運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-17 第34回国会 参議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)    午後二時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            上原 正吉君            小林 英三君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            近藤 信一君            椿  繁夫君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工    業局長心得   佐橋  滋君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○経済の自立と発展に関する調査(自  転車競技法改正に関する件) ○石鉱業合理化臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を聞会いたします。  理事会で協議いたしました審議予定について御報告申します。明日及び明後日は石炭鉱業合理化臨時借地法の一部を改正する法律案について審議を行ないます。右御了承をお願いいたします。本日は輸出入取引法の一部を改正する法律案について提案理由説明を聴取し、次いで栗山委員より競輪問題について緊急質問申し出がございますので、これを行なった後、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案審議を行ないます。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) まず、輸出入取引法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  現行輸出入取引法は、昭和二十七年九月輸出取引決として施行され、その後昭和二十八年八月輸出入取引法改正され、さらにその後二回の改正を経て今日に至っております。その間輸出入取引法は、輸出入取引における秩序確立についての基本法として、多大の役割を果して参ったのであります。  しかしながら最近における世界貿易情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部の商品の無秩序な進出が問題とされ、差別的な対日輸入制限はいまだ撤廃されておりません。従って輸出取引秩序確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国貿易自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入過当競争の激化が予想され、その対策を整備する必要に迫られますとともに、後進諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。  これらの諸状勢に即応いたしまして、この改正案提案した次第であります。  次に改正主要点につきまして御説明いたします。  第一は、輸出貨物国内取引に関する生産業者または販売業者に対する政府規制規定新設であります。  現行輸出入取引法におきましては輸出業者協定の場合とは異なりまして、生産業者または販売業者輸出貨物国内取引に関する協定につきましてはアウトサイダー規制を行なう規定を欠いておりますが、過当競争の原因が国内生産または販売の分野に存する場合には、必要に応じ生産業者または販売業者協定につきましてもアウトサイダー規制を行なうことができるように改正し、輸出過当競争防止につき万全を期せんとするものであります。  第二は、輸入貨物国内取引における購入に関する事項についての需要者または販売業者協定規出定新設であります。  現行輸出入取引法におきましては、輸入取引における過当競争による高値買等弊害を除去するために、輸入業者段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。わが国輸入取引におきましては、国内需要者または販売業者輸入取引内容を実質的に左右している場合が多く見られる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によって過当競争等による弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいてではありますが、需要者または販売業者輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する規定を設けました。  第三は、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者協定規定新設であります。  従来後進国との貿易においては外貨資金割当制度によってある程度割高な物資買付を行なって、わが国商品輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易自由化の進展に伴い政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いにより後進国との貿易維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者協定に関する規定を設けることといたしました。  第四は、貿易連合制度の創設であります。  貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引秩序確立という観点からも、また、特に中小商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の目的を達成することが困難と考えられますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名の下に新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要規定を設けることといたしました。  右のほか、今回の改正案におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合輸入組合等事業内容を明確にし、非出資組合非課税法人にすること等若干の改正を行なうこととしております。  以上の改正によりまして、関係業界協力と相待って、貿易秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。   —————————————
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、栗山申し出緊急質問議題といたします。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 国会会期もだいぶ追って参りましたので、この際、第一点といたしましては、通商産業省が今まで国会提案を予告せられておりました法案、すでに可決になったものもございますし、目下審議中のものもございます。あるいはまた未提出のものもあるわけであります。そのうちで特に今まで予定を、当委員会にお知らせ願った以外のもので、国会提出予定されておる法案はどういうものがございますか。これをまず伺っておきたいと思います。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予定のものは大体提案いたしたと思いまするが、電気工事士に関する法案は数日中に出したいと思っております。消防関係電気工事上に対しての資格試験制度、これが次の閣議くらいで決定になると思っております。なお、自転車競技法の一部を改正する法律案小型自動車競技法の一部を改正する法律案、これは閣議決定いたしまして、閣議決定はだいぶ以前にいたしました。私は提案したと思っておりますが、これにはまだ提案になっていないようでございます。この問題は御承知かと思いまするが、自転車競技法あるいは小型自動車競争法、ボートの競技法等一括いたしまして、こういう関係についての根本的な検討をする調査会を設ける案というものを党できめまして、これを内閣から提案するよう党から話があったのでございますが、内閣から提案するかあるいは議員提出とするか、今せっかく折衝しておる状況でございます。いずれこの案につきましても、この自転車競技法等一緒に出すようにいたしたいと考えております。
  8. 栗山良夫

    栗山良夫君 新聞等の報道によりますと、電源開発促進法自民党議員提案として提出をするというようなことが書かれておりますが、このことにつきましては、通商産業省と連絡のもとにやられておりますか、あるいは自民党関係議員の自主的な判断においてやられておりますか、その点はどういうことになっておりますか。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 海外発電につきまして、電源開発会社コンサルタント仕事ができるよう改正するという点につきまして、ただいま検討を加えております。そういう場合におきましては、今の原子力発電電源開発会社ができるかできないかという問題もございましたので、ただいまの電源開発会社は火力、水力の発電でございますが、原子力発電もできるように、そうしてまた海外におきまして、特に必要がある場合には、通産大臣の認可を得てコンサルタント仕事もできるということに改正をするよう、今検討しておるわけであります。
  10. 栗山良夫

    栗山良夫君 その検討通産省でおやりになっておるのですか、自民党ですか、あるいは両者協調しておやりになっておるのですか。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 党と相談の上やっていると思います。
  12. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはまたいずれ私の方で一応調査と申しますか、研究をいたしまして、もう会期もあまりないことでありますから、もしこういう法案が出ました場合に、非常に重要な性格を持っておりますので、あるいは十分審議ができないということも考えられますから、あるいは近い機会に調査権の範囲内において伺うことがあるかもしれません。この点はあらかじめ申し上げておきます。  それから今お触れになりました自転車競技法の問題については、三十三国会においても、当委員会では特に熱心な発言があったわけでありまして、その発言については、政府も若干答えられる必要性がある部分があったと思いますが、そういうものについては、今日まで積極的に政府側からの意見の開陳というものがないままに推移しておるわけでありますので、その間の事情を、これは政府委員でけっこうでございますから、こまかく時間を追うて御説明を願いたいと思うのです。特にこれは私の発言でありますが、昨年の十一月二十六日の当委員会におきましては、競輪審議議会なるものの性格相当論議をせられて、そうして政府競輪審議会にいろいろ諮問をして、答申を待っているというようなお話しでありますが、その競輪審議会なるものは競輪運営諮問機関であって、存廃問題を取り上げる機関ではない、こういうことが明確にされ、そうしてしかも、さようなわけでありますから、将来存廃問題については、あるいはそういう別の独立した審議会を設ける、あるいは現行法の中においても、省令の改正等でやり得るものがないのか、そういう点を大いに研究してみたい、こういうこともありました。そこで私は競輪審議会のいろいろ審議された速記録全文提出をせられたいという要請をしておりましたが、この速記録全文はまだ当委員会には提出にはなっておりません。そういうものが一体どういうようなことになっておるのか。この点経過一つつぶさにお聞かせ願いたいと思います。
  13. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 栗山委員のお尋ねですが、この前、私ども局長が一応答弁したと思います。競輪審議会は、御承知のように存廃を論議するところでない。そのために党の方と話し合いまして、内閣公営競技調査会を設けるということで一応事務的には話し合いがととのっておりまして、先ほど大臣も答弁されましたように、いつ出すか、あるいは政府提案になるか、あるいは議員立法になるかという点で、まだ、少し結末がついておりませんので、その点はそういうふうに御承知願いたいと思います。  それから運営委員会についての議事録の問題でありますが、一部事務局の方からお渡ししたと思いますが、まだお手元に届いておりませんようでしたら、早速お届けします。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 この前われわれがいただいた速記録というものは——現在の競輪審議会が、存否について、いわゆる多数意見少数意見というような表現で新聞に報道された最後の結論を出された委員会速記録のことを言っているわけです。前に、途中できわめて概略的なものを頂戴したことは私ども承知しております。それからあと審議会が一番重要な作業をなさった本任に当たるものつがまだ提出になっていないのです、この点については。
  15. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) さっそく提出いたします。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこで、最近は地方自治体でもだいぶ競輪を廃止されて予算を組むことすら差し控えられたところがたくさんございますが、半面、結論が出ないままに通産省省予算には、競輪自転車競技法から上がる資金の運用の問題も可決になっておりますしするわけでありますが、今度の自転車競技法に対する調査会法案とか、あるいはこれに付随する自転車競技法そのもの改正、この改正案時限立法ということでありますが、そういうものは審議会答申に基づいて提出をせられるものですか。審議会答申とは全然無関係に、経過措として提出されるものですか。その点を明確にしておいていただきたい。
  17. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 自転車競技法の一部改正法案につきましては、一応審議会とは別個といいますか、御承知のように法律の中の振興資金関係だけが本年の九月に一応切れることになっておりますので、審議会答申が出るまでの同、暫定的にこの部分だけ一年間の延長をしたいというのを別個にお出しするつもりでおります。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、過日自転車競技に対する、審議会が一応出したといわれている答申結論ですね、これには今度の提出される関係法というものは何ら拘束されていない。それとは全然無関係作業が進められて、国会提出の準備中である、そういうふうに明確に理解してよろしゅうございますか。
  19. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 運営委員会での結論とは関係なく、今度提出されるであろうと思います調査会結論を待って提出する、こういうことを考えております。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 今おっしゃった運営委員会というのは何ですか。
  21. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 競輪審議会であります。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではこの問題については、いずれ法案が近く提出されるということでありますから、提出されてから内容の問題については、こまかくお尋ねすることにいたしまして、きょうはこの程度にしておきます。   —————————————
  23. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、石炭耕鉱鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 石炭鉱業合理化法について、過日資料提出を求めておきましたが、きょうそのうち二点について資料提出がありまして、今拝見をしているところであります。そこで、そのうち最も重要な石炭鉱業設備——これは近代化資金でしょうね——資金長期計画というのがございますが、大手十八社、これの内容について御説明を願いたいと思います。
  25. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) この前大ざっぱな数字につきましては大臣から申し上げたのでございますが、一応三十四年から三十八年まで約千四百億と申し上げておりましたものは、ここにございますように千三百九十九億ということで一応計算いたしております。これを内訳にいたしますと増資が十九億、社債が二十七億、それから減価償却七百五億、それから、その他内部留保金が五億、それから財政資金借り入れが三百六十五億、それから市中銀行借り入れ、これが二百七十八億、大体こういうことになっておるわけでございますが、そのうちの増資につきましては、大体三十四年度の実績松島杵島増資をいたしております。それから社債北炭住友と明治が発行しており、それぞれの増資し、あるいは発行いたしました社債のうちの設備投資に向けられた金額をここに計上したわけでございます。それから一番大きいのが減価償却でございますが、減価償却は、これは約全体の半分を占めるわけでございます。この減価償却がうまくいくかどうかということが、今後の設備投資が確保されるかということに大いに関係があるわけでございますが、三十四年度も非常な不況でございましたが、これは計画——ここに書いてございますのは、これは計画でございますが、実績といたしまして、百三十九億の減価償却をしたはずでございます。従いまして、それから三十二年度は百六十億ばかりの償却をいたしてございます。そういう点から、われわれといたしましては、大体この七百億の減価償却というものは、これは十分に達成できるというふうに考えております。それから財政資金、これは開発銀行の金というものと今御審議いただいております特別貸付金の金というもの、この両方を入れてございますが、われわれといたしましては、現在の段階におきましては、この前大臣からも申し上げましたたように、一応三十八年までに、できれば百五十億程度の金を特別貸付金ということでいきたいというふうに考えております。で、そのうち、この前大臣が百五十億と、こう申されましたのは中小関係機械化というようなものも含めての数字でございまして、大体この三百六十五億のうちに約百二十億程度近代化資金というものを予定いたしております。残りの二百四十億ばかりが開発銀行ということになっております。それから市中銀行からの借り入れ、これは興銀並びに長期信用銀行、この二行からの借り入れでございまして、大体従来からの借り入れ実績等から見まして、今後石炭の再延方策というものについてのめどが立つということになりますれば、大体この程度資金は確保し得るのではないか、こう考えております。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 この三十四年度は実績でございますか、今御説明いただいたのは。
  27. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 実は三十四年度はこれは計画でございます。計画でございまして、実際には三井に対します開銀の融資といったようなものが、三井が御承知のような労使間に紛争がございまして、はっきりした態度をとらないということのために、三井とそれから杵島、この二つに対しましての金が開発銀行から出ておらないということのために、実はそれ以外のところは順調にいったわけでございますが、実績といたしましては大体これが約二十億へっこんだ格好で、三井杵島だけがへっこんで実績として出ております。しかしわれわれといたしましては、杵島の争議は大体一応解決いたしましたし、三井の方もいずれ労使間の話し合いがつくということになりますれば、できるだけこのおくれを三十五年度以降において取り戻して、三十八年度までには予定通りの千四百億程度資金を確保するように持っていきたいというふうに考えております。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 石炭の今総資本金は、この十九億に見合いのとれる総資本金はどのくらいになっております、資本金の合計になっているわけですか。
  29. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 石炭鉱業のですか。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 ええ。
  31. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) はなはだ申しわけありませんが、今すぐそれを調べて、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 この表を見ますと、十九億というのだから、おそらく石炭資本の総額は数百億円に上るでしょう。そうすると、増資の額というものは微々たるものですね。いかに石炭企業が今増資をすることに困難な状態にあるかということは、この表で出ているわけです。そこで三十四年度の六億の増資というのは、杵島だけですか。
  33. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 杵島が、億六千九百万円、それから松島が六億八千万円、合計いたしますと八億四千九百万円、約八億五千万の増資がなされたわけでございますが、このうち六億が新しい新規投資に向けられ、それ以外のものは借りかえの返済その他に当てられるということでございます。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、二十六年、三十七年、三十八年に予定されている四、四、五というのは、主として会社はどうですか。
  35. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) これは大体まだどこということは必ずしもはっきりしておらないのでございますが、一応石炭協会十八社といたしまして、三十五年度以降三十八年までの間に、大体毎年この程度増資ということはどこかでやるはずだということであります。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 その最近の何ですね、設備近代化で各社が競って増資している、それから見まするというと、一年に四億程度のことは大体これは問題になりません。しかもこの四億が何社かこれが入るなんということになれば、なおさら問題にならないのですよ。だからそういう状態にしておいて、石炭企業再建がまず可能かどうかという問題が、一つ私はここにあると思うのですがね。
  37. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 御承知のように、最近、これは前に差し上げました資料にもございましたが、大手十八社の中でも大体半数程度会社というものは、これは相当な赤字を計上いたしております。それでまた今後競争燃料に対するために価格引き下げをやるということになりますれば、当分の間はかなり経理的には苦しい時代が続くのじゃないかと、こう思っております。もちろん今の石炭会社経営内容というものは、決してこれは満足すべきものではございませんが、われわれといたしましては、一応三十八年度までに競争体制確立するということにいたしまして、その同はまだ増資をし、あるいは社債を募集するということにつきましても、必ずしも一般の御協力ということを確保しがたい点もございますし、この間につきましては、政府財政資金等でできるだけてこ入れすることによって、三十八年の十一月にボイラー法がなくなるといったようなころからは一応一本立ちして、できるだけ資本充実にも努めて増資をふやしていくといったような格好に持っていきたい、こう思っております。今の段階におきましては、はなはだ残念ながら、まだ増資所要設備資金を十二分にまかなうということは、ちょっとむずかしいわけでごさがざいます。  それからもう一つこれは増資の絶対額ではございませんで、先ほど申し上げましたように、三十四年度につきましても八億五千万円の増資をやって、そのうち設備の新しい投資に向けられたのは六億ということでございますので、どんどんと借りかえその他ございます関係から、増資額としてはあるいは七、八億の増資をして、そのうちの半分だけがこちらに回るといったようなことに、最終の資金繰りを大体協会として大ざっぱに予定しているわけでございます。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 大臣にちょっと伺いますが、こういう情勢他人資本をどんどん入れていくと、資本構成が非常に悪くなってしまいやしないか。現在資本構成比率は、石灰鉱業全体としてどのくらいになっておりますか。その根本を改善しないで、どんどん借入金をふやしていくということになると、そういう経理面の方からの再建ということが果して可能でしょうか。
  39. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) わが国会社の全体が、お話し通り資本構成外国のそれに比べましてまた戦前の状態から比較いたしまして、よほど悪いと申しますか、変わってきておるわけでございます。石炭鉱業は御承知のような状態でございまして、他の会社と同様に相当資本構成借入金が多くて、状態はよくないと考えております。しかし何分にも増資をすると申しましても、大手十八社のうちで払込金上の分は半分もございません。ごく少ない。あと払い込みを割っておるようなわけであります。ことに三井、三菱、住友、そうでございます。古河などのように銅とか、ほかの部分をやっておるところは払い込みをわずかにこしておる。太平洋炭礦、とか、常磐、日本炭礦、これは特殊のものでございます。今ここで資本構成が悪いからといって、増資をしようといったって、実際問題としてできないことであるのであります。しからば、うんと減資して、そうして増資するという手もございますけれども、私はそういう非常手段をとらずに、今しばらく合理化をやりながら、今社の内容をよくしていくということが、番いい策ではないかと考えております。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、この計画では三十八年度末に一応千二百円炭価を下げるということを目標にしての設備近代化所要資金というものがあげられているわけですが、千二百円下げるということが目標にされておりますけれども、今大臣が御答弁になったように、石炭企業資本主義的な再建というものは、採算的にベースに乗せるということでなければならぬとすれば、八分なり一割の配当ができて、そうして増資がみずからの力でできるようになる場合でなければいかんですね、それは何年度ぐらいを目標にしておられますか。
  41. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 一応われわれは三十九年度からは大部分会社というものが大体ある程度の配当ということができるというところまで経理を回復したい。これは現在の赤字を克服して、さらに千二百円下げるということで初めて競争できるわけでございますので、そういう際には、一応大体七、八分程度の配当ということが可能になるという一応の計算、で、三十八年度までにこの計画を進めるということにいたしております。
  42. 栗山良夫

    栗山良夫君 僕は再建のかぎを握っているのは、資金計画が果して確実性があるかどうかということが一つ、それからもう一つは、そういう資金計画が確実性を持ち得るという前提条件は、油との対抗価格の問題だろうと思うので、この二つがきちんとしないというと、これは卵と鶏の関係になるかもしれませんが、石炭企業は安定しない、そういうふうに信じているんですがね。それで今大臣がちょっとおられませんから先に進みます。  仕切り価格の見通しについて申し上げますが、これは産業合理化審議会のエネルギー部会で作った仕切り価格の見通しだ、こういうことでありますが、これは三十四年の七月だから、だいぶ古いですね、ですからその後ずいぶん液体燃料の関係はガスとの関係もあって動いているんですが、最近の事情はどういうことになっておりますか。
  43. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) これはこの前に薄い冊子になりました資料をお手元に差し上げてあると思うのでございますが、それの第六表、ページでいいますと、第七ページに、ことしの三月までの、三十四年度の第四四半期までのB、C重油の平均カロリーとそれから石炭の値段といったものが七ページにございます。で、これをごらんいただきさますと、上にB、C重油の平均がずっ載っておるわけでさございますが、これをごらんいただきましても、ずっと三十三年度の第三四半期から、ここには三十五年度の第一四半期は載ってございませんが、ごく最近までは油はB、C平均いたしまして九十七銭ということで、不変の数字を保っております。
  44. 栗山良夫

    栗山良夫君 これを見ますると、カロリー当たりの単価は一応三十四年の第一四半期あたりでこれを見ますというと、重油の方で九十銭、それから石炭の方ですと、やはり場所によりますけれども、阪神で八十五銭、京浜で九十三銭ですか、そのくらいになっておりますね、ところがそれからあとの見通しですね、その見通しの表がこの七ページ以外にどこかありますか。
  45. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) まだ三十五年度の石油の実際の価格は、第四四半期も現在も動いてございません。日銀の調べによりますと、三十五年度の第一四半期と申しますか、今第一四半期でございますが、ごく最近まで、大体三十四年度の横ばいという格好になっております。  一方炭価の方は、三十五年度の炭価をどうするかということを、これから石炭業界と利用業界との間で交渉を始めるというところでございますので、まだどうなるかということがはっきりしておらないわけでございますが、まあ大体二百円程度引かれるということになれば、三銭五厘ぐらいの引き下げということになりますので、大体三十五年度は京浜でカロリー当たり九十銭を割るといったところにいくんではないかと考えております。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 今までの炭価の推移によって大体横ばい状態であるから、将来三年間もこれでいけるんだと、そういう見通しのもとに計画をなさっておるようでありますが、一般の物価ならば、私はそういうことで大体いいだろうと思うのですが、液体燃料、特に重油というような一種の石油カルテル、石油の国際的なカルテル価格で維持されておる貨物というものは、そういう一般貨物と同じような見通しに立っていて、果してそれで十分であるかどうかということに非常に疑問を私は持っているのです。その点が、この間うちから繰り返し通産省の専門家としての分析と見通しをお聞かせ願いたいということを申し上げておることの中心なのですね。どうもただ今まで横ばいできたから、これから三年ぐらいは横ばいでいきそうですという説明でよろしいとすれば、それまでの話ですけれども、どうも石油なり重油というものは、そういう工合に、しかく簡単には見通しのつかないものじゃないか。  で、非治に御説明がしにくければ、こういう条件が出てきたときには、重油はどう下がりますよとか、あるいはこういう点が出正てきたときには、重油は上がりますよとか、そういう一つの見通しが立てられてしかるべきではないか、ある仮定を入れて、そういう状態で出てくれば、初めて重油の三年後の年度末における価格のアッパー・リミット、ロウアー・リミットがわかりますから、それにつついて千二百円下げてくれ、石炭の努力の最大極限ですね、千二百円下げるという——それと対抗し得ないようなときにはどうするかという政策的な措置が考えられる。それをそういうふうに分析をしないで、ただ千二百円に対抗し得るような工合に三年後にはなる、しかも油の方は動かないんだという、非常に簡単な割り切り方というか、見通しだと、間違いを起こすんじゃないか、そういう心配を私はしているわけです。
  47. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) これは、決して今までのままで横ばいということではございませんで、ただいま差し上げました資料にもございますように、一応の現在の値段は、これはB重油が一万三百円、C重油が九千百六十七円、平均いたしまして九千七百円ばかり、東京でいたしているわけでございます。それが四十二年度で、一応昨年の夏、各方面の権威者が検討されました産業合理化審議会のエネルギー部会におきましては、ここにございますような九千四百円と八千四百円、大体一割程度下るであろうということを出したわけでございます。  大体、われわれといたしましては、四十二年度という非常に長いものをエネルギー部会では見通しを、こういうふうに出したわけでありますが、今栗山委員のご指摘のように、どうも石油の値下りというものの傾向は、今までの見通しよりもかなりの急テンポでくるのではなかろうかということで、四十二年度というものを繰り上げまして三十八年度に、大体四十二年度に想定されておった価格水準まで石油が下がるということになりましても、大体競争できるようにということで、この四十二年度の数字、これを繰り上げて三十八年度に持ってきて、そのときに、大体小なくとも今から一割近く石油が下がるとみるのが至当じゃないかということで、ほかにいろいろ経済企画庁あたりでも検討を進めておりますが、結論に達しておりませんので、一応政府関係審議会といたしましては、エネルギー部会の見通しというものがあったのを四年ばかり繰り上げて借用してきた、これを目標に合理化をしていきたいということでございます。
  48. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、千二百円の石炭単価の引き下げに見合うものは、重油の方も三十八年度に九千四百円、四十二年度価格ですね、それと比較してある、こういうことですか。
  49. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) その通りでございます。平均いたしまして現在の九十七銭が九十銭になるということでやっておるわけであります。  それから先ほどお話ししました石炭会社十八社の資本金総額は、三百十四億でございます。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、先ほどのお話で、資金増資の方は、あまり期待が持てない。それから社債の方も、やはり赤字経営ではあまり期待が持てない。減価償却、これはもちろん問題は別ですから、このくらい出るとおっしゃれば出すわけですからいいでしょうが、ただ問題は、財政資金なり、市中銀行借入金というものが、確実にこれだけ確保できるかどうかというところに問題があると思います。全部で六百億をこえるわけです。  その場合に、こういう資本費の負担が、赤字経営をやっている現在の石炭企業で可能かどうかという問題は検討なさっておりますか。その資本費の負担も入れて、そうして千二百円の炭価が下げられて、それで三十九年度中に八%程度の配当の復活ができる、そういう計算になっておりますか。
  51. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) もちろん借入金につきましては、所要の利子というものは払うということで、今御指摘のような、いろいろな資本関係の負担というものについては、当然十分計上するということで千二百円引くということに一応したわけであります。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは大臣にお尋ねいたしますが、私が長期資金について、その確保の可能度の問題について非常に心配をしているだけでなくて、この問題は、いろいろな業界なり、経済界の専門紙も非常に慎重に扱っておって、警告的な記事もちらほら見えます。それから市実通産省の中においても、一応こういうリストはこしらえたけれども、実際に資金が確保できるかどうかについては、まだ盛んに研究、議論中であるというようなことを報道せられております。  そこで、開銀なりその事業団の貸付金、興銀、長期信用銀行、今お話しになりましたような、こういう金融機関等を通じて、政府は責任を持って、石炭企業にこれだけの金を流すことがほんとうに可能でしょうか。もう経理が悪いということはわかりますから、説明の結果出たわけですから、その点はよろしいのですが、そういう悪い企業に、はたしてこういうことが可能であるか。そういうことですね、
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 借り入れ資金のうち、財政資金につきましては、政府は、この考え方で参ります。見合いの市中銀行からの借り入れは、御疑問の点があるかもわかりませんが、石炭鉱業というもののわが国産業に占めることから考えますると、私は、この程度市中銀行からの借入金は、ぜひやらねばならないし、できると考えております。
  54. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは、石炭企業の現在の姿というものは、おそらくどの金融機関も十分研究されて、わかり過ぎるくらいわかっていると思いますが、そういう状態のもとにおいて、政府が立てたこの資金計画について、市中銀行の負組分は、相手方の目標にしておられる金融機関に、前もって相談をせられて、その金融機関が、その程度のものならばめんどうを見ましょうと、そういうことになっているのか。通商産業大臣も、そこまではまだおやりになっていなくて、大臣の見通しで、相手方はこれくらいのことは承諾するだろう、そういう軽い気持なんですか。その点よくわかりませんが。
  55. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 市中銀行の貸し出しは、もう毎年一兆円近くになると考えます。その場合におきまして、最高九十億とか最低三十億程度のものは、しかも、財政資金がこれだけ、無利子の資金をこれだけという場合において、市中銀行が断わるというふうなことは、万々ないと思います。しかも、この計画は、興銀の総裁の入っております資金審議会の一応了解を得ておるのであります。私が先ほど申し上げましたごとく、石炭鉱業の重要性から申しまして、全体の貸付増の何パーセントか、一割にも足りないというのを出し渋って、しかも、政府の出しますものより非常に少ないということは、私は、銀行の公的機関であるという性質から考えて問題はないと考えております。
  56. 栗山良夫

    栗山良夫君 大臣のおっしゃったことは、非常に常識的におっしゃったわけですが、実際の金融機関の当事者とすれば、再建のめどがはっきりついておれば、ただいまは悪くても出す、こういうことがあり得ると私は思います。従って、個々の企業について四十億円なり五十億円なりの市中銭行融資を申し込み、申し込まれた相互において、将来の経世の改善について、かりに話し合いがつかない、了解がつかない、そして市中銀行は、非常に疑問を持っている、全部とは言いませんけれども。非常に熱心に融資を望んでおるAという企業に対して、あなたのところはだめです、Bのところはいいです、Cはだめです、Dはよろしいというような工合に選別されて、結局、総合された資金というものを、所要資金が、所要の部面に流れない、そういうようなことが起きやしないかと私は思う。これは銀行が、そういうことをやらなくちゃ銀行が怠慢ですよ。業務怠慢です。そういう選別を始めたときに、銀行が信用しない企業については、通商産業省は、保証というわけにはいかないでしょうが、相当責任ある証言を与えて、そうして金融機関の融資について御協力をせられる、そういうお腹がまえはございませんか。
  57. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) せっかく合理化計画を立てまして、これを実施しようとする際に、今御指摘のようなことで、選別融資を受けて全体的な融資額が減るというようなことがあっては、これは一大事であろう、こう考えております。  従いまして、たとえば、今回お願いいたします財政資金にいたしましても、もうどの市中銀行でも、これならば大丈夫だ、貸してくれるというようなところは、むしろ、できるだけ、われわれとしては、まず市中でやっていただき、素質はいいけれども、ちょっとどうかといって、ちゅうちょせざるを得ないといったような要素がある、それをこの際、思い切って政府資金並びに開銀の資金というものをつぎ込むということにすれば、これは非常に将来いい効果が現われるであろうといったような、素質はあるが、金繰りその他でなかなか市中銀行あるいは自己調達だけではいけないといったような方面に、できるだけこの金を活用するというふうにいたしまして、そうして全体としての投資額は、むしろ、これをここにして、何倍かにふえるというような方向に使えないものかどうかということで運用していきたい、そのために、実は開銀なり、あるいは長興銀というようなところからも、通産省の方に嘱託のような形で出向していただきまして、そうして役所の審査という際に、ある程度、金融機関的な目というものを入れながら、役所にアドバイスをしてくれるというような人々を十人ばかりお願いいたしまして、この五月一日から発令をしたわけでありますが、そういう制度を活用することによりまして、市中金融機関、それから開銀、あるいは中小につきましては、中小公庫、政府関係金融機関というもので、政府自体としまして、三位一体になって、これだけの計画が遂行できるという方向に、これから運用をできるだけ研究して、最善の努力を尽くしたいと思います。
  58. 栗山良夫

    栗山良夫君 まだ、ほんとうにわからないわけですが、今の御説明で、おおよそ企業内容が非常に悪くて、金融機関が少し足踏みをするようなものについては、主として財政融資でいこう、それから市中銀行が相手になるものは、なるべく市中銀行にやらせよう、こういう方針で三百六十五億と二百七十八億を運用していこう、こういうお話のようでありますから、その点で、一応質問を終わります。
  59. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ほかに御質疑はございませんか。  ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  60. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時三十二分散会