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1960-05-11 第34回国会 参議院 商工委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十一日(水曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            岸山 幸雄君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            椿  繁夫君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    法制局第三部長 吉国 一郎君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   法務局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   ————————————— 本日の会議に付した案件 ○商工会組織等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、商工会組織等に関する法律案及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の二案について審議を行ないます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を起こして。  まず、商工会組織等に関する法律案を議題といたします。  政府委員より資料についての御説明をいただきます。
  4. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 昨日、栗山先生から資料の御要求がございまして、とりあえず商工関係、これは通産省所管以外のものでございますが、商工関係につきまして、名称使用独占規定のある法律を拾い上げたわけでございます。  で、この一番初めに輸出炭取引法というのがございます。関係条文として、十条、四十五条と書いてございますが、初めの方に書いてあります条文は、こういう名称は使っちゃいかぬという規定でございます。それから二番目の四十五条の方は、それに対する罰則規定でございます。  それから、その次に、日本貿易振興会法が書いてございまして、六条、三十八条、付則八条と書いてございますが、これも一番初めの六条はそういう名称を使っちゃいかぬという規定でございます。三十八条はそれに対する罰則でございます。付則八条の方はそういう名称を使っておるものは一定期間内にその名称を変えろという規定でございます。  法律の立て方が二色になっておりまして、名称独占規定罰則だけの法律と、名称独占罰則並びにその名称変更付則規定を書いておるものと、この二つの形がございますので、そういうことになっておるわけであります。  それから名称を変えろという場合には、それぞれ経過明間が六ヶ月ないし長いもので二年というその期間の間に名称を直せと、こういう規定に相なっておるわけでございます。  それから罰則はこの刑事罰の場合もありますし、行政罰の過料の場合もございます。いろいろございます。  大体、簡単でございますが、以上でございます。
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  6. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それじゃ、始めて。  それでは、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 長官に伺いますが、ただいまのこの商工関係名称使用独占規定のある法律の中で、たとえば商工会議所法のように、名称使用独占規定しておるが、しかし特別の措置をただし書きで書いてありますが、そういうものは幾つありますか。そういうものはありますか、ありませんか。
  8. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 独占規定を置きまして、ただし許可を受けたときはいいという規定がございますのは、商工会議所法とそれから何番目になりますか、まん中からちょっと左側でありますが、日本科学技術情報センダー、しまいから十二番目でございますが、日本科学技術情報センター、この二つ以外にはちょっと今正確にまだ調べておりませんので……。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから重ねて伺いますが、この名称使用独占規定を設けた法律施行済みになってから、同じ名前法施行以前に使っていたものについて取り消しをするのに経過期間を定めて強制をしておるわけでありますが、この説明を見まするというと、経過期間を定めたものはずいぶんたくさんありまするから、従って取り消しを強要したものがたくさんあるということが言えるのでありますが、実際に取り消しをさせたものは、これだけたくさんある法律のうちで、どの法律で、どのくらいであるか、これはわかっておりますか。
  10. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 実は法律施行、成立の年限その他がいろいろございますので、そこまで詳しく全部洗っておりませんが、一番われわれの関係の、仕事関係もありますのではっきりしておりますのは、信用保証協会、これは従来からこれも任意発生的な信用保証協会というものが一応できておりまして、あるものは財団法人あるものは社団法人でやっておったわけでございます。それを昭和二十八年に法制化いたしまして、その上に中小企業金融公庫を作りまして、その下働きのような形で仕事をやってもらっているわけでございますが、この協会で新しく法律を作りまして名称禁止をしたために、従来使っておった名称を変えざるを得なかったという協会がございます。あとは一々当たっておりませんが、たとえば個人的な技術士法、これは個人の問題でありますが、技術士という名前を使ってそういう仕事をしておった者は相当多数あったのではあるまいか。それから中小企業団体組織法あるいは中小企業等協同組合法商工組合とかあるいは協同組日組合という名前を使っておったものは想当あったのではあるまいかと想像されますが、まあある程度個々の問題でございますので、実例がどのくらいあるかというようなことは、実は調査を進めてつかんでおらないわけでございます。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 その中小企業団体組織法ですね、そこで規定した商工組合というのが名称変更強制規定があったわけですが、これはおおむね幾つぐらいあったかわかりませんか、この名称変更を強要された組合というのは。
  12. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 三十二年のことでありまして、当時のそこまで調べた資料はちょっとないと思います。これは例の安定法によります調整組合という名前でやっておったのが変わったわけであります。あるいは商工組合という名前を使ったものはそう必ずしも多くないかと思います。そこまで調べておりません。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、今のお話をずっと集約してみまするというと、今まで少なくとも法となったものは、名称使用独占規定を一応設けたけれども、しかしそれは将来類似のあるいは同種の名称を使われたのでは行政運用上困る、従って将来にわたってそういうものは使用せられたくない、そういう意味できめたのが主であって、既往の名称使用についてはそう大して迷惑も及ぼさなかった、実害は与えなかったという意味に私は解釈できると思うんです。ところが本法による名称変更の強要を受ける人は、政府説明によるというと、任意団体でおよそ二千六百、そのうちで民法による財産登記を完了しているものは百十数件、こういうことでありますから、この少なくとも任意団体を含めた二千六百をこえる組合のことはもちろんでありますが、その中でも民法規定によって登記を完了して今日まで経営をして来た社団法人に対して名称変更強制するということは、これだけたくさんな団体強制をするということは、おそらく政府が今までとってきた名称使用独占の慣習からで、従来あまり問題にされなかったことであるが、このたびのようにそこまで民権を広範に侵害するものであれば真剣に考えてみる必要がある、こういうふうに私は今ここで頭を整理したわけです。  そこでまず法制局の第三部長吉国一郎君がおいでになっておるようでありまするから、今お聞き及びのように、民法保護をされておるようなはっきりした法人に対しても、その名称をこういう一斤の法律を作り、一つ規定変更を命ずるというようなことがはたして妥当であるかどうか、どういう法的根拠によってさようなことが行ない得るのか、しかもこれに対して罰則をもって臨むというようなことが果して妥当であるかどうか、こういう点に多大のわれわれは疑問を持つのでありますが、その点について詳しく一つ経過説明を願いたいと思います。
  14. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 内閣の法制局吉国であります。ただいまの御質問にお答え申し上げます。  お手元に通産省から提出いたしました名称使用独占規定のある法律の例にございますように、従来特別法による種々の法人につきましては、名称使用制限規定を設けておるのがほとんど例外なしに見られるわけでございますが、そのような名称使用制限規定を設けましたゆえんのものは、そのような特別の法律によります法人と、他の団体との混同あるいは誤認を防ぎまして、取引上第三者を保護するというのが立法趣旨でございますが、名称使用制限は将来そのような名称使用することを制限するのみならず、現にその名称使用しているものに対しても、この付則にありますように一定猶予期間を経過いたしましたあとは、その名称を改めなければ罰則を課せられるという意味において一定の拘束を生じまして、将来ともその名称使用する場合には罰則をこうむるということになるのでありまして、その限りにおきましては、社会的、経済的に一定の制約を与えるようなことになるわけでありますが、この立法政策といたしましては、当該特別法による法人でないものが、この法律によりますと、たとえば、商工会に関する法律でございまするならば、商工会という名称使用することが公共福祉に反する結果を生ずるという点にあるのでありまして、また経過的にはこの法律では三年間の猶予期間を認めておるものでございまするから、憲法二十九条の第二項でございまするように、権利内容法律に従って定められるという趣旨に照らしまして、既得権利利益を不当に侵害するというものではないと私どもは考えた次第でございます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 憲法は、今おっしゃった憲法というのは二十四条ですか。
  16. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 憲法の第二十九条の財産権規定でございまして、その第二項で「財産権内容は、公共福祉に適合するように、法律でこれを定める。」という規定がございますか、これによりまして、この財産権というのは非常に広い意味でございますが、法律上、民法上の権利というに価しない一定法律しの地位というものまで含んでおりますけれども、その内容公共福祉に適合するように法律で定めるというのが憲法第二十九条の意味でございまして、この場合は商工会というものが、商工会組織等に関する法律によって設けられるその商工会とは異なる団体商工会という名称使用することが、本来の商工会組織等に関する法律に基づいて設立せられた団体であるかのごとく誤認混同を生ずるということは適当ではないということから、そのような名称使用制限するというのが公共福祉に適合するという考え方でございます。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますると、たとえば本法で今制限を加えようとする商工会という名称既存団体使用していたという場合に、その名称というものはやはり今あなたのおっしゃったところによると、憲法二十九条が定めておる財産権だとみなしてよろしいと、こういうお説と伺いますが、その通りですか。
  18. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) ある団体一定名称使用することによりまして、一定法律上の利益を受けておる場合がございますれば、その法律上の利益を受けておるという地位は一種の財産権考えてよろしいと思います。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 たとえば民法による社団法人登記を完了しておるものは、確かに民法保護を受けておるわけでありますから、それでけっこうです。ところが任意団体でも商工会という名前を長年使って、それによって一つ経済行為をずっと行なってきたということであれば、これもやはり私有財産とみなさなければいけないのではないのですか。
  20. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) その団体法人格がありますると、あるいは法人格を有しない事実上の団体でございましても、社会的経済的に一定の機能を営んでおりまして、社会的な実在と認められる限りはやはりその名称使用しておることに伴いまして一定法律上の地位を持ち得るわけでありますから、それが財産権的なものになるということは十分に考えられるところであろうと存じます。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは参議院の法制局長はどういうお考えでしょう。
  22. 斎藤朔郎

    法制局長斎藤朔郎君) 多少説明は変わるかもわかりませんが、ただいまの栗山委員の問題にされております点を私の考え方から説明をいたしますと、既得権、まあ広い意味既得権というものが立法政策上どういう程度に考慮されなければならぬかと、こういう問題に形を変えまして説明をいたしたいと思いますが、既得権ということ自体がこれは成文法で定義をしたものはございませんが、言葉の文字通りを狭く解釈いたしましたら、人がすでに獲得した具体的の権利ということになろうかと思いますが、それは結局沿革的に申しましたら、私有財産権尊重日本憲法で申しますれば、憲法二十九条の第一項の財産権不可侵原則、そういうものに狭い意味既得権尊重の法理というものが表われておると思うのでございますが、しかし、考え方によりましては、既得権という言葉はそう狭く解釈いたしておらぬ場合かございまして、法律上また事実上の地位あるいは利益、そういうものも既得権的に考える場合もございまして、そういうものを立法する場合にいかように取り扱うべきか、こういう問題につきましては、非常に明確な基準がなかなかないのでございまして、いろいろの法律の種類によって私は違うと思うのでございます。その一つの例をあげますと、刑事法分野では、すでに発生した法律上または事実上の地位尊重するという要請が非常に強いと思います。そのことを説明する前に少し根本的なことをつけ加えさせていただきます。  一体法律というものは、御承知のように、一方においては法的安定性というものを尊ばなければならないという要請がありますと同時に、他方においては合目的性要請もかなえなければならぬという、一見矛盾した二つ要請に従わなければならぬのでございまして、その法的安定性に重きをおく立場に立ちますれば、既得権を非常に広く尊重するという建前になって参りますが、合目的性という要請に重点をおいて参りますれば、既得権尊重ということはある程度犠牲にされる。こういう結果になってくるのでありますか、刑事法分野におきましては、法的安定性ということ一辺倒考えられておるわけでございまして、現にわが国の憲法におきましても、三十九条で、実行のときに適法であった行為は、あと立法では処罰できないという、いわゆる事後立法禁止憲法上の原則がございますが、これはもう実行のときに適法であればあとで処罰することはできぬのだという、刑罰法令遡及原則とも申しますか、これは広い意味既得権尊重のきわめて厳格な考慮だと思うのであります。その他刑法の分野では類推を禁止するというようなことがございまして、すべて法的安定性ということを非常に尊ぶ思想でございます。現に今国会にかかっております不動産窃盗を処罰するという場合に、不動産窃盗法律施行前に行なわれ、すでに違法状態が続いているときに同法を適用しなければ何にもならぬじゃないかという議論が一方にあるのでございます。合目的性からみた立法政策を貫くという精神から申しますれば、そういう意見は確かに傾聴に値するかもしれませんが、しかしこれは刑事法でございますので、刑罰法令遡及原則でそういうことはできぬというので、法的安定性という面一面で貫いておるわけでございます。しかし刑事法以外の法律分野を眺めてみますと、たとえば民事法規になりますと、そこのウエートが非常に変わって参ります。民事法規におきましても取引の安全ということは重要な一つのプリンシプルでございますけれども、民事法規におきましては、取引の安全ということ一辺倒でやっておりませんで、やはりそこに合目的性という要請が非常に入って参りまして、法律解釈におきましても、類推もいたしますし、拡張解釈もいたします。法規のない場合は条理で補充する、こういうふうに合目的性というものが非常に働いて参ります、  今度は目を行政法規、たとえば税法とか、あるいはただいま問題になっておりますような経済法という部面に向けますと、これは法的安定性というよりも、非常に合目的性という要請がむしろ強くなっておると言えると思うのでありますが、これは事柄の性質上、行政ということは時世の変化に従って適切な政策実行する必要がございますから、過去の状態ばかりを尊重しておったんじゃ適切な新しい政策ということはやれない。だから行政法分野においては、合目的性ということが非常に強く表われてくる、そのためには法的安定性ということはある程度犠牲にされるという一つの傾向が認められると思うのであります。しかし幾ら行政分野と申しましても、合目的性一辺倒で、法的安定性ということは考えないのかと申しますと、それはそうじゃないと思うのでございまして、やはりその行政分野でも既得権的のものは尊重しなければならぬ面も確かにございます。だから、そういうものは何かということを考えますと、やはりこれは、先ほど既得権のごく狭い意味で申しました、人がすでに獲得している具体的の権利、しかも相当それが強い権利であるような場合には、それは幾ら行政法規合目的性ということを強調しても、それを無視するということは許されないことかと思います。たとえば、同じ名称と申しましても、営利法人につきましては、この名称というのは、これは普通の名称じゃございませんので、商号として商法上きわめて強力な財産権として保護いたしております。これは商法保護規定はたくさんございまして、だから同じ法人名称と申しましても、営利法人についてはきわめて強い財産権として認められておる、こういうものを無制限制限するということは、幾ら合目的性見地からいっても、これはなかなか許されないことと思いますが、そうでない公益法人名称、あるいは民法上の任意組合名称というものは、現在の実定法上は、これは経済的の価値を云々するのじゃございませんが、私は経済的なことは存じませんが、少なくとも実定法上は営利法人商号のように強い財産権としては保護されておりませんので、それは一つの、先ほどもお話にありました、事実上の利益という程度考えるべきものかと思います。さような差異もございますから、行政法規のもとにおいてさような具体的の財産権として強い保護を受けておらないような事実上の利益保護をどの程度保護するかということは、これは違法かどうかの問題じゃなくて、むしろどの程度保護した方が妥当かどうかという、立法者のお考えによってきまることだと思うのであります。この法律によりまして、商工会の新しい仕事商工会または商工会議所がやることになり、同じ地域の中でそういう法律上の商工会または商工会議所がある場合に、それとまぎらわしいような名称が事実上行なわれるということを制限することが立法政策上必要なんだと、こういう立法者のお考えならば、その必要性が大であれば大であるほど商号ほど強くない程度公益法人または任意組合名称を、一定期間を限って使用を認めて、その後においてはその使用制限する、こういう程度制限立法政策としては必ずしも妥当でないとは言えないというような議論もできょうかと思いますので、結局は違法かどうかという問題、そういうものを制限すれば違法になるかもしれない商号権のような強い権利がある、財産権尊重見地からいって、あるいは違法というような問題も起こるかもしれませんが、それほど強い保護を受けておらないものについては、違法かどうかという問題じゃなくて、立法政策上妥当かどうかということできまるべき問題だと考えます。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 こまかくお話をいただきましてよくわかりましたが、まあ御両者の意見からいいましても、こういう名称というものはやはり憲法二十九条が保障をしておる財産権とみなすことができると、まあ内客はいろいろ軽重があるにしても、そういう場合の点においては御意見は一致しておると思います。そういたしますと、既存団体が使っておりました名称法律をもって制限をする、名称変更を強要する、あるいは名称変更に応じない場合はその団体を解散するということになる、そういうようなことを行ないまする場合には、同じ憲法二十九条第二項において、公共福祉のためにそれを行なうわけでありますが、その行なうために受けました私有財産の損害は補償しなければならぬということになっておりますが、そういうことにはこれは該当しないのか、任意団体、それから公益法人、いずれもですが、そういうことには当たらないのか。二十九条の第二項になりますかね、そこでは、公共福祉に適合するように定めることができると、こうあるんですが、しかしそれは強権でやるわけでなくて、私有財産については正当な補償のもとに公共の用に供する、こういうことになるわけで、その点の見解はいかがですか。
  24. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 憲法の第二十九条の第三項におきまして「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」という規定は、いわゆる公用徴収規定でございまして、たとえば、土地収用法によりまして、一般公衆の用に供する道路を整備するために、農地であるとか宅地であるとかというものを収用いたしましてこれを公共の用に供するという場合には補償が必要であるということをうたったものでございますが、現在問題になります点は、むしろ憲法第二十九条の第二項の問題でございまして、「財産権内容は、公共福祉に適合するように、法律でこれを定める。」という規定によりまして、たとえば、所有権内容というものは、民法によって、あるいはまた、鉱業法によりまして、鉱業権内容は定まっておりますが、一般的に、ある権利なり、法律上の地位なりの、法律上の態様、内容、効果というようなものを法律で定めるというようなことにつきましては、一般的な制限として、第二十九条第二項の財産権内容法律で定めるものであるとして、補償の問題にはならないというのが従来の考え方でございます。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 ですけれどもね、たとえば、民間で私有財産として持っていた、たとえば工業所有権を、国家がこれを公共福祉のために取得をしたい、こういうことになったときに、あなたの説によるというと、無償で国家か取得できるようなふうに受け取れるんですが、そういうことは不可能でしょう。やはり工業所有権であれば、所有権ですよ、これは。そういうものは、やはり適当な対価を支払うことによって、しかも相手方の了解を得て国が取得できるのであって、そこまで憲法は、公共福祉に、範囲を広めた強権というものは認めていないでしょう。
  26. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 今の栗山委員の御設例としておあげになりましたような場合は、当然憲法第二十九条第三項の問題でございまして、ある個別の私有財産に属する権利国家公共のために用いるという場合には、正当な補償が当然必要なわけでございまして、たとえば、自作農創設のために農地国家が買収するという場合に、これは正当な補償ということで、買収の対価を支払っておるわけでございます。その問題と、現在の問題は、商工会という名称使用しているものから、まあ先ほど斎藤局長お話がございましたので、権利というようなものはほとんどないと存じますが、かりに、権利とまで申しませんでも、一定法律上の利益を持っておるというものを、その利益国家が直接に公共のために用いるということになりますれば、これは収用の問題になりまして、憲法第二十九条三項の問題になると存じますけれども、今回の場合は、そのような、公共利益のために、あるAなりBなりCなりという特定の人の権利使用するというような問題ではございませんので、第三項の問題には該当しないということでございます。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 斎藤局長は、先ほど、刑事法は、合理的な安定性一本で貫いている。刑事法から、今度は民法行政法経済法、そういう工合に、だんだん合理的安定法から合目的性の方ヘウエートが移っていく。しかしながら、公益法人だとか、あるいは任意団体等においても、営利法人ほどには強い保護を強要をしないにしても、全然無視することはできない、こういうことをおっしゃったのですが、その限度はどの程度なんでしょうか。たとえば、ちょっとまだ言葉が足りませんか、たとえばですね、この困難な中小企業の組織化、経済活動を任意の人々か寄って、そして国家の庇護を、直接法的庇護を受けないでも、十年に近い間常々として築き上げてきて、そして自己の経営の有力なるうしろだてとして今日までやってきた、こういう実体である。またその中で、特に民法によって公益法人として登記をしておるようなものは、なおさらそのウエートは強いと見なければなりません。そういうものを、ただ生活あるいは営業に直結をしないで、一種の文化団体と同じような工合に見て——文化団体必ずしも軽視するわけにはいかないようなことだけれども、そういう工合に見て、そしてこの強制をするということには、少し行き過ぎな点がありゃしないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  28. 斎藤朔郎

    法制局長斎藤朔郎君) 私は経済上の知識がございませんので、確信のあるお答えはできませんが、先ほども申しましたように、民法上の法人として登記されておる場合におきましても、その名称というものは、営利法人名称、すなわち商号に比べて、非常に経済的と申しますか、財産上の価値は低いものじゃないかと思うのでございますけれども、そうなりますと、その既存利益保護はどの程度でいいかという政策諭につきましては、十分な自信のあるお答えはできませんけれども、今までの多数の立法にもありますような、一定猶予期間を置いて、その猶予期間内に名称変更をするような措置を講じていくということも、政策としては私は必ずしも非常に妥当を欠くものではないと思いますが、この表で見ましても、今度衆議院で法律案を修正された結果は、今まで前例にない、一番長い三年という期間になっておるようでございますが、これはそういう点も考慮された修正の結果ではないかというように一応考える次第でございます。  なお、憲法二十九条第二項については補償の問題は起こらないのだ、こういう内閣法制局側の解釈については、これは学説の通説でございまして、私どももさように考えております。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 この経過期間が三ヵ年になっておるとおっしゃったのですが、これは政府の原案でなくて、衆議院で一年を三年に延長したのですからね。政府のお考えはそれほどシビヤーには考えられていなかったということは、まあはっきりするわけです。この点はちょっと違うのです。  それからもう一つは、これだけたくさん独占規定がありますけれども、先ほども私が集約的に政府から説明を聞いて申し上げたように、少なくともこれらについては、法施行後、同じ名前を使われたのでは、法制上困る、そういう見地から使用制限をしたものが大部分である。で、二、三の例として、法施行と同時に、さかのぼってそういう名称使用していたものについて、名称変更等の制限規定を入れたものがあるのですけれども、実際に名称変更を強要せられたというものはほとんどなきにひとしいというようなものではないか、実態がそうです。これならば、実害は与えていないわけです。ところが、今度は二千六百も任意団体がある。その二千六百をこえる中には、百十数件の公益法人もあるということであるから、国民に与える影響というものは、今までの名称使用独占行政的な慣習では律しられないものがたくさんあるのじゃないか。それについては、何らかの措置を講ずる必要があるのではないか、こういうことを私は考えてお尋ねしておるわけです。ですから、まあ実害を受ける人の多少には問題なしに、法理論的にもちっとも差しつかえないのだということであれば、もうこれはわれわれの手の及ばないところであって、当時者が政府と公的に争う以外には方法がない。そこまでは申し上げませんが、こういう実際にそういうたくさんな実害を受ける人がいるのに対して、従来と同じ規定条文のうたい方で済ましていいものかどうか、この点、もう一度重ねて斎藤局長からお伺いしておきたいと思います。
  30. 斎藤朔郎

    法制局長斎藤朔郎君) ただいま栗委員の御説明を伺っておりますと、今までの例のものは、既存名称変更しなければならぬようになったものが数はむしろ少くて、今度のような非常に多数の数に上るような先例はないんだ、何千ともなる既存名称保護を従来通り程度保護では妥当ではないんではないかというような御趣旨についてのお尋ねのように考えましたりですけれども、われわれ法制局といたしまして判断いたしまする事柄には、違法判断と、それから妥当判断と二つございますが、法制局のプロパーの仕事として考えておりますのは、違法かどうか、こういう立法すれば憲法違反になるかどうかという立法の最低線を守られておるかどうかというところに議院法制局の一番大きな仕事がございまして、法律はそれなら最低線であればどんな法律を作ってもいいのかというと、それはそれ以上にきわめて妥当な法律を作ることが望ましいのでございますが、どういう内容が妥当かということは、これはわれわれ法制局の立案をやります事務的なものの言うべきことではございませんで、憲法違反でない最低線が守られておるかどうかということは、われわれは十分職責を尽くして判断いたしますけれども、最低線を越えてどの程度に妥当な立法をするかということは、むしろわれわれ事務屋の仕事ではございませんで、これは議員各位でお考え願わなければならぬ政策的の問題だと思うのでございまして、先ほど来何度も申しておりますように、結局政策的にどの程度保護を与えればいいかという問題でございまして、先ほど述べました意見以上に私の新しい考え方というものはございませんで、この程度で御了解を願いたいと思います。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、池田大臣にお尋ねしますが、名称使用独占の問題については今までそこでごらんいただくようにたくさんな法律に実例があるわけです。しかし今度のように既存のたくさんの団体に適用して、名称変更強制し、制限を既往のものに加えるという例はないですね。そのことは法理論としては今第三部長と参議院の法制局長に伺いましたから大体はわかりましたが、政治論としてはもう一歩事は中小企業者のことでありますから、慎重に配慮すべき点が残されているのじゃないかと考えますが、御見解はいかがですか。
  32. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 法律論としては憲法二十九条一項、二項、三項で御了承いただいたと思いまするが、次に政治論としては、私は今回の商工会の問題は、既存商工会をこれに吸収する、しこうして中小企業がこのためによくなるのだという前提のもとに考えておりますから、法律上違法でなく、また実際問題として数多い中の方々が、商工会という名前を今度法律に基づく商工会に移り変わるということを私は期待いたしておるのであります。ただ百数十の民法上の法人がどういう、すなわち地方にあるか商工会議所の設置されているところにあるか、これによってもまた違いまするし、問題は商工会議所に吸収されるところについて、たとえば東京、大阪等のところに商工会がありました場合に、これを改めるということにつきましてはいかがなものかという気も以前からいたしたのでございます。しかし、これはやはり中小企業全体のために支部その他を設けてやるのならば、そこに妥当性がないという結論も出ないのじゃないか。やはりこの際、前は一年と考えておりましたが、国会の方の御修正に同意いたしまして三年ならば移り変わりはうまくいくのじゃないか、政策論としても私は適当な措置考えております。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 それじゃ法律を作る立場にありまするわれわれから申し上げる言葉としては穏当を欠くかもしれませんが、その二千六百をこえる現在の商工会という名前使用しておる団体の諸君の中には、直接本委員会にも来られて、参考人として口述がありましたように非常に強い意思をもって反対をしておる。個人的に伺いますというと、六十六条によって「一万円以下の過料に処する。」と、こういうことになっておりまするが、過料に処せられてもなおかつ商工会という名前を使うのだと、過料に処せられてもこれは名前変更には応じない、こういう強い意思を表明している団体もあるわけです。そういうことになりました場合には、政府はどういう工合の処置をおとりになるでしょうか。これは法制局通産省と両方から伺ってみたい。一万円の過料を納めてもなおかつ商工会名前は変えないのだと、そういう強い積極的な意思表示をしておる団体もあるわけです。
  34. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この商工会という名称の問題につきまして、問題になる、従来からそういう名前を使っていたという団体の種類には三つの系統がございます。先般御説明いたしましたこの事実上の商工会、自然発生的にできておる事実上の商工会で大体やっておる仕事は今回法制化しようとする今の構成あるいは仕事内容等が、今回考えている商工会と似ているような団体の数が先般申し上げました二千六百五十七でございます。そのうち法人格を持っておりますのは百十二でございます。そこでそういうものは先ほど大臣もお答えになりましたように、大体この新しいものに振り変わっていく、この法人格を持っているのは大体都市部にはございません、大体郡部でありまして、そのまま新しい組織に移っていけるという種類のもので、これは大体問題がないと思います。それから商店街団体、商店街組合の中に商工会という名前を使っておるものがございます。これは全国で約一万ございますけれども、全国の調べがつきませんので、六大都市だけで申しますと、六大都市に商店街団体が二千六百九十ございます。そのうちで商工会という名前を使っておりますものが九十三でございます。これが大都市のことでありますし、大都市が商工会議所で新しい仕事をやりますので、これが一つ問題であります。それから第三番目の系統のものはいわゆる民主商工会といわれる種類のものでありましてこれは全国で百三十ございますが、そのうち六大都市にありますものが五十一、六大都市で商工会という名前を使っておるものが五十一ございます。従って一番初めに申し上げたものは大体問題はないと考えておりますが、二番目の商店街団体商工会九十三と民主商工会の五十一、これがまあ問題になる。で、先般も参考人の中でそういうことを言われている人がありますし、変えないのだ、法律で争うのだということを言われておる方がおられるのですが、これは主として民主商工会の系統の方であります。私どもの見るところによりますと、民主商工会で相当長くやっておるものもございますけれども、まああるいは地域団体の中の商工会とか、非常に地域団体を標榜しておられますけれども、何といいますかごく少数の方の同志的な結合で会員数も非常に少ないというようなことで、いわゆる地域団体で地域の小規模事業者等の全体の指導に当たるというような組織ではないのでありまして、確かにこの名称の問題で相当長い間そういう名前を使っていたということの事実、そういうことと、それから今度の法制で名前を変えなければならんという御迷惑は確かにあるのでありますけれども、全体の数から見ますと非常に少ないし、全体の方を、そういうような新しい共公的な団体を全国的に組織するという目的からいいまして、まあこれはやむを得ないのじゃないかということであります。法律で争われるということに対しましては、やはり名前を変えていただく以上、過料をかけていくということで、まあ名前を変えていただくようにこちらからお願いをするという態度でいかざるを得ないと考えます。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、その一万円以下の過料に処せられますね。過料は国庫に納めますね。これは何回も納めるわけにいかないでしょう。何回も徴収できるかどうかしりませんがね。私は一回だと思うのです、概念的に。一回納めて、そして名前変更しませんとこういうことが可能かどうかということですね、行政的にも法律的にも。それをお尋ねしているわけです。こういうことを主張しているが、その主張者の通りになり得るかどうかということを伺っております。
  36. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 不作為を命じております規定に違反いたしました場合には、一ぺんその違反があったということで過料の非訟事件手続法によりまして過料の裁判がありまして、過料に処せられたというのちに、さらにまた不作為を命ずる商工会という名称使用してはならないという規定に違反いたしますれば、再びまた過料に処せられるということで、その不作為を命ずる規定に違反する限り、何べんでも処せられることになります。これは刑罰でも同様でございますが、ある一つ行為をしてはならないという場合に、その行為をしたということになれば、その行為一回が一罪でございますが、これは不作為でございますので、不作為の行為が何回かに切られて裁判にかけられる。そのたびごとに一万円以下の過料に処せられるということになると思います。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると無限にずっと変えない限りは続いていくということになりますが、その周期はどのくらいですか。(笑声)
  38. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) 事実上この法律が改正せられない限りは、まあ終期というようなことはございませんか、もしもそのような事態が継続するということは、そういう実体が悪いのか、それとも法制が悪いのかというような反省をする必要は出てくるかも存じませんが、一応冷ややかに申しますと、法律がある限りは終期というものはないと言わざるを得ないと思うのです。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 反覆しますね。第一回、第二回。
  40. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) あ、周期でございますか。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 その物理的な周期はどうなっておりますか。
  42. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) それは非訟事件手続法によります過料の裁判を請求する手続として、検察官なりあるいはこの当面の法律の施行当局である通産省が過料の裁判を求める回数によりまして、おのずから定まって参るわけでございまして、周期というものは法律上幾らということは何ら規定せられておりません。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 長官にお尋ねいたしますがね、第一回まず過料の告発をしますね、そうしてその処分が裁判的に終わった。そうすると次に告発をされる。三回目四回目告発をされる。それは行政的にはどういう工合におやりになるのでしょう。
  44. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど来、立法論の話がありましたが、実際の行政のやり方についてはまあそこまで考えておりませんが、この立法論でこういうやり方でやっていこうということでありますから、これは裁判にかかりませんと、どういう結果が出るのかわからないのであります。まあ初めはそうえげつなくやるつもりはございませんが、まあ第一回はともかく裁判の成り行きを一応見なければなりませんし、済んだらすぐまた告発するというようなことになりますかなりませんか、まあ向うの態度、出方等も見ていかなければならないかと思います。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はなぜ、ある意味においては非常に小さい問題かもしれんですが、繰り返し繰り返しお尋ねをしておりますことは、やはり法律が一たび施行されたときには、法律というものはやはり権威を持たなければならないし、国民はやはりその作られた法律に協力的でなければいかんと思うのですね。これがやはり法律の施行者、法律によって治められる国民の私は義務ではあると思う。ところがたまたま本件に関する限りは、そういう不当な処分については服さないということを強く主張する団体があり、しかもその団体の人はおそらく実行するのではないかという、私は右手の懸念を持っておるわけです。ですからそういう状態がある場合にですよ、そこまで国会の方で吟味をしないで、まあまあでその法律の審議を終わってしまう。そうして行政にいよいよ入ったときに、いたずらなる混乱を生ずるというようなことがあっては、国会としてはなはだ申しわけないことですね。おそらくこういうお尋ねをいたしたなんということは、国会の方でもあまり例がないかもしれませんですけれも、繰り返しお尋ねをしておるわけです。ですからこれは通商産業大臣はこういう事態になったときはどうなさるでしょう。お尋ねをしておきます。
  46. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 法律が施行になりまして、そういう方がおいでになったときには、よく話をいたしまして、何も法律に禁止したものを何回もやるということは、これはよくない。名前を変えていただくとか、そこに適当な方法を見出したいと思います。
  47. 島清

    ○島清君 今の栗山さんの質問に関連をするのですが、ただいままでこのお示しをいただいた資料によりますと、すでに商工会の数が二千六百幾つ全国で組織されているのですが、この二千六百の内訳ですね。町村の商工会を都市に組織されている商工会との内訳はどうなっておりましょうか。
  48. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 二千六百五十七商工会がございます。市の地域にありますものは三百九十四でございます、一七%。それから残りの二千二百六十三は郡部に分かれております、八三%。
  49. 島清

    ○島清君 そうして、数的にはそうなんですが、そこの中に包括をされておる組合員の員数から見ると、どういうふうになっていますか。
  50. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今市部にあるものと郡部にあるものとの商工会の会員数、ちょっとはっきり数字的に出ておりませんが、二千六百五十七あります商工会の会員数は、全部で四十二万三千でございます。一商工会当たり百六十人平均であります。必要ありましたら、それは別途調べますが、大体その百六十人平均で先ほどのパーセンテージで分けてみる、こういうことに、大体の見当はそういう見当ではないかと思います。都市の商工会は非常に会員数が多いということはないと思います。
  51. 島清

    ○島清君 あとでそれを一つ資料にしていただきたいと思うのです。  それからこの法律で小規模事業者というものの規定が示されているのですが、その規定に該当するような小規模事業者の数ですね。それは町村とそれから都市との比率はどうなっておりましような。
  52. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 小規模事業者、製造業等では二十人以下、商業、サービス業では五人以下と従業者の数を規定いたしております。その総数は全国で三百二万二千、そのうち市部に所在しておりますものが百八十九万六千、郡部に所在しておりますものが百十二万六千、端数はちょん切りまして、そういう数字であります。
  53. 島清

    ○島清君 ちょっと大臣にお答えをいただきたいのですが、今までの現行の中小企業の関係法規を見ますと、大体画一的に中小企業というものを対象にして法律立法されているのですが、今回のこの法律は今までの立法の精神とはかなり離れていまして、そして今長官がお示しをいただいた数字にもはっきり現われているように、市部の小規模事業者の方が数的にも多い。それから町村の方の事業者の方が数的にも少ない。こういうことに明瞭になっているわけですが、この少ないところの小規模事業者を重点に立法されるということは、名実これ伴わないような気がするのですが、立法の精神からいえば非常に画期的なことだとも言えると思うのです。ですからこういったような画期的な地域別にこの中小企業の対策を講じなければならぬ、そうしてこれを立法化しなければならぬということについての基本的なお考え方を承っておきたいと思います。
  54. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今までの中小企業対策は団体その他を主眼にしていっております。まあ設備の近代化という段階でございますが、考え方としてはおおむねそのようなことになっております。今回の商工会の方は、商工会を作らせますが、個々の業者を直接指導していこうというのが趣旨でございます。従いましてそういう点におきましても、従来の立法とある程度変わっております。しこうして御質問の点は多分商工会議所との関係をお聞きになっているのじゃないかと思います。そうでございますか。
  55. 島清

    ○島清君 いや、そうでもないのです。
  56. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうのが従来のものと変わっている次第でございます。なお、そういう関係で私は商工会というものをどういうふうにしたらいいかということは、この数字によってもちろん考えましたが、今日地方郡部の零細企業者に対して商工会を設ける。都市についてはどうするかといつうことにつきましては、都市のうちでも零細企業者が大部分を占めている。しこうして商工会議所というものがありますので、既存商工会議所を活用して、零細企業の方にもっと手を伸ばしていこうという考えでおるのであります。
  57. 島清

    ○島清君 まあ私がお尋ねをいたしましたのは、むしろ純立法技術といいましょうか、そういう精神面からお尋ねをしておるのでありまして、政策面からお尋ねをしているわけではないんです。今大臣の答弁がございました通り、今までは中小企業者の金融をどうするか、それから競争力をとうするかということは、それが町村にある小規模の事業者であろうと都市にある小規模事業者であろうと、中小企業とはこんなものであるという程度というものがおおよそ示されていたと思うのです。その中に都市の企業者と、それから町村の企業者と区別をいたしまして、その区別をした上に立って立法するということが、私は画一的じゃないかと、こういうことをいっているわけなんです。しかも、その法律にはおもにということで「主として町村における商工業の総合的な改善発達」ということをうたっておられます。ですからそういう工合に中小企業者、なかんずくその小規模の零細企業者を都市の者とそれから町村とを区別いたしまして、そしておもに町村の中小企業者というものを対象にして立法化されるということが、どうも今までの中小企業の問題を扱ってきて、その中小企業の振興、育成というものは、かくあらねばならぬというようにやって参りましたわれわれの考え方からすると、非常に革命的なような気がするのですが、それを承っているわけなんです。
  58. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 別に都市の中小企業者と地方の者を区別する、取り扱いを別にするという意味じゃございません。既存の状況におきまして、都市におきましてはすでに商工会議所ができております。地方におきましては法的の措置が講じられておりませんから、特に地方の者に対しての商工会を設けさす。しこうして都市におきましては商工会議所がありますので、その方の拡充強化をはかるということにしておるのであります。中小企業自体を都市と町村とに分けて、そして指導を別の観念でしようという考えはございません。
  59. 島清

    ○島清君 大臣が主観的に区別をするという考え方がないと、こういう工合におっしゃっても、法律の目的でこの法律は「主として町村における商工業の総合的な改善発達」云々といってすでに区別しているのです。ですから、今大臣が主観的に区別はしないつもりであるとおっしゃってみたところで、すでに法律の目的の中に区別されているわけなんです。なぜこういう区別をおやりにならなければならないかということをお尋ねしているわけです。
  60. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは先ほど来申し上げているように、市の方には商工会議所というものがすでにございますから、今回の商工会法は、主として地方の方だと。で、もちろん市も含みますから「主として」という言葉を使った。しかしなぜ「主として」という言葉を使うかというと、市の方にはすでに商工会議所というのがある。これを拡充強化していこうという考え方であって「主として」という文字を使ったのであります。
  61. 島清

    ○島清君 都市の小規模事業者に対しては商工会議所法でよろしい。それから主として町村にそれが必要だ、こういうことであれば何か商工会議所法を二、三ヵ所訂正し、修正することによって、それはできないのでございますか。その方が立法技術の面からいっても非常に容易なような気がするのですが、その点どうですか。
  62. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この法律の目的は二つございまして、一つは主として町村——郡部の方、町村に商工会の組織を作ろうという一つの目的と、もう一つはそうして作られた商工会と市部の商工会議所の両方の機構を整備しまして、小規模事業者のためのいろんな指導をやってもらおう。それに助成をしよう、こういうことの二つの目的があるわけであります。で、郡部の主として町村、これは市の場合でも商工会議所のできてないところもありますから、あるいは商工会ができる面もあります。そういう意味で「主として」という言葉を使っておるわけでありますが、その面につきましては全然新しい組織を作るわけでございますので、相当条文も大部分その規定になっておりますが、目的からいいますと、今申しました二つの目的を持っておる。それを合わせまして商工会組織等に関する法律と、こうやったわけであります。あとの南工会議所の組織につきましては全然触れておらないわけでありまして、商工会議所の小規模事業者に対する活動そのものについて規定するわけでありますので、商工会議所法を直すことによっては、ちょっと法律的にはこういう目的は達せられない。やはりこういう別の法律を作らなければと、こういうことにしております。
  63. 島清

    ○島清君 今長官が御説明になりましたことは、この法律規定をされておることの平面的な御説明になるわけなんですね。こういう工合に法律規定をされなければならない、立法しなければならないというほどの根本的な理由といいましょうか、根拠といいましょうか、それを聞いているわけなんですよ。そこでお答えになりましたのは、まあ都市は商工会議所の方でやってもらう、それから町村の方はこの法律でやるのだと、こうおっしゃるから、それならば商工会議所法律で都市の方が足りるならば、今現行の商工会議所法を町村にも適用するようにした方がむしろ容易ではないか、こういう単独立法をしなくても済むのではないかと、こういうことをお尋ねをしているわけなんです。
  64. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 考え方としてはあるいはそういう考え方も成り立つかと思いますが、一つは、制度はございませんけれども、自然発生的に郡部には相当たくさんの商工会ができておるという事実、これを法律的な背景で根拠づければ公益的な目的の仕事を十分やってもらえるというそういう事実が一つございます。それから商工会議所の方はいろいろ大きいところにも小さいところにもできておりまして、いろいろの型がございますけれども、商工会議所の目的その他からいいまして、商工会会議所の目的としましては、地区内の商工業の総合的な改善発達をはかるということのほかに、何といいますか、経済的な意味で社会一般の福祉を増進するという目的、具体的にいいますと、国際取引の問題とか、原産地証明の問題とか、そういう仕事をやるような自的があります。そういうことは郡部の商工会には要らないのではないか。それからそういうことに伴いまして、構成だとか組織だとかあるいは会の運営というような面で複雑な面が相当ありますので、郡部の商工会にはそこまで要求しなくてもいい、商工会議所をもっと簡素な形にしたような法制でいいじゃないかということで、別建てに組織化しまして、両々相待って小規模事業者の指導に当たってもらおう、こういう考え方でございます。
  65. 島清

    ○島清君 議論にわたるようなことになって恐縮ですが、町村において商工会というものが自然発生的に組織されている。それに法的な根拠を与えるということについては、私は純真な気持でその御答弁を受け取ってよろしいと思うのです。受け取りますが、それならば都市にある自然発生的というよりも、必要に基づいて商工会活動をやっておるものをも、これまた栗山委員の質問にも関連するわけですが、なぜ——自然発生的というよりも、必要に基づいて商工会議所の存在をする土地においても、その既存商工会議所では頼りにならぬというので、商工会が結成をされて活動をしておるにかかわらず、それは否定して、しかも今栗山委員が質問されたら、聞かない場合には過料に処すぞというような、それはまあ今の法制局の諸君の説明によって、あるいは財産権侵害の憲法違反にはならないかもしれませんけれども、しかしながら、これはやはり政治というものが万人をして心服せしむるというところに最高の精神があるとするならば、立法の過程においても、なに過料は払ってもこの組織というものは必要なんだからして、自分たちは組織というものは解散しないのだと、こういうような国民の一部に気持を持たせてまで、これの名称使用を禁止して商工会活動を禁止しようとするか。それとこれとは非常に矛盾するような気がするのですが、どうなんですか。もう一点、しかもそうして今業者の数を御説明になりました通り、町村の方の業者の方が少ないのですね。しかも都市の業者の方が多くて、その都市の小規模の業者の方が商工会活動というものを非常に欲しておるというような現況下において、どうも今の御説明では非常に矛盾をしておるような気がするのですか、どのように説明をされますか。
  66. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 都市の小規模事業者、町村の小規模事業者、これに対する指導を別の考え方でやるということはないわけでありまして、その指導に当たる組織として、都市の方は商工会議所が大体大部分やる、これを拡充強化して指導に当たってもらう。郡部は商工会という自然発生的にできておりますものを法制化して、それに指導に当たってもらう。こういう考え方をとっておるわけであります。それで大都市におきまして、従来やはり自然発生的といいますか、いろいろな意味団体があるのは事実でございます。その団体には大体三種類の系統があると思います。一つは商店街団体といいますか、商店街を中心にしていろいろな団体組織を作っておりまして、これがあるいは東京あたりでは区単位に連合会ができ、あるいはそれが都単位に集まっておる団体組織が一つございます。相当、数の多いものであります。しかしこれは団体の性質からいいますと、何といいますか、協同組合的な共同事業をやる、商店街の繁栄をはかるとか、環境整備をするとか、あるいは購買を増進するとか、そういうような、性質としては協同組合的性質のものであります。中には協同組合法に基づく協同組合のものも相当あるわけであります。任意団体のものもございますが、相当の数がございます。東京でも千五百ばかりでございます。そういうものが一つの系統であります。もう一つは工場団体、主として工場を中心とした団体が区ごとにありまして、それが都に集まっております。これも東京で六十幾つ、工業会とか工場協会とか産業協会という名前を使っておりますが、その系統の団体があります。た、だこの団体の目的からいいますと、労働基準監督署の協力団体として発生しまして、主として労働関係の安全運動とか、従業員の福利厚生とか、こういう仕事をやっていた団体でありまして、ちょっと沿革的にいいましても、中小企業者全般の指導に当たるという団体とは、ちょっと趣が変わっておるわけであります。それから第三番目の形のものといたしまして、いわゆる民主商工会というのがございます。これは全国で百三十ばかりありまして、大部分都市部にありますが、これは沿革的にいいますと、不況時代に、五、六年前に反税闘争というような税金運動からできた団体で、まあ一時は五百ばかりあったのでありますが、だんだん数は減っておりますが、大体これもある意味では会員の共同の利益をやる種類の性質の団体でありますけれども、主として税金関係仕事に終始していたということと、もう一つはこの会員の組織というものが非常に同志的といいますか、一つの会当たりの会員数も非常に少なくない。全く一つの値域の全体の業者の指導ということに当たる仕組みにはなっておらないということでありまして、この三つの種類の団体は、いずれもそれぞれ今申しましたような理由から、その地域の全体の商工業者、あるいは小規模事業者の指導に当たる団体の仕組みとしては、必ずしも沿革からいい、また今の組織からいって適当じゃないと、これはやはり郡部では、商工会という大多数のものが入り、地域全体の商工業の発達をはかるようなまず仕組みを作る必要があるということ、大都市におきましては、必ずしも従来は十分ではなかったかと思いますけれども、商工会議所というものがそういう組織になっておりますので、これに既存団体と提携し、その協力を求めて、商工会議所にそういう仕事をやってもらうというのが適当であろう、こういう考え方をとっておるわけであります。そういう団体が都市部にあることは、今申しましたように事実でございますが、必ずしも今回期待しておりますような仕事を担当してもらうには十分ではない、こう考えておるわけであります。
  67. 島清

    ○島清君 まあ長官長官の今の平面的な説明は、これはそれでよろしいかと思います。  それでは形を変えて聞きますけれども、都市においてこれだけの多い小規模事業者がいるのにもかかわらず、その商工会法は都市においては適用されない。商工会商工会議所の存在するところでは組織することができない。禁止されているわけですね。都市にあってはこの商工会法というものが適用されると仮定をした場合に、その不都合というものはどういう点がいけないのでございますか、それが一点と、私が御質問申し上げます要点は、それは農村に必要である以上に、都市の方でもそれが必要である。にもかかわらず、最も必要とする都市においては組織ができないように禁止事項になっておる。その都市には大企業を代弁する、しかもそれは商工業者の全部を代弁ずるがごとき形においてではあるけれども、実際は大企業を代弁する商工会議所というものがある。その商工会議所においては形式的、表面的に、過去においても小規模の事業者のことはあまり考えなかったけれども、しかしこれと別個の組織を作らせると、大企業の諸君のきげんを損ずるおそれがあるから、まあまあかわいい子ではあるけれども、なでてやりたい子ではあるけれども、里子にやれというような気持で、そこでその最も必要とする都市の小規模事業者にその組織ができないようにしておるのではないか、こういう疑いもないでもないわけです。そういう意味において、都市においてその商工会が適用されるという場合に、どういうところに不都合があるか、それは中小企業発展の事業助成の面からいってどういう不都合なところがあるか、それをお知らせいただきたいと思う。
  68. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 商工会議所商工会、これはどちらもその地区内の商工業の総合的な改善発達をはかるということを目的とした地域団体であります。やる仕事も違いますけれども、大体同様でありますし、それから入る人も地区内の商工業者、似たような性質の性格の団体であります。地域的公益法人といいますか、同じ地区に二つそういうものをダブって認めるということは、制度的にも非常にむずかしいことになりますし、現に商工会議所は大事業者の会というような見方をされておりますけれども、全国的に見ますと、いわゆる中小、小規模事業者、今度の法律でいいます小規模事業者の構成数、会議所における組織率といいますか、全国平均して七〇%くらいは小規模事業者なわけであります。従ってダブって認めますと、どこまでかどっちに入るかということになりますし、組織の構成あるいは運用上も、仕事の実施上も、何といいますか、混乱が起こるといいますか、無用に、こうなわ張り争いといいますか、そういうようなことが起こるわけでありまして、今申しましたように、同じ性質の団体でありまして、大都市の商工会議所等では、従来小規模事業者の加入数が比較的少ない、あるいはそれに対する仕事も十分行き届いていないという面は確かにあるとも考えられますので、そういう面を充実いたしまして、あるいは支部を作るとか、あるいは支所を作るとかというようなことで、既存団体と連携しながら、そういう実行面、実施面で従来不十分な点を補っていくことによって十分効果が上げ得るものじゃないかということを考えたわけであります。  どうして大都市に商工会を作ったら困るかと言われました点は、今申しましたように、制度的にも屋上屋になりますし、両方の分野の仕切りがつかぬ、事業実施上も摩擦混乱がかえって起こるのじゃないかということを考えまして、地域別に割り切りまして、商工会議所の事業実施上手の届かなかった点はこれを補っていくという考え方で、こういう組み立て方にいたしたわけであります。
  69. 島清

    ○島清君 それならばまた話はもとに戻りますけれども、この法律の目的は、「主として」じゃなくして、「この法律は、町村における商工業の総合的な改善発達を図るための組織として」というふうに書きかえなければいかぬのじゃないですか。
  70. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この法律の文句でありますが、「この法律は、主として町村における」と、私どもはそう読んでおるわけでありまして、市が全国で五百二十ばかりありますが、そのうち市を地域としている商工会議所は四百四ばかりでありまして、市の中でも商工会議所ができていないところがあります。従って商工会というのは、主として町村、場合によっては市の区域にも商工会はできるわけでありまして、そういう意味で、「主として町村」というのは、そういう意味の読み方をしております。
  71. 島清

    ○島清君 それは何か非常に苦しそうな御説明のようですが、実際は町村にこの法律は適用する、けれども、しかしながら、表面上は何か全国的にこれが適用されるような粉飾をしているわけですね。それは、ですから、私たちはそういうことに納得がいかないのでお尋ねをしたのですが、これは大臣も長官も平面的な説明ばかりで、掘り下げた、立体的な御説明がいただけないので、頭の悪いせいか十分理解できないのでございますけれども、それはまあそうであれば、お尋ねでございますから、その程度にしておきます。  それから設立の会員の資格についての規定でございますが、六ヵ月以上引き続きその地区内において営業所、事務所、工場または事業場を有する商工業者ということに原則になっておりますですね。それが小規模事業者の助成であり、ひいては一条にうたっておりまする国民経済の健全な発達のためであるとするならば、別に六ヵ月なんというような規定を設ける必要もないように思えるのですね。と申しますのは、それは自然人であれば、その行為能力については時間的な制限を受けるということは、これはもう生理的な条件で、これは必要なことなんです。ところが営業をしようという人は成年であり、さらに成年でできない場合は、これは自然人が中心になる場合でも、事業的行為をなす場合には後見人だとか、いろいろな営業をなし得るような条件が具備されるわけですね。いわんや、あるいはこれが法人である場合においては、これは何も私は六ヵ月とか地区内にいるということが、いたということが、ちっとも条件にする必要はないと思うのですが、こういうふうに制限を加えたという精神というものはどこにあるのですか。
  72. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 商工会は、地区内の商工業の総合的な改善発達をはかる、こういう目的でありまして、従って会員も、そういう目的を持った支援団体でありますから、会員もそこに根拠を置いて仕事をしている商工業者、こういうことに規定するということにしているわけであります。商工会議所等もこういう例でありまして、大体、浮動してといいますか、行商的な仕事をしている人は、会員として必ずしも適当ではない、こういう意味を表わした規定だろうと思います。ただ、工場、寺務所等がはっきりできるというようなことで、そこで引き続いて仕事をやる、そこに根をおろして仕事をやるという形になった場合は、六ヵ月ということにこだわる必要はないわけでありますので、ただし書きで、定款で別段の規定を設けられれば六ヵ月以上であることを必要としない、こういう規定を設けたわけでございます。趣旨は、やはりそこに根をおろしてといいますか、そこを根拠として仕事をしている商工業者という意味を表わしたい、規定したい、こういう趣旨規定を入れたわけであります。
  73. 島清

    ○島清君 私は、その説明をされようとするところはよくわかるのですが、六ヵ月に切ったという根拠はどこにあるかということ。もし切るならば——たとえばその事業の行為能力があるかどうかということについての判定をしようとするならば、前年度の事業能力を見るために、あるいは税金がどうなっているかなんというようなことがあり得ると思うのです。六ヵ月というのは、僕らはどうも中途半端で、どういう目的で六ヵ月に区切っているかということを理解しにくいんです。そういう意味なんです。なぜ六ヵ月としているんですか。
  74. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) これは、商工業の全般的な改善発達のための世話をする団体であります。従って、会員の資格等で、たとえば禁治産だとか行為能力があるとかないとか、そういう形を土台にした取引関係の規制等とは違いますので、そういうことではなくて、要するに、その地域を足場にして仕事をしているということが会員資格の中心になる。行為能力があるかどうかという問題を、規制するような考え方、相手方に損害を及ぼすことがあるかないかというような判断で、会員資格等をきめる筋合いのものではないと思うのです。要するに、そこを根拠にして仕事をしているという事実をとらえる、こういう意味でありまして、六ヵ月がいいのか何ヵ月がいいのか、わかりませんけれども、要するにそこを足場にして仕事をしているということを土台にしての資格であります。
  75. 島清

    ○島清君 そうすると、六ヵ月というのは別に根拠はない、こういうわけですね。
  76. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 六ヵ月がいいのか、一年がいいのか、三ヵ月がいいのか、実は類似立法で大体六ヵ月になっておりますので、月数はそういう立法例に従ったわけであります。
  77. 島清

    ○島清君 それから私が本会議で質問をいたしましたのも、主として町村の方の商工会の組織をこの法律は目的としておる、そこで町村の方で商工会を設立するということになりますと、世話役というものがいると思うのです。そういう世話役をいわゆる土地のボスがやって、そこでこの法律では「特定の政党のために利用してはならない。」とはいっておりますけれども、特定の政党人が悪用する危険性はないのかということが、本会議で御質問申し上げました要点だったわけですが、そういうような危惧の念でこの法律をながめて御質問申し上げるとするならば、衆議院の方で修正をいたしましたので、役員というのは会員でなければならぬ、会員というものは業者でなければならぬということになっておりますが、あるいは相談役であるとかあるいは顧問であるとか、普通いわれておりますところのボスのつきそうな名称には制限がないわけですから、そこで設立の発起人には、これは必ずしも一つの会の発起人でなければならぬという規定はないわけですね。たとえば、われわれがかりに商工会を組織して、自分の選挙に利用しようという場合には、数ヵ所の町村の発起人にもなれるわけなんでございますね。そうなれるといたしますると、今、私が申し上げましたように、せっかくの国民経済の健全な発展に寄与するという目的をもって設立されるその組織というものが、一部のわからぬボスの連中に悪用されるような危険性があるのではないか、こういう心配が持たれるわけですね。それが一点。  さらに、それと関連をいたしまして、代理権ですが、かりにボスが自分の意のままに商工会を運営をしていこうという場合、そうして幾人かの自分の意の通ずる——通俗の言葉で申し上げますと子分というものを配置して、そうしてその子分に、大ぜいの何も無関心な連中の代理権を集めさせて、そうしてそのボスの思うように牛耳るというようなこともできるのではないのか、こういうような気がするんです。そうして、その代理権は、一人が数人の代理権をも持ち得るかどうか、もし持ち得るとするならば、今の私が危惧の念でお尋ねしたことが、実際の面において現われないとも限らないわけなんです。そういうことについての防止の条文がないような気がするんですか、この点はどうなんですか。
  78. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 発起人の問題でありますが、商工会を設立しようとするときは会員になろうとする十五人以上の商工業者が発起人になるということでありまして、会員は、先ほど来お話がありましたように、その地区を根拠にして仕事をしている商工業者でありますから、そういう人しか発起人になれないわけでございます。従って、あちこちの商工会議所、会社等で支店、出張所等を持っている場合かあろうと思いますけれども、普通の場合は、幾つもの商工会の発起人に一人の人がなるということはできないということになろうかと思います。  それからこの代理権の問題、総会あるいは総代会における議決の場合の代理の問題でございますが、これは書面または代理人で選挙、議決することができるということに相なっております。その場合の代理人の制限については、ほかの立法例と同じで、制限をいたしておりません。従って、一つ商工会におきましては、一人の人が何人かの人の代理人になるということはあろうかと思いますが、まあ通例の場合は、特に制限を設けなくても、そう意識的に代理権を集めるというようなことはなかろうかと考えまして、一般の立法例と同じ規定にいたしております。
  79. 島清

    ○島清君 ちょっと私、うかつですか、「役員は、会員になろうとする商工業者」というふうに修正されているようですが、発起人も、そういう制限があるのですか、どこですか。
  80. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 条文は、二十一条であります。発起人は、「その会員になろうとする十五人以上の商工業者が発起人となることを要する。」という二十一条でございます。  役員の方は、実は政府原案では、「会長及び役員の定数の少なくとも三分の二は、会員でなければならない」と、三分の一は、会員外でいいという規定になっておりまして、従って、役員は、会員外の役員が、幾つもの商工会の役員を兼ねるということもできやしないかと、こういうような議論でありまして、衆議院の方では、その点が修正になりまして、直接兼任等を縛ってはおりませんが、その数を役員総数の十分の一というようにしぼられまして、そういうことがないように、間接に訂正されたわけであります。役員は、そういうことになります。
  81. 島清

    ○島清君 今お示しになりました二十一条ですね、これは商工会を設立するのには、その会員になろうとする十五人以上の商工業者が発起人になることが必要であって、さらに会員となろうとしない、会を設立するに世話をするという人が、たとえば会員になろうとする者が二十人いて——十五人は最低ですから——二十人いて、さらに、会員にはなりたくもないけれども、会は作ってもらいたいという発起人に名前を出すということは、妨げてはいないと思いますが、どうですか。
  82. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 発起人として、正式に段取りをし、書類を作り、認可申請するまでの手続の人は、会員となろうとする者であって、もちろんなろうとする者でありますから、会員たる資格を持っていなければならない、そういう人が十五人以上でなければならないということであります。
  83. 島清

    ○島清君 もう一ぺんですが、頭の悪いせいか、非常に理解しにくいのですか、これはそうすると、十五人であろうと三十人であろうと、発起人というものは、会員になろうとする者でなければならぬという、きつい制限があるということで理解していいのですか。
  84. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) その通りでございます。
  85. 島清

    ○島清君 法制局の方も、そうですか。
  86. 吉国一郎

    政府委員吉国一郎君) これは従来の組合法、たとえば中小企業等協同組合法とか、農業協同組合法、水産業協同組合法、あるいは森林法によります森林組合等につきまても、すべてこのような書き方をいたしておりまして、これは発起人が、会員たる資格を有する、あるいは組合員たる資格を有する者でなければならないということを示している規定であると解釈いたしております。
  87. 島清

    ○島清君 大臣がお急ぎのようでございますから、大臣にだけ御質問申し上げますが、その監督権のことについてでございますが、このことは、本会議の方でもお尋ねをいたしましたが、監督権というのが、あまりきつ過ぎるのじゃないか、それには業務の報告を受け、さらにそれについて提出をすることもできれば、認可を取り消すこともできる、こういうふうに認可から、業務の報告を受け、それを提出させ、あるいは取り消すことができる、こういうようなきつい監督権がうたわれているのにもかかわらず、さらに事務所の中に立ち入り検査権まで規定しているということは、少しきつ過ぎるのではないか、こういうことをお尋ねいたしましたときに、大臣は、商工会議所法にも、それはあるから、別に特段と、この法律のみにおける規定ではないから、きつ過ぎない、当然である、こういうふうに御答弁をいただいておりますが、私は、商工会議所法昭和二十八年ですかに制定をされておりますが、もし商工会議所法にも、それがあるからというので、それが根拠になって、こういうきつい監督権というものを規定しているとするならば、私は商工会議所法こそ改正すべきである、こういうふうに考えるのです。  ですから、商工会議所法にあるから、こういうものが認められるのだという説明は、ちょっとやはり説明としては、本会議であるという関係もあったかもしれないのでございますけれども、説明としては、ちょっと説得力が積極性を欠くと思うのです。ですから、私みたいに、それは商工会議所法にもあるのだったら、商工会議所法を改正すればよろしいのではないかというような者に対しては、少しやはり説明の気魄といいますか、積極性といいますか、それが欠けると思います。  従いまして、法の目的からいたしまして、そうでなければならないのだというようなことについて御説明をいただきたい。こう思うわけであります。
  88. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 島委員も、監督官庁が検査をするということについては、私は御異存はないかと思います。しこうして、誤解があると思いまするが、商工会議所法は、検査ということになっております。「立ち入り」がないのであります。商工会法の方は、立ち入り検査、「立ち入り」があるわけでございます。  そこで、立ち入り検査と検査と、どう違うかという問題になってきますと、法制局考えでは同じことだと解釈しているようでございます。従いまして、私は商工会議所にあるから、どうこうというのではなしに、検査ということを是認する場合は、私は、それは立ち入り検査という言葉を使っても、また検査という言葉を使っても、私は違いはないと考えます。これは、私自身法制局長官と話をしたのでございますが、ここで申し上げてどうかとも思いますが、もし悪かったら、速記を消してもらいますが、商工会議所法は、議員立法だと思います。こちらは内閣の提出でございます。そこがちょっと、検査と立ち入り検査の差のできたもとだと私は記憶いたしているのであります。検査することがいけないということならば、別でございますが、検査を是認する場合において、検査と書くか、立ち入り検査と書くかということにつきましては、私は法制局解釈によりまして、同じことと心得ているような次第でございます。
  89. 島清

    ○島清君 私は、立ち入り検査がいけない、検査はよろしいというような意味ではなくて、先ほどから申し上げておりますように、認可をするのも大臣であり、さらにまた業務の報告を受けるのも、大臣が御要請をなさることができるし、さらにそれが不都合であるということになれば、業務を停止させることもできるし、さらにそれを取り消すこともできる、こういうきつい権力を持っておる監督官庁が、そのきつい権力をバツクにして、立ち入り検査という検査をするということ自体が非常に権力的であり、官僚的ではないか、こういう趣旨です。
  90. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは認可、許可あるいは取り消しを命ずる場合におきましては、書面審査ということばかりでなしに、検査をする必要があると私は思うのであります。そういう重大なことでございますから、私は書面審査ももちろんしなければなりますまいが、場合によって検査することも、事柄が重要であるから必要であるかと思うのであります。従いましてこういうことは、他の法律にもずいぶんとあることでございます。特に私は官僚的、権力的であるというふうには考えておりません。
  91. 島清

    ○島清君 さらに私が本会議で御質問申し上げたもう一つの点は、先ほどから私がお尋ねしております問題とも関連するわけですが、小規模の事業者の活動というものが、一定地域に限定をされて、それが広い地域的な立場においては、活動ができない。意思の統一をはかって活動ができないということについては、もっと広地域的に、日本商工会議所みたような活動の分野を認めるべきではないか、与えるべきではないか、こういう質問をいたしましたときに、それは何か自然発生的に、そういうものを期待しておられるような御答弁であったように記憶するのですが、私は、せっかく町村の商工業者に、こういう画期的な立法をして、その事業を助成していこうという考え方であるならば、その自然発生的なものを待たずに、そういう業者に、全国的な基盤において活動ができるような、言うなれば、日本商工会議所みたような、意思の疎通をはかっていく、統一をはかっていくというような団体組織というものが、当然考えられてしかるべきだと思いますが、この点については、衆議院の方で、何か附帯決議というようなことで、衆議院の意思が表示されているようですが、この点については、私のお尋ねを申し上げたときと今とは、時点においては非常に異なっておりますし、さらに私が御質問申し上げたときにおいては、衆議院の附帯条件なんかも出ていなかったときでございますので、大臣の心境も、かなり変化しておると思いますが、この点については、今はどういうふうなお考えでございますか。
  92. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は、前から府県の連合会あるいは全国的のものかある方がいいという気持は持っておるのであります。私は連合会は、今全部の県にはございませんが、全国的なものがある。今後日本商工会とか、あるいは何々県商工連合会というものを、どういう今後の格好にもっていこうということは、今考慮中でございます。  従って、商工会が今度できまして、地方の方も連合会ができる、また他の商工会議所あるいは中小企業団体の中央会等の他の関係団体と、どういうふうにマッチしていったらいいかということにつきまして、もっと考えたいという意味で、今回の法律には置かなかった。先般も、この当委員会でお話がありまして、専門家の川上君が、その問題については、よくお考え願いたいというふうな御意見もあったようでございます。私は連合会、あるいは日本商工会というものの、ことに日本商工会というものの性格をどう持っていくか、運営をどう持っていくかということにつきまして、いま少しく考えたいので、法律に出さなかったので、今後の商工会の運営に、最も関係のあることでございますから、十分想を練りたいと思っております。  その意味におきまして、衆議院の附帯決議にも、私は賛意を表しているわけであります。
  93. 島清

    ○島清君 この、私が官僚的ではないかという御質問を申し上げたことと関連をするわけですが、いろいろと監督権を発動されて、その処分について不服かある場合のことが規定をされておりますが、その不服があった場合には、大臣に申し立てをすることができるわけですが、ところが大臣が処分をして、さらに大臣に申し立てをするというようなことはですね、これは行政処置に対する申し立てでございまして、必ずしも司法的な累審といいますか、何か司法的な制度にならう必要はないと思いますけれども、その点が、やはり不服を申し立てるものからいたしましても、大臣に処分をされて、大臣に申し立てるということは、心理的に非常に影響を受けると思うのですね。大臣から処分を受けたものに対しては、大臣以外の他の機関に不服の申し立てかできるというようなことになれば、私はやはり心理的にも、この申し立てをするという救済の精神というものが生きると思うのです。今までの行政的な処置としては、あるいは大臣という機関が処分をしたものに対して、大臣という機関に申し立てをするということに、あるいはなっておったかもしれませんけれども、新しいこの制度としては、何か官と民というような上下の関係があるような気がするのですがね。たとえば中小企業の審議会とか何とかいうものの——まあこの単独立法に直接関係して審議会というものは設置はされませんけれども、それぞれのやはり、この委員会等もございますので、これは何か、大臣以外の他の機関に申し立てをするということにした方が、申立人も申し立てやすいと、こういうような気がするのです。  それについては、公開の聴聞制度もあるのだからよろしいのではないかというような、逃げ方はちゃんと、何か考えておられるようですが、それはあるにしても、何か、大臣以外の他の機関に、やはり申し立てをするということが非常に親切で、その申し立てを認めた精神が徹底するのではないかと、こういうような気がするのですか、この点は、どのようにお考えでございますか。
  94. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 行政処分に対しましての救済方法といたしましては、ずっと旧憲法時代から、こういうふうに行政処分をした人に、一応訴願をする、そうして行政訴訟ということになるのが、従来からの例でございます。戦後におきましても、やはりそういう格好をとっているようでございます。私はやはり、その処分をした官庁が、一ぺん反省する機会を持った方が、全体として都合がいいのじゃないか、それでもいかぬときには、もちろん訴訟をするわけでございます。  で、この商工会法のみならず、他の法令につきましても、ずっと、こういうふうなやり方で、今回初めて、こういうことをやっているのじゃない。で、それこそ今までの分も、変えたらどうかというお話がございますが、私の気持としては、行政処分をした官庁に、一応異議の申し立てをして、それから訴訟に入るということが妥当じゃないかという考えを持っています。
  95. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  96. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  97. 島清

    ○島清君 都市の小規模の事業者の助成ということについては、商工会議所の活動にゆだね、それを非常に期待しておられるようですが、ところが、今までにも、るる申し上げたように、都市の商工会議所は、小規模の事業者の助成については、非常に冷淡であったということなんですが、しかしこれは今後といえども、そう変るとは思えないのです。ところが、会議所の方がこの事業助成を怠った場合に対して、どういうふうな処置の仕方があるか。この法律には、あまり強い、そういう場合勧告をするとか、それをなさしめるというような直接の規定はないように思えるのですが、この立法者の、大臣の御期待を、商工会議所に具体的に実行せしむるというような、その方法とか配慮について、御説明を願いたいと思うのですが。
  98. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回は、先ほど来申し上げておりまするごとく、中小企業、ことに零細企業者の育成に当たるというのが目的でございます。  従って、先ほど主としてと申しましたか、私の目から見ますると、地方ももちろんでございますが、都市の方も、十分考えていかなくちゃなりません。従って、現在の状態においては、従来の商工会議所の手を下部に伸ばしていくことが、私は最も効果的だと考えまして、こういう法案を御審議願っているのであります。従いまして、補助金の出し方にも、もちろんよりまするが、商工会議所が、われわれ期待するがごとく、十分な措置はもちろんのこと、せっかくわれわれの意図するのは、中小企業者に対する育成について不熱心であるならば、私は、商工会議所法によりまして警告を発することもできますし、また反省を促し、こちらからいろいろ指導していくこともできると考えておるのであります。
  99. 島清

    ○島清君 商工会議所法に基づいては、おやりになれましょうけれども、この法律に、直接根拠をとおいて商工会議所の方に向かって事業助成をやりなさいということの直接の法的根拠はないわけなんですね。
  100. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この法律によりまして、商工会議所法で零細企業者の方に手を出すことになっておりますから、商工会議所法の警告規定で、私は十分であると考えております。
  101. 島清

    ○島清君 必ずしも説明を納得したわけじゃないのですが、五十分までしかおられないという大臣、五分過ぎましたから。  それじゃ、これは、長官に、またお尋ねいたします。二十三条の二項に、認可の条件が規定されているのですね。認可要件が規定されているのですが、その二項中に「冬号に過合していないと認めるときは、同項の認可をしてはならない。」というて一、二、三、四というて認可要件が規定されているのです。それは、私は、従来の立法の技術からすれば、必ずしも理解できないわけではないのですが、ことさらに、何か非常に理解しにくく表現しているような気がするのです。「各号に適合していない」ということと、さらに一の「設立の手続」云々と「内容が法令に違反しない」ということですね、否定の否定は肯定であるということなんでしょうけれども、ここでは消極的な、こういう否定をしての表現の仕方をしているのですね。  それから、二項の二、三になると、今度はまた、がらっと変わって、積極的な要件の出し方をしているのです。どうもこの点も、非常に難解なんですね、理解するのに……。一体、「各号に適合していない」というので「設立の手続並びに定款及び事業計画の内容が法令に違反」しろというようなことは言ってないのだけれども、何かそういうようなことを言っているのじゃないかというような、まぎらわしい表現の仕方だと思うのです。何か、もっとうまいあれはないのですかね。
  102. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 御指摘でございまして、なるほど否定の否定みたいな書き方ですが、大体、最近の法律は、私ども法律そのものは、あまり専門ではないのですが、大体、行政庁の行為を縛るといいますか、こういうときに、こうしちゃいかぬとか、行政庁がこういうときには、こうしろというような書き方をよくするのです。こういう場合は、こういうことを認可してはいけないというので、通産大臣の権限を縛っておるわけであります。「認可としてはならない。」と、初めに書きましたから、どうしても一号なんかは、今度「違反しないこと。」ということにならざるを、得ないと思います。すっきりした書き方というのは、事柄が「認可をしてはならない。」と頭を出しますと、どうしてもこういう格好にならざるを得ないのじゃないかと考えます。
  103. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて……。    〔速記中止
  104. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  105. 島清

    ○島清君 今までいただいた資料等によりまして、大体この法律の施行後にあたっては、どの程度の予算と、どういう仕事をやりたいというようなことは、提案理由の説明等も拝見いたしておりますので、わかるような気がしないでもないのですが、ところが、いただいた「商工会組織等に関する法律案参考資料」等を拝見いたしましても、ずいぶんと業者あたりからアンケートをお取りになって、これからやらなければならぬというような仕事が、項目からはずれておるような事業対策費の内訳になっているのですね。  たとえば提案理由の説明によりますと、もちろん金融の措置であるとか、税制上の措置をしなければならぬと、こういうことをうたっておられるのですね。それからこの資料にもありまするように、非常にその金融的な面で困っておられるようですね。この資料の「商工会組織等に関する法律案参考資料」によりますと、中小企業相談所に対するアンケート調査によって指摘されたその問題点というのは、まず、いの一番に金融の問題を取り上げて、なるほどわれわれが常日ごろから思っておったようなことが、このアンケートに具体的に現われてきているのですね。ところが、この予算の対策費の内訳から見ますと、そういうものは使われていないような気がするのですね。もちろんこれは直接に使われないのが当然でございましょうけれども、何か、そこらの金融のあっせんをする働きをするために費用が使われるとか、こういうものがあってよさそうに思えるのですが、一体非常に重点を置いておやりになろうとするところは、実際のところはどこなんですか。
  106. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 商工会、あるいは商工会議所に対して小規模事業者の指導の面で期待しております仕事、今お話のように、金融の問題、あるいは社会保険に対する、あるいは納税等の問題に関する世話、指導というようなことが相当大きな問題であることは、お手元に資料を差し上げてあります中小企業関係で、特に資金の問題、それから税金の問題等は、相当大きな間正題であることは御存じの通りでありますが、こういうことを改善普及員を足場にして、いろいろ小規模事業者に対して指導をしていくということが一つの大きなねらいであります。  御指摘の点は、事業の書き方が、そういう点がはっきり現われていないという点が一つあるかと思います。しかし、この事業の書き方は、非常に相談、指導というふうに平面的に書いてございますけれども、中身の実際は、今御指摘にもございましたような点を中心にして働いてもらうということになろうと思います。いろいろな従来の調査から見ましても、たとえば小規模事業者等は金を借りるということを、そもそも知らぬという層が非常に多いわけであります。そして結局あげくのはてが、事業をやる以上、金が要るわけですから、高い利子の金を借りておるという格好になるわけでありますので、いろいろの制度がございますから、その制度に指導等を通じて乗っけていくという指導方法をとりたいと思います。  それから、予算の面等でそういうことに金が使われていないじゃないか、こういうお話が御指摘の一点だと思いますが、これは、予算の面は、要するに改善普及員というものがいて、あるいはさらに専門的な事項は専門指導員の力を借りて、そして中小、小規模事業者の日常のいろいろな企業活動について、いろいろ相談し、あるいは積極的に指導するということでありますので、金の面は、どうしてもそういう人の人件費及び動く活動の経費というものが中心でありまして、期待している中身は、その人方の動きによって、そういう指導をやっていくということが要点でありますので、金の面で直接金融、資金のあっせんにどうとかという形は、出てこないという結果になっておるわけであります。  まず、要するに日常の相談に乗るということを主眼として、予算及び法律の制度を考えておるわけでございます。
  107. 島清

    ○島清君 それは中身はそういうことであれば、やっぱり小規模事業者というものは、金の借り方というものを知らないのですね。それから知っていても、そこへ足を運ぶことが、非常に窓口で時間がかかるものですから、しちめんどうくさくなって、あとで自分が首をくくられるということを承知をしながらも、つい安易な金融へ依存していくというような傾向があるので、やっぱりこういうことを日常の相談に乗ってやるということが非常に大切だと思うので、ぜひ一つ、そういうふうにやってほしいと思うのです。  それから、国の方では、予算の範囲内において当該の都道府県に対して、その府県が商工会または商工会議所の行なう小規模事業者の経営または技術の改善、発達のために経費を補助する場合は、何か国も予算の範囲内において、これが一部を補助すると、こういうことなんですか。  そういうことであれば、要するに国の補助というものの前提をなしておるのは、都道府県の補助ということが前提になっておるわけですね。その都道府県の補助の額と国の補助する額とは、どういうふうな比率をお考えでございますか。
  108. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今御指摘のように間接補助になっております。都道府県が補助するときには、都道府県に対して国が補助するという格好になっております。その割合は、国一対都道府県一という考え方をとっております。
  109. 島清

    ○島清君 都道府県一、国は一……。  それで、今の都道府県の地方財政の実情と、それから、そういったような零細企業に対する熱意と、こういうような諸条件を勘案して、大体まあ、三十五年度はともかくとして、三十六年度以降、どの程度の補助が地方財政の中から期待しておられますですか。可能であると、そういうふうにお考えでございますか。
  110. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 予算を積算し、また要求します過程におきまして、自治庁を通じまして、いろいろ都道府県とも連絡しております。都道府県——従来からもそうでありますが、いろいろな関係の中小企業に対する助成、あるいはその他の金の予算化等につきまして非常に熱心でありまして、三十五年度は、もうすでに大多数の県では予算化しておりますが、まだ予算化しておらないで、六月の県会等で予算化するところもありますが、この程度の国の予算に見合う県の拠出というものは十分可能で、これが来年度あたり少々ふえましても、十分可能であるし、やっていく熱意があると、こう考えております。もちろん、自治庁等では、いろいろ一般的に、県の負担がかさみますので、たとえば国の補助率をもっと上げてくれと、一対一でなくて、二対一ぐらいにしてくれというような、事務的な要望は、自治庁あたりではありましたけれども、落ちつきましたところ、大体、各府県とも、そういう熱意を持っておりますし、拠出は可能だ、こういう見通しに立っております。
  111. 島清

    ○島清君 まあ、せっかくの立法が、その施行にあたっては、やはり国の意欲の具体的な表われ方というのも、中小企業の上に反映をしていくのには、やはり当該の都道府県のその財政状態、さらにその熟意の濃淡のいかんによって、それぞれの都道府県の条件のいかんによって左右されるわけですから、十分に国の中小企業対策、なかんずくこの小規模事業対策については、格段な一つ力を入れた指導をしなければならないと思うのです。  その点については、特に民主社会党としましては——討論じみて大へん恐縮でございますけれども、中小企業に対しては、一段と政策の重点を置いております関係もありますので、一つ、格段の力を入れてその所期の目的が達成できるように積極的に意欲を日常の指導活動の中に反映をしていただきたい、こういうことを希望しまして、まあこの程度で……。
  112. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今の島委員の御質問に対して、答弁は答えていないと思います。  それは初年度三億九千二百万円かを商工会の人件費を中心とする事務費の補助を行なうことをきめておるが、都道府県は大体一対一の金額をすでに予算化したところもおり、追加予算できめるところもあるということなのですか、それはわかりました。ところが島委員の御質問は、初年度はともかくとして、来年度以降、都道府県の補助額について、どの程度の予想をしておるかという御質問があったのに対しては答えていない。私も大臣ががおられれば、零細企業の総合的な対策について聞きたいと思うのですけれども、本日は、大臣お帰りになりましたから、質問は留保いたしますが、ただいまの島君の明年度以降の零細企業の助成について、都道府県の補助の熱意、程度、その予想というものを聞かれたことについて、長官の答弁がない。私先ほど聞いておって、島君は納得されたのかどうかわかりませんけれども、その点をちょっと……。
  113. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 改善普及員の設置、それに伴う人件費、事務費——予算の積算は、大体二年計画で考えております。改善普及員の数でいいますと、現在の三億九千二百万の予算の中に含まれております人数は二千四百五十一人でございますが、究極的には四千三百十七人ということで、一応事務的には考えております。それで積算いたしますと、来年度は大体三億九千二百万が三億九千二百万にとどまらず、約八億程度になる計算になります。こういうことは、大体全体の計算を自治庁にも話し、いろいろ各府県にも話して、事務連絡としては話しておりますが、なお、これはやり方としては、いろいろ構想——初年度の実績を見まして、いろいろ考えて、どういう予算になりますか、これは来年の話でございますけれども、事務的なことを連絡をいたしました上で、いろいろ自治庁の方、あるいは各府県の方も、その程度は、十分やるという熱意があり、またそういう……これはもちろん自治庁あるいは各府県の予算担当者あたりは、補助率を多くしてくれるとかいうような、いろいろ話は出ましたけれども、大体の規模の構想は自治庁及び都道府県の頭に入っておりますので、その程度のことは、十分やる熱意もあり、また可能だと、こういう見方を来年度以降はいたしております。
  114. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 本年度の補助金額は三億九千二百万円。それで二千人程度の改善普及員を考え、来年度は四千人を考える。そこで八億を政府が補助をする一と考える。都道府県は、その一である八億円をおのおのがそれを考えるということが、事務的な連絡によって、大体まあ了解を得ておるというふうに理解をいたしましたが、そういうことですか。
  115. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 積算その他はまだできませんが、大体の構想は、みな向こうの頭に入っておる、こういうことでございます。それで各都道府県とも、こういう仕事は大いにやりたいという心がまえでいる、こういうことでございます。
  116. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私はね、本法条文の中で、どういうことを考えておろうと、特定政党に利用されたり、選挙のときの下請機関になるようなことになりはしないかという心配、危惧が出てくるのは、人件費を中心に補助金額を考えておられるところに、そういう疑点が起こるのだと思います。それよりも商工会を組織して、専従の普及改善員というものを設置する、それによっていろいろな事業を行なっていくが、その人件費の一部も、同時に補助していくというようにならなければ、ほんとうの私は本法の目的を効率的に達成していくことはできないと思うのです。今のお話を聞いていますと、二千人が四千人になる、四億が八億になるというようなことでは、これは私は満足ができない。だから、もっと中小企業庁の長官、私は、この次に大臣にもただしますけれども、零細企業の総合的な助成というか、育成というものは、経営、技術、税制、金融、労務というようなものが総合的に考えられて、そしてそういうことを零細企業の個々に当たって指導をしていく、またその声が、ほんとうに地方の都道府県に対して、予算編成などについても反映する、政府の予算編成など、あるいは政策面についても、この声が実際に上がってくるというようにしていかなければ、これはもう形を作ったたけで、宿がえそばを配るようなもので、よろしくたのみますというようなことに終わってしまう。そういうことであってはならぬ、本年度は、これといたしましても、来年度以降は、もっとかくかくの事業をふやしていくのに、予算の措置についても、かくかくの熱意を持ってやりたいというふうな意気込みで当たってもらわぬと、私はいけないと思う。そういう意味で、ちょっと島君の御質疑に関連して、都道府県との事務的な連絡、今日までの了承というものは、二千人が四千人になり、四億が八億になるというようなことではだめだと思います。  これは私の意見ですから、長官の御決意のほどを一ぺん聞いておきたい。
  117. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この今回商工会組織等に関する法律と業種別中小企業の振興措置法、この二つを柱とした法案を提出いたしたわけであります。中小企業の問題は、非常に問題はたくさんありまして、なかなか、必ずしも実態さえも十分つかめてない面も相当あるということで、非常にむずかしい問題です。従来からあの手この手と、いろいろやって参ったわけであります。今回の商工会の問題も初めての仕事でありますので、やってみまして、いろいろ動きが出ると思います。不十分な点も出ると思います。そういうことも含めまして、来年度は、どういう構想でこれを盛り上げていくかというようなことは、十分考えたいと思いますが、先ほど申しましたのは、従来の事務的なやつを引き伸ばすと、こういうことになる、こういうことを申し上げたわけでありまして、来年度以降の構想というものは、そういう実情をよくにらみ合わせまして、足りないところは、もり立てていくというようなことを十分考えまして、遺憾なきを期していきたいと考えております。
  118. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御質疑はございませんか、——本日は、これをもって散会いたします。    午後四時二十六分散会