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政府委員(
渡部善信君) 少年院の矯正
教育でございますが、非常にむずかしい
教育でございまして、これに従事しております職員は日夜悩んでおるのでございますが、
仰せの
ごとく逃走もございます。ございますが、現在の趨勢は決して増加の傾向にあるのではございませんので、漸次減少の傾向をたどっておるということを申し上げたいと思うのでございます。で、これは一番逃走の多くございましたときは、
昭和二十五年でございますが、その当時は、
全国の少年院に約六千名の少年を
収容いたしておったのでございます。この少年のうち、年間に逃走いたしましたものが、二十五年には二千二百三十一名の逃走者を出したのでございます。これが絶頂でございますが、それからずっと減りまして最近は今一万三百名の
収容者、これが昨年中に逃走いたしました全部の数は六百六十名でございます。これは非常に
仰せの
ごとく、いかにも入れた者がざるの中に入れるとすぐ飛び出すようにお
考えかと思うのでございますが、この少年院は御
承知のように開放的な処遇をいたしておるのが建前でございます。従いましてなるべく拘束感を持たせずに少年たちを
教育していこうという建前になっておるのでございます。従いまして
刑務所のような高へいもございませず、またなるべく格子とかかぎなどもなくすように現在指導いたしておるのでございます。さような観点から、少年たちには、なるべく自由な気分で処遇をいたしておりますので、職員たちの勤務のすきを見まして逃走するような者も出てくるのでございます。これはあまり逃走をやかましく申しますと、どうしてもかぎをかけなければならない、格子もつけなければならないというようなことになりまして、非常に矯正
教育上、好結果をもたらさないのでございますが、これは少年たちの非常な特殊性でございまして、ほんとうにふっと思いつきますと、すぐ矢もたてもたまらずに逃げだすのが少年たちの心情なのでございます。従って運動場等で、ふっと思いついては先生の口の前から飛び出すというような者も非常に多いのでございます。こういうふうな
者たちを含めての
数字でございまして、
数字から申しますと非常に多いようでございますが、さようなことになっております。で、外国の例等を私も見て参ったのでございますが、少年院等の
状況を見ますると、イギリス等では
収容者が大体日本の四分の一
程度のものでございますが、年間やはり七百名
程度の逃走者が出ておるのでございます。あまり逃走をやかましく申しますと、矯正
教育が萎縮して参ります。その辺はわれわれ非常に心配し、しかしながら決して逃走はいいことじゃございませんので、その原因をわれわれは究明いたしましてさようなことのないように努力いたしておるのでございます。
それからなお少年院内でのいろいろな暴行その他の
状況でございますが、これも御
承知の
ごとく最近暴力事犯等の検挙によりまして少年院に送られてくる者が非常に多いのでございます。従いまして少年院に入って参ります少年たちの質も非常に悪くなって参っております。で、うっかりいたしますと、社会での派閥争いを、少年院にまでも持ってくるような傾向もありますので、われわれといたしましては分散
収容とか、その他いろいろな配慮から、さような傷害事件等を起こさぬようにいろいろと苦心いたしておりますので、この傷害事件もなるべく少なくするように努力いたしております。