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1960-03-10 第34回国会 参議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十日(木曜日)    午後一時十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   政府委員    内閣官房長官  椎名悦三郎君    人事院事務総局    職員局長    矢倉 一郎君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    文部政務次官  宮澤 喜一君    文部大臣官房長 天城  勲君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国家公務員制度及び恩給に関する調  査  (国家公務員法ILO第八十七号  条約に関する件)   ―――――――――――――
  2. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) これより内閣委員会を開会いたします。  国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題とし、国家公務員法ILO第八十七号条約に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々は、椎名内閣官房長官矢倉人事院職員局長鶴内閣審議官大塚人事院職員局職員組合課長方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 労働大臣が本日お見えになるというつもりで質問用意をしたのですが、都合で出席がおくれるようでございますので、幸い官房長官出席しておられますので、官房長官一つ質問したいと思います。新聞紙上なんかで見ますと、政府ILO条約八十七号批准に関して、いろいろと自民党内部でも問題があるようでございます。そこで、国家公務員関係として、官房長官考え方一つただしたいと思うのですが、ILO条約第八十七号につきまして、政府としてこの条約の総括的な認識、特に国家公務員に対する影響についてどう考えられておるか、官房長官一つ基礎的にこの点をただしておきたいと思います。
  4. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 国家公務員に適用あるものと考えております。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう意味質問じゃない。それは自後にいろいろ究明しますが、政府はこの条約尊重ということで、安保条約につきましても、非常に憲法に疑義のある問題でも押し通そうとされているのですが、ILO条約はすでにサンフランシスコにおいて平和条約が締結されたときに、すでに日本政府としてはこれを批准手続をとらなくちゃいけないというのに、今日までなおかっこの問題で論議があるようでございますが、その意味を実はただしたのです。私の舌たらずで答弁が食い違っておりますが、いわゆるILO第八十七号の条約に対する政府認識は、故意にこれを避けておるということも考えられますが、非常に認識が薄いと思いますので、十分認識しておるかどうかということ、それを一つ政府部内の動向をお聞きしたい、かように思っておるのです。
  6. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 昨年の二月の閣議におきましてILO条約国内法等整備ができ次第すみやかに批准するという方針をきめまして、自来その方針を変えておりません。昨年の末でしたか、今年の初めにかけて全逓のあり方等につきましても見通しがつきましたし、しかる上は国内法整備を完了して、そしてすみやかに批准をする方針で、ただいま手順を進めつつある状況であります。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ただいまのすみやかに批准手続をとる、こういう御答弁でございますが、今の予定では大体、確定日はわかりませんが、大体いつごろ国会批准手続をとられるのか、ての見通し一つ答弁願いたい。
  8. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 先般、総別も国会において四月を目途にということを言明されておるのでございますが、この総理言明趣旨に沿うて、ただいま諸般手続を進めております。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国会安保の問題で延期というような風説も流れておりますが、大体会期は五月の二十六日だと承知しておるのですが、四月といっても三十日の幅がありますので、それが非常におそく出されると、この審議についても相当問題がありますので、四月といっても何日という日の確定日はわからなくても、上旬であるか中旬であるか、あるいは下旬という大体その程度見通しは言ってもらわぬと困ると思うのです。
  10. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まあ一日から三十日まで三十日の幅がございますが、できるだけすみやかに手続を進めたいと考えております。ただいまのところ、はっきりしたことを申し上げられないのであります。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 われわれとして一応正確ではないが聞いておるのには、大体四月の上旬に国会に出る、こういう考え方でおるのですが、その点すみやかということは四月一日から三十日まで、そのうちのすみやかといえばおそらく四月三十日でないと思う。すみやかということは非常に幅の広い概念ですが、すみやかということは、われわれは上旬というように解釈しておるのですが、その点一つ政府の善処を願いたいと思う。そこで、先ほど私の質問にちょっと附をはずれておりましたがお答えになった中で、ILO条約八十七号については、国家公務員関係がある、こういう答弁をされたのですが、関係のある主たる条項について、どういうところに大きい影響があるか、その点を一つ答弁願いたい。
  12. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) たしか、国家公務員法九十八条の第二項に影響を与えるものと考えております。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 九十八条の第二項、私は記憶をよみがえしますと、八月の本委員会で、官房長官にもその点言ったのですが、なるほど九十八条の第三項に影響があるのですが、ただ影響があるということだけでは、新聞記事ではございませんので、われわれとしては答弁になっておらないと思うのです。どういうことで影響するのか、条項を、いわゆる第八十七号の条文のどれと国家公務員法の九十八条の第二項とどういう関連において影響をするのか、この点を一つ答弁を願いたい。
  14. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ILO八十七号条約は、申し上げるまでもなく団結権の基本を制定したものだと考えております。従って、その構成員あるいはまた役員選出等については制約を概して受けておらないものと考えておるのでありますが、九十八条の公務員法におきましては、構成員範囲役員選出等について八十七号条約と必ずしも一致しておらぬ。そういう点につきまして批准の上はこの条項改正しなければならぬ、少なくとも批准と同時に改正すべきものであるというように考えておる次第であります。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 改正するというならどういう……。条文まだ出ておらないのですから、そこまで聞こうと思いませんが、この第三項をどういう趣旨に変えていこうと思われるのであるか、その点を一つ答弁願いたい。
  16. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) どういうふうに改正するかというお話でございましたが、従来これに関する解釈の問題がございまして、はたして解釈でいけるか、それともこの際明瞭に疑問のあるところをはっきりさせるために改正する必要があるかというような点につきましては、ただいま慎重に検討しておる段階であります。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題につきましては、後日またいろいろ追及する機会があろうと思いますので、この程度にしておきます。全般的に見ましてILO第八十七号の結社の自由及び団結権の擁護に関する条約は、広範に現在存在しておる既存の日本公務員の各種の組合に対する法規、これから見ると非常にこの条約というものは、労働者公務員の人々の団結権なりそういうものを大幅に認めておる。逆にいうと、現在の日本国家公務員法なり、「あるいは地方公務員法その他の法律から見ると非常に制約されておる、こういう意味において改正されるということについては、われわれ大いに期待するし、また政府に義務があると思っています。ただ具体的に現在追究すると、労働大臣も見えておらないのですから、はっきりした答弁はできないと思いますが、基本的にこのILO条約第八十七号のこの趣旨というものを逸脱するというようなことがあってはならないと思うのです。それについての官房長官の、いわゆる政府を代表しての閣僚でないからというような議論がありますけれども、私はそういう資格の問題を云々いたしません。政府を代表した人として、この条約精神をもって改正に当たるというこの決意があるかどうか、決意というよりもそうするのが当然でございますけれども、そういう所存であるかどうかという意見を承りたい。
  18. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 政府を代表して政府決意を語れというような立場でございませんが、御質問趣旨に関しまして、私の存じておる政府の大勢と申しますかを申し上げまするならば、もちろんこの八十七号条約精神に忠実にのっとって諸般改正をしたいという考え方で進んでおる状況であります。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この改正国内法整備の問題について、一体政府はどこまで作業が進捗しておるのか、その程度一つ答弁願いたい。
  20. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 国内法律制度範囲はきわめて広範でございまして、公労法関係労働省鉄道営業法はいうまでもなく運輸省関係国家公務員の問題は各省庁ともに非常な関心を持っておる状況でございます。ただいまどの程度までというはっきりした尺度をもってお答えすることができませんが、毎日連絡し、それぞれの立場において鋭意検討調査をしておる状況であります。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど冒頭に、四月にすみやかに批准をするという答弁であったと思う。その前提から見ると、なるほどこの条約批准そのものは、これは簡単ないわゆる条約案として手続をとれると思う。しかし国内法整備は、今言われたように広範な国内法整備をしなくちゃならない。それによっては公務員に対する非常に権利を侵すような憂いもあると思う。新聞紙上で報道されておる専従問題にいたしましても、その他そういうものを見ましても、非常に制限するような、制約するような国内の法の整備というものが現われてこないとも限らない。官房長官はこの条約精神にのっとってそして国内法整備すると言っておられますけれども、国会審議においてはそうは簡単にはいかないと思う。従ってわれわれといたしましては、今鋭意調査をしておるという段階では、私が知っておる範囲においてはないと思う。相当それが進捗しておるという私の考えだけではなしに、各大臣新聞記者に発表されておる自信のある発表から見ると、相当自民党の内部なり、あるいは政府でその点の準備がされておると思う。従って私は、国会には一度に会期末にこの提出した法律案を、審議してもらいたい、でなければこの条約そのもの批准は少しは待つんだというような、こういうてんびんにかけた出し方をされては、せっかく政府がこの条約批准に踏み切ったのに、国内法整備審議が進まないということで、これがこの国会でお流れということになれば、重大な問題ですから、この意味において私は質問しておるのですが、官房長官として労働省ではこういう程度準備を進めておる。また、国家公務員に対しては総理府関係、あるいは地方公務員に対しては自治庁で、この程度の法の整備について進めておるということくらいは、きょうの本委員会である程度言明してもらいたいと思うのです。
  22. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 熱心に、この整備問題については、それぞれの立場において当っておることは事実でございますが、ただいま私はその制度改正進行状況を、具体的にこの席から申し上げかねますことを、はなはだ遺憾に存じますが、さよう御了承願います。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それなら官房長官として閣議のお世話をする役として、この条約批准によって影響する法案についての関係法案くらいは、おわかりだと思うのですが、その点だけでも一つこの席上で言明していただきたいと思います。
  24. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 公労法第何条でしたか、それから地公労法鉄道営業法、それから国家公務員法、これらの法律はそのおもなるものと考えております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公労法地公労法については、これは当然の問題ですが、国家公務員だけですか。地方公務員の方は関係は及びませんか。
  26. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 落としました。地方公務員法もございます。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ聞いておきますが、国家公務員法改正法律案、それから地方公務員改正法律案については、どの省庁が担当してやっておりますか。
  28. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 国家公務員法内閣官房に置かれておる公務員制度調査室において、それから地方公務員の方は自治庁でございます。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあと一間で終わります。これはもう今後相当長期間にわたってこの問題が審議されると思いますが、希望をつけて質問いたしますが、御存じのようにILO条約八十七号にいたしましても、第百五号にいたしましても、すべてILO憲章が基礎となってこれが出てきておるのですから、従ってその基本的な国際労働機構憲章というものを無視した形で、この八十七号なり、あるいは今直ちに問題になっておらないのでございますが、百五号、これらも十分考え政府法律国内法整備法律案に対してとりかかっていただきたいと思うのです。われわれは前提として申しましたが、この条約批准によって、今まで諸外国の公務員より非常に日本公務員については、きつい制約がある法律制約されてきた。従ってこの条約ができることによって、公務員に対して非常に大きい明るい一つ希望を持っていると思う。戦後ずっと政府の施策を見ますると、特に国家公務員なり地方公務員に対して労働三権を奪ってしまって、しかもそのかわり人事院を作りながらも、人事院は今日政府の隷属した機関のごとく運営されている。こういうことを考えますと、今日いろいろな問題が物議をかもしておりますけれども、こういう点は一つ政府は基本的に考えてやってもらいたい。政府組合でいろいろ問題があると、国家公務員関係組合で問題があると、その行き過ぎるとか何とかで処罰しております。しかし、処罰だけでは、こういう大衆運動というものはこれはおさまらない。また法律で、あるいは法規によってこれを押えようと思ってもだめなんです。西欧各国のいわゆる労働運動の歴史を見ても、それははっきりと実証されていると思う。従って法規で押えれば押えるだけ、反擬する力がこれは加わってくると思いますので、幸い今度日本でも歴史的にこのILO条約第八十七号を批准するということに政府は踏み切った。これを契機として政府公務員の、労働者に対する考え方というものを根本に変えて、そして明るい法規一つ作ってもらうように官房長官に特に要請しておきたいと思う。それに対する官房長官の所見を聞いておきたいと思います。
  30. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 御説の通りILO精神は、明朗なる労働秩序を確立するということに主眼があるのでございますから、これを批准いたしまする上は、百パーセントにこの精神に沿うて官民ともに努力しなければならぬ。政府もその趣旨におきまして十分に力を尽くす所存でございます。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三点伺います。まず官房長に伺いますが、六月のILO総会には、労働大臣岸内閣としては総会に派遣しますか、しませんか。
  32. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) まだその点はきまっておりません。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例年夏季ILO総会には労働大臣出席することがここ数カ年間の慣例になっておりますが、ことしは出席させない予定でございますか。どういう見通しですか。あえて伺っているわけなんです。
  34. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) いずれとも今申し上げかねます。いずれともきまっておりませんから。しかし慣例はできるだけ守る建前ではございますけれども、しかしながら、現実に六月に労働大臣を派遣するかどうかということについては、まだきまっておりません。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では裏から伺いますが、ここ数カ年間ILO総会には、ときの労働大臣が必ず出席しているのです。今秋が伺った理由は、その答弁が不明確なところから察すると、八十七号の批准手続が終了すれば労働大臣ILO総会出席させよう。もしそれが国内手続関係でできない場合には、ILO総会労働大臣出席さして、世界ヒノキ舞台で恥をかかせるのも気の毒だから、そういう場合には派遣をすまい、こういう下心があるのではないか。少なくとも例年のようにILO総会出席する以上は、今までの経過からいきまして、最近のまた理事会からの勧告等考えましても、この八十七号条約批准手続を終了した上でなければ、日本国労働大臣はジュネーブの土を踏むことはできない。お答えいただきます。
  36. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 別に、私が今きまっておらぬということを申し上げたのは、八十七号の批准とからませるというような政府に魂胆があるということではないのでございまして、全然白紙の状況である。しかし、数年の慣例でございますから、特別の理由がない限りにおいて、慣例は破ってはならぬものだと私は考えております。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺いたい点は、今までの経過からいって、八十七号条約国内批准手続も終わらないで、労働大臣総会に派遣するようなことはよしなさいということを言っている。少なくとも総会出席する以上は、それまでにこの批准手続を完了して、その報告かたがたでなければ、日本国労働大臣として世界ヒノキ舞台で恥をかくと思います。だから岸内閣としてはこの批准手続を早急に推し進めて、そうして労働大臣をここ数カ年間の慣例によって六月のILO総会に派遣すべきだ、こういう私の私見を加えて伺っておるわけです。その用意がありますか。もう一回お答え願います。
  38. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) もちろん、先ほどから申し上げるように、総理言明もございましたので、この線に沿うて極力これを百パーセント実現するように目下努めているのでございますから、六月の総会にはいわゆる公約をりっぱに実行して、労働大臣が晴れの舞台を踏む、こういうことを私も切望するものでございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうだとすれば、あなたの努力は足りないですよ。いつまで日本政府は逡巡しているのですか、このくらいのことをやるのに。世界の物笑いです。内閣提出法律案にかかる調整の役はあなたの職務権限です。あなたの手で内閣提出にかかる法律案は各省庁調整をされる建前になっているわけです。今まで調整が終わった分は、どういう点で、まだ調整ができていない問題点はどういう点にあるのか、おもなる点についてお答え願いたい。
  40. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 先ほど来申し上げているように、公労法地公労法等については労働省鉄道営業法については運輸省、それから国家公務員、これは公務員制度調査室地方公務員自治庁において、それぞれ熱心に毎日研究、調査を進めておる状況でございまして、今どの程度までいっておるかということまで申し上げる段階ではございません。しばらくお待ちを願います。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょう、出席願っているのですから、そういう点を質問されるということは、想定問答集にあるはずですよ。政府部内で調整の終わった部分、まだ未調整部分で重要な点はどこどこだ、そういう想定問答集を持っておいでにならなくちゃいけません。それが一番のポイントです。  それでは、少し具体的に伺いましょう。先ほどのあなたの答弁から、ILO八十七号条約国家公務員地方公務員にも適用するという意見調整が、岸内閣ですでにできた、かようにさっきの答弁は了承してよろしゅうございますね。
  42. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) よろしゅうございます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうしますと、四月中、できるだけ早く国会関係法律案を提出するということですが、国家公務員法地方公務員法改正案も含めて国会に提出される、こういうお考えでございますか。
  44. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) その改正を含めてであります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 われわれ承わっているところでは、政府部内の意見調整がなかなかできなくて困っている面があるやに洩れ聞いているわけですが、国、地方公務員にもこれを適用するという方針はきまりなからも、しからば、国家公務員法地方公務員法をどの程度これをいじるかという点になると、なかなか調整できないとなれ、ば、一カ月も二ヵ月も時間をずらしたら、国会は末期になってしまうと思います。そういうことをあわせ考えるというと、先ほどちょっと言葉にも出ておりましたか、ILOの八十七号条約と非常に密接な関係のある公労法地公労法鉄道営業法、とりあえずこの三法律改正案を一応提出して、政府部内の調整できないものは次回にというような、そういう提出形態があるという場合も予想されるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  46. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) その点は、問題は不可分であると考えて、あまり小きざみにやるということになりますと、いろいろよけいな紛糾を招く、また混迷を来たすおそれもありますので、政府といたしましては、この際、できるだけそれを総合的に取り扱っていきたい、こういう考えでおります。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで懸念される点を伺うのですが、総合的にやりたい、総合的にやろうとすれば、政府部内の意見がなかなか調整できないというので、ここ数カ年間足踏みしてきているわけです。その結果として、この国会条約批准手続がとられない、法案、か出てこない、こういうようなことはあってはならぬことだと考えるのですが、ともかく四月のできるだけ早い機会批准を求めるということだけは、これは確答、お約束できますね。念のため承わっておきます。
  48. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 問題は、国内法整備と不可分の関係において取り扱っていきたい、こういうふうに考えている、その従来の方針をそのまま実行していきたいという考え方でございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、国内法整備が、政府部内において意見調整ができないような場合には、あるいは八十七号条約批准を求める案件国会に提出されない場合もあり得る、こういうお考えですか。
  50. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) その点は、政府としても非常な責任を感じており、昨年の二月の閣議においてすでに決定していることでもございますし、それからまた、先般国会において総理大臣も四月を目途として上程するということを言明しておるようでありりまから、その点は一つ御信頼を願いたい。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点伺いましょう。この労働慣行慣習、こういうものは尊重すべきだと思うのですが、官房長官はどういう御見解か。わが国労働者労働条件は必ずしもよくない。非常に不当に悪い点も多々あります。しかし、いかなる国でも官界といい、民間といい、労務管理というものに非常に力こぶを入れてきておるのです。わが国においても民間会社といい、あるいは官庁といい、労務管理というのは非常に大事なのだと思うのです。そのためにはいたずらに労組を刺激するような政策をとるべきでない。弾圧あるいは抑止政策等は、決してその当を得た政策ではないと思うのです。そういう立場から長い間築き上げられて参りました慣習慣行というものは、尊重し、労働者既得権というものは守るという立場で、労働政策というものは押し進められておると思うのですが、この基本的な考えについては、官房長官はどういうお考えを持っていらっしゃるか、それを承っておきたい。
  52. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 何ごとによらず慣習慣行はこれは尊重していかなければなりません。その意味においては労働慣行慣習はもちろん尊重すべきだと思いますが、しかし、悪い慣行も中にはあります。そういうものは、やはりよき慣行慣習に変えていくということも、これは怠ってはならぬと考えます。具体的にどういう問題をさしておられるのか、私もよく存じません。その方面の担当でもございませんから、ただ一般的な考え方として申し上げておくだけであります。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その悪い慣行というのは、別にどういうものがあるということは、あなたは御存じないということなのですか。もしあったとするならばということですか。別に悪い慣行があるということを具体的なものを知っていらっしゃるわけではないのですね。
  54. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 私は具体的な問題をさして言っているのではございません。慣行慣習はおおむね守るべきものであるけれども、中には改めなければならぬ慣習慣行もままあるので、そういうものは改めるということに、ちゅうちょしてはならない、こういう一般的な考え方だけを申し上げておるのであります。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは具体的に一つ聞きますが、まあそれぞれの国情により、いろいろな歴史的な過程をたどって慣行というものはできて参るものです。そこに既得権というものも生ずるわけです。だから一方的に見て、それが悪い慣行云々だというわけにはいかぬと思うのです。ある国にない慣行わが国にある、だからこれはあまりかんばしくないからやめるのが至当だ、そう即断されるべきものでないと思うのです。具体的に一つ伺いますが、労働組合の在籍専従の問題ですね。これを一部撤廃したら、全廃したらという意見があるということを、われわれは仄聞するわけです。ところが、先般本委員会人事院総裁が答弁されておりましたが、国家公務員関係ではそういうことは問題にならない。一切必要はない。このままでけっこうだと、こういうように本委員会人事院総裁は数回にわたって答弁されているわけです。平地に波乱を起こすようなきわめて刺激的な発言が政府部内の一部からあるということは、まことに遺憾だと思うのですが、かりに在籍専従全廃というようなことになりますというと、八十七号条約批准を契機に、ある角度から労働組合を抑止する、その活発な活動、発展にブレーキをかける、労働者にとっては好ましくない結果が八十七号条約批准に、いわばあなた方の立場で言うならば、報復的手段と言えるかもしれないけれども、とられるということは、広い意味で言うならば、これはILO条約の基本的な精神に反するものだと思うのですね。だからかりそめにも、そういうことは私はあってはならないことだと思います。これらの点については、人事院総裁の見解は私は正しいと、かように思っているわけですが、官房長官はどういうお考えを持っていらっしゃるか。岸内閣は在籍専従を全廃しよう、八十七号条約批准するかわりに、専従者関係にうんとワクをはめてそうして一つ押えつけるよう、こういうような考えがあられるのかどうか。あるとするなら、は、これはゆかしいことだと思うのですね。そういう政策をやる政権に、日本労働者は心から心服し、協力することができなくなると思うのですね。これは日本労働者並びに日本国にとって、まことに不幸なこと、だと思うのです。ILO精神にも反することだと思うのですね、だから特に私はこの点を伺っておきたいと思うのです。
  56. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) お互いに相侵さない、そのかわりお互いにまた利をもって誘惑しないというILO精神からいうと、むしろ専従制度というものは、その精神に沿わないのではないかという意見も私は拝聴しております。その点は今お話の趣旨とは全く正反対でございますが、しかし、そういう問題の論議は、この際しばらくおくといたしまして、一体この慣行慣習として、これはもしこの八十七号条約というものに禁止しておるなら別問題だが、必ずしも禁止しておらぬというならば、その精神にたとえ沿わなくとも、いわゆる尊重すべき慣行としてこれを認めるか認めぬかというような点が問題になっておるように私は考えております。その点につきましては、人事院総裁も意見を述べられておるようでありますが、政府といたしましては、目下この点については慎重に検討中でございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回、私の意見をちょっと申し上げて、重ねてお答え願いたいと思うのですが、私は日本の労働組合の実情、それから過去の生い立ちの経過から考えて、在籍専従を認めることが、組合が健全に発達する、そうして使用者あるいは政府側から考えるならば、労務管理がより以上にうまくいく、こういう見解が私は成り立つと思うのです。それに反して今までの経過というものをここに二郷して、そうして在籍専従を全廃するということになれば、これは日本の労働組合がようやく健全な発達をすべく芽を出し成長しつつある現段階に、芽をつみ切られるような形になってくると思うのですね。また、他の面から考えるというと、労務管理が適正にいかないという事態も起こる可能性が私は多分にあると思う。だからこういう点は労働慣習を尊重するとか、既得権を尊重するとか、特にその国々の実情に即して最も有効適切な方法をとらなければならぬと思うのですね。で、私は願望を含めてお伺いいたしたいことは、この際在籍専従を全廃するとか、専従者の問題を抑制するような政策をとるとか、そういうしゅうとが嫁をいじめるような考え方で、刺激的な言動をなされることなく、ILO精神の大きな立場に立って、すみやかにこの条約批准手続を完了するようにされたい、かように私は思うわけです。で、この点は要望を含めて、もう一ぺん一つ官房長官にお伺いします。そういう立場において政府部内の意見調整を十分やっていただきたいと、またそうすべきだと思う。いかがでしょうか。
  58. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) ただいま慎重に検討中ということを申し上げたのでございますが、わが国の特殊の在籍専従というものは慣行としてできるだけそのいいところはこれを認め、あまり行き過ぎは矯正するというような趣旨でありますならば、全く今その線に沿うて検討されていると私は考えております。どういうふうな結論になるか、今ここで私が申し上げる段階ではないと思います。御了承を願います。
  59. 横川正市

    ○横川正市君 予定された法案の中に、先般、公務員制度調査室で担当しております法律案が出せるとも出さないとも明確な答弁が欠けておったのですが、一つこの点を明確にしていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、新聞の日々報道される内容からいきますと、国家公務員関係しての条約批准が、後の問題としてまだ政府部内で意見の統一をはかっておらないと、こういうふうに言われておりますが、第百四十四回の理事会が六日に行なわれて、七日に記者会見をやっております。その内容を見ますと、政府では条約批准について、関係方面との関係法の内容について検討を行ない、その行なった内容は、逐一理事会に報告をするということが日本代表から言われておった、こういう報道があったわけです。先般ここで官房長官から出された理由と、それからこの理事会での、新聞発表ということになればそれまででありますけれども、日本代表の言ったこととの関係は、一体どうなっているのか、この点を一つ最初にお聞きしたい。
  60. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記を起こして。
  62. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) まず第一のお尋ねは、公務員制度調査室で今まで調査研究しております公務員法改正案が今国会言ういう予定になっておるかという点と承知いたしましたので、その点で申し上げますが、公務員法改正という問題は、御承知のようにもう以前からの問題でございますが、特に公務員制度調査会といういわゆる諮問機関の答申を中心にした改正の問題につきましては、今までいろいろな機会に申し上げておりますが、あの答申にそのまま即応した改正についての成案は、現在まで最終的にできておりません。従いまして問題をその点に局限いたしますれば、今回の国会に提案するという予定はございません。ただ、現在問題になっておりますILO条約批准関係におきましては、先ほどから官房長官からも申し上げておりますように、いろいろと現在検討中でございます。その結果によりましては、国家公務員法改正ということも出て参るかと存じております。
  63. 横川正市

    ○横川正市君 これは三月の四日の新聞ですから、その真偽ということになるとわからないわけですけれども、公労法関係ではなく、公務員法関係改正も必要である、それから各省の労務管理強化のために人事部局の拡充、それから人事院機構の再検討が必要であるということが論議されたと、こう出ておるわけであります。そこでこの条約批准に伴って、私は、今まで遅滞をいたしております公務員全般の問題が促進されて、結果的にその内容が複雑怪奇だということになると、これは一体おいていくのか、それともおいていかないでその内容がきめられるまで批准問題についても延ばしていくのか、そういう関係性が出てくるのかこないのか、その点をお聞きしておるわけです。
  64. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 国家公務員法地方公務員法改正は、やっぱり必要である。そして可分的ではなしに、これは国内法整備の一環として総括的に考えていきたい、こういうのがただいまの政府の取り進めておる現状でございます。
  65. 横川正市

    ○横川正市君 そうするとですね、これは現行法規の中にある条約批准に伴って不必要なもの、ないしは足さなければならないものの一部改正ないしは削除というようなことがあり得ると、こういうふうに理解していいのですか。
  66. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ILO八十七号条約批准をいたしました場合に、国内法としてどのような措置が必要であるかという点を先ほどから御説明申し上げておりますように検討しておるわけでございますが、ただ、検討の過程におきましては、先ほど矢嶋委員からも御見解をお述べいただいたのでございますが、条約に抵触するという部分が現行法にもしあれば、それは削除もしくは改正しなければならぬということになるのは当然でございます。それからなお、いろいろ御議論がありましたように、条約に直接抵触するとかしないとかいう問題じゃなくて、いわゆる職員団体につきまして好ましいという点は、条約の規定のいかんにかかわらず、と申しますと抵触するということではなくて、条約に直接触れていない国内政策としてその方が望ましいという点は、これは同様に関連して問題になってくるというわけでございます。現在の検討の段階におきましては、ある程度国家公務員法あるいは地方公務員法につきまして手直しを要するものがあるというふうに考えておりますが、なお最終的な問題につきましては、現在検討中ということでございます。
  67. 横川正市

    ○横川正市君 まあここで二つの問題があるわけですね。一つは、この問題に関連をして条約批准がおくれるようなことがあっては困るということと、それからもう一つは、まあ当然それに関連をして削除されるべき条項と、それから政治的な政策的な問題で追加される問題と、この二つがあると思うんです。しかしそのいずれも、削除も消極的であっては困る場合と、それから追加される場合には、新たな政策が盛り込まれることで困る場合と、まあその立場を異にしておりますから、いろいろ意見というものもあると思います。そこで、政府としてはそういう問題を投げかける非常に重要な項目ですから、どういうふうに今それが審議され、どういうお考え方を持っておられるのか、これをただそうとするのが、今の質疑なんですから、やっていますとか何とかいう、その何か業務の進捗状況だけを言葉で抽象的に言わないで、もっと内容にふれて、これはこうだ、この条項はどうだ、こういうふうにまあ結論が出ない問題であっても、もう少し詳しく説明をしていただきたい。それによって私の方としてはさらに意見を加えて質疑をしたいと、こう思っているわけなんですから、その点担当されているところから、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  68. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 現在私ども検討いたしております問題の主要な点を例示的に申し上げますと、先ほど御論議のありました在籍専従制度の存廃という問題でございます。この点につきましては、私どもがいろいろ検討いたしました結果は、ILO八十七号条約におきましては、直接この問題は触れていないというふうに考えております。具体的に言いますと、在籍専従制度を存置しておくことが、八十七号条約に違反するというふうにも考えられませんし、また、逆に在籍専従制度を廃止いたしましても、ILO条約に抵触するという問題ではないというふうに考えているわけでございます。従いまして、この点は純粋に国内政策の問題として論議していい問題ではないかということになるわけでございます。ただ、国内政策と申しましても、それから先ほど申しましたように、ILO条約の明文に抵触するとかしないとかということでないにしても、大体国際的ないわゆる自由にして民主的な労働関係というものをもし理想像として描くならば、その線からむしろ廃止すべきであるというような意見もございます。それからなおいろいろ御指摘がありましたように、日本の現状、外国はいざ知らず、日本の労働関係の実態というものを、またやはりこれを無視してはいけないじゃないかこういう点からこれを存置するのが適当だという意見もあるわけでございます。それらの問題につきまして、これは政府部内におきましても、いろいろな立場からいろいろな角度の利害得失論が出ておるわけでございます。それをいろいろ整理いたしておるということでございます。
  69. 横川正市

    ○横川正市君 先般この委員会で、人事院総裁がこの問題に触れて、まあ国家公務員に関する限りは問題外である、現行法で何ら支障を来たしておらないという意見を吐かれておりますが、この点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
  70. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 人事院のそういう考え方も、私どもは直接承っておりますし、十分承知いたしておるわけでございます。ただし、人事院総裁の御発言になりました内容は、それでは現在の在籍専従制度、いわゆる無給休暇という形で行なわれております現在の制度をそのまま百パーセントに肯定されたのかどうかということは、必ずしも明確ではございません。そういう問題点はございます。
  71. 横川正市

    ○横川正市君 これは今室長の言っているように、自由にして民主的な労働組合の運営問題から見てと、こういうふうになりますと、いささか私はこれは労働省所管の労務行政みたいなものに関連をしてくるんで、それから日本の現状から見て云々ということも、これはまたそれに関連をしてくる問題だと思うのです。ただ、人事行政を担当しております立場から、人事院の総裁の言っている内容というのは、言いかえれば現行ではそう支障はないけれども、ただ将来の一つのあるべき姿としては、これはまあ折半のような格好で両者いずれでもよい、こういうことで現行が維持されるならば、あえて公務員法その他の問題について改正する必要はないのじゃないかというような含みを、受け取り方としては私どもとっているわけであります。そういうその状態と、今度は第一の問題に関連をして、このことに関係をして、今は巷間いろいろ伝えられているように、両者の意見がまちまちであり、しかも与党の意見もまだまとまっておらない。そうなって参りますと、おのずと条約批准の問題に関連をして、その時期という問題が問題になってくるのじゃないか、この点をもう少し明確にしていただきたい。これはまあ私どもの質問の要点になるわけなんで、そこで官房長官に、この条約批准に伴って今問題とされている公務員関係法律の削除ないしは追加等ですね、これらについていつごろまでに大体その検討が終わって、そうしてその四月の上旬を目途という、目途とは、一体もう少し日にちから見ますと、明確にすると何日ごろ、こういう点を一つ明らかにしてもらいたい。そうでないと、やはり政府の方ではだんだん拡大をしていってしまって、収拾がつかないから今国会は見送るんだという、そういう逃げを打たれるのではないかと懸念をするからなんであります。そういう懸念がわれわれは危惧であればいいわけでありますが、それを危惧で終わらせるためにも、一つ時期をもう少し明確にしていただきたい、こう思うのであります。
  72. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) たびたび申し上げたように、すでに既定の方針でもありますし、内外に対して既定の方針として明確に打ち出している問題でもあります。それから過般国会において総理大臣言明しているのでありまするので、その線に沿うて、四月を目途にぜひ諸般準備を整えまして、相ともに国会に提出したいということで、ただいま鋭意努力しております。
  73. 横川正市

    ○横川正市君 去年の十二月の二十四日の日だったと記憶しているのでありますが、このときの総理の発言が新聞に載っております。それによりますと、郵政省と全逓との団体交渉が正常化したから、すみやかに条約批准のための準備をしなさい。こういう発言が総理から行なわれたという新聞で報道されておるのですが、その閣議の内容を云々することは、これはまあおそらくできないことであるかもわかりませんが、そのときに総理からそういうような意向のあったという新聞の報道については、官房長官としてその真偽のほどを明確にしていただきたい。
  74. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 日までは忘れましたが、大ていそのごろ閣議においてさような趣旨総理の発言はございました。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 その日から数えてきょうまで大体もう二ヵ月以上の日にち、三ヵ月半以上経っているわけですね。それからまあ全逓の紛争というのは、これはたしか一年八ヵ月間紛争しておった。その間の政府の旨い分は一貫して、正常化された場合にはこれを批准をするのだと、こういうように言っておったのですから、前後いたしますと、私は二年以上これがためには政府として相当注意を払い関心を持ち、しかも政府自体として問題解決に熱意を持ってやっておられたと思うのでありますが、それが今もって四月の上旬かにでなければというふうに、非常に不明確なことで来ておるわけですが、これは私は少し政府としては当時の約束事を政府自体非常に怠っておるのじゃないかとこう思うわけなんです。そういう点からも、この不信を払拭するためにももう少し明確に官房長官として、この条約批准を受けるために国会に提出する時期を明らかにしてもらいたい、こういう切なる願いがあるわけなんです。この私どもの質問に対して依然として同じようなことが繰り返されておりますけれども、それじゃちょっと納得しかねますので、もう一度一つ官房長官からその提出の時期についてはっきりと御答弁いただきたいと思います。
  76. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 私の忙しいときには官房副長官が主宰者となりまして、関係各省の係官に参集を願い、あるいはまた個別折衝というような形において、毎日この問題の推進に努めておるような状況でございますが、一体四月のいつごろに手順がそろって国会に提出になるだろうということを責任をもって答えろということをおっしゃられますと、まだどうもはなはだ遺憾でありますが、その点ははっきりと申し上げにくい段階でございます。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 官房長官に二、三お伺いしますが、御承知のように国公法とか地公法、公労法地公労法鉄道営業法、あるいは郵便法、電気通信事業法、これらが国内法のおもだったものだと思いますが、この国内法整備批准後一年以内にすればいいわけなんだ、私はそういうふうに了解しておる。そこで一年以内という余裕があるから現在閣議等、八日にも閣議があったようですが、もたもたしておってさっぱり要領を得ない。これは、そのわけはこの批准機会機会として労働組合に弾圧を加えよう、こういうふうにねらっておるから、幅広い国内法の改悪を企図しておるから、企てておるからなかなかもって結論を得ないわけです。今申し上げたように批准後一年以内に国内法整備すればいいのであるから、とりあえずILO八十七号条約の基本線に沿って、とりあえず矛盾する部分だけについて削除あるいは補正して、早急にやるべきだ。そういう考え方に立つならば、四月といわず今月中にでも結論が出るはずです。しかも国内法はそうややこしいものではないのです、しかも基本線に沿うた矛盾する部分だけの修正で足りるわけです。あとは十分衆知を集めて慎重に一年以内に検討すればよろしいわけです。先ほどから御答弁を承っておると、なかなかもって要領を得ない。これは当然なんです。当然いろいろ幅広い国内法のそして組合に対する弾圧、そういうことをまた労働争議に対する法的圧力を強化しよう。こういうねらいがあるから、なかなか成果が得られない。そこで、ちょっと官房長官、責任あるあなたのお考えを具体的にはっいきりお聞かせいただきたいと思います。そうでない限りはなかなか了解できません。
  78. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) お説のごとく批准すれば、一年後に効力を発生するということになっておるそうでありますから、その間に要すれば国内法整備をしてもよろしいのではないか。というお説は一応ごもっともではございまするけれども、従来はやはり批准すると同時に、所要の要件を具備いたしまして、大体において具備して、そうして一年後に完全に効力を発生するというふうに、取り扱っておるのでございます。まあそういう意味において、やはりきわめて重要な事柄でございまするので、万全を期して同時に整備をして、批准案と一緒に国会の御審議をいただくというのが、やはり従来とってきた方法通りにすべきものであると考えておるわけであります。なお、これらの点について手さばきがどうも要領を得ない。あるいは特殊の意図を持っておるのではないかというような御所見もございましたが、その点は絶対にさようなことはないのでありまして、調印をいたしました以上は、あくまで誠実に批准を急がなければならん。かように考えておる次第です。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これも自民党の七役会議でも、先般すでに今国会批准すべき旨の方針を確定しておるわけです。それから先般また、ILO理事会からも日本閣議が一日も早くこの批准をするように、そういう勧告も受けておるわけです。また、世論は盛んにILO条約急ぐべきである。しかも、この際条約批准に便乗した労組弾圧は厳に慎しむべきである。こういう意味の世論が高まっておるわけです。従ってまず何よりも大事な要素は二つあると思う。一つは急ぐということです。一刻も早く批准を完了するということ。もちろん国内法整備、先ほど申し上げた国内法整備ももちろん必要限度は整備しなければならないわけであります。しかしながら、八十七号条約の基本線に沿うた面で矛盾する面があってはこれはまずい。矛盾するようなことがあっては相ならない。そういう制約のもとにそういう範囲整備するならば、長いこともたもたしないでも結論は出るはずです。そうむずかしいことはないわけです。ところが、先ほどから言っておるように、労働組合に対する勢力を削減しようとか、あるいはまた労働争議に対する弾圧を強化しようとか、そういうねらいがあるから、なかなかもって結論を得ないわけです。官房長官はそういうことは絶対ございません。口頭ではどのようなことも言われますけれども、裏にそういう事実があるから、在職専従全廃なんというのは、その最もいい例の一つだと思うわけです。そういうような意味合いから、一つ今私が申し上げた、一刻も早く、そうして八十七号条約精神に矛盾する部分だけにこの際はとどめて、もちろん百パーセント完全でないにしても、以上の部分については、一年以内で十分慎重審議して結論を出して決しておそくはないわけです。そういう基本方針がきまるならば、四月いつになるかわからないというような不明瞭な回答でなくて、今月中にも批准の取り運びができていいと思うわけです。こういう点を重ねてお伺いしたいと思います。
  80. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 別に弾圧的なねらいをもって、そういう意図をもってその手順をひそかに運んでおるというようなことでおそくなっておるわけではございません。先ほども申し上げましたように、在籍専従の問題につきましても、増子室長から申し上げたように、改正すべきものであるというような意図のもとに、政府が措置を考究しているわけではないのでありまして、その点はどうぞ誤解のないようにしていただきます。できるだけ急ぐという点についてまことに御同感であります。その線に沿うて努力いたします。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど御指摘あったと思いますが、全逓労組の面についても、ああいうような完全な姿に戻って、そうしてそれを受けて、政府は早急に批准を今しなければならない羽目になったわけです。そこでぐずぐずしていつまでたっても結論が出ないというようなことでは、うち国内の面においても、いろいろと食言の責任は免れない。また広く国際的にも、いわゆる不信にもかかわると思う。そういうような意味合いから、これは単に自民党政府ということではなくて、国内、国際的にも波及する重大な根本問題である。そういう認識に立たれるならば、そして先ほども言うた二つの立場から、早く、そうして精神に矛盾する部分だけについてとりあえずとどめる、こういう考え方からするならば、もう結論は出なければならぬはずです。こういうような意味合いで、ここで押し問答しても意味がないので、このことについては繰り返しませんが、一つ再度決意の点をはっきりお聞かせいただきたい。
  82. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 誠意をもってできるだけ早く取り運こびをいたします。
  83. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この点については、先ほど山本委員からも、横川委員からも、なるべくすみやかに、これは人事院の勧告みたいになるべくすみやかにというようなことで、これは大へん便利な言葉で表面はいいわけですが、大体政府予定というものがあろうと思う。いろいろと事務を進める上に、大体予定があって、計画があってやっていると思う。しかもそうでない、無計画であるとするならば、これはまことに無責任のそしりを免れないわけです。大体いつごろ、いついっかということは言えないでしょうが、四月の上旬とか中旬とかこういうところまで大体見通せば出てくるわけです。  その辺まで、一つ何月何日というのは無理でありましょう。何月上旬とか中旬とか、下旬とか、こういう私目標をここではっきりしていただきたいと思います。
  84. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 準備を取り進める上においての計画は、あしたはどうする、あさってはどうする、一週間後にはどうするというような、大体のスケジュールをきめて取り運んでおるのでございますが、さていよいよこれを総仕上げをして国会に提出する時期と、こう言われますとまことに遺憾でございますが、今のところ明確に私から申し上げる段階でございません。これはもうすでに総理から、政府の最高の責任者から四月ということを申し上げてあるのでありまして、そういうことに対する違背のないようにせっかく努力いたします。これで御了承願います。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお先ほど官房長官は、労働組合等に対する弾圧など決して考えていないと、そういうような意味のことをおっしゃったわけです。そこでこういうことをお約束いた、だきたい。まず三つの点です。刑事罰についてこれを強化するようなことは一切ないということ、それから争議行為に対する団体罰の強化、こういうことも絶対ない。それから在籍専従を全廃するようなことは絶対しない、そういう考え方のもとに、そういう基本線に立って今後一刻も早く批准に取り組みたい、こういうことは先ほどの官房長宵の言われたことと何ら矛、恥しない。ただ表現が違うだけです。これこの場で確約いただきたいと思う。
  86. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 具体的にここで申し上げることができないのは遺憾と存じますが、御趣旨は輿車するように、それぞれの方面に伝えます。
  87. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いや、私がここでお願いしておるのは、官一房長官の立場、もちろんわかっておりますが、各閣僚にこれはまあ大臣が来られると直接私お願いするところですが、官房長官として責任持って、ただ事務的に伝えるということでなくて、官房長官自体がこれをどう考えられるか、この三つのこと、あなた自体が私が今申し上げた三つの点にそんなことはできるものか、そういうお考えがあるならば、これはただ伝えても意味ないことです。そういう事務的な御連絡をお願いしておるのではなくて、こういうふうになるようにあなたの最高度の努力をいただきたいのです。その前にあなた御自身のお考えを、ここではっきり表明していただきたい。官房長官としての立場でこの三つの点をどう考えられるかということ。
  88. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 要は労働の不当な弾圧をやらぬということだろうと思います。そういう御精神に対しては十分私は共鳴いたします。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 弾圧は一切しないと、そういう意気込んで今答弁されたわけですが、結局刑事罰とか、団体罰、あるいはまた在職専従の全廃をするようなことはない、こういうことでこれは見解の相違だといえばそれまでで、在職専従を全廃してもこれは決して組合に対する弾圧じゃないといえばそれまでです。私が御質問しておるのは、この三つの点について、官房長官はどういうふうに今考えておられるか、まずあなた自体のお考えをお聞きしたいと、そういうふうに伺っておるわけです。イエスかノーかです。
  90. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) この三つの事項につきましては、いわゆる不当弾圧にならないようにするということについては、全幅的に私も賛成でございます。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 では文部大臣出席されましたので、私から先ほどから官房長官を中心に、ILO条約第八十七号批准に対する公務員影響する点について今質疑が行なわれておった。そこで文部大臣にお聞きしたいのですが、文部大臣は盛んに新聞紙上であなたの見解だということを発表して、われわれは見ておる。そこで文部大臣に聞きたい、率直に聞きますけれども、官房長官の私に対する答弁は私はここで言いません、文部大臣ILO条約批准によって現在地方公務員国家公務員に認められておる在籍専従者の問題についてきわめて自信のある発言をされているのですが、いわゆるそれは全廃するのだ、断定はしておられないけれども、そうしてよいのだと、こういうことを私新聞紙上で拝見しておる、あなたの答弁初めてですから、そういう通り考えられておるのかどうか、この点一つ
  92. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私はこの問題について初めて質問を受けたときに、ILO八十七号が批准されることになりますると、むしろ現在のような在籍専従者というものはなくなるのが本筋だと思う、こういうふうに私は答弁して参ったわけであります。今もなお私の考えといたしましては、それが組合の健全なる発達を促すゆえんであると思っておるわけです。しかし、この点につきましては現在各省問でいろいろ意見がありまして目下その調整に向かって努力いたしておる次第でございます。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは今言われておるのは、私が私がというのが三べんも入っておりますが、それは岸内閣を代表したことでなくして、松田さん自身の見解を発表されたのか、あるいは現在の岸政府を代表してこういう方針であるということを言われたのか、今の言葉からいうと、あなたの個人の意見だと思いますが、その点いかがですか。
  94. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 政府部内の各省間におきまして、この点について目下その調整に努力しておるというわけでありまして、私としては、その調整の間においてこういう文部省側としての見解を主張いたしておるわけであります。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その主張する条約の根拠、また今日の日本労働運動慣行からいって、どういう点でそういう主張をされるのか、その根拠を一つ承りたい。
  96. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 根拠と申しまするというと、ILO八十七号にうたわれておるところは、結社の自由、団結権の擁護また労使互いに不介入の原則を堅持していくことが、労働者側あるいは使用者側の建前として、これは一般に諸外国におきましてもそういうことになっておるわけでありまして、ここにILO条約の基本精神があるのではないかと私は考えております。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕はILO精神とかそういうことでなくして、その第八十七号の条項、三条から本質的な条項が第十一条まであるのです、附則は別として。今言われることと逆に、そういう措置を法的にとるということは、第四条に「労働者団体及び使用者団体は、行政機関によって解散され又はその活動を停止されることはない。」いわゆるそういう専従者を制限することによっていわゆる自主的な活動に対して制約を受けるという半面もある。文部大臣が言われるように、そういう見方もあなたとしてはあるかもしれませんけれども、逆にそういう作用がある、専従者というものはそれほど使用者から恩恵的なものを受けておるかどうか、この点一つどういう根拠で言われたか、御回答願います。
  98. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 専従者も現在のところやはり専従になるにあたっては、まずもって休暇ということで、それぞれの教育委員会なりに許可を求めて、その許可を得て役員になる、これが一つある。また、従来の恩給制度がある以上は、その専従に従事して休暇を取って組合の事務に専従いたしておりましても、やはりその勤続年限の加算ということがあり、恩給にもそれが加算されるということもあります。そういうものはやはり、何と申しますか、従来日本においては、戦後の特殊事情のもとにおいて始められたことであって、それが今日まで慣行となってきておるのであります。
  99. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  100. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記起こして。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど官房長官のお話を伺っておりますというと、在籍専従を撤廃するということで政府が進めておるわけではないというお話がございました。今文部大臣のお話を伺いますと、文部大臣は在籍専従はやめた方がいい、こういうお話なんです。人事院の浅井総裁は在籍専従については、過去の経験からいって差しつかえない、大きな問題もないし、困ったこともないし、この在籍専従は今のところ問題にする気持はない、こう言っておられる。それは国家公務員法を所管をし、国家公務員の各組合人事院登録をして今までやってこられた人事院が、少なくとも悪い習慣であるというふうには見ていない、官房長官も悪い習慣は直していきたい、習慣は直していきたいということでありますが、少なくともこれは悪い習慣でないということだけは言える、浅井総裁が言われている、それを直そうというお考えは、今のところ官房長官としてはないように私としては承ったのですが、これは一部政府で、官房長官と松田文部大臣との話の中には食い違いがあるように思う、官房長官政府としては在籍専従を撤廃するということで進めていないという話だったのですがどうなんですか。
  102. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) まさにお話の通りであります。だから各省間の調整を必要として今努力いたしておるということを申し上げたのであります。
  103. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 私からも一層申し上げます。在籍専従を撤廃するときめておるわけではないということは申し上げました。それからまた、慣行には悪い慣行もあるまたいい慣行もあると思います。しかしいい慣行であり、悪い慣行であっても、また程度によってはその悪い点が非常に強調される点もあるだろうが、大体において慣行として認められたものでも、少し程度によってはこれはやはり矯正しなければならぬということもあると思いますので、その点は、私の先ほどの答弁中に必ずしも在籍専従を具体的にどうするというような点は申し上げなかったように今考えております。それで、文部大臣からも、文部省としての御主張があることは、各省間においても承知しておるわけでございます。まだ、まあいわば調整中であって、この制度を撤廃するときまったわけでもない、序擬するときまったわけでもない。その点を改めて申し上げて御了解を得たいと思います。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは先ほどの続きをやりますが、特に専従者に対する事業主としての、使用者としての恩恵として年金の問題を出されたのですが、かつての松田さんの、あなたの経歴も大体知っておりますが、恩給とか、そういったところの恩恵と、今日の年金に対する考え方とは違うのです。御承知のように、国家公務員なら国家公務員共済組合ができて、おのおの費用を分担して年金制度があるのです。従ってこれを一方的な使用者の恩恵だという解釈は、昔であればいざ知らず、今日はそれはその通り通らない。それは諸外国の制度を見られてもわかると思う。そういうことも考えられておるのかどうか。ただし、そういう例があるから、あなたは何らかの潜在意識を持ってこれを考えずに、全般的に世界公務員の実態から見て、どう考えておられるかという、冷静に一つ考えてもらいたいと思うのです。専従職員だからといって、給与は決していわゆる役所からもらっておらない。  そういう一つの身分と申しますか、そこに籍があるということによって得るところのいわゆる権利というものはあります。しかし、それまで認めないということになれば、これは政府の全般的な国家公務員法地方公務員法改正に際して、在籍の専従者の問題だけでそう攻めるならば、もっと派生して大きい問題が出てくるのが当然だと思う。これはあとでいろいろやりますけれども、その点一つ松田文部大臣どうですか。
  105. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 地方恩給制度ということもありまするし、また昇給の問題もありまするし、私は例として申し上、けたのでありまして、さようなことは組合の独立性の立場から、その将来の発展を期するために望ましいことではないのではないかということを、私は申し上げておるわけであります。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはもうすでに十分調査されておると思いますが、ILO条約八十七号を批准された主要各国の実情も十分御存じだと思うのですが、たとえばフランスをとりましても、あるいは西独をとっても、なるほど専従という言葉は使っておらない。室長も十分御研究されておると思いますが、しかし専従という名前はないけれども、実際組合を認めて、団体交渉もやらなければいけない、国際会議にも列席しなければいなけい、そういうときには一つの休暇制度というのがあるのは、これはもう御存じだと思います。もしそれまでもやらないのだというと、団結権を認めて役員を自由に選挙さす、民主的に選ばすということ自体がくずれてくるということです。そうすれば、役員というものは身分のない、全然その事業に関係のないものが役員にならなければならぬということになる。ただ専従ということについておるから休暇云々と云われますけれども、組合活動に対する休暇制度は、厳然として持っておるのですが、その点をどう考えておられますか。
  107. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私は、組合役員は適当な人が選挙される場合、選挙に対してはむろん自由に選挙されるのでありますから、選挙された暁は何年でも役員でやっていけることがいいのではないか。外国では何十年もやっておる人もこれはあるわけであります。それが一番組合役員としての機能を十分に発揚せしめるゆえんであると考えます。むろん、ILO会議に出席したりなんかすることも、そういう立場でありますれば自由でありますし、何もかも自由に独立、自主的にやっていけるという建前が望ましいのではないか、かように思っております。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、文部大臣は相当研究されておると思うのですが、ピントが合わない。私が質問しておるのは、いわゆる専従休暇というものを認めないということになると、たとえば団体交渉をやる場合にもあるいは諸種の組合活動をやる場合にも、これは休暇がなければどうしてやるかという問題もしそれを認めないと、これは大きな目的が組合の弾圧以外に何もないということを私いつも言っておるのです。そうでなければ、たとえば日教組であれば、教師の身分をはずしてしまってやるか、あるいは別な人を雇ってきて役員にしなければできないようになるのじゃないか、こういう処置をどうするのかということを言っておる。
  109. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私はそういうふうになると思わぬのです。やはり自由に職員の中から選挙されれば、選挙された人は職員をやめてそうして組合の仕事に専従する、役員の仕事をやる、それが組合役員として一番よい姿であり、外国でもその姿が多いわけです。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 外国の姿というのは、一つ例にしてもらいたいのだが、なるほどそういう組合もありますけれども、自分の職をやめてしまって、そうしてやらなければ組合役員になれないということは、逆に言えば職員団体なり組合を認めたことが、むしろ認めないというような反作用がそこに起こってくる。そういうことを好んでおられてやるなら別です。また、大臣はそういうように組合が運営ができないことをお好みになってこれをやるなら別です。現実の問題、たとえばあなた、か一人の組合員であった場合に、どこの人かわからぬ人を引っぱってきて、この人を委員長にするんだ、選挙しなさい。やはり自分らの信頼する同じ職の仲間の人から選んで、事情のよくわかる人が松田文部大臣と交渉するからスムースに組合運営ができるわけです。それを全部やめてしまいなさい、そうしたら団体交渉をやっていきましょう、そういうことではこれは日本労働運動等の慣行だけではない、世界労働運動慣行においても私はそういうことは成り立たないと思う、そういう考え方でおられるならば。私も初めてあなたに質問したけれども、あなたは組合を弾圧する以外にものを考えておらないということにとられても、私はあなたは弁解することはないと思うのです。そういうことが現実に一組合員として、一学校の教壇に立っておる組合員として、どこの人かわからぬのに、われわれ委員長にするからそれを信頼なさいと言っても、これはできない。もしやるのだったらやめなさい、こういう過酷な考え方というものは、労働組合に対する弾圧以外に何もない。それでなければ、あなたは労働問題に対する何らの本質的な考え方を持っておらない、こう断ぜざるを得ないのですが、その点どうですか。
  111. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私はおっしゃるようにならないと思うのです。やはり現在の職員から選ばれることになると思う。あるいはまた、他から来る人を選ぶような場合もあり得る。現在職員でない人でも組合役員になり得るということになりますから。けれども実際問題としてはやはり現在職員である者から選ばれるということになると思う。選ばれたらやはり職を離れて、そうして組合の方の役員になる、こういうことになると私は思うのでありまして、私の考えるのは組合を弾圧するというような考え方と逆に、組合の健全な発達に資すると私は考えてこういう考えを持っておるわけでございます。
  112. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 予算委員長から、文部大臣を三時までに予算委員会の方に出席させられたい旨の要求がございましたので、お含み願います。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと一つだけ。もうこれはもちろん対角線で行かざるを得ないと思うのですが、あなたの頭が先に変わるか、こっちが根負けして、要するに手を上げるかは別として、これはもう相当論争しなくてはいくまい。また、いろいろ説明もやらなきゃいかぬですが、最後に一つこれは具体的に聞いておきましょう。先ほど官房長官は、ILO条約第八十七号批准によって影響を及ぼす条文として、国家公務員法第九十八条第二項を言われた。具体的な問題です。室長もおられなかった。これについて聞いて、具体的にそういう例示があったのです。例示というよりも説明があった。これからいうと、この法の条項だけ改正するということになれば、文部大臣の言われるような問題は、そういうものはおそらく考えられないと思うのです。逆にもっと範囲を広くわれわれ解釈せざるを得ないと思うのです。国家公務員法第九十八条の第二項です。この二項がいわゆるILO条約第八十七号批准によって影響する条項であるということを言われたのです。この点、だいぶ閣内の意見の相違することはわかりました。専従全廃の何といいますか首魁というのは、松田文部大臣だとわかりましたが、しかし、それは別といたしまして、その点一つ官房長官意見とだいぶ違うのです。違うのは当然ですが、文部大臣おられるときに一つその点もう一ぺん言っておいて下さい。これは私が言うのでなしに、あなたの万から……。
  114. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私としては、確かに先ほどから述べておりまするような考え方を持っておるのでありまするが、現在そこに各省間にも考え方に相当の開きのある点がありまするので、目下それを調整することに、しきりに連日それに努めておるわけでございまして、不日何らかの成案を得ることになって、得れば提案されることになり、その上で審議されるということになりまするので、今私はここでこの点について見解の相違点をるる申し上げることは、むしろ徒労に終わるようなことになりはせぬかという気持もいたすのでありますが、御質問でございまするので、明らかに官房長官のお話しになったことと違う答弁をいたしておるようなものでございまするが、しかし、それは、あることは当然であります。各省間にそれぞれ事情が違うのでありまするから、それを目下調整をしようとして努めておるということを繰り返して申し上げる次第であります。
  115. 椎名悦三郎

    政府委員椎名悦三郎君) 私の先ほどお答えしたのに関連しますから、補足しておきます。八十七号条約に直接影響を与えられる国家公務員法条文は九十八条第三項である、こういうことを申し上げたのであります。これは、直接専従職員の問題とは関係ございません。もしも在籍専従というものを廃止するということになれば、別の場所でその問題に言及しなければならぬ、そういう意味で申し上げたのでございまするから、誤解のないようにお願いいたします。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでいいんです。私は先ほどやんわりと専従の問題でなくして政府の見解をただしたときにそう言われたので、私は、専従の問題は、いろいろ閣内では問題があるけれども、日本労働慣行から政府はこういう点に集約されつつあるということで理解しておった。その後専従の問題が非常に出てきまして、きょう私は専従の問題をやろうとは思わなかった。ところが、たまたまそれが出てきて、松田文部大臣は強硬な意見を出されたので、私も若干それを再質問しただけであって、政府は必ずしも全廃にいっているという感覚でおりません。新聞紙上の問題でその点を追及しましたので、これで私の質問を終わります。
  117. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間がございませんから、質問は次回に譲りたいと思います。一つ資料の提出をお願いしたい。先ほど文部大臣答弁の中で、世界各国でいわゆる在職専従の全廃をやっておるとおっしゃった。ところが、人事院総裁は、世界主要国では在職専従を全廃するような類のことはやっていない、そういう意味のことを答えられておる。まさしく人事院総裁とあなたとではまっこうから対立しておる。そこで、資料を出していただけば明確になりますから、次回までに、どことどこの国が在職専従を全廃し、どこがしていないと、そういう明確なものを一つ次回までに御提出いただきたい。質疑は次回に譲ります。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、二、三問ちょっと。私は、先般来、大臣にいろいろ伺いたいと思っていたんですが、きょうちょっと中座していましたが、事は火急でありますから、この件に関して二、三問承りたいと思うんです。  私は、おせじでなくて、岸内閣大臣の中では、最も大臣らしい部分に属するお方だと見ているわけです。あなたの政策に全面的に私が共鳴しているというのでなくてね。人柄とか言動を見ていますと、大臣らしいお方だなと、その点に関する限り敬服しているわけなんですが、きょう先刻以来山本委員との質疑の応答を承っていますと、大臣が外国通であられる、そういう点から、やや公式論的な、わが国の実情というものを軽視した立場からの所論がなされているやに私は拝聴したわけですがね。承りたいことは、在籍専従等の問題についての先ほど以来のあなたの御所見は、岸内閣の多数意見だと、かようにあなたはお考えになっておられるのですか、また、松田の意見岸内閣の諸公全部なびかせるというようなお考えでおられるのか、それとも、まあ国会意見なんかいろいろ聞いてみて、そうして最も妥当な結果を得べく慎重に対処しようというようなお考えでおられるのか、その点伺いたいと思います。
  119. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 政府部内の意見は、私の意見と同調しておる向きが多数あるとは思っておりません。逆の意見を持っておる、むしろそう思っております。それを私の意見になびかせるという考え方ばかり持っているわけじゃありません。そこに調整を必要とするというわけです。ところで、私は、自分の考えは正しいと思っておるのです。けれども、私もやはりわだかまりを持たん。凝滞することはいやです。やはりこれで現在いかなきゃならんということになれば、多数に同調するということもあり得る。しかし、私は現在は、私の意見のほうが正しいものであると、かように考えておるわけであります。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いかにも松田さんらしい御答弁でございますが、それを足がかりにもう三、三問お尋ねしたいと思うんですが、まず第一点伺いたい点は、日本労働者の賃金とか、あるいは労働条件というものと先進国のそれとの比較等の問題もあると思うんですが、大臣は、公務員の団交権、団結権、争議権についてはどういうお考えを持っておられるか。先ほどの、在籍専従を全廃して、選ばれたならば、やめてそうして組合員にサービスする、純粋のサーバントになってやると、こういう点から考えますと、労働者の基本権という立場から、私は松田文部大臣団結権とか団交権、争議権というようなものは、労働者の基本権として付与するのが筋道だ、こういう御見解を持っておられるのじゃないかと推察するわけですが、お答えいただきたいと思います。
  121. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) もちろん団結権、これは擁護していかなければならぬと、かように考えております。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その団交権、争議権というのはどうですか。
  123. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) その点につきましても、むろん法的団体として団体交渉をやるということも、むろん当然あることでありまするが、公務員に対して罷業権、そういったようなものは、現在、まあないと思って考えておるわけであります。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在ないですが、大臣のお考え方からいうと、そういうふうに私は発展するような感じがするわけですよ。やはり労働基本権というものは、公務員であるといなとを問わず与えるのが筋としてすっきりする、こういうお考えのように私は推測するがゆえに承っているわけですが、いかがでございますか。
  125. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) いろいろ仕事に従事、労働に従事する者の中でも、特に警察、自衛隊あるいは現在でも消防団というような者に対しては、やはりどこの国でも罷業権というようなものはないと同じように、公務員にもこれを認めておらないところである、かように私は考えておるのでありまして、そういう機関に、そういう団体に罷業権を付与した場合に、(矢嶋三義君「団交」と述ぶ)団交、そういうような団交の点は、現に国鉄等においてもしばしば行なわれておる。だから一がいに私はこれを否定するものでもありません。むろんそうした団交が行なわれておるのが常態であると、かように考えております。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっとあなたの所管業務にピントを合わして伺いたいのですが、あなたの所管している教育公務員ですね、こういう方々にも団交権を与えてしかるべきじゃないでしょうか。話し合うということは大事なことじゃないでしょうかね。労働条件その他について話し合うということは、あなたの人柄からいって、まあ信念の非常にしっかりした意見を持っておられる。けれども、ほかの人の意見を聞きたい、聞いてみようというお気持は、民主主義国アメリカ等で長くお住まいになっただけに人一倍持っておられると思う。そういう点では岸内閣の最右翼であると私は思うの、ですね。ところが、ある面からの圧力が加わって、会いたい人にも会えないというあなたの立場にも私は同情しているのですけれども、こだわることなく、十分話し合いを持つということは私は大事なことじゃないか。形式等にこだわらずに、争議権は次の段階として、少なくとも団交権くらいは与えて、すっきりした形で話し合いを持つということは大切なことではないかと思うのですが、その点に対する御所見は……。
  127. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私は、就任以来、そういう気持でおります。従って、たとえば日本教職員組合の人々、日教組というものは任意組合である。だから団体交渉権は、むろん給与や何かの点については、それは会ってもいいが、やはり普通のいわゆる団体交渉権というようなものについては持っておらぬのであるから、そういう団体とは会ってはいかぬという考え方でありまするけれども、しかし実際問題として日本教職員組合は五十万の教職員を抱えておる大きな団体として実存しておる、これを文部大臣として認めぬわけにはいかぬ。認めるということは、従ってこの団体とも会うという方針をもって、これまでにもやってきておるわけであるし、これからも会うという考えでいるわけであります。それをもってまあ……。
  128. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 矢嶋君に申し上げますが、再三要求がございますから。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終わりますから。その点は大臣のお考えを推し進めるように要望しておきます。変な雑音に惑わされないように要望しておきたいと思うんですが、そこで最後に、在籍専従にしぼって一つ伺いたいのですが、大臣のさっきの所論を承ってみますというと、相当発展性のあるお考えを持っておられるようですが、日本の国情から考えて、はたして適当かという点から承りたいと思うんです。私ももとまあ教職員組合を結成した一人であります。役員でもあった。私らのときには身分も保障され、給与なんか全部自治体側から受けておったわけであります。ところが、僕らが組合役員をやめたころから役員の人件費は組合員の組合費でまかなうべきである、こういうふうに変わってきたわけですかね。今の日本労働者の受けている労働条件、賃金、これをアメリカあるいは英国のそれと比べるならば、一割か二割そこそこなんですね。こういう状況にある。それからこの前給与問題でも論じたんですが、昭和初年は高等師範を卒業しますと初任給口円だったのですよ。現在の貨幣価値に直せば三万五千円ですね、約。その高等師範の修学年限というのは小学校六年中学校五年、あるいは高等師範四年、合計十五年ですよ。ところが現在六・三・三・四のもとに修学年で十六年、しかも卒業して今初任給一万一千五百円。だからこの科学技術の振興を唱えながらも、工業課程の教師などは確保できないで困っている実情なんですね。これは一つの例ですが、給与の問題はそういう問題があるわけですけれども、教育委員会法の改正等に伴って、地方自治体においては教育の問題というのは山積しておりますよ。教職員の身分とか、待遇を守るという立場からも、また日本の民主教育進展という立場からも、健全にして強力なる組合運動というものは私は育成すべきだと思うんですね。これを押しつぶしてしまおうとか、あるいはこれを抑圧しようというようなこの考え方というものは、長い目で見る場合に、日本の国のためにも、日本の教育のためにも、次代を背負う青少年のためにもならないと、私はかように確信をいたします。で、この点についても大臣の所見も承りたいのですが、そういう立場から考えた場合、その大臣の公式論はわかりますよ。しかし教育の現場を考えた場合に、教育界にあまり縁のない人が、職業的な労働運動の指導者、そういう方々が入って教職員組合を指導するというのがはたして妥当なのかどうか。それからまた教師というものは、教職というものに非常に愛着を持っていますがね、愛着を持っております。愛着、誇りを持っております。そこで、在籍専従全廃で自分は教職から去らなければ役員になれないという場合に、はたしてその教職員にほんとうに信頼される優秀な人、か教職を去ってまで役員に立候補するかしないか、これは非常に私は疑問な点があると思います。それからまた、今の地方状況から言いますならば、たとえば最近岐阜県等でいろいろ問題が起こっておりますが、ああいうところ、だったならば一ぺん組合役員になるために、教職を去れば、再び自分の愛着を持つ教職にカムバツクすることはできないと思います。そうなれば組合員に信頼され、優秀なる組合指導者というものは得られないと思います。それで教育関係に御縁のない人が、職業指導者として入ってきた場合、はたして堅実にし、て強力なる教職員組合運動というものが維持発展できるかどうか、ひいては教職員の身分、給与の問題、あるいは日本の民主教育の進展というものははかれるかどうかという点に思いをいたすならば、この在籍専従全廃というのは、日本の国情に合わない。それからやや公式論的な見解が入っておられる、私はそう感ずるのですが、幸いにして閣内で多数意見でもないし、確定的でないということですが、この点一つ大臣十分検討していただきたいと思うのです。でないと、結果論としては教職員組合運動を抑圧する、窒息せしめる、場合によると教職員組合運動を不健全化へ追いやる作用をもたらさないとも限らない結果が出る可能性がある。これは松田文部大臣の本意とするところでないと思うのですが、従ってこれに対する御所信を承るとともに、この点は早急に閣内の意見調整して早く条約批准ができると同時に、在籍専従全廃ということに相ならないように要望を含めてお伺いいたしたい。
  130. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) なるほどおっしゃるように、私の考え方は公式論的な考えに基礎を持つかもしれません。しかし、現在の実情を考えて、組合運動を窒息せしめるような行き方はいかぬじゃないか、私はそうならぬと思うのですが、実際問題として。よそから別に教職員の経験もない人が来て、教職員組合役員に選はれるというようなことは、実際問題としてはないと考えております。だから経験のある教職員であるが、現在でも教壇に立つことを自分の仕事としてこれが一番好きな人ならば、選ばれないで教壇に立っていくことは、自分の職業の自由でできることでありますから。しかし、教職員の中にも組合役員として適格者があって、その人がやはり職をやめても、組合全体のために、教職員全体のために発展を期したいという考え役員をやられる方は選ばれるようになると思うのであります。しかし今おっしゃる通り、現在の実情に沿うてものを考えなきゃならぬということは、私もそう思います。しかし、それとても将来のことを考えて、どうすることが組合の発達に一番よろしいかということを考えるときに、この際にはむしろ在籍専従というものをなくすることか、一番組合のためになるのではないかという私は考え方を持っておるということ々先刻申し上げたわけであります。しかし、私一人で……、多数の反対者が同じごの閣内にある問題でありますので、むろんよく調整をして、そうして成案を得て、早く批准ができるようにしたい、かように考えております。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点に関する限りは、あなたよりも私は若いけれども、私はよく知っているのですよ。あなた方は教職員組合の指導者は一部は知っているが、全部を知っていない。昔から学校の教員というのは非常に幅がない、世間知らず、ああいう人々に子供を教育されたのでは困るというような考えが皆よくあったものです。ところが、組合運動が始まって分子段階にいきますと、今割に少なくなったが、今でもやっぱりありますが、校長さんとか教頭さん等が学校の分会長をやられたり、分子段階における組合役員を、やられる、そうすることによって教育財政とか教育行政というものを勉強される。そうすると学校の施設、制度の問題等がよく頭に入ってきて、そうして非常に幅のある教師となって、りっぱな学校の管理、教育を進展させていく成長した教師というものは非常に多くなってきているわけですよ。そういう人は一年あるいは二年組合役員をして現場に帰されるから、勉強のつもりで一年、二年出て行くわけですね。それが大きくプラスになって、個人のプラスになるし、また、その地域の教育進展に非常にプラスになっている。そういう実情というものは、あなた方が想像する以上に実在しているのですよ。そういう点の私は認識がやや不十分ではないかと思うのです。だから国会のこの場で論じていること、だけでは、なかなか結論を出しかねると思います。ただ懸念するところは、松田文部大臣は筋を通してやや純粋に公式論的にそういう所信を述べられているわけですけれども、あなたが所属せられている自民党の中には、失礼ながら日本の教育公務員の身分とか待遇あるいは日本の教育が今後、どうなるかということは第二義、第三義で、まずもって、自分の政治家としての身分を守ろう、そのためには何が何でもともかく日本教職員組合というものをつぶしてしまえ、息の根をとめてしまえ、これを第一義的に考えている政治家が不幸ながら相当数いるということは否定できない。これ、かあなたにいろいろちょっかいかけているわけです。そういう人がおりませんと答弁できぬでしょう。事実いる。そういうあやまれる考えの人と純粋にやや公式論的に考えているあなたとが結びついた場合に、えらい欠陥が招来しはしないかという点を私は懸念している。決して長い目で見た場合に、日本教職員組合の息の根をとめる、つぶすということは、日本の教師のためにも日本の教育のためにも、かわいい子供のためになることではないのですからね。健全にして強力なる組合運動、それを通じての日本の教師の身分なり生活の安定とか、教育の進展とか、……。子供の成長、伸びというものを念願していかなければならぬわけですからね。そういう立場から考えますと、今の岸内閣における松田文部大臣の責任は私は非常に重大である。それだけに私はあなたに期待申し上げておるわけです。ただ一つだけ最近在籍専従全廃といっているが、どうして松田さんはそんなことをおっしゃるの、だろうかと思って私は不思議でならなかったのだか、きょう伺って、あなたがどういうところから言われているかわかったのですが、やはり実情を十分知っておられない。やや公式的な点が外国でこう、だからこう、だと、日本の実情に沿わない点があると思うのです。これは重ねてとくと御研究、誤りなきょうにしていただきたいということを御要望申し上げておきます。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公務員制度調査室長に、官房長官が退席されましたが、これはやむを得ないと思いますが、ちょっと具体的に一つ確認しておきたいと思うのですが、文部大臣が来て、えらい鼻息の荒いところをばっと言っておられましたが、もう少し、実際問題でどうかということを一つ。先ほど官房長官の話では、あなたはおられなかったけれども、国家公務員に関するそういう関係整備法に対して、あなたが担当しておられるということを聞いたので、ちょっと聞いておきます。実は本日、国家公務員法ILO第八十七号条約関係についての内閣委員会調査室から配られておるこの資料を見て、私は官房長官質問したんです。それでちょうどそのとき、専従問題に私は触れなかった。ところが、その後えらい問題が発展したんですが、実際問題として、この調査室は、ここに発表されたこういう経緯でやってきたということは、きわめて私は実情に即した方向に調査をされておるんじゃないか。調査というよりも、いわゆる改正案を検討されておるとこう見ておるんです。これと国家公務員関係について、室長は実際やっておられるんだから、こういう傾向であるかどうかということを一つ確認をしていただければそれでけっこうだ、こう思って実は質問したわけです。
  133. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 内閣委員会調査室の資料についての私の考え方ですが、その点を……。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうです。
  135. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) そうしますと、私ただいま拝見したばかりでございまして、もう少し見ないと何とも申し上げかねますが……。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これを見てもらったらよくわかるんですが、これは長いものではないのですが、「第二」の「ILO第八十七号条約公務員適用に対する政府方針」として、これは内閣委員会調査室が何もでっち上げたのじゃないのです。それはずっと今までの国会審議を通じての政府の意向をここに載せただけなんですから、これを現実に作業されておるあなたが認められるかどうかということであるから、これは別のところで作って、ここで承認してくれ、こういう意味じゃない、これは政府の今までの経過、松野労働大臣の発着とか、そういうものをここに参考までに出されておるんです。読んでもいいのですが、あなた一つ読んで、その点を一つここで、大事なことですから確認をしていただけたらと思います。そうすれば、あとの問題はおのずから解けてくると思います。それじゃ間違ったらいかぬから主要なところをちょっと読みます。「第三」にこうあるのです。「国家公務員法ILO第八十七号条約」と響いて、「国家公務員法の条一項の中で、本条約と直接関係あると思われるのは第九十八条第二項のみである。」これは先ほど官房長官答弁されております。それの解釈として、「第九十八条第二項は職員団体の結成及び加入についての権利を規定したものであり、労働問題懇談会の答申に於ても、「国家公務員法条約との関係において問題はないと考えられる」としている。しかし現在、国家公務員法の運用の衝に当たっている人事院は、国家公務員法第九十八条第二項に基づく人事院規則で、職員団体の登録の規定を設け登録をしないと当局と団体としての交渉はできない、被解雇職員が役員に含まれている団体の登録を拒否している。その限りで、国家公務員法第九十八条第二項は第八十七号条約関係がある。すなわち職員以外の者の団体への加入禁止は、条約第二条の労働者及び使用者の団体に対する無差別加入の原則並びに第三条の代表者の自由な選出についての規定と抵触する。」こういう断定的解釈を下されておるので、これが今度の改正されておる作業の問題である、だろうという私は解釈をしておるのです。「第四」として「ILO条約公務員の専従制限」として、こういわれておる。「専従制限がILO条約に抵触するかいなかは問題のあるところであって、間接的にILO条約精神に違反するとか、第三条の役員選出の自由を制限する結果となるという説がある。なお、二月二十三日の社会労働委員会で、松野労働大臣は「八十七号の批准に専従問題は抵触しない」と答弁している。」こういう資料が本日の内閣委員会に配られましたので、これを私は前提として、実はきょう官房長官なりあるいは松田文部大臣質問したんですけれど、松田さんは、そういうことに会釈なしに自分の見解だけ述べてさっさと帰られたんですが、この問題があとに残っておりますが、これに実際作業されておる室長は、一応これに間違いない方向に進んでおるかどうかということを確認してもらいたい、こういうことです。
  137. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) この資料のうち、ただいま御指摘になった点は、私どももさように理解いたしております。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 わかりました。それでけっこうです。
  139. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  140. 増原恵吉

    理事増原恵吉君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめ、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会