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政府委員(丸山佶君) いわゆる間接雇用、すなわち、
日本政府が雇用いたしまして
米軍の使用に供する形態の労務者の雇用主は、
政府を
代表しまして
調達庁長官がなっておりますので、その
関係について私からお答えを申し上ます。
労務者のただいまのような状況におきまして、雇用の継続中に、いろいろな原因、その最も重要なものは、後に御
質問があると思いますが、保安の問題でございますが、それ以外にも、たとえば制裁とか、あるいはまた軍の仕事がなくなる、減少したということで
整理という問題、その
整理のやり方等に関連しまして、これが不当の労働行為であるということのために裁判問題が起きる。この裁判問題が起きますときに、この間接雇用の場合でありますというと、
日本政府が雇用主でありますので、
日本政府自体が裁判に応じて裁判所に出る。これらの件数は、やはり保安、制裁あるいは
整理という問題に関しまして、過去において数百件あると存じます。一方、また直接の場合には、先ほど労働大臣が
お話の
通り、その場合には、法律上の雇用主も軍の歳出外の機関となっております。これに関しましても、そのような
関係からの訴訟問題、これは数件と私は聞いておりますが、そういう場合におきましても、この歳出外の機関に関連しまして、まず第一に裁判管轄権の問題で、これは軍の公認の機関であるので、
日本政府の裁判管轄権の外にあるということで、裁判所の方には出て来ない。従いまして、これの裁判所における審理、判決ということに至らないという問題が、まず第一にございます。間接の場合にはそのようなことがなく、
日本政府が裁判所に出て参りますので、問題がございません。いずれにしましても、直接、間接を問わず、そのような問題があるわけでございます。間接の場合に、そのような裁判の結果、あるいは労働
委員会の結果、これは
政府が勝つ場合も、それから
政府が敗訴する場合もございます。勝訴の場合、すなわち解雇措置等がそのまま裁判所で認められる場合、これはまあ問題がないわけでございますが、敗訴の場合、敗訴をいたしまして、原職復帰を命ずる、あるいは今までの賃金相当額を払い、今後も使用を継続せよという判決の場合に、
米軍側に、その交渉をいたすわけでございます。その場合に、
米軍の原則的な態度といたしましては、これは実は、
基本労務契約の問題といたしましても、占領時代の末期に当初の
基本労務契約ができまして、これを平和
条約発効後改定をいたす努力をいたしまして、これがようやく三十二年の十月に改定になった問題でございますが、この特に古い契約の時代におけるそれらの問題に関しまして、その中に、
米軍の担当官が最終的と意思表示をした場合には、その解雇は最終的となる、このような条文がございます。従いまして、米側の態度といたしましては、
日本政府と米側の
関係においては、
米軍側が決定したものが最終的なものである。従ってそれが裁判所において
反対の結論が出されても、
日本政府との
関係であって、米側の直接のあれではない。
米軍としては、とにかく
基地の
施設及び
区域の中において、この人の就労を必要とするかどうか。これはその
施設、
区域に関する必要な観点に基づいて軍側の判断に待つべきものである。そのような理由のもとに、大部分のものに関しましては、その判決
通りの履行ができない。
現実的にできない。軍の
承認、合意がないというと、
区域の中に入れて就労を継続させることができませんので、
現実的にできない。のみならず、その経費、つまり労務者に支払わるべき賃金相当額、これらに関しまする経費というものは、御承知の
通り、労務
基本契約に基づいては、全部米側から償還を得ることになっております。この償還問題に関しましても応じないという実情が継続しておりまして、労務問題としてはもっとも困難な問題の
一つでございます。数年の間、合同
委員会の席上におきまして、これらの措置について、いろいろ
議論して、その解決策をはかって参りましたが、なかなか適切な双方の合意をみるところの
事態に至りませんでした。そこで今回の行政
協定の改定にあたりましては、どうしても
協定から改定し、その解釈を双方はっきりさせておかなければいけない。ために外務省では、鋭意努力をされまして、今日のような条文に改めましたわけでございます。従いまして今日の条文に改まりますと、その裁判所あるいは労働
委員会の決定というものは、すべて原則的に、軍側の方も、
日本政府からの通告があればそれをその
通り履行する。しかしながら唯一の例外としては、保安解雇に関する条項だけは、軍という
事態の性質上、
承認するわけにいかない。この点は、
日本側も、軍という特殊の性格において、その主張ももっともと認めて、それは例外的に扱ってよろしい。しかしながら一般の問題に関しまして、裁判あるいは労働
委員会の判決というものがあるならば、これはその
通り履行される。このようなふうに全般的な改善策を講じたのが、今回の改定でございます。