運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-19 第34回国会 参議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十九日(木曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            小林 英三君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            近藤 信一君            椿  繁夫君            吉田 法晴君            加藤 正人君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  理事会で協議いたしました審議予定について御報告いたします。来週も石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案審議を行ないます。以上御了承願います。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 吉田法晴

    吉田法晴君 昨日三池の問題をお尋ねをしておったのですが、不幸にして池田通産大臣おられませんでしたので、池田通産大臣お尋ねをすること、樋詰局長から私は知らぬと、こういうお話でした。三池の問題でお尋ねをいたしたいと思いました点が二つある。一つは、合理化という問題についての基本的な通産大臣のお考えあるいは政府方針というもの、それはあとで聞くことにいたしまして、私どもこれは巷間聞くところですけれども三井鉱山重役なり、あるいは三井銀行重役なりと池田通産大臣と親しい関係もあるかもしれませんが、個人的に要請、個人的か公か知りませんけれども要請をしたことが政府方針を動かす基礎になっておるのではないか。あるいは最近のこれは十九億でしたか協調融資ということですが、実際は会社側争議資金争議資金を作るについての池田通産大臣応援があるのではないか、こういうまあうわさが出ておる。そうしてそのことが閣議で、国家公安委員長等発言にもなり、三池におけるピケ状態が違法であるかのごとく、いつも違法であるかのごとく印象づけ、あるいは警察が大ぜい出るに至っておる今日の事態惹起の大きな動機になっておる、これは多少想像が入っているかもしれませんが、しかしあるいは閣議での発言、あるいはその他の新聞に載っておるところでありますから、全くそういうことはなかった、あるいは、それは全くのデマだというわけには参らぬと思う。きのう質問をいたしましたけれども池田通産大臣おられませんでしたから、きょうあらためてお答えいただきたいと思います。
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 通産省といたしまして、三池争議につきましてとりました措置は、あの地におきまする産業が、原料炭不足のために非常に困っているということを聞きまして、石炭仕向けをしたことがございます。それ以外には何もいたしておりません。三井銀行重役は知っておりまするが、行ったこともございませんし、何もこの問題で頼んだことはございません。三井鉱山の社長とはずっと以前に一回、役所でなしに、他の場所、これは運動に行った場所で会っただけでございます。また、閣議におきましての発言につきまして、三池に対する発言は、ピケがしかれたときに——争議の初めでございますが、保安官が二名、坑内へ入りまして保安状態を調べたということを閣議発言しただけでございます。この問題につきましては、先ほど申しました通りでございまして、私は片方の、使用者側ということよりも、労働関係の方の方々とはちょいちょい会ったことはございます。しかし、それはここでは申されません。私は、あくまで労働問題のあれでございますから、所管労働大臣が主になっておやりになるよう、争議にタッチしない方針で進んでおります。
  6. 吉田法晴

    吉田法晴君 原料炭の問題について、石炭仕向けについては、指示をしておるといいますか、あるいは方針を出したことがある、こういうことですが、それは国内炭でのいわゆる救援炭といわれる問題ですか、それとも外国炭輸入も含んでいるんですか。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 原則としては、すなわち建前としては、国内炭でまかない、そうして、御承知通り原料炭は相当部分を輸入しておりますが、今年の初め、爆発その他によりまして、原料炭国内産自体が、予定よりも少なくなっておりますので、間接的には輸入炭でまかなうような結果になったかと思います。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 大牟田における関連産業石炭の問題は、これは大牟田においても、関連産業といいますか、化学工業その他の原料炭の輸送までもストップするという方針が出ておりませんから、私どもも、これが労働問題で争われておるということで、正式に問題にしようとは思いませんけれども、しかし、最初外国炭が、三井三池の闘争に関連をして入れられるときには、論議になったことがございます。これは炭鉱の問題だから、石炭行政としては、石炭生産石炭供給ということについて、関心は持たれるでしょうが、しかし石炭消費のことについて、もしそれが、労使双方争い片方の援助になる、こういうことであるならば、これはやはり慎重に考えられなければならぬ問題じゃないかと思うのです。そういう意味で、原料炭の問題といえども、これは、消費者だけの意向、都合だけを考えておやりになっていると、労使争いの中に通産行政が、やはり会社応援として介入をするおそれなしとしないので、従来のように、一方的にといいますか、単純な判断だけでなされることについては、慎重さが足りなかったという点を指摘をしておかなければならぬと思うのです。それから先ほどお尋ねをしました中で、協調融資等の点についてお答えがございませんでしたが、全然こうした協調融資、しかもそれが、争議資金協調融資について、通産省あるいは通産大臣関連がないとは想像がしにくい、そうして、そのことが、今の原料炭の問題と同じに、きわめて直接の平渉、関与じゃなくても、争議と申しますか、労使争いに、間接的には大きく経営を支持する、会社側を支持するという動きになりかねないのでありまするから、重ねてこれらの点について御答弁をいただきたいと思います。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど申し上げた通りでございます。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど言われた通りというのは、原料炭のことについては、国内、国外の炭を含めてやった、それから協調融資については、全然知らない、こういうわけですか。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) さようでございます。
  12. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は御答弁に重ねて、あなたから考えれば間接であろうとも、たとえば原料炭の問題についても、心なしにおやりになっておると、争議応援になりますぞ、こういうことを申し上げて、慎重な考慮と慎重な態度を願っておるわけであります。それについてはどうなんですか。全然考慮してないということですか
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は関係局長から、大牟田における石炭産業が非常に困っている、で、相談を受けましたから、先ほど申し上げましたごとく、とにかく他の産業に、その争議による悪影響がある場合におきまして、しかもその産業が危殆に瀕するような場合におきましては、通産省としては石炭供給にできるだけの努力をしなければならぬということは指示いたしております。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃまたもとに戻って、合理化という問題について、基本的な考え方を承りたいですが、これは石炭鉱業合理化臨時措置法基本精神とも関連をいたしますので、直接法案と関連がございますが、この三池の実態、あるいは三池の問題に表われている三井態度を見ておりますと、きわめて、何と申しますか、強いけんか腰、攻勢で実は出てきておる、これが三井かと思われるような実は態度でありますが、その底には、これは炭鉱経営者の古い考え方だと思いますが、労働者を対等の立場で考え、あるいは労働者協力を得て石炭産業の復興なり、発展なり、あるいは近代化合理化をはかっていこうというのじゃなくて、労働組合を弱体化し、あるいはつぶしていって、それで第二組合等協力を得、あるいは協力をしない者については、従来の三井炭鉱労働組合については、もう協力は要らない、他の山あたりから人間を連れてきてもやるんだと、こういう案が示されておる、そうすると、全く労働者を無視する、あるいは三井三池の従来の従業員の大部分を敵視しながら、それで合理化近代化をやっていこう、こういう態度ですが、そういうことではたして炭鉱生産、発展、あるいは近代化合理化というものができるかどうか、私は実は不可能だと思う。しかし、従来の政府通産大臣も、経営者方針を見過ごすという格好で、暗黙にその方針を取り上げ、これを支持されていくならば、ああいう事態は、これは起こって参るのが、ある意味においては当然だと思うのですが、池田通産大臣、どういう工合にお考えですか。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 労使の間に協力体制が確立せられて、産業が伸びていくことを通産大臣考えておるのであります。従いまして、そういう命題につきましては、常にその考えで指導いたしておりまするが、今回のごとく中労委あっせんを両者が申請し、中労委あっせんが出てからの問題につきましては、私は直接の所管庁でございませんので、先ほど来申し上げましたごとく、いろいろ話がございましたが、われわれは争議が一日も早く円満に妥決することを願っておるということだけで、労働問題に対する具体的の問題は、いろいろ陳情を受けておりまするが、これは使用者側ではございません。労働大臣お話しいただくようにいたしておるのであります。ただ私は産業関係しておりますので、全然無関心というわけではございません。できるだけ早く解決することを念願しておる一人でございます。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 労使協力の上に炭鉱が運営され、あるいは石炭生産されることを望む、それから三池事態は、悲しむべき事態で、一日も早く妥結することを望む、これはまあ初めから、今になっても当然言わるべき、何といいますか、言葉だろうと思うのですが、実際に政府がおやりになっているのは、きのういろいろ事実を上げたのですが、各省の関係からいっても、通産省関係からいうと、通産局あるいは地方保安部ですか、そういう関係からいっても、あるいは運輸省や厚生省やあるいは警察関係からいっても、政府あるいは政府機関が、現地においては会社側協力をして労働者断圧に向かっておる、こういうような印象がだんだん強くなってきておることを私どもは残念に思うのですが、この冷静を失いました会社側方針でいくならば、先ほど申し上げましたように、第一組合といいますか、三池炭鉱労働組合の諸君は、全部解雇しても山の他側から人を連れてきて、第二組合と、その連れてきた人たち生産を再開するのだ、こういう実に乱暴な方針を出しておるわけです。それを見て、石炭関係者、これは私の接する九州、福岡における労使を問わない常識的な判断をする人たちでありますが、いずれもその無謀といいますか、けんか腰の激しさにあぜんと実はしておる。それで、こういうことではたして三池が復興し得るかどうか、危惧をするわけでありますが、労使の問題だから、中労委が出たあと自分はタッチをしないのだと、こういうことですけれども政府閣議での論、これは三池状態について警察出動警察活動を取り上げはされましたけれども、今言われるような、通産大臣として問題が一日も早く妥結するよう、あるいは本来の労使協力をして三池なら三池炭鉱が旧に復して軌道に乗るようにという努力がなされたとは私ども一向承知をせぬわけです。重ねて通産大臣に具体的な所見を承りたい。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 心を砕いておるということが努力の中にあるか、なるかならぬかということは問題になると思いますが、私はいろいろと検討いたしておりますが、何分にもこの労使関係、こういう中労委あっせんの場合におきまして、一産業大臣が突っ走るというわけではございません。やはり労働大臣がいろいろお考えになって、そして産業面からの御相談があればもちろん応じまするけれども、今私がこれにつきましていろいろ陳情を受けたり何かいたしておりまするが、ただいま私は吉田君の言われるように、積極的に行動を起こすということは今のところ考えておりません。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣労働問題解決のために積極的に動き出すということは、これはあなたの言われるようにその本分でないかもしれません。しかし、合理化あるいは近代化という命題労働者首切りだけで、あるいは労働組合弾圧だけでできないということを通産大臣がお認めになるならば、言われた労使協力による炭鉱の正規の生産の再開、これに心を砕いておるというような今お話がございましたが、それに努力するのは当然ではないかと思うのです、直接どうする、こうするというのはもちろんあれとして。私どもが従来聞いておるところでは、通産大臣首切り合理化石炭産業資本家方針はやむを得なかろう、出てきた人間についてはその仕事は何とかしなければならない、あるいは援護会その他で職業紹介をしていかなければならない、こういう態度であるかのように私ども理解をするわけです。それでは一つ企業の中における三池の問題のごとく、石炭産業全体としてほんとうの和、あるいは協力というものは、これは実現する見通しなかろうと思うのです。首切りあるいは労働組合弾圧だけで、石炭合理化近代化をおやりになろうとするか。それともほんとう協力を得られようとするならば、一般的な方針としても、あるいは三池の問題としても、それが協力の上に生産が再開され、あるいは近代化が進められるように努力をせられるべきだと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点がはっきりわかりませんが、もし違っておりましたら御質問願います。  こういう先鋭化した労働争議の場合に、これが合理化に反するとかなんとかいう問題と、これは違ってきております。従いまして、合理化の問題は争議の問題とかけ離れて私は考えるべきもんだとこう思っておりまするから、先ほど来お答えいたした通りであります。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 この争議の問題と合理化の問題は違うと言われるのですが、しかしこれは賃上げの問題から始まったのではございません。通産大臣等が言われる合理化の方策の一つの問題として整理、あるいはさっきあっせん案の問題が出ましたが、中山あっせん案に出ましたように、希望退職認めるが指名解雇は撤回する、こういう工合合理化三池の問題は関連がございませんか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は直接に関係はないと考えております。
  22. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、三池の場合には人を減らすという問題と関係がないのですか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは三池経営者考えることであります。そしてそれは労働者等話し合いできまるべき問題であると考えます。
  24. 吉田法晴

    吉田法晴君 それなら三井なら三井の中の合理化の問題であるかどうかという点はそれも否定になりますか。政策の問題に私は基本精神において通ずるものがあるからとして問題を取り上げたのですが、この問題の性質として、あるいは合理化近代化という問題と三池の人を減らすかどうかという  問題とは関連がないのですか。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 通産大臣産業行政といたしまして、合理化近代化をはかるということは、これは全体的の問題でございます。そしてその合理化のために会社がどういうことをするかということにつきましては通産大臣所管ではございません。
  26. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは合理化という問題は買い上げる山の人の問題だけであって、出炭を買い上げるだけであって、この買い上げる炭鉱におる人間の問題は合理化の問題であるけれども、十一万とか、あるいは十一万にはなりません、六、七万になりますが、それは合理化の中で人員が多過ぎるから減るでしょう。あるいは減さなければならぬのではないかと、こういう答弁通産大臣からもあったようです。あるいはきのうも樋詰局長からもございましたが、そういう問題はこれは合理化の問題ではないのですか。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭鉱業合理化の必要があるということは、政府所定機関に諮問をいたしましてきめます。しこうして合理化の方法として政府はこういうことをしたいということで、通産省としては皆様方に御審議を願っておるのであります。そうしてその間におきまして合理化によって人員整理があったという場合につきまして、その整理の仕方等々は労働法規によって、また労使関係においてきめるべきもので、その所管は私は労働大臣所管である、こういう考え方を持っておるのであります。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうするとあれですか、その人を減すかどうかという問題は、それは通産省問題——全体の六、七万減るかどうか、具体的にその会社あるいは山で人を減すかどうかという問題は、それは労使問題であって、通産行政とは何ら関係がない、こういうわけでございますか。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) さようでございます。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと乱暴なお話に聞けるのですが、総数は通産行政の問題になるけれども、個々の問題はこれは通産行政の問題にならぬ。もちろん買い上げるものは法の対象ですから問題になりましょうが、そのほかにも通産大臣答弁をされ、あるいは樋詰局長答弁をいたしました六、七万の問題、あるいは経営者は十一万云々という話をしておるようですけれども、その問題は合理化の問題だけれども、その六、七万のうちのあるいは何千名、あるいは何百名という問題は、これは通産行政の問題ではないというのはなぜか。六、七万というのは何が寄り集まって出てきたものですか。あるいは何千、何万、何百という人間が寄り集まって六、七万になるのですか。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) よくお考え願いたいのでありますが、通産省としては石炭鉱業をどう持っていくかということにつきまして、所定機関に諮りまして、石炭鉱業がこうあるべきだと考えるわけであります。そうして通産省としての所管の、こういう金融措置等をとる、その結果において離職者がどれだけ出るかということにつきまして、一応のこれは計算で、通産省はこれだけ出さなければいけませんということを言っておりません。そこにおいて各企業につきましては、労使協調のもとにその会社経営が立つように話し合いすることが必要であるのです。その話し合いの必要が通産行政本来の仕事ではないのです。これは労使の間におきまして、そういうように石炭鉱業が困るのなら自分一つやめていきましょうという人もありましょう、あるいはまた賃金のベースアップをやめるとかあるいは手当を少なくしてもここにとどまりたい、いろいろな問題がございましょう、これはやはり労使の間の関係で、その問は労働法親により仲裁機関が中へ入ってきめるべき問題であります。通産省としては六万人—七万人がやめていくべきだというようなことを言っておりません。こういう格好になってはやめていかざるを得ぬようになるから、これは次の問題としては、労働省にこういう事情だから一つ労働省でお考えになって離職者に対しての対策の万全を期してもらいたい、こういう私は関係になっていると思います。
  32. 吉田法晴

    吉田法晴君 その辺の考え方に私はやはりちょっと問題があると思うのです。これは対照的な事例を昨年ドイツで聞きましたからその話から始めますが、ルールに参りまして、労働組合がちょうど大会でしたから、経営者団体労務担当理事者に会いました。そうしてルール労働者あるいは石炭事情を聞いたのですが、そのときに数字はちょっと忘れましたけれどもルールで数十万の労働者が減っておる。従ってルールに非常な労働不安あるいは生活不安があって、危惧される政治的な状態にあるという話さえあった。しかし実際に失業者状態にあるのは数百人にとどまる。大部分は、あるいはいんしんに向かっておる鉄鋼その他に向いて、これは御承知のように、同じ地方鉄鋼その他の産業があるからそこに移るわけです。しかしこの数百人の人間生活といえどもどもは何とかしなければならぬ。これに対して責任を負わなければならぬ。これは経営者団体経営者のいわば労務担当の人ですから、日本でいうと日経連の前田一氏のような人だと思う。この数百人の労働者生活についての責任をもってわれわれ最善の努力をしなければならぬという考え方と、それから前田一氏のように、名前をあげて恐縮ですけれども労働者というものは、やはり首切り、あるいは敵視し、あるいは労働組合ぶつつぶし策に狂奔される経営者との間には、大きな逕庭があると思うのです。通産大臣のこの通産行政の中にも、人間のことはそれは労働省だ、自分生産のことさえ考えておればよろしい、あるいは失業者を出さなければならぬ、出るということは、これはお認めになる、あるいは合理化の中心が六、七万の失業者という点は認める、あるいはやめていく者があるかもしらぬ、あるいはベースアップもやめなければならぬかもしれぬ、しかしその問題は自分所管ではなくて労働省所管である、あるいは労働者が納得するかどうか、労使の問題にまかしておいて、自分の方は全体のとにかく数字、あるいは需給、そういうものだけ考えておればよろしいのだ、これは経営者が施設、あるいは資本考えて、人間のことを考えない私は日本炭鉱経営あるいは日本資本主義の最大の欠点を通産大臣がそのまま受け継いでおられる。それでは血の通った民主行政あるいは産業行政というものは私はできぬと思う。ドイツルール事例さえも引いて、民主政治であるならば、あるいは通産大臣通産行政だけでなくて、日本政治全般について責任を負うと考えておられるならば、私はもっと民主政治に徹して人間相手にして国民を相手にして行政をやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 吉田さんは誤解があると思います。ドイツのことをおっしゃいますが、それはドイツ完全雇用状態でございます。またお話のように炭鉱地へ行くと、関連産業が同一地域のところにございます。しかしそれでもなお他の地方へ移転する場合もありますが、ドイツ事情とは違います。ただドイツ労務関係者の人が離職される人に対していろんな思いやりの気持をもって努力する。私は日本財界におきましても、直接関係会社ができるだけ離職者を救おうとして努力していることは御承知通りと思うのであります。また一般財界といたしましても、関係の直接ない財界といたしましても、総合的に離職者の問題を考えていこうと、この前決議して、中央離職者対策審議会というものを設けている。これはドイツと何にも違ったことはないと思う。そうしてまた私が先ほど来申し上げましたごとく、労使の間で問題を解決していただきたいということは通産大臣として言っているわけです。しかし離職者に対しましては、私はいまだかつてないような画期的な措置をとるように労働大臣相談していっております。だから池山通産相関係においてどの程度までいけるかといったならば、通産省所管労働省所管、あるいは仲裁裁定の問題についてはただいま申し上げた通りであります。しからば政治的の問題としてこの問題をいかに考えるかというイニシアチブをとるのはやはり労働省であるべきだと思う。そうしてそれを労働大臣考え方をいかに政治的に、閣議で検討する場合につきましては、これは石炭産業なるがゆえに関係大臣としての意見は言わなければなりません。で、前から申し上げた通りでございます。従って私は使用者側でない方からもいろいろ話を聞いております。いい知恵があれば僕に聞かしてくれと言っているのですが、お互いにまだいい知恵が出てこない。それで先ほど来いろいろ苦慮しているのであります。あなたが通産省労働省、あるいは内閣の所管等の行政設置法の点からの御質問か、あるいは政治家としての御質問国務大臣へとしての御質問、これによってはっきり区別していただかないと、私は心にもないことが速記に載りまして、非常に心外に思うことがありますので、はっきり申し上げておく次第でございます。労働問題につきまして、ことに争議のこういうふうな先鋭化している問題につきましては、まず労働大臣にお願いして、労働大臣から適当の措置をとられる、その適当の措置がいつになるかということは、また専門的な考え方がいろいろあると思うのであります。
  34. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産省設置法に基づく通産省所管事務について尋ねるのか、国務大臣として尋ねるのかということですが、もちろん通産大臣お尋ねをするわけでありますが、そのお言葉の中にありますように、単なる並び大臣としておられるようには私は思わぬ。相当自負もしておられる。ときどき出てくるのですが、総裁候補であるという話も出てくる。とにかく小物の通産大臣なら労働問題は労働大臣にと、こういうことですむかもしれませんけれども、私は池田通産大臣としては、それではすむまいと思うし、それから合理化の基本問題について関連をいたしますから、その点をお尋ねをしているわけでありますけれどもドイツと違わないとおっしゃいますが、あるいは離職して炭鉱を離れるものが鉄鋼その他に就職ができるか、あるいは他の職業に転換するまで社会保障制度ができているかどうか。これらの点については、これは根本的に違いますが、私が先ほど指摘をいたしましたのは、人間人間として扱って、そうしてその生活について責任を負うという政治家の態度がそれぞれの施策に現われているかどうか。あなたは離職者対策について画期的な対策を講じている。あるいは中火離職者対策協議会ですか、そういうものを作って財界でも受け入れ態勢に努力をしているということですけれども、しかしこれはあなたの所管ですが、今まで買い上げた炭鉱あとはどうなっていますか。死の谷といわれ、あるいはこれは土門拳の写真に出ておりますけれども、実にこれはやはり涙を流さざるを得ない。何人もあの実態に対しては言いわけのできない実態になっているじゃありませんか。しかも合理化の政策の中で首切り、そうしてあなたのお言葉の中に出ましたけれども、労働条件の引き下げ、そういうものが中心なっている。あるいは三井の場合のように労働者を敵視し、あるいは労働組合をつぶそう、あるいは労働組合従業員の大部分を解雇をしてもかまわぬ、言葉の中に出ましたけれども三井なら三井がどれだけとにかく三井系統の産業従業員を吸収しようとする努力がなされていますか、そうじゃないでしょう。山野、田川からもってきて、とにかく解雇しようという方針で進んでいる。そういう労働者を敵視し、あるいは労働組合をぶっつぶして、そうしてやっていこうという方針で、はたして今後の石炭産業というものの立ち直りといいますか、あるいはほんとうの発展というものは期し得ますか、こういうことで基本政策に関係をして申し上げております。三井方針は私の方針じゃありませんというのならば、それは労働問題ではありますけれども産業政策あるいは経営の問題として取り上げ、それを直しながら問題を解決するということでなければ、これは、この労働関係についていい知恵があったら云々とかという話があるということですけれども、そのあなたの基本の中に、ほんとう労働者経営者が対等にして、対等に扱ってやっていく、あるいは三井のようなやり方を直さして、それで協力体制、あるいは復旧をさせるということがなければ、ほんとうの、とにかく問題の解決というものには向かわない。あるいは産業政策の、石炭政策の推進というものは困難だと思うから、私はいま申し上げている。いかがですか。
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三井のやり方を直させる、あるいは田川、山野からとってくるということは大へんだと、三井三池は大部分労働者を首切ると、こういうことは事実に少し反ちゃおりますまいか。それは、三井三池におりまする一万数千人のうちで、合理化のために、ある程度の離職者の希望を募りまして、そして、その希望が予定通りに達しませんので、指名解雇ということに相なったのであります。それが千二百人と私は記憶いたしております。全体から申しますると、一割足らずじゃないかと思います。大部分ではございませんよ。しかも、そのやり方につきまして、労使中労委あっせんを依頼したのであります。ことに、労働者の方から先にあっせんを申し込んだのであります。で、その場合におきまして、中労委の藤林会長があっせん案を出した。私は、そのあっせん案が、いいか悪いかは批評はいたしませんが、そのあっせん案を通じて問題が起こっておるのであります。申請した労働者の方がこれは拒否しまして、会社側の方は受諾したと、こういうことで、合法的に争われているのであります。通産大臣が——先ほど来申し上げますように、石炭産業という点から、また、まあちっぽけな政治家としても円満に解決するのを望んでおりまするが、この段階において、合理化関係があるから通産大臣どうこうと、これは所管労働大臣が一定の方針をきめられまして閣議にかけられるならば、私は率先してそれに対しての意見を申します。しかし、そうでないのに、こういう事態において大部分が首切られたとか、あるいは山野、田川からどうだとか、こういうことでここにおいて論議することは、私はいかがなものかと思います。で、もし、この問題につきましてあれならば、私は所管労働大臣のおいでを願って、そうしてお答えしてもいいかと思いまするが、私の考え方は先ほど来申し上げておる通りであります。
  36. 吉田法晴

    吉田法晴君 私の質問の意思を取り違えられて、直接三池の問題を解決する方法はなかろうかと、こういう質問のようにとられておりますが、そうじゃありません。合理化の問題の具体的な、あるいは一番今問題になって争われている問題は三池の問題だが、合理化として労働者の首を切る、あるいは労働組合も一緒についでにたたきつぶす、こういう方策で合理化政策というものが進められて、そうして、はたして今後の炭鉱というものがうまくいくか。それはそうではないじゃないか。これがまあ基本であります。あと、具体的な問題について、逃げたりいろいろされますから、具体的な問題を引き合いに今出しているわけですけれども、それは通産大臣として、しかも、この大物の通産大臣として、今後  のほんとう石炭産業の発展を祈る、あるいは言葉で、労使協力一日も早く妥結することをこいねがう、あるいは心から祈る、こういうことであるならば、通産大臣としても御努力をせられるべきでしょうが、その基本精神は、たとえば三井に現われておるような強引な首切りあとはどうなってもかまわない、こういう首切り、あるいは組合員の大多数を首切ってもかまわない、三井山野から持ってきても、とにかく、これを解雇してしまう、こういう方針では、これは労働者を敵視するもので、今後の、これは三井三池だけではありません、そういうやり方では、この合理化近代化政策というものが、その目的に沿って進めるわけにはいかぬじゃないか。むしろ三井としても、おそらく炭鉱の荒廃あるいは会社の荒廃は長く続くでしょうが、石炭産業全体としても、最初の志に反して、石炭生産の今後の発展というものは、これは破壊されてしまうのじゃないか、こういうことをお尋ねをしておるわけであります。
  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭鉱業全体の合理化の問題につきまして御審議願っております。しかし、これは三井三池の問題だけじゃございません。全体の問題でございます。しこうして、私の知るところにおきましては、三井鉱山を除く他の炭鉱につきましては、その方針で、そういう心がまえで進んでおります。また、三井の六山の中で、芦別、美唄あるいは砂川の、北海道の三山、並びに山野、田川の、福岡の二山、六つの中で五山は、大体、会社経営者労働者がうまくいっておるじゃございませんか。しこうして、三池の問題につきまして、こういうふうにこじれて参ったのであります。このこじれた問題につきまして、仲裁裁定中労委の裁定を仰ぐ、そうして幸か不幸か、とにかく組合が割れるという悲惨な状態になってきておる。まことにわれわれとして心を砕くわけでございますが、三池の鉱山からこれで合理化ができない、台なしになるというお考えにつきましては、私は賛成できません。全体としてはずっとうまくいっております。そこで、三井鉱山の中で三池がどういう立場にあるかということにつきましては、私ども、ずっと掘り下げて、合理化問題全体ということよりも、むろん関係はありますけれども、特別の事情があるのではないかと自分考えておるのであります。従って、これを一政治をする者として、早く円満に妥結するように望んでおります。こう前から答えておるのであります。
  38. 吉田法晴

    吉田法晴君 ほかのところではうまくいっておるけれども三池だけはうまくいっていない、こういう御説明ですが、ほかのところでは指名解雇という問題は起こっておりません。あるいは、組合をぶつつぶそうという考えは起こっておりません。従って、三池ほどの深刻な対立あるいは紛争というものは起こっていないわけです。合理化の、とにかく根本精神において、これは先ほど来の大臣の答弁の中にもありますけれども、人を減らすという、あるいは、ベースアップをやめる、その他のこともありましたが、労働条件を切り下げる、こういう労働者の犠牲だけで合理化をやろうたって、それは、ほんとう合理化あるいは今後の石炭産業ほんとうの発達というものは、これは期することができないのじゃないか。具体的な三池について心配をすることだけれども、ああいう状態で、とにかく半年、一年では、おそらくもとに戻らない。その腹の底の中に、労働者を対等にして取り扱っていくという労働関係法規——これは労働関係法規ではありません。民主主義の基本原則です。人間を大事にしながら、何よりも、とにかく人間を大声にしながら、その人間を生かすために、石炭産業をやっていくというこの基本政策、基本的な誠意、それが合理化の問題についてないから、極端な例の場合に三井の問題が起こっておる。そこで、基本原則として、この石炭鉱の近代化とか合理化ということの問題について、通産大臣は、人を減らすこと、あるいは労働条件を切り下げることだけを考えないで、労働者のためにもっと考えながら合理化近代化を進める方策を考えるべきじゃないか、こう申し上げておるわけですが、いかがです。
  39. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は先ほど申し上げましたごとく、石炭鉱業合理化臨時措置法の今度の改正は、石炭鉱  業が今後伸びていき、しかもその石炭鉱業に残られた大部分の方々の生活が安定をすることを考えてやっておるのであります。もし安易な考え方で今の五千万トン前後のものを二千万トンぐらいにすれば、これは何でもございません。しかしそれをできるだけ離職者を少なくするというようにということでやっておるのでございます。従いまして、この石炭鉱業合理化法案につきましては、大体先ほど申しましたごとく、大手の十七社、そして三井の六山の中で五山はそれでいっている。しかし今のお言葉によりますと、三池指名解雇をしたじゃないか、これは指名解雇に至る状態を御存じでございますか。ほかのものは指名解雇を用いなくても、大体会社の見通しのところまで申し出で離職せられたのであります。この分だけがいかない特殊な例でございます。そこで中労委あっせんということになって今争っておる。私はヒューマニティーがないんじゃないかとか何とかいう問題じゃございません。労働問題の先端のところをいっておるのであります。で、いろいろなことが考えられておりまするが、これは先ほど来非常に円満にいくように——石炭鉱業全体の問題じゃない、それを十分御存じと思いまするが、一つ考え願います。あなた方もわれわれもともにともに円満な解決が早くいくことを願っておるのであります。私は労働者につきましては、国民の一人として労働者の立場を考えることはあなた方に負けないつもりでおるのであります。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ三井三池の問題が、一番端的に現われておる資本家的な合理化政策の面として、通産大臣三池だけを悪者にして、ほかのところはよくいっているじゃないかというお話ですが、三池に現われておる指名解雇、その裏にある組合ぶつつぶし政策あるいは労働者人間と思わない政策が三池に現われて、問題が争われておると私は考えますだけに、そういうヒューマニティーのない産業政策あるいはそれは俺の志じゃないと言われるかもしれませんけれども、どうもさっきから答弁を聞いておりますと、三井の政策もやはり通産大臣の政策、気持もあまり違わぬような感じがするのは、実は残念に思うのですけれども、今の答弁の中で、離職者が少ないように、あるいは残る人の生活の安定は考えている、こういうことですが、先ほど来の答弁の中には、ベースアップもやめる云々ということで、労働条件の切り下げのお話もございました。先ほどの答弁と今の答弁とは違います。  それから問題は離職者合理化でもって離職者について十分なその生活の保障がないのが日本の現状だ、私はこう考えるのですが、先ほど対策協議会等のお話がございましたけれども整理された従来の山の実態を引き合いに出して反駁をいたしましたが、これについてはどういう工合にさらに万全を期しようとされておるか、承りたいと思います。
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 最後の点を……。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 離職者に対する——合理化によって職を離れなければならない人間の数、それからそれに対する対策について万全の策を講じておるというお話ですけれども、一向万全の——実態は万全じゃないじゃないか、こういうことです。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭鉱業経営の問題、あるいは離職者を少なくする問題等につきましては、これは通産大臣としての考え方の問題でございます。しこうして今の各労働者あるいは経営者側の方の給与その他につきましては、これは個々の問題でございまして、私は一律に月給を下げろというようなことを言っているのではございません。やはり会社が成り立つように、あるいは臨時手当をどうするかというふうな具体的な問題につきましての話し合いができるだろう、こういうことで問題を分けて考えております。なお、われわれの予想しておりまする石炭鉱業合理化臨時措置法に基づきまして、三十八年までに千二百円下げる場合におきましての大体離職者は今後におきまして大体六、七万ではないかという見通しを立てておるのであります。  それから対策につきましては、私は心構えで万全の措置を講じようといたしております。結果において足りないところにおきましては、また今後の情勢を見まして、実施の結果を見まして、対策を強化していくべきだ、こう考えております。
  44. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の通産大臣の御答弁を聞きますと、六、七万の退職はやむを得なかろう、その後のことについては、できるだけのことをしたい。実施の結果の個々については、あるいは足りないところがあるかもしれない云々ということでありますけれども、今の建前が、法の建前というか、あるいは政治の建前が、失業者は出す、出た失業者については、失業対策に若干のプラスされるものはあるけれども、しかし、国民の一人々々について責任をもって生活を保障する、こういうことにはなっておらぬ、あるいは失業した後の、仕事を離れた後の問題は、それは労働省の問題だと、こういう工合におっしゃるかもしれない。おっしゃるかもしれませんが、これはいわば今までの伝統を引き継いでいく、何といいますか、普通の一年なりあるいは一年半なり大臣をやる、池田通産大臣ならとにかくですが、自分の政治をやりたい、日本全体の政治について、責任をもってやりたいという考えでおられる通産大臣ならば、私はもっと今までの政治のあり方について基本的な政策の展開、新しい方針を持って臨んでいただきたいと思うのですが、出た失業者については、今までと若干上回る施策をしたいということですが、そうじゃなくて、国民の生活、あるいは石炭に従事するか、あるいは他に従事するかはとにかくとして、国民の生活を保障する政治を打ち立てるために、大きな政策の展開をはかろうという御決意はございませんか、伺います。
  47. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大へんな政治問題、心がまえの問題の御質問でございまするが、私は、前提がだいぶ違っておる。私が今政治をしておるのじゃございません。ただ、私の考えといたしましては、石炭鉱業臨時措置法の根本の問題は、この石炭産業が、日本のエネルギーの相当重要な部分であり、雇用関係、あるいは国際収支の関係等から、普通の考え方なら私は五千万トンなんか掘り出せない、いわゆる経済性の点から申しますると、なかなか困難でありますが、国際収支あるいは雇用の問題等から、できるだけ離職者を出すのを少なくしょうというのが今度の対策であり、予算措置であるのであります。私は、十分とはもちろん思いませんが、今までこういう産業政策はあまりございませんでした。私はこういう考え方でいきたいと思っておるのであります。できるだけ離職者を少なくし、離職せられた場合におきましては、特に炭鉱の場合におきましては、離職の状況等から考えて、移住その他、あるいは特別の職業紹介施設等でやっていこう、しかし、これが吉田さんは十分じゃないとおっしゃる。私も結果を見まして今後考えていこうというのでございまして、離職者生活保障をどうするかという問題は、これは程度の問題でありまして、私は従来よりも一歩進んできたと考えておるのであります。今後もそれを進めていきたいと思っております。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 まだ依然として金の問題から人間の問題が従属しておる従来の考え方をあまり出ていないように思うのです。従って、まあ移住の問題等も、これは出てくる離職者、あるいは失業者をどうするかという問題、従って、産業政策の基本原則についての意見の食い違いは、まだ食い違いのまま一時間以上、二時間近く質問いたしましたけれども、食い違いのまま、あるいは石炭政策全体について五千万トン前後云々という点についても、意見がございますが、途中になりましたけれども、次の機会にこれらの点について質疑を続行することにし、きょうの私の質問はこの程度でやめさせていただきたいと思います。
  49. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  50. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは暫次休憩いたします。    午後零時三十分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕