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1960-04-26 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員異動 本日委員藤原道子君、山口重彦君及び 秋山長造君辞任につき、その補欠とし て松永忠二君、吉田法晴君及び安田敏 雄君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            大谷藤之助君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            小柳  勇君            松永 忠二君            安田 敏雄君            吉田 法晴君            田畑 金光君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長     大島 寛一君    総理府総務長官 福田 篤泰君    警察庁警備局長 江口 俊男君    防衛庁経理局長 山下 武利君    調達庁次長   真子 伝次君    調達庁労務部長 小里  玲君    厚生省児童局長 大山  正君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君   最高裁判所長官代理者    総務局総務課長 長井  澄君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査  (三井炭鉱池鉱業所における労働  争議に関する件)  (駐留軍労務者離職対策に関する  件)  (国鉄における不当労働行為に関す  る件)   —————————————
  2. 高野一夫

    理事高野一夫君) これから、本日の委員会を開会いたします。  まず、委員異動報告いたします。四月二十六日付をもって藤原道子君、山口重彦君、秋山長造君が辞任されまして、その補欠として松永忠二君、吉田法晴君、安田敏雄君が選任されました。   —————————————
  3. 高野一夫

    理事高野一夫君) 労働情勢に関する調査の一環として、三井炭鉱池鉱業所における労働争議に関する件を議題にいたします。  ただいま政府委員側から御出席の方は、警察庁江口警備局長、通産省の小岩井鉱山保安局長厚生省大山児童局長、運輸省の石河自動車局整備部長、以上の方がお見えになっております。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 小柳勇

    小柳勇君 私は、三池三川鉱業所警官一千五百名を動員して、四月十八日の午前四時に強制就労した点、これが不当労働行為に該当するということから、警備局長質問をいたします。  まず、四月十八日のその強制就労について、現地から警察庁に対してどのような報告がなされておるか、その概要について説明を求めます。
  5. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) お答えいたします。私の方からも調査員を派遣いたしておりまするので、詳しくは順次わかることと思いまするが、報告を徴しておりまする限りにおきましては、ただいまお話のありましたように、十八日の午前四時から四時五分ぐらいの間に百五十三名の新労員が、三川鉱三井病院三川分院通用門から大した抵抗なく中に入ったという報告を受けておるのであります。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 当時の実情を、私も現地におりまして関係者から調査して参っておりまするが、私の調査だけでは一方的だということも言われまするので、ここに西日本新聞の四月十八日夕刊があります、この記事をもって委員各位に一応の概要をお知り願い、そのあと質問を展開いたしたいと存じます。  この新聞には、こういうことが書いてあります。「新組合員柳川小学校に用意していた別のバス三台に乗りこんで静かに時のくるのを待った。」柳川市というのは、大牟田市から約二十キロぐらい離れた市でありますが、そこで時のくるのを待ったということであります。「運動場に止まったバスは完全な灯火管制、タバコをつけるマッチの光りまでに細かい神経」を使っておった。で、「警察警備本部と詳細な打ち合わせも終わって誘導のパトカーがライトに気を使いながら迎えにきた。国道をフルスピードで三川鉱に向かう。午前三時五十五分五十台の出動車」これは警察の車でありますが、「出動車パトカーに分乗した警官隊千五百人が三川鉱前四つ角に到着したと思う間もなく労組約五十人のピケ隊ががんばっている三川鉱正門東側約三十メートル付近に護送車のバリケードをきずき、その後逆に警官隊ピケを張り、正門東側非常門機動隊員が固めた。あたりは暗く深い眠りに閉ざされたまま。突然、警察の二台の投光車がサーチライトを照らし、警官隊写真班がたく数本のフライヤーが機動隊員の白い鉄カブトをくっきりと浮きあがらせた。そこへ三台のバスが間髪を入れずにすべり込み、百五十三人の新組合員警官隊の人垣の中をなんの抵抗も受けずに非常門の中へ吸い込まれていった。非常門の中には十三人のピケ隊がいるにはいたが「あなたたちを保護する」といって殺到してきた警察隊のウズに手の出しようがなくあ然とするばかり。新組合員が入構してしまってからことの重大さをはじめて知ったかのように「お前たち会社の番犬か」と警官隊をののしっていた。」これが当時の実情であります。で、毎日新聞、朝日新聞、大体同じようなことを報道いたしております。私も、現地におりまして、午前四時に急を聞いてかけつけましたが、そのときにはすでに新労の就労は終わっておりました。  そこで私は質問いたしまするが、四月十八日からもうすでにきょうは二十六日でありますから八日であります。私は県警本部長に会いまして、県警本部長にいろいろ質問いたしましたが要領を得ないので、これは国会で当然問題になるのであろうし、私も機会を得て国会で追及するから直ちに詳細警察庁の方に報告しておいてくれ、そういうことを県警本部長にも申し入れておきました。しかもそのときに私が、県警本部長にこの新聞記事を見せまして、この記事を認めるかどうかと質問いたしましたのに対して、県警本部長は、まあ大体はそうでありましょうが、違ったところもあります、そういう答弁でありました。違ったところはどこか。今調査中であります。その違ったところを直ちに警察庁の方に報告してくれ、こういうことを言っておきましたが、その報告がこちらに届いておるかどうか、警備局長質問いたします。
  7. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 現地からはいろいろ報告が参っておりまするので、ただいま小柳議員がおっしゃった事柄に対する違ったところの報告であるかどうか、はっきり申し上げられませんが、ただいま私が、お読みになった記事を読んでおります限りにおきましては、柳川から新労が出発するに際してたばこの火云々ということはあったかもしれませんけれども、警察がそれを護送して柳川から立った、あるいは先導して立ったというような事柄については私の受けておる報告と違うようであります。警察が新労と一緒になったと申しますか、新労について参りましたのは、私の得ておりまする報告では、午前三時ごろ新労といいますか、会社といいますか、そちらの方から、きょう就労するというような連絡を受けましてこれは先月の二十八日の事例もあることであるし、相当な混乱ということが予想されるということで出動したのでありまして、大牟田に入るちょっと前のところから一緒になった、こういうふうに聞いておりますので、その点が違うかと、こう考えます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 午前三時ごろの通知というのは、それは新労からですか、会社側からですか、連絡は。
  9. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 会社側であるそうであります。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 会社側は午前三時に連絡して、どういうような要請警官隊にしたのですか。
  11. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 会社側がどうこうしてくれという要請ではなく、会社側が新労と一緒に、これこれの人数が、これこれぐらいの時間に三川鉱に入る、こういう連絡であります。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 この、午前三時ごろ会社側から警察に対して出動要請があったというその報告は、それはどこからあなたの方に報告があったのですか。
  13. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいま申し上げたように、出動要請ではございません。自分の方の——自分の方といいますか、新労を入れるという連絡があったのであります。その報告は、もちろん福岡県本部から九州管区本部を通じまして私の方に報告があったわけでございます。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、千五百名の動員は、いつ、何の要請によって警察は動かしたのですか。しかも三時四十分には、この新聞に書いてあるように、千五百名の警官がすでに要所々々を固めてその間をすべり込むようにして新労の百五十三名の組合員が到着したと書いてある。千五百名の警官が三時に連絡があって三時から動いたのか、あるいは数日前からそういうふうな作戦を練っておったのか、その点はどうですか。
  15. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 小柳議員現地に行かれて御存じだと思いますが、警察官相当数大牟田、荒尾の地区に集結いたしておりましたのは、これは四月十八日のそういう強行就労、いわゆる強行就労というものがない前からでありまして、千五百とか千とかいう数は先月の、三月の二十七日以来おるわけであります。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 すると、その朝、午前三時ごろ会社側の方から新労が就労するという通知を受けた、その報告県警本部長報告ですか。
  17. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 県警本部長自身報告であるかどうか、私自身受けておりませんが、県警本部から同じ場所にありまする九州管区警察局報告があり、管区警察局から私の方の当直に連絡があったわけであります。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 その点は、現地警察責任者は、四時ちょっと前に連絡があったと、こういうことを私ども国会議員五名、県会議員一名に対して報告いたしておりますから、食い違いがあります。なお、その点については詳細に調べて下さい。現地警察責任者は、午前四時ちょっと前に警察について出動要請がありましたから千五百名の者で出動いたしました、こういうふうな答弁をいたしております。その点は一つ食い違いますから。  そこで、現地に参りましたところが、ピケ隊はあの正門の前には百名ちょっといた。それに千五百名もの警官をなぜ動員しなければならなかったのか。その点についてはどのような判断報告がなされておるか、御答弁願います。
  19. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これもよく御承知のように、警察側としては、できるだけ摩擦の少ない所、これは当然会社側も同じ考えでございましょうが、少ない所から入ったわけでございまするが、そのとき正門にたとえ百、二百だけのピケがあったにしましても、すぐその後に現われた状況をお考えになればわかります通り、何百あるいは何事という数がすぐ集まってくるという形でありまするから、ただその時点において通用門に十名足らず、あるいは正門に百名か三百名ということでありましても、こちらの方が十分衝突を警戒するということになりますれば、集まり得る数を大体予想してそれに応ずるだけの手だてをとらにやならぬということは、これは警備の常識でございまするから、現実に門を何人が固めておるということだけでそれに対応する警察官を出せばいいというものじゃない、こういうふうに現地判断したわけでありまするし、われわれもまたそれは当然であったと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、その千五百名の者で、まあそれは全部が全部じゃありませんが、この要用にはわずか十三名のピケ隊しかいなかった。それに千五唐名の警察官の中から約百五十名ぐらいの者が殺到していって、そのピケ隊を君たちを保護するんだと言って壁に押しつけて、そうして何の抵抗もなく構内に新労の諸君が入っていった。この事案については認めますか。
  21. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 抵抗なく入ったという事実は、その場面については認めます。しかし、その間の言葉のやりとりについては、私のところにはそういうことを言うてやったという報告がございませんので、どういう言葉を使ったかということはただいま申し上げられないのでございます。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 十三名のピケ隊に対して百数十名の警官隊が出ていって、そしてそのピケをこれこそ何の抵抗もなくあっけにとられている間に壁に押しつけたという、その事実は認めますか。
  23. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 壁に押しつけたという事実は認めておりませんので、認めるわけには参りませんが、そういう十数名しかいなかった所に相当数警察官が行って、そこを通って新労が入っていったという事実は認めます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 この新聞、私さっと読み上げたのはどこに違いがあるかということと、そういうふうな事実を私はうそを言っているわけじゃないわけです。現地にも行ったし、調査もしてきたし、しかも客観的に書いたこの新聞記事を今読んだ。それにはそう書いてあるでしょう。私はそう聞いてきた。それを私は再三再四警察にも抗議しておるのだから。で、わずか十三名のピケに対して百数十名の者が押しかけていってそうしてそれを保護するという名目でピケ排除してしまった。壁に押しつけたということでなくてそのピケ排除してしまった。そのことは認めますか。
  25. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 具体的な実力行使排除する必要がない状態にあって新労が入ったということでありますから、押しつけたとかどうとかということは別問題として、そこで実力でそれを排除したという事実はないというふうに私は考えております。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 実力排除したことはないということは、どういうことですか。私はこの事実を見て、十三名でピケを張っておった。それを警官がどどっとおりてきてざっと門から排除してしまった。だから、難なく新労の諸君就労したわけですよ。その事実は認めるかということです。
  27. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の聞いておりまする範囲においては、先ほど小柳委員も申されたように、あっけにとられている間に入ったというような状態でございまして、ピケといいましても、その門を通れないように張っておったわけじゃない。その人数も十数人でありまするから。だから、その人たちがぼう然としているというような状態の中を警察官ないしは新労が入っていった、こういう状態だろうと、こう考えております。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 あなた、入った事実を知っていますか。裏門の幅がどのくらいあるのか、表門裏門との距離はどのくらいあるのか、表門ピケがどのくらいいたか、裏門はどのくらいいたか、そうしてその道幅がどのくらいあるのか、実際をあなた報告を受けているんですか。
  29. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 何メートルというそのはかった間違いのない数字は知りませんけれども、写真等で見まして、割合に狭い門であることは知っております。また、正門との間が非常に近い距離であることも心得ております。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 その狭い門で、裏門、これは三川分院通用門です。その通用門に十三名ばかりおった。その警官隊がざっと来た。あとに新労の諸君が来ておる。それを見ておって、ピケという任務がありながらただ黙っておるはずはないでしょう。それをピケとしての説得方をやろうとしたところが、もう強引に暴力をもって、百数十名の警官隊暴力をもってこれを説得する機会もなく排除したということです。その事実を認めるかということです。
  31. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力をもって入った事実は認めません。ただ、説得をする機会がなかったことは認めます。説得は行なわれておりません。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 そのピケ隊は、警官隊説得するのでなくて、新労の諸君就労を今ストライキ中だから就労しないでくれという説得任務があるわけです。その任務のためにピケが張ってある。ピケは、憲法上も労働法上もこれは許されておるピケです。そのピケ警官隊が百数十名をもって排除した。その事実を認めるか認めぬかということです。
  33. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そのピケ排除したという事実はわれわれ存じていないのであります。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 私が今言っているのは、ただ事実をそのまま言っているわけですよ。何も私が新たに作り上げてそういう質問をしているわけじゃない。狭い門、わずか四メートルの門です。その門の外におったわけです、ピケ隊十三名が。それがおれば、ただ黙って抵抗なしに新労の諸君が入れるはずはないだろう。あなたは初め抵抗がなく入ったことは認めますと言って、それを排除しなきゃピケ任務をやるはずでしょう。それをやらなかったということは、あなた方が警察力排除したからやれなかったというわけだ。その事案は認めるかということです。
  35. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ狭い所でありまするから、からだが触れたということは、それはあると思うんですが、とにかく排除という作業はしていないという報告でございます。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃもう少しその問題をおいて次に質問していくけれども、何のためにじゃ警官隊が新労の諸君一緒に来て、そこで新労の諸君を待たしておいて、先に警官隊が動いたのですか。そのことを質問しましょう。
  37. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これはもちろん抵抗があり、あくまでも阻止するというピケの形があれば、それを排除するために動いたわけです。
  38. 小柳勇

    小柳勇君 抵抗する形があれば警官隊は何でもかんでも動いていいのですか。その法的根拠は何ですか。
  39. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 御承知のように、実力をもってこれを阻止してはいけないという仮処分決定があり、それに基づいた執行吏要請があったためであります。
  40. 小柳勇

    小柳勇君 執行吏はどういう要請をしたのですか。
  41. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) これは口頭によるものでありまするから、一字一句間違いがないとは申せませんけれども、とにかくもう入れるのだからよろしくお願いしますと、こういう言葉だったようであります。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 よろしくお願いします……。執行吏は何のための執行吏ですか、それでは。
  43. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 仮処分決定内容を執行するための執行吏でございます。
  44. 小柳勇

    小柳勇君 仮処分内容はどういうことですか。
  45. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 仮処分内容は三つに分かれておりまするが、一つは、会社が申請している区域内に第一組合員が入ってはいかぬといういわゆる立ち入り禁止仮処分であります。それから第二番目は、新労——新労という言葉は使わなかったと思いまするが、会社が指定する人間入ろうとする場合にそれを実力妨害してはいけないというのが第二点、第三点は、執行吏はこの以上の二点を実行するために必要な措置をとることができるというのが第三点、まあ大体仮処分内容を分けますと、その三項目であったと、こういうふうに記憶いたしております。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 その第三番の必要な措置というのはどういうことですか。
  47. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 必要な措置というのは、まずそれが出ましたのが先月の二十八日か二十九日であったかと思いまするが、そのときは、そういう仮処分決定内容を公示するというようなことをやっております。これもまあ必要な措置一つであろうと思いまするが、今度の四月十八日とか、あるいは四月二十日の場合におきましては、具体的に妨害のあるところにおいて妨害排除して新労を入れる、こういうことであろうと考えます。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ、あなた一番初めに排除した記憶がない、排除したことがないと言っているけれども、執行吏がその第三項の、その妨害排除するということを申し立てたと言っているでしょう。
  49. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ええ。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 だから排除した、そういうふうな行動をやったのじゃないですか。その点どうですか。
  51. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほどもお答え申し上げました通り執行吏要請に基づいて排除するために出たわけでありまするから、排除をしなければならぬ状態であれば当然排除をしたと、こう考えまするけれども、その現実状態は、執行吏のそういう要請にもかかわらず、特に排除しなくても入れたと、こういうことだと考えます。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、その執行吏ははぜ警察官に、そういう排除をするような情勢でないのに、どうして執行吏排除要請をいたしますか。
  53. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは先ほどから申し上げるように、そこだけの時点をとらまえれば、非常に少ない人間ではあったけれども、三池一帯を総合的に考えれば、新労が入ろうとする、そこには十名しかいなくても、すぐ合図によって何百名あるいは何千名という者が集まり得る状態であったので、そういうことを総合して考えれば、執行吏としても相当な抵抗があると、こういうふうに考え要請をしたものとわれわれは察知いたしまするし、また、警察としてもそういう判断をしたわけであります。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 問題をそらしてはいけません。私が今質問しているのは、一つの局部の問題に今しぼっているわけです。その大きな問題はあとでまた質問します。私が今質問しておるのは、わずか四メートルぐらいしかないその三川分院通用門、その門の外に……。その中じゃありません、立ち入り禁止している鉱内じゃありません。鉱内の外に、門扉の外に十三名ぐらいピケ隊を張っておった。そこに出動車が来た、警官隊たくさんの中の百数十名がどどっとおりてきて、そうしてあっという間にそのピケ隊をさっと排除した、そして開扉を開いて壁の方に排除して、そうして中に入った、その事象をとらえて今質問しておるわけです。従って、十三名のピケ隊をそういうような多数の警官隊排除するというような行動は、どういう法的根拠でやつたか、そういう質問をしておるわけです。
  55. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の受けておる報告では、多数の警察官で十数名のピケ隊排除したというふうには聞いていませんけれども、まあそういうふうにおっしゃるならば、かりにそういう形がそれが排除だという議論も成り立ちましょうから、一歩譲ってそういうことがあったとしましても、それは執行吏要請による援助であるのであります。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 私は国会でそういうふうな水かけ論をするために質問しておるわけじゃないわけです。それでわざわざ東京に出てくる前に県警本部長に会って、この新聞の事実はどうかといって確かめたところが、若干違いますという、違うなら違うところを私が聞こうとしたところが、今調査中でありますということから、当然これは国会の問題にもなるだろうから、この新聞記事の違うところをすぐ調べて警察庁長官にすぐ報告してくれよと、私は国会の方で機会があれば質問するからと言っておいたのです。従って、今あなたはそういう報告を受けていないというから、私は今新聞を読み上げた。もし新聞記事がよくわからぬければ、もう一回私は説明しますけれども、どういう点が違うかですね、あなたの報告をもう少し詳しく説明して下さい。
  57. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それじゃ私の方で受けております報告を要約したものを読み上げます。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 要約せぬでもいいから全部読んで下さい。
  59. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その全部は持ってきておりません。大部のものが次々に来ているのでありまするから、あなたのおっしゃるものに応じた報告がどれだけあるかというような区分けをしておりませんので、まあ全体のものを要約したのを読み上げさしてもらいます、いかがですか。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 私が要請したいのは、私は今問題をしぼって、私が今これから質問しようとするのは三つあるのです。前もって言っておきますが、第一は、今の通用円のわずか十三名のピケしかいなかったのに百数十名の警官隊を出動さして、そうしてそれを強引に壁に押しつけてピケ排除した、憲法労働法に保障されたピケ説得行動すら警察権をもって排除した。しかもその排除する法的根拠は非常に薄弱である、それを第一に私は今質問しようとしておるわけです。  第二の問題は、千五百名も警官隊が出動しておる、しかも大きな道路をネコの子一匹通らぬようにこれを通行遮断しまして、私ども国会議員県会議員の通行すら阻止された、そういう問題はこれはあと質問する。  全体的の問題、第三点であります。これはあとでやります。従って、第一点に関係して私が今質問したようなことで報告があるのを詳細に報告願いたいと思います。
  61. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その通用門の中を入る状態については、何べん申し上げましても、私の受けておる報告では抵抗がなくとにかくそこは入ったということである、そういう形で行動したことは執行吏要請による民訴法三百五十六条でございますか、二項の問題である、こういうふうな報告を受けておるわけでございます。その以外のことについてはまたお答えいたします。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 民訴法五百三十六条の二項でしょう、あなたは今三百五十六条の二項と言ったけれども……。五百三十六条の二項を読み上げて下さい。
  63. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 五百三十六条二項「抵抗ヲ受クル場合ニ於テハ執行吏ハ威力ヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得」。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 あなたは初めから抵抗はなかったと言っておるが、五百三十六条の二項が適用できますか。
  65. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 五百三十六条の二項の解釈は、現実抵抗を受けてどうもならぬということだけではなしに、抵抗必至という情勢判断をして、それに接着した時点において要請することは当然できる、こういうふうに考えております。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 そういうふうな法律を拡大解釈して、それなら警察官自分でどんなことでも判断できるじゃないですか。しかも、あなたは冒頭から言っているように、何の抵抗もなく入構したと言っているでしょう。何の抵抗もなく入構するようなときに五百三十六条の二項が適用できますか。
  67. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは今申し上げるように結果論でございまして、全体のその付近の状態をすべて総合した場合においては、抵抗を受くべき必至の情勢にあったというふうに執行吏判断し、要請したので、警察がそれに応じたのは、警察もまた同様な判断をしておった、こういうことになるわけです。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 それではその執行吏警察にどういう要請をしたか、具体的に説明して下さい。
  69. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほど申し上げた通りであります。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 先ほど申し上げたと言っても、私はその点については具体的に十分まだあなたから答弁を受けておりませんので、もう一回一つ説明して下さい。
  71. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その日の午前三時五十分ごろ、三川鉱正門付近の実情視察中の警察官に対しまして、同正門付近において福岡地裁の吉次、中村両執行吏から、先に要請していた妨害排除の件について警察官の援助をお願いするという口頭の要請を受けたのであります。
  72. 小柳勇

    小柳勇君 その警察官はだれですか。
  73. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 福岡県警吉武防犯部長及び長末機動隊長であります。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 それは執行吏がそういうふうな答弁をしたのか、あなたの方で調べたのか、どっちですか。
  75. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は執行吏と直接の連絡はとっておりませんので、これは警察が調べて、警察から報告したものであります。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 あなたが報告を受けたというならば、水かけ論になりますから追及しませんけれども、執行吏は、その日弁護士が執行吏に会ってただしたところ、名前は知らない、氏名不詳の警察官が横におったから私は口頭で通告したと、そういう答弁です。そういうような、たとえば執行吏ともあろう人が——今あなたは相当責任ある警察官というようなことを言ったが、執行吏はその名前も不詳、ただ、そばにおったからというようなことで名前も知らない、そういうことで警察官の出動をしたと言っておりますが、その点も私どもの調査したのと今の報告の食い違いがあります。その点は直ちに現地の方ともう一回連絡して調査してもらいたいと思いますが、それにしてもあなたは私の質問に対して、初めから何ら抵抗なく、あっけにとられている中で正門に入ったと言っておる。そういうような情勢というものは、わずかのところです。執行吏からその門までのわずか二十メートルぐらいです、警察官がそれをだっと行ったのですから、それが抵抗である、民事訴訟法の五百三十六条の二項に該当するという解釈、それは責任を持ってあなたがそういう解釈をしているのか、これは警察庁の解釈としてあなたが警察行政上全部の警察がそういうような解釈に立って行動しているのか、答弁願いたい。
  77. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 何べんも繰り返すようでありますが、あの時点における総合的判断においてはそういう解釈をとったことは、そういう判断をしたことは私は正しい、こういうふうに考えております。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 憲法の保障された、あるいは労働法で保障されたピケ説得する権利、そういうものについては、あなたはどういうふうに考えておりますか。
  79. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 説得をする権利がある、平和的な説得に終始するならば、そのことはもちろん権利があるというふうに私も考えております。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 そういうふうな平和的な説得する権利を認めながら、何らの抵抗もないピケ隊を、しかも、わずかの十三名の者に何ら説得する権利を用いないで警察富が排除したことは、どういうことですか。そういうことは警察官の職権乱用、労働運動に対する不当労働行為ではないですか。
  81. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほどから申し上げるように、それを独立して考えれば、もちろんそういう議論も成り立つと思うのですが、あの辺一帯の全部を総合すると、及び過去におけるいきさつ等を両方あわせて考えれば、あのピケ状態というものは、説得の範囲にとどまらないというふうに判断をした、こういうわけでございます。
  82. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連をして明らかにいたしておきたいと思うのでありますが、関連してお尋ねをいたしたい点は、今の四月十八日早朝の警察官実力行使は、警職法によらず、民事訴訟法五百三十六条二項によって云々ということでございますから、執行吏が五百三十六条二項に該当する情勢にあるとして判断した云々というような答弁ですが、そこでお尋ねをしたいのですが、これは午前三時何十分ですか、四時前、そうするとこれは深夜であります。深夜に執行史が執行する場合には、文書をもって通告をしなければならぬ、この点は御存じの通り、それから執行吏が執行する場合についても、身体に対する直接強制は、執行法上違法であるという有力な意見がありますことは、御承知通りであります。しかるに執行吏は、現地にはおらなかったということが先ほど答弁の中に含まれております。強制執行については、これはきわめて厳格に行なわれなければならぬ。文書等の必要もあるのでございましょうが、執行吏がそこにおって文書を示し、そうして当該場合に「威力ヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得」という条項に基づいてその三川鉱通用門の現場において要求をしたのかどうか。法が要求しておる要件は、先ほどからの答弁をもってすれば、これはなかったと判断をせざるを得ないのでありますが、その点をどういう工合にお考になるのか承りたい。なお、これにつけ加えて仮処分の出ました際の執行吏との折衝の現場におりましただけに、一応これは委員各位にも御理解を願う意味で申し上げておかなければならぬと思うのですが、二十八日、二十九日のあの三川鉱あるいは四山鉱等の混乱の起こります前に、組合側からも組合の統制を違反して第二組合ができて、就労しようとする動きがありましたので、第二組合に対する就労排除の申し立てが組合側からなされておる。それから会社側からも立ち入り禁止あるいは就労妨害排除仮処分の申し立てが行なわれておるわけでありますが、二十八日の混乱を契機として先ほどお話がございましたように、二十九日に仮処分は審訊も何もなしに出たわけです。従って、裁判所としては混乱を防止するために仮処分を出すという気持であったろうと思われるのですが、仮処分を出した裁判所に弁護士が聞いたところでは、第一組合を離脱して第二組合ができ、そして就労をする云々ということだから、平和的説得のほかに団結の威力を示す等、ピケは平和的説得のほかにプラス・アルフアがあるということは、弁護士に対して裁判所も認めている、そこで仮処分の執行に最初参りましたときに、これは三川鉱裏門から始まったわけですが、そのときに執行吏は、われわれは立て札を立てるだけだ、あとの今問題になっておりますような妨害排除の執行については、私どもは参りませんということを明白にそこで言ったのです。そこで、公示の立て札の上には、仮処分内容以外に書かれたものがございましたから、仮処分内容についても訂正をし、削除をした部分がございます。そしてなお念のために、そのときに署名はされませんでしたけれども、立て札を立てるだけであって、妨害排除仮処分の先頭に立つということはしないということを、こういうことを明言をしておる、従って、四月十八日早朝について、現場におそらく執行吏は来得なかったというふうな心情と実は考えるわけです。従って、具体的な場合についてどういう判断をするという情勢ではなかった、従って、五百三十六条の二項を適用するについて、執行吏なら執行吏がその場で判断をして当該場合について警察官の援助を求めた、こういうことでは私は正確にないと判断せざるを得ないと思いますので、先ほど、もう一度繰り返しますと、五百三十六条二項を適用するについて、どういう執行吏の当該場合における要請があったのか、あるいは警察官として事前の法律的な要件を備えておったと判断をされるかどうか。それから法に基づいた条件が備わっておるからとして五百三十六条二項に基づいて警察官を出動させた、こういう説明がこれはできないはずです。できると言われるなら、その具体的な条件を一つお示しを願いたい。
  83. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまのお話の中で中村、吉次両執行吏は現場におった、それはどういう約束を二十九日にやられたか、これは警察の関知するところではありませんけれども、正門前と通用門というものは、小柳委員もおっしゃったように、二十メートルそこらの現場でございます。そこにおった両人が、三時五十分ごろ、お願いしますということを言っておるのであります。このお願いしますということは、その前に三月の二十何日でございましたか、裁判所の決定が出て、執行吏が委任された直後のことでありますが、これは文書でこちらの方に依頼をしておる。それと、現場においては口頭で依頼をしておるということでございます。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 三月二十九日、文書で出されたというが、文書で出されたその当日、弁護士なり、それからわれわれ、あるいは、私はまあ立会をしたわけでありますが、第一組合側に対しては、妨害排除仮処分の執行には当たりません。同じ日に、相前後して全く違ったことを言っているのでありますから、二十九日の文書の通告をもって、五百三十六条二項の当該場合における警察官の援助を求めたということにはなるまいと思う。  それから十八日の三時五十分云々というようなお話がございましたが、それはその正門のところにはおったけれども、通用門のところにはいなかった、こういうお話です。五百三十六条の二項を請求する際に、正門前であなたはしたと言われるけれども、そのときに執行吏が、妨害排除のために来たのだ、こういうことを言われたのかどうか。執行吏は裁判所から聞いて二十九日に私どもに言ったように、ピケの権利を行使することは、平和的説得のほかにプラス・アルフアがあって、やることができるのだ。それは、組合の統制に服しておった者が、争議中に脱落をして就労をしようとするのですから、平和的説得以外の、もっと強力な平和的説得ができる、こういうことを認めたのであります。従って四月十八日の三時過ぎに平和的説得がなされようとしている。それに対して平和的説得をやらせる余裕を執行吏が与えたかどうか、その平和的説得以上のピケに対して、それでは執行すると言うたのか、妨害排除云々です。それから深夜執行ということで、文書を示したかどうか。その後に請求をされたかどうか、こういうことを聞いておるわけです。
  85. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 文書云々の問題は、前もって三月十九日に、文書をもって要請をされておった事実もあるということを申し上げたのでございまして、当日は口頭でございます。四時から四時五分ぐらいのところが深夜というふうに判断したかどうか、これはちょっと現地状態を具体的に見ないとわからぬのでありますが、その日は、少なくとも書面を提示して、そういうことは、されておりません。
  86. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 警備局長は、三時が深夜であるかないかわからぬというようなお話ですが、そんなばかな話はない。三時にしても四時にしても、強制執行をするときに、あるいは警官の刑事訴訟法の執行の場合にしたって、日没以後、あるいは日出以前については、深夜の取り扱いをされておることは知っているじゃないですか。三時、四時はおてんとうさまが上がってくる前が深夜であることは間違いない。そんなばかな話はありませんよ。その三時のまつ暗の中で執行をするといえば、文書を要するということは、これは訴訟法や慣例法規を引っぱり出さなくても当然の話だ。三時に文書を持ってきたかどうか、それから執行吏が依頼した、こういうけれども、執行吏説得以上のピケの権利を認めながら、そのピケの権利の行使を許したかどうか、こういう点をお尋ねしておきたい。
  89. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 三時五十分に口頭で依頼したのでございましてその際には書類は出しておりません。それから説得ということは現実に行なわれておりません。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、五百三十六条を執行吏が行使するについては、形式的にも、あるいは実質的にも条件はなかった、行使すべき条件はなかったということは、はっきりこれはしていると思う。民訴法に詳しい院の法制局長も来られておりませんが、これは間違いない事実だと思う。そうすると、執行吏が適法に五百三十六条を執行する要件を欠いておって、その要件を欠いた要請に基づいて警察官が援助したとするならば、これは警察の、五百三十六条の要請に基づいて警察官実力行使をするということは違法だということは、これは言えると思う。いかがですか。
  91. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 文書云々の件については、ただいまおっしゃったことを、さらにその点について確かめなければ、私も適法に行なわれたかどうかということを確言できませんけれども、説得云々のことは全体を通じてみて、そこで話し合いに入らせる。あるいは、そういう状態はもう話し合いということを予想されないというような判断をしたのは、その現場近くにおった執行吏でございますので、その方は違法であったというようなことは、私は申し上げられない。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 警備局長にお尋ねするわけですが、民訴法の五百三十九条には、夜間執行の許可命令は、強制執行の際でなければならないということが出ているわけです。現在この執行吏のやった執行は強制執行でないと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  93. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私はその条文に基づく執行だと、こういうふうに考えます。だから、その書面を提示するというのは、警察に対して提示するのではなしに、相手方に対して提示したかどうかという問題になろうかと考えます。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 先ほどからの御答弁にありますように、この執行吏がそういう判断をしたし、その判断警察でも正しいと判断をしておったというようなお話があったわけなんです。従って、警察としては、執行吏の職権で職務を執行する場合に、夜間にこういう執行をするのに、これは強制執行でなければできないというくらいは、これははっきりしていると思う。そうすると、この一体執行は、強制執行ではないことは明白だと思う。強制執行だということであれば、積極的に強制執行だということを一つ説明していただきたいと思う。
  95. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私はこの条文による強制執行だと思います。だからその際に、そういう条件を備えた書面の提示をやっておるかどうかということは、これは警察に提示することじゃなしに、相手方に提示するのですから、警察では口頭でいいと思いますけれども、あるいは相手方に示しているかもわからない、これは私も疑問でありますので、なおよく調査したいと思います。
  96. 松永忠二

    松永忠二君 今の御答弁ですけれども、強制執行ということは、どういうところからこれが強制執行であるというふうにお考えになるのですか。仮処分のただ執行であって、判決の出たものを強制的に執行する場合とはこれは違うと思うのですよ。
  97. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その間の法律的な確定的な解釈については留保させてもらいたいと思います。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 私は先ほどから御答弁のあったように、どこまでも執行吏のやった執行は正しいんだという解釈を警察自身もやって、それを同時に解釈をしていたというような御答弁があったわけなんです。従って、警察としてはすべて合法的に執行されているという判断を明確にしなければ、これは明らかに警察判断も誤りであったということになると思う。そこでちょうど来ております最高裁の方の総務局の総務課長にお尋ねするのでありますが、執行吏の執行等の手続、規則等によって執行に着手する前には、任意の履行を促さなければできない。そうしてまた、そういうようなことから、今度のやった場合を考えた場合に、ピケ隊に何らの警告も発していない、そうしてその後関係の弁護士がこの人たちの陳述したものを裁判所の方へ出しておるのでありますが、実力妨害を受けたようではありませんでしたと、こういうようなことも言われておるわけなんです。そうすると、これは執行に着手する前に任意の履行を促すという手続も踏まれておらない、そうして何らピケ隊に対してこういうことを執行するからということで警告もしておらないのに、ただそれを見てそうしてこれはあぶないと判定をしたということについては、これは執行吏としての執行として正しい方法ではないように私たち考えるわけなんです。なお、その後陳述書を見ても、仮処分が出ているものですからピケットは張れないと思いますと、こういうふうに解釈をしておるわけです。こういう点も今だんだんいろいろ院の論議を進めて参りますと、仮処分が出ているからもうピケットは張れない、ピケットは張っていたからもうあぶないと思ってすぐ結局身分保障の、警察官にただ連絡をしたというふうに私たちは聞いているわけなんです。こういう執行の仕方、また同時に、お話の出ている執行吏抵抗を受けた場合に初めて警察官に援助を求めることができるのだというようなこういう条文、なお、夜間執行の許可命令は強制執行の際なさなければならないのだというような、こういう条文と照らし合わせてみても、この執行吏の執行の仕方は法的に相当問題点も多いし、むしろ法的には十分な、完全な履行ではなかったという判断が出ていると思うのですが、こういう点について一体どういうような見解を持っておられるのか、一つ説明を聞きたいと思う。
  99. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) ただいま最高裁の事務総長の方には、現地からはただいま問題になっておりますところの仮処分決定報告がございましただけで、その後一切の報告がございませんので、至急に現地に照会中でございます。従いまして、実際にどのような事実があったかということについてこちらがつかんでおりませんので、こちらの立場からその事実についてお答えすることは非常に困難でございまして、申しわけございませんが、御質問の問題につきましてお答え申し上げますと、事前に任意の履行を促すことが必要であるかどうかという点につきましては学説上もいろいろ争いがございまして、なお、現地の状況を詳しく調べた上でお答え申し上げたいと思っております。  それから条件が非常にたくさんございますのですが、夜間執行の点につきましては、警察抵抗排除の行為が具体的に執行行為に属するかいなかという点につきまして、直接執行吏の執行であるのか、つまり裁判に基づくところの強制執行であるかいなかという点につきましても、今日学説上の争いもございまして、裁判上確定的な見解はございませんので、なお、実情調査した上でお答え申し上げたいと思います。
  100. 松永忠二

    松永忠二君 そんな答弁では……。特に民訴五百三十六条の二のことについては、今、現実にいろいろ各委員から具体的な事実が明確になっているわけなんです。これについてはどういうふうにお考えですか。
  101. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) 五百三十六条の二の解釈につきまして、事務当局の解釈といたしましては「抵抗ヲ受クル場合ニ於テハ執行吏ハ威カヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得」とございまして、「抵抗ヲ受クル場合」というのは、抵抗を受くるおそれがあると執行吏判断した場合も含むものと解しております。
  102. 吉田法晴

    吉田法晴君 今は最高裁の総務課長ですか、おそれがある場合も含み得ると、こういうお話ですが、おそれがある場合というのは五百三十六条には書いてございません。そういう法律要件をいいかげんに判断するのは、学説を紹介するのは別問題ですが、最高裁の態度としてはきわめてふまじめな、あるいはしいて見解を述べたがらぬ態度と思うのですが、十分警告を発して、最高裁の答弁で足りなかったところを院の法制局長にお尋ねいたしたいと思います。  終始聞いておられなかったと思うのですが、問題は、四月の十八日三時五十分前後、三川鉱正門から百メートルばかり離れている病院に入る通用門から、警察官が先頭に立って百数十名、数十名立っておったピケ排除して就労をなさしめた、こういう事案です。それについて警察庁の方では、警察官職務執行法によるのじゃなくて、五百三十六条の二項によって、執行史の要請によって警察の援助をやったのだ、こういう御説明です。そこで五百三十六条の二項の援助というのであるならば、執行吏が夜間執行されますし、文書をもってする執行も必要だろうし、それから執行吏あるいは裁判所はピケの権利は認めている。これは組合員であった者が脱落をしてスト破りをやろうとするのだから、平和的説得プラス・アルフアが当然認められる、こういうことを言明した後にやっておるのであるから、法上要求される要件が厳粛になければできないじゃないか、こういう私の主張に対して、文書は三月二十九日に出しておいたからそれでいいのだ、四月の十八日には文書は示されなかった、あるいは執行吏ピケを張っておる諸君に対して何らの発言もしておらぬ、あるいは任意執行を求める要請もしておらない。いきなり警察官抵抗排除する、こういう行為になっている。ただ、その根拠とせられるのは、正門の前で、これは執行吏の方からはだれだかわからぬ氏名不詳の警察官に対して、かねて頼んでおったように妨害排除することを頼む、こういう言葉であったからやった、こういうのですが、事態はそういうことです。  それで、五百三十六条二項の、警察が援助をするについては執行吏が文書を示し、あるいは任意的な執行を求め、それができないで実際に「抵抗ヲ受クル」云々、こういうことがなければ警察の援助を求めるということはできないのではないか、こういうことを私ども尋ねておるわけでありますが、五百三十六条二項の執行の要件について、局長の御意見を承りたい。
  103. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 私途中から承りましたので、具体的の事実については今吉田委員からお話しになりましたことを伺っただけでございまして、それも十分把握いたしておるかどうか、自分でもわかりませんが、民訴の五百三十六条第二項の「抵抗ヲ受クル場合ニ於テハ執行吏ハ威カヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得」と、こういう条文でございますが、「抵抗ヲ受クル」、こういうことに先ほどお話の具体的の事例が該当しておるかどうかということがまず第一の問題だろうと思うのであります。で、「抵抗ヲ受クル」という言葉だけを読みました場合に、それが現実抵抗を受けている、抵抗がもう現実に始まっている場合、現実的に抵抗が発生している場合かあるいは抵抗を受ける可能性がある、周囲の事情から判断して、執行をすれば必ずや抵抗を受けるだろうという予測と申しますか、可能性のある場合も含むかどうか、あるいはその中間的に考えられますものは、そういう可能性とか予測だけじゃなくて、もっと濃厚な蓋然性——執行すればもう九九%まで抵抗を受ける蓋然性がある場合も含むか。要するに現実性の場合だけに限るのか、可能性の場合も含むのか、あるいはその中間の確実な蓋然性のある場合までも含むのか、こういう解釈の問題がまずあろうと思いますが、少なくとも可能性——執行すれば抵抗を受けるかもわからぬという可能性とか推測だけで援助を求めるというようなことはできない。その点は問題ないと思うのですが、問題は蓋然性、きわめて高度の抵抗を受ける蓋然性のある場合になお援助を認められるかと、こういう問題だろうと思いますが、そういう蓋然性がきわめて高い場合に援助を求めるということができないとまで、この条文では読めないのじゃないか。援助を求めるという行為自体は、これは強制執行の行為そのものじゃなくて、強制執行が始まれば、きわめて高い蓋然性のもとに抵抗を受けるということが認められる場合にはそういう警察官の援助を請求するということは、これはできるんじゃないかと思いますが、しかし、現実に今度は警察官がその援助の要請に基づいて強制執行に力をかすということは、これは強制執行が始まらなければ問題ないと思いますが、援助を求めるということは、それはきわめて高度の蓋然性があればやれると思いますが、その援助を求められた警察官がその援助の趣旨に従って抵抗排除するという、実力行動を起こすのは抵抗排除するのですから、抵抗そのものが現実になければそういうことがあり得ないと私は思います。だから、援助の要請をすることは、蓋然性がきわめて高いときにはできるでしょうけれども、現実警察官抵抗排除できるかということは、それは強制執行が始まっておるかどうか、始まらなければ、始まるというか、強制執行の着手、これから強制執行を始めよう、少なくとも着手の時点からその抵抗排除することができるのだというように思います。ただ少し言葉が足りぬかと考えますが、抵抗そのものが現実に起こっている場合と、それからこれから強制執行を始めようと思っておるのに抵抗があったために強制執行が開始できない、着手できない、そういう寸前のときには、もちろん援助ということも、警察官実力行使ということもできるのだと思いますが、そういう強制執行が現実に始まっておる場合、またはこれから着手されようという直前に、抵抗がないのに実力行動そのものを発動させることはできないのじゃないか。しかし、実力行動要請するとか手配するとか、そういうことは蓋然性の相当高い場合においてはできなければ不合理だ、さように考えます。一応お答えをいたします。
  104. 吉田法晴

    吉田法晴君 大へん明快な答弁をいただいてだんだん明らかになって参りました。三月二十九日の文書をもってする要請あるいはそれは、その日に執行吏妨害排除について執行いたしませんと、こういう矛盾した話を警察側にしますとともに、私どもには執行の先頭に立ちませんということを言うたわけですが、それは別にして、二十九日の文書は、これはまあ先ほど述べられたところ、あるいは二十九日の文書とそれから正門前で氏名不詳の警察官要請したというのは、今お話の援助を求めるという点には該当するかもしれぬと思うのですが、問題は、先ほどから問題にしておるのは、三川鉱の病院前の通用門で執行に着手したという事実はないのではないか、こういうことを私ども実は問題にしておったわけです。  あらためて警察庁局長にお尋ねをいたしますが、今、院の法制局長の言う、具体的に執行に着手をしたというこの場合に抵抗があったかないか、その着手があったかなかったかということを先ほどお尋ねをしておったんですが、夜間執行であり、あるいは執行をしようというときに執行いたしますという通知が今までのところではなかったように聞いておるのですが、着手があったと考えられるのですか。具体的に着手したというならどういう行動で着手をしたか、だれに言ったのか、あるいはさっき任意履行を求める意思表示も何もなかったと、こういう話ですが、その点を重ねて御答弁願いたいと思います。
  105. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 執行吏正門のところで吉武防犯部長、長末機動隊長にそういう依頼をしたことはこちらの方にわかっておりまするが、その後執行吏がどういう行動をとったかということはわかっておりませんので、具体的に執行吏の執行はあったかどうか、あるいは文書を示したかというようなことは調べなければお答えできない、こういうふうに先ほどから申し上げておるわけであります。
  106. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど小柳委員新聞を読みあげ、それから事実を述べられて質問をされたのですが、その中にあるいは松永委員からも御指摘がございましたが、ピケを張っておる諸君に平和的説得機会を与えなかった、あるいはこれから就労をするんだ、こういう話を第二組合がし、あるいは執行吏がする前に、することなしに警察官が出たと、これだけは明らかになっておるんじゃないですか。
  107. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察官が新労の前に立ってその十何人の中を通っていったかどうかという点を今私自身も疑問にしておるので、警察官一個大隊が新労のあとに続いて門の中に入ったことははっきりいたしております。だから、その点を……。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 そういう違ったことを言っても答弁にならぬじゃないか。
  109. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 答弁にならぬといっても、こちらの方は向こうからきた通りのことを申し上げておる……。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 そんなばかなことはない。それで、警備局長のそういう報告、違った報告ではここでちんぷんかんぷんでしょう。質疑応答が並行するので、僕は何回も事実を確かめておるわけだ。私はこの新聞を読んだけれども、もう少し、法制局長も来られたからかいつまんで言うと、十八日午前三時四十分ごろ警官が先導してきたわけだ。とにかく全部で五十台、車が。これはあなたはパトカー柳川市まで迎えに行きませんでしたと言うておるけれども、その点については私があとで事実を話しますが、これは私の調査だけでは一方的になるといかぬと思って新聞を読んだのだ。事実は、六時よりも四時の就労が計画されて二時間繰り上げられたので、警官にも若干の不満があったようだ。それで、それはいい。従って、二時間繰り上げたから、パトカー柳川市まで行ってパトカーで誘導してきたことは事実です。それで大牟田市内まで来たときに、三川鉱の入口で警官隊五十台の車が一緒になっていった。そして新労の諸君あとに行って、バス三台、そして先導車の中から百数十名、百五十名の警官隊がどどっとおりていって、そして十三名のピケ隊がおった。そのピケ隊排除したのだ。これは何も新労の諸君が先に行っていざこざが起こったから排除したのではない。警官が先に行って排除した。そしてその後で投光器でさっと照らして、フライヤーで照らして、そして堂々と、これはほんとうに抵抗がなく新労の諸君就労をしておる。わずか十分か五分くらいで就労を終わっておる。紛糾のあったのはそのあとで、そこが今問題になっておって、なぜ警官隊はかく動いたのかと聞いたところが、執行吏がそこにおった。執行吏が前を、二十メートルぐらい先を見たところが、十二、三名おった。執行吏はこれは抵抗するだろうと思ったから氏名不詳の警官に口頭で私は通告したということを、翌日弁護団が聞いたときにそういう陳述をしておる。だから、そこで執行吏が先に行った、そのあと警官隊がすぐ追った。そこで警官隊が走っていってそれを排除した。そして排除して道がさっとあいておるから、バス三台から新労の諸君は、おりていってそうして就労した、これが事実です。この新聞にもそう書いてありますよ。そういうことで、あなた、今新労の諸君は先に行って、いざこざが起こったから執行吏がそれを排除したと言うけれども、そういう報告があるなら、その報告はうそですよ。そういう報告がないように、私はわざわざ福岡を帰るときに、県警本部長に正確なことを報告していって下さいよ、国会で当然問題になるでありましょう。そういううその報告でやるなら、ここでは問題にならないから、また参考人を、一つ本部長などをここに呼んできて話さなければならぬ。私どもは具体的な事実を究明して、それを将来にそういうような禍根を残さぬようにするのが私どものきょうの目的ですから、うその報告でやったって何も答弁にならないし、もしそういうことをやるなら、もっと正確にわかった八を出して下さい。
  111. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私たちは一応現地からの連絡を、こうこうでありました、こう申し上げているのであり、かつ御質問をされる方々は、また、向こうで調べておいでになったということでありますから、食い違う点について、これこれはどうだ、これこれはどうだということで、私たちも事実をはっきりさしてその点をお答えしたい、こう思いますから、きょうだけで最終的にどちらの事実が正しいというわけにいかぬと思いますから、この点どうだ、この点どうだということをお示しいただければ、私は調べます。
  112. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  113. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。
  114. 吉田法晴

    吉田法晴君 速記中止中に問題になりましたが、一般的な援助を求めることは、これは蓋然性によってもできるかもしらぬけれども、具体的に執行を始めたときに抵抗があったかどうか、こういうことは警察の援助を求めるかどうか、あるいは威力を用うるかどうかという根拠、今まで明らかになったところでは、全然抵抗はなかった、こういう話ですから、四月十八日の午前三時五十分過ぎの時点においては、抵抗がなかったということは、これは明らかになっておる。これは警察の方でも全然抵抗がなかったという報告が来ているんですから、しかもその場合に執行吏は執行いたしますという意思表示も何もあっておらない、言いかえれば、執行の着手があったかというと、それはあっておらぬというのが、今までの答弁で明らかになっておると思うのです。  そこで重ねて斎藤局長にお尋ねをいたしたいのですが、時間はこれは三時五十分前後ということで、暗い。深夜——日出前だということは、間違いなく明らかだ。そうしてその場合に、夜間執行だということになりますと、これは許可がある場合に限ると書いてもあるし、あるいは執行について文書を示さなければならぬということもあるでしょう。あるいは執行いたしますという要件も、あとの調書を見れば明らかです。ところが、任意執行を求めるという申し出も何もなかった。執行吏からピケを張っているものに、あるいは組合なら組合に話があったかどうかというと、それは全然あっておらぬ。これは今までの応答で明らかです。あるいはその現地で執行にあたってだれに読み聞かせたかということもない。そういう具体的な書面も持たずあるいは執行も告げない、あるいはその以前に認められているピケ権の正当な行使というものも許さないで、そうして警察官が五百三十六条の二項によってやつたと、こういうことになれば、その前提になる執行吏の執行は、正当な執行ではなかったじゃないか。あるいは正当な執行の態様ではなかったのではないか。    〔理事高野一夫君退席、理事吉武恵市君着席〕 あるいはそれに基づいて警察官が出動するならば、警察官の出動あるいは実力行使というものが、五百三十六条二項の実力行使としては、これは正当な根拠はなかった、法律上の根拠はなかった、こういうことは言えると思うのですが、斎藤局長の御意見を承っておきたい。
  115. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 法律の解釈の問題と違いまして、具体的な事実に対する見解を求められているわけでございますが、具体的な事実ということになりますと、やはりこれは自分でいろいろの証拠を調べた上でなら、確信を持って判断できますけれども、ここで確定的なことを申し上げるということは、私にはちょっと自信がございませんが、ただ問題は、その今問題になすっている事情のもとにおいて、執行吏の執行の着手または着手せんとする行為、そういうものがどういうことで発現されているかということできまるのじゃないかと思いますが、執行行為の着手または執行行為をしようというような執行吏行動が何もなかったのなら、この執行行為が違法かどうかという議論をする必要はないと思うのですが、そういう執行行為があったら、それが夜間だから違法かどうかということになってくると思いますが、仮定の問題として、かりに執行行為が何らかの形であったとすれば、それは午前三時ということですから、夜間における執行行為として五百三十九条の要件を備えなければならぬと思いますが、その強制執行行為が適法かどうかというよりも、執行行為があったかどうかということが、まず問題になさる点じゃないのじゃございませんでしょうか。その点につきましては、もう少しいろいろの事情を聞きませんと、ちょっと判断いたしかねます。
  116. 吉田法晴

    吉田法晴君 適法な執行行為があったかなかったかという点で、先ほど来、これはあなたがおいでになる前だけれども、午前三時五十分が夜間であるかどうかもわからぬ、こういう御答弁すらあったのです。今夜間であるという点は明らかになったと思います。それから執行があったかなかったか、夜間でありますけれども、夜間であるという点は、今明らかになったと思うのですが、これは裁判所も認められる、最高裁も認められるところだと思います。いかがでしょうか。  それから先ほど来明らかになったところでは、警察官には正門前で言った、通用門の前では言ったのではない、通用門の前ではないが、百メートル離れている、百メートル以上離れているかもしれませんが、百メートル強離れているところで警察官には言った。しかし、ピケを張っている者、あるいは組合員に対しては何ら言ったわけではない。これは明らかです。警察官にいきなり言ったのです。その警察官に言ったということが、はたして適法な執行であるかどうかということをお尋ねしたいのです。
  117. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 強制執行でございますから、執行を受ける相手方に、これから強制執行を始めるのだということが告知されるのが当然だと思いますが、それもやはり具体的の事情で、はたして、口では言わなかったにしても、何らかの行動その他の事情で、強制執行をなされるということが通常人であればだれでも了解できるような事情にあったかどうかというようなことも考えなければならぬと思いますから、口で言わなかったからすぐになかったというようにも即断できませんけれども、通常の場合は、それは私は強制執行ですから、強制執行受ける相手方に、これから執行始めるということが告知されるのが普通のあり方だと私は思います。
  118. 吉田法晴

    吉田法晴君 総務課長の答弁一つ夜間であるかどうか、それから執行について、先ほどあなたは聞いておられたのだから。
  119. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) 御所問の場合、抵抗排除の行為は、私どもの方としては、執行吏規則の五十六条の第一項の規定に従って行なったものと解しておりますけれども、これが民事訴訟法五百三十九条の強制執行に当たるかどうかという点につきましては、確定的な見解が出ておりませんで、必ずしも明らかであるとちょっと申し上げかねます。
  120. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一つ、夜間の点はどうですか、午前三時五十分が夜間であるかどうか。
  121. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) 抽象的に申し上げますと、夜間の解釈は、日没から日出までの時間ということになっております。
  122. 吉田法晴

    吉田法晴君 午前三時五十分は日出前か後か。
  123. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) 日出の時間は……。(「小学生でもわかるじゃないか「はっきりわかっているじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  124. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) 御静粛に願います。
  125. 長井澄

    最高裁判所長官代理者(長井澄君) 大牟田の日出の時間を明らかに知っておりませんから。
  126. 吉田法晴

    吉田法晴君 午前三時五十分が夜間であることは、小学校の生徒に聞いてもわかると思います。自出前であるということで、夜間だという点はお認めになったのだと思うのですが、最高裁の総務課長がはなはだ小学校の生徒以前ですから、斎藤法制局長に重ねてお尋ねをいたしますが、執行調書には、「執行ノ目的物」あるいは「其重要ナル事情ノ略記」のほか、「調書ヲ其各人ニ読聞セ又ハ閲覧セシメ其承諾ノ後署名捺印ヲ為シタルコトノ開示」ということもありますから、執行にあたっては、読み聞かせなければならぬという点は出ておるわけです。警察官に言ったことが執行であるという強弁は成り立たぬと思うのですが、その点はいかがでしょうか。  それからもう一つ、そういう意味において法が要求しておる執行というものはなかったとこれは判断せざるを得ないのではなかろうか、具体的に法の解釈として御答弁を願うのが一つ。  それからもう一つは、裁判所は認めておる、おそらく局長もお認めいただけると思うのですが、ピケの正当な権利であることは、これは認められる。それから当該の場合においても、ピケの権利は警察も認めたのですが、ピケの権利を、平和説得以上にも、以下にも権利を行使する余裕を与えなかったということは、これは先ほど来の質疑応答で明らかになっておるようですが、そうすると、抵抗があったかなかったか、こういう点から言って、あなたの、着手があったかなかったかという以前に、着手に至る条件として、要件として、抵抗があったかなかったか、こういう問題になるのですが、ピケの正当な権利を行使する余裕も与えなかったということで抵抗を受けたかどうか、こういうことは、これは抵抗を受けなかったのにかかわらず、当事者には告げないで警察の出動を要請した、こういう意味で警察の援助を求める条件としては、なかったと、こう判断をせざるを得ないのでありますが、法上の解釈を御答弁願いたい。以上お伺いしたい。
  127. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 警察官にこれから執行を始めると言ったことが、強制執行を受ける者に言ったことになるかどうかということでございますが、抽象的に、と申しますか、言葉そのものから申しましたら、警察官に言ったことは強制執行を受ける人に言ったことにならぬと思います。が、これも、それは私ここで具体的の事情を知らずに申し上げておる次第でございますから、警察官のおった場所とか、ピケを張っておった人のおった場所とか、いろいろの事情で、これまた警察官に言ったことが即強制執行を受けられた方に通じておることになる場合もあろうかと思いますが、(「場所は違うのだ」と呼ぶ者あり)そういう具体的の事情を抜きにして申しますれば、Aに言ったことはBに対して言ったことにはならぬと、こういうことに一応ならざるを得ないと思いますが、具体的な事情によって結論が変わることもあり得るということだけは、一応留保さしておいていただきたいと思います。  それから抵抗があったかなかったが、これも先ほど来何度も申しておりますように、これも具体的な事情、そのときの事情をよく判断しませんと、はたして現実抵抗があったかなかったか、確信を持って申し上げかねますが、ただ、ピケでございますから、これは平和説得の範囲を出ない程度においては、ピケの権利は認められるべきものだということについては、お説の通りだと思いますが、その具体的の場合に、ピケを張っているだけで、何らの抵抗もしていなかったのだというように言えるかどうかは、もう少し事情をよく調べまして、また、承りました上で、判断さしていただきたいと思います。
  128. 松永忠二

    松永忠二君 簡単に法制局長答弁いただきたいのは、さっきから話しておった夜間であるということ、夜間であるならば、その「許可ノ命令ハ強制執行ノ際之ヲ示ス可シ」と書いてあるのだから、示してないから執行ではなかった、執行していなかった、そういうことになると思うので、そういう解釈についてはそれは正しいと思うのですが、どうでしょう。
  129. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 夜間であるということは、先ほど来私も一応そう考えておりますが、夜間であり、夜間の執行であるということになれば、五百三十九条の要件を満たすべきものだと思います。
  130. 松永忠二

    松永忠二君 示してなければどうですか。
  131. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 違法だと思います。
  132. 小柳勇

    小柳勇君 その問題は裁判で争われるであろうし、ここでは法の解釈ではなくて、問題は警察行政のあり方が問題で、再びそういうことを起こさないようにするのが私どもの第一の大きな任務でありますから、次の質問に入りたいと思います。  これは警備局長質問いたしますが、さっきもちょっと言いましたように、当時千五百名の警察官を動員して、そして大きなところに四カ所、それからその門の前に二カ所、しかも五十台の警官の乗ってきた車などでバリケードを築いて、一切人間を三時間ばかり通行を遮断いたしました。で、急を聞いてかけつけたピケ説得隊いわゆる組合員ピケ隊は全然入れなかった。従って、警官組合員との間でもみ合いが起こってけが人が数十名出た、そのときに三名の公務執行妨害として組合員を逮捕しておる、そういうような紛糾があったので、私ども国会議員団三名、県会議員一名が直ちに現場にかけつけたら、国会議員も県会議員も通さない、そのバリケードで阻止する、それから弁護団が三名かけつけて参りました。ところが、弁護団も三名阻止する、そういう状態が約三時間続きました。こういうあらかじめ計画して交通遮断、千五百名の警官並びに五十台の車をもって交通を遮断するという、こういうことをやったんですが、どういうような法的根拠でもってこういうことをやられたか、その点について釈明を願います。
  133. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 十八日の午前四時に三川鉱の中に新労が入った専柄につきましては、先ほど来御論議があり、ただ事実関係について一致しない点がありますから、御要望といいますか、御疑問のあった点につきましては、また後刻はっきりしたいと思いますが、(吉田法晴君「疑問じゃない、違法ははっきりしている」と述ぶ)今それ以外の場所、福銀横とか三川派出所前あるいは正門前等でただいま御指摘のあったような態勢をとりましたのは、これは警職法五条による制止という考え方であります。
  134. 小柳勇

    小柳勇君 警職法五条の法文を読んで下さい、条文を。
  135. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 犯罪がまさに行なわれようとする場合において警察官はこれに警告を与えることができるということと、それをそのまま放置すれば人の生命、身体、または財産に危害が及ぶということが明らかである場合はこれを制止することができるという条文であります。
  136. 小柳勇

    小柳勇君 当時の実情は、警官隊並びに会社側、それから新労の三者一体となっていろいろ計画を立てて、そして午前四時にはすでにその目的は終わっているわけです。その目的が終わったあとでどうして今言われたように犯罪が行なわれようと認めたか、あるいは財産に危害が、損失を受けるおそれがあると判断するか、むしろそれがあったために、あと組合員警察官の間に、新労の諸君が入ってしまって何でもない、就労しているあとですよ、あと道路の上でそのようなことをやったがためにけが人が出ておる、しかも一方的に警官組合員三名を逮捕しておる、公務執行妨害として逮捕しておる、そういうことです。そういう今の警職法の五条、そういう判断をどういう根拠でやられたか。
  137. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 福銀前とかあるいは三川派出所、正門等でそういう制止行動に出ましたために、ただいま読み上げたような状態には至らなかったのでありまするけれども、新労の入りました面後において、正門等におりましたピケ隊の中から花火等を合図によりまして、そして続々とただいまおっしゃるように、第一組合員が集まってきたというような事実があるのでもわかりまするように、私たちは三月二十八日のいわゆる三川鉱事件等を想起いたしまする際は、やはり両方気が立っておりますから、そこでとめないというと、前に入った新労のあとを追っかけていって、そしてそこでああいう事件が起こり得る、また、起こることが必至である、こういうふうに現地において判断したわけであります。
  138. 小柳勇

    小柳勇君 その組合の問題は一応おいてそれじゃ国会議員団、県会議員団あるいは中に何か事件が起こっておるであろうからといって心配してかけつけた弁護団すら阻止するということはどういうことですか、どういう法的根拠ですか。
  139. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあそこで国会議員の方々やあるいは県会議員の方々、弁護団というような方々をはっきりと見分けて、そしてこの人ならあぶなくない、また、当然通すべきだというふうに個々の警察官判断してうまくやるということになれば、これは問題が起こらぬと思いますけれども、ある一定の時間内はそういう状態であるということからしてまああらゆる方々にごしんぼう願ってそして事情がはっきりするに従ってお通ししたというふうに聞いているのであります。
  140. 小柳勇

    小柳勇君 議員団はちゃんとはっきりわかるようにたすきをかけ、名前を名乗って、そして上司の方にわれわれを通すように連絡してくれと言うにかかわらず、いやきょうはだれも一切通してはならぬと命令されておりますから通しませんと、通れなかった、それで時間が相当三十分くらいわれわれ回り道しなければならなかったのだが、そういうことは今後もあるいはあるのではないかと思う、そういうようにやられようとする——今警職法五条と言われたけれども、その警職法五条の解釈の中にあなた方今言ったようなことすら含んでおるのかどうか。
  141. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 事態の緊迫の度合いの程度にもよることでありますが、きわめて緊迫しておるような場合においては私は含んでいると思います。
  142. 小柳勇

    小柳勇君 そういうような解釈をやると、もういずれの場合でもそういう解釈ができるわけです。それは三池だけではありません。ほかの方の労働争議に対してもそういう解釈を前もってやって、警職法五条をそういうように広く解釈するならば、あらゆる場面で警察権力が介入できるからそれを問題にするわけです。その事態、たとえばその当時のピケ隊としては全部合わせて二百名くらいしか正門付近にいなかった、それに千五百名の警察官と、五十台の車をバリケードにして三時間もの交通遮断をやる、常識では考えられないことです。そういうことをやる、これはもう一つその前にさかのぼりますと、四月九日の朝は新労の諸君が、これは第一組合の諸君ではなくて、新労の諸君就労する意思を持って宮浦鉱に進行しておる、その道路の上で薮百名の警官隊がこれを阻止しておった、いわゆる四千五百名の警察官を会大牟田市に結集しておるが、その警察官をその責任者の意思一つでどうでも動かせる、その法的な根拠を、法律を自由に解釈して、拡大解釈していずれにでも自由に警察の権力を動かすことができる、それは警察権力の逸脱ではないか、そういうことで労働問題というものがますます輪をかけて紛糾していく、膨大な警察権によって、膨大な警察権力をもって警察官を動員しておる、それが今われわれがまのあたりに見て心配しておるわけです。あの朝私どもかけつけて、国会議員三名で、きのうの事態に返せと言って奔走して事態を収拾したから、三時間くらいで道路は通れるようになりました、あれをわれわれが行かないでほっておいたら、一日あの紛糾は絶えなかったかもしれない。今振り返ってみると、もう就労は目的は済んだんだから、強制執行をし、目的は一応済んだんだから、四時にすぐ警察官が撤退したとするならばけが人も出なかったろうし、逮捕者も出なかったろう。そういう判断を誤っておる。その現地責任者については、警察庁としては一体どういう処置をとろうとするのか、その責任は一体どこにあるか、そのことを一つ責任を持って答弁をしてもらいたい。
  143. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察がああいう態度に出なかったならばあとは平穏になったろうということは、それは仮定でございましてわれわれの方としては、警察であれだけの手を打ったから三月二十八日のような事態にはならなかった、こういうふうに考えておるわけであります。  それから千五百名の警察官云々の話でありますけれども、これは現地にも行かれたのでおわかりのように、決して一カ所にそれだけ集まっているわけではなく、正門前とかあるいは福岡銀行横とかあるいは三川派出所の前等におったのでありまして、ほとんどやはりそれに対応して集まって来られた方々をとめるに必要な人数を配置しておったということであります。  それからその前の四月九日のお話をされましたが、これは法を勝手に解釈するのではなしに、事態をどういう事態になるであろうかということを判断するのでありまして、その判断が結果が出ないわけでございますから、当たっておったか、当たっておらなかったかということは、やはりたくさんの人で客観的に判断をしませんというと、警察官はそう思ったけれども、世間から見ればちっともあぶなくないと思うのにやったということであれば不当でありましょうし、また、世間では非常にあぶないと思っているのに警察が出動してそれを制止しなかったということであれば、これは怠慢であるということになりまするので、まあ三池の三月末以来の空気からして、新労、旧労が接触するところを大小にかかわらず犠牲が起こるという情勢判断のもとに、現在の警察行動しているというわけでございます。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 それでこれは私の一方的な見解でもいけませんから、西日本新聞の解説を参考のために読んでおきますけれども、「会社は六日間同じように正攻法の就労を宮浦鉱で試みたが、このときは危険を理由に新組合側が警官隊に押し返されている。こんどは逆に三池労組側のピケ隊が“あぶないから”と警官隊に押えこまれたが、さきの宮浦鉱での警官隊の態度はこの口を予想しての苦肉の伏線だったともとれる。いずれにしてもピケ排除の問題は双方の解釈がくい違っているだけに法廷で争われることになろう。」これは一つの権威ある新聞がそういう解説を書いているほど現地にいる者はそれがひしひしわかってくるのです。警察官がそのとき、そのとき会社側あるいは新労側と前もって相談して、そうして思うように労働争議を動かしておる。そういうふうに報道人も考えるし、われわれもとる。そのことは決して日本の生産向上あるいは国の経済再建のためにはプラスではないのではないか、警察権力の逸脱ではないか、職権乱用ではないか、そういうことを憂うるわけです。そういうふうにこの新聞が書いておるように、きょうはこうやろう、あすはこうやろう、そういうような、法を拡大解釈したり、縮小解釈したり、その責任者が一方的に自分の意思で法を解釈して自由に警察権を発動することは許せぬと思う。従って今後の問題にもこれは関連いたしまするが、もう少しこれを極端に言わしめるならば、三井三池争議というものが、会社側警察官警察責任者などがちゃんと前からプランを立ててその作戦を練って動いているんだ。あなたはいろいろ突発的な動きのように言われるけれども、そういうようにほとんど現地の者は解釈しておる。そういうことではほんとうに厳正中立な警察権力のあり方ではないのではないか。警察行政としてはわれわれはそういうような見方をしておるので、その点について一つ責任ある答弁を求めておきたいと思います。
  145. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) どういうふうに見られようとも、警察が勝手にプランを立てて、労働争議をこう持っていこう、ああ持っていこうというようなことでやっていないことはどこででも申し上げられると思う。ただ、そのときどきの法律関係がどちらに有利であるかということによって、それに従って動く警察がどちらの方に得になっておるかというようなことは、それは個々の時点においてはあり得ることだ、こう考えまするけれども、根本の考え方において、警察がこの争議をどういうふうに持っていこうなんという大それた考えは毛頭持っておりません。しかしながら、プランがあるかないかという点については、プランはございません。しかし、会社側なり新労側なりあるいは旧労側なりがとういう考えを持っておるかということは、これは両者について絶えず情報をとっております。その情報なり、その情報に従う現実の動きなりから判断して、これはきょう衝突さしては大へんなことになるということになり、かつ新労としても衝突をしてまで入るという状態でないというふうに判断すれば、新労の方を押しとどめることもございましょうし、しかし、けがをしても、どういう激突をしても入るんだという情勢であれば、法の建前のやはりそれを威力業務妨害等で阻止するという形になれば、その阻止する側を排除するというようなことになるのであります。われわれが、きょうはあれでいこう、これでいこうという考え方でなしに、組合側なり会社側なりが、きょうはこういう態度に出る、あすはこういう態度に出るということが、動きまするのに相応して警察の動きというものが変わってくる、それは当然のことであろう、かように考えております。
  146. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  147. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) 速記を始めて。  それでは午前中の質疑はこの程度といたしまして、午後一時半から再開をいたします。    午後零時四十八分休憩    —————・—————    午後一時四十七分開会
  148. 高野一夫

    理事高野一夫君) 午前に引き続き、午後の会議を再開いたします。
  149. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、通産省の鉱山保安局長にお尋ねしたいのですが、鉱山保安法の第一条には「鉱山労働者に対する危害を防止するとともに鉱害を防止し、鉱物資源の合理的開発を図ることを目的とする。」という大原則がここにうたわれておるわけです。ところが、今度の三池争議の関係ですが、その石炭を運ぶバケットというのですかね、あれで人を運んでおるということなんです。それで私らは、どうしてもよくわからぬのだが、もしも危険な状態が生じたらどういう責任を通産省はおとりになるのか。それからまた、石炭鉱山保安規則の中でこの保安規程について定めなければならぬという、どういう定めがしてあるのかどうか。ああいう場合に、今度のような人を輸送するというようなことについて、まずそこらあたりの鉱山保安局の考え方から聞きたいと思うのです。
  150. 小岩井康朔

    ○政府塾員(小岩井康朔君) 今回の三池炭鉱におきまする港沖の縦坑の人間の昇降の問題でありますが、これは保安の法規の関係から申し上げますと、石則——石炭鉱山保安規則の五十八条の一項五号、これで「人を運搬する巻揚装置」こういうことでもちろんあの縦坑が開さくの完了するまであのバケットに人を乗せてよろしいという認可をいたしておるわけであります。従いまして、あのバケットに人間を、ただ定員は十三名になっておりますが、十三名以内の人間を昇降させることは認可をいたしております。ただ問題として、特にまあ先生方に非常におわかりにくいのじゃないかと思われます点は、あの目的はもちろん、説明するまでもなく、縦坑を開さくするまあ関係の人員の昇降という意味でもちろん認可をいたしておるわけであります。従って、その目的外の人間を多数に昇降させるということについては、もちろん私どもも好ましい状態だとは考えておりません。現地の監督部長もかように考えておるようであります。しかしながら、現在昇降さしておりますような事態は、もう事前にちょっと予想できないような問題でありまして、もちろん現在の場合もピケが何とかあの入り口が入れて正規の入昇降のできるりっぱな坑道があるわけですから、その坑道の使用が当然できるはずなんでありますから、普通の場合には、ですから普通の状態のときにあそこを使って人間を昇降させるなんてことは全然私どもも考えておりませんし、会社ももちろん考えてなかったと思うのであります。従って、昇降の、人間を乗せてよろしいという許可は出しておりまするけれども、もちろんその許可の対象となるものは縦坑掘さくに関係のある人間の昇降を認めておるわけであります。そこで関係のない人間を乗せておるのはいかぬではないかという御質問があれば、もちろん好ましい状態でないことは確かでありまするが、これはもう普通の状態の作業のときを対象に認可をいたしておるのでありまして、一応規則の上では十三名以内の人間であれば、適当なきめられた管理をいたしておれば、人間の昇降差しつかえなしという見方をいたしておるわけであります。
  151. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、あのバケットは縦坑の掘さくを目的として十三人まで乗せる、その安全設備はあのバケットにしてあるということですか。
  152. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) もちろん縦坑の開さくの完了するまでは十三名以内の人数に限って、しかも管理も十分に所定の管理をいたす範囲内においては差しつかえないという考え方をいたしております。
  153. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、その以外の人が乗っているということは、あなたの方の認可に違反しているのじゃないですか。違反しているということは、違反行為はあなた方は法を守る立場から行政上とめるというのが建前じゃないんですか。
  154. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) その点はちょっと御説明しませんとわかりにくいと思いますが、所定のこまかい内容が記載されておるわけであります。その中で内容が変わった場合には認可を必要とするようになっておるわけであります。従って、最初に認可を受けたいろいろの内容が変わりました場合には、監督部長の再認可を受けなければならぬわけです。その場合に人間を昇降させるという項目につきましては、認可事項の中に入ってないのであります。これは先ほど私がちょっと触れましたように、常態の作業を対象にでき上がっておりますので、もちろんその普通の人間の昇降というものについてはりっぱな昇降口が別にできておるわけであります。もちろんそういうところを使うつもりは毛頭ないわけでありますが、縦坑の開さくの完了するまでの暫定でやむを得ずバケットというものを使っておるのでありまして、従ってバケットに乗る場合は、もう普通なら関係者以外はないはずなんであります。そこで、その内容が変わったときに変更の要らないようになっておるわけであります。ほかの項目についてはもちろん重要な項目でありますから、内容が変わった場合には監督部長に認可を受けなければならぬというふうにうたってありますが、この人を昇降させるという点については当然でありまして、初めから変わるはずもありませんし、予定がされてない、また、予定する必要がないという見方から認可事項の対象になっておらないのであります。そこで、まあ私どももごく普通の状態の作業でしたらそういうことは当然考えられませんが、たまたま三池の場合、正規の坑口からの出入りができないということでああいうところを使い始めたという点について、私どもも決して好ましい姿だとは思っておりませんけれども、そうかといって違法性が出ておるというふうにはなかなか見られない、従って、現地の部長にも私自身みずから、新聞に最初出ましたときに私もちょっと心配になりまして、実はあのバケットに乗せている点については現地でどういうふうに考えておるか、また、どういうふうな手続になっておるかという点について、もう当初すぐさま私確かめましたのですが、そういうような関係で認可も正式にできておるし、性能検査も所定の期間にきちっとやっておりますし、認可の現在の期間におきましても、まあ期間は認可そのものには定めてありませんけれども、性能検査の関係から見ましても今年の六月まではよろしいということにもなっておりますし、ただ気にかかる点は、もう目的外の人間を乗せているという一点でありますが、法文上どうしてもこれが違法だというふうに断定することは非常に困難だということは、現地も私どもも同じように考えておるわけでございます、その点一つ御了承を得たいと思っております。
  155. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたは認可をしてないというんだね。縦坑の掘さくを目的として入る労働者とか作業員を十三人を限度としてその縦坑を掘さくする人以外には認可をしていないというのに法の違法性がないというのはどういうことですか。認可してない人が乗っているというのに、それに違法性がないというのはどういうことですか。
  156. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 認可をしておりますのは人を昇降することを認めておるわけなのであります。その人間は縦坑に関係した作業の人員ということに一応目的が限ってあるわけであります。だれそれを乗せるということがきめてあるわけではありません。人間を十三人以内ならその縦坑を昇降さしてよろしいという認可はしてある、こういうわけであります。
  157. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは縦坑を掘さくするという目的でそのバケットを使って人間もおろなければ作業にならぬからして認可をしておるということでしょう、そうでしょう、そうですね。そういうことになると、今争議が起きていることは御存じだと思うのです。縦坑掘さくという目的でない人がここを昇降している、そうでしょう、そうしたらあなた方が法に照らして認可したことと違っている、違った現象が続けられるというなら、これをあなた方は法の建前からとめるということはあたりまえじゃないですか。何で違法性かないというのです、それを聞かしてほしい。
  158. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) それは先はど御説明いたしたのですが、その認可の内容がたくさんあるわけであります。そういういろいろの項目を総括して認可をいたしておるわけであります。従って、認可後、その項目の内容か変化した場合に今のような一つの例なんでありますが、変わった場合にはまた認可をもう一度受けなければならぬということになっているわけであります。それは最初の項目の全部ではなくてそのうちの一部が変わったときに再認可を必要とするということになっておるわけであります。そのときに人を昇降すると、人を乗せて上げおろしするという点は除かれておるわけであります。これは先ほど私が説明いたしましたように、当然縦坑を開さくする上においては所定の必要とする人間をバケットに乗せなければ正規のケージはつけられませんから、その間は差しつかえない。当然変える必要が普通なら出てこないのであります。また、逆に見ましてその項目の変更を会社がやってきた場合にも一応法律の上ではどうにでもなるということになるのですが、それは逆の場合には私どもの方で、現在の事態ではもう少し考慮の余地がありはせぬかということは、考えられないかもしれませんが、今あるものを私の方でいかぬとかどうということはなかなか簡単にはできないのであります。少なくとも法的には違法性が出てこない、こういうふうな見方をいたしているのであります。
  159. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたの話を聞いているとだんだんおかしくなってくるのです。正常なその目的以外に目的を持った人をこれには運んではいかぬという認可をしているという、しかし人間を、一つの目的を持った人間を乗せるという、人間を乗せることは認可されているから違法性がないのだ、そんな理屈はどこにいったってありませんよ、どこにいったって。だから、どういう認可書が出たのか出して下さい。
  160. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) それは監督部長が認可をいたしておりますので、東京には書類は一切ございません。ございませんけれども、内容はつぶさに聞いておりまして、先生のおわかりにくい点は、乗せてはいかぬというようなことは決して書いてあるのじゃなくて、人を昇降する巻揚装置として認可がいたしてあるのであります。従って、その目的には人を昇降させ縦坑を開さくする間の関係の人員、そういうような内容のことが記載されてあるわけであります。そこで法律上から見ますと、その乗せる人間はだれそれということは決してきめてありませんから、一応法律の上では所定の人員のものが昇降することはよろしいということがうたってあるわけであります。
  161. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはおかしいじゃないか。あなたの話を聞いているとだんだんおかしくなるじゃないか。縦坑を掘さくするための作業員を特別にこのバケットで運んでよろしいという認可をしたというのでしょう、そうでしょう。その認可だけしかしていないのに、人間を乗せてよろしいという認可をしてあるからだれが乗っても法の違法性がないというそんな理屈はどこにある。鉱山保安法は私が一番最初に第一条に明確にしたように、労働者の災害を防止するためにできているのです。その建前からいって、認可するときには目的を明らかにしてそれに基づいてこれはこう、これはこうという工合に認可しているのでしょう。その目的と離れたものを、離れた行為が行なわれているのに法の違法性がないというのはどこから出てくるのか、そういう解釈は。そんな解釈があるものか。
  162. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) どうも私の説明が十分ではないのかもわかりませんが、保安規則、保安法は常態の操業を対象にしてでき上がっているわけでありますが、従って、普通ならば、縦坑を開さくする場合をお考えいただくとすぐわかるのでありますが、これはもう山の方でどうしてもバケットに乗せないと開さくができないわけであります。従って、縦坑が完成するまではバケットに人を乗せてよろしい、こういう認可をしているわけなのであります。そしてまあその中の一連の使用の目的というものがお飾りのようについておるわけなんでありますが、まあ開始の年月日だとか、完了の年月日だとか、使用の目的だとか、そういう項目がたくさんございますが、その使用の目的には縦坑掘さくに関する作業人員、そういうふうにうたってあるわけであります。そこで、その内容を勝手に変えられては困りますので、内容がもし変わった場合には大事な項目については再認可を受けるようになっておるわけなんであります。ところが、その場合には人を乗せおろしするという点については、もう普通の状態なら、まあほかの人を乗せるわけがないのであります。ちゃんとりっぱな出入品が別にできておるのでありますから、そういうものは普通ならば絶対にない問題でありますから、従って、変更がないという建前でその認可の対象の項目に入ってないのであります。その点をちょっとお考えいただきませんと、少し理解がしにくいのではないかという気がするのであります。
  163. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連して。今の局長答弁を聞いていると、採炭という、実績を上げるためには保安はどうでもいいというふうな極端な見解をお持ちになっておられるのではないかと疑われる節もある。私はあらためてお伺いしたいのですが、現在のこの三池炭鉱の保安状況について報告を受けておられますか。
  164. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 三池の保安状況につきましては、実は私もう騒擾の起こりました当初にすぐに現地の部長に連絡をしまして、こういう事態であるから坑内の状況もぜひ監督をしておく必要がある、こういうことを申しましたが、監督部長もさっそく監督官を六名ばかり派遣したのであります。これはたしか最初の二十八日だと思いましたが、三月の二十八日に六名現地に派遣しましたが、いかんせん二十八日という日は非常に坑外でもひどくて、もうとうてい抗内に監督官を入れるということができないという報告を受けたのであります。そこで、私は三十日の日に一度現地の監督部長が現場へ乗り込みなさいというので、現地の部長を現場に乗り込ましたわけであります。ところが、現場の空気は、もうとうてい組合の了承も得られずどうにもならぬ、全然入るわけにいかぬ、自分判断としてはこういう中に監督官に入れと自分が命令することは、もう自分としてはできないという連絡をもらったわけでありまして、まあ私もいろいろ、新聞の事情その他で簡単にはもちろん入れるはずがないという気持でしばらく状況を見ておったのであります。ところが、いろいろ問題が起こりまして、どうしてもやはり坑内の状況を見る必要ありというので、たしか私の記憶では六日だと思いましたが、六日にどんな排除があってもその現実の姿が出るまで一つ当たってみろということで監督部長が監督官を坑内に入坑を強行させることを実は指令したわけなんであります。そこでやってみましたところが、まあ警察関係ではこういう時期にわざわざ入らぬでもいいじゃないか、あまり問題を起こすことはむしろ望ましくないというようなお話もあったようであります。従って、警察の関係はついに一緒についてもらえることはできなかったという報告をもらっております。それから第一組合の方にもぜひ一つ了解を願いたいというので、記章もつけ、マークもつけてやりまして、ようやく七日と八日と、この二日間各坑に二人ずつ監督官の入坑ができたのであります。しかし、非常に監督官自身も冷静を失なっておりましたし、なかなか十分な実情調査は困難だったろうと思うのでありまするけれども、坑内の、ただいま御質問の、一般の状況としましては、非常に坑内の保安は、御承知のように、三池は非常に条件のいい山なんであります。それで監督官の巡回しました程度の、ごく一般的な監督では、坑内の支保の関係も、それからガスの関係も、それから自然発火を一部やっておりますが、そういったところの密閉の問題も大体よくできている。一般のところは非常によくできているのであります。ただ、作業を開始しました払の一部にちょっと炭壁の崩壊しそうな個所があったのと、それから自然発火を起こして密閉をいたしておる個所があるのでありますが、これが少し強化を必要とする、その理由は、温度が多少上がっておったようであります、非常に緩慢な酸化が継続されておるという認定のもとに密閉の強化の必要がある、まあほとんど問題となるような点はこういった点のみでありまして、その他の保安の点についてはむしろ良好であったという連絡を受けておるわけであります。
  165. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたは何回聞いても、僕はよくわからぬのだが、目的以外のものが使用している。今日三池はどういう状態にあるかということは御存じだと思うのです。争議をして、争議の行為の目的というものは片一方はロック・アウトするし、片一方はやはり作業を停止するという目的で争議が行なわれておる。それをそういうあいまいなあなたの方の解釈で、そこから、結局今の争議をやっておるところからいえばスト破り行為があいまいな法の解釈によって、目的以外のところに使用しているのに不当性がないという格好で、そしてどんどん人を輸送する。そういう感覚なんですか。私は疑いたい。労働争議というものは、法律で認められた労働者の権利として、そしていかにしてその作業を停止するかということで争議行為が行なわれておる。それをそのバケットを自由に、他の目的の、スト破り行為を目的とした労働者が自由にそこから出入りしておる。目的以外に使っているのに、不当性がないのだということで、これを使用さしていること自体に問題がある。あなたはそう感じられませんか。労働争議の本質というのをどういう工合に解釈しているのですか。極端な災害が下に起きたから緊急に人を輸送しなければならぬという問題とか、そういう場合の問題はともかくとして、争議行為が行なわれておる。その争議を破る行為をそのバケットの使用によってやっておる。その認可はどうかというと、掘さくに必要があるということで認可をしておると言う。おかしいじゃないか。人間は物じゃないですよ。状態なんですよ。争議という状態が起きておる。その全体の問題を見きわめずに、そういう解釈が通産省の鉱山保安局でとられる。一つは安全です。労働者の災害を防ぐためという大目的のためにワクをきめて許可をして、それだけのものを安全に輸送するという目的で許可しておる。それを常時、それで、片一方の山全体に起きておる争議行為のスト破り行為としてこれを使用さして、目的と違った過剰な人間をここでやっておるじゃないか。それを法の不当性がないの何のと言うよりか、まずあなた方が行ってそういう目的と違うからここを使用するのはやめなさい。正式によい坑道があるから、そこから問題が解決したら入れるのだ、これを使用しては困りますと言うのが建前じゃないか。そういうことなのに、あなたはスト破りを助けているのですか。鉱山保安局はそういう任務ですか。
  166. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) これは現地の監督部長もよく通産局長と協議いたしまして、一応現地の話し合いとしましては違法性が認められない。しかし、好ましい状態ではないということを見ておるようでありまして、いろいろ検討はいたしておるようでありますが、まあ中央の私どもとしましては、現地の意向をできるだけくむと同時に、私ども自身も違法性という点については違法性がない。これはどうしてもなかなか簡単には出てこない。しかし、私もでき得る限りこの点につきましては、法の解釈、その他実態とよく調整をとりまして、法制局、その他にも法の解釈につきましては十分検討を重ねたいとは思っておりますが、現在私どもの手元で判定いたしております範囲内では、かなり明らかに法の不備と申しますか、不備というよりも、常態ではそういうことがない関係で、一応法の建前としてはそういうことがあまり強く考えられていないという点はございますが、もちろんこの点は先ほど私が申し上げましたように、普通の状態の作業に対していろいろな条文ができておりますので、そういう点では違法性が考えられないということに一応なっておりますが、もちろん私当初に申し上げましたように、好ましい状態でございませんので、それらの点の実態との調整をとった考え方につきましては、今後至急に一つ対処を検討してみたい、かように考えております。
  167. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ私は言っておきたい。正常な状態だから目的を、これだけを目的にして、この人間の輸送を、安全度を十三人にはかってそうして使わそうというんでしょう。正常な状態というのがとまっているのがストライキですよ。そのストライキを、これを使用してスト破り行為をあなた方がやらしておって、それでいてこれが法の解釈上云々というのは、法の不当性がない云々というようなことでこれを使用さしているというのは、あなた方は、対等の立場で労使の関係があって争議が起きているのに、一方の方を味方するんですか。正常な状態のときにおいては、こういうものは他の目的に使用しないということで掘さくの目的でしている、その正常な状態がとまっている、その一方の側のスト破り的な行為にこれを使わして——これを使用するなんということは、そんな労働問題に対する感覚というものは、私は非常に疑いますね。通産省は、労働問題というものがどういう問題であるかということをもっと認識してもらわなければ困るじゃないですか。これをどっから見てもそうじゃないですか、目的がこうで許可しているんで、他の目的では認可しないんだと言うけれども、人間を輸送するということになっているから、これは法の不当性がないなんというへ理屈で一方に加担する、争議が行なわれているのに、一方に加担する行為をやって、解釈上云々というような、そういうことで私は絶対にやってはいかぬと思うんです。そんなことなら争議をしている労働者はどこで保護されるんですか。あなた憲法から始まって労働関係法を一つ一ぺん見て下さいよ。労働者がどういう工合にして保護をされて、労働者の権利というもの、そうしてこの状態——問題は争議が解決したら正常に戻るんですから、これは一番いいことなんですが、これが解決しないから争議が起きているんですよ、それにはスト破り的行為をやって、それが法の不当性がないとか、解釈が云々という、そんなことではいかぬと思うんですよ。日本の産業は単に資本や設備だけではできませんよ、労働力が加わって生産に転化するんです、これは私が言うまでもないことだ。その労働者の労働力、労働者の地位、労働者の権利というものを、こういう格好で保安局はくずしていいんですか、私はそれを言いたいんです。
  168. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連して。今藤田委員も言われた通り争議中に会社側に加担するためには保安規則を曲げてもよろしい、私はそういう問題になるだろうと思う。今局長は、五十八条の認可事項として縦坑における巻揚装置の問題を取り上げておられたが、現在これはこの縦坑では人員十三名の制限を受けて常時人間を運搬しているんではないですか。もし常時人間を運搬しているとするならば音然、二百六十三条の人を運搬する施設以外の施設によって人を運搬する場合の規定が当てはまらなくちゃいかぬと思う。そうすればこれは単なる認可事項ではなくて、鉱山保安監督部長の正確な許可を受けているということが必要だと思う。臨時的な場合ならともかくも、おそらくこれは常時人を運搬していると思われる。そうすれば、当然鉱山保安監督部長の許可を受けていなくちゃいかぬと思う。許可を受けておりますか。
  169. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) この五十八条と二百六十三条の関係は、私どもの解釈では、また、実際にもそうやっておるんでありますが、初めから人を乗せることができるという認定のもとに認可するのは五十八条で扱っておるわけです。それから二百六十三条はベルトの上に乗せるとか、あるいは炭単に人を乗せるとかいう場合であります。本来は乗せないことに考えておったものに、いろいろ事情がありまして、乗せる場合、これは二百六十三条で扱うという方向をとっておるわけでありまして、従って三池の場合は、私は五十八条で私どもの方針もそれでやってきておりますし、当然五十八条の認可でよろしいというふうに考えておるわけであります。
  170. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、しかし、今のような場合に、これは常時運搬しているという事実は間違いないんでしょう。大体毎日、この間入構して以来、どういうふうにこの五十八条による巻揚装置が輸送しているか、これは保安日誌に当然出されていると思う。その説明をしていただきたい。
  171. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) この点は、先ほどもちょっと触れましたように、現在でも監督官が自由に入れないのであります。つい最近も、二十三日に監督官の入坑を話し合いしてみたのでありますけれども、はねられて、入ることができないのでありまして、なかなかこまかい事情というものは実際のところは聞けないような状態にありまして、まあかなり私どもの方としましては、監督官の入坑については、先ほども何回も触れましたように、かなり強行をいたしておるのでありますけれども、簡単に入れないというような実情にあるのであります。
  172. 坂本昭

    ○坂本昭君 だから私は一番最初に、三池炭鉱の保安状態は十分に守られているかということの報告を求めたわけです。そして保安規則というものが確実に守られていることを通産省としては確認しているかどうか、それを通産省として確認しないで、危険の中で労働をさせることを認めたというのはおかしいじゃないですか。そういう危険な状態があり得るならば、当然会社に命じてそういう操業を停止させなくちやいかぬ、禁止させなくちゃいかぬ。まことにそれは監督官として私は怠慢であるだけじゃなく、通産省として非常にこれは誤った考えじゃないかと思う。当然そういう危険が予想されているところに操業をすることを放置さしておくということは、これはこの石則の基本原理に反することじゃありませんか。
  173. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私の申し上げているのは、坑内が危険状態にあるというんじゃなくて、監督官が入れないということを申し上げておるのでありまして、もちろんそういうような関係にありましたけれども、四月の七日と八日は監督部長に、まあ最後の事態の起こるまでやれということで、これは先ほどもちょっと触れましたように、警察側の方からは一緒行動はできませんでしたけれども、第一組合と話し合いをつけまして、監督官が二名ずつ各坑に七、八と二日間下がりまして、そのときの坑内の状況としましてはかなり、保安全般的の表現としましては非常によく整備されておる、ただ、その自然発火の点と炭壁崩壊の点を指示をしただけで、あとは保安状況良好であるという連絡を受けておりまして、その後毎日々々の日ごとの状況が把握できないという点を先ほどちょっと触れたのであります。
  174. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、人をとにかく運搬している場合には、保安規程で、たとえ認可されたバケットであろうとも、たとえば運転速度についての規制、こういったものは当然行なわれるはずであります。それはどういうふうに規定されておりますか。それから保安日誌というものも、これは二百四十一条によって当然記載されなくちゃならない、これはどういうふうに記載されているか、お伺いいたしたい。
  175. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 保安日誌の点、保安規程の点、いずれも資料を現地で持っておりまして、東京にはこういうこまかい点はもう全然きておりませんので、さっそく現地連絡をとりまして詳細な調査をいたしてみたい、かように考えております。
  176. 松永忠二

    松永忠二君 関連……。警察庁の方はいるんですか……。警察庁の方にお聞きをするのですが、今大体のところを聞いておられたと思うのですが、保安局長の方からは、監督が実際できない、中に入れないので、どういう状況で人の運搬が行なわれているのか把握ができないというお話であった。こういう問題については、警察庁としてはどういう状況で行なわれておるのか把握をされておると思うのです。なお、保安局長の方からは、現実に鉱山保安の面から当然監督しなければいけないことが行なわれないのに、警察に対して協力を求めてそういうことを実施されないのか、そういうことを実際に協力方を求めて行なおうとしたことがあるのかないのか、その点両方から御答弁を願います。
  177. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私先ほどから聞いておりますと、協力を求められたように今は聞いたわけであります。ただ、現地警察からは、こういう事実があったという報告を受けておりませんから何とも申し上げかねますが、保安局の方からお話があればあるいはそういう事実があったかと思います。
  178. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いておるのはそういうことではありません。一つは、協力を求められたかどうかという点は今お話があった。どういう状況でそれが運搬をされているのか、そういう点について明確な把握をされているのかどうか、そういうことを聞いておるわけです。
  179. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 坑内あるいはそれに関しまするいろいろな施設というような専門的な事柄について、それが保安上うまくいっているかどうかということについては私の方では存じていない。
  180. 松永忠二

    松永忠二君 私の申し上げているのはそんなように専門的なことではありません。鉱山の内部の保安の問題ではないのです。現実に毎日それを使って上降している、こういう状態について、あなたの方はそういうことを明確に御承知なのかどうかということを聞いているのです。
  181. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 鉱山保安局の方、通産省の方ですか、が行かれて組合のピケに妨げられて入れなかったというような話でございますけれども、それはきょう私初耳でございますから、そういうことが何べんも行なわれたかどうかということは存じませんということを申し上げているのです。
  182. 松永忠二

    松永忠二君 私はそういうことを聞いているのじゃないのです。人を乗せるということについては認可の対象となるわけですが、それを常時の人の運搬に使っているかどうかということをあなたの方では承知されているかどうかを聞いているのです。
  183. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 常時といいますか、それがたびたび使われておるということは知っております。
  184. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は保安局長に申し上げたいのだが、この二百四十条の規定において、「細目を保安規程に定めなければならない」ということで項目があがっている。「一人を運搬する巻揚装置の管理に関すること」、この内容についてさっき言われたのだと思うのです。これの許可の範囲は、掘さくに必要な人間輸送、それも十三人ということで制限して許可している。現実労働争議が起きて片方の味方をする、スト破り行為でこの目的以外のところに使っている。私たちはどうしても納得できません。この規程ですね、どういう状態でこれが動いているかという日誌を出してもらわない限りはこの問題は私は非常にむずかしい問題だと思う。これが明らかにならないで、あなた方は今のようなスト破り行為を続けるということは私は承知相ならぬと思う。これを出して下さい。出せないなら、通産省で今の目的以外のところに使っている輸送はとめてもらいたい。当然じゃないですか。あなた方の説明から言ったって、保安法から言ったって当然じゃないですか。当然のことをやらないというのはけしからぬじゃないですか。目的以外のところに使っているというのは直ちにやめさせるというのが当然の行為だ。保安法から言っても、保安規則から言っても当然のことをやらないで、理屈をつけて解釈云々ということでこれをスト破り行為に使っているなんということはけしからぬことだと思う。どうですか、これとめますか。
  185. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) お言葉を返しまして大へん申しわけないような感じがいたすのでありますけれども、実はこの点につきましては、現地の部長も現地関係者から問われているのでありまして、そのときの返答にも法規違反としてはどうしても成り立たぬという点については了解してもらっている。ただし、規則違反にはならないけれども、好ましい姿でないから行政上何らかの方法をとれという点については現地において強く言われているという報告を私ども受けているのでありまして、その解釈自体については、決して私どもだけが曲った考え方をしているわけではありませんで、現地の問いに来られた関係者の方々も一応解釈上の点は了解されたというふうに報告を受けているのであります。ただし、了解はされましたけれども、今申しましたように、好ましい姿でないから、その点については行政的な方法を何かぜひとれ、こういう点については強く追及を受けているという相談は受けております。従いまして、私どもの方といたしましても、先ほどちょっと触れましたように、先生の御意向もあり、そのスト全般の態勢からどういうふうにこれを処置するかという点については、単に政府だけの問題ではございませんので、この点につきましては、一つ総合的な判断をもうしばらく猶予いただきまして、検討の猶予を与えていただきたい、かように考えます。
  186. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう少しの猶予と言ったって、今行なわれている問題は、あなた、二百四十条の細目の保安規程を見せてくれと言ったって、見せないでしょう、現実に。現実ないという状態で、あなた方は現地で云々と言われますけれども、あなたがそのバケットの使用の目的というものを明らかにして、こういう目的で使用している、そうしてそれ以外のものには使わないということで認可をしているとはっきりおっしゃっている。おっしゃっておって、そこには正常な状態だから云々ということで、それでは二百四十条の規程を出して下さいと言ったら、それは現地だからありませんと、そういうあいまいなことで、現地から頼みにきたときに、法の不当性がない云々というお話しなんですが、いつまでに処置されますか、それを聞いておきましょう。
  187. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 認可の書類と保安規程の内容でございますが、それはもちろん、先ほど触れましたように、本省では一々そういうのをとりませんし、現地で保管しております関係上、四、五日御猶予いただければ書類の関係は現地から取り寄せることができると思います。ただいまの検討の結果が何日くらいかかるかというお話しでしたら、これはでき得る限り早急に一つ考えをまとめたいというつもりでおります。
  188. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは今のような状態を、目的と違う行為をやっているのですから、私どもはすぐやめるべきだと思うのです。そういう角度から、それではその結論は幾日ほどしたら出しますか。
  189. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) それは相談ですから何日ときめることは非常に困難だと思いますが、決して長い期間かからない——一両日か、長くても三日くらいで方向だけはきめたいというふうに考えております。
  190. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連。局長、去年からずいぶん炭鉱にはいろいろな事件が起こっていることは、当委員会でも北海道まで調査にも行ってそうしてその間、私たちが指摘してきたことは、どうも行政上の指導が不十分じゃないかということなんですよ。  それから、今お話を聞くと、保安上危険なことを——法律上には違法じゃない、しかし危険だということは局長も認めておられる、だから、これを行政上に何らかの指導処置をしていきたい。従来までそういう危険なことの行政上の指導がまずかったがために事故が起こっておる。それがはっきりとわかっておりながら、それを何とか処置したいといってじんぜん日を延ばすということは、これは私は通産省の局長として、特に保安の任にある局長としては私はまことに怠慢だと思う。だからはっきりと明確な線を出して、危険なことならば直ちに取りやめる、そういう決定を日を限ってきめてもらいたい、そういうことなんです。
  191. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) だいぶ曲解をされているようでありまして、今、多人数人間を昇降させておるということは決して私どもは危険だとは思っておりません。ただ、目的に反しているという点が好ましくない状態だ、こういう意味でありまして、これは一つぜひお間違いがないように願いたいのであります。それは管理も非常に厳粛にやっておりますし——これは監督官の報告でございますが、管理も厳重にやっているし、人数も所定以内の人数を上げ下げしているし、ロープもあぶないところはごく最近かえたようであります。それで別に人間を昇降させておる内容については危険なことはない。ただ、目的外——縦坑掘さくに関する作業人員、こういう意味の目的がうたわれておるのに、その目的外の人間を乗せているという点が好ましくない、こういうことを申しておるのでありまして、人間を昇降させておるその内容ではあぶない点はないのであります。その点一つお間違いないように願いたいと思います。
  192. 坂本昭

    ○坂本昭君 しかし、今、監督官は四月の七日と八日に入っただけで十分見てない、こう言ったじゃないですか。そうしておいてあなたは今責任を持つとおっしゃった。もし事故が起こったときに、あなた責任をとりますか。
  193. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) その点返すようで大へん恐縮なんですが、私どもも一般の炭鉱でも一番あぶないとされている炭鉱が月に一回ぐらいしか回っていないのであります。従いまして三池の場合は何回も、七日、八日と二日続けて二人ずつ六人監督官を派遣して回っておりますし、三池の坑内が非常に日本で有数の坑内条件のいい所でありますし、ごく最近の七日、八日の巡回の結果、非常に坑内の保安が良好であるという点から見てそう大きい坑内状況の変化というものは私はまずないと、その点においてはかなりな確信を持っております。
  194. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連ですから簡単にお尋ねしますけれども、鉱山保安の第一は人命保護にあることは私が申すまでもありません。従って、保安局長としては鉱山に関連をして人命保護に万全を期するというのがあなたの任務だ、と思う。人車にしても、その人事が安全であるかどうかを絶えず監督をしながら鉱山保安の維持に当たるのがあなたの任務である。縦坑のバケットで人間を運搬をするというのは非常に限られた人数、それを認可の方針あるいは使用の目的に反して大ぜいの人数をそこから出入りさせることはいいかどうか。これは先ほど答弁があったことだけれども、好ましくないことははっきりわかっている。そういう事態を続けさせることはあなたの観点からしていいか悪いか、好ましくないということであれば、行政指導なり何なりでとにかく一つ警告をしてやめさせるというのがあなたの任務でなければならない。それを書を左右にして、危険でないから云々ということで放置しておく。こういう態度は、これは通産省にあって通産大臣のとにかく指示でも受けたのですか。人命を守ろうというあなたの職責からするならば、好ましくない、あるいは危険を伴うと、こういうことならば、直ちに行政指導をして、福岡の保安部をして今の縦坑のバケットで、不十分な施設で人間を上げ下げさせることは、いかなる事態を起こすかもわからぬから直ちにやめてもらいたいと、こういうことを鉱山保安部を通じて明示あるいは確保されることがあなたの当然の任務じやありませんか。それについて、あなたはそういうことじゃないと言って言を左右されるのですか。
  195. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私の立場として、今申されました点について決して言を左右にするとか、おろそかにするという気持はございません。もちろんこの内容につきまして大臣から指示があったとか、そういう点ございません。私どもは法的に全般を見まして、法律の構成上からも重要な項目であるというふうには見ておりませんし、現地考え方も、通産局長も、監督部長も、いずれも法的には違法でないという見方をしておるし、私どもも検討の結果は法違反の点はないわけでありますし、一応は法の不備という点が言われるかもわかりませんが、それは先ほど申し上げましたように、常態の作業を対象に法が構成されておるという面から、そういう今問題になっておるような点は普通には考えられない事態でありまして、まあかような面から総括的に見まして好ましくないという姿は現地でも見ておるようですし、私どももそういうふうに感じておりますので、ただまあ全般のいき方としては、私どもが一つ一つ好ましくない状態に対して一々入り込みますと、まあ不当介入、その他のいろいろのまたこまかい問題も出て参ります場合が多いものですから、まあそういうふうな点につきましては、私どもばかりの保安関係だけの判断でなしに、広く、少し範囲を広めまして幹部にもなおよく実情を相談し、至急に一両日の間に何がしかの結論を出してみたいと、かように考えております。
  196. 吉田法晴

    吉田法晴君 重ねてですが、法の精神は、これは鉱山保安法のあれは人命尊重、人命についての安全確保が第一のことだ、これは私から言うまでもないことだと思います。それが違うというのですか。しかも坑内の出入りについては万全のとにかく規定がしてある。その中で問題の縦坑のゲージや、その掘さくに必要な最小限度の人間を上下させると、これだけの任務が与えてある。それを越して大量の人間を、あるいは平生使う用途を越えて多数の人間を、このゲージ、しかもバケットの骨は鉄製になっているかもしれませんが、一部は私は竹の製品なり何なり十分の施設は講じてない。普通の縦坑での人車のゲージとは違う。この点は明らかだと思うのですが、そこで大ぜいの人間を出入りさせることが危険だということはあなたはお考えになりませんか。好ましくないというのは危険だということだ。危険性があるということです。もし万一このまま放置しておいて事故が起こったらどうしますか。あなたの責任ですよ。それをとにかく鉱山保安法の精神の範囲から逸脱して全体の云々というのは、通産大臣から話があったが云々というのだけれども、争議になって会社側を応援するために、それじゃ危険のない限りにおいてそこから出入りをすることは好ましいこと、こういう工合に結論をされるのですか。そうでなければ、好ましくないと考えるならば、法の精神からはこれは逸脱する部分もやはりあると考えられるならば直ちにやめさせるのが当然じゃありませんか。研究をして、とめることについて余裕をいただきたいというのなら何日かの余裕も与えましょう。しかし、法の精神から見て好ましくない、あるいはやめさせるべきだという結論なり、御意見であるならば、この何日のうちにはやめさせられる、こういう質問に対しては、それでは何日の後にはその危険を繰り返すことはやめさせる、こういう明確な答弁があってしかるべきだと思いますが、重ねて御答弁を願います。
  197. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 御質問の趣旨はよくわかりましたが、何回も触れますように、現地の監督部長もまだその点踏み切れないようでございますし、まあかなり行政措置内容については苦慮いたしておるようであります。従って、私どももあまり日にちをかけずに、現地ともよく相談いたしまして、一両日のうちにできるだけ早く行政措置としての方向が、どんな方向がとれるかという点につきまして至急に検討を済ましたいと、かように考えております。
  198. 吉田法晴

    吉田法晴君 重ねて簡単に聞きますけれども、それは危険をなくするために、やめさせるために二、三日の余裕を与えてもらいたい、現地とすみやかに相談をして危険を防ぐために、その繰り返しをやめさせるために措置すると、こういうことですか。
  199. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) まああまりそうはっきり言われますと非常にむずかしくなるのでありますが、目的外に使っておるという事実に対しまして、この事態に行政的にどういう方法をとったらいいか、とるのが至当かという点について至急検討いたしたい、あるいは検討の結果どういうようになるかわかりませんし、あるいはまた、どういう方向になりますか、これもちょっと事前にはっきり申し上げることは困難でありますが、要するに目的外に使っておるという事態に対して、行政的にどういう方向がこの事態に検討され得るかという点について至急に検討いたしたいと思います。
  200. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 労働省、警察庁厚生省の児童局長見えてますね……。私は現地を見て参りましたが、現地警察が出動して会社の施設を使用しているということです。どういうところを使用しているかというと、社宅の中の集会所、それから保育園、これは各地にあります。それから体育場であるとか、技工室というようなところであるとか、クラブであるとか、まあ武道場と名前のついたところであるとか、あらゆる会社の施設を警察官が宿泊して利用しておる。だから、社宅におられる方々がちょっとして集会をするのにもできぬ、まあ四月に入っているが、保育園の保育教育をすることもできぬ、こういうことになっているわけです。ですから、これについてまず警察から、どういう見解でどういう処置で使用しているか、労働省から、これは争議中の片方の施設を提供されているという形においてどういう見解があるか、それから厚生省は保育園がこういう状態であっていいのかどうか、これを一つ御返答願いたい。
  201. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 御承知のように、大牟田、荒尾両市にまたがって三千名ないし四千名の警察官が常時おるわけでございまして、宿舎の設備については非常に難渋をいたしておりまするので、寺院とか、あるいは学校とか、あるいは警察の講堂とかいうものをまず使用したのでございまするけれども、どうしてもそれだけじゃ収容できないということと、それからもう一つは、炭住内の治安が非常に問題にされておるのであります。事件も起こりまするし、また、事件に至らなくても、旧労の多いところの新労の家族、あるいは新労の多いところの旧労の家族等の保護ということで、非常に多くの警察官を炭住内の警戒に充てております。従いまして、そういう地理的な条件等もありまして、まあ使用し得る限りにおいては、ただいまおっしゃったような所も使用しているのじゃなかろうか、現実に保育所であるかどうかということは存じませんけれども、そういう事例もあるのじゃなかろうかと私は想像いたします。しかし、これは労働省からお答えにもなりましょうが、労働争議中片側の建物を使用するということは、これはわれわれとしても非常におもしろくございません。これはできるならば、純粋な第三者の旅館なり何なりを借用するということが適当であります。これは十分承知いたしておりまするけれども、現場の事情がそれを許さないということであってまあまことにやむを得ない点が多かろうと考えます。しかし、ただいま御指摘のような、現実警察が占拠しておるために子供がどこにも通えないというような事情がありますれば、そういう具体の個所々々につきましてはよく注意を促がしまして他に変えることができれば変えるというふうにしたいと思います。まあ極端なことを申し上げれば、両方共通に場所を提供して下されば、組合事務所でもお借りして泊めたいというくらいの、まあできるだけ公平を闘われない方法をとりたいと思いますので、お気づきの点は十分御注意していただきたいと思います。
  202. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 労使関係に対しまして警察があくまでも公正中立でなければならないという原則は言うまでもございません。従いまして、労使双方から、また、片方から便宜供与を受けるということは望ましいことではないわけでございます。御指摘の件につきましては、それが便宜供与であるかどうかという点については、まあ確かに便宜供与の面もあろうかと思います。ただ、今、警察庁警備局長から御説明のございましたように、治安確保、治安維持という立場から多数の警察官が一時に小都市に集まりましたために、宿泊施設の不足のためにやむを得ずそういう会社の施設を利用させてもらっておる、これは全く私はやむを得ない処置でありまして、決して望ましいことではないと思います。まあできるだけ、他にそういう施設がありますれば、そちらの力に移っていただくことが労使関係の上から申し上げまして適当ではないかと思いますが、現状はやむを得ないものであろうと考えております。
  203. 大山正

    政府委員大山正君) 大牟田市の保育所につきましては、一般の児童福祉法によります保育所が十六カ所、そのほかに会社経営の法律によらない鉱山保育所が十二カ所ございますが、ただいま御質問にありました点は、多分、法律によらない会社経営の保育所の問題であろうかと存じます。まだ県から正式に報告がございませんので、詳細を承知いたしておりませんが、御質問にありましたような事実がございますれば、至急調査いたしまして、幼児の保育に欠けないように、できるだけ他の施設を使っていただくように県当局と十分打ち合わせまして善処したいと思います。
  204. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、まず警察の面から言うと、そういう状態は好ましくない、そういう観点に立っているが、場所がないのでやむを得ず使っている、現実にそこから被害が起きているなら至急に処置をしたい、こういうことですね。  そこで、私は申し上げておきたいんですが、今、私は、項目をあげましたが、四カ所——地域が分かれておりますから、保育所の面から言いましても、保育所は四山、三川、港務所、宮浦、こういう四カ所、保育所です。それから集会所は、一般的な集会所、その他名前の違ったいろいろの会社の施設が全部入っておられるわけです。ですからこの段階をどこにつけるかは別といたしまして、それを使用しているために非常に困っている、これは事実でございます。警察現地においでになるんですから、よくその今警備局長が言われたような措置を至急にとってもらいたいと私は思う。私も見て参りましたが、どうもこれでいいのかどうか。今、争議中でなければいいですけれども、争議中ですから、片方から供与を受けているという状態は、あなたのおっしゃる通り、ほんとうに好ましくない状態です。どういう工合で、たとえば使用料云々という問題まで言及して参りましても、どういう処置がとられるかという問題も出てくると思います。いずれにしても、そういう片方の施設を使っているということはいいことじゃない。だからこれは一つ最大の努力を払ってもらいたい。  私は、次には労働省ですが、治安維持のために提供されることはやむを得ないじゃないか、本来は好ましくないと言われるけれども、私は労働省の立場からして、こういう現実報告も受けておられることだと私は思うんだが、これで治安維持云々のためにやむを得ないと思いますという簡単な返事でいいのですか。労働省に私は聞きたいのですが、そういう簡単な返事でいいのですか。
  205. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 基本的には先ほど申し上げますように、望ましくないのであって、そういう労使の便宜供与にならないような場所に移動すべきである。これは基本的にはそうでございますが、現在において直ちにそれができないということになれば、これはやはり警察官の宿泊その他人道上の問題もございましょう。そういう面からやむを得ないのじゃないか。現時点で見てそれまでそういう施設に移動できない。これはやむを得ないのじやなかろうかということを申し上げたのであります。
  206. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 労働省は把握しておられますか、どういうところでどういう工合に警察官が使っているかということを。供与を受けているかということを。
  207. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 直接な労使関係でございませんので、よく実情は存じておりませんが、今抽象的に御答弁申し上げましたい
  208. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 労働関係でないとは何事だ。争議をやっているんでしょう。争議をやっている状態を、片方のこういう行為が行なわれているのは労働関係じゃないのですか。労働関係として片方から提供を受けているということは、労働争議労働問題じゃないのですか。それでなければ私はここで問題にしませんよ。
  209. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 労働関係でないと申し上げましたのは、労使間の問題でないという意味で申し上げたのであります。でもちろんお説のように、警察官が治安確保、治安維持のために大牟田市に駐在しているということは承知しております。それはなぜかといえば、決して労使関係の解決ということではなくして、あくまで警察本来の治安の維持、治安確保ということであるという意味において申し上げたのであります。
  210. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、労働省はこの問題については現地を十分に把握して、対等の関係で争議が行なわれているのでありますから、この措置をされるということですね。措置に努力されるということですね。
  211. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 労働省で特別な施設を作ったりあるいはそれを見つけて警察官を移動させるということは、非常にわれわれの職務の上からも困難でございます。警察がそういうふうに配慮されることをわれわれとしては望みますし、また、そういうことを要望したいというふうに思います。
  212. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 保育所の関係ですけれども、厚生省はいまだに現地から何の報告もないという御返事だったのです。で私があげただけでも四カ所ある、四カ所。小学校も始まれば保育園も始まる。一般的にたとえ民間であろうとどこであろうと、幼稚園、保育園は全部始まっている。もう四月のきょうは二十六日です。そういう状態で保育園がストップしているというのに、現地から報告がありませんでしたということでいいのですか、行政上そういうことで。もっと厚生行政というのは、一区域でなしに、全国地域において行なわれている問題ですから、もっと関心を持って的確に把握しておいてもらわぬと私は困ると思うんです。ですから、この保育園の問題について、公的なものが十六カ所、民間のものも十二カ所ある。この把握が今のような状態で県に問い合わしていただいて、いつどのような状態でどういう措置をされるか、それを聞いておきたい。
  213. 大山正

    政府委員大山正君) 至急に県に照会いたしまして、措置を講じたいと思いますが、往復の日数等も考えまして、一週間ぐらいのうちに確たる処置をしたいと思います。
  214. 高野一夫

    理事高野一夫君) ちょっと大山局長に御注意しますが、急ぐ場合は電話もありますし、電話を熊本県庁ないし福岡県庁におかけになれば、わずか四つぐらいの保育所のことは直ちにわかると思います。ですから、一つ文明の利器を利用して至急に集められんことを要望いたします。
  215. 大山正

    政府委員大山正君) そのように処置をいたします。
  216. 坂本昭

    ○坂本昭君 ちょっとこの際伺っておきますが、今法による十六カ所というのは措置費の交付を受けている施設ということですね。そうしますと、会社経営の十二というのは、これは措置児竜は全然一人もおらないということですか。
  217. 大山正

    政府委員大山正君) 会社経営の鉱山保有所につきましては、いわゆる認可を受けておりませんので、市町村長かこれに措置計るということはないわけでございまして、おそらく会社が職員の子供のために、特にその子供に限りまして保育するという意味で作りました保育所だと考えます。
  218. 坂本昭

    ○坂本昭君 今の会社経営の十二カ所に、これまいわゆる正式の保育にかけた児童ではないけれども、一応保育されている児童の数わかっておりますか。
  219. 大山正

    政府委員大山正君) 十二カ所で定員が千百六十二名です。一般の保育所、措置する方の一般の保育所、これが十六カ所で九百九十五名ということになっております。
  220. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしますと、この会社経営の保育所の子供の数は、法による保育所の数より多いということですね。もちろんこれは会社経営の、会社に働く人の子供たちであろうと思いますが、しかし、たとえ措置費の交付は受けてないにしても、それに準ずる程度の子供がたくさんおるであろうということは、これは私は予想されると思う。いかにこの炭鉱が景気がよかろうが悪かろうが、給与の面においては高い人もあれば低い人もあって、その中では、実質的に保育を必要とする子供があるだろうということは、私は児童局長としての常識からお考えになっておられるのではないかと思いますが、会社の経営する保育所というものは、これはもう別に保育を必要としない子供がぜいたくに保育されているのだというふうにはお考えにならないと思いますが、念のためにお尋ねしておきます。
  221. 大山正

    政府委員大山正君) ただいまお話の通りだと考えるのでございまして、このような保育所に特に便宜があって通っておるものにつきましては措置の必要はないのではないか。それ以外のもので、措置の必要があるものにつきまして、市長が特に措置をしておる、これは一般の保育所に措置をしておる、かように考えますが、実態といたしましては、会社経営の保育所にもそのような児童が通っておるということは事案であろうと考えます。
  222. 坂本昭

    ○坂本昭君 私は、後段に局長の言われたことが事実だろうと思います。私も行って、これは直接調査してみたいと思います。少なくとも現在保育所というものの必要性というものが社会的に非常に重視せられているときに、何も警官の保育などする必要ありませんよ。私は、警官がこういう保育所を占拠するということはまことに不当だと思います。一日も、それがはっきりわかったならば今晩でもいい、一つ出てもらいたい、これが正しい厚生行政をやる人の指導の仕方だと思う。あえてこのことは警察庁の人にも申し上げておく。何もこの保育所まで占拠しなければならぬということはないと思う。この点は十分御調査の上、しかるべくすみやかに処置をとっていただきたい。また、厚生省としても、これは県に対して指示をしていただきたい。
  223. 安田敏雄

    安田敏雄君 関連して質問いたします。保育所ですが、これは十二カ所の中へみんな警官が占拠しておるわけだけれども、実はこれはあらかじめ会社争議があって警察官が泊まるところがないからということで、その施設を提供するように、園児の入園を延期するよう組合に申し入れてある。そうして、組合側ではこの交渉を受けたから、だから目下交渉中で物別れになっておるわけだ。その物別れになっている中へ、この警官を入園さして、占拠さしておるということはまことに不当だと、こう思うわけです。至急に厚生省においては、こういうような措置をすぐ中止させるように私は特に要望しておくわけでございます。この点どうですか。
  224. 大山正

    政府委員大山正君) 至急に県に連絡いたしまして、調査の上、警察当局とも連絡いたしまして適当な措置を講じたいと、かように考えます。
  225. 高野一夫

    理事高野一夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  226. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記つけて。
  227. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは警察が保育所その他会社の施設を使っているというお話で、これは三年ほど前になりますけれども、古河の大峰で争議がありました際に、安全灯室に警察が入っておる。ところが、それを指摘されて、会社側の擁護に立つように見られるからということで、一応占拠しておりましたけれども、直ちにわれわれの指摘に従ってこれはのいておる。その当時は、まだ警察が中立でなければならぬという意識が少なくとも建前としてはあった。しかし、今度の場合には建物の使用だけではありません、たとえば就労するとき云々というときに、そのつど、ある会社側からの連絡によって警察が出ているだけじゃなくて、事前の打ち合わせば会社側だけでやられる。そうして、先ほど四月十八日の例も出ましたけれども、適法な法の執行をこえて妨害があるからというので、それを排除するという執行部の執行もなしにやられておるように、完全に警察会社側に立っておる。それで組合側に対する暴力その他については、二十九日の事例もそうですけれども、これを妨害しておる、あるいは二十八日の最初の三川鉱通用門前の就労の際にしてもそうだ、暴力に対しても手をこまぬいて見ておる。こういう実態で完全に今度の三井三池の争議に関連しては、警察会社側に立って終始行動しているという印象を組合員も持っておれば、あるいは地方議員もあるいはさっき新聞が引き合いに出されましたけれども、新聞も見ておる、第三者も見ておる。こういうことでいいとお考えになるのか。保育所その他について直ちに撤去せられるべきだと思うのですが、警察の所見を承りたいと思います。  それからこれは政府を代表するものがおりませんから、仕方がないから亀井労政局長に伺いますが、こういう事態で三池の争議が推移するということが、労働省として好ましいとお考えになっておるかどうか、具体的な建物の使用の問題、今出ましたが、午前中からもあなた来ておったから、十八日の就労の先頭に立って妨害がないのに排除していく、こういう状態で、完全に警察会社の手先になっておる。こういう印象に対してはそれでいいとお考えになるかどうか、はっきりこれは政府を代表して答弁をせられたい。
  228. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察会社の施設を借用して使っているということは、ほかに方法があれば、きわめて好ましくないので、是正の方法をできるだけすみやかに講じたいということは先ほど申した通りであります。しかし、現実に数千の人間が中に入って、しかも炭住街を警戒せにやならぬ、ほかにそういう場所もないということであれば、これはまたそのかね合いの問題でございますから、すぐ今晩からでもそこを取り払うというわけにはいかぬと思います。できれば警察としても好んで出ておるわけじゃございませんから、そういうところを使わぬで済むように、一人でも使わなくても済むような状態をわれわれは希望している。それからまた、会社側だけに立っているというお話は午前中にもありましたように、どちらがそのときそのときに正当な法律関係に立って行動されるかということであって、会社側から言わせれば警察は非常になまぬるいという皆さんの声が常時あるわけでありまして、われわれは努めて公平に行動することを旨といたしておりますから、すべての警察以外の方々が全部えこひいきだとお考えになっているとすれば、これはぜひそうでないということを思っていただきたいし、また、われわれも行動の上においてそうでないことを示していきたい、こう考えます。
  229. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 政府代表ではないかもしれませんが、労政局長として御答弁申し上げたいと思います。施設の供与につきましては、先ほど来申しましたように、基本的には警察はあくまでも公正中立でなければなりませんので、労使双方あるいは片方からそういう施設の便宜供与を受けますことは望ましくないので、できるだけそれを別な中立性のある施設の方へ御移動いただくということはわれわれも望ましいと思うのでございますが、現実、現時点においてどうかと言われますると、これは今警備局長から御説明がございましたように、すぐにそういう形にいけないということになれば、当然それだけの間はやむを得ないのではないか、こう考えております。それから労使間のうちに警察が介入することの望ましくないことは、われわれ常々先生方に御説明申し上げておるのでありまして、警察といたしましても、その点は十分警戒をし、留意をして治安の維持確保に当たっておられると思うのであります。片方から、出ると出過ぎると、片方から、出るのがおそいと、いろいろ非難を受けまして、警察も非常につらい立場にあることは先生方も御承知通りであります。そういう両方からの非難を受けて公正な職務を執行しておるという立場はやはり十分御理解をいただきたいと思うのでありまして、われわれが、かねがね警察に要望しております公正中立な立場で治安維持に当たり、労使問題の解決ではありません、あくまでも警察本来の目的である治安の確保と治安維持に当たるわけでございますから、警察といたしましてもそういう意味で片方に加担をすると申しますか、片方に利益を与えるような措置は絶対にとっていないというように私どもは聞いております。
  230. 吉田法晴

    吉田法晴君 とっていないと言われると初めからの議論をもう一ぺん蒸し返さなければならないのですけれども、具体的に三月二十八日午前三時ごろからの警察官のこれはいわば強行、美方をもってする妨害排除、こういう不当な行動を午前中まあ論議したわけです。執行がなかったという点も明らかになりました、不当なとにかく警察官の出動であったということもはっきりしたと思います。それから先ほど建物にしても、保育所初め、保育所が現にもう四月の末になっておるけれども、始められぬように占拠をしておる。しかも会社側の建物を大部分占拠をしておるという意味でこれは問題にしたのです。具体的に論議をし、これはあるいはバケットの問題は鉱山保安局の関係でございますけれども、政府があるいは警察、あるいは鉱山保安局、きょうは話に出ませんでしたけれども、あるいは海上保安庁の船でスト破りを運んだ、こういう実態から見ても政府全体が、これはまあ自民党の政府であるせいかもしれませんけれども、会社側に立って争議を応援しあるいはスト破りをやっておる。こういう印象を強く組合員が受けるだけではなくて市民も受けておる、あるいは新聞も受けておる。こういう態度はすみやかにやめるべきだ、こういう点を具体的に指摘して言ったのですから、指摘された点についてはすみやかにやめるべきだ、やめてもらいたい、という点を強く繰り返して強調して私の質問を終わりたいと思います。
  231. 安田敏雄

    安田敏雄君 実は私も現地へ行ったのですけれども、四山においては集合所を占拠しておって、会社の中のあき地には四、五百名の警官がこれまた占拠をしておるわけなんです。それから三川においては正門前の技工室、診療室、ここに百五十名ぐらいいるのです。それから宮ノ浦では正門前の臨時詰所、構内の保安坑道、職員クラブ、武道場等にずっといる。それから港務所においては講堂、こういうふうに会社施設を占拠することによって、大牟田の市民感情というものは何か会社のせいにしておる。こういう風評がずっと出ておるわけでございまして、まことに好ましくないわけでございますが、先ほど来の答弁を聞いておりますと、何か警察が非常に公平に物事を扱っておるというふうに言っておりますけれども、実は三月二十八日の事件の際におきましても、その後第二組合員は手錠をかけないけれども、第一組合員は手錠をかけておる。さらにまた、三月二十八日の事件後においても、会社側に対しては全然手入れをしておらぬ。そしてまた、あのときに構内から投げられておったところのいろいろの目つぶしの材料であるコショーであるとかあるいは新井商店からつるの柄を六百本も会社側は買った。それを構内から新労側に投げておる。しかもそれの出所さえも明らかになっておるのにかかわらず、警察側では会社側を調べたところでは、何らの物的証拠もないと言っておる。こういう点をもう少し明らかにしていただかないと、われわれの方としては、どうしても納得できないところがあるわけなんで、こういう点はどうなっておるのか詳細に調査してあるのか、警備局長から一つ答弁を願いたいと思います。
  232. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 三月二十八日の事件につきましては、いつ御調査に行かれたか存じませんけれども、現在までのところ旧労側、新労側、会社側、すべての、すべてと申しますか、まだ将来出ると思いますけれども、現在わかっておりまする範囲においてはそれぞれの手入れをいたしておるのであります。たしか旧労が十六名でございます。新労側は七、八名、会社側が三名、こういう逮捕を見て、現在それを正規な手続によって審理をしているのでございます。もちろん新労側及び会社側の被疑者は三川鉱の新門というところを入ります際の加害者としての疑いで逮捕をした。それから旧労側の十六名はこれは中に入った新労をあとから追いかけていってそこで暴行したという事件についてでございまして、数の大小はありますけれども、取り扱いの差別はもちろんやっておりません。  それからだれに手錠をかけ、だれにかけなかったというのは、これはおそらくその逮捕の現場における条件の差だろうと思います。逮捕をしても手錠をかけずに連行できる場合におきましては、手錠をかける必要はないし、また、多数の中から連れて出ると妨害も一応予想しなければならぬというような場合におきましては、できるだけ厳重にして連行するというのは常識でございまして、これはどちら側にどう行なわれたかということは、具体的に調べなければわかりませんけれども、その間に警察の取り扱いを二、三にするというようなことは毛頭ないものと私は確信いたしております。
  233. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 けさほど来、三池炭鉱について質問になりましたおもな点は、警察官の出動についてであったと思うのであります。で私ども争議警察が入ることは好ましくない。できるだけ避けたいということはこれは常識であります。ただ、今回の三池の炭鉱につきまして、私も現地に行って事案調査をいたしました。行ったのが二十八日、九日の事件後でございました。第一組合にも私参りまして組合長にも会いました。組合長のそのときに話しましたことは、警察がもっと早く手を出してくれれば、ああいう惨事が起こらなかった。手ぬるいということをはっきりと言っておられます。これは私だけではございません。第二組合の組合長も私会いまして、第二組合の組合長は真剣に二十八日のあの暴行傷害についてほんとうに訴えていたのであります。市民について尋ねてみましたが、市民の方も非常に恐怖におののかれておった。でありまするから、私は普通の争議にすぐ警察が出るということは、これは極力差し控えていただきたいのでありまするけれども、あれだけの刺殺事件を起こし、そうして二百数十名の負傷者を出して、中には重傷者が相当出ております。これだけの事態を引き起こしておりながら、なおかつ警察が出るのはけしからぬじゃないかということは、私はいかがかと思うのであります。従いまして、私は労政局長なり、あるいは警備局長にお尋ねをいたしますが、ただいままでの社会党の方の質問に対してのお答えでは、私はさほど心配はいたしませんが、とかく争議がございましたあとで、国会内の論議が警察官の出動について批判的な態度が行なわれる、行き過ぎについて行なわれることは私は当然であると思います。しかしながら、その際の答弁の苦しさとか、あるいは暗々の威力に屈しられて、もし警察が従来のような消極的な態度に出られますると、私は今後三池の争議において第二、第三の事件が起こると私は心配しております。でありまするから、あなた方もまじめに真剣に、いやしくも警察は不当に干渉はしないぞというはっきりした原則を立てられると同時に、どんなことを言われようと、人命の救助に対しては自分たちの与えられた使命であるというはっきりした信念を持って私は当たっていただきたいのであります。けさほど聞いておりますると、四月十八日のあの入構について、相当多数の警察官が出られました。ピケはわずか十三名余りであったのだと、何らの抵抗もしなかったのにそういう処置をしたのはけしからぬじゃないかという御批判があったようであります。それ自体を見ますると、私は少し大げさなような気がいたします。しかし、二十八日、九日のあの事件を私ども直後に行って見た感じから見ますれば、当然の処置であるように私は思う。これは立場を異にされる方々には違った御見解があるかもしれませんが、それほどのかまえをしなければ、流血の惨事を防ぐことは私は不可能である、かように考える。現に一十八日の三川鉱の事件でありますが、私どもの調べたところによりますと、三川鉱の五分か十分かを隔てた神社に千数百名の警察官がいた、直前にきていた。そこへ第二組合の千五百名ぐらいの組合員が出動といいますか、入構しようと思って出かけたのを私は知らないはずはないと思う。しかし、もしその前に警察が出るというと、また警察が不当に干渉するであろうという批判を受けるであろうと、これは私の推察でありますけれども、そういう気持でやや時間を手間どつた、それがために、わずか十分か十五分の差でおくれていったために、第二組合の人とぶつかって、あれだけの事件を起こして、新聞にはあまり出ておりませんが、私はここに報告も持っております。いずれ明らかになるでありましょう。ピケも相当これも必死でありましょう。お互いの立場を異にするのですから、必死であるということは私どもも想像がつくけれども、そのぶつかり合いがあれだけの青竹やこん棒でけがをさして、それでもなお第三組合の人はそのすきにかきを越えて中に入ったのです。相当の鉄柵です。二丈くらいあるその鉄柵を越えて中に入った、中には年寄りもいたようです。それほど立場は違うけれども、第二組合の人としてみれば、働きたいのは一生懸命です。働かなければ食えない。これも私は第二組合の立場に立つ人から見れば、正当の行為である。そうして入ったのをあとから追い打ちをかけてあれだけの事件を起こしたようであります。ですから、ピケが門前でやったなぐり合いというものが相当であっただろうと思いますけれども、そのときのなぐり合いの事件による傷害というものは、私はまあそう大きい重傷にはならなかった、中に入っておるのを行ってなぐったのが、あれだけの重傷になっておるのであります。でありますから、(「違う、違う」と呼ぶ者あり)違えば、その事実があとで明らかになると思います。私どもの調査したところによりますと、間違いはございません。でありますから、四月十八日の事件を見まして、結果的にいえば抵抗しなかったから、こういうことでありますが、それは結果を見てからのことでありまして、もしあのときに抵抗がなかったからといって、今後もし油断をされると必ずやります。これは私の推測ですけれども、それは第一組合の者は第一組合で必死の点がございます。第二組合としても、ただ日にちをむだに食うということは、おそらくできない。そうすれば必ずぶっつかる。それをお互いにぶっつからせれば、目の前にけが人を出すだけです。罪人を作るだけです。警察官は気の毒だけれども、警察官が間に立って、けが人を出さないようにして処置をするということは、私は当然だと思う。でありまするから、先ほど来からの質疑の点はございましたが、私は最後に警察当局や労政当局に申します。警察が不当に干渉をすることは極力避けると同時に、人命の救助についてはどんなことを言われようとも、国が責任を持ってけが人を出さないように、そういう処置を講じていただきたいと思いますが、いかがでありますか、もう一度最後に両方の当事者の方からお答えを願いたいと思います。
  234. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいま吉武委員から御指摘になった通りの気持で、国も現地も動いているわけでございます。今後もその通りの方針でいくわけでございます。
  235. 亀井光

    政府委員(亀井光君) ただいま警備局長から御答弁ございました通りに、私も考えております。
  236. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 最後に私くどくなりますから、ごく簡単に申します。一体今度のこういう事件が起こりましたもとは、私は労働省にも責任があると思うのであります。というのは、政府も指示はされていると思いますが、結局問題は労働争議のルールというものが確立されていない。つまり争議であれば、ある程度のことはできるのだというばく然とした考え方が今日労働組合の中にある。一般の社会の中にも流れておる、これが大へんな間違いです。ストライキというものは、憲法がもちろん保障しており、労働者の権利として各国とも認めておるところであります。しかしながら、その争議行為ということは、どういうことであるか、これは私ここにこういう判決がありますから、この判決が簡単に意思表示しているので、私は読んでみます。これは昭和二十七年に羽幌鉄道鉱業所における威力業務妨害、傷害等被告事件についての判決であります。こういっております。「同盟罷業は」すなわちストライキ、これは「必然的に業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、」つまり働かないというところにある。「その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者に使用させないことにあるのであって、これに対し使用者側がその対抗手段の一種として自らなさんとする業務の遂行行為に対し暴行脅迫をもってこれを妨害するがごとき行為はもちろん、不法に使用者側の自由意思を抑圧し或はその財産に対する支配を阻止するような行為をすることは許されない。されば労働争議に際し、使用者側の遂行しようとする業務行為を阻止するため執られた労働者側の威力行使の手段が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には刑法上の威力による業務妨害罪の成立を妨げるものではない。」こう言っております。こういう種類の判決はたくさんございます。これが一番典型的な判決であります。でありまするから、争議行為が正常な方法で行なわれるならば、警察が出動する余地はないのであります。ストライキで仕事をしない、これは労働者の権利であります。片一方でしたいという人が仕事をするということが、これが正当に認められるならば、警察が出る余地はないのであります。なぜ出なければならなかったかというと、つまりピケがその範囲を逸脱をして、つまり腕力によりあるいは傷害まで起こして入れないというところに問題があるのであります。それは刑法は許していない、許していないものをやるというところに問題が起こるのでありますから、私は警察官争議に介入することを慎しむと同時に、労働者側におきましてもこの争議の範囲というものを逸脱をしない。もしそれをあえてされるならば、やむを得ない、労政当局におかれましても、警察当局におかれましても、法を越えてやられるものについては断固たる処置をとらざるを得ないと、かように存ずるわけであります。この点はもうすでに御承知のことと思いまするが、はっきりと申し上げまして、今後の善処を要望する次第であります。私の質問は終わります。
  237. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  238. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。
  239. 小柳勇

    小柳勇君 朝から質問したのは、吉武委員は前のやっと今のやつも……前のやつは、警察官がなぜ早く出なかった、出なかったから問題が起こったと言われる、それからあとのやつは、警察官の出方が早かったからと、今言われているが、警備局長はそういうことで惑わされないで、今の考えでやれと言われる、それは前のやつで、おそいということは第二組合の前に暴力団が来ておる、暴力団が相当の暴力団を加えて問題を紛糾しておる、それをなぜ警察は取り抑えなかったか、労働争議暴力団が入っておりますぞということを宮川組合長は吉武委員に訴えたと思う。従って、第一組合の側からいえば、警察官は第一組合員に対する暴力団ないしそれだけの暴力警察が見ながら阻止しなかった、何事かという怒りがある、四月十八日——この、朝からずっと質問しましたのは、あまりにも大げさではないか、ピケは全部おって百数十名しかいなかった、しかも通用門には十三名しかいなかったのに、百数十名の警察官がおどりかかっていって、一方的に、憲法で保障されたピケ説得権を排除した。しかも執行吏排除の執行をしておらないではないか。それを芝居をして、極端にいうならば、警察会社合作で執行吏をロボットとして芝居をして、そしてそういうふうな警察暴力的行為をやっている。そのことは行き過ぎではないか。これは第一組合側から言わせれば、前の三月二十八日の事件については怠慢である、警察が怠慢をして第一組合員に対して不当なる介入をした。四月十八日のあとの問題は、警察が行き過ぎをもって、職権を乱用して第一組合員に対して不利益な扱いをした同じケースですよ。そのことがあまりにもひどいから、きょうこれだけの社会党の委員質問をした問題について、一々法的に解明をしていった。それがいよいよ問題が終わろうとするときに、吉武委員自分の主観をもって自分の意見を述べて、最後に警備局長は、吉武委員の言われたその通りにやります、労政局長もその通りにやりますというと、そうすると、今まで午前中からずっとやってきた、われわれが法的に違法である、不法であると言って追及して、それが大体結論が出ようとするとき、それをわれわれただ警察労働組合をとっちめて喜ぶような部類ではない。私ども国会議員として職責がある。従って、そういう誤った労働行政なり警察行政がなされているならば、それを一日もスムーズに公正に直して、そうして将来問題が発生しないようにやる、それがきょうの委員会任務であると思う。そういうことで、われわれは納得して、それで調査不十分のところは、それぞれの機関が調査するというので、また、将来問題にはなろうが、きょうは一応次の議題に入ろうとしているときに、吉武委員はそういう誘導質問をして、今までのあれを一切くつがえして、時間を相当空費する、むだにする、そういうことについては、委員会のやり方についても僕ら問題があると思う。私どもこの国会議員の審議権に対するこれは不遜なことだと思う。吉武委員の発言についても、私どもはいろいろ言い分はある。しかし、お互いに言い分があるときは、それを聞きながら、また、次の機会にやるという方法もあろう、きょうこの結論が出ているときに、それをひっくり返して、警察庁なり労働省に対して、それと同じようなことを言わせ、それを記録に残すということについては、私どもとしては納得できない。従って、吉武委員の真意をもう少し聞いて、納得すれば次の議題に入りましょう。そういうことを委員長、諮ってもらいたいと思います。
  240. 高野一夫

    理事高野一夫君) 皆さんに申し上げますが、本日は両党の討論会じゃないので、どの委員がどのような質問をなさるか、あらかじめ委員長はわかりません。従って、発言を求められる方に適宜発言を許します。その結果について各委員自分の意見を述べながら、質問をなさるわけなんだから、それはお互いに述べられる意見について賛成しかねる、双方それぞれ気持はあるだろうと思います。従って、そういうことを取り上げて、これは両党の討論会式の委員会になるということは好もしくないから、別個の形で御質問願いたい、政府に対する質問とか何とか……。
  241. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ警備局長、最後に吉武委員の意見を全部肯定されて、その通りにやっております、やりますというような発言がありました。そうすると、吉武委員は同じ委員で、将来討論する機会がありますが、この問題に対する警備局長の今までの、午前中からの誠意ある答弁というものが、一切、何か委員会答弁として、もう終わるための答弁であったとしかわれわれは受け取れません。従って、警備局長は、どういう意向で全面的に肯定して答弁されたか、労政局長はそれを受けて警備局長答弁通りでありますと言われた。従って警備局長なり労政局長が、どういうふうに吉武委員の意見をとってあの答弁をされたか、そのことを聞いて、次に移ります。
  242. 吉田法晴

    吉田法晴君 吉武委員の話の中で、二十八日あるいは二十九日のあとに行かれたから、二十八、二十九日の事態が述べられた。ところが、二十八日にしても、暴力団を伴って、こしょうあるいはガラスの粉を含んだ目つぶしを使い、そうして暴力をふるって、ピケ隊に飛びかかったということはこれは間違いない事実だと思う。そのあと起こった事実がどうであるかということは、これは社会党おりませんからわかりませんけれども、その点をはっきり労政局長なりあるいは警備局長に聞いておきたいと思うのだが、二十八日は最初暴力団を伴って就労をしようとした。その際に暴力がふるわれたということは、これはお認めになるのでしょう。あるいは二十九日の場合は暴力団がバス何台かに分乗をして、そうして四山の正門前にきた。そのときに、写真を見てもわかりますけれども、暴力団が最初からとにかくすわっておるピケ隊に対してなぐりかかっておる。そうして立ち上がった久保清さんに対して刺殺あるいはあいくちをふるうなりあるいは暴力をふるっておることはこれは明らかだと思うのですが、その点を宮川氏が、警察の人がその場におりながら措置がおそかった、こういう点を指摘されたと思うのですが、この点を吉武氏はあたかもそうでないかのごとく言って、あなたのこれは答弁を求められたあとの話ですけれども、その通りじゃないかという御質問をなされた形になっておるから、その点についての事態の認識を明らかにしてもらいたいと思う。事実に違ったとにかく陳述はここでしてもらっては困る。
  243. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 委員長。
  244. 高野一夫

    理事高野一夫君) 討論の形は一つやめてもらいたいから、政府委員に対し、ただいま吉田小柳委員から、江口、亀井両局長に対する質問でありますから、その意味において御答弁を願います。
  245. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほどの吉武委員の御質問に対する答弁で、従来もそういう考えであったし、将来もそういう考えでやりますと、こう申し上げたのは、二つの大きな点、すなわち警察労働争議に対して干渉しないという原則と、それから、しかしながら、労働争議には干渉しなくても、事人命の保護ということに関しては勇気をもってやれというような御意見でございましたので、この二つの点は、従来からの考えであり、かつ将来もそういうことでございますということを申し上げたわけであります。  それからただいまの吉田議員の御質問で、三月二十八日の三川鉱事件及び二十九日の四山鉱事件につきましては、立場が異なるにつれてお述べになる事実が相当違います。また、私たち自身も客観的に捜査を続行しているところでありますから、どちらの方のが全面的に正しく、どちらの方のが全面的に間違っておるというようなことは申し上げません。しかし、両方ともすでに被疑者を逮捕して捜査進行しており、ことに四山の事件については、逮捕状の出ておるほとんど全員に近いものを検挙しまして、そうして事件の核心をつく最終の段階まで入っておることでありまするから、これは捜査の結末によってはっきりすることと考えます。三川鉱事件につきまして、先ほど申し上げましたように、門を入るところの混乱状態においては、被疑者として出ておりまするのは、新労側及び門内からの応援という意味で会社側の人がすでに逮捕を見ておりますから、それがどういう働きをしたかということは、これはだんだん進展の途上ではっきりするわけです。また、構内に入ってからの措置は、これは一方的に第一組合側が新労側を襲撃した事件でございますから、おのずから被疑者は第一組合側に限定されておるわけであります。この二つの門内及び門外の事件を一つにして三川鉱事件といいますれば、これは新労、旧労、会社側、そのいずれにも被疑者があり、加害者があり、被害者がある、こういう状態でありまするから、これは事実に照らして捜査の段階で公正にやっていく、こう申し上げる以外にない。
  246. 亀井光

    政府委員(亀井光君) ただいま原則的な二点につきまして御質問がございまして、それに対して江口警備局長から適切な答弁がございましたので、私の言うところも同じであるというふうに申し上げる次第であります。(「了承」と呼ぶ者あり)
  247. 高野一夫

    理事高野一夫君) 三池鉱業所における労働争議に関する本日の質疑はこの程度で終了したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  249. 高野一夫

    理事高野一夫君) 次に、駐留軍労務者離職対策に関する件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。ただいまこの関係で御出席の政府側委員は、福田総務長官、大島審議室長、防衛庁の山下経理局長、調達庁の真子次長、小里労務部長、それから沼尻連絡調査官、以上の方が見えております。労働省側は、亀井労政局長、ほかに堀安定局長が見えております。御質疑を願います。
  250. 小柳勇

    小柳勇君 去る四月一日に進駐労の離職対策については相当質問いたしました。それに引き続きまして、本日次の三点、大きく分けまして三つの点に質問いたしたいと存じます。関係者の御答弁を願います。  大きな第一の問題は、芦屋基地の離職対策、具体的な対策と、それからなお今後合理化のために首切りが出ますが、これを措置するためにどのように政府は動いておられるかという点、第二の点は、芦屋基地と同じように、立川その他米軍の軍事基地に対して人員整理が起こりまするが、これの問題に対する質問、第三点は、離職した駐留軍労務者の方が再起しなければならぬが、その再起のための融資の問題、金の融資の問題について、政府はどのように配慮されておるかというこの三つの大きな問題について逐次質問していきたいと存じます。  第一は、総理府の総務長官に質問いたしますが、先般各省関係者が芦屋の現地に行かれていろいろ調査されましたが、その調査後具体的な対策を立てられたと存じます。われわれは、まだその具体的な対策について聞いておりませんので、調査の後の具体的な対策について御説明願いたいと存じます。
  251. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 今御質問調査団の調査の結果に基づいて政府はどういう手を打つかという御質疑でございますが、御承知通り、三月の八日、九日調達庁次長を団長にいたしまして現地に派遣いたしまして、大体報告の要旨は、中央の対策協議会幹事会、それから地元の福岡の協議会でも通知が行なわれたわけでございますが、その要旨は二つございます。一つは、離職するものの職業相談の問題、それについて具体的にどうしたら職業訓練の学習ができ、また、一般の訓練施設の拡充あるいは就労に対する計画を立案できるかという点が一つ、第二の点は当地の転用問題でございます。これにつきまして、政府が今までやって参りましたことを御報告申し上げますと、第一の点につきましては、職業訓練施設を拡充いたしまして、御承知通り、芦屋の分室が従来定員が五十名でありますが、八十名増加いたしまして合計百三十名、また、基地内の職業訓練の早期実施を大体六月までに三百四十人を目途としてやるといたしまして、その他紹介機関の強化のための人員、予算の配付等の増加を、それぞれ労働省また調達庁で検討中でございます。それから自営業あるいは職業紹介につきましてもいろいると相談をいたしておるわけでございますが、金融の問題は、政府機関の金融機関ともいろいろ相談して具体的に検討中でございます。なお、公共事業、失業対策事業、これらによる吸収の問題は、昨日の次官会議で一応申し合わせがありまして、本日の閣議にも報告されたというのが大体の現状でございますが、細部につきましては、それぞれの官庁から報告をお受け願いたいと思います。
  252. 小柳勇

    小柳勇君 さらに関連して、もう少し根本的な問題ですが、返還された基地は、離職者の、二千名が離職いたしますが、そのような離職者の対策を中心に考えてもらうべきであろうと私ども思いますが、そのようなことについて、どのような配慮がなされておるか、質問いたします。
  253. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 基地の転用問題、実は御案内と存じますが、芦屋のいろいろな地理的な問題、あるいは用水、輸送、いろいろな関係からいって、なかなか困難な事情がたくさんあるようでありますが、御指摘の通り、あくまでやはり総理府としては就労をごあっせんし、離職者のために万全の措置をする、さらにまた、地元の意向も尊重するという原則はくずさないつもりでございます。
  254. 小柳勇

    小柳勇君 地元の町長が先日こちらに参りまして、帰ったあと新聞記者との会見で、自衛隊が入るように町会でも検討してみたいというようなことを発言しておりました。これに対して、自衛隊の方ですでにそういう御相談、決定があるのか、あるいは、まだ町会の決定その他を待って計画を立てるのか、この点いかがでしょう。
  255. 山下武利

    政府委員(山下武利君) お答え申し上げます。芦屋の基地につきましては、まだ返還の時期等が明確でございませんので、防衛庁といたしましては、はっきりした計画を立てるという段階には至っておらないのでございます。防衛庁といたしましては、もし芦屋の当地が将来返還というようなことになりましたならば、現在他の基地でもって狭隘になっておりますところの、たとえば輸送航空団でありますとか、あるいは学校といったようなものの施設にこれを利用さしていただきたい、かように考えているわけでございます。もちろん正式に防衛庁に所管がえをいたしますには、それぞれ所定の手続を経なければならないわけでございますので、それには、はっきりと返還の時期、あるいは見通しというものが確定しなければ、そういう手続もとれないわけでございます。ただいまのところは、防衛庁としてその程度のことを希望している程度でございます。
  256. 小柳勇

    小柳勇君 防衛隊の問題は、あとでまだ質問いたしまするが、もう一つ総務長官に質問いたしますが、先日の調査団が一応帰りまして、報告したあと、具体的には、まだそれぞれの各省でやっているようでありますが、二千名の者については見通しが立たない、そういたしますと、当然そういう離職対策をまず立てて、それから首切り、こういうのが人道上、あるいは労務者を使う政府としては当然考うべき措置だと思いますが、そういう立場で、米軍なりあるいはその他の方に、首切りを少し待ってくれというような折衝はもうやっておられないのかどうか、その点について事情を一つ説明願いたい。
  257. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 米軍に対する折衝は、御承知通り、窓口としては調達庁という建前になっておりますので、丸山調達庁長官にも再度連絡しまして、強くこの点を米軍に要請するよう実は連絡いたしたわけでございます。いわゆる首切りを阻止する、あるいは期間を延期するというような問題につきましては、残念ながら今までのところ、わが方の希望はいれられておらぬようでありまするが、交渉の経過につきましては、調達庁から答弁をしてもらいたいと思います。
  258. 小里玲

    政府委員(小里玲君) お答えいたします。米軍の整理計画が一応この三月から十二月までということになっておりまして、三月に四十五名、四月に四十五名、五月に二百七十名、順次やりまして、残務整理の三百余名を残しまして十月までに解雇する、こういう計画になっておりますので、調達庁といたしましては、ただいま御指摘の失業対策の関係、それから労務者の受けます恩典、いろいろな方面から整理計画を延期してもらいたいという折衝を軍当局に今までやっております。特に三月の四十五名、四月の四十五名、五月の二百七十名というものを、これを労務者が夏期手当がもらえる六月の末まで延ばしてもらいたい、こういう主張を強く軍にいたしたのでございまするが、軍の一応の予算その他の整理計画から、こちらの希望がいれられないということで、ただいまのところといたしましては、三月の四十五名、四月の四十五名、それから五月の二百七十名というのが、軍から正式な通知を受け、三月はすでに解雇済みであり、四月はこの末に解雇が行なわれる、五月は五月の末に解雇が実施になる、こういう段階にございます。労働組合からも非常に強い希望があり、また、組合自身として米軍に直接交渉等もいたしておりますので、調達庁といたしましては、今後、まだ一応の整理計画でございますし、十三月までの期間もございますので、今後もできるだけ解雇について失業対策その他労務者の利益という点から折衝を続けて参りたいというふうに考えております。
  259. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  260. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記を始めて。
  261. 小柳勇

    小柳勇君 それでは堀所管局長質問いたしますが、さっき総務長官は、職業訓練について、すでに落手しているような話でありますが、現場の意見を聞きますというと、職業訓練が即雇用だと、就職だという道がなかなか開けておらぬ、百や二百、あるいは五百職業訓練受けますけれども、その就職の段になりますと、なかなか道が開けないというのですが、こういう職業訓練された方、あるいは職業訓練する前に一つの就職のめどを立てて、そういう人から優先的に職業訓練するなり、あるいは職業訓練した人は必ず政府が責任持って就職あっせんするなり、そういうような具体的な方途について、その後お考えになっているかどうか、質問いたします。
  262. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 芦屋地区におきまする離職対策の推進につきましては、先般の委員会におきましても、われわれの基本的な考え方を御説明申し上げたわけでありますが、まず第一に、芦屋地区におきまして出張総合職業相談を実施することにいたしておりまして、この三月以来相談を現地において実施いたしております。これにつきましてその状況は、三月上旬におきましては八十七名、それから三月下旬から四月にかけましては六十一名の相談がありました。これにつきまして、具体的にその離職者の御希望を聞きまして、そしてわれわれとしてはそれに応じて対処して参りたい考えであります。  そこで、ただいまお話のように、この離職者の希望に応じまして適職をお世話する、あるいは自営業をお世話するということが最も大事なことであると考えまして、現地におきまして八幡の職業安定所を中心にいたしまして、特別の求人求職連絡会というものを組織いたしまして、ここにおきまして関係機関が集まりまして、求人開拓の推進、それから希望に応ずるところの職業あっせん、これを強力に推進して参りたいと考えておるわけでございます。  なお、職業訓練につきましては、先ほど総務長官からもお答えがありましたが、その後の状況にかんがみまして、直方の訓練所の分室を芦屋に設置いたしまして、そうして従来は溶接科だけでありましたが、この溶接科の人員を増員すると同時に、新たに五月からは自営できる職種も考えまして、ブロック建築科、これは約五十人程度、さしあたり収容することになっておりますが、ブロック建築科という職種を設けまして、ここに入所させるという方法も考えている。必要な職業指導員もこの三月、四月に増員を完了いたしまして、職業訓練所の卒業生につきましては、現在までの実績を見てみますると、その就職率は相当良好のようになっております。現地におきましてわれわれはこの職業訓練所を卒業されました方々については、これを求人開拓を行なうことによりまして直ちに求人に結びつけて遺憾のないようにしたいと考えておるところでございます。  なお、女子の離職者あるいは離職者の家庭の主婦等に対しましてこれは婦人少年局の関係から、福岡の内職補導所、これは八幡にございますが、これから巡回指導を実施するということもあわせて実施しております。  なお、さらに調達庁の方から説明があると思いますが、基地内におきまして、トレーラーの運転の基地内講習、これも実施しておるところでございます。  われわれといたしましては、ただいま申し上げましたように、職業訓練、それから職業相談を中心にいたしまして、それに求人開拓を強力に推進することによりまして、離職者の方々の適職を得られるように、今後とも努力したい考えでございます。
  263. 小柳勇

    小柳勇君 調達庁の方は今の訓練の様相と、それからもう一つは、米軍に交渉しても首切りの阻止はなかなか大へんではないかというように、話の中から推察いたしますが、首切らないで、ほかの基地に転用とか、あるいは政府の方で雇用計画というようなことはできないものでしょうか。職業訓練が無為に終わらないで、あるいは失業者にしないで、ほかの基地に転職、転用などということはできないものでしょうか。
  264. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 私の方で実施しております。基地内訓練ですが、これは現地の県とも十分連絡をいたしまして労働者の希望等を調査の上、すでに三十五年度の第一四半期分の第一回分として二百二十名、受講人員二百二十名に対する所要額といたしまして、七十一万五千六百八十円というのを交付済みでございます。すでに訓練を開始しておるものと存じております。第一四半期の第二回分の要求もございますが、目下これは検討中でございます。  それから他の基地への配置転換等につきましては、これはなかなか、米軍自体がだんだんと漸減の傾向でございまするので、困難な面はございまするが、たとえば部分的に所沢でありまするとか、あるいは芦屋の基地が閉鎖になることに関連をいたしまして、立川に一部部隊が移るということで、立川に増員がある。このような所沢、立川というようなところに配置転換をすべく、目下現地同士で話し合いもいたし、また、調達庁としても、あっせんの労をとっておる次第でございます。
  265. 小柳勇

    小柳勇君 総務長官おられませんので、この問題は残しておきますけれども、芦屋町全体の問題として町会の基本的な方針は自衛隊に来てもらうよりも、平和産業企業を誘致したいというような意見が強いわけであります。それでも企業誘致についてはなかなか困難であるということで、町長なども非常に苦労しておるようでありますが、芦屋基地の、その全体の町の繁栄のための、平和産業の誘致など、そういうものについては、総理府として、政府として何か援助するような対策が立てられないものであろうか。長官がおられませんが、だれか総理府から見えておられましたね
  266. 大島寛一

    政府委員(大島寛一君) お答えいたします。芦屋基地の転用につきましては、先ほど総務長官からお答え申し上げたような方針にのっとりまして、具体的にこれから検討を要する段階にあると存じておるわけでございます。率直に申しまして、土地の性質その他から見ますと、企業を誘致いたしますためにはかなり困難な事情が多いように、目下われわれの承知しておりまする範囲では考えておるような状況でございます。しかし、それはそれといたしまして、先ほど地元の意向も尊重してということを総務長官からお答えしておりますように、そういう点も十分しんしゃくいたしまして、これが将来の活用につきまして十分な検討と措置とを考えて参りたい、このように考えておる次第でございます。
  267. 小柳勇

    小柳勇君 今のあれで気にかかりますが、平和産業などの誘致については若干問題もあるようだということですが、先日各省から調査に行かれましたその調査の意見はどのようにまとまつておるのか、発表がありませんので、こういう機会一つ概要でもよろしいので、御報告願いたいと存じます。
  268. 大島寛一

    政府委員(大島寛一君) ただいまの点でございますが、先般の調査団は、離職者の対策を中心主眼といたしまして、その任務として調査に参りました次第でございまして、そういう意味合いにおきまして、基地が米軍が撤退することによりましてどういうふうな離職者が出るだろうか、これに対する現地並びに中央としまして、関係当局総合しまして、どういう点を具体的に対策をとるべきかということを中心にしたものでございます。基地の転用につきましても、もちろん現地におきまして地元の話を聞きましたり、現場も見てきておりまするので、その点につきましても報告があった次第ではあります。基地の活用自身をどういうふうにするかということは、単に離職者対策ももちろん重要でございまするけれども、しかし、単に離職者対策だけの見地でも参れませんので、そういう意味合いにおきまして、正式の報告からは直接の任務の対象となっていない状態でございます。
  269. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連して、二つ関連してお尋ねしたいと思うのですが、一つは、離職者対策、堀局長はブロック建築云々という話がございましたが、それらのことは、もう問題が起こりました当初から言われておる。それを四月の末になってもまだ着手しないでこれからというお話を聞いて、はなはだ心外に思うのですが、重ねてその職業補導について、まだこれからという程度なのか、分室をこしらえてすでに始めておるというのか、明確に承りたい。  それから基地内の職業訓練についても、われわれが努力をしました。もう一カ月前のころから、延期についてはなかなか困難で、四月、五月を最初重点にして延期を求めたわけですが、それについては困難であるけれども、基地内での訓練については、あらゆる便宜をはかろう、こういうお話でしたが、今お話があったのは、トレーラーだけ、はなはだどうも皆さんの今までのお仕事、少し何といいますか、テンポがゆるいといいますか、あるいは腰の入れようが足らぬという印象を受けて答弁を聞いたのですが、これについてさらに答弁を、もっとやっておるという御答弁がいただけるかどうか承りたい。  それからもう一つ、これは室長にお尋ねをすることですが、離職対策についても、なかなかお話のように、職業訓練、あるいは基地内の訓練という程度にとどまって二千名全部をカバーするわけにいかぬ。従って、芦屋の更生とも関連をして仕事を探さなければならぬ、あるいは産業の誘致も考えなければならぬ、こういう離職者の面からも離職対策がございますが、従来、芦屋のあの小さい町で二百万円もかけて今後の芦屋はどういう工合に発展したらよかろうか、それは基地経済、米軍の基地経済にたよることはこれはいつまでも継続するわけにもいかぬし、それから自衛隊が来てもほんとうの芦屋の更生を期するわけにはいかぬ。こういうわけで、あるいは住宅健康地に変更すべきだという結論が出たことは御承知通り、あるいは町長選挙のときには町長、あるいはその責任者であった商工会議所の会頭等も、住宅地、あるいは産業誘致等で平和的に芦屋の町の再建をし、かつて鉄道を敷くことを拒否してさびれた、かつては芦屋千軒と言われた、町の繁栄を失ったそういう過去の失敗は繰り返したくないというのが町長、あるいは商工会議所会頭なり町民の大多数の意見であるということはおそらく御承知だろうと思うのです。従って、町民の意向から考えるならば、芦屋就労対策の点からいっても、芦屋の町のほんとうの繁栄その他からいって、海津道路の建設に伴って平和都市として、あるいは町の希望するところは住宅地、健康地として再生生をしたい、こういう希望があるという点は御承知なのかどうか、そしてそれについて室長もできるだけ協力していこうという態勢なのかどうか、重ねてお伺いをしたい。
  270. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 職業訓練の問題でありますが、直方の訓練所の芦屋分室は、昨年の十三月に開設をいたしました。現在溶接が五十名を訓練開始しております。なお、本年度になりまして増設のための予算の裏づけがさらにできましたので、新たにこのほかに溶接科の増員、それから新しい科目として建築ブロックの増設、これを実施することになりました。そのための必要な指導員等の整備は終わりました。この溶接科の増設の分につきましては、この五月一日からさらに増設いたします。それから建築ブロックにつきましては、五月末を目途といたしましてこれを増設するという考えでございます。われわれといたしましては、さらに今後職業相談等の結果を見まして離職者の方の希望に応じまして、職業訓練というものをその事情に応じまして強力に拡充実施して参りたい考えでやっております。
  271. 小里玲

    政府委員(小里玲君) 先ほど詳しく申し上げなかったので、多少詳細に三十五年度の第一期分の御説明を申し上げますると、受講の班といたしましては四班ございます。特殊自動車の運転科、これが一班と二班に分かれておりまして、それから普通の自動車の運転科というのと、それから企業経営指導科、この四班に分かれて基地内で訓練を実施中であります。その受講者は特殊自動車運転科の第一班、第二班とも六十名ずつ、それから普通自動車の運転科六十名、企業経営指導科というのが四十名で計二百二十名、それに要する所要額が七十一万五千六百八十円、こういうことでございまして、これは労務者からそれぞれ希望をとって、県の要請によりまして各班を設け、受講人員等をきめた次第でございます。
  272. 大島寛一

    政府委員(大島寛一君) 私に対しまして、基地の転用についての御質問の点でございまするが、先ほど申し上げましたような線で検討すべき問題だと存じておりまするが、なお、目下のところ、県、町等、ともにはっきりした具体的な意見をわれわれ伺うまでには至っていない次第でございまして、お話のように、ヘルス・センターを作る計画でございますとか、住宅地として考えたらよいのではないであろうかというような、幾つかの考え方も伺っておりまするけれども、先般の調査団も、現地においてそういう考え方がある旨を伺って帰ってきておりまするけれども、これも今申し上げましたような事情でございまして、現在におきましては、いろいろ数多く考えられてある転用計画と申しますか、転用の希望と申しますかのその一つであるというように了解しておる状態でございます。従いまして、これを今後総合的に考えまして先ほど総務長官からもお答えいたしましたように、地元の要望等も十分しんしゃくし、離職者対策に役に立つように十分配慮いたしまして、どういうふうに考えるかという点につきましては、関係各省とも十分緊密な連絡をとりまして打ち合わせて参りたいと、このように存じておる次第でございます、
  273. 吉田法晴

    吉田法晴君 福田長官は中座されたのですが、今までの室長なり、それから労働省あるいは調達庁、それぞれ答弁をここで確認を願うわけですが、転職対策について、出ます芦屋基地からの離職者、これをあるいは立川に持っていくとか、あるいは所沢に持っていく努力をしておるというお話がありましたが、その他就労対策を含んで、年内に全部仕事につけるという自信がおありになるのかどうか。そういう万全の態勢がとれておると思っておるのかどうか。その点を伺いたいと思います。  それから就労対策を含めて、芦屋の平和都市として、あるいは住宅健康地等のお話がありましたが、室長はそれについて地元とも打ち合わせて、町、県等とも打ち合わせてできるだけ協力したいというお話がありましたが、それらの点について政府として、あるいは官房としても御協力願えるか、その点を最後にお伺いしたい。
  274. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 何分にも、不幸にも職を離れた方が相当多数ではございますが、年内に何とかして全員を一つごあっせんして、自営業なりあるいは転職なり、処置を講じて年内に何とか全部解決いたしたいという考えは持っております。先般の相模工場の場合も、幸いほとんど全員近い者が一応の見通しがついたわけでありますが、労働省あるいは調達庁、中小企業庁、各行とも連絡してその目標に向かって全力をあけるつもりでございます。  なお、基地転用の問題は、室長からも答弁いたしました通り、いろいろ困難な事情もあるようでございますが、先ほど申した通り、地元の要望が一番大事な要素でございます。ただ、県側でまだまとまっていないようでございまして、この点がちょっと、私どももお待ちしておるような様子でありますが、御指摘のように、県の、また地元の御要望については、これは最大限生かすことは当然であると私ども考えております。
  275. 小柳勇

    小柳勇君 次は、芦屋と同じように、立川など米軍の移動によって失業者が出ますが、先日も質問いたしましたが、公にできないものはできないで、しようがありませんけれども、対策としては万全の対策を立ててあるのかどうか、ここで公表できるだけ詳細に御答弁願いたいと思います。
  276. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 立川基地における今後の解雇、離職等の見通しにつきましては、調達庁の方からまた御説明があると思いますが、われわれ労働省の側といたしましては、現地におきましてやはり芦屋地区と同じように、出張職業相談を行なうことにいたしております。これは現在実施しておりますが、今後においてもさらに積極的に行なって参りたいと思います。それから立川の職業安定所におきまして、関係者を含めました駐留軍離職者就職対策委員会を設けることにいたしております。これも現在すでに開きまして、関係機関との連携を密接にしておるわけであります。それからさらに求人開拓のための措置をはかるため、これも立川地区の安定所が中心になりまして、就職促進懇談会というものを設置しております。現在まで立川基地におきまして、昨年以来離職者が逐次発生しておるわけでありますが、立川の安定所におきまして、駐留軍関係離職者の求職を受け付けまして、就職させておる件数は大体一カ月平均二百人程度になっております。今後におきましてわれわれは、このような就職あっせんを、職業相談その他求人開拓等の連絡会議等を通じまして強力に推進して参りたい考えであります。なお、職業訓練につきましては、武蔵野職業訓練所の立川分室、これにおきましてトレース、謄写印刷、ブロック建築、配管工というような職種につきまして職業訓練を実施することにいたしております。
  277. 小柳勇

    小柳勇君 総務長官に質問なんですが、立川でもどこでも、芦屋でもそうですが、米軍が移動いたしますると、遊休施設は相当残るわけですね、そういう遊休施設に、第一はなるべく離職者に仕事をさせる、あるいは施設を貸与する、これが第一ですが、そこに企業を誘致してきた場合には離職者を雇う、雇用するということを条件にするというような法的措置はとれないものでしょうか、そういうことまでお考えになったことがあるかどうか。
  278. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 法的措置までは実は考えておりませんが、現実の問題としては、それを条件と申しますか、ついこの間の実は神奈川県にそういう問題がありましたので、一般の企業の誘致についての条件と申しますか、会社側にも直接申し入れまして最優先的に駐留軍の離職者を採用してもらいたい、これは実は県側に申し入れた例があります。従いまして、ケース・バイ・ケースで、今のところ私どもが、企業誘致の場合に、県当局なりあるいは当該の会社なりにかけ合いまして、やっておるわけであります。今までのところ法的にどうする、こうするということはまだ考えておりません。
  279. 小柳勇

    小柳勇君 それと同じような、似たようなものですが、そういう施設を払い下げる場合ですが、一つの条件として、そこに働いておった労働者を雇う、雇用を条件とする、そういうことも考えられないことではないような気がいたしますが、そういうことを地方の離対協でお考え願えないものかどうか、どうでしょうか。
  280. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 具体的に御指摘のように措置しておるわけでありますが、はたして法的にそれが保障と申しますか、裏づけできるかどうか、今後の問題として研究いたしたいと思います。
  281. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連して……。総務長官にお尋ねするのですが、過去三十二年から三十四年の間に、十万三千九百人の人が離職をして、そして職業あっせんの窓口に出てきたのはそのうちの二万九千六百、あとは自己就職だということで、職業の安定の面に出てきていない、こういう三年間の経過があるわけです。それでこの前の質問のときに、本年は大体数千人やめられる。芦屋千五百人の方は、一応今のお約束をわれわれは真に受けるとして、実施してもらうものとして、完全就職の道を開くとおっしゃった。立川は、ことしの三月で四百八十名、六月で五百数十名の人員整理が予定されていると私は聞いている。それにアルファ三千人か四千人という離職の問題がここに出てきているわけです。そうすると、先ほどの話をちょっと聞いていると、芦屋の何が、立川とかにふえるから、そこへ職場の移動云々というお話がありましたけれども、実際問題として、立川において千人以上の、六月までに離職者が出るという現実と、芦屋の離職者を移動するというのとは、だいぶ違ってくると私は思う。そういうことで、過去三年間の例をとってみても、七万人からの人が、このベースに乗ってきてないのですね。結局どうなったか。潜在失業者になったか、失業してそのまま困っているのか、把握ができない状態で、職場からおっぽり出されているというのが現実なんです。そうして数千人の人の、千五百人は保障がつきましたけれども、あとの五千人からの人の保障というものは今何らない。ただ、出張職業相談所を設けて云々というお話は毎回私はこの委員会で聞いている。聞いているけれども、結果的に、累計して十万の中の七万までがほっぽり出されている。めんどうが見られてないということ、それから廃した基地に民間企業の誘致の問題についても、なかなか進まない。私はやっぱり熱意が足らぬのではないかと思う。熱意が足らぬという面が一つと、現実に、数計的に、こういう犠牲者がたくさん出ているなら、国が責任をもって雇っていい人なんですから、たとえば移住資金をつけるとか、将来の保障をもっと正確にしてあげなければ、企業誘致の問題もむろん一番いいことだけれども、それがなかなか進まないとすれば、もっと法的に援護してあげるという心がまえがなければ、この問題はいつも私は十分な解決ができてないということを非常に残念に思うのです。だから、総務長官に一つそこらの心がまえを聞かしてもらわぬと、また、ずっと続けてきたお座なりに終わつてしまうのではないかと思う。そこらあたりを、ただ、出張職業相談所を作って云々とかいうお話でなしに、ほんとうに責任をもってやるのだ、責任をもってやれないときにはどうするのだということを、ここで一つはっきり聞かして下さいよ。
  282. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 御指摘の通り、この問題はなかなかむずかしい問題が、たくさん要素を含んでおると存じます。私どもとしましては、お座なりのいわゆる答弁でなく、実際問題としてこの問題を、ケースごとに全力をあげておるわけであります。いろいろまだ足りない点、あるいは考慮すべき点もいろいろあることと存じます。これは御指摘の点等につきましても、かねがね私どもも一応議論の対象でもありますし、何らかもっと根本的に解決するものがあるのではないか、こういう点も私ども今後も真剣に取っ組んで参りたいということを申し上げたいと思います。
  283. 小柳勇

    小柳勇君 その点について、今総務長官が言われたように、たとえば雇ったものには、法人税を減免するくらいの思い切った措置をやりませんと、年令もとっておりますから、ただ、職業訓練だけやりましても、就職の道は開けないと思いますから、あとでまた委員会の決議などお願い申し上げて、根本的な対策は別途考えたいと思いまするが、ただいまの答弁を誠実に政府としても実行してもらいたいと思います。  第三の大きな問題は、首切られます、あるいは企業を自分でやります、そういうことで金が要りますが、その場合の自立自覚のための金融の問題について総務長官にお尋ねしておきたいと思いまするが、労務者の、ずっと今までの実績を見てみますると、厚生年金を積み立てて参りますね。昭和二十四年度から積み立てて参りまして、女子が多い、あるいは早くやめるということで、掛け捨てになった金が今までで大体七十二億円ばかり、駐留軍労務者だけで掛け捨てたというわけです。で、自立自営のために金がどのくらい一年間要るかということを調査してみましたところが、国民金融公庫だけでも三十四年の九月まで二カ年間に申し込み件数一千五百件で、金額として一億五千万ばかり申し込んでおる。その中で決定されましたものはわずかに八百二十件で七千八百万円。あと、商工中金など若干ありまするが、こういうことで、申し込みは、まあ全体まとめれば五億から七億あるといいますね。ところが、それに決定については一億もないと、そういうことですから、まあ言い分としては、自分たちは厚生年金の掛金だけでも七十二億も掛け捨てたんだから、そういうものを担保にしてでも、あるいはできなければ何か財団法人を作るか、あるいは労働金庫の別ワクでもして、貸してくれないであろうか、低利で、しかも長期返済で貸してくれないものであろうかと、こういう切なる要望があるわけです。首切られて、どんどん仕事がありますとこういう要求は少ないと思いまするが、自分で仕事をするためには金がない、あるいは企業組合を作るにも金がない、こういうことであります。で、今回、衆議院の方で、離職者の臨時措置法の改正がなされておりまするが、あれでも、金のワクについては少し話がついたようでありまするが、もっと根本的に一つそういう立ち上がり資金なり、自立自営の資金の融資を国家として政府として考えてくれないであろうかと、こういう要望が切にあるわけです。そういう問題についてお考えになったことがあるか、あるいは具体的な策があるか、御答弁願いたいと思います。
  284. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 確かに、今までの金融の実績を見ますると、商工中金あるいは国民金融公庫、一億をわずかにこしているという程度であります。申し込みに対しましてまだまだ不十分の点が数字の上からも出ておるわけでありまするが、ただ、これによって一部の議論としては、特別に駐留軍離職者だけのワクを設けたらどうかという御議論もあります。これはなかなかむずかしい問題のようでございます。大蔵省その他とも打ち合わしたことがありますが、特定のワクを設けるということはなかなか困難でございますが、ただ、厚生年金の積み立てにつきましては、これは私は相当理由があるのじゃないか。御存じの通り、受給資格が二十年勤務でしかも六十才以上となりますと、駐留軍の勤務の特質からいって、これは資格にならぬ問題が一つある。御指摘の通りの、掛け倒れと申しますか、相当不利な条件をこうむっておる。これは私は理屈から申しましても筋が通ると思いますので、この点はまあ厚生省が主管ではありますが、何らか一つそういう不公平と申しますか、不利と申しますか、そういう点は一つ解決する道はないかどうか、今後も折衝を続けるつもりであります。
  285. 小柳勇

    小柳勇君 次の質問もありますから、私は質問をこれで終わりますが、要望としましては、来月に入って、各委員にお願い申し上げて、この委員会の決議として、どういうことを今求めておるか、将来についてどういう熱望があるかということを、決議としてまとめて、政府にもお願い申し上げたいと思いまするので、それについて一つ政府機関の御協力をお願い申し上げ、今後の最善の努力を要請いたしまして、質問を終わります。
  286. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私が、今問題になっておるのは、何といっても芦屋それから立川の問題だと思うのです。何といっても離職といったって歴史は私が申し上げましたような格好ですから、訓練云々ということでなかなか進まないので、私はやはり……追浜は幾らか具体化して参りましたようですが、あのようにしてやはり民間企業の誘致という問題を立川においても積極的にやらなければいかぬし、この関係市町村がこぞって誘致の問題を非常に熱心にいろいろの角度から相談されておる。私はやはりその相談されておる裏づけを政府がして上げなければいかぬ、もっと積極的にして上げなければいかぬということを私は特に思うのです。だから立川の今度の廃止される基地に対する誘致の問題、これは東京ですから条件が私は相当いいのじゃないかと思うので、そのことをお考えになったことがあるか。それからまた、どういうものを目標にして今お考えになっておるかということを一つ聞かしておいて下さい。
  287. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 先ほど答弁申し上げました通り、今までは企業誘致にからんで就労の道を開く、これはケースごとにやっております。なお、立川は実は私の地元でもありますから、市長その他と相談して微力ではありますが、最善の努力をしておるわけであります。
  288. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それからやはりこの対策の中で、市町村に対策協議会を置いてもっと積極的に上から下まで動くという態勢を一つ作ってもらいたい。それからもう一つは、駐留軍の労務者関係は防衛大臣になっておるというようなあいまいなことでなしに、総務長官が全責任を持つなら持つ、労働大臣が全責任を持つなら持つということを、これは一つ政府内ではっきりしてもらいたいと思うのです。この質疑の中で、場合によっては私の方、最終責任は防衛庁長官でございますとか、非常に責任のなすり合いになっておる。これは総務長官は今の内閣の番頭ですから、この点は駐留軍労務者についてはだれが閣内で責任を持つかということをはっきり一つ私はしてほしいということを強く申し上げておきます。小柳君から質問しましたから、いずれこの具体的な問題についてはいろいろともっとじっくり相談をしなければならぬたくさんの問題があるわけですけれども、これは一応まとめましてから問題を明らかにしたいと思いますからやめますが、この二点だけはぜひこの次の委員会までに明らかにしてほしい。責任閣僚を関係のある人にきちっとしてもらうということ、それから市町村にまで対策協議会を置いて、上から下まで一貫した対策を立ててもらう、これだけは一つ総務長官約束して下さい。
  289. 福田篤泰

    政府委員(福田篤泰君) 責任体制の問題です。これは総理ともよく相談しなければなりませんし、その点は検討さしていただきます。  なお、市町村ごとに審議会なりその他を設けたらどうか、こういうお話でありますが、この点も従来から議論がございまして、いろいろ検討した結果、今日では私どもはその必要はないのではないか。というのは、各地の実情を見ますと、各市なりあるいは町だけではとうてい解決できないような広範な問題が出ておりますので、むしろ今の都道府県単位といいますか、大きな単位にしておいて、そうして実際見ますると、横須賀でも呉でもあるいはその他の地区におきましても、必ず関係の市町村もそういう県なり府なりの対策の委員になって、むしろワクを大きくした方が解決するのにいいのじゃないか。問題が非常に広くなってきておりますので、今のところは、むしろ現在の規模が適当じゃないかというふうに考えておるわけであります。
  290. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはあなたの主観でしょう。実際問題として、市自身がやろうとする責任体制がないと、委員に入っておるというだけでは私はなかなかむずかしい問題があると思うのです。たとえば失対事業を起こすにしてもずっと差がついてくる。そういうこともあるのだから、あなたは今そういう見解ですけれども、一つ検討して下さい。私はそういう意見を持っておるのだから……。
  291. 高野一夫

    理事高野一夫君) 本件に対する本日の質疑はこの程度で終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  293. 高野一夫

    理事高野一夫君) それじゃ速記をつけて。
  294. 高野一夫

    理事高野一夫君) 国鉄における不当労働行為に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。なお、日本国有鉄道から中村常務理事出席されております。
  295. 小柳勇

    小柳勇君 私は昭和三十二年ごろから発生いたしております国鉄労働組合に対する国鉄当局の不当労働行為について質問いたしたいと存じます。  私の手元に今四月十六日付の北陸新聞それから同じ四月十六日付の北国新聞という二つの地方新聞があります。この新聞に、こういう大きな見出しで不当労働行為が報じられておる。見出しだけ言いますと、北陸新聞の方は、酒食で買収、職制を通じて組合に圧力、国鉄労働組合北陸地方本部金沢駅を告発か、ということで金沢駅における助役が酒食を供応して、国鉄労働組合からの脱退を勧誘し、第二組合へ加入することを慫慂しておるという事実、こういう事実が報ぜられておる。それから北国新聞、これも最近の新聞でありますが、見出しは、公費使って組合分裂工作、国鉄労働組合金沢支部、近く告発手続き、となって、四段で大きく報じておる、これは最近の新聞でありますが、私の手元には国鉄労働組合がすでに公共企業体等労働委員会に告発いたしました不当労働行為救済申立書があります。これはただいま新聞で報じられておりまする同じ地方の北陸地方本部委員長並びに国鉄労働組合の委員長が、国鉄十河総裁と金沢鉄道監理局長千葉照夫を相手取って公共企業体等労働委員会不当労働行為の申し立てをいたしておるのでございます。それからもう一つここにありますが、これは今月の末に国鉄労働組合中央執行委員長が国鉄総裁十河信二を相手取って公共企業体等労働委員会不当労働行為の申し立てをするのでありまするが、これは国鉄中国地方自動車事務所管内の広島自動車営業所及び秋吉自動車営業所に起こった不当労働行為であります。この三つの申立書の内容を読んでみますると、こういうことが書いてあります。昭和三十二年四月ころから昭和三十四年の十二月に至るまで二十八回にわたりまして国鉄は、経営教育講座を開催しておる、その国鉄経営教育講座の中で、国鉄当局は国鉄労働組合を誹謗し、また、総評を誹謗し、国鉄労働組合から脱退することを慫慂し、かつ第二組合を結成し、これに加入することを慫慂しているという事実であります。また、こちらの方の広島自動車営業所並びに秋吉自動車営業所における申し立てば、自動車営業所長、これは非組合員であります、それから助役、これも非組合員でありまするが、こういういわゆる監督の地位にある者が、ひまを見て、おりを見ては職員を自宅に訪問し、あるいは酒食を提供して国鉄労働組合から脱退することを慫慂し、第二組合結成を勧めておるのであります。この証言等をいろいろ読んでみますと、まことに目をおおうような人間性のみにくさを暴露しておるのであります。どういうことかといいますと、これはこの申立書の中に証言としてありますが、第二組合を作った者は、そういう現場長、助役は栄転しておる、あるいは第二組合に加入し、第一組合を脱退すると栄転するという事実が摘発されておる、また、悪いのになりますと、同じような事故を発生いたしておるにもかかわらず、第一組合、第二組合を差別して処分しておる、監督者は処分権がありますが、そういう処分を第一組合と第二組合と差別して処分しておるという事実がここにあります。それから職場大会に四名同じように出ておりながら、二名は第一組合員であったから処分を重くして、二名は第二組合員であったから軽くしておる、こういうような常識上もう初歩の労働法の知識がありますると明らかに不当労働行為であることがわかることを公にやっておる、そういう事実がここに列挙してあるわけです。それが昭和三十二年から今日まで続いておる、見るに見かねて国鉄労働組合から国鉄労働組合顧問である横山代議士、勝澤代議士に依頼して、特にひどい北陸地方本部に金沢鉄道監理局長を訪問してその事実を調査したところが、金沢鉄道監理局長は、この事実を若干肯定して、そして組合に対しては今後厳正中立不介入の立場を明らかにし、局報にその旨を掲載するということを岡代議士に約束しておるが、その約束は果たされておらない、そういうことでそれが今日に及んでこの不当労働行為の申し立てになったと言っているのでございます。今中村常務理事がここに列席されておりますが、このような昭和一十二年から今日まで継続して行なわれておる経営教育講座における不当労働行為並びに現場長、助役が職権を乱用して職員に対して権力をもって第一組合脱退、第二組合への加入を慫慂しておる、そういう事実を耳にされたことがあるのかどうか、これについて常務理事答弁を求めます。
  296. 中村卓

    説明員(中村卓君) ただいまの小柳先生の御質問にお答えいたします。  金沢監理局が三十三年度、四年度におきまして経営教育講座というものを持ちまして、国鉄の経営の現況、あるいは将来に対する認識、あるいは労働問題、服務規律等についての正しい認識と理解を持たせるというために職員の教育をやっていることは事実であります。しかし、その中におきまして組合に対する不当な干渉とか、あるいは、何と申しますか、いわゆる不当労働行為ということの事実は私どもの一応調査したところでは全然ないというふうに承知しております。  中国の方の問題につきましては、あまり詳しい情報はまだ得ておりませんけれども、われわれの方の少なくとも本社の指導方針といたしましては、そういう職権あるいは権力によって組合運動を分裂させるということは絶対にさせないようにこれまでも指導してきたはずでございます。
  297. 小柳勇

    小柳勇君 中村常務理事が十分下情に通じておらなければ、千葉局長なり加賀谷総務部長をここに参考人として呼んで聞かなければなりませんし、責任ある言葉を言われなければ総裁をここに呼ばなければなりませんが、できるだけわかっておるところは一つ誠意をもって答弁をされて、今後の処置について担当重役としての決意を私は聞いておかなければなりませんが、ただいま経営教育講座などについての不当労働行為の事実はないと言われるが、北陸地方本部では数回にわたって団体交渉をしておる。御存じのように、団体交渉というのは正規の公労法による手続でありまするが、その団体交渉によって議題となっておる。それから、昨年の地方大会では、これが議題となって、大会の決議となって、この問題の解決をするという方針が打ち出されておる。しかも、最近こういうような不当労働行為救済申し立てが労働委員会になされておる。これには、証人の証言もついておる。それでもなお常務理事はそういうことを知らぬと言われるのかどうか。
  298. 中村卓

    説明員(中村卓君) そういう経営講座があったということ、それからなお、それにつきまして、組合側から労働委員会に対しまして救済の申立書が出ているということは、十分承知しております。しかし、その内容におきましては、私どもの調べたところによりますと、申し立てとは相当いろいろな点で違った点がございますので、ただいま疎明手続を進行中でございます。そういう意味において不当労働行為はなかったものというように申し上げたわけでございます。
  299. 小柳勇

    小柳勇君 その不当労働行為の問題については、法的にこれは労働委員会で争う問題でありまするが、横山代議士などが現地に行って、局長と会って、じゅんじゅんと話して、将来厳正中立にやります、不当介入をいたしませんと言っておるやさき、なお、このような地方新聞に発表されるような事案があったということに対しては、どういうふうに考えられますか。
  300. 中村卓

    説明員(中村卓君) 私の方でもやはりその情報を得まして、一応調べてみました。ところが、私の方の調べによりますと、それは全部が会費をとって処理をしたというふうに聞いておりますので、特別に国鉄のいわゆる食糧費を使ったとか、そういうことは全然ないようでございます。
  301. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。今、中村さんは、不当労働行為がないとおっしゃるが、この申請資料を見ても、組合というのは国鉄の中で唯一な組合としてあって、その今ある組合に、第二組合らしいものができている。それを擁護するようにして、いろいろと加賀谷総務部長の発言なんかを見てみますと、最も露骨に国鉄の労組に対して批判を加え、総評にまで批判を加えるような議事録がここに来ているわけですがね。そういうことは、今不当労働行為の問題として公労委で疎明しておると、こうおっしゃるのですが、先ほどからのお話を聞いていると、そういうことはないのだと言うて突っぱられるけれども、私はそういう突っぱられるというようなことでいいのかどうかということを考えて、この新聞記事を見てみても、「公費使って組合分裂工作」という大きい見出しで、四月の十六日の北国新聞に出ているということなんです。それから、国鉄は全国で交通網の中心でありましてその組合と当局との間の問題ばかりでなしに、特に神経を使う交通労働者の中で、当局がこういう格好で組合に分裂工作をされるというようなことは、私はこれでいいかなと思って、そんなことがあるのかと疑問を持っておった。ところが、この資料を全部見てみますと、非常にたくさんな実証が上がってきているわけです。何を目的にこういうことをおやりになるのか。お話を聞くと、そういうことをやって組合から脱退する人をたくさん出したところの責任者は、非常に栄転が、どんどん特進というような格好で処置をされたということを聞いてくると、なるほど私は問題だと、こういうふうに考えておるのです。ですから、私はここでやはり、中村さんは、そういう組合に対する不当介入はしないのだということを——今までもしないのだと言われても、これがありますから、あなたが今までの問題が不当労働行為でないと言われれば、現地の人を呼んできて、その方々から私たちが事実問題として聞かざるを得ないと、こういうことになってくるわけです。審判は公労委でおやりになるでしょうが、こういう間違った行為は今後行なってもらっては困ると、私たちはそういう立場からこの国会であなた方の意見を聞こうとしておるわけです。話を聞いておると、そんなことはないのだと、やったことはありませんというだけでは、この書類も見ておられると思うのですが、何でしたら見ていただきたいと思いますが、そういう一片の御返答では、僕らも今ここで聞いていて承知ができないのですが、心境はどうですか。
  302. 中村卓

    説明員(中村卓君) ただいまお話がございましたが、私の方でも一応、もちろんこういう救済申立が出る前から注意はしていたわけでございますが、特にこういう申し立てが出ましたので、さらに調査をしたわけでございます。それに基づきまして、一応もうすでに審査委員長の峯村先生あてに答弁書が出ていると思いますが、その答弁書の中に、ただいまお話のありました加賀谷総務部長の発言については、申立書記載のことは言っていないと言っておりますが、答弁書の中にもそういうふうに書いてあるわけでございまして、一応私の方の調べによりますれば、そういう趣旨のことは申してないということになっております。
  303. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたの今おっしゃったことは、資料としてあるのですから、一つわれわれに出して見せて下さいよ。見せていただいて、そうしてこれに関係のある現地の人から私たちは聞いて、この問題を明らかにしたいと思うのです。ただ、あなたの方に、これはどうせ公労委で問題になりましょうけれども、こういうことが今日まだ続いておるということなら、私は今の労働法概念を理解しないものであると、そういう工合に考えておるわけです。いずれ、労働省もおいでのことですから、労働省はどの程度に把握しておられるか、順次あとから聞いていきたいと思いますけれども、私はそういう感覚で労働問題を見てもらっちゃ困る。あなたもりっぱな常務理事のお方でございますから、そういう労働関係の問題についてはよく把握しておられると思いますが、こういうことを指示をしたり、そういうことはなかったわけですね。
  304. 中村卓

    説明員(中村卓君) 先ほどから申し上げておりますように、われわれの立場といたしましては、決して組合の問題について不当介入とか、そういうことはしてはいけないというようによく指導しておるわけでございます。従いまして、ただいま先生のお話のありましたような指示は絶対にいたしておりません。
  305. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど小柳委員が、経営講習会の問題、それから不当処分の問題——処分権乱用の問題を具体的にあげて質問をしたわけですが、それに対して、経営研究会をやったことは認めると、しかし、その場で、不当労働行為になるような、第一組合を脱退して第二組合に入るように指導はしなかったと、こういうことを含んで、絶対に不当労働行為をしたことはありませんと、こういう答弁でしたけれども、小柳君は質問をいたしませんでしたけれども、あるいは三田村労研というものを使って、それに出席した者には六百円かの日当を出して出席に便宜をはかった、こういう事実もあったようです。なお、経営研究会、あるいは三田村労研、あるいは処分権の乱用、第二組合を結成させるがごとき処分の仕方、こういう問題について、横山君なり議員が監理局長に会ったときには、その相当の部分について認めて、そうしてその上で、そういうあれはいたしませんと、こういうことで局報に出すと、こういうことを答弁したというのですが、それでもあなたは絶対に不当労働行為をしたことはないと、こういうことを言われるのですか。
  306. 中村卓

    説明員(中村卓君) なかなかむずかしい問題なのでございますが、私どもの方で現在まで調べたところによりますれば、不当労働行為をやった事実は認められません、これははっきり申し上げられると思います。あと処分の問題その他につきましては、さらに具体的に当日の中身のバランスと申しますか、そういうことにつきまして一ぺん詳しく調査いたしませんと、はっきりしたことが申し上げられませんけれども、建前といたしましては、組合員が組合の所属が違うから片方を重くし、片方を軽くするということは絶対にしていないわけでございます。
  307. 吉田法晴

    吉田法晴君 三田村労研の問題を新しくつけ加えて、そうして金沢の監理局長不当労働行為があった点をある程度認めて、そうして今後それが繰り返されないように局報に掲載しましょう、こういう約束をしたというのですから、不当労働行為がその抗議の前にあったことはお認めになったと私は考えるのですけれども、それでもあなたは全然この金沢監理局の中でなかった、こう言われるのですか。当局として、国鉄本社として指示はしなかったという点はわかりますが、金沢の監理局において不当労働行為が全然なかったと、あなたはさっき全然という言葉を言われた、そこで、いきなり私はそんなばかな話があるか、片方が認めておって全然ないと否定できるか、こう申し上げたのですが。
  308. 中村卓

    説明員(中村卓君) 横山先生なり何かがいらっしゃったときの事情というのは、実は私の方へ詳しく情報が入っていないものでございますから、その点につきましては、できますればまた後ほど金沢の方に照会いたしまして御答弁申し上げたいと思います。  旅費の問題につきましては、業務命令を出しまして、出張という格好にいたしましたので、一応その業務命令による出張の旅費というのは支給するのが当然な建前の規定になっておりますので、支給したということでございます。
  309. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、経営研究会についても相当な、三田村労研の研究会についても出席を慫慂したが、なおそれについて旅費を出した、こういうことですね。
  310. 中村卓

    説明員(中村卓君) むしろ出張を命令したわけでございます。普通は私どもの出張はすべて一応命令という形で出ます。従いまして、その命令がありましたときは、本人が旅費の辞退をしない限り、旅費を支給するという建前でやっております。
  311. 吉田法晴

    吉田法晴君 三田村労研についてもそうですね。
  312. 中村卓

    説明員(中村卓君) 三田村労研というのは、実は私の方へ詳しいことを……、先ほどから私が申し上げているのは監理局がやっておる経営教育講座につきましても申し上げているわけでございまして、三田村労研の方につきましては、ただいまのところ、何も私の方に情報が入っておりませんから、はっきりしたことは申し上げかねます。
  313. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、先ほど答弁は、私は、三田村四郎氏の労働研究所、その講習会に慫慂をし、それからそこで国鉄の組合を誹謗し、それから第二組合を作らせるための指導をしたということが言われておるのだが、その講習会に旅費を出したか、こういうお尋ねをしたら、最初は認められない——経営研究会の一つとして三田村氏の、あるいは三田村研究所から来た講習会についても費用を出し、出張命令も出した、こういう御答弁と解してよろしいかということですよ。
  314. 中村卓

    説明員(中村卓君) 私の御説明が若干誤っていたかもしれませんが、私は出張命令を出したということについて先ほど申し上げましたのは、あくまでも経営教育講座についてのことでございます。あと三田村労研に関しまして、現地でどういう扱いをしたかということは、まだ詳しい報告が参っておりませんので、責任ある答弁はちょっとただいまの、現段階では申し上げかねるということでございます。
  315. 吉田法晴

    吉田法晴君 さっき出張旅費を出していると……。
  316. 中村卓

    説明員(中村卓君) これは経営教育講座の方でございます。
  317. 松永忠二

    松永忠二君 やはりそれと似たようなことでここに資料があるので、こういう事実を御承知であるかどうか、お尋ねいたしますが、金沢の鉄道監理局では組合のいろいろな情報については、ビラとか、そういう情報が現場長や助役の手で撤去されている、反面三田村の労研の発行のシグナルや民労新聞は金鉄局の事業用の皮袋に金鉄局の手によって入れられて発送されている。そうして北陸地労第二組合の情報は金鉄局総務部長の名で各職場に配布されておる。こういうことが、ここに出ておる、大体もらった資料に。こういうふうな事実があることを承知されておるかどうか。またこういう事実がもしありとすれば、これははなはだしく不当の行為だと、労働行為だとこういうように承知するわけですが、この点はいかがですか。
  318. 中村卓

    説明員(中村卓君) 一般に、第一組合といわず第二組合といわず、組合の掲示につきましては、組合と話をつけまして、一定のところに責任者が検印を受けて掲示をするということになっております。それ以外のものにつきましては、当局といたしましては、職権をもって撤去するという方針をとっております。従いまして、組合がちゃんとした一定の掲示場がございますから、そこへ掲示をするというのが今までの労働慣行でございます。  それからなお、三田村労研の資料あるいは第二組合のニュースが当局のルートを通して配られているということにつきましては、実は私初めて伺いましたので、調査いたします。
  319. 松永忠二

    松永忠二君 そういう事実があるとすれば、そういう事実をそのままにしておくわけにはいかないと私は思うが、これはいかがですか。
  320. 中村卓

    説明員(中村卓君) もしそういう事実が現実にありますれば調整したいと思います。
  321. 松永忠二

    松永忠二君 調整したい……。
  322. 中村卓

    説明員(中村卓君) 矯正ということでございます、正しいという……。
  323. 松永忠二

    松永忠二君 また同時に、今お話に出ておる三田村の労研については、ここに具体的な名前も出ておる。助役がそれに出るというなら勤務時間の都合をするから申し出てこい、こういうふうに言って公然と何回も要望した、こういうわけです。一面また、今度は支部の大会に出席するというときに、代議員が二十分、これを勤務時間の前に早退したというようなことで、これに対して、処分を行なっておるというようなことも、やはりこれもはっきり明確に記述されておるわけです。こういうような助役というような者が職権をもってやはり一つの研究会に出席をし、それを勤務の方の都合をするからといって要望するというようなことは、これはなすべき行為ではないというふうに思うわけです。同時に、たとえば支部大会等について勤務に非常に差しつかえのないような場合には、どこのいろいろな職場においても、二十分くらいの程度のことについてはお互いに便宜をはかる処置をするということは常識だと思うわけです。こういうようなことになると、やはり両者の間に差をつけて不当の、つまり干渉をしておるのではないか。経営者の方でやはりそういうような意図的な行為をしておるのではないかというふうにうかがわれるということについてはこれは当然だと私は思うが、この二つの点についてどういう御見解を持っておられるか。この点をお聞きしたい。
  324. 中村卓

    説明員(中村卓君) 実は具体的な事実につきましては、私の方はまだ調査不十分ではっきりしたものはございませんけれども、考え方について一応申し上げておきますと、勤務時間中でございましても、勤務に直接の支障がない場合には、一般組合員と申しますか、職員の教育その他につきまして特別な手だてを講ずる。たとえば一番はっきりした例を申し上げますと、鉄道教習所というものがございまして、そこに入れて職務講習をやる。こういう場合には、二カ月も三カ月も場合によりましては、勤務をはずしてそういうことをするわけでございまして、それの簡単な初歩的な形態として勤務に差しつかえない限りいろいろな研究会に出席できる場合は当然あり得る。  それからもう一つの御質問の、片方の組合に大会に対する便宜の供与でございますけれども、実ははっきり組合との間に取りきめがございまして、こういう場合には、いわゆる正式の組合関係の休日扱いをするということになっておるわけでございますが、それ以外には具体的に事情を調べてみないとわからないのであります。非常に勤務が忙しい場合には、たとえ五分あるいは十分でも職場を離れては困る場合もある。そういう場合には、職場からいかなる労働関係のそういう方がございましても、職場を離れてもらっては困るのではないかと思います。
  325. 松永忠二

    松永忠二君 私の申し上げておるのは、客観的に見てあなたの御判断を聞いておるわけです。教習所へ行くことについてどうこうというようなこと、こういうことについては、これは妥当だということはもうわかりきっておる。だから、三田村労研について助役がこれに行くなら勤務で都合するからということで勧めたと、そういう事実と、同時に片方では二十分前でも、支部の大会に、大体どこでもそういう程度のことで勤務に差しつかえない限り便宜をはかる、供与するということ、それだのにそれに対してそういうことを拒否をし、あえて出るというなら処分もするということになってくると、非常に均衡を失しているのではないかということを常識的に考えるのです。これはその通りだとあなたの方でもお考えになられるのか。いやそれはやはり助役がそういうことを勧めたって、それは勝手なんだとお考えなのか。やはりそういうものではないというふうにお考えになっているかということをお聞きをしているわけです。私はこういう点は、やはりはっきりわかるので、こういうことであるなら、これはやはり不均衡であるし、是正をすべき問題だということは明確だと思うのです。こういう点はやはり別に意図的にどうこうということでなしに、私は常識的にあなたの御判断を聞いているわけです。いや、それでいいんですというならそれはそれで私たちは別個の考え方を持つわけですけれども、こういう点について、公平に見てやはりそれが事実であるとすれば、どうも均衡を失しているのではないか、そういう誤解を受けるもとを作ることになりはせぬかということが考えられるというお話ならば、そういう御意見を聞きたいと、こういうわけです。
  326. 中村卓

    説明員(中村卓君) 具体的な事実がはっきり私の方にわかりませんので、結局ある意味で仮定に対するお答えというような格好になるかもしれませんけれども、ただいま先生のお話のような事実があったとすれば、見方によっては均衡を失しているのではないかと、そういうふうに感じられます。だから、あくまでも問題は、具体的な状況判断ということが一番基準になると思いますので、そういうことを具体的な問題の処理にあたりましては、やはり具体的な状況判断によって処理していくことが当然だと思います。
  327. 高野一夫

    理事高野一夫君) 五時までというのがだいぶ延びましたから、あと五、六分で終わるように、質問のある方は平均してやって下さい。質問答弁も簡潔に願います。
  328. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つお聞きしたいのは、やはりこれもまた具体的にはっきり出ている問題なんですけれども、この際もう少しやはり御調査いただくということで控えたいと思うわけですが、これはある係長の人が組合員に対して、上司の命令で第二組合を作るのだと、業務命令だからと言って脱退屈に署名捺印を強要したと、それからまた、同時に、ある経理課の人が組合の者に対して、もう署名したらどうだと、会計課の人は全部入っているのだから、その辺のところは適当にやったらどうだと言って、これの署名を勧めたという事実が記述されているわけです。これは明らかに不当労働行為だと思うのですね。こういう事実はあなたの方では今まで報告も受けたこともなければ、調査もされたこともなければ、承知したこともないということなのか、どうなんですか。
  329. 中村卓

    説明員(中村卓君) 報告を受けたこともございませんし、従って調査したこともございません。承知もいたしておりません。
  330. 松永忠二

    松永忠二君 委員長……。
  331. 高野一夫

    理事高野一夫君) 小柳委員に発言を許します。
  332. 小柳勇

    小柳勇君 きょうここで、社労で国鉄の不当労働行為質問するということは、もう先週からわかっておるわけです。それで中村常務理事は相当調査してこられたと思う。しかし、これか公共企業体等労働委員会不当労働行為の申し立てがありますから、そういうことでいろいろ支障もあるかもしれませんが、われわれとしては、もう少し具体的に質問を展開したいわけです。しかし、まあ今、松永委員質問しておられる具体的な事実については調査不十分だということであるから、それから先は水かけ論です。従って、問題は、そういうものがあった場合に対策はどうされるか、本社の方針はどうされるか、それが第一の問題です。  第二は、根本的に本社の方で指導してやっておるのか。各地方が本社の気に入るために鉄面皮にもそういうことをやっておるのか。これが第二の問題です。  第三は、今労使間で、ここに、社会労働委員会の問題にもなるし、あるいは労働委員会でも問題になることは明朗でないわけですね、国鉄としても名誉でないわけです。そういう不明朗な労使関係を打開するには担当重役はどうするか、この三つの問題を私はきょう明らかにされなきゃならぬと思うのです。それでないと、これだけ時間をかけて論議いたしましても、ただ平行線を、そうではありません、そうですと言ったって始まりませんから、今私が言った三つの問題、実際調査して、あった場合どうするか。それは本社の方針であるのかないのか。本社の方針であるならば、その方針をもう一度はっきり示さなければならないと思うが、それらはどうするか。第三は、労使間のこの不明朗な本部と本社間、それから地方本部と地方の局長間、そういう不明朗な労使関係を今後どう打開するか、この三つの点について誠意ある答弁を求めます。
  333. 中村卓

    説明員(中村卓君) お答え申し上げます。第一の問題につきましては、もしそういう事実が万が一ございますればこれは直していきたいと思います。  それから第二の問題につきましては、本社では決してそういう指導はいたしておりません。  それから第三の問題につきましては、私今までもそういう気持で組合と折衝なり協議なりしてきたわけでございますが、あくまでも誠心誠意を尽くして問題の解決にあたって、円満な解決にあたっていきたいと考えております。
  334. 松永忠二

    松永忠二君 関連……。
  335. 高野一夫

    理事高野一夫君) 簡単にやって下さい、時間がだいぶ過ぎていますから。
  336. 松永忠二

    松永忠二君 今私がいろいろ申し上げたことが、私のいただいたのにはそういうことが記述をされておる、こういうふうなことも明確に私たち申し上げたので、なお調査をするということを適確にやられるのかどうか、その点はどうですか。
  337. 中村卓

    説明員(中村卓君) 調査したいと思います。それで、その結果についてまた御報告申し上げたいと思います。
  338. 高野一夫

    理事高野一夫君) 皆さんにお諮りしますが、中村常務理事の御答弁の中にも、現地調査をしなければならぬ点がだいぶ出てきておるようでありますから、本日本件に対するこの質疑はこの程度で終了したいと思いますが、いかがでありますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めます。労働情勢調査に関する三問題の本日の質疑は、これをもって終了いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十七分散会