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1960-03-22 第34回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定者            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君   国務大臣    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    内閣官房長官  椎名悦三郎君    国防会議事務局    長       廣岡 謙二君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    防衛政務次官  小幡 治和君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵省主計局次    長       吉岡 英一君    農林政務次管  大野 市郎君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    水産庁長官   西村健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛事務次官  今井  久君    農林省農地局管    理部長     庄野五一郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○水産庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○行政機関職員定員法等の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○国の防衛に関する調査  (航空自衛隊次期主力戦闘機の国  内生産計画に関する件)  (習志野演習場に関する件)   ―――――――――――――
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  去る二月十日予備審査のため本委員会に付託されました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。政府は、国力、国情に応じて防衛力を整備する必要があることを認め、防衛庁職員定員を八千四百五人増加し、現在の定員二十五万四千七百九十九人を二十六万三千二百四人に改めることといたしました。この八千四百五人の増加分のうち、七千四百十六人が自衛官で残りの九百八十九人が自衛官以外の職員であります。自衛官増加分は、そのおもなるものについて申し上げますと、陸上自衛隊については千五百人でありまして、施設関係部隊の増強のために充てるものであります。また、海上自衛隊における増員は、二千四百一人でありまして艦艇増加に伴い必要とされる人員の配置並びに航空部隊の整備及び後方関係充実等のために充てるものであります。なお、航空自衛隊における増百貝は三千四百八十五人でありまして、航空方面隊及び航空団の増設並びに保安管制教育補給等の部門の拡充のために充てるものであります。  第二に陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊の一そうの統合的、かつ、能率的指揮運用を達成するため、統合幕僚会議の機能の充実をはかることとし、出動時における自衛隊に対する指揮命今の基本及び統合部隊行動についての指揮命令に関する職務を、統合幕僚会議が行なうこととし、さらに統合幕僚会議統合幕僚学校を新たに附直することといたしました。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  第一に、自衛隊組織及び編成等を整備することといたしました。海上自衛隊については操縦教育の一元化をはかるため、新たに長官直轄部隊としての教育航空集群を置くこととし、また、従来艦艇のみからなっていた自衛艦隊編成を改め、自衛艦隊は、護衛艦隊及び航空集群その他の直轄部隊からなるものとし、海上艦艇部隊海上航空部隊との一元的運用をはかることといたしました。そのほか、従来の練習隊群は、練習艦隊に改称することといたしました。航空自衛隊については防空体制充実をはかるため、西部航空方面隊を新設してその隷下に第五航空団を置き、また、中部航空方面隊の隷干に第六航空団を新設する等の措置を行ないました。また、陸、海、空各自衛隊補給処における調達、補給等業務効率的運用をはかるため、その統制業務を行なう機関として補給統制処を置くことかできるように所要の改正を行ないました。なお、陸上自衛隊第六管区総監部は、山形県東根市に移すことといたしました。第二に、防衛庁設置法における統合幕僚会議所掌事務改正に応じて、統合部隊行動についての長官指揮は、統合幕僚会議議長を通じて行なうものとし、これに関する長官命令統合幕僚会談議長が執行するものとすることに改めました。  第三に、自衛隊施設において自衛隊のための作業に従事する隊員以外の者で、みずから食事を整えることができないものに対して、自衛隊見学者の場合と同様に適正な対価で食事を支給し得るようにいたしました。  以上、両法案の提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕   ―――――――――――――
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。次に、水産庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより本案質疑に入ります。政府側出席方々は、大野農林政務次官西村水産庁長官方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 十和田湖ふ化場廃止につきまして若干伺いたいのでありますが、これは、私、先般秋田に参りまして、そのときに十和田湖まで参りませんでしたが、秋田で聞きましたこの十和田湖ふ化場廃止理由は、割合とはっきりいたしておったように思うのであります。ところが、政府案で出ましたこの内容を見ますというと、なかなか理解できにくい点があるように思うわけであります。そこで、そういう点につきまして若干伺いたいわけであります。  事柄は、まあ水産庁設置法の一部改正で、十和田湖ふ化場予算人員が三名おるところでありまして、事業費としましても非常にわずかなところでございますけれども、ここであげてある提案理由では理解できにくい点があるわけでありますので、伺いたいと思うのでありますが、その第一番目は、これはここにありますように、ヒメマス資源の重百要性にかんがみまして、国営によってその人工ふ化放流事業を、実施するために、昭和二十七年に設置された。設置されまして八年ほどもたってないわけでありますが、その前からこのふ化場廃止したらどうかという意見は、二、三年前からあるわけであります。で、国営としてこういう重要な立場に立って設置したにかかわらず、四、五年たってすでに設置意味がないのじゃないか、こういうような意見が出て、今回いよいよ廃止されることになったわけですから、従って、もう少しその経緯について明らかにしなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。そこで伺いたい点は、これは国営で人工ふ化して放流事業をやる。そして全国需要地にこれを計画配給をするということに目的としてはなっているわけですが、これが人工ふ化放流並びに計画配給というのが、具体的にどういうふうになされたものかどうかという点について数字的に伺いたいわけであります。これは突然でございますので、今すぐというわけにも参らないかと思いますが、また非常に小さな事業場でありますので、すぐというわけになかなか参らないかもしれませんが、その点を伺いたいわけであります。  それから、この事業場を、国営として重要性にかんがみて設置されたわけでありますが、設置するについては、それぞれ十分な調査資源調査研究が行なわれて、自信を持ち、確信を持ってお立てになったと思うのでありますが、立てるにあたって、設立にあたって、試験的な意味も入って作られたのじゃないだろうかという気持がいたすわけであります。ですから、そういう調査的なあるいは試験的な意味も含めておやりになったのかどうかという点も伺いたいわけであります。  それから廃止する理由といたしまして、北海道サケマスふ化場支笏湖事業場におきますところのヒメマス種卵生産が著しく増加した。で、十和田湖は要らなくなった、こういう理由になっておるわけでありますから、この支笏湖種卵増加実情を数量的に伺いたい。どういうふうに著しく増加しているのか、数字的に伺いたい。  さらにもう一点司いたい点は、このふ化謹製知通り秋田県にあるわけであります。施設秋田県にあるわけでありますが、その秋田にあるふ化場青森秋田の両県に移管するというのでありますが、どういうような形で移管されるのか。秋田県にあるのであります。それをどういうふうな形にして移管されるか、しかも、移管後七百五十万という全額補助が出ておるわけであります。従来この十和田湖ふ化場に使った経費の十年分に相当するような大きな全額補助が出るわけでありまして、どういうふうな形でおやりになるのか、具体的にまだ八月からでございますか、でありますので、八月一日から向こうに移管することでありますから、具体的に固まっていないかと思いますが、七百五十万という全額国庫補助で、秋田にあるものを両県に委譲するというやり方ですね、こういう点について伺いたいと思います。なお、今申し上げましたのは、数量的にこまかい問題でありまして、すぐというふうに参らなければ、次の機会に今申し上げましたような数量的な問題については伺いたい、こういうふうに思います。
  7. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御質問の項目がいろいろございますので、あるいは答弁で落としましたところがございましたら、後ほどでも補足さしていただきたい、こう思っております。まず、第一の御質問の趣旨は、昭和二十七年に国に移管と申しますか、国で設置した、それにはそれ相応の国としての目的なり、理由もあったろう、それが八年たたないうちに移管するということは、どういうことかということに関連しまして、設置する場合に国のふ化場として設置するこことしたいきさつと申しますか、そういうことの御質問だろうと思います。御承知のように、この十和田湖ヒメマスふ化事業というのは、和井内氏が始めたものでございまして、これを漁業権という面から見ますと、明治三十五年の旧漁業法の施行と同時に、和井内氏に単独で免許がおろされた。自来期間更新を繰り返して新しい戦後の漁業制度改革まで及んだわけであります。新しい漁業法によりまして、こういった漁業権はすべて国で買い上げることになりまして、昭和二十六年に和井内氏から国が漁業権を買い上げた、そうして翌年に、昭和二十七年に地元の漁民をもって組織します十和田湖増殖漁業協同組合というものに共同漁業権が免許されたわけであります。そこで、その免許されたヒメマス漁業権共同漁業権というものの主たる漁獲対象は、これはヒメマスでございます。さらに人工ふ化放流というもの、これを当然どこでやらすかということが問題になったわけであります。当時の事情としまして、漁業協同組合は設立されたばかりでありまして、その経済的な力もきわめて乏しいということであって、組合自体増殖事業をするという力が全くないという事情一つございます。それからもう一つは、しからば、その県なりあるいは国でやるということですが、御承知のように湖面青森秋田両県にまたがっておりますので、これはやはりその当時の事情としましても、国がやった方がいいじゃないかというような点。それからもう一つ、しかし、国がやるといたしましても、国の事業というものにはおのずからそこに、国がやるべき理由が必要であります。ヒメマス資源というものが、当時におきましては、十和田湖は相当な重要な地位を占めておった。従って、十和田湖採卵しました卵を全国、これは全国と申しましても、このヒメマス適水湖というのは非常に限定されております。まあたとえば富士五湖というようなところでございますが、そこに配給するためにということは、これはやはり一つの国としてやってしかるべき仕事である。こういうような見地から、当時これが国営ふ化場として発足するということになったということに私ども承知しております。  ところが、その後、国営ふ化場としまして十和田湖でやって参りますと、十和田糊自体には今申し上げましたような漁民がおりまするし、そういった関係もありまして、なかなかその当初予期したように採卵が進まない。と申しますのは、国がやった以上は、やはり十和田湖限りのもの、そこで採卵してそこで湖内に放流するだけでありますれば、これはやはり国としてやる意義がないわけでございます。県外に移出するということが、一つの国がやる仕事としての意義があるわけでございますのに、だんだんそこに湖内還元と申しますか、湖内に放流する方に追われまして、県外移出ということがむずかしくなって参りました。最近におきましては、昭和三十一年に二十九万粒、それから三十二年に四十万粒を県外に移出しておりますけれども、三十三年以降はこれがすっかりとまりまして、逆に十和田湖湖内還元のために、湖内に放流するために支笏湖から移入しなきゃいけないというような事情になったわけでございます。こういった情勢が一つございまして、かたがた、これはさっき御質問の、ほかの点にも触れるわけでございますが、だんだん支笏湖における採卵なり、ふ化放流というものが伸びて参る。これはもちろん、親魚捕獲状況が年によっていろいろ自然的条件によって異なって参りますので、必ずしも一定の進度をもって仲びているわけでございませんけれども支笏湖について見ますと、昭和三十年におきまして採卵数が二十三万粒でありましたものが、三十三年におきましては七百二十七万粒というふうに伸びております。従いまして、いわゆる湖内還元支笏湖に還元しますもの、これを二百三十八万実施いたしましても、なお四百二十八万程度が道外に移出できる。この先といたしましては、先ほど申しましたような十和田洲にもありまするし、あるいは富士五湖あたりというふうになって参ったわけでございます。こういうところをみますと、支笏湖一つの伸びというものと、十和田湖の先ほど申し上げましたような状況の変化というものを両者あわせ考えます場合におきまして、政府といたしまして、この十和田湖ふ化場をこれ以上、国営として設置しておく必要はないし、その意義もいわば失われた、こういうふうにみるべきじゃないか、こういうことがございまして、この一両年来問題になっておりました点を、今度実施に踏み切ることにしたわけでございます。  それから、しからばその移管するとした場合に、現在その施設秋田県にあるのに、これを両県に移管するということはどういうことかということでございますが、これはやはり先ほど申し上げましたように、湖面青森秋田両県にまたがっておる、湖面全体として採卵ふ化放流というものが実施されるということ、その漁利と申しますか、その利益は両県にかかわる漁民が受けるということが一つございます。それから現在あります施設、これは移管するとしました場合には、これは和井内氏の個人有のものを国が借り上げておるわけでございます。いろいろ移管の方針をきめまして、現地と両県当局あるいは和井内氏と当たりましたところ、当初、和井内氏は、これがどちらの県でありましても、県に移管される場合におきましては、自分の施設は県には貸さないという態度をはっきり打ち出されたわけでございます。従いまして政府といたしましては、両県に実施してもらうためには、現在の施設は使えないということのために、新たに施設を作ってもらう必要がある。そこでこのための予算として四百七十五万円を来年度予算に計上し、これは全額補助という格好のものでございます。  しからば、そのやり方としまして、秋田青森両県と共同でやるということは、どういうふうにやるかという点につきましては、目下、両県と私どもと話し合いを進めております。その最終的な形態はまだはっきりしておりませんけれども、逐次この問題は事務的にも詰まるように話を進めております。八月一日までにははっきり、それ以前にその姿がとれる、こういうふうに考えております。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の水産庁長官説明で若干明らかになったように思いますが、今、長官説明の中にありますように、この説明からいきますと、少なくともここに出ておる提案理由とは食い違う面があるように思うのでありますが、その点については私としましては、この程度のことになるのだろうという程度は、あの十和田湖の周辺の漁民実情その他等から考えまして、とうていつかないはずはないように思います。これらの点については、別にもう少し詳しく御質問を申し上げたい、こういうふうに思っております。  次に、このふ化場には五名の定員があるわけでありますが、三名の定員のうち、二名は欠員である。その欠員を埋めるのに、定員外職員が二名ほどおりまして、三名でこの事業政府としては行なわれておるということでありますが、この機構を廃止する場合に、この現在おります定員内並びに定員外の三名について、どのようなふうに措置されることになっておりますか、この点を伺いたいと思います。
  9. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今、鶴園委員の御指摘の通り、現在、場長一名、これは定員内でございます。そのほかに非常勤職員二名がおります。実員五名でございます。場長につきましては、これはもちろん水産本庁、または水産庁附属機関に転属させる、こういうことを考えております。非常勤職員二名につきましては、これは両県、まあ両県共同で今度やるわけでございますが、少なくも一人は残ってもらいたいと、やはりふ化事業をやるという希望を相当県は出しておるようでございます。ところが、この二人の非常勤職員の御本人たちは、国のどこかほかの機関に行きたい、こういう希望を持っておるようでございます。私どもとしましては、いずれにしましても国に引き取る、引き取ると申しますか、水産庁の他の機関、これは十分その余地があり、そういうことをする心組みでおります。ただし、具体的にどこに引き取るかということはまだきめておりませんが、ただ今申し上げましたように、県の方の希望もありますので、その辺は十分本人意向も尊重しつつ、また、県の意向も聞いて遺憾のないようにして参りたい、こう思っております。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういうふうに政府機関廃止するという場合に、やはり問題は、一つはそこで長い間勤めた国家公務員措置をどうするかという点が、非常に大きな問題ありますし、国が始めるときには雇用するけれども、終わるときにはというような感じをやはり与えるようなことでは、国の機関の問題として困りますので、今お話しのように、本人希望にぜひ重点を置いて処置されるように御要望申し上げておきたいと思います。  それから次に伺いたい点は、この十和田湖ふ化場廃止される。そうして北海道支笏湖事業所が非常にふえているというようなお話でありますが、せっかく国で作ったこのふ化場が一カ所減るということについては、やはり問題があろうかと思っております。従って、伺いたいのは、水産庁として内水面漁業についてどういうふうに考えておられますか。軽視するのじゃないかという気持がだいぶあるよりであります。従って、内水面漁業についてどのようにお考えになっておられるか。特に近年河川がほとんど御承知通り河川の用をなさなくなって、人造湖、ダムに化しておるわけでありますが、このダム全国至るところにできている。それがほとんど全部遊んでおるというところから、水産庁としても計画を立てられておられるようでありますけれども、もっとやはり内水面漁業について考えなければならないのじゃないかというふうに思うわけでありますが、この内水面漁業の問題について伺いたいと思います。
  11. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 内水面漁業につきましては、私どもとしましても、絶えずこれについていかにしてこれをもっと伸ばしていくか、こういうことに苦心をしておるわけでございます。ただいまのところ、予算的な措置としましてはサケマス人工ふ化放流、それからアユの放流事業、あるいはニジマスの種苗供給施設補助、そのほかに三十五年度から草魚積荷漁業というものを新しく実施して参る。これは関東地方、一カ所だけでございます。草魚日本においても卵を生むということが発見されました。これは従来日本ではだめだというふうに言われておったのでございますが、利根川においてこれが卵を生むということが発見されまして、この施設を県がやる場合に、私どもの方も大いに援助して参りたいと、こういうような施策を講じております。そのほか、国が直接やっております仕事としましては、北海道におきましてサケマスふ化放流事業、あるいはヒメマス放流、こういったもので内水面漁業振興と申しますか、増殖対策ということが十分であるというふうに私どもも決して思っておりません。しかし、この問題にはわれわれとしても悩みがあるわけでございます。まず第一には、鉱工業の発展に伴う水質汚濁の問題、これは沿岸についてもそうでございますが、河川につきましてもこれは相当の被害を及ぼしている。それからもう一つ化学肥料その他農薬等の普及によるやはり内水面魚類の生息に困難というようなことで、そういった面から、たとえば戦時中あるいは戦後について行なわれておりました、いわゆる稲田養鯉蛋白給源補給としての、稲田にコイの稚魚を放流して農家にこれを食べさせるというようなことも、現在の稲田状況では困難であろう、こういうふうに思います。こういった汚水の問題とか、いろいろそういう物理的な客観的困難性一つありますことと、もう一つは、やはり内水面につきましていろいろ施策を実施して参りましても、それがほんとうに何と申しますか、国の施策として産業上効果のあるということが一つの担保とされなければいけない。この点につきましてはいろいろの面から問題がございますが、一つの面としましては、現在の内水面漁業協同組合組織というものについて、あるいはその漁業権のあり方というものにつきましては一応検討する必要がある。この点に関しましては現在漁業制度調査会におきまして、海面の漁業と合わせまして内水面につきましても、この問題を検討いたしております。先ほど申し上げました汚水の問題につきましては、水質規制に関する法律あるいは工場用水の排水の規制に関する法律、昨年成立いたしましたこの法律運用によりましてその適用をすみやかに実施して、この方面をできるだけ防いで参りたいということを考えております。制度面は今のようなことで、たとえば放流をいたした場合におきましても、単にこれが有料者の対象になるというようなことでなしに、やはり農山村の蛋白給源となるためには、どういうふうな方策をとったらいいかというような、いろいろむずかしい点をわれわれとして解決をしていかなければならぬと思います。しかしそうは申しますものの、今御指摘になりました河川の上流、ことにダムにつきましては、私どもとしましてもまだまだこれが開拓の余地があるというふうに考えておりまして、ここ二両年この方面につきまして調査を進めて参っております。三十五年度の予算として実現するに至りませんでしたけれども、このごく近い将来においては、ぜひこの面について増殖対策というものを実施して参りたい、こういうふうに思っております。ところが、ダム・サイトにつきましても、これは漁業として成り立つためにはいろいろ立地的条件がありまして、その湖面状況、たとえばそのダムが非常に入り組んだような地形上にありました場合には立地上、技術的にも有望なわけであります。ただぽっくり深い湖水である、水温の関係もありますし、さらにもう一つ問題は、ダムは底に古木がそのままに残っておるというような関係で、せっかく放流した魚類が捕獲の対象になってこない、あるいは有料の釣のためというようなことも可能かもしれませんが、そういうような技術的な困難もあります。私どもとしましては、できるだけその可能なものについて今後増殖の対策をこの方面からまず手始めに実施して参りたい、こういうふうに考えております。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ここに北海道、サケ、マスふ化場のことが出ているわけでありますが、十和田湖ふ化場に関連いたしまして北海道サケマスふ化場のことについて若干伺いたいと思いますが、これは北海道に行ってみますというと、非常に奇異な感を受けるわけでありますが、あるいはまた、非常に新しい行政かと思いますが、御承知のように北海道サケマスふ化場は非常に大きな役割を果たしておりますし、全道にわたって相当大きな組織も持って活動しているわけでありますが、この行政ですね、サケ、マスのふ化という行政が二つの機関によって憎まれておる、同じ仕事を二つの機関が請け負っておる、仕事をしておる。すなわち、国と北海道庁とが同じ仕事をいたしておるわけでありますから、従いまして事務所も同じ所にありますし、というよりも、同じ建物の中に北海道庁の職員と農林省の職員がいる。場合によれは机を並べている。魚の捕獲までは北海道庁に委託しておる。それから採卵は国がやる。放流はどこがやるか聞きませんでしたが、少なくともこの一貫した一つ仕事を、国と道が行なっているということで、行政上もいろいろ問題があるように見て参りましたですけれども、そういうような問題はお感じになっていらっしゃらないかどうか伺いたいと思います。
  13. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 北海道のサケ、マスふ化、放流事業につきましては、御指摘の通りでございます。国が道の施設を借りて使って行なったり、あるいは国の一部の職員が道の併任を受けたり、あるいは道の事務の委嘱を受けたり、お互いにそういう関係になっている。そこで、事務的に円滑を欠くんじゃないか、姿としてもすっきりしないんじゃないかという御批判は、私は率直に申し上げて、ある程度当たると思います。しかし、全般的に見ますと、こういったやり方、これはまあ、特に私どもはこれを今急に変えなくちゃいけないというふうにも感じて、まだそういう結論には達しておらないわけであります。御承知のように、昭和二十七年に従来道の事業でありましたこれらのふ化、放流事業を国が一部取り上げると申しますか、国で行なうという格好にしましたために、今御指摘のように親魚の捕獲は道でやる。採卵ふ化放流は国がやるということになっております。しかし、これとても全然理由のないことではございませんで、捕獲ということは、河川漁業との調整あるいは密漁の防止という地元の漁業と密接な関連がありますので、やはり道庁の行政というものをそこに入れていただく必要があるということが一つ考えられる。それからもう一つ、これはふ化放流事業だけではないと思いますけれども北海道というものについて、国が相当な財政負担をするということも現実的な必要性としてこういう姿をとらしめたと、こういうふうに私は思っております。  それからなお、サケマスふ化放流事業、これがふ化場の主体たる事業でありますが、これは御承知のように、単に北海道漁民と申しますか、北海道漁民のためばかりのものでなく、日本全体として、ことに現在の状況におきましては北太平洋におけるサケマス資源一つとして、この問題は国際的にも大きく取り上げらるべき問題でありますので、そういった関係からやはりここに国が事業としてこれをやる必要がある。さりながら、実際の事務としては、やはり地元の北海道庁とも相協力してやっていかなければ、ことにさっき申し上げました親魚の問題等もございます。そういうことから、現在のような普通の行政とはちょっと異色ではございますけれども、両方が持ちつ持たれつというような格好で仕事をやるということになったわけでございまして、若干事務的には、そのために円滑を欠く面もあるやに見受けられますけれども、全般的に見ました場合におきましては、これは北海道庁と水産庁と十分な連絡をとつて、円滑に仕事が進んで参っておる、こういうふうに私どもは見ております。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この場長、それから六カ所の支場長、これは国家公務員であると同時に道の地方公務員であるというような身分を持たせて、円滑な運営に努力されておるように思いますが、しかし私こまかいことは申し上げませんですけれども、大綱については国と道との間で協定ができ上がっておるようでありますが、細目の問題については、まだでき上っていないように見受けられますし、そのためにいろいろ場長の段階ではともかくとしまして、職員の段階においては種々やはり問題があるように思います。ひいては、それが支場長あるいは場長にはね返ってくるというようなことにもなっておるように見受けられます。従って、これらの改善についてはできるだけすみやかにやられるように要望いたしたいと思いますし、なお、これと関連をいたしまして一緒に仕事をしておるわけでありますが、ときには手伝い合ったりしてともに仕事をしている。その場合に給与べースが違うということは問題ではありますけれども、これはまあともかくといたしましても、超過勤務手当が違う、あるいは日額旅費が違う、宿舎が違う、そのほかの諸点について差異があります。こういう点等については、これはやはり困った問題だというふうに思うわけでありますので、これらの諸点についての御見解があるならば伺いたいし、私としましては、こういう点についてもっとやはり配意をする必要があるのじゃないかと思っております。三年ほど前でありますか、四年ほど前になりますか、採卵期に超過勤務手当を五十何時間にふやされて、努力をしているわけでありますが、まだまだ、こういう点についてのアンバランスが目立ちまして、そのことが職務遂行上いろいろ障害をなしているという実情にあると思っておりますが、ぜひ一つこの点についての努力を承りたいと思いますし、要望もいたしておきたいと思います。
  15. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御指摘のような点につきまして、特に待遇の問題というようなことは、同じ職場で同じような仕事をしている場合、そこに相違が出るということは、実際問題として最も仕事の能率なり、あるいは円滑に仕事を進める上において妨げとなるものである。それらの点につきまして、従来も逐次円滑化をはかるために努力はしておりますけれども、特に今御指摘のような点につきまして、私どもとしても十分努力して、これを逐次改善して参りたい、こういうふうに思っております。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に伺いたい点は、この十和田湖ふ化場廃止するということに伴って、淡水区の水産研究所、それから日光にあります養魚場、こういうような内水面に役立つ試験研究機関、あるいはこういう養漁場というようなものを縮小するようなお考えありますか。
  17. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもとしましては、十和田湖は、先ほど申し上げた理由廃止いたしますが、その他の施設について縮小するという考えは持っておりません。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで伺いたいのは、三十三年の、一昨年になりますが、三十三年の十一月ごろでありますが、当時の水産庁調査研究部長でありました藤永さんが水産試験場の全国にわたりますところの機構改革の私案を出されまして、当時研究の衝に当たっておるものを非常に震骸させたことがあります。なお、この問題、今日まで引き続いておるように思っております。この水産庁の水産試験場を、御承知通り八海区に分けておるわけでありますが、これを五つの海区にする、淡水研を入れまして五つの海区にする、内容を詳細に申し上げませんけれども、とにかく大きな機構改革を意図されておる。これは一昨年の話であって、三十四年度はそのままになっておりますが、三十五年度も出ていない。現状としてどういうようなふうに検討を進めておるのか承りたいと思います。
  19. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 現在水産庁に置かれておりまする研究機関としましては、八つの海区ごとの水産研究所がございます。そのほかに、都道府県の機関としまして、各都道府県に水産試験場がございます。これは、全体としまして、水産の試験研究行政というのは、どうあるべきかということにつきましては、これはいろいろな批判も従来から出ております。われわれとしても、内部で、この点はいろいろ検討を進めてやっておりますが、先ほど御指摘のような、その当時藤永私案というものが出ましたけれども、現在そういった一つの私案という段階には至っておりません。これにつきましては、何分全体の研究機構の問題でございますので、慎重にこの問題は対処していく必要がありますので、目下それぞれ部内におきまして、その研究を進めておるという段階でございます。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 八つの試験場の責任者の人たちが集まって、この水産研究所の機構について検討を進められておるようでありますが、三月の二十日には案ができるように省内では言っている。この問題は、先ほど申し上げたように、昨年から長い間にわたって水産研究所の人たちも非常な関心を持っておりますし、ある意味では、また動揺もいたしておる問題でありますので、この三月二十日に案ができて、そして来年からやるというようなお気持ちでおられるわけでありますか、伺いたいわけであります。
  21. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもとして、ただいま申し上げましたような研究所長あたりでも検討いたしておりますが、来年から必ずやるというような一つのデッド・ラインを設けてこの仕事を進めておるわけでございません。ただ先ほど申し上げたように、国の研究所のほかに、都道府一県の試験場、これをどうするかというような問題に関連して考えなくちゃならぬ。私ども一つ思いますことは、より効率的な、より徹底した研究ができるということを抽象的に申し上げると、そういうことをねらいとして考えておるわけでございまして、まだ具体的にどこをどうするとか、そういう点まではとうてい至っておりませんし、この問題は波及するところも大きいところでありますし、いたずらにまだ具体化しないうちに、いろいろな動揺なり無用な波紋を起こすということもないように、一つ慎重にはかって参りたい。ただし、現在の研究行政機構では、これは十分でないので、何らかの改革は必要であろうということは、われわれとしてもそういう認識は持っておるわけであります。先ほど申し上げましたように、この点はいろいろな面から慎重に一つ研究を進めて参りたい、こう思っておる次第であります。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題は、先ほど申し上げましたように、一昨年に藤永私案が出ましてから、研究の公務員にとっては非常に大きな問題で、盛んに研究者としての討伐も進んでおるように見受けられるわけでありますが、八海区の研究公務員の意見等も十分参酌されて取り進められるように要望いたしたいと思います。今お話しのように、この研究所は特に改革にあたって必要なことは、県の水産試験場との関連が重要だというふうに思いますし、それからもう一つは、今日の八海区に分けました水産試験場の構想というものは、実は戦後ああいう杉で進められたわけでありまして、予算が不足をしている、あるいは定員が不足をしているというために、非常に中途半端な研究業務になっておるのじゃないかというふうに思いますし、機構をいじる、機構を大きく改革するということで、何か新しい希望が持てるのじゃないかというような考え方が、こういうふうに予算が足りない、人間が不足するということで中途半端になりますと、ややもするとそちらへ、お役所の機構というものは、常に何か機構をいじってやろうというようなことになるのじゃないだろうかと思うのです。ですから予算が足りなければ、あるいは人間が不足すれば、これはどういう機構を作ろうとも、私はまずいのじゃないかと思うのです。詳しいことは申し上げませんけれども、八海区に分かれております試験場のどの一つをとってみましても、非常に研究費は不足をしておる、人員が足りない、こういう実情じゃないかと思うのです。どれをとってみてもよろしいのでございますが、新潟にあります日本海区研究所をとってみましても、これは人間としましても非常に少ないし、五十人ほど人間がおりまして、さらに二つほど支所がありますが、これも合わせまして、六十人ほど、そうして日本海全域の水系をやる、研究船が一隻、三十トンぐらいの船があるのですが、予算が足りないという一つの例として私申し上げたいのですけれども、この三十トンの研究船が一年のうち三カ月しか動かない。これは主として旅費の足りない点、あるいは予算の足りない点に大きな問題があると思う。ですから機構を単にどうこうということも重要でありますけれども、今日に至りましたやはり大きな理由には、今申し上げました予算が非常に不足をしている、定員が足りないというために八海区の構想というのが中途半端に陥っているというふうに感ずる点が大きいわけであります。さらに県の水産試験場、これはどういうふうにごらんになっておられるか知りませんですが、私なんかよりもさらに詳しくごらんになっていると思いますが、これは試験場という形にしなければいかんのじゃないか、そういう行政指導が要るのじゃないか、県の水産試験場は工場を持っている、その工場はもうカン詰工場になり終わっている。あるいは県の水産試験場というものが収入によって研究をまかなうという建前になっておるために、魚をとることに懸命である。日本海にある県の水産試験場の船が太平洋に出てマグロを取る、こういうような、一例でありますけれども実情になっておるわけでありまして、従って、国の水産研究機関というものを充実し発展させていく、それに必要な絶対欠くべからざる県の水産試験場というものを、もっとやはり根本的に指導される面があるのではないか、さらに、この水産試験場には御承知通りに研究部というものがある、研究部じゃなくて、経営部というのがないのでありますが、農業試験場は御承知通り研究部というのが終戦後できまして、八つの試験場に研究部のないところは研究室というものが設けられている、経営室というものが設けられておるし、さらに林業試験場も経営部というものが設けられ、蚕糸試験場においても部はありませんが室が設けられておって、経営というものと研究というものが結びつけられて行なわれておる。水産試験場の場合におきましては、どこをとりましてもそういったものがない。ために、研究そのものが経済効果をややもすると無視するような、研究のための研究、行政と結びつかない、あるいは漁業経営と結びつかない研究となる。こういうような、実情に相なっているのではないかと思うのでありますが、今申し上げました三点について県の水産試験場、それからこの経費が足りない、予算が足りない、人員が非常に不足しておるというところからくる今日の水研の中途半端な研究というものが、機構改革によって救われるのかどうか、さらに、経営部というものを、そういったような構想のない研究所というものがどういう弊害を起こしているか、そういう点について伺いたい。
  23. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 国の水産研究所の予算が足りない、人員が足りないという問題、あるいはそういう御批判があるかと思います。私どもとして、予算は多々ますます弁ずでございますけれども、同じ予算であれば、それが最も有効に使われるのにはどうすればいい、同じ人員であれば、最もそれが有効に働くためにはどういう機構にするかということを考えていく必要がある。そうすることによって、また予算もふえ、人員もふえるのじゃないか。しかし現実に、ここに何もないところに、白地に研究機構を作るなら、これは理想的な姿として考え得るわけであります。現実に八つの研究所がございますし、ここにはそれぞれのスタッフが働いております。この機構改革は、それらの点もよく実情というものをながめつつ、私どもはやって参らなければいけない。従いまして、単に抽象的な機構改革に堕することなく、実情を見つつ、無理のないように、機構改革問題は今後進めて参りたい、こういうふうに考えております。  それから第二の県の水産試験場の問題、これは率直に申し上げまして、御指摘のような点は多々あると思います。全くカン詰工場に堕している試験場もあるやに聞いております。しかも、カン詰工業というようなものは、民間の事業のカがはるかに進んでおりまして、きわめて旧式で、しかも商品的な価値もあやしいようなものをせっせと作っているというようなこと、あるいは県の調査船が、これがせっせとマグロ漁業に精を出しているというような点、これは御指摘のような点がいろいろございます。これらの点につきましては、われわれとしては、やはり県の試験機関である以上は、それにふさわしい姿に持っていくべきである。その点につきましては、私どもとしてまだ最終的に具体的な成案を得ているわけではございませんけれども、水産業の改良普及事業というものと関連しまして、県の試験場というようなものは、そのセンターというような方向でものを考えていく必要があるのじゃないか。言いかえれば、今のような全く水産と現実の行政と遊離した仕事をやっていてはしようがないのでありまして、これをもっと、せっかくあるこういう機構を生かして、水産業の改良普及事業一つのセンターというような方向に持っていく必要があるのじゃないか。そういう意味におきまして、先ほど申し上げましたように、国の研究機関というものを考える場合におきましては、県の試験研究機関というもののあり方をどうするかということも、はっきりめどをつけなければならないということを申し上げた次第でございます。  それから第三の経営の問題についての何らの研究がなされてないじゃないか、あるいは指導がなされてないという御指摘でございますけれども、これにつきましては、鶴園委員はすでに十分御承知と思いますけれども、根本的にはやはり水産業あるいは漁業、農業、林業というものとの経営の形態というものの違いというものがそこにあると思っております。従いまして、この問題は、ただそういう経営の部というようなものを設ければ問題が解決するということではなくて、やはり先ほど申し上げました都道府県の試験場のあり方というようなものと関連して、一つ今後試験研究機関の全体の機構を考える上に十分検討して参りたいと、こういうふうに考えております
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど申し上げ、また、今長官のお話にありましたように、予算が足りないという点、あるいは人員の不足している点、これはどうしても根本的な問題だと思いますし、また、これに比較して劣らない優性性を持っているのは、県の水産試験場だろうと思っております。この県の水産試験場と国の水産研究所と、これがやはり連撃のとれた密接な関連の中で運営されないことには、これは進展ができないのじゃないかというように思います。農業試験場等を見ますというと、その点の努力がほんとうに払われて参っているようでありますし、また、その成果も牛、れつつあるようでありますが、水産研究所の場合におきましては、本家本元の水産研究所そのものが、中途半端な形になっているという点もあって、問題の県の水産試験場との間も、関連というものが全く断ち切られたような形になっていることは、大へんな問題だと思うのであります。そういう問題について、今後検討を加えられるということでありますが、非常に大きな問題だけに、これは一つぜひ慎重な態度で、さらに若干の年月をおいて検討される必要があるのじゃないだろうかというふうに思います。その点を御要望申し上げまして、一応私の質問を終わりますが、先ほど申し上げましたように、この十和田湖廃止の問題について、長官の御説明の中に一部うかがえたわけでありますけれども、ここに書いてあります提案理由と、私は十和田湖には行かなかったのですが、秋田に参って現地で聞いたものとの間に差がありますし、若干長官もその点認めておられるようでありますけれども、その点については、もう一回根本的に日を改めて質問をいたしたい、こういうふうに思っておりますが、よろしゅうございますか。
  25. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  26. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 水産庁設置法の一部改正に関する問題で、若干時間の関係もありますから、二、二点だけ一つお伺いしておきたいと思います。  この提案理由説明を実は見ますと、先ほど長官が答弁されたのと若干私はとり方が違うのです。この理由説明を見ますると、とにかく十和田湖ふ化場は一応必要でないという理由をつけておりますが、必要でなければ、これは秋田青森の両県にこれは移す必要がないと思うのです。廃止してしまえばいいと思うのですが、やはりこの両県に移管し、そういう事業をそこにゆだねるということは、やはり十和田湖ふ化場は必要であるということを裏づけしていると思うのです。従って、先ほど鶴園君が質問いたしましたように、やはり水産庁予算とか、そういう関係から廃止されるという考えを起こされたのじゃないか。この点もう一度、一つ長官から御答弁願いたいと思うのです。そうでないかどうかです。
  28. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の説明が多少十分でなかったかと思います。こういうことでございます。私どもといたしましては、十和田湖におけるふ化放流事業というものが必要でないというふうには見ておらないのでございますが、それがただ現状、先ほど申し上げましたように、他県に移出する余力もなくなってきている。いわば、両県の問題である。両県としては私はやはりこれはやっていただきたいというふうに考えておるのでございます。従いまして国としてはやはり青森、秋旧両県の地元のものであります場合においては、そのふ化放流事業を国がやるということは適当でない。従いまして国としてはこれは廃止いたしまするけれども、両県に移管をする、こういうことでございます。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで他府県、全国に移出する能力がなくなったというのは、ふ化量がいわゆる減少したという意味なんですか。その点一つお聞かせ願いたいと思います。
  30. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) これにはいろいろ理由があると思いますが、率直に申し上げて、やはり一つは地元の関係漁民の漁獲努力と申しますか、それが大きくなって、要するに他県に移出するほどのものも、もう余力ができなくなった、こういうことであると、こう思います。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在十和田湖ヒメマスの漁獲最は幾らでございますか。
  32. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 十和田湖採卵量、卵をとる数を申し上げますと、ごく最近数年を申し上げますと、三十一年が百二十五万粒、そのうち湖内に放流しましたのが二十五万尾、これは尾数でございます。それから県外に移出しましたものが二十九万粒、これは卵でございます。卵で出します。それから三十二印が採卵量が二百八が粒、湖内に放流しましたものが七十万尾、それから県外に移出しましたものが四十万粒、こういうことになっております。それから三十三年、これは十和田湖採卵しましたものが五十九万粒、それから湖内に放流しましたのが百二万尾、それから県外移出の卵がゼロであります。なお、この三十三年においては支笏湖より移入しましたものが二百十万粒でございます。今申し上げましたように、湖内の放流が三十一、三十二、三十三年度、逐次ふえておりますが、これは先ほど申し上げましたように、十和田湖における漁獲努力が増大しましたことに伴って、やはり放流も多くする必要がある、こういうことだと思います。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではちょっと問題を変えますが、先ほどの長官の答弁では、青森秋田県当局と、移管することについていろいろと折衝をしておるということでございましたが、現在、青森秋田のこの種のいわゆるふ化場についての実情はどういうことになっておりますか。
  34. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ヒメマスにつきましては、現在その施設はございません。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、これを両県に移管した場合には、青森秋田が、かりに合同してそういうふ化場を作るかは別として、新たに施設を作るということになるのですね。そうすると、先ほど言われましたが、四百何万円ですか、一応三十五年度の予算を待っておられますが、これで十分いけるという水産庁の考え方でございますか。
  36. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもとしましては、この額でいけるというふうな考えでございます。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今日、青森秋田は、特に県としてはあまり豊かな県でないと思うのです。単に水産庁関係、農林関係のこういう問題だけじゃないのですが、政府から何か施設を委託されると、相当県自体の財源を持ち出さなければならぬという実例がたくさんある。この種に限って水産庁長官は県の持ち出しはないということを約束できるかどうか、この点一つ
  38. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもはこの問題につきまして、青森秋田に強制いたしたことはございません。ただ、話し合いをいたしまして、青森秋田両県としても、これは県として引き続きやって参りたいということでございまして、従いましてその施設につきましては、先ほど申し上げました四百七十五万円ですか、これは全額補助ということで参ります。ただ毎年の運営費は、従来国でやっておりました場合には百万円程度事業費はかかっております一今後それがどういう額になりますか、これらは秋田青森両県が協議してきめることと思います。まあ、額はこの事業から比べてそう過大である、非常に多額であるというふうには私の方はちょっと考えないのです。そこで、先ほど申し上げました、無理をして押しつけたというものでもございません。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、いずれの法律を作るときでも、政府の答弁はそうなっているんですが、その法律が施行をされると、各地方団体が非常に財政上負担が増してくるというこの実例は、各種の法律案にある。従って、この問題については、水産庁はそういうことはないと思われるかしれませんが、運営費といえども、相当ある程度かかると思うのです。従ってこの点は特に水産庁関係青森秋田に大きな負担をかけないように今後も運営についても考慮される余地があるかどうか、この点一つ
  40. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 最近五年ばかりの事業費を見ますと、これがずっと百万円でございます。ちょうど百万円程度でございます。これは、青森秋田移管を受けました後におきまして、両県が御相談の結果、大々的にやろうとされれば運営費はずっと増加すると思います。これは両県が一つ相談して、少なくも国がやっていた、現在程度やる場合におきましては、これ以上私どもは増額することはない、こういうふうに思っております。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国営でやられたときの、いわゆる事業の経営状態、採算状態、収入と支出のバランスの問題、これはどうなっておったですか。ちょっとお伺いします。
  42. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) これは特別会計をもってやっておりませんので、別に収入を立ててやるというふうには運営しておりません。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しかし、これについての収入はあることはあったんですか。その現状はどうなっておるのですか。
  44. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 先ほど山し上げましたように、三十三年には県外移出もございませんで、逆に支笏湖ふ化場から移入したようなことでございます。ここ自体としては収入はゼロでございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、国営でやった場合でも、相当国費でこれが経営されておったということがそこで明らかになると思うんです。これがまた県に移管されると、先ほど運営費年間百万円程度と言われましたが、これも百万円でなかなか済むかどうか、それは問題だと思います。従って、この点は問題は相当残ると思いますが、この点本日は質問だけにとどめておきますが、今後この問題につきましても、地方行政の諸君の意見を一度聞いてみたいと思いますが、この点は一応とどめておきます。  そこで、この十和田湖の内水面を利用して生活をしておる漁民は一体どれくらいおられるか、その点お伺いします。
  46. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 現在のところ五十九名ということでございます。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 五十九名というのは、これは世帯数ですか、どういうことなんですか。
  48. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私この辺はっきり承知しておりませんが、おそらく世帯数だろうと思っております。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、長官以外の力でもけっこうですが、この五十九名の漁民方々のこれが漁業だけで生活しておられるのか、あるいは兼業でやっておられるのか、その実情はおわかりないですか。
  50. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) ただいま五十九名と申しましたのは青森県の漁民が四十七名、それから秋田県の漁民が十二名ということになっております。多少その後異動があったかもしれませんが、大体そういうところです。ただ、専業ではないようでございます。ただ、これは一年中ヒメマスを取っておるわけではございませんので、ある時期にはきこりになったり、炭焼きをしたり、キノコ等を採集したり、そういうことをやっておるように聞いております。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ関連して、これの一年間の金額にして漁獲高はどれくらいになっておりますか。それだけちょっとお聞きしておきます。
  52. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私どもとしましては、平均一世帯当たり年収四万円程度というふうに聞いております。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題はこの程度にしておきますが、もう一問だけお聞きしておきたいと思いますが、先ほどの日本全国ヒメマスのこの卵の利用するところが富士五湖ということをちょっと聞いたんですか、それ以外にこういう内水面で、湖水でそういうところがこれ以外にあるかないか。ここに限られておるかどうか、この点一つ
  54. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私富士五湖と申し上げましたのは、言い方が正確でなかったわけです。おもに富士五湖と申し上げたつもりであったわけです。申し上げますと、昭和三十二年に十和田湖から移殖しまして、この年は四十万粒県外に移出したということを申し上げました。この湖を申し上げますと、本栖湖、西湖、青木湖、芦ノ湖、木崎湖、蔦沼、五十二湖というのがございます。そんなことでございます。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 数はどれくらいになりますか。
  56. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 九つでございます。ただ、これはヒメマスは適水温が相当低いものでございますから、摂氏八度くらいです、従ってどこの湖水でもいいというわけには参らないので、ニジマスより適水温の範囲が非常に狭い、こういうことでございます。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ最後に。先ほど鶴園君の質問にちょっと言われましたが、現在十和田湖で三人従事者がおると、一人は場長で、これは一般の公務員である。ところが二人は非常勤だということでございますが、それらの人々については本人希望によって、他の国家行政機関のどっかに変えたい、こういう意向でございましたが、それに間違いないかどうか。
  58. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 非常勤職員の二人につきましては、他の水産庁機関に配属せしめたい、こういうことでございます、本人希望もありますので。ただ、その点につきましては仕事関係もありますので、私どもとしてはせっかく今までふ化放流事業をやっておりますので、そういったところが適当ではないかとこういうふうに思っております。なお、本人希望等もよく聞きたいとこう思っております。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実際、長年ここで勤務をされておったと思います。しかも、特殊の仕事をしておられます。本人希望しておられると思いますけれども、これは十分考えてもらわなければ、要するにこれは廃止すると同時に、水産庁当局はそういう好意を持っておっても、本人から見ればやめなければならぬということになりかねないかもしれません。この点は十分に、二人だといっても、数が少ないからといって簡単に済まされないと思います。特に県の方でそういう事業場が、孵化場ができるという前提であるならば、相当優遇されて県と話し合いをするということもあります。これは本人希望であります。本人がいやだと言えば別でありますが、そういう一つ配慮をされるように、特にこの機会に希望いたしまして、本日の私の質問を打ち切ります。
  60. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  61. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、去る三月十九日予備審査のため本委員会に付託されました行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案常の説明を聴取いたします。
  62. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) ただいま議題となりました行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案の定案理由について御説明いたします。  今回提案いたしました行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案は、昭和三十五年度における各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務の増加に伴う所要の増員を行ないますとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行なうこととするものであります。  次に、法律案内容について申し上げます。  まず第一に、行政機関職員定員法の一部改正の部分について申し上げますと、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関職員定員の合計六十八万七千四百五十七人に対しまして、昭和三十五年度事業予定計画に伴い七千三十人を増加いたしまして、合計六十九万四千四百八十七人といたしました。票業予定計、画に伴う増員のおもなものといたしましては、科学技術の振興に伴うもの百九十三人、登記事務の増加に伴うもの百四十二人、国立学校の学年進行、学部の増設等に伴うもの九百十七人、郵便取扱業務量の増加に伴うもの二千七百四十六人、電気通信施設の拡張に伴うもの二千十一人、公共事業の増大に伴うもの三百七十一人等がありますが、いずれも業務増加に伴う必要やむを得ないものであります。  なお、事業予定計画に伴う減員のおもなものといたしましては、駐留軍提供施設等の減少によるもの七十五人、アルコール工場の払い下げに伴うもの百十二人、電信電話業務日本電信電話公社に移管することに伴うもの七百五十一人等があります。  第二に、法制局設置法の一部改正の部分について申し上げますと、法制局における法令案等の審査、立案についての担当官一人当たりの負担を調整して、その事務遂行の能率を高め、審査、立案の成果の一そうの向上を期するため、参事官二人を増員いたしまして、長官、次長を除く職員定員を六十人とすることといたしました。  次に、この改正法律昭和三十五年四月一日から施行することといたしております。  以上がこの改正法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  63. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。品後の審査は、これを後日に譲ります。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時十四分開会
  64. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する調査議題とし、航空自衛隊次期主力戦闘機の国内生産計画に関する件の調査を進めます。政府側出席方々は、現在、小幡防衛政務次官、今井防衛庁事務次官、門叶防衛庁官房長、前田大蔵政務次官、吉岡大蔵省主計局次長、新保大蔵省主計官以上の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第一次防衛力整備計画並びに第二次長期整備計画、それに関連がある次期主力戦闘機FXの問題は、昨年の国会においてずいぶん論じられたところです。その後、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約が、内閣の外交権のもとに条約調印が行なわれまして、今、国会に批准を求められている段階です。その後、FXの問題については、一月にアメリカから使節団が参りまして、政府側と何らかの交渉が持たれた。その交渉の経緯というものは、昨年の経緯からいって、行政府みずから進んで報告があってしかるべきです。ところが、本日まで報告がない。また、当委員会としても、所管事項が多い関係上、本日までその経緯を一度も問いただす機会がなかったわけです。一方、ただいま本院で審議している予算案には、膨大なる国庫債務負担行為として、その承認が求められているわけです。その内容についても、予算書並びに説明書を見ても明確でない点があります。それで、私は、先般国会法に基づいて、これらの問題について質問書を議長を通じて出したのですが、それに対する答弁書を先般受領いたしました。それはその答弁書なるものは、私の質問の趣旨に沿っていない。しかも、その半分しか答えていないという問題もあります。で、それらの点について逐次承って参りたいと思うのでありますが、順序としては、防衛庁長官から承っていくのが順序で、私は質問の展開の順序をそういうふうに組んでおったわけでありますけれども予算委員会関係で開会がうまく参りませんので、ただいま政務次官と事務次官がお見えになっておりますから、まずそこから承って、後刻防衛庁長官に承って参りたいと思います。それから質問の中段以後は、数字を答弁要求いたしますので、きょう午前中要求しておきましたが、十分数字の用意を前もってしておくようにお願いを申し上げておきます。  まず最初に承りたい点は、政務次官にお答え願いたいのですが、昭和三十四年の十二月二十二日の参議院内閣委員会における不肖矢嶋の質問に対して、先般文書答弁がございました。これは省議にかけられたものかどうかお答え願います。
  66. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 省議にかけたのであります。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では事務次官の方に伺いますが、この主力戦闘機種決定の問題は、河野一郎という政治家が日本の政界に存在していなかったならば、ロッキードじゃなくてグラマンにきまっておったのではないかと思いますが、あなたはどういう判断をされておりますか。
  68. 今井久

    説明員(今井久君) お答え申し上げます。あの際にグラマンが内定いたしまして、自来防衛庁で検討を進めて参っております。その間これについて十分重要な問題であるし、国民の間に疑惑が生じてはいけない、第三者がよく納得する必要があるというような意味で、当時河野総務会長からもお話があったのは事実でございますが、私どもといたしましては、先般来ここで御説明申し上げました通りに、事務的に検討いたしました。そしてグラマンがいいと、あの当時におきましてはグラマンを内定したという経過をとった次第でございます。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の質問しているポイントにぴしゃり合わしてお答え願いたいと思うのです。河野一郎という政治家が存在していなかったならば、FXはグラマンに決定しておったのではないか。私はそういうふうに判断する。あなたはどういうふうに判断しているか。もし私のこの判断を否定するならば、その理由を明確に述べていただきたい。
  70. 今井久

    説明員(今井久君) あの当時におきまして、私どもは事務的に検討いたしまして、グラマンがいいということで上司に申し上げ、そこで上司においてこれをお諮りになった次第でございますが、ただいま御指摘になりました河野総務会長がどうかというような点は、私は別段関係はないというふうに存じております。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺いますが、河野一郎さんからロッキード社の意見を聞け聞けいうときに、あなた方はそれをいやがったじゃないですか。そしてロッキード社の説明を聞く場合に、あるメン八丁で承ったところが、そのメンバーは不十分だからといってメン八三まで訂正せられたんじゃないですか。だから河野一郎という政治家がいなかったならば、当時の国会答弁からいっても、そういう事態に進展しなかった。昨年の六月十五日白紙還元になる瞬間まで、防衛庁内局はこぞってグラマンを主張し、防衛庁長官はその声を受けて国防会議に臨んでいるじゃないですか。だから河町一郎という政治家がいなかったならば、当時グラマンにきまっておったはずです、だれが判断しても。あなたはそう判断いたしませんか。グラマンに決定しておったじゃないですか。そしてもう少しロッキードの説明を聞こうと、こういうメンバーで聞けという圧力を受けたじゃないですか。速記録に載っているじゃないですか。なお説明を聞いたけれども、やっぱりグラマンがまだいいというので、六月十五日の国防会議まで防衛庁はこぞってグラマンを支持しておったじゃないですか、そしてロッキードになったごとに対しては、防衛庁は不満であったじゃないですか。昨年の八月二十二日衆議院の決算委員会で、この問題取り上げたのは、だれが取り上げたか知っていますか、田中彰治決算委員長が取り上げたじゃないですか。それを取り上げさしたのはだれですか、知っていますか。あれは河野一郎先生が、取り上げさしたじゃないですか。それはその経過は、わが党の山田長司衆議院決算委員会の理事から、当時私は詳細に聞いているのです。だから河野一郎という政治家がいなかったならば、昨年の八月二十二日の衆議院決算委員会はああいう形では開かれなかったと思うんですよ。これだけ明々白々たる事柄があるのに、どうして明快に答えられないのですか。結論として重ねて伺いたい点は、河野一郎という政治家が日本にいなかったならばFXの問題は、グラマンあるいはロッキードいずれが悪いかは私は論じませんよ。実際どちらが性能がベターかということも、いろいろ疑問点があると思う。グラマンにきまっておった。河野という政治家がいたがゆえに問題が錯踪してきて、今の時点でロッキードというものになっている。若干の経緯を知り、常識あるものだったら、直ちにそういう結論が出ますよ。あなたはそう判断していませんか、重ねて伺います。
  72. 今井久

    説明員(今井久君) お答え申し上げます。グラマンが内定しました後に、当時問題になりましたのは、御承知通りグラマンとロッキードの議論でございます。従いまして、この両者につきまして、性能その他についていろいろ議論がありました。こういう点についてロッキードがまさっている、グラマンがどうだというようないろいろな説がありました。私どもといたしましては、当時この仕事を進めて参ります上において、十分一般に誤解のないように、誤解があればこれを十分解いてよく説明をして、そうしてやっていきたいという気持仕事をして参りました。従いまして、その際にロッキードについて、こういう点がまだ調査が不十分であるというような点がもしあれば、十分それらの点についても調査をして、また聞くべきことは十分聞いていくということが必要であるという気持でこれを進めて参りました。当時私どものところへこれについてあるいは意見としていろいろありまするが、ただいま御指摘になりました河野総務会長も、そういう点について十分第三者に納得いくようによく話を聞いてやる必要がある。もしそういう点について開くことが不十分であるならば、それはいけないということでございますから、私どもとしてもロッキードの話も聞きましたし、グラマンは御承知通り十分調査いたしました。これらの調査を十分して、そうして納得づくでやるということで仕事を進めて参りましたけれども、私どもは今の外部のことについての影響とか、外部のものによって決定を左右するというようなことはもちろんないのでございまして、私ども仕事もそうして参ってきておるということが事実でございます。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは角度を変えて承りますが、河野一郎さんの言動がFXの問題に影響があったと思いますか。全く影響がなかったと思いますか。
  74. 今井久

    説明員(今井久君) 当時いろいろな方の、河野一郎さん初めいろいろな方の御意見は私ども十分聞きまして、そうして仕事を進めて参っておりまして、ただいま御指摘になりました影響があったかないか、これは私どもはむろんそれらの点も十分参考にして仕事をして参りましたが、決定そのものは私ども仕事として純粋に事務的に進めて参った次第でございます。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 河野総務会長と川島幹事長さんが、防衛庁は疑惑を受けている、けしからぬから防衛庁を除いた機関を作って検討する委員会を作れということを公言されましたね。このことは御承知ですね。お答え願います。
  76. 今井久

    説明員(今井久君) これはたしか一昨年の夏ごろと思いますが、当時グラマンの内定に対してロッキードの問題が起きまして、そうして価格の問題でいろいろ議論がございました。私どもの方で当時ロッキードの出しておりました価格についてもいろいろ検討いたしたのでありますが、第三者を納得させるという意味において、私どもだけがこれはこれでいいのだ、防衛庁だけでこれがいいのだということではどうかというようなことで、当時第三者の委員会を作って、そうしてそこでそういうことを検討したらいいじゃないかというような話があったことは承知しております。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の伺っていることに率直に答えて下さいよ。川島証人も言われているのですよ。防衛庁は「疑惑を持たれたのでありますからして、防衛庁の影響力のない委員会を作る必要があるのでありまして」、と、こういうふうに証人として証言されているわけです。こういう事実があったことは事実ですがね。これは防衛庁内局としては愉快な気持で聞いたのですか、不愉快だったのですか、どうだったのですか。時間がかかりますから、私の伺っていることに、ヒントを合わしてはっきり答えて下さいよ。防衛庁は疑惑を持たれているのだから、防衛庁の影響力のない委員会を作って研究する必要がある、こう考えて河野一郎氏と、こういってこういってと今井次官にこう指示した、広岡事務局長にこういうことを指示したということを述べられているのですね。事実としてあったわけです。それを内局として気持よく承ったのか、不愉快だったのか、不本意だったのか、どうだったのか、こういうことをはっきり伺いたい。
  78. 今井久

    説明員(今井久君) 私どもといたしましては、先ほど申しました通りに、第三者が納得するということがやはり必要でありますから、そういう委員会を作り、そこでちゃんとわれわれの態度が間違っていないことがはっきりすればいいということで……。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この話を、あなた方は愉快で聞いたのか不快だったのかというのですよ。その点をお答え願います。
  80. 今井久

    説明員(今井久君) その、防衛庁が疑惑を受けているかどうかというようなことは、ちょっと覚えておりませんが、委員会を作るという話が出たことを覚えておりまして、先ほど申し上げたような気持でおった次第でございます。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは頭がいいのに、時間かかってしょうがないですよ。防衛庁は疑惑を受けているから、防衛庁の影響力のない別途の委員会作って、検討する必要があると、こういうふうに要求され、言明されたことに対して、あなた方は満足したのか、満足しなかったのか、不満だったのかということを聞いているのですよ。はっきり答えなさいよ。
  82. 今井久

    説明員(今井久君) 疑惑を受けているということは当時私どもは、疑惑という言葉でありますが、私どもは別に、防衛庁は間違ったことはしていないという気持でおりますけれども、先ほど申し上げたように、第三者の十分納得がいくということでやっていただけるということならば、これは私はやっていただけばいいという気持で当時はおりました。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、大した不満な気持でなくて、そういうお説を承ったわけですね。お答え願います。
  84. 今井久

    説明員(今井久君) 委員会につきまして、そういう気持で当時おりました。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは、長官は何と本委員会で答弁したか御存じですか。何でそんな逃げ回った答弁なさるんです。当時の長官は、明確に委員会に出席されて、そんな、防衛庁を除外した委員会なんか作るのは反対だ、不満の意を表明している。はっきり意思表示されている。これは防衛庁をあげての意向であるということは、常識から考えてもわかりますよ。あなたは何か心暗いことがあるんじゃないですか。なぜこういう議論があったことに反論をしなかったのですか。当時の防衛庁長官が、そういう意見には従うことはできないということを答弁されている。あなたは、何ら、うしろ暗い点がなく、信念に邁進するならば、今まで研究している防衛庁にそんな疑惑を持つんなら証拠を示してほしい、いやしくもFXを決定するのに、防衛庁の影響力のない、防衛庁をオミットした委員県会を作ってやることはまことに不信である、それならばわれわれの首を切ってやってもらいたい、というぐらいな、公務員としての信念と誇りを持った発言がどうしてできなかったのですか。問題の最終段階に、ちょっと承れば、大した不満な気持もなくそれを聞いておった、大臣のこの答弁とは明らかに食い違っている。あなたに疑惑がかかりますよ、反駁できなかったことについて、いかがですか。お答え願います。
  86. 今井久

    説明員(今井久君) 防衛庁が断然なすべきことを他でやられるということについて、われわれとして十分な気持を持たないという点は、もしそういうことがあればあり得ることでありますけれども、あの場合、いろいろ第三者の意見、議論がある、そういうところで、われわれの検討、私どものやっております検討は大体間違いないと思っておりましたので、そういうところで第三者が検討してこれがやはり間違いないんだということになれば、そういう点で疑問が解かれるということは、私ども期待しておった次第でございます。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一、二問、この点についていたしますが、その当時、左藤防衛庁長官が本院で、グラマンでなくちゃならんという防衛庁の統一解釈なるものをるると述べられております。これは庁議に諮ったものだと思うのです。その後、川島さんとそれから河野さんの御要望があって事態が進展していって、その間にまあ飛行機の進歩、開発という点もあったのでしょう。そうして結論的にはそういうことになった。当時の行政府防衛庁の立法府に対する対処の仕方ですね、具体的に言うならば、答弁内容、そういう点から考えて、防衛庁を総まとめにしていく防衛庁の事務次官としては、まとめ役の事務次官としては、若干心苦しき、責任感というものを私は感じておられると思うのですが、その点の所感はいかがですか。
  88. 今井久

    説明員(今井久君) この問題は、非常に困難な問題でございまして、特に空幕が作業いたしまして、航空幕僚監部からわれわれの方に仕事が出て参りました。それを私どもの方で調整して仕事をやって参りました。その間におきまして、私ども昭和三十三年の四月におきましてはグラマンがいいということで仕事をして参りましたが、白米、相当の年月がたちまして、その間にロッキードの開発が進み、そうして各国でもこれを採用するというような気配になって参りましたので、私どもといたしましては、そういう点についてこれを白紙に返して、そうして新たに調査団を派遣してその決定に待つということは、時期がたっておりますし、しかるべきだと思います。ただ、私どもといたしましてずっと仕事をやっておりましたものといたしましては、そういう点についていろいろ問題が起きましたことは、私どもとして非常に遺憾なことであると存じておる次第であります。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三十三年の四月五日に津島防衛庁長官の時代に、グラマンに内定した。当時私は内閣委員会で追及したのです。しかし相手にされなかった。ところが、六月ごろから河野さんという政治家がこれに発言するようになって、そうして河野さんと関係ある田中さんが立つに及んで、問題は急回転した。だからこのFXの問題に、日本の政党政治家が大きな影響を及ぼして、専門家である防衛庁の庁内の意向だけできまらなかった。影響力があった。具体的に言うならば、河野一郎さんという政治家がいたことがよかったか、悪かったかは別として、グラマンにきまらず、ロッキードになったということは、経過からいって明白なんです、そういうことは。そのグラマンがロッキードになったことがいいか悪いかは別です。経過からいって、そういうことになったことは明確なんです。そこで、三十四年十二月二十二日、私はこの内閣委員会で文書回答を求めた。それに対して、これは庁議で出されたのだそうですが、多額の金額がばらまかれたという点については、当庁としては何らそのような事実はありません、これは私、信用しましょう、この点はね。しかし、第二項についてのこの答弁は、今の質疑応答からいっても私は了承できません。機種決定について、部外から圧力を受けたようなことはありませんと、そっけもない答弁書を出しておりますが、また、あったとは言えますまいがね。事実上は、ロッキード社のハルさんと会う機会の持ち力から、どういうメンバーで会うかということまで、あなたは電話口に何べんも呼び出されて注意を受けて、場合によってはしかられもしておるしかったということを、河野さんと川島さんは速記録に残しておる。あなたは、これの心理的影響はなかっということは絶対にありません、それをそっけもなく何ら影響なかったというようなことを答えておる点は了承できません。今あなたが申されたように、航空幕僚監部の責任がありしまょう、立法府に対しては。防衛庁内をまとめるところの事務次官としては、非常に苦慮されただろうと思うのです。公人、特に国の防衛などに携わる人は、出処進退とその責任を明確にすることは最も大切なことだと思います。だから、あえて伺います。あなたは防衛庁長官に辞意を表明している、そういうことを聞いております。防衛庁内では、いろいろのうわさが飛んでおる。一部には動揺もいたしておる。次の重要ポストのうわさまで起こっておる。あなたは防衛庁長官に対して辞意を表明しているかどうか、お答え願います。(「答弁の限りじゃない」と呼ぶ者あり)公人について伺っております。お答え願います。
  90. 今井久

    説明員(今井久君) そのFXの問題につきまして、いろいろ経緯がありました、その間、世上にいろいろこれに関する疑いと申しますか、そういうことを生じたことは、非常に残念に思い、遺憾に思っております。ただ、私といたしましては、その段階その段階におきまして、私どもの最善を尽くしていくということについて努力をして参っておりまして、ただいまも、この私ども仕事を進めていくということについて、私は最善を尽くしていきたいと考えておりまして、私が辞意を表明するとか何とかというのは、今申し上げる段階ではないというふうに考えておる次第であります。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁の留守番役は事務次官です。事務次官の手で庁内をまとめます。それで、各部局の調整をされるのは官房長です。その官房長は、立法府との関係では重要なるポストです。従って、この問題についての出処進退は、門叶官房長としては、今井次官と出処進退をともにされるべきだと私は考えます。そういう御心境だろうと思います。専門的な内容については、責任者である加藤防衛局長が一番責任者ですよ、何といっても。これはまあ、まだ加藤さんがお見えになっていませんが、少なくとも、この問題についての責任の所在に伴う出処進退は、今井次官と門叶官房長とは、おのずと軌を一にされるべきものだと、そういう心境にあるだろうと思いますが、これは重要でありますから、防衛庁職員が重大関心を持っておることでありますから、門叶官房長に伺いたいと思います。
  92. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) この飛行機問題について、いろいろ責任を問われておるわけでございますが、私たちといたしましては、先ほど今井次官からら御答弁がありました通りに、その時々最善を尽くして参っておるつもりであります。結果的には、あるいは大へん遺憾な点もあったかと思いますが、この問題について責任というようなことは、私としてはただいまのところ考えておりません。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今井次官が責任をとるならば、あなたも責任とりますね。その点を私は聞いているのです。今井次官が責任をとらないなら、あなたはとらない。要するに、この問題に関する出処進退は、今井次官とあなたとは軌を一にされるべきだと、かように私は考えておりますが、その点を伺っておるのです。
  94. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) これは、申し上げるまでもなく、今井次官は今井次官でありますし、私は私であります。私は私の信ずるところによって進退を決すべき場合があれば決したいと考えております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これでこの点の質問は終わりますが、くどいようですが、考え方を伺っておきます。これは防衛庁職員は、非常に重大な関心を持っている。私自身も重大な関心を持っている。今井次官はまず責任があるとして、この責任をとる場合、官房長は自分は人格は別だ、おれは責任がない、こういう態度をとられる場合もあるという含みを持ってお答えされているのか、もう一回その点をお答え願います
  96. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 私の進退につきましては、私自身の責任において処置いたしたいと考えております。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点の追及はこれでやめましょう。私の伺っているのは、あなたの責任においてというが、あなたの責任においてというその考え方は、どういう考え方に立っているか。庁内をまとめるところの今井事務次官、各部局の調整役としての官房長、立法府との関係の官房長、津島防衛庁長官、左藤、伊能防衛庁長官を国会において補佐して参られました官房長、そういう立場から、この問題に関しての出所進退をともにされる、そういう立場において自己の進退を自己の責任においてきめるという心境であるのか、それともそういうことを抜きにして、門叶という人格ある個人としてきめられるのかという点を伺っておるわけですが、その点について答弁を逃げられておるようですし、これはこれ以上もはや追及しない、今後の推移を私は見守っておきたいと思います。  次に質問を続けますが、私は三月の四日付で国会法七十四条によって、F104Jの年産価格に関する質問主意書を出しました。それに対して三月十一日付で回答がありましたが、これは当然防衛庁議にかかったものと思いますが、念のためにお答え願うと同時に、これは矢嶋の質問事項に対して答えていると、答弁を全うしているとお与えになっておられるかどうか、どの点が落ちたという反省を持っておられるか、それらの点がありましたら、この際承って質問を続けたいと思います。
  98. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) あなたの御質問に対する答弁は、庁議にかけてお答え申し上げております。大体お答え、いたしておると存じてお答えいたしておるわけでありますので、漏れておるというふうな点につきましては、また御指摘によって、もしありましたら一つお答えいたしたいと思いますが、われわれとしては、大体これで矢嶋委員の御質問には答えておるというふうに認めて回答申し上げておる次第であります。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺うと同時に要求をいたします。大きく分けて二つ。その一つは、三十三年八月ロッキード社から出された104C一機当たりは七十九万ドル、それが六月十五日の国防会議では百七万四千ドルとなった。これは国産化諸条件を考慮に入れて算出したものであるという説明をされているから、その明細書を添えて詳細に説明されたいという質問を第一にしました。その明細書というものがありません。これでは明細書になりません。若干わかりますけれども明細書になりません。ことに、この注一というところですね。イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へまで分けてありますが、こういうところの金額が示されなければ明細書になりません。きわめてこういう点不十分であります。これをさらに明細書を出していただくこと、それからもう一点非常に大きい点は、三十五年の一月F104Jの一機当たりの国産単価が百十二万ドル、こういう結論を出したというのですね。詳しく言えば百十二万八千ドルのようですが、予備部品を入れないでそういう数字を出した。これまた合理的な国産化諸条件を考慮に入れて出したというわけですね。だからこれの積算基礎について、明細書を添えてお答え願いたいといったところが、それを出していません。この答弁書を見て下さい。ロッキード見積もりという注一でずっと数字が並べてありますね。その横に国防会議資料として並べてあるでしょう。その右側に百十二万八千ドルと並べなければわからないわけです。この答弁書では七十八万九線何がしドルと、それから百七万四千何がしドル、それの比較だけをごく簡単に出してあるわけです。百十二万八千ドルの比較は載せていないわけです。直ちにこれの数字を入れていただきたい。それを承って質問を続けますから。部分品及び材料、ここのところだけちょっと数字を入れて下さい、今すぐ。
  100. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 第一点の御要求でありますが、これは七十八万九千ドルと百七万四千ドル、これにつきましては、注一でいろいろ御説明申し上げておるわけでありまして、その注の中で特に具体的に計算で示せということがありますれば、具体的に御指示を願いたい、かように考えております。  それから第二点の百十二万ドル、これは七十八万九千ドルと同じように項目に分けてありませんで、少し大きくくくってあります。この点につきましては契約前でありますので、あまりごまかい具体的な数字を出すことは差し控えたい、かように考えておるわけであります。
  101. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  102. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 順序がばらばらになりますが、官房長官に二、三点だけ伺ってまた他日伺うことにします。この国庫債務負担行為を求められて予算書が出ておりますが、かりにこの国庫債務負担行為が認められたならば、自後はどういう順序でものが処理されて参られるのか、手続並びに見通しをお答え願います。
  104. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) どういう具体的な場合か知りませんが、その範囲内において逐次予算化して参るわけであります。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 契約はどうなりますか。どういう閣議の申し合わせになっているか。
  106. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止
  107. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして、
  108. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) もし防衛庁関係のロッキードの製作でありますれば、二百十五年の夏を目途にして契約を取り給ぶということになっておるはずであります。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その契約はだれとだれが結ばれるわけですか。
  110. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 防衛庁と三菱でございます。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そのあとで三菱とロッキードが契約される、こういう順序ですか。
  112. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 三菱とロッキード会社とはその前にやるはずであります。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは、いつやられることになっておりますか。
  114. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 予算が確定いたしますれば、すぐやるつもりでありますということであります。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本年末ごろ三菱と防衛庁とが契約されるということですが、国防会議並びに懇談会では、主契約を三菱、サブを川崎航空とこういうふうに決定して発表されましたね。その川崎と政府防衛庁関係はどうなりますか。
  116. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ここにちようど装備局長がおりますから、装備局長から答えさせます。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 しかし、そういう点は国防会議で源田さんが報告されて数時間もたたないうちに、国防会議で主は三菱、副は川崎と発表されて何されているのですから、それらの点については、国防会議あるいは防衛関係閣僚懇談会で話がきまっていることだと思うのですが、あなたは承知していないのですか。
  118. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 御承知通り、懇談会で大体の話がありましたことは承知しておりますが、サブの方は三菱と川崎とがやる、防衛庁と川崎とは直接契約はやらないはずであります。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは主と副がどういう比率で仕事を分担するかということは、三菱さんと川崎さんの両社の話し合いできまるとこういうことですか。
  120. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) それは大体の原案を両社の間でまとめて、そうしてそれを防衛庁及び通産省の承認を三菱から求めて、そうして確定するそうであります。
  121. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その内容はどういうものになっているのですか。
  122. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まだきまっておらんようであります。
  123. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府側としてのお考えは一切なくて、新三菱と川崎が話し合いをされて出て参ったものについて、初めて政府側は考慮をめぐらすとこういうことですか。
  124. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) そういうことであります。
  125. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 うそおっしゃい。そんなことありますか。そんな白々しいことはやめましょうよ。天にかけてそんなことはないですよ。まかしておいて二人で話がきめられますか。装備局長記憶しておられるだろう。昨年の委員会で、赤城さんが三菱と川崎の両者できめると一度答弁したので反問したところが、そうでない、防衛庁が中に入ってきめるのだと、防衛庁と通産省がイニシアを持ってきめるんだと、そういう答弁をされたじゃないですか。だから、政府には腹案があるはずです。決して、両者が勝手に話をして案が出てきたものを、ただ政府側がオーケーだと認証を与えるというだけのものでないということは、昨年の質疑応答で、明確に関係大臣から答弁しておる。きょうの答弁は明らかに食い違っております。
  126. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) もちろん、その間に内面指導はするようであります。
  127. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その内面指導の方針はいかがですか。
  128. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まだきまっておりません。
  129. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 装備局長に聞きますが、いつそれはきめるのですか。あなたはいつきめるつもりですか。
  130. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 予算通りまして、技術的にどういう割合が一番能率的経済的にいくかということを検討いたしまして、三菱との契約の前にきめたいと、かように考えております。
  131. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そんなことはもう検討して、見通しは立っているのじゃないですか。予算が成立するのを待ってやりますか。
  132. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 予算が成立してから作業を始めたい、かように考えております。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今、作業しておりませんか。
  134. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) もちろん、こちらではいろいろ検討はいたしておりますが、まだ上の方まで話しておりません。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、あなたの検討の結果は、どういう案が適当だと考えられておりますか。
  136. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは、私個人の意見を申し上げると、やはり将来の契約に影響があると思いますので、差し控えておきたいと思います。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあ、それならそこは逃がしておきましょう。だいぶうそを言っておりますよ。  それでは、官房長官質問を返しまして、それでは政府と三菱が契約をすると、その契約は国庫債務負担行為が認められておりますが、国の財政の年度割り支出ですね、そういうものはどうだということを三菱と政府の案をもって契約しますかどうですか。
  138. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 年度割りについては、まだ大蔵大臣と協議が整っておらぬようであります。初年度の分だけは大体きまっておる、こういうことであります。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、三菱と契約するかと言っている。契約する場合には、年度別歳出化計画というものを示して契約しますか、示さないで契約しますかということです。
  140. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 三菱と契約をするときまでには、政府部内の意見調整を済ましてそうしてやるわけであります。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では、歳出化計画をきめて契約するということですね。で、初年度は幾ら契約する予定ですか、昭和三十五年度は。
  142. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 初年度は大体五十六、七億の予定であります。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、ついでに装備局長に伺いますがね、防衛庁としては三菱と契約するにあたっては、年度別支出計画案というものを検討しておりますか。草案というものを持っておられますかどうですか。
  144. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) われわれの検討は持っております。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その検討の交渉の現段階は、どういう程度ですか。
  146. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) まだ大蔵省と正式にはやっておりません。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これだけ膨大な国庫債務負担行為をきめて国会に提出するにあたって、そういう事務当局間の話し合いがなくて予算書に載せるというようなことがあり得るのですか。主計局次長、お答え願います。あ、政府次官おられる。大蔵政務次官
  148. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) お答え申し上げます。合計七百十五、六億に達しまする国庫債務負担行為の御承認をいただくに際しまして、その年度割をきめないで御承認を得るということは、まことにいかんじゃないかというお尋ねでございますが、できればこの年度割を明確にして御承認を得るのが私、本筋だろうと思います。しかしながら、まだ具体的に生産計画がきまっていないようでございまして、その点で年度割も示さずに御承認をお願いしておるわけでございます。なお、国庫債務負担行為の承認には、現在、T33とか、P2Vとか、F86Fとか、こういう航空機につきましての債務負担行為は、いずれも年度割を示さないで国庫債務負担行為の御承認をお願いした、そういうようになっておるようでございます。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次の質問を発する前に、大蔵政務次官防衛庁政務次官に伺いますが、ことに防衛庁政務次官にお答え願いたいんですが、衆議院の予算委員会におけるロッキード問題に関する価格を中心とする質疑応答に際して、防衛庁としてはあまり勉強をしていなかったと、答弁の仕方が適切でなかったという反省を持っておられるかどうか。速記録を見てさっぱりわからない。どれが本物やらわからない。その答弁次第で、私これから伺う点が変わってくるんですがね。どうなのか。この問題についての用意が不十分で、答えた答弁技術もまずかったと、こういう私は反省を持たれているのじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
  150. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) きっと長官がいろいろ御答弁されておると思いますが、長官の……。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官やら政府委員が答弁している……。
  152. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 政府委員としても、まああの当時精一ぱいの答弁をしておるわけですから、私としては、不足とか何とかいうことを今政務次官が判断してどうこうということは、ちょっと言えませんが、防衛庁としてはとにかく誠心誠意御答弁しておると……。
  153. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、そういう問題じゃなくて、数字が行き来しているんですよ。誠心誠意とか何か……。
  154. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと、こちらが発言中です。
  155. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 数字の行き来の問題は、いろいろ誤解のあった面で、あとで訂正したというふうなこともあったろうかと思いますが、しかし、はっきり答弁したものが完全に食い違っておるというふうなことでないと思っております。結局、やはり最後にお答えしたのが正しいものにだんだんなってきているというふうに私は判断いたしております。
  156. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっとあなた、無理はない、政務次官ですからね。それならば、一つ明確に答えてもらいたいが、官房長官に伺いますが、この航空機購入の国庫債務負担行為に「七百四十一億五百三十八万七千円を限り、昭和三十六年以降四箇年」と、こういうふうに承認を求めている。この七百四十一億五百三十八万七千円のうちに、ロッキード関係の国原債務負担行為は幾らと入っておりますか、正確に答えて下さい。
  157. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) 本件につきましては、政府委員からお答えいたします。
  158. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 四回くらい変わっているのですからね、正確に答えて下さい。
  159. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) ただいまお尋ねのありました七百四十一億五百三十八万七千円のうちにF104分は六百九十八億五百八十二万二千円でございます。
  160. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁、異議ありませんか。
  161. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 異議ありません。
  162. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 異議なしね。ロッキード関係はこれ以外に幾らか入っていますか。これ以外に入っていますか、入っていませんか。入っておれば幾ら入っておる、それも正確に答えて下さい。
  163. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) ただいまお尋ねが、航空機購入の七百四十一億のうち幾らというお尋ねでございましたので、ただいまお答えいたしましたが、ロッキード関係分といたしましては、そのほかに器材整備という項目で百三十四億七千九十四万円の金額が上がっておりますうち、ロッキード分が十七億四千七百八十八万四千円ございます。
  164. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さすが主計局次長だけあって、数字は、はっきりしておるようです。そこで、ちょっと質問を横にそらしますが、F86Fの改装される計画がありますが、これは防衛政務次官に伺いますが、いつから改装を始めますか。
  165. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 三十五年度予算からそのつもりにしております。
  166. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 やりますね。F86F十八機を三億六千万円かけて改装するということですが、相違ありませんか。
  167. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これはRFといたしまして十八機、三億二千六百万円、それからそのほかにカメラ、これが約二千八百万円です。
  168. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二千八百万円。で、官房長官お急ぎのようですから本論に返りますが、その前にちょっと聞きますが、この三億二千六百万円というのは偵察機への改装ですね、そうですね。二千八百万円というのは性能改装費ですか、それだけちょっと伺いたいと思いますが。
  169. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは偵察機に改装するものでありまして、そのほかに性能向上のものが二機あります。
  170. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二機。幾ら、金額で。
  171. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは約五千七百万円であります。
  172. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 五千七百万円。それはいつからやりますか。いつから着手しますか。
  173. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これも三十五年度の予算でやりたいと、かように考えております。
  174. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それらの所要予算は、器材整備国庫債務負担行為として求められておる百三十四億七千九十四万六千円、この中に計上されておりますね。
  175. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) RFの分のカメラを除きました分は航空機修理費であります。それからカメラは器材購入費、それから86二機の性能向上、これは航空機修理費に入っております。
  176. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三月二日の衆議院予算委員会赤城防衛庁長官は、この予算は国庫債務負担行為の中に器材整備の費用として計上してあります、と答弁しておりますが、この答弁間違いですか。三月二日衆議院予算委員会長官が答えている。これの予算は国庫債務負担行為の中に器材整備費として計上してあります、こう答弁されていますが、この答弁は間違いですか。
  177. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 器材整備の中の器材修理であります。器材整備費の中の器材修理……。
  178. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは国庫債務負担行為の中ですね。
  179. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) そうです。
  180. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 吉岡次長に伺いますが、これは財政法違反じゃないですか。三十五年度から始まるなら、これは継続費として出して年度割でぴしゃり出すべきじゃないですか。三十六年度以後ですね、後年度において支出増加になるならば、これは国庫債務負担行為でいいでしょう。しかし、三十五年度に現に偵察機として改装したり、あるいは性能向上に五千七百万円使う、三十五年度から始めるならば、当然継続費として三十五年度幾ら、三十六年度幾らと、こういうように予算審議を求めなければ間違いじゃないですか、明らかな間違いじゃないですか、次長いかがですか。
  181. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) 国庫債務負担行為として権限をいただきまして三十五年度中に契約をいたします。実際の支出は三十六年度以降になります。
  182. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ところが防衛庁の、三十五年度から始まるわけですよ。衆議院でもそう答弁している、今の答弁だってそうですよ。今から答弁を翻すことは許しませんよ。国庫債務負担行為というならば、三十六年度以後に国の負担がかかってくる場合に、三十五年度に事前に契約するために国庫債務負担行為……。ところが三十五年度に実際修理をして、そうして予算支出するならば、これは継続費として三十五年度幾ら、三十六年度幾らと年度割で予算書に出てこなければ間違いです。官房長官予算書を出しかえなくちゃならぬ、衆議院の予算委員会と参議院の今の答弁からいって、明らかにこれは間違いです。
  183. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) 債務負担行為として御承認を願っておりますので明らかなように、三十五年度中に債務負担行為をいたします。従って契約をいたし、実際の修理に着手する意味が不正確だったかもしれませんが、実際に修理を三十五年度中に始めるというのには、そういう意味の債務負担行為と申しますか、契約をいたすということだと思います。
  184. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 このF86F十八機を偵察機に改装するというのでしょう。これは三十六年度に終わるのですよ。何で防衛庁は……話を戻しますよ、そんなことを言ったら。何ですか。防衛庁伺いますがね、本年度F86を防衛庁は五十三機生産する予算要求をしているでしょう、いかがですか。今ちょっと資料見つからぬが五十三機だったと思う。
  185. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 四十三機であります。
  186. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 四十三機、四十三機本年度新たに生産をするのに、何ですか、これから何年間もかかって、三億五千四百万円もかけて、これを偵察機の改装をやるのですか。そんなでたらめな計画ありますか、政務次官お答え願います。むちゃくちゃじゃないですか。これから四十三機新たに作るんですよ。作るそばから国庫債務負担行為まで求めて、その飛行機を何ですか、一機二千万円以上もかけて偵察機に改装していくんですか。何と国民にそれを説明しますか。
  187. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 旧型のやつを改装するのだそうです。だからやはり伏務負担行為で一ついこうとこういうわけです。
  188. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 旧型のというと、それは供与を受けたのですか、国産したのですか、どちらですか。そんなことを知っていなくちゃ政務次官。
  189. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) 供与を受けたものです。
  190. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それじゃ国産のは偵察機には改装しないのですね。
  191. 小幡治和

    政府委員小幡治和君) いたしません。
  192. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 苦しいことを言っているね。国産と供与のF86の性能の相違をお答え願います。性能の相違。
  193. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 国産中のものは、新旧三の40型でありまして、今度偵察機に改造したいと思っておりますのは、旧型のものでありまして、計器配列が違っておる、そういうために編隊飛行とか、それから旋回行動を行なうときの性能が、幾らか新型より劣っております。それからその改装のおもな点は、前部胴体の武装及びこれに関連しますところの艤装をとりはずしまして、それから胴体構造に必要な補強改造を行ないます。それから写真機を三台。で全重量は若干軽くなる、こういうわけであります。
  194. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 官房長官が忙しいから、これはあとで追及しますが、そんなことはだれも国民は納得しませんよ。新たに予算要求しているもので四十三機、それ以外に今の時点からまだ十一機作る。昭和三十五年度において五十四機補充するようになっているから、きょうの時点から三十五年度末まで五十四機を補充するようになっている。一方では十八機三億五千四百万円かけて偵察機に直す。一方作るそばから、それ以外に性能向上のために二機、五千七百万円、五千七百万円と言えば一機二千八百五十万円かかるのですね。それ二機だけですか。F86Fは現時点において、あとで聞くが、三百四十六機あるはずです。これみな何かね、一機二千八百五十万円かけて性能向上をやるのですか。二機だけにとどまるのか、どういうことなんですか。
  195. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 二機はテストのために改造いたしまして、その結果によりまして将来考えたい、かように考えます。
  196. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすると、大体今持っている三百四十六機、この飛行機の数もあとで聞きますが、これらは一機大体二千八百万円ほどかけて性能向上をはかるということだね。大体そういう構想なんですね。
  197. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいま申し上げましたように、二機につきまして改造いたしまして、これをテストいたしまして、その結果によってほかのものについて改装するかどうかを決定いたしたい。ただし、これは全部を改装するということは、いろいろ使用上の、ミックスして使うという使用上の問題がありまして、全部を変えるということはあり得ないと思いますが、ある程度結果がよければ変えたいということは考えております。
  198. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあおそれ入った計画をやっているものですね。そこで、官房、長官に、質問を返えす前に承りますが、この偵察機の十八機の改装三億五千四百万円それから二機の性能向上の五千七百万円、この支出をするのは、いつと予定をしていますか。
  199. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 三十六年以降であります。
  200. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 防衛庁に承りますが、三十五年度から始めて、そんなに何ですか、一年も改装にかかるのですか。これは改装だけはするが、借金払いはあとでするということなんですか。
  201. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) この改装につきましては、現在ノース・アメリカンでいろいろまだ研究をいたしております。その結果によりまして、来年度の末ごろに大体契約を結びたい。それによりまして三十六年度にその改装のものができる。それに対して三十六年度に支払いをしたい、かように考えております。
  202. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 契約を来年の終わりころにするというのは、どういうことですかね。
  203. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 三十五年度の終わりごろということになっております。
  204. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三十五年度末に契約をしてそうして三十六年度に支出をする。ところが、改装は三十五年から始める、こういうことですか。答弁ではそうなりますがね。
  205. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 改装の準備は、契約をいたしますと同時に始めますので、三十五年度中から準備を始める、こういうことであります。
  206. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さっきの答弁苦しくなったので、変なことを言い出したですね。さっき私が聞いたときには、三十五年から改装を始めると言ったのです。契約もしないうちに改装を始めるのですか。あぶなくてしょうがないじゃないですか。契約しておいて作業が始まるのではないのですか。さっきは三十五年から改装を始めると言ったのです。そこで、国庫債務負担行為と継続費の関係を聞いておった。そうしたところが、今度は答弁が三十五会計年度末に契約をする。そうして支出は三十六年度にやる。だから国庫債務負担行為でいい。あなた方は何じゃないですか、防衛予算のトータルがふくれるのがこわくて、みな国庫債務負担行為、国庫債務負担行為とやって、そうして一千億になんなんとする国庫債務負担行為にかぶしてあるのではないですか。当然これは国庫債務負担行為でなくて、こういう予算は、防衛庁の本年度の予算の中に計上して、国会の審議を受けるべき性質のものでなかったか。千五百四十五億の防衛予算、その中に必要なものをプラスして審議を求むべきものではなかったか。それを国庫債務負担行為でみな逃がしてしまった。だから答弁が苦しくなっている。はっきりおっしゃい。いつ契約して、いつから改装を始め、いつ終わって、そうしていつ支払いするんだ、これをはっきり速記に残して下さい。
  207. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 三十五年度の末ごろ契約をいたしまして、準備は三十五年度の契約直後から始めまして、三十六年度にその完成を見まして、三十六年度に支出をする、かように考えております。
  208. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そのころはまた改装しなければならないことになるんですよ。今の改装計画をまた改装しなければ、使いものにならなくなってくるんです。まあ、それはまたあとで論じましょう。ともかく科学は進歩して、兵器は進歩しているのに、漫漫的で、こういうような金のむだ使いをされたら、かなわんですな、国民としては。官房長官がお忙しいから質問を戻しますが、官房長官、皆さん逃げて、うそばかり答弁しているんですよ。私が教えましょう。このF86Fの国庫債務負担行為、あなたの方と三菱さんの年度別歳出化計画というのは、ちゃんときまっているんですよ。三十六年度五十七億七千二百万円、三十七年度百七十億六千九百万円、三十八年度二百十九億七千三百万円、ふえますね、この三十八年度は。三十九年度さらにふえる。二百四十九億九千万円。このトータルが六百九十八億五百八十二万二千円、こうなっているんですよ。違いますか。防衛庁長官にお答え願いましょう。今のロッキードの年度別歳出化計画政府と三菱さんが契約するわけですが、その契約をするには契約の計画がなくちゃならない。この数字は違ってますか。
  209. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今、最初にF86とおっしゃったものだから、私そっちの方ばかり見ておったんですが、F104財政計画は、まだ大蔵当局と相談しておりませんからできておりません。しかし生産計画といたしましては、私どもの方としては生産計画の見通しはっけるわけであります。従って、それに伴って防衛庁側としては、大体お示しのような形で三菱と話し合った。こういうことでございます。
  210. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで今言った数字を話し合っているんですね。
  211. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、私F86Fのことばかり言っておったものですから、今そこをめくっておったので、その数字をちょっと聞き漏らしましたが、大体そうじゃないかと思います。お話の線だと思います。
  212. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 官房長官予算案をきめるときに、国庫債務負担行為としていまだかつてない膨大なものですよ。これを閣議できめるときに、こういう話を聞いたでしょう。一体国庫債務負担行為が、全部で九百十八億になっているんですが、その中にロッキード関係が、先ほど申し上げた六百九十八億五百八十二万二千円というのが入っているわけです。これを三十六年から三十九年まで出すわけですが、それをどういうふうに歳出化していくかというのは、重要問題でしょう。見通しが立つか立たないかということをきめなければ、国庫債務負担行為できめられぬと思う。そのときに、三十六年がさっき言った五十七億何がし、三十七年が百七十億六千何がし、三十八年が二百十九億七千何がし、三十九年が二百四十九億九千何がし、こういう話し合いが了解されているんでしょう。あなたがおっしゃられぬから、私の方からお教えするわけです。
  213. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) それはまだ了解されておりません。
  214. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 吉岡主計局次長に伺いますが、こういう数字を聞いたことでございますか。
  215. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) ただいまのような数字は、あるいは防衛庁内部で御研究の数字かと思いますが、私どもといたしましては、大臣が予算委員会等で御答弁申し上げております通り生産計画等なお検討さしていただき、また財政状況等ともにらみ合わせて、これから決定をすることになっておるのでございます。
  216. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次長も勇敢ですね。いまだかつてない一千億になんなんとする国庫債務負担行為、ひもをつけられる場合、あなたは次長だが、そのころあなたは主計局長になっていますよ。予算編成が大へんですよ。その将来見通した場合に、歳出計画も何も聞かないで、ああそうですがと言ってのんだのですか、のまされたんですか、どっちかお答え願いたい、常識でこれは考えられない。あなた方は、防衛庁のそういう担当官をずいぶんいじめているはずです。一体君のところは、生産計画はどうなんだ、予算化は毎年一体どのくらいわれわれに要求しようとするのか、それをあなたは何べんも聞いて、そうして判断しているわけです。それを聞かないで、ああそうですかというふうにやっているのですか。それだったら、昔の軍部が天皇の統帥権を背景に、大蔵官僚を押えつけて、そうして予算編成したのと何も変わらぬじゃないですか。そんなになっているのは常識上からいって考えられないことだと思うのです。吉岡次長の答弁を伺いたい。
  217. 吉岡英一

    政府委員(吉岡英一君) 一応中の年度割がどうなるかというようないろいろな試算はあると思いますし、われわれも聞いたことはあると思いますが、ただ、大蔵省なり政府として、はっきりきまる段階にまでは、まだ至っておらないということでございます。
  218. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問を急ぎましょう。じゃ防衛庁長官に伺いますが、この六百九十八億何がし以外に、関連費として十七億四千七百八十八万四千円というものを予算化していますね、国庫債務負担行為を求めていますね。これはもう今年限りですか。それともこういうロッキード関連経費としての国庫債務負担行為は、今後もまた出てきますか、どうですか。
  219. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  220. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  221. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 十七億余の国庫債務負担行為として、関連器材の費用を計上いたしております。これは三十六年度に歳出化する予定になっております。その後の点については、まだそれで終わるというわけじゃございませんで、その後についてまた検討する余地があるわけです。
  222. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 装備局長に承ります。この十七億何がしの関連費は、予算書にも出ているように、「昭和三十六年度において国庫の負担となる契約を」云々と書いてある。防衛庁長官はその後においても、関連器材費として国庫支出を要求するようになる見込みである。僕もそうだと思うのです。あとどういうものがあるのですか。それからどのくらい要求される見通しですか。いやしくもこれだけの契約をする以上は、大まかの数字は持っているでしょう。どういうことをするか、従って、どのくらいの金額があと、要求されるようになるかという見通しを持っているはずでございます。お答えを願います。
  223. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 種類といたしましては、三十六年度に要りますのと大体同じでありまして、これは部隊がふえるのに従ってその分がふえるということであります。私が考えておりますのは、そのほかに大体七十億くらい要るんじゃないか、かように考えております。
  224. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで大丈夫ですか。七十億の内容というのは、大体どういうものですか。おもなものをあげておいて下さい。
  225. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 教育用の機体整備器材、それから教育用の電子機器、整備機材、それから機体武器及び電子機器の整備機材、それから操縦者の個人の装具であります。これはヘルメットとか酸素マスク、そういったもの、それから訓練用の器材、それからシュミレーター、こういうものが入っております。ただこれは維持用の分は除いてありますので、一機当たりの維持用としましてそれに大体一機当たり五千七百万円程度要る。こういうように考えます。
  226. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの見通しの七十億円というのは、何年度において要求する予定ですか。
  227. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは昭和四十年度までにだんだん部隊がふえるに従って要求いたしたい、かように考えます。
  228. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一機の維持費は五千七百万円ですか。
  229. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 約五千七百万円であります。
  230. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 こういう点は僕ははっきりしていると思うのです。どうしてこういう数字が動くのです。かつて僕が本委員会で聞いたときには四千万円。衆議院の速記録を見るとだんだんと上がってふって、五千万から五千五百万ぐらいだというふうに塚本さん答弁している。そうして僕の見る限りでは、衆議院の最終的なあなたの答弁は、年間一機五千四百三十万円が維持費だ、こういうように答弁していた。だんだん変わってきた。  今五千七百万円という数字が出ましたね。はっきり答えて下さい。
  231. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいまの五千七百万円は間違いでありました。
  232. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どれがほんとうですか。
  233. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 五千四百三十万円がほんとうであります。
  234. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 頼りないね、これは。まあそれは五千四百三十万円、それを聞いておきましょう。それでは長官に承ります。長官、国産化率は幾らですか。
  235. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 間違えるといけませんから、装備局長から答弁させます。(笑声)
  236. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 機体は全部でありまして、機体材料部品でございますね、これは四〇%、それからエンジン、これは複座機の複座を除きまして全部国産、大体そういうことに考えております。
  237. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 F86F、T33A、この国産化率は幾らでしたか。いつも関連して問題になる数字です。御記憶だと思いますが……。
  238. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記を休んで。    〔速記中止
  239. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  240. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 F86Fは今までの本委員県会の答弁では七〇%の国産化率となっておるのですよ。どうして、今度のロッキードの場合、最終的な話し合いとして、四〇%と下がったのですが、その理由は何ですか。雇用の問題その他からいって、国産化率は上げたいというのが、通産大臣あたりの僕は考えではなかったかと思うのですがね。それがどういうわけで大幅に低下したのか、御説明願いたいと思います。
  241. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国産化するのに適当でない部分のものもあるわけであります。それから全体の費用といたしまして考えましても、御承知のように、国産化することは、日本の産業のためにはいいのでありますけれども、価格全体からいいますと、国産化する方が非常に高くつきます。そういう点から考えて、いろいろ勘案した結果、その程度に落ちついた次第であります。
  242. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうも私検討して、価格を下げるために国産化率を下げたように私は考えられる。あるいは、秘密保護法の関係があって、秘密保持の立場から、日本に国産化させられないというので、向こう側の意向が強くて国産化率が下がったのか、いずれかだと私は推測しておるのですが、いずれですか。
  243. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今お答えした通りでありまして一前段御示しのように、価格の点で、国産化率を非常に高めますと、価格も非常に高くなるという点もありますから、そういう点からの勘案も一つあります。それから秘密保護法というわけではありませんが、日本で開発していくには相当期間を要する、こういうような関係で、これを購入するといいますか、国産化でなく、購入した方が適当ではないか、こういうような点もあるわけであります。でありますから、二つの点から勘案した結果が、現在申し上げたような国産化率になっておるわけであります。
  244. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで非常に無理が出てきているのですが、それじゃ装備局長に伺います。私のこの質問書に対する答弁の四ページの注の二の(イ)のところにこういうふうに書いてあるのです。「機体の材料部品の国産化率及び国産化の際の値上率の見方が、ロッキード資料ではそれぞれ約二一%及び一・六倍、国防会議資料では、それぞれ二五・五%及び一・九倍であること。」そのためにロッキードが約七十九万ドルといったのが、昨年の国防会議では百七万何がしドルになったのだと、こういう説明をしているのですがこの二一%及び一・六倍、国防会議資料では国産化率二五・五%、そして値上率は一・九倍というこの数字はどういうことを意味するのですか。
  245. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ロッキード側で出しました資料によりますと、国産化率を機体材料部品につきまして二一%を国産化する、日本で作る。その値上がり率はもとの値段の一・六倍と、こういうことであります。われわれが国防会議資料に出しましたのは、グラマンなんかと同じような国産化率二五・五%をとりまして、値上がり率もグラマンと同様の一・九倍ということで国防会議に出しました。
  246. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすると聞きますが、国産化率の二一%の部分だけが値段が一・六倍になるのですか。それとも二一%国産化するから全体の値段が一・六倍になるのですか。どっちですか。
  247. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 二一%の分だけが一・六倍になる、こういう意味であります。
  248. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは聞きますが、もしこれを国産化にしないで〇%だったならば、この部分品及び材料というロッキードの見積もりの六十一万五千五百四十万ドル、昨年の国防会議の七十六万六千二百四十七万ドルは、国産化率を〇%としたならば幾らになりますか。
  249. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは部内に帰りましてもう一回計算し直さなければならぬので、今すぐに出ませんが、計算すればすぐ出ます。
  250. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 計算してごらんなさい。七十六万六千二百四十七万ドルというこの数字が間違いだというのがはっきりしてきます。ロッキードの六十一万五千五百四十万ドル、これは国防会議の資料では七十六万六千二百四十七万ドル、これが間違いだというのがはっきり計算すれば出てきます。私計算してこの数字を持っている。国産化率が二一%と二五・五%の場合としてある。だからこの〇%の場合幾らかということを計算してごらんなさい。それから二五・五%を出してごらんなさい。この数字が間違いだということがわかります。あわせて比較するためには、最終的に百十二万八千ドルとしたというわけでしょう。その百十二万八千ドルという国産化計画をしたものの詳細な資料を出していない。これはさっき言ったようにこの次までこの右側に数字を入れてきて下さい。そうでないと比較できない。ともかくいいかげんにしか値段がきめてない。綿密にやっていない。何とか数字を合わせようとやっておるから、ちゃんと計算すると食い違いが出てくる。この次までにこの僕の質問の余白のところを埋めることと計算してきて答えていただきたい。
  251. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 六十一万五千ドルの二一%の国産化を〇%にした場合百の計算は出しますが、脳につきまして七十八万九千ドルを同じような費目で提出しろ、こういうことでありますが、そこまでこまかく出しますと、契約前でありますので、われわれといたしましてはそのこまかい区分けを出すことを遠慮したい、かように考えております。
  252. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 なぜそれが悪いのですか。また逃げようとしておる。防衛庁長官に伺いましょう。防衛庁長官は現時点で価格を明確にしては工合いが悪いのは、どの部分とどの部分ですか。使節団と市ケ谷で話し合いをしたですね。その結果、今価格の内容をはっきり申したら工合いが悪いというのは、どの点とどの点とどの点ですか、お答え願います。
  253. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 詳しくは承知しておりませんが、こういう点があります。開発その他の費用が、ドイツとかベルギーとかオランダとかカナダ等においても、ロッキードを生産することになっておりますので、そういう共通の分について発表を差し控える面があります。そういう点は記憶しておりますが、その他の点についてはよく頭にありません。
  254. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ロッキードのハルさんは大したものですよ。ドイツとカナダは、日本より割高に売りつけられているから、今はっきりするとドイツ、カナダに工合が悪いから、日本さんしばらく待って下さい、こういうことだったのですね。
  255. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) その逆なのです。
  256. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 逆というと……。
  257. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) こっちであまり発表すると、向こうが高くなっているので、それを下げてくれと向こうからやられるので、それでこっちは得をしているわけですよ、黙っている方が。これは国際的にというか、商業道徳ですから、だから、私の方では発表しないで、安い方がやはり日本のためになると思って、発表しない方がいいのではないかと思っております。
  258. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それが僕はハルさんがうまいところだと言うんですよ。別の面であなたもやられている。日本に来てうまいことを言っているのだ。カナダとドイツにはもう少し高いこと売っているのだが、日本には安くしてあげるから、これがはっきりわかると西ドイツとカナダから文句が出て、負けろなんか言われては困るから、赤城さん黙っていてほしいと言われて、あなたは負けてもらったと思って喜んでいる。
  259. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そうじゃないんですよ。向こうはきまっちゃっている、こっちはさまっておらない、向こうはだからはっきりしているんですよ。
  260. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ドイツでしょう。
  261. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ドイツもほかも。しかしこっちはこれからですよ、だから、出せないでいるんですよ。こっちのために向こうが影響するわけはないんですよ。こっちがはっきり言えないという格好なんです。
  262. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それじゃ聞きますが、ドイツは開発費は幾ら出しておりますか、開発費とライセンスと、ロイヤリテーは幾ら出していると聞いておりますか。
  263. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今記憶はありません。
  264. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 おかしいじゃありませんか、ドイツより日本が安くなっているからほかに工合が悪いというのでしょう。それならドイツはどのくらい出したかというのです。
  265. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私一々商取引しているわけじゃありませんから、事務当局から何か……。
  266. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 装備局長に伺います。ドイツは開発費、ライセンス、ロイヤリテー幾ら払ったの。日本は割安になっているというがそうですか。
  267. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 正確に私ハルさんから聞いたのは覚えておりませんが、千何百万ドルだったかと思います。
  268. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 千何百万ドル、これは安いわ、ほんとうですか。これは僕の持っている数字とだいぶん違うのですよ。
  269. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 千何百万ドル……。間違いました、三千何百万ドル、こういうことになっております。
  270. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 約三千五百万ドルだね。そこで伺いますが、防衛庁長官に伺いますが、104Cと、104Gと、日本が使う104Jというのは、どういうふうに違うの、お教え願います。
  271. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ機能といたしましては、ドイツの104Gの方は攻撃川の点も含まります。こちらは攻撃的なことは考えておりません。そういうので、内部の装備等において違っている面があります。そういう点については、なお事務当局から説明させます。
  272. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 事務当局、説明して下さい、どういうふうに違うのか。
  273. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 104Cの方は、これは御承知と思いますが、全天候でございません。従って、搭載しておりますF・C・Sが……。ちょっとはっきり記憶しておりませんが、全天候でないものをつけているわけであります。ドツの104Gは、これを全天候にいたしましたナサールをつけております。大体ドイツの方は対地爆撃を一つの主たるねらいとしております。ナサールの構造がそれに適したものとなっていると承知しております。日本の採用しようとする104Jは、対地爆撃よりか、空中における防衛ということに重点を置きまして、ドイツの104Gのナサールを、対空用を主としてさらに改造したものを採用するという点が一番大きいように私は承知しております。
  274. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そう違いないと思うのです、僕は。そんなに違わない。ドイツはF104Gを爆撃専門に使うわけではありませんよ。爆撃専門のは別に持っていますよ。F104JとF104Gとはそんなに違わない。大した区別はないものと私は思います。西ドイツが三千五百万ドル支出して開発したなら、その開発後に買えば日本は開発費は出さないで済むではありませんか。西ドイツはいつF104Gができるの、防衛庁長官。そうして国産化は始めているのですか、まだ始めていないのですか、どういう工合にお考えになっていらっしゃいますか、西ドイツのは。
  275. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 詳しくまだ最近の情勢を調査しておりません。
  276. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ドイツは当初は六十六機を米国から購入するということになっておりまして、目下その製作をロッキードでやっております。まだドイツ自体の国産機は出ていない、かように考えております。
  277. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 西ドイツの試作機がいつできるというふうに承知されていますか。
  278. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ドイツの初初の国産機がいつできるか、はっきり私承知いたしておりません。
  279. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 のんびりしたものですな。西ドイツの価格との関係、ドイツが採用したから日本も採用するともかって中されました。昨年の本委員会における辻委員質問に対しては、ドイツはすでに国産していると答弁されて辻委員からしかられたこともあります。西ドイツの試作機は今年の秋初めてできる予定なんですよ。国産化どころの段階じゃないのですよ、まだ。西ドイツのF104GというのはF104Cの大改造なんですよ。大体重さがニトンから二トン半程度重くなるといわれています。それだけの大改造なんです。だから幽霊機なんですよ、今。だから今西ドイツが心配しているのは、そのF104Gができた場合に、はたして上昇能力とか、スピード等今まで通りの性能が保てるかどうか、御承知のようにロッキードの翼は短いですから、そうして独特の設計がなされていますから、はたして二トンから二トン半も重くなったGが飛べるかどうかという心配をしている。しかし、爆撃を専門とするんじゃないんですよ。ドイツは爆撃機は別に専門のがあります。迎撃も、偵察も目的としている。だから日本のF104Jの目的と比べた場合そう大差はない、防衛庁長官は敵が上陸して来た場合はF104Jで爆撃するとかって答弁されてました。だから、そのために照準機をつけることになっている、千トン爆弾を二個つけるようになっているのです。だからF104JとF104Gの区別はしろうとにはわからぬ。西ドイツは開発費を三千五百万ドル出している、百二十六億円ばかり出している。だからそれができ上って西ドイツのGの飛んだ結果を見てから日本が態度をきめるか賢明だと思います。安全であるとともに日本の支出は軽くて済むわけなんです。その点をロッキード社はうまいことを言っているわけですよ。上院の速記録を見てごらんなさい、問題になつたときロッキード社の社長は、米国会で次の内容のことを述べております。西ドイツ、日本、カナダに売りつけた、かくかく売りつけたことによって、国内の航空機産業はこれだけの黒字になる、これだけかせぐことになると言って演説されている。ちゃんとロッキード社は商いとして国会で答弁をしている。そういう段階であるのに、開発費を幾ら出すか、あるいはロイヤリティが幾らかということは、西ドイツとの関係で答弁できないと申され、私の国会法に基づく質問書に対して、契約進行中だから内容を申し上げることはできないと答弁されることは失礼だと思う。そういう答弁できない部分は残しなさい、あとは答弁書に数字を入れて下さい。米国支給工具、技術資料複製、企画サービス、輸送費、工具及び材料費等の項は全部数字を入れられるはずです。どうしても入れられない部分は、今防衛庁長官が言った開発費関係でしょう。西ドイツは約三千五百万ドル払っている。一機平均百十二万八千ドルにしたのは、この開発費のところを安全弁にしてきめていると推察される。将来増額要求されるおそれがある。そうして損をしないように、もうけるように数をはじき出しているわけです。そうして日本防衛庁はそこに雲隠れするのと、国産化率を四〇%にして、日本の雇用は下がりますがね、そういうところで値段を抑える、しかも関連費がまだ要るというので、約十七億円を国庫債務負担行為に持っていって、それで今度装備局長の言をもってしても、約七十億円別に要るというので、それも国庫債務負担金行為に隠している。そうして一機が、部分品を入れない額で約百十二万八千ドル、付属品を二割を入れて云々ということで、五億円以下だということで国民をごまかしているのです。こういう扱い方は、私は不都合だと思うのですがね。もう少し正直な数字をはっきり出して下さい。そうでない限り国庫債務負担行為、こういうものを認めることができない。  さらに答えやすい問題を、防衛庁長官にお伺いしますが、アメリカと日本の負担率は幾らになっているのですか。岸さんと藤山さんが向こうにおいでになったときに、アイクさんとハーターさんとさらに政治折衝をやったはずです。その政治折衝は成功したのかしなかったのか。結論的には、日本とアメーリカとの負担率は幾らになったのか、その点をお答え願います。
  280. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 何から何までこまかく一つ一つ部品にわたるようなものまで御報告することは非常に困難であります。まだ契約前でもありまして、それは無理だと思います。できるだけはまあ出したいと思います。それからアメリカの負担率は七千五百万ドルであります。総理及び藤山外務大臣から向こうに行ったときに話をしましたが、それ以上には上がりませんでした。アメリカ側が二八%、日本側が七二%、こういう率でございます。
  281. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことですね。どうしてそうなったのですか。今まで五〇・五〇の原則でして、悪くても六・四の比率にすると、国会のあなたの前の長官以来の答弁はそうなっているのですよ。五〇・五〇それが無理ならば六・四、六〇%・四〇%には持っていきたい、そういう答弁であったわけです。それがどうして三分の一さえ割った二八%、七二%と、こういう率になったのですか。
  282. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これはアメリカへ行ってお聞きにならぬとよくわかりません。アメリカの事情です。日本事情じゃありません。御承知のように五〇・五〇で非常によかったのでありますが、アメリカの予算が非常に減りました。それからアメリカの国会におきましてもアメリカ人のタックス・ペイアーに対してもそういう援助はできない、こういうふうな格好で、だんだん予算そのものが減って参りました。その予算の中からF104Cに対してどれくらい分担するか、そのコスト・シェアリングの関係でそうなったのであります。私を責めてもそれは無理です。アメリカの国会でお聞きなさい。私の方で折衝しましたが、残念ながらそういうことです。
  283. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから私どもはあなた方を激励しておいたのです。アメリカはずるいですよ、最初やるときは五〇・五〇で日本の自衛力増強計画を立てさせておいでおいでと連れていって、自民党の議員さんが地方で演説したときに何といったのですか。アメリカは半分持ってくれるからいいじゃないか、今飛行機を作ったらいいじゃないか、社会党の言っているようなことよりは半分出してくれるだけいいじゃないか、こういう演説を自民党の議員さんはぶっていますよ。そういう計画で、日本の年次計画と照らしていよいよ船が中流に臨んだころ、約束をぱっとけって、そしてその負担率を、日本の負担率を上げるというようなところは、非常に私は信義にもとる行為だと思うのです。その点で私はあなた方を激励したわけですよ、ひっかけられたような形である。それから、あわせてお答え願いましょう、だから国会で野党がしっかりしていないというと、与党にまかしては大へんなことになるということです。私は聞きたいけれども、昨年F86四十五機を返しましたね、アメリカから今まで供与された飛行機は百七十九機、そのうちにぶっこわれたのが十六機、教材に転換したのは九機です。それで昨年の正月にアメリカに四十五機返された。それは日本のパイロットがいなくて使えぬじゃないか、MSA援助の名によって返された。そのときに国会で、私は昨年の二月六日本会議で緊急質問をしている。当時の長官は何と答弁しましたか、そのかわりに全天候機のF86Dを日本は、当方から希望を申し述べ、「アメリカ側におきましても、その点については十分の協力を惜しまないと、かような話し合いもございまして、」と、当時の防衛庁長官が答弁している。伊能さんがおられれば、伊能さんの言葉ですから、……F86D全天候機をそのかわりに供与されるから、だからF86を四十五機返した、返す一方、日本の新三菱さんでは本年も四十三機作りますが、昨年も、三十四年度ですね、百六機計画予算化して、F86の昨年の予算要求は百六機でしょう、それで一万四十五機返した。そのかわりにF86Dを日本に供与できると、こういうことだった。そのF86Dは来ましたか、来ませんか。あなた方の答弁はもう信用できない。アメリカの態度もけしからんと思う、どうですか。
  284. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 野党がいろいろこういう席で質問したり、激励された結果、非常にいい影響を及ぼしている点も相当ある。たとえばF104の価格昨については、矢嶋委員などがこれは非常に盛んに質問されて、私の方も大いに馬力をかけて安くすることに努力いたしましたが、その点については大いに感謝しておるわけでありますが、しかし、これは御承知のようにアメリカとの交渉ごとで、向こうが向こうの予算を幾ら計上するかということは、アメリカの国会でありますし、アメリカ側としてどれくらい負担するかということも、アメリカ側のこれは考え方で、矢嶋委員のように、一人で自分で何でも取れるようなことを言っておりますが、無理であります。私どもとしてもずいぶん努力をしたのでありますから、努力しても向こうで二八%程度しか予算もないし、出さないということは、これはいたし方ないことだと思います。  それから86Fを返還しましたが、これも無償でもらったものですから、もらったからこれを返還するなといっても、いろいろな事情があって返還することは、これはあり得ることと思います。返還しましたが、そのかわりに日本でも生産し、あるいはまた86Dの供与を期待するということを前の防衛庁長官が御答弁申し上げております。その通りに86Dが供与されております。  それから、でたらめな答弁というのは、ちょっと違っていますよ、私はでたらめの答弁をしたことはないのですから、一つ御了承を願います。
  285. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは誠意があるから、意図ででたらめな答弁をするとは思いませんが、内容がでたらめだということですよ。去年はF86Dを援助期待額として何機を要望して、何機援助を受けたかお答え願います。数字を示せば明確です。あなた方の頭痛の種だから頭に入っているはずですよ、これは頭痛の種だから頭に入っているはずですよ。去年何機援助を期待して、何機援助を受けたかお答え願います。
  286. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 六十機を要請いたしまして、六十機をもらっております。
  287. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺います。本年度のF86Dは何機ありますか。
  288. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま五十四機でございます。六十機引き取りまして、そのうち消耗が二機ございます。教材用に四機回し、除籍いたしましたので、現在五十四機でございます。
  289. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その五十四機の数字は合ってるです。それでは三十四年の事業計画を立てる場合に、三十四年度末にF86Dは何機とするという事業計画を立てられましたか。
  290. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 第一次の防衛力整備計画におきましては、航空自衛隊の方は初めから相当おくれました。いろんな事情がございまして、これはたびたび当委員会でも申し上げておりますが、おくれましたので、この内容もいろいろ内部の実際の操作におきましては、変わっておるのでございます。当初は三十四年度におきまして七十八機ぐらい持ちたいという計画を持っておったわけでございます。しかし、予算を確定するときにおきましては、これは六十機ということにしたわけでございます。
  291. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そんな一般論でごまかしたって、だめですよ、加藤さん。あのね、三十四年二月二十日以往、防衛庁の資料としてちゃんともらってあるのを私はとってある。F86Dの三十四年度末機数は百六十一機。プリントにちゃんと出ている。あとの方はほかの機種も狂っているけれども、そんなに狂つないんですよ。これは非常に狂っているんです、これはね。四十五機を返したかわりに、F86Dを余分に供与を受ける、伊能防衛庁長日が本会議でちゃんと答弁している。これを計算に入れて百十一という計画をしたんです。ところが、F86を返したけれども、その見返りとして全天候のF86Dを期待しておったけれども、了解したけれども、実際その見返りとしてはこなかったんですよ。四十五機を取り返しただけなんです。そのためにほかも若干一般論からして狂っておる。これが狂って百十一機が今あなたが答弁されましたように五十四機というのは正確です。現在五十四機。五十四機にとどまっているわけです。だから去年の本会議における私への答弁なんかに言うのはうそなんです。アメリカからごまかされているんですよ、防衛庁長官。F86を四十五機返したときに、全天候のF86Dを差し上げましょう、こちらも希望し、向こうも了解した。国会で答弁したんだけれども、そいう見返りはこなかった。日本のパイロットが不十分だからというので、それだけ減らした。その減らす前に、あなたは議論したはずです。新三菱で作っている国産化計画のストップか、それか現物を返すか、新三菱で作られているのも、これはアメリカが五〇・五〇で負担しているのですから、その生産のストップか、供与のを返すか、こういうことです。ところが、アメリカは当時何と主張したですか。生産計画計画だからその通りやれ、だからFXが片づかなければ三十四年度、従来の計画を三十五年度に延ばせという。本年度四十三機、三百機の国内計画はそのままでいったわけです。そして供与の分を返せというわけで、四十五機を返した。そうして見返りはこなかったんです。こういう点なんかは非常に不審だと思うんですね。そこで、この経験から懸念されることは、防衛庁長官に伺いたいのですが、さっき僕が読みましたように、国庫債務負担行為を求めて二百機のロッキードの生産計画を立てますね。これは四十年の一月かに二百機そろえるようになりますが、大体その間に必ず計画変更が出てくる。F86Fでさえ偵察機に金をかけてやるというのです。今の状況からいって、この予算審で求められている国庫債務負担行為によるロッキードの生産計画は、昭和四十年までは絶対に持たない。性能的にだめになって計画変更をしなければならないことになってくると思う。そとのきに、F86Fと同じように、日米共同製作、アメリカはわずか二八%しか出していないのですが、共同生産という立場から、ぜひ作れというようにやられる。だから、それと結びついたロッキード社、さらにロッキード社と提携する新三菱さん、そういうところの提携で、必要でもない、性能的にだめになってすぐ返すような、改装費をかけて改装しなければならない飛行機を、ばかの一つ覚えみたいに、初め計画した通り共同生産という名目で作らせられるおそれがある。こういうことを考えるときに、この国庫債務負担行為による生産計画というものは、よほど慎重に再検討しなければならぬという結論が私としては出てくるわけです。F86の経験からそういうものが出てくる。この点は防衛庁長官どういうふうにお考えになっておりますか、最後まで二百機をやっていくつもりですか。
  292. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) F86を返したときに、その返した分に相当するもの、及びそれ以上のものを日本に供与する、こういう約束はありません。ただ日本が期待しておっただけです。返すときに、そういう約束はありません。
  293. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは防衛庁長官じゃなかった、伊能さんが防衛庁長官で、本会議で答弁している。
  294. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私それについてはよく知っておりますよ。六十機の要請に対して六十機供与を受けたということで、別にごまかしとかなんとかということではないわけです。それからF104C、日本でいうJですが、これにつきましても、別に命令されて作っておる、こういうようなことではありません。やはり日本防衛計画から必要を生じてこれを生産するということにし、それに対してアメリカが費用の分担をする、こういう格好であります。これが四十年度の最終年度まで今のままでいくかということでありますが、現在計画を立てております立場からいたしまするならば、その計画でいくということで、そのように言い得ることは当然だと思います。しかし、事情の変化は、これは将来にわたっていることですから、あることはあると思いますけれども、これが不要になるとか、こういうことは全然ないという確信を持っています。御承知でしょうが、何も日本ばかりこういうものを作っているのではありませんで、世界においても五、六カ国が作っておるというようなことでもありまするから、不要になるということがあるというふうには考えておりません。
  295. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと二、三点承っておきますが、米軍は沖縄、日本の飛行機をさらにコンベアに入れかえつつあるということは承知しておりますか。
  296. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 日本でもコンベアのF100にかえておりますから、沖縄でもそういうことはあり得ると思います。
  297. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三月四日付の日本の各日刊新聞にも出ていますが、板付ではコンベアが大部分になって、沖縄まで全部入れかえることになる、こういう事実も考えなければならぬ。それと関連して承りたいのは、セイジ組織昭和四十年ごろまでやるのですか、やらないのですか。あるいはセイジの小制止のハッジをやるのかやらないのか。それに即応するデータリンクですね、この装備はされるのか、されないのか、どういう計画になっておるのか、お答え願いたいと思います。
  298. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ハッジを装置するという考えでおりますけれども、まだ具体的にその計画ができておるというところまでいっておりません。
  299. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 装備局長さんにお伺いいたしますが、バッジ組織があるとしますと、データリンクを装備しなければならぬと思いますが、そういう考えですか。
  300. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ハッジ組織になればデータリンクは要ります。
  301. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 バッジ組織並びにデータリングの所要予算というものは、この国庫債務負担行為には一切入っていないわけですね。
  302. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 入っておりません。
  303. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 入っていないですね。じゃもしバッシ組織とそれに即応するデータリンクをやるとすると、およそどれくらいかかりますか。研究しておるはずですよ。
  304. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) バッジ組織に大体三百億ないし三百億要るんじゃ、ないかと、かように考えております。
  305. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 データリンクは一機幾らかかりますか、
  306. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 大体データリンクがやはり二百万ないし三百万。
  307. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一機ですね。
  308. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) いいえ、全部で、一機当たり大体一万ドル程度です。かように考えております。
  309. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一機当たり一万ドル、それならば三百六十万円じゃありませんか、二万ドルならば。
  310. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) でありますから二百万ドルないし三百万ドル。
  311. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ドルか、ものすごい金だね、どこまで金が要るのかわからぬね。それでは、もう二、三問で、長くなるから失礼ですから、終わりますが、今澄氏が三十四年十二月二十五日付で国会法に基づいて質問書を提出しておるが、それに対する答弁書、それから私の質問書に対する答弁書、さらにきょうの答弁を聞くと、支離滅裂ですよ。価格など幾ら金が要るものやらさっぱりわからない。アメリカはセイシ組織がある、少なくともその小型のバッジ組織につらなるデータリンクをつけておる完全全天候性のコンベアを採用しておるわけです。板付、沖縄の米空軍もコンベアF102を配置している実情であります。そうすると今度は日米安保新条約第四条、第五条、この関係からしますと、いざ事あって国土を守るというときには、第四条、第五条から日米空軍の協力行動ということが起こってくるわけですよ。そうなって参りますと、必然的に今皆さんが申されているセイジ組織、バッジ組織というものが必要になってくる。これは三才の童児にもわかる推論です。今澄委員の次のような質問要点、すなわちアメリカは国土防衛隊にコンベアを採用し、それでロッキードを第一線から退けて予備軍に転属させた、また日本地域にもコンベアが新たに配置されつつある、従って日本もコンベアを使ったらいいじゃないか、こういう角度がらの質問に対して、あなた方の答弁はF104A、F104Cは、わが国で装備しようとするF104Jと異なり、全天候性ではないものであるので、わざわざ改装してまで日本に配備する必要がないものとアメリカは考えたものと思うと、こう書いてある。それなら、日本の、あなた金を、日本の国の税金をかけて改装することはないじゃないですか。カナダがロッキードと契約して今改装しているというなら、その改装した結果をもって、その様子を見て買えばいいじゃないか、あるいはコンベアーを使ったらいいじゃないか、そうすれば新行政協定第四条、第五条に基づいての発動の場合、米軍も日本軍も都合がいいでしょう、あなた方の防衛計画を考えるならば。そういうことを考えてみると、全くそのつじつまが合わなくて、ともかく今何か興っておけばいいわというようなことで、一般会計予算と国庫債務負担行為に分離して、それからあと要るものをまた隠して、さっき私が言ったことじゃないが、国民においで、おいでおいでといってついていって川のまん中に行ったころに、手放されてどうにもならぬ、背に腹はかえられない、飯は三ばいを二はいに減らしてもいたし方ないわといって、われわれは予算の性格を変え、税金をたくさん取られるじゃないか、心配するのは、そういう点が計画的に見ていくというと目に見えているわけなんですね。それでこれは検討してもらわなきゃならぬという点が出てくるわけです。  あと二点になりますがね、装備局長に伺いますが……。
  312. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  313. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  314. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 後日の質問関係上必要だから申し上げておきますが、F104CをF104Jに改良する、そのために日本防衛庁の要求する性能を持つように、口約に合致するように設計変更をやるわけです。そのどういう点を設計変更するか、そうすると値段は幾らになるか、こういうことを話し合ったわけですが、その設計変更の概要一つ答えておいて下さい、どういう点ですか。――それじゃ私の方から聞きますから、それで落ちたらお教え願います。誘導弾二発以上搭載するようにすること、これやりましたか。
  315. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 誘導弾二発は104Cの場合も同様であります。
  316. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 後部燃料タンクをふやすこと、これやりますか。
  317. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) それも104Cで済んでおります。
  318. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 千ポンド爆弾二個を携行すること、これは。
  319. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは104Cにはついておりませんが、簡単な取りつけだけであります
  320. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それに伴う爆撃照準器をつけること、これやりますか。――一々課長かだれかに聞くようじゃ困るね、局長さん。これは市ケ谷で話し合ったのでしょうが、正月に二週間ばかり。そうして値段をはじき出したはずですよ。防衛庁長官、ちょっと困るね、これは。
  321. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 104Cに爆弾を積んでおりますれば、同じ装備をするということになっております。
  322. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 104Cは千ポンド爆弾二個なんか積んでいないですよ。だからそれは二個を積めば爆撃標準器をつけることになるのだな。そうだね。それも百十二万八千ドルの中に入っているのですね。
  323. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 入っております。
  324. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 M61機関砲を搭載するのは、M61機関砲は。
  325. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 104Cにはついております。104Jにもつける用意をしております。
  326. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 104Cについておる。
  327. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ついております。
  328. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あれは僕の調べた範囲内では、機関砲なんかは積むのはどうかというのは、アメリカでも非常に問題になっているのです。今のアメリカの104Cには、機関砲なんかつけていないので、M61機関砲なんかつけるのは時代おくれだ。ましてや、それをつけるように改造するなんというのは、とんでもないという見解があるのです、航空界には。ところが104Jにはっける。そうすると総計して重さはどのくらいふえる予定ですか。
  329. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 大体九百ポンド程度ふえる予定になっております。
  330. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 重さがこれだけふえますと、スピードの関係でありますが、かつて本委員会説明された性能を十分保持できるとお考えになっていらっしゃるかどうか。それと例の八千フィートの滑走路で十分だという結論を出されたかどうか、責任ある明快な答弁をしておいていただきたい。これは防衛庁長官に願いましょう。
  331. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 性能の変化もないし、八千フィートの滑走路でも間に合うと、これは確かであります。
  332. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 従ってこちらに施設整備云々という一般合評予算、あれに国庫債務負担行為を求められておりますが、これは滑走路を延長するような方面に使う予算は含まれておりませんね。
  333. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) F104JAの国庫債務負担あるいは関連等について、滑走路を延長するという負担行為は盛っておりません。直接関係は全然ありません。
  334. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後にこの私の質問の答弁書に書いてありますが、ロッキード社の見積りと国防会議の資料との相違のところで、開発費、これはロッキードの見積もりはなかったが、国防会議には一機二万五千ドル、合わして二百機で五百万トルというのを入れてあるのですね。かつてグラマンを新三菱さんとグラマン社とが見積書を合作して防衛庁と国会に出した案では、開発費というのは三百万ドルしか書いてなかった。ところが、ロッキードは当初皆さん方に価格を示すときには、開発費は全く要求しないで、今度昨年の証国防合八議であなた方がやるときには機二万五千ドルの開発費を見積もっている。それから新たにもう一つ加わったのは、日本側技術費、一般管理費利益というのは、これは一機九万二千八百六トル。九万二千八百六ドルというのは新たに加わっていますね。これ二百機で六十六億八千二百万円となる。日本側技術費、一般管理費利益、これはロッキードの見積もりにはなかった。ところが今度は五七万四千ドルの数字の場合に六十六億八千二百万円というのが出ているが、これは新三菱さんにあげるわけですか。と同時に最終的に一機百十二万八千ドルとなったのだが、あの一機百十二万八千ドルの場合にも、この日本側技術費という六十六億八千二百万円というのはふえたのかふえないのか。その点お答えおき願いたい。
  335. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 開発件二機当り二万五千ドル、これが当初のロッキードの見積りより国防会議の資料がふえておりますのは、註六にも書いてありますように当初はASG14をつけておったのを、これを全天候のエアロ13に変えるための開発費であります。それから日本側の技術費及び一般管理費、これは今度104Jの場合にも計上いたしておりますが、これより幾らか減らしております。
  336. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 六十六億に減らしてある。これは新三菱さんに行く費用ですね。
  337. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 大体新三菱に行く費用であります。
  338. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうするとFCS、フアイア・コントロール・システムは二重に入っておりますね。今開発費の二万五千ドルの中に入っておるとなれば、この部分品及び代別品、ここにも全天候のエアロになるというので、費用が入っておるわけだ。註二に書いてあるでしょう。それが後にナサールになるわけですが、そうすると二重、三直にフアイア・コントロール・システムに変えたという費用が入ってきておりますね。
  339. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいま申しましたように、ASG14からエアロ13に機体を改造するための開発費でありまして、エアロ13費そのものは部品費に入っております。
  340. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから二重三重に入るわけだ。このエアロをまたナサールにするからまたそれが入るわけだな。
  341. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ナサールをつけるために機体の改造が必要でありますれば、その開発費を別に計上する必要がある。ただしナサールにしました場合は、部品費としましてはエアロ13費をもちましてナサールの値段が計上される、こういうことになるわけであります。
  342. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 104Jはナサールをつけるのでしょう。
  343. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ナサールを  つけます。
  344. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすると機体を改良すればというが、する必要があるんでしょうか。
  345. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 104Jについては改造する必要があります。
  346. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 必要があると、その費用はどこに入っておる。
  347. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは固定費として全部掲げてあります。
  348. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だからわからんようにこれは私の答弁書を書いてあるんですよ。わからないように。そういうようにくるくると逃げられるように。だから私はこのロッキードさんが出した見積書とかつての国防会議が出した資料と、それから百十二万八千ドルに最終的になったそれが比較ができるように詳細に資料を添えてお答え願いたいということを国会法に基づいての質問書を出した。その線に沿っての答弁書を出していただきたいことを要求します。  それからさっきの保留しておりましたあのT33AとそれからF86の国産、わかりましたか。わかったらお答えおき願いたい。
  349. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) T33の第一次が約三〇%、国産化三〇%、第二次が四九%、第三次が約六〇%。
  350. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 平均は。内容的に平均して。
  351. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 平均して四六%、約四六%。それからF86が一次はこれは全部ノックダウンでありますが、ですから国産化はゼロ、二次が約五二%、一、一次が約七七%、平均いたしまして約六五%。それから矢嶋委員のただいまの七十九万ドルと百十二万ドルとの比較表でありますが、できますればわれわれといたしましては固定費、治工具費、機体製作費、官給品費、その他、これが七十九万ドルの中に非常に大きな部分を占めております六十一万五千ドル、これを分析しなければあまり意味がないと思います。そういう意味合いにおきまして固定費、治工具費、機体製作費、官給品費、その他、こういう区分けで七十九万ドルを出すことをお許し願いたい、こう思います。
  352. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あまりお疲れで御迷惑ですから、やめますが、さっきあなたは、エアロをナサールにする、それは固定費に入っているなんて、その答弁も間違っているのじゃないですか、固定費というのは。ナサールは官給品費に入れてあるでしょう。官給品費にね。それはちゃんと註四のところに書いてあるじゃないですか。FCSナサール型というのが書いてある。これは価格が幾らかということははっきりしないわけですよ。だから価格は適正にきめられたかどうかという点がはっきりわかるように、比較対照して出して、もらいたいと思う。問題はただ開発費なんです。開発費だけといっても、ドイツが三千五百万ドル払ってきたということは、大体はっきりしているのですよ。日本も幾らか出すというのだけれども、ここで国民も都合がいいだろりし、ハルさんもなかなかこれは商売人ですわ。そこに弾力性を持たすように、そうしてやっているわけです。これは明確に審議しておかなければ、この国庫債務負担行為というのは認められない。どうですか。赤城さん、最後の質問ですがね、これを一つもう少し――戦略論は、いずれやりたいと思うが、きょうは戦略論はやらなかったわけですが、この新安保条約に基づいての米空軍千六百機と、日本自衛隊の現在千百機ばかりあるのですが、その戦術戦略論は他日伺いたいと思うのですけれども、きょうは触れなかったのですけれども、これはともかく赤城さん、賢明なあなたとしては、たとえ国庫債務負担行為が今から急にできないから、予算で認められたとしても、その執行については、さらにドイツ、カナダの試作機、国産のその傾向度、あの開発された結果の飛行機の性能、そういう点を見届けた上で、そうして日本は支出するならするという角度から、僕は検討してしかるべきじゃないか。先ほど僕が申しましたような、こういう支出計画ですね、これで国庫債務負担行為がかりに認められたからといって、機械的にやるということは、後日に悔いを残すと思うのですが、この点をきょう最後に防衛庁長官に承って、きょうは長くなりましたので、質問を終わりたいと思います。
  353. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいまのナサールの問題でありますが、これはナサールをつけるための機体の開発費、これは固定費に入っております。ナサール自体は官給品費に入っております。その点、さっきの国防会議の資料も同様でありまして、機体部品費の中にエアロ13は入っております。それから開発費が別途二万五千ドル計上してあります。
  354. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 反問して済まぬが、固定費というやつがくせものなんですよ。これをもう少しはっきりするようにしなければ、私が伺いたいこと、わからないわけです。これに、全部固定費というものの中に隠れちゃうので、それをもう少し明確にしてもらいたい。ナサールをつけるための機体の改善費なんかというのを出したからといって、少しもロッキード社にも迷惑をかけないし、ドイツにも迷惑をかけることじゃないですよ。その点詳細に云々という質問書を出しているのですから、もう少し期待に沿うように出していただきたいと思います。防衛庁長官、御答弁いただきたいと思います。
  355. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御趣旨に十分沿うわけには参りませんけれども、非常に真剣な御意見として、よく頭に入れて検討してみます。
  356. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記をとめて。    〔速記中止
  357. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
  358. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、習志野演習場に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々は、赤城防衛庁長官、山下防衛庁経理局長、庄野農林省農地局管理部長、以上の方々であります。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  359. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間の関係もございますし、またお疲れのところでもございましょうから、簡単に要点だけを、御質問をいたしたいと思います。赤城長官には半分ごろでお帰りいただいてけっこうです。  これはこの間本委員会で御質問をいたしたのでありますが、現地の実情が、経理局長よくおわかりにならぬ点がありまして、そのままになっている点があるのであります。そのときに、私が質問いたしましたのは、今の習志野の演習場は二五二十町歩、七十万坪に足らない演習場でございますが、その三分の一足らずを使って、降下演習をやっているのであります。おそらく木更津から飛んできて、ここで降下演習をやられて、さらに汽車でお帰りになるのだろうと、こう思いますが、この降下演習に伴って、当初は五万九千坪の開拓地をさらに買収をして、拡大をしたい、こういう御計画であったのでありますが、この点につきまして、現地の開拓者あるいは周辺の関係者の農民等の意見も聞きますというと、これはもう少しこの降下演習を、すみっこの三分の一を使わないで、まん中を使ったらどうか。まん中を使うにはイペリットが埋めてある。そういう点もありましたし、また、射撃場も三カ所ほどございますが、この射撃場も使っていないようだし、それから非常に大きな防風林があるわけであります。これはむしろ防風林というよりも、木が植わったままに放置されているというくらいな、非常に広大な防風林がある。こういう松林を切るとかいうような措置を講ずれば、あるいはまた、関東各地の自衛隊がここで演習をやってるようでございますが、それとの関連を密接につければ、もう少しまん中でやれるのじゃないか。そうすると六万坪なんという拡張をしなくてもいいのじゃないか、こういう質問をいたしたわけであります。その後、このイペリットも掘り起こして処理されたようであります。さらにまた、この松林も、若干抜本をしておられるようでありますが、もう少しまん中でやるとかいうわけには参りませんですか。
  360. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お答えいたします。今お話しのような事情もあるように聞いております。端的にまん中でやったらどうかということでありますが、車両の訓練とか普通科の演習等もやっておりますので、どうしてもそのまん中を十二分に使うというわけには、今のところ参らないわけであります。そこで話は飛びますが、今お話のありましたように、六万坪近くを買収して拡張したい、こういうことで地元とも折衝をしておったのであります。しかし、今のようなお話等もありますので、三万坪程度として拡張したい、大体地主の了解も得ましたので、農林省に承認を求めておる段階であります。お話しのように、拡張しないでまん中でやったらいいに越したことはないのでありますが、どうもそういう降下の訓練もありますので、どうしても狭いというような事情になっています。狭いものですから、空挺団の降下訓練がしばしば場外に降下するということで苦情があるということも、私ども承知しているわけであります。結論としては、六万坪でなくて三万坪にして折衝をした結果、大体九九%交渉がまとまったので農林省に小誌を求めておる、こういう段階にあるわけでございます。
  361. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうしてもここのすみつこの方の三分の一を使ってやるということになりますというと、これは危険じゃないかという意見が非常に強いわけでございますがね。というのは、すぐこの降下演習陽の横っちょ、演習場に沿って成田街道が走っておるわけです。その成田街道のすぐ横っちょには六千六百ボルトという高圧線がありまして、それで今、冬の間は北風が吹きますから、今の第一次予定地、それから第二次予定地の方に流れて落ちる。そこで拡張されるというようなお話もありますが、これは開拓地に落ちる、あるいは農家の屋根に落ちる、あるいは降下物が落ちるというようなことが相当起こっておるのであります。さらに最近になりまして、夜間の降下演習をやるようでありますが、非常に危険だということをいっております。それで夏になりますと、今度は南風が吹きますからして、成田街道に落ちる、非常に交通量のひんぱんな成田街道に落ちる。さらにその成田街道の横っちょにすぐ六下六百ボルトという高圧線が通っているとこういうわけでありますので、危険だという意見があるのでありますが、これはまあちょっと長官にお伺いするには恐縮ですから、これはまあそういう意見があるということを申し上げておきたいと思います。  なお御承知かと思いますが、二の演習場の端っこの方、これは別でありますが、三万ボルトの高圧線が通っておるわけです。これは西風になりますとこっちへ流される。この三万ボルトの高圧線、しかもこれは演習場を通っておるわけですから、非常に危険だというふうに言っておるわけですが、これはまあよしまして、長官にお伺いしたいのは、この演習場は御承知のように明治の初年にできた非常に由緒のある演習場であるわけでありますが、当時と非常に変わりまして、今日降下演習、さらには関東各地の自衛隊が参りましてここで相当訓練をやっておるようであります。さらにまあ訓練も近代化されておりまして、この二百三十町歩というところでは狭過ぎると、長官も船橋へ行かれまして、広いほどいいというお話し、新聞記者会見でやられたようでありますが、広いほどいいということをおっしゃいますけれども、ここはもう住宅街になっておりまして、東京都から六里のところでありますから衛星都市になっておる。都心から六里、非常に近いところにある。明治時代の初年はよかったでしょうけれども、今日はもうすぐ東京都に近いところにある。その意味でこの二百三十町歩というものを拡大するということは非常にむずかしくなっている。しかし拡大しなきゃならないという要素は、これはもうだれが見ましても大きくあるのだろうと思います。それからもう一つは、こういう都市近傍に、きわめて都心に近いところにこういうものがあるということは、これは土地政策上からいいましても、あるいは都市対策上からいいましても、むずかしい段階になっているのじゃないだろうか、こういうように思っております。そういう点についての防衛庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  362. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話し承りますと、非常に近くにいろいろな施設があって、降下のためにも危険もあるように今拝承いたしております。私も現地は見たのでありますが、実はそう詳しく見ておりませんでしたが、お話を承って大体地元の情勢はわかるわけであります。そういう点でありますので、やはり先ほど申し上げましたように、中心地帯ばかりを使うというわけには参りませんので、やはり拡張を希望しておるわけであります。  そこで、都心に近い、東京都から六里ぐらいのところでこういう演習地を設けておくよりも、もっと離れたところがいいんじゃないかと、こういうお話でございますが、ごもっともでございます。しかし、なかなか、御承知のように、今新たに演習場なり、あるいは飛行基地等を手に入れるということが非常に困難な情勢にございます、おいおいは考えても。だんだんにある年月をかせばそういうことができると思います。現在といたしましては、やはり現在ある場所に、大して危険等がないような方法を講じながら、拡張をすべきものは拡張していくということが、現在といたしましてはやむを得ないような情勢でございます。そういうことでありますので、買収費等につきましても、都心に近いので、一般とは、非常に離れた僻陬の地とは違ったような価格で買収せざるを得ないし、またそういうような方法を講じておるわでございますが、お話のような理想的なものになかなかすぐにいきませんので、やはりこういうところを使っていくということも、またやむを得ないという考え方でやっておる次第でございます。
  363. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど申し上げましたように、非常にまあ住宅地が近接をして参りまして、都市近傍でありますので非常に住宅地が近接して参っております。拡張するには非常に限度がきておると思いますし、さらに非常に高度な訓練、近代的な訓練をやられるという点等からいって、あるいは土地政策なり都市対策等からいりて、こういう六里の近傍にこういう演習場があるというのは、明治の初年ならともかく、大正の初めならともかくとしまして、やはり大きな問題になり得るのじゃないだろうかというふうに思っておりますので、この点については一つ御配慮をいただくように願っておきます。次に、昨年の三月でありますが、約六万坪買いたいということで、農林省に申し入れをされた。で、その前からですね、買収したいという数年来の問題になっておる。従いまして、周辺の開拓地、あるいは開拓者は、普通の農家と違いまして経営規模も浅いわけだし、従って、まあさらに近傍にもあって、土地ブローカーが暗躍するというところで、不安定な状態に置かれておるわけです。さらに今回、防衛庁が数年来買いたいというようなことが流布されておりまして、いろいろまあ非常に不安定な状態になっておるようであります。また、開拓者も中にはもうすでに営農の気力を失って、そうして売り込みたいというような気持もないとはいえないように思っております。で、この辺に私は農林省としても、都市近傍にある開拓地が非常に多いわけであります。そういうものに対する施策の適当な面がなかったという点もありましょうし、あるいはまた、今防衛庁の方で数年来拡張残す拡張するというような話をなさいますというと、それだけやはり動揺が起きますし、土地ブローカーの暗躍も買うことになりますし、また、この際防衛庁に土地を売れぬようであると、土地の、農地の嘱託がむずかしくなる。だからこの際は一つ防衛庁に売って、そうしてこれからの農地転用の突破口にしなきゃいかぬ。橋頭堡にしなきゃいかぬというようなことすら、常識ある農業委員の間でも放言される。あるいは市議会においても放言されるというようなことにもなるわけでありまして、農林省の政策としても、あるいはまた防衛庁としても、せっかく国が緊急開拓ということで、国の重要政策として相当の金額をつぎ込んで開拓したわけであります、あるいは開拓者を入れたわけでありますが、それがこういうようなことで相当混乱に陥るというようなことについては、これは慎重な配慮が要るのではないだろうかというふうに思いますが、これに関連しまして、昨年の三月に約六万坪の買い入れを農林省に相談を持ち込まれまして、同じ年の昨年の十一月に三万坪に変更なさったわけであります。そこで周辺の開拓者としては、これはどうも無計画じゃないかということで相当動揺しております。六万坪ということであったが、それが三万坪ということになった。何かこれは無計画ではないか、さらにまた今回は三万坪続いて小出しにまた買収されるのじゃないか、こういうような不安定もあって、残った開拓者等が動揺しておる、こういう実情にあるように思っております。これは今後拡大されるというようなお考えはないものというふうにこの間承っておりますが、そういうことでよろしいのでございますかどうか、長官に念を押しておきたいと思います。
  364. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 経理局長より答弁いたさせます。
  365. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまお尋ねの買収の予定しておる土地でございますが、これを買収計画いたしましたのは、実は降下訓練をいたします際に、場外に落下するということがときどき起こりましたので、その危険を防止するという意味で農林省とも話し合いを始めたわけでございます。計数について申しますと、三十二年度の初めから三十四年の一月までの統計をとって見ますというと、降下いたしました人員が約八万三千名ありましたが、その中で約二%程度のものがこの場外に降下をいたしておる、こういうようなことであります。そして、この二%の中の実は大部分のものが今度買収を予定しておりますところの三万坪の中に落ちておる、こういうことでございます。従いまして、防衛庁といたしましては、もちろん六万坪の拡張が出来ればこれに越したことはないわけでございますが、ただいまお話がありましたように、非常に地下も高いところでありますし、しかも、都心にも近いということで、そういうところに演習場をあまり拡張するのはいかがかという配慮から、これを三万坪にいたしたわけでございます。三万坪にいたしましても、実績から申しますと、場外降下の人員の大部分は、従来の経験から申しまして、この中でもって処理できるということでございます。なお、残りの三万坪をどうするかというお尋ねでございますが、現在のところ防衛庁といたしましては、今回計画いたしております三万坪でもって一応十分と考えております。
  366. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この周辺の開拓者が心配いたしておりますのは、今おっしゃいましたように、この今の予定地に、場外に落ちる、降下訓練の人たちが落ちるということでここが買われる。ところが、最近になりまして、夜間の降下演習をやっておられる。夜間の降下演習をやりますというと、それが残りの第二次予定地になっておりますところに相当落ちている。そこで、これはどうもその第一次予定地に盛んに落として、第一次予定地を買って、それからさらに今度は夜間演習等によって、さらに第二次予定地の方に落として第二次予定地を買うのじゃないかと、こういう心配をいたしておる。これは私が先ほど申し上げましたように、北風が吹きますから、どうしても南の方に流れるというために第二次予定地の方に、この間の夜間演習のときには落ちたのだろうと思いますが、そういう気持はないわけですね。ここでいい、これでいい、第一次でいいんだ、これ以上計画はないんだと、よろしゅうございますね。
  367. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 先ほどお答えいたしました通り、現在のところでは、今計画いたしております三万坪で十分と考えております。
  368. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に伺いたいのは、これは今二十六戸ですか、二十六世帯ですか、第一次予定地に入っている、三万坪に入っているのは二十六戸だったと思いますが、これを買収するということになりますというと、かえ地、代替地等については、農林省としてはどういうふうに考えておられるか、あるいは防衛庁としてはどういうふうに考えておられるか。私前回質問をいたしましたときに、この演習場とは離れまして、畑の中に滑走路がある。この滑走路はコンクリートで作ったのじゃなくて、元防風林であったところを木を取って若干土を盛った程度の非常に簡単な滑走路になっている。これを開放されたらどうかという点を申したわけであります。さらに、演習場の中に水田が明治以来あって、これは相当長く、三百メートルくらい中にまで入っている、水田が入っている。この水田等もやはり開放されたらどうかというふうに思うわけですが、この滑走路についてどういうふうに考えておられるか、かえ地はないのですからね、この辺にはどうしても。そうしますと、使ってない滑走路ですから、この滑走路を開放されたらどうか。また農林省としては、かえ地としてはどういうふうに考えておられるか、周辺にあるのかどうかという点を伺いたいと思います。
  369. 山下武利

    政府委員(山下武利君) かえ地の問題につきましては、農林省の方がどういうふうな配慮をしておられますか、私としては存じ上げないのでございますが、買収価格等につきましては、十分地元と円満な交渉を続けたい、かように考えておるわけでございます。今お尋ねの滑走路は、場外にありますのでございますが、これを農地に開放してはどうかというお尋ねでございます。地元からもそういうふうな要望を伺っておる向きもございますが、防衛庁といたしましては、実は各駐屯地には、必ず連絡機用の滑走路が必要なわけでございまして、この滑走路も陸上自衛隊の使っておりますL機という一番小型の連絡機でございますが、こういうものが災害派遣等のときにぜひ連絡に必要だということで、どうしてもこの滑走路は確保いたしたい、かように考えておるわけでございます。ただ、地元の御事情等もありますので、防衛庁といたしましても、できるだけ相互の円満な解決をはかりたいと考えておるわけであります。現在陸上幕僚監部あるいは東部方面総監部等の意見を総合いたしましたところでは、習志野演習場の滑走路はぜひ確保したいという希望を持っておる次第でございます。
  370. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農林省はいかがですか。
  371. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 今問題になっております土地の中には、入植関係が二十六戸ございます。防衛庁から要求されている地域内には家はないわけでございまして、農地でございまして、そして区域外の家から通耕している、こういう状態でございまして、ただいま防衛庁から演習場の拡張として三万坪、約十一町歩になっておりますが、防衛庁が買い入れたい、こういう御協議がありまして、地元の御意向等も、今農林省としてはただしている段階でございますが、うち大部分は、大体防衛庁に売却することに異議ない模様でございますが、一戸が問題があるようでございます。で、この一戸の人は、やっぱり域外から通耕している関係で、また非常に精農家であるといったようなところで、その土地をぜひ確保したいというような意向があったわけでありますが、防衛庁なり、あるいは地元のみんなの意向等もあって、かえ地が確保できたらというような条件を出しておるようであります。そのかえ地について地味の同等なことそれから通耕に便な所、そういったようなところで何とかかえ地をあっせんしたい、こういうふうな考えで、周辺の開拓者なり、あるいは今問題になりました飛行場を、地元からは何とか開放してもらったらどうかというようなことも、防衛庁意見もございまして、開放できないわけであります。周辺の農地と交換するかどうか、そういった点で今地元に話しておるような次第で、防衛庁におかれても、こういう点にはやはり取得者としてあっせんしていただきたいということを言っておるわけでございます。われわれとしても、農民のことでございますので、ぜひ希望にかなうようにしてやっていきたい、こういう考えで折衝中でございます。
  372. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この滑走路は二町歩足らずだと思いますので、先ほど申し上げたような簡単な滑走路になっておるわけでして、すぐにでも農地にするならば、できるところであります。さらに水田がこれは約三町歩程度細長い水田が演習場の中に入っておるわけですが、これは明治以来の慣行として貸し付けられておるようでありますが、こういう水田の開放、それから滑走路の開放という点等についても、私ども十分配意いただくように要望したいと思います。なお、この滑走路については飛行機は使っていないのです。たまにヘリコプターが降りたりするようですが、それ以外は全然使っていない。飛行機は使っていないわけでありますが、ヘリコプターがたまに降りることがあるということでありますので、おっしゃるような何かコンクリートのりっぱな滑走路ではないわけでありますから、あるいは飛行機が使うような滑走路ではないと思いますので、そういう意味でこの滑走路についての開放についても、さらに一そう御努力をお願いいたしまして、以上で質問を終わります。
  373. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二十四分散会