○高野一夫君 この決議案が読んでおわかり下さる
通りに、非常に解説的になっておりますので、あえて重ねて詳しく申し上げる必要もなかろうと思います。ただ、
薬剤師法案に対する附帯決議で薬事衛生の文字の解釈を徹底せしめられたいゆえんのものは、薬事衛生という言葉がいつも問題になりまして、しかもばくとした今まで解釈が下されておったのでありますから、当
委員会、今日までの
審議の経過にかんがみまして、これを決議として明確にしておきたい次第であります。
次に、
薬剤師会の法制化は、実は質疑をいたしたいつもりで、時間がなかったのでやめましたが、これは当然
医療制度調査会においては、医師会、歯科医師会の法制化について問題になろうかと思います。当
委員会におきましては、この三団体の法制化はすでに数年前に衆参両院の社労
委員会で決議をいたしております。今日いまだなおこれが結社の自由を尊重する憲法の精神に反するというゆえをもって、いまだに実現を見ないところでございます。これも
薬局の
適正配置等と同じ範疇に属する問題でありますら、今後
厚生省は格段の
努力をされて、本問題の研究に当たられたいのであります。
次に、
薬事法案に対する附帯決議案。
まず、この
医薬品というものはむやみやたらに使うものでなくして、必要に応じてのみ使用させるのがほんとうであります。従ってまた、
品質保持のことも必要であるのでありますから、いたずらに
乱売等によって必要以上の購買心をそそる、そういうことは厳として慎しむべきである、こういう問題でございます。従って、しかも全国各地の
乱売が今日なお
政府の
指導努力にもかかわらず終息しておらない、ますます蔓延激化する傾向にある。これに対してさらに
厚生省は、的確なる
対策を至急に立てられたい。
また、この
薬事法においてはたびたび繰り返して申し上げた
通りに、卸売と小売業の区別がされておりません。しかしながら、
厚生省令をもってこの区別を明確にするとか、あるいはまた、ここに書いてありまする特別措置法を発動することによって卸売と小売の区別を明確にして、そうしてその
対策に誤りなきを期したい、同時に、この小売業者とメーカーあるいは卸との紛争については、当然この十五条に基づいて知事が調停あっせんに乗り出すべきであるけれ
ども、いまだかつてそういう例がないのである。これは
厚生省がもう少し注意をされて、大阪とか、名古屋とか、あるいは福岡とか、兵庫とか、東京、至るところにあるのに、なぜ知事がこの十五条を発動しないのかという点でございます。これも
厚生大臣は、今後は注意をして知事と連絡をとるという言明でございますから、当
委員会は強い決意をもってこれを
政府に要請をいたす次第でございます。
地方薬事審議会の設置も同様に適当な配慮をすべきこと当然でございます。
次に、特例
販売業は、これはしばしばここで問題になった点でございますから申し上げませんが、こういう兼業雑貨屋、飲食店、そういうところは兼業してわずかに一部分の
医薬品営業をやっている。従来の三号、四号の
ごときは、従来のものは特例
販売業としてそのまま継続してもいいが、今後はこの
許可の事項を見ますと、
基準を見ますと、相当制限することが可能でございますから、極力新規
許可をなさないように、ふやさないように
努力して、そうして特例
販売業は廃業、死亡等によって次第々々に減滅するようにはからってもらいたい。販売品目の限定はすみやかにこれは解決をする、そうしてさらに現在以上に圧縮をする、こういうことでございます。
また、部外品もこれまた問題になった点でございまして、これもあの中には当然
医薬品にすべきものが出て参ろうかと思います。従って、同じあそこに掲げてある、この条文に掲げてあるものといえ
ども、医薬部外品と
医薬品に回すべきものとをはっきりと区別されたいのであります。
医療用具については、
竹中委員と鹿島
委員からしばしば注文がございました
通りに、この定義が適切を欠いておりますので、セメントその他の用具にあらざる歯科材料も、とりあえずは含んでいるのだという解釈を徹底しなければならぬ。そして次の機会に、できるだけ早めに、この用具についての適当な言葉をあらためて
改正されたい。
第七の、本法三十九条の届出というのは、めがね屋等が届出制になっている。これは
許可制にした方がいいのじゃないかという
議論もなされているのである。そういう点についてあらためて
政府において検討されたい。
それから
薬局が都会に偏在している。先ほど来も、長い間御質疑がございました
通りに、都会に偏在して、
地方にない。まことに適切を欠いているのでございますから、これまた、憲法二十二条違反のゆえをもって、今日なお解決をしない点でありますけれ
ども、これも
厚生大臣の言明を信頼をいたしまして、この憲法解釈に率先して
厚生省が当たって、そして
適正配置が、
病院、
診療所等、ともに行なわれるように、そして
国民皆
保険の実が上がるようにしてもらわないと、先ほど来坂本
委員の
お話にも、藤田
委員の
お話にもありました
通りに、現在のままでは
国民皆
保険の実を上げることができないから、これをぜひとも実現をしなければならぬ。こういう
薬局の
適正配置をあげた次第である。
次の第九は、ある会社が新発売をいたしますると、労せずして他の会社がそれを模倣いたしまして、ただ宣伝
広告だけでもって競争をする。これが今日の
乱売あるいは生産過剰の原因を来たしている第一の
根本問題であります。これをまず防がなければならぬ。しかし、統制
経済でないから、生産統制をするわけには参らぬので、たとえばフランスの
ごとく、新発売品に対しては相当期間の特権を与えて、他社が模倣することを許さない。そういうような立法措置を講ずる、あるいはまた、製薬業者に自粛をさせる。こういうことをされて、そうしてまじめに金を使い、まじめに研究をして新発売品が出た、その会社がその新発売品によって
医療に安心して奉公することができるようにしむけなければならない、こういう
意味であります。同時に、
広告については、これまた申し上げるまでもなく、しばしば論じられておるところでありまして、現在以上に厳正なる
方法をおとりを願いたい、こういうわけであります。
最後の第十は、
医薬品の特許は製造
方法の特許にある。特に問題のあるのは、合成
医薬品の特許の申請でありますが、これがいつも三年、五年かかる。せっかく優秀なる
医薬品が研究されたならば、とたんにこれが
医療用に供せられて初めて
意味をなすのに、常に審査に三年かかる、四年かかる、五年かかるということでは世界の水準からはるかにおくれる。そうして外国の製品を輸入して間に合わせなければならなくなります。この点は特許庁の問題でございまするが、特に
厚生大臣の方から通産
大臣、特許庁長官に要請をされまして、特に合成
医薬品の特許申請に対しての審査の促進をはかられるように御配慮願いたい、こういう
趣旨であります。
以上が附帯決議の提案理由の説明でございます。