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1960-05-19 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十九日(木曜日)    午前十一時一分開会   ―――――――――――――   委員異動 五月十八日委員大矢正君及び安田敏雄辞任につき、その補欠として久保等 君及び小柳勇君を議長において指名し た。 本日委員久保等辞任につき、その補 欠として江田三郎君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 惠市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            小柳  勇君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省医務局次    長       黒木 利克君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    大蔵省銀行局特    別金融課長   磯江 重泰君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○医療金融公庫法案内閣提出、衆議  院送付)   ―――――――――――――
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動を御報告いたします。五月十八日付をもって、大矢正君及び安田敏雄君が辞任し、その補欠として久保等君及び小柳勇君が選任されました。  御報告をいたします。   ―――――――――――――
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 医療金融公庫法案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑に入りまする前に、お手元に資料の配付がございましたので、その内容等について、政府委員説明を願いします。
  4. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その前に、医療法参考資料に、日本の医療問題の膨大な非常にいい資料を出しておるのに、これをなぜ出さぬのですか。
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの点もあわせて資料説明の際、答弁を願います。
  6. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) それでは、資料が三部提出してございますが、まず「医療金融公庫貸付条件基準」というものがございます。これから先に説明を進めていきたいと思います。  厚生省大蔵省医療金融公庫貸付条件基準につきまして話し合いのできましたものがこれでございまして、この基準に基づきまして、今後、公庫が設立をしましたときに、公庫当事者厚生省大蔵省で、この細目をきめて運営をすることになっております。この細目は、業務方法書、主として業務方法書に規定をされるわけであります。  そこで、第一に利率でございます。利率は、「病院診療所等の新増築資金については年六分五厘を基準とする。」「機械器具購入資金及び運転資金については年九分三厘を基準とする。」大蔵省との間の解釈では、病院診療所等の新増築資金の場合は、六分五厘が最低と申しますか、最低のこれが基準である、六分五厘以下にすることは考えられないということでございます。それから機械器具等購入なりあるいは運転資金につきましての年九分三厘というのは、これは最高限度である、従って、これよりも低くすることがあり得る、こういうような解釈でございます。なお、六分五厘と九分三厘の基礎になりました考え方は、全体の初年度における原資が二十九億五千万円でございます。そのうち二十億は預金部資金でございますから、これが六分五厘で借りて六分五厘で返さなくてはなりません。残りの九億五千万円、これで公庫人件費等をまかなわなくてはなりませんから、そういうことから一つ条件がきまってくるわけでございます。それからもう一つは、この六分五厘の融資の資金ワクを全体の何割にするかという問題がございまして、一応こういうような病院診療所等の新増築の場合の資金を三分の二予定をする、残りの三分の一を機械器具なりあるいは運転資金等に充当する。そうして計算いたしますと、六分五厘と九分三厘の利率になるのでございます。これは、今後、資金需要等を見まして、この資金の配分をどうするかということによってこの利率が少し変わってくると思いますが、つまりこういう病院診療所等の新増築の場合の資金をたとえば二分の一にする。そうしますと、機械器具購入資金等利率九分三厘からうんと下がってくるわけでございます。これは、どちらにするかは公庫当事者がきまってから相談をするというような含みを残しておるのでございます。  それから次に、償還期限でございますが、「貸付資金種類に応じ設備資金については五年乃至二十年以内、運転資金については三年以内の範囲で定める。」とございますが、この二十年というのは、耐火建築の場合でございます。それから木造が十五年というふうにして大体二十年から五年以内で設備資金についてはきめる。運転資金については三年以内できめる。大体こういう大ワクをきめたのでございます。  それから据置期間でございますが、「貸付資金種類及び償還能力に応じ最長二年以内の据置期間を設けることができる。」これも設備資金の場合あるいは運転資金の場合でこの据置期間が違うのでありますが、最長を二年以内、限度を二年にする。  それから償還方法でございます。「割賦償還または定期償還方法による。」割賦償還と申しますのは、毎月あるいは四半期ごとに分割して償還をするという方法でございます。定期償還というのは、据置期間が過ぎまして一ぺんに支払いをするという方法でございます。どちらの方法でもよろしいということにする。  それから次の担保でございます。「原則として担保は徴するものとし、不動産その他の資産をこれに充てる。」  「原則として保証人をたてさせるものとする。」これはこの一と二は、またはでございませんで、担保も取る、同時に保証人も立てさせるということでございますが、問題はこの「原則として」という表現でございまして、場合によりましては、担保を取らないあるいは保証人を立てないということもあり得る。たとえば少額の場合とかその他この「原則として」というのを厚生省側としては活用したいというので、こういうふうな表現にしたのでございます。  それから六は、貸付形式でございますが、「証書貸付とする。」これはそのほか手形の貸付とかあるいは債券を買ってもらうというような貸付方法があるのでありますが、ここでは公庫の例によりまして証書貸付だけとしたのでございます。以上が貸付条件基準でございます。  それから次は「医療機関整備投下資金調」という二枚刷りの紙がございますが、これは昭和二十九年から三十三年度までに医療機関、これは公私医療機関に対してどれだけ設備資金投下されているかという推計でございます。だいぶ推計がございますが、一応ニ枚目の表をごらんいただきますと、昭和三十三年度投下資金総計とございますが、年間二百九十五億七千四百万円が公私医療機関に対して設備資金として投下をされていると推計をされるのでございます。その内訳及び年度別の推移は一欄ございますが、これは特に御説明するまでもないと思います。  それから次は、医師とか、看護婦とか、歯科医師とか、そういう人たち需給計画の調べでございます。これは昭和四十年を一〇〇とする医療機関整備計画というのがございますが、これに合わせまして昭和四十年までにこういう医療関係者需給計画がどうなるかという推計をしてみたのでございます。  第一表は医師関係でございますが、左の欄にAとございますのが医科大学卒業する予定者数でございます。大体定員は二千八百五十名程度でございますが、定員をオーバーして大体三千四、五百名の卒業予定される、そのうちBというのは国家試験合格をする者の数でございます。これが大体予定者数に〇・九八四%をかけたもの。それから離職者というのが離職したりあるいは引退をするもの、これは〇・〇一一をかけております。そこで、推計従事者の純増加分というのがDにございます。大体毎年二千五百名から二千名程度。それから次のEというのが現実に実働しております医師の数でございます。三十三年度が九万七千三百名でございますので、これが先ほど申しましたDの純増加数を加えると実働医師数年度別に出てくるわけであります。それからその次のFの欄は、現実診療に従事する医者、これは〇・九四九をかけたものでございます。それから一方、先ほど申しました四十年までの医療機関整備計画によりまして、医療法基準に当てはめまして、どれだけ医師が必要かという数がこのGでございます。三十年度は八万七千名余りになります。そこで、このFとGの差が過不足になるわけでございますが、それによりますと、大体七千名から六千名程度の数が当初においては過剰ぎみになる。ただしこれは、全体の医師数が十万人近くございますから、その一〇%程度にも満たないのでありますから、これは過剰とか不足とかいうことであげつらうだけの数字ではないと存じますが、一応医師昭和四十年までの医療機関整備計画と大体マッチができる、こういうふうな推計ができました。それから今度は三ページが歯科医師数推計でございます。これは左の方の卒業予定者数は同じでございますが、この三十一年から三十四年までがその実数でございます。以下はその平均をずっと、三十五年以降は三十一年から三十四年までの大体平均をとったのでございます。そのうち国家試験を通って診療に従事するものが次の欄。それから三番目が離退職者の数。それで推計従事者の純増加というのが出てくるわけでございますが、そこで、その次の欄が推計診療従事者の現在数、昭和三十年では二万九千四百二十二、それに純増加分を加えて参るわけであります。四十年までの数字でございます。一方、医療機関整備計画との見合いというよりも、むしろ歯科医師の場合は、歯科医師一人当たり人口がどれくらいかということが一応目安になる。大体医療機関整備計画では三千人に一人当たり歯科医師が必要であろうというような推計をいたしておりますが、そうしますと、その一番右の欄にございますように、大体三十一年から四十年まで三千名近くの人口に対して一人の歯科医師が充当できるような数字になりまして、歯科医師につきましても大体昭和四十年までバランスがとれるのではなかろうか、こういうふうな推計をいたしました。  それから次は、歯科衛生士、七ページに歯科衛生士需給というのがございますが、この歯科衛生士の適当な数は幾らかというのは、まあいろいろな考え方があるのでございますが、大体歯科医業に従事する歯科医師の数と同数である。これは八ページの備考に書いてございますが、大体歯科衛生士の数と歯科医師の数が同数であるということが各国とも理想とされております。しかし、当面の目標を歯科医師の二分の一くらいの歯科衛生士にするということが適当であろう。ところが、現実にはこの表でごらん願いますように、わが国においては非常に少ないのでございまして、大体昭和四十年度末における推計をしますと、歯科医師百人に対してわずかに歯科衛生士は六・四人でございます。これは大いに今後需給の面からバランスがとれておりませんから、ふやす必要があるという数字でございます。  それから次は、九ページに歯科技工士需給、これは表でございませんで文章にしておりますが、この歯科技工士の現在までの数は八千九百名でございます。ところが特例技工士というのがございまして、過渡的に従来歯科技工をやっておった者のうち、これから試験を受けて歯科技工士になる者の数が、推計で現在まだ試験を受けていない者が三千五百名でございまして、そのうち三分の一だけが免許の取得を希望しておる。そうしますと約千名でございます。それと先ほどの今までの歯科技工士試験合格者の数が八千九百名でございますから、合わせますと約一万名が昭和三十五年度末に歯科技工士がおるということになります。そこで歯科医師との数は、大体歯科医師の四分の一から三分の一が適当と考えられるのでございます。そこで、歯科医師の数は先ほど申しましたように、三万三千人でございますから、歯科技工士養成は、歯科医師年間養成定員六百五十名の四分の一ないし三分の一程度でよいと考えられますが、現在歯科技工士養成施設が全国に五カ所あり、その定員が百四十五名でございます。当分の間はこの程度養成で何とかバランスがとれるのではなかろうか。問題は地域的な養成施設の配置の問題が将来残る、こういうような推計でございます。  歯科衛生士と申しますのは大体女性を予定しておりまして、医師の指示のもとに何と申しますか、歯のあかと申しますか、歯の掃除をしたり、そういうような歯科衛生関係仕事をあるいは予防の関係仕事任務といたしております。歯科技工士というのは御承知のように、義歯を製作をするということを主とした任務としております。  それから十ページに、看護婦准看護婦需給計画というのがございます。これは実は四十年までの需給計画では、一番右にございますように、プラス、マイナス複雑でございまして、なかなかバランスがとれないのでございますが、実は四十五年ぐらいの、これから十年ぐらいの計画ではこういうバランスがとれるような計画がございます。なぜ四十年でこういうようなことになるかと申しますと、看護婦の数と准看護婦というものの数を大体パラレルにする。看護婦一対准看護婦一の養成を将来計画をいたしておりますが、そうなりますと、四十年で切りますと、こういうような看護婦の方は数が多いけれども、准看護婦の方が非常に足りない。だんだんまあそういう点の是正を四十五年までにしていこうというので、こういうようなアンバランスになっておりますが、プラス、マイナスはそういう理由でございます。そこでこの表のⅠは病院病床数がどんなふうにふえていくか、これは整備計画に基づいて必要な増加病床数を四十年まで出したのであります。それに対しまして有床の診療所の今度は数、無床診療所の数、その関係数字をⅡの欄に出しました。それに見合り医療法に基づく必要な要員の数というものが三番目にございますが、このA、B、CとありますAは看護婦、Bというのが准看護婦、Cというのがその総計でございます。そこでこのIVというのが年の当初の大体見込み数といいますか、看護婦准看護婦の三十年当初の見込み数、それに対してこのⅤは年間離職予想数引退をしましたり、結婚しましたりして看護婦をやめる、それをこのⅤの欄に書きました。Ⅵの欄が今度は養成所看護婦なりあるいは准看護婦卒業する、そのうち病院なり診療所に就業する見込みの数でございます。それからⅦは年の末における、年度末における就業見込み数、これはここに書いてありますようにⅣからⅤを引いてそれにⅥの欄の数字を足したものでございます。それで最後の表が、年度末における看護婦なり准看護婦過不足数でありますが、たとえば三十四年度におきましては二万名あまり看護婦はオーバーする、それに対して准看護婦は二万五千名足りない、こういうことになりますが、それは先ほど申しましたように、これは現状の数でございますが、それを看護婦の方をだんだん減らして、むしろ准看の不足分をふやすということで、四十五年までにバランスをとれるようにしよう、こういうことでございます。しかし、総計で見ますというと、三十四年度は四千二百九十八名が要するに不足だということでございますが、全体の数が十五万七千でございますから、これも大して足りないというような数ではないと思っております。  それから次は、保健婦需給計画というのが十二ページにございます。第一の表に需要数というのがございますが、これは大体人口五千人に対して一人の保健婦を要するというような算出の基礎を採用いたしました。それから養成所数が次にございますが、それから卒業生を出す今度は養成所数、その次は卒業生公衆衛生事業へ就職する見込みの数、これは養成所卒業生の八〇%が公衆衛生事業に就職するという推定でございます。現在実働しておる者がこのⅢにございますように、昭和三十四年度が一万二千名あまり、それから消耗数というのが引退したり、あるいは結婚したり、そして職場から離脱をする者でございます。そこでこのⅤに稼働見込数というのが出るわけでございますが、そうしてみますと、大体五千名程度三十四年度においては不足をする。これを四十年まで見ますと、大体四十年末では千五百名ぐらいの不足ということになります。  それから次は、助産婦需給計画でございますが、この助産婦需給計画需要数は、保健所は昭和三十四年度現在数を基礎として一カ所四名の助産婦が必要である。それから病院はこの備考に書いてありますように、産婦人科を標榜する病院が二千四百六十ございます。そのうち分べん室を所有するものが二千四百四。そこで施設最低に必要な助産婦が一カ所四名といたしますと一万名あまり必要となる。  それから次は、助産婦需要数でございますが、開業助産婦はこの「備考」の下から二番目に書いてございますように、四万七千名三十三年度末におりますが、これらの助産婦平均年令が五十五才でございます。病院への移動というものは事実上困難だ、これはまた、地区内家庭分べんの取り扱いの必要数は十分だということで、開業助産婦はこの数には入れておりません。それから診療所助産婦は、これも必要な助産婦が二百名不足しておりますが、これの充実につきましては、開業助産婦嘱託制というものも考えられますので、一応診療所の必要な助産婦というものもこの需要数には計上いたしておりません。その数が大体一万名前後ということになるのでございます。それに対する需給計画が次にございますが、省略をいたしまして、最後の欄にその過不足数がございますように、約三十四年度五千名程度不足、それが昭和四十年ぐらいになりましてもなお三千名くらいの不足ということで、これは全体の数が一万名近くでございますから、これはかなり助産婦というものは不足いたしまして、助産婦養成はこれから意を用いなくてはならぬ、こういうような推計でございます。  最後に、十四ページに「診療エックス線技師需給計画」がございますが、これは必要数がここに書いてございますように、大体七千名から八千名程度でございます。これに対して現在稼働しておる者が次の欄にありますように、六千名から八千名程度過不足で三十四年度が七百名、四十年度は二百名ということで、これもだんだん、バランスは四十年度までにはとれる、こういう推計でございます。  それから医療法関係資料は、実は医療法の一部改正参考資料として一応配付してございますが、いずれ医療法の一部改正の御審議を願うときに再度また提出いたしたいと思っております。
  7. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 私、ただいま御配付賜わりました資料のうち、貸付条件基準のその中の利率の点についてちょっと伺いたいのでございますが、委員長よろしゅうございますか。
  8. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) はい、簡単に。
  9. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 きわめて簡単に伺います。  (一)の六分五厘を基準とするということ、これが最低、それから(二)の九分三厘を基準とする、これは最高、こういう御説明でございましたが、一方は最低の線を表わし、一方は最高の線を表わす、ちょっと他の法案等に見られない形式をとってあるのでありますが、これに対しての何か特別な御意図がおありなのか、この点を伺いたいのが第一点であります。  なお、第二点は、六分五厘といい、九分三厘といい、公定歩合等の引き上げまたは引き下げ等によりまして、市中銀行のこうした利率もいつも変動を免れないのでございますが、このお示しになった利率によって貸付を受けられましたものは証書に記載されたる利率を、いつまでもそうした金融情勢と無関係にくぎづけにずっと経過をせなければならぬものかどうか、この点が第二点。  以上、二点だけを伺いたいと思います。
  10. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいま御質問の金利の点につきましてお答えいたします。  第一の点、六分五厘が最低九分三厘が最高というような考えであるかどうかという点でございますが、厚生省の方からどのような御説明がありましたか存じないのでございますが、資料として提出いたしましておりますものの気持は、六分五厘、九分三厘というものは一応の基準目安という程度に考えておるわけでございまして、具体的に幾らにするかということは、金融公庫ができました上で理事者が決定されることになると思います。それでただ、本年度医療金融公庫採算等から見まして、低いものは六分五厘程度、高いものも九分三厘程度でやっていかないと採算上うまくいかないというような点もございまして、気持の上では大体そのような気持でいかざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。ただ、具体的にそれと全然もうびた一厘一分も違わないようにぴたりときめるのだということになりますと、ただいまそこまでお答えする段階にはないのであります。  それから第二の点につきまして、将来、金利を動かすかどうかという点につきましてでございますが、この金利政府関係金融機関金利の中には、大きくいいまして二通りございまして、一つ市中金融等は、かなりいわば量的補完という点を中心としておりまして、中小企業金融等は大体そういう面が多いわけでございますが、金、利はまあ市中金利あまり較差のないところ、もちろん市中金利より低いわけでございますが、あまり較差がなく、市中よりは幾らか低い程度というようにきめておるのが一つでございます。それからもう一つは、純然たる政策的立場に立ちまして、非常に市中金利なんかと比べまして、著しく低くきめてあるというようなものでございます。そこで医療金融公庫につきましては、六分五厘と九分三厘と二通りの基準ができておりますが、一つ九分三厘の方は、現在の中小企業金融公庫及び国民金融公庫金利と同じでございまして、これは市中金融金利とかなり相関的に考えてしかるべきものである。従って、御説のように、公定歩合変動あるいは市中金利の動きによりまして、こういうものにつきましても弾力的に考えていく、市中金利が将来相当下がっていきますれば、こういうものにつきましても考えていくべき性格のものである。それから六分五厘、それは市中金利の方に比べまして、はるかに低いわけでございますから、それからまた資金といたしましても、長期の資金でございますので、市中金利が下がったからといって、それに応じて、スライドして直ちに変えるというようなことは考える必要はないのではないか。しかし、もちろん気持は――そういった一般の金融情勢ないしは金利情勢というものとの相関関係あるいは他の公庫金利というものとの関連において考えていきたいという気持でございます。
  11. 勝俣稔

    勝俣稔君 ちょっと関連事項。年六分五厘を基準にするというのですから、これは厚生省側に伺いますが、基準だから、またこれを低いところも今のお話でも最低とは言っておらないのだ、こういうようなお話なんですが、私は無医地域に対しての、この貸した場合の、無医地域診療所を設置する場合に貸すときには、いま少しく低くするというような話をちょっと聞いておったのでございますが、これはどうなんでございますか。
  12. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) この利率の問題は、公庫ができまして、公庫当事者大蔵省厚生省できめるのでございます。そこで厚生省としてはできるだけ安いに越したことはない。特に無医地区等に対しましては、六分五厘よりもむしろ低くしてほしいわけでございますが、ただ初年度におきまして、まだそこまで話がつきませんので、一応無医地区についてはその後の情勢を見た上でこの利率の問題について再検討しようということで、初年度はこの六分五厘でやむを得ないというようなことで話し合いをいたしておるような次第でございます。
  13. 勝俣稔

    勝俣稔君 そうすると、医療金融公庫というのは、無医地域の問題は何も考えない。財政上の余裕ができるまでは考えない。で、無医地域については考えないでスタートしたというふうに考えていいのですか。
  14. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 六分五厘というのは非常に低利でございまして、この償還期限の二十年というのは、非常に有利な貸付条件でございますから、無医地区等もこういう低利、特別に長期の融資によって幾分でも解決の資になるというような判断で――実はこういうような長期低利ということで条件をきめたわけでございます。
  15. 勝俣稔

    勝俣稔君 それでは、いま一度、六分五厘というものは、現在十分やっていけるところの人には、これはいいのだろうと私は思うのですが、無医地域の方もこの六分五厘で安いからやっていけるというならば、私は今のほかのところはもう少し利率は高くてもいいのじゃないか。私はどういうわけで無医地域ができておるか、その隘路はどこにあるかと、いろいろな点はあるでしょうけれども、少なくともこういう点に魅力がなかったならばいけないじゃなかろうか。だから今のような話を聞いておると、医療金融公庫というものは、無医地域の解消はこれだけによるんじゃありませんけれども、もうほとんど関係がないと言われても仕方がないじゃないですか。どうも私はその辺のところはちょっと考えがおかしいのじゃなかろうか。私はそう思いますけれども、いずれまたあとで、こうならばまたあとで質問しなくちゃならないことが出てくるだろうと思いますが……。
  16. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 一応厚生省としては、年六分五厘で償還期限を二十年という長期にいたしまして、運営してみまして、それで無医地域の、無医地域といいましても、こういうような貸付条件では設置もできないようなところにつきましては、これは公的機関でやるなり、あるいは特別に何らかのほかの対策で解決をしませんというと、医療金融公庫だけでこれを解決するのは無理だと思います。ただ、初年度こういうような条件で運営してみて、事実上、金融の対象としてもう無医地区の解消ができないということになると、私はやはり貸付条件が問題になると思います。その場合には、関係方面と折衝いたしまして、無医地区の解消に役立つような条件に是正をしたい。初年度におきましては、ともかくもこれでスタートしてみる以外にはない、こういうように考えております。
  17. 勝俣稔

    勝俣稔君 私は、国保も強制をやっておって、そうして無医地域の解決問題を明確に政府が立てないで、あるいは巡回診療あるいは何とかという程度で、そうしてやっていくということは、私はどうも政府としては非常に不親切じゃないか、強制徴収でございますから、そこで薬を買えば、薬屋へ行って買ったものは診療のあれに入りませんのでございますから、ただいたずらに、保険税を取られるというにすぎないものになるのじゃないか。どこまでも政府は無医地域の解消ということを、明確な線でお出しになって、これができる、できないはまたそのときの財政状況やらいろいろあるけれども、方針としては、少なくとも私は、その線で持っていかなければならないと思う。私は、ここでなぜこういうことを言うかというと、先ほどから申し上げておるように、ほんとうに無医地域のうちでも、あれです、そこへ行って開業するという人は特殊な人ですから、その特殊な人には、私は、今の六分五厘という普通一般のところで開業する人と同じで、お前行けといったら、これには医療金融公庫それ自体の今のようなやり方でいくならばそれは医療金融公庫は大きな、解決の方法ではなくしてむしろ盲点でありはしないか、こういうように考えるので、私はこれは大蔵省方面とも一つよくお話を願って、また、金融公庫の方の財政的のこともございまするから、ことしはこれだけの金ですけれども、来年になれば相当の金がまたふえてくるわけであります。その次にはまたふえてくると、順々にふえてくるのでございまするから、本年度はやむを得ない、来年度はこれはどの程度までいくのだ、こういうようなところを一つお考えを願って御処理を願いたいと私は思うのでございます。何も私は、医療金融公庫が無医村解決の唯一のものだとは申しません。直営の診療所もよろしゅうございましょうし、ひんぱんな巡回診療もよろしゅうございましょうし、場合によれば私は国の施設として置いてもいいのではなかろうか。何とかしなかったならば、この自由民主党としての金看板である国民保険に対しましてそちらの方の連中はみんな無医村であっても、命は命でございますから、ですからその点は、私はぜひお考えを願いたい、こういうふうに思います。
  18. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 大へん重大な問題でございまするので、私から答弁いたさせていただきます。  当初私どもは、無医地区に対しまして六分五厘以下のお話も出ておったわけでございます。でございまするから、この無医地区に対しまするところの私どもの対策としては、この考え方の根底にはお説の通りのような思想が多分に含まれているわけでございます。ただ、今年度は御承知のように、財政投融資が二十億と一般会計からの十億といったようなこういうような資金量のものでございまするから、ことしはとにかく一応六分五厘から九分三厘まで、こういうことで出発いたしてみるわけでございます。しかしながら、将来資金量がふえまして借入金によらざるところの一般会計からの出資等が十分ふえて参りますという、こういうような状況に至りましたならば、十分お説のような趣旨に沿っていきたい、かように考えている次第でございます。
  19. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、ちょっと厚生省に伺いたいのですが、今の無医地区、無薬局地区の解消の具体的な対策はほとんど厚生省がお持ちにならないという点については、先般の審議以来はっきりしているのでありまして、われわれ非常に不満に思います。ところで、この貸付条件基準、いろいろありますが、これは一体どういうことになるのですか。本年度にたとえば病院の新築、改造あるいは施設の改善、診療所のそれ、薬局のそれと、あるいは運転資金と、そういうものに一体幾らどれくらいずつのワクを考えておられるのか。  それからまた、同時に、今度は各都道府県地域ごとに、北海道から鹿児島に至るまで各都道府県に対してどれくらいのワク一つ考えているかどうか。この計画は当然私はなければならぬと思う。この計画がなくして、ただ行きあたりばったりに、最初だからわけがわからぬ。(「与党が知らぬのはおかしい」と呼ぶ者あり)いや、これは私はあとで言うことがあるのだけれども、最初だから、行きあたりばったりにして予定がわからぬ、まず申込申請を受け付けてみなければ何ともはっきりしたことは言えぬ、こうしたことでは、私は金の使い方はおかしいと思う。それだから、この点はどういうようなふうにこの業種別のワク並びに地区別のワク、どうせこれは案を立てましても実際やってみれば実情にそぐわないところも出てくるかもしれない、それは仕方がない。しかし、一応の計画は、案はあるべきだと思う。これを一つはっきり明示してもらいたい。
  20. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 業種別のワークの問題でございますが、これは病院診療所と薬局それぞれの利害関係がいろいろございまして、ここではっきり申し上げることも適当でないと思いますが、しかし、何らかのワクと申しますと変でございますが、何らかのやはり基準というものは必要であろうというので、先般御説明申しましたように、この五年間病院とか診療所とか薬局というものがどれだけ増改築したか実績がございます、その実績は一つの参考になるであろう、百三十億あまりの実績がございますが、その病院診療所でそれぞれの実績がございますから、これが一応の参考にはなると思いますが、しかし、はたしてこういうようなワクで公平妥当かどうか。あるいはこれはとにかく申請を、需要を確実にやはりとってみませんというとどうもやはり実情に合いかねるのではなかろうかというので、業種別の割当は、われわれとしては今のところは考えていないのでございます。ただ、地域的には何らかのやはりワク的なものは示さないと、各都道府県別になかなか運営上支障があると思いまして、この地域別なワクは示さざるを得ないい。この場合に私の方で考えております医療機関あるいは薬局の整備計画というものが一応ございますから、それがもちろん一つ基準になることは当然でございます。  それからもう一つは、増改築に対しましても融資をするのでございますから、すでにある既存の施設の数とかあるいは坪数とか、そういう既存の施設関係一つ基準になります。そこで今申しましたような整備計画と、そういうような各医療機関、薬局等の既存のものの実績と、こういうものが各都道府県別のワクをきめる場合の基準になる、その程度のことを今考えておるのでございます。
  21. 高野一夫

    ○高野一夫君 それはとんでもないことだ。これは業種別の判定ができずして、一体地域別の何の判定ができるのですか。従来のただ実績をもってパーセンテージを割り振るといってみたところで、今の勝俣先生のお話のごとく、それじゃ無医地区の解消が、北海道は特に必要である、東京はそうさして必要がない、こういうことになるならば、無医地区に申請する金を貸そうというならば、北海道の方はそれだけよけい金がかかる、東京の方は金が要らない。あるいは改造に東京の方はよけい金が要るかもしれない。こういうことになるのであって、全体の病院診療所がどれくらい必要とするか、薬局が必要とするか、しかもたとえば東京なら病院は要らぬ、それじゃ今度は病院の新設に金を出すところは石川、福井にしようじゃないかということになるわけであります。そこで、病院診療所の普及計画、そういうものが各地方ごとに違うはずです。それがはっきりわかっていないで、地区別のワクというものは私はきめられるはずがないと思うのです。  それから第一に私が申し上げたいことは、先ほど自民党、与党じゃないかというお話がまた出たけれども、われわれが与党で審議するときに、あなた方ワクを出したじゃありませんか。あれはうそだったのですか、あれはわれわれ党をだます材料だったのですか。業種別のワクが出た、それを一体何のためにお出しになったのか、そして何のためにこの委員会でそれをお出しにならなかったのか。そんなことはそれはいかぬのであって、私は内輪の話をここで申し上げたくないけれども、われわれはそういうような根拠が一応ある。間違っているかもしらぬけれども、一応の根拠を立てて厚生省はちゃんとそのワクを算定をしていると、こう信頼をしたから私どもはこの法案はまず大体において妥当であろうと、こう私ども思った。ところが、委員会は、先般予備審議をしている。最初から全然ワクはまだ考えていない、申し込みを受け付けてみなければわからぬ、こういうふうに言われる、そうすると、われわれが事前に与党として審査をしたことは何にもならぬということになる。これはそういうことではいかぬのでありまして、やはりそれは委員会においてはさらにより以上の材料と計画を出してその審議を求められなければ私はいけないと思う。この点は、これは一つ厚生大臣にも私は確かめたいのですが、そのときの材料等については、厚生大臣御承知ないかもしらぬから、これは医務局長なり次長からはっきりしてもらわなければならぬと思います。そういうような計画がなくして三十億なら三十億しか金がない、それは当時の割当の予算はもっと多かったでしょう、けれども、それは三十億に減らされた。その減らされたなりのまたいろいろとワクが当然出てくるはずです。これは最初からあなた方が基準をお考えになっておるはずです。ワクをお考えになったはずです。それをここに出して何のもんちゃくが起こりますか。それをここに出せばもんちゃくが起こるであろう、そんなばかなことはありません。そういうようなことを懸念して大事なワク計画を出さぬ、説明をしないという手はありませんよ。それで地域のワクだけは考える。そういう地域のワクは絶対に当てにならない。それこそ当てにならない。
  22. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 先般、資金需要見込額調というので、各業種別に各五カ年間年間平均がどれだけあったかという表をごらんにいれましたが、一応これが唯一のいわば資料でございます。ただ、従来金融公庫の実例をいろいろ調べてみましても、中小企業にしても国民金融公庫にしても、こういう業種別のワクというものはあらかじめきめていない。また、きめかねるというようなことを確かめましたので、一応業種別のワクをきめることは、先ほど申しましたこの資金需要見込額調を参考にする以外には、業種別のワクをはっきりきめるということはいかがなものかというふうに考えたわけでございます。ただ、全国的にこういう業種別のワクをこういうふうにきめましても、各都道府県別にきめないというとあまり意味がないことになります。ところが、各都道府県別に今度はまた業種別のワクをきめますというと非常に弾力性のないものになりまして、特に薬局等、今までのこういう実績によりますというと、非常に資金の而要額が低いわけでございますが、こういう低いところが各都道府県別に割りますと、ますます低くなりまして、非常に弾力性のないものになってしまおそれがある。そこで、各都道府県別にきめざるを得ない。業種別のワクというものは一応取りやめまして、都道府県別に、地域別に大ワクをきめて、その県の実情によって按分する以外には合理的な方法はないのではなかろうか、こういうような結論に達したのでございまして、これも各先輩格の公庫の今までの運営の実情を見た上でこういうことにならざるを得ない。もっと合理的な方法がありますならば、それに従うにやぶさかでないのでありますが、一応こういうふうに厚生省なり大蔵省で業種別にぎりぎりのワクをきめて、それを公庫に履行させるというやり方も実はあまり妥当ではないんじゃないかというので、以上のような方法をとったのでございます。
  23. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう時間がないから簡単に申し上げますが、いよいよもって不可思議千万、それはなおおかしいじゃないですか。たとえば今薬局の話が出たが、公庫からあまり借りていない。貸さぬから市中銀行から借りておる。病院診療所だってそうでしょう。開業医が金を借りたいと思っても金融公庫でどうだこうだとうるさいことを言う。中小公庫資金でもうるさいことを言うからめんどうくさいから、それから金を借りて開業やら設備改修やら機械購入やらやる。だから、その診療所の必要とする金も今公庫の実績よりももっと多いかもしれぬ。こういうわけでありますから、しかしながら、そうすると厚生省は、政府はこの公庫を作る法律を作って、そして公庫理事者ができて、理事者が全部勝手におやりになったらいいじゃないか、こういうことになっておる。今のあなたのおっしゃることを聞けば、それじゃ厚生行政の一定の方針も何もないのであって、これは厚生行政の方針に基づいた公庫法案なんです。それならば、まず厚生省が責任を持った一つの案をお作りになるべきです。それは地域別に業種をきめて、そしてやるのがほんとうだとおっしゃるけれども、全国的にまず見渡してみて、そうしてまた、地域別に見渡してみて、両方かみ合わせないで何で各業体に対する適切なワク、地区に対する適切なワクができるわけがないじゃないですか、これは僕は金融の専門家でもなんでもないけれども、金はしょっちゅうあちこち頼まれて公庫なんかに借りにいきますが、けれどもそんなあなた、いわゆる行き当たりばったりのことは、あとは公庫理事者にまかすというようなことは、私は厚生省あまりに無方針、無定見きわまると思う。第一、私どもはちゃんとワクの一応説明があったから、そのワク基準にして適当だなと思ったわけなんです。しかもそのワクもはずれるかもしれない、初年度は当初の計画通りいきませんよ、いかないけれども、ぴたっとすぐ当てはめるというのではなくて、多少のもちろん金融だから融通をきかしたらよろしい、何もこっちは十億、こっち五億だから、こっちは十億しか出せぬ、こっちは五億しか出せぬ、そんなものでないので、その辺はある程度の限界をきめてやってよろしい、きめて一向差しつかえないと思うが、しかし、ある程度計画性というものは、これはあって公庫にお示しになるべきだと思う。それをお示しにならぬで、これだけの予算と理事者諸君、この法律、これで随時申し込み申請に従って各地区に応じておやり下さい、無薬局地区、無医地区の厚生省の対策もへったくれも何も、それにはならない、行き当たりばったり、こういうようなことは私どもは非常にこれはまあ意外な感じがしてしようがないですがね。これは大臣、一つどうお考えになりますか、私の言うことは無理でしょうかね。
  24. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) まあ専門家の高野ざんのお話でありまして、これは常識的にはさように私も考えられます。当然この融資のワクというものにつきましては、私はこれから……、今具体的には明確なここにお答えはできませんけれども、しかし、大蔵省並びに厚生省並びに公庫が発足いたしまするときにおきまして、いろいろな各地区の特殊事情等も十分考慮に入れまして、そうしていわゆる医療金融公庫というものが一般開業医、あるいは薬局、こういうところに低利かつ長期の金融の便を与える、こういうことの趣旨に沿いまして、そうして私どもはそれをやはり融資の面におきましては、その方法等におきましてはきわめて弾力的に、しかも地域の事情等を考慮いたしまして融資準則とまではいきませんけれども、そういうようないわゆる事務的な運営等によりまして十分その御趣旨の線に沿うて考慮いたしていきたいと、かように考えます。
  25. 高野一夫

    ○高野一夫君 しからばこの金融公庫の精神はもちろんけっこうで大賛成なんですが、これを実行に移す具体的の計画、それを公庫理事者だけにまかして、厚生省はわれ関せずということはいかぬ。そこで大臣は十分さらに計画を立てたいと、こうおっしゃるから、しからば私はこれに条件と申しますか、希望を付しておきます。これは委員長はっきり一つ確認をしておいて下さい。これが実施期は七月でしたか、これが実施期いわゆる開始されるまでの間に、さらに詳細なる計画厚生省としてお立てになって、厚生省公庫に希望するゆえんのものはこうこうこういう点である、そして公庫理事会ではまた多少変わるかもしらぬけれども、厚生省公庫を作ってそして公庫仕事をやらせる、それは厚生省の方針にのっとるべきだ、そうすると、公庫でこういうような趣旨のもとに、こういう計画のもとに公庫理事者仕事をやってもらいたいのだという具体的の計画を、この公庫仕事が始まるまでに当委員会にはっきり御説明を願いたい。材料も一切御提供願って一つ具体的の計画をお示しを願いたい。これだけのことを私は条件を、希望を付しておきたいと思う。これがかなえられなければ、私は本法案については再度考え直さなきゃならぬ。
  26. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 関連……。私は今の午前中に配付されました資料関連しての大蔵省に対しての質疑というように聞いておったわけですが、非常に議論が発展して参った。従いまして、私も大蔵省関連必ずしもしないかもわかりませんが、ただいまの勝俣並びに高野両委員の御発言に関連して、まず最初にお聞きしたいわけなんですが、今日のお話では、自民党が与党として政府提案に対して事前に審議をなさるそのときには、あるワクを示してのお話があった。これは当然、われわれ無所属なり、野党の立場と違いまして、与党としての当然そういうことの審議をなさることはけっこうでありますが、今日の、今の時点においては当然そういうことがあったとすれば、われわれにも当局としては、実は当時はこういう考えで立案して、資金の配分状況はこういう考え方だったんだというようなことは、少なくとも今の段階ではわれわれも承知しなければ、何か非常にやみ取引をしておられるような感じを持って、ここに臨んだ限りは、自民党の委員の方々もわれわれも、国会議員として医療金融そのものを論ずるんだ、立案までの経過については与党はいろいろと注意をなさり、いろいろされることはけっこうなんですが、それを今日なお言われないんだという点については、これは非常な不満を私は持つ。当然この際明確に御説明を賜わる点が第一点。  それからもう一つお聞きしたいことは、ワクの問題が議論になっておりまするが、この貸付基準を拝見いたしますというと、利率のところで、目的別に病院診療所については年六分五厘、およそ三分の二を考えておる。金額といたしまして二十億円。それで機械器具購入資金並びに運転資金については、三分の一の十億円、こういう解釈ができるわけであります。今の御説明では。そういたしまするというと、需要によって、実情に即して運転したいんだとおっしゃいますが、すでに業態別にはワクもなければ、地域別にもワクもないが、目的別にはっきりされているわけであります。そうすると、今度、私はこういう疑問が出てくるのであります。先ほど勝俣先生の御質問にありました無医村対策の問題があります。私は、無医村対策の問題については、別の機会に、もっと長時間かけて根本的に掘り下げて、議論をしたいと思うのですが、少なくともこういうように目的別に病院診療所の新増築に二十億円を出すんだという限りは、これは字句にとらわれるようですが、これには改築はないわけです。そうすると、新増築分には、先般の御説明では、おおむね無医村に近い辺陬の地区の場合の診療所の新設は認めるが、過剰な地区においては新設は認めないんだとすれば、改築を過剰地区の医療担当者は希望するわけでありますが、それが現われておりません。また、この文書を見ますというと、病院診療所機械器具であって、薬局に対する字句はどこにもこれには出ておらない。もちろん本法の方には書いてございますが、そういうような事柄も、この基準をおきめになるときにもっと細心な注意を払ってもらわなければならぬと思うのであります。  そこで、もう一つの質問では、需要度を一応お調べになったか。医師会、歯科医師会、薬剤師会等に対しておよそこういう有利なと申しまするか、今までの市中の金融機関から借りるんでなくして、長期低利の融資を受け、そうして無医村の解消もし、国民皆保険の実を上げるについては各団体でおよそ需要量がどのくらいあるかというような御集計でもなさって、その上でこういうことを考えておられるのかどうか。この二点を一応お聞きしたい。
  27. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 第一の御質問にお答えいたしますが、実は、先般お手元に差し上げました法案の参考資料の八十七ページに「資金需要見込額調」というのを、表にしてあるのがございます。これは自民党の御審議のときに五十億の原資の場合の資金需要をどうするかというときの参考として提出をいたしたのでございます。ここにも書いてございますように、この資金需要見込額のこの調べを勘案の上、別途決定をするということで、一応これしか資料がございませんから、公庫資金の業種別の配分と申しますか、運営上の問題で詳細な事業計画を立てる等の場合には、これが一つの参考になる、有力な参考になるという意味で御説明を申し上げておるのでございます。従って、ほかに適当な資料がございませんから、業種別の配分をきめる必要があるとなれば、私はまあこれしかないのではなかろうか。ただ、先ほども申しましたように、全国的にこういうような業種別のワクをきめましても、結局はあまり意味がないのでございまして、やはり各都道府県別のワクということがどうしても最終的に必要になって参る。各都道府県のワクの中で各業種別にまあどうするかというようなことも、結局事業計画の細密なものには含まざるを得ないとは思いますけれども、これはまあ公庫自体が資金需要等を見た上でだんだんきめていく、また、事情によっては年度の途中において事業計画の変更もせざるを得ないと思いますが、運営上はそういうことでやらざるを得ない。むしろ個々の各個にわたる融資のワクの設定等は、利用者側の事情もいろいろあることでありましょうし、事実不可能ではなかろうか。そこで、一応の計画性のある融資をしなくちゃならぬことは当然でございますから、その場合の大体の基礎となるような資料として、この見込み額調べを実は参考にすべきであるということを御説明申し上げたのでございます。  それから第二の問題は、各関係団体に対しましては資金需要の調べ等についていろいろ調査の協力なんか御依頼をしたのでございますが、各団体とも的確なものはない。やはりこういうような過去の実績をもとにする以外にないわけで、しかし、現在各団体でいろいろな資料を集めてもらっておりますが、今のところはここにございます「資金需要見込額調」の五カ年間年間平均しかないということでやむを得ずこの資料によっているわけでございまして、各団体で詳細な資料ができ次第、これを事業計画あるいは資金計画等に織り込んで参りたいと思います。先ほど来の御質問で、こういう事業計画なり資金計画なりあるいは業務方法書公庫当事者がきめまして、主務大臣の大蔵大臣と厚生大臣の認可を受けなくてはなりません。もちろんこの計画年を立てる場合には、大蔵、厚生両省とも連絡をいたしまして事前にいろいろ詳細に打ち合わせばいたすつもりでおりますが、一応法律的には、公庫当事者計画を立てまして、両大臣の認可を得るという建前になっております。
  28. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今の質問の二点に対する御答弁でしたが、各団体とも的確な資料がないということですが、私はほかの団体は承知いたしませんが、少なくとも日本歯科医師会は全国都道府県歯科医師会に調査いたしまして、正確な需要量をプリントしたものを持っております。あるいはあなたの方から提出を求められたにもかかわらず出さなかったのか、その間の事情は存じませんが、おそらく他の団体といえども相当今日の段階では資料を持っているわけでございますから、至急にそういうものもおとりになって事業計画をお立て願いたい。  この機会に大蔵省の方にお聞きするわけでございますが、この医療金融公庫の代理店、代理行為をする場合……おりませんか。
  29. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 特別金融課長が出席しております。
  30. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 では特別金融課長にお伺いいたします。おそらくこれの取り扱い機関がきまることになるわけですが、あるいは中央においては一元的に一庫になるかもわからぬでしょうが、地方においては実情に即したやり方をいたしませんというと、これの貸付側にとって非常に不便を来たすことになり、従って、地方銀行等も活用することは想像にかたくない。先般来のいただきました資料によってもそういう理解ができるわけですから、そこでお聞きしたいことは、各団体が今日医療信用組合というのを作っている府県が相当ございます。これは問題なしにこれに取り扱いをさすということが、医療担当者の人格なりあるいは実収入の状況なり、過去の状況をよく知っているわけでございますから、きわめて正確な調査もできるわけです。安心して委託ができると思うのです。従って、そういう観点からこの医療金融公庫が発足するにあたって、最近とみに各府県でそういう受け入れ態勢を――医療信用組合を作ろうという機運が出てきております。ところが、一方、大蔵当局としては、金融機関の競合によって無用な競争、不然な競争、摩擦があってはいけない、また、金融の政策の上から混乱を来たしてもいけないということで、二十九年でしたかに一応そういうものは許可をしない方針に持っていかれて、知事に対してそういう通達が出ております。この際、新しくこういう医療金融公庫ができるというような事態に逢着した場合においては、そういう通牒が過去にあったといたしましても、今申し上げましたように、スムーズな本法の精神が生かされるような運用をするためには、当然そういう受け入れ態勢は私は認めるべきであろうと思うのですが、お考えなり方針をこの機会に承りたい。
  31. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいまお尋ねの点のうち、信用組合の今後の設立に関する方針自体の問題につきましては、実は私の担当でございませんが、信用組合につきましては御承知のように、一応各都道府県の知事が監督権を持っておる。それから政府といたしましては、中小企業庁と大蔵省が一応共管のような形になっておるということでございます。個別的にどうするかという方針はただいま私ちょっと申し上りかねるのでございますが、気持といたしましては、やはり金融機関が非常競合して弱体な金融機関ができるということは、大蔵省の目から見た場合、非常に好ましくないわけでございまして、やはり金融機関としましてできます以上は、しっかりした実体を持ったものができる。従って、すでに既存の金融機関で数からいっても十分であるというものについて、さらに新しいものができて弱体な運用を続けるしいうことは望ましくないわけであります。これが基本的な大蔵省気持はそういうことでございますが、個別的見た場合に、ことに信用組合等の場合に、そういった医療の関係の特別の信用組合を設立することが、その実体なり他との競合関係からいっていいかどうかというような点につきましては、個々に即して考えていくほかないのではなかろうか。この点につきまして、私としてはただいまこの席ではっきりした方針というものは申し上げかねる次第でございます。
  32. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 関連。先ほどの貸付基準ワク等について御質問がありまして、私もこれについて一応厚生省大蔵省の所見をただしておきたいと考えております。第一に、医療金融公庫の創設の目的がはっきりとこの際に確認される必要がある。と申しますのは、昭和二十六年に保険医の医療報酬引き上げに関して要求が行なわれ、その際に一円の引き上げで妥結いたしました。その際の医療担当者に対しまする優遇の一環として、この医療金融公庫を設立するということであります。従いまして、無医村対策であるとか、そういったような医療機関の配置という問題に重点を置かれるということは、どうも私は納得ができない。従って、こういった面もどのようにお考えになっているか。むしろこの低収入の中で、施設の改善もできないという当面の状態におる診療所の要求というものをまず満たすことも必要であると思います。従いまして、無医村対策は別途に、竹中委員の発言通り国が一定の補助金をもってこれに対応するとか、特別の施策のない限り、私は意味ないと思うのです。しかしながら、貸付の場合にこの無医村に対する施設に関する優遇というものは、利率の点で考えるということは当然であろうと思うのでございますが、その利率の優遇の点と需要の配分とを混同することは、私は間違いだと思うのです。この点につきまして一つはっきりとした所見をお伺いしたいと思います。厚生省大蔵省に伺っておきたいと思います。
  33. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 先ほども申し上げましたように、無医地区あるいは無薬局地区を直接解消するために、この公庫が重大な役割を果たすというほどの考えは、初年度においては資金関係から考えてはいないのでございます。お説のように、無医地区なり無薬局地区の対策は、その別途の対策というものを少なくとも来年度において講じなければならぬと考えております。ただ、先ほど申しましたように、資金の配分等の場合には、いろいろな配分をするための基準というものが考えられますが、少なくとも都道府県単位に資金をどういうふうに按分しなければならぬかという場合に、その地区における既存の病院診療所なり薬局の数というものがやはり一つ基準になるわけでございます。つまり増改築をするため、これを一つ基準にする。それからもう一つは、医療機関なり、あるいは薬局のいろいろ整備計画というものを国が今それぞれ作りつつありますから、これとのやはり関連は当然公庫が持たなければならぬ。そこで、各県別のそういう医療機関関係整備計画というものが、一つの配分の基準になる。大体少なくともこの二つは地域別の配分をする場合の基準になるのではなかろうかという意味で申し上げたのでございまして、単なる無薬局なり無医地区の整備計画だけではない、全体の医療機関あるいは関係機関の整備計画関連で申し上げたのでございます。
  34. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 私の質問しております要点は、その際のウエートの考え方であります。ウエートの置き方を聞いておるのであります。もちろん無医村に対して適正配置も当然考えられる。ウエートをどう置くか、これがはっきりいたしませんと、先ほど来の貸付ワク基準、どう配分するかという問題の解決がつかない、その点を一つ重ねてお尋ねいたします。
  35. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 資金の配分の場合に、何を重点に置くかということが確かに大きな問題でございますが、ただ、初年度におきましては、国会等の御審議、特に医療金融公庫資金をこういう点に重点を置くべきであるというようなお考えをお聞かせ願えれば、そういうことがもちろん大きい基準になると思いますが、厚生省としては、先ほど申しましたように、過去の実績とか、あるいはそういうような整備計画というようなものを勘案いたしまして、公正妥当にきめていこうというような程度でございまして、ここで今何に重点を置くかということを御質問がありましても、明確にはまだお答えは、実は当局としてはできないのでございます。御審議の経過によりまして特に重点を指向すべきものが御意見が一致しましたならば、それにもちろん従いたいと思いますが、先ほど申しましたような程度にしか考えていないのでございます。
  36. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 ただいまの次長の答弁は、そうであろうとと思うのであります。従って、基準があるというようなことを言われますので、議論が沸騰するのだと思う。従って、過去の各公庫の医療団体、関係機関に対します貸付の実績は、実績にならない。というのは、真に医療機関におきまして貸付を要求するようなものは、一般金融機関の対象にならない。従って、長期でない、力の弱い長期金融を可能としない条件あるいは担保力の少ない機関等には幾ら申請しても貸さない、この累積が過去の医療機関におきます貸付の実績であります。従って、これを貸付の実績として考えることは間違いです。そういうことを打開するために医療金融公庫の設置が必要とされるのです。過去の実績は実績とならぬということをはっきりと私は強調しなければならない。従って、基準がない。これから考えなければならぬ。たとえば竹中委員からも発言がありましたが、歯科医師会で要求しております需要額は八十五億円程度要求しております。従って、過去の実績から見ますると相当の開きがある。そのことをはっきりと確認しなければなりません。基金をどう立てるかということは重大問題だと思います。従って、それは一カ月におそらくこれはさような率が出るはずはないと思うのであります。これはここではっきりとしておきませんと、私どもはまた納得のできない資料を見て反論を起こさなければならない。この際、率直にこの新しい機関の運営については検討を加え、われわれもともに検討しなければならないと思います。従いまして、地域別にこれを配分するということになりますと、わずか三十億円のものを都道府県地域別に分けたものは、わずかに七千万程度のものに分散してしまう、そうしますと、一つ診療所を建てる場合にも、二、三千万円かかる。二つの診療所しかできなくなってしまうということも起こってくるのであります。従って、ただ地域的にこれを分けるということも問題である。また、貸付対象そのものを基準に貸すのがいいかというような二つの問題が起こるわけであります。そこで今度は、貸付の優先度というような問題が起こってくると思います。何に重点を置くか。そこで私は先ほど申しました通り、その優先度を置く場合に、適正配置を主体とするために無医村対策を唯一とすべきであるということは賛成できないということも言っておるわけであります。かようなことをさっきから議論を進めておるわけであります。こういったことはなかなか軽々しく決定は不可能と思います。しかしながら、問題は、この公庫の資本金なり、借入金があまりに少額であるということにも大きなネックがあります。従って、これがどう適正に考えようが、わずか三十億円というところに私は問題があると思います。将来の問題は別であります。そこで発足早々できましても、おそらく全医療機関はこの運営なり開始後の実態を見たときに非常に絶望を感ずると思うのであります。はっきりと今から予告しておかないと、ほんとうに二階から目薬という実態が起こってくる。しかし、ここに医療金融公庫ができたということは、重大な意味があると思います。これは大臣も御出席でありますが、この努力に対しまして満腔の敬意を表しております。また、関係当局に対しましても、事務関係に対しましても私は功を多としております。従って、この際にある一つ推計からくるものを見ますと、この金融という問題は非常に深刻であります。従って、過去の実績ということは実績でないということをはっきりと私は強調したい。この点について厚生省並びに大蔵省の所見を伺いたい。
  37. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 先ほど過去の実績と申しましたのは、実はこの五年間に、病院診療所なり薬局なりが一体どれくらい新設されたか。どれだけベッドが増床になったか。どれだけ増改築になったかという実績を年間平均で出したものを実績と言っておるのであります。決して資金需要の実績という意味ではございません。そこで、それに共同検査施設なり、あるいは特に無医地区というものはこれから新しく公庫は取り上げるわけでありますから、これは一応共同検査施設なりあるいは無医地区等のことである程度年間計画というものを出さなくちゃならぬと思いますが、それを加えて一つ資金配分の基礎にする、こういう意味で実績ということを申し上げたのであります。
  38. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 過去の実績につきましては、市中金融機関の医療機関に対する融資等につきましては、いいところに貸しておる。返済とか、金利の支払いとか、条件のいいところに貸しておる。従って、そういうものは実績じゃないのじゃないか。ほんとうに低利な金がほしいような医療機関、金が借りられなくて、そういう医療施設というものが十分整理されないでおるという実態ではないかというような御趣旨じゃないかと思うのですが、そういうところにおもなる金融機関の手の回らなかったところに低利の長期の金を貸していこうという趣旨でこの公庫が誕生するというふうに私ども理解しております。従いまして、本公庫の運営に対しましては、そういった御趣旨の意に沿うように気をつけて参りたいと思います。
  39. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 ただいまの御答弁の中で、問題は発足後に窓口金融機関、受託金融機関の取り扱いが非常に影響いたしますというのは、先般医療機関に対しまする災害復興融資が行なわれた。ところが、実際問題として窓口受託機関の扱い方というものは、やはり従来の実績というようなものを、取引実績というようなものが中心になったような傾向が多分にあります。また、当然この災害を受けました機関でありまする以上、すでにいち早く着手をしたものも当然この災害立法、金融のワク内にこれを振りかえることが必要である、当然であるにもかかわらず、依然として公庫本来の利息でこれを貸し付けておる。低利に切りかえておりません。こういったことは結局、いかに上から指示を行ないましても、受託機関の裁定によってそれが行なわれます。そこで、これを私どもは、この公庫運営の面で非常に重視しておるわけであります。先般、この法案につきまして私は意見を述べたつもりですが、要するに、そういった弱い対象に対して貸付を行なうためには受託機関に対して、この回収不能の場合、こげつき等に関する責任をできるだけ軽減しておかなければならぬというようなことから、むしろそういった回収不能の場合、全額公庫が負担する、窓口機関には負担をかけないというような議論もあったと思います。しかしながら、大蔵当局等の意見もあって、これが一応二〇%の危険負担をするということになったわけでありますが、この趣旨を十分一つ生かさないと、従来の金融機内と何ら変わらぬものになってくるのじゃないか、これはほかの方の相当例があります。また、このほかに貸付を行ないましても、その場合に歩積みを取るというようなことで、実際問題としては低利のものが必要以上に借りられないというようなこともあり得るわけであります。従って、この受託金融機関に対しまする大蔵省考え方、今後の指導のあり方等について一つ格段の私は御留意が望ましいのであります。この点につきまして少しく御意見を承りたいと思います。
  40. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいま御意見の点はまことにごもっともでございまして、私ども既存の公庫等の運営につきましても、その資金が要するに公庫本来の目的にふさわしいところに貸し出される、そのように運営されるよりに、かねがね公庫に通じまして、また、公庫を通じまして各代理店に対しましても指導をいたしておるところでございます。しかしながら、まあ、実際にはたびたび御指摘のありますような本来の目的に使われておらぬ、あるいは条件が不利になっておるというような事例が中にはまま見受けられるのでございますが、そういった点につきましては、すでに改善を要求いたしておりますし、ほんとうに公庫の金を必要とするところに、また、きめられた条件で出ていくということを適正に代理店が運営してもらうということは、私どもは一番重要なことだと考えておりまして、代理店に対しては、そのように十分指導するように今後とも注意いたしたいと思います。
  41. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 もう一点お伺いしたいのでありまするが、次に、資本金の問題であります。先ほども利率の問題でいろいろ御意見が出ました。当初六分五厘の平均利息の実施はできない、これは当然でありまして、わずかに資本金十億円、借入金につきましては、その根本的な建前から今後の運営におきましても平均六分五厘の金利が保証し得ない、七分四、五厘のものに平均なっていくということは当然であります。従って、これを解消するためには需要量を満たすため、また、金利の問題を解決するためにはどうしても資本金の増強、増加をはからなければ当然なりません。従いまして、明年度以降において年次計画でこれを増資することはよくわかっておりますから、できるだけこの近年において比較的、可急的すみやかに一つ増資を行ない、借入金のワクをふやすということが必要であると思うのであります。従って、それでない限りこの本来の低利という公庫の目的に沿わない面が出てくることになります。次年度以降における資本金の増額、借入金のワクの拡大増強について大蔵省はどう考えられるか、せっかく作りましたこの公庫に魂が入らぬことになりまするので、この点について一つの御所見を承りたいと思います。
  42. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 来年度以降の公庫資金がどうなるか、ことに出資がどうなるかという問題につきましては、具体的には財政事情との関連においてきまってくることでございますので、銀行局の立場として、それにつきましてはっきりしたことを申し上げられる段階ではありませんのでございますが、私ども金融公庫の、主務官庁としての立場、ことに銀行局として、金融機関の監督機関としての立場から申し上げますと、一たび誕生しました公庫でございますから、これが来年度以降も当然新規に事業を行なっていくということは当然でございまして、そのためには新規に資金を投入しなければならない、しかも貸出金利をかりに六分五厘といたしましたものを、来年からまた上げるということはできないわけでございまして、そういった低利の金融を今後引き続き行なっていくためには、どうしても出資資金の投入が絶対必要でございます。従いまして来年度以降につきましても新規に資金を投入する、そのうちどの程度になりますか、出資資金は当然に必要であるというのが私どもの見解になるわけでございますが、具体的にどういたしますかという点については、ただいま申し上げる段階ではございません。
  43. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 大体わかりますが、とにかく銀行局等におかれまして、その御熱意を持ってやっていただかぬとこの増強は不可能だと思うのであります。従って、われわれも来年度以降この増資計画については、近年において比較的多くある程度の需要量のまかない得るような線には持っていきませんと、作った精神が生きない、かような意味で、次年度のことを申し上げるのはどうかと思うのでありますが、その点、御意見を参考に聞いたわけであります。よろしくその線で、今後公庫に対する方策はやっていただきたい、かように考えております。
  44. 小柳勇

    小柳勇君 全般的な質問は後日いたしますが、きょうは今の委員の質問、答弁を聞いておりまして、厚生省並びに大蔵省の答弁が、そのときそのときには聞こえますが、全般的にずっと先日からの答弁を見てみますというと、支離滅裂であるので、大臣もおられるから、二、三質問しておきたいと思います。  第一は、公庫の方で資金の貸出を調整しない、こういうことを三月十日のこの社労委員会で答弁しておられます。これは私がこういう質問をしたわけです。「施設がもう十分だと厚生省で判定するようなところには、たとえば法人なり個人が融資を申し込んでも、それは厚生省で調整するということですか。」こういう質問をしたことに対しまして川上政府委員は、「いや、調整はいたしません。」というような答弁をしておる。すなわち医療金融公庫としては、個人なり法人が融資を申し込んだ場合には、厚生省として調整するものではないのだと、こういうことを三月十日の答弁では答弁しておられます。ところが、四月七日の資料説明のときの答弁では、黒木政府委員はこういう答弁をしておるのです。「過剰な地域には金融公庫から貸し出しはしない。」その機関は、医療機関やあるいは薬局が過剰な地域にはこれは貸さぬのだ、こういうことを答弁しておられる。今ずっと各委員が質問をしまして、その答弁の中でも、この利率の問題、佐藤委員利率を質問されました、その利率のときに、この無医村等貸さなければならぬところには低利で貸すと、大体六分五厘は最低限であるが、これは基準であって、その地域によって変わるのだということを言って、そういう答弁をしておられる。そういうことで、この原則を、基本を聞きますが、この金融公庫というものは、医療機関なりあるいはこれに貸し出しの範囲の人が融資を申し込んだ場合、この金融公庫が調整するのかしないのか、そのことからまず御答弁願いたいと思います。
  45. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) なるほど御指摘の点は御疑問があるだろうと、かように存じておるわけでございます。私どもに医療金融公庫の使命といたしまして発足するものは、先ほど申し上げましたように、開業医なりあるいは歯科医師なりあるいは薬局なりあるいは産院なり、こういうところに低利かつ長期の金融をすると、こういうことが原則ということになっております。それで先ほども申しましたように、将来資金量というものが大きくなり膨張いたしまして、そして運用面において、やはり地区の事情等によりまして、これが無医村地区に対しましても非常に考慮いたさなければならぬということは、これは当然でございます。運用面におきまして弾力性を持たせていきますけれども、この金融公庫の発足の使命というものの原則というものは厳としてきまっておる、こういうことでございます。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、医療金融公庫というものは融資の申し込みがあった場合、原則としてはそういう地域的なものをやる、厚生省の考える必要度、そういうものとは別に貸し出すものである、金がありさえすれば貸し出すものである、こういう原則である、こういうことですか。
  47. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 原則としてさようでございまするけれども、ただいまも申し上げましたように、地区の事情等によりまして、これは多少その面において、運用面において考慮する場合もございます。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 そこのあいまいさを、もう初めから終わりまでそういうあいまいさがこの委員会における質疑応答を混乱せしめておると思うのです。医療金融公庫法というものは、医者あるいは薬局などがそういう今非常に金融に困るのでこれを援助して、そして国民皆保険なりあるいは国の医療全般的な改善に資する、そういうものであろうと思うが、極端にいいますと、医療金融公庫ができまして、その公庫の役員が、医者なりあるいは薬剤師等が融資を申し込んだ場合に、自分の考えによって、判断によってそこに融資をしたりしなかったりするという現象が起こる、そういうことをやらせないと、はっきりそういう権限は公庫にはないんだと、こういうことを確認しておいていいですか。
  49. 川上六馬

    政府委員(川上六馬君) 先ほど私が調整をしないということを申し上げたということでございますが、この統制的な意味で調整するということはさしたくないと思っておるわけでありますが、たびたび申し上げますように、この医療機関の過剰な地区に対しましては、資金量も少ないことでございますので、そういうものに対しては一応貸し出さぬ、かような地区に医療機関を新設する場合におきましては、それに対しては融資をしない、しかし、過剰な地区でも、現在あるものが老朽化したために改築する、あるいは設備を更新するとかいう場合は貸し付けるというようなことは考えております。この法律の最初に書いておりますように、一般市中銀行からの一般融資が受けにくい者に対して融資するという、そういう方針でもございますので、代理店は全然そういう点の審査はしないかと申しますというと、それは本人の信用状態もありますし、また、許可しない場合、病院は許可制でございますから、そういうものに貸し付けることもむろんできないし、そういう面でこの窓口の方におきましても一応調査をしまして、そして代理店としての意見というものはつけ加えて公庫に申達されると思うのでありまして、最終の決定は公庫でいたしたいと思っております。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 この前の川上政府委員説明も大体そういう趣旨でございました。それで紛糾したわけけでございます。どういうことかといいますと、過剰な地域といいましても、そこは今は自由営業なんですね、医者というものは。ここには過剰な地域だから営業できないという法律がないわけです。そうしますと、ここに開業しようとする、その場合に、そこは過剰地域だといって金は貸さない。貸さないのはいろいろ部面がありましょう。厚生省がぴしゃっと基準をきめればいいのですよ。その基準を求めたわけです。ところが、はっきりした基準はないでしょう。ただ一つの案はできているのですよ。参考資料として出ておりますけれども、もうここは一ぱいでございます。ベッドの数やあるいは診療所の数や人口など出ておりますけれども、それは一つ基準でしょう。そうしますと、ここは過剰であると思うけれども、ここにはなお医者が開業すればもうかるから開業しようとする。その場合に、これを公庫として、もう少し言いますと、医師会などがこれを貸せと強力に言う場合があるだろう、あるいはボスがおってこれを貸すなと言う場合があるだろう。そういうことを心配しながら、この前、それでは一つ基準は何ですか。それからもう一つ、過剰でない無医村についてはあなた方が必要だと思っている、ところが、医者は行かないだろう、金を安くして六分五厘で貸しますと言っても。そういう場合にどうしますかと言ったら、一つの医務局案がありますが、無医村対策はまだありません。さっき高野委員が言われたのはそれだろうと思いますが、その基準というものは、あなた方は調整はしないと言われるけれども、若干調整しなければならない。これは申し込んでおる金だけで百三十億です、必要な金だけで。それで三十億しかないですから事実上は調整しなければならないでしょう。それを今高野委員は八月一日までに案を出しなさいと言っておるけれども、私はそういうことは逆であって、その法律を作る前にちゃんとそういうものは厚生省として八月一日までに案が出るのなら今出して、そして各都道府県別の融資のワクとかあるいはこういうところは無医村でありますからこうしますとか、ここは過剰地域でありますからどうしますとか、そのくらいの大綱くらいは委員に出して、そうしてこの法律を論議することが正しいと思うが、そういうことについて高野委員がさっき要請して言われましたけれども、私は要請でなく、それはまだこの法律を通すのは反対です。あなた方はもう少し具体的に説明になりませんとこの法律を通すことはいかぬです。それは今言いましたように、いろいろ金を借りようとするものが、金融公庫から調整されて非常に今医師会対厚生省以上の不明朗なものが出てきますよ。医師会の動きについても、われわれ第三者から言ったときに非常ににがにがしく思うことがあります。あるときは厚生省をやっつけるからそれはよろしいと思うことがありますけれども、こういうのがもう一つできますよ。医療金融公庫というそういう仕事がまたできます。従って、私はこの法律を出す前に、もっとあなた方から懇切丁寧に、私が今言ったようなことについて答弁を一つお願しいたいと思います。
  51. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実はここに差し出しました医療金融公庫貸付条件基準と、それから先ほど申しました資金需要の調べを勘案をして、資金計画を立てるというので、資金計画の一応大まかなことを差し出してあるのでありますが、実は従来の既存の中小企業金融公庫法とか、国民金融公庫法案の審議の経過を関係省に問い合わせまして調べましたところが、こういうようないわば業務方法署の詳細なことは、公庫ができて、公庫当事者と主務大臣とがきめるべきであって、法案の審議の過程におきましては、一応従来はこういうものを出していない、大蔵省、またそういうような先例がないということで衆議院の審議に実は臨んだのでございますが、ただ、衆議院の方におかれまして、やはり少なくとも業務方法書の基本になるようなことは出す必要があるという御要請がございまして、大蔵省と相談をいたしまして、お手元に差し出しました資料程度がきまったのでございます。従って、この基準によりまして、細目業務方法書できめるということになるのでございまして、一応この基準の範囲内で大体金融公庫の運営の大綱は尽きるのではなかろうか、こういうような判断をいたしておるのでございます。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 まだありますけれども、最後に、時間がありませんから大臣に一つ聞いておきたいのは、今の朝日新聞に、医療行政について毎日書いておりますね、続きものを。あれをお読みになっておるのかどうか。お読みになって、あの記事は一体厚生大臣として見てどう考えるか。無医村のこともありますし、お医者さんが非常に苦しい。スクーターを持っておらぬとやっていけぬというようなことまでいろいろ書いております。いろいろずっと医療行政について朝日新聞が続きものとして書いておりますが、お読みになっておるかどうか。なっておったら、あれを厚生大臣から見て大体妥当だとかあるいはあれは行き過ぎだとか、一つなにして下さい。私はあれによって関連して質問したいと思ってずっと読んでおりますから、一つ大臣からそれだけ聞いておいて、後日に質問を譲りたいと思います。
  53. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 読んだ面もありますし、読まない面もあります。一貫いたしましてあの記事につきまして御答弁を要求されましても、私といたしまして、ちょっと申しかねるわけであります。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 医務局長どうですか。
  55. 川上六馬

    政府委員(川上六馬君) 私も、お尋ねの文は一、二、三と出ておるのでございましょうかと思いますが……。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 そうです。
  57. 川上六馬

    政府委員(川上六馬君) 読むことは読みました。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 どうですか、担当者として。
  59. 川上六馬

    政府委員(川上六馬君) 非常に参考になると思っております。
  60. 坂本昭

    ○坂本昭君 速記とめて……。
  61. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    午後零時四十八分速記中止    ―――――・―――――    午後一時十六分速記開始
  62. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  それでは引き続いて質疑を行ないます。質疑のおありの方は逐次御発言をいただきます。
  63. 坂本昭

    ○坂本昭君 銀行局にお伺いいたします。  今度の医療金融公庫法案は、従来の、特にあなたのところの所管の国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、こういったものにならった新しい公庫法でございますが、これらを通じてすでに国民金融公庫法の第一条、あるいは中小企業金融公庫法の第一条、いずれも「一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、」あるいは「一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること」というふうな形容詞といいますか、説明がついております。で、今回のこの法案におきましても「一般の金融機関が融通することを困難とするものを」というふうになっておりまして、大体厚生省説明を聞いていると、これはあらゆる公庫法に通ずる、何といいますか、共通の形容詞であるふうな説明ですが、大蔵省説明を聞くというと、融通することを困難とするという点に重点を非常に置いておるように感じますが、これの意味について大蔵省一つ御見解を聞かしていただきたい。
  64. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 各種の政府関係の金融機関、特に金融公庫につきまして、一般の金融機関が融通することを困難とするものに対して、あるいは困難とするような資金を出すというような法律となっておるわけでございますが、これはそもそも金融の建前といたしまして、金融というのは大体一般の市中の金融機関がやる方がまず常道なんでございまして、政府の特別の金融機関でもって特別に財政資金をつけて金融を行なうというものにつきましては、これは一般の金融機関ではやれないのだという実態があって初めて、しからばこういう特殊機関を設立する必要があるということになってくるのでありまして、従いまして、法律におきましてもこの種の金融機関が存在するのは、一般の金融機関では融資ができない、そういうものを相手としての存立価値があるのであるということをはっきり法律の目的におきましても明示しておるわけでありまして、その場合の「融通することを困難とする」と申します点につきましては、一つ貸付を受けます者でございますが、これは信用力が薄弱である、従って、なかなか市中の金融機関では相手にしてくれないというものがございます。これは国民金融公庫の対象には多いわけでございます。それからもう一つは、信用力という点ではなくてむしろ条件の点でございます。資金が非常に長期にわたる、あるいは低利の資金でないとその事業の性質上採算がとれない、こういうものでございまして、こういうものはやはり市中の金融機関でありますと、期間もそれほど長くならぬ、あるいは条件につきましても一般の通常の金融でやるわけでございますから、そういった条件の点におきまして、一般の金融機関が融通しがたいというものがあるわけでございます。大体そういったいろいろの面から見まして、一般の金融機関では融通しがたいというものが公庫の対象として取り上げられるというのが基本的な考え方でございます。
  65. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうすると、その困難ということの中に、たとえば償還能力償還の可能性あたりが非常に乏しい、そういうことも入ってくるわけですか。
  66. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 金融でございまして金を貸し付けするわけでございますから、やはり償還されるということは当然の前提でなければならないわけでございます。ただ、償還の見通しにつきましてこれはもう全く安全であるというものか、あるいは事業の見込み等について多少不確実な要素がある、あるいは信用力について必ずしも万全でないという点がある。従って、一般の金融機関としては金融ベースからいうと多少むずかしいというようなものにつきまして公庫が貸すということになるわけでございますが、全然これはもう返る当てがない、初めから返る当てがないというものは、金融でございますからこれは初めから対象にならない、こういうことでございます。
  67. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは特にこの金融というものは、もちろんもうかることが本来の目的でしょうけれども、やはり再々大蔵大臣も言われるが、公共福祉のためというやつですね。だから、公共福祉のために特に非営利性のもとに基づいている事業、そういう場合にはその非営利性というような立場も場合によればこの「困難とする」という一つ条件の中に入って、全然もう戻らないということの場合は、これは例外としてそういう場合には、いわば優先的な貸付の対象となり得ると、そう理解してもよろしいですか。
  68. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 私が先ほど御答弁申し上げましたのは、営利性云々ということは申し上げなかったのでございますが、その営利的であるとか、あるいは非営利的であるということはやはりその採算と申しますか、あるいは融資を「困難とする」場合の条件いかんということを申し上げましたが、その裏から見た点もあるわけでございまして、非営利的ということは利益を追求しない、従って、採算ということのぎりぎりのところでやっていくものであるということになるわけでございますから、それからまた、医療の場合は別でございますが、いろいろ公共性なり非営利的な事業で、何といいますか、収入面が抑えられるという面があると思います。そういうものにつきましては、やはり経費の面をなるべく低くしていかなければならぬ。そのためには金利等も低くしていかなければならぬというような要請が伴うものがあると思います。そういった点につきましてもやはり融資を「困難とする」という場合には当然考えられる要素になると思います。
  69. 坂本昭

    ○坂本昭君 次に、この国民金融公庫法では十条に国民金融審議会という制度があります。これは中小企業金融公庫にはありませんが、今度の医療金融公庫にもありません。これはどういうわけで作り、また、どういうわけで今度の医療金融公庫には省かれておりますか。
  70. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 国民金融公庫はその目的にも書いてございます通り、国民大衆に対して資金を融通するという目的を持った機関でございまして、国民大衆と申しますのは、国民の各般にわたり非常にバラエティに富んでおるわけでございます。そしてそれらに対して融資を行なう機関でございますが、主務官庁といたしましては大蔵省が唯一の主務官庁でございます。従いまして、大蔵省がこういった国民各般の層に対しまして十分滲透し、そしてバランスのとれた金融を行なうというためには各部面の御意見を伺って、それを審議会の形で伺いまして、それによって運営していくということが適当であろうという見地から、このような審議会が特に国民金融公庫につきましては設けられておるわけでございます。で、今度新設されます医療金融公庫につきましては、すでに法律に明記されております通り、大蔵大臣のほか厚生大臣がその主務大臣となっておられるわけでございまして、その事業の主管大臣が、主務大臣が直接入っておられるわけでございますから、特に国民金融公庫と同じような意味での審議会というものを設ける必要はないわけでございまして、医療行政の見地からの意見は厚生省におきまして十分直接的に反映せられるわけでございます。もちろん厚生省がその場合におきまして厚生省独自の立場から、あるいは医療行政という見地から審議会を活用なさるということは別の形であり得ると思いますが、公庫の運営につきましての審議会というものは特に設ける必要はない、かように考えております。
  71. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは、今回の医療金融公庫の特殊性にかんがみて厚生大臣も主務大臣となっておって十分に厚生行政の実をこの金融公庫の働きの中に発揮させることができると、そういう見地のもとにこれはもう省かれる、そう理解してよろしいのですね。
  72. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) その通りでございます。
  73. 坂本昭

    ○坂本昭君 次に伺いますが、第四条に、これは先ほども問題になりましたが、「公庫の資本金は、十億円とし、政府がその全額を出資する。」この資本金の変更、増額、これが法律改正についてはここではすでに問題になりましたからお尋ねしませんが、増額の見通しにつきまして、特に大蔵省当局の見解を承りたい。
  74. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいまの御質問に対する答弁は、先ほど私が来年度公庫資金繰りがとうなるかという点につきまして申しましたことに尽きるかと思うのでございますが、本公庫は、今後とも事業を継続していくためには資本金の増額は、金融機関として当然必要になろうということを申し上げてお答えとしたいと思います。
  75. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは次の説明、二十四条の借入金の問題、これについてもおそらくは同じような御答弁が、先ほども申されましたが、特に伺いたい点は、今回は資金運用部資金から出されておりますが、今後もやはり資金運用部資金から出される、そういうことになるという見通しですか。
  76. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) 現在金融公庫等に対します財政投融資の原資といたしましては、資金運用部の資金と簡易保険の資金と両方あるわけでございます。従いまして、来年度以降も医療公庫に対しまする借入金の資金の原資といたしましては、こういった財政投融資の一般的な原資が考えられるわけでございまして、当然資金運用部資金ということが第一義的には考えられるのではなかろうかと思いますが、具体的にどういう資金を使うかということはそのときどきの、その年度々々の財政投融資計画との関連においてきまりますので、はっきりとして来年度どうするかということまでは申し上げられません。
  77. 坂本昭

    ○坂本昭君 大蔵当局に伺っておきたいのは、こういう医療という社会保障に関連する問題でございますが、厚生年金の積立金、あるいは来年から行なわれる国民年金の積立金、こういったものを特に優先的にこういうものに回し得るのじゃないか、これは純然たる大蔵省当局の意見として承りたい、いかがですか。
  78. 磯江重泰

    説明員磯江重泰君) ただいまの御質問に対しましては、私がちょっと御答弁いたす立場にはないわけでございますが、ただいまお話のございましたような資金は、現在のあれでいきますと、資金通用部の原資として考えられておるのでございます。それを優先的にどの程度ということにつきましてははっきり申し上げることはいたしかねるのでございますが、そういうようなことも考慮に入れつつ運用がなされるのであろうということを私の立場としては申し上げたいと思います。
  79. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは最後に、厚生大臣に伺っておきたいのですが、この公庫の役員が五名きまっております。七月の一日からこれは発足して八月十五日からたしかもう金融が始まる、そうしますと、あと一カ月ちょっとしかない。私も新しいこの厚生省仕事をやったことがありますが、発足の一カ月、二カ月前から関与しなければ仕事ができない、当然役員は私はきめられているのじゃないか、内定しているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  80. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 業務の開始はたしか八月十六日というように記憶しております。役員につきましては、これは目下この法案が通りましたならば、大蔵省当局とも相談をいたしまして、各種の事情等も考慮いたしまして、できるだけすみやかにまず当初理事長となる者を選定いたしまして、その後に逐次すみやかに決定いたしたい、かように思っております。
  81. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは、ほぼまあ人名をあげるわけにはいかないでしょうが、ほぼ内定の線のほどには進んでおられると私は思うのですが、その程度の準備をしていなければ、先ほど来他の委員からも指摘されましたが、いろいろな点で不十分な点が多い。さらにまた、この理事長、そういう人選においても不十分なことがあれば、いよいよもってわれわれとして安心ができませんので、一応その点をどの程度に進んでいるのかということをお聞きしておきたい。
  82. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 人事の点でございますので、どの程度まで進んでおるかということにつきましては、ちょっと申し上げられる段階ではございません。
  83. 坂本昭

    ○坂本昭君 きょうは、先ほど来、午前中からいろいろ各委員から意見が出されましたが、特にその中で無医地区に対する対策がないということは、与党の方からも徹底的に追及をせられた点であります。これはもう繰り返して申し上げることもありませんが、もう三十五年度の予算の中においても、特にこれは医務局長の所管のことでありますが、国立病院の整備についても基幹病院の整備はされているけれども、その他特に僻地における国立病院としての任務を達成するためのそういう整備費は組まれていない。また、公立病院についてもこれは六百床、特に無医地区に作られるべきであるにかかわらず、今年の予算は減っている。また、僻地診療所についてもわずか三十六カ所、さらに国民健康保険の直営診療所についても、これも昨年よりも予算は減っておる。口を開けば保険局の方では、巡回自動車だとか、巡回船だとか、あるいは厚生大臣は、保健施設だとか、そういうことを言われるけれども、全然予算はないのですよ。どこにも組んでいない。そしてまた、今度の医療金融公庫というものは、これは無医地区対策のために使われるものではないのであります。こういう無医地区の、人のいない、もうけにならない、非常利的と言うよりも、おそらく償還不能の地域に、この医療金融公庫を持っていって融資をするということは、これは国の怠慢だと思います。そういうところはずべからく公的な医療機関を配置させるというのが厚生省としての任務だと思うのです。そういうことを全然やらないで、こういう医療金融公庫法を出してこられるので、非常な皆さんからの反発を食うわけであります。これはおととい厚生大臣には意見を求めましたが、所管の医務局長はおられませんでしたから申し上げますが、イギリスでも、アメリカでも近年非常に膨大な医療計画というものを作って、どの国でも病院整備計画というものを大々的に作っている。たとえばアメリカの場合はヒル・バートン法という法律によって、たとえば僻地に対しては国の負担、それを非常に高める、そういうふうなことによって全部無医地区というものをなくしていく、こういう基本的な法律を作って、それでその年からやるのではなく、その計画的な地ならしをやっておいて、そして十年ぐらいでその計画通りに仕上げてしまう。こういう計画が実は非常に少ないと思うのです。もちろん次長から説明があった、たとえば医師だとか、看護婦あたりのこの需給がどんなふうになっているかというようなこともなかなかこまかい計算をしておられて、われわれとしてもこれは無視するものではありません。非常にいい御調査だとは思いますが、しかし、もっと大事なものが欠けているということだけは特に指摘しておきたい。特に高野委員から指摘されました二十九億五千万円のワクの問題について、これは私は非常な問題点があると思う。これについては方針は三つしかないと思うのです。一つは、厚生省が一定の原則に立った方針を立てること、その方針というものは、結局これを高野委員も、皆さんが要求しておられる最もこの段階において、国民皆保険をやろうとする段階において、この二十九億五千万円を有利に、私的医療機関に融資させるのに一番合理的な方法は何かという、厚生当局の皆保険並びに皆医療対策の上からできる一つのプラン、そうしてこれはだれが何と言ったって押しまくるより私はしようがないと思います。これが第一案。それからその次は、やはりここへ資金需給調査、例の百三十億というものを出してこられましたが、つまり過去の実績に基づいたものですね、結局これに基づいて、いろいろと各方面から御異議があるかもしれません。――あるかもしれませんが、一応この百二、三十億も要る中で、わずか二割三分くらいのはした金にしかならない二十九億五千万円です。これをどう分けるかということは、これはけんかになることはわかり切っている。だから、これを既成事実に基づいて按分するということだ。何ならこれはこれだということではっきり方針をお示しになったら、これでも私は納得できると思う。場合によれば、この既成事実というものは不合理だという御批判があれば、その批判に対するあなた方の反駁を作ればいい。医務局の説明を聞いていると、結局百三十億に対して今までのこの内容を見ますというと、たとえば病院関係が五十一億、診療所関係が五十億、歯科関係が二十三億、それから共同施設が十六億、薬局関係が四億と、大体こういう按分で二十九億五千万円を分けていけば一定の比率のものが出てくる。一定の比率のものが出てきて、それを今度あなた方のように三分の二を病院並びに診療所の新改築に回すか、あるいは二分の一を回すか、どっちにするかわからぬと言っていましたね。しかし、私はこれはけしからぬと思う。私は三分の二の原案をとるべきだと思う。というのは、あなた方の調査表を見ると、三分の二よりももっと多い比率で病院なり診療所の方が作られているというのを、半分にするというのは私は誤っていると思う。そういうふうな既成事実に基づいて二十九億五千万円を分けるのだ、こういう態度も私ははっっきりしていると思う。一番いかぬのは、全部あいまいのうちに厚生大臣の政治的配慮によってつかみ取りにして分けてしまうということですね。こういうことをしたら、もうこの次にはたたきつぶします。これは山本先生はひどく早くあげろということでしたけれども、一番おそろしいのは、この政治的な配分であって、こういうことをしたのでは、もう将来大蔵省の信用も失ってしまうので、これはぜひとも先ほど述べました厚生省のオリジナリティのある方針で押し切るか、あるいは既成の事実で押し切るか、いずれかをとるよりほかに道がないのではないか、それについて厚生大臣の御意見を一つ承っておきたい。
  84. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 公正かつ適正な運営を遺憾なくいたしたいと、かように考えます。
  85. 坂本昭

    ○坂本昭君 政治的配分はいたしませんか。
  86. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 政治的配分はいたしません。
  87. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、それは厚生大臣は厚生省の立場でやると言われるけれども、こういう状態の中で一日も早く推進しようというわれわれの考え、これは野党も与党もないと思う。そういうことはいつじゅうにどうするという、この委員会にどういう格好でやるかということを了解を得て、そうして実際に委員会で意見を聞いて、どういう工合に実施するかという問題は、もう少し具体的に言ってもらわなければそれは困る。
  88. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  89. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  90. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) これは先ほども申しましたように、主務官庁と公庫との間においてやることでありまするけれども、しかし、前提といたしましては、指導要綱をすみやかに私どもの方で作成いたしたいと考えております。今も大体において考えておるのでございまするけれども、先ほどから申しました、事務当局が申しましたのがまだはっきり皆様方の御納得がいかないような節もございまするので、すみやかにその点を、指導要綱を作らして皆様方に御提示いたしたいと、かように考えております。
  91. 坂本昭

    ○坂本昭君 そのことは、私たちが確認のできた配分の方式で融資をやるということになってもらわなければ、われわれとしては納得ができません。つまり公庫ではこの厚生省でできたその配分方式に従っていわば電気計算機でただ計算するだけで配分のできるような、そういうことにしておいていただきたい。この人がどうだから、あの地区はどうだからということでなくて、そこに客観的な条件で融資のできる、そういう指導要綱を作っていただきたい、そういうことでございますが、それでよろしゅうございますか。
  92. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 十分その趣旨の線に沿うて努力をいたします。
  93. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下ざい。    〔速記中止〕
  94. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。まず委員異動を報告いたします。五月十九日付をもって久保等君が辞任し、その補欠として江田三郎君が選任されました。   ―――――――――――――
  95. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま議題になっております医療金融公庫法案につきまして、他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。――御意見もないようでありますから、討論は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。   『異議なししと呼ぶ者あり〕
  97. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  医療金融公庫法案全部を問題に供します。本案を内閣提出、衆議院送付案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって内閣提出、衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許可いたします。
  99. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) このたびこの医療金融公庫法案を皆様方の御審議にお願いいたしまして、ただいま可決をいたしていただきましたことにつきまして、心から感謝をいたす次第でございます。  先ほどからの御意見等も十分尊重いたしまして、これが使命の達成、完全なるところの運営面におきまして十分なるところの努力をいたしたいと、かように考える次第でございます。
  100. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  本日は、これで散会いたします。    午後一時四十五分散会