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政府委員(
小熊孝次君) ただいま議題となりました四
法律案につきまして補足
説明を申し上げます。
まず、
糸価安定特別会計法の一部を
改正する
法律案でございますが、御承知の
通り、繭糸価格安定法の基本法といたしまして繭糸価格安定法がございますが、同法によりますと、
政府は、申し込みに応じまして、最高価格でその保有する生糸を売り渡し、または
予算の範囲内におきまして最低価格で生糸を買い入れることにより、繭及び生糸の価格の異常変動の防止をはかることになっております。糸価安定特別会計におきましては、
昭和三十二年度までは、三十億円の資本金と三十億円を限度とする借入金及び五億二百万円、計六十五億二百万円をもちまして——これは五億二百万円は積立金でございますが、計六十五億二百万円をもちまして、同法による繭糸価格の安定をはかって参ったのでありますが、三十二年の暮れごろから、徐々に生糸の市況が悪化いたしましたので、これに対処するために、特別会計の借入限度を七十億円に引き上げますとともに、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の制定によりまして、同法による生糸及び繭の
政府買い入れをもこの会計で行なうことといたしました。これと同時に、
昭和三十五年五月三十一日までは、繭糸価格安定法による生糸の買い入れば行なわないことになったわけでありますが、三十四年度には、
一般会計からこの会計に二十億円を繰り入れますとともに、借入限度を二百七十五億円に引き上げ、現在に及んでいるわけでございます。
三十五年度の繭及び生糸の価格の安定について見まするに、現状におきましては、さきに述べましたような特別の措置を引き続き講ずる必要はないと認められますので、今回、この
法律案を提出いたしまして、借入限度を百十五億にいたそうというわけでございます。
次に、
国有林野事業特別会計法の一部
改正案につきまして、補足
説明を申し上げます。
別途、今国会で御審議をいただきました治山治水緊急措置法の
規定によりますところの治山
事業十カ年
計画に基づきまして行ないます治山
事業につきましては、
事業の収支並びにその成果を明らかにすることが適当であると認めまして、その経理を
一般会計と区分して明らかにしようとするものでありますが、従来から民有林野につきましての治山
事業は、国有林野
事業の一環といたしまして、
一般会計から委託を受けて国有林野
事業特別会計において実施してきたところであり、また、今回の治山十ヵ年
計画に基づいて実施する直轄治山
事業も、
事業の実施の面になりますと、しょせんは、営林局署において行なわざるを得ないこととなり、別個の特別会計を設けることにいたしますと、組織、人の問題も生じて参りますので、国有林野
事業特別会計を国有林野
事業勘定及び治山勘定に区分して経理することとするのが適当であると認めまして、この法案を提出した次第であります。
次に、
治水特別会計法案につきまして補足
説明を申し上げます。
治水
事業は、治山とともに
昭和三十五年度におきまするところの
政府の重要施策の
一つでありまして、別途提案中の治山治水緊急措置法案の定めるところによって治水
事業十ヵ年
計画を定め、もって
事業の緊急かつ
計画的な実施をはかることとしているところであります。
この特別会計法案は、このような背景において国が直轄で行なう治水
事業及び多
目的ダム建設工事の実施に関しまして、その経理を
一般会計と区分して明確にすることを
目的とするものであります。さらに、直轄治水
事業に密接に関連する伊勢湾等高潮対策
事業で建設大臣が施行するもの、並びにこれらの
事業または多
目的ダム建設工事に密接に関連する受託工事につきましても、これらの
事業または工事が直轄治水
事業または多
目的ダム建設工事とともに同一の工事
事務所において施行しているものであり、人員、施設器材の共用等工事実施上相互に関連するところが多いので、工事の円滑化をはかる趣旨から、この会計においてあわせて経理するとともに、また都道府県知事が施行する治水
事業費に対する
負担金または
補助金につきましても、治水
事業十ヵ年
計画に基づく
事業の通覧を便ならしめ、かつ、
事業全体の
実績を明確にするため、この会計において一体的に経理することとしております。
特別会計の経理は、提案
理由において述べましたように、治水勘定と特定多
目的ダム建設工事勘定に区分して行なうこととしております。治水勘定は、直轄治水
事業、直轄伊勢湾等高潮対策
事業、治水
関係受託工事並びに治水
事業費
補助金または
負担金の
交付等に関する経理を行なうものであります。特定多
目的ダム建設工事勘定は、多
目的ダム建設工事及び多
目的ダム
関係受託工事に関する経理を行なうものでありますが、ダム使用権設定予定者からの
負担金等工事費負担の特殊性にかんがみ、その経理は、工事別等の区分により行なうこととしております。この会計の経費のうち、直轄治水
事業及び直轄伊勢湾等高潮対策
事業の額で国庫が負担するものまたは治水
事業費
補助金負担金の額は、毎年度、
一般会計から治水勘定に繰り入れ、多
目的ダム建設工事費の額で国庫が負担するものは、毎年度、特定多
目的ダム建設工事勘定に繰り入れることとしております。
なお、多
目的ダム建設工事及び多
目的ダム
関係受託工事に関する
事務費につきましては、
予算の効率的な執行をはかる趣旨によりまして、特定多
目的ダム建設工事勘定から治水勘定に
事務費相当額の財源の繰り入れをいたしまして、治水勘定において一括支弁することとしております。
以上のほか、この法案におきましては、会計の歳入歳出予定計算費等の作成、
予算の提出、歳入歳出決定計算書の作成、歳入歳出決算の提出手続、決算上の剰余金の処理など、この会計の運営上必要な基本的事項を定めることとしております。
なお、現行の特定多
目的ダム建設工事特別会計は、
昭和三十四年度限り廃止することといたしまして、同特別会計の資産及び負債は、政令の定めるところにより、この会計の特定多
目的ダム建設工事勘定に帰属することとし、また、
一般会計の治水
関係予算により購入した機械その他の治水
関係資金及び負債についても、同様に政令で定めるところにより、この会計の治水勘定または特定多
目的ダム建設工事勘定に帰属することとしております。
次に、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を
改正する
法律案の補足
説明を申し上げます。
政府におきましては、
昭和二十九年度以来地方
交付税法による地方
交付税の交付を行ない、
昭和三十四年度におきましては、所得税、法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の二十八・五に相当する額の合算額を地方
交付税として交付して参ったのでありますが、今般、
昭和三十四年度に実施いたしました所得税の減税に伴う道府県民税及び
市町村民税の減収が
地方公共団体に与える影響を考慮いたしまして、あわせてその財政の健全化に資するため、当分の間、臨時地方特別
交付金に関する
法律案を提案いたしたのであります。この措置に伴いまして、臨時地方特別
交付金の交付に関する
政府の経理は、臨時地方特別
交付金が当該年度におきまするところの所得税、法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の〇・三に相当する額の合算額を限度として
地方公共団体に対して交付されるものでありますので、特定の歳入をもって特定の歳出に充てられる性質のものであり、かつ、その歳入、歳出に関する手続も地方
交付税に準じて行なわれますので、本特別会計において経理を明確にすることが適当でありますので、本特別会計について所要の
改正を行なうためこの
法律案を提出した次第であります。
以上四法案について補足
説明を終わりたいと思います。