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参考人(高城元君) 私、ただいま御紹介いただきました高城でございます。私は、
全国四百三十六の
商工会議所を
代表いたしまして、
商工会の
組織等に関する
法律案について
意見を申し述べて、御参考に供したいと存じます。
この
法案は、主として町村におきまする商工業の総合的な改善発達をはかるために、
商工会の
組織と
運営について
規定をいたしましてこれをいわゆる特殊法人といたしまして、
商工会議所に対しますると同様な
政府の監督のもとに置き、かつ
商工会議所と
商工会議所と
商工会との間及び
商工会相互間の
地区の重複を禁ずる旨を
規定し、さらに
商工会及び
商工会議所の行ないます小規模
事業に対しまする国の
助成意思を明らかにされておるのでありまして、私はこの
法案に、全面的の賛意を表するものでございます。
商工会の法制化の問題につきましては、すでに
昭和十四年
日本商工会議所におきまして、これが法制化に関して
政府に建議いたしたのでございますが、
商工会議所と
商工会は、
地域経済商工
団体といたしまして相ともに商工業の振興に邁進する必要があるということは、この戦前の時代以来一貫しております
商工会議所の
考え方でございます。
現に先ほ
どもお話がございましたが、おおむねの地方におきまして、何らかの方法によりまして、相互に連繋してその
地域の
経済の振興に当たっておるのでありますが、特に十一の県におきましては、
商工会議所を
商工会が相集まりまして
一つの
連合会を
組織いたしまして、相携えて、県下の商工業の振興に力をいたしておる
実情でございます。
この
法案によりますると、
商工会は、
商工会議所と大体同様の性格を持つ、いわば簡素化された
商工会議所と申しますか、かような性格に
規定されてるのであります。これは、まことに正しい
規定の仕方であると思うのでございまして、従来
商工会が拡大と申しますか、大きくなりまして
商工会議所になりました事例というのは、ほとんど新しい
会議所ができまするのは、大部分
商工会が大きくなって
商工会議所になったのでございます。最近の五年間に
設立を認可された
会議所は四十五ございますが、特別の例外二つを除きまして、四十三は、
商工会から
商工会議所に拡大発展をいたしておるわけでございます。特別の例外二つと申しますのは、
一つは大阪の枚方、寝屋川の
商工会、これは二つの
商工会議所が合併いたしまして
一つの
商工会議所になったわけでございます。それから奄美大島の
商工会議所、これは当時は御承知の
通り琉球
政府の治下にございまして、琉球
政府のもとでは、
商工会議所と言っておったわけでございます。この二つが例外でございまして、残りの四十三というものは、すべて
商工会が
商工会議所に発展拡大してきたものでございます。今日各地の
商工会は、その
地域の商工業の振興のために
商工会議所と類似のいろいろの
事業を行なっておられるようであります。その点は、今後におきましても、同様に行なわれることと存ずるのでございますが、なかんずく
小規模事業者に対しまする
指導事業は、今後の
商工会にとりまして、
商工会議所におけると同様、きわめて重要な仕事となるべきものと思うのであります。本
法案が、これに関して
商工会議所と
商工会に対して、
政府助成の意思を明らかにされておりますことは、深く敬意を表する次第であります。
この機会に、
商工会議所が従来行なって参りました小規模
事業の
指導の仕事について、一言申し述べて御参考に供したいと思います。
商工会議所はその
地域の商工業の振興に役に立つことは何でもやるということでございます。きわめて
事業は多種多様にわたっております。たとえば
東京の
会議所でやっておりますのは百六十七の仕事をやっておるのでございますが、この
会議所の仕事の説明ということは非常にむずかしいのであります。あまり数が多いためでございましょうか、ニューヨークの
会議所の
事務総長も、この
会議所の仕事は大へんむずかしいということを言っておりますが、これは世界的の傾向かと存ずるのでございますが、
会議所が
全国平均いたしまして、その
会員の七割以上が小規模
事業で占められておるという
関係からもございまして、
小規模事業者に対しまする育成
指導は、その重要な部分を占めておるのであります。
今日御承知の
通り中小企業の
指導のために
中小企業相談所というのが、いろいろな機関に設けられておるのでございますが、この
中小企業の
相談所というものを初めて設置をいたしましたのは、
昭和九年の
東京商工会議所におきまして外国、特に英米の商業
会議所の
制度を取り入れ、わが国の
実情に沿うように改編いたして導入いたしたのに始まるのであります。その後この
制度は、
全国の
商工会議所に普及いたしまして、そのうちに他の機関においても、同様な
事業をならって行なうのが出て参って今日に至っているわけでございます。
中小企業庁の調査によりますと、この
中小企業相談所は、三十三年度におきまして、
全国で六百七十二カ所ございますが、そのうち
商工会議所に設置されておりますものが四百三十二カ所、六四%でございます。その他は、
商工会あるいは県あるいは市あるいは区というようなところに設置をされているものが二百四十カ所となっております。この
指導相談件数から申しますと、
商工会議所の取り扱い件数というのが、
全国の
中小企業相談所の年間九十一万件の取り扱い件数のうち六十六万件、七三%を占めている次第でございます。この
商工会議所の扱っている
相談事業の
内容を項目別に分けてみますと、昨年十一月の数字でございますが、一
会議所当り平均一ヵ月百六十四件の
指導相談をやっております。
金融関係が約三八%、税務
関係一〇%、商取引の売りたい買いたいという商取引
関係が一九・一%、その他経理、
経営、法規、貿易、労働、資材、技術、意匠、特許等合計いたしまして三三・三%という数字が出ておるのでございまして、およそ商工業の
経営の全般にわたりまして、
中小企業者の
相談相手として日夜
活動を行なっておるのでございます。日夜と申しますのは、後ほご申し上げますが出張って講演会等をやりまして、
相談をいたします場合には、商店街は六時過ぎでないとできないのでございます。商店街に参りますときは、六時過ぎから十一時ごろまでやっております。それで日夜と申し上げたわけであります。次に、
指導相談の対象業者は、しかりばどういう規模の業者を相手としているかと申しますと、同じく十一月の数字でございますと、
従業員を雇っていないものが一八%、一人から五人を雇っているものが四〇・一%、六人かり十人のものが一八・二一%でございまして、十一人から三十人のものが一〇・八%、三十一人以上のものが、わすかに五・九%という数字が出ておりまして、ほとんど大部分が
小規模事業者に当たるものでございます。これらの
相談事業はすべて無料でございます。
商工会議所はその公共的使命にかんがみまして、
商工会議所の
会員であると
会員でないとの区別をつけておりません。同じく十一月の数字によりますと、月間百六十四人のうち、ちょうご半分の八十二人が
会員で、残りが
会員でない非
会員ということになっております。これらの
指導事業を行なうにあたりまして
商工会議所といたしましては、その規模によって異なるのでございますが、たとえば商業
経営、工業
経営、税務、
金融、
法律、特許、技術、労務等それぞれの専門家を雇用いたし、あるいは嘱託をいたしまして、専門的見地からその
指導を行なっております。申すまでもなく、商工業の業態は、決して一様ではございません。それぞれ特殊性を有しますし、またその
指導を要する項目も、それぞれ異なっておりますので、そのような専門家が必要となるのでございます。従いまして、これらの専門家をなるべく数多く持つということがりっぱな
指導事業を行なえるゆえんであると
考えます。この意味から、なるべく大きな機関に集約的に備えしめることが
効果的ではないかと
考えておるのでございます。
かかる意味におきまして、都市におきましては
商工会議所の小規模
指導事業を一そう強化するという本
法案の
考え方に、全面的の賛意を表する次第であります。
なお、先ほどちょっと触れましたが、
商工会議所におきましては、
事務所におきまして、
小規模事業者が窓口にくるのを待って
指導に応じているばかりではありません。進んで現場に出張りまして、講習会等を行なった上で
指導相談を行なっておるのであります。
東京商工会議所の例で申しますと、
昭和三十年からこの仕事を始めて、
昭和三十四年度におきましては百四十二件扱っております。これは商店街に出向いた件数でございますが、参加商店が六千五百五十二店ということでございます。先ほど申し上げました
通り、大体晩にやるのでございますが、その
指導内容としては、販売促進、広告宣伝、売り出しのやり方、割付販売の方法等の販売方法等に関しますものが三八%、商店街
活動の
推進、いわゆる
組織化と申しますか、これの
団体運営という
指導が一七%、これは最近非常にふえる傾向にございます。それから卑近なことでございますが、お客に対する上手な話し方、電話のかけ方というような卑近な面も入れまして、店員訓練の
指導、
従業員の接客サービスの向上に関しますものが二八彩。商品の陳列、照明
関係が二六%。その他若干ということになっておる次第でございます。
今日の
商工会議所法は、
昭和二十八年に、当時の自由党、改進党、左右両派社会党の共同御提案による
法律でございます。両院いずれも満場一致のもとに制定をされた
法律でございます。
商工会議所といたしましては、いわばこの挙国一致と申しますか、この体制のもとに制定されました
法律のもとにおきまして各種の
事業を行なっておるのでありますが、年々これらの
事業は進展いたして参っております。特に今日問題となっておりまする
小規模事業者に対します
指導相談事業、これを
東京商工会議所の例で言いますと、
昭和二十九年度の一万三千九百件に対して、
昭和三十三年で三万六千三百件、まさに倍増している状況でございまして、そのうち二万一千余件が商業
関係、サービス
関係、五千以上が工業
関係ということになっております。どうか、この事実に目をとめられまして、
商工会議所と
商工会が相互にその領域を侵すことなく相提携いたしまして、その十全の機能を発揮することができますよう、本
法案につきまして、各
政党一致して、これを通過していただくようにお願い申し上げる次第でございます。
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