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政府委員(
國友弘康君) ちょっと時間が長くなるかと思いますが、従来とって参りました手段その他について、及び今後指導していきたい方向について申し上げたいと思います。
昭和三十年に、今
お話のございました、
内閣に
交通事故防止対策本部が設けられたのでございますが、ここで
事故防止に関しまするこれは全般的な問題を
打ち合わせましたが、その結果に基づきまして、
運輸省の自動車局といたしまして
措置し得るものにつきましては、道路運送法の一部改正及び自動車運送事業等運輸規則の改正をいたしまして、この際には運行管理者の選任を義務づけたこと、それから乗務時間及び勤務時間の適正化をはかれという規定を入れました。それから、長距離または夜間運転に対する交替運転手の配置をせよという規定を入れ、またそれから点呼の実施等、安全運行の確保に関する規定を加えた次第でございまして、またさらに、三十三年に休養施設の整備と事業遂行に必要な運転者の確保と、運行管理者の資格を明らかにする、こういう規定を入れまして、この規定に基づいて指導をして参ったわけでありますが、私どもが見ておりますと、やはり勤務の態勢におきましても、
事故防止の
観点から
考えなければならぬ点かあると
考えまして、乗務時間等運転乗務の適正化をはからなければいけないのではないかということ、それから、
長距離トラックにつきましては、適正な運行ダイヤの確立をしなければならないということ、それから、折り返し運行の際の休養の確保をしなければならないというようなこと、これらに関しまして、陸運
局長がよく指導するようにという通達をいたしておるわけでございます。こういうふうに指導して参りましたが、やはり問題は解決いたしませんので、先ほど申し上げましたように、昭和三十四年度の監査の重点といたしまして、やはり
事故防止に重点を置いて、東海道、山陽道の主要幹線に路線を持っております三十六業者について監査をいたしました結果、指導すべき点として七項目ほどをあげておるのでございます。
この項目について申し上げますと、第一番目に、適正かつ計画的な乗務交番の実施をすべきであるということでありまして、これは、長距離にわたる路線トラックの現在の運行模様から見まして、乗務員の過労
防止には特に万全の
措置を講ずる必要がありますので、適正かつ計画的な乗務交番を実施させる。そうして自動車運送事業等運輸規則の
関係規則を順守させる、計画的な勤務の割り振りをするということをまずせよということを申したわけであります。
それから第二番目に、乗務
状況の適確な把握をしておけということを指示したわけでありまして、これは、いわゆるトンボ返りと称しまして、発地から出まして、一応着地へ着きまして、さらにすぐ荷物を積んでまた発地へ戻ってくるというような、直ちに引き返し運転をするというようなこと、これらを
防止する。それから、神風運転を
防止するということのため、計画的な乗務交番を実施する。こういうことのために、まず運転者の乗務実態の適確な把握が必要でありますので、
運輸省としましては、運転日報の作成を命じておりますが、運転日報の作成にあたりましては、運転者ごとに、主要地点の発着時刻、走行キロ及び運転交代
状況等を必ず記録させるとともに、これによりまして乗務
状況を管理すること、これらを指示しておるわけでございます。
それから第三番目に、適正な運行基準の整備をすべきであるということを申しておるのでございますが、これは、神風運転を防ぐとともに、休憩を適切な時期にとらせるために、運行系統ごとに適正な運行ダイヤを作成して実施させることが必要でありますので、運行系統ごとに、主要地点間の標準走行時間、それから休憩時間とか休憩場所、交代運転者との標準運転交代区間あるいは中間営業所における荷扱い時間等につきまして、標準的な運行ダイヤを整備せよということを申しておるのでございます。
第四番目に、出発前の勤務時間を適正化すべきであるということを指示しておりますが、これに関しましては、監査の結果によりますと、一般に、運行開始の
相当時間前に乗務員が出勤しておるというような事情が見られましたので、これら出発前に、
相当長時間前に出勤させるようなことでは、運転時間中に疲労が増すのではないかということを
考えまして、特に出発前の待機時間を短縮するように、作業内容を合理化するように命じております。
それから第五番目に、
事故原因の
調査と
事故防止対策の樹立促進を指示しておりますが、この
事故の原因
調査に関しましては、
事故運転者の単なる
責任追及のみに終わることなく、類似
事故の発生
防止のために、間接原因にまでさかのぼって十分な検討を加え、
対策を立てる必要がありますので、
事故の実態及び原因を完全に把握して、適正な
対策をすみやかに樹立するように、これは、指導の面と業者自体
考えてくれ、なお、居眠り運転等によります
事故につきましては、その発生時刻、発生地点がほとんど一定の傾向を示しているような例が少なくありませんので、このような場合には、運転交代の時期もしくは方法または休憩場所等について検討を加えることが必要であろう。それらの点についても十分
考えるようにということを申しております。
それから六番目に、安全管理体制の強化をはかれということを申しまして、運行管理体制の充実といたしまして、運行管理者の権限を明確にし、点呼を確実に実施する。あるいは乗務員の服務の厳正をはかる等、運行の安全管理体制の充実強化、これが
事故防止上最も基礎的な
対策でありますので、これらを強化いたしますとともに、運行管理者の研修等によりまして、さらに運行の安全管理の徹底をはかることを指示しております。それからさらに、定期整備及び車両点検の安全実施をせよということを申しまして、車両を整備するという点に重点を置いて、点検時期、段階、項目及び点検票等の一これは点検をこういうふうにしたというしるしの紙でございますが、それらの点すべて、車両点検の実施体制につきまして、十分に実施の確認をするように、これらについてのまた部内監査を充実するようにということを申しているのでございます。
それから七番目に、これはやはり間接原因として、給与体系が問題であると
考えられます点もございますので、給与体系の適正化をはかるように、すなわち、固定給額の著しく過少な給与体系を持っている事業者に関しましては、歩合給額の適当額を固定給化する等の方法によって給与体系の適正化をはかれということも指示し、こういう
方面の指導をせよということ、それから、超過勤務の基礎となる基準賃金が
調査の結果不明な事業者も見受けられましたので、これらを明確にせよというような、給与体系の適正化の点につきましても、十分税地において指導せよというようなことを指示いたしまして、塩花監査の結果出ましたものに、われわれが感じられましたものにつきましては、以上の点について指導をいたしているという
状況でございます。