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1960-02-11 第34回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十一日(木曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 利壽君    理事            川上 為治君            古池 信三君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            井川 伊平君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            高橋進太郎君            阿具根 登君            近藤 信一君            藤田  進君            吉田 法晴君            島   清君   国務大臣    通商産業大臣  池田 勇人君    国 務 大 臣 中曽根康弘君   政府委員    科学技術政務次    官       横山 フク君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁長官    官房会計課長  杠  文吉君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    科学技術庁振興    局長      鈴江 康平君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業政務次    官       内田 常雄君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃  止する法律案内閣提出) ○中小企業信用保険公庫法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○中小企業振興資金助成法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○日本原子力研究所法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○経済の自立と発展に関する調査  (昭和三十五年度科学技術庁予算  及び施策に関する件)   —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。
  3. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ただいま提案になりました三法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法は、戦災によって、旧九州地方鉱山局及び旧東北地方鉱山局にありました鉱業原簿鉱業に関する願書、発録申請書並びに鉱区図等が滅失し、鉱業に関する権利関係が不明確となっておりましたのを明確にするために、昭和二十五年五月二十六日に制定されたものでありますが、今般、滅失鉱業原簿等調製及び関連事務手続が完了いたしましたので、ここにこの法律を廃止する法律案提出いたします次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。  次に、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  御承知通り中小企業信用保険公庫は、現在百二十九億円の資本金をもって、信用保証協会業務上必要な資金貸付業務とその保証に対する保険中心とする保険業務とを行なっております。  同公庫貸付業務のため、現在その資本金のうち十億円を充当し、これをもって信用保証協会に対して保証業務に必要な資金貸付を行なっており、その保証規模の拡大、保証料引き下げ等、諸種の面におきまして顕著な効果をおさめつつあります。  しかしながら、最近におきましても、中小企業資金需要は依然として旺盛であり、これとともに保証需要も大幅な増加の傾向にありますので、信用保証協会保証原資をさらに大幅に増強して保証能力の拡充をはかる必要があると考えられるのであります。  このため、政府といたしましては、昭和三十五年度におきまして中小企業信用保険公庫に対し、産業投資特別会計から十八億円を出資し、これを同公庫から信用保証協会に貸し付けることとしております。  次に、本法案概要は、中小企業信用保険公庫に対する政府出資金を十八億円増額し、これを融資基金に充てるため、同公庫法資本金及び融資基金に関する規定を改正しようとするものであります。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申しあげる次第であります。  次に、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  零細企業対策は、中小企業対策の中でも特に重点を置いて参らねばならぬ施策一つであり、その施策一環として、さき事業協同小組合制度が設けられたのであります。同組合はその後漸次設立を見つつあり、共同施設設置も増大して参ると考えられますので、これに対し助成措置をとり、組合活動活発化をはかることが必要であると考えられます。  また、さきに判定されました公共用水域水質の保全に関する法律に基づく指定水域指定水質基準の設定は、昭和三十五年度中には行なわれる運びとなっておるのでありますが、かかる情勢に対応し、それ、自体が利益を生まない汚水処理施設に対する貸付金については、一般の場合より償還期間を延長し、優遇する必要があると考えられます。  このような見地から、今回、中小企業振興資金助成法の一部改正を行ないたいと存ずるものでありまして、その概要を御説明いたします。  改正点の第一は、右に述べました事業協同小組合施設を同法の適用対象とすることであり、第二点は、前述の汚水処理施設にかかる貸付金償還期間を、七年をこえない範囲内で、政令で定める期間とすることといたしたものであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  なお、今回の法律改正とは直接関係はありませんが、明年度予算案におきましては、この中小企業振興資金助成予算の額を相当増額いたしますとともに、従来、中小企業設備近代化のために、この資金をもってする国からの貸付金融資比率六分の一、都道府県からの融資比率六分の一、あわせて三分の一の融資比本を引き上げて、国及び都道府県から、それぞれ四分の一づつ、あわせて二分の一の融資比率をいたすよう計画しておるのでありまして、今回のこの法律改正とあわせまして、中小企業者のために、本制度の運用の効果を一そう発揮するよう所期しております。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 右三案に対する質疑は後日に譲りたいと思います。  ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記始めて。
  6. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対する提案理由説明を願います。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  本改正案は、日本原子力研究所理事定数を一名増加しようとするものであります。  日本原子力研究所は、わが国原子力研究のセンターとしての役割を果たすべく、昭和三十一年に設立された特殊法人でありますが、同研究所は、設立以来、わが国で初めての原子炉の、完成を初め、各種原子炉の設計、建設運転原子核物理放射化学燃料加工等各種の基礎及び応用の研究アイソトープ研修所原子炉研修所開設等研究者技術者養成訓練、その他研究所に課せられた各般の業務を行ない、原子力開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行なって、原子力研究開発利用の促進に寄与するという研究所設立の目的の実現に力を尽くして参りました。  今や研究所も発足以来三年半を経て、各種施設は急速に整備され、人員も大幅に増加し、さらに今後の飛躍的な発展が期待されるのでありまして、その拡大してゆく業務を円滑に運営するためには業務管理機能を一そう充実する必要があります。  このため、理事長、副理事長を補佐して業務を掌理する任務にある理事定数を、現在の五名からこの際六名に増加することが必要であると考えられるのであります。  以上、この法律案提案理由及び要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  8. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 本案に対する質疑は後半に譲りたいと思います。  速記ちょっとやめて。    〔速記中止
  9. 山本利壽

    委員長山本利壽君) では速記始めて。
  10. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に、前回説明を聴取いたしました昭和三十工年度予算及び施策に関する件を議題といたします。  ただいま御出席政府委員は、科学技術庁中曽根長官を初め、横山政務次官原田官房長久田計画局長、そうして佐々木原子力局長札会計課長、そうして通商産業省政務次官内田政務次官、そうして齋藤官房長松尾通商局長等でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 きのう伺いました科学技術庁の基本的な施策ですね、この内容について一、二お伺いいたしたいと思います。  第一には、一番おしまいの方に書かれておりますところの原子力関係のうち、原子力災害補償制度を確立するということが書かれておりますが、これの構想と、そして法的措置をするとするならば、いつ国会提出される予定になっておるか、そういう点についてお伺いいたします。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力委員会災害補償専門部会を設けまして、法案を作成する準備をいろいろ検討願いまして、東大の我妻教授委員長になりまして、一年近く外国の例等研究していただきまして、案を練っていただきまして、十二月に大体その大綱答申がありました。  そこで、原子力委員会といたしまして、それを取り上げまして、大局的見地からいろいろ再検討いたしまして、最近法律案要綱というところまで作成いたしまして、目下政府部内の各部局と協議しております。今議会にできるだけ提案するつもりでありまして、多分提案できるだろうと思っております。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 その内容は、まだここでお話しを願う段階にはいっておりませんか、構想につきましては。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体の大綱問題点を申し上げますと、大綱は、五十億円までは民間保険プールでめんどうを見てもらう、五十億円以上こした場合には国家がある程度補償してやろう。まあ大まかな大綱はそういう構想であります。問題点は、その国家補償するという場合に、これを補助金という形でやるか、あるいは補償という措置でやるか。それから、アメリカ方式でやるように、五億ドルまでは国家がやる、そういうふうに金額を明定しておくか、あるいはイギリス方式のように、事故が起きたときに議会がきめるというような、議会に権限をゆだねた形でやる。こういう点が問題点でございます。その点は、わが国の国情に照らして、どちらがいいか、今検討中でございます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題は、法体系の上からいいましても、非常に重要な内容を持って、いると思います。それから、直接この種の災害が、原子力災害のほかに、同程度、同種類のものが他にあるわけですから、国が無地失賠償責任に応ずるということになれば、影響するところがなかなか重大だと私は思いますので、法案要綱ができましたならば、それだけでも緊急にこの委員会に出していただきまして、われわれに勉強をする余地を残していただきたい、こう思いますが、そういうことができますか。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 法案内容は、まだ未定なところがございますから、提出時期に至っておりませんが、安全保障審査部会答申はお手元に差し上げることができると思います。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 その答申を拝見してから、またお尋ねをしたいと思います。  それから、同じ原子力で、ここに、わが国長期原子力基本計画というものの再検討を行ないたいということでありますが、この長期原子力基本計画中心を占めるのは、やはりエネルギー問題としての原子力発電のことが中心だろうと思いますが、これの計画というのは、いつごろ再検討を終わることになりますか。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 多分一年ぐらいかかると思います。政府の内部におきましても、企画庁中心にしまして、十年後を目標とする所得倍増経済計画があるわけでありますが、その一つの大黒柱に技術革新ということが入らなければならぬと思っておるわけであります。従いまして、政府関係経済計画と符合する計画としても、大体平行して進む予定であります。  もう一つは、科学技術会議総理大臣から諮問がございまして、これも十年後を目標とする科学技術政策大綱について諮問がありまして、答申しなければなりません。この線とも一致させる必要がありますので、大体一年くらいの見当で、なるたけ早期に作る予定であります。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 全般的な計画としてはそういうことになろうかと思いますが、特にしぼってエネルギー問題として考えた場合には、他のエネルギーとの関係がありますので、もう少しエネルギー問題だけについては急がれる必要があるんじゃないかと思います。それで、一般の十年を見通した経済計画というのは、われわれの承知しておるのでは、今年の五月、早ければ四月ごろまでに一応の結論を出したいということをしばしば政府で言明しておるわけであります。その中に原子力エネルギー利用関係が当然入っていないというと計画にならないのではないかと私は想像するわけです。あるいは原子力の問題が入ってくるのは、今ある十年を口当てにした計画よりさらに将来のことになれば、それは問題ないわけですが、その辺はどういうことになりますか。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 経済計画の方は、大体八月ごろまでには出せるように企画庁中心に努力しておりまして、われわれもその線に沿うように基本線検討いたしたいと思います。大まかなアウト・ラインは、大体何百万キロとか何十万キロとか、そういう線は出ると思いますが、原子力長期計画となりますと、やはりかなり明細なしっかりしたものにいたしたいと思いますので、そういうものが全部できるには、一年くらいかかるだろうと思います。特に燃料問題が非常に重要でありまして、動力源としての原子力ということと同時に、動力源を生むべきウラニウムや、あるいはそのほかの燃料というものは、今後日本にできる炉の形によって循環過程というものが変わってくるわけであります。それから将来国産でどの程度自給できるかという検討も、もう少し時間をかけないとはっきりしない要素もあります。そういう面から、一年くらいのうちに正確なものを作り上げたいと考えておるわけであります。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは、いよいよコールダーホール実用動力炉輸入も許可になりまして、発注、その他具体的な作業が進行中と私は聞いております。このあとに続いて第二号炉輸入する、しないということ、しかも、それについていろいろ学術会議等においても再反省の問題等が出ておりますが、この点は長官よく御承知だと思いますが、二号灯輸入というものは、一号炉に引き続いてすぐ実施に移されるのか、あるいは若干の期間、どの程度か知りませんが、ありますのか、その点の見通しはどういうことになっておりますか。
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 二号炉輸入については、まだ全く未定であります。一号炉建設状況等をにらみ合わせる必要がございますし、それから濃縮ウランの系統では、原子力研究所動力試験炉を入れるごとになっておりますが、そういうものがどういうふうに稼働していくか、それから国際的な情勢がどういうふうに進むか、そういうことを慎重に研究した上できめたいと考えております。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 長官は特に原子力問題について非常な熱情を持って当たられておるので、ある意味では原子力問題を今日まで発展させてきた非常な貢献者であるといわれておりますが、そういう立場からして、原子力発電の問題についてはいろいろと将来の研究、各方面の意見、そういうものを集約されて断を下すというよりは、長官みずからの考え方、そういうものが相当私は推進力になっているのではないか、こう今の情勢では考えられるので、それでお尋ねしておるわけです。一つは、今全く白紙考えていないということよりは、もう少し二号炉以下の輸入の問題については、一つの基本的な方針というものが私はあっていいのではないか、ただ今日の段階では全然白紙で、考えていないということでなく、長官としては、一号炉はもう設置をすることにきまった、二号炉以下についてはどういう考えでおよそいくのである、そういうことが述べられてしかるべきではないかと私は思いますが、いかがでございますか。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 入れないという意味ではございませんで、まだ未定という意味でございまして、これは長期計画一環として作らなければなりませんので、長期計画進行度合いに応じて、大体の輪郭を申し上げることができると思いますが、今のところは全くまだ未定でございます。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは私の考えを一、二申し述べますが、それについてどうお考えになるか伺いたいと思います。  おそらく動力源としての発電所を具体的に日本経済が求めなければならぬという時期は、慎重に考えれば十年先だろうと私は思います。十年前にはそういうことはあり得ない。今度のコールダーホール輸入も、原子力研究所ができて、原子力に対するあらゆる技術的な研究を進めていく、燃料公社ができて、燃料の方の研究も進めていく、実際に十万キロをこえる実用発電所を置いて、原子力発電というものの勉強もしてみる、そういう程度に私は理解していいのではないか。ところが日本のほんとうにエネルギーがほしいという観点から、原子力に依存していく、そうして相次いで二号、三号、四号という工合に、原子力発電所日本に設けるということになりますというと、今一番問題は、どういうタイプが一番いいのかということがなかなか結論が出てないというところに問題がある。それはヨーロッパにおきましても、アメリカにおいても同じことでありまして、経済性考えながら、また災害等のことを考えながら、一体どのタイプが一番いいのかということが結論が出ていないから、そういう悩みを世界各国が持っているわけです。従って、日本のような経済的にまだ劣っている国でございますから、今ここでやるべきことは、実用炉を相次いで何個か設けていくということでなくて、原子力研究所がある、燃料公社もある、そうしてコールダーホール実用炉も一カ所できたわけでありますから、これらを巧みに活用して、原子力関係科学工学、そういうものを発展させ、そうして将来十五年なり二十年先に、実際に日本エネルギーが足りなくなる。また石油、重油の関係もわかりませんが、そういうようなものを勘案して、原子力に依存しなければならないというときに、右から左へすぐに実用活動ができるようにする、こういうことにしておくことが私は一番必要ではないかと思う。ですから、二号、三号というものをそんなに急いで作る必要は、国家経済からいってもない。私はそういう観点をとっているわけですが、ですから、そういう大きな考え方というものは、長官がやはりこういう席に述べられることがかえって私はいいのではないか、こう考えるわけです。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体において私も栗山委員のお考えに賛成いたしたいと思いますが、御説のように天然ウランの炉については、コールダーホールがこれで入る。それから濃紺ウランについては動力試験灯が原研に入る。これで濃縮ウラン天然ウラン両方勉強ができるわけでありますから、これで相当な研究及び技術者訓練ができるだろうと思います。あと増殖炉であるとか、あるいはことによったら核融合というようなところまで、次の時代の芽を研究していく。しばらくの間はその程度にしておいて、そうしてこのコールダーホール建設度合い及び濃縮ウラン動力試験炉運転状況、及び世界燃料の事情や、あるいはコストがどの程度に下がるかということをよく見きわめまして、次の段階に入るべきものだろうと思います。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 こういう種類のものは、ともすれば一つの進展し始めますというと、産業界等においても、他の因で非常に促進されてくると思うのです。現に、今までもそうであった。ですからきのうきょうの話題になっておりますように、原子力問題は少しあまりにも複数化して、混雑しておるので、一応整理をしなければならぬということがいわれているということが書かれておりますが、全く私は同感であります。そういう意味において、やはり国の大きな政策から指導していくものだと私は思いますので、ただいまのような考え方というものをやはり明らかにせられて、そうして原子力行政というものがあまり入り乱れて混淆しないように、注意を願いたいと私は思うのであります。これは希望を申し上げておきます。それから、原子力の問題は、いずれ今国会におきましてもいろいろお尋ねする機会があろうと思いますから、それだけにいたしておきます。  それから次に、これで私よく意味がのみ込めないのは、台風科学技術関連をして、臨時台風科学対策委員会調査審議状況を報告するというようなことがここに書いてありますが、この台風科学技術というのは、どういう意味でございますか。この意味が私よくわからないのですが……。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは昨年の伊勢湾台風の経験にかんがみまして、台風防災のための科学技術というものをもう少し整備しなければいけない。こういうわけで、たとえば台風が発生して日本に襲来しますまでの観測技術であるとか、あるいはさらに今度は土手を築いておいたのがくずれる、そういう土木建築工学関係技術に欠陥がないか、そういうようなかなり広範囲にわたった、台風に関する防災科学技術中心にして整備しようという考えでできた委員会でございます。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、この台風科学技術というのは、台風そのものの性格その他を理論的にあるいは実用的に研究すると同時に、台風防災についても研究をしようと、そういう二つの内容を持っているわけですね。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) さようでございます。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は昨年の臨時国会においても水害対策特別委員会で二、三発言もいたしましたし、また政府の方の御答弁等も承っておりますが、そこで一番印象に残っているのは、台風というのはこれは気象学的にちゃんと定義があるわけでございますから、従って台風日本へ訪れれば程度の差はありますが、とにかく相当の災害を与えてきたわけです。今後も与えると見なければなりません。そうしてしかもその台風そのもの研究して、中曽根長官が言われるように原子爆弾か何かしりませんが、そういうようなものを利用して台風というものをなくしてしまうようなことを将来考えたいということをちょっとおっしゃったのでありますが、そういうことをやれば別でありますが、岸総理答弁によると台風もまた日本の国土には必要なものだ、ただ農耕その他灌漑用水関係からいっても台風そのものを否定してしまうわけにはいかない、台風は必要なものだ、ただ必要なものであるが来るというといたずらをされるので、そのいたずらによる被害をなくするような工合考えたい、こういう答弁総理はなさっておりました。従ってただいまの気象庁仕事というものは、これは運輸省に所属をしておるわけでありますが、今までの気象庁仕事というものにやはり相当なここで方向の転換をするというか、気象庁仕事をさらに発展させるというか、拡張させるというか、そういうことが必要になってくるのではないかと私は考えるのでありますが、この点については具体的にお考えをお持ちでございましょうか。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お説の通りでございまして、気象庁研究の部門と業務の部門と両方を発展させ、拡充する必要はあると思いまして、今後の予算でもその方面は若干予算をとることができました。研究の方面を申しますと気象庁の中の台風研究部というものを今後作りまして、台風の生態の研究というのはほとんどタッチしてない状態であったものですから、これはアメリカのハリケーンとかあるいは豪州の人工降雨、こういうようなものの実験等とも関連しまして、研究を進めて参りたいというわけであります。台風を途中で邀撃するというような考え方も必ずしも夢ではないのでございまして、現にアメリカでやっておりますものは、台風あるいは雨の雲の上空に溶化銀、ドライアイスでもけっこうでございますが、まきますとそれが雨になって下へ落下してくる、そうすると台風エネルギーの構造が変換してくるわけです。その台風のような場合には幾つかのアームがあるわけでございますが、巻雲の一つの部分にそれを適用するとその部分が雨になって下に落ちる、そうするとエネルギーの構造が全部変わるわけですから進路が変わってくる、その研究アメリカで相当やっておるわけです。現にマイアミ海岸でやりましたときには、これは荒川博士から話を聞いたことですが、マイアミ海岸を通り抜けて海上に遁走してしまった台風が、またマイアミに戻ってきてしまったという実験があったのです。しかしそれをやったから戻って来たのか……、(笑声)困った話なんです。そこでドライアイスをやったから戻って来たのか、あるいは自然に戻ってきたのか、その判定はなかなかむずかしいのですが、たぶんこれをやったためにエネルギーの構造が変わって進路が変わったのだというような話です。そこでアームの構造、エネルギーの構造をもう少し科学的に研究すれば一つのめどが出るかもしれない。そういうようなことで必ずしも不可能と断定するところまでいっておらない。ですからそういう点も日本として勉強する必要があります。そういうことで台風研究を続けていくことになったのであります。  それから業務の方面ではもう一つ大事なことは、台風が北上してやってくる際に南大東島の辺から今度は東に転ずる、なぜ東に転ずるかというと、学者の話によりますと、西の高いところから偏西風が吹いてきてこれにちょうどぶつかる。つまり大陸の冷たい風に南の台風がぶつかる。そこで東へ流される、あれが転回点だということです。その辺の高層気象の研究をもっとする必要がある、そうすると台風の予知はもっと早くできる。その点の研究もまた非常に重要でありまして、今度南大東昂に沖縄と連絡しまして、設備は日本が相当作っておる。そうして沖縄のそういう人たちに観測その他をやってもらって、そのデータを日本へ送るとか、こういう協力関係も実はできた。そういう研究の過程。  それから業務の方面では高潮は必ず参りますが、その高潮を計算してできたら数値予報をやる、五時間前あるいは七時時間あるいは三時間前というふうに、何メートルくらいの高潮がくるかという数値予報を電子計算機等を使ってやる、この方面の機械及び人間の増加ということを実はやりまして、そういうことで検潮儀、検潮所をふやすとか、あるいは防災気象官をふやして民衆あるいは地方団体との連絡を密にするとか、そういう様々な業務がございまして、全般的な面にわたって政策を推進して参る予定なのであります。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからおしまいの方からお尋ねして恐縮ですが、今度の御説明で第四に科学技術研究について特別指定研究を推進するということが書かれておりますが、特別指定研究研究項目というのは、どういう工合にして選ばれ、決定されておるのですか。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは昨年杉野目北大学長を団長にいたしまして、学者及び民間技術者、財界人等を網羅した調査団を外国にも派遣いたしまして、外国の情勢調査してもらいました。その結果、各国とも今やこういう新しい時代になって学問の情勢も変貌してきておる。新しく誕生してくる学問もあるし、あるいは衰退していく学問もあるわけです。それから学問の中間領域部門が非常に重要になってきた、そういう実体を把握していただきまして、各国とも特別指定研究という形で重要研究を推進しておる、そういう実例をも勉強いたしまして、それから日本においても特に何が大事かということもまた考えまして、科学技術会議で大体六つの項目にしぼったわけでございます。
  35. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連して。先ほど来、災害防除に関する科学技術研究ということで、原子力の需要等もずいぶん雄大な構想を、雄大なというか将来にわたって構想を述べられました。今お話の中に出ておりました検潮所やなんかも伊勢湾台風のときの実情を見ると、検潮所はあるけれども無線連絡ができないのです。無線連絡どころではない、電話線さえなかったというのが実情のようです。  それからレーダー施設にしても今、大東局の話も出ましたが、今までは背振から鹿児島の南方のところに作る、というようになったのが今までの実情であったと思うんです。台風の進路それ自身を把握するのにまだ十分でなかった。あるいは今の中曽根構想から言いますと、大きな台風がくる、これに対して対処しようという点を御研究なさろうと、こういうわけですが、今までのあれからいうと、その進行状況その他を把握するについてきわめて不十分な体制である。あるいは検潮所等があってもそれが十分連絡方法がない。こういういわば中曽根構想に、至る前の段階は、実情が手工業時代という実情です。それを埋めるのは、これはあるいは別なことかもしれませんけれども、まずそこをやることが大事なんです、現状では、でないかとまあ思うんですが、それを埋めるについてはどういう三十五年度予算その他について……。大東島の話がちょっと出ましたが……。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれが力を入れましたのは研究業務とありますが、実際は予算の面から言えば業務の方がはるかに大きいのであります。業務内容は昨年の補正予算と相関連いたしまして、昨年の補正予算では室戸に相当大きなレーダーをつけることにいたしました。これは三百キロないし四百キロくらい通用するものにしようということに努力しております。それから今度名古屋に今度の予算で強力なレーダーをつけることにたしかなったと思っております。それからただいま申し上げたように南大東島の高層気象の観測所を作るということ、それからあと防災気象官の増員をはかりまして、大体主要な管区気象台あるいは測候所に充員をいたしまして、計算に専念できる人をふやしていく、今までは打算しながらも地方庁へ、あるいはラジオに電話をして通知するというようなことで、非常に人手が不足でありました。そういう面を今度は連絡する人は連絡するという独得の職分を設けて民衆に対するわかりやすい啓蒙をやれるようにいたしました。こういうように業務の方に割合実は力を入れていたしたつもりであります。
  37. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 レーダーをふやそうということですけれども、実際に今まであるレーダーを見てみると、ちっぽけなレーダーはレーダーだけれどもとにかく初歩のレーダーでね、今の世界的な水準から言うとプリミチブというと失礼だけれども、手工業に近い、実際今までありますのはね。それから今お話はありませんが、計算をやったり連絡をやったりしている所に、電話はあるがおそらく無線は併用されてないと思います。あるいは電気計算機なども早く入れたいということ、相当これはやはり昨年の伊勢湾台風から予算をふやしてもらったけれども、もっともっとふやさなければならぬ実情だと思うんですよ、実際は。そこでその点の御計画もですが、充実をしていただき、あるいはこれこそ近代的な最高の技術と、それから最大の人員がふえるように一つ御努力をいただくとともに、あわせてその正確に台風の進路その他が予知できるように、そうしてその上に立って対策を講ずると、こういうことにお願いをいたしたいと思います。
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お説の通りでありまして、通信の方が非常に弱かったのであります。そこで今度の予算では特に通信の方をわれわれも注意いたしまして、あれは無線の自動通信といいますか、そういう設備を今度のレーダーを設置する場所等には改善してつけることにいたしました。ですから一々電話でやらなくてもいいようになる予定であります。それからロボット検潮儀を相当置きまして、これは自動的に潮の高さが刻々入ってくるという体制を作りました。しかし日本全体の測候所や管区気象台の設備から見ますと、まだまだこれでは不十分でありまして、今後とも努力をいたしたいと思います。
  39. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それから直接の所管ではございませんけれども、観測されたりあるいは調査された結果がそれぞれに知らされる。何といいますか、今度あなたの方の方向を転換したり、あるいはコントロールしたりする研究を進めながら、台風の実情、方向等を知らせる手だてについては、これもきわめて不十分——おそらく大部分の船のごときはラジオ一つ持たぬという実情であったわけです。これは水産庁なりあるいは運輸省なりでしょうけれども、これらの点についても体制を整えていく一方に、その成果がやはり知らされる手段についても、勧告をいただくように、これはお願いをいたしておきたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年伊勢湾台風の経験にかんがみまして、すぐ臨時台風科学対策委員会というのを作りまして、ぜひことしの予算に間に合わせるようにと思いまして、とりあえずことしの六月、七月の台風期までに措置しなければならぬ、急を要する仕事について中間報告をしたわけです。これは昨年の十二月の十八日ごろでしたか、二十日前後にいたしました。そうしてそれを中心に大蔵省とも折衝しまして、とにかく今度の台風期までにやらなくちゃならぬ金の手配をいたしました。しかしこれはまだ臨時緊急性のあるものでありまして、長期的な恒久性のあるものはある程度年次計画でじっくりやっていかなければいかぬ、こういうことで最後の本格的報告はこの三月末に出すことになっております。この三月末の報告につきましては、日本の行政官庁及び大学研究所の権威者を全部網羅いたしまして、各方面にわたって今勧告を作っております。大体三つの部門に分けられまして、一つ台風の観測業務の方を中心に何を整備するかということ、あるいは研究体制はどこを強化するかということ。それから第二番目は工業立地といいますか、土地との関係において考えなくてはいかぬ、たとえば地盤沈下の問題がございますし、それから開拓の問題がございます。そういう点で工業立地という国土計画観点から一つそれをとらえていく。第三点は人命救護ということを中心にいたしまして、これも国家の体制を整えなければいかぬ。大体この三つの部門に分けて総合的な報告を三月末までに出してもらうことになっております。その内容をわれわれは取り上げて参りたいと思っております。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど科学技術会議で六項目を定めたとおっしゃったのは、ここに書いてある部門ですか。
  42. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そうです。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではこの特別推定研究を定められたその科学技術会議の選定の基準というものはあるのですか。どういう基準に当てはまるものを項目部門として取り上げるか、そういう基準というものはありますか。
  44. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ございます。基準といたしまして、一つはまだ日本が着手していない研究であって、しかも将来非常に重要性をもってくるもの、たとえば宇宙科学技術なんかはそれに入りますが、ほうっておくと国際的発言権を失うというおそれのあるもので、これは芽を出しておかなければならぬ。そういうように未着手のもの、それから第二番目は、現在やっているけれども非常にまだ劣勢で強化を要するもの、たとえば基礎電子工学とか、ガンなどもそうでございますが、やることはやっているけれども、もう少し力を入れてやらなくちゃならぬ、そういうようなもの、それから第三番目は、その他年度の途中で出てくる仕事等で、急にこれは、どうしても応援して拡充しなくちゃならぬ、そういうようなもの、それがしかも、多数部門にわたっておって、その根元を培養すれば、ほかの部門も出てくる、そういうような大体三つぐらいの見当で基準を作っているわけでございます。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 未着手の研究という部門の中へ、あるいは入るかもしれませんが、私はやはりこの基準のとり方というものに、もう一歩前進した考え方を入れておくべきではないかと思います。  これはあとで、研究機構のところで申し上げたいのでございますが、それは日本科学技術というものは、欧米先進国のイミテーションの傾向を持っている技術である、こういうことを、しばしば言われるわけであります。ですから、諸外国で、相当高度なむずかしい技術開発せられた場合に、それを一たび習うというと、直ちに日本は自分のものにしてしまう。しかし、いつも世界がびっくりするような、日本世界に誇り得るような独創的なものというものは、なかなか出てこない。ここが日本の、やはり科学技術の盲点である、こういうことがよく言われる。日本の頭脳は、決して欧米に劣らないのだが、どこか欠けているところがあるのじゃないか、こういうことがよく言われるのでありますが、従って科学技術の行政指導をするとすれば、その盲点になっているところを開くということが、一つ中心でなければいかぬ。  そうすると、そういうことが、今のこの基準には入っていないのでありまして、世界技術の一歩先を行く、そういうその研究を、若干国費がかかりましょうともやっていこう、こういうやはり一つの意思表示のもとに指定研究というものが取り上げられることが、私はぜひ必要ではないかと考えるのでございますが、この点は、いかがでございましょうか。
  46. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、昨年科学技術会議で、総理大臣答申しました、昭和三十五年度における科学技術振興の重点方策というのがございまして、その第一に実は取り上げてあるのでございます。それは基礎科学技術の振興という表現で、この答申が四つの項目からなっておりまして、一つは基礎的科学技術の振興、それから第二番目は科学技術者の養成と処遇改善、第三番目は民間における科学技術活動の育成、第四番目が今の特別指定研究の推進、こうなっておりまして、この第一番目に取り上げた基礎的科学技術の振興というのは、国産技術の培養という点に非常に重点が置かれております。そこで、大学の研究費の問題とか、大学教授の講座の問題であるとか、そういうあらゆる基礎的部面について、相当てこ入れをするということを強調いたしまして、今度、若干予算を配賦したわけでございます。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 たとえばですね、ここに、基礎電子工学というものが、最近の流行の学問なり工学に取り上げられておりますね。しかし今世界的に非常に驚異的な注目の的になっているものは、高分子工学ですね。これは全然入っていないのですね。先日の新聞にも、でかでかと発表されて話題をまいておりますように、合成樹脂のあるものは、とうとうスチールに対抗するようなものを考え出した。目方においてはアルミニュームの三分の一だ、これは将来、自動車の部品とかなんとかに置換されるであろう、何か外国でもできているが、日本でも大学の教室において、実験的にはもう製造可能の段階に入っているということが報道されて、われわれも喜んでいるわけですが、そういう高分子工学というものが取り上げられていないのですね、あまりにも流行を追うに急にして、そういう点が落ちていやしないかということを考える。  それから流行を追うなら追うで、まだ世界的に未完成で、いずれは完成されるであろう——私も国会で、二、三質問したのでありますが、光合成の化学が一つも入っていない。光合成の化学を、どうしても入れなければならないのですね、それが入っていない。  ですから、どうも特別指定研究の基準を承わり、そして六部門を承わりましたけれども、私は、世界的なレベルを一歩前進しながら日本技術を栄えさせていくという、そういう構想には、ぴったりしない気がする、今の御説明を承わっていると……。
  48. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高分子工学というものが、近来非常に重要であるということも同感でございますが、大体、これは原子力政策、つまり放射線関係の応用の部面でありまして、その点は、原子力という面でかなり力を入れて、ある程度進んでいるのであります。まあ未着手という程度から見ると、岡村教授の、今お話がありましたように、強い合成樹脂ができたようなもので、かなり進んでおります。今度は名古屋の工業試験所をその中心センターにしようというので、相当な金もかけまして、また民間の研究室もそこに併置できるように、開放研究所のようにいたしまして、実際は力を入れておるのであります。これは大体、ある程度軌道に乗って進行しておるものでありますし、原子力の面からも、特に力を入れておるものでありますから、特に特別指定研究の中へ入れるほどのものでもないであろうということで入れなかったのであります。  光合成の問題も、確かにこれからの大きな問題でございますが、日本ではクロレラなんかも、世界に対する非常に大きな研究としてやっております。しかしこれを、特に大きな項目としてやるというところまでやる必要があるかどうか、われわれは疑問に思います。これは一応、はずしておきました。しかし研究情勢や、世界の趨勢によっては追加することも可能でございますから、検討して参りたいと思います。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、ソ連の科学者が、科学アカデミーで発表したものを日本科学雑誌で読んだことがありますが、もうすでに、生命の創造までも——これは細胞でありますけれども——考えられて、ある程度成功の見通しがついているとまで報道されているわけです。ですからそういう意味では、それよりもさらに低位に属しておる、要するに、クロレラではありませんが、食糧の合成というようなものが、やはり世界の関心であり、科学者の理想として、研究が私は随所で進められていると思うのです。  そういうものはやはり国が一つの試験テーマを出して、そして指導していかないというと、なかなか実業界では、そういうものは取り上げません。ものになるかならないかわからない問題であります、費用もかかるので、そういうものを、やはりぜひ取り上げてもらいたい、こういう工合考えます。
  50. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 光合成の中で、クロレラは、実は、特に重要だと思いまして、ちょっとこれはかけ離れているように感ずるかもしれませんが、宇宙科学技術の中に、宇宙旅行というものがあるわけです。非常に遠大な計画でございますが、それが行なわれるときに、日本が貢献するのは実はクロレラなのです。これは水とクロレラだけ持っていけば、それで循環してできていく、人間の排泄物も、分解してクロレラに全部回っていく、こういうことを、クロレラ研究所の中村博士も研究しておりまして、これは、世界が非常に注目しております。  そういうことで宇宙科学技術一つの部面の中で、クロレラというものを実はとり上げておりまして、そういう問題を推進していきたいと思っております。
  51. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこで、今のお考えをずっと整理しますというと、結局、国がただいま動かしております研究施設というものは、一体どうするかという基本的な問題に触れてくるわけであります。ところが長官のお話し、基本的な施策には、いろいろたくさん書かれておりますが、そういう根本に触れる点は遺憾ながら拝見できません。  ただいま、もっと具体的に申しますならば、今各省には、それぞれ分散して、各種各様の研究機関というものがあります。それで研究員が配属されておる。相当な予算をやはり毎年受けておるわけであります。  しかし今まで明治以来から、だんだんだんだんと拡充し、発展してきた国の各種各様の研究施設というものは、惰性でこのままいっていいのか、あるいはこの際、根本的にある程度編成変えをするか、整備統合強化をすべき段階にきてやしないか、こういう点が、やはり一つの行政の方向としては明示されてしかるべきだ。宇宙科学までも口にされるようになった時代でありますからして、従って、惰性で今までの研究を進める、そういうことでは、何か食い足りない点が残ると思うのです。  この点は、どうしてそこまで、なかなか画期的な構想を発表せられる中曽根長官が触れられなかったか、私は非常に疑問に思うわけであります。
  52. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全く、実はお説の通りでありまして、国立研究機関、大学も含めまして、これを、いかに活発に運営して、効果あらしむるかということは大問題なのであります。  最も具体的な問題を申し上げましても、たとえば人材の面でありますと、今までは国立の研究機関には、昔の旧帝大の卒業生なんかが、かなりおったのであります。しかし最近は、給与の関係で、ほとんど民間会社にいってしまいまして、大学には自由があるから、給料が少くても残る。社会的地位もある。民間会社は、給与が高い。しかし国立研究機関は、自由もないし、給与も低い。それから設備も、そんなに近頃はしてくれない。こういうわけで優秀な科学者、技術者の卵は、ほとんどこない状況でございまして、旧帝大卒業生というようなものは、ほとんどない現状になってきました。これは大事な国立研究機関に、断層ができてくるということで、実は、これを一番憂えていたわけであります。  そこで、何とかこれらの研究公務員の給与を上げて、いい人材を吸収しようと思って、多少努力はいたしましたが、今回は一般公務員が四%ベース・アップ、研究公務員は七%ベース・アップということでぜひ勘弁してくれという大蔵省の考えもありまして、われわれはそれでも、ずいぶん突き破って、研究公務員の研究手当というものを作りたいと思ってやれましたが、実は、そういう意味の人事院勧告がないために、官庁制度としては、なかなかやりにくいというようなことであったわけです。そこで、しからば人事院勧告を、ことしできたら出してもらいまして、そしてその線に沿って、至急措置をしたい、こういうところで、実は涙をのんだ状況なのであります。大学教授の待遇改善、俸給の引き上げ問題も、やはり同様な状況にありまして、この二つは、できたら年度進行中に努力していきたいと思っております。  それから設備につきましても、実は、明治以来の惰性できておるものがありまして、試験所的なもの、あるいは検定所的なものもございますし、それからほんとうの研究所的なものもあります。それが非常に混淆しておる。で、むだなものもありますし、惰性でやっておるものもありますから、必要ないものは切って、それを新しい方に継いで、編成変えをやる必要が絶対あると思うのであります。そこで科学技術庁ができましたときに、二年くらい前でありますが、審議官を一人専門に充てて、国公立の研究所を全部視察させまして、この研究所の体制を、どう改革するかという検討をやらせました。それが一年くらい前にできまして、それに対する大体の考え方もできたのでございますが、何しろ官庁のセクショナリズムというものがありまして、科学技術庁、いまだ微力でありますので、実は、とてもそこまで手をつける力がない、正直に申し上げまして力がない。これはいい内閣でもできて、強い政治力が生まれたときに、各省大臣を完全に抑えてやらぬと、だめだと思いますので、その辺は、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  53. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういう工合に、簡単に逃げられてしまったんでは味もそっけもないわけですが、問題は、岸内閣がやろうと、あるいはその次の内閣がやろうと、それは別問題として、ものの考え方を私は整理しているわけです。  それで、原則的に私が今述ベました意見というものに御賛成のようでありますが、そこで僕が考えることは、今、国が持っておる各種各様の研究機関——大学を含めて——研究機関の中で、ちょっと大臣の言葉の中にもありましたが、行政と不可分な関係にあるもの、日常の行政と不可分の関係にあるものは、各省に残してよろしいと思います。しかしそうでないものは、やはりこれは整理統合をして、そうして強い国の科学技術の指導力のもとに置くべきだ。こういうことで、何としてもこれはやらなければならぬ、しかもその置き方としては、今までの研究機関が、看板は研究所なり研究室になっておるが、そこの中では、みそもくそも一緒になって、いろいろなことをやっておるわけです、そういうものが、きれいに分離してしまって、きわめて高度で理論的で、しかも独創的な、そういう研究をやる機関、それから実用的で、今までの産業、経済等に直接貢献し得るような研究をやるところ、そういうものと、二種類ぐらいに研究機関の性格を分けて、そうしてそれぞれに惜しみなく費用を投入してゆく、こういうことでなければ、とても今の日本技術を海外から一歩前進させるなんということは不可能じゃないかと私は考える。  その点は、これも大へん粗末な具体的な例でありますが、たとえば実用的で、行政的な部門で、私が身近に感じておる一つのことは、たとえば通商産業省にある電気試験所の研究項目でありますが、全国の各家庭についておる電気計量器、要するにワット・メーター——わずか一カ月の間に四百円か五百円の取引をする電気の計器に、あれだけ精密で、しかも値段の高い計器というものが必要なのかどうか、今日の電気機械技術をもってすれば、その程度の計量をするのには、もっと簡便な安い計器というものが製造可能ではないか、そういうことを、私どもしばしば言うんでありますが、頑としてこれを受け入れようとしない、そうしてますます電気計量器の性能なり精度というものは、こまかくなり、ますます値段が高くなる。これなんか、国民経済に相当な影響を及ぼすものであり、もっと根本的に考えなければいかぬ、牛刀で鶏をさくというたぐいのものですね、そういうものは改める、そういうことが一つ。  もう一つは、たとえば建築に例をとりますというと、これだけ建築工学が発達してきておるのに、最近の建築を見るというと、それはアメリカのように五十階も六十階も作るのなら別ですが、わずか十階どまりの建物に、まず一日にいうならば、鉄の箱をこしらえて、それにセメントで壁を塗りつけたというような格好の、ああいう強度上、われわれしろうとから見ても、あまりがんじょう過ぎはしないかという建築というものが、果して必要なのかどうか、なるほど日本は地震国でありますが、東京駅はれんが積みでも、関東大震災では割れなかった、そういう意味では、今の建築の強度基準というものは、再検討を加える必要はないか、これが国民経済生活に非常な圧迫を加えております。そういうことを研究しようと思えば、担当の建設省に行ってごらんなさい、担当の技術者は、こぞってそういう意見には反対です。  これはやはり、一つの国の行政指導力で研究をして、そうして強度は、強いに増したことはありませんよ、私は、いつも国会図書館を見て笑うんですけれども、あれは、まさに鉄の箱を作って、そこにセメントを張りつけておるものだと、極端なことを言うと。ああいうところに、国費のむだな投入がある。いかに本が重いといっても、あの鉄管を曲げる本はない、そういうことを理論的に研究するには、今申し上げたようなことをやらなければいかぬのではないか、そういう私は強い意見を持っているのですが、大臣は一つ、岸内閣のもとでも、できないことではないから、大いに張り切ってやってもらいたいと思う。
  54. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、お考えに大体同感であります。特に国立研究機関の純粋に研究をやる部面と、それから行政的な仕事に付随した、そういう研究をやる部面と、非常に性格は違うのでありますから、それが混在しているということは、非常な非能率を呼び起こしていると思います。これを何とか整備しなければならぬと思いますし、また、現に行政をやっている部面も、かなり保守的でございまして、お説の通り電気の計器の問題にしましても、建築基準の問題にしましても、昔からの惰性になずんでいる要素が非常にあると思います。  実は私も、近ごろ東京を見ておりまして、こんなに混雑したのじゃいかぬと、建築家にも、いろいろ相談してみましたら、東京の建築には、三十一メートル制限というものが実はある。しかしあれは、大正十二年の震災のころの基準で、今の建築技術では完全に、地震に対しても、もっと高くしても、そういう技術は完全に成功している、なぜ三十一メートルにしかしないのですか。それで、都市計画をやる際に、四十メートル、五十メートルまで許せば、道路は広くなる、あるいは緑地ができる、子供の遊園地ができる。ところが三十一メートル制限というものを、なかなか建設省が譲らないらしいのです。そこでその理由一つには、それを高くするというと、うんと人が来るから、祝田橋の交通がとまってしまう、だからできないのだという理由があったそうですが、それでは容量制限をしたらどうか、入るボリュームを一定の制限をすれば、高さは……。それから日本の建築技術は、地震に対抗できる。そういうふうにすれば、道路は広がるし、緑地帯もできる、何かいろいろ、そういう知恵を働かして、もっと都市生活をいろいろ便利に、愉快にできるように知恵を働かさなければならぬと、私はしろうとでありますから、そういうことを考えるのです。ところがなかなか、私は実は建設大臣にも、このことは閣議の席上でも言いまして、検討してくれと、建設大臣も検討するということになっておりますけれども、そういう点は、官庁の内部にまかしておくというと、なかなか動きませんから、外から、相当力を入れてやらなければならぬと思います。  お説に私、全く同感でございますから、今後とも努力いたしたいと思います。
  55. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、今気づいた点をよく理解していただけると思って、二つ例をあげたのですが、こういうことは、たくさんあるのです。  ですから、そういうものを、科学技術庁は特別のエキスパートを集められて、そうして既往の惰性でしている形を一ぺんチェックして、そうして、そこから組み立てていくということでなければいかぬと思います。  だから私は、今科学技術庁がおやりにならなければならぬ、また今日やり得ることは、そういうことだと思います。今まで惰性できていることを、あらゆる部門にわたってチェックをして、そうして、それをやはり世論に問うて、これを改めていかなければならぬ、こういう工合に呼びかけられると、これが科学技術庁の今行ない得る、一番実施しやすい仕事ではないだろうか、こう考えるのですが、そういう御用意がおありですか。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) さっそく庁に帰りまして、そのお考えを拝借いたしまして、そういう体制を整えたいと思います。
  57. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ、今、私がお尋ねする前に、だいぶこまかくお聞かせいただきました問題で、研究者の処遇の問題ですが、その処遇の問題については前国会、前々国会に、特許庁の審議官の問題を取り上げまして、具体的に、私は相当こまかくここで意見を述べましたから、きょうここで繰り返し述べません。それと全く同じ性格のものですから述べませんが、今のような状態でいけば、官庁の人事に断層が起こることは明白であります。技術に支障が起こることは明確であります。人事院の総裁も、これは認めているのです。これは、何らかの便法をしなければならぬのでありますが、しかし特許庁の問題においてすら、あれだけ財源もあるにかかわらず、また参議院、衆議院において、たしか決議をしたにかかわらず、実現されたことは百人に満たない増員と、それからわずかな給与の改善で、予算措置が講ぜられておるのであります。これはとても、われわれが希望したような状態に参りません。  従って、この研究職の処遇の問題については、文章で書くことは、きわめて簡単で、これは私どもは、文章で書かれることを今期待をしておるわけではないのでありまして、それを、どうして予算書の方へ載せてもらうということが注目の的なわけであります。おそらく、ちっともそういう工合に実現して参りませんので、この点は、そう言っちゃ大へん失礼でありますが、一人事院だとか、あるいは行政管理庁だとか、あるいは科学技術庁の手に負える仕手ではないと思います。日本の膨大な官庁機構というか官僚機構というか、その中にメスを入れる仕事でありますから、容易ならざることであります。  しかし、容易ならざることであるが、これをやり遂げることが今、日本の進んでいかなければならないことであるというので、直ちに科学技術の柱を支えなければならない、こういうことになりますので、ほんとうは、これは予算委員会総理その他にただすべきことでしょうが、ほんとうに岸内閣が、この問題にまっ正面に取り組んで解決する決意があるかどうかというところが問題なんです。それで科学技術庁長官としては、これはやはりぜひとも閣議の問題に取り上げて、そうして閣議において、こういうことは決定して、上から下におろしてもらう、そういうことでなければ解決しないと思います。  そういう点は、いかがですか。
  58. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国立の研究機関を、どういうふうに整備するかという問題について、科学技術会議でできました研究分科会というので、それを今取り上げて検討しておる最中であります。  従いまして、この結果を待ちましてできるだけ早急に善処いたしたいと思います。
  59. 栗山良夫

    栗山良夫君 給与の方もですか。
  60. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 給与の方は、やっぱり科学技術会議の中で、人材の分科会がございまして、待遇の問題も取り上げられているわけであります。しかし給与の問題は、大体もう場所がはっきりわかっておりますから、それとは別個に切り離して人事院等に向かって、私は努力したいと思っております。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 その人事院は、この間も、人事院の淺井総裁と私とやりとりしたときに、いろいろ陳弁これ努められましたが、人事院総裁の職務というか、義務というものは、どういうものですかと私聞いて、私の意見としては、あなたは、日本の官公庁の職員の生活を安定させ保障していくという仕事一つある。もう一つ仕事は、国が動かしておる機関のあらゆるところに、適材適所に人材を配置するという責任があなたにはある。その責任を、行政管理庁と両方でおやりになる責任というか、義務がある。ところが今は、生活安定の方すらなかなか十分にいっていないにかかわらず、特に科学技術庁の問題については、適材適所に配置することすらできなくなっているじゃないか。まさに職務怠慢だと私が言ったのでありますが、人事院総裁は、よくわかっておるのです。問題をわかっていないのは、岸内閣がわかっていない。ですから、岸内閣がわかるようにするためには、責任を持っておいでになるあなたがたが、閣議の中で声を大にして方針を決定して、実行に移していくということで、なければ、給与の改善というものはできないと私は思うのです。  これは、アメリカでもイギリスでも実際に調べておりますが、特別な方途を講じて、科学技術者を国家機関に招くように努力しておる。日本だけですよ、今やっていないのは。わずか手当を、ちょっとふやした程度で、何とかなろうということでやっているというのは、日本だけです。  その点を、よく理解して努力してもらいたいと思います。
  62. 山本利壽

    委員長山本利壽君) その他に、御質疑ございませんか。
  63. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 原子力の問題につきまして、だんだん中曽根長官の御卓見を伺って、大いに意を強うするのでありまするが、これに関連して、原子力施設が、だんだんこれから行なわれますと、ややもすると、必ず地元で反対の問題が起こるのでありまするが、これについて、何か政府の方で適当な案をお持ちになっているのでありまするか。  現に今、東海村に一つできておりまするが、将来は、原子力政策から見ても、関西にもぜひこれを設置しなければならぬ。現に関西の両大学の試験炉の設置問題がありまするが、これもいまだに、まだ場所もきまらぬということであります。  これについて、何か特別の行政指導というか、あるいは、原子力利用ということが、真に今後の日本の国民を発展せしむる上において緊要なものであるということを、もう少し全般的に、PRするというか、周知せしめる方法をとって、その地方の民衆が、安んじてこういう施設を迎えるという方向へ持っていかれることが必要じゃないかと考えるのでありますが、昨日伺った長官の御意見の中にも、原子力施設の整備、地帯整備計画も持っているということを伺いました。これの構想なども、ついでに伺えたらけっこうだと思いますが。
  64. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御説の通りでありまして、まことに遺憾なことでございますが、場所によっては、反対運動もありますので、実は非常に苦心しておるわけであります。まあ、日本への原子力というものは、広島、長崎の悲劇から始まりましたから、そういう気持を持つのは、まことに、想像することはできるのでありますが、それでは、日本の国が発展いたしません。そこで、原子力というものをよく理解していただきまして、国民の協力を得るように、PRやその他について、いろいろ努力して参らなきゃならぬと思います。  関西の問題につきましても、地元に、非常に誤解やら、いろいろなそういう点がございまして、現在は停滞しております。これはまあ、今静観しておりますが、徐々に地元の方でもわかってきてくれまして、まあ時間をかければ、あるいは関西にできるようになるかもしれぬと思っております。  そういうことも一つ考えて、この地帯整備ということを考えたわけでありますが、現在、法案を練っておりまして、大体の要点としましては、特定の原子炉、つまり発電とか、あいるはMTRというような、大きな強力なものを置く場所については、地域を指定して、そしてその指定された地域については、ある程度の特別の管理を行なう。  たとえば、緑地帯を設けて、その地帯においては、家を建てたり何かする場合には、知事の許可を要するとか、あるいは一定地帯については、病院やその他については、無料で、そういう放射線関係の疑いのある病気については診断してやるとか、あるいは、特定の地帯については、下水やその他について、高率の国庫補助金をやって、汚水の処理その他についても万全を期するとか、あるいは、モニタリー・ステーションを置いて検知を早くやるとか、そういう、いろんな面から地帯整備ということを法律でやろうとしておるのであります。  今、法案を練っておりまして、できるだけ、今議会に間に合わせるように努力いたしたいと思っております。
  65. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 いまの、法案が、至急法制化されればけっこうでありますが、もしそれが、いろいろの都合でおくれる場合は、個々の問題について、さような方針で国の補助をするとか、国の特別の施策を行なうというようなことは、お考えになっていないのですか。
  66. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まあ今のところは、新しく原子炉を置くという場所が、そう多くございませんので、その場所々々の実情に応じて、できるだけ行政的に協力できる体制をとりたいと思っております。  たとえば特別交付税というようなことを考えることも、一つの便法だろうと思っております。
  67. 岸田幸雄

    ○岸田幸雄君 それに関連して、将来——アメリカあたりはすでに原子力船もできておる。そうすると、その原子力船が、日本へもやってくることがあり得るというような面で、日本の港湾でも、やはり場合によっては、そういう原子力船が、万一、いろいろな事故のために災害を起こして、強力なる放射能を出したような場合に、どういうふうな、これは施策をすべきかというような点なども起こっているわけなんですね。  これなどは、長官は、どういうふうにお考えですか。
  68. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力船につきましては、国際原子力機関におきまして、その国際的規制をどうするかということを検討しておりまして、大体、国際法でそれを規制しよう——現在、船の構造とか、救難については、生命の安全等に関する条約がございますが、原子力船の出入についても、やはり国際条約をもって規制しようというので、大体の構想をわれわれのところに言ってきております。  で、港に出入するときに、その国の指示を仰ぐとか、許可基準で検査するとか、いろいろあるわけであります。で、アメリカからはサヴァンナ号が、来年くらいはくる見通しでもありますので、国際機関も、その条約の成立を急いでおるようでありますが、われわれも、これに協力をいたしまして、これは、日本一国で規制してもだめなわけですから、国際的な基準を厳格にやって、関係の住民が不安がないようにいたしたいと思っております。
  69. 山本利壽

    委員長山本利壽君) その他、御質問はございませんか。
  70. 藤田進

    ○藤田進君 大体、町同も十二時になりますので、きょう引き続いてだと、かえって御迷惑かと思いますから、私は、昨日基本的施策について述べられたことに関しまして、若干の質疑が行なわれましたが、これは、何も大臣と攻防の立場でなくて、実際に、この科学技術の振興について、もっと抜本的なかまえについて、いろいろ一つ議論してみたいと思うわけでありますので、半端になっても恐縮なんで、また理事会等で御相談いただいて、政府側も一つ繰り合わしていただきまして、その機会を持っていただきたいと思います。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) けっこうです。
  72. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  73. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは速記を起こして。  本日は、これをもって散会いたします。    午前十一時五十九分散会