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1960-03-08 第34回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月八日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            安井  謙君            鈴木  強君            野上  元君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省監察局長 莊   宏君    郵政省郵務局長 板野  學君    郵政省貯金局長 山本 圭二君    郵政省簡易保険    局長      大塚  茂君    郵政省経理局長 西村 尚治君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君    郵政大臣官房建    築部長     小坂 秀雄君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (郵政省職員に対する仲裁裁定、職  員処分職員定員郵便局舎等に関  する件及びILO条約批准に関する  件)   —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それではただいまより開会いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。質疑の通告がございますので順次これを許します。
  3. 野上元

    野上元君 本年の一月十四日に全逓郵政省との賃金引き上げに関する紛争に関して仲裁裁定が出たはずですが、その仲裁裁定は今どういうふうになっているか、お聞きしたいと思います。
  4. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 全逓郵政省と一緒に仲裁裁定を申請いたしまして、二百五十円の仲裁裁定が出たわけでございます。自来全逓と私たちの方といろいろ団体交渉を重ねてきております。しかし、いまだ両者意見が一致するまでには至っていないというのが現状でございます。
  5. 野上元

    野上元君 見通しはどうですか。
  6. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 全逓側では、私たちが全特定と協定を結んだ案のままではどうしてもいやだ、二百五十円のワク内であれと違ったものをぜひ作りたいという強い主張であります。私たちの方は、全特定の案をのんだわけではなくて、私たち理想案と考えるものを持って全特定とも協定いたしたのでありますので、これは変えたくないということで、今主張平行線をたどっておる形でございますが、聞きますと、全逓の中では、どうしても何らかの形で変更したいという気持が非常に強いということを聞いておりますので、両者意見が完全に一致するというのはなかなかむずかしいんじゃないかというような、これはまあこれから、まだ団交中でございますので、あまりはっきりと申し上げてもどうかと思いますが、そういう実情でございます。
  7. 野上元

    野上元君 郵政省の中には一つ以上の組合があるわけですね。そのある組合にすでに実施されておる給与上の問題については、仲裁裁定が出たからといって、その前にすでに実施されておるものを変えるということはできないですか。
  8. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 私たちはこれが一番いい案だと思って実行いたしておりますので、法規的に変えることができないかできるかということになりますと、組合がたくさんございますので、それはもう法的に変わったって理屈だけで考えますとできないことじゃないと思います。しかし現実問題としまして、たくさんの従事員がおりますところに、同じ平均の二百五十円を人によって非常に違えたことになるのは好ましいことではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 野上元

    野上元君 そうすると、法律的には二つの俸給表が存在してもよろしいと、こういうことになるわけですね。
  10. 佐方信博

    説明員佐方信博君) これはもうやむを得ないことだと思います。
  11. 野上元

    野上元君 そうすると、すでに一つ俸給表ができておるということは、現在行なわれておる交渉については絶対的な障害にはならないんだ、こういうことになるわけですね。
  12. 佐方信博

    説明員佐方信博君) まあ法律的に違ったものを作ってはいけないんだということにはならないと思います。
  13. 野上元

    野上元君 そうした場合に、あなた方としては複数の組合があった場合にどの組合に最もウエートをかけるかという、基準というものはありますか。
  14. 佐方信博

    説明員佐方信博君) それはやっぱり具体的なケースによって、非常にたくさんの人間の中で、ごく一部の部分に関係のある問題でありますならば、それはもう小さな組合でありましても、そこの意見を重点的に考えなくちゃならぬと思いますし、みんなに普遍的な問題でありますならば、できるだけ大多数の人に合うような案をとっていくというふうにした方が事実問題として一番いいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  15. 野上元

    野上元君 そうすると、具体的には今度の場合はどういうふうに考えられますか。
  16. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 今度の場合ももちろん大多数の人を代表する人と話がつけばこれは一番いいことだと、こう考えるわけでございますが、御承知のように、この一年間全逓にも早く仲裁裁定と同様のものを実施したいということで考えておりまして、そういう場合のことも考えまして、私たちとしては一つの案を作ってきたわけでございますので、もう年度も押し詰まりましたし、この際は省の案をのんでもらって、次年度以降の場合にたびたび調整する機会もあるわけでございますので、そういうことを私たちは熱望しておるわけでございます。
  17. 野上元

    野上元君 そのことについてはすでに両者相当何回も交渉されたと思うのです。いまだに解決がつかないということですが、まあ会計年度からいえば、もう三月で終わるという状態になっておるのですが、この解決見通しがない場合には、当局としてはどういう手を打とうとしておられるか。
  18. 佐方信博

    説明員佐方信博君) せっかく藤林あっせんが出て参りまして、この新しい年からお互い話し合いを進めてきておりますので、今月中には目鼻をつけてもらいたい、このために翌年まで繰り越すことはしたくないと思うということでございます。話は、そのようなことで理屈の上である程度突っ走ったことになっておりますが、気分的には非常に友好裏話し合いを進めておりますので、年度内に何らかの目鼻をつけたい、こういうふうに思っております。
  19. 野上元

    野上元君 まあお互い主張があると思うのですが、年度内にかりに解決しないということになると、その仲裁裁定というのは、年度を繰り越しては実施できない。結局その金は不用額になると、こういうことになるわけですか。
  20. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 原資としましては、ことしの金が来年の歳出のワクをふくらますということにはならない。従いまして、ことしの金はことしの金で残っていって、来年やるときは来年の予算ワクをもっと食わなければならないということになりますので、年度内のことは年度内で片づけていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 野上元

    野上元君 そうすると、年度内に片づけないと郵政当局としては予算上非常に損をすると、こういうことになるわけですか。
  22. 佐方信博

    説明員佐方信博君) その通りだと思います。
  23. 野上元

    野上元君 それで解決の——まあお互い主張を譲らないということになれば、解決見通しが非常に困難になるわけですが、郵政当局としては、今主張しておられることを譲るというような、若干でも譲るというような考え方はあるのですか。
  24. 佐方信博

    説明員佐方信博君) これはもうせっかく今団体交渉いたしておりますので、まあ何らかの形で解決をつけたいということだけで、具体的なことにつきましては、一方的なことをやっているわけじゃございませんので、せっかく友好裏に、しかも非常に談笑裏に話を進めておりますので、いかなかったときはどうするかということにつきましては、もうしばらくおまかせいただきたいと存ずるわけであります。
  25. 野上元

    野上元君 そうすると、郵政当局としても、解決のために譲歩する用意があると、こういうように解釈してよろしいですか。
  26. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 私たちの案を何か少し修正するというような意味もありましょうし、あるいはまた組合の方が、ああいう案じゃなくてまた別な案をお作りになるとか、そういうこともいろいろあろうかと思いますが、なかなか両方の案通りにぴたりとはいかない。また合わせて二で割るということにもなかなかこれはいかぬ問題だと思いますので、主張としては非常に対立いたしておりますけれども話し合いそのものは、お互いに論点が非常にはっきりいたしておりますので、もう少し時をかしていただきまして、何らかの解決をつけたい、こういう気持であります。
  27. 野上元

    野上元君 私が申し上げておるのは、政府だけに一方的に譲歩しろと、こういうことじゃないわけです。従って何でもいいからお互いが譲歩していかなければならぬと思うのですが、両者お互い主張を譲らないというようなことでは、これは解決のめどがつかないと思うのです。従って両者が歩み寄って、そこに解決の道を見い出さなければならぬと、こういうふうに考えるわけですが、郵政当局はそういう私の考え方について同意されますか。
  28. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 両者が歩み寄るというときに、両方ある出発点から半分ずつ歩み寄って手を握るという方法もございます。同時にまたそうでないような行き方もあろうかと思うわけです。そこで何とか年内には金を支給していきたいという強い気持でございますので、今申しましたように、お互い団交そのものもまだそこまで詰めておりませんので、もう少しその点につきましては時期をかしていただきたい。しかし何らかの形で年度内には片づけたいということは、おそらく組合もそういう気持でございましょうし、私たちもそういう気持で今せっかく話を進めておる段階であります。
  29. 野上元

    野上元君 私の質問にあなたは非常に慎重に答弁されておるわけですが、私たち気持としては、せっかく団交が開かれた、第一回の団体交渉なんですから、一日も早く友好裏解決されて、それが今後に非常に大きな好影響を与えるということが望ましいと思うわけで申し上げておるわけですから、その趣旨は一つ十分に了解してもらいたいと思うのです。それでまあそれ以上きょうはあなたも時をかしてくれと言っておられるから突っ込まないことにしますが、私の意のあるところは、十分に一つくんでいただいて、一日も早く解決されるように希望しておきます。  建築部長郵務局長は見えておられますか。
  30. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 建築部長郵務局長ともに出席いたしております。
  31. 野上元

    野上元君 郵便局舎関係についてお尋ねしたいのですが、現在郵政省の中には局数は全部で幾つあるのですか。
  32. 板野學

    政府委員板野學君) 普通局が八百六局、特定局が一万三千八百九十、簡易郵便局が千二百六十一、そのほか、分室で九十九、三十四年八月末現在でございます。
  33. 野上元

    野上元君 その中で、いわゆる老朽局舎といわれるものは大体どれぐらいあるのですか。
  34. 板野學

    政府委員板野學君) この中で、老朽というのも、いろいろ標準もございますが、一応経年で申し上げてみますというと、まあ普通局の中にも、そういうものもございますが、一応特定局の分をあげてみますると、四十年以上の集配局が千六十八、無集配が九百四十五局。ちょっと普通局数字を持ち合わせておりませんが、これはまあ大した数ではないと思います。一応特定局ではそういう数字でございます。
  35. 野上元

    野上元君 今あげられた老朽局舎の中には、天明元年に建ったというような、三百年以上もたったような郵便局があるということも聞いておるのですが、それは事実ですか。
  36. 板野學

    政府委員板野學君) ちょっと私寡聞にして、そういうことは存じておりません。
  37. 野上元

    野上元君 そういう国宝的存在をあなた忘れられちゃ困るのです。私の調べたところによると、京都北野局というのがそれに該当する局だそうです。これは大体天明年間に建ったもので、三百年以上たっておる。こういう局舎があるわけです。また、今あなたが説明された中にも、四十年以上たっておる局舎というのが集配局の中で千六十八あるというわけですね。普通局の中においても、大体もう新築を要するような局が百四、五十ある、こういうふうに私の方は調べてみておるわけですが、大体局舎耐用年数というのはどういうふうになっておるのですか。
  38. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 種類によっていろいろございますが、木造ですと大体二十五年ないし三十年程度であります。それから鉄筋ですと、六十年程度と考えております。
  39. 野上元

    野上元君 それは何によってきまっておるわけですか。
  40. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) それは別に科学的な根拠できまっておりませんので、世間の一般通念で、そういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 野上元

    野上元君 それは国有財産法か何かで法律的な根拠は別にないわけですか。
  42. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 国有財産法ではないと私は考えております。
  43. 野上元

    野上元君 郵便局舎というのは、大体一つ規格をもって建築されておると思いますが、その規格というのはどういうふうになっておるわけですか。たとえば、現業局一つ作る場合に、その広さというものは大体どういう標準に置かれておるわけですか。
  44. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) これは郵務局の方でもっぱら研究されておることでございますので、私どもからお答えするのはどうかと思いますが、局員の数とか、それから物量とか、そういったような事業面から考えまして、建物規模というものを長年の統計から出しまして、同時にまた将来の物量の増というようなものも考慮しまして、郵便局舎規模をきめております。
  45. 野上元

    野上元君 たとえば、定員に対する一人当たり坪数というようなものの基準はないのですか。
  46. 板野學

    政府委員板野學君) ここにちょっとこまかい数字を持っておりませんけれども、大体郵便については一人につき、貯金保険の共通なものは一応数字を算定いたしまして、総坪数を出しております。こまかい点は、資料を持ち合わせておりませんから、後ほど申し上げます。
  47. 野上元

    野上元君 平均して一人三坪というようなことをよく聞くのですが、それは根拠がありますか。
  48. 板野學

    政府委員板野學君) 大体三坪ぐらいだと私記憶しておりますけれども、よくそういう標準を調べてみます。
  49. 野上元

    野上元君 そうすると、全国の先ほどあげられた同数の中で、この規格に合わない局数というものは一体どれくらいあるのですか。
  50. 板野學

    政府委員板野學君) その詳しい数字も今ちょっと持ち合わせておりませんから、後ほどそういう規格に合わないところも数字として出したいと思います。
  51. 野上元

    野上元君 まあ例をあげて申しますと、たとえば京都桂郵便局のごときは、定員が四十名あるにもかかわらず、実際には二十坪しかない、一人当たり〇・五坪くらいしかない、こういうことになっているわけです。こういう局舎全国無数に存在しているのではないかと私は類推しているわけです。従ってその点についても、十分に一つ調査してもらいたいと思います。  さらに、局舎設備状況ですが、労働基準法等に照して非常に不完備な局舎がたくさんあるようですが、たとえば便所がないとか、あるいはまた水道だとか井戸がないというような局舎相当多数にあるように聞いておりますが、その点について郵政当局では調べられたことがありますか。
  52. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) それは主として特定局のことと存じますが、普通局ですとみなついております。特定局につきましては、便所につきましては、私の方でまだ調査したことはございません。あるいは、場合によっては、その所有者である局長私宅便所を使用しているところがあるかもしれません。しかし、その数等につきましては、まだ調査いたしたことはございませんが、井戸の問題につきましては、先般ちょっと調査いたしました結果、全国で約三百五十ほどの局におきまして、自分の専用井戸ないし給水施設を持っておりません。これは、局長私宅と共用であるとか、あるいは島なんかで井戸も全然出ないようなところもございますので、そういうところは、共同設備で水をためておるところがございます。そういうところからもらうというような特殊なところもございますが、大体三百五十局程度専用のものがございませんので、これらにつきましては、できるだけ専用のものを持つように努力したいと、かように思っております。
  53. 野上元

    野上元君 少なくとも、郵便局舎に、私有であろうが、公有であろうが、便所がないとか、水道がないというようなことは、私は許されぬと思うのですよ。それは、私の調査したところによると、便所のないものがまだ全体の一%ある。それから、水道井戸のないものが全体の二%あると、こういうわけです。従って、これらの問題については局舎計画とは別に即刻着手し実施しなければならぬのではないかというように考えますが、郵政当局は直ちにこれを実施する意思がありますか。
  54. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 実態をよく調査いたしまして、できるだけ御希望に沿うように今後努力したいと思っております。
  55. 野上元

    野上元君 特にこの問題は人道上の問題でもあるし、非常に重要な問題ですから、善処するというようなお役所的な答弁ではなくして、ぜひとも調査の結果、実施してもらいたいと思うのです。この実施の状況については、私は次の委員会、あるいは適当な委員会でさらに質問をすることにいたしますから、その点は了承しておいていただきたいと思います。  それから郵便局舎国有借り上げがあるのですが、その比率はどのようになっておりますか。
  56. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) ちょっと三十四年の五月のあれでございまして、ただいまのでございませんが、普通局におきましては、国有が六百五十七、借り入れが百四十五、特定郵便局におきましては、国有が七百四十、借り入れが一万三千百四というような比率になっております。
  57. 野上元

    野上元君 郵便局舎は当然国有でなければならぬと思いますが、この点は郵政当局はどういうように考えられておりますか。
  58. 板野學

    政府委員板野學君) 業務上の運営の面からいたしますると、なるべく大きな、いわゆる集配普通局、あるいは特定局集配局というような、非常に仕事上重要な面につきましては、私どもなるべくこれはもう国有化方向に向かって進む方がいいのじゃないか。また無集配にいたしましても、実際上都会中心地におきまして土地が得られない、非常に高いというようなところで、まあ個人ではできないというようなところにつきましては、私どもこれはもう国有化方針がいいのではないかと考えております。理想論といたしましては、これはもう国営にするということが私はいいのじゃないかとも思いまするけれども現実郵政財政の面からいたしますると、必ずしもそういう理想を貫くわけにはいかない、こういうような現状でございまして、この仕事上、あるいは業務運営上、いろんな面からいたしまして、現実に即した方法で、現在はそういうような普通局につきましては国営、あるいは特定局集配局の大きなもにつきましては国営方針でいくと、また無集配につきましては、大都会の、そういうようなどうしても土地の得られない、高価で得られないというようなものにつきましては国営でやっていく、その他のものにつきましては必要やむを得ないものに限り国営に移しますけれども、なるべくならば、まあ自費でなり、あるいは互助会等の資金でもって、とりあえずはやってもらう方が郵政財政の面から私ども現実に即した方法じゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  59. 野上元

    野上元君 郵務局長は、理想論としては集配局以上は国有にすべきであるとまあ言われるわけですが、しかし、現実としてはやはり事情やむを得ざるもののみを国有にしていくのだ、こういうことになると、理想論現実はあまりにも食い違っておりゃせんですか。
  60. 板野學

    政府委員板野學君) 私が申し上げたのは、普通局はもちろん国営方針で、これはもういく。特定局につきましては、集配局につきましてはなるべくこれはもう国営の線でいく方がいいんだと、しかし、無集配、あるいは集配局のごく小さいもの、無集配局、特に大部会を除きました局、そういうような局につきましては、いろんな財政面なりの面からいたしまして、これは必ずしも、これはもう国営ということも非常にむずかしい関係にございまするので、一つ現実の面から、そういう面の調整をはかっていかなければならぬ、こういう工合に申し上げました。
  61. 野上元

    野上元君 私もこの点調べてみましたが、国有普通局は、今言われたように、相当多数の局舎国有になっておりますが、しかし、さらにまだ普通局といえども借り上げの庁舎が一七、八%存存しておる。特定局のごときは、集配局においても約九〇%のこれは私有局舎になっている。無集配局に至っては一〇〇%に近い程度私有局舎になっておる、こういうわけです。従って、全部を平均しても約九〇%の局舎私有になっておる、こういう状態郵政事業運営していってよろしいというように郵政当局は考えておられるのかどうか。その点基本的な態度を一つお聞きしたいと思います。
  62. 板野學

    政府委員板野學君) 業務運営の面から申しますと、私のいわゆる業務関係といたしましては、これは局舎普通局等の非常に重要な局につきましてはともかくといたしまして、その局舎がいわゆる仕事に耐え得る、一つ業務運営に耐え得る規模施設を持っておるということが私ども業務関係から見ましては、これが一番重要なことであるというふうに考えまして、私どもの八カ年計画もやはりそういう線に沿うて、そういう局舎改善をする。これが国有方向に、国有ということでこれを改善をするというようなものにつきましては、先ほど申し上げましたような考え方、あるいはごく小さい無集配局その他につきましては、万やむを得ないような場合を除きましてあるいは自費でこれをやるとか、あるいは互助会でこれをやるとかいうような方向に進んでおるわけでありまして、私ども国有であるかどうかというような面につきましては、業務運営の立場から申しますると、それが業務運営に耐え得るかどうか、そういうような施設を持っているかどうかということが一番重要な点になるわけでございます。まあそういうように業務の面からは私ども考えておる次第であります。
  63. 野上元

    野上元君 そうすると、郵務局長業務遂行上、局舎というものはやはり国有であった方がよろしいと、しかも規格に合った局舎がよろしいということについては同意されるというわけですか。
  64. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほどちょっと申し上げましたように、いわゆる非常に重要な普通局とか、あるいは集配特定局というような、非常に仕事の重要な分野をやっておる、あるいは相当分量も多いというようなところは、これはもちろん自費ではなかなかこれはやっていけない、あるいはそういう者に施設をさせるということが適当でないというようなものにつきましては、私どもはこれはいわゆる国営方向で進んでいくべきではないか。その他のこの小規模局舎につきましては、これは国営であるかあるいは民有であるかという点につきましては、これはもっぱら業務上支障のない施設か、それでやり得るかどうかという点を重点に考えて、現実の問題としてそういう考え方で処理をしている、こういうことでございます。
  65. 野上元

    野上元君 そうすると、集配局普通局においては、国有にしたいという意向が明らかになったと思うのですが、どういう抜本的な措置を考えられておりますか。
  66. 板野學

    政府委員板野學君) 現在は昭和三十年を第一年度といたしまして、八カ年計画をもってこの不良局舎改善をしていく、こういう方向で進んでおります。なお、これらもいろいろ財政的な制約もございまするので、引き続きさらにこの五カ年計画なり、八カ年計画をもってこれを改善するように、現在そういう計画の準備を進めつつある状況でございます。
  67. 野上元

    野上元君 郵政当局気持はわかるんですが、しかし果してそれが具体的にどういうふうに現われてくるかということについて、私としては非常に危惧の念を持っておるわけですが、たとえば三十五年度予算に建築予算として組まれているものが、先般の委員会で明らかになりましたが、大体現業局舎については、二十八億円程度というものが組まれているということになったわけですが、それはその通りでよろしゅうございますか。
  68. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) その通りでございます。
  69. 野上元

    野上元君 そうすると、その二十八億円で何局作る計画なんですか。
  70. 板野學

    政府委員板野學君) 普通局特定局合わせまして新規に百四十局、それから前年度から引き続き工事をいたしておりますものが百三十三局ということになっております。
  71. 野上元

    野上元君 そうすると、八カ年計画というものは三十七年度で終了することになっておりますが、三十七年度に終了した場合に、局舎は幾つ建てられるわけですか。
  72. 板野學

    政府委員板野學君) 総局数にいたしまして千三百六局がこれによって建築されるということになる次第でございます。
  73. 野上元

    野上元君 そうすると、特定集配局の中で、まだ私有のものが四千数百局あるわけですが、八カ年計画を終えても、まずその何分の一しかできない、こういう計算になるのですが、このような状態でいつまでも続くとすれば、いつになったら郵政当局理想が実現するという見通しを持っておられますか。
  74. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、私ども業務運営からいたしまして、いわゆる局の幅とか、あるいは仕事から見まして、必要なるものにつきましては、いわゆる改善国有方向で進めていくわけでございまするけれども、その他の面につきましては、財政その他を見まして、いわゆる仕事上差しつかえのある郵便局、こういうものを改善をするということで、現在の計画ではこれを全部何年間のうちに国有化をしていくという方向では、この計画を進めておらない次第でございます。
  75. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたの言われる計画で完了されるのはいつですか。
  76. 板野學

    政府委員板野學君) 一応八カ年の三十七年度をもちまして第一期の計画は完了するわけでございますが、さらに物数その他の増加によりまして、普通局の新築あるいは増築の面もまた出てくる。また特定局におきましても、経年あるいは物数の増による狭隘等によって、さらにこの改善をしなければならぬというようなものも出てくると思いまするので、引き続きそういうものを現在いろいろ調査をいたしまして、さらに引き続き五カ年なり八カ年なりの計画を実施していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 野上元

    野上元君 現在の時点に立って言えば、あなたの言うことも私は成り立つと思うのですが、さらに次の八カ年計画ということになると、十数年をまた経過するわけですが、現存使用にたえ得るという、業務遂行上支障がないと思われた局舎でも、逐次年を経てくることに従って、また使用にたえられないという範疇に入ってくると思うのですが、その点はどういうふうに考えられておりますか。
  78. 板野學

    政府委員板野學君) そういう局舎につきましても、先ほど申し上げましたように、経年とかある場合には構造上工合が悪いとか、あるいはそういういろいろな他の条件で腐食するとか、あるいは非常に古くなるとかいうようなものにつきましても、引き続きこの五カ年なり八カ年計画一つ文書をしていくように現在いろいろな面から調査を進めておる次第でございます。
  79. 野上元

    野上元君 その八カ年計画を次から次へと継続していけば、最終的には全部局舎国有化になる、こういうことになるのじゃないですか。
  80. 板野學

    政府委員板野學君) 私は現在の計画は先ほど申し上げましたように、いわゆる国有化計画と、こういうよりも、むしろ仕事の面からいたしまして、これを、仕事に必要なる改善をこれに付していく、その計画の下にこの八カ年計画なり今後の計画を立てておる次第でございます。
  81. 野上元

    野上元君 この問題は、郵政事業にとっては非常に大きな問題でありまして、第二十二国会におきましても、これは非常に大きな問題として取り上げられました。当時の松田郵政大臣が国会の答弁においてこのように言っておりますし、さらにまた国会の一つの決議として出て参っております。それは簡保積立金の百分の三を下らない額を貸し付けること、そうしてその百分の三の資金のうち、少くともその半額程度特定郵便局舎の建設に充当していきたい、こういうふうに松田大臣が答弁されておるのでありますが、その点については事務当局としては御存じでしょうか。
  82. 板野學

    政府委員板野學君) 知っております。
  83. 野上元

    野上元君 それはなぜこういう決議がされたかということについては、郵政当局はどういうふうに考えられておりますか。
  84. 板野學

    政府委員板野學君) 終戦前あるいは終戦後のいろいろな荒廃がございまして、局舎の面につきましても、不良局舎相当そういう戦中戦後を通じましてふえてきているということで、業務の支障のないように一つ特定局の面についても、そういう局舎改善を、そういう方法一つはかっていったらどうか、こういう御趣旨かと存じております。
  85. 野上元

    野上元君 そればかりでなく、もとよりそういう意味がこの根本になっておるわけですが、一日も早く郵便局局舎を完全なものにする必要がある、こういうことが国会で認められたのです。しかしながら資金の面から見て、郵政省の自己資金だけでは百年河清を待つに等しいので、なかなか実現しない。従ってよそからの資金を導入することによって、一日も早くこの目的を達成するというのが、この決議の私は趣旨であろうというふうに考えるわけです。それでこの決議の内容をもう一ぺん見ますと、簡保積立金の百分の三を下らない額、こういうことになっておりますが、三十五年度予算を見ますると、二十七億の借り入れということになっておりますが、これは百分の三を下らないものであるかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。
  86. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 百分の三と申しますと、三十五年度の新規積立金の百分の三と申しますと、三十七億程度になるはずでございます。ただ郵政省の見解といたしましては、その中から加入者貸付金を差っ引きまして、残りの純運用金はそれの百分の三だという一応見解を従来からとっておるようでございまして、そういうことになりますと、百分の三が三十四億ということに相なるはずだと思います。従いまして二十七億はそれに達していないわけでございます。
  87. 野上元

    野上元君 経理局長は達していないということを明らかに知っておりながら、なぜそういう予算の組み方をしたのですか。
  88. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 実は私ども最初予算要求いたしましたときは三十一億を要求をいたしたわけでございます。三十一億でも実は三十四億に達しないじゃないかということに相なるわけでありますけれども郵政事業の財務面から見まして、あまりに高額の借入金を年々借り入れて参りますことは、非常に将来負担にたえなくなりはしないかと、と申しますのは、御承知のように簡保の積立金は、三年据置の十二年均等償還でありますが、今まで六分の利率でありましたものが、新年度からさらに六分三厘ということに利上げになりました。そういう関係もございましてこの借入金全額を償還いたしますまでには、ほとんど元本に等しいくらい、八割程度のものを利子として支払う計算に相なるのでありまして、将来これが一年、二年でございません。毎年々々そういう高額な金額が借入金として山積いたしますために、財務面でなかなか大へんだという考えがございましたのと、また大蔵省の方におきましても、財政投融資資金が十分ございませんので、方々からいろいろな緊急の要請がございましたようで、そういったような関係もございまして、結局二十七億円に落ちついたという実情でございます。
  89. 野上元

    野上元君 そうすると、国会の決議というものを郵政当局はどういうふうに考えられておるのですか。
  90. 板野學

    政府委員板野學君) 決議はあくまで尊重しなければならないという気持は、まあ大体あるわけでございますけれども、結局気持はそうでも、実行面で、財務面その他の客観情勢、その他の制約がございまして、実行ができないできておるということでございます。
  91. 野上元

    野上元君 さらに質問しますが、この松田郵政大臣の答弁の中には、その借入金の少なくとも半額は特定局舎に振り向ける、こういうことをはっきり答弁しておりますが、三十五年度においてはそのようになっておりますか。
  92. 板野學

    政府委員板野學君) 現在なお使用計画等、いろいろ立案しておるわけでございますが、特定局舎方面が大体六億——七億ちょっと切るというように考えております。
  93. 野上元

    野上元君 そうすると、松田郵政大臣の答弁とは似ても似つかないような経費を計上しておるということになるのですが、それでもいいのですか。
  94. 板野學

    政府委員板野學君) 私どももまことにどうも不本意でございまするが、何分最近の都市を中心にいたしまする非常なる物増がございまして、それらに対しまする普通局の増設というものを緊急にやらないというと、非常に業務上支障を及ぼすような次第でございまするので、特にこの二、三年、普通局の新築なり増築に重点を置かざるを得ない。また一つには、御承知のように、特定局から普通局への昇格というようなものも相当局数がございまして、これらは割合その局の状況が悪いということで、そういう面のいわゆる普通局に上がりましたけれども、もともと特定局であったというようなもので、緊急にやらなければならぬというようなものも、ここに相当ございまするので、私どもまことに不本意ではございまするけれども、そういうものに重点を置かざるを得ないというような状況でございます。
  95. 野上元

    野上元君 そうすると、そういう事情がわかっておりながら、松田郵政大臣はそういういいかげんな答弁をして国会をのがれたというふうに言われても仕方がないと思うのだが、事務当局はどう考えますか、それ。
  96. 板野學

    政府委員板野學君) 当時はなお終戦後の痛手が相当局舎方面にも残っておった。特に特定局方面にもそういう状態があった。ところが一方普通局等につきましては、物というものが非常に終戦後その当時は減っておりまして、割合物の方面からの圧迫が少なかったという点も当時あったと思います。従いまして、その当時特定局舎の面につきましても、早急改善を必要とする、普通局の面ももちろんあったと思いますけれども、まあ物増等のそういう関係で、そう緊急ではなかったというような状態であったように私ども考えておりますが、そういうわけで、当時と今日のいろいろな事情が急激に変わってきたという点が、こういう方策を少し変えていかなければならなかったということだというふうに私ども考えております。
  97. 野上元

    野上元君 私はそういうふうに情勢が変わった場合には、やはり逓信委員会の承認を求めて、そうして予算の編成をすべきだと思うのだが、その点はどういうふうに考えますか。(森中守義君「関連して」と述ぶ)
  98. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 答弁ありませんか……。
  99. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと野上さんの今の問題は、午後から大臣が出てくると言うておりますから、少し大臣にそれをやったらどうですか、非常に重要な問題だから。
  100. 野上元

    野上元君 森中委員意見に同意いたします。これはまあ事務当局に聞いても仕方がないことですけれども、一応やはり国会でこういうふうにきまった以上は、予算編成の前に、やはりそういう事情が変わったということを、了解を求めるのがまあ筋だと思うので、その点は一つ今後も十分に気をつけていただきたいというふうに考えます。さらにその問題については、大臣の意見も十分に聞きたいと思いますので、あとに回したいと思います。
  101. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっとじゃ関連して。官房長に承っておきますが、今郵務局長及び経理局長がそれぞれ野上委員質問に答弁されておりますが、言われた継続が百三十三、それから新規で百四十というこういう数字です。これは新しい先般来の約束である長期計画の中に、これは入っているのですか、これが一つと、これは在来郵政省がお立てになっていた計画を、そのまま述べられているのか、あるいは長期計画には、これは修正をされていくのか、そこの区別は、どうなりますか。
  102. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) ただいままで当局におきまして計画いたしておりまする長期計画の初年度が、三十五年度を起点といたしておりますので、残る局舎計画の八カ年のうちの五、六、七、この三年度は、従来の計画を一応もとにいたしております。しかしながら、さらにそれに引き続きまする二年と、今後予想せられまする六年度以降の局舎改善等につきましては、郵務並びに建築方面におきましても、意見がございまして、長期計画が、最終的に固まります場合におきましては、若干の現在の八カ年計画の修正をしなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  103. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますとね、念を押しておきたいのですが、今ここに言われた継続百三十三、それから新規百四十というものは、在来の計画を述べられたのであって、まだ長期計画が全体的に固まっていないから、当然これは、検討の対象になり得るということである、修正が加えられるということですね。
  104. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) さようでございます。
  105. 森中守義

    ○森中守義君 了承いたしました。
  106. 野上元

    野上元君 郵便局舎を、先ほど私が申し上げましたような老朽狭隘局舎、あるいはまた規格を満足をさせない局舎を整備するために、国有の姿にすることが一番私はいいと思うのですが、その国有化に障害になっておる原因というのは、何か特別なものがあるのですか。
  107. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、私どもは、この施設改善ということに重点を置きましてこの八カ年計画なりをやっておる次第でございますが、それにつきましても、やはり一般郵政財政の面から、いわゆるそういう面からの制約は、幾分かそこにあるというふうに申し上げてもいいんじゃないかと思っております。
  108. 山田節男

    ○山田節男君 関連質問。さっきの質問の中で、全国にある特定局と、それから普通局とのいわゆる私有といいますか、賃借しているものが、特定局とそれから普通局で、何件くらいあるのですか。
  109. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 先ほど申し上げましたように、ちょっと本年の統計じゃございませんで、昭和三十四年五月末日の数字でございまして、普通局では、国有のものが六百五十七局、借り入れのものが百四十五局、特定郵便局におきましては、国有のものが七百四十、借り入れのものが一万三千百四でございまして、この両方合計いたしますと……、失礼いたしました、ちょっと合計の数字出ておりませんので……。
  110. 山田節男

    ○山田節男君 特定局の場合も、そうですけれども、この普通局の場合、特に大きな町あるいは市等にも、私有の家屋を局舎に変えて、しかも長く使っているのですね。これは賃貸借権の価額が非常に低いということを至るところで聞くのですね。  これは全国的にあるいは地域的に分けて、その地域々々の妥当な家賃、これを評価する何か特別の委員会か、あるいはそれは尺度があるのですか。
  111. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 普通局につきましてはそういう委員会がございませんで、従来、いろいろのいきさつから借りておりますので、地代家賃統制令時代の例がございまして、なかなか家賃も上げられない、ところが民間は、いろいろな事情でどんどん上がってきておりますので、その間に相当差が出ておりまして、現在民間に比べますと、相当安く借り上げしている局舎相当ございます。  これらにつきましては、付近類似の民間の借料その他も調べまして、予算の許す限り、なるべく今後借料の不均衡是正をいたしたいと考えている次第でございます。
  112. 山田節男

    ○山田節男君 特定局の場合は、家賃というのは、どういうように計算されているのですか。
  113. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 特定局の借料でございますが、これは一応地代をも含めまして、土地とそれから建物と両方含めまして、一応借料と私どもは考えております。そのうちの土地だけの借料について考えますと、現在借料算出の根拠といたしましては、昭和三十二年度の坪当たりの固定資産税の台帳の登録価額がございますが、それの〇・ ○八をかけまして、これは一年でございますので、月額にいたしますと十二分の一でございます。それに対しまして、土地借り入れ坪数をかけまして、これが一応借料の中の地代の一カ月の分でございます。それから建物の借料につきましては、新しく作りますときの工事費がございますが、その工事費に家賃の乗率をかけまして、家賃乗率といいますのは、木造とか鉄筋コンクリートとかいうことで少し乗率が変わっております。それをかけましたものに、あとは火災保険料、それとあと全体に対しまして、市制地、あるいは町制地、それから村でございますと村制地というような、地域によります是正率をかけましたものが家賃の月額分になっております。この地代、土地に対する借料と、家賃に対する借料を合計いたしましたものが、一カ月の借り入れの借料ということになっております。
  114. 山田節男

    ○山田節男君 これは私、きわめて寡聞ですが、私の知っている三、四の例を見ても、たとえば普通局の場合、非常に賃借料が安いのです。不当に安いのです。これはいかに見ても、たとえば私の、具体的にいえば広島県下の庄原市にある局舎、これは銀行が、少なくともあそこは坪十万円、家賃とすれば少なくとも十五万円出すと、そう言っているが、わずか一万円で借りているのです。これはいかに見ても不当なんです。実際納めている固定資産税なんか見ますと、郵政省からもらう一万円から固定資産税その他のものを引くと、ほとんど半分はなくなってしまう、いかに見ても、目抜きの本通りの場所で、間口がたしか十三間かです。その場所を、実収入六千円しかないというのです。これはいかにも不当です。これは再々、そういうことを促したけれども、そこに郵政省当局としては、何か評価的な基準かなんかあるのかとただしたけれども、今建築部長が言うように、はっきりしたものがない、いかに見ても通念からいって、いかにも不当に安いというものをあえてしている。それには、前にそこにおった局長を他の普通局の課長にしたとかいうようなことで、まあプラス、マイナスでがまんしろ、こういうような実情だということもあるわけですね。  ですから今、いろいろ野上委員からの質問で、老朽局舎の整理の問題ですね、これは全部国がやるのは——やれば一番いいわけです。しかし財政上の措置としてできないことを、八カ年が二十カ年かかってもできるかどうかわからない。むしろ私は、ことに特定局の場合、もしこの家賃というものをリーズナブルなものにすれば、妥当なものにすれば、局舎は建てられるのですね。ところが、全般的にいうと非常に家賃が安いから、建てる自力があり、建てる意欲があっても、まあ延ばそう、こういう実際私の知っている例があるのです。  ですから普通局舎の場合は、これは将来国有化を急ぐということが私は必要だと思うが、特定局の場合、数も多いし、一万数千というものを、今のような計画で実現することは、年月を要しますから、むしろ局舎を増築あるいは新築せしむるためには、もう少し家賃を少なくともその地域で妥当なものに引き上げてやれば、金利上採算がとれれば、これは放っておいても、局舎を新築、増築するのですね。そういう意味で、老朽局舎を整理するというようなことで、今までお考えになったことがあるのかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  115. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) ただいま、山田先生から御指摘がありましたように、当省で借り上げております特定局の借料を民間のそれに比べましても、もちろんでございますが、国鉄、電電そういった公社が、民間から借り上げております借料に比べましても、相当低いような状態でございます。  私どもといたしましては、なるべくそういうものを合理化したいと思いますが、何分全国で一万数千の特定局でございますので、これを一斉に民間並みに引き上げるということは、財政上これは非常に困難でありますので、すでにもう数回にわたりまして、少しずつ上げてきております。また昨年も、一応是正いたしまして特に地域によりまして、割合に採算の合う所と、それから非常に安くて、全然話にならない所もございましたものですから、そういう点は、特に十分考慮いたしまして、不公平のないように是正いたしておるつもりでございますが、なおかつ、そういう点が相当ございまして、三十五年度におきましても、もう一度ある程度の是正をしたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 山田節男

    ○山田節男君 これは、大臣にも言うべきかと思いますが、ことに郵務局長その他がおられるから申し上げますが、どうもこの郵便事業が、国営であるために戦前のような官僚主義の時代の何といいますか、どうしても跡が残るのですね。ですから、もしあれが、たとえば郵便事業が公社であった場合、これは電電公社にしても、あるいはNHKにしても、あるいは国鉄にしても、専売公社にしても、これは具体的に言うと、ああいう局舎というものを置けば、固定資産税というものを課せられておるわけです。国営であるがために、そういうものは免除されているという特権があるわけですね。ですからこういう老朽局舎を整理するということについても、公社という建前であった場合には、莫大な税金を取られるわけですね。そういうものを免除されるという特権を持っているのですから、その反面からいえば、むしろそういうものがあったとすれば、そういうものに対する老朽局舎の整理についての、私はもっと数字的にも、予算上工夫ができるのではないかと思うのですね。  どうも、そういう点が私は、局舎の整理が遅々として進まないのですから、もう少し商業ベースに乗ったようなやり方をする。ことに特定局局舎のごときは、もう少しこれは私有のものでありながら増築、新築するような方策をとるということが、むしろ私はその力が、急を要するのではないかと思うのです。これは大臣にも申し上げたいと思うが、少くとも郵務局長建築部長は、官僚主義にものを考えるからいけない、もう少しコマーシャルのべースで考えて民間の実情で建てやすいような方法でやれば、これは、たとえ私有のものでありながらも、一般の郵便サービスというものがよくなるのです。そういう建前をもう少し私は転換する必要があると思うのです。従来見ておりまして老朽局舎計画を立ててから、もうすでに何年度になっておりますか、遅々として進まない、どこか抜けているところがある。私から見れば悪い意味の官僚主義、たとえば賃貸料のごときは、不当きわまるものです。こういうものは、もし郵政省でなかった場合、民間のものが、だまっているわけはないのです。  こういう点で、やはり聞こえざる声をよく聞いて、少なくとも世間並みのことはやらないと、ただ官権の力でもってやるというだけの思想では、この小さい局舎の整理問題にしても、なかなか実行できない、これは少なくともトップレベルの方は、そういう点を頭に入れて、新しい形の局舎の整理案を得るように、一つお考え願いたい、以上で終わります。
  117. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと関連して。建築部長でも経理局長でもどちらでもけっこうですが、昨年の租税臨時措置法の改正によって税率が変わってきましたね、土地買収の際。それと土地収用法の適用ができなかったこの種の問題で、先般私は決算委員会で、大蔵省を呼びまして、いろいろ善処をしてもらうように話をしておいたのです。  そこでさっき述べられた一千三百六局あって、その内容は、長期計画によって修正が加えられるという官房長の答弁ですが、その数は、固定したものでないにしても、その根本的な話は、また大臣がお見えになってから、いろいろ聞きたいと思いますが、いずれにしても、郵政省内の局舎老朽、狭隘であるという事実は、これは疑いない。  そこでこういうものを消化していく際に、まず必要なものは土地でしょう、こういうようなことで、租税臨時措置法の関係におけるその後の大蔵省の関係は、どういうことになりましたか、それをちょっと一つ建築部長でも経理局長でもいいから、聞かしていただきたい。
  118. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 先生のおっしゃった通りでございまして、その後大蔵省と折衝いたしておりますが、まだ一向話がつきません。今後とも、できるだけ努力しまして、少なくとも郵便局舎につきましては、土地の買収につきまして、特別な措置をしてもらうように、どうしてもしてもらわなければならぬという意気込みで大蔵省と折衝しております。
  119. 森中守義

    ○森中守義君 大蔵省との話は、継続中ということですか。
  120. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) さようでございます。
  121. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ承っておきたいのは、電電公社も、これと全く類似しているのですね。  それで最近電電公社がどういうような先行きを見ての手の打ち方であるか知りませんが、少なくとも今回国会に出されている電電公社の予算及び五カ年計画の内容からいけば、郵政よりも、ずいぶん建築の規模も大きいようであります。しかし意味合いとしては、仕事の分量あるいは繁雑な内容等からすれば、郵政も公社とほぼ同様な措置がとられてしかるべきだと思います。電電公社は、どういうことをやっているかといえば、土地収用の専門的な課長補佐等を本社段階及び地方通信局段階で相当配置をして、この土地関係に、かなりの重点を移行しております。郵政省は、現状のままでよろしいのですか。何か大蔵省と話上合いがつかない、しかし建築工事はどんどん進行しなければならぬというのは、現状の態勢で完全に所定の長期計画の中に定められていく仕事が消化できるのかどうか。これに対する省としての何か対策が講じられているかどうか、その点一つ伺っておきたいと思います。官房長も同様なことで一つ建築部長お答えになっていただきたい。
  122. 小坂秀雄

    説明員小坂秀雄君) 今後八カ年計画が、何らかの形で修正されまして、土地の買収あるいは建築工事が、どんどんふえるのじゃないか、それに対しまして、現在の陣容で、どうかということでございますが、現在、すでに建築といたしましては、非常に手が一ぱいでございまして、ぎりぎりの線でやっておりますので、今後さらに、そういう仕事がふえますと、現在のままの陣容では、非常に困難でありますので、仕事の量に伴いまして、御指摘のありましたような陣容の強化ということが望ましいように私は考えております。
  123. 森中守義

    ○森中守義君 今の答弁で、わからないでもないのですが、郵政省の方は、電電公社がそういうことで、建築の土台をなす土地の問題で、大量に人を配置し、しかも一つの重点を、その方に向けていっているという事実は、郵政省は御存じですか。官房長、どうです。
  124. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私、そこまで存じておりませんでした。
  125. 森中守義

    ○森中守義君 これは、長期計画をお出しいただいたときに、そういうような問題も、いろいろと聞いておく必要があると思ったのですが、どうも、そういう公社が、すでに打ち出している内容も御存じない、しかも、建築関係で、どういうような状況かということも客観情勢に照らして、あまり御承知ないようでは、これは建築計画というのは、私はまことに遺憾だと思うのです。大蔵省と、うまく話がついて土地収用法が適用できるようであれば、これは簡単です。しかし、先般大蔵当局の意向等を聞いてみても、租税の公平という一つの原則をくずすわけには参りません。それは私も租税の公平という意味でよくわかる。だけれども現実局舎が狭いから建て直すという際に、予算は成立をした、次年度回しもある、繰越予算が多く、しかも計画は、次から次に後手々々というようなことがあり得ると思うのです。そうなると、ただ予算がとれて図面を引いて、それ仕事だというのじゃ、これはいけません。その辺を、もう少し郵政省でも、一つ仕事を客観的に、どういうようにこなしていくかという対策というものが、当然構ぜられてしかるべきだと思うのです。  まあその点が、何も電電公社がよくて、郵政が悪いという、そういうものの表現ではないのですが、極端に言うなら、そういうことになると思う。多面性がないというのか、多角性がないというのか、全部、後手から後手。だから、仕事の伸びがない。多少私見になりますけれどもね。ところが、電電公社は、そういう客観状勢を見ながら、しかも、当初の目的を、完全に消化していくという意欲を持つが故に、地方の通信局段階に専門の課長補佐を配置する、あるいは本社においても、そういう専門家を配置するということで、まことに見るべき内容があるようです。郵政の場合、それがない。これは、もう郵政省の背骨を背負っている官房長が、そういうこともお考えになってもいない、御存じもないというのなら、一体国会で、建築の状況はどうかと聞いてみても、この場の答弁に終わる。  こういうようなことを僕は考えるのですが、もう少し積極的に、何か全体的な構想を変えるようなことはできませんか。官房長、どうです。
  126. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 大へん高遠なる所信をお示しいただいたわけでございますが、従来ともに、建築関係の要員の点につきましては、私、地方の責任者としての経験もありますが、必ずしも十分でないというようなことは承知しておりまして、これらの建築関係の要員の、多少とも充足ということについては、処置を要すると存じております。  従いまして、なかなか政府の増員ということにつきましての方針が固いようございまするけれども、三十五年度におきましては、若干のこの方面の人を充足していただけるというようなことに進んできているわけでございます。  なお、予算がとれても、実行上問題解決についての確固たる方針がないではないかというお示しでございますが、まことに、ごもっともでございます。新しい局舎計画、八カ年計画も進んでおりますが、今後の事情変更に応じましての対策ということにつきましては、長期計画の発足と同時に、従来にも増して省あげてこの方策についての具体的な処置を講ずべきだと存じます。過般の地方局長会議におきましても、土地収用を実施する上において、いかにやったらよいかというようなことについても、各局長から、だいぶこまかい答申もありましたし、意見もあったわけでございますが、ただいまお示しのような心構えにおきまして、予算の円滑なる実行、さらに進んだ計画の推進というようなことにつきまして、考えて参らなければならないと存じております。
  127. 森中守義

    ○森中守義君 私、関連だから、これで終わりますが、官房長、あまり私の言った内容が、御存じない。——土地収用法を実施するということじゃないんですよ。在来は、臨時措置法改正前は、それができたのです、土地収用法の適用が。それで比較的に土地を確保するということが容易であった。これが遮断されたので、土地が入手が困難になってきた。したがって、これに対する対策を、電電公社のほうでは、特段に専門の課長補佐、係員等を配置した。だから郵政も、それをやったらどうですかというのが私の言っているところであって、あなたの言っているのは、全然反対なんです。  だから、まあそれは、全然検討もされていないような答弁だと私は受け取りますから、将来の問題として、これはひとつ、大いに検討してもらわなきゃならんのですが、臨時措置法の改正以来きょうまで、本省及び地方の建築当局は非常に困っておる。だから、せんじ詰めれば、人の問題であるかわからんけれども、人を先にどう配置するかということではなくて、こういうように困難な業務になってきたから、これをどう消化していくかという対策がまず論議されて、それでその結論が、機構の改変にも発展していこうし、人を配置するという問題にも発展していくのが、これが道順なんです。だから、頭から官房長は、人がどうだこうだと言われるけれども、そういうことを私は言っておるのじゃない。  抜本的に、土地収用法が適用できなくなったから、土地が入手困難になった、これに対する措置はどうか。それが、今私が申し上げるように、機構の改変だとか、あるいは人が足りないからというように、派生的に発展的に結論が生まれてくるべき筋合いのものだ、その辺が、だいぶあなたの答弁は、ちょっと私は合点がいきませんから、私の言わんとするのは、抜本的に、どう対策を講ずるのか。その演繹された過程として、組織、機構あるいは金というように結論が生まれてくるべきじゃないか、こういうことなんですから、その点ひとつ、お取り違えのないように、しかも、現実に、この土地は問題になっておりますから、長い将来にかけて検討するということでなくて、すみやかにひとつ、これは大臣に、後刻また言いますけれども、省議なら省議にかけて、結論を出してもらいたい。そうしないと、計画はできた、登記はしたけれども、建築はずれちまうというようなことであると、せっかくの計画もなんにもならなくなりますから、その点、現実の問題として、省議で検討される、結論をここにお持ちいただくというような答弁を私は求めておきたいと思う。
  128. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私の認識の足りない点もございましたので、ただいまのお示しを十分に伺いまして、仕事の推進につきまして、なお具体的に検討をすることにいたします。
  129. 野上元

    野上元君 三十五年度局舎建設予算は五十億七千万円ですか、約。
  130. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 約、そうであります。
  131. 野上元

    野上元君 その中で、自己資金でまかなうのは、幾らですか。
  132. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 約二十四億であります。
  133. 野上元

    野上元君 その約二十四億というのは、総予算の何パーセントに当たるんですか。
  134. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 建築予算の——それは建築の予算のですか。
  135. 野上元

    野上元君 いや、総予算の。
  136. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 総予算は千八百九十三億ですから——約ですね、歳出予算は。ちょっと計算していただけばわかるんですが。
  137. 野上元

    野上元君 いいです。その具体的な数字はいいですが、あまりにも小さ過ぎるということを私は言いたいわけですよ。  自己資金でまかなうのが、わずかに二十四億ですからね。それで、郵便局局舎の維持改善をやろうというんだから、郵政省としては、あまりにもその計画が小さ過ぎるじゃないか。それは、何に起因しているのかと聞きたいんです。
  138. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) これはおっしゃる通りで、それは総予算ワクから見れば、あまりにも小さ過ぎるということが言えるかと思いますが、ただ、営業上の剰余金が、もう少し出るようでありますと、それを建設資金に回すということが可能なんでございますが、その点が、遺憾ながら、電電公社などとの営業上の相違がございます。差異がございまして、郵政事業特別会計の財務経理は、今のところ、しかく豊かでないわけでございます。まあ二十四億といったところが精一ぱいなところではなかろうかというふうに考えられまして、そういうふうに計上したわけでございます。
  139. 野上元

    野上元君 電電公社の営業方針と郵政の営業方針とは、全く違うから、やむを得ないと、こう言われるわけですか。
  140. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) これは、方針の問題ではございませんで、やっぱり事業の性質といいますか、態様といいますか、まあそういったところからくる面もあろうかと思いますが、たまたま郵政事業特別会計は、先回の国会でも申し上げましたように、歳出が年々膨張いたします反面 歳入の伸びが、私どもの期待するほど上がっていない。これは、料金改正をいたしましてから、まあほとんど十年近くになりましてそのまま料金も据え置かれておると、まあそういった関係で、歳入歳出のバランスというものが、だいぶ限度にきつつあるという、そういう郵政事業特別会計経理の特殊性に基づくものであろうかと、現段階における特殊性に基づくものであろうかと、そういうふうに考える次第でございます。
  141. 野上元

    野上元君 その問題は、後ほどまた大臣が参られたら、基本的な問題として質問することにいたしますが、郵政当局としては、若干大蔵省に対する気がねが強過ぎるんじゃないかという気がしてしようがないんですね、われわれから見ているというと。もう少し積極的に事業の推進を考えて、交渉されることが必要なんじゃないか、というふうに考えられるわけですが、簡易保険局長に、一言だけお聞きしたいんですが、この国会に、簡易保険局としては、簡保の積立金の運用に関する法律の改正を出す用意があると聞いておったんですが、その点は、どういうふうになっておりますか。
  142. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) かねてから、運用関係の改正法律案を出したいということで、関係方面といろいろ折衝を続けて参ってきております。現在も折衝中でございますが、なかなか調整がとれませんで、困難をきわめておるという現状でございまして、あるいは今国会は、間に合わないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  143. 野上元

    野上元君 どういうふうに改正されようというわけですか。
  144. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) まず簡易保険の現在の資金の建前では、その年度にできた余裕金というのは、全部、あげて資金運用部資金に預入せいということになっております。  その預入に対しましてつけられる利子が、資金運用部資金法で法定されておりますが、結局四分四厘程度になります。しかし、これを直接私どもで最初から、本格的な運用をいたしますと、平均六分四厘ぐらいに回せますので、ぜひ余裕金を直接郵政省で運用したいという点が第一点でございます。  それからもう一つは、運用の範囲を、もうちょっと拡張することによりまして、まあ利回り向上に資したいという点。この二つの点でございます。
  145. 野上元

    野上元君 その改正することによって、保険局は、どれくらいの収入増になるのですか。
  146. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 余裕金が、大体一年間に一千億ぐらい出ます。それが、先ほど言いました——現在では四分四厘ですが、われわれが適確に運用すると、六分四厘程度に回せる。従って、年間二分、二十億ぐらいの利息増収に、それだけでなる。  それから、運用範囲の拡張におきましては、これは法律で範囲を拡張しましても、実行上、いろいろ段階がございまして、どの程度、有利な方面に投資をするかによって違って参りますので、一がいに幾らということは申し上げかねますが、運用の仕方によりましては、相当増収が得られるというふうに考えております。
  147. 野上元

    野上元君 そうすると、一千億を郵政省で運用するだけで、すでに二十億円ぐらいの増収がある、こういうことになるわけですね。
  148. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) さようでございます。
  149. 野上元

    野上元君 私の言いたいのは、そういうきわめて有利な問題についても、郵政当局は、これを強引に取ってくるような方策を講じないで、ことしはどうやら見送らなきゃならんかもしれんというようなことは、非常に弱腰じゃないかと思うのですが、それは全部、結局あらゆる面に響いてきておるというふうに私たちは考えておるわけです。  その点については、おそらく従業員諸君も、非常に大きな期待を持っておると思うのですが、そういう点について、郵政当局はどういうふうに考えられているか、御意見を聞いてみたいと思います。
  150. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) おっしゃられます通りに、まことに理屈としては、私ども理屈が通っておると思うのでございまして、これが実現できないというのは、私どもの力の不足というふうに私どもも考えて、はなはだ申しわけないと思っております。まあ総合的な力を発揮いたしまして、なるべく早い機会に、これを実現するようにしたいというふうに考えている次第でございます。
  151. 野上元

    野上元君 そういう理屈が通らないという場合に、あなた方は、どういうふうにされるのかしりませんが、一つ全逓と相談して、簡易保険局従業員のストライキでも、あなた、やられて、大蔵省に対抗されたらどうですか。そういう意気込みはありませんか。
  152. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) その方法は、いろいろ政治的なお力に頼るとか、あるいは事務当局間の折衝によるとか、いろいろの方法が考えられると思いますが、やはり官庁といたしまして、通常の社会通念上許される、また認められる方法によって、やはり実現をすべきだというふうに考えておるわけでございます。
  153. 野上元

    野上元君 私が申し上げているのは、架空の話じゃないのですよ。かつてアメリカにおいて、ドナルド郵政長官が四千万ドルにわたる予算の削減に憤慨して、みずから郵政従業員のストライキを指令したことがあるのです。言葉の使い方は、正確じゃないかもしれないが、そしてついに、その四千万ドルを復活させたという事例があるのです。そのくらいの元気がないと、私は実際にはとれないのじゃないかと、実は心配しておるわけなんで申し上げたわけです。  簡保だけでなくて、先般も明らかにいたしましたように、委託関係についてもしかり、貯金会計についてもしかり、郵便会計についてもしかりでありまして赤字の累積が、今や憂慮すべき事態になりつつあるということでありまして、郵政事業の体質改善も、思い切ってメスを入れなければならぬ時代が、今来ておると思うわけでございます。この点郵政当局も十分に考慮してもらいたいと考えます。  さらにまた、この問題に関しては、これまた、後ほど大臣に質問したい、かように考えております。  一応局舎関係は終わります。
  154. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  155. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、速記を起こして。
  156. 野上元

    野上元君 次には、郵務局長にお願いしたいのですが、郵便局の種別改定の問題について、かつて昭和三十二年三月、郵政省全逓との間に、一つの取りきめがあったと聞いておりますが、その後の進捗状況は、どういうふうになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  157. 板野學

    政府委員板野學君) 種別改定の問題につきましては、特定局の制度改善委員会の答申もありまして、私どもといたしましては、その答申の線に沿いまして、この改定の基準等につきましても検討をしておりまして、大体その検討を終わりましたが、しかしこの改定をいたしますにつきましては、予算定員あるいは施設等の関係もございまするので、その実行につきましては、いろいろ検討しておった次第でございますが、大体三十五年度予算見通しがつきましたので、逐次地方からの上申に基きまして、今後これを実行に移すという考えでおります。
  158. 野上元

    野上元君 その組合との間の取りきめの条件というのは、どういうことになっておりますか。
  159. 板野學

    政府委員板野學君) その条件等につきましては、大体その当時の基準に照らして、百二十局あまりの特定局普通局に改定をしようというような話し合いがあったように聞いております。
  160. 野上元

    野上元君 まず基準は、第一点は市政施行地の中心局、第二は郵政定員が三十名以上、第三は、分課設置局、こういうふうな三つの基準ができ上っておると聞いておりますが、今でも、その点については変動はないわけですか。
  161. 板野學

    政府委員板野學君) その後、ただいま申し上げましたように、特定局制度委員会等のいろいろ答申の点、その他、私どもの最近のいろいろな検討の結果、大体改定の基準を郵政定員が三十五名以上、それからそれ以外の分課設置局、それから、前二項以外の郵便局でありまして、市の中心局で、郵政定員が二十五名ないし三十五名までの郵便局、それから前三項以外の郵便局であって、郵政事業定員が三十名以上三十五名未満の局でございましても、特に業務運営上必要のあるものにつきましては、これを普通局に改定をする、こういうような基準を現在はとっております。
  162. 野上元

    野上元君 そうすると、組合との間の一つの取りきめというのは、一部あなたの方で変更されたと、こういうことになるわけですか。
  163. 板野學

    政府委員板野學君) 今の郵政事業定員三十名というのが、従来の郵政省基準でございましたけれども、種々検討の結果、これは三十五名以上ということになりました点だけが、郵政省の従来の方針とは異なってくる、こういうことでございます。
  164. 野上元

    野上元君 このことについては、組合との間に交渉が持たれておるわけですか。
  165. 板野學

    政府委員板野學君) この件につきましては、御承知のように、いまだ団体交渉が行なわれていない。昨年のうちに、大体この基準がきまりました。もともときまったわけでございまするし、またこの件につきましては、これはもうその当時、二年ぐらい前でしたか、一応こういう件につきましては、話し合いをしよう、その話し合いをするということは、この基準をどうするかということについての話し合いじゃなくて、普通局に、どういう局をどういう工合に改定をするかというような話し合いをしようということもあったわけでございまするが、基準そのものは、御承知のように、これは省で、その中の方向できめていくということになっている次第でございます。
  166. 野上元

    野上元君 これは、よけいなことかもしれませんが、組合団体交渉権がない間に、一方的に基準を変更するというのは、明らかにこれはあき巣ねらいじゃないですか。それは答弁しなくていいですよ。  そこで先ほどの局舎建設費ですね。建設費の方に回すやつも、院議を無視して、あなたの方は変更されておるし、今のような基準の問題についても変更されるように、郵便省とは、何といいますか、一つの取りきめをきめても、無意味のような気がするのですがね。郵政省と秋の空ぐらいにいいますかな、郵政省と幾らやったってもきりがない。非常に移り気が多いような気がするのですが、この点は、十分一つ注意してもらいたいと考えます。  それで今のやつ百二十局ぐらいあったといわれておるのですが、今どのくらい実施されましたか。
  167. 板野學

    政府委員板野學君) 大体六十五局ばかり実施しております。
  168. 野上元

    野上元君 残りはいつ、それでは実施されるのですか。
  169. 板野學

    政府委員板野學君) 今後地方郵政局からも、だんだんこれが中央に上がってくると思いまするから、そのいろいろな特別の事情等もございますので、その事情を勘案しつつ、できるだけ早く、これも一つ実行に移したい、かように考えております。
  170. 野上元

    野上元君 この百二十局というのは、三十二年三月の、いわゆるとりきめされた当時の局数であって、その後基準に到達したような局が相当あると思うわけでありまして、それは、どのくらいになっておりますか。
  171. 板野學

    政府委員板野學君) 私ども、十分な検討を——個々の局につきまして、十分の検討を加えておりませんが、大体、今後九十局くらいは、これは昇格するような基準にあるのじゃないかというふうに考えております。
  172. 野上元

    野上元君 基準にあるものは、今後どしどし実施していく、こういう方針ですね。
  173. 板野學

    政府委員板野學君) いろいろの、予算なり定員なり、あるいはその局長の、いろいろな問題なり等もございまするので、その点を円滑に処理しつつ、できるだけ早く、こういう問題を処理していきたいというふうに考えております。
  174. 野上元

    野上元君 私の聞いておるのは、具体的な事例ではなくて、原則論として、この九十局は、すみやかに昇格させる、こういう方針でいかれるということでしょう。
  175. 板野學

    政府委員板野學君) 確実にそれが、いろいろな具体的な検討を必要といたしまするけれども、私どもといたしましては、その基準に合って、具体的にこれでもう転換してもよろしいというものにつきましては、できるだけ早く、一つやりたいというふうに考えます。
  176. 野上元

    野上元君 それでは、以上で午前中の質問を終ります。
  177. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  178. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それじゃ速記を起こして。  ほかに御発言もございませんようでしたら、午前中は、この程度にとどめて、休憩いたしたいと思います。    午後零時二十三分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  179. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 午前中に引き続きまして会議を開きます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  180. 森中守義

    ○森中守義君 大臣がおいでになりましたから、大へんお忙しいようですが、きょう午前中は、何をなさっていましたか。
  181. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 閣議に出席いたしておりまして、閣議の直後には、衆議院の逓信委員会で、ほかの答弁との関係で、すぐに出席して答弁せよということで、両院の委員部同士合議の上、衆議院の逓信委員会の方へ出席するように連絡が参りましたので、さようにいたした次第でございます。
  182. 森中守義

    ○森中守義君 参議院の逓信委員会があったのは御存じですか。
  183. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) はい、承知いたしております。
  184. 森中守義

    ○森中守義君 二月の十八日からきょうまで、この委員会も数回行われております。しかるに質問者の通告が委員長の方に行われているのに、しかもその質問者は、大臣を委員会に招致をしております。あなたが御出席ないために、よんどころなく大臣に対する質問を暫時保留をして、他の、政府委員でない説明員に、質問者は質問を続けております。そういう事実は、御承知ですか。
  185. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 本日までのことは存じておりますが、本日のことは、ただいま初めて承ったのであります。
  186. 森中守義

    ○森中守義君 あなたは、行政組織法の十七条の三項をお読みになったことがありますか。何と書いてあります。
  187. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 行政組織法一応は読みましたけれども、十七条第三項にはどういうことが書いてあったか記憶いたしておりません。暫時御猶予をいただけば、ただいまちょっと読んでみます。
  188. 森中守義

    ○森中守義君 まことに異なことをおっしゃる、あなたは、政務次官を二月の十八日から海外へ出張さしております。そういう際に、行政組織法十七条の三項に、どういうことが書いてあるか、そういう配慮もなくして、政務次官の出張を発令したのですか。
  189. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいま第十七条三項を了得いたしました。
  190. 森中守義

    ○森中守義君 だから承っているのは、政務次官を海外へ派遣されるときに、政務次官が、どういう任務を持っておるか、こういう時期に海外へ出張さしてもよろしいのかどうか、そういうことは、こういう行政組織法十七条三項等を十二分に了知された上であると私は思う。政務次官が、一体いかなる任務を持って、いわんや国会中にいかなる仕事をしなければならないかということも考慮せずに、あなたは政務次官の出張を許可したのですか。  もしもそういうことであるならば、まことにこれは重大な問題である、どうですか。
  191. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 今国会におきまして、いろいろな法案が出ております。ことに郵政について、法案も出ておりまして、その他の点につきましても、大至急に調査をしてもらいたいことがございまして、派遣した次第でございます。
  192. 森中守義

    ○森中守義君 もしもし、それは一体、どういうことでありますか、海外にやって法案の研究をさせるんですか、私には、そういうふうにとれましたが。
  193. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 法案の研究ではありません。法案が出ましたにつきまして、政務次官に海外に出張してもらいまして、これは、法案のことばかりではございませんが、郵政の事務、制度等につきまして、取り急いで出張してもらいまして、もう間もなくこの十四日には、来週の月曜日には、帰国する予定になっております。
  194. 森中守義

    ○森中守義君 あなたは、そういうそらぞらしいことを言われる。私の調査によれば、郵政政務次官の出張の目的は、エール・フランス航空株式会社の招待飛行に参加、これが主たる目的です。並びに、ということで、従属的な目的だ。エール・フランスの招待飛行ですよ。その後にフランス、スイス連邦及びアメリカ合衆国の各国における郵政事業及び電気通信事業視察のため、こういう工合に命令が出ている。  あなたはまじめに法案の研究であるとか、会期中に政務次官を海外に派遣しなければならぬということを本気で答えているのですか。
  195. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまお読みになりました通りの目的で参ったのは事実でございますが、ただその、解釈でありますけれども、この出張命令につきまして、森中委員はただいまのような御解釈でございますが、私たちの考えておりますこと、そしてそれが出張命令の文章に表われておりますところは、並びにという点でありますけれども、これは片一方を従属的という御解釈でありますが、並びにというんですから、同じように並べて、どちらも上下ないように、一見見えておりますけれども、事柄の性質上、これは郵政事務の調査、制度の調査、それがたまたまエール・フランスで行くことができるものですから、エール・フランスの招待飛行と同時期に行ってもらいましたならば、少しでも国家負担を少なくすることができまするし、またきわめて迅速に、途中も寄るところも寄らないで、エール・フランスの航空機によりまして、日限を短縮できる、さような配慮から、この時期をとらえたまでのことでございまして、出張目的は、先ほどから申し上げましたような調査が目的であったのでございます。
  196. 森中守義

    ○森中守義君 そういういろいろな言いわけをされるよりも、むしろ率直に言われる方が質問者も打ち切ります、率直に言われるならば。字句の解釈を、勝手にいじり回している。国会における質問及び答弁というものは、私は言葉のごまかし合いや、字句の解釈ではないと思うんです。なぜもう少しまじめな答弁をしないんですか。私は、今まで歴代の大臣と、いろいろこういう話しをかわしてきましたが、何か一つ得るものがあった。あなたには、それがないじゃないですか。あなたが百万言費しても、法案の研究に行ったとか、制度の研究とか、事業の研究と言われるけれども、法案をとらえてみれば、すでに去年の暮れに、電電公社の臨時措置法にしても、あるいは公社法の改正案にしても、その他郵政関係——まだ法案こそ出ていないが、それらの問題も、すでに旧年中にある程度の地固めができて、すでに十八日ごろは閣議で決定をされて、国会上程が行なわれていたと思うんです。  それでなおかつ、法案の研究が必要ですか。制度の研究も必要ですか。いわんや、これだけ委員会に迷惑をかけて、なおかつ政務次官を海外に派遣しなければならないような重要な案件があるのですか。もしそうだとすれば、委員会軽視もはなはだしい。もっと郵政大臣は虚心たんかいに、率直にお答えいただく方がいいと私は思うのですよ。実はエール・フランスの招待があった。たまたま国会がさほど繁雑でないと思ったから出したと、そういうように、すなおな答弁をされると、質問者もばかじゃないのだから、心得ておりますよ。そういう無理な追い打ちはかけません。むちゃくちゃに字句をいじって、そうじゃない、こうじゃないと言ってみて、そういう言葉の言い回しであるとか、だまし合いというようなことはやめようじゃないですか。私は、幾らあなたが言われても、これほど衆議院、参議院に迷惑をかけて、政務次官を海外に出さなければならぬような重要な使命を政務次官はお持ちではないと思う。  むしろ先般ジュネーブで開かれていた国際会議に政府代表として郵政省から人を派遣しなければならぬと、あるいは万国郵便条約の問題があると、そういう独特の任務を持つ時期であるならば、これは別です。国会の開会中とか、法令の研究とか、事業視察ということが必要ですか。私はあなたの答弁が気に食わない。まことにばかにした答弁です。そういうことはもっと虚心たんかいに、率直に、時期が悪かったなら悪かった、せっかくエール・フランスの招待だから、政府としても断わりかねたから出したなら出したと、そういうように言われた方が、委員長初め、聞いている者もよほど感じがいいですよ。こじつけはやめて下さい。  あなたの言われることを一歩信用するならば、具体的にどういう視察の目的を政務次官は持っておるのか、内容を聞きましょう。まことに答弁がけしからぬ。
  197. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ことに郵便制度につきまして、行ってもらったのでありますが、そのために、今回郵務局の次長が一緒に行ったというのは、そういうわけでございまして、私の言っていることは、決してでたらめじゃないのであります。
  198. 森中守義

    ○森中守義君 でたらめでなければないでもいいでしょう。それは多額の国費を使って海外に政務次官を遊ばせるわけにはいかぬのだから、何かの目的はあるでしょう。あるけれども、時期だ。  もう一つそれでは聞いておきますが、会期中に、政務次官が海外へ派遣された事例がありますか。先例がありますか。そういうことは、調査の上派遣されたのですか。その点を一つお答えいただきたい。
  199. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 大臣が会期中に派遣された例は存じておりますが、政務次官のことについては、まだ調査いたしませんので、よくわかりませんです、政務次官につきましては。
  200. 森中守義

    ○森中守義君 そういう点も、出張命令を出されるに当って命令権者である大臣の粗漏だと思う。こういうことが委員会で問題にならないはずはない。先般衆議院でも、あなたは警告を受けているでしょう。先例は、私の調査では二人ある。竹内俊吉、元の外務次官が外交交渉のために、よんどころない事情のために出たことが一回あります。愛知揆一さんが、参議院議員で大蔵政務次官のときに、予算の協議という、これもまた政府としてもよんどころない事情のために、欧米に行ったことがある。先例は二つしかない。その竹内さんあるいは愛知さんのお二人の場合と、今回の郵政政務次官を比べてみた場合、まことに海外視察の趣を異にする。あなたがどう言ってみても、海外に出さなければならない理由、これだけ委員会に迷惑をかけても、政務次官を派遣しなければならない理由はない。  それから、もう一つ聞いておきますが、国会議員が海外に出る場合、成規の手続を経て、本会議の案件として付され、それで本会議の承認を必要とする。そのくらい重要な扱いを受けております。あなたも、当院の議員として、そういう先例は御存じでしょう。議長が皆さんに語るのを、それを閣僚の一人であるあなたが、郵政省できめて簡単に閣議の了解を求めている、こういう格好の派遣の仕方も、いささか私としてはふに落ちない。前のことと今のこととあわせて、どういうような考えで出張を発令されたのか、命令権者としての大臣の当時の事情をお述べいただきたい。
  201. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 一般の例によりまして、閣議の了解を二月十六日に得まして、郵政大臣が発令をいたしたのでございますが、政務次官から二月十日に衆議院議長あて外国に旅行することの届けを提出した次第であります。
  202. 森中守義

    ○森中守義君 こういうことで、あまり委員会も時間を空費したくもありませんので、最後に一つとりまとめて聞いておきますが、あなたは本心から衆議院、参議院に、迷惑をかけたと思われるのか、あるいはこれは当然だというようにお考えであるか、その辺を聞かせて下さい。
  203. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 忙しいときにいなくなりました、こういうことにつきましては、先生方の御不満の点、はなはだ恐縮に存じます。郵政省といたしましては、右申し上げましたように調査を急がせましたような事情でございますので、何分一つ御了承願いたいと思います。
  204. 森中守義

    ○森中守義君 これは了承するもしないも、これはあとで、委員長理事打ち合わせをして、郵政大臣に警告を出すなり、何なりしなければならないのですが、ただ、今言われたことが、どうしても現実的に承服できないのです。常識から考えて、なるほどそういう任務であったならばやむを得ないと思われないから聞いておる。  あなたは、さっき私が言ったことに対して同じような答弁をされておるけれども、会期中に大臣のいないときには、これを助けるという、これは先刻申し上げた行政組織法第十七条三項もある。また政務次官が会期中に海外に出て行った先例は、特段の外交交渉、あるいはそれに類似するような重要な特殊の任務を持っていた以外にはないのです。そこへもってきて、先刻来申し上げておるように、どうしても大臣に質問をしたい、いなければ政務次官ということになる。今のような状態ならば、政務次官の必要はありませんよ。その人がいい悪いではない、悪ければ、悪いなりでいい、ものの聞きようがあります。しかし、会議を運行していく上においては、ここにおいでの皆さんは、みんなこれは説明員である。政府委員には官房長、あとはみんな説明員ですよ。まあそのほかは、とにかく全部政府委員でないことは事実だ。  そういう人を相手に、質問をしなければならぬような状態に、あなたみずからが作っておる。国会軽視もはなはだしい。それで、事情はどうかと聞けば、まことにそらぞらしい答弁だ。これで国会軽視ということを言わずして、何というんですか。どのくらい迷惑をかけているか。
  205. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) お言葉ではありますが、まあ政務次官一人いないために、大へん御不満の点は恐縮に思いますが、政府委員といたしましては、ただいま御指摘の者以外にも、郵務局長貯金局長保険局長等、各局長もおりますので、そちらの方へ一つ質問も願い、私も、努めて委員会に出席いたしまして、きょうのように、どうしても重なってしまいましてだめで、それで、こちらの方に出て来るのが大へんおそくなったのは、いかにも恐縮でございますが、私ども二人前、三人前、一生懸命働きますから、今しばらく——あと一週間ばかりで帰って来ますから、何分一つ、御了承をお願い申し上げます。
  206. 森中守義

    ○森中守義君 これでやめようと思えば、次から次へと言わなくちゃならぬのです。少しどうかしていないですか、あなたは。国会に出て答弁をするのは大臣、政務次官、原則は、そういうことになっておるのです。よんどころなく政府委員が出る。あなたと政務次官以外に、本来ならば質問者も聞かぬですよ。実に常識のないことを言われる。もうあなたを相手にして、いろいろものを言うのがばからしい、こちらは。そういう状態で国会を乗り切ろうとしてもだめです。しかも重要な法案がきている。そういう際にどういう影響をしますか、あなたは、まともに考えているのですか、そういうことを。  さっきから私が言っているように、先例としてもきわめて数が少ない。時期も時期、それで衆議院、参議院に、なぜ迷惑をかけたのかと、こう聞いておりますから、むしろ率直に、こうこうであったということを言われる方が感じとしてはいいのです。その方が、むしろあなたの人柄もその方を私は買う。こじつけてみて、えこじになって、ああでもない、こうでもないというところに、よけいにあなたはいろいろ追及されます。人柄がないということです、そういうことは。とにかく私は、あなたがそういう答弁を依然として続ける限り、ほんとうに行政組織法十七条の三項及び国会の運営、それらの問題を中心にしてあなたが主張されるように、国会を置き去りにして、大臣一人でてんてこ舞いをして、結果的に迷惑をかける、国政の審議に重大な障害を来たす、そういうことよりも、なおかつ政務次官を海外に出すことが重要な使命であったかどうかということを徹底的に私は追及する。一応きょうは、これで終わっておきますが、後ほど私は皆さんに相談したい。  ということは、あなたが、エア・フランスの招待があったから、断わりかねたのでやったならやった、別に他意がなかったならなかった、そういうふうに、あっさりと言われるなら片がつく。ああでもない、こうでもないという、よけいなこじつけの理屈を言ったり、えこじな答弁をするから、そういうふうにならざるを得ない。その辺はよく考えてもらいたい。とにかく委員会が迷惑したことは事実です。それと先例を調べていない。政務次官が、どういう仕事をするかという行政組織法の十七条三項も御存じない。法案が、どういうものがあるか、いなければ困りゃしないかという配慮も何も加えないで、政務次官を海外に出したということは、それ自体、大臣は非難攻撃されてもやむを得ないと思う。  だから、委員長、理事打合会でどういう扱いにするかという、こういうことは、あとで相談しますが、そういうことは、何も好んでやろうとするのじゃない。何回も言うように、もっと率直に、多少不利な点があったならあった、申しわけないなら申しわけない、そういう工合に言うならば今です。言わなければ言わないでよろしい、言うならば今です。どっちですか。
  207. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 再三遺憾の意を表しました通りに……。
  208. 森中守義

    ○森中守義君 遺憾の意は表明していない、だれが遺憾の意を表明したのですか。
  209. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 恐縮だというのは、遺憾の意を表した言文なんですが、政務次官が出張しました目的につきましては、先ほどから申し上げた通りでありますが、それによりまして、国会の開会中に政務次官がいなくて、いろいろ御不便をかけ、従って御不満であった点につきまして恐縮に存じますということは遺憾の意を表したわけでございます。それで御了承願いますと、さっきから申し上げておるようなわけで、この気持に変わりございませんので、何分御了承をお願いいたします。
  210. 森中守義

    ○森中守義君 そういうように私は恐縮ということが、即遺憾というようには、先刻来のあなたの答弁から受け取っていない。あらためて遺憾の意をここで表明されるならば、それもよかろう。もう一度まことに遺憾であったと言いなさい。
  211. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) まことに遺憾でございました。
  212. 森中守義

    ○森中守義君 よろしい、よくしかし考えるものだ。
  213. 野上元

    野上元君 郵政大臣にお尋ねいたします。前回の逓信委員会で、途中まで質問して、あと大臣に直接質問できなかったので、本日若干の問題について質問したいと思います。  あなたの「所管事項」説明の中に、団交問題は、一応の解決を見たと、そして全逓の正常化によって郵政部内の労使関係が明朗性を取り戻したことは非常に喜ばしいと、こういうふうに言われておるわけですが、この団交問題は一応の解決を見たという点について、人事部長にお尋ねしましたところが、ほっとした気持だということでございますが、郵政大臣としては、これはだれが草案されたか知りませんが、一応の解決というのは、どういう意味なのか、一つお知らせ願いたいと思います。
  214. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 団交したくとも、なかなかできなかったのが、この紛争を解決するためにある程度の労使関係が正常な形に立ち戻りましたことは、それ自体が、一応の解決であって、まだしかし、団交が完結いたしませんければ、完全な解決ではないのでありますが、幸いにこの藤林あっせん案によりまして、今日団交が再開されましたので、やがては、一応でなく、完全な妥結と申しますか、団交の結果が生まれ出るということを期待いたしますので、その意味におきまして、一応の安堵をみたと、そういう意味で、人事部長もお答えしたことと存じますし、私もまた、さように考えておる次第でございます。
  215. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたの言われる完全なる解決というためには、どういうことをやったらいいのですか。
  216. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 細目にわたるまで、団体交渉につきまして、実を結ぶことであり、これは私も、当該係官、人事部長を初めといたしまして、できるだけすみやかに、これが完結するように指示いたしておる次第でございます。
  217. 野上元

    野上元君 そうすると、団交が再開されて、懸案の団体交渉事項の解決、こういうことを、ここでは言っているわけですか。
  218. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) そのつもりで申しました。
  219. 野上元

    野上元君 どれくらい解決しましたか、今までに。
  220. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 詳細、具体的なことにつきましては、一つ事部長からお答えさせていただきたいと思います。(「そんなことを知らぬのか、大臣が」と呼ぶ者あり)
  221. 野上元

    野上元君 いいです。  その点は、あとでお聞きしますが、仲裁裁定が出た趣旨というのは、例の二百五十円のベース・アップの問題だと思うのですが、これが、まあ一番大きな内容だと思いますが、これは解決のめどがつきましたかどうか。
  222. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) おっしやる通り、二百五十円ベース・アップが、団交の内容の一番重要な点と存じます。  これにつきまして何回か交渉を重ねておるとの報告は受けておるのでございますが、この一番大事なことが、まだはっきりした、どういうふうな具体的な計算でベース・アップを実施するかということについて、まだ意見の一致していない部分があるという報告を受けておりますので、もう年度末も迫って参りますので、何としても、これは年度末、できれば一時間も早く、最悪の場合におきましても年度内には、ぜひ妥結ができるように、そういう考えでおりますが、しかし、私が指令いたしておりますところは、年度末ということでなしに、もう、少しでもすみやかに解決するようにということを指示いたしておりますが、腹の中までぶちまけますれば、今申しましたように、年度内には、何とかこれをしなくちゃいけないというふうな考えを持っておる次第でございます。
  223. 野上元

    野上元君 この「所管事項」の中にも、今後は団交再開をされたのだから、当局も誠意をもって諸般の解決に当たる、こういうふうにあなたは決意を述べられておるわけです。  そこでちょっとお尋ねしたのですが、もうそろそろ、三月も半ばに近づいてきた、年度の更新が行なわれようというのを目睫に控えておるわけですが、いまだに解決しないということは非常に困ると思うのです。聞くところによりますると、郵政当局全逓も、両方ともおのおのの主張を譲らない。こういうことが、解決できない原因になっておるようですが、郵政当局としては、あくまでも郵政当局考え方を貫き通そうという考えなのかどうか、その点を、一つお聞かせ願いたいと思う。
  224. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 実は今までのところでは、人事部長からの報告を聞きまして、人事部長のやっておりますことが、考えております計算方法が、よろしいと、さように考えておるのでございますけれども、これは何としても年度内解決しなければなりませんので、本日の委員会が済みましたならば、さらに時を移さずに、この問題のさらにその後の進展状況と申しますか、交渉内容についての報告を求めまして、ただいま申し上げましたのが、ほんとうに口の先でなく、一時間でも早く妥結しますように、さらに督励いたしまして、問題の解決に当たっていきたいと存じます。
  225. 野上元

    野上元君 仲裁案も、労使双方が協議して、その配分については決定しなさい、こういうことを言っているわけです。  従って、両者がいずれも自己の主張を譲らないということでは解決できないわけですから、両方が、歩み寄りを一日も早くやって、そうしてその中から解決の道を見出すことが、この際、緊急に必要じゃないか、こういうふうに考えるのですが、大臣のお考えはどうですか。
  226. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) まことにその通りでありましてしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  227. 野上元

    野上元君 先ほども事部長から、私の申していることについては了解できるから、もう少し時間をかしてもらいたい、こういう答弁がありまして、私も、それを了承したわけですが、ただいまも大臣から、そういう解決方法については、十分に検討の余地があるので、もう少し時間をかしてもらいたいということですから、この際、時間をおかしすることにいたします。  しかしながらいよいよ四月も迫っておりまするから、その解決の進捗状況については、逐次、適当な委員会で御質問申し上げる、こういうことにしたいと思います。  それから団交問題が一応の解決を見たという中には、やはりまだ完全な正常化といいますか、労使双方の完全な正常化というものについては、もう一歩ということが、この中にうたわれておるのじゃないかという気がするのですが、たとえば政府側においては、ILO条約八十七号をすみやかに批准し、関係諸法規の改正を必要とするのではないか、このように考えるのですが、郵政大臣は、どのようにお考えですか。
  228. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私も、全く同感でございまして、きょうも閣僚の懇談いたしましたときにも、このILOの批准の問題をすみやかに、整備すべき部分を整備して、批准できるようにということを種々話し合った次第でございます。
  229. 野上元

    野上元君 ILO条約八十七号の批准については、岸総理あるいは松野労相、あるいはあなたから、しばしば公式の場において述べられておるのですが、最近の新聞を拝見いたしますと、四月中の提案はむずかしいというようなことが盛んに新聞に出ておりますし、あるいはまた、今国会は見送りかというような記事が随所に散見できるわけですが、それについて大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  230. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私たちの所管に関しまする限り、特に法律の改定というふうなことを、ただいまの段階では考えておりませんのでありますけれども政府全体といたしましては、それぞれの所管事項につきましてそれぞれの考えがあることと存じておりますので、それらの調整を待って、すみやかにILO問題を解決していきたいと、さように考えております。
  231. 野上元

    野上元君 郵政大臣としては、ILO八十七号を批准する場合に、どうしても改正しなければならぬ国内法律というのは、何だとお考えになっていますか。
  232. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは所管外のことでございますから、あるいは十分責任を持ってまだお答えができないのでございますが、植竹として、どういう考えを持っているかということでございますので、率直に申し上げますと、たとえば鉄道営業法とか、あるいは公労法、これはもう申し上げるまでもないことでありますが、なお地公労法においても、改正していかなければならない。その他もあることでございましょうが、今ちょっと頭に浮かびましたところ、さように考えております。
  233. 野上元

    野上元君 鉄道営業法の改正は、ILO八十七号条約を批准をすると、どうしても改正しなければならないという理由は何ですか。
  234. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これはどうも所管違いで、はなはだそこまで十分な研究をいたしておりませんので、願えますれば、運輸当局からお聞き賜わりたいと存じます。
  235. 野上元

    野上元君 私は郵政大臣であり、同時に国務大臣であるあなたに、この問題を質問しておるわけであります。それで、私の考え方からすれば、このILO条約八十七号が問題になった経緯から見て、あるいはまた労働問題懇談会の答申等から見て、ILO条約八十七号を批准する場合には、公労法の四条三項及び地公労法の五条三項のみを削除する、あとは法律改正は必要ない、こういうふうに言われておったので、今、政府は直ちにこの公労法四条三項と地公労法の五条三項を改正してすみやかにILO条約八十七号を批准するものとばかり思っておったわけですが、最近、どうも国家公務員法あるいは地方公務員法、あるいは鉄道営業法等にまで問題を波及さして、いたずらに条約八十七号の批准をおくらしているように見受けられるわけで、この点、非常に遺憾に思っておりますが、国務大臣である郵政大臣としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  236. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) きょうの、いろいろな意見交換では、そこまでの問題は出なかったのでございます。まあ、ILOの批准をする前には、国内法の整備、まず公労法、地公労法の、片方は四条三項、片方は五条三項、それを直しますとともに、今後、労使関係が円満に秩序を保ち、よき労働慣行を作り上げて、日本の労働行政がうまく参りますために、多少、手直しをしなければならない法律があると、まあさように考えておりますが、具体的にどの法律であるかということを、実は、自分の所管事項のことばかりに没頭されておりますので、まだ、他の役所の所管事項については、よく勉強しておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、そういったような現状でございます。
  237. 野上元

    野上元君 そもそもILO条約八十七号が問題になったその火元は、郵政にあるわけですよ。その所管大臣であるあなたが、よく勉強しておらないから、ILO問題を知らないんだというような答弁は、まことに私は遺憾だと思うのです。そういう考え方であると、あなたは、すみやかに現在の状態解決したいという意図がないというふうに私は考えられるんだが、そうとってもよろしいですか。
  238. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) いえ、郵政省所管のことにつきましては、はなはだ不勉強でありますが、多少、これならば、閣議でも大丈夫だというふうに、いろいろ打ち合わせのときにおきましても大丈夫だというふうに研究したつもりでおりますけれども、他の所管事項のことにつきまして、詳細にわたりましては、まだそこまで行き届かないのでございます。  たとえば、鉄道営業法のごときにいたしましても、どうせやはり改正となりますと、そこだけいじるわけには参らず、明治何年かにできました非常に古い法律でございますので、改正する際には、やはり悪いところを、全部時勢に合ったように直すということになりますと、鉄道営業法の改正だけでも、非常に膨大な改正になりまして、従って、その内容が非常に複雑多岐にわたりますので、それで、とうてい所管違いの私には、そこまでは話していないということは、決して私の熱意が欠けておるということにもならないと存じますし、かつまた、そこまでは——鉄道営業法のこまかいことまでは存じませんでも、大綱をつかむことにおきまして、このILO条約の批准問題につきまして、軌道をはずさない自分の責任は果たし得る、そういう意味で申し上げておりますので、他の所管法案の内容、詳細までは、一つ、よくわかりませんので、御了承いただきたいと思います。
  239. 野上元

    野上元君 私は、そういうことを聞いておるのじゃなくて、ILO条約八十七号を批准する場合に、どの法律を改正しなければならないか、鉄道営業法は、一体どこを改正すれば——改正する必要があるのか、あるいは、国家公務員法は、一体どこを改正する必要があるのか、あまり必要がないのじゃないかと、この必要もないものまで波及さして、条約八十七号の批准を故意におくらそうとする空気があるので、あなたは、その点については十分に注意をしてもらって、国務大臣として、閣議においても発言をしてもらい、すみやかに条約八十七号の批准を促進するように希望するわけです。  それから、今月の一日から四日間にわたって、ジュネーヴにおいてILOの理事会が開かれました。ここで再びILO条約八十七号に、公労法四条三項及び地公労法五条三項は違反するということがはっきりしてきたわけです。従って、来たるべき六月に開かれるILO総会におきまして、またまた問題になる可能性がある。従って、日本政府としては、六月までに批准しなければ、総会に出席できないという窮地に追い込まれてくるのではないかと思うのです。  従って政府としては、ぜがひでも六月までに批准を完了してもらいたい、こういうふうに希望しておるのですが、郵政大臣としては積極的に希望されるのかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  240. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 郵政省所管の範囲におきましては、これを批准することに、むろんやぶさかなものではございませんし、自分の所管事項として意見を述べるべき場合には、遠慮なく今でも意見を述べておりまして、調整をはかっておるのでございますが、政府全体としての調整は、まだついておりません。きょうも、内容にわたりましてむろんのこと、自分の所管外につきましても、会話は取りかわされたわけでございますが、まだ、中には記憶いたしておらないこともございますし、また記憶いたしておりましても、まだ、それが意見交換の段階でございますために、発表できない点もあるわけでございまして、この問題につきましては、政府全体としての、まだこまかいところまでは、調整ができない、ただいま調整しつつある段階でございます。これは閣議のたびに、あるいは閣議のない日でも、他の役所と折衝、打ち合わせ中であるのが実情でございますが、現状を御了承願いたいと思います。
  241. 森中守義

    ○森中守義君 関連。大臣に聞きたいのですが、ILOの批准と関係のある行政機関はどこどこですか。
  242. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 行政管理庁、労働省、郵政省、運輸省、それから文部省等であります。まだ答弁漏れしておるのがあるかもしれませんが、大体そういうようなところかと思います。
  243. 森中守義

    ○森中守義君 今のような、あいまいな答弁からいけば、閣内で意見の調整をしようというようなことで話をされたことはないのですね、どうですか。
  244. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) あります。
  245. 森中守義

    ○森中守義君 あるのに、どことどこかわからんのですか。そういうあいまいなことで、調整をだれがしようとするのですか。
  246. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) それから外務省が、むろんのこと——外交交渉の任に当たりますから、外務省が関係しております。ただ、それに基づいて、法案の改正ということになりますと、これはむろん申し上げるまでもなく、外務省などは入っておりません。ただILOを取り扱うという官署といたしましては、以上申し上げた通りで明確だと思います。
  247. 森中守義

    ○森中守義君 関連質問ですから、簡単に聞きますが、さっき野上委員も言っておるように、六月に、ILOの理事会があり、引き続いて総会がある。それで、しばしばあなた方もお考えであろうし、検討されたと思うのですが、この問題が片づかないで理事会、総会には出席できないということですよ。  そういう、日本政府が、ある種の追いこまれた状態の中で、今なお関係各機関の調整がつかないということは、これは関係ある閣僚の一人として、国務大臣として私は怠慢だと思う。そこで、この種の質問が出ると、所管は労働省でござるとか、とにかくあなたは逃げ回っている。郵政大臣として、閣僚の一人として、やはり調整をすべき——労働省、あるいは文部省、あるいは運輸省、大体今のところ、その辺が問題の中心なんです、郵政省と合わせましてね。何か閣議の中で、その問題を連絡調整するような会合は、何回くらい今まで行なってきたのですか。しかもその目鼻は、いつごろまでにつけようという程度話し合いはなかったのですか。
  248. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 回数は記憶しておりませんが、ちょいちょいやっております。  労働問題関係閣僚の懇談は、しばしばやっておるのでありますが、国務大臣として、それは政治全般に対する責任もあり、ことにILOの問題は、労働組合をかかえております郵政大臣としてはむろんのこと、これは重大関心もあり、重大関係もあるのは御指摘の通りでございますが、やはり政治百般について、責任あるとは申しながら、所管々々がございますので、ILOの問題は、閣内で労働大臣が所管というふうに定まっておりますので、私からお答え申し上げますことが、とかく郵政に限ったことの答弁ばかりになることは御了承願いたいと思います。  すっかりこれが労働問題関係閣僚懇談会におきまして単一のはっきりした結論が出ました上には、それでも、やはり労働大臣の所管でございますので、労働大臣から答弁申し上げました方が適切だと思いますが、ことに、ただいま懇談の打ち合わせの途上でございますので、かえって私から答弁申し上げまして、進むべきものも、かえって進まなくなったり、あるいはその反対の進み過ぎて、かえって迷惑をかけることがあってはいけない、さような配慮から申し上げておりますので、労働大臣並びに労働省関係の方に御質問いただければ、はなはだ仕合わせと存じます。
  249. 森中守義

    ○森中守義君 今の前段の答弁は、そんなことは言わなくても知っているのですよ。  私が聞こうとしておるのは、さっきの野上委員質問と同じように、時期的に日本政府は追い込まれてきた。それが一つ。  それと、全逓郵政省団交が閉されているときに、この問題をわれわれがしばしば質問したときに、団体交渉が再開をされたならば、より積極的に、郵政大臣としては一日も早く、ILOの批准ができるように努力を惜しみませんということをあなたは何回も繰り返して答えた。これも記憶があるはずです。まだあなたと、会議録を中心にして、私の言うのが正しいのか、あなたの言っているのが正しいのかという問題を未解決のまま、これは当分残しておく。  その問題もあるが、あなたの今言ったことは、これまた会議録を見るまでもなく、去年の秋から現在まで、全逓との団交さえ開かれるならば、ILOは積極的にやります、こういうことを答えておきながら、今団交は再開になる、しこうしてそれではどうするか、どういう状態かということを問いただしておると、ぬらりくらり、ぬらりくらりしておれの責任じゃないのだ。こういったような調子で、あなたがこの委員会で幽霊的な答弁をするから、腹に据えかねるものがあるのです。あなたは何と言いましたか。より積極的にやると言ったのは、だれだ。やっていないじゃないか。まあ郵政大臣、そういうようなことですよ。  それでまさに事態が変われば変わったで、豹変をしてみずからの責任を回避する。これは、責任ある閣僚の答弁ではない。今まで国会をごまかしてきたのですか。だから、すでに時間的に差し迫ったこの問題を、当時の答弁が、誠意あるところの答弁であったとするならば、みずから進んで関係閣僚の意見の調整をはかろう、今国会で批准に至るようにやりましょう、こういう答弁が出てしかるべきだと思う。  その辺、どうですか。あなたの食言的な言葉は、あまりに多過ぎるということですよ。
  250. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私は、食言いたしておらないことを確信いたしております。  私は、何回も答弁いたしておりますことは、組合が正常化、合法化いたしましてからでなければ、ILOの批准はできないのだ、組合が合法化すれば、ILOの批准まで持っていくのだ、そういうことを、しばしば申し上げておりましたのは私もはっきり自分自身も記憶いたしております。それ以外のことは、大体そういう筋で、繰り返しておったわけでございまして、その信念は変わっておらないのであります。  そこで私は、ちっとも責任を回避しているのでなく、郵政大臣の所管の範囲内におきまして、私は最善を尽しております。現在ちっとも食言いたしておりません。皆さんに申し上げました通りやっております。  しかしただいま閣僚の内々で打ち合わせの最中でありますので、その打ち合わせの内容とか、あるいは打ち合わせの途上に、どういうことがあったかというふうなことを御報告申し上げることはできないのですということを、先ほど来申し上げております。もっとも内閣には、スポークスマンも御承知の通りおりますことでありますから、そのスポークスマンから労働問題関係閣僚懇談会の内容につきまして発表されることは、これは当然のことでもあり、これはまた別でございますが、私の立場といたしましては、その懇談会の内容にわたって、御報告申し上げる段階ではないということを申し上げているので、熱意と、また実際の私のこの問題に対する活動度につきましては、常々申し上げております通りを歩みつつある次第でございます。
  251. 森中守義

    ○森中守義君 私どもも、どういうような経過をたどっているかは、よく知っておりますよ。だけれども、今あなたが言われたようなことが、実は委員会における大臣と私どもの質疑応答には、どうもぴんとこないということです。ということは、内閣のスポークスマンがどうこう、こういう話が出てくる。要するに委員質問に対して何を答えんとするのか、私どもは閣僚の一人でもあり、また郵政大臣はILOには関係があるので、その見解を聞こうとしているのに、答弁するのに、遅疑しゅんじゅんする必要はないじゃないか。その点は、さっきの海外旅行の問題ではないけれども、私は、どうしてもあなたの国会における答弁は誠実がないと言っている。私はさっき打ち切ったから言わぬけれども、ほんとうはもっと追いたかった。海外出張に出るのと、国会と、どっちが大事かということを、とことんまで追いたかった。そうなればあなたも困るだろうと思って、武士の情けで情に忍びないから、一応やめましたけれども、もうちょっと、はっきりものを言ったらどうですか。歴代の大臣で、あなたのように、何を言うているのかわからぬ人はおりませんよ。これから法案の審議に入るのですが、そういうことでは、法案の審議促進はできない。それは一つ十分承知して置いて下さい。何も労働大臣からでなくても、閣議の中に出て、ILO問題については、いろいろ御存じのはずでございますから、聞かれただけのことはしゃべったらどうですか。今途中であるから、しゃべれない、結論が出ていないからしゃべれない。一体、国会は何をするところですか。政府は、国会にどういう責任を負わなければならぬのですか。いつから郵政省は、宮廷政治を始めたのですか、秘密政治に変ったのですか、すべてが秘密、秘密だらけではないですか。  私はあなたの答弁には納得できない。こう言っている。もう一度ILOの経過を、さらにまた、これから先の見通しを、野上委員質問に関連して、答弁を求めましょう。
  252. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ILOにつきましては、本日ただいま野上委員、森中委員の御質問にお答えした通りでございます。それ以上のことはないのであります。
  253. 野上元

    野上元君 郵政大臣としては、条約八十七号批准されることは望ましいと言われるのですから、しかも時期はいよいよ六月に迫っているのですから、この国会でぜひとも批准されるように格段の努力を願いたいということを希望しておきます。  それから次は、先般の委員会で明らかになりましたように、昨年の年末年首における郵便の配送状態についていろいろお聞きいたしましたが、大体二〇%ぐらいのものは一月三日以降になってしまった。しかしあのような大争議を解決した直後あれだけのものをやったのだから非常にりっぱであった。国民は郵政従業員に対して感謝し、あなた自身もまた郵政従業員を現地に見て回って非常によくやっているので感激して感謝しているのだ、こういうふうに言われたのですが、それならばなぜあのような大量な処分をされたのですか。感謝しながら処分するというのはどういうことなんですか。
  254. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 郵政部内からあれだけの五百十八人、戒告を入れますれば六百十人といった処分者を出しましたことは、これはほんとうにこれこそ遺憾に存じますけれども、あれだけほんとうによくやってくれましたが、そのために実はそうかといって非常に極端な悪質と申しますか、暴行傷害、公務執行妨害の中でも悪質な者につきましては、あの程度処断せざるを得なかったので、それに対しましてあれは甘過ぎたというおしかり、また逆に辛過ぎたという野上委員初めとしてのおしかりもございますけれども郵政省といたしましては、甘くも辛くもない、きわめて適切であったと、もし、しかしあれで非常に甘いというふうなおしかりがあるといたしますれば、それは三割休暇闘争というものを早期に指令を解除されまして、ほんとうに年末あっせん案によって妥結するまではどういうことになろうかと思っておったのが、一たん妥結となりましたら、全逓組合員諸君初め、組合員であろうと組合員でなかろうと、全郵政人があの通り郵政事業を一生懸命にやって、ああやって一生懸命に働いてくれて、あれだけの大きな係争があったにかかわらず、遅延といたしましてもあの程度の遅延でおさまりましたことは、これは私としてやっぱり感謝するなといってもやはりありがたい、いいことだと考えましたので、やはりほこ先がにぶってしまいまして、原案ではもっと多量のずっと多い処分の数字が出ておったにもかかわらず、これは私一人だけではございません。郵政の幹部たちもみな一致しまして腕がにぶってしまって、ああいうふうな軽い処分になってしまった次第であります。なお、それに対しても重いという御批判もあるでございましょうけれども、諸般の情勢を御判断いただきましていかに一方において感謝するとは言え、やはり例外としてあれだけの違反処分はいたし方なかった。やむにやまれぬ処分であったということを何とぞ御了承賜りたいと思います。
  255. 野上元

    野上元君 今大臣は、原案はもっと苛酷なものであったということでありましたが、そうすると郵政当局としては、あのような最終に辛くなったことについては非常に遺憾の意を表しておるわけですか、原案を修正されて。
  256. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) いや、私は遺憾と考えておりません。結論におきまして、総決算におきまして、辛くもない、甘くもない、非常に適切であった、これによってこの郵政の秩序の乱れを旧に復することができて、一刻も早く郵政の職員がその職場々々の自覚を取り戻してもらいたいと思いまして、それにはやはりあの程度の処分はやむを得なかったと思って、その結果につきましては、実は甘くも辛くもない、適切な処置であった、さように判断いたしております。
  257. 野上元

    野上元君 日本のことでありませんが、アルゼンチンでも今年の一月十六日に三〇%の賃上げを要求して、郵政従業員がゼネラル・ストライキをやったのです。これも明らかに法律違反だということで、政府当局は六十数名の逮捕者を出して、解雇者も相当たくさん出した。しかしながら、最終的には政府が折れて、三〇%の賃上げを認め、交渉が妥結したわけです。と同時に逮捕者は全部釈放し、解雇者は全部その場で復職させ、処分を一切行なわないということを発表しておるわけですよ。これが労働運動の、労使関係考え方じゃないかというふうに考えるわけですよ。あなたの郵政省は、もう事があればすぐ処分を振り回すのだが、アルゼンチンの例と比べて、あなたは日本の郵政大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
  258. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) まことにそういったような処分のできますアルゼンチンの国情、実情というものをうらやましく思い、私もできればそういうふうにいたしたいと思います。しかし、どうせ結局は争議の跡始末としては全部処罰は、処分はされないのだから、どうせやっても大丈夫だといったようなゆるみを生じまして、世間に、世の中に御迷惑をかけるような者が出てはいけませんので、やはり一罰百戒と申しますか、この程度の処分でやむを得なかった、それによって郵便事業に対する責任感も一段と深まりまして、それによって郵便事業に対する信用も世間から回復されるわけだと存じますし、また個人的にも、肉体的に被害をこうむりましたけが人やなんかの立場として考えてみましても、あの程度の処分はいたし方なかったと、また検察当局におきましても、ただいま起訴中で、結果はわかりませんが、起訴が、訴訟が進行している状態にかんがみましても、あの程度の処罰は、日本の国情といたしていたし方ない。しかしそれにいたしましても、ただいま御指摘のアルゼンチンの国情についてはまことにうらやましいことであって、願わくば労働運動はそうでなければいけない。できれば争議そのものがなくて、話し合いでもって万事解決して参ればこれに越したことはない、さように存じます。
  259. 野上元

    野上元君 郵政大臣はアルゼンチンのことをうらやましがる必要はないのだ。あなたがいわゆる郵政における責任者なんですから、やろうと思えばできないことはないのです、あなたの腹一つで。ところが郵政省の最近のやり方を見ると、組合に対してはどうも権力主義、そうして労働運動に対しては処罰をもって臨むというような態度が非常に強いと思うのですよ。つい最近も四日でしたか、郵政局長会議あるいは三局長会議といいますか——郵政局長会議をやられまして、その結果が新聞に出ておりますが、これも同様であります。郵便物のおくれているところは徹底的に監察を入れて調査して、被疑者はどしどしと処分するのだ、こういう発表です。私はこれが権力主義だと言うのです。そうではなくて、もしあなたがもう少し従業員の立場に立って考えるならば、郵便がおくれている原因を突きつめて、そうして定員が足らない場合にはさっそく定員をふやしていく、こういうような措置を新聞に発表されたら、私はおそらく従業員の郵政省に対する考え方は非常に変わるものだと考えるのですが、いつも口を開けば処罰をもって臨んでいる郵政当局のこの労務政策というものについては、私は非常に遺憾に思うのですが、郵政大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  260. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 御意見のことは深くこれを重要な参考といたしまして、今後の問題をどうやって対処していくかということを省内でよく打ち合わせて、態度をきめて参りたいと存じます。
  261. 野上元

    野上元君 さらに、所管事項の中に、処分の根拠は「違法な闘争」と、こういうことになっておるのですが、この「闘争」というのは、争議という意味ですか。
  262. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 大体そういうことでございます。
  263. 野上元

    野上元君 そうすると、今回処分されたのは、この違法な争議によって処分された、こういうことになるわけですか。
  264. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 大体そうであります。違法な、何といいますか、労働活動、刑事の事件等が起きまして、暴行、傷害、公務執行妨害等が起きましてそういったようなのは処分せざるを得なかったし、また、検察当局といたしましても、これを刑法にかんがみまして起訴したりいたしております。それらの法律が適用されたという点から見ましても、やはりあの種あの程度の処分はやむを得ないと、さように考えております。
  265. 野上元

    野上元君 今回処分をされた人の内容を見ますと、全部国家公務員法違反で処罰されておるのですが、なぜ違法な争議行為があった場合には、公労法によって処罰しないのですか。
  266. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 公労法ばかりでなく、あるいは国家公務員法を適用せざるを得ぬ場合もございましたし、また、刑法を適用しなければならない場合もあったわけで、もっとも、刑法の適用につきましては、これは郵政省関係しないところでございます。さようなわけで、その人の行為の内容によりましてそれぞれの法律が適用されたので、郵政省としては、公労法の関係の範囲内だけで処置をいたした次第でございます。——ちょっと申し忘れました。公労法ばかりでなく、国家公務員法の適用もむろん郵政省関係しているところでございまして、それ以外の法律の適用につきましては、郵政省としては関知していない次第でございます。
  267. 野上元

    野上元君 この所管事項説明の中には、「昨秋以来の違法な闘争により、国民に多大の迷惑を与えた事実及び暴行、傷害、公務執行妨害という刑事事件」、この二通りになっているわけですね。ところが、今私が質問をいたしましたところ、違法な闘争というのは公労法十七条にいう違法な争議だということでありますが、今回処分された内容を見てみますると、この公労法十八条で処分された者は一人もいないと聞いておりますが、事実ですか。
  268. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 処分の場合の適用法規につきましては、(「大臣に聞いている」と呼ぶ者あり)私たちの方で立案をいたしまして、大臣の御了解を得ておるわけでございますが、根拠法がこまかい点にわたっておりますので、補足さしていただきたいと思うわけであります。  それで、違法という場合には、もちろん公労法にいうところの争議行為も入っておりますが、同時に、国家公務員法にいわゆる職務に忠実に働かねばならぬというような、忠実な職務遂行義務というのが国家公務員法できまっているわけでございますが、それに対する違反事項というのもあるわけであります。それから、先ほどの刑事関係みたいな事項もあるわけでございまして、直接公労法違反に類するものとしましては、実は先般申し上げましたけれども、免職されるものとするという規定がありまして、これについては免職以外のこともできるという解釈もあるようでございますが、この際は、私たちの方といたしましては、公労法を直接適用いたしまして免職するほどのことはないということで、公労法による免職はいたさない。そうして一般的な違法な行為あるいはまた職務忠実義務違反というようなことにつきましては、国家公務員法をもって当てたいということで御了承を得て、大臣の御決裁をいただいたような次第でございます。
  269. 野上元

    野上元君 今私が読み上げましたように、今回処分された理由は、今言ったような違法な闘争、それから暴行、傷害、公務執行妨害、こういうような刑事事件というように、二つに分かれておるのですが、この争議行為によって処分された者が一人もいないということになっておるわけです。そうすると、あの「違法な闘争」というのは処分の対象にはならなかった。従って違法な争議ではなかったのじゃないかと私は言うんです。
  270. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 公労法十七条にいわゆる争議行為でやりましたときには免職という規定が十八条にあるわけでございます。しかし、公労法だけでやらなくちゃならぬということはないのでございまして、国家公務員法に、直接争議ということはございませんけれども、公務員にふさわしくない行為があるとか、あるいは職務の忠実な遂行をしないという場合には、国家公務員法によって懲戒できるという規定がございますので、同じくいわゆるサボタージュ的なことにいたしましても、国家公務員法でこれを処断してもちっとも妨げない、従って、争議的な行為がなかったということにはならないと私たちは考えておるわけでございます。
  271. 野上元

    野上元君 国家公務員法の中には争議行為による処罰規定は私はないと思うんですよ。争議行為の処罰規定というのは、明らかに公労法に譲ってあるはずなんです。にもかかわらず、公労法十八条にいうほど重要でない争議行為を国家公務員法の方によって処罰するということは、明らかに私は行き過ぎだと思うんですよ。もしも公労法十八条によって処分する必要がないとするならば、あっさりと処分は停止すべきだと思うんですよ。それが先ほど私がアルゼンチンの例をとって申し上げましたように、労働問題というのはそういうふうにあるべきじゃないか。それをむりやりにいろいろな法律を持ってきて、むりやりに処分するというような行き方がいわゆる権力主義じゃないか、こういうように私は考えるんですが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  272. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 国家公務員法の八十二条の第二号、第三号を見ますと、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、また「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」ということがあって、そのときには処分することができる、処分の内容は「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」、さようになっておりまして、今回の実際の行ないを見ますと、被処分者のやっておりますことは、暴行、傷害、公務執行妨害といたしまして、この八十二条に該当するものと、さように適用した次第でございます。
  273. 野上元

    野上元君 そうすると、六百名に及ぶ処分というのは、それはどれによってやったんです。
  274. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 国家公務員法八十二条の規定によったのであります。
  275. 野上元

    野上元君 だから、私は、そういう大量に処分するものは、すべて公労法の十八条に譲ってあるというんですよ。さらに例を出すけれども、アルゼンチンにおいても公務員のストライキは禁止されておる。にもかかわらず、ゼネラル・ストライキをやった。そうして、処分はしたけれども解決と同時にこの処分を取り消しておる。こういうやり方をやっておるわけです。それをあなたの方は、むりやりに国家公務員法の方で大量に戒告だとか減給だとかいうような処分をやっておるということは、私は明らかに行き過ぎではないかと思うのだが、その点、郵政大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  276. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私としては、日本の国内法に照らしまして、日本の国情に合いました処置をしなければならない、さように考えまして、外国の例と比較せずに、現在の事態にかんがみまして、原案の出ましたところを見ましてさらにこれに訂正を加えまして最後の指示をしたので、これは大ぜいである場合には公労法でなければ適用がないというふうに解釈せずに、大ぜいの場合でも、公務員である場合に、公務員法を適用すべきものであったと、さように考えまして、公務員法の適用によりまして処置したわけでございます。
  277. 野上元

    野上元君 郵政省の処分を見ておりますと、いつも国家公務員法で処分しておるようですが、ほとんど公労法十八条で処分されたことはないというように見えるんですが、そうすると公労法に譲ったということがあまり意味ないじゃないですか。
  278. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 官房長からちょっとお答えさせていただきます。
  279. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 昭和三十三年の四月におきましては、公労法十八条の適用によりまして処分がなされております。
  280. 野上元

    野上元君 そういうふうに、あなたの方は、あるときにはこの公労法を使い、あるときには国家公務員法を使う。とにかく網の目には漏らさないんだというふうなやり方をやっておられるんだが、それほどにもして処分をしなければならぬという考え方が私には了解できないんだが、その点郵政大臣はどういうふうにお考えになるか。
  281. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ちょっとただいまの要点を……。
  282. 野上元

    野上元君 ある場合には公労法で処罰し、ある場合には国家公務員法で処罰をする。とにかく何かで処罰しなければならぬ、いけないんだというような報復的な考え方、あるいは権力主義的な考え方が流れておるんだが、そういうものを是正する意思はないか。
  283. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 全然報復ということは考えておりません。それからまたどっちかにまあひっかけようなどと思う考えも毛頭ございません。ただ争議行為中——争議と申しますか、労働活動、組合活動の最中に、あまりそれが悪質な者につきましては、これはやはり処分をいたしまして、そうして一罰百戒と申しますか、これによって組合員諸君も反省して、正常な姿に立ち返ってよき労働慣行を作り上げたいという一念から、労働組合のよき発達、慣行の樹立という観点から、あまり悪質な者に対しては処断せざるを得なかったのであります。
  284. 野上元

    野上元君 この問題はさらに追及したいと思いますが、時間の関係で一応問題を少し角度を変えて質問いたしますが、御承知のように、郵政省全逓との間は約一年八カ月にわたって団体交渉が開かれないというような、非常にまあアブノーマルな状態に置かれたわけです。従って、お互いに意思の疎通も欠けるだろうし、敵対的な考え方も出てくるというようなことが、十分にこの労使紛争の場合には考えられるわけです。しかしながら、幸いにして団交が再開されたんですから、この際思い切って今まで処分した者の処分を取り消す、あるいはまた解雇者は復職させるというような思い切った処置をお考えになる。たとえば団交再開は、郵政と全逓との間の一つの転機をつかむ意味において、そういう思い切った処置を考えられるかどうか、お聞きをしたい。
  285. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまのところはそういう考えございません。
  286. 野上元

    野上元君 私が希望しておるのは、こういう機会に再び正常な姿に返るためには、それくらいのドラスティックな手段が必要じゃないかというふうに実は考えているわけですが、郵政大臣は依然としてそういうことはそのかけらもないということでございまして、非常に残念なことでございますが、将来とも一つ十分に考慮してもらいたいと思う。それで、官庁の名前は明らかにしませんが、処分はするけれども、冷却期間を設けて、この処分を取り消したり、あるいは軽減したり、あるいは復職させたりというようなことがしばしば過去において行なわれたのですが、そういう事実は郵政大臣は御存じですか。
  287. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 具体的の事実は存じません。
  288. 野上元

    野上元君 大体公労法十八条による解雇と、それから国家公務員法八十二条による免職とは、どういう法理的効果に違いがあるのですか。
  289. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 公労法によるところの解雇と違いまして、国家公務員法による懲戒の場合は、二年間は復職することができないという規定がはっきり書いてあります。公労法の場合にはそういう規定はございません。
  290. 野上元

    野上元君 そうすると公労法十八条で解雇した者は、いつ復職さしてもいい、こういうことになるわけですか。
  291. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 復職させてはならないという規定がないというだけでございます。
  292. 野上元

    野上元君 現状のところ、あなたは、郵政大臣は、これを復職させるというようなことは全然考えておりませんか。
  293. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまの段階では考えておりません。
  294. 野上元

    野上元君 ただいまの段階ということは、どういうことかわかりませんが。
  295. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいま現状では考えておりません。
  296. 野上元

    野上元君 さらにわからなくなったんだが、現状ではというのは、どういう意味ですか。
  297. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 将来一つの具体的な案件がありまして、その事態に応じた合法的で、しかも弾力性ある、弾力的なこの措置をとった方がよいといったような場合が将来生じますれば、法律の範囲内で、法規の範囲内でそういうこともあり得るかもしれないが、現在までのところでは、そういう措置をする具体的のケースがない、さように考えております。
  298. 野上元

    野上元君 そうすると復職させることは絶対にないんだということではないと、こういうことですか。
  299. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りでありますが、現在の情勢から判断いたしますと、現在まで処分いたした者に対しては、今のところそういうことを考えていない、こういう意味でございます。
  300. 野上元

    野上元君 処分の問題に関する質問はそれで一応打ち切っておきます。
  301. 森中守義

    ○森中守義君 関連して。処分の問題で一、二点関連して大臣にちょっと聞いておきますが、公務員法と公労法の区別が御答弁の中でもはっきりしないのです。つまり私は、全逓という労働組合は公労法によって運動が保障され、かつ規制をされている。従って、その保障並びに規制という範囲の中において、今回処罰に、あなたの方の言われる行為を、行なったと判断をするならば、当然保障もしくは規制をされている法律の適用による処分をするというのが、法律の扱いとしては正当じゃないのですか、それを何がゆえに公務員法によったのですか。
  302. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) ただいまの全逓組合員の処分についてのお尋ねだと思いますが、全逓組合員諸君は、公務員であると同時に、また公共企業体に属しておりますので、この両方の法律が、公労法の適用があるからと申しまして、公務員法が全部端から端までこの適用を受けないというものじゃない。全部排除された、公務員法は排除されたというわけではございませんので、両方の法律がともに生きていて、ともに適用されていく、さように判断いたしております。
  303. 森中守義

    ○森中守義君 もう少しくすっきり御答弁願えませんかね。つまり、公務員法というのは、これは労働組合という、ないしは労働組合員以外の公務員として行ないをした場合に、公務員法の八十二条の一号から三号に該当する行為があれば、これは適用される。しかし、国家公務員と労働組合組合員という二重の性格は持っていても、やった行ないというものが労働組合員としての行ない、つまり公労法の保障を受け、あるいは規制を受ける範囲の中でやった行ないに対しては、当然これは国家公務員法でなくして、公労法の適用をするというのが正しい行政権の執行だと私は思うのです。それを、全体のもので律して、異なった性格で行なった行為を全体のもので律するというのは、これは少し法律の扱いとしては矛盾しませんか。その辺がわからないのだ、あなたの答弁からは。
  304. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 矛盾していないと思います。組合員の人が、暴行を行なったり、傷害をやったりいたしましたことは、これは組合員としてやったんであるか、あるいは公務員としてやったんであるか、その辺の判断につきましては、今回の場合は、全逓組合員は、組合員としては、まさかそういう乱暴なことを組合員としてでなく——まあどういう立場でやったんだかということにつきましては、郵政監察官がそのつど向こうへ参りましていろいろ調査いたしまして、その場合にはどういう法律を適用すべきであるかということを見きわめて参りまして、それを本省に進達して、本省の私たちがそれをさらに検討いたしまして、それで間違いないというふうな法の適用を行ないまして、まあ私がそれについて全責任を持ってそれで処置をいたしたのでありまして先ほどから申します通りに、公務員法の適用が公共企業体の労働関係者には全然適用しなくなった、公労法ばっかりが適用されているのだというのではなくて、一部は公務員法は排除されておりますが、大部分についてはやっぱり公務員という立場におきまして、公務員法が組合員に適用されていると、つまり二重の法律が適用されていると——二重と申すと言葉が悪うございますので、それは取り消しますが、二つの法律が適用されていると、さように解釈いたしておりますので、今回の処置は公務員法の八十二条によって適用を受けたんだと、そういうことで処分いたしたのであります。
  305. 森中守義

    ○森中守義君 これは、今言われるケースがどういうものであるか、それは私はよく知りませんよ。だけれども、先般の解雇及び減俸その他の処分というのは、団体交渉の再開を目ざして、全逓の中央本部が全国的に統一的な運動の中に発生をした問題であるということだけは、これはもうあなたも御承知だろうと思います。そういうことになれば、今私が言ったように、官制上の職務を執行した中から八十二条の一号から三号に該当するようなことであれば、これは当然公務員法の適用を受くべきでしょう。それとは別に、労働運動の一環として行なった行為ならば、いかなる行ないであろうとも、当然公労法の適用を受くべきじゃないですか。その辺が私はむしろ法の乱用であり、行政権の乱用だというように指摘しておる。どうですか。
  306. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) そういたしますと、こういう結果も生ずるかと思います。暴行しても、人に傷つけても——公務員である組合員諸君が、人に傷つけたり暴行したり、公務執行妨害をしても、それは公労法に規定がないから処罰は全然できない。どんな乱暴なことをしてもいいということになっては、法の、労働関係の正常な状態も実現できなければ、また、公務員としての秩序ある日常生活もできていかない。執務もできていかない。やはり自分のところについては責任を負うべきであろう、さように考えます。そこでどういう法律の適用をするかは、その場合によってきめるべきものであって、ただいまの森中委員の御意見というものは、私たちの見解とはまるで見解が相違しておると、さように判断いたします。
  307. 森中守義

    ○森中守義君 これは何も見解上の相違だということでは大臣済まされません。私は国家公務員法によって労働運動が保障される、あるいは規制をされているというなら話は別だ。ではなくて、公労法によって労働運動が保障をされ、規制をされる。こういうことであれば、その規制、保障されている法違反を犯したならば、当然その法によって処分をすべきが、これは法の扱いとしても当然だろうと思うわけです。全然関係のないような公務員法を引っぱってきて処分するというのは、理屈に合わんじゃないですか。だからその点は、官制上の職務を執行をして、その官制上の職務執行に違反をしたならば八十二条が適用される、これが筋道じゃないですか。それを勝手に自分たちの都合のいいような解釈をして、どれでもこれでも法律を適用するということになれば、頭からこれは労働運動を否定するということになるじゃないですか。その辺がもう少し郵政大臣は頭脳の整理を必要とします。
  308. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) そういたしますと、その論理で参りますと、労働組合組合員が暴行したり傷害を与えた場合にも、それじゃ一体処罰されないのかということになりますが、そうあっては社会の秩序というものは保たれないと思います。特にそれが全体への奉仕者であり、公務員である場合には、公務員としての八十二条の適用を受けて、それ相当の処分をされるのは当然であろうと考えます。ことに、それが刑事事件に発展いたします場合には、それは今度刑法の適用もあるでありましょうが、刑法の適用までに至らない、公務員としての態度として、それにふさわしいかどうかということにつきましては、八十二条の適用があって一向差しつかえない。公労法があるから公務員ではないということじゃない。公労法があっても、やっぱり公務員は公務員である。さような観点から、今回の行動につきましては公務員法を適用した次第でございます。
  309. 森中守義

    ○森中守義君 いや、私が聞いておるのは、原則的な法の扱いを聞いておる。そういう個々のケースは今ここで一々私は論議しようとは思っていない。正しい法律の扱いとしては、国家公務員が職制上、官制上の仕事をする場合には、公務員法に違反したならば、それによるべきであろうし、労働運動が保障をされ規制をされている法律によって犯した違反があるとするならば、それに基づくのが法の扱いとしては正当じゃないか、こういう聞き方をしておる。やっぱりあなたの言われるのは混同している。そうじゃありませんか。
  310. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 混同していないと思います。
  311. 森中守義

    ○森中守義君 それは一応もう少し研究することにしまして、そこまで話がいけば、それではあなたの責任はどうなる。つまり国会対郵政大臣、この間の因果関係はどうなるのでしょうか。
  312. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは大方の皆さんの御信任を得て行政の担当をいたしておるのでございます。もし国会でもって不信任案が通過いたしますれば、私は責任をとってやめることに相なります。
  313. 森中守義

    ○森中守義君 あなたは質問を最後まで聞かないで答えるから、ますます私の質問がしにくくなる。私が聞こうとしたのは、そういう形式的なことじゃない。大臣の政治責任をどうするのだ、国会に対する道義的な責任をどうするのだ、こういう聞き方です。それはこの前の委員会をもう一回思い起こしてもらいたい。私はあの会議録はこのあとまでとっておきますけれども、ここでいきなり不信任を出すとか、解任決議案をどうこうということまでは話しはしていないけれども、所定の期日までに年賀郵便八億済んで二億が残っておる。しかるに委員会あるいは本会議を通じて、きわめて調子が高く、多少のぼせぎみで絶対に配達しますと言った。しなかったときの責任はどうするか、こう言ったところが、あげて郵政大臣がとるということを会議録に残した。これは解任決議案だとか、不信任案だとか、そういうことは言わないにしても、まことにその瞬間における大臣の将来の見通し、判断の基礎、いわんや国会における答弁というものは無責任のそしりを免れないでしょう、その責任をどうするのかと聞いておる。これは答弁要らない。この次、はっきりあなたに会議録を示して迫る。ただあなたはそのことを了承しておいていただきたい。
  314. 野上元

    野上元君 それでは大臣がおられるのですから、この際、定員関係など、基本的な問題について二、三質問をしておきたいと思うのですが、三十五年度において、郵政当局としては一万六百八十九名の増員を要求されたわけです。しかしながら、大蔵省の査定によって四千五百三十三人という半分以下に削られたのですが、これを郵政大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  315. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私たち郵政省としてできるだけ定員の数をふやしてもらいたくて、できれば一万一千人くらい定員をふやしてもらいまして、非常勤を極度に少なくしていきたいというふうに考えておりましたのでありますが、国家財政の総合的な見地から他の関係省、つまり大蔵省でありますが、との折衝の結果、ついに四千五百三十三名だけ査定を受けた次第でございまして、郵政省としてはもっとほしかったけれども、国家全体のことを考えて、原案としてこの辺で落ちついたわけでございますので、あとは最初の計画とは違いましたが、非常勤等を埋め合わせまして、仕事に支障のないように運営して参る考えでございます。
  316. 野上元

    野上元君 そうするとこの削られたということについては、郵政大臣としては遺憾だと考えておりますか。
  317. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。
  318. 野上元

    野上元君 なぜ削られたかというと、あなたは今、国家全体のためにと、こういうふうに言われておりましたが、国家全体のためというのは何という意味ですか。
  319. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 私たちの方は、ついほかの役所のことはともかくといたしまして、郵政省内で完全に仕事を果たしますために、それは非常勤でも完全に仕事を果たし得るのでありますけれども、できるだけ非常勤を少なくして常勤を多くしてやっていくのがよろしいという郵政省だけの都合を考えまして、さように概算要求いたしたのでありますけれども、大蔵省のように各所管省全体について考えなければならない立場の役所といたしましては、郵政省は四千五百三十三名、それでもうんと奮発したつもりだったようでありますが、前年度から比べますと大奮発をしてくれたことは、よく私も大蔵省にその点では感謝しておるのでありますが、感謝はいたしておりますけれども、しかしやはり概算要求だけをとれなかったということについては残念に思います。
  320. 野上元

    野上元君 半分以下に査定されて感謝しておったのでは、これはもう従業員がたまったものじゃないですよ。これは非常に私は問題だと思うのですが、たとえば私今資料を持っておるのですが、昭和二十九年における郵便の取り扱い数を一〇〇とすると、三十四年には一三五になっておるのです。大体そうすると定員の方を見ると、昭和二十九年を一〇〇とすると、三十四年はわずかに一〇七になっておるのです。こういう郵便物に対する定員の増員状態は、これは正常なものと考えられておりますか。
  321. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 先ほどまず御意見ありました感謝の問題につきましては、去年より多くしてくれたということに対する感謝でありまして、概算要求通りくれなかったということについては残念だと申し上げておる。  それで次の御質問であります、物が非常にふえているのに比例しないで定員がとれなかったことをどう見るかということにつきましては、この点大へん遺憾であります。ただ事業の運営といたしましては、ほかに三千三百七名の賃金者がおりますので、合計約八千名から働く人ができておりますので、運営には一応支障ないわけでございます。
  322. 野上元

    野上元君 今私は申し上げましたように、昭和二十九年と三十四年を比較すると、大体三五%ぐらいの郵便物がふえておるのですが、そのときに昭和二十九年の人員を申し上げますと七万三千五百八十五人になっている。この郵便物の上昇率から見れば、三十四年は幾らになったら適当だというふうに郵政当局は考えられるのですか。
  323. 板野學

    政府委員板野學君) 大体郵便物の増加に即定員がそのパーセンテージと同じようにふえるということは私ども考えておりませんので、能率の幾分の向上、いわゆる手すき時間においてこれが処理されるような部面もございまするし、あるいは機械化等によりまして幾分これが緩和されるという面もございます。そうすれば私ども大体昭和二十九年——こまかいその上昇の数字というものをちょっと持ち合わせておりませんけれども、大体毎年私どもが四千ないし五千の定員を要求しておるわけですが、私どもの考えといたしましては、昭和三十四年の物に相応する定員といたしましては、大体八万三千人くらいが私は適当じゃないかと、八万三千、ごくラフな概算でございますけれども、その程度のものが必要じゃないかと考えております。
  324. 野上元

    野上元君 そうするとこの八万三千が妥当だとすると、大体七万八千しかないのですから、五千人も不足になっているわけですね、三十四年度において。そうすると三十五年度においてまたこれを六千名ばかり削られてしまったということになると一万一千人、それこそラフに計算して一万一千人不足しておる、こういうことになる。こういうことを毎年々々繰り返していったら最後はどうなるかということになると、非常にこれは憂慮すべきことだと考えますが、どうしてこういうふうに定員郵便物にマッチして増員されないのか、その原因を聞きたい。理由を聞きたい。
  325. 板野學

    政府委員板野學君) いろいろ大蔵省の考え方もございまして、一般に私どもといたしましては、郵便物の増加に相応した定員はぜひもらいたいという考え方でおるわけでございますけれども、国の全般のやっぱり政策等からいたしまして、なるべく定員をふやさないというような考え方もあるようでございます。しかし、私どもといたしましては、そういうことから、先ほどから申し上げますように、定員をもらえない原因は、全体の経済と申しますか、そういう国の全体の政策から出ているように、私ども考えます。
  326. 野上元

    野上元君 私は不思議に思うのは、郵政省は独立した会計でやっているわけです。いわば独立採算制を根本的な原則にしてやっているわけです。それがなぜ国の全体に影響されてこういうふうに定員が増員されないのか。それが非常に不思議に思うのですが、それは大蔵省が横やりを入れて、増員の要求に対する査定をやっているのじゃないか、こういうふうにわれわれとしては考えるのですが、郵政大臣どういうふうにお考えになりますか。
  327. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その通りであります。
  328. 野上元

    野上元君 そうすると大蔵省の横暴を排除するためには、どうすればいいのですか。
  329. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは私横暴と考えていないので、どうも大蔵省はあっちの役所、こっちの役所、全部に通じて考えなければならないので、やむを得ないことだと思う。当然と申しますか、郵政省のことだけを考えてくれるわけにいかないことはやむを得ないと思います。さように考えておりまする
  330. 野上元

    野上元君 郵政省に適当な増員をすることが、どうして国家的の経済の面から見て不利益を及ぼすのですか。
  331. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) やはり国の財政は、あっちにもこっちにも支出していかなくちゃなりませんので、そのバランス上、給与総額を出しましてきめて参ります関係上、なかなか理想的にこっちの概算要求通りもらえない、さように考えます。
  332. 野上元

    野上元君 そうするとあっちこっちに金をばらまかなければならぬと言われておるのですが、郵政省からあっちこっちにばらまかれる金というのは、どういう金ですか。
  333. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) あっちこっちばらまいていくのじゃない。大蔵省があっちの役所、こっちの役所と、財政を計画して見ていかなければならないので、郵政省の希望だけばかりを見てもらえない。ばらまくという意味は、そういう意味で申し上げたのでございます。
  334. 野上元

    野上元君 どうしてもあなたのお答えでは、大蔵省が郵政省の増員要求を査定する根拠が薄弱だと思うのですがうその点唯々諾々と下がってくる心境をお聞きしたいのですがね。
  335. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) これは唯々諾々ではなかったが、(「泣き泣きですか」と呼ぶ者あり)相当折衝いたしましたのですが、今回の予算は、郵政省全体を通して見ますと、郵政省始まって以来のたくさんの予算をくれましたので、定員につきましても確かに希望通りはくれませんでしたけれども、前年度よりはたくさんくれましたものですから、あとは非常勤で一応まかなっていけば、郵便事務にいたしましても、郵政の仕事をいたしますにも、まずこれならやっていけると考えましたので、応じたのでありまして、どうもなかなか毎年のことながら、概算要求そのままをいれられるというふうなことがむずかしくてそういう例が一つもないという形容詞を使いたいのが実情であることも十分ごらんの通りでございます。この点で一つ御了解願いたいと思います。
  336. 野上元

    野上元君 すでに三十四年度において概算して五千名不足だ、さらにまた六千名不足になると、一万一千人の不足になる、これを郵政省では、これでもやむを得ないのだ、あとは非常勤でやっていくんだというような考え方では、いよいよ職場が混乱するばかりだと思うのですが、その点について、あなた方は責任をもって業務の運行ができる確信がありますか。
  337. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 一生懸命にやって参ります。
  338. 野上元

    野上元君 私はあなたの希望的観測を聞いておるのじゃなくてそういう確信がありますかというのです。
  339. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 組合の諸君も、組合外の諸君も、一生懸命になって協力してくれますれば、やっていける確信はございますので、何分組合の諸君もよろしくお願いいたします。
  340. 野上元

    野上元君 こういう状態、これは組合員にも内容がはっきりわかっておると思うわけなんですよ。従って、組合からは五万数千名の増員要求が郵政当局に出ておるということを聞いておるわけです。しかも、その五万数千名の計算も、必ずしも不当なものではないように思うわけです。私も直接計算をしたわけじゃないのですから、はっきりわかりませんが、しかし物数を調べて参りますと、それぐらいの不足が今日出てきておるのじゃないかというふうに考えるわけです。さらに毎年々々査定されていくということは、郵政当局にとっても、先ほど来不満であるということを言われたわけなんですから、これを何とか是正しなければ、こういうことが積み重なっていくというと、またまた不測の事態が起こるのじゃないかということを心配しておるのですが、しかも、こういう状態が従業員にわかると、郵政省の親心というものをはっきり私は認めないと思うのです、こういう状態では……。それをあなたの方は、ただ、うまくやってもらいたい、了解してもらいたいというような言い方では、これはなかなかうまく解決し得ないのじゃないかということを心配しておるのですが、郵政当局としては、組合員をどういうふうに説得するつもりですか。
  341. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) それに対しましては、合理化、機械化等を一生懸命にやりまして、郵政の従業員諸君も楽に仕事ができるように、スピード・アップできるように、一生懸命に私も考えておりますが、しかし、なお詳細につきまして経理局長からお答えさせていただきます。
  342. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) それでは補足して説明させていただきますが、先ほど野上先生から、要求一万六百八十九人に対して四千五百三十三人しか成立していないじゃないか、半分にも足りないもので、郵便事業の円滑な運営ができるかという御質問があったわけでございます。実は一万六百八十九人という要求数は、内訳で見ますと、その中で郵便事業関係の要求数は五千六十六人ということに相なるわけでございます。あとは一般の無集配局の設置のためだとか、他の業務関係だとか、共通の部門の関係だとか、いろいろ含めまして、合わせて一万幾らということになるわけであります。郵便事業関係だけをとってみますと五千六十六人でありますが、これに対しまして郵便業務関係で、郵便事業で幾ら成立したかと申しますと、結果的には二千七百四十六人ということに郵便事業ではなっておるのでありますけれども、この経過を申し上げますと、一応大蔵省で認めましたものは三千二百九十七人という数になるわけです。この三千二百九十七人から、事業の機械化の経費がいろいろ認められまして、その機械化をすれば能率も上がるのじゃないかということで、機械化のための減少、これは毎年そういうことになっておるわけでありますが、機械化するための定員減というものが五百五十一人ということに相なりまして、三千二百九十七人からそれを差し引きました残りが、ネットとして二千七百四十六人成立した、こういうことになりますのであります。  それで、もう一つ昭和二十九年との物の伸びと定員の伸びとがマッチしないではないかという、もう一つの御質問。これはまあ数字から形式的に申しますと、確かにそういう御指摘もごもっともでありますけれども、ただいまも申し上げましたように、毎年機械化の予算をかなりとっておりまして機械化による能率と、そのための減というようなことで、表には定員成立としてあがってはおりませんけれども、一応認められたというものは、陰に定員としてあるわけでございます。それと、それから、これはまあ郵務局長の主管でございますけれども、物数が伸びましても、それにマッチして定員が伸びなければならないということは必ずしも申せないのでございまして、と申しますのは、郵便局にはたとえば局長とか課長とか主事とか、そのほか、まあ最低の人を配置要員——基幹要員と申しますか、そういったようなものがあるわけでありまして、そのほかに、物数……。もう一つ言いかえますと、物数が伸びても必ずしも増員を必要としない分野というものもあるわけでございます。そういった関係で、物数の伸びに定員の増が若干おくれるということは、これは一つやむを得ない面もあるということ。それからもう一つ定員に見合います賃金、これが新年度郵便関係について見ましても一千七十六人成立いたしております。この賃金というものは、新年度、三十五年度におきまして、物数は一応伸びるであろうと見込まれますけれども、まだ確定的なものになってない。従って、さしむき賃金でまかなってもらって、翌年、確定化しましたときにこれを定員に振りかえるといったようなものが大部分であります。そういうものが賃金としてもこのほかに成立いたしております。そういったようなものをいろいろ総合いたしまして、郵務局におきまして、不十分かもしれませんけれども一つ業務運行をやっていっていただくというふうに私ども考えておる次第でございます。
  343. 野上元

    野上元君 必ずしも郵便物の上昇指数に見合って定員が上昇するということは私も考えておらない。それはもう同一じゃないと思いますが、少なくともそういうことは一つ理屈であって、それならば現状定員でよろしいか、現状定員は妥当かどうか、その点についてあなた方は確信のある答弁ができますか。郵政大臣、現状定員は妥当であるか……。
  344. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) もっとほしいと思っております。
  345. 野上元

    野上元君 私は、この郵便事業における要員事情というのを、この間あなたの方へ資料要求したのですが、これを見ればこれは全く明らかなんで、あなた方が常に、最も経済が安定した、社会情勢が安定した昭和九年を    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 基準にとってやっておられるのですが、これだけの郵便物に対してこれだけの定員を配置しておったにもかかわらず、その後定員はずっと減っていっておるが、郵便物はふえていっておる、こういうふうなのが、あなたの方が発行されて世に問うておるわけですね。これはそれではでたらめだというわけですか。
  346. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) いえ、全く実情をそこに表わしました通りで、もっと定員はほしいのでありますが、しかし、賃金者もございますので、運営としてはどうにかこの程度でやっていけると、そういう意味であります。
  347. 野上元

    野上元君 それで、郵政大臣もさらに定員がほしいと、こういうふうにはっきりと答弁されたわけですが、どうしてできないのかは、先ほど言ったように、大蔵省が査定するからだと、こういうことになったわけです。それでは、なぜ大蔵省が査定するのかといえば、国家的見地に立って査定するんだと、こういうわけですね。何のために国家的見地に立って郵便従業員の増員を査定し、そして従業員に過酷な労働をしいなければならないのか。その点も国家的見地からやむを得ないと、こういうわけですか、その点はっきりしてもらいた。
  348. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 途中までは御意見通りでありますが、その最後の、だから過酷な労働量を郵便局員に云々という点については、さような考えは毛頭ございません。先ほどから申しあげます通り、大蔵省といたしましては、郵政省のことばかりでなく、あっちの役所、こっちの役所の定員問題につきましても考えていかなくちゃいけない。そうすると国家的に、給与総額は大体このくらいときめて、それを割り振っていかなければならないといったような全体的な財政の都合上、郵政省が今度こういうふうな査定で、私たちも賃金者というものを考えまして承諾したようなわけで、あとはこれで一つ一年やりまして、一年たちましたならば、またそのうちから、経理局長の申しましたように、また定員の方に繰り上げてもらう、また次の年にはたくさん概算要求いたしたいと存じますので——次の年は私はどういう立場にいるかは別といたしまして、郵政省のために一つ御協力いただきたいと存じます。
  349. 野上元

    野上元君 時間がありませんので、残念ながら最後まで質問できませんが、そういう方針でいきますと、非常勤がますますふえていくのですが、この非常勤の問題については、これは非常に与野党とも重大な問題だというふうに考えておるわけです。この非常勤がやはり郵政事業の中であまり大きなウエートを占めてくると、大きなガンになると思うのです。すでに昨年末あたりには相当問題になっておったわけですが、だんだんふえてくるということになると、さらにそのガンが拡大していくのだが、それに対して郵政当局としては対策を考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  350. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) その点につきましては、四千五百三十三人のほかに、まだ新陳代謝によりますものが七千人あるわけでございますから、それが大体において本務者に来年はなれますから、そういうような数字から考えますと、まあこれならば大体におきまして正常な運営ができていくと考えます。それにいたしましても、定員は多いほど仕事はやりよくなるわけでございますので、その意味で概算要求と違った数字を見ましたことは残念に存じますが、まずまず今申し上げましたような数字をからみ合わせて考えますと、本年度はこれによって支障なく運営、運行していくことができる、さように考えております。
  351. 野上元

    野上元君 そうすると今郵政省の中に、本来定員化すべき非常勤というのは現在ではどれくらいいるのですか。
  352. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 計数はここにちょっと持ち合わせておりませんけれども、今お話のように、大体ことしは相当の増がとれたのでございますし、年度途中に物数を見ながら定員化したいということがあるのでありまして、相当数の非常勤が全部定員にならなければならぬというふうに考えておりません。全般的な非常勤の諸問題につきまして、目下組合と非常勤者の労働問題に関する協議会というものを持っておりますので、その間でよく話し合いをしながら考えていきたい。同時にまた、財源の都合等もございますので、来年度どう持っていくかということも、目下財源的な面を検討いたしており、まだ結論を出していない、これが実情でございます。
  353. 野上元

    野上元君 具体的な計数をお持ちでないそうですから、この次に明らかにしてもらうことにいたしますが、現実には本務者と全く同じような状態で勤務しておる非常勤の諸君がだいぶおるようですが、それらの待遇については非常に差がある、格段の差があるということについてはわれわれとしては奇異に感じておるのですが、これは使用者としての郵政省側はどういうふうに考えておられますか。
  354. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 現在のところ、本務者と非常勤者との間に相当の給与の差があることに本年は異常な年でありましたので、非常に多くの非常勤を使いまして、結果的に相当差があったことはおっしゃる通りでございます。そこで非常勤者の給与をどうするかということは、根本的にはやはり予算でより多くの人を定員に持っていく。幸いことしは前年度に比べまして相当多くの定員がふえておりますので、同時に相当新陳代謝も考えられますので、そういう意味で非常勤の人をすみやかに本務者に上げていくということによって、個々の人間は早目に救済したいと思うわけです。しかし制度としては非常勤者全廃というわけにいきませんので、今お話のように、相当制度として残っていくのでございますから、今、目下労働条件に関しましては、そういう組合との協議会を通しまして、また、私たち自身もいろいろな案を持って実は組合に提示いたしておりますが、そういう面を固めていきたい。何らかの形で少しでもよくなるように見ていきたい。財源等ともにらみ合わせて目下研究している段階でございます。
  355. 野上元

    野上元君 そこで最後に締めくくりでございますが、先ほど来問題になっておりましたように、どうも郵政省定員の増員が査定されたり、よそからの均衡のために不当に抑圧されてしまうというようなことがあるのですが、そのために一つ方法としては、定員法を撤廃することがいいのではないかということを私は昨年の委員会において申し上げたのですが、定員法撤廃について今どのようになっているかお聞きしたいと思うのです。
  356. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 定員法撤廃につきましては、一応定員法をはずした方がいいのではないかというような案が行政管理庁から人事担当者の会議に出て参りました。しかし人事担当者の会議は二、三回やっておりますが、やはり今の常労でありますとか非常勤者という問題を何らかの形で解決をしないで、そのまま定員法だけはずすということは、相当問題があるのじゃないかというような意見もいろいろありまして、    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕 結局まだ結論としては各省の意見が一致していないという段階でございます。
  357. 野上元

    野上元君 つい最近定員法に関係のある各省の官房長会議がありましたか。
  358. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 行政管理庁主宰で一回ございました。
  359. 野上元

    野上元君 そのときに荒巻官房長はきわめて消極的な態度をとられたということを漏れ聞いておりますが、その点間違いありませんか。
  360. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私は定員法改正に伴ってどういう問題が発生するかということにつきましての問題点を提示したことでございます。
  361. 野上元

    野上元君 そのときその問題点があるためにはずさない方がいいという意見にとられるような意見を吐いたわけですか。
  362. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私は問題点を述べたということで、各官房長と意見の交換があったということでございます。
  363. 野上元

    野上元君 そうするとあなたの真の意図は撤廃にあるのか、存続にあるのか、はっきりお聞かせ願いたいと思う。
  364. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 私はまだその点につきまして最終結論的な答弁をいたすようなことは差し控えたいと思います。
  365. 野上元

    野上元君 この問題についてはもう先般来何回もやっておることであって、いまだ連絡調整の責任者である官房長が、まとまった意見を吐く段階でないということはおかしいと思うのですが、今まで郵政省はこの問題については全く検討しておらなかったということになるが、その通りですか。
  366. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) この問題はいきなり官房長の問題になったのではございませんのでありまして、次官会議等におきましても検討されたやに聞いております。それで結論も出ず、また一段下げて官房長においてさらに具体的な問題点を討議し合ったということでございまして、省内としては従いまして、まだ問題点としてのものが残っているというのが実情でございます。
  367. 野上元

    野上元君 そうすると過去において郵政大臣あるいは次官等は、撤廃に賛成であるというような意見を吐かれたのですか、それはまた逆戻りですか。
  368. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 実はこの問題は、これもやはりもうお耳には入っていると思いますが、ざっくばらんに申しますと、閣僚の懇談会でも話が出まして、行政組織法の担当者からも話がありまして、これを一つ寄ってよく打ち合わせようじゃないかということで、ちょうど本日は各委員会に早く皆各省大臣が出席しなければならない関係で、閣議を早く打ち切りになりまして、今度は一つできるだけ早くこの問題を打ち合わせようということで散会しておるのでございます。官房長の申しましたのは、消極的という意味は、反対だとか賛成ということでなしに、かりにこれが実現するといたしました場合に、いろいろな問題を考えていかないと、定員ワクははずされた、はずされた人は、かえってこれなら定員法のあったときの方がずっとよかったということになってはいけない。そういったようなことについて、たとえば法の問題をどうするとか、あるいは共済組合の問題をどうするとか、いろいろな問題について考えていかなきゃならないわけで、それらの点は官房長から指摘して、そういうふうな難点を掲げましてこそこの問題が前進を見るわけである。さような観点から官房長の今努力をしたものだと、そういうふうに私も聞いておりますし、考えております。この問題はいましばらく時日をおかし願いませんと、何しろ問題の波及するところ多いのでございまして、結論が出まするまでにはまだ御猶予願いたいと思います。
  369. 野上元

    野上元君 いや、私は過去の逓信委員会においては、郵政大臣も次官も、定員法撤廃は賛成である、理論的に正しいということを答弁されたわけなんですが、それがまた再び逆戻りしたのかということを聞いているのです。
  370. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) さようではありません。
  371. 野上元

    野上元君 そうすると今でも撤廃することには賛成であるというふうに考えておられるわけですか。
  372. 植竹春彦

    ○国務大臣(植竹春彦君) 概論的にはそう考えておりますが、しかし、これをいよいよ実現して参りますには、先ほどから官房長も心配いたしましたような各種の点がございます。それから他の役所におきます定員問題につきましてはどうするか。これは郵政省定員だけをはずすわけにいきませんので、いろいろな条件を持ち寄りまして、それでまあ最小公倍数、あるいは逆に最大公約数なりをこしらえていかなけば結論が出ないわけでございますから、趣旨といたしまして、私の考え方はちっとも変わっておりませんけれども、具体的に実現を見るまでにはいろいろな問題を解決してからでなければ実現できないのだ、こういうことで申し上げているので、決して消極的になったとかというわけのことではないのでございます。
  373. 野上元

    野上元君 行政管理庁では、もともとこの主唱者の一人である郵政省が突如そういう消極論に変わったことに非常に奇異の念を感じているわけで、意外に考えているわけですが、今日においては行政管理庁ばかりでなく、ほとんどの各省庁が定員法撤廃に踏み切っているというような状態の中で、主唱者といわれた郵政省が急に退歩したということは、どうも理由がわからないのですが、何か特別に理由がありますか。
  374. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 定員法撤廃に関する郵政省が主唱者だということは、ちょっと私はそう思っておらぬわけでございまして、過去たびたび定員法をどうするかということは国会で論議されておりますし、それから諸先生の質問に対して、歴代大臣も、定員法がそのまま郵政省の場合にいい法だというふうには思わない。しかし公務員法全体とからみ合わせたときにいろいろ考えてみようと、それに類した考え方を持っているわけであります。決して無条件にできるということをおっしゃっているわけではなかったと思います。ごく最近の段階におきましても、そういうようないろいろな条件が検討されないままに、ぽかっとそういう案が出たわけでありますが、私たちとしても、絶対に反対だということは言っておりませんけれども、たとえば予算と法律案、二重の制限をする必要はないのじゃないかということでございますれば、これは単に現業だけでなくて、一般の公務員全部これははずしていいのだと思います。同時にまた、はずすにいたしましても、常労とか非常勤の問題をどうしてくれるのだという意見も各省から出ております。また、私どもの方といたしましては、戦前は官吏だけを官制定員にしておって、そして現業の雇用員は定員からはずしてやってきておりましたけれども、このためにいろいろな場合に非常な損をしたことは、もう先生方御存じの通りだと思います。それが戦後国家公務員法で、いわゆる官吏も雇用人も一本の国家公務員だということで、国家公務員法のいわゆる一般職員だとなることによりまして、すべての面で処遇が改善され、同時にまた、いろいろな判例等におきましても非常によくなってきておるということも御承知の通りと思います。そこで私たちの方では今全体的に定員をはずしたらいいじゃないかという意見が非常に強くなってきておりますので、たとえば聞きますところによりますと、ここしばらくそういう条件を検討しようじゃないかという話がございますので、私たちとしましては、関係方面とそういう面についてある程度の保障をとりたいという気があるわけでございます。それはただ単に郵政省だけを今はずしまして——また急にはずさなくちゃならぬという理由も私はないように思います。と申しますのは、予算と法律がほとんど同じでございますし、予算をとりますときに、かつては定員法があるために非常に予算をとるのに妨害になったということもございますが、最近はいろいろな、諸先生方の御厚意によりまして、郵政省定員法が非常に大きな問題だということで、定員法があるから予算がとれないという問題は今のところ起こっておりませんので、私たちとしては、非常に定員法の問題が永久に片づかぬ問題でなくて、全体的にそういう機運が高まっておりますならば、この際関係方面とよくそういう身分上の問題も、それから現在予算上、定員になっていない人の処遇の問題につきましても、ある程度はっきりした今後の見通しをつけたいということで、今いろいろと研究をしておる。同時にまた、行政管理庁もたびたび人事担当官を集めまして、各省の意見を聞いておるという実情でございますので、私たち気持を御了察いただきますとありがたいと思います。
  375. 野上元

    野上元君 人事部長は今まあ絶対反対ではないと言われたんですが、これは賛成ということとだいぶ違うと思うのですね。絶対に反対することはないのだ、しかしやや反対だという場合もあり得るわけだな。しかし大臣は賛成だと言っておられるのだが、その点は非常に食い違いがある。
  376. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 絶対に反対ではないというふうに申したことがお気にさわったといたしますならば、その点は削除いたしますけれども、結局全体的にそういう動きがあります中で、現業だけを早めにやるということにつきましては、先ほども身分上の問題その他のことで、私としては公務員制度調査会その他とも相当連絡をとってはっきりしていきませんと、将来あとになって、定員法に入っていないからということで、全然関係がない問題の場合に、差別待遇をされることがないとも言えない。今でもときどき、もう定員をはずしたならばちょっと処遇が違うというようなことを放言する人がないでもございませんので、そういう点を非常に慎重にやって、廃止したあとで実害がないようにしたいということで、今人事担当官がみな集まりましていろいろな意見が出ておるということでございます。
  377. 野上元

    野上元君 そうすると人事官会議で私が聞いておるのは、各省庁の人事官はほとんど積極的に賛成に変わってきたけれども郵政省だけが非常に消極的になったということは事実じゃないのですか。
  378. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 私たちは人事担当者が帰って参りまして、私に報告いたしますこと、あるいは官房長から官房長会議の話を聞きますと、それは相当各省意見が一致しておるわけでございます。ところがあとで郵政省だけ引きずりおろしておるとか、郵政省だけが反対をしておるという話を聞きまして、実はちょっと意外に感じておるというところで、私はほかの方は踏み切っておるが、郵政省だけは反対だというふうには聞いておりません。
  379. 野上元

    野上元君 それならば幸いなんですが、火のないところに煙は立たぬといいますからね。私はやはりそういう消極的な絶対反対ではないのだというような表現がちょこちょこ出てくるところに、やはり郵政省はまだ非常に消極的ではないかということが、他省庁の人事官にぴんと響くのではないかというように考えるわけです。その点私は郵政省としては十分に気をつけてものを言ってもらいたいというふうに考えるわけです。さらに私は、財政問題等から見て、いよいよこの定員法を撤廃するときがきたというふうに、私は私なりに一つの立論をしておるわけですが、きょうは残念ながら時間がないので、これくらいで私の質問を終わりまして、次回の委員会に譲りたいというふうに考えます。
  380. 森中守義

    ○森中守義君 今の定員関係で、もちろんこれは十日の日もございますし、予算分科会等でもお尋ねをいたしますので、そのときの若干参考にしたいと思いますので、聞いておきますが、毎年定員要求を出されますけれども、この要求の根拠というものはどういうものですか。つまり各現業の末端まで手を加えて、どうしてもこれこれの人間は必要だというので要求されているのか、あるいは大ずかみに去年がこの程度であったから、ことしはこの程度でよかろうという程度のものですか、要するにその定員要求の根拠一つ。それともう一つは、現行の定員を配置されておる基準があると思う。これは漸次増大していく郵便物あるいは業務煩雑化、こういうものを考えてみるならば、当然再検討の段階にきておるのじゃないかと私は思う。もちろん今、野上委員の問題にしている定員法撤廃をどうするかという重大な課題とは別個のものとして、定員に対する基準について再検討の時期にきておるのじゃないかと思うが、それから、そのことを裏づけするように、年々非常勤というものが大体一万六千名を前後として一向に減らない。減らないということは、先ほど組合の方が五万数千名というものを出しているという話ですが、その数字はともかくとして、現実に一万二千ないし一万三千人という非常勤が、毎年本定員に組み入れられておりながら存続していくという事実は、これは一体何を裏書きするものであるか、この辺の事情を一つ、三つに分けて答弁を願っておきたいと思う。
  381. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 第一点の定員要求の根拠でございますが、これはやはり一応のこちらで要求するだけの基準があるわけでございまして、たとえば一番わかりやすいのは、電気通信委託業務関係、これは公社の方の前年度の増設計画というものを、それをこちらの方で見まして、一加入ふえれば何人要るかという能率で定員をはじくわけです。現行では、一人三〇・四加入受け持つという基準能率になっております。ですから増設計画の加入数を三〇・四で割りまして、そうすると自然定員というものが出るわけです。これは郵政省と大蔵省と一応その基準については見解が一致しておりまして、この部門につきましては、比較的機械的に定員がスムーズにとれるわけでございます。これは郵便につきましても同じように一人当たりの年間の単位能率というものをはじき出すわけです。これが現在は百七十五万九千通、一人当たりの一年間の単位能率は百七十五万九千通ということではじきまして、郵便事業の定員を出しておるわけですが、私どもの方では、もう少しこれを能率を甘くしたいというようなこと、大蔵省はもっときつくこれはできるのじゃないかというようなことで、そういうような点につきまして、見解が毎年分かれまして、いつも難渋するわけですが、そのほか貯金につきましても、保険につきましても、一応の能率はあるわけですけれども両者結局見解が一致しない、最後には時間切れ、物別れということに相なっておるのが実情でございます。大体そういうことでございますが、この根拠をこまかく……。
  382. 森中守義

    ○森中守義君 それはけっこうです。再検討の要はないかということを……。
  383. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) このことはそうでございます。私どもとしては、できるだけこちらの要求を通したいと思いますけれども、大蔵省の見解もありまして、いずれ今後また事業局とも相談していかなければならないというふうに考えるわけでございます。  それからあと、次の定員配置の基準、これは人事部長、これはどちらになりますか……。これは事業局でないと、私の方ではちょっとわかりかねますので、担当の方から……。
  384. 森中守義

    ○森中守義君 全体的なものを持っているでしょう。
  385. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) あるはずでございます。各事業局でそれぞれ配置基準というものがあるはずだと思いますが、これは予算が通ったあとの実行でありますから、人事部なり各事業局でやってもらっておるわけであります。ちょっと私の方では責任ある御答弁をいたしかねますので御了承願います。非常勤の問題、これもどうも……。
  386. 森中守義

    ○森中守義君 経理局長、非常勤の問題は一つの例ですよ。つまり人が足りないと、それで毎年非常勤は一万五千名を前後して、幾ら本定員に切りかえても次から次に入れなければ仕事が回らないのじゃないか、ということは、やはり定員の算出、その根拠というものが非常に辛過ぎる。しかるがゆえに各事業部門ごとに、あるいは全体を通してでもけっこうですが、定員算出の基準に対する再検討を必要とするのじゃないかと、こういう聞き方です。賃金が多いとか少ないでなくて、こういう賃金要員が多いということは、定員が足りないということなんだから、それを証明するものだから、もう少し、本定員が何名なければならぬという定員算出に対する再検討を必要とはしないのかと、こういう意味で聞いているのです。だから、これは何も各部門ごとにこまかくおっしゃらなくても、大体概念的な答弁はできるのじゃないですか、人事部長の方が適任かわかりませんが……。
  387. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 定員のことに関しましては、人事部として一応とりまとめておりますけれども、御承知のように、現実は各事業局でこまかい服務基準によって作っておるわけです。そこでおっしゃったように、予算要求いたしますときには、物数と関連して概数的な要求の仕方をいたしますけれども、御承知のように、郵政省の場合は、定員問題が一番大きな問題でございますので、各事業局が服務のこまかい服務基準を作りまして、各郵政局に定員を渡す。各郵政局はそれによって各郵便局定員をきめておる。ところが飛躍的に人がふえないものですから、各郵便局ごとの、各事業ごとの現状ということは非常によくわかっておるわけです、郵政局としましては。それをまた本省としてもわかっておる。従って、現実には個々の局をずっと積み上げてきて、ここにほんとうに何人足りないのだ、どうしてもこれだけなくちゃならないのだという数字は、各事業局で大体お持ちだと思うわけです。その辺が去年ああいうふうな、特に勤務時間が、二十四時間ずっと仕事が連続いたしておりますために、郵便の場合に超過勤務をしなかったということのために、非常に仕事が困難に陥りましてそうして非常勤が非常に多くふえた。ほかの事業の場合は非常勤の問題はそう大きな問題にならないのじゃないか、やはり郵便の場合が一番大きな問題になってくるのじゃないか、こういうふうに私思っております。そこで来年の計画をやりますときに、やはり定員で何名配置して、そうしてその増員をどこに一体今度は持っていかれるか、増員を持っていかれますと、そこでは非常勤者が制度の上でも、個人としても、定員に振りかわるところもあるだろうと思います。逆にまた増員になるかもしれませんけれども、別なところで非常勤が残るかもしれないという問題もあろうかと思うわけでございます。そこで来年の計画をどうするかということが、私たちとしてはこれからの一番大きな問題だろうと思います。そこで、先ほどから申し上げますように、非常勤そのものはできるだけ定員に入れてやりまして、本務者と同じような仕事をする人には同じような待遇をやりたい。しかし、どうしても制度として残るときには、その処遇を今組合といろいろ話をいたしておりますので、その点も再検討して、にらみ合わせて結論に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  388. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、もう一つ聞いておきますが、制度上、予算上やむを得ないから非常勤というものを置いておる。しかし、実際問題としては、郵政省にはなくてはならない人たちである。だから、制度あるいは予算が許すならば、これは本定員に組みかえるものであるということは、了承してよろしいですか。
  389. 佐方信博

    説明員佐方信博君) それはいろんなものがあると思います。たとえば先ほどお話しのように、郵便の場合には本来定員でとりたいけれども、この年度途中の増加があるから定員にしないで非常勤にしておきたいというものでありますれば、これは許せば定員になった方がいいだろうと思います。ところが、そのほかに厚生関係の要員等におきましては、これは予算上必ずしも認められてもいない。大蔵省にしり持ち込みましても、そんなのは知らぬというのもあるかもしれないと思います。しかし、郵政省としては何か差し繰ってそういう制度を持っていきたいということになって参りますと、これはほんとうに定員でなければならぬかどうかという面は少し問題があるのじゃないかというような気がいたしております。数字的に私はそれが何人だということまで今見当がつかないわけでございます。二つに分けて考えられると思います。
  390. 森中守義

    ○森中守義君 大体言わんとするところもわかりますがね。こういうふうに理解していいでしょう。厚生定員が何名になっているかわかりませんが、これはさっき言われた一万三千名の非常勤の中にほんのわずかな人だと思うのです。従って、保険貯金郵便、こういう事業部門に配置されている非常勤というものは、元来必要である定員がとれないので、やむを得ず置いていると、だから、裏を返して言うならば、これは郵政省には絶対必要な人間であるというように理解していいですね。
  391. 佐方信博

    説明員佐方信博君) いわゆる非常勤的な人として厚生を例にあげましたけれども、おそらくそういう人たちが……。
  392. 森中守義

    ○森中守義君 あまりこまかなことは、私も知っておりますから、物の考えとして必要であるとおっしゃっていただけばそれでいい。
  393. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 結局、郵便等につきましては、この来たるべき年において相当増加は予想して非常勤を用意しておるとしますならば、これは欲を言うならば定員になった方がいいんじゃないかと思います。ところが、貯金保険等につきましては、やはり郵便ほど切実な問題ではないのじゃないかという気がいたします。特に貯金等におきましては、やはり仕事のピークの問題で非常勤を置いた方がほんとうはいいんだと、しかし、せっかくなれた人を、一ぺん雇っておいてまたやめさして、また雇うということになりますと、相手の方がいい人が来ないということもありますので、場合によっては引き続き使うという面もないとは私言えないと思うわけでございます。
  394. 森中守義

    ○森中守義君 大体意味はわかりますがね。郵便に限らず、保険貯金も、これは優秀な従業員によっておのおの目標消化をやるのが一番いいことなんだが、だから物の考えとしては、数が一万五千であるか一万六千であるか、毎年大体そのくらいの数字を下らないのです。幾ら現在の古い非常勤を本採用にしても、次から次へと新らしい人が入ってくるということは、やはり事業に対してそれなりに人が必要であるからとったんだと、郵政省は慈善事業じゃないのだから、失業対策でもない。要るからとったんだという考えに立てば、今いる人はみんな必要だということは言えるでしょう。それを要ると、こうおっしゃってもらえば話は簡単なんです。
  395. 佐方信博

    説明員佐方信博君) 毎年それだけの人が要るわけでございますから、事業を運営するためには総体として要るだろうということは言えると思います。ただ、今申しましたように、二年間特殊な状態だったものですから、超過勤務をしないために振りかわりの人をとったものがあるかもしれないし、ピーク調整のためにとったかもしれない、幾分修正は必要じゃなかろうかと思います。
  396. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 別に御発言もございませんようですから、本日は本件に関してはこの程度にいたしたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後五時十九分散会    —————・—————