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1960-03-30 第34回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)    午後二時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            大沢 雄一君            郡  祐一君            白井  勇君            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            占部 秀男君            木下 友敬君            松澤 兼人君            松永 忠二君            米田  勲君            中尾 辰義君   委員外議員            亀田 得治君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣官房内閣審    議室長    兼内閣総理大臣    官房審議室長  大島 寛一君    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁長官官房    長       原田  章君    警察庁刑事局長 中川 董治君    警察庁保安局長 木村 行藏君    運輸省自動事局    長       国友 弘康君    労働大臣官房長 三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁保安局交    通課長     内海  倫君    法務省刑事局検    事       前田  宏君   —————————————   本日の会議に付した案件道路交通法案内閣提出)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  道路交通法案議題として質疑を行ないます。  先刻、理事会の申し合わせによりまして、本日は、本案に対する総括的な質疑を行ないたいと存じます。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 総務長官にお尋ねをいたしますが、実は、かねて当委員会道路交通法審議にあたって、特に現在の交通事故、これを非常に重視して、この防止対策等にいろいろ論議があったわけでありますが、どうしても、現在の交通事情あるいは事故現状等からいたしますと、防止対策を早急に樹立をして強力に推進しなければならないということを痛切に感じるわけであります。内閣には、交通事故対策協議会でございますか、何かそういう名称のものがありまして、それぞれ対策等につきましての話し合い等が行なわれてきたようでありますが、私ども見るところによりますと、必ずしもわれわれが期待をし、国民が要望するような効果が上がっておらないような状況にあるのではないかと、まことに失礼なような言い方でありますが、率直に申しますと、私どもそういう感じでこれを見ておるわけであります。従いまして、今回の新しい道交法がかりにできまして、いろいろ交通の安全あるいは円滑化をはかるという建前でできておりますこの法律が施行されるにいたしましても、やはりもっとより根本的な諸般の問題についての対策が樹立されない場合には、単にこの法律は、言ってみると、取り締まり法だというようなことになりかねないのでございます。従って、こういう段階におきましては、現在あります事故防止対策委員会というような、何かひよわなものでなしに、もっと強力な、法的根拠を持つところの機関にして、内閣にそういうものを置いて、そこでいろいろ検討され、審議されたものにつきましては、政府関係省庁で必ず実行していくんだ、そうしてもって交通の安全の確保と円滑化を期するということでなければならないという段階まで来ておると私ども考えるわけでございますが、そういう点につきまして、一つ長官から考え方を承りたい。と同時に、さらに、私が聞いておりますような、そういう新たに総合的な推進する機関を、法的の根拠のあるものを作る用意があるかどうかについてのそれをお答えいただきたいと思います。
  4. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 御指摘の、現在の交通事故の発生の状況、それに対する対策の問題、全く同感でございまして御存じ通り総理府昭和三十年来交通事故防止対策本部を作っておりますが、今までに、神風タクシーでありますとか、あるいは雷族、あるいは砂利トラック、そういったケースにおいて、いろいろな問題の部会までも設けまして、相当いろいろ対策を練って参りました。今御審議を願っておる道路交通法につきましましても、実は、先般のこの対策本部における論議相当推進をしたと私ども考えておるのであります。ただ、あまりにも自動車増加数が予想以上に急激でございまして、今御指摘通りのまことに交通事故という点から見て、ほうっておけない状況に相なっておるわけでございます。昨年の事故総数も、戦前戦後を通じての最大の死傷者を出すというような、まことに人命尊重という点から見ても遺憾にたえないのが実態でございます。従いまして、先般来各方面からも御同様の強い御要望がございますので、一応事務的に、現在持っておりまする事故防止対策本部を発展解消しましてもっと総合的な、道路行政全般にわたって、これを大局的に見て、いわば方々建設省にしましても、あるいは運輸省にしましても、あるいは警視庁その他の取り締まり方面におきましても、ばらばらでは、もうとうてい無理ではないか、もっと総合的な、有機的な、強力なものを作ろうという考え方で、今鋭意検討中でございます。御指摘の点を一日も早く現実に具体化いたしまして御要望に沿いたいと決意いたしておる次第でございます。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただいま長官から、早急に現在ある対策本部を発展的な解消をして、新たな機構を作って、早急に対策を立てて参りたいというお話がありましたが、まあ結論は、今のお答えで尽きるわけでございますけれども、私も、その点が確認されればよろしゅうございますが、時期的に何かそういう問題についてお考えになっておられるのかどうか。  それから、いま一つは、これからまたできるものが、単なる協議をし、あるいは話し合いをし、いろいろな問題を持ち寄ってというようなことだけでは、先ほども申しましたように、効果が上がらないのじゃないか。もし今後できるものがそういうものであるとすれば、これは、現在の対策本部とあまり変わりないような格好になってしまうのじゃないかという心配を実は私は持つわけなのです。今あなたのお話にありましたように、この問題は、単に取り締まりとか、警察当局だけのことで防ぎ切れる問題ではない。建設省のこともあり、さらに運輸省関係のことも大きなウエートを持っている。場合によっては労働省とも関係する問題がある。こういうふうに、各省庁が非常に広範な意味でのつながりを持った、そこでのほんとうに総合的な方策を立てて、その機関決定されたものは、各省庁責任を持ってやはり実行していくのだというところまで踏み切らなければ、内閣としてそういうふうにはっきりやっていくのだというところまで踏み切らないと、この問題は、機関はできた、しかし効果は上がらないということになって、従来のそういうことをまた繰り返すようなことになるのではないかということを実は心配をするわけなんでございまして、その点、先ほど申しましたように、私もばくとした言葉を用いましたが、法的根拠のあるようなというばくたる表現をいたしましたが、一つ強力なものにして、実効の上がるような機関を早急に作ってもらいたいというのが私の質問の趣旨なんでございますから、この点について一つ重ねて承りたい。
  6. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 実は、先週末に一応の事務的な案はできたのでありますが、まだ私は、これが最終的な、今御指摘のような、またわれわれが考えておるような有効なものであるかどうか疑問でありますので、さらに検討を続けたいと考えておるわけでございます。特に法律による審議会ないし調査会という問題になりますと、御存じ通り各省の持っておりまする法令関係その他非常に実は複雑で、まだ未整理と申しますか、いろいろな点についてたくさんの壁にぶつかるわけでございます。こういう意味におきまして私ども考えている点は、御要望の線と全く同一でありますので、一日も早く具体的にこれらの問題について成案を作って、有効な方法考えたいと考えておる次第であります。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 一つお尋ねいたしますが、あなたのその事故防止対策本部で、タクシー事故防止対策要綱というようなものを決定して、事実これをきめられたことは非常にりっぱなことだと思うのです。このきめられたことは、事実上タクシー事故防止対策として実行されていれば、ここでいろいろ論議をする必要はないというくらいに、要綱としてはりっぱなものができておるわけなんです。これを実行するかしないかというところに問題がかかってくるわけであるし、また、実行するにあたってこれを実行させる権限というものがやはりあるかないかというところに問題があると思う。こういうふうな点について、今お考えになっているものは、一体決定したことについてどういう方法でこれを実行させるということについての問題について考えておられるのか。そういう点が一つ、その点一つお伺いいたします。
  8. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 今御指摘の点は、実は私ども困っておる点でございまして、一応対策要綱を作りましても、法的根拠からいえば、関係官庁がこれを尊重し、一つ行政の基準にするという程度であります。これに違反した場合あるいは沿わない場合には、何らかの処置ができるという、そういう力を持っておらない。従って、御指摘通り一つ方針なり要綱を作りましても、それを確実に、そして適確実行に移して、しかも、それに対して遅滞を許さぬというような法的な強い強制力あるいは命令権がないわけなのでございますので、この点が総理府の今の一つの悩みであります。今度作る問題につきましても、実は、どうしたら具体的に有効に、関係各省の、今のところ協力でございますが、協力が得られるか、また実効が上げられるかという点が実質的に一番大きな問題であります。今のところ、まだ結論を得ておらないのが実情でございます。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 このタクシー事故防止対策要綱というものは、対策本部決定をした一つ方針であって、これを実行しようという場合には、たとえば、閣議決定をするという方法も具体的にあると思うのです。閣議決定をすれば、それに伴って、実行についての責任が各閣僚に負わせられるということもできるわけなんです。現実にもまた具体的に解決する方法はあると思うのですが、こういう措置はとられたのかどうか。そういう点について一つお尋ねいたします。
  10. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 今のタクシー対策の点については、対策要綱ということで、閣議決定ということまでいかなかったようでございます。しかし、今、決定したらば力が違うではないか、全くその通りでありますので、この点もあわせて今後取り扱い上については検討さしていただきたいと思います。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 ここに決定しているのはタクシー事故防止対策要綱ですから、今問題になってきておるものには、定期路線自動車運送についての事故防止対策というものが当然考えられてこなければできないものであるし、またもう一つ、今お話のあった砂利トラック関係する事故防止対策の問題、それから白ナンバーの、いわゆる特にこの運送関係した白ナンバーのような問題についても、やはり防止対策決定をしていくということが非常に必要だというふうに考えておるわけなんですが、これは、一応タクシーについて、いわゆる神風タクシーといわれたときに事故防止対策要綱をきめたのであるけれども、その後現実に出ておる砂利トラックとか、あるいは定期路線の問題についての事故防止対策を具体的にきめていくという必要が私たちにはあると思うのでありますが、この点については、今後検討して具体的に対策を打ち立てていく用意があるのかないのか。この点はいかがです。
  12. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 先般開きました対策本部でも、御指摘定期路線砂利トラック議題に上りまして、いろいろな各省からの参考意見も出たわけであります。ただ、まとまった対策要綱というまではこぎつけておりませんが、これも全般的な組織と並行いたしましてぜひとも要綱なり具体的対策を至急立てたいと考えております。
  13. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  この際お諮りいたします。委員外議員亀田得治君から、本案について発言を求められておりますが、特にこれを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  亀田君に申し上げますが、先ほど鈴木理事を通じて申し上げましたように、委員会審議の日程がございますので、大体御質疑の時間は十五分程度にお願いしたいと存じます。
  16. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 実は、法務委員会の方でも、本件を特に法務専門立場から連合審査等をお願いしたい希望は持っていたのですが、まあそういう機会が得られなかったものですから、特にそういう立場からの必要な一、二点のところだけを確かめておきたいということで、おじやましたわけです。委員会事情がいろいろおありの中をお許しいただきまして、委員長に厚くお礼を申し上げておきます。  その第一点は、百四条の聴聞会に関する規定のところの第四項に、当事者が正当な理由がなく出頭しないときは、聴聞をやらぬで免許の取り消しなり効力の停止をできる規定があるわけです。私から申し上げるまでもなく、こういう処分は、実際は、当事者にとっては罰金以上にこわい処分なんです。そういうことが本人がおらないで処分される、こういうことは、現在の広い意味でのいわゆる人を処分する建前ではないはずなんですね。従って、まあこの法案においても、みだりにそんなことはするつもりはない、正当な理由がなくして来ない場合だけなんだ、こういうふうに書いてあるわけですが、この正当な理由云々ということが、広く解釈されますと、当事者にとっては非常な不都合なこともやはり起こるわけです。で、その辺のところをどういうふうにお考えになっておるか、確かめておきたい。
  17. 中川董治

    政府委員中川董治君) 刑事処分につきましては、御案内のように、当事者弁論主義中心とするわけでございますが、行政処分につきましても、こいねがわくばそういう精神でありたいと、こういう角度から、現行道路交通取締法以来この聴聞制度を採用しておるのであります。聴聞制度を採用しておる立場から申しまして、なるべく当該処分を受ける人、この方の御出席をいただいて、詳しい事情をつぶさに弁論なり説明なりしていただきたい、こういう趣旨根本考えております。ところが、まあ根本は以上でございますけれども、どういたしましても正当な理由によらずして来ないということになりますと、これは手続が進行いたしませんので、やむを得ずこういう規定をいたしたのでございますが、根本精神中心に勘案いたしましてこの規定は、きわめて厳格に解釈して運用して参りたい、こう考えております。
  18. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) たとえば、この対象になる人が病気で出れない、その診断書を送ってきた、こういうときには、もちろん、当然もう一回病気がなおるのを待つと、こんなことはまああたりまえのことです。ところが、その事情が全然わからぬ場合がある。何も言うてこぬ場合がある。しかしこれも、非常になまけておる場合と、そうでなしに、運転手も忙しいし、どんな用事でどこかほかへ行っているかわからない。そういうときに、ただ、何も言うてこないからというようなことだけで処理をされますと、これは大へん問題だと思います。で、聴聞会規定によりますと、一週間前に通知することになっておりますが、一週間程度では、実際上本人も知らないことがある。あるいは、知っても連絡の方法等もない場合もあるわけです。だから、そういう場合に、いたずらに事を処理したいばかりに、簡略にやってもらっちゃ困る。まあこれは一例でございますが、そういう点はどういうふうにお考えです。
  19. 中川董治

    政府委員中川董治君) お説のごとく、第一項で、一週間という規定が確かにあるのでございますが、この規定はもちろんこの通りやりますけれども、なるべくこの当該処分を受けようとされる方々に確実に通知し、事情等も十分、電話とか何かの方法もございますし、場合によっては職員が伺っていく、こういうこともありますので、当該本人の知らぬ間にこういうことが行なわれていくことのないように、十分実施にあたりましては留意して参りたい。こう思っております。
  20. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 次には、この同じ条文の第二項に関する点です。これによりますと、この被聴聞者は、その案件について「意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。」こういうふうに、まあ被聴聞者の側からの一つの権利という形で書かれておるわけですが、そこで疑問が起こるのは、被聴聞者が、ある事項についてもう少し意見を述べたい、あるいはこういう証拠も見てもらいたいというふうなことを言うた場合に、今度は、受け取る側の、公安委員会の側が、そういうことはもう聞かんでもいいのだと、こういうふうなことをされると大へん困るわけですね。そこで、なぜこういう書き方にしたのかということをお聞きしたいわけなんです。御承知のように、道路運送法でもこの聴聞会に関する規定がありまして、道路運送法の三十二条の五項では、聴聞に際しては、この被聴聞者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出させる機会を与えなければならない、この聞く側の方から書いて、そしてその聞く側に義務づけてるわけですね。だから、これは十分その相手の言い分、証拠ということも聞いてやらなきゃいかん、こういう精神が出て、こういう書き方道路運送法ではなっておると思うのです。事柄自体は、これは同じようなことをされるわけなのに、この公安委員会でおやりになる今度の新法による処分では、公安委員会側にそういう義務があるのかないのか、この点がはなはだ弱く感ずるわけですね。これはまあ書き方のその側面といいますか、書き方の違いだけであって、内容的には同じだというふうな考えを持っておられるのか。その辺のところを確かめておきたいわけなんです。
  21. 中川董治

    政府委員中川董治君) 今言われましたような書き方が確かにあると思います。この書き方をとりましたのは、他意はないのでございまして、この法案のような書き方の例の法令もまた少なくございませんので、たまたまこの法案のような例に従いまして書いたという以外には他意はないのでございます。  それで、結論は、証拠を提出することができる、意見を述べることができると法律で明定したゆえんは、それに関与する公安委員会は、そのできるという趣旨を実現するということの環境を作る義務があると、こう解釈しなければならないと考えますので、結論は同様だと理解いたします。ことに、この公安委員会は、民主的運営ということを根本理念にしておりますので、公安委員会の性格からも、また事柄その他からも、そういうりっぱな民主的識見の高い人が公安委員になられておりますので、その運用等は民主的に行なわれていくことも、大体保証できるのではないかと考えております。
  22. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 百四条に関する点はそれだけにいたしておきます。  それからもう一つは、罰則運用に関する点についてもう一点お聞きいたしておきますが、まあ罰則内容等については触れませんで、お聞きしたい点は、この本法による罰則運用というものは、結局、この交通事件に関する即決手続ですね。結局、手続としてはそれにかかっていくのだと思います。それだけに、この現在の即決手続状態ですね。ああいう状態のままで運用されていいのかどうかという点を実は大きな疑問を持っておる。というのは、すでにこれは詳細な御審議等もあったのだと思いますが、交通事件に関する罰金というのが非常に多いわけですね。金額からしても、本数億に年間なるのではないかと思います。今度これが出れば、件数からいっても、あるいは金額からいっても、相当膨大なものになってくると思うのです。そういうことが予想されるのですが、現状においても、東京とか大阪など六大都市なんかの即決裁判現状を見ると、ほとんど被疑者と目される人の意見なり弁解というものは、実際上なかなか入ってくる余地がないような雰囲気でやられておるように私たち現場視察等をして感じておるし、これは、専門の最終的に判決をする裁判官に聞きましても、まあとにかく機械的です。ちゃんと警察官がいて、次の部屋に検察官がおり、次に行くと、もう判事が待っておる。そしてちゃんともう印刷してあるわけです、必要な作成書類は。それは、相当心臓の強い男なら、それは違うのだといったようながんばりも聞くかもしれぬけれども、なかなかああいう雰囲気ではむずかしいのです、事実上。そういう不平をよく聞きます。そんなこと文句言って、あそこでごちゃごちゃやっているよりも、こっちは払うものは払って仕事をするのだ、結局そうなってしまう。私は、そういうことがうっせきしていくということは、はなはだまずいことだと従来からも思っていたわけですが、今度、こういうふうに運転手に対する罰則なり、そういうものが非常に強化されるわけですね。私は、これはやむを得ないものがあると思うのです、一面。しかし、それであれば、今度は手続の方をやはり親切にやってもらう工夫を同時にやってもらうことが正しいと思う。現在でも、そういう飽和状態のような格好交通事件に対する即決裁判というものがやられているわけですが、これを人的な面でも物的な面でも、ただ現状のままでほうっておかれるつもりなのかどうか。これは、あなたの方と検察庁並びに裁判所全部にわたった問題でありますが、しかし、出発点はあなたの方だから、一応その辺のところのことを検討されておるのかどうか、聞いておきたい。
  23. 中川董治

    政府委員中川董治君) この裁判の問題につきましては、大へん重要な問題でございまして、亀田先生の御主張の、慎重ということを中心考えますと、合議制裁判が非常にいいと思うのですが、また、即決裁判制度ができた趣旨は、スピードといいますか、簡便に処置するという趣旨が生かされたと思うのですが、私は、その立法趣旨である簡便と慎重という両目的をうまく調和するということが一番いいと考えるわけです。現在、即決裁判制度ができてからそう多くの年月を経てないのでありますが、いろいろ実情に基づいての検討関係方面ともやってみたいと思うのですが、まだ即決裁判制度が出発してからそう年月たちませんので、いろいろ検討する点があると思いますが、御案内のように、警察、検察、裁判、三者関連する問題でございますので、簡便であるが慎重にやるという二つの目的をどういうように調和するか。こういう点は、今後の重要な研究問題だと考えております。
  24. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 重要な問題であるということは、これはもうはっきりしているのですが、もう少し改善の方法、せっかく始めた即決裁判手続ですから、私は、今すぐこれはやめて、こういう案件について一々普通の裁判を開くようなこともなかなか問題じゃないかというふうに考えている。だから、この制度を維持してもらっても一応はいいでしょうが、非常なオーバー・ワークの状態で三者ともあすこで仕事をやっているのが現状なんです。そのあおりがどこへくるかといえば、結局被疑者ですよ。これは私は、どうしても、こういう罰則を強化される以上は、直してもらいたいと思うのですね。もっと具体的な構想というものがないのですか。
  25. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは、具体的な対策といたしましては、現行制度のもとで、運用の問題と制度自身の問題であろうと思いますが、制度自身の問題は大へんむずかしい問題で、いろいろ長所、短所があると思いますが、これは、研究問題としてごかんべん願いたいと思います。運用の点につきましては、人的、物的の設備を充実する、こういうことによって相当解決する面もあろうかと思いますので、これは、法務省その他の関係省と十分協議いたしまして、そういう点も改善に努めて参りたいと思います。
  26. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) ちょうど公安委員長がおられるわけですが、何かそういう点についての考えをお聞かせ願っておきたい。
  27. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま刑事局長からお答え申し上げましたように、関係方面と十分連携をとりまして御趣旨を尊重したいと思います。
  28. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 次に、交通事件で前科がつくということになると、先ほど申し上げた行政処分関係ですね。ああいう関係も、実際問題として、結論を出す場合に影響があるわけでしょう。だから、運転手の言い分というものは、やはり正当に聞かれるような雰囲気、そういう格好でこの交通裁判所というものはやっぱり考えてもらいたいですな。ぜひこれは一つ公安委員長が今答弁されたから、御検討を願いたいと思うのです。もっとひどくなります、一時的には。最終的には、そんなことは起こらぬようになるのが目的ですけれども……。  それから、この法案については、ずいぶん運転手側に負担がかかるといったような面がたくさん出ているのですが、警察官なり検察官なりですね。交通の問題についてよく知っている人がそういう刑事事件の扱いなんかにも当たる、こういったようなことは、実際はされておるのでしょうか。私が知っているのは、具体的にやはり交通の経験者——ただ紙の上で知っているというのでなしに、そういう人が担当するかしないかでですね。これは裁判の場合でもそうです。非常に短時間でやる裁判ですから、この交通裁判は。そういう経験の十分ある人だとだまされませんよ。そのかわり、運転手の正当な言い分であれば、ちょっと言えばすぐわかるというものだろうと私は思うのです。携わる人の問題について実際に検討されておるかどうか、お聞きしておきたい。
  29. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) その点は、御説の通り、私たちも非常に同じ趣旨で関心を持っております。全国の交通警察に専従しておる者が、できるだけ運転の実際の技能を持っており、それに関する専門知識を持たなければならないという観点から、それぞれの警察学校なり管区学校なり、あるいは警察大学などで、随時あるいは定期的に専科教育をやっております、交通に関しまして。従いまして、運転技術はもちろんのこと、交通万般の知識について相当技能が高まっております。ことに警視庁あたりでは、交通警察に専従しておるものは、ほとんど全部に近いくらい運転の技能を現実に持っております。  それから、法律関係の事件の捜査に関しましても、もちろん、それについては非常にエキスパートである。大体街頭に立っている交通整理官なども、三年以上の訓練を経ておりませんと、とてもそれは整理もできませんし、また事件の処理もむずかしいと思いますので、御趣旨通りの方向に努めて参っております。
  30. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 亀田君、大体お約束した十五分、二十分たっていますから、その一点にしていただいて、法務省から二人説明員が来ています。大体もうこれで質問を終わっていただきたいと思います。
  31. 亀田得治

    委員外議員亀田得治君) 法務省の人に一つ聞いておきますが、今の点、警察の方では、交通事件にタッチする人は、そういう経験者をさし向けておる、こういうふうな説明でありましたが、検察官の方は、そういう点はどうなっていましょうか。もう質問終わりますから。刑事局長もおらないし、十分なお答えがあるいはできないかもしれませんが、現状が大体そういう点はあまり整っておらぬというようなことでしたら、一つ十分やはりこれは検討してもらいたいと思うのですね。これは要望も付して、実情だけをちょっとお聞きしておきます。
  32. 前田宏

    説明員(前田宏君) 局長がちょっと参れませんでしたので、私が……。ただいまの御質問は、まことにごもっともだと思います。警察の方は、先ほど答弁ありましたように、実際の実務に通暁しておる方がやっているようでありますが、検察官は、なかなかそこまで行っていないのが実情だと思います。一部、免許を自分が持っている検事が担当する部分があるように聞いておりますが、もちろん、十分にはそういうふうにはなっておりません。御要望もありましたので、よく帰りましてその点を検討するようにいたしたい。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 私は、二、三点この前最後に質問をしないで終わったわけですから、簡潔に一つ、刑事局長に大体関係したことだと思うので、お答えいただきたいと思うのですが、この百十六条のところに、「車両等の運転者が業務上必要な注意を怠り、」ということがあるわけです。「又は重大な過失により」、こういうことがありますが、「業務上必要な注意を怠り、」ということは、具体的にはどういう内容なんですか。
  34. 中川董治

    政府委員中川董治君) このことは、刑法典の言葉を引用いたしておりまして、危険な業務に従事するものの注意義務が社会通念上要求される。それを怠った、こういうことが抽象的のお答えだと思います。  具体的に申しますと、横見運転をしておった、それから、この法律違反になるような運転をしておったことはもちろんのこと、社会通念的には運転手であればこれくらいの注意を要求されるというような事柄を、そういった事柄中心考えており、結論は、刑法の業務上の注意義務と同じように、最後には社会通念に考えざるを得ないと思うのであります。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 こういうふうなことに考えていいのですか。今あなたのおっしゃっているような、社会通念上業務上必要な注意というようなことになると、これは大へん拡大な解釈になると思う。そこで、ここの道交法に規定をされている業務上必要な注意ということであるというふうに、私たちは、運転手がこの道交法できめられている、法律の上において規定されている業務上必要な注意であると、そういうふうに考えていくべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  36. 中川董治

    政府委員中川董治君) 大体御趣旨通りでいいと考えます。ところが、そういう言葉を用いませんでしたのは、刑法典と言葉を合わす目的一つと、それから、この法律に大体盛られておるとは思いますけれども、われわれが考え及ばなかったことで、社会通念から見れば、運転される方はそのくらいの注意は持ってもらいたいという社会の通念のある事項が将来考えられた場合には、こういう意味を含む、こういうふうに解釈せざるを得ないと思いますが、大体松永委員指摘のように御理解いただいて間違いはないと思います。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、運転を業とする者は「業務上必要な注意」ということであって、自家用車などを運転する者に関しては、「又は重大な過失」というところに該当する、そういうことでいかれるのですか。
  38. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは、判例等によりますと、自家用運転者の方も、自家用でございますから、他にたとえばお医者さんとか別の職業があられる。ところが、運転なさるということにおいては、その運転ということはやはり業務、こういうふうに読むということが判例でございますので、お示しになりました自家用の場合も業務上で読む、こういうことに相なろうと思います。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 「業務上必要な注意」ということは、そうすると、単に業者だけでなくて、自家用車の者にも該当するという説明だと思うのです。その点はそうだというふうにわかりました。ただ一つ、「業務上必要な注意」という点については、やはり何か非常にばく然たる解釈でなしに、やはりそういうばく然たることであるとすると、これは、「六月以下の禁錮又は五万円以下の罰金」ということになってきてなかなか適用するところが多くなるので、いろいろ異議が出てくると思うのです。ですから、やはり私たちとしては、ここでいっている「業務上必要な注意」というのは、とにかくここに規定されている業務上必要な注意であるというふうに、それが中心だということだと思うのです。そういう限定をしたところが、第七十条というところに関連をしてきて、今度はその第七十条で——ここに規定されている法律の中に、私たちがすでに多く問題にしている安全運転のばく然たる規定があるわけです。第七十条もこの中に入るわけです。七十条も、「業務上必要な注意を怠り」という中に入るのか入らないのかということを言って下さい。
  40. 中川董治

    政府委員中川董治君) 第七十条は、「業務上必要な注意」の中に入ると思います。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになると、第七十条というものが非常に重要なやはり問題になってきて、七十条がばく然としている上にもってきて、また第百十六条の業務上の注意ということに関しても、またばく然としているということになって、なかなか問題があるので、特にここに附帯決議等にも、後ほどこれが審議されると思うのですが、「安全運転の一般原則に関する基準を設定して運用の適正を期する」ということが非常に必要になってくるわけなんであって、こういう点については、こういう附帯決議が決議をされたということになれば、これを明確にするという点について、どういう一体工夫があるのか、それを一つ聞かしていただきたいと思う。
  42. 中川董治

    政府委員中川董治君) 七十条の規定の明確化につきましては、過般当委員会で質問がありまして、申し上げたのでございますが、欧米各国の立法例もおおむね同様の規定があるという旨は、資料によって差し上げた通りでございますので、事柄の性質上、こういう規定にならざるを得ないかと考えるのであります。ところが、今の御意見運用の適正をはかる、こういう点は、全く松永委員と同様の考えを持っておりますので、運用の適正につきましては最善の工夫をいたして参りたい、こう思うのであります。それで、松永委員のお述べになりました附帯決議等が当委員会決定されました暁におきましては、大体この七十条に該当しそうな事柄をずっと拾い出しまして、こまかいこともありますが、多うございますけれども、拾い出しましてそういうようなことをずっと列記いたしまして、警察運営の基準として定めるような措置を講じて参りたい、こう思っております。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 その点はよくわかりましたので、要望としては、やはりそういうふうにして羅列をして明確を期するということを今後具体的にきめられたときに、また私たちも関心を払って報告をいただきたいと思うのです。  もう一つ、第百三条の「免許の取消し、停止等」に関してのことであります。ここに、問題になりました三項のところで、「政令で定める範囲内で、その者の免許の効力の停止の期間を短縮することができる。」と、こういうことに規定をされておるのでありますけれども、これが通れば、従来総理府令の第七十五号できめられておる「運転免許等の取消、停止又は必要な処分を行う場合における基準等を定める総理府令」は改正をすると、改められるものだというふうに考えてよろしいのですか。
  44. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) その通りに解していただいてけっこうだと思います。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 そういうふうになると、現在の総理府令との内容の問題になるわけなんでありますが、これについては、いろいろ適用されておる上において、各地からいろいろな批判とか、あるいは要望もあると思うので、こういう点については、現在定められておる総理府令以上の苛酷なものを定めると、そういう考え方があるのかどうか、あるいは現在の総理府令に基づくものを考えておられるのか。この点はいかがですか。
  46. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) もちろん、現在の総理府令より苛酷にするという考え方はございません。ただ、現在の総理府令は相当参考にいたさなければいかぬと思いますが、十分検討いたしまして、できるだけ適正な基準を作りたいと思っております。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 現在一番考えられることは、罰金とか、そういうものが、つまり今までの物価に比例してどうのこうのという話が出てきておるわけです。そうなってくると、こんなところもそれに比例してピンとはね上がってくるというような懸念を持つ人たちもあるのではないかと思うのです。私たちも、特にこれで仕事をしている人たちの不安を解消しておく心要がある。何もかも政令にまかしておるということで、この点については、やはり当委員会としても一応のめどをつけておく必要があると思う。そういう意味で私はお尋ねをしておる。やはりこれを中心として検討するとしても、苛酷にするというような、そういう考え方は持っていないのかどうか、重ねて伺いたい。
  48. 内海倫

    説明員(内海倫君) ただいま局長のお答え申し上げました点を若干補足いたしまして申し上げておきます。  結論から申しまして、いわゆる苛酷にするというふうな考えは、私ども毛頭持っておりません。のみならず、さきの答弁でもお答え申しましたように、行政処分目的は、その人に運転を継続させることがほんとうに道路上の危険を生ずるという点を認定して行政処分を行なうわけでありますから、それに該当しない限りは、行政処分を行なうこと自体おかしいわけでありますから、私どもとしましては、そういう観点から基準を考えたいと思いまするし、また行政処分も、そういう考え方に立って処理されるべきものでございますから、単にけしからぬとか、単にどうこうしたとかいうようなこととか、あるいは機械的に、法令に違反したからすぐ行政処分の対象になると、こういうふうな考え方をとるべきものではないという考え方の上に立って、この基準なりあるいは各都道府県における公安委員会行政処分に対するあり方を指導して参りたいと、かように考えております。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 今のことについて、ここにきめられておるものが、三十日以下とか、免許の停止期間等が非常に広過ぎて、そのために地方の公安委員会によって非常に差が出てきておるという現状があるので、この点については、相当検討した上で、むしろ幅の狭い基準をきめておく方がよいのではないかという意見があるわけです。その点については、どういう考え方を持っておられるか。
  50. 内海倫

    説明員(内海倫君) それも、まさにお説の通りでございまして、今回政令で定める基準ということを特に入れたゆえんもその点であります。現行法のもとにおきましては、この行政処分の権限が都道府県公安委員会にありまして、単に総理府令はそういう権限に基づく一般的基準を策定するにとどまっておるのが現行法でございまして、今度の政令で定める基準に従い、公安委員会はやらなければならないわけでありますから、当然ここで定める基準はかなり克明にいたしたいと思っておりまするし、さらに、各県によりましてその基準が異なるとか、あるいは行ない方が異なるとか、あるいはやるべき処分処分に該当する事実との差が各県において生ずることのないように基準を作って参りたいと思っております。
  51. 木下友敬

    ○木下友敬君 関連して、そのことについてお尋ねしておきたいのですが、運転手は、行政処分と司法処分と両方受けるということが当然起こってくるわけですが、実際の場合において、行政処分は受けた、裁判はおくれるという場合がある。行政処分ではかなりひどい処分を受けたが、裁判をし、その裁判がもう一つ高裁に行ったというようなことで、結果的には裁判の方が行政処分に比べてやさしい。そうすると、運転手は、ひどい行政処分を受けたために非常に迷惑をしておる。こういうことがあり得ると思うし、私どももそういう経験を持っておるものですが、何かそういうことについて運転手の方は補償されるというようなことは考えていませんか。
  52. 内海倫

    説明員(内海倫君) この司法処分、いわゆる法令の定めるところに違反しまして、裁判をもって決定される処分と、それからこの法律に基づいて行なわれる行政処分とは、その目的も、あるいはその行ないます方法も、あるいは行ないます主体も、全く異なっておるわけでありまするので、割り切った言い方をしまするならば、その二つの間には関係はないと、こういうふうに申し上げてよいと思います。しかしながら、関係はないといいながら、一つ事柄に対して行なわれる場合が多いわけでありますから、そういう点につきましては、行政処分を行なう方の側におきましても、先ほど私が申しましたように、この運転をした人に運転を今後継続させることが危険であるかないかということを厳格に認定して、しかる後に処分を行なうべきものでありまするから、もしその認定に非常にあやまちがあり、そのために非常に大きな損害を与えたということであれば、それは、おのずから国家賠償の理論によりまして補償されるべきものでありますが、しかしながら、そういうあやまちがないというものでありますれば、これは全く別個に行なわれたものでありまするから、両者の関係は別個のものと私ども考えております。
  53. 木下友敬

    ○木下友敬君 ですから、全然別のものであるけれども処分を受ける者は一人なんです。今度はお酒のことで、酒を飲んでおるということが割合に処分をする上にはっきりした書き方がしてあるからよいが、以前は、公安委員会では、酒を飲んだのは非常にひどく考えたが、裁判の方では、酒のことは割合に取り上げない。あるいは運転手責任であるか、あるいは露路から飛び込んできた子供の責任かということも、その競合の工合で、公安委員会では割合にひどかったが、裁判では比較的軽かったというのであって、別の方法裁判をめいめいされておりますけれども、受ける者は一人の運転手ですから、もし裁判の方が、司法の方がおくれて、そうしてきた場合には、一体これは、行政処分をした公安委員の権限といいますか、人を処分する権能と裁判所の権能というものは、これは一体どちらが重く見られるかということを私は心配しておるわけです。行政処分はひどくしたけれども裁判所の方では、次々に、裁判所、最高裁と行ったら、だんだん罪が軽くなってきたというときには、私は、公安委員会というものは相当の責任を感じなければならないし、もし感じたとすれば、責任を感じたことについて具体的な何かを示さなければならないと、こういうふうに考えますが、その点についての御見解を伺いたい、こういうふうに思います。
  54. 内海倫

    説明員(内海倫君) 裁判の問題につきましては別といたしまして、行政処分の問題に関しまして申し上げたいと思いますが、御説のように、行政処分といえども裁判と異ならない慎重な態度と慎重な手続をもって行なわれるべきものと思います。繰り返しますが、しかしその目的は、その人に運転を継続させることが危険であるという点に立脚して考えるべきものでございますので、たとえば、その人が事故を起こした、その事故がその人のたとえば精神薄弱というふうなことに原因があるということが明らかになりました場合は、裁判の結果あるいは裁判手続とは別個に、この人が運転を継続するということは非常に危険なことでありますから、これに対しましては免許を停止する、あるいは取り消しするということは、社会の危険を防止する観点からも必要でございます。しかし、その点につきまして、先ほど申し上げましたように、本人の上に及ぼす影響が大きなものでございますから、公安委員会といたしましては、慎重にいましめる態度をもって臨まなければならないことは当然であると考えております。
  55. 米田勲

    ○米田勲君 先ほど松永委員から質問があったことで大体明らかになりましたが、この百三条の免許の効力の停止を受けた場合、この停止期間というのは、先ほどの答弁では、新たに政令できめられるが、そのきめられる内容というのは、現在の総理府令以上に過酷なものにはわたらない考えであり、さらに、あまりその幅があることについては十分また考慮をするのだ、こういうお話があったんですが、それに関連して、政令で定める範囲内で免許の効力停止の期間を短縮することができると、こう思うのですね。そこで、ここのところはこういうふうに解釈をして正しいのかどうか。それは、免許の効力の停止を受けた者、それから申し出によって、講習を受けたが、講習期間というのはもちろん政令で定めるのですが、その期間中優秀な成績で、まじめに勤めあげた。ところが停止期間は、講習が終わったけれども、まだだいぶある。こういう場合にそれで生活をしておる人のことを考えると、まじめに良好な成績で講習を終われば、まだ数日あるいは一週間以上も停止期間があっても、講習が終わった次の日あたりから業務につけるような、そういう配慮をしてのこの停止期間を短縮することができるということなのかどうか。その点の配慮は、実際の場合どうなさる考えであるか。はっきりお聞きしておきたいと思います。
  56. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) 今、米田先生がおっしゃったように、そういうこともできるようにいたしたいと思います。たとえば、十日の停止を受けている。三日講習を受けた。あと七日残っている。その七日の全部を短縮するということもあり得るわけであります。
  57. 米田勲

    ○米田勲君 大体わかったようですがね。大体停止の期間が長いものについては、結局講習期間も長くなるのではないかと思うのです。常識的ですがね。そうすると、その講習が良好な成績で終われば、これは自後安全な運転をするのに大体差しつかえないと、精神的にも技術の上でも考えられるので、講習期間を良好な成績で終われば、あと残された停止期間があっても、次の日から業務につけると、こういうふうな実際の配慮をしてもらいたいというのが、このことで生活をしている人たちの希望なわけですね。その点を委員会で明らかにしておいてほしいと、こういう要望もありますので、もう少しその点、はっきりしていただきたいわけです。
  58. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) 先ほど申し上げましたように、明確に、先生のおっしゃった点はできるようにいたしたいと思います。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官にお尋ねいたします。この法律でいろいろなところを僕ら質問をいたしたわけでありますが、全体として、実は率直に申し上げまして、心配なことが一つあったわけであります。それは、六条、七条あるいは七十七条等によって、集団行進等がこれによって相当な規制を受けるのじゃないか。あるいは、そういう規制をするような意図がある法案ではないだろうか。こういうことで随時お尋ねもし、また、その過程においてそうでないというあなた方の言明を信じておるわけでありますが、最後に私は、六条、七条の問題は、あとでこれは私ども意見がとり入れられるような形になると思いますが、七十七条の問題ですがね。七十七条においては、一項四号におきまして、この四号の中に集団行進等も含まれると、しかし、二項の三号において、これが現に交通の妨害となるおそれはあるが、公益上または社会の慣習上やむを得ないものであると認めるものとしてデモ等のそれは許可をすると、こういうことをこの前に言明がありましたが、さらにもう一点、一たん許可になりましたものが、五項によりまして、五項の後段または以下の理由によって、許可の取り消しあるいは許可の効力の停止ということが行なわれるのじゃないかという実は心配一つ残っておるわけなんでございます。従いまして、私はこの際最後に、これらの問題につきまして、七十七条一項の四号、二項の三号によって当然許可せられる、そういうものは、五項の後段によっては決して取り消しやあるいは停止の対象になるものではないというふうに了解していいかどうかということにつきまして、この際お尋ねをいたしておきたいと思います。
  60. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 七十七条一項四号に、ただいまお話の集団行進等が含まれるというようなことから、これを公安委員会規則で定めるというような場合におきまして、まず第一段としましては、そういうものが二項によって許可をしなければならないということになりはしないかという問題が一点と、それから、許可になった上で、七十七条五項によって取り消されるようなことはないと考えてよいかという趣旨の御質問と拝聴いたしたわけでございますが、この前も、基委員からの御質問に対して私がお答えいたしましたように、毎年の行事として行なわれますような、たとえばメーデーにおけるデモ行進というようなものは、これはまさに七十七条二項三号の「社会の慣習上やむを得ないものであると認められる」ということに相なろうと存じまするし、また、そういう慣習的な行事でない通常の集団行進等につきましても、二項の二号によりまして、必要な条件に従って行なわれるということによって交通の妨害となるおそれはなくなるというふうに考えられますので、すべてこうした集団行進等が許可されないということは考えられないというふうに存じます。また、許可されたものが取り消されるかどうかという問題でございますが、条件に違反するというような特殊な場合は別といたしまして、単に交通の安全と円滑をはかるため特別の必要が生じたということが、警察官の恣意によって乱用されるというようなことは絶対にないようにいたさなければならないわけでございまして、その点は、都道府県公安委員会及び警察署長に対して趣旨の徹底をはかりまして、十分乱用等のないように、厳に戒めて参りたいというふうに考えております。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、もっと端的におっしゃっていただきたいと思いましたが、根本的には、私ども、集団行進等がこの法律によって警察署長の許可事項になってくるというようなことにつきましては、実は問題があると思っております。しかし、これは前からの質問の過程においてそういうことを申し上げたし、また、あなた方の見解も承ったわけでありますが、そういう根本的な問題にさかのぼって、私、今ここであらためてそれを繰り返そうとは思いませんが、今のお答えで、七十七条については、全般からいって、集団行進等に対して、警察署長の権限だけでたとえば許可の取り消しなりあるいは効力の停止ということが行なわれるということについて、実は私ども不安が依然として残るわけなんですが、今のお答えを私もう一度自分の言葉で申し上げますから、それについてのお答えをいただきたいと思います。  一項あるいは二項によって許可されたものについては、さらに五項の後段等によってほしいままに警察署長の見解だけで許可の取り消しをしたり停止をしたりするという、そういうことはしない。すなわち、いたずらにこの五項の後段の対象にするようなことがないのだということをはっきり私は言ってほしい。こういうふうに思うのですが、その点あらためて……。
  62. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 明確に申し上げます。  集団行進等につきましては、この全体を通じまして、許可しないということはあり得ない。それから、その取り消しというものが警察署長の恣意によって行なわれることがないように、十分徹底をして参ろうということでございます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連してちょっと。七十六条の四項の七号ですね。こういうものとの関係は、私はこの場合ないものというふうに了解しますが、それでよろしゅうございますか。
  64. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 第七十七条について申し上げましたように、従いましてそういうものが、第七十六条の四項七号によって公安委員会が定めるということはあり得ないのであります。
  65. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  66. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  67. 基政七

    ○基政七君 ちょっとお尋ねしたいのですが、百十一条で、交通の規制の適正をはかるための調査というのがございますね。その際、道路の管理者とか都道府県知事なんかがその目的も結果も知らないというのは、これの建前上非常に不合理じゃないかと思うのですが、何とかその辺の計らいができないものかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。ぜひそういうふうにしてもらわないと、法の建前上うまく運用できないのじゃないかと思うのですが、希望を付してちょっと御意見を伺いたいと思います。
  68. 木村行藏

    政府委員(木村行藏君) お説の通り、この調査は、警察側の交通規制のためにする調査でありますけれども、得た資料については、できるだけやはり道路管理者側にも通知いたしましてまた向こうにも道路法の七十七条かに同じような規定があり、同じ検査をいたしますので、それらについてもわれわれの方にいただきたい。また、今回道路運送法の改正で同じようなことがありますので、三者それぞれ関係の深いものは密接に連絡をいたしまして、有効的な、総合的な機能を上げて参りたいと思っております。
  69. 基政七

    ○基政七君 よろしくお願いいたします。
  70. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  71. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  72. 松永忠二

    松永忠二君 大臣に一つお尋ねをするのですが、いろいろ道路交通法案審議してきたわけなんですが、この道路交通法を成立させると同時に、他の省に対して、どうしてもこの点をやってもらわなければできぬということを考えていて、具体的にこの問題についてはこうしたいと、こういうふうに交渉するのだと、こういうふうなお考えを持っておられる点はどういう点があるのか。この点について、大臣に一つはっきりした御答弁を願いたいと思うのです。
  73. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) いろいろあると思いますが、私が一番熱望というか、希望しておりまする点は、まあ私個人じゃありませんけれども警察庁として、一つはここでも論議されたと思いまするけれども、バス路線の認可であるとか、あるいはその後の増車の問題であるとか、あるいは車両の規格が変わるとか、まあそういう問題については、必ず公安委員会意見を徴するように、これは法的措置をとって参りたい。現在においても、覚書等によりまして、初めは大体合議をしてきておるようでありますけれども、当初だけであって、その後は何らの連絡がな。こういうことはどうしても直していかなけりやならぬと思います。それから、いま一つの問題は、陸運事務所の陸運行政の機構の問題に触れてくるのでありまするが、車両の登録であるとか、自動車の登録事務であるとか、車体検査、こういう事務はむしろ公安委員会の系統でやる方が、自動車運転手の免許を持っておりまするし、それから交通警察全体について主管しておるので、一つの大きな組織と系統を持っておりまするので、この方がいいのではないか。そうして陸運事務所、陸運その他のことは、もう陸運系統の方に統一する方がいいじゃないか。これは非常にトラブルがあります。行政機構の問題でありまするので、簡単には参らぬと思いまするが、そういうことが一つ、それから、先ほども話の出ておりました交通事故防止対策協議会、まあいずれにいたしましても、運輸省建設省それから警察庁、その他若干の関係のあるところもあると思いますが、関連が深いので、やはりこういうものは強力なものを作っていく、こういうことも希望の大きなものの一つでございます。その他のことになりまするというと、まあ道路工事などが非常にばらばらに行なわれて、交通の妨害になっておるようなことは非常に多いと思いまするが、こういうものも、事故防止対策協議会等が強力なものになれば、そこらで解決できるんではないかと思いまするけれども、この混乱の大きな原因になっておる事柄は、支障をできるだけ少ないものにしていきたい。まあその他にもあるかもしれませんが、大きな点では、私そういうことを考えております。
  74. 松永忠二

    松永忠二君 大へん失礼ですけれども、最初に言ったところを少し私聞いておりませんでしたが、初めのところはどういうところですか。
  75. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 第一点ですか。
  76. 松永忠二

    松永忠二君 第一点。
  77. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) 第一点は、ここでも問題になったと思いますが、細い道路に、道幅がそれほどない所に大きなバスなんかが、道一ぱいのようなバスが入って非常な交通の危険を生じておる、こういうことについてバス路線の許可であるとか、そういうときには、最初に認可するときには、公安委員会等の意見を徴しておるようでありまするが、その後車をだんだん大きくしたりいろいろするような場合に何の相談もない、それで、ある細い道に非常に大きな車が入っているので交通の大きな支障になっておる、こういうようなことを法律の上において必ず公安委員会意見を徴してもらわにやならぬというふうにしまして、こういう問題の起きないようにしたい。まあ道路運送法の具体的にいえば改正になるかとも思うのでありまするが、そういうようなことであります。
  78. 松永忠二

    松永忠二君 自動車局長にお尋ねをしたいのでありますが、特に定期路線とか、あるいは砂利トラックとか、タクシー等についてもそうでありますけれども、現在の道路運送法できめられてる、特に自動車運送事業等運輸規則の二十一条に、過労防止のために勤務の時間等をきめなければできないという、規則をきめるということが決定をされておるわけなんですけれども、こういう点について、具体的に標準ダイヤという、運行ダイヤというようなものを明確にして、そうして今の規則等にもきめられている過労防止等の問題について具体的に解決をはかっていくという、そういうふうな考え方があるかどうか、その点を一つ伺わしていただきたい。
  79. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 路線あるいはバス、トラック等につきまして標準ダイヤを設定するというようなことは、これは必要なことでありますので、行政指導として、標準ダイヤを作らせるように、昨年の暮れにも通達を出しまして、その作成をし、及びその作成をされたものについて指導をする方向で措置をしておりますが、過労防止につきましても、私どもも非常に関心を持っておりまして、本年予算におきまして疲労度調査を実施いたしました。これは、タクシー運転手と長距離路線トラック運転手につきまして疲労度調査を労働科学研究所に委託しまして調査をいたしたのでありますが、その結果がもう出て参ると思っておりますので、これらも参考にいたしまして、今後過労防止というのは、やはり事故防止の非常に大きな要素だと思いますので、これらの点に関しましても、過労防止をはかっていくような標準ダイヤなり勤務時間なりというものをわれわれとしても考えていきたいと思っております。
  80. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、今お話のあった運輸規則の第二十一条には、「旅客自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、事業用自動車の乗務員の勤務時間及び乗務時間を定めなければならない。」というような規定があるわけです。これについては、今までこういう規定がありながら、事実上これを定めていなかったわけなんです。これについては、そのあとに、一般の自動車についても、貨物自動車についてもこれを準用するという規定があるわけであるので、これについて過労防止等のこの規定を適用した勤務時間、乗務時間を運輸省としては定めていくと、そういうことなんでありますか。
  81. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 第二十一条の規定にございますように、過労の防止を十分に考慮して、たとえば、現在、これは労働省の方との関係もございますけれどもタクシーの乗務時間については八時間制が望ましいのでありますが、十六時間、変則二交代制で十六時間までの勤務は認めるというようなこともございますが、これらの勤務時間に関しまして、及び乗務時間等については、現在業者に対する指導でやっておりますが、今後十分過労の防止を考慮してやっていくということでございます。
  82. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、今の御答弁だと、そういうここにきめてある規則については、これを具体的にきめていくということなのか。そこの辺をはっきりしていただきたい。
  83. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 旅客自動車運送事業者は、この勤務時間及び乗務時間をきめるのでございまして、これはきめさせておるのでございます。大体監査をいたしました結果といたしましても、八〇%以上の者がきめておりまして、事業者を監査いたしました場合に、きめておらない者は早急にきめるようにという指導をいたしております。
  84. 松永忠二

    松永忠二君 今あなたもおっしゃったようなことが具体的に実際に行なわれていれば、たとえば、定期路線等における非常な過労な運行ダイヤをきめている事実はないわけなんです。あるいは砂利トラック等についても、これに該当するようなものできめられていれば、そういう危険な状態の運行の時間等をやっているわけはないんだから、現実には、あなたが言われているようなことが実際に、その定期路線の場合、砂利トラックの場合、それを実行していないということになっているから、自然事故が起こってきているわけなんです。この点については、具体的にどういうふうにやっていくんですか。
  85. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 路線トラック事業者等に対しましては、この規定にのっとりまして運行ダイヤ等をきめ、勤務時間等をきめる指導をいたしておるのでございますが、砂利トラックにつきましては、これは実は、自家用が非常に多いのでありまして、自家用にはこの規則は及ばないものでありますから、大体砂利トラック等にはもうほとんど及んでおらないという状況でございます。
  86. 松永忠二

    松永忠二君 今のお話なんですが、私の言っているのは、自家用でなくても、砂利トラックの中にも、自家用でない、運送を業としているものもあると思う。そういうものも多いのです。それから、あなたの方では、標準ダイヤをきめるということを今後させていきたいと思っているというが、事実上はそういうふうな状態でないから、結局その拘束時間にしても、勤務時間にしても、非常に長い時間を実際はやっていて、過労の状態に陥って事故を引き起こしているわけです。従って、こういうきめている事柄が実際行なわれているのかどうなのか。あるいは、ここできめているそういう時間がそのまま事実上実行されているのかどうなのかということを監督をするし、それを励行させていかなければ、事実上これは実行不可能になってくるわけです。こういう点については、どういうふうにしていくのですか。
  87. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 今までバス路線、乗合バス事業者等におきましては、これを正確にきめておりましたが、トラックにつきましても、路線トラックの事故防止に関連しまして、昨年東海道及び山陽道に走行しております長距離トラックにつきまして、特別監査を実施いたしまして、その結果、いろいろな欠陥等も発見いたしましたので、それらについて改善措置を講ずるようにいたしたわけでありましてその場合には、適正かつ計画的な乗務交番の実施をすること、あるいは乗務状況の的確な把握をすること、それから適正な運行基準の整備をすること、それから、出発前の勤務時間の適正化をするようにすること等々の安全管理の面に関しまするもの、及び、勤務時間及び過労防止に関しまするものを通達いたしまして、結果といたしましては、たとえば休暇状況を調べてみました場合に、平均は三日でありましたが、中には一カ月間に休日を取っておらないようなものもございまして、これらの点については、やはり休日を与えるべきであるというような指導をいたす。あるいは、運行ダイヤに関しましてきめていないようなものについては、きめさせるというような指導をいたしておりますので、今後過労防止を観点としたそのような勤務状況に対する指導というものを実施していくつもりでおりまするし、また実施いたしておる次第でございます。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 標準ダイヤを作っていくというようなこと、それから、今ある過労防止のための乗務員の勤務時間とか乗務時間を定めたものについて、それが励行されているかどうかということについてなお十分な監督をしていただく、それが事実上あなたのおっしゃるように励行されていれば、トンボ返りの定期路線のあれもなし、毎日のように新聞に出ている砂利トラックあるいは定期路線事故にしても、みなこういうところから出てきていることは事実なんですから、これを的確にやってもらわなければいけないと思うのであります。  それからなお、ここで免許の基準というものが、道路運送法の中に、第六条に免許基準があるわけだけれども、この中の第三号に、「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」という、そういうところにこういう問題が含まれているように言われているわけであります。また、給与の問題等についても、待遇等の問題等についても、ここに含まれているというように従来説明をしてきているのですが、これはその通りでありますか。
  89. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 事業計画と申しますのは、その自動車運送事業を経営する上において、諸般の全体的なことを規定しておりますので、その給与の問題とか、その他の、運行期間の問題とか、そういうようなものを含めてわれわれは審査いたしております。
  90. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになると、そういうことをもう少し的確にするためには、免許の基準というような問題について、免許基準ではなしに、免許の申請のときにそういうことを含めて、明確にしておく必要があるのじゃないか。ただばく然たる、免許基準の中に、「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」という中にこういう問題が含まれているのだということだけではなくて、そのところに、第五条に「免許申請」というところがあって、免許の申請の中にいろいろ項目が出ているわけです。それに基づいて、施行規則の方に申請の項目があげてあるわけです。そういう項目の中に今言った、運輸の規則できめてあるような項目に触れる項目を明確に入れておく必要がある。そうすれば、おのずからそれに基づいて、免許するときに、そういう問題にも触れて免許ができるという考え方を持つのですが、こういう点については、どういうふうに考えておられますか。
  91. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 道路運送法の施行規則に事業の免許申請の場合の項目をあげておるわけでございますが、従来労働条件等について、明確にここで、このような労働条件についてあげよということは表示してございませんが、事故防止が非常に強く言われ出しましてから、タクシーその他に関しましても、われわれとしては、そのような勤務態勢等についても検討を加えるために、計画人員等が少ないような場合には、それについて、その事業計画に載っております人員でどのような勤務をするのかというようなことも取りまして検討をするわけでありまして、事業計画の中に、事業計画をする上においてはこの程度の人員を要するというようなことが出ておりますので、それらでわれわれとしては見当をつけておるわけであります。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 そういう点について、施行規則の六条というところに、それの事業計画を受けてきめてあるわけです。そういうところに明確にそういう具体的な項目があれば、それに基づいてつまり事業計画を立てその事業計画を立てた免許申請に基づいて、免許基準で免許していくということにしていくということになっていれば、それが具体化していくのであります。こういう点についてやはり明確にしていくことによって、こういう問題を免許をする際に検討をするということが必要だと私たちは思うのですが、いかがでしよう。
  93. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) われわれは免許をする際に、労働条件等に関しましても、それが、そういう事業計画であるとどうしても過労になるとか、実際に違法行為をしなければその事業計画が守れないとかというような場合には免許することができませんので、それらの労働条件等に関しましても、そういう見地から検討していかなければならないと考えておる次第でありますが、この第六条の「事業計画」に入れるかどうかということにつきましては、私、もう少し検討してみたいと考えております。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、免許の基準の中の第六条の三項には、今言ったようなことが入っているというお話であるけれども、それでは、免許の取り消しとか事業の改善命令というのも法律でできることになっているわけです。法律第四十三条とか三十三条には、免許の取り消しや事業改善命令というものができるということになっているのだが、一体免許をした後にこういう項目を発効して、こういう今該当するような過労防止等の問題等で、それが免許の基準に合致をしていないからということで、取り消したり、事業の改善命令を出したことがあるのかどうかということ、それはどうなんです。
  95. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) これは私、今的確に記憶しておらないのでございますが、こういう過労を招来するような事業計画を立てておるから取り消しをしたというような事例はないのではないかと思っておりますが、こういう事業の改善を陸運局長あるいは陸運事務所長から事業者に指示したことはあると思っております。
  96. 松永忠二

    松永忠二君 長くなりますからあれですが、実際はこの過労防止に該当するような条件で働かせておいて、そうしてあなたの方からいうと、免許基準の中にはそういうものが含まれているのだと、そういうことも考えながら免許をしておるのだと言いながら、実際にはそういう規則にそむいて行なっている状況があるから、こういう事故は起こってきているわけだ。従ってそういうところを調査した上で、免許の取り消しとか事業の改善の命令をしなければ、実際に何も効果があがらないと私たちは思うのです。実際のところは、あなたのところに一番力があるわけだ。こういうことをやっていなければ、免許の取り消しもできれば、事業の改善命令もできるわけだから、だから、そういう力を発揮させるためにこの法律できめられている。その法律に基づいてそういうことをやっていなければいけないのじゃないかと思うのですが、こういう点について、いまだかつてそういうことをやったことがあるのかないのかわからないということでは、やはりこれがあまりに、これに関連した事項が多いだけに、所管の局長としては、私はこういう点をもう少し的確にやってもらわなければいけないというふうに思うのですが、いかがですか。
  97. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 自動車運送事業者に対しましては、運輸省陸運局及び陸運事務所で監督権を持っておりますので、自動車運送事業者に対しまして、毎年一定の計画を立てまして監査を実行しておるわけです。それで、監査を実行しました際に、勤務時間とか、あるいは休暇の問題とか、そのほかに関しまして、労働基準法とか、その他の法律を守っていないような状況にあります場合には、これに注意を与える、及び改善勧告というのをいたしておりますので、これは明らかに、改善勧告等については、事業改善命令等につきましては実行いたしております。ただ、これが取り消しという点になりますと、これは、その自動車運送事業の命を断ってしまうようなものでありますので、この取り消しについては、相当慎重に検討いたしておりますので、実は今までそういう取り消しが——過労に起因する、あるいは勤務時間に起因する取り消しがあったかないかということについて私は記憶をいたしておりませんので、先ほどあるいは取り消しはなかったかもしれないと存じますがということをお答えしたのですが、改善その他につきましては、あるいはその他行政処分がございますが、そういう点については、行政処分を実施いたしております。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 私は、あなたのおっしゃったようなことが実際に行なわれているなら、砂利トラックによる事故というものもこんなにひどくはないはずだと思うのです。あるいは、定期路線における過労によるいわゆる事故というものもこんなに多くはないはずだと思うのです、これが的確に行なわれているならば。実際はそうでないから、事実上こういうふうな、特にそういう関係に伴う事故が非常に多くなってきているわけだ。だから、そういうことが的確にやられていないということは、たとえば、これらの監督はみな陸運事務所がやられておるわけなんです。陸運事務所の監督も、年に一回かそこら程度しかやられていないというのが実情じゃないのですか。そういうことだから、現実には結局こういうことが的確に行なわれていないということになってきて、事故の多発になると思うのです。こういう点については、なお対策考えていくという具体的なことをやらなければ、ただ事業改善命令はしておりますという程度のことでは、私は、これだけのこれに関係した事故が多いことを考えてみたときに、やはりこれでいいというわけにはいかぬと思う。こういう点については、具体的にどういうふうに一体こういう問題を処理していくつもりなんですか。
  99. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 検査は、陸運局と陸運事務所が実施いたしておりますが、実は、先ほどからお話の出ております長距離の路線トラック等に関しましては、この委員会にも資料をお配りしたかと思うのでありますが、先ほど申し上げましたような疲労防止に関しまする措置の指導方針を出しまして指導いたしておるのでございますが、今後もその点に関しましては、十分過労防止についての施策を進めていきたいと思っておりますが、砂利トラックの場合、ことに最近いろいろと新聞紙上に出ております砂利トラック事故に関しましては、これは、ほとんど全部と言っていいくらい自家用自動車なんです。自家用自動車の場合には、実は私の方の権限が及びませんので、まあ最近火薬の爆発事故を起こしましたのも自家用のトラックでありましたし、一昨日か、神奈川の方で家に飛び込みました。これはめいてい運転でありますが、これも自家用のトラックであります。これらの点に関しましては、私どもの方としては権限も及んでおりませんし、事業者であるところの砂利トラックに関しましては、これは、今後できるだけ勤務の体制等についても指導をいたしていくつもりで、陸運局にもそう申しておるのでありますが、私どもが今一番重点を置いて措置しておりますのは、長距離路線トラックの事故防止というものを一番やっておるわけであります。
  100. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、今、自家用の砂利トラックの問題が出てきているのだが、白ナンバーのトラックがあるわけなんです。これが事実上は相当ひどく行なわれていることは事実なんです。相当大きな会社が白ナンバーのトラックでいろいろな荷物を運搬させているという事実もあるわけなんです。また、そういう白ナンバーのトラックが事故を引き起こしているということも御承知の通りだと思うのです。これについて、あなたの方の権限ではないというお話だけれども、こういう事実を摘発ができれば、これはやはり、そういうものを違反として、白ナンバーでありながらそういう仕事をしていた場合において、その登録を取り消すとか、そういうことはあなたの所管になってくると思うのですが、こういう点から監督をしていくという点については、こういう問題等については、全然あなたの方にタッチする権限がないということについては、少し理解ができないのですが、どうですか。
  101. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 今申しましたのは、白ナンバー・トラックの運行に関しまする監督権というものは私の方にないわけでありますが、白ナンバー・トラックは、たとえば、自分の会社で自分の所有しておる白ナンバー・トラックで輸送することはあたりまえでありまして、これは当然できることでありますが、そのほかに、有償で貸し渡しを受けて他人の白ナンバーのトラックを使います場合には、これは陸運局長でありますが、その許可を要するのでございますが、これら合法的にいたしておりますものは、その法規の範囲内において許されるわけでありますけれども、今お話のございました白ナンバー・トラックが有償で道路運送法の類似行為をするというようなものは、非常に最近ふえておるわけでありまして、これらの取り締まりにわれわれとしては積極的に措置をいたしておるわけでありますが、これらに関しましては、特に今度この国会に、道路運送法の一部改正法律案を提案いたしまして、自動車運送事業類似行為を営むもの、あるいは有償で旅客を乗せ、あるいは荷物を運搬するようなものに対しましては、取り締まりを強化するような方向の改正案を提案しておりまして現在運輸委員会において審議されておりますけれども昭和三十四年中におきまして、今申し上げましたようなもぐりトラックの取り締まりに関しましては、自動車の使用禁止というような処分を四千四十三件実施いたしております。その他違法であるということで訓戒をいたしましたものが六千六十九件というように、登録の取り消しという点までは実は法規上実行できませんのですが、その自家用自動車の使用を禁止するということはできますので、そういう措置をいたしまして、行政処分実行いたしておるのでございます。
  102. 松永忠二

    松永忠二君 最後に一つ運送料のダンピングの問題があるわけです。これがやはり定額料金を非常に割って事実上運行している。それが過当競争になって自然そこに働いている人の労働条件を下げて、そうして結局その過労を引き起こし、それがまた事故の原因になってくるという、こういうふうな問題が関連をして出ているわけなんですが、こういう運送料のダンピングの問題、こういうふうな問題については、具体的にどういうふうに今後処理をしていくつもりなのか。
  103. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 定額制の維持といいますことは、道路運送法規定しているところでありまして、私どもとしては、トラックに関しましても、定められました運賃料金を収受するということ、これはもとより強い要請なのでありますが、事実現在何割か割引をして運賃を収受しておるという状況が認められるわけでありまして、これの調査に当たりまして監査等の場合に発見されました場合に、悪質なものにつきましては処罰をいたしております。その他ダンピングが発見されましたような場合には、訓戒なりあるいは注意を与えるということを実行いたしておりますが、要するに、一社が運賃ダンピングをいたすようになりますと、さらにそれが連鎖反応を起こして、他社も割引をするという格好になりますので、これらの関係につきましては、陸運局が中心になって、運賃の定額制の維持ということを指導いたしますと同時に、トラック協会——トラック業者の団体におきましても、近来運賃定額制の確保ということを指導方針ともいたし、またそういう運動も展開いたしまして、定額制維持に努めておるわけでありまして、これは、今後もこういうダンピングというものは防止いたしまして、定額制を守らせるようにいたしたいと思っております。私は、運賃改定の話なんかの出た場合にも、その運賃ダンピングというようなものが実行されておる場合には、むしろそれを定額制に近づけることが第一次、先決問題である、こういうふうに答えておるのでありまして、これら定額制の維持という点については、今後十分に指導して参りたいと思っております。
  104. 松永忠二

    松永忠二君 最後に要望しておきますことは、あなたの関係の事項、運輸省で所管されていることで、しかも交通事故に関連したことが非常に多いと私たちは思うのです。しかも、出てきた現象を取り締まるということについては、警察庁はできたとしても、その内容について改善をさせるとか、あるいはもっと深く入って、そういう悪質なものについては免許の取り消しをするというような権限は結局ないわけです。従って、そういう意味から言うと、あなたの所管されている事項の方にむしろ大きな力を持っているのが現状だと思うのです。こういうふうになってくると、現在の法律では、道路運送法でも、こういう問題については、規則できめることはきめられる。規則でも、そういう過労防止等の問題をきめよということはできておるので、具体的にそういうものが励行されていくということが必要だし、そのための免許の基準であるとか、あるいは免許の申請等について、法律的にもう少し明確にしていけば、なお防げるのではないかというような点もあるので、こういう点については、やはり具体的に検討していって、こういう問題についての対策一つ十分にしていただきたいということを特に要望しておくわけなんです。
  105. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 事故防止ということは最大の要請でありますので、私どもとしても、十分に事故防止の措置をいたしまして、事故防止目的を達するようにいたして参りたいと思っております。さらに、こういう点に関しましては、警察当局がそういう事故に関しては把握しておられますし、その把握した事故の内容に関しまして、こちらにも知らしてくる制度にもなっておりますので、これら警察庁の方から受けました資料につきましても十分に検討して、事業者の改善措置ということをやっていきたいと思っております。
  106. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、労働省の方に一つお聞きするわけですが、昭和三十三年の四月に、タクシー事故防止対策要綱というものがきめられた。大へんにいいことが八項目にわたってきめられているわけです。これに基づいてあなたの方が具体的に実施をしたのは、どういうことをおやりになったのか。これを一つまず聞かしていただきたいと思います。
  107. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 一昼夜交代制の場合には、勤務時間十六時間を最高限度に必ず制限をし、その範囲内において……労働時間の問題につきましては、現在の労働基準法の建前から申しますというと、三六協定さえできれば、別に時間の制限はないというのが一般の解釈になると思いますが、しかし、こういうタクシー運転手の問題で一番問題になったのは、労働時間が長過ぎるということであったわけなんです。これは、業界の指導態勢としても、勤務の時間をできるだけ短縮するということで進めておるわけでございます。  それから休日と年次有給休暇、これを確実にやらせる。それから、やはりそれだけでは足りませんので、時間外、休日労働、深夜労働、そういうものには、法の定める割増賃金を法定通りに支給していくというふうなこと。それから、夜間にわたる場合につきましては、仮眠施設を十分に設ける。今までは、こういう仮眠施設のないものが相当ありましたが、夜間の場合において仮眠施設を十分に作る。  それから健康診断、賃金台帳、そういう労働基準法上事業主が当然やらなければならない労務管理で最小限度のことすらも、従来は行なわれていなかったわけでございますが、以上のもの、これを特に重点事項として監督機関に指定しまして各関係機関と連絡を密にして現在実施中でございます。
  108. 松永忠二

    松永忠二君 現在十人以上の事業場で、労働者の意見を聞いて就業規則を提出しなければいけないということになっているわけです。その就業規則をその通りに実施をしているというような状況ならばなんだが、またここで今私たちが問題にしているいろいろな、特に定期路線のトラックであるとか、あるいはタクシー等についてもそうなんだけれども、そういう届けられている就業規則通り実施をされているかどうかということについて、あなたの方としては、事実上就業規則は出されていても、就業規則が守られていない状況にあるのか、それとも、基準法できめられている就業規則がそのまま実施をされているという把握を持っておられるのか、その点はどうなんですか。
  109. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 就業規則は、監督署の指導で大体はできておるわけなんですが、御指摘のように、その就業規則が、ほんとうに自分の経営する十人とか十五人の企業者として、十分にその労務管理をするための就業規則というよりも、やはりいろいろのモデルの就業規則をそのまま利用していて、自分の企業に実態的に必ずしも合わない部面のような通り一ぺんな就業規則が従来ややもすれば多かったわけなんです。従って、そういう就業規則そのものをあまりたてにとって、言葉は悪いのですが、規則詰めで監督しても実効が上がらない。従って、ただいま申し上げましたように、実質上タクシー運転手、トラックの運転手というような、交通の安全を脅かすような労働条件を改善していくというところに現在重点をしぼって指導監督をしていく。従って、各事業主ごとの個々の就業規則を一々手に取って、ここが悪い、あそこが悪いというような監督までには現在至っていないというのが実際でございます。
  110. 松永忠二

    松永忠二君 実際に、基準局としてこれを正しく実施をさせていくというためには、出しておる就業規則が励行されているのかどうなのか、励行されていない場合には、それに罰則規定もあるわけだから、罰則を適用していく、現在では、ほとんど申告によってこれを——実際事業場を直接監督をするというようなことはほとんど実施をされていない。私たちの聞いたのでは、五年に一回か、三年に一回くらいのものだ。その程度しか現実の事業場についての監督は事実上できない。従って、書類による申告によって就業規則をただ机の上で監督をする以外に結局方法はないというような現状にある。そういうことが一つ問題があるわけです。だから、私たち考え方からいえば、就業規則は法律によってきめられていて、出さなければならない。出してある就業規則がそのまま実行されていれば、非常なひどい条件によって労働させられるという場合もないわけだから、その実施されてないものについて罰則を励行しているというような方向で監督をされていけば、ある程度その点についての対策はできるのではないかというように考えるわけです。同時に、十人以下のものについては、労働条件を明示しなければできないということがあるわけです。これについても、労働条件が明示をされているかいないか。明示された労働条件が事実行なわれているかどうかということについて、こういう点についての監督というものが事実上できているのか、できていないのか、こういう点についてどうなんですか。
  111. 三治重信

    政府委員(三治重信君) まず、最初の方の監督の状況でございますが、御指摘のように、一般的な事業所の監督官の監督というのは、計算上でいっても、やはり五年に一回ないし七年に一回くらいしか、今の企業者と監督官の数からいえば、監督は実際上できないというのが当然出てくるわけであります。実際においてそういう実情でございます。従って、われわれの方の監督の指導体制といたしましては、問題が出る業種、それから特にその産業または企業の地域において特に問題になる、また、それを集団的に改善をしていかないというと、数少ない監督官が個々に一つずつあっちこっち回っても、過去の経験からいって実効が上らないということから、この今問題になっておりますハイヤー・タクシー業に関しましては、これはやはり交通の問題というような政府全般の問題になりまして、ここに地方におきましても監督の重点を置いて、他の一般の監督を若干ゆるめても、こちらの方に重点を置いて、とにかく一通り現状をつかんで指導体制を整えるということでやっておりますので、ただいまタクシー・ハイヤー業に関しましては、現在のところわれわれの方としては、特に大都市を中心にして一応趣旨は徹底して、その業界に対しての指導体制は一通りは行き渡っているというふうに考えております。しかしながら、まだまだ現実の問題として、やはり現実のこの労働時間または交代制の問題というのは、労務者個々の収入に実質上響く問題ですから、やはり業界として、企業者の方もある程度同一歩調をとっていただかないというと、個々に監督しても、一人だけで直るわけではないというふうなことで、全体的な集団指導体制をとってやっておるつもりでございます。
  112. 松永忠二

    松永忠二君 労働者としては、砂利トラックとかあるいは定期路線について三六協定の除外規定の中へこういうものを入れるということを検討する用意があるのかないのか。こういう点はいかがですか。
  113. 三治重信

    政府委員(三治重信君) これは、そこまでわれわれの方は考えておりません。やはりこの三六協定を、特定の業種については何時間以上してはいけないとかというまでに、やはり平等一律的な法的な規制をやるまではまだ考えておりません。従って、そういうことを、実質上その三六協定よりか実効の上がる方法として、トラックにつきましては、交代運転手を必ず乗せていく。長距離のことにトラック関係につきましては、交代運転手を乗せていく。それから、そういうふうな積みおろしの時間とか、そのほかのやつも必ず労働時間の方に、勤務時間の方に算定してそうしてダイヤの組みかえにおきましても、必ず先方に着いて、あと相当の休憩時間を与えて引き返えさす。あるいは、先方に交代の運転手を置いて、そこで乗りかえて帰るというふうな、実際上勤務時間をそういうふうな三六協定でやるならば、実質上幾らもできるというけれども、やはり個々の運転手の働く能力からいっても交通事故を起こさない限度の時間にして、しかも、能率はできるだけ落とさないような方法ということで、そういうことで指導しておるわけであります。
  114. 松永忠二

    松永忠二君 今言ったのは、いずれも行政指導よりほかに方法がないので、行政指導をこえて、法律的な根拠でやっていくということになれば、就業規則と労働条件明示の違反を監督する以外に、私は今の法律としてはないと思う。あなたのおっしゃったような、労働時間の適正な計算をしていく方法を指導していくというようなことについては、単なる行政指導にすぎないわけです。こういう点からいうと、何としてもやはり集中的にそういうことの監督のできるような、つまり体制を整えていくことが必要だと私たちは思う。  そこで、もう二点ばかりでありますが、大体労働協約に基づいて、いわゆる三六協定を結んでいくとか、その他のことも行なわれているので、特にこれらの運送業とかに関係した労働者には、組合を結成するということが一番こういう問題を自主的に解決する上において非常に必要なことだと思う。ところが、事実上は、どこでも、ハイヤーのようなものの運送業の人たちが組合を作るということになると、一番先に弾圧がきて、結成の率というものは非常に他の労働者に比べてみて低いわけです。こういう点について労政局あたりが積極的に指導していくというような、そういうことをとっておられるのかどうなのか。また事実、地方における労政事務所などは、こういうことなんかに何ら力を持っていないのが実情だと思う。そういう点から考えると、こういう労働条件とか、それに伴う事故防止するという意味からいっても、もう少し労政局あたりで、こういう特に問題になっている労働者の労働組合結成の促進について努力をしていくという、そういうふうなことが必要だと私たちは思う。逆に、それが一番おくれていて、一番問題が多いということを考えてみると、こういう点について積極的な努力をしたことがあるのか。指導をしたことがあるのかどうかという点についてはいかがですか。
  115. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 現在は、労働組合の結成なり労働組合の組織の拡大を指導奨励するというふうな積極的な行政は、労働省としてはやっておりません。ただし、そういう組合結成の気運なり、またそういうものについて企業家の介入とか、支配介入問題、不当労働行為、そういう問題につきましては、労働教育その他を通じて、そういうことのないように指導してきておりますが、現在労政局としては、新しくこの業界は組合を組織して、もっと組織率を増加していった方がいいから、組合をお作りなさい、この地区単位に作ったらいい、こういう組織にしたらいいというふうな、積極的と申しますか、指導と申しますか、そういう部面はやっておりません。
  116. 松永忠二

    松永忠二君 今のようなことでは、実際は困ると思うのです。労政事務所の仕事の中にも、実はそういう任務も含んでいるわけなんです。そういう点についてほとんど積極的な努力がされていないという点を私たち考えるので、こういう点についてはやはり問題があると思うのであります。しかし、だいぶいろいろ話をしてみたところが、すぐに実はそれが実現できるということではないと思う。しかし、こうやって検討してみると、私は今総合的な対策が必要だと言うのは、実際にはほとんどできていないじゃないかということを思うわけですよ。いろいろな労働条件が劣悪だということに伴って、それに伴う交通事故というものが非常に多いにもかかわらず、その事故を起こすもとの労働条件をどうして改善をしていくかということについて法律的な改善の措置というものが適確になされていないし、自主的な改善の仕方としての労働組合の結成というものについても、積極的な努力がないということになってくると、実際には、出てきている交通違反だけが罰則で適用されて処理をされていくということになってしまうわけです。こういう点について今だんだん話がまとまってきておるようでありますけれども、今度道交法の百十九条の十号の次に一号を加えて、国家公安委員会または公安委員会が雇用の義務規定する時間を拘束する業務として定める業務を課したり、あるいはこれと実質的に同一の結果となる条件として定める条件を付して雇用運転者に車両等を運転させた雇用者に対して、罰則の適用をしていくということを考えられてきているわけです。こういう点については、確かに私はある意味では非常な一歩の前進だと思うわけです。こういう拘束する業務として定める業務を課すということの内容という問題については、やはりその関係方面、特に運輸省やあるいは労働省等とも相談をして、適切な業務というものをきめていってもらいたい。それによってそういう面の指導も同時になされていくということを私たちとしては切望しているわけなんです。こういう点について、今後特に関連した努力を、一つ大臣に特に私は切望しておきたいと思います。こういう点について、一つ大臣の最後の御答弁をいただきたいと思うのであります。
  117. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま松永委員からるる御意見がありまして、労働省当局からもいろいろ見解の表明があったのでありますが、私も拝聴いたしておりまして、今後ともできる限りそういう御趣旨に沿うように、行政面についても十分配意しつつやって参りたいと考えております。
  118. 松永忠二

    松永忠二君 もう少し事務的な方法一つ聞かして下さい。
  119. 中川董治

    政府委員中川董治君) ただいま大臣からおっしゃいましたようにやるわけでございますが、事務的には、ただいまのような場合におきましては、七十四条の規定をまず根本にする。それから、実際の公安委員会規則の立案につきましては、関連各省庁の事務当局とも十分協議いたしまして、連絡を密にいたしまして、総合行政がうまく行くということを念頭に置き、しかもこの法律目的が達成できると、こういう点につきまして、こまかく考えて参りたいと思っております。
  120. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ほかに御発言がなければ、本案に対する質疑は、以上をもって終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  122. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  ただいまから、道路交通法案に対する討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  123. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 本法案に対しまする共同修正案の趣旨を簡単に申し上げて、御審議を願いたいと存じます。御説明をいたします。  この道路交通法案は、新しい時代の道路交通の実態に即した基本法として立案されたものであると、提案理由の中で述べられておるのでありますが、われわれも、当局の努力に対しまして、これを認めるにやぶさかではございません。しかし、若干の不備な点がなお見受けられることもまた事実であります。  そういうわけで、第一には、交通警察取り締まりの行き過ぎを戒め、また、交通規則が実態に即しないために無理が生じないように、警察官の指示について一つのワクを示し、または安全運転の条件に速度を加え、あるいは駐車禁止の場所に除外例を設け、さらに駐車の方法にも緩和の道を講ずるようにするのが第一であります。  第二には、酔っぱらい運転の禁止の規定を酒気を帯びた運転禁止の規定に改めまして、罰則は酔っぱらい運転に限ってすることにいたすということであります。  第三には、運転免許の種類の整備に関連しまして、最近におきまする交通事情によりまして、免許の年齢制限を原案よりも引き上げることにいたしたのであります。  第四には、本案全部を通じましてわかりやすい法律とするために、第十七条その他について、用語または表現の形式を努めて平易にするとともに、今回の新機軸といたしまして、罰則を伴う各条に、それぞれその罰則は何条に規定されているということが直ちに引き出せるような手引きの文句を付するといったようなことをおもな内容といたします、お手元に配付されております通りの修正案を、各派共同提案としてここに提出いたした次第でございます。  次に、修正案を朗読いたします。    道路交通法案に対する修正案   道路交通法案の一部を次のように修正する。   第四条に次の付記を加える。    (罰則 第二項については第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一号、第百二十二条)   第五条に次の付記を加える。    (罰則 第一項及び第二項については第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一、第百二十二条)   第六条中「若しくは第三章」を「又は第三章」に、「命じ、又はその現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。」を「命ずることができる。」に改め、同条に次の一項を加える。  2 警察官は、前項の規定による措置のみによっては、その現場における混雑を緩和することができないと認めるときは、その混雑を緩和するため必要な限度において、その現場にある関係者に対し必要な指示をすることができる。第六条に次の付記を加える。   (罰則 第一項については第百二十条第一項第一号)   第七条第三項中「警察官は、」の下  に「道路の損壊、火災の発生その他の事情により道路において交通の危険が生ずるおそれがある場合において、」を加え、同条に次の付記を加える。   (罰則 第百十九条第一項第一号、同条第二項、第百二十一条第一項第一号、第百二十二条)   第十一条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十一条第一項第二号第二項及び第三項については第百二十一条第一項第三号)   第十五条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十一条)   第十七条第四項各号列記以外の部分及び同項第一号を次のように改める。    車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。   一 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となっているとき。   第十七条に次の付記を加える。    (罰則 第一項から第三項まで及び第五項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第二十条に次の付記を加える。    (罰則 第二項及び第三項については第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)   第二十一条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十一条第一項第五号、第百二十二条)   第二十五条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条 第二項については第百二十条第一項第四号、同条第二項、第百二十二条)   第二十六条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十一条第一項第五号、第百二十二条)   第二十七条から第二十九条までにそれぞれ次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)   第三十一条及び第三十二条にそれぞれ次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十三条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項、第百二十二条)   第三十四条に次の付記を加える。    (罰則 第一項から第三項までについては第百二十一条第一項第五号、第百二十二条第四項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十五条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十六条に次の付記を加える。    (罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十七条及び第三十八条にそれぞれ次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第三十九条第一項中「道路の右側部分をできる限り道路の中央に寄って」を「道路の右側部分にその全部又は一部をはみ出して」に改める。   第四十条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)   第四十二条及び第四十三条にそれぞれ次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)   第四十四条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第五号、同条第二項)   第四十五条第一項各号列記以外の部分に「ただし、第六号に掲げる場所においては、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。」を加え、同条同項第一号を削り、同条同項中第二号を第一号とし、第三号から第七号までを一号ずつ繰り上げ、同条に次の一項を加える。  3 公安委員会交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。   第四十五条に次の付記を加える。    (罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第五号、同条第二項)   第四十六条中「第一項第一号、第六号及び第七号」を「第一項第五号及び第六号」に改める。   第四十七条ただし書中「一定の方向にする車両の通行が禁止されている道路」を「一方通行となっている道路」に改め、同条に次の付記を加える。   (罰則 第百二十条第一項第六号)   第四十八条第一項中「歩道と車道の区別のない道路にあっては、」を「歩道と車道の区別のない道路で公安委員会が指定した場所においては、」に改め、同条に次の付記を加える。   (罰則 第百二十条第一項第五号、同条第二項)   第四十九条に次の付記を加える。   (罰則 第百二十条第一項第七号、同条第二項)   第五十条第一項中「第七号」を「第六号」に改め、同条第二項中「道路の管理者である」を削る。   第五十一条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十九条第一項第三号)   第五十二条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十条第一項第五号、同条第二項 第二項については第百二十条第一項第八号、同条第二項)   第五十三条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十条第一項第九号)   第五十四条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十条第一項第八号、同条第二項第二項については第百二十    一条第一項第六号)   第五十五条に次の付記を加える。    (罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第十号、第百二十二条、第百二十三条第三項については第百二十一条第一項第六号)   第五十七条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十条第一項第十号、第百二一二条、第百二十三条 第二項については第百二十一条第一項第七号、第百二十三条)   第五十八条に次の付記を加える。    (罰則 第三項については第百二十一条第一項第八号、第百二十三条)   第五十九条に次の付記を加える。    (罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第十号、第百二十二条、第百二十三条)   第六十条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十一条第一項第七号、第百二十三条)   第六十一条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第四号)   第六十二条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第五号、同条第二項、第百二十二条、第百二十三条)   第六十三条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十九条第一項第六号 第二項については第百十九条第一項第七号 第七項については第百二十一条第一項第九号)   第六十四条に次の付記を加える。    (罰則 第百十八条第一項第一号、第百二十二条)   第六十五条を次のように改める。   (酒気帯び運転の禁止)  第六十五条 何人も、酒気を帯びて(身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあることをいう。以下同じ。)、車両等を運転してはならない。第六十五条及び第六十六条にそれ  ぞれ次の付記を加える。    (罰則 第百十八条第一項第二号)   第六十七条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十九条第一項第八号)   第六十八条に次の付記を加える。    (罰則 第百十八条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)   第六十九条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第十一号)   第七十条中「方法」を「速度と方法」に改め、同条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項、第百二十二条)   第七十一条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第九号)   第七十二条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十七条、第百十九条第一項第十号 第二項については第百二十条第一項第十二号)   第七十三条に次の付記を加える。    (罰則 第百二十条第一項第九号)   第七十四条第一項中「この条及び第百八条において」及び「この条において」を削り、同条に次の付記を加える。   (罰則 第二項については第百十九条第一項第十一号、第百二十三条)   第七十五条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第十二号、第百二十三条)   第七十六条に次の付記を加える。    (罰則第一項及び第二項については第百十八条第一項第四号、第百二十三条第三項については第百十九条第一項第十二号、第百二十三条第四項については第百二十条第一項第九号)   第七十七条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十九条第一項第十二号、第百二十三条第三項及び第四項については第百十九条第一項第十三号、第百二十三条第七項については第百二十条第一項第十三号、第百二十三条)   第七十八条に次の付記を加える。    (罰則 第四項については第百二十一条第一項第九号)   第八十一条及び第八十二条にそれぞれ次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)   第八十七条に次の付記を加える。    (罰則 第三項については第百二十条第一項第十四号、第百二十二条)   第八十八条第一項第百万を次のように改める。   一 大型免許(大型自動車に係る仮免許を含む。)、普通免許(普通自動車に係る仮免許を含む。)及び特殊免許にあっては十八歳に、三輪免許(自動三輪車に係る仮免許を含む。)、二輪免許、軽免許、第一種原付免許及び第二種原付免許にあっては十六歳に、それぞれ満たない者   第九十条の見出しを「(免許の拒否等)」に改め、同条第一項ただし書中「免許を与えないことができる。」を「免許を与えず、又は一年をこえない範囲内において免許を保留することができる。」に改め、同条第二項中「免許を与えないことと」を「免許を拒否し、又は保留」  に改める。   第九十一条に次の付記を加える。    (罰則 第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)   第九十四条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十一条第一項第九号)   第九十五条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十一条第一項第十号、同条第二項第二項については第百二十条第一項第九号)   第百一条に次の付記を加える。    (罰則 第二項については第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)   第百二条に次の付記を加える。    (罰則 第三項については第百十九条第一項第十五号、第百二十二条)   第百六条前段中「拒否し、」の下に「若しくは九十日以上免許を保留し、」を加える。   第百七条に次の付記を加える。    (罰則 第一項については第百二十一条第一項第九号)   第百十八条第一項第二号中「第六十五条(酔つぱらい運転の禁止)」を「第六十五条(酒気帯び運転の禁止)の規定に違反した者で酒に酔い(アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態にあることをいう。)、車両等を運転したもの」に改める。   第百十九条第一項中第十四号を第十五号とし、第十一号から第十三号までを一号ずつ繰り下げ、第十号の次に次の一号を加える。   十一 国家公安委員会又は公安委員会が第七十四条(雇用者の義務)第二項に規定する時間を拘束する業務として定める業務を課し、又はこれと実質的に同一の結果となる条件として定める条件を付して雇用運転者に車両等を運転させた雇用者   第百二十条第一項第一号中「第六条(混雑緩和の措置)」の下に「第一項」を加え、同条同項第五号中「第四十五条(駐車を禁止する場所)」の下に「第一項若しくは第二項」を加え、同条同項第十五号を削り、第十六号を第十五号とし、同条第二項中「、第八号又は第十五号」を「又は第八号」に改める。   第百二十一条に次の一号を加える。   十 第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第一項の規定に違反した者   第百二十一条に次の一項を加える。  2 過失により前項第十号の罪を犯した者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。   第百二十二条第一項中「第九号若しくは第十四号」を「第九号若しくは第十五号」に、「第百二十一条第五号」を「第百二十一条第一項第五号」に改め、「(身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあることをいう。)」を削る。   第百二十三条中「第十二号若しくは第十三号」を「第十二号、第十三号若しくは第十四号」に、「第百二十一条第七号」を「第百二十一条第一項第七号」に改める。   附則第三条第一項各号列記以外の部分中「運転免許」を「運転免許(小型自動四輪車免許及び旧令第五十条の二第一項の規定による仮運転免許を除く。)」に、「旧法及び旧令の規定により当該運転免許証又は運転許可証が交付された日から起算するものとする。」を「当該運転免許証又は運転許可証に記載されている旧令第五十七条第一項(旧令第六十六条において準用する場合を含む。)の規定による検査の期限までとする。」に改め、同項第二号中「又は小型自動四輪車免許」を削る。   附則第三条中第二項を第四項とし、第一項の次に次の二項を加える。  2 新法の施行の際、現に旧法及び旧令の規定により小型自動四輪車免許を受けている者は、新法の規定による普通免許を受けたものとみなし、その者が旧法及び旧令の規定により交付を受けた運転免許証は、新法の相当規定により交付を受けた免許証とみなす。前項後段の規定は、この場合について準用する。  3 前項前段の場合において、その者が運転することができる自動車は、普通自動車については、政令で定めるところにより公安委員会が行なう審査に合格するまでの間は、旧令の規定による小型自動四輪車に限るものとする。附則第四条中「前条第一項」を「前条第一項又は第二項」に改める。   附則第五条第一項中「運転免許を拒否する場合を除き、」を「運転免許を拒否し、又は保留する場合を除き、」に、「新法第九十条第一項本文」を「新法第八十八条第一項第一号及び第九十条第一項本文」に改め、同条第二項中「新法第九十条第一項本文」を「新法第八十八条第一項第一号及び第九十条第一項本文」に、「前項後段」を「第一項後段」に改め、同項を第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。  2 前項前段の規定により普通免許を受けた者が運転することができる自動車は、普通自動車については、政令で定めるところにより公安委員会が行なう審査に合格するまでの問は、旧令の規定による小型自動四輪車に限るものとする。   附則第八条前段中「第五条第二項」を「第五条第三項」に、「運転免許の申請」を「運転免許の申請(十八歳未満の者がした小型自動四輪車免許に係る申請を除く。以下この条において同じ。)」に改める。附則第二十条中「(昭和三十二年法律第百六号)」を削る。  以上、修正案を申し上げ、私の賛成討論を終わる次第でございます。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております道路交通法案について、修正議決することに賛成の意を表するものであります。  この法律案は、最近における交通事情にかんがみ、道路交通の安全と円滑をはからんとするもので、さらに、その適正を期するために修正せんとするものでありますから、修正は適当であると信じております。  なお、その趣旨を徹底させるために、次のような附帯決議を付して賛成いたしたいと思います。次に、附帯決議案を朗読いたしますが、この附帯決議案は、各党派の話し合いによりまして、共同提案という形にいたしたいと思います。     道路交通法案に対する附帯決議(案)   近時、交通事故激増の実情にかんがみ、政府は、本法の制定に当り特に左の諸点に留意し、交通対策上遺憾なきを期すべきである。  一、交通関係行政の連絡調整を強化し総合的施策の策定推進を図るため内閣法的根拠に基く強力な審議機関を設置すること。  一、一般国民に対して、本法趣旨の徹底と交通道徳の昂揚を図るため必要な措置を講ずるとともに学校教育を通じ学童に対して交通知識の普及を図ること。  一、交通警察に関する要員及びその施設装備を充実すること。  一、交通に関する行政処分等についての苦情処理機関の設置につき検討を加えること。  一、安全運転の一般原則に関する基準を設定して運用の適正を期すること。  一、乗車定員の規制については実情に即しその運用につき慎重を期すること。  一、自動車教習所の指定基準を確立強化して運転免許の適正を期すること。  一、運転免許の取消、停止等については慎重を期して処理すること。  右決議する。  以上でございます。
  125. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないものと認め、さように決定いたしました。  よって直ちに道路交通法案について採決を行ないます。  まず、鍋島君の討論中にありました各派共同修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  127. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本修正案は、全会一致をもって可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本法案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決しました。  次に、鈴木君の討論中にありました附帯決議案を議題といたします。本附帯決議案を委員会の決議とすることに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  129. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よってこの附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの附帯決議に対しまして、石原国務大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  131. 石原幹市郎

    ○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま当委員会におきまして、附帯決議が行なわれた点につきまして、政府の所信を申し上げたいと存じます。  本委員会審議の中でも、交通関係行政の連絡調整の必要はしばしば指摘されているところであり、また、その必要を感じますので、その実現に努めたいと思います。  次に、交通事故防止交通の安全は、国民のすべてがこの法律を知り、そうして守ることによって初めて全きを期し得ると思います。御決議の趣旨に沿い、あらゆる方法対策によりまして、国民に対する本法の徹底をはかるとともに、特に学校教育におきましては、交通安全の重要性を強調するように努めたいと思います。  一方、本法を執行する責任を有する警察といたしましては、その要員を充実し、また、その施設の強化をはかることに努めたいと思います。とりわけ執行の第一線にある警察官の教養、訓練の徹底をはかり、本法の趣旨に沿って適正な運営が期せられるように努めて参りたいと思います。  御決議の中にあります本法施行についての運用の適正につきましては、各都道府県公安委員会にも十分御決議の趣旨を伝えまして、国家公安委員会と一体となって、その実現を期することにいたしたいと存じます。
  132. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 明日は、午前十時から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十四分散会