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1960-05-18 第34回国会 参議院 商工委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十八日(水曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員具根登君辞任につき、その 補欠として成瀬幡治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            上原 正吉君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            近藤 信一君            椿  繁夫君            成瀬 幡治君            吉田 法晴君            島   清君   政府委員    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁警備局長 江口 俊男君    通商産業政務次    官       原田  憲君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告申し上げます。  本日阿具根登君が辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 吉田法晴

    吉田法晴君 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、同僚委員から質疑があったようでございますが、今度の改正の重要な点は、合理化の中に石炭鉱業近代化という考えが入り、そのための整備手業団の改組、融資等中心であるかのように思うのですが、その近代化合理化中心は実際に行なわれる場合に、提案理由説明にもありますように、政府業界一体となって、その達成努力をするということで、労働者協力をどれだけ得ようとするかという点については、これは全く考慮がない。逆に合理化中心をなすものは戦後の荒廃の中から今日に至りました炭鉱石炭の復興に大きな寄与をしてきた労働者の中から首を切る、それが実際の合理化内容であるようでありますが、同僚委員質問に答えて、その数三年間に十一万、いやそんなにはないのだ、六、七万だと、こういうような御答弁もあったようでありますが、近代化合理化といううたい文句でありますけれども、実際には人減らし、それも六万、七万あるいは十万近い人を減らすということが中心になっているのではないかと考えられるのですが、その点についての政府の所見を承りたい。
  5. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 石炭合理化達成のためには、これは労使協力ということがもう大前提となることは申し上げるまでもないことでございます。われわれといたしましては、労使双方が真に心から協力し合って、総合エネルギーに対する経済力を回復するということに邁進していただきたいということを念願しておるわけでございますが、自然条件その他から申しまして、非常に能率的に低コストで開発するというのには、おのずから限度もございまして、いわゆる増産という形で石炭全体のコストを引き下げるということは、これはいろいろ検討いたしました結果も、非常に困難であるという結論にわれわれとしては到達しておるわけでございます。御承知のように、昨年石炭鉱業審議会に今後の石炭鉱業はどうあるべきかということの諮問をいたしましたのに答えて、審議会でいろいろ検討いたしました結果も、大体五千万から五千五百万トンの間というあたりが石炭鉱業としての適正な規模というべきではないかということになるわけでございますが、御承知のように、石炭鉱業は大体人件費が約五五%程度を占めるといったようなことになっております。そういうような関係から、規模が現在よりもあまりふえないということになりますれば、そこで勢いある程度生産性を上げるということに伴いまして、過剰な人間が出てくることになるわけでございます。われわれ一応の試算によりますと、大体十九万五千程度人間ということになるのではないかというような一応の計算をしたわけでございます。現在が大体二十五万五、六千でございますので、今から申しますと、約六万程度過剰な人間が出るという計算になるわけでございます。しかし現実にこれがいつ、どういうふうに出るかということはこれはそれぞれの企業におきます労使間の話し合いというようなことによって行なわれますので、今何年に何人、どこの地区に幾らということを、的確には申し上げかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、ある程度の数が出ることは、これは避けられない。われわれといたしましては、これらの方々の新しい職場の提供ということに最善の努力を尽すことによりまして、できるだけ石炭鉱業合理化そのものが円滑に遂行されるということを企図いたしまして、昨年の臨時国会で、炭鉱離職者臨時措置法を作っていただきまして、緊急就労対策事業あるいは広域職業紹介、あるいは職業訓練の強化と合わせまして、炭鉱離職者援護会を今年の早々発足せしめたわけでございます。この援護会、それから労働者の本来の職業安定機構といったものを通じまして、できるだけ広域職業紹介等で吸収をはかると同時に、重要産業界をほとんど網羅いたしまして、炭鉱離職者雇用対策協議会というものが三月の末に設立されました。これは機械とか、金属とか、いろいろな各産業界で、炭鉱離職者一つ受け入れようじゃないかということで、重要な産業界が、皆さんこぞって加わっておられます。われわれ通産省といたしましては、これは労働者に御協力いたしまして、所要の措置をとりますほかに、これら関係業界に対しましても、大いに石炭からの転職者を、あたたかく受け入れてもらいたいということで、今までも努力して参りましたが、こういう受け入れの世話をやく中央機構もできまして、現在、各地方ごとにもそれぞれ支部ができるというような運びになっておりますので、今後はこれらの機関と十分な連絡をとることによりまして、合理化の過程におけるやむを得ない離職者という方々に対しまして、できるだけの援護措置を講じていきたいと考えております。
  6. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣がおられぬので、実は次官、局長等おられますけれども、国の方針ということになりますと、具体的な問題について少し質問を進めて参りますのに都合の悪い面がございますが、仕方ありませんから、私は質問は続けて参るのですけれども、この合理化臨時措置法の底を流れている合理化政策、これは人減らし政策中心になっているではないか、あるいは経営者から出してきた合理化政策をそのまま取り上げているという感じがするではないか、これは質問に答えて、その通り、こういう、あとのことは考えているけれども、できるだけ新しい職場あるいは雇用対策については、協議会等考えたい、こういう御答弁で大体認められたわけなんですが、今現に合理化の具体的な事例として天下の耳目を集めておりますものは、三池の問題であります。これはひとり三井三池の問題だけでなくて、あるいは協調融資ということで何十億という金が協力銀行あるいは財界筋からなされる、それからその方針が日経連によって応援をされておる、これは否定することのできない事実です。そこで、三池において、この人減らし中心にする合理化政策が進められようとし、その生活を守ろうとする労働者抵抗があるわけであります。首切りを阻止するための抵抗があるわけでありますが、この労働者生活を守る当然の行動に対して、しかも受け身の行動に対して、最近、これは国家権力、特に警察でありますが、警察が介入をして参っております。その底の中には、これは私ども開くことでありますけれども通産大臣等三井鉱山なりあるいは、井銀行等重役要請によって、この三井の問題についての政府態度をまあ動かしておられる、こういう話も実は聞くわけです。御本人がおられませんが、政府として、これはまあ通産政務次官おられますから、そういう三井重役、あるいは三井銀行重役等に会って、三井三池の問題について介入せられ、あるいは推進せられておるところがあるかどうか一つ承りたい。
  7. 原田憲

    政府委員原田憲君) 私の承知しているところでは、通産大臣がこの三池の問題について、警察当局と話をされたというような事実はございません。もちろん通産省石炭鉱業というものの直接所管の省でありますから、三井の起こっている事実というものはよく認識をしておりますが、三井鉱山中心として起こっておるところの治安問題、これはもちろん警察当局所管であります。私ども個人としては非常に遺憾なことが行なわれておると、私自身も思っておりまして、何とか早く解決をしないかなと思っておりますけれども、私どもがどうこうせよという筋合いのものでないので、今静かに見守っておるところでありますが、大臣がこのことについて、繰り返して申し上げますが、警察当局にどうこうしろというような話をされたということは私は承知しておりません。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 融資の点はどうですか。
  9. 原田憲

    政府委員原田憲君) 融資の点につきましても、私はさようなことはないというように承知いたしております。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣警察について三池の問題で要請されたのですかという聞き方をしたのではない。三井三池の問題について、三井鉱山あるいは三井銀行等重役が、池田通産大臣に会ったということが言われておる。これは人間名前その他を具体的にあげてもいいのですが、その結果、政府から、あるいは通産大臣からは通産局になるかもしれません。あるいは警察に対しては、国家公安委員長名前で行なわれる、あるいは警察庁長官名前で行なわれたかもしれない。あるいは海上の問題については、運輸大臣なら運輸大臣から連絡があったかもしれない。あるいは融資の問題については大蔵大臣から要請があったのかもしれませんけれども、ごく最近の十九億ばかりの協調融資については、これは何らかの政府の、何と申しますか、干渉というのですか、協力があったように聞くわけであります。具体的に現われて参ります問題を、あるいは協調融資、あるいは運輸省関係でいいますと、海上保安庁の船が就労をしようとする人間を乗せて第二人工島のそばまで持っていく。これは過去の国会否定をされました。否定をされましたが、私は現に見た。それからそのときだけでなくて、これは三月二十七日ですが、二、三日前にも、これは新開縦坑という別の縦坑ですが、あの出ております突堤の北側のところにあります縦坑、そこに海上保安庁の車がやはり護衛をして坑木を上げようとしたという事実がある。これらの指摘に対して何ら反省がない。それから警察については、ここに警備局長が来ておりますけれども警察庁長官は、会社施設を使うことは好ましくない、できるだけすみやかにこれを使わないようにすべきだ、こういうことを国会答弁をされておる。あるいは現地での福岡の検事正その他に聞いても、それは何人が見てもやはり好ましいことではないということを話をしますけれども、一向どうも政府の威信も、そういう警察庁を代表した代表が国会答弁をしても改まらない。あるいはここでこれは保安局長がおられますけれども縦坑からの人間の出入り、あるいは火薬の運搬等についても問題にいたしますが、近日中に何とかいたしましょうという、この前、これは社労委員会でありましたが、答弁もございましたけれども、その後は、いや違法はない、好ましくはないけれども、違法はないのだということで改まっておらない。こういうことで、政府全体の動きが首切りを全体として容認するだけでなくて、三井合理化の推進について、三池の問題の場合についてもこれを支援し推進し、そのための融資についても、これは奔走をされる、あるいは協力をされる。それから一つ一つ就労等についての協力をするという姿が、あるいは運輸省海上保安庁、あるいは警察あるいは通産局、あるいは厚生省——厚生省所管保育所施設を使っておるということが指摘されて、好ましくない、あるいはすみやかに撤退させましょうという話を厚生省政務次官答弁をいたしましたけれども、一向現在では行なわれぬ。そうすると、政府が、全体としてうわさされておるように、池田通産大臣を通じて——三井鉱山なり、あるいは三井銀行重役名前等も上がっておりますけれども要請されたから政府として会社側に立って争議を援護しておると、こういう印象を受けるのは、これはひとり私だけではございません。具体的な事例をあげ、融資あるいは個々政府機関出先行動をあげてお尋ねをするわけでありますが、それぞれの所管省から御答弁願いたい。
  11. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 先ほど政務次官から申し上げたと思いますが、通産省といたしまして、個々事業争議に介入するということは、これは通産省としてはむしろ筋違いのことではないかということで、われわれとしてはあくまでもすみやかに解決するということが望ましいことで、それを期待はいたしておりますけれども、不偏不党といったようなことで、どちらにも片寄らない、とにかくできるだけ労使双方が、中労委のいろいろな何と申しますか、仲介等もあるわけでございますので、それぞれの担当の機関というようなものの御尽力、あるいは労使相互理解といったようなもので早く解決するようにということを期待して、どっちにも片寄らない態度を今までとってきておりましたし、また今後もそうすべきであると私は考えております。それから大臣がどういうふうに各方面に御要請になったかということは、これは先ほど政務次官も御存じないということでございますが、私自体池田通産大臣から特に三池に金を出してやれといったようなことを応援されたといったような話は伺っておりません。
  12. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 三池鉱業所施設警察が使っておるという事柄についてのお尋ねといいますか、御意見でございまするが、私の方の長官も、ただいまおっしゃったようにああいう形で争議の片方の施設を使うということは、抽象的に申し上げるならば、まことにおもしろくない、好ましくない、厳正公平にやっているつもりであり、われわれもまたそういうふうに指導いたしておりまするけれども、痛くない腹をさぐられるという意味合いにおいて、他に方法があったならばできるだけそういうものは使わないようにという指導といいまするか、アドバイスはしているのであります。しかしながら、現場におきまする情勢からいって、とにかくあの争議自体にあれだけの警察力を注入するということ自体に、われわれとしては、そうしなくて済むものであるならば、ほかの影響もございまするし、したくないというのが基本的な態度なんです。しかし、現実大牟田なり、三池なり、ことに炭住街等における治安の状況にかんがみるときに、どうしても放任できないという状態にございまするので、必要最小限度の手は打たにやならぬ、こういうことに相なるわけであります。吉田委員もすでに御承知のように、炭住街等の平穏を保とうという配慮をいたしまするためには、他に適当な施設というものは全然ございません。従いましてまあそのために保育園が開かれないという事情ではないようでございまするけれども、とにかくああいう形で暫定的な形としては好ましくはないが、やむを得ないということで使っておるのでございまして、これの平穏がよみがえることが一日も早ければ一日も早くそういう施設を返還するということになろうと思いまするし、そうでなくても、ない知恵をしぼってできるだけ影響のある場所から何らかの方法でやり方を変えていくというような研究もしているようでございまするし、その御趣旨に沿った方向解決をしていくということはお約束できると思いまするが、いついっかどこの施設をどう手放すというようなことは、ただいま現地を抜きにしまして、ここで申し上げるわけにはいかぬと思います。しかし、重ねて申し上げますけれども、ああいうことを決して安上がりで済むからとか、あるいは何といいますか、争議に介入する形において警察力を配備しているというようなことは全然ございませんので、そういう点につきましては十分御了承願いたいと思います。
  13. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 過般の衆参両院社会労働委員会におきまして、三池港沖縦坑バケットによる人の昇降、あれは違反だからとめろというお話がございましたですが、現地並びに中央で十二分に検討いたしました結果、人を昇降させるという点につきましては、五十八条の一項五号で正式に認可をいたしておるわけであります。それで、乗せたからといって違法性はどうしても出てこない。また乗せたから危険がないということもない。これは、現地、私ども意見が全く一致しておるわけであります。しかし、内容に記載してあります縦坑の掘さくに関する関係のある人間を乗せるということに一応記載されておりますので、その点はおもしろくない、あまりいい姿でないという点も、これは現地中央も全く一致しておるわけであります。そこで、何か行政的な措置をとれるものなら検討いたしましょう、こういうお約束をしてあるわけであります。さっそく省内で検討いたしまして、まあ違法性はないけれども行政措置としまして、現地部長から四月三十日付で注意書を交付いたさせております。このこまかい内容は、相当たくさんございますので、要するに、縦坑をキブルで昇降せしめる、その関係の条文については、こういう時期でもあり、従来にもまして一そう厳重にいろいろの管理その他の面を注意して実施するようにという、いわゆる正式の注意書というものの形で交付しておるわけでございます。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 個々の問題についてここでやっておりますと時間がなくなりますから、ごく最近の事実、十三日の事実を中心質疑をいたしたいと思うのですが、ただ、今の三局長答弁ですが、この答弁については、言いわけはするけれども警察あるいは通産局あるいは厚生省出先等、あるいは保安局出先等中立性を保っておるという事態の言いわけにはなりません。それだけをはっきりいたしておきたいと思う。特に警察の点については、四月の十九日の事態の点についても、それから会社施設を使うことについても、この国会での答弁と、それから現地での県の警察部長答弁とは、明らかに違っています。で、現地警察本部長に会ったときに、警察庁を代表する者、あるいは厚生省その他政府を代表する者が、あけます、好ましくない、と言うものを、あなたが全然検討をしない。今、研究するということでしたけれども研究するという態度もない。やむを得ないと言いわけするだけで態度がとれるか。庁を代表する、警察全体を代表する者が、それは好ましくない、あるいはあけるべきだ、こう言うのに、全然考えない。全くそれと違う逆の方向を、しがみついての方向をとることは不当ではないか、こういうことを申したのでありますけれども、この国会での答弁現地での実際とは、これは大きな食い違いがあって、指摘があったけれども、その後ほかに移るという努力研究もなさってはおりません。従って、あるいは九州管区の長、あるいは警察庁長官等の言明があっておりますが、どういう施設を使っている——会社施設に寝泊まりし、そこから出て行って警官実力行使をする。そうすると、これは、警官会社側に立っているということは、形の上でだれが見ても、これは否定するわけにはいかぬじゃないか。あるいは、もう一ヵ月以上になりますが——三月の末からですから、もう一ヵ月以上、二ヵ月近くなりますが、あの人工島のところ、今問題になったバケットで上がりおりしている人工島のところのごときは、これは立ち入り禁止の仮処分はしていないが、バリケードを築いておる。そうすると、そこに行くと警官が立っている。そうして警官に、問題になっている縦坑、あるいは縦坑施設だから、国会議員として、国会で問題になっているから見たい、こういうことを中におります警官に呼びかけますと、警官は、それでは会社側に相談いたしましょう——電話で、警察電話であろうと思うのですが、警察電話なのか、炭鉱電話なのか知りませんけれども電話をしておる。会社の方で入ってもらわないように、こういうことでございますからお断わりをいたします。君たちは警官としてそこに来ておって請願巡査だ、警官ならば上司に相談して、入れるか入れないかをきめるというならわかる。しかし、会社側に相談して、会社側の方から入ってもらっちゃ困るということで入れぬというならば、それは君たちは請願巡査じゃないか、県の警察全体が、あるいは九州大牟田に来ておる警察全体が、むしろ請願巡査になったということは、われわれは聞かぬ、どうなんだ、こういうことをこちらから言うと、いや、私どもはあまり皆さんと話をする権限が与えられておりません、こう言うのです。公務員じゃないか、公務員で、あるいは県民なり、あるいは国民の税金でとにかく養われておる警察官が、その職務の執行にあたって、だれの命令でどうしておるんだということが説明できぬか、こう言うと、まあとにかく、お入れできませんからと、こういう答弁です。実態は、会社施設を使い、あるいは、会社要請によって行動をし、あるいは、一つ一つ行動について、どうするかということが会社側の指示、連絡がなければ行なえぬという実態は、どんなにあなたがここで強弁しようと、現地における警察会社側請願巡査的な活動と存在でしかなくなっておる、こういうことが言けるのですが、いかがですか。
  15. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そのわれわれの答弁も、部隊にどの施設をどういうふうに明け渡して、どこに移るべきであるというところまでの研究はもちろんしておりませんので、先ほど申し上げたように、ちゃんとした契約をし、しかも、代価を払っておっても、やはり外見的に見れば、ただいまおっしゃったようなふうに見えることも、これは否定できませんので、できるだけ他の方法をとる方がよかろうということは、勧告もしておりますし、また、現地においても十分そういう考え方を持っております。現に吉田委員も、これこれこうしますという説明をしていないので、あるいは全然研究もしてない、こうおっしゃるのかもしれませんが、私が今出てくるときの連絡でも、そういう方向にできるように、とにかく検討しておるということでございまするから、私は、方向としてはそうだ、それから、だれが考えても、その方がいい、こういうことを申し上げておるのでございまして、われわれが言うことと、現地でそれがすぐそのまま実行されるということと、イコールにお考えになるということは、多少無理であろうかと考えます。  それから、もうこれは言わずもがなのことであるかと思いますが、現在の警察制度において、われわれの方から、これはこうせい、あるいは、あれはああせいというような形でいくのは、これは警察法五条二項、こちらの方でそういう認定をした問題、事件についてでございます。現在のところ、大牟田地区あるいは荒尾地区についてはそれぞれ福岡警察並びに熊本県警察の自主的な判断と責任においてやっておる段階でございますから、これは東京での答弁現地答弁とが食い違うというようなことがございますれば、現地の実情に応じた責任のある者の答弁をまず優先的に取り上げていただきたい。われわれも、できるだけ食い違いの点は食い違いのないようにただしまして、言葉はもちろん矛盾しない方向に持っていく努力はいたしますけれども、しかし、早々の間には、解釈その他について食い違うというようなことも、これはあり得ることかと思います。  それから会社施設を使っておりまするところの言いわけを私たち代弁いたしまするというと、三月二十七日並びに二月二十八日、三月二十九日の三日間における問題の発端の場合に、警察がそばにおらなかっので非常な手おくれになったというような実情もございましたし、またそういう御議論も当時強くいただいたわけであります。  それから炭住街における治安も、いやがらせ等はもちろんのことでありますが、犯罪にわたるような事犯も続発しておる、こういう事情でございますから、炭住街は、御案内のように、あっちこっちに分かれております。そこを常時警備をするということになれば、その近くあるいはその中の施設を利用せざるを得ないということで、会社施設の利用をしている大部分が、この炭住街施設のためのものであり、さらに三月二十八日の三川鉱構内の事件、二十九日の四山鉱南門でありますか、門前の事件というようなものにかんがみて、外ばかり警戒をしておっても、中に入って両者でなぐり合うというようなことがあると、前もって配備をしておらなければ間に合わないという考慮から、中に幾人かの者が、そういう工場の中にもおるような次第でございまするが、これまた争議が正常化いたしますれば、そういう不測の事態があれば、それに即応してほかの方からかけつけ得るというような研究をいたすことができれば、やはり施設の中に常駐するということは、これまたわれわれとしては好ましいことじゃない、こういうふうに考えておりまするから、とにかく大牟田市、荒尾市の一般治安について、ほとんど一般の治安だと申し上げてもいい炭住街の治安が、まず回復すれば、その部分千何官名の警察官は常時そこにおる必要はないということになりましょうし、また三川鉱なり、宮浦鉱なり、港務所なり、ああいうところの事態というものが、こちらが予想できないような形で次々に起こるというようなことがございませんければ、これまた何もそこに置く必要はないということになりまするから、私たちはそういう状態が一日も早く来るように、来るようにというふうに念願しまして、まあできるだけ早く平常の状態にしたいという気持がありますることは、先ほどから申し上げておる通りでございまして、これはちっともいつわりはございません。お互いに、われわれの方でも、現状でも引けるものは引きたい、それから現状ではどうしても引けないというものについては、双方の話し合いというか、事態の鎮静を作り上げるということによって、今おっしゃったような状態に持っていきたいということが私たちの念願でございます。  それから人工島のお話でございましたが、これはおっしゃったように、仮処分の対象になっておりませんが、これは一般の家庭におけるような管理者の意思による、ここから入ってもらっちゃ困るというような意思による立ち入り禁止だと思いまするので、それは警察的な観点から、人を入れるとか入れないとかという問題じゃなしに、管理者が入ってもらっちゃ困るとか入ってもらっていいとかということを言っているんだろうと思いまするが、これまた御指摘のように、請願巡査的な形は好ましくございません。しかし、これも御承知のことと思いまするけれども、三月二十七日に多少の事件があの場所において起こっております。それから将来あそこで起こるとすれば、警察官があそこまで直ちにかけつけるということにしては、多少距離的にあるいは場所的に困難があるということで、ある程度のものはあそこにあらかじめ置いておって、不測の事態に処せねばいかぬ、こういう気はいたしまするけれども、どういう形でごらんになったか知りませんけれども、単に会社の門番のかわりをしているというような形でありますれば、これまた研究の余地がある、十分現地とも話し合ってみたい、こう考えております。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは警察や検察庁で話をした話の内容ですが、中正でありたいというのは、それは中央における警察庁の代表もそう言われる。それから警察本部長もそう言います。しかし中正であるかないか、第三者が見てですよ、中正であるかないかということは、そのやっぱり姿です。で、一日三百万の金を使うというお話ですが、これは県費あるいは国の費用はすでに一億二千万円を突破しております。そうすると、そういう税金を使って守るべき生命身体の危険の実際あるかどうかという問題と、それからどういう動きをしているか。会社施設の中に入る、会社連絡によって出動をする、あるいは警官に話をしかけると、会社と打ち合わせをしていかなければ、会社の人に聞かなければ判断もできない。こういう事態を見れば、これは精神のない、精神といいますか、フランクな人は、これは子供でもはっきりすることですが、これは会社のかわりにあるいは会社の味方になって警官が動いて来た、あるいはいるんだということを言わざるを得ない。従って金のことは言わぬが、どうも、とにかく自分で施設を作るだけの努力をしていない、こういう話があったときに、これは本部長も一言も口をあきません。それから全体から言うならば、具体的な事実をあげて指摘をしたのですが、警察は中正であると口では言うけれども、実際の動きあるいは態度、動静というものは会社側に片寄っているのではないか、あるいは会社の請願的なものになっているのではないかという印象をみんなが受けているということは否定するわけには参りません。  そこで今お尋ねしたのですが、今最後に江口局長はできるだけ原状に回復したい、平生に戻したい、あるいは鎮静になることを期待する、こういうまあお話ですが、実際には、去る十三日の事態でもそうですけれども、仮処分の執行をめぐって、この執行吏とそれから弁護士が話し合っていると、警官がこれを遠巻きにして、前回と同じようにそれを推進する態勢をとる。話し合いは、何と申しますか、両者の間で円満に行なわれる、そうして時間がきたというので帰りかける、このデモ隊が警察官の駐在している前を通ると、これに対して警官が実力を行使して梅花君という人ですが、これを引きずり込んでけがをさせて、私たちはその直後かけつけたわけでありますが、指揮官それ自身が興奮をして、話し合いをしようというわれわれの態度に対して実力行使を強行する何をしている。これを両者引き分けて鎮静にし、事態の紛争拡大を防止しようというわれわれに対して、国会議員が何だ、阿具根が何だ、こういうことで暴行をふるったという事態が起こったのであります。警官は、これは第一組合であろうと、第二組合であろうと、あるいは第三者であろうと、国民の身体生命を守るべき立場にあるのだろうと思う。税金どろぼうというのは、その趣旨に反して国民に危害を加えるから、そういう批判が起こってくるのでありますが、その批判、あるいは会社施設の使用等が、その中正を疑わしめる結果、そういう批判が出てくるのでありますが、その批判に対して感情的になって、国民に対して乱暴をふるったのは警察官側からだ、あるいは紛争を起こしたのは警察官側からだ、こういう事態が幾つも起こっている最近の事態は、これは看過するわけには参らぬ。十三日の事件は、被害を受けました者が、この者の中に阿具根議員やあるいは私ども入っておりますだけに、これは重大な議員に対する侮辱でもあるし、あるいは警官の暴行凌虐罪の優なるものだと思うのです。特にその中における紛争をみずから作ろうとする態度、冷静に見、そうして関係者をして事件を起こさないというのが、私は警官態度でなければならぬのに、事件を起こそうとし、あるいは事件を拡大し、紛争を作ろうとする態度は私ども断じて許すわけには参りません。これについて警察庁長官はどういう工合に考えているか。——まあ始めておったら、間もなくこられるという話ですけれども長官こられませんけれども、すみやかに長官がこられることを要請しながら、長官から責任ある答弁をしてもらいたい。
  17. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私でいいですか。
  18. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  20. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまのお話のうちで、五月十二日の問題、十三日とおっしゃったが十二日の問題は、吉田議員がかけつけられてからあとの状況については、あるいは直接御本人がいうっしゃるから詳しいかと思いますが、われわれの得ております一連の報告によりますというと、これは全く発端はただいまおっしゃったことの逆でございまして、その日、三川鉱ホッパーの仮処分をするかしないかということで、執行吏と総評の弁護団との間に一日まあ話し合いが続きまして、五時過ぎに、まあきょうはもうおそくなったから、それじゃあやらないということで、まあ話はその日はついております。ところがそこに結局ピケとしておりました者が、三千八百ぐらいの者が、最高時おられたものでありますが、これはその話がついたものだから、ある程度の集団に分散しつつ、まあ帰路をたどっておったのであります。そのうちに、これはよく現地について御承知のように、毎日大牟田署につきましては、おはようデモというのがございます。それからピケが自分のところに帰るときにはさよならデモといいますか、今晩はデモといいますか、そういう名前のデモをかけて、そうしてまあ帰っていくということになっておるようでありまするが、その日はそのうち五十人ぐらいの者がまず最初に警察の検問所、これは前は第六大隊の本部のあった所でありますけれども、その日からそこを、本部を引き揚げまして十人単位の検問所にいたしておったようであります。その十人に対しましてデモをかけて、そのうちの一人をデモの中に引き込んだのであります。それから他の人間も壁の方に押しつけられて、どうもならぬという状態でございましたので、わきからほかの部隊かそれを救出に向かった。それをさらにデモ隊側が包囲したということで、そこで初めてただいまおっしゃった、隊長興奮しておった、こうおっしゃった、いわゆる機動隊がかけつけたのが第三番目。それから最後に他の一個大隊がそこに到着したところで、この事案は一応まああなた方が中に入っておさめられたという形でおさまっておりまするが、とにかく警察官が挑発をしたという事実は、私は意見の相違ということは別として、事実の問題について、この事実がほんとうであの事実が違うのだということをいつまでもやっちゃいかぬ。だからこの事実だけははっきりしてくれということで、いろいろ念を押した結果をまとめますると、そういうふうになっております。そのうちほかには、五十名ぐらいがどうしてそれじゃ検問所に押しかけて一人を引きずり込み、ガラスや何かを破るようなことをしたのだろうという原因について、一説によれば、その前にデモ隊が帰っていくところを警察が横切った、そのことから興奮して五十人くらいが追尾してきてそういうことをやったという説もありますけれども、何べん念を押しても、そういう事実はないということで、事柄の発端は、私はどうもその日興奮しておったデモ隊か少し普通の状態よりもちょっかいをかけ過ぎたという形から起こったんじゃないかと思います。その後、阿具根議員とかあるいは吉田議員が行かれたときには、すでに長末機動隊長もその場に、その場といいますか、指揮官車におったようでありますが、それはこの問題の起こりました経過の中では、そのあとの方でございまして、中におる少数の者がどういう目にあわされておるのかわからぬということで、応援に出ました部隊でありますから、だまっておけば中の方は大丈夫だということでございますれば、そこで時間を費やしての話し合いというようなことも、もちろん考えられまするけれども、あの状態においては、早く中に入って、少数の部隊というものがどうなっておるかということを見きわめて、これを救出しなくちゃいかぬという考え方をとって行動したものと思うのであります。  ただそういう事実でございまするが、阿具根議員がけがをされたというような原因につきましては、告訴状も出ておりますので、それは私は次第に明らかになることと思いまするが、私の方の言っております事実の報告では現認した者がおりまして、ひたいに傷を受けられたのはデモ隊側が投げた石が当たったと思うという目撃者がこれは相当ございます。  それから、これははっきりそのためだということは言い切れませんけれども、足にけがをされたようでありますが、これは警察隊とデモ隊のもみ合いの中に、ちょうどまん中におられるから巻き込まれておられたわけでありますが、これは溝に足をとられてころかられたという事実がありますから、そのときにけがをされたんじゃないかということを言っておるようなわけで、十二日の事件については、吉田議員も後半について現地におって直接見られたのですから、それはおっしゃること、その事実も多いとは思いますけれども、こちら側から申し上げる事実については相当違った点があるわけです。  それでその原因は、なるほどその横切ったとか横切らぬとかいうことは、これは私の方は横切らぬと、こう言っておりまするけれども、なお調べてみる必要はありましょうけれども、かぬがぬ警察のあり方を、今おっしゃったような工合に一般の組合員が見ることは、これはやむを得ないとしましても、これを指導する者の中にも、どこまでも警察会社とぐるだというような指導もしておるやに、これはここで何日にだれがどうということは申し上げる段階ではございませんけれども、そういう面もないわけではないわけでございまして、これをお互いに、私たちの方もこちらの人間を置かずに済むように、また置くにしても少数で済むような形に持っていきたいという気持は山々でございますから、ああいう事案がどちらから起こるにしても、非常にそのことについての障害になるという意味合いにおいて、まことに残念に思っておるわけであります。この点は私の方の長官も自分で出れば申し上げると思いますが、われわれも考え得ることについては虚心たんかいにどこまでも考えるから、その指導の面においても、とにかく警察必要最小限度のことをしておるんだというふうに御了解願って来いということを申されましたので、つけ加えて申し上げるわけでございます。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 長官はどのくらいしたら来られるのでしょうか。今の話では、まだ……。
  22. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  23. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは速記始めて。
  24. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 法案の審議の問題について若干質問申し上げる前に、委員長お尋ねしておきたいと思います。  実は、御承知通り三十一国会から継続審議になっております社会党の議員立法として出してあります石炭鉱業合理化臨時措置法の改正案が出ておる。そして継続審議になった。そうしますと、本法案がどういうことになるか知りませんけれども、名称等が変わっておる。今までと名称が変わるでしょう。そうしますと、その取り扱いはどういうことになりますか。委員長の御所見を承りたい。
  25. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 継続審議になっていますその法案の問題については、またあなたの方の理事の方と御相談いたします。
  26. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 理事の方と相談するしないよりも、社会党の提案しておるのは改正案なんです。そうしますと、本法案はすでに——まあ骨子が残るか、半分残るか、七割残るか別として、この法案は名称変わってしまうのです。そうすると、法的に見て社会党の国会に出しておる継続審議の案件は自然消滅するものか。それとも依然としてここで論議して、賛成して可決するか、否決するか、どっちかにしないうちは、どういうことになるものですかという、その理由をお尋ねしておるわけです。
  27. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。  ただいまの阿部君の御質問に対する問題は、この法案の審議が大体終わったときに理事会を聞いて、その取り扱いをきめることにいたします。
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちょっと関連して取り扱いの処理のことですから。  この法案の採決直前に理事会を開いて態度を相談するというお話ですけれども、その直前ではちょっとおそくはないですか。と申し上げるのは、社会党提案でありましょうとも、とにかく成規の手続を得て法案として国会へ提出をされておるはずです。従いまして、今申し上げましたように、同じ目的をもって内容の違う法案が二本あるわけでありまするが、一つの法案が成立するとなれば、他の法案をどうするかということは非常に重要なことであります。従って今の委員長のお話だと、政府提出の法案の方が是で、社会党提出の方の法案が否で内容的には問題にならぬと、これはまあ軽く適当に処分をしようというような意味の見解に、伺っておるととれるのですけれどもね。それが社会党提案の方がいいのか、あるいは政府提案の方がよりいいのか、あるいはその逆であるのか、それは社会党提出の法案の内容についても審議をしてみないとわからない。そして審議をした結果、お互いにどうするかということであれば、それはわかりますけれども、同じものが二本出ているのに、社会党の案の方は全然審議をしないでおいて、そしてこの政府提案の法案が一応審議が終わり、討論、採決の直前において社会党の提案をどう始末するかということを理事会で相議すると、こうおっしゃっても、私は理事としてちょっと委員長の相談に乗ってあれこれ意見を申し述べることができないと思うのですね。その点は、ですからあまりおそくなってしまってからでは困るので、今やはりどうするかということはきめてもらわなければならないと思うのです。
  30. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 私の言うのは、採決の直前にという意味でないのですから……。大体今この議案についての審議をしておるから、大体終わったときに理事会を開いてきめて、それから今度は社会党から出ておるものの方の審議へ入るか、あるいはあなたの方で、大体いやもう今の論議の間に社会党の意見は大体尽きたから、だからそれはもうよろしいと言われるか、いや、どうでもこれはあらためて審議してもらわんならぬと言われるか、そこの御意見を聞いてからきめましょうと、こういうわけだから、これで質疑を打ち切ります、それでちょっと、というふうな意味ではないですから、その点御了承願います。
  31. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは、なぜ、ほとんど結論の出かかっておった今の委員長と阿部君との間のお話に、私が特に発言を求めたかという意味は、理事に相談をするというお話でございまして、たまたま僕が理事であって、そして理事が、今委員長考えておられるように、意見が一致していればいいけれども、ちょっとそれでは理事として取りなしが少し困るのではないか、そういう直観をしましたので、その点は後日に、なぜあのときにお前が言わなかった、こうおっしゃったのでは工合が悪いから、私の意見をここで申し述べたのであります。
  32. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今わが党の栗山理事からも御発言ございましたが、私としては、理事会でどちらになろうとも取り扱っていただいて、委員会で論議していただくことでけっこうであります。  ただ、今簡単に、樋詰石炭局長、あるいは自民党の川上理事が、それは元通りだと、こうおっしゃっておりますが、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律兼、こういうのに、中身に、石炭鉱業整備事業団を石炭鉱業合理化事業団に改めるんでしょう。そうしますと、わが党から出しているのは、合理化事業団なんという名称は一つもない。全部事業団になっているわけだ。これが通りますと、わが党の案は何を目的として案を出しているかということになるわけだ。そこを改めて出さなければならぬということもあるので、そういうことを私が心配して申し上げておるんですが、そういうことも含んで、お二人とも御承知ないようですから、理事会で論議するときにお話し願いたい、こう思うわけです。  そこで、質問の中身に人りますが、三年前だと記憶しておるんですが、石炭、あるいはこれは金、銀、銅のメタル鉱山も入るわけです、これを対象にして、中小企業の指導育成と、大手炭鉱の強化といいますか、あるいはまた企業の合理化、こういうもののために、地下資源開発株式会社というものを設けたはずである。そこでボーリングをやって、日本に石炭がどのくらいあるか、また、弱小炭鉱はボーリングもろくにできない、企業の合理化も何もできないんだ、で、政府も投資し、あるいは大手蚕業からも投資をしてもらって、地下資源開発株式会社というものを作って、大いにその効果をあげようといって、法律を作った記憶があります。それがどのくらい成果をあげておるものか、その点をまずお尋ねいたします。
  33. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 地下資源開発会社は、これはお説のように、ボーリングをやるということで発足以来やってきておるわけでございますが、今までのその実績というものは、一体何本ぐらいのボーリングをどの地区でどのくらい掘ったかということは、ここに今資料がございませんので、至急調べましてお答えいたしますから、ちょっと待っていただきたいと思います。
  34. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは、何メートル、ボーリング掘って、どこの炭府がどれぐらいあるかということを調べるのが目的であったが、中小炭鉱、あるいは大手も含めて、なかなか金がないんで炭層の調査も十分できないということで、政府が金を出したはずなんです。従いまして、その結果がどうなるかということをお尋ねしておるんですから、単に何メートルどこで掘ったということばかりでなしに、通産省のあなたのところにある鉱区の登録というものは正確なものであるかどうかということも、あわせて調査されておると思いますんで、その点をまずあわせて石炭局長、一つ御報告願いたいと思います。  それでは、その次にお尋ねいたしますがね。もしこの法律が通ったということになりますと、役員がふえるのですか。それとも副理事長というのができるだけなんですか。
  35. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 副理事長が一名ふえるだけでございます。
  36. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、石炭局長もおそらく御承知であったでしょうが、今までもいろいろ話題になっておりますがね。その理事と称する者は、三菱なり、あるいは明治なり、あるいは三井、住友、古河というような各会社重役が、平重役クラスが大体理事になっておるのですね。そして二カ年間か、三カ年間、その事業団に勤務して、また帰って、自分のところのまた重役か、あるいは何かお勤めになる。従いまして今、冬山を買う、こういうことですら、どうも自分の系統の山に力を入れるというような——これはうわさかもしれませんが、そういう話が何回も出ておたことを私は聞いておる。今度は、まずここに出ておるのは、二十一億四千万円ですからね。それから始めて金まで貸すのですから、今までのような、組織、あるいはそういうところから人物に出てもらっていいのか悪いのか、こういうことについてお尋ねいたします。
  37. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 現在六名の定員に対して二名の理事がおりますが、そのうち二人は、一応出向という形で、三菱と、もう一つはどこでしたか、明治でございますか、まあ大手会社から出ております。これは事実でございます。しかし、そういう、ある会社の出身の方だからということで、事業団の買い上げについて特に何らかの手心を加えたとかいたようなことは、これは今までは一ぺんもなっかたというふうに私は確信いたしております。  それから、今後この法案を通していただきまして、特別貸付金というような制度が運用されるということになりますと、現在の機構のほかに、新しく近代化のための若干の人員増強といったようなことを私はせざるを得ないのじゃなかろうか、こう思っております。これの仕事に当たる方は、まだもちろんきまったわけでございませんが、この特別貸付金と、興銀あるいは長期信用銀行、あるいは開発銀行といったところの貸付金とか、うまく調和がとれて運用されて、初めてその効果もあがるということになりますので、主としてそういう長期資金を貸し出す金融機関関係の方というような方に事業団に来ていただいて、お仕事をしていただくというのが一番適当じゃなかろうか、そういうふうに、これは私のまだ腹づもりでございますが、考えております。従いまして、ある会社にだけ特に有利な扱いをするといったようなことは、これは今後も絶対にないということを確信いたしております。
  38. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 と、石炭局長は御答弁になるでしょうけれども実態は必ずしもあなたのおっしゃる通りにいっておらんということを、私はまあ聞いた。なお、その後法案が修正されて可決されれば、二百万トンの買い上げ量が増加するわけだけれども、しかし、すでに百五、六十万トンの申し込みがあって、それをオーケーということになると、あと、買い上げは二百万トンだけれども、実際今後買い上げるというのは、もう三、四十万トンだというように私は聞いておるのだけれども、そういうことは事実ですか。
  39. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) それは大体先生のおっしゃる通りでございます。今ワク外で受け付けるわけには参りませんが、買い上げてもらいたいということで希望しているというものが、どのくらいございますか、ワク外でまあ百万トンをはるかにこえる、百五、六十万トンはすでに申し込みがきているというふうに承知しております。しかし、これは正式に受け付けるわけにいきませんので、かりに受け付けたということで、書類を預っているというような格好になっております。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこのあたり、どうもふしぎなんですね。一ぺん三百万トンをきめて、また修正して、オーバーして、それでその結果、三十万トンや、四十万トンやはりはみ出すのがあるというのなら、これはいざ知らずですよ。もうすでに、法律が通りも何もせぬうちに、もう人体満ばいに近い、残っても三、四十万トンだというだけしか残っておらんと。確かにあなたのおっしゃる通り法律ができぬうちに、責任をもって受け付けることはできんから仮受付になるでしょう。しかしどうもその辺すっきりしないのですがね。どうしてその仮受付、百五十万トンも百六十万トンもやるのですか。それは仮受付にしても、事業団はそれを受け付ける責任もなければ権限もないと思うのですがね。もら終わりですと、こういうようになると僕は理解するのですがね。
  41. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) そういうように非常に買い上げてもらいたいといったような希望が殺到しているというようなことも考慮いたしまして、今回二百万トンという今までよりもよけいに買えるといた道を法的に開いておこう、開くべきであるというふうに判断して、この法案を御審議願っているわけであります。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その何もないところへ百五、六十万トンの申請があるのですから、この法案が出てくるとまた百五十万トンも二百万トンもの売山申請が出てくるという、こういう危険性はございませんか。もう通産省としてはこれ一ぺん限りですぞと言って出した。また今度もこれ一ぺん限りですという御答弁になるのですか。
  43. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 今の段階におきましては、この二百万トン今回ふやしていただくということで、一応の目標というものは逃せられるのじゃないか。将来絶対ふやさんかどうかということになりますと、これは将来のことになりますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、現在の段階におきましては、石炭鉱業の負担能力あるいは国家財政といったものの支出の可否といったような点から、大体二百万トン程度、この法律の存続中に買えるといった道を開くということは適当であろうというように判断したわけであります。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうなると、石炭局長きわめてに自信のない話になて、もうこれで押し切るのだということでなしに、今の段階ということがつくことがどうも合点がいかないですがね。そうすると、結局相対的にあくまでやはり今の段階でこういう法律を修正してまずやってみようと、まあこういうことなんですね。僕は決して意地悪い質問ではございません。やはり買い上げた結果がどうなるか。全部労働者が散り散りばらばらに路頭に迷わされるので、すから心配するので、その点をお尋ねするのと、もう一つはその百五十万トンか六十万トンかわかりませんがね、その仮受付ですか、その申請しておるその山の名前を教えていただくわけにいきませんですか。
  45. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) まずはなはだ自信がないじゃないかというお話でございますが、現在はもうこれで十分であるというふうに私は考えておるわけでございます。  それからどの程度の山の申し込みがあるかということは、これは、ただそういうふうな相当買い上げてもらいたいということで、事業団の方に来ておるということは承知いたしておりますが、先ほども申し上げておりますように、正式に受け付けたものでも何でもございません。大体どういう山でどうということについての名簿は役所としてはまだ手に入れておりません。手に入れましたならば、これはお目にかけるということができるわけでございますので、事業団の方と連絡をとりまして、資料という格好で後日差し上げるということを努力したいと考えます。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これは政策の問題ですから、将来どうなるかということについては、これは局長お尋ねすべきでなくて、これは政府に、当然大臣なり政務次官お尋ねするのが道だと思いますんで、今の質問に対して政務次官はどうお考えになりますか。
  47. 原田憲

    政府委員原田憲君) ただいま局長が言いましたように、現在の状況では二百万トン買い上げる。これで十分である。こういう見解であります。
  48. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  49. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を起こして。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 長官——国家公安委員長は来られぬけれども、この委員会に初めから来られるということでしたが、初めから来られないで、社会党の議員との会見が終わったらすぐ来るということでした。一ぺん来られたそうですけれども帰られて、この委員会が、長官の理由がはっきりしない往来と都合で、とにかくひっかき回されたのは大へん残念であります。不服だけ申し上げて、時間がございませんからすぐ質問に入りますが、あなたが来られる前に論議をいたしました問題の中で一番大きな問題は、警官会社施設あるいは四月の初めから使わなければならぬと保育所等を使っておって、これは好ましいことではない。できるだけ早くその使用をやめたいという言明をされたのは、もう半月以上前の話です。最初の使用から計算をいたしますと二カ月以上はたっている、最近、現地で、質問をした国会議員等が本部長に究明をして、そして口があかなくなったら、今警備局長から聞きますと、今ようやく研究をしている、こういうお話だ、しかしながら、現地では、県の警察本部長からは何ら反省の言も聞きませんし、それからやむを得ない、使用を継続するという、こういう答弁をしておる、これはだれが見ても会社施設の中におり、それから会社施設の中から出動をして、そしてピケに襲いかかる、あるいはピケの排除をやる、こういうことになりますと、これは会社の側に立って、警官の出動が、あるいは警官の実力行動が行なわれておるじゃないか、こういう世論が起こってくるのは当然だと思います。それから人工島のお話をいたしましたが、これは警備局長も認めたように、法的な仮処分が行なわれているわけではないが、人工島の入口にバリケードを築いて、そこから出入りはしておりますが、国会で問題になったからして国会議員が中へ入れてくれ、こう言うと、会社側と相談をして、警察の上司と相談をするじゃないで、会社側と相談をして、入れるわけには参りません、こういうことで、まさに警官出動の法的な根拠はないのに請願巡査のように人工島の警備に当たっている、こういうことで、会社側に立って警官行動が行なわれておるじゃないか、こういう質問をいたしましたのに対して、好ましいことではない、できるだけ早く会社施設から立ち退きたいという、過去において言われた長官の言葉を繰り返しながら、なお研究中である。六十日たってようやく研究を始めたわけですが、研究中だという答弁がありました。現地では、こういう長い間の懸案の事態解決をしないから、それからあるいは四月十九日、二十日の警官実力行使等からいって、あるいは現状の施設の利用あるいは人工島の警備の模様等からいって、会社側に立って警官が動いておるじゃないか、こういう感じが強く持たれておる。これは当事者だけじゃなくて、第三者についてもあるいは世論の点からいっても、その点は言えることなんですが、長官からもう一度はっきりした言明を願いたいと思います。明らかに現状でもまだ警察本部長——これは二、三日前の話でありますから、警察庁長官が言明された方針と違って、会社施設を利用しようという態度を、やむを得ないという言葉で、これは継続使用がなされておる。現地で、長官の言明と違う方針をあなたはやってよろしいのですかと言っても、それについても考えましょうということもないわけです。長官として過去における言明から、どういう工合に考えられておるのか、重ねて伺いたいと思います。
  51. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 御承知のように、大牟田地区には、相当の多数の警察官を動員いたしておるわけでございます。もちろん大部分は会社施設外に宿泊いたしておるわけでございますが、一部会社施設を利用しておることも事実でございます。そこで私はまずいつも申し上げておるのでありますが、会社施設を利用するということが直ちに警察中立性を阻害するものでは絶対にないというふうに考えておるのでございますが、しかしながら、これについて誤解される向きもないとは言えない。従いまして、できるだけそういう会社施設等を使わないことが好ましいということを常に申しておるわけでございます。しかしながら、あの地理的な条件において警備の必要上やむを得ない場合これを使用するということもまた起こることはあり得るわけでございまして、われわれとしましては、できるだけ適当な宿泊の場所を見つけて、そちらに移ることを期待いたしており、また現地にもそういうことを研究するように申しておるわけでございますが、何分にもこういう問題は現地的に解決せねばなりませんことでございますので、いつまでにどこをどうあけるということまでは申し上げられないということを言っておるわけでございます。その点は宮地君におきましても、私と違った考えを持っているはずはないと考えておる次第でございます。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 宮地君が長官と違った意見を持っているわけではないというお話ですけれども、私ども答弁をしました——これは衆議院あるいは参議院で警察庁長官なりあるいは厚生省政務次官から、好ましくないからあけるようにしたい、こういう言明を聞いた委員から質問をいたしましたけれども研究をしましょうという話もございませんし、今期待するという言葉がございましたけれども、その期待にこたえるような態度は全然ないということを申し上げておきたい。これはもう六十日以上もたっておることでありますから、今さら期待とかあるいは研究とかいうことでは、これは許される事態ではございません。で、そのことが、警察中立性を疑わしめる実情が、先ほど問題にしました五月十二日の事件を起こした私は大きな原因だと思うのです。五月十二日三川のホッパーのところから帰る労働者と、それから警察官との間に紛争が起こりましたり、それから若干のけが人等も出ました。そのことについて、先ほど警備局長質問をしたのですが、その答弁はあなたもその内容は知っておられる、こういうことですからこれをここに繰り返しません。そこで答弁に従って事実をもって反駁をしておきたいのですが、先ほど警備局長の言葉の中に、警官がピケを横切った事実があるという情報も聞いたけれども、そういうことはなかったと思うという答弁がありました。これは現地について検証も行なわれております。それから私どももその翌日でしたか現場に行って、問題と責任を明らかにするために現地に行って見たり聞いたりしたのですが、警官がピケ隊の中間を横切ったという事実は間違いのない事実のようでございますが、この点はこれはうわさだけで事実はなかったとあくまで否定されるのか、あるいはそういうこともあったと言われるのか、その点をお伺いをいたします。  それから最初に私どもが参りますまでの紛争の実態は、私はこれは見ておりません。もちろんそのあと行ったので見ておりませんが、私どもが行って、事態をおさめるために副隊長と、現状をそのままにして、そして両者を離して、事態収拾のために話し合おう、こう言ったら、副隊長は承知をした。私どもはあとで長末、梅花君の問題を含んで話し合おう、あるいは釈放についてもお話に乗りましょう。しかし私では全然責任が持てませんから隊長と話し合って下さい。そこまでは隣におります成瀬君も同行したわけです。指揮官車のところに行きつつあったのですが、その途中で指揮官車を降りてこない。あるいは話し合いに応じようとしない。長末という隊長が「かかれ、何をしているか」、こういう叱咤激励によって警官が出てきた。    〔委員長退席、理事古池信三君着席〕そしてそのあと混乱が起こって双方にけが人が出た。あるいは議員等もけがをしたわけでありますが、第一次紛争の衝突は、長末隊長の当時の話からいっても、梅花君をめぐる事態が一番中心であったと考えられる。梅花君というのはデモ隊の指揮者の一人。班長であったかどうか、全体の指揮者じゃありませんが、指揮者の一人。その梅花君を逮捕した。そして梅花君が暴行を加えたと、こういうのです。現行犯ということで逮捕されているのですが、そのときの写真がございます。そこでこの写真を呈示をいたしますが、これを見れば梅花君が加害者であるか被害者であるかということは一目瞭然だと思う。加害者だから検挙をしたと、こういう話ですが、現行犯で逮捕したという話ですが、これは警官が詰めておりました建物の中に引きずり込んで、そして外でもこういう実態ですが、引きずり込んでけがをさせた。踏んだりけったりしてけがをさせて、けがの実体は診断書に出ているから否定するわけに参らぬと思いますが、それでもなお第一次紛争の責任は梅花君にあると言われるのか。それともわれわれがいうように警察官が梅花君を傷つけたのか、これは写真を見て一つ御答弁をいただきたいと思います。それからもし警官にけが人が出たというならば、警官のけが人が出たのはいつか。梅花君がけがをさせられた。写真に出ております。これはそのときではない、そのあといわば長末君が事態を最小限度に収拾しようとした話し合いに応じないで、「かかれ、何をしている。」、こういうことで部隊の出動を命じたそのあとの事態でありますだけに、私は長末君が事態を引き起こしたのだとこういうふうに信ずるのでありますが、その点についての事実関係を御説明願いたい。  それからもう一つ、先ほど会社側に立っておるじゃないかという印象が、警察に対するいわば、これは悪口になるかもしれませんが、会社の犬という言葉も出たりいたしておりますが、そのデモに対して実力行使をかけた、そのときに警察側からも悪声が放たれておりました。そうしてそのことは、これは私が聞かなかった部分もありますけれども、阿具根君や私ども事態を最小限度に収拾しようとする私どもに、「国会議員じゃないか。」あるいは「阿具根じゃないか。」といったところから見て、それから阿具根君に対しても、私に対しても警棒をふるった。これは私に対して警棒をふるったのは、傷が残っている。おそらくとめようとしたという報告も入っているだろうと思いますが、とめようとした事実があるということは、警官国会議員に対しても暴行を働こうとした、あるいは働いたという事実の裏づけ以外に何ものでもないと私は考えるのですが、そういう警官が暴行をふるい、あるいは悪態をつく、こういうことを警察として命じておられるのかどうか、あるいは本部長はピケは暴力的だ、あるいは革命的であるとさえ新聞その他で言っておるのですが、そういうピケあるいは労働者に対する政府警察庁考え方がなぐりかかる、あるいは事態を収拾しようとする私どもに対してもむしろ警察官がそれに対して阻止しよう、こういう気持で、あるいは公務執行妨害という解釈があるのか。「国会議員じゃないか。」というその言葉と一緒に、警棒をふるったり、いろいろしているわけであります。けがを食わしているのですが、そういうことを国会議員に対してもやろうという指示をなされておるのかどうか。  それから警官は国民の生命財産を守ることが当然の任務でありますが、全く統制を乱して、警棒をふるったり、あるいは傷はつけたりするというような事態が起こるところを見ると、警察の指示でないのか、あるいは指示をされておらぬかしれないけれども警察本部の方針としてはあるかのように考えているのですが、その原因については責任をお負いになるかどうか。それから少なくとも長未隊長は、副隊長の事態収拾のための努力を無視して、「かかれ、何をしている。」、そう言って実力行使を強いたのですが、長末隊長の当時の行動というものは、私は警察官として、あるいは警察の機動隊長としてきわめて遺憾な、その資格ないものだと考えるのですが、事件を起こして紛争を起こして、あるいはけが人を出した機動隊長の罷免あるいは転勤というものは当然だと考えるのですが、これについてどのようにお考えになるか、あるいは警察庁長官方針も守らず、あるいは事態収拾のために話し合おうとしても、話し合おうとしない、あるいは十二日の晩についても、私どもその前の事態あるいは起こった事態、あるいはそのあとの事態について収拾しようとして成瀬君と一緒に面会を求めて話し合いをしようとしましたけれども、会おうとしない。そういう態度で国民の生命財産を守れるか、あるいは紛争を拡大しないで事態を収拾する、あるいは先ほど警備局長は、できるだけ平穏になるために警官も減らしたい、あるいは設備利用もできるだけ早くやめたい、こういう話がありましたけれども、県の警察本部長は全く逆の態度をとっておりますが、そういう事件を起こし、あるいは拡大しようとする警察本部長に対してはどういう措置をとられるか、これらの点について御答弁を願いたいと思います。  で、梅花君をめぐる実態あるいは阿具根君をめぐる実態というのは、ここに写真がございますから、写真を提示いたします。
  53. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 長官に対する御質問でございますから、その方針なり何なりについてはあとでお話しになると思いますが、事実関係につきまして、私がさきに御説明申し上げている関係で、続きでございますから、私から便宜御説明申し上げます。  横切ったという問題は、これは先ほども申し上げたように、横切ることがいいか悪いかというような問題もございましょうし、また故意に横切るというような行為であれば、挑発するというようなことも当然考えられまするから、これはあったかないかということについては十分われわれは問い合わせておりまするが、そういう事実はないという返事でございまするから、現在におきましては、横切ったという積極的な証拠がない限り、私たちはないということを申し上げる以外はございません。まあしいて言うならば、両方で、あったといい、ないということになると、現在においてはさらに調べるけれども、不明であるということぐらいしか申し上げようはないと考えております、第一点。  それから第二点の、副隊長が隊長のところに、それじゃ案内しましょうということで、御一緒に行かれたことは事実でありまするが、これはどうも長末機動隊の副隊長じゃなしに、現地責任者でありまする第六大隊の副隊長であったようでございます。従いまして、その間の意思の疎通が多少欠けておるか、副隊長が言うのは、自分の方の大隊長が、初めわからないものだから、議員さん方を自分の方の大隊長のところに案内しようということで言っておられたところに、長末機動隊長が指揮官車の上におった、こういうことであって、長末君自身は副隊長から、今議員さんたちが面会にこられるというような連絡を受けておったものではないというふうに私たちは——これはなお多少調査をしないと確言できるところまでいきませんけれども、どうもそういうふうじゃないかというふうに思われます。  それからただいま吉田委員のお話で、梅花君の逮捕というものがこの事件のきっかけになっておるというお話でありまするが、これは初めからごらんになっていなかったので無理もございませんけれども、私が冒頭に御説明申し上げた通り、きっかけはあくまでも検問所におりました十名の警察官に対しまして、帰りがけのデモ隊の五十人がまづ突っかけてきて、これを一人をデモの中に巻き込む、それから窓ガラス等に対しては乱暴をする、あとの残りの人間は、検問所の窓ワクのところに押しつけるという事件がきっかけとなっております。それを救出しようとして行った警察隊を、さらに別の組合のデモ隊がこれを包囲をして、さらにそれを救出しようとして機動隊等が出たわけでございまするが、いわゆる私たちがいっている第二現場といいますか、事故の発端になった原因、その次の段階において、福岡県の警察学校の見習生を主体とする部隊が、その中の十人を救出しようと行ったその際に、梅花君がその一員の足をけって執行を妨害したということで、梅花君を逮捕したということに相なっておりますので、これはその後激化さした原因になったと、こうおっしゃれば、あるいはデモ隊側に対しては、これが一つの激化させる原因になったかもしらぬと思いますが、あの事件の起こりました原因ではなのでございます。  それから、けが人はどこでできたかという第四点のお尋ねでございますが、これは初めから終わりまでできておりまするが、ことに一番初めの発端になりました検間所の検問員十名のうち七名までが第一現場においてけがをしてこれは出てきている。それから百五十何名の警察官が負傷いたしておりまするが、その多くは、あるいは議員さん方がごらんになっている状態、すなわち最後の接触というときになって、デモ隊側から小石等をたくさん投げる、あるいは青竹あるいは青竹で作った水筒と称するもの等との接触といいまするか、そこのもみ合いにおいてできたきずが多かろう、こう考えます。  それから会社側の犬というのは何でございましたか……。
  54. 吉田法晴

    吉田法晴君 警官がとにかくばり暴言を言い、あるいは国会議員が何かというような、そういう敵視的な態度、あるいは警棒をふるって国民なり国民の代表をきずつけるということを、警察は指示しているのかということです。
  55. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは、そこでその暴言に対して暴言を言い返した事実が絶対ないということは、私も自信を持って言えません。それは犬だとか畜生だとか言われれば、これに対して冷静に処置をするのがわれわれの職務でありますけれども、多数の者の中に、何をということから、どういうことを言わぬとも限りませんけれども、これはあったというふうにも申し上げられませんけれども、絶対にそれに言い返したというふうには、私もここに確言できないと思います。ただ国会議員が何だというふうに言うたという話は聞いておらぬのでありまして、興奮している警察官が、国会議員は暴行をやめさせるべきだ、何をしているのかというような、まあ、丁寧ではなかったかもしれませんけれども、そういう趣旨のことを言うたことはあるやに聞いておりますが、これはその場の状態が相当興奮しておった、この興奮することがいいか悪いかといえば、それはできるだけ興奮しないに越したことはありませんけれども、あの状態においては、多勢に無勢でもございまするし、同僚がどんなことをされているかわからぬという状態でありますから、多少の興奮をしておってもやむを得ないと思いまするが、何としましても、だれに対しましても、暴言を吐いたり、あるいは手荒なことをしたりすることは、これは適当でございませんので、われわれとしてもこの点は十分気をつけたいと考えます。  それからそういうことを指導しておるかどうかということは、これはもう申すまでもなく、暴言をはけとか暴行せいとかという指導は一切やっておりません。  それから吉田議員のけがにつきましては、ただいま私初耳でございまするが、これはなおあと調査いたしまするけれども、われわれの報告には入っておりません。  それから長末君の責任云々の問題、宮地君の責任云々の問題については、あるいは長官からお答えになる方が適当かと思います。  最後に、ただ誤解のないために申し上げておきまするが、私たち自身としては、これは警察あげてああいう事態が早くおさまる、急速におさまらぬにしても、だんだん平静の方向に向かって、一人といえども、本来の自分の職場警察官を帰すことが望ましいということは、私も再々申し上げておることでございまするが、現在の状況がそのままであって、ただ人数だけどうこうすればいいというような考え方じゃありませんし、また、そういう言い方ではございませんので、御了承願いたいと思います。
  56. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 大体御質問局長からお答えをいたしたわけでございまするが、宮地本部長はもちろん、長末君にいたしましても、事件を拡大するというような、事件を大きくしていこうというような気持を持って行動しているとは、私は全然考えておりません。もちろん、事態というものはよく調査をして、処置すべきものは処置しなければなりませんけれども、ただいまわれわれ聞いておる範囲におきましては、これらの人々に対しての責任を云々すべき状態ではなかったというふうに考えます。  それから先ほどお話にありました五月十二日の事件の重大な原因、警察官が会社施設におる。また、四月十八、二十日等の警察官の行動というようなものが原因であるというふうに観測しておられるようでございますが、私も警察官の行動というものについて、素朴な労働者の中に自然発生的に反感が起こるという部面も、もちろんないとは申さないのでございますが、しかし現在三井の犬であるとか、あるいは税金どろぼうというようなことが口々に言われ、また掲示までされておるというような現状が、しかも労働運動の指導者をもって任ずる方々が多数行っておる現地において行なわれておるという状態でありまして、私のところにも総評の弁護団だとか、あるいは社会党の方々とか、よく要望とか抗議とかおいでになります。    〔理事古池信三君退席、委員長着席〕 その際には、第一組合員は決して自分の方から不法行為をしかけることはないのだ、またそうはさせないのだ、検挙にも協力するのだということをおっしゃるわけでございます。私どもも、できるだけそういう言を信じたいのでありまするけれども、事実は必ずしもそういっていない状況でございます。  私、これは御質問に答える点からはずれるかもしれませんが、自然発生的な反感というものが絶対ないのだとは申しませんけれども、それが一番大きな原因であるというふうなことではなくて、むしろ私はあれだけ大ぜいの人が現地に行って指導をし、激励をされておる中において、全部そういう意図を持ってやっておられるかということは、私も考えませんけれども、しかし実際問題としては、そういう激励、指導の間に、警察官というものに対しての反感を高めるというような動きが相当に出てきておるのではないかというふうにも考えますので、警察としてもできるだけ冷静、慎重に事に処すべきことは、これは私ども十分に自粛自戒いたして参らなければなりませんが、ああいう労働争議に伴って、さなきだに興奮状態になる組合員たちを、激励ということのために、不法にかり立てる、不法にまでこれをかり立てていくというような指導がもしなされるとすれば、これは非常に私は遺憾なことであると思うのでありまして、そういう点については、先生方からもよく御指導をお願いいたしたいというふうに考える次第でございます。
  57. 吉田法晴

    吉田法晴君 事実の点についても、ピケを横切ったというのが最初の事実ではないかという情報を、さっきあるということでしたが、それを否定されて、事実はあったかなかったかわからぬ、結局不明だと言われたのですが、これらの点については、率直に非は非として認めて、そうして再発を防ぐために努力をせられるのが当然だと思う。そういう意味で、警察の、これは本庁の警備局長なり長官ですから、その点は情報があるといいながら、それに全く耳をかさない、あるいは事実を調べようとしない態度については、重大な警告をしておきたいと思うのです。そういう態度こそが警察の行き過ぎ、あるいは間違いを再び繰り返さして、事件を拡大する原因になるのです。  それから第一次の紛争が、警備局長は、梅花君がけった云々という今お話でありますが、少なくともその第一次に労働者警官とが対峙をしたのは、その前に、原因がどっちにあったかはとにかくとして、やはり最初は小さい問題あるいはピケと警官とが接触をしたという、あるいは警棒がさわったとか、こういう問題からそれに対して実力行使をした。その実力行使の仕方が、梅花君のけがを含んで逮捕されたけれども、逮捕されたあとの踏んだりけったりというのは、これはその写真にも出ておりますが、診断書にちゃんと出ている。これはだんだん事件が明らかになってくると思うけれども、長末君に話をしたときに、彼は加害者だからそこで釈放するわけにいかぬ、断じていかぬという感情的な態度、それでは事態の収拾はできぬから、冷静にさして話し合いをしようじゃないかというのに対して、話し合いのかわりに実力行使をさらにした。それが問題の拡大した原因であるし、それから梅花君は、あとから聞いておると、動かすこともできない。これはあとから聞かれただろうと思っておるのですけれども、検挙ができないような事態であった。従ってとにかく病院に連れていこう、そうして病院に連れていって、そうしてまあ深夜ですけれども、取り消したという事実は、これは否認するわけにいかぬだろう。そうすると相当のけがを梅花君に与えた、こういうことですから、梅花君に対する警察態度というものは行き過ぎがあったという点は、これはあとからの判断ですけれども、あなたたちにも判断があるだろうと思う。そういう報告は全然ありませんか。そういう日誌は全然ありませんか。それを阿具根君について、何か阿具根君のけがが自分の責任か、あるいは小石か青竹か、何か知らぬけれども労働者の責めに帰せられておりますけれども、写真から見ても、あるいは労働者の代表であり、大牟田出身の阿具根君に対して、大牟田労働者が危害を加えるはずは、これはもう絶対にあり得ない。そうして国会議員が何かといいながら、警官の渦の中に巻き込んで——私もそうですけれども、私は指揮官車の前、あるいは皆が見ておったから、警棒でここを突いた程度にとどまりましたけれども、阿具根君に対しては、この警官の渦の中に巻き込んでやったというのは、これは写真を見ても明らかです。それをとにかく、自分の責仕ある責任を転嫁するというのは、警官の非を、梅花君と同じように責任を転嫁して、自分の非を塗りつぶそうと、ごまかそうとする態度、そういう態度だから事件も拡大するし、あるいは長末君の指示をかばって、さらに今後どういう事態が起こるかわからぬという事実が繰り返されることになる。全体のあれを見て、長末君の指揮、実力行使が、あなたは救出と言われるけれども、救出をすべき警官隊というのは長末君の、指揮者の左右におるのですから、どういう状態にあるか、長末君が一番よくわかっております。警察があって、なるほどそれはこちらに労働者がおり、向こうに労働者がおるということだから、はさまれている格好になっておりますけれども、その事態を救助するために話し合いをしようというのに、その労働者に対してかかれ、実力行使をさせるから、あとの紛争が起こる。これは全体の経緯から見ればわかる。それから、われわれが事態を収拾しようとした誠意あるいは動きというものに対しては、これはあなたは否定するわけにいかぬでしょう。われわれがけしかけて混乱を起こそうという態度であったのか、あるいは事態を収拾し、紛争を最小限度にとどめようとする態度であったか、これははっきりしておる。それまでも、われわれが事件を拡大しようという態度であったと言われるのですか。しかも、その中で言うたことは、これは現地警察の報告だけでしょうが、国会議員に押えろと言うた、あるいは何をしているのかということであったけれども、そういう報告が来ておるのだったら、この事態の写真から、そういう国会議員が何か、あるいは国会議員に暴行を加わえたであろうということについては、その態度はともかくとして、これを否定するわけにいかぬだろう。警官のわれわれに対する態度全体を否定されますか。あるいはわれわれの善意というものも否定されますか。多少、長官は、自然発生的な感情があったということはわかる。あとはそれを刺激し、激励をして、警官と国民との間の対立を激化しないように、こういうふうな御要望がございました。そのことは私ども現地で直接、理性を持っておる責任者、名前をあげてもいいが、あるいは現地に行っている警備部長なり、あるいは宮浦におる大隊長のごときは良識がございました。しかし長末君のように興奮してしまって、事態を最小限度に収拾しようとするのじゃなくて、上がってしまって、かかれ、何をしている、こういう態度では、これは事件は拡大するばかりです。そのことを私は申し上げている。それから暴行凌辱の多少の程度は認められたようですけれども、全体から見て警官の行き過ぎ、不当な実力行使、われわれに対して警棒を使用した事実があったことは、これは事実です。これは認められないわけに参りません、あなたとしては。そうしてその原因になった自然発生的な感情の原因が、この前から申し上げましたように、会社要請によって動き、あるいは会社施設の中におる。そうして四月十九日、二十日ではないけれども警官実力行使が不当になされる。民訴法の執行としては不当であった、よくなかったと裁判官が言われるような不当なことがあった。そういうことについての反省もなく、そうしてピケを最初から暴力的だと考える。その労働者自身を敵視して、ピケの正当な権限を行使させまい、あるいは事態を実力で制止しよう、こういう態度が問題を起こす原因だ、こういうことを申し上げている。多少の反省はありますか。あるいは暴力、凌辱の一部は認めますか。警察全体の態度として、自分は反省しない、裁判所も指摘したような違法も自分は反省しない。そうして警察のやり方は間違いがないのだ、正当だ、やれ、やれという態度だから、中央態度が、そこでたび重なるとにかく事態が起こる、今後の事態についてきわめて心配される事態……。問題は労使の問題で、首を切られた。首を守ろうとするのは当然の本能じゃないですか。これは裁判官に言いたい。裁判官でさえ二、三年前の定員削減のときはどうしました。これは団結権であるとか団体交渉権を認められておらぬけれども、しかし自分の首を守るためには、あるいは首を切られないためには、やっぱり裁判官としてやるじゃないですか、警官だってそうでしょう。警官だってあの事態を排除のときには、自分の地位、給与を守るためには自然に動いたじゃないですか。労働者が首を切られて、あすはどうなるかわからぬ。失業のとにかくちまたにほうり込まれる、生死の境にほうり込まれるときに、首を切られぬように努力をするのは当然の話。その行動に対して初めから暴力的だ、あるいは何といいますか、不逞の徒とは言わぬけれども、不退の徒視して、これを、労働者を敵視するという態度が問題を起こす原因だから、その根本をなくするために、警官に対して、非は非として、暴力、凌辱に対しては制裁を加えらるべきだし、あるいは長末君が直接手を下したとはいいません。しかし原因を作った責任者が長末君であり、あるいはその部下、先ほど警察学校云々と言われましたけれども、それらの者についての処罰あるいは長末君の責任等が追及されなければならぬじゃないですか。事態を拡大しないように、私は大牟田からあの多数の警官を引き揚げることが一番大きな当面の治安維持の最大の急務だと思うのですけれども、それらの点についてもこれはお考えはございませんか、最後にお尋ねをしたい。
  58. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 警察労働者を敵視しているということは全くございません。また、中央でいかにもそういうことをけしかけているようなお話でございましたが、そういうことは絶対いたしておりません。あくまでも警察は厳正中立を守って、ただし不法はこれを許さないという態度を堅持いたしておるわけです。その不法な容疑者というものを逮捕すること自体が、直ちにまた挑発だというようなことがいわれるようであるならば、これはもう……。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 警官の暴行凌辱は……。
  60. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) これは問題とすべき、問題にならない議論であろうと思うのであります。警官の暴行につきましては、ただいま警備局長から申し上げましたように、その事実が確認され、それが不当な行為として確認されるに至りますならば、それに応じた措置はとらなければならないと思うわけであります。この点は、私が先ほど申しましたように、事実を調査して、その上必要なる措置は講ずべきであるということを申し上げているわけでございます。  それから最後の、警察官をできるだけ減らして帰すべきではないかということ、これは先ほどこれもまた警備局長から申し上げましたように、私どもも一日も早く大牟田地区の状態が平静を取り戻して、そうして警察官がそれぞれその本来の職務につくことができるようになることを心から念願いたしておるのでございますが、現在の大牟田の状況においては、これを直ちに多数を引き揚げて、不法が行なわれるままに放置するということは、これは許されない。従いまして、もちろんこれは現実的に判断すべき問題ではございますけれども、そういう指導を今直ちにいたすべき段階ではないというふうに考えるのでございます。
  61. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がないので、なるべく短時間に終わりたいと思っているのですが、不法が行なわれておる。あるいはこれは阿具根君もですが、国会議員が何だ、あるいは言ったか言わぬかはともかくとして、国会議員に対して、しかも事態を収拾し、拡大を防ごうとする国会議員に対して、警棒をふるったりした警官についても、それは調査をしてみなければわからぬと、こういう態度です。そういう態度が、私は事態を繰り返される原因だと申し上げているわけですが、これは私は警棒をふるってここにけがをさしたことは、これは間違いない。これはそのときの隊長見ておる。長末君、その他指揮者もおることなんですから、写真その他でもって告発をして参りますが、あなたたちはそういう事実があっても、警官については不法はなかったと言われるんですか。
  62. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) あの騒ぎの中で、国会議員方々が、誠意をもって事態をおさめるように努力されたということは、私どもも認めます。ただ、調査しないとわからないと申しましたことは、とにかくあれだけの大ぜいの中で、非常なもみ合いがあるということでありまするから、一対一で警棒を意識的に使ってけがをさせるというようなことであれば、これは事態が非常に明瞭に相なるわけでございまするけれども、そういう状況でなかったといたしますれば、なかなかやはり直ちに、だれがどういう意図でどうしたということまで正確に把握するということは非常に困難でありますので、やはり調査をしなければわからないということを申し上げたわけでございます。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 われわれが事態の拡大を防ぐために努力をしたという点は、これはお認めになりました。誠意の一割か二割は認められました。その中で、とにかくあやまって私どもの肩に手が触れたとか、あるいは警棒を横にして押しやったところが触れたとかいうのではないのです。私に突いたのは、明らかに向うからこうやって突いているんですから、悪意だということははっきりしています。で、その警棒を使っておる、そうして私どもを突いた警官が、あるいは写真をとられておらないかもしれません。しかし、これは現地で聞かれたらわかることですけれども警官を制止しようとした者があるということは、あるいは報告の中に入っているかもしらぬ。これは現地の上部の者は知っているはずです。ですから、警官の中に、国会議員に対して暴力をふるった者、あるいはふるおうとした者があるということはわかっているはずです。事態を収拾しようとするわれわれに対して、故意に暴力をふるった人間があったとするならば——現にあったんですから、そういう者に対して、警察庁長官として、柏村さんとしては、どういう工合に考えられますか。
  64. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 事態を平静にしようと努力しておられる国会議員に対して、故意に暴力をふるった者がもしあるとするならば、それは申すまでもなく、よくないことでありまするし、私も非常に遺憾に存ずるわけでございます。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃもう一つ。さっきは第六大隊の副隊長という話でありますが、一番前におります責任者はとにかく出てくれと言ったら、第六大隊の副隊長が出てきた。これは第六大隊の副隊長だったか隊長だったか、私はよく知らないのですけれども、とにかく第一線におる、一番前におる指揮者に話をして、事態を収拾しよう。これは接触さしておると、とかく興奮するものだから、双方を引き下げて収拾をしようという話で、それを大隊長にしたか、長本隊長にしたか、そこのところは私は知りませんが、しかし長末隊長は、指揮者のところへ来てくれ、こういうことですから、これは指揮者に対して意思は通じておったと思うのですが、そういうふうに事態収拾に努力をしておる際にさらに実力行使を行ない、そうして何している、かかれということでもしやったとするならば、そこは警備局長が言うようにあれじゃなくて、われわれが言うように、事態を収拾しようとするのに、事態をさらに拡大をして実力行使をさせた者があるならば、それは長末君であらうと何であろうと、これは事態収拾のための警察の機能を果たすのじゃなくて、事態を拡大したということになりますから、もしそういう者があれば、その処置は適当でなかった、こういうことにはなりませんか。
  66. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 非常に仮定の議論に……。(吉田法晴君「仮定じゃない、事実です」と述ぶ)議論に相なりますが、そのときの状況というもので責任ある指揮者は判断をしていく、ここで話し合いを始めればさらに複雑な状態に相なるということも、ままあるわけでございます。話し合いをすることによって平静に戻る場合もあるけれども、また、話し合いを部分的に始めることによって、あれだけの大ぜいの者がさらに混乱を増すということもあり得るわけであります。みんな話せばわかる人間ばかりではないのでありまするから、話し合いで事が常に片づくものなら、これほどけっこうなことはないので、そうでない場合もあるわけです。その現場の判断というものを隊長がいたして、一方の組合の群集に対して制止行為をとったということは、事情をよく調査しなければ、その適切であったかどうかということを直ちに申し上げることはできないと思います。しかし仮定的におっしゃった、もし事件を平静に帰そうとする、事件をおさめようという気持がある中で、事件をあえて拡大しようとする者があったとすれば、これはよろしくない行為であるということは申すまでもございません。
  67. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に、制止をしようとしたのが隊長じゃなくて、話し合いをしようとするのに、かかれ、あるいは何をしている、こういうことで部隊を突っかからした、実力行使をさせて事件を拡大したのが、ほかならぬ長末隊長、話し合いをしようという当の指揮者なんだ。感情にかられて、制止をしないで事件を拡大したのが長末隊長だ、こういうことを申し上げているわけです。答弁は要りません。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 長官にお聞きしますが、名古屋で災害のあった、あのときに警官の人が、非常にいろんな問題で出ましたが、しかしとてもいかないというので、実は警官の階級章を取り、あるいは警官服を脱いで、消防の服装をして出動された、そうしていろんな仕事につかれたということをお聞きになっておりますか。
  69. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 消防服というものはないと思いますが、ああいう場合には作業服というものを使います。いわゆる消防というか、そういう作業をしいいような作業服ですね。
  70. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは、作業のためにそういう必要があっておやりになったのか。普通の警官の服装をしておらない方が……、どちらかが便利なためにそういうことをやられたのか、それともそうでない、別な悪味があってやられたのか、どういうふうにそこのところをお聞きになっておりますか。
  71. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私その事実は詳しく聞いておりませんが、ただいま局長から申し上げましたように、事態を処理するとか、いろいろ重労働的な仕事につく場合におきましては、作業着を着て怪快な態勢をとるということでございまして、また一般に警察官とわかって、民衆からはっきりといろいろの事案というものについて報告を受けるとか、届け出を受けるとかということが便利な場合には、もちろん原則として制服を着るわけでございますが、制服を着ないで作業者を着るという場合は、特別にそうした活動をするようなときでございまして、その以外に特別な意図をもって階級章を取りはずす、あるいは警察官ということを明示しないような形をとるということはございません。もちろん、捜査員等の私服等は、これは別でございます。
  72. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は非常に実は遺憾だと思うのですが、警官の方が警官の普通の服装ではおれなかった、おっしゃるような作業状態ではなくて、実は警官の一般の服装をしておれば、一般民衆からの反撃があったたために、警官ではないという服装をとられたという点だと思うのです。事実はそれが大きな理由なんです。ということは、私は警察官というものと、やはり一般民衆との間に何か知らぬ、ああいうお互いの国民が興奮し合ったときに、何かそこにそぐわないものがある、こういうことで非常に残念だと思っておるのです。この点については、あなたの方は、調査もしてお見えにならないし、あるいは報告もきておらないようですが、私は実際どういう理由でそういう服装をされたかといえば、おのずから事実がわかって参りまして、警官の今までのあり方に対する一つの反省材料になるし、今後の進むべき道を明示する、あるいは警官の、今のままでいけばどういう将来の形になるか、たとえば朝鮮の動乱におけるところの警察官に対して民衆が何をやったかというようなものを暗示する一つのものになると思うから、一つ十分調査をして検討を加えていただきたいということを最初に申し上げておきます。  次に申しあげたい点は、梅花君の傷は、これは警官と両者の立ち会いの上ですが、腹部に内部出血をしている。このけがというものはどうして起きたかといえば、あなた方はどういうふうに判断されるか知りませんが、普通のたたくとか、げんこつで突くというけがじゃないと思う。少なくとも本人が倒されたところを踏むとか、けるということが加えられなければ私は起こらない傷だと、こういういうに判断するのですが、あなた方は警察官として、絶えずそういう暴行、傷害等の起きた場合の、なぜ、これはどういう格好で加えられたかというような点については、職業がら絶えずやっておみえになる経験者だ。従ってあなた方のそういう豊富な経験に基づいての判断、特例的なものはございましょう。しかし、大多数の負傷されたような場合は、こういう場合はどういう場合に起こり得る傷であると判断されるか、その点一つ。
  73. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 成瀬委員にお伺いしますが、作業服は名古屋の台風のときのことですか。
  74. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうです。
  75. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ということでございますれば、全く民衆と警察官が接触する、警察官だとわかったら困るというような意味は毛頭ないので、これは想像できません。警察官がなすべき仕事をなしていない、あるいはなすべからざるものをなしているという気がありますれば別として、警察官が一人でも足りない、とにかく各人が非常に活躍をしているという災害の状態のときですから、私たちの聞きました範囲では、むしろ事務をとる人間なんか普通の平服でいいわけですが、これじゃ恥ずかしい、みんなが緊張してわらじがけでやっているのに、作業服も着ないで本部に詰めることは恥ずかしいというようなことで、わざわざ各地から作業服の足らぬのを集めてやったくらいでありまして、これは何ら他意はないわけであります。ただ、あれで不便なのは、階級章やなんかというものがはっきりしませんので、腕章等で補いますけれども、何か作業服であり、かつ警察官としてはっきり認識できるものをつける必要があるのじゃないかということで、近く、近々でございますが、警視庁等ではそれを試作したということもあるくらいで、作業服を着るか制服を着るかということは、全く便宜の問題であって、そういう御心配というものは私は全然ないものと、こう考えております。  それから梅花君の傷につきましては、われわれ具体的にどこをどろやられてどういう程度かということはわかりません。ただ、報告によれば、二週間程度の入院を要するということに相なっております。これは、このことについては、告訴をしておられるようでありますが、だんだん調べてみないというと、そんなけったとか踏んだとかいうことがあるはずはないと私考にますけれども、ここでそんなことは絶対になかった、報告によればございません。ございませんけれども、これは告訴も出ていることでありますから、慎重にその推移を待つ方がいい、そうであるとか、そうでないとかいうことは申し上げないで、そういうことはあるはずはないというふうにわれわれは思うというくらいに御了承いただきたいと思います。
  76. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 名古屋の災害のときの問題は、これはあなたの方のお聞きになるのと、私の聞いているのと、非常に違うわけでございますから、私は一度やはり、そういうふうな報告があるか知れませんが、念のために一度私はお調べを願いたいと思います。  それから梅花君の問題について、私が尋ねているのは、そういう負傷があった、二週間以上といろのじゃなくて、腹部の内部出血だということが明確に診断書に出ているわけです。そういう傷はどういう場合にそういうようなことになるか、私は倒れたところを踏むとか、けるとかしなければ、なかなかできないのじゃないか、あるいは警棒で突くとか、そういう相当な力が加えられなければそういうことは起こらぬじゃないか。ただ、手で突いたとか押し合ったということぐらいでは起こうぬのじゃないか、こう思いますが、どういうふうに判断されますか。
  77. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 倒れたところを踏んだりけったりしても起こるでしょう。しかしながら、そうでなくても起こり得ると私は考えます。
  78. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、ずっと先ほど吉田委員との質問のやりとりを聞いておりまして、もし国会議員でこの争議がとめられることはできないかというようなことで、少し国会議員に乱暴な言葉を使ったかもしれないとか、あるいはピケを横切らなかった、あるいはそういうようなこともあるか、しかし、警察からの報告としては、横切らなかったというそういう報告、あるいは長末隊長と一つ話し合いをしようじゃないかという格好で実は私たちが出かけたのですけれども、そのことは長末隊長に実は連絡はなかったというようなことを言われますのを聞いておりますと、警官というものは非常に手前勝手に、自分の都合のいいことは言うけれども、うそを言うものだ、自分の都合の悪いことに関しては何か口を緘してそれを否定するものだという感じが非常にしてならない。私たちもそこにおりまして、国会議員がなんだというような言葉は何べんか実は目の前で私も聞きました。私のからだにもさわりました。あなたそれはいけないよ、暴行罪になるよと言ったらやめました。つかもうとしたわけじゃないですよ。しかし、そういう態度というものは、私は非常に遺憾だというよりほかにないと思います。これは若干は水かけ論になって参りますが、こういう点は私は警官として、少なくとも宣誓までされた警官のとるべき態度ではない、こういうふうに実は思っているのです。非常に残念だと思う。あるいは多少の興奮はやむを得ないだろう、こういうようなお話かもしれません。しかし、それは私は一般の人はいいと思います。しかし、少なくとも指揮者は、少なくともその隊長というような責任者は、冷静な人でなければならぬと思う。ところが大隊長というのですか、中隊長というのですか、副隊長というのですか、そういうような人たちは、なぜああいうふうに隊長が興奮しているのだろう、力んでいるのだろうといってひやかしているというのですか、笑っているような格好をとっているというのも私は実は何人か、何人かといって、二、三人の人たちに実は聞いたわけです。こういう点などを見ると、どうも何というのですか、隊長さんの処置もおかしいと思いますし、警官全体がそういう話をしたありのままをあなたの方に報告していない。隊長のやり方というものについては少し行き過ぎであったのじゃないか、興奮し過ぎておったのじゃないかというようなことが、率直に私はあなた方に報告があってしかるべきだと思っているのですが、こういう点についてどういうふうにお考えになりますか、私は残念だというより言い方がないのです。
  79. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私どももいろいろ事案がございます場合において、できるだけ正確を期したいのであります。時によりますると、非常に国会等で緊急に質問がございまして、それまでの報告を申し上げる、その次の報告ではそれがまた変わってくるというようなことも時にあるわけでございます。それで常に、現在までの報告によればというようなことを申し上げないと、うそを言ったのじゃないかといっておしかりを欠けるようなこともあるわけでございますが、従いまして、われわれとしては正確を期したい、また、第一線からも率直に、われわれがどういう措置をとるとか何とかいうことは別といたしまして、正しい報告をしてもらうように、これは常々指導いたしているわけであります。それで、それによって決して故意に私はゆがめた報告をしているとは思っておりませんが、しかし、いろいろ先生方からお話を聞くと、また違った面も出て参りますので、さらに正確を期して参りたいというふうに考えます。
  80. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の方は、組合の方は、こういう事件が起こるからといって写真班を持っているわけではない。それから普通の人たちは、新聞社やあるいはその他の報道機関関係の諸君が写真をとる。警察の方は何かそういう方があるようです。私も実は一緒でございましたけれども、薄い鉄板がございます。阿具根君が負傷した約二、三つメートルの距離のところ、そこの上に上がっておって写真をとろうとした。そうしまと、警棒で足を払う。だから僕らもあわてて下におりまして、けしからぬではないか、こう言って抗議をしますと、非常に警官は都合のいいもので、そこの上に上がっては危ないからおりてもらったのだ、こういう言い方なんです。なぜそれをやるかというと、そういう写真をとられては不利だということになれば、そういうことをやられる。非常に私はおかしいと思うのですよ。こういうふうな点も、私は一つ現地に向かって注意として御連絡いただきたいと思う。  次に、お尋ねしたい点は、警官の武器の使用の問題ですが、あの警棒というときは、警棒をはずす場合、あるいは何かあそこに入ってきて、かかれといわれると、すぐ警棒はずして、これは持っていいものか、ここからはずすというときはどういうときなのか。それから使用する場合は、使用ということになると、これを使うことになるわけですが、これはどういうときに使っていいものかという判断ですね。たとえば、かかれといわれると、警棒はずしてみんな持っていっておったようですね。これは武器を使うためではないというふうになるのか、その辺はどういうことになるのですか。
  81. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警棒を使いますのは、警棒の使用規程というものがございまして、それにのっとってやるわけでありまするが、現場におきましては情勢を判断して、現場の指揮官がはずして使うということを命令いたします。それで横にかまえてやります場合には、やはりそれは使用でございまして、多数の中を少数の警察官が割って入って道をあけるというような場合には、そうやるわけであります。  それから、昔の使用規程では、警棒を肩より高く振り上げてはいけないというのがございましたが、これはもちろんなぐってはいけないというのは、昔も今も同じでございまするけれども、警棒の普通の使用として、しかし、これは肩より高く上がっておったか、上がらなかったかということが非常に問題になる可能性がございますから、それはたしか昭和二十九年でございますか、単に上げるとか上げるなということをいわないで、警棒で人の頭部等をなぐっちゃいけないというような書き方をしております。だから場合によっては片手でもって使うこともあるし、それから横にかまえて、それで押していくというふうなこともございます。
  82. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 警棒の使用は第七条でいろんな一つの大筋が制約を受けて、そうして使用方法に移っていくと思いますが、この警棒を、何かこう向かい合っておるようなときも、対峙して向かい合っておるようなときも警棒を抜いて下に下げていく、警棒の使用と先はどおっしゃいましたような使用になると思う。それから普通何か混乱が起きたよらなときになると、みんな警棒をはずされるわけなんですね。これは何か第七条であると、私はこういうようなときにはずしていくのは少しおかしいじゃないかと思うのですが、おかしくないですか。警棒を使用していいという場合は、第七条からいくと少し行き過ぎだと思うのですが、どうでしょうか。
  83. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 今七条とおっしゃるのは、警察官職務執行法の七条で、これは武器を用いる場合でございます。警棒は、犯人逮捕等の場合に、武器として使用する場合もございますけれども、武器としてでなしに、防御のためにも使うわけですね。それだから、そういう普通の使い方、警棒使用というのは、武器として使っておるとは考えておらないわけであります。
  84. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これを武器じゃなくて、これは何か護身用の道具というような解釈なんですか。そうすると、警棒というものは武器だ、それからそうではないという場合の、その判断と申しますか、それは、だれがどこでおやりになるのですか。
  85. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察官警棒、警じょう使用及び取扱規程というのは装備として考えております。装備としてそれを使用する。武器としてじゃなくて、ピストルや何かはこれは武器ですね。ところが警棒警縄はその警察官の手足の延長というか、手足に付随するものとして考えるわけであります。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それはあなたの方は……。今ちょっと私の方も準備不足でございますし、ちょっと私はどう見ても納得のいかない解釈だと思うのです。やはりどう見たって、こういうような場合にお使いになっておるし、いろいろな、とかく振り上げたり人を突いたりしてしまうものです。ですから、武器じゃないかもしれぬけれども、相手に害を加える一つの器具になっている。相手側から見れば武器にひとしいものになっていると思うのです。ですから装備としてこれを使っておる、こういう場合に使っておるとはちょっと考えられないのですがね。装備としてでなくて、これが武器だったら、武器ともし解釈されれば、少し行き過ぎじゃないでしょうか。
  87. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 大方の場合には武器としては使ってないと思いますが、はっきりと警棒、警じょう等の使用規程第三条でこういうふうに書いてあります。「警棒及び警じょうは、警察官等職務執行法第七条の事態に当面する場合においては、同条に規定する限度内で、武器にかわるものとしてこれを使用してさしつかえない。」ということを書いておりまする以上、原則として警棒の普通の使用というものは武器として使用しているものじゃない。武器として使用する場合は、先ほどお読みになったような、警職法七条の条件でやるということでございます。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この問題については、私は一つこの委員会でなくて、地方行政委員会等の別な機会に譲りたいと思いますが、あなたのおっしゃるような装備の問題だ、こういう解釈なら、それもいいでしょう。こういうことを長官に一つ提案をしてみたいと思うのですが、大体ストライキに警官が入るということは、大体外国の例等も見ましても、スト破りに、いわゆるスキャップに警官というものは出てくるものであって、どちらかの味方によって警官がやるということは、あまり本来の姿からいっても好ましい姿ではないと思うのですね。しかし、現状としてやはり未熟なところがありまして、警官が指導せねばならない場合もあると思うのですね。従ってそういう場合には、一つ警官はピストルとこん棒をはずすという格好、そのかわり組合の方も、それは組合旗などは持っておるかもしれませんけれども、他の何も警察官のこん棒に匹敵するようなものは持っていません。ですからそういう形で、一つ何か争議等に介入される、あるいはピケを排除する、ゴボウ抜きにしていくという場合には、そういう服装でやれないものかどうか、一つのそういう慣行を警察というものは作られるのが、私はほんとうの姿ではないか、こう思うわけですが、どうでしょうか。
  89. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 警察官が争議に介入しないということは、これは当然のことであり、大原則であります。ただ、争議に伴って不法行為が行なわれるというようなときに、警察としてその職責上これを取り締まる、あるいは生命身体の危険があるというような場合には、これは予防するというために警察は出るわけでございます。ところが、非常に多数の者についてある制止をするとか、これをかき分けて人命を救助するというような必要のある場合におきましては、ただいまお話のようなことは、これは望ましい形かとも思いまするけれども、しかし警察官も一個の人間でございます。従いまして、ある程度の装備というものを持つことにより、特に警棒等を持つことによってその目的を達することができるという場合が非常に多いわけでございます。これはなぐったり、けがさせたりというのではなくて、かき分けていく。よくくさび型隊形とも申しますが、そういうふうな形でこれを突破しなければならぬというような場合に、同じあれだと、同じぐらいの人数で、しかも力が強い強い場合に、あるいは方法が非常に巧妙である場合に、目的を達するということで、非常に警察官の使い方としてもまずいと申しますか、多数を要するという点、従って争議そのものに介入しないことは当然でありますが、違法状態というものを是正するというために警察官が活動するということであれば、その活動の正しい目的を達成するために、できるだけ効率的な方法をとるということは当然のことであって、一方がその道具を持たないから警察官も素手でいくべきであるということには、私はにわかに賛成しがたいと存じます。
  90. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何かあなたが違法々々と言われると、すぐ何か違法があったように聞こえるわけですが、そうじゃなくて、私は今の姿は、あなたは違法だから介入したとおっしゃるけれども、しかし私は、警官は諸外国等の例から見まして出過ぎておると思います。もう少し遠慮してもいいじゃないかと思う。しかし日本の慣行上、何か警官が出ないとおさまらぬというようなところは、私はお互いに未熟さがあると思うのですが、民主主義的な問題からいってですね。まあそういうことじゃなくて、私は今後衝突が第二次、第三次、もしあるとするならば、やはりホッパーの所であると思うのですよ。そうするとホッパーの所では、組合の人たちはすわり込んで人海戦術でピケを張っているということになる。これを突破するのが、執行吏のあとに続いて、あるいは執行吏のそれを、何と申しますか、職務を遂行されるのに道をあけられるのがあなたの方の役目だと思う。そういう場合に、向こうもやはり、今申しましたような組合はそういう格好でおるのですから、そういうような場合には、あなたの方も一つそういうこん棒とかピストルというものははずしておやりになるような、そういうくせと申しますか、習慣と申しますか、方針というか、そういうことをおやりになったらどうでしょうか。これは方々にそういう組合でピケを張ってスクラムを組んでおるのがたくさんあるのです。それをやるのはいつもこん棒を持って、大体人を押し分けられるならいいけれども、大体たたいたり、いろんなことになってくる。片方がやはりそれを持っておるから、片方の方が何と申しますか、竹やりを持つというようなことも、私は誘発しておると思うのです。だから警官がああいう場合に介入する場合の服装というものについて、あるいは装備というものについてお考えになることが必要であると、こう思うわけです。そういうことは全然必要ないのだと、こういうふうにお考えになるのか、その辺のところを、私非常に大切だと思うのですよ。すぐあすからそういうことを、こういうわけにはいかぬと思いますけれども、そういう方向にいくということにはあなたの方は異議がないじゃないか。少しは冒険でも、警官は素手で出てきたということになれば、私はやはり組合の方からも考えることになるだろうし、あるいは両者でそういう話し合いも衝突する場合にできると思う。ですから長官として、そういうことについてどういう見解を持っておられるのか、一つ意見として、私は大体の意見が一つお聞きしたいと思うのです。
  91. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) まず執行吏が執行をするのをすわり込んでこれを入れないように妨害するということは、これは直ちに公務執行妨害罪が成立するわけです。そういう違法な状態に対して、相撲取りが裸になって土俵で相撲を組むというような形で、これと同じ立場に警察を置いてもみ合いをさせるというようなことは、私はこれは筋じゃないのじゃなかろうと、一方は違法状態で、ある場合には威力業務妨害罪になる場合もございますし、執行吏の場合には職務執行妨害罪ということにもなる場合があるわけです。そういうような場合におきまして、警察がこれを排除する、執行吏の執行を援助するという場合に、同じようにやはり、私は何も警棒をやたらに使えというわけで言っておるじゃございませんが、一方が素手なら警察も素手になれということには、私はにわかに賛成できないということは、先ほど申し上げた通りでございます。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連して。警棒が武器でない、装備だというお話ですが、私は、警察の職務執行法なり、あるいは警棒使用規程を見ると、警棒は武器であるとは判断していないけれども、武器に準ずるものとして取り扱われているように私は法上そう思うのですが、それは違うのですか。それで一ぺん十二日の事件が起こる前に、平静な事態に宮浦で、警官が警棒を何といいますか、検問所にいるときも、それから警らに回っているときも、いつも警棒を抜いている。警棒を抜いてそしてかかれ、こういうことになりますと、やっぱり警棒がすぐ使われるということにこれはなりそうだから、それでそのときに、警棒は平生の場合には腰につけているということでいいじゃないか。警棒を抜いていつもぶらぶらしている。そうすると、ついやっぱり撃剣の何といいますか、しないのかわりに警棒を使ってやり合ったりしているのを現に見まして、警棒の使用がやっぱり乱雑になるというか、法の精神に違反した使い方が起こるだろうといって注意をしたのですけれども、そのときには、いや、これはここだけじゃなくて、大牟田全体でそういう指令が出ておりますから警棒は抜いております、こういうお話でした。それで警棒を抜いて出てきている部隊、それにかかれ、こういうことで、何をしておるかということで叱咤激励をするものだから、警棒が使われて、われわれにもその一本が飛んできましたようなわけです。中にはうしろ、後頭部のけがをした者があります。これはおそらく警棒でうしろからなぐったのだろうと、けがを見てわれわれは考えられるわけですが、あなたはそのときに不法があったと、こういうお話ですけれども成瀬君が話をしようとしたそのときには、不法状態があったというわけでありません。あるいは混乱があったわけではありません。そういうあなたが言われるような民訴法五百三十六条によって執行吏の執行をやろう、こういうわけでもない。ついでに申しますが、国会では警察庁は、これは江口局長もそうだと思うのですが、四月十九日のときには民訴法五百三十六条によって妨害排除を頼まれてやったのだ、こういうことですが、現地警察官はそうではなくて、警察の職務執行法だ、こういうお話です。で、警察官職務執行法の事態が十九日にあったかなかったかということも問題ですけれども、十一日、十二日の事態についても、その時点でこれは対峙しております。対峙はしておりますけれども、あるいは中にはさまっておるから警察官の人数をふやそう、こういう意図はあったかもしれません。あったかもしれませんけれども、かかれということで警棒を使わせるような状態になかったということは、これは私ははっきり言える、その当時の事態が。ところが、その警棒を平生抜かしておる、ぶらぶら持っておる、そして出動をさせ、かかれ、こうなると警棒が使われる。それは頭より以上げてはならぬ、たたいてはならぬということになっているけれども、すぐ使われる。これは過去においてもそうです。それから今後においてもそういうことがある。だから、警俸はそういう場合に、警官が労働争議に関連して出てくることは好ましくないけれども、もし出るとしても、それは警棒を装具し、あるいは持たないで行ったら、そういう不法使用が防げるのじゃないか、こういう意味で成瀬君が言っているのですが、今までの答弁は固執されますか。
  93. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私は何も今までの答弁を固執するわけではありませんが、先ほど来申し上げている気持は変わらないわけであります。さっき成瀬委員のお話で、ホッパーの所でスクラムを組んで、これを阻止するという場合を設例されましたので、それについて私は公務執行妨害と申し上げたので、五月十二日のことを申し上げたわけではありません。また警棒をおさめて警らするとかいうようなことにつきましては、これはそのときの状況によっておさめている、たとえば東京都内のような警らについては、ほとんどが警棒をつったまま歩いているというのがかなりあるわけであります。そういう状況によって、あるときは警棒をおさめ、あるときは警棒をはずして警らする。状況によることでありますし、こういう点は、上官と申しますか、指揮者がよくその状況を的確に判断して定めるべきものと考える次第でございます。
  94. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと成瀬君にお願いいたしますが、だいぶ時間も過ぎましたし、それから今この委員会の審議中の法案への関連質問でございますから、できるだけ要点だけで一つお願いいたします。
  95. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 わかりました。  私は、ポツパーで起きると想定をして、そうしてあのものはどういう格好で両者が衝突するというところまで、大体長官も、御想像になれば私はわかると思うのですよ。とすれば、むしろあの際は、警棒等ははずしておやりになるのがむしろ流血の惨を免れた。同じ日本人同士ですよ、ですからそういう適宜の措置をとられる。私は警棒で一番悲惨なのは、早稲田事件のときに、早稲田の学生がすわっているのを、こん棒でたたいてやっておられたのを承知しているのです。大体警官としてはそういうことをお慎しみになる方がむしろ民衆の警察官じゃないか、こういうことで申し上げているわけです。ですから、ここでどうこうということは別として、私はそういう方向でぜひ一つやっていただくことを心から一つ希望しておきます。  次に、もう一つだけお許し願いたいと思いますが、あの執達吏が作業にかかります。そうして途中で日没になったといたします。両者がもみ合っているうちに日没になったといたします。そうすると、それでいろいろな衝突をやっている、たとえば四時ごろから始まって、えっさおっさやっているうちに七時ごろになっちゃった、日没になったといたしますと、そのことは中止されるのか、夜間に入ってもそれは継続されるのか、その点土地収用法の何条だったかよくわかりませんが、十二条か何かにあるわけですね。あなたの方も執達吏の方の執行には条文がないようです、探してみて。あるいは私が勉強不足で、ほかにあるのかもしれませんが、大体そういうことになると思うのです。これはどういうふうにされるのか、その点を一つ承っておきたい。
  96. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 非常に法律的な御質問で、私も法律のことは詳しくございませんが、何か夜間の執行ということについては、その夜間の執行の許可がなければならぬことになっておるそうでございまして、もしそういうものがなければ、中止すべきものであるということのようでございます。
  97. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これも一つ現地に立って、私は一つ十分注意していただきたいと思います。やむにやまれぬときはあるわけでありますけれども、とかく夜間の場合には、私は思わない大きな、大ぜいの人たちがけがをする場合があると思うのですが、そういう点についても一つ十分、お互い日本人同士がつまらないことで血を流し、そうしてその場合に負傷し、命を失うようなことがあったら非常に不幸なことだと思いますので、そういう点については、一つ格段の配慮をしていただかなければならないと思うのです。そういう点は、十分に現地に今のようなことを御連絡方お願いをしておきます。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前の社労委員会でしたけれども長官がおいで願えないで、江口局長から答弁があった。それは四月十九日の三川の通用門で、警官が十数人のピケを排除して、そうして就労した、その事件を取り上げられたときに、警察庁としては、民訴法三百五十六条で、執行吏の要請によってやったのだ、こういう説明でしたが、福岡は終始そうではない、起案官職務執行法だ、こういうことです。重大な食い違いが生じました。もう一ぺんその点だけお尋ねしておきたいと思う。  それからもう一つ、ついでですから長官のおられるときに、これは長官から承りたい。それから現地の県の警察本部長は、三池のピケは暴力的あるいは革命的でさえある、こういう考え方をとっておられますが、その結果は四月十九日の事態はそうですけれども、ピケの権利を全く認めないという事態になった。四月十九日の事態については、違法な執行があったと、裁判所はそのときの執行に対する異議の申し立てに対して、決定をしておるのですが、四月十九日の事態について、警察実力行使についても違法、不当があったとお考えになっていないのかどうか。それからピケを暴力的あるいは革命的だと考えて、ピケ全体を無視し、それがいつでもとにかくかかれる、あるいはいつでも警察官職務執行法が執行できるのだ、こういうような判断に立っておられるがごとくです。そのことが十二日の事態の、警察官の出動、実力行使の私は結果にもなったと思う。そのときには私はなかったと思うけれども、その底の中に、三池のピケは全部違法なんだ、こういう考え方があるようですから、その点について警察庁のあれを願っておきたい。  それから先ほど来紛争が起こることは望まない。あるいは会社側に立ってピケを排除する云々ということ、今の事態が好ましいことではない、早くそういう事態がなくなることを望む。あるいは警官の多数の出動の必要は私どもはないと思うけれども、必要があると考えられておるのか。さらに増員が計画されているようですけれども、その底には、三池事態全般について、根本原因から、この首切りを何とか阻止したい、あるいは撤回したいという、私は自衛自救の行為から出発しておるのですけれども、それに対して全面的に警察がピケ排除あるいは警察官職務執行、あるいはこれを私たちは弾圧というわけですが、弾圧といわれるような動きになってきている私は根本原因だと思うのですけれども長官として、どういう工合に考えているか、過去のことについて反省はしないのか。先ほど、今の事態は好ましいことではない、早く警官がもとの部署に帰ることが望ましいと言われましたが、根本精神について、私ども納得のいかない点がありますから、一つ長官から御答弁をお願いしたい。
  99. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 四月十八日、二十日に、警察官を動員して新労が就労した、あのときの警察官の出方ということでありますが、私もそのとき居合わせませんで、局長がどういうふうに申したかは、はっりきと存じませんが、執行吏からの応援要請があったことは事実でございます。この要請に基づいて出たということも、これは事実でございます。しかし、たとえば十八日の事案を申し上げますと、執行吏の要請に応じて新労のあとについて直接これを、もし抵抗があった場合に、その抵抗を排除するような要員としてついていったのは、たしか一個中隊くらいであったと思います。全体としては千五百名ほどの者を出しておるわけでございますが……。これの実際の活動というものは、私は警職法五条によって行なったというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは三月二十八日にああ、いう不祥な事案が起こりましたあとでございますので、もし両者が——旧労と新労が多数衝突するということになれば、どんな事態になるかということを考えて、これを未然に防ぐことが必要であるという意味において、生命、身体の保護のために、正門前におるピケ隊員が通用門の方に回ってぶつかり合うことを防ぐ、また、花火を上げて集まってくる者を防ぐということをいたしたわけでございます。ピケについてはそういうふうな考えでございます。  また、裁判所で、執行吏の執行が不当であるという趣旨の決定がなされましたが、警察官のとった行動が不当だということは言われていないわけでございます。個々につきましてわれわれも十分に調査をして、反省すべき材料があれば十分自戒するにやぶさかでございませんが、あの当時、三月の事件のあとにおきまするあの十八日、二十日にとった警察官の行動は、全体的に見れば、これは妥当なものであったというふうに私は今でも確信いたしております。  それから、現地にさらに増員をする計画であるかどうかということにつきましては、これは現地で判断する問題でございますので、私から軽々に増員するとか減員するとかいうことは申し上げられませんが、現在のところ、さらに大増員をするという計画はないように私は承知いたしております。  それから、とにかく事の起こりが首切りであり、その自衛的手段として旧労の行動が行なわれておるんだということにつきましては、私も大筋としてはそうであろうと思います。私も、こうした今の事態になるまでの深い、深刻な因縁というものがあって、これはなかなかむずかしい問題はをらんでおるということは重々承知をいたしておるわけでございますが、従って、この争議について、警察としてどうこうという気持は毛頭持っておらぬわけでございまするけれども、やはり争議行為でございますので、労働争議のルールにのっとった適法な争議というものが展開されるべきものであろうと思います。これは、会社側についても、新労側についても、旧労側についても、すべて言い得ることだと思いまするが、その間に時にやはり不法、越軌な行動が行なわれ、また、治安が十分に確保されないという事態がありますれば、警察としては当然その職責上、ある程度警察官を動員してこの治安の維持に当たるべきことは当然であろうと思いまするので、今直ちに非常に変わった形の態勢をとり得る状況にはないと存じます。これらも現地的に十分判断してもらい、また、われわれもいろいろ事情を聞いて指導をして参りたいと思いまするが、現状はそういうふうにわれわれとしては判断しております。
  100. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ要望が大部分ですが、これは私は何べんも言いましたが、数年前、まだ三、四年前だと思いますが、福岡の田川郡の古河大峰炭鉱争議を起こした。そのときに、これは就労をしようとしてキャップ・ランプを労働組合がまあ取ろうとするという判断であったろうかと思いますが、安全灯を会社側で守ろうとした、それを警察が安全灯室に入って、会社側で安全灯を守りたいというのに、警察が守ろうという態勢になったことがあります。そのときに、中立であるべき警察が、会社側の建物なり、会社側が守ろうという安全灯を警察が守るということは、これは警察態度としては中立的じゃないじゃないかという指摘をいたしましたら、そのときすぐ出られました。その三、四年前までは、警察は申立であろうという少なくとも大方針があったと私そのとき感じました。ところがそういう中立性個々の具体的な事実でもって守りたいという配慮がだんだんなくなってきておる、少なくとも今度の場合には。これは会社施設を使う云々という点にはっきり現われております。中立的でありたい、あるいは会社施設を使うことは好ましくないと言われながらも、先ほど江口局長は、研究をしておる、別のあれを使うことを考えておるということですけれども現地の本部長なり何なりは全然そんなことは考えておられません、少なくとも二、三日前までは。それから、ピケの中に入るかどうかということと関連をしてですが、あのピケの限界について政府の見解が出ます、束証だとか、あるいは山梨信託銀行でしたかの争議の際等には、まだピケを破るという活動を警官自身がやるというようなことはなかった。少なくともまあ暴行傷害というか、あるいは不法がなければ見ておる、警戒をしながら見ておる、こういう態度でしたが、このごろはすっかり変わってしまって、ピケ全体を不法視して、これをいつでもとにかく排除をする、こういう態度に変わっておるようです。それから警棒の使用なり、あるいは国民に危害を与えるという事実は、十八日だとか、あるいは五月の十二日だけでなくて、これは社宅の警備に当たっておると言われますが、社宅の警備に当たっておる警官が、ぱたんと戸を締める音に驚いて、それで暴行をやったということで検挙をしたり、それから、あるいはこれは逮捕に向かった際のことですけれども、中に入っておって制止をしておった、熊本のこれは県会議員、酒井君というのですが、これは長崎の警察隊ですが、引き倒して踏んだりけったり、これは陰の方に持っていって、夜ですけれども、やはり人の見えぬ所に持っていって踏んだりけったりしておる。そういう事実が重なるものですから、やはり感情を刺激して、自然発生的云々ということですが、だんだん警察官が国民を守ってくれるというよりも、国民に危害を与える、あるいは自分の首を守ろうとする最小限度の動きに対しても警察官がこれを敵視してやってくる。こういう印象がだんだん強まってきたということは御理解をいただきたいと思います。そうして、その間におけるときどきの警察の行き過ぎ、あるいは私は不法が入っておると思うのですが、それについて皆さんも全然反省がない。砂川事件のときに警棒をふるって千名以上のけが人を出したことについては世論の批判を浴びられたが、あのとき行き過ぎがあったらという反省もありましたが、警官の警棒の使用、その他国民に対してけがを与えることについてほとんど反省がない。今質問をしておっても、あるいは現地指摘をしても、そして間違っても、とにかく警察官の職務執行に対して多少の抵抗があるならば、それを公務執行妨害、こういうことで実力行使をしよう。その際には多少の犠牲が出てもかまわぬ、どんな犠牲が出てもかまわぬ、こういう印象、そういう考え方だと私ども考えられるわけです。今後の事態が心配をされ問題になるわけです。あなたが言われるように、不法がないように、あるいは国民と警察とがとにかく対立をしないように、私も苦心をしております、実際の話。しかし一つ一つの不法について、あるいは行き過ぎについて反省がなければ、ますますこれは対立が激化するだけだ。初めは長崎の警官隊は顔を全然知らぬ、それだから旅の恥はかき捨てだろうという気持もあったのじゃないかという議でした。あるいは福岡等で知り合いになっている人は、あるいは警察の駐在におるという者はそうでもないということでしたけれども、そういう声もだんだん小さくなるように行き過ぎが重なってくる。あるいは警察官の警棒の使い方、暴行凌虐という事案すらも頻発するようになって、五月十二日の事件が起こった。しかも拡大を防止したいと一生懸命になっているわれわれに対してさえ警棒が使われる。こういう事態が起こって、私どもはきわめて事態を重視しておるわけです。ですから、警官のやったことは何でも正しいのだ、一方的な報告だけ聞いて、不利な点は隠しておる。報告されておられぬようですけれども、そういう一方的な報告に基づいて弁護されるならば、これは今後の大牟田における事態あるいは福岡における事態九州における事態は大へん心配をされるのです。そして国民と警官との対立がだんだん激化して、いかなる事態が生ずるかもわからぬというようにだんだんなって参ると思いますので、非は非、是は是ということで、警察庁長官は、悪かったものについてはこれは直す、あるいは責任者をやはり処罰をする、こういうことでなければ、私は不幸な事態を防ぐわけに参らぬと思います。警察行政全部をあずかっておられる長官としては、民主警察実態を守るために、これはきわめて厳格でなければならぬと思うし、それから峻厳でなければならぬと思います。強く注意を促し、要望をいたして、質問を終わりたいと思います。
  101. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 四、五年前までは中立性を少なくとも考慮しておったが、最近はそういうことがないようだという仰せでございますが、そういうことは全くございません。われわれとしては、あくまでも争議等について厳正中立の態度を堅持して参りたいと考えておるわけでございます。  また、ただいまお話しの反省がないということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、われわれは反省すべきものについては十分に反省、自戒、自粛して参りたい。しかしながら、さっきお述べになりましたように、自衛の手段であるからといって不法を犯した。しかしこれを警察として取り締まると、検挙するというようなことに対して、これが刺激をするんだというようなことに相なりますると、警察警察として反省、自戒いたさなければなりません。そういう問題もあろうかと思いますが、今度一方、警察のやることは非常に一方的だ、警察のやることは悪くて、組合のやることはすベていいんだというような印象づけを素朴な組合員たちに持たせないように、私は労働運動の指導者としては十分にこれは考えていただきたいということを、私先ほども申し上げたのでございまして、私どもも十分に反省、自戒すべき点はそういたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  102. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十六分散会