申しますか、指導の実があがるよう、漁村生活改善推進に努力して参りたいと、こういうふうに考えております。また、漁村青壮年実践活動促進事業は、沿海漁業振興の中核的な推進力であります漁村青壮年自主的研究グループ実践活動を促進援助し、その能力の向上をはかるということを目的としまして、研究協議会とか技術修練会等の開催、あるいは漁業についてのいわゆる先進地を視察するとか、実践活動機材の貸与ということ等をその内容といたしておりますが、これらはおおむね前年度並みに実施することといたしておりまして、このため約一千万円を計上いたしております。さらに、沿岸振興の実は、これは第三の柱といっていいと思うのでございますが、今申し上げましたように、施設面あるいは人的な面、こういう面と、もう一つ、沿岸振興で非常に大切な漁業者の組織の面、これにつきましてちょっと御説明申し上げたいと思います。すなわち、漁業協同組合整備促進対策ということでございます。今まで御説明いたしました沿岸漁業振興のためのいろいろな施策というものを真に実効あらしめ、零細漁家経営を維持改善していく、その経済的地位を向上させるためには、やはり漁民の協同組織整備充実ということが最も重要であるということは申すまでもないことでありまして、漁業制度調査会が昨年の秋、農林大臣に対して行ないましたその中間報告におきましても、漁業協同組合沿岸振興のにない手であり、その充実をはかる必要があるということが指摘されているのであります。ところが、御承知の通り漁協の現状は必ずしも満足すべき状態にない、いわゆる沿海の出資漁協で、しかも、経済行為のある漁協中、販売事業を中心とする経済事業実施している組合は約一千五百ございます。そのうち欠損金が百万円以上のものが約五百という状況で、いわゆる不振組合というのが五百以上という状況でありまして、このように財政的あるいは経済的な内容が脆弱な漁業協同組合の基礎をもっと強化するということが、沿岸振興のために何よりも必要になってくるのであります。そこで、三十五年度予算におきましては、経営不振組合整備を促進しますとともに、組合に対する指導事業態勢を整えるため、新たに漁業協同組合整備基金特殊法人として設置し、経営不振組合対象として、欠損金に見合う借入金につきまして利子補給を行なわせるとともに、漁業協同組合整備強化するための指導事業もあわせ行なわせるということにいたしたい、こう思っております。この基金漁業信用基金協会漁業協同組合連合会農林中央金庫等の出資する一億円を基金といたしますが、国はこれに対し、三十五年度において一億円を無利子で貸し付ける、これもやはりこの基金利子補給なり活動のもとになるわけでございます。合計二億円の資金の運用益によって不振漁協に対する利子補給等を行なおうとしているのでございます。基金利子補給の割合は三・二%ということを一応予定しておりますが、このほか都道府県等からも相当程度利子補給が行なわれることを期待しております。このような利子補給措置と並行いたしまして、組合経営再建のためのいわゆる能率指導ということが必要になってくることは申すまでもないのであります。このため、これまで実施しておりました漁業協同組合に対する駐在指導あるいは巡回指導措置を引き続き実施し、この整備強化というものと関連せしめつつこれらの駐在指導なり巡回指導実施し、不振組合に対する総合的な整備措置を講じたい、こういうふうに思っている次第であります。今、申し上げました漁業協同組合整備強化につきましては、基金設置その他につきまして、これは一連の立法措置を必要としますので、これに必要な法案につきましては、後日御審議をしていただくことになる、こういうふうに考えておる次第でございます。なお、これに関連しまして、実は漁業協同組合はその沿革等もこれあり、非常に規模が過小なために経済的に伸びない、いわゆる不振組合というものが相当あるのでございます。これらに対しましては、その経営基盤を強化するため極力合併を奨励して参りたい、こういうふうに考えております。以上の漁業協同組合整備強化対策実施に必要な経費としましては、貸付金の一億円というものを含めまして一億五百万円の予算を計上いたしておる次第でございます。  次に、漁業生産基盤整備に関する諸施策について申し述べたいと存じます。その第一は、漁港整備事業実施でございます。漁業生産漁業経営の安定的な発展を期するため漁港の合理的、計画的整備をはかることが重要であるということは申すまでもありませんが、昭和三十五年度におきましては漁港整備計画に基づき継続四百港、新規四十九港の修築事業実施するとともに、引き続き局部改良事業実施することといたしており、これらに要する経費といたしまして、北海道における国の直轄事業を含めて四十五億八羊七百万円を予算に計上しておりますが、これは三十四年度に比べまして四億一千二百万円の増ということでございます。  次は、資源調査充実並びに公海漁業における指導取り締まり態勢の強化に関する事項でございます。公海漁業における国際的制約というものは、いろいろな面におきまして漸次強化されてきております今日におきまして国際協調のもとに公海漁場を確保するとともに、既存漁場の合理的な利用、開発を推進することが強く要望されておりますので、今後、資源調査漁場調査実施していくことが非常に必要になって参ります。昭和三十五年度におきましては、特に国際的に問題の多い北洋サケマス資源調査拡充実施することといたしたい。これは現に開かれております日ソ漁業委員会ということで毎年々々いろいろな資源問題、あるいはそれに関する、これから発生しますいろいろな規制問題が問題になっております。昭和三十五年度におきましては、日本海におけるサケマス調査を手がけ、あるいは太平洋岸におきまして、北緯四十八度以南の漁場における資源調査というものをやって参りたい、こういうふうに考えております。それから、これはやはり日ソ漁業委員会の交渉と直接に関連しますが、新たにニシンの産卵量調査実施したい、こう思っております。また三十四年度に引き続き以西のトロール底びき漁業資源北太平洋クジラ資源等調査を行ないますほか、東カムチャツカ海域北洋漁場、大西洋のマグロ新漁場についての開発、調査実施することといたしております。これらに必要な経費として一億一千九百万円を計上しております。なお、この公海における漁業操業秩序の維持ということが、特にいろいろな面で国際的な関連もありまして重要でございます。特に問題の多い北洋及び東海黄海につきましては、指導取り締まり態勢を強化する。指導取り締まりに要する経費二億八千百万円を計上いたしております。漁業生産基盤整備に関する第三の事項は、鮭鱒孵化放流事業拡充でございます。鮭鱒資源維持培養を積極的に推進することは、問題の多い北洋サケマス漁場におけるわが国の国際的立場を強化するためという意味からも必要でありますとともに、サケマス漁業経営安定にも大きな見地からいえば資するということもいえますので、三十五年度におきましては特に本事業拡充整備をはかって参りたい、こう思っております。すなわち、本事業実施するために設置されております北海道における国営のサケマス孵化場施設を近年における北海道諸河川に対するサケマスの遡河状況に対応して計画的に整備して参りたい、このために一億三千九百万円を計上しておりますとともに、東北地方は、これは民間でやっておりますサケマス孵化放流事業に国が補助するという格好になっております。これに要する経費は八百万円を計上いたしておる次第でございます。なお、内水面における資源維持対策としまして、アユの県営放流事業に対する助成、これはおおむね三十四年度と同程度規模実施することといたしております。  次は、水産物価格安定対策でございます。これは三十四年度に引き続き多獲性大衆水産物であるサンマのかす及びスルメイカ調整保管事業に対する助成を行ない、魚価の安定をはかることといたしたい、このため前年度と同額の千二百万円を計上しておる次第でございます。  次に、以上の諸対策のほか、漁業経営の安定を目的といたします諸施策について一括御説明申し上げます。第一は、漁船損害補償制度改善でございます。現在漁船保険加入隻数は約百十万隻ということになっておりますが、なお、それを分析してみますと、小型船加入率が低く、沿岸漁業振興の見地から見ましても本制度目的は十分には実施されていないということもいえるのじゃないか、今後の漁船保険事業の健全な発達をはかるためには、いろいろこれに関連して問題となる点がありましたので、昨年漁船損害補償制度調査会を臨時に設けまして、学識経験者によって種々検討を加えてもらいました結果、その答申を基礎としまして、三十五年度に相当大幅な改正を行なって参りたい、こういうふうに考えております。改正点の第一は保険料率合理的改訂、これは現在の料率が小型船單位組合に入れることで單位組合経営が悪くなるというようなことに関連しまして、保険料率を合理的に改訂しまして、普通損害保険及び満期保険損害分について、保険料率及び再保険料率期限率を基礎として定めることとしておりますが、これは特に小型船を主体とする保険組合経営が困難である現状を改めまして、小型船引き受け態勢整備することをおもなねらいとするものであります。改正点の第二は、義務加入制度改善であります。すなわち、義務加入漁船に対しては、従来は一律に保険料の二分の一の国庫負担を行なってきたのでありますが、今回は台風、風浪というような異常災害に対応する保険料部分全額国庫負担とするということにするほか、通常の危険に対応する保険料部分につきましては、漁船のトン数、改装に応じまして六〇%から四〇%の間の異なった率を適用して国庫負担をするということにいたした。これらの結果、保険料は無動力船の階層が現行料率と同じであるというほか、階層により多少の差はございますが、加入者自己負担の軽減が行なわれる、それと同時に、先ほど申し上げました第一点の保険料率合理的改訂と相待って、ことに小型船加入がより容易になり、加入が促進する道がこれで期待される、こういうことであります。改正点の第三は、集団加入制度の新設でございまして、この制度義務加入の成立が困難な事情にある保険料国庫負担の恩恵に浴し得ない小型漁船対象としまして、一定隻数以上の小型漁船が集団的に漁百船保険加入した場合の義務加入の場合に国庫負担のそれぞれの半分程度負担を国が行なうというものであります。義務加入の第一歩といいますか、前段階と申しますか、加入ができないというものについて一つの新しい制度をここに設けたい、こういう趣旨でございます。以上の改正点内容とする予算措置昭和三十五年度予算において講じておりまして、漁船保険特別会計繰り入れ等に必要な経費として四億八千三百万円を計上しております。なお、このほか漁船保険特別会計から漁船保険中央会の行なう漁船事故防止事業に対しまして新しく千七百万円を助成することといたしておりますが、この事業漁船検診技術員三十五名を設置し、保険加入漁船の検診を行なって事故の防止をはかろう、こういう趣旨のものでございます。漁業経営の安定を目途とする安定施策の第二は、漁業共済制度試験実施であります。本事業は三十二年度以来、全国水産業協同組合共済会において実施中のものでございますが、昭和三十五年度においても沿海三十八都道府県において継続実施いたしますとともに、北洋サケマス漁業の漁具に対する共済事業を新たに開始することにいたしております。これらのために、試験実施調査委託費三千五百万円を計上いたしますとともに、昭和三十五年度契約分について共済金支払いに不足を生じた場合におけるその不足額を補てんするための共済掛金の一・五倍に相当する額、あるいは一億三千万円を限度とする国庫債務負担契約を結ぶことといたしておる次第でございます。第三は、中小漁業融資保証制度改善でございます。本制度中小漁業経営者に対する融資円滑化をはかるため、中小漁業者金融機関より融資を受ける際、漁業信用基金協会がその債務を保証できる、これをさらに政府が保険するという仕組みになっております。三十五年度におきましては、現行の保険金支払いに伴う政府求償権取得制度漁業信用基金協会政府に対する納付金制度に改め、政府の被保証人に対する債権の管理及び回収の円滑化をはかるため、所要の改善を加えることにいたしております。以上のほか安定的な漁業経営に資する目的のために従来都道府県水産試験場助成して漁業海況予報実施いたしております。三十五年度におきましても、引き続き同様の規模実施することにいたしております。以上が漁業経営の安定をはかるための諸施策の主要なものであります。  次に、災害防除及び災害復旧事業について申し上げたいと存じます。まず、公共事業関係についてでございますが、三十四年度におきます伊勢湾台風による災害の甚大であったことにかんがみまして、防災及び災害復旧事業は、昭和三十五年度予算において特に重視しているところでございます。防災対策事業といたしましては、伊勢湾台風により被害を受けた伊勢湾等に面する漁港に対しまして復旧改良工事伊勢湾高潮対策事業として実施するため、新たに五億五千百万円を計上いたしました。治山治水事業の一環といたしまして漁港区域の海岸にかかる海岸保全施設整備事業推進するために、他省庁計上分を含めまして三十四年度に比べて一億円増の二億五千万円計上いたしております。なお、漁港施設災害関連事業の一環としまして、漁港区域地盤変動対策を新たに実施することとして、これの予算千四百万円をあわせ計上いたしております。次に、災害復旧事業でございますが、漁港関係災害早期復旧を極力推進することといたしております。昭和三十五年度におきましては、三十二年災は完了、三十三年災は八五%、三十四年災は六五%の復旧進度を確保しますとともに、三十四年災につきましては、三十四年度補正予算に引き続いて激甚地補助率引き上げ措置を講ずる、漁港施設災害復旧費として三十四年度に比べ十億円増の十八億千五百万円、漁港施設災害関連事業費として、さきに申し述べました地盤変動対策事業を除き、三十四年度に比べて五千万円増の八千百万円を計上いたしております。以上のような公共事業費によるもののほか、三十四年度補正予算によって実施いたします共同利用小型漁船建造事業及びノリ、カキ、真珠等水産養殖施設復旧事業の残りを、前年度に引き続き実施することとしております。これらに要する経費として一億六千百万円を計上いたしております。  最後に、水産関係財政投融資計画といたしまして、農林漁業金融公庫貸付金額について申し上げます。昭和三十五年度における公庫の水産関係費貸付金額は五十億円でございます。三十四年度に比べ三億円の増加となっておりますが、これは最近の融資実績に基づきまして、主として漁船融資額の拡大をはかったものでございます。  以上をもちまして水産関係一般会計予算及び特別会計予算並びに財政投融資計画のごく概要の御説明を終わりたいと存じます。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの御説明に対して御質疑の方は御質疑、御発言を願いますが、西村水産庁長官は、開会前に申し上げましたように、特別な会議がございまして、やむを得ずその方に出席しなければならぬということで、林田漁政部長がかわって御答弁を申し上げたいと存じます。御了承を願いたいと思います。
  5. 大河原一次

    大河原一次君 ちょっとその前に一つ沿岸漁業振興の問題は、御承知のように今日の日ソ漁業の交渉の現状から申し上げましても、また、将来からいっても、沿岸漁業の問題に対して政府が相当これに対する育成強化という面でいってもらわなければならぬということは当然だと思うのですが、最近これは全国的な傾向であるかどうかわかりませんが、たまたま、これは私の方の郷里の問題を申し上げて大へん恐縮でございますが、福島県の四倉町という人口二万五千程度漁村でありますが、最近非常に不漁になってしまったということで、わからぬでいたのですが、よく調べてみたら、は大洋漁業が近接の町村に相当小型の船を提供せしめており、四倉と称する町に大ひき網をT字形に張りまして、そしてほとんどその辺の沿岸の小魚をほとんど大量的に一網打尽に取ってしまう、こういう傾向が最近現われてきている。これは私、今後全国的な傾向になるのじゃないかと思っておりますが、さらに東北全般に対してこのような傾向になったら大へんだと思うので、従って、小型船を浮かべて、一本釣と称して、小ダイとか、カナガシラというような、そういう地方におきましては、相当重視されておるし、しかも、魚価の面においても非常に有利である、そういう小魚が、ほとんど一本釣ができなくなってしまうということで、この四倉の漁民の方々が非常に、どうしていいかてんやわんやの騒ぎをしておって、町当局とし委しても、これに対して十分な手が打てないでいる状態です。こういう面に対して、これは今後の漁民の生活に非常に脅威を与えるものであり、こういう点に対しては、どのような当局の方としては手を打たれるか、そういう点、一つお聞きしたいと思っているのでする
  6. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今お話の点、私、具体的な事実関係をよく承知しておりませんので、今のお話の限度におきまして、どういう問題だからちょっとわからない点もございますが大体今、いわゆる沿岸の漁家層というものが苦況にあえいでいる、先ほど申し上げたようにいろいろ原因があると思います。まあ漁場の荒廃なり、狭隘化、あるいは鉱工業発展の埋め立てとか、汚濁水の問題、こういう問題もございます。この面につきましては、非常に困難ないろいろな問題を含んでおりますが、われわれとして、これにつきましては、十分沿岸漁民が保護されるような方法で考えて参らなくちゃいけないと思います。今のお話の点は、一つは、漁業それ自体の内部における一つ漁業調整の問題というふうにあるいは考えられないこともないと思います。その点につきましては、どうも今のお話では、ちょっとわかりかねるところがありますけれども、定置漁業というものは、これは定置漁業権が漁業法に基づきまして免許されておりますので、これは漁場計画等によって、そういたずらにどこへでもやるというわけにいかない。従って、これは特にそういう資源の問題で、沿岸の小漁村とトラブルを起こすということは、ちょっと私は考えられないのでございますけれども、ただ、そのいわゆる沿岸で一つの問題というと、漁業調整上も、資源上も、小型底びきという問題が、実は数年前に廃止の措置をとったのでありまして、廃止と申しますか、全国的なこれの縮減の措置をとりましたが、これが現実に漁村に行きますと、無許可でやっている。これが漁業調整上も問題であるし、底びきという漁法の性質上、資源上でもおもしろくない、こういうこともあろうかと思います。これらの点につきましてはわれわれの方として、できるだけそういう問題は、まあ原始的な問題として、いろいろ事情が違いますが、その事情に即して解決をして参りたい、こう思っております。
  7. 大河原一次

    大河原一次君 いま一つこれに関連して。大洋漁業というのは、当然遠洋漁業が主だと思うのですが、従って、そういった大洋漁業ともあろうものが、ほんのわずかの漁村に現われて、相当数の金を出して、そしてあちらにもこちらにもそういう大ひき網を張って、一網打尽にみな取ってしまうということだったら、これはほんとうに上がったりという形になってしまうので、何かこういう面を法律的に規制する方法はないのでありますか、よくわかりませんが……。
  8. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 大洋漁業という具体的な会社、先ほどもちょっと出ましたけれども、今のやはり定置漁業ではないかと私は思います。定置漁業なら、先ほど申し上げましたように、やはり漁業権で免許されております。ただこれはまあ現実の問題としまして、名義はとにかく、実際上大きな資本が、その定置漁業に入ってきている。ところが、大きな資本の漁業が入ってくることによって、従来よりいい、たとえば漁網も合成繊維の漁網を使う、いろいろ資材も惜しみなく投入するものだから、従来よりもよけい常置網が取れるということを方々漁村においては聞くわけです。その場合におきましては、一つは、資源の漁業調整の問題もあるかもしれませんが、やはり沿岸の漁民が一方において自分らの手釣の魚が取れないということから、やはり感情的な問題もそこにありまして、やはりそういうことに対して相当反撥を感ずるという面があるかと思いますが、これにつきまして、そういういわば脱法的なものであれば、これは法に従って取り締まらなければいけません。ただ漁業につきまして、大資本だから一般的にこれを排除するということは、現在の制度では、それは好ましくないことといっても、ものによってはそのような傾向にあります。しかし、沿岸の漁業につきましては、そういう大資本が進出するということは、これは必ずしも好ましくはない事態が今のような場合に出てくる、こういうふうに考えます。
  9. 千田正

    ○千田正君 長官が出る前に特にお尋ねしたいのは、今、問題になっておりますところの日ソ漁業問題で、ことしはおそらく昨年のような八万五千トンという漁獲量が確保できるということはだれしも確認できそうもないと思います。そこで、現在も独航船の数を減らしてそれを片方のカツオ、マグロその他に回すというような問題が起きておるのだが、これさえもいまだ確たる方針が定まっておらないように見えますが、この点を一点お伺いしたいということと、それから昨年のような漁獲量がどうしても日ソ間において解決が見得ないような場合においては、相当のこれは減船を覚悟しなければならない。そういう場合に起きるところの、予想されるところの沿岸漁業のしわ寄せ、あるいはその他に対してどういうふうに考えておるかという問題、また、もう一つは、いつでもこれは最後の問題になるというと、科学的な調査、それから資源の培養という問題が国際会議において問題になるのでありますが、北海道と内地にわずか一億数千万円程度のいわゆる孵化場を設けたという程度では、国際論争においてはたして日本が有利な立場で論争ができるかどうか。こういうことを考えますというと、こうした孵化場の施設等はもっと拡充していいのじゃないか、もっと強化して国際間におけるところの日本側の主張が十分通るような施設を十分やるべきではないかと、私はこう思うのであります。この点をお伺いしたい。もう一点、今一番問題になっているのは、沿岸漁業にとって問題になっておりますのは、油が不足している。これは現実において鳥取、島根、あの沿岸から、さらに銚子においてサバ漁に対する油が非常に不足して入手ができない。これはおかしい。われわれが前から話しておるのは、漁業協同組合の連合会を通じて、沿岸漁業のそういう燃料対策というものが十分進められているものと思っておりましたが、現実においてはなかなかそうじゃない。通産行政の一環をなしているところの油の製油業者の諸君は、漁業用油を作るのだと称して輸入をしながら、いわゆる値段が安いためにそっちの方へは回さずに軽油を作ってごまかしている。実際に必要な場合にはそれを出さない。倉庫の中にはちゃんと入っておりながら、漁業家から、漁業協同組合その他から要請された場合には出さない、これが現状じゃないかと思うのです。みすみす目の前に魚群が来たのを見ながら、油がない、足らないために出漁できないというのが、今困っている状況でありますが、この問題をどうするか、この三つについて長官からお伺いをしたいと思うのであります。
  10. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 第一の国内の再編成の問題、北洋サケマス漁業関連して、たしかこの委員会でも一応御説明したと思いますが、今般の第四回の日ソ漁業委員会の結果がどうであろうとも、十六船団、四百六十隻というものは多過ぎるのであります。経営の問題としても、自主的な再編を必要とするであろうということで強くわれわれも要請していたわけであります。いろいろまあ経緯はございますが、結局、私どもとしましては、今後の問題はともかくとして、ここで少なくとも一割以上あるいはそこで五十隻程度の自主的な減船の漁業転換に対しましてはカツオ、マグロの兼業許可を与えるということで、目下独航船の面において、これについてそのことによって再編成に乗り切る、いわば、おおむね五十隻程度の転換船をこれで出していくかどうかということを今明日中にはっきり決定するというところに今参っております。いずれこの問題は不日その帰趨は明らかになると、こういうふうに考えております。  それから第二の点は、ことしの日ソ漁業委員会の結果は非常にきついものである。一体率直に私が千田委員の御質問を私なりに解釈いたしますと、五十隻とか、そんな程度じゃ間尺に合わないじゃないかという事態が必ず来るだろう、あるいは来た場合に政府としてはどういう考えを持っておるか、こういう御質問だろうと思います。私どもとしまして、たとえば五十隻、これをもってすべて北洋の母船式サケマス漁業の再編成が足りるということは当初から申しておりませんわけでございまして、自主的なものとして、少なくともこの程度のものはやる必要があるのじゃないか。そうしてさらに、これは諸般の事情から強度な再編成あるいはそこにより強度な措置をとる必要があればそれはそれとしてまた事態に即して政府としては態度をはっきりきめて参りたい。ただし、それがどういう姿をとるか、どういう程度のものであるかということは、われわれとしては今にわかに予断を許しませんし、軽率に、それを仮定の上に立って対策を軽々に進めていくというわけにも参りません。ただ私どもとしても、今回の日ソ漁業委員会の交渉というものが決して楽観を許さないということの予想のもとに諸般の点についての準備なり研究は進めております。  それから第三の鮭鱒の孵化放流事業、これはえらい少ないじゃないかというお話でございます。仰せの通りと申すと語弊がございますけれども、額としては、ことに日ソ漁業交渉というようなものとの関連においても、もっとこれをわれわれとしても拡充して参りたい。ただこの問題は、孵化放流事業をやるためには親の魚、サケマスを確保する必要がございます。これがやはり北海道なり内地の河川に相当程度帰って参らなくてはいけない。従いまして、それによって実はこの孵化放流事業というものが、そういう客観的な事実によって制限を受けますので、これがにわかに予算面を拡充して、それによって孵化放流の、たとえば粒数を多くするというわけにはちょっと参らないわけでございます。私どもとしましても、これはできるだけ伸ばしていきたいと思っておりますが、それにはやはり親魚の確保という点、これについて今後さらに調査、検討を進める必要があろうかと思っております。  それから第四の、重油の問題につきましては、仰せのような事実は局地的に起こっておるやに聞いております。その原因は、あるいは千田委員の御指摘のような原因から重油を作りたがらない、採算上。そういうところにおそらく原因があるのじゃないか、この点につきまして、私どもとしましてはこういうことがあっては、せっかくの漁業者漁業生産意欲も減退させますし、現実の操業に差しつかえをいたします。私どもとしては、随時、通産省の関係当局と連絡をしてこの問題をより漁業者のためにいい制度と直すように目下交渉も始めつつございますが、とりあえずの当面の対策としまして、全漁連がソ連から輸入しました七千トンの重油が保税倉庫に入っておりましたので、これを至急引き取れるようにする措置を先週講じました。その最終的な結果は私聞いておりませんが、おそらく、これでともかくその七千トンは現物が漁撈の方に回わるように措置されるだろう、こういうふうに思っております。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 予算書を見ますと、内水面に対しては一銭もないのだが、わずかにアユの県営に対する補助金が一つついているだけで、内水面政策というものは水産庁は全然考えておらないのですか。
  12. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) お答えします。内水面につきましては、率直に申し上げまして、今のところアユの孵化放流事業と、それから本年度からたしか利根川の上流におきますソウギョに対する施設というものの補助金、これは特定の地域でございますが、この二つでございます。内水面に対しまして御承知のように問題が、予算的にはその額が少ないということはあるいは率直に申し上げて言えると思いますが、問題はそれらの点につきましては、単に予算的な面というものだけではたして実効が上がるかどうかという面も考えなくちゃいけませんし、それからもう一つ、私どもでこの内水面についていろいろ絶えず問題になるのは、いわゆる予算措置を講じましても、これは遊漁者というものの対象になるのではないかというような問題がございますので、私どもとして決して内水面につきましてこれを等閑視しているわけではございませんけれども、なお、われわれとしてもう少し研究して、いろいろな方面についてもっと考えていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。当面としては、御指摘のように、従来とほとんど変わっておりません。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 ウナギだとかドジョウとかというようなものの養殖などは、やはりこれは内水面に属するものだと思うのですが、まあ食料として高級食品で、一般食品ではないが、アユにこれだけ力を入れているならば、こういうものを養殖してもっと安いものがどんどん食えるような方法を考えてもいいのではないかと思う。最近は農薬等の関係、灌排水関係、汚濁水等でほとんど内水面魚が全滅するかもしれない状態にあって、何もかまわぬでおくというのもどうもおかしい問題ではないか。ことに人造湖等が非常にたくさんできておりますね、そういう場合、ただ漁獲利益だけを中心にしないで、いま少し考えるべきものがないのかどうか、そういう点に対して、どう一体考えておられるか。
  14. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 実は最後に清澤委員の御指摘のございました人造湖につきまして、何かそこについて魚族の繁殖というものについて少しやってもらいたいということで、私どもも研究もし、中間的な段階では予算要求までいったのでありますが、やはりいろいろ研究する点があるようでありますけれども、技術的な面もあり、そういう点で私どもとしては終局的にもうちょっと研究して参りたい。決して私ども、そういうものを忘れているわけではございません。内部では研究いたしておりますが、まだすぐこれが予算化という面ではどうかということで考えているわけでございます。
  15. 東隆

    ○東隆君 私は、農林大臣に聞いていただきたいのですけれども、この予算の面で私はやはり考えなければならないことは、技術面ですね、技術面、ことに水産の増産、それから漁民の生活の指導経営指導、そういうような面をずっとひっくるめて一貫した私は制度が確立されてしかるべきだと思う。農業の方では、御承知のように、農業助長法という法律ができて、そうして一応その体系ができ上がっておるわけです。そこで、水産改良助長法というようなものを作って、そうしてやるべきが至当じゃないか、こういうふうに考えてこの前の国会に、実は社会党に所属しておった場合に、社会党から出して、これは継続審議になっておったのじゃないかと思いますが、あの考え方は、私は水産の方面でもし沿岸漁業に力を入れることが中心だと、こういうふうに言われるならば、早急にあの制度を確立すべきである、こういう考え方を持っておるわけです。中身はすでに実は水産業改良普及事業拡充と、こういうような形でもってできております。水産試験場関係との連携その他の問題なんかもあるから、この前の場合には、私は少しばかりであるけれども、予算もすでにあるのだから、それを総合して一つ制度を作り上げる必要があるだろう、こういうふうに実は質問しておったわけです。この際は一つ早急にそれを制度化することが必要だろう、こう思うのですが、これはお話が内部でもってあったのかなかったのか、その点もしお知りでしたらそれをお聞きしたいのです。
  16. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 水産業の振興につきまして特に沿岸漁業振興が必要であるということは申すまでもないことでございまして水産庁では漁業制度調査会を設けておりまして現在その審議に当たってもらっておるわけでありまして、特に漁業制度調査会におきましても沿岸漁業振興見地からは、まず漁業協同組合強化をはからなければいかぬということがいわれておりまして、今回予算の方におきましても、あるいは法案の方におきましても、まず漁業協同組合整備促進をやろうということにいたしまして、整備促進法案を間もなく上程いたすことで、御審議を願うことにいたしております。それで先ほど申されました水産の改良助長法でございますが、これは現在継続審議になっておるはずでございます。私たちの方におきましても、水産改良助長法というふうなものが、農業改良助長法と同じように必要であるということは考えておる次第でございますが、すでに今回の予算にも現われておりますように、水産業改良普及員を昨年四十八名設けまして、三十五年度は同数の四十八名を増加して九十六人にいたしていくというふうに、徐々にこの普及態勢を整備強化していきたいということで、予算にも盛っておる次第でございます。その他いろいろ巡回指導とか、そういうふうな方面におきましても、あるいは青少年の技術の改良とか、そういう面におきましても強化して参っているわけでございまして、直ちにこれを助長法という法律にしなければいかぬかどうかということにつきましては、なお検討をしている次第でございます。と申しますのは、漁業制度調査会が一方において開かれておりまして、この六月ごろにはその最終結論を得ていただくというふうな運びになっておりまして、そういう場合に、もっと、単に改良普及という、普及員組織化していくという面だけでなくて、もう少し広範に総合的に考えた漁業改良の施策が必要なんじゃないだろうかというふうなことが問題になっておりまして、それで制度調査会の結論を待ちまして、そういう方向へ進んでいきたいというふうに考えている次第でございます。
  17. 千田正

    ○千田正君 関連して、今の部長の言うことはわかるけれども、漁業制度調査会そのものは、私は忠告しておくのだが、いわゆるボス的な存在が今まで多くて、抽象的な議論しかやらない。抽象的な結論しか出てこない。われわれの要求しているのは、もっとしっかりした基盤に立って、ほんとうの漁業の態勢を整えなければ、このままでいったら日本の漁業なんというものは壊滅してしまう。あなた方が一生懸命中央において考えておっても、現地の漁民なんというものはだんだん転落してしまう以外に何もないというところへ追い詰められているということをよく考えて、抽象的議論は抜きにして、真剣になって問題を提示して下さい。特にお願いしておきます。ボスの集まりばかりやっていてはだめだ。
  18. 東隆

    ○東隆君 今、千田君の言った通りに、私はそんな考え方に立ちますが、漁業制度調査会は、これはいろいろな問題が論議されているかもしれないけれども、少なくともこの二年間は完全に隠れみのにされてしまっているのです。そこでもう少し具体的な問題を提起しなければいかぬと思うのです。たとえば漁業協同組合を考えてみますと、これは流通過程をほとんど扱っているので、あまり仕事をやってないところがあるかもしれませんが、だから経済団体です。漁業協同組合というものはまず経済団体と見るべきである。従って、漁業指導を本式にやろうとすれば、やはり中央会系統みたいなもの、あるいは指導漁業協同組合のようなものができなければ今の段階ではだめなような形になっている。だから非常に問題になると思う。北海道は実は改良普及員のようなものを地方費とそれから町村の費用でもって置いております。九十何名——七十何名でしたか置いておりますけれども、これはどういうことになるかというと、みんな町村でもって官業の仕事をやらされている。それでどうしても制度をこしらえてはっきり漁業振興の方面に活動できるような態勢を作り上げていかなければ、もうみんな必要があって地方的にそういうものを置いても、町村では官業の助けをするような、あるいは税金取りの仕事をさしたり、これはもう実に不自然な形になってしまう。北海道のようなところでもって、漁業が非常に盛んというと、語弊があるけれども重点を置いているところですでにそういうような形になっている。だから私はここでかりに九十六名、これは専門の技術員の方は試験場だのそういうようなところへ配置されるとして、九十六名の者を全国にばらまいてみたときにどういうような形になるかといったら、これは実に哀れなものになってしまう。この人はほとんど動きょうがないと思う。だから私は、千五百の単協があるといいますから、そうすると、その千五百に対して一人ぐらい配置できるくらいの人数を獲得せんければならぬ。それから専門技術員は、これは試験場なり都道府県に配置するとしても、この人数じゃ問題にならぬ。それから、そういうような点を考えてくると、これは相当強力な法律を作り上げて、そうして進めていかなければ、技術指導の面というのは完全に抜けておる、こう言っても差しつかえない。それから、制度がないために、せっかく生活改善の方の改良普及員を、これは振興局の方に今度三十名くっついていると、そういう説明がありましたけれども、これなんか、もし制度ができておったら漁村の方にはっきりとついて、そして漁村の生活指導、これは農村と全然違いますよ、食べものが違うのですから。だから、やり方が違うのです。そういうような点を考えてくると、早急に沿岸漁業を中心にして、漁業振興と、それから漁民の生活、漁業者の生活、そういう面、あるいは漁業労働者として分化している面がたくさんあるのですから、そういうような人に対してどういう指導をしていかなければならぬかというようないろいろな問題がたくさん漁村の中にころがっておるわけです。それを指導する人は一つもないわけです。水産会だの、いろいろなものができておりますけれども、これは大きな会社、企業だのなんだの、そういうものが入り込んでやっておるのであって、沿岸の漁民指導するものは一つもない。ですから、そういう点を考えて参りますると、早急に——少しおくれているけれども、農業の方でやっておるような態勢を作り上げていって、そうして充実していかなかったら、これはもう沿岸の漁業なんというものは壊滅をしてしまいます。それから、ある程度団結して、そして企業的な、底びきのギャング的な行動をとる者に対して戦うだけの態勢を作り上げるくらいでなければ、先ほどの福島の沖の方の漁業とか、そんなものに対抗していかれません。だから、沿岸漁業振興をほんとうに考えておられるんなら、私は、やはり水産関係について一つ制度を確立して、そうして漁業協同組合と連携をとって、そしてみっちり仕事をやれるような態勢を作り上げていただきたいと思います。これはそんなに遠慮する必要はないと思います。
  19. 千田正

    ○千田正君 東委員の御質問に追加して私も尋ねるのですが、たとえばさっき水産庁長官が、北洋漁業の漁獲量が限定されてきたために、内地においては減船をやむなくされたと、こういうことですね、その減船をやむなくされた調整として、カツオ、マグロ漁業にそれらのものを転換をする。カツオ、マグロ漁業の方は、そういうものが来ても困る、圧縮されては困る、こう言って、現状においては、いろいろ折衝している段階でしょう。さらに沿岸漁業としましては、沿岸から沖合いへというあなた方のかけ声によって、終戦後というものは、沿岸漁業というものは、一応の開発の意味において、外へ外へと出ていった。出ていったけれども、現在においては、こういうふうに次から次へと転換してきておる。こういうふうなことになると、いつまでたっても悪循環は切れないのですね。沿岸漁業は沿岸だけではすなどりができないから、仕方がないから、中金から金を借りて何千万という船を建造して持っていく、持っていっても十分とれない、魚は安い、やっていけないと、こういうのを何回繰り返したって同じことなんです。だから、この際、抜本的なはっきりしたものを立でなければ、今後の日本の漁業なんというものは話にならない。というのは、水産庁としては、それだけの何か一つ漁業制度調査会の結論を待っているのではなくて、あなた方が真剣に水産庁当局として考えをまとめて、この際、将来の日本漁業のために確立したものを持ってくるという一つのあなた方の信念なり考えなりを述べていただきたいと思うのです。
  20. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 最初、農業の中央会と同じように、漁業指導団体としての中央会的なものが必要じゃないかというふうなお話でございましたが、これは水産庁といたしましても、そういうものの必要を痛感しておる次第でございます。現在は、水産業協同組合法によりますると、全漁連あるいは県漁連が指導を行なうということになっておる次第でございます。それで、今回実は法案を別個に御提出申し上げておるわけなのでありますが、漁業協同組合整備促進法案におきまして、その中に、漁業協同組合整備基金という団体を設けることにしております。その団体は、漁業協同組合整備指導あるいは助成を行なうことを直接の目的にいたしておりまするが、やはり将来はそういう団体が中央会的な指導団体に育成されるというふうなことを望んでおる次第でありまして、徐々にそういう方向へ持っていって、大きく発展さして、指導態勢を確立していきたいということを考えておる次第でございます。  それから次に、漁師の生活改善のことでございますが、これは三十人振興局予算で今年要求しておるわけでありますが、これにつきましては、水産庁として要求するということもできるわけでありますが、振興局で漁師の生活改善というものは統一的にやっておりまするので、予算としては振興局にまかしておりますが、実質的にどういうふうに生活改善をやっていくか、あるいはどういう方面に置いていくかというふうなことにつきましては、両者が十分相談をいたしまして、漁村生活改善をはかっていくということを特に主眼にしてやっていくことにいたしております。  それから最後に、千田先生から御質問のありました、漁業の改良助長というふうな特別な態勢が必要なのではないかというお話でございますが、これにつきましては、水産庁としましても、十分そういう方向で考えておる次第でございまして、先ほど制度調査会の結論を待ってからというふうなことを申し上げましたが、ちょっと舌足らずでございまして、制度調査会の結論は六月ごろには出る予定になっておりまして、それを待たずに、もう水産庁内部におきましてそういうものが必要であるということはよく認識しておりまして、そういう方向で現在検討をいたしておる次第でございます。
  21. 千田正

    ○千田正君 もう一つ海岸保全の問題ですが、漁港部長も見えておりますからお伺いしたいのですが、建設省関係の海岸の保全と、水産庁関係海岸保全と、海岸線の面からいえば、むしろ水産庁管轄の海岸線の方がはるかに大きくて、また事業量も多いのじゃないかと思うのです。にもかかわらず、わずかこれだけの予算ではとうていこれは海岸保全なんというおこがましい表題を掲げて日本の海岸保全なんかできないと思うのです。ちょっとこれじゃ少なすぎるのじゃありませんか、この予算は。この点についてはどうですか。建設省と比較して考えていただきたい。
  22. 林真治

    説明員(林真治君) 海岸保全の問題でございますが、海岸全延長に対しまする漁港区域内の海岸の延長は大体一八・何%であります。御承知のように、海岸につきましては、建設省、運輸省、農林省におきましては漁港及び農地、こういう、ほぼ四者で法律に従いまして分担をいたしまして事業実施しておるわけであります。予算は、御指摘のように、決して十分とは現段階では申せないのであります。数字で見ますと、建設省あるいは運輸省の数字から見まして非常に劣っておる次第でございますが、この海岸保全の重要性につきましては今さら申し上げる必要もないと存じますが、年々海岸保全事業の促進ということにつきましては、私どもも十分念頭に置きまして努力はいたしておるのでありますが、御承知と思いますが、従来、海岸法が制定になりまする前は、漁港の立場におきまして、農林省におきましては、海岸の責任といいますか、管理、事業実施の責任を持っていなかったのでありまして、これは建設省が主として持っておったということであります。しかし、漁港区域内におきまする海岸保全を要しまする区域については、漁港管理者が一番関心が深く、また農林大臣として本考えなくてはならぬということで、法律がああいうふうな形ででき上がったのであります。そこで、倍率といいますか、予算を年々伸ばしました、伸びた結果を見ますと、倍率といたしましては努力はいたしておるのであります。現実の数字はまだ二億四千万円程度でありまして、十分とは決して申せないのであります。これはなかなか、漁港におきましても、本来のといいますか、主目的である修築事業でございますとか、あるいは局部改良等のいろいろな問題もございまして、海津保全だけを、倍率はともかくといたしまして、現ナマの数字で非常に伸ばすということも容易ならざる面がございますので、年々われわれの所管をいたしておりまする他の予算に比べましては伸ばして参りたいということで、本年は二億四千万円という数字になつたわけであります。今後も引き続いて努力をいたしたいと考えております。
  23. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 先ほどから千田議員や清澤議員からも御質問があったのでありますが、水産行政について多少お伺いしたいのでありますが、私どもの目から見ると、第一次産業の中で、農業というものは非常に人間の知恵というものが入ってきておる。具体的に言いますならば、果樹というものを作り出す、あるいはいろいろな家畜を作り出す、豚にしろ、牛にしろ、いろいろな家畜を作り出す、鶏を作り出す。農業そのものからいっても、あるいは米なり、麦なり、いろいろな野菜なり……。水産というものを振り返ってみると、  一体、人間のほんとうに頭脳で作り出したものは何があるか。ただ、自然が作る、自然にできる魚族をどうしてつかまえるか、そしてそれをどう利用するかという程度、極端な言い方をすれば……。それからどうも一歩も出ていなかった。私は、極端な言い方をすれば、魚族に関する限り、人間が作り出したものは金魚だけではなかろうか、あとは何にもないじゃないか。ただ自然の力を収奪していることだけやってきておる。いいかげんに漁業関係も目をさまして、ほんとうに人間の英知というものを働らかして人間のためになる魚族の改良とか繁殖とかいうことにもっと突っ込んでいかなければ、さっき千田議員もおっしゃったのですが、漁業というものは壊滅してしまうという感を深くするのです。そういう面で、もっとこの行政、また、それに伴う予算というものをそういう面に強く考えていかなければならぬ時代が、これはもうおそ過ぎますけれども、それでも今からでもいい、もっと力を入れていった方がいいのではなかろうかという考えを持っておるのであります。先ほど、たとえばこれは清澤議員は釣が好きだからそういう点も多少あって内水面のこともおっしゃったかと思うのですが、私もあの点、非常に同調をするのです。ただアユの問題とどうだとか、こういう点でほとんど予算面では力が入っていない。水産庁長官は、内水面に力を入れてもそれは遊漁につながるからだ、こういうようなお話もあって私は非常に考え方が違う。もっと内水、内陸の水面の資源的な活用という点に本質を置いて考えるならば、それが遊漁につながろうとどうしようとそれは枝葉末節のことじゃないか、こういう気持がいたします。先ほどもお話に、ソウギョなんか、利根川の流域にですか、入れてくるという話も聞いたのですが、これは一つのいい方法だと思います。従前、日本ではソウギョは生殖能力がなくなってしまう、揚子江その他ではあるが、日本に持ってくると生殖能力がなくなるという話を私は古く聞いておったのですが、今それはどういうふうに——あるいは技術改良で生殖能力ができてきたのかしれませんがいずれにいたしましても——私の申し上げることは、もっと人間の知恵というものを水産の増殖、生産、品種改良、こういう面に注ぎ込んでいけないのか。もちろん根本的に違うことは、畜産にしろあるいは農業にしろ、それはそのものを人間が拘束してやっていける、人間がどこで飼育しようと拘束してやっていけるけれども、魚はそれはできないじゃないか。特に海に棲息する魚はよそへ逃げていってしまう、こういうような気持もあるかと思いますが、それはそれでやり方は私はあると思う。淡水魚だけでなしに、鹹水魚だって私は方法はあるのじゃないかと思うのですが、そういう点についての水産庁のお考えをまずお伺いしたい。
  24. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 櫻井先生がおっしゃいましたように、水産というのはやはり今まで天然資源を対象にしておるものというふうに考えられておりまして、特に水産の試験研究におきましても、そういう天然資源がどういうふうに移り変わっていくかとかいうふうな資源の研究が主体をなしておったわけであります。従って、増養殖につきましては、なお研究の面におきましても十分でない点がございましてこれにつきましては、だんだんそういう方向に進んでおりましてたとえば瀬戸内海に水産研究所がありますが、こういうところにおきましては、そういう新しい知識をもって増養殖の方向に進みつつあるわけであります。あるいはまた淡水区水産研究所というのがありますが、これもそういう方向で進んでおりまして、次第に増養殖ということが重要視されるようになって参っておりまして、最近ではあちこちでハマチの養殖が進んでおりまするし、またエビの養殖も行なわれようというふうな段階になってきております。今回の予算面におきましても、先ほども長官から申し上げましたように、ソウギョを取り入れたり、新しい面も出している次第でございまして、特に沿岸漁業振興漁場改良、造成及び種苗対策事業というのは相当程度ふやしてきておる次第でございまして、やはり沿岸漁業といたしましては、今後都市工場が発達するにつれて、漁場が次第に荒廃する傾きにありまして、何としてもそれを最小限度食いとめていくということが今の至上命題になっている次第でございまして、単に食いとめるだけでなくて、なお、そういう増養殖を進めていくということで、ぜひ今後もやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 林田部長の御答弁を聞いていると、まことにりっぱで、どうも言葉だけからいうとその通りだと思うのですが、その言葉が行政の上にどう具現されているかというと、私はほとんどもう問題にならないように思います。もちろん、瀬戸内海でハマチ等の養殖をやっていることも知っておりますけれども、国が一体どの程度そういうことに力を入れているか。私はこれは知らないのかもしれませんが、これはほとんど民間の漁業組合でやっている。もちろん、イセエビの人工孵化養殖ということは、これはどこかの水産試験場でありますか、非常な成功をおさめたことも承知しております。林田部長のおっしゃるような考え方が、ほんとうに水産行政を担当しておられる方々が本気でそういう考え方でやっておられたんなら、私は何も言うことはないのですけれども、あなたの言葉がそのままやはり行動の上に現われていくということでないと、私は口頭禅に終わってしまうのだと、そういうことを申し上げたい。
  26. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 現在、私たちの漁政部に振興課というのがあるのでございますが、これを中心にいたしまして、特に櫻井先生のおっしゃるような養殖面を伸ばしていくということをぜひやりたいということで、今検討させておりまして、三十六年度の予算にはこれを要求したいということで計画を練っておる次第でございます。まあ、口頭禅に終わらないように、できるだけ努力をしたいと思っております。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 内水面の問題はだいぶ櫻井さんがやって下さったからいいとしまして、ここに水産物流通改善並びに価格対策として、先ほどの説明を聞きますと、価格調整としてのスルメの買上保存ですか、それから大衆魚のサンマの対策というものを少し考えられておるだけですが、大体中央市場法を中心にした組織において水産庁としては大体どんなふうに流通改善に対して市場のあり方等を考えておられるのか。聞きますと、農林水産品中央市場調査会かで最近結論がまとまって、法案化して出ると、こういうのですが、そこで一番問題になっているのは、漁業市場のあり方じゃないかと、こう思っているんです。現在聞きますと、最近でも中央市場へひどいときは何百トンの——何百トンではないですが、六十車ぐらいの貨車が詰まって、それがはけないでおる。大部分が中央市場へ集まって、中央市場から地方市場べ行くと、こういうような傾向が非常に強く出ておる。それらを水揚市場の人たちに言わせれば、結局地方市場が非常に弱い信用度が少ないので、従いまして信用度の強い中央市場へ一応集まってそこからまた再び逆戻りして地方市場へ廻る、こういうやり方はどうも魚類の鮮度を落とし価格を引き下げて結局漁獲物の正常な流通体系じゃないんだから、少なくとも漁業市場としては地方市場を一県一カ所ぐらいを非常に信用度の高いものを作ってもらうこういう制度ができますれば、無理して何十車の魚が中央市場へたまってそれがスムーズにはけないというようなことなく直ちに地方市場へ連絡をとって直送することができると、こういう空気が広くに強く出ておりまして地方市場法と中央市場法とを分けてそうして地方市場の完備を期したいという希望が非常に多いんです。これらに対して、水産庁としては何か考えておられるのかどうか。最近の様子としましては、ややともすれば、流通の全過程を、独占的な大企業資本家が、将来におきまして中小漁業とも申しますか沿岸漁業等を中心にした漁業物を沖で買い上げたり、あるいは今、大河原君が説明しましたような方法で漁獲さえも独占していこうとする。従って、流通過程における大資本の進出というものは、築地市場などにおきましては大部分大資本が入っているのじゃないか。三井不動産あるいは大洋漁業というような大資本が中央市場の卸売市場の経営に当たっているのじゃないですか。こういうようなものを考えますとき、これは将来における漁業全般の価格対策として私は重大問題じゃないかと思う。そういうような点にどれまでお考えになっておるか。ここに言われる水産物流通改善並びに価格対策なるものが、わずかにスルメの余剰分の買上保存によって価格調整をしたい、サンマの加工その他の方法によって価格調整をするぐらいのことでありまして、私は、実際の漁民の水揚げと所得がなかなかマッチしてこないのじゃないかと思う。こういう点に対して、どれくらい考えておられるのか。あるいは、調査費の、そういう流通調査費くらいは考えられると思う。今、農業におきましては、もう農業の四大柱ともいいますか、その柱の一本として流通の問題というものはもう漁業政策の、農林政策の中心として、柱になっております。価格のことを考えてやらないで、とることばかり考えたってこれは何の役にも立たないと思うんです、漁民のふところから見ますれば。これが、まあ第一点。  その次は、いろいろこれを見ましても、魚を取ること、買うこと、いろいろ漁獲上の問題を問題にしておられるようでありますが、最近片柳さんが漁連の組合長になった。ぼちぼちわれわれに語られるところは、もう今の漁民を相手にしてはいかなる法律を作ってこれを擁護しようとしてみてもこれは問題にならない。結局すれば、漁民自身の成長ですか、いわゆる漁業の民主化がどうしてももっと進んでいかなければ、漁業調整法を作ってみても、何をしてみたところがそれは問題にならぬと言っておる。そういう点に対して水産庁はどう考えておられるか。何事をやってみましても、これは人間が中心になる。今の漁調法で完全な漁村民主化が進行しているでしょうか。漁調委員会がもう数回行なわれておるが、ほとんど問題を残しつつ旧態依然たる者が委員になっているじゃないかと思うんです。こういう点に対してはどういう指導をせられようとしているのか。この二点、一つ……。
  28. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 水産物流通改善対策につきましては、御指摘のように、本年度は予算の面におきましては、前年度を踏襲しておる程度でありまして、まことに進展を見ていないことは遺憾に存じておる次第でございます。この流通対策というのは非常にむずかしい問題でございまして、ことにアジ、サバとか、あるいはサンマとか、そういうふうな多獲性の魚類が一度に陸揚げされるということによりまして、その輸送の問題あるいは冷蔵の問題あるいは価格が、そういうことによって低下していくというふうないろいろな原因がこの多獲性魚類について起こって参りまして、この解消につきましては、まあ相当広範に考えざるを得ないというふうに存じておるのであります。それで、まずスルメとサンマにつきましては、現在やっておるような漁連で保管をさせまして、それに利子補給をやって価格を維持するという方策をとっておる次第でございます。それで三十四年度におきましては、割合価格がよくって、あまり保管しなくてもいいようなことになったのでありまするが、特にサンマの調整につきましては、一度に陸揚げされると価格を低下させまするので、まず魚を取る方面から調整していくということを考えまして、各漁船に市場の状況を到々通報いたしまして、価格の状況を知らしめてどこへ陸揚げしたらいいであろうかというふうなことを知らせましたり、あるいは休む日を設けまして、一度に陸揚げされるというのを防ぐとか、そういう生産面からの対策もとったのであります。そういうことにもよりまして価格が三十四年度は比較的よく維持された、こういうふうなことになっている次第でございます。  それから流通調査につきましては、これは別途官房へ委託をする調査費を持っておりまして、八十二万円でありますが、陸揚げされてから、どういう魚についてどういう都市にそれが流れていくか、その流通経路を調査しておりまして、価格面あるいは流通面につきまして現在調査実施しておりまして、その結論も出てくると存じております。官房でなくて水産庁流通改善経費調査をいたしております。  それから市場の制度の問題でございますが、これはまことに恐縮でありますが、私、実は市場制度の方は担当いたしておりませんので、あとからその担当している部長に参らせまして御説明を申し上げさせたいと存じます。  それから法律をいろいろ作りましても、この漁村における人の問題が解決されなければ漁村がよくなっていかないのじゃないかというような御指摘で、まことにごもっともでございますが、これにつきましては、やはりこの水産業の改良普及という方面から漁民をよくしていこうということを水産庁としましては考えている次第でございまして、水産業の改良普及と申しますのは、専門技術員は、たとえば漁船のエンジンの技術とか、あるいは増殖、養殖の技術を教えることになっておりますが、その他の技術については、たとえば魚の一本釣をするというふうな技術、そういうふうな漁業技術はむしろ漁民の方がよく知っているというふうなこともあるわけでありまして、技術そのものを普及していくという面よりも、改良普及員の普及の方法としましては、漁民にグループを作らせまして、その漁民がいろいろ考えて、いかにしたら総合的にそこの漁業がよくなっていくであろうかというふうな、考え方を変えていきたいということを主眼にして、改良普及制度を運用しているような次第でございましてそういうものを通じて漁村の民主化なり、あるいは漁村の考え方をよくしていくという方向へ持っていきたいという指導をしている次第でございます。
  29. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。  午後は一時半に開会いたします。  それでは休憩いたします。    午後零時十八分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  30. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 午前に引き続き委員会を開会いたします。  午後は林野庁及び食糧庁関係の予算並びに施策について説明を聴取いたします。なお、説明は一件について二十分以内に願うこととし、質疑は以上の説明を終わった後にお願いをいたします。
  31. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 林野庁関係の予算並びに政策の主要な点について御説明いたしたいと思います。お手元昭和三十五年度林業関係予算一覧表という表がありますので、それをごらん願いながらお聞きを願いたいと存じます。  昭和三十五年度の一般会計の林業関係予算は、前年度当初予算額に比べまして二十五億円余の増加要求となっておりますが、この内容につきまして概要説明いたしたいと存じます。  まず、三十五年度予算の第一の重点であります公共事業の拡大でありますが、要求総額百二十一億五百万円でありまして、前年度の当初の成立予算百六億四千二百万円に比し二三%強の増加となっており、また当三十四年度第三次補正予算として林野関係災害復旧費等で五千四百万円が計上されておりますが、この額を含めた補正後の林野の公共事業費百十六億九千一百万円に対比いたしましても、一一・三%の増額要求となっております。  この大要を申し上げますと、まず第一点は治山勘定の創設でありまして、これによりまして直轄事業補助事業を通じて一元的に事業を行なうこととなり事業量も拡大されまして五カ年計画で五百五十億円、すなわち十カ年計画千三百億円が確保される予定となったのであります。この計画は建設省と共同で本国会に提案、御審議を願う予定の治山治水緊急措置法が成立しました暁には閣議を経て正式決定の運びになるものと考えておりますが、この計画によりますと、昭和三十四年度末荒廃地三十一万九千ヘクタールのうち緊要なものから復旧または防止を行ないまして、五カ年間に約その三割を、十カ年間で約七割を実施することができまして十年後には比較的安定しておったと認められます昭和初期の山地の状態に復するという林野庁の構想がおおむね達成できるものと考えられます。  次に、昭和三十五年度の治山事業計画でありますが、民有林治山につきましては、前年度当初の六十六億円に対しまして、八十七億円と事業量は三三%増加いたしております。この事業費から五カ年で五百五十億円を達成するためには、年平均一二%の伸びが期待できるわけでございますので、治山事業の計画は年とともに拡充いたしまして、昭和三十四年度の災害の復旧の促進はもとより流域保全上大きな成果を期待できるものと存じます。  なお、国有林と民有林の総合的計画的遂行に資するため、国有林野事業特別会計の中に治山勘定を設けまして、一般会計と区分して民有林直轄治山事業補助事業にかかる補助金交付に関する経理を行なうこととした次第であります。  この事業実施に必要の資金は、一般会計から治山勘定への繰り入れによることといたしまして、農林省所管におきまして五十三億三百万円、総理府所管北海道分三億三千三百万円、同離島分三千五百万円、労働省所管特別失業対策関係一億二千五百万円、合計いたしまして五十七億九千六百万円がそれぞれ国有林野事業特別会計治山勘定へ繰り入れられることになっております。  なお、つけ加えて申し上げたいと存じますのは、三十四年の七号、伊勢湾台風等により発生しました荒廃林地の復旧については、被害激甚であって、財政力の貧弱な地方公共団体が施行する三十五年度分に対しても、地方債の起債及び元利償還金につき、基準財政需要に算入する特別措置を講ずることといたしております。  次に、造林事業でありますが、前年度補正後に比べまして、二億五千八百万円の増額を行なって、拡大造林の事業量の拡大をはかり、また前年度におきまして、国有林野事業特別会計からの一般会計繰入額を引き当てといたしまして農林漁業金融公庫に出資を行ないまして、融資ワクを増加融資条件を緩和して融資造林の拡大をはかったのでありますが、三十五年度も同様な繰り入れ措置を行ないまして、引き続き実施することとなっております。  林道事業につきましては、奥地林開発に重点を置き、長期計画に基づいて千二百六十二キロの林道開設を行なうこととしまして、前年度補正後予算額に比し、二億九千三百万円の増額を計画し、新規事業である老朽木橋の永久橋へのかけかえを内容とする林道改良事業を含めまして、二十四億一千万円を計上いたしております。  第二に一般行政費について申し上げますと、まず、山村経済振興及び林業経営の合理化促進でありますが、まず、山村経済振興については、森林組合の育成強化が急務でありますので、森林法に定められている常例検査を通じての指導及び不振組合に対しまする特別指導継続するとともに、新たに組合経営基盤確立のため合併を促進することとして、二百組合対象に合併奨励金の交付を行なうことといたしました。  また、林業経営合理化促進に対しましては、国及び都道府県の試験研究機関と密接な関連を持った林業普及指導事業推進がきわめて重要でありますので、試験研究の拡充をはかるとともに、林業改良指導員七十八人の増員、オートバイ整備費の増額等林業普及指導事業充実をはかるとともに、新たに都道府県林業試験指導機関に林業青少年研修、林業技術展示等に活用できる技術普及設備を設けることといたしまして、所要経費の一部を助成するため三百七十五万円を計上いたしております。また、振興局所管農村振興費中に、青少年研修のための旅費を補助する計画で百九十万円を計上いたしておるのであります。  さらに、林業経営の指針ともなります森林計画関係経費充実をはかり、森林区施業計画編成に当たり、航空写真新規撮影二十万町歩を新たに計画する等、その精度向上に努め、成果の向上を期しております。  第三に、山村農家の所得の安定向上をはかるため、薪炭対策拡充強化いたすことといたしまして、前年度より引き続き、木炭生産合理化及び木炭出荷調整事業充実をはかっております。このうち木炭出荷調整事業は、ほぼ前年度同様の規模となっておりますが、実施県に対する事務費の補助を新たに計上し、事業の円滑な推進を期しております。また、木炭生産合理化対策は、引き続き指導費、指導器材整備費の助成実施することといたしておりますが、特に三十五年度は、生産性向上のため、改良がまへの転換及び切炭生産に移行する指導を新たに実施することとしております。  また、最近の木炭原木の供給が、パルプ材、チップ材等の原木と競合度を深めている里山地帯において意のごとく進展しない傾向にかんがみまして、製炭現場の奥地移行を考慮しなければならなくなった現状から、系統機関等の団体に対しまして、木炭簡易搬送施設助成を行なうこととして、三十五年度において二百五十セット一千万円の予算を計上いたしております。  これにより、製炭従事者の奥地移行による不利益をカバーするとともに、反面系統集荷を促進し、製炭世帯の所得の増大をはかることとしております。  以上のほか、治山対策一環としての保安林整備計画の実施につきましては、前年度より計上した保安林損失補償経費拡充をはかりますとともに、新たに新生荒廃地周辺地区の保安林指定を恒常的に実施し、国土保全の全きを期することとして、指定調査費二百万円を新たに計上いたしております。  また、造林事業関連し、優良種苗確保対策は、指定母樹等よりの公営種子採取の事業量を拡大するとともに、三十二年度から実施しております林木品種改良事業継続実施して、造林事業の効果向上に支障なきょう計画しております。  なお、森林資源保続の面から、森林保護の経費を増額しておりますが、特に前年度発生しました災害により風害を受けました地区に対するマツクイムシ駆除経費を計上いたしますとともに、新たにイノシシによる被害防除のため、イノシシ捕獲さく設置助成を計画しております。  一般会計の歳入予算については、格別御説明申し上げる点もありませんが、前年度におきまして国有林野事業特別会計から十億円の繰り入れを行なって造林融資の拡大等の引き当てといたしましたが、三十五年度におきましても同様十一億円を一般会計に繰り入れることといたしております。  これによりまして、一般会計より農林漁業金融公庫へ出資七億円を行ない残り四億円は治山事業事業拡大へ振り向けられることとなっております。  以上、簡単でありますが、一般会計予算の概略についての説明を終わりたいと存じます。  次に、国有林野事業特別会計予算につきまして、主要な点を申し述べたいと存じます。前に申し上げましたように、従来一般会計で行なって参りました民有林治山事業を国有林野事業特別会計の中に併合して、治山勘定を設けることになり、従来の国有林野の事業は国有林の治山事業も含めて、国有林野事業勘定として区分して経理することとなったのであります。  治山勘定の予算事業規模等につきましては、前に申し上げましたので、国有林野事業勘定の予算内容について簡単に申し上げることといたします。  本勘定の総額におきましては、歳入において五百六十一億四千八百八十万円、歳出におきましては五百七十二億四千八百八十万円でありまして、昭和三十四年度当初成立予算と比較いたしますと、歳入において三十億九千八百六十三万五千円、歳出において三十一億九千八百六十三万五千円の増加となっております。  この予算は、前年度に引き続きまして、国有林野の林力増強をはかるための拡大造林を中心手段として策定されました経営計画における昭和三十五年度の収獲量と事業量に基づいて編成されたものでありまして、これを伐採量についてみますと、国有林の伐採総量は六千六百七十四万二千石となりまして、前年度の六千五百二十五万七千石に対しまして百四十八万五千石の増加が見込まれております。  生産力増強計画の推進でありますが、これは、前年度に引き続き、より一そう強力な推進をはかることといたしまして、造林については、拡大造林に必要な計画量の完遂と確実な保育の実行に、林道におきましては、奥地林の伐採、更新を計画的に行なうための自動車道の新設改良に重点を置いております。  また、国有林の新しい事業として、公有林野官行造林事業等のほかに三十四年度からいわゆる民有林協力事業実施されておりますが、昭和三十五年度におきましても、引き続き関連林道事業について八億円、薪炭林改良、共用放牧採草地改良、海岸造成につきまして一億五千万円を計上し、また、林木育種支場の二カ所増設をいたしますほかに、新規事業といたしまして、民有林用の優良種子採取とその貯蔵施設の新設、経費四千五百万円でありますが、これを計上いたしております。これは、種子の凶作時に対処いたしまして、備蓄用の種子を国有林で採取貯蔵して凶作時において民有林造林用として供給するためのものであります。  現在、民有林用種子は、その系統管理の必要性から、その大半を都道府県の直営採取を建前として、その採取費の四割は国庫補助によって行なわれておるのでありますが、種子の結実は、年により豊凶の差がはなはだしく、また、府県の採取能力などの現状から見て、本事業もまた民有林協力事業として相当の意味のあるものと期待するものであります。  なお、さきに述べましたように、剰余金十一億円を一般会計に繰り入れまして、うち七億円は、三十四年度と同様に民有林の長期造林融資に充てるため、農林漁業等金融公庫に出資することにいたしておりますが、これは三十四年度の損益、収支決算の見込みから見て、特別会計法第十二条による繰り入れば行なえないので、とりあえず臨時特例として法律を制定しまして、三十五年度に限り、持ち越し現金をもって一般会計へ必要な繰り入れを行なうことといたしましたが、このことにつきましては、国有林野事業経営の立場と、民有林協力の立場との相互の関連におきまして、三十六年度以降においてとるべき対策を緊急に確立する必要がありますので、関係行政機関の職員と、林業団体関係及び学識経験者をもって構成します審議会あるいは調査会となるかとも思いますが、これを設けまして、この問題を審議いたしまして、その答申に基づいて今後の方針を決定する予定であります。で、このための必要の経費も計上いたしておる次第であります。また、国有林野事業はわが国林業の中核といたしまして、関連産業また農山村の地元経済にますます大きな地位を占め、その経営のあり方については各方面の関心と、その合理的運営が要請されておる現在、林野庁といたしましても、先に民間有識者による国有林経営協議会を設置し、国有林野事業の複雑多岐にわたる事業経費予算等の主要な問題について、専門的かつ総合的な視野に立っての検討を行なっておるのでありますが、今後さらにこれら諸問題の基本的事項についての調査研究を基礎的、恒常的に行なうことの必要が痛感されますので、所要の経費を計上いたしまして調査研究を進める考えであります。  なお、林力増強に対応いたしまして、北海道にとりあえず三十五年度におきまして三つの営林署を増設することといたし、かつ営林署長の最近の事務の繁忙の状態にかんがみまして、営林署長を助け、重要事項を整理するための管理官——仮称でありますが——を各営林署に設けて、事業の運営に資していくというふうに考えておる次第でございます。  以上をもちまして、林野庁関係の予算概要説明を終りたいと存じます。
  32. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、食糧庁の御説明を願いたいと存じますが、食糧庁長官は本日米価審議会小委員会が開催されておりますので、かわって家治食糧庁経理部長から御説明を申し上げることにいたします。
  33. 家治清一

    説明員(家治清一君) 長官にかわりまして食管特別会計の来年度予算案の概要を御説明申し上げます。お手元にお配り申し上げました資料に基づきま旧して、大まかに御説明申し上げます。  最初に、これは御案内のことでございますけれども、食糧管理特別会計の勘定区分を申し上げます。これは三十三年度から六勘定区分が設けられまして、その内容はすでに御案内の通りでございますが、念のために申し上げますと、内地米を管理します国内米管理勘定、それから内地麦を管理します国内麦管理勘定、輸入食糧を管理いたします輸入食糧管理勘定、この三つを合わせまして食糧管理勘定と言っております。この三勘定のほかに、農産物等安定勘定というのがございます。これは農産物価格安定法に基づきます価格支持のための重要農産物を買い上げ、売却する仕事と、それからてん菜振興法に基づきますテンサイ糖の買い上げを行ないますことと、それから飼料需給安定法に基づきます輸入飼料を政府で一手に扱う、こういうこと、こういった仕事を行なう勘定でございます。そのほかに調整勘定と業務勘定がございまして、調整勘定は今申し上げました国内米、国内麦、輸入食糧、この三つの勘定の損益を調整する勘定でございます。業務勘定は食管特別会計を運営いたしまする事務費あるいはサイロ、倉庫そういった一般的、共通的な業務運営を管理する勘定でございます。そういった六勘定区分に基づきまして予算が編成されております。順次この資料に基づきまして御説明申し上げます。  第一に国内米関係でございますが、国内米管理勘定におきましては、前提としましては、米の管理は現行方式を継続する、それから三十五年産米の政府買い入れ価格は百五十キロ当たり、つまり一石当たり一万三百三十三円といたしまして、消費者価格は現行価格とするということになっております。なお、集荷計画といたしましては、三十五年産米の集荷は五百十万トン  これは三千四百万石ベースでございますが一といたしまして配給数量はキロ建て配給を継続いたしまして、当分月一人当たり六キロ配給を継続するという建前になっております。ここでいわゆる予算米価、政府の買い入れ単価でございますが、これを一万三百三十三円といたしましたのは、これは御案内のように、従来は、予算米価は一応パリティという考え方に基づきまして計上しておったのでございますが、三十四年の米価決定のとき以来生産費並びに所得補償という考え方を取り入れた米価決定が行なわれておりますので、従来のようなパリティ方式に基づく予算米価は作りにくいということもございます。一応米価水準というのを考えますときに、三十四年産米の決定米価の数字でありまする一万三百三十三円というこの数字予算要求へ当てはめたのであります。なお、集荷計画は五百十万トンと申しますのは三十五年を一応平年作と見まして、平年反収を前提といたしまして予想いたしまする作況は七千八百五十万石ぐらいだろう、こういう推定のもとに政府の集荷見込量を算出いたしました三千四百万石、五百十万トンと見込んだ次第でございます。  次に、国内麦管理勘定について申し上げますが、国内麦の買い入れにつきましては、やはり現行方式によることを前提といたしまして、その政府買い入れ価格は、これは法律の定むるところに従いまして、パリティ方式によって予算麦価を計上いたしております。採用いたしておりますパリティは、昨年十月予算編成のときにわかっておりました一番近い時点のパリティであります。国内産麦の買い入れ計画といたしましては、百三十一万トンを予定いたしておりますが、この数量の基礎もやはり平年の反収を見込みまして、それに対しまして政府に対する売り渡し率を三十三年と三十四年の売り渡し率を平均したものを掛けて算出しております。と申しますのは、これは昨年は麦は非常に豊作でございまして、豊作の分は、これはもちろん政府への売り渡し増となって現われておりますので、三十四年だけをとるといたしますと、その率は実際よりも高く出るのではないかというようなことを考えまして、三十三年、三十四年の両年を平均した政府売り渡し率を適用して算出したのでございます。内麦の政府売り渡し価格は現行水準としております。  それから次に輸入食糧管理勘定でございますが、ここで扱います外国米、あるいは外国麦につきましては、これは全体としての麦の需給あるいは全体としましての米の需給というものを計画いたしまして、その中から国内米あるいは国内麦で供給する分を差し引きまして、その残りの必要な数量を輸入に仰ぐという建前で算定をいたしております。価格につきましては、これは最近の実績と、それから今後の海外の市況というものを勘案いたしまして算定をしておる次第でございます。  ここで数量を、これは各勘定のところでも集約してございますが、ざっと申し上げますと、外米の輸入はこれは準内地米、普通外地米それから砕米合わせまして二十五万六千九百トン、約二十五万七千トン。それから輸入の小麦は二百二十万七千トン、大麦は十四万二千トン、こういうものを輸入予定量として計上しておる次第でございます。  なお、農産物等安定勘定につきましては、カンショあるいはバレイショ、こういう価格支持のためのカンショ澱粉、カンショなま切りぼし、バレイショ澱粉それの政府買い上げの量、それから菜種対策、これも政府の必要な買い上げ量を計上しておるのでございますが、これは御承知のように、第一段階としましては、民間における自主調整を期待いたしまして、その自主調整がうまくいかなくて政府の支持価格を割るというような形になりました場合に必要な買い入れを行なう、こういう建前で計上しております。テンサイにつきましても、従来の方針を継続いたしまして、工場新設した当座の分につきまして買い上げを行なう、こういう前提でございます。それからえさにつきましては、飼料の需給計画の必要から畜産の振興関連づけて必要な量の政府の輸入を行なうのでございますが、三十五年度におきましては、ふすま、大豆の需給操作というものに重点を置いて計上をしておるような次第でございます。  次に、食管の損益の関係を御説明申し上げます。  国内米、国内麦、輸入食糧、これを合わせましたものを食糧勘定と申すのでございますが、これの損益を見ますと、三十四年度の損益見込みを最初申し上げますと、これは九十三億の赤字の見込でございます。三十四年度予算では、当初は二十八億の赤字を見込まれたのでございますが、これが実際にやってみますと、今の段階で見込んでみますと、九十三億円の赤字になる見込みでございます。内容としましては、国内米の赤字が予想より大きくなった。これは主として米価の、決定米価が予算米価よりも上回ったことと、それから買い入れ量が予定の予算では三千二百万石ということでございますが、今の段階では三千七百五十万石は集荷できるという見通しで五百五十万石もふえるという前提、そういう見込みからする損失の増でございます。国内麦も相当損がふえておりますが、これも実際のワクからこれは買い入れ価格と売り渡し価格との逆ざやが開いて参りましたことと、それから予想しました買い入れ量が二十万トンばかりもふえた。予算では百二十七万トンぐらいのつもりであったのが実際では百四十九万トンの買い入れになったということに基づく赤字の増でございます。輸入食糧は損益全体としましてはややふえておるのでございますが、これは量が減っておりますけれども、買いつけ単価等の低下によりまして、輸入米は若干減りましたけれども、輸入麦の方がふえました関係で益が当初見込みの百六十一億に比べまして二百一億と若干ふえているのでございますが、こうした損益を調整しまして、三十四年の見込みとしましては九十三億円の赤字になる見込みでございます。  それから三十五年の先ほど御説明申し上げました事業規模に基づきます損益を計算いたしますと、やはり国内米におきましては昨年以上の損が見込まれます。百九十八億の損。国内表におきましては百十六億の損。輸入関係で二百六億の益を見まして差し引き百八億の損を見込まれているのでございます。それでこういった食糧勘定の九十三億、あるいは百八億という三十四年、三十五年の損をどうするのかということにつきましては、お手元の資料の四ページの所に調整資金増減というところを見ていただきますと出ておるのでありますが、調整勘定に調整資金というのがございまして、これが三十二年度に百五十億繰り入れてもらいましたけれども、その当年度の決算上の損六十八億を取りくずしまして、三十三年度の期首におきましては八十二億の調整資金があったわけでございますが、三十三年度決算の結果、食糧勘定が二十四億の黒字を見ましたので、八十二億の調整資金が百六億というものにふえてそれが三十四年度の期首に持ち込まれたわけでございますが、その百六億から先ほど申し上げました三十四年の損の見込みの九十三億を差し引きますと、十三億が三十四年度末の調整資金の残ということになって、三十五年度の期首に持ち込まれるわけでございます。それに対しまして三十五年度予算案におきましては一般会計から百億円の調整資金繰り入れが予定されておりますので、この百億円を足しますと百出二億円に相なります。それでかりに三十五年度の見込み損百八億をそれから取りくずすといたしますと、五億円調整資金が残るという計算でございます。それからそのほかに農産物等安定勘定がございますが、その安定勘定の損益をもう一ぺん三ページにおいて御説明を申し上げますと、これは三十四年度の末の見込みでは農産物で十四億円の赤、テンサイ糖が二十五億円の黒、えさが五億円の赤ということになりまして、差し引きいたしますと六億円の黒字になるのでございますが、ただこれは三十三年度末の、三十三年度の決算におきまして農産物等安定勘定の損失が三十四億円出ておるのでございます。従いまして三十四億円の損失を三十四年度がかぶっておりますので、それを消すためには一般会計から二十八億円を受け入れまして、今御説明しました六億円の黒に足しまして三十四億ということにしまして損益一応収支ゼロという形になっておるのでございます。それでこの一般会計より二十八億円受け入れるということになっておりますのは、これは十億円は当初予算で、三十四年度の当初予算で繰り入れられておるわけでございますが、今御審議願っております第三次補正によりまして十八億円を一般会計からこの農産物等安定勘定へ繰り入れをするということになっておりますので、それを見込みますと二十八億円になるわけでございます。そういうことによりまして三十四年度末の農産物等安定勘定の赤字は消す、三十五年度の見込み赤字といたしましては、農産物で七億、えさで六億、テンサイ糖に一億の黒字が出ますので、差し引き十二億赤字が予想されますので、それに対応して一般会計より十二億円の繰り入れを行なってそれを帳消しにする、こういう内容になっておるのでございます。  それから六勘定がございますが、その六勘定の勘定間のダブリを整理いたしました。食糧管理特別会計の全体としての歳入歳出規模は、三十五年度におきましては九千六百二十億円となるのでございまして、これに伴います食糧証券の発行見込み高、これは年度末現在の見込み高でございますが、つまり三十五年度末現在におきましては三千六百十五億円になる予定でございます。  あとは各勘定につきましてざっと御説明を備考その他でしてございますので、これは省略さしていただきます。  以上をもって御説明を終わります。
  34. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  35. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 最近、まあ貿易自由化の問題、大へん問題になっておりますが、パルプ等も、私はよく知りませんが、自由化されるのでありますか。まず第一番……。
  36. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) パルプにつきましては、実はこれが通産省の所管になっておりますので、農林省といたしましてこれをどうするというふうな立場にはないのでありますが、私たちがいろいろ関係の方面から聞きました結果を申し上げますと、まず第一に、人絹、スフ等の原料となる溶解パルプの方が自由化されるということが早いのではなかろうか、紙におきましては、その後の問題として自由化の問題が出てくるのじゃないかというふうに予想しておるのでありますが、その具体的な日時その他につきましては、まだ通産関係の方におきましてもはっきりした具体的な計画は立っていないというふうに承知いたしておる次第であります。
  37. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 林野庁の長官のお話で、まだはっきりしてないということでありますし、新聞紙上等でもまだはっきりした記事も私見ておらぬのですが、ただ心配されることは、人絹用の、何というのですか、溶解パルプというのですか、これらが相当自由化されて安い価格で入ってくるというようなことになると、いろいろ波及するところがあるのじゃないかと思います。特に林野行政の中で一つの問題点は、造林事業のような、非常に長期の投資を要するようなものが先行き不安というようなことで、造林事業が手控えになるというようなことが万一あれば、私は国土保全という点から見て非常に大きな問題ではなかろうかと思うのですが、そういう点についての長官のお考え、どうでしょうか。
  38. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) お説の通り、溶解パルプにおきましては、輸入品が国内のパルプに比較しまして二〇%近い安い価格であるわけであります。パルプ業界全体といたしましても、この溶解パルプを極力生産を抑制いたしまして、クラフトその他の紙パルプ及び紙に設備を大きく転換していこうというふうに考えられておるのが大体の方向であるように考えておりますが、そういたしましても、紙を含めましたパルプ全体の生産というものが、われわれといたしましては、そう急激に落ちるものではないというふうには考えておりまして、これが造林という仕事に非常に大きい支障を来たすというようなことはおそらくないのじゃないだろうか、で、これが自由化されました暁には、一時、何ほかの、もちろん木材業界についての影響はあるものとは考えますが、一、二年の間に、やはりそう影響ないような状態にまた返ってくるというふうな方向に大きくは進むのじゃないかというふうに考えておるのであります。
  39. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 その問題に関連してちょっとお伺いしたいと思うのですが、私ども聞いておるところによりますと、自由化された場合に、おそらく国内の、紙パルプ企業で安泰であろうというのが全体の二割くらいじゃないだろうか、全体の半分くらいは、まことに存立があぶなくなってくるのじゃないか、こういうことが言われておるわけです。終戦以来、生産コストを引き下げるために、それぞれの生産工程において合理化をやって参った、大体そういった技術的な合理化の面につきましては、いくところまではいっておる、こういうことになって参りますと、やがては、やはり相当な、全体の生産費の中の大きな部分を占める原木価という問題に事柄が決着してくるのじゃないか、こういうふうなことが一応考えられると思うわけであります。そこで、現在の原木価というものでは、なかなかやっていけないという問題で、おそらく原木価格を合理的に引き下げるという要請が次第に強くなってくる、こういうふうに見ておるわけですが、そういうことに対する林野庁の見解を明らかにしておいてもらいたい。
  40. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) パルプ業界といたしまして、この自由化にいかに対処していくかということが現在の段階でいろいろ真剣に検討されておるように承知しておるのでありますが、その大きい方向といたしましては、やはり非常に需給という面で窮屈になってきつつあり、今後それがさらに急速に進むように考えられます。針葉樹というものの消費を極力抑制いたしまして、小径な広葉樹を使ったパルプによりまして、高度な品質のパルプも作っていくということにつきましての、技術面の発展と申しますか、体質改善、あるいは設備の改善というふうなものが、今後積極的に行なわれていくのじゃないかというふうにわれわれは考えておるのでありまして、またそういう方向に進まなければ、日本のパルプ業界というものも、決して安泰なものではないというふうに考えておるのでありまして、そういう面からいたしまして、やはりコストの点から考えましても、針葉樹というものを使います場合よりも、広葉樹というものを使うということによりまして、パルプの収得の面におきましても、原木の価格の面におきましても、相当有利になるわけでありまして、そういうことが今後真剣に研究され、また体質改善というものが積極的に行なわれるだろうということをわれわれは期待もし、また業界もその面に向かって真剣に進んでおるというふうに考えておる次第であります。
  41. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 もちろんただいま御説明のように、広葉樹に次第に設備を転換していく。そうして高度の制品を作っていくこういうような情勢というものが出てくるに違いないと思うのですけれども、そうかといって、自由化の波がひたひたと押し寄せてきたときに、それだけの大転換が一挙にできようというふうには考えられないということです。そこで、問題は、現在でもやはり消費の大宗を占めておる針葉樹のやはり私は価格問題ということを非常にやかましく言ってくるのじゃないか、こういう問題に対する林野庁の対処策を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  42. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 針葉樹の今後の価格その他のあり方という点につきましては、従来からいろいろと議論もされ問題点も出ておるわけでありまするが、御存じの通り、資源の現在の状態、あるいはまた、それが製材その他一般に使われ伐採しておる状態というような点から見まして、今後とも需給の関係というものは好転するというふうには参らぬというふうにわれわれは考えておるのでありますが、そういう点からいたしまして、この針葉樹の価格というものを強力なあるいは人為的な施策によりまして引き下げていくというようなことは、非常に困難な問題であるように思っておるのでありまして、われわれといたしましては、今後やはり造林等を通じます経営改善、あるいはまた新しい樹種についての研究の成果を取り入れるというようなことによりまして、できるだけ伐採量の増加というようなことをここではかって参りまして、少なくとも、その安定した価格というものをできるだけ持続できるような方向に持っていかなくちゃならぬというふうに考えておる次第であります。
  43. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 長期政策としては、お話のような考え方というものはよくわかるのですがね。当面問題として、そうすると増産でもって対応するという考え方なんですか。
  44. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 増産と申し上げましても、国林等におきましては、林力増強計画を前提にいたしまして、今後の造林、それの進み工合というものを考えまして、生産力なり成長量が衰えない、将来とも減少しないという考え方に立って、現在でも成長量以上の伐採をしておるわけでありますが、これの限度といたしましても、やはり新しい造林面の技術の向上あるいは革新というものがなければ、伐採量というものがふえるというわけには参らぬのでありまして、現在考えておるところは、大体現在の技術のレベルからいけば最大限であるように考えておるわけでありますが、また民有林につきましては、やはりこれまた伐採の規制とかその他のものが円滑に行なわれるというような組織なり行き方にはなっていないのでありまして、やはり需要というものとの関連において伐採されるという実態にあるわけでありますので、ここでわれわれといたしましても、先ほど申し上げましたような造林、そういうものの技術というものの更新を早急に打ち立てまして、それを見合いにしたやはり伐採というものを今後いたしまして生産量の増大に対処していくという方向を考えていかなければいけないと考えておる次第であります。
  45. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この問題はまあそれぐらいにいたしますが、さきの臨時国会で、十五号台風を頂点とする昨年多発した災害の根本対策というものに関連いたしまして、治水並びに治山の抜本的な対策を確立する、これを実施するというような答弁がそれぞれの立場の大臣からなされたわけなんですが、そこで御案内のように、治水につきましては治水の特別会計というものができるやに聞いておるわけであります。まあ治山事業につきましては、そういう大方の希望の通りにいかないで、現存する国有林野事業特別会計の中に特別に勘定科目を設けて、それで整備をする、こういうことに落着したわけであります。そこで、一体新しい特別会計というものを治山にも設けてやるべきじゃないかという議論の中心になった点は、御案内のように、非常に焦眉の急を要するような、しかも非常に重要な地域というものがあるわけです。その中にある、包含されておるものは、国有林、民有林を問わないで、統一的な方針のもとに、計画的な治山事業実施をしかも緊急に実施する必要がある。そのために、そういうものを集めた一体のものを別の会計で預かって参るということが適当ではないかというふうに考えて実はわれわれは主張したわけなんですが、どうもでき上がったものを見まするというと、そういった考え方は、必ずしも特別に勘定科目を設けたという思想の中にはないように思う。まあそこで、一体その非常に重要な対象地域に対する、国有林、民有林を通じての一貫した方針と、しかも計画的な実行というものは、林野庁としてはどういう方法を通じて確保されようとしておるのか。その辺について明確にお答えを願いたいと思います。
  46. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 治山事業をやっていきます場合に、国有林、民有林の所有区分というものを別にいたしまして、いわゆる流域保全という観点に立って、事業を総合的に計画的に実施していくということの必要でありますことはお説の通りでありまして、林野庁といたしましても、重要な流域につきましては、国有林、民有林両者からそれぞれ必要な経費負担いたしまして、総合的一貫的な事業ができるような行き方を考えることも一つの方法じゃないかというふうに考えておったのでありますが、このいずれにいたしましても、林野庁におきましても、国有林というものの事業の計画あるいは実行、それから民有林につきましても、林野庁におきまして、流域別の事業の計画あるいは実行というものをそれぞれ立てるわけでありまして、この両者を十分総合化し、計画化するということに努力いたしますならば、経理上あるいは公労法その他いろいろな面におきまして複雑になって参ります新しい機構というものをわざわざ作る必要も必ずしもないじゃないだろうか。で、現在の特別会計の中に勘定を作りまして、一つ特別会計、国林特別会計というワクの中におきましてまた林野庁として両者の総合性というものを強めていきますために、従来以上に十分に努力と調査を行なうということで、何とかそういうような点はカバーしていけるのじゃないかというふうに考えまして、現在のような形に落ちついたという次第であります。
  47. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 それからここ両三年来国有林野事業の一般民生の協力ということで、民有林振興のために国有林の資金を出してやって参るという仕事をいろいろやられておるわけだと思うわけですが、そこで今後、従来は関連林道という、いわゆる民有林と国有林の草地開発対象とするような事業にそういった金を出す、あるいは品種改良事業のような仕事に出すというように限られておったように思うわけですが、おそらく今後は、この特別な治山事業のためにもそういう金が相当程度回っていくということにならなければ、どうもつじつまが合わないように私ども承知をしておるわけです。そこでいわば、従来の何と申しますか、歳計剰余金というものも相当程度にある、さらに当年度の収入の中にもある程度の余裕が出てくる、こういうものを使ってそういう事業をやる、一体どういうふうな基本的な考え方に従って一般民有林べの協力事業というものを今後推進されようとしておるのか、その辺のことについて一応考え方を明らかにしていただきたい。
  48. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 国有林がその経営の成果をもちまして民有林の振興に協力をしていくということにつきましては、従来から御承知のように、国有林野官行造林という仕事が大正九年から続けられておるのでありまして、このほかに昨年からお説の通り関連林道の問題、あるいは林木品種改良、地元対策といたしましての放牧採草地の改良というような仕事をやって参ったのでありますが、三十五年度におきましては、これらのほかに、カラマツ、松等の、造林にとって非常に重要な樹種であり、またその種子が年によって相当豊凶の差があるというようなものにつきましての備蓄用というようなものを国有林で採取いたしまして、一定の施設を設けて、そこで貯蔵いたしまして、凶作時に民有林関係のものとして放出、売り払いをしていくということを考えたのでありますが、これらのものを今後続けていきますためには、やはり相当の経費が必要なわけでありまして、国有林の年々の収入、支出というものが、また逆に木材価格というもののあり方によって大きく変動するというような関係もありますので、林野庁といたしましても、今後長く経営的に、こういう民有林協力をやっていくためにはその資金的な面をどういうように考えるべきかという問題に逢着してくるわけであります。で、御説の通り、すでに歳計剰余金あるいは損失保全の積立金というようなものが、二百億円近いものがあるわけでありますが、それにいたしましても、国有林自体の経営上必要なものがこれの大部分であるわけでありまして、これにつきましてもどの限度をこのうちから民有林の協力として回していいものであろうか、あるいはまたそれを民有林の協力に回す方法といたしまして、今までのように一般会計へ一ぺん繰り入れて、それから支出するという形にすべきか、あるいは現在の特別会計法の中にあります森林基金というような制限を活用いたしまして、そういうものから出すようにすべきか、いろいろな問題があるように思うのであります。これらの問題につきましては今後、当初の御説明にも申し上げましたように、国有林におきまして、審議会あるいは調査会のようなものを設けようと考えまして、この予算措置も講じておりますし、また長期的な、基本的な経理のあり方につきましては、国有林経営研究所というようなものも三十五年度から出発いたしまして研究を進めるというふうに考えておりましてこれらの機関等で十分検討いたしまして、早急に結論を得て基本的な考え方を打ち出していきたいというふうに考えておる次第であります。
  49. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 治山事業には一体どのくらいな規模のものを出すつもりなんですか、国有林野特別会計で。
  50. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 本年三十五年度におきましては十一億円を一般会計に繰り入れるのでありますが、その中の七億を造林関係、四億を治山事業と考えておるのであります。
  51. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そういったいわゆる国有林野事業自体の本来の体質改善に使わなければならぬための金がどれくらい要って、そして余力を持って一般民生への協力をする、そのいわゆる協力の対象になる事業はこれこれのものであって、それらに対してはおおむねこれくらいの金というものを年々出していくのだというような、計画といいますか、考え方はないのですか、現に行なわれているわけなんですが。
  52. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 現在の段階といたしましては、年々の決算上の利益金が出ました限度のものは当然民有林協力に積極的につぎ込んで参らなければいかぬというふうに考えておりますことのほかに、一般会計を通じないで、国有林と直接関連があるような地域、あるいは仕事の面におきます民有林の協力というものを年々の予算の中でやはり考えていかなければいかぬというふうに考えておるのでありますが、現在の段階におきましては、いわゆる年々の歳入の中におきます民有林協力というものは約十二、三億の限度じゃないかというふうに考えておりますし、また一般会計に現在出しておりますような、いわゆる利益金というものの中におきます一般会計への協力というものも、大体十億から十五億円程度のものが今後可能じゃないだろうかというふうに考えておる次第でありまして、その両者におきましては今後なお検討を加えていきたいと考えております。
  53. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 この国会に特別立法をして、何か十一億円かのものを一般会計に繰り入れる措置をされる、こういうことなのですが、これは今年限りのものなんですか、そうすると。
  54. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) これは法案もすでに衆議院の方には提出されておるのでありますが、三十五年度に限っての措置としてやることにいたしております。
  55. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 それはどういう意味で三十五年度に限っての措置だということが言い得るわけですか。
  56. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) これは法文自体に、三十五年度に限りということがはっきりうたってあるわけであります。
  57. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 法文にそう書いてあるからそうなっているのでしょうが、どういう意味でそういうふうに三十五年度に限って十一億円を繰り入れるというふうな措置をされたのか、今後は一体どういうふうに考えていったらいいのか、そういう問題をですね。
  58. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) この問題につきましては、現在の制度から申し上げますと、前年度の利益金あるいは剰余金というものを対象といたしまして一般会計に繰り入れるという制度になっておるのでありますが、三十四年度におきましては、御存じの通り伊勢湾台風等による七百万石にも達する風倒木というものが発生したというような関係から、利益金というものが三十四年度には期待できないという事態になっておるのでありまして、一方、また民有林への協力という仕事は一年きりでやめるというふうな性格のものではなしに、やはり継続してやっていかなければならぬという性格のものであるように思いますので、特別会計といたしましても、その経営上大きい支障のない限度内においては、やはり過去の積立金の一部をこの時点におきまして一般会計に繰り入れて協力していくということをやるべきじゃないかという考え方に立って、三十五年度に限りこういう措置を講ずるという一応法律的に措置を考えたわけでありますが、今後この過去のものにつきまして、どの程度のものが一般会計への、民有林振興への協力ができる限度であろうかというふうな点につきましては、このための審議会あるいは調査会となるかもわかりませんが、これをもちまして早急に検討し方向を見出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そうしますと、大体民有林協力というものは当年度の収支の中において一応考えるというのが原則である。ところが、その材価が非常に安くなって、あるいはとんでもない事故が起きて、それほど収入が期待するほど上がらなかったというような場合には、一応三十五年度方式でやっていくという考え方ですか。
  60. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) それは固定的にそういうふうに考えているわけではありませんので、先ほど申し上げました通り、従来のいわゆる積立金の中からもどの程度民有林協力に充てることが可能であろうかというふうな問題につきまして、十分こういう点を審議会等で検討いたしまして、その結論に従って今後協力というものを考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  61. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 林野庁長官にお尋ねいたしますが、これは今わが国で木材を資源としてやっております事業がたくさんございますが、ここで、国有林、民有林には限度がまたあると申しますか、今の、現在やっております事業の量からいって、まだどれくらいのものは国内で事業を行なっても資源に不自由はないというような大体の見通しはついておりますか。
  62. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 現在の資源と現在の伐採量というものを見比べてみますと、資源から出ますいわゆる生長率、端的に申し上げますと、いわゆる資源というものは銀行に預けた元本というようなものになるわけでありまして、それから生まれます年々の利子であります生長量というものの限度におきまして伐採が続けられていくとしますと、今後資源がなくなるとか、非常に需給が逼迫するというような問題はないわけでありますが、現状におきましては、その利子の二倍程度のものが伐採されておるというのが現実の姿でありまして、現在のままの状態で進むといたしますと、やはり伐採はもちろん続けられるわけでありますが、それが木材価格の高騰とかという面に大きくはね返ってくるというふうな現実にあるわけであります。
  63. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 まだわが国で着手いたしておりませんが、着手しようといたしております木糖——木材の糖化です——これは私流の考えでは、木材資源を使って甘味を作るよりは、そのほかにまだ甘味のとれる資源があると思っておりますが、今度二つの会社ができるようになって、いよいよ仕事に着手すると思うのですが、砂糖ばかりでなくてほかのものもありましょうが、木材というものをどんどんつぶして砂糖を作る、こういうことになりますと一体どういうことになりますか。
  64. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 木糖という仕事は御存じの通り、現在パルプとかあるいは製材等に使われておりますような形の、あるいは価格の資材を使うということでは、この仕事は採算的に非常にむずかしいというふうに考えておりまして、やはりこれの資材といたしましては、薪炭林に現在使っておるような非常に径級の小さい、また品質も落ちるようなものを使うとか、あるいは製材その他の過程で生ずる背板とかその他の廃材を使うとかいうことによってこの木糖という仕事が今後やられなければ採算的にも非常に困難だというふうにわれわれは考えておりまして木糖という木材をケミカルに利用するという仕事が今後うまくいくかどうかということは、そういうものがうまく集まるかどうかというような問題、あるいはまたそれから出て参ります砂糖とかというものがこれの採算上最も大きいウエートを持つものであるというふうなことではなかなかこの仕事は困難であると思います。従いましてこの過程に出ますリグニンその他いろいろなものがうまく利用されるということでなければ、この仕事はなかなか経営上はむずかしい問題を持っておるのではないかというふうに考えておりましてそういう問題が解決されませんと、なかなかそう急激にこれが大きくなるというふうなものではないように思っております。
  65. 仲原善一

    ○仲原善一君 食糧庁にお伺いいたしますが、第一に米価の決定の関連における予算の問題ですが、今年は御存じの通りに、米価決定の際に、従来のパリティ方式に何か調整係数というようなものを考えたりして、ほんとうの意味の生産費並びに所得補償方式という計算のやり方にはなっていなかったと思います。ところが、参議院の本委員会でも附帯決議に、今年は三十五年度は生産費並びに所得補償方式という、そういうやり方で米価の決定をしてほしいという議決がありますが、その通りに計算を今年はおやりになるかどうか。これはもちろん米価審議会等の関係がありますけれども、そういう方針をはっきりきめておられるのかどうか。そうしますれば、今予算として計上されております一石当たり一万三百三十二円というものとだいぶ違ってくると思いますけれども、そういう場合の穴埋めというのは補正予算になるのかどうか。当初の予算というものと米価決定後の予算というものとの食い違いは補正予算で補われるのかどうか、まずその点をお伺いいたします。
  66. 家治清一

    説明員(家治清一君) 第一の米価決定方式のやり方をどのように考えておるかという御質問につきましては、実は問題が大きいだけに私からお答えするのもどうかと思うのでございますが、ただ現在米価審議会に農林大臣から諮問が出ておりまして、米価の算定方式を審議会で検討されておるわけでございます。そのために小委員会を設けられて、もうここ数回にわたって慎重にいろいろ検討いたしておりますので、そういった小委員会の結論、それから米価審議会の答申というものと相待って慎重に決定されるのではないかと思うのでございます。  それから第二に、もし決定されるであろう米価が予算米価を上回った場合のその場合の損失はどうするのかというお尋ねでございますが、これは御存じのように、価格とそれから量との関連、つまり国内米勘定自体からいいますと、価格がある程度上がればその結果損が出るわけでございますが、その損を帳消しにするようなほかの要素がほかの勘定にもあるわけでございますので、結局は単に買い入れ米価が予算米価を上回ったからというだけで、すぐに損を見込んでそれを補正するというようなことにはならないだろうと思いますが、ただ年度の進行に伴いまして、食管会計の三十五年度の赤字が相当大きく出るというように見込まれることになりましたならば、その段階においてこれはすぐ補正予算を組むか、あるいはまたそうでない方法を考えるかというようなことは、今のところ私どもの段階ではお答えできないのでございますが、おそらくはその段階に至っては必要な赤字を補てんするについて適当な処置を講ぜられることになるだろうと考えます。
  67. 仲原善一

    ○仲原善一君 今年も非常に米価決定に問題になった予約減税の問題は、今年はどうされる方針ですか。
  68. 家治清一

    説明員(家治清一君) この問題も、御質問ずばりにはお答えできかねるのでございますが、予算編成との関連で申し上げますと、三十四年度予算編成のときには、実は予約減税の問題を取り上げて、予約減税というものはやらないという前提で予算米価をきめたのでございますが、三十五年度予算編成におきましては、これはそういったことは問題にならなくて編成されておりますので、つまり積極的に予約減税をやめるということは話題には出ていない、こういう状況でございます。
  69. 仲原善一

    ○仲原善一君 本委員会の議決にもあったのですが、この米の価格を決定する場合の資料を整えるための予算を組め、ことに生産費等の調査についてもっと拡充してほしいという議決があって、それに基づいて多分この生産費の調査予算はとれたと思うのですけれども、これはやはり今度の何と申しますか、生産費並びに所得補償方式の算定をとる場合には十分にそれは活用していただけるのかどうか。そうして民間で、団体でやっている生産費の調査の戸数は千三、四百あったと思いますが、こういうものもあわせて考えていただけるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  70. 家治清一

    説明員(家治清一君) 生産調査につきましては、これは予算の計数は私ども存じませんけれども、統計調査部において若干の予算がとれたように聞いておりまして、対象農家の戸数をふやす、現在の二千六百を倍くらいにするということについてはそういう方針でおるように聞いております。  それから生産調査、統計調査部の行ないます生産調査と、農業団体で今までやっておられました、ないしはこれからやられますような調査との調整、それは実は事務的には団体のそういう担当の方々、それから統計調査部の方々といろいろ調整に努力はされたようでありますけれども、これはまだ結論は私聞いておりませんけれども、なかなか両者の調整を行なうということは一応調査目的なり設計なりというものが違っておる点もございまして、なかなか困難なように聞いております。ただこの問題も、実は現在米価審議会のその小委員会の方でもこういった問題についての検討を取り上げられておりますし、今後さらに検討されていくことだと思っております。
  71. 仲原善一

    ○仲原善一君 最近問題になっておりますこの豊作に関連した問題かもしれませんが、配給辞退の問題が各県で出て、ある県などでは、三〇%も四〇%も配給辞退が出てきておる。こういう事態が実は起こっておるわけですけれども、食糧庁としては何かその対策ですね、配給辞退に対する対策というものの具体的なものをお持ちになっておるのかどうか。その辺特に今やかましい問題ですから、農家の方ではもう統制は撤廃になる前提ではないかというので多分に心配しておる向きがありますけれども、そういうものとの関連において食糧庁のお考えがあれば、お伺いしたいと思います。
  72. 家治清一

    説明員(家治清一君) お話のように配給辞退が増加しております。受配率が一般にいって低下しております。これにつきましては、いろいろ原因もございますし、また実態についての必ずしも全国同じような状態でもございませんので、これに対する対策としまして、具体的にどれをどうするのだというような固まったものはございませんけれども、しかし一般的に言いますと、地域的にそういったアンバランスが、配給量といいますか、受配率の地域的なアンバランスがあります場合におきましては、これは価格にも若干織り込んでございますけれども、調整金という制度がございますので、これはおろし関係の中にその調整金を運用、これも額はそれほど大きい額ではございませんので、効果のほどはあまりそう著しい効果があるとは申し上げかねますけれども、しかし、調整金の運用、そういったことによっても非常な急場はしのげるのではないか。それからある程度県によりましては、傾斜配給の実施なんかもやりまして、できるだけ受配率がそう下らない、それから、なお、何といいますか配給量をその月に使わなくても翌月に使わせる、そういった操作も、若干期間を延ばすというようなことも考える、いろいろ検討しているのでございますが、具体的にこれにはこうするという明確なきめ手というのはまだ持っておりません。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。今の問題について、結局やみ米の問題だと思う。そこで、やみ米について、これを本式に何がゆえにやみ米が出るかということを調査しておられるのですか。これが一点、ということは、今も仲原さん言われる通り、農民は、こういう状態が続くならば、しまいに統制撤廃になるんじゃないかというので、相当気にしていると思うんです。みずからやみの存在だか、発生ですか、原因を自主的に農協等が中心になって、進歩的なのは、考えている時期がきている。そこでいろいろ聞いてみますと、ただ単に税金だけじゃないという地方はたくさんある。税金のがれだけでやみが出るのじゃない。要すれば、検査との問題、それから競争の問題、これは山間地方などもごく十俵、二十俵出すところは、あの三つ編み俵のめんどうくさいやつを持っていって、そうして厳重な検査を受けて、突っ返されるようなことならば、むしろそんなものは出さないでおいて、やみで売ったら当りまえに売れるのだ、だから外から見れば農民が実際損をして売っているように見えるけれども、そこにある格差というものを、買い上げて補償費の間の格差を見るのだ、そうしますと、農民自身から見れば、決してあれで損がないのだ、こういうことを言っているんです。だから、そういう点を本質的に農林省が考えて、実際上の運用においてそういうものが出るとするならば、それに処置をするならばやみ米は、私は本気にやる気になれば撲滅するのじゃないか。私はある程度農林省としてやみ米の出ることを好んでおるのじゃないか。全部買い上げたりしないで済むのだから……。値上げをするということになればめんどうが起きますので、やみで少しずつ上がっていくのならば、私は知らないで、農民にその責任を負わせる。だから現在配給辞退というものがだんだん量が多くなっておりますが、それから配給辞退の情勢を一応調べた報告によりますと、現在の状態は、米屋さんがやみ米を買ってきて、今言ったような方法でやっている。だから配給辞退がだんだんふえているのだ。だから、それが二様に使われている。そして利益がどんどん上がれば、こういうふうな統制はだめじゃないか、これをきっかけにして統制撤廃に持っていく根拠にしておる。今具体的なものを農民組合の手を通じて調べておりますが、相当の量が商売人のところにいっておる。こういう事態があるのですが、そういうものを農林省としてはわからぬわけはないと思うのだ。何ゆえに徹底的にそういうものを本気にやらないのだと思うけれども、あなたを責めても仕方がないけれども、大体やみの撲滅を本気で農林省は今までやっているのかいないのか。ただ困った困ったじゃ問題にならないから、一ぺんでもそういう問題が省議に上り考えられたことがあるのかないのか。それだけお聞きしておきます。
  74. 家治清一

    説明員(家治清一君) やみの問題は毎年の問題でございますし、私どももこのやみの撲滅といいますか、やみをなくするということについては、これはできるだけの研究といいますか、検討もし、また関係方面へ協力を求めておるのでございまして先生のお言葉一にもございましたけれども、食糧庁はよけい買えば損が出るから、やみを放任しておるのだということじゃございませんので、たとえばことしの三十三年産米及び三十四年産米につきましても、実は各県に集荷の懇請にみんな出まして、そしてその場合集荷の最盛期におきましても、大量に悪質なやみの出ることは集荷に非常に支障があるということで、関係警察とか輸送機関、鉄道、そういったところへも協力を求めて、できるだけ大量なやみ、悪質なやみをなくするということには協力をしておるつもりでございます。それとしましても、実は年々政府に対する売り渡しがふえております。たとえば三十四年産米は、これは非常な豊作の影響ではございますけれども、しかし、三千七百五十万石集まる。その集まる率を見ますと、ここ予約買付以来最高の率でございます。そういった面から見ますと、どうして配給辞退というものがこんなにふえるのだろうという点は単に数字から見ましてもなかなかつかみにくい点がございます。やみの発生原因も、実は私どもよりは先生方の方が御承知かもしれませんけれども、いろいる聞いております中には、これはどうしても少量の端米が出る、そういうようなものは一々俵に集めてどうするということも大へんだし、農協が集めてどうするということも、なかなか事務的にも思うようにはいかないということで、そういうようなことでどうしても出るというようなこと、ないしは冠婚葬祭のために一応一戸に一俵ぐらいのものは何か必要だというので持っている、それが使わないで済むというような場合には、これを今さら政府に出すというのも何だから、外へ出してしまう、こういうようなことは実はよく聞くのでございます。そういうようなことでございますが、私どもとしましては、集荷団体に協力をお願いしまして、少量の米もできるだけまとめて買って下さい、できるだけ奔走して出して下さいということを申し上げているのでございますけれども、検査のやり方が非常にきびしいから、あるいは厳格だから引き合わないということは、実は私どもはそういうことはあまり考えていないので、検査が事実上きびし過ぎるということはないのじゃないかと思っておるのであります。
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で具体的な対策もないようでございますから、これはいずれまたよく御研究を願って、食管制度が健全に維持できるように、根本的に、抜本的に御研究願いたいと思います。  最後に大豆の問題ですけれども、貿易自由化で一番最初に問題になるのが、大豆、菜種のようでありますが、ことしの十月にはやろうという方針のようでありますが、それに対して、手放しで自由化ということも、これはやらないということを大臣は言っておられます。事前にちゃんと手を打って影響のないようにしてから自由化をするという、そういう方針をしばしば言明されておりますけれども、大豆の問題にしぼってことし十月から始まる大豆の自由化の問題について、具体的に何か手を打っておられるのかどうか、どういう方針を持っておられるのか、大よその見当を承知しておきたいと思いますので。
  76. 家治清一

    説明員(家治清一君) 大豆がAA制に移行する場合にどういう対策を考えているかということでございますが、これは実はまだこういう方向でこういうふうにするのだというようなところまで、すっかり固まったものはないのでございます。ただ方向としては、農林大臣も言明されておりますように、国内大豆に対する影響というものを、これをできるだけ悪影響をなくするような手を打つということで、そのためにはやはり国内大豆の価格を支持するように、何らかの方法を考えなければならないということでございまして、それに対する案としては、あるいは瞬間タッチという案とか、あるいは現在の制度のままで、ただ食管会計がこうむるであろう赤字というものを、別に考えるといったように、いろいろ案が分かれておりますが、この辺のところにつきましては、実は政府部内でなお慎重に検討中でございます。
  77. 東隆

    ○東隆君 今の大豆の問題、私も実はお聞きしようと思ったのですけれども瞬間タッチもけっこうですが、もうすでに北海道で集めた三十四年度産が売れなくなっておりますから、そこでこいつは一つ早急に手を打っていただきたいと思います。それでそこに関連をするのですけれども、大豆はまだ買い上げておらなかったはずですが、これは買い上げ、それから売却数量は、この食糧管理特別会計農産物等安定勘定のところに数字が載っておりますが、大豆が二十万トン売却数量、それから買い入れの数量が、大豆は二万二千百五十トン、こういうふうになっておりますが、それで国内産のものを全部買い上げる計画というわけじゃないのですね。
  78. 家治清一

    説明員(家治清一君) 農産物等安定勘定に、実は三つ分野がございまして、最初の農産物価格の支持の分野につきましては、これは一応価格安定の基本は、第一次的には民間団体で自主調整をやっていただく、それがどうしてもいかぬという場合には、つまり政府の支持価格を割るような場合には、支持価格で買いましょうというようなことになっておりまして、お話のように、国内産大豆についてはまだ買っておりません。従って来年度予算も、一応これはAAを実施するという前提で組んでおるわけではございませんので、一般的に価格の期間内の変動がありました場合に、自主整数がうまくいかなかった場合には買い入れを行なうという数字を、予算上組んでいるのでございます。ただえさ勘定の方では、えさ用の大豆を輸入いたしまして、そうしてえさとして販売いたしますので、それの割合大きな量がえさ用として出ておるのでございますが、国内産大豆の価格支持の方では、買い入れの二万トンというものを来年度として予定しておるわけです。
  79. 東隆

    ○東隆君 これを見ますと、大豆は事実出ているわけです。一つは、他勘定より受け入れのところの下の方に書いてある。大豆売却数量二万二千百五十トン、それからずっと一番しまいの方から二番目のところに二十万トンというのがある。これは海外のものじゃないかとは思いますけれども、これに国内のとそれから国外のものを分けたのは、今えさの関係で分けてあるのか、それはわかりませんけれども、まだ買い入れた実績がないはずですから。今度は買い上げられるのかどうか、そういう点ですね。
  80. 家治清一

    説明員(家治清一君) これはまことに備考の方に書き並べまして、見にくいものを出しまして恐縮ですが、備考に書きました売却数量の、十五ページの大豆二万二千百五十万トンは、国内産大豆の、三十五年に買うかもしれないということで見込んだ、つまり価格支持のために見込んだ買い入れ数量でございまして、それで次の十六ページの中ほどに、大豆二万二千百五十万トンというのが売却で出ておりますが、これはそれを年度内に適当なときに売るのだということで出ておるのであります。  最後に、十七ページの方に出ております大豆二十万トンは、これはえさ用大豆でございまして、外国大豆を輸入いたしまして、これをえさ用として配給する、その数字でございます。
  81. 東隆

    ○東隆君 そうすると、同じ考え方で、このバレイショ澱粉の問題は少し数字が、買い入れ数量の方は多くて売却が少ないのですがね。そこで、どういう問題かというと、カンショ澱粉の方は売却が非常に多いものですから、これは私はいいと思うのです。ところが、バレイショ澱粉の方は、おそらく政府が手持ちをしておるものも多いはずです、数量は割合多いはずですが、ますますこれだと政府の手持ちが多くなってくるはずですが、これはどういうところからこの見積もりの数字を出されているのか。
  82. 家治清一

    説明員(家治清一君) 実は澱粉につきましては、まあ御案内のように、カンショ澱粉の方が政府の在庫は多うございます。それでバレイショ澱粉の方が実は少ないのでございますが、価格支持のために、毎年買い入れますものが相当の在庫になって残っておるのでございますけれども、予算上は実はできるだけまあ新規用途の開拓その他も入れまして、よけい売って食管の在庫を少なくしたいという考え方で、従いましてカンショ澱粉の売買が、買うよりも売る方が多いというのは、現在持っている在庫を減らしたいという意欲を予算面に実は盛ったのでございます。バレイショ澱粉の方が数が若干逆になっておるというのは、むしろ現在在庫がカンショ澱粉ほど多くないので、やや何といいますか、実情に即した売り方を計画したという意味でございます。
  83. 東隆

    ○東隆君 いや、私の表現が悪いのですがね。実はカンショ澱粉とバレイショ澱粉の生産量からいきますと、割合からいくと、バレイショ澱粉の政府の手持ちの方が多いのです。だから、バレイショ澱粉の方が多いはずです。だから、約何でしょう、三倍ぐらいになっているでしょう。だから、カンショ澱粉の方が生産量が多いのですよ。全体の生産量が多くて、そして貯蔵が多いかもしれない。だけれども、バレイショ澱粉の生産量からいくと、非常に多い量が貯蔵されているというのです。私の表現の仕方がまずいのですが、そこでどういうことになるかというと、売却数量と買い入れ数量等を比較してくると、買い入れ数量の方が多いのですから、そうすると貯蔵がますますふえていくということなんです。そこでバレイショ澱粉についてはだいぶ苦労しているというんだが解決されないじゃないかと、こういう腹があるものだからお聞きをしておるわけです。
  84. 家治清一

    説明員(家治清一君) 御指摘の点はだいぶございます。ございますが、実際問題としましては在庫増がある程度出てくるのはやむを得ぬのだと私どもは思っておりますが、しかし、せめてできるだけ在庫減らしをやるように、できるだけ売る機会を多くする、ないしは売る努力をするんだという意欲をこの予算面に盛り込んだのでございます。
  85. 東隆

    ○東隆君 私はこれは両方一緒にして、何も問題じゃないと思うんですよ。しかし、政府が今だいぶ減ったかどうか知りませんけれども、約四百万袋、この前持っていったわけです、買い入れたのは。そこでその四百万袋のものを、これを一年通してかりに持つとすると、これは相当のことになるわけです。計算すると何でしょう、保管と、それから金利、倉敷、そういうようなものをみな計算したら、おそらく十億以上になるじゃないだろうか、かりに計算をするとですね。そういう大きな関係があるので、そこで実はこの前のときに農林大臣に、そのうちの相当な部分を一つ砂糖とバーターして海外に出してしまえ、こういう意見を一つ開陳したわけです。そこで私はそういうふうにして在庫を一掃して、そうしてその上に、結晶ブドウ糖の方に向けるとか何とかするのは、新しく生産されるものをそっちの方に振り向ける、こういう態勢を作っていかなければ、毎年澱粉の問題でもって大きな——だれもこれはこのためにそんなに喜ぶ筋合いのものはないわけです。一番喜んでいるのは倉庫貸しでもって、そうして倉敷等でもって保管料を取っておる倉庫業者などが大もうけしておるだけの話で、何もそんなに問題にならぬと思う。それから産地の方では新しく生産をされたところの農産物を保管する場所がない、こう言って大弱りをしておるところがある。だからこれは何らかの形でなくさなければならぬものである。その場合にどうもバレイショに関する限りそういうような問題になっておるものだから、これは一つ十分にお考えを願いたいと思うんです。それから私は、大豆の問題は、これは価格支持政策の中に入っておるから私はいいと思うんですけれども、もう一つ問題なのは雑豆ですね。これは価格支持政策の中に入っていないで、そうしておそらくAASになると完全にビルマだの何だの、あっちの方から入り込んできて、これは完全にぶっこわされてしまうものです。そこで戦前満州から大豆がどんどん日本に入ってきておったときにどういう状態だったかというと、北海道では菜豆類を作った、雑豆を。そうしてこの雑豆は海外に輸出しておったんです、外貨獲得のために。それでおそらく大豆が自由制になってくると、国内における雑豆の消費と、それからその余分のものは海外に出すような、そういう方向に進んでいくと、そこで大豆についての価格支持政策も必要だけれども、一つその雑豆も価格支持政策の中に入れて安定さした形でもって増産をさせて、そうしてそれを海外に出すだけの余裕を作っていかなければならぬと思うのですが、これは予算の中からなかなか出てきそうにはないんですけれども、一つ食糧庁内でよく御相談を願いたいと思うのです。私どもは雑豆を一つ今回はどうしても価格支持政策の中へ入れてそうしてこれを相当に支持してもらわなければ、大豆はこれは中共貿易なんかが再開された日には、もうてんで問題にならないものなんです。だから、そういう面を一つかね合わせてお考えおきを願って、そして雑豆を価格支持政策の中に入れて、そうして安定さした形でもってやる、しかし、これは通産省の方は猛烈な反対をやると思うのです。というのは、ビルマ等東南アジアの方からそういうものを持ってこなければ向こうに品物が出せない、こういうようなことで、猛烈な反対が起きてくると思うのですけれども、そいつを踏み切ってもらわなければいけない、よほどの覚悟を一つしておいていただいてよろしくお願いいたします。
  86. 北村暢

    ○北村暢君 きょうは林野庁長官が見えておりますから、先ほど触れられておる貿易自由化の問題についての、南洋材と北洋材の輸入に対する影響がどんなふうになっているか。ラワンはもうすでにはずされておるわけです。その結果が一体どういうふうになっておるか。  それからもう一つは、アラスカ。パルプの輸入がどういうふうな影響を持ってくるか。それから特にアラスカパルプはことしから生産に入るわけですが、それの国内の影響の見通し等について御説明願いたい。
  87. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) ラワン材はAA制に一月からなったのであります。御存じの通り、現在のラワンの輸入量は約一千万石に近いものになっております。戦前の最高が約五百万石ということでありますので、この当時の倍程度のものが今日本に輸入されておるのであります。フィリピンにおきましても、こういうふうな大量なものが伐採され、日本に輸出されるということに伴いまして、やはり伐採地方が奥地に移行するというような問題、それからフィリピンの地区におきましても、丸太のまま輸出しないでなるべく製材するなり、あるいは合板にするなりして、加工輸出というものを考えていきたいというような方向にもあるようであります。今後ラワンというものの価格が、やはり漸次高騰していくんじゃないかということ、並びに数量につきましても、そういう面から従来のようなものが今後何年間くらい続くであろうかというようなところにも問題があるわけであります。それと、また昨年におきましては、暴風等の関係で、フィリピンの出材も必ずしも順調でなかったというような問題もありまして、現在価格も漸次上昇してきておるような傾向にあるのであります。これがAA制との関係で、一体どういうふうに影響を及ぼしておるのかということに問題点はあるわけでありますが、AA制に移行する前提といたしまして、昨年度の第三四半期あたりから、従来の倍以上にも達しますような外貨割当をいたしまして、国内においても従来の倍以上の常時のランニング・ストックが持てるような措置をまず講じておくということをやって、このAA制に移行するという措置を講じたのでありまして、現在価格が上がり、あるいはまた数量は必ずしも十分でないというのは、フィリピン国内におけるそういうような事情も、大きい影響を持っておるというふうにわれわれは考えております。今後AA制になったから、そのためにまた非常にラワンに大きい問題が生ずるということではなしに、やはり今後に問題があるとすれば、フィリピン国内におきます資源の問題、あるいは天候その他による伐採その他が、どういうふうになるだろうかということに大きい影響があるように考えております。従いまして、林野庁といたしましても、今後新しい地域にラワンにかわる資源を求めなければいかぬということで、御存じの通りカリマンタン地区の開発とか、あるいはその他ベトナム、あるいはニューギニア、いろんな面に積極的な手を伸ばしているという状況にあるわけであります。  それから第二点のアラスカパルプの問題につきましては、一月から日本に輸入が始まっておりますが、アラスカパルプを日本に輸入しました場合のいわゆる価格というようなものは、現在カナダあるいはアメリカ合衆国等から輸入をされておりますものよりも、コストの面においては何ぼか高いというふうな状況にあるように聞いております。それにいたしましても、国内の溶解パルプの価格よりも、一割程度は安いのではないかというふうに見ております。これが今後どういうふうな計画なり、どういうふうな数量が国内に輸入されるかということにつきましては、まだはっきりした結論を、われわれとしては聞いていないのでありますが、溶解パルプとしては、従来とも大体八万トンから十万トン程度のものは輸入をしておったのでありまして、そういう日本に輸入しておったものと、アラスカパルプの輸入というものとが、どういうふうな関連になっていくのかというような点も、まだ最終的な結論を得てないように考えておりまして、今後自由化の問題とからんで、アラスカパルプの問題も解決しなければいけない、こういうふうに考えておりますが、これはいずれわれわれとしても、通産省の十分考え方を聞き、われわれの意見も述べまして、国内の溶解パルプ等の生産に急激に大きい影響を来たさないような、何か措置は考えてもらわなければいかぬというふうに考えております。
  88. 北村暢

    ○北村暢君 まずラワンの輸入の問題について、フィリピンの生産が奥地になって、あるいは原木という形でなしに、加工してくるというような、加工が進んできたというようなことから、ほかに産地を求めているということですが、私の聞きたいのは、この自由化のために価格等の関係で、フィリピンが今後将来性がなくなって、遠くへ移行するわけですから、産地が遠くなるわけですから、そういうような面で、価格の面で従来通りに今後どんどん入ってくる、少々高くても入ってくるのかどうか。またその量というもの、輸入量というものがふえる見通しがあるのかどうなのかということ。  それからもう一つ、アラスカパルプの問題は、これは今のところきまっていないというけれども、これは開発銀行が二百億からの出資をして、そしてやっているので、これはどこへいくのかというと、全部製品は日本へ持ってくるのだ、こういうふうに聞いているのですが、そうすると日本へ輸入するということは、既定の事実だというふうに思うのですが、従来の輸入している十万トン程度のものとの引き合いで、そういうものをやめて、このアラスカパルプに置きかえて輸入するということになるのか。そこら辺のところと、それからもう一つは、今の説明ですと、従来十万トン程度のものを輸入しておったのだから、それに加えて、よりアラスカパルプから来るということになると、非常に国内に対して大きな影響を持ってくると思うのですが、今のところはっきりしないとおっしゃるのだが、私の聞いているところでは、アラスカパルプのものは、もうことしから入ってくることは確実に入ってくる。こういうふうに聞いておるわけです。従ってそこら辺の調整がどのような形になされるのか。そして国内のパルプ業者にそういう点が非常に大きな影響を持ってくる。特に一割安い物が来るということになると、先ほど来説明せられている国内の生産工場における合理化というようなことを要請しているというのだけれども、そういうような点についての行政指導程度のものでいいのかどうなのかということですね。それから貿易の自由化に伴うラワン、北洋材パルプ等の問題が、林野庁の立てている長期計画等において、輸入数量というものを想定しておるわけですね。その輸入数量というものを想定しているものに対して過大になっていくのか、あるいは予定通りの輸入数量になって、それを見合わせて将来の需給というものが均衡をとっていけるような形になるのか、長期計画に変更を加えなければならないのかどうなのか。そういうふうな大きな影響があるのかどうか。そういうふうなことを説明願いたい。
  89. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) ラワン材につきましては、われわれの見方といたしましては、先ほどのようなフィリピンの事情もあるのでありますが、またフィリピンの業者におきましても、やはり日本というものが非常に大きい市場であり、唯一の市場というような関係にもなっておりますので、価格の面におきましては、今後奥地移行等の点から漸次上がってくるということはあるかと思いますが、ここ数年間は、現状程度の数量というものは何とか期待できるのじゃないだろうかというふうに考えております。  それから第二点のアラスカパルプの問題でございますが、もちろん、開発銀行その他で融資あるいは保証するというふうな措置もとっておるのでありますが、これの生産しましたパルプというものは全部日本に輸入しなければならぬというふうにわれわれは聞いていないのでありまして、もちろんそれぞれのアラスカパルプの市況というものを見まして、日本国内にも輸入し、あるいはまた外国というか、日本以外の所にこれを売るということも可能だというふうにわれわれは聞いております。  それと、やはり今後溶解パルプ等の輸入ということにつきまして貿易の自由化というふうな点からいたしまして、関税政策その他のものを、どういうふうに、どの程度にとっていくかということも非常に大きい問題として残されておるように思います。こういう問題につきましても、この主務官庁であります通産省としても、はっきりした見通しとやり方というものについて、まだ成案を得ている段階にはないようでありますし、われわれたびたび向こうの意見も聞き、打ち合わせいたしましても、まだ大体こういうふうにしたいというふうな段階までいってないようにわれわれは考えておりまして、林野庁といたしましては、この国内のパルプ産業というふうなものに急激な重大な悪影響を来たすというふうなことにはならないような、何らかやっぱりそこに保護的な措置もあわせて考えてもらうということを望んでおるわけでありまして、通産あたりに対しても、そういうことは一つわれわれとしても積極的に意見を申し述べて実現さしていきたいと考えております。
  90. 北村暢

    ○北村暢君 今のアラスカパルプの問題は、これは、昨年暮れの決算委員会で、開発銀行の問題のときに、開発銀行の総裁が、全量日本に輸入するのだということを私の質問に対しても答えているのです。これは、速記録を見てもらえばわかると思いますが、私はそういうふうに聞いておるわけです。開発銀行の総裁にそういうふうに聞いておる。ですから、その点は一つ確かめていただきたいと思います。そうなると、やはり日米合弁会社で、相当な投資をして、そして監査役なんかを派遣しておるわけですから、そういうふうな点で、ある程度技術提供もしておるというふうなことで、やはりそれを、日本のパルプ資源の、何といいますか、窮迫したものを補うという考え方に立って、開発銀行が国策としてやっておる。こういうことのように説明を聞いておるものですから、従って全量日本へ入ってくる、こういうことのようですが、従って、まあ日本の国内のパルプの事情によって、諸外国ヘアラスカパルプの製品が行くんだ、こういうことのようには私ども聞いておらない。従って、まあその点がそういう余裕があるならば、国内のパルプ生産者に悪影響があるようならば、通産省でその調整をとれるような形になっているのかどうなのか。そういうことではないような話に私ども聞いておるものですから、今の説明ではちょっと納得しかねるわけです。これはまあ答弁できればいいですし、またの機会に譲ってもいいわけです。口では調整をとるといっても、実際入ってきた場合にどうなるかということを実際心配するものですから聞いておるわけです。  それから、これは答えていただきたいのですが、もう一つは、木炭の出荷調整対策の問題で、これは昨年から実施して、その結果が一体どんな結果になっておるのか。これを知らしていただきたいと思います。それからもう一つは、木炭の生産合理化の対策予算が組まれておるわけなんですが、これに対して、いろいろ技術的な合理化の対策が出ているのですが、木炭の生産に当たって、生産そのものを合理化する過程においても、一番必要なのは、私はやはり金利だと思うのですよ。これは、木炭の生産者が零細であるために、非常に高い金利のものを問屋から借りて、そしてその資金を借りているために、商取引というものが拘束せられて、そして非常な安い値段で買われている。結局この問屋には、金利の面においても生産品を買い取られるときにも、二重に搾取を受けている、これが実態です。従って、この融資の問題が十分これは重要な問題になってくるんじゃないか。で、技術面の合理化対策だけでは解決されない問題が出てきているというふうに思うのです。従って、この造林等の零細な森林所有者に対する長期低利融資というものが考えられておるのでありますから、そういう面で製炭者に対する、これは制度金融でも系統金融でもいいわけなんですけれども、何らか融資対策というものを考えない限り、木炭の生産の合理化なんということを口で言ってみたところで、これだけの予算をやったところで、私はあまり効果はないのじゃないか。驚くなかれ年二割四分という高利貸の金を借りてやっているというのが大体ですよ、零細製炭者は。こんな状態ではとてもそれはお話にならない。そういうような点について、木炭生産について、しかもこの製炭者というのは非常に零細者が多いわけです。従って、資力もないし何もないという形で、やはり保護政策をとらざるを得ない状態ですが、現在の出荷調整の対策なり生産合理化の対策では、私は非常に不十分じゃないかというふうに思うのですが、これに対する、林野庁に何かあってもできないのか、非常にむずかしいのか、それとも今まで考えたことがないのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  91. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 第一点のアラスカパルプの問題につきましては、なおお話の趣旨も十分わかりましたので、関係方面と打ち合わせして、その点ははっきりさしてまた御答弁いたしたいと思います。  それから第二の木炭の出荷調整の問題でありますが、三十四年度からこれを開始したのでありますが、御存じの通り、この木炭の出荷調整をやるために、これを買い入れまして備蓄するという仕事をやるわけでありますが、これが四月、五月、六月というふうな時期に一番重要な仕事でありまして、はなはだ残念ながら三十四年度におきましては、年度当初からこれを順調に進めるというわけにはいかなかったという点からいたしまして、その効果にも必ずしも十分なものはなかったというふうにわれわれも反省しておるわけでありまして、それともう一点、この出荷調整の仕事をやります団体が、これによる損失その他について非常に危惧の念を持ちまして、買い入れます価格というものの決定についても、やや低い線できまったじゃないかというようなこともわれわれは反省しておるのでありますが、そういう結果からいたしまして、三十四年度といたしましては、大体予定の半量程度しか買い入れて備蓄することができなかったという状態になったのでありますが、三十四年におきます木炭の価格は、前年度の三十三年に対しまして、やはり一俵当たり十円とか十五円程度、最低におきましてもまあ高い線で推移してきたというふうな経過にもなっておるのでありまして、こういうことをやるということが必ずしも好結果をもたらしたのじゃないというふうには、われわれ考えていないのでありまして、ある程度の、これによって価格安定上の効果はあったものだというふうに考えております。三十五年度におきましては、これらの点を十分調整いたしまして、四月早々からこの仕事に着手できるように進めていきたいと思っております。  それから零細な製炭者は非常に高い金利というものを負担しておるというお話でありますが、御説の通り、金利の面におきまして、あるいはまたものを問屋等に渡すという段階におきましても、かなりの利潤というものを問屋に取られておるというふうな実態にあることは御説の通りでありまして、林野庁といたしましては、やはりこれを解決いたします前提といたしましては、製炭者がやはり組織というものを作りましてその組織の共同の責任におきまして、まず第一に原木代金の借り入れということが可能なような形に持っていかなければならぬ、あるいはまたかまを使うにいたしましても、かまを作るに必要な経費というものが共同の責任において借りられるというふうな形をどうしても実現するということが一番重要だというふうに考えておるのでありまして三十四年度からは全国に約三千名ばかりの木炭検査員がおるのでありますが、この検査員の検査はもちろん一番重要でありますが、それに次ぐ重要な仕事として、やはりそういうふうな製炭者の組織化というものをやっていき、その組織化された製炭者が農協とか、あるいはその他の団体との関連におきまして金融等の措置を講じていくというふうにぜひとも進めたいという所存で、それを大きい指導の目標としてやっておるわけでありまして、この点は三十五年度以降も引き続いて進めて参りたいと思っておるのであります。それと各主要な県におきましては、まだ二、三にとどまっておりますが、この製炭原木の借り入れ、買い受ける場合の融資というものを県がめんどうを見まして、県の余裕金というものを銀行に預けまして、その銀行から低利の金を、そういう組合、その他のものに融資していくというような措置もとられておるわけであります。こういう制度もあわせて漸次拡大してもらうというふうなことで進んで参りたい。で、この出荷調整の仕事にいたしましても、三十五年度から新たに実施しようといたしております奥地移行に伴う搬送施設補助にいたしましても、あるいはまた今後木炭の売れ行きを確保していくという面から、きわめて重要な切り炭等の施設をやるというふうな場合にいたしましても、あらゆるこういう措置を通じまして共同化というふうな点を今後進めて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  92. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどの出荷調整対策補助対象ですが、共同保管したものに二分の一補助をする、そういうのだろうと思う。共同保管費の二分の一を補助をする、こういうことのようですけれども、この補助対象が問屋に対して補助されるものの方が多いようなふうに聞いておるのですがね。これは実際の補助対象になっておるのはどういう——生産者である製炭者が共同で保管するのが対象になっておるのか、あるいは農協が一括して補助対象になるのか、実際のやり方はどういうふうになっておるのですか。
  93. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) この補助対象にいたしておりますものは、量的にはっきり覚えておりませんが、われわれがこれの中心として考えておりますのは農協でありまして、農協あるいはまた森林組合、それから場所によっては何ぼかあると思いますが、それはいわゆる生産者が作った協同組合、こういうものでなければ対象にしないという考え方で進んでおります。
  94. 北村暢

    ○北村暢君 今度の大臣の大きな政策の一つとして農山漁村の子弟対策というものが非常な大きな柱の一つになっておる。それに対して今盛んにいわれておる農業関係の構造政策というようなものが出てきた、林野庁でもその点検討されておると思うのですがね。私のお伺いしたいのは、最近もう農家の次三男というものに対して、どうしても鉱工業に収容しなければならない、こういうようなことで農村の過剰人口の問題が非常に大きな問題になってきておる。その場合にもう一つ大きな問題としては広範な未開発の山林、これに対する未利用というか、林業としては利用しているでしょうけれども、そういう次三男対策なり、あるいは就労の対策として盛んに山林を利用しろということが出てきておる。これは山林を牧野関係に持っていくということもあるでしょうけれども、そういう以外で林業それ自体の中でもやはり山の労働力というものに吸収すべきだ、そういう一つの方向というものを考えられるべきだというような主張が、これは一月の毎日新聞の社説なんかもそういうことを堂々と社説として掲げておるわけです。そういうようなものに対して一体林野庁は今どういうような考え方を持っておるのか。この点、今非常にばく然たる抽象的なことですがお伺いしておきたいと思います。
  95. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 林野の事業、特に造林事業というものを通じまして、この農山村の労働力を吸収していくというような問題は、われわれとしても非常に重要な問題として考えておりますが、御存じの通り一般のいわゆる私有林というものを対象にいたしまして計画的にそういうものを進めていくということにはやはり非常に制度的にも困難な面があるのではないかというふうに考えております。林野庁といたしましては、三十四年度から始めましたいわゆる市町村有林等に対しまして融資制度というものを十分活用いたしまして市町村有林に対して計画的なやはり造林その他の開発を進めていく。それに対してそれぞれ周辺の余剰労働力というものを計画的に吸収していくというふうな面のことはわれわれとしても十分やっていけるように思いますし、またそういうことをやっていくべきだというように考えておりまして、この市町村有林の振興というものを通じて計画的にそういうものを何とか考えたいというように考えております。なおまた御存じの通り官行造林事業というものも大正九年から始まりましたが、これの計画的な伐採が昭和三十六年度から開始されるというような段階にも来ておりますので、こういうものも一つ、これによって相当の収益も国の方にもありますし、そういうものをどういうふうに使うかというふうな問題にもからんで、あわせて就労対策というものを今後一つ何とか計画的に進めていくように考えていきたいというように考えております。
  96. 北村暢

    ○北村暢君 その点は農業で問題になっているように、民有林の所有形態が非常に零細な所有ということで、そのために経済的に非常に林業の面もおくれているという点がはっきりしておるわけですね。これは零細になればなるほどそういう形が出ておる。これは公有林の荒廃しておるのもその通り、それに対して労働力を吸収していくという面においてやはり構造的に展開していかなければならないのじゃないか。ただ造林だの何だのという具体的な事象だけでなく、これは林力の増強ということではそういう考え方がいいんでしょうけれども、それに加えてやはり山村の構造からいって、兼業農家について山における労働力を吸収していくという積極的なそういう考え方との関連においてやはり検討されていかなければならぬと思う。これは林野庁でも相当山村の構造というものは研究してきておるわけですから、従ってそういう面から何か新しい考え方というものがやはり出てこなければならないのじゃないかというような感じがするのです。そういう問題はこの基本問題調査会との関連で林野庁は林業の今何か審議会のようなものを作っておるようですが、そういうようなところでそういうところまで検討されるのか。それは私聞いておるのは、大体において長期計画なんというものは林野庁はもう先年立てたわけですね。あれでいけば林力の増強計画というものはその通り進んでいくのだけれども、あの計画自体に今日大きな変更を加えなければならない。考え方において変更を加えなければならないものが出てきておるのじゃないかと思う。それらについて一体どのように考えておられるかということをお伺いしたいのです。  それからもう一つは、先ほど出ましたが、公有林に対する低利融資の件が農林漁業金融公庫でなしに公営企業の公庫に移ったという問題がちょっと出たのですが、あれはどういうことなんです。最近の三十五年度の予算編成のときに、財政投融資のときにもうすでに農林漁業金融公庫というふうにきまっておったものが、急にまた公営企業にかわったというような事情があるのでございますが、これはどういうふうないきさつでそういうふうになったのか、その点。
  97. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 第一点のいわゆる山村振興というような問題につきましても、御存じのように、現在林野庁といたしましては基本問題調査会との関連をもちまして中央森林審議会の中に部会を作りまして今後の需給の問題、林力増強の問題及びいわゆる山村の振興という問題、これらを一番大きい問題として現在は取り上げて検討していくということになっておるのでありましてこれとこの専門部会と、また基本問題調査会とが十分連絡をとりまして、農業と林業との関連におけるやはり山村振興の問題、あるいはまた林業の、その中における林業が受け持つべき問題、そういう点について十分検討を加えて成案を得たいということで現在やっている次第であります。  それから第二点の市町村の融資につきまして公営企業金融公庫がやるという点の問題でありますが、もちろん三十四年度と同様に三十五年度におきましてもこの公有林の造林につきましての必要な資金は、農林漁業金融公庫に一般会計から出資するということには変わりはないのでありまして、ただこれの各具体的な事務につきまして、公営企業金融公庫というものを、農林漁業金融公庫といわゆる農林中金との関係というふうな形のもの、農林中金というふうな立場のものにして、仕事を委託してやってもらう。それで一定の委託手数料のようなものを払ってやっていくというふうにしたわけでありまして、実態は実態といいますかやはり公営企業金融公庫の方におきまして、これの計画とかその他のものを全部やって、その線に沿って公営企業が具体的な貸し出しの事務の委託を受けてやるということになるようになっておるわけであります。
  98. 北村暢

    ○北村暢君 もう一点。食糧庁長官見えておりませんから私はあまり詳しいこと聞きませんけれども、簡単に食管の特別会計の一般会計からの繰り入れの百億何がしというものですね。これはあれですね、ことし三十五年度の赤字見込みでこれでいくのだと、こういう考え方だろうと思うのですが、三十四年度で百二十億の一般会計の繰り入れをして、そしてこの運用をしてきたと、こういう点からいくというと、この点思い切ってもう少しやはり繰り入れて、そして調整勘定に繰り入れて食管特別会計が運用されなければならないと思うのですよ。それに対してこれはかつかつのところやったということは、しかも今後における食管特別会計の赤字要素というものは半恒久的に相当のものが出てくるということは想定せられるわけですよ。それに対して今年度の予算はこのようになりましたが、大蔵との折衝の中でこれは毎年々々こういうものが出てくるということで恒常的に赤字負担というものでやっていくということで一応ことしはこれでがまんするという程度できまったのか、そこら辺の大蔵省との考え方とか折衝の事情についてちょっとお伺いしたい。
  99. 家治清一

    説明員(家治清一君) 食管赤字は御指摘のように三十五年度は百八億見込んでいるわけです。それに対して三十五年度の一般会計からの繰り入れば百億、これは先ほど御説明申し上げましたように、三十四年度から持ち越す調整資金残額は十三億予定しておりますが、百十三億から百八億引けば五億残る、こういう計算になるわけでありますが、お話のように、調整資金というものは、元来は赤字引き当てと必ずしも限らないので、食管経理の調整のための運転資金的性格ももちろん持っておるものでございますから、これは多ければ多いにこしたことはないのでございます。でございますけれども、ことしの財政事情からしますと、まあぎりぎり百億出してもらって百億になった、こういう結果になっております。しかし、予定赤字に比べれば残があるわけですから、まあ経理の点では少なくなっていないし、調整資金の運転資金的な性格も必ずしも全然ゼロにはなっていないように考えておりますが、御質問の、しからば三十六年度以降もある程度出るであろうから、これについて一体大蔵省はどう考えておるかということになりますと、これは、実は御承知のように、予算は単年度でございますし、赤字問題の処理方針は、いろいろ予算編成の過程では話が出ましたけれども、しかし、今後一体どの程度のものを見るべきであるとか、あるいは今後どの程度のものは見てもらわなければ困るとかいうような形で、いわば長期的な見通しのもとにおける折衝は実はなかったのでございまして、従いまして、今の段階では三十六年度以降についてはどういう——何といいますか、約束、これはもちろんございませんし、見当としても、どういう見当をつけているかということも、対大蔵との間ではそうはっきりしたものはございません。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 資料だけ。山崎さんね、戦争以来山林地主というものが非常に私は不当の利益を得ていると思う、木材の値上がりで。大体、その経済状態は一体どんなになっておるか、概略資料として出せたら出してもらいたい。
  101. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) これはなかなかむずかしいのですが。また、一つ具体的に先生の方の求めておられるところを十分お聞きいたしまして、できるだけ整理してみたいと思いますが……。
  102. 清澤俊英

    清澤俊英君 ということは、戦争中非常に雑木類などでも、木炭の不足や何かで、非常に工業的な需要がふえたというようなことで、非常に値上がりして高くなっておる。戦後は、御承知の通り、全部家が焼けたのだから、木材の不足から非常な価格の騰貴を来たしておるこれは非常な動きをしておるのじゃないか。二本切れば十万、二十万すぐできる。庭の木切ったら一選挙できるというほどなんですから、相当のもうけをしておると思う。もし、できましたらば、どれくらい値上がりしておるか、どれくらいのものを持っておる者がどれくらいの利益を得たという推定があったら、そういう点を一つ出していただきたい。
  103. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本件につきましてはこの程度にとどめます。  散会いたします。    午後四時三十九分散会