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1960-04-12 第34回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            基  政七君    委員            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            占部 秀男君            松澤 兼人君            松永 忠二君            米田  勲君            中尾 辰義君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    自治庁財政局長 奥野 誠亮君    自治庁税務局長 後藤田正晴君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 この法案の中で市町村住民税の問題ですが、今度のあれを見ると、オプション・ワンはそのまま置いて、主としてオプション・ツー、それもただし書きの方に集中させるような傾向があるのじゃないかと思うのですが、そういう点については、法の上でははっきりしたことは現われてないと思うのですけれども、何か行政指導とか何かというような形で、ただし書きの方へ集中されるというような意図はあるやに承っているのですが、いかがですか、その点……。
  4. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 今回の住民税改正につきましては、府県民税及び第一課税方式につきまして触れてございませんが、これは、課税標準所得税額をとります関係上、所得税そのもの減税になっておりますので、当然減税になるという趣旨で、地方税法そのものは手を加える必要はない、こういうことでございます。従って、改正案としては第二課税及び第三課税準拠税率改正する、その準拠税率につきましては、第一課税減税になる額と均衡がとれるように、第二、第三課税準拠税率を引き下げる、これが改正案の骨子になっておるわけでございます。で、具体的な指導になりますというと、この準拠税率に応じて、各市町村で第二課税、第三課税をとっておるところは、やはり条例改正をしていただかなければならない。同時に、第二課税及び第三課税ただし書き採用市町村の場合には、さらに二のほかに、所得税におきます扶養控除引き上げ割合に応じて、税額控除になる扶養控除額でございますが、税額控除分引き上げていただかなければならない、こういうことになるわけでございます。従って、ただし書きの場合には、さらに第二課税、第三課税本文準拠税率改正のほかに、扶養親族の数に応ずる税額控除分引き上げをしてもらうような条例改正をしていただく、こういうことになるわけでございます。従いまして、勢い私どもの第一線の市町村に対する指導も、第二課税、第三課税中心、特にただし書き採用市町村中心になる、こういうことになろうかと思います。
  5. 占部秀男

    占部秀男君 第二課税方式と第三課税方式中心になるというんですけれども、実際問題として、市町村の現在採用しておる状況を見れば、第二課税方式、特にただし書きを採用したのが大部分になっておると思うんです。少なくとも七〇%以上はそうなっておると思うんですがね。そこで、第二方式ただし書きによると、迂遠な質問かもしれませんけれども、今度の改正は、結局扶養控除引き上げるということで、従って、第二課税方式あるいはその他の方式とほぼ金額的には見合うような形をとっておる、こういうふうに考えていいんですか。
  6. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 御質問通りに、均衡がとれるように考えてございます。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、均衡がとれるようにといっても、実際こまかい計算になると、いろいろあると思うんですが、何か第二の方式ただし書きと、それから第三と第三のただし書きと、これをこうやった場合の率か何かの計算したようなものはできておるんですか。
  8. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 住民税課税の五つの方式の場合に、第一課税と第二課税本文、第三課税本文は、いずれも負担が同じになるような計算税率そのものができております。問題は、第二課税ただし書きと第三課税でございます。この場合にも、準拠税率そのものは第一課税均衡がとれるようにできておるのでございます。ただ、その場合に、第二課税課税ただし書き、第三課税課税ただし書き扶養親族の数に応ずる税額控除額ですね。これが各市町村で実際上まちまちである、こういうことになりますと、この点から負担は相当変わって参ります。ことに第二課税第三課税ただし書きの場合には、課税標準額そのものが、課税総額または課税総額から所得税額控除の可処分所得課税標準にしておるというようなことから、課税標準額そのものも多くなっておるというようなことから、第二課税ただし書き、第三課税ただし書き住民税の中で負担がふえる。その調整は、今回の所得税法改正が、負担軽減割合が、比較的親族の数に応ずる扶養控除額引き上げによって行なわれるわりであります。従って、それに対応する税額扶養親族の数に応ずる税額控除を相当引き上げてくれないと、負担均衡がとれない、こういうことになるわけでございます。ことに第三課税ただし書きの場合には、可処分所得課税標準にしておる関係で、可処分所得そのもの所得税額軽減になれば、それだけ課税標準額は上がるわけでございます。そこでそういった調整を、やはり扶養親族の数に応ずる税額控除引き上げていただかなければ負担均衡が保てない、こういう計算になるわけでございます。実際問題として、計算をいたしてみますと、第三課税ただし書きの場合に、高額所得になればなるほど減税分は少なくなります。そういう計算になっております。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 具体的に指導するということなんですがね。たとえば、扶養控除というようなものは大体どういうふうに権衡していくと——どういう具体的指導をなさるか。
  10. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) まあ準拠税率そのものの作り方、それから、ただいま申しました扶養親族の数に応ずる税額控除引き上げ割合等を具体的に示しまして、それに応じてやっていただきたいという、抽象的な通達でなしに、具体的な、いわば準拠となるような点まで入れた通達によって指導をいたしたい。たとえば、税額控除額引き上げについて申し上げますというと、これは、所得税扶養控除引き上げ割合が、減税前と平年度と比べますというと、一・三九になるわけでございます。つまり約四割の引き上げになる。従って、それらの算定の基礎まで示しまして、少なくともそれまでのパーセンテージには税額控除引き上げるという、具体的数字を入れた指導をいたしたい、かような考えであります。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 第二課税ただし書き、それから第三課税ただし書き第一課税によると納めない者がある、そういうので、第二課税ただし書きをやったり、あるいは第三課税ただし書きをやるために、そういうもので負担しなければいけない割合というものは、どういうふうになっているのですか。
  12. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 現在の課税方式で申しますというと、第二課税ただし書きの場合には、所得税控除失格者で、住民税を納めなければならない者が五二%あるわけです。それから第三課税ただし書きの場合には、同じく所得税控除欠格者である者で、住民税を納税しなければならないという者が五六・八%、つまり第一課税方式をとれば、これだけの者は少なくとも住民税を納めなくてもいいわけでございますが、第二課税ただし書き、第三課税ただし書きの場合には、これだけの者が住民税を納めなければならない。この点で、現在この住民税課税方式というものの合理化をなんとかやったらどうだという改正の御意見が出てくる理由がここにあるわけでございます。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ準拠税率によって課税をした場合の税額と、準拠税率によらないで課税をしていった場合の最高の税額、一体それらはどのくらいな率で納めている、市町村が特に多いと思うのですが、これは市町村の場合どうですか。
  14. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 一番極端な場合は、ただいま申しましたように、そもそも欠格者が納めなければいかぬというようなことがあるわけでございますが、現に所得税を納めておって、しかも第二課税ただし書きの場合と、あるいは第三課税ただし書きの場合と、第一課税方式でやる場合と、どの程度負担が不均衡になるか。一番極端な場合を現実の市町村を例にとってみますと、所得金額が三十万円のところで、第一課税の場合を百の負担といたしますと、六百三十四、これが日本で一番極端な場合でございます。これは給与所得者についての比較でございます。事業所得者の場合の住民税につきましては、一番極端な場合は、所得金額二十五万円の場合に、第一課税で算定した場合を百として、第二課税ただし書きを採用しておるために四百三十三、これが一番極端な例でございます。
  15. 占部秀男

    占部秀男君 大臣にお伺いをしたいのですが、この前の委員会で実はお伺いしょうと思ったのですが、おいでにならなかったものですから、きょう続いてお伺いしたいと思うのですけれども、今度の地方税法改正の問題でこの改正点の問題はともかくとして、それ以前にしなければならない、今度当然出さなければならない問題がまだ相当あるのじゃないかというふうにわれわれは考えるわけです。その中の一つとして、減税の問題なんですが、今度のこれは、去年の国税減税に基づく問題や、その他のものが当然伴う問題ですけれども、それ以外に、純粋減税というものは、私は、今度行なわれるべき筋合いのものではないか、かように考えるわけなんです。この前の委員会でも、明らかにその点については局長からお伺いもしたのでありますが、ともかくも、地財計画では地方税だけでも八百億以上の伸びを見ている。しかし、純決算になるとどうかという問題もあるわけですけれども、いずれにしても、当初計画では八百億の伸びというのは前古未曽有だと思うのですが、さらに、純決算にしたところで、五百億近い伸びがあるのじゃないか、私はかようにことしの場合はほぼ考えられるのです。そういうようなところから見ると、去年ああいう形をとった、去年の場合を見ても、ここ数年、おそらく三百億からせいぜい四百億くらいの決算における増であったと思うのですが、そういうような比べ合った結果から見ても、少なくとも今度のような税金の伸びがあると見込まれる年には、大衆課税的なものを中心にして減税を、ほんとうの純粋減税を行なうのは、私は当然の建前じゃないかというふうに考えるのですが、今度の法案には、そうした点については全く触れられていないわけでありますが、この点、大臣としてはどういうふうにお考えを持たれるのか、お伺いをしたいと思うのです。
  16. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま占部委員からお話のありました点、一応ごもっともに思えるのであります。ことに衆参両院、また参議院の当委員会等におきまして、数項目の問題にわたって減税ということが前々から論議せられておりました。そこで、本年度予算編成のときからも、いろいろ論議をされたのでございまするが、たびたびこの席でも申し上げましたように、昨年秋の伊勢湾台風の結果、三十五年度予算の大筋を災害復旧国土保全ということに切りかえまして、国税においても、相当の自然増があるにかかわらず、減税というような問題を見送って、国土保全予算建前がとられたのであります。そこで、それらに伴いまするいわゆる地方負担というようなものも相当激増してくるわけでございまするので、われわれも減税問題ということを一応頭に置いたのでございまするが、住民税減税だけは、七百億減税でも一部すでに課税方針によって始まっておる減税でありますから、この問題だけはやらなければならぬし、それにしても、地方財政現状から、財源補てんというものを考えなければならないというわけで、予算編成最終段階まで論議をいたしまして、ようやく臨時地方交付金という形で三十億の補てん財源がとれたようなことでございます。  そこで、考えたいことは、精一ぱいやったんでございまするが、そういう建前から、減税も一応見送って、たまたま税制調査会等でいろいろ検討もされておりまするし、それらのものもにらみ合わせつつ、一年送りのような議論になりまするけれども、三十六年度において考えたい。そのかわり、別途御審議も願っておりまするが、税外負担整理の問題であるとか、いろいろ実質上地方住民負担軽減するということにも、全面的の努力を払っておるわけでございます。  たびたび同じことを繰り返すようでございまするが、以上のような考え方から、本年度住民税減税だけで行きたい、こういうことになっておるのであります。
  17. 占部秀男

    占部秀男君 大臣の今のお話で、災害復旧中心国土保全の問題のためにも、税の伸びについては減税に至らなかったと、こういうことでありますけれども、かりに大臣の言われたことをそのままにしておいて、それを前提とした考え方を持ったとしても、やはり減税財源はほかにもあるじゃないか。たとえば、この前の委員会でも、局長にお伺いしたのですが、非課税措置の問題、減免措置の問題で、地方税関係だけで三百六十八億、国税にリンクしたもので二百八十一億、六百四十九億も、いわば非課税あるいは減免措置の問題がある。そこで、国税の方は、昨年の国会で一部整理をしたわけですが、地方税については整理はしてなかった。そういうようなことから考えても、今度は、そういう整理をしてでも財源を浮かして、少なくとも大衆課税的なものについては減税をするというのが、やはり地方自治を円満に行なう建前からいっても必要ではないか。まあ私たちはこう考えるのですが、その点については、大臣はいかがでございますか。
  18. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 非課税規定整理といいますか、これも、国税地方税を通じまして、毎回論議される問題でございます。現在地方税でとっておりまする非課税措置の中にも、検討しなければならぬものもないわけではないと思うのでありますが、しかし、一部にはまた、もうこれはすでに長い間行なわれていて、一種既得権のような感じを持っておるような税種もあるのであります。そういう関係で、やはり減税なり、あるいはわれわれも従来から地方税に若干の新税はないだろうかというようなこともいろいろ検討をしておりまして、考えてみたいようなものもなきにしもあらずであったのでございまするが、先ほど申し上げましたような趣旨から減税も見送っておるので、まあ一応三十六年度予算を作るころまでには、税制調査会においても何らかの大きな筋が出てくるのじゃなかろうかと、こういう、とで、本年度は、一応一切を見送って、住民税減税の一本にしぼったような形でございます。非課税の問題の整理ということも、今後十分考えていかなければならない問題ではないかと思っております。
  19. 占部秀男

    占部秀男君 なぜかようにしつこく大臣にお伺いするかというと、大臣は、先ほどの話の中で、まあ純粋な税の減税の点については触れられなかったけれども税外負担の問題については今度大きく打ち出したんだと、かように言われ、結局は、税外負担という形の整理から減税と同じような効果をある程度上げてるんじゃないかという期待を持たれておるように思うのでありますけれども、今度打ち出された税外負担の問題がはたして自治庁考えるように実現できるかどうかということになると、私は相当これは危ぶまれるのじゃないかと思うのです。特に法的な規制においてもあまりはっきりはしてない。しかも一今度の税の伸びというものが、これは私が言うまでもなく、大都市、富裕県に集中するような伸びが多くて、較差は従来よりますます大きくなる傾向を持っておる。それで、伸びないところの貧弱団体特に貧弱市町村、こういうようなところに税外負担の問題はよけいかかっておるのが現状の姿であろうと思うのです。そういうような面からいっても、税外負担といっても、なかなかこれ、率直に言って、自治庁指導するような方向で税外負担が実現するかというと、これはなかなかそうは実際問題としてはいかぬではないかというふうに私ども考えるわけです。そこで、何らかの形で、やはりもう税も大衆的には相当限度に来ておるのですから、このことを考えていただかにゃならぬと、こういうように私たち考えておるんですが、今大臣のおっしゃった中に、三十六年度には何とか一つしたいと、こういうような言葉があったと思うのですが、三十六年度には、当然のこの整理じゃなくて、いわゆる減税的な問題を芽を出させる大臣としてのお考えがあるかどうか、この点をもう一回、繰り返して申しわけありませんが、お聞きしたい。(「から手形じゃ困る」、と呼ぶ者あり)
  20. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私が三十六年度予算編成関係するかどうか、ちょっとわからないのでございまして、何だか毎年送りに、今そちらの方でから手形という声もございましたが、から手形を出して、次へ次へ送っていくというように思われては、私は非常に残念なんでございまするが、三十六年度予算編成のころにあたりましては、くどいようでありまするが、税制調査会あたりでも一応一つの筋が出てくるんじゃないか、国税地方税の。それから、税は国民所得の大体どれくらいでおさめにゃいかぬという筋が出てくると私は思いますので、三十六年度予算編成、あるいは三十六年度予算でも、また翌年送りの弁解、から手形というわけには、これは私はいかないと思う。少なくとも私は、三十六年度においては、それだけの誠意と熱意を持って当たっていきたいと、かように考える次第であります。
  21. 占部秀男

    占部秀男君 これは、調査会の方のあれとにらみ合わしてという大臣のお言葉でありますが、しかし、少なくとも非課税問題の減免措置ですか。減免措置整理ですね。この問題は、何と申しますか、私は全部やめろということは言っておるわけじゃないのです。あの中で、われわれが考えてみても、整理していいじゃないかと思われるものがあると思うのです。従って、そういう点については、少なくともことしは間に合わないと言われるわけですが、間に合わなければ間に合わないでやむを得ないとしても、三十六年度はある程度踏み切ってもらわぬと、地方財政は、まあことしは私は幾らかの余裕はあると思うのですが、将来を考えたときに、必ずしも楽観できないのじゃないかと思うので、従って、そういう点については、大臣いかがでございますか。非課税減免措置整理問題は、三十六年度は、やっぱりある程度のあれは今後の問題としてはやらなければならぬと思うのですが、その点はいかがなんですか。
  22. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 非課税措置の問題は、これは私も同感でございます。今、税制調査会でも、やはりこの問題を大きく取り上げておるそうであります。それから、今年とにかく住民税減税だけで行きたいという気持は、やはり一つ手をつけますと、ずっと今までからみ合ってきている減税なら減税の問題も数項目あるわけです、非課税の問題が。そうなりますると、これは相当膨大な減収になることになりまするので、そこで、やりたいと思いまする問題はいろいろの点に若干はあるのでありますけれども、とりあえずどこにも問題のないであろう住民税だけを取り上げたのでありまして、非課税の問題は、私は、ひとり地方税に限らず、国税にも相当問題があると思いますので、これらの問題を事務当局にも十分検討を続けさしたいと、かように思っております。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 今、占部委員との質疑応答で、大体三十五年度から地方税全般にわたって減税ができないということがよくわかったわけなんですが、大臣からお話がありました、いろいろの減税の問題がからみ合ってというお話でありましたけれども政府といいますか、あるいは自民党の中といいますか、そういうところで、減税に関して議論のあって、最終的に残った問題はどういうところですか。
  24. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) これは、道府県税関係では、一番大きな問題は、大衆的飲食及び宿泊に関する例の遊興飲食税の問題も一つであろうと思います。それから、自家用貨物自動車に対する自動車税均衡化の問題、それから、これは小さいのでありますが、天然ガス鉱業に対する鉱区税軽減合理化の問題、市町村税関係では、都市ガス事業新規施設に対する固定資産税特別措置、それから電気ガス税非課税対象調整合理化の問題、それから、最近新しい問題の一つといたしましては、東京であるとか大阪のガス料金値上げに伴いまする電気ガス税軽減の問題、それから、これは小さいのでありまするが、内航船舶及び漁船に対する固定資産税課税合理化の問題、その他鉱産税の問題などにつきまして若干の議論がありますけれども、大体大きいところはそういう問題ではないかと思います。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 お伺いしますけれども消防施設税の問題は議論にならなかったのですか。
  26. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 消防施設税の問題も、これは、実は率直に申し上げまして、私も就任以来消防施設強化の意味で非常に取り上げたかった一つの問題なのでございます。しかし、この問題は、だんだん論議を進行しておりまするというと、やはり消防施設をいろいろやります場合の融資一種の起債でありますが、それらの融資源をある程度協力を得るとか確保するとかいうことによりまして、消防当局におきましてもいろいろ施設強化の仕事を進めておるのでございまして、そういう問題と一つからみ合うということと、それから、先ほど申し上げましたように、三十五年度は、減税においてもあるいは新税の創設においても、非課税措置の問題もいろいろ問題はあるが、とにかく問題のない固まっておる住民税減税一本にしぼりたい、こういうことで進みましたので、消防施設税の問題も、非常に深入りして検討する段階まで至らなくて終わったような次第でございます。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、今申されたような地方税軽減なり、あるいは非課税の撤廃の問題や、あるいは消防施設税の問題も、やはりあとに残っておるということなんですか。
  28. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) その通りに御理解いただいていいと思っております。また、新税の問題については、まだほかにも検討すべきものとして、娯楽施設利用税の問題であるとか、まだ私が先ほど述べました以外にも若干あると思っております。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほども触れられたと思うのでありますけれども遊興飲食税の問題は、当委員会としましては、何回も何回も附帯決議をつけましたり、あるいは大臣から確約をいただいたりしております。少なくとも参議院地方行政委員会におきましては、当然三十五年度からこれは実現するのだ、こう思っていたわけなんです。いろいろ税制全般に関する問題は、単に地方税だけではなくして、国税地方税関係もあると思いますけれども大臣が逃げられる場合には税制調査会の結論を待ってというふうにおっしゃる。しかし、政府としましては、何と申しましても、やはりこの地方行政委員会決議というものは十分に尊重していただかなければならないと思うのであります。今承りましても、三十六年度において考えるということでありまして、当時の青木国務大臣は、三十五年度からやるということをはっきり言っておる。今のお話を聞きますと、三十六年度において考えるということだけでありまして、何ら三十六年度にこの問題が解決するというわれわれは希望も何も持つわけにいかないわけなんです。おそらく大臣がおっしゃることも、今約束できないということだろうと思いますが、突き詰めて申しますならば、三十六年度でやるとおっしゃるのか、あるいは単に検討するということであるのか、逆に申しますならば、ことしはできないけれども、三十六年度でぜひともこれはやるというお話をいただけるものかどうか、その点はどうなんですか。
  30. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私、先ほど述べましたように、税制調査会でも、三十六年度予算の編成あるいは審議中には何らかの方向が出るのではないか、こう考えておりますので、三十六年度には一応の結論が出るのじゃないかと、私この遊興飲食税については考えておるものでございまして、ことに参議院の当委員会においての決議趣旨もあるのでありますから、私も参議院に席を置いておる者でありまするし、かりに私自身が予算編成に関与しないにいたしましても、議員として、やはり院議尊重の建前から、この問題の推進には責任を持って当たらなければならないというふうに考えておる一人でございます。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 お話承りましても、税制調査会でそういう問題が取り上げられるだろうというお話なんですけれども、しかし、それも必ずしも保証があるわけでもありませんし、また、大臣御自身としましても、自分は必ずやるという御決意表明もないわけなんです。そういうことを考えてみますと、たびたびこの委員会において、あるいは論議の過程において、あるいは附帯決議という手続によりまして、どんなに固い希望なりあるいは決定なりしましても、政府で取り上げられないという、そういう悪い前例が毎年々々繰り返されるということは、われわれとしても非常に残念なんです。特に現在の遊興飲食税の問題に関しては、田中国務大臣のときでありましたか、芸者の花代を減らして、逆に一般の遊興飲食税に対する税率を引き上げたということがあるのでありまして、そのやり方が、いかにもわれわれとしましては心外でありまして、芸者の花代と一定額以上のわれわれのいう大衆飲食の税率というものとを天びんにかけたというやり方は、非常にわれわれとしましてはその当時不満に考えていたことなんです。そういうことがもし将来改正されるということになるならば、当然そういう面でもやはり調整しなければならないと思うのであります。そういういきさつもあることでありますから、われわれとしては、この税法のあがりますまでに、はっきりとしたわれわれの態度もお示しし、かつまた、政府の明確な答弁ということがなければ、いわゆる院議の無視ということで、今後も大いに追及しなければならぬ、こう考えているのです。今の段階としては、そういう大臣の意思表示もいただけないということでありますか。
  32. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私、先ほども申し述べましたように、当院における附帯決議もあるのでありまするから、そういう趣旨にもかんがみまして、ことに今論議遊興飲食税の問題は、これは、名前は遊興でありますけれども、実質は大衆的飲食や宿泊の税の軽減合理化の問題であろうと考えているものでございまして、この問題につきましては、従来の経緯もあり、優先的に検討して善処していきたい、こう考えておりまするので、これは私ではまあ最上級の言葉ではないかと、こう思っておるのであります。御了承を願います。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 石原国務大臣が就任されまして、この委員会に最初にお見えになりましたときに、私は、この問題は、懸案事項として、前の青木大臣から当然引き継ぎがあったと思うけれども、しかし、当委員会としてはそういう決定をしているのであるから、どこまでもその決議趣旨を尊重して善処してもらいたいということを申し上げ、大臣も善処するという言明があったと思うのであります。この点は、われわれ長い間この地方行政委員会に席を置いておりますものとしては、まことにもう毎年々々こういうことを繰り返していることですが、われわれとしましては、非常に残念なことに思っているわけであります。われわれは、この税法の問題の態度を決定するにあたりましては、相当強硬の決意をもって大臣の言明を得なければ、われわれは簡単に採決に臨むわけにいかぬという非常に強い決意を持っております。御承知のように、衆議院の地方行政委員会におきましては、社会党の全般的な政府案に対する対案という形のものを出しております。院の構成から申しまして、現在たな上げのような状態になっておりますけれども、しかし、われわれ参議院におきましては、そのうちの一部分だけでも、つまり遊興飲食税の問題だけでも修正として出したい、こういうふうにも考えております。その態度は、明日、明後日決定することになると思うのでありますけれども、そのことは、直接政府の態度あるいは言明というものによりましておのずから影響を受けることにもなるのでありまして、採決までには大臣として明確な一つ答弁を出していただきたいということを希望申し上げております。
  34. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他にございませんか、大臣に対する御質問
  35. 松永忠二

    松永忠二君 この地方税税収の基準税率の引き上げというような問題は、今度の財政計画等を立てる場合でも、あるいは自治庁関係予算等の場合でも出てきたようであります。これについて、今の府県の八〇%、市町村の七〇%の変更というような問題、それとまた同時に、この例のたばこ消費税の譲与税化というような問題、それからまあ交付税の補正の修正というような、そういうふうな問題等、自治庁考え方と大蔵省の考え方とだいぶ違うということは聞いております。たばこ消費税の譲与税化もできないということになってくると、しかも、その交付税の補正についても限度に来ておるということになってくると、どういうふうなところで、自治庁としては、貧弱の府県等に対する税の補充というようなものを考えていくのか。毎年同じようなことが出てくるのじゃないか。特に基準税率の引き上げ等の問題については、毎年同じような論議が繰り返されるのじゃないかというようなことを考えるのですが、こういうふうな税の調整というような問題については、基本的に自治庁としてはどういうふうな考え方を貫いていきたいと考えておられるのか。大臣から一つ聞かせていただきたいと思います。
  36. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) このたばこ消費税の譲与税化の問題は、われわれが反対しておりまするのは、やはり地方税としてのまあ独立税としてのこれは最も大きなものの一つでございます。そういう独立税源の確保、つまり地方の自主性を保たしめるというような根本趣旨から出ておる議論であります。それから、例の八〇%、七〇%——九〇%、八〇%に引き上げるというような問題も、こういうふうにして見れば、もう地方が自主的にあんばいする百面がますます少なくなりまするので、そういう趣旨からこれも反対しておるわけであります。そこで、これからどういう対処をするかということについては、先ほど来ずっと論議を続けてきておりまする未開発地域に対するいろいろ公共事業に伴う国庫負担引き上げ貧弱団体がいろいろの公共事業を行なうについて行ないやすいように、国庫負担率を引き上げていくべきじゃないか、さらに進んでいけば、今までの補助金なり何なりというもの、これがやはり、富裕団体であろうが、貧弱団体であろうが、一律に出ておるわけでありまするが、こういうものを、さらに富裕団体はそれぞれの団体でそういうことを考えていったらいいんじゃないかというふうにまで考えを進めていきまするというと、相当これは大きな問題になってくると思うのでありまするが、将来はそういう方向で、いわゆる財源調整といいますか、富裕団体、貧弱団体調整という問題についてはそういう方向で参りたい。さらに、根本的になれば、いわゆる国、地方を通ずる事務なりあるいは財源調整ができた暁においては、また別の観点からいろいろ論議されていくと思うのでありまするが、今の段階においては、ただいま私が述べましたような方向で地方団体間の財源調整を行なっていきたいと、こういう考えでおります。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 この問題について、今のことと同じように、今ここでどうこうということをはっきり言うことはできないとは思うのですけれども、毎年同じようなというか、特にまあそういう点については、両者おのおの意見も非常に異なっている。それで、それについて、非常にまあ予算編成一つのそれがおくれた原因にもなっているということを考えてみると、自治庁としては、とにかくこういう問題を毎年繰り返さないで、少なくも来年はここに集中した論議をして、こういう問題について自治庁としての基本的な態度を、来年はここに求めたいという、そういうふうな、本年だけに起こつた問題じゃないわけですけれども、この問題について、やはり少なくも来年度予算編成までには、ここの点を自治庁としては中心に置いて、少なくもこの問題について解決をしていきたいと、態度を明らかにしていきたいと、そういう点は、今の未開発地域の公共事業に対する補助率の引き上げというふうな問題は、具体的にいろいろ論議されておるようでありますけれども、来年度について、少なくともここの点をという、そういう点についてお考えを持たれているのか。特に予算編成にあたって、こういう問題が特に論議をされて、予算編成が非常に延ばされていくということについて、少なくもこういうふうな態度で今後自治庁としては解決をしていきたいという、そういう明年度というものについての考え方の基本的なものがあるのですか。
  38. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 毎年交付税論争をやっておるのも、これは実はどうかと思うのでありまして、それで明年は、今述べました未開発地域の問題、これはやはり一番大きい問題だと思います。この国会において、まあ法案だけでもまとめたいという気持でおりますけれども、これはななかなかそこまでいくかどうかわかりませんので……、この問題が一つ。それから、論議してみたいと思いまする問題は、零細な補助金などをやはり整理してもらって、それらの財源を交付税なら交付税の方にぶち込んでもらうということになれば、これは、おのずから財源調整の方へ働くことになるのであります。まあそういうふうな問題が、三十六年度予算編成にあたって、自治当局として論議する大きな問題になっているように思います。かように考えていきたいと思います。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 それで、このもとの法律として出ている地方税法改正にあたって、特に住民税減税というような点で出ておるわけなんですけれども、これについては、さっきから論議をされているように、よほどこの自治庁指導が的確に行なわれない限り、必ずしもその減税が保証されるというわけではないと思うわけです。で、こういう点について、地方の市町村が、この自治庁趣旨に沿って扶養控除の額を引き上げるとか、あるいはその準拠税率を励行していく、守っていくという、こういうことを実際に実施をしていかなければできないと思うのであります。同時に、それが実施をしない場合においての措置として、臨時特別交付金なりあるいは交付金等で、そういう所には特に交付金の増加する措置をしないというような、そういうまあ的確な措置をとって事実上実行していくというような決意がなければならないと思うのですが、こういう点については、大臣としてはどういうふうなお考えを持たれておるのですか。
  40. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) この問題は、やはり地方がこの減税措置をとるような条例を作っていくようにしなければ効果が上がらないことは、御指摘の通りであります。強力に指導するつもりでございまするし、それから、臨時地方特別交付金は特別交付税の例によって配分することになるわけでございまするが、これも、減税をした市町村について減収補てんをしていくのだという趣旨を明らかにしてやっていきたい、かように考えております。
  41. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ほかに大臣に対する御質疑はありませんか。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  42. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) では速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会