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1960-04-26 第34回国会 参議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)    午前十時二十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     杉山 昌作君    理事            上林 忠次君            西川甚五郎君            大矢  正君            天田 勝正君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            梶原 茂嘉君            木暮武太夫君            河野 謙三君            堀  末治君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            平林  剛君            原島 宏治君   政府委員    宮内庁次官   瓜生 順良君    大蔵政務次官  前田佳都男君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    大蔵省管財局長    心得      武樋寅三郎君    建設省道路局長 佐藤 寛政君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    宮内庁管理部工    務課長     小幡祥一郎君    自治庁財政局財    政課長     松島 五郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○国有財産法第十三条第二項の規定に  基づき、国会議決を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○道路整備特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○特定港湾施設工事特別会計法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、お諮りいたします。  永末英一君から都合により理事を辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
  3. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、成規手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  4. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  よって、委員長天田勝正君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) これより、「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件」を議題とし、質疑をいたします。  質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  6. 大矢正

    大矢正君 昨年の大蔵委員会で再三問題になったのでありますが、現在の皇居の地理的な環境とか、その他各国状況とにらみ合わせて、わが国にも外国と同様に、宮殿という形で新しく造営をした方がよろしいのではないかという意見がいろいろ出ておつたようです。それからまた、宮内庁としても、しかるべき機関において宮殿造営については検討したいというような意思表示もあったのでありますが、この宮殿造営についての考え方ないしは今日までの経過について、御報告をいただきたいと思います。
  7. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居造営、その中で、今宮殿とおつしゃいましたのは、公の行事を行なわれる部分宮殿と申し、両陛下のお住まいになる所をお住居といっておるのでありまするが、合わせますると皇居、この二つを合わせても宮殿という用語で表現される場合もございまするから、その広い意味宮殿を解して、この考え方経過を申し上げます。  考え方といたしましては、終戦後だいぶ年もたっております。戦時中に皇居中心部が焼けまして、お住居も公の行事宮殿も焼けまして、そのままでは、最近のように外国との交際も開け、国賓も多数見えまする現在において、国の体面にもかかわるので、このままではおもしろくないということはわれわれも考え、また政府関係、あるいは国会の皆様からもそういう意見を承つておりましたので、新しい現在の日本にふさわしい皇居造営することを研究しようということで、その具体的な研究を始めましたのが昭和三十二年であります。三十二年、三十三年と両年度は、宮内庁の中で事務的にこの調査を進めて参りました。その間予算もいただきまして、三十二年度には外国宮殿の模様も二名の者が調査に参りました。そしてそういうことも参考にしながら、三十二、三十三と宮内庁の内部で新しい皇居をどういうふうに作つたらいいかということを調査研究いたして参りまして、大まかな試みの案というようなものも一応作つていたのであります。  そして三十四年度、つまり昨年度皇居造営審議会というのが、総理大臣の諮問に応じて皇居造営問題について意見答申する機関として設けられました。その皇居造営審議会の中には国会議員の方も十名、その他十五名のいろいろの専門の方が入られました。この二十五名の委員をもって皇居造営審議会が構成されまして、昨年の六月からこの審議会が、本委員会としては前後七回であったと思います。第一回が六月の五日に開かれまして、その後六月は十九日にも開かれました。第三回が七月の三日、第四回が七月の十七日、第五回が八月の二十七日、第六回が九月の十一日、第七回が十月の八日というふうに、七回にわたって全体会議審議会が開かれ、なお専門的な小委員会が六回、さらにその中間において開かれております。で、皇居位置をどうするかという問題、それから皇居規模はどういうふうなのがいいか、様式はどういうふうなのがいいか、それから経費はどういうふうに考えるか、それから造営実施計画、つまりいつからかかっていつまでに仕上げるというようなそういう計画をどうするか、その他皇居造営に関する重要事項、特に皇居関連のある交通の問題ですとか、この現在の皇居地区の一部を公開することができないかというような、そういう関連重要事項、そういうものについて審議をされまして、その結果、この十月の八日の第七回の総会で答申が出ましたのであります。  その答申要綱は、皇居位置というのはいろいろ議論世間にはありましたので、特に慎重に審議された結果、皇居位置については、公の行事を行なう宮殿は現在の皇居内の旧西の丸地区の旧宮殿跡、それからお住居吹上御苑内を適当と考えるという答申をされ、皇居規模及び様式につきましては、規模については将来いろいろの行事がますます行なわれることが予想されまするので、それに必要な部屋数と広さを備える必要があるということ。それから、この宮殿跡敷地につり合つたものでなければならないというようなこと。なお、宮内庁の試案として示しましたものについてこまかいことがありますが、それについてはおおむね適当であるが、さらに研究をするようにということであります。  それから、簡単に申しますが、造営経費関係については、これは規模及び様式がきまりますると、おのずから定まるものであるから、幾らをかけろというようなことは答申にはならなかったのでありまして、財政事情を考慮すべきはもちろんであるが、皇居造営の本旨を達成するのに遺憾のないようにすべきであるという抽象的な答申になりました。なお、これに関連していろいろ問題がありましたことは、寄付を受けるかどうかというようなこと、これにつきましては、造営経費財源国庫から支出する建前にすべきであるが、国民からの自発的な寄付は受けることとして、その方法強制にわたり、あるいは売名宣伝等に利用される等の弊害がないようにすべきであるということが申されてあります。  それから、造営実施計画といたしましては、昭和三十五年及び三十六年の両年度においてお住居増改築及び宮殿設計を行ない、三十七年度からおおむね五カ年間にわたって宮殿造営実施することを適当と考えるというようなことが答申になりました。  その他、関連事項の点は省略いたしますが、こういうような答申がございまして、これを受けまして、本年の一月二十九日に閣議で、この皇居造営審議会答申趣旨を尊重してやっていく。そうして、要綱の点はごく大まかに表現されておりまするが、宮殿はその位置皇居内旧西の丸地区の旧宮殿跡とし、昭和三十五年度から造営実施の準備を始める。第二は、お住居を一応吹上御苑内とし、昭和三十五年度から造営実施する。三、皇居造営の資に充てるため、国民から自発的な寄付申し出がある場合は、宮内庁長官の定めるところにより国がこれを受けるものとする。四、皇居東側地区は、皇居造営実施に照応して皇居付属庭園として整備して、宮中行事支障のない限り原則として公開する。こういう四つの点を、大綱だけでありますが、閣議決定になりましたのであります。  今ここで議案になっております点は、この第二に申しましたお住居昭和三十五年度から実施するというこの部分であります。今年度から実施をいたしまして、来年度には完成する予定でおります。現在その設計を練つている最中でございます。大体の経過はそういうことであります。
  8. 大矢正

    大矢正君 国民の間には、現在の皇居というものが、いろいろな意味で、地理的に、位置的に問題はあるというような意見もあったのでありますが、今の答申案からいきますと、位置現状の所に宮殿とお住居を作ると、こういうことになっているわけですが、その審議会において位置的な問題についての議論がどういうふうになされたか。現状皇居というものはどうも狭い、東京都の交通状況その他から勘案して、宮殿とお住居とを分離した方がいいのではないかという意見もいろいろ出ているのではないか、そういう面からの検討分析というものがなされたかどうか、なされたとすれば、その間の事情を若干御説明いただきたい。
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居位置の問題は、先ほど申しましたが、まず最初の重要問題として、皇居造営審議会におかれて慎重な御審議をされまして、各委員が全部その意見を述べられるような形で審議をされました。この位置について、それではどういうふうなことが考えられるか。まずどうしても、宮殿はいろいろの国家的な行事、あるいは宮中関係のその他の行事が行なわれる、それには政府機関あるいは外国の大公使館、そういうところとあまり離れておりますると非常に不便である、従ってやはり東京を離れた地に造営することは適当ではない。なお、お住居についても、いろいろ国事に関する陛下事務も多うございまするし、宮中行事も多端な今日、首都を離れた遠いところに行かれるというと、宮殿とあまり離れてお住まいになるということは不便であると考えられるというように、一応述べられております。  また、この宮殿、お住居、その他付帯施設宮内庁関係庁舎等、そういう敷地というのは相当の広さが要るわけでありますが、最初のまず東京に、都内にあることが必要であるとして、そういうような敷地がどこか他に適当な所があるかということを検討をしてみましても、現在東京都内にどうもその適地を求めることはきわめて困難であるという点があるので、やはり現在あいておりまする元宮殿のあった跡がよろしいというようなことに結論としてなりました。  なお、お住居の点につきましては、今もお尋ねがありましたが、この宮殿と離してもっと別のところに作られたらどうかという意見、それも検討されましたが、先ほどもちょっと答申趣旨を申し上げましたように、あまり離れることは不便である、いろいろ検討してみて、この吹上御苑、現在防空施設として作られた仮の住居にお住みになっておりまするが、この吹上御苑のあのあたり空気が非常にきたないじゃないか、だからほかへ移られた方が陛下のためにもよろしいのじゃないかというような意見世間にもございましたのですが、その点についてのいろいろの調査の結果は、空気汚染度吹上御苑のあのあたり東京都内においてはちょうど石神井と同じくらいである。青梅から比較すると幾らか悪いですけれども、その他の麹町ですとか、赤坂ですとか、渋谷、あの方面から比較するとずっと空気汚染度はよろしい。お住居関係については陛下気持もあろう、私生活の面であるから。で、推察すると、今の吹上御苑のあのあたりは、陛下のお気持に合っているように考えられるから、空気汚染度の点でそう心配もないのであるから、吹上御苑内で適当と考えるというような結論になりました。  なお、今お尋ね交通関係の点は、皇居造営審議会の際に特別の小委員会ができまして、これは交通関係と、それから皇居の一部を公開をするようなことを考えたらどうかという問題と、その二つのことを扱うための小委員会が設けられまして、それは七月二十二日、八月十四日、九月十六日と、三回その小委員会が開かれて、検討をされました。  交通計画について、いろいろ現在まである計画調査をし検討されまして、その結果、現在都市計画として、皇居の横、ちょうど乾門前のあの通りでありますが、あの通りをずっと広げ、ずっと東京の中央を突き抜けて参りまする幹線街路放射線第二十七号線というもの、これを完成をしていく一方、高速度道路計画がありまして、これは皇居付近では、皇居付近をぐうつと回っていくものでありますが、高速度道路計画高速道路第四号線というのがありますが、そういうような計画が実現をすれば、皇居周辺交通関係もだいぶ緩和されるであろうし、皇居の中を道路を通すというようなことは――東側地区を先ほど省略いたしましたが、宮中行事支障のない限りは、一般に公開する。公園のように、新宿御苑のように、夜は閉鎖しますけれども、昼は宮中行事支障のない限りは公開するというふうに、レクリエーションの場と考えまするから、そういう横をどんどん自動車が通るということも感心をしないし、またそこで宮中行事も行なわれるわけでありますから、宮殿の方との関係の連絡上もどうかというようなこともある。従って、普通の、自動車がどんどん入る普通の道路をあそこを通すことについては、将来さらに慎重に検討すべきだという結論が出ております。そういうことでございます。
  10. 大矢正

    大矢正君 一月二十九日の閣議で、答申趣旨は尊重するということがきめられたということがありますが、ことしと明年度ニカ年間で、お住居の方は完成をする。それから、三十七年から五カ年間で、宮殿現状と大体同じところに新しく造営する、こういうことなんですが、お住居の方は、具体的に計画もできて、予算書もついていますから問題ないのですが、宮殿造営についても、すでに宮内庁として計画というものができ上がつているのかどうか。
  11. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮殿の方の計画につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、皇居造営審議会でいろいろ検討されるのに、批判材料といいますか、そういう意味での宮内庁試みの案というものは一応作りまして、批判を仰いだわけであります。その程度のものがありまするが、これはほんの試みの案でありまして、三十五年、三十六年、ことしと来年度に、さらに専門家意見を広く聞きまして、それでほんとうの設計を作るということでございます。
  12. 大矢正

    大矢正君 実際問題として、アメリカなんかでも、でき得る限り都心よりも郊外郊外へと、住居というものは延びていっているというのが現状のように私どもは聞いているわけでありますし、先進国という立場から考えてみれば、日本の国もおいおい、都心住宅を作るとか、あるいはお住居を持つということではなくて、郊外に延びていくということは、これは当然のことだろうと思うのでありますが、今回の答申案、それから宮内庁も当然確認されたことだろうと思うが、現状吹上御苑にお住居を作るということ、そうして宮殿をお作りになるということは、恒久的にもう現状から動かさないという前提できめられるというふうに私は解釈するのですが、実際問題として、日本の国以外の各国実例というものが、比較的郊外に延びていっておるという実態にかんがみて、恒久的なものをあそこへ作るということについてはどうも理解ができないのですが、やはりさっきも言っているように、交通上の問題ももちろんあるでしようし、空気汚染度の問題もあるでしようし、一般国民だって、金があって、余力があれば、ほとんどみな郊外住宅を作るのが実例ですから、そういう点から考えてみても、どうも現状位置宮殿及びお住居を作るということについては、どうも私どもとしては一般的に理解かできないのですが、宮内庁として、もちろん審議会としてきめられたことではありますが、宮内庁自身としても、現状の場所がいいという強い意欲を持っておられるだろうと思うのですが、その点についてお聞きかせ願いたい。
  13. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) お住居位置について、われわれ事務当局の者も、郊外にどつか適当な所があるかどうかということも調査をいたしましたですけれども、どうもこれならばというような所がなかなか宮内庁としては見当たらなかったのであります。一方、吹上御苑あたり空気汚染度は、先ほど申し上げましたようなことで、石神井あたりと大体同じくらいで、特に悪いということもなく、良好のようでありますし、それから、もちろんあそこにお住みになっておってお気持にも合っているように察せられまするし、それから宮殿との距離も、すぐくつついてはいないで、ちょっと離れていて、しかも歩いていかれて十分くらいということで、まあそういうような関係もよろしいのじゃないかというふうに考えて、この吹上御苑というふうに一応考えております。皇居造営審議会の方もいろいろ言われて、お住居というものはやはりお住みになる方のお気持が一番大事ではないかというような点もあり、といって、また客観的な点も考えなければいけないというようなことで、いろいろな点を考えられて、先ほど申し上げたような答申を出したものと思われるわけであります。
  14. 大矢正

    大矢正君 さっきの発言の中に、答申案の中にももちろん出ていましたが、寄付金という問題がありますね。これは、積極的に寄付金募集するということなのか、黙つていても持ってくるから、持ってくるものはどういうふうにするのか。これは答申案答申案としても、宮内庁としてどういうお考えを持っておられるのか。単に、売名的な寄付金はお断わりするといっても、実際問題として、売名であるかどうかという判断もなかなかむずかしいと思うのですが、前の東宮御所のように、一万円で入札するというような形でも現われてくるでしようが、そういうような形ではなく、別な形でも売名行為というものが行なわれると思うのですが、寄付金によって造営をするというのは、一体宮殿部分をやるのか、お住居の方をやるのか、全部を含めて寄付金は受け入れるというのか。それからもう一つは、寄付金というものを積極的に募集をせられるのかどうか、この点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この寄付金は、積極的に大いに集めようというような意図は事務当局は持っておりませんし、それから、皇居造営審議会の御答申も、国民から自発的に寄付申し出があればという点で、要するに、こちらから勧誘するのではなくて、ぜひ寄付をしたいという申し出がある場合は、そうした人の気持を受けないでシャット・アウトするのも人情に反するから、そうした気持を実現できるように受け入れる。しかし、受け入れるが、それは弊害のないように、特に審議会で強調いたしおりますのは、強制にわたるようなことが一番いけない。よく地方なんかに割り当てて、どの地方幾ら、どの地方幾らというように割り当てたり、あるいは学校の生徒を使ってやったり、そういうような強制にあたるようなことはいけない、その点は特に注意する必要があるというようなことがありました。売名宣伝の方は、これも、今おつしやったように、厳格に考えれば、なかなかむずかしい点があるかもしれません。しかしながら、良識的に考えて、そういうものはいけないのだということでいくべきだということであります。  そういうように寄付は受けまするが、何に充てるかといいますと、これは皇居造営の資に充てるためでありまして、お住居の方も宮殿両方皇居に含まれるのでありますから、いずれの資に充ててもこれはよろしいということであります。特に、閣議決定の際には、「宮内庁長官が定めるところにより、国が受け入れる」と、「宮内庁長官が定めるところにより」ということがありますが、これはどういうものをどういう手続で受けるかということを、宮内庁告示というもので一般告示をする。その告示手続によって受けるようにするというので、そうした場合においても、これを特に財源として当てにするというようなことはあまり考えないで、国民のそうした方の気持を生かすという精神的な面が主でありまして、財源として大いにそれを当てにするというようなことはあまり大きな意味はないわけで、実際問題として、予算の編成の場合に、事務的にいいますると、予算を立てまして、大蔵省の査定を受けて、それを予算に組みますけれども、その場合に、そのうちどれだけの金額寄付をもって考えるというようなことは考えないわけであります。ただし、後年度の方に行きますると、それを国庫歳入にしておいて、これを次年度の際に、国の方の歳入にそれが入りますから、それが行きますると、いわゆる税金から回る分のほかに寄付金から入ってくる歳入分が、予算面皇居造営のための歳入、それに振り合う歳入ということになるわけであります。その金額はそう多くなるものではないだろうとわれわれも思うのでありますが、その気持を生かす、シャット・アウトするのはよろしくないという、そういう精神的なものであります。
  16. 大矢正

    大矢正君 たとえば、皇居造営に関して、お住居はもちろんですが、国民の間から寄付金を集めようというような動きが運動として起こつた場合には、宮内庁としてはどういう態度をとられるのですか。
  17. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 特に皇居造営基金募集のような団体作つて大いに募集されるというようなことは、これはともすると強制にわたるというような危険があるのではないかと思いまするし、あるいはその主になってやる方の、そうでないものもあるかもしれませんが、売名宣伝になるというような場合もあるのではないかと思いますので、たとえば、神社あたり寄付金を集める奉讃会というようなものがありますけれども、あれに似たような形で集められていくようなことは、われわれとしては好まないのでありまして、告示の際においても、そういうようなことはあまりやっていただかないようなことを、いろいろ説明できれば説明したいと思います。
  18. 大矢正

    大矢正君 個人が自主的にみずからの気持に基づいて寄付行為を行なうというのは仕方がないとしても、何らか皇居造営の今言われた奉讃会のような形で一つの会を作つて、それに会員を募集して金集めをやるというようなことは、往々にして強制にわたる面が出てくると思うわけですね。ですから、そういう点については、やはり団体としてそういう寄付行為を行なうというものについては、これはやはり極力回避すべきじゃないかと私は思いますが、まあ団体といっても、法人の会社とか独立した一個の会社というのは別問題としても、その寄付行為をやることを目的として団体を結成して金集めをするというような運動が起こることについては、私どもはどうも賛成いたしかねる。そういう点については、明確に告示として宮内庁から態度の表明がされるものかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。
  19. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は、告示の文章の中には、強制にわたるものはいけないとか売名宣伝になるものはいけないというふうに出ます。それに対する説明として、宮内庁として説明する際にそういうようなことも、そういうようなのはいけないのだというようなことを言いたいと思っておるわけであります。
  20. 大矢正

    大矢正君 これは大蔵省の方のことになるかどうか知りませんが、寄付金がかなり多額に集まつたというような状態の場合に、会計上はどういうようになるのですか。
  21. 小熊孝次

    政府委員(小熊孝次君) 寄付金につきましては、これは通常の取り扱いといたしましては、一般歳入に入れると、こういうことになるわけであります。
  22. 大矢正

    大矢正君 国民は、目的としてこれは皇居造営に使ってもらいたい、こういうことに寄付行為をするのですね。その金は目的が明らかになっているものですから、一般会計の中にどこで使われるかわからないという形で入れるということは、どうも国民の意思とは反する格好になると思いますが、それは皇居造営の費用だけに充てられぬということになりはしないかどうか。もしそうなった場合に、予算措置としては、当然皇居造営に必要な金を継続費か何かで毎年度組まれているわけですから、その寄付金というものは予定しないで予算というものは組まれる。そういう経過を経て寄付行為が最終的に多額に上つた場合に、どうなるかということです。
  23. 小熊孝次

    政府委員(小熊孝次君) ただいま申し上げましたように、一般歳入に入りますが、寄付金の実績――相当大きな寄付金が入ってくる、もちろんその寄付趣旨皇居造営の目的であることは言うまでもない、こういう場合におきましては、その寄付の実績というものをつかんで、それによって皇居造営経費にどういうふうにあんばいしていくかということは、当然考えるわけであります。ただ、現金でございますから、入つた以上は一般会計の歳入に入ってしまいます。具体的な取り扱いといたしまして、もちろん、入ってすぐというわけには参りません。歳出の方は国会の御審議議決を経て決定するわけでありますから、それをその皇居造営が何年かかかる間におきまして歳出予算の方であんばいをして使って参る、そうして当初の目的が達せられるようにしていくと、こういうようなことになっております。
  24. 天田勝正

    天田勝正君 ちょっと二、三点お伺いしますが、今回提案の趣旨が、今までのお住居は防空壕にひとしいものだからと、こういうことなんですが、それはもうだれでも、防空壕を出て普通のバラックであろうと住まうようになったのでありますから、当然だと思うのですけれども、今までの施設というものは一体どういうものなんですか。防空施設として作つたのだというのだけれども、どんなものだったのかわれわれにはちつともうかがい知れないので、概略でも一つ説明願えれば幸いだと思います。
  25. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今までの施設は、これはちょうどこの前の大戦の起きましたときに、大急ぎに作られました防空施設でございますが、一番下の方が要するに防空壕で、ほんとうの地下室であります。その次の所が機械室とか、それから中二階の所にちょっと調理場がある。その平面となる所、地面と同じような所に、一階のずっと広さの部屋がある。鉄筋コンクリート作りでありますが、非常にがんじようで、その屋根の所もずっと砂を詰められたりして、一トン爆弾が直接来ても通らないようにがんじように作つているということであります。その一階の地上の部分の所にお住みでありますが、数年前に、そこにお住みになるにしても、これはあまりにひどいからというので、それをいろいろ水を抜いたり、あるいは天井を直したり、壁を直したり、いろいろ改装いたしまして、そこで御生活をなさるというようになってきておつたわけであります。その部分が、防空施設全体ですと七百何十坪ですか、その平面でずっと御利用になっていた所が約丁百坪ということであります。
  26. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、今度、もとの御文庫を改装して、その食堂、調理室等の改装をするのだというお話でありますが、それを今回改装して使うという場所は、今の平面になっている部分だけを使って、あとはもう使わない、そういうことですか。
  27. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いわゆるほんとうの防空壕になっている所はこれは使わないわけでございますから、機械室とかその中二階のちょっと調理場みたいな所、これは使いますが、それから平面になっているその部分、現在お使いになっていまする部分、これを使うわけでありまするが、ほんとうの平素の御生活の本拠は新築の方で、それに付随した、映画なんかをごらんになるちょっとした広間でありまするとか、それからちょっとお客が見えた場合の御食堂とか、それからいろいろ物置とか、それからなおお付きの者の待従とか女官の関係の部屋、そういうようなものにこの防空施設の改造した部分を使用するわけでございます。
  28. 天田勝正

    天田勝正君 この建築費を坪当たりに割つてみますと、付帯設備費というものを除いて三十四万四千円という数字が出てくるわけですが、これは通常の最近建っている建物とするというと、どの程度の建物に匹敵しますか。
  29. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 私ども聞きました程度ですと、実業界の方の社長あたりで相当いい邸宅を作つておられる、そういうのはやはり坪当たり三十数万円のようであります。この御文庫の方の関係は、建築費といたしますると、この新築費は一億四千百万円のうち一億五百万百で、これを四百坪で割りますと約二十五万六千円になります。で、そう特に高級というものではございません。陛下のお気持をおくみしまして、あまりぜいたくにならぬようにということで、そういうことになっているわけでございます。
  30. 天田勝正

    天田勝正君 それは、ここで高い安いを議論しているのじゃないのですよ。ただ、通常の場合に木造で本質を選んだ場合には、どんな鉄筋コンクリートよりも高くなる、これは常識なんです。それだって、特別な暴利をむさぼらない限りは、十二、三万円なんですよ、普通は。特に国有財産を取得されるのですから、国有林野からちょっと切つてきたりして、かなりむしろ普通よりも私ら安く上がるのじゃないかとさえ思われる。三十四万円というものが今高いとか安いとか、そこまで言うのじゃないのであって、ただ、今できておる建物とすれば、われわれがその辺に見るビルなんだけれども、どの程度のものかということを聞いているのです。それは次長でなくてもいいのです、だれか知っておられれば。
  31. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今建っております普通のビルは坪二十万からまあ三十万で、そのうちまあ重役室の部分になりますと、これはもうその部屋によって違いますが、これは三十万も四十万もかかる。で、ここにありまする建築費というのは、単に骨組みだけでありませんで、中の仕上げの経費も含んでおります。じゆうたんを敷くとか、壁をどうするとか、天井をどうするとか、そういう仕上げの経費も含んでおるわけでありまして、まあ普通に今津つておりますビルデングの、まあその中の非常に安上がりのものは別といたしまして、普通一般にやっておりますものとあまり変わらない。
  32. 天田勝正

    天田勝正君 御文庫の改装費ですが、これは一千二十一万円と、こうなる。五百坪、全部を合わせればあるというのですけれども、その間に使う部分はどのくらいなのか、坪数にしましてですね。それで、しかも使う部分の全部を改装するのではおそらくなかろうと思うし、そうすると、何か腰だめ見当だけれども、一千二十一万円というのはずいぶん膨大なかけ方という気がするのですが、この点はどうですか。
  33. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これはまあ、正確な数字をちょっと今手元に持っておりませんが、まあお使いになるのは約五百坪といいますると、一千万円ですとちょっと二万円になります、坪当り。で、その改装する場合に、現在の間仕切りを変えるようなものもございます。で、玄関のあたりのところも変えまするし、いろいろ部屋の模様変えをいたします。そういうようなのが千二十一万円として、七百八十三万。それから、現在給排水衛生設備、そういうものが必ずしもこのままでは感心しないので、そういうような給排水衛生設備、そういうものが百四十三万ですか、そういうものがございます。その他、機械の設備、これが七十三万、電気の設備が、十一万、合わせて千二十一万というふうになるので、まあ技術的にいろいろわれわれも聞きましたのですが、実際として、そうむだなものを使って、むだな金を使うようなやり方はやってないので、相当節約した計画であると思います。
  34. 天田勝正

    天田勝正君 どうも、さっきから質問していると、何かけちをつけているように聞こえる答弁なんですが、まだ高過ぎるとか安過ぎるとか、そこまで言っていない。そういうけちをつけていないし、むだ使いをしているのだということを言っていないのだから。しかし、普通の常識からすると、えらく離れておるのですよ。もともとあったのでしよう。あったものを改装するのに、普通の常識からすれば、千二十一万円なんというのはおそろしくまあ高い。それから、かなり設備のいいものを作る場合には、設計料等にかなりかかるのです。これは一割、もっともいいのは二割もかかるのですが、これはもともと笹財局の方でやられるのでしよう。当然、そういうことであるから、その設計料等はゼロになるのだろうと私は思う。ですから、改装するのに、設計するといったって、そんなに、もとにあるものに何かをつけ足す以外にないですから、全然新築と違つておそろしいその費用はそこに加算されないはずだと思う。だから、それが説明されればいいのであって、それがわからないからそういう質問をしているのであって、まだ疑うところまで行っていないのだから、そのつもりで答えて下さい。
  35. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) それでは専門家から……。私ども、こまかいことはわかりませんので。
  36. 小幡祥一郎

    説明員小幡祥一郎君) 御説明申し上げます。ただいまの一千万の概要を概略御説明申し上げますと、ただいま次長の答弁のように、大体平屋の部分が、一階の部分が約五百坪足らずでございますから、平均しますと二万円ということでございますけれども、その中で陛下がお使いになるおもな所は中央に大きなホールがございましてニュース映画などをごらんになる所がございます。それから、そのほかお客さんが見えたときに会われる応接間、あるいはやや大きい食堂のようなもの、あるいはそれに付属した便所とか、あるいは廊下とか、そういうものがございます。そういう所を、戦争中に作りました防府壕であるために、今から数年前に改修をしたわけでございますが、やはり戦争中の非常に急いだ工事であるために、建物が、構造自体にやや欠陥がございまして、天井がかつて一部分剥離したこともございますので、そういうものを相当徹底的に直さないといけないと思います。そのほか、新しい部分ができますと、間仕切りを作り直したり、あるいは映写設備なども不完全でありますから、そういうものをもう少しいいものにしたり、それから玄関の車寄せも、今、屋根が小さいために、出入りの場合に雨風が当たってうまくさばけないということがございますので、少し大きな屋根をつける。あるいは調理場が、今地下一階にございますけれども、非常に湿度が高くてうまくいかないものですから、それを地上の一階の部分に施設するというようなことでございますが、私ども技術屋といたしましても、普通の建築の常識と少し違つた単価、金が出てくるのでございます。それはやはり防空壕であって非常に壁が厚いものですから、パイプ一本通すのにも非常にべらぼうな金がかかる。それで一応ごく概略の設計をして見積もりをしたのが、この程度の金でございます。
  37. 天田勝正

    天田勝正君 私は、実物を見ていないから見当はつかないのだけれども、御文庫改装費だけを見ても一千二十一万円だとすれば、かりにこれを定期にして、その利息だけでも――みみっちい話だけれども、七十万円やそこらにはなるのです。そうなんだから、それで借りるとすれば、もっと普通の常識からすればすばらしいものが借りられるのですよ。それからさらに、なるほど戦時中作つてこうだこうだという説明もわかるけれども、一面、天皇の権威が非常に高かったというときに作つたものだから、普通にわれわれが今考える以上に、かなり私はりつぱなものができておるのだろう。しかも、陛下でさえ今までそれでがまんされておつた。今度はそこに侍従なんかが入られる、こういうわけだ。侍従だから何でもいいという理屈を言っておるのじゃないのだけれども、それじや金をかけて、陛下だって今までがまんしておったものを、ほかの者が今度は使うというのならば、どうも話がおかしいのだよ、普通の常識でね。それがわかるように説明願えれば幸いだと思う。
  38. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今ほど工務課長から申し上げた通りなんでございまするが、改装と申しましても、先ほども申しましたように、間仕切りを変えたり、あるいは屋根の部分を改造したり、それからベランダのところの窓のところも改造するとか、玄関を改造するとか、そういうような関係の点が――また調理場の関係もあるとか、そういう点が相当ありますものだから、これだけかかるのでありまするが、陛下がお使いになる部分については、相当全心を入れて改装するのですが、今申されました侍従とか女官の方の部屋というようなことについては、そんなに手の込んだことはやらないことになっておるわけであります。
  39. 天田勝正

    天田勝正君 だから、五百坪だといったところで、実際手を加えるところはわずかになってしまうのです。だから、五百坪であるから三万円という数字が出てくるのだけれども、これが百坪ならえらい数字になるのですよ。だから、妙だと私は聞いておるのです。実際の図面なんかここにあってすれば、そういう疑問が氷解するかもしれない。  それから、さっき車寄せの今までのを不便だといったところで、これもまたおかしい。陛下のときだって、今の事寄せを使っておるのですよ。それを、陛下が、新しいお住居ができてそつちをお使いになる。ところが、今度は、もとの方はまあ一応付属建物として、陛下もお使いになるが、しかし他の人も使う。そういう場合になって、今まで陛下ががまんしておった車寄せを、今度は下の者が――新しいお住居の方を使われると思うのだけれども、それをさらにまたそつちまで、車寄せまで改造しなければならぬという私は理屈がわからないのですよ。  それで、つくづくこの提案理由の説明をこの聞いて、私不思議に思っておつたのですが、これはおそらく政務次官が提案されたと思うのだが、今度の提案理由の中には妙な言葉が出てきた。「御文庫に連接して」というので、わずかな言葉だが、今まで私は聞いたことがないのだな。普通「隣接して」と、いうのだが、隣接していても、廊下つなぎもあれば、渡り廊下もあれば、いろいろある。本院の場合だって、うしろの常任委員会本庁舎はトンネルで続いておるのだけれども、それを連接とはいわない。だから、連接というには何か意味があるだろうと思ってさっきから質問を上しておったら、たまたま車寄せなんていら言葉が出てきたのです。そうすると、これ、あれですか、今度の新しい建物の方から続いていくということじゃなくて、別に侍従さんなんかという者はそつちの方の車寄せから出入りすると、こういうことですか。
  40. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この車寄せは、やはり、陛下がお出になる車寄せでございまして、現在の御文庫の裏側のところに二階建ができますと、廊下で今の御文庫に連接されて、表玄関は、今の御文庫の玄関のところが陛下の表玄関になるわけであります。そこに侍従とか女官がおりますが、現在もそうですが、それは横の方にもっと簡単な出口があります。そこから出入するので、将来この改造後も、侍従とか女官が今申しました改装する車寄せから出入りするという意味のものではございませんので、このもとの建物も改装して、これはやはり陛下のお住居の一部として使われる、その玄関はもとの所にあるというような形のものでございます。そこで、まあ「連接して」というような言葉が出たりしておると思うのでございます。
  41. 天田勝正

    天田勝正君 政務次官に伺いますが、初めて連接という言葉に接したのだが、これはどういうことですか。つながつているのなら、隣接だってつながつておりますよ。
  42. 前田佳都男

    政府委員前田佳都男君) お答え申し上げます。実は私も、まことに恥しい話ですが、御文庫を実はじかに見たことがございませんので、はたして私の答弁がほんとうに当を得た答弁ができるかどうか、疑問でございますが、この「連接して」という趣旨は、渡り廊下でつなぐという意味だというふうに私は考えております。
  43. 天田勝正

    天田勝正君 ところが、そういうことはほかに隣接の場合でもざらなんだと言うのです。それで「連接」というのを使っているから、これは皇室用語でないのかと私は実は推定したのです。普通、渡り廊下からつながつていようと、屋根だけでつながつていようと、通称は別棟なら隣接と言っているのですよ、いつの場合でも。それがここだけ、説明の方も参考資料の方も、みな「連接」というのです。何の意義もないのですか、これは特別。
  44. 武樋寅三郎

    政府委員武樋寅三郎君) これは、今のお話のように、宮中だけの言葉ではないのでございまして、われわれの方で考えました言葉でございますが、まあ「連接」というのは渡り廊下でつなげるというような意味でございまして、「接」の方は、接触いたしておりませんが、まあつながつているというような意味で書いたつもりでございます。別に他意はございません。
  45. 天田勝正

    天田勝正君 この際、法規課長にちょっとお伺いしておきますが、実をいうと、あなたに伺うのは少し無理なんだ。それは本院で議決した条文なんですから、議決した諸君にも責任があるのだが、しかし、原案の提出者としても大蔵省に責任があるので聞くのですが、十三条のおよそ条文ぐらい私は妙なものはないと思っているのです。だれが見ても、これを日本語流に読んだらわからなくなると思う。すなわち「国有財産を皇室用財産としようとするときは、国会議決を経なければならない。」、ここまでは第二項として明瞭なんです。ただし書きから以下は、だれもわからぬと思うのです。「但し、当該財産の価額が三百万円以上である場合を除く外、」と、こうしてある。そうすると、議決要件というものが、普通の常識からすれば、三百万円以下ならば除くと、こういうならわかるけれども、三百万円以上のことです。そうすると、三百万円以上になったら議決を要するのにかかわらず、「三百万円以上である場合を除く外、」と、こう書いてある。そうしてさらに、「毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その取得し、又は皇室用財産とする財産の価額の合計額が三千万円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。」と、こう書いてある。普通、これは日本文として読んだ場合には、要するに三百万円以上になったら議決を要さなくてもいいと、こう読むし、それから一方は年額の――いろいろなものがあって、その合計額が三千万円以内ならばいいと、こういう二つになってくるのです。この書き方たるや、おそろしいまあ混乱なのであって、これは本来からすれば、三百万円以内である場合を除くと、こうして、一件三百万円以内のものが総計三千万円に達するに至るまではこれを除くと、こういうふうに書けば、条文としては実に明瞭なんです。これはさっきのただし書きの初めの方と次の部分とを「この限りでない。」一番しまいにかけたのに違いない。そういう連接でかけられたのでは、まことにこっちは迷惑しごくなんだが、これは直されたらどうですか。
  46. 武樋寅三郎

    政府委員武樋寅三郎君) この法案ができ上がりましたときに私は関係しておりませんで、いきさつはよく承知しておりませんが、ただいま先生のおつしやったお気持は十分よくわかると思います。われわれにいたしましても、非常にまあややこしい表現であるということは感じておるわけでございますので、解釈の仕方も、今、先生のおつしやった通りでございまして、今後まあ改正する機会におきましては、適当に一つわかりやすく改正いたしたいと思います。
  47. 大矢正

    大矢正君 資料を……。皇居造営審議会答申ですね、これは委員には配つてないと思うんだが、これはぜひ見せてもらいたい。
  48. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  これより採決をいたします。「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件」を問題に供します。本件に異議ない方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  51. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 全会一致でございます。よって、本件は全会一致をもって異議ないものと議決いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  53. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 次に、道路整備特別会計法の一部を改正する法律案及び特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題とし、両案に対し質疑を行なうことにいたします。  質疑のある方は順次、御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  54. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記つけて。
  55. 大矢正

    大矢正君 三十三年度を起点として計画をされて、すでに現在実施中の道路整備五カ年計画、まあ俗にいう一兆円道路、これは現状どういうように進展をしているか、予算の面、それから事業の面で概要を御説明いただきたいと思います。
  56. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) ただいま実施いたしております道路整備五カ年計画は、三十三年から三十七年までのものでございますが、この総投資は一兆円でございますが、いわゆる五カ年計画といたしまして国費の関係いたしております分は、事業費にいたしまして八千百億円でございます。この八千百億円の事業は、大きく分けまして公共事業と有料道路事業と、こういうふうに分かれるわけです。公共事業で申しますと総額六千百億円、有料道路事業が二千億円、こういうことに相なっております。  三十三年は第一年度でございまして、必ずしも後ほど申すような工合に予算、事業量はなっておりませんが、三十四年度、三十五年度は、年々の事業量でございますが、この事業量は、この事業を実施いたします場合の財源、その財源のうち主たるものであるガソリン税、このガソリン税の予想額を五カ年間にわたって推定いたしまして、そのガソリン税の割合におおむね比例配分的に考えまして事業量を推定いたし、予算を要求して参つたのでございますが、もっとも、これもこまかく申しますというと、機械だとか調査というように、こういうものは事業の関係上そう参りませんが、大体ガソリン税の割合で事業費を要求して参りまして、三十四年度、三十五年度はほとんど要求に変わらないものを実施いたしておる状態でございます。そういうふうにいたしまして、三十五年度、本年度までを通算いたしてみますというと、公共事業におきましては、五カ年計画のちょうど、今年度が終わりますというと、五三%ほどの進捗率になります。これは第一年度の三十三年度が割合に少なかった関係でございますが、とにかく五三%に相なります。それから、有料道路の方は、通算いたしまして三十五年度を含めまして三六%ほどの進捗率でございます。
  57. 大矢正

    大矢正君 あとからの質問に関係がありまするし、出てくるので、具体的に数字をお伺いしたいのですが、三十三、三十四の実績、三十五の予想、これのガソリン税の収入、それから一般会計からの繰り入れ、そうして三十三、三十四両年度道路に注ぎ込んだ予算の総額、それから三十五年度の予想と、こういうものを数字の上で具体的に明らかにしていただきたい。
  58. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) 公共事業で申しますというと、まず事業費総額でございますが、三十三年度八百三十二億、三十四年度千百三十九億、三十五月度千二百三十七億、これが事業費でございます。それから、ガソリン税を申し上げてみますというと、ガソリン税は三十三年度五百六十七億、三十四年度八百億、三十五年度九百六十三億でございます。それからさらに、一般財源を含めました国費で申しますというと、三十三年度六百二十一億、三十四年度八百八十八億、三十五年度九百八十七億、こういうことになります。
  59. 大矢正

    大矢正君 三十五年度までは実績と予想が出ていますからいいのですが、三十六年、三十七年と、あと二カ年間五カ年計画としては残つているわけですが、ガソリン税の伸びというものをどの程度お考えになっておられるのか。具体的に現状の税額を当てはめて計算をして、三十六年度のガソリン税収入、それから三十七年度のガソリン税収入というものをどの程度お考えになっておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  60. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) これは非常にむずかしいことでございまして、実は私どもの方でいろいろな資料から計算いたしますと同時に、運輸省、それから通産省、もちろん大蔵省、まあ方々の機関に御連絡いたしまして見通しを立てておるのでございますが、ただいまのところの私どもの建設省だけの推定といたしましては、ただいまのところで今後三十七年までを推定いたします。と、ガソリン税としては四千五百八十五億ぐらいが期待されるのではないか。そのうち、先ほど私が三十三、三十四、三十五、この数字を申し上げましたが、この三カ年の合計が二千三百三十億と、こういうことにたしかなると思いますが、つまり差し引きまして二千二百億ほどのものが今後二年間に期待されるのではないだろうかというふうに推察をいたしておる次第でございます。もちろん、これはなかなかむずかしいことで、私どもだけの推察でございます。
  61. 大矢正

    大矢正君 地方団体の中からガソリン税の収入が予想以上に伸びるのではないかというような前提もあるし、もちろん一般会計からの繰り入れも考えて、道路整備五カ年計画の一兆円道路というものをこの際修正をして、明年度を始点として倍額の二兆円道路計画作つてはどうかというような意見や要望というものがかなり強く出ているようでありますが、建設省としてその辺に対する考え方があったら聞かせていただきたいと思います。
  62. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) ただいま道路整備五カ年計画によりまして相当大規模道路事業を展開いたしておるわけでございますが、一方、交通の実態を見ますというと、一級国道を中心にいたしまして、かなり道路の整備は進みつつあると私も考えるのでございますが、それにいたしましても、道路全体をながめますというと、まだまだ未整備のものがたくさん残つておりますし、一方、自動車交通状況を見ますというと、非常に予想以上発達しておりまして、道路の整備につきましてはさらにさらに大幅に進めていく必要が、交通事情等の関係においてはあるのではないかというふうに考えております。本国会におきまして道路関係予算その他を御説明いたしておりますにあたりまして、ただいま先生のお話しのように、この程度の計画ではまだ不十分ではないかというような、もっと拡大する必要があるのではないかという御鞭撻も、たびたび実は私はいただいたわけでございます。一方、地方からもそういう要望も強い次第でございます。なおまた、この主たる財源であるガソリン税の伸びも、あるいは先ほど申しましたように期待している以上のものがさらに考えられるかもしれませんし、その辺を勘案いたしまして、この際財源とにらみ合わせて、また交通事情等の関係において、道路整備をさらに進める方法考える必要がある、こう思いまして、事務的にただいま研究をいたしておる段階でございます。
  63. 大矢正

    大矢正君 古い話はいいとしても、五カ年計画が出発をした三十三年度、三十四年度、そしてもちろん本年度も入りますが、ガソリン税以外に一般会計から道路整備に繰り入れた金額というものは年次ごとにどのようになっているか、念のためにちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  64. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) 数字を申しますというと、一般財源から道路特別会計へいただきました金額は、三十三年度五十四億、三十四年度八十八億、三十五年度二十四億、こういうことに相なっております。
  65. 大矢正

    大矢正君 今回、従来まで行なわれてきた交付公債といいますか、地方債証券による道路整備に対しての資金繰りは、いろいろの事情があって行なうべきではない、すなわち現金納付すべきであるという法律改正が提案されているわけでありますが、事実上の問題として、もしこれが行なわれた場合に、地方負担というものが確実に現金納付されるかどうかという点に多くの疑義が出て参っております。もちろん、起債は認めるという自治庁の方針もあるようですけれども、この起債というのは、現状では全額ではないということから推して、道路整備のうち特に地方負担の金が集まらないというような事態が出てくるのじゃないかというように考えるのですが、この点について建設省としては事業を実施する上においてどうお考えになっておられるか、念のためにお聞きしておきます。
  66. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) このお話を私どもが初めて承つたときには、ただいま先生の御指摘のように、いろいろの点におきまして事業が円滑に進捗いたします点について心配をいたしたのでございます。その後、関係機関と御相談を進めて参りますにつれまして、なるほど現金納付ということではございますが、起債の御心配といろいろと地方財政計画の上で十分な御配慮がされると、こういうことになっておりまして、ただいまのところでは、そういう措置が十分に行なわれることを期待いたしまして、事業資金については心配ないものと思っている次第でございます。
  67. 大矢正

    大矢正君 自治庁は来たんでしよう。
  68. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 自治庁は参りました、松島財政課長
  69. 大矢正

    大矢正君 今も建設省にお伺いをしたのだが、本年度から地方債証券、交付公債を認めないという立場をとられるについては、当然事業の遂行に必要なための措置というものがあわせて行なわれなければならないのだが、地方で負担する二百億以上もの金額を自治庁としてどういうふうにお考えになっておられるか。話によるというと、起債を認めるというような意見もあるようでございますが、最終的にはこれをどう処置されるか、具体的に御説明いただきたいのです。
  70. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお尋ねのございました国の特別会計に所属いたします公共事業の地方負担の問題につきましては、三十五年度は二百三億を一応予定をされております。その二百三億のうちで、百六十億は一般地方債をもって充てるべく、地方財政計画並びに地方計画に所要の計上をされております。差額四十三億が当該地方団体一般予算によります財源で持つわけでございますが、この点につきましては、地方財政計画により所要の財源措置を計上いたしますとともに、交付税法の改正を通じまして所要の財源措置を講ずるべく、単位費用の改訂その他をいたしておるわけでございます。
  71. 大矢正

    大矢正君 具体的には、その四十三億というものは地方で現金納付をするという形になるわけですか。
  72. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) その通りでございます。
  73. 大矢正

    大矢正君 そうすると、自治庁としては、四十三億程度の地方の現金納付というものは、現状地方財政から推して可能であるという見通しの上に立ってやられておるわけですね。
  74. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 御承知の通り地方財政計画を立てまして、毎年度地方負担の総額並びにこれに対する財源の対応関係をそれぞれ見ました上で、必要な財政措置を講じておるわけでございます。三十五年度は、もちろんこの二百三億を地方団体が現金をもって納付するという前提のもとに地方財政計画を立てまして、その所要財源といたしまして、一方においては起債百六十億を予定いたしますとともに、残りました四十三億は交付税、あるいは税収その他をもって充てるということで、計画を立てておるわけでございます。なお、具体的な問題といたしましては、個々の地方団体に対しましては、交付税法の改正によりまして、関係行政項目の基準財政単位費用の増額をいたしまして、基準財政需要額の増額をはかつて、それによって現金納付が可能なようにして参りたいと考えておるわけでございます。なお、起債の具体的な配分方法につきましては、目下関係の担当の課において検討中でございますが、今申し上げましたような交付税を通じて行なわれます財源措置の個々の団体に対します財源付与を考慮いたしまして、それに対応して起債を割り当てていく、こういうふうな考え方をもって遺憾ないようにして参りたいと考えておる次第でございます。
  75. 大矢正

    大矢正君 国の直轄事業としてのこの道路だけが、地方としては問題じゃなくて、地方にはそれぞれ急速に整備をしなければならぬ道路というものがありまするし、これはまあ地方住民の強い要望でありますから、勢いこの県ないしは市町村の段階で、国の直轄事業の道路整備とあわせて、地方道路というものも精力的にこれを整備しなければならぬという課題を今持っているわけですから、たとえそれが四十三億という現金納付は三十五年度わずかではないかといいましても、地方にとりましては、今申し上げた地方道路整備というものと関連をして、なかなか負担が大きいと思うんですね。そこで、あなたは、まあ交付税の中で云々という御意見もありますけれども、それは一つのワク内で、交付税というワク内で動かしてみたところで、交付税総体として、特に道路整備に国が重点を置くから地方も重点を置くようにということでワクを広げない限りは、地方の負担というものはなかなか私は大へんなものだと思うんですがね。そこで、むしろ積極的に自治庁として地方の負担を減らすように、起債といいましても、地方債といいましても、やはり借金ですから、当然将来に影響が来まするし、それから従来まで三十三年、三十四年、あるいはそれ以前から交付公債でやってきたものの償還というものも当然近づいて参りますから、そういう意味においては、なかなかこれは地方自治体としては大へんなものだと。自治庁として、もっと道路整備について積極的に地方の負担を軽減をするような方向で、何らかの具体的な考えというものがないのかどうか、この点をお伺いしたい。
  76. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 御指摘の通り地方負担を軽減して、道路行政なりその他の行政が伸びていくようにするというお考え、ごもっともでございます。で、御指摘のありましたように、百六十億円をたとえ起債で発行いたしましても、その元利償還金は将来に残される問題となるわけでございます。これまた御指摘がありましたように、過去において交付公債として発行いたしましたものの元利償還金というものも、地方財政の上に相当な圧力となって現われてくるわけであります。  なお、過去に発行いたしました交付公債につきましては、これまた本年度地方交付税法の改正をいたしまして、交付税の基準財政需要額を算定いたします場合に、その一定割合を財政力に応じまして共準財政需要額に算入して、個々の団体に対します財源措置を講ずることといたしておるのであります。  しかしながら、御指摘にありましたように、地方負担というものがなお相当額に上り、単に地方負担を国庫負担の裏として伴うのみならず、地方の単独事業として整備していかなければならない道路費も相当額に上がるわけでありますので、国庫負担の問題をさらに検討すべきではないかという御質問でございますが、道路につきましては、現在道路整備緊急措置法でございますかによって特別の国の負担割合も定められておる現状でもございます。従いまして、私どもとしては、一律に道路関係国庫負担を引き上げるべきであるかどうかということについては、なお検討の要があるのではないか、こう考えておるのであります。ただ、最近問題になっております未開発地域の開発というようなことに関連して取り上げられますこういった道路関係の公共事業については、その団体財政力等も勘案して、何らかの改善措置を講ずる必要があるのではないかということで、ただいま政府部内においていろいろ検討中でございます。
  77. 大矢正

    大矢正君 建設省からのさっきの数字の説明によると、三十三年度から三十七年度までの五カ年間におけるガソリン税の収入見込み四千五百八十五億というふうに当初はふんだ。それに対して三カ年間における見通しは、二千二百三十億、三十五年度まで、になる可能性がある。さらに残り二年間で二千二百億円残つておりますが、これはまたニカ年間でガソリン税の確保ができることになる。もちろん、公共、有料ともに、道路事業というものは、私は事業の面では実際的におくれているとは思っておりますけれども、三十六年――まあ三十五年ももちろん私は予想以上の収入もあると思いますが、三十六年七年で大体千億ないしは千二百億程度の、ガソリン税の収入があれば、まあ計画通りになるかならぬかは別としても、ガソリン税の当初の見込みとしては四千五百八十五億、約四千六百億というものが収入済みになると私は思うのです。考えてみますと、私は数字から推していって、最低四、五百億ガソリン税の収入は当初の目標よりは増収になるという分析をいたしておりますが、そういう点でこの増収部分は、全額かどうかは別としても、これは地方の負担を減らす方向に増収部分を振り向けても別に問題はないのじゃないかと思いますし、自治庁としても、実際問題として、ガソリン税の当初の見込みよりは増加になるという点を、地方負担の軽減に振り向けるという積極的な働きかけを政府部内において行なわれることは、私は何ら誤りじゃないと思いますし、しかも、一般会計からの道路整備への財百源の繰り入れというのは、三十三年度から三十五年度までで百六十六億しか実際問題としてはない。これはないにひとしいものでありますし、それから私が調べた範囲におきましても三十二年度以前でも同様なことがいえると思いますから、ここでガソリン税の増収部分はある程度地方負担の軽減に充てるという方針を自治庁あたり考えて、これをどういう形でまあ充てていくかという、まあそれぞれ地方の実情もあるでありましようし、内容的なものもあると思いますが、そういう考え方を打ち出していかれるお気持ないですか。
  78. 小熊孝次

    政府委員(小熊孝次君) 仰せの点ごもっともでございますので、道路壌与税と国の揮発油税との割合をどうするかというような考え方検討するという点もございましょうし、また、端的に国庫補助率を全般的に引き上げるという考え方もございましょうし、あるいは未開発地域の問題に限つて国庫補助の特例を考えていくという考え方もあろうかと存じますので、その点につきましては、十分今後とも政府部内において検討を続けて参りたいと考えております。
  79. 大矢正

    大矢正君 これはまあ、あなた、課長さんだから、あなたに幾ら言ってもしようがないと思いますけれども地方自治体にしてみれば、従来まで交付公債があるがゆえに、国が勝手に道路を直し、そしてお前のところにこれだけ借金ができたぞといって押つつける。地方自治体の予算の中にはそういうものを盛り込まないから、結局いつの間にか借金ができてしまい、いつの間にか道路が、自分の好むと好まざるとにかかわらず、自分の意思を入れられないで道路ができ上がつていく。極端にいえばそういうような格好、これは地方自治体として地方自治を侵されているようなものですから、これは反対するのは当然だと思うのだが、反面では、それでは現金納付ということになった場合、その面に重点がかけられて、やはり自分で金を出さなければ道路が直らないから、何らか工面をして道路を直す。そうすると、逆に単独事業ができなくなる。こういうような実態が、非常に苦しみとして反面にあるというようなところですから、あなたの方少し積極的に、何ですか大臣か政務次官のように、善処しますとかやりますとかいうそういう答弁ではなく、庁内においても十分一つ地方自治体の意のあるところをくんで、積極的にこれから努力してもらいたいと思うのですがね。  それから、建設省の方ですが、二兆円道路ということが地方自治体から盛んに言われておる。――私も、二兆円道路はけっこうなことだし、はたしてそれだけの事業が実際現状でできるかどうか、事業の実施の面で多少問題があるんじゃないかという気がするのですが、その場合にまた地方負担金ということになると、これは大へんな問題ですよね、実情として。そうそう起債起債というように地方債を認めるわけにはいきませんから、当然現金納付というものは多くなってくる。現在のままの形でいきますと、多くなってくる。こういう点につきましては、これは地方自治体としても、二兆円道路をやってもらいたい、来年から五カ年片面を再度一つ練り直してもらいたいという要望は持ってはいても、事実上地方負掛が多くなってくるということになると、なかなか問題が出てくる。それで、私もよく地方団体の人に言うのですが、建設省としても、道路を早急に直したいという国民の要望を十分くんで、しかも地方自治体のそういう財政事情等も相当考慮して、積極的に自治庁に援護をして、できるだけ一つ国費で、道路整備を国の直轄事業でやるのだという基本方針のもとに、一つこれから対策を立ててもらいたいということを、私は特にお願いをしておきたいと思います。
  80. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) ほかに御発言もなければ、両案に対する質疑はこれで尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  これより両案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。道路整備特別会計法の一部を改正する法律案及び特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。両案を原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  85. 杉山昌作

    委員長杉山昌作君) 速記つけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会