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1960-02-23 第34回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十三日(火曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   委員異動 二月二十二日委員藤田進辞任につ き、その補欠として米田勲君を議長に おいて指名した。 本日委員奥むめお辞任につき、その 補欠として大竹平八郎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            上原 正吉君            斎藤  昇君            鈴木 万平君            近藤 信一君            大竹平八郎君   政府委員    通商産業政務次    官       原田  憲君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————  本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○中小企業信用保険公庫法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○中小企業振興資金助成法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  最初に委員異動がありましたので報告いたします。  昨二十二日、藤田進君が辞任され、その補欠として米田勲君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、本委員云審議予定についてでありますが、去る十九日、理事会におきまして三月四日までの予定を一応お手元に配付いたしました資料通りとすることに意見の一致を見ましたので御報告申し上げます   —————————————
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。先般来政府側質疑応答を重ねております貿易及び為替の白田化問題について、参考人出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、出席を求める日時は、先刻御報告いたしました理事会申し合わせにより、明日午後一時を予定いたしておりますか、人選等につきましてはこれを委員長に御一任を願いたいと存じます。   —————————————
  6. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  これより両案の質疑を行ないたいと存じますが、中小企業問題一般につき御質疑のある方も随時御発言を願いたいと存じます。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただいま中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案が条件になりましたが、私は、政府としても、真剣に考えていらっしゃるようでありますから、今度の通常国会を通じて中小企業振興のためにいろいろな施策をなそうとしておいでになりますから、どういうことを一体おやりになろうとしているか、それの一応の概観を承りたいと思います。
  8. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業関係の来年度の予算が約九億ばかりふえまして、その中で考えております予算に伴なう制度の概要を申し上げますと、一つは最近の中小企業の状況を見ておりますと、これは単に概観するということでなく、先般来中小企業実態基本調査というものをやりまして、その結果あるいはその後随時四半期別等でやっております調査点等からも現われておりますが、一つの大きな現象は景気が進展していくにつれまして、最近の経済情勢は御存じの通りでありますが、大企業中小企業それから中小企業の中でも大きいものと小さいもののいろいろな意味での格差といいますか、これが漸次開きつつあるという問題でございます。付加価値をとりましても、それから従業者賃金をとりましても、その他いろいろな指標をとりましても、その開きが開いているという問題であります。従って、従来の一肌的な中小企業制度というものも、どちらかと申しますと、割に中小の中でも、せっかく中小企業のための制度として設けられたものが、その制度中小企業通り一ぺんに扱っているという結果のためでありましょうが、割にどちらかというと、内容的にいいものに利用されがちだというような点も目立ってきております。そこでこの中小所業の中で、そういういろいろな格差の一番ひどい、小規模あるいは零細事木者層対象といたしましてこれに指導指導体制を確立しようというねらいを持ちまして、この指導そのものの中身というものは、初めはそうむずかしいことじゃないかと思いますが、指導体制を作っていこうということをねらいといたしまして、零細企業対象として指導することを事業とする組織といたしまして、従来任意団体で地方にたくさんできております商工会というものを組織化する、それと共に従来できております商工会議所というもの等組織を活用いたしまして、その層に対する指導をやっていこう、このための予算といたしまして約四億三百万円ばかりの予算が計上されているわけであります。これが一つ対策の大きなねらいでございます。  それからもう一つは、同じような意味からいたしまして、一般的な中小企業十ぱ一からげの対策では、なかなか対策実情に合わないと申しますか、これは業種別に見ました場合に、景気の変動に応じまして非常に側といいますか、百の当たる業種と、あるいは百の当たらない業種といいますか、そういう差が生じてきているわけであります。対策といたしましても、いろいろ一方では仲はす方の対策考えるとともに、一方では何といいますか、転換とか、あるいは縮まるといいますか、そういうことに対する対策考えて、正反対の対策考えるというような而も出てきております。また最近の貿易自由化等に対しますについての影響ということもありまして中小企業業種別にとらえていくという必要があるのでありまして、中小企業業種別振興対策ということで、これはまず中小企業業種別に失態を調べまして、その実態に即した対策を立てまして、これを効果的に推進していくということ、それには権威ある審議会を設けまして、それを中心こしてそういうことを運用していこうこいう考え方のもとに、中小企業業種川振興対策に関する法律というものを提案したい、これに関しましては、予算としては約一千百万円ばかりの予算予定されております。本年度の予算にからみます大きなねらいは、重点がこの二点になっております。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 中小企業関係として、この国会提出予定されておる法律はどういうものがあるのですか。
  10. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ただいま議題になっております中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案、そのほかに商工会等組織に関する法律案、これはきょう閣議が通りまして遠からず提出になると思います。それからもう一つは、中小企業業種別振興臨時措置法案、この四つであります。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体実は昨年末の臨時国会のときにも二、三意見を述べておきまして、企業庁からも資料をそれぞれいただいておりまして、若干拝見はしておりますが、それと今度の通常国会において施策されようとするいろいろな案件との間の関係を一、二尋ねてみたいと思います。その一つは、自由化の問題と中小企業関係が、まだお尋ねする機会がないので、私も因っておるのでありますが、それはそれとして、今一番問題になるのはガット、あるいはIMF等の強い意見として自由化を迫ってきておる、その内容、あるいはまたアメリカ等から日本資本を輸出したいという強い要望、そういうものの背景をなしておるのは、何といっても日本の低賃金だろうと思います。ですから、その低賃金の温床になっているのは中小企業であり、さらに下回って零細企業、これは資料を出していただいた通り、また中小企業庁のいろいろな今まで出されました資料にもはっきり載っておる問題でありますから、何人も否定するものでない。従って低賃金なるがゆえに自由化を求め、また日本が低賃金なるがゆえに逆に資本日本へ入れて、そうして利潤をあげようとする、この表裏二面の動きが、日本産業界に対して迫っているわけです。従ってこれをどういう格好で克服するかということが、ただいまの中小企業一つの私は大きな力点ではないか、全く相反する二つの見方から、日本の低賃金というものを目標にして、外国の力が経済的に迫っているわけです。これをどういう工合に処理するか、これが非常に大きな通商産業省としての方針でもなければなりませんし、わけても中小企業庁方針でなければならない、これをどういう工合にお考えになるか……。
  12. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) これは経済産業通商政策全般に通ずるむずかしい御指摘でございます。中小企業は、まずもって生産性が非常に悪い。従って賃金も低からざるを得ない。そういう形において、中小企業対策といたしましては、これも、中小企業対策といえども、あくまで企業対策なわけでありまして、これは業種別にいろいろとりますと、中小企業でもって生産性の大企業に劣らない、設備技術その他の問題をうまくこなしている、そういうものもあるわけであります。ありますが、基本的にはそういう格好になっておりますので、やはり企業対策としてまず生産性を上げ、賃金を上げていくという方向で筋道を通していかなければならぬということで、いろいろやっておるわけであります。なかなか一挙には解決しない問題と思いますがすべての中小企業に対する振興育成といいますか、その対策はその点をねらっているといってもいいと思います。  一方賃金の問題につきましては、最低賃金制、これもいろいろ見方によっては、なまぬるいというか、いろいろな点もあろうかと思います。私どももこの最低賃金制で、いろいろ業者間協定その他ができますことは、個々中小企業では、あるいはいやがるといいますか、上から押され、下から押されるというような感じで、いやがる而がありますけれども、私どもとしては、合理的な最低賃金というものは、大いに広く行なわれて、中小企業も、能率競争をするのでなくて、上から、どこかからよこされたしわをそこにしわ寄すというのでは、いつまでたっても企業としてはいけないわけでありまして最低賃金制などが、また中小企業努力目標といいますか、能率化目標というものは、そこで踏ん切りがつくわけでありまして、そういう意味で、そういう行き方に対して円滑に推進されることをむしろ望んでいっておるわけであります。  ただいまお話しの御質問と直接は結びつかない御答弁で、恐縮でありますが、中小企業に対する考え方というものは、そういう考え方指導育成して参りたい、かように考えております。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、今低賃金を克服するのには、中小企業生産性向上に求めるしか道がないとおっしゃいましたが、私はそれで大体いいと思うのです。しからばそういう認識の上に立って、中小企業庁は、この自由化資本導入あらしの前に立って中小企業に一体どういうふうに臨もうとするか、その具体策がお尋ねをしたいわけです。生産性向上までのところは、まあ何人も異議ないと思うのです。  そこで、まあ一口に中小企業と申しましても、私は何と申しても中小企業中心鉱工業だろうと思うのです。あとサービス業とか商業部門はさておきまして、中小企業中心的な実体をなしている鉱工業をどうするかということであろうと思いますが、それについて、どうも具体的な施策というものが私は出ていないのではないか。試みにあげてみますと、いろいろな問題がありますが、前国会からの引き継ぎで問題にしているのは、生産性向上させるというが、しからば中小企業技術革新というものをどれだけめんどう見るか、これに対して具体的なものはありますか。それから資金的にどういう工合めんどうを見るか、ここに一つ法案が出ておりますが、これはやらないよりむしろいいでしょうけれども、抜本的なものではない。それから産業分野をどうするかという問題、これはこの前だいぶこまかい作業をしていただいて表をもらいまして、私はその努力を多とすると同時にある程度内容がわかりました。それですから、大へん貴重な資料として私は今利用しておるのですが、ああいう工合に乱れた中小企業、大企業零細企業との間のある関係を、これをどういう工合に整理して中小企業産業分野というものを確立してやるかということが一つ問題だと思います。  その三つ、そのほかにたくさんあるでしょうけれども、私が今頭に浮かんでいるのはその三つなんですが、そういうものについて一体どういう抜本的な施策で臨もうとしておるか、その点が大へん欠けていると思うのです。私はずっと前のことならば、そう問題にしませんけれども自由化という新しい問題が起きてき、自由化中小企業ということを去年からやかましく言っているわけでありますが、そういう、ある意味においては日本経済の転換期に立っておるときに、まともにあらしを受ける中小企業を保護していくという立場からいっては、中小企業庁施策というものは少しぬるま湯ではないかということを考えるのですが、この点は一体どういう工合にお考えになるか、いずれ大臣にも伺いますが、企業庁としてはどういうことを考えておるか、これを伺いたい。
  14. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 生産性向上といいますか、能率向上具体策という御質問です。今御指摘のような技術の問題につきましては、あるいはなまぬるいというお感じをお持ちになっているかと思いますが、従来とも相当力を入れておるつもりでありまして、何分中小企業は数も多いし、業種もたくさんあるということで、主として府県にあります都道府県技術試験所中心にして指導してもらうという建前をとりまして、一昨年から、一昨年は十カ所、昨年は十六カ所、来年度は二十六カ所の既存の試験所設備を全部入れかえるといいますか、試験機その他の機械相当古くなって、技術の進歩に応じませんので、これを都道府県に勧告しまして入れかえる、これを来年あるいはもう一年くらいかかるかと思いますが、入れかえれば大体の入れかえが完了する程度にきておると思います。この都道府県試験所というのは、昔からこれはございますが、できたころはそれぞれ相当意味を持って働きをしたと思いますが、一時中だるみみたいになって、ほとんど非常に古くさい機械がほこりにまみれておったという時代があったわけでありますが、最近中小企業の側からも、これは技術問題は大いに勉強してやらないとついていけないというような気運で、この都道府県試験所指導力に期待する要望が非常に強いわけであります。これらについて相当力を入れていきたいと、こう考えておるわけであります。それとともに私どもとしてはそこに指導員を置きましてそこの設備並びに技術中心として指導していくというようなことを考えて、来年の予算を要求しておるのでありますが、さしあたりは設備の方に力を入れるということで、指導員は国費はとれておりません。おりませんが将来とも努力をいたしますとともに、都道府県の方でここら辺は相当の県費をもってよくしていただいておるようなわけであります。  それから御指摘の点、概括的に申し上げますと、資金の面につきましては、中小企業向けの、主として設備資金を融資します機関として、中小企業金融公庫というものがありましてこれに必要な所要の貸し出し規模に応ずる国家資金の投入というものも年々ふやして参っておるわけであります。これはまだできて年月がそうたちませんが、中小企業金融公庫中心としまして、中小企業向け専門機関を大いに活用してやりますとともに、特に設備近代化を促進するという意味において、設備近代化資金というものを無利子で貸しつける、国と県が半分ずつ出しまして、それに回収金を加えまして、回転基金的に運用しておりますが、この設備近代化資金を無利子で貸しつけをやるという制度でもちまして、これも年々増強しておりまして、現在では総額約五十億程度の金がたまってぐるぐる回っておるというような格好にありまして、特に一般金融によりにくい面、あるいはそれ以上に設備近代化を促進するという意味の配慮をいたしておるようなわけであります。  それから百番むずかしい問題は、最後に御指摘分野調整の問題であります。これにつきましても、たとえば法律制度といたしましては、過当競争等の起こるおそれのある場合は、団体組織法によりまして調整事業をし、それでも及ばない場合は、アウトサイダー規制命令をかけるというようなことで、ある程度分野調整といいますか、縄張りの不必要な不合理な錯乱が起こらないようにという制度ができております。現在ではそればかりでは十分ではないと、またその規定の動かし方といいますか、十分でないということもあろうかと思いますが、そういう制度があります。それ以上に大企業中小企業分野をどういう形で調整するか、またどういう方法調整するかという面につきましては、究極的に何が一番国民経済的に合理的だということは、なかなか言うべくしてむずかしいというようなことで、分野調整の問題については、なお今後の動き等を見まして、制度的に足りないような点がもしありますれば、特に手を打つ必要があろうかと思いますが、今では団体組織法の運用をもちまして、その調整をはかっていくというような構想で、一応仕組みはできておるわけであります。  あと貿易自由化影響等程度と、今申しましたいろんな制度並びに資金等のボリュームの程度がどういう関係になるかという問題でありますが、貿易自由化の問題も突き詰めていけば、今言ったような問題を時期を失せず、できるだけ手厚くやっていくという問題に帰すると思うのでありまして、そいう面は、もし足りない点がありますれば、実情に応じていろいろ考えていきたいと思っております。
  15. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 委員異動がございましたので、この際御報告申し上げます。  奥むめお君が辞任され、補欠として大竹平八郎君が委員に選任されました。   —————————————
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 この技術革新の問題について都道府県試験所というか研究所を置いて、まあそれで指導するというお話しがありましたが、私が今見るところでは、それの利用方法によっては、またそれを動かす人によっては、相当利用価値があるかと思いますけれども、実際今中小企業で困っているのは、大企業との競合関係にあるものももちろん入るでしょうが、各中小企業組織化しろ、組織化しろということで、協同組合の強化を呼びかけておりますね。ところが、協同組合がしからば実際にそういう面に向かってどういう点を積極的に努力ができるかというと、あんまり内容的にはないわけです。組織化はするが強力にしろといったところで、なかなか目標がないわけです。それで一番指導をしてやるべきものは、今までも続けておられますが、協同組合相当助成をして、そして共同作業場と申しますか、共同加工場と申しますか、そういうところに技術革新のかなめのようなものを探っていくという機会が与えられるようにすることが一番必要じゃないかと思うのです。ところが協同組合にそういう共同加工場を作る一つ指導が願いたいといっても、なかなか思うようにいかないのでありますが、協同組合技術革新一つの方便に利用していくために、共同作業場のようなもの、あるいは一つの製品の中の一番むずかしい、私企業ではできない、零細企業ではできないような部分を機械等設備その他の共同設備をして、そして進めていく、そういうことにするためにはぜひともそれをしなければいかぬと思うのでありますが、今日ではどういう工合になっているか、従来と私は大して変わっていないように思うのですが、また将来どういう工合にそれをしようとするのか、その辺のところを少し詳しく御説明願いたい。
  17. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 従来からなるべく協同組合を作って、個々にやっては能率の上がらぬ仕事共同にしようという方針のもとに、協同組合を勧奨しておるわけでありますが、今御指摘のように、共同事業のうちでも共同施設としてそれをてこにするという格好、よりどころにして技術革新をやっていくというお話、まことにごもっともなお話でございます。もちろん新しくやります製造業務等の場合における共同施設は、そういう意味で割に新しい斬新な設備をしてそれを中心に、その中に中心的な技術指導者というものを置いてやるというような行き方をとっておるものもありますが、実はここに数字がございますが、製造業で申しますと、約四三%が組合に入っている、協同化している。そのうちで共同事業をしておるその事業の性質で分けてみますと、やはり一番多いのが購買、販売関係仕事が一番多いわけであります。共同購入共同販売というような仕事が約三二%、共同受注まで入れて三八%くらいになります。それからその次が生産加工関係で約二〇%、それから試験研究等関係で、これも多少試験設備等を伴うものでありますがそれが一三%、あと価格協定生産関係金融共同借り入れ等関係になっておりますが、そういうことで全体の数字として必ずしも多くないような数字になっております。この共同施設に対する国の助成も一時最高のときは年間三億くらいまでいったのでありますが、その後逐次減っておりまして来年度予算では一億二千五百万、昨年よりは少しふえましたが、必ずしも共同化気運というものはわれわれから見まして、熱意といいますか、需要が必ずしも出てこない、ティピカルな補助を受けるような形のものが出てこないという傾向が、多少そういう傾向が見られますのははなはだ遺憾とするところであります。ただいま御指摘のように、新しい斬新な設備共同化して、共同で作って、それをてこにして一つ技術革新のために乗れるようにという御意見に対しましては、検討しまして何か具体的な考えでも出ますれば、その方向に推進して参りたいと思います。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは、私はあるので、名古屋方面だとか岐阜方面のところに具体的にあることを知っておるのですが、たとえば一つの例をあげますと、岐阜県の関市は新潟県の打刃物と並んだ打刃物の産地なんですよ。それで今は町村合併しまして三万こえておりますが、昔の関町というのは一万もちろんない小さい町なんです。その町でただいま刃物生産をどれだけやっているかといいますと、大体三十二億円くらいやっております。そのうちで輸出は二十億円あがっている。しかも主として。ポケット・ナイフ中心なんですがね、それがどういう業態だといいます。と、大体こしらえているのは、問屋がありまして、その下に下請がずっとあって、それぞれ命ぜられたものを作ってきてアッセンブルして出してくる。ナイフがあれだけ、二十億も出ているんだけれども、一ダースあるナイフをとってみると、一つ一つみんな違う。大体手で打ってやるやつで、打ち抜きもまあいろいろ種々雑多にやっておるのです。そういう関係で、商品としてはまあそういうと怒られるかもしれないけれども、もうちょっと勘どころだけをめんどうを見てやれば、ドイツのゾリンゲンあたりが作っているものに負けないような品質のいいものができるんじゃないかと私は考えるんです。ところが、そういうことはみんなわかってはいるんですね。わかってはいますが、さて、それでは仕組みの問題になる、共同加工をやって打ち抜きとか、材料の購入をやって、各岡屋なり中小企業に均一な部品を給供するというようなことをやろうと思うと、はたと機械設備購入に困ってしまうんですね。今一台機械を買おうと思っても、いい機械を買えばずいずん値段がするものですから、小さな協同組合では手に負えないわけです。そういうものをめんどうを見てやるということが、品質を改善することにもなるし、輸出力を作ることにもなるし、また低賃金を克服することにも、私はなると思うのですがね。そういう努力というものは、長年唱えておっても、牛の歩みでなかなか早く行かないわけです。おそらくこういう例は、全国の中小企業が、形は違え、もうほとんど全部そういう格好だろうと思うのですがね。ですから、やはり中小企業庁中小企業の政策を推進するということであれば、何か一つ重点を置いて、今の時代で何を一番中心に求めているかということを考えて、そこへ力を集中していくというやり方をとられることが一番必要じゃないかと私は考えるのですがね。総花式にやっても、なかなか効果は上がって参りませんから、そういうお考えをぜひ持っていただきたいと考えるのですが、いかがですか。
  19. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 確かに中小企業の問題、いろいろな面で問題がありましてここ、中小企業庁ができまして十年、いろいろな制度ができております。一方、そういう現状にかんがみて、もっと、たとえば、法律制度というようなものを集めて整備しろというような御意見さえあるくらいで、いろいろな制度ができております。従ってそれらのそれぞれに応じてそういう問題があるから、逐次そういう制度が積み重ねられてきたのだと思います。それを逆に見ますと、それぞれの制度なり、またそれぞれその制度に伴って必要な予算等があれば、それだけ重点を見失うというのですか、あるいはそういうこともあろうかと思います。ただ私がやっぱり一番問題にしておりますのは、何と申しますか、中小企業で一番問題は、技術のもとになる設備といいますか、技術から出てくる設備といいますか、その設備が非常に機械その他でも老朽機械が多くてという問題、従って設備の近代化、設備の更新というものについて、設備近代化補助金あるいは中小企業金融公庫等、特別の金融機関による融資ということでもって、まずそこを推していくということに大体重点を置きまして、企業内部の問題として、そこに重点を置いて経営技術の刷新をはかっていこうということで、おのずから重点はあるつもりでございます。ただ今いろいろ御指摘の点を考えてみますと、それと技術指導といいますか、技術的には大体こういう、今日まで技術が進歩して、それに見合う設備はこうやってこういうやり方をすれば、ちゃんとこういう製品ができるということは一応わかった前提で、設備中心を置いてやっておるわけなんですが、今のお話を伺いますと、もっとそういうことも含めて指導するというような体制、あるいは設備を更新したら、そこに技術指導その他の中心の人がいて、一緒にそういう方向に持っていかすというようなこともあるいは必要かと思います。が、われわれのいろいろな政策のねらいというものは、おのずからそこに重点がありまして、設備近代化ということが、何と申しますか、これまでのこの中小企業予算及び対策中心だと言えると思います。なお、そういう点、もっと重点をはっきりさせる必要のある点につきましては、今後とも考えていきたいと考えます。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はかつて大蔵委員をやっていたときに、商工委員会と一緒になって、国有機械の払い下げということをずいぶんやりました。これは大体今のところ終わっているのだろうと思いますが、戦争中に使った古い機械、しかし中小企業が持っている機械よりは新しいだろう、そういう程度機械を払い下げをして、それでもう中小企業の近代化は終われりとしているのじゃないかと、私はそういう気持がするのですが、今のわれわれが考えている中小企業の近代化というのは、そういう程度のものじゃなくて、大企業の最も斬新な機械設備と対抗できるような意味機械設備によって近代化しなければ意味はないと、そう考えておるのです。国有機械を置きかえてみたところで、大企業とはるかにへだたりがあるわけですからね。  それでそういうことを言っておる場合に、最近の新しい機械というのは、なるほどワン・マン・コントロールの、ものすごい機械ができておりますが、一台の値段というのはものすごい高いもので、中小企業などが買える程度のものでない。また一台かりに買えたとしても、その機械だけ買った場合には、その機械の利用率なんてきわめて悪いものですね。ちょっと一日も運転すれば相当なものが自動的にできてしまって、毎日使うという程度のものじゃない。こういうことになりますから、何としても高価でしかも量産のできる最新鋭の機械設備というものは、同じ業態のメーカーを集め、組合をこしらえ、そうして組合員が毎日々々交替になるでしょうけれども、とにかく年がら年中その機械を利用していく、共同施設として利用していく、そういうことによって単価をかげんし、製品の質もよくしていく、そういうようなふうに進まなければ、私は効果は上がらないと思います。ですから、ここで一つ見本的にでもいいからそういうものをやってみて、効果が上がつたならば、どんどんさらに重点的に広めていく。輸出を中心にしてもよろしいでしょうしその他国内需要の面でもかまいませんが、そういうことに踏み切ってもらえないかと私は思うのです。去年、どこでしたか、機械総合センターというのですか、自転車関係機械試験所を見ましたね。あれは非常にりっぱなものだと思います。しかしあれはただ試験設備ですね。自分でこしらえた製品がどういう性能があるかということを試験するところであって、共同加工場ではない。あの程度の精密な試験設備が国の力でモデル的にできたとすれば、あれに相対する自分のうちの製品の中で、一番人手がかかるとか一番加工がむずかしいとか、そういうようなところが高価な機械で簡単にしかも量産ができるというようなものがあれば、そういうものをぜひとも共同施設として設けて進めていく、こういうことをやられるのが一番いいのじゃないかと私は考えるのですが、どういうものでしょうか。過日も板橋の双眼鏡の零細企業をずっと見て回ったことがありますが、私はそのときも痛切に感じました。まあ非常にりっぱな双眼鏡を安く輸出しているようですけれども、よくペイしますかと聞いたところが、まあこれでとにかく食ってはいけるのだということで仕事をしておりましたが、ああいうところだって、部品の共同加工をもう少しいい機械を使ってやれば、今の値段でももう少し利潤を上げることができるのじゃないかという気持に私はなったのですが、そういう点どうですか。
  21. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業のたとえば輸出の関係、それから機械関係等に多いわけですが、下請けの関係に立っている中小企業というものは、もう最近では特に何といいますか、輸出は輸出先きからあるいは貿易商社から、下請けの関係は親企業から、とにかく製品の精度、規格そういうことを非常にやかましく言う傾向が最近はとみに強くなってきておるわけであります。従って設備近代化資金需要、設備近代化資金に対する資金需要、それから公庫等に対します資金需要も、そういうことを理由とした資金需要というものが最近はほとんど大部分であります。お話のように、そういう国有機械の払い下げも大体済んだわけですが、その当時は非常に機械に困っていた、機械の方の生産の面もあまりいいものができなかったというようなこともありましょうが、その当時とはだいぶん中小企業の側からのそういうことに対する眼の向け方といいますか、見方も変わってきているように思います。それにいたしましても設備の老朽化の程度というものは、中小企業は大企業に比べて半分以上は十年以上の機械という数字が出ております。そういうことであります。これも先ほど申されますように、何もかも一時にということではなくて、重点を置いてやるという考え方で、実はもっと重点がはっきりして、たとえば設備近代化資金等も、輸出関係業種のこういう機械というように指定をして、重点的にやっておりまして、その機械も先ほどのような要請から、中小企業といえども性能的には大企業に劣らないものと、ことに最近は非常にそういう眼が向いてきておるということが言えると思います。今後ともそのいろいろな制度の運用につきましては、ただ古いもの——中小企業にとっては新しいけれども、全体の技術面から言ったら古いものというような考え方に堕しないように、極力そういう中小企業といえども技術的とか内容的には大企業に劣っていいものではないわけでありまして、そういう点から、そういう点に頭を置いて指導もしていきたいと思っております。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はそういうお話を承りますと、具体的に、また業者の意見等をまとめて、通産省に聞いてみたいと思っておりますが、たとえば今一番心配しているのは、この間自由化のときに牛の皮のことでありますが、だいぶ問題になっておりましたが、牛の皮で作る靴の問題にしましても、私も今相談を受けて困っておるのでありますが、大体機械というものは、日本の場合は大きな会社はそうたくさんありませんので、ほとんど靴の店頭に並んでいるのは手縫いのものが多い。実に低賃金零細企業でやっております。この頃はだいぶ進歩しまして協同組合ができて展示会なんか開いて、一年の大体生産数量なんか、各メーカーが自信をもって、私の関係しておりますなんかでは、やるようになっております。なっておりますが、悲しいかな機械をそろえている大機械靴のメーカーとは何としても収入の面で競争できないのですね、しかも手縫いの方が圧倒的に多いという現状ですから。そこで私一面考えるのですが、あれだけの、機械靴に転換するために、たくさん種類があるミシンを全部それを協同組合でそろえるということはむずかしいけれども、一番手数のかかるところの、シンくらいは、やはり共同加工場で備えてやる、だれでもそこへ来て一番むずかしいところくらいできるようにしたらどうか、そういうことを言って勧めているのだけれども、いざ相談してみるというと、なかなか金ができなくて因っているわけです。こういう例があるので、もし自由化して、アメリカあたりから日本人の足に向くような靴を大量生産して輸入するなんということになれば、立ちどころにこれは参ってしまうだろうと思うのですがね。そういう自立的な考え方からしても、今の問題を一つ真剣に考えておいてもらいたいと思う。  それから第二番目には、今、町の企業的に非常に熱意のある人で一番因っているのは、今までの営業実績が割合に規模が小さいとか、あるいはまた新しく独立をしてやりたいとか、そういうような生産意慾に燃えておって、しかもりっぱにやっていくだろうと思われるような人々が、さしあたりそういう新規開業だとか独立だとかいうような場合になるというと、融資の道が事実上閉ざされているわけです。ですから、それは実際上本人がどんなに希望してみてもできません。高利貸しの金でも使うか、自分が資力があれば別ですが、それ以外に方法がないわけです。国民金融公庫も、個人営業でも、最高五十万ですが、三十万程度までは最近は非常によくめんどうを見ていますね。国民公庫の私は最近の努力には敬意を表しますが、非常によく見てくれている。見てくれているが、そういうものまでにはなかなかまだ至らないのです。ですから、そういうものについて、一体どういうお考えをお持ちになっているか。これだけ人間がたくさんふえておりますから、やはりそれぞれ皆が独立をして新規開業をして、自分の働く場というものを作っていかなければならぬ、そういうものは道が閉ざされてしまう、今まで仕事をやっている人で信用がある人は、じりじりと拡張をして、ある程度伸びていることは事案でありますけれども、ゼロから一までに行く道というのは閉ざされているわけですね。これを一体どうするか、これがやはり一つの新しい問題だと思いますから、伺っておきたい。
  23. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) これはまた非常にむずかしい問題だと思います。もちろん営業自由の原則でありますし、またそういう力がある、りっぱにやっていけるであろうという人が独立し、あるいは新規開業するということは、全体のためにもいいことだと思います。ただ中小企業は、おうおうにして業種によっていろいろ事情は違いますし、地方によっても事情は違いますが、すでに非常に数が多いという形で、ひいては景気のちょっとした動きに応じて、過当競争に陥りやすいという業態が非常に多いわけであります。従って今の問題は具体的にどういうことになっておるのか、制度的にそういうものに金を貸してはならぬということには一つもなっておらぬと思いますが、そういうことも考えて、相当優秀でやっていけるだろうと一応主観的には思えても、客観的にはなかなかそこに危険性が、金を貸す立場からいえば、公序といえども一種の金融機関ですから、そういうことの将来性といいますか、収益力等に自信が持てないというために、金が回っていかないのではないか、こう考えますが、私はそういうときには、従来あるような過当競争的な形でなくて、もうちょっと観点をづらしてその中のあるものを今上面的にねらうとか、あるいはむしろ逆にそういう種類の製造業からいたしますと、そういう種類の製造業の中の判に高級な製造業をずっとねらうとか、何かねらいをはっきりして、何とか工夫していけば、それぞれ企業の将来性ということについて、金融機関の立場から見ても、なるほどということで入っていける道があるのじゃないか。何か従来のままの形でやっていたのでは、そういうものの将来の見込みが、なかなか金融機関の審査の目から見て、立ちにくい点があるのじゃないかという感じがします。何かそこにねらいをはっきりしてやっていけばいいのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 今、もし国民金融公庫でも、かりに信用保険がかけられるとしましても、六カ月経営の実歴があって、経理的にですよ、実歴がなければ相手にしないということになっております、国民金融公庫は。それから新規開業とか、独立ということは全部だめだ、こういうことになる。で、まじめに一つ生産に従事しようとする人は、そういうことで最初スタートでとまってしまう。ところが飲み屋でもやろうということになると、高利貸から借りてでも、うまくやったらまたたくまに伸びてしまうというような実情があるのですね。そちらの方の金融はどういうわけでつくか知らぬけれども、割合簡単についていく。まじめな——飲み屋がふまじめだという意味ではありませんが——生産の方はこれは割合にうまくいかない、こういう矛盾した社会現象がただいま出ておりますね。
  25. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 運用上何かそういうことにある程度やっておるそうでありますが、やはりそこは業種の将来性というものを考えた上でのことだと思います。これは運用方針ですから、実績がなければ何もできないというのじゃ、何も始まらぬのでありまして、よく研究したいと思います。ただ飲み屋というお話しでございましたが、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫でも、一種のサービス業、旅館とか、いろいろなものに金融しておりますが、この場合には環境衛生関係の基準で、たとえば料理場はこうしなければいけない、そういうきめられたところだけを対象にして融資するということにいたしております。あとは自分で何とかやりくりする。ああいう旅館、飲食店、その他は衛生その他の面から強制されますといいますか、規則的に強制されあるいは指導されておる面だけを対象にして融資するということで、向こうは対象をしぼっております。今の前段の問題は調べまして、運用方針でありまして、何もそれは運用方針は形式的にやるべき運用方針ではないと思います。私はそういう感じがいたします。よく調べまして……。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 たとえば今案件になっておる中小企業信用保険公庫ですね。これに法改正をやって、二十億円を三十八億円に出資を増額する、こういうことになるというと、この法律だけ見ると、二十億円が三十八億円になったのだから、とにかく今までの倍近く、非常によくなる、こういう工合に常識的には受け取られますね。受け取られるが、それだけでは今の中小企業の中にあるさまざまな複雑な問題の中で、一番困っている人をほんとうに手厚く、何と申しますか、協力支援をしてやることには直結しない、こういうことを私は結論として申し述べたかったために、いろいろとくどくどとお尋ねをいたしましたが、どうかこういう法律ができることは、大へんけっこうだと思いますけれども一つ施策をして、中小企業に希望を持たせるということであれば、既存の勢いのいい人だけがさらに勢いを得ていく、国の力によって得ていくということになるより、新しく施策をしたときには今までバスに乗りおくれておった人々の方へより重点的に、この拡張された政策というもので潤ってゆく、こういう施策を行政的に中小企業庁としては十二分に留意してやられたい。私が申し上げたいことはそのことだったんですが、そういうお考えで今後やっていただけるかどうか、こういうことですね。
  27. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ただいまのお話しの趣旨は非常によくわかります。そういうことにならないと何ごとも始まらないと思います。運用上、多少運用の確実を期する意味で、いろいろな制限を設けている点があると思いますが、その点は具体的に調べまして、精神は今おっしゃったような気持でやりたいと思っております。
  28. 近藤信一

    ○近藤信一君 私もこの際二、三ちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、今栗山委員からいろいろと詳しい点のお尋ねがあったわけですけれども、その中で私が一点まずお尋ねしたいことは、この提案説明書の中にもありますように、中小企業助成といっても、中小といわれるいわゆる小でも、まだ零細企業に対するところの施策というものが、私はまだ徹底していないんじゃないかと思う。それから事業協同小組合が一体現在どれほど組織されておるか、今その現状はどういうように運用されておるか、その点がおわかりだったら、まずお尋ねしたいと思う。
  29. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 事業協同小組合制度は、三十二年の中小企業協同組合法の改正で作られたものであります。三十三年の四月から実施された制度であります。で、この制度法律的に申しますと、普通の協同組合と実質的にあまり実は変わらないわけであります。変わっております点は、組合員が零細企業者に限定されるということと、まとまって小組合として協同組合に団体加入ができるという点と、それから小組合は特殊な仕事、たとえば倉荷証券とか商品券の発行はできないというこの三点だけで、ほかの点は事業協同組合と運用の仕方は一つも変わらぬわけであります。で、この組合の現状は、昨年末で実は十組合しかできておらないのであります。なかなか成績は非常にまあ芳しくないわけであります。これはどうしてこういうように組織化されないかという点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、従来からいろいろな面で協同組合ができておりますものは、その協同組合がうまく共同事業をやって、それなりの恩典がある場合には、わざわざそれを脱退して別に小組合を作らなくても済むという点が相当多いんじゃないかと考えております。たとえば製造業で例をとりまして、事業協同組合に加入しておるものは、従業員が一人から三人の組合の場合の協同組合の加入率は三二%、四人から九人の事業者の協同組合の加入率は四八%ということで、相当その組合員も協同組合に入って組織化されておるものですから特別に小組合に入ることによって特別の利益がないということであれば、組織がえといいますか、脱退してそっちへ行くというような必要がなかったからではないか、こう思うわけであります。しかも今度の改正でお願いしておりますように、小組合自身に対する共同施設補助金をやるという制度もなかったわけでありまして、そういう点も今度の改正で直しまして、また各種機関を通じて本制度の普及ということに努力いたしまして、設立も漸次増加さしてゆく、こう考えておる次第であります。
  30. 近藤信一

    ○近藤信一君 三十三年の四月から、この組合ができることになっておりますが、今の御報告を承ると、昨年の暮でまだ十組合しかできていない。これは、二年もかかって十組合しかない。  それは、今すでに協同組合に加盟しておられて、いろいろな利益を受けておられるから、そういう小組合を作ろうというあれがない、こういうわけでありますけれども、これは、やはり当局ででも、この小組合に対するところの指導方法、こういうようなものが欠除しておるのではないかと私は思うのですがね。  というのは、やはりあの規定からいきますと、事業協同小組合の方は、人数の点では五人以下というふうに限定されておるのですが、五人以上おると、そういうふうに加盟できないということになっておって、ここにも若干、あれがあるのではないかと思います。中小企業といっても、規定は、やはり人員では三百名という一つの規定がされておる。三百名の商工業、それから十名の商工業、これはだいぶ私は内容的にも違ってくると思うのです。どっちかというと、十名あたりの経営は、小組合に、五名の方に近いのではないかと私は思うのです。  というのは、先ほど来栗山君からも、いろいろと質問がなされておりますように、今の、特に零細企業においては、金融の面にいたしましても、なかなか困難である。それから独立した経営なんということは、なかなかむずかしい。どこかの系列に入らなければならぬ。その系列のそのまた下の方に組まなければならぬ。こういうふうな点で、非常に悩みが大きいんじゃないかと思うのです、零細企業になると。そういうのは、私はたくさんあると思うのです。  私の知っているのでも、このごろ、どんどんできておるわけですが、そういう小さい小組合へ加盟できる、そういうものをもっと積極的に指導してそうして、こういうふうにできるのだと、そういうふうなことを、私は親切に方向づける必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう点いかがですか。
  31. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 小組合は、従業員おおむね五人程度以下、商業、サービス業が二人、こうなっております。法律にも「おおむね」というのが入っております。大体運用としては、七、八名程度の規模のものも弾力的な運用をいたしております。  小組合が、なかなか普及いたしません理由は、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、こういう面もあるのです。たとえば、下請の組合がありまして、それが小組合を作っておる。ところが、下請にも、いろいろな段階があって、二重加入しているといいますか、元請の親の組合もある、下請の組合もある。何かそれに二重加入しておるというようなものもある。こういう形のものも、いろいろあるのであります。  それで、その二重加入をする場合に全般的な問題は、上の方の組合の利益を受け得るし、たとえば剛資材を共同購入するという面では、下の組合の方を利用するというような面で、二重加盟をしているような面もあるわけであります。  で、この制度につきましては、当初都道府県中小企業中央会を通じまして普及徹底をはかってきたのでありますが、その普通の協同組合との違いというような点についての趣旨が、必ずしも零細事業所まで浸透しなかったという点もあったかと思います。今度の法律改正で、小組合に対する井同施設の援助ということについての改正ができますれば、その機会を利用して、関係機関を督励して趣旨を徹底さして普及に努力したいと思います。
  32. 近藤信一

    ○近藤信一君 ちょっと逆になりましたけれども、小組合が、今まで十組合設置されたと。その十組合産業別的な分類ですね、どういうふうになっておるか、それからこの十組合のうちで、共同施設を設置したのはあるかないか、その点、いかがですか。
  33. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 十組合は、あと資料で出してもよろしゅうございますが、工業関係が五つでございます。カバン、それから袋物技工、これは袋物の下請加工だろうと思います。それから愛知県でありますが、時計。それから味櫓醤油。それから京都の扇子の加工というような関係の工業関係が五つであります。それから商業関係三つでありまして、横浜の露店商の組合、それから青森の燃料の販売の小組合というようなものが総計三つであります。サービス業が二つでありまして、飲食店の飲食業の組合というようなものであります。現在まで、これに対しては共同施設の補助金、融資貸付という制度が適用なかったわけであります。自分だけで共同施設をやる力もないといいますか、資金もない関係もあろうかと思いますが、そういう制度がなかった関係上、共同施設をしておるところはないようであります。  ただ、やっておる仕事から見まして多少の援助を行ないますれば、それが自分の努力と相まって、共同施設に具体化すると考えられます仕事をやっておる組合相当ございます。たとえば、燃料の共同購入をやっておるというものは、トラックをなにする、それから共同店舗を持っておるものがありますが、共同店舗を共同施設として扱うというような面で、そういう援助をすれば、相当共同施設がふえてきはしないかと思います。
  34. 近藤信一

    ○近藤信一君 昨年来、ことしは黄金の年と言われて、また鉄のブームに乗ったというような形で、現在農村の工業化ということで農村において小さなターレットを二、三台入れて、そうして二、三人で事業をやろう、そういう動き相当あっちこっちで出ておるんです。やはりこれらも、今のお話のように、それは直接製造用に当たるわけにいかない。やはり下請の下請というふうなのが多いわけです。そういうので、ここのところ昨年末から今年にかけて、私相談を受けたのも相当あるんですが、そういう動きが盛んに農村においてあるわけなんです。将来、これが農村の工業化というふうな一つの足がかりにもなるような向きもあるわけなんです。そういうものに対して、やはり金融の面その他の点で、これは一つの悩みが出てくるわけなんです。  そういうのに対して、やはり私は何らかの、ばらばらの動きでなくして、一つ方向をもって指導していくというふうなことが必要になってくるんじゃないかと、そういうように考えるのですが、この点、いかがですか。
  35. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 金融の面につきましては、商工組合中央金庫——これは組合金融をしておるところでございますが、それに加入いたしまして、金融を中金から受けているという組合がございます。所属組合三つございます。小さい組合ですから、金額は大きくございませんが、あります。組合自体は、商工組合中央金庫との関連をおつけ願って、そこから金を引き出すということは、すなわち商工組合中央金庫の仕事でありますから、大いに指導をいたしまして、金融の円滑化を進めるように関係方面を督励して参りたいと思います。  ただ問題は、小組合組合員であるものに金融上の優遇措置を、あるいは税制上の優遇措置をという問題があるわけなんです。組合自体については、今度の法律と、あるいは本来の制度でいけるわけなんですが、組合員自体について、そういうことをやれということになっておるわけで、ただ、そういうことになりますと、これは金融の方面は、小口貸付制度というものが国民金融公庫等にもございますから、これを利用していきますが、税制の問題となりますと、なかなか税の負担の公平という問題もあります、企業課税の問題等もありまして、なかなかうまくいかないという現状になっております。  組合自体につきましては、まとまって、そういう仕事をやられるということで、組合を作られて、それぞれ商工中金等と話をつけられますならば、十分優遇することができると思います。
  36. 近藤信一

    ○近藤信一君 こういうふうな工場ですから、いわゆる最初からたくさんの資金を入れてやるわけがない。従って、少し仕事をしては、また一台機械をふやそうかと、こういうふうな動きだと思うのです。  その場合一番手近なところは、国民金融公庫だ。この人たちは、たくさんの金を必要じゃない。大てい二、三十万というような程度だ。そうすると二、三十万の金を借りるにしても、やはり今の話じゃないけれども、六カ月くらい経営実績がなければだめだ、こういうことになると、利用することもできない。しかし何かこれは金を借りなければ、一つでも大きくしていくわけにいかない、こういうことで非常に金融の面でも、苦しい動きをしているわけなんです。  しかし仕事は幾らでも、現在のような状態だから、機械さえ設備すれば、幾らでも仕事は出そう、こういうことで、いろいろと設備をふやそうという動きはあるわけなんですが、現実の問題としては、政府の金もなかなか借りられない。そうすると、やはりいくところは相互銀行、こういうところは自然に足が向いていく、こういうことになるわけです。  そうすると相互銀行は、御承知のように、二、三カ月掛ければ、金を貸してくれるということになるけれども、それにしても、やはりなかなか利子の点なんかで、そう簡単に設備ができるとも考えられない。ここに一つの悩みというものを持っておるわけなんです。  それから相互銀行は、私今一、三カ月といったが、とにかく二、三カ月の掛金をすれば、取引がなくても、そこに五十万なら五十万、じゃあ貸そうということになって、そうしてそのかわり、五十万のうちから十万なり、十五万なりを定期預金してくれ、こういうこともいわれるわけです。それで実際に手に入るのは、五十万のうち十五万定期預金にすると、三十五万しか入らない。で、半年なり、一年なり定期へ置いておかなければ、その金は取るわけにはいかないということになると、結果的には高い利子で借りなきゃならぬ、こういう結果になるのですね。  そこで、まあ私どもはそういうやはり設備を少しでもふやしてやっていこうという意欲のある、そういうものに対しては、国民金融公庫なり、中小企業金融公庫なりは、もう少し簡素化した貸付ができないものであろうかどうか、こう、まあ私として思うわけなんです。この点、いかがですか。
  37. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 小組合が結成されて、まとまった仕事をしようという組合に対する金融は、商工中金につながるのが一番いいのです。  この場合には、商工中金のメンバーといいますか、出資者にならなければなりません。これは出資は一口百円です、大きいところは、何日か入るわけですが、一口でも、出資をしておりますれば、何といいますか、期限——どのぐらい仕事をしていなければならぬという問題はない、しかも小結合に対しましては、借り入れ申し込みの書類手続等を簡素化するとか、期限それから担保、保証人等の条件を緩和するという扱いになっております。小組合ができまして、現に取引をしているという関係組合もあるわけなんです。その方は道が開けると思います。  また共同施設等を設けます際には、今回、法律共同施設の補助金を小組合にも補助できるということにいたしますれば、これも、運用上特に、そういうものには、特別の配慮を払うというようなことを頭におきまして考えておるような次第であります。
  38. 近藤信一

    ○近藤信一君 今共同施設を持てば、あるいは商工中金から云々というような話がありますけれども、その場合でも、私どもよく聞くわけですけれどもこれは国民金融公庫の場合でもそうですけれども中小企業金融公庫でも、まあ金の借り入れを申し入れる、そうすると、よくいわれることは信用保証協会で保証してくれれば、こちらでは貸す、こういうことが、よくいわれるわけですね。ところが信用保証協会で保証してという段になると、またなかなかむずかしくて、そう簡単に、だれでもおいそれと保証協会で保証してくれるという広いものでもないわけなんです。  ところがやはりこれは国民金融公庫にしても、また中小企業信用公庫にしても、そういう小さな中小企業の、特に零細企業資金運用の点で何とかめんどうをみてやろう、こういう意図のもとに、この中小企業三鷹というものはあるわけなんだから、必ずしも私は信用保証協会で保証をもらってこいというふうなことでなくてもいいのじゃないかと思うのですが、その点、いかがですか。
  39. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) これは、実は衆議院の委員会でも、いろいろ御質問がございまして、商工組合中央金庫は、組合金融をやって、組合を母体にして集まった出資と国の出資と合わせまして運営している機関であります。ところが、中小企業金融公庫、国民金融公庫は、全額政府まるがかえの機関であります。で、全額政府まるがかえの機関から金を借りようと思うのに、信用保証をつけてこいということは、まあ、ちょっと理屈に合わぬのじゃないかということが、確かにあるわけなんです。それから金のルートからみましても、両方とも丸がかえ、全額政府の金でありますのでそれは、理論的にも矛盾するんじゃないかという御指摘が、かねがねあるわけです。  ただ現実には、中小企業金融公庫、国民金融公庫につきましても、保証付のものに貸し出している実績がある程度ございます。このパーセントは、金額にいたしましても、件数にいたしましても、平均して一・五%から二・五%程度の非常に少ない数でございますが、こういうものがあるわけであります。ただこれは、一概に全部いかぬ、われわれは、指導といたしましては、なるべくそういう保証を求めるなということをやっておりますが、特殊な場合に、どうしても保証がなければ、結局は公庫から金が貸りられなくなるというケースがあるわけです。  たとえば災害のような場合、それから中小企業金融公庫、国民金融公庫の店舗並びに代理店は、相当網を張ったっもりでありますけれども、なかなか店舗の網が張れない。そういうところに起こった問題で、わざわざ審査のために来る方も手数がかかるし、行く方も、なかなか審査ができないということで、そうこうしているうちに貸りられなくなるというケースの場合等で、それがあることによって、そういう不合理な金の借り方をやらなくて済むというケースが、たしかにあるわけでありまして、なるべくこっちから保証をとってこいという要求をすることはするなと指導しておりますが、むしろ向こうが、店舗のないところ等は、保証協会の方で世話してつけて持ってくるというような場合もありましょうし、そういうことで、一概にこれを全部すぐやめてしまえというわけにも参らないかと、角をためて牛を殺すような結果になってはという配慮から、これを黙認しているわけであります。運用は、そういうことになっております。
  40. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただ実際問題としては、私は中小企業共同施設が持てるという経営は、まだいい方だと思う。ところが実際に、そういう共同施設が持ちたくても持てないのが、私は事業協同小組合の方じゃないかと思うのです。従って私はこの小組合というものが、今まであまり設立されないという一つの原因もあるのじゃないか。いわゆる小組合が、零細企業、まあおおむね五人以下の使用者ですからね、ほんとうにこれは、もう零細企業の一番下だと思うのですね、そういう困っておる人ばかりで審って小組合というものを作って、さあ共同施設を持とうじゃないかということになっても、なかなか私はうまくいかぬじゃないかと思う。そうすると、結局これはめんどくさいというふうなことになってしまう。そこでこれは放置していけば放置していくだけ、そういう小組合というふうなものはできにくい、まあ私はそういうふうな考えを持っている。そこで協同組合の力に、じゃあ入ればいいじゃないかということになると、またいろいろな面で、その五人のところと百人のところとのまたアンバランスが出てくる。こういうふうなことで、まあ零細企業の人たちは非常に悩んでおるんじゃないか。  そこで私は、やはり将来の問題としては、先ほども言いましたように、小組合指導育成ということをもっとやらなければならぬじゃないかと、こういうふうに思うのですがね、この点、まあ……。
  41. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) いろいろ、各種の組合それぞれの効果をねらって、その制度を作っておるわけでありますが、必ずしもその効果が上らない、組合の設立ができないということは、われわれのやり方が少し足りないじゃないかと思っております。この協同組合——小組合協同組合の一種ですから——それがあって、協同組合に関する助成制度によれなかったということは、根本的な間違いであった、極端に言えば、法律的な、ミスであった。  それを今度は直していただきまして共同施設を作ろうとするとき、意思さえあれば、それに助成をするという道を開いていただきますとすれば、これを機会に、趣旨の徹底をはかって組合の育成指導ということに努力をいたしたいと思います。
  42. 近藤信一

    ○近藤信一君 もう一点。やはりこれは、私どももそうでございますが、当局でもこれは、しばしばそういうことが言われて、ただ中小企業の育成をしなければならぬとか、零細企業の育成をしなければならぬと、こういうことは、文字の上ではいつも簡単に、こう書かれて、これは一番因っておるのだからということになるのですが、実際の方面になると、それではどういう方法でこれを育成するかということになると、具体的なあれが一つもない。具体的な方法といえば、一番因っておるのは金融の問題だ。金融の問題にいたしましても、やはり文字の上から考えますると、これはだれでも、すぐ簡単に借りれるような仕組みになっておるけれども、実際運用の面では、そう簡単に借りれない。やはり政府は国民の命だから、そうめちゃくちゃに貸すわけにもいかぬということになるかもしれない。  しかし、私はやはり中小企業を育成しなければならぬとか、零細企業をもっと育成しなければならぬと、こういうことがしばしばいわれる以上は、運用の面でも、ほんとうにこの人たちが育成されるように考えて、私はもっと政府は、施策考える必要があるんじゃないかと、こう思うのですが、そういう点一つ、ただいつもわれわれがもらった文章の上では、簡単に中小企業零細企業を育成しなければならぬとあるけれども、文革だけでなくして将来は、ほんとうにやはり運用の面で、これができるように御努力をしていただきたい、この点を一つ希望しておきます。
  43. 山本利壽

    委員長山本利壽君) この問題については、なお御質疑もあるようでございますが、議事の都合により、両案の質疑は、本日は、この程度にとどめたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  44. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を起こして下さい。  本日は、これをもって散会いたします。    午後一時十八分散会