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1960-03-15 第34回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員山口重彦君辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君   政府委員    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省監察局長 荘   宏君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省貯金局長 山本 圭二君    郵政省簡易保険    局長      大塚  茂君    郵政省経理局長 西村 尚治君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (簡易生命保険郵便貯金郵便事  業運営郵便事業長期計画に関する  問題等に関する件)   ―――――――――――――
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  委員の変更についてお知らせいたします。  本日、山口重彦君が委員を辞任せられました。その補欠久保等君が委員に選任せられました。   ―――――――――――――
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) なお、佐藤政務次官から発言を求めておられまするので、これを許します。
  4. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 二月十八日より昨日まで海外に、海底ケーブル、電信電話即時拡充問題、電波郵政事業あるいは日米修好百年祭に関しまする打ち合わせ等もございまして、国会の御承認を得まして、二十六日間外遊いたして参って、昨夜帰朝いたしたような次第であります。その間長い間皆様に何かとごぶさたいたし、御迷惑をかけたことをお許し願いたいと思います。今後は一生懸命で、皆様のおしかりと御鞭撻を受けつつ勉強したいと思います。よろしくお願いいたします。   ―――――――――――――
  5. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  御質疑の通告がございますので、順次これを許します。
  6. 野上元

    野上元君 保険局長にまず最初にお聞きしたいのですが、最近新聞の報ずるところによると、貿易自由化並びに為替自由化に伴って、民間生命保険会社態度が非常に積極的な施策を試みんとするような動きが出ておりますが、これについて郵政当局対策といいますか、そういうものについて若干お聞きしたいと思います。
  7. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 為替自由化貿易自由化という問題と関連をいたしまして、民間生命保険会社の中でも、まず第一に取り上げられておりますのが配当自由化ということでありまして、それが大体決定をいたしたというふうに聞いております。まあ従来、民間生命保険会社は二十社ございますが、その二十社が同じ保険料、同じ配当協定をしてやって参ってきたわけであります。従ってあまり実質的な競争がなかったわけでありますが、保険料率については従来通り同一料率を当分まだ続けるようでありますが、配当については自由競争というような行き方をとる。ただ自由競争といっても、野放しということではございませんで、一々大蔵省がその資産状況収益状況等を調べまして、一つ一つ会社について許可をすると申しますか、承認をした率で配当をするというような行き方をとるようでございます。  そういう行き方に対して、それでは簡易保険としてはどういう対策をとるかということでございますが、簡易保険としましては、配当やり方民間保険と違っております。民間保険は毎年毎年、その年の収益状況に応じて配当率をきめるという行き方をとっております。簡易保険におきましては、御承知のように確定配当と申しまして、一ぺん約束をしたらそれを変えない、満期あるいは死亡によって保険金を支払う場合に、まとめてその約束した配当をお払いするという行き方をとっておりますので、従ってその配当のきめ方については、民間保険よりも慎重な態度をとらざるを得ないということになります。われわれの収益状況から見て、大体一年に百億程度の剰余金はことしも出るのではないかというふうに考えておりますが、まだ昨年配当をふやしたばかりでありますので、直ちにここで民間保険に対抗する、と言ってはなんですが、そういう意味において、すぐ配当をふやすということは、今のところ考えておりません。もう少し状況を見ましてきめたいというふうに考えておるわけでございます。
  8. 野上元

    野上元君 そうすると、保険料率というものはまだ自由化にならぬ。やはり各社協定した保険料率をとっていく、こういうふうに業界の方としては意見の一致を見ている、こういうことですか。
  9. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) さようでございます。民間協定をいたしまして、それを大蔵省承認をした保険料率を、そのまま使っていくという行き方を変えるという話は、今のところ全然ございません。
  10. 野上元

    野上元君 そうすると、民間では業績に応じて配当はそれぞれ各社が自由に増減していく、こういう仕組みに今後変える、こういうわけですね。
  11. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、それを大蔵省承認をして、そういう行き力をとる、こういうことです。
  12. 野上元

    野上元君 そうすると、配当の率というものですか、というのは、やはり大蔵省承認が必要なんですか。
  13. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 大蔵省承認を得るという法律的な根拠がはっきりしているかどうかまで、私詳しく存じませんが、現実問題としては、大蔵省承認を、受けて、一社々々がきめていくという行き方をとるそうでございます。
  14. 野上元

    野上元君 そうすると、郵政簡易保険の場合は、その配当を増減する場合には、満期あるいは死亡のときに、初めてその保険金額に対して付加していく、こういう方法をとっている、こういうわけですね。それは何か理由があるのですか、特にそういうことをやらなければならぬという……。
  15. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) それは、結局人手の問題と申しますか、民間保険のように毎年配当率が違う、しかも、それを毎年納める保険料から差し引いて、結局配当を払ったという形になるわけでございますが、そういう行き方をやりますと、簡易保険におきましては、御承知のように契約件数が四千四百万件余りあります。しかも、保険料は毎月払いという建前になっておりますので、これを毎年配当計算をしまして、毎月の何百何十円の保険料から差し引くという計算をするということは、非常に繁雑といいますか、今の人手ではとうていやり切れない。従ってこれを積み立てておいて、満期または死亡のとき、保険金を払うときにまとめてお払いをするという行き方を、実際上とらざるを得ないということで、そうやっておるわけであります。
  16. 野上元

    野上元君 そうすると、そういうふうな制度というものは、法律的な根拠はなくて、郵政省が便宜的にそういうふうにやっておる、こういうことですか。
  17. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 郵政省につきましては、いわゆる長期還付金制度という行き方をとるということで、根拠があるわけでございます。
  18. 野上元

    野上元君 そうすると、民間におけるやり方郵政省とのやり方は違うわけですが、郵政省当局にとっては、とにかく最後のときじゃなければ増配できないというようなことでは、契約者に対する魅力が非常に瀞いように思うのです。その点は対抗上どうなんですか。
  19. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) それはおっしゃられる通りでありまして、毎年、契約が古くなればなるほど配当が多くなるもんですから、毎年配当が多くなるということは、結局、毎年納入する保険料がそれだけ差し引かれて、少なくなっていくということになります。この方が加入者にとって非常に魅力である。簡易保険においては、満期になった場合はこれだけもらえるのだということは、その約款とか法律を見ればはっきりするわけでございますけれども、やはり現実に保険料最初から最後まで少しも安くならないという行き方をとっておりますので、民間の方が契約者にとっては魅力的だということは、私どもよく存じておりまして、何とか同じような行き方をとれないか、毎年配当計算をして保険料から差し引くというのが煩にたえなければ、五年に一ぺんずつでも計算をして、保険料から差し引いて、保険料を安くしていくという行き方もとれないかというようなことも、研究したこともあるのでありますが、何といっても、今の定員事情あるいは経費の面から見て、とてもやり切れないということで、まあ心ならずも現在の長期還付金制度をずっととっておるという状態でございます。
  20. 野上元

    野上元君 そうすると、民間事業に比べて郵政省の方は人員が不足だ、こういうことになるわけですか。
  21. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) そういうことになるかもしれませんが、民間は御承知のように必ずしも月掛であるという制度を、保険料をとっておりません。保険料が民同保険の場合、年掛、半年掛というのが民間建前でございます。ただ大都市においてだけ月掛集金という制度を採用しておるというような状況でございますし、一社当たりの契約件数にしますと比較的少ないもんですから、民間はどうにかやっていける。しかし、私の方は、先ほど申し上げたように、全国的に四千四百万件余りあり、しかも、これが全部毎月保険料集金という制度をとっておるもんですから、どうも同じ手数ではやれない、こういうことになるわけでございます。
  22. 野上元

    野上元君 先ほど保険局長が言われたように、百億からの死差益及び利差益が出るという見通しなんですが、それはどういうふうな処置をされるつもりですか。
  23. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) これは結局、配当として加入者の方にお返しをする、また、時期を見て保険料率を引き下げるというふうなことに使うというつもりでおります。
  24. 野上元

    野上元君 最近における簡易生命保険還元方式といいますか、具体的にどういうことをやっておられるのですか。
  25. 大塚茂

    ○原府委員大塚茂君) 還元方式といいますと、利益還元方式ということかと思いますが、結局、一番根本的なことは、その長期還付金といいますか、配当をふやすというのが大本でございます。そのほか、福祉施設をやっております。老人ホームとか、簡易保険診療所というような、加入者福祉施設というのがありますが、これも形は剰余金から出すという形はとっておりませんが、結局、経費として支出をいたしておりますが、それは支出をしなければ剰余金として残っていく、決算では残るべき金でありますので、実質的には剰余金の一部を使って福祉施設をやっているというようなことでございます。大体その二つがおもなものでございます。
  26. 野上元

    野上元君 老人ホームというのは、今幾つですか。
  27. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 現在でき上がっておりますのは、全国に三カ所でございます。
  28. 野上元

    野上元君 三カ所に、老人ホームというのは老人を収容しているわけですから、どのくらい収容しているのですか。
  29. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 短期長期利用がございまして、長期といいますのは一年以上、一生でも入っておれるというものですが、それが、大体熱海が六十人、それから別府が……。全部で長期ホームには、おそらく百人足らずだと思っております。それから短期ホームというのは、毎日あるいは一週間以内の利用者が交代して利用しているわけですが、これは延べで何人ぐらいになりますか、月、ちょっと今はっきり記憶しておりません。
  30. 野上元

    野上元君 制度として私は決して悪いというふうには考えませんけれども、比較的利用者というのは少ない割合に経費は非常に大きくとられるのじゃないかというような気がするのですが、その点はどうなんですか。
  31. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) おっしゃられます意味は、老人ホーム利用者が、人数が少なくて経費がたくさんかかるのじゃないかという意味と思いますが、利用します人数は、部屋数によって当然限定されてくるわけでございます。先ほどの、ちょっと的確な数を申し上げかねると言いましたが、短期利用数熱海老人ホームで申しますと、三十三年度に延べ一万七千七百五人、一日約四十九人という利用者でございます。それから別府老人ホームが、年にして七千四百三十五人、一日平均二十人から二十二人といった利用数、それから北海道の小樽にできましんのは、まだ今年できたばかりでございますので、統計が出ておりません。それから長期ホームの方は、はっきりしたものがございませんが、部屋数で申しますと、熱海アパートが三十三室、小住宅が三十戸、小住宅には大体夫婦者が入るということになっておりますから、小住宅だけで六十人と、アパートが一人ということになれば三十三人、結局熱海だけで九十三人分長期ホームがある、こういうような数になっております。それから別府の方は、アパートが十人、小住宅が二十人と、合わせて三十人、大体こういった数字になります。従って、まあ加入者の数から見ますと、人数は必ずしも多くはないということになりますが、まあ加入者全部に還元というわけには参りませんが、一つは私どもは、まあ事業のPRといいますか、それもかねた意味をもってこれを経営いたしておりますので、収入に対して必ずしも支出をまかなっておりません。端的に申し上げますと赤字でございますけれども、まあ宣伝費というような意味も考えるならば、そう経費が多くして効果が少ないということは言えないというふうに考えております。
  32. 野上元

    野上元君 民間保険業者は、こういうことはやはりやっておりますか。
  33. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 民間でもいろいろな施設をやっております。たとえば第一生命住宅会社を作ってやっておりますし、それから癌研究所とかいうようなところにその年の剰余金から寄付金をして、そういう施設の助成をやるとかいったようなことはやっておりますが、まとまって老人ホームとか診療所とかいうような大きなものを固定的にやっておるというのは、その第一生命住宅会社経営ぐらいのもので、あとはあまり私承知いたしておりません。
  34. 野上元

    野上元君 私先ほど申し上げましたように、この制度必ずしも悪いとは考えておりませんけれども、やはり契約者にはまんべんなく還元していくのが原則だと思うんですね。そういう意味では、この加入者のパーセンテージから見ると、きわめて低いものだと思うんですね。しかも、相当私は経費がかかると思うんです。これらのものを全部還元していくためには、配当を増していくとか、あるいはまた料率を引き下げるとかいうことの方が望ましく、かつまた、老人ホームのごときは、これはもう明らかに国家が経営する社会福祉的なものでなければならぬと、こういうふうに考えるんですが、郵政当局としては、将来もやはりこの方針を進めていきたいと、こういうお考えですか。
  35. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 利益をどういうふうな形で加入者還元するかというのは、なかなかむずかしい問題でありまして、まあ最もオーソドックスな行き方は、先ほど申し上げましたように、配当をふやすということが最も公平な還元方法だということになるわけでございます。しかし、結局、配当をすべき金額に端数が生じたといいます、少しばかりの金ということになりました場合に、それを――まあ端的に言いますならば三円とか五円とかいうような金を配当でまんべんなく返した方がいいか、それとも福利施設ということにして、特に加入者の中でからだの弱い者とか、そういう人たちの保養のための施設を作るという方がいいかという点は、なかなかむずかしい問題でありまして、私どもとしては、まあ本道としては、配当をふやすという行き方でいきたい、しかし、ある程度の金を加入者福祉施設にやはり使っていくという方針は、やはり変えないでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 野上元

    野上元君 さらにもう一つだけお聞きしたいのですが、このように簡保が非常に伸びてきたということは、非常にうれしいことだと思うのですが、それを伸ばしたのは、やはり従業員努力だと思うのです。その上に立って死差益利差益も生んできておる。その従業員に対する特別な施策を三十五年度には考えられておりますか。
  37. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 確かに事業がここまで伸びてきたという裏には、従業員諸君の非常な努力があったということは、私ども重々承知いたしております。しかし、この剰余金の出る根源については、やはり死亡率というものが安全性を見込んであるということ、及び予定利回りというものが、長期見通しの上から、相当安全性を見込んだ四分というような低い利回り計算をされておるというような点から出てくるのが大部分でありますので、やはり剰余金というものは、これは加入者に返すべきものが大部分だというふうに考えてきておるわけです。しかし、終戦以降現在までのところ、保険料に見込まれました付加保険料では経費をまかない切れませんので――大体付加保険料については赤を出してきております。ようやくことしあたりから、どうにかとんとんにいくのではなかろうか、これも決算してみませんとわかりませんが、そういうふうに考えております。結局、終戦後今まで、死差益あるいは利差益の一部を経費として食っておったということになるわけであります。その経費の大部分人件費でございますので、結局、死差益利差益の一部が従業員経費にもある程度今までは回ってきておるということでございます。特に三十五一度において、それでは従業員のために何か考えておるかということになりますと、従来と格別変わったことは実は考えておらないということでございます。
  38. 野上元

    野上元君 保険の問題は終わります。
  39. 森中守義

    森中守義君 保険局長に一、二伺っておきますが、例の団体加入について自衛隊関係は画一的に話が進んでおるのですか。
  40. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 自衛隊について団体扱いといいますか、団体の結成ということはいろいろ私ども話し合いをいたしておるのでございますが、いまだ中央で画一的にといいますか、契約を取り結ぶといいますか、話し合いができて、下部の自衛隊にその扱い方を指令していただくというところまでは残念ながら至っていない状況でございます。
  41. 森中守義

    森中守義君 これは地方に行きますと非常に強い要望があるのです。しかも、実際問題として郵政省が画一的に自衛隊話し合いをつけないために、民間保険にだいぶ荒らされてしまう。これは自衛隊の言い分で、私直接当たったわけではないのですが、話を聞いてみますと、各地方駐屯部隊とか混成部隊という個々の単位ではどうしてもできない。だから中央段階で防衛庁あるいは陸幕海幕空幕、こういうところで話がつけば、地方は問題なく団体加入ができる。民間の場合には、そういう中枢部において話ができておって、日本生命でも明治でも相当自衛隊団体加入させている。そうしてかなりの成績をあげている。ひとり郵政省だけが地方機関にそういうことをまかしておいて、なかなか話がつかないで、目の前で民間生命保険にお客を取られておるという実情があるようです。おそらく、これは全国保険部長会議とか、あるいは郵政局長会議あたりでも省の方にそういう意見が開陳されて、裁量を要望されたことがあると思います。そういう事実は御存じなかったのですか。
  42. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) そういう事実はございます。従って私が申し上げましたように中央でいろいろやってはおるのでございますが、どうもまだ話し合いがつかないという遺憾ながら状況であるわけでございます。しかし、まあ今後とも私ども一つ努力をいたしまして、何とかそういう方向に持っていきたいというふうに考えております。
  43. 森中守義

    森中守義君 これは多少意見になりますが、陸上、海上、航空、いずれの自衛隊員農村出身者が割合多いですね。しかも集団的な生活をしておる。今日のように各個別に保険の勧奨をやるのももちろん大事でしょうが、そういう自衛隊あたりを対象にしてやれば、相当効果が上るということは何人もこれは否定できないと思うのですよ。しかも保険局長の方で、そういう地方実情と、あるいは地方機関からの要望があったとすれば、何をおいてもこれは中央部において話を解決されてしかるべきであろう、私は率直に言ってそう思う。自衛隊の方が応諾をしないのか、しないとすれば、どういうところに問題がある。だいぶこうひねたものの考えですけれども、たとえば民間生命がいろいろ自衛隊に対する工作がうまくて、郵政省工作が下手という、そういうことによってハンディがついているのか。あるいはもう少し法理論的に、簡易保険団体加入自衛隊にさせるには、民間よりも何か問題になるような遜色があるのか、その点どうなんですか。原因を一つ少し明らかにしてもらっておきましょう。
  44. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 自衛隊員保険に入れるという場合に問題になりますのは、結局自衛隊員移動が非常にひんぱんだということでございます。本日北海道の千歳におったものがあすは千葉県の習志野へ行くといったような部隊としての移動もひんぱんでありますし、また部隊の中における転勤というものも非常にひんぱんであります。そういう面において、団体扱いをいたしますと、まあ郵便局としては非常に煩瑣だという面もございます。それではなぜ民間団体保険をとっているかといいますと、御承知のように民間団体保険といいますのは、私どものやつと違いまして、いわゆる定期保険であります。事故があった場合、死んだ場合だけ、一年なら一年の間に死んだ人があった場合だけ保険金を払う、保険料は掛け捨てというような、いわゆる民間でいう団体保険というのは、そういう短期のいわゆる純然たる保険でありまして、養老保険的な意味の少ないものであります。従って民間保険団体取り扱いができるというわけ、でございますが、私の方は御承知のように、十年なり二十年なりの長期保険ということになりますので、あまり移動か激しいという点が一つあります。これは郵便局でも煩瑣であると同時に、自衛隊取扱者としても非常に煩瑣にたえない。移動がひんぱんにあって、だからごめんをこうむりたいのだという一つ理由があります。それから民間団体保険のほか、要するに自衛隊の本部と話し合いがついておるというのは、勧誘に自由に自衛隊に立ち入りができるという点についての話し合いができておるという場合が多いわけであります。私どもの方については、まあ地元の郵便局でその隊と話し合っておりますが、まあ勤務時間中は勧誘に来られては困るとか、あるいは何とかいう時間的な制限とか、そういう点でいろいろ問題がございます。まあそういった自衛隊員移動が非常に激しい、従って長期保険というものを団体扱いするというのは、自衛隊側においても非常に煩瑣だというような、面あたりが一審障害になりまして、まだはっきりした話し合いができないという状況でございます。
  45. 森中守義

    森中守義君 今言われる理由はわかりますがね。しかしその保険法の、簡易生命保険法の精神の大筋からいけば、ちょっとやはり手前過ぎると思うのですね。手前みそじゃないかと思うのです。しかも、今のようにだんだん顧客の分野というものが新しい方向に開拓されていく必要がある時期において、何といっても自衛隊なんというのは私は魅力のある新分野だと思うのですよ。それでその自衛隊に入る出入りの問題であるとか、あるいは相手側の時間の問題であるとか、さらに移動、居所が変わったという、煩瑣な手続等もありましょうけれどもね、何か現行法の範囲の中で消化できるような方法は発見できないですか。ただ、今言われるような理由で困難である、話がまとまらないというのでは、ちょっと私は簡保の積極的な新分野の開拓という、こういう角度から見た場合ですね、多少消極的じゃないかというような気がするのですけれども
  46. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 私どもの方は消極的ではないのでありまして、話し合いを防衛庁側に持ちかけておるわけでございますが、まあそういうふうな理由から拒否をされておるといいますか、というわけでございます。で、現在の取り扱いの範囲内で何とかいけないかということでございますが、これは今でも普通の団体につきましても、ある程度の出入りはあるわけでございますから、それと同じ取り扱いをすればいいわけでございます。ただ、その数が非常に多過ぎて、自衛隊側でその団体の取り扱いをする者が非常に煩瑣でめんどくさがると、こういうことだけでございます。
  47. 森中守義

    森中守義君 これは私の聞いたところですがね、少し郵政省が後手になったんじゃないですか。つまりもう郵政省が手を伸ばそうとしたときには、民間の力が先に入っていて、防衛庁長官と何々会社の社長という契約の、取りかわしではないようですけれどもね、経理局長とか、装備局長とか、そういう人たち民間の二、三の会社がすでにもう契約をして、一札百取りかわしたあとだ。そこへ郵政省があとから入っていったけれども、なかなかそういう装備局長なり、あるいは経理局長民間会社との話し合いができておるので、向こうの方では、今局長の言われるような出入りの問題とか、あるいは隊員の勤務時間の問題とか、事務上の煩瑣であるという二、三の理由をつけて拒んでおるというように私は聞いておるんですけれども。だから、さっき申し上げたように、少し工作がまずいのではないかというように私は判断しておる。どうですか、その点はむしろ事実を率直に言っていただく方がいいと思うのです。
  48. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 確かに民間の幾つかの会社が早かったことは確かでございます。今すでにもう民間と、やはりおっしゃられるように正式の契約とか何とかということではないようでありまして……。
  49. 森中守義

    森中守義君 いや、一札入っておる、取りかわしておる。
  50. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) その辺が必ずしも私ども的確につかんでおりませんが、とにかく中央から正式の指令か非公式の指令か知りませんが、これこれ生命保険会社の者については出入り等について便宜をはからえというようなあれの行っておることは確かでございます。そういう点について確かに私どもが立ちおくれまして、まあそのいう会社とあとから競争的に入るということがむずかしいというような事情になっておることも、ある程度認めざるを得ないと思います。
  51. 森中守義

    森中守義君 それで、この問題は、先ほど保険局長が言われる理由というものは、現実を合理化するための理由であって、簡易保険の新しい分野を開拓していくという筋の通った理由にはならぬのですね。しかも現実は、今私が申し上げたように、一札取りかわしたというのは、後手を打ったという、こういう冷厳なる事実の上に立たざるを得ないわけです。そこでこれは一つ根気強く、民間がとっているからそれでもうどうにもしょうがない、徐々にやっていこうということになって、何かそこに大臣と防衛庁長官を会わせるとか、あるいは政務次官相互で話をさせるとか、全部簡易保険自衛隊をよこせという欲の深いことじゃなくても、三分の一とか、あるいはその四分の一というような、部分的にでもいいですから、画一的な話を進められていいのじゃないか。あくまでも簡保という立場からものを言う場合には、そういう方法がとられなければ、目の前にころがっておるお客を見のがしていくようなものです。  これは一つ要望になりますけれども、とにかく今言われたようなことは、現実を合理化するための理由である。あくまでも簡保の新分野の開拓という、筋に合わないというような角度から、もっと積極的に自衛隊工作を進めてもらいたい、こういうふうに私は考えます。その点一つ保険局長に所信を述べておいてもらいたい。
  52. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 私どもも消極的に手をこまねいて見ておるわけではございませんが、先ほどから申し上げますように、いろいろ防衛庁方面に手を打つといいますか、折衝いたしておるわけでございます。しかし、まだその効果が上がっておらぬというのは、はなはだ遺憾でございますので、今後とも御趣旨のように努力をして参りたいというように思います。
  53. 森中守義

    森中守義君 それからもう一問質問しておきますが、簡保二十条の面接ですね。これは実際励行するように現場機関に指導しておりますか。
  54. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 面接監査は法律にはっきり規定してあることでございますし、また保険事業計算の基礎といいますか、経営を守るためにも、あまり弱体者が入るということは防がなければならないことでありますので、これは厳重に励行するようにというふうに指導いたしております。
  55. 森中守義

    森中守義君 年回の失効解約の中に、面接を怠ったために失効解約になった件数はどれくらいありますか。
  56. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 面接を怠ったために失効解約になったという数は、私はっきりいたしませんが、まあ大体新契約の三%程度が失効解約となっております。その中で面接を怠ったために失効解約になったというのがどれくらいかという統計は、はっきりしておりません。
  57. 森中守義

    森中守義君 これは統計上私は出ると思います。新契約のうち三%が年間の解約であれば、その解約の内訳をずっと分析していけば、面接をずさんにやった、あるいは怠ったために何%の解約をもたらしたというようなことは数字的に出るのじゃないですか。というのは、法律上面接を行なうべきであるということが明示されている。しかも身体検査は簡易保険の場合はしなくてもいいということですから、よほど面接は完全に励行していかないと実際の保険計数上相当大きな問題があるというように考えますが、数字は出ませんか。
  58. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 面接したか、しないかというやつは、どうもあとで必ずしも的確につかめませんので、今の統計のとり方では、そういう統計は実はとっておらないし、また、とることもはなはだ困難じゃないかというふうに考えるわけでございます。
  59. 森中守義

    森中守義君 あれはたとえば解約者じゃなくても、死亡者があって、保険金の支払いをするような場合、診断書か何かつくでしょう、そういうときに判断がつかぬのですか。
  60. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) それはわかります。大体、契約に入ってから一年以内に死んだとか二年以内に死んだ場合に、それが病気か何か、たとえば結核であったとかいうような場合に、これは契約当時すでにそうであったという推察は当然つきます。それがもし面接を厳重にやっておったならば発見されただろう。顔色だけで必ずしもわかるかどうかというのは問題でありますが、少なくとも寝ておったか起きておったかというようなことは面接をすればわかったはずだというようなことはございます。
  61. 森中守義

    森中守義君 それは数字がわからなければ、それでいいですけれども、もう一つ告知義務違反の場合で、それで審査会に持ち込まれた件数は一体どのくらいですか。
  62. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) その数字もどうもはっきりいたしませんが、告知義務違反でというより、審査会というやつはあまりございません。私が局長になってから取り扱いました中には……。
  63. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、年間の新規契約の三%の解約があるということですが、その数字は近年減少しているのですか、あるいは横ばいですか、それともだんだんよくなっているのですか。
  64. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 少しずつでありますが、よくなりつつあります。
  65. 森中守義

    森中守義君 定員の配置等は、そういう面接を完全に励行するために、若干のゆとりを持った定員配置になっておりますか。
  66. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) もちろん、法律に書いてあるものでありますから、それを計算に入れた定員配置になっておるわけでございます。
  67. 森中守義

    森中守義君 最近よく現場の局から、保険の集金あるいは募集等にごく短期の非常勤あたりが回ってくるようですね、こういう人たちは所定の訓練を、特殊ないわゆる顧客に接する仕事であり、相当むずかしいと思うのですが、何か特別の訓練をやっておりますか。
  68. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 非常勤につきましては、まとまった特別の訓練はいたしておりませんが、その職場々々においていわゆる職場訓練を管理者側が適当に行なうということにいたしております。
  69. 森中守義

    森中守義君 そういう人たちへ大体仕事が回っていくということになっているのですか。
  70. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) それはやはり本務者の方がいいわけでございますが、しかし、非常勤の中にもやはり相当の成績をあげている者がございます。それはいろいろ前歴その他にもよるわけでございまして、ただ学校出たての者を非常勤として採用して、すぐ成績をあげるということはなかなかむずかしいと思いますが、ある程度の前歴を有した者等については、相当の成績をあげているようでございます。
  71. 森中守義

    森中守義君 昨年の通常国会のときだったと思うのですが、民間事業費と簡保事業費には相当開きがある。従って、こういうものをもう少し差を縮めていかないと、つまり事業費等に相当大幅に郵政省は予算を注入しないと、民間と太刀打ちできないんじゃないか、こういう意見を私郵政省にも出しました。あなたが、ぜひ一つそういう点は検討してみたいという答弁があったことを記憶しております。この予算の内容は、後日分科会で詳しく承りたいと思っておりますが、大体方針としてはどういうことになりましたか。
  72. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 結局、経費の差といいますのは、人件費とそれから物件費、ことに物件費の中で奨励関係の経費の点を御指摘だというふうに考えております。人件費につきましては、従来と変わりありませんが、物件費につきましては、奨励経費に、いろいろ予算の際、政務次官や何かにもお骨折りいただきまして、僅少ではございますけれども、特別奨励費というものを認められたという結果になっております。
  73. 森中守義

    森中守義君 今の特別奨励費というものは恒久的に持続できるものですか。昨年は簡保が二二%、民間保険が三八%そういう数字を私は聞いたことがある。もちろん、簡保事業の内容あるいは組織的な形態、そういうものと民間は多少違いますから、同一に民間とならなければならぬ、こういうことは多少暴論に過ぎるかもわかりませんが、少なくとも、今日のように生命保険の市場をある意味では争奪戦をやるわけですから、もう少し民間生命に近づけないと簡保はうまくいかぬのじゃないかということで、率をもう少し上げてほしい、上げるべきだという意見も私は開陳した。今言われる特別奨励手当というものは恒久的なものであるのかどうか。あるいはその特別奨励手当というものが新しく見られたために、三八対二二というこの差というものはどのくらい縮まるのですか。
  74. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 民間保険事業比率が三八か三五か、私大体三五くらいじゃなかったかと覚えておりますが、それに対しまして簡易保険事業比率が二二ないし二一、まあ大体二二でございます。この差は実は募集手当の額が非常に民間は多く出る。といいますのは、募集手当の割合がいいという点もございますが、要するに新契約を非常にたくさんとりますので、その年度内に払う募集手当の額が非常に多くなる。ところが簡易保険の方は新契約が必ずしも横ばいで伸びない。従って募集手当というものが毎年ほとんど十五、六億ということに固定をされておる点からきておるわけでございまして、民間保険が非常に奨励関係の経費を使っておるということには、それだけではならぬと思います。それでまあわれわれの方では、結局固定給に重点を置いて、募集手当を割合に少なくしておる。民間はその逆で、固定給を非常に少なくして、募集手当を非常に多くしておるというような行き方の差がありますので、給与の点については一がいにどちらがいいということも言えないと思いますが、要は、周知宣伝その他に使う奨励の経費でございまして、先ほど私が申し上げました特別奨励経費というのは、これは奨励手当ではございません。要するに、周知宣伝、その他に使う特別の経費というものでございまして、これも一応大蔵省は、今年限り、今年といいますか、三十五年度限りということで認めたことになっておりますが、私どもとしては、一応一ぺん実績ができれば、それをゼロにするというようなことはないであろうし、また、あってはならぬというふうに考えているわけでございます。ただ、その額はきわめて少ない二千五百万というような額でございますので、これが事業費率に影響するというような額ではないわけでございます。
  75. 森中守義

    森中守義君 今の等分から参りますと、昨年、この委員会で私とあなたが行なった一つ方向というものは、まだ実現の方向に向いていない。ただ今年は、河とはなしに特別奨励手当二千五百万というものがついた、それだけのことですね。要するに、事業の骨幹をなす、多少とも好転させていくような事業費率の問題、そういうことはまだまだ解決できていないということですね。
  76. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) お答えさしていただきますが、特別奨励費を今年度の予算に獲得いたしましたいきさつについて、一言お答えさせてもらいたいと思いますが、実は、私ども今日の中小企業のいわゆる低利資金とか、町村財政の行き詰まりの打開のために、簡保の融資その他のために、非常に簡保のこの金は国家、国民のため、地方公共事業体のために非常に役立っているものであるということを根強く確信いたしているのです。そこで、でき得ることであったならば、郵便貯金簡易保険の特別奨励費を二億ないし三億獲得したい、こういうのが、私、就任当初よりの念願であったのです。そこで、局長各位が御努力を願って、大蔵省と折衝いたしました結果、貯金の方が五千万円でしたか、簡保の方が二千五百万円という、微々たる予算を獲得でき得たのであります。そこで、なぜ二億も三億も獲得しなければならないかというと、御承知のごとく、民間保険のこの集まりました金は大企業家に金が行く。そうして簡保郵便貯金の金は、少なくとも地方公共事業あるいは中小企業の低利資金として、国家のために、地方自治行政のために、非常に役立っているのじゃないか。これにいま少し奨励費を与えて、より以上財政投融資の金がふえることは、大蔵省として非常に喜ばしきことじゃないか。ゆえに特別奨励費をまずふやせということで、政治折衝に入ったのであります。その結果、ただいま申し上げましたごとく、微々たる金ではありましたが、本年度、簡保において二千五百万、郵便貯金において五千万、これだけの道あけができました以上は、少なくとも政治力をもって、同時に皆さんの御協力を願いまして、大蔵省から、来年度はこの勧誘に対します特別奨励費をより以上獲得しなければならない、このように私は考えているのでありまして、本年は御期待に沿い得なかったことはまことに遺憾と思っておりますが、より以上皆さんの御協力を願って、ますます拡充奨励費を特別に獲得するようにいたしたい、このように念願しているような次第であります。よろしく一つお願いいたします。
  77. 森中守義

    森中守義君 政務次官の演説の内容としては、二千五百万程度では問題になりませんから、あなたの演説は演説で聞いておきましょう。  それで、その二千五百万というような奨励手当というのは在来もあったのでしょう。年によって出していたのじゃないですか。本年新しくこういう予算措置が講ぜられたのではないと、私は考えるのですが。
  78. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 奨励費というのは、毎年大体はじく率がありまして、それによって出ておったわけでございますが、その率にかかわらず今度特別の奨励費というものが認められたということでございまして、従来はなかった一つのワクといいますか、新しい芽が一つ出たということでございます。
  79. 森中守義

    森中守義君 そういうように新しい款であるか、あるいは項であるか、目であるか知りませんが、そういう予算措置が講ぜられたというのは、少なくとも総ワクの中における一環としてやはり事業費を少し上昇さしていくというような方向にきたということは言えるわけですね、今のような説明であれば。
  80. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) その分だけ総ワクがふくらんだということ百でございます。
  81. 森中守義

    森中守義君 それから昨年の三月の十九日の委員会で、例の簡易保険法第六十八条の問題で、当時の寺尾郵政大臣が、長期にわたる事業の展望として横付したいと思う、こういう答弁を行なわれております。この問題はどういうことになりましたか。
  82. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) はなはだ恐縮でございますが、簡易保険法第六十……。
  83. 森中守義

    森中守義君 六十八条、「郵政大臣は、被保険者の健康を保持し、又はこれを増進するため必要な保健施設を設けることができる。」と、こういう条項があるから、一体年間の予算の中で巡回相談を何回やるとか、あるいは健康診断所をどれだけ作るとか、さらには地方の健康相談所を全国に何カ所作る、それを全体の予算の中に何%見るのか、これが実は被保険者に対する郵政省の間接に還元をしていくサービスではないか、こうこうことを私は尋ねておる。ところが寺尾大臣は、即刻検討して、将来実施したいと思う、こういう答弁が昨年行なわれておる。だからことしそういうような問題かどの程度消化されて具体的な実行段階に入っておるか、さっきの野上君の質問に若干関連しますが、その点を少し聞かしていただきたいと思います。
  84. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 福祉施設の拡充につきましては、いずれお手元に差し上げるはずになっております長期計画の中でも私ども取り上げるのでありますが、大体利益として毎年ほとんど確定的な数字で出る金額がございます。それの半分を一応目安として、これを福祉施設に使うという目安を一応立てまして、その範囲内でどういう施設ができるかというようなことを計画をいたしまして、長期計画に織り込んでございます。さしあたって、来年度は加入者ホームが従来一カ所でありましたものが二カ所になりまして、そのほかにいわゆる加入者の家といいますか、ヘルス・センター式のものが一カ所というふうに、まあ従来に比べますと約三倍になったということで、三十五年度から出発をいたすわけでございます。
  85. 森中守義

    森中守義君 そうしますと今の問題、あるいはさっきの予算の問題、利益の問題ですね、そういうのは長期計画の一環として含まれておるわけですね。
  86. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) さようでございます。
  87. 森中守義

    森中守義君 それから最後にもう一つ聞いておきますが、制限額の法改正、それから運用面の法改正、こういうものは準備されておりますか。
  88. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 目下関係方面と折衝中でございますが、まだ確定的な段階にまで遺憾ながら至っておりません。目下やっきになって折衝中ということでございます。
  89. 森中守義

    森中守義君 制限額の改正されようとする額については、少しお尋ねをするのもどうかと思いますが、運用の方の法改正の準備はできたのですか。
  90. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 私どもの手元におきます法改正の準備といいますか、法律案の改正案とか、それに必要な資料というような準備はできておりますが、政府全体としてこれをやるという準備といいますか、それはまだできておらないという状況でございます。
  91. 森中守義

    森中守義君 もう一つ聞いておきますが、両方とももちろん大事なことですが、奨励と維持、どちらにこれの重点を置いているのですか。また維持、奨励等を容易ならしめるために、たとえば旅費とか、あるいは会議費とか、そういうものは昨年とどのくらい違いますか。
  92. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 奨励も維持も車の両輪と申しましょうか、ともに重要でございまして、新しい契約をとらなければ維持すべきものも出てこないということになりますし、せっかくとったものも維持がまずければ脱落していくということになりますので、これはどちらが重要かということは、両方とも非常に重要だと申し上げるよりいたし方がないかと思います。ただ、しいて言うならば、何といっても新しい契約がとれなければ、維持しようにも維持のしょうがないということからいいますと、やはり新しい契約をとることが根本だということも言えるかと思っております。従って維持と奨励とに経費をどういうふうな重要性で分けるかというようなことになりますと、大体両方とも同じような重要性を置いて配算をしておるということになるかと思います。
  93. 森中守義

    森中守義君 維持目標は別としまして、奨励目録はことしは幾らですか。そうしてそれは絶対目標ですか、期待目標ですか、どちらになりますか。
  94. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 簡易保険の奨励目標は保険料で十六億五千万円でございます。それから郵便年金は年掛金で八億円ということでございます。
  95. 森中守義

    森中守義君 そこで、さっきから承っている特別奨励費の二千五百万円とか、そういうものが大体今年度の目新しい内容の予算であって、その他は在来と大して変っていない。いわんや人間もふえていない。こういう環境の中で、目標は漸次増高していく。しかも一般社会における顧客の選定もだんだんむずかしくなる、民間生命と競合する。こういう状態の中では、今言われる新規目標の十六億五千万円というものは非常に困難ではないかと思うのです。そういう困難な客観情勢の中でむちゃくちゃに奨励、督励ということをおやりになるつもりですか。それともあまり無理のいかないように、しかも顧客の選定がよくできて、失効解約がない、つまり健全な経営の方向に進んでいかれるのか、そのあたりどういうふうにお考えですか。
  96. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) これはもう私が申し上げるまでもなく、お答えは御存じのことと思いますが、もちろんその定員、経費に見合った無理のない健全な経営をやっていく以外にはないと思います。
  97. 森中守義

    森中守義君 それでけっこうですけれども、要するにその現場の第一線で働いている人たちは、目標はそれなりに年々ふえてきているのです。しかし市場というものはその容易に顧客をとれるような状況下にはない。むしろ客観情は悪い。そういう中に、目標はふえた、人は少ない、だから相当伸びのある奨励というように言えてよろしいのか、あるいは目標というものは絶対に消化しなければ承知できないぞという強い督励をされるのか、その辺の勘どころを聞かしておいてもらいたい。
  98. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 私どもはまあ予算の目標は御承知のように十八億でありますが、私どもの実行上の奨励目標をそれより下げまして実は十六億五千万円ということにしておるわけでございます。従ってこの程度はやってもらいたいという期待を持っておるわけでございまして、いわゆる私どもよくこれは期待目標だということを申しておるわけでございます。是が非でもこれをやらなければどうだとかいうような、いわゆる強制労働的な考えは持っておりません。
  99. 森中守義

    森中守義君 くどいようですけれども、そうすると結局乱募集も避ける、あるいは過酷な労働強化に陥っていくような奨励も行なわない。あくまでも健全経営というワク内において奨励を進める、こういうことですね。
  100. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) そういうことでございます。そしてまた従業員諸君の御協力を期待しておるというわけでございます。
  101. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、願わくば十六億五千万まで近つけてもらいたいが、やむなくばそれを下回ってもこれまたやむを得ない、こういうことですか。
  102. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 端的に申しますとそういうことでございます。
  103. 森中守義

    森中守義君 けっこうです。
  104. 野上元

    野上元君 次に貯金局長にお尋ねしたいのですが、この前の逓信委員会の質疑応答で明らかになりましたが、郵便貯金分計は非常に大きな赤字をかかえておられまして、特に三十五年度の末においては、おそらく四百八十億円という膨大な赤字をかかえ込むことになるのだが、この赤字を解消する方法いかんということでいろいろと質問いたしましたが、なかなかその方法がない、見つかりません。で、貯金局長としては、こういう状態でいいのかどうか、黒字にする何かの方法があるのかどうか、そういう点についてお聞きしたいと思います。
  105. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) お説の通り、いわゆる赤字はだんだん漸増しておりますが、私どもとしましては、経営も必ずしもそう優秀とは考えておりませんが、経営がまずいために出た赤字であるというふうには考えておりません。根本的にはやはり資金運用部への預託金の利率をもっと引き上げるようにいたしたい、これがまあ根本の対策であろうと考えております。かたがた、また一方におきまして、郵便貯金の現在額がだんだん膨張いたしますと、まあ経費率の方は若干低下して参りますので、資金運用部の方もその資金の運用をいま少しく高利回りに運用してもらいたいということを要望しておるわけでありますが、それらと歩調を合わせまして、こちらの預託利率というものも適正なところまで引き上げてもらいたいと考えておるわけであります。
  106. 野上元

    野上元君 ただいま経営に触れられたのですが、必ずしも優秀ではないけれども、経営のまずさからくる赤字ではない、こういうふうに言われるわけですが、そのことは資金コストを見ればすぐわかるわけですが、今郵便貯金の資金コストは大体六分七厘くらいですか。
  107. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) 昭和三十五年度の予算におきましては六分六厘九毛ということに相なっております。三十四年度が六分八厘に近いわけであります。大体一厘程度低下いたす予定でございます。
  108. 野上元

    野上元君 そうすると、類似の産業である一般の銀行におけるコストとの比較はどういうふうになりますか。
  109. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) 民間にもいろいろございまして、いわゆる特殊銀行は非常に安い、それから相互銀行等が非常に高い、普通銀行がその中間になるわけでございますが、これらの平均といつも比較しておるわけでございますが、コストにおきましては、その平均よりもやや低いということに相なっております。もちろん、民間の方のは経費としては配当とか税金、これは利益処分ですから除いております。
  110. 野上元

    野上元君 郵便貯金事業としては、どの銀行と対比するのが最も適切なんですか。
  111. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) まあ全国僻陬の地に各郵便局の窓口があるという点からいたしますと、むしろ農協とか、あるいは相互銀行の小さいのと比較するのが適当かと存じますが、そういう特殊な金融機関は特殊な運用利回り等をやっておりますので、比較の対象としては適当でないと考えまして、まず、全国の普通銀行というものをいつも対象といたしておるわけでございます。それと全国金融機関の平均というものとを対象にいたして比較いたしております。
  112. 野上元

    野上元君 そうすると、コストは比較的には高くない、おおむね妥当なところだと、こういうふうな確信を持っておられるわけですね。
  113. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) おっしゃる通りでございます。
  114. 野上元

    野上元君 そうすると、コスト高による赤字でないということになれば、結局運営方法だと思うのですが、現在六分ですか、六分をどれくらいに上げたらいいかということは、にわかには即断できないと思いますが、これを適正なところにかりに引き上げたとしても、その年度の途中に、たとえば従業員の賃金の引き上げが行なわれるとか、あるいはその他の経済的な情勢の変化によってまたまた赤字がでると、こういうことは十分考えられると思うのですが、その預託利率の引き上げだけで赤字を解消していくという自信がおありですか。
  115. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) その利率の引き上げの程度いかんによるわけでございますが、非常に含みのあるところまで上げておきますと、むしろ毎年、保険のように剰余金がありまして、積み立てておけるということも考えられるわけでありますが、現実問題として、資金運用部の預託利回りがかなり低い、それから他の預託資金の金利も低い、それらのバランスもあるということを考えまして、そうゆとりのある預託利率に改訂することは相当むずかしいじゃないか。従いまして、相当ぎりぎりの窮屈なところに、話がまとまりましても落ちつくんじゃないかと思いますので、最初の場合、当分の間、急激なるベース・アップ等がありますると、おっしゃるようにまた歳入不足という事態が起こることもあり得ると思います。
  116. 野上元

    野上元君 まあそういうふうに考えてみますと、預託利率を引き上げることによって、永久に黒字になるということは考えられないと思うのですね、預託利率の引き上げだけでは。といって、それでは自主運営といいますか、運用といいますかを郵政当局がやったとしても、これまた現在の簡保の運用の状況を見れば、これまた六分以上を回すということになると容易ではない。こういうことになると、一体どうしたら郵便貯金の会計が黒字になるかという点について、当局として検討されたことはありますか。
  117. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) まだそう省全体として、そこまで検討を進めているわけじゃございませんが、私どもの考え方といたしましては、預金コストは、預金者への支払い利子というものは、御承知のように、毎年少しずつ上かってくるわけであります、それは長期性の定期預金がふえますから。が、しかし現在高の増高につれまして、経費率はかなり下がっていきますので、長い目で見ますというと、そのバランス――いわゆる運用収入と事業費とのバランスのとれるめどがあると思うのであります。それもかなり長い先を見なければわからない、こういうふうに考えております。従いまして、郵便貯金につきましては、かなり高い預託利率まで引き上げていただくか、そうでなければ、やはり預託利率が上がるには上がったけれども不十分であるという場合には、それでは足らない歳入不足金というものは、当然ただいまのともって補てんをしてもらっているわけであります。これは当然補てんをしてもらう、いわゆる返還義務を伴わない繰入金をもらいたいというふうな気持でいるのでございます。
  118. 野上元

    野上元君 長い期間をかけると、その収支のバランスが合うというのですが、その点が私はよくわからないのですか、年々この余裕金の繰り入れがふえていっている現状、そうして貯金の現在高もどんどんふえていっている現状から見て、それはどういうふうに見られるわけですか。
  119. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) その不足補てん金は、額としては最近横ばいになっているわけでありまして、郵便貯金の総額はふえますけれども、不足金の額は同じであります。従いまして、不足、逆ざやの率というものは非常に縮まっているわけであります。私どもとしましては、ここ五、六年もすれば――ベースアップのいかんによりますけれども、そういうものを除外して一応考えまして、かなり余裕等も、経費も潤沢に予算獲得したとしましても、コストはある程度のところまで下がりまして、それからも徐々にであるが下がる。従って将来かなり見きわめますというと、十分預託利回りを少し上げていただくならば、そこに見合うところまで参るということになるのであります。
  120. 野上元

    野上元君 そうすると貯金局としては、第一には自主運用といいますか、この問題があるのですが、これがいいのか、第二は、預託利率の引き上げをやってもらうことがいいのか、第三には、この特別会計法ですが、これを改正して、現在の利率でもいいから、とにかく借金ではなくして、これはもう返さなくてもいいのだ、こういうふうに法律を改正してもらうのがいいのか、どの道が一番いいというふうに考えられるのですか。
  121. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) 一番の理想としましては、保険のように自分の集めました資金の自主運用権を持っていきたい、将来はそれを有利に運用できるようにいたしたいと思うのでありますが、何しろ明治の初年の創業以来、この運用権というものは逓信省になかったわけであります。まあ、保険のように、運用権の復元というよりも、一そうむずかしいわけであります。従いまして、これは私どもではどうにもならない問題で、非常に大きな政治問題でありますので、私どもとしては、それよりもまず、さしむき預託利率を引き上げてもらう。それとともに、万一さらにそれでも不足金が生ずれば、それは返還義務はないのだ、こういうふうに特別会計法を改正していただく、その点をただいまのところは考えているわけであります。
  122. 野上元

    野上元君 そうすると、将来はやはり自主運用というものを最終的には考えていると、その間の過渡的措置としては、預託利率の引き上げ、そうしてまた法律改正による、借入金は返さなくてもよろしいと、こういうふうな改正でやっていくと、こういう考え方ですか。
  123. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) 事務当局としましては、将来一つ、いろいろの政治力その他によりまして、郵政省に運用権が参るならば、それは一番望ましいというふうに考えているわけでありますが、ただいまのところ、われわれとしては、預託利率の引き上げと、それからそれと同時にいわゆる返還義務規定の削除というものをあわせて実現したいと思っているわけであります。
  124. 野上元

    野上元君 あなたの方の希望はわかりましたが、その点についての大蔵省との折衝模様はどうなんですか。
  125. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) まだ、ただいま省としましても、いわゆる長期計画というものの立案中でもございますので、しっかりした資料を作って、正式の話し合いを始めたいと思っているのであります。ただいままでのところでは、預託利率の引き上げについて、私の方からも大蔵省の事務当局にしばしば申し入れをしているわけであります。先方も引き上げ自体については反対でないのであります。どの程度に、いつからやるかということにつきましては、今いろいろ問題もあるときだし、まあ年度でもあけてから一つ話し合っていこうじゃないかということになっているわけであります。
  126. 野上元

    野上元君 この大臣の所管事項、説明資料の中に「二月二十三日現在の郵便貯金現在高は九千七百五十六億円となっております」と、こういうふうに書かれておりますが、これらの中に占める定額貯金の比率はどれくらいですか。
  127. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) 大体五〇%であります。五二%ですか……。
  128. 野上元

    野上元君 この前の逓信委員会では、最近赤字がかさむ原因は、定額貯金が多くなり過ぎるということが言われておったのですが、その点は貯金局長も同意見ですか。
  129. 山本圭二

    政府委員(山本圭二君) おっしゃるように、定額預金がふえますと、預金者への支払い利子率というものは増加しますので、経費率が下がる、その半分ぐらいの利率の上昇で相殺されている。従ってコストを下げるという点だけからいきますと、確かに定額貯金より普通貯金の方がいいのですが、最近の経済情勢から見ましても、民間におきましても同じ傾向でありますが、定期性の預金がふえているというのも、もう動かせない一つの傾向であります。また、一件当たりの預金等もふえておりますので、定額貯金がふえるという態勢は、郵便貯金としてはこれを阻止しようとしても無理ではないかと思っております。しからば定額貯金がふえるから赤字がふえるかというと、私はそうでないと思うのでありまして、これは幾ら定額預金が、ふえましても、まだ支払い利子率が五分に達しておりませんのでありまして、定額貯金でも含めて貯金が増大すれば、コストは下がって参るというふうに考えております。
  130. 野上元

    野上元君 それでは貯金会計はこれくらいで終わりますが、あと郵便の問題について、若干御質問を申し上げたいと思います。  その前に佐藤政務次官、今度どこどこを回ってこられたのですか。
  131. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) フランスジュネーブ、ロンドン、ニューヨーク、ワシントン、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、ホノルル等を回ってきました。
  132. 野上元

    野上元君 それらの国を回られて、日本の郵便事業と比べてどうですか、サービスの点は。
  133. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 非常に外国の方が民主的であるというふうに考え、それらの資料に関しましては、実は今まとめておりますから、文書で皆さんに配付して御一読願いたい、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、政府、現業員、一体となっての美しき姿であることにおいては、相当学ばなければならない、こう考えております。
  134. 野上元

    野上元君 また、後ほど視察の報告については拝見さしていただきたいと思いますが、今言われたように、民主的という言葉を使われたのですが、それはどういう意味なんですか。
  135. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 局長も、あるいは現業員の諸君も一体となって、和気あいあいとしておる。お互いに語り合って、その業務に専念されておるという姿はまことに美しいことだと、このように見てきました。
  136. 野上元

    野上元君 私がお聞きしたいのは、たとえば日本の郵便事業のサービスと、フランスあるいはスイス、アメリカあるいはイギリスの郵便事業のサービスの度合いですね、これはどちらが高いですか。
  137. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 野上委員のサービスということは、一つのベースだろうと思うのですが、物価指数にもよるであろうと思いますが、各国のなにを見ますというと、一時間何ドル――もっとも階級にもよりますが、一番下の配達に歩く方々とか、あるいは仕分けをしておるとか、輸送に従事しておる、ところによって違いますが、一時間大体一ドル五十セントくらいずつ取っておる、あるいは激務である配達夫とかというような諸君は、二ドルも取っておるとかいうようなことを聞きまして、実はあぜんとしておったような次第で、そうしたサービスはどこから一体財源を得られておるかということも、相当考えなければならないのじゃないかというふうに考えておるのですが、それはもちろん、物価の水準にもよって、それだけの賃金を獲得をしておるのでありましょうが、いずれにしても、とうてい日本国内で考え得られないような収入を獲得しておるように私は感じ、しかし現業員自体は、その勤務時間というものは、まことに厳粛に忠実に業務に携わっておるということは、われわれ国内の郵便事業だけのみならず、すべての労働者階級も、あるいは使用者の方においても、一体となって考え直さなければならないこともあるのじゃないか、このように考えて参りました。
  138. 野上元

    野上元君 私の質問の趣旨とはちょつと違うのですが、たまたま、あなたがそういうふうな話をされたので聞きますが、和気あいあいとしてやると言っておられたが、しかし驚くべき賃金をもらっておると言われておるわけですが、それはどっちが先ですか、賃金が高いから和気あいあい……。
  139. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) それは、僕の言うのは、日本では考え得られない賃金だというのです。日本では一日八時間働いて、非常勤が二百四十円か二百五十円、しかるに地理的にも違いましょうが、ニューヨークにしてもサンフランシスコにしても、ロスアンゼルスにしても、一時間一ドル五十セントかあるいは二ドル、一時間、こういう膨大な賃金が獲得できるということは、どこに予算の捻出があるかということで、実は私どもも考え直して聞いてみましたら、その点については曽山君、次長に、専念してその方を調査してもらっておりました。いずれにしても、局長、部課長、現業員の諸君等、ほんとうに話し合いの上にすべての業務に携わっておることは、相当考えなければならない。たとえば日本の労働組合と局長あるいは部課長と、敵視的行動をとっているとよく諸君から言われますが、そういうことがあってはならないのだ。両方がもっとひざを交えて話し合って、民主的に、アメリカの、あるいはヨーロッパのようにやることが必要じゃないか、こう考えております。
  140. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたは、衣食足って礼節を知るという言葉を確認されますか。
  141. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) その通り、私はその言葉の通り、自分みずからが範をたれております。
  142. 野上元

    野上元君 結局あなたは、そのことを欧米から学ばなければならないというふうに考えられたということですか。
  143. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) その通りです。
  144. 野上元

    野上元君 そうすると、どうですかあなたの政務次官時代に郵便従業員に平均五万円ぐらいの賃金を与えるような意思はありませんか。
  145. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 五万円も十万円も上げたいと思っておりますが、その財源の捻出方法が一番困難だから、いかにしてその財源を得るかということが必要じゃないかと考えております。
  146. 野上元

    野上元君 かりにそれができないとすれば、やはり若干のいがみ合いはやむを得ない、こういうことになるわけですな。
  147. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) そのいがみ合いは、私は断然なくなるものだと思っております。ということは、いま一歩前進して話し合ってみたらどうか。すべてにらみ合う前に、お互いに互譲精神をもって話し合ってみたらどうか。それを、どうも労働組合だから、政府のボスだからというように考えられて、いつもにらみ合っている姿が今日の姿でなかったのか。そこで私は、そういうことは就任以来、早く取り除いて、ほんとうに話し合ってみたいという気持は、野上委員も御承知だろうと思いますが、私の気持に変わりはない。同時に、省内におきましても、皆さんがそのお気持になって、今日は、現業員各位の諸君と話し合っていきたいという、気持をみな持っているというように、私は信じております。
  148. 野上元

    野上元君 私は、あなたの善意を疑うわけではないが、しかしあなたが話し合いをされるといっても、かりに非常勤一日の二百八十円をがまんしろ、そうして働けということを話し合わざるを得ないと思うのです。財源の捻出ができなければ。その自信がありますか。
  149. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私は、非常勤の諸君が二百四十円か二百八十円、先般、労働省の発表によりますと、自由労働者といいますか、屋外労務者といいますか、あれが三百円になったとかいうお話をちょっと聞いておったのですが、もし、そうでありとするならば、より以上に努力しておるところの非常勤の諸君には、三百円くらいの賃金を与えるようにすべき必要があるのではないか。これは労働省、あるいは賃金制度の問題も十分話し合わなければなりませんが、満たせるような努力をしなければならぬ、このように考えております。
  150. 野上元

    野上元君 今日、自由労務者の一人の賃金は三百四、五十円だといわれております。ところが、郵政の非常勤はそうでない。あなたの言われるように、もしも、かりにそこまで引き上げられるという意思があるならば、三十五年度の予算を編成されるときに、そういう意向はちゃんと入っておりますか。
  151. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) その予算獲得に対しまして、御承知のごとく、定員も少ないということで、相当根強くやっておりましたが、残念ながら、私どもの要求の三分の一にも満たざるような実態でありますが、いずれにいたしましても、三十四年度以上の予算はいただいたつもりであります。でき得ることでありますならば、十分人事部とも、各所管の局長さんたちとも打ち合わせ、労働省とも打ち合わせて、より以上のサービス向上に寄与したい、このように考えております。目下、三十五年度の予算、今御審議願っておるような次第でありまして、これが確定いたしました暁には、十分話し合って、十二分の御期待に沿うようにしたいとは思うのでございますが、でき得なくとも、幾分の皆さんの御期待に沿うようにしたい、このように考えております。
  152. 野上元

    野上元君 十二分に御期待ということになると、さしむき、三百六十円くらいになるわけですが、あなたはあとの方で、できなければできるだけの一つなんというのじゃ、さっぱりどうも、どこにあなたの本音があるかわからぬのだが、とにかく、あなたの気持で、今度は一つあなたが先頭に立って、これらの従業員の待遇改善のために挺進してもらいたいということを希望しておきます。  それから、私の聞いておるサービスというのは、郵便事業が国民大衆に与えるサービスのことを聞いておるわけで、日本のサービスの方がいいのか――国民に対するサービスですね、アメリカの方がいいのか、フランスの方がいいのか、スイスの方がいいのか、イギリスの方がいいのか、その点、一見してどういうふうに感じられましたか。
  153. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 大衆に対しまするサービスは、私は日本の方が非常に親切、堅実であると、こう考えております。それからいま一つ、日本の一般国民も考えなければなりませんが、私どもの聞いておる、あるいは目で見て参りましたが、配達夫が配達に行く、これに対してありがとうという言葉を、あるいは御苦労さんという言葉を必ず使っておる。日本あたりでは、あの雪の中、雨の中、炎天の中を配達に行っても、郵便屋は配達するのがあたりまえだというように、一般大衆の方々は考えておる人が多いのじゃないか。郵便屋さん御苦労さんというような気持を持たなくてはいけないじゃないか。それからいま一つ、私自身も悔い改めて考えなければならないことでありますが、昨日も私帰国早々役所へ行きまして、各部局長さんたちとお会いいたしまして、郵政事業というものは、私はこれだけ国家、国民から信頼と、また尊敬されておるものであるというように考えておらなかったのであります、私自身が。ところが、アメリカに行きますというと、大統領の次が国務大臣、国務大臣の次がポスト・マスターゼネラルとでも申しますか、郵政大臣、その郵政事業ということに対しては一段とその権力とでも申しますか、地位とでも申しますか、非常に国民から尊敬されておる。これは今日、日本の郵政事業に携わる者は、各所管省よりもどうも毛並みがいいというか、おとなしいというか、最近の傾向をたどって見ますというと、あまり尊敬されておるように見当たらなかったということに対して、少なくともこのPRをして、郵政事業の必要性ということを打ち込んで、品位を向上していかなければならぬ。品位を高めていくとともに、野上委員の言われるように、国民に信頼される郵政省であり、従業員であるようにし、そこでいつもにらみ合って、当局と労働組合とけんかばかりしておってはいかぬ。話し合って、そういうことは除去していくようにしたいということで、その御期待に沿うように最大の努力をいたしたい覚悟を持っております。
  154. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十五分開会
  155. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  午前中に続いて質疑を続行いたします。
  156. 野上元

    野上元君 郵務当局にお聞きしたいのですが、大臣の所管事項説明資料の中に、最近における郵便物の増加傾向というものが書かれておりまして、非常に順調に郵便物がふえておる、事業が発展しておるということを自画自賛されておるわけですが、先般来の質問によって明らかになりましたように、収入の面においては、必ずしも楽観を許されぬものがあるように考えるわけですが、郵務当局としては、この点をどういうふうにお考えになっておりますか。
  157. 板野学

    政府委員(板野学君) 最近の郵便の、いわゆる伸び方並びにその収入の状況でございまするが、大体十二月の月をとってみますると、私ども年賀関係で約十億三千万通の物が出ているというふうに考えておりますが、実際の収入の面におきましては、二億数千万円の予算よりも下回ったような数字が出ております。一月の状況を見ましても、一億数千万円のこれは予定よりも下回るような収入になっておる。  私ども、このような傾向を見てみまするというと、物の方は、割合私どもの考えておりますような順調な伸び方をいたしておりまするが、要するに原価的に非常に赤字が出るような、いわゆる三種とかあるいは小包、そういうようないわゆる重量が重くてかさばる、こういうようなものがふえるけれども、原価的に有利なような物はなかなかふえない。こういう点に物と収入とが、かえって逆の方向に、どうもなっていくような傾向があるのではないかということを心配をいたしておる次第でございます。
  158. 野上元

    野上元君 そうすると、ここに新聞の切り抜き記事があるわけですが、三月十三日付の毎日の「余録」の欄ですが、三種以下において一年間に約百一億円の赤字が出る、こういうようになっておりますが、これは事実ですか。
  159. 板野学

    政府委員(板野学君) これは、いろいろ計算の仕方、あるいはその物のとり方等のやはり考え方の差にもよると思いますけれども、私どもが、三種では非常な、原価的にも赤字になる。五種におきましては、御承知のように原価的にはとんとんというような状況のようでございまするけれども、これは私どもの方からいたしますれば、五種なんかは、最近特に重量あるいはかさものがふえておるというような関係で、これはもう三十四年度においては、相当これはある程度、原価的にも非常に引き合わぬような状況になっておる。小包等におきましても同様でございまして、その物を算術的にみてみれば、ざっと大ざっぱなところですが、七、八十億見当の赤が出るのじゃないか、赤字計算になるというように私どもは考えております。
  160. 野上元

    野上元君 小包においても、やはり最近における情勢は、赤字ですか。
  161. 板野学

    政府委員(板野学君) 小包は、原価的にも特にこの赤字の幅が大きくなっておりまするので、先ほど申し上げましたのは、三種と小包とを合わせまして、大体まあ七、八十億の赤になるのじゃないか、こういうふうに承知いたしております。
  162. 野上元

    野上元君 最近における郵便物の増加状況は、先ほどの説明資料で明らかなんですが、通常が約七・七%小包が七・八%こういうふうに伸びがあるのですが、本来ならば、経営としては、順調に進んでおるものと認められると思うのですが、逆に収入の面において赤字になるというのは、郵便の伸びの中における三種以下の伸びが非常に大きい、こういうふうに判断してよろしいのですか。
  163. 板野学

    政府委員(板野学君) その通りでございます。
  164. 野上元

    野上元君 そうすると三種以下の郵便物は、幾ら伸びても、伸びれば伸びるほど、赤字を累積してくる、こういうふうに考えられるわけですが、その点も間違いありませんか。
  165. 板野学

    政府委員(板野学君) 大体、そのような傾向でございます。
  166. 野上元

    野上元君 そうすると、郵政省は、この状態のままで続けていくと、将来非常に大きな赤字を現出することになると思うのですが、それも私の見通しとして、あなたの方も、それをお認めになりますか。
  167. 板野学

    政府委員(板野学君) この赤字というものと、それからこの収入というものとは、実際は、収入と支出の関係でございまして、今後この郵便事業のいろいろな時代に相応したようなサービスの改善をしていかなければならぬ、あるいは郵便に従事する職員の給与の改善をしなければならぬ、こういうようなことを見合いにいたしますれば、このような赤字が相当また出てくるのじゃないかということを考えておる次第でございます。
  168. 野上元

    野上元君 今の状態のままでおいて、三種以下が、どんどん伸びていく場合には、どういう傾向を示すわけですか。
  169. 板野学

    政府委員(板野学君) 私ども、その計算を、しっかりした計算ということにはいきませんけれども、今の支出のまま、今のサービスのままで、これでいくということになれば、私ども、そう大したそこに赤字は見られないのではないか、そう大したことはないというふうに考えております。
  170. 野上元

    野上元君 そうすると三種以下というのは、容積としてはきわめて大きいから、局舎もやはり大きくしなければならぬし、施設も完備していかなければならぬ、人員もやっぱりふやしていかなければならぬ。従って現状のままで行けるということはあり得ないわけですね。そうすると結局赤字が累積してくる、こういうことになるわけですね。
  171. 板野学

    政府委員(板野学君) おっしゃる通りでございます。
  172. 野上元

    野上元君 そこで、最近新聞紙上をにぎわしておりますが、郵政当局は、秋になったら値上げをするとか、あるいはまた昨日の予算委員会における郵政大臣の答弁から見ても、郵便料金の中の、各種料金は非常にでこぼこがあるので、これを是正することに努力したいのだ、こういう答弁をしておられますが、郵務当局としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  173. 板野学

    政府委員(板野学君) この郵便料金体系そのものといたしましても、いろいろ、まあそのようなでこぼこ、原価的に見ましても、料金体系的に見ましても、相当ここにでこぼこがあるということは、私ども前から考えておりまして、こういうようなものを、いわゆる体系といたしましても、調整を一つはからなければいかぬのじゃないか。あるいはまた、郵便事業のいろいろのサービスというような面からいたしましても、また先ほどお話がございました三種以下の非常な異常な増高に対しまする施設の強化という点からいたしましても、さらにこういう方面の経費というものを考えていかなければならぬ。  そういう工合に考えまするときには、やはり少なくとも体系的なものを、あるいはそのサービスの、いわゆる現在の合、日に即応するような一つ、サービスの改善というような面からいたしましても、この料金のそういうふうな調整ということにつきましては、私は必要なんじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  174. 野上元

    野上元君 郵便事業の最も大きな目的といいますか、それはやはり、一種、二種を迅速的確に届ける、これが一番大きな使命じゃないかと思うのだが、その点は、どうですか。
  175. 板野学

    政府委員(板野学君) 仰せの通りでございまして、私ども、一種、二種に属するものは、私どもで専門的には高等信――いわゆる高等の通信――高等信というふうに呼んでおりまして、これは優先的に、かつ非常に最も重きをおいてこれは扱うということに、内部でも、そういう扱いをいたしている次第でございます。
  176. 野上元

    野上元君 特に郵便法で言うこの「独占」というのは、一種、二種についての独占を規定しているんですか。
  177. 板野学

    政府委員(板野学君) 独占規定は、必ずしも一種、二種だけではございませんけれども、いわゆる通常郵便物に属するものは独占の規定に当てはめるわけでございます。
  178. 野上元

    野上元君 そうすると、三種以下のものは、これは何も郵便局だけがやらなくてもいいんじゃないですか。
  179. 板野学

    政府委員(板野学君) 独占というものが、いわゆる郵便の名において、これをやることはできないというわけでございますので、他のいわゆる新聞等は、もちろんこれはやってよろしゅうございますけれども、いわゆる郵便と称して、これをやることはできないという趣旨のものでございます。  従いまして、厳密のいわゆる狭い意味で申しますれば、一種、二種の通信の秘密と申しますか、そういうものを確保しなければならぬような、この高等信に属するものが、本来の独占に属するものでございます。
  180. 野上元

    野上元君 これは、郵便法の第五条の第二項にあるのは、それをうたっているのじゃないんですか。「信書の送達を業としてはならない。」というのは、これがいわゆる独占規定であって、その中にある「信書」というのは、一種、二種のことを言っておるんじゃないですか、これ……。
  181. 板野学

    政府委員(板野学君) 狭義の意味におきましては、これはいわゆる一種、二種のことを信書と申しまするけれども、内容的には、これは一ぺん封をしてしまえば、これはみな現在のところ、一種、二種ということになりますので、狭義の意味の独占というのは、普通一種、二種に属するものを言うわけでございます。
  182. 野上元

    野上元君 そうすると、国営事業である郵政官署としては、この一種、二種が最も重点施策であるということは間違いないわけですが、これは一種、二種以外の、いわゆる三種以下の郵便物を取り扱かうことによって、非常な大きな局舎の設備が必要だし、その他の施設が必要だし、人員が必要だし、結果的には、収入の面において赤になりつつある、将来非常に憂慮されるというような状態が続くということは非常にまずいことじゃないかと思うんですが、その点は、どうなんですかね。
  183. 板野学

    政府委員(板野学君) もう一度一つ
  184. 野上元

    野上元君 この郵便事業の最も重点的な施策、特に国営事業である郵便官署の責務として重要なことは、一種、二種を完全に送達するのだということにあるわけですが、その独占事業の内容である一種、二種以外の三種以下の郵便物を取り扱うことによって、必要以上の局舎の設備が必要だし、あるいはまたその他の諸施設が必要になり、かつ人員も必要だが、結局は赤字になるというようなことが、非常に郵便事業としては、何といいますか、変則的な経営じゃないかと、こういうふうに考えるのですが、その点は、どうなんですか。
  185. 板野学

    政府委員(板野学君) 私が申し上げたのは、先ほどいわゆる狭義の意味の郵便というものは、実際は信書の秘密に属するいわゆる一種、二種を私ども指すわけでございまするけれども、郵便の独占、いわゆる独占事業の範疇に属するものは、一番最初に申し上げました、いわゆる普通、通常と、それから特種の中の、小包以外の、そういう特種扱いのものが、これは独占に属するわけでございます。  しかし、その中におきましても、内部的な扱いといたしましては、特に通信の秘密に重要な関係を持っておるような一種、二種というものを、高等信といたしまして、優先的に、かつ重要な扱いをするということになっておる次第でございます。  従いまして三種以下の郵便は、もちろんその物数が非常にふえ、その取り扱いのために、一種、二極の扱いが非常に速度その他においてもおくれてくるということになりますれば、私どもは、これはもう、何とか是正はもちろんしていかなければならぬというふうに考えるわけでございますが、現在のところ、私どもは、極力そういうことのないように、一種、二種というような種類のものにつきましては、できるだけこのものを優先的に扱っていくという方向で、ただいまのところは、私ども業務をやっておるわけでございます。
  186. 野上元

    野上元君 郵務当局の気持としてはわかるのですが、とにかく三種以下が赤字であるということは、あなたが、そう言われるけれども、実際には、一種、二種の取り扱いに重大な影響を与えておるというふうに考えられないのですか。
  187. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもは、一種、二種の、いわゆるサービスと申しますか、あるいは料金そのものも、すなわちサービスというようなことになりますると、あるいはこういうような三種、四種以下のいろいろな料金的な面が、一種の方にも影響がかかるというようなことは言えるかもわかりませんけれども、そういう意味じゃなくって、いわゆる通常の取り扱い、あるいは配達とか、あるいは集配の面におけるサービスという面におきましては、三種以下の、そういう物の増高のために、一種、二種が影響を受けないように、極力現在やっておりまして、現在といえども、その影響は、そう今のところ大きくは出ていない、こういうふうに考える次第でございます。
  188. 野上元

    野上元君 三種以下の郵便料金がきめられた当時の考え方は、いわゆる文化の発達に寄与すると、そして郵政事業は国営事業であるから、大いに文化の発達を助長するための安い料金でなければならぬと、こういう考え方からきめられたと考えられるのですが、今でも、やはりそういうふうにお考えになっておりますか。
  189. 板野学

    政府委員(板野学君) 三種の料金につきましては、大体、先生のおっしゃいましたように、やはり文化とか、あるいは教育、そういうような見地から、これを広く国民にそういうものを頒布するために、これを安くすべきであるというような考え方に立っております。それから四種、五種につきましては、これはずっと業を勧めると申しまするか、勧業と申しまするか、いわゆる産業を勧めるというような一つの考え方、あるいは四種の中には、国民教育とか、あるいは社会福祉というような面も含めておるような項目もございまするけれども、大体勧業と申しまするか、そういう思想が、この中にあるわけでございます。この三種に盛られております一般文化の普及と申しますか、そういう考え方につきましては、私ども今後ある程度、そういうものはやはり、これはもう考えていくべきではないかというふうに考える次第でございますが、第五種のいろいな勧業、産業を勧めるという考え方につきましては、いわゆる明治初年以来の、そういう考え方につきましては、少し角度を変えて、私ども見る必要があるのじゃないか、と申しまするものは、現在におきますこの郵便料金というものの、産業その他のいろいろな支出経費の割合からいたしましても、非常に微々たる経費になっておる。それからまた、これは通信それ自体の役目は、相当重要なものでございますけれども、そういう経費的な面からすれば、その割合というものは、非常に小さくなるというような点、いろいろな点から考えまして、そういうような考え方につきましては、検討を私は加える必要があるのではないかというように、考える次第でございます。
  190. 野上元

    野上元君 第三種あるいは第四種等は、今あなたの言われたようなことで、実際には低料金制度がしかれておるのですが、それによって赤字が生ずるということになると、その赤字は、それじゃ、どこから補てんするかということになるのですが、その点は、どうなんですか。
  191. 板野学

    政府委員(板野学君) 御承知のように、郵便料金は、昔から、昔からと申しますよりも、新式郵便制度をとりましてから、均一料金ということになっておりまするし、また料金の各種別ごとの料金を決定いたしまするにつきましても、厳密の意味の原価的な方法というよりも、総合料金制度と申しますか、総合的にみまして、また歴史的にみまして、ある程度の腰だめと申しますか、そういうやり方で料金というものが決定をされているわけでございます。  従いまして総合的ないわゆる原価を見、かつ過去における料金体系等をも勘案をいたし、また現在におきまする各郵便の種別ごとのいろいろな役割、あるいは経済におきまするその比率というようなものを、いろいろかみ合わせまして、そこへ適正な料金を決定していくというようなやり方が妥当ではないかというふうに私ども考える次第でございます。
  192. 野上元

    野上元君 私は三種以下あるいは小包まで、ほとんどの種別が赤字である、そうして各郵便事業は、独立会計を実施させられているということになれば、おのずから、どこから赤字を補てんしているかということは明らかなんで、それは郵便事業からみると、本末転倒じゃないですかね。
  193. 板野学

    政府委員(板野学君) その面につきましては、先ほど申し上げましたように、原価の考え方につきましても、いろいろやり方があると思いますが、この料金を、どこからどういう工合に取ってくるかということにつきましては、いろいろな各経済の内部におきます郵便料金の全体を占める割合というようなもの、そういうようなものと、あるいは過去におきまする料金のいろいろな体系というようなもの、こういうようなものを総合いたしてきめるわけでございまして、本来の趣旨から言えば、一種と二種というような非常に国民生活に密着しているようなものから、まあその三種、四種というような料金のある程度の赤を、この方に負担さすというのは、少し筋違いじゃないかというふうにも考えられるわけでございまするけれども、三種、四種、五種等につきましても、その社会性と申しまするか、社会的にも、いろいろな意味でそれは貢献しておる、その割合というものを、幾分か全般的な、そういう国民経済の全般的なものに一つ及ぼしていくというやり方も、これは必ずしも、どうも不当だということにはならんじゃないかというように考える次第であります。
  194. 野上元

    野上元君 三種、四種、五種が社会性があると言われるのだが、しかしその社会性のある、そのもの自体の値段は、おそらくそのコマーシャル・べースによってきめられるのですよ。社会性があるかどうか知らんけれども、現実にその価格は、コマーシャル・べースによってきめられておる。そして高くもなる、低くもなる、自由になる。ところがそれを一たん郵便局に持ってくると、これは社会性に持ってくると、これは社会性があるということで、法律によってきまった料金で、しかも低料金でやらなければならない。こういうのは明らかに、もしもそのもの自体に社会性があるならば、そのもの自体の料金を、価格を引き下げていくということの方が本筋であって、そのしわを郵便料金の方へ持ってくるというのは、明らかに私はおかしいんじゃないかと思うのだが、その点は郵政当局、どういうように考えますか。
  195. 板野学

    政府委員(板野学君) 私、先ほど申し上げましたように、三種の中の、非常に文化関係というものに関係を持っておるもの、あるいは四種の中の非常に、特に社会福祉的なあるいは教育的なものと、こういう面につきましては、私は必ずしもこれは原価そのものを云々ということでなしに、もう少し広く、やはりそういうものの社会的な一つの価値と申しますか、そういうものを考えまして、全般的な料金というものの制度を考える必要があるんじゃないか。  ただし五種というように、非常にまあ、いわば産業を進めるとか、商業ベースに乗ったような一つのもの、そういう物につきましては、私ども、なるべくこれは原価主義というものを置いていってもいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  196. 野上元

    野上元君 しかし現実の問題として、三種郵便についても、それそのもの自体、社会性があるといっても、それでは、彼らは、その事業を経営するのに、採算性を全く無視してやっておる会社一つでもあるかというと、それはないと思うのですよ。やはり商売になるから作り、そしてそれを売っておる。たまたまそれが社会性を持っておるというだけのことであって、明らかに彼は営利会社として、営利を追求しながらやっておるものなんだから、その値段を下げるのがむしろ本筋であって、それを郵便料金の方にしわ寄せしなければならぬという理屈を押しつけてくるのはおかしいんじゃないかというのです。
  197. 板野学

    政府委員(板野学君) 郵便事業も一つの国営事業といたしまして、国のいろいろな社会的な政策なり文化的な政策、あるいは教育的な政策にマッチするような一つの政策をとってきておるということも、この公益的な、あるいは国営事業といたしましては私は必定なやり方じゃないかというように考えるわけでございまして、ただし、非常にこれは原価のいろいろな考え方もございまするけれども、その種別に非常な大きな恩典があるために、他の種別に、相当大きな影響もあり、かつ取り扱い上その他の面について、非常に影響があるというような方法でなしに、少し緩和された形で、国営事業としての、そういう一つの政策面を打ち出していくということは、やはり事業として必要なんじゃないか、かように考えておる次第であります。
  198. 野上元

    野上元君 そうすると、結局赤字を補てんする場合に、それでは、あなたの考え方からいくと、今のところやむを得ないということになれば、先ほどあなたが説明されたような基本的な郵便物の黒字によって、これを埋めていくという行き方が妥当なのか、そういう人たちに赤字を負担させるのが適当なのか。それよりも、一般会計から繰り入れる方が妥当なのか、その点は、どういうようにお考えになりますか。
  199. 板野学

    政府委員(板野学君) やはり現在の公益事業、公営事業建前といたしましては、独立採算制度をとりまして、その収入をもって支出をまかなっていくという建前でございますので、またその建前の方が、こういう一つの企業には非常に適当な方法だというふうに私ども考える次第でございまするので、一般会計から補てんということでなしに、この郵便なら郵便の一つ会計内において、その点の調整をはかりつつ料金をきめていくというやり方の方が私はいいというふうに考える次第でございます。
  200. 野上元

    野上元君 そうすると、将来赤字を克服するためには、郵務当局としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  201. 板野学

    政府委員(板野学君) この赤字が、どういう工合な赤字の傾向になっていくかということにつきまして、私ども、ただいま経理局等と一緒に、一つその傾向等を見つつあるわけでございますが、その今後の動向、あるいはどのような一つ傾向をたどるかという面につきまして、いろいろな考え方なり何なりがあるわけでございまして、その幅等によりまして、私ども基本料金、基本料金と申しますか、まあ一種、二種というような料金に、これは影響があるものか、あるいは三種以下の、そういういわゆるでこぼこ調整というもので、一体いけるものかという点につきまして、せっかく検討を進めておる次第でございまして、まだここでこうだというふうにお話を申し上げるだけの資料を持ち合わせていないような次第でございます。
  202. 野上元

    野上元君 料金のでこぼこを調整するということも、一つ方法でしょうが、たとえばこの取り扱いをさらに簡素化するというようなことは考えられておらないのですか。
  203. 板野学

    政府委員(板野学君) 第三種あるいは五種というようなものにつきましては、私ども、その経営上の企画とか、あるいは認可その他の手続とか、いろいろな取り扱いの面につきまして、さらに検討を加えまして、その簡素化をはかっていきたいというふうに考えております。
  204. 野上元

    野上元君 最近私の手元にあるような、こういうものの郵便物が非常に多いわけですね。こういうもの、ほとんどだれも見ないんです。こんなもの、みんなきたらすぐ捨ててしまう、という郵便物が、非常に数を増しておると思うのですが、それらの傾向については、もう当然あなたの方で検討を加えられていると思うんですが、そういう郵便物でも、あて名が変われば、日本国中探して歩かなければいかぬわけですが、こんなもの、一ぺんきりで終わるというような一つの考え方はできないものですか。
  205. 板野学

    政府委員(板野学君) そういう面につきましても、いわゆる一種、二種というような種別、五種というような種別と別に、いろいろやり方、取り扱い方につきまして、変わった取り扱い方をしてもいいんじゃないかというように私どもも考えておりまして、目下検討をしておる次第でございます。
  206. 野上元

    野上元君 さらに、たとえば最近非常にふえておるアパートですね、アパートの配達等についても、思い切った簡素化が必要じゃないか、あるいはまた、さらに団地ですね、平屋であっても広い広範な地域にわたって団体ができておりますが、その辺の郵便物の配達等については、もう少し検討を要するんじゃないかというように考えるんだが、あなたの方は、どういうふうにお考えですか。
  207. 板野学

    政府委員(板野学君) 高層アパート、あるいは団地等の配達につきましても、いろいろ私の方で、その簡素化なり、あるいは諸外国でやっておりまするようないろいろな例等も研究いたしまして、こういう面につきましても、一つ何とか簡便な、いわゆる配達方法を考えるということで、目下研究をいたしておる次第でございまするか、何分長い間、日本の郵便というものが、午前中に政務次官からお話がごさいましたように、非常に至れり尽くせりのサービスをいたしておったものでございますので、急激に、こういうやり方を取り入れる――外国式のやり万を取り入れるという、点につきましても、なおそれより先に、国民一般のよき理解を得るということにつきまして、もう少し努力をいたしてみたい、その上で、できるだけ早い機会に一つ、こういうものの配達のやり方を、もう少し簡便な方法にしたいというように考えております。
  208. 野上元

    野上元君 たとえばアパートに一括配達をするという場合には、これは信書の秘密を侵されるという心配があるからという議論が、一つの焦点になっておるんですが、そういうふうに、やはり事務当局もお考えですか。
  209. 板野学

    政府委員(板野学君) これは、むしろ私ども、そういう受け箱をしっかりさせるということが、一つの必要なあれでございますが、むしろただいまの郵便法の関係では、郵便物を個々のうちに配達するということになっているんだから、たとえ団地であっても、山の上であっても、個々の家まで一つ配達をしてもらいたいというのが、一般の人の気持のようでございます。  私ども、いわゆる個々の、そういううちに配達するという考え方――アパートのある、その個々の家というより、屋敷のところ、いわゆる郵便受けのあるところまで運べば、それで配達が終了したということにも考えられるんじゃないかというふうに、いろいろこういう面で、法制的にも実際的にも、ただいま研究をいたしておるような次第でございます。
  210. 野上元

    野上元君 私の質問したいのは、一括して郵便箱を一つ設けて、その中へ郵便物を投げ込んで帰ってくるということになると、それは信書の秘密が侵されるという心配があるんだ、こういう議論が一部になされているんですが、その点は、どういうふうにお考えですか。
  211. 板野学

    政府委員(板野学君) 郵便受けを、各アパートごとに作りましても、いわゆる個々の家と申しまするか、個々の部屋ごとの郵便受けを作るわけでございまして、一括して入れて行くというような受け渡しの配達の方法は考えていないわけでございます。  もしそういうような考えを持っておられる方があれば、どうも私どもの考えるところと違うところでございまして、一そう、そういう面につきまして、理解を得るような方法を講じたいというふうに考えております。
  212. 野上元

    野上元君 私が言いたいのは、私は一つでよろしい、こういうふうに考えるんだが、みんなは別々にやらないと、それは信書の秘密が侵されることになるから、法律に違反することになる。従ってそれはできないんだ、こう言われる方があるから、郵務当局とししは、一つの受け箱に全部入れることは、明らかに郵便法違反になるかどうか、その点お聞きしておきたいと思います。
  213. 板野学

    政府委員(板野学君) この点につきましては、いわゆる一括配達というような制度を私ども現在のところやっておりません。  従いまして郵便法上から申しますると、やはり一応個々の家なり、個々の家と目さるべき、そういう郵便受けに、配達するということが原則であろうかというふうに考えます。そのことか、すぐに信書の秘密に関連するかどうかということは、これはまた別問題でございまして、これは配達のやり方という面からいたしまして、現在では、一括してそこに置いていくというような場合は、特別に、そのアパートなりに、いわゆるアパートの管理人がおりまして、それが受け取るというような場合を除きましては、そういう方法は、とらないというように一応考えてやっている次第でございます。
  214. 野上元

    野上元君 その方法を考えておらないと言われるのは、あて所配達という一つの規則と言いますか、法律があるからできないのだという考え方なのか、郵務当局としては、そういう一括配達方式はやりたくないという方針なのか、どちらなんです。
  215. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもは、なるべくそういうような一括配達は、特別な場合を除いては、一つ避けたいというふうに考えております。
  216. 野上元

    野上元君 もう一つ聞きたいのですが、その場合に、信書の秘密を侵すことのおそれがあると考えられますか。
  217. 板野学

    政府委員(板野学君) 私は、これは必ずしも一緒に、そこに郵便物が投げ込んであるから、お互いの信書の秘密が侵されるのじゃないかというように、直接的な関連はないと思いまするけれども、あるいは一緒にあれば、まあ隣の人の名あてもやはりちょっと見る。それをまた、ほかの人に漏らすというような機会はあるいはふえるのではないかというふうに考える次第でございます。
  218. 野上元

    野上元君 そうすると信書の秘密というのは、どういうことなんですか。中の通信文のことを言うのですか。封皮も含めるのですか。
  219. 板野学

    政府委員(板野学君) 名あてその他、一切含めております。
  220. 野上元

    野上元君 そうすると、名あてを見ても、その通信の信書の秘密を侵したということになるわけですか。
  221. 板野学

    政府委員(板野学君) 見てもじゃなくて、これを他人に漏らすということがまあいけないということになっているわけでございます。
  222. 野上元

    野上元君 そういうことは、これは法律には私は書いてないと思うのですがね。ただ信書の秘密を侵してはならないと書いてあるのですね。漏らしたら漏らしたで、また別の規定があるのではないですか。
  223. 板野学

    政府委員(板野学君) これは郵便法でございますので、一般の通信の秘密等につきましては、憲法にございまするが、これは郵便に従事する者の一つ制約でございまして、郵便にいわゆる従事する者が、取り扱い中に、かかる郵便のいろんな秘密を他人に漏らしてはいけないということの規定でございます。  従いまして、名あてその他、どういう所へ、だれのところへ何がきたというようなことも、これは信書の秘密の方に包含されているわけでございます。
  224. 野上元

    野上元君 そうすると封皮を見るだけならば、それは信書の秘密を侵したことにならないのですね。
  225. 板野学

    政府委員(板野学君) そのように思います。
  226. 野上元

    野上元君 そうすると、一括配達しても、必ずしも侵されるということにはならぬですね。
  227. 板野学

    政府委員(板野学君) 私は、そのように考えます。
  228. 野上元

    野上元君 そうすると、憲法二十一条の二項にいう通信の秘密というのと、郵便法九条にいう信書の秘密というのは、どういうふうに違うのですか。
  229. 板野学

    政府委員(板野学君) 郵便法に言う信書の秘密というのは、いわゆる郵便物となりました信書の秘密でありまして、憲法におきましては、一般に電気通信その他を含めまして、そういう通信、信書の通信等の秘密を侵してはならないというように考えております。
  230. 野上元

    野上元君 大体、その点については、その辺で終わりたいと思いますが、さらにお聞きしたいのは、赤字に関係して、こういう情勢が、今後どういうふうに続いていくかについての見通しを持っておられますか。郵便物の成長の趨勢を、どのようにあなたの方では判断されているか。
  231. 板野学

    政府委員(板野学君) 大体、最近の三十二、三年以降の傾向を見て参りますと、毎年七%くらいの、いわゆをブロック別の物増が点々あるようでございまして、この傾向は、世界各国のいろいろな傾向からいたしまして、日本といたしましても、少なくともここ十年くらいは、こういう傾向がだんだん続いていくのじゃないか。それから先のことは私もわかりませんけれども、少なくとも十年間は、こういう傾向が私は続いていくというふうに考えておる次第でございます。
  232. 野上元

    野上元君 そうすると、依然として三種以下の、あるいは小包が非常にふえてくる。こういうふうに見通しが持てるのですが、その点は、どうですか。
  233. 板野学

    政府委員(板野学君) 三種以下の郵便物が非常にふえるということは、これはもう、世界的な傾向でございまして、主として各国の郵便物増加の傾向を見ましても、三種なり五種なりのものがふえていく。日本におきましても、この三種、五種が毎年十数%ずつやはりふえていくのじゃないかというふうに考えております。ただ、小包につきましては、これは競争と申しますか、ほかにもこういう業務を扱っている所がございますので、これは料金のいわゆる立て方のいかんによりまして、この増加の傾向というものが、あるいは変わってくるということでございまして、現在のままの小包の料金体系をとっておりますれば、これも相当、毎年今までの大体の増加の幅で、ふえていくのじゃないかというふうに考えております。
  234. 野上元

    野上元君 小包が非常にふえてきたというのは、何か理由があるのですか。
  235. 板野学

    政府委員(板野学君) 経済界が相当景気がいい。特に小包等につきましては、郵便局が、ずっといなかの方面にもございまするので、そういう方面に行く小包も相当出る。まあ経済界が、都市はもちろん、農村においても、景気がいいということが一つの原因じゃないかというふうに考えております。
  236. 野上元

    野上元君 国鉄の小荷物の料金との関係はありませんか。
  237. 板野学

    政府委員(板野学君) 申し落としましたけれども、遠距離のものにつきましては、小包の方が、国鉄よりも割安になっておるということと、もう一つは、国鉄は、どうしても線につながっておりますけれども郵政局は、いろいろな点と申しますか、奥行きが非常に広い、至るところに、そういう機関もございまするので、どうしても、これを利用しがちであるという点も、一つの影響があると思います。
  238. 野上元

    野上元君 小包の場合は、これは、もう全く商業ベースでいいのじゃないですか、料金は。
  239. 板野学

    政府委員(板野学君) 必ずしも、商業ベースと申しますか、一般の商社の方は、どうしても安い方に持っていく。それからそのほかの利用者につきましては、どうしても国鉄を利用できない所が郵便局へ持っていくということになるわけでございます。
  240. 野上元

    野上元君 あなたのおっしゃるように、料金の安い方へ物が集まってくるというのは当然だと思うのだが、この小包郵便物の場合は、集めれば集めるほど赤字が増大すると思うのです。  そこに私は大きな問題があると思うので聞いておるわけなんですが、これは明らかにコマーシャル・ベースの料金でいいのじゃないか。こういうふうに考えるわけです。
  241. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもも、そのように考えております。
  242. 野上元

    野上元君 そうすると、現在の小包は、不当に安い料金であるということが言えると思うのですが、その点は、どうですか。
  243. 板野学

    政府委員(板野学君) 個々の種別に原価を割り振るということも非常に困難な作業のようでございまするし、また一つには、いわゆる手当と申しますか何と申しますか、たとえば郵便車におきましても、行きと帰りで、行きは一ぱいだけれども、帰りは少しは積んでもいいじゃないか。いろいろな事業の繁閑の度合いということもございますので、私は、この原価に現われたほどひどい、かような赤字であるかどうかという点につきましては、なお、相当検討を要すると思いまするが、おっしゃる通りに、私は、これは一つの商業ベースとして、この小包の郵送料金を考えなければならぬというふうに思っておりまするけれども、料金を考えまする場合には、どうしても過去のいわゆる料金体系から離れたものは、なかなか用いられない。  また横の方の、たとえば国鉄の料金なり小運送の、いろいろな料金なりというふうな例も、いろいろ取り入れて考えなければならぬというふうに考えておるわけでございまするが、その考え方の基本は、ただいま先生のおっしゃった通りでございます。
  244. 野上元

    野上元君 私は、問題になるのは、引き受け物数が多くなれば多くなるほど、赤字が累積していくというような、この事業経営は考えられないと思うのだか、その点は、どうなんですか。
  245. 板野学

    政府委員(板野学君) この点につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる個々の種別の原価、こういうものは、もちろん一つの料金の決定なり、あるいはサービスのやり方一つの水準をきめるための必要な要素でございまするけれども、大体郵便料金につきましては、全体を総合原価と申しまするか、総合的に見て、これが黒字経営をされるということに、一応の目標を置き、かっこの料金、種別ごとの原価、あるいは過去の料金体系、あるいはその社会的な、いろいろな価値というようなものも、にらみ合わせながら、その料金が、おのおのきめられていくというような考え方をとっておる次第でございまして、個々のいわゆる郵便原価そのものを見て、そのものずばりで、そこに料金をきめていくというやり方をとっておらない次第でございます。
  246. 野上元

    野上元君 私は、特別会計の中における独占事業でないものが、安くて赤字を当然生んでもよろしいのだというような経営の仕方は、誤りだというふうに思うのですがね。
  247. 板野学

    政府委員(板野学君) 考え方といたしましては、そのような考え方は、十分持っております。
  248. 野上元

    野上元君 特に、小包の場合は、国鉄で小荷物を扱っておりますし、その他あらゆる運送会社で、実際に運んでおるわけですが、これらの料金を十分検討して、先ほど言いましたような全く商業ベースでやっていって、ちっともおかしくないというふうに思うのだが、その点は、郵務当局は、どういうふうにお考えになりますか。
  249. 板野学

    政府委員(板野学君) 純然たる、いわゆる各種別ごとの、原価そのものを、料金に個々に表わしていくということになりますると、この種別ごとの原価というものにつきまして、非常に確信ある研究も、あるいは一つの結論も出さなければならぬということになるのでございますが、一応いろいろな過去の料金体系、あるいは各種別の、大体おおよその原価というものに見合って、料金を決定する次第でございまするので、原価そのものずばり料金だということには、なかなかいかないわけでごごいまするが、考え方といたしましては、できるだけこういうような、他にも利用する一つの手段があるというようなものにつきましては、それらの料金とも権衡をとって、これらも非常な赤字になるというようなことでなしに、原価的に妥当な料金をきめるというふうな考え方で、今後は進みたいというふうに考えております。
  250. 野上元

    野上元君 それは、かりに小包の原価がはっきりと出れば、私は、原価に、何らかのものをプラスしてやるべきだと思うんですよ。そうしなけりゃ事業として成り立たぬ。ところが、はっきりした原価が出ないから、あなたのような答弁を承認せざるを得ないんだが、考え方としては、全く私が考えているようなことで、小包の場合は、私はやってもいいんじゃないかというのです。あるいはまた、広告のような郵便物ですね、こんなものは、それでいいんじゃないか、こんなふうに考えるのですが、それには同意されますか。
  251. 板野学

    政府委員(板野学君) 先生のおっしゃる通りでございます。
  252. 野上元

    野上元君 さらに、この小包の大きさですね。大きさというのを、もう少し縮小して、取扱いを簡便にするようなことは考えられておらないのですか。
  253. 板野学

    政府委員(板野学君) この大きさ等の点につきましても、いろいろな利用者の力の利便というようなものを、私ども、一応いろんな過去の考え方、あるいは諸外国において扱っておりまするようなもの、あるいはどういう品物が送れればいいか、たとえばかさというものを一つ送るというようなことも、いろいろな面に、国民の生活に即したような、いろんなものを想定をいたしまして、一応のああいうかさというのもをきめておりますし、また重量等につきましても、そういう面も考慮しながら、かつ郵便でこれを扱わせるというような一つの考え方でやっておる次第でございまして、こういう面につきましても、私ども、現状で満足だというふうには考えておりませんので、今後、いろんな社会の変遷、また利用者のいろんな利用の変遷に応じまして、そういう形状なり、重量なりというものにつきましても、事業上最もいい、あるいはいわゆる利用者の立場からいってもいいというような点に目標を置きまして、今後とも検討していきたいと思っております。
  254. 野上元

    野上元君 私は郵便車を一ぺん視察したことがあるのですが、あるところへ行ったら、中は、そうめんのような軽いものなんですね。そうめんの干したような軽いもの、ところがかさは、こんなにあるわけです。行のうにも入らぬので、そのまま。まる出しで二、三百積んだら、郵便車は一ぱいになっておるのです。こんなのは、料金は非常に安い、軽いから。それで郵便車一つ使わなきゃいかぬのです。それでのっけるのも大へんなんです。そういうことは、非常に私は事業経営からみたらまずいような気がするのですね。あんなものを郵便の小包で送らなきゃならぬというのは、どうも私は解せないのです。そんなものまで、郵便局としては公衆の便宜だということで、赤字を覚悟してやらなきゃならぬかというのです。その点、根本的に私は、考えていかなきゃならぬ時期がきておるんじゃないか、こういうふうに私は考えているわけですがね。
  255. 板野学

    政府委員(板野学君) 地方によりましては、寒天を送るとか、うちわを送るとか、あるいは「ソーケ」と申しまするか、ざるを送るというようなことがございまして、現在の規格に合う郵袋には入らないような状況になっております。  しかし、これらの点につきましても、何分中小企業に属するようなものが非常に多いわけでございまするので、私どもここで、これはやめたと、こういうことを直ちに申し上げるわけにはいきませんけれども、よくその実情等を調査いたしまして、不当に、これを扱うがために赤字を累積するということのないように、今後検討をいたしたいと考えております。
  256. 野上元

    野上元君 小包郵便があふれたために、もうすでに東京では第二中央郵便局を作らなければならぬというところまできておるのですが、私は非常に経営上問題があると思うので、今後一つ、十分にその点は検討を加えてもらいたいと、要望しておきます。  それから料金は、これは全部法律できまっておるのですか。
  257. 板野学

    政府委員(板野学君) その通りでございまして、上げる場合も下げる場合も、全部法律でございます。
  258. 野上元

    野上元君 先ほど来、質疑応答で明らかになったように、独占専業であるのは、とにかく一種、二種だけですね。あとは、私は独占とは言えないと思うのです。これは自由に運送できるのですから、従ってその法律で、これらのものまでも料金を決定しなければならぬという理由は、どこにあるのですか。
  259. 板野学

    政府委員(板野学君) これはどうも国会の方で、その方がいいというふうにお考えになられたようでございまして、私どもといたしましては、少くとも料金を上げるという面につきましては、非常に国民的のいろいろな面におきます影響がございまするので、十分に御審議をお願いをするという力があるいは妥当ではないかと思いますけれども、付帯料金とか、料金を少し下げるとかいうような面につきましては、これは省令等に委任をしていただく、国鉄あるいは電電公社の料金等も、そういうふうになっておる分もあるようでございますので、あるいはその方が事業運営上いいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  260. 野上元

    野上元君 そうすると、郵務当局としては、郵便料金は法律できめるのじゃなくて、内部の運営の規程によって定めることの方が好ましい、こういうふうな御意見ですか。
  261. 板野学

    政府委員(板野学君) そうではございませんので、やはり基本的な料金等につきましては、非常に国民の一般に影響があることでございまするので、これはやはり法律できちんときめるということの方がいい。ただし、付帯的な料金あるいは一部料金を、この場合にサービスのために料金を引き下げるのだというような場合、こういう面につきましては、これは、必ずしもこの法律でなくても、省令に委任されてもいい事項ではないかというふうに考えるわけでございます。
  262. 野上元

    野上元君 あなたは、一種、二種は法定の方がよろしいと、こういうふうに言われるのですが、国鉄料金、あるいは電気料金あるいはその他電気通信料金等は、法律できまっておるものがありますか。
  263. 板野学

    政府委員(板野学君) どうもその辺、ちょっと私もあまりよく存じませんけれども、少くとも私、電気通信の料金等につきましては、基本的なものは、法律できめられると思いますし、その付帯的なようなもの、あるいは料金を下けるというようなものは、やはり議会の承認を得て、きめられるというふうに認めます。
  264. 野上元

    野上元君 まあ郵便の場合は、公共性ということと、文化の発達に寄与するのだということで、料金が法定されておるわけですが、公共の程度から見れば、電気料金あるいは国鉄の運賃、あるいは私鉄の運賃その他一般公共性の非常に高いものと比べて、何ら特別にその料金を法定しなければならぬというほどの公共の高さはないと思うのだが、その点は、どういうふうにお考えになるのですか。
  265. 板野学

    政府委員(板野学君) これも一つの、やはり過去の歴史的なものも非常に、こういう料金のいわゆるこの規定と申しまするか、やり方につきまして、非常に影響があるように私ども考えるわけでございまして、郵便料金等につきましても、これは電気よりも、より公共性があるということは、これは必ずしも言えないと思いますけれども、まあ郵税と、昔は何か称せられておったようでございまして、税金の一種だというような考え方もあるようでございますけれども、そういうふうな、いわゆる過去のそういう考え方が、今日までも残っておるというふうに存じます。
  266. 野上元

    野上元君 残っておることは、私もわかっておるのですが、それをいつ打破されようとしておるのですか。
  267. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもただいまのところ、基本的なやはり料金に属するものは、十分に国会の御審議を経て、そうしてやっぱりきめられるということが妥当ではないかと、特に郵便料金につきましては、そう社会のいろいろな情勢に応じて、いろいろ料金を、すぐ変えていくというようなやり力でなしに、かなり安定性をもった一つの料金のきめ方をする方が、利用される国民の、やはり感じもいいのじゃないかというように私ども考える次第でございます。
  268. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたのような考え方で進まれると、独立採算で特別会計をやっていかなければならぬという理由がなくなるのじゃないですか。一般会計で、それこそほんとうの国営にしたらどうですか。
  269. 板野学

    政府委員(板野学君) 私ども、この郵便料金につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、個々の原価、各郵便物の個々の種別の原価に応じまして、直ちにこれが料金に反映するというような考え方でなしに、総合的な一つの原価主義と申しまするか、全体的の収入というものが、いわゆる支出にマッチしていくというような一つの考え方をとっておる次第でございまして、そういう場合に、そういうような考え方におきましては、場合によりましては、まあある程度の、一つの何と申しまするか、料金についての一つの幅、値上げなり、料金決定をする場合の一つの幅というものが、そこに考えられておってもいいのじゃないかというふうに私ども考えるわけでございます。
  270. 野上元

    野上元君 そうすると、現在全逓は、ベースアップを要求しておるのですが、かりにこれが、仲裁裁定が千円なら千円出た場合にまかなえますか。
  271. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 仲裁裁定が、千円出るということになりますと、千円で約四十五億円の人件費の膨脹ということに相なりますので、三十五年度予算は、一応予算としてはペイすることになっておりますけれども、それ以上に多くの増収分は期待できない見込みでございますので、かりに千円のベースアップがあるということになりますと、現状のままでは、支払えないという結果に相ならざるを得ないと思います。
  272. 野上元

    野上元君 そうすると、そういう支払い状況にもかかわらず、仲裁裁定が出て、国会が、これを承認した場合には、どうなるのですか。
  273. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) その場合には、結局、国会で、まあまず第一段階としては、成立予算の範囲内で差し繰りでやれという問題になるかもしれません、そのベースアップの額の多寡によりましては。しかし、それでもまかなえない場合には、やはり補正予算を組んで、料金改定でまかなうか、あるいは借入金によるか、繰入金によるか、結局、そのときの国会の御審議によって決定されるということになると思います。
  274. 野上元

    野上元君 佐藤政務次官にお聞きしたいのですが、今お聞きの通りの非常に寒々とした状況のようですが、アメリカはおそるべき、驚くべき賃金が払われておると、さっき言われましたが、どうして、そういうふうに払われておると見てこられたのですか。
  275. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 私は、アメリカの特別会計の運営方法と日本の、そうした特別会計の運用方法、ただいま、だいぶ野上委員から御質問になられたように、三種、四種、五種、あるいは小包の赤字、これらのものが、たとえていえば、三種が一円であるとかというようなことはないのじゃないか。そういう赤字がないのじゃないか。赤字まで背負ってまでも出さなくてもいいのじゃないか。  そこで、私は先ほども適切な御質問をされておると思ったのですが、ニューヨークからワシントン、ワシントンからロスアンゼルス等のいなかの力を回って歩いて、よく見てきたのですが、団地に住宅がある、そういう場合に、あの大平野の中に、一軒ぽつねんと、家が立っている、そこまで配達に行くかというと、そうでない。自動車道路の沿線に受箱がちゃんと一つあります。そこへ郵便配達者は、自動車、スクーター、単車で行く、配達された人は、わざわざ自分でかぎを持ってきて、あけて出して、またかぎをしていくというような簡素化をやっています。実は、アパート建築が最近多い、これは住宅難解消のために当然のことであります。そこで実は、私は自由民主党でありますから、党の政調会に申し出たのでありますが、今日の全逓の諸君の要求しておる定員増加問題、これらの大きな隘路は、そういう建築の、あの四階、五階を登ったりおりたりして、一軒々々配達したのじゃ、冨士登山をするようなものじゃないか、そういう話をして、そうして建築法の中に、三階、四階の建物を建てるときは、受箱をつけて置くということを入れてくれぬか、こうして一つ一つ、その隘路を除去していくことが必要じゃないか、こういうように考えました。  ただいまのアメリカの方は、一時間一ドル五十セント、あるいは二ドル払っている、それはただいま申し上げたごとく、そうした三種、四種、あるいは小包の赤字というものが私はないのじゃないかと思うのです。たとえていえば、ただいまお手元で提示されておったような一つの広告、そういうものを宣伝のために、いかに公共企業体が国民大衆のためにといっても、一円で、赤字をみすみす知りつつやらなければならないのか、たとえていえば、三種で三十億も赤字がある、それをどこで補うかという御質問と同じように、私は、諸外国においては、そうした赤字とか、大いなる犠牲を払ってまで、法律で賃金を定めてないものと私はこう考えております。そこで、三種、四種、五種、小包の料金の問題は、私はよく調べて参らなかったのです。それで曽山次長に、これを頼みまして、その方は、君が担当してやってくれ、こういうのでお願いしたような次第です。  私は、最近特にその問題について考えておりましたが、何とか、国会の御承認を得られるものならば、そうした赤字克服といいますか、あるいは隘路を除去するために、国会の御承認が得られるものであるならば、承認を得て、特別会計の損失を何して、待遇改善にも寄与できる方法があるじゃないかというようにも実は考えておるような次第です。どうぞ御了承を願いたいと思います。
  276. 野上元

    野上元君 一種、二種の郵便料金を値上げすることが、非常に大衆負担が重くなるというふうにいつも言われるわけですがね。大体、一種、二種の郵便物を、国民一人、平均一年間に何通出すことになっていますか。
  277. 板野学

    政府委員(板野学君) 一種、二種だけの統一は、私ここへ持ってきておりませんが、全体では、大体、一人平均六十通ということに現在なっておりますので、一種、二種を想定いたしますれば、大体、二十通ないし三十通平均かという、ふうに考えております。
  278. 野上元

    野上元君 かりに二十通とすると、二円価上げすると一年間に四十円の値上げということになるわけですね。そうすると、そう大して大きな負担、大衆負担ということまでも考えられないんじゃないですか。
  279. 板野学

    政府委員(板野学君) 一種、二種につきましてはお説の通りでございまして、経済的に負担だというような、これは値上げの幅にもよりますけれども、わずかな値上げでは私はそういうふうに考えておりません。
  280. 野上元

    野上元君 三種以下になると、先ほど申し上げましたように、これは独占事業じゃないのだから商業ベースでやっていいんじゃないかと、こういう考え方を持っておるので、これはもう問題外なんですが、一種、二種もそういうふうな状態であるならば、その点相当あなたの方では考究されて、この事業の経営のことについてはさらに検討を加えてもらいたい、こういうように実は考えるわけです。それで私は自国におって郵便局を見かつ外国に行って郵便局を視察するのですが、日本の郵便局は非常に忙しいように思うのだが、このあなた方の資料によりますと、一人あたり一年間にまだ五十五通ないし六十通くらいしか出しておらない。ところが西欧先進国に行くと三百通ないし三百五十通も出しておるというのですが、この傾向はどうなんですか、実際にこの統計はその通りですか。
  281. 板野学

    政府委員(板野学君) 大体その統計の通りでございます。
  282. 野上元

    野上元君 そうすると、日本も将来は一人平均三百通ないし三百五十通というところまで伸びる、という見通しを持っておられるわけですか。
  283. 板野学

    政府委員(板野学君) 三百通と申しまするのは昭和三十一年のアメリカ合衆国の統計でございまして、現在アメリカでは大体五百通くらいに今なっておる、ということを私ども聞いておりますが、大体まあ日本の国情からいたしまして、たとえばフランスあたりの百二十通ぐらい、あるいはイタリアが大体八十通、これは三十一年、一九五六年でございますので、現在では百通近くなっておると思いまするが、まあ百二、三十通くらいは、日本のいろいろな国情といたしましても、当然一人平均そこまで伸びていくんじゃないかというふうに考えております。
  284. 野上元

    野上元君 郵務当局としては、このアメリカの三百四十六通という統計があるのですが、これの内容について検討されたことありますか。最近、今あなたの説明では、五百通くらいにいっておるだろうと言っておられますが、そのふえていく内容は何ですか、最近の傾向は。
  285. 板野学

    政府委員(板野学君) ここへ詳しい資料を持っておりませんが、大体やはり日本でいいまする三種とか五種の郵便物等が相当な速度をふえておるというふうに私ども聞いております。
  286. 野上元

    野上元君 そうすると、日本においては三種、五種が幾らふえてもだんだん赤字が累積していくことになっておるのだが、アメリカではそうではなくして驚くべき賃金が払われておるという、その理由は事務当局としては何に原因しているかとお考えになりますか。
  287. 板野学

    政府委員(板野学君) アメリカ郵政のこの事業につきましても、全体としては非常に赤字経営のようでございまして、赤字を一般会計より補てんを受けまして、その事業運営しているという状況になっております。
  288. 野上元

    野上元君 そうすると、アメリカでは一般会計であって特別会計ではないのだ、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  289. 板野学

    政府委員(板野学君) 一般会計でございます。
  290. 野上元

    野上元君 そうすると従業員のためには一般会計の方がよろしい、こういうことが結論になるようですね。
  291. 板野学

    政府委員(板野学君) これはアメリカのやはりいろいろな国情によって違うところでございまして、アメリカではこの郵政事業というものが、いわゆる連邦政府としての唯一の企業でございまして、そういう意味におきまして非常にこれがまあ重要な一つの国営事業として扱われておるということでございます。日本におきましてはややこれと趣きを異にいたしまして、そのほかにもたくさんの国のこういうような事業があるという点におきまして、非常にまあ扱い方が変わってくるというふうに考えております。
  292. 野上元

    野上元君 さらに郵便局の普及状況についてお開きしたいのですが、これもあなたの方の資料によると日本は一万人に一・七四局であって、西欧の先進諸国に比べると非常に数が少ないことになっておりますが、日本も西欧先進国並みに将来はふやしていく、こういう計画ですか。
  293. 板野学

    政府委員(板野学君) 外国のいろいろな国民性なりあるいは経済状況いろいろ違いまするので、必ずしも私ども外国の先進国の例にならうというつもりはございませんけれども、現在私ども特定局の設置基準というような一応の基準を持っております。まあその基準に従えば、今後やはり千五百ないし二千局程度の郵便局を設置していかなきゃならぬ、また非常に農村地帯で分散をいたしておりまする部落等が、非常にまあ郵便局まで道のりがございまして、利用上非常に不便を感じておるというような地帯も相当ございまするので、私ども少なくとも今後かなりの数のやはり窓口機関を設置する必要があるのじゃないか、というふうに考えている次第でございます。
  294. 野上元

    野上元君 結局郵便局の局数が少ないということは、わが国の郵便局の取り扱い物数が多いということじゃないですか。
  295. 板野学

    政府委員(板野学君) これはまあ結果的にはそういうことになると思います。
  296. 野上元

    野上元君 それだけやはり従業員も苦労している、こういうことになるわけですか。
  297. 板野学

    政府委員(板野学君) 取り扱いの物数、あるいは人数等につきましては、過去のいろいろな調査あるいは研究等によりまして、大体の一人の取り扱いの能率というようなものもきめておりまするので、物数がふえればそれに応じたやはり人間も増していくというようなやり方をいたしておりますが、郵便局が少ないからすぐに一人当たりの労働力は非常にふえていく、というふうには考えておらない次第でございます。
  298. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたは外国の主要国の郵便プロパーの定員を出している統計をお持ちですか。
  299. 板野学

    政府委員(板野学君) ただいま私どもその統計は持っておりませんが、あるいは役所に帰りましたら、そういうような資料もあるかもしれません。
  300. 野上元

    野上元君 最後にお聞きしたいのですが、郵政審議会というのは何の根拠に基づいて作られているのですか。
  301. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 郵政省設置法に基づいて作られております。
  302. 野上元

    野上元君 郵政審議会令とかなんとかいうのがあるのじゃないですか。
  303. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 設置法に基づきまして、細部にわたりましては政令で定めるということになっておりまするので、その定員、委員の数だとか、そのほか審議事項につきましてやや詳細にきめております。
  304. 野上元

    野上元君 そうすると、現在の郵政審議会会の委員は何名ですか。
  305. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 四十名でございます。
  306. 野上元

    野上元君 四十名、その内訳をちょっと教えてもらいたいんですが。たとえば職員から何名、学識経験者から何名、あるいは簡保契約者とがその利用者ですかから何名というふうになっていますね。それはどういうふうな比例になっていますか。
  307. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) お尋ねのこまかい数字につきましてはただいまあいにく資料を持ち合わしておりませんが、これは連絡すればすぐわかることでございますから、あとでお答え申し上げます。
  308. 野上元

    野上元君 郵政審議会は一年に何回ぐらい会合を持っているんですか。
  309. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 必ずしも何回ときまっておりませんが、法案の提出、あるいは重要事項等につきまして審議をお願いいたします場合に開催されますが、大体四回ないし五、六回というところではないかと思います。
  310. 野上元

    野上元君 で、郵政審議会では、私がこの数日来質問して参りましたような事項についての検討を加えておりますか。
  311. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 問題が、郵政事業に関しまする重要事項、しかも郵政事業の能率的な運営ということでございまして、比較的、審議会の審議の範囲としては大へん広いわけでございますけれども、たとえば保険金額引き上げの問題、あるいは電気通信のサービスに関する重要問題、あるいは郵便事業の経営のあり方等につきましては、その都度委員会におきましてもいろいろと意見が出て、また重要問題につきましても、今申しましたような案件につきまして諮問がされておるわけでございます。
  312. 野上元

    野上元君 ただいま私が申し上げましたように、郵政事業の各特別会計とも非常にピンチに立っておると思うんですが、これらの問題について郵政審議会に諮問されましたか。
  313. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) ただいままでのところ、具体的にどうすべきかという諮問はなされておりません。
  314. 野上元

    野上元君 そうすると、郵政事業の体質改善に関する討議をやるという所はどこですか。
  315. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) いろいろと討議をする機関は内部的にもございますし、そういう諮問機関を通して検討するという方法もあるかと存じまするが、今後の一つ方向として、外部の委員の方々の意見相当入るべき一つの諮問機関、かような機関を十分に活用して、経営に関する根本問題を御討議願うというような必要があるかと存じます。
  316. 野上元

    野上元君 私は過去、寡聞にして、郵政審議会が郵政事業の根本的な対策について検討を加えた、ということをあまり聞かないんで、いつも年賀はがきをどうするかとか、あるいは簡保の最高額の引き上げをどうするかというようなそういう点だけであって、この郵政全体の問題を根本的に掘り下げるというようなことをちっともやっておらないような気がするんですが、そういう認識でよろしいですか。
  317. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 今までのことにつきましてのお尋ねでありますが、重要問題等については諮問をいたしまして、またその答申によりまして措置をいたしてきているわけでありますけれども、たまたまお示しのような郵政事業の全般にわたる問題、あるいは郵便事業の今後のあり方というような問題、あるいは料金をどうするかという問題につきましては、特に諮問案を出して諮問したことはございませんでした。
  318. 野上元

    野上元君 そうすると根本的には、郵政省一つの案を立てて諮問するのであって、審議会みずから積極的にそういう問題について検討を加えるという機関ではない、こういうわけですね。
  319. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 郵政審議会は設置法上、審議し調査するということでございますから、こちらから出しまする案についての御審議を願う場合もありますし、審議会の機能としましては、所要の調査もする権能はあると存じます。
  320. 野上元

    野上元君 今までそういう権能を発揮しておらないということは非常に遺憾だと思うが、どうですか。郵政審議会にはそれだけの能力がないのですか。
  321. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 郵政審議会の機能は、いろいろの学識経験者その他有能な方々でございまするから、かような問題につきましても十分に御審議していただけるものと考えます。
  322. 野上元

    野上元君 郵政審議会も設置法によって作られておるのですからいいでしょうが、さらに、今まで申し上げましたような根本的な問題について、積極的に対策を講ずるような特別対策委員会というようなものを設けられるような意思はありますか。
  323. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 御提案のような内容につきましては、内部的には二度検討したのでございますが、これにつきましてはまだ結論を得ておりませんので、何らかの外部にわたる意見相当入れたような組織で検討すべきものというようなのは、今日までのところやっておりません。
  324. 野上元

    野上元君 私の質問は時間がきたようですからこれで打ち切ります。
  325. 森中守義

    森中守義君 それでは私から少し政務次官及び官房長に承っておきます。  一般会計からの借入金は今幾らぐらいありますか。二十三年のベース改定のときに百二十億ぐらいあってこれが漸減した、この金が幾らあるか。あるいは先日ちょっとお尋ねした簡保の借入金、こういうものを項目別にお示しいただきたい、経理局長から。
  326. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 一般会計からの繰入金は百二十三億でございます。それから建築費に充てますために簡保の積立金を借り入れておりますが、この総額は三十四年度までで百二十四億ということに相なっております。
  327. 森中守義

    森中守義君 三十四年度まで……。
  328. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) を入れまして百二十四億円ということに相なっております。
  329. 森中守義

    森中守義君 ちょっと総額がはっきりしませんが、三十五年度までで幾らになるのですか。
  330. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 三十五年度は今二十七億円予定しておりますからこれを加えますと、百五十一億円ということになるわけでございます。
  331. 森中守義

    森中守義君 そうすると総額、三十五年度の予算が大体原案通り通るものとして、二百七十四億となりますね。
  332. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 繰入金と借入金を合わせますとそういうことになります。
  333. 森中守義

    森中守義君 そこで、その一般会計からの借入金は予算の折衝の中で非常に簡単にいきますか。
  334. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 一般会計からの借入金とおっしゃいますと、繰入金の意味でございましょうか。
  335. 森中守義

    森中守義君 ええ、繰入金。
  336. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) これは最近例がございませんので、御承知のように、昭和二十六年度まで郵政会計が年年赤字を続けておりまして、この赤字を補てんするための補てん金として繰り入れられたわけでございまして、その後例がございませんので何とも申し上げかねますが、おそらく繰入金ということになりますと、なかなかそう簡単には繰り入れられないのではないかというふうに考える次第でございます。
  337. 森中守義

    森中守義君 そういう状況の中で、せんだって官房長に私が長期計画をお願いをして、その際の質疑応答の中で明らかになったのは、長期計画に対しては財源の裏づけをしなくてはならない。そういう計画即予算というものの関連はどうかという質問に対して、当然予算の裏づけを伴って参りますと、こういう趣旨の答弁が官房長からありました。この点は今でも間違いありませんか。
  338. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 長期計画と予算との関係でございますが、三十五年度から発足いたしまする長期計画といたしましては、当然予算の裏づけを前提にいたしておりますが、三十六年度以降につきましては、計画としての一つ見通し一つ方向を考えておるわけでございまするから、現実問題といたして、この長期計画がすべて予算を伴った実行可能なものであるか、というさらに進んだお尋ねに対しましては、これは一応の見通しである、しかしながら相当実行可能ということを前提とした、可能性のある長期計画を立てなければならない、というような意味におきましてお答え申し上げたつもりでございます。
  339. 森中守義

    森中守義君 結局、計画が単なる架空な計画、単なる目標計画ではなくして、実行可能な計画だということになると財源を必要とする、まあこういうことになろうかと思うんです。で、その際の財源が幾らかということは、まだ総ワクとしてもあるいは部分的にも、完全なものは出ていないと思うんですが、まあ一応計画即予算という、こういうものの考え方で了承しておいて差しつかえありませんね。
  340. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私が今申し上げましたように、計画即実行という意味では、そのときの予算の成立というものに対する見通しが、必ずしも現在の段階から五年間完全に見通しがついているという次第ではございませんので、一応この計画をもとにして今後の予算折衝等をしなければならない、こういうふうに思うわけであります。
  341. 森中守義

    森中守義君 それでいいのです。もちろん私どもの立場からするならば、計画はあくまでも予算を伴って実行に移されるものでなければならぬ、という認識のもとにこういう質問をするわけですし、しかもその際に、財源の問題については大体の見通しが年々私は立ってくると思うんです。で、その際に、さっきから野上委員と郵務局長との間で交わされたつまり料金の問題で、きのう予算委員会で大臣が答弁をしておりますね。従って、その財源措置を料金改定に求めようという御意思であるのか。あるいは現行の――まあ現行のと言えば語弊がありますが、在来の料金体系をそのまま保持して、それを基礎にして財源措置をとろうというお考えであるか。まあこの点が実は一番重要な私は長期計画の分かれ道になるような気がする。つまり在来の料金体系で長期計画を実行しようとすれば、相当ある部分については予算を縮減せざるを得ない。計画の方に重点的に注入してくる。そうすると、多少事業経営自体がアンバランスになると思う。だから在来の事業経営そのものを踏襲して、それで長期計画というものは、設備の拡充であるとか、あるいは老朽局舎をどうするとか、サービス・アップをさらに高いものにしていくというように、在来のものよりも二歩も三歩も高くなければならぬというのが常識だろうと思いますが、結局財源というのが問題になってくる。その際に在来の料金形態をそのまま据え置いて、財源の捻出を他に求めて長期計画の実行をおやりになろうとするのか。あるいは料金の改定によってその財源を求めようとするのか。そのほか財源措置が考えられ得るならば、大体この辺のことは具体的に貯金、保険、郵便三部門をどうするという取りまとめができていなくても、大綱的に私は省の中でお考えいただいてもいいんじゃないかと思う。その辺はどうなんですか。それが実は料金問題の一つの大きな論争点になろうかと思います。それを一つお聞きしておきたいと思います。
  342. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) お示しの通りでございます。当然に会計面から見ますと、収支の今後の見通しというものは、相当にむずかしいものが具体的に予想されてきておるわけでございますが、ただいままでの段階におきましてはどういうところに財源を求めるか。お示しのごとく郵便料金を引き当てにすることも一つ方法、あるいは繰入金を増すとか具体的な方法論があるのでございますけれども、ただいままでのところにおきましては、とにかく収支をいかにして合わせるべきかというような点で、最終的にまだ結論が出ていない。まさに問題点はそこに集約されてきておりまして、財政面をどうしていくかというような意味で結論が出ておりません。
  343. 森中守義

    森中守義君 それから経理局長にお尋ねしておきますが、さっきから野上委員にお答えになっている各種別の料金の問題ですが、これは各種別ごとに原価計算できておりますか。
  344. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 一応できております。
  345. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、でき上がっている原価計算が即料金改定ということにならないで、それに若干のアルファがついてこなければ長期計画は実行できない、というような格好のものになるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうですか。
  346. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) それはおっしゃる通りだと思います。と申しますのは、今一応できておりますと申し上げましたのですが、この原価計算は平均単価で実ははじいておるわけでございまして、一応今のところでは一種、二種は黒字、三種、四種及び小包は赤字ということが傾向的にはいえるわけですけれども、はたして幾ら赤字か幾ら黒字かは、料金改定の資料とするためには、もう一度再検討の余地があるわけであります。こまかくは省きますけれども、たとえばいろいろな基本的な経費の振り分け方とか、そういう面でいま少し、しさいに検討しなければならないということと、それから原価計算の今できておりますものは三十三年まででありますけれども、これを料金改定の資料としますと、今申しましたことのほかに、これは過去の計数でありますので、過去のものをそのままうのみにして将来の料金値上げの資料にするわけにはいかない。と申しますのは、この公共料金は固定性と申しますか、膠着性と申しますか、一度上げましたらやはり国会審議の関係もあって五年、十年据え置かれるのが通例であります。これは公共の利便からもそうあるべきだと思いますが、そうなりますと、将来の歳入歳出の見通しというものも、かなり長期にわたったものを見込まなければならないというような面からいいまして、先生のおっしゃるように、この原価計算の結果即でなくて、それにプラス・アルファという要素を加味しまして、料金決定はなさるべきではないかというふうに考えておる次第であります。
  347. 森中守義

    森中守義君 この問題は、今官房長と経理局長の答弁で省の御意向がはっきりしましたし、またこの長期計画に並行的に審議を進めなければなりませんから、これ以上そのことをここでお尋ねしようとは思いませんが、もう一つそれに関連して聞いておきますけれども、かりに料金改定をやろうという場合に、特別会計法の一条、郵便法の一条、これとの関係はどういうようにお考えですか。これは政務次官でしょうね、政治的な問題ですから。
  348. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 事務的のことは事務屋に……。
  349. 森中守義

    森中守義君 いや事務的じゃないですよ。これはあなた法律の解釈だ。郵便法の一条に「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」という目的条項がある。特別会計法の一条には「郵政事業を企業的に経営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と分って経理する」とある。という解釈をしますか。
  350. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) これは事務的な答弁かどうかしりませんか、政務次官から御命令ありましたからお答えいたします。  郵便法の一条は「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を」云々、問題の要点はなるべく安い料金ということであろうかと思います。確かになるべく安い料金であるべきで、なるべく安い料金でなるべくいいサービスをするということが、公共事業の使命であるわけでありますけれども、なるべく安いといいましてもやはり限度があることでございまして、従業員を何と申しますか、不当に安いベースで使役するとか、必要な施設もやらないでというところまではいっていないわけでありまして、必要な最小限度の経費をまかなえる程度の料金は必要であろうかと思うわけであります。そういう点で、「なるべく安い料金で」というこの趣旨には、料金値上げをやりましても、それが過大でさえなければこの趣旨に反することはなかろうかと思うわけでございます。  それから特別会計法の一条の「郵政事業を企業的に経営し、その健全な発進に資するため、特別会計を設置し、一般会計と分って経理する。」とあるこの精神にはあくまでのっとつていくべきだと思うのでありまして、料金値上げをすることが別に企業的経営、健全な発達に反するものとは思わないのでございます。と申しますのは、これが不当に安くあるいは不当に高いということでありますれば、この精神に反するかもしれませんけれども、――まあこれは郵務局できめてもらうことでありますけれども、私どもとしましては、そう不当に高いところの程度まで料金値上げということはすべきではない、という気持もある次第でありますので、そういう趣旨からいいまして、この両法の各条には別に抵触するものではなかろう、この精神にのっとって、改正なら改正をなさるべきものであろうというふうに考えておる次第でございます。
  351. 森中守義

    森中守義君 これは、私が両法の条文をここに持ち出したというのは、長期計画がいよいよ出てきた、勢い財源の措置をするために料金改定という方向へいった、こういう場合に、事業の公共性と事業の企業性を、一体どういったように国民に郵政省は釈明しようとするのか、こういうことなんです。だから郵便法では「公共」、特別会計では「企業」、こういう両天びんにかかったおのおのの目的なんですよ。それをあなた方は一体どういうように統一ある見解として国会にお出しになり、かつまた国民に、郵政事業は公共事業なのか何なのかということを、もう少しすっきりした形でおやりにならないと、かりに長期計画は非常によろしい、だけれども財源の求め方が料金改定で求めたということになると、さてこれは相当問題になる。だから、政務次官はこういうことは事務的だと、こういうお話だったけれども、これは絶対事務的じゃない、むしろこの長期計画の使命はここにある。どうですか、まだそこまでお尋ねするには少々時期尚早であるかもわからぬが、この場における見解としてお述べいただいてもいいのじゃないか。
  352. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 御趣旨よくわかりました。その公共性と企業性という二つの要請を、どういうふうに噛み合わせるかという御質問のようであります。これは私どもいつも頭を悩ます大きな問題、大事な問題でございます。今度料金改正をするといたしましても、その際これは一番ポイントになる問題だと思うのであります。これはどうもここにおきまして一言にしてちょっと申し上げかねるわけでありますが、もうしばらく時間をかしていただきまして、あくまでこれは両方の要素を平等に考えていかなければいかぬと思うのでありますけれども、しからばどういうふうにといって、ちょっと御説明申し上げにくいのでありますが、もうしばらく、これは郵務局ともよく相談しなければならない問題であります。しばらく時間の御猶予をいただきたいと思います。
  353. 森中守義

    森中守義君 この質問も、ちょっと私もちゅうちょせざるを得ないのですが、実は経理局長、あるいは官房長、郵務局長のお答えの範疇ではないようです。ただ、申し上げておきたいことは、長期計画というものは、しばしばここでも強く主張してきたように、今や郵政省にとっては絶対的なものになりました。勢いこれを実行するにあたっては、慎重でありかつ勇敢であってほしい。従って審議会等にも十分今の会計法一条、郵便法一条の関係、この種のことも、統一ある見解をすみやかに定めていただいて、長期計画はあくまでも予算を伴うものである、単なる期待計画、あるいは希望計画ということに終わらないように、強く要望しておきたいと思います。大臣もおいでにならない、政務次官から一つとくと大臣にこの一番大事なところを、御相談をしておいていただきたいと思います。
  354. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) 御指摘の御意見を十分尊重し、大臣に直ちに伝達いたしまして十分研究したいと思います。
  355. 森中守義

    森中守義君 それから人事部長と審議官がおいでになりますから、少し聞いておきますが、ことしの高齢者退職金は幾ら予算に計上されてありますか。
  356. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 三十億円計上されております。
  357. 森中守義

    森中守義君 昨年との比較はどうなりますか。
  358. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 昨年も予算上は三十億円でございます。ただ予備費を少し使いまして四十億をこしたと思います。
  359. 森中守義

    森中守義君 一人の退職金の支給の単価は、昨年に比べてどのくらいの予定をしておりますか。
  360. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これはほんとうの高齢者と、少し余裕があればいわゆる管理者でない人も相当ございますので、はっきりいたしかねますけれども、私たちといたしましては、大体百二十万円、二千五百人という計算を一応予定しております。
  361. 森中守義

    森中守義君 あまり特殊な例でもないようですけれども、こういう例が二、三あったようです。つまり何局の何某という特定の人に対して退職勧告をする。ところが勧告に応じなければ配置転換をするぞという、こういう措置がとられた例があります。だからこれは在来郵政省が国会で説明をされている高齢者の退職とは、意味がだいぶ私は違っていると思う。そういうことのないようにということでここ二年、三年事人部長に、あるいは郵政大臣に注意をしてきましたが、そういう例が二、三あります。だから退職勧告に応じなければ配置転換をするぞ、ということはある種の半強制的な退職勧告だとこういうことになるのですが、そういう事実をご存じですか。
  362. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私は少なくとも組合従事員諸君、組合員諸君につきましてもそういう指導をいたしたこともございませんし、私は聞いておりません。
  363. 森中守義

    森中守義君 それは何々郵便局長とか何々郵政局の何々課長という、あるいは部長という管理者諸君にもそういうことをやった覚えはありませんか。
  364. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 管理者につきましては、やはり統制をとる意味でぜひこの際勇退してもらいたい。どうしてもということでありますと、情状によりまして考えるときもございますので、それならば平職員に落ちていただかなければ困ると言った例はあるように聞いております。
  365. 森中守義

    森中守義君 その場合は年令は幾つの人たちですか。
  366. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) そういう例は、管理者の場合でございますと五十八才でございます。
  367. 森中守義

    森中守義君 今私が申し上げたことを人事部長、肯定されたわけですが、統一的にそういうこともこの事務を処理していく上においてやってよろしいとか、そういう指導を本省でおやりになっているのですか。
  368. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 退職勧告については国会でもたびたび御指摘をいただいておりましたので、これは強制的なものではない、あくまで強い勧奨であるという線で進めてきております。しかし管理者につきましてはやはりポストをあける問題がございます。同時に管理能力の問題もございますので、こちらの方でどうしてもお前さんにやめてもらいたいというような場合には、われわれの方としてはその管理が適当でないということで、そういうのは郵政当局の方で処置しております。しかし私の方でそれを積極的に項目を掲げて指導はいたしておりません。
  369. 森中守義

    森中守義君 本年これを実行に移される場合もそういうことは極力ないように、もちろん強制、反強制にわたるような事実がないような措置がとられるということですか。
  370. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) たびたび国会で御質問があり、私もたびたびお答えいたしておる線で指導していきたいと思っております。
  371. 森中守義

    森中守義君 五十八才というのは高齢者、退職の一応の基準のようになって参りますけれども、これは私は制度化されたものじゃないと思っております。それで大体普通郵便局あるいは現業、非現業のこういう特定局以外の所では、五十八才ということが大体基準、制度的なものになっておるようですが、特定郵便局長の場合はどうなんですか。
  372. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 五十八才と申しましたのは、主として普通局の管理者、それから郵政局の部課長等を対象といたしております。それから一般の従事員につきましてもぜひそうしたいわけでございますけれども、今実は人員が足りませんので、前年度も六十才を過ぎたところからそういう勧奨をいたしております。特定局長につきましても、過去数年来六十八才ということにしておりますけれども、そのほかに財源の余裕がありますときは六十四、五才から勧奨をいたしおる場合もございます。
  373. 森中守義

    森中守義君 特定局長を除くものが五十八才であるのに、特定局長だけどうして六十八才ということになるのですか。
  374. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これはいろいろな実は沿革があったと思いますけれども、ある程度差をつけてもいいじゃないか、というのは普通局のような大きな仕事がなくて小さな範囲で安定して仕事をするというためには、そういう年令の差でもいいじゃないかという議論もあったようでございますが、実を申しますと現状ではいろいろな議論が出ましても、実は六十八才六十七才くらいの人に対する退職金にも事欠くというような現状でございますので、ここ数年来これまでやって参りました方針をそのまま踏襲いたしておる、というのが実情でございます。
  375. 森中守義

    森中守義君 今の人事部長のお答えからいきますと、退職金のワクが足りないからやむを得ず六十八才に引き上げた、こういうように私は受け取る。しかしそれを退職金の額にこだわらないで、大体その他の人たちが五十八才であれば、一応平均をとって特定局長とその他の人の区別なく五十八才なら五十八才というようなことはできないのですか。
  376. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) おそらく現在の人員配置の実情から見ましても、特定局長さんは六十才以上の人が相当おられるわけです。そこでそういう実情に着眼したのだろうと思います。最初のときに特定局長と普通局長との間に年令の差を設けた、その実質的な裏づけはというか、理由は、先ほど申し上ましたような、いろいろ大きなところを転々と回るのではなく、事務量に応じて仕事をやっていくということで、その年令の差が少しあったんじゃないかというふうに私は思います。そのいろいろ議論もございまして検討いたしてみましたところで、現実のところでは今かりに六十才以上の人を全部希望して下さいといわれましても、私の方では財源の関係で特定局長全部に対してそういうことはできないという実情でございますので、とりあえず今まで通り六十八才という線を特定局長に打ち出して、そうして六十四、五才からは財源の余裕がありますときには、特に、去年は余裕がございましたので六十五才以上相当勧奨いたしたという実情でございます。
  377. 森中守義

    森中守義君 これは本年の実行までには多少時間もあるようですから、今、人事部長の答弁のようなことを了承しておきますけれども、極力強制、半強制にわたらないように、退職の趣旨に沿って円満に実行していただくように要望しておきます。  それから郵務局長に資料を一つお願いしておきますが、先般鉄道運賃の改定が行なわれましたが、その直後から半年間、小包郵便物の郵政省全体が扱っておる変化の状況等を料金改定後六カ月間のものを、統計がとれておると思いますから御提出いただきたい。よろしいですか。
  378. 板野学

    政府委員(板野学君) さっそく資料を整えさせていただきます。
  379. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御発言もないようですから、本日は本件に関してはこの程度にいたしたいと思います。  これにて散会いたします。    午後三時五十八分散会