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政府委員(奧野
誠亮君) お手元にお配りしてあります「
昭和三十五
年度地方財政計画の
概要」と書きました二十枚程度のつづりで申し上げたいと思います。
来
年度の
地方財政についての
基本的な考え方は、大臣からお話がございましたので、第一の「
地方財政計画の策定方針」というところは、そのまま飛ばしてしまいます。
四ページの第二表、「増減事由に関する調」という表がございますので、それについて、増減に関しまするおもな
事項を御
説明いたしたいと思います。
給与関係費で六百十二億円の増になるわけでありますが、
国庫負担金の特定
財源を除きました
地方の
一般財源の
増加額で五百九億円ということになるわけでございます。
一般財源の数字がカッコ内の数字でありまして、左の数字が単純な総計でございます。(イ)が
人事院勧告実施に基づく増百八十九億円で、
一般財源では百五十七億円ということになるわけであります。中級
職員の
給与表の改訂と、期末手当が〇・一カ月分増額になるという
内容を持ったものであります。国家公務員についてとられようとしておりますと全く同じ
措置を
地方公務員においても期待して、
所要額を算定したわけであります。(ロ)は、
義務教育諸学校の学級編成及び
職員定数にかかる標準法に基づく増員二十六億円、ネットで十五億円になるわけです。これは、来
年度は小学校の児童数で七十七万二千人の減になりまして、反対に中学校では七十一万四千人の増になるわけであります。こういうような数字は、この中の七ページ、第三に詳しく書いてございます。なお、小学校の学級編成の暫定基準が、三十四
年度の五十八人から五十六人に引き下げられる。しかし、中学校の方では五十四人をそのまま三十五
年度も継続する。こういう建前で先生数をはじいておるわけであります。そうしますと、小学校で九千四百七人の先生数の減になりまして、中学校では一万五千三百二十八人の増になるわけでありまして差し引き六千六十六人の増を見込んでおるわけであります。(ハ)は、
法律制度の
改正等に基づく増員でありまして、増額で十六億円でございます。aは警察
職員の増で、三千人の
増加を
交通警察その他について予定いたしているわけでございます。bは、社会教育主事の増で、六百四十二人の社会教育主事ないし主事補の
増加を見込んでいるわけでございます。昨年社会教育法が
改正されまして、町村に社会教育主事を置くものとするという立法がなされたわけでございまして、それに基づきまして社会教育主事の充員をおおむね三カ年
計画で完了したいというようなことで、三十五
年度の
地方財政計画においても、この程度の増員を見込んだわけでございまして、見込みました
部分は、基準財政需要額の算定方式の
改正を通じまして、全
市町村に補助するという
運営の仕方をいたして参るわけであります。cは、精神薄弱者福祉法の施行に伴う増でございます。精神薄弱者につきましては、このような
法律の制定が予定されているわけでございまして、精神薄弱者につきましても、社会福祉司あるいは身体障害者福祉司というようなものと同種の精神薄弱者福祉司を置いて、援護の手を強化していきたいという考え方が盛られているわけであります。それに基づきまして、さしあたり一県四人程度の
職員の
増加が考えられまして、百八十四人の
増加を見込むことといたしたわけであります。dは、高等学校産業教育課程の
充実のための教
職員の増でございまして、文部省は産業教育課程の
充実をはかりますために、国としては設備費の補助金等を支出しているわけであります。その進行に伴いまして、三十五
年度で四百人の
職員の
増加が予定されているわけでありまして、その
所要の
経費を見込んでいるわけであります。eは、
市町村財政指導
職員及び技能検定
職員の増でございまして、
地方財政計画を通じまして
地方財政の
健全化のため諸
措置をとることになっているわけでございますけれども、さらに個々の町村につきまして、府県が親切な相談相手になっていきながら、さらに
健全化を一そう推進していきますためには、その関係の
職員を
増加する必要がある、こう考えられますので、一県三人程度の員数を予定しているわけでございまして、百三十八人、また先年職業訓練法が制定されまして、各職種について技能の検定を行なった、それを三十五
年度においてさらに検定の対象になります職種を
増加しようというわけであります。その関係から、一県二人程度の増員を必要としますので、合計で九十二人、それらの
経費を見込んだものでございます。(ニ)は、臨時
職員の定数化十四億円は、昨年国家公務員の臨時
職員の定数繰り入れ、これは、臨時
職員の一〇%程度の者が繰り入れを
計画されたわけでございます。それと同じ方式を
地方公務員についても予定をいたしまして、六千三百九十九人の定数繰り入れが行なわれるということを期待した金額でございます。(ホ)教頭管理職手当の新設七億円、これは、校長に対する管理職手当と同じように、本俸の七%に
相当する教頭管理職手当を三十五
年度から支出したいということで、小中学校の先生の二分の一の国庫
負担分は、現在国の
予算案に計上されて、国会に提案になっているわけでございます。それと歩調をあわせて、
所要額をこの
計画に算入いたしているわけであります。(ヘ)は、僻地手当、多学年学級担当手当の改訂、これは、昨年すでに
改正が行なわれたわけでございます。それの年間の
所要額を
計画に計上することにいたしたわけでございます。(ト)は、昇給及びこれに伴う
給与費の増百七十八億円、やはり
義務教育関係の
職員について二分の一国庫
負担分がございますから、ネットでは百五十三億円、こういうことになっているわけでございます。小中学校の先生については、比較的新陳代謝が適切に行なわれているわけでございますので、三%の昇給率を従来
通り見込んでいるわけでございます。
一般職員につきましては、四・二%の昇給率を見込んでこの計算をいたしているわけでございます。(チ)は、
給与実態調査による
給与費の是正九十六億円、これは、一昨年の七月一日現在で
地方公務員全般にわたります
給与実態調査を行なったわけでございます。そういたしますと、財政
計画で見ております員数よりも現実の員数が若干多いという事実が発見されたのでございます。さらにまた、あるべき
給与額——学歴、勤続年数から見て、国家公務員に準じた計算をしたらどのような
給与であるべきか、そういうことでこの財政
計画上の
給与額は算定しているわけでございますけれども、なおその数字は少な過ぎる、こういうような二つの問題点を発見いたしましたので、それを是正することにいたしたわけでございます。
職員数が動いていきました一番大きな
原因は、定年制に関する
法案を提案をいたしました際に、
相当の
職員数の減を見込んだわけであります。ところが、定年制は実施されなかった。その後さらに社会の
発展に伴いまして、国におきましても
相当な
職員の
増加を見ているわけでございますから、現実には、
地方においても
相当の
増加をせざるを得なかった
状況にあるわけであります。ところが、そういうものについて十分な
計画上の
増加が見込まれてこなかった、両方の点からズレが生じてきたと、こう考えられるのであります。
職員数で是正をいたしましたのは、県の
一般職員で二千八百六十三人、
市町村の
一般職員で一万一千三十六人、消防
職員が千五百九人、合計いたしまして、一万五千四百八人を従来の
計画の数字に加えております。なお、府県の
一般職員につきましては、交付団体においては、
給与額を本俸につきまして二百七十三円引き上げて計算をすることにいたしました。
市町村につきましては二百三十五円を引き上げて計算することにしたわけでございます。これらに要します金額が九十六億円、こういうことになっているのでございます。「その他」では、
義務教育教員の指定統計による是正等が五十八億円、国庫
負担分を引きますと三十一億円ということになるわけでございます。一応学級のそういう総数を予定して、その後に積み上げをすれば、今
年度幾らの
職員数になるかという想定で計算をしているわけでございますが、既往の学級総数の見方が不足をしておったわけでございまして、そういうような
事情から、毎年
義務教育費国庫負担金の補正
予算による追加が行なわれてきたということも考えられるわけでございます。幸い指定統計で正確な数字をつかむことができますので、それを基礎にして、先ほど申し上げましたような積み上げ計算を行なうということにしたわけでございます。その結果、既定の
計画に入っておりました
職員の員数に対しまして二千二百六人の
増加を行なうことにいたしたわけでございます。その結果による増でございます。bは、高等学校教員の指定統計による是正、これは、二千八百四十人の先生数の増を見込むことにしておるわけでございます。高等学校につきましても、近年
相当の定員
増加が行なわれてきているわけでございます。これを先年の指定統計をもとに財政
計画上の
増加を行なうという方式をとって参ってきておるわけでございます。それに要します金額が十四億円ということになっております。その他諸手当等に伴うものでございまして、社会福祉司についての危険手当を本俸の五%の手当に引き上げたいという問題、あるいは警察
職員のうちの刑事につきまして、その現在の特殊勤務手当を二倍程度に引き上げたいというような問題がこの中に入っておるわけでございます。恩給及び退隠料で八億。
一般行政経費三百七十三億円で、ネットは二百八十二億円でございます。
国庫補助負担金を伴うものが百三十三億円で、ネットで四十二億円。
義務教育関係の教材費は変わりませんが、その他の
経費で百三十三億円ふえております。おもなものは、
生活保護費と児童
措置費でございます。そういう金額がこの資料の中に入っております。それから二番目が、
国庫補助負担金を伴わないものが二百四十億円、そのうちの(イ)が、
市町村教育費の
適正化等に要する
経費でございます。百七十億円予定をいたしております。このうちの九十億円は、いわゆる
税外負担の
解消をねらったものでございまして、PTA等が学校の修繕費まで
負担をしているような
状況がございます。学校だけじゃございませんで、消防
経費その他もあるわけでございますが、そういう関係の、いわゆる公費で
負担すべきものについて、住民がさらに寄付金とか会費とか、いろいろな名目で
負担をさせられている。これがまた
負担関係をきわめて不公平にしていると思うのでありますが、そういうものについて、九十億円程度の
解消をねらっているわけでございます。残りの八十億円は、三十三
年度の決算についてみますと、繰越額がたしか百二十七億円程度あるわけでございますが、その三割程度の
解消をはかっていきたい。同時にまた、長期
健全化の意味において積み立てを行ないましたり、あるいは繰上償還を行ないましたりいたしまして、その程度、同額程度のものを
健全化のために使って参りたいというような考え方のもとに、八十億円程度を見込んだわけでございます。それらの問題につきましては、さらに
地方財政法等の
改正で具体的な方途を講ずることにいたしているわけでございます。それから、(ロ)のその他の
一般行政経費七十億円は、これは、試験所の研究費用でありますとか、あるいは
行政事務を近代的なものにしていきますための
経費でありますとか、あるいは
一般的な、旅費、物件費、光熱費等の増でありますとか、そういうようなもろもろのものを含んだ関係の
経費でありまして、長期経済
計画ではこの種の
経費の伸びを四・八%と、こういうように見込まれているわけでございますので、その伸び率を使って算定した金額でございます。
公債費が二十七億円の
増加でございまして
普通地方債分と、
直轄事業に伴う
地方負担分に係る
交付公債分でございます。
維持補修費で四十億円、従来の金額よりも一割あまりの増額を見込んだことになっております。
投資的経費で千三十五億円、ネットでは六百二十二億円でございます。
直轄事業負担金二百三億円、これは、従来は財政
計画に計上してこなかったわけでございます。自然また
地方団体の
予算にも計上されていなかったわけでございまして、非常に問題のあった経理の仕方でございます。今回から、これをはっきり財政
計画に計上し、従ってまた、そのつどこの分についての
財源措置を明確にしていかなければならない、こういうことになっていったわけであります。治水で九十四億円、治山で三億円、
道路で八十四億円、
港湾で二十二億円ということになっております。
国庫補助負担金を伴うものでは五百三十五億円でございまして、
普通建設事業費では三百二億円。
治山治水が百八十億円、
道路整備が四十六億円、文教
施設が十三億円、その他が六十三億円ということになっております。(ロ)の
災害復旧事業費では二百十八億円と、かなり大幅に
経費がふえるわけでございますけれども、
一般財源の
増加額では十五億円にとどまっております。これは、もっぱら伊勢湾台風等に対する
災害復旧について、国庫
負担率の特例法が定められて、国が高率の
負担をしてくれることになった関係に基づくものでございます。過年
災害復旧事業分が二百十八億円、ネットでは十五億円の増でございます。現年
災害復旧事業分は従来と同じ見方をいたしておるわけでございまして、
公共災害の
復旧事業費の最低額を三百億円とおいて計算をいたして参ってきております。国の
予算も、その金額を基礎にして計上しておるわけでございます。失業対策
事業費では、十五億円の
増加でございますが、
一般財源では増減ございません。普通失業対策
事業費では四億円の減、特別失業対策費では二億円の減、炭鉱離職者緊急就労対策
事業費では二十一億円の増ということになっております。炭鉱離職者緊急就労対策事業については、国庫
負担率が八割とされておりますので、
経費が見ますけれども、
一般財源では増減なしと、こういうことになるわけでございます。次は、
国庫補助負担金を伴わないものについて、二百九十七億円の
増加を見込んでおるのでございまして、以下、
普通建設事業費が百四十九億円の
増加を見込んでおります。
公共事業についての国費の伸び率を基礎にして算定をいたしたものでございます。
災害復旧事業費では百四十八億円、そのうち
昭和三十四年災分が百四十六億円で、ほとんど全部がこれに当たっているわけであります。現年災分は、従来と同じ計算の仕方をしているわけであります。また火災復旧分では、二億の
増加を見込みまして、
総額で十五億円いたしておるわけであります。
こういたしまして、
歳出総計が二千八十七億円、前年に対しまして一五・六%の
増加になっているわけでございます。
歳出で一五・六%の
増加になりましたおもな点は、その次の
歳入で申し上げますと、
地方税では約一四%の
増加になっております。
総額で八百二十一億円の
増加でございます。この八百二十一億円の
増加を加えまして、
地方税総額が
国民所得の六%に当たることになるわけでございます。それから、
地方譲与税は十七億円の減でございまして
入場譲与税が大幅に減って参ってきております。これは、昨年
入場税が
改正されまして、税率の引き下げが行なわれたことと、それにテレビ攻勢から映画館の観客がかなり減っていると、この両方から来ている現状でございます。
地方道路譲与税は、二十五億の増が見込まれているわけであります。
自動車の
増加、ディーゼル・エンジンを使う車もかなりふえて参ってきておるわけであります。それから、
地方交付税の中には、
臨時地方特別交付金を含めて計算しておるわけでございまして、三百七十九億円というのは、昨年の当初に比べまして一五%の
増加に当たっているわけであります。
国庫支出金は、六百九億円の
増加でありまして、昨年に比べますと、一八%以上の
増加になるわけでございます。
国庫支出金がかなりふえました結果、財政
規模も
相当にふくらむというような形になっているわけであります。
義務教育関係の
国庫負担金が百三億円、その他の
普通補助負担金が九十三億円、
公共事業費国庫補助負担金が三百九十八億円の
増加、その内訳は、
普通建設事業費補助
負担金百九十五億、
災害復旧事業費で二百三億円と、こういうことになるわけであります。4の
失業対策事業費補助負担金は十五億円の増でございます。
地方債は二百四十五億円の
増加でございますが、その内訳は、
一般補助事業債で十五億円の増額ということになっております。しかしながら、国の
公共事業費の補助
負担金が、今申し上げましたように、三百九十八億円という、かなり大幅な
増加になっておりますので、
地方負担額もかなり
増加いたしております。昨年は、当初の関係事業についての起債の充当率が四五%でございました。その後臨時特例法の廃止の関係もございましたので、二十一億円を
地方債で追加いたしたわけであります。その結果、充当率としては六〇%くらいになっておったと思います。今回は、起債の額はふえておるのでありますが、
地方の
負担額が一そう
増加いたしておりますので、充当率は四〇%ぐらいに下がることになっているわけであります。私どもとしては、来
年度は、
地方の
一般財源がかなりふえる際でございますので、できる限り
地方債を押えていきたい、こういう考え方を
基本的に持っているわけであります。従いまして単独事業に当てられる
地方債は、三十四
年度と同じように、八十億円しか見込んでありません。しかしながら、
一般的な経済の
発展から考えると、当然そういう関係の仕事は伸びざるを得ないだろうと思います。同時にまた、
歳出におきまして、百四十九億円の単独
事業費の伸びを見込んでおります。また同時に、庁舎等をかなり建設いたしておりまして、継続費等にも
相当食われていくだろうと思います。そうしますと、新規の単独事業に当てられます
地方債というのは、
相当三十五
年度は窮屈になって参ると思います。また、積極的に
一般財源をそういうものに当ててもらいまして、なるべく
地方債によらないで、そうして
負担を少なくして、健全な運用をしてもらいたいという考え方を
地方債についてはとることにいたしております。
災害復旧事業債は七十億円の
増加、
直轄事業債は百六十億円の
増加、
直轄事業費につきましては
現金納付を予定しているわけであります。それだけの
財源は財政
計画上にも見込んでいるわけでございます。さらに基準財政需要、これについては、かなり思い切った
財源の賦与のいたし方をしたいと考えております。しかしながら、
交付公債制度からの切りかえの円滑化も考えまして、これに
相当大きな
地方債を投入することにいたしたわけでございます。なお、準公営企業について六十七億円、公営企業については八十八億円、合計百五十五億円の
地方債の
増加を行なっておりますので、これらを合わせました全体の
地方財政計画は、昨年の千百億円が千五百億円に、四百億円という、かなり大きな
増加を示すことになっております。
雑収入の
増加は、昨年と同じように、五十億円の
増加を見込んでいるわけでありまして、
使用料、手数料の
増加がおもなものであります。
その次のページ、第三表でございますが、こういうような
改正の結果、
歳入歳出構成がどう変わってきたかという数字でございます。(1)の
歳入構成を見ていただきますと、
地方税、
地方譲与税、
地方交付税、これは異同いたしておりません。
国庫支出金が、二五%から二六%に、そのウエートを増しているわけでございます。先ほど一八%以上の伸びを示したと、こう申し上げたわけでありますが、そういうことから来ている
歳入構成の
変化でございます。特に取り立てて構成がどうなったという程度のものでもないかと、こう思われます。
歳出構成につきましては、
給与関係経費が四〇%から三九%に落ちて参ります。
給与改訂等が行なわれますにかかわらず、むしろ比率として落ちて参ってきております。それから、
公債費がウエートを一%——六%から五%に下げております。反面、
投資的経費は二九%から三一%に上がってきておるわけでありまして、
地方財政は、実態的にも
健全化へ前進しているということが言えるのではなかろうか、かように私たちとしては考えておるわけでございます。
なお、あと個々のこまかい
説明書や、あるいは
地方税の税目別の
収入額等をこの資料につけておるわけであります。
以上で
説明を終わらしていただきます。