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国務大臣(
松野頼三君) 今回も
労働省関係の
法案の中に
職業安定法という
法律が
基本の
職業紹介の
法律になっております。この中の
条項に、
前歴によって差別してはいけないというのが一条ご
ざいます。そういう意味で実は
前歴によって差別をするという
統計を
労働省がややもすれば怠っておったと私は認めます。しかし、ただいまのように
軍人及び
戦争における
犠牲者が国の
責任であることには、私は疑っておりませんが、ただ、この
職業紹介という
条項に関しますと、
前歴によって差別してはいけないという条、項があるために、
前歴別の
統計とか
職業紹介というものは実施しておりません、今日の
現行法で。そのためにその問題が今日まで不明確であったということは認めますが、しかし、やはり
気持としては、今回におきましても、将来におきましても、これはやるべきだというので、今回
身体障害者雇用促進法の際にも、
軍人、
傷痍軍人というものに関しては、
基本は
母子福祉と
身体障害の
福祉手帳というものを
基本に置きますけれども、これよりも、
傷痍軍人におけるものも入れなければいけないというので、今回は特に
傷痍軍人の方にもこの
法律が及ぶようにいたした次第であります。表面、額面におきましては
職業安定法という
法律というものが今日ご
ざいます以上、これを犯すわけには参りません。しかし、
気持としてはやはり国に尽くされた
傷痍軍人の方を今回除外することはこれはできないというので、今回特にそういうものも勘案して入れたわけで、表面と現実の問題というのは、
労働省においてはやはり相当深い意味で行政には
考えなければならないと私は
考えております。なお、母子家庭の
就職につきましては最近順調に進んでおりますけれども、私もややもすれば母子家庭の
子供であるがゆえに
就職が狭められている。いい、希望するところが、ややもすれば金融機関がときどき見受けられますけれども、金融機関はややもすれば母子家庭を好まないという風潮のあること、あるいは現実に二、三そういうことも拝聴しております。これは私は非常に大きな誤りだと存じております。これは私が申すまでもなく、各府県に条例がだいぶできております。全国で大体半数くらいの県は条例が私は、できておると存じます。母子家庭に対する親がわりに都道府県知事がなるという条例ができている県が全国で半分くらい私はあったと記憶します。そういうふうに
法律が必要だということは、やはり何となしに
就職が狭められているという事実は否定するわけには参りません。従って、今後もそういうことはよく私どもの方の行政面においては取り入れながらやって参りたいと、私は心から
考えております。今日まではその方向に沿って行政は行なわれつつご
ざいます。