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1960-04-26 第34回国会 参議院 大蔵委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年四月二十六日(火曜日) 午前十時二十七分開会 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
杉山
昌作
君
理事
上林 忠次君
西川甚五郎
君
大矢
正君
天田
勝正
君
委員
青木 一男君 大谷 贇雄君 梶原 茂嘉君
木暮武太夫
君 河野 謙三君 堀 末治君 成瀬
幡治
君 野溝 勝君 平林 剛君 原島 宏治君
政府委員
宮内庁次官
瓜生
順良
君
大蔵政務次官
前田佳
都男君
大蔵省主計局法
規課長
小熊 孝次君
大蔵省管財局長
心得
武樋寅三郎
君
建設省道路局長
佐藤 寛政君
事務局側
常任委員会専門
員
木村常次郎
君
説明員
宮内庁管理部工
務課長
小幡祥一郎
君
自治庁財政局財
政課長
松島 五郎君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の辞任及び
補欠互選
の件 ○
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に 基づき、
国会
の
議決
を求めるの件 (
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
道路整備特別会計法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
特定港湾施設工事特別会計法
の一部 を改正する
法律案
(
内閣提出
、衆議
院送付
) ――
―――――――――――
杉山昌作
1
○
委員長
(
杉山昌作
君) ただいまから
委員会
を開会いたします。 まず、お諮りいたします。
永末英一
君から都合により
理事
を辞任したい旨の
申し出
がありましたが、これを許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし上と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
2
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認めます。さよう
決定
いたします。 つきましては、直ちにその
補欠互選
を行ないたいと存じます。
互選
の
方法
は、
成規
の
手続
を省略して、便宜その指名を
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり]
杉山昌作
3
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、
委員長
は
天田勝正
君を
理事
に指名いたします。 ――
―――――――――――
杉山昌作
4
○
委員長
(
杉山昌作
君) これより、「
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の
議決
を求めるの件」を議題とし、
質疑
をいたします。
質疑
のある方は、順次、御
発言
を願います。
大矢正
5
○
大矢正
君 昨年の
大蔵委員会
で再三問題になったのでありますが、現在の
皇居
の地理的な環境とか、その他
各国
の
状況
とにらみ合わせて、わが国にも
外国
と同様に、
宮殿
という形で新しく
造営
をした方がよろしいのではないかという
意見
がいろいろ出てお
つたよう
です。それからまた、
宮内庁
としても、しかるべき
機関
において
宮殿
の
造営
については
検討
したいというような
意思表示
もあったのでありますが、この
宮殿造営
についての
考え方
ないしは今日までの
経過
について、御報告をいただきたいと思います。
瓜生順良
6
○
政府委員
(
瓜生順良
君)
皇居
の
造営
、その中で、今
宮殿
とおつしゃいましたのは、公の
行事
を行なわれる
部分
を
宮殿
と申し、両
陛下
のお
住まい
になる所をお
住居
といっておるのでありまするが、合わせますると
皇居
、この
二つ
を合わせても
宮殿
という用語で表現される場合もございまするから、その広い
意味
で
宮殿
を解して、この
考え方
、
経過
を申し上げます。
考え方
といたしましては、終戦後だいぶ年もたっております。戦時中に
皇居
の
中心部
が焼けまして、お
住居
も公の
行事
の
宮殿
も焼けまして、そのままでは、最近のように
外国
との交際も開け、国賓も多数見えまする現在において、国の体面にもかかわるので、このままではおもしろくないということはわれわれも
考え
、また
政府
の
関係
、あるいは
国会
の皆様からもそういう
意見
を承つておりましたので、新しい現在の
日本
にふさわしい
皇居
を
造営
することを
研究
しようということで、その具体的な
研究
を始めましたのが
昭和
三十二年であります。三十二年、三十三年と両
年度
は、
宮内庁
の中で
事務
的にこの
調査
を進めて参りました。その間
予算
もいただきまして、三十二
年度
には
外国
の
宮殿
の模様も二名の者が
調査
に参りました。そしてそういうことも参考にしながら、三十二、三十三と
宮内庁
の内部で新しい
皇居
をどういうふうに作つたらいいかということを
調査
研究
いたして参りまして、大まかな
試み
の案というようなものも一応
作つて
いたのであります。 そして三十四
年度
、つまり昨
年度
に
皇居造営審議会
というのが、
総理大臣
の諮問に応じて
皇居
の
造営
問題について
意見
を
答申
する
機関
として設けられました。その
皇居造営審議会
の中には
国会議員
の方も十名、その他十五名のいろいろの
専門
の方が入られました。この二十五名の
委員
をもって
皇居造営審議会
が構成されまして、昨年の六月からこの
審議会
が、本
委員会
としては前後七回であったと思います。第一回が六月の五日に開かれまして、その後六月は十九日にも開かれました。第三回が七月の三日、第四回が七月の十七日、第五回が八月の二十七日、第六回が九月の十一日、第七回が十月の八日というふうに、七回にわたって全体
会議
の
審議会
が開かれ、なお
専門
的な小
委員会
が六回、さらにその中間において開かれております。で、
皇居
の
位置
をどうするかという問題、それから
皇居
の
規模
はどういうふうなのがいいか、
様式
はどういうふうなのがいいか、それから
経費
はどういうふうに
考え
るか、それから
造営
の
実施
の
計画
、つまりいつからかかっていつまでに仕上げるというようなそういう
計画
をどうするか、その他
皇居
の
造営
に関する
重要事項
、特に
皇居
の
関連
のある
交通
の問題ですとか、この現在の
皇居
の
地区
の一部を公開することができないかというような、そういう
関連
の
重要事項
、そういうものについて
審議
をされまして、その結果、この十月の八日の第七回の総会で
答申
が出ましたのであります。 その
答申
の
要綱
は、
皇居
の
位置
というのはいろいろ
議論
が
世間
にはありましたので、特に慎重に
審議
された結果、
皇居
の
位置
については、公の
行事
を行なう
宮殿
は現在の
皇居
内の旧
西の丸地区
の旧
宮殿跡
、それからお
住居
は
吹上御苑
内を適当と
考え
るという
答申
をされ、
皇居
の
規模
及び
様式
につきましては、
規模
については将来いろいろの
行事
がますます行なわれることが予想されまするので、それに必要な
部屋数
と広さを備える必要があるということ。それから、この
宮殿跡
の
敷地
につり合つたものでなければならないというようなこと。なお、
宮内庁
の試案として示しましたものについてこまかいことがありますが、それについてはおおむね適当であるが、さらに
研究
をするようにということであります。 それから、簡単に申しますが、
造営
の
経費
の
関係
については、これは
規模
及び
様式
がきまりますると、おのずから定まるものであるから、
幾ら
をかけろというようなことは
答申
にはならなかったのでありまして、
財政
の
事情
を考慮すべきはもちろんであるが、
皇居造営
の本旨を達成するのに遺憾のないようにすべきであるという抽象的な
答申
になりました。なお、これに
関連
していろいろ問題がありましたことは、
寄付
を受けるかどうかというようなこと、これにつきましては、
造営
の
経費
の
財源
は
国庫
から支出する建前にすべきであるが、
国民
からの自発的な
寄付
は受けることとして、その
方法
は
強制
にわたり、あるいは
売名
、
宣伝等
に利用される等の
弊害
がないようにすべきであるということが申されてあります。 それから、
造営
の
実施計画
といたしましては、
昭和
三十五年及び三十六年の両
年度
においてお
住居
の
増改築
及び
宮殿
の
設計
を行ない、三十七
年度
からおおむね五カ年間にわたって
宮殿
の
造営
を
実施
することを適当と
考え
るというようなことが
答申
になりました。 その他、
関連事項
の点は省略いたしますが、こういうような
答申
がございまして、これを受けまして、本年の一月二十九日に
閣議
で、この
皇居造営審議会
の
答申
の
趣旨
を尊重してやっていく。そうして、
要綱
の点はごく大まかに表現されておりまするが、
宮殿
はその
位置
を
皇居
内旧
西の丸地区
の旧
宮殿跡
とし、
昭和
三十五
年度
から
造営実施
の準備を始める。第二は、お
住居
を一応
吹上御苑
内とし、
昭和
三十五
年度
から
造営
を
実施
する。三、
皇居造営
の資に充てるため、
国民
から自発的な
寄付
の
申し出
がある場合は、
宮内庁長官
の定めるところにより国がこれを受けるものとする。四、
皇居東側地区
は、
皇居造営
の
実施
に照応して
皇居付属庭園
として整備して、
宮中行事
に
支障
のない限り原則として公開する。こういう四つの点を、大綱だけでありますが、
閣議
で
決定
になりましたのであります。 今ここで議案になっております点は、この第二に申しましたお
住居
を
昭和
三十五
年度
から
実施
するというこの
部分
であります。今
年度
から
実施
をいたしまして、来
年度
には
完成
する予定でおります。現在その
設計
を練つている最中でございます。大体の
経過
はそういうことであります。
大矢正
7
○
大矢正
君
国民
の間には、現在の
皇居
というものが、いろいろな
意味
で、地理的に、
位置
的に問題はあるというような
意見
もあったのでありますが、今の
答申案
からいきますと、
位置
は
現状
の所に
宮殿
とお
住居
を作ると、こういうことになっているわけですが、その
審議会
において
位置
的な問題についての
議論
がどういうふうになされたか。
現状
の
皇居
というものはどうも狭い、
東京
都の
交通状況
その他から勘案して、
宮殿
とお
住居
とを分離した方がいいのではないかという
意見
もいろいろ出ているのではないか、そういう面からの
検討分析
というものがなされたかどうか、なされたとすれば、その間の
事情
を若干御
説明
いただきたい。
瓜生順良
8
○
政府委員
(
瓜生順良
君)
皇居
の
位置
の問題は、先ほど申しましたが、まず
最初
の重要問題として、
皇居造営審議会
におかれて慎重な御
審議
をされまして、各
委員
が全部その
意見
を述べられるような形で
審議
をされました。この
位置
について、それではどういうふうなことが
考え
られるか。まずどうしても、
宮殿
はいろいろの国家的な
行事
、あるいは
宮中関係
のその他の
行事
が行なわれる、それには
政府
の
機関
あるいは
外国
の大公使館、そういうところとあまり離れておりますると非常に不便である、従ってやはり
東京
を離れた地に
造営
することは適当ではない。なお、お
住居
についても、いろいろ国事に関する
陛下
の
事務
も多うございまするし、
宮中
の
行事
も多端な今日、首都を離れた遠いところに行かれるというと、
宮殿
とあまり離れてお
住まい
になるということは不便であると
考え
られるというように、一応述べられております。 また、この
宮殿
、お
住居
、その他
付帯施設
、
宮内庁関係庁舎等
、そういう
敷地
というのは相当の広さが要るわけでありますが、
最初
のまず
東京
に、
都内
にあることが必要であるとして、そういうような
敷地
がどこか他に適当な所があるかということを
検討
をしてみましても、現在
東京都内
にどうもその適地を求めることはきわめて困難であるという点があるので、やはり現在あいておりまする元
宮殿
のあった跡がよろしいというようなことに
結論
としてなりました。 なお、お
住居
の点につきましては、今も
お尋ね
がありましたが、この
宮殿
と離してもっと別のところに作られたらどうかという
意見
、それも
検討
されましたが、先ほ
ども
ちょっと
答申
の
趣旨
を申し上げましたように、あまり離れることは不便である、いろいろ
検討
してみて、この
吹上御苑
、現在
防空施設
として作られた仮の
住居
にお住みになっておりまするが、この
吹上御苑
のあの
あたり
の
空気
が非常にきたないじゃないか、だからほかへ移られた方が
陛下
のためにもよろしいのじゃないかというような
意見
が
世間
にもございましたのですが、その点についてのいろいろの
調査
の結果は、
空気
の
汚染度
は
吹上御苑
のあの
あたり
は
東京
の
都内
においてはちょうど
石神井
と同じくらいである。青梅から比較すると
幾ら
か悪いですけれ
ども
、その他の麹町ですとか、赤坂ですとか、渋谷、あの方面から比較するとずっと
空気
の
汚染度
はよろしい。お
住居
の
関係
については
陛下
の
気持
もあろう、私生活の面であるから。で、推察すると、今の
吹上御苑
のあの
あたり
は、
陛下
のお
気持
に合っているように
考え
られるから、
空気
の
汚染度
の点でそう心配もないのであるから、
吹上御苑
内で適当と
考え
るというような
結論
になりました。 なお、今
お尋ね
の
交通関係
の点は、
皇居造営審議会
の際に特別の小
委員会
ができまして、これは
交通
の
関係
と、それから
皇居
の一部を公開をするようなことを
考え
たらどうかという問題と、その
二つ
のことを扱うための小
委員会
が設けられまして、それは七月二十二日、八月十四日、九月十六日と、三回その小
委員会
が開かれて、
検討
をされました。
交通計画
について、いろいろ現在まである
計画
を
調査
をし
検討
されまして、その結果、現在
都市計画
として、
皇居
の横、ちょうど
乾門前
のあの
通り
でありますが、あの
通り
をずっと広げ、ずっと
東京
の中央を突き抜けて参りまする
幹線街路放射線
第二十七号線というもの、これを
完成
をしていく一方、
高速度道路
の
計画
がありまして、これは
皇居
の
付近
では、
皇居
の
付近
をぐうつと回っていくものでありますが、
高速度道路
の
計画
、
高速道路
第四号線というのがありますが、そういうような
計画
が実現をすれば、
皇居周辺
の
交通関係
もだいぶ緩和されるであろうし、
皇居
の中を
道路
を通すというようなことは――
東側
の
地区
を先ほど省略いたしましたが、
宮中行事
に
支障
のない限りは、
一般
に公開する。公園のように、
新宿御苑
のように、夜は閉鎖しますけれ
ども
、昼は
宮中行事
に
支障
のない限りは公開するというふうに、レクリエーションの場と
考え
まするから、そういう横をどんどん
自動車
が通るということも感心をしないし、またそこで
宮中行事
も行なわれるわけでありますから、
宮殿
の方との
関係
の連絡上もどうかというようなこともある。従って、普通の、
自動車
がどんどん入る普通の
道路
をあそこを通すことについては、将来さらに慎重に
検討
すべきだという
結論
が出ております。そういうことでございます。
大矢正
9
○
大矢正
君 一月二十九日の
閣議
で、
答申
の
趣旨
は尊重するということがきめられたということがありますが、ことしと
明年度
の
ニカ年間
で、お
住居
の方は
完成
をする。それから、三十七年から五カ年間で、
宮殿
は
現状
と大体同じところに新しく
造営
する、こういうことなんですが、お
住居
の方は、具体的に
計画
もできて、
予算書
もついていますから問題ないのですが、
宮殿
の
造営
についても、すでに
宮内庁
として
計画
というものができ上がつているのかどうか。
瓜生順良
10
○
政府委員
(
瓜生順良
君)
宮殿
の方の
計画
につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、
皇居造営審議会
でいろいろ
検討
されるのに、
批判材料
といいますか、そういう
意味
での
宮内庁
の
試み
の案というものは一応作りまして、
批判
を仰いだわけであります。その程度のものがありまするが、これはほんの
試み
の案でありまして、三十五年、三十六年、ことしと来
年度
に、さらに
専門家
の
意見
を広く聞きまして、それでほんとうの
設計
を作るということでございます。
大矢正
11
○
大矢正
君 実際問題として、アメリカなんかでも、でき得る限り
都心
よりも
郊外
べ
郊外
へと、
住居
というものは延びていっているというのが
現状
のように私
ども
は聞いているわけでありますし、
先進国
という立場から
考え
てみれば、
日本
の国もおいおい、
都心
に
住宅
を作るとか、あるいはお
住居
を持つということではなくて、
郊外
に延びていくということは、これは当然のことだろうと思うのでありますが、今回の
答申案
、それから
宮内庁
も当然確認されたことだろうと思うが、
現状
の
吹上御苑
にお
住居
を作るということ、そうして
宮殿
をお作りになるということは、恒久的にもう
現状
から動かさないという前提できめられるというふうに私は解釈するのですが、実際問題として、
日本
の国以外の
各国
の
実例
というものが、比較的
郊外
に延びていっておるという実態にかんがみて、恒久的なものをあそこへ作るということについてはどうも
理解
ができないのですが、やはりさっきも言っているように、
交通
上の問題ももちろんあるでしようし、
空気
の
汚染度
の問題もあるでしようし、
一般
の
国民
だって、金があって、余力があれば、ほとんどみな
郊外
に
住宅
を作るのが
実例
ですから、そういう点から
考え
てみても、どうも
現状
の
位置
に
宮殿
及びお
住居
を作るということについては、どうも私
ども
としては
一般
的に
理解
かできないのですが、
宮内庁
として、もちろん
審議会
としてきめられたことではありますが、
宮内庁自身
としても、
現状
の場所がいいという強い意欲を持っておられるだろうと思うのですが、その点についてお聞きかせ願いたい。
瓜生順良
12
○
政府委員
(
瓜生順良
君) お
住居
の
位置
について、われわれ
事務当局
の者も、
郊外
にどつか適当な所があるかどうかということも
調査
をいたしましたですけれ
ども
、どうもこれならばというような所がなかなか
宮内庁
としては見当たらなかったのであります。一方、
吹上御苑
の
あたり
の
空気汚染度
は、先ほど申し上げましたようなことで、
石神井あたり
と大体同じくらいで、特に悪いということもなく、良好のようでありますし、それから、もちろんあそこにお住みになっておってお
気持
にも合っているように察せられまするし、それから
宮殿
との距離も、すぐくつついてはいないで、ちょっと離れていて、しかも歩いていかれて十分くらいということで、まあそういうような
関係
もよろしいのじゃないかというふうに
考え
て、この
吹上御苑
というふうに一応
考え
ております。
皇居造営審議会
の方もいろいろ言われて、お
住居
というものはやはりお住みになる方のお
気持
が一番大事ではないかというような点もあり、といって、また客観的な点も
考え
なければいけないというようなことで、いろいろな点を
考え
られて、先ほど申し上げたような
答申
を出したものと思われるわけであります。
大矢正
13
○
大矢正
君 さっきの
発言
の中に、
答申案
の中にももちろん出ていましたが、
寄付金
という問題がありますね。これは、積極的に
寄付金
を
募集
するということなのか、黙つていても持ってくるから、持ってくるものはどういうふうにするのか。これは
答申案
は
答申案
としても、
宮内庁
としてどういうお
考え
を持っておられるのか。単に、
売名
的な
寄付金
はお断わりするといっても、実際問題として、
売名
であるかどうかという判断もなかなかむずかしいと思うのですが、前の東宮御所のように、一万円で入札するというような形でも現われてくるでしようが、そういうような形ではなく、別な形でも
売名行為
というものが行なわれると思うのですが、
寄付金
によって
造営
をするというのは、一体
宮殿
の
部分
をやるのか、お
住居
の方をやるのか、全部を含めて
寄付金
は受け入れるというのか。それからもう
一つ
は、
寄付金
というものを積極的に
募集
をせられるのかどうか、この点のお
考え
をお聞かせいただきたいと思います。
瓜生順良
14
○
政府委員
(
瓜生順良
君) この
寄付金
は、積極的に大いに集めようというような意図は
事務当局
は持っておりませんし、それから、
皇居造営審議会
の御
答申
も、
国民
から自発的に
寄付
の
申し出
があればという点で、要するに、こちらから勧誘するのではなくて、ぜひ
寄付
をしたいという
申し出
がある場合は、そうした人の
気持
を受けないで
シャット
・アウトするのも人情に反するから、そうした
気持
を実現できるように受け入れる。しかし、受け入れるが、それは
弊害
のないように、特に
審議会
で強調いたしおりますのは、
強制
にわたるようなことが一番いけない。よく
地方
なんかに割り
当て
て、どの
地方
は
幾ら
、どの
地方
は
幾ら
というように割り
当て
たり、あるいは学校の生徒を使ってやったり、そういうような
強制
にあたるようなことはいけない、その点は特に注意する必要があるというようなことがありました。
売名宣伝
の方は、これも、今おつしやったように、厳格に
考え
れば、なかなかむずかしい点があるかもしれません。しかしながら、良識的に
考え
て、そういうものはいけないのだということでいくべきだということであります。 そういうように
寄付
は受けまするが、何に充てるかといいますと、これは
皇居
の
造営
の資に充てるためでありまして、お
住居
の方も
宮殿
も
両方皇居
に含まれるのでありますから、いずれの資に充ててもこれはよろしいということであります。特に、
閣議
の
決定
の際には、「
宮内庁長官
が定めるところにより、国が受け入れる」と、「
宮内庁長官
が定めるところにより」ということがありますが、これはどういうものをどういう
手続
で受けるかということを、
宮内庁
の
告示
というもので
一般
に
告示
をする。その
告示
の
手続
によって受けるようにするというので、そうした場合においても、これを特に
財源
として
当て
にするというようなことはあまり
考え
ないで、
国民
のそうした方の
気持
を生かすという精神的な面が主でありまして、
財源
として大いにそれを
当て
にするというようなことはあまり大きな
意味
はないわけで、実際問題として、
予算
の編成の場合に、
事務
的にいいますると、
予算
を立てまして、
大蔵省
の査定を受けて、それを
予算
に組みますけれ
ども
、その場合に、そのうちどれだけの
金額
は
寄付
をもって
考え
るというようなことは
考え
ないわけであります。ただし、後
年度
の方に行きますると、それを
国庫
の
歳入
にしておいて、これを
次年度
の際に、国の方の
歳入
にそれが入りますから、それが行きますると、いわゆる税金から回る分のほかに
寄付金
から入ってくる
歳入分
が、
予算面
の
皇居造営
のための
歳入
、それに振り合う
歳入
ということになるわけであります。その
金額
はそう多くなるものではないだろうとわれわれも思うのでありますが、その
気持
を生かす、
シャット
・アウトするのはよろしくないという、そういう精神的なものであります。
大矢正
15
○
大矢正
君 たとえば、
皇居
の
造営
に関して、お
住居
はもちろんですが、
国民
の間から
寄付金
を集めようというような動きが
運動
として起こつた場合には、
宮内庁
としてはどういう
態度
をとられるのですか。
瓜生順良
16
○
政府委員
(
瓜生順良
君) 特に
皇居造営
の
基金募集
のような
団体
を
作つて
大いに
募集
されるというようなことは、これはともすると
強制
にわたるというような危険があるのではないかと思いまするし、あるいはその主になってやる方の、そうでないものもあるかもしれませんが、
売名宣伝
になるというような場合もあるのではないかと思いますので、たとえば、
神社あたり
の
寄付金
を集める奉
讃会
というようなものがありますけれ
ども
、あれに似たような形で集められていくようなことは、われわれとしては好まないのでありまして、
告示
の際においても、そういうようなことはあまりやっていただかないようなことを、いろいろ
説明
できれば
説明
したいと思います。
大矢正
17
○
大矢正
君 個人が自主的にみずからの
気持
に基づいて
寄付行為
を行なうというのは仕方がないとしても、何らか
皇居造営
の今言われた奉
讃会
のような形で
一つ
の会を
作つて
、それに会員を
募集
して
金集め
をやるというようなことは、往々にして
強制
にわたる面が出てくると思うわけですね。ですから、そういう点については、やはり
団体
としてそういう
寄付行為
を行なうというものについては、これはやはり極力回避すべきじゃないかと私は思いますが、まあ
団体
といっても、法人の
会社
とか独立した一個の
会社
というのは別問題としても、その
寄付行為
をやることを目的として
団体
を結成して
金集め
をするというような
運動
が起こることについては、私
ども
はどうも賛成いたしかねる。そういう点については、明確に
告示
として
宮内庁
から
態度
の表明がされるものかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。
瓜生順良
18
○
政府委員
(
瓜生順良
君) その点は、
告示
の文章の中には、
強制
にわたるものはいけないとか
売名宣伝
になるものはいけないというふうに出ます。それに対する
説明
として、
宮内庁
として
説明
する際にそういうようなことも、そういうようなのはいけないのだというようなことを言いたいと思っておるわけであります。
大矢正
19
○
大矢正
君 これは
大蔵省
の方のことになるかどうか知りませんが、
寄付金
がかなり多額に集まつたというような状態の場合に、会計上はどういうようになるのですか。
小熊孝次
20
○
政府委員
(小熊孝次君)
寄付金
につきましては、これは通常の取り扱いといたしましては、
一般
の
歳入
に入れると、こういうことになるわけであります。
大矢正
21
○
大矢正
君
国民
は、目的としてこれは
皇居造営
に使ってもらいたい、こういうことに
寄付行為
をするのですね。その金は目的が明らかになっているものですから、
一般
会計の中にどこで使われるかわからないという形で入れるということは、どうも
国民
の意思とは反する格好になると思いますが、それは
皇居造営
の費用だけに充てられぬということになりはしないかどうか。もしそうなった場合に、
予算
措置としては、当然
皇居造営
に必要な金を継続費か何かで毎
年度
組まれているわけですから、その
寄付金
というものは予定しないで
予算
というものは組まれる。そういう
経過
を経て
寄付行為
が最終的に多額に上つた場合に、どうなるかということです。
小熊孝次
22
○
政府委員
(小熊孝次君) ただいま申し上げましたように、
一般
歳入
に入りますが、
寄付金
の実績――相当大きな
寄付金
が入ってくる、もちろんその
寄付
の
趣旨
が
皇居造営
の目的であることは言うまでもない、こういう場合におきましては、その
寄付
の実績というものをつかんで、それによって
皇居造営
の
経費
にどういうふうにあんばいしていくかということは、当然
考え
るわけであります。ただ、現金でございますから、入つた以上は
一般
会計の
歳入
に入ってしまいます。具体的な取り扱いといたしまして、もちろん、入ってすぐというわけには参りません。歳出の方は
国会
の御
審議
、
議決
を経て
決定
するわけでありますから、それをその
皇居造営
が何年かかかる間におきまして歳出
予算
の方であんばいをして使って参る、そうして当初の目的が達せられるようにしていくと、こういうようなことになっております。
天田勝正
23
○
天田勝正
君 ちょっと二、三点お伺いしますが、今回提案の
趣旨
が、今までのお
住居
は防空壕にひとしいものだからと、こういうことなんですが、それはもうだれでも、防空壕を出て普通のバラックであろうと住まうようになったのでありますから、当然だと思うのですけれ
ども
、今までの施設というものは一体どういうものなんですか。
防空施設
として作つたのだというのだけれ
ども
、どんなものだったのかわれわれにはちつともうかがい知れないので、概略でも
一つ
説明
願えれば幸いだと思います。
瓜生順良
24
○
政府委員
(
瓜生順良
君) 今までの施設は、これはちょうどこの前の大戦の起きましたときに、大急ぎに作られました
防空施設
でございますが、一番下の方が要するに防空壕で、ほんとうの地下室であります。その次の所が機械室とか、それから中二階の所にちょっと調理場がある。その平面となる所、地面と同じような所に、一階のずっと広さの部屋がある。鉄筋コンクリート作りでありますが、非常にがんじようで、その屋根の所もずっと砂を詰められたりして、一トン爆弾が直接来ても通らないようにがんじように
作つて
いるということであります。その一階の地上の
部分
の所にお住みでありますが、数年前に、そこにお住みになるにしても、これはあまりにひどいからというので、それをいろいろ水を抜いたり、あるいは天井を直したり、壁を直したり、いろいろ改装いたしまして、そこで御生活をなさるというようになってきておつたわけであります。その
部分
が、
防空施設
全体ですと七百何十坪ですか、その平面でずっと御利用になっていた所が約丁百坪ということであります。
天田勝正
25
○
天田勝正
君 そうすると、今度、もとの御文庫を改装して、その食堂、調理室等の改装をするのだというお話でありますが、それを今回改装して使うという場所は、今の平面になっている
部分
だけを使って、あとはもう使わない、そういうことですか。
瓜生順良
26
○
政府委員
(
瓜生順良
君) いわゆるほんとうの防空壕になっている所はこれは使わないわけでございますから、機械室とかその中二階のちょっと調理場みたいな所、これは使いますが、それから平面になっているその
部分
、現在お使いになっていまする
部分
、これを使うわけでありまするが、ほんとうの平素の御生活の本拠は新築の方で、それに付随した、映画なんかをごらんになるちょっとした広間でありまするとか、それからちょっとお客が見えた場合の御食堂とか、それからいろいろ物置とか、それからなおお付きの者の待従とか女官の
関係
の部屋、そういうようなものにこの
防空施設
の改造した
部分
を使用するわけでございます。
天田勝正
27
○
天田勝正
君 この建築費を坪当たりに割つてみますと、付帯設備費というものを除いて三十四万四千円という数字が出てくるわけですが、これは通常の最近建っている建物とするというと、どの程度の建物に匹敵しますか。
瓜生順良
28
○
政府委員
(
瓜生順良
君) 私
ども
聞きました程度ですと、実業界の方の社長
あたり
で相当いい邸宅を
作つて
おられる、そういうのはやはり坪当たり三十数万円のようであります。この御文庫の方の
関係
は、建築費といたしますると、この新築費は一億四千百万円のうち一億五百万百で、これを四百坪で割りますと約二十五万六千円になります。で、そう特に高級というものではございません。
陛下
のお
気持
をおくみしまして、あまりぜいたくにならぬようにということで、そういうことになっているわけでございます。
天田勝正
29
○
天田勝正
君 それは、ここで高い安いを
議論
しているのじゃないのですよ。ただ、通常の場合に木造で本質を選んだ場合には、どんな鉄筋コンクリートよりも高くなる、これは常識なんです。それだって、特別な暴利をむさぼらない限りは、十二、三万円なんですよ、普通は。特に国有財産を取得されるのですから、国有林野からちょっと切つてきたりして、かなりむしろ普通よりも私ら安く上がるのじゃないかとさえ思われる。三十四万円というものが今高いとか安いとか、そこまで言うのじゃないのであって、ただ、今できておる建物とすれば、われわれがその辺に見るビルなんだけれ
ども
、どの程度のものかということを聞いているのです。それは次長でなくてもいいのです、だれか知っておられれば。
瓜生順良
30
○
政府委員
(
瓜生順良
君) 今建っております普通のビルは坪二十万からまあ三十万で、そのうちまあ重役室の
部分
になりますと、これはもうその部屋によって違いますが、これは三十万も四十万もかかる。で、ここにありまする建築費というのは、単に骨組みだけでありませんで、中の仕上げの
経費
も含んでおります。じゆうたんを敷くとか、壁をどうするとか、天井をどうするとか、そういう仕上げの
経費
も含んでおるわけでありまして、まあ普通に今津つておりますビルデングの、まあその中の非常に安上がりのものは別といたしまして、普通
一般
にやっておりますものとあまり変わらない。
天田勝正
31
○
天田勝正
君 御文庫の改装費ですが、これは一千二十一万円と、こうなる。五百坪、全部を合わせればあるというのですけれ
ども
、その間に使う
部分
はどのくらいなのか、坪数にしましてですね。それで、しかも使う
部分
の全部を改装するのではおそらくなかろうと思うし、そうすると、何か腰だめ見当だけれ
ども
、一千二十一万円というのはずいぶん膨大なかけ方という気がするのですが、この点はどうですか。
瓜生順良
32
○
政府委員
(
瓜生順良
君) これはまあ、正確な数字をちょっと今手元に持っておりませんが、まあお使いになるのは約五百坪といいますると、一千万円ですとちょっと二万円になります、坪当り。で、その改装する場合に、現在の間仕切りを変えるようなものもございます。で、玄関の
あたり
のところも変えまするし、いろいろ部屋の模様変えをいたします。そういうようなのが千二十一万円として、七百八十三万。それから、現在給排水衛生設備、そういうものが必ずしもこのままでは感心しないので、そういうような給排水衛生設備、そういうものが百四十三万ですか、そういうものがございます。その他、機械の設備、これが七十三万、電気の設備が、十一万、合わせて千二十一万というふうになるので、まあ技術的にいろいろわれわれも聞きましたのですが、実際として、そうむだなものを使って、むだな金を使うようなやり方はやってないので、相当節約した
計画
であると思います。
天田勝正
33
○
天田勝正
君 どうも、さっきから質問していると、何かけちをつけているように聞こえる答弁なんですが、まだ高過ぎるとか安過ぎるとか、そこまで言っていない。そういうけちをつけていないし、むだ使いをしているのだということを言っていないのだから。しかし、普通の常識からすると、えらく離れておるのですよ。もともとあったのでしよう。あったものを改装するのに、普通の常識からすれば、千二十一万円なんというのはおそろしくまあ高い。それから、かなり設備のいいものを作る場合には、
設計
料等にかなりかかるのです。これは一割、もっともいいのは二割もかかるのですが、これはもともと笹財局の方でやられるのでしよう。当然、そういうことであるから、その
設計
料等はゼロになるのだろうと私は思う。ですから、改装するのに、
設計
するといったって、そんなに、もとにあるものに何かをつけ足す以外にないですから、全然新築と違つておそろしいその費用はそこに加算されないはずだと思う。だから、それが
説明
されればいいのであって、それがわからないからそういう質問をしているのであって、まだ疑うところまで行っていないのだから、そのつもりで答えて下さい。
瓜生順良
34
○
政府委員
(
瓜生順良
君) それでは
専門家
から……。私
ども
、こまかいことはわかりませんので。
小幡祥一郎
35
○
説明員
(
小幡祥一郎
君) 御
説明
申し上げます。ただいまの一千万の概要を概略御
説明
申し上げますと、ただいま次長の答弁のように、大体平屋の
部分
が、一階の
部分
が約五百坪足らずでございますから、平均しますと二万円ということでございますけれ
ども
、その中で
陛下
がお使いになるおもな所は中央に大きなホールがございましてニュース映画などをごらんになる所がございます。それから、そのほかお客さんが見えたときに会われる応接間、あるいはやや大きい食堂のようなもの、あるいはそれに付属した便所とか、あるいは廊下とか、そういうものがございます。そういう所を、戦争中に作りました防府壕であるために、今から数年前に改修をしたわけでございますが、やはり戦争中の非常に急いだ工事であるために、建物が、構造自体にやや欠陥がございまして、天井がかつて一
部分
剥離したこともございますので、そういうものを相当徹底的に直さないといけないと思います。そのほか、新しい
部分
ができますと、間仕切りを作り直したり、あるいは映写設備な
ども
不完全でありますから、そういうものをもう少しいいものにしたり、それから玄関の車寄せも、今、屋根が小さいために、出入りの場合に雨風が当たってうまくさばけないということがございますので、少し大きな屋根をつける。あるいは調理場が、今地下一階にございますけれ
ども
、非常に湿度が高くてうまくいかないものですから、それを地上の一階の
部分
に施設するというようなことでございますが、私
ども
技術屋といたしましても、普通の建築の常識と少し違つた単価、金が出てくるのでございます。それはやはり防空壕であって非常に壁が厚いものですから、パイプ一本通すのにも非常にべらぼうな金がかかる。それで一応ごく概略の
設計
をして見積もりをしたのが、この程度の金でございます。
天田勝正
36
○
天田勝正
君 私は、実物を見ていないから見当はつかないのだけれ
ども
、御文庫改装費だけを見ても一千二十一万円だとすれば、かりにこれを定期にして、その利息だけでも――みみっちい話だけれ
ども
、七十万円やそこらにはなるのです。そうなんだから、それで借りるとすれば、もっと普通の常識からすればすばらしいものが借りられるのですよ。それからさらに、なるほど戦時中
作つて
こうだこうだという
説明
もわかるけれ
ども
、一面、天皇の権威が非常に高かったというときに作つたものだから、普通にわれわれが今
考え
る以上に、かなり私はりつぱなものができておるのだろう。しかも、
陛下
でさえ今までそれでがまんされておつた。今度はそこに侍従なんかが入られる、こういうわけだ。侍従だから何でもいいという理屈を言っておるのじゃないのだけれ
ども
、それじや金をかけて、
陛下
だって今までがまんしておったものを、ほかの者が今度は使うというのならば、どうも話がおかしいのだよ、普通の常識でね。それがわかるように
説明
願えれば幸いだと思う。
瓜生順良
37
○
政府委員
(
瓜生順良
君) 今ほど工
務課長
から申し上げた
通り
なんでございまするが、改装と申しましても、先ほ
ども
申しましたように、間仕切りを変えたり、あるいは屋根の
部分
を改造したり、それからベランダのところの窓のところも改造するとか、玄関を改造するとか、そういうような
関係
の点が――また調理場の
関係
もあるとか、そういう点が相当ありますものだから、これだけかかるのでありまするが、
陛下
がお使いになる
部分
については、相当全心を入れて改装するのですが、今申されました侍従とか女官の方の部屋というようなことについては、そんなに手の込んだことはやらないことになっておるわけであります。
天田勝正
38
○
天田勝正
君 だから、五百坪だといったところで、実際手を加えるところはわずかになってしまうのです。だから、五百坪であるから三万円という数字が出てくるのだけれ
ども
、これが百坪ならえらい数字になるのですよ。だから、妙だと私は聞いておるのです。実際の図面なんかここにあってすれば、そういう疑問が氷解するかもしれない。 それから、さっき車寄せの今までのを不便だといったところで、これもまたおかしい。
陛下
のときだって、今の事寄せを使っておるのですよ。それを、
陛下
が、新しいお
住居
ができてそつちをお使いになる。ところが、今度は、もとの方はまあ一応付属建物として、
陛下
もお使いになるが、しかし他の人も使う。そういう場合になって、今まで
陛下
ががまんしておった車寄せを、今度は下の者が――新しいお
住居
の方を使われると思うのだけれ
ども
、それをさらにまたそつちまで、車寄せまで改造しなければならぬという私は理屈がわからないのですよ。 それで、つくづくこの提案理由の
説明
をこの聞いて、私不思議に思っておつたのですが、これはおそらく政務次官が提案されたと思うのだが、今度の提案理由の中には妙な言葉が出てきた。「御文庫に連接して」というので、わずかな言葉だが、今まで私は聞いたことがないのだな。普通「隣接して」と、いうのだが、隣接していても、廊下つなぎもあれば、渡り廊下もあれば、いろいろある。本院の場合だって、うしろの常任
委員会
本庁舎はトンネルで続いておるのだけれ
ども
、それを連接とはいわない。だから、連接というには何か
意味
があるだろうと思ってさっきから質問を上しておったら、たまたま車寄せなんていら言葉が出てきたのです。そうすると、これ、あれですか、今度の新しい建物の方から続いていくということじゃなくて、別に侍従さんなんかという者はそつちの方の車寄せから出入りすると、こういうことですか。
瓜生順良
39
○
政府委員
(
瓜生順良
君) この車寄せは、やはり、
陛下
がお出になる車寄せでございまして、現在の御文庫の裏側のところに二階建ができますと、廊下で今の御文庫に連接されて、表玄関は、今の御文庫の玄関のところが
陛下
の表玄関になるわけであります。そこに侍従とか女官がおりますが、現在もそうですが、それは横の方にもっと簡単な出口があります。そこから出入するので、将来この改造後も、侍従とか女官が今申しました改装する車寄せから出入りするという
意味
のものではございませんので、このもとの建物も改装して、これはやはり
陛下
のお
住居
の一部として使われる、その玄関はもとの所にあるというような形のものでございます。そこで、まあ「連接して」というような言葉が出たりしておると思うのでございます。
天田勝正
40
○
天田勝正
君 政務次官に伺いますが、初めて連接という言葉に接したのだが、これはどういうことですか。つながつているのなら、隣接だってつながつておりますよ。
前田佳都男
41
○
政府委員
(
前田佳
都男君) お答え申し上げます。実は私も、まことに恥しい話ですが、御文庫を実はじかに見たことがございませんので、はたして私の答弁がほんとうに当を得た答弁ができるかどうか、疑問でございますが、この「連接して」という
趣旨
は、渡り廊下でつなぐという
意味
だというふうに私は
考え
ております。
天田勝正
42
○
天田勝正
君 ところが、そういうことはほかに隣接の場合でもざらなんだと言うのです。それで「連接」というのを使っているから、これは皇室用語でないのかと私は実は推定したのです。普通、渡り廊下からつながつていようと、屋根だけでつながつていようと、通称は別棟なら隣接と言っているのですよ、いつの場合でも。それがここだけ、
説明
の方も参考資料の方も、みな「連接」というのです。何の意義もないのですか、これは特別。
武樋寅三郎
43
○
政府委員
(
武樋寅三郎
君) これは、今のお話のように、
宮中
だけの言葉ではないのでございまして、われわれの方で
考え
ました言葉でございますが、まあ「連接」というのは渡り廊下でつなげるというような
意味
でございまして、「接」の方は、接触いたしておりませんが、まあつながつているというような
意味
で書いたつもりでございます。別に他意はございません。
天田勝正
44
○
天田勝正
君 この際、法
規課長
にちょっとお伺いしておきますが、実をいうと、あなたに伺うのは少し無理なんだ。それは本院で
議決
した条文なんですから、
議決
した諸君にも責任があるのだが、しかし、原案の提出者としても
大蔵省
に責任があるので聞くのですが、十三条のおよそ条文ぐらい私は妙なものはないと思っているのです。だれが見ても、これを
日本
語流に読んだらわからなくなると思う。すなわち「国有財産を皇室用財産としようとするときは、
国会
の
議決
を経なければならない。」、ここまでは第二項として明瞭なんです。ただし書きから以下は、だれもわからぬと思うのです。「但し、当該財産の価額が三百万円以上である場合を除く外、」と、こうしてある。そうすると、
議決
要件というものが、普通の常識からすれば、三百万円以下ならば除くと、こういうならわかるけれ
ども
、三百万円以上のことです。そうすると、三百万円以上になったら
議決
を要するのにかかわらず、「三百万円以上である場合を除く外、」と、こう書いてある。そうしてさらに、「毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その取得し、又は皇室用財産とする財産の価額の合計額が三千万円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。」と、こう書いてある。普通、これは
日本
文として読んだ場合には、要するに三百万円以上になったら
議決
を要さなくてもいいと、こう読むし、それから一方は年額の――いろいろなものがあって、その合計額が三千万円以内ならばいいと、こういう
二つ
になってくるのです。この書き方たるや、おそろしいまあ混乱なのであって、これは本来からすれば、三百万円以内である場合を除くと、こうして、一件三百万円以内のものが総計三千万円に達するに至るまではこれを除くと、こういうふうに書けば、条文としては実に明瞭なんです。これはさっきのただし書きの初めの方と次の
部分
とを「この限りでない。」一番しまいにかけたのに違いない。そういう連接でかけられたのでは、まことにこっちは迷惑しごくなんだが、これは直されたらどうですか。
武樋寅三郎
45
○
政府委員
(
武樋寅三郎
君) この法案ができ上がりましたときに私は
関係
しておりませんで、いきさつはよく承知しておりませんが、ただいま先生のおつしやったお
気持
は十分よくわかると思います。われわれにいたしましても、非常にまあややこしい表現であるということは感じておるわけでございますので、解釈の仕方も、今、先生のおつしやった
通り
でございまして、今後まあ改正する機会におきましては、適当に
一つ
わかりやすく改正いたしたいと思います。
大矢正
46
○
大矢正
君 資料を……。
皇居造営審議会
の
答申
ですね、これは
委員
には配つてないと思うんだが、これはぜひ見せてもらいたい。
杉山昌作
47
○
委員長
(
杉山昌作
君) ほかに御
発言
もなければ、これにて
質疑
は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
48
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないものと認めます。 これより討論に入ります。御
意見
のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御
意見
もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
49
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認めます。 これより採決をいたします。「
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の
議決
を求めるの件」を問題に供します。本件に
異議
ない方の御挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
杉山昌作
50
○
委員長
(
杉山昌作
君) 全会一致でございます。よって、本件は全会一致をもって
異議
ないものと
議決
いたしました。 なお、諸般の
手続
等につきましては、先例により、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
51
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認め、さよう
決定
いたします。 ――
―――――――――――
杉山昌作
52
○
委員長
(
杉山昌作
君) 次に、
道路整備特別会計法
の一部を改正する
法律案
及び
特定港湾施設工事特別会計法
の一部を改正する
法律案
を一括議題とし、両案に対し
質疑
を行なうことにいたします。
質疑
のある方は順次、御
発言
を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
杉山昌作
53
○
委員長
(
杉山昌作
君) 速記つけて。
大矢正
54
○
大矢正
君 三十三
年度
を起点として
計画
をされて、すでに現在
実施
中の
道路
整備五カ年
計画
、まあ俗にいう一兆円
道路
、これは
現状
どういうように進展をしているか、
予算
の面、それから事業の面で概要を御
説明
いただきたいと思います。
佐藤寛政
55
○
政府委員
(佐藤寛政君) ただいま
実施
いたしております
道路
整備五カ年
計画
は、三十三年から三十七年までのものでございますが、この総投資は一兆円でございますが、いわゆる五カ年
計画
といたしまして国費の
関係
いたしております分は、事業費にいたしまして八千百億円でございます。この八千百億円の事業は、大きく分けまして公共事業と有料
道路
事業と、こういうふうに分かれるわけです。公共事業で申しますと総額六千百億円、有料
道路
事業が二千億円、こういうことに相なっております。 三十三年は第一
年度
でございまして、必ずしも後ほど申すような工合に
予算
、事業量はなっておりませんが、三十四
年度
、三十五
年度
は、年々の事業量でございますが、この事業量は、この事業を
実施
いたします場合の
財源
、その
財源
のうち主たるものであるガソリン税、このガソリン税の予想額を五カ年間にわたって推定いたしまして、そのガソリン税の割合におおむね比例配分的に
考え
まして事業量を推定いたし、
予算
を要求して参つたのでございますが、もっとも、これもこまかく申しますというと、機械だとか
調査
というように、こういうものは事業の
関係
上そう参りませんが、大体ガソリン税の割合で事業費を要求して参りまして、三十四
年度
、三十五
年度
はほとんど要求に変わらないものを
実施
いたしておる状態でございます。そういうふうにいたしまして、三十五
年度
、本
年度
までを通算いたしてみますというと、公共事業におきましては、五カ年
計画
のちょうど、今
年度
が終わりますというと、五三%ほどの進捗率になります。これは第一
年度
の三十三
年度
が割合に少なかった
関係
でございますが、とにかく五三%に相なります。それから、有料
道路
の方は、通算いたしまして三十五
年度
を含めまして三六%ほどの進捗率でございます。
大矢正
56
○
大矢正
君 あとからの質問に
関係
がありまするし、出てくるので、具体的に数字をお伺いしたいのですが、三十三、三十四の実績、三十五の予想、これのガソリン税の収入、それから
一般
会計からの繰り入れ、そうして三十三、三十四両
年度
の
道路
に注ぎ込んだ
予算
の総額、それから三十五
年度
の予想と、こういうものを数字の上で具体的に明らかにしていただきたい。
佐藤寛政
57
○
政府委員
(佐藤寛政君) 公共事業で申しますというと、まず事業費総額でございますが、三十三
年度
八百三十二億、三十四
年度
千百三十九億、三十五月度千二百三十七億、これが事業費でございます。それから、ガソリン税を申し上げてみますというと、ガソリン税は三十三
年度
五百六十七億、三十四
年度
八百億、三十五
年度
九百六十三億でございます。それからさらに、
一般
財源
を含めました国費で申しますというと、三十三
年度
六百二十一億、三十四
年度
八百八十八億、三十五
年度
九百八十七億、こういうことになります。
大矢正
58
○
大矢正
君 三十五
年度
までは実績と予想が出ていますからいいのですが、三十六年、三十七年と、あと二カ年間五カ年
計画
としては残つているわけですが、ガソリン税の伸びというものをどの程度お
考え
になっておられるのか。具体的に
現状
の税額を
当て
はめて計算をして、三十六
年度
のガソリン税収入、それから三十七
年度
のガソリン税収入というものをどの程度お
考え
になっておられるか、お答えをいただきたいと思います。
佐藤寛政
59
○
政府委員
(佐藤寛政君) これは非常にむずかしいことでございまして、実は私
ども
の方でいろいろな資料から計算いたしますと同時に、運輸省、それから通産省、もちろん
大蔵省
、まあ方々の
機関
に御連絡いたしまして見通しを立てておるのでございますが、ただいまのところの私
ども
の建設省だけの推定といたしましては、ただいまのところで今後三十七年までを推定いたします。と、ガソリン税としては四千五百八十五億ぐらいが期待されるのではないか。そのうち、先ほど私が三十三、三十四、三十五、この数字を申し上げましたが、この三カ年の合計が二千三百三十億と、こういうことにたしかなると思いますが、つまり差し引きまして二千二百億ほどのものが今後二年間に期待されるのではないだろうかというふうに推察をいたしておる次第でございます。もちろん、これはなかなかむずかしいことで、私
ども
だけの推察でございます。
大矢正
60
○
大矢正
君
地方
団体
の中からガソリン税の収入が予想以上に伸びるのではないかというような前提もあるし、もちろん
一般
会計からの繰り入れも
考え
て、
道路
整備五カ年
計画
の一兆円
道路
というものをこの際修正をして、
明年度
を始点として倍額の二兆円
道路
の
計画
を
作つて
はどうかというような
意見
や要望というものがかなり強く出ているようでありますが、建設省としてその辺に対する
考え方
があったら聞かせていただきたいと思います。
佐藤寛政
61
○
政府委員
(佐藤寛政君) ただいま
道路
整備五カ年
計画
によりまして相当大
規模
な
道路
事業を展開いたしておるわけでございますが、一方、
交通
の実態を見ますというと、一級国道を中心にいたしまして、かなり
道路
の整備は進みつつあると私も
考え
るのでございますが、それにいたしましても、
道路
全体をながめますというと、まだまだ未整備のものがたくさん残つておりますし、一方、
自動車
の
交通状況
を見ますというと、非常に予想以上発達しておりまして、
道路
の整備につきましてはさらにさらに大幅に進めていく必要が、
交通
事情
等の
関係
においてはあるのではないかというふうに
考え
ております。本
国会
におきまして
道路
関係
の
予算
その他を御
説明
いたしておりますに
あたり
まして、ただいま先生のお話しのように、この程度の
計画
ではまだ不十分ではないかというような、もっと拡大する必要があるのではないかという御鞭撻も、たびたび実は私はいただいたわけでございます。一方、
地方
からもそういう要望も強い次第でございます。なおまた、この主たる
財源
であるガソリン税の伸びも、あるいは先ほど申しましたように期待している以上のものがさらに
考え
られるかもしれませんし、その辺を勘案いたしまして、この際
財源
とにらみ合わせて、また
交通
事情
等の
関係
において、
道路
整備をさらに進める
方法
を
考え
る必要がある、こう思いまして、
事務
的にただいま
研究
をいたしておる段階でございます。
大矢正
62
○
大矢正
君 古い話はいいとしても、五カ年
計画
が出発をした三十三
年度
、三十四
年度
、そしてもちろん本
年度
も入りますが、ガソリン税以外に
一般
会計から
道路
整備に繰り入れた
金額
というものは年次ごとにどのようになっているか、念のためにちょっとお聞かせいただきたいと思います。
佐藤寛政
63
○
政府委員
(佐藤寛政君) 数字を申しますというと、
一般
財源
から
道路
特別会計へいただきました
金額
は、三十三
年度
五十四億、三十四
年度
八十八億、三十五
年度
二十四億、こういうことに相なっております。
大矢正
64
○
大矢正
君 今回、従来まで行なわれてきた交付公債といいますか、
地方
債証券による
道路
整備に対しての資金繰りは、いろいろの
事情
があって行なうべきではない、すなわち現金納付すべきであるという法律改正が提案されているわけでありますが、事実上の問題として、もしこれが行なわれた場合に、
地方
負担というものが確実に現金納付されるかどうかという点に多くの疑義が出て参っております。もちろん、起債は認めるという自治庁の方針もあるようですけれ
ども
、この起債というのは、
現状
では全額ではないということから推して、
道路
整備のうち特に
地方
負担の金が集まらないというような事態が出てくるのじゃないかというように
考え
るのですが、この点について建設省としては事業を
実施
する上においてどうお
考え
になっておられるか、念のためにお聞きしておきます。
佐藤寛政
65
○
政府委員
(佐藤寛政君) このお話を私
ども
が初めて承つたときには、ただいま先生の御指摘のように、いろいろの点におきまして事業が円滑に進捗いたします点について心配をいたしたのでございます。その後、
関係
各
機関
と御相談を進めて参りますにつれまして、なるほど現金納付ということではございますが、起債の御心配といろいろと
地方
財政
の
計画
の上で十分な御配慮がされると、こういうことになっておりまして、ただいまのところでは、そういう措置が十分に行なわれることを期待いたしまして、事業資金については心配ないものと思っている次第でございます。
大矢正
66
○
大矢正
君 自治庁は来たんでしよう。
杉山昌作
67
○
委員長
(
杉山昌作
君) 自治庁は参りました、松島財
政課長
。
大矢正
68
○
大矢正
君 今も建設省にお伺いをしたのだが、本
年度
から
地方
債証券、交付公債を認めないという立場をとられるについては、当然事業の遂行に必要なための措置というものがあわせて行なわれなければならないのだが、
地方
で負担する二百億以上もの
金額
を自治庁としてどういうふうにお
考え
になっておられるか。話によるというと、起債を認めるというような
意見
もあるようでございますが、最終的にはこれをどう処置されるか、具体的に御
説明
いただきたいのです。
松島五郎
69
○
説明員
(松島五郎君) ただいま
お尋ね
のございました国の特別会計に所属いたします公共事業の
地方
負担の問題につきましては、三十五
年度
は二百三億を一応予定をされております。その二百三億のうちで、百六十億は
一般
地方
債をもって充てるべく、
地方
財政
計画
並びに
地方
債
計画
に所要の計上をされております。差額四十三億が当該
地方
団体
の
一般
予算
によります
財源
で持つわけでございますが、この点につきましては、
地方
財政
計画
により所要の
財源
措置を計上いたしますとともに、交付税法の改正を通じまして所要の
財源
措置を講ずるべく、単位費用の改訂その他をいたしておるわけでございます。
大矢正
70
○
大矢正
君 具体的には、その四十三億というものは
地方
で現金納付をするという形になるわけですか。
松島五郎
71
○
説明員
(松島五郎君) その
通り
でございます。
大矢正
72
○
大矢正
君 そうすると、自治庁としては、四十三億程度の
地方
の現金納付というものは、
現状
の
地方
財政
から推して可能であるという見通しの上に立ってやられておるわけですね。
松島五郎
73
○
説明員
(松島五郎君) 御承知の
通り
、
地方
財政
計画
を立てまして、毎
年度
地方
負担の総額並びにこれに対する
財源
の対応
関係
をそれぞれ見ました上で、必要な
財政
措置を講じておるわけでございます。三十五
年度
は、もちろんこの二百三億を
地方
団体
が現金をもって納付するという前提のもとに
地方
財政
計画
を立てまして、その所要
財源
といたしまして、一方においては起債百六十億を予定いたしますとともに、残りました四十三億は交付税、あるいは税収その他をもって充てるということで、
計画
を立てておるわけでございます。なお、具体的な問題といたしましては、個々の
地方
団体
に対しましては、交付税法の改正によりまして、
関係
行政項目の基準
財政
単位費用の増額をいたしまして、基準
財政
需要額の増額をはかつて、それによって現金納付が可能なようにして参りたいと
考え
ておるわけでございます。なお、起債の具体的な配分
方法
につきましては、目下
関係
の担当の課において
検討
中でございますが、今申し上げましたような交付税を通じて行なわれます
財源
措置の個々の
団体
に対します
財源
付与を考慮いたしまして、それに対応して起債を割り
当て
ていく、こういうふうな
考え方
をもって遺憾ないようにして参りたいと
考え
ておる次第でございます。
大矢正
74
○
大矢正
君 国の直轄事業としてのこの
道路
だけが、
地方
としては問題じゃなくて、
地方
にはそれぞれ急速に整備をしなければならぬ
道路
というものがありまするし、これはまあ
地方
住民の強い要望でありますから、勢いこの県ないしは市町村の段階で、国の直轄事業の
道路
整備とあわせて、
地方
の
道路
というものも精力的にこれを整備しなければならぬという課題を今持っているわけですから、たとえそれが四十三億という現金納付は三十五
年度
わずかではないかといいましても、
地方
にとりましては、今申し上げた
地方
の
道路
整備というものと
関連
をして、なかなか負担が大きいと思うんですね。そこで、あなたは、まあ交付税の中で云々という御
意見
もありますけれ
ども
、それは
一つ
のワク内で、交付税というワク内で動かしてみたところで、交付税総体として、特に
道路
整備に国が重点を置くから
地方
も重点を置くようにということでワクを広げない限りは、
地方
の負担というものはなかなか私は大へんなものだと思うんですがね。そこで、むしろ積極的に自治庁として
地方
の負担を減らすように、起債といいましても、
地方
債といいましても、やはり借金ですから、当然将来に影響が来まするし、それから従来まで三十三年、三十四年、あるいはそれ以前から交付公債でやってきたものの償還というものも当然近づいて参りますから、そういう
意味
においては、なかなかこれは
地方
自治体としては大へんなものだと。自治庁として、もっと
道路
整備について積極的に
地方
の負担を軽減をするような方向で、何らかの具体的な
考え
というものがないのかどうか、この点をお伺いしたい。
松島五郎
75
○
説明員
(松島五郎君) 御指摘の
通り
、
地方
負担を軽減して、
道路
行政なりその他の行政が伸びていくようにするというお
考え
、ごもっともでございます。で、御指摘のありましたように、百六十億円をたとえ起債で発行いたしましても、その元利償還金は将来に残される問題となるわけでございます。これまた御指摘がありましたように、過去において交付公債として発行いたしましたものの元利償還金というものも、
地方
財政
の上に相当な圧力となって現われてくるわけであります。 なお、過去に発行いたしました交付公債につきましては、これまた本
年度
地方
交付税法の改正をいたしまして、交付税の基準
財政
需要額を算定いたします場合に、その一定割合を
財政
力に応じまして共準
財政
需要額に算入して、個々の
団体
に対します
財源
措置を講ずることといたしておるのであります。 しかしながら、御指摘にありましたように、
地方
負担というものがなお相当額に上り、単に
地方
負担を
国庫
負担の裏として伴うのみならず、
地方
の単独事業として整備していかなければならない
道路
費も相当額に上がるわけでありますので、
国庫
負担の問題をさらに
検討
すべきではないかという御質問でございますが、
道路
につきましては、現在
道路
整備緊急措置法でございますかによって特別の国の負担割合も定められておる
現状
でもございます。従いまして、私
ども
としては、一律に
道路
関係
の
国庫
負担を引き上げるべきであるかどうかということについては、なお
検討
の要があるのではないか、こう
考え
ておるのであります。ただ、最近問題になっております未開発地域の開発というようなことに
関連
して取り上げられますこういった
道路
関係
の公共事業については、その
団体
の
財政
力等も勘案して、何らかの改善措置を講ずる必要があるのではないかということで、ただいま
政府
部内においていろいろ
検討
中でございます。
大矢正
76
○
大矢正
君 建設省からのさっきの数字の
説明
によると、三十三
年度
から三十七
年度
までの五カ年間におけるガソリン税の収入見込み四千五百八十五億というふうに当初はふんだ。それに対して三カ年間における見通しは、二千二百三十億、三十五
年度
まで、になる可能性がある。さらに残り二年間で二千二百億円残つておりますが、これはまた
ニカ年間
でガソリン税の確保ができることになる。もちろん、公共、有料ともに、
道路
事業というものは、私は事業の面では実際的におくれているとは思っておりますけれ
ども
、三十六年――まあ三十五年ももちろん私は予想以上の収入もあると思いますが、三十六年七年で大体千億ないしは千二百億程度の、ガソリン税の収入があれば、まあ
計画
通り
になるかならぬかは別としても、ガソリン税の当初の見込みとしては四千五百八十五億、約四千六百億というものが収入済みになると私は思うのです。
考え
てみますと、私は数字から推していって、最低四、五百億ガソリン税の収入は当初の目標よりは増収になるという分析をいたしておりますが、そういう点でこの増収
部分
は、全額かどうかは別としても、これは
地方
の負担を減らす方向に増収
部分
を振り向けても別に問題はないのじゃないかと思いますし、自治庁としても、実際問題として、ガソリン税の当初の見込みよりは増加になるという点を、
地方
負担の軽減に振り向けるという積極的な働きかけを
政府
部内において行なわれることは、私は何ら誤りじゃないと思いますし、しかも、
一般
会計からの
道路
整備への財百源の繰り入れというのは、三十三
年度
から三十五
年度
までで百六十六億しか実際問題としてはない。これはないにひとしいものでありますし、それから私が調べた範囲におきましても三十二
年度
以前でも同様なことがいえると思いますから、ここでガソリン税の増収
部分
はある程度
地方
負担の軽減に充てるという方針を自治庁
あたり
で
考え
て、これをどういう形でまあ充てていくかという、まあそれぞれ
地方
の実情もあるでありましようし、内容的なものもあると思いますが、そういう
考え方
を打ち出していかれるお
気持
ないですか。
小熊孝次
77
○
政府委員
(小熊孝次君) 仰せの点ごもっともでございますので、
道路
壌与税と国の揮発油税との割合をどうするかというような
考え方
で
検討
するという点もございましょうし、また、端的に
国庫
補助率を全般的に引き上げるという
考え方
もございましょうし、あるいは未開発地域の問題に限つて
国庫
補助の特例を
考え
ていくという
考え方
もあろうかと存じますので、その点につきましては、十分今後とも
政府
部内において
検討
を続けて参りたいと
考え
ております。
大矢正
78
○
大矢正
君 これはまあ、あなた、課長さんだから、あなたに
幾ら
言ってもしようがないと思いますけれ
ども
、
地方
自治体にしてみれば、従来まで交付公債があるがゆえに、国が勝手に
道路
を直し、そしてお前のところにこれだけ借金ができたぞといって押つつける。
地方
自治体の
予算
の中にはそういうものを盛り込まないから、結局いつの間にか借金ができてしまい、いつの間にか
道路
が、自分の好むと好まざるとにかかわらず、自分の意思を入れられないで
道路
ができ上がつていく。極端にいえばそういうような格好、これは
地方
自治体として
地方
自治を侵されているようなものですから、これは反対するのは当然だと思うのだが、反面では、それでは現金納付ということになった場合、その面に重点がかけられて、やはり自分で金を出さなければ
道路
が直らないから、何らか工面をして
道路
を直す。そうすると、逆に単独事業ができなくなる。こういうような実態が、非常に苦しみとして反面にあるというようなところですから、あなたの方少し積極的に、何ですか大臣か政務次官のように、善処しますとかやりますとかいうそういう答弁ではなく、庁内においても十分
一つ
地方
自治体の意のあるところをくんで、積極的にこれから努力してもらいたいと思うのですがね。 それから、建設省の方ですが、二兆円
道路
ということが
地方
自治体から盛んに言われておる。――私も、二兆円
道路
はけっこうなことだし、はたしてそれだけの事業が実際
現状
でできるかどうか、事業の
実施
の面で多少問題があるんじゃないかという気がするのですが、その場合にまた
地方
負担金ということになると、これは大へんな問題ですよね、実情として。そうそう起債起債というように
地方
債を認めるわけにはいきませんから、当然現金納付というものは多くなってくる。現在のままの形でいきますと、多くなってくる。こういう点につきましては、これは
地方
自治体としても、二兆円
道路
をやってもらいたい、来年から五カ年片面を再度
一つ
練り直してもらいたいという要望は持ってはいても、事実上
地方
負掛が多くなってくるということになると、なかなか問題が出てくる。それで、私もよく
地方
団体
の人に言うのですが、建設省としても、
道路
を早急に直したいという
国民
の要望を十分くんで、しかも
地方
自治体のそういう
財政
事情
等も相当考慮して、積極的に自治庁に援護をして、できるだけ
一つ
国費で、
道路
整備を国の直轄事業でやるのだという基本方針のもとに、
一つ
これから対策を立ててもらいたいということを、私は特にお願いをしておきたいと思います。
杉山昌作
79
○
委員長
(
杉山昌作
君) ほかに御
発言
もなければ、両案に対する
質疑
はこれで尽きたものと認めて御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
80
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認めます。 これより両案の討論に入ります。御
意見
のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御
意見
もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
81
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認めます。 これより採決に入ります。
道路整備特別会計法
の一部を改正する
法律案
及び
特定港湾施設工事特別会計法
の一部を改正する
法律案
を問題に供します。両案を原案
通り
可決することに御賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
杉山昌作
82
○
委員長
(
杉山昌作
君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案
通り
可決すべきものと
決定
いたしました。 なお、諸般の
手続
等につきましては、先例により、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
杉山昌作
83
○
委員長
(
杉山昌作
君) 御
異議
ないと認め、さよう
決定
いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
杉山昌作
84
○
委員長
(
杉山昌作
君) 速記つけて。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十一分散会