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1960-05-17 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————   委員異動 五月十三日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として徳永正利君を議長 において指名した。 五月十六日委員久保等辞任につき、 その補欠として江田三郎君を議長にお いて指名した。 本日委員江田三郎君及び小柳勇辞任 につき、その補欠として大矢正君及び 安田敏雄君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            徳永 正利君            山本  杉君            大矢  正君            安田 敏雄君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    厚生省医務局次    長       黒木 利克君    厚生省薬務局長 高田 浩運君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局医    療課長     館林 宣夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○薬事法案内閣提出) ○薬剤師法案内閣提出)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから会議を開きます。  まず、委員異動を報告いたします。  五月十三日付をもって平井太郎君が辞任し、その補欠として徳永正利君が選任されました。また、五月十六日付をもって久保等君が辞任し、その補欠として江田三郎君が選任されました。以上報告をいたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次は薬事法案並びに薬剤師法案、両案を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 薬事法審議もいよいよ最終段階に入ってきたわけであります。従いましてやや重複するきらいもありまするが、総仕上げの意味で、いま一応大臣なり局長にはっきりした御見解を承り、われわれも確認いたしたい点が二、三ございますので御質問いたしたい。  総括的に今回の薬事法を通覧いたしまして、あるいは薬剤師法を通覧いたしましてはなはだ遺憾に思いますことは、すでに過去六カ年間いろいろと論議され、あるいは十二分に協議された結果出されました法案そのものを拝見いたしますというと、何ら新鮮味もなければ、行政指導の点において積極的な指導理念も一向に現われておらない。もちろん法律でございますから表現の仕方というものは一つの規格と申しまするか、ひな形があるわけで、そのひな形から、こういった表現方法は困難であろうと思いますが、通覧いたしますというと、どうも行政理念に欠けるところがあるような感じを私はいたすのであります。もう少し積極的にものを考え、あるいはこうあるべきだ、特に日進月歩の薬学の進歩に対しましては、近い将来を考えた上での織り込んだ法律でなければならぬと、かように考えるわけであります。同時に、まあいい面と申しまするか、この法律を見まして私がもっともだと思いました点は、やはり現実を直視しておられまして、各種業態が分かれておりますが、それぞれの既得権を尊重なされまして、あるいは憲法にいう基本的人権というものを十分に認識なさっておられるという点は非常にわが意を得たという感じを持つわけでありますが、これにあまりに拘泥するということは将来に対する一つの見通しというものが何か不安と申しまするか、明確でないような感じを持つわけであります。その現われとして、まず第一に私がお聞き申し上げたいことは適正配置の問題でございます。本日いただきました資料によりましてもわかりますように、相当多数の無医薬局地区があるわけであります。千三、四百というものがあるわけでございます。これも今のように、二号業者以下三号と、それぞれの補助的な機関と申しますか、そういうことによって一応対策は立てられておるというか、対策というよりはむしろ自然発生的にそういうものがあるので助かっておるということは言い得るわけでございますが、そこで国民保険をいよいよ実施するということになりますると、先日来の議論にもありましたように、保険料を取っておりながら医者もなければ薬剤師もおらぬということでは、いわゆる保険料の詐取をした、詐欺的行為であると、言われてもやむを得ぬ。保険料を取っておきながら病気になっても医者にかかれない、薬を取りに行こうと思っても薬局がないしいうことは非常に困る。当然適正配置というものは皆保険関連して薬事行政の上からも行なわれなければならぬと思います。そこで今回の法律によりますというと、薬局に対して許可制をおとりになっておられる、あるいはその他の業態に対しましてもそれぞれ許可制をとっておられるわけでございますが、この許可制基準の定め方によりまして適正配置というものが浮かび上がってくるわけであります。その基準が一体どういうところに持っていかれるのであろうか。いわゆる職業の自由ということと関連いたしまして、非常にデリケートな問題であろうと考えますが、どうしても皆保険となれば適正配置が絶対必要である、そういう意味合いにおいてまず適正配置に関しまする御当局の考え方を再確認の意味でもう一回私はお聞きしたい。
  5. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今、お話のありました医療機関適正配置と申しますか、国民保険関連をして病院診療所、あるいは薬局適正配置の問題は社会保障達成上非常に重要な問題でございます。病院診療所についてはそれぞれの局において鋭意その適正配置努力をしておられるところでございます。薬局につきましては、いわゆる処方に基づいて調剤をするという意味において、やはりこの適正配置をはからなければならないという点については全くお話通りでございます。これにつきましては、先般来申し上げておりますように、多分に経済問題をやはり含んでおる問題でございますので、当委員会において御審議になっております医療金融公庫の活用はもちろんのことでございますが、今後の問題としては、やはりそれだけで十分ということではなしに、その他の公営薬局の問題であるとか、その他の問題を真剣に検討しなければならないと思いますし、またそれに関連をして予算措置等を要するものについては努めて努力をする覚悟でございます。  なお、この法律との関連におきしましては、御承知のようにこの法律によりましては構造設備及び人的要件というものを審査をいたしまして、保健衛生上遺憾のないようにするということが国の、この法案趣旨になっているのでございまして、その辺の運用につきましては、御趣旨の点に沿いまして十分気をつけて参りたいと考えております。
  6. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 ただいまの答弁の中で、私意外に思いますことは、先日もその議論が出たのですが、無薬局解消対策として医療金融公庫を活用する、利用するという御答弁があった。いずれこれは他の法律でございまするから、この医療金融公庫法案のときになすべき議論であると思いまするが、医療金融公庫にわずか三十億円くらいの金をとって、そうして無医村を解消する、無薬局地区を解消するんだというような、そういう考え方ではとうてい医療機関適正配置ということは私は望めないと思う。三百億、五百億の財源をお持ちになって、無医村解消、無薬局解消ということを考えるべきであって、すでに七十億前後の資金私的医療機関がすでに使っているようなときに、ここに三十億円、年間六十億円といたしましても、その金でもって新しい無薬局地区無医村地区まで含めた対象対策とするのだというような甘い、あるいは看板だけを掲げて実際、実態を伴わないような考え方で、薬事行政をして適正配置をするということは、私ははなはだ間違っていると思う。これは時間もございませんので、いずれ他の機会に議論したいと思いまするが、一応そういうことで、決して適正配置というのは達成し得ないということを私は御忠言申し上げておきたいと思うわけです。  この適正配置関連いたしまして許可制の問題なんですが、この前も私申し上げたのですが、二年という期限を限って許可をするということについては、どうしても私は納得いかない。やはりいつも医療機関というものが、薬局医療機関であるという限りは、他の病院診療所と同様に、医療機関と同等の扱い方をすべきだと思う。先日の御答弁では二カ年間の間に薬局構造の改良あるいはその他の老朽化等によって二年ごと監督の必要があるのだというような意味合いのことを私は承知したのでありまするが、病院診療所といえども、そういう議論がありまするならば一年あるいは二年ごと許可更新しなければならぬと思うのです。これは一たん許可をおろした限りは著しい変化のない場合はあくまでもいつまでもその許可というものは生きておらなければ、多額の資金を投じて薬局を開設した、二年ごとにその薬局閉鎖命令がくるとか、あるいは許可がおりないのだとかいうことであっては不安であって、私は薬局を開設し得ないと思うのですが、その点、適正配置関連して許可制のことをもう一回、なぜ二カ年にしなきゃならないのかということについてお聞きしたい。
  7. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今のお話の点は、病院診療所については御指摘の通り許可あるいは登録更新という制度が今までないわけでございます。薬局あるいは医薬品製造業その他の販売業、その他まあ薬事法関係ではございませんけれども毒物あるいは劇物といったような、いわゆる薬事関係のものについてはこういう登録更新制度があったわけでございます。その辺同じ医療機関で違うのはいかがかと思うというお話ごもっともだと思うのです。その辺は多少一つには沿革的な理由もあろうかと思います。まあ何しろしいて申し上げれば、医薬品関係はいわゆる品物中心としたいわば制度であり行政でありますので、物的な関係その他について十分綿密な監督措置等を行なっていくという建前でこういうような制度になっていると理解をいたしておるのでございます。今までのように毎年これが更新をされるというのではあまりに短か過ぎるのでその辺を考慮いたしまして二年ということにいたしたわけでございます。もちろんこれが更新につきましては、その今のお話のように、二年限りの命というようなシビアな考え方ではなしに、実際上の運用については十分御趣旨の点をくみまして従来も参っておりますし、今後もそうしたいと思うのです。特にその更新を認めない、そういう場合には、これは聴聞その他必要な手続を要して念を入れるということになっておりますので、その辺は十分実情というものを考え運用して参りたいと、かように存ずるのでございます。先生お話根本制度についての御意見でございますので、この辺はそういう運用面等お話を申し上げても御満足をいただけない点もあろうかと思いますが、そういうような気持で参りたいということを御了承いただきたいと思います。
  8. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 おっしゃる通り満足いたしません。今の御答弁で、薬局品物を扱わせるからして綿密な指導なり監督が要る。病院診療所人間を扱う。同様にやはりそういう意味合いから申しますならば、厳重な指導監督が要るわけなんです。ですから今の御答弁では私は得心いきません。  なお、私が申し上げたのは薬局でありまして、医療機関がおもであります。製造販売業のことを申し上げたのではありません。薬局だけは、医療機関である限りは、他の医療機関同様に考えなさいという意味であって、製造販売業者その他のことをあわせて言っておるのではありませんから、その点はよく誤解のないようにして、将来十二分な行政上の運営を期していただきたい、かように思うわけであります。  これに適正配置なり、もちろん関連するわけなんですが、乱立乱売という問題は、先般来この委員会で問題になっておるので、今回の法律でもってこの乱売を阻止し、適正な価格でもって悪い薬でなくして安心して国民が正しい薬を正しい価格で入手できるというような指導が、この今回の薬事法によって確信を持てるかどうかという点なんです。どうも私この法文だけ読みましては、もう一つ医務局として、監督官庁として強い指導力なり、発言力がないように考えられるわけですが、そういう点は御自信はあられるのでしょうか。一応お聞きしたい。
  9. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 乱売は今お話のありましたように価格の面と、それからそれ以外の面といろいろな面がからんで参るわけでございまして価格の面につきましては、これは直接価格をどの程度にする、あるいはどの程度以下に下げてはならないという意味についての法律上の根拠というのは、もちろんこれはこの法案には設けておりませんし、それから経済上の法規としても、ごく特別の場合以外は価格については干渉をしない、まあそういうようなことになっているわけでございます。この乱売の問題につきましては、これは何といっても私どもの感ずるところによりますと、第一には配給秩序を正す、品物の流れというものを正常にするということが一番根本の問題であろうと思います。すなわち、第一にその経路の問題と、それから流し方、流す場合の価格を含めた、サービス等を含めた問題、これらの点につきましてはやはり業界におきます商習慣なり、あるいはその辺の取り扱いについての経済的な観点という問題が中心でございますので、一面においては業界自体においてこれらの問題を解決することを役所としては、十分支援をし、あるいは期待をし、また助言をしていく、そういうような態勢においてやっておるわけでございまして、先般来配給の場合におけるサービスの問題について、ある程度業界において話し合いができてそれを実施に移すべく、なお具体的な価格を含めたいろいろな問題について話し合いを進めている状況でございます。まあ私どもとしてはそういう方向を今後も十分指導して、あるいは支援をして参りたいというふうに考えております。なお、そういった経済上の秩序の混乱に処します最悪の場合のものとしましては、御承知のように公正取引確保に関する法律等によって措置する面もあろうと思います。これはいわば最悪の場合に処する国家権力の発動でございますから、事柄の性質上なるべく自主的に解決をするように役所としては、厚生省としては指導し、支援に力を尽くして参りたいと考えております。  それから乱売関連いたしまして、あるいは品物が悪くなるおそれがある、あるいはまた広告が常軌を逸した形になるおそれがある、そういうような問題が起こってくることも当然考えなければならないと思いますし、従って品質確保の問題については、たとえば今度の法律において製造番号あるいは製造記号を書かせる、あるいは正規の分量等を書かせるとか、そういったことによって品質確保については最善の注意を払っているつもりでございます。もちろん、これは法律上の制度だけで満足に達成されるわけではなしに、十分実際の取り締まりがこれに伴っていかなければなりませんので、この辺は行政運営において従来にも増して努力を重ねて参りたいと思います。それから広告等の問題については、先般来当委員会においてもいろいろお話を承っておりますし、私どもも大へんな広告の問題はむずかしい問題でございまして、一歩誤れば非常な行き過ぎた干渉になりますし、一歩退けば非常に乱に乱れますし、その辺のめどをどの辺にするかということは、行政上非常にむずかしい問題でございますけれども、しかし、薬の特質上非常に重大な問題でございますので、本委員会においていろいろお話を承りました点を尊重して、今後取り締まりの万全を期して参りたい、かように考えておるわけでございます。要するに、そういった、薬の品質その他と乱売に伴っていろいろ考えられる要素につきましては十分この法律を活用して、国民に不良あるいは好ましくない薬が流れるということがないように気をつけて参りたいと思います。経済上の問題については、できるだけ配給秩序を正すということの方向努力をいたしたいと思います。
  10. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 最後に、厚生大臣に対して御所見を承りたいと思います。  先般地方薬事審議会の問題が当委員会に出ましたときに、石原長官も列席なさって明確な御答弁がありましたが、当然、今申し上げましたように地方における薬事行政指導ということは非常に重大なのであります。末端の、地方における広告の問題だとか、あるいは薬事監視の問題、その他価格上の問題、いろんな問題がありますが、これを一地方行政庁だけの指導では、民主的な運営が行なえない。従って、今回の法律では、必置制でなくして、「置くことができる。」というような消極的な地方薬事審議会の承認のしようですが、従いまして、運営の面では必置制になるほど重要なものでございますからして、結果的には必置制になるような行政指導をぜひ御指導願いたいというお願いが一つ。これは御答弁要りません。  一つ答弁願いたいことは、今回の薬事法を見まして落胆した一つの大きな原因は、農薬関係のことが一つも出ておらない。従来農薬関係農林省所管でございます。また獣医さんが使う動物対象とした医薬品というものの製造販売等につきましても、厚生省所管なり農林省が扱っておるという実情であるわけです。行政簡素化、単一化ということが叫ばれておる、また実際に効果的に行政をするのには、そう複雑多岐であってはならないわけでございます。特に新時代に新しく薬事法を作るというこの段階においては、私は当然農薬関係等もこの法律案の中にうたわれてあるべきであろうと実は期待いたしておったわけであります。各行政官庁のなわ張り争いと申しますか、所管の問題が非常に困難であることはよく察知はできますが、非常に私は弊害が多いと思う。特に最近の新聞紙上によって見ますというと、農薬関係で一カ年間に千件からの事故を起こしております。五百数件の中毒患者農薬を扱ったことによって出ておる。そのうちで、二十六、七人の人が死亡しておるのです。また同じく農業関係の他の五百件は殺人等に使い、あるいは自殺等に使われておるということで、農薬というものは一般の医薬品劇薬と同様に危険性のある問題なんですが、一カ年間に千件以上の事故あって、そのうちの五百件が中毒、二十七人が死亡しておる、また自殺用に四百何十件これを使ったというようなことでは、農薬取り扱いというものをあまり今まで政府は軽く考えておられたと思う。当然この際薬事法の中に含めまして、厳重な農薬製造販売並びに配給使用上の行政指導権をお持ちにならなければ大きな問題が私は起きてくると思う。麻薬、劇薬、毒薬だけを医薬品、いわゆる医者の扱うものだけをやかましくおっしゃってもこういう大衆にすぐに手に入るような農薬をほっておくということは薬務局としてはおかしいし、厚生省としてもおかしい、それに対しましてどういうお考えを持っておられるかという点をお聞きしたい。突然の御質問であるいは御迷惑かもわかりませんが、一応所信をはっきりお示しいただきたい。
  11. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 竹中先生のただいまお話通り農薬につきましても、昨年一年間におきましては中毒が五百件、自殺行為を企てたものが六百九十件、その他合わせまして千三百件と、こういうふうになっておるような状況でございまして、われわれはできるだけ、すべての薬剤というものは厚生省で一元化いたしたいのでございますけれども、しかし、ただいま毒物及び劇物取締法によりまして、動物あるいは人体等に及ぼすものだけが厚生省で取り扱うことに相なっておるわけでございます。農林省におきまして取り扱っておるものは、いわゆる農薬関係のいわゆる虫類の殺害あるいは撲滅とか、こういう方面にいたしておるような次第でございまして、われわれは決してなわ張り争いというような考えは持っておるわけではございませんけれども、この行政上の便宜を計らいましてかように区別いたしておるような次第でございます。
  12. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 そういたしますと、行政上では現状がいいのだと、こういうようなお考えのよう——私は一つ規制手段としてそういう方法というのを今までとってこられたわけですが、こう農薬というものが普及、宣伝、発達して参りますというと、今までのような、在来の農薬に対する認識なり、行政的な感覚では私非常に危険が増大してくると思います。こうした点、あなたはもっと御考慮願って、これは一省の問題でございませんので、閣議その他で十二分に御検討賜わりたいと思います。ただ今の言葉じりをとらえるようですが、人間動物に関しては薬事法に云々とうたってあるから、こっちでやるのだということなんですが、獣医師の使いまするいわゆるけだものに対する薬というものの製造販売というものも薬務局指導監督下になくして、農林省にあるように私聞いておる。この法律人体並びに動物とあるわけです。看板に偽りがあるような結果がここにきておるという点、私ははなはだ遺憾に思う。  なお、時間がございませんのでその点と、もう一つ、私最後に申し上げておきたいことは、今回の法律案を見まするというと、先般指摘いたしましたように、用語がきわめて不明確である。機械器具の中に材料が入っておったり、いろんな点がございます。やはり用語というものを十二分に厳選してお使いになられませんというと、せっかくの法律も死ぬわけですから、また誤解を招くわけであり、国民に不安を持たすわけでございますからして、こうした点につきましては前回大臣も御答弁になりましたように、そういうふぞろいのところは他日他の単独立法等によってこれを補う、あるいは正しい姿に戻すということで御答弁いただきましたから私満足いたしておりまするが、どうかそういう点につきましてもいずれ後刻附帯決議等においても出されると思いますが、一つ政治的な責任において御善処を賜わりたいということを申し添えまして私の質問を終わります。
  13. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  15. 山本杉

    山本杉君 総括的な質問でございますので大臣に伺ってみたいと思いますが、今度のこの薬事法改正というものは、この前にも申し上げたように、新しい医療制度の確立を目ざして、公衆衛生、それから医療の体系的な整備というものをはかろうとしていらっしゃるわけなんでございます。そうして、その中で薬剤師さんたちのプロフェッショナルな社会的地位の向上ということが目ざされていると思うのでございますが、それにもかかわらず、逆行的なにおいがあるということをこの前申し上げたのですが、きょう、その一つのことを伺ってみたいと思います。それは、薬というものは、必要に応じてのみ使用すべきものだから、乱売を取り締まらなければならない、それから、広告も制限しなくちゃならぬというこの趣旨は、はっきりわかるのでございますが、それなのに、なぜあの古くからある、前時代的な配置販売のシステムというものをなくそうとなさらないかということなんです。これに対して、この前局長さんは、非常に複雑な業態だからというふうに言葉をにごしていらっしゃったと思いますけれども、こういう面を御改正になるおつもりはございませんか。一つ伺いたいと思います。
  16. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話の点については、いろいろ問題もあるし、それから御意見もある点だと思います。現実の問題といたしまして、やはり歴史的な沿革というものもございますし、それからそれに関連をして、実際に使っております者の立場というものもありますので、その辺のところを考慮いたしまして、根本的な変革を加えなかった次第でございますけれども、ただ問題は、これについてはやはり十分監督の行き届くようにしなければならない。すなわち、従来の形のままでございますというと、形式上の監督の責任と負担はありながらも、十分これを執行するに手だてが整っていなかったという点はあると思います。この点については考慮をいたしまして、たとえば三十二条の、配置員が配置販売に従事します場合に、その行く先々の地域でありますとか、あるいは日にちでありますとか、そういったことを出先の役所に届け出をしてはっきりしてもらわなければ困るという点でありますとか、それから、七十四条の「配置販売業の監督」で、実際上営業者は非常に遠くにおりまして、配置員が北海道であるとかあるいは九州とかに出ていくというふうな格好になりまして、従って、直接的な監督が、その配置員に対しても行なわれ得る体制にならなければ、薬事監視ができませんので、その辺のところを考慮いたしまして七十四条の規定を置いた。そういった実際上の薬の適正を確保するということについては、気を配って遺憾のないようにしておるのでございます。そういう考え方であることを一つ御了承いただきたいと思います。
  17. 山本杉

    山本杉君 もう一つ。ただいま歴史の沿革ということをおっしゃったのでございますが、私が伺っておりますのは、なぜ監督の条項をこしらえてまでこれを固持しなければならないかということなんです。薬局適正配置とか、公営薬局をこしらえるという時代に進んでおりながら、しかも、富山の広貫堂の実態を見て参りますと、すでにあたりまえな製薬会社になりつつあると思うのです。それなのに、小売と卸売の業態は、非常に厳格にここに取り上げていらっしゃると思いますけれども、その中で、どうしてこういう配置販売だけは認めなければならないのか、そこがちょっとふに落ちないものでございますから伺いました。もう少しはっきりするつもりがあるかないかをおっしゃっていただきます。
  18. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 御承知のように薬の製造の面、販売の面、日本の現状としては非常に進んだ面と、非常におくれたと申しては何ですけれども、それに追っついてない面と、製造の面についても、販売の面についてもあり得ることは、先般来当委員会においていろいろと御質疑のありましたことによっても、御理解いただいていることだと思うのです。配置販売については、これもいろいろ考え方があると思いますけれども、やはり一つの薬の消費者に対する供給の形態になっておることは事実でございます。それによって、国民の方が、特に交通の便が十分でないような所においてはなおさらのことでございますが、便宜をこうむっている面も相当ございますし、それらの点を勘案いたしまして、特別にこれによって積極的な弊害が、きわめて顕著であります場合には、これはさらに再検討等のことを考えなければならないと思いますが、現段階においては、今先ほど来申し上げた趣旨において一応これを適正な監督等が行なわれるような仕組みにして国民の便ということを考えてやっていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  19. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  20. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  21. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから再開いたします。  まず委員異動を報告いたします。五月十七日付をもって、江田三郎君、小柳勇君が辞任し、その補欠として、大矢正君、安田敏雄君が選任されました。報告をいたします。   —————————————
  22. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、午前に引き続いて薬事法案及び薬剤師法案の質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  23. 坂本昭

    ○坂本昭君 先般に引き続いて、広告に関する質疑を続けて行ないたいと思います。  この前の昭和三十四年の一月から十二月までの医薬品等に関する薬事監視状況、これについて内容的なことをお尋ねいたしましたところ、新しい資料で、一斉取り締まりによる薬事監視状況というものをいただきました。これを見まして、実は驚いたのですが、昭和三十三年に製造業対象としたもので、総件数が五百五十九件に対して、不適というものが百二十八件、二三%です。販売業者を対象とするものが四千三百七十件で、不適が四百七十五件、一一%。それから昭和三十四年度の第一回の一斉取り締まりで、製造業が六百六十四件で、不適が百七十八件、二七%。それから販売業が、二千四百四十九に対して、不適が二百三十七、約一〇%。非常に医薬品に関して不適事項が多いということですね。これは安心して医薬品を服用することもできない。これだけのことを監視していただいたことに対しては、敬意を表します。しかし、こんなに多数の不適事項があるということは、いかにこの業界秩序が乱れておるかということであり、おそらく二割も三割も不適が摘発されるというような、こういう行政指導は、もう基本的に間違った点がある、いわば怠慢があるのではないか。私はこれを見て、あらためて実は驚いたのです。さらに、広告については、どの程度調べられたかわかりませんが、広告などに至っては、おそらくなおあなたの方の怠慢が多いのではないかと思う。たとえば、この一斉取り締まりによる内容としては、備考に若干つけ加えてございます。しかし、私は、とにかくこういうふうなおびただしい不適事項があって、一体これの処置をどうしておられるのか。たとえば、前回の資料の中には、罰金三万円云々というような説明がついておりますが、一体どういうものに罰金三万円が課せられたか、そしてまた、告発の結果は一体どうなったか、それからさらに、薬事監視の一体実施要領はどういうふうにして行なわれているか、もう少し監視の内容についての御説明と御方針を御説明いただきたい。
  24. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず第一に、一斉取り締まりによります薬事監視状況でございますが、これは取り締まり対象とそれから実際の適不適の状況がどういう工合になっているかという御質問でございましたが、いわゆる随時地方において、あるいは国の方でやっておりますものについては、的確な資料が、数字が間に合いませんので、一斉取り締まりの結果をお出ししたような次第であります。一斉取り締まりの備考に書いてありますが、品目はいろいろな見地から検討をいたしましてきめて出すわけでございますが、その品目の選び方としては、やはり違反が多いとその当時認められるものを選ぶのが大体ならわしでございます。従って、全般的に見れば不適程度のひどいと考えられるものを対象にいたしておる、そういうふうにお考えおきをいただきたいと思います。  それからこの不適というのは、これは衛生試験所で検査をいたしまして、結局局方でありますというと、局方の規格に少しでも違ったものは全部不適にする。そのうちから行政上の処分をするものについては選択をしてする。そういうふうな仕組みになっておりますが、ここの不適になっておりますのは、そういう衛生試験所の試験の結果そのままでございますから、さように御承知おき願います。それからこれに対する措置でございますが、三十二年の第一回のものにつきましては、これは本来製造業者だけの分でございますが、このうちの程度のひどいもの二十一社に対しまして始末書を徴収したということでございます。それから第二回のものにつきましては、業務停止五社、始末書十六社ということでございます。その他のものにつきましてはいわば初めての違反であり、かつ軽微のものというようなことで、事実上の訓戒等はいたしますけれども行政上の措置はそういうことでございます。  それからその次の欄の十三年度の第一回のものにつきましては、始末書が三十三社、業務停止が八社ということになっております。  それからその次の二回目のものにつきましては、これはおくれておりまして、その次の回、三十四年度の第一回の分とあわせて現在検討中でございまして、近々のうちに処分を決定する段取りにいたしております。
  25. 坂本昭

    ○坂本昭君 薬事監視の実施の要領ですね、今のように第一回とか二回とか各年度に二回ほどありますが、その具体的な内容をもう少し説明していただきたい。
  26. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず第一に、どういう品目について一斉取り締まりをやるかということの品目を決定いたします。たとえば三十四年度の第一回につきましては、日本薬局方オキシドール、それから染毛剤の助剤としてのオキシドール、それから日本薬局方の苦味チンキ、硼酸軟膏、オーバクエキス、脱脂綿、それから国民医薬品集のマーキュロクローム液、それからマーキュロクローム液を主成分とする医薬品、それからコールド・パーマネント・ウエーブ用剤、それだけを選んで実施いたしました。これは大体局方が主でございますので、そういう問題はありませんが、試験の方法については、これは東京及び大阪の衛生試験所で行ないますので、試験方法の未確定のものについては十分検討して、両方連絡の上、確定をいたします。それから実施の措置としましては、製造業対象といたしますものについては、それぞれの該当の製造業者に対して府県の薬事監視員をして品物を抜き取らせます。そして今申し上げました二ケ所の試験所で行なわせます。それに基づいて内容的な試験を綿密に行ないます。それから地方販売業者を対象とするものについては、これは府県において厚生省の指示に従いまして、品物を抜き取って、大体においては当該の衛生検査施設、それで間に合わない場合には、国立の衛生試験所に検体を送付して、そこで検査をいたします。そしてその結果がわかりましたものについて、適、不適の程度、それからその後におけるたとえば設備の悪いことに対する改善のやり方、いわゆる改悛の情あるいは跡始末の問題をあわせて検討いたしまして、そのうちの程度の軽からざるものにつきましては、行政処分等の前提として、薬事法に基づいて聴聞をいたします。すなわちその業者の方から、業者の方の立場に立って有利な材料あるいは証拠あるいは弁明を聞きます。その結果として今申し上げました品物の適、不適あるいはその後の設備状況、その他を勘案して、行政処分をするかしないか、あるいはどの程度にするかということを厚生省において決定をして、たとえば行政処分等につきましては、それぞれの手続を経て実施をする、こういうような仕組みになっております。そのほかに一般の随時行ないますもの、特に薬局等について地方庁が随時行ないますものについては、そういう品物をきめて、いわゆる一斉取り締まり的なことをやらないで、随時行なうわけでございます。自後の措置については大体同じような措置を綿密にやっているわけでございます。
  27. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、不良薬品ということがわかった場合に、それがそのまま販売されて使用されたり、あるいは広告されたりするということは起こり得ないわけですか。それとも前回三十四年六月の場合などまだ現在検討中であるということになると、約一カ年間そのまま不良薬品が売られたり、使用されたり、あるいは広告せられたりする可能性が起こってくると思います。それについてはいかがですか。
  28. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) その点申し落としましたが、不良の品物につきましては、衛生試験所の試験の結果がわかりました後、業者に申しまして、そして回収等の措置をやらせております。従って、これはその品物あるいは状態によって違いますけれども、できるだけ不適格の医薬品が市中に流れるということを防止するための万全の措置はとっております。
  29. 坂本昭

    ○坂本昭君 その不良品の回収についてはどうも回収が不十分だというふうな、そういうふうな新聞報道もありましたし、これはまあ技術的にも困難な点が多々あると思いますが、今のように検査をしてみると二割から三割近い不適格品が出てくるというそういう事態なのですから、特に今後この監視については厳重に施行していただきたい。  それからなお、次に薬事法の六十七条の問題、竹中委員がすでに再三質問された点でありますが、どうも御説明に納得しかねるのでも一度お尋ねしたい。この六十七条に「危害を生ずるおそれが特に大きいものについては」云々というこの規定がありますが、この危害という言葉の意味ですが、これはどういうふうにあなたの方では理解しておられますか。
  30. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 危害についての薬理学的なあるいはその他専門的な話になりますというと、これはむしろ坂本委員の方が専門家でございますので、的確に御満足のいくお答えができるかどうかわかりませんが、私どもがここで考えておりますのは、この前から申し上げておりますように、たとえばザルコマイシンでありますとか、あるいはマイトマイシンでありますとか、そういうガン等を対象といたしまして、しかもこれらを普通に使用するにおいては相当副作用が激しいために現実にこれらの製薬許可にあたって一般用の広告というものをやらないというふうにいわば条件をつけて製薬の許可を許している、そういう程度のものでございまして、たとえば御承知のように、マイトマイシン等について言いますというと、副作用としては御承知のように、白血球の減少でありますとか、あるいは血漿板の減少に伴います出血の傾向でありますとか、そういうようなことがございますし、それからまた、ザルコマイシン等についても血管痛でありますとか、あるいはそれに類するような副作用がございますわけでございまして、そう言えばそれはほかの薬についても対象の、相手の特異体質等を考えればいろいろ考えられる点はあると思いますけれども、一般的に言ってこういうふうな相当顕著な副作用を伴うということが一般的であって、しかもこれを防止するのはやはり医師の相当な指導のもとに使わせなければ危害を生ずる、そういうふうな考え方でごくしぼった意味考えておるわけでございます。
  31. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、これはあなたの方では最初からガンときめたわけではなくて、「がんその他の特殊疾病」というふうに書かれてあるということ、並びに今の危害ということは白血球が減るとか、場合によれば赤痢菌に耐性ができて、そうして赤痢菌に対する治療が将来できなくなるおそれ、これもやはり危害のうちだと思う。あるいは糖尿病でインシュリンをさして低血糖を起こす、こういうことも重大な危害です。それから場合によれば高血圧剤の中にラウフォルミアから取るものの中には、飲んでいるとだんだん憂うつになって自殺をするという事例が実際にある。これなども危害というよりもともかく死ぬのですから、これは最大の危害です。それから場合によれば心臓病——心臓病でジギタリスを使う、これだって使い方を誤ると心搏の異常を起こして死ぬ場合もあり得る。あるいは腎臓炎の場合の利尿剤の使い方でもそうです。これはあげてくれば「危害を生ずるおそれが特に大きいもの」というのは幾らでもある。そうしてこの扱いについては、この間も諸外国の立法を見るというと、あなたの方の資料をいただいても各国とも詳細なその他の特殊疾病というものの事例をあげている。たとえばアメリカの場合は、この間あなたの御指摘もいただきましたが、アメリカの場合は盲腸炎、淡白尿、ブライト氏病——ブライト氏病というのは腎臓炎のことだと思いますが、結核、高血圧、ガン、ジフテリア、猩紅熱、性病、心臓病、天然痘、肺炎、腫瘍、腸チフス、胆石、ずいぶんこれはあげてあるのです、特殊疾病として。これはイギリスもカナダもフランスも西ドイツも、この資料をいただきますとかなり広範囲にわたっていわゆる「政令で定めるがんその他の特殊疾病」——「その他の特殊疾病」というところに重点を置いて記載している。ところが、あなたの説明を聞くというと、その他の方ではなくて、ガンの方にのみ重点を置いてあって、大へん失礼ですけれども、聞けばいつでも、ザルコマイシンと——それ以外のことをおっしゃったことはない。何かほかの薬を知らぬような印象さえ受けるのです。私は、これは当然せっかく今度できた薬事法改正ですから、「その他の特殊疾病」というところに重点を置いて、ここで明確に政令の中で規定していただきたい。そういう規定を私はしていただけるかどうか、そのことを一つお尋ねしておきたい。
  32. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この広告の問題については、先般来御指摘のように、外国に置ける取り扱いとわが国における取り扱いとかなり径庭があるのでございますが、これについては国情なりあるいは沿革的事由もございますので、それ相当な理由のある点もあろうかと思うのでございますが、この六十七条の適用につきましては、先般来私ども申し上げておりますように、現在これはザルコマイシンとマイトマイシンのみではございませんが、ほかにもたとえばカルチノフィリンでありますとか、そのほかアクチノマイシンでありますとか、ほかにもまだございますが、現実にガンなりあるいは白血病あるいは肉腫等に使いますこれらの薬について、製薬許可に際しまして薬事審議会の決定に基づいて一般的な広告を制限をしている、そういうものに限定をして考えているのでございますけれども、しかし、今後における学問の進歩あるいは科学の発達等に関連をいたしまして、これらのものについても六十七条を適用しない事態になることも当然これは考えなければなりませんし、それからそれ以外にも同じようなことに該当する場合もこれは絶無とは言えないのでございますので、こういうような書き方をいたしているのでございますが、私どもの気持としては、特にガンという病気の例をあげましたのは、これに類似するという意味でその「がんその他の特殊疾病」、そういうふうな書き方にしたわけでございまして、この点については、先般坂本委員からいろいろお話のありました点で、私ども考え方については御満足いただけない、意に染まない面があるということは私も十分推察をいたすのでございますが、日本における今までの沿革的な事由もございますし、一応私ども今申し上げましたようなふうに考えていることを御了承いただきたいと思います。
  33. 坂本昭

    ○坂本昭君 それは了承できません。今お尋ねすると、「がんその他の特殊疾病」という意味はガンその他ガンに類似の特殊疾病というふうな意味に六十七条は読んでくれということですが、そういう読み方は絶対できません。これは、「特殊疾病」というのは、ガンなどは確かに普通の病気ではありません。特別の病気であります。だからそういう点で「がんその他」と並べたのであって、この「特殊疾病」というところにはガンのような非常に重篤な、非常に危険な病気、そういう意味で理解するのであって、ガン及びこれに類似の特殊疾病というふうにはどうしたってこれは読めません。  それからまた、今私はアメリカの例をあげましたけれども、これはイギリスでもカナダでも西ドイツでも、大体アメリカのように各種のいずれも特殊疾病です。その特殊疾病については、いずれも医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいような病気です。どれも、結核でも、糖尿病でも、心臓病でも、高血圧でも、あるいはここには性的不能ということも出ておりますよ、インポテンツですね、みんな、そういうものについては広告における特別な制限、これはもう諸外国の常識になっている、あなたは二言目には国情によるというが、一体国情にはどんな国情がありますか。われわれ日本人もアメリカ人もソ連人も同じ人間です。同じように薬はきくのですよ。どこにも国情などあるはずはありません。また、あなたは、科学の発達によっては云々と言われるけれども、日本の医科学の発達はこれは世界のトップ・レベルです。トップ・レベルであるけれども、日本の広告とかそういうことについてはもう野蛮国の、ブラジルよりも以下の悪法によって支配されている。これが日本の特殊な国情であって、こういう国情は与野党いずれの人を問わず改めてしかるべきだと思う。だから、前回から広告については非常にやかましく言ってきている。ところが、あなたの方では非常に何か広告業者なりメーカーから圧力をかけられているようなそういう考えさえする。けしからぬと思うのです。私は、場合によったら新聞広告を新聞から消してしまってもいいと思う。それで新聞がつぶれるようならつぶれてもいいですよ。そのかわりわれわれは新聞代を上げたっていいですよ。別に上げたっていいのですよ。実はこの間広告を取り上げてからまたもう一ぺん、夕べ切り抜いてやろうと思ったら、私の、朝日新聞ですけれども、朝日新聞の医薬品広告がだいぶ減っているのですよ、きき目があったのかなと思ったのだけれども、だいぶ減っていますけれども、これはやはり取り締まりによって倫理的にもいろいろな面で減らすことができるのですよ。だから、その減らすことの私は具体的な措置を実はお願いしておるのであって、特にここに、一番最後に、「必要な措置を定めることができる。」というのだけれども、今あなたの説明を聞いておって、必要な措置は全然生まれてきっこないのですよ。一体どういう必要な措置をとられますか。今のお話だったら全然必要な措置——この広告の制限というものは何ら今後変わりっこないと思う。一つ伺いますが、この薬事審議会の中でこういうふうな六十七条が出てきたと思いますが、一体この薬事審議会の委員はどういう人で構成されていますか。大新聞や大テレビや、そういう報道関係の人も入っているのですか、委員の構成を一つ明らかにしていただきたい。だれがこれを任命するのだか、これは当委員会にもその審議会の委員の方がおられるかもしれないけれども、私はあえて申しますが、こんなでたらめな六十七条の理解というものはあり得ないと思うのです。一つこの薬事審議会の委員はだれか。だれが任命するか。一つ御説明いただきたい。
  34. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 任命は厚生大臣がいたします。それから人数は五十人でございます。それから構成メンバーには今のお話の新聞社等の人は、いわゆる普通、審議会等においてよくあります一般のそういう学識経験者というか、そういう意味でのなには、新聞人等は入っておりません。医師、これは内科、外科、各科医を含めた医師、それから薬学者、それを主体として構成をいたしておりますし、そのほかにももちろん薬事に詳しい人も入っておりますし、それから多少のメーカーも入っておりますけれども、大体の主力はいわば医学者ないし薬学者ということになっております。
  35. 坂本昭

    ○坂本昭君 では、それらの医学者や医師やそういう専門家が入っておったこの審議会の結論、この広告に関しては三項目の審議の答申事項が出ていますが、その中での答申は六十七条については今局長の言われたような「がんその他の特殊疾病」というのは、ガンその他ガン類似の特殊疾病というふうに、そういうふうな審議の答申であったのですか。
  36. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ突き詰めてガン類似という、その辺まではっきりした形には詰まっておりませんけれども、大体委員の各位の気持としては今お話の線に近いと思います。
  37. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  38. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  ただいま池田通商産業大臣並びに松尾企業局長が出席をせられました。通産省関係の質疑のある方は御発言を願います。
  39. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、この機会に通産大臣の御見解をぜひ聞かしておいていただきたいことは、現在当委員会において薬事法審議をいたしておりますけれども、この薬事法の中に、製造業者と販売業者がありますが、販売業者の中に卸売業と小売業の区別が全然行なわれておらない。ところが、御承知通りに、医薬品販売業におきましては、卸におきましては九〇%弱が卸と小売を兼業いたしておる。そのために常に卸と小売業との間に紛争が絶えないのであります。しかもまた、このことが全国各地における医薬品乱売の全部とは言いませんが、一つの大きな原因になっておる、こういうふうに判断をいたしております。ところで、通産関係の小売商業調整特別措置法を見まするというと、その十四条において、ある物品の製造業、卸業を指定いたし、地域を指定する。そうすると、その場合は、メーカーまたは卸売業者が小売業を営む場合は届け出なければならないことになっておる。これを医薬品に当てはめて、医薬品の製造、卸売業を指定していただく。こういうふうになると、医薬品薬事法では判然たる、区別がつかないものが、比較的法律に基づいてはっきりした区別がつかめるようになりまして、卸売販売業、並びに小売販売業に関する取り締まり、あるいは経済的紛争の防止ということに非常に役立つのじゃないかと、こういうふうに考えます。そこで渡邊厚生大臣に伺いましたところが、厚生大臣は、ぜひ一つ通産大臣と御相談をしてこの政令に指定をするように努力を続けていきたい。こういう御答弁を得たわけなんでありますが、いかに医薬品厚生大臣所管であるといいながら、この法律そのものが全般的に通産省の御所管にもなっておると思いますので、この機会に通産大臣としての御見解を一つ聞かしておいていただきたい。
  40. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 最近におきまする薬の乱売その他のいろいろ弊害の起こっておることも聞き及んでおるのでございます。従いまして、小売商業調整特別措置法第十四条の規定によりまして、もし厚生省の方から申し出がありますならば、通産省といたしまして善処いたしたいと思います。
  41. 高野一夫

    ○高野一夫君 それでは厚生大臣がこの間言明された点でありますから、速記録にも載っておりますから、よく一つ通産大臣と御協議願ってこの話を進めていただきたい。  もう一点伺いたいことは、同じくこの措置法の十五条によりますと、メーカーが小売をやり、そうして小売業者との間に紛争が起こる、卸が小売をやり、そして小売業者との間に紛争が起こる、あるいはスーパー・マーケットのごときものが小売をやって小売業者との間に紛争を起こす。そういう場合には都道府県知事が調停あっせんに乗り出すようなことに条文は御承知通りなっておるのですが、これはほかの業界はどういう事例になっておるか存じませんが、医薬品が現在各地において、メーカーの小売、問屋の小売、卸の小売と、こういうものが行なわれて、そのために小売業者との間に非常な紛争が行なわれている。にもかかわらず、医薬品に関する限りは都道府県知事の調停あっせんに乗り出した事例が一つもないのでございます。そこで厚生大臣、この点について何とか知事に一つ連絡をとってもらって、各地にこの紛争が起こっておるわけであるから、起こった場合はしかるべく知事が調停あっせんに乗り出してもらえるように、地方庁に連絡をとっていただけないか。こういうことを当委員会厚生大臣に要望いたしましたところが、今後十分この点に注意して、そういう事態が起こったならば、知事が調停あっせんに乗り出してくれるように一つ連絡をするという厚生大臣の御答弁があった。ところが、これまた十四条と同じに通産大臣の御所管に所属する販売の営業のことでございますから、どうしても医薬品所管厚生大臣とこの法律に基づく通産大臣の両方の御協力と御認定がないというと、知事に対して強い連絡、申し入れをすることもむずかしかろう、こう思いますので、そういうような事例が起こったならば、一つこの点について知事に十分一つ要請をするという厚生大臣の気持に対して、通産大臣も心から協力を願いたいと、こう思うわけでありますが、この点について大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  42. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 第十四条の場合と同様、所管厚生省よりお話がございまするならば、通産省といたしましては善処いたします。
  43. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は以上二点で終わります。
  44. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは続いて六十七条の件ですが、局長答弁で、私はどうしてもこれは納得できない。この特殊疾病を政令の中で、また具体的に、今のようにガンだけでなくて、私が先ほど来諸外国の例をあげて言ったふうに広げる意思というのは全然ありませんか。
  45. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在のところはガン、白血病、肉腫を考えております。
  46. 坂本昭

    ○坂本昭君 それなら六十七条修正しますよ。六十七条の「政令で定めるがん」云々のところ、これを全部のけてしまって、六十七条は「医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、政令で、医薬品を指定し、」そういうふうに修正いたします。そうしなければこの六十七条の「がんその他」というのが、もうガン、肉腫、白血病というふうにもう限定されたものだというふうにはどうしたって理解できません。あなたの方で薬事審議会の意見に対しても、あえて今の説を固執されるというならば、私の方では今のように修正をしてでも、特殊疾病という項を私は広げる必要がどうしてもあると思う。これはどうしても現段階では、もう特殊疾病というのは今の限定されたものに限るというのが厚生省のお考えですか。厚生大臣、あなたの糖尿病だって、へたな広告などに迷わされておったからしばらくなおらなかった。初めから正しい治療を受けておったら、もっと早くなおって、大体禁酒会の会員などにならないでもいいんです。大臣にお伺いいたしますが、六十七条の「政令で定めるがんその他の特殊疾病」の中に糖尿病などお入れになるお考えはありませんか。
  47. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) なかなか専門的なお話でございまして、十分事務当局と検討してみたいと存じます。
  48. 坂本昭

    ○坂本昭君 糖尿病は……。
  49. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これはなかなか、これも専門的なお話でございまするので、私しろうとでございまするから、糖尿病がはたしてそこに該当するかどうかということにつきましても、御趣旨の点は非常によく私はわかるような気がいたしますので、今、ここに直ちに即答いたしかねます。
  50. 坂本昭

    ○坂本昭君 糖尿病が特殊だというのは、厚生大臣のような方でなければわからない病気なんです。もうはっきりわかってますよ。これはわれわれなど糖尿病などならないんです。厚生大臣のかかる病だということは明瞭なんです。厚生大臣になるときにかかるんです。だから私は、ここで即答を避けるというと、「その他の特殊疾病」の中に今の三つか四つしか入れない。だったらこれはそのまま書いてください。ガン、白血病、肉腫、そう明記して下さい。なぜ明記しないで、「がんその他の特殊疾病」とこう書かれたか、これはどういうわけですか。
  51. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在薬事審議会の決定に基づきまして、事実実施をいたしておりますのが先ほど来申し上げているようなことでございますし、一応それについては法律上の根拠に基づいてなすべきものであるという考え方のもとにおいて六十七条の規定を置いたわけでございますけれども、将来におけるいろいろな事態というものは人知をもってはかり知るべからざるものもございますので、それでこういう形式にいたしたわけであります。
  52. 坂本昭

    ○坂本昭君 人知をもってはかり知ることができないことはありません。全部特殊疾病をどう扱うかということは、もう現実に諸外国で明らかに例示されている。しかも例外的ではなくして、もう一つの原則として示されている。その原則を今後六十七条の中で取り上げるようになった。そこで、「がんその他の特殊疾病」とあげた。ところが、あなたの方では、その他の特殊疾病には、今後よく検討して、薬事審議会の意見も徴して、たとえば糖尿病や高血圧症や心臓病や、諸外国においても扱っているものを今後も取り上げて参りますというならばわかるけれども、それについては人知をもってはかり知ることができないからお答えすることはできない、そういう答弁は私はどうしても納得できません。もうすでに人知ではかり知ることはできる。科学の進歩もはっきりわかっている。現に厚生大臣は糖尿病で苦しまれた。特殊な疾病だともうはっきりわかっておる。だからそういうふうに特殊疾病というものを将来も理解していきます、ただし結論は、中央薬事審議会の意見によって定まりますと、そういう御意見ならば、それは私も納得しますよ。しかし、あなたの方ではもうそれ以外、かりに白血病以外には変えない、人知をもってはかり知ることができない、そんなばかな答弁では、私晩までかかっても夜中までかかっても引き下がるわけにはいきません。厚生大臣は即答できない。私は何もこの「その他の特殊疾病」の中に糖尿病を入れるようにしろと言って聞いているのじゃないのですよ。糖尿病など、そういったものを特殊疾病としてあげるべきではないか。糖尿病のほかにも賢臓病もあれば、あるいはジフテリアもあれば心臓病もある、そういったものを将来あげるかあげないか、私はこれは即答できることだと思うのです。だから、その点をお尋ねしているのです。
  53. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 薬事審議会の答申を十分尊重いたしていきます。
  54. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうすると、もう一ぺん局長お尋ねしますが、大臣は薬事審議会の意見を十分聞く、だから、その中で薬事審議会が特殊疾病の中に高血圧や心臓病をこれは当然入れるべきであるという答申をした場合には、厚生省はその答申を受けて、その他の疾病の中には今のものを入れるおつもりは十分ありますか。
  55. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬事審議会の答申はこれは十分尊重しなければならぬと思います。
  56. 坂本昭

    ○坂本昭君 初めからそう答えたらいいんですが、どうも何だか答えないところを見ると、はなはだ行政上不明朗な点があります。どうして外国並みに、その他の特殊疾病というものについて広告上の制限をしなければならないというふうな普通の常識を私はお持ちになっていただけないか、はなはだ不満であります。あとこの薬事審議会については、また私も委員の方にも御相談を申し上げます。それと同時に、今の、今日のこの日本のでたらめな広告については当然規制をしていかなければならぬ。ですから、もう一ぺん確認しておきたいと思うのですが、この医薬品広告についての主原則、一、虚偽、誇大の広告の禁止、二、特殊疾病に使用する医薬品広告の禁止、三、専門家向けの広告の自由、この三つの医薬品広告の原則は大臣としては確認していただけますか。
  57. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) さように考えます。
  58. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは今後はこうした原則に基づいて行政が行なわれるということを私たちは十分期待し、かつそれを監視をして参ります。  それからなお、この薬事法だけでは広告の問題あるいは薬品の模倣の問題などについて規制が十分できていないと思う。従って、これについて別途立法化する必要が、たとえばアメリカのホィーラー・リー法ですね、そういうふうな私は印象を受けているのですが、厚生当局としてはその広告の立法化についてどういうお考えを持たれますか、これは局長に伺います。
  59. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ただいま御引用のホィーラー・リー法は、これは日本でいえばいわば不公正取引取り締まりに関する法律の一環でございますので、この点については、現存のわが国の公正取引防止に関します法律にある程度のそういった広告の制限の規定がございますが、これは薬のみならず、一般的に不公正な取引の手段としての広告はいけない、あるいは表示はいけないということでございますので、その方の法律が適用になることは、これはもちろんのことでございますから、そのほかに薬の特殊性に基づいて虚偽、誇大の広告の禁止であるとか、そういうものがこの薬事法で規定されておるわけでございますので、いわゆる不公正の取引手段以外の保険衛生上の面と、すなわち薬に特殊の事柄については、これは薬事法でやはりいくという、そういう分け方の方が私は適当じゃないだろうかと思います。それから薬の模倣云々の問題につきましては、いわゆる模造あるいは贋造の薬の取り締まりという規定は、これは現在この法律にも置いているわけでございますが、一般的に他社の製品をまねをする云々の問題については、これは薬の性格の問題とも関連をして考慮を要する一点じゃないかと思うのでございますが……。と申しますのは、薬につきましては御承知のように、製法については特許を認めておりますけれども、製品そのものについては特許を認めていないわけでございます。これはすなわちいい薬はやはり特定の者に独占をさせるというような形を避けるというか、そういう薬の特殊性の一つの現われだと思うのでございますが、その辺の問題ともこれは関連をして考えなければならない問題ではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、しかし、その模造でありますとか、贋造でありますとか、内容的に適当でないものがそういうまねをするということについては、これは薬事法の方で当然取り締まっていくべきものだと思います。
  60. 坂本昭

    ○坂本昭君 それではこの問題、私は広告のことについて新聞の切り抜きで若干例示いたしましたが、一例々々くどくどしくは申しませんが、一日、二日の新聞を見てでもなかなか納得のできない誇大と思われるものが幾らでもある。これについて私は、薬務局長として行政的に十分監督を厳しくして指導していただきたい。それはもちろん広告は必要でありますけれども、誇大にわたるということはもうはっきり禁じられていることです。それが十分あなたの方の指導が徹底していると思えない点が非常に多いので、これについてはこの際徹底して法の範囲内で許されたものに限定させてやっていくと、そういう効果が新聞でもラジオでも見ておったらわかるというところまで一つやっていただきたい、これは厚生大臣、お約束できますか。
  61. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) できるだけ努力いたすつもりでございます。
  62. 坂本昭

    ○坂本昭君 次に、保険局長保険医療費の中で医薬品費がどの程度になるか、先般来の資料で見ますと、総医療費が三千二百四十三億、その中に公費負担が九・三%、それから保険者負担が四五・九%、患者負担が四四・七%、その患者負担分の中に売薬が二百八十一億あるというような統計が出ていましたが、この際、保険関係ではいろいろな調査ができていると思われますので、医薬品費がどの程度になっているかという御説明をいただきたい。
  63. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 代表として政府管掌健康保険状況をちょっと申し上げます。ここでは新しい資料といたしましては、昭和三十四年の五月の集計がございますので、正確なことはちょっとまだ判明いたしませんが、概略を推定いたしますと、入院分で約一二%、外来分で二七%を占めております。これを合計いたしますと、政府管掌の医療費の中の約一九%前後でございます。これを他の管掌あるいは国民健康保険等に当てはめて推定いたしてみますと、健康保険関係の他の管掌分はあまり政府管掌と変わりがないと思われますが、国民健康保険分は入院の占める比率が健康保険より少ないために、外来の影響が多いということから二〇%以上に及ぶかもしれないのでございます。しかしながら、両者相総合して、大体二〇%前後、かように推定できます。しかしながら、これは薬価基準で計算をした価格でございますので、実際の医療機関の購入価格は薬価基準が九〇%バルク・ラインになっております関係もございまして、これよりやや下回っておるのではなかろうか、かように考えます。もしも、社会保険医療費が、三千億といたしますと、二〇%であれば六百億となるわけでございますが、これは支払い基金あるいは国保連合会取り扱いの支払いの値段でございまして、実際の医療機関の購入価格あるいは薬の販売機関が売った値段としましてはこれよりやや内輪、まあ五百五十億前後ではなかろうか、かように考えられます。  なお、このほかにもちろん国民医療費といたしましては、売薬で出ておるものがあるわけでございます。
  64. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは重ねて伺いますが、今の社会保険医療の中で、この医薬品費、この中にはあれでしょうね、いろいろな他の包帯材料などももちろん含まれておったと思いますが、こういう比率、二〇%という比率は、これは適正であるか不適正であるか、どういうふうに見ておられますか。
  65. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 正確な数字を記憶いたしておりませんが、社会保障先進国と言ってよろしいかどうか、英、独等の医療費の中に占める薬の関係の経費はこれよりやや下回っておるかと思います。ただ、わが国の薬の経費の占める割合がこれらの外国に比べて高い、多いからと申しまして、これが直ちにわが国の薬が使い過ぎであるとかあるいは薬の価格が高過ぎるというような結論はなかなか下せないことでございまして、これは相当慎重に検討いたしませんと判断はむずかしいと思います。
  66. 坂本昭

    ○坂本昭君 もう一ぺんお尋ねしますが、今の二〇%という中に、まあ包帯材料、衛生材料は入りますが、その他の器具器械類の計算は、これは入っておりますか。
  67. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 器具器械類は入りません。ただ、特殊なものといたしましては、輸血用の血液が入っております。
  68. 坂本昭

    ○坂本昭君 今保険局からあげられた数は、まとまったものがあればこの一九%になったという基礎資料の数は委員会の方へ一つ印刷したものを出していただければけっこうだと思います。これは出ますか。
  69. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 昭和三十四年五月の集計、まだ完全には終わっておりませんので、ちょっと正確な数字としてはお出しいたしかねるわけでございます。
  70. 坂本昭

    ○坂本昭君 それで、私は今疑問に思うのは、今イギリスの例をあげておられましたのですが、イギリスの社会保障はかなりこういうのが明確に数が上がっておりまして、これは厚生省官房長が全員に配付していただいた貴重な資料ですが、この中に非常にいい資料があります。これを見ますと、一九五七年から五八年のイギリスの病院サービスのいろいろな経費が出ています。これは日本の金にして三千五百五十五億円かかっている。その中で人件費が六一・三%、今の問題の広い意味医薬品費七・二%、これはこのイギリスでは薬剤と衛生材料これが三・五%それから内科的、外科的器具及び器械これが三・七%、いずれにしてもこの医薬品、衛生材料費が両方合わせて一割以下だ。一割以下。日本の場合はその倍だ、こういうことですね。これは今の保険局の説明があったように、何か薬を非常にたくさん使っているということに直接は関連しないでしょう、しかし、やはりこれはある程度問題になるのではないか。たとえば日本で総医療費三千二百四十三億のうち売薬が二百八十一億それからまた、別の資料では、医薬品の生産額が千四百六十億で広告が百四十二億、広告もずいぶん使われているけれども、どうも基本的には薬が高過ぎるのじゃないか。薬をよけい使うよりも薬は高いのじゃないか、そういう印象を受けざるを得ない。そこでこの薬価についてどういうふうにしてこれはきめておられるか。これは所管薬務局長だと思いますから、薬事行政の中で一番大事な問題である薬価はいかにしておきめになるか。外国の実情によるというと、薬価の規制については薬価法定主義と薬価指定主義と薬価放任主義と三つの主義があってきめている、こういうことですが、日本の場合はどういうふうにしてきめておられるか。薬務局長の一つ御説明をいただきたい。
  71. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬の価格については、一般的にはこれを規制をいたしておりませんが、保険に使います薬及び調剤報酬につきましてはこれは保険の問題としてきめておりますので、この点は館林課長の方から御説明申し上げます。
  72. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 現在保険で採用いたしております薬価は、現実医療機関が購入いたしております価格をとる、こういう基本的な考え方に立ってきめているわけでございます。で、しかもその基準は九〇%のバルク・ラインできめております。すなわち全国の医療機関が購入している数量の九〇%目が購入される価格でございます。すなわちある薬が百トン医療機関が購入しておるといたしますれば、高い価格で購入した順序に価格を調べて参りまして、九十トン目が購入された価格。簡単な言葉で言えば、多少違いますけれども、九割の医療機関はこの購入価格で買えるという価格でございます。実際は、購入価格の設定と実際の公布とのズレもございまして、現在きめております価格医療機関が買えない事例はほとんどないと思いますが、そのように受け身の形できめられた価格でございます。すなわち、診療報酬の点数表のように、あらかじめ計算に基づいて価格を設定したものではなくて、現に販売せられておる価格そのものを受け入れて、保険の支払い価格といたしておるわけでございます。
  73. 坂本昭

    ○坂本昭君 この点が私は二重に問題点だと考えます。一つは、純然たる薬務行政の立場で一つ問題点がある。それからもう一つは、国民保険という、その皆保険の立場で問題がある。で、まず伺いたいのですが、保険の立場よりも、これは薬事行政といえば、医薬品の製造発売、これが全部その対象になってくるのですが、当然こういう医薬品については、その価格についてこれは薬事行政の中で関与すべきことではないかと思う。それについて、どの程度まで一体厚生省は触れているか、まずその点を御説明願いたい。
  74. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 価格については、現在のところ、一般的に言って、厚生省の方として権限に基づいて指図をするであろう——もちろん権限外でそういうことをやることはこれは適当でございませんから、そういうことはございません。言いかえれば、価格については、つまり自由主義という格好になっております。
  75. 坂本昭

    ○坂本昭君 どうもその厚生行政がよくわからなくなるですがね。皆保険制度が来年からしかれるとなると、国が責任をもって、医師、薬剤師適正配置を行なうだけではなく、保険の点数そのものについても国がこれをあっせんし、また、これを適正に合理化する必要が生まれてくるわけです。特にその中で、今度の薬剤師法でも、非常に厳格に医薬品の販売については規制がなされ、許可制がなされ、薬剤師薬局を開くについてもこれは許可制になる。そしてまた、医療問題では一点単価の問題がいつも議論される。ところが、今も保険局の説明のあった通り医療費の中で約二〇%を占めている医薬品費、総計約五百五十億、というと、日本の年間生産額の三分の一以上であります。これらのものの価格の決定について全然野放しであるということは、医療行政の面からいって非常な片手落ちではありませんか。一点単価については非常にやかましく言って、医師会と厚生大臣がけんかをしておる。ところが、その中で非常に大事な役割を果たす医薬品、財政上からいっても二割以上を占めているこの医薬品費、また、日本の薬品製造からいっても三分の一以上をこの保険行政に現在でも使っている。将来はこれはどんどんふえている。その薬品製造については全く野放しである。これはどうも私はふに落ちないんです。これは、将来、厚生大臣はどういうふうにしていかれるおつもりでございますか。
  76. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) この問題はなかなか重大な問題でございまして、将来は保険行政医療行政、薬務行政と、この三点から、明確な一つの基本を立てていきたい、かように考えております。薬の関係におきましては、先ほど通産大臣も申されましたように、私ども、小売商業調整特別措置法やあるいは中小企業団体組織法の組織において、生産あるいは価格あるいは流通組織等におきまして、十分考慮してみたい、かように考えておりますが、非常に複雑にわたっておりまするこの機構でございまするので、今十分な検討を加えつつ進行いたしておるような次第でございます。
  77. 坂本昭

    ○坂本昭君 いや、それは十分な検討が加えられつつあるなら、その検討の内容を少し伺いたいですがね。たとえば、一体この日本の医薬品価格、この間も、医薬品の品目と、それからその生産金額の説明を一応資料として出していただきましたが、これらの中で、一体原料費はどれくらいかかっているか、あるいはその研究費はどれくらいかかっているか、あるいはその試験費はどれくらいかかっているか、工場で製造する製造費はどれくらいかかっているか、あるいはその管理費はどれくらいかかっているか、また輸送の費用はどれくらいかかっているか、それから広告はどれくらいかかっているか、その利潤は、そのメーカーの利潤はどれくらいであるか、それからメーカーから今度は卸にいく場合は、一体どれくらいのマージンがつくのか、小売の場合、どれくらいのマージンがつくか、そういったものぐらいは、私はもう検討済みだと思いますから、ちょっと御説明いただきたい。
  78. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬の価格の問題については、これは品目によっても非常に違うと思います。まあなかなかこれは一がいに言えないと思うのでございますが、おおむね現在常識的に考えられておりますのは、小売マージン三割、卸マージン一割——多少の出入りはもちろんございますが、そういうようなことになっております。まあ価格の決定の内容につきましては、これは今申し上げましたように、品目によっても、それから各社によっても違いますし、ある意味においては企業の実態と関連する問題でございますし、厚生省としても、原価計算等について現在のところタッチをしない態勢になっておりますので、その辺のところについては、現在詳細の資料は持ち合わしておりません。
  79. 坂本昭

    ○坂本昭君 これはしかし、私は非常に大事なことだと思うのです。特に今広告問題からずいぶんいろいろと深入りをしてきましたけれども医薬品費が、ほんとうに国民の健康を維持するために適正な価格で使用される、しかもメーカーも、十分立っていく——私はもちろん今資本主義を、いながら否定するものじゃありませんが、メーカーも適正に立つ、そして国民の健康も十分維持される、それにはこの間の適正な、何といいますか、利潤の配分も必要だし、また、それが合理的であるということ。それでこれが確立されないと、国民保険の場合に、現在でも五百五十億以上使われているこの巨大な材料費、この材料費の価格を調整することによって、私はメーカーも医師も楽になるだろう。また、われわれとしても非常に楽になる。そういう点で、今の小売と卸のマージンの程度だけしか把握していないというのでは、私は、はなはだ不十分だと思う。で、この保険医療、特に保険財政の上から保険局に伺いますが、この薬価のことについて保険財政の面から、これはまあ具体的じゃなくて、理論的にどういうふうに考えておられますか。
  80. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 薬は、保険医療費の中で占める割合が相当多いものでございますので、薬価の問題は、社会保険医療経済上、相当重要視すべきものであると日ごろから考えておるわけであります。そういう意味合いから、薬価基準をどのように考えて参るかということは、前々から検討いたしてもおりましたし、また、各種委員会等でも御意見が出ておるわけでございますが、ただ、このあるべき薬の値段を想定して計算して出すということが、必ずしも方法として最善の方法ではないかもしれない。現実に扱われておる価格が最も妥当な価格であるという点も十分考えなければならぬということで、従来からこの問題は種々検討をいたしましたけれども、一応今日のところ、現在のとり方が最も適当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  81. 坂本昭

    ○坂本昭君 先ほどイギリスの例をあげたんですが、私はイギリスの例などについても、もう少しこまかい検討をこの際していただきたい。保険財政の面では保険局で調べていただきたい。それから、今のように七・二%という材料費ですね、この材料費を提供するのは、イギリスで医薬品並びに衛生材料、医療器械器具を提供するのは、これはおそらくは国有の会社ではなくて、一般の会社が提供していると思う。そうした場合に、イギリスはもう国民保険ですね。しかも、その医薬品は、国から医師に提供していくわけです。従って、広告どもそんなに大きく出さなくてもいいだろうと思うんです。その広告費の分だけは値段を下げることができる。そのかわりに、政府はこの価格を保証してやって、その企業がつぶれないようにカバーすることができる。そういう具体的な方策がすでにとられている、例の薬価指定主義のとられているのはイギリス、西ドイツ、これは薬事法に基づくものではないが、社会保険実施の必要から国が定めるものであってと、そう書いてありますね。つまり社会保険を実施する必要から、どうしてもこれは薬価の指定主義が、今の日本の場合は、指定にして指定にあらずですね。私は思い切ってこれは指定方針をとるべきだと思うんです。そのことによって私はずっと医療費は軽減されるんじゃないかと思うんです。だから、そういう意味で私は特に薬価調整の方途について、まあ大臣は一応抽象的に検討している、何とかしたいという、そのお気持はわかるのですが、じゃ一体具体的にどうされるんですか。どういう機関でこれを調整するか。広告の問題もある、あるいは原料の問題もある、あるいは今のマージンの問題もある。さらに国民保険の問題がある。皆保険制がしかれていくと、売薬などはだんだん私は下がっていって、今五百五十億というこの医薬品費はずっと上がってきます。将来はもう薬局が全部でき、医師が全部配置されたら、もう全然売薬など要らなくなると思う。そういう前提の中で、一体どういうふうに医薬品価格を決定するか、また、医薬品製造業という、まあいわば日本の資本主義の一つの独占企業の一形態であるこの企業、これをどういうふうに厚生省としては見ていくか、合理的な私はこの統制といいますか、管理というものが必要だと思う。だからそれを具体的にどういうふうな計画でしていかれるおつもりか。せめてその計画の片鱗なりとも御説明いただきたいのです。薬務局長の方から一つ最初に御答弁いただきましょう。
  82. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 結局保険に使います薬の価格のきめ方について、今の方式を変える。もう一つの方式は、いわば原価計算方式だと思います。これについて今まで検討した結果は、先ほど館林課長が申し上げた通りでございますが、今後の問題としては、やはりお話のように、十分それらの点も考えていかなければならないと思いますし、より原価計算方式というものについて、十分一つ検討してみたいと考えております。
  83. 坂本昭

    ○坂本昭君 これはおそらく今の薬務局行政機構の中には、そういったものを検討する組織がないんじゃないかと思うんですね。むしろこれらの仕事は、通産省の行政の中に大部分入っているんじゃないかと思うんですね。そういう点で薬務局長としては、今の機構のままでも検討できますか。
  84. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは、薬全般について原価計算等を行なおうといたしますれば、やはり相当な人員を必要とする問題だと思うのでございますが、いずれにしても、これは相当な予算を伴う問題でございますので、今後十分一つ趣旨の点をくみまして、私ども真剣に検討して参りたいと思っております。なお、通産省というお話がございましたけれども、これは通産省としても、ほかの物資についてもやはり統制的な措置はとっていないわけでございますし、現在の日本の役所として、価格についてタッチいたしておりますのは、公正取引委員会において、特殊な場合においてタッチするという、そういう仕組みになっておるのでございますので、まあそういう観点からやるとすれば、新しいケースになると思います。
  85. 坂本昭

    ○坂本昭君 そのほかの品物と違って、人命に関するということと、それからもう一つは、来年から国民保険がしかれる。それがしかれるがゆえに薬剤師法薬事法もできたと思うんです。そういう点で、私は薬価の調整というものは皆保険関連して、どうしても必要になってくると思う。だから、そういう考えのもとに立たないで、あなたの方で議論を進められたんでは、はなはだ困る。
  86. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと御発言を中止願います。  この際、御紹介申し上げます。ただいまオーストラリアの上院議長サー・アリスター・マクマリンさんがここにお見えになりましたので、皆さん拍手をもって敬意を表したいと思います。    〔拍手〕
  87. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 発言を御継続願います。
  88. 坂本昭

    ○坂本昭君 それで あらためてもう一度厚生大臣の御意見を伺っておきたいんですが、来年からの国民保険を控えて、医師だけの問題ではない。今度改められた薬剤師法による薬剤師の問題も重要な問題として出てきました。特に薬価の調整の問題は、皆保険の中でも非常に重要なウエートを示している。従って、薬価の調整ということと皆保険の問題を関連させて、厚生当局として十分な検討を加えていただきたい。そのためには、場合によれば特別な機構の改正も必要であるかもしれない。その程度の決意を持っておやりになっていただけるかどうか、伺っておきたい。
  89. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 先般発足いたしました医療制度調査会等におきましてこれは十分審議いたしていただきまして、答申をまず得てみたいと、かように考えております。
  90. 坂本昭

    ○坂本昭君 それではこの薬剤師法並びに薬事法の中で、先般来の池袋の乱売とかいろいろな問題がありました。私は小売の小さいところでやっている問題よりも、一番の大メーカーのところに根本的な問題がある。そしてここでは何の規制も行なわれていない。すべからく皆保険の前提として、この薬価の調整に対しては、これはたとえ資本主義の政党といえども、私はこれを合理化する道はあり得ると思います。ですからこの際、特に今の薬価調整についての政府としての御努力をお願いしておきたい。  それから次に、薬事法の六条のところで、薬局の開設の問題が出ておりますが、この中で六条の二項のイ、ロ、ハ、ニ、ホのホで、「第九条に規定する義務」というのがございます。この第九条でいう義務とはどういうことをさしておられますか、お伺いしたい。
  91. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 御承知のように、薬局には管理薬剤師を置かなければなりませんし、管理薬剤師は、薬局の技術的な面についてのいわば責任者になるわけでございます。その意味薬局構造設備でありますとか、医薬品取り扱いでありますとか、その他薬局の業務について、管理者として、責任者として必要な注意を払わなければならないわけであります。それらのそういうような管理薬剤師として行なわなければならないそういう義務の遂行を著しく阻害することが明白な場合、そういう趣旨でございます。
  92. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、今の六条の二のホの、許可基準に「その性癖素行に照らして、……義務の遂行を著しく阻害することが明白」という言葉が出ていますが、この「性癖素行」とは一体どういうことなんですか。そして「性癖素行に照らして、」というんだけれども、一体どういうふうにして照らすんですか、その照らし方を説明していただきたい。
  93. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この六条の人的な欠格要件を規定しておりますゆえんのものは、要するに、一般的に法令違反等を犯す蓋然性の高いと認められるものを掲げて許可を与えない場合があり得る、そういうことでございまして、ごらんの通りに、イからハに至るまでは、要するに過去において刑を受けたというような、あるいは違反をした、そういうようなこと、それからニにつきましては、こういう特殊な人というのを具体的にあげまして、大体それでこれは尽きると思いますけれども、そのほかにも著しい酒乱の者でありますとか、あるいは準禁治産者でありますとか、あるいは精神病に至らない程度の精神障害者というようなことも考えられますし、そういうような正常な良識を有しない者で、積極的に管理薬剤師の管理義務の遂行を妨げる、そういうことが明白な場合ということでございますから、一般的にはきわめてまれな例だと思うのでございますが、具体的にはこれは本人の宣誓等によって区切りをつけるつもりをいたしております。大へん実際の判定はこれはむずかしいと思いますけれども、そういう気持としては非常にしぼった考え方で、だれが見てもそういうふうな危険が非常に強いという者について考えることにいたしております。
  94. 坂本昭

    ○坂本昭君 これは「薬局を管理する薬剤師の第九条に規定する義務の遂行を著しく阻害することが明白である者」と、これだけで私はわかることと思うのですね。第九条に薬局の管理者の義務というものが規定されている。その義務の遂行を著しく阻害することが明白、あるいはその義務の遂行をしていない場合、こういう場合は、もちろん取り消しの処分にもするでしょうが、なぜこのような「性癖素行に照らして、」というと、何か僕たち、この性癖素行が悪いような、僕らが開設したらこのホの項に照らして許可をしてくれないというふうな、そういう疑いの持てるような基準をなぜ設けたか、何かこれが例えば例の池袋の乱売問題とか、ああいうことに関連があって、性癖素行に照らして許可をする、しないの基準も作らなくちゃいかぬという必要があるかどうか。でなければこういうきわめて文学的な、非法律的な用語を使われた趣旨がよくわからない。もう少し説明していただきたい。
  95. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる乱売の防止等を直接のこれは目標とした規定ではもちろんございませんで、薬局保健衛生的に万全な管理が行なわれることを確保する一つの手段として規定したわけでございます。その意味で今申し上げましたように、きわめて特殊な場合という区切りをなるべく明確にする意味において「性癖素行に照らして、」あるいは「著しく阻害することが明白である者」というふうにしぼりをかけたわけでございます。
  96. 坂本昭

    ○坂本昭君 この「性癖素行に照らして、」ということは、僕は実際要らない言葉だと思うのですね。これをつけた以上は、何か明白な目的をもってやる、そういう点で私はきわめてあいまいな言葉だと思う。で、この点については、私は疑問を残して、もう少しあとの問題に移りたいと思います。それは薬剤師でない人、薬剤師による薬局の開設は、この医療法の第七条並みに許可制になっております。これは医療法の場合の第七条と同じような取り扱いなので、異議はありませんが、この薬剤師の場合の届出制をやめたのは、どういうためであるか、何か公衆衛生上の特別な義務があるから許可制にしたか、どういう理由で許可制にされたか、伺いたい。
  97. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは一つは現行法において、薬剤師が開設する場合及び薬剤師でない者が薬剤師を使用して開設する場合、両方とも登録という制度になっております。登録の意義、性格については、この前以来この委員会においていろいろお話がございましたが、私ども考え方は、先般来申したような次第でございます。そういうふうに、今までの取り扱いを一にいたしておりました点を引き継いだという点が一つと、もう一つは、これを区別するということが妥当かどうか、あるいは成立するかどうかという問題でございますが、要するに、審査の内容といたしましては、やはり設備構造、そういった点をこれは見なければなりませんし、それから今申し上げました、たとえば六条の二のイ等すなわち、あるいは麻薬の関係その他で違反をした者については、これはやはり薬剤師であろうと薬剤師でなかろうと、同じような取り扱いをすることが適当でございますし、そういう点を勘案いたしますというと、特に片一方を届出とし、片一方を許可制にするという法制上の理由というものは成り立ちにくい問題でございますし、両方とも、設備ないし人的な要素というものを審査するという点については同じでございますので、開設の場合の取り扱いを二つにしなかったわけでございます。
  98. 坂本昭

    ○坂本昭君 医療法の場合に診療所の扱いと、それから薬事法薬局の扱いと、一方が届け出、一方が許可制であるということには、多分に設備構造の問題が私は入ってくるであろうとは思います。一方は、医者は素手で何でもできるんだし、薬剤師の方は、調剤をするためには薬局の最低限の設備構造が必要である。そういう点は私も認めますが、これはこの前も申し上げた通り、届出制と、それから許可制の中には、厚生行政の中でも、たとえば公衆浴場はこれは許可制になっておりますね。それから理容師の場合は、届出をしておいて許可を受ける、そういう何か中間的な、過渡的な扱いをしていると思う。で、同じ医療関係する中で、薬剤師のみ許可制にしたということについては、将来、たとえばこの適正配置の場合の許可、そういう点の含みもあるんじゃないか。また、あってもある程度はやむを得ないのではないかと思うのです。その場合に、あなたの方では設備構造だけに主眼を置いて、適正配置の点については、検討は省かれるおつもりであるかどうか。
  99. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在の医療法は、御承知のように、昭和二十三年、戦争のあとを受けました最初の改正において、医師が開設する診療所については届出、その他の者が開設するものについては許可制ということにいたしたわけでございますが、これが絶対正しい云々ということではないわけであります。これはそのときの、いわゆる法制的な見解に基づいてそういうふうにいたしたわけでございますし、それから一方、現行の薬事法も大体同じときにできたわけでございます。これは登録制をとったわけでございます。そういうような今までの経過と、現在これを法制的に組む場合にどうするかという法制的な見解とを加味して、この新しい法案のような形にしたわけでございます。この法案によります許可基準は、ごらんの通りに、第六条に書いてありますように、次の各号のいずれかに該当するときは、許可を与えないことがあるということで、許可を与えない場合の条件というものは、一応ここに書いてあるわけでございますから、そのほかの条件を今ここで勝手に想定をいたしまして、それを審査の要件に入れるということは、法律上はこの法案の立て方、性質上は第六条にはずれることになるわけでございます。
  100. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは、あげ足をとるのじゃないのですけれども、これは許可基準ですが、六条の二のホの項の「性癖素行に照らして、」取り消されるときもあるのですか。
  101. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 理論としてはあり得るわけでございます。
  102. 坂本昭

    ○坂本昭君 そのいかなる場合に薬局開設の許可が取り消されるか、それはどこに書いてあるかということと、それから取り消された場合に、再許可はどういうふうにしてできるか。これを御説明いただきたい。
  103. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 許可の取り消しにつきましては、七十五条に規定がございまして、ごらんの通りに七十五条の三行目以下に、法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又はこれらの者が、先ほど御引例の第六条第二項その他の規定に該当するに至ったときは、取り消しなりあるいは業務停止を命ずることができる。そうしてその場合には、七十六条で聴聞を開かなければならない、そういうふうなことになっております。
  104. 坂本昭

    ○坂本昭君 それと再許可……。
  105. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる薬剤師についての再免許のような形というものはとっておりませんで、新しい許可ということになるわけでございます。
  106. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは最後質問として、この前の資料の中に、旧来の一号、二号、これのない地区が、四百二十五あるということでしたが、それに関連しまして薬局の年間の増加は、大体どの程度に今まで見られているか、資料があったら御説明いただきたいです。
  107. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 大体年の増加数は五百でございます。
  108. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、今の年の増加数の五百と、それから無薬局対策許可制の問題をちょっと伺いたいのですが、一号、二号ともにないのが四百二十五、これは昭和三十五年一月一日のあなたの方の資料に出ておりますが、四百二十五の、従来の一号、二号のない無薬局地区がある。それから毎年五百ほど増加がある、そうしたら、今度の許可制について、何かこの無薬局地区を解消するために行政的な措置をされますか。
  109. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) きょうお手元に差し上げた資料に、無薬局町村の医薬品販売業状況を調べておるものがございます。それによりますと、薬局がないけれども一号すなわちこの法律によります一般販売業であるものが百三、従ってこれは理屈上は薬剤師がおるわけでございます。その次に、一号はいないが、二号のもの、すなわち薬種商のあるもの、その次に特例販売業のあるもの、そのいずれもないもの、そういう数字になっております。私どもとしては、先般来お話が出ておりますように、無薬局町村の解消ということは、非常に大切な、そして重要な問題でありますので、今後これが解消については十分努力をいたしたいと思いますけれども、これについてはやはり経済問題というのが一つの大きな問題でございますので、これらを第一次的には、やはり医療金融公庫の適用によって、それからそのほか公営薬局等の問題というものを真剣に考えて進めて参りたいというふうに考えておるのでございます。  まず第一次的には、いわゆる一号のあるもの、すなわち一般販売業のあるものにつきましては、これはある程度行政措置をすることによって、行政上の援助をすることによって薬局になり得る可能性が一番多いと思いますし、それの点も勘案して今後努めて参りたいと思います。
  110. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうすると、今の無薬局地区の解消については、許可制行政的に適当に運用して、なるべく解消する方向にもっていきたい。それからまた、その解消する具体的な手段としては、医療金融公庫の融資を実は考えておる。そういうふうに理解してよろしいですか。
  111. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 前段のお話については、先ほど来御質問にありましたように、第六条で許可を与えない場合というのは法律上規定をされておりますので、AならAという人が申請を出してきた場合に、あのいなかに行けば許可をするけれども、そうでなければ許可をしないというようなやり方は、もちろん許されないわけであります。
  112. 坂本昭

    ○坂本昭君 次に、保険局長に伺いたいのですが、この前の委員会公営薬局制というのが出ましたが、この公営薬局制ということと、それから保険局の皆保険行政上の考えと、何か関連があるかどうかちょっと伺っておきたい。
  113. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 無医地区の解消の一端として、公営薬局のようなものが設けられれば、皆保険の推進上はまことにけっこうなことであります。私どもといたしましても、無医地区の解消については苦心をいたしておりまして、現在なお多数の無医地区が残っておりますので、これをどうしたらよいかということで頭を悩ましております。もしも各市町村が何らか公営薬局のようなものを推進するような努力をしてもらえれば、医療の補いといたしまして非常に役には立つ、かように考えております。
  114. 坂本昭

    ○坂本昭君 実はこの間大臣は、保健施設で無薬局地区などはできるだけ処理をしていきたいというふうな御答弁をいただきましたね。その場合の保健施設ということは、私は今の公営薬局が市町村でやるというよりも、何か国保の直営の診療所でないとしても、直営の保健薬局といいますか、そういうことを大臣考えておられるのではないかと理解したのですが、だからそういう案を保険局は持っている、たとえば本年度の予算の中で、そういうふうな予算をすぐ組んでおられるか、そういう気持で実は伺ったわけです。そういうのとは違うのですか、今の大臣の言われることとは。
  115. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) そういう意味もございますが、保健施設として無医地区を補って参るという構想はたとえば救急薬を配置しておく、あるいは保健婦活動に待つというようなことで、医療給付の足りないところをそのような措置で補って参りたい、かような考えを持っているわけでございます。なお、そのほかに定期的な出張診療所というようなもの、あるいは巡回診療所というようなものも設置せしめて、そのような定期的な診療でこのような地区の医療を補って参りたい、かようにも考えているわけでございます。
  116. 坂本昭

    ○坂本昭君 どうも趣旨がはっきりまだよくわかりませんが、先ほどの資料にもあるように、一号、二号、三号ともにないのは二十七ですが、一応一号、二号のないのでさえ三百九十四カ所ある。これらのところは来年になると全部皆保険保険料は徴収する。医者の方はこれは自動車に乗っていけばそこへ連れていくことができる。しかし、薬局をそのまま移動させるということはなかなかできない。従って、無薬局地区に対する処置というものは、これは皆保険の上では保険行政の面からも当然考えられなければならぬことだと思う。そういうものが具体的に今度のこういう薬事法薬剤師法改正に伴ってあなたの方でもまた国民保険に伴ってどの程度検討しておられるか、今車のことが出ましたが、その車はこれじゃ無薬局地区あるいは無医地区のみに行く車である、何台ぐらいそういう車を持っているのですか、その車を動かすことによって、この資料がどの程度まで減らされるか、この数字がどの程度減らされるか、そういうちょっと具体的な説明をいただきたい。
  117. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 無医地区の解消はなかなか単一な方法で解消をはかることは容易でないわけでありまして、いろいろな手段で医療の普及をはかって参る必要がございます。第一段階としましては、すでに直診が設置されているところでも、なお医師がないというような場所もございますので、そういうようなところに医師をあっせんするということのために、県内の公的医療機関その他医師会等も御協力願って何らか国民健康保険の無医地区対策協議会のようなものを作って定期的に派遣するというようなことにあっせんをしていただいたらどうか、かように考えております。それからごく簡易な診療所をそういう無医地区のようなところに作るか、もっと簡単な場合によれば週に一回二回というように定期的に出張して診療するように公会堂の一室を改造するというような形で、診療所としても最も簡易なものを設けるというようなこと、また、無医地区が数カ所連合いたしまして診療単を設置いたしまして、無医地区を巡回診療する。特にこれは巡回診療船の場合に非常に効果を発揮するわけでございますが、それらの移動的な診療施設を作りたい。これに対しましては国庫で三分の一の補助をいたすことができるわけでございますので、そのような措置をとって参りたい。また、保健婦の設置を促進いたしまして、保健婦の相談所のようなものを設けさせまして、そこで健康相談、あるいは医療機関との連絡を行なわせるというようなことも考えられるわけでございまして、この保健婦の設置に対しましても、保健婦の費用の三分の一が国庫補助で出せるわけでございます。そのほか国民保険の保健施設事業の一端としまして、先ほど申し上げましたように、救急薬等を置いていただきまして、そういうもので補うということも考えて参りたい、かような考え方でございます。
  118. 坂本昭

    ○坂本昭君 今保険局の話を聞いておったら、三分の一の補助をするとか、こうこうしたいとか、ああしたいとかいうことばっかしで、ちっともそれで無医地区の解消のできないことはもちろんのこと、さらに今問題になっている無薬局の問題についても、これは全然触れていない。むしろ、無薬局どころじゃないのだ、まだ無医地区でさえも解消できないのだ、そんならもう国民保険などということは、これはもういよいよいかなる面から取り上げても、およそ不可能だということに私はならざるを得ないと思う。これはもう不可能なことはいつまで議論しておってもしようがありませんが、来年からやろうというのに、これはまあ無医地区もたくさん残るし、無薬局地区もたくさん残る。せめてこういうことはどうなんですか。今救急薬を置くとか何とか言っておりましたね。その救急薬は一体どこに置くか。それからその救急薬はただで配るのですか。
  119. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 保健施設の事業でございますので、普通の医療費の二分の一の補助と違った扱いで配布できると思うのです。これはすべてがただというわけには、あるいは参らぬかもしれませんが、負担能力に応じて、場合によれば無料で扱う場合もございましょうし、また一部は受益者に負担させることもあると思います。
  120. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうすると、今の救急薬というのは、つまり主として無医地区、無薬局地区の場合だと思いますが、その薬を、たとえば腹が痛いとか、頭が痛いという場合に、その薬を飲む。それは保険で扱う保険医療対象なんですか。
  121. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 保険医療対象としての医療給付でなくして、保険施設で扱って参りたい、保健施設事業の一端として扱って参りたいという指導をいたしております。
  122. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  123. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
  124. 坂本昭

    ○坂本昭君 この間うち、この委員会でこういう議論があったのです。薬局のないところ、しかしそこには薬種商がある、あるいは特例販売業の人がいる、そこで腹が痛いとか、頭が痛いというときに、そこへ行って薬を買う、それは保健施設ではない、だから保険施設の扱いはできない。しかし、そこの人たちもみんな保険の費用は出しているわけですね。だからそういう人たちにも何か恩典の返るような、保険料を支払っただけの報いのあるようなことはできぬだろうか。たとえばそういう人に保険医療の扱いはできぬが、たとえば療養費払い、となると、やはり保険医療の扱いになってきますが、そういう療養費払いの特別な扱いをすることはできぬか。これはあなた保険局の人だから、それについて明確なお答えをいただきたい。
  125. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 坂本先生お話のように、疾病とはっきりしたものでもないわけでございますし、医療給付の対象としては問題があるわけでございます。その意味で、保健施設で各種の事業が行なわれておるわけでございます。場合によれば寄生虫の駆除も行なわれましょうし、そのような場合の薬品の配布ということも、地方においては行なわれるわけでございます。そのような保険医療給付に付随した、健康保持増進のための保健施設事業の一端としてそのような場合に扱って差しつかえない、かように思っておるわけであります。従って保健施設の費用は保険の費用から出るわけでございます。結果的には保険の恩典に浴するようになるわけでございます。
  126. 坂本昭

    ○坂本昭君 今、そういうふうな保健施設というものが、大体無医地区、無薬局地区にどの程度ありますか、そうしてどの程度の費用が実際に出されていますか。
  127. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 遺憾ながらその詳細の資料はございませんけれども、今までそういう指導をして参っておりますし、実は今回あらためて強く指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  128. 坂本昭

    ○坂本昭君 資料がないのではなくて、そういうことをやっておらぬのじゃないかと思うのです。だからそんなことでごまかしては困る。無医地区、無薬局地区に保健施設を置いてやるということはしておらぬから、資料がない、それは一つ積極的にやっていただく、そういうためには、この保健施設の国庫負担や、そういうための予算も十分出していただきたい、この点は厚生大臣も、その保健施設でやるということは明言しておられましたから、この点は予算的にも十分やっていただけると思いますが、どの程度ことしやっていただけますか、金額にして。
  129. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 金額は、今のところ明確にお答えすることはできませんが、これはできるだけ保健施設というものを各地区に設置いたしたいと、かように考えております。たとえば役場にしろ、農協にしろ、あるいは農協の出張所、あるいは区長の家にしろ、そういうような救急薬を設置しておきまして、応急の措置を講じさせたい。さっき館林課長が申されましたけれども、これは私はある程度保険対象、低廉な費用で、価格で提供いたしたい、そうして皆保険の実際的な実をこれをもって一部あげられるというような、こういうようなふうに、内容的にそういうものを伴わしていきたい、かように考えております。
  130. 坂本昭

    ○坂本昭君 ただ一つ問題があるのです。薬剤師はいないが薬種商のおる、つまり八百五十二の市町村、八百五十二の地区、ここで薬種商がおりますよ。ところが、あなたの方では保健施設を作るというので、保健施設を作って、救急薬と称して、あなたの方で薬をただでやるとする。そうすると、せっかくそこにある薬種商というものは生きてこない。こういう場合に何とか、ある薬種商、そこには許された薬品がある、その薬品である程度のことはできる、もちろん指定薬品は取り扱えない、そうした場合、今の保健施設を持っていって、そうしてその薬種商の仕事を妨害をするというか……せっかくある薬種商の仕事を生かしてこれを使うという方法、その方法と今の保健施設との関連です。これはうまく両立できますか。今のお話を聞いていると、保健施設を作ってしまえば、せっかく山の中で細々とやっておった薬種商の人が今度は飯が食えぬということになってきやせぬか。ここでこの間うちから論議されたことは、実は山の中あたりで、薬種商もいない、そこに特例販売業を置かなければならぬ、しかし特例販売業を置くということは原則としてよろしくない、そういうしろうとに薬を持たしてはいかぬ、そういうことはここで確認された。しかし、こういう薬種商など、ある程度試験などに受かって能力のある人、これはできるだけ使おうじゃないか、できるだけこれを生かして国民保険の実をあげよう。そういう場合に、今の保健施設を持っていって薬種商あなたはのいてくれということでは困ると思う。だから、その調節をどうしてやるか。
  131. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 多くの場合には、薬種商があるような場所であれば、毎日とはいかないまでも、定則的には、あるいは不定期には、医師が出張診療でき得る余地がある場合が多いかと思います。しかし、そういうことも非常に困難であるというような非常に隔絶した地方で、たまたま薬種商があるというようなときに、緊急の場合に、そういう薬種商から買った場合に、保険の何らかの対象にならぬかというようなお尋ねであろうかと思うわけでございますが、そういうようなときにも、保健施設の対象となるように私どもも検討して参りたいと思います。
  132. 坂本昭

    ○坂本昭君 この資料の中には、一号はないが、二号のあるもの、つまり薬種商のあるものが八百五十二カ所で、そのうち五カ所は無医地区なんです。医者がおらない。これは医者もなかなか行けないところだと、私はそう思う。従って、今のあなたの言われたことは、現実に日本全国では数カ所、場合によれば数十カ所具体化されてくる問題だと思う。この間うちからその点についてかなりわれわれの要望があったわけです。これは、こういう東京などにおいて許されることでは決してありません。ないけれども、こういう特殊な場合において、ぜひともこれは何らか具体化していただきたい。そのことは、保健施設を作ることと、それからまた、こういう山の中にある薬種商の仕事を殺さないで、生かしてやる。こういう行き方を奨励するのじゃ決してありませんよ。誤解しないようにしていただきたい。この際一つ検討していただきたい。  それから最後に、今までもいろいろ医療金融公庫の問題が出てきているのですが、医務局に伺いますが、このことに関連して、薬局に対して一体医療金融公庫からどのくらい出すおつもりですか、率直に伺いたい。
  133. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 医療金融公庫の融資先の業種は、いまだその資金の需要の申請が画然といたしませんので、割当等はきめておりませんが、ただ過去の実績によりまして、薬局につきましては、薬局の新設なりあるいは増築等の実績等を参考にいたしまして配分をやりたいと、そういうような今計画の段階でございます。
  134. 坂本昭

    ○坂本昭君 それは、ごまかしてはいかぬですよ。医療金融公庫の方は、目下われわれは審議中ですが、この前の資料の一端について言うと、薬局資金需要見込額としては、四億二千七百万という資料をいただきました。それから、これはほぼ、先ほど薬務局長の説明された年間の新設五百カ所くらいが大体これに該当してくると思うのですね。五百カ所よりもっと多いだろうと思いますが。そうすると、五百カ所に対して年間四億くらいの資金需要がある。今度医療金融公庫は二十九億五千万円ですから、しかもその五百カ所全部ではありませんから、この前の資金需要は医務局で出されたのが百三十億程度ですから、この割合でいくと、薬局に回る金額はおそらく数千万円であろうとしか思えない。数千万円で、この薬剤師法薬事法が新しく生まれかわって、無薬局地区をなくして新しい任務を薬剤師に負わそうという仕事が一体できるかということです。薬務局長はたまたま医療金融公庫をねらっておって、これで無薬局地区をなくすのだということをたびたび明言してきた。どうも最後に金額は数千一万円だと、一体これが幾つできるかということですね。多分数十でしょう。数十だったら、今の無薬局地区を解消するなんということはてんで話にもならぬ。これは私は、今医務局は検討中だと言うけれども、私の想像するところでは、あなたの検討に従ったのでは、薬務局長が今まで言われておったことは、おそらくみな実を結ばないと思う。薬務局長は、金融公庫についてどの程度責任を持って推進しておられますか、どの程度の額を要求しておられますか。
  135. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 金融公庫の方は、むしろ申し込みに応じて貸付をするということでございますので、従って、たとえば無医地区その他のものにどの程度出るかということは、今後の推移によらなければ確実なところはわからないわけでございます。私どもとしては、鋭意先般来申し上げておるような趣旨で、無医地区、無薬局地区等については特別に考慮を払うようにいたしていきたいと考えておりますので、お話のように、これだけの無薬局地区というものを医療金融公庫のような仕組みで完全に近い形で解消することができるということは、これは私ども考えていないわけであります。それなればこそ、たとえば今後公営薬局等の問題も真剣に考えていかなければならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  136. 坂本昭

    ○坂本昭君 最後質問ですが、どうも今までずっと聞いて参りましても、無薬局地区の問題、その解決についても、どうもわれわれとして、なるほどそれならよろしいと、まあ十年かかるけれども、十年かかれば完全に解消されるという、そういう見通しがつかない。それからなお、薬剤師の大学卒業の点についても、この間うちから若干文部省の人とも質疑をかわしましたが、総じて全体的な計画——医師、歯科医師、看護婦、こういうものの学校教育と、それからその卒業していく数と、その卒業していく人たちがこれから四年あるいは六年の新しい医療機関整備計画、その中には十三万床の増床の問題もある、それから今の無薬局地区解消の問題もある、一応最後段階なので、これは医務局として、あなたの所管のことについて大まかな説明をしていただき、こまかいことについては、これはまた、医療金融公庫審議の資料にもいたしますから、当委員会一つ資料を出していただいて、きょうは、薬剤師の問題に関連して、どうも聞いておって一つも計画性がない。それで、今の薬剤師との関連において医師、歯科医師、看護婦について大まかな説明を、ことに今の当初計画と関連して簡単に一つしていただきたい。
  137. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 先般の御要請によりまして医師、歯科医師、薬剤師等の昭和四十年までの需給計画の資料を作りまして試算をいたしておりますが、簡単に要点だけ申し上げますと、次の通りであります。  昭和三十四年度から四十年度までの医師の、医科大学を出た、卒業の予定者数と申しますか、これを一つ作りまして、これはたとえば三十四年度は三千六百五十八名になります。それから三十六年度までは、二十三年五月現在の在学数よりその卒業予定数を推定したのでありますが、以後は三十七年から四十年までは三十六年と同数と見て、大体三千四百二十名というふうに押えました。そのうち、卒業生の中に医師として従事する者、これは国家試験を受けなければなりませんから、そこでその卒業いたした数に〇・九八四をかけたものでございます。これが昭和三十四年度は三千五百九十八名になります。それに対しまして離退職者、離職したりあるいは引退する者がございます。これが前年末の実働医師数の〇・〇一一でございます。三十四年度で申しますと千七十名。そこで先に申しました卒業生の中の従事者から離退職者を引きましたものが従事者の純増加になるわけですが、これが三十四年度に二千五百二十九名でございます。大体三十五年度以降もこれに近い数字でございますが、そこで次の欄に、実働の医師数、これは現在実働いたしております医師がどのくらいおるかと申しますと、昭和二十三年の末に九万七千三百名でございます。これに先ほど申しました純増加の二千五百二十九名を三十四年度では加えますと、九万九千八百二十九名になります。各年次別にこれを純増加を加えていくわけでございますが、そのうち診療に従事する医師の数は、実働百医師数に〇・九四九をかけたものでございまして、三十四年度はそうして計算しますと、九万四千七百三十八名になります。一方、先般来御説明申しました医療機関整備計画によりまして、例の四十年までに十四万床ふやすという計算で、需要医師数を計算いたしますと、昭和三十四年度におきましては八万七千八百十四名が必要であります。四十年度におきましては十万六千九百六十名必要であります。そこで過不足数が出るわけでありますが、それによりますと、昭和三十四年度におきましては医師が六千九百二十四名、これは過剰になります。こういう計算でございます。ただ、全体の診療従事中の医師数が十万近いものでありますから、そのうちの六千九百二十四名というのでありますから、七%に満たないわけでございまして、大した数ではございませんが、大体医師の需要はこれで昭和四十年までバランスがとれる、むしろ少し過剰ぎみだということが、言えるのであります。  それから次は、歯科医師でございますが、歯科医師の卒業予定者は三十四年度まで実績がございまして、三十四年度は九百二十三名の卒業予定者があります。以下四十年までに推計をいたしておりますが、大体これに近い数字でございます。そのうち国家試験を受かりまして診療に従来する者が三十四年度は八百七十七名、これは先ほど申しましたように、この卒業予定者数に〇・九五をかけております。ところが、一方、離退職者が大体前年度の診療従事者の中で、〇・〇〇九がそれに相当することになります。三十四年度は二百七十九名になります。そうしますと、以上から推計従事者、歯科医師の純増加というものが計算できますが、たとえば三十四年度で申しますと五百九十八人、一方、推計診療従事者数というものが、昭和三十三年度で三万一千三十二名でございます。そこで、先ほど申しました純増加分を加えて参りますと、昭和三十四年度の推計診療従事者数というものが出るわけでありますが、これは三万一千六百三十名、四十年度を申しますと三万四千七百七十七名。そこで大体医療機関整備計画とは直接のこれは結びつきをつけると言うより、むしろ人口当たりの、歯科医師の一人当たりの人口の推計数というものは大体三千名見当を目標にいたしておりますが、それによりますと、三十四年度が二千九百二十名、四十年度は二千七百七十一名ということで、大体歯科医師もバランスがとれるということになります。  それから次は……。
  138. 坂本昭

    ○坂本昭君 結論だけでいいです。
  139. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 以上のようなことで、看護婦なりあるいは歯科技工士なり歯科衛生士の昭和四十年度の一応需給計画を立てておりますが、資料で提出いたします。
  140. 坂本昭

    ○坂本昭君 それで、たまたま薬剤師法並びに薬事法改正で、今審議をしておるのですけれども、無薬局地区の問題や無医地区の問題、そういったもの、さらにそれを整備するための医療機関整備計画、それらを総合して参りますと、今医務局の説明のあったように、人の面でも若干医師が少し余り過ぎるというような点もあったようですが、大かた学校教育とそれから出てくる医師、歯科医師、看護婦需給の調整がまずとれながら進んでいっておる。同じことは薬局薬剤師についても計画されなければならないと思う。それらの点が全般的にどうも不十分である。たとえば保険局と薬務局との連繋、そういった点が不十分なので、この際私は、来年度からの国民保険をやる上にあたってもっと基本的にこれらの計画を立案して、場合によれば十年かかってもいいですよ。できたらそれは五、六年のところでできたらいいのだが、もっと公表された——今のように説明を聞いただけではわからない、もっと根拠のある、公表された資料を作って、そうして場合によれば例のアメリカがヒル・バートン法を作って、そうしてそれができたのが、一九四六年、一九四六年に作って、この法律のもとに基本的な病院の配置、それから医師の配置、そういったものを全部作っておいて、それから今度はそれに対する予算の裏づけをこの法律で義務づけて、そうしていなかの方に対しては国の負担、アメリカですから連邦の負担をいなかへ行けばよけいかける。ちょうど医療金融公庫でも利子がだいぶ僻地の場合とそうでない場合と違う。そういったことをこのヒル・バートン法というものは基本的に作って、その基本の上でずっと進んでいって、十年もかかっていませんが、かなりな年数がかかっておる。日本の場合は薬剤師法ができた、医療金融公庫法ができた、みんなばらばらで、それぞればらばらにやっておるから、いつまでたってもできてこない。むしろこの際、せっかく渡邊厚生大臣就任せられて、来年から国民保険ができ上がる年ですから、渡邊法と、後世人称して渡邊法と称するような立法をお作りになって、そうして数の上においても、予算の上においても基本的なものを出していただく、そうして場合によれば五年あるいは十年の間に日本の医療あるいは薬事全部を完成させる、一つそういう心組みで私はやっていただきたいということを切望いたします。で、このアメリカのヒル・バートン法の問題については大臣は御承知ないかもしれませんが、こういう基本法のもとに実施していかれるというお考えはないか、その点だけ一つ伺って私の質問を終わります。
  141. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 御趣旨の線に沿いまして十分努力いたします。
  142. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、坂本委員が先ほどから言っておった問題と関連して、大臣答弁保険課長の答弁関連して、私はあれでいいのかと明確に一つしておきたい。その問題は、無医地区を解消するという問題については、努力を、一方において市町村の協力を得てやる。巡回並びに定期的な診療所を起こしてそれに当たっていく。または緊急医薬というものを持って、保険給付としてでなくて保健施設としてやっていく、こういうお話がありました。ところが、たくさんの無医地区の解消は、今の坂本委員が言ったような構想で順次計画的にやってもらわなくちゃなりません。無薬局地区もその通りであります。しかし、本年から皆保険が行なわれる。保険料は払うけれども、給付を受けないという、これはどうするのです。さっきの答弁でいいのですか。保健施設を作ります。それではその保健薬というものはだれが管理し、だれが点検をして被保険者に要するに薬品を渡すのですか。そういう管理方式の問題も一つあります。だからそういうことで無医地区、無薬局のところにどうするかという問題が、今の保健施設としておやりになるのも一つ方法でありましょうけれども医者の診断がなければ給付ができない。そういうことだけで保険料を払わしてそして単なる救急薬くらいのものを置いて国民保険保険料をとっていくのですか。これは先日大臣は、これは重大な問題だから根本的に検討してきますという、この審議中にできるだけ明確に考え方を申し上げますと、言っておられたけれども、前と同じじゃないですか。これはどうするのですか、これをはっきりして下さい。
  143. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 先ほどから申しました無医地区に対しましては申し上げた通りでございますけれども、しかし、これは国民保険になりましてから保険料のかけ捨てになるのじゃないかという、確かに一方からそういう現実的な問題が起こって参りましょうけれども、これは特殊な僻陬の地におきましては、市町村条例等におきまして減免措置等も考えられるのでありますけれども、しかし、やはり僻陬の地の住民といえども、万一病気にでもなりましてそして病院に入院加療するといったような場合もございますので、この問題につきましては、十分にこれは検討を加えなければならない、かように考えております。減免措置につきましてはいろいろと指導いたす私どものまあ方法もございますけれども、これは国民保険の今日におきましてなかなかむずかしい問題であろうと存じまするので、先どほからるる申し上げましたように、定期診療あるいは巡回診療あるいは保健施設等というものを十分に活用いたしまして、まあ段階的にそうしたような措置を講じさしていただきたい、かように考えております。
  144. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、巡回診療とか、定期的な診療所の開設であるとか、保健施設としてそういう薬を置くとか、薬を置くと言えば資格のある者が管理するという前提がついてこなければ、結局趣旨に反して特例販売業を繰り返すことになります。施設は大きく見れば、保険給付に入りますかどうかという議論がさっき出ました。私はそういうことじゃなくして、保険料を払った者に給付をやらないという手はないじゃないですか。だから一定のどうにもならぬところにおいては薬品を保険給付として、これは医療法の関係が出てきますが、しかし、順次進んでいくときの暫定措置というものを私はとらなければならぬと思う。保健施設はどうやっているかというと、今統計がありませんのでお答えできない、努力をするつもりですということだが、私は根本的に国民保険を実施するという今日の段階においてそれでいいのかということを私は非常に思うわけです。だから、その点は一つの面では、無医地区を解消する、その次には無薬局地区を解消するという大方針によっておやりになるけれども、しかし、無医地区が解消できなければ、薬剤師だけでもそこに置いて国保に対する給付の中に、重い病気で医者が診察しなければならぬというような問題なら、これは別でしょうが、やはり保険証によって給付の面でこれを何とか、そういうことを生かしていくということを、これは根本的に今答えができなければいいのですが、この法律案審議の中で皆さんはそういうお気持を持って真剣に考えてやらなければならぬ。ただ、ここで国会用の答弁で、保健施設をやりますという答弁だけで、われわれは納得できない。これは私ばかりじゃない。国保の被保険者が困っている。これは根本的に至急に案を一つ立って、そしてみなが潤うようにしてもらいたい。大臣いかがです。
  145. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ごもっともなお説でございまして、先般来私もそのことは十分考えせられておるところでございます。今ここでしからばというような案もちょっと出しかねておりますけれども、十分御趣旨の点は沿うように研究いたさせていただきます。
  146. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  147. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。——御発言もないようでありますから、討論はないものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。薬剤師法案及び薬事法案両案全部を問題に供します。両案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  150. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって両案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
  151. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、この際、ただいま議決せられました薬剤師法案及び薬事法案に対しまして、各党各会派共同の附帯決議を付することの動議を提出いたします。まずその案文を朗読いたします。最初に、   薬剤師法案に対する附帯決議案  (1) 本法第一条に言うところの「薬事衛生」とは、調剤、医薬品の製造、保存、管理、試験、鑑定、販売授与を含むほか、薬剤師がなすところの食品衛生、水質検査等環境衛生、犯罪の化学的鑑定その他公衆衛生上の薬学的、衛生化学的行為を含むものであることの解釈を、政府として明確にし徹底せしむべきである。  (2) 政府は、薬剤師会の法制化について検討すべきである。  次に、   薬事法案に対する附帯決議案  (1) 医薬品乱売は厳として慎しむべきである。政府は、速かに各地の乱売を終熄せしめるよう、極力対策を講ずべきである。  (2) 政府は、行政措置を以て医薬品の卸売業と小売業の区分を明確にし、両者の販売方法については、混乱を来たさざるよう指導し、小売商業調整特別措置法第十四条に規定する政令を以て、医薬品の指定をなし、且つ医薬品製造業者、卸売業者及び中小企業者に非ざる者がそれぞれ小売営業を行って、小売業者との間に経済的紛争を起した場合については、都道府県知事は速かに小売商業調整特別措置法第十五条による調停斡旋を行なうよう、政府は、都道府県知事に強く要請すべきである。  政府は、中小企業団体の組織に関する法律に基づく商工組合の結成を指導促進せしめ、特に適正且つ効果的なる調整規定の設定を認めるよう、考慮すべきである。  (3) 政府は、地方薬事審議会の任務の重要性に鑑み、之が都道府県洩れなく設置せられるよう適当な配慮をなすべきである。  (4) 特例販売業については、医薬品の特殊性に鑑み、極力新規の許可をなさざるよう努力し、特例販売品目は、速かに改訂し、且つその品目を極力圧縮し、特例販売品目を都道府県知事が指定する場合は、政府が定めたる基準の範囲内でなさしむべきである。  (5) 「医薬部外品」については、作用極めて緩和なるもののみに限定し、本法第二条第二項の各号に挙げられたるものと雖も、医薬品と認めらるべきものは、之を医薬部外品となさざるよう、政府において十分の注意をなすべきである。  (6) 政府は、本法第二条第四項による「医療用具」には、歯科材料を含むものであることの解釈を徹底せしめ、且つ可及的速かに、この用語改正をなすべきである。  (7) 本法第三十九条の届出等については許可事項にすべきもの等検討すべきである。  (8) 薬局適正配置をはかり、以て国民保険に協力せしめ得るよう、対策を講ずべきである。  (9) 医薬品の製造発売に関して、徒らに他の製品を模倣し、宣伝広告を競うが如き現状の改善措置を講じ、特に医薬品広告については、諸外国の例に照らし、その取締に関し厳重なる規制をおき、且つ発売者が十分の自粛をなすよう、政府において指導すべきである。  (10) 合成医薬品の製造方法特許申請に対しては、優秀なる新医薬品を速かに医療用に供せしめることの必要性に鑑み、その審査の促進を計るべきである。
  152. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま高野君提出の動議は成立いたしました。高野君提出の附帯決議案を議題といたします。提案理由の説明をお願いいたします。
  153. 高野一夫

    ○高野一夫君 この決議案が読んでおわかり下さる通りに、非常に解説的になっておりますので、あえて重ねて詳しく申し上げる必要もなかろうと思います。ただ、薬剤師法案に対する附帯決議で薬事衛生の文字の解釈を徹底せしめられたいゆえんのものは、薬事衛生という言葉がいつも問題になりまして、しかもばくとした今まで解釈が下されておったのでありますから、当委員会、今日までの審議の経過にかんがみまして、これを決議として明確にしておきたい次第であります。  次に、薬剤師会の法制化は、実は質疑をいたしたいつもりで、時間がなかったのでやめましたが、これは当然医療制度調査会においては、医師会、歯科医師会の法制化について問題になろうかと思います。当委員会におきましては、この三団体の法制化はすでに数年前に衆参両院の社労委員会で決議をいたしております。今日いまだなおこれが結社の自由を尊重する憲法の精神に反するというゆえをもって、いまだに実現を見ないところでございます。これも薬局適正配置等と同じ範疇に属する問題でありますら、今後厚生省は格段の努力をされて、本問題の研究に当たられたいのであります。  次に、薬事法案に対する附帯決議案。  まず、この医薬品というものはむやみやたらに使うものでなくして、必要に応じてのみ使用させるのがほんとうであります。従ってまた、品質保持のことも必要であるのでありますから、いたずらに乱売等によって必要以上の購買心をそそる、そういうことは厳として慎しむべきである、こういう問題でございます。従って、しかも全国各地の乱売が今日なお政府指導努力にもかかわらず終息しておらない、ますます蔓延激化する傾向にある。これに対してさらに厚生省は、的確なる対策を至急に立てられたい。  また、この薬事法においてはたびたび繰り返して申し上げた通りに、卸売と小売業の区別がされておりません。しかしながら、厚生省令をもってこの区別を明確にするとか、あるいはまた、ここに書いてありまする特別措置法を発動することによって卸売と小売の区別を明確にして、そうしてその対策に誤りなきを期したい、同時に、この小売業者とメーカーあるいは卸との紛争については、当然この十五条に基づいて知事が調停あっせんに乗り出すべきであるけれども、いまだかつてそういう例がないのである。これは厚生省がもう少し注意をされて、大阪とか、名古屋とか、あるいは福岡とか、兵庫とか、東京、至るところにあるのに、なぜ知事がこの十五条を発動しないのかという点でございます。これも厚生大臣は、今後は注意をして知事と連絡をとるという言明でございますから、当委員会は強い決意をもってこれを政府に要請をいたす次第でございます。  地方薬事審議会の設置も同様に適当な配慮をすべきこと当然でございます。  次に、特例販売業は、これはしばしばここで問題になった点でございますから申し上げませんが、こういう兼業雑貨屋、飲食店、そういうところは兼業してわずかに一部分の医薬品営業をやっている。従来の三号、四号のごときは、従来のものは特例販売業としてそのまま継続してもいいが、今後はこの許可の事項を見ますと、基準を見ますと、相当制限することが可能でございますから、極力新規許可をなさないように、ふやさないように努力して、そうして特例販売業は廃業、死亡等によって次第々々に減滅するようにはからってもらいたい。販売品目の限定はすみやかにこれは解決をする、そうしてさらに現在以上に圧縮をする、こういうことでございます。  また、部外品もこれまた問題になった点でございまして、これもあの中には当然医薬品にすべきものが出て参ろうかと思います。従って、同じあそこに掲げてある、この条文に掲げてあるものといえども、医薬部外品と医薬品に回すべきものとをはっきりと区別されたいのであります。  医療用具については、竹中委員と鹿島委員からしばしば注文がございました通りに、この定義が適切を欠いておりますので、セメントその他の用具にあらざる歯科材料も、とりあえずは含んでいるのだという解釈を徹底しなければならぬ。そして次の機会に、できるだけ早めに、この用具についての適当な言葉をあらためて改正されたい。  第七の、本法三十九条の届出というのは、めがね屋等が届出制になっている。これは許可制にした方がいいのじゃないかという議論もなされているのである。そういう点についてあらためて政府において検討されたい。  それから薬局が都会に偏在している。先ほど来も、長い間御質疑がございました通りに、都会に偏在して、地方にない。まことに適切を欠いているのでございますから、これまた、憲法二十二条違反のゆえをもって、今日なお解決をしない点でありますけれども、これも厚生大臣の言明を信頼をいたしまして、この憲法解釈に率先して厚生省が当たって、そして適正配置が、病院診療所等、ともに行なわれるように、そして国民保険の実が上がるようにしてもらわないと、先ほど来坂本委員お話にも、藤田委員お話にもありました通りに、現在のままでは国民保険の実を上げることができないから、これをぜひとも実現をしなければならぬ。こういう薬局適正配置をあげた次第である。  次の第九は、ある会社が新発売をいたしますると、労せずして他の会社がそれを模倣いたしまして、ただ宣伝広告だけでもって競争をする。これが今日の乱売あるいは生産過剰の原因を来たしている第一の根本問題であります。これをまず防がなければならぬ。しかし、統制経済でないから、生産統制をするわけには参らぬので、たとえばフランスのごとく、新発売品に対しては相当期間の特権を与えて、他社が模倣することを許さない。そういうような立法措置を講ずる、あるいはまた、製薬業者に自粛をさせる。こういうことをされて、そうしてまじめに金を使い、まじめに研究をして新発売品が出た、その会社がその新発売品によって医療に安心して奉公することができるようにしむけなければならない、こういう意味であります。同時に、広告については、これまた申し上げるまでもなく、しばしば論じられておるところでありまして、現在以上に厳正なる方法をおとりを願いたい、こういうわけであります。  最後の第十は、医薬品の特許は製造方法の特許にある。特に問題のあるのは、合成医薬品の特許の申請でありますが、これがいつも三年、五年かかる。せっかく優秀なる医薬品が研究されたならば、とたんにこれが医療用に供せられて初めて意味をなすのに、常に審査に三年かかる、四年かかる、五年かかるということでは世界の水準からはるかにおくれる。そうして外国の製品を輸入して間に合わせなければならなくなります。この点は特許庁の問題でございまするが、特に厚生大臣の方から通産大臣、特許庁長官に要請をされまして、特に合成医薬品の特許申請に対しての審査の促進をはかられるように御配慮願いたい、こういう趣旨であります。  以上が附帯決議の提案理由の説明でございます。
  154. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御質疑はございませんか。——別に御発言もないようでありますから、この附帯決議案の採決を行ないます。  ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よってこの附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議として、ただいま議決されました薬剤師法案及び薬事法案にこれを付することに決定をいたしました。  この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。
  156. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ただいま御決議になりました薬剤師法案並びに薬事法案に対する附帯決議に対しまして、政府といたしましては、十分尊重いたしまして善処いたします。
  157. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止
  159. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会