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1960-04-05 第34回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月五日(火曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    国 務 大 臣 中曽根康弘君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    科学技術政務次    官       横山 フク君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    大蔵省主計局給    与課長     船後 正道君    農林政務次官  大野 市郎君    農林大臣官房長 斎藤  誠君   事務局側    常務委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    農林省農地局総    務課長     日比野健児君    農林省蚕糸局糸    政課長     筒井 敬一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等退職手当法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○農地買収者問題調査会設置法案  (内閣送付予備審査) ○国家公務員災害補償法等の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  去る三月二十三日予備審査のため本委員会に付託されました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま議題なりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  第一は、現在、国等公庫との間に人平が交流が行なわれておりますが、現行国家公務員等退職手当法は、退職当の算定について、国家公務員等としての引き続いた在職期間を基礎とすることを建前とし、また、退職手当支給割合構成長期勤続者優遇建前で作られておりますため、国家公務員等で、任命権者の要請により、途中において公庫等職員なり喜び国家公務員等に復帰した者が退職する場合は、退職手当の面で不利益を受ける結果になっております。今回、国等公庫等との間の人事交流実情にかんがみ、退職手当の額の計算について特例を設け、以上のような不合理を是正しようとするものであります。すなわち、この場合には、先の国家公務員等としての在職期間が後の国家公務員等としての在職期間に引き続いたものとみなした場合に受けることとなる退職手当支給割合から先の国家公務員等としての在職期間に対する退職手当支給割合を控除した支給割合を、その者の退職時の俸給月額に乗じた額を、退職手当として支給することとしようとするのであります。なお、この特例は、昭和三十五年四月一日以後の退職者について適用することとしております。  第二は、現在、国家公務員等支給される失業者退職手当は、すべて公共職業安定所において支給されておりますが、季節的に多数の退職者同一地域で発生するような場合には、公共職業安定所正常業務運営が阻害される傾向がありますので、この点につき、所要特例を設けようとするもの  であります。  すなわち、政令で定める職員については、その者が退職の際所属していた官署または事務所等において支給する  こととしようとするのであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  次に、去る三月三十一日予備審査のため本委員会に付託されました農地買収者問題調査会設置法案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  6. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま議題なりました農地買収者問題調査会設置法案についてその提案理由を御説明申し上げます。  戦後のわが国の農業生産力の発展に対して、農地改革の寄与しておりますところは、まことに大きいのでありますが、反面、これが非常に大きな社会的変革でありましたために、従来の社会的経済的基盤が大幅に変更され、その際農地を買収された者に関しても、いろいろな社会的な問題が起こっていると思われます。  いうまでもなく、農地改革は、正当な法律に基づいて正当に行なわれたことであって、これを是正する意味における補償考えられないのでありますが、現行農地法の問題とは別に、この農地改革の副次的結果ともいうべき被買収者に関する社会的な問題について、その実情を明らかにするとともに、要すれば所要措置を講じて参りたいと存ずる次第であります。  以上申し上げましたような見地から、この際、総理府に、その付属機関として、農地買収者問題調査会設置し、広く各界の学識経験者意見を聞き、農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題を調査し、何らかの措置を講ずる要があるかいなかを審議することといたしたいのであります。  次に、本法律案概要を御説明申し上げます。農地買収者問題調査会の任務は、内閣総理大臣の諮問に応じ、農地改革により農地を買収された者についての社会的な問題を調査審議することであります。  調査会は、二十人以内の委員で組織することとし、さらに十人以内の専門調査員及び十人以内の幹事の設置考えております。  調査会調査審議は、おおむね二年を目途にその結論を得たい考えのもとに、この法律有効期限を、この法律施行後二年といたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  7. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。直後の審査は、これを後日に譲ります。
  8. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、去る三月三十一日予備審査のため本委員会に付託されました国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  9. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま議題なりました国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。  この改正案は、三月十一日付をもって人事院から政府に対しまして、さきに今国会に提案いたしました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案と対応して国家公務員身体障害者等に対する保護の改善をはかるため、国家公務員災害補償法の一部改正について申し入れがありましたので、政府におきましては、この申し入れに基づき、かつ、特別職職員についての同様の改正をもあわせ行なうこととして、今回の提案となったものでございます。  改正の第一は、国家公務員災害補償法の一部を改正いたしまして、公務による身体障害程度の重い者、具体的に申しますと、補償法では身体障害程度を一級から十四級までに区分しておりますが、そのうちの一級から三級までの労働能力を全く失った者に対して、従来の一時金にかえて年金支給し、もって保護の万全を期したいということ、及び公務による負傷または疾病が三年を過ぎてもなおなおらない場合には、従来は、その後の療養費支給にかえて一時金を支給する打ち切り補償制度がありましたが、これを廃止しまして、そのような場合にも、完全になおるまで国の責任療養を続けるようにしようとするものであります。この二点がおもな改正でございます。なお、この改正によりまして、身体障害者について、同一の事由により共済制度その他の年金制度に基づく年金との併給関係が生じますので、このような場合について二重の国庫負担を避けるための調整措置を講ずることといたしております。  改正の第二は、特別職職員に関する措置でありますが、従来、後に述べますところの、労働基準法等施行に伴う政府職員に係る給与応急措置に関する法律、によることとされておりました特別職職員公務災害補償については、今後右の応急措置法によらないこととし、特別職職員給与に関する法律の一部を改正しまして、一般職職員の例によりこれを行なうこととしようとするものでございます。  改正の第三は、労働基準法等施行に伴う政府職員に係る給与応急措置に関する法律の一部を改正いたし、船員である職員について次に述べるような改正を行なおうとするものであります。  すなわち船員災害補償につきましては、従来国家公務員災害補償法によらずに、海上保安庁の海上保安士及び防衛庁の海曹以下職員には、ただいま述べました応急措置法による一時金としての補償が行なわれ、その他の船員である職員には、船員保険法の規定による災害補償としての障害年金支給されることとなっておりますので、今回この応急措置法による職員について、一般職員と同様に年金支給することとしたいということであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  10. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
  11. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  先日に続いて質疑を行ないます。政府側出席方々は、大野農林政務次官斎藤農林大臣官房長和田農林大臣官房文課長方々でございます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 委員長蚕糸局関係を聞いてよろしゅうございますか。
  13. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  14. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  15. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農地局の問題について伺いたいのでありますが、農地局は、御承知のように、全国に直営事業所を九十カ所ほど持っておられますが、この九十カ所ほどの直営事業に従事しておる公務員について伺いたいのであります。非業所に従事しておる公務興定員外の数と、それから定員外常勤非常勤、さらに農地局の場合は特に期間雇用という公務員がいるわけであります。定員内と定員外とがほぼ半数ぐらいになっておる。政府としても定員外職員を、できるだけ定員内に繰り入れるという努力を重ねて来られておるにかかわらず、なお農地のこの専業所関係で見ますというと、定員外定員内がほぼ半数ぐらいである。しかも、この九十カ所の事業所というのは、農林省予算の大部分を食うところである。一事業所で一億、一億、三億という経費を使っておる事業所、その事業所に従申しておる公務員が、半数が、半数近い者が定員外である。こういうことについて、農林省としてはどういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
  16. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) ただいま農林省定員構成におきまして、あるいは定員内職員がある、あるいは定員外職員があるということに対しまして、どういう方針で農林省は臨んでおるか、こういう御質問のように承ったのであります。鶴園委員、御承知通り、現在、公共事業農地局関係のやっております公共事業におきましても、あるいはそれ以外の事業におきましても、一般的な今の人員構成といたしましては、いわゆる定員内職員があり、さらに常勤職員があり、さらにその下に常一動的な非常勤職長があり、さらにまたその下に日々雇用人夫がある。こういう四段がまえの構成になっていること御承知通りでございます。  一般論としてまず申し上げますならば、われわれといたしましては、当然必要な人員につきましては定員要求をして進めていきたいというのが、本来の建前で、ございまして、そういう意味におきましては必要な定員要求を本年度におきましてもいたしたのであります。ただ、そのほかに今御指摘になった点は、つまり定員外職員相当占めていることについての措置をどうするか、こういう御質問のように承るのでありますが、これにつきましても、鶴園委員よく御承知通りだろうと思いますが、われわれといたしましても、同じような勤務条件にあり、同じような仕事に従事しているような者につきましては、これを定員内の職員と区別する理由に乏しいという意味におきまして、定員内に職員繰り入れるということを、農林省としては努力いたしているのであります。ただ、現実問題としては累次にわたりまして定員内の繰り入れをいたしたのでありますが、現在におきましても、なお相当定員外職員があることは事実でございまして、御指摘のように、農地事務局をとって見ますと、定員内職員が四千二百五十五名、常勤労務者が七百九十六名、常勤的非常勤が約一千名という数字が現に出ておるわけでございます。で、さしあたり、現・在のこのような状態に対しまして、農林省といたしましては、同じような勤務条件にある者についての定員内の繰り入れという努力をはかっておるわけでございますけれども、一番本問題についての問題として困っております点は、いわゆる常勤的非常勤職員取り扱いでございます。常勤労務者につきましては、これはまあ予算定員もきまっておるわけでございますので、また、待遇等におきましても確立されておりますので、これの処理については、比較的簡単な考え方をとることができるのでありますけれども、常勤的非常勤職員というのは、御承知のように、公共事業でありますと、事業費支弁になっておる。従って、その年々の事業量変動に伴いまして、どうしてもその間、常勤的非常勤職員あるいは人夫給で雇うべき職員変動があるというのはやむを得ないわけであります。そこで、本来ならば、それが日々雇用の形態をとるわけでありまするから、それに応じて賃金が支払われるということになるわけでありますけれども、現実にはこの常勤的な職員常勤化する傾向が出てくる。そこで、まあそういう職員についてどういうふうに取り扱うかという点が問題であることも、御承知通りでございまして、われわれといたしましては、同じような事務を取り扱う者については、同じような待遇にするべきであるという観点から、農林省としましても、その中におけるいろいろの百取り扱いについて、秩序づけたいという観点でいろいろの措置を講じておりますけれども、基本的には、今申しましたような事業量変動に伴う人員増減というふうな問題につきまして、これを一律に定員化すべきかどうかというような問題がありまして、本来このようなものにつきましては、恒常的、一貫的な定員化ということもできないのではないかというようなまあ意見もあるくらいでございますので、一番この取り扱いについては、現実問題としては非常に困っておるのでありますが、今申しましたような考え方といたしましては、同様な扱いにできるものは同様な措置を講じて参りたい、こういう考え方を持っておるわけであります。
  17. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の官房長の、事業量変動に伴ってというところに問題があるようなお話しでありましたが、この点については、あとでお伺いいたしたいと思いますが、私が申し上げましたのは、農地事務局あるいは農地局を限りとして申しておるのではなくして、農地事業所、九十近くありますところのこの事業所運営において問題があるんじゃないか。その事業所が、御承知通りに、土地改良なり、あるいは干拓なり、開墾なりという事業をやっておるわけです。その事業所にあって、半数近いものが定員外職員だ、その事業所で二億、三億という大きな経費が使われて行なわれているじゃないか、そういう点を私は申し上、げておるわけです。で、農地局限りで申し上げているのではなくて、事業所として考えた場合に、非常に定員外職員というものが多過ぎやしないか。で、過去二回において、できるだけ定員内に入れるような努力政府として行なったわけでありますが、半数近いものが定員外だ。しかも、これが非常に重要な金銭的な面においても、非常に大きな役割を果たしているという点を私は申し上げているわけです。ですから、一般論で解消できないのではないかと思われる。いかがですか。
  18. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) ただいま私の申し上げました農地事務局の数というのは、もちろん事業所も含まれた数でございます。今、鶴園委員のお話になりましたのは、私の申し上げました農地事務局の現在人員の中で、さらに事業所の数をおあげになったのだと思いますけれども、確かに御指摘のような事業所におきましても、それから事務局単位におきましても、そういったような構成現実なっておることも事実でございます。で、これは今申し上げましたように、われわれの措置といたしましては、できるだけ定員内に繰り入れ努力をいたして参りたい。それから第二は、かような常勤的な形をとっておる職員については、今後、一気に定員化できないとしても、機会あるごとにそういう努力をするという意味におきまして、はっきりと雇用の際に、同一性質あるいは同様の勤務条件にあるものについては、常勤化を初めからするというふうな前提のものについて努力するというふうな措置をとりまして、そうしてこれは優先的に定員化をはかっていくようにしていきたい、こういうような考え方。それから、さらにその以後における日々雇用人夫賃でまかなわれる人員がおるわけであります。これにつきましては、最近の常勤的非常勤職員定員化をはかるという趣旨に沿いまして、実はわれわれの方といたしましては、これらの職員が無秩序にふえる、特に事業量増減に伴う人員増減というものが行なわれるというようなことは、結局常勤的非常勤職員の定数を固定化しないという面がありますので、そこで、これらの職員採用については、登録する職員制度を設けるという措置を、ここしばらくとっておるわけであります。そういう結果といたしまして、今御指摘なりましたような、つまり登録以外の常勤的職員というものが相当数になったということも事実でございます。これは先ほど私が申し上げましたような意味におきまして、事業性質によりまして人員相当ふえる、あるいは季節的な需要に応じて採用せざるを得ない。そういう人が定員内職員と同様の性質を持っておるということで、また、定員化要求が行なわれるということになりますると、結局定員化自身扱いを今後どうしていくかというふうな豆本的な問題の取り扱いとも関連して解決していかなければならないのではなかろうかというような意味におきまして、今後検討して参りたい。かように考えておるわけであります。
  19. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年今ごろ新しくできました事業所ですね、昨年から新しく発足しました事業所は八カ所ほどありますが、この新しくできました事業所では、さらに私が先ほど申し上げた定員外職員というものが多い。たとえば昨年八月に発足いたしました雫石川事業所をとってみますると、三十名の職員がおる。その中で二十二名というのが、定員外だ。これは雫石川事業所だけじゃなくて、八郎潟にいたしましても、そのほかの昨年新しくできた所、そういう所が、さらに一そうその傾向が強い。定員外職員というのが非常に多い。これは、仕事は御承知通りに七年でやるとかというふうに、短期間でやろうというような情勢になっておるわけですけれども、新しく発足した所は、さらに一そうこういう傾向が強いということは、これは非常に大きな問題じゃないかと思う。初めが大切ですから。にもかかわらず、切めてできた所、新しくできた所が、さらに一そう定員外職員が圧倒的に多い。しかも、それが、一億なり一億なりという金を使って、あるいは事業所を監督していくというような仕事をやっておるわけです。私は、従来予算を取ることについては非常に熱心だというように思うんですが、予算を使って仕事をやる公務員の問題について、もう少しこれは誠意をもってやらなければならぬじゃないかと思うのですけれども、こういう事態では、新しく発足して、さて仕事をやろう、一億の予算がついておる、あるいは八千万の予算がついておるというのに、三十人の職員の中の二十二名の職員が、責任定員外職員ということで事業が発足するというような形では、これはどういうふうにお考えになっているのか、抜本的に考えなければならぬことじゃないかと思うのですが、どういうふうにお考えになっておるか、お伺いいたしたい。
  20. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  21. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  22. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘通り、われわれといたしまして必要な事業に伴う期間要員としての定員要求については、従来といえども努力いたし、ことしにおきましても、百四名の公共事業の増に伴う定員要求をいたしたのでありますが、今御指摘なりました新事業所におきまして、定員外職員が多いというのは、これは事実でございますが、これは先ほど申し上げましたように、それ以外に、現在定員外職員相当ある。それをまずわれわれとしてはできるだけ早く定員化したい。従って新しく入ってくる者につきまして、必要な期間要員は、もちろん初めから定員を配置すべきでありますけれども、やむを得ず事業費支弁雇用という形をとらざるを得ないというのが現状でございます。従いまして、今後の方向といたしましては、まず今までの中におきましても、定員化すべきものは定員化し、今後の措置につきましては、もちろん同様の性質のものについて、定員化すべき者については、当初より野業量の増に伴って要求すべきはもちろんでありますが、先ほどちょっと申し上げましたように、本来公共事業というようなものにつきまして、事業量増減に伴って人員の増加が常に行なわれるといったようなものにつきまして、当然そこに定員内と、それから事業の遂行上必要な定員にかわる採用といったようなことが行なわれる場合に、どうこれを今後調整していくかという問題が実は大きな問題として残っておるわけであります。これらの基本的な問題の考え方とあわせて、われわれとしても検討いたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣に伺いたいのでありますが、今の問題に関連いたしまして、農林省として、全体として見ました場合に、定員外職員定員内に繰り入れていくということについては、ある程度成果がおさまっておるわけであります。ところが、実際その現場で仕事をしておる、農地でいいますと、事業所、ここに一切のしわが寄っておるように思うのです。ですからそこに従事しておる職員半数近い者が、なお定員外職員、しかも、ここで二億、三億という金を使うわけです。実際事業をやるのですから。ここで大体農地局でいいますと、約五千名の者が従事しておるのです。その中の半数近い者が定員外、しかもそのまた内容を見ますと、新しく発足する事業所ほど圧倒的に定員外職員が多い、昨年発足いたしました事業所を見ますと、八カ所ほどございますけれども、これは定員外職員が圧倒的です。そこで、一億なり八千万なりという金が使われて、現実にそういう定員外職員人たちが、公共事業を監督し、あるいは計画を立て、いろいろな事業を遂行しておる、こういう実情だと思うのです。これは農地局の補助金あるいは農地局予算を取るということ、土地改良の予算を取るということ、農地の生産の基盤を拡大するということで予算を取ることについては、非常な努力を払われるのでありますけれども、こういう金を使って現実仕事をやる公務興の面については、今私が申し上げたような実情になっておる。こういう点について、大臣の所見を承りたいと思うのです。
  24. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 御指摘定員外の問題につきましては、そういう扱いを受けます公務員といたしましても、また、私ども管理者の立場といたしましても、種々不都合があるわけなのです。しかし、現在そういう制度になっておるものですから、お話しのような状態も出てくるわけでございまするが、これは根本的に変えた方がいいのじゃないかということで、今国会におきましても、予算にきめられました職員定員化につきましては、今御審議をお願いしておりますが、これと並行いたしまして、今その処置をどうするかということを私ども検討いたしております。いずれ本国会において御審議を願う、かように私どもは考えておる次第でございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣は、こういうこまかい、しかも私たちにとってみれば、あるいは、実際仕事に従事しておる農林省公務員にとってみれば重要な問題について、こまかいことですけれども、一つ御認識を願うという意味で、もう少し御質問を申し上げたいと思いますが、この農地局事業所には、非常に期間雇用というのが多いのです。これは十カ月雇用なんです。雇用いたしまして十ヵ月たちますと首を切る、そうしてニヵ月たちまして、また雇用する、そういう期間雇用というのが非常に多いのです。で、事業所といいますと、五百八十三名、この事業所に従事しておる職員の中の三割近い者が、こういう形になっておる。これは単に人夫みたいな者じゃないのです、学歴のある者です。これは、実際の事業所仕事をやっている者です。その中に、期間雇用というのが、三割近くいるということじゃ非常にまずいのじゃないかと思うのです。農林省における期間雇用というのは、特に農地局の現場に圧倒的に集中しておるわけです。十ヵ月たちますと首を切る、そういう制度です。せっかくなれたところで首切らんならぬ、それで、切ってその仕事が済むかというと、そうじゃなくて、また雇わなければならない、こういう制度ができておる。これは去年からできたのです。大臣は御承知ないかもしれませんが、行政機関職員定員法という、定員法々々々といっておりますが、この定員法によりますと、ニカ月以内の期間を定めて雇用される者、これは定員じゃないというふうにしてある、ところがこれは十ヵ月雇用なんです。しかも十ヵ月で首切って、また雇うというのです。できるならばずっと継続して使いたいのだけれども、定員法というものがあるので、もぐっておるわけですね。そういうようなもぐり方は、どういうふうにもぐっておるかというと、日々雇用だという、毎日毎日雇用して十ヵ月雇うのだとこういう。そしてニヵ月雇用をはずして、毎日毎日雇って十ヵ月たったら首切る。ニヵ月たったらまた雇うのだ、こういう法の精神をもぐつたような存在、しかも、それが新しくできた事業所なんかにこれが主体をなしているのです。そういう、これは大臣も土地改良事業というのは、非常に重要視されておる、農林省の一枚看板みたいな重要視されているその事業をやっているところがこういうことではどうにもならぬのじゃないかと思うのですが、もっと大臣はそういった問題について関心を持っていただきたいと思う。土地改良予算を取ると同時に、こういう問題について一も十分なる関心をいただきたいと思います。それについて御所見を承りたい一と思います。
  26. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今、農地事務局におきまして十カ月未満の期間雇用という道を設けている、これは定員法のあれではないか、逸脱ではないかとこういう御指摘でございます。実はわれわれは全く逆の意味で、こういう措置をとって、いかにして現在の職員の身分の安定をはかろうかという趣旨に基づいてこれができたものでございます。簡単に申し上げますと、実は現在非常勤常勤非常勤職長というものは私の方で全部登録いたしまして、これらの職員につきましては、できるだけすみやかに定員化措置をはかりたいということで、日々雇用の中におきまして常勤的非常勤職員の中で特に登録いたしております。それによりまして今後人夫賃でまかなえるものが常時また常勤化する。そしてそれがまた、定員化の対象になるということを整理いたしたい、こういう考え方をとっております。ところが、そういう考え方に基づきまして、常勤的非常勤職員採用を登録されるべき常勤的非常勤職員はできるだけこれは抑制していきたい。そして本来は定員要求していきたい、こういう考え方をとっておるわけでございます。ところが、現実には事業の遂行上、どうしても人手が足らないということで雇うということになりますと、勢い常勤的非常勤といいますか、人夫賃で雇わざるを得ない。そこで、かような採用の場合におきまして、本人に将来ともずっと採用されるという期待を与えることは、かえって本人に不親切であるという意味から、大体は季節的な雇用でありますから、六ヵ月を目安にいたしておる。しかし最大長くても十ヵ月までに作業はいたしたい、こういう考え方をもってむしろ雇用者、雇われる者に対してまあ親切の意味で実はそういう措置をとったわけでございます。しかし、この中におきましても今御指摘なりましたように、全く性質が同じであり、あるいは仕事の遂行上通年従事せざるを得ないというような者に対しましては、これは通年の扱いをするという措置をとるという考え方をとっておる次第でございます。
  27. 横川正市

    ○横川正市君 その仕事は十ヵ月のやつを十二ヵ月に配分いたしますと、その定員を幾らか固定して雇用するような条件になりませんか。あなたの言っているような言い方というのは、政府一で定員法を作っておいて、そして定員一内で仕事をすべきものが定員内でできないから定員外雇用者を雇うことはやむを得ない。それにその期待感を持たせない。なおかつ安定をさせたい。欲ばって雇用をやるということは、いわばこの定員法というワクの中で仕事をするという矛盾を、これはいわば政府みずからが犯しているということになるわけですね。そうならもし期待感という問題とか、安定ということを考えるなら、今言ったような人員を十  ニヵ月に按分して常時雇用に振りかえていく、こういうことで、仕事の方はそういうふうに十二カ月に割り振れないかという、これは計算上の問題になるわけですが、それは可能なんですか、可能でないのですか。どっちですか。
  28. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今の御質問は、われわれといたしましては、その前提といたしまして本来通年従事すべきような事業に携わる人につきましては、現在の定員なり、あるいは登録された常勤的非常勤でできるだけ処理していきたい。そして特に登録された常勤的非常勤職員は、今お話がありましたようにできるだけ定員化をはかって同じような期間雇員としての扱いをしたい。ところが、事業のやり方いかんによって、今申しましたようなことで処理できない、随時雇うという場合が起こってくるわけであります。公共事業におきましては特に事業費支弁という形で人夫賃がまかなわれる、工事雑費という形で人夫賃が織り込まれているということから、そういうことが当然予想されるわけであります。その際、今横川委員の御質問は、そういう人間を雇うために、何か一年に延ばして恒常的に事業をさせたらどうか、こういう御質問のように伺うのでありますが、われわれとしては、逆にそういう仕事は本来季節的なものが多いのだから、これを季節的なやはり扱い方にするのが当然じゃないか。そしてそれらの人がかりに季節的なもののあるにかかわらず、たまたま工事が同じようなものであるから、通年われわれも定員内の職員として扱ってもらいたい、こういう期待感を与えることが、かえって本人に不親切じゃないかという意味におきまして、大体はニカ日雇用でありますけれども、六ヵ月さらに延びるとしましても十ヵ月までしかこういう事業として扱えませんので、あるいは仕事の割り振りにおきましても集中的に一人でやるものを、数人雇って集中的にこなしていくというような扱いをとっていった方が実際に合うのじゃないかという考え方に基づいておるわけであります。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長、それはおかしいのであって、今おっしゃるような集中的にやる場合、あるいは何か季節的にやる場合には、このほかに日々雇いの人夫がいるわけですよ。あるいは月雇いの人夫がいるわけですよ。私の言っていることはそうではなくて、十ヵ月雇用の問題、これが三割近くもおるじゃないか、こういうことを言っているのです。定員外の、この定員常勤非常勤期間雇用、その下に人夫がいるのですよ。その人夫というものはあなたが言うように何か集中的にやる場合、あるいは季節的にやる場合に人夫としてお雇いになるのであって、ここにあがっている四者はそうじゃない。たとえ事業所によってどうだこうだとおっしゃっても、半数近くも事業所にこういう人がいるということは、何といっても理屈にならない。定員をできるだけ取りたいのだけれども、定員が取れないから、やむを得ず半数近い者がいる。さらに期間雇用という、場あなたの言う親切でやられたと言う期間雇用にしましても、これは三割近くもところによってはおる。去年あたりできた新らしい事業所においては、これが主体をなしているということで、農業の基盤を拡大するという、拡充するという土地改良事業が進むはずはないじゃないか。ここでやっているのですよ。仕事を。こういうことを言っているわけですよ。認識が少し甘いのじゃないかと思うのですが、頭が政策に向き過ぎちゃって、こういう問題、そういうものをもっと考えなければならぬのじゃないかということですから、もう一回いいかげんな話ではなくて、はっきり答弁してもらいたい。おっしゃるような日々に雇い入れる者、あるいは集中的にやる者、あるいは期間的に季節的にやる者はこのほかにいるのですよ。あまりにも多いじゃないかということを言っている。
  30. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘通り、この期間雇用のほかに人夫もおるわけでございます。しかし、期間雇用されておる職員の従事している仕事の中においても、たとえば設計に従事する、あるいはポールを立てるということに従事する場合におきましても、これを集中的に、仕事性質は季節的じゃなくしても、一人じゃなしに数人で短期間にやってしまうというような方法をとることによって、できるだけ人員の固定化を避けるということもわれわれとしては考えていきたい。仕事性質が季節的なものと、それから仕事は季節的ではないけれども、できるだけ短期間に処理するというような方法によりまして、できるだけ労働能率を高め、また、人員の固定化を避けていくというような考え方を持っておるわけであります。  それから基本的に今お話がありました三〇%もそういう者がある、仕事性質は同じだというような問題は、これは定員法で全部そういう者を吸収するか、あるいは現在おる人間も定員法からはずしてしまうかというような問題とも関連する問題でありまして、つまり土木専業みたいなものにつきましては、その事業を遂行する場合に、全く期間的用員という者が厳格に測定されれば別でありますけれども、今のところばそういうところに従来する者はすべて公務員ということになっておる。従ってそういう土木事業に従事するすべての者を定員化するか、あるいはすべての者を定員から対象をはずすかというような問題とも関連いたしておりますので、これらの問題につきましては、今内閣を中心に関係省においてどう今後処置すべきかということについて検討いたしておるわけでございます。
  31. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっとおかしい。ひっかかるようですが、工事をやる場合にその工事に携わる系統的なびんからきりまでですね。行政部門では予算とか、それから人員の配置とかをやるしでしょうし、それから現場部門では施工関係一切と監督も含めていわば系統的な仕事のうちの中心的な仕事をやる、そのほかは手足になっていろいろ上事の施工に当たる、そういうようなものを区分を今はっきりさせて、どこまでを公務員にしてどこまでを公務員以外だ、こういうふうにするかを検討しているというふうに聞こえるのですか、そういう検討をしておるのですか。
  32. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 言葉が足りなかったのでございますが、公務員制度全般について、内閣におきましては公初買調査室を中心に検討しておるということは、すでに御承知通りであります。また、これに関連する一つの試条というものが公表されたことも御承知通りであります。そういう中におきまして、つまり一般的な行政職それから特別職といったような分け方をどうするかということは検討いたしておるのであります。それからいま一つは、今後定員法の問題といたしましてとういうふうな考え方をとるべきか、特に常勤職員あるいは常勤的非常勤職員定員化をどのように今後考えてい、かという点を、別途関係省で協議会を設けて検討しておる、こういうことに相なっておるわけでございます。以上二点でございます。
  33. 横川正市

    ○横川正市君 前者は他の機会に検討するとして、後者の場合ですね。たとえば人のむだのない配置をする場合に、一つの農地局が全県あるいは全行政区域にわたって仕事をする場合に、ある一人の監督者が行けば、そこで人に雇って仕事が完全にできるというここになれば、その仕事が終わればそれは雇用が解けますから、今度は乙地のところに移動する。そうすれば最も少ない人員で、いわば人件費という面では非常に節約をして仕事ができる。そういう考え方で今運営されておるのだ、こう聞こえるわけですが、その場合に、たとえば一つの仕事をするのに測量の機械を持って赤と白のポールを持ち回って歩くその人であっても、学歴とか、その他から言えば、いわば技手とか、そういう技術者に該当するような人、そういう人を多数雇っている場合があるわけですね。学歴でいえば、専門学校を出て、専門的知識を持っている。そしてポールを持つ者も、それから測量機をのぞく者も、いわば経験、学歴は同じだが、雇用条件が違うから公務員であり、人夫である、こういうことが何年間も放置されていいかどうかという問題も当然あると思います。仕事を促進するという行政部門を担当する者の能率的な人員の配置ということもあるだろうが、雇用の完全化からいけば、この問題はやはり相当検討しなければならぬと思う。  それが農林省に非常に多いわけですね。最近私どものところに陳情に来たのでは、九年間も同じ仕事をしているのに、依然としてまだ臨時でございますと言う。そんなばかな雇用がありますかと言うと、実際それは私がそうなのですと、陳情をしてきている。私は仕事をすればいいという人員の配置だけでは、これはいかぬと思う。もっとやはりその人たちの安定した職場というものを国が約束してやらなければならぬ。そういう面から考えてみても、非常に非常勤という者が多いのではないか。これが鶴園君の質問だと思う。その辺のアンバランス、あんばいをどういうふうにするのか、それをもっと明確にしてもらいたい。
  34. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘通り農林省には常勤職員つまり定員外常勤職員あるいは常勤的非常勤職員人夫給でまかなっている者が非常に多いわけであります。約一万五千名もいるわけであります。しかし、この前の段階におきましてすでに一万三千名程度の者が実は定員化されてきたことは横川委員承知通りであります。われわれといたしましても、まずこれらの常勤職員をできるだけ早く定員化したい、さらに常勤的非常勤職員につきましても勤務・条件の同性質の者、また、長期に勤続しているような者につきましては、そういうふうな措置をとりたいということで、毎国会、毎予算のつど、努力をいたしているわけでございます。ただ現実の問題としては、なかなかそこまでいっていないということでございます。考え方といたしましては、同性質勤務条件下にある者については、できるだけ定員化をはかっていきたい、こういう考えでございます。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題につきましては、先ほど来申し上げているように定員外職員という者が集中的に聖業所に来ているということです。林野庁を除く農林省の中でも、農地局のここに集中している。今官房長もおっしゃったが、林野庁を除く農林省には定員外職員が四千六百人もいる。そのうちの半数近くの者はこの農地局事業所に来ている。しかも、この事業所は三百億という経費を使うところです。農林の政策の基本をなしているところです。そこの職員半数近くの者が定員外職員、しかも、新しく発足する事業所は、期間雇用が主体をなしているということを、再度強調して農林省の善処を望みたいと思います。  それからもう一つは、この現場の仕事事業所仕事というのは、これは定員外常勤非常勤、そして定期雇用期間雇用この四者で日々の仕事が行なわれている。それ以外に季節的にあるいは何か仕事が忙しいときに、人夫を雇っているのだ。ですから仕事そのものは、恒常的な仕事としては期間雇用を含めて仕事運営されているのだという点を、もう一ぺん私は申し上げておきたいと思います。  それから、大臣が見えておりますので、農地局から少し飛びますけれども、どうも定員が取れないというところから、農地の今の事業所なんかも、非常に困難をきわめているように思うのです。今度ここに新しく出ておりますところの飼料検査所、この飼料検査所もこれは今まで畜産局の飼料課の分室としてあったのですね。今度それを飼料検査所として独立させて、飼料は非常に重要な大きな問題になっているので検査所として独立させたというのですね。ところが、定員は全然ふえていないのです。これでは単なる機構いじりじゃないですか。今までの分室でいいじゃないですか。分室であったものを独立して検査所にしてしまったけれども、定員は一つも変わらない。しかも東京だけである。札幌に置きたい、神戸に置きたい、あるいは門司にも置きたいという、また置かなければ仕事にならないというのですね。にかかわらず、定員は全然ふえない。単なる機構いじりじゃないか、こういうような気がするのですね。それから林野庁の問題が出ておりますが、林野庁なんかも今度営林署が三つか四つはふえております。しかし、定員は全然ふえない。ですから何かそういうふうに非常に問題があるように思いますが、これは一応おきまして、蚕糸の問題につきまして伺いたいのでありますが、一昨年ですね、で、実施になりましたのは去年からでありますが、蚕糸試験場の非常に根本的な機構改革をやったわけです。それは中央に本場がありまして、それから大体ブロックごとに十の支場があったわけです。その十の支場一を四の支場に集中しまして、いうなれば相当退却をした、全面的な退却をした形の試験場政策になったわけですね。なお、今年もまた廃止する所が三カ所出ておるわけです。これはもう御承知通り養蚕という、この蚕業といいますか、これは最も日本の農産物一の中では一番国際的な性格を持っている。国際市場において競争する内容になっておるのです。この養蚕一っをとってみても、農林省が退却の姿勢をとっている。今後の自由化もそうでありますが、相当の農産物というのは養蚕業と同じような条件に置かれるわけですけれども、この養蚕業の総退却的な姿勢というものを、どういうふうにお考えになっているか、これは試練ですよ、今後の自由化の。これは役人として退却はきわめてやすいです。私どもはそう思っております。安易です。こういうふうに退却の姿勢じゃどうなんですか、養蚕業そのものがずっと退却している。この試験場の問題を中心にして養蚕問題をどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
  36. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 蚕糸問題について、私どもが退却の姿勢というお話しですが、そういうことは考えておりません。ただ、蚕糸業は、昔は大へんな勢いで日本の国際収支を支えるというぐら、まで言われたのでございますが、他の繊維が出てくるというようなことで昔のようには参りかねると思います。そういう昔、非常な勢いで蚕糸業が栄えておったころの体制というもの、これを集約化するということは私は当然考えていいと思います。ことに、適地適産主義ですね、そういうような観点から蚕糸の試験も集中化する。集中化することによって、これをむしろ強化することができるというふうに考えております。官庁の機構全体といたしまして、どうも鶴園さんあたりから、しょっちゅう官庁に勤めている公務員給与が低いというようなことを言われまするが、これはもうとにかく日本の役人というのはほっておけばだんだんふえる一方で、これでは給与をふやすというようなことを私ども考える場合におきまして、財政上から非常に支障が出てくると思うのです。同時に、これが膨大な財政となって国の経済を圧迫するというようなことにもなりますので、私はできる限り官庁の役人というものは必要最小限度にとどめて、そうしてしかも全能率を上げる体制が好ましいのではあるまいかというふうに考えるものであります。さようなことから飼料検査室を検査所と改めるというような場合におきましても、とにかく農林省内の全職員を振り回してやっていこう、できる限り財政上の圧迫はこの面からは避けていきたいという考え方をとっているわけなんです。蚕糸業につきましては決して後退ということでない、むしろ集中して能率を上げていきたい、こういう考え方であるということを御了承願いたいと思います。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 集中というのは、非常にいい言葉だと思うのですけれども、しかし、十カ所ありました支場が四カ所に集中される。さらに、ことし三十五年度より東海四県のセンターといわれました武豊を廃止する。さらに四国のセンターといわれました徳島にあるものを閉鎖する、廃止する、それは四国の四県の養蚕農民に暗い影響を与える、あるいは東海四県の静岡、岐阜、愛知、それに三重ですか、この四県の養蚕農家並びに県の蚕糸関係の機構というようなものについて不安を与える。一体農林省というのは、四国なりあるいは東海四県の試験場を廃止した地域における養蚕農家というものはっぶしていくつもりか、見捨てるつもりか、こういう見解すら生れてくるのであって、何か問題に逢着すると、機構いじりをするというやり方に陥りがちではないか。おっしゃるように、集中ということでありますけれども、いうなれば、やはり相当退却して本営を守るというような感じは否定できないと思う。十和田湖のこの間三人定員の廃止の問題が出ましたが、今度武豊十二、五名、四国十二、五名これが廃止になる。これはここに今上程にならないわけですけれども、そういう感じを与えているのじゃないかと思うのです。集中というのは本陣防衛のために集中している。この剰員、外に残った者は戦死してもよろしい、こういう印象を受けているのですよ、いかがですか。
  38. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ですから、私は官庁の機構というのは、その時代の要請に応じてどんどん気軽に変えていったらいいだろうと思うのです。作っても任務を終了したとか、あるいはそういうふうな状況が好ましくないとかいうものも、これは一方においては存置する、他方においては人はどんどんふやせふやせと、これじゃ私は国の何というか、国際社会における日本の国の競争力というようなことは、とうてい出てこないと思う。やはりその重要度というものに応じて役所のあり方というものは随時弾力的に検討していかなければならぬというふうに考えております。私は申し上げておる通り、蚕糸政策は決して私どもは後退しておりませんです。ただまあ、非常に昔蚕糸業は栄えておった時代に、そういうものがあるものですから、そういうただいまの状態といたしますると、大いに蚕糸業もこれからさらに強化しなければならぬけれども、それにいたしましても、これは集中をはかった方がよかろうという見地からやるんです。ですから、そういうふうに御理解をいただき、御宣伝を願いたいと、むしろお願いをいたしたいわけなんでございます。
  39. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと関連。ちょっと言葉じりで失礼なんですが、大臣の二つ、たまたま私どもとしては、ふに落ちかねる発言があったわけですが、私は国の政治のあり方として、たとえば国民経済が膨張して、それに伴って流通機・関であるそのものを倍増する、いろいろな設備とか何とかいうのが急激にふえてきて、それがその国の一つの産業の増進になっておる、これに合わせて国の行政は、たとえば道路をつけてそれに問に合うようにしたり、それからいろいろな意味で、便宜供与をするということで、サービスをするわけであります。いわば国家公務員というのは、これはサービス機関であって、昔のように天皇の官吏ではないので、だからそういう一般の国の産業やら国力の増進に従って、サービス機関である公務員というのはふえていくことは、これは一向私は意に介さなくてもいいと思うのですよ。ある商店が店員さんを三人雇って、そうして仕事をやっておった、五人にした、それでもまだ足りないから、三輪車を購入しようじゃないか、こういうように国の国力に比例して、公務員というものは、頭数というものはそろえていくのだと思うのです。もちろん、そういう中で、有能か有能でないか、サービス機関に携わる者にふさわしいとか、ふさわしくないとかいう問題が起こってきても、頭数が必要だということについては、国力の増進に従って、サービス機関の公務員がふえてくるのは当然だと思う。農林大臣の今のお話しでは、役人が野放図に人を雇いたがって、まあいわば自分の机がでっかくて、自分から見おろす部下がたくさんいれば気持がいいような、昔の天皇の官吏のようなものの考え方でこれを同一視するということは、私は反対です。もっと現場の実情に合った定員配置というものを真剣に考えてもらわないと、おそらく農林大臣、毎日どれだけの決裁に判こを押されているかわかりませんが、あなたの持っている膨大もない機構の中で、一体一つ急がなければならない仕事が、何日かかって、何ヵ月かかって処理されているか、現場へ行ってみれば、すべてこれは定員不足だといって、八面六臂、超勤をやっている。それでも一人でも頭をふやすというのは反対だというものの考え方から、仕事がどこかで詰まってしまって流通しない。いわば行政がどこかで沈滞をしているのは、そういうような面で定員の配置とか何とかに非常に不都合があるからなんだと、こういうふうに私どもは見る面があると思うのです。あなたは農林大臣ですから、あなたの実際の行政の範囲を見ていただいてもわかると思う。そういうことから偏見として野放図に役人が広がっていくんだというような、簡単なものの考え方で御し切れない。今の行政機構の沈滞は、定員の配置その他から起こってくる面が非常に多い、こういう点は私は強く指摘しておきたいと思う。もちろん給与その他の問題から、いい人が入ってこなくなったとか、あるいはどうも、しゃくし定木な人事院の試験があまり将来伸びるような人の雇用を障害しているとかいうような、個々の障害はあっても、今の定員問題が一つの原因だと思う。  それからもう一つは、今まあ仕事その他の面でいろいろやっておられるようですが、私そういう面でも農林大臣の先ほど言ったような関係では、ちょっとふに落ちかねる問題があるわけです。それは鶴園君の今の質問の中に答えられたような点で、政府では一生懸命やってできるだけ仕事を伸ばし、あるいは幅を強め、と同時に、そのことがこの産業に関連している人たちの生活を安定やら向上やら、将来約束されたものにしたいのだ、こう思っておっても、どこかでパイプが詰まって動きがとれなくなっておるようなところがあるわけです。それはあなたの言うように、役人は要らなくなればあっちへでもこっちへでも移していくのだ、こういうような格好で、ほんとうに一貫した政策の中で、一貫して奉仕をするいわゆる窓口とか、役人の配置というのに適正を欠いておっちゃ、それは私は国の産業というものの基盤ができてこないと思うのですよ。あなたの、簡単にこれは要らなくなったらあっちへやろう、こっちへやろうというような考え方じゃ、非常に私は安心してその業務についておれないと、こういうふうに思うのです。もちろん、私は人力車を自動車にするのは反対じゃ、人力車を自動・車にする国の政策をやっているのだから文句を言うなと、こういうふうに思われる面もあるかと思うのですが、やはり蚕糸などは非常に古い伝統で、ただ需要が非常に減っている。減って、そういう面からいろいろな不都合が今起こってきているわけなんですが、そういう点もいろいろ考慮はされますけれども、もっとしっかりとした国の窓口機関、サービスを十分にできる機関をしっかり置いて、そうしていわゆる輸出の不振なんかは国の政治の面で私は解決をして、安定した生産とそれから需要供給関係は政治でこれを補っていく、こういうふうにしていくのが当然だと思う。まあ、言葉が足りなかったのだろうと思いますけれども、そういう面でさっきの二点はふに落ちかねまするから、もう一度一っ大臣から御答弁をいただきたい。
  40. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 前段のお話は、私も横川さんのように考えておりますがね。ただ、機能が変わってきたとか何とかいう場合には、そうこだわらないでその機構というものを変えていったらよかろうじゃないか、それからまた、国の公務員定員をふやすという際には、そういうことを考えながら一面において必要なものは充足しなければならぬけれども、他面においては、どこに遊びがあるかとか、そういうようなことを考えながらやらなければならぬじゃないか、こういうことを申し上げておるわけなんです。これについては、おそらく横川さんも御異存はないのじゃあるまいかというふうに考える次第です。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 蚕糸政策の問題につきまして、大臣も決して退却しているのじゃないという御主張なんですが、一昨年の蚕糸試験場の根本的な機構改革というものは、どうしてもやっぱり十あった試験場を四つにするという、さらに今回また三つを廃止していくというやり方ですね。これはやはり養蚕業が、今の国際なりあるいは国内の情勢の中で相当問題がある、そのために衰微していく情勢、また最近盛り返しているようでありますが、そういう中で、やっぱり国というものははっきり政策を持たないと、それに動揺されちゃって、ふらふら集中してみたり、また廃止してみたり、またことしも廃止するというやり方をやっておったのじゃ、これはどうもやはり退却だというふうに見られるわけです。今後自由化に伴ってそういった問題が相当出てくるのじゃないかと思います。従って、この養蚕業はそういう意味で試金石のような感じを持つのであります、が、大臣が退却じゃないのだという趣旨を一つ了解いたしまして、あとこまかい点については別にやります。  それから」農地局の問題で、今度農地局事業所に勤めている者、私は事業所、盛んに言うのです、これは大へんな金を使うところですから。この事業所に勤めている人たち給与は、従来と根本的に変わって、事業費で負担することになるわけですね。先ほど官房長は、事業量の変遷に伴って人間がどうだ、定員がどうだこうだとおっしゃったのですが、今度は御承知のように、今私が申し上げたように、事業費で負担するのですね。事業量がふえればふえただけ人間が置かれるようなシステムになっておるのじゃない、ですか。事業量で人間を質組することになっておるのですか。これは、事業量の変遷に応じた形をとられるのじゃないですか。それを一つ伺いたいと思います。
  42. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 従来、公共事業予算におきましては、いわゆる定員内職員は、これは事業費と別になっておりまして、事業費の中におきまして常勤職員給与、あるいは工事雑費におきまして人夫賃といったような項目で予算が組まれておったわけでございます。従いまして、従来におきましても、定員内職員は別でございますが、それ以外の職員につきましては、そういった面におきまして実は事業費の一部を構成しておったわけでございます。ところが、常勤職員なり、あるいは非常勤職員というものが、先ほど申し上げましたように、二回にわたりまして定員化が行なわれたわけでございます。従って、定員化されたものが、従来は常勤職員給与あるいは工事雑費というところで組まれていたものが、定員化されたものでございますから、定員化された職員についても、その事業費の中に一部入るという形をとることに相なったわけでございます。従って、まあ従来といえども、そういった性質のものは当然事業費の中に入っておった点が、いわば表に顕在化してきたという面が一つあるわけでございます。  それから第二は、そういうことになるに伴いまして、事業に従事する職員の中で、全く現場の事業に従半する者、あるいはそうでなくて事務局で事務をとる者といったような、ふるい分けをこの際した方がすっきりするという意味で、実は定員の中におきましてもそういう操作をすることによって、事業費支弁とそうでないものとに分けたわけでございます。これが今回の予算措置によって表にはっきり出たわけでございまして、その点をまあ鶴園委員が御指摘になったわけでございますが、一部は従来とも見られておったものでありまして、さらに今回の措置によりまして、その点をはっきり整理したという点でございます。  ただ、ことしの措置につきまして、農地関係について申し上げますと、一般会計に基づく土地改良事業につきましては、今申しましたような措置をとることにいたしておりますが、特定土地改良特別会計におきまする措置につきましては、人件費分につきましては約四億程度だと思いますが、これは一般会計から特別会計に繰り入れるということによりまして、本年度につきまして、その分が事業費負担にならないという措置をとっておるわけでございます。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人件費がこういうふうに工事費の中から負担されるということになりますと、一般公務員はそうじゃないわけですね。公共事業関係の現場におる職員だけが、工事費から負担される。それ以外の職員は人件費で負担されると、こういうふうになるわけですね。そうしますと、こういうことになりませんか。その工事費の中には、受益者が負担する金が入りますね。そうしますと、この受益者の国民は、税金で公務員の金は払っておるけれども、一方また、今度は負担金という形でこの公務員給与を負担しなければならないということにならないですか。そういう点はどういうふうに考えておられますか。二重になりはしませんか。
  44. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) その点、今申し上げた通りでありますが、たとえば工事雑費の中に人夫賃が含まれておる、その人夫賃で人を雇って、かりにこれが全くの土建会社であれば、普通の土建の人夫賃で雇うということは、通例行なわれるわけでありまして、何ら、そこに異とする点はないわけであります。ただ、御指摘の点は、そういうふうな人夫賃で雇っておる人間が、常勤的な職員であって、場合によったら、それがまた定員化もされる。そうすると、いかにもそれは役人じゃないか、それを負担されるということになるのはどうかと、こういうふうな御質問かと思いますけれども、しかし、もともと、これはもしその事業が他の会社に請負で出るということになれば、ちょうど事業所でやると同じような仕事が、その請負会社において事業を行なうということになるわけであります。従って、それは当然、事業費の一部を構成することになり、それがまた一定の割合で地元負担になる、これは当然のことではないかと思うわけであります。ただ、事務局段階におけるような基幹的な公務員、これはもちろん一般予算で持つことになりますから、これまで一般にかかるということはありません。結局、事業費の、事業を遂行するに必要な事業費支弁に基づくようなものが負担になる、こういうことになるわけであります。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 従来は、事業所におりますところの定員内の職員給与は、工事費から持っていなかった、人件費の給与の中から持っておる。人夫賃とか、そういうものは工事費の中から負担しておりましたけれども、今回これを根本的に変えまして、事業所に働いておる定員内の職員を全部工事費から持つというようなことは、これはおかしいじゃないかということを申し上げたのです。それを一つ伺って、もう一つ伺いたいのは、そういう形になりまして、事務局と、それから一般会計の事業所と、それから特別会計の事業所と、三つに定数が分かれるようですね。定数間の異動というものは非常にむずかしいのですが、こういう三つに分かれますと、事業所で、特別会計の事業所から一般会計の事業所に移るということ、あるいは特別会計の専業所から事務局に移るということ、それを困難にするのじゃないか、そしてこの事業所の中の特別会計なら特別会計の中の人事移動あるいは一般会計の事業所なら一般会計の事業所の異動が容易になるのじゃないか、人事交流を妨げる大きな要素になりはしないかという点を懸念しておるようであります、事業所に実際働いている人たちは。その点はいかがですか。
  46. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 前の御質問の第一点についてお答えしますと、御質問通り、従来、工事雑費を持っていたもののほかに、従来、それに加えて、一般会計で持っていたものも負担するということになるわけであります。これはいわば、従来の工事費の中に含まれておった常勤職員なり、非常勤職員が一部定員化されたということから、そういうような扱いが、従来通りの方法をとることができなくなった、つまり、ある事業所においては、かりに工事雑費で全部まかなう。それから、ある事業所におきましては、工事雑費でまかなっておった者が一部たまたま定員化された。同じ性質の同じ事業に従事しておった者が定員化されたという不合理を是正する意味におきまして、同じような事業に伴う人の費用は全部事業費ということに今後扱うということにいたしたわけでございます。その点は御指摘通り事業費としてはその分だけ増加することにまあなるわけでございます。ある程度まあやむを得ないことではないかとわれわれは考えております。  それから第二の点は、それに伴いまして、特別会計の事業、それから一般会計の事業、これはもういずれもはっきり地区別に分かれておるわけでありますが、その間の人事異動というものが困難になるのではなかろうかという点でございますが、これは本人自身にとっては、何ら関係のないわけでございまして、ある者が定員内に入り、ある者が定員外に入ろうとも、その人の給与体系等における問題は全然関係ないわけでございまして、ただ、扱いが違えば事業費の算定における問題としての相違が出てくるというだけでありまして、本人自身についてどうということはないわけでありますから、その点は、今御指摘なりましたような不安は、私はなかろうと、かように考えております。
  47. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは官房長が事実を御存じないんじゃないかと思うんですが、事務局の定数というもの、特別会計の事業所の定数、それから一般会計の事業所の定数と、三つに分かれたわけです。で、定数間の異動というのは非常にむずかしいんじゃないですか。そうしますと、一般会計の事業所から特別会計の事業所に行くということは、困難になりはせぬか。あるいは、一般会計の事業所から農地事務局に行くということは困難になりはせぬか。これは事業推進上、人平異動を非常に不円滑にしてしまう。こういうことを現場に働いておる人は心配をしておるわけです。心配はないとおっしゃるわけですか。
  48. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘のように、一般会計、特別会計、あるいは農地事務局ごとの定数がありまして、定数内における異動ということにつきましては、これはここ二、三年来ずっと同じような方法をとって参りましたので、特にそれによって非常に異動がむずかしくなるということはないのではなかろうか、かように考えております。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 特にということでは、これは事業所に従事しておる職員にとっては大へんな問題です。やはり事業所間の異動、あるいは事務局との異動、あるいは農地局との異動ということが非常に大きなウエートを占めておるし、そのことが事業所を円滑に運営する技術上の練磨の上からいっても、非常に大きなウエートを占めておるわけです。それが、今回こういう措置で三つの定数に分かれてしまったということになると、この問の異動というのが、特に支障がないというふうに言われると、これはやっぱり問題だと思う。特に支障がないという話しでは、これは了承できがたいと思うんですがね。  それからもう一点の、工事費で負担するようになったということは、これは、事業所に従事している公務員定員内に入れていくということがふえる。そこで、人件給与はふくれ上がっていく。工事費の中に含めちまえばいい。その半分は民間が負担するんだから、国じゃなくて民間が負担するんだから、それだけ給与費が少なくなる、という観点からじゃないんですか。そのために、民間のこれは負担分ということはふえていきますわね。地元負担というのはふえるわけでしょう。そういう意味で今回こういう措置をとられたんじゃないですか。本来から言うならば、これは従来のように全部人件費で負担すべき問題だと思うのですけれども、工事費で負担するようになりますと、半分近く地元負担、四割二分ですか、でありますからして、地元の負担がふえるということになるし、さらに工事の計画もやはり変更していかなければならぬのじゃないですか。足りないでしょう、人件費が入っていくから。そこらについての関連を。
  50. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) あとの方のことにつきましてまずお答えいたしたいと思いますが、御指摘通り、従来一般会計で持っておりました定員内職員事業費の方に一部入るということになれば、その分につきましては事業費がふえるということになるわけでございますが、考え方といたしましては、たとえば農地事務局であるとか、あるいは機械管理者であるとか、そういった管理的業務に携わる省につきましては、これは今御指摘なりましたような事務局定数ということで別途に扱う。結局末端における事業所において、普通の上姓会社が事業をやると同じような意味において事業費を支弁するものにつきましては、これは事業費の中に含めて、受益者からも負担を取る、こういうことにいたしたわけであります。ただし、先ほど申し上げましたように経過的な考え方もありますので、特別会計の方の事業につきましては、本年度は直接それを農民に負担させるということをしないような措置をとることにいたしたのであります。考え方としては、事業費支弁に基づくものは、一般の受益者に負担がかかるということは、私はやむを得ないと考えておりますが、なおこの問題は経過的な考え方もとら、ざるを得ないわけでありまするので、十分なお受益者に対して思わざる混乱を免じないように検討は続けて参らねばいかぬ、かように考えております。
  51. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止
  52. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私質問を申し上げた、事務局と一般会計の事業所と特別会計の事業所、この三者の人事異動に、特に支障がないということでは承知できないのじゃないか。
  54. 日比野健児

    説明員日比野健児君) 特別会計と一般会計を定員を分けるということは、三十三年度から行なったわけです。今回事務局の定数をはっきり分けましたのは、要するに人件費部分が事業費支弁になったということと関連しまして、従来事務局で事業所定員を無計画に吸い上げまして、事務局で使っておったのが、従来の例でございます。そういうものを含めて整理するという意味で、事務局の定数もはっきりきめたわけじゃないか。従って、その整理のときには、現在事務局で吸い上げておる部分につきましては、すべて行政府定員として整理したわけでございます。従って、これは定数上は御指摘のようにはっきり明確になっておりますが、そのために一般会計、特別会計さらに事務局と事業所関係人員配置が、異動がそのためにむずかしくなるとは考えておりません。
  55. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  56. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をつけて。  これにて暫時休憩いたします。午後は一時三十分再開いたします。    午前零時三十一分休憩    午後一時四十一分開会
  57. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  午前中に続いて、農林省設置法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。政府側出席方々は、斎藤農林大臣官房長和田農林大臣官房文課長、丸山林野庁林政課長、河原農林省農林水産技術会議研究調整官、日比野農林省農地局総務課、長、筒井農林省蚕糸局糸政課長、以上の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど農地局期間雇用の問題については、これはできるだけすみやかに実情調査をして、農林省が従来とっておられます登録非常勤にさしあたってやるべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、その点ともう一つは、事業所職員貝が今度工事費によって人件費がまかなわれるということになったのですが、そのことによって、従来人件費によってまかなわれていた場合と全く同じ状態になるのかどうか、この三つを伺いたいと思います。
  59. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) ちょっと前の部分を聞きのがしましたので、あとの方からお答えいたしたいと思います。午前中も申し上げたわけでございますが、従来の人件費が事業費支弁になることに伴って、事業費の増減があるかどうか、こういう御質問のように聞きました……。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、違う。それは第一点は、期間雇用人たち、ここに出ておりますのは五百八十三名、この期間雇用人たちについては、当面してすみやかに実情を調査の上登録すべきじゃないか、こういう点が一つ。もう一つは、事業所職員が今回工事費によって人件費がまかなわれるということになったわけですが、そのことは、一般の人件費によってまかなわれている公務員と全く差はないかどうか、取り扱い上、その他全く差はないのかどうか、この二点ですね。
  61. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御趣旨はよくわかりました。第一点につきましては、午前中期間雇用意味というものにつきまして、われわれが取り扱っている考え方を申し上げたわけでございます。従って、事業性質上、あるいは事業のやり方におきまして期間的な扱いで、つまり季節的に処理するというふうなものにつきましては、できるだけ従来のやり方でやって参りたい。しかし、その仕事の中で、やはり事業性質上通年従事する必要がある。またそれなくしては、事務の遂行上支障があるというような場合におきましては、実情調査の上、必要なものにつきまして、いわゆる常勤的非常勤職員の中で登録を受けておる者がおるわけでありますが、そういう扱いをするように検討いたして参りたい、かように考えます。  それから御質問の第二点につきましては、これは事業費支弁であろうと、それから定員内職員であろうとも、全然本人についての待遇は変わりはないわけでございます。ただし、定員内職員定員外職員と、これとの差があることは、一般職員と同様でございます。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、蚕糸局の機構の問題について伺いたいのでありますが、新潟県にあります蚕糸試験場の小千谷、これは今第二研究室になっておりますが、この小千谷は、御承知のように大正九年以来の、県で作ったものでありましたが、積雪地帯の研究として、昭和二十四年の二月から国営に移管されて、農林省の所属機関になっておるわけでありますが、この小千谷の桑園、これを一昨年の機構改革によりまして研究室になったのですが、これを予算関係で縮小廃止するという計画があるというふうに聞いておるわけです。それで、御承知通りに、北陸四県さらに東北の積雪地帯の桑の改良のために努力せられておるわけでありますが、これを縮小し、あるいは廃止するという、そういう計画があるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  63. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) ただいま小千谷の研究室を廃止するかどうかという問題でございますが、御存じのように、あそこは桑の品種の研究をやっております。特に寒冷地におきますところの桑の品種が、どういうものがいいかというようなことを研究いたしております。同時に、耐寒性の問題といたしまして、病気の問題も胴枯病等の病気の問題も研究いたしておるのでございますので、今後桑の品種改良というものは、どちらかといいますれば、現在までの研究からいたしまして、おくれておるような状態でございますので、今後こういう試験をさらに進めて参らなければならないというふうに考えておりますので、仰せのように、地元の方からはいろいろの陳情がございますけれども、現在のところ、試験場といたしましても、蚕糸局といたしましても、小千谷を廃止するというような考えは持っておらないのでございます。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この小千谷の研究室にっきましで、県の方に移管するのだ、こういうような話が一時あったように聞いておるのですが、そういうものは今日はないわけですか。またそういうものがあったのですか。
  65. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) お答えいたします。県と申しますか、地元の方からはそういうような要望なり陳情があったようでございますけれども、現在詳細の地元の動きは、ちょっと私ども掌握いたしておりませんけれども、試験場といたしましても、蚕糸局といたしましても、この小千谷を廃止するというような考えは現在持っておらないのでございます。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、小千谷の問題につきまして、桑の品種の改良について若干おくれておる面もあるからして、整備充実をしたいというお考え方のように承ったのですが、四、五年前からこの施設等も若干整備されてきておるようでありますが、今後この点について小千谷のこの研究室を整備し、充実していこう、こういう考え方に立っておるわけですか。
  67. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 先ほど申し述べましたように、耐寒性の桑の品種というようなものが、あるいはまた桑の育種問題、このものがおくれておるような関係もございますので、この小千谷の試験研究をさらに推進して参る、継続して参るというような考え方でございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、愛知県の武豊にありますところの武豊と、四国の徳島にありますこれも研究室になっておるわけですね。前は支場だったのですが研究室になっておりますが、これを廃止するというふうになっておるようでありますが、この武豊にあるやつを東川都の日野に持ってくる、廃止して東川都の日野に持ってくる。それから四国の徳島にあるやつを廃止しましてこれを京都にある綾部の支場に持ってくると、こういう考え方のようでありますが、これはもともとこういう四国の佃島に設けられる、あるいは東海四県のために愛知の武豊に設けられるというのは、気候、風土その他農業経営等の関連によってここに設けられたわけでありますが、それを今回廃止して、徳島のものを京都に持ってきて、の研究が行なわれるのかどうか、さらに東海四県のために作られたこの愛知の武豊のものを東京都の日野に持ってきて一体研究ができるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  69. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 武豊の試験地と四国の研究室の廃止の問題でございますが、御存じのように、全般的に申しますというと、先ほど大臣からのお話もございましたように、養蚕地帯というのが、これは経済性、あるいは作物の有利性等から考えまして、だんだんと東海なり、あるいは東山、中部地方、あるいは関東に集中しつつあるよりな傾向でございます。従いまして、試験研究もやはりそういう実情に合った形で行なわれなければならないし、また、今後いろいろ新しい問題も起こって参っておりますので、そういう研究を集中的にやって参らなければなりないというような観点からいたしまして、武豊でやっておりましたのは御存じかと思いますけれども、旱魃の試験をやっておったわけでございます。この研究も数年やって参りました。あそこのいわゆる砂地の土壌におきまするところの旱魃問題、特に海岸の近くの旱魃の問題を研究して参ったのでございますけれども、おおむねその研究がとりまとめの段階にきたということに相なりましたので、これを廃止いたしまして、日野におきましてさらに旱魃一般の問題につきまして研究を進めていく方が、より集中的に合理的にやれるのじゃなかろうかということで、武豊を廃止することにいたしたのでございます。  また四国の試験地は脇町にあるのでございますが、これの廃止は、湿地土壌におきますところの桑の栽培の研究をやつておったわけでございます。この湿地土壌というのはカルシウムの足らないような土壌の特殊なものでございまして、四国の一部の地帯に現在におきましてはございまして、そこで桑も作られておるというような関係もあったのでございますが、これらの研究がおおむね終結いたしましたので、この研究を綾部の関西支場でもって集中的にやっていこうと、こういうように考えておるのでございまして、これによりまして四国の問題は必ずしも廃止する、四国地帯におきます養蚕に関する試験というものがこれで廃止になったというのではなしに、関西支場におきまして、養蚕なり、あるいは栽桑なり、いろいろな方面からの研究は、四国の問題も含めて検討、研究を進めていく、こういうような体制にして参る方がよりいいのではないかというような意味で、四国の試験地を廃止することにいたしておるのでございます。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の答弁に対します質問はあとに回しまして、もっと根本的に伺いたいのですけれども、御承知のように、一昨年に蚕糸試験場の根本的な機構改革をやられた。そのときにこの武豊、それと徳島にある支場、この二つもやはり問題になった。そのときの見解は、この武豊は東海四県のセンターとして充実をしていくのだ、残していくのだ、それから徳島にあるものは四国四県のセンターとして充実し整備して残していくのだ、こういう見解だったと思うのです。ところが、それからわずか六カ月たってこれを廃止する、こういうお考えになったのですが、一体ふらふらしておられるような印象を非常に受けるのですね。ですから、そうでないところの、従事している人たちが非常に不安になる。四国のセンターにする、あるいは東海四県のセンターにするということをこの間の機構改革のときにおっしゃった。それから六ヵ月たったらこれはやめるという。一体どういうふうに考えておられるのか。これはふらふらしているのじゃないかという印象を受けるわけなんですよ。どうなんでしょうかね。
  71. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) ただいまお話しの、三十二年に支場の廃止なり、あるいはまた機構の整備をしたのでございますが、その後さらに試験場の全体の体制をもう一度検討いたしまして、今後の蚕糸に関する試験のあり方というものを、広い見地から検討いたして参りました場合におきまして、たとえば絹繊維のような一番用途を拡張していくべきような研究を一方では維持していかなければならないというような要請が急激にふえて参ったというような関係などもございまして、さらに地方におきますところの各試験地なり、支場なりの体制が現状でいいかどうかということを再検討いたしました結果、先ほど申しましたような試験地を廃止いたしまして、本場なり、あるいはまた、近隣の支場なりにおいて集中的に新しい研究なり、最近の要請されておる新しい研究をやっていく方がより効果的ではないかというような見地に立ちまして、このような改革を考えたのでございます。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の質問を申し上げておりますのは、一昨年に実行されたわけですね。根本的な試験場関係の整備並びに機構改革をやられたその際に、四国の徳島にあるやつは四国のセンターにするのだ、さらに東海四県のセンターとして武豊は残していくのだ、こういうお説であったと思っております。それがわずか六カ月たって、去年ですね、去年からこれを廃止するのだ、こういうようなお考えになられるのは、蚕糸政策そのものに対して非常にあやふやな態度でおられるのじゃないかという点を伺っている、どういうふうなお考えを持っておられるのですか。こんなふうにせっかく機構改革を大きくやった、根本的な機構改革を戦後十年ぶりにやられた、その成果なりその結果というものを、実績というものを見ないで、さらにきのう言ったことをもうひっくり返してまた廃止されるというようなやり方では、実際研究に従事している公務員というのは、これはもう全く不安な状態に置かれる。さらに私は申し上げたいのですが、武豊の例を申し上げますと、私は昨年武豊に参りました、昨年の今ごろでありますが、参ったときには武豊は残るということになっておった。ところがこれは東海のセンターとして残すというにかかわらず、人間は引っこ抜いていって、補充しない、予算はどうも回ってこない。そこで手を上げて、仕事がないような状態に置かれている。こういうことなんですが、それは東海四県のセンターにするのだというその口の裏から、もう人間をとつ引いたままあと補充しない、予算はっかない、それで手を上げて、これは廃止するのじゃないかというので、みんな生きた気がしないというと語弊がありますが、非常に不安を感ずる、こういう実情だと思うのです。ですから機構改革のときのこれは四国並びに東海四県のセンターとして残すのだという考え方が、六ヵ月後において考えてみたらば誤りであった、こういうようにお考えになっておられるかどうか。  それからもう一つ先ほどおっしゃいましたことで申し上げたいのですが、四国に置く、それから東海四県に一つ一置くという場合に、私申し上げたよう一に、これは気候、風土、土壌それから農業経営その他の観点からその地域に置くのだと、こういうことで置かれた。ところが、今になって廃止をするとなりますと、そのおのおのの地方で研究しておった、一つの調査事項を取り上げて、これを終わった、武豊の旱魃の研究が終わった、あるいは四国における特殊土壌についての研究も終わった、こういうような理屈を立てられる、これでは実際その現地で仕事をしている者にとっては耐えられない問題じゃないかと思うのです。もっとはっきりした理屈を立てるなら立てていただかないと、これはもう非常な問題だと思うのですが、いかがですか。
  73. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 私どもただいまのお話にございました通り、この機構改革につきましていろいろふらふらしているのじゃないかというような御印象を与えたといたしますれば、非常に遺憾だと思うのでございますが、この今後の問題といたしましては、従来のいろいろの検討の結果出て参りました試験地なり、あるいは支場の構成でございますので、今後は当分この機構でもって進んでいくのが適当じゃないかというように考えておる次第でございます。先ほどのお話しのように、武豊を東海のセンターにするというお話、あるいはまた四国の試験地を四国のセンターにするというお話も、あるいはそういう話があったかとも存じますのでございますが、ともかく現在ありますところの武豊の周囲は、昔といいますと古い話になりますが、戦前には相当養蚕の盛んな地帯であったのでございまして、また、蚕種の製造業者も相当おった地帯であるのでございますけれども、戦後の経済事情あるいは農業事情等の変化によりまして、御存じかと思いますけれども、あの地帯は全然ほとんどといっていいほど養蚕をやっておらない地帯に相なってしまったというようなこと、あるいはまた、四国におきましても同様でございますが、四国におきましても統計でごらんになったらおわかりになりますように、戦前は相当盛んに養蚕が行なわれておったのでございますけれども、その後急速に関西の方面は養蚕がほかの作物にかわって参った、自然の勢いでかわって参ったというような状況に即応いたしまして、今後の養蚕の集中化して参るところの地帯をいかに育成して参るかということの方が、農家のためにも、また養蚕のあり方という観点からいたしましても好ましい姿じゃなかろうか、かように考えまして、それぞれの試験地と申しますか、出先の試験地を廃止いたしまして、より広い文場あるいはまた本場というようなところでその地帯に、あるいはその地域に即応したような研究を充実して参るということの方がいいのじゃなかろうかというようなことで、廃止なり改革なりをいたしたのでございますが、先ほど申しましたような、おおむねこの養蚕の状態というものは、何といいますか、集中なり固定化して参ったように考えられますので、機構改革というものもおおむねこの状態で当分いけるのではないかというように考えておるのでございまして、当の試験研究に携わっておる職員が、その職場についての不安をなからしめるように、今後念頭に置きながらやっていきたいと思っておる次第でございます。
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度この武豊と、それから四国の徳島にあるのと、鹿児島の山川、この三カ所が廃止になるわけですが、その中で今取り上げましたのは、武豊と徳島のやつでありますが、武豊は確かに、武豊の試験場の周辺に桑がなくなったということはわかりますが、徳島の試験場の周辺に桑がなくなったということは言えない、私は昨年参りまして存じておりますが、それでまた、自然の勢いで四国なり、あるいは東海四県の養蚕業が衰退になったんだと、そこでここから引き揚げるというような考え方を持っておられるように思うのです。さらにまた養蚕白書を見ましても、何か密度の高いところにというようなお考え、そうしますと東海四県の養蚕業というものは、これは顧みない、あるいは四国四県の養蚕業というものについてはすでにもう放棄するんだ、こういうような考え方を、こういうことではっきり示すのではないかというふうに思うわけです。そういう形で後退作戦をとることはいいことじゃないのではないか、戦争中から今日に至る蚕糸政策を見ましても、決しておっしゃるように自然の勢いで養蚕業が衰亡に導いたということは言えないと思う、政策そのものがはっきりしなければいかぬのではないか、その場合に、東海四県におけるところの武豊に置いているもの、四国に置いているもの、それを廃止するということが非常な大きい影響を与える、養蚕業に対しても、養蚕農家に対してもあるいは県の養蚕関係に対しても非常に暗いものを与えている、退却をしているという印象を与えるのではないですか、しかも、ここにおる定員というものは非常に少ないのです。滑川によっては非常に私はできるのじゃないかというように思うのですが、そこら辺の研究の目的並びに養蚕業関係、各県の養蚕業に与える影響という点等からいって、東海四県なり四国四県の養蚕業というものは見放された、こういう感じを与えておる点等から考えてどういうふうに思っておられますか、伺いたいと思います。
  75. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 国の試験場の役割と、それから御存じのように都府県にございますところの試験場との役割、それぞれおのずから役割が違うのじゃなかろうかと考えております。特に試験研究ということになりました場合におきまして、国で行なっておりますところの試験研究はどちらかといいますればできるだけ広い観点から総合的に全国の試験研究を総合的にやっていく、あるいはまた、さらに基百礎的なものをやっていくというようなところが国の試験の役割ではなかろうかといように考えております。従いまして現在なお各県には蚕業試験場というのが県にございます。これと国との試験研究がそれぞれ特徴をもって活動をいたしまして、両者相待って試験研究の成果を上げて参るというような運営をいたしておるわけでございます。そういう意味合いからいたしますれば、各県の共通の問題、あるいはまたその基礎になるような問題を国でやるということになりますれば、その国の試験地を廃止なりあるいは縮小いたしましたことが、即その県に対する養蚕業を後退するのだというようなことには直ちにならぬのじゃなかろうかというように考えておるわけでございまして、それぞれの県には試験地がございます。東海地帯におきましては、ご存じのように岐阜県とか、あるいはまた愛知県というような、蚕糸県といたしましても大きな県もございます。県の試験機構も担当整備されたものを持っておるわけでございます。そのほか行政組織といたしましても、それぞれの人員なりあるいは技術者を擁して普及事業、指導事業等を行なっておるのでございます。従いましてこの試験地の廃止ということが即その地帯の試験研究なりあるいはまた養蚕業をないがしろにするのである、無視するのである、あるいは軽視するのであるということではないと考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、私どもは今後試験関係につきましては、県の試験場とこの国の試験場との関係、あるいはまたその機能の役割の調整をとりながらお互いに足らざるところを補い、そしてその地帯の養蚕業なり、あるいはまた農業経営の中において占めるところの養蚕のあり方というようなものを真剣に検対して参りたいと考えておるのでございます。そういう意味におきまして、試験地の廃止ということが、即その地帯における養蚕を軽視しておるのだというようには、われわれは考えておらないのであります。また、そうあってはならないと考えておる次第でございます。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、糸政課長は試験地を廃止するということは、それほど大きな問題ではないようなふうに言われておりますけれども、しかし、四国にあるやつは四国支場といったのですよ、四国四県の支場だったのです。武豊にあるやつは、東海四県の支場だったのです。その二つの支場が試験地みたいになっちまったんです。さらに今回なくするのですよ。この二年間のうちになくなつちまう、支場といったものが。それは与える影響は大きいのですよ。さらに今おっしゃった、お話のように、もし今のようなお話だとれば、支場というものが関係する、県の試験場との完全な連絡の中で試験というのが行なわれていないような印象を受けたわけです。そういうことになりますと、これは大きな問題だと思うし、あるいは蚕糸試験場はそういうところなのかというふうにも思いますが、そうじゃないと思うのですが、少なくとも私が言っているように、四国支場、それを試験地に変えて、一年半ほど前に、そうして今度これをなくする、あるいは武豊にある東海四県の支場をなくして試験地にしてしまって、さらに今回これをなくするという二年間の動きです。私が申し上げるように県に対する、あるいは養蚕連に対する、あるいは農家に対する影響というものを否定なさろうとしても、これは無理じゃないですか。ですからこの試験地に対して農民たちがいろいろ陳情もやっておることは御承知通り。いかがですか。
  77. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 先ほどちょっと言葉が足らなかったようでございまして、誤解を招いたようでございますが、国の試験と県の試験とが関連がないようなふうにお聞き取りがあったといたしますれば、遺憾でございますけれども、従来から申すまでもなく県の試験とそれから国の試験とは、それぞれ密接な関連をもってやっておるわけでございます。それと第二番目にお話しのございました四国の支場を試験地にいたし、さらにまたこれを廃止するということは、四国の地帯における養蚕業なり、あるいは蚕糸業を非常に軽視し、あるいはまたそれが縮小するような結果に相なるのじゃなかろうかというような御心配でございますけれども、私どもは養蚕業の今後のあり方というものを十分考えて参らなければならないと考えております。従いまして、養蚕の問題をちょっと敷衍させていただきますれば、御存じのように、養蚕業というものが、戦後どうしてふるわなくなったかということについては、いろいろ原因があろうと思いますが、新しい繊維が非常に多くなって参った化学繊維等、いろいろなものが出て参ったというような関係、あるいはまた、外国におけるところのナイロンの靴下が圧倒的になったというような関係からいたしまして、養蚕業がこれに太刀打ちできなくなったというところに、最も大きな原因があろうかと思います。そういう中におきまして、養蚕なりあるいはまた製糸業すなわち生糸による商品、絹織物による商品と一いうものが立っていくところはどういうところにあるかということになりますと、できるだけそういう化学繊維、合成繊維等と対抗し得るような価格でなければならない。そういうことになりますというと、できるだけコストの安い合理化された企業なり、あるいはまた経営なりが行なわれなければ、他の繊維と対抗して存続を維持するということは困難になろうかと思います。そういうような意味からいたしますれば、最も合理化できるような主体というものは、どういうところにあるかということを考えますと、従来からのずっと戦後の傾向を見て参りますというと、前からの養蚕地帯でありますところの関東北部、あるいはまた中部の長野、山梨あるいはまた東北の秋田こういうような地帯におきましては、むしろ増加してきておる。ところが、関西の方面におきましては、急速に減退して参ってきておるということは、そこに新しい作付けが、とってかわり得る作付けあるいはかわり得るに値するだけの有利な作付が関西において可能であるという、また作付けとして可能であるという部面と同時に、経営の合理化なりが行なわれ得る余地が関東、東山等より多かったという結果ではなかろうかと思います。一つの桑の生育を見ましても、御存じかと思いますけれども、中部の山梨なり、あるいは長野、群馬という地帯におきますところの桑の生育状態、あるいはまた仕立て方法、こういうものと、関西におきますところの状態、立地的な条件もございますけれども、そういうものから比較いたしまして、やはり関西よりも関東周辺の方が、立地的にも経済的にも有利な状態にあったのじゃなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。そういう経済の自然の勢いにおきまして農家が何を選ぶべきか、何がより有利な作物として経営をしていくのが好ましいかということが、農家の選択において変わってきたのが実情ではなかろうかと考えておるわけであります。そういうようなことからいたしまして、四国とかあるいは中国地方、こういう地帯は、一部を除きまして斜陽的な現象を見ておることは統計の示す通りであります。そういうよう一な経済情勢を無視するわけにはいきませんのでございますけれども、しかしながら、養蚕でなければやっていけないという地帯、あるいはまたそういう農家も少なくないかと存じます。そういう農家が養蚕をやっていくにたえるような技術なりあるいはまた能力なりを与えるように指導して参るということが行政の任務かと、あるいはまた試験の任務かと存ずるのでございますが、そういうことをやります場合におきまして、四国の支場なり、あるいはまた試験地があるにこしたことはないのでございますけれども、もっと広い意味で関西全体を見た場合におきまして、全体を通ずるより重要な試験研究をやっていくところがあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えましたわけであります。試験地を廃止いたしまして京都に持ってくるわけでございますけれども、試験の対象、あるいは試験の圃場というようなものは、やはりそれぞれ四国といわず、中国といわず、そういうところに設けまして、それぞれの地帯におきますところの研究には遺憾のないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の答弁の中で二つほど伺いたいのですが、なるほど関西周辺の養蚕業というものが衰退に向かっていった。ナイロンがどうだとかいろんな問題がございましょう。しかし、これは確かにおっしゃるように自然の成り行きだとおっしゃるのですが、個々の養蚕農家にとっては、ほんとうに踏みにじられるような形で転換していかざるを得なかった。そういうことをはっきり御認識いたされないと、奨励するときは政府が、農林省が先頭に立って盛んに奨励をする。衰退に向かうときはさっさと引き上げてしまう。なおまた御承知通り、農家にかわって農林省の試験研究機関というのはできておるのです。農業は非常に小規模農業ですから、個人々々ではなかなか研究ができない、調査もできないというところから、国がかわって試験研究機関というものが農家のかわりにできておるわけです。従って自然の成り行きがどうだこうだということではなくて、もっと私は国として養蚕業について考えなくちゃならないのじゃないか。さっさと引き上げてしまう。しかも、この問の大きな機構改革で残ったと思ったら、すぐこれもやめてしまうというようなことでは、これはどうも納得がいかないのじゃなかろうかと思いますし、なおまた、東京の[野に持ってきても、さらにまた京都の綾部に持っていっても、やはり関連した研究をおやりになりたいということであれば、なぜ現地に置いておかれないのか。なくするということによって非常な不安感を与えるのですから、なぜ現地に置いておかれないのか、そういう点をお伺いいたします。
  79. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) お話しのように武豊の試験は、日野においてさらに充実するということでございますし、四国の試験地の試験も綾部において継続的にやっていく、こういうことでございます。その場合にそういう研究をやるならばなぜ本場に集中させるのか。現地に置いておいてもいいじゃないか、こういう御意見でございますが、私の方で考えておりますのは、従来の試験を本場においてやる方が、より限られた経費の中において有効に使って参る、経費の運用をいたして参ります上においては、より高率的では……。ないかという点、あるいは本場でやります場合におきましてはこれは当然のことでございますけれども、実際上はなかなか困難でありますが、各部関係との調整ということがより容易になるというような点で試験の、あるいは研究のやり方といたしましても有効にやられるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございますし、四国の問題も同様京都の支場でやる方がほかの研究との関連等から考えまして、より有効にやれるのではなかろうか、こういうように考えているのでございます。これは当然試験場の機構であるわけでありますから、従来からもそういうような調整をとって置くべきだということになるかもしれませんけれども、現実の問題といたしますれば、やはり同じ場所にあるということと、かなり距離が離れているということとは、おのずから調整というようなことにおきまして、密接な連絡に欠けるということは争えない現実だと思います。そういうような意味におきまして本場におきまして、いろいろ旱魃の試験をやっております。ほかのいろいろの条件下におきまするところの旱魃の試験、あるいは栽桑と養蚕との関係の調整というようなものをやっていく上においての研究、連絡というような点からいたしましても有効にやれるのではなかろうか、こういう考え方からいたしまして、本場なり、あるいは支場なりに統合しょう、こういうふうに考えた次第ございます。
  80. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはどこに支場があってもそれに所属する機関が密接な連携をとってやることは大切であります。それが近くにくれば密接になることはわかります。しかも、日野に持って来ても、あるいは綾部に持って来ても従来と同じような試験をやられるというのであっては、これは気候、風土、土壌、その他からいって現地に残して置いた方がいいのはあたりまえじゃないか、のみならず四国四県あるいは東海四県の養蚕農家に与える影響というものは非常に大きいのに、それが少しあぶなくなるとさっさと逃げる、こういう印象を与えることはいけません。やはり最後まで粘るくらいの力がなければならないのではないか、こう思うのです。しかし、この点についてはまたあらためて御質問申し上げることにいたしますが、この試験場の機構の問題については、一体これは支場長というのは場長に直属しておるのですか。こういう機構を廃止するあるいはやめるという場合には、場長と支場長との間の意思の疎通が十分なければならないと思いますが、今度の場合、一体支場長との間に相談をやられているのかどうか、ほとんど場長と部長の間で相談しておられるのではないかと思います。さらにこの案を作るのは、試験場にあるのか、あるいは蚕糸局にあるのか、あるいは農林省にあります技術会議にあるのか、こういう点について伺って置きたい。  それからもう一つは、四国のは研究室になっておりますが、これは室長もおりません。室長代理というのがおられるのですね。これは代理という名前があるのですか。室長には正式にそういうものがあるのですか。室長代理というものがあるのですか。室長に該当する者がおられるにかかわらず何か室長代理ということにしておられるために、非常にめんどうになってくるというのですね、仕事が。綾部まで行って綾部から帰ってくる、あらゆる書類を出す場合も向こうへ行って出す、こういう段取りですよ。そういう点について伺いたい。
  81. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 第一点の問題でございますが、試験場の機構改革等につきましては、まず試験場の内部で本場の機構におきまして検討をいたし、また、支場の意見なりを調整いたしまして、試験場としての計画なり考え方を統一いたすわけでございます。その案と申しますか、そういう計画によりまして、それ、それ私どもの蚕糸局なり、あるいは技術改良課等々と相談いたしまして、農林省の案といたしまして予算その他を要求をいたしておるわけでございます。そういう関係でございますので、今度の場合におきましても試験場の中ではもちろん、あるいは支場との関係におきましても十分調整をはかり、試験場の意見をとったわけでございます。  第三点の四国の試験場の試験地といいますか、研究室の室長が室長心得というふうになっておるではないかということでございますが、その通りでございまして、これは従来六等級の方がおられましたので、研究室長にはまだ若干早いのじゃなかろうかということで心得というような形をとったのでございますけれども、今度四月におきまして五等級に和なりましたので、これは研究室長にするように現在検討を進めておる状態でございます。
  82. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  83. 中野文門

    委員長中野文門君) それでは速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
  84. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席方々は、中曽根科学技術庁長官、原田科学技術庁官房長、久田科学技術庁計画局長の方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 科学技術庁の長官に対し宇宙空間科学についてまず二、三伺いたいと思います。科学技術の重要性は、近ごろ非常に強く要望されているわけですが、そこでまずお伺いしたいのは、科学技術庁の長官としての立場から、学術会議の御意向とか決定に対して、長日としてはこれは当然尊重され、るとは思いますが、そのようなお考えをまずもってお伺いしておきたいと思います。
  86. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 学術会議は、法律によって設置された総理府の諮問機関でありまして、学者が権威をもって構成している会議でございますから、その正当な権限の範囲内のいろいろな決議やら決定につきましては、十分尊重して参るつもりであります。
  87. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この学術会議が、この間御承知のように日本の宇宙空間科学についての面でどう進めたらいいか、こういう点についていろいろ研究が掘り下げられたようですが、その結論としては科学技術庁を中心として進められておる研究の方向に対して、聞くところによると引当強い批判があったかのごとく承っておるわけです。これに対して長官としてはどのようにこれをお受け取りになられたか、その点をお伺いしたい。
  88. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれは、あらゆる方面の御意見を謙虚に聞いて、われわれの政策に誤りがあれば、再検討していくにやぶさかでございません。ただ、この間の学術会議の議論は、あれは学術会議の議論ではなくして、学術会議の一委員会が研究討論会というものをやったのでありまして、いわゆる学術会議としての決定的な意見ではないのであります。言いかえれば、集会みたいので勝手なことを好きに言うという討論であった。従いまして発言者が説明しましたのは、それぞれ権威のある、資格のある方々説明いたしましたが、質問した方々の中には学生もおりますし、それから中には大学の職員、助手というような方々もおります。われわれに批判を加えられた中で学術会議委員としての資格のある人は、たしか核研の藤本陽一教授一人であります。その藤本さんの御意見も、ロケットに偏重しているではないかという御議論に対して、それはわれわれが聞いた範囲では学問の重要性によってそれは変わってくる、現に藤本さんのお考えの中には東大の原子核研究所は相当膨大な予算を取っているわけです。そうするとロケット偏重というと原子核偏重ということにも響くということもお考えの底にあったかもしれませんが、そういうわけで必要に応じてある程度重点化していくということはやむを得ないというような答弁をなされたそうでございます。そういう意味で、正規の資格のある人が正規の御発言としてわれわれのやっていることについて御批判したということは聞いておりません。大部分は学生さんとか職員の方の御発言であったように思います。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、私自体も科学者でもございませんし、ずぶのしろうとでございますが、いろいろ新聞とか雑誌等を見て、どうもこの点が私どもの立場からも憂慮されると、そういう角度から二、三の点についてお伺いしたいと思います。  今長官から御説明がありましたように、科学技術庁として今ロケットを中心にいろいろ研究はされておられるようです。それに対して防衛庁の誘導ミサイルの研究にこれが利用されるのじゃないか、こういうような意向もこの間の記事にあったようですが、これも主として私どもしろうととしても当然疑問が持たれるわけであります。この点を明確にしていただきたい。
  90. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ロケットに偏重しているという御議論がそのときあったのでありますが、誤解に基づく御議論でございまして、あのとき東大生産研におきます予算は一億六千万円であります。そのうちロケット部門は九千万円でありまして、残りはロケットでない一般の物理関係、宇宙線の関係、あるいは計器の関係、通信器の関係、そういうどころへ回るものであります。その辺がよく呑み込めておらなかったからそういう御議論が出たの、だろうと思います。  それから第二の、一般の学術関係経費というものは、文部省が科学研究費とかその他の費用を実は相当持っているわけです。科学研究費はまだ分配しておりません。予算がこの間通ったばかりでございますので、分配しておりませんので、ほかの方が目についたのだろうと思います。それが分配されればそういう御議論は解消されると思います。  それから軍事関係関係がありはしないかということでありますが、われわれはロケットというものは、将来非常に重要なものだと思っております。今日の羽田を見ましてもわかりますように、プロペラの日航機はほとんどソ連やアメリカのジェット機に駆逐されておりまして、日航も赤字になるというような情勢で、いかに科学技術というものが重要であるか、今やっているのはジェット機でございますけれども、もう次はロケットになることは必至であります。そういう面からいたしまして、次の時代のことを考えておきますと、これは軍事とか平和とかというものを離れまして日本の文明を推進していくためにも、ロケットのエンジンとか、あるいは燃料の問題を研究していくことは、非常に大事だとわれわれは思います。しかし、科学技術庁といたしましては、これは平和利用に限定いたしまして、防衛庁は防衛庁としてのお考えがありましょう。われわれといたしましては平和利用にかたく限定いたしまして、東大生産研を中心にやっているのであります。そこで、それが利用されはしないかという御議論、御懸念があるのでございますが、あるいは学会でそういう論文を発表すれば、その結果を防衛庁が利用するということはあり得るかもしれない。しかし、これはちょうど空気を軍人が吸っても、あるいは民間人が吸っても、やはり同じ空気なんで、使いようによってどうにでもなるというわけで、空気を吸っちゃいかぬということは言えないと思うのであります。そういうように、学術とかそういうようなものはなるたけ公開にして、そうしてすべてのものに利用できるようにするということが本旨だろうと思うのです。ただし、それをどういうふうに利用するかということは、政治家が国民の意思によってきめる、べきものであると思うのであります。われわれといたしましては、あくまでそういう考えをもちまして、平和利用を目途といたしまして、科学技術庁に関するものに限りましては厳重にこれを励行して参りたいと思っているのでございます。
  91. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉のように、長官がこの研究を平和目的だけに限る、これは衆議院の内閣委員会でもそういう意味のことをおっしゃっている、これはその点はよく了解できるわけなんです。ただ実際問題として、このロケットの開発とか、あるいはまた製造の面で同一の業者が、平和用並びに軍事用とそういうものを同一業者が作っているというようなことがもしありとすれ、ば、その境はなかなかむずかしいわけで、そういう点から、せっかく科学技術庁がいわゆるこの面でいろいろ予算要求したことが、ロケットのための予算要求が、いわゆる軍事開発の面に利用されはしないか、そういう意見がそういうところから出てくるのではなかろうか、そういうふうに考えられるのですが、この点はいかがですか。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術庁が開発しておりますのは大体六十キロとか百キロ、あるいは将来は三百キロくらいのカッパー・ロケットを中心にやっているわけであります。しかし、防衛庁がやっておりますのは、もっと短い空対空とか地対空とか、こういう程度のたとえばエリコン、あるいはサイドワインダー、そういうような性格のものでありまして、性格がちょっと違うわけです。科学技術庁のはエンジンも、燃料も非常に大きい、最近はこんなに太い、直径十八メーターくらいのものを上げているのでありまして、性格が違いますので、それが直接結びつくということは、ちょっと考えられないと思います。しかし、それが応用されるということは絶無とは蓄えないと思います。しかし、それはもうやむを得ないことであろうと私は思います。
  93. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 原子力の場合は、その研究が法律で禁止されているということで、これはもう問題はなかろうと思うのです、現在のところ。ところが、この問題についてはいろいろ今申し上げたように、誤解されるような機会が相当あると思うのですね、誤解される面が相当考えられる。そこで、これは明確に何とか区別する必要があるのではなかろうか、その軍事用と平和用との分離の点が非常に必要ではなかろうかと考えられるわけです。またその研究についても、これはおそらく全研究を公開するであろうと思うのですが、この点も間違いなく全面的に公開されるのであろうかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  94. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術庁が大体開発しておりますのは、民主的な秘密のないということを目途にしておりまして、これがたとえば商業上のパテントとか工業所有権からくる秘密を要する部面は、これはやむを得ませんけれども、そうでないものに関しましては、できるだけ公開するような原則でやって参ります。
  95. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、これは率直にお聞きしたいと思うの百ですが、合’ソ連とかアメリカが次々と人工衛星を打ち上げ、また打ち上げるための準備をしている。科学技術庁長官のあなたの頭の中にも、日本も一刻も早く一つ人工衛星を打ち上げたいと、そういうひらめきがあなたの頭の中にあるのではなかろうか、そういう点を一つ率直にお聞かせ願いたい。
  96. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近は、宇宙関係の学術を進めるためには、ロケットを開発しなければほとんど立ち行かないという情勢に実はなっておるのであります。日本がたとえば南極に参りましたのも、あれは日本の地磁気の研究とか宇宙線の研究とかあるいは電離層とか、そういう学問が非常に進んでおりまして、学問の実績によって一たんは平和条約で追い出された南極へ日本も行けということになったのでありまして、また、松平康東君が国連の大気圏外平和利用準備委員会委員長になったのも、そういう学問の実績によって実はなれたのであります。従いし止してそういう学問の実績を作っておくということは、今後国際社会に伸びていく上にも非常に重要なことに、最近はなっておるのであります。しかし、最近南極なんかの実態を実は見ておりますと、南極へ宇宙線の観測とか地磁気とか、そういうような研究に実は行ったのでありますが、もはや南極に行かなくとも、ロケットを一発上げた方がはるかに早くよくわかるのであります。南極に行っているというのは、どういう意味があるかというと、南極自体を研究する、従って大気圏外の研究というよりも南極自体の地理的、風土的あるいは岩石の荷造とか、そういうものが中心になっておるのであります。初め南極へ行った目的とだいぶ変わってきています。そういう観心からいたしまして、日本が学問の伝統を継いで高水準の地位にあろうと思いましたら、やはり最新のものであるロケットを使いまして、いろいろなデータをとって研究することがいいと思うので、あります。そのロケットが最高度に進んだのが人工衛星ということであると思います。しかし、人工衛星を上げるということになりますと、かなり金がかかりますから、私はまだ日本が上げると決心する段階ではないと思っております。ロケットに関しまし、は、そう金がかかりませんし、開発もかなり順調に進んでおりますから、私はどんどん進めていった方がいいと思っております。いずれしかし、日本の技術がどんどん伸びていって、財政的にも可能になれば、人工衛星の球体を作るのには、そんなに金がかからないのです。あれは大体電子関係の機器か中心でありまして、日本のようにエレクトロニクスが発達して、ああいう小型ラジオとかテレビなんかの相当発煙している国として、非常に得意なもりになっている。しかも、ハンド・ワークで、手でやる作業が非常に多いのでありまして、そういう意味から日本でも非常に向いておるのであります。いずれは日本が人百工衛星の、日本の学術が要求するような機器を作ってァメリカあたりに頼んで上げてもらって、そして日本は日本の学術に利用する、そういうところへいったらいいと思っております。アメリカでも現にコスパールに、世界の学界にそういう要望があれば打ち上げてやるというようは申し入れをしています。現にイギリス、フランスはそれに応じて自分の人工衛星を作っておる最中でありまして、日本もそういう道を行って、自分の人工衛星をアメリカに上げてもらう、そういう道を行くのが一番いい道だろうと思っております。
  97. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その宇宙の研究については、言うまでもなく、いうなれば広範な各面の技術研究者の協力が必要であろうと思う。ところで、新聞などで報ずるところによると、どうも今のままではロケットの研究技術者以外の面からは、そっぽを向かれるのではなかろうか、こういうようなことが懸念されると、そういう意味のことが報じられているわけであります。もしそうだとすれば、その通りだと思うのですが、この点は実情どうなっておりますか。
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 新聞はシンポジウムの学生さんや何かの議論を上ちょっと大きく報道し過ぎたように私は思うのであります。現に私たちが作っております宇宙科学技術準備委員会におきましては、天文台の宮地博士とか、あるいはその他の物理関係の先生方もお見えになっておりまして、大体五つの部門に分けて、第一は宇宙空間物理、これは天文とか天体とか、そういうもの。第二が宇宙空間通信、第一三番目が宇宿空間計測、四番目が宇宙空間飛翔体、いわゆるロケットとか何か入ります。最後がその他の部門で、医学とか、心理学とか、そういう五つの部門を分けて、おのおの開発を目ざしておるのでありまして、ほかの学者がそっぽを向くというような事実はないと思っております。
  99. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その宇宙研究について、アメリカとの協力が考えられておるようですが、これはどういう目的で、またどういうものをテーマとして協力しようとするのか、この点を明らかにしていただきたい。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれはいかなる国とも、われわれの要望を達している国とは、学術的なあるいは技術的な協力関係を推進して参りたいと思っております。今、世界の機構といたしましては、コスパールというのがございまして、これは学術関係の宇宙関係の人の集まりであります。しかしコスパールには技術が入っていない。そこでロケットとか、通信とか、その他の技術の部面に関しては、各国が大体自分の話しに合う国と協力してやっております。たとえばソ連と中共が非賞に緊密にやっておる。イギリスとアメリカが緊密にやっておる。アメリカとカナダが緊密にやっておる。こういうわけで、技術の部面はニカ国、あるいは数カ国の協力関係ということによって開発しているわけであります。日本の状況を見渡してみますると、今までたとえば太平洋上空における高層気象の研究とか、そういう面では、日本もアメリカも太平洋横断のジェット機をこれから飛ばす関係で、そういう共同研究もやっております。いろいろな連携関係を見まして、アメリカの技術と提携するということは、比較的うまく早くいく。そういう考えをもちまして、とりあえずアメリカというものを対象にしまして、できたら技術のみならず、ほかの、アメリカが気象衛星を上げましたり、いろいろな衛星を上げて、非常に学問的なデータを握っておる。これもできるだけ早く日本に知らしてもらって、学者の研究の材料にさしてもらう。そういう学術的な面、技術的な面、あるいは情報の交換、あるいは訓練、あるいは打ち上げ所の視察等々の問題につきまして、両国であたう限り交流関係を設定しよう、こういう考えをもちまして下話しをいたしました。大体彼我の水準がどの程度にあるかという見当がお互いっきましたものですから、でき得べくんばその関係をある程度外交ルートを通じた正規の関係にいたしたいと思っております。
  101. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に方向を変えまして、科学技術の振興ということに関連して二、三お伺いしたいと思いますが、これは言うまでもなく科学技術の振興の重要性が、今日ほど強調されておることは、いまだかつてなかったと思うのです。さてその技術振興費について他国と比較してみますと、まあアメリカとか、ソ連、これは今のところ特別な扱いをしなければならぬと思います。そういう二国を除いた他の先進国のそれと比較してみても、はなはだもって貧弱きわまるものであります。この点はまことに遺憾なわけですが、長官としてこれは年々漸進的にということをお考えでございましょうけれども、具体的にどういうふうにお考えですか。
  102. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術に関する費用が国政の全般の費用の振り当ての中で、割合に外国に比べて少ないのはまことに遺憾でありまして、われわれはさらに努力を傾注しなければならぬと思っております。まあ最近はしかし政府の方も非常にカを入れまして、今までの率からしますと、かなりよくめんどうを見てもらうようになりました。しかし、この程度では、アメリカや、ソ連からますます格差は増大するばかりでありまして、もう一馬力入れなけれ、はならぬと思います。そこで、ただいま政府の十カ年経済計画に対応して、科学技術の十カ年計画を今作っております。一番の根本は、やはりわれわれの方で研究してみますと、学術、文部省関係のところへ、ぶつかるようです。そこで一つは人員の養成、それからもう一つは教官、研究室その他研究所の研究費の増大、それから施設の整備というようなことが、当面の重大な問題になって参ります。そういうところに力を入れまして、今科学技術の十カ年計画を作っておるわけであります。これができましたら、これを基礎にいたしまして長期計画を安定させて、その上に予算編成が毎年行なわれるようにいたして参りたいと思っております
  103. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特に日本のように、資源に恵まれない日本の経済を拡大強化して民生の安定をはかる、こういう点からいうと、今考えられるのは、科学技術の振興をおいて他に考えられないと思うんです。事ほどさように私どもは科学技術の振興を強く期待しておるわけです。この点長官としてはどうお考えでしょうか。
  104. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはまことに同感でございまして、日本のような人口が多くて資源の少ない国は、無から有を生む以外にないので、無から有を生むのは何かといえば、働くことと発明すること以外にはないのです。そういう意味で労働政策と科学技術政策というものは、国政の大黒柱にならなければならぬと私は思っております。そういう観点から、科学技術というようなものを政治の中枢に入れて、もう少し政府も、あるいは一般国民も関心を持って推進していただくように、今後とも努力をいたしたいと思っております。
  105. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今は人工衛星とか、あるいはまたICBMとか、あるいはオートメーション、こういう時代の中で、ほんとうに日本を防衛するものは、私としては防衛庁のいわゆる自衛隊を強化することでなくして、今御指摘になったような科学技術の振興をはかることこそが、日本のほんとうの意味の防衛をはかる基本である、こういうふうに私は考えるわけです。長官としてはこの点どのようにお考えですか。
  106. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私もそのように考えます。同感であります。
  107. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、科学技術の振興ということになりますと、まず今御指摘になっておりますような予算の大幅獲得ということと、科学技術者のいわゆる処遇を改善して社会的の地位を引き上げる、いろいろ他にもございましょうけれども、予算を獲得することと科学技術者そのものの処遇改善ということがまず急がれなければならない、そういうふうに考えるんですが、この点いかがです。
  108. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まさに同感であります。
  109. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこでこれも昨年の、ちょっと古いことですが、昨年十月の二十二日に日本学術会議の第二十九回総会が持たれたと思うんですが、そこで科学者の生活白書が発表されたわけですね、私もこれをよく拝見したわけですけれども、うなずく点が相当あったわけです。そこで、日本の科学者は一体にいってひどい待遇を受けておるということと、そしてまた、研究施設がなかなかない、研究費にも恵まれない、こういう悪条件下にあろうと思うんです、現在は、率直に言って。こういう点ではなかなか科学技術の振興をはかるということは、期待できないと思うんですけれども、この点について長官はどのようにお考えでありますか。
  110. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たとえば東大の学長を見ますと、戦前におきましては大審院長と同じ給与を受けておったんです。ところが今日におきましては地方裁判所の中堅判事クラスの給与しか受けておりません。以下ずっとこのランクが下がっております。大学教授の給料は四万五六千円からせいぜい六万円ぐらいの状況でありまして、これをその同じ条件で大学を出て会社に入った人の給料から見ますと三分の一とか三分の一ぐらいに当たる状況になっております。これでいい人材を獲保することは非常にむつかしいと思いますので、大学教授その他研究者の待遇改善には大いにカを入れて努力してみたいと思います。
  111. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今御指摘になった点もそうです。初任給を見ても、最近大企業のそれなどに比較すべくもなく、非常に低いわけですね。従って大学卒の優秀な卒業生がもうちゅうちょすることなく、民間の大企業へと走っておる、そういう動向が言えると思うんです。これはいわゆる科学技術の振興をはかって経済の拡大強化をはかる、こういう一大目標からいっても、まことに残念なことだと思うわけです。もちろん、学校方面については文部省の所管になりますけれども、科学技術の振興を分担しておる科学技術庁としても重大関心があろうと思うのです。そういう意味でお伺いしたわけなんですが、これは文部省とも関係ありますし、また、人事院等にも特に関係が出てくるわけですが、外国に比較しなくても、日本のうちでも民間給与のそれに比較して、特に大企業体などのそれと比較しては比較にならないのですね。それで優秀な人がみなそちらに走ってしまうということでは、なかなかりっぱな計画を立てられても、優秀な人材を集めなければ、研究は期待できないと思うのです。この点について具体的に何かお考えでございましょうか。
  112. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大学の教官や、研究者の待遇を改善するためには、政府予算が必要であります。政府予算を出させるためには、人事院勧告が大体必要な状況のもとにあります。そこで、私は科学技術会議の運営委員会を開きまして、そこで人事院勧告を出してもらうという話をきめてもらいまして、私は淺井人事院総裁にも会いまして、できるだけ早期に、大学教授及び公務員の技術者の待遇を改善する人事院勧告を夏くらいには出してくれ、そういうことを申し入れいたしました。この線に沿って努力したいと思っております。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど来から申し上げておりますように、給与は低い、研究施設は悪い、設備もない、中には研究費も自費でやっておると、こういう情勢の中で、こういう悪条件につけ込んで、また科学者を安く使おうとする面があるわけです。たとえば各大学などの兼務講師、あるいは各官庁の兼務嘱託とか、また何々委員会の、そういう制度でも安い給与で科学者を使っている。こういうような点はこのままではなかなかもって科学者の優遇はできないと思うのですが、まずもって科学技術庁から一つ実際にこの科学者を優遇してほしいと思うのです。科学技術庁にもやはりこういう学者陣がいろいろな形でおられるのじゃないかと思うのですが、まず足元から一つその点を改善していただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
  114. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 同感でありまして、それにはやはり人事院勧告を必要といたしますので、この点につきましては浅井総裁に申し入れておりまして、科学技術庁といわず、要するに政府関係の研究者の待遇改善ということで申し入れております。
  115. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただ、待遇改善といっても、今お話しのような、給与については、他の公務員との関係がございますから、他の公務員を引き離して大幅引き上げるということは、今すぐはできないと思うのですね、他とのつり合いがありますから。ただ、この科学者についていろいろ研究室を、しかも設備を備えて研究室をあてがうとか、あるいはまた研究費自体を一つ何らかの形で補助するとか、こういう面ではできると思うのですが、給与の面は、これは御指摘のように、人事院勧告で出発するわけですし、また他とのつり合いがございますから、他公務員とのつり合い上、科学研究者だけを特に引き上げるというようなことは今すぐできないと思います。今回そういうものの一端が通って、昨年の人事院勧告でも研究職、医療職の中だるみ是正が、今度の人事院勧告の中には、ほんの雀の涙ほど出ているわけです。こういう点について具体的にお考えがあったら、お聞かせいただきたい。
  116. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 科学技術庁関係の研究所は新しい研究所が多うございますので、おかげさまで金属材料研究所にしましても、放射線医学総合研究所にいたしましても、航空技術研究所にいたしましても、ある程度予算を確保してやっております。しかし、一番根本的な問題は、いい技術者が入ってこないということなんであります。やはり人間が一番大事なんであります。今回の募集なんかを見ましても、旧帝大系統の理科系を出た人は入ってこない、地方の国立大学の理科系統の人が入ってくるという程度にとどまっているのであります。こうなりますと、非常に重要な役目を果たしておりまする政府関係の研究所に大きな断層ができるわけであります。これを非常におそれまして、それにはやはり待遇の問題があるわけであります。それで、ほかの公務員との振り合いもございますので、研究職手当というような形でこれを出してもらいたいと思いまして申し入れいたしているのでございます。
  117. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 科学技術の振興をはかるためには、先ほど来御指摘になっておりますように、基本的には科学技術者の質と数と両方備わらんと、なかなか期待できないと思います。よい質の人が大ぜい出ない。そこがなかなかもって現在数の点から不足をつけているのじゃなかろうか、私どもはそういうふうに考えるのですが、実情はどうなんですか、すなわち初任給が低いために、優秀な者はみな民間の大企業に走ってしまうということだけでなくて、数の点においても非常に憂慮されるのじゃないかと考えますが、その点はどうですか。
  118. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 数もだいぶ不足いたしております。特に電気とか化学とかあるいは原子力関係とか、そういう部面では、求人者とそれから卒業生との関係が十五対一とか二十対一とかというようなところもございます。そういう点も至急補充しなければなりませんので、三年前から政府は三カ年八千人増員という計画を作りまして、今年は最終年度で大体その数を満たしているわけでありますが、それでもまだ足りないので、来年度以降はさらにもっと大きな計画を作って充実していかなければならないと考えております。
  119. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この数の点でも大へん足りないようでありますが、そこで数の補充をするという点から、手っ取り早い一つの方法としては、いわゆる今、国立、公立、私立まで入れた各大学の大学院の学生について検討する必要があるのじゃなかろうかと思い、こういう点でいろいろ実情を調べてみましたが、現在大学院の学生で研究室はおろか、テーブル一つあてがってもらえない、設備がまあまあと考えられるのはほんの一部しかない。しかも生活費とさらにまた研究費に追われて、大体国公私立の大学生を平均して九七%ぐらいは、アルバイトをやらざるを得ないというような実情のようでありますけれども、これはこのままではまことに惜しいと思います。せっかく科学のうんちくをきわめるために大学院まで行って、アルバイトをして研究時間もそがれるでありましょうし、もっと生活、さらには研究費にとらわれることなく、思う存分科学に精進できるような方途を講ずるのが、まずもって急務と考えられるわけです。そういう点はいかがですか。
  120. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大学院の充実強化ということは、お説の通り当面の緊急な課題でありまして、政府といたしましても、大学院の学生に対する奨学金を上げるとか、あるいは大学院で講堂を持つ教授の待遇を改善するとか、いささか改善はいたしておりますが、もっとさらに力を要する部面が多々あると思います。大学院の強化ということは、当面の重要問題でありますので、今後とも努力したいと考えております。
  121. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、長官も幸いそういうようなお考えのようでありますが、これを具体的に推進するためには、やはり大学院の学生が安心して研究に没頭できるというためには、おおよそのところ、月額で一万から一万五千円ぐらい必要じゃなかろうかと思いますが、こういう点を今直ちにここでということでなくて、十分文部省とも緊密な連絡をとられ、さらに人事院も関係あろうと思いますが、こういう関係官庁で早急に実現して、いわゆる科学技術の振興については九千万国民はみな期待しておると思うのです。そういう大事なことでございますから、十分緊急にこの問題を具体的に解決することを強くお願いしたいと思うのですけれども、こういうことについての決意のほどを伺っておきたいと思います。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大学院の学生につきましては、今度の予算の編成によりまして、たしか八千円か一万円くらい奨学金の額が上げられたはずでございます。しかし、それだけでもまだ不十分でございますので、御主張の線に沿って努力を進める決心でございます。
  123. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 最近、これは新聞で承知したのですが、政府とか民間、あるいは学者が相寄って日本学術会議振興財団、こういうものを設置されたように報道されておりますが、内容について私ども知る由もないのですが、これはどのような要領で運営されるのか、こういう点についてごく要領だけをわかるように御説明いただきたいと思います。なお続けたいのですが、き上うは時間の関係もございまして、これを最後にしてきょうのところ質問を打ち切りたいと思います。
  124. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本科学技術振興財団は民間の科学技術のPR、あるいは産業と学術との共同、連絡並びに実施等の機関を目的にして設立されました。元来、こういう仕事は科学技術庁に宣伝局と申しますか、情報宣伝局ぐらい作って、大いに国費でPRすべきものであるのでありますが、しかし、役人がやったのでは能率も悪いし、民間とのなじみも薄くなるという関係から、財界並びに学界の有力者にいろいろお願いをしましたら、きん然として設立して下さいました。政府は七千万円の補助金を拠出いたしまして、財団といたしましては倉田日立製作所の社長が会長になりまして、二十三億円ばかりの寄付金を集める予定です。そのうち当面現金で集めるものが十二億五千万円、その費用を集めまして、一面においては学者及び技術者等で適当な者に対する補助金を差し上げるとか、あるいは大学と産業界との連携中枢機関にするとか、あるいはいろいろ発明協会その他の各種団体がございますが、それらのヘッド・クォーターになりまして、これを後・援するあるいは総合調整する。こういうことと同時に、科学技術の推進の博物館を作りまして、そうして地方から中学生や高等学生が東京見物に来たら、必ずその博物館を見て帰るようにという、こういう構想のもとに、博物館建設ということも当面の大きな仕事の一つの内容に載せております。
  125. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、科学技術庁の長官に一つ二、三基本的な問題でお尋ねしたいと思うのです。昭和三十一年に科学技術庁が設置されて、わが国の科学技術開発に政府が力を入れ出一したことは、これはわれわれも喜んでおります。しかし、その後の実情を見ますると、非常に新聞紙上で報道されたにもかかわらず、その内容なりまた今日までの運用状態を見ていると、われわれとしてはきわめて失望しているのです。そこで、まず第一に聞きたいのですが、この三年有半の間に、科学技術庁において成果だと言われるものはどういうものがあるかということを、一つ長官から御説明願いたいと思います。
  126. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 「ローマは一日にしてならず」と言いますか、やはり科学技術の成果も、最近のような大規模なことを総合的に長時間かけてやるという仕込みの時間の長い時代になりますと、すぐ成果が上がらないのは、非常に遺憾でございますが、しかし、成果の上がらないのをあせったり何かしたらいかぬと思うのであります。科学技術こそ、これは国家百年の計でありますから、じっくり腰を落ちつけて、着々と計画のコースを歩んでさえいれば私はいいと思っております。で、具体的な成果につきましては、まあ原子力委員会と同時に原子力局というものが科学技術庁に作られまして、これが原子力研究所の充実、あるいは大学における原子力研究、民間会社における原子力研究というものにつきまして相当力を入れまして、そうしてアメリカ、イギリス、カナダ等とは原子力に関する協力の協定も作りましたし、あいはコールダーホールの動力炉をイギリスから輸入するということも決定いたしましたし、原研内部におきましては、いろいろな構想でいろいろな企画が進められておりまして、たとえば平均質炉というアイデアは、原研が世界に誇る独創的なアイデアでありまして、各国も非常に注目しているアイデアですが、もし成功するというと、増殖炉等の関係で発電コストが相当安くなるという見通しがありまして、この平均質炉の臨界実験装置を作って実験できるところまで実はぎております。  あるいはさらに放射線医学総合研究所というものを作りまして、原子炉と放射線関係の疾病、あるいは空気その他の汚染等につきましても、本格的な調査並びに対策を講ずるようになっております。  あるいはさらに、今度は名古屋の通産省の工業試験所をアイソトープ関係のセンターにする努力をしておりまして、これが高分子関係を中心にして、しかも民間の研究者もそこへ研究室を作れるように開放研究室にいたしまして、日本がこれから開拓すべき一つの大きな要素として放射線科学という面を今開拓しつつある最中でございます。  それから金属材料等の問題が、日本の工業の一つのネックになっておりますので、金属材料技術研究所を作りまして、これが八幡製鉄やその他各工場から試験研究を依頼され、あるいはこちらからも連絡いたしまして、かなり成果を上げております。  それから理化学研究所というものが衰微しておったのでありますが、これを昔の大理研としてドイツのマックス・プランク・インステテウトみたいな総合研究所に育て上げるべく努力をいたしまして、法律改正等もやりまして、いよいよ実現をして、ことしは十万坪程度の所へ移転をして大理研建設への基礎を固めるというところまで参りました。  そのほか科学技術情報センターというものを作りまして、科学技術の推進になる情報の収集ということが非常に大事なんです。そこで海外情報を一手に引き受けて、これを一冊の本に各分野にわたって毎月作り上げて、それを関係会社やあるいは研究所に買ってもらって、一カ所で相当な金を入れて情報を集めるという科学技術情報センターもできたわけであります。  それから航空技術研究所も、いよいよ遷音速風洞がいよいよ完成するというところまで参りまして、これが来たるべきジェット機あるいはそのほかの航空機あるいはロケット機等の試験研究に大いに役立つようになると思っております。  そのほか技術士という制度を作りまして、コンサルタント・エンジニアと申しますか、外国にあるような技術というものを非常に評価して尊重していくというこれによって日本の技術を促進するということも実施いたしました。  さらにまた、資源調査会におきまして諸般の諮問に答えて答申をいたしておりまして、それがいろいろな面で今活用されつつあるわけであります。たとえば国鉄の電化というようなことは、カロリー計算からして石炭よりも電気の方が安いという勧告をしたので、電化はほとんど行き渡っているということから、あるいは今回の台風に際しましては、資源調査会が綿密な調査を伊勢湾一帯にやりまして、この調査したことがもとになって、次の建築の構造なり、設計なり、各省間の連絡調整ということが行なわれるようになりつつあるということで成果を上げていると思います。まあ二、三考えっいたことを申し上げるとそのようなことでございます。
  127. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ただいま長官は、なかなかいろいろと内容豊富な説明があったんですが、これは一つそういう今まで取り上げて現在まで成果は上がったそういう記録があると思いますが、一つぜひこちらに配っていただき一たいと思います。筆記するいとまもないほどたくさん言われたから、なかなかずいぶんな成果があったようでございますが。  そこで、実はこの資料をきょういただいたんですが、宇宙科学技術振興予算として、各省関係で二億三千五百万円ということでございますが、まあいろいろ言われましたが、これだけの予算でそれだけの成果が上がったと言われるならば、非常にまあ努力されたと思いますが、実際問題で、科学技術庁の人的構成とか、あるいは、その専門技術家なり科学者が、どういう配置をしているか。この点、一つ御説明願いたいと思う。
  128. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま一の二億三千五百万円の予算は、今年度の予算で、これから実施いたします宇宙開発関係経費の総合でございます。それで、科学技術庁の科学技術政策を推進する仕組みは、科学技術庁に局がございまして、原子力局、振興局、それから資源局、計画局とございまして、それがいろいろ所掌事務を分担しております。その付置機関として、金属材料技術研究所、それから航空技術研究所、それから放射線医学総合研究所というのが面接の付置機関になっております。それから、監督する機関として、原子力研究所、原子燃料公社、それから理化学研究所等がございます。そういうふうな直接の監督する機関のほかに、科学技術庁は各省の科学技術関係予算を調整する権限を持っております。従いまして、農林でも、大蔵でも、通産でも、研究所の予算というものは、一応科学技術庁で全部目を通しまして、そして重複がないように、また重点的な配置がとられるように、予算の見積もりを調整しまして、その結果を大蔵省が採択するという関係になっております。それから原子力予算につきましては、科学技術庁の原子力局で一括計上して、それを各省に配分する、こういうことになりまして、原子力については大蔵省的な仕事すら、ある程度、しているわけでございます。こういうような機構によって、各省、政府全体の科学技術の振興にも努力しております。しかし、それだけではまだ不十分でありますので、科学技術会議というものをこの前作っていただきまして、それによって、総理大臣を議長にして、大蔵大臣、文部大臣、経済企画庁長官、それに科学技術庁長官、それから日本学術会議の会長と、三人の専任委員がさらに入りまして、これが総理の諮問に答えて総合的な計画を作りまして、ここで文部省と科学技術庁の関係、そのほかすべての関係を調整いたしまして、国策として統一して推進することにしておるのでございます。
  129. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、総体のその人員の配置、要するに専門家の人員の配置がどうなっておるか。この点一つ。
  130. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 官房長から御説明いたさせます。
  131. 原田久

    政府委員(原田久君) 現在、三十五「年度におきまする定員を申し上げます「が、総数千六十一名でございます。一で、その関係の内訳が専門別にどうなっておるかということになりますと、ただいまこまかい資料を持ち合わせておりませんが、研究所関係が七百十二名でございます。千六十一名のうち、七百十二名でございます。で、七百十二名の内訳は、ほとんど大部分が研究関係の人でございます。で、分野といたしましては、航空、金属、放射線医学というような研究所でございますので、物理、化学、金属、それから医学、そういったような各般にわたっております。大体以上でございます。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、次にちょっとお伺いいたしますが、先ほど伊藤委員からも若干触れられたようでございますが、この提案理由説明の中の、第一ページのあとの方ですが、「わが国と特定国との協力について急速に話し合いが進んでおり、近く協力が具体化する見込みであります。」と、こうなっておるんですが、これはおそらくアメリカのことだと思いますが、そうでございますか。
  133. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その通りでございます。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、具体化しておるというんですが、内容はどういう点で、先ほどちょっと触れられたと思いますが、きわめて簡潔に、一つ具体化しておる内容はどういうものであるか。
  135. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般糸川教授以下に行ってもらいまして、向こうともいろいろ話し合いまして、その結果、大体われわれが目ざしておる分野というものは、先ほど申し上げました宇宙、空間、物理学以下五つの分野がカバーすべき分野であります。それから、それを実行する方法として、技術者の交流とか、あるいは研究所の視察、立ち入りとか、あるいは共同研究会議の開催とか、あるいは、たとえばロケットならロケットというものを中心にした研究会とかあるいは。ハラボラ・アンテナという、三十メートル直径の、おわんのようなアンテナを日本も作りまして、これは月を中心にして、アメリカとも通信ができる。これができると、世界宇宙通信ができたときに、日本はアジア・センターになって参ると思いますが、それを目ざしているわけでございますけれども、そういうものの建設に関するアメリカとの協力とか、そういうようなことが大体内容になるだろうと思います。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、将来協力をやっていく場合に、具体的な何か委員会とか、協力会議とか、そういうものをお持ちになるような考えがあるのですか。
  137. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはまだ向こうともそういうこまかい、深いところは話し合っておりませんので、向こうの出方にもよりますが、専門家のそういう打ち合わせ会と申しますか、研究会というものは、やはり必要になるのではないかと思います。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、先ほどの、日本の今現在やっておるロケットの説明が若干ございましたが、現在日本のロケットを試験されておるが、実際やっておるロケットの速力は、何マッハぐらいのものができておるか、この点一つ。速力です。
  139. 久田太郎

    政府委員(久田太郎君) マッハで申し上げますと、二ないし三ぐらいかと存じます。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在、主として秋田県でやられておるということを新聞で聞いておるのですが、年間、どの程度試験的に発射されておるか、その点おわかりになったら一つ。
  141. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは東大の生産技術研究所がやっておるのでございまして、主管は文部省の方でありますが、われわれの方も総合的に協力しているわけであります。で、大体カッパーというものを開発して打ち上げておりますが、大体十個程度のロケットを打ち上げております。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、もう二、三、お聞きしておきたいのですが、実は先ほど長官からるるとわが国の科学開発振興についての抱負を述べられたと思うのですが、現在日本の科学がおくれておることは、これはもうすでに国民も知っておるのですが、現在大学とか、専門家の養成ということに重点を置かれておるということも、これもやむを得ないと思うのですが、しかし、諸外国の、もう科学の発達した経緯を見てみますと、これは文部省関係になるかしれませんが、幼少のときから科学知識、科学思想というものを涵養しなきゃいけない。私最近、戦後でございますが、新聞で、日曜版で、非常に幼少のころに読みやすいような、科学思想を涵養するような記事が毎日曜載っておりますけれども、こういうところから、いわゆる幼少のころは国民全般にこの科学思想というものを涵養しなければ、成長してから一部の人に専門的に教えても、これは国全体の科学の振興開発にはならんと思うのですが、この点について科学技術庁として、文部省に対してそういうサゼスチョンと申しますか、勧奨をする権限が現在あるのがどうか、この点一つお聞きしたい。
  143. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 文部省の、大学にわたらざる経典は、われわれの方でも調整することができますので、話し合いである程度そういうことについて協力関係はできると思います。幼少のころから科学技術関係の知識と親しみを持たせるということは、非常に重要であると思います。しかし、具体的にどういうふうにやるかとなりますと、これは一つは、小学校や、中学校のころから読んでいるいろいろな本がございます、小学何年生とか。そういうものになるたけ科学的な知識を入れたものをどんどん出してもらう、あるいはテレビの番組で夕方子供が見る時分にそういうものをどんどん出してもらう。そういうふうなところからもう少し力を入れて参りたいと思います。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は先年も中国へ行きまして、いろいろ向うの小学校の実情なんか見ましたけれども、今長官言われたように、テレビとかラジオ、新聞、向こうの新聞は日本の新聞と若干まあ違いますけれども、そういう点に相当力を入れているのを見て、現在のわが国の実情を見て非常に考えさせられたのですが、テレビなんかも現在政府の監督しておるNHKのテレビですら、こういう番組が非常に少ない。ましてやスポンサーの擁するテレビにおいては、いわゆる営業中心だからということで非常に歎かわしい番組で、子供がそういうことに熱中しておる事実は、こ存じだと思う。従ってそういう点は科学技術庁としても科学を涵養するという立場からも、相当私は積極的に、干渉ということは、まあいわゆる言論の自由なりそういうものを圧迫するから問題があると思いますけれども、いい意味における何か委員会を作って、いわゆる指導をするという部面があってもいいと思うのですが、その考え方はいかがですか。
  145. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全く同感でございます。NHKには特に教育テレビというものがございますのですから、そういう思想を伴わない中立的な科学技術というものについて、かなり大胆にやるように御趣旨を体しまして、善処していきたいと思います。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃあいろいろまだあるんですが、実はきょう時間の関係もありますし、また次回に譲りたいと思いますので、本日はこれで終わります。
  147. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止
  148. 中野文門

    委員長中野文門君) それでは速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後三時三十三分散会