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1960-05-12 第34回国会 参議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十二日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員佐野廣君辞任につき、その補 欠として鈴木万平君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            椿  繁夫君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    中小企業庁長官 小山 雄二君    中小企業庁振興    部長      中野 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○商工会組織等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  理事会で協議いたしました審議予定について御報告いたします。  本日は、商工会組織等に関する法律案について質疑を行なった後、討論採決を行ない、ついで石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  次回十七日火曜日は、輸出入取引法の一部を改正する法律案について提案理由説明を聴取し、続いて石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  以上御了承をお願いいたします。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) まず、商工会組織等に関する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 椿繁夫

    椿繁夫君 この商工会の本年度補助金が三億九千二百万円ということでありますが、きのう大臣お帰りになってから長官から伺いましたが、来年度は一体これに対してどういうような強化策をおとりになるお考えであるか。で、同時に国の補助金額とか、地方団体——こちらで予算を計上いたしますと、大体同額のものを地方団体が計上しなければならぬように相なっておりますから、今年度だけではなしに、来年度の見通しについても一応やはり御方針を承っておく必要があると思いますので、お尋ねをいたします。
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今年度予算は御承知の通り四億程度でございます。これは初年度でございまして、期間の関係その他がございますので、これを引きのばしますと来年度は相当程度ふえると思います。今の計画だけで。それに加えまして、本年度実施施行状況によりましていろいろ改善強化することも出てくることと思います。従って、今私として大蔵省に要求する数字ははっきりいたしませんが、今後そういう考え方予算の要求を作っていきたい。で、これに見合います地方財政の方につきましては、これは今年度同様地方財政計画におきまして、国の計画と同じようなことが盛り込まれるわけでございます。国で計画し、あわせて地方計画いたしまして、この商工会の着実な拡充また育成をしていきたいと考えております。
  6. 椿繁夫

    椿繁夫君 きのう伺いますと、大体本年度は二千六百ばかりある既存商工会に千五百ないし二千程度団体に対して補助を行なっていくようにする。で、その改善普及員というものが、大体初年度は二千人くらい予算に計上しておる。来年度は、これは四千くらいになるだろう。従って本年四億でありますと来年度は八億くらいになるだろうというような企業庁長官の御説明がありましたが、私はそういうことだけでは——二千人が四億円、四千になるから八億になるだろうというようなことでは、商工会の本来やらなければならぬ仕事というものは、ほとんどお考えになっていないのじゃないかという心配がいたします。私は、この零細企業経営指導技術指導、あるいは援助、これを見ましても、金融とか税制、あるいは労務というようなものが総合的に考えられて、初めて私は零細企業対策ということになるのじゃないかという気がするのであります。そういうことになりますと、人員が倍になるから国あるいは地方団体の経費も倍になるというようなことでは、あまりにも商工会組織について、これこれの仕事をやらしていこうという熱意がうかがえないように思うのでありますが、大臣の御方針を聞きたいのであります。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のような点がございますので、先ほどお答えいたしましたように、実施状況あるいは経過と申しまするか、いろいろ考えなければならぬ点がだんだんわかってくると思います。単に商工会ということだけじゃなしに、中小企業全体のあり方、それによりまする税制金融等々——私は指導員十分中小企業方々実態を把握いたしまして、そうしていろいろ意見を求めて、全体として零細企業向上上するようにやっていきたい。そういうことにつきまして必要な予算の要請もこれから考えていかなければならぬ。単に数をふやすと、人をふやすということだけでは十分じゃございません。
  8. 椿繁夫

    椿繁夫君 大臣に特に御所信を聞きたいのでありまするが、零細企業税制並びに金融面、並びに政府機関金融機関が三つ四つございますが、ほとんど今回商工会組織対象考えておるような人は利用する道を知らない。まあこれは指導員ができますれば、そういうことについても指導するようなことをお考えになるとは思いますけれども、金融とか税金面についての指導措置というものについて、こういう組織を作ります以上、こういうような程度までは一つやらしたいと思うというくらいの御方針がなければならぬと、こう思うのであります。この間上がりました中小企業業秤別振興臨時措置法審議の際にも私申し上げたのでありますが、初年度十五業種を指定して、そうして調査を開始するというふうなのんびりした段階じゃない。中小企業なかんずく零細企業の問題につきましては、これはよほど作ります以上、実の入ったものにしていかなければならぬという気がいたしますので、ずっとこの間からのなにを見てみますと、十五業種を指定して今年度調査を開始するというふうな、非常にのんびりした中小企業対策しかお持ちでないような印象を受ける。さらにこの商工会組織等に関する法律におきましても、人を置き、来年はふえる、倍になるから補助金も倍にするという程度のお考えでは、どうも政府中小企業零細企業対策那辺にありやという疑点を実は持つのでありまして、この際大臣から、総合的な中小企業対策零細企業対策というものについての熱意一つ伺いたいと、こう思うのであります。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 得てして行政官予算に非常に束縛されがちでございます。そうして、予算を主として御説明するのが今までの例と思います。これは役人の通弊でございまするが、私はそれだけでは十分ではないと思いますので、今度の商工会法におきましても、これは一つの型を作って、また魂は施行状況によって入れていくわけでございます。だから説明が、従来数字的に、また予算にとらわれた点はあるかもわかりません。しかし、これは施行いたしまして、状況によってだんだん改善し、拡大しという気持で私は進んでいきたいと思います。指導員なんかを置いてみますと、今までの税の問題とか金融の問題とかいうものは、口では言っておりまするが、実態はどうだというふうなことは、指導員等の経験から、指導員から実情を聞いて、いろいろ改善すべき点があるかと考えておるので、従って私は、まだ申し上げていいかどうかわかりませんが、零細企業に対しましての国民金融公庫あり方を、中小企業的の考え方で、ある程度やりていきたい。従来国民金融公庫には大蔵省の人しかいっておりませんが、今度は通産省の人も理事に入って、零細企業の方に国民金融公庫をもっと使うというような、いろいろなことで大蔵省通産省一体となって、この方面にもっともっと目を向けていくような方法を講じていきたいと考えておるのであります。
  10. 椿繁夫

    椿繁夫君 ぜひ一つそういうふうにしていただきたいと思うんですが、国民金融公庫の一件当たり貸出限度、昨年度でありましたか、五十万円になっておりましたのを、百万円に引き上げましたが、その後の貸出状況を見ておりますと、大阪などの例でありますけれども、大体平均二十七万円程度になっております。ですから、これはまあそのくらいの金額さえも困っておるという状況か私はここに出ておると、こう思いますので、ぜひ商工会等組織ができますれば、この金融面についても税制の面についても、ほんとうに親切な相談相手になることのできるような措置配慮一つお願いしておきたいと思いますが、なお、きのう大臣の御答弁でやや満足はいたしましたが、今回町村単位にできます商工会府県連合会組織、それから全国的な連合会組織ということは、しばらく一つ推移を見ながら考えていきたいというお話でございましたが、私はこれはぜひやらなければ、町村別にできておりましても、こういうことをやってもらいたい、ああいうことをやってもらいたいという何かありましても、声にならぬと思うんです。ですから、その声をするその声を吸い上げて、行政の上に取り上げていくというお考えであるんですから、ぜひこれは府県連合会全国的な連合会というものを作るようにしなければならぬと、私はこう思うんですが、大臣は、既存団体との関係もにらみ合わせながら、でき上がったものについての連合会組織等についても考えていきたいという大体の方向は、これは示されておるのでありますけれども、私は、どうしても町村別にできました組織というものは、何か府県別にでも連合体を作らせる、そこから声を出す、さらに全国的な連合会としての育成方向をとるというようにしないといかぬように思うのですが、やはりきょうもきのう程度の御返事しか伺えませんか。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは日本実情を見まして、こういうものの各県の連合会全国連合会というものは、どれにも皆あるわけなんです。私は本会議でもお答えしたように、その連合会全国的の会ができることを期待していないんじゃない。当然できるものだと思っております。ただ、でき上がった場合の他との関係をどうするかということを今考慮しておるので、私はあなたと同じように、府原連合会はすぐできましょう。そうして全国連合会的なものが今でもある。だからこれは私は当然できてくると考えております。しからば、法制的にここにどう書き込むかということは、できたものの実態を見てから他の団体との姿を調整してやるべきであって、実態的には早急に起こってくるんじゃないかと思っております。決してそういうものが起こることがいいか惑いかということを問題にしておるんじゃない。当然起こってくるということは考えております。
  12. 椿繁夫

    椿繁夫君 これまで質疑がありましたのに、重複するような質疑をするので恐縮なんでありますが、これは一つ時間もかからないようないように思いますので、取りまとめの意味でこれはお伺いするのでありますが、商工会議所は、今回作ろうとする商工会組織とは、目的が別だと思うんです。これは地域における産業全般の問題、あるいは政府の政策に対する建議、それから地方的な産業開発等に関してこれは協議したり建議したりするものだと思うんです。ところが、今回の商工会というものは団体対象にするのでもなく、ほんとうに零細的な商工業の個々にわたって育成指導しようとするものでありますから、商工会議所組織されておる地域零細企業というものを、商工会議所機能拡充し、新たな使命を与えることによって本法目的を達することは、私はできないという考えを持っておるのであります。ですから、今回はこれで衆議院からも修正案を付して回付されておる案でありますから、今回はこれといたしましても、将来商工会議所の現存する地域、特に大都市における零細企業というものが大半を占めておるわけでありますから、この組織を、この法律適用地域に将来は考えていく。商工会議所というものを本来の使命に立ち返えらせて、その活動を促していくというようなことでなければ、この法律目的を真に達成することはできないという私は考えを持っておるんです。大臣は、この法律をお出しになっておって、お前と一緒だというわけにはいきますまい。けれども、商工会議所目的と、この法行が定めようとする商工会使命というものとは、おのずから別であります。将来やはりこれを別の任務を課して、組織を改変する意思ありやということをお伺いしたいのであります。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済の流れというものは変わってくるのでございます。従って、その法律が現状に合わないという場合におきましては、これは変えていかなければなりません。しかし私は、商工会議所というものは、今お話のように、団体的に地方産業をどうこうということをやっておりまするが、これでは十分ではない。やはりその地域における大部分を占めておる中小企業育成ということも考えなければならぬ問題で、現に中小企業の人が全国平均で会員の七割以上を占めておる。ただ、今まで政府がこれだけの力を商工業者に対して入れる制度を持っていなかったから、安易な方法でいっておる点は私は認めます。しかし、今後政府がこういう考え方でいくというときには、商工会議所は今までの単なる地方的な開発ということでなしに、構成員のいわゆる向上発展に力を尽くすということが必要であるということを私は感ずる、そういう方向政府指導していきたい。これで私はやっていけると思っておるのであります。従って、そういうわれわれの目的が達せられない場合におきましては、何も改正するのにやぶさかではございません。そのときの情勢に立って、全体がよくなるように持っていく。ただわれわれが考えるのは、同じ地域に二つの組織を別々にしてやることがいい場合もありましょうが、全体として非常な支障を起こすということを想像いたしましたので、一応これでやっていこうといたしておるのであります。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっと最後に。ただいま商工会議所機能の問題、商工業者指導育成という観点から、機能の問題で御質疑がありましたが、将来の問題は別といたしまして、この商工会法が直ちに公布実施になりまする場合に、ただいまの商工会議所のスタッフあるいはその事務機構、そういうものについて商工会議所の自主的な判断に基づく準処だけにまかせておいていいのか、あるいは国会で御答弁がありましたように、中小企業小規模事業者のために通産省として商工会議所あり方について積外的な行政指導をなさる御用意があるか、この点をちょっとお聞きをしておきたいと思います。なぜそういうことを申し上げるかと申しますると、商工会議所機能、性格については論ぜられた通りでありまするから、そういう長い伝統を持って運営をせられてきた機構に対して、新しいこういう立法措置が講ぜられたからというので、にわかにウエートを増して新しい活動を積極的に期待するということはなかなかむずかしい面があろうと思います。ですから心身ともに入れかえて、新しく商工会議所が新使命に生きていくということであれば、今までのように、商工会議所の中に中小企業部というものがあって、そうして若干の普及員を増加する、区に支部を設けるという程度でなくて、もう少し雄人なやはり事務機構拡充ということが、そういう指導精神というものを植え付けていかなければならぬと思いますが、その点はいかがでございましょう。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど来ずっと申し上げましたごとく、これを施行いたしまして、町村部の方はずっと盛り上がってくると思います。それから商工会議所あり方東京大阪、特に東京でございます。なかなかこれを盛り上がらすということは相当時間がかかる。しかし部の商工部と連絡いたしまして、都の商工部はおおむね中小企業をやっておりますが、通産局並びに都の商工部商工会議所とよく連絡いたしまして、そうして具体的にどうやっていくかということは相談さして、できるだけこっちへ、何と申しますか、誘導していきたいという考えておるのであります。町村ほどずっと盛り上がらぬかもしれませんが、しかしゆくゆくは相当この商工会法施行になって、中小企業者も潤いがくるということは、私は一、二年のうちに出さなければならぬという気持を持っておるのであります。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体了承しましたけれども、過日参考人としておいで願った方々の中にも、たとえば日本中小企業団体連盟会長豊田雅孝君であるとかあるいは東京工場団体連合会会長太田喜八郎君であるとか、こういう方々、特に東京商工会議所地域のことを支持して発言があったように私は記憶を持っておりまするが、やはり今大臣がおっしゃったように、町村地帯では急にこの法律ができたために盛り上がって、よしやろうという気運になると考えられます。ところが一番肝心の東京大阪、名古屋とかいうところでは、どうも商工会議所の中にそういう情熱がわかない。二、三年やっているうちに、だんだんよくなるのだということでは、やはり零細業者に対して希望を十分持たせることができないので、本法施行と同時に、少なくとも商工会議所は、大都市商工会議所というものは町村商工会と歩調を合わせて新機軸を出した活動が開始せられて、零細業者が、なるほど法律審議のときにはいろいろ疑問があったが、実際やってみると、そんなに心配する必要はない。なるほどこれでいけるのだという、いける、いけないは別として、そういう空気だけは当初に作っていただく必要がある、こう私は考えるのです。ですからその意味法公布と同時に、通商産業省は、大都市商工会議所に向かって積極的な行政指導をなさる御意思があるか、こういうことをお尋ねしたわけです。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 全くその通りでございます。大都市のところでもやはりその会議所構成その他でいろいろ違うと思うのです。ある一つ会議所が非常に中小企業の方にカを入れだす、そうすると他の会議所もそれにならう、いろいろの方法で先に申し上げましたように、都道府県関係部局通産局とでタイアップしまして、大都市商工会議所考え方中小企業にこの際相当向けるように誘導していきたいと考えます。
  18. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  19. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は日本社会党を代表して衆議院から修正して参りました条項を含めて賛意を表したいと思います。  ただ、この機会に二、三希望を付しておきたいと思いますが、連日の質疑によってだいぶ明らかにはなりましたけれども、商工会議所組織されておる地域本法適用地域外になる。主として町村商工会だけが適用対象となるということは、商工会議所組織されております地域零細企業育成指導ということを、今日の商工会議所、特に大都市における商工会議所にその指導育成をゆだねるということは大きな不安がございます。ですから将来こういう点についても一本化するような方向に努力を政府はすべきさではないかと思うのであります。  それからさらに組織問題といたしましては、大臣は当然この府県連合会あるいは全国的な連合会というものは、自然発生的にこれは盛り上がってくるべきものであるというお考えを述べられましたが、私もこれは当然そういうふうな組織を持たせるように積極的指導を行なうべきである、こう思います。そのようにして町村単位商工会の持っておりますいろいろな要望を大きな声として政治の上に反映させるようにいたしますためには、そのような組織的な指導が今後継続されなければならぬと思います。  それからいま一つは、この商工会にそれぞれ改善普及員というものを置いて、経営技術等に対する指導を行なうということにはなっておりますが、そういうことももちろん必要であります。けれどもさらに金融面について、税制の点について、政府はこれに対して幅のある指導育成援助ということが望まれるところであります。こういう点を特に本法施行にあたりましては留意していただきたいと思います。  それから、今申しますような総合的な零細企業に対する対策本法の中に出ておりませんために、何か商工会に専従の普及員を置くことだけが目的のように解されやすうございますので、これが特定政党の選挙の際の基盤になりはしないかというふうな心配を多く持っておるのでありますから、そういうことが断じてない、法文の中にも明記はしておりますけれども、指導の面においてそういう点を特に留意して指導に当たられたいということを希望をいたしまして、衆議院からついてきております修正案を含めて賛意を表するものであります。
  20. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言……。
  21. 川上為治

    川上為治君 私は自由民主党を代表いたしまして、衆議院から修正をつけて参りましたこの法律案に対しまして賛成いたします。  ただこの際私も二点だけ希望を申し上げておきたいのでありますが、その一点は、この商工会制度は、これは組織の点からいいまして、やはり零細企業対策としましては画期的な制度ではないかというふうに考えておりますが、こういう制度を活用する場合におきましては、やはり予算がそれに伴っておりませんというと、結局十分な仕事ができません。本年度におきましては、国家予算としましては四億近く、また各県におきましてそれと同じような予算を出すことになりますというと、大体八億ということになりますが、商工会当たりには大体この前の委員会でもお話がありましたように三十数万円しかならないわけであります。そうしますというと、三十数万円程度ではたして商工会として零細企業対策を十分できるかという点になりますというと、非常に心配な点があるわけであります。大臣は先ほどこれは一応型を作ったんだというようなお話でありまして、今後は魂をどんどん入れていくのだというようなお話がありましたが、私はその魂というのは、私は別に役人出身だからというわけではございませんが、やはり金じゃないか、やはり予算をもっと入れるということでないというと仕事はなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えますので、今後におきましても、ぜひとも一つ予算をもう少しふやしまして、この商工会制度をうんと活用して、零細企業対策に遺憾のないようにしていただきたいということが第一点であります。  それから第二点としましては、この前の委員会からいろいろ問題になっておりましたが、やはり大都市、特に大都市零細企業対策として商工会議所がいろいろやることについて、なかなか心配な点があるわけであります。でありますから、そういうような点につきましては、十分一つ監督指導をしていただきまして、ほんとう商工会議所零細企業対策を十分に施行ができるように格段の配慮をお願いしたいと思います。  この二点を申し上げまして賛成の意を表します。
  22. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言はございませんか。
  23. 島清

    島清君 私は民主社会党の立場におきまして本案に賛成の意を表したいと思いますが、政府が当初提案をされまして通産大臣が本会議説明をされましたこの政府原案によりますというと、かなり私が本会議で御指摘を申し上げまして御質問申し上げた通り、またただいまも椿委員から御指摘かございました通り特定政党特定地方ボスによって悪用される危険があるのではないかというような疑惑の点もかなりあったのでございまするけれども、この点は衆議院におきまして修正もいたしておりますし、さらに付帯条件というものがつけられておりますので、その点はかなりまあすつきりした形になっておりまして、前向きの法の体系を整えているような格好にはなっておりますけれども、しかしながら、きのうの質問でも申し上げました通り、なお私といたしましては不十分であるということを認めないわけにはいかないような気がするのであります。しかしながら、せっかく衆議院におきまする修正並びに付帯条件は、三党の共同修正ということになっておりまするし、さらにまたただいまも川上委員椿委員から御指摘になりました都市におけるところの商会の活動というものは、既存商工会議所にゆだねているということは非常に不安であると、それでは小規模事業者の助成ということは大きく期待することはできかねるというような御指摘でございましたが、きのうも御質問申し上げた通り、やはり今日におきましても私たちはその不安を感ずるわけでございます。法の施行に際しましては、十分にこの付帯決議と、また委員会におきまするところの各委員質疑応答並びにただいま両委員のそれぞれの党を代表されて述べられた意見等を、十分に運営にあたっては、その精神を生かしていただいて、万遺憾のないような法の運営に当たっていただきたいと、こういう工合に念願をするわけでございます。また栗山委員から特に強く指摘になりました五条の適用の問題でございますが、既存商工会を、これを三年間の経過規定はございましても、これを新法のもとに組織がえをせしむるということは、なかなか困難な面があるのではないか、こういうことが危惧されるわけでございます。その点につきましては、格段に行政指導をしてもらわなければならないのではないかと、こういうことを大いに御期待を申し上げたい、そして格段の御配慮を願いたい、こういう工合に考えるわけでございます。さらに椿、川上委員からも御指摘になりました通り、ただ町村だけの地域的な小規模事業者対象とする法を制定するということは、画期的であるということは私もきのう御指摘申し上げましたが、まさに画期的でございまして、一歩誤りますというと、私は中小企業対策の面におきまして一大の汚点を残す結果になる危険性のあることを、大へん遺憾ではございますけれども、御指摘を申し上げておかないわけには参らないのであります。従ってどうか一つこれがもっと中小企業の諸君が広い意味において組織が持たれて、そして十分に中小企業者それ自身の組織を通じて政府の施策というものが渾然一体となって、日本の経済の健全なる発展のために寄与できまするような格段の一つ条件の整備に力を注いでいただきたいということを、特に御希望申し上げまして、私の本案に対しまする賛成討論を終わりたいと思います。
  24. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言はございませんか。——発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  商工会組織等に関する法律案衆議院修正送付)を問題に供します。本案を可決するこっとに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  25. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。   —————————————
  27. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、石灰鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  28. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 この法案の内容をお尋ねする前に、議事進行についてですが、十一時半になっておるようですから、大体どのくらい午前の部はお尋ねしたらよろしいですか。時間は、委員長どうでしょうか。
  29. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  30. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  31. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 本法案の審議にあたって、衆議院商工委員会における速記録を一応通読さしていただきましたので、同じような質問にはなるべく触れないようにして、簡単に次々とお尋ねしたいと思うわけですが、特に衆議院で問題になりました、世上にもいろいろ、新聞にも出たり、うわさされておる合理化によって千二百円下げる、こういう千二百円の数字についてこれは単なる重油と競争しなければならないというところで、あらかじめ大体千二百円下げることができれば重油と競争できるということで、千二百円という数字をさきにきめて、こことこことこの点を合理化しなければならぬというふうに政府計画を立てておるものか、それとも流通の問題とかあるいは近代化、それぞれの事業地の問題とか、そういうこれとこれと人件費ての他をセーブすれば、おのずと千二百円下がるというふうに計画されておるものか、どちらを基礎にして計画をされたか、その点をまずお尋ねいたします。
  32. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) これは経過的に申し上げますと、昨年の夏、石炭の大手会社の方で大体八百円程度の値下げということを行なうことによって重油と対抗していきたいということで、一連の合理化計画を立てたわけでございます。しかし石油の将来の価格の推移、あるいは石油に対するメリットの差といったようなことを考えてみました場合には、どうも八百円では必ずしも十分じっゃないというふうに思われるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、業界が考えておりました八百円というもののほかに、非能率炭鉱の整備ということと、高能率炭鉱の造成という積極面と消極面と両方をあわせ講ずることによりまして、大体生産面において二百円程度のコスト・ダウンということができるじゃないかというふうに考えましたことと、それからさらに従来から手をほとんどつけられておりませんでした流通面の関係の合理化をはかるということをいたしますと、大体二百円程度のコスト・ダウンということもできる、こういうふうに判断したわけでございます。一方、石炭の当面の競争相手でございます石油の価格というものを考えてみますと、大体昨年からずっと一年半ばかり重油はカロリー当たり九十七銭ということで推移しているのであります。大体三十三年度の石炭の価格も九十七銭、結局メリットだけ石炭か不利だというふうな格好になったわけでございますが、これを一応三十八年に石油が九十銭程度になるということを前提といたしまして、そしてメリットの差を考えますと、主要市場において千二百円程度下げるということをすれば、大体経済的に競争が可能である、こういうふうな結論も審議会からいただいておりますために、需要の面とそれから供給の面の両方からつけ合わせた結果、大体審議会の答申案にあります千二百円というものの値下げを実現することによって、自立態勢を整えていきたいと考えたわけであります。
  33. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 樋詰局長にもう少し具体的にお尋ねしたいのですが、政策とか経済の見通しということになると、それは見解の相違だということにあるいはなってくるかもしれませんけれども、これは現実の問題ですから、あなたと私とそう現実の認識が違うはずがないです。そういうことになってきますと、あなたのお言葉通りとっても、非能率炭鉱の休山、閉山、廃山ということをやったとしても、高能率炭鉱のコストを下げるということには、これはならぬ。今お話を承っても、それによって二百円下げるあるいは流通機構で二百円を下げる、そういったものを合計しても、あなたのお話を額面通り受けとっても、四百円しか下がらない。そうすると、千二百円にはほど遠い。また八百円を何によって下げるのかということです。私は何円何十銭とまでは聞いておりません。大体この点とこの点で何百何十円下げるという具体的のお話を承りたい。これとこれと、ここをやって千二百円下げるという内容の説明を質問しているのです。
  34. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 私が申し上げましたのは、業界が出した八百円にプラス四百円のことを、先ほど申し上げたわけでございます。大体現在の工数は百五十工数ぐらいだろうと思います。百トン出しますのに。それを三年間に採炭の面、運搬の面、あるいは選炭の面というものを合理化するということで、大体約六割に縮めたいということを、各部門々々工数の計算で計画を立っているわけでございますが、その計画を実行いたして参りますと、今申し上げましたように、大体業界の案だけで八百円の値下げということを確実に実行できるということでございますので、業界の値下げに加えるに流通面の合理化、それから高能率炭鉱を造成し、非能率炭鉱を整理するということによりまして、それだけで、すそを切って上の方を足すわけでございますから、全体の平均コストというものが二百円ばかり改善される。従いましてわれわれの方は大手の業界の方で発表いたしました、一応昨年の八月八百円値下げをしたいということで研究いたしております業界の合理化案というものを一応の前提として、その上にさらに四百円の政府並びに関係者一同の合理化努力というものを加えることによって、千二百円の値下げを実現したいと考えているわけであります。
  35. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 業界はどういう計画をお立てになっているか私はわかりませんけれども、この業界の八百円値下げ案なるものはおそらく今のお話を承っておりますと、局長が御承知かと思うのでその内容をお伺いしたいのと、もう一つは、この法案が可決されると、二十二億ですか、その金が無利子で炭鉱の近代化のために貸し出されるわけですが、これは樋詰さん御承知の通り、二十億というと膨大な金ですが、縦坑、現在はもう一本掘っても十億円以上かかりますよ。そうすると二十億の金をつぎ込んだところで縦坑二本しかできないという現状、それも五年も六年もかからなければ、その縦坑が完全に使用することができないというのが現実であるから、あなたのおっしゃることも、業界の八百円をまず下げるという計画を立てた、その上に立って流通機構の二百円、あるいはまた非能事炭鉱の整理統合によって二百円ということは、どうも理解できないのですが、しかしあなたがそうおっしゃるのですから、業界の八百円というのは何と何と何によって八百円コスト・ダウンできる、それにあなたのおっしゃる四百円の積み重ねだということを宣伝的に御説明を願いたいわけです。
  36. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) まず合理化すると申し上げましたのは、先ほど申し上げました工数を減らすということがおもなわけでありますけれども、まず数字で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、現在三十三年度、百トンを掘りますのに大体百六十と申し上げましたのですが、百五十七・五工数三十三年度かかっておったわけでございます。これを三十八年には八十八・八工数にしたいというふうに計画がされております。これは最後の数字でございますが、さらにこれを内訳を申し上げますと、坑内関係の九十七・二というのを六十二・六、それから坑外関係の三十・三というのを十三・六というふうにいたしまして、さらにその坑内は切羽、掘進、維持、運搬、坑内一般とそれぞれに分れるわけでございますが、そのおのおのにつきまして採炭機械を入れる、あるいは運搬を機械化する、あるいは短壁式を長壁式に直すことによって維持坑道の延長を短かくするといったような坑外、坑内それぞれにつきまして機械化し、あるいは能率化するということによる工数計算をいたしました結果、それと、先ほどの流通の関係、両方合わせて大体生産面で八百円、約九百円ないし千円程度、あるいは流通面で二百円ないし三百円、これは実は北海道—東京間で二百十円といったようなものは流通関係だけで減るという一応の中間的な報告を受けているわけでございますが、現在石炭鉱業審議会の生産性部会におきまして、生産面においてはたして確実に幾ら下げ得るか、それから流通面において幾ら下げ得るかということについての詳細な再検討をいたしているわけでございまして、われわれといたしましては、大体九月を当面の目標といたしておりますが、九月までには千二百円というものを年次別にどういうふうに実行していくかということについての青写真というものを完成したいと考えております。それから御承知のように先般ここで御可決いただきましたボイラー法の三年延長ということが、三十八年の十月の末で失効いたしますので、それまでの間には一応石炭も重油に対抗できるだけの態勢を整えたいということで、絵にかいたもちにならないようにという意味で、現在年次別に、三十五年、六年、七年というものがどういうような格好で三十八年につながるかということを検討をしているわけでございますので、年次別のこまかな数字等につきましては、もうしばらく時間をかしていただきたいと考えます。
  37. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私も今局長の答弁の中にございました、絵にかいたもちにならないようにという、これは全く賛成ですが、しかしどうも絵にかいたもちになる危険性があるということは、これは私より局長が詳しいかと思うのですが、アメリカさんは自動車をどんどん使うものですから、ガソリンをどんどんたいて、結局原油を精製するのですから重油が余る。小麦が余るような状態で、重油もアメリカでは余って三年や四年で重油の価格が上がろうとは思わない。ところがこの計画で見ると、千二百円下げるといっても、電気料も高くなるといっているのです。それから月給二倍論はさておいて、労務費も高くなるというふうで、安くなる見通しは全然ない。しかるに重油の方は安定しておる、かえって下げる用意があるような状態であるということになると、そこら辺の見通しがもうすでに食い違ってきてやせぬか、こういう懸念があるわけですが、そういうべース・アップを、これは労務費ばかりでございません、一般資材費も含めてベース・アップを考慮したところの八百円、四百円であるか、そういうものは全然考慮せぬで、あくまでそういうものは現行で横すべりだという想定に立っておるものか、その点を一つお尋ねいたします。
  38. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 労務費につきましては、大体二次産業全体の人件費の平均の上昇率を三・八%というふうに考えたわけでございますが、石炭鉱業におきましても、二次産業全体の平均上昇率である三・八%上昇するということを前提に計算いたしております。なお、物価につきましては、御承知のように三年間ほとんど動いておりませんで、物価につきましては、一応現状の物価水準横ばいということを前提といたしております。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に、大臣が午後出席されぬと困りますので、大臣から大切なところを承っておくわけですが、この合理化法案は御承知の通りこれで二回改正するわけですが、これは通商産業大臣、どうも石炭合理化という、合理化の一番やらなければならぬ痛いところに触れておらぬような気がするのです。ということは、これは例ですが、今問題になっている三井三池炭鉱、あそこの鉱区は、これは日鉄鉱業と三井鉱山と二つくっついておるわけです。従って片方は、日鉄鉱業はそこへ縦坑を作るのだ、三井鉱山はこうやる、勝手々々にこうやるわけです。これが鉱区が統合されておったら、大きなピットをこうして——北海道の赤平に行っても、北海道炭礦汽船あるいは住友鉱業、明治鉱業と、炭鉱がたくさんあって、こっちも五万トン、こっちも五万トン、こっちも三万というふうに、そこら辺に乱立しているわけです。この鉱区を整理統合して一本の縦坑をおろせば、これはいとも簡単に合理化ができて非常に安い石炭が出せる。はなはだしいのは上の炭層二百メートル近くの炭層はどこの山で、三百メートルの炭層はこちらの山だということで、上下を別々の鉱業所か掘っておるという現状である。これを真中を一本縦坑をおろせば簡単に一カ所で石炭を搬出できる。そうしますと、五億円も十億円もかかる縦坑を、こっちは三井さん、こっちは三菱さんということでなくして、一元化して一本の縦坑から石炭を出せる、これをやらない限りは盲腸患者が湿布して直すようなわけで、これをやらなければ通産大臣、とうてい完全な石炭産業の合理化というものはあり得ないというように考えておるわけなんですが、これは誤りですか、どうですか、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話の点は、毎度承っているところでございまするが、私は、やはり鉱業権の侵害その他、個人会社の権利を、国の目的のために侵害するというふうなことは、なかなかできないことであるのであります。  ただ、業者が合同してやるということにつきましては異存はございませんが、ただいまのところ、各会社が一応の計画を立ててやっていくことを見ていくよりほかにない。で、お話のように、非常にうまくいくところもありましょうし、またそうしなくても、よくいけるところもあるのでございます。で、今の有明湾の開発につきましては、日鉄がやってしかるべきだと考えております。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は社会党員ですから、石炭産業の国有化ということを党としても、私個人としても主張するわけですが、しかし通商産業大臣——今は保守党の天下で資本主義社会である。従って、これは通商産業大臣に、個人の所有権をみな取り上げてやれということは申し上げませんよ。しかし、いかにどう考えても、不合理なんですね。鉱区の交換であるとか、整理統合、これをやることは、資本主義社会だって、これはできるわけなんですよ。  あなたは差しつかえないとおっしゃるけれども、全部差しつかえるようなところにしか、もう鉱区が残っておらない。一カ所だけぽつんと切り離されたところに、中小企業が明治か天保時代に掘った炭鉱が残存しているにすぎないので、もうおそらく通産省にある鉱区の整理統合の図面を見ても、現在残っているあらゆる会社が、そこに集中している。これをやらない限り、石炭産業の合理化は、いかに口をひもとけば合理化々々々と言っても、達成しないというように考えているわけですが、こういう点は、いかかでしょうか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほどお答えした通りに、各企業家が、自分のところをできるだけ合理化して開発していくことが適当であると考えております。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それはあれですか、政府行政的に指導するとか、そういうことでなしに、各企業家が、勝手々々にやるのが適当だと、こうおっしゃるわけですが、たとえばフランス等においては、あっちにもこっちにも、五百もある炭鉱が四分の一あるいは三・五くらいにすっかり整理統合して、一切整理してしまって、そうして大なる成果を上げている。しかし、フランスといえども、これは社会主義国家でもなければ共産主義国家でもない。そういうところでも完全に政府行政指導と相待ってやっているのですがね、そういうことは全然参考にもならぬし、あくまで一方的にやるということで考えられているわけですか。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 鉱区が非常に乱れて、これは全体から見て統合した方がいいという場合につきましては、これは通産大臣の勧告権はございます。  しかし、今お話通りに、接近しているから一つにしろというふうなことを言う前に、各企業が、自分の発意で合理化をする、また企業全体としてお話のような悪い山はやめて、新しい山に力を入れていく、こういうふうなことにつきましては育成していっているのであります。今度の合理化につきましても、一般炭鉱の整理と同時に、各会社ごとに廃山の計画を立て、また振興開発計画を立てて、おのおの自分のところの合理化をはかっていくことをわれわれ期待し、またそれを実行しつつあるのでございます。  私は現状におきましては、今の考え方でいいと思っております。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 しかし、今の考え方でいいということになれば、私どもとしては、とうてい完全な合理化というものではない、枝葉末節な、ばんそうこう張りの合理化法案であって、二十億の金を出してもさいぜん申し上げた通り、縦坑一つ半くらい掘れば、これはあと一切、一銭も残らぬという状態になるのですから、これは完全な合理化でない。  しかし、そこでこの法案に入る前に、もう一つ承っておきたいのですが、たとえばこういうことで合理化をやる。この合理化ということについては、これは近代産業にだんだんと進めていかなければならぬのですから、人間が首切られるから、機械を入れぬで、つるで掘れというようなめちゃくちゃなことは私ども申し上げません。ただ、機械をどんどん入れてもけっこうだし、石炭のコストを下げるのもけっこうだが、しかしそれによって何万人かの石炭産業に従事しておった労働者が行き場がなくなるということで、これは労働大臣の所管かもしれませんけれども、とにかく、失業対策ばかりにたよって、別に産業を起こして人間を雇用しようとするような政策が全然ないような気がする。これでは、労働者たまりっこがないので、これは両々相待ってこれによって合理化——合理化というと、すぐ首切りだというように、あらゆる産業に通ずるわけですが、それもやむを得ないとするならば、これと両々相待ってこれをやられていかなければならぬ。労働者をどうするかという政策を労働大臣に聞けという御答弁では、それもやむを得ませんけれども、そういう点について通商産業省として、どう労働省と、お話し合いをなさっているものか。  それとも、これは全然関係がなくて、ただ石炭コストを下げるだけが通商産業省のお仕事であるか、こういう点を伺います。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭のコストを下げれば、それでいいということだけには考えておりません。われわれといたしましても、離職されるお気の毒な方々につきましての措置につきましては、労働省と十分連絡をとりまして、御承知の通り予算並びに法案の措置をとっておるのであります、先般の臨時国会から始めまして。  なお政府におきましての労働対策のみならず、われわれといたしましては、関係業者、各炭鉱経営者に対しまして、自分らの範囲内で、できるだけの離職者に対して職を見つけるように、また、関係会社のみならず財界全体として、これが対策を講ずるように慫慂いたしておるのでございます。
  47. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 という大臣の御答弁なんですが、現実問題は、そう簡単でないわけなんです。  ということは、今問題になっている三井三池等におきましても、これは大臣御承知の通り、あそこは、日本で一番失業者のいるのが福岡県で、福岡県の中で、一番失業者の多いのは、今争議をやっている大牟田市なんです。そこには五千人も六千人も失業者がいる。日本一である。そういう現実を見ているのであるから、やめていきなさいと言われたら、労働者がますます怒るのは、これは当然のことなんです。従いまして、大臣お話通りにやっていればいいけれども、なかなかそうあまいものでないから、私ども心配しているわけなんです。  それでしつこくお尋ねするわけなんですが、やはり具体的に、これを一体どうしようか……。話を聞くところによると、これは十一万人首切ると言っているのですが、そんなに多量の人が馘首されるかどうか別として、それをどこに収容するか。十一万人そっくり持ってくるという政策でなくても、単なる失業対策だということだけでは、私はやっぱり政府の政策として何か足りないような気がするわけです。ですから具体的に、私、大臣と政策論争でなしに、それをどうするのだという、簡単なお答えでけっこうなんです、それを承っておきたい。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほどお話し申し上げましたごとく、さきの臨時国会で離職者の対策を講じまして、それによって実行いたしておるのでございます。話を十一万人首を切るのだなんという、そう大きいことでなくて、私は将来離職される人は中小と大手を通じまして六、七万人と考えております。九万とか十一万というのは、これは昭和三十三年度を基準にしたあれでございまして、今後におきましては、私は六万数千人ぐらいと見ておるのでのあります。  従って離職者に対しましては、臨時の就労対策とかあるいは職業補導等々離職者の予定者が、これにはまってくるように、一応の案を立てておるのであります。しかもそれと別に、先ほど申し上げましたように、関係者の方で離職者の対策を講じてもらい、また財界全般としても、一つ考え願いたいということをわれわれ申し出ておるのであります。  たとえば合理化の問題でも、二十億円ぐらい出して千二百円下げるとかいうようなお話でございますが、二十億円だけの問題でいっているのじゃございません。今後三十八年までに千数百億円の金を入れる、しかもまだ稼動していない、二、三年前からやっておる縦坑も働き出す、こういう全般的のことを考えて、通産省としては計画を立てておるのであります。
  49. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 千数百億の金を出すということなんですが、二十億円というのは、これだけのこの法案についてであるが、千数百億の金を出す——僕の聞き違いかもしれませんけれども、今の大臣の御答弁は、そういうことですか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今後炭鉱の開発に持っていくものは、各社のいわゆる償却予定額が多分七百数十億、それから、銀行からの借り入れが五百億一円、それから三十八年度までに政府がただいま予定いたしておるものは、今年度は二十数億円でございますが、全体では百五十億ばかりを予定いたしておるのである。これが新坑の方に向けられる金額であるのであります。しかも今まで各炭鉱が縦坑を掘って——稼動しているものもありますが、これからどんどん稼動していく、こういうことを考えて、千二百億円ということを考えておる。  しかもそのうちには、流通面においてどれだけ下げられるか、そうしてどういうふうな流通面の改善策を講ずるかということも、ただいま検討いたしておるのであります。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 池田さんが大臣になってから、検討中々々々であるということで、何度もしっこく、きらわれるほどお尋ねしているのですが、検討中ということで、検討しておるから答弁ができないというのであるならば別刷題ですけれども、いい、悪いは別にいたしまして、千二百円下げるなら下げると、それはいいでしょう。従って、最前、局長から御答弁をいただきましたが、大体どういうことで下げるのかという、もう少し具体的な話を承っておきたいと思います。  それと同時に、もう一つ大臣の今御答弁がありました二十億ばかりではないということは、今おっしゃった数字は、合理化事業団ですか、その手を通じてやるのでなくて、大臣のおっしゃる金額は、各会社々々が自分の持てる銀行なり、あるいはほかの政府の手を経ないで、自分の独自の力で融資を受ける金額も含んでいるわけですか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は検討中ということは、臨時国会で石炭対策をいわれましたそのときは、検討中と申しました。今度は、石灰対策は案を出しましてから、決して検討とは申しておりません。それから流通機構につきまして検討中と申しましたのは、これは北海道から石炭専用船を作って持ってくるか、また若松、唐津、刈田の方からも、それによってやるか。流通面につきましては、今石炭関係委員会に諮問し研究を願っておるのでございますから、検討と言っておるのであります。私は政治家として検討で逃げようとは思いませんが、きまらないものをこうだということは言えませんので、申し上げておる次第でございます。  なお今後、合理化資金の問題につきましては、先ほど申し上げましたごとく、各会社の償却によって、浮いてくる償却引当金によってやるのが七百数十億、そうして開発銀行あるいは関係の銀行から借り入れるのが四百数十億——五百億になるそうです。これは今の炭鉱会社自身が償却の分と、またそれ以外に開発銀行からの借り入れ、市中銀行からの借り入れ、それに加うるに政府が三十八年までに百六十億円程度の財政資金を出していく、そのしょっぱなが二十億円で、これは事業団を通じて貸し出すわけでございます。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その点はわかりましたが、そこで、お尋ねしたいことは、その四百円の中身はわかりましたが、これは局長でもけっこうですが、炭鉱経営者の諸君が言っておる八百円の下げられるであろうという計画書を、これは大まかでけっこうですからお尋ねしたいのと、もう一つは、その通商産業大臣——一万人くらいということにはならぬだろう、まあ五万か六万だろうというお話でしたが、それをその通りと承って僕としても……。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 五万とは言いません、六、七万と言いました、六万と言ったのです。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ですから、僕は五万か六万と言いました。
  56. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、はっきりしてもらわぬと困りますからね。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そういう話を承ったので、おそらくそれだけの人間が、石炭従業員でなくなるということになれば、よもや昨年できた援護会法だけでは、とても助かるということは、通商産業大臣といえどもおっしゃらないと思うので、もう少し労働省とでもお話し合いをなさったその内容でも——どうするかということを承っておきたいと思うのですがね。
  58. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 千二百円の下げる内訳でございますが、四百円は、先ほど来申し上げたわけでありますが、まず三十三年度の送炭可能原価が四千七百二十五円であったわけであります。これを内訳で申しますと、物品費が九百五円、労務費が二千四百二十七円、経費が千百三十七円、それからいろいろ償却が三百五十七円、控除額が二百二円、本社費が二百三十三円、支払い利子が百四十五円、そのほかに副産物の売上高といって、逆に控除する部分がやはりありますが、出炭総原価が四千六百四十五円、山元の消費、山元でたきますものを差し引きまして、外へ送り出すもの、送炭可能原価が四千七百二十五円ということになっておるわけであります。  これは、先ほど申し上げました切羽の工数が大体三〇・一あったわけでありますが、この三〇・一を機械化することで二一に減らす。掘進の五・七を一〇・二に、維持管理の一七・一を一〇・二に、運搬の一五・四を九・一に、坑内一般一八・九を一二・一にするということで、坑内計で九七・二から六三・六にする。坑外におきましては、運搬が五・二から二・二に、選炭が五・一から二・六、その他が坑外関係で二〇が入・七ということで、トータル三〇・三が一三・六。それでございますから坑内外計で一二五・五が七六・二になり、本社関係、いろいろな事務関係二三・五を九・六ということにいたしまして、それに付帯事業、起業関係というものを全部トータルいたしますと、最終のグランドトータルが一五七・五を八八・八にするということで、いろいろ計画が立てられておるわけでございますが、この結果、大体物品費が九百五円から六百六十三円に、労務費が千九百十七円に、経費が千二十三円に、償却が三百七十二円に、控除額が百八十二円に、本社費が百六十五円に、支払い利子が百五十六円にということで、出炭総原価が三千七百四十二円に下がるわけでございます。  で、その際の山元を除きました送炭可能原価は三千七百九十円、大体、これが八百円というときの会社の方で考えておりましたコストの低下状況でございますが、これを非能率炭鉱の整理を促進するということと、高能率炭鉱を作るということで、一番コストの高い部分を切り捨てコストの安い部分の作り方を急ぐということをやる結果、大体送炭可能原価が三千六百円程度になろうかと、こう思われるわけでございます。そこで約二百円下がりまして、あと流通面の合理化その他で二百円下げるということで千二百円下げたいというのが、合理化の一応のわれわれの計画でございます。  それから失業者関係のことでございますが、これは先ほど大臣から申し上げましたように、臨時国会で離職者対策臨時措置法を作っていただきまして、緊急就労事業あるいは広域職業紹介あるいは職業訓練の強化ということをいろいろやっていただきました。特に援護会を発足せしめまして、今具体的な活動に入ったわけでございますが、たとえば三十一年度につきましては、昨年三十四年度からの繰り越し分一万三千人分ばかり含めまして、三十五年度中の要対策者を三万一千名程度というふうに労働省では算定したわけでございます。  で、これを、たとえば職業紹介の強化で三千人、広域職業紹介を促進することで四千人、公共事業への吸収で二千七百人、それから職業訓練所、これは御承知のように大体訓練所を卒業しますと、ほとんど百パーセント就職しておるわけでございますが、この職業訓練関係で六千人、それから炭鉱離職者の緊急就労対策毒業、昨年の臨時国会で創設せられましたこの制度で七千五百人、それから鉱害復旧事業、これはやはり昨年から非常にふやしていただいておりますが、この関係で二千八百人ということで、こういたしますと、大体二万七千人程度になるわけでございますが、あと四千人ばかりのものは、一般失対事業で吸収するということで、一応三十四年度からの失業者であって対策を要する分、それから三十五年度に離職のやむなきに至って、しかもその中で対策を要する分というものを合わせました人数に対して一応政府といたしましては、労働省、通産省並びに関係各省が、全部協力いたしまして、今のような吸収計画を立てたわけでございます。  さらに三月の二十八日に、日本の主要産業ほとんど全部を網羅いたしました炭鉱離職者の雇用対策中央協議会というものができておりまして、炭鉱から出てくる離職者を業界の方でも、一つ積極的に受け入れるという努力をしようということで、その離職者対策中央協議会の支部が、各地に目下作られつつございます。われわれといたしましては、この会のそういう積極的な受け入れの計画というものともにらみ合わせながら、官民協力いたしまして、合理化の過程に離職のやむなきに至るお気の毒な方々については、万全の援護措置を講じていきたいと考えております。
  59. 栗山良夫

    栗山良夫君 関連して。私も、石炭合理化の問題は、いずれ日を改めていろいろお尋ねしたいと思っておりますが、その前に、石炭の合理化のやはり一番基本点が、この法を審議するときに具体的に明らかにならないというと、せっかくこういう措置を講じましても、結果においては、絵にかいたもちに終るということになっては、一石炭企業の不幸であるばかりでなく、日本の経済界としても非常に不幸なことになりますので、そういう点を明確にしたいと思いまして、従いまして、その意味で、以下申し上げまするようなことが、十分に資料的に提出を願って御説明いただけるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。  その一つは、ただいま千二百円、炭価を三十八年までに引き下げる、その具体的な内容等についての局長からお話がございましたが、問題は、千二百円、三十八年度までに、今計画通りに引き下げることができた、こう仮定をいたします。できた場合に、その千二百円の今目標になっておるのは、相手は重油でありまするから、液体燃料でありまするから、その液体燃料の方の価格というのは現状のままでいけるのか、あるいは上がるのか下がるのか、その見通しが私は非常に重要だと思います。せっかく千二百円、三年間に努力して下げたところが、重油がまたと下がったというのでは、これは問題になる、これが非常に問題でありますから、その点を、これは国際カルテル的なものでありますから、国際市況というものを十分分析せられて、そして資料的にまとめられるならば出していただきたいということが一つ。  それから、もら一つは、先ほど大臣もおっしゃいましたが、合理化のためには、いわゆるあなたのおっしゃるあの手この手を使って金を集めるのだ、こうおっしゃいます。われわれが、いろいろ常識的に伺っておるところ、おそらく二千億円ぐらいの資金が要るだろうと言われている。そういう資金というものが、はたしてこの石炭企業の合理化のために確保できるかどうかということが一つ問題だと思う。それで、資金需要の非常に旺盛な今日におきまして、今の千百円の炭価引き下げを目標に進んだ場合に、はたしてそれで、液体燃料と対抗できるかどうか、そこが明確になっていないのに、そういう企業に対して、今の金融機関が、膨大な資金に対して手当をするかどうか。こういうことが、私はまだ一つ疑問として残るわけであります。この点も一つ明確にしてもらいたい。具体的にどういう工合にして資金を集めるのだということですね。  それから、最近ちらほら工業新聞等にも出ておりますが、石炭企業は、企業立て直りのためにLPGその他あるいは化学工業等を含めまして関連事業と申しますか、付帯事業というものに進出をして、石炭工業の経理面の再建に乗り出したいという動きがたくさんあります。  そういたしますというと、そういうら資金というものが、現在マイニングの方だけの合理化ですら、それだけの金が要って、しかも資金手当というものは非常に困難だと私は見ている。それにさらに、そういう仕事に要する資金というものは、どうして出てくるのか、そこに私は非常な問題を一つ持っている。  それから、第四点は、先ほど阿部君もちょっと話、触れられておりましたが、国をあげて石炭の合理化をやる、物心の両面から協力していくということであれば、雇用の問題ももとよりトップ・レベルで配慮をしなければならぬ問題でありまするが、そういうことであれば、今のその完全な私企業であり、私有財産的な扱いを受けておるこの石炭企業そのものを、やはり国民の前にガラス箱に入れて示す必要があるのじゃないか。企業そのものは、あくまでもカーテンの中に包んでおいて、そうして、必要なものだけ国が手を差し伸べる、そういうことでは、やはり国民の立場からすれば、ちょっと理解しにくい点がある。そういう工合に、これは強要をするということは、現在の日本の経済体制からいえばできないかもしれぬが、鉱業権者の方は、それくらい裸になり得る状態にあるのかないのか、裸になって石炭全業というものを一応投げ出すという言葉はおかしいですけれども、これは地下資源でありますから、やはり国の重要な資源でありますから、それを日本産業に貢献さしていく。今ではとても企業をやっていかれないから、あらゆる措置を国が一つ応援せられたいと、そのかわり自分たちは、ガラス箱の中に入れてお目にかけましょうと、そこまでおりてこられないというと、これはなかなかやりにくい問題ではないか。かりに千二百円下げた、そのとき、また重油が下がった。さあ、その次にそれじゃ、もう一ぺん国が手を打ってくれというようなことになった場合、そのときには、私は国民はもう協力できなくなるだろうと思うのです、今度は目をつぶって協力するにしても。  だから、そういう意味で、今四つほど基本点を申し上げましたが、そういう問題を専門的に研究なさった通産省でありますから、おそらくいろんな条件を分析されて結論をお持ちだと思います。そういうものを当委員会に、ぜひ提示を願いたい。こういう工合にお願いをいたしたいと思います。
  60. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) ちょっと……。必要資料は、これはできるだけ作って提出するということにいたしたいと思いますが、まず第一点の原油あるいは重油の価格の推定というものは、これは産業合理化審議会のエネルギー部会というのが、通産省に前から設けられておるのでございますが、そでこで検討いたしましたときの数字が、大体現在九十七銭程度が、今後四、五年ぐらいの間に九十銭程度に下がるであろうということをきめているわけでございます。これは将来のことでございますので、これは、こういう理由だから、こうなるといったことはないのっでございまして、各方面の方々が、ずっと御検討なさった結果、大体まあ三十八年ないし四十二年ということを考えた場合に、九十銭——九十七銭現存しているのが、九十銭ぐらいになるというふうに見るのが、一番すなおな見方じゃないかというふうな御判断を下だしていただいておりますので、これを一応、われわれとしてはものさしにしたわけでございます。  御承知のように、石油の価格というのは、どうも石炭よりも若干ずつ下げるというのは、これは石炭の値段と見合いながら下げているといったような傾向等もございますので、大体ある程度高く売った方が、これはいいわけでございますので、重油の方は下げる余地は確かにあるかもわかりませんが、今までの傾向は、石炭の値段を見ながら、メリットその他を換算すると、重油の方が得だという程度のところまで大体値段を維持するというような格好もございますので、今後、国際不況カルテルという、そういうようなものと、それから新しくいろいろな民族資本の石油というものとの勢力関係がどうなるかということによって、若干違うかもわかりませんが、一応われわれといたしましては、石油の方も、石炭の合理化の伸展の度合いを見ながら、いろいろな対策をすべきじゃないか、さしあたりの石炭は、九十銭というものを目標に合理化を進めていきたい。御承知のように、石炭は従来価格が非常に割高であるということと、供給が安定を欠いているということから、非常にお客さんからきらわれて参りましたので、もしこの千二百円のの引き下げ、これは石炭にとっては非常に容易ならぬ困難なことでございますが、その困難をも労使の協力、金融関係事業者の協力のもとに達成することができるということになりましたならば、これはそのとき、若干割高ということでも、やはり安定したエネルギーを確保したいといったような気持から、お客さんの方も、今の石炭に対するような風当たりということは、相当に緩和されるだろう、やはりその際には、国産エネルギーというものに対する見方というものを再認識していただけるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  それから資金確保の第二点でございますが、実は、これも産業合理化審議会の資金都会、これは関係金融機関方々も、皆さんお入りになってやっておるわけでございますが、大体資金都会では、御了承をいただいております。ただ現実の問題として、非常に一般金融機関が金を出すということがむずかしい、渋るという点は考えられますが、そういうこともありますために、この際、今御審議いただいております法律によって、新しい特別貸付金の制度を創設して、将来石炭の中核となり得ると思われるような高能率の炭鉱につきましては、政府資金を出す。で、その政府資金を一種の誘い水というようなものにも使うことによりまして、民間資金を誘導していくといったような方向に持っていきたい、そういうふうに考えて、今この法案を御審議願っているわけでございますので、資金確保の点、これは確かに一番大切な点でございます。  政府といたしまして、今後できるだけPR等もいたし、関係金融機関に協力を求めるということにいたしますが、全例の特別貸付金制度を活用するということによりまして、できるだけ所期の目標を確保していきたいと考えております。  それから第三点の付帯事業の関係でございますが、これは大体付帯事業と申しましても、ほとんど別会社という形でやっているのが多いわけでございます。別会社でございまして、これは非常に皮肉なことでございますが、これは笑い話程度のところで、苦笑している経理部長なんかもおるわけでございますが、石炭会社が、石炭に使うなら金を貸さぬけれども、まさかこれは、傍系会社がセメントに使うのだ、あるいは船に使うのだといっておいて、炭鉱につぎ込むんじゃないでしょうな、といったようなことを言っているような、金融機関の、冗談を言っている人もおるぐらいで、実は、こういう付帯事業の方が、金が借りやすいというのが現状の格好になっておるのでありまして、ただ今まで、こう大きくなって、新聞にははでな一部のものが出ておりましたが、そう大きな付帯事業は、実は今やっているものはございませんで、セメント関係あるいは船関係あるいはガス関係というあたりに、投資しているといったような実態でございます。あるいは一部不動産を持っているところが、不動産だけ切り離して、別会社にした。しかしこれは、自分のところから離職する人々を、むしろそういう新しいほかの用途に吸収しようというような計画で立っているものが大部分のようでございまして、石炭が金を借りにくいのに、ほかのところまで、とても手が回らぬじゃないかという点は、まずは御心配ないというふうに申し上げていいのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから経理の公開とはおっしゃいませんでしたが、ガラス張りの中に入れろというお話があった。これも、今度の特別貸付金の制度に関連いたしまして、たとえばこういう特別の無利子、長期という政府資金まで借りるという以上は、あくまでも石炭鉱業合理化をすみやかに達成して、日本産業の基盤を確立するに役立つように、できるだけ迅速に、そういうことがなるようにということを目的にやっているわけでございまして、これはあくまでも会社のやはり体質、石炭企業自体の体質改善ということに資さなければならないと思われますので、償却等も、普通償却のみならず、十分な特別償却の制度が認められるものについては、特別償却までやって、将来の変動等にたえ得るだけの体質を強健にした上でないと、配当はしてはいかないといった趣旨の制限は加えるつもりでおります。  そういう十分な経理をやり、払うべきものは全部払い、積み立てるものは積み立てるということをやった上でないと、みだりに社外流出を認めない。このために必要な経理監査は、政府でも行なうということを建前にしておりますので、大体この御趣旨の線に沿いまして、十分に経理監査は進めていきたいといったように考えております。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の点はいずれ、もう少し詳しくお尋ねいたしますが、局長の今のお話の中で、もう一ぺん反論というわけじゃありませんが、言葉を返しておきたいのは、今のあなたの言葉の中に、資金確保の問題で、関連事業の方は借りやすい、それなら心配要らないとおっしゃったのですが、私は、心配するともしないとも申し上げていないので、関連事業に金が出て、本体の方に出ない状態になっているのが問題だと言っているのです。それは、まあ釈迦に説法ですけれども、資金というものは、採算と利潤を求めていくわけですからね。本体の方にその可能性がない、関連事業の方に、その可能性が大だということは、そちらに流れることは、当然のことなんです。そういうことが石炭事業の中にあることが問題だということを指摘しているわけです。そういう意味で、安直にものを並列的に考えないようにしてもらいたいということが一つ。  それからもう一つは、千二百円の炭価引き下げについて、液体燃料はどうかといって、私がお尋ねいたしましたのは、これは今の日本の液体燃料というものは、非常に何といいますか、へんぱな価格体系で、ガソリンの方が安くて、重油の方が高いのです。こういうばかな価格構成というものは、実際ないわけです。ほんとうからいえば、ガソリンが高くて、重油が安くなければならぬ。ところが重油の方は石炭との見合いにおいて高くなっている。これは、だから裸にしたら、うんと下がります。だからその裸の値段というものを、一ぺん示してもらいたいということを、われわれは言っている。しかし石炭を保護するという建前からいえば、千二百円、三年間努力しているのに、その努力期間が終末したところで、また原油がずっと下がったということは、石炭企業にとってみれば、善意に解釈すると踏んだり蹴ったり。そういうことはよろしくないから、そこで政府は千二百円下がったときには、液体燃料に確実に対抗し得ると、そういう政策をお持ちであるかどうかということを、私はお尋ねしている。関連政策でいくというようなこと、あるいは愚策かもしれませんけれども、もし三年後に千二百円石炭を下げた、原油の国際価格が下がったというときには、関連政策でもってでも、これは保護する、十分に液体燃料と石炭とは対抗し得るのだ、対抗させるのだと、そういう強い政策というものをお持ちかどうかということを申し上げている。かりに等価になっても、石炭を置く場合、燃やすのには、人は要る、灰は出るというので、重油より扱い的には不利益なことは、これはもう私が言うまでもない。それでも、なお国産資源だから、みなが協力して使っていこうということであれば、やはりせめて価格だけでも——そこまでは、国が政策的に保護するかどうかという問題が出てくるわけです。  そういう点について、われわれの納得のいくような御説明を願いたいし、それはわれわれにしていただくというよりも、産業界に向かってせられるべきである、鉱業界に向かってせられるべきである、金融機関に向かってせられるべきでにある。そうして所要の資金が完全に確保できれば、そうしてほんとう意味の合理化ができてくるということであれば問題ございませんが、今の動きは、どうもちょっと隔靴掻痒の感があるので私申し上げた。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭産業育成といいますか、あるいは維持と申しまするか、これは雇用の問題からいっても、国内資源の開発の問題からいっても、あるいはまた国際収支の点からいっても、ぜひ確保しなければならぬ一番大きい問題であるので、従いまして今お話通りガソリンと重油との格差が、各国のそれに比べて非常に逆になっておるということ、局長答えておる通り、石炭の値段を見ながら、まず重油の値をきめていく、ガソリンはあとからという関係になってくるから、こういうことができておるのであります。しかしこの問題は、将来もずっと続いていくと思います。この審議会の方針通り、大体一割足らず下がるものと計算を今のところするよりしようがありません。  今後、原油はどうなりますか、重油がどうなりますか、推移を見なければわかりませんが、私は、先ほど申し上げましたように、石炭企業というものは、ぜひ確保しなければならぬ、これは私としては、絶対の命題であるのであります。  先般、アデナウアーがこられたときに、たまたまこの問題が出ましたが、アデナウアー首相は、ドイツとして石炭の確保というものは至上命令だ、こういっておられましたが、はたせるかな、いろいろ問題はございましたけれども、上下両院の話によりまして重油に対して三年間三十五マルクの課税をするという、初めは三十マルクで、大体、四割程度の課税のようでございました。二十五マルク三年間ということで話がきまった。二十五マルクと申しますと、三割近い課税ではないか、これは、私はドイツの政策がいいか悪いかということは、今批評は差し控えますが、西ドイツとしては、そういうふうな決意をいたしておるのであります。私は国際収支の点からいっても、それに似たような政策を今後とるべきじゃないかということを心ひそかに考えている。今重油をどうするとかこうするとかいうことを申し上げるのは早いのであって、これは重油というものも、石炭と同様に、産業のもとをなす、物価をきめる重要な資材でありますので、今申し上げられませんが、私は石炭企業の重要さということを、だれにも負けずに考えておるのでございます。従いまして、これで万全で一つも譲らぬとは申しませんが、やはり石炭企業の合理化と、片一方では、世界の経済情勢等々がございますので、とにかくその場で今申し上げましたような考え方で善処していきたいと思っております。
  63. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  64. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をつけて。  暫時、休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕