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1960-02-18 第34回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十八日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            西郷吉之助君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            西田 信一君            湯澤三千男君            占部 秀男君            木下 友敬君            松澤 兼人君            松永 忠二君            米田  勲君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   国務大臣    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    警察庁長官   柏村 信男君    警察庁長官官房    長       原田  章君    警察庁保安局長 木村 行蔵君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査  (昭和三十五年度地方財政計画に関  する件) ○道路交通法案内閣提出)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、昭和三十五年度地方財政計画につきまして、石原国務大臣から説明を聴取いたします。
  3. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいまお手元に配付いたしました昭和三十五年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  地方財政の現況は、なお赤字の再建過程にあることにかんがみ、既存の地方財源はこれを確保するとともに、さらに可及的に歳入の充実をはかって、わが国産業経済の発展と国民生活水準の向上に対応し得る地方行政水準維持向上をはかることを目途として、次の基本方針のもとに昭和三十五年度地方財政計画を策定いたしたのであります。  基本方針の第一は、地方財政健全化の推進であります。すなわち、昭和三十四年度所得税減税に対応する住民税減税はこれを行ない、住民負担の軽減をはかるとともに、地方財政の現況にかんがみ、新たに臨時地方特別交付金制度を創設し、地方財源充実をはかるとともに、一方国の直轄事業地方負担分にかかわる交付公債制度を廃止して、これに伴う所要財源の確保をはかることとしたのであります。  その第二は、いわゆる税外負担の解消をはかり、公費支出適正化を期するとともに、地方公共団体の長期的かつ計画的な財政運営を確保するために必要な措置を講ずることとしたのであります。  その第三は、投資的事業にかかわる経費財源充実して、可及的に地方行政水準維持向上を期するとともに、地方債資金の拡充を行ない、産業基盤の造成、環境衛生施設及び都市交通整備促進をはかることとしたのであります。  その第四は、地方公共団体間の財源帰属適正化をはかるとともに、都道府県及び市町村間の経費負担関係適正化し、財政秩序正常化をはかるため所要の措置を講ずることとしたことであります。  以上のような基本方針のもとに昭和三十五年度地方財政計画を策定いたしますと、その歳出規模は、一兆五千三百八十一億円となり、昭和三十四年度地方財政計画に比して二千八十七億円の増加となる見込みであります。  次に、歳出及び歳入のおもな内容について簡単に御説明申し上げます。  まず第一に、歳出について申し上げます。  その一は給与関係経費であります。給与費につきましては、(イ)人事院勧告に基づく給与の改訂のための経費、(ロ)児童、生徒の自然増減学級規模適正化等に伴う義務教育職員増加、(ハ)交通警察拡充強化暴力団等犯罪取り締まり強化等のための警察官増加、その他法律制度の改正に伴う職員の増加に要する経費を確保するほか、(ニ)昇給及びこれに伴う給与費の増、恩給、退隠料の増等を見込むとともに、昭和三十三年七月一日現在で実施されました地方公務員給与実態調査の結果に基づき、既定財政計画に計上されていた給与費について、その算定方法適正化をはかることとしたのであります。その結果、前年度に比し六百十二億円を増加し、総額は六千三億円と見込まれるのであります。  その二は、給与関係経費を除きました一般の行政事務に要する経費、すなわち一般行政経費であります。従来、その他の消費的経費と申していたところのものでありますが、名称が必ずしも適切でなかったと思われますので、今回から改めることとしたのであります。この一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴う経費につきましては、生活保護費中小企業設備近代化費等国庫予算増加に伴い、前年度に比し百三十三億円を増加し、総額一千四百十一億円と見込まれるのであります。国庫補助負担金を伴わない経費につきましては、PTA負担金等のいわゆる税外負担が相当多額に上り、住民負担適正化を期する上からも、その解消が強く要望されていることにもかんがみ、市町村教育関係経費等充実を行なって、公費支出適正化を期するとともに、地方財政運営の長期的な健全化を促進するための措置を講ずることに要する経費として百七十億円を見込むことといたしますとともに、その他の行政経費につきましては、明年度国民経済伸張率等の事情を勘案して七十億円を増加することとしました結果、総額は一千七百六十七億円となったのであります。  その三は公債費であります。公債費につきましては、普通地方債分で十一億円、国の直轄事業に伴う地方負担分にかかる交付公債分で十六億円の増加となり、前年度に比し二十七億円の増、総額は八百四十一億円と見込まれるのであります。  その四は、道路、橋梁、河川その他公共、公用の施設維持補修費であります。これについては、各種施設増加等の事情を考慮して算定した結果、前年度に比し四十億円を増加し、総額は四百五十九億円と見込まれるのであります。  その五は投資的経費であります。まず第一に、国の直轄事業に伴う地方公共団体負担金にかかる交付公債制度の廃止に伴う所要経費を新たに計上したことであります。すなわち、交付公債制度は、その成立の経緯においても明らかなように、暫定的にとられた措置であり、また、その地方負担分は、当該年度地方公共団体の予算に計上されずに、後年度負担に繰り延べられることより、地方公共団体財政全般の健全な運営を阻害するという欠点のあることがつとに指摘され、その改善が強く要望されていたことにかんがみ、昭和三十五年度から、交付公債制度のうち、その大部分を占める道路、港湾及び治山治水にかかる特別会計所属のものを廃止して、地方公共団体がその負担額当該年度の予算に計上して国に支払う現金納付の本来の方式に改めることとしたのであります。これに伴って必要となる経費を新たに直轄事業負担金として二百三億円を計上することとしたのであります。なお、一般会計の国の直轄事業に伴う地方公共団体負担金の額は四十五億円でございますが、これについては、従来通り交付公債制度を存置することといたしたのであります。  次に、国庫負担金を伴うものにつきましては、治山治水五カ年計画に基づく治山治水事業費道路整備事業費公立文教施設整備事業費等普通建設事業費増加のほか、昭和三十四年発生災害復旧事業費を中心とした事業費の大幅な増加によって、前年度に比し五百三十五億円を増加し、総額三千百五十九億円と見込まれるのであります。また、国庫補助負担金を伴わない地方独自の事業費につきましては、まず、昭和三十四年発生の災害が未曽有の大規模なものであったことにかんがみ、地方公共団体が単独で行なう災害復旧事業費が前年度に比し百四十八億円を増加する一方、普通建設事業費においては、わが国産業経済の発展と国民生活水準の向上に対応し得る産業関連施設及び環境衛生施設その他都市施設等整備充実が強く要望せられていることにかんがみ、公立文教施設整備事業費道路整備五カ年計画との関連における道路整備事業費環境衛生施設整備に要する経費を中心として、前年度に比し百四十九億円を増加いたすこととし、その結果、総額は一千三百七十億円と見込まれるのであります。なお、さきに申し述べましたPTA寄付金等の解消に関連して、従来から都道府県負担すべきものとされている各種建設事業費について、市町村にその経費の一部を負担せしめているのでありますが、この結果、都道府県及び市町村間の経費負担関係を不明確にしているきらいがあることにかんがみ、都道府県及び市町村間の経費負担関係正常化せしめるため、必要な財源振りかえの措置都道府県及び市町村間において行なうことといたしているのであります。  第二は歳入であります。  その一は地方税収入であります。地方税のうち住民税については、さきに行なわれましたいわゆる七百億円減税施策の一環としての所得税減税に対応する減税は、これを行なうことといたしており、その減収額は百二十二億円を見込まれるのでありますが、これを考慮した地方税全体の収入は、前年度計画に比し八百二十一億円を増加して、総額は六千二百三十億円となるのであります。しかしながら、この増収額のうち二分の一程度の額は、昭和三十四年度中にすでに増収となっているものでありますので、個々の地方公共団体にあっては、八百二十一億円の増収額がそのまま明年度新規財政需要に充てられるべき財源とはなりがたいのであります。なお、地方財政の現況にかんがみ、住民税減税による減収額を考慮して、当分の間国税三税の〇・三%に相当する額を臨時地方特別交付金制度として地方公共団体に交付するものとされているのであります。  その二は地方譲与税であります。地方譲与税収入については、本年行なわれた入場税減税の平年度化に基づく入場譲与税の減と地方道路譲与税及び特別とん譲与税自然増収を差し引きずれば、前年度に比し十七億円の減となり、総額は三百十七億円と見込まれるのであります。  その三は地方交付税であります。地方交付税総額は二千八百六十五億円と見込みましたが、このうちには、さきに御説明いたしました臨時地方特別交付金三十億円を含めております。従いまして、本来の地方交付税は、前年度に比し三百四十九億円の増加となるわけであります。  その四は国庫支出金であります。国庫支出金は、義務教育費国庫負担金において百三億円の増、その他の普通補助負担金において九十三億円の増、公共事業費補助負担金において、普通建設事業費関係で百九十五億円、災害復旧事業費関係で二百三億円、計三百九十八億円の増、失業対策事業費補助負担金で十五億円の増でありまして、前年度に比し六百九億円を増加し、総額は四千二十六億円となっております。なお、国有提供施設等所在市町村助成交付金につきましては、前年度と同額の十億円であります。  その五は地方債であります。地方債につきましては、前年度に比し二百四十五億円を増額し、総額は七百二十億円としたのでありますが、このうちには、さきに述べました道路、港湾、治山治水にかかる特別会計の国の直轄事業に伴う地方負担分二百三億円に対する措置として地方債百六十億円が含まれているのであります。なお、国の直轄事業に伴う地方負担分については、将来地方一般財源増加状況等を勘案して、漸次地方税等財源でまかなうこととして参りたいと考えているのであります。従いまして、この直轄事業債を除きました普通の地方債は、一般補助事業債で十五億円、災害復旧事業債で七十億円をそれぞれ前年度より増額し、総額は五百六十億円であります。なお、さきに申し述べましたように、国の一般会計直轄事業に伴う地方負担分にかかる交付公債制度は存置することとされておりますが、この交付公債については四十五億円程度見込まれるのであります。また、明年度における地方債といたしましては、地方財政計画に計上いたしましたもののほか、公営企業債を前年度に比し八十八億円増額して五百七十五億円、準公営企業債を前年度に比し六十七億円増額して二百五億円を予定しているのであります。従って、地方債総額は千五百億円となるわけでありまして、前年度に比し四百億円の増加となっております。その資金別の内訳は、政府資金一千百六十億円、公募資金三百四十億円であります。  その六は雑収入であります。雑収入につきましては、使用料及び手数料の自然増によって前年度に比し五十億円増加するものと考え、一千二百二十三億円を見込んだのであります。  なお、中小都市公共下水道事業につきましては、これを準公営事業に移しかえることとし、地方財政計画から除外することといたしました。  以上が昭和三十五年度地方財政計画概要であります。これを通観いたしまするに、昭和三十五年度地方財政は、国民経済の好況の持続が見込まれることにより、地方税地方交付税において相当額自然増収が期待され、全般的に見て相当の弾力性をもたらすものと考えられ、従って、昭和三十五年度地方財政計画においてもすでに申し述べましたように、地方財政健全化のための諸措置を講ずることを得たのであります。  しかしながら、特に最後に申し述べたいことは、さきに一言触れたところでありますが、昭和三十五年度地方財政計画に見込みました地方税のみならず地方交付税増加額も、本年度の当初見込額に対するものであるということであります。すなわち、昭和三十四年度地方税及び地方交付税収入額は、当初の見込額を相当上回り、地方税において約三百八十億円、地方交付税において百五億円の増加がそれぞれ見込まれるのでありますから、結局明年度一般財源増加見込額は、本年度決算見込額に対しては、地方税において約四百四十億円、地方交付税において二百七十四億円の増加にとどまるということであります。  また、国の直轄事業のうち、一般会計に属するものにかかる地方公共団体負担金については、いまだ従来通り交付公債制度を残して、その負担を将来に繰り延べることといたしている一方、特別会計直轄事業に伴う地方公共団体負担金にかかる交付公債制度はこれを廃止することといたしましたが、それに伴う所要財源措置地方税及び地方交付税一般財源でもって十分措置することを得ず、なおその大部分を普通の地方債をもって措置することといたしておるような状態であるということであります。  なお、明年度地方財政につきましては、別途地方交付税法及び地方道路譲与税法等の改正により、地方公共団体相互の間における財源帰属適正化をさらに前進させることを予定しており、また地方財政法を改正して、地方財政運営健全性の確保をはかることといたしたいと考えているのであります。   —————————————
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上の国務大臣説明に対しまして、財政局長から補足説明を聴取したいと思いますが、これは便宜あと回しにいたしまして道路交通法案議題とし、その提案理由説明を求めたいと思います。
  5. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま議題となりました道路交通法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、現行道路交通取締法及び同法施行令を廃止し、新たに道路交通法を制定しようとするものであります。  現行道路交通取締法は、昭和二十二年に制定され、以来、数次の部分的な改正を加えられて今日に至っているものでありますが、この間わが国における交通事情は、自動車の急激な発達、普及及び増加に伴い、まことに著しく変化し、特に最近における大都市道路交通は、同法制定当時と比較しますと、異常なまでに発展、変貌を遂げ、しかも、近い将来におきましては、さらに一そうの複雑と困難が加わることが予想される状況であります。このような実情に対し、現行法令規定では、すでに、種々の点で不十分なことが痛感されるのみならず、今後の交通事情変化には、とうてい対処し得ないものと判断されるに至りましたので、今回同法及び同法施行令について全面的に検討を加え、新しい時代に即応した道路交通基本法としてこの法律案を立案いたしたものであります。  この法律案は、現行法令と比較して、相当広い範囲にわたって規定整備、新設をいたしておりますが、その重要な点は、次の通りであります。  第一は、法の名称道路交通法とし、また、法の目的を明確にしたことであります。この法律は、道路交通基本法たる性格を有するものであることにかんがみ、現行道路交通取締法という名称を改め、道路交通法とし、また、法の目的につきましても単に道路における危険を防止し、その他交通の安全をはかるのみでなく、積極的に交通の円滑をはかることをも目的とするものであることを明らかにいたしました。  第二は、法体系整備するとともに、用語及び表現を平易化したことであります。現行法におきましては、道路交通規制に関する基本的な事項が法及び施行令の両者にわたって規定されているのでありますが、これら基本的な事項は、すべてこの法律の中に規定することとして、法体系整備し、また、国民のだれでもがこの法律を容易に理解し得るように用語及び表現をできるだけ平易にすることに意を用いました。  第三は、交通規制に関する規定整備したことであります。そのおもなものは、交通規制のための道路標示設置に関する規定を新設すること、公安委員会区間または期間の短い通行禁止または制限警察署長に行なわせることができる規定を新設すること、自動車最低速度に関する規定を新設すること及び道路交通に関する調査を行なうための規定を新設すること等であります。  第四は、歩行者通行に関する規定整備するとともに、歩行者保護の徹底をはかったことであります。歩行者通行につきましては、特に一章を設けまして、その通行方法基本を明らかにしますとともに、これらの規定には、原則として罰則を付さず、違反者に対しては、警察官が必要な指示を行なうことといたしました。また、車両等交通方法に関する規定において歩行者通行保護をはかることといたしました。  第五は、車両等交通方法合理化をはかったことであります。自動車を初めとする各種車両等増加に伴いまして、現行規定では、車両等交通規制について十分な実効を期することが困難となるに至りましたので、車両通行方法基本原則、追越しに関する規制、交差点における通行方法、停車及び駐車に関する規制等について新たな規定を設けるとともに、現行規定についても全面的な検討を加え、車両等交通方法合理化に必要な規定整備をいたしました。  第六は、交通の円滑をはかり、危険を防止するための措置を強化したことであります。道路において車両等通行が停滞したため交通が著しく混雑するおそれがある場合における混雑緩和措置違法駐車または違法工作物等交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがある場合における移動、除去、移転等措置について必要な規定を設けるほか、酔っぱらい運転過労運転等無謀運転禁止整備不良車両運転禁止等道路における危険防止措置に関する規定整備することといたしました。  第七は、雇用者及び車両運行管理者義務についての規定を設けたことであります。最近における交通事故及び交通法令違反原因には、単に運転者の責に帰すべきもののみならず、むしろ運転者を雇用する者あるいは車両運行を管理する地位にある者の責任と思われるものが多いことが痛感されるところであります。よって、雇用者は、その雇用する運転者に安全な運転を行なわせるよう努めなければならないこと、雇用運転者をして苛酷な条件のもとに運転させてはならないこと等とするほか、車両等運行を直接管理する地位にある者は、無免許運転無謀運転等を命じ、または容認してはならないこととし、これらの者が、運転者とともに、交通秩序の確立に責任のあることを明らかにいたしました。  第八は、運転免許制度合理化をはかったことであります。運転免許の種別を整理してその簡素化をはかったこと、免許証交付手続についてその不合理を改めたこと、免許についての行政処分実効をはかる措置を講じたこと、各都道府県における運転免許関係事務斉一化適正化をはかるため全国的な基準を命令で定めることとしたこと等運転免許に関する規定整備して、運転免許制度合理化をはかることといたしました。  最後に、罰則整備したことであります。現行法制定以後の社会情勢変化及び現行各種法令規定する罰則との均衡を考慮して全面的に罰則整備するとともに、過失犯規定及び両罰規定整備することとし、また、交通事故原因に飲酒によるものが多い実情にかんがみ、運転者交通違反を犯した場合において酒気を帯びていたときの刑の加重について規定する等罰則整備をはかることといたしました。  以上がこの法律案提案理由およびその内容概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 引き続いて、本案についての補足説明を聴取いたしたいと思います。
  7. 柏村信男

    政府委員柏村信男君) ただいま提案理由説明のございました道路交通法案の内容につきまして、さらに補足して御説明申し上げます。  この法案は、八章百二十四条と附則二十条からなっております。  まず、この法律の名称につきましては、この法律は、道路における歩行者及び車両等交通方法運転者及び雇用者の義務、道路使用規制並びに運転免許制度等について基本的な事項を定めたものであって、単に警察的な取り締まり根拠法ではなく、むしろあらゆる国民が安全に道路通行するために積極的に順守すべき道路交通基本法であると理解されるべきものであると考えまして、現行道路交通取締法という名称を道路交通法と改めることといたしました。  次に、第一章総則について申し上げます。この章におきましては、法律の目的、用語の定義、信号機及び道路標識等の設置、信号に従う義務、警察官混雑緩和措置公安委員会通行禁止及び制限の権限等に関する事項を規定しております。  第一条は、この法律の目的について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに交通の円滑をもはかるものであることを明らかにいたしました。  第六条は、警察官による混雑緩和措置について規定したものでありますが、現行規定ではやや明確を欠いている点がありますので、これを改めたものであります。その趣旨を申し上げますと、車両通行が著しく渋滞し、これがため道路上の交通が著しく混雑し、全く動きのとれない状態となるようなことが大都市等では最近しばしば生起しているのでありますが、このような状態に対処して、その混雑を緩和するためには、必要最小限度措置として警察官は、その現場に入ってくる車両等について、一時その通行禁止し、またはその現場にある車両等に前進、後退等の臨機の措置をとらせる必要があるのであります。第六条は、このような事態における警察官の行なう措置を明確に定めることとしたのであります。  第七条は、通行禁止または制限について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに公安委員会の行なう道路通行禁止または制限のうち、区間または期間の短いものについては、行政能率化の見地から警察署長に行なわせることといたしました。  その他、第九条において、道路における交通規制の表示の方法として、現行規定道路標識制度のほか、道路上にペイント等で線または文字等を書いて表示する道路標示制度を設けたこと等、若干の改正を加えておりますが、その他のこの章の規定は、おおむね現行規定と同様の趣旨のものであります。  次に、第二章歩行者通行方法について申し上げます。  この章におきましては、歩行者通行区分、行列の通行方法、横断の方法、その他歩行者通行方法に関する事項を規定しておりますが、おおむね現行規定の考え方を踏襲いたしております。ただし、第十五条は、警察官歩行者に対する通行方法の指示について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、この法律におきましては、歩行者通行方法に関する規定には罰則を付さず、その順法精神に期待する建前をとることとしましたが、歩行者がそれらの規定に違反して歩行している状態をそのまま放置することはできませんので、この場合においては、警察官が正規の通行方法によるよう指示することができることとしたのであります。なお、歩行者につきましては、この法案の各所でその通行の保護をはかるよう定めております。  次に、第三章車両及び路面電車の交通方法について申し上げます。  この章は、車両等通行区分、通行方法、停車及び駐車の方法その他車両等通行に関する事項を規定いたしております。原則的には、現行規定を中心として規定しておりますが、現行法制定後の交通の実情にかんがみ、交通方法合理化をはかるほか、所要の規制の強化をはかることといたしております。それらについて御説明申し上げます。  第十七条は、車両通行区分について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、規定内容を整備して、車両の左側通行の原則を明確にいたしました。  第二十二条は、車両の最高速度について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに、公安委員会は、道路の状況等により、政令で定める速度をこえて最高速度を定めることができることとして、道路の実態に対応して車両の最高速度を合理的に定め得るようにいたしました。  第二十七条から第三十一条までは、追越しに関する規定でありますが、追越しに基因する事故が多発している実情にかんがみ、規定内容を整備し、追越しの方法等を合理化いたしました。  第三十四条から第三十七条までは、交差点における交通方法に関する規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  第三十八条は、交差点において道路を横断している歩行者の保護について規定したものでありますが、規定内容を整備して、歩行者の保護の徹底をはかることといたしました。  第三十九条から第四十一条までは、緊急自動車に関する規定でありまして、おおむね現行規定と同様の趣旨のものでありますが、その通行区分を明確にする等規定内容を整備いたしました。  第四十二条及び第四十三条は、車両等の徐行すべき場所及び指定場所における一時停止について規定したものでありまして現行規定と同様の趣旨のものであります。  第四十四条から第五十条までは、車両の停車及び駐車に関する規定でありますが、最近の都市における停車及び駐車の現状にかんがみ、現行規定で不十分な点を検討して規定内容を整備し、停車または駐車に伴う交通の渋滞の防止をはかることといたしました。そのおもな点を申し上げますと、第四十五条におきまして、新たに車庫等の出入口付近、道路工事が行なわれている場所の付近等を駐車禁止の場所として加えることとし、また、道路に幅三・五メートルの余地を残すことのできない道路では駐車できないこととして、駐車の制限を強化するとともに、交通の円滑を確保することといたしました。第四十八条におきましては、駐車の方法として、道路の左側端に〇・五メートルの余地をあけることとして、歩行者通行の保護をはかることといたしました。  第五十一条は、違法駐車に対する措置について規定したものでありまして、全く新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、現行規定のもとにおきましては、駐車禁止の場所に違法に駐車している車両があり、そのため交通が混雑し、交通の危険が生じましても、警察官は、犯罪捜査としての処理はできても、これに対して移動する等の措置を命じ、またはみずからこれを移動することはできないのであります。第五十一条の規定は、このような事態に対処して警察署長及び警察官が駐車の方法の変更、移動等の措置をとり得ること及びその手続を定めたものであります。しかし、その要件を厳格に定め、またその手続も慎重にして、いやしくも不当に車両の所有者または使用者の権利を侵害することのないよう十分な配慮をいたしております。  第五十二条及び第五十三条は、車両等の燈火及び合図について規定したものでありまして現行規定と同様の趣旨のものであります。  第五十四条は、警音器の使用について規定したものでありますが、警音器による騒音の防止と危険防止のための使用の必要性との調和をはかることに特に意を用いました。  第五十五条から第六十条までは、車両の乗車、積載及び牽引等に関する規定でございまして現行規定と同様の趣旨のものであります。  第六十一条は、乗車、積載または牽引についての危険防止のための警察官の応急の措置について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  第六十二条及び第六十三条は、整備不良車両運転禁止警察官による街頭での車両検査、整備不良車両に対する応急措置等を規定したものでありますが、その趣旨は、もっぱら整備不良車両が通路を通行することによって生ずる危険を防止しようとするものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  次に、第四章運転者及び雇用者等の義務について申し上げます。  この章は、車両等運転者の義務、交通事故があった場合の措置雇用者等の義務等に関する事項を規定しております。  第六十四条から第六十六条までは、無免許運転酔っぱらい運転及び過労運転等禁止について規定したものでありまして、現行規定において無謀操縦として禁止しているところと同様の趣旨のものでありますが、これらの行為の社会的危険性にかんがみまして、独立条文として規定内容を整備することといたしました。  第六十七条は、前三条の規定に違反する車両等についての危険防止のための警察官の応急の措置について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  第六十八条から第七十一条までは、車両等運転者の最高速度及び最低速度を遵守すべき義務、安全運転を行なうべき義務並びにその他の一般的な遵守事項について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、第六十九条は、第二十四条の規定に対応して、最低速度の遵守について規定したものでありまして、新設の規定であります。  第七十二条及び第七十三条は、交通事故があった場合における車両等運転者等の負傷者の救護その他必要な措置を講ずべき義務、警察官に対する報告義務、これらの措置に対する妨害の禁止等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、警察官に対する報告は、交通事故の現場処理のため必要な行政的目的のものであることを明らかにするため、報告事項をその必要な範囲に限定して規定いたしました。  第七十四条及び第七十五条は、車両等運転者を雇用する者等の義務について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、最近における交通事故及び交通違反の実態から考察して見ますに、他人に雇用されている運転者につきましては、その責任を本人のみに帰することは必ずしも妥当でなく、むしろこれらの者を雇用する者の業務運営による影響を無視し得ないことが痛感されるところであります。第七十四条の規定は、この観点から、新たにこれら雇用者に対し道路交通法上の義務を課し、道路交通に対するその責任を明らかにすることとしたものでありまして、その義務の内容といたしましては、まず一般的に、その雇用する運転者に対し安全な運転を行なわせるよう努めるべき義務、速度違反を誘発するような運転をさせない義務及び泥よけ器を備えるよう等必要な措置をとることの義務を掲げたものでありますが、これらの義務につきましては、もっぱら雇用者の順法精神に期待する建前をとり、罰則を付さないことといたしました。  次に第七十五条は、前条と全く同様の趣旨のものでありますが、車両等の運行を直接管理する地位にある者の運転者に対する影響力について着目し、これに道路交通法上の義務を課することとしたのであります。その義務の内容といたしましては、特に社会的に危険性の強い無免許運転酔っぱらい運転過労運転等を命じ、または運転者がこれらの危険な状態で車両等運転することを容認してはならないことといたしましたが、この義務違反には罰則を設けることとし、またこれには両罰規定をも適用して、その雇用者にも責任の及ぶことを明らかにいたしました。  次は、第五章道路の使用等についてであります。この章は、道路における禁止行為、道路の使用の許可、違法工作物等に対する危険防止のための措置等に関する事項を規定いたしております。  第七十六条は、道路における禁止行為について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、現行規定におきましては、単に罰則の犯罪構成要件として定めている行為をこの条の禁止行為として規定することといたしました。  第七十七条は、道路において工事または作業をしようとするとき、その他道路を使用しようとする場合における警察署長の許可について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、許可を要する事項の内容を明確化するとともに、許可の条件、許可の取り消し及び停止、許可の期間が満了した場合等における原状回復義務について規定する等、規定内容を整備いたしました。  第七十八条から第八十条までは、前条の許可の手続及び許可に関する道路管理者との協議等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、警察署長の許可と道路法による道路管理者の道路占用許可とが競合する場合の許可の申請手続につきましては、その簡素化をはかるための措置規定いたしました。  第八十一条は、違法工作物等に対する措置について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、現行規定におきましては、違法に設置されている工作物等が道路交通に危険を生じさせ、または道路交通の妨害となるおそれがあっても、これらの違反行為については罰則の適用があるだけで、当該工作物等について危険防止のため必要な措置をとることはできないのであります。第八十一条は、このような場合、警察署長は、それぞれの違反行為の責任者に対し必要な措置をとることを命じ、または、違法工作物等の占有者等が判明しないときは、みずから工作物等の除去移転等必要な措置をとることができることを定めたものであります。あわせて、そのような工作物等を除去した場合における保管その他これらをその所有者等に返還するための必要な手続等について所要の規定をいたしております。  第八十二条は、沿道の工作物等に対する危険防止措置について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、これらの工作物等の占有者等が判明しないときは、警察署長はみずから必要な措置をとることができることとする等、規定内容を整備いたしました。  第八十三条は、道路または沿道の土地における工作物等に対する警察官危険防止のための応急措置について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、これらの危険または妨害となるおそれがある工作物等に対しましては、前二条の規定により、警察署長が必要な措置を命じ、または、みずから必要な措置をとることができることとなっているのでありますが、その事態が急を要し、警察署長の処分を待ついとまがない場合においては、応急の手段として、警察官が必要な限度において当該工作物等の除去、移転等ができることとして、危険防止の徹底をはかることとしたのであります。  次に、第六章自動車及び原動機付自転車の運転免許について御説明いたします。  この章は、運転免許の種別、免許の申請手続、免許証運転免許試験、免許証の更新及び適性検査、免許の取り消し、停止等に関する事項を規定しております。  第八十四条から第八十七条までは、運転免許の種別及びこれに応じて運転することができる自動車または原動機付自転車の種類等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、原動機付自転車の運転許可を運転免許に改めるほか、運転免許の種別の統合整理等、規定内容の整備をいたしました。  第八十八条から第九十一条までは、免許の欠格事由、免許の申請手続、免許の拒否及び免許の条件について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  第九十二条は、免許証の交付、免許証の併記、免許証の有効期間等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、免許証制度の運営の合理化をはかるための措置規定することといたしました。  第九十三条から第九十五条までは、免許証の記載事項、携帯義務等について規定したものでありまして現行規定と同様の趣旨のものであります。  第九十六条から第百条までは、運転免許試験に関する規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、運転免許試験事務の全国的な斉一化をはかるため必要な基準を定めることとし、自動車教習所の指定及び監督の制度の確立をはかり、並びに不正受験者に対し受験停止の措置をとること等について規定内容を整備いたしました。  第百一条及び第百二条は、免許証の有効期間の更新及び定期または臨時の適性検査について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、定期検査制度合理化をはかるため、検査期間を一月に短縮する等、規定内容を整備いたしました。  第百三条及び百四条は、免許の取消しまたは効力の停止の処分に関し、処分理由、聴聞、その他必要な手続等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、この制度の運営の合理化をはかるため、停止の処分を受けた者が所定の講習を終了したときは、その停止の期間を短縮することができることとする等、規定内容を整備いたしました。  第百五条及び第百七条は、免許の失効及び免許証の返納等について規定したものでありまして現行規定と同様の趣旨のものであります。  第百六条は、公安委員会免許の拒否、取消しまたは効力の停止の処分をした場合における国家公安委員会に対する報告と、その通報について規定したものでありまして、新設の規定でありますが、全国的に免許に関する事務の適正をはかる趣旨の規定であります。  次に、第七章雑則について申し上げます。  この章は、雇用者に対する通知、免許証の保管、国家公安委員会の指示権、道路交通に関する調査、免許に関する手数料等に関する事項を規定しております。  第百八条は、車両等運転者交通違反をした場合における雇用者に対する違反内容の通知について規定したものでありまして新設の規定でありますが、雇用者等の義務に関する規定と相待って、雇用者に対し、その道路交通に関する責任の自覚を促す趣旨の規定であります。  第百九条及び第百十条は、自動車等の運転者がこの法律の罰則に触れる行為をした場合の免許証の保管、及び、全国的な幹線道路における交通規制の斉一をはかるための国家公安委員会の指示権について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  第百十一条は、公安委員会が行なう道路交通に関する調査について規定したものでありまして、新設の規定でありますが、道路における交通量、車両等通行の経路等、交通規制を実施するために必要な諸条件を調査し、これに基づいて交通規制の適正をはかる趣旨の規定であります。  第百十二条から第百十四条までは、免許事務及び道路使用許可に関する手数料並びに北海道における方面公安委員会に対する権限の委任について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。  次に、第八章罰則について申し上げます。この章は以上各車に規定する義務違反等のうち、処罰によって担保する必要のあるものにつき、所要の罰則を定めたものであります。  第百十五条は、道路における交通に危険を生じさせる罪を規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、法定刑を現行の「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」から「五年以下の懲役又は十万円以下の罰金」に引き上げることといたしました。  第百十六条は、過失によって他人の建造物を損壊する罪を規定したものでありまして新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、過失による建造物の損壊については、現行法においては、これを処罰する規定がありませんが、今日の交通事故の状況にかんがみ、その反社会性に着目して、これを処罰する規定を設けることとしたのであります。  第百十七条は、第七十二条第一項前段に規定する交通事故の場合の車両等運転の停止義務または負傷者の救護等の必要な措置を講ずる義務に違反する罪を規定したものでありまして、現行法にも同様の趣旨の罪があるのでありますが、法定刑を「三箇月以下の懲役、五千円以下の罰金又は科料」から「一年以下の懲役又は五万円以下の罰金」に引き上げたのであります。  第百十八条第一項は、第百十五条及び第百十七条の罪に次いで、比較的悪質な違反につき、六月以下の懲役または五万円以下の罰金に処する罪を規定したものでありまして、この罪に該当するものとしては、無免許運転酔っぱらい運転、過労運転、最高速度制限違反等がありますが、現行法では、おおむね「三箇月以下の懲役、五千円以下の罰金又は科料」に処せられている罪であります。第百十八条第二項は、最高速度制限違反の罪の過失犯を処罰する規定でありまして、現行法では過失犯を処罰する旨の明文がありませんが、これを処罰する旨を明示いたしました。  第百十九条は、車両等の信号無視、通行禁止制限違反、整備不良車両運転、安全運転義務違反等につき、三月以下の懲役または三万円以下の罰金に処する罪を規定したものでありまして、現行法では、「三千円以下の罰金又は科料」の罪、または「三箇月以下の懲役、五千円以下の罰金又は科料」の罪として規定しているものであります。なお、第二項に、必要な過失犯規定を設けております。  第百二十条は、混雑緩和措置違反、通行区分違反、追越し違反、駐、停車違反等につき、三万円以下の罰金に処する罪を規定したものでありまして現行法では、おおむね「三千円以下の罰金又は科料」の罪として規定しているものであります。なお、第二項に、必要な過失犯規定を設けております。  第百二十一条は、歩行者の信号無視、通行禁止制限違反、車両等の軌道敷内通行等につき、一万円以下の罰金または科料に処する罪を規定したものでありまして、現行法では、おおむね「三千円以下の罰金又は科料」の罪として規定しているものであります。  第百二十二条は、車両等運転者が、最高速度制限違反、無免許運転等の交通違反を犯した場合に、酒気を帯びていたときは、裁判官の裁量により、それぞれの刑の二倍までの範囲で加重して処断することができる旨を規定したものでありますが、酒気を帯びての交通違反の危険性に着目した新設の規定であります。  第百二十三条は、両罰規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、両罰の適用範囲を、道路上における物件放置、車両の運行管理者の義務違反等に広げたものであります。  第百二十四条は、この章の規定の適用についての注意規定であります。  最後に、附則について御説明いたします。附則は、この法律の施行について必要な事項を規定しております。  第一条は、この法律の施行期日について規定したものでありますが、法律内容の周知徹底及び政令その他付属法令の制定等のための準備期間を考慮に入れまして、この法律の公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令の定める日から施行することといたしました。  第二条は、この法律の制定に伴う現行道路交通取締法及び同法施行令の廃止について規定したものであります。  第三条から第十条までは、運転免許の効力等に関する経過規定でありまして、従来の運転免許及び運転許可は、それぞれ新法の相当規定による免許とみなすこととするほか、運転免許及び公安委員会の処分の効力等に関する所要の経過措置について規定いたしました。  第十一条から第十三条までは、警察署長の許可その他の処分及び保管証に関する経過規定であります。  第十四条は、新法の施行前にした行為に対する罰則の適用に関する経過規定であります。  第十五条から第二十条までは、この法律の制定に伴う公職選挙法その他関係法律の一部改正であります。  以上、道路交通法案の主要な点につきまして、その概略を御説明申し上げた次第でございます。
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本案についての質疑は次回に譲ることといたしますが、本案につきましての資料等の御要求がありました場合には、この際お述べ願いたいと思います。
  9. 松永忠二

    ○松永忠二君 委員長理事打合会で御検討いただきたいのですが、だいぶ関係するところも多いので、実地調査を一つやっていただきたい。それから、参考人あるいは必要あれば公聴会ですが、これについても、一つ適当な時期に開催していただきたい。この点についての日時等についても、一つ委員長理事打合会において検討いただきたい。
  10. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 承知いたしました。   —————————————
  11. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、地方財政計画に関する件を議題といたしまして、先ほど石原国務大臣から説明がありましたので、奥野財政局長から補足説明を聴取したいと思います。
  12. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お手元にお配りしてあります「昭和三十五年度地方財政計画概要」と書きました二十枚程度のつづりで申し上げたいと思います。  来年度地方財政についての基本的な考え方は、大臣からお話がございましたので、第一の「地方財政計画の策定方針」というところは、そのまま飛ばしてしまいます。  四ページの第二表、「増減事由に関する調」という表がございますので、それについて、増減に関しまするおもな事項を御説明いたしたいと思います。  給与関係費で六百十二億円の増になるわけでありますが、国庫負担金の特定財源を除きました地方一般財源増加額で五百九億円ということになるわけでございます。一般財源の数字がカッコ内の数字でありまして、左の数字が単純な総計でございます。(イ)が人事院勧告実施に基づく増百八十九億円で、一般財源では百五十七億円ということになるわけであります。中級職員給与表の改訂と、期末手当が〇・一カ月分増額になるという内容を持ったものであります。国家公務員についてとられようとしておりますと全く同じ措置地方公務員においても期待して、所要額を算定したわけであります。(ロ)は、義務教育諸学校の学級編成及び職員定数にかかる標準法に基づく増員二十六億円、ネットで十五億円になるわけです。これは、来年度は小学校の児童数で七十七万二千人の減になりまして、反対に中学校では七十一万四千人の増になるわけであります。こういうような数字は、この中の七ページ、第三に詳しく書いてございます。なお、小学校の学級編成の暫定基準が、三十四年度の五十八人から五十六人に引き下げられる。しかし、中学校の方では五十四人をそのまま三十五年度も継続する。こういう建前で先生数をはじいておるわけであります。そうしますと、小学校で九千四百七人の先生数の減になりまして、中学校では一万五千三百二十八人の増になるわけでありまして差し引き六千六十六人の増を見込んでおるわけであります。(ハ)は、法律制度改正等に基づく増員でありまして、増額で十六億円でございます。aは警察職員の増で、三千人の増加交通警察その他について予定いたしているわけでございます。bは、社会教育主事の増で、六百四十二人の社会教育主事ないし主事補の増加を見込んでいるわけでございます。昨年社会教育法が改正されまして、町村に社会教育主事を置くものとするという立法がなされたわけでございまして、それに基づきまして社会教育主事の充員をおおむね三カ年計画で完了したいというようなことで、三十五年度地方財政計画においても、この程度の増員を見込んだわけでございまして、見込みました部分は、基準財政需要額の算定方式の改正を通じまして、全市町村に補助するという運営の仕方をいたして参るわけであります。cは、精神薄弱者福祉法の施行に伴う増でございます。精神薄弱者につきましては、このような法律の制定が予定されているわけでございまして、精神薄弱者につきましても、社会福祉司あるいは身体障害者福祉司というようなものと同種の精神薄弱者福祉司を置いて、援護の手を強化していきたいという考え方が盛られているわけであります。それに基づきまして、さしあたり一県四人程度の職員増加が考えられまして、百八十四人の増加を見込むことといたしたわけであります。dは、高等学校産業教育課程の充実のための教職員の増でございまして、文部省は産業教育課程の充実をはかりますために、国としては設備費の補助金等を支出しているわけであります。その進行に伴いまして、三十五年度で四百人の職員増加が予定されているわけでありまして、その所要経費を見込んでいるわけであります。eは、市町村財政指導職員及び技能検定職員の増でございまして、地方財政計画を通じまして地方財政健全化のため諸措置をとることになっているわけでございますけれども、さらに個々の町村につきまして、府県が親切な相談相手になっていきながら、さらに健全化を一そう推進していきますためには、その関係の職員増加する必要がある、こう考えられますので、一県三人程度の員数を予定しているわけでございまして、百三十八人、また先年職業訓練法が制定されまして、各職種について技能の検定を行なった、それを三十五年度においてさらに検定の対象になります職種を増加しようというわけであります。その関係から、一県二人程度の増員を必要としますので、合計で九十二人、それらの経費を見込んだものでございます。(ニ)は、臨時職員の定数化十四億円は、昨年国家公務員の臨時職員の定数繰り入れ、これは、臨時職員の一〇%程度の者が繰り入れを計画されたわけでございます。それと同じ方式を地方公務員についても予定をいたしまして、六千三百九十九人の定数繰り入れが行なわれるということを期待した金額でございます。(ホ)教頭管理職手当の新設七億円、これは、校長に対する管理職手当と同じように、本俸の七%に相当する教頭管理職手当を三十五年度から支出したいということで、小中学校の先生の二分の一の国庫負担分は、現在国の予算案に計上されて、国会に提案になっているわけでございます。それと歩調をあわせて、所要額をこの計画に算入いたしているわけであります。(ヘ)は、僻地手当、多学年学級担当手当の改訂、これは、昨年すでに改正が行なわれたわけでございます。それの年間の所要額を計画に計上することにいたしたわけでございます。(ト)は、昇給及びこれに伴う給与費の増百七十八億円、やはり義務教育関係職員について二分の一国庫負担分がございますから、ネットでは百五十三億円、こういうことになっているわけでございます。小中学校の先生については、比較的新陳代謝が適切に行なわれているわけでございますので、三%の昇給率を従来通り見込んでいるわけでございます。一般職員につきましては、四・二%の昇給率を見込んでこの計算をいたしているわけでございます。(チ)は、給与実態調査による給与費の是正九十六億円、これは、一昨年の七月一日現在で地方公務員全般にわたります給与実態調査を行なったわけでございます。そういたしますと、財政計画で見ております員数よりも現実の員数が若干多いという事実が発見されたのでございます。さらにまた、あるべき給与額——学歴、勤続年数から見て、国家公務員に準じた計算をしたらどのような給与であるべきか、そういうことでこの財政計画上の給与額は算定しているわけでございますけれども、なおその数字は少な過ぎる、こういうような二つの問題点を発見いたしましたので、それを是正することにいたしたわけでございます。職員数が動いていきました一番大きな原因は、定年制に関する法案を提案をいたしました際に、相当職員数の減を見込んだわけであります。ところが、定年制は実施されなかった。その後さらに社会の発展に伴いまして、国におきましても相当職員増加を見ているわけでございますから、現実には、地方においても相当増加をせざるを得なかった状況にあるわけであります。ところが、そういうものについて十分な計画上の増加が見込まれてこなかった、両方の点からズレが生じてきたと、こう考えられるのであります。職員数で是正をいたしましたのは、県の一般職員で二千八百六十三人、市町村一般職員で一万一千三十六人、消防職員が千五百九人、合計いたしまして、一万五千四百八人を従来の計画の数字に加えております。なお、府県の一般職員につきましては、交付団体においては、給与額を本俸につきまして二百七十三円引き上げて計算をすることにいたしました。市町村につきましては二百三十五円を引き上げて計算することにしたわけでございます。これらに要します金額が九十六億円、こういうことになっているのでございます。「その他」では、義務教育教員の指定統計による是正等が五十八億円、国庫負担分を引きますと三十一億円ということになるわけでございます。一応学級のそういう総数を予定して、その後に積み上げをすれば、今年度幾らの職員数になるかという想定で計算をしているわけでございますが、既往の学級総数の見方が不足をしておったわけでございまして、そういうような事情から、毎年義務教育費国庫負担金の補正予算による追加が行なわれてきたということも考えられるわけでございます。幸い指定統計で正確な数字をつかむことができますので、それを基礎にして、先ほど申し上げましたような積み上げ計算を行なうということにしたわけでございます。その結果、既定の計画に入っておりました職員の員数に対しまして二千二百六人の増加を行なうことにいたしたわけでございます。その結果による増でございます。bは、高等学校教員の指定統計による是正、これは、二千八百四十人の先生数の増を見込むことにしておるわけでございます。高等学校につきましても、近年相当の定員増加が行なわれてきているわけでございます。これを先年の指定統計をもとに財政計画上の増加を行なうという方式をとって参ってきておるわけでございます。それに要します金額が十四億円ということになっております。その他諸手当等に伴うものでございまして、社会福祉司についての危険手当を本俸の五%の手当に引き上げたいという問題、あるいは警察職員のうちの刑事につきまして、その現在の特殊勤務手当を二倍程度に引き上げたいというような問題がこの中に入っておるわけでございます。恩給及び退隠料で八億。一般行政経費三百七十三億円で、ネットは二百八十二億円でございます。国庫補助負担金を伴うものが百三十三億円で、ネットで四十二億円。義務教育関係の教材費は変わりませんが、その他の経費で百三十三億円ふえております。おもなものは、生活保護費と児童措置費でございます。そういう金額がこの資料の中に入っております。それから二番目が、国庫補助負担金を伴わないものが二百四十億円、そのうちの(イ)が、市町村教育費の適正化等に要する経費でございます。百七十億円予定をいたしております。このうちの九十億円は、いわゆる税外負担解消をねらったものでございまして、PTA等が学校の修繕費まで負担をしているような状況がございます。学校だけじゃございませんで、消防経費その他もあるわけでございますが、そういう関係の、いわゆる公費で負担すべきものについて、住民がさらに寄付金とか会費とか、いろいろな名目で負担をさせられている。これがまた負担関係をきわめて不公平にしていると思うのでありますが、そういうものについて、九十億円程度の解消をねらっているわけでございます。残りの八十億円は、三十三年度の決算についてみますと、繰越額がたしか百二十七億円程度あるわけでございますが、その三割程度の解消をはかっていきたい。同時にまた、長期健全化の意味において積み立てを行ないましたり、あるいは繰上償還を行ないましたりいたしまして、その程度、同額程度のものを健全化のために使って参りたいというような考え方のもとに、八十億円程度を見込んだわけでございます。それらの問題につきましては、さらに地方財政法等の改正で具体的な方途を講ずることにいたしているわけでございます。それから、(ロ)のその他の一般行政経費七十億円は、これは、試験所の研究費用でありますとか、あるいは行政事務を近代的なものにしていきますための経費でありますとか、あるいは一般的な、旅費、物件費、光熱費等の増でありますとか、そういうようなもろもろのものを含んだ関係の経費でありまして、長期経済計画ではこの種の経費の伸びを四・八%と、こういうように見込まれているわけでございますので、その伸び率を使って算定した金額でございます。  公債費が二十七億円の増加でございまして普通地方債分と、直轄事業に伴う地方負担分に係る交付公債分でございます。  維持補修費で四十億円、従来の金額よりも一割あまりの増額を見込んだことになっております。  投資的経費で千三十五億円、ネットでは六百二十二億円でございます。直轄事業負担金二百三億円、これは、従来は財政計画に計上してこなかったわけでございます。自然また地方団体の予算にも計上されていなかったわけでございまして、非常に問題のあった経理の仕方でございます。今回から、これをはっきり財政計画に計上し、従ってまた、そのつどこの分についての財源措置を明確にしていかなければならない、こういうことになっていったわけであります。治水で九十四億円、治山で三億円、道路で八十四億円、港湾で二十二億円ということになっております。国庫補助負担金を伴うものでは五百三十五億円でございまして、普通建設事業費では三百二億円。治山治水が百八十億円、道路整備が四十六億円、文教施設が十三億円、その他が六十三億円ということになっております。(ロ)の災害復旧事業費では二百十八億円と、かなり大幅に経費がふえるわけでございますけれども、一般財源増加額では十五億円にとどまっております。これは、もっぱら伊勢湾台風等に対する災害復旧について、国庫負担率の特例法が定められて、国が高率の負担をしてくれることになった関係に基づくものでございます。過年災害復旧事業分が二百十八億円、ネットでは十五億円の増でございます。現年災害復旧事業分は従来と同じ見方をいたしておるわけでございまして、公共災害復旧事業費の最低額を三百億円とおいて計算をいたして参ってきております。国の予算も、その金額を基礎にして計上しておるわけでございます。失業対策事業費では、十五億円の増加でございますが、一般財源では増減ございません。普通失業対策事業費では四億円の減、特別失業対策費では二億円の減、炭鉱離職者緊急就労対策事業費では二十一億円の増ということになっております。炭鉱離職者緊急就労対策事業については、国庫負担率が八割とされておりますので、経費が見ますけれども、一般財源では増減なしと、こういうことになるわけでございます。次は、国庫補助負担金を伴わないものについて、二百九十七億円の増加を見込んでおるのでございまして、以下、普通建設事業費が百四十九億円の増加を見込んでおります。公共事業についての国費の伸び率を基礎にして算定をいたしたものでございます。災害復旧事業費では百四十八億円、そのうち昭和三十四年災分が百四十六億円で、ほとんど全部がこれに当たっているわけであります。現年災分は、従来と同じ計算の仕方をしているわけであります。また火災復旧分では、二億の増加を見込みまして、総額で十五億円いたしておるわけであります。  こういたしまして、歳出総計が二千八十七億円、前年に対しまして一五・六%の増加になっているわけでございます。歳出で一五・六%の増加になりましたおもな点は、その次の歳入で申し上げますと、地方税では約一四%の増加になっております。総額で八百二十一億円の増加でございます。この八百二十一億円の増加を加えまして、地方税総額国民所得の六%に当たることになるわけでございます。それから、地方譲与税は十七億円の減でございまして入場譲与税が大幅に減って参ってきております。これは、昨年入場税改正されまして、税率の引き下げが行なわれたことと、それにテレビ攻勢から映画館の観客がかなり減っていると、この両方から来ている現状でございます。地方道路譲与税は、二十五億の増が見込まれているわけであります。自動車増加、ディーゼル・エンジンを使う車もかなりふえて参ってきておるわけであります。それから、地方交付税の中には、臨時地方特別交付金を含めて計算しておるわけでございまして、三百七十九億円というのは、昨年の当初に比べまして一五%の増加に当たっているわけであります。国庫支出金は、六百九億円の増加でありまして、昨年に比べますと、一八%以上の増加になるわけでございます。国庫支出金がかなりふえました結果、財政規模相当にふくらむというような形になっているわけであります。義務教育関係国庫負担金が百三億円、その他の普通補助負担金が九十三億円、公共事業費国庫補助負担金が三百九十八億円の増加、その内訳は、普通建設事業費補助負担金百九十五億、災害復旧事業費で二百三億円と、こういうことになるわけであります。4の失業対策事業費補助負担金は十五億円の増でございます。地方債は二百四十五億円の増加でございますが、その内訳は、一般補助事業債で十五億円の増額ということになっております。しかしながら、国の公共事業費の補助負担金が、今申し上げましたように、三百九十八億円という、かなり大幅な増加になっておりますので、地方負担額もかなり増加いたしております。昨年は、当初の関係事業についての起債の充当率が四五%でございました。その後臨時特例法の廃止の関係もございましたので、二十一億円を地方債で追加いたしたわけであります。その結果、充当率としては六〇%くらいになっておったと思います。今回は、起債の額はふえておるのでありますが、地方負担額が一そう増加いたしておりますので、充当率は四〇%ぐらいに下がることになっているわけであります。私どもとしては、来年度は、地方一般財源がかなりふえる際でございますので、できる限り地方債を押えていきたい、こういう考え方を基本的に持っているわけであります。従いまして単独事業に当てられる地方債は、三十四年度と同じように、八十億円しか見込んでありません。しかしながら、一般的な経済の発展から考えると、当然そういう関係の仕事は伸びざるを得ないだろうと思います。同時にまた、歳出におきまして、百四十九億円の単独事業費の伸びを見込んでおります。また同時に、庁舎等をかなり建設いたしておりまして、継続費等にも相当食われていくだろうと思います。そうしますと、新規の単独事業に当てられます地方債というのは、相当三十五年度は窮屈になって参ると思います。また、積極的に一般財源をそういうものに当ててもらいまして、なるべく地方債によらないで、そうして負担を少なくして、健全な運用をしてもらいたいという考え方を地方債についてはとることにいたしております。災害復旧事業債は七十億円の増加直轄事業債は百六十億円の増加直轄事業費につきましては現金納付を予定しているわけであります。それだけの財源は財政計画上にも見込んでいるわけでございます。さらに基準財政需要、これについては、かなり思い切った財源の賦与のいたし方をしたいと考えております。しかしながら、交付公債制度からの切りかえの円滑化も考えまして、これに相当大きな地方債を投入することにいたしたわけでございます。なお、準公営企業について六十七億円、公営企業については八十八億円、合計百五十五億円の地方債増加を行なっておりますので、これらを合わせました全体の地方財政計画は、昨年の千百億円が千五百億円に、四百億円という、かなり大きな増加を示すことになっております。雑収入増加は、昨年と同じように、五十億円の増加を見込んでいるわけでありまして、使用料、手数料の増加がおもなものであります。  その次のページ、第三表でございますが、こういうような改正の結果、歳入歳出構成がどう変わってきたかという数字でございます。(1)の歳入構成を見ていただきますと、地方税地方譲与税地方交付税、これは異同いたしておりません。国庫支出金が、二五%から二六%に、そのウエートを増しているわけでございます。先ほど一八%以上の伸びを示したと、こう申し上げたわけでありますが、そういうことから来ている歳入構成の変化でございます。特に取り立てて構成がどうなったという程度のものでもないかと、こう思われます。  歳出構成につきましては、給与関係経費が四〇%から三九%に落ちて参ります。給与改訂等が行なわれますにかかわらず、むしろ比率として落ちて参ってきております。それから、公債費がウエートを一%——六%から五%に下げております。反面、投資的経費は二九%から三一%に上がってきておるわけでありまして、地方財政は、実態的にも健全化へ前進しているということが言えるのではなかろうか、かように私たちとしては考えておるわけでございます。  なお、あと個々のこまかい説明書や、あるいは地方税の税目別の収入額等をこの資料につけておるわけであります。  以上で説明を終わらしていただきます。
  13. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) この地方財政計画について質疑のある方もありましょうが、これは次回に譲りたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会