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1960-07-12 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年七月十二日(火曜日)    午前十時五十八分開会   ―――――――――――――   委員異動 七月九日委員北畠教真君辞任につき、 その補欠として大谷藤之助君を議長に おいて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君   政府委員    厚生政務次官  内藤  隆君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省引揚援護    局庶務課長   福田 芳助君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保険審査官及び社会保険審査会  法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○未帰還者留守家族等援護法の一部を  改正する法律案内閣送付予備審  査) ○原子爆弾被爆者医療等に関する法  律の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査)   ―――――――――――――
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  まず委員異動を報告いたします。  七月九日付をもって北畠教真君が辞任し、その補欠として大谷藤之助君が選任されました。右御報告をいたします。   ―――――――――――――
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは法案審査に入りたいと思いますが、公報で御承知願えておりますように、きょうは、社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部を改正する法律案、それから未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案、この三法案公報に登載いたしておりまするし、いずれも予備審査でございます。従って、きょうは、この三法案の御審議を願いたい、かように考えるわけでありまして、質疑のおありの向きは三法案を一括して議題といたしますので、いずれの法案に対してでも御質疑のおありの方は御発言を願う、かようにお願いをしたいと思います。  なお、三法案に対しましては、すでに提案理由説明政府から聴取いたしておるのでございますが、手元に資料等お持ちでない方は、若干提案理由的なこともあわせて政府に御答弁願うというのも一個の方法であろう、かように考えておるわけであります。  それでは法案審査に入ります。社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部を改正する法律案、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 紅露みつ

    紅露みつ君 私は、この中の未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案についてお尋ねを申し上げたいと思います。  この改正案というのは、今日まで数度にわたって期限延長をしてきたわけでございまして、今回も延長が一番これは大きな改正点だと思うのでございますが、これは期限延長するというほかに、未帰還者留守家族方々からのいろいろな御要望もあるのではないかと思うのでございますが、この改正に際しまして、適当であるというものがあればそういうことも考慮しなければならないのではないかと思いますが、その経過を一つお聞かせいただきたいと思います。それが一点でございます。  それから今日この未帰還者留守家族というのは、該当する者がどれくらいになっておりますか、その数も伺いたいと思います。  それからこれらを今お尋ね申し上げたようなことを勘案いたしまして、今後これをどうするかという方針を伺っておきたい。二年後にまた二年延ばすというような、そこにいってはまた二年ずつ足してきたわけでございますが、今後の見通しでございますね、どういうように持っていかれるか、この三点について、その他のことにつきましてもだいぶ提案理由から日もたっておることでございますから、一つできるだけ詳しく御説明を伺いたいと思います。
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 政府からは渡邊厚生大臣、ただいま衆議院の社労委員会出席いたしておりますので、内藤政務次官出席されておりますし、森本保険局長引揚援護局からは福田庶務課長公衆衛生局からは河角企画課長等出席をいたしております。  ただいまの紅露委員質問に対して御答弁を願いたいと思います。
  6. 福田芳助

    説明員福田芳助君) お答えいたします。  まず、第一点の帰還患者に対するいろいろな要望、あるいは今後研究しなくてはいけない点等についてであります。その端的に現われておりますのは、実は日本傷痍軍人会から出ておる五つの要望事項が最も検討すべき項目でありますが、その一つ、これは御承知の通り、今回政府提案に盛られておりますところの療養給付期間の切れる者に対する措置であります。二つは、現存法律では旧法――旧法と申しましても未復員者給与法ですが、未復員者給与法以内に帰って来た者、つまり昭和二十八年七月末までに帰還または引き揚げて来ました者のうち、傷病恩給等をもらっております者は留守援法療養適用を受けることができないにもかかわらず、新法施行後、二十八年八月一日以降帰って来た者は、傷病恩給をもらっておりましても留守援法療養給付を受けることができるという、この一つの時期を境にしまして、法の不公平な問題があるわけでございます。従いまして、これを是正しまして、旧法時代に帰って来ました者にとりましても療養給付が受けられるようにしてもらいたいという要望があるわけです。これが二点目の問題です。  次に三番目としまして、現在の法律では時効制度がありまして、帰還あるいは復員後二年間時効になる。二年の間に療養申請をしなければならぬという規定があるわけでございますが、この時効にかかりまして失権した人も中にはあるわけでございまして、もちろん数は非常に少ないと思いますが、事柄事柄だけに非常に気の毒な状態になっている対象もあるわけであります。従いまして、この時効制度を廃止してもらいたい、こういう要望が三点目にございます。  次に四点目としまして、現存傷病恩給をもらっておりまして療養給付をしておる者、つまり先ほど第二点で申し上げたもののうち、新法施行後に帰って来まして療養給付を受けておる、権利のある人でありますが、これにつきましては、一部負担金療養費の一部を政府が徴収することになっております一部負担金制度というものでありまして、額は月額五十円ないし三千六百円になっております。この一部自己負担制度廃止してもらいたいといった問題点があります。  なお、次の五点としまして、政府提案では、療養給付期間延長をとりあえず二年間といたしておりますが、二年間とせずに転帰に至るまで期間を延ばしてもらいたいという問題点があるわけであります。  第六に、時効ではないが、現在の法律期間延長のたびに現に療養を受けておる者だけが引き続いて療養を受けるという、まあ変な延ばし方をしてきております。従いまして、帰って来ましてから三年間療養申請をする権利があるわけでありますが、そのうち、まず一年目に療養給付を受けた、ところが、やや軽快しまして療養給付を中止されておったところ、三年目の壁の通り越すときに、現に療養給付を受けておらないグループの人であったところが、その後再発したという場合に、再発者対象に含まれないという法律になっておるわけです。  以上の六点が、期間延長一つに今わせますと五点ということになりますが、内容的にはその五点が問題点になるわけであります。  そこで、それらはいずれも検討すべき問題ではありますが、本年度の予算におきまして、日本傷痍軍人実態調査の費用が社会局更生課系統予算に入りまして調査をいたすことになっております。これらの根本的な問題点につきましては、よく実情を握らない限り施策が講じられませんので、その調査を待ちまして善処をいたしたいというのが今年度の厚生省の基本的な考え方であります。従いまして、期間延長等につきましても、二年間という暫定的な期間、まあもちろん二年間も、従前期間延長をいたしてきましたときには二年間という延ばし方が多かったわけでありますが、とりあえず二年間を延ばしておきまして、今後の調査の結果に待ちたいという考え方で二年間という提案をいたしたわけであります。そこで、二年間提案理由はそうでありましても、どうしてこうたびたび留守援法療養給付が小刻みに今まで延ばされてきたか、つまり未復員者給与法時代に帰って来ました者を例にとりますと、すでに五回延長になって、今回で六回目の延長ということになるわけであります。それは留守援法は実は戦後の引揚者あるいは帰還者暫定的な措置暫定立法として立法されたものでありまして、そう長期にわたるということをこの法律は予期しておらなかったわけであります。このように療養給付ということであれば、本来恒久立法法律によって処すべきであって、今これを今後永久に転帰に至るまで国で療養給付をするということを改正するにしましても、こういった留守援法という暫定立法でなしに、恒久立法でいたすべきじゃないかと思ったりしております。以上が最近の要望なり問題点を、まず御質問の一点にお答えしたわけであります。  次に、第二点の現在帰還者患者はどれほどの数があるかということでありますが、その数は約三千七百名ございます。その大部分の八五%にわたる人は結核性疾患でありまして他の七%は精神病というふうに結核性疾患精神病が大部分であります。そのため相当長期療養を要する人がほとんどすべてであるという実態になっております。その三千七百名のうち入院患者通院との関係でございますが、千三百名程度入院患者でありまして、他は通院ということになっております。そのうち問題の一部自己負担の徴収を受けておる者が約五百名、金額にしまして年間九百万円程度であります。  次に、三点の今後の問題、今後の善処方法でございますが、すでに第一の点にからみまして申し上げましたように、実態調査等を待ちまして処していきたい、こう考えております。
  7. 紅露みつ

    紅露みつ君 大体御説明でわかりますが、この残された三千七百名の大体が結核患者というわけですね。そこに精神病が入っておるといたしますと、これはなかなか二年くらいではいわゆる転帰というのにはならないのじゃないでしょうか。それなのにやはり今回も二年ということにいたしますか。そこのところの考え方はどうなんでございます。
  8. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 先ほど申し上げましたように、従前期間延長暫定立法関係上非常に短期、たとえば一年、二年、三年という延長の仕方をしてきましたので、今回もその例にならったわけでありますが、根本には実態調査を待ちまして施策したいという考え方がありましたので、従って、この期間についてもこのように従前にならう、それ以上の深い意味はなかったのでございます。
  9. 紅露みつ

    紅露みつ君 従前にならったということでございますが、野党なれはそんな五回も六回も同じことを縛り返すなんというのはちょっと見通しがなさ過ぎると言いたいところでございましょうね。実態調査によっていろいろお考えになるのでございますから、今度は少しよくお考えになって、そしてこれはもうこういうふうに煮詰めてちゃんと対象病気もわかっているのですから、どうせ見て上げるのでございますから、患者が安心をしてそれからその家族の者も安心して療養のできるような施策をとってやるのが私はいいんではないかと思うのでございますから、その点は十分一つ考えになって、あまりまた、二年またちょいちょいと出していくようなことは何か非常に見通しがない。どうかそこのところは十分御検討になって改正していただくように。
  10. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として。    〔速記中止
  11. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  12. 徳永正利

    徳永正利君 実態調査をやると言われますが、実態調査結論は、大体見通しはいつごろにどういう格好で出てくる――格好といいますか、結論を出されるつもりか。それを明確にもう一ぺんお答えを願いたい。
  13. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 直接の担当でございません。実は先ほど申し上げましたように、社会局更生課で直接担当いたしておるわけでありますが、聞きますと、日本傷痍軍人会調査を委託いたしまして、調査結果は九月末ごろに回収され、集計等の結果は十一月ごろに出される予定と聞いております。
  14. 徳永正利

    徳永正利君 せっかく国が補助金を出しておやりになるのですから、そのどのくらいにやられるだろうというようなことでなくて、もう少しはっきりした厚生省の態度で、いつまでにやれ、やれないところはいろいろな指導をするなりされて、その辺を、だろうじゃなくて、もう少し踏み込んだ結論をお願いしたいと思います。  それから未帰還者留守家族等援護法というこういう法律は、これはこの中に適用されるのはどういう人々がこれは対象になるのですか。
  15. 福田芳助

    説明員福田芳助君) この法律は未帰還者ということが根本になっておるわけでありますが、その未帰還者がある場合に留守家族援護する。それから未帰還者が帰ってきました場合に手当金を、帰郷旅費等手当金を出すとか、あるいは病気の場合はこのような療養給付をする。つまり未帰還者留守家族援護し、帰ってきました場合には未帰還者本人援護するということになっておるわけでありますが、その未帰還者とは何かと申し上げますと、まず第一は、いわゆる未復員者であります。元の陸海軍に属しておりました軍人軍属でまだ未復員の者、これが第一の大きなグループであります。  次に第二としまして、一般邦人でまだ引き揚げの終わっておらない人、それは地域的に制限がありまして、ソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州または中国本土、このようにいわゆる共産圏諸国、いわゆる北のグループの国々から、帰りたくても帰れない一般邦人人たち対象になっております。これが第二のグループ。  それから第三としまして、これは特殊なグループですが、現在はもうすでにありませんが、いわゆる戦犯日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により拘禁されておるかつてのいわゆる戦争裁判戦犯者、この三グループがここにいう未帰還者となっておるわけであります。
  16. 徳永正利

    徳永正利君 一般邦人につきましては、この未帰還者の中に含まれているということでございますが、未復員状態にあった昔の陸海軍軍人軍属、こういう方々と、こういう方々戦傷病者戦没者遺族等援護法ですか、これとこの未帰還者留守家族等援護法との関係はどうなっておりますか。
  17. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 未帰還者留守家族等援護法本人が生きているか、あるいは生死のわからない状態、つまり死亡公報の出せない状態人たち、そういった状態にある間の留守家族援護し、帰って来た当座の御本人援護をするのが目的でありますし、一方の遺族等援護法の方は、公務に基因して死亡されたその遺族援護が主たる援護対象となっております。
  18. 徳永正利

    徳永正利君 そうすると、生死不明のために留守家族等援護法適用を受けておった、ところが、その死亡時日がさかのぼって判明した、たとえば二十年の八月十日になくなっておったという事実が出てきた場合、当然今日までは未帰還者留守家族等援護法適用を受けておったが、そういう事実が出てきた場合に、戦傷病者戦没者遺族等援護法と、この未帰還者留守家族等援護法適用はどういうふうに操作されますか、その点をお伺いします。
  19. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 死亡の事実の判明いたす時期までは未帰還者留守家族等援護法によります留守家族援護をいたしております。その後死亡時日の判明するに至った場合は、さかのぼって遺族等援護法適用になるわけでございます。従いまして、その間に、過去に留守家族等援護法によりまして留守家族手当等をすでに支給されておるものにつきましては、両方調整規定もありまして調整される。くどいようですが、繰り返しますと、死亡時日が判明いたしますと、その死亡時点にさかのぼりまして戦傷病者戦没者等遺族援護法適用になるのでございますが、すでに留守援法によりまして援護いたした分につきましては、調整規定によりまして調整されるということになっております。
  20. 徳永正利

    徳永正利君 私は内容をよく知りませんからお伺いするのですが、これはどちらが家族にとっては有利なんですか。
  21. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 公務によりまして死亡しました場合は援護法、それから軍人軍属ですと、恩給法に移行するものが多いわけでありますが、もちろんそれらの援護法及び恩給法は、留守家族援護法よりも有利な措置となっております。
  22. 徳永正利

    徳永正利君 どういう点が有利な措置になっておりますか。
  23. 福田芳助

    説明員福田芳助君) まず軍人軍属に例をとって申し上げますと、留守家族援護法におきましては、留守家族に対しましては、現在年間五万一千円程度留守家族手当をお渡ししているわけでありますが、恩給法によりますと、兵の恩給でありましても五万三千二百円、階級によりまして、それ以上の扶助料をもらうことになっておりますほか、五万円の弔慰金戦傷病者等遺族援護法で出ることになっております。このように、留守家族手当そのもの援護法遺族年金の額と同額にしてあるわけです。しかも、この遺族年金の額は、兵の恩給の額よりも年間千二百円低い額になっております。ですから、恩給法が一番有利、その次が援護法ということになっております。以上のように、公務死亡したという事実が判明すれば、遺族の方は、その時期から留守援法よりも多額の援護を受けることになっております。
  24. 徳永正利

    徳永正利君 ただいまの御説明は、多分今日の時点においての御説明だと思いますが、両方とも法律はだいぶ終戦後の法律で、二十七年でございますか、ころからずっと歩んできたもので、途中でいろいろな改正が加えられておるだろうと思います。そのつど戦傷病者援護法と未帰還者援護法における家族給付というものは、同時にずっと同額改正されて今日まできているものですか。
  25. 福田芳助

    説明員福田芳助君) 今御質問のように改正されてきたように聞いているわけでありますが、実は正確にその点、ただいまお答えすることができませんので、できるだけ早く研究いたしまして答弁いたしたいと思います。
  26. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  27. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。質疑のおありの方は引き続き御発言を願います。  それでは未帰還者留守家族等援護法の一部改正についてはだいぶ質疑がございましたが、社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正案並びに原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部改正案等につきまして、質疑のおありの方は御発言を願います。  政府からは尾村公衆衛生局長森本保険局長たち担当局長出席をいたしております。勝俣先生何か御質疑がございませんか。
  28. 勝俣稔

    勝俣稔君 ありません。
  29. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ほかにございませんか。  速記をとめて。    〔速記中止
  30. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。   午前十一時三十二分休憩    〔休憩開会に至らなかった〕    ―――――・―――――