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1960-06-17 第34回国会 参議院 商工委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月十七日(金曜日)    午後四時五十五分開会   —————————————   委員の異動 五月二十八日委員斎藤昇辞任につ き、その補欠として徳永正利君を議長 において指名した。 五月三十日委員井川伊平君及び徳永正 利君辞任につき、その補欠として山本 杉君及び斎藤昇君を議長において指名 した。 六月九日委員上原正吉君及び山本杉辞任につき、その補欠として西田隆男 君及び大谷藤之助君を議長において指 名した。 六月十日委員大谷藤之助君及び西田隆 男君辞任につき、井川伊平君及び上原 正吉君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            小林 英三君            斎藤  昇君            高橋進太郎君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年五月のチリ地震津波に  よる災害を受けた中小企業者に対す  る資金融通に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案を議題といたします。  まず政府より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ただいま提案になりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず、提案理由について御説明申し上げます。  昭和三十五年五月のチリ地震津波は、中小企業者に対して想像以上に大きな被害を与え、これが急速な立ち直りのためには再建資金融通円滑化をはかることが刻下の急務となって参りました。  このため政府におきましては、直ちに国民金融公庫中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫資金を重点的に災害融資に振り向けることといたしましたほか昭和三十四年度伊勢湾台風等による風水害の際にとった措置に準じて、両公庫災害融資については行政措置によって貸出利率引き下げを行なうこととしたのでありますが、商工組合中央金庫の行なう災害融資についても法律により同様に貸付利率引き下げ措置をとることが必要と考えられるのであります。  次に、本法案概要は、商工組合中央金庫が行なら災害融資について、両公庫の場合と同様その貸付利率引き下げを行ならため、商工組合中央金庫に対する政府利子補給に関し必要な事項を規定したものであります。  すなわち、政府商工組合中央金庫災害を受けた中小企業者であって政令で指定するものに対し、昭和三十五年十月三十一日までに貸し付けた再建資金のうち、被害中小企業者一人につき五十万円までの額について、貸付を行なった日から三年間を限り、年六分五厘の利率を適用したときは、通常利率との差額商工組合中央金庫に対して支給することができることといたした次第であります。  以上この法律案提案理由及びその概要を申し述べましたが、何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 川上為治

    川上為治君 私はこの前のチリ津波災害に対しまして、かような特別な法律的措置をとられることはまことにけっこうなことだと思うのでありますが、その際の特に中小企業関係災害状況はどういうことになっておりますか、それをもう少し御説明願いたいと思います。  それからなお、伊勢湾台風の場合と今回の措置はだいぶ違っているようでございますが、どういう理由から伊勢湾台風の場合と違ったような措置をとられるのでありますか、その点につきましても御説明を願いたいと思います。
  6. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 被官の状況につきましては、ただいままで各都道府県を通じまして調査したところによりますと、被害額で申しまして、商工関係被害額約八十二億、そのうち中小企業関係被害七十九億、七十九億のうち東北三県が一番多うございまして、約六十六億、こういうことになっております。被害規模といたしましては、伊勢湾台風の大ざっぱに一割程度ということだろうと思います。それから業種別等で見まして特に特徴がございますのは、水産加工関係等製造加工業、それから商店街、まあそういうところに被害が大体集中しておる、こういう実情であります。  それから伊勢湾の場合の措置と今度の措置との差を申し上げますと、一つ特利を適用いたします金額程度伊勢湾のときは百万円といたしました。今回は五十万円といたしております。これは今回の融資希望等をとりまして、大体五十万で伊勢湾のときの百万と並ぶ程度の何と申しますか、恩恵を与えることができるという、統計的な今までの申し込み等を算定しまして、そういう数字にいたしたわけであります。それからもう一つは、保険の問題につきましては、伊勢湾のときには填補率を引き上げました。また保険料率引き下げましたが、今回は特にそういう措置をとっておりません。しかしながらいわゆる保険規模を拡大する意味融資をやることにいたしておりまして、その融資資金運用によりまして、填補率を引き上げたり、保険料率を下げますことは、要するに信用保証協会の負担を軽くしようという意味でございますから、融資基金運用によりまして、それをまかなうに十分な措置ができる、たまたま融資基金は、本年度分伊勢湾残り等がまだ配分する矢先でございましたので、これにその災害意味を加えまして、災害各県にはたくさん配分するということによりまして、そういう効果を期待しよう、こういうことを考えております。それから伊勢湾のときには共同施設につきまして補助をする特別の議員提案法律が出ましたが、今回は共同施設災害被害の件数が非常に少のうございますので、これまた今年度共同施設資金配分のときに、被害状況を織り込みまして配分する、こういう段取りにいたしております。
  7. 川上為治

    川上為治君 運用によりまして、伊勢湾台風措置に準じて十分な措置ができるというようなお話でありますので、私も了承いたしますが、どうか一つ具体的にこの問題につきましては中小企業のめんどうを見ていただくように、特にお願いいたします。
  8. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私も本会議でも質問をいたしたのでありますが、現場をつぶさに見ましても、今度の災害は、現地におきまして、いわゆる舶来津波と称せられるだけ、今までの津波と違いまして、何らの予告もなし、しかも警報は津波が来襲してから発令になった。従来は、津波と申しますと、いわゆる地震が伴って、その地震の何時間後に津波が発生したというので、若干その点の、まあ早い話が、周囲の商工業者であれば、幾分かの品物を持ち出すとか、あるいはそういうような状況ということでございますが、ただいま申し上げたような現状でございまして、もう店舗の中の洗いざらいが持っていかれたというような状況で、しかも一物もそれを持ち出すことができず、命からがら逃げたというような状況であるのであります。そういうような個々的な——これは農林大臣も言っておりますが、個々的な商店被害等を見ますと、あるいはまた特に零細企業者状況を見ますると、その点は伊勢湾台風よりももっとそういう個人的な被害が少なくないのであります。今の長官お話は、総体的の被害総額につきましては、伊勢湾台風その他と比べてきわめて少ないようなお話でございますが、これはこの地方自体東北でもいわゆる東北東北であり、それだけに非常に経済的な後進地域でありまして、従って被害が少ないということは、それだけ何らの経済的な基盤がないということであり、従って個人々々について見ますると、きわめてその被害の度、あるいはその生活に及ぼす影響というものは、きわめて深刻なのであります。おそらく今長官お話にも、伊勢湾台風のときには百万円であるが、今度の場合は五十万円だと、こういうのはそれだけに零細企業者が多いということであるので、従ってこれはそれだけにむしろ実体的にはきわめて深刻な零細企業でございまするから、これは利子補給のごときも、むしろそういう差額補給ということでなく、本質的な助成なり、あるいは全部利子補給するというような方途に出らるべきでないかと考えますし、かつまた共同施設については考えないというお話でございますけれども、ただいま申し上げた通り共同施設自体が一体少ないのであります。これはこの地方における後進性を物語っておるので、従って、半面私は共同施設に対する被害が少ないということだけで済まされないのでありまして、むしろこれは積極的に今後これらの地方における零細企業者に対しての共同施設ということに行政措置なり、その他によって積極的に共同施設を助成する、こういうような方向に進んでいただかなければ、今後これらの災害地は永久に救われることがないのではないかという丸がいたしますと同時に、もう一つお尋ねいたしたいのは、ただいま申し上げた通り伊勢湾台風のときには、比較的これはその隣接地に経済的な基盤がございまするから、就労態勢というものがその経済基盤自体に備わっておる。ところがこれらの地方によりましては、ほとんどそういうような状態がございませんので、従って、かりに商店にいたしましても、零細企業にいたしましても、それらの店なりあるいは商品なりが若干回復するまでは、何ら就労ができないというような状況であり、従ってこれらに対する生活と申しますか、就労態勢と申しますか、それ自体に対する対策はどういうふうにお考えいただいたのか、そこいらをあわせて、一つ説明願いたいと存ずる次第でございます。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 伊勢湾台風のときの施策と今回の施策は、ただいま長官からお答え申し上げましたように、さしむき利子補給金額が百万円から五十万円になっております。もともと今回の措置につきまして、特別立法ということは政府部内においてかなり厄介な問題で、最後にようやくこれが通ったというような状況でございます。私は、この法案作成に当たりまして、全体の災害は、少くとも個人々々にとっては、何らの伊勢湾と区別する必要はないじゃないかということも申しまして督励いたしたのであります。こういう措置は、沿革的に申しますと、長崎県の諫早やあるいはまた伊豆半島の際、当時は三十力円であったのであります。それから実際的な統計をとってみますと、五十万円以下の貸付がほとんど大部分、従いまして、今回は伊勢湾のときと違いまして、お話通り五十万円以上借りる人は、割合少ないというので五十万円ということで区切りをしたのでありますが、融資は何百万円でもいたしております。全体的に、総合的に考えまして、また過去の例等を見まして、この程度で妥協した方がいいのじゃないかというので、五十万円ということで実は折れたのであります。従ってその点を一つ御了承を願いたいと存じます。災害を受けた金額の多い方には融資はいたしますが、利子補給分は全体を見ていかぬといかぬのじゃないかと、大蔵省から強いあれでございます。今後にやはり例が残りますから、常に百万円ということになると、大蔵省もなかなか困るようでございまして実情を調べた上で五十万円で大部分がまかなえるというので、五十万円にいたした次第でございます。  それから共同施設につきましては、御承知通り、三十五年度予算で一億二千万円がっ予算に認められておりますので、この予算配分に当たりまして、この災害を受けた地方に対しまする配分を十分考えていきたいと考えております。  なお、所管は違いまするが、災害を受けられた人が事業を復活する間における措置につきましては、労働省でも考えておると聞いております。われわれとしても、相手が中小企業でございますから、関係当局と十分打ち分わせをいたしまして、御期待に沿いたいと考えております。
  10. 小林英三

    小林英三君 ちょっとお伺いいたしますが、今大臣のおっしゃった提案理由説明で、「このため政府におきましては、直ちに国民金融公庫中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫資金を重点的に災害融資に振り向けることといたしました」と、こう書いてあるのですが、そうすると重点的に災害に振り向けたために、これらの二公庫並びに中金というものの資金の減りますことはどうなっておるかということは別に書いてありませんが、その点はどうされるのですか。
  11. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 提案申しております法律は、商工中金利子補給の問題であります。商工中金特別利率で貸しますが、中小公庫国民金融公庫特別利率で貸します。これは閣議決定行政措置をやることになっております。従って、貸すときには工十万円までは全部三機関でも一律にすると、こういうことでございます。その資金源の問題につきましては、たまたま年度初めのことでもございますし、三機関が持っております資金というものから見まして、今回所要とされるだろうと見込まれる資金は十分まかなえるということで、特別のワク等は設けませんで、どんどん貸していく、もし資金ワク等の不足のときは、年末融資その他で補いをつけるということにいたしております。資金量で御迷惑をかけることは絶対ないと思っております。
  12. 小林英三

    小林英三君 十分まかなえるという自信があるのですか、これはちょっとおかしいのじゃないですか。国民金融公庫中小企業金融公庫商工中金資金を重点的にその方に回す、これはわかります。それは当然のことでしょう。しかし一般の中小企業金融というものに対して支障を来たすものに対して、政府は何かの措置をおつけになるのか、それではちょっと意味がわかりません。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り国民金融公庫中小企業金融公庫商工組合中央金庫融資の一年の見込み額は千億円をこえると思っております。しこうして、今回の災害によりまして、大体の融資予定額は二十億、たかだか三十億、三公庫とも合わせてその程度ではないかと思います。そういうことになりますと、三公庫で千億以上の融資がございますので、年度初めでもございますし、今特に二十億、三十億を、一つ公庫にしますと七、八億程度のものでございますが、この際特にワクを設けなくても、重点的にやってみて、そうして他の地方貸付にかなり影響があるということならば、年末融資その他で考えていくのが適当じゃないか、そう申しては言い過ぎかもしれませんが、千数百億あるときに二、三十億の融資があるということは、別のワクをつけるほどのことでもない、年末その他で考えていこう、こういう気持で伊勢湾台風のときのように別にワクを設けなかった次第であります。
  14. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案を可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  16. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会