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1960-05-10 第34回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)    午後二時十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員鈴木万平君辞任につき、その 補欠として佐野廣君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            栗山 良夫君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            佐野  廣君            高橋進太郎君            椿  繁夫君            島   清君            加藤 正人君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○商工会組織等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  まず、理事会で協議いたしました審議予定について御報告いたします。  今週は、本日、明日及び明後日とも商工会組織等に関する法律案及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について審議を行なうことといたしました。  以上御了承をお願いいたします。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは商工会組織等に関する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 川上為治

    川上為治君 私は、この前の委員会参考人意見を聞いたのですが、それは一つはこの商工会連合会の問題でございますけれども、現在中小企業団体につきましては、御承知通り商工組合につきましても全国中央会がございますし、この中央会に対しましては、商工組合のみならず、協同組合あるいはまた信用組合、こういういろいろな団体が加入しているわけであります。また一面におきましては、この商工会と同様な仕事をするものとしまして商工会議所があるわけであります。この商工会につきましても、衆議院の方におきましては決議をいたしまして、その連合会組織についての促進を要望しているわけでございますが、今申し上げましたように、会議所においても同様な仕事をしているし、また別に商工組合信用組合、あるいはその協同組合をもってする中央会というのがあるわけなんですが、この商工会意見としましては、大体今の任意組織商工会意見としては、別に全国組織のものを特別に法制化してもらいたい、こういうような意見が強うございますけれども、商工会議所関係としましては、この前の参考人意見としては、自分の方としては別に商工会議所一緒にした全国的な団体を必要とするというような気持は持っていないというような意見を持っていたのですが、またある参考人の方では、これはどうも協同組合とかあるいはまた商工組合とか信用組合というようなものを一緒にした現在の中央会の中にむしろこの商工会も入れてもらいたいというような意見を出されたように思うのですが、こういう問題につきまして、大臣はどういうふうにお考えでございますか。この商工会の性質からいいますというと、商工会議所一緒に何かやらした方がいいのじゃないかというような気がいたしますし、また中小企業全体の問題からいいますというと、今の中央会と連係をとらすか、あるいはこれと一体をなすか、そういうような組織にした方がいいのじゃないかというふうにも考えますし、非常にむずかしい問題でありますけれども、いろいろと中央組織というものがたくさんあるということは、これはいいようであるし、また同時にいろいろその弊害もあると考えますが、この点につきましてどういうふうにお考えになっておりますか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 商工会組織等に関する法律を立案する際に、今お話のような下部商工会だけでなしに、府県連合会、また全国的の日本商工会連合会ということも一応考えたのでございまするが、やはり下部商工会設立発足をまず第一に期しまして、そしてその様子を見まして、府県連合会とかあるいは全国的なものを考えたいと思っております。御承知通り、今ある商工会につきましても全国的の組織もある。ただ府県連合会はあまりございません。そういうことを考えまして、今後商工会の発達とつり合って連合会全国的のものを考えていきたい、そして全国的なものを考えた場合に他のものとの調整、ことにお話商工会議所との関係につきましては、いましばらく様子を見てから結論を出したいと思っております。
  6. 川上為治

    川上為治君 大臣のただいまのお話では、下部商工会組織をまず作っておいて、そして将来様子を見て、この商工会地方あるいは全円の連合会を一本で作っていくというような考え方でいくか、あるいはまた商工会議所とどういうようなふうにするか、また現在の商工組合とか協同組合とか、そういうようなものの連合組織であります中央会との関係をどうするかというのは、そのときになっていろいろ考えていきたい、こういうようなお話でございましたが、さように承知していいでしょうか。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。
  8. 川上為治

    川上為治君 私もこの問題は非常にむずかしい問題でございまして、衆議院の方では決議としてやはりこの商工会全国組織を早く作って法制化してもらいたいというような御意見があるようでございますが、この御意見がおそらく商工会議所全国日本工会議所、そういうものとは別個に、また先ほど申し上げました商工組合とか協同組合とか、そういうものの一結になっております中小企業団体中央会、この全国中小企業団体中央会、こういうものとは別個に、やはりそういう商工会だけの特別な全国組織というものを作ってもらいたいという決議じゃないかと考えておりますけれども、まあそういうようなことにするか、いわゆる中小企業団体というものについては、今申し上げました三つの中央組織というような形に持っていくことがいいか、それともその商工会議所とこの商工会とを一緒にした中央組織というものにすることがいいかどうか、あるいはまたこの全国中小企業団体中央会一緒にするかというような問題については、これは相当慎重に考えていった方がよくはないかと私もそう考えますので、これは大臣と全く同様な意見でございますので、その点十分一つ今後の推移をごらんになって、どれが一番中小企業団体指導なり連絡なり、そういう意味からいっていいかということを児きわめた上で措置していただきたいということを、特にお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、私がこれはやはりこの前の参考人お話を申し上げましたが、どうも商工会議所零細企業対策というのは、これはなかなか、果してうまくいくだろうかということを実は心配しておるわけであります。特にこれは商工会方、面だけではなくて、いろいろな方面方々が、特に大都市の、たとえば東京でありますとかあるいは大阪でありますとか、そういうような地方商工会議所のその零細企業対策というのが果してうまくいくかどうかということにつきましては、非常に心配しておるわけであります。この前の商工会議所から出ておりました参考人意見を見ましても、大体各地区に支部なり、そういう組織を設けまして、そしてその支部を通しましてその付近の零細企業者に対していろんなめんどうを見ていく、それで十分いけるのだ、現在東京商工会議所におきましても、大阪商工会議所におきましても、いろいろ零細企業に対しては商工相談所等を通しまして、いろいろやっておるのだ、だから心配は要らないだろう。こういうお話でありましたが、しかし先ほど申し上げましたように、この点につきましては非常にみんなが心配を持っておるようであります。持っておりますのは、やはり一つはどうも商工会議所会員になるためには、ある程度会費を払わなければならぬ。年に五千円とか、あるいは一万円とか、そういうような会費を納めるということは、特に零細企業者にとっては非常にむづかしい問題がある。それからもう一つは、会費を払っていないから、従ってその零細企業者商工会議所のいろんな指導の恩恵を受けるということは非常にむづかしいのじゃないか、会議所に行くにも敷居が高い。こういうようなことで、果して、中小、特に零細企業者がこの会議所指導なんかを受けるということは非常にむづかしいのではないかという心配を、実は持っておるわけなんですが、これはもっと具体的にどういうやり方によって、この会議所峰においては、中小零細企業者に対する指導をやるか。そういう点についてはほとんど心配がないというようにお考えでありますか。これはある程度具体的にこの問題について御説明が願いたいと思います。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この商工会組織等に関する法律につきまして、一番の問題点はそこであるのであります。従って本会議並びにこの委員会でも質疑が行なわれましたが、私はただいまのところ心配がないと申し上げておりません。いろいろな困難な点がありましょうが、これを切り抜けていって、零細企業者のためにも、この商工会組織等に関する法律案というものがよかったと言ってもらいたい、これから努力いたしたいと思っておるのであります。従いまして、具体的の問題は、今までの商工会議所商工会議所としてやっておったのでございます。今度は零細企業の方に力を入れるというのでございますから、いろいろの方法があると思います。零細企業方々団体加入とか、いろいろ今後考えていかなければならぬと思っておりますが、その点につきましては、中小企業庁長官からお答えいたしたいと思います。
  10. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 大都市商工会議所仕組みの中に、小規模専業者をどううまく取り込んでいって、従来商工会議所がいろいろ小規模事業者に対します指導をやっておりますのは、会員でない者もやっておりますけれども、その組織の中に溶け込まして、会議所がその仕事をするにも、そういう小規模事業者自分仕事としてやるという親近感といいますか、そういう感じを持って仕事をやっていただきますための仕組み、いろいろ考えておるわけであります。関係団体とも相談いたしましていろいろな仕組み考えておるわけであります。  今考えておりますやり方は、具体的に中しますと、およそ二つの系統で考えております。一つ大都市の、たとえば東京都では特別区、大阪その他では行政区の単位ぐらいに、その区域内における小規模事業者会議所団体加入させる、会費等も一人で払えませんが、団体でまとめて払ってもらうということにしますと、会費の負担もそう高くないのじゃないかと思います。それから形は会議所に入った形になりますが、その後の運営といたしましては、その区域等支部を作りまして、その支部は本部と関係は形式的にはございますが、支部支部会員が民主的に運営するという形をとって、民主的に並びに自主的に極力運営していくという形をとりまして、形式的に会議所に入りますとともに、実質的にはそこで自主的に民主的に、運営していくという仕組みを私ども考えているわけであります。  それからもう一つの型は、なかなか支部を作りますといいましても、いろいろ準備関係その他でなかなか右から左に支部を作りにくいという面もございますので、やはりこれは区なら、従来の区単位にありまするいろんな団体と提携をいたしまして、たとえば商店街連合会、あるいは工場協会等区単位連合会があります。これと連係いたしまして、閥工会議所相談所出先をそういう団体の方と一結に相談して運営していくという仕組みでありまして、前に申しました支部まで作るところまで形式的には会議所組織等の中に溶け込まぬわけであります。暫定的にそういう既存団体と相談しながら会議所の支所を作っていく。その運営あるいは経営改善普及員の設置、人選その他につきましては、両者が協議しながらやって参る。しかし補助金等関係がありますので、形式はやはり会議所相談所出先だという観念で、既存団体と連係しながら協議していく、こういうことが第二の方法でありますが、二つ方法を併用することによりまして、小規模事業者指導態勢大都市全部に網を張っていく、こういう仕組み関係方面といろいろ相談いたしているわけであります。
  11. 山本利壽

    委員長山本利壽君) この際委員の変更について御報告いたします。  本日鈴木万平君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任されました。
  12. 川上為治

    川上為治君 今、長官説明で一応わかったのですが、それでもなお大都市の、特に零細企業者の方では、会議所の方で果して十分な番組企業指導が、そういうような長官もおっしゃるような組織をもってしても、なおうまくいくだろうかということを非常に心配しているようであります。私は、努めてそういう組織を強化して、零細企業者にかゆいところにまで指導ができるようにやっていただきたいと思うのですが、なかなかそれでもうまくいかぬ、こういう場合においては、これはたとえば一年なり二年たってもなかなかうまくいかぬ、幾ら企業庁の方で一生懸命やられても、会議所の方でもやって見てもうまくいかぬという場合においては、その際はどういうような考えをもっておりますか、その点を一言承っておきたいと思います。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) うまくいかなかった場合におきましては、他の方法考えてみて、その方法がうまくいくかどうかということを検討しなければなりません。うまくいかないところが、どういうところがあるかということは、実地にやって見てからでないとわかりませんので、そのときには、そのときの状況から一つ考えてみたいと思います。うまくいかないから他の方法へかわると申しましても、また他の方法がうまくいかない場合もあるのでございます。実態を見まして、今の方針をできるだけうまくいくように努力をしてみたい、それでもいかぬときには、その場合に考えなくちゃならぬと思っております。
  14. 川上為治

    川上為治君 大臣お話では、こう、まあ政府はよく考えて、その際の適当な措置を講じたいというふうに私は受けとりましたが、この問題については、商工会、現在の任意商工会等からも相当いろいろの意見は出ておりますし、またこの問題を検討するにあたりまして、第三者としていろいろ検討してみましても、なかなかこの点については異論もあるように開いておりますので、やはり商工会叢所を鞭撻する意味からいいましても、二年や三年の間になかなか零細企業者に対する指導がうまくいかぬという場合においては、やはり大方の要望にこたえて、別な商工会というようなものを作ってやった方がいいんではないかというような気もいたすわけなんですが、この問題については大臣は、慎重に一つその際考えて、そのとき適当な措置を講ずるというようなことでございますので了承いたしますけれども、これは十分一つ会議所を叱咤激励して、零細企業指導を十分できるように御指導願いたいと思います。  それからもう一つお伺いしておきたいのですが、この商工会関係商工会議所関係零細企業対策として、大臣が主となられまして、本年度四億くらいの予算が取られましたことは、まことにこれはけっこうなことでございますが、大体商工会が法制化されて、この法律による商工会組織ができますのは、いつごろからこれができて、そして本年度内にどのくらいとにかく作れますかどうか。そうしてそれに対する予算の今の四億、これは地方を入れますと八億くらいになるんじゃないかと思うのですが、そういう予算がどの程度これが消化できるでしょうか、そういう点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  15. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 現在、今度法制化しようとしております商工会の母体となるといいますか、自然発生的にできております商工会は約二千六百ございます。そのうちで初年度にわれわれの予想といたしましては、これはやってみないとわかりませんけれども、千五百、あるいはそれ以上のものが法制化できはしないか、みな、そういう心がまえで準備しているようなわけであります。壬五百あるいは二千近くは法制化できやしないかと思っております。  それから予算の配分の関係でございますが、これは県が補助するのに対して国が補助するという間接補助の形をとっております。県もいろいろ準備をして予算をとっている所もございますが、まだこれからの所もございます。そういう打ち合わせ等をやりまして、これは施行がいつになりますか——なるべく早い機会に成立いたしますれば施行したいと思いますが、そういう関係でこれを急いでやりますが、さっきの大都市等組織態勢がなかなかできにくいというような所には補助金をやるわけに参りません、そういう面。それから県の準備態勢面等からあわせまして、やってみないとわかりませんが、大半は余すことなく使えると思いますが、あるいは一部は少し残るかもしらぬというような予想を立てております。ただ、予算は、一年計画で全部全国商工会組織組織化するということになっておりますので、従って初年度予算としては相当部分こなせるだろう、そう考えております。
  16. 川上為治

    川上為治君 大体二千六百くらいの現在の任意商工会の中で、本年度じゆうに——来年三月末までに法制化されるものが千五、六百というようなお話でありますが、そうしますというと、大都市商工会議所に対する助成金は別にして、地方のこういう商工会に対する助成金が平均して一件当たり、県なり国、これをあわしてどれくらいの助成金がいくということになりましょうか、その点を一つ、これは大体の見当でよろしゅうございます。
  17. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 一商工会当たり、これはいろいろ、商工会の規模によりまして改善普及負等の人数も変わってきますし、あるいはそれに伴う事務費等の額も変わってきますけれども、平均しますと改善普及員を一人といたしまして大体三十万円くらいの補助金が一商工会当たり要る、こういう勘定であります。
  18. 川上為治

    川上為治君 それは改善普及員に一人当たり年間三十万円ということでありますが、その他事務費とかそういうものを全部入れまして、地方いなか商工会に対しまして、年に大体どのくらい助成金がいくということになりますか。実はこの問題につきましては、地方の特にいなか商工会では非常に期待をしているわけでありまして、わずか五万円や十万円程度のものがいっては、これはおそらく地方零細企業者指導とかそういうものに対してあまり役に立たぬのじゃないかと思うのです。というのは、例の商工会議所にあります中小企業相談所、この相談所に対する助成金というのは、従来は非常に少ないわけであります。地方の人口三万、四万くらいの都市における商工会議所相談所に対する助成金というのは、わずかに年同五万円とか十万円、こういうような利度のものが従来たくさんあったわけでありまして、それくらいもらっても大したことはない、これではとても零細企業対策というのはできないというような意見が非常に強かったわけなんですが、今度は、今長官お話によりますというと、少なくとも地方いなかのしかも商工会についても、三十万、あるいはそれ以上のものがいくということになりますというと、だいぶ商工会零細企業に対する指導というものができるということになってくるのじゃないかと思うのですが、まだそれも三十万ぐらいではなかなか十分なことはできない、ほんのちょっとしかできないということになってくるのじゃないかと思いますので、私はやはりこういう予算については、将来もっともっとふやして、十分零細企業対策ができるようにやってもらいたいと思っておりますけれども、さしあたり本年度においては、いなか商工会に対してどの程度出るかということを聞いているわけなんですが、今承りますというと、一人の改善及員に対して大体三十万円、それ以外に事務費とかそういうものも若干ついているのじゃないかというふうに考えますが、それを合わせますというと、どれくらいつきますか、その点をちょっと承っておきたいと思います。
  19. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほど三十万と申しましたが、正確にいいますと約三十三万ぐらいの計算になります。これは人件費のみならず事務費を含めまして、国が十六万五千、県が十六万五千、これが一番小さな型の商工会に対して。そのほかに前々も申しましたが、全部補助金に頼るということでなくて、ただ補助しますのは、小規模事業者に対する指導事業に対する人件費事務費を補助するわけでありまして、それ以外にも商工会団体維持のためにいろいろの経費が要るわけであります。これが大体十五、六万。国が三分の一、府県が三分の一、自分が三分の一というこういう形で、一番小さな型の商工会は約四十八万程度で維持できる。そのうち三十三万程度は国と府県から補助する、こういう形になっております。これは事務費も含めましてのことであります。
  20. 川上為治

    川上為治君 私はこの商工会に対する国の助成とかあるいは県の助成、特に国の方で本年度四億も出していただくということは、これは非常に大臣の大功績ではないかと、そういうふうに私は考えておるのですが、しかし四億出しましても、先ほどお話がございましたように、いなか商工会においては大体三十三万円というようなことでございますので、これではまだまだとても問題にはならない。将来もっとこれをふやしまして、ぜひとも大臣に、この中小企業に対するこういう措置をもっと大きく一つしていただきたいということを特にお願い申し上げておきます。  この際、もう一つ申し上げておきたいのは、商工会に対する助成は最初から四億も出しておる。これは商工会だけじゃないのですが、商工会議所を含めての零細企業対策として四億も出しておる。ところが組織は若干違いますけれども、同じ中小企業対策として昔から非常に仕事をやって参りましたいわゆる協同組合、この協同組合に対しましての助成金というのはどうも少し少ないような気がするわけであります。何年大体一億、それぐらいしかふえていない。しかも全部でそう大きな金額でもないようなんですが、これではやはり、まあ片手落ちというのは、組織が違いますし、仕事も違いますから、そういうことは言わなくても、どうもやはり中小企業対策として協同組合に対する助成金というのは非常に少ないんじゃないかというような気がいたすわけであります。また設備近代化助成金にしましても、これまたことしは十数億円新しくついたわけでございますけれども、どうも貿易の自由化とか、あるいは中小企業と大企業との格差を極力なくしていこうというような点から考えます。というと、私はやはり早急に中小企業設備近代化をはからなきゃならぬということを考えますというと、どうもその設備近代化助成金というのは現在の程度では非常に少ないんじゃないか。助成金というものは、いわゆる無利子の金というものをどうもこれ以上出すことが非常に国家財政上むずかしいということであれば、もっとその金利の低い金を何か工夫して出す必要があるんじゃないか。たとえば中小企業金融公庫なり、あるいは国民金融公庫あたりから、あるいはそれと同じような機構でも作って、そっちの方からもっと今の九分六厘とか九分三厘とかいうような金利でなくて、もっと低い金利のものを、金を大幅に出す必要があるんじゃないかというように考えますが、こういう問題について大臣のお考えをこの際承っておきたいと思います。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 商工会に対しまする今回の四億円というのは私は十分じゃないと思いますが、まだまだこれの倍とか三倍ぐらいに将来はしたいという考えでおるのであります。何分にも初年度でございまして、そうして施行もおくれますし、実際やってみてどの程度のものができるかということは、やはり今年は試験的のものぐらいに考えておるのであります。これは全国的に、しかも全部の零細企業者に対する措置でございまするから、今お話の特定の協同組合とか、あるいは特殊の人の設備近代化貸付金とは性質が違っております。ほかと比べることはいかがかと思いますが、しかし協同組合に対しまする助成金等もやはり今後できるだけふやしていきたいという気持を持っておりますが、私の今考えておるのは、何と申しましても、今までの設備近代化あるいは協同組合補助金よりも、もっとやはり商工会の方に力を人れたい、そうして補助的には今度は協同組合あるいは近代化の資金をふやしていく。この近代化の資金も大蔵省かいろいろ調査いたしております。もうある学識経験者等がずっと見まして、その必要なしという結論が相当出たようでございまするが、これは無利子の近代化資金をやってよくなったので、もともとは近代化資金によってそうなったのだから、私はよくなったものにつきましては回収を早くするということをすると同時に、まだまだ設備近代化中小企業に対してうんとやらなきゃならぬ点がございますので、私は近代化の方のお金ももっともっとふやしていくべきだと考えておるのであります。
  22. 川上為治

    川上為治君 その設備近代化についての学者の意見というのは、どういう学者がお調べになってそのような意見を出されたのか、これは私もよく存じておりませんけれども、どうもそういう意見は少し間違っているのじゃないか、少しどころか、大幅に私は間違っているのじゃないかというような気がいたすわけであります。やはり一般の中小企業者については、どうしてもこの際設備近代化を進めていかなきゃならぬ、質的な改善をどうしてもこの際はかっていかなければ、特に大臣がおっしゃっております貿易自由化というのがどんどん進んで参りますというと、私は大企業中小企業との格差というのはどんどん広がっていくのじゃないかというような気がいたすわけであります。たとえば外国からの資本の導入なり、あるいは技術の導入ということを現在以上にゆるゆるというようなことになりますというと、外国の方から非常に低い金利のものを大企業関係は借りることができるけれども、また技術の導入につきましても、大企業はその恩恵に浴することができますけれども、どうも中小企業というものは、そういう技術の導入ということもできないし、また外国の方から資本の導入ということもできない、現在もうすでに中小企業に対する金利というものは非常に高い、大企業よりも。そうしますというと、ますます歩が悪くなるというようなことになりますので、そういう意味からいいましても、中小企業に対しましては、国内的にやはり今よりもず、と強い保護といいますか、めんどうをみていかなければ私はいけないのじゃないかと、そういうふうに考えますというと、もっと金利中小企業に対するものは下げるというような方向に極力持っていかなきゃならぬ、それにはやはり無利子の金を国がもっと出すというようなことをやるとか、あるいは無利子ということが非常に無理でございますれば、金利の非常に低いものを貸していくというようなやり方をとらなくちゃなかなか中小企業の体質の改善なり、設備の近代化というのはできないのじゃないかと、こういうふうにまあ考えますので、学者の意見に惑わされることなく、大臣はぜひともこういう問題について積極的な一つ中小企業対策を打ち出していただきたいことを特にお願い申し上げておきたいと思います。私の質問は、これで終わりたいと思います。
  23. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私は商工会議所の設置されておるところの対策と、それから今回商工会議所のない地域の商工会に法的な根拠を与えて助成措置を講ずるという問題については、これは別に考えていかなければならぬと思います。で、既存商工会議所大都市においてこの本法が目的としておりますような零細企業の改善、指導ということについて不適当であるということは前回も申し述べたのでありますが、これまた別の機会に譲ることといたしまして、今回本法を制定することによって約四億の助成金を出すということなんでありますが、政府中小企業団体に対して一体これまで幾つの団体補助金を出しておられるか、あまり中途半端な金額の補助に終わって、どこも目的を達するに事を欠いておるのではないかというような気がいたしますので、政府は一体中小企業団体に対して幾つ補助金を出しておるかということをまずお聞きします。
  24. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 現在まで中小令業関係団体に補助をいたしておりますのは、中小企業団体中央会というのがございます。これはいわゆる協同組合及び商工組合団体でありまして、都道府県別に中央会があり、それが集まりまして全国中央会があります。これに補助金を出しております。三十四年度五千万円、三十五年度予算は六千四自四十八万円でございます。その六千四百四十八万円のうち、五千五百二十六万円が四十六都道府県に対する補助金でありまして、九百二十一万円が中央会に対する補助金であります。団体に対する補助はこれだけでございます。
  25. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この中央会に六千四百四十八万円の補助を出しておられますが、中央会はこの補助金をもらってどういう改善指導仕事をやっておりますか、この本法で指導を行なわんとする事業との違いについて御説明をいただきたい。
  26. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業団体中央会と申しますのは、協同組合法で法定されておる団体でありまして、いわゆる協同組合及び商工組合の組合運営指導する、組合の組織化あるいは設立されたあとの組合の運営指導する、こういう仕事をやる団体でありまして、今申しました予算額は中央及び各都道府県中央会に対して、たとえば巡回していろいろ組合の設立あるいは運営指導をするとか、あるいは組合の運営及びことに経理の周係の監査をやるその監査、自治監査をやらせる指導だとか、それからやはり組合関係運営等について相談室を設けて相談にのるとか、そういうことに関します人件費並びにそれに伴う事務費であります。
  27. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ただいまの長官の御説明は、これは中央会全国本部がやっておる仕事府県中央会は一体どういう仕事をやっておるか、この商工会が目的としておるのと同じような技術指導でありますとか経営指導でありますとかいうふうなことをやっておるんじゃないかということを私は聞いているのです。
  28. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 協同組合品及び商工組合合せますと、ちょっと今数は持っておりませんが、約四万近くの組合があるわけであります。いわゆる事業協同組合から、企業組合から、それから団体組織法に基づく商工組合と、全部合わせて四万近くございます。これらの組合を全部指導するわけでありまして、中央の、全国の中火会ももちろんでありますが、都道府県中央会も組合指導を主体にして、先ほど申しましたような仕事をいたしておるわけでありまして、個々の企業者に対する指導はいたしておりません。
  29. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そうなりますと、中央会団体指導するのが目的の団体であって、で、本法は個人の指導を行なうのを目的とする、そこに中央会の事業との違いがある、こういうふうに理解すればよろしいのでしょうか。
  30. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) その通りであります。
  31. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そこでお尋ねをいたしますが、自然発生的な商工会全国に二千六百あまりある。で、本法が成立をすれば、初年度に千五百ないし二千の団体補助金を受ける資格を百取得することになるだろうということでありますが、長官はまあ一団体、最低で三十三万、年額その程度の補助になるだろう、三十三万円は一人——一人ということを言われましたが、一人の事務員ですか、桁導員ですか、これに対して大体人件興が中心になるということなんでありますが、この有資格団体であるということの認定はどういうふうに行なうことになりますか。
  32. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 法律助成の規定のところに、政令の定むるところによって都道府県が補助をするときは国が都道府県に補助をするということになっております。法律の五十六条でありまして、都道府県がそういう商工会の行なう小規模事業者の経費を補助する場合は、国が補助するという形になっております。この政令でいろいろなことを、制約をきめていきたいと思います。政令できめます事柄は、補助金を交付される商工会それから商工会議所も人りますが、これの資格をきめたいと思います。資格と申しますのは、小規模事業者指導の事業を主体の仕事として、それが効果的にできるというような保証がないと困るわけでありまして、そういう事業の内容等を判定していくということ、それから事業のやり方の問題といたしまして、その事業をやはり一定の資格のある改鮮普及員というものを置いて、その人を中心として仕事をやる、指導事業をやるという仕事やり方の出題、そういう事柄を政令で所定していきたいと思います。従って法律で認可を受けて商工会ができた、その商工会がその商工会の定款その他の規約上または仕組みの上からいって、そういう小規模事業者指導仕事をやるに適しているということは、補助金の交付の申請書といいますか、そういうものを見まして、これはそういう仕事をやるに十分の資格があるかないかということを判定いたしました上で、こういうことに相なるわけであります。
  33. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 資格があるかないか、政令をこちらで定めるわけですが、資格があるかないかということの認定は、都道府県に委任をするということになりますか。
  34. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 実際問題としては、そういうことになると思います。
  35. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そういうことになる……。
  36. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ええ、なろうと思います。
  37. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 その場合に二千六百のうち千五百ないし二千のものが大体補助を受ける資格団体になるだろうという想定のもとに、今長官はおられるようですが、商業の指導と工業の指導というものはおのずから私は違うと思う。ここに書いてありますような事業の範囲ですか、これは商工業に関し相談に応じまたは指導を行なうことという、こういう便利な人が私はあれば非常にけっこうだと思うのですが、なかなかそれは人を得られないじゃないかという心用がありますが、この商工業に関して、相談に応じて、その指導を行なう——私は商業の指導というのと工業の指導というのとは具体的に実際違うと思うのですよ。それを一体、どの程度のことを普及員に政府は期待しておるのか、ということを伺います。
  38. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) お説の通り、具体的な従来からいろいろ相談事業もそれぞれの機関でやっておりますし、また企業診断等のこともいろいろやっております。その場合に、商業と工業、これは非常に違います。それからまた工業その他業種によって非常に違うわけであります。ただ、今回小規模事業者指導事業として商工会組織化して、商工会議所とともに、そういう仕事をやってもらう、これに補助をしようという仕組み考えます際の指導、そしてその指導の衝に直接には改言普及員に当たってもらおうという仕組み考えましたときに、その改善普及員に期待いたしておりますことは、実はまあいわゆる企業経営の初歩的なこと、たとえば帳簿の問題あるいは金融の問題あるいは税の問題あるいは社会保険等の問題の、まあ要するに中小企業特に小規模事業者がそういうことをあまり知らない、あるいはめんどうくさがって、あるいはなかなか手が回らなくてそういうことに乗っていけない、そういう制度に乗っかっていけないというところを指導してやろう、糸口をつけてやろうということが主体でありまして、まあ改善普及員の資格等につきましても、従来の診断員とか相談員よりは程度の低いといいますか、低いというとちょっと語弊があるのですが、なるべく一般的な事柄を知っていてもらう。そして常時親切にそういう人たちの手ほどきをしてやるという程度のことを期待しているわけでありまして、それ以上具体的に企業経営のあるいは工業なり商業なりの店舗をどうするとか原材料の購入をどうする、機械をどうするというようなことになりますと、あるいは税問題等でももっと専門的なことになりますと、それぞれの専門家の知識をどうしてもわずらわさなければならんのでありまして、この予算でも、経営改善普及員というものは、ある小規模事業者の数に応じてずっと配置していくわけですが、そのほかに専門指導員というものをずっと必要に応じて頼んできて、その人に、改善普及員が取り次いでいくという方法によって、専門家の知恵を借りるという仕組み考えおりまして、事務費といたしまして専門指導員の謝金ということを相当考えております。従って、むずかしい問題あるいは専門的な問題になりますと、そういう人をわずらわしてくるということでありまして、改善普及員にはそう専門的なことまでは期待しない、こういう考え方であります。
  39. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私は零細な商業、零細な工業でありましても、こういう政府が行なう助成措置によって期待しているものは区分されておると思います。ですから、今お話しのように共通していえますことは、まあ帳簿のつけ方であるとか、税金がどうすれば安くなるかとか、それから基準法というものはどの程度まで守っていかなければいかんのかというようなことだろうとまあ思うのです。で、そのほかに専門的なことについては、これは府県に置くのですか、専門指導員謝金というようなものを会計の中で考えていくということですが、それは府県にプールして置いて、そしてある地域の商工会で講演会を企画する、そういう場合には、こういう問題とこういう問題、法律だとか税金だとかやれその経理だとかいうようなものを、専門的な人をちゃんと府県なら府県会議所であれば会議所において、それをこう随時派遣をして専門的な指導相談に応ずる、こういう考えなんですか。
  40. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 専門指導員の謝金の予算的な基礎を申しますと、改善普及員十人に対して二人ということになっております。二割程度でございますが、大きな、改善普及員のたくさんおります会議所あるいは商工会には、専門的に、専門的な人を常時頼むということができますけれども、そういうことで小さな商工会等はまあ実際問題としてはどういうことになりましょうか、考え方としてはそのつど頼んでくるとこういうことになるわけですが、小さな商工会等は近くの人が幾つか寄って、問題をきめておいて、毎日やるというようなことにも運営上はなろうかと思いますが、考え方としては、そのつど専門家を雇ってくる、頼んでくる。こういう考え方をしております。
  41. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 どうも私は御説明を伺っていてですね、中途半端なものになりはしないかという心配がいたします。この間の参考人意見の中にも、三人四人と既存団体の育成について考えてもらいたい、ということが繰り返し述べられておったんですが、この中小企業既存団体に対する財政的な補助あるいは育成ということについて、大臣、何か本法と関連してお考えになっていませんか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この前おいでになった人はどういう方か、私よく存じません。速記録をまだ読んでおりませんが、商工会というのは、これは新しい試みでございまして、今までの既存団体の幹部の方々とはちょっと行き方が違っておる。先ほど川上君の質問に対しまして申し上げましたごとく、既存団体に対しましても、われわれは過去の実績等を見て、また今後伸ばすべき点等多々ありますから、この育成はもちろん考えて参りますが、商工会というのは新しい考え方でございまして、おのずからそこに方向が違っておると思っております。それからまたお話指導員というものは、初めからそううまく私はいかない。帳簿のつけ方あるいは社会保険の関係の事業とか、いろいろなまあ卑近な点から入っていきまして、だんだん指導員の方もうまくなって参りますし、また商工会自体もいろいろな問題にぶつかって、そこにいい知恵が出てくると思います。また指導員にいたしましても、お話のように工業関係、商業関係、もちろん違ってくると思いますが、これは県にも現に付属の指導員もおりましょうし、また商工会等も有無相通じまして、その間をうまくやっていけるようになると思います。何分にも初めての試みでございますから、われわれが机の上で考えたようになかなかうまくいかんということは、私も承知をいたしておりますが、しかしそのことを踏み越えていって、初めて零細企業団体的にうまく運営される。個人の企業自体がよくなっていくと、こういう長い目で私は考えておる次第でございます。
  43. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 もう一点伺いたいんですが、商工会議所のある地域には本法を適用しないわけですから、この商工会議所の支所を設けて、そうしてその区域内に、行政区域内と申しますが、この工業協会あるいは商店会等がある。そこへ商工会議所の支所を設ける。そして三者が一体になって零細企業の指得と育成について協議をし、しかも自主的に民主的にということを企業長官は言っておられますが、たとえば今回政府がお考えになっております改善普及員を、その三者が寄って、この人ならよかろうということをきめる。ところがどこまでも商工会議所の支所でありますから、これは会頭の任命することになるでしょう。形式はそういうふうになって差しつかえないと思いいますが、そういうその地域の事情に通じた人が推薦した者を、それを将来原則としては会頭は指名をするというようにならなければならんと思うのです。自主的に民主的に運営をお考えになっておるんですから。ところがこの問の商工会議所参考人はですね、まあできるだけそういうふうにしていきたいとは思いますけれども、全部が全部そういうふうになるというふうには申し上げかねますということを、高城さん言っておりましたが、政府はこの点自主的に民主的に運営させるという御方針でありますから、やはりそこで推薦するというふうにきめた者は、会議所でもやはりそれを指名するというふうな強い行政指導は行なう御決意ありゃいなやということをお聞きしたいんです。
  44. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この既存団体との関係は、実は衆議院でも付帯決議をされておるわけであります。その間関係方面といろいろわれわれも相談をしておったわけでありますが、そのときにたとえば商店会連合会あるいは工場協会等で、会議所なら会議所のもらった補助金をそのままわれわれにくれと、こういう実はあからさまにいえば意味お話もあったわけです。ところが補助金通り抜けで出すということは、補助金の性質からいってもへんなわけで、形はやはりその金は補助をもらったものに対して自分の金をつけ加えて、その金を使う主体というものは、やはり会議所であってもらわなきゃ困るということで話したわけです。ただ実際、たとえば改善普及員の事務所の問題だとか、あるいは改善普及員の、その土地の状況をよく知っている人の意見を聞くというような意味で、自主的に改善普及員の選任等は相談し合ってやる、あるいは事務所等もお互いに使えるところがあったら出し合って使おうじゃないかというようなことで、なるべくそこは民主的、自主的に話し合ってやろうということなんです。改善普及員はもちろんある程度の一定の資格を、先ほど申しましたような意味でそう高い資格じゃございませんが、ある程度の資格をやはり持っていただかなければいかぬと思います。その資格標準をきめますので、この既存団体等が推薦する改善普及員がそういう資格にさえはまっておれば、それは文句なしに会議所の方で認めてもらっていいのではないか、これは任用の問題ですから、会議所の形、任命の形とか、そういうことは別にいたしまして、資格要件さえ備えている限りは、そういう既存団体の推薦を会議所が受けるというような指導は強力にやってもらいたい、こう思います。
  45. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 過日御説明をいただきましたのは、現在の任意団体である商工会というものがおよそ二千六百、そのうちで法人格を持っているものが四・二%ぐらいある、こういうお話に承りましたが、その法人格を与えた根拠法になっているのはどういうものがありますか。
  46. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 正確な数字を申し上げますと、ただいま統計的な調査はできておりませんで、あるいは漏れがあるかもしれませんが、私どもの調査では任意商工会二千六百五十七であります。そのうち法人格のあるもの百十二、四・二%ということになっております。この根拠は民法の社団法人が全部でございます。
  47. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、ただいまの法人は民法の保護を受けて登記を完了しておるものと思いますが、そういうものにまで本法案によるというと第五条をもって商工会という名称の使用禁止をいたすことになっておりますが、そういうことがただいまの日本の憲法なり、あるいはその他の法律上可能なことでしょうか。
  48. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 民法による法人格を持っておる商工会は登記していると思います。ただ今回商工会組織等に関する法律というものを作りまして、商工会を特殊法人として法制化するということにいたしたわけであります。名称禁止の問題についていろいろの問題が法律的にもあろうかと思いますが、その一定の特殊法人を国が認めて特殊の仕事をさせるということになりますと、第三者との関係その他において、とにかくほかの団体と区別するという意味において名称独占の規定を設けるのが、大体法律の建前なのであります。従って本法でも商工会という文字を新しい法律に基づく商工会に独占さしておるわけでございます。従って新しく認可を受けて成立する商工会ではないものは、名前を変えていただかなければいかぬわけでありますが、これにはある程度の猶予期間を設けまして、その間に変えていただくということで、その間の調整をはかっていくということに考えております。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは今あなたの御説明なさったことは、きわめて便宜上のことであって、私は一つ法律が保護をしておる名称というものは、やはり民権に属するものでありますから、そういう効前において一つの確定されておる民権というものを、突然便宜上の立場に立って他の法律をもってこれを禁止するというようなことができるかどうかということに、私は疑問を持つわけです。特にあとで順々にお尋ねいたしますが、今までこういうたぐいの名称の使用禁止を出した法律が数あることは知っておりますが、それらは今後のことを大体問題にしておるものであって、既往のものにまでさかのばって、新しく法律を作ったために、既往の名称を使用する権利を持っておる人の権利を奪い取るというような例は私はなかったと思うのであります。従ってそういうことがはたしてあるのかどうか、現在の法律で名称の使用禁止をしている法律が幾つあるか、そうしてその法律が名称の使用禁止をいたしたときに、その法律制定のときから将来にわたっての禁止であったのか、その法律が施行になったときに、すでに使われておった名前を消させたという例があるのか、そういうことについて具体的に詳しいお伺いしたい。
  50. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 法人格を持っておるものと持っていないものと、その名称の点では大体法律的な建いはないと思いますが、法人格を持っておるのは民法で保護されておるという意味で重みがあるかとも思いますが、大体法人格を持っておるものはもちろん、持っていないものも先ほど申しましたこのうち一千五百ないし二千近くまで切り変わるだろうと申しましたのは、私は初年度の話をしたわけでありまして、初年度あるいは次年度ぐらいには、このほとんど全部のものが新しい商工会に変わるのじゃないか。実体は大体新しい法律予想しておる実体を備え、仕事もし、構成を持っておるものでありますから、これはほとんど新しい法律に切り変わってくるのではないか、こう考えておるわけであります。従って実体的には、そう問題はないのではないかと思います。  それからいろいろな法律でどういう法律があるかというお話ですが、これは調査いたしまして、あとでもし必要でありますれば資料としてでも御提出いたしますが、すべてがこういう法律制度では名称独占という制度を使っておりまして、この法律の名称独占は今後のことをいっているわけでありまして、既存の名称、既存のことをいっているわけでなく、今後そういう名前を使ってもらっては困るということをいっておるわけでありまして、これはほかの法律も全部同じじゃないかと思います。
  51. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうですが、それならば私はそんなに……、今後のものをいうということは、既存のものを問わない、そういうことであれば、それは私はお尋ねをするポイントが少し変わりますから町題がないわけでありますが、その法律によると、衆議院の修正によりますというと、そういう工合に受け取れないことになっておりますね。たとえば付則の第二条、「この法律の施行の際現に商工会という名称を用いている者は、この法律の施行後一年以内に、その名称を変更しなければならない。」、独要規定がある。これは「一年」というのは衆議院で「三年」に直しておりますが、今の長官の答弁と違いますよ。
  52. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 合後と申しましたのは、既存のことを向うわけじゃなくて、今後はそういう名称を使ってもらっては困る、従って一定期間に変更してもらいたいと、こういう規定になっておるわけでございます。これはほかの法律も全部同じでございまして、たとえば中小企業団体組織法は商工組合という名前を使わなければいかぬということが八条に書いてありまして、付則で施行の際そういう名前を使っておるものは施行後三ヵ月以内に名称を変えてもらわなければ困るということになっております。ほかの立法でも令部こういう書き方であって、今後はそういう特殊法人を認めるために、特殊法人に取引の安全というようなことから名称の独占を認めるというふうになっております。
  53. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は先ほどの資料を作っていただきたいと申し上げましたことは、法律的に民権の所在というものを明確にしたいから申し上げておるのであって、そういう便宜主義的な、運用主義的なことからお尋ねしておるわけではない。たとえば現在法人格を持っておるものも、本法の施行によって摩擦なしに自動的にうまく切りかえができるであろうという可能性をもって、あなた方は一つの答弁の材料に使われておりますが、そういうことを私は申しておるのではない。少なくともそういう何と申しますか、安直な考え方で法律というものが作られていいかどうかということを私は問題にしておる。で、もし社団法人で認可を受けておるとすれば、これは認可ですからどこかの主務省が認可しておるわけです。その認可しておるものに対して、これは取り消しなり、あるいは認可内容の変更をさせることになる。そういう強制が本法によってできるかどうか、本法のどこにそういうことが書いてあるのかということが私は疑問になるから申し上げておるのです。どこに弁いてありますか。
  54. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) それは経過規定の本法施行後何年以内にその名称を変えなければならぬというところから法律的には出ております。
  55. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それじゃ、もしそういうことで変えなければならぬといったときに、もう既存の国家の保護を受けた権利を持っている人が重大損害を受けたときは、その損害の補償はどうします。そういうこともやはり法律には明記されるべきことであります。大体において既得の権利を抹消する、これを取り消しを命ずるということであれば、当然付帯事項としてそういうものがなければならぬ、もしその補償とか、そういうことをつけないとするならば、またそのつけ得ない理由というものを明白にすべきです。そういう点が私は欠けておると思う。この点はきょうでなくてもようございます。先ほど資料をお願いいたしましたから、現在の国内法の中で名称の使用禁止のある法律ですね、そういうものを全部あげていただいて、その法律法律制定のときから将来に向かってそういう規制をしたのか、既往のものにまで規制をした例があるのか、そういうことをよく調べていただきたい。任意団体の問題についてもやはり議論がありますけれども、少なくとも法人格のものがあるということであれば、これはもう法律的に議論し得る問題でありますから、私は申し上げないでおきます。  それから第二番目に伺いたいのは、商工会議所の中に青年商工会議所というものの名称を使って盛んに活動をしているのがありますが、御承知ですか。
  56. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 聞いております。青年会議所であります。
  57. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうするとそれは商工会議所法の第三条には触れないわけですか、そういう名称を使うことについては。
  58. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) それは商工会議所法の名称禁止の規定にはひっかからないと思います。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、この商工会議所法の第三条には、「特別の必要がある場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」というので、商工会議所の名称を使い得るようになっておる。特別の必要のある場合これによって通商産業大臣が認可をされた例があるかどうか、これをお聞きしたい。
  60. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) それは商工会議所連合会と、それから在日外人の商工会議所、これが禁止にひっかからないように、こういう規定を設けたわけでありまして、それで許可をした例はあるそうでございます。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 許可をした例があるのですね。  そこで、過日も参考人としてここへおいでを願った中で、既往の商工団体組織にある人が、この商工会の名称を法律によって剥奪されたことについて、非常に強く反対をいたしておりました。私はその商工会の性格、組織、状況等がよくわかりませんけども、全国商工会連合会から出していただいた商工会の実態という中に、それが若干触れられてありますから、大よその見当はつくわけであります。    〔委員長退席、理事川土為治君着席〕 つくわけでありますが、任意団体として同じような零細企業者一つ組織を守るために、そうして企業の発展を確保するために、たまたまもう本法案が構想せられるよりははるかに以前に、商工会という名前を使っておった、そういうものについて、一片の法律をもって禁止をする、しかもこれに罰則をもって臨むというようなことは、何としても了承いたしかねると、こういう強い意見がありました。私はしごくごもっともだと思うのであります。商工会議所法においてすら、こういう特例をもって、通商産業大臣が認可をしたときには、その名称を使用してもいいということになっておる。おそらくこのときには商工会議所法ができたあとに、そういう認可があったんだろうと思いますが、法律ができる前に現存しておるものについては、やはりその名称使用については特別の措置を講ずるということが建前ではないか、むしろそういうことでなければいかんのではないか、こう考えるわけです。この点については、これは委員長にお願いしておきますが、純法律問題にもなるだろうと思います。で、私はその点はあまり詳しくはないわけでありますけれども、本委員会に法制関係の責任官に出席をわずらわして、この点を明確にしておきたいと思うのです。先ほどのように非常に便宜主義的な解釈でこういうことを行なってはいけないと私は思いますので……。もし、もっとほかの言い方をするならば、既存商工会という名前を使った団体がこれだけたくさんあるとするならば、今度作る法案には商工会という名前は避けて、もう少し何かはかの新しい名前を作って、そうして、それで将来の名称使用禁止をするのなら私は異議がないし、それなら非常に良心的だと思うのです。そういうことをなさらないで統制をする、しかも罰則をもってこれを取り締まる、国家権力を発動するというようなことについては、これはやはり国民の中から強い不満が出るものもごもっともだと私は思う。この点はきょうでなくともよろしいから、よくわれわれの納得し得るように——もしその説を通し抜こうということであれば、納得せしめ得る根拠に立って御説明をいただきたい、どうしても説明がつかないということであるならば、ほかの方法考えてもらいたい、そういうことを要望して、これは次回の問題に貿保いたしておきます。
  62. 川上為治

    理事川上為治君) 承知しました。
  63. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) それでは資料は急いで作ります。  それからなお、今お説のように、法制局なり専門家の人の話も聞いていただきいたわけですが、まあ結局、法制局でいろいろわれわれも聞いてみますと、その名称というのは、団体の性質によりまして既得権として保護する財産権といえるかいえないかというところに論点があるようでございます。従って法制局も今度の提案のような趣旨でいいじゃないか。商工会という名前を使っていますものに、先ほど申しましたいわゆる任意団体商工会一つございます。それから商店街団体の中に商工会という名前を使ったものも少しございます。それからいわゆる民主商工会という系統のものにも少しございます。その点まあ結局大多数の商工会という任意発生的にできて、その会の性格及び事業等も今度法制化しようとするものに似ておるような商工会というものが数からいって大多数であって、従ってそういうものが振りかわるときに別の名前を使うという考え方も一つございましょうが、大多数のものが便っておる名前を使って、その名前の独占を保護する、こういうことにしたわけでありますが、なお、資料を作りました上で一つ法律的な問題のときに御答弁いたしたいと考えます。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 法制局に伺えばわかるわけですけれども、ただ普通の財産権と同じに扱えるかどうかわからないというようなお話ですが、たとえば商標ですね、こういうものだってこれはやはり一つの工業所有権として認めておるのですよ。もし商標権でいったときはどうしますか。そうするとなかなかそう簡単にはいかない問題ですよ。ですからずっと堀り下げて本委員会審議をしたい、こう思うわけです。これは次回でけっこうです。
  65. 川上為治

    理事川上為治君) 承知いたしました。ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕    〔理事川上為治君退席、委員長着席〕
  66. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をつけて。本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十八分散会