○
鈴木強君
野上委員の
質問に関連して、私は
公社法第三十条の精神をあなたに聞いたわけなんです。だから、これから五カ年計画の間にどうするかということとは違うのです。根本的に、
公社職員の
給与というものは、
公社が自主的にきめられるものか、きめられないものか、こういう点を私は
質問したのですから、
答弁するときにはよく聞いておいて
一つ答弁して下さい。
それで問題は、自主的に公労法によって
賃金が決定できる。労使が判こをつけば、それは法律的に効果が出てくる。これを受け入れる受け入れないは、
国会の
予算上、資金上の問題で出てきます。仲裁へ持っていって、
仲裁裁定でなければ賃上げの効力がないというものでないのですよ。そのくらいのことは、ここで私が言わなくても、あなた知っていると思いますが、自主的に
団体交渉で調印して協約が生きてくれば、それによって法律的な効力が生じてくるのです。それが生きてくる。そういうのが公労法の精神なんです。
私は、
公社法の提案当時のことをよく知っていますが、これは、あなたがさっき言っているように、
賃金に対する
考え方は大きな誤りを犯しておる。少なくとも国有国営で八十数年間やってきた事業を
公共企業体に切りかえようというときに、時の佐藤
大臣が、われわれに向かっても、
団体交渉の中ではっきり言っているように、国有国営では、戦後荒廃した
電気通信事業を再建することは非常に無理だ。なぜならば、国有国営の中にはいろいろな短所が出てきている。特に近代産業化しつつある
電信電話事業というものは、もっと積極的に民間のいいところを入れて、そうして
企業努力を発揮してもらう。そのためには、一般公務員の待遇その他の点とは、ある
程度独立性を持って、
公共企業体にふさわしい
賃金体系ができていくのだ。そういうことが一貫して流れている思想なんです。当時、
給与費の中に予備費を設けるという、こういったことも
議事録を見れば、少なくとも七億や十億の
給与費というものは組んでおいて、そうして経済情勢の変化、そういうものに適応する措置もとれるように、
議事録上は載っておるのです。そういう経過を経て
公社に移行しております。ですから、
公社に移行して以来、漸次会計を離れて、定員法をはずれて、
公共企業体に即応するような経営能力を発揮するようにやって第一次五カ年計画というものがスタートしたはずなんだ。その過程において、御
承知の
通り、
給与総額の中の移流用は許されておった。正員措置がどうあろうと、とにかく
公社が自主的に円満な運営ができるならば、その裁量は
公社当局にまかされておった。それが三十三年のあの
国会において、
仲裁裁定が出たことを契機にして一たん、三月の
予算委員会で
給与総額の移流用は認められておったものが、四月の臨時
国会において移流用まかりならぬというような提案を政府はしてきた。これに対してわれわれは反駁をしました。しかし、多数によってこれは可決されてしまった。自来、
給与総額の移流用もできなくなった。
基準内の移流用も。そのことが今日、
企業体の妙味、すなわち
企業内の
公社の独自性というものがなくなっているじゃないか。これによって、
公共企業体審議会の当時の答申の中にもあるように、
審議の過程では、こういうことは、不当だということをあなた方言ってているじゃないですか。そういう過去の歴史の中で、
公共企業体というものの妙味がなくなってきている。だから私は、
公共企業体の
職員の
給与というものは、あなたが言うように、一般公務員やその他の民間
賃金をしょっちゅうにらみつけておいてやるというものではなくて、この前段にある職務の
内容と
責任に応じて、しかも能率というものを加味してやるということが、
公社法の精神なんですよ、
賃金をきめる場合には。さっきあなたは、国際の
賃金の水準について適当な
答弁をされておりますが、少なくとも
質問が出たら、国際の
賃金は幾らになっておるのか、人員構成がどうなっておるのか、それを比較した場合に、
電電公社の
職員の
給与というものがどうなのか、明確に
国会を通じてあなたが
答弁できないようでは困るですよ。もう少し、従業員が今どういう
考え方を持っておるのか、
考えなければいかぬ。第一次五カ年計画を完遂してまさに第二次五カ年計画の三年目、しかも拡大修正をしようというときに、職場のすみずみにおる
職員がどういう気持を持っておりますか、
大臣もこれは聞いておいて下さい。
私は、この前も政務次官にもお話ししましたが、大体退職手当
一つが
国家公務員の
暫定措置法に縛りつけられちゃって、
公共企業体独自できめる退職手当ができ得ないにもかかわらず、そういう中で、
公社の理事
諸君は、三十二年に
公社の退職手当の一部改正をして、
自分たち理事の
諸君だけは一般公務員と違った退職手当を、公務員のやめるときにもらうやつと同じように一回もらって、理事に昇格すれば、今度理事だけの退職手当を別に作って、そうしてそれを支給しているような……。それじゃ上に立つ者のやることじゃないですよ。
公共企業体になったから変えるということになったのなら、思想的には正しい。理事のやったことは正しい。だから、もう一歩それを
職員に適用して、そうして一般公務員と多少違っても、なるほどというような退職手当をなぜ作らぬか。本末転倒もはなはだしい。それで、
自分たちだけはかなりいい退職手当をもらうようになっておる。だから、大蔵省の官僚
諸君から、あなた方が理事になれば、飛び離れた
賃金をもらう、退職手当ももらう。あるいは同じ学校を出ても同期で高過ぎるというような話が出ておる。そんなことで比較検討されて、下の方の
諸君の
賃金が左右されてはかなわぬ。いろいろな要素がある——ここでへたな
答弁をしてもだめですよ。これだけの二千二百九億も収入をあげているのだ。そうして荒廃に化した
電信電話事業というものをここまで再建した。だからやろうという気持は、みんな従業員は持っておる。その
諸君が、
公共企業体の妙味に飽き飽きしてしまって、どこを見たって、職場を回ってごらんなさい。みんなぶつぶつ言っておる。何のために
公社になったんだ。そういう不満たらたらなんで、あなた方が四十万電話をふやそうといっても、こっちは成績も上げ、能率を上げ、サービスもよくしている。それで
賃金をよこせと言っておるわけです。それができないでは、これは不当だと言ってもいいが、そうでない。実際に成績も上げ、能率も上げ、サービスも上げている。二千二百億の実績をかせいでおる。今までの建設資金は幾ら出ておる。自己資金によって三分の二近いものは、みな汗水たらして働いて、その中で電話をふやしている。そういう
職員に対して多少は国が、血もあり涙もあるような思いやりとあたたかい施策をやるべきだ。それを、一銭も上げる必要はないのだ。定員だってあなた方が九千五百人ほしいと言われて五千人に減らされた。
自分がほしいという定員ぐらいとってきてから大きいことを言ってもらいたい。九千人を五千三百十六人に削られて、それでまだ何とも言えない。そんなことでこの事業が動いていくと思ったら大間違いだ。あなた方は、
ほんとうに八時半に出勤して向こう鉢巻でやっておりますか。もうちっと私は、
企業体になったらなったぐらいの覚悟をして、全従業員を事業再建一点に協力させるような言動を示しなさいよ、その気になって。まだ七千円は不当であるとか、今の
賃金でいいとか、そんなふうな
考え方を持っておることは、これは大間違いだ。もう少し
公共企業体にふさわしい待遇、
労働条件等も
考えてもらいたい。これは
大臣からも、
総裁からも聞きたいですよ。私は決してはったりを言っているわけでもないし、何でもありません。私は心から憤激している。私は昭和三年逓信省に入りました。三十年近い勤続年数を持っております。その私が歩んできた道と、私が退職したときにもらった退職手当を
考えてたった九十万円。世間からそんなに
電電公社の
諸君がいいなんてことを言われちゃ、これはまことに私は迷惑千万だ。だからやろうという気持を持って適当な施策をこの時期に打ち出してそうしてさあがんばってくれと言ったら、みんな一日に十分や二十分ただで働いたってやるという気持は持ってるんだ、電通の
労働者は。まじめな人たちですよ。そういう人たちが職場のすみずみでもってぶうぶう言っているような対象を作っておることは愚の骨頂です。経営者として私はとるべき
態度じゃないと思う。やるのもけっこうですけれ
ども、もう少し経営者らしい
態度を示してもらいたい。私の
意見が間違ってたら
一つ指摘をしてもらいたいし、私は人間ですから間違いがあるかもしれませんから、間違ってればいつでも私は取り消しますわ。これは
大臣からも
総裁からも私聞きたいのです。もう少し
企業体というものを
考えてやって下さいよ。