○
政府委員(
伊東正義君) それでは私から簡単に三十五
年度農地局関係予算につきまして御
説明申し上げます。
資料といたしましては、お
手元に三十五
年度農地局関係予算要求一覧表というのを差し上げてあると思いますが、これに基づきまして御
説明いたしたいと思います。
この差し上げました
一覧表の第七
ページをお開き願いますと、私の方の来
年度の
予算の
金額の合計が出ております。前
年度予算の
総額が
公共、非
公共を含めまして四百三十三億六千九百万円、これに対しまして今
年度は五百四十一億五千六百四十七万八千円、約五百四十一億になっております。約百七億くらいの
増加になっております。
公共、これは大ざっぱに申し上げますと、
災害関係で五十億くらい、それから
食糧増産で五十億くらい、その他が非
公共というような大ざっぱな
数字を申し上げますと、そういうような
増加になっております。同じ
ページに非
公共につきましては二十億七千四百万が二十二億九千九百万、二億二千五百万ばかり
増加という
数字になっておりますし、その前の六
ページをあけていただきますと、
公共事業関係では前
年度の計が四百十二億九千五百万でございますが、三十五
年度は五百十八億五千七百万、
公共事業関係で約百億の増、これが先ほど申し上げました
災害とその他で五十億くらいの増額でございます。
それからよく問題になりまする
食糧増産と言っておりまして、今度は
農業基盤整備費というように
名前を変えましたが、これは四
ページにございます。四
ページに
農業基盤としまして、前
年度が三百三十五億、前
年度は実は
海岸が入っていたのでございますが、今
年度から
治山治水の
関係で
海岸を抜き出しましたので
海岸を入れまして前
年度どうなっておるかという比較は下の方にございますが、三百二十七億三千二百万、これが三百九十二億五千万というように約五十五億くらい
増加になっておりますが、ただし、この中には実は
人件費の
関係が若干
一般会計の方と入り繰りがございますので、そういうものを引きまして純計でやってみますと、今申し上げました
総額の五十五億二千六百万がちょうど五十一億二百万くらいの
増加になっておりますが、昨
年度まで
食糧増産対策費といっておりました。計で見ますと、純計では五十一億くらい増額したというふうに御了承願いたいと思います。そのほかは、ふえましたのは、先ほど申し上げましたように
災害関係でふえたようなわけでございます。この
農業基盤関係の
数字でございますが、これは実は対前
年度三十三年から三十四
年度へは二八%くらいの
伸びで
予算が
増加いたしておりましたが、本
年度もちょうど三十四年から三十五年の
伸びは一六%強で、大体前
年度率くらいの
伸びを実はいたしております。ただ、
公共事業全部におきましての割合からいきますと、今
年度は
災害関係が実はふえましたので、この
農業基盤関係は
公共事業の中では一四%くらいの比率になります。昨年は一五%くらいでございましたが、
災害がふえました
関係で
公共事業の中におきまして占める地位では若干下がっておりますが、対前
年度からのふえて参りました率は、昨年と大体一緒、一六%くらいの
伸びを示しております。
それからこの
予算はわれわれは
長期経済計画というものを頭に置いて実は
考えておるわけでございますが、三十三
年度から始めました
長期経済計画の
行政投資というのは二千三百億ということになっております。これで参りますと、ちょうど三十三年、三十四年と今年と合わせまして二千三百億に対しまして千百五十億くらいの
行政投資になります。ちょうど半分くらいの
行政投資になります。これは過去の三十三年からだんだんこの
伸び率を見てきますと、大体今まで千百五十億で参りますと、あとの二年間でそれに近いものにいくんじゃないか、大体
長期経済計画のテンポとそんな大きな食い違いはなく進んでおるというふうに
考えておるようなわけでございます。
それから
予算でございますが、
内容を御
説明いたします前に申し上げますと、一番ふえております
特徴と申しては何でございますが、ふえておりますのは、先ほど申し上げましたように
災害の
関係がありましたので、
伊勢湾高潮を含めまして
災害関係が五十億
程度、だいぶふえております。これが
一つの
特徴でございます。
公共事業でふえた中の半分くらいは
災害関係でございます。そのほかの
食糧増産対策でございますが、この中では、目立っておりますのは
土地改良関係でございまして、その中でも特に
国営の
関係あるいは
団体営の中で
融資の
点等がかなり前
年度に比較しまして
増加いたしております。特に
団体営につきましては、実は
予算といたしまして、
一般会計はあまりふえませんが、
団体営につきましては、三分五厘の
融資の
ワクをふやしていくというようなことがございますが、六十三億という
融資の
ワクを九十三億にしますというようなことで、だいぶ
融資で
団体営を伸ばしていこうというようなことが
一つの性格として出ております。それから
土地改良、ふえておりますが、その中では、先ほど申し上げましたように
国営事業、なかんずく、
特別会計で、七カ年で
一つ手をつけたものは
完成しようというような
考えでおりますが、
国営の中でも特に
特別会計に入りましたものが進度は非常に
伸びておりまして、それから次は
開拓でございますが、約十一億くらい、
土地改良は二十七、八億ふえておりますが、
開拓も十一億くらいふえております。これは
事業費の
増加もございますが、そのほかに、
開拓につきましては、特に
既入植者の安定ということに重きを置いて
考えようということで今度の
予算では、実は
既入植者対策ということが私は
一つの大きな柱になるのではなかろうかというような
考えを持っております。いずれ
開拓につきましては、後刻御
説明を申し上げます。それから
干拓につきましては、だいぶ
伊勢湾高潮台風以来、いろいろ批判があったのでございますが、これも
特別会計で
着工したものは七年で
完成しようというような
考えでやっておりますので、これにつきましても九億くらい
金額もふえ、新しい
考え方としましては、すでにでき上がった
干拓地、あるいはでき上がりつつある
干拓地、こういうものにつきまして、てんば、堤防の
かさ上げをしますとか、あるいは
のり面の復興をしますとかいうような、新しい
干拓保全という
名前をつけました
事業を取り上げております。
それからもう
一つ、これは
予算の
名称の問題でございますが、従来
食糧増産対策費という
名前で載っておりましたのを
農業基盤整備費というふうに
名前を変えております。これは
農業経営全部から
考えまして、
食糧の
増産対策ということだけでなくて、やはり
農業の経営の合理化なり、あるいは
近代化をはかっていくという面に、
土地改良なり、あるいは
開拓、
干拓というようなものが大きな役割を持つのじゃないかという見地から、
名称も
農業基盤整備費というような実は
名前にいたしているような次第でございます。
それから、もう
一つ大きな
事業といたしまして手をつけました
愛知用水事業がございますが、これにつきましては、本
年度の
予算では、大体三十五年一ぱいでほとんど大部分のものが工事
完成いたしまして、三十六
年度の
植付までには
一つ水を通そうというところまで大体の目鼻がつきまして、
愛知用水につきましては
計画期間内に工事の
完成ができるという実は明るい見通しがついたような次第でございます。
項目の御
説明に入ります前に全般的なことを簡単に申し上げました。
それから表を何枚かめくっていただきますと、
縦書きになっております
昭和三十五
年度農地局予算要求の
重点事項というのが書いてございます。これにつきまして簡単に御
説明申し上げます。九
ページでございます。
第一番目が
農業基盤整備事業の
拡充という項でございますが、
土地改良なり、あるいは
開拓、
干拓というようなことをここで
説明いたしております。第一番の
名称を改めた点につきましては先ほど申し上げましたが、
土地改良につきましては、先ほど申し上げましたように、前
年度に比較しますと、
愛知用水とか篠津とかいうものを除きましても二十七億ばかりの
増加に相なっております。これは前の表をごらんになればわかるのでございますが、この中で
国営事業が先ほど申し上げましたように、非常に
伸びたということを申し上げたのでございますが、前
年度に比較しますと約十六億ぐらいの
国営事業は
増加になっております。特に
伸びましたのは
特別会計の
関係でありますことは前申した
通りであります。今の
予算でやったらどのくらいで片づくかという
残年量を申しますと、
一般会計の分は三十五
年度予算ベースでいけば六年ぐらいでできる、それから
特別会計は、これはまだ始まったばかりのものもございますので、
特別会計は七年で
完成ということを言っておりますが、これは単純に計算したので、現在の
予算でそのまま割れば八年ぐらいはかかるということになっておりますが、これは後
年度になりますと
予算が
伸びる点もございますが、
特別会計につきましてはそういう
数字が一応出ますが、現実の問題としては、これは何とか七年で
完成していきたいというようなつもりでございます。
北海道につきましては、大体七年ぐらいで
北海道の
国営は
完成するだろうというような、
残年量はそういう
数字が載っております。それでこの
国営の問題でございますが、これをやります場合に、実は
大蔵省とだいぶ
議論をしました点を御紹介いたしますと、
大蔵省では、
特別会計七カ年で
完成するということにしているけれども、これでは今の新しくとっていく
地区その他から
考えれば、なかなか七年では
完成しないのじゃないか、もっとこの
事業年度を伸ばしたらどうかということが実はだいぶ
議論になりましたが、これは一応
原則通りということにいたしております。それから
特別会計の国の
負担が五八%でございますが、五〇%に下げたらどうかということも強く
要求されましたが、これも一応国の
負担は五八%という前年
通りに相なっております。それからもう一点、これは私の方が話し合いで折れたのでございますが、今まで
特別会計の借入金は六分でございましたが、これは多
目的ダムも全部一律に
資金運用部特別会計の運営上六分三厘ということになるので、新しく始めるものからは六分三厘にしてほしいという話がございまして、実はこれにつきましては、
新規に手をつける分からは六分が六分三厘になるという点が一点変わりましたが、その他は従来
通りでございます。これは従来
着工いたしておりました
地区は、ずっと
完成まで六分で変わりございません。
新規に
着工をする
特別会計だけから六分三厘ということになりまして、今までと若干変わっております。それから
新規につきましては、今まで手をつけたものを早く
完成して、
新規は
あと回しにしたらどうかという
議論もだいぶあったわけでございますが、これも結局
新規につきましては、次の
ページに書いてございますが、
着工いたします
地区は、新潟の
阿賀用水と静岡の三方原という二
地区と
北海道の直
轄明渠のオンネビラ、安春川、この二
地区というもの、四
地区を
新規着工しよう、それから
着工の中で全体設計に着手するという所は六
地区ございまして、第一に
赤城榛名地区、
北海道が直
轄明渠で五
地区というような
新規につきましても、だいぶ
議論はいたしましたが、結局そういう
地区を採択するように
予算では確定いたした次第でございます。で、
土地改良の中で
国営につきまして、
特別会計は先ほど申しましたように七カ年で
完成という原則を守ってやっていくということで、今
年度特別会計は、今まで手をつけておりました手取川という
地区一
地区の振りかえをいたしまして、
地区数が十五
地区に変わっております。そのほかの
一般国営が十四
地区、
北海道が三十一
地区というような
地区数でこれをやっております。で、
土地改良の中でここに
水系開発事業と書いてございますが、われわれ特に
国営事業と
県営事業が付帯しておりまして、この
事業に非常にアンバランスがあるという所を実は取り上げまして、そういう所につきましては、なるべく
県営と
国営と
完成が同時にはかれるようにしたいというようなことで、
国営地区は十二
地区、
県営地区は十七
地区というものを取り出しまして、これにつきましては
経済効果が同時に発生していくようにというようなことで、特に
県営につきましては、
国営におくれないような
経費をつけたいというふうに
考えております。これにつきましては、まだ
県営どの
地区に幾らということをきめておりませんが、
予算が御
審議いただけます間に、
県営の
事業費をきめまして、
国営と
歩調を合わせて効果が発生するというようなことを
考えている次第でございます。
それから次
ページに
県営のことがまん中に書いてございますが、実は
県営は
全国で三百七十六
地区ぐらいございます。非常に
地区数は多いのでございますが、実はなかなかこれは進んでおりません。
残年量で申しますと
内地が七年ぐらいかと思っております。それから
北海道が五年ぐらいでございます。こういうことで
県営につきましては
金額の
増加が約三億七千万ございますので、
事業費で七億四千万ぐらいの
事業費が
伸びたわけでございますが、この
県営につきましては、さっき申し上げました
国営に付帯した
県営は
国営と
歩調を合わせてどうしても
完成さしたいというようなつもりでおりますが、その他のものにつきましては、やはりいろいろほかの電源でございますとか、あるいは治水の
関係とか、ほかの
関連事業と
関係を持つようなものにつきましては、優先的に
考えていくというようなことをやりまして、なるべくこれも早く
完成したいという
考えでおります。
新規につきましても、あまり
新規をとっていきますことは、また
残年量をふやすことになりますので、
内地は
新規二十本、
北海道は五本というようなことで、
新規につきましてはある
程度の制限をいたしまして、手をつけた方をなるべく早く
完成したい、こういうような
考えでおるわけでございます。
それから
県営につきまして
一つ、
融資のことでございますが、あるいは官房から御
説明いたしたかもしれませんが、公庫法の改正をしてもらいまして、
県営の
融資は据え置き五年になっております。たしか五年、十五年でしたか、これを、据置期間が五年ではまだ
経済効果が発生しないうちに償還が始まるというようなことに過去において相なっておりましたが、これを据置期間を七年ということにいたしますと、大体
県営に手をつけまして
経済効果が出ます。出てから償還に入るというようにいたしたいというような
考えで、
県営の補助残分の
融資につきまして、据え置きを従来の五年から七年に伸ばすということで、実は
融資の方は法律の改正を
お願いいたしておるような次第でございます。
それから
団体営でございますが、これは先ほど申しましたように、
団体営につきましては、大体前年と同額ぐらいの
金額であります。これは六分三厘の安い非補助小団地
土地改良事業助成基金という制度を設けました場合に、大体
団体営につきましては、国費、
一般会計は大体四十億前後にして、あとは
融資をふやしていこうというような、実は
大蔵省と事務的な話し合いをいたしておりまして、実はここに書いておりますように、四十億から四十二億になったというようなことでありまして、
一般会計におきましてはそうふえておりませんが、
融資は三十四
年度は三分五厘の低利
融資が六十三億でございましたが、来
年度は九十億というふうに大幅な
増加をいたしておるような次第であります。また、この四十二億二千の中には、前の表にもございますけれども、
土地改良区に参ります
調査設計費の補助が三千八百万であります。あるいは名神国道に関連しました
団体営が一億九千万でありますとかいうような
事業もこの四十二億の中には入っておるわけであります。
それから五番目には
愛知用水と篠津のことを書いてございますが、
愛知用水につきましては、冒頭に申し上げましたように、大体三十五
年度で
事業はほぼ
完成する、一部の若干の支線でございますとか、調整池が若干残るということはございますが、大部分のものは三十五
年度に
完成いたしまして、三十六年の
植付には間に合う、水を通すということの目鼻がついたわけであります。
一般会計では二十二億が二十五億と三億ふえただけでございますが、このほかに実は
愛知用水事業費が従来三百三十一億という予定でございましたが、その後用地買収の問題でございますとか、あるいはダムが
災害で仮締め切りが一度決壊いたしましたとか、あるいは地すべりができましたりというようなことで、ダム
関係でも費用がふえる、あるいは幹線においても開水路よりも、トンネルでありますとかサイホンとか、そういう山手に下の平地から追い上げられる用地買収
関係でなかなかむずかしくて、開水路よりも金のかかる工事がふえまして、あるいは支線の
関係でも、開水路で予定しておりましたのが用地買収の
関係で管水路にいたしました。大分そういうようなことで
事業費がふえまして、四百二十三億というふうに、九十二億くらいの
事業費の実は増になっております。そういう
関係で
一般会計では二十二億が二十五億になっただけでございますが、このほかに
予算外の契約を実は
お願いいたしておりますのが五十三億六千六百万ございます。それから後ほど出て参りますように、運用部資金から六十億、余剰農産物の会計から四十五億、百五億というような運用部資金、余剰農産物資金も借りております。それからそのほかに
事業費がふえましたので、国の補助金もふえるわけでございますが、この
関係で国庫債務
負担行為を百億、これは今まで出しました補助金と、今後国が補助金を出すわけでございますが、その分の国庫債務
負担行為五億九千九百万という国庫債務
負担行為も実は
お願いいたしておるような次第でございます。そういうことで資金の手当は、大体
予算を御
審議願えれば目鼻がつくということになりまして、一応今期内に
完成するという見通しが実はついたわけであります。ただ、これで農民
負担の問題がございますが、これにつきましては、実はこれに関連します工業用水の問題、あるいは関西電力等の電気
負担の問題等、まだ実はきまらない問題がございますので、
事業費は一応四百二十三億となりましたが、まだ農民
負担につきましても幾らという確定はいたしておりません。今後、私どもはなるべく農民の
負担を上げないようにということと、工業用水の使用料の問題あるいは電気等のアロケートの問題その他につきまして努力をいたしていきたいというふうに
考えておる次第であります。それから篠津につきましては、十二億が十三億で実はあまり篠津自体はふえておりませんが、
北海道の
事業費としましては、実は大夕張がちょうど工事が一段落といいますか、あるところの発電等の部分効果も出てくるというところまで参りましたので、そちらに重点を置きました
関係で、篠津につきましては、若干
事業量がふえただけでとどまっているようなわけでございます。
それから次に書いております
国営造成施設でございますが、これは新しく入ってきた
予算でございます。
金額は四千二百万でございますが、実は従来国で作りましたダムでありますとか、あるいは頭首工あるいは水路というものは、全部これは
土地改良区に管理を委託していたわけでございます。しかし、これがある
土地改良区にとりましては非常な
負担にもなりますし、あるいはまた水の
公共性という、治水とか、あるいは他種水利というような水利との競合ということになって参りますと、単に
土地改良区に管理を委託しただけでは不十分ではないかという
考え方からしまして、本
年度から初めて二府県以上に
関係を持ちますところのダムでありますとか頭首工というものの管理は、
一つ国が直接管理をしまして、その
公共性にこたえていこうという
考え方からして、初めて国の直轄管理という思想が認められたわけでございます。来
年度は十津川、紀ノ川にありますダム、それから鶴沼川、流域変更しました白河矢吹の羽鳥のダム、それから頭首工という二カ所が国の直轄管理をするというふうになったわけでございます。そういう思想で参りますと、まだ十津川水系でありますとか、あるいは道前、道後あるいは愛知県の宇礼のダムというようなものは、当然でき上がりますれば国が直轄管理をしていくということに相なろうかと思います。また
北海道につきましては、二府県以上というわけに参りませんが、これはでき上がりました施設によりまして別途相談をしていこうというような
考え方を持っております。これはわれわれの来
年度予算で認められた
一つの新しい
考え方でございます。
それから六番目の農地集団化でございますが、これは農地の交換分合を進めて参ります上に、
一つの手段と言っては語弊があるかもしれませんが、単に
計画を立てて、それだけで換地なり交換分合というようなことをはかって参るということは、なかなか困難な面もございますので、それにあるいは交換分合いたしますような際に最も必要な農道につきましては、補助金を出そうじゃないかということで、昨年から――昨年といいますか、三十四年から
新規に入った
事業でございますが、これにつきましても若干
事業量をふやすことを
考えております。これも第一次
計画、第二次
計画と農地集団化の
計画を作りまして今進めておる最中でございます。これは補助率が
内地は二割、
北海道四割五分というふうになっておりますが、
内地の補助率につきまして、実は今
大蔵省と、これをもう少し上げることを交渉をいたしておりまして、まだ話はついておりませんが、何とかもう少し、二割という補助率はもう少し上げたいというようなことで、今交渉をいたしておるようなわけでございます。
それから、次が
干拓事業でございますが、
干拓は、御
承知のように補助
干拓を除きまして、全部
特別会計で七カ年
完成ということで実はやっております。ここにありますように、五十七億が六十六億というように
金額がふえております。これにつきましては、われわれとしては何とか七年間でやっていきたいというような気持でおりまして、今、手をつけております
残年量は、
国営が約五年で終わる、直轄は五年くらい、代行は五年半くらいで終わるというような残
事業量が残っております。
干拓につきましては、実は
予算をやりますときに、
干拓の農民
負担の問題が実はいろいろ
議論がありまして、二割だけしか農民
負担がないというのは、非常に農民に有利に過ぎるではないか、もう少しこの制度を検討すべきじゃないかということが
大蔵省から提案がありまして、実は、われわれも、これにつきましては、伊勢湾台風の際にいろいろ問題になりまして、農林省の
干拓は農民
負担があるから、堤防等がいわゆる安くできていて、こわれやすいのじゃないかという批判をだいぶ受けたわけでございます。それで、われわれとしましても、
干拓につきましては、農民
負担は、たとえば堤防については農民
負担をしないで、
農家の
地区内工事について農民
負担を
考えたらどうかというようないろいろな
考え方を
議論をいたしておりますが、
大蔵省もいろいろな提案をしておりますので、
干拓につきましては、三十五
年度は今のままで参りますが、三十六
年度以降につきましては、いろいろ制度の問題として検討したいというようなことを
予算の折衝の過程におきまして両方で話し合っております。それから、
干拓の中で一番大きい八郎潟でございますが、これは、来年は三十億という資金規模をもちまして、
地区内の堤防でありますとか、あるいは排水機等に重点を置きまして
仕事をやっていく、これも
計画年度内の
完成をはかって参るというようなつもりでおります。三十億といいますと、後
年度ちょっと苦しくなりますが、まだ
年度内の
完成は、機械等を相当使えば大丈夫できるというような確信を持っておる次第でございます。それから
干拓につきまして、やはり
新規をとるとらぬで問題になりましたが、これもここに書いてありますように、霞が浦の西の州という所に新しく
着工いたしますとともに、別に中海――島根県、鳥取
関係の中海それから石川県の河北潟、これにつきましては、
一つ実績で全体設計をやろうじゃないかということで、
新規にこの
地区を採択した次第でございます。
そのほかに、もう一点、
干拓につきまして、冒頭に申し上げましたが、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、有明海あるいは不知火海、あるいは瀬戸内、そういうような
干拓地で、まだ
完成いたしておりませんで移管してないもの、でき上がって移管してないもの、あるいはもうすでにでき上がりまして移管したものというようなものにつきましても再検討を加えまして、従来の堤防の高さでいいのかどうか、あるいはまた堤防の高さはいいとしても、てんばなり、あるいは裏法の被覆をすべきじゃないか、あるいはまだ入植者が入ってない所には、住宅地を今まで散落式に
考えておりましたのを集落式に
考えて、住宅地の土盛りをする、
かさ上げをする、あるいはもう入植が終わっております所には、共同の避難所を作るというような、
干拓保全の
事業を三カ年
計画でやり上げようじゃないかというようなことで、
干拓保全事業というものを新しく実は取り上げておる次第でございます。
次は
開拓でございますが、
開拓につきましては、先ほど申し上げましたように、来
年度予算について私どもだいぶ重点を入れて
考えております。
一般会計では約十一億くらいの
事業費の
増加でございますが、これにつきましては、いろいろそのほかの対策を
考えておるようなわけでございます。今、手をつけております
国営なり代行
地区なりの
残年量でございますが、これも
国営の、
内地では約五年くらいな
残年量を持っております。
北海道は七年ぐらいございます。それから代行が、
内地が約六年、
北海道が九年半というように、まだまだ、今、手をつけました所でも、
残年量は実はだいぶ残っております。これにつきましても、やはり
予算の過程において、
新規その他はあまり手をつけないというようなことが
議論になりましたが、ここにも書いてありますが、
内地では岩木山麓を取り上げて全体設計に着手する。あるいは岩手県の九戸も
一つ手をつけます。
北海道においても、芦別とか泉源という所、あるいは勢雄第二というような所にも新しく
仕事を始めるということで、
新規につきましても、ある
程度のものはとっておくということに相なっております。それから
開拓につきましては、
既入植者の対策ということに重点を置きました
関係上、
新規の入植は千戸ということにいたしまして、全力をあげまして既入植対策に力を注ごうというようなことで、ここに書いてありますように開墾建設工事でございますとか、あるいは
開拓の補助
事業、小団地の補助でございますとか、あるいはでき上がりました所の
開拓地改良、あるいは道路の補修というような
開拓の補助
事業、それからそのほかに、住宅でありますとか、電気とか飲料水というようなことをいま少し、
開拓の実施と書いてございますが、おもにこういう環境
整備をしていくというような
事業でございます。あるいは
新規なものとしましては、今まで過剰入植で営農が不振に陥っているという所につきましては、あるいはそういう
地区から離農して移民に出ていきますとか、あるいはほかの地へ再入植するというような人につきましては、新しく補助金を出して、移転
地区の
整備をしていくというふうなことも
考えております。それから今まで借りております国の債権が非常に営農振興の重荷になっておるというようなことがいわれますので、これにつきましても、一定の振興
農家につきましては、今までの債権を一本にいたしまして、五年据え置きの償還二十年というような有利な債権に切りかえる。国の債権を一本化して有利なものにしていくというような、条件の緩和というようなことも新しく
考えましたので、その
関係で、利子の繰り入れ等もだいぶ変わってきております。また、
開拓者が、
災害の場合に天災資金がなかなか借りられぬというような場合に、
特別会計からも若干
融資できるというような道も作っております。それから保証協会の出資も一億というようなことにいたしまして、これは約六倍になりますので、この保証の
ワクがだいぶふくらみまして、これをやりますと、三十億くらいな金が実は今までの出資と合わせて回っていくというふうなことも
考え、それからそのほかに、自作農資金、つまり不振
開拓者に十五億というものを予定しておりますが、自作農資金でございますとか、あるいは振興対策資金というものを実は
考えまして、
既入植者対策に力を注ぎたいというような
考え方をいたしております。
以上が大体
農業基盤の
整備関係の費用の大部分でございます。
あと、そのほかに、次の
ページに
調査計画がございますが、これにつきましては、来
年度は水の問題になるべく重点をあてて
調査をやっていく。そのほかに従来やっておりました要
土地改良面積とか要
開拓面積とかいうようなものにつきましても、もう一回再
調査しまして、国土開発というものも新しい目で
一つ見ていこうじゃないかというようなことで、新しい
調査の
予算等をとっている次第でございます。
調査計画につきましては約五千万
程度のふえでございますが、おもに今申し上げました水を中心としました
土地改良の問題あるいは要
土地改良面積の
調査、そういうものが重点になっております。
それから第二番目に農地制度の維持発展でございますが、これは従来ございます農地法をなるべく守っていこうというための
経費と、そのほかに自作農資金がことし百億でございましたものが百三十億というような、三十億の
増加になっております。これは
北海道につきましても、本年よりも上回ったものを
北海道にも回しまして、
北海道の負債整理
関係の一助にもしたいというような
考えでおる次第でございます。
それから次は
災害対策でございますが、これは来
年度の
予算の
一つの柱でございますが、防災のため池でありますとか、あるいは老朽ため池でございますとか、あるいは地盤沈下対策でございますとかいうようなものがこの中に入っておりますが、
総額において約五億くらいふえておりまして、この中で従来と変わりましたものは、
海岸につきまして、
海岸保全というふうに
名前を出しまして、基盤
整備から分けて
集計いたしておりますことは、
治山治水対策に重点を置いたという来年の
予算の制度に合わしたわけでございます。そのほかに地盤沈下
関係にかなり力を用いまして、新潟、福井、石川というようなところにつきましての地盤沈下対策に、かなりの金を前
年度より
増加して計上いたしております。それから
災害復旧につきましては、ここに書いてございますように、三十五
年度中には三十二年の
災害は全部復旧いたしますし、三十三年は一五%、昨年の大きな
災害については六五%までの
災害復旧の進度を上げていきたいという比率で
予算の計上をいたしております。それから高潮対策でございますが、これは前
年度は予備費を入れますと十二億でございますが、これが約二十億になっております。御
承知の鍋田、衣ケ浦、碧南というような直轄
事業が十三億、補助
事業が六億八千万ばかりございます。これで
一つ問題がございますのは、補助の
災害につきまして、実は
大蔵省で査定をやりましたときに、被害の六割というようなことでやっておりますので、この点につきましては、もう一度現地を
調査した上で最終的にきめようじゃないかというようなことで、再
調査をしてみようというようなことで、今月中に
関係省全部現地へまた行きまして、再
調査をするということが
一つの問題がございます。それから、そのほかに
災害対策としましては、今年も補正でやりました入植者の住宅、農畜舎の復旧というものが、来年も三億ばかり計上いたしてございます。それからこれも問題になりました除塩
事業でございますが、これも大体確定いたしまして、一万五千ヘクタールくらいの面積になりますが、本
年度の予備費で三億九百万円、来
年度の
予算が一億三千三百万という
経費を計上いたしまして、
植付までには何とか除塩の効果を発揮いたしたいというふうに
考えておるわけでございます。そのほか救農につきましては、これは二億という
金額を計上いたしております。これは愛知県、三重県、岐阜県の被害激甚地でありました長期湛水地域だけに限定いたしまして区画
整備でありますとか、あるいはクリーク状の水路の埋め立てをいたしまして土地の造成をするというものにつきまして、なるべくそういう地帯には労賃を落としていった方がいいのじゃないかという見地で来年も本年に続きまして、異例でございますが、二年間救農土木
事業をやろうということで
予算の計上をいたしております。
最後の財政投
融資でございますが、
愛知用水につきましては、先ほど申し上げましたように、
一般会計の二十五億のほかに運用部資金から六十億、それから金利の問題、余剰農産物資金を四十五億というものを実は確保しておるような次第でございます。それから農地開発機械公団につきましては、昨年は三億のほかに世銀からの金がありまして、両方で五億でございますが、運用部資金は三十四
年度は三億、三十五
年度は一億でございます。二億減っておりますが、この三十四
年度の三億は、八郎潟の浚渫船を作りまして国が借りるということで
金額が多かったのでございますが、来
年度一億と減りましたのは、そういうものがなくなりまして、今持っております機械の修理工場を作る、
整備工場を作るというようなことの金だけになりましたので、若干減っておるようなわけでございます。それから特定
土地改良工事
特別会計は、これは先ほど申し上げました特定
土地改良あるいは
干拓というものがきまりますと、それに付随しましてある一定の率で
特別会計、運用部資金から借りることになっておりますので、これは必然的に
事業量の
増加とともにふえる金でございます。それから次の
開拓者資金でございますが、これは二十八億が三十五億になっております。これがふえておりますのは、振興
農家に対する貸付というものがだいぶふえて、三十四
年度三十二億でございましたが、来
年度三十六億というようにふえました
関係が一番大きくなりまして、運用部資金からの借り入れが三十五億というようにふえておるわけでございます。それから次の農林漁業金融公庫でございますが、これは先ほど申し上げましたように非補助小団地の
関係で三分五厘、六十三億が九十億になっております。そのほか補助残が五十億でありますとか、
災害が十七億でありますとかいうようなものがございまして、前
年度に比較いたしまして約三十億の
増加に相なっております。それから自作農資金は、先ほど申しましたように、
北海道の
関係等を頭に置きまして、今年百億が百三十億というような
増加をいたしておるようなわけでございます。
だいぶ時間を拝借して恐縮でございましたが、簡単でございますが、これで御
説明を終ります。