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1960-06-07 第34回国会 参議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月七日(火曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員異動 本日委員大谷瑩潤君及び一松定吉君辞 任につき、その補欠として下條康麿君 及び谷村貞治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君    委員            伊能繁次郎君            大谷 贇雄君            北畠 教真君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            谷村 貞治君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    人事院事務総局    職員局長    矢倉 一郎君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局給    与課長     船後 正道君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当支給に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国家公務員災害補償法等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国家公務員等退職手当法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣安員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。本日、大谷瑩潤君が辞任され、下條康麿君が選任されました。   —————————————
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、以上六案を一括して議題といたします。  まず、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院におきまして修正議決されておりますので、その修正点について、政府側から説明を聴取いたします。船後大蔵省主計局給与誤長御説明を願います。
  4. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案修正案は、失業保険法の一部改正に伴うものでございます。まず、失業保険法国家公務員等退職手当法との関係につきまして、簡単に御説明申し土けます。現行失業保険法規定によりますと、国家公務員等は、この法律の被適用者になっておるのでございますが、同法第七条に特例を設けまして、国家公務員等が離職した場合に支給される諸給付内容が、この失業保険給付内容をこえると認められるときは、これを被保険者としないという旨の規定がございます。そして国家公務員等退職手当法第十条におきまして、国家公務員等退職後失業しているものにつきまして、退職の際に支給された退職手当の額が、失業保険金相当する額に満たないときは、その差額相当する金額失業者退職手当として支給する旨の規定がございます。これによりまして、国家公務員等は現在失業保険法適用から除外されておるのでございます。ところが、現行国家公務員等退職手当法第十条の規定は、失業保険給付内容改正されました場合に、自動的にその給付内容改正されるという形をとっておりませんでして、失業者退職手当の額を失業保険法規定に合わせまして、具体的に勤続期間に応じまして、九十日ないし二百七十日分の支給率を定めております。ところが、本年四月一日から施行されました国会提案にかかる失業保険法及び職業安定法の一部改正によりまして、失業保険給付内容改正されました結果、国家公務員等支給される失業者退職手出内容が、失業保険給付内容を下回ることとなりました。そこで、この改正された失業保険給付内容に合わせて、国家公務員等失業者に対する退職手当内容を改める必要が生じたのでございます。この失業保険法改正によりまして、新たに追加されました失業保険給付内容は、おおむね次の三点でございます。  まず第一点は、職業訓練施設入所者に対する給付延長制度新設でございます。これは失業保険金受給資格者職業訓練の受講を容易にするために、公共職業安定所の指示しました公共職業訓練を受ける受給資格者に対しましては、失業保険金支給が終了した後もなお訓練終了の日まで失業保険金支給延長することであります。  第二点は、広域職業紹介活動が命ぜられました場合における給付日数延長であります。これは一定地域におきまして、失業者が多数発生し、その地域において就職させることが著しく困難である場合で、これらの求職者が他の地域において就職することを促進するために、労働大臣広域職業紹介活動を命じた場合におきましては、必要があると認めるときは、労働大臣当該地域にかかる広域職業紹介活動によって、職業のあっせんを受けることが適当と認められる受給資格者につきまして、その指定する期間内に限り、一定日数分給付延長をなし得ることを内容とするものでございます。  第三点は、就職支度金給付制度新設であります。これは失業保険金受給資格者の再就職を促進するために、受給資格者就職した場合に、就職支度金を新たに支給することといたしたのであります。この就職支度金は、受給資格者所定給付日数の二分の一以上を残して早く就職した場合に支給するものでございまして、その支度金の額は、その失業者所定給付日数の三分の二以上を残して就職いたしました場合におきましては、失業保険金の五十日分相当額を、また所定給付日数の二分の一以上、三分の二未満を残して就職しました場合には、三十日分相当額支給するものであります。  以上の三点が失業保険法改正概要でございますが、国家公務員等退職手当法におきましては、まず従前の第十条の第一項に、先ほど申しましたように、勤続期間別失業保険金相当の額に見合う給付率規定いたしておりますが、これを今回改めまして、国家公務員等で、六ヵ月以上の勤続期間のある者が退職いたしまして、失業保険金給付条件に該当いたします場合に、その者の受けました退職手当の額が、失業保険法規定する失業保険給付に満たないときは、その差額支給する旨規定いたしました。これによりまして、今後失業保険法の方で給付日数改定等措置が行なわれました場合には、自動的に国家公務員等退職手当につきましても及ぶこととなるわけでございます。  さらに第十条に新たに項を起こしまして、先ほど申し上げました就職支度金給付に関する条項をつけ加えたのであります。  以上が、衆議院における修正案概要でございます。
  5. 中野文門

  6. 村山道雄

    村山道雄君 最初に、この次に行なわれます人事院勧告の問題について、益谷国務大臣人事院総裁にお伺いをしたいのでありますが、益谷国務大臣は当委員会におきまして、公務員給与民間給与との較差相当の率に達しておること、また三公社現業仲裁裁定実施によりまして、なおさら公務員給与との較差が生ずることを認められまして、なるべくすみやかにその較差を少なくするように努力をするという答弁をしておられるのであります。また、この期末手当を含む三法案が衆議院審議されました際に、衆議院内閣委員会におきましても、民間給与との較差をすみやかに解消するための措置を講ずべきであるという附帯決議が行なわれておるのでありまして、これらの点から見まして、近く人事院勧告が行なわれると考えられるのであります。そこで、益谷国務大臣にお伺いいたしたいと思いますることは、その勧告実施の時期の問題でございます。人事院が四月一日というように明示をいたした場合には、政府はその通り実施をされるお考えでありますか、また、人事院が時期を明示せずに、今までのように、なるべくすみやかにという表現を使いました場合には、政府はそれでも今年度中にこれを実施するお考えがありますかどうか、まず、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  7. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) たびたび申しております民間との公務員給与較差があると私は見ております。従って、今回、人事院から勧告が参りますれば、常に申し上げております通り、これをすなおに忠実に実行いたしたいと考えております。ただしかし、そこには財政上も考慮いたさなきやならんことは当然でありまするが、しかし、私といたしましては忠実にすみやかに実行いたしたいと思います。例年は、なるべくすみやかにという勧告だそうでありますが、私は、たとえば人事院は、いつからいつまで、五月の一日というような指定があれば、できる限りそれに沿って参りたいと考えております。本年のごとく、一年間延ばすような考えは毛頭持っておりません。これはたびたび閣議にも強く要請をいたしております。
  8. 村山道雄

    村山道雄君 その点につきましては、益谷国務大臣の政治的な御手腕に期待をいたす次第でございます。  次に、人事院総裁にお伺いいたしたいのでございまするが、このたびは、人事院は、勧告の基礎になりまする民間給与調査の時期を、今までの三月分から四月分に切りかえをされたのでございまするが、このために、この次の勧告は今までの七月よりも一ヵ月おくれた八月になされることになりますかどうか、この点についてのお見通しをお伺いいたしたいのでございます。
  9. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 御説の通り人事院といたしましては、今年度は四月分の民間給与調査することといたし、すでに統計法に基づきまして行管庁にこれを届け出、すでにもうその調査実施いたしておるのでございます。ただ、問題は、例年はなるべく早く勧告をやりたい、つまり、政府予算編成になるべく早く間に合わせたいと思いまして、そこで七月の十五、六日ごろということになっていたのでございますが、今回は民間給与調査に四月分の賃金台帳を使いますので、これが、四月の終わりから五月の初めにかけまして休みが多いので、五月の六日からでなければ調査に従事できない、そのために若干ずれて参りますし、第一に、三月から四月へ切りかえますると、どうしても物理的におくれて参る。そこで、例年は七月の十五、六日ということになっておりましたが、今年はどうしても一ヵ月はおくれるであろう、従って、八月になると見ております。
  10. 村山道雄

    村山道雄君 次に、赤城防衛庁長官に、自衛官俸給体系についてお伺いをいたしたいのでございます。警察官海上保安官給与体系は、一般公務員とほとんど同じような立て方になっておりまするが、自衛官給与につきましては、警察官海上保安官などとはだいぶ異なる、独自の体系をとっておられるのでありまして、その俸給月額には、超勤手当や、あるいは暫定手当相当分が含まれておるように思われるのでありまするが、このように警察官海上保安官などと異なる体系をとっておられまする基本的な理由はどういう点にありますか、この点を伺っておきたいと存じます。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話し通り一般職給与につきましては、俸給、それに暫定手当、それに超過勤務手当、それに扶養手当、こういうものが加わっておるわけでございます。公安職である警察官あるいは海上保安官もこれと同じ体系になっておるわけであります。ところで、自衛官につきましては今お話し通り暫定手当俸給の中に入っております。それから超過勤務手当相当するものも俸給の中に含んであるわけでございます。扶養手当につきましては、これは俸給の中に含まれていないことは、一般職と同様であります。こういうふうに自衛官一般職あるいは警察官海上保安官等に対する給与体系が異なっておるところの理由はどこにあるかということであります。これは一般的に申し上げまするならば、勤務特殊性ということでございます。具体的に申し上げまするならば、暫定手当自衛官には支給いたしませんで、俸給の中に組み入れてあります。この暫定手当につきましては、御承知通り地域給暫定手当に変わってきておるものでございます。地域給につきましては、終戦当時の非常な地域差が生じておった時代に設けられた制度でありますが、この地域給につきましては漸次整理して、一般俸給の中に繰り入れるべきだ、こういう議論が非常に強いのであります。これは一般職につきましてもそういう傾向にあります。これが暫定手当として地域給を整理していくということで暫定手当となっておることは申し上げるまでもないことでございます。そういう傾向もありますが、それと同時に、自衛宜につきましては、制服につきましては人事異動相当あります。そういう関係から給与について地域差を生ずるということは、自衛官勤務特殊性から申しましても好ましくないことであります。一般的傾向、一般的な考えもありまするし、勤務特殊性から、暫定手当というものを設けることによって給与地域差の生ずることは好ましくない、こういうことで、階級ごと平均値を出しまして、これを俸給の中に繰り入れておるのであります。  第二に、超過勤務手当というものを自衛官には出しておりません。これも勤務特殊性からきたものでありますが、常時勤務態勢にあるのが、御承知のように自衛官であります。有機的な関連性を持って一致団結して共通の目的に精進していく、こういう意識を常時持つことも必要であります。またある程度の危険困難な任務についた場合にも、もちろん報酬というものが土台でありますが、報酬を度外視しても進んで行なうという意思の養成になれさせること、こういう関係から超過勤務という制度を設けておりません。このことは申し上げるまでもなく、学校教職員教職員につきましても、これは勤務特殊性から見まして、超過勤務手当というものは出しておりません。常時教育の学校外においても勤務に当たるというような関係もあることと思いますが、これは学校教職員につきましても、超勤手当を出しておりませんが、自衛官におきましても、常時勤務態勢でいついかなるときにおいても出動する、あるいは営内居住、これをすることがこれは建前であります。そういうことから考えましても、超過勤務手当というものを設けるのは適当でない、こういう観点から、これは俸給の中に繰り入れておりまして、これは一三・八%に当たっておりますが、これが俸給の中に繰り入れておるということでございます。  それから警察官海上保安官等々と異なる第三の給与体系からいいまするというと、本人私傷病に対する療養は、共済組合主体として給付いたしませんで、国を主体として給付する、これが警察官海上保宏官等と異なる第三の点であります。  第四は、先ほどもちょっと触れましたが、営内層住建前といたしておりまする博士につきまして、食事等を現金で支給いたしませんで現物支給しております。このことは常内層住しておる隊員生活状況及び勤務の実態に即応するようにしたい、こういう関係から、今のような食糧等現物給与をいたしております。この現物給与分は、営内居住建前といたしておりまする一曹以下の自衛官俸給については、これを控除いたしております。しかし、営内居住本人自由意思によるものでない点に考えをめぐらしまして、控除額は実費の三分の二、こういうふうにいたしておるわけであります。  こういうふうに警察官海上保安官等給与体系が異なっております。申し上げました点は主として四点において違っておりますけれども、これを抽象的といいますか、一般的に申し上げますならば、勤務特殊性に基づいてやっておる、こういうことを申し上げられると思います。
  12. 村山道雄

    村山道雄君 詳細なる御説明をいただいてよく了承いたしました。  次に、防衛庁長官にお伺いいたしたいのでありまするが、先だっての伊勢湾台風、また最近のチリ地震津波などの災害の場合に、自衛官の諸君が派遣されまして、また、その派遣中におきましては、危険作業徹夜作業等も行なわれましたので、その労苦は大へんなものであったと存じます。これは全国民ひとしく感謝をいたしておるところでありまするが、これらの災害派遣中の自衛官に対しまして、給与の上でどういう措置がとられておりまするか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、現在は災害派遣にあたりましても、警察官もあるいは消防官その他にも給与上何ら裏づけはされておらないのであります。また、自衛官給与もこのような公安職と均衡をとって定めておりまする関係上、現在災害派遣時におきまする給与上の裏づけ考えられておりません。しかし、緊急の派遣とかあるいは長期間にわたる派遣のときには、現実に生じておりまする隊員労働及び私生活上におけるいろいろな工合の悪い点をカバーするため、現地即応現物補給その他の厚生活動によって、隊員の能力の低下を防ぎ、部隊の機能を充実していきたい、こういうことで一段の努力を払っておるわけであります。給与の点におきましては、現在特別の給与支給するということにはなっておりません。
  14. 村山道雄

    村山道雄君 この際に災害派遣手当というような特別な手当支給するというようなお考えがありませんかどうかお伺いいたします。
  15. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは警察官消防官その他との関連もありますので、今直ちにそういうことを考えておりません。おりませんが、いろいろ検討はいたしております。
  16. 村山道雄

    村山道雄君 それでは大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありまするが、この委員会におきまして五月の十二日でありましたが、益谷給与担当国務大臣は、公務員給与を三公社現業との較差を少なくするように努力をするという言明をされたのでございまして、その翌日の閣議におきまして、仲裁裁定の承認の機会に、益谷大臣が同様の発言をされたというふうに承っておるのでございまするが、この一般公務員給与を、三公社現業との較差を少なくしようという問題につきまして、大蔵大臣はどのようにお考えになっておりますか、お伺いいたしたいのでございます。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この公務員一般公務員ですね、あるいは三公社現業、こういう職員の岡にそれぞれ給与立て方なり、あるいは金額等相違がありますのは、給与建前上これは当然の結果のように実は考えております。御承知のように給与は単純に相互比較ということはできるものではございません。申すまでもなく職務の性質なり、その責任なり、経歴なり、その他各種のものを勘案いたしまして適正給与というものができておるということであります。ところで、今までの給与の定め方は、すでに御承知だと思いますが、三公社現業の場合におきましては、団体交渉主体である、あるいは仲裁裁定というものが最後に出てくる、また一般公務員については人事院勧告を待って給与適正化をはかっていく、この二つの相違した仕組みで給与は実はきまってくるわけであります。もちろんその両者の金額を全蹄同一にしろという御議論ではないと思いますが、本来給与自身生計費に多分に関係のあることを考えますと、非常な差等を設けるものではない、これは私ども承知いたしております。ただ今申し上げますように、きめ方がそれぞれ違っておる、そこに時期的に相産したり、あるいは金額相違がきたりすると、これはどうもある程度やむを得ないのではないか、かように思います。ただいま御審議をいただいております一般公務員給与改訂の問題につきましては、これは昨年人事院勧告を受け、その人事院勧告の趣旨を尊重いたしまして、これを実施するという意味でただいま御審議をいただいておるのであります。もちろん、昨年も四月におきまして三公社現業等についての裁定を受け、これもそのときから実施しておるということでありますので、一般公務員に対するものと、それから三公社現業職員に対する勧告なり、あるいは裁定なりというものは、それぞれ時期を異にし、またそれぞれ内容等も異にしておる、こういうことであります。従いまして今後、当然ことしも人事院勧告の各方面の資料を集めていらっしゃることだと思いますが、その勧告が出て参りますれば、私ども従前方針を堅持いたしまして、そうして公務員給与改善努力して参るつもりであります。問題は、これがいわゆる今回出た三公社現業に対する給与の引き上げ、その結果当然一般公務員との間の較差が大きくなるだろう、それを是正する考えであるのかと、こういう意味でございましたら、そこまでは突き進んでは考えられない。ただいまは、昨年受けました人事院勧告実施する、その手続をいたしておる状態であります。この八月に予想されます人事院勧告を受けましたら、従前方針のもとに、その内容審議し、また財政状態等を十分勘案いたしまして、政府は尊重した処置考えて参る、かように実は考えております。従いまして、三公社現業の場合は団体交渉が基本であり、中労委の裁定等処置給与金額がきまる、一般公務員に対しては人事院勧告に基づいてきまると、かように御理解をいただきたいと思います。政府といたしましては、今回給与担当大臣であられる益谷さんのお答えを、あるいは一部誤解をしておられる節があるのではないかと、かように思いますのは、このたび三公社現業に対して裁定が下った、そうして三公社現業職員給与が引き上がる、一般公務員は昨年の人事院勧告もまだ実施しておらない、そういう段階だから、非常に差等ができて、較差が大になる。従って、それを直ちに何か埋める方法を考えるか、こういうようなお尋ねがあり、そういう努力を払うと、こういうように聞かれておる向きがあるのではないかと、かように私思うのでありますが、ただいま申し上げますように、ただいまは人事院勧告を待って一般公務員給与を改善していくということでございますから、この際は御審議をいただいておりますものを実施に移し、その次に、人事院勧告をいただきました上で、その内容等を十分検討し、財政状態等を勘案して処置をとっていくと、こういう考え方でございます。この点誤解のないように願いたいと思います。
  18. 一松定吉

    一松定吉君 私も、防衛庁職員給与に関して、どうも了解に苦しむ点を伺ってみたいと思います。これはあまりにも階級が多種多様ですね。参事官の俸給月額比較表は三十階級、それから尉官、佐官、将官の階級が三十五階級、それから一士、士長、一曹、こういうような階級が二十三階級、こんなに分けてやるということがおもしろくないのみならず、同じ参事官のうちでも、一級官と二級官と三級官と地位が同じところがたくさんあるわけですね。たとえば、参事官の三等級にしても、十三の給与から十九までは二等級の一から四までと同じ、それから二等級と一等級の給与が、二等級の八から十二までと、一等級の一から五までが同じと、こういうふうに重複しておるということが、実はこれは非常に混雑を来たして、われわれの感情からいってもどうかと思うのでありますが、たとえば幹部の給与でも、一尉、二尉、三尉と階級が違うにかかわらず、一尉の一級から七級までと三尉の八級から十四級までが月給が同じ、それから一尉と二尉との間の月給が、二尉の五級から十一級までと一尉の一級から七級までが同じ、それから佐官、尉官といたしましても、三尉の十一級から十四級までと三佐の一級から四級までが同じ、あるいは二尉の十一級から十三級までと三佐の四級から六級までが同じ、そうして一尉の七級から十二級までと三佐の四級から九級までが同じ、しかも二佐の一級から六級までが同じ、それから今度は一佐の一級から三級までと一尉の十級から十三級までが同じ、そうして二佐の四級から六級までと一佐の一級から三級までが同じだというように、重複してたくさんあるのは、これは私の考えでは、やはり尉官は尉官、一尉は一尉、二尉は二尉、三尉は三尉で、どの尉官でも尉官は佐官を追い越さない、佐官は将官を追い越さないというように、基本的の俸給はちゃんときまっておって、それから先今度給与をふやすというような必要のあるものには、あるいは勤続手当、あるいは功労手当、あるいは超過勤務手当というような特別なものをこしらえて、その原則の俸給に加えていくようにすれば、一佐と二佐との間に俸給が重なってみたり、三佐と重なってみたり、あるいは一将と二将と重なってみたりするようなことでは、自分は階級は下でありながら俸給は上だというような考え本人に持たせ、また国民に持たせるということが、非常に複雑になって、こういうような計算をする上からでも、職員をたくさん使わなければならぬし、また給与を受ける方でも、おれは階級は下だけれども収入は上だというような考えを持たせるということはどうでしょう。やはり月給は、尉官は、一尉、二尉、三尉はみな月給は違うと、それから今度は佐官になると、尉官よりも佐官の方が上だと——一佐、二佐、三佐の方が上だと、将官は佐官よりも上だというようにして、原則的に俸給はちゃんときめておいて、ただ収入の点について、あれは佐官よりも多いのは、超過勤務で多い、あるいは年令の超過が多いのだというようにつけ加えていけば、こんなに階級をたくさんこしらえる必要はないと思うのですが、これは一体どういうわけで、こういうふうに階級を分けて、一佐と二佐と三佐と同じ給与をとって、しかも下の者が上の者よりも給与が多いというような感情を国民に持たせ、本人に持たせるというようなことが、どういう利益があるのですか、この点を伺いたい。
  19. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 詳しくは、人事局長がおりますから、御説明申し上げたいと思いますが、自衛官ばかりでなく、一般職におきましても、特別職におきましても、勤務年数というようなことが俸給の一つの要素になっております。そういう要素になっておりますので、一般職におきましても、何級といいますか、その中に相当の区別がありまして、その上のものと重なっておる状態になっております。自衛官におきましても、そういう関係で、勤務年数というようなものがあり、その上に上がれないでそこにとどまっておる人も相当あるわけであります。そういう関係から、給与法におきましては相当の幅をもってその給与のワクといいますか、級別に当てはめざるを得ないので、そういうふうな俸給体系になっておるわけでございます。でありますので、これは一佐ならば幾ら、二佐ならば幾ら、こういうふうにきめるのは非常に実情からしてもむずかしいので、俸給表が相当こまかく分かれておるわけであります。お話しのように、それに対していろいろ年数加算とか、あるいは超過勤務手当というような形でやったらどうかということでありますが、俸給表そのものがすでにこれは年数を加算するような俸給表にできておるので、俸給の中に年数というものが加算されておるわけであります。それから超過勤務につきましては、先ほど村山さんに御答弁申し上げましたように、自衛隊というものは、夜であれ朝であれ、あるいは行動特等におきましては、これはもう普通のときとなお違ってきておりますので、これを超過勤務手当として出すということは当を得てないということで、これはやはり俸給の中に含まれて俸給表に、先ほど申し上げましたが一三・八%、これは俸給の中に含まれておるわけであります。で、お話しのようなことも一応は考えられるのですけれども、これは俸給表の中にお話しのような考え方はすでに含まれておる。こういうふうに御了承を願ってよろしいのじゃないかと思います。なおこまかい点につきましては人事局長から……。
  20. 一松定吉

    一松定吉君 意見の相違ですからこれ以上質問しません、どちらがいいかということは。あまり複雑怪奇だからということを申し上げたわけであります。あとは意見の相違ですから議論したってしょうがな、
  21. 中野文門

    委員長中野文門君) 山本防衛庁人事局長もう少し詳しく御説明願います。
  22. 山本幸雄

    政府委員山本幸雄君) ただいま長官から相当詳しくお話がございましたが、これはこの表は一列に書いてございますので、非常にたくさんの表のようになっておりますけれども、それぞれの階級につきましては、二十幾つもあるわけではなく、ここに書いてあるように、それぞれ十三とか、あるいは七、八つという程度の階級ののびが足ののばし方になっておるわけでございます。そもそもこの給与は御承知通り公安職の方の給与を基準としてやっておるわけでございまして、一つの給与理論に立って先ほど長官からお話のありましたような、ある程度経歴を見て昇給する期間というものはきまっておる。しかし、自衛官階級というものは必ずしも時間さえたてば、日数さえたてば階級が上がっていくことになっておらない。そこで一つの階級にとどまるということがあり得ますので、その間に年数、経歴を踏んでいけば、それだけの給与が上がっていくという足場を相当のばしておかなければならない。そういう考え方からこれができておるのであります。いろいろ手当その他についてお話もございましたが、これはやはり一つに公安職の方の給与体系というものに準じてこう考えてありまして、先ほど自衛官の勤努の特殊性その他もございましたが、そこまで給与上の特殊性というものを持っていくところまでは考えておらないわけでございます。
  23. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  24. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御質問ございませんか。他に御発言もなければ国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に属する法律の一部を改正する法律案国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、以上三案の午前中の質疑をこの程度にとどめます。   —————————————
  25. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案に対する質疑は、終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。討論は三案一括して行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  まず、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  28. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案逸り可決すべきものと決定いたしました。  次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  29. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  30. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないものと認めさよう決定いたします。  暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。    午前十一時五十八分休憩    —————・—————    午後一時四十七分開会
  32. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。本日一松定吉君が辞任され、谷村貞治君が選任されました。   —————————————
  33. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、午前に引き続き、国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案、以上三業を一括して議題とし、質疑を行ないます。政府側出席方々は、現在、前田大蔵政務次官佐藤総理府総務長官増子内閣総理大臣官房公務員制度調査室長瀧本人事院給与局長矢倉人事院職員局長小西人事院職員局厚生課長、船後大蔵省主計局給与課長等の方々であります。佐藤大蔵大臣淺井人事院総裁は間もなく出席の予定でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  34. 村山道雄

    村山道雄君 まず、国家公務員等退職手当法改正法律案について、二、三お尋ねをいたしたいと存じますが、まず第一に、今回の改正法によりまして、国家公務員等が任命権者の要請に応じて、引き続いて公庫等の職員となって、さらに引き続いて国家公務員になりました後退職しました場合は、前後の国家公務員等期間を通算するものとみなされるのでありまするが、その場合の公庫等の規定といたしまして、今回の法案の第七条の二の第一項の中で、「公庫の予算及び決算に関する法律第一条に規定する公庫」これはわかっておるのでありまするが、「その他特別の法律により設立された法人でその業務が国又は第二条第一項第二号に規定する法人の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるものに使用される者」とあるのでありまするが、この法人を政令でお定めになるわけでありまするが、どういう法人を予定しておられるか、具体的にその法人の名前をお示しになってお答えをいただきたいと思います。
  35. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 今回退職手当法の改正で特例措置の対象となりますものは、法律では公庫をあげておりますが、その他の法人につきましては、これを政令で定めることといたしております。この政令で定めまするものは、特別の法律によって設立された法人のうちで、国または三公社の事務または事業の代行機関としとの性格が強いものでもその業務の運営上国または三公社から職員派遣がぜひとも必要であるというような法人を規定する予定でございます。で、具体的な選定につきましては、目下関係各省庁とも検討中でございますが、いわゆる公団及び公団に近い性格を持った法人をこの対象とする予定でございます。で、公団につきましては、一応まあ公団という名称が冠してございますので問題はないのでございますが、それ以外、たとえば原子燃料公社でございますとか、あるいは労働福祉事業団でございますとかいうように、それぞれ名称でもって統一的に規定するわけには参りませんので、先ほど申しましたような趣旨のもとに、それぞれ具体的にきめて参りたい、かように考えております。
  36. 村山道雄

    村山道雄君 その点は了承いたしましたが、さらにこの七条の二に、「任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、」とありまするが、その要請というのは、具体的にどういう形式で行なわれますのか。やはりこの辞令では、願いによってやめたというようなことになりまして、一体それが任命権者の要請に応じたものであるかどうかということが、後日この法規を適用する場合に判然としないというような場合が生ずると思うのでありますが、その点についてどういう処置をおとりになる考えであるか、承りたいと思います。
  37. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 任命権者の要請という用語は、今回の改正法案で初めて出てきた用語でございますが、現行国家公務員退職手当法の昭和三十二年の附則の第二項には、「所属庁の承認又は勧しょうを受け、」というような表現がございます。今回の、任命権者の要請は、この三十二年の附則の用語よりは若干公務による都合という点が強いとかように考えております。つまり先ほど申しましたように、職員が公庫等へ参りまして勤務するということが、公務の遂行上必要であるというような判断をいたしました場合に、所属庁がこれを要請するということになるわけでございます。ただし、このような職員が、しからば具体的にどういう辞令を受け取るかという点につきましては、まあ現在任命上の行為は人事院の所管にあるわけでございますが、この任命上のルールが変更がない限り、やはり従前通り依願免職という形になろうかと思うのでございます。ただし、これはこういった職員が後日再び復帰いたしますれば、この特例措置の対象となるわけでございますので、その間のことは各任命権者のもとで十分記録をとどめていただくというように処置いたしたいと存じます。
  38. 村山道雄

    村山道雄君 次にお尋ねいたしたいと思いますのは、国家公務員が地方公務員になりました場合に、現行法によりますると、当該地方団体の退職手当に関する規定により、国家公務員等期間が当該地方公共団体における地方公務員としての勤続期間に通算されることに定められておるときには通算されるのでありまするが、こういう規定のない地方公共団体には適用がないことになるわけであります。そこで、一体こういう規定のない地方団体がどれぐらい残っておるか。また、職員が任命権者の要請によってこういう通算規定のない地方団体に転出をする場合があるのかないのか。もしそれがあるとするならば、今回の改正法案とのバランスがとれないことになるのでありまするが、その点どういうふうになっておりますかお伺いしたいのであります。
  39. 船後正道

    政府委員(船後正道君) この退職手当適用上、国家公務員と地方公務員との人事交流措置が行なわれた場合の取り扱い方の問題でございますが、現行法では、御指摘の通り国家公務員が地方公務員となりました場合に、その相手方の地方公共団体におきまして、その職員国家公務員としての期間を通算するというような条例が設けられております場合にのみまあ通算するということになっております。この点は、国家公務員と地方公務員給与の立て万が現在違っておりまして、国家公務員はすべて法律規定する、地方公務員は地方公務員法等に基準的な規定はございますが、具体的にはそれぞれの条例でもって規定するということになっております。従いまして、国の立場から申しますれば、やはりそれぞれの地方公共団体の方で受け入れをする態勢が整わなければ何ともいたし方がないというような事情にあるわけでございます。で、現在このように地方の方で受け入れ態勢が整っておりまして、国から来た職員につきましても通算するという措置をいたしておりますのは、都道府県はもうほとんど全部と考えております。ただし市町村につきましては、なかなかこの規定が全部が全部整っておるというわけには参っておらないようでございます。この点は、まあこの退職手当法を所管いたしております大蔵省といたしましては、問題が地方のことでございますので、特にこれをどう指導するというわけには参らないという点があることを御了承願いたいと思うのでございます。
  40. 村山道雄

    村山道雄君 事実はお話のようであると思うのでありまして、都道府県においては大体この通算規定が出ておりまするが、市の中には相当大きな市でもまだ出ておらないのがあるようでございます。従いまして、これらの点について、きょうは自治庁の方に来ていただかなかったのでありまするが、今回の通算規定改正によりまして、公団等との連絡が法規上とれるようになったのでございまするから、特に技術職員等で大きな市の土木部長等になる人も多いようでございます。これらの点についての不権衡のないように、十分の御連絡をいただきたい。政府においてもこの点について十分御検討をお願い申し上げたいと思います。  さらに進んでお伺いをしたいのでありまするが、失業者退職手当につきまして、今までは公共職業安定所において支給をいたしていたのでありまするが、今回の改正法案におきまして、十条の一項の改正で、「政令で定める職員については、その者が当該退職の際所属していた官署又は事務所その他の政令で定める官署又は事務所。」において支給をするということになったのでありまするが、この政令できめる職員とは、現在どういう職種を予想しておられますか。その点お伺いしたいと思います。
  41. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 今回失業者退職手当支給につきまして特例を設けました趣旨は、宿料によりましては、この失業者退職手当の受給条件に該当する者が季節的に、あるいは地域的に極端に集中して発生する例がございます。たとえば営林官署でございますが、ここでは多数の季節労務者をかかえておりまして、従いまして、冬季には一時的にかつ多量に同一地域でこういった受給資格者が発生するわけでございます。このような場合には、公共職業安定所失業者に対する退職手当支給事務をやっておりますと、平常業務の遂行に支障を来たすのみでなく、また、この退職手当支給そのものも円滑を欠くきらいがあるということになるわけであります。従いまして、このような特殊事情のある職員で、特殊事情のある官署に限りまして政令でもって特例を定めたいと考えておる次第でございまして、現存のところは、先ほど申しました国有林野事業に所属する職員規定いたしたいと考えております。
  42. 村山道雄

    村山道雄君 今回のこの改正措置は、任命権者によって異動したものに対して特に優遇する措置を講ぜられたのでありますが、戦争前に同じような任命権者または国の要請に基づいて外地に在住をしておりました者に対しましても、今回の改正と同様の措置を行なうというような意味合いにおいて、外地在住期間の通算条件の改善を行なう必要があると考えるのでありまするが、この点につきましては、この法案が衆議院を通過いたします際に、自民、社会、民社、三党の共同提案をもちまして、大蔵委員会附帯決議があったような次第でございます。現在国家公務員退職手当法の施行令におきましては、大蔵大臣が特例を設けまして、十年から十五年未満勤務の場合には九十日を百五十日、士五年以上勤務の場合には三百三十日というような特例が認められておりまするが、衆議院の大蔵委員会附帯決議の次第もありますので、この期間について、さらに検討をして延長をされるお考えがあるかどうか、政務次官の御回答をお願いいたします。
  43. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) ただいま村山委員のお尋ねの点でございますが、この点につきましては、御指摘のようにそれぞれの事情があるようでございますが、通算等につきましては、でき得る限り御質問の御趣旨に沿いまするように今後十分検討いたしたいと考えております。その点につきましては、詳細なことは給与課長からさらに御答弁をいたさせます。
  44. 船後正道

    政府委員(船後正道君) お尋ねは終戦によりまして引き揚げあるいは追放が解除になったといったような職員退職手当法上の通算問題でございます。これは現在退職手当法の施行令をもちまして、このような引き揚げた者、あるいは追放解除者等が再び公務につく間の、原則といたしまして百二十日以内の期間に再就職すればよろしい、また先ほど村山先生御指摘のように、大蔵大臣が特例といたしまして、過去の勤続期間の長い著につきましては百二十日をさらに広げるというような措置を講じて参りまして、これによりまして相当多数の該当職員が特例の適用を受けておる次第でございます。この点はさきの第二十八国会におきましても附帯決議がございました。さらに先般衆議院におきましても同様附帯決議がついた次第でございます。引き揚げないしは追放という問題は、終戦に伴うやむを得ない問題でございまして、かつ個別的に非常に込み入った事情も存しておりまして、なかなか一般的にこれをいかに規定するかということは困難でございます。どこまでも一般論といたしましては、百二十日とか百八十日といったような線を引かねばならないのでございます。なお、現行の政令におきましても、特殊の事情の存する場合には、大蔵大臣が個々に承認するということにいたしておりますので、これらの規定も活用いたしまして、具体的な事態は解決していきたい所存でございます。
  45. 村山道雄

    村山道雄君 御趣旨はわかりましたが、私が特に申し上げたいのは、今回任命権者の要請によって異動して戻ってきた者に対して特別の措置が講ぜられましたので、こういう点とのバランスのことも考えて、ただいまのような事情がある人たちに対しましても、さらに御検討をいただきたいという趣旨でございますので、その点をお考えの上で十分の御考慮のもとに御善処をお願いいたしたいと思います。  次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案についてお尋ねを申し上げたいと思います。その第一点は、提案理由からも明らかになっておりまするように、この法律改正労働災害補償保険法の一部改正法案に対応して改正するものでありまするが、労災法は四月一日から施行されておりまするにもかかわりませず、この法律案は公布の日から施行することになっております。これはこの法律案が三月三十一日に国会に提出されました関係上このようにされたものと考えまするが、法の体系から見ましても、これは公布の日から施行し、四月一日から適用するとしなければおかしいと考えるのでありまするし、労災法とのバランスもとれないと思うのでありまするが、政府は何ゆえに施行期日についても労災法と歩調を合わせなかったのであるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  46. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、国家公務員災害補償法は、お尋ねの通り労働災害補償保険法に対応いたしまして改正をいたすわけでございまして、本来ならば労働災害補償保険法と同様の施行期日から施行するのがよろしいと思う次第でございますが、ただいまの御質問にありました通り、この改正をいたしますにつきまして関係法、いろいろ複雑な法律関係を調整いたします等によりまして法案の提出がおくれましたので、公布の日から施行といたしたわけでございますが、この改正によりまして実質的な影響を受けますものがありといたしますと、労災法とのバランスの面から申しまして、本年四月一日以降の第一種障害補償と打切補償の該当者でございますが、幸いにいたしまして本年四月一日から現在までの調査により、現在までこれに該当いたしまする障害等級一等級ないし三等級に該当するものといたしまして現在の制度による補償が行なわれたケースも、また行なう見込みのケースもなかったような次第でございます。また、打切補償のケースもない次第でございます。お話し通り制度建前といたしましてはお話し通りであるように、またその方がよろしいかも存じませんが、今申し上げた事情で公布の日から施行といたした次第でございまして、ただ不幸にしてこの法案の予想しておりますような公務による災害がいつ起こるかわかりませんので、この法案がなるべく早く成立することを政府としても望んでいる次第でございます。
  47. 村山道雄

    村山道雄君 この災害補償制度全体の問題でありまするが、災害補償制度につきましては、一般職特別職とを別々の法令で規定をして、一般職の例によるというふうになっているのであります。この法体系を二つに区分しておられまする理由はどこにあるか、その点をお伺いしたい。
  48. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 御承知通り公務員関係の法制が現在特別職一般職と別々の法律で規制することを原則の建前といたしております。退職年金制度のような問題につきましては、両方通算の関係等もございまして、一緒の体系にしておるものもございますが、ほかのものにつきましては、一般職につきまして、人事院が大体公務員制度につきましていろいろの勧告権を持っております関係もございまして別々の体系にしておりますので、この原則の上から、この特別職一般職につきまして補償制度建前を変えておるわけでございます。
  49. 村山道雄

    村山道雄君 このたびの改正で打ち切り補償を廃止されたということは、非常に理由のある改正であると思います。特に病気等の場合におきまして、三年の期限が来ると打ち切りになるというようなことで、かえって病気が重くなるというような例も聞いておるのでありまして、これを廃止をされまして年金制度にされたということは、まことによき改正であると考えるわけであります。  そこでお伺いしたいのでありまするが、この改正法では今まで打ち切り補償をされてしまった者に対しては救済する道が講ぜられておらないのであります。今まで国家予算等の関係もありまして、やはり打ち切り補償を余儀なくさせられた人たちも多いかと思うのでありまするが、こういう人たちに対してこの新しい改正法に基づくところの年金制度の方に切りかえる措置が講ぜられなかったか、この点に対してのお考えをお伺いしたい。
  50. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) お答え申し上げます。従来における国家公務員に対する打ち切り補償の実施につきましては、療養開始後三年を経過してもこの打ち切り補償は原則としてなおるまで療養を続けさせるという趣旨で療養補償を行なうことを建前として運用して参りましたので、従って打ち切り補償はできるだけ行なわないという大体方針で運用をいたして参りました。従って打ち切り補償を実施いたしましたのは、大体本人の希望があった場合、人事院の承認を実施機関が経て打ち切り補償を実施するというふうな扱いをいたしておったわけであります。また、実際に療養している人たちも、長いのでは十年というような療養補償を続けて参った例もあるわけでございます。この点、労基法あるいは労災法では療養開始後三年を経過しますと、原則として本人意思にかかわりなく一律に打ち切り補償を行なっておったということと国家公務員の今申し上げました扱いとが事情としても大きな差異を持っておるという結果になっておるのであります。なお、一応この問題につきましては、労災法等についてもいろいろな問題があろうかと存じますが、労災法等について何らかの措置をとられるということになりますと、またバランス上それらに対する措置をとらざるを得ないと存じますが、現状においてはただいま申し上げましたような事情で運用して参りましたので、これまでに打ち切り補償を受けた人たちにも、それほど大きな不利益がないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  51. 村山道雄

    村山道雄君 次に、福祉施設の点について政府の御説明伺いたいのでございまするが、この法律では、人事院及び補償の実施機関でありますところの各省庁は公務上の災害を受けた職員の福祉に関して、外科後の処置に関する施設でありますとか、休業または療養に関する施設、職業再教育に関する施設、義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設をするように努めなければならないと規定されておるのでありまするが、この法律に基づいて福祉施設が現在どういうふうに設備されておるか、その現状について御説明をいただきたいと思います。
  52. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) お答え申し上げます。福祉施設の現況でございますが、福祉施設の内容につきましては、ただいま御指摘ございましたように、「外科後処置に関する施設」、「休業又は療養に関する施設」、「職業再教育に関する施設」、「義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設」というふうなことが規定されておるわけでございます。この実施につきましては、人事院または各実施機関の指定する施設において当該実施機関の承認を経て行なうということになっておるわけでございます。福祉施設の実施状況は補償統計によりますと、大体三十一年から三十三年の状況を見てみますと、補装具については三十八件ないし五十九件、外科後処置につきましては十四件ないし十六件、休業等につきましては一件ないし二件、職業再教育については二件、旅行費等につきましては六件ないし七件、以上のような状況で、福祉施設関係についての実施が行なわれておる状況でございます。
  53. 村山道雄

    村山道雄君 その点につきましては、なおさらに予算の裏づけ等によりまして設備を完備されるように希望をいたす次第でございます。  最後にお伺いいたしたいと思いまするのは、この災害補償法の改正によりまして予算的にどういう措置をされたか、この点お伺いいたしておきたいと思います。
  54. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいまのお尋ねに対してお答えいたしますが、今回の国家公務員災害補償法の改正によります予算の措置でございますが、このたびの改正の第一点の災害補償の年金化に伴います予算は、年金額が一時金の六分の一でございますので、当初六年間はむしろ現行法よりも減少する状態でございます。打ち切り補償の廃止に伴います予算の増も、従来打ち切り補償を行なっておるのが非常に少ないので、実質的に予算に影響するほどの額ではないと思います。従って今回の改正に伴いまして新たに予算措置を講ずる必要は、本年度におきましてはないと思います。
  55. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  56. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討倫に入ります。討論は三案を一括して行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  60. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  61. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後二時三十八分散会