運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-28 第34回国会 参議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十八日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員異動 本日委員小柳牧衞君辞任につき、その 補欠として大谷贇雄君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            大谷 瑩潤君            大谷 贇雄君            木村篤太郎君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    行政管理庁行政    監察局東京管区    行政監察局長  森   浩君    運輸省海運局次    長       若狭 得治君    運輸省海運局定    期船課長    中野  大君    運輸省自動車局    業務部長    梶本 保邦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○行政管理庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。本日小柳牧衞君が辞任され、大谷贇雄君が選任されました。   —————————————
  3. 中野文門

    委員長中野文門君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、前出運輸政務次官細田運輸省官房長若狭運輸省海運局次長梶本運輸省自動車局業務部長、以上の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは運輸省設置法の一部を改正する法律案について三点ほど運輸当局質問をしたいと思います。大臣おられませんから、政務次官並びに関係当局でけっこうでございます。  まず第一に、本法律案の第一の内容である国内旅客船公団関連をして若干質問をしたいのですが、御存じのように、わが国相当島嶼が多うございまして、その間における離島との連絡船相当たくさんあると思うのでございます。それに関連して、現在の実情一つお尋ねしたいと思う。現在離島との連絡船が運航している路線と、それから会社の数及び船舶現状、どうなっておるか、まず最初この点一応御説明願いたい。
  5. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 国内旅客船現状を申し上げます。  昭和三十四年八月三十一日現在の統計がございますので、これらに基づきまして御説明申し上げます。わが国国内旅客船航路数は、定期が千二百五十五航路でございます。不定期が五百三航路使用船舶は、鋼船定期におきまして二百八十九隻の八万九千二百五トン、それから木船は、定期が隻数が千九百二十七隻、三万六千三百四十トンでございます。合計いたしまして、二千百十六隻の十二万五千五百四十五総トンでございます。これを経営いたしております事業者数は、合計九百二十でございますが、うち会社経営によるものは二百四十九社、それから個人経営のもの五百九、地方公共団体経営のものは百七、協同組合企業組合等経営によるものが四十八、その他の組合のもの四、公団経営のもの三ということで、合計九百二十の事業者がいるわけでございます。また不定期につきましては、航路数先ほど申しましたように五百三でございまして、使用船舶合計千百六隻の二万五千五百五十六トン船舶をもって経営しているわけでございます。この事業者数会社が百二十九、それから個人経営によるものは二百三十四、地方公共団体経営によるもの二十一、協同組合企業組合等経営によるもの十一、その他の組合によるもの四、合計三百九十九の事業者がいるわけでございます。国内定期船及び不定期船旅客航路経営状況は以上のようなものでございます。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 相当膨大な航路、それから会社数でございますが、一々の経営状態は、これは運輸省といえどもそこまで十分きょう答弁できるかどうか知りません。大体経営状態地方公共団体も若干やっておるようでございますが、主として民間のやっておる会社並びに個人経営状態はどうなっておるか、この点一つお答え願いたい。
  7. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 私の方で調査いたしました資料を申し上げますが、これは全部でございませんので、お断わり申し上げます。利益の出ている会社は、現在会社数におきまして三十九社、個人経営のもの二十五社、その他合計いたしまして七十一社航路利益が上がっているというものがございます。また、欠損の出ているものは会社経営のもの百二十六社、個人経営のもの四十一社、組合その他のもの三十三社、合計二百社、そういうような状況でございまして、欠損の出ているものは非常に多いということであります。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私も昨年九州の串木野に行きましたときにも、いろいろ離島との連絡状態経営状態を聞いたのですが、きわめて問題があるようであります。これが直ちにその付近の昂氏なり住民に大きい影響を与えておる。こういう点で次の質問をしますが、三十四年度においてこれらの会社に対する航路補助と申しますか、政府なりそういうところから補助しておる状態はどういう工合になっているか、その脈一つお答え願いたいと思う。
  9. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 三十四年度におきましては、こういう離島航路経営赤字につきまして政府において補助いたしましたもの、事業者数は三十六社、航路数四十三航路予算額、は三千百三十五万円でございます。それからもう一つ、三十四年度からこういう地方の非常に不採算のところでございまして、しかも新造船の余裕のないところ、非常に老朽な船舶を使っているものにつきましては、国内旅客船公団が七割の融資をいたしまして新船の建造を行なっておるという状況でございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは大臣おられぬから、政務次官に全般的な政策として聞いておきたいのですが、今言われたように、三十四年度においてわずか三千百万円程度補助でしかやられておらない。その離島との連絡船における住民の不便と申しますか非常に困っておる。採算のとれておるという会社相当、ここで言われましたけれども採算のとれておる会社経営というものはきわめて運賃が高いのです。従って、非常に島民なり住民はこれによって交通の公共的なものでありながら、非常に公共性が失われておるという実情がある。もちろん、瀬戸内海観光船とか、そういうところには相当整備も重点を置いて考えておられるようでありますが、同じ日本国民でそういう小さい島に住んでおるために、日本国民としてのそういう同等な生活権と申しますか、そういう享有されていない住民があるのですが、政府としてこういう離島に対する連絡船に対する今後の政策方法措置というものをどういうふうに考えておられるか、これを一つお聞きしたいと思うのです。
  11. 前田郁

    政府委員前田郁君) ただいま山本さんからお話し離島航路に対する補助金が少ないというお話しでありますが、これは私ども痛切に感じている問題でございまして、そういうようないろいろな問題を解決するために、旅客船公団というものを作りましてやっているわけでございまして、現に私の選挙区あたりも種子島や屋久島等離島がございまして、私は前からこの問題をやはり山本さんと同様に心配して陳情もしたりして今日まできているわけであります。今後こういう問題に対しましては、政府としても大いに力を注がなければならぬと、こう考えているわけであります。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあそういう答弁は当然だと思うのですが、しかし、全般的にわが国海運政策を見ますと、やはり外国航路は別の意味において別といたしまして、国内航路でもいわゆる観光にひとしいような船舶に対して相当政府はある程度融資をされておるように聞いておるのです。もちろんそれも必要でよう。われわれにこの観光的な航路に対しては否定いたしませんけれどもほんとうに困っておる離島島民のために、もう少し積極的に運輸省あたりがこの施策をしなければならぬと思うのです。この点について、三十四年度には三千百数十万円だと聞いておるのですが、三十五年度にどれほどの補助と奨励をするような措置であるか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  13. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 三十五年度におきましては、昨年度旅客船公団資本金二億円、それから産業投資特別会計からの借入金三億円、合計五億円で三十隻、約三千五百総トン船舶建改造いたしましたが、三十五年度におきましては、さらに二億円の出資増額いたしまして、また産業投資特別会計から五億円の資金を借り入れまして、合計七億円でもって約五十隻の船舶建造を行なう予定でございます。また、離島航路補助金につきましては、昨年度より約五%減少いたしまして、約三千万円でございますけれども、大体の航路数は昨年度よりさらに三航路増加いたしまして補助を続行する予定でございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三千万円程度でこれほどの航路補助金を出しても、一航路に対してはほんとうに微々たるものだと思うのです。しかも、三十四年度より航路はふえておるのにかかわらず、若干でも、五%程度でも補助金が減っておるという今の答弁でございますが、先ほど政務次官は、私の質問に対して全く同感である、政府も積極的に離島航路に対してやりたいと言っておられましたが、現実予算面から見ると、減っておるように聞いておりますが、この点は一体どういう事情であるか、その点御説明願いたい。
  15. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ただいま御説明を申し上げ、また御指摘通り離島航路補助金が、いわゆる私ども予算折衝の段階では、節約という言葉を大蔵省が用いておりますが、その原則的な節約を食って減らされました。われわれとしましては、こういうものは節約されては困るということで、いろいろ最後まで実は主張したのでございますが、遺憾ながら減額を見たようなわけでございまして、非常に残念に考えております。ただ大蔵省考え方、また政府、私どももそういう方向でございますが、旅客船公団方式というものを、一方で国内海運について大きく取り上げていきたい、こういういわゆる単に損失を補助するという考え方からより積極的な改善策の方へ重点を移すという考え方で、実は三十四年度旅客船公団ができたわけでありまして、三十四年度先ほど説明を申し上げましたように、たった二億円の出資予算をもらったわけでありまして、財政資金も三億しかついておりません。非常に貧弱な公団でございまして、これでは旅客船公団法律ができて出発しても、実際の仕事が、古い船をどんどん直していっているうちにまた古くなってしまうのではないかということで、これの増資とそれから財政資金増額、これに私どもとしましては特に重点を置いて予算折衝その他をいたしたわけでございます。その結果、本年は出資金の二億をさらに二億ふやしまして四億円の出資ということになりまして、財政資金につきましても、昨年度の三億から五億に増額を見たわけでございまして、そこらとの関連もございまして、離島航路補助につきましては、しんぼうせざるを得なかったというようなのが実情でございます。しかし、国内海運の問題、特に離島航路の問題につきましては、御指摘のように、非常にたくさんな問題があると思うのでありまして、放置しておきますことは、非常に重大な問題であります。これはかねがねから運輸委員会等におきましても非常に論議されておるところでございまして、また、私どもの方といたしましても、とかく外航船といったような問題の陰にかくれるおそれもないわけではございません。国民の福祉といったような点から考えまして、また、中小企業保護育成といったような二面の見地から、この問題につきましては、われわれも努力がまだ不十分で申しわけないと思っておりますが、一そう努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 官房長答弁はよくわかるのですが、実際の現状は、運輸省当局は見ておられると思うのですが、島民なり付近のその航路を利用する人から見ると、もう切実な問題なんです。陸路と違って歩いて行くわけにいかない、船によらなければ自分の家に帰れないのです。従ってこれは日常生活に直結した交通機関なんです。もちろん、瀬戸内海豪華船が通っております。乗れば非常に愉快な航路でございますけれども、それとこれとは全く本質が違うのです。それに対して運輸省相当力を入れられておるということを、運輸委員会等でも聞いておりますけれども、どうも今の政府のやり方が無視されておるような状態現実に私らには見られますので、それで特にこの点については運輸省大蔵省ということで問題はあるようでございますが、この点は重点を置いて考えてもらわなければいけない、今官房長公団資金を二億、三億ふやしてそういうことで政策を変えられるといいますが、公団のあの資金は主として船の新造とか改造にこれは使われる金なんです、私の尋ねておるのは、航路補助というのはいわゆる非常に運賃に影響しておる、従って採算をとろうと思えば運賃を上げなければならぬ、毎日乗らなければ自分らの生活ができない、そうすると、そこらの人は補助金によって十分政府が考えない限りは、生計もやっていけない、生業ができないというような状態であるという現実一つ見てもらいたい。従って、もうすでに予算案が三十五年度は通過したのですから、この法案の審議の中で私は幾ら言ったところで、政府方針を変えることもできないかもしれませんけれども、切実な問題としてこの問題を運輸省は考えてもらいたい。三十五年度当初予算は済んでも、やがてまた補正予算の機会もあると思う、この点を十分一つ考えてもらうということを、大臣はおられぬが政務次官がはっきりと言えるかどうか、この点を一つお伺いしておきたいと思う。
  17. 前田郁

    政府委員前田郁君) ただいまの山本委員のお話は、大臣によく伝えまして、今後ともできる限りの努力をいたしたいと考えます。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運輸省の今後の努力と態度を一つ今後見守っていきたいと思いますが、この問題につきましては、まあ時間の関係もありますので、一応この辺でこの問題については本日は終わります。  次に、問題の国内旅客船公団実情でございますが、先ほどから答弁の中でちらほら出ておりましたが、資金がこれによりますと、今年度は倍額の四億円が政府出資となっておるようでございますが、この公団政府出資資金だけで運用されておると思いますが、それに間違いないかどうか。
  19. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 先ほど申し上げましたように、この公団につきましては、昨年度二億円の出資によって設立いたされまして、本年度はさらにそれに二億円の増資をしていただきまして、約四億円で現在運営いたしておるわけでございます。ただ、産業投資特別会計から昨年度におきましては三億円、本年度におきましては五億円の借入金を行ないまして、この資金でもって船舶建改造を行なっておるわけでございます。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、政府出資の四億円と、借入金の三億、昨年三億、本年は五億、それは八億ですから、十二億のいわゆる資金で運用されておるというこういうことなんですか。
  21. 若狭得治

    説明員若狭得治君) そういうことでございます。現在の四億円はこれをただ六分五厘で運用いたしますと、年二千六百万円の収入が確保されるわけでございまして、それを公団業務費として運営いたしておるわけでございます。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは政府出資金利先ほど七%と言われたと思いますが、六分五厘ですか。政府出資利子は。
  23. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 政府出資は無利子でございます。それで産業投資特別会計から借り入れておる資金は、六分五厘の金利を支払うわけでございます。そうして、この政府出資の四億円と、それから産業投資特別会計から借り入れております資金とこれを総合的に運用いたしますけれども公団通常業務の費用をまかないますために、この資本金を六分五厘で運用いたしますれば、二千六百万円の収入は確保されるというふうに御説明申し上げたわけでございます。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体資金運用状態はわかりました。しからば、この資金がどういう方面に運用されておるか、貸し付けられておるか。先ほど申し上げました主として離島航路に対してやられておると思いますが、現実はどうなっておるか。その状態をちょっと説明していた、だきたい。
  25. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 本年度計画については、まだ決定いたしておりませんけれども、昨年度のすでに決定いたしております計画及びその実情について申し上げますと、昨年度は、三十四隻の三千二百総トン建造及び改造をやったわけでございますけれども、これはほとんど大部分のものは離島航路でございます。なお、選考の方針につきましては、船齢の古いもの、鋼船につきましては船齢二十年、それから木船につきましては船齢十二年というのが、耐用年数の限度でございますので、これを超過したものを中心に取り上げまして、大体鋼船につきましては、耐用年数十五年、木船につきましては十年程度を超過したものを優先的に、そういうものを今後取りかえていくという方針で、船舶建造を優先的に考えて、三千二百総トン、三十四隻の建造及び改造を決定して実施しておるわけでございます。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、その資金貸付条件、すなわち利息それと返還条件、それはどういう状態条件になっておりますか。
  27. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 船舶建造につきましては、国内旅客船公団建造の七割を自分で所有するわけでございます。そうして三割を事業者が所有する。つまり一つ船舶国内旅客船公団国内旅客定期航路経営事業者とが共有いたしまして、そうしてその共有した船舶国内旅客船業者が自己の責任において経営するわけでございます。そうして、その条件につきましては、国内旅客船公団持ち分七割につきましては鋼船につきましては二十年の等額の返還を行なっていくわけでございます。なおその金利につきましては、産業投資特別会計から六分五厘で借り入れておりますが、それになお五厘の貸し倒れ準備金を加えまして、旅客船業者支払い金利は七分として、その七分を加算したものでもって二十年の等額償還を行なう。そうして二十年たちますれば、公団持ち分は全部なくなりまして、定期航路事業者の所有になる、こういう方式をとっております。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、まだこの公団が設置されてわずか一年前後でございますから、将来のことの見通しはまだわからぬと思うのですが、こういう方法で実際問題で離島航路が将来円滑にいき得る見通しがあるかどうか。二十年という返還期間でございますが、これによって実際、通常利益を上げるということは、われわれは期待しておりませんが、まず採算のとれた経営が今後持続されていく見通し運輸当局がおられるかどうか、この点一つ聞いておきたい。
  29. 若狭得治

    説明員若狭得治君) 国内旅客船公団におきまして建造する船舶の今後の問題につきましては、一応、五カ年計画でもって、先ほど申しました老齢船を一掃したいということで出発したわけでございますけれども、なお資金が、当初の計画通り予算が取れませんので、多少計画はおくれておりますけれども、今後できるだけ努力いたしまして、五カ年計画をなるべく計画通り実行したいというふうに考えております。ただ、これができましても、なお現在の航路につきましては、先ほど予算関係で御説明いたしましたように、相当定期航路自体赤字がございます。先ほどの三千万円という本年度予算につきましても非常に少額でございまして、具体的に申しますと、実際の航路経営者赤字というものにつきましては、運輸省におきまして各社の経理内容を監査いたしまして、そうして会社の計上している欠損というものにつきましても一々内容を監査して、運輸省としての欠損を計算いたしまして、その運輸省の認めた欠損に対しましても、なお五割に満たないような補助金を出しておるような状況でございますので、こういう状況はそう早急に解消されるということは、とうてい考えられないところでございます。また一方、運賃の値上げというような問題につきましては、民生の安定という面から見て、非常な困難がございますし、そういう点で今後ともこの離島航路補助金につきましては、増額を要求し続けて参りたいというふうに考えております。国内旅客船公団の今後につきましては、特に採算航路船舶、それから老齢船というものを中心に考えていきますれば、大体七分程度金利負担ならば、まあ何とか経営を持続していける。同時に、さらに、先ほど航路補助金増額していくというような方策、その両方の方策を今後とも進めていきたいというふうに考えております。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運輸省の立場は、われわれ十分理解した上で私質問をしておるんです。政府全体に対しては、私はもっとするどい言い方をしたいと思いますけれども運輸省当局努力はよく知っております。地方でも聞いておりますけれども、しかし、運輸省といえども、これは一つ政府を構成しておる当局ですから、大蔵省が非常に締めつけておる実情はわかるけれども、あの現状から見て、この公団が設置された趣旨も私はそこにあると思うのですが、これくらいでは、とうてい私は今説明されましたが、そううまくいくというようなことは絶対にありません。もし、これをうまくやろうと思えば、住民に犠牲を払わせる以外にないのです。これは調査されてもわかると思うのです。学校の生徒が毎日義務教育を受けるためにこの連絡船に乗っておる人がたくさんおるのですよ。こういう実情からいけば、これは会社経営だといってまかしておくこと自体が、もう問題がある。これは国の責任です。それが補助金予算が取れなかったからということで、営団にすべてをすりかえていこうと思っても、それはだめなんです。従って私はこの設置法についてはまだいろいろ意見がありますけれども、この問題は、この法案が審議される場合にぜひこれを政府部内で大きい問題にしていただきたいと思うのです。大臣おられませんが、特に私は大臣に要望したいと思います。政務次官は、ただ一人の内閣委員が言っておるという感覚で受け取られては固まる。日本の周辺にある嶋嶼に住んでおる全住民が、これに対してきわめて強い要求を持っておるということを、これを一つ十分伝えてもらいたい。総理大臣にも伝えてもらいたい。同じ日本国民ですよ。島に住んでおるというために、きわめて非文化的な生活をしいられておる。それに対して政府は非常に傍観的な、観光船には力を入れておるけれども、そういうところには補助金本年度はしぼっておる。こういう点は、島に住民のみならず、日本国民としてこれは捨てておけないのでございますので、われわれは十分考えてもらいたい。これはまあ一応要望しておきます。  それから次にもう一つ、ちょっと問題は変わってきますが、この前の内閣委員会大臣からも答弁がありましたが、地下鉄の問題でございますが、これについて政府はまた地下鉄建設について非常に融資、起債を押えておるようでございます。この点につきまして、運輸省としては一体、地下鉄は現在東京は私営が多いのでございます。大阪は地方公共団体経営しております。この地下鉄が非常に交通上必要であるということを再三この前の委員会で言われましたが、大蔵省は非常に地下鉄建設について融資、起債を押えておるのですが、この点について運輸省はどう考えられるか。もっと都市交通は、地下にもぐらなければならぬということは、これはすでに常識になっておるのですが、しかし、実際問題で、資金が調達されないので遅々として進まない。この点について運輸当局はどう考えられるか、ちょっとお聞きしたい。
  31. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ただいま御指摘がございましたように、また、当委員会でもいろいろ御質疑を通して御意見がございましたように、大都市の交通につきましては、非常にたくさんな問題がありますが、地下鉄網を拡充するということが、一つの最も大きな柱であるということは、もう間違ないところでございまして、運輸省といたしましては、都市交通審議会の答申もございますし、地下鉄の建設促進につきましては、最も重点を注いでおるところでございまして、ただいま財政資金については、政府は非常に渋っておるのではないかというような御質疑がございましたが、これは私御説明申し上げなくても御存じではないかと思いますけれども昭和三十四年度に初めて都市交通のための開発銀行の融資というものを政府の開銀の融資方針の中に入れたのでございます。これは石炭、鉄鋼、電力、造船そういった大きなものがございますので、なかなか項目を起こすということは、政府部内といたしましては、他のいろいろな面から申し入れがございましたから、むずかしかったのでございますが、都市交通の重要性にかんがみまして、これを三十四年度初めて政府方針として入れることにいたしたのであります。その結果、三十四年度といたしましては、地下鉄の建設促進のための財政資金が三十五億、それから郊外の私鉄の整備につきまして八億、この郊外の私鉄の整備と申しますのは、それは東京、これから引き続いて京阪神が出て参りますが、地下鉄との相互乗り入れといったような、今までにない新しい方策のために特に財政資金を考えていただいたわけでございます。三十五年度につきましては、地下鉄の建設促進は昨年の三十四年度の三十五億に対しまして、本年は五十五億という大幅な増額をいたしておるのでございます。なお、郊外の私鉄につきましては、昨年の八億に対しまして相当増額を見ると思っておりますが、まだこの額につきましては、開銀方面との折衝をいたしておるところでありますので、まだわかりませんが、相当増額はいたすという考え方でおるわけであります。ただつけ加えて申しますと、この程度でも地下鉄の促進にはまだまだ足らないのでございまして、金が要るのでございます。それから、先般も値上げに関連いたしまして、非常に問題になりましたが、これは一キロ二十億もかかりますので、金利の問題、新しく建設いたしますと、金利が非常に高くなって参りますので、金利についてもさらに強力な手を打たなければ、地下鉄の促進にならないのであります。額の問題、金利の問題合わせて解決しなければならぬのじゃないかというふうに考えておるのでございまして、ただどんどん値上げをしていくといいましても、ほかのものとの関連もありますから、もちろん乗られる方の負担の問題であります。手足を縛っておいて地下鉄をどんどん作れということを言いましても、高速度交通営団なり、あるいは東京都なり、大阪市なりそういうところは無理でございますから、そういった点を総合的にいろいろ考えていかなければならぬというふうに考えております。ただ、財政資金の支出の割合、それから三十三年度から申しますと、もう少しあれですが、急角度にこれの重要性にかんがみてふやしてきておるということは申し上げられると思います。私どもは決してこれを軽く見るとかいったようなことではなくして、政府部内あげて地下鉄に関しては、これは政府部内のことを言っては恐縮ですが、大蔵省あたりも非常に積極的に賛成をしていろいろ増額その他をやろうというような空気になっておる次第でございます。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この地下鉄建設について、もちろん工事については相当膨大な費用が要りますが、この土地買収費は相当かさまるというふうに聞いておる。予定路線がきまると、その土地が非常な値上げになって土地買収費が相当かさまる。大阪市あたりでもその点非常に困っておる。私鉄の場合は資金が比較的融通性があるから、引こうと思うところを五年も十年も前からばあーと買ってしまってそうしてやっていくことができるのですが、都市交通、いわゆる地方公共団体が経催しているところは、そうはいかない。起債なんかで折衝している間に、その地方住民にそれがわかるから、土地が上がってしまう。最初計画から、それがやろうというときには、またそれでいけないという現状がある。従って、都市交通は行き詰まりの点は御承知の通りですが、この点は、一つ政府重点的に考えなければ、金を作ったときにはその金でできないという現状であるのじゃないかと思う。間違いであれば指摘してもらいたいと思いますが、従って、地下鉄の建設については、十分、一つその点を考えてやってもらいたい。これは、質問ではなくして、要望しておきます。  次に、もう一点だけ、時間がありませんが、私鉄、市についての政府の考えを伺っておきたい。バス路線について、私、経験があるのですが、全国を回りますから……。顕著な例は岐阜です。岐阜市に行ったときに、市の交通当局が言われたのですが、私営に対してはバス路線は比較的認可を認めるけれども、市営については、きわめて厳格だ、不思議なことには、並行路線といいますか、共同路線と申しますか、私営の会社経営のところに、都市の公共団体が入っていこうと思うと、会社のオーケーがなければいけない。逆に、市の経営の路線に会社が入るときには、もう黙って入れてくる。しかも、会社経営路線というものは、利潤のある所だけはずっと車を回すけれども住民のためを考えておらないのですから、乗客の少ない辺陬な所には路線を拡張しない。そうすると、都市交通というか、公共団体の経営するバス経営というものは、これは赤字にならざるを得ない。それを行政路線といわれているようでございますが、その行政路線としてその市が負担をして、住民のために交通政策をやっておる。それに対して大蔵省は、また強く起債、なんかで押えてくるのです。地方公共団体は、もうどちら向いても頭が上がらないというのが、今の政府のやり方のように私は聞いた。はたしてそうでないかどうかということを、一つ運輸当局ではっきりしてもらいたい。
  33. 梶本保邦

    説明員梶本保邦君) ただいまのお話しでございますが、バス路線の免許についての一般的基準というものは、やはりわれわれとしては、道路運送法第六条にございます免許基準というものが、一つの基準になるものだと、かように考えております。従いまして、それが民間の企業でございますとか、あるいは市の公営企業のものであるとかということによっての差は、毛頭、私どもはつけておりません。この点は、特に、新市町村建設促進法の中にも、新しく地域が拡大していった場合の問題について、その第十三条の第二項でございますか、触れられておるようでございます点についても、私どもも了承いたしておる点でございます。従いまして、その事業が適切であるかどうか、あるいは輸送の需要関係がどういうふうになっておるかというような観点から免許するかどうかということをきめるのでございまして、決して、市の公営企業に対して特別に私どもが民間企業に比べて差をつけておるというふうなことはございませんので、その点は御了承をいただきたいと思います。  なお、逆に、民間企業が市の中に入っていく場合には、ほとんど野放し的に入っておるじゃないか、こういうお話しでございますが、この点は、道路運送法の百二十三条に、特定の市につきましては、意見を聞かなければならないということになっておりますので、むしろ、先生が一番よく御存じの大阪等におきましては、大阪市営郊外バスが乗り入れるために、ここ終戦後十数年来、いかに長い間困難な折衝が繰り返されたかということは、先生御自身が一番よく御存じの問題でございます。なかなか思うように市の中へ郊外バスが入っていくということもいたしておらないような現状でございまして、そのどちらかが入っていく方が非常に簡単であって、片一方の方が認められる度合いが少ないということではございませんで、結局根幹をなすものは、道路運送法第六条による免許基準である、かように御了承いただきたいのであります。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 建前はそうなっているようでございます。しかし、了承をしてもらいたいと言っても、現実の問題として、私は了承できない事実がある。大阪市の問題を出されましたが、私は長らくもう大阪市におったので、事情はよく知っている。一松先生も大阪の出身ですから、その辺の事情はよく御存じだと思うのです。大阪は市の独占企業としてやっている歴史がある。というのは、年月は忘れましたけれども、大阪バスという強力な会社があったんです。戦争が起ころうとしたときに、もう経営がならぬので、大阪市の住民の大きい負担によってあれを買収したんです。会社がいかないようになったから市が買収してくれといって、住民が非常な負担で買収したのです。そういう経過があるから、今日会社がまたもうけを出そうと思ってやったって、住民が承知しない。もちろん会社と並行すれば、東京都のように競争して、市民はある程度便宜はあるかもわからない。しかし、大阪市の場合は、そういう一つの特殊な事情があるんです。法律ではそうなっているかしりませんが、そこを大阪市の住民が納得しない。ここ十年、二十年たって、その当時のことを知らない人が市会議員に出たり、住民が多くなれば別ですが、今の住民はそれを知っているんです。苦杯をなめているんです。そういう歴史を一応運輸当局は御存であるかもしれませんが、ちょっと知っていてもらいたい。  これは岐阜市の問題でありますけれども、これは岐阜以外でもあるんですよ。名鉄の資本が相当入っていて困っている。私は路線の認可について十分知りません。どういう経緯で路線を認可されるか知りませんけれども、とにかく人けの少ないところでも、町村合併ができてふくれると、市のバスはそこまでやらなくちゃならない、非常にもうからない。会社のバスはめったにやらない。もうけのある路線だけ通しているんです。そうしてようやく人口がふえてきたら、その路線へ会社が入ってくるんですよ。私は会社経営が悪いと言っているのではないんです。やはり住民のいわゆる便利ということを考えて会社経営をしてもらいたいということを、運輸当局は監督してもらいたいということを言っているんです。私は独占企業がいいとは言っておりません。私は私の一つの考えを持っております、都市交通についてどうあるべきかという考えは持っておりますけれども、それは運輸委員会ではありませんから、そういうことを言っても、時間がかかるだけですから言いませんけれども、そういう、とにかくきわめて不公平な措置がとられている傾向が現実にある。それはおそらく運輸委員会でもそういう問題が出たと思いますけれども、私はここで一々証拠をあげませんけれども地方を回って見ると、そういう現実はあります。従ってそういう点は運輸当局は十分警戒と申しますか、注意をして、運輸行政を公平に、しかも国民住民の便宜を主として考えてやってもらいたい。これを私は注文をして、矢嶋委員質問がつかえているようでありますので、午前中の問題だと聞いておりますので、私はこれで打ち切りますが、これについては相当私も意見があるということだけ最後に申し添えて、私の質問を打ち切ります。
  35. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 お伺いします。先般の委員会で、他の同僚委員質疑関連して、私はハイタク業者一並びに東京駅に対して注意を喚起していただきたい、行政指導をしていただきたいということを要望いたし、運輸大臣は確約をいたしたのでありますが、その後いっその行政指導をされたか、されたとするならば、その内容はどういうことをされたか、御答弁を願います。
  36. 梶本保邦

    説明員梶本保邦君) 先般、当委員会におきまして、そのお話が出ましたことを、さっそくわれわれ事務当局としましては大臣の方から伺っております。直ちに東京陸運局長に、私自身が命を受けまして、電話をいたしました。そして東京の、特に何と申しましても日本の玄関でございます。ああいった日本の玄関において、御指摘のようなことがございますことは、まことに恥でございます。運輸省としましても、この問題につきましては、十分従来からもそういったことのないように、まあ機会あるごとに指導いたしておりました点でございますが、東京陸運局の方に、さっそく当日私自身が電話をいたしまして、そうしてそういうことのないように注意をいたしたわけでございます。
  37. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そんなことだろうと思って念を押したのです。立法府で討議して、そうして大臣が確約したことを、行政執行するにあたっては、電話なんかだめですよ。証拠が残らない。責任の所在が明確にならない。当然文書でやらなければいけない。それをわれわれが、あるいは国民が、お役所にお伺いして陳情した場合に、そのわれわれの陳情を受け入れられた場合は、電話とか口頭、そういうことでよろしいでしょう。しかし国会で論議をされ、約束されたごとを行政執行するにあたって、電話なんかいけませんよ。だから徹底していないのですよ。当然文書で出される、よろしゅうございますか。
  38. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ただいまのお説非常にごもっともでございまして、私どもさっそく、大へんおそくなりまして恐縮でございますが、さらに文書をもって通達をいたしまして、厳重に監督いたしたいと思います。
  39. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点を要請いたしておきます。  そこで、先般の委員会でお願いいたしました資料を出していただきましたが、これについてちょっと伺います。この資料をこしらえるのに延べ時間何時間ぐらいかかりましたか、およそ……。
  40. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 時間と申しましても、この調査の数字でございますが、数字につきましては、ただいままでにいろいろな関係の資料がございますので、調査のための時間は要しておりません。印刷その他の時間の意味でございますれば、ちょっと私、常識的に所要の時間だけということでございます。
  41. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どのくらいかかりましたか。
  42. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 今担当者から聞きますと、きのう一日かかって、これをきのう刷り上げたということでございます。
  43. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私ども審議する場合に、よく資料を要求するのですが、公務員の皆さんの業務量等の考える場合に、いろいろ気を使うわけですよ。できるだけ負担を軽く資料を出していただく、しかも、われわれの期待に沿うような、将来役立つような資料をいただきたいという立場からお願いするわけですが、まあ一日ぐらいかかっているだろうと思うのですよ。それで、今後のこともあるから、注意を喚起し、お願いもしておきますがね。私の要求した趣旨が十分徹底しなかった関係もあるかもしれませんが、こういうその車が何十何万あるとかいうことは大した問題じゃないのですね、内閣委員としての私の要求は……。こういう表を作る場合は、たとえば二十四年の何台、何トンという数字を入れれば、あとは計算機でぱちぱちやって、これを一〇〇として指数を出せばいいのですよ。そうして三十三年に指数が幾らになっているか、そうして三十三年現在の何トンとか、数字が幾らというものが出ておれば、ベースになる二十四年の数字と、また三十三年、三十四年の最終年度の数字が正確で、そうして二十四年のべースになるものを一〇〇として、あとは指数で表わせば、簡単であると同時に、議員が利用するのに非常に都合がいいわけです。われわれがこの表を見ると、何十何万という、これはタイピストさんも非常に骨を折ったと思うのだ。ところがそれを見る場合に、すぐ二十四年、二十八年と三十三年を比べて、その変化はどうなっておるかと指数に重点を置くわけですから、それがこれは出ていないから、非常に綿密な表でして、御苦労だったと思うのですけれども、議員の役にはあまり立たないのですね。だから、そういう点は、計算機もおたくなんかあるわけだから、簡単にぱちぱちとやって、指数で表わせばいい。そうすると作るのも早いし、タイピストも楽だし、それから議員も非常に参考になるし、後日のためにも便宜がいいんですよ。こんな、五枚ですか、こういう数字は、大へん御苦労だと思うんですけれども、あまりりっぱな資料じゃないんですね。これは各委員会で今後資料も要求されるでしょうから、希望も述べ、注意を喚起しておきます。  そこで、この内容はちょっとあとで触れますが、時間がないから簡単に伺って参りますが、この国内旅客船公団ですね、これについてただいま山本委員から質疑があったのですが、昨年の六月に発足したそうですが、監理官がいなくて都合の悪かった点はどういう点なのか。どういう点でどうしてももっと設けなければならないのか、その点の簡単な説明と、それから監理官という人はどういうクラスの、どういう程度の人が就任されるのか。それだけ伺いたいと思います。
  44. 中野大

    説明員中野大君) 昨年の六月十六日に公団が発足したわけでございますが、発足後は定期船課で監督してございまして、その監督事務といたしましては会計監督、業務監督、あるいは認可事項、そういった認可届出事項がございますので、それの事務を扱っておりまして、ただ、今まで監理官を置かない当時は、業務も軌道に乗ってございませんので、定期船課で兼務して監督もできたわけでございますが、いよいよ業務も軌道に乗りまして新造船舶ができますと、それの会計上の監督、その他相当事務もふえて参ります。そうしますと膨大な資金でもって公団が事業を営むわけでございますので、会計の監査上厳正を期するためには、専門の監督官を置いた方がいいんじゃないかということにいたしまして、定期船課の兼務を離しまして、専門的な公団監理官を置きたい、こういうふうな考えでおります。
  45. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 監理官にはどの程度の人を充てるかという御質問でございますが、私どもの方では本省の課長に準ずる程度の人間を監理官にいたしたい、かように考えております。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 昨年の六月この公団が発足するときに、昭和三十五年度からは正式の監理官を置こうと、こういう構想であられたのか。それともこの時点に立って監理官が必要と認識されるに至ったのか。おそらく前者ではないかと、こう推測するのですが、その点と、それから監理官一人ふやしてあとは公務員はふえないのか、これだけでよろしいのか。それから、私はまあ常識的な立場から伺うのですが、こういう監理官という、まあ権限と責任を持った人は一人という場合が多いのか。私はこれは複数制でないといけないのではないかと、場合によるとあやまちも起こるのではないか。公正にやっていくためには、管理官というものは複数制が適当なのではないかと、こうまあ常識的に考えるのですが、そういう点はどういう御見解を持っておられるのか承りたい。
  47. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 旅客船公団が三十五年度から発足するということにつきまして、——これは旅客船公団法という法律でできたわけでございますが、実を申しますと非常に難航いたしまして、二億といったような先ほど申し上げたような出資金では、公団自体の運営もできない、事務所は一体どこを借りるつもりだといったようなこともいろいろ御議論もあったのでございます。非常に私どもとしましては、二億と、財政資金三億で始めるということにつきましては、率直に申しまして自信が持てないということでございますが、とにかく発足しようということでございました。もちろん、私どもの当初の構想といたしましても、監理官を、他は例外なく全部監理官が、大小いろいろございますけれどもございます。で、当然私どもは監理官も要求いたしておったのでございますが、初年度で、非常にわずかな予算で仕事を始めるのだから、これがさらに大きくなれば考えようじゃないかということに、政府部内の意見がなったわけでございまして、ただいま矢嶋先生の御指摘の、前段であるというふうに申し上げることができるかと思っております  それから監理官につきましては、複数のところが大きいところについてにございます。住宅公団の監理官、道路公団の監理官は二人でございます。たとえば愛知用水公団でございますとか、森林開発公団でございますとか、首都高速道路公団でございますとか、そういうものにつきましては一人でございまして、在来の例その他から言いましても、これは一人で適当ではなかろうかと、今後非常に大きくなればまた別な考え方になるかもしれませんが、現在の段階では一人でよろしいのではないか。なお、一人では間違いが起こるのではないかという御意見がございましたが、この点につきましては、海運局に所属いたしまして、海運局長、次長等もおりますので、一人で、独断でどうこうということは、私どものただいま申し上げました監理官につきましても、他の省の監理官につきましても同様なことが言い得るのじゃないかというふうに考えております。それからスタッフといたしましては、二人ないし三人をこれにつけるという考え方でやっていきたいと存じます。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点理解できました。  次に、運輸政務次官に伺いますが、昨年の一月に行政管理庁から、運輸行政に関して勧告が出された。その勧告の重点は、運輸省関係の許可行政、特に自動車関係の免許行政に重点を置いて、相当徹底した勧告が昨年の一月に行政管理庁から行なわれております。これを運輸省は過去一カ年有余にわたって運輸行政にいかように反映させたか、どういう反省をなされたか、その骨子をお答えいただきたい。
  49. 前田郁

    政府委員前田郁君) ただいまのお尋ねでございますが、行政管理庁側のいろいろな申し出がございまして、その趣旨に従って、ただいまいろいろやっておるわけであります。なおこまかいことは官房長から説明させます。
  50. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 昨年一月の行政管理庁の勧告につきましては、運輸省の行政各方面にわたる詳細かつ根本的な問題でございまして、その中で一番大きな問題として取り上げられましたのは、ただいま御指摘がございましたような免許あるいは認可、そういった事務の促進ということであったと思うのでございます。その中でも、特に自動車の問題がもうほとんど大部分といってよろしいくらいな数字を占めておるのでございまして、この自動車の問題は、その後非常に私ども馬力をかけておるつもりでございまして、具体的な数字につきましては、梶本部長からあとでお答えいたしますが、相当馬力をかけて進捗させておるつもりでございます。なお、鉄道の免許につきまして、非常に長いものがございまして、これは行政管理庁から指摘されましたが、会社の方から出ておるのを長年処分しないまま放ったらかされておるといったようなものが、これは件数といたしましては自動車ほどの件数ではもちろんございませんけれども、そういうものにつきましては、却下すべきものは却下するというような処置も、それぞれ講じたような次第でございます。もちろん、十分とは、あるいは申しかねるかもしれませんが、行政管理庁の勧告の趣旨につきましては、できるだけの努力をいたしておるつもりでございますが、なお、自動車の件数につきましては、自動車局の方から。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと自動車局長の答弁の前に、自動車幕議会を設置するこの法案は、やはり昨年の一月、行政管理庁から運輸行政に関してなされた勧告に沿って出てきたものではないかと、かように考えるわけです。そうだとすると、私は、おそくはなったけれども、けっこうなことだと思うんですが、その点と、それから、もう時間がないから、詳しいことを述べていただく必要はないけれども、一体この自動車審議会では、何を一カ年間にやらんとするのか。行政管理庁の勧告にもいろいろと指摘されておるわけですけれども、どういうことをやられんとするのか。白タクのことについては、先般他の同僚委員から質疑がなされましたけれども、営業の自由権というものは憲法にもうたわれておるわけです。だからして、免許行政をやっているのですから、百パーセント勝手にというわけにはいかない、そういうことが言えると思うんですけれども、一月のこの勧告にもありましたように、既存業者に非常に偏重して、そうしてその憲法で保障されているところの常業の自由権というものを必要以上に圧迫しているという批判が勧告の中にもあったと思うんです。で、最近では罰則規定を非常に強化して、そうしてこの既存業者を必要以上に守ろうとしているのではないか、偏重しているのではないか、こういう感じがいたします。最近は陸運行政について汚職事件が起こらなくなったことは、非常にけっこうなことだと思うんですけれども、一時は、これはずいぶん運輸省自体が汚職の本山みたいな格好だったけれども、特に海運行政、それから自動車行政については、大なり小なり、ずいぶんあったものですね。(「今でもある。出そうか」と呼ぶ者あり)今でも知っておる。
  52. 中野文門

    委員長中野文門君) お静かに願います。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は断定はしませんが、それに近いことがある。プレート・ナンバーが一枚三百万円、二百五十万円なんということを東京ではいっておりますが、辻さんがそう言うから言うのですが、そういう関係者のところへ、お盆とかお正月には、電気冷蔵庫とか電気洗濯機とか、いろいろすばらしい贈りものがお宅に届けられる。あなたのところじゃありませんよ。届けられるというので、近所の奥さん方がやきもちをやくということは、これは漫画にもあるし、風のたよりで耳にするわけで、検察庁から摘発されるようなことが出てこなくなったことについては非常にけっこうです。まあやり方がうまくなったのかもしれませんが、しかし、そういう疑惑をかけられていることも事実なんですね。だから、そういう点も私は相当に反省すべき点は反省し、検討される点は検討すべきだと思いますが、この質問の冒頭に申し上げましたように、この勧告と自動車審議会の設置の関係、それから自動車審議会を一カ年の時限立法としているようですが、どういうことをお考えになっておられるのか、その骨子を簡単に一つお答え願いたいと思います。
  54. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 第一点に御質問になりました行政管理庁の勧告とこの審議会との関係いかんということでございますが、これはもちろん重大な関係があると考えております。行政管理庁の勧告の基本を流れております考え方が、自動車行政のあり方につきまして、個々の問題を取り上げてはおりますけれども、全体としての批判をあれはしたものと私どもは了解しておるのであります。で、個々の問題につきましては、われわれが日常の行政において、できるだけこの線に沿ってやるということにつきましては、先ほどお答え申し上げたように、われわれの方といたしましては努力をいたしておるわけでございますが、しかし、より根本的な問題といたしまして、自動車行政のあり方がこれでいいかどうかということがあるわけでございまして、一言にしていいますと、自動車審議会は、今後の自動車行政のあり方、これをどう考えるかということを御審議願うということでございまして、一年という期間は、実は私どもも短きに失するんじゃないかということで、当初二年ということで考えておったのでございますが、問題は、しかしそうゆっくりしてはおれぬのじゃないかということが、政府部内でいろいろあり、また私どもの省の中からも意見が出ましたので、考えている時間というのはそう長くないじゃないかということで、一年でとにかく早くしなければならぬ、焦眉の問題じゃないかということになりましたので、一年間の時限にいたしたような次第でございます。自動車審議会で、さらにどのような内容の具体的な問題についていたすかということにつきましては、自動車局の方からお答えを申し上げたいと思います。それだけ私は申し上げます。
  55. 梶本保邦

    説明員梶本保邦君) ただいま矢嶋先生のお話しのように、自動車局に職を奉じておりまする者として、一番悩みの種は、日夜、免許の申請件数があとを切らないことなんです。鉄道であれば、たとえば却下になれば、あくる日に同じ書類を日付を変えて出してくるということはほとんど考えられないんですが、自動車においては、何回でも何回でも出てくる。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 同情しますよ。
  57. 梶本保邦

    説明員梶本保邦君) 私の知る限りにおいても、八回、十回なんというのはざらにある。それで、そういったことを世間の人はあまりご存じなくして、自動車局は非常に怠慢である、かような御批判をよくいただくのでございますが、行政管理庁の勧告にもそういったことが書いてあったのでございます。私ども自身がそういった問題について十分反省しなければならないということは、これも事実でございまして、私ども局長以下、常にその点は念頭に置いておるのでございます。実は昨年、ちょうど一年ほど前に私今のポストに参ったのでございますが、そのとき旅客バスの大臣権限の事項が約千三百件ございました。とにかくこの千三百件の山を切りくずそうじゃないか、まずとにかく千件を切ろうじゃないかというので、自動車局が、局長以下一致団結いたしまして、その免許件数の山を切りくずすということに全力を注ぎました結果、昨年の十二月三十一日現在において千三件ということで、その三件だけは切りくずし得なかったのでございますけれども、とにかく一年間にその山を三百件切りくずした。かように私どもとしては、及ばずながら努力をいたしておるのでございますけれども、それでわれわれとしては、たとえば一つ考え方ですけれども、免許なら免許の申請が出てくると、何といいますか、それに何らの保証金を積むとか供託金を積むとかいう制度は今何もないわけです。大綱を書いて四角いはんこを押して、発起人の名前を七人出してくれば、免許の書類はでき上がる。却下になると、どこが悪い、あそこを直すということになって、何といいますか、キャッチ・ボールみたいにやりとりするということでございまして、何かそういった免許の申請のあり方についても、そういった問題もやはり一つ自動車審議会の中でお取り上げになって御意見を聞いてみたい問題の一つと、かようにも考えておるのでございます。決してそういった問題だけではございませんで、最近のタクシー問題にしましても、社会問題としてのタクシー問題というものが、今やはり世論で論議されていると私は思います。そういったタクシー行政のあり方、タクシーの需給関係のアンバランスを来たしたのが、ただいま御指摘のナンバー代が一台について二百五十万円、三百万円もするというふうに、間々巷間でうわさされるような状態になった原因の一つであろうかと考えるわけでございまして、そういったいろいろの問題、自動車行政が世の批判を浴びておるいろいろの問題について、世の識者から十分御意見を伺いたい、それがとりもなおさず行政管理庁の御勧告の趣旨に従う運輸省としての態度であろうかと、かように考えるわけでございまして、それが自動車審議会設置の理由でございます。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたたの答弁は非常に誠実味があってけっこうです。これは政務次官も自動車局の苦衷は推察してあげる必要があると思う。しかし、その行政が十分でないという点については、国民の期待に沿うように十分今後推進しなければならぬと思いますが、答弁は一応誠実味のある答弁で了承します。そこで、時間がないから、ちょっと資料について伺いますが、一番終わりの表ですね、この国鉄、私鉄の数字は固定化しておるのですね。あまり動いていない。もちろん二十四年ごろから比べれば動いているわけですけれども、三十、三十一、三十二、三十三と、最近固定化しています。今後も三十四、三十五と、そう急にはこの数字動かぬのじゃないかと、かように大体思われるわけですが、自動車、船舶、航空、この数字は三十一、三十二、三十三と非常にこの数字が動いておるのですね。で、さらにこれが三十四、三十五と行政よろしきを得れば、この上昇カーブはあるいはストップするかもしれないが、放置しておいたならば、この数字の示すところからは、カーブは依然として上昇カーブをたどっていくのじゃないかと、かようにこの数からは見られるわけです。それで伺いたい点は、一体この国鉄、私鉄の関係の数は動いていないが、この程度はもうやむを得ない事故件数と認定されておるのか、それともさらに動いていない数であるが、三十五年に行政よろしきを得て、この数字を下げる努力をされておるのか、またその見込みがあるのかどうか、その点ですね。それから自動車、船舶、航空のこれは放置しておいたならば、このカーブはさらに上昇カーブをたどっていくと思うのですね。これ少なくとも、とめなくちゃならぬ、あるいはそれを下降カーブに持っていかなくちゃならぬのですが、それにはどういう対策を考えられておられるのか、その点伺いたいと思います。
  59. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 実はこの資料につきまして先ほど指摘がございましたが、いろいろな点で非常に不完全な点が多いかと私どもも考えるのであります。非常に急がせましたので申しわけないと思います。たとえば今のお話しでもこういう問題がございます。国鉄の事故の件数が、死傷者についてたまたまここへ出ております数字では五千人台というところへ固定いたしております。二十四年度あたりからは少し減っておりますが、こういう数字になっております。しかし、これは実際に起こった件数の表でございまして、事故の数にいたしましても、私どもは百万キロ当たりどうなるか、列車キロが非常にふえておりますから、百万キロ当たりの数字をほんとうは出すべきだというふうに実は考えております。そういう列車の回数の割にふえる列車回数といいますか、列車キロと言っておりますが、キロ自体が非常にふえております。そういうものとの相対的な関係においてこれを見なければならぬので、これは私どもの方でこういう資料を出しておいてそういうことを申し上げるのは失礼でございますが、それから乗降人員、旅客輸送人員につきましても、これは第一の表にあるわけでございますけれども、非常にふえておりますので、割合的に見ますと、鉄道あたりにつきましては、同じ程度の数字になっておるということは、相対的な数字としては、少しずつでも減少をいたしておるというふうに見ることができるかと思っております。ただ、これはもうこの程度はやむを得ないのかどうかということでございますが、かようなことはもちろん考えておるわけじゃございません。特に前回のこの委員会でも申し上げましたが、これは自動車にも国、私鉄にも関係がございますのは、やはり一番大きい踏み切りの問題をどうするか、踏み切りの事故が、自動車に乗っている人がひかれるということだけでなしに、脱線によってこれから起こってくるといったような点、もちろん、ほかの列車の衝突とか追突とかいったような、あるいは車両の故障とか、これは安全的な見地から改善していかなければならぬ列車の保安措置その他でございますね、しなければならぬということは、これはもちろんでございますけれども、特に増加して参っておりますのがこれも実はもう少し詳しい数字でございますと、踏み切りの障害が出るわけでございますが、踏み切りの問題につきまして、これはどうしても解決をしていかなければならない。これには私どもは今国会にどうしても法律を出したいと考えておったのでございますが、この前お話し申し上げましたように、負担区分の問題等で政府部内の意見がまとまらないというようなことでございます。まあいずれにいたしましても、そういった道路と鉄道との交差の問題、これは一つ取り上げて重点的に解決していくということが、この死傷事故を少なくいたします、鉄道、自動車を通じての最も重点を置かなければならぬ問題で、現在の関係における施策であるというふうに私考えておりまして、そういう方向に向かいまして私どもの方もまた努力をいたしておりますが、今後ともいたしたいと考えておる次第でございます。  それから自動車につきましては、実は自動車の増加数字その他から考えて、これも相対的にも考えていかなければなりませんが、いずれにいたしましても、自動車による死傷の事故はおそるべきカーブで上がって参っております。これにつきましては、実は非常にたくさんな問題があろうかと思います。もちろん、踏み切りも大きいことでございましょうが、道路の問題でございますとか、あるいは公安委員会の担当しておられる交通取り締まりの問題、いろいろな問題があるわけでございますが、いずれにいたしまして、これにつきましては、実は今回私どもの方で設けようといたしております自動車審議会、これでもやりますけれども、むしろそうではなくて、建設省の問題あるいは警察の問題、いろいろな問題もひっからんでおりますので、内閣にございます事故防止対策本部を今度は名前も内容も変えまして、自動車の関係にしぼって、こういう事故の対策を中心に論議をしていこうということで、これまでもまあ神風タクシーその他をやって参っておるのでございますが、それを今度は完全に自動車に重点をしぼって、事故はほかにもありますけれども、特に自動車の事故ということで、近く新発足をしようということにいたしておる次第でございます。  船舶並びに航空機につきましては、異常数字がいろいろ出ておるのでございますが、たとえば航空機につきましては、三十三年度の五十二というのは全日空のものでございますし、それから二十九年の船舶の二千四百というのは洞爺丸の事故でございますが、これにつきましても、私どもの方としまして安全対策をいろいろやっておるのでございますが、事故が依然として跡を断たないということは、非常に遺憾と考えておるところでございます。ただ、事故の対策につきましては、これは先般の小牧の飛行場の事故といったようなことの防止について考えてみましても、全体の施策の総合的な結果として事故に現われるということでございまして、これだけやれば事故がなくなるという万能薬みたいなものがございません。設備の問題もございましょうし、訓練、教育の問題もございましょうし、それから待遇の問題もございましょうし、いろいろな問題がからまっておるわけでございまして、先ほどお話が出ておりました旅客船公団といったものも、経営面というものは、むしろ船舶の安全を確保するということが第一番でございまして、老朽船ではあぶない、これを直すということが第一の目的になっているわけでありますが、そういった意味から、私どもとしては省内でもいろいろお話しておりますし、また御注意も受けているのでありますが、事故が起こったあと、すぐはいろいろやりますけれども、またしばらくたつと忘れてまた事故が起こるではないかというおしかりを受けているのでありますが、海運につきましても、南海丸の事故もございまして、われわれの方でいろいろ組織を作ってまたいろいろやっておりますが、現実にやるということにつきましてさらに一そう努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が少ないのですからもう一、二質問して終わりますが、事故防止というのは、行政目標として今後非常に大きなものでなくちゃならぬと思うのですよ。見ておってごらんなさい、おそらくここ数年には日本国民個人々々で三親等内で交通事故の犠牲者がないような人はいないという事態が起こってくると思う。それで非常に大事な行政目標の一つだと思う。その点で触れたのですが、あなたは各省の官房長の中でも珍しく要領のよい、最も優秀な官房長と、答弁を傾聴しているのですが、今の答弁はちょっとおかしいのですよ。私はきょういただいた表で数字を総合的に判断して伺っているのですが、車両数とか、あるいは運行キロ数などの変化とあわせ考えるならば、国鉄、私鉄はもうこれは固着したものだと、改善にあまり努力していない、よっぽど抜本的なあれをしなければ、国鉄関係のこのカーブは下がらないという結論が出てきますよ。確かにあなたさっき言ったように、自動車とか、船舶、航空機の方は、事故件数多くなっておりますが、車両数の動きと運行キロ数の動きは国鉄、私鉄の比ではないのですよ、があっと急激に上に上がってきていますよ。若干数字を申し上げてみますと、第(一)表見ますと、バス、乗用車の数の動きというものは非常に大きいのですよ、近年ね。それに対して国鉄、民鉄関係はそう動いていない。それから一ページの下のキロにしましても、国鉄、民鉄の数の変化の度合いと、バス、乗用車の動きというものは比較にならない。それから(二)表の貨物輸送のトラック、この数字の動きというものは飛躍的なものです。従って、トラック貨物輸送による事故というものは、非常に多くなってきているわけですね。だからこういうところには一つの対策の重点が、ピントが合わせられなくてはならないわけです。トンキロにおいてもトラックの数が非常に大きい。それに対して国鉄、民鉄の数の動きというものは少ない。ただ、ここには絶対数だけ書いてあるから計算してみなければわからない。それからこれはさっき申し上げましたように、この表は落第表です。正確な表でない。ことにここで伺いたいのですが、第(二)表の過去十ヶ年間及び昭和三十七年の輸送施設の状況及び見込みというところで、国鉄の車両は、たとえば近年をとるならば、三十二年は約十三万、それから三十三年は十二万とダウンして、三十四年は十三万とまた上がって三十二年のラインにきている。この点客車の下の貨車もそうでしょう。三十三年のところでちょっと落ちて、そして三十四年が三十二年のラインにきている。これはどういう工合でこういうふうになるのかと不思議に思っているわけで、機関車もそうです。三十三年が落ちてきて三十四年で三十二年のラインにきている。ところが、自動車の場合を見てごらんなさい。登録自動車数、三十二年は百十九万、三十三年は百三十四万、三十四年は百五十万、この上昇カーブをごらんなさい。ことに、乗用車は二十二万台から二十六万台、三十一万九千台、こういうふうに上っていっているでしょう。トラックの数字の動きですね、この車の数の多くなる、それから営業キロ、運行キロの多くなるその度合、と事故件数の多くなる度合い、それらを比べますと、国鉄、民鉄の方は固着してしまっている。だからよほど抜本的な対策を講じなければこの事故件数というものは動かないということが、この数字から結論が出てきますがね。その反面、自動車、船舶、航空気に対しては、単数、機数もふえているが、努力すればこういう上昇カーブを描いている数字というものは、これはチェックする方策は案外簡単にできる。そういうところに自動車審議会を設けた目的もあり使命もあると、かように私は思っておるわけですがね。だから、この所論に対するあなたの意見と、それからせっかくこの表をもらったので、先ほど来不思議に思うのは、国鉄関係の客車とか貨車とか、機関車あたりが三十三年には下がるのですね、これは表として間違いないのか、どうしてこういうことになっておるのか説明願っておきたい。
  61. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 私の説明多少誤解を招いた点があるのじゃないかと思いますので、最初に弁明しておきますが、この一番終わりの表が、国鉄、私鉄だけが数字からどうこうと言っておるわけではございませんで、私のさっきの説明おかしかったかどうか、あれでございますが、自動車につきましても、増加した割合がどうかという表にすべきであったということを申し上げただけでございまして、もちろん鉄道と自動車との場合、車両の増加趨勢なり事故の増加趨勢、それぞれ非常に異常な状況であるということは、先生のおっしゃる通りでございます。国鉄も、これも表がまずいということにあるいはなるかもしれませんが、事故との関連において、必ずしもこの表を考えなかった点にも誤りがあったと思うのでございますが、私ども鉄道の事故の件数なんかにつきましては、列車キロという形で見ております。列車の動く割合ということで見ておるということを申し上げたので、国鉄の方が非常に何か、今おっしゃる通り、自動車の方が非常に事故がふえておるので、国鉄の方が固定しておるという数字につきましては、先生のおっしゃる通りでございます。  それから車両のところでございますが、これは、車両数につきましては、三十三年度は、ごらん願いましても何ですが、貨車が十二万一千両から十一万両に減っております。これは、そしてまた貨車全体があまり増加いたしておりません。片一方第(二)表をごらん願いますと、運輸数量が非常に上がっております。この点は、実は私は長年この仕事をやっておったものでございますけれども、古い車両をなくしますということは、ここに上がっておりますのは総車両でございまして、実際はもう始終工場へ入るような車両までみんな入るわけでございます。そこで、これを適当に廃車をしていって、たとえば十トン車をつぶしていって十五トン車なり、十七トン車なり、三十トン車なりを作るということをやはりしておるわけでございます。三十三年度につきましては、廃車が、貨車の廃車を比較的多くしたということで少し輸送量がダウンをしたような時期がございましたですが、その際に老朽しておる貨車を、うんと忙しいときには何といいますか、非常にくたびれている貨車でも使うわけでございますが、そういうものを、輸送量が少しダウンした際に思い切って廃車いたしまして更新をするということになるわけでございまして、この数字は誤りではございません。  それから客車につきましても同様でございますが、客車、貨車が両数のほかに大きさの問題がございますので、この問題も詳しい統計になりますと、いろいろあるわけでございまして、事実問題として、たとえば一例として国鉄の貨物の輸送数量を見ていただきますと、トンキロにいたしまして昭和二十四年は極端にしましても、かりに二十八年から、二十八年に四百十億トンキロのものが三十三年に四百五十三億トンキロになっておるわけでございますが、そういうものが、貨車の数字はほとんど違いがない、違いがなくて運べるとすれば、もとはよほど貨車の効きが悪かったということになるのでございます。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その小さい数字は、あなた専門家ですから、信用いたします。  で、終わりから二番目の表、飛行機三十四年度に百五十五、ヘリコプター四十六。この百五十五、四十六というのは、おそらく日本航空、全日空、それから海上保安庁、こういう関係の飛行機、ヘリコプターを全部合わせたものだ、自衛隊関係を除いた官民の飛行機を全部そろえておる数字だと思うのですが、そうですが。
  63. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 自衛隊の飛行機並びにヘリコプターは入っておりません。それから海上保安庁も除かれておりまして、民間で航空局に登録されておる総数でございます。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは承っておきますが、海上保安庁はおたくの所管ですが、政務次官に伺いましょう。海上保安庁の船艇の補強、増強、それからヘリコプターをふやすことを昨年度あらゆる機会に要望しておきましたが、来年度において、この海上保安庁の船艇をどの程度改造なり、あるいは増強をしたか、ヘリコプターを何機ぐらいふやしたか、この際承っておきたいと思います。ということは、自衛隊関係は飛行機、ヘリコプターを相当持っておるわけなんだが、警察関係にしても、管区警察にヘリコプターが一つもないと、海上保安庁も九州全域で一機か二機程度しか持っていないというようなことで、職務執行にも支障を来たしておるので、常々要望してきたところですが、ここに出ているこの表は民間だけで、そういうものは入っていないということですから、その数字を承っておきたいと思います。
  65. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 海上保安庁の巡視船艇の建造につきましては、前年度予算が約二億三千万円でございまして、三十五年度は二億八千万円。建造いたしますのは、三百五十トン型の巡視船二隻、十五メートル型の巡視艇一隻、計三隻でございまして、非常に貧弱な増強の状況でございまして、私ども極力これをふやすべくいろいろ折衝いたしたのでございますが、この程度でございます。なお、航空機等につきましては、警備救難業務強化のために、ビーチ・クラフト一機を整備いたすことにいたしておりまして、七千四百万円の予算がついております。昨年度昭和三十四年度は、遺憾ながらこれがゼロでありました。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これはあなた相手にやってもしようがない。これは運輸大臣並びに岸総理大臣考え方なんですけれども予算書を見ると、船艇の更新に必要な経費は三億一千八百五十一万円計上されておりますけれども、この船艇、それから飛行機、ヘリコプター、まことに貧弱だね。ほんとうに百年河清を待つたぐいですね。これは政務次官とか、あるいは政府委員を相手に議論してもしようがないから、きょうはこの点やめておきますけれども、機会があったら私運輸大臣責任を追及しますよ。これは運輸大臣に伝えておいて下さい。岸内閣総理大臣がその気持にならなければだめかと思うのだけれども、少なくも十七、八ノットから二十ノットくらい出る船艇を、海国日本の海上保安庁として打っておらなければ、問題にならぬですよ。  最後に伺っておきたい点は、先般この委員会でちょっと触れたことですから、結末を承っておきます。例の小牧飛行場の事件ですね。あれはおたくの航空管制官の責任ということをおたくでも認定されたようですが、国家賠償法に基づく賠償補償をするということだったのですが、おそらく最終的には判決を下された後でなければそういうことはやらないかと思うのだけれども、しかし、それでは補償の時期を逸するから、便宜的に運輸省では事前に賠償補償の措置を講ずるということが伝えられておりますが、当然そうすべきだと思うのだね。その結末はどうなったか、どうしようとしておるか。それから、この前この委員会であの問題を扱ったときには、航空管制官、運輸省だけの責任のように言っておったが、その後名古屋の地検では、防衛庁にも責任があるとして、航空自衛隊の平野二佐を起訴しましたね。こういう点については、運輸省としては、運輸省の航空管制官だけの責任と思っているのか。防衛庁側にも、もう少し当時私が言ったように注意していただけば、ああいう事故を起こさなくて済んだと、防衛庁側にも遺憾の点があると、こういう見解に立っておられるのかどうか。何らかの見解を持っておられるはずですから、それだけ明確に一つ政務次官からお答えおき願いたい。
  67. 前田郁

    政府委員前田郁君) ただいまのお尋ね、なかなか微妙な問題でございまして、運輸省といたしましては、管制官に手落ちがあったということは認めておるわけでございますが、なお自衛隊の方で手落ちがあったかどうかということは、運輸省側としてはちょっと申し上げにくい問題でございまして、その問題は今大きく取り上げられて参ったような次第でございます。賠償の問題は、官房長からお答え申し上げます。
  68. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ただいまの政務次官責任の問題について補足して申し上げますと、私どもの方は、決して当初からわれわれだけが必ずしも責任があるというふうに限定的に申し上げたことは一度もございません。航空管制官に手落ちがあったことは率直に認めざるを得ない、認めるということを実は申し上げておるわけでございまして、自衛隊の方に責任があるかどうかということにつきましては、検察当局で今いろいろ取り上げられておる問題でございますので、政務次官のお答えになったように、運輸省としてとやかく申し上げることは差し控えた方がいいと、かように考えております。賠償の問題につきましては、国家賠償法の適用があるという点につきましては、政府部内の見解は統一いたしております。正式に出すことになりますと、かなりかかるようでございまして、見舞金という形で出すようにいたしました。もう近く実は、きょう現在どういう形になっておるか、ちょっと担当の者がおりませんのですが、近く出すということで話を進めておるのでございます。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは次官会議でも、予備金支出、この要求されるのですか。当然私はそういうことをされて、早急に内払いの形か何かでやるべきだと思う。何年も後に最終結論ができて、賠償補償されたって、ありがたくないと思うのですよ。またことに、なくなられた方の霊を慰める道でもないと思うのです。だから、その点はもう省内で当然検討されなくちゃならない。やってなかったら怠慢だ。一体どの程度のものをどういう予算項目から、僕は予備金支出を次官会議できめる以外にないと思うのですが、その点はどういうふうに考えられておられるか。その点、官房長は、どうか。  それから政務次官にもう一つさっきの問題でお伺いしたい点は、さっきああいう答弁をされたけれども、あなた方の関係者である航空管制官並びにパイロット諸君の会では、われわれだけが責任を追及されるのは遺憾だ、不満だ。当然航空自衛隊の方も責任を追及されてしかるべきじゃないかという意思表示をあなた方になさっているはずです。その抗議といいますか、あなた方の関係者からの、下からの意思表示に対しては、運輸大臣としてはどういうふうに対処されたのか、お答え願いたいと思います。
  70. 前田郁

    政府委員前田郁君) この問題につきましては、私も現地まで参りましていろいろ両方の説明も聞いたのであります。それでただいま矢嶋委員の申された問題は、運輸大臣が閣議において報告いたしましていろいろ相談しておるのでありますが、まだ結論を得ないようでございます。
  71. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 見舞金の支出につきましては、本筋からいたしますれば予備費を計上して、予備費から出すことが一番本筋ではなかろうかということは、先生のおっしゃる通りでございますが、ただ、非常になくなられた方の数がそう言ってはなんですが少なかったり、金額の点につきましてあるいは大蔵省が他の項目からの流用というようなことを考えるかもわからぬのでございますが、そういう点につきましては、いずれにいたしましても大蔵省といたしましては事務当局として出そうということになっておる次第でございます。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いつまでですか、それだけ答えて下さい。できるだけ早くとか、早急に、では困るのです。いつごろまでに片づけますか。
  73. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) できるだけ早く出したいと思っておりますが、実は会計課長が向こうといろいろ事務的に話し合いをしておりますので、ただいまいつというふうに切って申し上げることは、きょう実は会計課長が参っておりませんので、非常に恐縮でございますが、いずれにいたしましても、できるだけ早い時期に出すようにいたしたいと思いますので、御了承願います。
  74. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと資料だけお願いしておきたいと思いますが、海運会社に国から助成のため補助金が出ておりますが、その出ております会社名と、それから融資金額、それからできれば会社の造船計画と、この助成策をとられてからの船の就航した年月日、わかればこれを一つ出していただきたい。これは先ほど山本委員質問とも関連があるわけですが、これは非常に採算がとれないところに金を回すのが、少な過ぎるのではないかという点からお聞きしたいと思います。  それから第二は、戦時中に軍が徴用したとかあるいは雇い上げた等の船舶で敵側に沈没されたということで、国がそれに対して補償しているのか、していないのか。してないとすれば、これにかわる何か方法で、旧船主その他に国が何らかの方策をしているかどかうか、この点がはっきりしておれば、これも会社名とか、手当をした金額とか、そういったものが一つわかれば資料として出していただきたい。
  75. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 用意いたします。
  76. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩    —————・—————    午後二時十三分開会
  77. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に続いて質疑を行ないます。政府側出席の方には、釜谷行政管理庁長官、山口行政管理庁行政監理局長、原田行政管理庁行政監察局長、後藤行政管理庁統計基準局長等の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  78. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前回に引き続いて審議会等について二、三お伺いいたしたいと思います。現在、審議会とか調査会等が大よそ二百五十六ほどあると思いますが、ここで問題なのは、審議会とかあるいは調査会等が、本来の目的通りに運営されているかどうか、ここに大きな問題があろうと思います。と申しますのは、今までも問題があったと思いますが、政府の考え通りに答申された面についてはこれを尊重するけれども政府の意に沿わないような答申がなされたときはこれを採用しない、こういう面がかつて過去にはあったように記憶しているわけであります。これでは、せっかく審議会を作っても、全く意味がなくなってしまうと思うわけです。こういう点について十分長官も配慮されていると思いますが、現状ではなかろうと思いますけれども、この点について、長官、どのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
  79. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 個々の審議会等については、就任の日も浅うございますので、詳細に報告を受けておりませんが、一般的には審議会設置の目的に沿うようにできるだけの督励をいたしております。そうしてすでに目的を達成した部門については、すみやかに廃止する、また審議会のうちには、御承知の通り時限立法で存続期間をきめてあるようなものもございますので、これは努めて時期の参ったときにはやめるように努力いたしております。詳細は局長がよく承知いたしておりますので……。
  80. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 また、この審議会あるいは調査会等について、これを政府の意向通りに引きずっていくために委員の範囲を制約する、そういうこともなされてしるのではないか。と申しますのは、たとえば政府の意に同調するであろうと考えられる委員で過半数を構成しておけば、あとは意のまにまに政府の方向へ持っていける、こういうことが当然に考えられるわけです。こういうことでは、先ほど申し上げたように、せっかく審議会等を作っても、全く意味がないと思うのです。この点について長官どのようにお考えですか。
  81. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 御質問のようなことがありますると、審議会の目的に反します。なお、いろいろの審議会に関係をしている委員がたくさんいるようであります。これは各所管の省庁に対して候補者と申しまするか、その委員になる人の時間的の都合とか、いろいろ事前に審議会の委員として職責を全うできるかどうかということを十分に調べて、その上で任命するようにという配慮をいたしておるのであります。従って側々の委員会については、私は直接関係はいたしておりませんが、概括的に、ただいま申し上げたような一つのグループと申しまするか思想と申しまするか、そういうように片寄らないという立場で委員の任命を私の方で考慮いたして進めておる次第でございます。
  82. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、審議会等が二百五十六ほどあるわけですが、このことについては、先般当内閣委員会でもほとんどすべての人から問題が提起されて、非常に問題になったわけなんですが、と申しますのは、委員等の数が、まあ幹事などもありますが、相当兼職されておる方が、あまりにも多過ぎるという問題に関連して、そういうことではなかなか成果が期待できないのではないか、まあそういう情勢の中で、月に一回とか二回審議会等が持たれるわけですが、どうもそういうことではどう考えても成果が期待できない。そこでお伺いするわけですが、この審議会等の委員を、たとえば二つとか三つぐらいの兼職の程度にとどめることができないものか。そうすることによって、名前だけでなく、実際には現在一人で十七ぐらい委員会等に関係している人も、前の調査課に出ているわけですね。そういうことを考える一と、いかに閑職で時間的余裕がある方でも、十七もの委員会に出ておったのでは、これはそれぞれの委員会に出席などとうていできないわけですね。出席して初めて審議できるわけですが、これはもう名前だけで全然意味がないと思うのです。それからもう一つ問題になるのは、これも前に問題になりましたが、同一人が長いこと、もうほとんど委員会、審議会の委員というふうに、古株の方も相当おる。この際、せっかく実力を持っておられる長官が現職しておるこういう機会に、刷新の意味で一つ思い切って新人を採用するとか、あるいは兼職を二つとか三つ程度に制約する、そうして人を入れかえる、そういうようなことで審議会等の本来の目的を十二分に達成させる、そういう方向に努力すべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、この点について長官のお考えをお伺いしたい。
  83. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 先ほどお答え申し上げた通りでございまして、初めて組織をする際の委員諸君を選ばれるということには、十分行政管理庁としては、時間的にもそれからまた本人が喜んで、進んで引き受けてくれるかどうかということで現実に指図いたしております。その結果この人は大丈夫だというのでわれわれの方も採用をいたしておるような次第でありますが、現実の問題として十七も十三も兼務いたすということは、これは誠実に委員の職責を全うする上には、私は不可能だろうと思います。従って、今後は努めて、ただいまのような御趣旨に沿うて委員の構成等に心を配りたいと考えます。
  84. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 他の委員相当よく知っておりますから、私は時間の関係もありますから、最後に一点だけお伺いしたいと思います。  たしか昨年の十二月十日ころであったと記憶しておりますが、益谷長官が行政審議会に対して日本現状にふさわしい行政機構のあり方について諮問なさっておったと思いますが、これに対して行政審議会ではすでに答申が出されておるのか、あるいはまだその過程にあるのか、もし答申がなされたとすればその概要についてお伺いしたいし、また、そういうものは答申されていないという段階であるならば、何回かもう審議会をやっておるわけですから、大体の方向は出ておると思いますが、ごく大綱でけっこうだと思いますが、承りたいと思います。
  85. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) いまだまとまった答申はございません。私が最初の会議に出ましてお願いしました趣旨は、行政全般についての御審議をお願いし、具体的にこういう点を検討してくれというようなことは指図して希望してないわけであります。行政審議会ではいかなる点を検討すればいいかということを、まず取り上げられて熱心に検討しております。いまだ答申は一度もございません。
  86. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 最後に一つそのことですが、大体日程を作って審議しておると思うのですね。それでは大体いつごろ答申が出されるのか、この際伺っておきたいと思います。
  87. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政審議会では行政制度一般につきまして検討をいたしておりますが、現在まで科学技術振興に関する制度の現状を調査いたしまして、これを改善する必要があるかどうかということを中心に討議されて参りました。まだその結果どういうふうに改めるべきかとかいう具体的な結論にはなっておりません。で今後、科学技術振興に関するものについての意見がまとまりました後におきましては、行政運営についてもっと能率化する、行政機構の制度、機構というよりは運営に問題が多いというので、運営の改善を中心に検討される予定になっております。おそらく、まだ具体的にいつ答申をするというまでのめどは立てておりませんけれども、そういうものを一まとめにして最後に答申されるということになるだろうと思います。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは質問者が相当あるようでございますので、三点ほど本案に対する質問をしてみたいと思います。  最初に、行政管理庁設置法第二条第一項の十二号にある監察の対象になる、公共企業体はわかっておりますから、公団、営団の名称、それから昭和三十四年度においてそれらの公団、営団の監察されたいわゆるその名称、これをまずお聞きしたいと思います。
  89. 原田正

    政府委員(原田正君) ただいま御質問になりました第二条第十二号関係公団、公庫について申し上げます。  公団といたしましては、日本住宅公団、愛知用水公団、農地開発機械公団日本道路公団、首都高速度道路公団、森林開発公団国内旅客船公団及び労働福祉事業団がございます。なお、公庫について申し上げますと、国民金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、住宅金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫等がございます。これらの公団、公庫等につきまして昭和三十四年度におきまして監察いたしましたものとしましては中小企業金融公庫、これは中小企業の振興補助行政に関連をしまして監察をいたしたのであります。そのほか昨年度中におきまして監察の結論を得ましたものとしまして住宅金融公庫に関する監察がございます。昨年中実施しましたものはかようなものでございますが、現在までに公庫、公団等につきまして監察を終わりましたものは、以上申し上げました公団、公庫のうち日本住宅公団、これは三十一年に実施をいたしております。日本道路公団、これは三十二年に実施をいたしております。森林開発公団、これは三十三年に実施をいたしております。それから公庫につきまして、農林漁業金融公庫につきまして三十一年、国民金融公庫につきまして三十三年、住宅金融公庫につきまして同じく三十三年に監察を実施いたしております。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでいろいろお尋ねしたいのですが、この中で一つ日本道路公団のことで一点お聞きしたいのですが、三十二年に監察されたように言われましたが、いろいろ道路公団については、聞くところはあるのですけれども、監察された結果、道路建設をやる場合に請負をやっておる主たる会社は、どういう会社であるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  91. 原田正

    政府委員(原田正君) 道路公団の監察につきまして、請負いを実施しておりまする主たる会社等についてでございまするが、これは脱衣のところ私どもの手元におきまして、はっきりとそれらの会社を網羅したものは実は手元にございませんです。それぞれ現地におきまして、管区地方局等が現地につきまして調査をいたしてはおりましょうが、請負いの会社等につきまして、特にその面についての監察調査をいたしたということは実はございません。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の尋ねておるのは、請負業者の監察はできないと思うのですが、道路公団が請け負わせておる会社はどこであるかと、こういうことはわかっておるんじゃないかと思うのです。それをお聞きしているのです。
  93. 原田正

    政府委員(原田正君) ただいま実地にそれにつきまして監察の衝に当たりました担当官の話を聞きましても、道路公団現実にどういう会社に請負わしめたかということまでの調査はいたしておらないのでございます。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実際問題で道路公団はすべて責任を持ってやっておるのですが、事実工事をやっておるのはこれは建設をやる会社なんです。監察としてそういうところは全然知らないということであれば、われわれがちょっと不満と申しますか、意外に考えるのですが、実際問題に、道路公団はいわゆる一つ公団として運営しておるのですが、現実に問題を監査する場合は、仕事をしている実態というものがわからなくてはいけない。公団資金の運営とか、そういうものを監査する場合に、ある程度そういうものが上がってこなくてはいかぬと思うのです。そういうものは全然監察の対象にならないものですか。
  95. 原田正

    政府委員(原田正君) 私が今申し上げました趣旨は、道路公団としまして事業の実施状況等については調査をいたしておりまするが、中央に参りました報告の中に、この事業はどの会社等をして請負わしめたかという報告がございませんので、それらをまとめたものは手元にないと、かような意味でございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 道路公団は実に大きい仕事をしておるのです。それで私は調査が上がってこないといっても、現実にそういうものはやはり調査をされておると思うのです。道路公団がどこにやらせておるかということを、全然行政管理庁が知らないということで私は行政管理庁は道路公団を監察しておるということはおそらく、法律ではどうなっておるかわれわれは知りませんが、常識として国民も納得しないと思うのです。公団ですから、政府資金もありましょうし、また財政投融資から相当莫大な金が出されておると思うのですが、それが現実に仕事をしておる会社がどこかわからない、そういうことで私はいいかどうか、その点長官どうでございますか。
  97. 原田正

    政府委員(原田正君) 道路公団の監察といたしましては、道路公団が請負に付しておる、そうして請負工事の進捗等について指導なり、監督なりをいたしておる、こういう状況につきましては監察をいたしまして、その結果としまして請負工事の進行面の改善について留意する必要があるという意味の監督をいたしております。これに対しまして道路公団として、請負業者の選定にあたりましては、施工能率その他の請負業者としての適格性を従前も留意はしてきたけれども、今後さらに正そう十分に留意して適切なる、適当なる請負業者を選ぶように努力をいたしたい。また、請負業者に対する資材の配給面等につきましても勧告をいたしましたが、それについても資材の迅速な支給や、あるいはその検収の合理化、そういうものについて今後一そうの改憲の努力をしていきたい。こういう意味の回答をよこしておるのであります。私のお答え申し上げましたのは、そういう具体的な名前が報告されておらないと、こういうことでございます。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題はあとでまた質問いたしますが、それでは三十四年度に道路公団が有料道路を相当建設しておると思う。それの全行程が幾らになっておるか。今調べておらなければ三十二年度において調べられた結果どうなっておるか、これを一つお尋ねしたいと思います。
  99. 原田正

    政府委員(原田正君) だいぶ前の調査でもありまするし、具体的な問題につきましては、担当の係官から御答弁をいたさせます。
  100. 森浩

    説明員(森浩君) 当時、三十一年度の支出決算書によって調べました結果、予算総額八十六億でありましたが、それらの内容を一応検討いたしたのであります。その当時有料道路のキロ程につきまして……。ちょっと当時調べました資料を今持って参っておりませんので、後ほど調べまして申し上げたいと思います。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は行政管理庁の行政監査には相当信頼をしておるのです。毎年発表されるものについても相当国民の信用性を持っておると思うのです。で、国鉄とか、公企業に対しては相当論議をされておるようです、また、われわれも各方面から聞いておるのですが、公団に対しては、きわめて政府の監督がルーズだと聞いておる。本日は資料がないから、材料がないから私は積極的に追及しない。いろいろ地方へ行きましても問題のあるやに聞いておる。しかし、私はクエスチョンマークの質問はいたしません。しかし監察当局は、公団に対してもう少し積極的に監査をしてもらいたいと思う。問題を起こしてから、政府があわてても私はいけないと思う。で、今請け負いされておる主たるそういう請負師もわからない、会社もわかっておるのですけれども、報告もないから責任上言えないといっておられますが、相当私は営団経営に問題があると思う。公共企業体であれば、過去の経過から、いわゆる官営であったのですから、相当経理は十分にやられておると思うのですが、営団については相当ルーズな点がある。で、行政監察局がそこまで積極的に監査ができ得る権能があるのかどうか。もちろん、会計検査院あたりはやっておると思いますが、主としてそういうところをきびしく監査しておるところは、中央官庁でどこであるか、それを聞かしていただきたい。
  102. 原田正

    政府委員(原田正君) 各種の公団に関しまする監査といたしましては、それぞれその公団を監督いたしておりまする各省におきまして監査をいたしまするし、会計検査等も実施をいたしておる次第であります。しかしながら、行政監察局といたしましては、今お話のありましたように、公団等はきわめて多額の国家的資金を運用しておりますきわめて公共性の強いところの事業体でございます。その運営がきわめて効率的に行なわれるかどうか、その資金の使い方が効果的に、効率的に使われておるかどうかと、まあこういうふうなことは、国家の施策の上から見ましても、また、国民に与えまする影響の上から見ましても、きわめて重要なことであると考えまして、その点につきましては、重点施策の一つとして監察をいたす方針でおる次第でございます。そういう意味におきまして、公団につきましての専任の担当の監察官等も置きまして、これが監察調査に当たらしめておるような状況でございます。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題につきましてはきわめて不満です。まあしかし、きょうはこの問題についてはそう追及するのはおきますけれども、おそらく公団については今後、私は予言めいたことは言いませんけれども、問題が起こってくることがあると思うのです。というのは、公団は、官庁でもなければ、民営でもないけれども、非常にあいまいな組織のいわゆる事業体なんです。従って、経理の状態を見ましても、私が請負の名前を言ってもらいたいと聞いたのも、非常にそこに問題がある。たとえば、国家の経営によるやつであれば、国鉄でも相当厳重な方法で請負なんかを選定しておりますけれども、営団となれば、私は相当ルーズな点がある。こういう点が、私は監察当局が十分に目を通しておられると思ってきょう質問しようと思ったのですが、私は満足する答弁をおそらくきょうは得られないと思うのです。これほど深く入っても今のような答弁では私は満足しない。従って、今度はもう少し具体的な資料を持って私は質問したいと思う。で、監察当局として、行政管理庁としては、この問題について、道路公団については三十二年度にやられたのですが、本年度これについて、やる計画があるのかどうか。何か資料をもらっておりましたが、ちょっと口頭で一つ答弁を願います。
  104. 原田正

    政府委員(原田正君) 本年度の一応の予定といたしましては、道路公団につきまして監察をやる予定はございません。最初申し上げました通り、各相の公団、公庫等でまだ一度も監察をしておらない対象があるのでございますので、それらをでき得ればやりましたあと、総合的な見地に立っての監察をやりたいと、こういう意味で、ほかの公団本年度はやりたい。たとえば愛知用水公団であるとか、あるいは農地開発機械公団であるとか、そういうようなものを一応考えておるような次第でございます。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、権限があるなしは別として、本日この法案を上げられるらしいのですが、私は、そういう点であったら、これは今日上げるのは不満なんです。質問に満足に答えられないまま、これから本日、この法案が上げられるごとについては、私は不満を表明したいのですが、理事の問の申し合わせであれば別として、従って、これに対して、道路公団に限らないのですが、特に道路公団について資料の提出を一つお願いしておきたい。今までどういう会社に請け負わしてやったか、名前だけでいいです。それと、それに対するいわゆる請負をさしたその金額、これだけ一つ出していただきたいと思いますが、出せるかどうか。
  106. 原田正

    政府委員(原田正君) 前に申しました通り、道路公団が請け負わせました請負者、それを、どれだけの金額をもって、どういうふうに請け負わしたかということを監察調査の項目に今まであげておらなかったのでございました。そういう関係がありまして、今それをとりまとめるということは困難ではないかと、かように考えておるのでございます。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 困難であるということは、できないということになるのですか。行政管理庁として、関連があれば、各省連絡してでき得るはずだと思いますが、それが困難であるということは、できないということですか、どっちですか。
  108. 原田正

    政府委員(原田正君) その点につきましては、道路公団につきまして十分な調査をし、また、必要があれば各省等に連絡をして調査してみたい、かように考えております。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 出せるのですね。
  110. 原田正

    政府委員(原田正君) はあ。資料を提出いたしたいと思います。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、その問題は資料によって、いずれまた、次の機会にこういう問題は質問する機会があると思いますから、本日はこれで一応終わります。  次に、簡単な問題ですが、本法律案に戻って一つお伺いしたいのですが、これは監理局の関係かもしれませんが、今度の法律改正案によって、地方支分部局の職制が若干変わって、行政監理局並びに統計基準局の仕事を支分部局にやらせ、しかも、これは人数においては変更がない、予算も変わりない、こういう趣旨らしいのですが、はたして、それが末端の支分部局で事務がとれるのかどうか、この点についてちょっと聞いておきたい。
  112. 山口酉

    政府委員(山口酉君) お話しのように、現在御審議いただいております法案によりますと、監理局並に統計基準局の業務について、その調査事務を地方支分部局、監察局の地方支分部局が分担することになっておりますが、監察の方の業務にいたしましても、監理局、統計基準局の方で持っております業務にいたしましても、地方支分部局で担当いたさせます仕事は、役所側で自主的に計画を立てて出すのでございますので、受身のものでございませんので、できる範囲で計画を立てて実施するということになるわけでございますが、もちろん、十分にやるというためには、いわば多々ますます弁ずるということになるかと思います。そういう意味で、将来これを実施した結果、どうしてももう少し機構を拡充する必要があるということになりますれば、あらためてさような案を御審議いただきたいと考えておりますが、現状の見透しといたしましては、実は従来、監理局で実際調査をいたすべきものが、監理局自身に非常に人員が少ないために、同じ庁内でございますから、監察局の系統でお願いをして調査をしておるというものがあるわけでございます。で、今後実施するものは、さしあたりその程度のものを考えておりますけれども、これはそれならば従来と同じ方式でいいのではないかということになるかと思いますが、実は、実際従来やりました経験から見ましても、監理局で計画いたしました業務につきましては、やはり地方と直接監理局と連絡をつけて、まあ指揮命令と申しますか、いろいろの打ち合わせも直接やるということの方が適切に参りますので、そういう筋を明瞭にしたい、かように考えておるわけでございます。従って、お話しのように、これで監察の方に障害が起こらないかという御懸念かと思いますが、運用上そういうふうにならないように極力努めて参ります。どうしても工合が悪いということになった場合に、あらためてまたその対策を講じたいと、かように考えております。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはこの前の監察事務についても関連性があるのですが、実際、十分私は調査はしておりません。してないけれども、この行政管理庁の監察というものは、きわめて形式的だと言われておる。やはりそういうところに地方、出先の職場といいますか、そこらのところが非常に手不足でないかと思うのです。手不足であるから、十分自信を持った監察はできない。そういうことで十分この監察行政というものが行なわれてないと私は思う。先ほど私が尋ねても、常識で考えても監察された場合に権限のあるないにかかわらず、公団に行って、どこの人が何を請け負ってどの道路をやっておるかということぐらいは監察しなければ、ただ法文の上だけなでたような監察では、私はほんとうの行政管理庁としての職務は遂行されていないと思う。やはりそういう関係から、その上にまたこういう職務を分担さそう、こういうことはよほど考えてやらなくちゃいけない。それがひいては出先の職員のいわゆる事務の負担増加、強化によっていわゆる労働強化ということにもつながってくると思うのですから、この点は十分考えて、この法律案はおそらくきょうは通されると思うのですが、十分これに留意してもらいたい。これについて、どうですか。
  114. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 新たに行政監理局並びに統計基準局の業務を付加していたします際には、十分中央におきまして監察局と連絡協議いたしまして、具体的に計画内容において過重負担になりませんように調整をとって計画を流したいと、かように考えております。
  115. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、次にこの前の答弁の中に、苦情の申し出が約三十四年度に六千件あった、こういう統計があったということを聞いたのです。この質問はすでにこの前やられたかどうか知りません。その六千件のうち、約九割はもうすでに処理された、こう聞いたのですが、そのおもなる苦情の、行政官庁は各別に見て、どの省のものが、これはもう六千件全部説明してもらいたくない。おもだったものはどういうものであったか、これをちょっとお聞きしておきたい。
  116. 原田正

    政府委員(原田正君) 昭和三十四年度におきまする苦情相談の件数は、今申されました通り、約六千件でございます。その中で最も多いものは厚生省関係の千六百八十一件、そのほか総理府関係これが九百十五件、建設省関係が六百八十五件、大蔵省関係が三百十件、もう一つ農林省関係が千六十八件ございます。それから法務省関係が二百三十五件、大体おもなものはさようなものでございまして、そのほかに通産省、運輸省関係、郵政省関係、国鉄、電電公社等に関するものまでも少数でございますがございます。
  117. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これを一々尋ねておっても時間がかかりますから、これも後ほどでけっこうですから、後日資料を一つ出していただきたい。それだけお願いしておきます。実は監察の問題で相当いろいろと聞きたかったのですが、今の状態では時間もございませんし、次回にまた何らかのときに一つお伺いしたいと思いますので、監察当局は十分今度の場合は資料を一つ整えておいてもらいたいと思います。行政管理庁の関係は一応終わりたいのですが、もう一つこの前、実は地方自治法の附則第八条による職業安定所あるいは社会保険関係地方自治体に事務を委任されている点があるんですが、それがいわゆるこの前の監理局長の説明では、職業安定についてはILOの八十八号条約では、これは八十七号と違いますから、八十八号の職業安定に関する条約に関係があって若干問題があると言われましたが、多分あの条約の第二条、第三条、第四条について言われたと思うんですが、これについては条約文を持って来ておりますが、実はこの条約の精神というものは、何も国がそのまま直ちにこの職業安定の行政事務を国家公務員自身がやらなくちゃならぬという意味ではないと解されるのですが、これは国が監督指導しておれば、しかもこの条約にいわゆる合うように、全国的に全国民がその職業の紹介に機会均等を保っている制度であればいいということになるのですが、この点について、あえて身分だけ国家公務員でなければならぬということはないのじゃないかという私の質問に対して、ちょっとあいまいな点がありましたから、私はそう思うのですが、行政管理庁長官どう思いますか。あるいは局長でもけつこうです。
  118. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 職業安定に関する機関につきましては、お話しのように国際条約によって国の機関が担当するということになっております。その趣旨は、ただいま山本委員の仰せの通りだと思います。それで国が実施するというのは、委任されてはいけないのかどうかということになるかと思いますが、理論上委任したものは国の事務でございますので、委任して悪いという理論は立たないように思うわけでございます。ただ、現在の労働省における考え方としましては、この精神をくんで、できるだけ直接国がやるというふうにした方が望ましいということで実施しているわけでございます。従ってこの点で法律的に不可能だということではないと私は解釈しておりますけれども、労働省といたしましてはやりたくないというような考え方を持っております。で、おそらく山本委員の仰せになりましたことと理屈が違うことじゃないと思いますが、実際の取り扱いとして、労働省は、直接やることが望ましいという考えで現在おります。で、その点についてどうしてもまだほかの機関についても問題が解決しておりませんので、この際それを無理にということも私どもから申してはおりません。さような実情でございますので御了承いただきたいと思います。
  119. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで実は現実の問題になっているのは、これは内閣委員貝の各位、これは社会党、自民党を問わず請願がいっていると思うのです。現実にその問題が出てきているのです、東京都の場合は。地方公共団体の委任事務として地方公共団体がやっておる、しかもその事業の中には純粋な東京都の仕事も併存をしておる。ところが、身分が国家公務員ということで、それに対する給与なり処遇が、法律の基礎がないから、いわゆる東京都の職員と区別をしてやらなくちゃならない。一方は国家公務員の給与法の適用だからということで、事務は委任されておるが、仕事をしておる職員はいわゆる国家公務員の給与にしばられておる、こういうところで非常に矛盾がある。で、すでに十何年間出されておった、東京都における生活の実態から出されておった在京手当というものは、法律の根拠がないので、要請があるからというので東京都の出納長がこれを拒否した。都会ではすでにその予算案が承認されておるけれども、出納長の権限でこれを拒否するということになっておる。平均して四千五、六百円、係長、課長になると八千円ぐらいの減収だといって大騒ぎしておる。私も労働省の官房長と会ってきたのですが、それはもう無理だ、無理だが法律上出す法がない。これは一つ説明ですが、この点について、今までは地方自治法の附則第八条に非常にこの問題のある文言がある。これで私は地方の公共団体の職員とみなしてそういう処遇はでき得るものだという解釈をしておるのですが、行政管理庁として、権限があるなしにかかわらず、この問題についてどう解釈するかということを一つお聞かせ願いたいと思うのです。実は地方自治法の附則の第八条にこういう文言があるのです。ちょっと読みますが、「政令で定める事務に従事する都道府県の職員は、」それが今ここに職員といわれておるのですが、ここで「都道府県の職員は、」という限定をしておる。「第百七十二条、第百七十三条及び第百七十五条の規定にかかわらず、」これはまあいろいろ規定しておる条文があるのですが、にかかわらず「当分の間、なお、これを官吏とする。」これは国家公務員という意味です。官吏とするという場合においては「必要な事項は、政令でこれを定める。」と、こうなっている。従って、前提の文言で都道府県の職員だという一応規定づけをしておる。しかし、第何条第何条の規定にかかわらずとうい一つのこれまた前提をおいて、当分の間官吏だ、こういっておるのです。従って、官吏であるけれども、いわゆる国家公務員として他の方に出向した場合には出向先における待遇を受けるというのが今までの慣例なんですから、あえて都の条例に基づくところの処遇で支出しても支障はないという私らの解釈をしておるのですが、自治庁にいってもそうだと断定しないけれども、これについては疑問があるとか、そうでもいけるとかいうふうな解釈もあるのですが、行政管理庁としてはこれの解釈をどうしておられるか、これをちょっと聞いておきたい。
  120. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 実は行政管理庁といたしましては、この定員の管理については、やはり国家公務員として一応責任を持っているということになっております。そうしてこれを切り離して省に委譲するかどうか、それが支障があるかどうかということは検討いたしておりまして、現在行政管理庁としては支障がないという考えに立っております。しかし関係各省との意見は御承知の通りまだ一致いたしておりません。それから待遇の点でございますが、実はこの点については行政管理庁は所管しておりませんので深く検討いたしたことがございません。御了承いただきたいと思います。
  121. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは無理ないと思います。  それでは一つ最後に官房長官……まだ委員長見えぬですね。
  122. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  123. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはもう益谷国務大臣に聞くのも無理かもしれませんが、閣僚の一人として、副総理としてこの問題も相当御意見を聞いておられると思いますので、答弁ができましたら一つ答えていただきたい。もちろん所掌は官房長官だと思います。思いますが、一つ重要な今日国会に提案するということになっておるILO条約八十七号に関係する国内法整備の問題ですが、きのうも、実は石原自治庁長官とも会いまして、地方公務員に関する問題について問題点を追及いたしました。これは院内における正式の委員会の話でないですから、責任は向こうも持てないと思いますけれども、そのときの私の質問なり話に対して、石原長官は閣内においては、ある一部の、一部といっても、一人を除いてはわれわれの言うILO条約八十七号批准によって、具体的に申しますと、国家公務員法、地方公務員法を直ちにそういう変える必要もないと思っておる。ことに在職専従なり組合費のチェック・オフの問題等は、今直ちにそういうことをやるということは、報復的手段だと一般の公務員から言われてもいけないから、そういう気持はないけれども、党の内部にそういう強い意思があるので、われわれとしては遺憾ながらどうこうということは言えませんという、こういう話があった。これは委員会における話ではありませんから、私はその言質に対する追及は何もいたしませんが、そういうことを聞いておる。そこで、私は政府に聞きたいのは、実際このILO条約、ずっとあります八十七号から九十八号全部を見ましても、あのILO条約批准によって国家公務員法、地方公務員法を今政府が考えておるようなそういう改正をする必要はどこにも見当たらない。それをしいて今やられるというところに私は問題がある。で、そういうことで、もしかりに百歩譲って、在職専従の問題がある、組合費のチェック・オフについて問題があるとしても、各国の例を見ても、各々労働協約なり、両者において話し合いをしてやり得る。一国の法律によって組合費を給料を出すときに引いてはいかないというような法律を作っておるところはない。引くことについては、お互いにこういうことは干渉がましいことであるからやめようじゃないかといってやっていないところはありますけれども、一国の法律で、そういう話で引こうといっている組合費を、法律で引いてはいかぬのだということは、これはあまりにも法律万能の考方、もっと言葉を悪くいえば、組合の運動を弾圧するという以外にこれはない。在職専従でもそうなんです。この八十七号以前に、もうすでにわが国会でも承認されておる九十八号を見ましても、現在あるところのいわゆる権利なりそういう特殊なものについてはこの条約を批准されることによって何らこれに影響を及ぼさないという一項もある。そういうことから見れば、今政府がとられんとしておられる、政府というよりもむしろ自民党のある一部だと思いますけれども、とろうとされておることは、ことさらにILO条約の批准によって、国家公務員、地方公務員の組合運動に対して何らかの支障を与えようという、こういう意図のあるということを見られても、私は政府並びに自民党の一部の方々の証明はつかないと思うのですが、これに対する益谷副総理の御所見はどうですか。
  125. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) ILO八十七号の問題は、これは私の所管であるかどうかということよりも、閣議全部の関係の問題であります。従って閣議もたびたび開かれまして、まだ結論に達しておりませんので、公務員の問題についても、本日の閣議で決定するものと私どもは期待して参りましたが、人事院関係方面においても、また党の政調とか、あるいはまた行政審議の小委員会があります、その関係で本日は閣議決定に至らなかった。閣僚の個々の意見は大体私も承知いたしておりますが、これは申し上げない方がよろしいと思っております。私自身も考え方は持っております。持っておりますが、ここでこれを御披露するのは、いかがかと思います。努めて、私は給与関係と並んで公務員関係の担当をいたしておりますので、努めて公務員の利益になるようにはかりたいということは、私はたびたび陳情等にも申しておる次第であります。しかしながら、なかなか難航いたしておるようであります。先ほどもちょっと聞きますると、人事院との調整、党との調整がなかなか困難をいたして、今は主として官房長官、小笠副長官が衝に当たってやっております。大体夕方閣議を開く運びになるだろうと期待してこの部屋へ参りましたが、まだどうも本日の夕方まで開けるかどうかわからぬ情勢であります。私はここに自分の意見を申し上げることを避けますが、公務員担当の責任者として、できるだけ利益の方面に自分の意見を述べたいと思っております。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ私これで終わりますけれども益谷国務大臣としては今のそういう答弁もやむを得ないと思う。しかし、今までの慣例からいうと、もう法律案になればこういうことはあるかもしれませんが、やはり国会では法律案としてこれを再議を通そうということになってくると思う。これはイギリスでも、あるいはフランスでも、あるいは西独でも、あるいはアメリカでも、こういう労働関係法律を作る場合には、相当労働組合の幹部なり、専門家の意見を聞いて立法されておる前例が相当ある。わが国ではどこにそういう、何といいますか、相談相手を求められておられるか知りませんが、どうもわれわれとしては理解に苦しむ場合が多い。私は努めておとなしい表現をして話をしておるのです。これが法律案になってくれば、相当また安保の条約と同じように、大きな問題がある。政府も、まあ今だれが起草されているか、主張されているか知りませんが、政府が今まで新聞に発表した内容を見ると、きわめて一方的にものを観察して出しておられる。往々にして間違いを起こしますよ。せっかく戦後ここに民主主義の基本である労働運動が、まあ行き過ぎといえば行き過ぎがあったかもしれませんけれども、ようやく軌道に乗っていこうというこの段階に、一歩誤てば政府の意図せざる方向に進む憂いが相当あります、長い間の私の経験からいっても。私は副総理にきょうそれを言いたい。ただ一点だけを見詰めてやると、政府の言うことも、なるほど政府考え方かということもわかりますけれども、各方面からそれを観察するだけのやはり政府に対してそういうサゼスチョンをする顧問的な人がおらぬと思うのです。間違いを起こしてくれば、せっかく軌道に乗っていこうとする日本の労働運動というものは、また逆に困った方向に向く一つの今岐路であるということを益谷国務大臣は、今の問題がいつ解決するか知らぬけれども、十分考えてもらいたいと思う。具体的の例を述べようと思っても、そういう衝でないから言いませんけれども、もうすでにおわかりだと思う。在職専従の問題にしても、チェック・オフの問題にしても、そんなものは労働運動の正当な問題じゃない、大きい問題のポイントじゃないのです。ただ、あれをやられると困るのは、今のような日本の労働運動の現段階では困ることはあります。困らしていいということが政府の意図であるならば、大きい間違いを起こすということを、私は言いたい。私は自民党の方々はすべて資本家の手先だということは言いません。国会議員すべてはやはり日本国民の私は代表だと思っている。今二番大事なのは、労働運動を今後どう方向づけていくかということで、資本家を問わず、労働者を問わず、また政治家を問わず、みんな考えなければならぬ一つのポイント、基礎です。それを一面だけ考えて、今度の国家公務員、地方公務員あるいは鉄道営業法なり、公労法を変えるということになると、それこそ大きい問題がそこに腹蔵しておるということを十分考えて、おそらく私の見通しでは、今まで結論が出ないということは、人事院の改組の問題だけじゃない、相当議論が沸騰しておると思いますから、本日提案されることになっておりますが、時間の余裕があれば益谷国務大臣もぜひ一つその点を、具体的に私言いませんけれども考え直して、もっと本筋を見きわめて改正案を出す。あわてて出す必要はありません。何も国家公務員、地方公務員法を直ちに、同時に出す必要はないのですから、その点は十分一つ閣内に益谷国務大臣の口を通じて入れてもらえるかどうか、これを聞きまして私の質問を打ち切りたいと思います。
  127. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 先ほどお答えしたので十分おわかりだと思っておりますので、重ねてお答え申し上げるのを避けたいと思います。これから閣議があることを期待いたしておりまするから、まだ閣議にかかって自分の意見を申しておりません。従って閣議決定までお待ちを願いたいと思います。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長関連して。その問題について一昨日の委員会で私は若干の私見を申し述べ、副総理の意見を伺うとともに御要望を申し上げたわけですね。どういう御努力をなすって下さったか、その点をお答えいただきたいことと、それから、当面これは緊急な件だから私もちょっと関連して伺いたいと思うのですが、閣議の内容をここで公表していただきたいということは申しません。閣議の内容というのは内閣のスポークスマン以外発表しないことになっているからそれは当然だと思う。しかし、国務大臣としてここに御出席になっておる益谷さんが、あなたの御所見をわれわれが伺った場合に、それを述べられないということとは、これは私は了解できない。当然、益谷国務大臣としての見解は述べていただかなければ、閣議の中でどなたがどういう意見を述べられてどうだということはともかくとして、一切この際は質問に答えないでこの委員会を終わろうというその御態度には、私は同調することはできません。そういうことを申し上げて私の前段のお尋ねをお答え願いたいと思います。
  129. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 大体の修正の方向はわかっております。人事院とはどの点を調整をしているのか、党とはどういう点を官房長官が中心で調整しておるのかということも大体承知いたしております。私は、先ほど山本委員に申し上げた通り自分の担当のいかんにかからず、これは閣僚全体の大責任であります。従って、特に私は一般職の公務員を担当いたしておりまするから、公務員諸君の利益を守っていきたい。これだけが私の所見であります。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それじゃ一、二分けて伺いますよ。まず第一点は、ILO八十七号条約批准を求める提案は、約束通りに本日中に国会に出されますね。
  131. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 一昨日もお答え申し上げた通り、これはまだ閣議決定になっておりません。ILO条約の批准を出すか出さぬかということは、まだ閣議決定になっておりません。しかし、その点のいろいろ疑惑があるようであります。ILOの条約批准の準備を一応二十八日までに出せばいいのか、ILOの批准案件を二十八日までに出せばいいのか、まだ疑問があるようであります。従って、ILOの批准を二十八日、すなわち今日一ぱいに出すか出さぬかということは、まだ閣議決定になっておりません。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、閣議決定になっていないことは私も承知しているわけです。それを伺っているんじゃないんです。本日中に、これはILO八十七条約批准ということは、国際的にも日本政府は追い詰められている問題です。国内的にはもちろんのことです。だから、いろいろ経過があり、野党との公約もあるわけですからね。だから、八十七号条約の批准を求める案件は、他の国内法整備は全部まとまらない場合においても、少なくともそれは出せるわけですから、当然私は出す義務が信義上あると思うんです、内閣はね。だから、益谷国務大臣は、十七国務大臣の一人として、それは他の国内法の整備がまとまらなくても、これだけは本日中に出せ、出すべきだ、こういうことは閣議においても努力をさるべきだと、具体的に言うならば私はそう思うわけです。そういう立場において伺っておるわけです。御所見をお伺いします。
  133. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 閣議以前でありまするから、お答えを……
  134. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、あなたの御見解。
  135. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) それは私見も、閣議に通らなければ私の私見だけじゃどうにもなりません。しかし、一般的に、公務員の全体の利益をはかって出所進退をしたいと申し上げておるのですから、大体御了承願いたいと思う。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 了承できませんよ。国務大臣であり、しかも副総理という格の人が、委員会に出て所見を承った場合に、その問題にもよりますがね、こういう、これだけの何年間の経過を経てきたこの問題の、この時点において御所見を述べられないということは、了承できませんよ。一昨日の私の質問に対しては、私は国家のことを考えてやりますと、こういうふうに御答弁になった。で、私は、あなたが非常に先輩ですから、大先輩だから、それを反駁しないで下がったわけですよ。しかし、きょうの時点に立って、今度は、公務員のためを思って云々。しかし、同家のため、公務員のためということになれば、野党への信義という立場からいっても、国内法整備の、他の法律案まとまらぬ場合においても、最小限、八十七号条約の批准を求める案件と、それに必要な最小限のものはちゃんとできているわけです。だから、そういうものは本日出さるべきだと思う。そういうように、私は、副総理としても当然そう主張さるべきだと思うんです。だから、そういう御意図があられるかどうかということを承っておるわけです。先般も私も言いました。山本委員も他の委員も主張され、本日も繰り返されておると思います、これはね。その人事院改組を含む国家公務員法の改正なんか、関係ないんだから。ましてや、在籍専従を認めるとか認めないとか、これを三年にするとかしないとかいうようなことは、八十七号条約の批准と何ら関係ないんだから。そういうものとからめて、それがまとまらないために国会に提案しないということは、この時点になって許されないことですよ。少しでも土性骨のある国民だったら、憤激しますよ。私、けさどの新聞も見たんですが、私ここへ持ってきているのは朝日新聞ですがね、朝日新聞のきょうの社説にもちゃんと書いてある、「八十七号条約便乗をやめよ」というタイトルでずっと書いてある。一言一句、われわれの見解と同じですよ。良識のある国民の見解と同じものが、ちゃんと社説にあることは、これは朝日に限らず、すべての新聞のここ数日間の論調というのは、全部こうですよ。こういう点に頑迷さを押し通されてはいけないと思うんですよ。国家公務員法とか地方公務員法、そういうものは、与党内の小委員会か中委員会か、何か知らんですが、あって、まとまらないのは、それはあとにしておきなさいよ、そんなものは。何にも必要ないことだ。八十七号条約の批准を求める、それと、例の公労法の四条三項、地公労法の五条三項、その削除をするというなら、その最小限のものは、トップに、半年も曲からできている。それだけでも、本日これは提案したらいい。あまりにも釜谷さんひどいですよ、内閣のやり方は。しかも、国会にILO条約批准の特別委員会ができなければ、野党にそれが取りつけができなければ、この提案をしないというようなことを、うちの国会対策委員長にきょう通じてきている。そういうなにも流れてきている。あまりにもひど過ぎますよ。それから、あなたの内閣を支える党の一部の国会対策委員諸君から、もしこのILO条約批准の特別委員会ができなかったならば、これは関連の公労法、地公労法、国公法、地公法、それを当該委員会に出す、それが大体成立の目鼻が立ったところで、初めて御本尊の八十七号条約批准を求める案件を提出する、これはおそらく暴言だと思うのですが、かりに暴言にしても、あなたの内閣を支えておる与党の国会対策委員の一、二の人からそういう発言があるということは、その理に添わざるごときわまれりと言わざるを得ないですね。だからこの時点に立って、先ほど山本委員からも指摘されましたがね。私は先般、国家のために私はやります、きょうは、公務員の、働く公務員諸君のために努力されるというのならば、その結論として出ることは、政府与党の調整がなかなかむずかしくてまとまらない場合においては、もうすでにまとまった分があるのだから、八十七号条約の批准を求めるについては何ら支障のないほどの、最小限の成案を得ているのですから、野党との紳士的申し合わせもあるのだから、本日中に内閣は出すべきだと、私は一国務大臣としてそれに努力しますと、この程度の、釜谷さん、答弁があってしかるべきですよ。でなければ、与党から押しまくられて、全部、いつまでもまとまらんから、きょうも提出をしない、そういう格好でいって、もしも八十七号条約の批准がなされなかった場合に、六月のジュネーヴにおけるILO総会に、何のかんばせあって労働大臣は出席しますか。労働大臣はその点も非常に心配されているようです。国際的に不信を買いますよ、日本政府は。のみならずですね、あなたが公務員のためにというのですが、日本の全公務員、全労働者は、あげて内閣に不信の意を表明するでしょう。それで、あなた方の政策遂行、行政に理解と協力を与えることはできないことになる。これは何も政府与党の不幸のみならず、日本国民なら日本国民の不幸ということに結びつきますよ。それはあなた方が考えている以上に、これは何ですよ、日本の労働者諸君、公務員諸君にとっては重大関心事なんですよ。この時点に立って、まだ低迷して、そしてこういうところで、副総理というタイトルを持ち、有力な国務大臣というようなあなたが、一切ノー・コメントでこの委員会で御了解いただきたいというのじゃ、了解できませんよ。お答えいただきたいと思います。御答弁願います。
  137. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 先ほども申しましたように、ILOの批准を二十八日までに出すというのか、それともその準備の、岡内法の整備と申しまするか、それを出すというのか、きょう、けさ寄り寄りその点にも触れてみたのですが、はっきりいたしていないのです、前提条件が。それで私どもは、四月の早いときに出そうというのですから、一刻も早く出したいのは当然であります。しかし、国内法を整備して出そうというのが、昨年の二月の閣議でそういう決定があったかのように聞いております。そういうので国内法の整備ができないで、国内法はどうであろうが、ILOの批准を出さなきゃならんという、一度閣議に了承があったのだということを聞いてもおりますので、そこは今はっきり申し上げられない。その点をまず確かめた後でなければ、私が批准案は出すべきだと主張いたしましてもそれだけ弱くなります。従って、ほんとうの、実情をもう少し探究してみたいと思っております。(「名答だ」と呼ぶ者あり)
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 名答と言われる方もありますが、私は名答でないと思います。労働問題懇話会の結論、それに基づく昨年の二月における閣議の申し合わせの条件は、全部整備できているのです。整っているのです。昨年の二月の時点における閣議の申し合わせ事項、その条件は、全部昨年の十二月の全逓の正常化によって整っているのです。あとそれが変ってきたわけですよ。もし、これと国家公務員法、人事院の改組を含む、それが伴ってくるとなれば、いずれは当委員会の国家公務員法の改正案、人事院の改組の問題が及んでくるだけに重要問題があるわけです。この点については、あとほど要求している官房長官、それから小笠官房副長官、それから人事院総裁出席の上で、責任者にさらに質疑をいたします。ただ、副総理に私は特に御要望申し上げたい点は、私ごとき若き者が、先生のごとき大先輩政治家に申し上げることはおこがましいかと思いますけれども、しかしこれほどの問題、この時点になったら、政治家というもの、特に閣内における有力なる閣僚、政治家というものは、この時点についてはこうすべきであるというやっぱり見解を持って、自分の意見をある場合には述べて、その自分の述べたことに責任を持ち、また、自分の信ずることは実現するようにたくましき野望を持って努力する、そうすることによって、野党の委員の理解と、ある場合には協力を求める、国民の信頼にも沿う、こういう私は態度というものが、責任ある大政治家としてはあってしかるべきじゃないか、非常にわが国政治界における大政治家の釜谷さんにしては、きょうの答弁は、私は閣議の内容を漏らして下さいとは言いませんよ。しかし、これほど国際的にも国内的にも追い詰められた、あと数時間しかないというこの時点において、自分は閣僚の一人として、こういう見解で、こういうふうにあってしかるべきだ、あなたの言っている質問には、ここはいけない、反駁する点は反駁したらいいでしょう。それから了とする点は確かに了だ、いろいろむずかしい問題はあるが、その点は自分は了とする、そうあってしかるべき場だ、自分もそれに、できるかできないかわからぬけれども、私もその点はごもっともだと思いますから努力しましょう、しかし、あなたの意見は了解できない、こういうふうにそれぞれセレクトして、それに対して責任ある答弁をしていただかなければ、ただノー・コメントで御了解いただきたいと言っても、質疑権を持っておる野党の委員としては、事重大であるだけに、なかなか下がりかねるわけです。しかるがゆえに、若い者ながら先輩に苦言を呈したわけです。私の言わんとするところはおわかりだと思います。一つ努力していただきたいと思うのです。
  139. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 矢嶋委員のおっしゃることはよくわかっております。また、つつしんで拝聴いたしました。私の申し上げておるのは、昨年の二月の閣議決定をいたしております、それにはILOの条約八十七号の批准を求めるのには、国内法の整備が先決問題だから、その点を閣議決定になっておる、これも私は当時閣僚じゃありませんから、そうしてもう一つは、批准は二十八日までに出すというのか、批准の準備の各法案の改正を出すというのか、それがはっきりいたしてないというのです。従って、私はそれがはっきりいたした後に、自分の閣議における発言をいたしたいとかように存じております。
  140. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今のこのILOの問題に関連をいたしまして副総理にお伺いをいたしたいのですが、これは直接の関係ではないわけでありますけれども、公務員のためにという、また公務員のための国務大臣をやっておられますので、その点から若干お伺いをいたしたいと思いますが、今度のILO条約の批准に関連をしまして、人事院を二分割するということに進みおるわけですが、この人事院を二分割するということは、これは全く実にあぜんたるものだと思うのです。これは御承知のように人事行政というものを、政治の力によって左右されることを防ぐというのが、近代公務員制度の根幹だと思うのです。アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、これは近代国家の公務員制度の根幹だと思うのです。そのためには、これは人事行政というものを政府の手から切り離して、大かれ少なかれ、政府とは独立の機関を設けて、人事行政というものを取り扱う。こういうことになっておるわけでありますね。それを今回二つに割る、そうして人事行政の実施面を政府の直轄の手に握る。これは私は近代公務員制度の立場からいって容認できないと、こう思っている。最近この各省の高級公務員の間にこういう風潮があります。労務対策といえば、いろんなものが通りやすい。こういう考え方が今日各省の高級公務員の間にびまんいたしておる。私、この内閣委員会でも先回も農林省問題について指摘をいたしましたが、林野庁の三百三十八の営林署に全部次長を置く。三百三十八人の次長を置く、大へんなことであります。ところが、これは労務対策の一つも含めてと、こう言うというと、与党の間が通りやすいというのです。さらに食糧庁は都道府県に全部事務所を持っておる。そこに総務部長を置くという、全部これも労務対策含めてという言葉がついている。どんどんポストをふやす。今度のこの人事行政の、人事院の二分についても、御承知の通りに労務対策という考え方がついている、ほんとう言うと。これは官僚政治の復活だと、こう思っておる。それを今回はカモフラージュをするベールがかかっている。それは公務員組合に対する労働対策、こういうベールをかぶって出ておる。これは私は今後の人事行政を誤る大きな要素と思っております。過去三回ほどこの二十八年、三十年、三十一年、この人事院の二分割案が政府から出されまして、そうして、これは自民党の中からもやはり反対があって、審議未了に終わって流れておるわけでありますけれども、今回は労務対策というベールをかぶって出てきている。本質は、これは人事行政というものを政府が握り、官僚政治の復活につながってくると、こういうふうに考えておるところであります。これはやはり政治の力から左右されないように、政府から独立した機関で人事行政というものは行なうべきだ。これが近代公務員制度の根幹だと思うのでありますが、これについての副総理の御所見を承りたいと思います。
  141. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 第三者的立場の人事院、すなわち人事行政の公正を確保する、公務員諸君の利益を保護するという、この二つの線は、やはり第三者的の立場にある独立機関である人事院に存置しておくのがふさわしいと私は思っております。今どの程度の折衝をしておるのかつまびらかには存じませんが、官房長官と人事院との調整をしておるということを聞いておりますがまだ結論に達しないわけであります。私の考えから申しますると、ただいま申しました第三者的の立場の権限は、人事院に置くべきが至当であると思っております。
  142. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは先ほど来申し上げておりますように公務員の人事行政というものを、これは今おっしゃるような公平審査とか、あるいは勧告権とかいう問題だけではなくて、公務員の人事行政というものを、一応多かれ少なかれ政府から独立した機関に置いておく、こういう形に今なっているわけです。これが先ほど来申し上げておりますように、近代公務員制度の根幹に日本の公務員制度は持っておる。そのために人事官というのは御承知の通り一つの大学から出た者は、二人以上一つの大学からとってはいかんとか、あるいは政党の役員になった者はいかんとか、政党の顧問として影響を及ぼしておった者はいかんとか非常に厳格な条項を置いて、資格を置いて人事官の合議制度によって運営されておるわけです。それが今度は最も重要な実施面というのが内閣に行ってしまう、これは政治によって左右されること明らかであります。それを防ぐというのが、近代公務員制度の根幹なんです。それを今日政府が変えられるということは、これはもう何とも遺憾のきわみだとこういうふうに、私、長い間公務員をやっておりまして、近代公務員制度とその前に、戦争前の官吏制度という点からいいまして、どうもこういうやり方は、あとに悔を残すのではないかというふうに思っておりますので、どうか一つ副総理におかれましても、公務員担当の国務大臣としてよろしく一つ御配慮願うように御要望申し上げておきたいと思います。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは一昨日に引き続いて伺いますが、一昨日監察局関係に入るところで切れております。そこで伺いますが、監察局長が先日述べたこのことは、まことに言葉の上では適当なことだと思うのです。しかし、ただ問題は、やれるかやれないかということでね。最も重要な点は、行政運営面によりよく、反映するように努力したい。その結果は各省庁で実行されるように再照会をやって実現いたしたい、こう述べておりますが、言葉はその通りでけっこうだと思う。ただ実現できるかどうかということで、これまあ監察局の一番盲点のところだと思うのですがね。そこで私は伺いますが、ずいぶんと監察報告を出されておられますが、これらの事柄をやるにあたっては、管区行政監察局並びに地方行政監察局のあなた方の方の出先機関の皆さんが、乏しい旅費の中から足を棒にしてやられた結果が、しかも一年あるいは一年半かかってやられたことがまとめられてくるのですね。だからこれらが活用されるかどうかということは、末端にある公務員の皆さんの士気にも影響してくることだと思うのですね。それで今まで相当活用されているわけであるが、それ以上に活用されなければならんという立場で、先般局長はああいう抱負を述べられたのだと思う。私の伺いたい点は、表でも作ってありますか、各年度こういう勧告をした、その要点はこれとこれとこれだと、そしてこの点は何年度に勧告の趣旨が達したと、こう棒で消していくとか、そういう一覧表でわかるようにして、この監察局の監察結果はもう一目してあの案件は何年度にどうなっていった、残っているのはこれだと、それであの実現をはかるというような一目してわかようなそういう表でも作っておるかどうか。私はそういう必要があると思うのですよ。で、各省庁から回答がありますわね、回答の中には皆さん方に反駁してくるのがあるでしょう。それはペンディングにしても、御指摘通りごもっともだと勧告された省庁とあなたのところで意見を一致したものは、ちゃんとそういう表でも作っておいて、そうしてその一つ一つ処理していって、ことに予算編成時期には、行政管理庁からそういう資料を提供して、予算編成会議でも管理庁長官として発言でもして、そうして一つ一つ実現されていくというようなことにならないと、行政監察局の存在意義がなくなると思う。で、公務員の士気にも影響するし、監察報告を作るそのことは、単なる自慰的なものに終わってしまうと思う。そういうきらいがあると思う。いかがですか。
  144. 原田正

    政府委員(原田正君) 勧告しました事項につきまして、各省の改善措置状況でありますが、それぞれの監察項目につき、どういう意味のどういうことに重点を置いた勧告をしたか。勧告の項目数、その勧告に対しまして相手省庁がどれだけ改善をやったか。あるいはその一部を改善をしたか。あるいはまたその改善を実施しておらないかどうか。こういうふうなことを今までは毎年末に一斉に調査をし、整理をいたしておったのでございます。従いましてそういうことの表はございまして、勧告に対しまする改善の実施のパーセント、どれくらいであるか。こういう一覧表はできております。ただ、それは各審議官あるいは各監察官室の担当のところにおきましては、さらに詳細なる具体的なる改善の事項、あるいはまた未改善、まだ改善されておらない事項、そういうものは各部屋々々において把握されておる。こういうことであります。それが状況に応じまして必要なときにおきましては、各監察官室等において調査し、どういうものがまだ未実施の状態であるか。こういうことを把握することに努めておる次第であります。しかしながら、私がこの間申し上げましたように、ただ単に総括的に件数において何%が実施され、何%が実施をされない状況であるということでは不十分ではないか。まあ、そういうことで勧告に対しまする回答があったときに、勧告と回答の対比状況、これを一覧しました表を作成をいたしました。さらに大体半年以上たちました後において、その回答の中においていまだ研究中である、今後善処したいとかというふうな抽象的な回答でありましたものにつきましては、具体的にどういうふうな改善をその後行なったか。こういうことを調査することに決定をいたしました。今までは、いずれかと申しますると、実施のパーセント、項目につきましてのパーセントということに重点を置いた集計になっておりましたので、今後はそれのみならず勧告に対しました実施の項目、未実施の項目、こういうものを具体的に把握をしていきたい。こういう面に努力をいたしておる次第であります。しかしながら、過去の監察の実績から見まして、勧告に対しまする実施の推進が不十分な点があったことは、われわれも認めておるところでございまして、従いましてこの点について今後一そうの努力を払って参りたい。かように考えておる次第でございます。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あのね、昭和三十四年度中に勧告した監察というもの、資料を出してほしいといったらこれだけ出されたわけだね。これは要点にすぎないわけ、だね。要点だけでこれだけある。正直なところ、私これを全部読み切れなかったわけですがね。表か何かで明示できるようにして本委員会は行管の所管常任委員会ですから、毎とし年度変わりのときには、本年度中はこれだけの勧告をした、要点はこうだ、詳しく要らぬですよ。その程度の資料を今後出していただきますと、われわれも立法府において勧告が適正だと認める面については、その推進に努力したいと、こう思う。この点お願いしておきたいと思う。  で伺いますが、何ですか、御回答願いますというようなことをずっと書いてあるが、これは期限をつけないで御回答願うが、一ペン形式的な回答があれば、あとは来ないんじゃないですか。たとえば七月ごろ勧告するものが八、九月に回答がありますね。で一月に予算案が確定しますと、今度の昭和三十五年度予算編成にあたって、何年何月貴庁から勧告されたこれこれの点は、予算編成の際にかように御趣旨に沿って解決しましたというような、そういう回答が追って来るのか来ないのか。当然私は来るべきだと思う。もし、今まで慣習として来なかったとすれば、行政管理庁長官閣議において発言をして、ただ勧告を出したら、それに対して一度御回答を願いますというようなことで、形式的な回答だけ出しておいて行政管理庁の連中は適当なことをやっているというようなことで、他の省庁から、はなもひっかけられないようなことでは、国費の乱費になると、あくまでも非を追及していかなければならないと思う。そして各省庁は勧告されたことが実現したならば、そのつど行管に報告をする義務を課しておいて、そして行管には、勧告内容なりその実現したのが一見してわかるような表を作っていく。それを立法府にも提出する。各省庁にも配付する。国民もそれがわかるようにする。そういうふうにすれば、私はよく効果が上がってくるのじゃないかと思うのですが、長官の御答弁を願います。
  146. 原田正

    政府委員(原田正君) 回答につきまして、期限を付しておるものと付しておらないものがございます。期限を付しましたものは、大体それについての措置がその期限までにでき得るだろうという見通しのっけやすいものにつきましては、期限をつけるわけであります。しかしながら、いつまでというふうな期限のつけにくいという場合におきまして、期限をつけない場合もございまするが、これらにつきましては適当なる時期に、その後の措置はどうなっておるか、早く回答をもらいたいどいう個別的な折衝をいたす、こういうことをやっておる次第でございます。ところが、回答をいたしました後において、その回答がきわめて抽象的なもので事が終われりということになってはいかぬのではないかというお話しでございますので、最初申し上げました通り、回答を受けましたあと大体それを実施するまでに、回答後その懸案中でありました事項を実行いたしまするために、半とし以上の期間の予裕を与えまして、さらに正式に文書をもちまして、先般勧告をいたした事項について、検討中とか考慮中とか、そういうものについてその後の実行の状況を御回答願い、さらに再照会をいたしておる次第でございます。  それから本委員会等に対しまする資料の提出の件につきましては、まことにごもっともな御意見でございまして、私どもとしましても、勧告の実施状況の把握に一そう努めておる。そういうことで、それらを集計したものを年度末等にこの委員会に提出するということは、今後でき得ることと存ずるのであります。  それから各省庁が勧告に対しまして、予算編成その他によりまして実現した事項を、そのつど報告しておるのかどうか、こういうことでございまするが、実のところ現在までの状況では、相手方から報告をするという義務づけになっておりません。ただ、事実上われわれが常時関係各省と緊密なる連絡をはかっておりまして、あの勧告については今度こういうふうに実現された、こう法律が改正されるとか、そういうことを具体的に把握するように努めておる次第でございます。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは長官、閣議であなた発言されて、あなたの部下がいつもお伺いしているだけでなくて、一度勧告されたならば、勧告された省庁は問題が解決したときは積極的にこれらの勧告の趣旨に沿って解決したという報告をするように僕はしたらいいと思うのですよ。これは閣議でそういう発言をして実施に移すようにしていただきたい。  それから私が非常に関心を持って見守っていることなんですが、一年半前育英事業に対して勧告された。きわめて適切な勧告をされた。一年半たったが一向改善されないですね。それから昨年の九月理科教育行政監察に関して勧告がなされたが、これは本年度予算編成のときに注目しておりましたが、ほとんどといってもいいほど、ごくわずか入れられただけで無視されているのですね。こういう勧告なんか、きわめて適切な勧告なんだが、こういう点については行管としてはどう考えておるのかということと、それから時間がないから、私は後日個別的に承りますから、今長官からお答え願っておきたいと思うのですが、これらの勧告書ができた基礎になったデータですね、それは行管にあると思うのです。それはここのところのデータをほしいという要求をすれば出していただけるかどうか。防衛庁中央調達業務監察結果について三十四年十一月二十日、これはマル秘の判が押してあるのですが、この監察の結果というものは、非常に重要な内容を含んでおると思うのです。よくまあこれだけの監察のできる能力を持った行政管理庁の職員が、このわずかの中におったものだなと思うくらいに、専門的にきわめて適切で重要な勧告書を作られておりますが、この勧告書の出たこの部分のデータですね、これを提示してほしいという、こういう要求を委員会がした場合は当然出してもらえるものと思いますが、その点だけ長官からお答えをいただき、さっき具体的に育英事業と理科教育のことを聞きましたが、これについては行管はこれはどう考えておるのか、簡単に一つお答え願いたいと思います。
  148. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) データは御要求次第差し上げます。育英事業のことはちょっと記憶いたしておりませんので、局長から答弁をいたします。
  149. 原田正

    政府委員(原田正君) 育英事業につきましての監察の結果、文部省から回答が参っております。文部省としましては、ちょうどわれわれが監察をしまする途中におきまして、中央教育審議会におきまして育英奨学及び援護に関する事業の振興方策についてという諮問があり、それについての答申を求めておった次第であります。それでその答申が出まして、われわれの監察結果とあわせまして、育英行政につきましての回答をよこしておりました。ところが、その回答の中におきまして、まだ検討中とかというふうな項目が相当あったわけであります。われわれの指摘しました事項は、きわめて重要な問題であるから、相当十分な検討をした上で立法措置等も考えたい、こういう回答が参っておりました。そこで、われわれは最初に申し上げました通り、もう一度再照会をいたしまして、ようやく四月二十五日付をもちまして育英事業のさらに再照会に対します回答が参ったばかりでございます。われわれとしましては、十分その内容を検討してあとの措置を考えてみたい、かように考えておるところでございます。それから理科教育につきましての勧告について、いろいろこれは財政上の問題その他というものがくっつくのでありまして、必ずしもわれわれの勧告したことが一挙に百パーセント達成することもできない事情があるのではないかということも考えておる次第でございます。しかしながら、われわれの勧告の趣旨というものを生かそうとしての努力はなされているのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  150. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点はそこでとどめておきましょう。そこで、将来のことについてですが、昭和三十五年度監察計画策定方針という資料を要求によって出していただきました。この内容には触れません。計画を詳しく述べられておりますが、こういうテーマの設定については、どういうふうにしてきめるかということと、それからこの数カ年間にやったことで、二度目のがあるのかないのか、その点伺いたいと思うんです。
  151. 原田正

    政府委員(原田正君) 毎年度の監察テーマにつきましては、その方針にもあげてあります通り、まず、年間の計画策定の方針というものを監察会議において審議をし、上司の決裁を得るわけでございます。そうして、その方針に基づいて、具体的にどういうふうなテーマを選択するか、こういうことを事務当局、さらに監察会議、さらに場合によりましては、行政審議会等におきましても意見を求めるとか、そういうふうな方法によりまして、従来実施しました監察項目、それとも照らし合せまして本年度に実施する項目を決定いたす次第でございます。それで三十五年度に実施しようとしまする項目の中には、大きな問題として取り上げまする項目としましては、今までやりました監察を総合的に見たそういう意味の監察をやろう、幾つかの監察をやって、それらの総合的な結論を出そうという、そういう監察があります。それから、従来やりました監察結果につきまして、その実施を推進する、こういう意味の監察は随時必要に応じてやる。大きな年間項目の中にあがっておらなくても随時やる、こういう方針にいたしております。
  152. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この三十五年度の監察計画策定方針というのは、おおむね了解できますが、長官に伺いますが、たとえば矢嶋ごときものが、こういう方面の監察をしてはどうですかという意見を出したならば、胸にとどめて参考にして尊重していただけますかどうですか。
  153. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 喜んで参考にさせていただいて、実施すべきであるということに方針がきまれば、実施いたします。
  154. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 喜んで参考にしていただけるということでありますから、ちょっと私希望を申し上げておきたいのですが、兵器開発行政というものをほとんどやっておられないですよね。兵器、武器ですね。武器の開発行政、この面、それから先ほど山本委員がちょと述べられておりますそれらと関係しますが、調達入札の制度一これを一省庁に限らず、特に実施官庁、事業官庁、そういう方面に特に重点を置いて競争入札なんかは必ずしもやられておりませんよ。私は広義の意味においては談合が行なわれておる。ちょっとした事業をやるにも、たくさんの業者が集まって、そうして適当に配分をしている。それの方が行政官としても摩擦が起こらないから適当にやっている。だから厳密に考えると、ほとんど談合ですよ。そこに国費の乱費、それから不適正なる支出が行なわれているということは、相当自信を持って僕は言い得るんじゃないかと思うんです。だから、こういう点は監察を幾ら強めても極め過ぎることはないと思う。で、局部的にちょくちょくと突っついておられるけれども、そういう方面の総合的な監察というものが不十分で、僕は行政管理庁としては、こういう点は徹底的に数カ年間継続してやるぐらいにやる必要があるのではないか、こういうふうに考えます。  それからもう一つは、これはちょっとささやかなことで、まあやわらかくなるけれども、頂門の一針の意味で申し上げますが、報償費とか交際費とかがどういうふうに使われておるか。具体的にいえば、みな領収書等があるでしょうから、どういう特定の料亭に最も多く払われているかということを、これは頂門の一針として僕は監察してしかるべきだと思うんですが、国会の近くに尾崎記念館ができました。政治会合なんかは、ほとんどああいうものばかり使ったら僕はいいと思うんです。国会のまわりにある。ところが、天下御免で特定料亭が非常に使われている。それに報償費とか交際費が流れていくということが、僕は一〇〇%とはいいませんけれども、やや目に余るものがある。昭和三十五年度予算でも、交際費と報償費が、各省庁を集計しますと、私の計算では、約四十億円に及んでいる。だから私は厳密な、子供みたいなことは言いませんけれども、行政管理庁の行政監察という機関がある以上は、頂門の一針の意味で、僕はちょくちょく刺すことが大事だと思うんです。これは非常に薬になると思うんです。そういう監察の目も光らしていただきたい。これは私の要望として申し上げておきますが、監察局長は、ある程度尊重してくれますかどうですか。重ねて伺っておきましょう。
  155. 原田正

    政府委員(原田正君) 今のお話しのテーマの中で、調達制度、入札等に関しまする監察でございますが、これはわれわれの過去の監察におきまして、それぞれの項目の中におきましても実施しておるところでございます。それで、これを総合した調達制度そのものの総合的な監察をやったらどうであろうかということも一応考えた次第でありまするが、ちょうど大蔵省におきまして、この制度の改正を検討中であるというふうな話がありまして、もう少しその内容等も検討した上で考えたらどうかということで延ばした次第であります。そのほか兵器開発の問題、交際費、報償費等の使途の点につきましては、われわれも十分検討してみたいと思います。
  156. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後になりますが、きょうは官房長官と人事院総裁、官房副長官の出席は期待できませんか。
  157. 中野文門

    委員長中野文門君) できません。
  158. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここらあたりで終わった方がいいと思いますね。それでは御期待に沿って最後の質問に入ります。監察局長、さっきの調達入札制度は、これは事業官庁では相当にアンバランスというか、違いますよ。これはやはり長い間の伝統とか、しきたりとか何とかあって、一朝一夕にはいかないと思いますが、それぞれの省庁のカラーがあって、いい面もあるだろうが、悪い面も牢固として抜けざるものがある。だから、やはり行政監理庁としては、総合的に監察をして、内閣全体に対して、是正すべき点があれば、強く勧告する必要がある、かように思いますので、この点は重ねて申し上げておきます。  最後に、官房長官と副長官並びに人事院総裁のお見えにならぬことは非常に残念ですが、益谷副総理に、私は最後に要望申し上げておきたいと思いますが、責任者の官房長官とか人事院総裁が来ませんから、ただすことはできませんですが、先刻同僚委員からも私からも指摘し、要望した問題は、これは非常に重要な問題ですから、聞き流していただかないように、皆様方が何とおっしゃるかもしらぬですが、これは新安保条約を批准して、新安保体制を作れば、それを推進する保守政権としては、ことにILO八十七号条約とは無関係の国家公務員法、地方公務員法を改正して、そして労働組合の弾圧政策としての専従問題など取り上げざるを得ないわけです。これはそういうものが必要だというものを新しい安保条約には含んでいるのですよ。これは意見の相違でも何でもないのです。何年かしたら立証されるのですがね。安保条約の審議にあたっても、ほんとうのことは岸さん、藤山さん述べることができないのですよ。ほんとうのことを答弁したら大へんなことになるのです。ほんとうのことがわかっておりながら、ここまで出ておっても、ほんとうのことを述べられないところに、岸さん、藤山さんの苦しいところがある。それが審議のもたついている一番大きな原因なんです。それが出ていったならば、ILO八十七号の条約は国際的にも批准せざるを得ない。国際的に日本の不信を買う。だから批准をせざるを得ない。それだけでいいわけなんですが、そこに全く無関係な公務員法の改正とか、人事院の改組、あるいは専従制限というような形で、これは明らかに労働組合の弾圧政策ですが、そういうことをやらなければ日本の保守政権が持ちこたえないと、それほどの内容を含んでいるわけですね。だから皆さん方はおかしいと思っているかもしらぬけれども、おかしくない。日本の公務員、労働組合がああいう公務員法の改悪とか、専従制限の問題は、新安保体制と一本の形だというふうに把握しているわけです。この把握は正しいですよ。かかるがゆえに一昨日ですか、ああいう請願運動が行なわれているわけですね。これだけ申し上げて、それで皆さん方が非常に理不尽なことをされなければ、私は何も扇動的なこと言いませんが、韓国のああいうような例もあるわけですからね。これは他山の石としてやはり慎重に政府は対処していただかないというと、私は非常に不幸な事態が招来されると思う。私はまじめに言っているのですが、こういう意見があったということは、きょうあたり閣議が混迷した場合には、副総理としては私は主張していただきたい、こういう意見があるということを。この前も私申し上げましたように、岸内閣、岸さんが独走しないように、その道を誤らないために、その調整役、ブレーキ役として、あなたは一身に期待と責任を負われて入閣されているわけですから、その点は特に私は御要望申し上げておきたいと思います。
  159. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  160. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記起こして。
  161. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間の関係もございますので、簡単に二間ほどについて伺いたいと思います。一つは審議会の一般的な論として伺いたいのでありますが、この審議会は法律に基づきまして、できたものが二百五十二あるというふうに出ておりますが、このほかに法律に基づかないものが、閣議決定とか、あるいは省議決定というようなものが存在しているものと思っております。いずれにいたしましても、ことしさらに通常国会に十ほど新しく設置することになっておりますので、これは二百六十ぐらいの審議会ができるわけであります。これは全く審議会のブームだというふうに申していいし、はなはだしく乱立されている、こういうふうに申して差しつかえないのではないかと思っております。昨年の二月でございますか、行政審議会の答申の中にも、この審議会については統合と整備という点を骨子とした答申がなされておるわけでありますが、一体この二百六十余の審議会の存在というものを行管としてはどういうふうにごらんになっておられるのか。私はこの行政が御承知のように非常に拡大をいたしております。量的にも拡大いたしておりますし、質的にも非常にもう専門化したというふうに発展をいたしておるわけであります。長い間この行政が取り締まりとか、認許可というものを中心にして行なわれておったわけでございますが、逐年急速に保護行政とか、あるいはサービス行政というものが非常に拡大されてきている。そういう意味でこういうふうに二百六十に及ぶ非常に膨大な審議会を設置せざるを得ない。このことは今日の行政に携わっている者の能力が不足してきているのだという点を雄弁に福っておるのではないだろうかと思っておるわけであります。その反面には、行政能力が喪失してきているという点は否定できないのではなかろうか。たとえば通産省に三十七も、審議会がある、農林省に三十五の審議会がある。総理府に五十幾つあるという点については、まだまだわかるといたしましても、こういうふうに膨大な審議会が次々に作られるということは、今申し上げたような今の行政に携わっている人たちのどうしてもやっぱり能力の欠如というものを物語っておるのではないだろうかというふうに思うわけであります。そういう面は否定できないのではないだろうか、しからばそれに対応するような対策というものを考えておられるのかどうかという点を伺いたいわけであります。
  162. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 審議会が非常に戦後ふえましたことは、お話し通りでございまして、一番多いときには三百五十余りもございました。そのときから見ますと、百くらい減っておるわけでございます。一応減らすことについて行政管理庁としては終始努力はして参ったのでありますが、ただ、お話しのように戦後非常に行政がこまかくなって参りまして、専門化して参りました。通常の公務員ではまかない切れないという事情があることは、ただいま御指摘通りだと思います。そういうために専門の知識を部外から求めるということで、そういう方を常勤の公務員としてたくさんかかえ込むということは、非常に不経済な場合もありますし、その必要のつど短時間の勤務でまかなっていただくというような趣旨で審議会、調査会というものができている面もございます。それからもう一つ戦後の行政のあり方といたしまして、行政処分等をする場合でも、行政官庁だけの独自の考えでやらずに、民主的と申しますか、これは占領軍の指導によりまして審議会等にかけてやる一方、公聴会というような制度も作りましたが、そういうものと合わせて行政決定をしていくというやり方を作っていかれたわけでございまして、そのために非常に審議会がふえてきたということは事実でございます。そこで民主的であるとか、あるいは専門化であるとかというそういう行政事務の実情に対応して、ある程度審議会、調査会というものができていくということは、やむを得ないことであると思いますし、その運用が適切であれば、これは悪いことではないと考えております。しかし、それにしましてもあまり多くなっていくということは、行政の責任というものが一方で不明確になってくるというおそれがありますので、でき得るだけ圧縮するという方針はとっておりますけれども、今申し上げましたような行政運営の根本的な方針と申しますか、行き方というものが、現状のような行き方をとっていくということであるならば、こういう制度を否認してしまうということはできないというふうに考えております。そうしてそのかわりに公務員の質も非常に向上をして、そうして能力を高めていくということも、実は公務員、戦後の公務員制度というのは、公務員の質を向上する方向にはいっておりません。むしろ質は低下せざるを得ないような傾向になってきておる現実でございますが、そうしてこういう特別の審議会とか調査会というものを、付帯機関として持つという行き方でございますので、この行き方を全面的に改訂することはどうかということは、非常に大きい問題だと思いますけれども、これは一つの戦後の日本の行政の行き方でございますので、この態勢の上に立って、できるだけ行政責任を明確化していくと、そして行政組織の複雑化を防止していくという方向へいく必要があると、かように考えております。
  163. 一松定吉

    ○一松定吉君 私は矢嶋君の質問をここで静かに拝聴したのですが、矢嶋君は平素非常なこまかいところまで論議するので、つまらぬことを言うなあということを思うこともありますが、本日の質問等は実に真髄をうがっている。こういうようなことは私はほんとうに矢嶋君と同じ考えを持っておりまして、例の工事請負等については、談合というのが多いのです、非常に。談合することによって、つまり政府が予期したより以上の請負金をもって請け負わせる。彼ら業者は、その談合した間においてそれを高く請け負って、それで彼らほんとうに工事を引き受けるものだけ引き去って、残りはリベートで頭割りで分けるというようなことをやっておるのです、現在。そういうようなことについては、やはりほんとう国民の税金をもってこういう工事などをさせるんだから、よほど注意しておやり下さいということは、私は矢嶋君の質問は、私ほんとうにもっともなことを矢嶋君も質問する。よくここまで調査しているなと実は私、考えた。これは私は自分が検事をしておったためによく知っているんです、こういうことを。私の手にかかって、談合なんかやった者を何人ひっくくったかわからない。これはなかなか改まらない。これはぜひ一つほんとうに管理庁の方面は、国民の税金をこういうような方面で、自分らが仕事をせんでリベートで分けるというふうな弊害は、これはほんとうに力を入れてやってもらいたい。ことに益谷副総理は、こういう点についても、よほど知能のすぐれた方でありますから、特にあなたはこういう点について、部下を督励してやらして、この弊害を是正するように一つ私はぜひお願いをする。それと同時に、これは私は自分大臣をしておったときに、常に考えておったのであるが、いつも管理庁がこういうところは不当の支出である、こういうところは不当の支出であると言うて、数百件、数千件の不当支出というものを指摘して、これを政府に要望する、政府関係官庁は、そのあなた方の方の調査研究をしたことを見て、ああおれの方はこれだけやられたなということくらいにして、ほんとうに聞き流して、これを実際にその後から是正して、こういうつまらない冗費を節約して、再び管理庁長官からこういう不平不満をなからしめるようにしようとかいうようなことを、大臣は思うておるかしらぬけれども、部下の者はなかなか実行ができないことが多いのですから、これはほんとう一つ、矢嶋君が社会党として、いつも政府の気に入らぬようなことばかり言う男だからというようなことを頭に置かんで、ほんとうに矢嶋君は国家のためにいいところをついてくれたという考えでやってもらいたい。これは与党議員として、これをぜひお願いしますから、どうぞほんとうに矢嶋君の質問等について、なるほどいいところをついてくれた、これは大いに是正して、国民の期待に沿うようにしようというような態度で一つやっていただきたいことを、特に私はお願いをしておきますから。
  164. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) 今の御趣旨は、それを体して、さらに一そうこれまで以上に勉強してやるつもりであります。私の方は不当不正な支出を取り戻すというようなことはやっておりませんが、一昨年から予算の効率使用というものを勧告いたしております。相当数百件の勧告をいたしましたが、むろん不当不正支出等を含んでおりますが、国損が相当何百億という国損を免れたのも、これも事実でありますから、御趣旨に従いまして、正そう勉強してやるというつもりであります。
  165. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほどの山口監理局長のお説のように、審議会を全部なくしちまえということは毛頭考えてないのでありまして、お説のようにやはり官庁の民主化なりあるいは公平な認許可のために、こういうような審議会ができる、あるいは専門的な問題のために、こういう審議会ができるということは、けっこうだと思っております。ただ、非常に膨大な数に上っておりますし、戦後官庁の中からこういうような能力のある人たちが成長する、そういうような施策というものが公務員の中にとられていないという点を、私としては心配をいたしているのであります。  それから最後のこのここにあります行政監察の管区並びに各県にありますところの地方監察局、ここに監理局の仕事を、これは行政機関の定員及び運営、こういうものの実態の把握の調査を管区あるいは地方監察局にやらせる。さらに行政監理局と統計基準局の資料の収集を行なわせる。こういうことで、監察局に非常に大きな仕事が加わるように思うわけです。で、御承知のように、この監察業務というものについては、各省のまじめな人たちが期待しているところが、非常に大きいわけです。私、きのうも若干の省の、考査室とかあるいは監査室とかいうところが各省にありますが、そういうところに電話をかけてみましても、会計検査院とこの行政監察とを比較してやはりいっておりますね。これは比較しがたい点もあるわけでありますけれども、少なくとも行政監察の局が、中央だけじゃなく管区に人を置き、さらに各県に人を置いて、行政全体のすみずみにわたるところの監察ができるというところに、非常に大きな特色があるし、期待をされていると思うのです。にかかわらず、今度こういうことで、こういう仕事を加重されるということは、どうもこの監察業務というものに対して圧力を加えているのじゃないかという印象を与えている面も、否定できないように思っております。で、御承知のように、この各県にありますところの地方監察局というのは大体二十四、五名の人数です。八つあります。管区は大体六十人ぐらいずつ普通いるわけですが、この二十二、三人のところへ今先ほど申し上げたような基準局の仕事、行政管理庁の監理局の仕事、こういうものが加わりますと、どうしてもこれは精力を相当さかれるのじゃないか、そんなことが先ほど申し上げましたように、非常に期待をされている、勧告はされっぱなしだとかいろいろな問題はあります。ありますが、少なくとも勧告そのものについて、あるいは行政監察について非常に期待を持たれているという場合に、新しくこういうものが加わって、末端の組織まで加わっていくということは、監察業務そのものに対して、何か圧力を加えるというような印象を抱いているようでありますが、一体行政管理庁としては、この新しい仕事を加えますときに、大蔵省に対して、人員の増加をなされたかどうか、最初から人員の増加をしないつもりでやられたのかどうか、その点を一つ伺って、一体これで期待されるような監察というものができるのかどうか、まじめな公務員たちは非常に心配していると私は思っております。この二点について伺いたいと思います。
  166. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 先ほども御質問ございましたが、御趣旨はまことにありがたいのでございますけれども、行政管理庁といたしましては、各省に対してもできるだけ経費節減の趣旨で機構を膨張しないように要請しておる建前もありますので、自分の方からはできる、だけ自粛していく態勢を持っております。そういうことで実は今度の新たな計画につきましても、監察の業務の能力を減じない限度において、実は計画の実施にはかなり波動がございまして、すべての人がすべての時間にフルに働いているということではございません。監察計画というものは、計画一つのテーマを持って実地調査をし、それを取りまとめしていく段階で、それぞれ適当な人が従事しておるわけですけれども、一部にはどうしてもある程度手すきが出てくるというのが従来の例でございます。で、できるだけそういうものを活用するということにしまして、監察の能力は落とさないようにしていこう、こういうことで考えておりますので、調査をいたします場合に、中央で具体的に十分末端の動き方を、スケジュールをよくつけ合わせまして、そうして過重な負担にならないように仕事を調整していくと、こういう考えでおります。それで当初大蔵省に対して要求したかというお話しでございますが、ただいま申し上げましたような趣旨で、今回は最初から要求いたしておりません。将来の状況を見て、大体今の状況でやれる見通しを立てておりますけれども、これは実施してみた上で、またさらにいろいろ問題が起こるかもしれません。その際にはさらに対策を講じたいと、かように考えております。
  167. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 わかりました。
  168. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  169. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記起こして。  他に御発言もなれば、質疑は終局したものを認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  委員長の手元に村山君から修正案が、伊藤君から附帯決議案が提出されております。本修正の御意見は、討論の冒頭に、附帯決議案についてはその次にお述べを願います。なお、御意見のおありの方は、原案及び修正案並びに附帯決議案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  171. 村山道雄

    ○村山道雄君 ただいま議題になっております行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。   行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則を次のように改める。     附 則   この法律は、公布の日から施行する。  理由を申し上げます。  この法律案の付則では、「この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。」とありますが、四月一日はすでに経過してしまいましたので、「この法律は、公布の日から施行する。」というように修正する必要がございます。  よって、ここに修正案を提出する次第でございます。  この修正部分を除きまして本案全体に賛成申し上げます。
  172. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は日本社会党を代表して、ただいま村山委員より提出されました修正案並びに修正部分を除く原案に賛成いたします。  この法律案における改正のおもな点は、現在行政管理庁の地方支分部局においては行政監察局の所掌事務だけを分掌しておるのを、必要に応じて行政監理局と統計基準局の所掌事務の一部をも分掌することができるように改めんとするものでありまして、この点はまことに時宜にかなった改正と思われます。けれども、その改正の結果、出先の行政監察局の事務が増加することとなり、これがため行政監察局本来の任務である行政監察業務の能率が低下することとならないように、その運営については十分配慮せられたい。  次に衆議院においてなされました苦情処理に関する修正の点でありますが、行政管理庁において今まで日陰者のように扱われてきた苦情処理の業務が、今日十分国民の期待にこたえる実績を上げてきた以上、これを行政管理庁の権限として上げることは当然のことでありまして、この修正に対しましては全く同感の意を表するものであります。  なお、総理府初め各省庁に設置されている審議会、調査会等のうちには、整理統合すべきものがあるのみならず、委員の人選等、その運営につきましても適当でない面が見られますので、この際本法律案に三党共同の付帯決議案をつけたいと思いますので、御賛成いただきたいと思います。  附帯決議案を便宜朗読いたします。     行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   総理府はじめ各省庁に設置されて  いる審議会、調査会等は年々増加の傾向を示し、現在二百五十余の多数にのぼっているが、行政責任を明らかにし、国費を節約し、また行政機構を簡素化せんとする現内閣の基本方針に基き、政府は、この際、不用又は類似の審議会等の整理、統合を速かに断行すると共に、同一人が多一数の、審議会等の委員に任命されている現状は審議会等の運営に支障を来たすおそれあるが故に、今後委員の人選についても十分留意されんことを強く要望する   右決議する。
  173. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認めます。  それではこれより行政管理庁設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず討論中にありました村山君提出の修正案を問題に供します。村山君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって村山君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられま  した。  次に、討論中に述べられました伊藤君提出の附帯決議案を議題といたします。伊藤君提出の附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 中野文門

    委員長中野文門君) 全会一致と認めます。よって伊藤君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 中野文門

    委員長中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、ただいま決定いたしました附帯決議について、益谷行政管理庁、長官から発言を求められておりますのでこれを許します。
  179. 益谷秀次

    ○国務大臣益谷秀次君) ただいま全会一致で御決議になりました附帯決議、政府といたしましては、この附帯決議の趣旨を尊重いたし、善処する決意でございます。
  180. 中野文門

    委員長中野文門君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会