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矢嶋三義君 これで終わりますから。その点は
大臣のお
考えを推し進めるように要望しておきます。変な雑音に惑わされないように要望しておきたいと思うんですが、そこで最後に、在籍専従にしぼって
一つ伺いたいのですが、
大臣のさっきの所論を承ってみますというと、相当発展性のあるお
考えを持っておられるようですが、
日本の国情から
考えて、はたして適当かという点から承りたいと思うんです。私ももとまあ教職員
組合を結成した一人であります。
役員でもあった。私らのときには身分も保障され、給与なんか全部自治体側から受けておったわけであります。ところが、僕らが
組合の
役員をやめたころから
役員の人件費は
組合員の
組合費でまかなうべきである、こういうふうに変わってきたわけですかね。今の
日本の
労働者の受けている
労働条件、賃金、これをアメリカあるいは英国のそれと比べるならば、一割か二割そこそこなんですね。こういう
状況にある。それからこの前給与問題でも論じたんですが、昭和初年は高等師範を卒業しますと初任給口円だったのですよ。現在の貨幣価値に直せば三万五千円ですね、約。その高等師範の修学年限というのは小学校六年中学校五年、あるいは高等師範四年、合計十五年ですよ。ところが現在六・三・三・四のもとに修学年で十六年、しかも卒業して今初任給一万一千五百円。だからこの科学技術の振興を唱えながらも、工業課程の教師などは確保できないで困っている実情なんですね。これは
一つの例ですが、給与の問題はそういう問題があるわけですけれども、教育
委員会法の
改正等に伴って、
地方自治体においては教育の問題というのは山積しておりますよ。教職員の身分とか、待遇を守るという
立場からも、また
日本の民主教育進展という
立場からも、健全にして強力なる
組合運動というものは私は育成すべきだと思うんですね。これを押しつぶしてしまおうとか、あるいはこれを抑圧しようというようなこの
考え方というものは、長い目で見る場合に、
日本の国のためにも、
日本の教育のためにも、次代を背負う青少年のためにもならないと、私はかように確信をいたします。で、この点についても
大臣の所見も承りたいのですが、そういう
立場から
考えた場合、その
大臣の公式論はわかりますよ。しかし教育の現場を
考えた場合に、教育界にあまり縁のない人が、職業的な
労働運動の指導者、そういう
方々が入って教職員
組合を指導するというのがはたして妥当なのかどうか。それからまた教師というものは、教職というものに非常に愛着を持っていますがね、愛着を持っております。愛着、誇りを持っております。そこで、在籍専従全廃で自分は教職から去らなければ
役員になれないという場合に、はたしてその教職員にほんとうに信頼される優秀な人、か教職を去ってまで
役員に立候補するかしないか、これは非常に私は疑問な点があると思います。それからまた、今の
地方の
状況から言いますならば、たとえば最近岐阜県等でいろいろ問題が起こっておりますが、ああいうところ、だったならば一ぺん
組合役員になるために、教職を去れば、再び自分の愛着を持つ教職にカムバツクすることはできないと思います。そうなれば
組合員に信頼され、優秀なる
組合指導者というものは得られないと思います。それで教育
関係に御縁のない人が、職業指導者として入ってきた場合、はたして堅実にし、て強力なる教職員
組合運動というものが維持発展できるかどうか、ひいては教職員の身分、給与の問題、あるいは
日本の民主教育の進展というものははかれるかどうかという点に思いをいたすならば、この在籍専従全廃というのは、
日本の国情に合わない。それからやや公式論的な見解が入っておられる、私はそう感ずるのですが、幸いにして閣内で多数
意見でもないし、確定的でないということですが、この点
一つ大臣十分検討していただきたいと思うのです。でないと、結果論としては教職員
組合運動を抑圧する、窒息せしめる、場合によると教職員
組合運動を不健全化へ追いやる作用をもたらさないとも限らない結果が出る可能性がある。これは松田文部
大臣の本意とするところでないと思うのですが、従ってこれに対する御所信を承るとともに、この点は早急に閣内の
意見を
調整して早く
条約批准ができると同時に、在籍専従全廃ということに相ならないように要望を含めてお伺いいたしたい。