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1960-05-12 第34回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十二日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の移動 五月十日委員大谷贇雄君辞任につき、 その補欠として伊能繁次郎君を議長に おいて指名した。 五月十一日委員伊能繁次郎辞任につ き、その補欠として下村定君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     杉山 昌作君    理事            上林 忠次君            山本 米治君            大矢  正君            天田 勝正君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            梶原 茂嘉君            河野 謙三君            下村  定君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            木村禧八郎君            平林  剛君            原島 宏治君            須藤 五郎君   政府委員    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   志場喜徳郎君    林野庁業務部長 植杉 哲夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○一般会計歳出財源に充てるため  の国有林好事業特別会計からする繰  入金に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○交付税及び譲与税配付特別会計法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○租税及び金融等に関する調査(税制  に関する件)   —————————————
  2. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ただいまから会議を開きます。  まず、委員の異動について御報告いたします。  五月十日付をもって、委員大谷贇雄君辞任せられ、補欠として伊能繁次郎君が委員に選任せられました。また、五月十一月付をもって、委員伊能繁次郎君が辞任され、その補欠として下村定君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) この際、お諮りいたします。  西川甚五郎君から都合により理事辞任したい旨の申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、成規手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。よって、委員長山本米治君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) これより、一般会計歳出財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑をいたします。質疑のある方は御発言を願います。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律は、十一億を一般会計繰り入れることになっておるのですが、その反面、四億を一般会計の方からこの会計の方へ繰り入れられるわけですね。そうしますと、実際どうなのですか。十一億、この会計から一般会計繰り入れて、そのうち七億を一般会計の方で農林漁業金融公庫出資して、一般会計出資して、そして一般会計からこっちへ四億戻ると、こういうことになるのですか。
  8. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) お答えいたします。十一億円を一般会計国有林野事業行別会計から繰り入れるわけでございますが、その実質的な入って参りました財源使途といたしましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、七億は農林漁業金融公庫の方へ一般会から出資ということになります。あと残りの四億は治山勘定に使うということで、国有林野事業に設けました治山勘定への繰り入れということで、繰り入れられるわけであります。民有林関係国庫負担分治山勘定への繰り入れ、こういう形で使用される、これが実質的な内容になるわけであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この国有林野事業特別会計において剰余金が生じた場合、これを一般会計の方へ繰り入れることができるという、この条文の条項の趣旨は、結局、国有林以外の民有林に対して、一般会計の方からその森林育成とか保全、そういうもののためにそういう資金を使うということが趣旨になっているのですか、その目的はどういうのでしょう。
  10. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 国有林野事業特別会計からの通例の一般の場合におきますところの剰余金処理につきましては、予算の定めるところによりまして一般会計繰り入れると、こういうことになっておりますのでございます。その国有林野事業剰余金一般会計へ入りました場合におきましては、これは理論的に申しますと、一般会計一般財源、その使途につきまして特にどうこうということは規定しておりません。特に実質的に、まあ国有林民有林への協力と、こういう実体的な政策がございまして、昨年度は十億でございましたが、これにつきましては七億を農林漁業金融公庫へ、民有林関係の融資というようなことで増資する。それから三億の分は民有林関係治山事業のために使うという、実質的な形でそういう処理の仕方をやっておるわけでございます。今回も、これは十一億で、金額は若干違いますが、七億は農林漁業金融公庫への出資、それから四億の方は、これは民有林治山関係へ使う、こういうようなことで、実質的にそういう政策でやっておるわけでありますが、法律的には、これはあくまでも国有林野事業剰余金というものは一般会計財源として使う、これだけにとどまっておるわけでございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。それは法律的にはその通りでなければいけないと思うんですね。これに対しては衆議院農林水産委員会あたりでは決議しておりますが、民有林生産増強に対し積極的に寄与するようにしろとか、いろいろ要望が出ておりますが、まあ実際には、実質的にはそういうことになると思うんですね。しかし、それはまあ実際はおかしいんですがね。この国有林野事業特別会剰余金が生じたから、それを造林とかそっちの方に使うという考え方自体は、第一、予算の考えがおかしいと思います。しかし、これまでそういう慣例になってきて、ちょっと税金でいえば目的税的な妙なあれになると思いますが、おかしいと思います。  ところで、まあそういういろいろな、日本森林資源育成とか維持に対して、いろいろな手を打たなければならないというのは、そもそも日本では木材資源が非常に少なくて、需給関係が非常に逼迫している。これは今の日本の重大問題になっているんですね。今後の需給関係を考えた場合、そこで一つは為替の自由化の問題と関連しまして、このパルプ資源の問題があるんですよ。これについては、もう具体的に問題が起こってきているんです。これを政府はどういうふうに……。アメリカレオニアですね、レオニアあたりからどんどんパルプが入ってきたら、大へんなことになると思うんですね。アラスカ・パルプもどんどん入ってくる。そうしますと、それは木材の原価からいって問題にならない。安い。まあ私が乏しい資料で調べたところで、たとえば針葉樹でさえ輸入——パルプ工場のある北米太平洋岸で、いわゆるN材というのですな、針葉樹、これが六百円から七百円です、石。ところが、日本の場合は、工場着で千六百円から千七百円。針葉樹が少ないので、広果樹をパルプ資源に現実に使っていますが、いわゆるL材というのでも千円近い。国内着パルプ値段を調べてみますと、日本では五社平均で七十九円八十九銭、輸入パルプで六十九円六十四銭。これは自由化したら、とても競争なんかできっこないですね。そこで、パルプを使う方の、それを原料としている化繊業者は、早く自由化しろと言っているんですね。ところが、パルプ製造会社の方では、そんなに早く自由化されたんでは、とても成り立たない。そして二年間ぐらい——きょうの日本経済新聞にも出ていますが、二年間ぐらい余裕をとってもらいたいということを言っているわけです、パルプ業者の方では。結局、問題は日本パルプ資源木材値段の問題にあるんですよ。木材値段の問題は木材需給関係の問題ですね。これについて、この国有林野事業としてはどういうふうに今後対処していくか。  御承知のように、国有林好日本木材需給調整上に演ずる役割相当に大きいわけですね。全木材生産量の大体三割ないし二割四分ぐらいですね、それに相当する木材国有林の方で供給して、総森林蓄積の四七%を占めておる。こういう実態であり、全林野面積の三〇%を占めておる。こういう状況ですから、これに対してどういう対策をおとりになるか。これは重要な問題じゃないかと思うのです。ことに国有林野特別会計、その剰余金の使い方なんかにつきましても、また今後も今までのようななやり方でいいのかどうか、自由化の場合の国有林野事業のあり方、この点当然検討されていると思うのです、重大な問題になっているのですからね。この点についてお伺いしたい。
  12. 植杉哲夫

    説明員植杉哲夫君) お答えいたします。現在の木材需給状態の中におきまして、国有林生産林相当大きいウエートを持って、かつ価格あるいは需給調整上かなり大きい役割を持っておりますことは、先生の御指摘通りでございます。ただ、御指摘がございました自由化というものを前提にいたしまして、パルプ等の問題がどうなるかというようなことにつきましては、このパルプ業自由化していくというようなことについては、その姿がどういうふうなものになるのかということにつきましては、実は所管の通産省等におきましてもまだ確定的な結論を得ていないのではないか、こう思うわけでございまして、これらの姿が大体予想されませんと、国有林といたしましてのほんとう対策というようなものが生まれてこないわけでございまするが、しかし、現在におきましても、もうすでに相当木材価格なり需給のアンバラというものが大きい問題になっておりますことは、御指摘通りでございますので、国有林といたしましては、三十三年度来生産力増強計画というものを立てまして、これは伐期の低い、あまり民有林と区別のつかない伐期を予想いたしまして、現在の人工林を近い四十年くらいで三倍にするということを目標にいたしまして、それによって成長量の倍加を期待する。現在の国有林の大部分というものは老衰しました天然林でございますので、ほとんど成長量を生んでおりません。そういうことから、これをできるだけ早く伐採いたしまして、成長量の旺盛な人工造林にかえるというような方針を立てまして、昨年三十四年度から全国有林につきまして計画通りの実施に入っておるわけであります。従いまして、現在の国有林といたしましては、将来人工林によりましてほぼ態勢が整うという脱衣の技術段階における最大のスピードで伐採をしておるということになりまして、それの満度を、もちろん本年度伐採予定といたしまして大体六千八百万石というものが予定されておるのであります。しかしながら、まだこの木材需要というものが大きくなりますし、なお自由化といったような問題を考えますると、もっともっと需要が増加し、また供給も増加させなければいけないというような段階にございまするので、林地の肥培の問題でございますとか、肥料をやります肥培の問題でございますとか、林木育種の問題、あるいは外国樹種で早く成長するものを導入するといった問題、いろいろの問題を現在検討いたしまして、技術的にこの現在の天然林を整理しております。三、四十年の目標をもっと早めることができるかどうかというような問題を、技術的にも検討しております。  さらに、学識経験者その他の先生方にお願いいたしまして、経営協議会というようなものを作りまして、国有林の諸問題、特にそういったような問題につきまして御検討いただいております。なおまた、現在、農林漁業基本問題調査会というものの一つの部会といたしまして、林業対策がやはり基本的に検討されまして、その中におきましても、この工業資材としての木材というものが相当大きく取り上げられて論議されて参るという段階でございます。これらのものは大体この秋ぐらいに大方の結論を得まして御所導いただけるのではないかと思っておるわけでございまするが、そういったようなものを総合いたしまして、今後の国有林生長量増大、あるいはほかの方法が立ちますれば、あるいは伐採量もふえるのではないかと思うのでありまするが、そういったようなことを尽しまして、今先生樹指摘になりましたような事態に対処いたしたいというようなことを検討を推し進めておるわけであります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあいろいろ対策について伺いましたけれども、とても、まあ今の伺ったような対策では、実際問題としては需給関係はなかなか調整できない。大蔵省資料によりましても、昭和三十七年の需要は四千八百万立方メートルですか、四十年後の昭和七十年ごろは少なくとも七千八百万立方メートルになる。これでは、とてもなかなか供給の方も追いつかない。まあ実際問題としてはちょっと今のところお手あげのような——お手あげって、ほんとうにこれでは需給調整ができないというような状態です。  それで、実際問題としてどうなんですかね、今労働組合あたりでも非常に心配しているのですよ。王子の問題も起こりましたですがね、やはり。ああいうやはりパルプ関係労働組合でも、今後一体アメリカのさっきお話ししたレオニア社パルプなんか入ってきたら、それはもうとても対抗できないのですよね。そういう状態にあるので、はたして政府は、これは通産省の意向も聞く必要があると思うのですが、どの程度のテンポでこのパルプ自由化を考えていくのか。それまでに国内の方ではどういう手当をして、どういう対策をして、外国からの安いパルプに対抗し得るような措置を講じて、日本パルプ業界、あるいはそれらの労働者の方に非常にしわ寄せされる危険が大きいわけですから、具体的に今当面している自由化と関連して、そのパルプ輸入の問題、それと関連する当面の木材需給についてですね、ことに最近では針葉樹闊葉樹に切りかえて、安い木林資源を使って生産コストを下げようと努力しておる。そういう面についても、政府はやはり今後の造林についてもはっきりする必要があるでしょうな。コストの安い、針葉樹から闊葉樹の方にですな。そういう点、どうもはっきりわからないのですがね。通産省の方では、もうあと措置をお打ち合わせになっているでしょう、当面の緊急の問題ですから。今どういう様子でしょうか段取りを考えておられますか。
  14. 植杉哲夫

    説明員植杉哲夫君) パルプ自由化に対処しましてどういう状態になるかということにつきましては、これはただいま申し上げましたように、実はまだ通産省におきましてもまあ十分な結論が出ておらないように伺っておるわけでございます。ただ、一番最後段階パルプ自由化されるのではないかというようなことは、お聞きいたしておりまするが、この進行の今後のスケジュールといったようなものにつきましては、十分承知いたしておりませんので、まことに申しわけないのでございまするが、ただ具体的な当面の需給に対しての対策といたしましては、ただいま申し上げましたように、国有林といたしましては、現在いわゆる造林計画で期待できます最大限を伐採しておるということでございまして、これ以上の、いわゆる現在の技術段階では、これ以上の伐採量は出てこないということになるわけでございます。ただ、しかし、今具体的に農林漁業基本問題調査会等の諸先生方にも、政策的にそういうものをどういうふうに動かしていくかということにつきましても、十分な御検討をいただいておるわけでございまして、ただ、われわれといたしましては、将来大きくこの生産に穴があくというような形で、この国有林伐採量を云々するというようなことはできないのではないかというふうな考え方をもちまして、今後技術的に生長量増大されるもの、あるいはまた、ただいま先生の御指摘になりましたような、今までほとんど使いませんでした広葉樹も集約的に利用するというような問題、またチップ工業等相当今盛んになって参りまして、従来山に捨てられまして造林に邪魔になったようなものまでが完全に利用されておるような状態でございますので、そういう集約利用といったようなものにつきましても、今後さらに研究をして、これを奨励して参るというようなことはもちろんやっております。  また、さらに、最近大きく動いておりまするのは燃料の問題でございまして、これが急速度にプロパンガス等農家等まで使われて参るという段階になりますと、これが大きく浮いて参るわけでございます。現在はこの燃料が約七千万石程度使われておりまするが、もう近い、この十ヵ年くらいで大体それが半分くらいに減るんじゃないかというような予想も持っておりまして、これがこのパルプ業界技術の向上と相待ちまして、全面的にパルプ原木になるというような形もございますので、そういう面での実質的な増大というようなことも十分期待できるのではないかと、こう思っておるわけでございます。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっきの話では、通産省のことは次官の方にお伺いする必要があると思うのですがね。まあ自由化としては一番最後段階としてせざるを得ないという、その最後段階というのはいつですかね。二年後か五年後か十年後か、ちょっとあるいはできないということになるのか、その点が、これは通産省の方からあれできませんか。しかし、やはり私は、この自由化契機として木材需給関係、今まで政府でお調べになったものをちょっと拝見したんですが、これはなかなか大へんなものですね。やはり自由化契機として、この問題はさらに一そう新しい角度から、まあ新しい——新しいといって、全然新しい角度でないでしょうが、今までの実績をもとにして、また国有林野事業事業そのものについても、やはり再検討する面もあるんではないか、こう思うのですよ。  そこで、ちょうど今この法案が出て参りましたから、それを機会にその質問をしたわけですがね。この一般会計に十一億繰り入れること自体に、反対ではないのです。反対ではないですが、この繰り入れることによって一般会計のさっき言ったように財源になって、これは特定——実際法律手続としては、これは何に使わなければいけないということは、そういうふうにはなるべきではないと思うのです。国有林野事業そのものの方で、もっと一般会計でやって、それから四億、また今度は治山の方へ返してもらって、それで使うというのは、何だかそこに事業会計として、どうも僕は割り切れない点があるんです、わからぬ点が。
  16. 植杉哲夫

    説明員植杉哲夫君) ただいま先生の御指摘がございましたこの繰り入れの問題につきましても、御指摘通り、非常に問題があるわけでございまして、これらのことにつきましては、本年経営審議会という予算をお認めいただきまして、この繰り入れ等の問題に関します経理上の諸問題を基本的に御研究を願いまして、決定的な方法を考えたいというような段取りを進めております。  それから、もう一つ国有林の、再検討を要すという御指摘でございますが、これもその通りでございまして、そういう段階でございますことから、先ほど申し上げました農林漁業基本問題調査会等にもお願いしまして、御検討願っておるわけでございまするが、そのほかに、やはり三十五年度予算の実現を見たわけでございまするが、林業経営研究会という財団法人が設立されまして、これによって、国有林を中心といたしまして、林業の基本的な諸問題について腰を据えて研究をしていただく、これを行政に移して参る、そういう段階が今大体整って参ったところでございますが、それらのことを十分検討をいただきました上で、さらに国有林の諸施策が考えられることと思うわけでございまするが、ただ、しかし、先ほど来申し上げましたように、現段階におきましては、林業生産力増強計画という、国有林といたしましては画期的な政策でございまして、これによります満度の政策を整備いたしまして、予算面でも実行に移していくという段階でございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省に伺いたいのですが、今まで通り——今まで通りといっても、治山事業一般会計で今までやってきて、それを今度は国有林野特別会計の方でその治山勘定を設けてやるということになるわけですが、どういうところがどれだけ実質的に変わってくるんですか。今まで一般会計でやっていたのと、今度国有林野事業特別会計治山勘定を設けてやるのと、何かそれによって、急に治山事業というものがすっとうまくいくとか、そういう妙味があるんですか。
  18. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 制度的に申しますと、今まで国有林野事業一般会計委託を受けてやっておりました。ただ、その場合の経理方法でございますが、これは公労法の関係等もございまして、事務質的なものは国有林の方へ入れますけれども、事業費そのものは依然として一般会計の方でやっておるということで、一つ事業につきまして、一般会計特別会計というものに両断されておった。むしろ一般会計から委託を受けてやるという形でございますから、その辺の関係が不分明であったわけでございます。それをはっきり、国有林野特別会計治山勘定というものを設けまして、事業費事務費も全部含めまして、一般会計から所要財源は阿原として入れていく、それから地方負担金とかそういうものは別途治山勘定へ入ってくる、こういう形で整備されますということは、会訂制度上も一応ははっきりするということが一つ言えると思います。  それから、もう一つは、治山治水全体の関係から申しますと、十ヵ年計画というものを作りまして、そうしてそれを長期にわたって経理していく、こういうことになりました際に、ただいま申しました制度的にはっきりさせるということとも関連いたしまして、その当初の実績というものは治山勘定の決算を見れば十分わかる、こういうようなことにもなりますし、そういうような両方の意味も含めまして、この際、治山勘定というものをはっきり設けて、そうしてその経理を明確にしていくということが必要じゃないか、こういうような見地から、ここで御審議を願います国有林野事業特別会計の改正を実施いたしたいわけでございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことになりますと、さっきも質問いたしましたが、この十一億を国の方にやって、そのうち残り四億をまた戻すということは、何だかずいぶんおかしいことですね。その点は、はっきりと国の方で、治山事業については人件費とかその他のあれも、国がはっきり一般会計で見るといいながら、国有林野の方から剰余金をもらって、またそれをやるというようなことですが、どうも経理的にそこのところがおかしいと思うのです。どうなんですか。
  20. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) それは先ほどお答えいたしました点と関連いたすわけでございますが、国有林野事業から入れまする剰余金というものは、制度的には特にこれにひもがついておらない、一般財源になるわけであります。ただ、従いまして、一般財源に入ります金は、あくまでも性質上は一般財源として入って参りますが、しかし、一般会計といたしまして、民有林治山事業につきまして応分の国庫負担というものが必要なわけでございますから、その際に、この国有林から入った金額だけがこの治山勘定へ入るわけではございません。その他の一般財源と合わせまして、そうして民有林治山事業国庫負担分といたしまして入っていく、こういうことになるわけでございます。実質的な説明といたしましては、先ほど申しましたように、その中に四億入っているのだということでございますが、制度的には一応切り離してお考えいただきたい、このように思っております。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいということがわかったら、それでいいですよ。非常におかしい。制度的にはそうだけれども、実質的には返すということはおかしい。おかしいことがわかればいいのです。どうも、それをおかしくないように、当然であるがごとく説明されているものですから。それで、おかしいことはよくわかりました。
  22. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  23. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記をつけて下さい。  ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。  これより採決をいたします。一般会計歳出財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  26. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、前例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  28. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 次に、交付税及び譲与税配付特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは、三十四年度の国税の減税に伴って、地方税が約百二十二億ですか減収になる、その分について当分の間、酒税、所得税ですか、それから法人税、それぞれの〇三%ですね、約一三十億でしたね、三十億を地方に配付する、それに伴う交付税及び譲与税配付特別会計法の一部改正法であるわけですね。そこで、これによって所得税の国税の減税に伴う地方税の減収は十分カバーされないわけですね。そのカバーされない点は地方においてどういうふうに調整することになるでしょうか、この点伺っておきたい。
  30. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように、所得税の減税に伴いまして住民税の減税を行なうことにし、先ごろその法律業が成立したわけでございます。その結果、全体といたしましては百二十二億円の減収になるわけでございます。また、交付税の交付団体だけでございますと、六十七億の減収になるわけでございます。個々の地方団体につきましては、地方交付税制度がございますので、税収入が減りますと基準財政収入額が減って参りますから、自然、基準財政需要額と基準財政収入額との差額の財源不足が多くなりますから、地方交付税で補てんされる、こういうことになろうかと思います。全体として地方財政にも相当な自然増収もあるごとでありますので、可及的大きな金額が地方財政の上に補てんされることが望ましいわけでございますけれども、〇・三%に相当します三十億円程度の補てんを受けることによって、一応地方財政は全体として収支を保たせることができるのでないか、かように考えておるわけでございます。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも私は、国税の減税に伴う地方住民税の減収の補てんの仕方は、今の御説明を聞きますと、交付団体については交付税の方で調整がされる。しかし、不交付団体については調整されないですね。そういうことは、この国税の減税に伴う地方税の減収を補てんする仕方を通じて、いわゆる財政調整から財源調整という言葉がありますね、最近には。いわゆる地方財政の不均衡ですね、不均衡を国の負担において、一般会計、国の負担において調整する行き方と、もう一つは、富裕団体、貧困団体ですか、交付団体、不交付団体ですね、それとの間において調整をはかっていこうという考え方、最近は後者の考え方にだんだんなってきているでしょう。後者の考え方ですね。たとえば、交付税とか譲与税制度というのが、第一そうでしょう。いわゆる財政調整である財源調整という考え方ですね、そういう考え方の一環として処理されているように思われるのですね。いわゆる不交付団体の方に薄いわけですね。不交付団体の方に博いと、それは普通に考えれば不交付団体の方は富裕団体であるから、そうめんどうを見なくても、自然増収が相当あるのだ、景気もいいのだ、しかし交付団体の方は財源もありませんし、貧困であるから、まあそういう面は——こういうことだと思うのです。そういうお考えもあるのですか。今は、私が申しましたような、財政調整から財源調整への最近の地方財政の一つの傾向があるわけですね。そういう一環として、この三十億のやり方を考えられているのじゃないですか。どうですか。
  32. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように、財源調整の問題は、国と地方団体との間においてもございましょうし、地方団体村立間におきましてもあろうかと思います。しかし、そういうような見地から今度の問題の解決になったと申しますよりも、地方財政の状態からいいますと、少しでも財源がほしい。まだ行政水準も低いものだから、住民のいろいろな要請にこたえられない。それにこたえられるようにするためには、減税をする場合においても、その埋め合わせの財源がほしい。しかし、地方団体相互間においていいますと、やはり交付税の交付を受けるような団体と、地方交付税の交付を受けないような団体との間においては、若干の差があろうかと思っております。で、少なくとも私たちの考え方では、やはり交付税の交付を受けなければならないような団体は、最優先的に補てんをしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。そういうようなところから煮詰まったところが、この〇・三%を国庫から補てんする、こういうことになって参ったわけでございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、まあ当分の間〇・三%を補てんするということになっていますが、具体的に、これは来年度予算においてはどうなのですか。
  34. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 率直に申し上げまして、この当分の間という期間を、いつまでの間に区切るかというようなことについての話し合いは行なっておりません。しかしながら、地方制度調査会なり、税制調査会なりにおきまして、地方財政の問題をいろいろ討議されておるわけでございますので、そういうようなところの結論と合わせまして、この問題を恒久的に、あるいは地方財政の関係者だけの希望でありますれば、地方交付税の税率引き上げというような方向が望ましいでありましょうし、あるいは国の財政の立場から見ると、やめてしまうということが好ましいかもしれません。しかし、いずれにしましても、私たちとしては、来年は一応こういう姿でいくのじゃないだろうか。税制調査会が三十五年、三十六年で結論を出すというような一応の期間も持っておりますので、なるたけ早い機会に恒久的な姿になることが望ましいわけでございますけれども、今申しますような諸機関の討議と並行して検討していきたい、かように考えておるわけでございます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今税制調査会で税制全般について、政府の諮問を受けて、三年間の期限で検討しておるわけです。そこで私は、やはり地方税の問題も、国税、地方税全体を通じて検討をされている。まあそれについていろいろ事務の再配分の問題も出てくると思うのですが、その点でまた重要になるのは財政調整と、やはり財源調整の問題ですね。これは譲与税制度というのは、私は一つ財源調整——譲与税というのは、たとえば入場税を国が取り上げて、それで国が今度それを地方へ配分するということは、これは財源調整。財政調整というよりもむしろ財源調整ですわね。国の方の負担で地方財政の方をまかなうというのじゃなくて、今までの地方税を国が一つにまとめて、そうして方々へ配分するということですからね。そういう点で、私は、今後どうも、最近政府が財政調整から財源調整の方向へ、ことに地方税については、地方財政については、そういう方向に持っていこうとしておるのではないか。これは私は社会党としては、革新政党としては非常にこれは批評しておるわけなんですよ。  そこで、この点について、すでに昭和三十三年十二月の三十四年度予算方針検討の閣議で、佐藤大蔵大臣が大体まあそういう見解を発表しておる、言われておるのです。たとえば法人事業税の税率を二%、法人税割の税率を三・五%引き下げて、これに対して国の法人税を二%引き上げる、この増収額を地方交付税として交付する、たばこ消費税を地方譲与税にかえるとか、これを国が人口数によって地方団体に配分する、あるいは入場譲与税、地方道路譲与税の配分について財源調整機能を強化する、あるいは地方交付税の基準財政収入を、道府原税の場合標準税収入の現在八割を九割にする、市町村税の現在七割を八割に引き上げる、地方交付税の特別態様補正をさらに強化する、こういう問題ですね、そういう点について今後いわゆる財源調整が非常に強化されていく、こういうことになると思うのです。これについてどういうお考えか、伺っておきたいのです。
  36. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 今御指摘になりました問題につきましては、いろいろな見解がございまして、非常に激しい議論の焦点になっている問題でございます。私たち地方行政に関係しているものから見ますと、地方交付税の交付を受けない団体が即富裕な団体であって、財源を取り上げてもよろしいかという問題になりますと、やはりそういう団体はそういう団体で膨大な財政需要をかかえておる。たとえていいますと、国民の生活水準が上がって参りますと、やはりどうしても下水道の施設も整備しなければならないじゃないか、あるいはまた道路の問題も整備しなければならないじゃないかというようなことがございまして、東京をとらえましても、大阪をとらえましても、あるいは神月、横浜というようなところをとらえましてもこれはいずれも地方交付税の交付は受けておりませんが、塵芥処理、屎尿処理、それらの問題もだんだん出てきておる、従いまして、地方交付税の交付を受けていない団体が即財源が余っておるということになりませんので、今一つ例をおあげになりましたが、たとえば、たばこ消費税を独立税にしないで人口按分で配る、譲与税にしてしまう、そうしますとてきめんに何億か減って参る、そうすればそれらの団体に非常に混乱を与える、住民の切なる要望を実現できないじゃないか、こういう問題になるのじゃないか、こういう感じを持っておるわけでございます。しかし、今後国民経済がさらに飛躍的に発展して参りまして、独立税収入がさらに大きく伸びてくるというようなことになりましたならば、その事態においてまた考えたらよろしいと思うのでございますけれども、現状におきましては、地方交付税の不交付団体即財源の余るような団体だということは、われわれは考えられないわけでございます。  もとより、地方団体間の財源の配分につきましては、地方交付税の交付団体と不交付団体との間、あるいは交付団体相互間における問題におきましても、いろいろと合理化しなければならない問題があろうと思います。ただ端的に、税収入が多いとされる団体から少ない団体へ財源を回していけば、そうすれば地方財政はそれだけで合理化されるという結論を簡単に私たちは持てない。もっと地方財政の実態に即した考え方をしていいのじゃないか、こういうような気持を持っておるわけでございます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今の国税の減税に伴う地方税の減税の補てんの仕方について、やはり問題がこれはあると思うのであります。今の財政局長の御意見は正しいと仏は思うが、財源調整に関する御意見もそうでなければならないと思うが、機械的に富裕団体から貧困団体へ財源を回せば、その点は問題は解決するというそんな簡単なものではない。今度の場合も、われわれとしては百二十二億の減収に対して三十億程度ということでございますが、これではカバーできないじゃないかというように、それから地方は景気がよくて地方財政はかなり自然増収があるといいましても、非常にこれは不均衡だと思う。でこぼこがありますから、地域によってはちっとも神武景気、岩戸景気に恵まれない所もある。そう機械的には——全般的に自然増収があるということはございますけれども、この点については、今後の推移を見なければなりませんが、景気の情勢を見なければなりませんが、ずいぶん大蔵省あたり大きな自然増収を予想しておるようですけれども、なぜそういうようにあんなに大きな自然増収を予想するのか。そういう意味で、この法律案には賛成しがたいわけです。
  38. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  40. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 私は、ただいま議題になっております法律案につきまして、次のように修正して原案に賛成したいと思います。修正案は、交付税及び譲与税配付特別会計法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則中「昭和三十五年四月一日」を「公布の日」に改める。 というのであります。理由は省略いたします。
  41. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  これより、交付税及び譲与税配付特別会計法の一部を改正する法律案の採決に入ります。  まず、討論中にありました天坊君提出の修正案を問題に供します。天坊君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  43. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 多数でございます。よって、天坊君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  44. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  46. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) この際、御了承をいただきたいことがございます。公報に掲載はいたしてございませんですが、税制に関する調査を案件として、引き続き審議を行なうことにしたいと存じますので、御了承願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  審議の都合により、二時まで休憩いたします。    午前十一時三十一分休憩    —————・—————    午後二時十六分開会
  47. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ただいまから委員会を再開いたします。  税制に関する調査を議題といたします。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、物品税につきましてちょっと質問いたしたいのですが、最初に、一般的な物品税に対する大蔵省考え方を伺っておきたいのです。  で、今税制調査会でも、税制全般に関して政府が諮問して研究していると思うのですが、物品税のあり方、今後のそれについてどうお考えか。一応これは戦時中に戦費調達の財源として、物品税はずいぶん増徴されたわけです。その後、やはり戦時中の税金としての性格をずっと続けてきていると思うのです。消費抑制の立場から、そういう税制をとったと思うのですが、ですから、これはまあだんだん物品税は、大衆的な課税なんかについてどんどんはずしていくべきものだ、もっと。そういうふうに思いますが、今後の物品税のあり方についてどういうふうにお考えか、一応承っておきたい。
  49. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 重要なむずかしい問題でございますけれども、ただいま税制調査会でいろいろと、間接税全体のあり方を初めといたしまして、その中における物品税の地位、あり方をどうするかということについて、検討していただいているわけでありますけれども、将来直接税、間接税、大きく分けまして両者間のウエートなり配分がどうあるべきかということから、問題はまず始まろうと思うのでございます。現在は大体、御承知の通り、税収全体のうち約半分近くが、直接税以外の広義の間接税と申しますか、流通税も含めましたそういうもので占められているわけでありまして、この形は、世界的に比較してみますと、ちょうどアメリカと欧州大陸との中間の、イギリス的に近いということが言われているわけでありまして、歴史的に見ましても、わが国では大体そういう傾向をたどってきているのであります。将来直接税なり間接税の税収の伸びというものがどういうふうになって参るかということが、将来の展望としてまず問題になるわけでありますけれども、いろいろ今までの税収の弾力性と申しますか、伸びというものを、国民所得の伸びというようなものと比較して、両者を見てみますと、直接税の方は、国民所得の伸びに対しまして、たとえば国民所得が一伸びるといたしますと、一・七くらい伸びるとかというように、非常に弾力性が強いという傾向を示しております。これに対しまして、間接税全体といたしましては、大体国民所得なり個人消費支出金額の伸びとほぼ並行的な増加の傾向を示しておる、こういうことが今までの傾向でございます。それを前提にしまして、将来どうなるかは疑問ではありまするけれども、一応その傾向が続くといたしますれば、次第に直接税というものが歳入中に占めるウエートというものが広がっていく、間接税は相対的には地位を減少していくという傾向になるであろうことが予想されるわけでございます。  こういうことが、直接税として租税収入の多くを期待した方がいいのか、あるいは現在のように大体半々を確保することが、やはりいろいろな角度からいたしまして、国民の負担からいたしましても楽ではあるまいかということから、問題が始まるだろうと思うのでございますけれども、まあ、そこはもちろん結論は出ておりませんが、そういうふうにだんだんと直接税がどんどん伸びていくということについては、やはりかなりの抵抗があろうと思うのでございます。将来の自由化とか資本蓄積、企業合理化というような観点からいたしましても、やはり所得税を初め法人税を通じました直接税の負担軽減、合理化ということが大きくクローズ・アップされてくるのではないか。そういたしますと、やはり依然といたしまして間接税というものにかなりのウエートを期待せざるを得ないのではなかろうかということも考えられるわけでございます。そういうふうなわけでございますので、間接税全体といたしまして、さしあたりこの減収なり減税というものを相当規模に行なうべきかどうかということにつきましては、かなり慎重な検討を要するんであろうと思うのでございます。そういうふうに間接税全体の将来を一応仮定いたしますとしますれば、もちろん、これは結論は出ておりませんので、その仮定でございますけれども、その間接税の中で物品税というものにどういう地位を期待すべきかととうことが問題になると思うのでございます。  で、間接税の中の構造につきましては、世界的に比較してみまして、二つの傾向があろうと思うのでございます。一つは、酒税とか物品税とか砂糖消費税といったように、いわゆる個別の課税物品をとうえまして課税対象とするという個別消費税というやり方と、それから広く浅く、つまり売上税的に、取引高税的に課税していくというやり方と、二つあるわけでございます。で、売上税を国税、地方税を通じましてとっていない国は、おもな国では、わが国とイギリスが見られます、アメリカは州税で相当ございますし、欧州諸国は間接税の大部分を売上税によって期待しているのでございます。で、イギリスとわが国は、この点につきましては個別消費税ということで進んでおります。で、これにつきましては、どういうふうに持っていくか問題でございますけれども、やはり一般に負担が大衆的に及ぶということを避けたいという見地からいたしますれば、よほど特別の租税増徴の必要でもない限りは、今わが国といたしまして売上税というものを設けるということにつきましては、かなり抵抗なり問題が多かろうと思うのでございまして、そういうことだといたしますれば、やはり引き続き現在のような個別消費税という方向で続けられていくであろう、こういうふうに思うのでございます。その点につきましては、間接税につきましても、やはり負担の公平、応能負担ということをわが国では非常にく言われるゆえんであろうと思うのでございます。  そういたしますと、その個別消費税の中で、わが国の物品税は各国に比べてどういう地位を占めているかと申しますれば、わが国の間接税は、酒、たばこという嗜好品、このものに間接税のうちの約半分程度を占めております。あとは物品税とかガソリン税とか、あるいは関税というものがあるわけでございますけれども、この物品税の占めております地位というものは、来年の予算でもってもおわかりのように、約七百億足らずでありまして、非常にウエートといたしましては少ないのでございます。これは課税物品は相当たくさん品目はあがっておりますけれども、今お話しのような大衆的なものはできるだけはずすという観点から、免税点なりというものを相当程度のところまで引き上げて置いてあるということからいたしまして、物品税の収入といたしましては相当低い割合を占めておるのであります。イギリスなどのごときは、仕入税というものがございます。これも物品税のようなものでございますけれども、これはかなりのウエートを占めておりますけれども、わが国の物品税のウエートの占める割合はごく少ないのでございます。それが酒、たばこというものの負担と物品税の課税物品の負担とを考えてみますれば、応能負担、租税負担の公平、能力のあるところに負担してもらうという観点から申しますると、実は酒、たばこの方が大衆課税の要素が非常に強いのでありまして、下の方には非常にきつく感ずるというものであります。そういうものによって多くを占めておる物品税は、今申しましたように、免税点の操作とか、あるいはまた物品税の対象の選び方の操作によりまして、かなり応能負担的な趣旨を徹底することが可能なものでございます。  さようなわけで、われわれの方では、昭和三十一年ごろの税制調査会の答中にも基づきまして、いろいろと所得水準に応じた物品の購入状況というものを、消費支出弾力性というようなことでもって調べておりますけれども、それから考えましても、物品税の課税対象になる物品のようなものは、かなり消費所得が大きくなければ買えない、大きくなればそれに手を出してくるというものであります。さような応能負担という関係から申しまして、物品税というものは非常に適しておるのでございます。さような観点から申しますと、酒とか、あるいはたばこのような大衆課税になりやすいものに、引き続き従来のようなウエートを求めていくよりは、負担の応能関係から申しますれば、むしろ物品税のようなものに期待していくことが適当ではないかということも言えるわけでございます。もっとも、これに対しましては、また反対の議論といたしまして、酒、たばこの消費というものは必ずしも——間接税は、今おっしゃいますような消費抑制という倫理的なそういうようなものを必ずしも意図しておるわけではございませんで、あくまでも担税力、応能負担という関係が主ではありますけれども、しかし、酒、たばこというものの消費がたとえば伸びなくても、これは国民生活なり国民の保健衛生、あるいはひいては倫理観というものからして、非難されるべき余地は比較的少ない。これに対しまして、物品税は、なるほど応能負担の面では適しておるでありましょうけれども、やはり国民生活の内容を豊かにする、また関連産業の発展をはかっていくことが国民経済全体の発展のためにも、消費生活内容の向上のためにも、望ましいという点もあるわけであります。さような点から申しまして、現在の物品税は、必ずしも奢侈ぜいたく品だけでなくて、家庭用の電気器具製品でありますとかいう工合に、一種の便益品、文明の利器と申しますか、そういうようなものからする性格がかなり多くを占めております。さような点から申しまして、将来の貿易自由化等になった場合に、そういう関連産業をつちかうという見地からいたしますると、たとえば応能負担的には適しておっても、やはりそういう面から考えましてこの税負担を軽減すべきじゃないかという意見も出てくるであろうと思うのであります。  さような点で、いろいろな問題点を取り上げまして税制調査会の方にも御披露し、そういうようないろいろの方面から検討していただくことになっておりますわけでありまして、今ここで私からこういうふうにやるつもりであるというきまった方針を述べる段階ではございませんけれども、さようないろいろな観点があると。それからまた、従いまして、この結論の出し方につきましても、なかなか慎重にあらゆる角度から検討すべきものであろうと、こういうことだけをとりあえず申し上げたいと思う次第でございます。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後の物品税のあり方についての総合的な考え方はお伺いいたしましたが、これについてはいろいろ意見はございますが、たとえば、インフレが非常にひどくなったような場合、個人所得は捕捉が困難だから、そういう物品税みたいなこういうものを課税することの方がむしろ公平であるという、やみ所得なんか出てきていますからね、そういうような場合は考慮されると思いますが、一般的にはやはり、今応能原則のお話がございましたけれども、どうしても物品税というものは逆進課税になりますから、原則としては。比例税でしょう。累進課税じゃありませんから、どうしたって逆進的な課税になりますから。それで、もちろんものによるのでしょうけれども。ですから、なるべく大衆的なものについてははずしていくのが原則であり、また免税点を設けるというのが原則だと思うんです。それが為替自由化なんかの問題と関連しまして、日本育成すべき産業につきましては、これはやはり保護すべきだと思いますね。税制面からもそう思います。  そこで、具体的に一つ、今の原則論に基づいて、最近新聞でも大へん問題になってきておりますが、ソノラマとか、それからそういうような音の出る雑誌ですが、フォノシートというのですか、そういうものに対する物品税、課税の問題が、新聞に伝えられているわけです。これについては、五月六日の衆議院の大蔵委員会で神近委員が御質問しておられますが、また、税に関する新聞などを見ますと、大蔵省は、これを、フオノシートに対して物品税をかけるかどうかは今検討している、そうしてどうもかけるという線で検討しているように報ぜられておりまして、五月中に結論を出す模様である、こういうふうに伝えられているのですね。そこで、それが事実であるかどうか。このフオノシートに大蔵省は物品税をかける建前のもとに、今研究しておられて、その結論を今月中に出されるというのが事実であるかどうか。現在は、これは雑誌として物品税がかかっていないわけですから、それでその点についてまずお伺いしたいのです。そういう事実があるのか。
  51. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) お答えいたします。その前にちょっと、物品税が大衆課税であるという、なりがちの性質を持っているというお話でございますけれども、現行のほかの間接税といろいろ比較してみますと、われわれの方では、先ほど申しましたが、消費支出弾力性というものを広く家計調査をもとにしまして分類しておりますが、各税につきましての、所得階層別にどの物品がどういうふうに消費され、それに含まれる税額がどれだけであるということを計数的に出しまして、それを所得階層別と税の負担の高さというものとでグラフにして見ておりますけれども、それによりますると、物品税はその消費支出弾力性の点から申しますると大きいということは、つまり応能負担の点につきましては、ほかの間接税に比べまして、その点は一番はっきりと応能負担の点が現われているということがございますので、その点だけをちょっと補足して申し上げたいと思います。  もちろん、対象の選び方、あるいは免税点をどこに置くか、いろいろ慎重に検討すべき点がございますので、かなり配属しているわけでございます。なお、比例税率でございますけれども、御承知の通り第二秤の物品につきましては、最高税率五割から最低税率三%まで、いろいろと段階をつけております。もっとも、どの部分の税率の区分に属すべきか、なかなかむずかしいのでございますが、いろいろと配慮を加えているつもりでございます。このことだけをちょっと申し添えておきたいと思うのであります。  お尋ねのソノラマ、「KODAMA」、「AAA」という、音の出る雑誌のことでございますが、今おっしゃる通り検討しております。ただ、その場合に、現状といたしまして、現在は雑誌であるとして課税しないのを、今回課税しようとしているようなお話でございますが、この点はちょっと補足いたしますと、そうではございませんで、もちろん、あのソノラマならソノラマというもの、あれは記事の分もございますし、中に今おっしゃいましたフオノシート、あるいはソノシートといわれるものが六枚ばかりはさみ込まれております。「KODAMA」の場合でございましたならば、五枚ほどはさみ込まれております。その部分のことにつきましてのお話でありますけれども、大部分につきましては、現在雑誌であるから非保税ということにいたしておるわけではありません。それで、蓄音機用のレコードというものが課税物品にあがっております。それに該当するかどうかという見地から検討するわけでございますけれども、現在の扱いは。現在は東京の国税局におきまして、業者からの質問に対しまして、あれは蓄音機用のレコードとしては課税しなくてもいいのじゃなかろうかというようなこと。そのゆえんのものは、たとえば紙にビニールの膜一膜をつけました、小さい、ごくちゃちなものがあるわけであります。これが現在取り扱い通達で、材質も非常に普通のレコードと違いますし、非常にちゃちなものであり、主として電気製品などの広告宣伝用にはさみ込まれたり、あるいはクリスマス・カードにやってみたりというものもあるわけでございますけれども、そういうようなものを非課税に取り扱っておるというものもございますので、そういうことに準じて考えられないかというようなことで回答したようであります。しかし、それにつきまして、かなり数量も出ておりますから、国税庁なり私どもの方で、一つ基本的に検討してみるというわけで、その点をベンディングにしておるわけでございますけれども、従いまして、私どもの解釈といたしましては、現在はあれはレコードに当たるということを考えておるのでございます。  ただ、中身を見てみますと、今までのレコードではなかったような、たとえばニュース——三月号なら三月号とありますと、三月にちなんだ時事の解説なり、歴史的な解説なり、その時事の報道なり、そういうようなものを盛り込んだ、そういうフオノシートのものもあるわけであります。これらのものにつきましては——普通レコードを課税しておりますゆえんのものは、これは一種の娯楽的要素がある、娯楽品の範疇に入るということで課税する建前でございますので、そういう時事の報道、いわゆるラジオを聞くと同じようなものは、これは課税対象にする根拠に乏しいのではなかろうかということを考えまして、ただいまは童謡、童話のレコードとか、あるいは英語、学習用のレコードというようなものは、その内容に照らしまして非課税の旨を政令で規定しておりますけれども、その今申しましたニュース解説なり、時事報道のような内容を盛り込みました部分の各フォノシートの分につきましては、これを同じく政令で非課税のレコードとして上げるという必要があるのじゃないかということで、検討しておるという段階でございます。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この結論を出されるにあたりましては、各方面の意見も十分徴され、その利害得失、あるいはまた税法上、その他文化の面、あるいは産業上、いろいろ各血から総合的にやはり検討をされて結論を出すものと思う。そこで、そういう影響を受ける方面はレコード会社でしような、業者としては。それから、すぐにこれが物品税がかけられるようになれば、こういう品物を作っている、結局声の出る雑誌を作っている業者、そういう人たちから意見を徴して、そうして結論を出されたのですか。一応の結論としては、これはレコードに当たると、こういうふうに今言われたようですけれども、その結論は各方面の意見をよく徴されて到達された御意見ですか、レコードに当たるというのは。
  53. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) そういうわけでございます。もちろん、発行しておられる会社からいろいろと要望と申しますか、意見の具申もございます。同様にまた、今おっしゃいました、まあ競争相手と申しましょうか、関連するレコード協会の方からも意見を申してきておられます。そういうことも考慮いたしまして、いろいろ今後について検討いたしまして、先ほど申した一応の考え方を持っておる、こういうわけでございます。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 レコード会社の関係ですね、たとえばレコード協会ですか、そういうようなところからやはり徴されましたのですか。
  55. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) ただいま申しましたように、国税庁長官あてに意見書を出してきております。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう意見ですか。
  57. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) こういう内容を持っております。結局、何点かあげておりますけれども、これはまあソノラマ等の発行業者の見解に対する反論と申しますか、の見解に対する反論と申しますか、そういうふうなこと。反論の形はとっておりませんけれども、発刊業者の行われている主張の点を意識考慮しながら、見解を述べたという形だと思いますけれども、ちょっとあげてみますると、まず最初に、ソノラマ等はレコードと全く同様の性質なり用途を有するものである。つまり、円盤状の製品であることから見まして、あるいは形状、材質から申しましても、まあソノラマ等は塩化ビニールを材料といたしますけれども、これは雑誌と一緒にとじて、やわらかくするために、普通のレコードは酢酸ビニールを使うのを、ソノラマ等は塩化ビニールを使っておりますけれども、その本質はちっとも変わらないという点。それから中身につきまして、ソノラマ等は教養本位の特色を持っていると言っておりますけれども、これはいずれも現在レコードが有しておる多種多様の一部に含まれるものでありまして、両者は本質的に同じ性質を有するものという点。あるいは雑誌と言われるけれども、レコードの需要者というものは蓄音機の所有者に限定されておる。その点につきましては、このソノラマのソノシートを聞くという場合につきましても同様のことでございまして、一般の雑誌というものが広く、そういうふうな機具を持っているかどうかということは問わないで、不特定の需要対象を対象としておるものとは違うのではないかというようなこと。それからさらに、先ほど東京国税局が一応の回答をいたしました根拠といたしました、紙にビニール膜をくっつけて出しておるというもの。これはそれとは違うのだ、ソノラマ等は材質面で先ほど申しましたように全部塩化ビニールでできておりまして、紙にビニールの膜を上に塗ったというものではないのだ。また、長く使えるかどうかという耐久度の問題がございけれども、この点は小売業者は、ソノラマ等は大体百回ぐらい使える、非常に音を厳密に聞き分ける立場から申しますと、大体まあ五十回程度というような耐久度ということでございますようですけれども、その点につきましては、とても今申したような紙にビニールの膜を塗ったというものと全然違うのである。それで、一時的に読み捨て聞き捨てというふうに、一回や二回で悪くなってしまうというものではないのだというような点をあげまして、これはレコードと言わざるを得ない。また、要するに蓄音機をもって音を作成するというものが結局レコードということにならざるを得ないのであって、もしもソノラマというようなものが非課税だ、レコードにあらずということになれば、これは普通のレコードにつきましても、同様に非課税にすべきであるという意見も申してきております。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、このソノラマとか、いわゆるソノシートを売り出している業者の方ですね、その業者の意見を徴されておりますか。
  59. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 徴しております。と申しますか、意見を持ってきておられます。その点を御参考までにちょっと申しますれば、まず用途の面から見まして、従来のレコードのように娯楽本位ではない。それから今度は……。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと待って下さい。今レコード協会の方の意見を徴されていると聞きましたが、私、聞くところによると、今雑誌ではない、レコード類似のものとして物品税をかけられようとしているンノラマの方の業者の方に対して、政府は意見を徴していないというふうに聞いているのですよ。政府は、レコード会社の方からだけ意見を徴して、そうしてその新たに税金をかけられようとする方の業者の意見は徴していないというように開いておるんですが、その点はどうなんですか。
  61. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) そういうことはございません。むしろ、レコード協会の方からは、先ほど申しましたように、国税庁長官あてに意見書と申しますか、陳情書と申しますか、そういう書類を出してこられておるだけでありまして、われわれのところに来ていろいろ議論をしたということもございませんが、ソノラマ等の方につきましては、書類ももちろん出してきておられますとともに、私どものところでいろいろと、来ていただきまして、あるいは向こうから来られまして、いろいろと議論を重ねておるという状態でございます。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 では、レコード協会の方は、ソノラマはレコードと大体同じようなものであるから、物品税をかけるべきだ、もしソノラマの方にかけなければ、レコードの物品税自体もこれは廃止すべきだ、こういう意見であることは今承りました。これに対して、ソノラマの方の業者の意見はどういう意見ですか。
  63. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 申し上げますと数点ございますけれども、従来のレコードのように娯楽本位のものではないのだ、その用途がでございますね。それから、従来のレコードはもっぱら聴覚だけに訴えるわけでありますけれども、ソノラマ等は視聴覚に訴える。つまり、雑誌を読んで、そうしてまあその中に盛られている記事内容というものをもう一ぺん、今度は音で聞いてみるというような、視聴覚を目的とするものであって、いわば新しい形の報道媒介物であるのだ。それから、定期刊行物でございまして、不定期的にそのときそのときの企画でもって任意のものを発売していくというレコードとは、定期刊行物という点において違うのであるという点。それから、普通のレコードは音自体の鑑賞であるのに対して、「朝日ソノラマ」等は音を伴う雑誌でありまして、一般週刊誌と同様に読み捨てあるいは聞き捨てにするというようなものであるのだというような点が、用途から見ての論点であります。それから、品質なり性能の点から見まして、普通のレコードのように、そう連続して何回も使えない。先ほど申しましたように、大体五十回程度でだめになるものだ。品質面において劣るものであるという点。それから今度は、中に含まれる、収容できる音の幅の範囲でございますけれども、これはサイクルをもって表わすようでありますけれども、普通のレコードの周波数は六十サイクルから一万五千サイクルあたりまで幅を持っていまして、収容能力が多いわけでありますけれども、「朝日ソノラマ」等は百サイクルあたりから六千五百サイクルくらいでありまして、非常に高い音とか、ものすごく低い音とかというものの収容能力が、普通のレコードより劣るのであるというような点。それから、ソノラマは雑誌といたしまして第三種郵便物としての認可を取っておる。この点から見ても、一つの週刊誌と同様の雑誌である。それから、普通のレコードとは、一方は酢酸ビニールであるのに対しまして、こっちの方は塩化ビニールであるというように、材質が違うということをあげております。  それで、これはフランスでもともとできたものであるようでありますけれども、将来輸出ということを考えれば、まあ国内の市場を広くするというような意味におきまして、そういう輸出面の考慮もしてもらいたい。それからまた、たとえば先ほどのように、われわれの考えのように、その中でニュース解説なりニュースのものは非課税、音楽だけ入ったものは課税というふうに分けますというと、その六枚なら六枚入っておる中で、これがどれに当たるかというその判断、判定、またその場合に一冊の雑誌としまして、ソノラマの場合は三百六十円でございますか、そういう定価をつけておりますけれども、その課税になるレコードの部分の課税価格は幾らであるかという課税標準の算定につきまして、トラブルといいますか、めんどうじゃないかという点、さような点をあげまして、これは非課税にされるべきである、こういう意見でございます。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総合的に両者の主張なり意見を承ったわけですが、これは大蔵省に陳情があって、その陳情を通して、あるいは大蔵省の意見を徴して、その結果を承ったわけです。その結果として、その結果に基づき、またその他のいろいろな諸外国の例等も御参考にしたと思うのですが、それで、結論はレコードと同じようにみなして物品税をかけるべきである、こういう結論に達したのですか。
  65. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) そういう次第でございます。中にいろいろ今あげられました発行業界からの意見の点につきましては、一々私どもの考え方もございますけれども、まあ言えとおっしゃればあとで申しますけれども、両方いろいろ考えまして、一応またこれは大蔵省の省議におきまして検討していただく予定にはしておりますけれども、私ども主税局の段階では、先ほど申したような一応の考え方になっております。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その理由を伺いたいのだけれども、その前に、かりに物品税をかけるという場合にどういう手続でやられますか。
  67. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) これは、レコードは、御承知の通り、第二種物品でございまして、製造課税でございますので、製造者の段階でかかるわけでありますが、たとえばソノラマを例にとりますと、大体どんなものか聞いてくれというわけで、今まで出ております、四号まで出ておりましたか、一々聞いてみますると、毎号六枚ずつ入っておるわけですが、その中で三枚ないし四枚は、先ほど申した、われわれ非課税にすべきであると思われるような時事解説あるいは報道というものだと思います。で、少なくとも二枚、号によりましては三枚は、これは全部音楽そのものないしは舞台中継そのものでございまして、他のレコードの内容と違いませんので、まあたとえばそれを二枚なら二枚が課税、今までの実績になるわけでありますが、今後出ます場合には、六枚のうちどれとどれが非課税のものであり、どれとどれが課税のものであるという判定をつけていただきまして、そしてその分についての課税をする。  で、課税操作のとり方が問題でありまするけれども、これは今までの考え方は、私どもは簡便な措置を講ずる必要があろうか——簡便な措置と申しますのは、今までの実績によりまして、一応三百六十円という小売定価になっておりますので、それを原価配分と申しますか、それぞれの部分について、印刷物の部面とソノシートの部面との価格構成を考えまして、大体一定しております。と申しますのは、ソノシートの部分はキング・レコード会社に、ソノラマの場合はそのソノシートの分は下請に出しております。そこで、キング・レコードがその材質を用意し、そこに吹き込むということをいたしまして、それを雑誌社に納品するわけです。その雑誌社がはさみ込んであれするというわけであります。その辺の材質なりキング・レコードに対する下請料というものがありますが、そのほかに雑誌社として払うところの著作権の使用料というようなもの、あるいは一般管理費なり販売費というものが入ってくるわけでありますけれども、そういうものを検討いたしまして、たとえば小売価格三百六十円の中に含まれておるソノシート一枚当たりの価格部分は、たとえば四十円なら四十円、大体その近くじゃないかと思いますけれども、そういうことになりますと、それは小売価格でございますから、これを製造価格に直すということになります。そうすると、大体その半分前後が製造価格である。こうなりますると、一枚当たり課税標準価格は二十円なら二十円、こういうふうに今までの実績によって、今後も条件が特に変化しない限りはそういうことをきめておきまして、そうしてあとはこれが課税か、これが課税でないかという判定をしていただいて、申告して納付していただく、こういう形になると思うのでございます。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常に問題があると思うのですが、どうも、今御答弁を伺っていますと、これまでの既成概念のもとで、非常に機械的にこの問題を扱っているように思うのですが、そのときに、この六枚なら六枚の中で、ある一つが課税対象になる、他の部分は課税の対象にならないというときに、だれが判定するのですか。
  69. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) これは、だれがと申しますか、実はこの問題のみならず、いろいろあるわけでございます。たとえば免税点のあるものがございます。そうしますと、免税点は一組について幾ら未満のものは物品税をかけないということになっておりますが、製造者がいろいろな値段のものを作って売り出す場合に、一品々々につきまして、これが免税点以下であるか、免税点を越えているかということを判断していただくわけであります。まず、ですから、第一義的には、納税義務者の方が、税法の規定に照らしまして、判断していただくということになろうと思うのであります。ところが、結局、価格がはっきりしているがいいじゃないかということをおっしゃいますけれども、価格につきましても、いろいろと物品税法の課税標準の構成をとりますために、いろいろの法律の規定があるわけであります。ですから、業者の方が考えておられるそのものに、実際につけようとしている価格そのものが必ずしもあらゆる場合にそのまま課税標準価格に税法上なるという保障はないわけでありますけれども、従いまして、結局的には法律によって、だれがということでなくして、客観的に、あるいは法律上最終的には裁判官の判断によってきまるべきではありましょうけれども、第一義的には業者の方にやっていただきまして、政府法律から見ましてそれがどうも違うじゃないかというときにおきましては、政府決定と申しますか、また決定していく。それに対して異議があれば、また争っていって、最終的には裁判官が法律によって判断する、こういう形になろうと思うのであります。  今の問題を考えますと、非常にこの場合だけむずかしいことをしいるじゃないかというお感じもお持ちになると思うのでありますけれども、この点は、ほかの物品がいろいろと並んでおります、その物品自体につきまして、それぞれ、たとえば人形の場合も、一組という免税点を作る場合に、どれとどれを組み合わせたものが一組であるかということにつきましては、そこまでの法律規定はこまかく書いてございません。それとほぼ似たような感じでありまして、一般的に通ずる問題ではなかろうかというふうに感ずるわけでありますが、この点につきましては、今申しましたように、今までのものを聞きまして、時事解説のものを除くという政令ができますならば、お互いに業者間でそれをずっと今までのを聞きまして、これは精神から見て非課税であるということを、両者納得の上で理解し合いまして、それを一応の基準としまして、お互いにやっていこうじゃないかとか、また課税標準につきましては、先ほどのように、一枚当たり幾らということを、両者いろいろと検討いたしました上できめておきまして、それで事情の変化のない限りは、それでもってやっていただければ、私の方も全然異議がございませんということで、政府の方で扱っていくと、こういう便宜措置がいろいろ講ぜられると思いますけれども、その判断の問題につきましては、ほかの物品の場合にもいろいろある。その最終的判断は結局法相によりましてなされるわけでありますけれども、第一義的には納税者の方によって判断していただくという問題じゃないかと思うのであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは普通の商品と違うわけですね。さっきも課長さんの言われましたように、これは新しいマス・メディアが出てきたわけですね、媒介体が。そこで、従来のような考え方ではちょっと判断できないんであって、たとえば時事報道的か時事解説的か、娯楽的かという場合、たとえばトップ、ライトという人が漫才調で時事解説をやるでしょう、ああいうのと、それから普通の時事解説というのは、どう区別するとか、その他、これは一つの例ですが、いろいろ具体的になって参りますると、そこのところがずいぶんややこしくなる。結局、判定といいましても、ほかの商品を判定するのでなく、マス・メディアを判定するのでしょう。内容をね。一種の検閲というような、検閲とは違いますけれども、結局内容を調べなければならぬでしょう。そうすると、私は検閲の問題にも関係してくると思うのですよ。普通の商品と違いますから。ですから、われわれジャーナリスト出身のものは、そういう面からもやはりこの問題について関心を持たざるを得ないのです。そうすると、検閲という関係、どこが課税対象になるか、非課税になるかということを判定するかということは非常にむずかしいことですから、私は、要は新しい一つのマス・メディアが出てきたのですね、いろいろな技術の近代化によりまして。ですから、今までのような既成概念で雑誌というものを見るのではなく、新しい一つのマス・メディアの出現ですわね。視覚、聴覚、そういうもの、色とか文字、印刷、それから聴覚、耳ですか、そういう新しい時代に入ったわけです。たとえば人工衛星の時代とか、よく最近言われますね。そういうふうに非常に時代が進歩したでしょう、発展して。ですから、これは非常にむずかしい問題で、ジャーナリズムというものですね、それからマスコミュニケーション、その基礎になるマス・メディアというものがここで新しいものが出てきた、そういう立場に立って一つこれを検討してみる必要があるのじゃないか。  そうしてみませんと、これを今までの既成概念で、雑誌とレコードというものと切り離して、そこでいろいろ課税上の技術をいろいろ考えたりなんかするということは、非常に無理があるのじゃないかと思うのです。また、今後にいろいろな問題が出てくると思うのです。もっともっとこれは発展していくと思うのですよ、この技術はね。ソノラマとか何とかというものは、どんどん発展していく。そうして教育上にも使われるでしょうし、娯楽上にも使われるでしょうし、ずいぶんいろいろな方面にこれはまた発展していくと思う。産業としてこういうものを発展させてはいけない、有害であるからいけないとか、あるいはこういう新しいマス・メディアはこれは押さえちゃって進歩させる必要はないとか、有害であるとか、そういう意味でしたら、やはりそういう意味から税法上からも押える必要があるかと思うのですけれども。それから、あれを見ましても、かなり大衆的なものがありますね。たとえば童話だとか、子供なんかの娯楽雑誌なんかにもついている。だから、私はこれはそういう点から、もう一度よく再検討をされる必要があるのじゃないか。それから、今の検閲の問題もありますしね。  それから、そういう新しいマ・スメディアが出てきた場合に、今までの税法、慣習によって物品税法の施行令の一部改正でこの問題を実行、実施していいかどうか、税法自体を改正しなくていいかどうかという問題が起こると思うのです。それで、大蔵省の役人の人たちの判断においてこれは私は実施したら、それは問題の解釈のしようによっては相当私は大きな問題になると思うのですよ。    〔委員長退席、理事上林忠次君着席〕 大蔵省の権限の範囲内でできるのかどうか。こういう新しいマス・メディアが出てきた、新しいこういう商品が出てきた、そういうものを今までの既成概念で省令だけでできるかどうか、許されるかどうか、問題があると思う。この点、どうですか。
  71. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 論点は結局こういうことじゃないかという気もするのですが、つまり、今おっしゃいましたマス・メディアの観点でありますけれども、ソノラマならソノラマという、あの雑誌といいますか、刊行物を、一体として全体が報道媒体物、雑誌そのものである、こういうふうに見るのか、あるいは雑誌と、雑誌の長所といいますか、視覚に訴える、その雑誌の特色なり長所というものとレコードの持っている独得の長所といいますか、聴覚に訴える、そういう要素をば、コンビネーションいたしまして合わさったものであると考えるか、こういうことになるような感じもするのでございます。で、私の方は、新しい時事の報道をしていくという意味におけるそのものを、単に視覚だけに訴えないで聴覚でもって、ラジオを聞いた方がはっきり耳に残る、印象に残るというようなねらいから、    〔理事上林忠次君退席、委員長着席〕 それを便宜目で見るのを耳で応えるという内容のものは、これはまさしくおっしゃるように新しい形態における報道媒体物であり、報道そのものであろうという感じがするのであります。  ところが、お聞きになったとも思いますけれども、中には、先ほど申しましたようなソノラマの六枚なら六枚のうち、二枚はこれは純然たるジャズ音楽ならジャズ音楽、舞台中継なら舞台中継、流行歌なら流行歌というものだけが録音されておるわけであります。もちろん、はさみ込んであるページのところを見ますと、あるいは歌っている歌手の紹介でありますとか、歌っている中身の解説と申しますか、概要でありますとかいうものも書いておるものもあると思います。しかし、全然また雑誌を読んでいる間の息抜きというような意味で、全然記事とは違って、一つそこで合間のちょっと休憩時間が入るというような意味で、純然たるそういうものもございますわけで、そのものはやはり私どもはそれぞれのものとして中身を見る以外に方法はないのじゃないか。また、それが正しい見方ではあるまいかという感じがするわけであります。たとえば「KODAMA」でしたか、ソノラマでしたか知りませんけれども、号外と申しますか、特集号で、童謡なら童謡というものばかりを、ソノシートを折り込んだ特集号も出ております。これは童謡も、先ほど申しましたように、現在政令で非課税でございますから、非課税のものばかりでありますからいいのでありますけれども、そういうこともいろいろ考えられてくるのでありまして、そういう点から申しまして、結局、全部を一体のものとして報道媒体物と見るのだという一体論につきましては、私どももどうも承服しかねるものがある、こういう考え方を持っておるのであります。また、たとえばレコードにいたしましても、あるいはレコードを入れている袋があるわけでありますが、袋の中には、この歌の歌手の紹介から始まりまして、歌がどういう点を歌ったものであり、どういうふうに鑑賞をすべきものだというような解説等も、レコードの入っている袋に印刷されておるものもあるわけであります。でありますので、その点につきましては、一体論は少し適当でないのじゃないかという感じであります。  それから、今の政令なり省令でできるかどうかということでございます。現在の物品税法には、いろいろ物品があがっております。録音機のレコードがあがっておりまして、それはどういうものをいうのだという定義そのものはこまかく規定してございません。ですから、ほかの物品もそうでありますけれども、録音機川のレコードというものの解釈につきましては、やはりこの社会通念に従いまして解釈をせざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありまして、それから申しますると、やはり蓄音機というのが世上いわれておる蓄音機であろう、レコードというものが蓄音機を使って音を再生し聞こえるようにするということがレコード、というのが社会通念と考えられますので、その幅のものに入ってくるのじゃないか。そうしますと、時事の解説が入ったものでもそれに当たるわけでありますが、しかし、中身につきましては、「左ニ掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニハ本法二依リ物品税ヲ課ス」と物品税法第一条にございまして、その中身、免税点なりその他どの範囲のものを取り上げるか、またどの範囲のものをはずすかということは、規正法律の焼定によりまして委任命令によって物品税法施行規則の別表で規定されておるわけでありまして、例外等につきましては、先ほど申しましたように、「蓄音器用ノレコード(フイルムレコードヲ含ム)」とありまして、「但シ童謡レコード、童謡レコード及語学又ハ珠算学習用レコードヲ除ク」、こういうことで、委任命令で書いておるわけであります。さようなわけで、私どもの解釈は、ソノシート全体がすべてレコードと言わざるを得ないけれども、内容的に見てはずすべきものは、この政令の但し書きに加えることによりまして、それは法律により政府に与えられておる権限の範囲内のことであろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  72. 平林剛

    ○平林剛君 ちょっと関連して。今のお話を承っておったのですが、まだ政令としてはきまっていないように聞こえるのです。一応の考え方であるとか、もし政令がきまればということが説明の中にありましたが、まだきまっておらないわけですね。それで、たぶんきまっていないのじゃないかと思うのでありますが、それをきめるまでの間に、あなたの方としてはどういう方面の意見を聞いて結論を出すか、何かそういう考えがあるかどうか。今木村さんからもお話があったように、非常に判断に苦しむ、非常にむずかしい問題でありますから、やはりその取りきめ方については慎重でなければならないのじゃないか。われわれは従来から、物品税法において政令にゆだねる分が非常にたくさんありますので、こういう傾向はなるべく排除していきたいと思っております。ですから、政府が政令としてきめるまでの措置はどうするかということを、この機会にお聞きしておきたいと思います。
  73. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) お話の点、くどくなるかもしれませんが、もう一ぺん申し上げたいと思いますけれども、課税物品表には、法律またはこれを受けました施行規則の別表によっていろいろ規定されております。しかしながら、世の中がだんだんと発展といいますか、進んで参りますと、いろいろなそのことを規定した当時には考えていなかった新しい物品が出ることが、非常に予想されるわけであります。そこで、その場合に、新しいものが出てきた場合、果して現存の法律に書いてある、また政令に書いてあります物品に当たるかどうかという解釈から始まると思うのでありますが、その解釈は、今申しましたように、法律の範囲を越えるということはできませんけれども、やはり社会通念に従いまして、また立法の趣旨というものも考慮の中にあると思いますけれども、そういうことも考え合わせまして、最終的には裁判官によって解釈されるべきでありましょうが、この課税官庁の方におきまして一応責任を持って解釈を固めていく、きめていくという問題がまずあろうと思うのであります。  そういう点から申しますると、今の蓄音機用のレコードというものにつきましては先ほど申しましたように、やはり社会通念に従いまして、この蓄音機にかえて音を再生していくというものが蓄音機用レコードだという解釈をとらざるを得ないのではないか。これは、たとえばテレビジョンがありまするというと、今まで白黒テレビがあったのにカラーテレビが入ってきた。これはやはりテレビであるという意味におきまして、該当しているものと考える。ところが、ラジオがございましたけれども、ラジオは去年の改正前の物品税の規定では、真空管を使用するという定義があったわけでございます。法律上、政令上ありました。そういうわけで、新しくトランジスターラジオができた。この用途なり効用は同様でございますけれども、真空管を使っていないという意味におきまして、あれは法律を改正しなければ、いかにラジオであると言っても、そういう制度が規定上ございましたために、これは政令なり法律の改正をしなければ、これは課税できないという限界はもちろんございます。また、テープレコーダーというものがございますけれども、現在テープレコーダーと法律に書いてございます、ところが、このごろ新しい、同じような用途でありますけれども、テープにしないで四角な紙にこの音を出すという構想も一、二社あるわけでございますが、これもその用途から考えれば当然課税すべきものだと思いますけれども、テープ式というふうに法律が限定しておりますために、これまた課税できないでおります。  さようなわけで、法律解釈が当然限界があるわけであります。法律の規定内容によりまして、すべての蓄音機用のレコードというのは、これは関係あります。今このソノシートなどは、この蓄音機用のレコードという社会通念の解釈から、入る内容のものではないかというふうに、まず私どもが考えたわけでございます。そこで、政令のお話は、政令でもって新たにそういうものをレコードとみなすという規定を入れてはございませんで、その童謡等をはずしておりますように、内容から見まして、また課税の趣旨から考えまして、これは課税しない方が妥当であろう、必要とするというものにつきましては政令ではずす権限というものは、やはり税法に基づいて政府に与えられた権限であろうという趣旨から、その政令を規定して一応含まれるものの中のあるものをはずしていきたい、こういう考え方であるわけであります。  ですから、その場合のはずし方といたしましては、ソノラマ、そういうような雑誌の中にとじ込まれているものを全部はずすはずし方ももちろんあるでしょう。結局、一般のレコード等の場合におけると均衡がとれないのじゃないかということから、娯楽用のものは残こしまして、他ははずそう、こういう政令を考えたらどうかということであります。  なお、政令をきめる手続でありますけれども、普通の場合におきましては政府限りでもってやるわけであります。もちろん、その場合に業界といろいろ話し合いまして、議論は尽くしますけれども、最終的には、わかりましたということもありましょうし、あるいは見解の相違で物別れになるというものもございましょうけれども、そこはまた大蔵省の内部におきまして各部局の意見も参考のために徴しまして、最終的に大臣のところできめていただく、こういう普通の手続をとっていくことに相なろう、こう思うのであります。
  74. 平林剛

    ○平林剛君 それから、私の方は前から委員会で物品税法をいろいろ議論いたしまして、なるべくなら今日の税を根本的に再検討して、大衆課税的なものについては順次なくしていこう、これは暗黙の間に、決議とか法律案とかがあっての話じゃありませんけれどもそういう方向にいくのがあたりまえ。あたりまえというよりも、そういうことを考える必要があるというのは認められてきているわけです。そこで、さっきお話のあった消費支出弾力性についても、まだこれは政府でもってやっているやつは、施行中というか、一、二年のものである。三年か四年ぐらいたったら、そこで根本的に変えていく、こういうのが線としては出てきているのです。私は、だから、そういう時期になっているだけに、今たまたま問題になった点も、その角度から見渡したらどうだろうという観点で、政府でも決定に至るまでに慎重に討論してみたらどうだろうか、こういう考えを持っているのです。  そこで、もう一つは、一体政府が税収をどのぐらい期待しているのかわかりませんけれども、これは、もしあなたの方でこれを課税することになって、先ほどのような簡易な方法その他考えられているような措置で課税するとすれば、どの程度になっているか。また、消費支出弾力性というようなものについて、われわれはこれはあまり大きいものであればどうか、課税しなくてもいいじゃないか、そういう大衆生活に食い込むようなものを、国会で大体の意向が出てきているのに対して逆行するような形でいかなくていいじゃないかという気分もするのです。この点の数字はどういうふうに見ておられるか、これも一つ聞かしていただきたい。
  75. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 必ずしも、私どもは税収目的で可否を考えるということは、基本的な態度とは必ずしもいたしておりませんわけであります。新たに課税物品につけ加えるか、あるいは課税物品からはずすかという法律改正のときでありますと、かなりその点は問題でありますけれども、現在のところでは、ある物品が出てきた場合に、それと同じ用途効用のものが課税物品になっている場今に、その課税のバランスということがまず主になって出て参りますので、その点から考えまして、必ずしも税収目的ということが第一義的にはなりませんけれども……。  また、発行部数というものも必ずしも正確に調査はしておりませんけれども、大体、おもなものといたしまして、「朝日ソノラマ」が現在約、月々、月刊でございますけれども、十万部程度出ておるというふうに言われております。また「KODAMA」というのがございますが、これは大体月々、これも月刊でありますが、三万部ぐらい出ておるのではないかというふうに言われております。そういう関係からいたしはすと、「朝日ソノラマ」について試算をいたしますれば、先ほど申しましたように、一枚のレコードの部分を小売価格相当分たとえば四十円程度と考え、その製造者販売価格、つまり課税標準価格を、普通のレコードの場合は小売の約五割といたしておりますので、五割と考えて二十円といたしますと、税率が二割でありますので、一枚当たり四円になるわけであります、税額が。そうしますと、一冊につきまして二枚課税対象物品があるといたしますれば、八円の税額があるというわけでありますが、そこで十二カ月、それの十万部というふうに考えますと、大体年間物品税額は一千万円近いということになるのではあるまいか。これに、「KODAMA」につきましては、なお、この点の課税の対象になる中身の枚数等につきましてははっきりいたしませんけれども、まあ何がしか加わるということで、これのまあ倍近くになりますか、五割増しになりますか、その程度の税収ではないかというふうに一応見られるわけであります。正確な数字ではございませんけれども……  なお、消費支出弾力性の点でありますけれども、おっしゃったように、確かに今はまだ一、二年の統計でございまして、必ずしも完璧なものとは申せません。また、耐久的な消費財につきましては、毎年々々の家計調査の点に現われてこない点もありますので、非常に不正確な内容も持っておりますけれども、この、現在の「朝日ソノラマ」等につきましては、何しろ新しい製品でありますので、その家計調査にはまだ今までのデータでは現われてきていないわけでありますが、これを買う階層がレコードを買う階層と上か下かということになりますけれども、先ほど申しましたように、どうしてもこれは蓄音機がある家庭でなければ、これを買ってもその分は何も意味をなさぬわけであります。その点から申しますれば、まあ、蓄音機なり、蓄音機のレコードが課税されており、その世帯というものが一応の所得階層から申せばかなり上の方にあるというふうに前提いたしますれば、同様な家庭なり世帯というものがこの商品の購入の対象の家庭であろうということは推定できますけれども、レコードの場合とソノラマの場合との消費支出弾力性の大小という点につきましては、まだ今後のデータに待つ以外にはないだろう、こういうふうに思うわけであります。
  76. 平林剛

    ○平林剛君 まあ税収は、私、参考のためにお尋ねしたわけでありますけれども、お答えのように、一千万円程度ということになれば——それで課税の対象にするかしないかきめるということは、まあ原則としてははずれていると思いますけれども、これからの今議論されているようなむずかしい問題、要素を含み、かつ、税務行政の繁雑等を考えると、税の面では微々たるものだ。また、先ほどのお話で、一般のレコードの比較を言われましたが、厳格にいえば、政府のお考えになっておることも全面的に間違っておるとは言えませんけれども、一方、ちょっと言葉の中に入っておりましたトランジスターラジオとか、その他現在においてさっそくでも、あなたの理論からいえば、是正しなければならぬというものがありながら、そのままになっておる。国会の意思もきまっていない。こういう段階において、私は、いつごろまできめるか知りませんけれども、やはり相当慎重に、もし厳格な比較をいうならば、全般的にどこから突つかれても文句のない形できめられる、こういう態度が必要じゃないかという気はするのですね。私は、もともと物品税をやたらかけるということに反対の方なんで、根本的にやはり再検討したらいいと思っておりますから、そう申し上げるわけでございますけれども、この問題についても、私は、議論が相当あるだけに、政府はやはり慎重な、全般的な見地に立って考えてもらいたい、こう思うのです。これは私の希望意見です。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 問題は、先ほど課長さんも御答弁ありましたように、ソノラマというようなものを総合的なマス・メディアとして考えるか、それとも雑誌とレコードみたいなもの、そういうものが合わさったものと見るか、そういうところが問題の分かれ目になってくると思いますがね。それで、これはフランスでは、課税の問題は起こったけれども、一応これは免税の取り扱いをフランスではしたという経過になっておるようですが、フランスの例はどうなんですか。
  78. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) フランスのことも業界から確かに私どもも開いておるのでありますが、向こうの税法のことまでよく、もう一つわかりかねております。しかし、フランスは、先ほど申しましたように、物品税という個別消費税ではなくて、取引売上税といいますか、そういうゼネラルなセールズ・タックスというものでやっておるわけであります。もちろん、その中にはいろいろと税率が、奢侈品、娯楽品には高いとか、そうでないものには安いという、物品によっては異なった税率を適用しておる、こういう段階はございますけれども、そういう税金でありますので、これが、たとえばレコードが高い税率のときにそういう雑誌としましては安い税率にしておるということであるのかどうかわかりませんが、その点は私どもはまだ研究不十分であると申しますか、よくわかっていないのが実情でございます。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 よその国がかけたから、免税であるから、日本も免税にすべきだ、そういう機械的に私は言うわけじゃありません。しかし、これは世界的に一つの新しいマス・メディアとして現われてきておるのですから、そういう意味で、諸外国の例も参考にする必要があるのですね。雑誌の範疇の概念として、こういうものを諸外国でどういうふうに理解しておるかということも、一つ参考にする必要があると思いますね。私はどうもジャーナリスト出身でありますので、そういう点から見ると、どうも新しい一つのそういうマス・メディアとして解すべきじゃないか、そういう態度で扱って、もうしばらく諸外国の例を御研究になっていただき、それからこの過程をもう少し様子を見る。それから自由化と関連しまして、やはりこういう産業を育成する必要もあるのじゃないかとも思いますね。外国から入ってくるというようなことになると、その前にやはり日本である程度そういうものを助成していくことも決してむだではない。そういう広い見地からも、一つ検討してみるということも必要ではないだろうか。  それで、一つ新しい問題でございますので、私も専門家じゃございませんから、十分な検討をしておりませんし、それから大蔵省の方も新しい問題ですからね。先ほどの御答弁も、今までの既成概念からいえば、あれは私は決して御無理な主張ではないと思うのです。しかし、実際にこれを物品税として課税をしなかった場合にどれだけの実言があるか、そういう点からもお考えになられて、税収からいえば大したことはない、それが目的ではないというお話もありましたが、結局、レコード会社の方が影響を受けるということと、それから課税の不権衡ですね。レコードの万は課税されて、片方はされない、同じものでされないということになれば、不権衡という問題が起こります。しかし、どうでしょう、これはむしろ、こういうものが出れば、レコードは打撃を受けるように大蔵省は思っておりますけれども、ある面ではやはりレコードは売れるのじゃないですか。たとえば、相撲をラジオでやると相撲の観客が減るのじゃないか、あるいは野球をテレビでやると野球の観客が減るのではないかと、そういう問題がありましたですね。そういう関連性は、これは一がいにはそうは言えないと思います。ものによっては、やはり多少レコードの宣伝盤みたいになる可能性もあるのじゃないですか、ものによっては。あまりこれがよくなるとレコードを侵害するかもしれませんけれども、ある面では、レコードの宣伝盤みたいに、ちょうど映画で最初やるでしょう、来週の予告編、そういう面もやはりあるのじゃないかと思うのです。それは全部はそうはならぬとしてもですよ。ですから、これはあまり結論を急がれることは私はどうかと思うのですが、そういう面から、もっと慎重に考えなければならぬ。  それから、さっき平林君からも質問がありましたが、これがもし新しいマス・メディアとして出てきたということになれば、政令として簡単に、大蔵省の方の考えだけでにれを改正するということについては、どうでしょうかね。私はやはり、法律改正については、慎重に考えなければいけないのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  80. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 私ども、レコード業界の売行きがどうなるであろうということを、必ずしも第一義的に考えておるわけではございません。おっしゃるように、両方相待って普及するという面も確かにあると思います。しかし、古典的と申しますか、クラシックと申しますか、そういう純粋なものにつきましては、やはり先ほど申しましたような音の品質とかいうものによりまして、やはり本物のレコードでないと十分の鑑賞にたえないという点もあると思いますけれども、流行歌のようなものでございますね、それにつきましては、ほんとうに聞き捨てというような感じが強いものもかなりレコードの中にはあるわけでございますね。まあ聞くところによりますと、一枚とか三枚しか売れなかったというようなレコードもあるらしいのでございまして、そういう面から申しますと、そういう聞き捨てるような、純芸術的でないものにつきましては、かなりそのシートでもって十分役に立つという面もあろうかと思うのであります。そういうような面から、どっちということは必ずしも一がいにも言えますまいと思いますが、これは第一義的ではございませんで、私ども、消費税という面から申しまして、同じような効用を受けておる場合に同じように税負担を及ぼしていくということは、先ほど先生がおっしゃいましたように、負担の公平という観点から、やはり第一義的に考えていかなければなるまいということでありまして、一応営業政策面に対しましては、中立の立場と申しますか、そういうようなことでもって運用していき、また扱っていくのが、物品税の本来ではないかという感じもするわけであります。さようなわけでありますので、この点にどれだけの政策的な配慮を払うかということにからむわけでありますけれども、一応私ども主税局の今の考え方といたしましては、そういう点を中立的に考えまして、同じような品質、効用、娯楽を消費者に与えるものにつきましては、法律に許されておる解釈の範囲内におきまして、同様に扱っていきたいという基本的な立場でございます。  なお、報道用につきまして、この点もちょっと補足して申し上げたいと思うのでありますが、たとえば、ラジオでニュースを報道いたします。その合間に、まあ潤いを添えるというのですか、効果を盛り上げるという意味から、音楽が背景になっているというものもあります。あるいは報道と報道との間に音楽が放送されるというものもありますが、そういう放送局で扱っている、全体が報道としてやっているのでありましょうが、その合間に背景になり、あるいは中継になっているようなレコード、これは放送局が使うのも影として使っているわけでございますね。そういうようなことも考えまして、あるシートの部分が時事解説なり報道である、その背景に音楽なりが流れておりましても、これを課税しようとは思いませんけれども、やはり一枚の全体がもっぱら音楽それ自体であるというものにつきましては、どうもやはりそのものとして考えていかなければならぬのではないかという感じでございます。  それから、さらに、政令で課税として取り上げるという御解釈でありますが、そうではありませんので、この際政令で、解釈で入ってくると思わざるを得ないものについて、しかし全部課税するのは適当でないであろうから、政令ではずしていこうと、こういう立場であります。そのはずし方が、もう少し広くはずせというお考えと、いやそれはいけないのだという、考え方の相違でありますので、その点をもう一ぺん申し上げておきたいと思うのでありますが、しかし、今いろいろ先生方から御意見のありました向きは、大蔵省の省議の際に御披露いたしまして、各ほかの部局の、公平といいますか、第三者的な見地からする意見の参考に十分供していただきまして、慎重に検討していただきたいと思っております。
  81. 平林剛

    ○平林剛君 参考にすると言うから、私言っておくのだけれども、さっき物品税の対象にするかどうかということは、一般社会通念、それから法律趣旨というようなことから判断をするとおっしゃった。まあその通りだと思いますが、そういう場合、やはりトランジスターラシオだとかカラーテレビだとかいうようなものがはずされておる。それは、法律の中には実はちょっと違ったように書いてあるかもしれないけれども、社会通念という面から見ると、やはりそこには政策的なものが含まれているわけですね。トランジスターラジオが大いに外貨をかせいでおるとか、これを育成するとかいうことも考慮の中にあって、そういう事実がありながら法律案の提出がないということもあると思うのです。この問題についても、木村先生強調なさっておるように、私は、まあ新しい文化というような意味から、たかだかと言うと語弊がありますけれども、一千万程度の税収で、すぐにこれが問題にされて、この方は直ちに手が打たれるなんということは、何かわれわれ公平な立場から見ても、何となくぎごちないものを感ずるわけです。そういう点も、政令を検討する場合には、十分考慮してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
  82. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) ちょっと、先ほどの私の御説明が誤解を招いた節もあると思いますので、ちょっと今の点補足しておきますが、ラジオ聴取機は初めこういうことでした。去年の改正までは、ラジオ聴取機というのは真空管を使用したものに限るという法律、政令であったわけです。従いまして、トランジスターラジオはその前から発売されておりましたけれども、それは課税対象になっていなかった。それを、バランス論から申しまして、昨年の法律改正で、受信用真空管を使用せざるものを含むというように、入れたわけでございます。ですから、現在は両方とも課税になっておりますということと、それからカラーテレビでありますが、テレビは、テレビジョン受像機というふうにのみ書いてありまして、白黒とカラーという区分を現在の法律でしておりませんので、もちろん、この法律を作りましたときには白黒しかなかったわけでございますけれども、現在カラーテレビが出てきておりますと、テレビジョン受像機には違いないということで、これは解釈上自動的にカラーテレビも含まれるということになっているという点でありますので、先ほどちょっと御説明が間違ったかもわかりませんが、この際補正しておきたいと思います。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、私は、今の法律改正によって真空管を使わないものを含む、法律改正によってそれを含めるようにしたのでしょう。ですから、ソノラマにつきましても、さっきの課長さんの御答弁ですと、すでに一応レコード類似のものと規定してしまっているのです。そして、それだけの中でどれだけのものをはずしていくかという、そういう問題であるという解釈の仕方なのです。私は、レコード類似そのものとして規定することが問題だ、そう規定していいかということです。もしそう規定できないとすれば、これは法律改正によって新しいソノラマというマス・メディアというものが、新しい商品が出てきた。そういうものをどういうふうな分類として扱うかということが初めから問題になっている。これはレコード類似的なものと、そういうふうに規定しているのでしょう。そこが問題なのです。それじゃ、ちっとも新しい商品としての、また新しい文化としてのマス・メディアに対する理解が全然ないというのですよ。そこが問題になると思うのです。私はそこを問題にしているのです。それをすぐにレコード類似のものと規定して、その中の内容によってどれだけを、はずす幅を大きくしていくという、問題のこういう取り上げ方だ。これは私の考え方とその立場が違うわけです。私の質問しているのはそういう意味なんです。その前提において——だから、それを扱う場合に、その省令の改正、施行令の改正だけで、大蔵省だけきめていいのかどうかというのですよ、それだけできめて。やはり国会へ法律改正として出してきて、そして国会の承認を得なければならぬほどの重要なアイテムじゃないかと、そういうふうに思うのですよ。政令に委任していい問題じゃない、それをはみ出ている大きな問題じゃないか、こういうふうに私は理解しているのですが、どうですか。
  84. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 結局、見解の相違と申しますか、あれでありますが、先ほど申しましたように、蓄音機用のレコードというものがそのままの形でも出ておりますので、ラジオのように真空管を使用せざるものを除くとかいうふうに書いてございますと、それを含めるためには法律改正が要ったのでございますが、蓄音機用のレコードということになりますと、私どもはソノラマという雑誌全体をこれと見なすということであれば、それは雑誌の部分も含めるという規定も必要と思いますが、その一枚々々のシートを取り上げてみて、この立場がいいか悪いか、政策的な問題だといますが、そういうふうに考えますと、その部分はまさしく普通の蓄音機のレコードと何ら変わらないというものでないか、こういう考え方に立っておるわけなのでございまして、ですから、そこはまあ結局考え方の違いということになると思いますけれども、そこで、そのためにあの部分をたとえば課税すべきだと考えました場合に、あの部分がレコードであるということを法律で書かなければ、あれが蓄音機用のレコードにならないであろうかということになりますと、これは私どもは遺憾ながら見解を異にすると思います。ソノラマはとじてありまして、その部分だけを蓄音機にかけるわけでありますけれども、「KODAMA」、「AAA」になりますと、一応はさみ込んでありますけれども、簡単にはずせるわけです。耳がついておって、はずしましてその部分だけを蓄音機に持ってくるわけでありまして、その部分につきましては、どうも普通のレコードを蓄音機にかけるということと全然差異はないのでありまして、あれをレコードに含むという規定の仕方を考えてみましても、どうも規定の仕方が見つからないような感じもするわけでございますので、法律改正を要しないで、この解釈問題として処理される段階になるであろう、こういうふうに感ずるわけでございます。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは確かに一つの盲点なのですよ。ですから、この点についてもっと私は方々の意見を聞き、文化人の意見ももっと聞いてみる必要があると思う。もし聞かなくておきめになるというならば、私は委員長にお願いして、公聴会を開いてもっと文化人の意見を広く聞いた上できめなければならぬと思う。私は、大蔵省の考えだけでこれをやることに対しては賛成できない。これはやはり新しい概念が出てきたのですから、機械的になるほど蓄音機にかければ、レコードだけ考えれば、そういうふうに考えられるかもしれません。しかし、これはやはりもっと考える必要があると思います。きょうはこの程度にして置きます。これは今は二課長さんだけですから、これはもっと大きな問題として、大蔵省だけのあれだけで、国会での法律改正によらなくてもいいかどうか考えるという問題もあります。これを判定する場合に、検閲の問題も実際問題として出てくる。非常にデリケートな点も出てくる。こういう検閲に触れるというようなことになれば、われわれの党としても、これは一つの問題にしなければならぬ。これは今娯楽的の問題だからいいが、これは今後どんどん発展してきます。そういう場合に課税という面から、出版物の検閲ということになるならば、これはなかなか問題になります。
  86. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 検閲ということをどう定義づけるかということでありますが、確かに税関なりでもって外国から入ってきたものを見まして、この部分は国内にそのまま待ち込んでいいか悪いかという判定を、自発的にやっているようでありますけれども、まあ自発的にその点をカットしていただくとか何とかいうことの問題はあるかもしれませんが、ただいまのソノラマにつきましては、私どもの方は保税するかしないかというだけのことでございまして、その内合のものを国内に販売するのがいいか悪いかとか、その内容のことをとやかく批判するわけではございませんで、今おっしゃった検閲ということはちょっと範疇が違う、可否の判定のことは。先ほどから申し上げているように、課税物品に当たるかどうかという判定の問題は、絶えずあらゆるものにあるわけでございまして、それと全く同種類の内容のことだろうと、こういうふうに感じているわけであります。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に違うのですよ。普通の一般商品と考えておられるから、そこがわれわれと認識の違いがあります。一つのマス・メディアですね、マスコミの媒介体としてのそのものの内容を今度は調べるということになるのですから、課税するかしないかきめたって、それはやはり自主的に検閲するということになります。普通の商品と違うのですから。  最後に、一番最初の消費税、間接税、物品税というものは、さっき消費弾力性から見まして応能原則に合うという結論でしたが、これは私は問題があると思います。それはそういう統計なんかでいろいろあれしたと思いますけれども、とにかく簡単にいって、たとえばたばこなんか逆進課税の比例税です。何億という金を選挙に使った鮎川さんがスリー工ーを吸ったって、ニコヨンがスリー工ーを吸ったって、同じでしょう。それから見ても、これが逆進課税でないということがどうして言えますか。応能原則に合ってということは決して言えないと思います。お酒だってそうです。その他いろいろあると思いますけれども、ですから、それは一つ新しい租税理論でしょうなあ。そういう間接税という、応能原則からいってそれを適用しているということは、新しい租税理論になると思うのですがね。その具体的なデータを、私は一つあったらお出し願いたいと思います。私は、どうもその点が納付がいかない。やはり全体として間接税というものは、これは奢侈品にはもちろんかけなければならぬと思いますけれども、そういうものは低くしていくべきじゃないか。それから、特にこの大衆課税的なものははずしていくべきです。戦時課税のなごりなんですから、そういうものはもっとはずしていくべきじゃないかと思うのです。もっとも、免税その他でずいぶん軽くはしてきていると思いますけれども、まだそのなごりがあるのじゃないかと思います。  そういう点からもいって、どうです、今のソノラマの保税について、これは今月中にどうしても結論を出し、そうして課税をされるのかどうか。新聞にはそういうふうに報道されておりますが、最後にそういう点を伺っておきたいと思います。
  88. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) いろいろと話題になっておるものですから、私どもは、ただいまの計画といたしましては、いつからということの明確な予定も立てておりませんが、できるだけ早い機会に、大蔵省全体といたしましての省議の段階には打ち上げて、何らかの方向を決定していただきたい、こう思っております。その省議の時期は、大体今週から来週ごろを一応予定はしております。その結果どういうふうになりますか、それはまだ未定でありますけれども、そういう事務の運び方の段階でございます。
  89. 平林剛

    ○平林剛君 この問題、木村先生の御主張、私らの党としても一度検討してみたい、こう思うので、きめるまでの間に一つ、私どもとも連絡をとっていただきたい。  それから、もう一つは、先ほどトランジスターラジオとカラーテレビの話がありましたけれども、あれは実際に発売されて販売され、それが課税されるまでの間に、相当期間があったのじゃないかと思うのですね。第三者的から見て、社会通念から見て、いろいろな比較論から見て、実際に課税対象に法律改正によってなるまでの期間がかなりあったのじゃないですか。それはどのくらいの期間を置いたか。私は、そういう期間を置いたということについて、ある程度政策的な意味があったのじゃないかと思うのですけれども、それらのことも一つ勘案すべきじゃないかという気もするのです。これはどのくらい期間がありましたか。
  90. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) カラーテレビは、テレビジョン受像機を新たに課税物品にいたしましたのは、たしか昭和二十九年でございました。従いまして、白黒は二十九年から課税になったのでありますが、カラーテレビは、先ほどのように、カラーテレビジョン受像機は自動的に入って参りますので、これはその後試作の段階から今まだ試験放送の段階になっておりまするが、その間に試験用にはいろいろ使われておるようでありますけれども、それは初めからテレビジョン受像機として課税対象になっております。トランジスターラジオの方は、真空管を使うか使わないかという問題がありましたので、昨年の通常国会における改正で施行したわけでありますが、従いまして、おととしの通常国会の際にはまだその問題が具体的に出てきていなかったのじゃないか。従いまして、余裕期間を政策的に置いたかどうかという点、むしろ物品税というものはいろいろほかの関係がありますので、その法律改正にあわせてという配慮でもってきたのだろうと思いますが、従って、その間はおそらく改正されるまでは一年未満の期間であったろうと思います。しかし、政策的に延ばしておけということではなくて、物品税、いろいろほかにも問題がありましたので、それと総合していろいろ考えようということで、通常国会まで持ち越されたのだろうと私は想像いたします。
  91. 平林剛

    ○平林剛君 私ら、あの課税のときには、ある程度政策的にこれをながめて検討したこともあるのです。だから、この問題についても、それを含めることがどうかということも検討の価値はあるのじゃないかと思うのです。いろいろ木村さんからも御意見があったように、多くの人たちの意見を聞くということ、どういうふうにしてやるか、これは方法はいろいろあると思いますけれども、私どもとしても一応検討してみたいと思いますから、決定までには連絡をとっていただけるかどうか、この点を一つお尋ねしておきます。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連しまして。この問題は、御承知のように、五月六日衆議院の大蔵委員会で神近委員が取り上げておりまして、しかも、神近委員はこの問題について、レコード会社が何か猛運動をやっているというようなことを聞いたものですから、注意を引いたわけなんですが、というふうに神近委員は質問しております。先ほど課長さんから伺いますと、それは誤解のようにも受け取れます。私は、それだから大蔵省は一生懸命これに課税しようと思っているというふうには解釈はいたしませんけれども、そういう誤解、あるいは正解かもしれませんが、そういう見方もあるのでありますから、これはやはり慎重にされる必要があると思います。  そこで、今平林君が言われましたように、われわれこれだけいろいろ御意見を聞き、われわれの言うところも訴えて、質疑をしたわけですけれども、全然われわれのこの意見は無視されて、それで大蔵省の方できめられてしまうなら、質疑をしたあれも何にもないわけです、われわれの意見が何にも反映されなければ。ですから、その前にはやはりこれは衆参両院、両方でやはり党として問題にしておりますから、その結論を得る前には、やはり何らか連絡をしてほしいと、こう思うのです。
  93. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) レコード業界からの運動とか陳情につきましては、先ほど申し上げました通りでありまして、国税庁長官あてに書類を出してきておるのを確かに拝見しました。けれども、そうであるからその口先に乗って、という気持は毛頭ございません。あくまでも公正な立場で考えようという気持だけでございますので、その点を明らかに御了解いただきたいと思うのであります。  なお、いろいろ衆議院の方でもございましたし、御意見がこの機会にもございましたので、私、ここでどうこうということを確定的に申し上げる地位にもございませんけれども、帰りまして、よく主税局及び官房の幹部にも伝えまして、その趣旨の実現に努めてみたいと、こういうふうに思います。
  94. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会