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1960-06-21 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年六月二十一日(火曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————   委員異動 六月十日委員井川伊平辞任につき、 その補欠として、大谷藤之助君を議長 において指名した。 六月十六日委員鹿島俊雄君及び山本杉辞任につき、その補欠として田中清 一君及び小林武治君を議長において指 名した。 六月十七日委員紅露みつ辞任につ き、その補欠として、植竹春彦君を議 長において指名した。 六月十八日委員徳永正利辞任につ き、その補欠として下村定君を議長に おいて指名した。 六月二十日委員下村定君、田中清一 君、小林武治君及び植竹春彦辞任に つき、その補欠として、徳永正利君、 鹿島俊雄君、山本杉君及び紅露みつ君 を議長において指名した。 本日委員大谷藤之助辞任につき、そ の補欠として北畠教真君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            吉武 恵市君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            北畠 教真君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君   国務大臣    労 働 大 臣 松野 頼三君   政府委員    厚生政務次官  内藤  隆君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局長 森本  潔君    厚生省保険局次    長       山本淺太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○船員保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○身体障害者雇用促進法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動を報告いたします。  六月十日付をもって井川伊平君が辞任し、その補欠として大谷藤之助君が選任されました。また、六月十六日付をもって鹿島俊雄君及び山本杉君が辞任し、その補欠として田中清一君及び小林武治君が選任されました。また、六月の十七日付をもって紅露みつ君が辞任し、その補欠として植竹春彦君が選任されました。六月十八日付をもって徳永正利君が辞任し、その補欠として下村定君が選任されました。六月二十日付をもって下村定君、田中清一君、小林武治君及び植竹春彦君が辞任し、その補欠として、徳永正利君、鹿島俊雄君、山本杉君及び紅露みつ君が選任されました。また、六月二十一日付をもって大谷藤之助君が辞任し、その補欠として北畠教真君が選任されました。  右御報告いたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、ただいまから船員保険法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  4. 徳永正利

    徳永正利君 私は、この船員保険法の一部改正にあたりまして二、三の点を御質問申し上げたいと思います。この法律案改正は、前に成立しました労災法の一部改正とどういうような関連にあるのか、要点だけ承りたいと思います。
  5. 森本潔

    説明員森本潔君) 先般の異動によりまして、私保険局長になりましたので、一つ、どうかよろしくお願いいたします。  ただいま徳永委員の御質問でございますが、先般労災法改正が成立いたしました。その内容としましては、従来けい肺及び外傷性せき髄について特例がございましたが、それに限らず、広くこの職務上の疾病一般につきまして、三年の療養期間の経過後もなお長期傷病者給付を実施するということになったのでございます。これに歩調を合わせまして、船員におきましても、陸上労働者に対しますところの災害補償と同様な措置考えたわけでございます内容としましては、三年を経過いたしましても、職務上の疾病でございますれば、療養給付をいたします。それからなお障害手当金も日額の六割を支給する、こういうようにいたしまして労災法改正に見合う船員保険法改正を実施したわけでございます
  6. 徳永正利

    徳永正利君 労災法の一部改正にさらに修正を加えたわけでございますが、その点と船員保険法改正案との均衡と申しますか、不均衡はございませんか。
  7. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 御案内のように、労災保険船員保険は、法の体系といいますか、そういう点が、従前もそうでありますが、非常に異なっておるわけでございます。従いまして、船員保険法はいわば総合保険といたしまして、短期及び長期の双方にわたりまするいわゆる長期保険と称されるものでございまして、今次の改正におきましても、もちろん陸の労働者船員の間におきまして実質的な均衡が保たれるような考慮は十分にいたしたのでありますが、もともと法律体系が非常に違いますので、すべてそれに右へならえするというようなことは法律体系上できがたいということはぬぐえなかったのでございます。しかしながら、骨子といたしましては、でき得る限り両者が均衡のとれたものであるような配意もいたしたつもりでございます骨子といたしまする職務上の疾病に対しまする療養補償の問題につきましても、労災におきましては、いわゆる入院の場合と外来の場合と二段がまえになって今度の改正措置が講ぜられておるのでありますが、船員保険につきましては、従前もそのような措置を必要としない建前をとっておりますので、そういう建前をくずさない限度におきまして、これに見合うような、実質的にこれと見合うような内容をとっております。なお、障害年金措置につきましても、大体右と同様な趣旨で、実質均衡の保たれたような措置を可及的にとったという次第でございます。また、遺族年金等につきましても、若干形は違いますが、できる限りそのような配慮をいたして、今次の改正案内容ができておる次第でございます
  8. 徳永正利

    徳永正利君 三十年にけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法あるいは臨時措置法が制定されたのでございますが、船員に対しましては同様の法措置が講ぜられていなかったと、その理由はどこにあるか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 森本潔

    説明員森本潔君) ただいま御指摘のように、この職務上の疾病については、陸上船員を問わず同様の措置が講ぜられなかったものと存ずるのでございますが、実情からいたしまして、比較的その必要性が少なかったということでございまして、その一、二の理由を申し上げますと、船員におきましては、このけい肺という患者はこれはほとんどございません。それから外傷性せき髄障害患者というものも非常に少のうございまして、当時の調査によりますと、全国で約五、六人程度のようでございます。こういうようにこの該当者が全然ない、あるいは非常に少ないという点から、陸上と異なった措置がとられたわけでございます。それからもう一つ、実際この六人とか五人と申しましても、そういう該当者に対してどうしておったかということでございますが、これに対しましては、三年の療養給付期間が切れました場合はそれぞれ廃疾の認定をいたしまして、障害年金あるいは障害手当金を支給いたしまして、なお、三年後におきまして療養を要する者につきましては、療養給付という形でなしに、船員保険福祉施設としまして、実際上これを病院等収容して福祉施設として療養に従事させまして、実際上は療養給付を行なうと同様の措置を講じて参ったわけでございます。ただいま申しましたように、該当者が非常に少ないので、法律改正はせずに、実質上同様の効果をもってきておったと、こういうふうな次第でございます
  10. 徳永正利

    徳永正利君 私の質問外のことまでお答えいただきまして、次に質問をしようと思うことまでお答えいただいたわけでございますが、ただ、その中で、該当者が非常に少ないからそういうふうな保護措置を講じなかったというお話は、いささか私には了解に苦しむものでございます局長就任早々でございますから、外傷性せき髄患者がどういうふうな生活状態をやっておるかということはあるいは御存じないかもわかりませんが、これはもう人道上の問題で、捨て置けぬ問題で、人数が多い少ないの問題ではなかろうと思います。この点は十分心得られて、以後また質問を続けますけれども、いろいろな点について一つ配慮いただきたい。  この法律案が実施された場合に、保険給付費、それから保険料率、こういうものの影響はどういうふうになるか御説明いただきたいと思います。
  11. 森本潔

    説明員森本潔君) この法律が実施されました場合に、経費として増加する分と減少する分がございます。増加する部分は、この療養給付費が三年を経過しましてもなお継続するわけでございますが、その部分療養給付費が増加いたします。それから減少する分としましては、この障害手当金は、その間支給をいたしませんので減少いたします。これを数字で申しますと、初年度におきまして療養給付費増加分が百七十万ほどでございます。それから、手当金減少分が百三十七万でございまして、差引三十三万円の増になります。これは初年度でございますが、これが平準化いたしますのが大体九年後でございまして、そのときにおきますところの予算の増が約四百三十万の増額ということになります。従いまして、若干の増額はございますけれども、保険料率に影響するというほどのものではございません。
  12. 徳永正利

    徳永正利君 先ほど、三十年改正当時は非常に人数が少なかった、五名ないし六名ということを承ったのでございますが、三十年に陸上労働者に対する保護措置がなされた。その後、船員の方で脊損患者が何人ぐらい発生しておるか。あるいはまた、現在は何人くらいおるかということを承りたいと思います。
  13. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) お答え申し上げます。  まず療養給付期間、どれだけ療養給付を続けてきたかという件数を、何カ月分療養を受けたかという月別の表を申し上げますと、これは昭和三十一年から三十三年度までの数字でございますが、障害手当金をもらいました件数は二千五百七十四件、障害年金の方が三百件でございます。このうち三年の期限を経過いたしました者が——失礼いたしました。六カ月で治癒したという者、それから十二カ月以内で治癒した者、十八カ月以内で治癒した者、それから二十四カ月以内で治癒した者、三十カ月以内で治癒した者、三十六月で治癒した者を除きまして、三十一月以上期間を経過しております者が、障害手当金につきましては五十六件でございます。それではそういうような三十六月以上の期間を経過いたしました者につきまして、それぞれどういう病気、疾病によって障害手当金なり障害年金を受けておるかという数字を申しますと、まず障害手当金につきましては合計三十六件のうち、目の疾患が三件、精神神経が八件、それから上肢が三件、下肢が八件、それから骨盤が八件、頭部外傷が二件、潜水病が二件、その他が二件という数字でございます。  それから障害年金をもらいまする者の疾病内容を申しますと、目が一件、精神神経一件、半身不随が三件、上肢一件、下肢八件、耳が一件、それからせき髄損傷、これが一番多いのでございまして十九件、頭部外傷三件、潜水病が十一件、その他七件、合計五十六件、こういうような数字が出ております。以上でございます
  14. 徳永正利

    徳永正利君 大体内容はわかりましたが、この法律案に対する社会保障制度審議会の答申にも指摘されておったと思うのでございますが、船員保険法船員保険制度には疾病部分の一部負担、その他いろいろ検討を要する点があろうと思いますなお、前の国会においても、いろいろ記録を調べてみますと、標準報酬の問題については引き上げる決議をされておるようでございますが、今度の改正にはこういう点が全然出てきていないというのは、どういうわけで触れられていないのか、その理由を御説明いただきたいと思います。
  15. 森本潔

    説明員森本潔君) ただいま御指摘ございましたように、従来から船員保険制度につきましては改正を要するという点の意見がございます国会におきましては、こういうような附帯決議があったわけでございます。それらの点につきましては、他の社会保険制度一般との総合調整という問題がございますので、まだ十分結論が出る段階に達しておりません。また一方、内閣におきましても、社会保障制度審議会等においてこの問題を検討中でございます。役所においてももちろんでございますが、社会保障制度審議会の方の研究の状況ともにらみ合わせてもう少し検討いたしたいというので、これらの点は見送った次第でございますが、ただ、今回改正いたします点につきましては、労災法改正等もございまして、早急に実施すべきものでございますし、特に改正につきまして問題のないように思います。この点だけを切り離してあるわけであります。御指摘のように、船員保険制度につきましては、なおいろいろ検討を要する点がございますので、十分検討いたしまして、すみやかに措置いたしたいと思います。
  16. 徳永正利

    徳永正利君 今度のこの法律改正である程度十分な治療もできるだろうと思うわけでございますが、今日まで施設の完備した労災病院等にとかく入院できなかったというのは、なぜ入院できなかったのか、その点を一つ説明願いたいと思います。
  17. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 御指摘のよりに、非常に、ただいま局長が申しましたように、福祉施設で一応やっておったことは事実でございますけれども、食事の問題あるいは基準看護問題等につきまして、御指摘のように、十分船員のこうした長期疾病者に対しまする特殊の保護という点につきましは、十二分でなかったことはわれわれも認めざるを得ないと思うのでございます。従いまして、このたびの法律を帆立させていただきました暁におきましては、速急に設備の整いました労災病院収容していただくように、労災病院患者収容につきまして委託契約を結んで、御指摘のようなことが今後におきまして起こらないように措置したい、こういうふうに考える次第でざいます
  18. 徳永正利

    徳永正利君 今後そういうふうにしたいということでございますが、ほんとうに今度は船員の方々が労災病院入院できるのかどうか、今からやろうと思っているというようなお考えのよでございますが、その見通しを、明確な見通し一つ伺いしたいと思います。さらに御説明にあったような看護の問題とか、食事の問題とかいうような給付は、陸上と全然同一にいけるか、あるいはいけないとすればどういうところに差があるか、その点御説明いただきたいと思います。
  19. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 現在も労災病院には一人入れていただいているような次第でございますが、十分自信をもって収容をお願いできるものと考えております。なお、御承知のように、東京の船員保険病院が今般増築になりますので、その方面にも収容できることと信じておりまして、労災病院におけると同様の入院保護が十分できるように考えていきたいと思います。
  20. 徳永正利

    徳永正利君 脊損患者は御承知のように、もう生きたしかばねと言ってもいいような非常に悲惨な患者でございますから、この点については十分格別な御配慮をいただくようにお願いしておきます。  最後に、私厚生政務次官がお見えになっておりますから、せっかくおすわりいただいているから一つお尋ね申し上げたいと思います。この船員保険というのは、読んでみますと、私少し勉強しようと読んでみて、何べん読んでみてもわからない、まことにわかりにくい法律でございます。しかも、ことしは聞くところによると、二十周年記念の年だそうでございます。かたかなで、まだいろいろなことが書いてあります。しかも非常にわかりにくい。従いまして、全体的に一つ条文検討と言いますか、整備と申しますか、そういうことをおやりになる意思があるかどうか。あるいはまた、そういうふうなお考えはないかどうか、一つ伺いしたいと思います。
  21. 内藤隆

    政府委員内藤隆君) 御指摘通り厚生省関係法律の中ではこれはもう古いものでございます。その表現の仕方等も非常にわかりにくい点があるのでございまして、これが全面的な改正と申しますか、新しくわかりやすいように組むように目下検討中でございまして、御趣旨に沿いたいと、かように考えております。
  22. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  23. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  他に御質疑の御希望の方はございませんか。——他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。  他に御発言もないようでありますから、討論はないものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより船員保険法の一部を改正する法律案を採決いたします。  本案原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。    〔賛成者挙手
  26. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたしました。   —————————————
  28. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、次に身体障偉者雇用促進法案議題といたします。  本案衆議院において修正されておりますので、修正点衆議院発議者から説明を願うのが建前でありますが、修正点施行期日の変更のみに関するきわめて小部分でありますので、便宜上政府から要点説明を聴取して本案審議を進めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。便宜上政府から説明をお願いいたします。
  30. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 本法案附則に、この法案は「四月一日から施行する。」ということになっておりますが、審議関係上、四月をすでに経過いたしまして、そこで衆議院におきましては、この「四月一日から施行する。」という附則を「公布の日から施行する。」という工合に施行期日を改めたのでございます。  以上が修正内容でございます
  31. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、これより質疑に入ります。  ただいま説明のございました堀職業安定局長と、労働省からは徳永委員の御要望がございまして松野労働大臣出席をいたしております。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  32. 徳永正利

    徳永正利君 私は、この法案につきましては、いろいろ今までにもう質疑も繰り返されておりますから、重複を避けて大臣一つ根本的な物の考え方についてお伺いを申したいと思うのであります。と申しますのは、これは大へんけっこうな法律だと思いますが、諸外国のこういった立法例を見ましてもおわかりのように、戦争犠牲者、特殊な戦争というような事態に直面して大へんな大きな痛手を受け、それがために非常に大きな打撃と、今日に至っては就職片親がないためにできないという子供とか、あるいは料亭に行かれてもあるいは旅館に行かれてもお気づきだろうと思いますが、その中には、自分子供にこういうところで働いておるということを言いたくないというような未亡人たちがたくさんおるわけでございます。戦後のいろいろな法律を見ますと、不特定多数といったような非常にハイカラな考えに立っていろいろな施策がなされておるようでございますが、私は根本的に一体この責任はだれがとるべきであるかということを一応考えてみる必要があると思う。そういうような戦争という事態において、多くの失業者、今日に至ってなお多くの失業者をかかえておるというその責任は、戦争のために自分の亭主を失いあるいは父を失ったその子供たちのその就職等に対する責任は一体だれにあるのか、私は国にあると思う。大臣はどうお考えか、その点を一つ伺いをいたしたい。
  33. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 戦争の主として非常に大きな犠牲を払われた方に対する責任はどこだといえば、今日の立法、今日の状況から見ますると、もちろん国にあると私は存じます。その一つの現われとして軍人に対する恩給あるいは傷痍軍人に対する政府諸般施策というようなものが今日厳然としてあるということを考えますれば、一点の疑いもなくその責任というものは政府あるいは国がやはりこれに対する当然な責任を感じておるということは、諸般の例を見ても私は明らかじゃばかろうかと、こう考えております。
  34. 徳永正利

    徳永正利君 ところで、なるほど恩給法なりあるいは援護法というものがざいます。今年の十月からようやく一年に五万三千円という年金額が、あるいは扶助料の額がそれら渡るわけでざいます。月に直しますとわずかなものでございますが、こんなものでは、生活の足しにはなりましょうけれども、とうてい全きものでないということは言を待たないと思います。今年なんかの就職状況を見ますと、非常に私どもの関係しておりますそういうよりな未亡人であるとか、遺児であるというような連中の就職率はいいわけであります。というのは雇用率一般にいいからいいので、一たびこの波がくずれますと、しわ寄せば必ずそういう片親がないというような子供たちのところにやってくるのは、過去数年間にわたってごらんになればよくおわかりだろうと思います。ただ、年金とか扶助料があるからということでなくて、もり少し私は雇用問題についても一つ積極的な手を打っていただきたいと、かように考える次第でございますが、この前の、だいぶ前でございますが、この委員会安定局長にいろいろお尋ね申しますと、どのくらい人間が、そういうような関係者がおるかという数字すらおわかりでないようでございます。ただいま大臣は、国の責任であるということを明確にお示しになったわけでございますが、それならば私はどのくらいの人間がおるかということぐらいは、あるいは厚生省と御連絡になり、文部省と御連絡になってつかんでおいてしかるべきではないか、かように考えるわけでございますが、この点についてどうお考えですか。
  35. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回も労働省関係法案の中に職業安定法という法律基本職業紹介法律になっております。この中の条項に、前歴によって差別してはいけないというのが一条ございます。そういう意味で実は前歴によって差別をするという統計労働省がややもすれば怠っておったと私は認めます。しかし、ただいまのように軍人及び戦争における犠牲者が国の責任であることには、私は疑っておりませんが、ただ、この職業紹介という条項に関しますと、前歴によって差別してはいけないという条、項があるために、前歴別統計とか職業紹介というものは実施しておりません、今日の現行法で。そのためにその問題が今日まで不明確であったということは認めますが、しかし、やはり気持としては、今回におきましても、将来におきましても、これはやるべきだというので、今回身体障害者雇用促進法の際にも、軍人傷痍軍人というものに関しては、基本母子福祉身体障害福祉手帳というものを基本に置きますけれども、これよりも、傷痍軍人におけるものも入れなければいけないというので、今回は特に傷痍軍人の方にもこの法律が及ぶようにいたした次第であります。表面、額面におきましては職業安定法という法律というものが今日ございます以上、これを犯すわけには参りません。しかし、気持としてはやはり国に尽くされた傷痍軍人の方を今回除外することはこれはできないというので、今回特にそういうものも勘案して入れたわけで、表面と現実の問題というのは、労働省においてはやはり相当深い意味で行政には考えなければならないと私は考えております。なお、母子家庭の就職につきましては最近順調に進んでおりますけれども、私もややもすれば母子家庭の子供であるがゆえに就職が狭められている。いい、希望するところが、ややもすれば金融機関がときどき見受けられますけれども、金融機関はややもすれば母子家庭を好まないという風潮のあること、あるいは現実に二、三そういうことも拝聴しております。これは私は非常に大きな誤りだと存じております。これは私が申すまでもなく、各府県に条例がだいぶできております。全国で大体半数くらいの県は条例が私は、できておると存じます。母子家庭に対する親がわりに都道府県知事がなるという条例ができている県が全国で半分くらい私はあったと記憶します。そういうふうに法律が必要だということは、やはり何となしに就職が狭められているという事実は否定するわけには参りません。従って、今後もそういうことはよく私どもの方の行政面においては取り入れながらやって参りたいと、私は心から考えております。今日まではその方向に沿って行政は行なわれつつございます
  36. 徳永正利

    徳永正利君 大臣のお言葉を拝聴いたしまして、今後大いにこういうものの啓蒙に努めるということでございますが、たとえば銀行であるとか、あるいはデパートであるとかというようなところには、片親がない、必ずしも戦争によって片親がないというばかりじゃございません。片親のない者を雇いたがらない。実例を出せとおっしゃれば幾らも実例はございますが、こういう点についても、今後一段の一つ出先機関等を督励されまして、御配応をお願いしたいと思うのでございます。お説のように、各県には身元保証制度の条例をそれぞれ作っております。ところが、これは非常によく活用しているところと、あってなきがごときところとあるわけでございます。従いまして、出先の機関を督励されまして、一段と経営者側にもあるいはその他の面にも十分趣旨を徹底されまして、今後片親がないために就職ができないというようなことがございませんように、御配慮をお願い申し上げたいと思うのであります。これは、本気で経営者がかかっていけば、私は、理解すれば必ず成功すると思うんです。この身体障害者の関係でも、鉄道弘済会等は非常によくやっているのは御存じの通りでございます。経営者と申しますか、そういう方々に対する何かちょっとした働きかけによって、その理解の度が非常に大きく左右されると思うのでございますが、その点について労働省は今後どういうふうな対策をお持ちでございますか、お伺いをしたいと思います。
  37. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 徳永委員の御指摘通りでございますので、もちろん行政的にはその趣旨に沿って、私ども最大の努力をいたしますが、やはり世間に、もし必要ならば与党と連絡をいたしまして、政府、与党間において必要ならば、私はこの問題について立法ということを考えてもいいんじゃなかろうかというくらい私は踏み切っております。しかし、実情を見ないでこの国会にというわけには参りませんが、各府県の実情を調べ、ただいまのおっしゃるような統計も調べて、その上で私は、本年中には、次の国会くらいには政府、与党でよく連絡して、この問題に対する立法ということも私は考えるべきじゃなかろうかと、実は真に考えております。学童においては育英資金制度というものがある。そうして卒業した者に対して不公平な取り扱いをされるということは、これは忍びがたいことじゃなかろうかと私は考えまして、実行するかせぬかということもあわせて、これは必要ならば、これは議会においても法律決議案、あらゆる形をとるべきじゃなかろうかと、私は真に考えておりますので、次の国会までには与党とよく連絡を申し上げたい、こう考えております。
  38. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  39. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて、他に御質疑のおありの方はございませんか。——他に御発言もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。——他に御発言もないようでありますから、討論はないものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより身体障害者雇用促進法案について採決いたします。原案内閣提出衆議院送付案でございます本案原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  42. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
  43. 徳永正利

    徳永正利君 私はこの際、ただいま議決されました本案に対しまして、別案のような附帯決議を付することの動議を提出いたします。
  44. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの徳永君の動議は賛成者がございますので、成立いたしました。  この際附帯決議案を議題といたします。  発議者から案文並びに提案理由説明をお願いいたします。
  45. 徳永正利

    徳永正利君 身体障害者雇促進法に関する附帯決議案を朗読いたします。  政府は、次の事項について努力すべきである。  一、身体障害雇用率については逐年これが拡大改善をはかり可及的すみやかに法定するよう努めること。  ニ、身体障害雇用率の達成については三年以内の計画で完成すること。  三、就職が特に困難な重度障害者については、作業設備、作業補助具の整備、職業訓練の強化をはかるとともに、適職の選定の研究を早急に進めて、重度障害者の職業確保に努めること。  四、身体障害者考の雇用を容易にし、作業能率の向上をはかるため、事業所が作業設備を改善し、または作業補助具を支給することを促進するため、政府は必要な助成措置を講ずること。  五、公団その他の政府関係機関の身対象害者雇用率については、国等の場合に準じて定めること。  六、本法の実施に当り、結核回復者等内部障害者、精神瀞弱者、原爆被爆者等についても、政府は、すみやかに実情を調査し、就職促進のための施策を樹立実施すること。  七、身体障害者の雇用促進をはかるためには、税制、賃金、雇用その他諸種の方策(国庫の助成を含む)が考えられるが、このため本法に基いて設置される身体障害者雇用審議会において充分な研究と審議を尽し、急速にその向上改善に努めること。なお、これが施策の円滑適正な実施をはかるため地方にも身体障害者雇用審議会に準ずる機関を設けること。  八、身体障害者に対する年金その他の社会福祉対策の充実に努めること。  九、本法の円滑な運営をはかるため、政府は、身体障害者職業指導官制度の設置その他公共職業安定所の人員、予算等の事務体制の整備充実に努めること。  一〇、重度障害者の家族並びに遺児、未亡人の優先雇用に関しては、いまだ有効な措置がなされていないことにかんがみ、政府はこの際、すみやかにこれらの雇用促進に関する適切なる行政及び立法措置につき検討すること。  以上でございます説明は省略いたします。
  46. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの附帯決議案に対して、御質疑のおありの方は御発言を願います。——別に御発言もないようでありますから、徳永君提出の附帯決議案を採決いたします。  徳永君提出の附帯決議案を、本委員会決議として、ただいま議決せられました法案に、これを付することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。よって本法案附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、松野労働大臣から発言を求められております。これを許可いたします。
  48. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいまの附帯決議趣旨に沿いまして政府は十分その趣旨の実行に努力いたします。
  49. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。  本日はこれで散会いたします。    午後零時十九分散会