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1960-02-25 第34回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十五日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            上原 正吉君            斎藤  昇君            鈴木 万平君            吉田 法晴君            米田  勲君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業政務次    官       内田 常雄君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃  止する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  まず滅失鉱業原簿調製等臨時措置法廃止する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 鉱山局長にお尋ねをしてあと関連をして、石炭、それから保安局長にお尋ねしたいと思いますか、この法律案提出の際に、この法律はきわめて事務的なものであって、滅失鉱業原簿調製が完了したから法律として廃止しようという提案理由をもって大体了とするわけでありますが、この法律ができたのは、昭和二十五年、すでに十年たっております。制定当時の政府説明では、滅失鉱業原簿調製は、大半のものは一年以内に完成する、権利関係のやっかいな一番事業の複雑なものでも、おそくとも三年ぐらいには片がつくということでありましたが、廃止法が提案されるまで十年間かかっております。おくれた理由は何か。むづかしい問題、あるいは錯綜した事情があったのか。法律施行後の経過について若干御説明をいただきたい。
  4. 福井政男

    政府委員福井政男君) この滅失鉱業原簿調製等臨時措置法施行につきましては、ただいま吉田先生からお話のございました二十五年に施行されております。その後施行状況を簡単に申し上げますと、この法律の第二条の規定によります滅失鉱業原簿調製申請件数が八千八十九件、それからこの法律の七条第一項の規定によります申請却下件数が六百四十六件、それから法の九条二項によります鉱業原簿調製件数が七千四百四十三件、こういうことになっております。それから法の第五条の規定によりまする鉱業に関する願書の確認申請件数、これが四百十五件、法第七条の二項の規定によります申請却下件数が四十八件、確認件数が総数で三百六十七件、こういうことになっておりまして法第九条の二項の規定によります調製しました滅失鉱区図件数が七千三百四件、こういう状況でございまして、施行の中途におきまする施行状況は、特別に権利関係等につきまして問題の起きた点はございません。それから施行が非常に長くかかっております点につきましては、この法律に基きます確認公示最終が三十一年の十一月が告示最終期になっております。そういう状況でございますが、この法律によりまして権利関係異議申し立てがなおできる条項がございますし、そういう関係からこの法律の第十二条に、正当な事由がございました場合には異議申し立てが適当の法律期間内にできなかったということを疎明いたしました場合には、その期間経過後でも、異議申し立てができるという規定もございますので、権利関係を確定いたしますのには、そう急いで廃止する必要もないだろうということで、若干の時日をその後経過いたしております。かような状況でございます。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 そういたしますと、公示の締め切り、それから期間が過ぎても、疎明を付すれば期間経過後もできるということで、その猶予期間をおいたということだけで十年かかったと、こういうわけですか。最初の説明からいたしますと、そういうことは初めから予想されたわけでしょうが、特に錯雑して問題があったとかということで延びたわけではないわけですか。
  6. 福井政男

    政府委員福井政男君) さようでございます。それで、法十条の二項によります滅失鉱業原簿調製の完了の告示が行なわれることになっておりますが、その最終が三十一年の十一月の終わりでございましたので、それ以後、事務的に若干の疎明期間等関係を考慮いたしまして、できるだけ安全を見て廃止する方がよかろう、こういう考え方で今回廃止法案を提案いたしておるわけであります。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、この法律廃止しても全然支障はない、あるいは経過措置等が必要だというようなこともございませんか。
  8. 福井政男

    政府委員福井政男君) 現在のところでは、廃止いたしましても、何ら問題がないと確信いたしております。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、鉱業法改正審議会ができておりますが、それに引き継ぐべきこともないというように了承していいかと思うのですが、関連して鉱業法改正の作業の進捗状況それから成案を得る見通し、それから鉱業法改正審議会で議論をされておる主要な点等について、この際承ることができれば、できるだけのことを御報告願いたいと思います。
  10. 福井政男

    政府委員福井政男君) 鉱業法改正との関係は、本法の廃止とは全然関係がございません。  それから、鉱業法改正につきましては、昨年の六月に鉱業法改正審議会が現実に発足いたしまして、御承知のように、会長には村瀬直養氏、元法制局長官で現在は弁護士をおやりになっておる方であります。そのほか学識経験者委員編成をいたしておりますが、現在までの進捗状況を簡単に申し上げますと、去る二月の二十二日に第十一回の審議会を開いておりまして、次回は三月に開くことになっております。今までの審議経過といたしましては、当初の段階では、各審議会委員さん方が各種の鉱業の概況を詳細に各業界代表から聴取され、それから、それに引き続きまして各鉱業界━━石炭、金属、石灰石、天然ガス、石油、そういうふうな各業界から、それぞれ鉱業法改正に関しまする意見の聴取、それから関係府県市町村あるいは鉱害関係被害者組合市町村連合会、そういった関係代表方々、あるいはまた、電力事業界、そのほかの関連業界方々鉱業法改正に関しまする意見要望等を聴取されまして、現在では大きい問題点につきまして、各委員さん方がフリー意見の交換をいたしております。  現在問題になっております大きい問題点を御紹介申し上げますと、十ばかり大体ございまして、鉱業法改正問題点は、この問題点に尽きるのではなかろうかと、かように考えておりますが、第一が先願主義是非と、それから能力主義の採否の問題でございます。それから二番目が鉱区重複設定制度の問題であります。三番目が試掘権制度是非とその改廃の問題、四番目が、より強力な鉱区調整制度を採用すべきかどうか、鉱区調整制度の問題、五番目が租鉱権制度是非とその改廃問題、六番目が鉱業権土地所有権との法律的な関係及びその調整方法をいかにすべきか、こういう問題であります。七番目が鉱業権と他の権益との調整方法をいかにすべきか、八番目が鉱害賠償の問題、九番目が予備鉱区の取り扱いをどういうふうにするか、十番目が追加鉱物についての問題であります。今まで第八の鉱害賠償問題につきましてまでフリー・ディスカッションが行なわれております。もう一回ただいま申し上げました九、十の問題をやりまして、あとはそれぞれ専門の部会に編成されまして審議が行なわれることに相なっております。さような状況であります。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 鉱業法改正問題につきましては、また詳しくは別に審議と申しますか、御質疑を申し上げる機会を与えられるだろうと思います。別の機会にいたしたいと思いますが、ただ一つ、今の御答弁関連をしてお聞きをしておきたいのは、各業界あるいは市町村その他公共団体電力界等意見を聞いたという話でありますが、これの点について請願書が出たと思うんです。この鉱業関係市町村、あるいは鉱害関係市町村、あるいは鉱害被害者代表鉱業法改正審議会委員の中に加えてもらいたいという相当強い要望がございます。これは、この前の二十八年制定法律準備過程では、そういう関係者委員の中に加えられております。それだけに、今度は加えられておらぬので、相当強い要望が出た。あるいは鉱害問題だけでなくて、地上権その他の権利との調整関係、あるいは租鉱権にしても、それから試掘権、あるいは鉱害問題その他にしましても、これはやっぱり県だとか市町村だとか、あるいはその地域住民意見というものは、これは学者が委員になっておられても、おそらく出て参るかと思うのでありますが、委員の中に市町村あるいは公共団体関係者、あるいは被害者を加えてもらいたいという要望は、これは無視するわけには参らぬと思う。意見を聞いた中に、市町村代表意見を聞いたという点がありますが、この委員に加えてもらいたいという要望を含めて、どういう工合に処理されているか、あるいはどう考えられておるか、その点だけを伺っておきたい。
  12. 福井政男

    政府委員福井政男君) ただいまのような御要望が出ております。ただ今回の鉱業法改正審議会委員編成につきましては、人数をあまり多くしないで中立的な学識経験者を中心にして審議をお願いしょうということで、御要望に添い得なかったわけでございますが、もう一つは、鉱業法関係いたしております関連業界が非常に広い範囲にわたりますので、一つ関係の方を入れますと、そのほか全部——農林、河川、国立公園等々各方面委員を入れなければならぬということになりましてそういう関係を代弁いたします専門委員という制度を設けまして、関係方面のお方に専門委員になっていただいております。それで鉱害等関係につきましては、審議状況、推移を見まして、専門委員に場合によってはお願いするというようなことも今後考慮していかなければならぬだろうというふうに審議会でも話が出ておりますが、審議会会長もまた関係方面の御意見はできるだけしょっちゅう接触して承りたい、こういう方針で審議会が現在運営されております。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ今後の運営あるいは専門委員等に入っていただいて云々ということで今後の御努力に待ちたいと思うのです。  直接この廃法関連をいたします問題にもう一度戻りますが、登録の事実が確認されず却下された申請人等がございましたか。あるいはそれに対する救済方法は、過去においてあったか。それからまた今後あるか。それから異議申し立てがあったかどうかという点をお伺いをいたしたいと思います。
  14. 福井政男

    政府委員福井政男君) 異議申し立てば一件もございません。それから却下されましたものは、先ほどちょっと申し上げましたように、法第七条第一項の規定によります申請却下件数というのが六百四十六件、それから法第七条第二項の規定によります申請却下件数、これが四十八件ございます。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 それについては救済といいますか、救済方法はどういう工合にされたのか。あるいは、却下したけれども、その後さらに異議申し立てというか、あるいはそういうことはなかったんですか。それらの点についても問題なしに廃止できる、こういう工合にお考えになっておられるのか。
  16. 福井政男

    政府委員福井政男君) 登録の事実が確認されませんで却下されましたこの申請人に対する救済方法としましては、臨時措置法の第十二条におきまして「不服のある者は、通商産業大臣異議の申立をすることができる。」ということになっておりますが、この異議申し立てをした者がただいま申しましたように一件もございませんで、この法律を現在廃止いたしましても、何らのトラブルが起きるというようなことはございません。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 小さいことですが、資料によりますと、旧東北地方鉱山局鉱業原簿調製件数と、それから鉱区図調製件数が違うようですが、これはどういうことですか。それからこれについても問題はないでしょうか。
  18. 福井政男

    政府委員福井政男君) 旧九州地方鉱山局におきましては——これはまあ福岡にあったわけでございまするが、戦災を受けまして鉱業原簿と、それから鉱区図等が全部丸焼けになってしまったわけでございます。それから旧東北地方鉱山局は、仙台にありましたわけでございますが、戦災関係で一部焼失いたしましたので、原簿件数と、それから鉱区図件数とが若干食い違っておる、こういうことでございます。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、その旧東北地方鉱山局鉱業原簿調製件数と、鉱区図調製件数の違いは、片方は焼けたけれども片方は焼けてなかった、こういうことで食い違った、こういうことですか。
  20. 福井政男

    政府委員福井政男君) さようでございます。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 鉱業原簿は、鉱業に関する権利関係が記載されておって、新規鉱業出願の拒否を決する基礎となるもので、非常に大事なものでありますが、この安全保管ということについて特に周到な注意をもって当たらなければならぬと思うのであります。過去において関東大震災のとき、あるいは空襲のとき等原簿が焼けて滅失しておりますが、当時の状況としてやむを得なかったと思われる点もございますが、現在各通産局では、大火災が今後起こった場合の鉱業原簿安全保管についてどういう配慮をされておるのか。また平生原簿はどういう保管方法保管されておるのか、この際承っておきたいと思います。
  22. 福井政男

    政府委員福井政男君) 各通産局に御承知のように鉱業原簿保管いたしておりますが、各通産局におきまして、事務所とは少し離れましたような形で鉄製の金庫式防火とびらを加えました耐火書庫を現在は設けております。その中にこの鉱業原簿保管しておりましてやっておりますが、ただ現在そういう施設で絶対安全かと申しますと、まだ私ども大きい災害等考えますと完全であるということは言えないと思いますが、現在予算その他で極力、できます範囲のものはしっかりした書庫にして保管をいたしておるわけであります。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、防火性金庫、あるいは耐火施設等を持っておって心配はない、こういうお話ですが、しかし建物はおそらくまあ木造━━今の御説明ですと、別の事務所みたいなといいますか、別の建物だというお話ですが、それが焼けても心配はないと、こういうことですか。これは福岡通産局の事例を知りませんが、前には同じ建物の中にあったから焼けてしまった、それからあの建物は、かりに焼けたら、今の別の建物がどういう位置にあるのか知りませんが、あの建物━━通産局建物の現状を考えますと、本館が焼けてしまいますと、おそらく類焼する位置にあるのじゃないかという感じがいたしますが、そういう付近の火災があっても、保管をしておる建物火災を免れる、あるいは施設の中にある原簿は大丈夫だと、こうまあ言い切れぬのではないかという感じがいたしますが、重ねてお尋ねいたします。
  24. 福井政男

    政府委員福井政男君) お話のように、通産局建物の中にやはりございまして、離れておると申しましても、少し建て方をほかの方と切り離すというような配慮をやっておる程度でございまして、それから建物自体も非常にがんじょうなものということは必ずしも言えないであろうというふうに私ども考えておりますが、現在の保管状況からいいまして、異常な災害でなければ、十分保管の責任は持ち得るであろう、こういうふうなことでやっております。  それから鉱業原簿につきましては、現在のところ副本がございませんが、鉱業原簿の一部といたしまして鉱区図帳でございますとか、あるいは共同鉱業権の場合には共同人名簿、あるいはまた付属書類としまして通産局登録受付簿、あるいは申請書つづり込み帳、あるいは鉱業権登録済み通知簿、こういうような帳簿を備えておりまして、それによりまして、これはまあ別のところの事務室にあるわけでございますが、それによりましても、鉱業関係の内容を判定し得るというような配慮もいたしておりますし、また毎年四月一日現在で鉱業権につきまして鉱区一覧というようなものを作成いたしております。こういうことで原簿が万一滅失いたしました場合でも、そういう権利確認ができるような配慮もいたしておる次第でございます。
  25. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記とめて。    〔速記中止
  26. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記起こして。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 今この滅失した鉱業原簿を作成するために十年の歳月と、それから相当予算を使ってやっとでき上ったと、こういうことですが、副本を作っておらぬ、それから多少防火施設については考えたということですが、建物等はこれは別のものになっておっても近接しておる云々ということで、再製をいたしました鉱業原簿保管についても、若干やはり足りぬところがある。もっと金をかけて耐火建築なり、あるいは距離を離した建物にしたい云云という希望が今の答弁の中にもあるようであります。鉱区図や、あるいは受付簿その他云々といいますが、そういうものがあるというお話ですけれども、もし通産局建物と、それが類焼をして━━別建物になっておるかもしらぬけれども、鉱業原簿保管をしておる建物とが類焼をするということになれば、また焼けてしまう。あるいは副本ではないけれども、新しく作る手がかりがあるようなお話ですけれども、それもやはり焼ける心配なしとしないわけですね。そういう危険に対してさらに別棟の耐火性建物を建てる、あるいは副本を作るというような、せっかくでき上がりました、再製した鉱業原簿、あるいはその他の鉱業原簿を守るために、さらに耐火施設を強化するお気持なり、あるいは予算要求をするというあれはないものでしょうか。局長と次官にお尋ねいたしたいと思います。
  28. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 吉田先生の御不安について、私も同様な考えを持つものでありまして、これは私もかつてずっと昔に大蔵省や税務署などにおりまして、土地台帳とか土地調査簿というようなものを火事で焼きまして、非常に苦い経験をいたしたことがございます。鉱業原簿はあたかも土地台帳と同じように、大切な財産権に関する帳簿であるばかりでなしに、これは鉱業行政上唯一の基本となる大切な書面でありますので、再びこのような事故はないとは思いますけれども、類似の事故発生に備えて憂いがないようにいたしたいということで、かねてこれを保管する施設、あるいは建物等につきましても整備を期したいと考えまして、これはまあ全国八つ通産局があるものでありますから、なかなか一度にその予算要求政府はできませんけれども、事情の許す限り、大蔵省にも予算を要求いたしまして、逐次その改善充実、また今後の憂いなきように期して参っております。一そう、御注意にもかんがみまして、今後この方面施設に万全を期するようにいたして参りたいと考えます。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 直接法案関係をいたします質問はそれで終わりますが、これは鉱業原簿、あるいは鉱区図等には、今までのところ関係がなかったかもしれませんが、最近の変災を見てみますと、古洞との関係、これはまあ東中鶴のときにもございました隣接鉱区古洞、それから最近起こりました野見山の筑紫炭鉱災害も、これは隣接鉱区のいわば何といいますか、掘り進んでおった、しかもその古洞に突き当たったというような事実によるようです。そうすると、その鉱区開発がどういう工合になされておるか。あるいは隣接鉱区稼行状況、あるいは古洞の存在というものがどういうようになっておるかということは、これは十分知っておかなければならぬところでございます。その所管が鉱山局になりまするか、あるいは施業案ということで石炭局になりまするもの、あるいは保安局関連するもの、いろいろ局関係からいきますと、錯綜しておると思いますが、そういう鉱区開発状況といいますか、あるいは稼行状況といいますか、あるいは古い採掘状況といいますか、そういうものも、これはわかっていなければならないと思うのでありますが、そういう点について鉱業原簿の再調製関連をしてどういう工合考えておられますか承りたいと思います。
  30. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 今御指摘になりました東中鶴その他相次いで古洞事故があったわけでありますが、それにかんがみまして、われわれといたしましては、できるだけすみやかに古洞連絡図を作りまして、そうしてここを掘り進めればあとぶつかるから危いぞということがはっきりわかるようなものを作りたいと考えまして、とりあえず三十三年度予備費を支出していただきまして、それに続きまして三十四年、三十五年、三十六年という大体三年ばかりの予定で、現在古洞連絡図を作っているわけでございます。大体どの辺にあるのか、どんな格好であるのかということがさつぱりわからないというものが一番危険なんでございます。  それからわれわれといたしましては、そういうように古洞の状態が著しく不明だということでいつぶつかるかわからないという非常に危険度の高いものを第一類とし、それからやや不明確だ、著しく不明確ではないが、相当不明確であるというものを二類、それから大体わかっている程度、はっきりわからないものを三類ということに分類いたしまして、一番危険度の高い一類から手をつけているわけでございます。大体今までは一類と二類とは、これは三十四年度で全部古洞連絡図調製を完成いたしました。三十五年度の予算におきましては、三類の全部を済ませる予定でただいま国会で御審議いただいております。予算には所要の経費を計上いたしてございます。このほかに現在採掘している場所とは相当離れておるということのために、時間的にある程度あと回しにしてもよかろうと思われるものが四類というふうに分類してあるわけでございますが、これにつきましては、私ども三十六年度に予算をいただきまして、できるならば三十六年度内に予定通り終わらしたいということでせっかく努力しておりますが、今までのところは三十三年度、三十四年度、いずれも計画通りに実施が行なわれるというふうに確信いたしております。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 これを、まあ東中鶴その他古洞に突き当たって、鉱山出水をして幾多の尊い人命を亡くしたということで、古洞連絡図を作ろう、こういうことになって、それをおやりになっておるという報告なんですが、ところがその後古洞一類、二類等は大体図面もできた、まあそういう点からいうと、最初作ろうと考えられた緊急性の高いものについては、大体図面はできた。しかしながら筑紫炭鉱のごとく依然として古洞湧水といいますか、古洞の水による災害はなくならぬ。そうすると、古洞連絡図を作るだけでは災害の防止というものには、これは役立たぬ、こういうことがこれは言えると思うのです。そこで先ほど申し上げましたが、鉱区図あるいは原簿鉱業原簿、それからとにかく古い古洞図面はできておる、あるいは作られつつある。しかしながら実際に坑内はどうなっておるかということが、そのときそのときに把握をされておらぬ、どこを掘り進んでおるかわからぬ、あるいはその向こうに何があるかということも十分わからぬ、こういうことから災害が起こって参りますだけに、鉱区図があればよろしい、あるいは古洞図があればよろしいというわけには参らぬということが言えるだろうと思う。私から言うと、その鉱区図あるいは古洞図だけでなしに、実際に地下がどうなっておるのか、あるいはどういう工合に稼行されておるかということが、そのときどきやはり把握を実れ、何らかの調査あるいは図面というものが必要じゃないかと思うのですが、その点については、原簿なりあるいは鉱区図を持っておられます鉱山局、あるいは施業案をとっておられる石炭局、それから保安問題について責任を持っておられる保安局が相談をして、こういうことをすれば、災害は防げるんだという案ができるべきだと思うのですが、そういう検討をなされ、あるいはこうすべきだという御意見はまだないのでしょうか。
  32. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) ただいま御指摘の筑紫炭鉱関係でございますが、実はここはすでにりっぱな古洞連絡図ができておりまして、古洞がどこにどういう格好であるかということがはっきり確認されていたわけでございます。従いまして、われわれ役所といたしましては、この古洞にたまっている水を完全に抜いた上でなければとつてはいけないということであり、また会社から出てきました施業案自体も、古洞の水を完全に抜いて、それから採炭いたします、ということで施業案認可いたしたわけであります。従いましてその施業案通りの作業をしておれば、大体ああいう不幸な事故は起こらなくて済んだんではないかと考えるのでございますが、まだ詳細なことは現在取り調べ中でございますが、今まで判明しましたところでは、どこにどういう格好であるかということがはっきりわかり、従ってそれに伴って鉱業権者もここの水は必ず抜いてから作業いたしますという、施業案通りの作業が行なわれなかったのではないかというふうにも考えられますので、この点について、現在鉱区の方で調査いたしておる次第でございます。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 筑紫の例だけをとりましたけれども、鉱区図、それから古洞図面、そういうものと施業案との関係は公式的にだけは見られておる。その施業案通りにやられなくて災害が起こった。過去にさかのぼって、あれはこういう間違いがあったんだ、あるいはこういう不法があったんだ、こういうことだけで、今後そういう災害を繰り返さないための施策というものは全然出てない。そういう点からいって、これはこまかい具体的な例から入りますけれども、鉱区図を作りっぱなしで、あとはどうなっておるか、鉱山局は知らぬ。あるいは石炭局が、まあ施業については、鉱山については鉱山局だろうと思うのですが、施業案をとつて見ておるだけなんです。それから保安局は、問題が起こってあとからとにかく事態を追っかけておる。そうしてただ責任を感じていると口で言うだけだ。これでは幾ら金をかけて原簿を作り、あるいは古洞連絡図を作ってもまたやはり災害が繰り返されるということをやはりこれは憂えざるを得ない。そこで失敗を繰り返さない具体的な方法として、こういうことをすべきじゃないか、こういう点がすでに出てくるべきだと思うのですが、どうですか、公式的な説明だけで……。
  34. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 採掘が施業案通りに行なわれているかどうかということにつきましては、われわれといたしましても、できるだけ実地に検査をいたしましてそうして施業案違反がないようにということをしているわけでございます。これは残念でございますが、人員の関係予算関係等から、今までのところ三割程度ぐらいしか全体の件数が見れなかったわけであります。大体、全部で六割程度まで実地検査をすることができますならば、ほとんどそれで効果的には百パーセント確保し得るんじゃないか。そういうふうに考えまして、毎年鉱業監督の人員の増加ということについてもお願いするわけでございますが、非常に人員関係がむずかしいということで、あるいはスクーター等を買っていただいたり、いろいろなことをいたしまして、できるだけ少ない人間で、現在のままの人間でも機動力を十分に発揮して実地検査ができるようにということに努力いたしております。今回も、三十五年の予算におきましても、四台のスクーターを買っていただくということで予算を計上いたしておりますので、今後はそういう足を十分に活用するということによりまして、できるだけ現地を検査して、施業案違反のないように努力していきたいと思います。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 鉱区図を作ったら、鉱区図のその後の変化というのは、外延的な変化だけしか鉱山局は取り扱っておられませんが、その後の変化について、原簿なりあるいは鉱区図のその後の変化というものを調査するという建前をとるというようなお考え鉱山局にないのか、それを一つ。  それから筑紫の側、それからその他の例を見てもそうですが、実際に炭鉱、鉱山がどういう工合に施業をしておるかということは、これは施業案だけで、日々といいますか、あるいは刻々といいますか、どういう工合に実際に仕事がなされておるかということは三割ぐらいしかわかっておらない、こういうことですが、その施業の実情を把握するために、人員あるいは機動力の増加については今お話しがございましたが、そのほかにもっと、たとえば工場の稼働状況は、発電、電力その他についていえば、何といいますか、電気図で示されているように、把握するという努力も、これはすべきだと思います。そういう点について、石炭局長おいでになっておりますが、石炭局長あるいは鉱山局長で改善すべき具体案をお持ちになっているのかどうか。
  36. 福井政男

    政府委員福井政男君) 鉱区図につきましては、御承知のように、鉱業権の設定に伴いまして、鉱区範囲だけを、権利関係の見地から鉱区範囲を確定している、こういう内容でございまして、ただいま御指摘のございましたような、その後の工事なり作業の進捗状況からみて、適当な経過を書き入れるようにするかどうかという問題は、今後、私ども研究して参りたいと思いますが、今までの実施の段階では、御承知のように、施業案を出させて、その施業案で、石炭について申しますと、福岡通産局石炭部と鉱山保安監督部と両方で、生産の見地並びに保安の見地から協議をして、それを認可する、こういう形で処理をいたして参っております。
  37. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) われわれといたしましては、先ほど申し上げたと同じようなことになりますが、施業案が出て参りましたときに、現地に即して、その施業案が最も実情に合ったものであるかどうかということについての審査を厳重にするということは当然でございますが、この認可しました施業案を、認可後におきましては、できるだけ巡回監督をやはり強化するということで、施業案違反のないようにということを確認し、指導していくという以外に、さしあたりの妙案というものは考えつきませんので、先ほど申し上げましたような、できるだけまめに回って、施業案違反のないようにということを保安監督部とも連絡をとりながら確認していくように努力したいと考えております。
  38. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは東中鶴の場合もそうですが、地下の現状がわかってなかったということが原因だと思うのですが、特に筑紫の場合には、先進ボーリング、水抜きのためにボーリングをやっておったはずだ。それから十二月に検査に行かれて、十二月まで上の方の古洞の水は取っておったはずだ、こういうことになっているわけですが、実際には、上の水が抜けておらなかったから、あれだけの災害が起こった、こう言わざるを得ない。  それからもう一つは、この鉱区境を越して向こうに入っておったということが言えるのではないか。そうすると、鉱区境を越えて掘り進んでおったということがわからなかったという点においては、これは石炭局の責任です。それから規則通りというか、あるいは施業案認可の際に、ボーリングがなされておったはずだ。それがなされていなかったというのも、これは石炭局保安局両方の責任だと思うのですが、そういう採掘なり、下降の状況が、そのときどき把握できていなかったという点が、私は災害一つの大きな原因だと思うのです。筑紫の場合でございますと、その実情の把握ができなかったというのに、今は三割くらいしか実際に把握できておらぬ、あるいは機動力も足らぬ、人員も足らぬということですが、人員をふやす、機動力をふやすだけで、それではそのときどきの実情が把握できるかというと、これは施業案なら施業案をとって、先進ボーリングをやりなさい、やらなければ云々というだけでは、これはやはり防止ができぬのじゃないか。だから、さらに地下の実情を把握する具体案を、人員なりあるいは機動力の増加だけでなしに、もっと考えるべきじゃないかということを申し上げているわけでありますが、両方から御答弁をお願いしたい。
  39. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 筑紫炭鉱の場合は、私どもの方に報告が入っておりますのは、ただいま石炭局長の御説明のように、隣鉱区の旧坑があるということもはっきり承知しておったようであります。もちろん現地の監督部といたしましては、出水のおそれがあるという関係から、部長の出水指定をすでに指定いたしております。従いまして、この指定がありますと、必ず先進さく孔をやらなければならぬということにきめられておりますので、当然先進さく孔はやっておったものというふうに私どもは信じておりますが、現地の報告でも、先進さく孔はやっておったという報告が、今のところ私どもの方にはきております。が、しかし、いろいろの関連もあって、必ずしもまあ完全実施をしておったかどうかという点につきましては、目下詳細に調査させておりますので、後日の報告によらなくてはいかぬというふうに考えております。  部長がすでに出水のおそれがありという観点から、出水の指定をいたし、出水の指定が出れば、当然先進さく孔をやるということは、これはもう当然でありまして、しかも今のお話のように、旧坑もかなりある。それから今採炭しておりますところが、その旧坑の方に向かって片磐が進んでおるという、まあ非常に危険な作業━━場合によっては非常に近づいて参りますから━━危険作業というふうになって参るわけであります。  そこでまあ山側としましても、私は当然先進さく孔をやっておったものというふうに考えております。現在私どもの方に来ておりますのは、先進さく孔をやっておって、そして旧坑にうまく抜けて、そして先進さく孔に、穴から水がどんどん出てきた。そこで、その水がすっかりからになったので、旧坑の水が全部抜けてしまったものと、まあ早合点して、そして坑道を掘進したところが、残っておった水が出てきたと、こういうような報告になっております。私どもも必ずしもこれは全国的に信用はしておりませんので、なお実情については現地に詳細に調査するように今申しつけてございます。  その辺の実情がまだ詳細わかりませんが、まあ私どもに入っておりますのは、十二分に先進さく孔をやった、ただ旧坑の水抜きの操作が技術的に拙劣のために災害を起こしたのじゃないかというふうな考え方で現在のところおるわけでございます。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 出水指定をやった、先進さく孔はやっておったはずだ、あとは技術的な拙劣さだけだと、こう言われますけれども、福岡の保安部で聞いたところでは、これは、断定はできないけれども、鉱区境を越して向こうの日吉でしたか、隣の鉱区に入っておったのではないかということが疑われる。  それから先進さく孔をやっておったとすれば、あるいは先進さく孔をやって上の片磐から古洞の水が全部抜かれておったとすれば━━あなたが言うように抜かれておったとすれば、あれだけの水は出なかった。違いはとにかく十五片と十六片の差で、これは炭層が斜めになっておるので、何メートルになるかしりませんが、五メートル前後の差しかなかった。それだけのヘッドで、あれだけの水が出て災害を起こすとは考えられない。そうすると先進さく孔による水抜きということが不完全であったということも言えるし、それからもう一つは、鉱区境を越して向こうに入って、古洞そのものに、とにかく突き当たった、新しい古洞に突き当ったかどうかしりませんけれども、突き当たったということも想像しなければなりません。  そうすると指定されたような先進さく孔もやれなかった。あるいは少なくとも十六片なら十六片の、とにかく先進さく孔による水抜きが完全にできておらなかったということだけは、はっきり言えると思います。十二月検査に行って、そして報告通りに、さく孔なり、あるいは水抜きがやられておったということで、いわばまあ石炭局なり、あるいは保安局の方では安心をしておられた。そこに、とにかく最大の原因があるということだけは明らかじゃないか。  そこで結局、その規定通り、命令通りやってなかった炭鉱側にだけ責任があると、こういう工合に言われますけれども、これは十二月に行かれたその検査、あるいはその後の把握が、実情とは違っておったということは、これは言、えるんじゃないですか。  そこで三割なら三割の現状を六割程度に上げたいということが言われるけれども、人員をふやすにしても━━人員は、もちろんふやさなければなりません。ふやしてとにかく目々あるいは刻々どういう工合に地殻がなっておるかということを把握されなければなりませんが、その把握の仕方も、人員あるいは機動力の増加だけでなくて、もっと刻々日々の現状が把握できるような方法というものをとるべきじゃないか。いわば、十二月に検査し、あとは施業案を見ているだけだ、こういうのは、私は今の科学の段階からいえば、手工業的な段階だと思う。  炭鉱の中でいって、選炭機についていえば、選炭機には、どこのモーターが一つとまっても、はっきり出るように電気図がある。ところが坑内については、そういうものが全然ない。そうして何カ月に一ぺんの検査とか、あるいは施業案を通しての監督だけである、こういうことに現状はなっておる。この手工業的な段階を打破する具体的な方策を講じなければならぬ。警報機その他の話もございますけれども、そういういわば手工業に毛のはえた方法でなくて、もっと科学的な現状把握方法というものを考えられなければならぬ、こう申し上げておるわけですが、いかがでしょうか。
  41. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) この古洞関係につきましては、もちろん私どもも、まだ現段階では十二分でないということは、十分に承知しております。しかしながら最近出水事故が非常に多かった関係で、まあ保安局としましては、かなり画期的な強化をいたしたつもりでありまして、出水の指定坑口も、三十三年の一月に三十五坑しかなかったものを現在百九十三坑というものに非常に大きく拡張いたしました。実はその間に指定が非常に極端にふえておりますので、小さい炭鉱ではとても先進さく孔の技術がないというので、特別な簡易先進さく孔機を数種類選びまして、実は福岡のごときは、現地で指導をいたしておるような状態であります。当方としましては、あらん限りの努力をいたしたつもりでありまして、むしろ福岡地区あたりでは、非常に大きな恐慌をきたしておるといっても決して過言でないくらいに、非常に危いと思われるところは、ほとんど部長指定にいたしたわけであります。  そういうような関係で、もちろん筑紫炭鉱も、そういうような意味合いで出水指定になっておるわけでありまして、指定になれば、必ず規則的に先進さく孔をやるということになっておりますが、まあそれでまかしておるというわけでは決してございません。その先進さく孔も、なかなかむだな作業になるものですから、ちょっと油断しますと、すぐ省きます。そこで私どもこういうような指定の坑口につきましては、でき得る限り、予算の許す限りたびたび参りまして、先進さく孔を実施していなかったら、すぐとめる、そういうような方法をとっておるわけであります。  特にこの前、法の改正をいたしまして━━侵掘いたしておるような場合には、以前は、監督部長はとめることができなかったわけでありますが、それでは非常に不合理でもあるし、時間的に間に合わない。侵探いたしておりますと、鉱区外ですから、保安法の適用ができないというような考え方があったわけであります。それが東中鶴その他の実例で、監督官が戻って通産局長に連絡をとって、鉱業法でとめてもらうまでの間に、こういうような変災が起る。それでは間に合わないというので、現在では、法改正をいたしまして、侵掘区域内でも、監督部長が、監督官が危険だと認定した場合には、作業のストップができるように改正をいたしております。  しかしながら筑紫の場合には、少し何か複雑なような状態でありまして、何か間隔地増区というような点も、はっきりはいたしておりませんが、最近増区ということも、私どもの方には情報だけ入っております。従って施業案が、その範囲内の施業案というものが、まだ未提出になっておって、結局侵掘のような状態になっておったのではないかというような話は受けておりますけれども、間隔地というのは、御承知通り、昔、十間間隔といって、十間とっていたわけであります。まあ大体二十メートル足らずのものであります。従いまして監督官が坑内に下りまして、二十メートルぐらいの違いですと、ちょっと鉱区外に出ているかどうかという点は、感じでは、とうていわからないのであります。従ってまあ、あやしいなと思うなら、測定してみなければわからない。五十メートルも七十メートルも出ておりますと、大体歩いた感じでわかりますけれども、片磐の一番先で、わずか二十メートルくらい出ておったのでは、なかなか監督官もはっきり、歩いただけで侵掘しているという断定は、ちょっとできないじゃないかというような判断もいたしております。  しかし、そういうような点については、はっきりわかりますれば、いつでも作業の危険状態によってはストップができるということになっておりますので、そういう面については、十分な——かなりな改善ができた。  しかもなお、それでも変災を起こすということになりますと、私どもも、なお一そう詳細な報告を受けまして検討しなければなりませんけれども、やはり私は、まあ言い逃れのようではありますけれども、山側の技術的な措置にもかなり、やはり大きな欠陥が見出されるのじゃないかというような考え方もいたしておるわけであります。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 侵掘をしておったのではないかということは、これはあとからはかって━━これは保安部か石炭局かは知りませんけれども、はかって、とにかく、そういうことが言われた。ところが、その前には指定をした、あるいは先進ボーリングをやっておるだろうという検査の際には、たとえば十二月なら十二月の際には、これは、はかられておる、あるいは侵掘をしておるということはわからなかった。そういうとにかく、あとからああであった、こうであったということでは、これは災害の再発を防止するというわけにはいかぬじゃないか。  まあ、そういう技術的な問題。それからもう一つ、これはまあ、あとでお伺いするつもりですけれども、たとえば十二月なら十二月に行って実態が把握できない、あるいは先進ボーリングや、あるいは侵掘がなされておるかどうかということを調べなければならぬときに、十分、調べというのですか、その実態把握ができないところには、私は保安監督官の何といいますか、身分保障といいますか、あるいは権限等についても、多少やっぱり問題があると思う。  聞いておりますと、言いわけだけされて、保安局なりあるいは石炭局には責任がないんだと、この法違反をやつた鉱山局だけに責任があるのだと、こういう態度は、私は無責任だと思う。山の経営者にも、一人の命は地球よりも重いという民主主義の根本であります観念が薄いのと一緒に、言いわけだけされて、自分たちだけ正しかったのだと、こう言われると、私は、人命は何物にもかえがたいという、セーフティ・ファーストという精神というのは、あなた方にも薄いのだということを言わざるを得ないと思う。  具体案を付してお尋ねしておるのに対して、もう少し責任を感じて、災害を再び繰り返さないためには、こうしなければならぬのじゃないかという積極的な一つ考えをお述べいただきたいと思うのですが、技術的に、今の保安法の改正なり、あるいは先進ボーリングの指定その他だけではなくて日々あるいは刻々、地下で、どういう工合に作業が進んでおるかということを把握するについて、もっと具体的な、積極的な方策は考えられないものかどうか。報告あるいは検査だけでなしに、先ほど申し上げましたけれども、毎日の、あるいは問題があったときには、その方々の三交代なら三交代の、その方での現状が把握できるように、あるいは保安部、あるいは石炭部に、とにかく把握できるような方法についてお考えになる、御考究になるなにはないですか。
  43. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 御承知通りに、現在、坑内実測図は月に一ぺんずつ作る、それで、役所の方は、前年の二月末に一回、こうなっておるわけであります。山の事務所自体につきましては、一カ月分まとめて毎月やっておるというのが現行のやり方でございますが、ただいま吉田先生お話にもございましたように、それをもう少し時々刻々にはっきり把握できるように、積極的に改正する必要があるのじゃないかというお話は、まことにごもっともと、こう思いますが、今までのところ、いろいろなそれらの関係その他で、今申し上げました程度しか行なわれていないということは、はなはだ、われわれも遺憾に思っております。  今後、ただいまの御指摘の点考えまして、われわれといたしましても、もっと積極的に、現状が把握できるといったような具体的な方法につきまして保安部、石炭局両方合同いたしまして、すみやかに具体案を得るように講じたいと思います。  それからなお、今度の筑紫炭鉱の点でございますが、侵掘があったのじゃないかというお話でございますが、古洞連絡図は、鉱区境まで古洞があることになっておりますので、われわれが今受けております報告では、侵掘はほとんどなかったのじゃないかというふうに、私どもは話を聞いております。鉱区境まで古洞が一ぱい来ておりまして、押していくと、ぶつかる可能性が非常に多い、ほとんど確実にぶつかるのじゃないかというようなところで事故が起こっておりますので、これもあとで水を抜きまして調べてみなければよくわかりませんが、侵掘ということは、この場合には、あまりなかったのじゃないかというふうに、石炭部からは報告を受けております。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 侵掘があったかなかったかということを、ここで争っても時間がないですが、これは福岡の保安部の話では、十二月には、はからなかったけれども、事故が起こって、曲方の捲き立てからはかったところでは、鉱区境を越しているように考える。こういうことで、鉛筆書きの図面ですけれども、鉱区境を越して入っておるような図面ができておる。  従って、私は、そういうようなことを申して鉱業権者をいわば弁護するような態度はやめてもらいたいと思う。責任は、これは再発を防ぐ意味からいっても、これはあくまで追及しなければならぬと思う。糊塗する態度は、私は、再び事故を繰り返す大きなもとだと思うので、そういう意味で、これはおそらく、いや糊塗して責任を追及しないという方針ではないとお答えになるだろうと思うのですけれども、私はやはり、厳罰主義でいかなければならぬと思う。いわば、今のところでは、保安管理者の解任であるとか、あるいは罰金というような程度で済ましておりますけれども、あるいは鉄道だとか、あるいは公共機関、公共的な性質を持っております機関での交通事故その他を考えると、あるいは過失致死罪の適用をされておるように、保安の法の上でも、あれだけの人命を失うような責任を負うべき事故を起こしたものについては、私は、今までより以上の処罰をし得るようにするというのが一つ方法だと思います。少なくとも、今までよりも、もっと責任を追及する方法でなければならない。  それから監督官が、九州の場合、十名来ておる。その他の場合でも、月に一回は指定炭鉱に行っておられるはずですけれども、実際に、それではそのときの現状が把握され、そして万全の策はなされておるか、あるいは指示がされたけれども、それがその通りに行なわれておるかどうかという点は、これはやはり、結果からでありますけれどもやはり疑問がある。どうせまあ、鉱山担当の実情を知っておりますが、保安検査に来た日は、それはその日は、なるほど指摘をされるような違反事項はないように、それはなっておる。しかし小山については、あるいはそれを糊塗するような、いわば措置が山にとられていないかというと、必ずしも私はそうではないと思う。従って保安監督官については、裁判官と同程度の待遇と身分保障も私は必要ではないかと思う。  それからもう一つ、具体的に、一律におやりなさいとは言いませんけれども、あるいは指定炭鉱なり、あるいは出水指定をなされたりするような所については、時々刻々山の実態が、水量の実態が把握できるように研究するということですが、一つこれは省をあげて御研究いただきたい。あるいは中央鉱山保安協議会の私は議題でもあると思うのですが、御検討を一ついただきたいと思うのです。  最後に、人員の増加あるいは機動力の増加、それから優遇と身分保障については、これは、まあ局から申請をしてもらえると思うのですが、省を代表して次官でも一つ、最善の御努力をいただきたいと思う、いかがでしょう。
  45. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 吉田先生お話を承っておりますと、私は国民を代表して国会に出て来て、かつまた役所に席を置く者として、きわめて同感な点がございます。  どうも私どもが見ておりまして、役所の仕事というものは、近代化だとか合理化だとか、あるいは増産だとかいうような進め進めの方には、非常に積極的関心を持って精力を注ぐのでありますが、現状の把握とか跡始末とか保安とかいう、こういう面には、ともすれば、あまり力を入れたがらないという弊風が、私は従来あるように思いまして、これではならないと思いまして、お言葉の通り今後役所を率いて、責任の官吏を督励をいたしまして、十分事態に沿うような改善の方途を講じて参りたいと、かように存じます。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後の点が、次官から御答弁がいただきましたが、保安局長に責任の追及の程度、それから保安確保のための具体策についての、この処罰の強化を含めて、法の改正すべき必要があるのではないかということに対しては、保安局長から、一つ答弁いただきたい。
  47. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 法の改正につきましては、先ほど鉱山局長からお話がありましたように、今鉱業法の根本的な改正審議いたしておるわけであります。  従いまして、まあ鉱業法と保安法とは姉妹法のような関係にありまして、非常に密接不可分の関係がございますので、鉱業法に根本的な改正があれば、必ず保安法も、私は当然変えなくちゃいけないというふうに考えておりますので、まあその間に、待てない問題が起これば、もちろん法改正につきましては、私ども決して労をいとわないつもりでございます。まあしかし、いろいろ問題もあるようでございますから、鉱業法の根本的改正機会に、私は保安法もやはり根本的な改正考えるのが至当ではないかというふうに考えております。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 その保安法改正の中で、現状では罰金なり、あるいは保安監督官の、保安管理者の解任程度でとどまっておるものを、他の例から言いますと数十人あるいは全体を総計しますと、最近の大事故でも数百人でありますが、数百人の尊い人命を失うような、この結果責任でありますけれども、これに対しては、もっと処罰をして再発を防ぐべきではないかという主張に対しては、どういう工合にお考えになりましょうか。
  49. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私ども、まあこれは少し余談になりますが、予算の問題になりますと、まあ大蔵省あたりから、もっと厳重に、どんどん告発して、厳重な処罰をやるべきだ、そうすれば災害は減るというようなお話は、いつも承るわけであります。  私どもの方も、非常にたくさんの件数の中で、実際に送致される件数は、確かに非常に少ないと表現するのがほんとうのような気がいたします。しかしこれも、漸次増加はいたしてきておりますけれども、全体の違反件数相当な違反件数を摘発いたしておるわけでございます。年に大体石炭関係でも、一万五、六千件くらいの違反件数はあげておりますけれども、実際に送致いたしまするのは、四、五十件くらいな程度であります。そういうような程度で非常に全体の違反件数から言いますと、非常に少ないような感じを受けるのでありますけれども、ごく簡単な違反の数もかなり入っておりまして、私どもの方で指導すれば、今後十分直るという程度のものが大半でございます。一方そういう指導を続けておりまして、現に災害が減少いたしてきておるわけでございます。  これはあまり申し上げますと、むしろおしかりを受ける場合が多いと思いますので、申し上げませんけれども、終戦直後、石炭だけでも昭和二十三年八百八十四名という、かなりに多数の死亡者を出しておりましたものが、七百台になり、六百台になり、昨年初めて五百七十四名という、かなり画期的な、記録としては出ておるんでありまして、たまたま年末から今年当初にかけまして、まあ三大、大きな災害を頻発いたしまして、非常に世間をお騒がせしたことは申し訳ないんでありますけれども、漸次長い目で見た保安の改善状況というものは、かなりいいカーブで改善されつつあるというふうには考えております。  従いまして私の方でもあまり厳重にどんどんなんでもかでも摘発して処罰をしていくという方向が、確かに一方にはございますけれども、よく現状の推移と見比べまして、まず指導の強化で、漸次改善をはかっていくのも一つのいい方法ではないかというふうに考えております。これがますます今のようなやり方で、違反件数がどんどんふえて、災害もふえるということであれば、これはもちろん、一つの大きな方向転換も必要だと思いまするけれども、現段階のやり方で、なまぬるいという批判は、確かにありますけれども、漸次送致の件数も増して、実際の災害の推移と見比べていって、かなりやり得るんではないかというような考え方を持っておりますので、今ここで、厳重に処罰をする方向をとるという点につきましては━━まだ検討の余地はあると思いまするけれども、━━まだそのような方向を現在とっておるわけではございません。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は乱罰をせいというわけではございません。乱罰が必ずしもいいとは思わんけれども、しかし最近の数多い大災害の原因の中には、油断もありましょう。それから皆さんの方にも私は油断があると思う。あるいは三井だから、三菱だからという油断があると思う。まあ筑紫のごときは例外、例といいますか、悪質な方だと思いますけれどもね、侵掘の疑いさえある、保安法違反があったと。こういうことで私はその責任は、これはうやむやにするわけには参らんと思う。  で、その一つ一つについて考えなければなりませんけれども、しかしどんなに過失があり、それから何十何百の人命を失っても、結局は解任かあるいは罰金か、こういう建前では、やっぱりこれは災害を起こしたのは悪かったと、そのときは言うけれども、すぐ、とにかく増産の前には、保安を犠牲にするという、従来のやり方がやはりなおらぬ。一人一人の命が、地球の重さより重いという、ほんとうの意味の人命の尊重、あるいは民主主義の基本精神が浸透するには、やはり制度だけでなしに、よほどそういう責任追及の道についても考えるところがなければならぬのじゃないか。きわめて悪質なものについては、やはり体罰を加えるという道もあることは、私は根本的な━━生産のためには、人命を犠牲にしていいんだ、こういう考え方を直させる道じゃないか、こういうように申し上げているわけです。  先般、重なる災害にかんがみて、通産大臣も、鉱業権者に警告をしていただいたようですが、しかし警告だけでは、そのときはきくかもしれない。そのときには恐縮をして、再びこういう災害を繰り返したくないという決意の表明があったようですけれども、そのときだけに終ります。再びああいう災害を、今後絶対に繰り返さぬと言うが、繰り返さぬかというと、実際に技術的に、あるいは制度上、あるいは機構上、とにかく繰り返さないようにならなければ、私は、これは物理的な現象として繰り返されるという危険性はないわけじゃないと思う。それだけに、通産大臣の決意は、制度の上に、あるいは機構の上に、私は改善を加えられるという保証を得たいと蓄えるわけです。  きのう、実は労働者の側から、炭労から鉱山保安局長あてに、三項目にわたって要望書が出たようでありますが、御検討になったと思うんですけれども、これに対してどういう工合にお考えになっておるか承りたい。
  51. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 昨日の午後、私あてに申し入れをいただきまして、まだ私ちょっと、内容を拝見いたしておりません。至急内容を拝見いたしまして、それぞれ善処いたしたいと、かように考えております。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは政府に申し入れるのに、政府代表、あるいは大臣にもお目にかかれなかったから、鉱山保安局長にお目にかかってお渡ししたんだ、こう聞いておったのですが、私でさえ、新聞で見て、この質疑をいたしますのに、その三項目が、どうであったかということについて関心を持っておるのに、当の責任者の鉱山保安局長が見てもおらぬなんというのは、実際無責任も、はなはだしいと思うのですが、中身は、第一は、中央鉱山保安協議会で最近の重大災害を検討をし、事前の防止対策を十分講ずるために検討をしてもらいたい、こういうのが第一。それから第二は、災害の事前の調査を十分すること。その中に、従来保安検査だとか、あるいは警報機なんかを入れるということがあったけれども、災害を受けるのは労働者なんだから、労働者の代表、炭労が、事前にこれを調査ができるようにしてもらいたい、こういうのが第二。それから第三が、鉱山保安監督行政を、もっと細密化してもらいたい。現状が規則に違反しておるかどうか。あるいは違反が多いという現状の中で、機構も複雑になっており、あるいは機械もあれになっておるが、機械化その他を含めて、生産保安人員あるいは作業その他の面で、保安指導監督の行政を強化し、予算をさらにふやしてもらいたい、こういうきわめて建設的な具体案を付して申し入れがあったように私は聞いております。  この点は、先ほどから私が質問をしましたものに関連をし、それから、この間から決意を表明され、業者に注意もあった大臣にもお伝えをしたいと思うのですけれども、この大綱について、いかがですか。中央鉱山保安協議会で災害の防止について具体的な対策を立てること、検討すること、あるいは、機構の面も含めて再検討をいただくこと、それから、労働者に災害の事前調査を許すようにしてもらいたい。これは、前に、阿具根君からは、監督官を入れるということですが、保安監督機構の中に、労働者を参加させてもらいたいということとも関連をするのですが、炭労の調査、これは、全炭鉱の場合には全炭鉱でしょうが、労働者の調査を許してもらいたい。それから保安行政の機構の中に、労働者を参加させてもらいたい。それから、当面の保安監督行政の強化あるいは予算の増加あるいは機械化等について、さらに考慮をしてもらいたい。  こういうことについては、これは概略でいいですが、保安局長と次官から、一つ答弁をいただいておきたい。
  53. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私、もちろん、見ておりませんと、こう申し上げましたけれども、封筒でいただいて、すぐあけて、ざっと簡単には見ております。今ここで、大体の考え方をというお話でございますけれども、なかなかむずかしい問題がたくさん入っておりまして、昨日のお話も、今月末までに回答をほしいという余裕をいただいております。  まあ概略、ここでお話し申し上げた方がいいかもしれませんけれども、かなりむずかしい問題もございますし、きのうのお話自体も、月末までに回答をいただけばけっこうだということになっておりますので、もう少し、私の方に検討の余裕をいただきたいと、かように考えております。
  54. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) 私も、その申し出を拝見いたしておりませんが、大体の趣旨としてはわかることであります。ただ、その申し出の通り方法政府として措置し得るかどうかは検討いたさなければなりませんが、十分検討せしめまして、大筋の通るように尽力をいたしていきたいと思います。
  55. 吉田法晴

    吉田法晴君 こまかい点は、検討をして、いずれ月末までの回答でけっこうですが、中央鉱山保安協議会で検討をするということ、あるいは災害調査なり防止について、労働者の参加を許すかどうかというようなことは、これは、この前にも論議がなされておりましたが、多分、質問なり申し入れがなくても、私は御回答いただけることだと思うのですが、協議会で検討すること、それから労働者に、何らかの参加をさせるようにしたい云々答弁は、私はここでもいただけるのではないか、私は、そういう意味で概括的な答弁を願ったのですが、その点も、答弁ができませんか。
  56. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 中央鉱山保安協議会に重要な事項をはかるという点につきましては、私どもも、できるだけ今後、大臣も答弁いたしておりますように、予算関係もありますけれども、でき得る限り回数を今後増して、重要な問題につきましては、中央協議会にはかって参りたい、かように考えております。  ただ、今の先生のお話は、災害の防止対策を中央協議会にはかるかというお話のようですが、これは大臣の諮問でもありますし、今すぐここで、私がはかるようにするというように、はっきり申し上げるということは少し困難かと思いますが、もちろん重要災害の防止というような点につきましては、上司にも連絡をとりまして、できるだけ中央協議会におはかりできますように進めて参りたい、かように考えております。
  57. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に、従来努力はしてきたけれども、重大災害の頻発を防ぐことができなかった、従って、具体的な対策あるいは機構も、また鉱山保安法の改正関連して努力をいたしたい、こういう御答弁であったかと思うのですが、そういうように確認してよろしゅうございますか。
  58. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) けっこうでございます。
  59. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をとめて。    〔速記中止
  60. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を起こして。  議事の都合により、残余の質疑は午後に譲り、これにて休憩いたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後二時二分開会
  61. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き、滅失鉱業原簿調製等臨時措置法廃止する法律案質疑を続行いたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 午前中、通産大臣御出席ございませんでしたが、関係局長あるいは次官等に、技術的な点のほか、予算の点も関連して、若干御質問をいたしたのですが、鉱業原簿の滅失したものは再製された、それから古洞調査図面等は調製をしていただいておりましたが、一里二里のところまではできたという報告をいただいたのですが、鉱区図があり、あるいは古洞図面がございましても、その鉱区にどういう工合鉱業が行なわれておるか、実態が把握されておらぬというような現状です。  そこで、最近起こりました多くの災害一つの原因の中には、どういうように掘進をしていっているか、あるいは採炭をしていっているのか、鉱業が進められているのか、それから隣接鉱区の状態がどうなっているのか、古洞の点を除けば、十分把握されていないのじゃないか、特にそれぞれの鉱区の中で、日々あるいは刻々、どういう操業が行なわれておるかということが把握されていないところから、大きな災害が起こった一つの原因があると考えるから、鉱区図の再製だけでなくて、その現状把握のために、災害防止の観点から具体的に、今まで論議されてきたところ、あるいは大臣がセーフティ・ファーストと言われた点からいって、具体的にどういう方策をとろうとしておられるかという点を、午前中実は質疑をして参ったわけであります。  そこでその結論といいますか、総括的に最後に、大臣にお尋ねをいたしたいのですが、大臣は、この前の阿具根委員の質問に答えて、セーフティ・ファーストということを自分は考えておるのだから、生産よりも人命ということを第一に考えている、こういう御答弁でした。なおその精神に基づいて、鉱業権者あるいは保安管理者等に勧告を行なっていただいたということ、この点は感謝をいたしますが、勧告をされただけでは、そのときに、いわば鉱業権者の釈明と申しますか、今後こういう大きな災害を再び繰り返さないために努力したい、こういう決意の表明があったようですが、しかし実際を見てみますと、あるいはそれぞれ起こっております災害の原因を考えてみると、その大災害の再発を防止する完全な保障が、法制上あるいは機構上、あるいは人員、予算の点から、十分であるかというと、必ずしもそうではないということがいえるのではないかと思います。そこで、あらためて人命を第一にする、人の命は地球よりも重いという通産大臣の考え方を法制の上で、あるいは機構の上で、あるいは監督官なり機動力なり、あるいは日々刻々の実態把握の上に、保障するために、予算の計上、その他最善の努力をしていただく決意と、具体案を作る誠意がおありになるかどうか、その点を実はお尋ねしたいと思って、大臣の御出席をお願いをしたわけであります。概括的になりましたけれどもお尋ねいたしたいと思います。
  63. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先般本委員会で、いろいろ御意見がありました、また私の意見を申し上げてその翌日、業者を集めまして、厳重に警告を与え、業者も私と同じように、鉱山の保安なくして事業はないのだ、こういうことをはっきり言って、今後十分万全の措置を講じますということを彼らは表明したのであります。それだけじゃだめじゃないか、何かはかにいい方法がないか、保障すると申しましても、保障する限度もあるのでありますが、われわれといたしましては、今後災害防止の技術の研究に力を入れますと同時に、今後これを防止するのに、どういう方法をとったらいいかということの検討は、もちろん続けていきたいと思います。  その検討の結果、予算あるいは法制上必要な措置を要するということになれば、その方向で進むにやぶさかではありません。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは私は、保安局長に報告をしたり、あるいは石炭局長に報告をしたりしたのですけれども、日本でも、あるいはベルギー、その他自由主義諸国の中でも、坑内を先年見た際に、たとえば坑内の切羽の支柱をカッペでやっておるのは、日本あるいはベルギーその他も大体同じなんですけれども、ソ連で、あまりいい方の炭鉱ではないと思うのですけれども、モスクワ郊外のスタリノゴルスク三十七番坑というのを見ましたときに、坑道に支柱がびっしり、間隔を置いてじゃなくて、びっしり詰まって支柱ができておる。それから坑内の支柱は、鉄柱を使っておりますという話でしたが、それはカッペでなくして天井、それから背後の側は、全部鉄板でおおい、それから支柱の点は、これはまあ日本でもやっておりますが、水圧式の移動のできる支柱、切羽全部が、切羽面を除いて鉄柱なり鉄板でおおわれておる。そのときに私は感じたんですが、これはカッペを使った方が支柱費、杭木費が節減されるというのじゃなくて、金はどれだけかかろうとも、とにかく人命が第一だと、保安が第一だということでやっておる。これはまあ社会の立て方の違い、あるいは経営の基本原則も違うが、その保安第一というのが、実際に採炭方法なり、あるいは保安の方法の中に、具体的に出ておるという実は感じがしたのであります。これは国の建前云々ということではございません。セーフティ・ファーストと言われるならば、セーフティ・ファーストということが実際に機構の上に、法制の上に、あるいは作業の方法の上に、私はこれが実現されなければならんと考えるのですが、その一つの例として引き合いに出したので御了承いただきたいのです。  で、今、この間も問題になりました特免区域の点、さらに特免区域に関連をして、警報とかガス検定の方法は、中央協議会にもかけて検討したい、あるいは完全な方策を見出していきたい、さらに、保安管理機構の中に労働者、組合からの参加を願うかどうか、こういう点も、協議会にもかけ検討をしたいというお話もございますが、さらに私どもは、監督官が一カ月に一ぺん行って保安検査をしても、実際には、十分規則違反が発見できない。あるいは、その日は、規則違反がないかもしらんけれども、翌日、あるいは二、三日すると、また違反の事実がある。このことは、午前中にも申し上げたんですけれども、筑紫炭鉱の例でも、十二月には検査がなされたけれども、そしてそのときに先進ボーリングなり、あるいは水抜きがなされておるということが確認されたけれども、そのあと何日かたって、大きな災害が起こっておるわけでありますから、従って、監督官の人員も、もっとふやさなきやならん、あるいは機動力も、ジープですか、あるいはスクーターを一年に三、四台ふやすというようなことじゃなくて、もっとふやさなきやなるまいが、待遇の点も、あるいは身分保障の点も、裁判官同様に一つ考えていただくことが必要でなかろうかと、実は午前中申し上げたわけであります。保安機器の点についても、補助をしている、さらに整備をするように研究中だという、局長の私への答弁がございましたが、そういう法令、それから保安機構、それから監督機構、能力、人員、それから保安機器、そういう点について、さらに一つ具体的に担当者も案を考え、あるいは中央協議会等においても御検討を願いたいと思うのでありますが、少し具体的になりましたけれども、大臣、概括的に一つ、決意と御意向を承りたい。
  65. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 炭鉱の災害防止につきまして、御意見がございました。御意見を参考にいたしまして、今後、十分検討して、できるだけの措置をとりたいと考えております。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは鉱山保安局長が、昨日受け取られて、これから十分検討するということでありますが、最近の頻発する災害、特に人員を減しながら合理化を進める一方で、生産増強に転換をした一つの反面の、これは結果でないかと思いますが、頻発する災害に対して、労働組合から抗議が出たり、あるいは申し入れ等が行なわれております。  その内容は、ここで詳しく申し上げませんが、保安対策、特に事前の防止対策について万全を期するために、保安協議会にかけて検討してもらいたい。それから災害調査、事前の保安調査に炭鉱労働者の調査ができるようにしてもらいたい。これは保安機構の中に、労働者も入れるということも含むと思うのでありますが、それから最近のこの複雑した事情の中で、規則違反があるかどうか。あるいは機械化の中で生産、それから保安人員、作業、その他万般にわたっての指導と監督を強化し、予算の裏づけをしてもらいたい、こういう要望を含みます三項目にわたる要望が出ております。  中身は、先ほど申し上げましたものと関連はございますが、特に強調をしたいのは、災害が起こったら、これは悪かった、あるいは、もうそういう災害は再び繰り返さないと、そのときには言っております。これはまあ大臣の注意のときに言われたように、そうでございましょうが、ところがしばらくたつと、生産第一に、もうすぐなってしまう。そうして地球よりも重い人命の保障が、おろそかになって参るというのは、従来のこれは実例、そうして特にその被害を受けますのは、労働者でありますだけに、労働者から出ました要望と、それから意見とに対しては、十分な考慮がなされ、そうしてその人命の保障がなされるように、改善改革が、法制上、あるいは機構上、あるいは予算上なされなければならぬと思うのですが、その要望をいれて、検討をし、改善をしていく御決意がありますかどうか、先に承っておきたい。
  67. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ほども申し上げましたごとく、いろいろな意見を十分参考にいたしまして、検討を続けていきたいと思います。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ、具体的な答弁が得られませんけれども、強く要望を申し上げて、きょうは、これで終わります。
  69. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御質疑がございませんか。  他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  本案を可決することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  70. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 全会一致と認めます。  よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは本日は、これをもって散会いたします。    午後二時十九分散会