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1960-05-12 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十二日(木曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員徳永正利君辞任につき、その 補欠として平井太郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            山本  杉君            秋山 長造君            小柳  勇君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    厚生省薬務局長 高田 浩運君    労働政務次官  赤澤 正道君    労働省労政局長 亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君    日本国有鉄道職    員局長     河村  勝君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○薬事法案内閣提出) ○薬剤師法案内閣提出) ○労働情勢に関する調査  (国鉄に関する労働問題に関する  件)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから委員会を開きます。  薬事法案並びに薬剤師法案、以上両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入りますが、前回の質疑に対する政府側答弁が残っておりますが、それは本日の質疑と関連して答弁を願うと、かような運びにいたしまして、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 坂本昭

    坂本昭君 きょうは、薬事法案の中の第八章医薬品等広告について、これは、先般来、たびたび質疑が行なわれていますが、いまだ、明確でない点が多数ありますので、少し基本的な点からお尋ねいたしたいと思います。  まず、これは、大臣にお伺いしたいのですが、広告とは何かということなのですね。それで、これは、広告というのは医薬品広告についても、ソ連に行っても、中国へ行っても、あるいは社会主義のいろいろな国でも、あるいは資本主義の国でも、これは、どこにもあることですけれども資本主義の国では過当競争の結果、誇大になるということが、いわば、広告の本質であろうかとも思われる。大臣は別に広告専門家ではないでしょうが、医薬品広告というものが、今日、われわれの一般生活を最も支配しているという点で、この医薬品広告はいかにあるべきであるかという基本的な一つ考えを御説明いただきたい。
  4. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 私も、常に新聞等を拝見いたしておりまして、新聞の一面がつぶされ、半面がつぶされておる。これが私どもは見たことも聞いたこともないところの薬がひんぱんに広告されておる。こういうことから、やはり薬の内容、実質的なものというものが伴わない限りにおきましては、われわれは、これは誇大広告としてある程度規制を加えなければならないのではなかろうか、かように考えております。
  5. 坂本昭

    坂本昭君 大体、この医薬品広告については、日本の行き方はアメリカにならっていると思われるふしがあるのです。で、アメリカ広告に関する規定を善意に解釈して、これを利用というよりも、悪用しているふうに思われる点が実はあります。実は、薬務局からこの間資料として特に編さんしていただきました「諸外国薬事制度概要」、この概要の十ページを見ますと、アメリカ合衆国における薬事制度の第七項に「広告」というのがあります。この「広告」の項を見ますというと、「新医薬品の申請が効力を発している旨を明示又は暗示する広告又は表示書を禁止するという規定があるにすぎない。」。格別なうるさい規定は何もなくて、ただ新医薬品の云々ということがあるにすぎない。たった一行わずかのことで処理されております。ところが、実はこれは薬務局としては非常な私は調査不十分だと思うのです。アメリカ広告については、今のアメリカ合衆国薬事制度、これは、一九三八年のザ・フェデラル・フード・ドラッグ・アンド・コスメティック・アクト、ここには訳さないでこう書いてありますが、いわば連邦食料品薬品化粧品法、こう言うべきだと思うのですね。この一九三八年の法律の中に今の日本薬事法関係のものが入っているのですが、実は、この法律ができたときに、同じ年に一九三八年にホィーラー・リー法、ホィーラー及びリーという二人の議員によるホィーラー・リー法という法律ができているのです。これは連邦公正取引委員会法の一九三八年の改正なのです。そうして、これはなぜこういう改正ホィーラー・リー法という名前でできたかというと、従来、連邦公正取引委員会法というのは一九一四年にできて、そしてこの中でいろいろな公正取引についての規定があった。ところが、食料品薬品治療器具化粧品、こういうものに関する不正広告対象として特に一九三八年に立法化された、こういう事実がある。だから、こういう事実を無視して、もうアメリカでは全く広告は野放しだというふうに理解されると、とんでもない誤解を私は起こしてくるだろうと思うのです。で、実は、ホィーラー・リー法については、国会図書館の調査立法考査局で最近かなりこまかい調査をしてくれてあります。「調立資料A九八」というのですが、ちゃんとパンフレットが出ております。これの八ページを見ますと、こういうことが書いてあるのですね。「ホィーラー・リー法消費者を不公正な広告に対して保護する」、そういう見出しで、同法の第十五条は不正広告に対する連邦公正取引委員会取り締まり規定している。その中でかなりこまかいことを書いてあります。たとえば「広告誤解を起させるか否かを決定するさいに考慮しなければならないのは、(とりわけ)記事、言葉意匠装置、音またはそれの組合せが作りだすか、または人にそう思わせる説明だけではない。また、広告はかかる説明から考えて、重要な事実をどの程度まで隠しているか、……を、考慮しなければならない。」非常にデリケートな表現まで使って規定をし、さらに、この「一五条の施行にあたって、連邦公正取引委員会は、消費者または競争者から申立を受理し、不正広告の告発を調査する。証拠が不十分ならば、申立ては却下される。被告は、事実を承認し、不法行為の中止に同意する旨の誓約書に署名する。さもなければ、委員会は正式に告訴手続をとる。」。連邦公正取引委員会不正広告に対して告訴手続をとる。で、同じ一九三八年にホィーラー・リー改正法が制定された後に、この委員会は特にラジオ・新聞局を設置しています。そうして、その中で、「『新聞雑誌、農業、商業雑誌広告三六万二八三七が検査された。そのうち一万八二二一、すなわち約五%が、「不正または誤解を起させるとみなされる説明を含んでいる」と指摘された。』」。つまり、連邦公正取引委員会法が一九三八年にホィーラー・リー法ということによって新しく改正せられて、特にその中で、食料品薬品治療器具化粧品に関する不正広告、いわば日本薬事法に関する広告が特にこの十五条の中に厳格に規定をされている。その事実を実は薬務局のあなたの方の資料の中では全部飛ばしてある。だからアメリカ並み広告を野放しにするという結果が生まれてきたのではないかと私は思うのです。こういう事実についてどういう御見解を持っておられるか、当局のこれは薬務局長のお考えを承っておきたい。
  6. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お手元に差し上げました先般の資料は、これは、御承知のように、森本前の局長外国に参りましていろいろ見聞いたしました点を取りまとめたものでありまして、広告ということに焦点を合わして調査したものでございませんので、その点、御了承いただきたいと思います。  なお、御指摘の十ページの七のほかに、アメリカ関係としましては、十二ページの一番初めの二とそれから十八ページの七に多少規定してあります。念のために申し上げておきます。  なお、御承知のように、広告に関する取り締まり規定は、大体旧法の時代から虚偽誇大を中心にしたすなわち六十六条の淵源をなすようなそういうような格好になっておったわけでございまして、必ずしも今御指摘調査とは関係のない問題でございます。お話のように、虚偽または誇大の広告を取り締まるということが、言葉としてはそうでございますけれども、実際問題としてはいずれが虚偽に該当し、いずれが誇大に該当するかという問題はなかなかむずかしいし、従って、これらの実施につきましては十分関係団体等とも打ち合わせまして……。
  7. 坂本昭

    坂本昭君 その点はあとで聞きます。僕が聞いておるのは、最初の法律のことを聞いている。アメリカのそれをどう考えるかということを聞いているのです。今のようなホィーラー・リー法と二本建になっているということですね。それを聞いているのです。
  8. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) そういうことによってこの法律の適正なる運営に努めているわけでございますが、法律としては、大体日本としては従来の六十条のようなことを根幹として参っておりますので、やはり日本としては従来における薬事法規ないし広告に関する取り締まり法規というような観点からして、それを根幹としていくべきであるし、なおそれより以上に足らない分を今度六十七条、六十八条等で補いましたが、こういう格好でいくことが妥当でないか、今のところはさよう考えております。
  9. 坂本昭

    坂本昭君 もう少し今の問題を徹底的に一つ検討してみたいと思うのですが、確かにアメリカ立法の場合も、今局長指摘されたようなかなりこまかい点にわたっても規定がある。おそらくこれらのことは今のホィーラー・リー法施行規則といいますか、施行にあたっての規定の中にも、いろいろと規定されていると思いますが、大体アメリカのこういう広告に関する立法趣旨を見ると、消費者保護運動といいますか、消費者保護という形で進められております。今の調査立法局資料は、これはごく最近に日本では例の奥むめおさんの主婦連、つまり消費者代表ですね。あの人たちが非常に調べられて、その結果アメリカ通産省でこういう消費者保護に対するいろいろな立法を検討しているということからまとめて研究された結果、その中での広告の項を私が少し選び出したところなんです。これを見ますというと、消費者保護という形で打ち出されているので、たとえばこう書き出しに書かれています。衣食住や生活享楽に対する必要を満たすために、商品サービスを消費するすべての男、女、子供、これが消費者、つまり生活享楽に対する必要を満たすために商品サービスを消費するすべての男、女、子供、この消費者という考えを明確にして、そうして要求を満たしたいと望むこの消費者保護を与える必要がある。そうしてそれには二つ理由がある。一つ生産者消費者の利害の対立が非常にきびしいから、つまりアメリカ通産省は、こう言っているのです。生産者のある者は消費者に対し詐欺欺瞞の下段に訴えて利益を増加し、競争に対抗してきたから、消費者保護の必要がどうしても生まれてくる。つまり詐欺欺瞞の手段に訴えて競争に対抗してくるから、どうしても消費者保護を必要とする、これが一つ理由。もう一つは必要な商品サービスの価値や品質を評価できない消費者がたくさんある。つまり今日御承知通り商品は品目も多種多様であり、かつ材料も多種多様であって、従って、多種多様の商品の真価を判別できる消費者というのはほとんどいないということです。これはわれわれでもどのワイシャツがよくて、どの毛はえ薬がよいか、なかなかその判別はとうていできないのですね。さらに消費者には、日常使用する商品品質研究する時間がない、こういう二つ理由アメリカの商務省は、取り締まり保護教育保護二つ保護方法消費者保護して、その結果一九三八年に薬事法ホィーラー・リー法を制定したというふうに私は考えるのです。そこで問題なのは、アメリカ法律では、消費者という言葉で表現されてありますが、一体薬事法の中で、医薬品に関するものの中には、それを使う人をはたして消費者と呼ぶのにふさわしいであろうかと思われるものがあるのですね。それはビタミンとか胃薬を飲む人は、これは消費者の中に入れてもいいでしょう。が黄だんとか胃かいようとか、あるいは肺結核、これで薬を飲む人は、幾らアメリカ流に言ったって、これは消費者とは言えないと思うのです。生活享楽するために薬品を消費しているのじゃないのです。これは厳格な意味消費者という言葉は、私は当てはまらないだろうと思う。で、言いかえれば、医薬品のあるものについては、一般消費者に対する一般広告よりも、はるかに厳格にすべき条件と要素とがある。私の言いたいのは、そういう点です。病人相手医薬品広告一般消費者相手広告取り締まりの質を当然異にすべきである、私はそういうふうに思う。アメリカ消費者保護法律の中でも非常に厳格にやられておる。日本の場合でも、これからだんだんお尋ねしますが、局長さん初め厚生当局のお考えは非常に甘い考えではないか。一般消費者に対する広告とそれから医薬品広告とは、その質において取り締まり内容、厳格さを異にするのがこれは常識ではないか。法律以前の問題ではないか、そういう点をまずお伺いしたい。これは大臣見解もお聞きしたいのです。
  10. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 私は今、坂本先生から申されました特殊の薬剤につきましても、やはりこれは消費者が使うという意味においてやはり消費者犠牲面というものが多分に私は考えられる。それがゆえに私は特別にやはり規制をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。さような意味におきまして、やはり規制ということは、消費者利益のために、一般大衆生活保護という建前におきましてやはり相当考慮しなければならないのではなかろうか、かように考えております。
  11. 坂本昭

    坂本昭君 ワイシャツだとか口紅の広告と同様に、命を守る医薬品広告を野放しにしておくところに、私は日本の非常におくれた悪い自由資本主義があると思うのですね。いわば悪い商業主義がある。病人を単なる薬の消費者と見るというのは、実に私は悪質な商業主義だと思うのです。人間の命を商品と同一視するようなことは、私は非人道主義でさえもあると思う。だから実際は自由々々とはいいますけれども、なるほど広告の自由はあります。それが人間の大事な、崇高な命の自由を守るためには、広告の自由に対して当然制限を置くべきである。広告の自由に制限を置くことが、これがむしろ真の自由だろうと思う。で、局長がよく言われる例の強権発動ですね、これは強権発動するなら、こういうことに私は発動すべきだと思う。あなたはときどき強権は変なところに発動されようとしたがっておられるけれども、そうじゃない。私はこういうことに何か強権発動したって、国民が不利益になることは絶対にないと思う。ところが、日本法律も実は非常にきびしい面のあるものがあるのです。それはたとえば医療法の六十九条では、「医業歯科医業又は助産婦業務等広告」としてですね、これには「左に掲げる事項を除く外、これを広告してはならない。」、そうしてそこに掲げてある一号から七号というものは非常に厳格なドライな科学的な記載だけなんですよ。非常に厳格であります。さらに「医師又は歯科医師の技能、治療方法、経歴又は学位に関する事項にわたってはならない。」、これは三項に掲げてある。さらに、厚生大臣が特に必要があると認める事項は必要な定めをすることができる、非常に微に入り、細をうがって規定している。で、先般、局長は、その効能効果相当のことならば広告してよろしいというふうのことを言っておられたが、いやしくも医業歯科医業助産婦業務広告については相当なものでもいけないのですよ。非常に厳格な規定がある。私は、広告についてこんなにきついものはほかにないだろうと思います。なぜこんなにきつい広告に関する規定医師歯科医師助産婦について設けているか、これは私は厚生大臣にお伺いいたしたい。こんなにきつい広告はほかにありませんですよ。なぜこういうきつい広告に関する規定をしているか。
  12. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 私もこの問題につきましては、なかなかむずかしい問題として、今明確なお答えはできない次第でございますが、御説の通り、私もさような趣旨におきまして検討を進めていきたいと、かように考えております。
  13. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、薬剤師法の新しい法律では、第一条に「公衆衛生向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」というふうに、今度は規定されて参りました。これは実は医師法歯科医師法、これにある規定と全く同じなんですね。私はこの点が医師たる者任務といいますか、目的といいますか、医師法の第一条では医師任務として、「公衆衛生向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」、これが医師任務です。それから歯科医師任務もまたこれと同じ。助産婦の場合もまたしかり。それからまた、薬剤師の場合も同じ規定が今度は行なわれるに至ってきた。そうしてこういう人命に関し、公衆衛生国民の健康な生活、こういうことは、これはもう金で買われない貴重なものである。だからこの業務関係するものについては、営利をもととしてはいけない、そういう法的な概念より生まれてきた。従って、医師歯科医師広告については非常に厳格な規定が私は出てきたと思う。従ってそうするなら、薬剤師が直接、間接責任を持って当たる、この間問題になった医薬品供給ですね、医薬品供給に関連して、その広告もひとしく厳格なるべきである。私は当然厳格にすべきだと思う。そうしなければこの薬剤師法の第一条でこれを書いて下さい。薬剤師法の第一条にこれほど明確に薬剤師の正しい任務と使命を規定した以上は、同じように、医師歯科医師が従来厳格な規定の中で人命を尊重してきた、その立法の精神をここで混同してもらっては困る。当然医薬品供給に関する広告のみ、これは営利対象として、幾らでもどんなに広告したってどうでもいいという、そういう理由は私はないと思う。何か医薬品だけはそういうことはない、医薬品広告はもう野放しでもよろしいという、そういう根拠があるならば、一つ局長から御指示いただきたい。
  14. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 一般商品等についての広告に関しましては、不正競争防止法によって規定があるだけでございます。しかし、薬については、やはり今お話のように、保健衛生上の見地から考えなければならないという意味において、第一条の規定が置かれているわけなのでございます。それで薬の広告については、広告制限の問題と、それから内容の問題と、両方の面があると思いますが、制限の問題としては、まさしく相当新聞等においてもスペースを使っておりますし、従って、広告費等もかなりの金額になっておることも、これは事実でございます。内容的にはやはり従来六十六条に相当する規定によって、虚偽誇大、その他の広告を取り締まっておる、そういうことでございます。先日も申し上げましたように、虚偽誇大等のいわゆる広告取り締まりというのは非常に技術的にむずかしい面もありますし、その意味において私どもも苦心をいたしておりますけれども、今後の運用につきましては、御趣旨の線に沿ってこの六十六条を適正に運用して万全を期したい、かように考えております。
  15. 坂本昭

    坂本昭君 私は、医薬品供給に関しても、これは医業歯科医業業務の遂行に関しても、同じように、広告の面においては扱うべきのが当然ではないか、そのことを聞いているのですよ。そうしなければ、薬剤師任務歯科医師任務医師任務と、各法の第一条で同じことをうたっておるでしょう。それはおわかりでしょう。医師法の第一条は今言った通り医師法の第一条、歯科医師法の第一条、それから薬剤師法の第一条、みんな「公衆衛生向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」、こういう非常に神聖な大事な業務に従事している。だから医師歯科医師広告については非常に厳格な規制が行なわれておる。だから薬剤師業務に関してもいろいろな医薬品広告、これは薬剤師が取り扱う、つまり薬事衛生の大事な内容でしょう。だからこれの広告について、私は当然厳重な規定があってしかるべきだ。私の言うこと、おわかりにならぬでしょうかね。だからそれでないとするなら、その根拠を示してくれと、医師のすること、薬剤師のすることと違うということを私は聞いているのです。六十六条とか何とかじゃないのです。
  16. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医師歯科医師業務も、国民保健衛生に直接する度合いと、それから医薬品国民保健衛生に直接する度合いというものは、やはりおのずからそれ相当のこれは径庭があるということは、私ども認めなければならないと思います。そういう意味合いにおいて、従来医療法の系統においては、ただいま御指摘のありました六十九条等にきわめて厳格な広告制限規定がございますし、医薬品につきましては、この六十六条に相応する、あるいはこれの前身となる規定がずっと以前からあった、そういうことだろうと思います。  それから薬剤師法の第一条を御引用になってのお話でございますけれども、この点の規定の書き方と、それから医薬品広告については、今度の法律改正で根本的に従来の立て方を変えたと、そういう趣旨ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  17. 坂本昭

    坂本昭君 私が言っているのは、つまり医師が、かりに私がたとえば赤痢について非常に体験と研究をしておって、そしてどのような種類の赤痢にしても、あるいは志賀菌による重症赤痢にしてもなおす腕がある。それからまた、それに対してクロマイを使ったり、テラマイシンを使ったりしてなおすことができる。そうした場合に私はかくかくの赤痢研究をした、志賀菌研究をしている。そしてクロマイ使い方やズルファミンの使い方ども知っているということの広告は一切私はできないのですよ。非常に厳格にその点は規定されている。ところが、クロマイだとか、テラマイシンだとか、そういうものは赤痢にきくという広告幾らでもできる。幾らでもされている、幾らでもしているじゃないですか。これはおかしいじゃないかというのですよ。だから私は、この際、医薬品の非営利性というものをできるだけ確立していきたい。もちろんその中には営利性を認めなければならないものもある。だからそこを線を引かなければならない必要が出てくる。しかし、少なくともテラマイシンだとか、クロマイだとか、そういったものについては、これらの広告を普通の化粧品広告と同じようにするということは、これは許されぬことじゃないか。私はそういう点を言うために、薬剤師法第一条から医師法の第一条まで引き出してきている。これをおわかりになっておられないというとどうも困るのですが、どうもそういう点あまり明確なお考えを持っておられないように解釈する。あまり明確な考えを持たないで薬剤師法だとか、こんなものをきめるのだったら私は反対しますよ。私たち薬剤師を尊敬するがゆえにこの法律でいいと思っておるのですが、あなたの方ではあまり尊敬しておらない。適当に今まで通り使っていこう、そういうことでは薬剤師の新しい制度は確立されないし、日本薬局制度も確立されない。だからこれは単なる広告という別個の問題ではなくて、やはりこれは薬剤師の直接間接関連する重大な業務の一端として現われてくる広告です。だからこの広告についてもっと厳重に取り締まってもらいたい。取り締まらぬでもいいという根拠があるならはっきりしてくれということを私はお尋ねしているのです。なかなかその点はっきりしないようですから、もう少しお尋ねしていきますが、薬相当の効能、効果を広告をしてもよろしいという御意見を局長は言っておられたのだが、そういう自由が許されるならば、医師歯科医師それぞれ実力相当の手腕力量の広告も私は許されていいと思う。今言ったように、私が赤痢なり志賀菌のことに詳しいという広告をしてもいいはずだと思う。それをしちゃいかぬと言って厳格に取り締まっているのは、やはり人間の命を扱うという医療の特殊性に私はあるのじゃないか、そう思うのですよ。外国では人命を扱う医薬品一般大衆薬、すなわち消費物資のようには一般広告をさせておりません。もちろんそれにどの程度の法律規制があるかはあなたの方の資料だけでは十分ではありませんが、しかし、この中にはこういうことも書いてありますね。一般広告をされた大衆薬は医師は処方しないのが原則である。つまり新聞などに広告になったようなものは、これは医師は処方しないのが原則だ。原則だということは、それは何というか、営利的な医薬品の類であって、ほんとうにたとえば赤痢をなおすとか、結核をなおすとか、あるいは精神分裂症をなおすとか、そういうことに使う医薬品の場合には、これはもう大衆広告をやらない。私はそういうような一つの常識が出てきているのじゃないかと思う。そういう点がどうも局長自身非常に不明確なのであって、何か今までの長い伝統の中で、医薬品広告はこれでいいのだというふうにお考えになっているのじゃないですか。
  18. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医療法の六十九条と対比してのお話でございますので、そちらとの関連について私の考え方を申し述べたいと存じますが、まず第一に、かりに技能あるいは薬についての効能というものをとって考えました場合に、医師の技能について客観的にだれが認定をしたであるとか、あるいは国家がこれを認めたであるとか、そういうようなものが現実にはないわけでございまして、かりに今お話のように——坂本先生が結核の大家であられることは、これは天下周知のことでございますけれども、しかしながら、それは国において保証をしたであるとか、あるいは確認をしたであるとか、そういうような行為ははさまっていないわけでございます。薬の効能、効果につきましては、薬の許可に際しまして、こういう効果はつけてもよろしい、こういう効果はつけてはいけないということで、一定の客観的な区切りをつけておるわけでございます。そういう意味において、かりに医師の技能等について広告をする——今の状態においてするとするならば、自分の主観的な判断に基づいてこれはせざるを得ない。それはいけないということが私は医療法の六十九条の三項だろうと思います。ただ、四項に持っていきまして、厚生大臣が特に必要があると認めた事項は、その三項の規定にかかわらず広告してもよろしい。形としてはそうなっておるわけでございます。それから薬の方については、薬の効能、効果に対して六十六条で、虚偽または誇大の広告をしてはならない。すなわち、製薬の許可を受けました効能以外のことをやりますことはいけないことは、これは当然でございますし、それから許可を受けました効能について誇張をした広告をしたならば、これは六十九条の第一項に抵触をする、そういうようなことになっておりますし、従って、根底が私は医師の場合と、それから薬の場合と多少違うのじゃないだろうか、そういうふうな感じがいたします。それから薬剤師法第一条との関連で、この広告の問題、お話の点、まあ、これは話の順序としてそういうことだろうと思いますが、私はこの第一条の規定と薬の広告との関連というものは直接的な結びつきは、これは考える必要はない、かように考えております。
  19. 坂本昭

    坂本昭君 じゃもう少し伺いますが、日本医薬品広告の実態の調査はこの間からお願いしておりますが、一つ簡単に御説明いただきたいと思います。
  20. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) けさほどお手元に広告に関する資料——縦書きの書類を差し上げておきましたけれども、まず第一に、過去三カ年間のわが国の広告費、これは新聞雑誌、ラジオ、テレビ、これによる広告の推移を書いておきました。これは薬のみならず、全体の広告費でございます。なお、「電通統計による」と書いてございますが、この、広告については現在のところ、電通の統計以外によるべき根拠となるものがございませんので、便宜、これを援用いたしました。  それからその次に、昭和三十四年度の業種別広告費の状況が書いてございまして、ごらんになりますというと、第一が機械器具、これは電気器具でありますとか、あるいは工作機械でありますとか、そういったものを含んだものでございます。それから第二位が食料嗜好品、それから第三位が医薬品でございまして、先日、大臣からお話し申し上げましたように、百四十二億でございます。一つ飛びまして化粧品ということになっております。  それからその次の医薬品化粧品の媒体別の広告費及びそれの割合を示しております。それによりますと、医薬品につきましては、順序としては、新聞、ラジオ、テレビ、雑誌、そういうような順になっております。  それからその次に、四番目の生産額とそれから広告費との関係を示しております。それによりますと、医薬品については、生産額の約九・七%、化粧品については、約一六%というようなことになっております。
  21. 坂本昭

    坂本昭君 この中で顕著なことは、新聞が昭和三十四年六百十八億、テレビが二百三十八億、そのテレビの方は毎年ほとんど倍加以上の状況、おそらく年ならずしてこれは新聞を凌駕するかもしれないということが一つ。それから実際にテレビを見ていると、私はこのためにおとといの晩ずっと見ておりましたが、ほとんど医薬品関係ばっかりです。これが六十六条の「明示的であると暗示的であるとを問わず、」テレビの場合はまさに明示的です。これはあとでお尋ねしようと思うのですが、非常に特徴がある。特に今ここでは新聞雑誌、ラジオ、テレビだけですけれども、屋外の広告物について、これは一体どういう方針を持っておられるのか。同じ方針によってやっておられるか。屋外の広告物等については、当局としては関心を持っておられるのか、その点をちょっとお伺いしておきたい。
  22. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 屋外の広告看板、その他車内の広告でありますとか、すべて一様に広告取り締まり対象考えております。
  23. 坂本昭

    坂本昭君 ところが、広告に関する日本法律というのは、非常に私はルーズだと思うのです。この際これは委員会の同僚の各位にお諮りして、広告の問題を少し検討する必要があるんじゃないか、特に医薬品の問題を。これはもう私は外国にこういう例はない、絶対にないと思う。アメリカ新聞でも、イギリスの新聞でも見られて、日本新聞ほどあれほど医薬品広告が多いかどうか、これはもうわれわれの常識で判断ができる。今の屋外の広告なぞについては、これは屋外広告物法という法律があり、各都道府県に条例があって、条例の中でも東京だとか、京都あたりはかなり整備されている。これはみんな立看板の美観ですね。美観と、それから公衆に対する危害、安全、この二つだけなんです。従って、屋外広告物法というけれども、これは美観と危害関係のことで、あとそれでどういうものが広告されているかということは、これは特に厚生当局で調べていただかなければならぬと思うのです。あなたの方の資料によると——外国の実情がどうかということも一つ調べておる限り御説明いただきたいが、同時に、資料の中に、医薬品広告について、三つの原則が各国に共通して存在している。第一が虚偽、誇大の広告の禁止、第二番目が特定疾病に使用する医薬品広告禁止、三番目が専門家向けの広告の自由、この三つが実は共通して存在しているというふうに言われていますが、これは当局としてはどうお考えですか、この三つの原則。
  24. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず第一の虚偽、誇大の広告の禁止につきましては、これは従来日本が踏襲している制度でございます。  それから第三の専門家向け広告の自由、この点については、今の虚偽、誇大に触れない限りにおいては、これはもちろん当然自由と考えております。しかし、虚偽、誇大にわたる限りにおいては、専門家向けでもこれは制限をするというふうに考えております。  それから特定の疾病に使用する医薬品広告の禁止、これは従来何も日本としては規定がございませんでした。今回、六十七条の規定を置いたわけでございますが、ただこの点については、外国の場合と日本の場合とは、沿革的に事由が違いますので、必ずしも同一にはもちろん参らないと思います。
  25. 坂本昭

    坂本昭君 どうも局長は大事な点を抜かしているのですが、今の三つの原則の中で、専門家向けの広告の自由の中に、特にあとの「法律上の問題ではないが、大衆広告をする医薬品医師が処方しないという慣習が広く各国に存在するのは注目すべきことである。」こういう慣習はいい慣習であって、当然行政的にもこういう指導をすべきだと思う。そういうセンスがあなたの方にないのじゃないかと思うのです。一つ伺いますが、この際、薬事審議会で広告についての審議をしたときは、一体どういう審議をしましたか、ちょっと簡単に内容説明して下さい。
  26. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この法案の立案に関連してでございましょうか。
  27. 坂本昭

    坂本昭君 そうです。
  28. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 虚偽、誇大の広告については、これは従来の考え通りでございましたので、この点については特別の議論はございませんでした。  それから第二に、六十七条に相当するいわゆるガン等の特殊な疾病の医薬品広告制限、これについては現在、実際上薬事審議会の決定に基づきまして、こういう特殊な疾病用の特殊な薬につきましては、広告制限をしているわけなんだから、これはやはり法律的に掲示することが妥当ではないかというふうなことでありました。  それから第三に、広告というのは非常に広範な内容を含み、また、その方法も非常に多岐にわたっておりますので、これらの取り締まりについては、やはり関係団体というものが、ほんとうに適正な広告をするように、それを促進をし、また、助長をしていくということが、前提として一番大事なことじゃないか。だから、やはりこれを少しでもバック・アップしていくというような仕組みというものを考うべきじゃないかというような意味において、そういう団体の取りきめに従わないものがあった場合において、従うことを勧告することができるという規定を置いたらどうかというような一項が、ごらんになりますように答申に出てきたわけでございますが、この点については、法制上の観点から種々検討いたしました結果、法律にすることは種々困難な点がありましたので、これは取りやめにいたしました。  それから許可前の医薬品について、これは当然のことでございますけれども、やはりちょいちょいと間違いが起こった事例もありますので、許可前に薬の広告をいたしますというと、内容が違った場合あるいは全然それが許可にならなかった場合というようなことも想定されますので、それはやはり禁止することが適当であろう。  そこで先ほど来特にお話のありましたいわゆる広告の量の問題、確かに日本の場合においては、日刊新聞等を見れば、量としては相当な量を占めているわけでございますので、量の問題を取り締まるということになりますというと、やはりこれは非常に経済問題にもわたるので、それまでに取り締まることは適当ではないのじゃないかという点が一つと、それからその広告専門家向けと一般向けとの関係については、これは議論の分かれるところでございますけれども専門家向けの特別の媒体を使うべきという意見もございましたし、それからそうでなく、やはり広告の効率という点からすれば、必ずしもそれに制限すべきではなしに、一般の媒体を使うことも当然それは許しておくべきであると、そういうふうな点の議論もございましたが、これらの点については審議会としてまとまって取り上げるということには結論としてならなかったわけでございます。
  29. 坂本昭

    坂本昭君 今度の六十六条において、旧法の三十四条の三、「暗示的な記事、写真、図画その他暗示的な方法は、第一項に違反して、これを用いてはならない。」この三項を実は除いて、六十六条の一項には「明示的であると暗示的であるとを問わず、」というふうな表現を使っていますが、これは三項の内容をこれに含ませて記載をしてある、そう考えてよろしいですか。
  30. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話通りでございます。
  31. 坂本昭

    坂本昭君 では、この六十六条についてもう少し詳細な具体的な説明がほしい。それは虚偽とは何か、誇大とは何か、明示、暗示とは何か、何かこれについてあなたの方で条例集といいますか、ものがございますか。あったならば、それを一ついただきたいし、非常にこれは言葉そのものがあいまいであるために、この取り締まりも非常にあいまいである。だからここであなたにくどくどと長く説明を聞いてもしようがないので、何かこれについて本省としてはこういうものがある、これを見ていただければわかるというものがあるなら一つ出していただきたい。
  32. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 簡単に御説明申し上げますが、第一に虚偽と申しますのは、効能について言えば、許可された効能の範囲を逸脱をしたもの、たとえば女性ホルモン剤でガンの治療云々というような広告をしたものはこれに該当いたします。それから誇大と申しますのは、特に最大級の形容詞を使ったもの、その一部の例といたしまして、百パーセントの治療率を誇るというような言葉を使ったり、あるいは〇〇病を一瞬にしてなおす、そういうようなものはこれに該当いたします。それからたとえば暗示的な例でございますが、写真をあげまして、この胃腸薬を使ったため、この通り太りました、というようなのはこれに該当いたします。たとえばそういうようなことでございます。
  33. 坂本昭

    坂本昭君 そういうことだったら、もうこれは全部違反ですよ。今私ここに持ってきているのはきのうとおとつい集めたらこれだけあるんですよ。きょうは薬の名前は言いませんよ。みんな相当大きい日本の大メーカーですよ。疲れがなかなか抜けない人、二日酔いする人、厚生大臣聞いておって下さい、体力の衰えを感じている人、全身に活力をつけるというのでにんまり笑っている。これはいいと思いますよ。それから「頭が重い、目まいがする」と、「頭を鎮静して、脳に栄養を補い便通も整える」、きれいな人がにっこり笑っている。これだって暗示じゃありませんか。それから今のたとえばこういうのがありますよ、相当有名な薬です、「少量で優れた治療効果を発揮します」と書いてある。こんなことうそですよ。大体適量があるんだから、適量以下の少量できくはずないんです。これは僕は虚偽だと思う。あげますよ、大メーカーです。日本の一番のメーカーです。どれもこれもみんな大きい。こんなでたらめなメーカーは、これは全部あしたから新聞は消して下さい。消さなかったら僕の方であなたの方を告発しますよ。こんなでたらめなことがあるか。もうこれだって「パパ胃のぐあいは」といって、おとうさんにっこり笑っている。これだって暗示的であることは明瞭ですよ。これ私特別に選んだんじゃない。新聞のところだけ切ってきた。切ってきたらみんな虚偽か誇大か暗示か明示かですよ。たとえばこれなどもそうですね、「ガッチリふとる!」。百パーセントじゃないけれども、がっちりこんなに太っているでしょう。確かにこれ見とったらあれだと思うんですよ、いいなあと思う。しかもこれも有名な会社ですがね、「まず消化液の分泌を二倍以上もたかめて、食欲をグッと増進させます。」、消化液の分泌を二倍以上も高める、これはうそです。絶対うそだ。あなたたち監視員は一体何を監視しているのだ。こんなばかなことはありはしない。あと言い出したらきりがありません。これも有名だ、しょっちゅうテレビに出てくる。「効果がすみやかに爽快になり、長く続く」、これは割合おだやかな言葉ですけれども、しかし、きき目がすみやかに——僕もこの薬好きなんです。実は好きで使っておりますし、人にもやりますが、そんなに必ずしもいつもすみやかに爽快にはなりませんよ。これも虚偽だと思う。みんなうそです。一つ一つ探しておったらどれもこれもうそです。あなたの言われた明示、暗示などということは、これはこっちに有名な喜劇俳優なんかみんなぱっちりした美しい目をしている、こっちに目薬の広告が出ている。これをつけたらなるほどこんなきれいな目になるかと思うでしょう。これも明示、暗示、両方かねているんですよ。だから全部調べてみて、これを正しいと思ったものはまずないというくらいです。ほとんどないということ。それでいてあなたの方は薬事審議会は何をしておったか。それから厚生当局は何をしておったか。私はそういうことを……。さらにあなたの方で薬事監視状況についての統計がありましたがね。ここで違反発見件数で、不良品と虚偽誇大広告と二項目あります。これは一体幾ら調べた結果こうであったか。虚偽誇大広告は一千七百三十一ある。僕が調べたらほとんど全部引っかかりますよ。幾ら調べたかということ。それから不良品の方も私だんだん心配になってきたんです。このごろ毛生え薬を使ったら生えるどころかだんだんよけい薄くなった。何か不良品が入っているのじゃないか。何かあなたの方の監督不十分じゃないかという疑いをだんだん持ってきた。だから引き続いて次の機会に、一体何件調べてどうであったかということを聞きたい。虚偽誇大広告と不良品のことについてもう少しこまかい説明をしていただきたい。
  34. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 自治庁の長官が見えましたので、坂本君引き続いて御質疑があればあとに回していただいて、高野委員質疑に移りたいと思います。……ただいまの御答弁簡単に願います。
  35. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話資料についてはよく調査をいたしまして、この次の機会にお答えを申し上げます。
  36. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は薬事法に関しまして、この機会に自治庁長官に御見解を伺っておきたいことは、第四条に、都道府県の知事の諮問機関として地方に薬事審議会を置くことになっておりまするが、薬事審議会での答申ではこれは置くことにすると、いわゆる必ず置かなければならぬ必置制、こういうことであったし、厚生省当局大臣初めその御希望であったやに聞いておりましたが、自治庁の強い反対があってこれが置くことができると、こういうことに訂正された法案にはなっておるわけなのでありますが、この辺のところが地方の知事の諮問機関とのいろいろな振り合いもあるのかもしれませんが、一つこの委員会において、置くことができるようにぜひ一つそうしてもらいたいと、こういう要望を強くされた自治庁側の意見を伺っておきたい。
  37. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 高野委員からのただいまの御質問でございまするが、都道府県におきまするいろいろの審議会というか、諮問機関等につきましては、まあ、最近の立法の傾向といたしまして、なるべくこういう組織は地方の組織も簡素化したいということと、それから、地方自治尊重という建前からいたしまして、強制設置ということよりも、任意設置ということにいたしまして、そうして各都道府県の薬事行政の実態に応じまして設置の有無を決定していく建前にしたい。これは、ひとり今回の薬事法ばかりでなく、大体今ごろの立法の仕方はそういう形をとっておりますので、そういう意味で今回の薬事法案につきましても自治庁側としてそういう希望を申し入れている次第であります。
  38. 高野一夫

    ○高野一夫君 実は、こういう話を申し上げていいかどうかわかりませんが、わが党でこの法案を提出前に審議いたしましたときも、地方薬事審議会は要らないんじゃないかという議論は率直に申し上げて相当強かったのでございます。しかし、この薬事行政の複雑さとむずかしさ、これを現在その実態をとらえまして見てみた場合に、どうしても県の知事、衛生部長、薬務課長だけにまかせて、その判断だけでもって諸般の地方の薬事行政をやられることには、非常な不安が伴うし、かつ、適正を欠く点が多々ある。これは、過去の好ましからざる実績であります。こういうことを説明いたしましたところ、そんならばぜひ必要だから必置制に持っていくべきじゃないか、こういう議論にしまいには変わってきたわけであります。しかし、せっかくこういう法律ができてしまったのであるから、今度は一応任意制でやむを得なかろう、こういうことで現在当委員会においても審議しているようなわけであります。従って、これは置くことができるということになっていわゆる任意制なんです。しかし、薬事審議会は、道路、運輸その他の審議会等々と違って、非常に必要性があるということならば、もしも自治庁長官がさようにお考えになるならば、この四条で置くことができるようになっておるけれども、自治庁長官に都道府県の知事に督励をしていただきまして、厚生大臣と協力して督励をしていただいて、全国四十六都道府県に任意制ではあるが漏れなく審議会を設置する方が適当であると、こういうように一つ指導を願いたいのでございますが、その辺の長官のお考えを伺っておきたい。
  39. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) ただいま、地方の知事だの衛生部長、薬務課長だけでやることはあまり信頼ができないというような表現の仕方があったのでありますが、これは私はちょっとまあどうかと思うのでありますが、しかし、お話にもありましたように、いわゆる薬事行政の複雑性といいますか、これはなかなかめんどうな行政であることは私もよくわかりまするので、そういう意味からいたしまして、厚生当局ともよく連携をとり、厚生省の指導方針等にものっとりまして、そういう意味で四条の建前はこういうことになっておりまするけれども、できるだけ各都道府県に薬事審議会が置かれまするようによく打ち合わせまして指導して参りたいと、かように考えます。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 それじゃ渡邊厚生大臣に伺っておきますが、せっかく今自治庁長官がああいう見解を述べられたのでございますが、薬事行政の地方における実際の行政が適正にいくためにぜひとも審議会が必要であると思うので、一つ自治庁長官と厚生大臣と十分協力されて、漏れなく審議会が置かれるような方法をぜひとも講じていただきたいと思うのでありますが、厚生大臣のお考えを伺います。
  41. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) できるだけそのような趣旨におきまして指導いたしていきたいと、かように考えます。
  42. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 関連して自治庁長官に。
  43. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと申し上げますが、長官はどうしても零時前には席を立ちたい、かような御希望で、簡単に願います。
  44. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま高野委員の御質問に対しまして自治庁長官の御答弁を承ったわけなんですが、大体最近の立法の傾向がこういう形である、また、行政の簡素化という意味からもこうする方がいいんだという御答弁のように承った。国民皆保険を前にいたしまして、医療機関のない所が多数ございます。特に地方では、中央でわからないような特殊な事情等があるわけであります、私は、地方庁を中心として各種のそういう審議会というものは簡素化するという傾向でありながら、現実には必要な度合いが深くなってくるように考えておるわけです。特に薬事行政は、今長官みずから仰せのように、業態も一号業者から四号業者まであるというような非常に複雑な業態であり、その業態は、それぞれ取り締まり方法なり取り扱いの品目等も違っておるわけであります。また、今問題になっておりまする広告の問題にいたしましても、地方において著しく弊害のあるような広告等がございましても、地方の行政庁が直接に取り締まるについても、やはりそういう審議会というものが必要であろうと、かように私は考えるわけです。また、薬品の順守あるいは乱売の指導等につきましても、ただ単に、中央に薬事審議会があるということだけではなかなか円滑な薬事行政ということは行ない得ないと、かように思うわけなんです。せっかく原案が必置制度でなくして置くことができるということであり、それでいいんだという多数の委員の方々の御意向でありますならば、私はあえてこれ以上は申しませんが、今申し上げましたように、薬事行政というものは非常に複雑多岐でありまするので、この点十二分に私は運営の上で格段の御指導を賜わりたい、かように考えますので、重ねて長官の御意向を承りたいと思います。
  45. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 先ほど高野委員の御質問にお答え申し上げたところで御了承をお願いできると思うのでございまするが、今もお話しになりましたように、薬事行政の複雑性は私も十分心得ております。ことに厚生当局においてもそういう方針であるということであれば、よく厚生、自治両当局連携をとりまして、御期待に沿うように御指導をして参りたいと、かように思います。
  46. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、質疑のおありの方は続行願います。
  47. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、先般来厚生省に二、三の懸案を投げかけておるわけであります。  まず第一に、先般来、坂本委員、藤田委員からやかましく言われておった特例販売業の品目限定であります。これをできるだけ速急に改訂をしてそうしてできるだけ医薬品の幅を狭めるべきである、かように考えるわけでありまして、新規許可の分に対しましてはもちろん新たに品目を限定することは容易でありましょうが、過去の既得権者に対する品目も手持ちの品物がなくなるような機会に、できるだけ近い時期に根本的の品目の改訂をすべきである。藤田、坂本委員から指摘された通りに、非常に数多くの品目が特殊販売業者、従来の三号業者等に売られているということは好ましからざる状態だと考えます。速急に新規の品目限定、さらに従来の品目の改訂、これを私は要望しておきたい。これについては御答弁が本日まで延びておったわけでありますが、はっきりした見解がおできになったならば、一つこの機会に厚生省の見解を承っておきたい。
  48. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬のいわゆる販売は、まあ薬はこれについての知識経験を有する者に取り扱わせるのが本旨である、それ以外のいわゆるしろうとに取り扱わせるのはごく例外であるというのがこの法の趣旨でございます。そういう意味において、この特例販売業の取り扱い品目につきましては、従来行なわれておりました点について再検討を加えまして、今申し上げました趣旨からして、いわゆるこのしろうとに取り扱わせる、そういう点にかんがみまして、それに相応したものにしぼっていくということで検討いたしたいと考えております。  そこで、今後の許可の方針としては、新規の許可についてはもちろんその新しい基準によってやっていくべきことは当然でございますが、既存の業者につきましても、もちろんそれによらせるように指導いたしますと同時に、現在でいえば、登録の更新、新法によれば許可の更新——更新の機会にそこらの最終的な処理をつけると、そういうふうにしてこの法に定めている本来の趣旨に新旧ともにのっとらしていくということに努めて参りたいと思います。
  49. 高野一夫

    ○高野一夫君 だいぶはっきりして参りましたが、登録更新の機会に、既存業者については新しい限定した品目でやらせる、これが適当だと思います。その時期について、一つはっきりとここできめるというか、まあ承っておきたい。この次に今の三号業者が特例販売業に今度登録を更新をする時期はいつでありますか、その更新の時期が局長のおっしゃる通りに、最も新しい限定した品目に切りかえる適当な機会であると、私もそう思います。この十二月か一月か、あるいは来年になるかいつになりますか、それを一つはっきりと伺っておきたい。従来は一年ごと、今度は二年ごとになっておりますから、その辺のところはどうなりますか、経過規定として。
  50. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 実はこの法律がいつ成立するかということをまあ政府側から予測をして御答弁申し上げるのもいかがかと存じまするが、これが早く通過をいたしますならば、ことしということになりますけれども、おくれますというと、結局それだけ施行の時期が延びます関係上、場合によってはこの法律施行それ自体が年を越すということも考えられますので、そうなりますというと、この新法の規定によって、まあ二年に一回ということですから再来年ということになりますが、もちろん再来年までぐすぐずしておるわけには、これは参りませんので、そうとなれば事実上の措置として、その前に鋭意努力をして、実質的にはその前に解決をして、形式的には登録更新のときというふうな努力を最大限度に試みてみたいと思います。  なお、前段に申し上げました点、施行が早ければことしと申しましたけれども、登録更新の時期は、年内に施行になりました場合においては来年ということになるわけです。
  51. 高野一夫

    ○高野一夫君 ことし中に施行になりますれば、登録更新は私も来年の暮れになると思います。そういたしますれば、来年の暮れの登録更新の時期が最も適当である、もしも万一延びるようなことがありますれば、今のおっしゃったような方法をもってできるだけ近い時期に、一つそういう方法をおとりになるように、おっしゃった通りのことを実行になるように要望をいたしておきます。  その問題はそれでよろしゅうございますが、先般来、くどくど申し上げている卸と小売の区別がこの薬事法に関する限りはない。それがあらゆる点に一つの矛盾を生じて来ている。まず第一に、この条文からいっても、三十七条の販売方法の制限に引っかかってくることを申し上げている。そこで、医薬品の販売業者は店舗による販売でなければならぬ、こういうことにまあなっているのでありますが、この点についても十分研究を願いたいと思いますけれども、店舗による販売を卸売業者の売る販売に解釈するならばこれは小売業者が困る。小売業界が混乱する。小売業者の売るいわゆる店舗におけるというふうに解釈すると、このままでは卸売業が困るわけだから、従って、この店舗による販売業というものについては、実際面においていろいろ省令あるいは解釈の通達その他の方法をもってここではっきりと卸と小売の販売方法の実態をつかまえて指導をしていく何か取りきめをしていく方法を講ぜざるを得ないはずだと思うのでありますが、その点について、一昨日以来の研究の結果を承っておきたいと思います。
  52. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 三十七条の第一項のいわゆる「店舗による販売又は授与以外の方法により、」云々ということでございますが、これは厳密に言えば、店舗で渡すいわゆる店舗における販売、それよりもまあ広い概念であることは、言葉が違いますから御了承いただけると思いますが、要するに、この趣旨は、販売業者が購買者に対しまして医薬品内容品目について責任を負うということを確保するために、店舗を根拠地として営業を行なうということをまあ規定をいたしているのでございますが、もちろん今お話のように、卸業者とそれから小売の場合におきましては、商習慣ないし業態が違いますので、たとえば卸の場合におきまして、同業者の間で売買するについては、信用でありますとか、決済方法あるいは配達そういった点から見て店舗による販売ということの実態が小売の場合よりもつかみにくいということは事実でございますし、この三十七条第一項の解釈については、それらの商習慣というものはある程度これはすべて法律の場合はそうでございますが、実態的な習慣というものを基礎にして実情に即した取り扱いをしなければならぬと思います。一般消費者に対するいわゆる小売販売というものにつきましては、これはもちろんあるべき姿としては店舗における販売ということでございます。先ほど申し上げました趣旨からしてそうあるべきものと考えられます。しかし、実態が具体的にはなかなかつかみにくい点もございますけれども、指導上なるべく店舗において行なうようにすることによってこの法律趣旨とするところを確保する、そういうふうに考えていきたいと思います。  なお、この法律規定趣旨から申しまして、行商でありますとかあるいは露店でありますとか、そういういわゆるつかみどころのない屋外販売、そういうようなものはもちろんでございますけれども、店舗がありましても、薬を売り歩いて販売をするいわゆる行商類似の行為をするということが許されないことは、これは申すまでもないことであります。
  53. 高野一夫

    ○高野一夫君 だいぶ繰り返してきた結果でありますから、今の解釈を一応了といたしたいと思います。そうすると、店舗における販売ということによってこの言葉を小売の実態と卸売の実態とににらみ合わせて過去の習慣あるいは医薬品の取り扱いの本質等を考え合わせて明確にそういう区別した指導をされる、こういう意思に了解したのでありまするが、その点は間違いないでしょうか。
  54. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは実態に応じた指導をいたしたいと考えております。
  55. 高野一夫

    ○高野一夫君 そこでこの法律は修正しない限り卸売業と小売業の区別はできないわけでありまするが、何か省令のごときものをもって医薬品販売に関する小売業者と卸売業を区別をして、そして卸売というのはまあ定義を下す必要はないが、繰り返し申し上げておりますように、卸売業の定義はどの法律にもなくして、卸売業という言葉が使われているのでありますから、厚生省令において卸売は何をいう、小売は何をいう、そういうことは今さら繰り返す必要はないと思いまするが、しかし、実際に店舗なら店舗の構造施設とか何とかそのほかいろんな点について、基準について、卸売業はこう、小売業はこう、こういうふうに厚生省令か何かで区別することは可能じゃないかと考えられますが、その点には、厚生省としてはどういうふうに考えられますか。
  56. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医薬品の販売業の許可の場合におきましては、いわゆる一般販売業については薬局に関します第六条をいわば準用しているわけでございますが、その中の一つはまあ構造設備の点、一つは申請者のいわゆる人的な関係という二つに分かれておりますが、人的な関係についてこれは両者をそう区別をする理由はないと思います。構造設備の点については業態の違いによりまして、たとえば保管施設その他について多少の径庭があることは言うまでもないことでございますので、それらの構造設備の点については、御趣旨の線に沿って十分実施の問題として検討していきたいと思います。
  57. 高野一夫

    ○高野一夫君 その検討が困るのでありまして、検討とか善処じゃ困るのでありまして、今あなたのおっしゃった通りに、構造設備はおのずから違うべきである。そうすると、構造設備の差異を小売業薬局、小売の薬商の場合はこう、それから一方の卸売の場合はこうとすることは一向差しつかえないと思う。そしてそのことだけでもって卸売と小売は截然と区別ができて厚生省は明確な卸売業者の統計をとることができると私は思うのでありまするが、そういうことを厚生省令で出すべきである。まあ今省議がきまっているわけでも何でもないでしょうが、出す、出したいという意思があるかどうか、これは一つ大臣にお伺いいたしたい。私はぜひ出していただきたいということを要望しておきます。
  58. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 先般も申し上げました通り、小売商、卸売商というのは地方によってはっきり業者間において実態というのはわかりきっておると思います。そういうような実態の調査をいたしまして画然とその区別を、私どもが指導いたしまして、そうして場合によりましては省令のごときものでこれを指導いたしたいと考えております。
  59. 高野一夫

    ○高野一夫君 ぜひともこれは厚生省令、まあ省令が適当であるか別といたしまして、御研究願うとして、せめて構造設備の点をとらえてだけでも卸売業はこう、小売業はこう、こうきめていただければ、これではっきり医薬品販売業に対する実態、卸売業者と小売業者、それを兼業しておる、専業しておる者のおのずから間違いない数字が出て参るはずだと思います。現在はそれがあいまいもこになっておる。ぜひ今の、局長、ことに大臣の御趣旨が実現するように強く要望を申し上げておきます。  それで関連いたしましてもう一つ大臣にも、それから特に実務者としての特に局長にお伺いしておきたいと思いますのは、先般やはり私の引用いたしております小売商業調整特別措置法、これでははっきり小売と卸を分けていることを申し上げたい。その場合に商工組合も小売は小売、卸売は卸売、こうなるわけでありますから、何らかやはり省令のごときもので医薬品販売業と区別しておかぬというと、この法律はともかく実際的に区別せぬというと困る場合が通産関係の仕事に関連して出て参るのであります。そこで、この特別調整法の十五条の一項によりまして、この間申し上げた通りに、メーカーが小売をやった場合の小売屋との紛争、卸が小売をやったときの小売業者との紛争の調整あっせんに都道府県知事が乗り出す。このことを考えた場合にも明確にしておくべきであると思う。同時に、その十四条には政令である業態を指定をいたしますると、そうしてまた地域を指定をいたしますれば、その指定されたる業態は、その指定されたる地域内においては卸売があるいは製造業者が、製造業者または卸売業者が小売営業を営む場合はそれを届け出なければならない。廃止した場合も届け出なければならないとなっておる。そうすると、この措置法の十四条において、医薬品に関する卸も小売もはっきりして参ろうかと思います。そこでこれは一つ通産関係法律であり、その方で定める政令でありましょうが、厚生大臣の方から通産大臣一つ協力、連絡をとられて、医薬品の製造業並びに販売業についてこの十四条による政令の中に指定をする。政令で指定をする。そしてこの面から卸と小売の数字が実態がはっきりつかめるようになる。そうして十五条の発動するときも実際は実際としてまた根拠ある一つのここに基礎ができて参る。こう思うのでありますが、厚生大臣一つ通産大臣と、通産省と御連絡を願って、できるだけ十四条の政令で医薬品の問題を製造業、販売業の問題を指定をしてもらう。これを一つ協力願えないものかと思うのでありますが、これは私は厚生大臣として当然指定の中に入れてくれと要望をお出し願うことが適当ではないかと思うのでありますが、そういうふうにお考えになっておるものかどうか、一つはっきりと承っておきたいと思います。
  60. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 小売商業調整特別措置法は、その大半の権限というものが知事に委任事項となっておるわけでございます。しかし、最終的におきましては主務官庁におきまして、これは政令によって定めると、こういうことになっております。私どもといたしましては、通産当局と十分協議いたしました上で、これは御趣旨の線に沿うていきたいと、かように考えております。
  61. 高野一夫

    ○高野一夫君 それじゃ今の卸、小売の問題はだいぶ鮮明されましたので、一応きょうのところはこの程度にいたしておきます。  もう一つ私は、これは局長にもそれから大臣にも伺っておきたいのでありますが、日本医薬品の流通経済が非常に混乱に陥っておる。これにはいろいろな原因がひそんでいると思います。そうしてまた、波乱の結果は、国民の医療対策に非常な欠陥を生ずることは御承知通りである。そこでこれにいろいろな欠陥があると思うけれども、そのうちの一つの欠陥はいかにも生産過剰であって、メーカーの段階においての先ほど坂本委員がおっしゃったが、広告その他による競争の過度、激甚さによるものだと考えておる。そこで法律はないのであるけれども、今後将来これを改正する場合の準備として私は申し上げたいのでありますが、何とかしてこの生産を押える工夫はないかということであります。これは計画経済でない限り、自由経済の今日、それを生産をどの程度しぼれということはこれはできますまい。これは私もわかります。しかし、たとえば日本においてなぜあんなに広告宣伝をやって、どんどん過当な激甚な競争をやってまで製造販売をしなければならぬかというと、これは私が申し上げるまでもなく、ああいう会社が非常な金をかけて、長い年月をかけて学者を養成して、苦心の結果、新しい優秀なる製品の研究が完成をする。パテントもとる。それが厚生省に申請される。薬事審議会の意見も聞かれた上で製造許可をされる。そうすると今度は、他の会社が何ら今までのそういう苦労もせずして、その製品と同一または類似のものを直ちに製造発売の申請を厚生省にすると、厚生省はそれを拒否することができない。これは現在の法律上できないのであります。でありますから、非常に苦労して優秀な学問的、たとえば抗生薬品というものを作ってパテントもとったけれども、パテントそのものがアメリカその他と違って製造法のパテントでありますから、ちょっと方法を変えることによってまた別なパテントがとれる。こういうことで第二、第三の会社が同じような製造品目を並べ立てて、そしてあとは研究に第一の会社が使ったそれだけの金を今度はマスコミの線に乗った広告費に使う、宣伝費に使う、そして売り出す、これがやはり過当経済競争一つの大きな私は原因になっていると思います。こればかりだとは思わない。ほかにももちろんあります。そうすると、これをフランスの法律で見まするというと、ある会社が新しい医薬品を販売をする許可を受ける。そうすると、同一または類似の医薬品はその後六カ月問の間は製造発売を許さない、こういう法律がある。もしもこれを日本において適用するような方法に持っていきますならば、六カ月間というものは類似の、あるいは同一の製品の発売ができない。そういたしますと、おのずから六カ月間のそこにハンディキャップがつくわけでありますから、競争の面からいって六カ月後新製品の発売をいたしましても、これはなかなか第一の最初の発売者に追いつくことは容易ではない。これがやはり第一の非常に研究に苦労した最初の会社を尊重し、保護すべきであると同時に、過当の生産を防ぐ、過当の競争を防ぐ私は根本の問題にも一つなってくると思うのです。これが実は私は薬事審議会でこの問題が討議されて答申の中に出ることを希望しておったのでありますけれども、時間が足りなかったためにこういう問題の審議ができなかったろうと考えますが、この法律も出ておらない。将来何らかそういう方法で自由経済下に生産制限はやらないけれども法律によって製造許可、発売の方法によってこれを抑制する道がフランスの法律みたいなような、あるいは別な法律でもかまわぬが、そういうものでできないことはないと私は思うわけです。今度は間に合いませんが、将来そういう方向に向かって一つ研究をし、それができるならばそういう方面にいくことが日本のほんとうの医薬品の私は品質向上、製造業の確立ということに役立つことにもなる。卸、小売のいわゆる乱売の根源の一つをやはり防ぐ意味にもなろう、こう思うわけであります。今度の問題でありませんけれども、この機会に私は自分の見解を申し上げまして、薬務局長並びに厚生大臣のこの面における当面ただいまのお考え一つ伺っておきたい。
  62. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 私は高野委員の非常に御心配されておられるこの問題は、通産省と十分協議いたしまして、中小企業団体法、この法律の推進、運営によりまして私は十分これができるのではなかろうかと、かように考えております。
  63. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる生産制限等の当面の問題については、今大臣がお答え申し上げましたが、別の面としてのいわゆる製薬企業をある意味においてどう健全に発達さしていくかという意味では、今の高野委員お話は、きわめて重要な、かつ示唆に富んだ点でございまして、私どもも実はこのフランスにおける実例等からいたしまして、ないし日本における製薬企業の現状からいたしまして、こういう問題について何らかの考慮を払うべきではないかというふうな考え方を持って多少の検討をいたしたような次第でございますが、実際問題としては、製薬企業の発展の段階の問題、あるいは特許との関連というような問題もありまして、にわかに結論を出し得なかったのでございますけれども、この問題は、非常に重要な問題であり、かつ日本の今後の製薬企業の方向づけの意味においても非常に重要な問題でありますので、十分一つ今後研究をして、何らかの結論を得たいと考えております。
  64. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、ただいま申し上げた要望の点が、ここ半年か一年で解決できるというふうな気短な考えを持っておりません。なかなかこれもむずかしいと思います。しかし、この線に沿うて、具体的にいえば、いろいろなむずかしい点も出て参りましょうから、製造業者にもそういう方向に向かっての研究一つやってもらい、厚生省もその方向に向かっての研究までやってもらうということをこの機会にぜひお願いを申し上げたいのです。  それからもう一つ、ついでにこの法律でないことで伺っておきたいことは、医師法には医道審議会というのがあります。医師医師の道義を守らせて、医師が道義に沿うた診療行為をするようにしむけるために、また、それに沿わない者に対するいろいろな処分の方法等をきめるだろうと思いますが、医道審議会というものがある。薬剤師法の中に薬剤師道審議会というものを置いて、薬剤師としてあるまじき行為あるいは薬剤師として当然守らなければならない道義を守らない、こういうものについていろいろ吟味をする医道審議会と同じような薬剤師道審議会というようなものを私は設けることが適当じゃないかと考えるわけであります。そこで薬剤師法の中に、せっかく医道審議会が現在あるのに、それと同じような薬剤師道審議会を置かなかった理由、これを一つ伺っておきたい。
  65. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話のように、医師法の方には医道審議会というものがございます。実は私が医務課長のときにどういう名前をつけるか非常に苦心をいたしまして、名案がございませんので、かりに医道審議会という名前をつけたのでございますが、実態といたしましては、もちろん医師の行政処分等についても触れますけれども、そのほかに医師法の二十四条の二のいわゆる「衛生上重大な危害を生ずる虞がある場合」における医師に対する厚生大臣の指示権の発動でありますとか、それから診療科名、これは御承知のように、医療法で標榜し得る診療科名をはっきり内科、外科等規定をいたしておるのでございますが、そのほかに特別な標榜をすること、これについてそういう特別な科名の標榜を認めるかどうかという、医療法としては非常に根本的な問題に触れる、そういった点の審査等をやるというようなことを含んでおる委員会でございまして、それらの点から、特にそういう、医道という名前は名前でございますけれども、特別な審議会を設けたと私は記憶いたしておるのでございます。そういう点からいたしまして、薬剤師法の方の関係と多少その辺の点が違いますので、あえてそういう、いわゆる薬剤師道審議会というようなものを実は設けなかったのでございますが、なお、今後の問題としては、十分検討いたしたいと思いますし、かつまた、薬剤師の行政処分等につきましては、十分慎重にこれを処理していきたい、かように考えております。
  66. 高野一夫

    ○高野一夫君 あまり時間がないようでありますから簡単に端折りますが、アメリカにも医道審議会のごときものがあり、薬剤師倫理審議会のごときものがやはりあるやに承知しております。従って、今度置かれなかったことはまあやむを得ないから、そういう面は一つ薬事審議会等に特別な部門を設けられて、必要に応じて審議をされる便法もあろうかと思いますから、そういう面の審議も適当に必要であるということを一つ含んでおいていただければ幸いだと思います。  それからもう一つ、あと十二時半ごろから、ほかの委員の方に質問時間をお譲りしたいと思いますが、先ほど特例販売業者に売らせる品目の再改訂ということについて、意見の一致を見たことはまことに喜ばしいと思いますが、医薬部外品につきまして、一昨日も、医薬部外品がどういうような範囲で許されるのかということが、藤田委員坂本委員、いずれからかお話が出たと思います。たとえばここに、第二条の第二項に、医薬部外品があって、一号から四号まであげてございます。この中で相当のものが医薬品に入るべきものである。脱毛の防止のお話も出ました。除毛のお話も出ました。吐きけその他のお話も出たが、従って、人体に対する作用がきわめて緩和なものに限る、こういうことがここにうたってはあるけれども、たとえば吐きけの薬、あせも、ただれ等の防止の薬、脱毛の防止の薬、こういうものが直ちに、作用が緩和であるということだけでもって、すべてをことごとく医薬部外品の中にほうり込んでしまうということは、相当な私は危険を伴うと考えるのです。従って、人体に対する作用というものについては、内容品質等について十分専門家研究をされた上で、厚生省として、これは同じ吐きけの薬である、同じただれどめの薬である、脱毛の防止の薬であるが、これは部外品としてさしつかえない、これはいけない、当然医薬品に回すべきものである、こういうふうにその区別を厳格に私はしてもらいたい。そうしてせっかく部外品を置いた、これは適切なやり方だと思いますから、この制度には賛成をいたしまするが、その区分け、振り分けが、実際問題としてなかなかむずかしいと考えまするので、十分これは一つ地方庁にも督励をされまして、この区別があいまいもこにならぬように、そうしてできるだけ医薬部外品の範囲を広げることのないように工夫をすべきじゃないか、こう思うわけであります。この点について、局長見解を伺っておきたい。
  67. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは今まで薬として取り扱われておったもの、こういう範疇のものを医薬部外品として医薬品からはずすということでございまして、その意味においてはむしろ消極的な態度での規定になることは、これは当然のことでございますし、こういったものもどこまでも本質的には医薬品として取り扱うべき点もこれは多々ございますが、今お話のように、人体に対する作用その他の点を勘案をしてこういう制度を設けたわけでございますから、区分けは厳重にやっていくということについては、まさしく同じ考え方でございますし、大体これにつきましては、過去において、売薬部外品あるいはそのあとの医薬部外品という実績がございましたし、それによって御承知のように、たとえば今御引例のあせも、ただれ等の防止等についても、天花粉類がこれに該当するという考え方をしておるということでございます。そういうことで参りたいと思います。
  68. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、きょうのところは、これで、ほかの方に譲ります。
  69. 山本杉

    ○山本杉君 高野委員の御質問に関連して、私はちょっと厚生大臣に伺いたいと思うのです。  今度、薬事法改正されますにあたって、旧薬事法が制定された当時より国民の医学的知識の水準というものは、格段の差で進歩しておると思います。それで、この三十九条に出ております医療用器械でございますが、これは理学的あるいは光学的な面で非常に高度のものができているのでございますけれども、これをどうして薬事法の中にお置きになるのか、医務局の所管になさるわけにはいかないのかというようなことを御質問したいと思うのです。
  70. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの御質問で、大臣なり局長答弁があると思いますが、高野委員質疑は終わりましたので、関連質問ではなく、引き続き質疑を願いたい、かように思います。
  71. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 私はしろうとでございまして、ただいまの専門的な御質問に対しましてちょっと答弁しにくいのでございますが、従来の慣例によってやっておる、こういうことを聞いておるのでございます。詳細につきましては、政府委員の方から説明をいたさせます。
  72. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 御承知のように、現行法に、用具という名において医療器械器具その他のものの規定をいたしておりまするし、新法においても、それを引き継いだわけでございます。なお、これが実施内容につきましては、今お話のように、器械器具等についても非常に進歩をして参りました面もございますし、それに対応いたしまして、薬務局としても、光学関係専門家を置きましてこの審査に当たらせているというような点もございますし、なおまた、種類としては非常に多岐にわたっておりますけれども、そのうち相当多くのものは、薬局で売られている面も多々あるわけでございます。それから、そういう、意味において、確かに薬ということと、それから器械というものを一緒に規定するのはどうかという御議論もあろうかと思いますけれども、便宜従来の例にならいましてこういう規定にいたしたわけでございます。  なお、所管の問題については、これは私から言いにくい問題でございますけれども考え方といたしましては、薬でありますとか、こういう材料器械でありますとか、そういった物的な医療の手段、こういうものを、やはり名前は薬務局で、多少名が実を表わさない点もございますけれども、そういう例はほかにもなきにしもあらずでございます。私のところでそういう医療上の物的な手段をまとめて取り扱う、そういうようなことでございます。
  73. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今の山本委員の御質問に対して、局長から、先日私が質問いたしたことと同様な意味合いの答弁がありましたが、ここで大臣にはっきりと聞いておきたいのは、先日私は、薬事法の中に、そういう医療の器械器具材料というようなものを入れることはきわめて不自然である、かように私は考えております。今の答弁では、旧法から引き続き新法にただ移ったのだ、そういう御議論もごもっともであるように思うが、こういう御答弁であったわけです。議論があるような法律を新しく作るということは、非常に私は問題であろうと思います。この薬事法の中にそうした医療器械器具を入れるということでなく、薬務局でこれの監督権をお持ちになっても一向に差しつかえないわけですから、別に、単独法として医療器械器具取締法とか、そういう何かはっきりと、もっとすっきりした行政上の疑問のないような、また、行政のしやすい方法を講ずるということが妥当であろうと思いますが、そうした点につきまして、その薬事法を新しくやりかえるという機会に、そういうお考えをお持ちかどうかということを大臣からお聞きしたいわけです。
  74. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 先日も申し上げましたのでございますが、現行法におきましても、この間の竹中先生の御質問は歯科材料の問題でございました。現行法におきましても歯科材料は用具として取り扱われておりまして、この法案におきましても、表現を簡素化するために便宜器具器械にこれを含めて考えておるような次第でございますが、しかし、御質問の御趣旨に沿いまして、将来これは十分に検討をいたしてみたい、かように考えております。
  75. 山本杉

    ○山本杉君 もう一つ大臣に伺いたいのでございますけれども、これはさっき坂本委員の御質問の広告に関連して参りますけれども、今日医学が進歩してもっとはっきりしなければならないのに、あのような誇大だとか暗示と言われるような広告が横行しておるということは、この面に関する限り無知もうまいさが感じ取られるわけでございまして、これは薬事法改正し、また、薬剤師法改正しようとする御趣旨に反することだと受け取れるのでございます。そこで、今日改正をなさるにあたって、もっと適切になさればいいということを私どもは非常に望むわけでございます。しろうと療法が蔓延しておるという事実、それから自律神経系の障害者がふえていくという社会の問題、それから薬の中毒患者が多くなりつつあるということ、それからまた、睡眠薬による自殺者が実にたくさん出ておるわけでございますが、こういうものに対して、大臣は、この法律改正にあたってどういうようなお考えをお持ちでございましょうか。
  76. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 広告の問題と関連いたしまして、いわゆる副作用の伴うような、こういう薬剤につきましての広告につきましては、十分これは規制をいたしていきたい、かように考えております。もちろん先ほどから申しましたように、実質の内容の伴わない質的な劣悪なるものにつきましての誇大広告につきましては、これは十分取り締まり、指導をいたしていきたいと、かように考えております。
  77. 山本杉

    ○山本杉君 その医薬品広告の問題、販売の問題でございますけれども、これは局長に伺いたいのでございますが、さっき専門団体が許可したものだけを売るようにしたいということは、審議会できめたのだけれども、これは何か法制上の困難があるために法律には取り入れなかったのだというような御答弁でございましたけれども、なぜ法制上そういう困難があってできないのでしょうか。
  78. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど申し上げました薬事審議会の答申は、専門団体という意味よりも、むしろその広告をする方の団体で、いわばまあメーカーの団体等で自主的にその広告のいわゆる自主規制をやるということを何か法制上取り上げることはできないだろうかという意味での話として申し上げたわけでございますが、それが法制上の問題点と申しますのは、結局そういう団体というものは、全部の者が入っているわけではございませんで、一部の者が入っているわけでございます。そういたしますというと、その中に入っている者についての規制だけをして、団体そのもので規制することは、これはもちろんかまわないのですが、国家権力が介入をして規制をいたすということになりますと、それに入っていない者との関係をどうするか、すなわち入っていない者も同じように取り締まるというのであるならば、それはそれなりに首尾一貫するわけでございますけれども、入っている者だけ取り締まるということにいたしますというと、それ以外の者とこれは非常に均衡を失して参ります。逆に、それ以外の者にもその団体の取りきめを及ぼせるということになりますと、一部の団体の取りきめをそれと関係のない、形式的にいえば関係のない者にも強制をするということになるわけでございます。そうなりますというと、その取りきめの団体の性格、それからその取りきめの内容ということが非常にやかましい問題になってくるわけでございます。そういう意味でそれをずっと突き詰めて参りますというと、結局法律一般的にこれは取り締まりをやるということと同じ格好になってきますし、中途半端な形にいたしますと、今申しましたような法制上の観点から非常に困難な問題になってくるということで、一応この法律には取り上げなかった次第でございます。
  79. 山本杉

    ○山本杉君 それに関連して参りますけれども、今度のこの薬剤師法改正というものは、薬事法改正と相待って薬剤師の社会地位を上げるためなんだというふうにうたって、たびたび御説明も伺いましたけれども、業態が非常に複雑で一号から四号まであったりいろいろして、その点はわかるのでございますけれども国民皆保険の問題にもからんで参りますけれども、どうして医者の処方のない薬を売るという、そういうような方面へ幾らか逆行みたいな感じがするのですけれども、どうお進めになろうとしておるかということを伺っておきたいと思います。
  80. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) その点は、やはり薬剤師の本来の職務と申しますか、一番大切な仕事というのは調剤であるという考え方は、これは法律——薬事法等をごらんになれば大体御理解いただけると思うのでございますが、そういう趣旨でこの法律の形態というものを整えているわけでございます。そのほかにいわゆる販売面であるとか、そういった面について、特にその調剤面を押えてそっちの方へ薬剤師を、働いてもらうという意味で積極的に規定したつもりはないのでございますけれども、もしそういうふうな、すなわち調剤の面をある程度押えましてそのほかの面を少し助長をすると、そういうふうな御印象をお受けいただいたとするならば、これは何かの間違いではないかと思います。
  81. 山本杉

    ○山本杉君 国民皆保険になりますと、無医地区をどうしても解消しなければならないのですが、無医地区を解消するのには何としても診療所を適正配置するということが出て参りますが、これに伴って、やはり薬局というものが登場してくるわけでございます。この薬局を置くということに対して、まあ高野委員の御意見などを伺ってみますと、距離の制限をしたいというお考えのようでございますけれども、これは憲法違反であるとかいうような問題がだいぶ論議されておるようでございますけれども、薬局に対してそういうふうなお考えございますのですか。
  82. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬局についての距離制限ということは、この法律上、取り上げておりません。
  83. 山本杉

    ○山本杉君 いらっしゃらないのですけれども、これに対してどうお考えでございますか。
  84. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬局がいわゆる適正に配置されることが望ましいことは、これはもうみんな同じだと思いますし、特に、無薬局地区等に薬局ができるということについては、これも当然、社会保障全般の一環として考えなければならない点だと思うのでございますが、それはやはり、それを達成するにはそれに相応する手段というものでいくのがこれは当然だと思います。その意味において、医療金融公庫の活用でありますとか、そのほか、やはり今後、経済的な助成、そういった問題については真剣に考えなければならないと思うのでございます。法律的な手段によって距離制限をするというつもりはございません。
  85. 山本杉

    ○山本杉君 薬局を作る場合に、医療金融公庫のお金が出るでしょうけれども、その住宅なんかの問題はどういうふうに解釈されますか。薬局の調剤所に対してだけは公庫のお金が出る、けれども、その住宅の方は認めないというようなことがあるのでしょうか。
  86. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医療金融公庫の方の問題だと思いますが、貸付の対象をどの範囲にするかという問題については、一応まあ医療金融公庫に関する法律におきまして、調剤に必要な施設というふうにいたしておりまして、その意味において、純然たる住宅と申しますか、それはこれでは考えていないということになります。
  87. 秋山長造

    ○秋山長造君 関連。今の無薬局地区についての対策ですが、実は私、せんだってから皆さんがこの問題についても触れられていろいろ質問されているのをじっと聞いておったのですが、それに対する厚生当局の確固たる計画というか、方針というか、そういうものはあるのですかないのですか。——厚生白書を最初の三十一年度からずっと私、読んでみたのですが、三十一年度の第一回の厚生白書には、その問題について相当字数を費やして、根本的な無薬局町村対策をやらなきゃならぬということを相当力を入れて書いておられる。それが年次を追うてだんだん字数が少なくなりまして、とうとう三十四年度の厚生白書の同じところを読んでみますと、三十一年度の厚生自書の半分ぐらいしか書いてない。しかも最初の、去年まで——前年度までは、そこの薬局のところに必ず無薬局町村の表が出ているのです。それからたとえば無薬局町村の数字がどういうことになっているとか、パーセンテージがどうなっているとか、相当詳しい表が出て、厚生当局もこれに対して、まあ具体的な政策はあげてないけれども、何とかしなきゃいかぬように、熱意があるということを示していると思う。ところが、三十四年度の一番新しい厚生白書には、前年あげておったそういうような表なんか全部削除してしまって、何にもない。何か四、五行抽象的なことをちょろちょろと書いてお茶を濁しておる。私は今度の両法案を出されたのは、こういう問題についても、少なくとも薬局の問題、あるいは薬事関係の問題については、これはもう、いわば決定的な——当分の間これをいじくらぬでもいいだけの決定的なやはり案を出されたと思うのです、確信を持って。また、すぐいじくるというものじゃないでしょう。これは相当確信を持って出された法案でしょう。そういうことなら、三十一年度の厚生白書以来、もう毎年度、厚生白書に必ず、何とか根本的な対策を講じなければいかぬということばかり書いておられて、いまだに何にも具体的なものが出ないということは、私はおかしいと思うのです。ただ作文で、他の項目とおつき合いに、無薬局地区の根本対策というものを抽象的にうたっておられるだけじゃないと思う。やはり厚生省として、あるいは厚生大臣として、この問題については、無医村ですか、無医地区ですね、これに対する対策と同じように、無薬局地区に対する対策というものはやはり相並行してずっとやはり何かもう少し具体的なものを出されなければ、熱意がない、法律は作ったけれども、実際の無意は何もないのだといわれても言いわけはできぬのじゃないかと思う。無医村に対しては、三十一年度以来、厚生省としては、十分なことはないけれども、ある程度補助金を出したり、それからいろいろな国民金融公庫だとか、中小企業金融公庫だとか、そういうところの融資を増したりして、公的、私的医療機関に対して、ある程度のことをやってきておられる——十分ではないけれども、やってきておられる。とこるが、同じように三十一年度の厚生白書に並べて書かれておる薬局ですね、無薬局地区に対する対策というものは何にもありはせぬじゃないですか。何をやったか、具体的に教えて下さい。それから、これから何をやろうとするのか、それも教えて下さい。三十一年度の最初の厚生白書を読んでみますと、無薬局地区の対策として積極的な公的資金の助成による公営薬局等、整備が強く要請されるというようなことを、具体的なことを書いておる。ところが、翌年度から公営薬局という言葉はすぽっとなくなってしまっておる。公営薬局が、いい、悪いというのじゃないのです。厚生省の方針としてそういうことを一ぺん掲げながら、翌年度からもうそういう具体的なことは引っ込めてしまって、ただ、根本対策、根本対策ということだけうたっておるのです。そんなことでは、せっかく毎年出されても納得できぬですよ。どうするのですか。三十一年度の最初の厚生白書を出されて以来今日まで、この点についてやられたこと、それから今度この両法案を出されるについてやろうとされること、それからまた、医療金融公庫法の中で薬局に対する融資ということを若干考えられておるようですが、それは具体的にどの程度のことを考えられておるのかということ、その三点についてはっきり御説明願いたい。
  88. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 無薬局地区の解消の問題について、確かに公営薬局も一つの手段として考えたときもございました。しかし、その後検討いたしました結果、必ずしもそれのみによるということが適切な措置とも考えられませんし、かたがた厚生省全体として、これは無医地区の解消と——いわゆる診療問題とも関連をして、ただいま当委員会において御審議をいただいております医療金融公庫、まあそれを一つの解決の手段として推進をするというような方向を中心にして厚生省としては進めて参ったのでございます。その辺からただいまごらんになりました厚生白書の書き方のニュアンスというものが出てきたのではないかと思いますが、今後の問題としては、第一次的には、やはり医療金融公庫——しかし、これのみでも不十分と思いますので、さらに経済的な助成等を加味した強力な方途については、せっかく今後努力をいたしたいと考えております。
  89. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょっと関連して。先ほど山本委員の適正配置に対する御質問に対しての薬無局長答弁だけでは、せっかくこの間話をきめておったのに、それがまたもとへよりが戻ったような誤解を招くと思うので、はっきりきょうは大臣一つ確かめておきたいのです。私の言う適正配置というのは、病院、診療所であっても、薬局であっても、必要であると思うのだが、薬局よりは診療所等の適正配置はむずかしいと思いますけれども、距離制限にこだわっているのではないのでありまして、場合によっては距離制限の方法もあれば、人口割制限の方法もあり、双方加味した方法もある。そういう幾多の方法を外国でやっているのでありますから、厚生当局としては、憲法論議にかかわらず、国民皆保険に備えるために、病院、診療所、薬局の適正配置がなさるべきであるという考え方を厚生省としてはあくまでも堅持されるべきである。それを、内閣法制局が憲法違反であると言ったからといって、放置することはできない。われわれは憲法違反でないということは冒頭から申し上げておる通りなんです。でありますから、今後その憲法論議は十分研究をされることにして、少なくとも国民皆保険に備える、全国民に対する適正なる医療を施すためには、病
  90. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは検討すべき問題であるといたしまして、ただいま即答いたしかねます。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それではさっきの答弁ではなしに、あらためて検討してお答えを願う、こういうことですね。
  92. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私も今の藤田君の御質問に関連して同じ考えを持っているわけですが、ちょうど大臣がお見えになっているので、私はやはり要望をしておきたいと思います。本委員会でも前々からこの問題が論議されているのでありますが、大臣もお気づきのことと思うので今さら申し上げる必要はないと思うのですが、皆保険制度が布かれますと、今のように全部が保険料を徴収されると同時に、それが医療に浴するという建前になるわけです。今大臣もちょっとおっしゃいましたが、医者にかかる、それでへき地のそれぞれ末端まで医療制度を置くといってもそれはなかなかむずかしいでしょうが、そのときには出ていって医者の診察を受ければいいじゃないかといっても、おのずから距離があると思うのです。非常な距離を離れている所あるいは離れた島におる者に、遠くまで出かけて医者にかかればいいじゃないか、こう言われても、事実上の問題としてはなかなかかかれないんじゃないかと思うのですけれども制度として国民皆保険が布かれた以上は、それは山の上の一軒や二軒まで、医療制度という極端なことを私は言うわけではありませんけれども、いわゆる無医村とかあるいは離れた島で相当の人家のある所では、医療制度をやはり政府の責任において置かれるということが同時に考えられなければならないと思うのです。それはもう当局としてお考えになっていると私は思うのですが、ただ時間の問題があるので、将来考えますではもう保険制度は布かれるのですから、やはり具体的に一つ一つを御計画になっていかれなきゃならぬと私は思うので、これは保険局関係の仕事で直接薬務局関係じゃないのですけれども大臣がおいでになるから、私も心配です。これはぜひ一つ、いつの委員会でも出る問題ですし、われわれ国民としてやはり心配しておりますから、ただ抽象的でなく、具体的に、全国的な無医村、無医地区あるいは無薬局地区についてどういうふうに具体的にいくというのを至急に一つ考えが願いたい。この点私御要望申し上げます。
  93. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの吉武委員の質問に対しまして答弁はよろしいのですか。
  94. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 御要望だけで……。
  95. 山本杉

    ○山本杉君 そこで、もう一つ大臣にお願いなり何なりあるのでございますが、それは厚生省でも一生懸命お考えでいらっしゃいましょうし、私ども医者としても、この問題は非常に情熱を持って考えておることでございますが、それは無医地区の解決の問題なんです。ところで、医者がどうしても行かないという盲点がそこにあると思うのです。もう少し医者の立場にも御同情を持ってこの問題をお考え下さらないと、なかなか解決が困難じゃないかということを思いますので、大臣一つその問題を特にお考え願いたいと思いましてお願いします。
  96. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 十分、その点は今考究中でございまして、準備も進めております。
  97. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  98. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  99. 秋山長造

    ○秋山長造君 簡単にさっきの点を重ねてお伺いしますが、さっきの三十一年度の厚生白書を出して以来、今日まで無薬局地区対策としてどういうことをやってこられたのか、これからまた何をやろうとしておられるのかということに対してはっきりした返事がないのです。それをちょっと簡単でいいですから、はっきりしたことを御答弁いただきたい。
  100. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) その後、先ほど申し上げましたように、医療金融公庫、これの実現を目ざしまして、薬局としてはまず第一には、無薬局地区の解消ということをその中のポイントとし、それから診療所の方とあわせて毎年予算の要求をして、厚生省としては鋭意努力をして参りましたが、これが今日やっとその実現を見るに至った、そういうことでございます。それ以外に、従ってこういう予算をとりましてこういたしましたということはございません。
  101. 秋山長造

    ○秋山長造君 今度たまたま医療金融公庫ができて、それがお医者さんの方だけでなしに薬局の方も刺身のつまみたいにちょっとつけ加えてもらったんだ、こうおっしゃるんだろうと思うのですが、あなたの善意は認めますよ、認めますけれども厚生大臣としては、やはりもう少し大きい立場で、こういう白書を年々出しておられるのですから、根本的、徹底的対策が必要だ、必要だということを、毎年同じようなことを言っておられる。だんだんスペースは少なくなっておりますけれども、影は薄くなっておるけれども言葉は同じことを使ってきておられるのですから、何かもう少し、ただ今度たまたまできる、三十億足らずの金で発足するものに、わずかに便乗して、それで、これで万事が解決するんだというような、こんなことは根本的な対策にならぬと思うのです。それでは全国の関係者が納得しませんよ。何億無薬局地区へ融資をされるおつもりか知らぬけれども、おそらく何億も金は回らぬのじゃないかと思うんですがね。何億は回らぬでしょう。何千万円でも回ったらいい方です。高野さんどうですか。それは問題にならぬと思う。厚生白書では、医薬分業の効能を大いにうたっておられるのですね。毎回医薬分業については相当のページを費して大いに効能を、これこそ誇大宣伝をやっておられる。医薬分業ということの効能を、それほど厚生省としてうたわれるなら、やはり厚生省の医療関係に対する施策にしても、まあ、それは医と薬とおのずから違いますよ。その点、だから金額も同じにせいという暴論をはくのじゃないけれども、しかし、おのずから医薬分業の効能を大いにうたわれる以上は、厚生省の施策としては、医と薬とに対して同等の——同等ということは語弊があるかもしれぬが、ほぼ同等のやはりウエートをかけるくらいな気がまえでやられなければ関係者は私は納得せぬと思う。医薬分業の効能ばかりをうたって、そうして薬剤師とか、薬局とかということについては、年々簡単になってきておる。それは毎年のものを読んで比べてごらんなさい。これは三十一年度の最初の厚生白書は二百二十ページなんです、全文は。その中で薬局については八行半ほど書いてある。これも多いとは言えません。ところが、今年のは、それから六十何ページふえて、三百ページ近く、二百八十六ページにふえておる。ところが、薬局に関するところは四行ばかりに減っておる。これは薬剤師についても同じことなんです。これは三十一年度の厚生白書は、薬剤師については相当詳しく書いてある。ところが、今年のはほんの二、三行なんです。そんなことで何もあなたの熱意を云々するというわけじゃないけれども、しかし、やはりそれはね、名は体を表わすということになるのですよ。これは高野さんなんか憤慨せぬのがおかしいと思う。それはやはり厚生大臣として——薬務局長は自分の受け持ちだから、それは一生懸命やっているでしょうけれども厚生大臣としては、大所高所に立たれて、もう少しやはり薬の方に対して、ただ医薬分業の効能書きを並べるだけでなしに、薬に対してどういう具体的な対策を政府としては、融資の面でも何でも実のある対策、こういうことをやるのだという、納得させるだけのものを示されなければ、幾らこれは法律を作って言われても、それで薬務行政が画期的に前進するとは思えぬです。これは厚生大臣から、何やかや言いましたけれども、それを全部ひっくるめて、はっきりした御答弁を願いたい。
  102. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 大へん御激励を賜わりまして、感謝にたえない次第でございます。今年は予算上ちょっともう間に合わないかもしれませんが、来年は大いに努力いたしまして御期待に沿うようにいたしたいと、かように存じております。(笑声)
  103. 秋山長造

    ○秋山長造君 時間の関係がありますから、私はこれでやめますが、この問題は、笑い事でなしに、ほんとうに政府としても、厚生大臣としても、事務的な問題ではないのですから、真剣に考えて下さい。そうしなければ全国の関係者は納得しませんよ。国民も納得できぬです。ですから、私の方のほかの委員の方が来週また徹底的にやられるそうですから、その方にお譲りしますが、もう少しはっきりした方針を持ってきて下さい。そんな努力します、努力しますと言って、抽象的なことばかり、厚生白書みたいなことばかり答弁されては困る。
  104. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  105. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは午前中に引き続いて会議を開きます。  まず、委員の異動を報告いたします。  五月十二日付をもって、徳永正利君が辞任し、その補欠として平井太郎君が選任されました。報告をいたします。   —————————————
  106. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 午前中に審査をいたしました薬事法案及び薬剤師法案に対する本日の質疑は、この程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  108. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから労働情勢に関する調査の一環として、主として国鉄に関する労働問題に関する件を議題といたします。  ただいま政府からは、松野労働大臣は衆議院の社会労働委員会に出席をいたしており、赤澤労働政務次官が出席をしております。政府委員として亀井労政局長も出て参っております。なお、国鉄からは吾孫子副総裁が差しつかえまして、中村常務理事、河村職員局長が出席をいたしております。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 私はこの前の四月二十六日に質問いたしました、国鉄当局の行なっておる不当労働行為について引き続いて質問をいたしたいと存じます。  この前の質問では、現地の実情が国鉄当局に十分把握されておらなかったようでありまして、委員の方から再三にわたって具体的な事実を出して、これに対する質問をいたしましたけれども調査不十分あるいは実態の把握不十分で満足する答弁を得られませんでしたので、きょうは前に質問いたしましたことで、国鉄当局の方で把握されておらなかった点をただしながら、さらにこれに基づいて質問をしていきたいと存じます。  まず、この前の委員会の最後のところで、私はこういう締めくくりをいたしました。この問題は、第一は本社の方針がどういう方針であるのか、これは本社の方針でそういうように金沢鉄道監理局の方に、あるいはほかの監理局にも指示をしながらそういうような行為をやっているのかどうか。それから第二は、そのような本社の方針であるとするならば、一体この本社の方針をどうされようとするか、それに関連してもしこれが現地だけの考えでやっているとするならば、これをどういうふうに対策をされようとするか。第三には、この問題はすでに組合側から不当労働行為として労働委員会に申し立てをいたしているが、こういうように労使関係が不明朗であっては仕事も十分に能率が上がらぬだろう、従って責任者としてこの問題をどういうふうに処理するか。この三つの問題を結論として質問いたしましたのに対して、中村常務理事はこういう答弁をされております。第一の問題については、もしそのような事実があったらこれを直していきたいと思う。また本社の方針ではない。それから第三の問題については、今までもそういう気持で組合と折衝なり協議なりしてきたわけですが、あくまでも誠心誠意を尽くして問題の解決に当たる、従って円満な解決に今後努力する、こういうようなことで答弁をされておりますが、国鉄当局に質問いたしますのは、去る四月二十六日から今日まで調査された事実について御報告願いたいと存じます。
  110. 中村卓

    説明員(中村卓君) ただいまの小柳先生の御質問に対してお答えいたします。  この前、私がまあここで御答弁申し上げました点につきまして、その後具体的にさらに調査をいたしたのでありますが、そのことにつきまして一応項目を分けて御報告申し上げたいと思います。  まず第一は、横山、勝澤両先生が金沢に見えましたときに、金沢監理局長といろいろお約束があったんじゃないか、その点についてでございますけれども、両先生と金沢の局長がお会いしましたときに、第二組合とほかの組合とを差別待遇をしたり、あるいは便宜供与を特にするということは、当局としてはやるべき筋合いではないのであって、あくまでも厳正中立であるべきだという御意見が述べられましたので、両先生からそういうお話がございましたので、局長当局といたしましては、その問題についてはあくまでも厳正中立の態度でやっているつもりだ、差別待遇をしたつもりはないという旨を申し上げましたところ、両先生は、必ずしも現場機関にはそのような当局の態度が徹底していないような疑いがある、何らかの方法でそういう点を徹底させてもらいたいという、まあ御要望があったようであります。これに対しまして局長といたしましては、現場長会議その他の何らかの機会において当局の態度をはっきりさせて徹底するようにしたいというお答えをしたようでございまして、私の方の調べでは、特に局報に掲載するという旨のお約束はいたさなかったと思います。実際問題といたしましては、その後そのときの会見の模様を掲載いたしておりますし、なお当局の方から労働情報という、まあ何と申しますか、資料を配っておりますが、その中でもはっきり厳正中立でやっているのだということを書いてございます。これを各現場機関に配付してございます。  それからいわゆる三田村労研への出席者の取り扱いについてでございますけれども、数年前から助役とは限らず、一般職員も希望者がこちらの勤務に支障がない限り随時出席しているようでございますけれども、これはあくまでも本人の自発的な意思に基づくものでございます。なお、この前ちょっと私がはっきりしなかったので若干御疑問を残したかと思いますが、当局からはこれに対して旅費を支給するということは全然やっておりません。で、出席した者は非番あるいは公休あるいは年次有給休暇、そういうものを利用して出席しているようでございます。  それからこれに関連いたしまして、支部の大会の出席のために二十分早退をいたしました者を処分いたしましたというのは次のような事情によるものであります。これは三十四年の九月十七日の支部大会の際だと存じますが、南福井の駅で三名の者が監督者の許可を得ずに無断で早退いたしまして大会に参加をいたしましたので処分をいたしたのでございます。  それから、これはこの前そういうことがないはずだというように御答弁申し上げたと思いますが、三田村労研の印刷物や第二組合の情報等を当局の手で配付しているのじゃないかという御質問があったと思いますけれども、こういうことは絶対にいたしておりません。  それからある係長等が国鉄労組の脱退届けに署名捺印を強要したということがあったんではないかというお話があったかと存じますが、こういうことは私の方の調べでは全然そのようなことを局としても命令したことはないし、また実際にそういうことがあったという事実もないという報告がきております。  なお当局側の考えといたしましては、組合結成等につきまして組合員同士の間で行なわれるいろいろな運動その他につきましては、従来からそうでございましたが、今後とも一切介入しないよう十分に留意するつもりでやっておるわけであります。  以上、大体金沢の関係で事情がはっきりいたさなかったので、その後調査いたしましたことを簡単に御報告いたしました。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの常務理事答弁を聞きますというと、この前あれだけ長時間かけて質問して、具体的に事実をあげて質問をした、そのことについて調査した結果、具体的な事実はない、こういうような答弁ですか。そういたしますと、この前不当労働行為の申し立てをしておって、その疎明手続を今進行中であるという答弁がありました。これについて公労委に対してすでにもう手続は済んだのかどうか、答弁願います。
  112. 中村卓

    説明員(中村卓君) この前は、私はたしか答弁書が出ていると思いますという答弁を申しあげたと思いますけれども、当時、答弁書自体の準備はある程度できておったのでありますが、その後付属資料その他につきまして、さらに詳しい資料を作る必要が起こりましたので、正式にはまだ出しておりません。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 不当労働行為の申し立てをしておりますから、当然当局に対しても労働委員会からこの答弁を求めるであろうし、あるいは行っていろいろ釈明しなければならぬと思うのですが、この前示したように、組合側から不当労働行為の申し立てが、弁護士の調書あるいは本人たちの陳述書を正確にとって、これをつけて労働委員会に出しているわけです。そういうようなもので、具体的に一、二の例を言ったんですが、それですから、そういうのが全然うそだと、こういう調書や陳述はうそだと、こういうことまで調べた上でそういう事実はないと言われるのかどうか。
  114. 中村卓

    説明員(中村卓君) 実は詳しいことはここに河村局長が来ておりますので、その方から答弁をしていただきたいと思いますけれども、私どもの方で報告を受けました点につきましては、陳述書の中身までは詳しく、少なくとも私は読んでおりませんので、そういう問題については、一応ただいまのところ私どもの方には事実はないという報告がきておるということを申し上げたわけであります。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 その報告はだれからきておりますか。
  116. 中村卓

    説明員(中村卓君) 金沢の監理局長からであります。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 その金沢監理局長を相手どって、労働委員会に対して小当労働行為救済の申し立てをしておるのですが、その中の事実が全然ないということですか。
  118. 中村卓

    説明員(中村卓君) 全然ということになるとむずかしい問題になると思うのですけれども、この前もお話がございました、助役が勧誘したとか、あるいは先ほどちょっと申し上げましたように、第一組合、いわゆる国労を脱退することを強要したという事実はないということでございます。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 第一は、中村常務理事はこの前、ここで各委員こもごも立って具体的な事実を——申立書などの具体的な事実をるる述べて、そしてそれの調査をしますとあなたは約束されたはずです。しかも不当労働行為の申し立てについても、聞くところによると、相当当局の方でも事実を調査しておるといわれるのに、そういうものもまだ、ただ報告だけ読んだだけで、常務理事はその内容については全然知らぬと、調べておらぬと、こういうことですか。
  120. 中村卓

    説明員(中村卓君) いや、調査をいたしまして、その報告を受けて、それをただいま申し上げたわけであります。国鉄といたしましては調査しておるわけでございます。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 中村常務理事がその問題について知っておる範囲を報告して下さい。ただ監理局長が書面で出した、そういうことはありませんと、そういってきておるのか、何か積極的に常務理事が国会にも行くんだから、委員の質問に答えるんだからということで積極的に調査されたのか、その間の二十六日から今日までの、常務理事として、担当の職員のそういうようなことを監督する立場あるいは指導する立場として、しかも国会で、きょう来られるまでにどういう調査をされ、書類を持っておられるか、ここで報告して下さい。
  122. 中村卓

    説明員(中村卓君) あれから帰りま目して、すぐ職員局長を呼びましてこういうお話が国会であった、すぐ調べてくれということを職員局長に命令しまして、それで、二、三日前に職員局長から一応ここに私読み上げましたような報告が金沢の方から参ったということであります。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、この前は問題を二つ提起しました。一つは、金沢の鉄道監理局長が経営教育講座というものをやって、そしてもうこれは二十八回でしたかやって、その中で、たとえば三田村四郎などという人を呼んで講師にしてやったという事実と、その中には、たとえば国鉄労働組合あるいは総評などを誹謗することがあった、このことが一つでした、これは第一。それから第二には、私は新聞を広げますと、ここにもありますが、この二つ新聞を出して、そして現場長が職員を旅館に呼んで、旅客誘致の向上運動の名目のもとに職員を呼んで、そうして酒食を供応してごちそうして組合の分裂工作をやった、このことについてどうですか。この二つの具体的な事実を提起しました。そのほかに、たとえば広島自動車営業所などの問題がありましたけれども、これはまた次の機会として、私は具体的に尋ねなかった。ただいま第一の問題については、金沢鉄道監理局長は、まあそういうふうな具体的なことがなかったと言ったかもしれませんが、第二の、それじゃ駅の助役なり責任者が職員を呼んで、そして酒食を供応して組合の分裂工作をやった、こういう事実についてはどういうふうに報告しておりますか。
  124. 中村卓

    説明員(中村卓君) その点につきましてはこの前の委員会で、私一応そういう会食した事実はあるけれども、それについては単なる懇親会のようなもので、会費はちゃんとあとからとってやっておるということを申し上げた記憶があるのでありますが、あるいはそういうことを申し上げなかったんだったら私の記憶が間違いでございますけれども、ただいま私の方にきております報告によりましても、大体それと大同小異のことが書いてございますので、特に先ほど言及しなかったわけでございます。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、常務理事答弁されるのは、第一の方の監理局長が経営教育講座を開いて、そうして第一組合並びに総評を誹謗して、組合の分裂工作をやったという事実もないし、それから現場長が、あのときの証言の中でも、現地から出ておる証言の中でも監理局長や総務部長など上司の歓心を買うために、助役あるいは駅長が中心になって組合の分裂工作をやっておる、こういう具体的な事実を読み上げたんですが、そういう具体的な事実両方ともないと、こういう答申がきておるわけですか。
  126. 中村卓

    説明員(中村卓君) この前申し上げましたように、経営教育講座につきましては、経営教育講座というものをやっておることはこれは事実でございます。しかし、その中で特に第一組合を誹謗したり、あるいは総評を誹謗したということはございません。私どもの報告ではそうなっております。それから、今申し上げましたように、新聞に載った酒食の供応の件でございますけれども、これにつきましても、そういう目的のもとにそういう会合をした事実はない。ただ単に、当事花見時であったので、懇親の意味で各自会費自弁でそういう会合を持ったことはあるという報告でございます。
  127. 小柳勇

    ○小柳勇君 組合側としてはそういう不当労働行為があって非常に困るので、という労働委員会に対する仲裁申し立てが出ておる、しかも国会に対する参議院議長並びに衆議院議長に対する請願も出ております。われわれはそういう基本的な事実、しかも証拠書類をつけた事実について今この委員会で質問しておるわけです。それについて、もう管理局長の方から全然そういうことはないという御報告で、平行線で行っても、ここでこれは何ら結論が出ないわけですね。そうしますというとあとはどうするか。あとは現地の責任者を参考人として呼ぶなり、何かして、具体的にここでこの書類の中のことを争う以外に方法がいのですが、その問題は一応職員局長が見えておるから、あとで聞きましょうが、私がこの間一番最後に結びました、第一の問題の本社の方針は一体どうか。そういうものについて一つ聞いておきましょう。
  128. 中村卓

    説明員(中村卓君) 本社の方針につきましては、この前私がここで時間もございませんので簡単に申し上げたと思いますけれども、あくまでも厳正中立で、誠心誠意をもって労働問題は解決していきたいという基本的な立場は全然変わっておりません。従いまして特に地方に対しまして第二組合を育成しろとかなんとか、そういう指示は絶対にしておりません。
  129. 小柳勇

    ○小柳勇君 常務理事にこれ以上質問しても仕方ありませんが、一つの事実を、ここからもう具体的な事実を発表しながら質問していきましょう。これは昭和三十五年二月十五日に発行した金沢鉄道局の文書課長が出した新聞です。「金鉄だより」これには第二組合ができました直後出された新聞ですが、「一月二十三日に国鉄の北地労を結成した」これは新組合ですね。第二組合、その場合に「良識ある組合運動」と見出しに書いて、そうして、横の方のタイトルは「過激な実力行使に反対、初代委員長に松音友治」こういうふうに書いてある。これは国鉄総局の金沢鉄道監理局の新聞だが、あたかも第二組合の新聞であるかのごときタイトルをもって、これを全家庭でみんな一緒にお読み下さいとやってばらまいておる。これは一つの具体的な事実です。  それから、これは金沢の駅における不当労働行為の申立書です。これには弁護士が行きまして、そうして、聞き取り書き、調書を取っております。その中に具体的な事実を全部書いております。これは一人でありません。これは今ここで読んだのは助役です。あとその出席した人たちが全部供述しまして、これを弁護士と本人が捺印しております。間違いないという捺印しております。そういうものは、この第一のこれと、第二の私今申し立てたようなものについてあなたは全然知らないのかどうか、その点どうですか。
  130. 中村卓

    説明員(中村卓君) 第一の金鉄情報でございますか、金沢局が出しましたそれは全然私は存じておりません。  それから、第二の問題につきましても、この間それに、まあはっきりではございませんですけれども、先生の方からそういう御質問がございましたので、一応そういうことがあったんじゃないかという、何と申しますか、印象を持っておりますけれども、それは先ほど申し上げましたように、局へ調べましたところが、そういうことはないという回答が来ておりますので、ないと思っております。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 あなた一番初めに答弁されたときに、横山代議士と勝澤代議士が参りまして局長に会って、そうしていろいろやりとりがあって、最後に厳正中立の、これから組合運動について、立場をいたしますと言って、文書で告知したと言われますが、その文書はどういう文書ですか。
  132. 中村卓

    説明員(中村卓君) 金沢の局の労働課で出しました三十五年一月二十一日の「労働情報」というものでございます。  それでそこの一番最後に、これは組合からの申し入れ、秋山先生、加藤先生のいらっしゃったときの会見の模様でございますが、これに対しまして、まあいろいろと先生方から申し入れがあった。それに対して局長及び総務部長から「労働組合の運動方法について批判したことはあるが、組織上の問題については立ち入っていない。経営上の知識を与える業務に対して主眼を置いている。」これは経営教育講座のことだと思いますが、それから「組合の組織の問題については、従来からも中立であるが、今後も当然厳正中立である」というようなことを答弁した。なお、趣旨は以上の通りであり、最後に「組合組織の問題に対する当局の立場は厳正中立であることは論を待たないところであるから、十分留意されたい。」こういうような付記がされております。これを先ほど申し上げましたように各現場に配付したわけでございます。
  133. 小柳勇

    ○小柳勇君 その横山さんと勝澤さんの行ったのはただ遊びに行ったわけじゃないのですね。これは国労の方でいろいろ現地で交渉するけれども、ほとんどの現地の局長は高飛車に出て、組合役員などというものは、これは何というか踏みつけて意見を聞こうとしない。しかも、二、三年にわたるその不当労働行為が公然とやられる、だからまあ一つ国労の顧問として先生方行ってくれないか、こういうことで行っておる。そのことは認めますか。
  134. 中村卓

    説明員(中村卓君) 私の方では、先生方が金沢へどういう理由でおいでになったかということは、何もよく存じておりませんけれども、多分そういうことだろうという推測はできると思います。
  135. 小柳勇

    ○小柳勇君 それならば、わざわざ国会が忙しいのに、横山君、勝澤君が国労の顧問として、現地の局長に、組合にかわってその話をしている。その結果、そういうふうに「労働情報」で、組合の運動については厳正中立にやれよと、そこまで労働課長が出しておる。そのことは、そういう現地の方で駅長なり助役なり、そういうものが、あまりにも目に余る動きをするからだと、そこまで理事として推測できませんか。
  136. 中村卓

    説明員(中村卓君) 一応まあそういう少なくとも疑いを受けるような事実があったんじゃないかという推測はできると思います。
  137. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうような疑いだけじゃなくて、次に不当労働行為申し立てが出ておる。この前も言いましたように、これは国鉄の労働組合としても明朗なことでない、不明朗なそういう職場慣行、今ただ局長さんの回答では、そういうことはやっておりませんと、そういうような一片の答弁で押し切ろうとされているが、現地の方では、そういう不明朗な具体的な事実が発生しておる。そういうものに対して、私が第一に言いたいのは、もう少し積極的に常務理事として、たとえば現地に行くなり、あるいは局長をあなたのところに呼ぶなり、あるいは駅長を呼ぶなりして、もっと積極的に事を調査して、そうして国会で問題になっているからということで、これが解決のために努力するという点を全然やっておられないということと、それからそういうふうな不当労働行為の申し立ては出ておるけれども、まあ私の方ではそんなことはありませんでしたといってこれを押し切ろうとしておられるように見受けるが、そういうことで労働問題、労使慣行というものは明朗にやれるとお考えであるかどうか。
  138. 中村卓

    説明員(中村卓君) ただ単に書面で金沢の監理局に照会したというだけでなくて、現地の直接の責任者である加賀谷総務部長を本社に呼びまして、いろいろ職員局の方では調査しております。その結果、先ほど申し上げたようなことになっております。
  139. 小柳勇

    ○小柳勇君 その加賀谷総務部長が本社に呼ばれた。それは職員局長が呼ばれたのでございますか。
  140. 中村卓

    説明員(中村卓君) そうでございます。
  141. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは一つあとでまた常務理事に国鉄の方針として聞くことがありますけれども、具体的な事実として職員局長から説明を求めますが、加賀谷総務部長が参りまして、今私が申し上げたようなこと、あるいは現在起こりつつあること、将来金沢鉄道監理局の労務管理について、どういうふうな方針を持っておるのか。調べた点を一つ詳細に御報告願いたいと思います。
  142. 河村勝

    説明員(河村勝君) 総務部長が参りましたときには、具体的にきょう御質問のありましたことばかりでなしに、公労委に組合側から提訴されておりますので、それの資料等も作る必要がございますので、そういう意味業務上いろいろ聞きましたので、内容は、非常に各項目にわたって組合側の申請がございました。それを一々申し上げるわけには参らないのでありますが、総括しまして、今まで常務理事が申しましたように、全く事実のないもの、あるいはいろいろな人間の発言の内容を問題にしているのが多いわけでございまして、そういうものは発言の内容が間違っておるというような性質のものが多いわけでございます。全般の総務部長の態度としましても、組合との間の問題につきましては、厳正中立の方針を持っておりまして、今後ともそういう方針をとるように私どもの方からも十分指導いたしておるわけであります。
  143. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうすると、その不当労働行為の申立書について、疎明手続ですね、そういうものの進行状態を御説明願いたい。
  144. 河村勝

    説明員(河村勝君) 一たん四月の末ごろに準備を終わりまして、答弁書を提出する段取りになったのでございますが、委員会と相談の結果、なお添付すべき資料が不足しておるということでございましたので、その後添付資料も整備しておりまして、最近出す段取りになっております。
  145. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。私は先ほどから聞いていると、中村さん、職員局長お話では、もうそういうことはないと、こうおっしゃるわけですが、たとえば今おっしゃったのについて、私のところへきている資料の一、二をそれじゃ参考までに申し上げてみたいと思います。今の組合の大会に三人出て減給になったという方ですね。西谷、田中、斎藤、この例を見てみますと、平生は一括して組合の大会のときには非番者扱いとしてやっている。ところが、このときには八時交代のところを、七時四十分に相手の交代番が来て交代して、そこで事務が完了して出席した、これに減給十分の一・三カ月ということをやっている。事実上業務に何も支障がないのにこういう減給が行なわれている。こういうことがここに出ております。それからもう一つ、これは私はどうも先ほどのお話を聞いておってふに落ちないんですが、前の鶴森委員長ですか、今は委員長じゃないそうですが、鶴森君が、南福井駅運転詰所に、作業間を利用して、勤務者で運転事故防止の座談会が行なわれた。ちょうど二時二十分から三時二十分まで行なわれたのでありますけれども、その中で、勤務に行かなければならぬ人、二時五十分に作業を開始しなければならぬ人があったので、座談会というのであるから、主任が言われたことについて皆さん大いに意見を述べてくれというので、四十分ごろに意見を述べさしてくれ、もう作業に行かんならぬからということを言ったが、それを述べさせなかったそうです。それで、そこで鶴森委員長がちょうどそのとき居合わせて、座談会ですから、そこで傍聴していたそうです。ところが、絶対にものを言わさぬということですから、見かねて、委員長が、現場の者の質問に答えようとせず、その従業員に対してばか者呼ばわりするとは何事か、あなたは駅長としてまじめに仕事のことを考えているのかということをそこで尋ねた。そうすると、君は何だ、駅もんじゃないか、もんは要らぬことをしゃべるな、ほかのもんには関係のないこっちゃ、帰れ、出て行け、こういう駅長が言葉を使っております。その次に、委員長が何だ、そんなもんはこわくない、きさまってなもんは何言ったって聞かぬわい、出て行けというような言葉使いをしているわけですね。だからそういう態度で従業員と接して、これは鶴森というのは、金沢地本の委員長で、ここは今南福井の駅でですね、駅長さんが——やはり全体の一万何千の組合員の委員長という人格で、座談会があるから、業務の事故防止の座談会だからこれを聞きに行ったと、そうしたら初めは意見を述べてくれと言いながら一つもものを言わさぬから、言わしたらどうですかと言ったら、こういう扱いは——まだずっとありますが、長くなりますから言いませんが、何でしたら資料を見ていただいたらいいと思う。こういう扱いは、私も業務上の要するに責任者と、そこで作業をしている従業員との関係、特に組合に対してこういう見方でおれるのかどうか。私はこんな例は、日本の労働組合と会社、職場の業務関係でも、こういう言葉使いで組合との関係を持っておるというのは、私は初めてこれ聞くわけです。まだあります。たとえば今の不当労働行為の中でずっと幾つかあがっておりますけれども、これで今の鶴森君は処罰を受けております。だからこういう工合にして、何か一つのイデオロギーを持って押しつけて、そうして全体的には第二組合を作らすために旅館へ呼んでごちそうをする、そうして推進委員をきめて、申し合わせをして推進委員をきめて、組合に入っていない人が中心になって、非組合員が中心になって、組合に入っておる人を寄せてそういうことをやるのですね。そういうことというものは不当労働行為で争ったらいいのだ、疎明書類をつけて争ったらいいのだ、原形復帰——極端な言い方をすると、原形に復帰すればそれで済むのだと、だから何をやってもいいのだと、こういう言い方がこの取引の中にどんどん出てくるわけですね。それからまたこれ読んでみますと、第二組合に入らなければ転勤をさすとか、登用試験にはパスせないぞ、それで判こを押せというような格好のものが一連として行なわれておるということになると、先ほどから厳正中立でやっているというそのお言葉と、現実やられておることとは非常な相違が私はあると思う。だから、たとえば経営講座ですか、講座の内容を見てみましても、もう初めからしまいまで、ある一つの目的に向かって強引に引っぱっていく、第二組合に。組合分裂と申しますか、そういう格好に強引に引っぱっていくような内容がずっと並べられておる。これはどうせ皆さん方の間で不当労働行為の問題として議論がされるところですけれども、しかし、私は労使関係の間というものは、やはり交通機関というものは日本の産業の神経なんですから、こういう挑発的な争いというものでは安全というものが保たれないわけでありますから、だからこういう争いというものがあっていいかどうかということ、これは事実だ、こういう工合に事実問題として出ているのですから、皆さん方お読みになっておると思うのです。それでいながらそんなことはないと言って突っぱられると、非常に私たちは——署名捺印までずっとしてきているのですね、発言した人、それから事実あった人が署名をしておる。そういうことになってくると、私は何を信用していいか、特に国鉄というようなコーポレーションの公共事業の中でも中心的な存在である、日本の経済の神経の中心的な運転業務に携わっておられる職場でこういうことが行なわれいいかどうか。日本の労働法体系を根本的にくずすような格好のものが現実に行なわれておっていいかということを、私は先ほどから聞きながら、そういう工合に考えているわけです。だから総務部長がおいでになったと、総務部長がおいでになって、皆さんに御報告されたというのですけれども、その総務部長自身がどういうことをやっているか、どういうことを現地で言っているかということを、ここにも載っておりますが、この資料にありますが、これはまああんた、読み上げると長くなりますが、相当なことを言っておりますよ。まるでオルガナイザーですよ、第二組合の。そういうことをこれは言っておる、講座を開いて。そういうことを許されるのですか。その人が当局の国鉄の本社に来て、何もありませんと言って、信用できるのですか。私はなぜ常務理事関係局長あたりが、厳正な中立というのだから、厳正な中立の立場から現地に行ってなぜお調べにならないか。そういう不安があったら取り除くと、こういう工合におっしゃるのですから、なぜこういう現実があるのに取り除こうとせられないか。対象になっている人が来て、その人の説明で、それでいい、何もありませんというところで、ここで二人の方が言われるという、私は非常に何かこう理解のできないものを持つのですがね、先ほどからの質疑を聞いておりまして。何でしたら、これを提供しますから読んでいただいていいと思います。まさかうそは書けまいと思うのです。どうなんですか、それ。そういう気持はどうなんですか。
  146. 河村勝

    説明員(河村勝君) 今二つ指摘になりました一番目の方は、先ほど常務理事からお答え申し上げた通りでございますが、第二番目の方は、私も全然存じませんので、今まで組合側から申請しております資料の中にはなかったというふうに思っておりますが、あるいは記憶違いかもしれませんですが、いずれにしましても、総体として御不審の感をお持ちのようでございますけれども、実際加賀谷総務部長を呼んだばかりでなく、私自身はまあ時間がございませんでしたけれども、職員局の調査役を派遣しまして、実際現地でも事情は聞いております。それで必ずしも現在対象になっております加賀谷部長だけを対象として調べたというわけではないのであります。ともかく不当労働行為はやっても、原状回復さえすればいいのだと、そういった観念で指導したことは全くないのでありまして、その点は今後ともそういうつもりでやって参るつもりであります。
  147. 小柳勇

    ○小柳勇君 ほかの委員もおられますので、何か一つ事をくどくど言っておりますから、具体的な事実を一つ読み上げましょう。その方が判断がしやすいと思いますから。不当労働行為以上の問題がこの中にひそんでいるような気がしますから、読んでみます。  第一はこういうこと、南福井駅助役——名前は省略いたしますが、宇都宮某は蓑輪某に対し次の発言し、第二組合加入を強要した。局の労働課の松村さんから頼まれているが第二組合に入ってくれ、これから第二組合に入っていなければ試験は合格させない、蓑輪は脱退届けと第二組合加入届けは同駅助役中川某からもらった、これが第一の事情。  それから警職法闘争で刑事事件の証人になっている宇都宮某に対して、三十五年三月二十一日第二組合委員長何何を介して南福井駅助役内田某は次のことを言っている。君は警職法闘争の処分は保留されている、公判廷で組合に有利な証言をすれば処分される、こういうことです。  第三の事実はこういうことです。三十五年四月六日、臨時雇用員血原正一が駅長室で南福井駅長白崎某、助役中川某から次のことを言われた。近く職員に採用することとなるが、それが第二組合に行かねばだめだ、同人はやむなく第二組合に加入を約した。  第四、市村某が南福井駅助役中川某から数回にわたり第二組合加入を勧められたが、次のような言示を行なった。国労にいると損をする、昇給はしないし、果ては首は切られる。君の職場でも多数第二へ入っている。宮島助役を苦しめるようなことをするな。  第五、塚谷某に対し南福井駅の助役某がおれの宅へ来い、来なければおれが行くというので、行ったところ、同助役は第二組合に入れ、印鑑を預けておけ、国労は共産党が引っぱっているからだめだ。本社の方針で南福井分会をたたくのだから今後も妥協せずにやる。塚谷の保証人は同助役だが、返答せずに帰った。帰りに石鹸半ダースくれた。  第六、内田某という助役に対し佐藤分会長が抗議したところ、同助役はそれが悪いというなら、国会でも裁判所でも出せばよいではないか、不当労働行為で処罰された例はない。  第七、三月の十二日に南福井駅助役派出所で、内田某助役は、山田某に対し次の発言をなした。和田君と君が中心になって第二組合結成に働いてほしい。君は欠勤があって昇給は落ちたが、何とか回復してやる、その意思表示して三田村労研へ行ってほしい。  最後はこういうことです。佐々木某の宅へ、宮島、内田助役等が七回にわたり訪れ、二組へ入れと強要し、果ては両親の前で、青海から転勤したのは、当局のおかげだ、君が民青に入っているのは知っている。あれは共産党だ。今に大へんなことになると脅迫した。  このようなこと。これは一つの事実を要点だけ述べましたけれども、ほかに証言もついておりますから、そういうような事実をこのほかに、たとえば臨時雇いを本採用にする場合にも、第二組合にいろいろな条件をつけて、あるいはそれに、第二組合に入らなかったために本採用になる前にやめさせられた。こういうことは一つの個人の問題ではあるけれども、これは許せないことだと思うのです。第二組合に入る、入らぬ、そのことによって採用、不採用が決定し、昇給する、せぬ、あるいはそれによって、駅長助役については、現場の職員というものにとってはおそろしい人です、監督者として。そういう人が一品でもそういうことを言ったならば、そのことがどれだけ影響するかということは、職員局長も常務理事も十分おわかりのことだと思う。私はそういうことを、具体的の事実を言いたくない。この委員会では言いたくない。言わぬでも大体おわかりであろうと思って言わなかったのだけれども、ほかの委員は何かくどくどまた言っているように思われるから、具体的の事実を言いますけれども一つの例をとっても、そういうことは私は許せぬと思う。そのために労働組合があるのです。労働法を十分御存じの通りです。そういうことが何年前からか、しかも争いになっている。現場で団体交渉する。大会でこれを一つ何とかしょうといってきめる。それで今度は不当労働行為の救済申し立てとして労働委員会に提訴した。それでも反省の色もないから、国会で取り上げてくれといって泣きついているじゃありませんか。議長あての請願書が出ている。そういうこともなお局長からの報告はそんなことはありませんでしたといって、この委員会をのがれて、不当労働行為ではまたそういうことで、いや私の方も実は、こう言うのです。それでは平行線です。この助役が言っているように、不当労働行為では罰則がない。国会でも呼んでくれ。そんなことは平気だ。そうして上司のごきげんをとろうとする。そういうような人間的に許せぬようなものを、もう少し本社でも局でも正しく調査して、正しく指導すべきではないか。この前問題になったことを今答弁を聞いていると、常務理事答弁も職員局長答弁も、いわゆる国会答弁でしょう。国会答弁としてはそれでもいい。それで通るかもしれぬけれども、私どもとして誠意を感じない。四月二十六日にやって、すでにもう二週間、あるいは総務部長が、ここに、あなたのところへ呼んで、本社へ呼んで、聞かれたかもしれないけれども、国労から横山君、勝澤君が行ったというのだから、もっと誠意があるならば、そういう諸君を呼んで聞くぐらいの誠意があってしかるべきではないか。ただそういう事実は報告にはありません。私は、それでは本日のこの委員会は済まぬと思う。従って、もう少し具体的に、私が申し上げたように、具体的事実全部がもしないならば、私今九つ言ったですか、その中で、たとえば三年間も臨時で働いて、本採用になろうとしておった。ところが、第二組合に行かなかったために本採用になれなかった。それ一つでも、私は職員局長として相当の決意を持って答弁してもらいたいと思う。
  148. 河村勝

    説明員(河村勝君) 繰り返し同じことを申し上げるようでございますけれども、今幾つか例をおあげになったことを、事実を一々について私も存じないものが多いのでございますが、調査してみますというと、事実、実際に相違しているものが全部でございました。実際おっしゃる通りならば、確かに不当労働行為に該当するのでございますけれども、実情はそうではなく、今まで調査した範囲では、そういうことではございません。この点私は確信を持っております。
  149. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ、もしこういうものがあったとするならば、職員局長としてどういう処理をされます。
  150. 河村勝

    説明員(河村勝君) 今後さようなことの一切ないように、今後とも十分、今までも指導しておるつもりでございますけれども、今後とも是正していくつもりでございます。
  151. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから、この前、一番初めに問題になった三田村の労研に対する旅費を支給しないと言われたけれども、そういうものについて、三田村労研に対して出席することを慫慂しておる、すすめておる、そういうことについても、本社の方針としてはやらない、そういうことですか。それについて答弁願いたい。
  152. 河村勝

    説明員(河村勝君) 先ほど、常務理事から御説明申し上げましたように、慫慂もいたしておりませんし、同時に旅費を支給しないのはもちろん、非番、公休等を使って皆出ておるのでございますから、業務とは全く関係がないということでございます。
  153. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今具体的な事実が上がっておるのに、そういうことはない、あなたは厳正中立でそういうことがあったら直す、こうおっしゃった。現実との地域において起きておるのだから、それじゃどこで明らかにするのか。これは明らかにしたらこういう問題は一切白紙になるわけだ。たくさんの問題があるのに、あなたの今おっしゃったように、そういう気持はありません。事実、今のようなことがあったら全部改めます、こうおっしゃっている。ところが、事態というものは一つも直っていないのですね。厳然としてあるわけです。それじゃあなた、常務理事か職員局長が現地へ行って、組合の、現地の組合の人、職場におられる人を明らかに置いて、これを白紙にするという熱意がないのですか。あなたの方の事業の内容の問題を他の機関によって云々というようなことでなしに、あくまで労使の関係は自主的に解決する問題が建前だと私は思うのです。そうすれば、今ここで、ないという工合にはっきりおっしゃるなら、こういう問題が出てきているという、そうかもわからぬというなら、なぜ現地に行って、あなた自身が現地に行って、双方の意見を聞いて、一つ一つなぜ解決されないのですか。それをやらなければ解決しないじゃないですか。ここでありません。そういうことがありましたけれども調査はいたしません。現地から呼んだってだめじゃないですか。あなた自身が現地へ行って双方の意見を現地で聞いて、間違った点はとめながら解決するという熱意がなければ、この問題は解決しない。あなたがさっきおっしゃったことは、通じないじゃないですか。そのことはどうですか。
  154. 河村勝

    説明員(河村勝君) もちろん公労委の手続が済んでおるからと申しましても、それでそれにげたを預けてほうっておくというわけでもございませんし、私どもといたしましても、今後積極的に調査をしまして、今までおっしゃられたような事実があるかないか、なお一そうよく調べまして、ありましたならば是正する努力を続けて参りたいと思います。
  155. 高野一夫

    ○高野一夫君 今、小柳委員が事実をあげられた。あれがもし事実であるかどうか、調査した結果は局長はそういう事実はない、こういうお話でありましたが、今のお話を聞いておってもそれだけで平行線をたどるので、調べた結果そういう事実はないというならば、そのなかった実態をもう少しはっきり説明された方がよくはありませんか。たとえば助役の名前をあげ人の名前をあげ、こういう事実がある、いやこれは逆です、調べたけれどもそれに類するようなことがあったが、内容が逆になっていたとか、違っていたとか、そういうところをもう少しはっきりされぬというと、ちょっとわれわれとしても聞いていても一向わからぬですがね。調べた結果事実がないとしたならば、根本的にその事件がないのか、違っているのか、そこのところを、今あげたあの事実のどれか一つについて説明されてみたらどうですか、それならわれわれもわかる。
  156. 河村勝

    説明員(河村勝君) この前御質問がございました分につきましては調査はいたしまして、それで先ほど常務理事から回答申し上げましたように事実関係も明らかにしてございます。また公労委の救済手続の中で組合からの申請のございました内容につきましては、これはそういう事実があるかないかという答弁書を今準備中でございますから、これを公労委に出しますと同時に当委員会に提出することはもちろんけっこうでございますが、今幾つか例をあげられましたものは、私どもまだ具体的につかめないのが多く、これについて一々、あれは実はこういう事実であるということを申し上げるだけの資料をきょうは持っておらないのであります。
  157. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働次官も労政局長も見えておりますが、ただいま私が申し上げたような具体的な事実、これは駅長、助役というのは非組合員ですが、非組合員が組合員に対してそういうような事実がもしあったとすれば、労働行政としてはどうお考えになりますか、一つ次官から御意見を聞きたいと思います。
  158. 赤澤正道

    政府委員赤澤正道君) この問題は、私は聞いておりましたけれども、実態は深く調査をしておりませんし、聞いてもおらない次第であります。しかし、今提訴に従いまして公労委で判断しておる最中であるように承知しておりますし、ただいまるる述べられたこまかい現場のいろいろな問題につきましては、私も実は知らぬわけでございます。しかし、小柳委員が今述べられますようなことが現に行なわれておって、しかも当局として見て見ぬふりをしておった、しかも現にそういう事実があるのに証拠がない、ただ口だけのことであって、そういうものはあとに何にも残らぬからというので何事もなかったような強弁をするということはこれは私はいけないと思います。しかし、実は初めに申し上げましたように、実態を私自身もよく知らぬものですから、しかし、小柳委員が言われるようなことが事実であるとするならば、これは当局としても大いに反省もし、また考えなければならぬ、かように考えます。
  159. 小柳勇

    ○小柳勇君 労政局長もおられますが、この前もお聞きと思いますけれども、事実はもう長いわけです。金沢鉄道監理局において起こりました事実というものは長い、だからなるべくならば団体交渉の中で解決し、労働問題として現地で処理するようにわれわれも考えてきました。国労の顧問として特に横山、勝澤を派遣して現地で処理するように努力して参りましたが、その後一向におさまらぬ。しかもおさまらぬどころか、現場長、駅長、助役は、局長や総務部長からよく見られるために、またそうやった者が栄転していっている事実があるものですから、よく見られるためになお今日もそういうことをやっておる。横山君、勝澤君が行ったのは一月、それからすでに五カ月。そういう事実が繰り返されるものですから、組合としては交渉で解決しないので不当労働行為の救済申し立てをやった、しかし、それでは、さっきちょっと読みましたように、助役も駅長もこれはそこだけではなく考えているのは、もう不当労働行為では罰則はない。第二組合を作りさえすればどんどん栄転できる、その方が実益なんです。そういうことで今もなおやまっておらない、そういうことで組合としては本筋ではないけれども、国会の問題にしてもらおうということで、この前の委員会から取り上げたわけです。そういうようなことで、労働行政をあずかる者として、特に労政局長として、そういう事実があるとするならば労働行政をあずかる者としてはどうお考えになるか、またどうこれを指導すべきであるかという点について一つ労政局長の意見を聞いてみたい。
  160. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 基本的な考え方については、ただいま政務次官から御答弁になった通りでありまして、私たちといたしまして具体的な事件の内容をよく承知いたしませんければ、それに対する判断はつきかねるわけでございまして、公労委にあります事件につきまして、結局事実認定の問題が判断の基本になるわけでございまして、そのこと自体につきましては、公労委は十分努力をいたしまして、提訴になりました事案についての結論を出すだろうと考えております。そのほかにいろいろ個々の具体的な事例をおあげになられておるようでありますが、これにつきましての判断も、ただいま政務次官から御答弁のございましたように、そのこと自体が事実であるとすれば、確かにこれは不当労働行為あるいはそれ以前の労使関係の問題だというふうにも考えられるわけでございます。これらのことが結局事実認定の問題をめぐりまして労使双方の中に争いがあるとすれば、結局第三者機関であります公労委で判断するという以外にないわけでございます。現在公労委で取り上げられておりますのは経営教育講座の問題だけでございますが、そのほかのことでさらに組合がそういう主張をいたしますれば、それはやはり公労委の問題として取り上げていく方がいいのではないだろうか、しかし、一面公労委におきましてそういう最終的な結論が出るまでもなく、労使関係の中で不当労働行為にならない、けれどもそれすれすれというふうな非常に労使関係の中で暗い面がありまするならば、健全にして民主的な労働運動あるいは労使関係というものの発展には大きな障害になるわけであります。このことは先ほども国鉄当局といたしまして、そういうことのないように十分今後も努力するんだ、過去においてもそういうことはないけれども、今後もさらにそういうことのないように努力されるというはっきりした態度でございますので、われわれとしては国鉄当局の今後の御努力を期待をいたしまして、一日も早く明朗な労使関係が確立されることを大きく期待いたしておるわけでございます。
  161. 小柳勇

    ○小柳勇君 労政局長はどうせあとで公労委の問題として御存じになることがありますが、ほかの委員については、この前北国新聞と北陸新聞を私読み上げましたけれども、これでも今の国鉄当局側の意見としてはそういう事実はなかったということでありますので、ここに一つの弁護士側がとりました聴取書がありますから、参考のためにはっきりしておきたいと思うのですが、この前、四月八日の日の晩に旅館に四十名助役が集めて第二組合工作をやった、これに出席した人の聴取書ですが、これは第二組合にいっている人です。その人が弁護士に話した聴取書ですが、こういうことが書いてあります。右の会合では当初、内勤助役から旅客サービスについての話があり、酒でも飲みながら話そうということで宴会が持たれた。その宴会であとで国鉄新潟の問題や三井三池の話が出されて、そして組合の話になって、かような懇談の中から出席者の各職場において推進委員を選び、それを中心にして右の方向に進める、右の方向というのは、こういう三井三池、国鉄新潟とかいうことを話して、組合というものはそういうものではない、新たに生まれる組合の方向に進もう、こういうような申し合わせがなされて、その場で推進委員がきめられた。この会合に出席することは、駅長の命令というほどのものではないが、助役から出席するように言われて出席したものである。その翌日きのうの会合において申し合わされた事項を話し、みんなに諮った結果、第二組合にいく者といかない者があると困るので、いくかいかないか、みんな一緒に行動しようということになった。なお米田助役からは、前からよく事務室のストーブのまわりなどで組合運動の動向や将来あるべき方向などについてはなされたことがある。なおこの旅館における会合には、約四十名の人が出席していた。右の会合があった後、四月十一日——三日後ですが、四月十一日か四月十二日に貨物掛三十五名のうち、国労の金沢運輸分会長と他の一名を除き全員が国鉄北陸地方労働組合という第二組合に加入した。こういうことです。その事実は、これは第二組合にいった人が言っておるのですが、だからこの前の新聞で第二組合が組合員の分離工作、第二組合加入促進というようなことがありましたが、それをこれは裏づけしているものですが、われわれとして言いたいことは、組合内部におけるいろいろな問題については組合内部で処理する、いろいろな考えの者がおりますから、だから組合が行き過ぎた場合には、組合内部に民主化運動も起こるだろう、あるいはまたいろいろの形で討論されて組合の方向が変わりましょうけれども、それをその権力を持った者、管理者が部下を強要したり、自分の権力でおどかしたり、そうして無理にそういうものを引っぱっていく、そういうことは第一これは許されないことであるし、しかもそういうことによって自分が栄進しようというようなことがもしあるとするならば、また、もしそういうものを局長や総務部長が知っておって、それを栄転させようとするならば、その局長、総務部長の——これは単なる第二組合を作ろうとする意思でなくて、そういうやり方は、管理者中心の第二組合を作る、いわゆる組合の不当労働行為ではないか、こういうように私は考えさせられるわけです。しかもそれが今起こったものならば、この国会の問題にならぬと思うのです。あまりに長いものだから、もうついにどうしようもなくて、こういうことになっておるものだと思う。そういうものが今度は国会でもこれは解決しない、国会の問題にしたけれども解決しないということになると、そうなると、あとは実力行使以外はない。そういうもので、これは韓国じゃありませんけれども、韓国じゃ学生が先頭になりましたけれども、そういうこと以外に解決する方法がないということは、私は民主主義下で許せぬと思う。それを国会の、四月二十六日一回国会で取り上げたら、きょうまでの間に相当の手が打たれるべきであろう、きょう私は残念に思いますことは、そういうことであるし、第二には、もしきょうこうやっても平行線であるとするならば、次の機会に当事者と、あるいはもっと……、中村常務理事が責任者でないとはいいません。しかし、国鉄の責任者として、こういう問題を、今次官も言われたように、もしこういうものがあったとすれば、これはやはり不当労働行為でありましょう。これは委員全部考えたと思います。従って、そういうことでやっていきませんと、これが実力行使があって爆発してからやっても、これはおそいのじゃないか。そういうことも考えるわけです。従いまして中村常務理事ですね、一つもう一回決意をお聞きしておきたいのですが……。決して、私、初め副総裁の出席を要請いたしまして常務理事答弁で——私、中村常務理事に責任がないというのじゃありません。しかし、こういうような局長や総務部長がおる間は、やはりこれは解決せぬのじゃないかと思うのですよ。従って問題は一年なり二年、こういう問題が現場にくすぶっておるとするならば、これを労使関係をもっと明朗にするためには、根本的な手を打たなければならぬ、根本的な問題ではないか。結局は人と人の問題でありますから、人と人との問題を、イデオロギーの前に人と人との問題を解決するような御決意はないか、そういうことについて、一つ務理事から答弁を求めておきたいと思います。
  162. 中村卓

    説明員(中村卓君) 先ほど職務局長から申し上げましたように、私の方では先ほど先生がお読み上げになったこまかい具体的な多くの事実につきましては、その大部分が実は初めて伺う問題でございまして、この前ここでお話のございました点、それから不当労働行為の申し立てのありました点につきましては調べまして、先ほど御報告申し上げた次第でございます。従いましてもし全般的にただいまのようなお話調査の結果事実ありましたならば、それはもう不当労働行為の問題が当然起こってくると思うのでございまして、そういう場合にはそれに対する適切な処置を考えたいと思います。
  163. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから私は職員局長にもさっき言ったわけです。そういう行為はあったら是正をいたします。こういうのです。あなたの今の話を聞いておると、この前発言があった分だけを調べて参りました。それは白紙でございます。そういうものですか、この今の金沢の問題というのは。そういうことではない。一連の各所に起きているいろいろの紛争というものの全体をおつかみになるのがあなた方の統率者としての役割じゃないですか。ここで発言があった分だけを事務的に調べて参りました。そういうことではないと私は思う。そこらあたりからお聞きしたい。金沢の監理局管内でいろいろの不当労働行為が行なわれておる、新聞にも出ております。第二組合との関係も出ておるし、また具体的な不当労働行為のいろいろな問題が出ています。公労委に申請が行なわれるような段階にきています——経営講座というような格好の問題もあります。そういう一連の問題で時間がなかったから一、二の点だけを申し上げた、ここで発言されたものだけを事務的にこれを調べてきました。白紙であった。それが経営者、経営を担当されている、労働者を使用されている人の立場ですか、そういう大きな疑問を持つ。もっと微に入り細に入り金沢監理局内に起きた問題は調べられて、相当な時間があるからここにおいでになるのが至当ではなかったかということをまず第一に私は言いたい。  第二の問題は、今の、あなたのきょうおいでになった感じといいますか、お気持といいますか、事務的に、公労委へいけば不当労働行為は処理すればいい、出てきた問題を、そういうものではないと私は思う。労働省も、今、次官がおいでになりませんけれども日本の労働関係法規、労働法の建前からいって、国鉄というような公共企業体でもある、これこそほんとうに今の労組法の建前に立つ労働関係というものが行なわれてしかるべきである、私はそう思う。さっき労政局長は、いずれ公労委に参りましたならば調べることになるでしょうが、そういうことのないように期待いたします、ということではなしに、そういう関係こそ、もっと積極的に労働行政の面から、そういう不当労働行為が起こらないような状態というものに対して大いに意見があってしかるべきだと私は思う。労使関係というのは、法律があるから法律で処理したらいいという問題ではない。あくまであらゆる労働条件をきめるにしたところで、その他いろいろな労働問題にしても、自主的に問題を解決するのが建前でなければならない。それがまるで事務的に、来たやつは、公労委へいった分だけ処理したらいい、ここで発言があった、発言された分だけを事務的に調べてきて、ここで答弁さえすれば事済む。そんなお考え方は、三十何万という四十万近くの労働者を使用されている立場の経営者の立場ではない、私はそう思います。だから、そこで私はその建前に立つ以上、さっき職員局長が言われたように、そういうことはないと思います。あくまで中立、もしもあったら直しますというのだから、今まで総務部長をお呼びになって調べられた書類がありますが、こういう発言をされているような総務部長なら私は解決しないと、だからやはり職員局長がおいでになり、あなたを代理する人が現地に行って、相互の意見を聞いて、現地で一つ一つのケースによって解決するということをなぜここで確約できないのですか、ということを言いたい。そのお気持はどうですか。常務理事から一つお答え願いたい。
  164. 中村卓

    説明員(中村卓君) 現地の総務部長を呼びまして調査したときも、実は私は立ち会ったわけではございませんけれども、おそらくこの以外の問題につきましても一応ほかにいろいろな問題があるのじゃないかという質問もあったと思うのであります、本社の方から。それに対して——これは詳しく聞いてはおりませんけれども、おそらくそういうことは当然予想してこちらから行ったと思います。それに対して、おそらく本人が、ほかにはそういう問題はないのじゃないか、あるいはあっても古い過去の問題であって、局長がああいう声明をされた以降にはそういう問題がないという工合に答えたのじゃないか。これは私の推測でございますが、決してこの問題だけに限って事務的に答えたのではないという気持の一端を申し上げたわけでございます。そういう意味でございます。それから、先ほども員局長が申し上げましたが、その不当労働行為が起こったら公労委にいって、それで事が済むのだという、そういうような気持で決して私たちは仕事をしているわけではございません。あくまでも、これは少なくとも私たちの気持といたしましても、あくまでもそういう問題は、そういう格好でなくて、使用者と労働者の間において、円満に解決していくという気持で今までもやっておりましたし、将来もやっていこうと思っております。従いまして、なお先ほど私たちの方も調査が不十分でおしかりを受けたのでありますが、そういう具体的な事実が、今御指摘をいただきましたので、しかるべき者を現地に差し向けまして、さらに詳しく調べさせたいと考えております。
  165. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 中村さん、加賀谷総務部長をお呼びになっただけでなくて、先ほど河村職員局長の御答弁によりますと、参事と言われたか、参事官と言われたか、調査役を現地に派遣されたようなお話がありましたが、その点どうなんですか。
  166. 中村卓

    説明員(中村卓君) 調査役の稲垣という者を現地に派遣したようでございます。私は実ははっきり聞いておらなかったので申し上げなかったのですが……。
  167. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それならなおさらのこと、現地で、こういう、今、某何何とか、某組合員ということじゃなしに、何々調査役、何々従業員という工合にして小柳委員もはっきり申し上げた、こういう事実、事実問題として、現地の人の名前まであげるような事実問題があるかないかということは、この人を調べたらすぐわかることです。現地においでになって、なぜはっきり調べられないのです。
  168. 河村勝

    説明員(河村勝君) 今の御説明調査役の名前を伺ったのは、実はきょう初めてでございます。従いまして、現地に派遣する場合に、一般的に調べてくるように言ったわけでございまして、従って、事実を、所在を確認できなければ、従いまして、その裏の事実もわからないという格好で、その問題については、われわれとしてはまだわかっておらないわけでございます。
  169. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ現地に行って、現地の組合というものがあるわけですから、組合の代表者にお聞きになれば、これは一目瞭然、これだけの膨大な資料があるのだからわかるはずです。どこへ行かれたのですか。そこの従業員が組織している組合になぜお伺いにならない、調べられない、当局も調べられない。組合の意見も聞き、その中でこれだけの書類があるのですから、一つ一つケースがわかるのじゃないですか。どういう調べ方をしたのですか、現地に行って。
  170. 河村勝

    説明員(河村勝君) 現地に派遣した際には、われわれとしましては、公労委に出されております組合側の主張している事実を、それを中心にして調べた関係で、今お話のございました点にまで及んでいなかったのであります。
  171. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ、今の公労委に申請しているものばかりじゃなしに、この不当労働行為の行なわれているこのあらゆる資料を、現地に行って組合の意見も聞き、そうして明確に一つ一つケースとして、間違った行為を解決するために責任者が現地に行く、こういう工合に約束されるわけですね。
  172. 河村勝

    説明員(河村勝君) 現地の調査の仕方についてはいろいろありましょうけれども、とにかく責任ある者を現地に派遣して、御指摘いただいたような点をさらに十分調査するつもりでございます。
  173. 秋山長造

    ○秋山長造君 今のお答えですが、これはほんとうにあなた方の方が、問題を究明しようという誠意があるなら、それは、目標がはっきりしないのに、的がはっきりしないのに矢を飛ばすようなもので、これはだめですよ。ほんとうに、具体的に調査をしようという熱意があるのなら、この前の機会に、小柳さんなり何なり、相当資料をもって質問をされたのですから、わからぬことは、質問をした人によく聞いて、どういうことを問題にしておるのかということを、もっと突っ込んで聞いて、よく輪郭を、具体的なものを認識した上で出ていったらどうですか。それだけの手続も踏まないで、ただもやもやしたものを目標に、これは調査役か何か知らぬけれども、どれだけの権限を持った人か知らぬけれども、そんな者をやってみたところで、それはやった当事者に、不当労働行為をやった当事者は、やったじゃないかと言われたって、十人が十人やりませんと言うにきまっていますよ、そんなことは。それだけの誠意がないでしょう。以前には、こういう事件が起こったら、それはあなたの方でもとても今日のようなゆうちょうな態度じゃなかったんですよ。これはあわてると言ったら語弊があるけれども、真剣にこれは八方手を回して、もっと真剣に調べてきて、そしてもっと具体的に問題点を一つずつ、意見の相違はともかくとして、ここで報告されておったのです。ところが、最近はもうそうではなしに、適当に、さっきの話じゃないけれども、国会の答弁用の一つの型ができてしまって、またそれを引っぱり出してその型を踏んで適当にお茶を濁して、あとはさよなら、こういう態度だ。だから、あなた方お二人の言っておられる言葉づかいはきわめていんぎん丁寧ですけれども、ちっとも誠意は認められぬですよ。失礼ですけれども、ほんとうにこの事件を究明しようという誠意は認められぬですよ。私は認められぬ。これは厳正中立だなんと言っても、厳正中立を破れというようなその訓示をするばかはおらぬ。昔、政友会と民政党がしのぎを削っておったころの選挙干渉、選挙の前には必ず内務省に全国の知事や警察部長を集めて、絶対選挙干渉をやってはならぬという訓示をやって、絶対選挙干渉をやってはならぬという訓示をしておったその口の下から徹底的な選挙干渉をやって、そして選挙干渉を大いにやって反対党を落とした知事や警察部長は抜擢されておったでしょう。だれが責任者か。やはり時の政府が責任者であった。だから、口には厳正にやれやれと言いながら、口に表わせぬ、いわく言いがたい、真顔で片目をちょっとつぶったらやる警察署長が出てくる。そういう手をあなた方使っておるじゃないですか、陰に陽に。だから、直接干渉はやらぬにしても、職制の面から、人事の面から、いろんな面から間接にこの組合干渉をやっておるでしょう。だから、あなた方は、私はあまり失礼なことを申しませんが、だけど悪意に邪推して解釈すれば、これは困ったことをやったとは思いながら、また半面いいことをやろうと思っているのじゃないですか。(笑声)最近のこれはもう国鉄の各地で、ここだけじゃないですよ。これは極端な例です。極端な例ですけれども、あっちこっちでそれは似たようなことはたくさんあるのです。一々それはめんどうだから例をあげませんけれども、しかし、今、小柳委員の持っている資料だけでも大へんな資料があるのですよ、具体的に。だから、もう少し問題点を質問者に、よそを調べる必要はない。質問者にまずよくただして、それで調査役か何か知らぬけれども、派遣されたら、もっと具体的な答弁がきょうあたりは聞けるはずなんです。そんな、具体的な質問をしているのに抽象的な答弁だけしても、われわれ納得できないですよ。どうです。
  174. 河村勝

    説明員(河村勝君) その点われわれの方としてもなお調査が不十分な点であったことは申しわけないと思いますが、資料を、今まで御指摘のありました点その他につきまして資料をいただければ、それについて今後私たちとしてもこれは調査するつもりでおります。
  175. 小柳勇

    ○小柳勇君 一番大事なことは、こういう問題を一日も早く解決して、明朗な職場を作ることです。罪人だけ作るわけじゃないが、あまりにもやり方がえげつないし、問題が解決しないもんだから私問題にしているので、今ここに不当労働行為の現地責任者の喚問要請についてという請願が出ておりますが、その名前をあげただけでも金沢の鉄道監理局長、総務部長、総務部の労働課長、総務部の文書係長、それから南福井駅長、南福井駅助役、金沢駅長、金沢駅助役、越中大門駅長、富山操車場駅長、長浜駅長、これらの人を喚問してくれないか、しかもこれには涙ぐましくもこういうことを書いている。「したがって現地で不当労働行為を行っている責任者の国会喚問が是非必要と思います。そのことによって現場の組合員も納得しますし、現地の責任者にも反省の兆が見え労使関係は正常に向い職場の明るさがよみがえるものと確信します。」このようなことは、まことに言いがたいことですね、労働組合としては……。これは一生懸命に努力してきたけれども、不当労働行為としての救済申し立てもやったけれども、現場の責任者は、そんなやつは罰則でいいのだと言っておりますが、一つ国会に呼んでよく現地の事情を究明してくれませんか、こういう請願を出されるに至っては、これは極端に言うならば、中村常務理事も、職員局長も、才能としては優秀でありましょう、しかし、労務管理としては何も言えないのですよ。しかも、あなたは二日も、二回も喚問されて質問に答えている。それだけでもあなた方さっそく局長や総務部長をしかるのは当然であるが、そういうことで局長や総務部長の意向はこうだろうとそんたくしながら、不当労働行為を知っているかどうかしりませんが、不当労働行為をあえてする者は左遷するとか、やめさせるというくらいでなければ、ほんとうの労務管理はやれぬのではないかと思います。従って、これ以上あなた方が具体的事実を知らないまま質問いたしましても平行線です。従って、私はこの前も最後の方で結論的に申しましたように、本社の方針でないことはわかりました。しかも、本社の方針でないから厳正中立にやれということは総務部長に言っているようですから、その線に沿わない者は何とか処分するとか、教育するとか、あるいはそんな人はほかに行ってもらわなければ、職場は明るくならぬと思うのですよ。さっき藤田委員が言われたように、地方本部の委員長が行っても、駅長が感情的にではありましょうけれども、対等に考えないで、とにかくごろつきが来たように追っぱらうような駅長は、ほんとうの職場管理者じゃないですよ。いろいろ感情はありましょうけれども、労使慣行上労働法を中心に、団体交渉で解決する、それくらいのちゃんとわかった者でなければ、今のむずかしい職場管理はできないと思う。そういうことは私が言うまでもなく、皆さん御承知のはずだ。もう一回よく調査して、次の機会に正確に把握して、これが一日も早く問題が根こそぎに、そうして、職員が明るく、しかも組合も十分に生産に協力するような態勢を作ることが一番大事じゃないか。従って今二人とも直ちに調査すると言われましたから、本日は質問を終わりますけれども、直ちに調査して具体的問題ありましたら解決して、次にはここではっきりこうしましたということが報告できることを希望いたしまして私の質問を終わります。
  176. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  177. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  178. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは、私たちの持っている資料内容をあなた方にお教えする、これはいいです。ただこの前の状態のとき、調査役がおいでになったのですが、これは調査をやりますだけでは……。やはりこれは早急に解決した方がいいと思うのです、私たちは。だからこの次、来週の適当な機会に、私はここで具体的な調査の結果を報告してもらう、処理の経過を一つ報告してもらいたいと思うのです。いいですね。
  179. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は委員長から国鉄当事者に少し注意を喚起してもらいたいと思うのです。それは今中村常務理事がおいでになっているが、調査官が現地に調査に行った事実も承知しないでここに見えておられる。そうすると、あなた方はきょう当委員会に呼ばれて、この前私は委員長代理であすこに着いたのですけれども、国鉄内部で経営者として十分打ち合わせをされてここに来たのではないということがわかる。これでは当委員会むだな時間ばかりつぶして困ります。調査官が行ったことは局長は知っているけれども務理事は知らない、こんなことで社労に出てきて説明されるのではなめていると思う。私は今の問題の次第は知りません。われわれはわれわれなりに、自民党は自民党なりに労働問題を考えている。今の材料の適否は知らぬが、しかし、答弁の態度はいかぬと思う。確かにいけません。十分あなた内部で、それは間違っているなら間違っている、自分たちの方が正しかったら正しかったで十分打ち合わせをして、答弁内容も打ち合わせをされて、調査官が行ったならばどういう調査をしてきた、総務部長を呼んだらどういう説明をしたということを具体的にはっきりした打ち合わせをされ、統一された答弁をされぬとわれわれも困ります。第一現地に調査に行ったことを常務理事は全然知らない、そうしてここにおいでになることは私はけしからぬことだと思うのです。当委員会としてはむだな時間をつぶしたくありませんから、的確に一つその問題を解決しなければならない。そうして的確に問題の是非曲直をつかまなければならない。そういう意味でよく打ち合わせて来ていただきたい。
  180. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 私から注意を喚起しなくても、ただいまの高野委員の発言で十分効果があったと、かように思いますので御了承願いたい、かように思います。  本件に対する本日の質疑は、この程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 本日はこれで散会いたします。    午後三時五十七分散会