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山田節男君
野村会長のお気持は、よくわかるのです。しかしながら現実の、これは商業
放送ではもちろんない、公共
放送としても、いわゆる経営については、あなたに
責任がある。やはり入るをはかって出ずるを制しなくちゃならぬ、これは、もうそのために、われわれのところに
承認を求められておるのですから。
しかし、今のあなたのような道義的なことを、もとよりこれは美しい
言葉だけれ
ども、ここに現に、われわれに配られたものを見ましても、三十三年において、
受信契約者の数からの
普及率を見ますと、三十三年度は八一・三%、三十四年度は七一・三%、三十五年度に至っては六六・五%、おそらくこのままでいくと三十六年度におきましては五〇%を下るかもしれない。しかし、なおそれをもっても、これは法律や規則ではない、道義によるのだ、それを払うような、みな気持にならなくちゃならぬという、この気持は、非常に尊いものですけれ
ども、経営者としては、そういったような、かすみを食ったようなことを言っておられない。とにかく
収入を確保しなければ経営できないのです。そこに現実の――あなたの、理想主義者としてはいいけれ
ども、経営者という現実に向かっては、いかに
収入を得るかということに真剣でなくちゃいけない。
ですから、そういうようなお気持だと、来年度あなたがお出しになって、もう五〇%になりましたと、いえたこっちゃないじゃないですか、これでは、もう時期を失するのですね。もうすでに一昨年ごろから、こういったような
普及率は、年々下ってきているのです。
そこを私は申し上げるのであって、あなたのお気持は尊いけれ
ども、この膨大な
一つの公共
放送陣をあなたが率いていらっしゃる上においては、道義というだけでは、現実の問題として、解約者はどんどんふえるのですから、何か防止する
方法の根本的なものを
考えて実行に移すというだけの踏み切りをしませんと、あなたが
責任のある
NHKというものを、
収入の面において、非常な何といいますか、困難を招来する。それから
テレビも、これはまだ、三百五十万前後ですけれ
ども、これが今、大体予想されるように、来年度になって五百万を突破し、おそらく六百万くらいになってくるというと、現在の
放送法の三十二条の
規定でいえば、
テレビジョンの視聴者の解約者も、どんどんふえるものと予想しなければならない、これが悲しいかな、日本の道義というものは、レベルが低いのですから、
テレビジョンも、そういう頭打ちして、どんどんむしろ逓減されるということになった場合においては、一体この
テレビと
ラジオの
受信料の
収入で経営している
NHKの財政というものは、どうなるかという問題をわれわれは憂えるわけですね。
ですから、そういう点から見ましても、これはもう一日もすみやかに、現在の
受信料をどうするかということ、これは政府当局と真剣に取り組み合って解決しませんと、この
NHKの経済というものは危機に瀕する、信号を今これは受けているものである、こう私は断せざるを得ないのです。過去ずっと、少なくとも十年の歩みを見ますと。ですから、この点は、もう道義の問題は重要ですけれ
ども、現実の
収入、収支というものを重視すれば、そういうようなことでは、現実の問題として解決策にならない。
だから、
一つこれは、思い切った経営
委員会なり、あるいは
郵政大臣と、
一つ私から申し上げるように、転換をされて、この
NHKの経済というものは、
一つの破綻に瀕する
状態になるであろうということは、これは、私はもうはっきり申し上げる。だから、
郵政大臣に申し上げておきますが、この問題は、
歴代の
郵政大臣に申し上げておるけれ
ども、
NHKが、やはりなかなか踏み切れないために、郵政省措置ができない。この点は、公共
放送を守る建て前から見て、
郵政大臣としては、これに対して警告を発するだけじゃない、もっと協力的な
態度をもって、やっぱり根本的に、これは
NHKとしては、なかなか自分としては踏み切れない事情があるだろうと思うのです。だから、むしろ政府が、これに踏み切れという
一つの具体方策を示して、何も、それがために郵政官僚がいばるとか、郵政官僚の
NHKを支配下に置かれるだろうというような、こういう、私は
心配があるのじゃないかと思う、これは私の臆測ですが、問題は、それ以上に深刻な問題ですから、
郵政大臣から、
一つ積極的に
NHKに激励されて、一日もすみやかに
受信料の問題に関する、
受信料の根本的解決をやることは重要だと思います。この点は
一つ、重ねて申し上げます。
次に、国際
放送の問題ですが、来年度の
予算を見ると、九千八百万何がしというものがふえてきますが、先ほど、
前田専務の御
説明がありましたが、来年度は十七方向、二十九時間、戦前におきましては、今の倍くらいな国際
放送をやっておったのですが、すでに
NHKが終戦後国際
放送を許可されたのは、二十七年であったように記憶します。間違っていたならば御訂正願いたいが。そういたしましても、少なくとも今日まで八年間経過しているわけです。ですから、今日は戦後じゃなくて、もう平時である。経済、産業におきましても、もう戦後経済じゃなくて、平時の経済ですから、国際
放送も、毎年五百万から六百万円
程度のものを大蔵省から交付金を増額する、こういうようなやり方、それから
NHK自体も、国際
放送に対しまして、毎年一方向か二方向ふやしていく、こういうようなことでなくして、先ほ
ども言われましたけれ
ども、むしろこれを二十五方向、五十時間、少なくとも
NHKの第一次五カ年計画として、国際
放送に対する五カ年計画というものを、戦後の国際
放送じゃなくて平時の独立国家としての国際
放送でなければ……。こう毎年、少しずつの、なしくずしの国際
放送の充実ということは、私は、どうかと思うのですが、この点に関して、なぜ、こういうピース・バイ・ピースのような、なしくずし的な国際
放送の増強をやるのか、思い切って、方向をふやさぬのか。こういうようなことは、政府としても、私は当然
考えるべきことじゃないかと思うのです。
この点について、
NHK並びに
郵政大臣の御見解を承りたい。