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1960-02-18 第34回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十八日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下條 康麿君            下村  定君            松村 秀逸君            矢嶋 三義君            向井 長年君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    国 務 大 臣 赤城 宗徳君    国 務 大 臣 中曽根康弘君   政府委員    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁経理局長 山下 武利君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    法務省矯正局長 渡部 善信君    法務省保護局長 井嶋 磐根君    法務省人権擁護    局長      鈴木 才藏君    公安調査庁次長 関   之君    農林大臣官房長 齋藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    法務大臣官房司    法法制課長   羽山 忠弘君    法務省刑事局公    安課長     川井 英良君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○水産庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○国の防衛に関する調査  (自衛隊のキャンプに関する件) ————————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。去る二月十一日予備審査のため本委員会に付託されました科学技術庁設置広の一部を改正する法律案議題といんします。政府から提案理由の御説明を願います。
  3. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につき、御説明申し上げます。この法律案は、最近における宇宙科学技術の著しい進歩に対処し、宇宙科学技術に関する行政事務を効率的に処理するため、この事務科学技術庁内において計画局に所掌させようとするものであります。御承知通り、最近の宇宙利用開発の進展の状況ソ連邦の月ロケット打ち上げ、米国及びソ連邦における人工衛星の打ち上げの例に代表されるように、まことに瞠目すべきものがあり、これに対応して世界各国宇宙開発体制もまた急速に整備されつつある実情であります。  また、これと関連して宇宙開発に関する国際協力体制も漸次軌道に乗りつつあり、昨年十二月十二百に開催された国際連合第十四回総会においては、大気圏外平和利用に関する国際協力の問題を議決し、米ソを含む二十四カ国よりなる大気圏外平和利用に関する委員会設置する運びに至り、国際協力の範囲、国連主催下に行ない得る大気圏外平和利用に関する計画及び大気圏外探査により生ずる法律問題の検討を行なうことになっております。国連を通ずる協力のほかにも、わが国特定国との協力について急速に話し合いが進んでおり、近く協力が具体化する見込みであります。  次に、宇宙利用宇宙科学技術は、その包含する分野がきわめて広く、宇宙利用の態様としては宇宙空間飛翔資源利用エネルギー利用電波伝播等考えられ、また宇宙科学技術内容としては、宇宙物理学宇宙医学心理学宇宙通信宇宙計測宇宙飛翔体等の広範な研究分野にわたるものであります。  これらの国際情勢研究特殊事情に対処してわが国世界各国に比して劣らない宇宙利用宇宙科学技術進歩を遂げるためには、国内における宇宙利用宇宙科学技術に関する行政事務処理体制を早急に確立いたさねばなりません。翻って、わが国国内体制を見ますに、国立大学等におけるロケット打ち上げ、電離層の研究、あるいは国立研究機関における電波に関する研究等みるべきものもありますが、大観いたしましていまだ萌芽期の段階にとどまり研究の総合的、推進をはかるべき体制は整備されていないのみならず、宇宙に関する行政事務を効率的に推進する体制が整っていない実情にあります。科学技術庁においては、この実情に着目し、宇宙科学技術を総合的に推進するための体制を確立することといたし、総理府設置法の一部改正による宇宙開発審議会設置と相待って、ここに科学技術庁設置法の一部を改正する法律案提案いたした次第であります。以下本法案につき、その概略を御説明申し上げます。改正点のおもなる内容関係行政機関宇宙科学技術に関する事務総合調整に関すること及び宇宙科学技術にかかる試験研究のうち、多数部門の協力を要する総合的試験研究及び宇宙科学技術各種研究に共通する基礎的試験研究助成に関することを計画局所掌事務とし、これに伴い振興局所掌事務に若干の改正を加えたことであります。宇宙科学技術に関する基本的な政策企画立案及び推進に関する事務は従来とも計画局において処理して参ったところでありますが、この基本的政策企画立案推進事務と、前に述べました宇宙科学技術に関する事務総合調整及び研究助成事務とは一貫してこれを処理することが現在萌芽期にあり、かつ急速に進歩を遂げるこの分野研究開発推進するために効率的であるということが、この改正のおもなる理由であります。以上科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げました。宇宙科技術振興重要性に対する皆様の深い御理解により本法案の慎重なる御審議の上すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
  4. 中野文門

    委員長中野文門君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自の審議は後日に譲ります。
  5. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、三月十一日予備審査のため本委員会に付託されました水産庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。この法案は、水産庁付属機関である十和田湖孵化場を本年八月一日に廃止しようとするものであります。十和田湖孵化場は、ヒメマス資源重要性にかんがみ、国営により、その人工孵化放流事業を実施するため、昭和二十七年に設置されたのでありますが、近年同じく国営であります北海道サケマス孵化場支笏湖事業場におけるヒメマス種卵の生産が著しく増加し、全国移殖用種卵需要量を十分確保し得る見通しがつくに至りましたので、十和田湖における増殖事業は、単にその地方需要を満たせば足りることとなり、国債によりこれを行なう必要がなくなった次第であります。  従いまして、今回十和田湖孵化場を本年七月三十一日限りで廃止することといたし、青森秋田両県の県営に移管することとするものであります。  なお、これに伴い、昭和三十五年度におきまして青森秋田両県が十和田湖においてヒメマス孵化放流事業を行なうのに必要な施設設置に要する経費の全額を国庫補助するための予算を計上しております。  以上、この法律案提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  7. 中野文門

    委員長中野文門君) ありがとうございました。  以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査はこれを後日に譲ります。
  8. 中野文門

    委員長中野文門君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。一昨日に続いて質疑を行ないます。  政府側出席方々は、井野法務大臣羽山司法法制課長関公安調査庁次長渡部矯正局、長、以上の方々であります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて、大臣刑務所について、二、三お伺いしたいと思う。まずお伺いしたい点は、監獄法第四条に、「主務大臣ハ少クトモ二年侮二一回官吏ヲシテ監獄巡閲セシム可シ」とある。このことについて、監獄を二年に一回巡閲させるということについては、この全国五十七の刑務所全部について行っておるのかどうかということと、いま一つは、刑務所については二年に一回ぐらいの巡閲で十分事足りるのかどうか。その二点をまずお伺いした。
  10. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) お説の通り全国刑務所を監察させております。大体二年に一回で今まで何らの支障なく参っております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 引き続いて、同じく第三十七条を見ますと、「在監者ハ其拘禁セラルル監房ノ清潔ヲ保ツニ必要ナル用務服ス可シ」と、こういうふうに清潔については相当重視しておるようだ。ところが一方、前回も申し上げましたように、監房内に入ってみますと、整頓はよくできていますけれども、なかなか、日も当たらない、風も当たらない、また、下水道、上水道、あるいはまた、今言った光線の全然当たらない、まあ場所によっては当たるんでしょうけれども、前橋刑務所の場合は、ほとんどもう一日日が当たらないという。建物の様式になっております。こういうことでは、せっかく清潔、衛生の点をこの法律にまできめて重視しておるにもかかわらず、実際はこれにそぐわないではないか、こういう点をどういうふうにお考えになっていますか。
  12. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 刑務所内の衛生につきましては、極力所長をして注意さしております。まあ前橋は、御承知のように非常に占い刑務所でございまして、あの当時から、ああいう場所に作りましたために、そういった点が、部屋が暗いとか、いろいろの欠点がございます。そこで、先般もお答え、申し上げましたように、あれは前橋の中心にもございますし、いずれ移転さした方がいいとわれわれも考えておりますので、移転の場合にそういう点についてはまた十分考慮いたしたいと、こう考えております。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお大事な炊事場等につきましても、詳しく参観したわけですが、たとえばボイラーですね、炊事用ボイラー、これはいろいろ当たってみますと、ずいぶん古いので、骨董品化しているのですが、見てみますと、明治三十五年のボイラーをいまだに使っておる。それは古いのはけっこうなんですが、いろいろ実質を聞いてみますと、非常に危険性がある。で、特に危険を感じておるので、労働基準局に要請して特に細密に検討してもらったところ、同じく結論は非常に危険であるという結論で、こういう問題は、これはたとえばの話ですが、問題の起きないうちに、早めに、こういうようなのは早急に解決すべきではないか、そういう声が強いわけであります。こういう点について全然お考えはないのか、あるいは具体的に何か対策をお考えか、この点をお伺いいたします。
  14. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 仰せごとく、前橋施設は非常に古い施設でございましてボイラー等も古いものを使っておりますが、この点につきましては、私らも常に安全管理の点につきまして注意を払いまして、労働基準同等に連絡をとって始終監督も受け、それに対する処置を講じて参っておるのでございます。現在のところではさような危険はないというので使っておる次第でございます。さよう御了承願います。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 在監者には、朝、昼、夕三回とも、米麦をたしか四・六の割合で、一回ごとに八百カロリー、計二千四百カロリーですから、国民の最低のカロリーはまあ保有しておると思うのです。ところがこれに関連して、三十四条を見ますと、「在監者ニハ具体質、健康、年齢、作業等斟酌シテ必要ナル糧食及ヒ飲料給ス」こういうふうに明記してあるのですが、実際こういうふうに、体質とか、健康状態等々によって斟酌して、量を斟酌をして、そういう配慮を実際なされておるのですか。こういう点、ちょっと疑問なんですが、お伺いしたいと思います。
  16. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 収容者健康管理には、私らも非常に苦心をいたしております。と申しますのは、収容者の一日の金額が非常に少ないのでございます。その少ない金額で、いかにして栄養を保持させていくかということに一番の悩みを持っておる次第でございます。現在刑務所等におきます栄養補給源は、主食主眼点を置いておるのでございます。副食の方が非常に金額が少ないものですから、主食の方から、熱量等補給源に求めておるわけでございますが、さような関係で、仰せごとく、この副食費の方には、われわれとしてはまだ不十分な点がございますので、なお一そうの増額を毎年求めて参ってきておるのでございます。で、熱量から申しますと、大体基準をこえまして成人の、おとなの方では、大体所要量は二千五百カロリーということになっておりますが、現在、刑務所拘置所ともに、支給しております熱量を平均いたしまして、三千八十七カロリーということになっておりますが、この点はまず大体保持しておるのでございます。ただ、われわれが困っておりますのは、副食費が足りませんために、動物性蛋白質脂肪等に少し不十分な点がございますが、この点を今後とも努力いたしまして十分やっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今御説明ですが、実際の前橋刑務所に行ってみると、炊事場の中に、朝、昼、夕食と、この三回分の実物が展示してある。そこに一回ごとに八百カロリーと明記してある。そうするとそれを合計すれば二千四百カーロリーになるわけですが、今の御説明では、三千カロリー以上やっているから心配ないというのですが、それはちょっと食い違っている。
  18. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) これはただいま申し上げましたのは、全国刑務所の平均でございますので、私伊藤委員のおいでになりましたときの具体的のカロリーのことをちょっとわかりかねるのでございますが、実は私らの方ではこの献立全国的に統一させるために、献立カードというものをわれわれの方で作っております。その献立カードによりまして、各刑務所大体同じ標準にいきますように指導いたしております。ただ、地方々々によりまして物価の変動がございますので、その点うまくいきますところと、十分にいかないところができて参るのでございますが、全国にはさような面から指導いたしておるのでございます。  なお、給養関係につきましては、栄養士の資格をなるべく持たすように指導いたしておるのでございますが、さようなことから金目が少ないものでございますから、より正そうこの栄養管理につきましては、心をくだいているつもりでございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 同じく二十九条を見ますと、「受刑者ニハ教誨施ス可シ其他ノ在監者教誨請フトキハヲ許スコトヲ得」と、こういうふうに明記してある。これは教育教誨を重視するということは、非常にけっこうだと思うのですが、実際問題として、この教育ないしは教護誨を施すに足る予算が裏づけられておるのかどうか、そういう点をまずお伺いしたい。
  20. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 教誨は、実はわれわれの方では二つに分けておるのでございます。一般教誨と申しますのと、それから個別の教誨と分けております。この一般教誨と申しますのは、いわゆる宗教心を涵養するための教育にさしておるのでございますが、もう一つは各宗派々々の宗教教育と分けております。この一般教誨は、宗教情操を涵養する趣旨から、これは宗教家あるいはその他の講師に依頼いたしまして、教誨をいたしておりますが、この個別の各宗派々々の教誨は、これは各宗派からの申し出によりましてそれを自由に受けさせるようにいたしております。これは収容者希望等に基づきまして教育をいたしておるのでございます。で、各刑務所には、各派の教誨師を網羅いたしました宗教教誨連盟がございまして全国連盟とそれから各ブロックごとにございます連盟と、それから各施設単位連盟がございましてこれが各宗派を網羅しておるのでございます。それぞれの希望によりまして、刑務所に来ていただいて教誨を施してもらっておるわけであります。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その予算の面で、たとえば前橋刑務所の場合を見ますと、収容者が千百黒十五名、これに教誨師が十二名と篤志面接委員、これも十二名、計二十四名で教誨に当たっておる。これはまことにけっこうだと思うのです。ただ問題は今指摘申し上げた予算の面がほとんど問題にならない。たとえば数字を拾って見ますと、三十三年度について申し上げますならば、年間教誨師が九千円、篤志面接委員に使う金が四千円、それから三十四年度は少し上がって教誨師費が一万、それから篤志面接委員が六千、これはまことにスズメの涙ほどの予算と言わなければならぬわけです。ところが、このスズメの涙ほどの予算も、全部教誨師とか篤志接面接委員に充てるのではなくして、大部分年間行事、いろいろ行事があるわけですね、監獄でも刑務所でも、そういう行事に大部分が使われて、ほとんど教誨師あるいは篤志面接委員に対する報酬はほとんど無報酬に近い。これは社会奉仕の一環として篤志の方がやっていただくのはけっこうなんですが、定時に毎週お骨折りいただく方に足代もないというような実情では、せっかく教育教誨を念願されても、なかなかその実績が上がらないのではなかろうか、そういうふうに思うのですが、来年度の予算にはどういうふうにお考えか。これは大事なことだから、  一つ大臣にお答えいただきたいと思います。数字はけっこうですけれども、大臣においてそのお考えを……。
  22. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 御承知のように、教誨師に対しまして十分の手当もできておらないことも、私も承知いたしております。大体千三百人の教誨師が今全国におりまして、六十万の予算を使っております。しかし、大体一般の、先ほど二つあげましたが、一般教誨の方にそのお金を使って各宗派の方は、各宗派の方からみな金が出ております。大体現在それでまかなっておるという実態でございます。しかし、おっしゃる通り十分ではございませんから、また機を見て、その予算も増額して参りたい、こう思っております。
  23. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) この各宗派宗派の個別の教誨は、国家予算でこれを裏づけしていくということが、ちょっと憲法の問題から少し困難性がございまして、実はこの点につきましては、予算的な措置がむずかしいのでございます。一般教誨宗教情操の涵養というところは宗教活動でないというところで、これについての予算的な措置しか、ちょっと今のところはできかねる状況でございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、先日新聞にも出ておりましたが、岐阜刑務所で、優秀な受刑者に対しては、パルプ工場一般の労務者と一緒に仕事をさしてそうしていうならばへいのない刑務所、かぎのない刑務所と、そういうことを念願して、いきなり刑務所からすぐ実社会に出ないで、まず中間的刑務所ともいいますか、あるいはまた、結核患者は、よく病後いきなりすぐ勤務につくと失敗するので、アフターケアーなどやっておりますが、それとこれとは違うわけですけれども、同じような考え方から、中間にそういうものを設けるのが至当であろう、そういうものはお考えであろうと思うのですが、これはまだ、もちろん実現したのではないようですがその点、またそれに対するお考えをお伺いしたいと思います。
  25. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) ただいま仰せになりました岐阜刑務所で、中間刑務所的なものの記事が新聞紙上に報道されたのでございますが、これは実は岐阜刑務所名古屋バルブと申します会社の方に、原木の皮むき作業に毎日五十名程度刑務所から通わせて、工場出席さしておったのでございます。ところが、これはちょっと距離が離れておりまして、通うのに約一時間半ばかりかかるわけでございます。そこで、その往復の時間に相当時間を取られますので、実働時間が少なくなりますために、会社の方から自分の方で泊り込み所を作るから、そこで泊って作業に従事してくれないかという申し出がございましてで、実はこの工場のわきに泊り込み所を作ることになりまして、目下その建設中でございます。で、かような形態は今までも刑務所では行なっているのでございましてたとえて申しますと、ダムの工事等に出役いたしましたときに、その工事場の近くに就業いたします者たちの泊り込み所を作りましてそこから出役をさせるという方法を従来ともとっておったのでございますが、その一つ形態として岐阜刑務所でとることにいたしたわけでございます。もちろんそういうふうなところへ出ます者は、行状等から考えまして逃走その他のおそれもなく、また仮釈放を間近かに控えました者の、ただいま仰せごと帰住の準備としての教育を含めまして中間刑務所的な運営をいたしておるのでございますが、そういうような趣旨から今度岐阜刑務所に作ることになった次第であります。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今申し上げた岐阜の場合に近いものが前橋刑務所でもあるわけですね。例の赤城山の中腹の山林、これはまあ村有林だと思うのですけれども、これを五十町歩ほど借りてそうして出役させておる。そしてある程度の成果を上げておるようであります。ところが、ここでこのことに関連して特に大臣にお伺いしたいのは、先ほど申し上げたように、刑務所からいきなり実社会に出てまたその日の生活にも困って再び悪いことをする、で再犯、累犯が絶えない、こういうような考え方から中間的な刑務所の存在の意義は十分あろうと思う。ただ現存の法律では、これはまだ認められていないわけですね。そこでお伺いするわけですが、将来こういうような観点から中間的な刑務所を設けることについて、大臣はどのようにお考えか全然そういうことは考えておられないのか、必要を感じておるのか、そういう点を明らかにしていただきたいと思う。
  27. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 御承知のように、今の刑事政策報復主義から離れましてむしろ社会復帰目的としております、健全なる社会人として帰すことを目的としておりますから、刑務所内の強化もそういう方針で職業補導でございますとか、その他いろいろの教養をいたしております。ただ、その今お話しのようなあるいは刑務所の城壁を、へいを取り払って自由な刑務所を作るというところまでは、まだ考えが進んでおりません。目下のところでは、工場のいろいろの関係から、またあるいは作業関係から必要がある限度においてそういうことをやらしておるという程度でございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の全国刑務所受刑者の数は六万数千と大ざっぱに覚えておりますが、もし詳しく存じておったらその数を承わりたい。それはとにかくとしてその六万数千の受刑者の約一四%が精神障害者というふうに聞いておる。まあ少年院の場合はその倍数の二八%くらいある、これは非常に重大問題だと思うのですね。これは刑期が終わって出ても、精神障害がその原因をなしておる、そしてまた罪を犯す。これは根本的な対策が必要であろうと思うのですが、こういうことについては何か対策をお考えであるのか、また現在どのような措置を講じておられるのか、この点を明確にしていただきたい。
  29. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 現在刑務所受刑者仰せごと受刑者は六万四千七百名でございます。そのほか被疑者被告人等もおるわけでございますが、全体では七万七千二百一十六名ということになっております。これらの受刑者精神状態でございますが、これは仰せごとくやはり精神的な欠陥を持っておるものが相当数を占めておるのでございまして私の方で調べましたところによりますと、精神障害のあるものが約一五・九、一六%程度のものが、この精神薄弱者ないし精神病質、神経症というような障害者でございます。これらの精神障害者は、処遇上非常に困難をきわめるのでございますが、われわれはかような精神障害者に対しまする対策といたしまして、精神薄弱者を特別に収容いたします特別な刑務所も持っておるのでございます。これは今、名古屋の近くにございます岡崎の刑務支所でございますが、ここは精神薄弱者のみを収容して、その指導をいたしておるのでございます。なおさらに、精神障害程度の進みました神経症もしくは精神病質のきつい者を収容いたしますものについては、こちらの近くの八王子の刑務所、それから九州には城野の医療刑務所を持っておるわけでございます。こういうところで精神医学的な面からの治療とあわせまして作業を通じての治療教育を行なっておるのでございます。この成人の収容所に対しましては、特に出所後の職業の問題等に非常な悩みを持っておるのでございまして厚生省関係での成人の精神薄弱者その他に対しまする手当をわれわれとしても十分望んでおる次第であります。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、作業賞与金ですね。この点についてお伺いしたいのですが、いろいろ数字を調べてみますと、刑期が十年前後で大体一万円くらいの作業賞与金が出る。そういうような数字が出ておる。それが正しいのかどうかということは、とにもかくにもこれは刑務所作業ですから一般とはも、ちろん問題にならないわけですが、それにしても先ほども申し上げたように、刑期を終わってせっかく社会に出ても何か仕事が、いわゆる就職するのになかなか、普通人でも就職困難な状態ですから、特に前科ということになると、一そう就職の点は至難であろうと思う。また、自身に幾らかの資金があれば更正ができるわけですけれども、そういう点で十年で一万円ということになりますと、それ以下のものはもちろん非常に減ずると思う。そういうことでは、再び罪を犯させないというせつかくのお骨折りも、実際問題としてはなかなか実現できないで、しかも現在では累犯者が増加の一途をたどっておる、そういうふうに聞いておる。そういうような観点からいろいろ問題もありましょうけれども、こういう点については、さらに検討する必要があるのではなかろうか。大臣いかがお考え、ですか。
  31. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 刑務所内の作業につきまして大体今、全国の平均をとってみますと、一人九十円、日に九十円もらうことになっております。賃金の点から申しますれば、ほかの労務者よりはむろん安いのは当然でございます。しかし、世の中へ出れば普通の賃金がもらえるような職業補導をいたしております。また出ましたものにつきましては、保護観察所を通じまして保護司の手をわずらわし、いろいろ職業のあっせんをいたして、観察所の観察官につきましてもそういう点につきましては十分努力をいたしておりますので、おのずから刑余者となりますと、社会が使いにくくなるのは当然でございますけれども、法務省関係としては、そういう機関を通じまして、努力をいたしてできるだけ再犯を防止するように進んでおります。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もありますので、きょうは最後の二点としてこのようなことをお伺いしたいと思います。結局先日来お開きしておりますように、一般社会人の見る目は、悪いことをすれば、高いへいの刑務所に押し込める。その刑務所もだんだん各都市からきらわれて移転を迫られておる。そういう情勢の中で、たとえこの刑務所を山の中にぼとんと作ってみたところで、なかなか中の受刑者と実際社会との問題はそういうことでは解決しないと思うんですね。そういうことで根本的に今後どのようにこういう点をお考えになっておるか。こういう問題について基本的のお考え方大臣からお伺いしたい。
  33. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 刑務所の移転の問題でございますが、これは必ずしもその刑務所をへんぴな山の中に持っていって刑事政策を行なうという気持は持っておりません。やはり刑務所もできるだけ職員のいろいろな関係もございますし、また、刑務所作業関係もございまして、なるべく都市に近いところに置く方が便利であります。さりとて都市のまん中にこれがありますことは、都市の発展上非常に支障がございますので、そういう場所につきましては、できるだけその都市の首脳者と協議いたしまして、そうしてかえ地をもらいましてそこに移転いたしております。最近におきましては刑務所施設も非常に完備して参りましたので、必ずしも地元で刑務所の移転を欲しないわけではなくて、むしろ希望しているところも相当にございます。でございますから、先般お答え申し上げましたように、今度から国庫債務負担行為でもって刑務所の移転が行なわれるようになりましたので、非常に法務省としてもやりよくなりましたので、明年度からできるだけたくさんの刑務所の移転を実施して参りたいと思っております。
  34. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法律案内容に入る前に、法務大臣にお目にがかかったら、まず私はぜひ伺わんならぬことがある。それでは近く皇室に皇孫御誕生のおめでたが控えているわけですがね、またぞろ皇孫の御誕生に伴っての恩赦の問題が報ぜられて参っておる。恩赦のことが新聞の政治漫画まで出ておりますがね。事は大切でありますので、私は責任ある答弁をしていただきたいと思うんです。例の国連恩赦のときに選挙違反を中心としての大幅な恩赦をやって、非常な識者の批判を浴びたことはご記憶に新たなところだと思うんです。昨年は皇太子の御成婚に際して事前に恩赦はずいぶん両院の予算委員会、あるいは法務委員公等で論ぜられて、そうして特に参議院の予算委員会で岸総理は明確なる所信を述べておられたにかかわらず、その後与党の圧力に期せられて予算委員会における答弁に反する、くつがえしたような内容の恩赦、最も非難を受けたのは選挙違反の件であったんですが、やられた。それで、今や皇孫御誕生を前にしてまた選挙違反を中心とする恩赦をやってほしいというような陳情が始まるし、ある政党の部内では若干動いているような、こういうことはまことに私はけしからぬことだと思うんですがね。きっぱりとそういうことを否定し、それから今後も法務大臣としてよろめかないだけの決意があるかどうかを私は承りたいと思う。ここでは今この法案審議中ですから深入りはしないつもりですけれども、どうも皇室を利用し過ぎる。新憲法の立場からね、皇室に対して国民の対処の仕方、心がけというものが誤っている指導者が相当あるのじゃないですかね。先般岸さんが安保条約の調印でアメリカに行かれた。これはいろいろなことを答弁されておりますけれども、アイクさんと皇太子様の交換訪問、こういうものが御当人の御内意を十分承ることなく話が進められたことは否定できないと思うんです。これは経過がはっきりしていると思うんです。皇太子御夫妻の最も側近である宮内庁の首脳部にしても、やはり寝耳に水の感があったわけなんです。御出産を控えておられるのに、その人の腹の中を探ることもなく、勝手に五月ごろアメリカに行っていただこうというような、一方では人の腹の中を探り過ぎてお子さんができたならば、一つ選挙違反を免除してもらおう、しかもたとえ茶番みたいなことにしても、日本の新聞の活字に男子がお産まれになったらどうだ、女子がお産まれになったらどうだというようなことが活字になって現われるということは、非常に私は不謹慎でもあると思う。精神的には私は人権侵犯事件だと思っておる。それはともかくとしてともかく恩赦の話が出てくると、いろいろ法務大臣がよろめかれて、また昨年の四月十日の御成婚式のように、総理の言明があった後に愛知法務大臣がまたよろめかれた。そうして選挙違反を中心に恩赦が行なわれるということはまことに私は遺憾のことだと思う。私は皇孫御誕生のおめでたも近づいていることですから、法務大臣としてはっきり、しかも将来よろめかないところの決意を込めて御答弁願いたい。
  35. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 皇太子殿下の御皇孫のお産まれになります時期が近づいて参りましたが、矢嶋委員のお話しのように私のところにも最近いろいろ陳情がやって参ります。私は今そういうことを百にすべき時期ではない、また男のお子さんがお産まれになるか、女のお子さんがお産まれになるかわからぬ時期にそういうことを軽々しく言うべきではないと、いつでも自分としては陳情団を追い返しております。今までの先例から見ましても、御皇孫に対する恩赦というものは一ぺんもございません。皇太子殿下に対しましては、御誕生のときは減刑の恩赦はございましたけれども、皇孫に対しては一度もないのであります。そういう事情を考えまして、私どももそういう気持になっておりますが、しかし、ただ恩赦の問題は法務大臣の実は権限にあらずして総理大臣の権限でございますから、私からやるとかやらぬとか、そんなことを申し上げる筋のものではないと思うのです。しかし、私の気持は今言ったような気持で陳情者を撃退しておりますから、その点は十分一つ御了承いただきたいと思います。
  36. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つ政策上からこれが行なわれて参るわけですから、法務大臣の意向というものは、これは私はきわめて大きく反映すると思う。日本の憲法では、行政府の長である総理大臣の権限というものは他国に例を見ないほどきわめて高い地位であると思う。強力なる権限を与えておる。これは非常に優秀な総理が得られた場合と、それほどでもない人が得られた場合を考えた場合に、どうかと思うほど与えられている。しかし、法務大臣の意向というものは私は尊重されてやるべきだと思う。国連恩赦のときでも、時の牧野法務大臣の意向というものが大きく出て参ったわけです。当時は閣僚の中でもかなりの異議があったはずです。しかし、所管牧野法務大臣がきわめて政治的生命をかけて信念を持って自分はこうあるべきだと時の閣議をリードして識者からは非難を受けられましたけれども、例の国連恩赦というものが大幅に行なわれたわけですね。だからこのたびの皇孫の御誕生にあたっても、やはりこの法務大臣の意見というものは尊重されなければならぬ。しっかりした意見というものは持っておられなければいかぬと思う。昨年の四月十日の御成婚のときも、時の愛知法務大臣はかなり明確な答弁をしておられた。そうして総理大臣までされておった。それを国民が信じておったところが、与党内からあびせられたと、そうしてまず法務大臣、総理とよろめいて、立法府における答弁と背反するようなことが一ヵ月足らずで行なわれたということは、これは私は非常に遺憾なことだと思う。だから、まずもって岸内閣の法務大臣としてのあなたがいかにあるべきだと、こうあるべきだと、総理から諮問されたら、自分はこういう意見を持っているというだけの私は信念と見識を持っておられなければならない。その点を私はあなたに期待して承っておるわけです。もう一ぺん承ります。
  37. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 信念は私も人に負けないつもり持っておるつもりでございますが、今そういった信念を、まだお生まれにならない前に私が申し上げることは、むしろ不謹慎だと思うのです。実は陳情者にもそういうことは言えん、こう言って返しております。しかし信念は十分持っておりますから、その点だけは申し上げておきます。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これが社会の問題になり、政治的問題になろうとしている段階で、お子様がお生まれになるということは、貴賎を問わず、これは生理的現象なんです。どういうことがあっても、お生まれになられてもこういうことはないのだということは、何も不謹慎でも何でもない。大体岸さんというのは、少しよろめき過ぎる。そこに伊能前防衛庁長官がおられるけれども、これは戦闘機械の問題で煮え湯を飲まされた。もとは岸派の重鎮で尊敬しておったのですけれども、私はそう見ておるけれども、しかしよくよろめかれるので、ああいう問題が起こっておるのです。恩赦についても前例が近きにあるわけです。昨年の四月十日の御成婚の恩赦は、参議院の予算委員会あたりの速記録を読んでみれば、こういうことがまたとあってはならぬということはどなたも感じられるだろうと思う。それを危惧するがゆえに私は伺っておるわけですから、多く時間これはかけますまい。あなたとしては皇孫御誕生によるところの恩赦、ことに要望のある選挙違反を中心とするようなそういうものはやるべき筋合のものでない、こういう見解を持っていると了承してよろしゅうございますね。
  39. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 何べんも繰り返して申し上げて申しわけないのでありますが、一つの信念は持っておりますけれども、それを今私が申し上げますことは慎しみたい。なぜかといえば、御成婚のように御結婚なさるという一つの事実があれば、あらかじめ信念は申し上げてもよろしいのでありますが、生理的現象と申しましても、お生まれになる方が男のお子さんであるか、女のお子さんであるかによって、やはりいろいろ国民感情は違ってくるわけでありますから、そういうことを前提にして、私は今自分の所信を申し上げることは差し控えたい、こういうことだけを申し上げます。
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたはやはり岸さんのなにだから、総理のことを非常におもんぱかってなにされていると思うのですが、私は不満です。そうして男性がお生まれになるか、女性がお生まれになるかわからぬ。それによって国民感情が違うということはゆゆしき言葉ですよ。私どもは男性がお生まれになろうが、女性がお生まれになろうが、喜びは同じです。何で男性がお生まれになったら国民は喜んで女性がお生まれになったらあまり喜ばないか、国民感情が違う、そういうことを法務大臣がここで速記をつけておっしゃってはいけませんよ。問題になる。そんなことが耳に入ったら、美智子妃殿下は心配なさるですよ。大体あなたの気持はわかったから、私ははっきりと意思表示しておきますから、あなたの意見は岸さんはよく聞くのですよ、知っているのだから。それから岸さんの意見もあなたはよく聞くわけですよ。だから私はなにを何っておるわけです。愛知法務大臣と岸さんの関係よりも、あなたの方がいくらかレジスタンスができると私は見ておる。だからあやまちなきために、事前にお伺いしたわけです。これはあまり時間をかけると委員長に申しわけないから……。  もう一つ内容に入る前にぜひ伺っておきたいことがある。簡単にお答えでいいですから。それは、私は学生に相当関心を持っておる者だ、もと教師だから。それであなたにお目にかかってぜひお伺いしておきたいと思っていたことは、司法試験の管理委員会というのがありますね。これはときどき新聞に出てくるが、司法試験を受験しようという学徒が、問題が漏れるというようななにを非常に持っているんですね、自分は一生懸命に勉強しておるが、ルートに乗らなければ合格できぬというような気持でおることは非常にかわいそうだと思うんですね。大きく報ぜられて新聞で見る範囲内においては何かやはり十分でない点があるんでないかという感じを受けるわけなんですがね、従ってあなたに伺いたいんですが、司法試験管理委員というのはどういうふうに構成しておるのか、変える考えがないのかどうか、ある時期を区切って。一科目四人以下となっているんですか、すっと固定しておくのか、ときによっては変える意思はないのか。それから調査した結果漏れた形跡がないのかどうか。そういう点私は非常に平素から関心を持っておりますので、これは永久に続く試験なんですからね、国民、特に該当青年諸君に安心をさせる、疑惑を解く意味においても、過去の経過とこれからのあなたの方針を簡単でよろしゅうございますから、承っておきたい。
  41. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 昨年の試験の際に漏れたということが新聞にも出ましたし、いろいろ世間でも非難されましたので、私もそういう点については調査もさせてみました。しかし実際には漏れた事実はなかったようであります。何と申しましても、そういううわさの出ますことは残念でございますので、本年予算もこの点につきましては相当取りまして、その委員会のいろいろ構成なり、また運営なりについて十分にそういうような心配のないような措置を今度は講じましたので、本年はそういうことは絶対になかろうと信じております。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはそれだけの要望にとどめておきます。  それで本件で承りますが、この予算書を見ると、名古屋に十億、福岡に五億五千万の国庫債務負担行為の議決を求められておるようです。それで先ほど伊藤委員質疑に対しても今後の方針が明示されたわけですが、都市のまん中に刑務所、拘置所のあることは依然としてありますわね、ああいうのは早く、地価が高いんだから売却して、膨脹した都市の周辺に移すとなれば、そうも費用がかからないで私はやれるのではないかと思うんですが、土地の効率的使用という立場からいっても、また都市の美観という立場からいっても、それから刑務所の維持管理という面からいっても、不適当なところがあまりにも多過ぎると思うんですが、こういう点についてはどういう御方針でおられるか、承ります。
  43. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) お説の通り、都市のまん中に刑務所がありますことは、都市の発展の上から非常に支障のあることでもありますし、都市計画からも移転を必要とされるところもございますので、それが先般申し上げましたように、全国で約二十五、六件ございます。その中で十件を第一次計画として取り入れましてこの移転をはかって参ったんでございますが、何分にも多額の営繕費が要りますので、大蔵省が毎年わずか上か経費を今までは認めてくれなかったわけです。これでは十年たっても二十年たってもなかなかそういうことが実行できませんので、本年度から実は特別会計を設けてもらいたいと思って、いろいろ大蔵省には折衝したんですが、これは会計法上なかなかむつかしい問題で、刑務所だけそういうことができないということで、国庫債務負担契約の形で市当局者が責任をもってそれをやることを大蔵省も認めてくれましたので、ことしからそういう問題が比較的スムーズに早くでき上がることと考えております。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その方向はけっこうだと思います。それも推進したいと思うんですが、しかし、刑務所収容人員が多くなるということは、国としても期待するところでないと思うんですね。ところが、年々の予算数字の動きを見ると、罰金及び科料がふえて参る、それから刑務所作業収入ですね、特に少年院の少年補導の収入ですね、こういうものが年々予算書にふえて参るんですが、これはかなり無理をしているんじゃないですか。ことしの予算書を見ましても、罰金及び科料が約四億円ふえましたね。で、三十三億三千七百六十三万円というものを歳入に見込んで約四億二千万円歳入増になっておりますね。それから刑務所作業収入にしても、一億円以上ふえて、実に二十五億円というものを見ていますね。特に私が承りたい点は、少年院の補導収入がこれもふえて四千百万円何がしになっておりますが、この少年院における少年の収容者が作った生産物ですね、こういうものも十分ああいう人に食べさせないで、全部市場に出す所もあるようですね。やはりあなたのところでこれだけの収入を上げろと割り当てるものですから、たとえばスイカを作っても、トマトを作っても、ああいう人はむしろ補導作業として作るのですから自分たちは食べられないで、やはり割当があるものだからそれだけの収入を上げねばならぬから、市場に出すわけですね。こういう点は、やはり私は、こういう所に収容している人ではあるけれども、必要以上に愛情を注げとは言わないけれども、こういう刑務所作業収入とか、少年院の補導収入が非常にふえているという点は、これは矯正教育関係あると思うのですが、こういう数字はこれは末端の何には無理にならないのですか、どうお考えになっているのか、お考えを承りたい。
  45. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 刑務所の収入なりあるいは罰金収入がふえましたことは、お説の通りであります。罰金については五億円、作業収入については二十五億の予算を見ておりますが、これは必ずしも無理してそういう予算を出しているのじゃなくて、自然にいろいろな状態からその収入があり得ると見まして、大蔵省の方でも収入に計上したわけであります。少年院のいろいろの作業によりましての収入につきましても、ふえて参りましたのは、そういった関係でございますが、今お話しのように、自分で作ったものを自分が食べられないで市場に出して収入をはかっているんじゃないかというお話しでございますが、そういう点も多少はあると思いますが、ことしから少年院の副食物の単価を上げまして、そうして少年院の副食物もできるだけ多くするように努力いたしまして、従いましてそういう収入もその方に多少回されておるということもございます。しかし全体におきまして、お話しのように、無理して収入をふやすようにとは、法務省として考えていないということだけは、はっきり申し上げられると思います。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 予算折衝をやる局長に私は承りたいのですが、たとえば補助金をやるときは、よし何パーセントであるとびしゃっときますね。そうして歳入をみた場合に、大体歳入はどれくらいふやしていこう、そうすると大蔵省の方から法務省の歳入をどのくらい、あるいは文部省の歳入をどのくらい増加してほしいと、私はこういう要請があると思うのです。たとえば文部省関係では大学の演習林とか何とかの何があるわけですね、あなたのところの作業収入に匹敵するようなものが、そういう割当があって、そうしてあなたのところはそろばんをはじいていって、そうしてその金額を割り当てていくから無理ができてくるんじゃないかと思いますが、これは矯正教育とも関係がありますので、あなたの方はどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  47. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) ことしはなかなか予算も法務省は苦しかったので、大蔵省と私がいろいろ折衝しましたときに、むしろ私の方で、ことしはこれだけの財源が出し得るから、それを、一つ認めてくれぬかということを大蔵省に言ったことがございます。ところが、大蔵省の今の歳入の方針は、そういったことじゃなくて自然の増加を見込んで歳入ができ上がっておるので、あとから、こういうものをこれだけふやせということはほとんど聞いてくれないのです。だから、今お話しのような予算折衝ではなかったということだけは申し上げます。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでいいですか、矯正局長
  49. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 作業収入と、原材料その他の関係をちょっと御説明申し上げたいと思います。来年度はただいま仰せごとく収入見込額が二十五億に相なっておるのでございますが、従来作業収入の調定額と原材料費との関係は、大体二〇〇%前後になっておるの、でございますが、昭和三十三年度の実績をちょっと御説明申し上げますと、作業関係の原材料費その他の歳出が十億四千万でございますが、それに対しまして調定額の収入が、実績が二十二億二千二百万ということになっておるのでございます。大体二一三%ということになっております。本年度、三十四年度は支出額が十二億二千百万円でございますが、見込額は大体二十四億ということになっておるのでございます。で、今までずっと作業状況をとっておりますが、この二十四億の収入は今までの実績からいたしましても、大体確保が確実にできる見込みでございます。なお、来年度の見込みもただいま大臣からのお話しのごとく、決して無理をいたしておるのではございませんので、この支出と収入との今までの関係から見まして、二十五億の歳入は確実に収入でき得るものとわれわれ考えておる次第でございます。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 無理をしないようにね、これは私はお願いしておきたいと思うのです。そこで承りますがね、刑務所並びに少年院、ことに少年院の場合に逃亡事件というものが非常に多いですね。それから収容所内における刃傷事件というものが多い。外に漏れるのはごく一部で、内部に、秘にして内部で済ましておるのが非常に多いと私は聞いておるのですが、従って近ごろは少年院の所在している地域は非常に煙たがっておるですね。逃亡者が多い、それから内部でお互いの刃傷ざたが、表ざたにならないのが非常に多いのですが、これはどういうところに原因があるのか。どういう矯正教育をやられておるのか。私の感じでは、ことに少年院の場合は矯正教育やっている人の育った時代と、今収容されておる人と非常にずれがあるわけですね。そういう点で、矯正教育をやられておる人の経験領域が違うものですから、そういう点にも若干問題があるのじゃないか、魂が触れ合わないのじゃないかという感じがするわけなんですがね。現在のまま放置しておくわけにいかぬと思うのです。だから場所によると、少年院を運動して誘致をしたが、どこかへ移転してもらおうかというような、私は所の名前をあげぬけれども、そういう空気の出て来つつある場所もあるわけですね。従ってそれらについてもあなたの見解と方針を承っておきたいと思います。
  51. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 少年院の矯正教育でございますが、非常にむずかしい教育でございまして、これに従事しております職員は日夜悩んでおるのでございますが、仰せごとく逃走もございます。ございますが、現在の趨勢は決して増加の傾向にあるのではございませんので、漸次減少の傾向をたどっておるということを申し上げたいと思うのでございます。で、これは一番逃走の多くございましたときは、昭和二十五年でございますが、その当時は、全国の少年院に約六千名の少年を収容いたしておったのでございます。この少年のうち、年間に逃走いたしましたものが、二十五年には二千二百三十一名の逃走者を出したのでございます。これが絶頂でございますが、それからずっと減りまして最近は今一万三百名の収容者、これが昨年中に逃走いたしました全部の数は六百六十名でございます。これは非常に仰せごとく、いかにも入れた者がざるの中に入れるとすぐ飛び出すようにお考えかと思うのでございますが、この少年院は御承知のように開放的な処遇をいたしておるのが建前でございます。従いましてなるべく拘束感を持たせずに少年たちを教育していこうという建前になっておるのでございます。従いまして刑務所のような高へいもございませず、またなるべく格子とかかぎなどもなくすように現在指導いたしておるのでございます。さような観点から、少年たちには、なるべく自由な気分で処遇をいたしておりますので、職員たちの勤務のすきを見まして逃走するような者も出てくるのでございます。これはあまり逃走をやかましく申しますと、どうしてもかぎをかけなければならない、格子もつけなければならないというようなことになりまして、非常に矯正教育上、好結果をもたらさないのでございますが、これは少年たちの非常な特殊性でございまして、ほんとうにふっと思いつきますと、すぐ矢もたてもたまらずに逃げだすのが少年たちの心情なのでございます。従って運動場等で、ふっと思いついては先生の口の前から飛び出すというような者も非常に多いのでございます。こういうふうな者たちを含めての数字でございまして、数字から申しますと非常に多いようでございますが、さようなことになっております。で、外国の例等を私も見て参ったのでございますが、少年院等の状況を見ますると、イギリス等では収容者が大体日本の四分の一程度のものでございますが、年間やはり七百名程度の逃走者が出ておるのでございます。あまり逃走をやかましく申しますと、矯正教育が萎縮して参ります。その辺はわれわれ非常に心配し、しかしながら決して逃走はいいことじゃございませんので、その原因をわれわれは究明いたしましてさようなことのないように努力いたしておるのでございます。  それからなお少年院内でのいろいろな暴行その他の状況でございますが、これも御承知ごとく最近暴力事犯等の検挙によりまして少年院に送られてくる者が非常に多いのでございます。従いまして少年院に入って参ります少年たちの質も非常に悪くなって参っております。で、うっかりいたしますと、社会での派閥争いを、少年院にまでも持ってくるような傾向もありますので、われわれといたしましては分散収容とか、その他いろいろな配慮から、さような傷害事件等を起こさぬようにいろいろと苦心いたしておりますので、この傷害事件もなるべく少なくするように努力いたしております。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長くなりますから、その点はあなたにおまかせして期待しておきます。  次に質問しますが、設置法別表に三十四年四月一日から発効、総理府告示で、「北海道花咲郡歯舞村を廃し、その、区域を根室市に編入する。」こうなっておるわけですね。参考に聞いておきたいのですが、それで花咲郡というものは消滅したというのですが、色丹は根室市に編入をしているのか、していないのか。もし、してないならば、むしろ行政区画上歯舞は北海道に入っておったから根室市に編入した、色丹はたしかもとは千島支庁の方の行政区画に昔入っていたかと思うのですがね。それでわれわれも歯舞、色丹を一つとしていつも考えておるわけですが、この色丹は根室市に編入する形にしていないのか、ちょっとこれは関心がありますので、歯舞と色丹をこの行政区域編入に法務省としては違う取り扱い方をしているのか、同じ取り扱い方をしているのかお答えおき願いたいと思います。
  53. 羽山忠弘

    説明員羽山忠弘君) 法務省設置法別表には、色丹郡を掲げてございません。これは現在、行政権が事実上及び得ないという考え方になっておりますので、色丹を掲載していないのでございます。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 歯舞には行政権が今及んでいるのですか。
  55. 羽山忠弘

    説明員羽山忠弘君) これは歯舞にも行政権が及んでおりませんので、ここに書いてございます花咲郡という中には、元は歯舞が入っておったのでございますが、法務省設置法別表の考え方における花咲郡の中には、現在ソ連が占領いたしております歯舞諸島を含んでございません。花咲半島のところだけでございます。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 すると、ここに書いてある歯舞というのは、さっきの話がはっきりしないのですが、歯舞というのは、ソ連が占領していない地域で、日本の行政権が及んでいるところ、こういう意味ですか、あなたの答弁は。
  57. 羽山忠弘

    説明員羽山忠弘君) 詳しく御説明申し上げますと、北海道花咲郡歯舞村と申しますのは、ソ連が占領する前は、歯舞諸島を含んでおりました。一村が一部でございます。歯舞村一村が一部でございました。ところが、ソ連が占領いたしまして、その後法務省設置法を作りましたときに、花咲郡歯舞村といたしましたのは、ソ連の占領した事実上行政権の及び得ないところを除外いたしまして、法務省別表に掲げたわけでございます。花咲半島の部分だけでございます。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたのその説明の限りにおいてはわかりました。で色丹は行政権が入っていないから、こういうところに編入措置はやらぬというわけですね。
  59. 羽山忠弘

    説明員羽山忠弘君) はあ。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと一、二問いたします。まず法務大臣にこの際伺っておきたいのですが、それは検察官ですね、これは国家権力を背景に検察行政を強力に押し進められるわけですが、やや最近、政治的偏向を持つ傾向があるのじゃないかというように感ずるのですがね。旧憲法時代は、もう少しひどかったのですがね。それから終戦直後にいたしましても、政治家があると、だれの政治家には何々検事正が、だれか次席検事がつながっているので、だから人事がごうこうになった。新憲法が徹底してから影をひそめているが、最近それがやや復活して、検察行政が偏向のきざしがあるように感ずるのですが、法務大臣としてどうお感じになっているか。それから私は検察官は強力な国家権力を行使されるのだから、相当私は人間教育が大事だと思うのですが、どういう研修をやっているのか。法律だけでなくて、ああいう職種の人というものは、一番人間としての修練と申しますか、そういうものがたゆまずできるような機会が与えられるようになっていなくちゃならぬのじゃないかと思うのですが、そういう点においてはどういう気を配っておられるか。私は最近三井の三池に参ったのですが、ああいう労働争議に検察当局は不当に介入していくということは、いささかもお考えになっておられないと思うのですけれども、しかし、実際の末端の運用を見てみますと、やはりああいう労使の紛争のただ中に、やや資本家に組みすると、そういうようにとられてもやむを得ないような動きがありますよ。ということは、たとえば具体的に調べてみたのですが、負傷三日間というものを起訴しておるのですね、診断書負傷三日間となっておるのを。それで炭坑の繰り込み場等でトラブルが起こる。そうすると会社側もおり、炭坑の採炭夫もおっていざこざがあるというのですね。だからまあちょっといえばけんかみたいなものですね。当然双方私は平等に見なくちゃならぬし、見ればそれは起訴なんかにいかぬでも済むものだと思うのですが、そういう負傷三日間というものが起訴されておる。それで必要以上に多数の人が逮捕され、長い間勾留をされて、そうして起訴される。これは一つには見方によりますと、労働者側の士気阻喪、団結のゆるみをねらっているかのように誤解されるような検察行政が末端に行なわれているような私は感じがいたします。こういう点は厳に慎んでいただかなければならぬと思うのですが、あなたはどういう報告を受けられておられ、またどういう方針であり、どういう指示を与えられるお考えであるか、この際承っておきたいと思います。
  61. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 私も法務省へ参りますまでに、検察陣について厳し過ぎるいろいろな事件について聞いたこともございますし、少し行き過ぎるところがあったり、あるいはまたそういったようないろいろな矢嶋委員のような問題があるのじむ、ないかと実は思っておりました。ところが、法務省に参りましていろいろ検察陣の実態を見ますると、決して今日そういったようなことはなく、きわめて不偏不党の立場で検察官は国民に臨んでおります。ですから戦前のいろいろなお話がございましたけれども政党人であるものと結びついておるとか、そんなようなことは絶対にございません。また個々の事案についていろいろの行き過ぎの点も、それは各検事も個人的な感情もあるし、いろいろなこともございましょうが、そういう点についてもしも行き過ぎがございますれば、われわれの方としてそういう事案について十分に警告を発してそういうことのないように善処いたしております。またふだんの教養につきましても、別に教養機関というものはございませんが、ただ、今法務総合研究所がございましてそこに優秀な検事を呼び寄せて、そうして研修さしておりますが、そういう滞在期間には人物的教養もいたしておるのでありまして、絶えず私として訓辞をいたします際に、お話しのような人物的な教養に市点を置かなければならぬということも申して参っておりますので、ただ機関はございませんが、そういう点は十分に注意をして今日参っております。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 法案審議中ですから、私はこれを深入りしては質疑応答いたしませんが、現在大牟田の三池の地域においては、労使が不幸にして非常に激突状態にあるわけですね。だから検察当局あたりの態度というものは、よほど私は慎重でなくちゃならぬと思うのですね。まああなた方から見れば適当だと言われるのかもしれませんが、私はまあ今ちょっと申しましたけれども、法案審議中だから、あまり具体的なことは出しませんけれども、私らの眼から見ますと、やはり若干偏向して穏当でないと、少し過剰に国家権力を行使し過ぎていると、他の事案と彼此対照した場合ですね、そういうふうに判断される面がかなりあるのですよ。それで大臣の方から、あやまちなきょう慎重に臨んでほしいという要望があるというようなことを、私はお伝えいただきたいと思うのですがね。問題が起こった後に相争うということは、むだなことですからね。事前に双方とも、労使もそうだし、また警察にしても、検察にしても、問題を発展させないようにすることが私大切だと思いますので、そういうことを御要望申し上げたいのですが、聞き入れていただけるでしょうか。
  63. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 三池炭鉱の争議につきましては、われわれの方も非常に関心を持っておりますので、あの地方には優秀な検事を派遣したつもりでございます。しかし、お説のようないろいろな問題があるといたしますれば、法務省としましても十分またそういう方面に注意を促していきたいと思います。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に公安調査庁のことを一言聞いておきたいと思うのです。担当官お見えになっていると思うのですが、全学連の問題ですが、これは検察行政も含んでですが、若干全学連ミステークをしたようです。だからその点は一部まあ反省があると思うのですが、その後の取り扱い方は、少し僕は過酷じゃないかと思うのですね。必要以上に長いこと勾留している。ちょうど学期末の試験時期であるのに、私らから見ると、必要以上に長い間、こらしめてやれというような考え方で勾留しているような向きがあると思うのですが、現在一体何人ぐらいまだ勾留しているのか。先般相当数のものを起訴したようですが、追い打ちをかけるようなことは、ああいう若い人たちだから、ほんとに戒めなくちゃならぬという人に対しては、それはいろいろ、しょうと思えばありましょうけれども、全般的にあの若い人々に追い打ちをかけるというような点は、私は再考を要するのじゃないか。あの一連としてこの前、九大にいろいろ問題が起こっておりますが、ここでは時間がありませんから、またこの場合ですから、触れませんがね。検察庁あたりの出方も適当でない。私が承りたいのは、現在なお学生諸君、学年末ですが、どのくらいまだ勾留しているのかですね、その点と、それから結論だけ聞きたいのですが、破防法の団体としてこれを指定されるおつもりなのかどうなのか。それとも今までの調査で破防法適用は今のところ必要ないという結論に達せられたのか、その点お答え願いたいと思う。
  65. 川井英良

    説明員(川井英良君) 勾留の点は刑事局関係でありますので、便宜私から御答弁申し上げます。羽田事件の関係では七十九名を勾留して取り調べをいたしまし結果、そのうち二十二名につきまして公判請求をいたしました。身柄の拘束の関係ま二十二名についてだけ勾留が続けられておりまして、その他につきましては、すでに釈放になっておる、こういう関係でございます。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 破防法関係は。
  67. 関之

    政府委員(関之君) お答えいたします。金学連の問題につきましては、一応調査をいたしている段階でございます。ただいまのところといたしましては、今後の動向のいかんにかかるというように考えておるわけであります。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと聞きそこなったのですがね。もう一ぺん……。
  69. 関之

    政府委員(関之君) その刑事処分の請求その他の問題につきましては、今後の全学連等の団体の動向のいかんにかかっておる。また、今までのところでは、一応調査だけしておく、こういうような考え方でございます。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さすがなかなかお含みのある教育的な発言をされるものですね。そこでお伺いをしたいのですが、二十二人に対しては公判を請求した、起訴をしたわけですから、もう釈放したらどうですか、できませんか。ずっと勾留を続けるつもりでありますか。
  71. 川井英良

    説明員(川井英良君) 検察官といたしましては、まだ公判が開かれておりませんので、現在の段階といたしましては、まだ勾留の必要がある、こういうふうな考え方でおるように聞いております。それから公判を請求いたしましたので、保釈の問題が起きると思いますので、保釈の請求が出ておるものもありましょうし、またこれから出ると考えられますので、そういうことになれば、この裁判を祖当する裁判官の方におきまして、身柄の釈放をするか、勾留を続けるかということについて、新たな意思決定を行われるであろうというような見通しでございます。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 勾留等は必要にして十分なる最小限度にすべきなので、僕は専門家じゃないが、今度の学生に対するやり方は、彼らは少し、ミステークをしたでしょうが、少し苛酷で追い打ちな姿がある。これは全青年の今後の心理的影響という立場から考えても再考をされ、善処されるべきじゃないかという見解を持っておりますので、ちょっと要望を含めてお伺いしたわけであります。  公安調査庁関係への最後の質問として、これは法務大臣にお伺いをしたいと思いますが、昨日ちょっと決算委員会でやりましたが、どうしても満足が得られないので、法務大臣に伺いますが、私は各省庁の報償費それから交際費、活動旅費、諸謝金、これらについての予算額及びその執行状況をずっと関心を持って調べておりますが、報奨費とかあるいは公安調査庁の調査活動費というものが、会計検査院の検査からもある程度免除されて十分検査されていないわけですね。これらの使い方については、国政調査権を持っておる自分としては、若干知りたいという気持を持っておりますが、どうしても資料として出されないわけですが、立法府の、要求に対して行政府が資料を出すか出さぬかということについては、法律的にも、私も研究してみるといろいろありますが、ただ、ここで法務大臣に伺いたいのは、綿密なものが要求された場合にそれは出せぬにしても、一件二万円以下のものが何件、一万、二万の間が何件、二万、三万の間が何件、五万、十万の間が何件、それから十万から二十万のが何件で二十万以上は何件、そのくらいの程度に件数を資料として出していただくことはできませんか、どうでしょうか。私はその程度のは資料を出しても、おたくの行政に支障を来たすわけではないと思うのですが、せめてその程度のものを資料としてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。それを承って法務省関係質疑を終わりたいと思います。
  73. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 公安調査庁の調査活動費につきましては、私もできるだけ資料が出せれげ出したいと思っていろいろ事情を調べてみましたけれども、これはいわゆる破防法活動のいろいろの事項を詳細に調べる経費でございまして機密に属することが多いのでございます。ですからこれはやはりごかんべんを願いたい。資料はできるだけ私ども出すことは賛成です。ですけれども、どうもその事情を聞いてみると、これは決して不正な使い方をしてないことは私どもも認めておりますし、これだけは一つごかんべんを願いたいと思います。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 なぜ私はお聞きするかというと、約五億三千万円、それがときどき労働組合の組合員をつかまえて、どうだ教えぬか、そうしたらごちそうするとか、ポケット・マネーをやるとか、労働組合員とか、最近は教師に対しても、あるいは学生に対してもそういうことがなされておる。あれは全部そういう費用から出ておる。あなた方は必要かもしれぬけれども、僕らからすれば、それは適当な場合もあるが、非常に暗さを受ける場合があるわけですね。純粋な学生に対してやるということは。だからよほど、必要だから予算に組んだのだろうが、実行は注意していただかなければならぬし、まあ、興味を持っているのは、一番高いのは何十万ぐらいで質うか興味を持っておる。だから二十万円以上は何件あるか、その程度の資料を出しても、国家に損害を与えまいというので非常に譲ったところの資料の提出を要求しておりますが、だめですか。
  75. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 金額を申し上げますと、これだけ出ておるからこういうところに出ているのじゃないかというふうに、矢嶋議員なんか勘がいいですから、どこでどういうふうに使われるか大雑把にながめてわかってしまうから、金額の点はお許し願いたい、こう思います。
  76. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    [速記中止〕
  77. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。  ただいまから引き続きまして自衛隊のキャンプに関する件を議題として調査を進めます。政府側の出席方々は、赤城防衛庁長官、門叶防衛庁官房長、ただいまのところ以上でございます。御質疑の方は、順次御発言を願います。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最近防衛庁関係の基地あるいは住宅、工場、道路、鉄道、ダム、これらの建設の際に、土地問題がいろいろ起こっております。不祥事件が、今後続発するおそれがありますので、防衛庁の松山、温泉郡小野村、ここのキャンプ設置に関する土地問題を伺いたいと思いますから、事実だけお答え願いたいと思う。温泉郡小町村の自衛隊のキャンプは、土地買収等は全部解決しているかどうか、完成しているかどうか、それをお答え願います。
  79. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 全部完了いたしております。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この敷地を売り渡した木田正明という人物がいるはずです、この木田正明という人物に対しては、幾ら防衛庁は土地代を払ったか、私が連絡いただいたところによりますと、税務署から課税がきた、それでその金額を見たところが、自分が受け取った金額よりも四百四十九万百五十円多く受け取ったように税務署の書類にある。四百四十九万百五十円自分がもらった金よりもよけい受け取ったように税務署の書類にある、その金額に対して課税をしてきたというわけですね。それで本人としてはびっくりしたわけなんですが、どういうわけでそういう事態が起こったのか、それでこの売買の防衛庁関係の責任者は何という人物で、現在その人はどこにいるのかお答え願います。
  81. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 税務署の方とこちらで支払いした方と突き合わしてみませんとはっきりいたしませんが、御指摘の木田という人は、一般の土地買収のときの代償の標準と違いまして、少しく問題になった事案であります。そこで訴訟になりました。訴訟をしておりました結果、こちらの当事者において、ある程度木田という人に約束しておったという事情などが判明しております。そこで和解になりまして、訟訴を取り下げて和解の結果話し合いのついた額を支払ったと、こういうことに相なっております。でありますから、税務署との関係は、こちらで支払ったものと税務署の方と突き合わせてみませんと、今ここで御答弁申し上げかねます。これは経理局長が今参りますから、その現場で担当した者の氏名等はそのときに御答弁させます。
  82. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は経過を明確にするために承っているのです。訟訴したのはあとです。四百四十九万百五十円よけいもらったことになっているから、びっくり不満を表明したところが、小野村当局から二百万くれたというのです。文句言ったら。それでもなおあと二百四十九万百五十円足らない。それから訟訴を起こしたわけです。この経緯はどうなっているのですか、この文句を申し出たところが、二百万円小野村からくれたというのですが、この二百万円はそのとき防衛庁から渡したものかどうか、不明朗きわまるものがある、その点お示し願います。
  83. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 詳しくは経理局長から御答弁申し上げますけれども、金を払ってから訟訴になったか、あるいは訟訴してからどうかということは別といたしましても、防衛庁として最終的に払うことになったのは、その訟訴の結果が和解になって、それで取り下げたと、そのときに和解した額を支払ったと、これが最終的であります。中間におきまして今お話のようないきさつもあったかと思いますが、そういう事情になっております。
  84. 山下武利

    政府委員(山下武利君) お尋ねの小野キャンプでございますが、本件は小野の小演習場並びに営舎敷地といたしまして、大体二十万坪、支払い全額を  一億二千六百万円、これで三十年四月十五日に支払っております。この土地所有者の方は非常にたくさんあったわけでございますが、その中で三人ばかりの方から、当初の土地の売買交渉に当たった人の話と、実際に支払われた金額との間に二百万円ばかりの差があるということの御不満の意思の表明がありまして、三十二年に訟訴になったのでございます。当初私たちといたしましては、法律上の責任はないという立場でもって応対しておったのでありますが、やはり当時の事情をいろいろ調べてみますというと、その土地の売買交渉に当たった人の言動から、若干地主の方にも期待権を持たせたというふうなこともございましたので、裁判所のあっせんによりまして、つい最近でございますが、和解が成立いたしまして、二百万円を支払った次第でございます。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの話はちょっと違うから、はっきり答えてもらいたいと思います。木田正明という人物が受け取った金は、実際に受け取った金よりも税務署に行っておった通知は四百四十九万百五十円よけいに行っておったわけです。それで、四百四十九万百五十円実際に受け取った金よりもよけい受け取った証明書が税務署に行っているから、それで税務署が税をかけてきたわけです。そこで、木田なる人物は、自分はそんな金をもらっておらぬ、それでおかしいと思って役場にねじ込んだところが、役場が二百万円くれたというわけですね。それでもなおかつ税務署の帳づらから見ると二百四十九万もらい足りないから、それで訴訟を起こした。どういうわけでそういう経過になったのか。承ると、第三管区の伊丹の某氏から領収書は印だけ押して受け取ったというわけです。木田さんは、印だけ押して、金額を書かないで第三管区に渡したというわけです。第三管区では、木田さんに実際渡した金よりも四百四十九万百五十円よけいに書き込んで領収書を渡したというわけです。それが税務署に行ったわけですね。だから税金がよけいかかってきたわけですね。どういうわけでこういうことになったのか。これを扱った人物は何という人物で、どこにおるのか、それから、この四百四十九万百五十円もらい足りないのは、現在木田氏に渡ったのか、渡らないのか。和解した和解したと事務当局は言うのですが、税務署の帳づらから言えば、四百四十九万何がし、それだけ受け取っていないわけです。その金は和解の結果として渡したのか、それともいつ渡すのか、そして、その金は小野村から出たのか、防衛庁の昭和三十四年度の予算からその四百四十九万という金は出たのか、そこのところを明確に答えて下さい。
  86. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 本件の契約は、地主の総員を代表いたしまして、小野村長牧恒一という人と防衛庁との間にかわされたものであります。防衛庁といたしましては、小野の村長に一括して金額を支払った、わけでございます、三十年四月十五日付で小野の村長から受領書が提出されておりまして、この金額は次の氏名の者に次の金額を払ったという詳細の内訳が載っておりますが、防衛庁がじかに木田という人に支払ったわけではございませんので、その間のいきさつは防衛庁としてはわかりかねる次第でございます。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすると、防衛庁の見解としては、代表者である小野村の村長さんが、実際に木田氏に渡した金よりも四百四十九万オーバーした支払い文書を作って、防衛庁にも報告し、税務署にも出したと、こういう見解ですね。
  88. 山下武利

    政府委員(山下武利君) その四百四院九万という数字は、私は全然存じないのでございますが、村長から提出されましたものには、木田正明外二名に対しまして、千六百二万円支払ったという数字が載っておりまして、このことは木田氏も認めておると存じます。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いやいや、私の質問は防衛庁の見解を聞いておるわけですから、それを答えて下さい。防衛庁としては次のようにとっておるわけなんだな。小野の村長が代表になっておるから、木田氏その他に金を払ったと。そうすると、こういうトラブルが起こったのは、小野の村長が実際木田氏に渡した金よりも四百四十九万円プラスした金額を青いてそうして税務署に渡したために、そういう事態が起こったのだと、こういう見解ですね。
  90. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁といたしましては、その間の事情は全く知りません。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、そういうふうに判断しておるのかどうかということを聞いているのです。
  92. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁といたしましては、木田氏外二名は二千六百二万円を当初受け取ったということに了解いたしております。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ことさらに逃げる必要ないじゃないですか。なぜあなたの判断を加えた答弁をしないのですか。それでは、和解したというのは、その後問題の起こった後に木田氏には幾ら渡ったのですか。
  94. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 裁判所のあっせんによりまして百九十八万円を一月末に支払っております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はなぜこれを問題にするかといえば、こういう問題は至るところに起こっているのですよ。私の県でも、県営住宅を建てる土地を県が買い上げる場合、実際に農民に渡した金額よりも帳づらは多い。某県会議員の場合は、二百万円多い。某県会議員は、それをふところに入れて、それが刑事事件になっておりますが、純朴なる農民を相手にこういう事件は至るところに起こっているのです。今和解で百九十八万円というが、約二百五十万の差がある。その金を何に使ったかというと、ほとんど渉外費に使っておる。こういうふうなことは、至るところに起こっておる。だから、私が取り上げておる。防衛庁の人が土地買収その他の交渉に行く、それで接待をする、そういう金に使っておるわけです。だから、村は今度金の分け前をするときには、金が少なくなっておる。だから、実際に渡す金は少なくなるのですね。しかし、防衛庁からはもらったから、帳づらは合わせなければならぬものだから、Aに幾ら、Bに幾らということになるわけです。それが税務署へ行っちゃうわけです。だから、税務署からよけいに来るわけですね。だから、この木田氏は約二百五十万円まだもらい足りないのです。税務署へ出された収入額と木田氏のもらった金には約二百五十万円の差があるから、この金は防衛庁の出先機関と村当局と一緒、あるいは村当局だけの、ほとんど飲み食いに使われておる。こういうことがあなた方のキャンプ設定にあたって行なわれるということは、私は重大だと思うのですよ。今後もこのキャンプの問題、基地の問題は起こってくるわけですが、それのみならず、こういう事案というのが、ダム建設の場合、工場建設の場合、あるいは住宅の建設の場合というふうに、あらゆる場合に起こってきつつあるわけです。それで、私はこれに関心を払っておるわけですが、この当時このキャンプ設定の土地買収その他にタッチした責任者は何という人で、今その人はどこにおりますか。
  96. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 基地の土地買収やその他につきまして、一般論として、差額ができて、それは防衛庁の飲み食いであるということは、少しく独断だと思います。そういう例もないとは言えないかもしれませんが、そういうことは私はないようにやっているのでありまして、今の問題も、ですから、税務署の額と、それからこちらから支払った額とを突き合わせてみませんと、矢嶋委員はもう初めから、そういうふうに違っておってそれは飲み食いだというふうに判断されておるようでありますが、これはよく調査してみませんと、そういう結論を早計に出せないと思います。しかし、そういうことがないように私どもは極力注意いたしておりますので、差額を作って、それを飲み食いに使っているのが常套手段のように判断されるのは、迷惑でありますから、これはよく調査してみたいと思います。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは御迷惑かどうか、資料によってはっきりしてからやりましょう。次のことを要請します。税務署に当初木田氏が土地売却代金として収入した金額は幾らと出ておったか、木田氏に最初課税した場合の課税対象は金額は幾らであったか、そうして木田氏は幾ら受け取っておったか、それからその後渡した金が百九十八万円はわかったのですから、防衛庁長官が言われます税務署の方の数字、それを調べてもらいたい。それから当時この小野キャンプ設定について出入りした、ここに一人の名前が出ておりますが、これは僕は伏せているわけですが、責任者はだれであったのか、土地買収にあたっての執行した責任者は何という人だったか、そして現存その人はどういう職種についているかお調べになればわかると思いますから資料を一つ出していただきたいと思います。  それから次に、簡単なことですが、同じ別府のキャンプで、御存じでしょう、これは払い下げのときには私も関与した者で責任を感じているわけですが、これは永久におれない、七年後には移転をする。あの地に落ちついて三年経過した後に移転先を物色してそして七年後には移転するという条件で防衛庁の払い下げに同意をしたわけです。地元としてはその時期が来たのだから早く計画を立ててもらいたいという声があるのですが、依然として明確でない。反対にこの扇田という山があるのですが、その地帯を演習場として防衛庁はほしがっている、そういう動きがあるとさえ伝えられているわけですが、払い下げ当時の公約を守られるおつもりかどうか、どういう方針でおられるのか、早急に、方針があったら示してもらいたい。要望を含めて伺っておきたいと思います。
  98. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 別府の駐屯地につきましては、将来適当な場所があったときには別府の市長があっせんをして、そういう適格な場所が見つかるならば移転をしてほしい、あるいは移転をしようということになっています。しかし、実情といたしまして駐屯にあまり賛成しない者があるようですが、しかし現在賛成しておる者も多くあります。また、表面的にはこういうことが出てきておりませんし、また別の土地をあっせんをして候補地を見つけてくれるというようなことにもいっておりません。でありますので、私どもといたしましては、今移転しようというような考えは持っておらないわけでございます。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 明確に承っておきますが、その当時市民にもいろいろ問題があったんですが、移転するんだからというので市民を納得させ、市議会も納得させてあそこに移ったのですよ。経過は地元民としてはそうなんですよ。今のあなたの見解では、なんですか。市の方のあっせんがなければ防衛庁としてはずっとあそこにおる方針だとこういうことなんですか。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 駐屯地設置の際にはそういう問題もありましたけれども、今大体問題がなく、駐屯していることに対して反対だというような、それはある程度ありますけれども、空気もありません。むしろ賛成側も相当多いのであります。でありますので、設置当時の実情と変ってきておるのでありますから、どうしても設置当時の事情と同じように、おられちゃ困るんだ、従って、候補地をどっかに見つけた、であるから一つ移ってもらいたいというような動きになりますれば、私ども考えなくちゃならぬと思いますけれども、設置の当時の事情と違って、現存においてはまあ安定したと申しますか、安定した状態であるし、市当局においても別に候補地を選んで移転してくれというような要望にも相なっておりませんから、定安した状態においてここに駐屯しているということが今考えられるところでございます。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一回聞いておきたいのですが、地元として土地をあっせんする。それが移転するための条件だというような文書交換か何かしているのですか。僕は初耳ですが、あのときにはそれに関与した一人ですがね。
  102. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 別府の市長と防衛庁の今井次官との間にそういう約束の文書が取りかわされておる、こう私聞いております。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その、そういう文書が取りかわされておるというのは、僕は初聞きですがね。私その当時防衛庁とも会ったんですけれども、七カ年後に防衛庁で探して移るんだから、暫定的におるんだからということだった。あれは木下知事としてもいろいろ計画はあったわけですよ。それから市議会でもずいぶん問題になったんですよ。しかし暫定的で、七年後には移るんだからというので市民も納得さしたわけなんで、あなたのように、市がかわりの土地を見つけてそうしてこなければ移らないのだ、という、そういう文書の交換があるなんというのは私は初聞きですよ。最近になって、約束のときがきたのに一向防衛庁は移らない。反対に居直る傾向さえあるじゃないかというので、いろいろ意見が出てきておるわけです。それで私は承ったわけですが、あなたから新しいことを、耳にしたから、その上に立ってあらためてまた伺いましょう。あなたの方としては何ですか、別に他の候補地でも提供してくれなきゃ、もうあのままあそこに居直りたいという気持ですか。あんなところ適当な地じゃないですよ長官。筋金の入った強い、自衛隊なんかできませんよ。どうですか、視察されたことありますか。
  104. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) あります。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうお考えですか。
  106. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は視察したことはありますが、あそこは自衛隊のためにも非常にいいような感じがしました。(笑声)ですから、しいて立ちのいてくれということでなければ、やはりああいうものもおられればどうでしょうか、いいじゃないかと思うのです。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これで終わりますが、あれは昔は海軍の病院が亀川になんか優秀なのがあって、今国立病院になっております、かなり古くなりましたけれども。まあ、別府の温泉熱を利用したああいう風光明媚なところに防衛庁の総合の病院でも、優秀な総合病院でも建てられるということなら非常に僕は適当だと思うんですよ。しかし実戦部隊をああいうところで訓練するのは、部隊員もかわいそうだと思う。私はいざというときに、ほんとうに役に立つ隊員はできぬのじゃないかと思う。今あるキャンプの地というのは非常に場所がいいし、あらゆる角度からいっていいわけで、同じ防衛庁であそこに執着があるならば、防衛庁の総合病院でも建てられたら私は適切じゃないか、こういう私は見方をしているんだがね、この所見に対してはどうですか。
  108. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) よく検討した上でお答えしたいと思いますけれども、病院などにも適地でございます。(笑声)
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では最後に一つ。時間が参りましたから最後に、今治の漁船の損害ですね、これは簡単にお答え願いたい、ノーかイエスかだけでいいですから。伝え聞くところによると、呉に僕の友人がおってそこから連絡を受けたのですが、呉の海上自衛隊の船の所作だろうというんですね、昨年もあったが、最近も大きな波浪を起こして、それによって漁船が数十隻大破、小破して大きな損害を受けたのですね。その原因究明という問題と、それからそれに対しての補償という問題があるわけですが、これは呉を通じて調査もし、報告もきていると思うのですが、どういうような報告を受けているのか。その結果について補償関係はどうするのか。されるならば零細漁民ですから早く調査を完了し、補償も早くなさるべきだと思いますので、はっきり一つお答え願っておきたいと思います。
  110. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 今お話がありました通り、自衛艦の「たかなみ」ですが、玉野から呉に向かう途中、海上を通過して小漁船その他に被害を与えた。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どのくらい与えたのですか。
  112. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これがはたしてこの「たかなみ」のせいかどうかということは、ちょっとまだ判明いたしません。昨年も今お話のようなことがありまして、自衛隊といたしましても、そういうことでいろいろテストをしておったわけでございます。今度の場合も相当手前から二十三ノットから十四ノットぐらいに速度を減らしていったのでありますが、しかしどうもこのせいじゃないかというふうに考えておりますので、呉地方総監部において今調査しております。また、損害を受けた被害者につきましては、とりあえず見舞に行っております。昨年の場合には見舞金を出しました。でありますので、原因を今急速に調査しております。まあ、そのせいではないかというふうに私どもも思われるのであります。しかし昨年そういうことがありましたので、十分注意して速力を落としたり何かしておったのですが、どうもそれではないかというふうに感じております。でありますが、はっきりしたところを現地でよく調査しております。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後にもう一つ、経理局長に伺います。そういう調査はいつごろ終わる予定ですか。それからそういう補償金額というものは、どういう機関でどういうふうにきめられるか、私はこういうものは一刻も早く調査を完了して早く補償金を渡すことだと思います。おたくはだいぶ予算を持っているのですから、そういう方面に幾らでも出してもいい、幾らでもといっても無制限というわけじゃありませんが、損害に対する補償は至急にされるべきものと思います。経理局長からお答え願いたい。
  114. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 調査はできるだけ早く完了いたしたいと存じております。補償を払います法的の根拠といたしましては、国家賠償法というのがございます。国家賠償法の規定で支払うべき責任があるかどうかということを至急に調査いたしました上で善処したい、かように考えます。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 要望しておきます。それでは原因究明が終わり、それが判明して幾らの損害に対して幾らの補償をするという方針がきまりましたら、委員長を通じて本委員会に報告願いたいのですが、よろしゅうございますか。
  116. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) よろしゅうございます。
  117. 中野文門

    委員長中野文門君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後一時四分散会