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1960-04-26 第34回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員異動 本日委員館哲二君、小林武治君及び松 永忠二君辞任につき、その補欠として 野村吉三郎君、近藤鶴代君及び藤原道 子君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            大沢 雄一君            郡  祐一君            近藤 鶴代君            白井  勇君            西田 信一君            野村吉三郎君            湯澤三千男君            藤原 道子君            松澤 兼人君            米田  勲君            中尾 辰義君            大竹平八郎君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    自治庁財政局長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○臨時地方特別交付金に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方財政法及び地方財政再建促進特  別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査  (昭和三十五年度地方財政計画等に  関する件)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  前回に引き続き、臨時地方特別交付金に関する法律案地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方行政改革に関する調査便宜一括議題とし、質疑を続行いたします。   —————————————
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 委員異動について御報告いたします。  本日付をもって委員松永忠二君、館哲二君が辞任され、その補欠として藤原道子君、野村吉三郎君が委員に選任せられました。   —————————————
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 鈴木君。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方財政法の一部改正の問題で、地方公共団体における年度間の財政調整に関してですが、第四条の三が、現行法でも前段のところはあるのですが、「又は」以下が新しいいわゆる改正案として出てきたのでありますけれども、前段の方について、一体こういうこと、たとえば交付税が著しくこえるというような場合に、これは普通の場合ではあり得ないことじゃないだろうかと思うのですが、というのは、普通交付税特別交付税に分けて配分するわけでございますけれども、補正予算なんかがあって、相当多額な金が追加計上せられる。そしてそれがもし普通交付税の方で減額調整なんかあった場合には、その穴を埋めてなおかつ余ったものは全部特交に繰り入れてしまう。こういう措置をとるわけなんですから、そういうとき以外は、そういうことがあまりないんではないか。こういうふうに思うのですが、そういう点、そのように理解していいものでしょうか。お伺いします。
  6. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 経済界が非常に好況にある。その結果、著しく地方税収入伸びてくる。あるいはまた国税の主税も伸びる結果、地方交付税が相当多額に計上できるようになってくるというような場合には、一つには国において地方財源を留保するというやり方があろうかと思うのであります。現在の制度の前身であります地方配付税制度におきましては、配付税総額が前年度よりも一割以上ふえた場合には、それをこえる部分特別会計において留保しておくというような制度があったのでございます。現在におきましては、そういう制度をとっておりません。要するに、地方税なり地方交付税なり、本来地方団体財源となるものは、そのまま地方団体のふところに入っていくという形になっておるわけであります。そうしますと、年度間の財源調整地方団体自体において考えていかなければならないのじゃないか。こういうことになるわけであります。国におきましては、地方財源年度間の調整は何ら行ないませんので、自然地方団体がそのことを心得て財政運営に当たっていかなければならない。そういうような状態でございますので、特にこの規定を置いたわけであります。地方財政全体についての問題もございますし、また、ある産業が特にいんしんをきわめるというようなことから、特定の地方団体において、ある年度における増収が著しいという場合もあろうかと思うのでございます。両様の意味におきましてこの規定を置いているわけでございます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 私のお聞きしておりますのは、第四条の三の初めの方の、「地方公共団体は、当該地方公共団体当該年度における地方交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該地方交付税算定に用いられた基準財政需要額を著しくこえることとなるとき」、このことについてお聞きしているわけなんですが、これは、先ほど申しましたように、まあ考えられる点は、補正予算等で、たとえば、三十四年度においても相当な交付税追加となって出てきているわけですが、こういう場合しか考えられないのじゃないかと、こういうことなんです、端的に言って。
  8. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 原則として、おっしゃる通りでございます。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十四年度で、交付税補正予算後にふえた分は、最初に八十五億だったと思いますが、それからあとで十数億またふえております。その当初の補正で出ました八十五億のうち、四十四億をたしか減額調整分の戻しに使って、残りの四十一億というものを特別交付税に入れた。こういうふうに私は記憶しておりますが、そういうふうな記憶に誤りありませんか。
  10. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二回の補正予算におきまして、地方交付税の増加した額が百五億円でありまして、そのうち財源不足額を埋め切れなかった分に充てたというのが四十四億円であります。従いまして、差額の六十一億円が特別交付税に回ったのであります。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 その国の補正予算等国税三税に補正予算財源を求めた場合、これは、当然自動的に交付税の増額ということになってくるのですが、そういう場合以外に、現在の状況ではあまり基準財政需要額をこえるというようなことはないと思うのですが、かりにこえる場合があっても、これは程度問題だと思いまする著しくこえるということは、どの程度にこえるのか、これはあとでお聞きしたいと思いますが、かりにこえる場合であっても、こういう措置をとる、もちろん現行法にもありますけれども、こういう措置によって地方団体によって積み立てをさせたり、あるいは使い方に対して一つの強い規制をするというようなことは、現在の交付税算定におきますところの基準財政需要額算定そのものがはたして当を得ているかどうかということが、私はやはり前提として問題にならなければならぬと思う。もっと言えば、現在の交付税算定におきますところの基準財政需要額のそれが、よく言われるように、地方団体財政需要というものの実情には即しないというようなこと、行政水準の維持のための適正な必要財源を確保するためには不十分であるというようなことがよく言われるし、私どももそう思うのです。そういうことがもし解決されたあとに、いわゆる適正な基準財政需要額のはじき方をし、財源を補充をしていくというような前提があるならば、私は、今のこういう規定適用されていいと思うのですけれども、そこに問題があるんじゃないだろうか。ですから、かりに交付税の額とそれから基準財政収入額との合算額基準財政需要額をこえるというような場合がありましても、地方団体にとっては、必ずしもそれがほんとう意味での財源余裕があるということでもないと思うし、むしろ、そういう面では、現在の基準財政需要額の引き上げということが当然考えられなければならないことではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点については、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。
  12. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘になりましたような問題が確かにあろうかと思っております。ただ、この前段規定は、現行法にもある規定でございまして、地方財政平衡交付金制度地方交付税制度に変わりましたときに、理論的な見地からこの規定が設けられたわけでございます。すなわち、従来は、財源不足額を各団体ごとに積み上げまして、地方財政平衡交付金総額算定する。それを国の予算に計上する。従って、財源不足額以上の財源地方団体に国から与えるということは、理論的にもあり得なかったわけであります。しかし、地方交付税制度になりますと、国税三税の一定割合の額が自動的に地方交付税総額になって参りますから、理論的には、個々団体財源不足額を全部埋めてなお余りがあるということがあり得るわけであります。そういう場合に、国に留保しておくのか、地方団体に交付してしまうのかという、二つ方法があるわけであります。国に留保する場合には、こういう規定が要らないと思います。地方団体に全部交付してしまうということになりますと、地方団体では、年度間の財源調整考えるべきじゃないかということになってくるわけであります。地方団体に全部交付するということになりましたので、その理論的な欠陥を起こしませんようにするために、特にこの規定を置いたわけであります。将来基準財政需要額が、法律規定されておりますように十分な額が算定されるというようになりました場合には、やはりこういうような規定があることは、実際にもまた即するということにもなろうかと思うのであります。御指摘のような方向に私たちとしては努力して参りたい、かように考えておるわけであります。
  13. 鈴木壽

    鈴木壽君 この規定のできます経過等についてはわかりますが、そこで、実際の法の適用といいますか、そういうことを考えていきます場合に、やはり先ほど私が申し上げましたように、現在のいわゆる基準財政需要額というものの算定の仕方がほんとう実情に即し、地方団体におけるところのいわゆる標準的な行政上のいろいろなそういう仕事をやっていく場合に、その財源を確保できるかどうかということがやっぱり先決問題で、前提条件にならなきゃならぬと思いますから、そういう意味で、現在のは、私は必ずしもそういう要求を満たしておらないというふうに考えますものですから、まあ今後一つ、理論としては確かにこういうこともあり得ると思います。国税三税がうんと伸びた場合に、現在の二八・五%ということによって算出した場合に、あるときには著しくふえるというようなことが出てくると思いますから、しかし、そういう場合であっても、今の前提条件をやはり満たした上でないと、実際の適用の場合では、いろいろ地方団体としては困ることになるのではないか、こういうように思うから、その点をお聞きしたわけなんですが……。次に、ここで「著しくこえる」というようなことがあります。これは、先日も鍋島委員からお尋ねがあったところなんですが、これはどうでしょう。「著しくこえることとなる」というのは、金額で押えるわけにもこれは参らぬじゃないだろうか。各地方団体にとっては、一々金額で押えるということも、事実上これは不可能なことだと思うのです。あるいはまた、基準財政需要額等からした一定割合というようなことも、これもまた必ずしも実情に即したやり方じゃないと思うのですが、この「著しくこえることとなるとき」という、この「著しくこえる」、それをどのように押えて、だれがどう判断をするのか。これは私問題だろうと思うのです。こういう問題から、それこそ地方自治団体自主性をそこなうとか、そこなわないとか、あるいは強制にわたるとかわたらぬとかいうことが出てくるのじゃないかと思いますので、自治庁考えております「著しくこえることとなる額」という、あるいは「著しくこえる」という、そういうものは、一体どういうことを考えておられるのか。御説明いただきたいと思います。
  14. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財政状況が上向いているとき、あるいは下向いているとき、それぞれの状況によってあるいは違うのかもしれません。私たちは、通常の状態においては、地方団体は少なくとも五、六%の繰越財源は持っていたいものと、こう考えているわけであります。また、かつて地方財政が健全な姿にありましたときには、その程度繰越財源は全体として持っておったわけでございます。従いまして、それをこえるような増加状況になって、初めて「著しくこえる」と、こういうようなものの見方ができるのじゃないかと思うのであります。そういうようなことからいいますと、まあ一〇%前後がふえるときから「著しくこえる」と、こういうような表現ができるのではなろうかと、こう私たち考えておるわけでございます。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 かりに、一〇%前後というふうに一応めどを置くということでございますが、そういうようなことをした場合、地方自治団体で、いろいろ財政の事情なりあるいは経費必要額等からしまして、どうもそのいわゆる著しくこえた、一〇%前後というものは、必ずしもそれを積み立てたり、あるいは特別なこういう使い方をするということに同意できない場合があると思うのですが、これらはどういうふうにおやりになるか。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一般財源の額が前年度よりもこえて、さらに義務に属する経費にかかる一般財源に充当して、さらに著しく余りがある場合と、こういうような表現にいたしておるつもりでございます。ただばく然と、前年度と比較して多くなったじゃなしに、義務に属する経費に充てて、なおその余裕の額が著しく多いという場合に積み立て等を行うべきだと、こう書いておるつもりでございます。なお、その場合におきましても、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費財源に充てる」という、かなり幅の広い書き方をしているわけであります。また、幅の広い書き方しているということは、年度間の調整について地方団体自身が努力をする。中央政府個々団体についてあれこれ干渉がましい態度をとるというようなつもりはないと、こういうことでございます。もし一々こまかい干渉をしようといたしますならば、このような幅の広い規定を置かないのでございます。地方団体自身年度間の財源調整に留意する、健全な運営をやっていかなければならないのだというような心がまえを明確にしたいというのがこの規定の本旨ございます。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 事の今よしあしのことはともかくとして、もしいわゆる地方公共団体における年度間の財源調整が必要であり、何らかの規定をしなきゃならぬというような場合があったとしても、この今の私が指摘しております問題のところ、それから「又は」以下と、この二つに分かれておるわけなんですが、実際上は、むしろ「又は」以下のところに、これは当然ここに交付税のことも入っておりますし、こういう全体のいわゆる一般財源の領域の中で取り扱っていくべきが筋じゃないだろうかと、おそらくあなた方も考え方として、今御答弁になったように、そういうふうに考えていらっしゃると思うのですが、しかし、この規定からすれば、現行法にもあるところが依然として生きておるとすれば、これでも一つひっかかってくる場合がある。さらに、「又は」以下のところでまた一つひっかかってくる。こういう二つにひっかかってくる場合もあり得るのじゃないかと思うのです。そこで私は、前の方の現行法にあるところはカットして、あとの方の「又は」以下のところで操作すべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、その点はやっぱり依然として、先ほどお答えがあったように、理論的な立場からこの現行法規定もやっぱり残しておかなければならぬと、こういうふうにお考えになるのですか。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 前段後段とはやはり必ずしも完全に合致していないと思うのでありまして、前段のような場合もあるわけなものでございますから、また、御指摘のように、理論的な問題もございますし、同時にまた、そういうようなことが実際にも当てはまるように基準財政額算定も十分にしていかなければならないだろうと思います。そういうような意味では、そういうこの規定は続けて残していかなければならないと、かように考えておるわけであります。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかし、いわゆる交付税額そのものだけで年度間の財源調整云々というよりも、「又は」以下の一般財源の中に、これは普通税入場譲与税、いろいろこうずっと税関係もありまして、地方交付税も当然入ってくるわけなんですが、こう全般の中に、はたして地方団体のいわば財政的余裕というようなふうに見られるものがあるかないかということを考えていくべきではないか、私はそう思うのです。だから、あなたのその前段の方の規定の成り立ちの経過なりあるいは理論的なこととしては、一応私はわかります。実際上の問題としましては、「又は」以下のところで、一般財源全体の問題としてとらえられるべき筋合いのものではないか、こういうふうに思うわけなんです。その点あらためて、どうなんですか。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) たとえば、年度末近くになりましてから、国税三税の増収を国の補正予算において計上する。そうしますと、自動的に相当な地方交付税交付額が増加してくる。年度末にそれをさらに地方団体追加配分する、基準財政需要額だけは完全に埋めてしまっても、自然その追加額特別交付税となってさらに追加配分されてくる。それを地方団体がただ使ってしまうのだということであります場合に、はたして国の予算に自動的に追加計上しなければいけないというような制度がいいか悪いかという問題が出てくると思います。やはりそういう場合、原則として地方団体積み立てを行なう。そうして将来のことも考えてその財源を使っていくというような建前になっていくべきじゃなかろうか、かように考えておるわけであります。あるいはまた、地方団体にすぐ渡しませんで、そういう場合には国において留保しておくということが一つ方法かとも思いますが、地方団体が責任をもって財政運営をやっていくことができれば、地方団体に全部まかした方がいいのじゃないかと思うのでありまして、現在の制度は、そういう建前にいたしておるわけであります。そういたしますならば、やはり財政運営態度として、こういうような規定がなければならないんじゃないのだろうかと、こう私たち考えておるわけであります。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、一応理屈の上から言えば、あなたのおっしゃるように、こういうことも必要だろうとも言われると思うのです。私はそれを否定するわけじゃございませんが、しかし、実際の地方団体のいわゆる財源調整ができる額があるかないかということは、やはり一般財源全体の問題として、それのみならず、他の税金あるいはここにあげられてありますようないろいろなこういうものを含んだその一一般財源の中に考えられてこなければならぬじゃないだろうかと、それが私は至当だと思うのです。前段だけで、今お話しのように、特交がふえた、予想以上ふえた、こういうことが私は場合によってはあると思う。そうであっても、一体他の地方団体における税の伸び方、あるいは場合によっては減収というようなこともあり得るかとも思うのだし、そういうもの全体として考えてなされるべきではないだろうか、こういう私の考え方なんです。ですから、あなたのおっしゃるように、一応の前段の方の規定の、何といいますか、考え方といいますか、それはわかるにしても、むしろ実際の適用の場合には、「又は」以下のことで処理をすべきではないか、こういうことなんであります。
  22. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 「又は」で二つのことをつないでいるわけでありますが、処理する方式はまとめて書いているわけでございます。法案の二ページの四行目から書いているわけであります。従いまして運営については同じ態度をとっているのじゃないかと、こう考えているわけであります。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ余ったという言葉は悪いかもしれませんが、超過をした額等があった場合の処置をするのは、確かにまとめられて書いてあるが、依然としてこういう場合もこういう場合もありますから、それを前段だけに限定して、いわゆるまとめて書いてある処置になることが私はあるのではないかと思う。それよりも、いわゆる一般財源伸びというようなことに当然交付税といえども含ませて考えていくことが、実際の地方自治団体財政状況からするならば、その方が当を得ているのではないか、こういうことなんです。
  24. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 鈴木さんのおっしゃることもわからぬわけではないのですが、年度当初から基準財政需要額を完全に埋めてなお余りがあるのだというような場合には、基本的には、やはり基準財政需要額単位費用を改訂するというようなことになろうかと思うのであります。またそうしなければならないというのが、地方財政の御指摘のような実態だと思います。そうしますと、どうしても補正予算によって地方交付税が増加した場合にしか起こらないわけであります。年度末にそういうものがぽこんとふえてきた。地方団体は、特別交付税を予想していたよりも急に多額なものをもらった。そういう場合の処置なんであります。忙いまして、一般財源のふえた場合には、法案の二ページの三行目に書いてのりますように、「当該超過額があらたに増加した当該地方公共団体義務に属する経費に係る一般財源の額を著しくこえることとなるときは、」と、こういうふうな規定を置いているわけでありますが、しかし、前段の場合はこういう規定を置きませんで、すぐ「その著しくこえることとなる額を、」災害その他やむを得ない経費に充ててなお余りがあれば積み立てなさい、こういう態度をとっているわけであります。前段の場合は、緊急なものに充てる以外には全部積み立てなさい。後段の場合は、義務的な経費に充ててなお余りがある場合には積み立てなさいということで、若干ニュアンスを異にしているわけであります。それは、先ほど来申し上げますように、平衡交付税制度地方交付税制度に変わりました場合の理論的な補強をこういう規定で行っている、こういうことになるわけでございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 説明がちょっとわからなくなったのだが、前段と「又は」以下を——必ずしもこれは言葉は適当でないかもしれませんが、「又は」以下のところを私は今後段と言っておきましょう。それと取り扱いが違うというのはどういうことなんですか。これを見まして、前段の方のいわゆるふえた部分、「著しくこえることとなるとき」、それでまず一つ、それから「又は」以下ずっとこうやっていって、一般財源についての規定でございますが、「当該地方公共団体の前年度における財源の額をこえることとなる場合において」、それからずっとこうあるが、二つに分けてこれをおしまいの方のあれは処置するのですか。そうではないのでしょう、この規定からすれば。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ちょっと申し上げますと、四条の三の二行目まで、「基準財政需要額を著しくここえることとなるとき」は、二ページの四行目の「」その著しくこえることとなる額」に続く、こう考えているわけであります。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、四条の三の初めの方は、「地方交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が」「基準財政需要額を著しくこえることとなるとき」、これが一つですね。その次は、「又は当該年度における一般財源の額が」「前年度における一般財源の額をこえることとなる場合において、当該超過額があらたに増加した当該地方公共団体義務に属する経費に係る一般財源の額を著しくこえることとなるとき」、この二つでしよう。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りです。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 その「著しくこえることとなる」というのは、前の方にも、あとの方にもかかる……。
  30. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りです。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 取り扱いが一方になるという先ほどのお話は、私は、何か、あなたの御説明の中から、取り扱いが違うのじゃないかというふうな印象を受けて私聞いたのですが、これは、ですから、前段の方のやっと後段のやつは、その最後に、「著しくこえることとなる額」という場合において、以下あと全部共通しておるのだ、こういう取り扱いをするのだ、こういうことなんでございますね。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りでございます。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、義務的の経費というのは一体どういうことでございますか。
  34. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 公債の元利償還金でありましたり、あるいはまた、職員の昇給等に要する経費でありましたりするものでございます。
  35. 基政七

    ○基政七君 関連してですが、その場合に、経費がふえるというのは、どういう場合を言うのですか。義務経費のふえるというのは……おそらく前にもそういうことがあったのじゃないかと思うのです。そういう場合はどういうことをされるのですか。
  36. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 毎年度一般財源がかなりふえてきて参っているわけであります。またふえませんと、職員の昇給財源もまかなえないわけでございますので、一般財源がふえたから余裕がある、こういうことにはならないわけでございます。そこで、特に一般財源がふえた場合であって、職員の給与費とか、あるいは公債の元利償還金とか、そういうものの増加額を充足して、なお著しく余りがあるという場合には、こういうようなやり方をしなければならない、こう書いてあるわけであります。単に一般財源がふえたから積み立てなさいとは書いてない。一般財源がふえて、なおかつ義務的な経費を充足して、なお著しく余りがあるという場合のものとして規定しているわけでございます。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の「義務に属する経費」云々ですが、たとえば、中途での昇給をさせるとか、あるいはベース・アップをやるというような場合、これは当然義務的の経費になると思うのですが、公債費の、たとえば元利償還というようなことを年度間中途で、そういうことは、何か早期に繰り上げて元利を払っていくという場合以外には、普通の場合はないのじゃないですか。やはり当初からその年度におけるところの償還公債費というものを見込んで予算計上しておくのですから、中途でそういうことがあり得るのですか。
  38. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) これは、年度の中途ということじゃございませんで、一般財源が前年度よりもふえた場合、その場合に、公債の元利償還金その他が前年度よりもやはり相当ふえている場合がございます。それを埋めてなお余りある場合のことを書いてあるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、前段の方は、義務に属する経費あるいは一般財源の額を著しくこえるというようなことはうたっていないわけであります。後段一般財源のふえた場合について、一般財源がふえて、なおかつ義務に属する経費を満たして、なお著しく余りがある場合にこうしなさい、こう書いておるわけでございます。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、後段の場合についてのここにある義務に属する経費を聞いているのですが、その場合に、あなたの先ほどのお答えの中にあったことで、公債費の元利の問題というようなことが年度中途で、あるいは年度がもうおしまいだというようなころにそういうことが起こり得るかどうかということなんです。
  40. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 後段の方は、年度の中途に著しくこえるようになった場合のことじゃありませんで、年度当初から一般財源がふえているということも、もとより中途の場合にもあり得ようかと思います。年度々々の比較においてのことを規定いたしておるつもりでございます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかし、この規定は、たとえば著しくこえるというようなことは、年度の初めからわかるものじゃないのです。交付税の配付だって、早くて八月でしょう、大体見通しがつくのは。それは、概算の交付はありますけれども、早くて八月になって大体年間の見通しが得られる。さらにまた、交付税の著しくこえるような場合は、補正予算が出て、特交が著しくふえたというような場合以外は普通考えられませんし、その他の税の問題にしても、年度の初めからふえるようだったら、これは明らかに予算に盛り込んでやるのですが、おそらくこういう規定の必要だということは、既定予算におけるいろいろなそういう盛り込んであるそういうもの以外に、それこそ著しくこえてきたとか、あるいは変動してきたとかいう事態に処して、その著しくこえた部分を勝手にルーズな使い方をしちやいかぬ、こういうことの必要性から私は出てきたものだと思うわけなんですから、趣旨はそういうことじゃないだろうかと思うのです。
  42. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方交付税の交付を受けているような団体でありますと、交付税制度を通じて調整がされますので、御指摘のような場合は多かろうと思います。しかし、地方交付税を受けていない団体でありますと、別に交付税調整ということが行なわれませんので、年度当初からこういうような事例が相当あろうかと思うのであります。たとえば、大工場が設けられたとか、その結果固定資産税だけでも小さい都市で千万か二千万入ってくるという場合もございましょうし、また、その会社の景気が非常によくなっているので、法人税割が本年度は相当多額のものを期待できるというような場合もあるわけでありまして、そういうことを年度当初から予見されることもしばしばあろうかと思うのであります。また、会社の景気が悪くなって、法人税割収入が減るかもしれません。そういうのでありましたならば、法人税割が特に著しくふえた場合には、その団体において年度間の財源調整年度当初から考えていく必要があるのではないか、こう私たち考えておるわけであります。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 その点は、あまり時間もありませんのでこのくらいにしますが、やはり義務に属する経費というもの、あるいはそのあとに、必要やむを得ない理由によって生じた経費財源、これは、とりようによっては非常にきびしいというふうにもとれるし、とりようによっては、義務に属する経費なりあるいは必要やむを得ざる理由によって生じた経費財源の場合、地方自治団体の判断によって、場合によってはどうもあまりはっきりしない、ここにそういう問題ができるのじゃないかと思うのですが、そういった義務に属する経費なりあるいは必要やむを得ない理由によって生じた経費財源というような場合に、何かやっぱり一つのあれをあなた方は持って、こういうものはどうだというふうなことでもないと、実際は困るのじゃないかというふうに思うのですが、これは、地方自治団体がそういうふうに判断をしてやることに対しては、自治庁はどうなんですか。それを許しませんか。許しますか。
  44. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この規定は、御指摘のように、態度としてはきびしい規定のあり方をきめたのであります。しかし、その団体が必要やむを得ないと認定したものにつきましてまで一々干渉するというようなことは避けなければならない、こういうつもりで規定をしておるので、鈴木さんが御指摘になりましたその通りだと思います。あくまでもこれは地方財政運営態度に関する規定でございましてこれをたてにとって、地方団体について許可をするとか許可をしないとか、そういうことは毛頭ないわけでございます。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、これは一つ地方団体財政運営に対する考え方あるいは態度ということの規定で、何といいますか、よく使われる言葉の、自主的な運営なり自主性というものについての干渉にわたるようなことはしない、こういうことなんでございますか。
  46. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通り考えております。もとよりしかし、乱に流れたものにつきましては、必要な助言を怠ることも、これも避けるべきでなかろうかと思います。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 再建団体等については、これは相当きびしく生かされてくるのじゃなかろうかと思うのです。その点はどうですか。
  48. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 再建団体につきましても、別段これをたてにとってどうこうということは考えていないわけであります。もとよりしかし、再建団体がこういう態度財政運営に当たってくれなければならないというふうに考えるわけでございます。なお、再建団体の問題につきましては、特に地方財政再建促進特別措置法の第三条の中に一項を挿入いたしまして、財政再建計画の変更について承認を求められました場合においては、財政の合理的な再建の達成に支障がないと認められる限り、その行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう自治庁長官は配慮するのだという規定を置いたわけでございます。再建計画の承認等に当たる者に対しまして、こういう心がまえで取り扱わなければならないという特別な規定を挿入いたしまして、御心配のないように配慮いたしておるつもりでございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、私は、再建法の一部改正の今のお話にあった点とあわせ考えまして、一方には、何と言いますか、再建団体といえども、あまりきびしく、計画変更等の場合に、がみがみ言うような押しつけがましいことをしないというように、いわば緩和されたような態度がここに法改正で出てきたと思うのですが、しかし、この地財法の改正四条の三によって実際にはこうなんだぞと、こういうことがありはしないかという実は一つの心配があるわけです。そこで私はお聞きしたわけなのですが、そういうことについては、再建団体といえども、自治庁長官が計画変更を認める場合には、とりわけきつい法的な規制なりあるいはその他の措置によって締め上げていくということはしないということの了解でよろしゅうございますか。
  50. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 鈴木さんがお考えになっておるような気持で私たちは指導に当たって参りたい、かように考えているわけでございます。
  51. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ちょっと関連して。鈴木君が言うように、もしあまりきびしい態度自治庁長官がこの規定適用をしないということであれば、こういう規定を設けるということの理由がない、そういうことじゃないですか。
  52. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方団体財政運営に当たっていく場合にはどういう考えでいかなければならないかという態度規定したつもりでございます。従いまして、自治庁の方から干渉をする基礎を作ろう、こういうふうな考え方は毛頭ないわけであります。あくまでも自主的な運営を尊重していきたい。しかし、その自主的な運営をするにあたってこういう態度で進むべきだ、こういう明示の規定を置こうといたしておるわけでございます。
  53. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今、あらかじめ干渉するということはない、こういうふうなお話です。しかし、地方団体で、余裕財源を必要やむを得ない事業のために使う、議会の議決を得たという場合に、地方団体は、必要やむを得ないという理由を、いろいろ地元の部落々々との関係だとか何だとか、まあこの間も話がありました市町村の合併とか何とか、非常に地元からやかましく言われるから、これは何か建設事業のために必要やむを得ないというふうに長が判断して議会に提案した。議会の方は、もとよりそれは賛成だからといって議決してしまった。しかし、あとから自治庁考えて、それはどうも必要やむを得ないとは考えられない、それは、まさにこの改正四条の三に違反するものだからやり直せとか何とかいって、事後にいろいろ、指導といいますか、あるいは干渉というか知らぬが、そういうようなことをやり得る根拠にもなるのではないですか。そういうことは絶対ないのですか。
  54. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) もとより財政運営について助言をいたします場合に、こういう態度地方財政法規定しているから、そういう精神にのっとるべきだということは言うべきであろうと思います。しかしながら、地方団体が必要やむを得ないかどうかということの判断の問題もございますし、干渉にわたるような方法においてこの規定を運用していくべきものじゃないと考えております。ただしいて、この規定があるからいうことで、許可とか認可とかという条件をからませて干渉態度に出るおそれがあるといたしますならば、それは私は、地方財政再建促進特別措置法の再建計画の変更あるいは変更の承認の問題だろうと思います。そういうこともございますので、特にこの際、再建促進特別措置法の中に一項を加えまして、合理的かつ妥当な水準が維持されるよう自治庁長官は配慮すると、こういうふうにいたしているわけでございます。あくまでも干渉の基礎になるようなことのないよう配慮していかなければならぬ、またそういうつもりで規定も設けているわけでございます。
  55. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ事前にそういうことはないということはわかるのですが、やはり事後に、そういう議会の議決があったというようなことで、自治庁にちょっと出てきてもらいたいと言って、君の方では、必要でないものを必要であると認めてやるようなことをすると、今後の交付税とか何とかの配分についても考えなければならぬといったことを言われるだけで、団体あるいは団体の長としては非常に大きな不安を持つことになるわけです。そういうことはないと言っても、われわれの方から見ると、あり得るような気がするのですが、どうですか。
  56. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方団体財政運営をしていきます場合の態度といいましょうか、どういうような考え方で進んでいかなければならないかという規定が一切いけないのだということでありますならば格別でございますけれども、やはり年度間の財源調整についても留意して、地方団体は健全な財政運営に当たっていかなければならない。何もかも一切がっさい国でやるのだということは、むしろ地方団体の自主的の運営の阻害になります。場合によりましては、財源がふえるという場合に、ことごとく地方団体財源を中央に留保しよう、そういうような行き方もあろうと思いますが、このことは、健全な地方自治の発展に対しまして阻害になると、そう考えます。そのかわり地方団体においても、自分で年度間の財源調整に努めていかなければならない。またこういうことを明確に規定で示して置くことも必要ではなかろうかと思います。しかし、運営にあたっては、御心配になりまするようなことはいたさないように、私たちは留意していきたいと思います。また、この規定が直ちにそういうようなところに発展していくのだとは私たちには考えられないのでございます。
  57. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この最後のところですが、非常に読みにくい法文になっている。これはどういうふうに読むのですか。「健全な運営に資するため、積み立て、」とあるが、積み立てたものを次のような財源に充てるということになっているのですが、積み立てること、それから財源に充てること、それから償還の財源に充てる、この三本が並行的なのですか。そこのところはどうです。
  58. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 後段におっしゃった通りでございます。
  59. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ここが非常に読みにくくなっているのですが、いろいろなことを言おうと思っているからこういう文章になるのでしょうけれども、あとの方を見ますと、積立金積立金と、こういうふうになっている。ほかに書き方もあったろうと思うのですが、明確にしておいていただかないと、ちょっと見ただけではなかなかわからないのですね。もう一ぺん、一つここのところを説明して下さい。
  60. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 法文は、御指摘のように、読みにくいと思います。要綱ではちゃんと号を分けて書いてございますので、要綱を見ていただくとおわかりやすいと思います。また、地方団体に対しましてこれを取り立てをいたします場合において、わかりやすいような方向で示して参ったのでする  なお、この規定を置きます場合に、私たちが配慮しました問題は、単に金を積み立てることだけを強要してはならない。あるいは山に木を植えたり、あるいは埋め立てを行なって宅地造成する、そういうことも一つ年度間の財源調整の道しるべではなかろうかと、こう私たち考えておるわけでありまして、「長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費財源に充て」、こういう規定を置いておるわけであります。あくまでもおっしゃっておりますような自主的な運営積み立てにあたっても自主的な方法でやればよろしいのだと、こういう気持を出しておるつもりでございます。
  61. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この地方公共団体のいわゆる義務経費、この案文を見ますというと、政府の補助事業的な色彩が濃厚にうかがえるわけですが、これはどういうふうになりますか。府県の単独事業ですね。これもまた、やはり県民から税金を取ってるのでございますが、県民や市民に対するところの義務になるように私は思うわけですが、こういったような単独事業は義務経費には入らない。こういうことになりますか。
  62. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一般的には、単独事業は義務に属する経費だとは考えておりません。しかしながら、たとえば会社、工場を誘致する場合に、その誘致条件として、工場の周辺の道路を舗装するとか、あるいは下水を作るとかというようなことがございまして、毎年々々それをある程度やっていかなければならない。これは単独事業でございますけれども、契約上義務になってしまっていると、こう私たち考えるわけでございます。一般的には、単独事業は義務に属する経費とは考えておりません。
  63. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 しかし、地方税という税金を取ってるわけですね。やはり市民に対するサービスということを、考えようによっては、これは当然義務の中に私は入ると思うのですが……。
  64. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 単独事業も、前年一切やらなかったわけじゃございませんで、前年通りの単独事業はやれるわけであります。要するに、ふえた財源をどう分けるかということでございますから、単独事業をふやさなければならないのだ、そのふやさなければならない部分義務だと、こう私たちは一般には言えない。こう申し上げているわけで、基本には入っているわけでございます。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、今の問題をお聞きしておきたいと思っておったのですが、この規定によりますと、先ほども申し上げましたように、非常にきびしく規制をしようと思っているわけなんであります。著しくこえることとなった場合に、その著しくこえた額というものは、災害による所要経費、あるいは災害による減収を埋めるために、これが一つ、あるいは「前年度末までに生じた歳入欠陥をうめる」場合に一つ、緊急に実施を要する大規模の建設事業に要するところの経費、その他「必要やむを得ない理由により生じた経費」にあてる、こういうものに使ったほかは積み立てる、あるいは云々と、こうあるのですが、その積み立ての取りくずしも非常にきびしくなっているわけなんです。経済事情の著しい変動により財源が不足を生じた場合、あるいは災害復旧の所要の経費、緊急に必要となった大規模な建設事業、財産取得等のための経費財源、償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源、こういうことになってきますと、地方自治団体でいわゆる住民の福祉のためにしようという単独事業なんかも、当然これは押えられざるを得なくなる、こういうふうにこの文章からは読めるわけなんですね。そこで、先ほど来松澤先生や中尾先生からまあそういう点についてあったのですが、これは、現在の地方自治団体は、できるだけ財政というものを圧縮した形において予算を組んで、交付税あるいはその他の税等、いずれ一般財源がふえた際に住民との約束の仕事をやろうとかというようなかまえで予算を組んでいる所が非常にあると思うのです。そういうことすらも、この規定からするならば望めないのじゃないか。できるだけ圧縮して予算を組んでおき、なおかつ多少余裕があるからといって、こういうきつい規制によって身動きがならぬというようなことになりますと、これは、あなた方が言っている、決して干渉しないとか、あるいは自主性をそこなわないというようなことを言っておられますし、私どももそれを期待しておりますけれども、事実上、この法の建前からしますと、規制を受けざるを得ないということになってくるので、私どもは非常にこの点が心配なわけです。ルーズな財政運用をせよとか、余ったやつを勝手に使えとかということは、私どもも言うものでは決してありませんけれども、しかし、今の市町村の実態からして、いわゆる義務的な経費、必要やむを得ざるというふうにあなた方が考えているその経費以外に、もし多少の財源余裕ができた場合には、住民との約束なり、あるいはぜひともしなければならぬというような、いわゆる単独的な性格を帯びた仕事が私は非常に残されていると思うの一ですが、そういうことが抹殺されてしまうということになりますと、私は、先ほど来申し上げておるように、非常に残念なことになると思うのですが、この点は、考えようによれば、一つ財政運営態度であり、まあものの考え方だと、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、なおしかし不安なところがありますものですからお聞きするわけなんです。この点どうでしょう。
  66. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 積み立てたものを取りくずす場合にも、必要やむを得ない理由により生じた経費財源に充てる場合を示しております。単独事業は原則として義務に属する経費ではないと、こう申し上げたわけでありますが、しばしば必要やむを得ない経費になってくるであろうと思います。そういうことの判断も、私たちは、地方団体が認定をしていけばよろしいのじゃないか、こう考えております。大へんきびしいようなものの、こういうところにまた、積極論者からすれば、しり抜けになっているじゃないか、こう言われるかもしれないと存じます。まあそういうことを配慮しながらこの規定を私たちとしては設けているつもりでございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 これを見ますと、何と言いますか、国がやる道路工事とか、あるいは治山治水とか、その他のいわゆる大規模な建設事業、確かにこれは必要性はありますけれども、そういうことには金は使えるけれども、前にも言ったように、町村の実態からしてぜひともやらなければいけないというような単独事業まで押えられるように僕ら心配するものですから、その点は一つ、今の局長の言明を信じておりますが、十分この運用の際には留意してもらいたいと思うのです。  それから、ちょっととっぴなようなことを聞きますが、地方交付税法の六条の三との関連で、もし四条の三の前段で、まあこういうことが事実上行なわれるとすれば、何か大蔵省あたりで、毎年余っているじゃないかと、交付税一つ税率を引き下げたらいいじゃないかというようなことも、実は取り越し苦労かもしれませんけれども、起こり得るのじゃないかと思うのですが、この関連はどうでしょう。
  68. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方財源余りがあるか余りがないかということは、やはり地方財政計画の立て方によって出てくるのじゃなかろうか、かように考えるわけです。地方財政計画を立ててみまして、財政収入が非常に多い、事務的な経費とかあるいは行政水準の引き上げに要する経費を十分にまかなってなお余りあります場合には、あるいは地方税の減税なり、あるいは地方交付税の税率の引き下げというようなことも、それは起こり得ることだと思います。しかし、この地方財政法の今回の改正から直ちにその問題が起こってくるんだというようには、私たち考えていないわけであります。あくまでも、個々地方団体財政運営にあたってどういう心がまえで行くか、こういう規定だけのことでありまして地方の方で、交付団体の方に、余っているからこれは積み立てなさいというような指示をしようとする規定ではございませんので、そういう心配はないのではなかろうか、かように私たち考える次第でございます。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在、この現行法によっての四条の三による地方公共団体における年度間の財源調整、これは実際行なわれておりますか。その状況はどうです。
  70. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在までのところ、このような事例、すなわち、基準財政需要額を完全に保証してなお非常に余りが出たから、全部特別交付祝に持っていったというようなことはないわけでございます。そういうような事例が生じました場合には、むしろ積極的にこういう指導もする必要が生ずるかもしれませんが、現在までのところはございません。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、地方自治法の第二百八条の金穀の積み立て二項ですか、これとの関連はどういうふうに考えたらいいか。この第二百八条の二項の規定に基づいて、さらに地方財政法でこのような規定を設けてそれをやらしていくと、こういうふうに考えるべきことなのかどうか。その点はどうです。
  72. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二百八条の第二項の方は、たとえば庁舎の建築をする、そのためには、ある程度毎年毎年相当な積立金を持っていこうというようなための規定でございまして、直接この地方財政法規定とは関連はないわけでございます。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 二百八条の二項は、「特定の目的のため」という、これがついておりますから、私もそうだろうと思うんです。ただ、今度はしかし、やはり規定されておることが、いわゆる特定の目的という、そのものずばりと言えるかどうかはわかりませんが、非常に条件がついて、きついんですから、これらの目的のためにというようなことも言われるんではないかと思うんですが、その点は一応関係がないと、こういうふうに考えていいわけなんですね。
  74. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りでございます。
  75. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ちょっともう一つ、簡単ですけれども、今鈴木さんから触れられました、その積立金の取りくずしの問題なんです。ここを読んでみると、あなたのおっしゃる「その他必要やむを得ない理由」というのが三号の中に入っておるんですね。前の、二ページの財源にするというところ、ここもやはり読んでみますというと、「著しくこえることとなる額を」、第一には一災害により生じた」と、そこへ来るわけなんですね。「減収をうめるための財源」、これが第一。第二は、「前年度末までに生じた」云々で、「欠陥をうめるための財源」。それから第三は、「又は緊急」ということで、それから、その「必要やむを得ない理由」というのが三番目の中に入っておる。まあこういう書き方をしてあるんですが、それに相応じたように、積立金の取りくずしでも、「その他必要やむを得ない理由」と、こういうのが「緊急に実施する」という項目の中に入っている。そうすると、逆に、さっき申しました「著しくこえることとなる額」ということで、「必要やむを得ない理由」というのは、別に第四番目にあるのではなくして、三番目の中に入っている。どうしても必要やむを得ないというのは、三番目の要件に合致したものであって必要やむを得ないと、こういうふうに読まなければいけないものなんですか。
  76. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そうではございませんで、これは一つの例示でございます。「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業経費」、これが一つの例示でございます。「その他必要やむを得ない理由により生じた経費財源に充てる場合」と、広く規定をいたしたものでございます。
  77. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、「必要やむを得ない理由」というのは、三の中に入るのではなくして、言ってみれば四という、一般的によく、その他という項目を一番最後のところに書きますけれども、それと同じように、「その他必要やむを得ない」というのは、四番目みたいなふうに読んでもかまわないのですか。
  78. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) これは、書き方の問題であろうかと思います。「必要やむを得ない理由により生じた経費」というものの一つの例として、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業経費」というものを示しておるわけでございます。もとより二つに分けて規定することも可能でございます。
  79. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうもわからないな。取りくずしのときには、はっきり「緊急」というところの下に「その他必要やむを得ない」ということは書いてある。ほんとうならば、これは一、二、二、四、五と書いてあった、そのあとに六を書いて、「その他必要やむを得ない理由」と、こういうふうに書くべきようにも考えられるのですけれども、三の中に突っ込んであるところを見ると、前の財源という場合の「その他必要やむを得ない理由」というものは三の中に突っ込んである、四がないというふうに読めるのです。やっぱりそうなんでしょうか。四はなくして三の中に入っている、財源の場合ですね。
  80. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ちょっとわかりかねるのですが、四条の三の一項は、これは別に号を立てておりませんのですが、四条の四に号を立てて例示しておりました考え方と全く同じでございます。著しくこえても、こういうような経費がある場合にはそれに充てなさいと、こう書いておるわけでございますし、四条の四では、積立金を取りくずす場合には、こういう場合なら差しつかえはないのだと、こう書いておるわけでございます。御指摘になりました四条の四の三号の書き方と四条の三の一項の中に書いてあります言葉というのは、全く同一にいたしておるわけでございます。
  81. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私が言うのは、地方団体の長が、必要やをむ得ないと、こう考え経費に充ててもかまわないのだと、その必要やむを得ないというのは、この四条の四の三号に規定しているようなそういう意味の「必要やむを得ない」ということではなくて、言ってみるならば、五号のあとに六号を書いて、その他必要やむを得ない理由の経費に充てる財源というふうに書いた方が、地方団体の側からいえば、ある程度まで自由裁量ができるから、六のところに持ってきて、その団体なりあるいは長なりが、必要やむを得ないと、こう認定した場合には、積立金の取りくずしができるようにした方が、地方団体の側から見れば、ある程度融通性があっていい。しかし、自治庁の側からいえば、そういう自由裁量等を六号にわざわざ設けるほどの、何といいますか、幅の広い態度はとっておらない、それだから三の中に突っ込んであるのだと、こういうふうに解釈できるのですけれども、やっぱりそうなんですか。
  82. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のように、たとえば四条の四の三号を分けて書きました場合には、一そう幅の広い規定になろうかと思います。しかしながら、一緒に書いておりましても、「緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業経費」、これを一つの例にあげまして、その次に、「その他必要やむを得ない理由により生じた経費」と、こう書いてあるわけでございます。この経費は、建設事業経費に限定していないわけであります。そのほかの、建設事業に属さない補助金その他のものであっても差しつかえないわけでございます。そういうように、かなり広い、しり抜けみたいな格好になっておるのでありまして、法文の書き方としては、一つの例示を置いて、その他云々と、こう書くのが例でございましょうし、また、全くの底抜けにしてしまうという気持では困るんではなかろうかと、こう思います。しかしながら、こういうような規定でございますので、自主性をそこなうということは、私たちとしては、ないのじゃないかと、こう思っておるわけでございます。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきに続いてお尋ねしますが、地方自治法第二百八条による積立金のような場合には、普通地方自治団体では、条例なんかを作ってやっておるところがあると思うんですが、今度の地方財政法四条の三によって積み立てさせる場合にも、それはやはり条例なんかの制定というようなものを指導なさいますか。その点はどうです。
  84. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方団体の任意措置にゆだねておきたいと思います。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 別に、そちらの方で、こういうものは条例なりその他の規定によりというようなことについてはどうのこうのということはおっしゃらないということなんでございますね。
  86. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在そういうことは全然考えておりません。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、四条の三と七条の関係なんですが、当然、四条の三によって積み立てられたりなんかします場合には、七条に規制してございますところの剰余金というものが減ってくるということが考えられますですね。そうした場合に、一体地方自治団体がどちらを重点にしてとることをあなた方の立場としてはお勧めになるのか。これは、剰余金の出た場合には、主として地方債の償還財源に使わなければならなぬことがきめられてあるわけですから、現在の地方自治団体状況からしますと、相当地方債のその問題で苦しんでおる団体もずいぶんあるわけなんです。こういう点からして、四条の三の規定と重複するところが出てくるわけですね、繰り上げ償還なんかのことが四条の三にも出ておりますから。ですから、それは、どういうところに重きを置いて御指導なさるのか。その点をちょっと……。
  88. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) やはり余裕のある財源が著しく多くなるというような場合には、私たちは、四条の三の規定によって運用してもらいたい、こう考えておるわけでございます。そういうようなことでもありません場合には、一々積み立てというような措置をとりませんで、通常の剰余金として処分していけばよろしいんじゃないか、かように考えるわけであります。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、四条の三における「著しくこえる」場合ということが問題になると思うわけであります。相当この点は問題になると思うんですが、この点は、一体どこに線を引くかということはいろいろ問題があるにしても、先ほどあなたが、一〇%前後のところに線を引きたいということを言っておりましたが、そういうようなことがあるにしても、「著しく」、こういったような場合のほかは積み立て等をさせないで、第七条のいわゆる剰余金による、こういう措置に期待をする、こういうふうに考えておるというふうにおっしゃったが、そのように了解してよろしゅうございますか。
  90. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りであります。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在まで、すでに三十三年度あたりから、自治庁では、相当の団体に対して積み立てを実際上指導してきておられますのですが、これによって現在どのくらいの団体積み立てをし、その額はどういうふうになっておるか。お調べになったのがありますか。
  92. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二百八十二億九千百万円ということになっております。
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 団体の数ではどういうふうになっておりますか。
  94. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 数は持ち合わせておりません。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういう現在までにあなた方の指導によって積み立てを行なっておる団体、これは相当の数だと思います。また額も、今お話のように、三十三年度末で約二百八十三億、大体その程度あるということなんですが、今度四条の三の改正によって、これは相当ふえてくることをあなた方はもちろん期待をしておるわけでありますね。
  96. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私たちは、ただ、地方財政状況いかんにかかわらず、積立金がふえるんだということは、毛頭期待はいたしておりません。ただ、三十五年度は、私たちは、地方財政は、団体によりましてかなり潤ってくるだろうと思っております。従いまして、三十五年度に関しまする限り、むしろ積立金が相当ふえてくるであろうことを期待いたしておるのであります。
  97. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  98. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  ただいま議題となっております三法律案についての質疑は、終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  100. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) この際、委員異動について追加御報告いたします。  本日付をもって委員小林武治君が辞任され、その補欠として近藤鶴代君が委員に選任されました。   —————————————
  101. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をおいて下さい。    〔速記中止〕
  102. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  これより各法律案について討論採決を行ないます。  まず、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  103. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 私は、本法案に賛成の意を表するものでございますが、ここに各派共同提案にかかります附帯決議案を便宜私より朗読いたしたいと思います。    地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する    法律案に対する附帯決議案  地方財政状況にかんがみ、本法の施行にあたって政府はとくに左の諸点に遺憾なきを期すべきである。  一、地方公共団体における年度間の財源調整は、本来、当該団体実情に応じた自主的な財政運営の一かんとして行われるべきものであることにかんがみ、いやしくも財政運営自主性を阻害し、行政水準向上の意欲をはばむことのないよう措置すること。  一、税外負担の解消については、その実効を確保するよう努力するとともに、さらに法律上、財政上の諸措置を検討し、これが完全解消のために万全の方途を講ずること。  右決議する。  以上をもって私の賛成討論を終了いたします。
  104. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、ただいま討論中に述べられました各派共同附帯決議案を議題といたします。本附帯決議案を委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願いまする    〔賛成者挙手〕
  107. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって各派共同附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石原国務大臣から発言を求められております。
  108. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 第一の年度間の財源調整に関しまする規定は、もともと地方団体が、みずからの責任と判断とに基づいて、長期にわたる当該団体財政の安定化と健全化とをはかっていこうとする趣旨のものでありまするので、その運営にあたりましては、御決議の趣旨を体し、遺憾なきを期して参りたいと思います。  また、税外負担につきましては、多年その改善が要望されてきたところであります。幸い、今回その解決への第一歩が踏み出されたのでありましてこれまた御決議の趣旨を体しまして、今後ともあらゆる角度からその解消に努力いたして参りたいと思っております。
  109. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、臨時地方特別交付金に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、右両案を便宜一括して討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この二つ法案に反対の意思を表明するものであります。  まず最初に、臨時地方特別交付金に関する法律案でございますが、この法案は、言うまでもなく、昨年行なわれました国税の減税による住民税へのはね返りのその減収を補てんしようという立場から出てきたわけでありますが、御承知のように、三十五年度におきます住民税の減収は、百二十二億を見込まれておるわけでございますが、それに対して、今回の政府の措置は、わずかに三十億にとどまっておる、国税三税の〇・三%というまことに少ない額でこの減収補てんをしようといたしておるわけでございまして、額の点からいいましても、また、従来の政府、特に自治庁の主張からいたしましても、また、地方団体実情あるいはそれに基づくところの要望等からいたしましても、まことに不合理であり、私どもは遺憾にたえないのでございます。国の施策によっていやおうなしに押しつけられたこの地方税の減収でありますから、当然これの補てんにつきましては、国が責任をもって措置されなければならないというふうに考えますし、さらに、現在の地方団体財政状況からいたしましてこの減収は、非常な大きな財政事情の圧迫となって出てきておるわけでございます。こういう点からいいまして、私どもは、今回のこの政府の措置、従ってこの法案に対しては、反対をいたすものでございまする  なお、政府は、地方税増収がある、こういうようなことを言ったり、あるいは、全体として一般財源が増加するではないかというようなことを言って、完全な補てん措置は不必要だということをしばしば言っておるわけでございますけれども、しかし、かりに、税収のいわゆる自然増あるいは一般財源の増というようなものは、地方自治団体全体としての総計という点においては、あるいは相当な大きな額には上っておりますけれども、個々団体等におきましては、必ずしもその団体実情とは一致しないのでございます。特に税の増収等の問題につきましては、これは、私今さら申し上げるまでもなく、現在見込まれておりますところの自然増収は、いわゆる先進地あるいは工業地帯、いわゆる富裕団体というような所に非常に片寄った税の増収が見込まれるのでございまして、後進地域なりあるいは貧弱団体といわれるような所は、これはきわめて少ないことは、自治庁が出した資料からも指摘できるのでございます。たとえば、府県税増収の中での大きなものは、法人事業税に関するもの、あるいは住民税のうちの法人税割についてのもの、遊興飲食税あるいは自動車税等でありまして、これらはいずれも、先に私が申し述べたような地域に集中する財源でございます。市町村税等におきましても、やはり法人税割あるいは電気ガス税、こういうものが主となり、固定資産税においても相当な増収を期待しておるようでございますが、これもしかし、いわゆるいなかの後進地域の団体等においては、大きな期待の持てる税収の自然増とはなってこないことは、これは明らかでございます。特に今回の住民税の引き下げが、貧弱団体において用いられておるところの第二方式、第三方式の税率の引き下げ等によるものであるということを考えまするならば、やはりどうしても、こういう団体に対する減収の補てんというものは真剣に考えて、十分な手当をすることが、私は国の当然の措置としてとられなければならないというふうに考えるものでございます。一方、その地方自治団体は、三十五年度におきまして、給与関係費なり、あるいは国の施策によるいわゆる公共事業費の増大、その他いわば義務的な支出が非常に大きくなっておるのでございますし、さらにまた一方、赤字をかかえておる団体も相当な数に依然として上っておる。こういうふうに、幾多の不健全な要素をかかえておるときでもありますから、一般的な地方自治団体財政健全化のためにも、今回の減収補てんの措置というものは、まことに不十分なものだと言わなければならないのであります。  さらに、この特別交付金の配分の問題においても、私どもはやはり納得できないものがあるわけでございます。今申しましたような観点から、やはりこの減収補てんの金は、その地方自治団体の減収に見合うような補てんの仕方をしなければならないということは、これは、私から今さら申し上げるまでもないと思いますが、今回は、おそらくこれは額がきわめて少ない三十億ということになったための苦しまぎれの措置であろうと思いますけれども、これを交付税の中にぶち込んで、そうして他の一般財源との見合いにおいて配分をするというような、一つのすっきりしない措置をとっておるわけでございます。もちろん私どもは、一般財源の見合いによってやるということも全然否定をするわけではございませんけれども、そういうやり方は第二次的なことでありまして、ともかく今回の減収の補てんにつきましては、その減収の補てん額をできるだけ完全な姿で補てんしてやるというような考え方に立っての措置でなければならぬと思いますが、今回の配分等におきましても、そういうことが、先ほど申しましたように、もちろん額が少ないという点からでもありましょうけれども、とられておらないことは、私どもは賛成のできないところでございます。  以上の点から、この臨時地方特別交付金に関する法律案には反対でございます。  次に、交付税の一部を改正する法律案でございましたが、今私が前の法律案について触れましたように、地方財政の現況というものは、なお非常に不健全な要素を含んでおる。従って、行政水準の引き上げをよく言われますけれども、その行政水準の引き上げをはかり、住民の福祉を、さらに民生の安定をというふうなことになりますと、なかなか手が回らないというのが現在の状況でございます。こういう点につきましては、これは、今さら私が申し上げるまでもなく、すでに自治庁においてもしばしばこういう見解を発表いたしておりますから、これは否定し得ないところであろうと思います。ただ、三十五年度地方財政計画を見ますと、約二千億もの規模の膨張が見られます。ですから、こういう点だけを考えてみますと、一見、地方財政は相当な改善をされる、あるいは好転を見るというようにも思われるのでございますが、しかし、これは形の上での、地方財政計画の上でのそういうことであって、実情は必ずしもそうではないということは、これは否定し得ない事実であろうと思うのでございます。たとえば、景気変動によって、景気の上昇によって、その影響を受ける団体は、それは著しく好転というふうなことも言い得られると思いますけれども、一方、その景気変動によるいわゆるよい影響を受けることのできないところの、いわゆる日の当たらざる所にあるところの地方自治団体というものは、数からいくとこれは圧倒的に多い。そういうものを考えてみます場合には、なかなかこの数字的なふくらみによって地方自治団体がみんなよくなるんだということは、これは期待できないのでございます。多くの団体が、今なお地方税超過課税を余儀なくされておる。こういう事実、あるいはいささかの法定外普通税を廃止すべきであるといいながら、それすら廃止に踏み切れないでおるようなこういう団体、なお、すでにしばしば問題になっておりますように、多額の税外負担を住民に背負わせておる。こういう現況からいたしましても、私は、現在の地方自治団体財政状況というものは、言葉で、あるいは一見したこういう数字だけでは、好転をし、あるいは健全化に一歩踏み出したということにはやはり遠い現実であろうと思います。こういうことを考えます場合に、私どもは、もちろんほんとう意味での地方団体財政の健全化あるいは軌道に乗るというようなことを期待いたします場合には、いろいろ国、地方を通ずるところの税体系の問題、あるいはその他の地方自治団体に対する財源の配分の問題等を根本的に考え直さなければならないことは、これはもちろんでございますが、しかし、とりあえず、そういうことができるまでの間は、私どもは、当面の地方交付税のこの繰入率の引き上げによってまかなうことしか方法がないではな」か。この繰入率を引き上げることによって基準財政需要額の引き上げを行ない、標準的な行政水準を確保できる、そういう財源を与えることこそが当面必要な問題になってきておると思いますので、私は従来、そういう観点から、交付税率の引き上げ、現行二八・五%を三〇%に引き上げることを主張し、要望をいたしてきておるのでございます。そういう建前からいっても、今回は税率の引き上げはそのまま据え置く、こういうことになっております今度の改正案については反対をいたすものでございます。  なお、これは、今申し上げましたことは、私どもの根本的な反対の態度でございますけれども、特に三十五年度におきましては、かりにそういう私どもの強い主張を一歩譲るとしても、先ほど申しましたように、地方住民税の減収補てんというようなことを考えましても、この際、そういうことを含めた意味での交付税率の引き上げということも一つ方法ではないか、こういうことを考え、それをまた一方において期待もいたしてきたわけでございますが、そういうことにつきましても、先ほど前の法案につきまして触れましたように、わずかな金でお茶を濁されるということになっておりますので、こういう点からいっても、今回の改正案は、根本において賛成をいたすわけに参らないと思います。  以上、地方交付税法の根本的な反対の理由でございますが、なお、内容についていろいろ検討いたしますと、二、三やはり問題のあることは、指摘をしておかなければならぬと思います。  税外負担の解消の問題でございますが、これは、先ほど私ども、附帯決議におきましても、そのことは強く要望しておるわけでございますが、今回の措置は、地方交付税の中において、総計八十七億の解消ができるようないわば財政的な措置をいたしておるわけでございますので、従来からしますと、この点は一歩前進したと言うべきでありましょう。しかし、税外負担の問題は、これをもってしては何分の一か、五分の一か、せいぜい四分の一かの解消の額にしかならぬのでございますから、こういう点についても、もっともっと強く解消できるような措置を講じていくべきであるというふうに考えられます。また、今回の改正によりまして、従来私ども問題として指摘しておきましたが、いわゆる公債費の償還財源が、利子補給というような形において、また交付税の中で見られていくというような形が出てきておるのでございますが、公債費対策を交付税によってやっていくというようなことにつきましては、この交付税の本来のあり方からいって、問題があるのではないかというふうに考えられるのでございます。これは前に、公債費対策として八十六億を交付税でやったことがある。で、その次の年には交付税の中にぶち込んできておったのでありますが、政府の従来の主張からいっても、別途にそういうものは必ずやるのだといったことをしばしば当時の田中長官も言っておるのです。そういうことが、いつの間にやら大きな額が交付税の中に入ってきて、その中でいわゆる公債費対策というのが見られていくということは、私はこの際、先ほど申しましたように、交付税本来のあり方からしておそらく交付税の本来というのは、普通のいわゆる地方行政水準あるいはいろいろな仕事の維持のための財源の不足分を確保していくということに私はなければならぬと思いますが、そういう点からいって、これはやはり再検討すべき問題であろうと思います。  念のために申し上げておきますが、昭和三十三年度あるいは三十四年度におきまして、交付税で見ておるいわゆる公債費対策の額は百十億をこしております。こういう大きな額が交付税の中でいわゆる公債費対策として配分されるということは、もちろん、地方自治体の現状からしますと、何とかの措置で見られなければならぬという、そういう窮状はわかるのでございますけれども、しかし、それは別途政府が措置すべき問題であって、こういうことは、私は、今後こういう機会に再検討をすべきであろうというふうに思うわけでございます。  いま一つの問題として、私はやはり反対の強い意見という意味ではありません、問題として指摘をしておきたいことは、今回の交付税算定にあたりまして、基準財政収入額の中に、従来見なかった軽油引取税、それから道路譲与税が算入せられることになってきたのでございます。これは、一面筋の通ったようなやり方だとも考えられます。確かに地方のこれらの税によってのアンバランスというようなことも考えられますから、そういうものの是正ということで考えていく場合には、確かに一応筋が通ったようにも感じられるのですが、私、この際あらためて注意を喚起いたしたいことは、いわゆる団体間の財源調整という問題を今後一体どう考えていくのか。私は、今回のこの措置によって、今まで特に自治庁が否定しておきながら、大蔵省あたりが強く主張し続けてきたいわゆる団体間の財源調整の問題に一歩足を踏み込んでしまったのではないか。これは最後のとりでであるならともかく、これは大蔵省のペースに巻き込まれる第一歩ではないかというようなことも実は私心配をいたすわけでございます。  それから、いま一つは、この基準財政収入額の算入によって、これは根本的に考え直さなければならないことは、たとえば、道路関係の費用は今度算入されるわけですが、現在の道路関係の費用のいわゆる財政需要算定の仕方が、これでほんとうに必要な財源を確保できるようになっておるかということなのであります。それが確保できるという前提に立って、初めて今の二つの税の算入も可能になろうと私は思うのでありますが、これは私は、率直に言って、現在の基準財政需要額のいわゆる道路費だけ考えてみても、算定においては必ずしも実情に沿っておらないというふうに思うわけです。こういう点から申しましても、この点は問題の残る点ではないかというふうに思うわけでございます。  先にも述べましたように、この点は、私今回の法律案に反対の強い意見として申し上げるのではなしに、これは、こういう法案が出た場合に、一つ自治庁の、政府の慎重な今後の検討を望むというような意味で付加させてもらったことでありますが、いずれにしても、今回の地方交付税法等の一部改正案につきましては、冒頭述べましたような理由から私は反対いたすわけであります。
  111. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御意見もなければ、これにつきましては、終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。臨時地方特別交付金に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して問題に供します。両案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数でございます。よって両案は、多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決せられました三法律案の諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会