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1960-04-01 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月一日(金曜日)    午前十一時二十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員江田三郎君及び片岡文重君辞 任につき、その補欠として久保等君及 び田畑金光君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            徳永 正利君            山本  杉君            小柳  勇君            田畑 金光君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    労 働 大 臣 松野 頼三君   政府委員    警察庁長官   柏村 信雄君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    調達庁労務部長 小里  玲君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    外務省アメリカ   局安全保証課長  東郷 文彦君   —————————————   本日の会議に付した案件労働情勢に関する調査  (台湾周辺海域における米軍演習に  より影響された漁業問題に関する  件)  (駐留軍労務者離職対策に関する  件)  (三井炭鉱池鉱業所に於ける労働  争議に関する件)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから会議を開きます。  まず、委員異動報告をいたします。  四月一日付をもって江田三郎君及び片岡文重君が辞任され、その補欠として久保等君及び田畑金光君が選任されました。右報告をいたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、労働情勢の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。  まず、米軍軍事演習に関する問題について御質疑をお願いいたします。質疑のおありの方は御発言を願います。
  4. 高野一夫

    高野一夫君 政府側適当な機関にお尋ねいたしますが、少し事実が古くなっておりますけれども、今後のこともあるのでこの機会に確かめておきたいわけであります。  最近の事例といたしまして、三月十四日付で海上保安庁の方から警報が出まして、特に南九州方面警報が出て、そして台湾を含む広大なる地域、東経百十八度から百二十五度、北緯十八度から二十五度に至る、地図を見ましてもきわめて広大な地域において、海域において大規模の軍事演習が行なわれる、その辺に出漁している漁船警戒をするように、こういうことで警報が出たわけなんであります。これは米軍軍事演習でありますから、注意しろということも言いかねることと思うけれども、私は、申し上げるまでもなく、すでに沖縄周辺演習漁場を追われてしまって、それから少し南下したところでカツオマグロ漁船が出漁しているわけなんでありますが、こういうような広範囲にわたる演習のために、これまた不可能に陥ってくる、こういう事態が今後もひんぴんと起こるであろうと思うのでありますが、こういうような場合に、日本政府はどういう措置をとられるか。米軍軍事演習だからやむを得ない、こういうことであるか。それとも、何らか適当な話し合いでも今までの事例としてされたことがあるか、また今後どういう方法を考えたらいいか、こういうことについてのことを確かめておきたいと思います。
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま政府側出席者報告をいたしますと、労働省側からは松野労働大臣が若干おくれて入る予定でございますが、ただいま堀職業安定局長労政局四方労政課長出席をしております。ただいまの高野委員の御質疑に関連する外務省アメリカ局からは東郷安全保障課長出席をしております。防衛庁からは門叶官房長がやがて出席をいたす予定であります。調達庁からは小里労務部長出席をいたしております。なお、警察庁からは警備局本田警備第一課長がやがて出席をいたしますし、総理府からは佐藤総務長官出席予定でございます。  ただいまの質疑に対しまして政府側答弁を求めます。
  6. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) ただいま御質問のございました台湾水域における米軍演習でございますが、これはわれわれの了解するところによりますると、アメリカの第七艦隊と台湾軍との共同演習ということでありまして、公海における演習でございますので、その演習をやること自身は、公海における演習でありますのでいいとか悪いとかということにはならぬわけなんでございますが、特に今回の演習の場合には、わが国の特に九州南方海上は重要なる漁場であり、特に時期は漁期であるというので、わが方も非常にこれは大きな関心がありますので、米側に対しましては場所選択、特に時期の考慮、こういうことはもう少し考えてくれなければ困る、それから今回の演習に関する予告方法など、もう少し関係方面利害を考えて丁寧にやるようにというようなことを、話をさっそくいたしたわけでありますが、実はそのうちに、三月二十七日に演習は終わったということでございます。沖縄方面のお話もございましたが、これについても外務省から米軍アメリカ側に対しまして、日本側漁業利益を考えて場所最小限にするように、最も漁業利益のない場所を選んでやるようにということを繰り返し話をしておりますが、今回のような演習、今、台湾水域演習に関しましては、在日の部隊がこれに参加するというような場合には、あらかじめ事前通告がございますが、今後の問題としては、ただそういう面からのみならず、特にわが方の漁業利益その他に関係があるような場合には、あらかじめわが方となるべく相談をして、最も日本側に害のないようにというふうにいたしたいと思っております。
  7. 高野一夫

    高野一夫君 沖縄周辺の場合は、やはりこれは予告がなく、こちらの申し入れの済んだあとされたわけでありますか。沖縄周辺演習が起こるときには、政府にやはり警告を発しまして、それで政府の方から米軍に対して適当の措置をとってもらうように要望を出した事実がある。私もその一人なんですが、そういうような沖縄周辺でやった場合にも、やはり日本政府には予告なく、勝手に向こう公海であるというのでやったのであるかどうか、その点はどうなんですか。
  8. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) その点は私ちょっと材料を持っておりませんので、後刻お答えしたいと思います。
  9. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、今度はやはり外務省なりに対しまして、向こうの方からそういう予告がなかったのですか。海上保安庁から事前にそういう警報南九州あたりに出されたということは、海上保安庁はどこからそういうニュースを入れたのであるか。外務省からの通達であるとか、米軍から直接海上保安庁に申し入れて、少し漁船警戒をさせろという、こういうことであったのか、その経緯を一つ聞いておきたい。
  10. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 私の了解するところでは、ただいまの予告は、演習をやる直前になりまして、アメリカ側無線放送によって立ち入りを注意するようにということで、海上保安庁がそれに基づいて措置したのだと了承しております。先ほど申し上げましたように、あらかじめ場所、時期の選択等について極力日本側関係ある場合には相談するようにというのは、そういう直前無線放送というようなことより前の段階の問題としてうまくいくように努力したいと思っておるわけでございます。
  11. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、今まではやはりそういう立ち入り禁止みたような無電放送がなされるだけであって、日本政府向こうから予告をして、そうしてこの方面でやりたいと思うがどうかとか、日本水産関係はどうかとかいうような相談みたような話は全然持ちかけられたことはないのですか、事実として過去においては。
  12. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) ただいまの台湾水域演習でありますとか、フィリピン沖演習というような場合には、そういう意味でのあらかじめの相談というものはなかったと了解しております。
  13. 高野一夫

    高野一夫君 今後行政協定改定に伴って公海における水産業日本水産業が非常な危害、損害を受けるような場合には、何らか話し合うようなふうに改正することになったのじゃないですか。それはどうなったのですか。この間やった、審議したような記憶を持っております。これは党内の話ですが、何かそういう今後の改定によりまして、公海における米軍側演習をやる場合に、その演習の結果、そのこと自体が日本水産界に非常な影響を及ぼす、そういうような場合は双方が何か相談をして合意のもとにやらなければならぬというようなふうに改正をされるのと違いますか。はっきり記憶しておりませんが、きょう材料がないから……。
  14. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 公海演習と申しましても、同じ公海でも日本に非常に近い公海という面には、いわゆるアメリカのあれは、制限水域と申しますか、ちょっと字はど忘れいたしましたが、演習のための水域を指定しておりまして、これは陸上におけるいわゆる施設区域に準じた手続で公海上の水域を指定しておりますが、これは公海でございますから、日本の方から、日本政府米軍の使用に提供するということは根拠がないので、そういう意味ではいわゆる施設区域とは性質が違いますけれども、ただいまそういう特定の演習のための水域を指定しまして、いわゆる在日米軍演習はそういう所でやってもらう、そのために所要の漁業補償は別に講じておる、こういう仕組みになっておりましてこの点は新しい協定になっても変わらないわけでございます。ただ、今のような水域は、いずれも日本近海公海でありまして、台湾水域とか、フィリピンとかいう方面になりますと、そういう工合には現実の形としてはいっておらないわけでございます。
  15. 高野一夫

    高野一夫君 きょうは私の質問が主体で開いた委員会でもありませんから、この辺でやめますが、これは結局、新しい行政協定改定問題の論議に、安保の特別委員会等論議したいと思いますが、極東の範囲が問題になっておるけれども、この公海における、日本水産業影響のある公海での米軍軍事演習、これはやはり地域的に日本ほんとう近海公海のみをさすか、それとも沖縄周辺台湾周辺日本の最も大事な漁業区域である地域までは含まれないのかどうか、こういう点は相当論議しておかなければならぬ問題だと考えまして、ことに台湾米軍の非常に有力な基地になっておる。沖縄もしかり。しかも、その周辺九州、四国、紀州方面の有力な水産漁場になっておる。日本水産界の死活問題です。この点については、今後外務省十分一つ研究をしておいていただきたいと思います。適当な機会にさらに突き進んで私の方から質問をいたしたいと思います。それで、これはもう二十七日済んでしまったわけですね、演習は。もう済んでしまったので、この問題を取り上げても始まらぬわけですから、今後の問題について、その公海地域は、大体常識的にどういう程度と、日本近海も、いわゆる公海のみをさすか、こういうような所まで入れるかどうかという地域の問題については、今後論議の対象になるものと私は考えておりまして、同時に、そういうような地域において軍事演習が行なわれる場合に、日本政府との間にどういう話し合いをすべきであるか、これは非常に重大な問題だと思うので、外務省その他関係当局研究をしておいていただきたいと思います。
  16. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事務的ですが、三月の何日から始まったのですか。
  17. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 十四日から二十七日だと思います。始まりはたしか十四日だと記憶します。終わったのは二十七日だと思います。
  18. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これはね、これが一たびじゃない、何回もこういう状態が沖縄海域台湾海域または日本海域でそういうことがあるときには禁止——危険だから漁民は出ちゃいかぬということは体裁のいい禁止なんです。問題は、日本漁民日本の九千万の人口というものの死活問題ということになるわけですから、外務省としては、太平洋の百七十五度線から東側はアメリカカナダ日本との漁業協定日本漁船が入ってはいかぬというふうになっていますね、そういうことですか。
  19. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) ただいまの点は、私、ちょっと日米加国協定の詳しい内容を覚えておりませんけれども、百七十五度以東について抑制するというふうなことになっておったと思います。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたは安全保障課長であって、そういうことはわからぬというのは、これはどういうことかと私は言いたい。問題は、だから日本海域で自由にアメリカ演習する、おれはおれの方の都合で演習をするのだという格好で、漁民生活権に追われていると同時に、日本民族の死活の問題に関係してくるということなら、向こうが自由に入ってきて演習をするということなら、日本漁船一つ百七十五度線から東、アメリカカナダ海域をべーリング海まで自由に入って、日本漁業活動ができる、こればかりじゃありませんよ。さしあたり近いところで、太平洋海域はできるということを外務省はがんばらなければ、私は意味ないと思うんです。どうですか。
  21. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) べーリング海漁業についての日米加国協定は、三国の漁業当局科学的調査研究の結果に基づいて、資源保存のために同意のもとに漁業を抑制するという問題と思いますが、しかしながら、今公海上の演習という問題はそれとは別の問題で、普通公海の上で演習するということ自身は、それ自身でいい悪いという問題にはならないのだと思いますが、しかし、今回の場合のようにわが国利害に非常に大きな問題があるというような場合には、そういうことを最小限にするように今後努力したいと思います。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 そういうような地域で、たとえば今度三月十四日から二十七日までの間に、広大な地域に立ち入り禁止みたような通報があった、そうすると、ここに何十隻あるいは百数十隻の漁船が出ておって、これが入れない、非常な損失を受けるわけなんですが、そういうような日本水産業者のこうむる損害ということよりも、当然そこに行けば得られるべき収益が失われる、これに対して日本政府の方では何か補ってやる方法が現在ないのですか。ちょっと、これは調達庁関係か、どこでもけっこうです。
  23. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) われわれの方としましては、その演習の結果、非常に大きな損害現実に出たということでありますれば、あるいはその演習をやった国に対しまして、外交交渉によってその損害を請求するということになると思いますが、今回についてはまだそういう話がわれわれの方に来ておりません。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 それじゃ、現在今度の十四日から二十七日までの演習地域に出動しておった漁船の数並びにトン数というものは大体わかっておると、そうすると、その期間マグロカツオ等をどれくらいとれるかという予想もわかるわけです、常識で。そうすると、とってみないのだからわからぬけれども、当然その期間そこに就業すれば、これだけのマグロカツオがとれると、こういうような予想が成り立って、それを計算できます。それがとれなかった、従って米国から補償してもらいたいと、こういうような要望漁業協同組合等から出てきたらば、外務省は、それをもとにして、適正なる算定をされて、米軍の方へそれを要求すると、こういうことができますか。
  25. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 一般の場合に、公海演習した結果、すぐそういうことになることはないと思いますけれども、現実の結果が、たとえばアメリカ演習の時期の選び方が非常にまずかった、損害は非常に大きいというようなことが実際に起こったとすれば、そういうことはあり得ることだと思います。ただそれは交渉事でございますから、その結果どういうふうになるかということは、一がいにはわからぬと思います。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つお聞きしますが、それならば、私の方で直ちにその調査にかかります、そして、その結果を政府に申し入れさせます、そうすると、交渉事でありますから、相手が応ずるか応じないか、また応ずるにしても、金額の点において非常な相違が出るかもしれぬ。それはやってみなければわからぬけれども、日本外務省は、誠意をもってその基礎に基づいての折衝を始めてもらいたい。それは課長一存でも答弁にお困りかもしれぬから、どうぞ一つ外務省の方にお帰りになって、そういう事態が起こり得る、起こった場合は、外務省誠意を持って米軍交渉を開始すべきである、こういうことをわれわれの方から要望があったと、こういうことを、お帰りになってお伝えおきを願いたい。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も一つ意見を申し上げておきたいと思います。べーリング海にしたって太平洋にしたって、魚族保存という格好日本の船が入れないと、あなた一ぺん、太平洋を船に乗ってみられたことがあるかないか知らぬけれども、私も二十五年に太平洋を往復した。百七十五度線から向こうは、一日あの太平洋を船に乗っていても、退屈しないほどいろいろなものが多い。あすこから一たんこっちへ来たら、何も太平洋上には見えないという現状です。それくらい自然の資源があるのに、そういうところへ魚族保存だということで、一歩も入れぬ。日本漁民もそうだし、日本民族が生存をする上に必要なところにそういうふうなのがどんどん入ってきて削減されると、こういうことでは、私はモットーとする平和外交、世界の人類の幸福に生きる立場からいっても、あまりにも外交政策の腰が弱過ぎる。私はあなたに言うのじゃないけれども、あなたからよく伝えてもらって検討してもらいたい。これだけを私は言っておきたいと思います。いずれまた大臣その他に来てもらって高野さんと一緒に議論しましょう。ほんとうに私は残念だと思うのです。
  28. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、米軍演習問題に対する質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  30. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、駐留軍労務者離職問題について御質疑を願います。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 長官大臣が見えませんので、いずれ見えると思いますから、そのときに具体的な質疑をいたしたいと思いますが、さしあたり担当者がおいでになっておりますので、どうかこれを先に知らしていただきたいと思います。一は、労務者の現在数、それから二、この将来の推移、それから三番目は保安解雇のその後の状況、それから離職後の就職状況、国の今日まで特別離職法に関してめんどう見てきた事例として、ハイヤー、タクシーの免許の問題とか、国有財産の問題、企業組合としての融資の問題、こういう問題がどうなっているか。それからさきの離職後の就職状況の中で、どういう処置を講じて、就職をさしているかということを、つけ加えてお願いしたい。六番目に特需工場転換状況、それから特需事業の将来の見通し、それから特需労働者失職、それから就職状況、一度に言いましたが、順次お答え願いたいと思います。
  32. 小里玲

    政府委員小里玲君) 労務者の現在数を申し上げます。ことしの二月一日現在で六万二千四百二十二名、これは間接雇用でございます。それから去年の十二月末で直接雇用労務者が約一万五千人、それから次に今後の推移状況でございますが、昭和三十五年度中に、これははっきりした数字はわかりませんが、大体数千名の人員整理が行なわれるであろう。御参考までに昭和三十二年度、三十三年度、三十四年度の人員整理状況を申し上げますると、昭和三十二年の四月から昭和三十三年の三月までに、人員整理いたしました数が三万四千百五十八人、それから昭和三十三年の四月から昭和三十四年の三月までに人員整理を行ないました数が二万七千二百七十六人、それから昭和三十四年四月から昭和三十五年の三月末まで、と申しまするのは昨日まででございますが、昨日までの正確な数字がまだ全国から集まっておりませんので、多少三月末の数字には予想も入っておりますが、それを含めまして昭和三十四年度中に九千四百六十七名という人員整理が行なわれております。最初に申し上げましたように、昭和三十五年度は数千名という数字でございまするので、過去の人員整理状況から言いますると、多少その傾向は鈍化しておる、こういうことを申し上げることができると思います。  それから次の保安解雇の数でございまするが、昭和二十六年の七月、これは基本労務契約の古い契約、すなわち私ども旧契約というておりますが、旧契約が締結をされまして発効しましたのが昭和二十六年の七月一日でございまするから、それ以後ですね、それ以後、昭和三十四年の十二月末までに保安解雇によって離職をいたしました人数が三百七名でございます。その次のお尋ねの、離職後の就職状況、これは労働省の方から御説明いただいた方が適当かと思います。  それから次の、国の免許でございますとか、融資、そういった国のめんどうを見た件数、これは全般的には、あるいは内閣の方からお答えいただいた力が適当かとも思いまするが、ここに数字がございまするので、私から便宜申し上げたいと思います。一番国の免許可事業のうちで重要な案件といたしまして、自動車運送事業免許並びに自動車整備事業の認証というのがございますが、これを、件数を申し上げますると、一般乗用旅客自動車、この申請件数が百四十六件、そのうちで免許になりましたものが二十一件、それから却下されましたのが三十九件、それから取り下げましたのが二十三件、従って未処理件数といたしまして六十三件、これが一般乗用旅客自動車関係でございます。それから貨物自動車、これの申請件数が十四件、免許件数が七件、却下件数六件、取り下げ件数一件、未処理件数ゼロ、それから自動車整備事業、これは申請件数が十七件で、認証されましたのが十七件。  それから次に、政府関係金融機関融資関係を申し上げます。最初国民金融公庫でございまするが、昨年の末までの件数といたしまして、申し込みを受け付けました件数が一千四十件、金額にいたしまして二億四千二百七十七万一千円、以上の申し込み受付の中で融資の決定いたしました件数が四百九十件で、金額にいたしまして六千八百四十四万円、これが普通貸付でございます。  それから更生資金貸付といたしまして、申し込み受付件数が四百六十七件、金額にいたしまして二千三百六十万四千円、これの融資の決定いたしました件数が三百六十五件、金額が一千四百七十三万九千円。それからその他というのがございますが、その他国民金融公庫関係申し込みを受け付けました件数が二十件、金額が百七万六千円、この受付に対して融資決定が十五件の八十万三千円、これを合計いたしますると、普通貸付更生資金貸付、その他全部合計いたしまして、申し込み受付件数が一千五百二十七件、金額にいたしまして二億六千七百四十五万一千円、それの融資の決定いたしましたのは、八百七十件の八千三百九十八万二千円、以上が国民金融公庫関係でございます。  それから次に、商工組合中央金庫、これの昨年末までの計は、融資決定件数が五十七件、金額にいたしまして四千三百五十五万五千円、以上でございます。  それから特需工場転換関係並びに企業誘致関係につきましては、後ほど総理府の方から全般的に御説明をいただいた方がいいと思いますので、それに譲りたいと思います。  それから特需工場失職状況、これにつきましては、調達庁関係としては資料が十分ございませんので、ほかの方から答弁いただきたいと思います。
  33. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 駐留軍関係離職者状況でございますが、三十二年六月から三十四年の末までに発生いたしました駐留軍関係労働者離職者の数が、約十三万四千人でございます。そうしてそのうち職安の紹介によりますところの就職者の数は約二万九千六百人になっております。それと並びまして自己開拓、縁故募集等によります就職者の数が約六万九千名でございます。それから三十二年六月以降三十四年のこれは九月末までの数字しか出ておりませんが、結成された企業組合等の事業団体に従事しておられる方が、約五千三百名でございます。  次にこの離職者につきまして、現在労働省といたしまして、調達庁その他関係各省と密接な連絡をとって実施しております方策につきましては、中央・地方の離職者対策協議会におきまして、離職者対策の大綱を立てまして、これを実施しておるわけでございますが、さらに具体的に申し上げますると、まず第一に現地におけるところの就職あっせんを、計画的に実施するという方法を講じております。すなわち公共職業安定所におきまして出張職業相談、それから求人開拓等を現地において実施いたしまして、具体的な相談に応じ、これを可能な求人先に配置転換職業あっせんをさせていくという方法、それから二番目に職業訓練を拡充強化しております。これは一つは公共職業訓練所、一般の訓練所、あるいは総合の職業訓練所に入所させまして技能を身につけてもらって、再就職の促進をはかり、それからこれと並びまして、家事サービスの職業補導というような、簡易な職業補導も実施しております。それから第三番目に労働省といたしましては、公共事業等を、駐留軍等の離職状況の悪い地域から指定いたしまして、ここにおいて重点的に実施して参る、このようなことをやっております。なおそのほか、これは私の方の直接の所管ではございませんが、関係官庁の方から御答弁があると思いまするが、自営業業企業組合等の設立、それからそれに対するところの援助、貸付というような措置を講じております。  以上のような対策を講ずることによりまして、駐留軍の離職者の方が、新しい職場を見つけていただけるように努力しておるところでございます。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つですが、今のお答えの中になかったのですが、国有財産の払い下げを企業組合にどういう工合にやっているか、そういう問題がありますね。それから特需工場転換の問題はそれはどうなっているか。それからちょっともう一つ保安解雇された三百七名ですか、この方々のいろいろ係争があったと思うのだが、その係争の決着は内容はどうなっているか。
  35. 小里玲

    政府委員小里玲君) 国有財産の払い下げの状況を申し上げますると、申請件数が二十九件でございます。そのうち処理件数十一件、その十一件の内訳は、国有財産を払い下げたのが七件、それから貸付をいたしましたのが四件、それから未処理件数が十八件である。それから米軍の返還物品を離職者の団体に払い下げをいたしておりまするのが、合計で百二十件で、金額にいたしまして、一千一百七十六万七千円、こういう数字でございます。それから保安解雇の三百七名のうち、この裁判所あるいは労働委員会等に提訴をいたしましたもの、それが百二十八名でございます。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 百二十八名提訴しておるけれども、全部だめだということですか。
  37. 小里玲

    政府委員小里玲君) 提訴をいたしまして、最終的な判決が確決をいたしておりますのが六十四名、そのうち、政府側が勝訴になっておりまするのが五十二名、それから政府側が敗訴になっておりまするのが十二名でございます。あとはまだ確定判決がおりてない、こういうことでございます。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで失職された方の問題だが、三十二年から今日までの合計は調達庁関係でいくと何ぼになるか、七万くらいですね。労働省関係でいくと、十二万四千人、これは特需労働者を含んでですか。
  39. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) これは入っております。特需関係を含んでおります。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、十万三千九百人━━一応推定された就職、それから自己就職企業団体を含めて十万三千九百人、大体そうすると二万五千人が失職ということになりますね。間違いないですか。
  41. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) それ以外の方につきましては、帰農された、あるいは労働市場から引退されたというような方がございます。それを除きまして、現在求職中である、あるいは失業保険を受給しておられるという方の数は、これは一応われわれの方の昨年の暮れの推定でございますが、一万二千人。従いまして、それ以外の方は職安の窓口に出てきておいでになりません。帰農をしたとか、あるいは労働市場から引退したということになるのではないかと、このように考えております。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今保険をもらっている人と職安の窓口に現われている人が一万二千人、それからあとの人は、結局失業か失業でないかわからぬ。こういうことになるわけですね。
  43. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 職安の窓口に求職においでになってないという方でございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、昭和三十二年六月から十三万四千人という中で、今現われているのが一万二千人だというのだが、この中で、特需の労務者と、それから間接雇用、要するに駐留軍労務者等の失職関係はどうですか。
  45. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) ただいま手元に持ち合わせておりませんので、後刻調査して申し上げます。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、最近における数千人━━きのうの芦屋で首を切られた人なんかは三十四年度に入るわけですね。だから、それ以後に数千人というのが首切られるということになっておる、本年。この前も調達庁長官労働大臣に言ったのだけれども、この数千人というものは、芦屋ばかりでないのだが、国が雇って間接雇用といったって国が責任を持って雇う、こういう観念になっている。雇主がやはり責任を持って、あとの就職の問題、生活の問題を処理しなければならぬということだと私は思うのです。しかし、十三万何千人の中で、特需の人がおいでになるかしれませんが、これで大体七万くらいで、あとの五万幾ら、六万四千ですか、その方も特需とたとえばするとしたら、問題があるのは、国がめんどうを見なければならぬ人を、単に職安の窓口に来た人だけしか把握してないという状況で、結局潜在失業、要するに苦しい生活の中で、たとえば親戚をたよっていってそこに潜在してしまう。他の人の助力を得て生活を続ける。こういうことにおっぽり出される現状ではなかろうか。積極的に、離職した人について一々私は、特に駐留軍の労務者に対して、その就職をあっせんするまでのめんどうを見るという気持だけではなしに、手続、それから処置というものはどういうふうにされておるか、それを聞かして下さい。
  47. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 調達庁の方からまた追加してお答えがあるかもしれませんが、われわれの方としてまずとっております措置を申し上げます。お話のように、離職されます方につきましては、これは特殊な事情に基づくものでございますから、積極的に御相談に応じていく。この態勢を整えなければならないことは、われわれ痛感しておるものでございます。最近最も問題になっておりますのは、御承知のように、芦屋地区、それから特需関係では相模工業、これが問題になっております。そこで、どんな措置をとっておるかと申しますと、これは、職業安定所にすわっておって、そこに来た人だけを受け付けるということでは、お話のように非常に消極的になると考えます。そこで、これは調達庁とも御相談をいたしまして、出張をいたしまして現地におきまして総合職業相談というものを実施しております。この芦屋基地の関係について、これは三月で四十五人、四月で四十五人まず離職される方が出てくるわけでございます。この方々につきまして今のような総合相談を行ないましたが、相談に応ぜられた方は八十七名でございます。そして、この相談におきまして、御本人の希望を十分伺いまして、またその人の能力等も相談をいたしまして、これを、職業紹介による配置転換あるいは職業訓練所もしくは簡易職業補導に振り向ける。あるいはそこまでいかない方については、自営業の相談に応ずるというようなことを、職安と調達庁関係の係官が共同いたしまして、現地において御相談に応じていく。このような態勢をとっております。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その具体的な問題はあとですが、一般的な問題として、都道府県に対策協議会があるのですけれども、今までから問題になっているのは、市町村にまで協議会と同じような仕組みをおろせ、そうでないと実効が上がらぬじゃないかということが議論としてされているわけです。私もそう思う。それから特別給付金、この前最後は最高一万円になったんだが、あれでよいのかという議論があります。われわれは少なくとも五万円上げなければいかぬじゃないかということを主張して参った。  それから三番目は、訓練手当とか、移住本当。要するに、炭鉱離職者でやりましたが、ああいう格好で何とかめんどうを見る方法がないか。こういう問題。  この三つについてまず聞きたい。
  49. 小里玲

    政府委員小里玲君) 市町村に離職者対策の協議会を設けるべきであるという議論は、労働組合等からもございますし、中央の離職者対策協議会でしばしはこの問題も検討をいたしましたのでありまするが、都道府県に設けてありまする協議会は、企図、立案、調整ということがおもなる仕事でございまして、実際の実行機関ではないというような意味合いから、現在の都道府県の協議会で十分であろう、こういうことで、政府といたしましては、市町村までこれをおろすという必要はない。こういう結論で現在まで来ておるわけでございます。  それから次の特別給付金の問題でありまするが、この問題につきましても、これを増額しろ、あるいは支給の区分を是正しろ、こういう要求が、労働者あるいは労働組合からございまするわけですが、これにつきましても、政府部内でいろいろ検討を加えております。ただいまのところといたしましては、特別給付金を直ちに増額するということは、この制度を設けましてからまだそんなに年月もたっていない、また事情が非常に変更を来たしておるということでもございませんので、制定当時の基準並びに額で妥当であろう、こういうことで、現在まで制定当時のままでやってきておるわけであります。もちろん雇用主の立場といたしまして、調達庁自体としては予算が許し、事情が許せば、できるだけ手厚い措置を講じたいという気持は持っておりまするけれども、他との均衡その他各般の事情から直ちにこれを増額するということは、政府全体としては妥当でない、こういう結論になっておるわけでございます。訓練手当の方は関係省から申し上げます。
  50. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 職業訓練手当等の問題につきましては、これは今回御審議をいただきまして失業保険法の改正が成立いたしました。これはさっそく四月から実施に移す予定でおりますが、これによりますると、一年間は失業保険の、訓練中は失業保険の受給期間を延長すると、このような措置がとられております。大体駐留毒の離職者の大部分は、これの失業保険の受給の資格者でございまするから、今回の改正によりまして相当明るい見通しが開けたのではないか、このように考えております。  それからなお、失業情勢の非常に悪い特別の地域につきましては、これは広域職業紹介命令を発動することによりまして三カ月間さらにプラスして、失業保険金の支給を行なう、あるいは早期に就職されました方につきましては、就職支度金三十日から五十日を支給するというような道も開きまして、なおこれに既存の制度といたしまして、移転費━━移転料でございます。失業保険の移転料の制度もございます。これらをからみ合わせて参りまして活用して参りますれば、従来と違いまして駐留軍の離職者の方にも明るい見通しが開けたのではないか、このように考えております。  なおさらにそれに加えまして、特別給付金、これを増額したらどうかというような問題もございます。これらの問題につきましては、労働省といたしましても、調達庁とただいまよく連絡しまして検討しておるところでございます。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 特別給付金というのは、どういうものですか。
  52. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 特別給付金でございます。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どういうものですか、内容は。
  54. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) 私の申し上げましたのは、駐留軍の離職者の臨時措置法に基づくところの特別給付金の意味でございます。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つそれじゃ炭鉱は、あの事業整備法の関係で移住資金というものをお出しになる、それは一つの法律によって事後処置ということになる。この駐留軍の離職者はわれわれが何といったって国が責任をもって労務を提供する、国が雇って提供する。はっきり言えば国家公務員、それを基地がなくなったからもうそれをそのまま切ってしまう。本人の意思で職安の窓口に来なければ、今現地で相談に乗るとおっしゃったけれども、実際に適当な処遇といいますか、相談といったって全部百パーセント雇います、その中で選択しなさい、ということじゃないと思う。だから、そういう格好でおっぽり出すのですから、そこに職がないときには炭鉱以上の移住資金というものを出して然るべきだと私は思う。それはどうですか。
  56. 堀秀夫

    政府委員堀秀夫君) ただいま申し上げましたように、失業保険の受給資格者が大部分を占めておられますので、この方々につきましては、今回の改正によりまして、三つの制度をからみ合わせて参りますれば、事実上相当額の支給ができるだろうと考えます。なお、さらにこれにプラスして支給すべきかどうかという問題につきまして、これは支給するとすれば、駐留軍の離職者の臨時措置法に基づく特別交付金等を増額してはどうか、こういう問題になるわけでございますが、この問題につきましては、調達庁労働省等におきまして目下鋭意研究しております。大体われわれの労働省といたしましては、失業保険法の改正によりまして、この受給資格のある方については、御承知のようにかなり明るい見通しが、これで開けることになったわけでございまするが、それだけでは不十分ではないかというような御議論もありますが、この点については目下研究しております。
  57. 小柳勇

    ○小柳勇君 藤田君と同様に、私も新安保条約の改定に伴いまして、米軍が移動いたしますと、それに労務を提供されておった労務者が配置転換なり離職いたしますので、質問いたしていきたいと任じます。ただいまの藤田委員質問の中で、現在の労務者の数が間接雇用が六万二千四百二十二名、面接雇用は一万五千名ということは明らかになりましたが、これから安保条約があるいは改定されるかとも思います。それに伴って米軍の移動などによって、この労務者の、これからとういうふうに推移していくか、各基地の米軍の移動によって、この労務者がどのように数が推移していくかということについて、調達庁なり防衛庁なり、あるいは労働省でどのように把握しておられるか、一年くらいの見逸しでもよろしゅうございますから、わかれば、将来のことはよろしいのてすが、一年くらいの見通しでもよろしいので、これを一つ説明願いたいと存じます。
  58. 小里玲

    政府委員小里玲君) 新安保条約が発効し、あるいは新行政協定が制定を見ました際に、米軍の移動が相当行なわれるであろう、それに関連をして労務者推移はどうか、こういうお尋ねでございまするが、ただいままで調達庁として米軍と折衝いたしました過程の中におきましては、新しい事態に関連をいたしまして、米軍が大々的に移動をして、そのために労務者の解雇あるいは配置転換等が行なわれるという情報には接しておりません。米軍からできる限りわかる範囲の労働者の推移状況等についての事前情報を日本政府の方にもらっておりまするが、それによりましても新事態に伴っての変動ということではなしに、従来から米軍の予算がだんだん少なくなってくる、あるいは多少の部隊の移動とか当地の閉鎖というような、従来から引き続いておったような現象のもとにおける人員整理という形で米軍から情報をもらっておるわけでございまして、従いまして、六万二千の労務者が新事態によって大きく、動ずる、解雇になるということはただいまのところではないものと思っております。今後一年ばかりの同に労務者が集中的におります神奈川県あるいは東京都、埼玉県、福岡県、その他の地域において全体として数千名程度人員整理があるであろう。その中に最近一番まとまって人員整理の出ておりまするのは、今年の十二月末をもって返還の予定されて参おりまする芦屋基地の約千五百人の解雇という問題でございます。以上のような次第でございまするが、ただ、ここで変動があるという面から申し上げまするならば、行政協定の改正によりまして、直川労務者間接雇用に切りかわるという事態が出て参ります関係上、一万五千人ばかりの労務者が、一応全体として間接雇用に切りかえられる。ただ、間接雇用労務者の中には非常なPX、クラブ、大きな組織のものもございまするし、あるいは数名でもってやっているようないわゆる歳出外資金というものもございますし、これがどういう形において間接雇用に切りかわってくるか、その切りかえの際に、やはり多少の変動は行なわれるであろうということが予想されまするし、また、今後切りかえにあたりまして、日米間で新しい契約等も結ばなければならないということが予想されますので、その切りかえの時期等についてはまだ明確ではございませんけれども、いずれにいたしましても、新行政協定によって変動と申しますれば、直用労務者が、方針として間接雇用調達庁雇用主になる間接雇用に切りかえられる、それによる変動があると、こういうことが予想されるというふうに考えております。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは各基地の労働者がとった情報でありまして、調達庁でも十分御存じとは思いまするが、たとえば立川基地、横田の空軍基地、昭和空軍基地、それから田奈の弾薬庫、相模原の補給部隊、ジョンソン空軍基地、それからその他埼玉の所沢基地などでも軍の移動によって労働者として非常に不安な情勢にあるようです。今調達庁答弁を聞きますると、まだ軍の移動もはっきりしていないし、このようなものについては軍の移動が明らかにならないと労務者異動については推定もできない。それはまあ当然のことであろうと思います。ただ、こういうふうに情報が流れて、安保新条約が批准されたら米軍はこう移動するからこうなるだろうという情報もあろうし、あるいは新聞の情報などによってその推定が的確に当たることもあるでありましょうが、そういう場合に、芦屋基地の問題については、あとで具体的に質問いたしますが、芦屋基地のように突然米軍から首切りが通告されるようなことがありますと、政府としても困るでありましょうし、離職者としてもまことに迷惑なことであります。従って、そのような軍の移動に対して、基地の労務者の配置転換離職に対して、行政協定改定の中で若干改定されて参りまするが、交渉の過程でどのような話がなされたか。今新しい労務契約がなされておりまするが、その基本労務契約についても将来改定がなされるか、なすお考えがあるのかどうか、その点について御答弁願いたいと存じます。
  60. 小里玲

    政府委員小里玲君) 御指摘のように、労務者の解雇その他移動がございまする場合に、前に米軍から日本政府に情報をもらい、それに従って日本政府が来年と折衝をする、いわゆる出前協議をするという建前で現在の基本労務契約ができております。まあ普通の企業と異なりまして、軍という特別な機構を持っておりまするところでありますので、突然に基地の閉鎖、あるいは部隊の移動というようなことが行なわれる場合もございまして、この事前協議ということが普通の企業のような場合に計画的に相当前から行なわ、れるということにはなかなか参らないような事情もあると思いますが、しかし、建前といたしましては、事前通告を受けて日本政府米軍との間でできるだけ犠牲打を少なくするという意味において話し合いをする、こういう建前になっておりまして、従って、この方針は新しい行政協定下においても引き継がれていくものと私どもは思っております。従って、今回の行政協定の改正によりまして、そういう人員整理関係をした一連のたくさんな規定が恥本労務契約の中にございまするが、新しい事態に対処してこの中の規定を改正をするという必要の個所は、ただいまのところでは私としてはそういう個所はないと、ただ、実行上できるだけ早く詳細に日本政府との事前協議を行なう、こういう方針でやってもらうように、米軍も今後一そう要求もいたしたいと考えておりますが、規定自体としてはこれを改正をする必要はないものと考えております。ただいま御指摘のございました各地域における人員整理の問題にいたしましても、これは現地投降あるいは中央段階において米軍から直接個々の労働者の解雇の通知をいたしまする前に、相当以前に情報をもらって、それに基づいてそれぞれ軍折衝をする、こういう建前でやっておりまして、行政規定の改正後におきましてもこの方針でやって参りたいと思っております。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 確かめておきますが、労務部長だからはっきり言われぬのかどうかわかりませんが、そうであるというと調達庁長官に来てもらわなければなりません。私がただいま言いましたような基地では全然心配はないと労務部長は思っておられるのかどうか、ここに書いてあるように若干の心配はあるけれども、まだ正確に軍の移動もわからぬし、軍からも何の話もないからただ想像であろうとか、あるいは全然のデマであろうとか、そういうことですね。若干のそういう心配はあうけれども、まだそれは将来のことですから、それじゃ心配が出たならば労務者と前もって話すと、労働組合と前もって相談する、そういうことでございますか、いずれですか、はっきりしておいてもらいたい。
  62. 小里玲

    政府委員小里玲君) 米軍から事前人員整理その他の情報を日本政府がもらっておりまするが、この数字は、相当期間をおいて以前に行なわれまする場合には、非常に不確かな数字でございまして、その不確かな事情でも日本政府としてはやはり一応そういう数字をもとにしていろいろ施策も講じなければいけない、こういうことでその数字をもらっておるわけでございまするが、具体的に各基地においてどれだけの労務者が解雇になるかという際には、これは御承知かとも思いまするが、四十五日前に向こうから労務管理事務所の方に通告がなされます。しかし、四十五日前、すなわち労務者に通告をいたしまするのが三十日前、解雇になります日からさかのぼって三十日前、その三十日から四十五日までの間の十五日間を日本政府米軍との折衝、事前協議期間、あるいは労務者の解雇の手続をとる期間、こういうことになっておりますが、その四十五日のそれ以前においても労務者の解雇の数等が確定いたしました場合には、こちらに数字をもらいまして、それに基づいていろいろな観点から対軍折衝をする、こういうことになっておりますので、御指摘の、各基地における人員整理のうわさといいまするか、新聞情報その他、私どもとしてもはっきりそれを確認しておるわけではございません。ただ、全般的に申し上げますることは、来年度の数千名というものは、東京、神奈川その他労務者のたくさんおるところから、従来のような人員整理の理由、すなわち、予算の削減でありまするとか、あるいは機構の縮小というようなことから人員整理が出ると、こういう情報をもらっておるわけでございます。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 米軍の移動の数字は、どのくらいまで持っておられますか。
  64. 小里玲

    政府委員小里玲君) 米軍の移動に伴って労務者が解雇される数字として申し上げます数字は、来年度、昭和三十五年度中に数千名と、こういうことでございます。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 その、来年度中に数千名というのは、各基地でそういうものが集積されて数千名になっているのですか、ばく然と三十五年度は数千名と出ているのですか。
  66. 小里玲

    政府委員小里玲君) 各基地の解雇の一応の見通しの累計でございます。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ、私が初めに質問したとき、そんな数字は全然わからぬように、これはただ一つの憶測であるかのようにあなたは答弁されたのですが、今の答弁によりますと、来年度の各基地における一応の解雇数というものはわかっているのじゃないですか。
  68. 小里玲

    政府委員小里玲君) それは、実際に解雇の行なわれまする相当期間前の情報でございまするので、非常な不確かな数字でございまして、従って全然単につかみで数千名ということではございません。ただいま申し上げましたように、一応の各基地における数字はございまするけれども、これは発表する程度数字でもございませんし、従来の例から見ましても、相当これに数字の変動がございますので、一応のそういう数字の累計が数千名、こういうことでございます。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 普通の、たとえば学校卒業者の就職とか、あるいはその仕事の工場の配置転換とかということであるならば、私は追及いたしません。しかし、少なくとも、人間の生活権を奪う解雇を伴う労務者の移動についてその数字があらかじめあなたの方に手元にあるようでありますが、それをしもなおあなたが、今もうこれをばく然と消そうとしている。それは一体どういうことでしょうか。私はもう少しこれは追及したいと思いますが、その数字がいつごろあなたの方に、調達庁の労務部長のところに数字が入っているか、あるいは、それは、たとえば来年度とおっしゃいましたけれども、毎月あるいは来年一年の基地の数字でしょうか。
  70. 小里玲

    政府委員小里玲君) ただいまわかっておりまするところは、大体来年度中ぐらいの一応の見通しの数字米軍から言ってきておりまするが、繰り返すようでございますが、非常に不確かな数字でございまして、この数字の発表については、これを発表しないと、こういうことに米軍日本政府の間で取りきめておりますので、これを発表することは差し控えたいと思います。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ、数字の発表については、またあとで適当な機会に話しましょうが、その数字は、あなたがただ聞いておくだけで、あと、たとえば離職対策とか、あるいは今後の職業訓練とかなど、さっそく来年度といいましたって、もう中央の方で来年と思っておる数字が、現場に来たときは、今、四十五日と言われましたよ、それから労務者に通告するのは三十日でしょう。数千名の者がわずか三十日前に、お前、首切ると通告されて、どう処理しようとされるか、そのばく然と持っておるから、これはもう数字はただ聞いただけで、この数字は金庫の中にしまっておいて何も対策せぬのですか。その点どうでしょうか。
  72. 小里玲

    政府委員小里玲君) もちろん、非常に不確かな数字ではございまするが、一応の米軍の算定の数字でございまするので、調達庁といたしましては、各府県にも違和をいたしまして、これの対象があれば、あるいは米軍と折衝する部面があれば折衝をする、あるいは調達庁本庁において米軍と折衝する必要のある場合には折衝するということで、従来も相当、三十日とか四十五日以前におきまして米軍と折衝を重ねております。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、その数字は秘密ではあるけれども、各府県には落として対策を内々に考えておるというのですか。
  74. 小里玲

    政府委員小里玲君) その通りでございます。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 各府県には数字が落とされて、この社会労働委員会の私どもがこれから根本的に対策を検討しようとするこの社会労働委員会では発表できないという数字ですか。
  76. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記を落として。    〔記中止〕
  77. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは速記を始めて下さい。
  78. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃ、まあ将来の問題については別に席を改めて検討することにいたします。  ただ、これは基本労務契約との関連もありますが、米軍の移動が始まると調達庁に通告して来るのは四十五日前、解雇から。それから政府労務者に通告する期間は三十日です。そういう期間では、今のように失業者が出て特に北九州などのような失業多発地ではほとんどもう離職者対策なども立たないわけです。本人の身の振り方さえ立たない。とほうにくれるわけです。従って基本労務契約改定、こういう機会にこういう通告の期間改定の努力ぐらいは調達庁政府全体としてやらなければならぬと思うが、その点いかがでしょう。
  79. 小里玲

    政府委員小里玲君) 四十五日というのは、先ほど申し上げましたように、三十日前に労務者に通告をするということは労働基準法上の制約でございまするから、それによって三十日という期間を置き、その前十五日間に米軍と、まあ主として現地の県なりあるいは労務管理事務所で米軍と折衝をする、あるいは解雇の手続をとる、こういう期間として十五日というのを置いておるわけでございまして、現在の基本労務契約の上から言いましても、この四十五日をもって終われりとせずに、その以前に、できるだけ米軍人員整理状況が明らかになった際には、できるだけ早く日本政府に通報をして来て、それに基づいて両者で話し合いをする、こういう建前になっております。従って基本労務契約の改訂ということよりも、その事前通告なり、右前折衝をできるだけ早く、できるだけ内容的にわたって十分やる、こういうことにしていくということが中心になろうと思いますので、ただいまのところ、この新行政協定に伴って基本労務契約を変えるという必要はないものと私どもは考えておるわけであります。
  80. 小柳勇

    ○小柳勇君 この期日の問題だけじゃなくて労務契約があっても、なお今回の芦屋の問題などはその通報も十分協議しなければならぬというようなことがあるにもかかわらず、やっていない。単にこれは期間だけの問題ではありませんが、私は三十日前ぐらいの通告ではいかんともしがたいのではないか。従って、別の、今後の問題ともいたしますけれども、そういうものも政府一つしゃんとして、米国に対して交渉してもらうように要請して、次の問題に入りますが、人事労務契約政府と米国との間の労務契約です。ところが、政府労務者との間には協約は結ばれておらぬわけです。私はこのことを心配して、もう一昨年からしばしば労務者政府との間に労働協約を結びなさいよということを主張し、かつ、当委員会で満場一致の決議をやっているはずです。しかもその労働協約は、今日なお結ばれておらない。そうして政府と米国だけが労務契約でもって、そうして勝手に新労務契約を作った。それはまあ若干よくなりましたから、今文句は言いませんけれども、こういう機会に、今度は労務者が心配ないように労務者政府との間に労働協約を結び、そうして米軍と、この三十日の予告期間であるけれども、通告期日であるけれども、前もってわかり次第に事前協議をして、そうして退職者の希望を聞くとか、それから転職の希望を聞くとかということぐらいはいたしますということの協約というものは、私は政府誠意があるならば結んでもよろしいかと考える。そのこともこの委員会では認められて満場一致決議をしているわけです。その決議が実行されておらない。その点については労務担当の部長さんとしてどうですか。
  81. 小里玲

    政府委員小里玲君) 新契約が、新基本労務契約ができまして以来、御指摘のように、新しい労働組合との間に労働協約を結ぼうという意図のもとに米軍調達庁労働組合三者間でたびたび折衝を重ね、意見の調整を行なって参りました。労働者側との間には労働協約があって、それによってすべてが行なわれるということが一番望ましいことでございまするから、政府としても一日も早くこれを結びたい、こういうことで努力を続けて参ってきたのでございますが、労働組合とまあ使用者である米軍調達庁との間の意見調整が非常に困難な場面にぶつかっておりまして、これの解決がどうしてもできないということで、今日までこの三者間の意見が一致を見て労働協約を結ぶというところまでは参っておりません。現在まで私どもとしては努力を絶えず続けて来ているわけでございますが、非常にむずかしい問題がございまして、そういう点で意見の一致を見ない。従って、労働協約の案が成立しないという状態でございまして、私どもとしては、今後もできるだけ調整をはかって協約を作ることの実現に進みたい、かように考えます。
  82. 小柳勇

    ○小柳勇君 芦屋基地の具体的な問題に入りたいと思いますが、その前に、こう逆に芦屋基地を中心にして法改正までいくつもりでしたけれども、今お話が出ましたから、逆に労務契約の今度の安保改定に伴う行政協定改定の方から質問して参りたいと思いますが、今直接雇用間接雇用に切りかえる。そうして一切政府雇用して労務を提供することになりました。この点については前進だと思いますが、さっき藤田委員質問いたしました保安解雇ですね、保安解雇いたしましたその補償、さっき十二名は政府が敗訴したと誓われました。その十二名の者については政府から給与を支給した。今回はこの行政協定改定によりまして両国の合意の期間は米国側から支払おう、こういうことになった、こういうこと聞いておりますが、行政協定改定の内容、交渉の経緯、今後の処理、そういうものについて調達庁並びに外務省の方から御説明願いたいと思います。
  83. 小里玲

    政府委員小里玲君) 今回の行政協定の改正によりまして直用の労務者間接雇用に切りかえるという問題、これは非常な進歩であろうと思います。  それともう一つただいまお話がございました保安解雇の問題でございますが、これにつきましては、今回の新行政協定の十二条六項に特別な規定が設けられまして、従来アメリカ軍は裁判に頂けましてもこれの賃金を支払うあるいは労働者を現職復帰させること等、一切日本政府のいうことを聞かずに、これを拒否しておった、こういう状況であったのでございますが、今回の行政協定の改正によりまして、保安解雇事件以外の問題につきましては、裁判が確定をいたしますれば、確定をして、日本政府が、雇用主が負けた、解雇は無効である、こういう判決が出ました場合には、その間の賃金を払う、あるいは原職復帰をさせるという問題は、これを米軍が実施をしようと、こういうことに相なったわけでございますが、それの例外的な規定といたしまして十二条六項に米軍の安全上の理由による解雇の場合においては、これは解雇の無効が確定をして、米軍がその労務者を基地の中に再び戻すということに賛成をしない場合にはこれを日本政府に通告をして、そうして日本政府との間に三十日間の協議をする。そうして協議の結果、ある場合には原職復帰をさせられるというような場合もございましょうし、あるいはどうしても米軍としては原職復帰を希望しないと、こういう場合もあると思いますが、希望をしない場合におきましては、その原職復帰をさせることについてアメリカに拒否をする権限を認める。そのかわり日本政府アメリカ政府との間の協議が開始をされましてから、向こう一カ年以内における所要の経費は日本政府に償還をする、こういうことに相なったわけでございます。従いまして、そういう場合には一年以内の金額は、これはアメリカから日本政府が償還を受けるわけでございますけれども、労務者雇用主でありまする調達庁との関係におきましては、アメリカの償還云々にかかわらず雇用契約は継続をする、こういうことで日本政府からその労務者に賃金相当額を払う、こういうことに相なるわけであります。
  84. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、解雇は不当であるという判決が出てそれでもなお米軍の方でもう就職させない、復職させない、それで金だけを、一年間は給料だけを払おう、そうしますと、それから先は日本政府が永久にその人の給料を払うと、こういうことですか。
  85. 小里玲

    政府委員小里玲君) 解雇無効になりまするから、労務者調達庁との間の雇用関係は解雇がなかったものと同じように継続するわけでございまするので、調達庁としては、雇用主として労働者に賃金相当額を払う、その後におきまして正当な理由で解雇という措置が講じられない以上、その雇用関係は継続する、雇用関係が継続する関調達庁から賃金を払うと、こういうことに相なるわけであります。
  86. 小柳勇

    ○小柳勇君 それはまあ政府の方のことはあとで質問しますが、その前に一年間、まあ正式には両国の合意の期間でしょうけれども、一カ年同などと限定するのはなぜでしょうか。解雇をした、それは解雇不当だと、裁判が解雇無効だと判決する。われわれとしては仕事に返して使うのが当然だと思う。もし使わぬとするならば米軍がずっとそれを、日本政府にめんどう見させないで、米国がそのまま給料を払うなら話はわかります。それをしないというのはどういうことでしょう。
  87. 小里玲

    政府委員小里玲君) これは今回の新行政協定がNATO諸国の例にならってできておる面が相当ございますが、この労務条項につきましても、ドイツにおける駐留軍とドイツ政府との関係がやはり私がただいま御説明申し上げましたように、一年以内で駐留軍が償還をするか、あるいは労務者を原職に復帰させるかという、そういう選択権を持っておる、こういう規定になっておりますので、そのドイツの例にならってこういう日米間でこの十二条六項というようなところに落ちついた、こういうことであります。
  88. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうすると、日本と米国とのこれは行政協定ですから、ドイツの方はこれはまあ参考ですからね、日本の方では、それはドイツではいろいろ事情ありましょう、日本の方では今失業したらなかなか仕事もない、そういうような情勢、それでまあ一年間くらいは一つ給料を払ってやるから、あとは打切補償、解雇手当でも出してやめさしてしまえというような思想すら私はその背後にうかがう。これは私の考えですが、独断かもしれませんが……。それで、そういうものであと政府が、じゃあ一年間はアメリカから補償してもらったらこれで終わりだぞ、それから先の補償を政府としてどのように考えておりますか。
  89. 小里玲

    政府委員小里玲君) 米国からは一年以内の費用の償還を受けるわけでございますが、日本政府としては、これは雇用関係が継続する間、労務者には賃金を払うという建前になっておりますので、労務者の保護という点からいいますれば、償還云々とは関係なしに全うされると思います。
  90. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういう問題も……仕事がないのに政府から給料をもらう、これは一つのケースでしょうが、そういうものも私は当然法的にはっきり明示するためには、政府が規定を作らなければ、労働協約などではっきり明示しておくことが労働者の不安をなくし生活権を守ることだと思いますが、その点いかがですか。
  91. 小里玲

    政府委員小里玲君) 御指摘のように、労働協約等でその点をはっきりさしておくことが明瞭でもありますし、労務者も不安を感じないという点はその通りと思いますが、先ほど申しましたように、労働協約がまだ難関に逢着しておりましてできませんが、最終結論になりまするまでの間にはそういう問題も考慮して、労働協約の作成に考えたいと考えております。
  92. 小柳勇

    ○小柳勇君 では次に芦屋基地の二千四百十三名の首切りを中心に具体的に簡潔に質問して参りますが、いきさつは先日もちょっと発言しましたように、二月九日の日に、基地の人事部長のハットン少佐から小倉渉外労務管理事務所長に対して、また、翌十日ヘリング司令官から福岡県知事に通告された、それによると、芦屋基地第四八三輸送大隊は六月二十五日に沖紛と立川に各一個中隊移動し、それ以後十三月末まで少数の将兵と労務者が残り、十二月末で基地を閉鎖することが明らかになった。そのために人員整理政府雇用と軍直用合計二千四百十三名が人員整理される。そういうことが明らかになったのですぐ交渉を持った。そのいきさつはこれは大手でありますから記録に残しておくために読みあげますと、「本年一月十二日、古田小倉労管所長とハットン人事部長交渉で」  「(イ)基地の閉鎖は考えていない、又そのような指令も受取っていない。(ロ)労務者については解雇を考えていない、又六月までの予算は確保してある、と言明している。」こういうようなことで、六月までは大丈夫だと思っておったところが、急に通告がなされて、すでに三月一ぱいで四十五名首切られました。四月が四十五名、五月が二百七十名、六月が三百七十名、七月三百三十五名、八月が百十名、それからあと十二月が三百五十二名、こういうことで解雇されていくわけです。で、人員整理の通告後の情勢を、明らかになったのを発表しておきますと、「部隊移動の作業は四月半より始める。六月以前の解雇については、予算がない。」それから「その理由は、部隊の移動費を現有予算の中からネン出しなければならないので解雇することになった。部隊移動は四月中旬から始めるが、五月までに「なくなる職場がない」、そういうことが明らかになっておる。こういうことで、まあ交渉することによってだんだん米軍の移動によって一方的に労務者が解雇され、その通告を受けてとまどっておるというのが現実でございますが、これは政府も、国会議員としても、いろいろ折衝して今日どうしても米軍の一方的なこの解雇を撤回することができない。で、せめて六月まで解雇を待ってくれないか、そのうちに職場をいろいろ考えようということまで妥協して交渉したの、でありますけれども、ついに今日その交渉すら成立しないというようなことです。従って、この交渉の経過で問題になりました問題点を提出してそれから質問して参りますが、第一は板付基地で、前に解雇通告が出た者も、これが交渉の結果延期され、その解雇を撤回されておる。  第二点は、「六月まで確保されていた労務費が移駐費に喰われている。」  第三番目には、「人員整理の計画は第五空軍で作られたもので、閉鎖前は労働強化が発生する、現に職場によっては残業をやらしている。」  第四番目に、「部隊移動が四月中旬から始まっても、六月までは職場がある。」  第五番目には、「人員教理前の事前調整を全然やらなかった。」  こういうことが問題としてわれわれ今まで折に触れ質問はして参りましたけれども、根本的にこれからどうするかという問題があるわけです。従って、労働大臣も見えましたので、当面の対策と今後の対策の二つに分けて簡潔に質問したいと思います。  すでに三月は解雇されまして、四月もまた解雇されようとしておりますが、いま一度、せめて六月まで解雇を延期されるように政府として交渉できないものであろうか、これを一つ労働大臣に御答弁願いたいと存じます。
  93. 松野頼三

    ○国務大臣松野頼三君) この問題は、先月、調達庁長官から米軍の━━後ほどその内容は調達庁から多弁いたさせますが、先月交渉いたしました。そうしてやはり同じ趣旨において労働者の不安なきょうに、あるいは私業が可能なように、まあ六月ということを目途に延期してくれぬかという話をいたしました。その後は、詳細は調達庁から御答弁いたさせますが、政府一体といたしましても、やはり一つの時期と方法期間が要りますから、突然米軍の都合ばかりにはなかなか転業対策ははかどりません。今日の政府はあらゆる努力はしておりますけれども、なるべく時期を延ばしてくれという方向には一致してやっております。結果は調達庁から御報告いたさせます。
  94. 小里玲

    政府委員小里玲君) 三月、四月に出ます四十五名、四十五名の合計九十名の人員整理をとりあえず延ばしてもらいたいと、そしてこの三月から十二月までだらだらと首を切るということでなしに、これを六月末、九月末、十二月末というような段階的に人員整理をやってほしい、こういう要求を米軍にいたしましたのであります。私の方の調達庁長官はもちろんのこと、防衛長長官の名において第五空軍の副司令日にも折衝をしていただきましたのでありまするが、お話のように、一月ごろまではまだそういう気配がなく、予算もあると、基地の閉鎖等はないというようなことを言っておった向きもあるようでございまするが、その後情勢が変化いたしまして、やはり六月の中側に部隊移動が行なわれて、九月ごろまでにほとんどの労務者を解雇して残務整理要員だけを三百数十名十二月まで残す、こういうような線に変わったわけでありまして何分にも当地の閉鎖という大きな問題であり、特にあの土地柄として労務者の今後の身の振り方というようなことにつきましてもいろいろ政府としても対策を講ずる必要があるということで、米軍に対して、そういういろいろな面を樹立する間、人員整理をできるだけ最小限度にとどめてもらいたい、こういう折衝をいたしたのでありまするが、第五空軍がワシントンからの指令によって策定をいたしました計画変更するということがどうしてもむずかしいと、予算等につきましても、最初のうちは、六月まではあるというようなことでありましたが、年の移動計画として費用の捻出を考えなければいかぬということから、六月以前において労務者の解雇を行なわざるを得ないという、こういう事情をるる米軍の方で述べまして、日本政府要望にはこたえがたい、ただ、たとえば、解雇の前に基地内において職業講習、訓練をやるというような際に、本来であれば、解雇になってしまえばパスを取り上げて基地の中へは出入を禁ずるのが通常でございまするけれども、特別な例外として、基地内で講習をする際の必要なできる限りの物的その他の援助をしよう、こういうことでございまして従って、解雇そのものは延期をするとか、あるいは変更するということにはどうしても応じがたいけれども、できる限りの援助はしようと、こういうことでございまして、まあ人員整理の延長ということにつきましては、労働組合、あるいは日本政府の希望がかなえられなかったという事情がございます。まあ三月、四月、すでに目前に迫っている問題でございますが、この十二月までの解雇になりまする千数百名の人の解雇の日にち等につきましては、今後も米軍と情勢に応じて折衝もいたして参りたい。労務者の失業対策等につきましては、各省それぞれの立場から中央の離対協の中で御討議をいただきまして、各省それぞれの持場で万全を期していただくと、こういうふうに進めております。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、もう三月の首切られたのも仕方がないと、あと努力をするけれども、こま切れでずっと各月予定されておるものについては折衝はするけれども、好転する見通しは非常に困難であると、こういうことでございますか。
  96. 小里玲

    政府委員小里玲君) 私どもたびたび軍と折衝いたしましてそれから私の方の長官、あるいは防衛庁長官、それぞれ折衝していただきました。また、先生方にもわざわざ府中にもお出向きをいただいているというようなことも承っておりますが、全部、こぞって何とかしてもらいたいということで折衝いたしましたのですが、現在までのところこれを変更するという意思表示をしておりませんので非常に困難である、ワシントンの一応の承認をとって計画を進めておるというような関係もあるようでありまして、これを変更することは非常に困難である。見通しとしてはそう思います。ただ、今後におきましてもその努力は続けて参りたいと思います。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 今後の努力、政府一体となってやっていただきたいと思います。われわれとしてもできるだけのことは、これはまあ援助になりませんけれども、援助いたしますが、そこで、先日離対協の会長である総理府長官から防衛庁長官にも話しておきましたけれども、退職手当の増額、あるいは、職業訓練を受けに参りますると、汽車賃も要ります。バス代も入ります。約半数の者は地域外から通っていかなきゃならぬ。そういうことで、職業訓練手当をもらうだけでは生活の維持もできない。もちろん退職金はもらいますけれども、退職金は更生資金、立ち上がり資金となるし、使えばもうすぐなくなる金でありますが、そういう北九州地帯の失業多発地帯における特殊な事情としての退職金の増額について、何か具体案があるか、あるいは旅費について具体案があるか、お尋ねいたします。
  98. 小里玲

    政府委員小里玲君) 退職手当の増額の問題につきましては、ただいま労働組合から、一芦屋の問題としてだけでなしに、全面的に退職手当規程を改正すべしという、要求が出ておりましてただいま労働組合と団体交渉もし、あるいは軍と意見調整をしておる最中でございます。従いまして、この点について、私からこの席で、この見通しについて申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  それから訓練をいたしまする交通費その他のことでございまするが、まあ一応予算的には限られておりまして、しかもこの支出のはっきりした理由が立ちますれば、できる限りのことは日本政府としてもいたしたいと、検討を進めております。
  99. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記始めて下さい。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 まだ具体的にいろいろありますけれども、次の議題もありますので、私は要請をいたしておきたいと存じます。  当面の対策としては、実は労働省離職対策、特に職業訓練などについて具体的に質問いたしかったのでありますが、省略いたしますが、当面、退職手当の増額、それから職業訓練をやってもらうのにあたたかい、思いやりのある、効果の上がる職業訓練をやっていただかなきやなりませんので、その点を一つ強力に進めていただきたいという点であります。  それから根本的な対策としては、冒頭に質問いたしましたように、これは米国の軍隊と日本政府との関係と、それから日本政府日本労務者との関係関係が二つつながって参りまするから、その関係を、米国との間では、行政協定によりまして一つの規定ができまするが、日本政府労務者の間の協定を早急に作ってもらって、生活権の確保、それから不安を除去していただきたい。で、いろいろ慣習などがありましたでしょうが、そういうものを一切汲んで、労働協約なりその他の方法で、労働者と政府との間の関係を規定化して、問題の処理をスムースにしていただきたい。  加えて、たとえば臨時措置法などの改定機会に、もう少し、法的に駐留軍労務者の生活を保護していただきたい。これから年々才々このようなことが起こりましょうし、さっきの労務部長の話によりましても、今年だけでも数下名の者が解雇される。自分が解雇されるとなると、まことに生活も不安でありましょう。そういう人の生活を守るためには、やはり法律で守ることが、一番これは確かであるし、そうしなくちゃならぬのではないか。従って臨時措置法の改定を早急にやって、その中で、離職対策だけでなしに、この政府労働者の関連をはっきり法的に守ってもらいたい。先日、社会保障立法を相当あげましたけれども、その中におけるこの身体害隔者などの人たちに対する保護より、正そう働く意欲はあるし、からだも頑健であるにかかわらず、働く職場を奪われるその人たち、しかもそれが見えすいておる、そういう人たちに対しては、もっと積極的に、法的に援護の措置をとっていただきたい。  それから、最後に、日本政府がこの安保改定行政協定改定を機に、いま少し、米国側に対して、日本労働者の側に立って、その生活を守る立場で、強力なる交渉なり、援護の対策を立ててもらいたい、こういうことを要請いたしておきたいと思う次第であります。  なお、今金駐留軍労働組合が、去る二十五日に第一波のストライキをやりましたが、四月中旬、四月下旬に実力行使をかまえながら、交渉に入っております。それは、当面の問題は、首切り延期、退職手当の増額、それから給与改定━━この給与改定の中には、賃金ベースの引き上げ、頭打ちの是正、昇給率の引き上げなどあります。いろいろ事情等を調査いたしますると、給与改定にいたしましても、公務員よりも、今あまり率がよくない。それから、頭打ちの是正にいたしましても、もう二年間も昇給しておらない者があるようであります。それから、この昇給の金額にいたしましても、現在三百三十円になっておるようでありますが、これを五百円にしてくれという要求。普通公務員にいたしましても、準公務員にいたしましても、年間の昇給はまあ大体千円ぐらいが妥当ではないか。そういたしますと、三百三十円の昇給率を上げてくれということも、われわれとしては、一応これは肯定できる。従って、調達庁並びに政府当局は、現在この追われる者の立場で、いつ首切られるかわからない、追われる立場で、生活を守るために戦っておる七万数千名の駐留軍労務者のために、あたたかい措置をとられるように要請いたしまして、質問を終わりたいと存じます。
  102. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと関連。私は総理府の総務長官が見えないから、残念で、その問題は保留しておきまして、しかしまあ事情が事情ですから、日をあらためます。  ただ、防衛庁長官労務者の給与担当大臣だと聞いておる。ところが、防衛庁長官を呼んでも、なかなか見えないですね。これは直接は、私は労働大臣が昔は担当だったのだが、今は防衛庁長官が担当だということを聞いておるのですが、どうですか。
  103. 松野頼三

    ○国務大臣松野頼三君) 私の記憶では、労働大臣が吉は調達庁長官を長い間兼務しておりまして、その後、調達庁長官が所管がえになったわけであります。そういう意味であるいは労働大臣調達庁長官を兼ねておりましたから、労働大臣がお答えしておったのかもしれません。しかし、直接は、やはり調達庁長官がこの所管であろうということになるわけであります。
  104. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この前までの質疑の例をふり返ってみると、労務者給与の給与担当者防衛庁だとされておる、そういう格好質疑が行なわれておる。それで、防衛庁長官がおいでにならないで、きょうは官房長がおいでになりましたから、われわれが呼んでも来ないという状態できておりますが、どういうかまえで駐留軍労務者の問題を防衛庁長官は対処しておられるのか、これを聞いておきたいと思います。
  105. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 駐留軍労務者離職者対策その他につきまして、私から申し上げるのは、あるいは適当ではないかと存じますが、防衛庁長官がお見えになりかねますので、便宜お答えをさしていただきたいと思います。先ほど調達庁側からも御答弁がありました通り、この問題につきましては、長官といたしましては、調達庁長官と協力いたしまして、最善の努力を払っておる次第でありますし、今後とも引き続き努力をいたしたいという考えでございます。
  106. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、この内容は私どもも知っております。この調達庁があり、総務長官がこの本部長であり、この就労の問題は、労働省の管轄である、しかし、給与の担当は防衛庁長官であるということにきめられておるなら、もっと熱心にこの問題に取っ組んでもらいたい。私は、まあ長官がお見えになっていないから、これ以上言いませんけれども、もっと熱心に取っ組んでやってもらいたい。大臣がお見えにならなければ、かわった人でも来てこの問題をほんとうに真剣に、自分の責任事項でありますから、もっと取っ組んで、しっかりやってもらいたいということを言いたいのです。いずれよくお伝えを願って、今度からこの問題を調査審議いたしますときには、防衛庁長官は熱意を持って来てもらって、この問題の対策に取っ組んでもらいたいということを強く一つ伝えてほしいと思います。
  107. 高野一夫

    高野一夫君 関連してちょっと。さっき途中で席をはずしたので、あるいはその間話が出ておったかもしれませんが、本年一ばいに芦屋を返還するということになって、その後の芦屋の返還先はすでに具体的にでき上がっておりますか。
  108. 小里玲

    政府委員小里玲君) 私から申し上げるのは適当ではないかと存じますが、今まで私どもの聞いておりますところでは、まだはっきり芦屋の現在の米軍の基地がどういうふうになるという方針を決定していないというふうに聞いております。
  109. 高野一夫

    高野一夫君 これはどこで決定するのですか。政府機関としては一年以内に返すということは決定しているわけでしょう。そうすると、そのあとは、あの施設、土地の利用先というものは政府として当然適当な機関ですでに計画を立ててなければ、あと半年、一年の先になって、それから計画立てたのじゃ、また半年、一年あの辺ぶらぶら遊ばしておくということになるのですね、施設を。これはどこがやるのですか、調達庁ですか、大蔵省ですか。
  110. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 芦屋の基地の今後の利用方法につきましてはただいま調達庁からお答えがありました通り、最終的な決定を見ておりません。われわれ防衛庁といたしましては、あそこに千八百メーターの滑走路もございますし、かたがた自衛隊━━航空自衛隊が主として使わしてもらえればしあわせだと、そういう考えのもとに今日関係方面話し合いを進めておる次第でございます。
  111. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは駐留軍労務者関係質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございません    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  速記をやめて。    〔速記中止〕
  113. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは速記を始めて下さい。
  114. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、三井三池鉱業所の炭鉱争議の問題に関する件を議題にいたします。質疑のおありの力は御発言を願います。
  115. 田畑金光

    田畑金光君 きょう私は主として警察庁長官に二、三お尋ねしておきますが、時間も時間ですし、長官もからだをこわされておるようでございますから、心得て二、三の点だけをお尋ねしておきたいと思うのです。  私、二、三日前、現地を見まして、大牟田の町全体が、言うならば暴力の町と、ことに炭鉱社宅の中は歩いてみても、不穏な空気が流れておって、ことに住宅地区における新しい組合の家族たちは夜ももちろんおちおち眠れない、夜陰に乗じて逃げなければならない、こういうまことに悲惨な状態が出ておるわけです。これは労働争議とか労働運動の範疇をこえて、以前の人権の問題だと思うのです。人権の自由、人間の権利の問題だと、こう思うのです。こういう事態の中において警察は無力だという声が強く満ち満ちておるわけです。二十八日の就労にあたって起きた新田組合の衝突事件、血の雨を降らした暴行事件、暴力事件、そうしてまた、二十九日の夕刻、荒尾市の四山鉱の正門前で起きた、善良な組合員が刺殺されたという事件、いずれを見ても悲惨な事件の連続で、まさに悲劇と言わなければならない。こういうふうな感情の衝突あるいは力と力の衝突の陰に無阜の家族や子供たちがこの紛争の中に巻き込まれて、自分の生命財産を守ることにせい一ぱいだ。いな、自分の住居に安心しておれないというこの状況です。一体警察は、この事態を知っておるのかどうか。どういう処理の対策を今日まで立ててこられたのか。二度繰り返されておりますが、今後このような事態は警察としてはもう心配ない、こういう手を打っておられるのかどうか、まずそれを承りたいと思うのです。
  116. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) ただいま田川委員からのお話のごとく、大牟田におきまする情勢というものは、まことに秩序が乱れた状況でございます。また、二十八日及び二十九日に起こりました一件については、私も心から遺憾に思っておるわけでございます。警察といたしましては、福岡県及び帳本川におきまして、県下の相当の動員をあの地帯にいたしまして、できるだけの治安確保の努力をいたしておるわけでございますが、その間において十分の手配ができずに、遺憾な事態が起こったということは、残念に思っておるわけでございますが、ああいう事態にかんがみまして、私どもといたしましては、争議そのものの問題ということではなしに、何よりも、まずあの地帯における治安状態を確保し、民心を安定させるということが第一義であろうというふうに考えておるわけでございまして、たとえばその後の事態が、直ちにあるいは凶器といえない場合もありましょうが、いやしくもああいう事態を惹起した直後におきまするあの地帯における人々の心がけとしては、第一組合であろうと第二組合であろうと、あるいはその他の特殊な団体であろうと、すべてあのような事件に関連を持つ人たちが、たとえばこん棒、いわゆる使用すれば凶器になり得るようなものを一切持たないということを、まず具体的に厳重に警告し、警察がこれを強力に推進するということを指示をいたしておるわけでございます。現に、熊本、福岡におきましても、相当の数のそういうものを任意に提出させておる状況でございます。そういうことによりまして、ただいま御指摘のありましたような、炭鉱住宅街はもとより、あの地帯一帯における平静というものを取り戻すことに全力をあげて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 田畑金光

    田畑金光君 私たちも参りまして、新旧組合の事務所もたずねましたが、そこで住宅地区を見てみようというわけで、住宅地区に視察に参ったわけです。その節、わが党の福岡県連の諸君が、われわれの知らぬところで、場所場所であるからと、こういう配慮であったでしょうが、警察の方に、見に行くから一つ案内をつけてくれ、こういう連絡をとったところが、警察の方では、身の安全を保証するわけには参らぬ、こういう言語道断なことを言ったておるわけです。いやしくも、国会議員が国政調査のために参ったところ、身の安全の保証ができぬ。それはちょうど幸いだからというので、むしろそうならば、なお一そう現地を見なくちゃならぬ、こう考えていたところ、後刻私服の刑事が来て、われわれの車に乗って案内をしてくれたわけですが、こういうような考え方が警察自体の中にあるということです。それで、車の中で私服の刑事がいろいろ説明しておりましたが、住宅の中で争議が起きると同時に、いろいろな紛争が起きて今日にきている。最近は特にそれが激しくなってきている。なぜあなた方として、もっと警察が社宅の中の治安の維持を積極的にやらないのか、こう聞いたところが、いや、なかなか入れてくれない、こう言うんです。一体住宅地域は治外法権地域なのかどうか。この天下のわが国の領域の中に、あるいは住宅地域の中に、治外法権地域というのはどういうところにあるのか。それを一つ教えてもらいたいと思うんです。
  118. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 住宅街に治外法権というようなものはございません。
  119. 田畑金光

    田畑金光君 しからばどういうわけで、警察の諸君が当然みずからの職務執行を遂行するためにも、このような治安が問題となっている地域に対して、もっと治安確保のために努力をしないのか。これはどういうわけですか。
  120. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 先ほど申し上げましたように、福岡県におきましても熊本県におきましても、そういうことについての努力をいたし、検問所を設けたり、あるいはパトロールを強化する等の措置をとっておるわけでございますが、それが十分に行き渡って民心の安定というものに十分に役立っていくまでの効果を上げていないということは、非常に遺憾に思うわけでございます。熊本及び福岡におきまする動員も、相当の数を動員いたしておりますが、これでやはり十分とは言えないということで、近々そうした民心の安定をはかる意味において、九州の近県からの応援を要請するようなことを考えておるようでございまして、そういうことで、考え方につきましても、また、人数にいたしましても、やり方にいたしましても、さらにこれを強化して、民心の安定をはかるように努めて参りたいと思うわけであります。
  121. 田畑金光

    田畑金光君 私は現地を見まして、それは写真にもとってありますが、新組合員の家族の住いを、表の窓ガラス等もこじあけて、たたきこわしている。あるいは戸を破壊している。そういう姿があちこちにあるんです。しかも、夜、隣り近所の人方が入り込んで、主人もいない、奥さんと子供だけ寝ているところを、ふとんをはがして、そうしてそれを多数の人が囲んで、裏切り者、犬だ、こういう形でやっているわけです。もはや自分たちの家にとどまることができなくて、そうして逃げるのが精一ぱいである。私は数カ所の疎開先を見てきましたが、大牟田の町の中の、きたない料理屋を借り切って、四畳半の部屋に数家族の人方がざこ寝をしているということ、そういうような状況ですから、もちろん子供たちはおやつ代もあるはずがない。こういうお握りの配給を受けて生活しているというこの姿、こういうようなことは、一体警察庁長官の方には報告があるのかないのか。あるんですか。
  122. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) そういうことの個々の問題が一々私まで報告されておるわけではございませんが、いろいろの報告によって私どもも承知をいたしておりまする限り、現地においてもそういうことは十分承知をいたして、そういうことのないように、一日もすみやかに平静が取り戻されるように努めておるという状況でございます。
  123. 田畑金光

    田畑金光君 私は、あなたの答弁を聞いていると、一日も早くそういう事態がなくなるように努力しているというが、どういう具体的な指導を警察としてはなさっておられるかということなんです。私は先ほど申し上げたように、これがおとなとおとなの労働組合相互の意見の衝突とか、大義名分の争いなら、私はそれは大いに堂々とやるべしだと思うんです。何の罪があって女や子供たちをいじめなくちゃならぬのか。そういう事態に置かれているということは、たとえいかなることがあっても、私は争議以前の人権の問題だと、こう思うんです。人権の自由がかくのごとく破壊されているとするならば、当然あなた方としても、それじゃだれが守ってくれるかというと、国民の税金によって、われわれの生命、身体、財産の保障をあなた方にまかしておるわけだから、あなた方が何らか具体的な手を打ってくれぬ限りは、この人方はどうします。警察頼むに足らず、こういう気持が強く流れておるわけで、そこで皆さんにお尋ねしたいのは、一体今日まで警察力をどの程度あそこに入れたのか、あるいはこの事件の起きた、それに応じて警察力も増員されておると思うが、どの程度増員されておるのか。しかも増員された警察力は、どのように配置をしておるのか、これあたりは当然警察庁長官御存じでしょう。これだけ政治問題化し、社会問題化しているんですから、それを私お聞きしたいのです。
  124. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 福岡におきましては、全体の遊察力が約五千でございますが、あの事態が起こりまして、あそこに二千五百程度のものを配置をいたして、警備に当たっておるわけでございます。熊本県におきましても、同じように千名近いものを荒尾市近辺に動員をいたして、警備に当たっているという状況でございます。
  125. 田畑金光

    田畑金光君 これは私は、警察力に最大の責任があると、こう思うのです。二十八日のあの集団就労の強行の前後のいきさつを見ましても、私は一方は就労させまいとしてピケを張り、一方は就労したいといってやってくる、てこに衝突が起きる、あるいは暴行事件が起きてくる。これは日本の今日の労働運動の水準からいうと、よかれあしかれやむを得ない今日の組合の意識の水準だと、こう思うのです。ところが、あのときの暴行事件というものは、三川鉱の通用門から新組合の諸君が入り、それを阻止する、そこで起きたのながあの暴行のあれじゃなくして、ようやくへいを越えて、新組合の諸君が三百九十八名さく内に入った、繰り込み所に入った、やれやれこれで一安心だといって、お互い汗をかいて休んでいるところに、三万から旧組合の諸君がなだれのごとく入ってきて、鉄棒を持ってくる、青竹を持ってくる、れんがを投げる、めちゃくちゃな行為があそこで行なわれているんです。これがために、経営者が三名、議員が九名、新労組員が二十四名入院している、三十六名。旧組員の諸君は三名入院しているんです。私はその病院を、一人々々見舞ってきましたが、いずれも頭をやられておる、足をやられておる、こういう悲惨な状態です。そのとき警察はどこにいたかというと、すぐ近くに待機しているわけです。あれだけ何百名の警察は待機しておりながら、一方において当然予測される衝突です。その第一段階の衝突が終わって、ようやく新組合はさくを乗り越えて繰り込み所まで到達をした、そのあとに約四十分間乗り込んでいって、そこで乱闘が起きているんです。乱闘というより一方的にやられているんです。こういうようなことが、警察がすぐ近くに待機しておりながらわからぬはずはないのです。一体ああいう事態、しかも御存じのように、三井三池の争議というものは、われわれから考えてみると、あらかじめこれは十分注意をしなくちゃならぬという事態は予測されておるにかかわらず、警察は何らの手を施してなかった。この点は警察庁長官としては、どのように、部内において当時の情勢をお聞きになったでしょうから、判断されておられるか。落度があったかなかったか、ないと確信しておられるのか、これを承りたいと思うのです。
  126. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 人の生命、身体、財産の保護並びに公共の秩序維持ということは警察の責任でございます。それが十分に徹底しないということは、警察がその責任を十分に果たしていないということに相なろうかと思います。ただ、先般の事案につきまして、何も私はこのことを弁解しようというわけではございませんが、事実私が報告を受けていることについて、一つ御了承願っておきたい点を申し上げたいと思うのでありますが、この第一組合━━ピケを張っている第一組合側においても、暴力を用いてこれをするようなことをしない、また、第二組合側、就労を命じた会社側におきましても、ピケがもし非常に強力なものである場合においては、これを強行突破するようなことは、最初の口からしない方針であるというふうに、警察は聞いておったそうでございます。また、時間につきましても、警察がキャッチしておった時間よりも、若干早く就労の行動がとられたというような点、これはまさに警察が情報の収集また機動力の整備ということについて、不十分であったという点について弁解を申すわけではございませんが、そういうような状況であって、決して警察が目の前に予想される事態を、黙過したということではないと私は聞いているのでございます。
  127. 田畑金光

    田畑金光君 二十九日のできごとを見ましても、私たちは新聞さえも読んで、いろいろ状況判断は頭の中でもやったし、また、現地でもいろいろ聞いてみたのです。あの何とかいう組の暴力団が、ああして町をパレードして、そうして福岡県においては大牟田の警察がこれをパトロールして、ずっと尾行して行って、そうして熊本県に渡した。その直後でしょう、あの問題が起きたのは。しかも熊本県の事件の起きた現場の百メートル近くには、駐在所もあるし、警察官もちゃんといるのです。あのような事件がなぜ阻止し得なかったかということです。しかも暴力団だ、名うての札つきの暴力団である。この諸君が、ああして町を練り歩いて、福岡県警察の所管の間は、パトロールがついて無事であった。新聞によると、その間一行に対して、職務尋問もされたようだが、絶対に暴力はやりませんからという答えがあったので、安心してほっておいた。そうしてそれが熊本に入ったとたんに、あれが起きているのです。私どもはこういうようなことを見るときに、一体警察というものは、どういうような場合に職権を発動するのか、この現在の警察官職務執行法を見ましても、第二条はなるほど「質問する」ということがある。第五条を見ますと、犯罪の予防制止のために適切な措置をとるということが、ここにうたわれている。ところが、あなたの方はやっていないのです。この問題について私たちは一昨日大牟田の警察署に抗議に参ったわけです。ちょうどそのとき県の本部長も来ておったし、県の警備部長も来ておって、別室に現地の署長と三名が、新聞記者との会見をやっておりましたので、しばらく待っていた。そのとき私たちは、次席にまず会ったのです。そのとき次席が何を言ったかというと、いや実は先生方にお願いしたいのは、法の不備なんですと、何だいと、警察官職務執行法を改正していただければ、あんなことはございません。これは取りようによっては、あなた方のやっておられることは、何か一発悪いことを起こして、これは法の不備なんだと、そこで警察官職務執行法に持っていこうとする意図が、露骨に末端の警察官まで流れている。あなた方は、この法の不備が原因であれが取り締まることができなかったのか、あるいは警察情報等を、あなた方は信じて、実は当時、結果として起きたのかどうか。法の不備か、実は情報等のキャッチが正確を得ることができなくて、手落ちであったのかどうか、いずれでございますか。
  128. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 法制上の問題等について、とやかく申したくはございません。あの事態はまさしくお話のように、大牟田を根城とする組でございまして、大牟田市内において相当厳重に警戒をいたしておったわけでございまして、これもまた熊本県側にも連絡をとっておったことは事実でございます。当日は、たしか一個小隊と思いましたが、乗せたバスを借り切った。パトロール隊が大牟田市内を回っておりましてあの一隊、百名ほどの一隊でございますが、山代組を初めとする一隊でありますが、これが熊本県側に入っていくのを見て、これをむしろ福岡県側のパトロール隊が追尾をしていったわけでございます。また、荒尾市に入ってからも、荒尾市の警察官におきましても、これに対して警告をいたしておるわけです。ところが、この一隊が検問所を通りかかってそこで検問のために中止を命じたわけなのでございますけれども、それを聞かずに突破して、検問所には七名の警察官がおったわけです。それから約五百メートル離れた正門前に第一組合のピケ隊が約三百名ほどおった、そこで車がとまって例の乱闘になったわけでございますが、その際に近所におりました、駐在所におった四、五名の警察官がその中に割って入ったわけでございますが、数百名の入り乱れた中に入りましたために、警察官すべてが負傷するという状況で、これを取り押えるには至らなかった。そこにさっき追尾して参りました福岡県の一隊と、さらに急遽かけつけてきた熊本県の二個中隊というものによって事態を収拾し、現地から五十数名の者を荒尾署に連行したということが事実でございます。警察としてああいう暴力団的なものが何か計画を画策してあの正門に行ってなぐり込みをかけるという計画でいくということを確実に情報を収集するなりあるいはそういうことを鋭敏に察知するということができておりましたならば、さらに人部隊をもって事前に阻止し得たかとも思うのでございますが、従来あの連中は、主として情宣活動と申しますか、練り歩いていろいろと宣伝をして歩くということをやっておるわけでございまして、そういうものがみすみす検問所を無視して通り過ぎたということからあの事態が起こって参ったように思うのであります。なお、これは被疑者十数名を逮捕いたしておりますので、どういう計画があり、どういう企図を持ち、どういう原因によってああいう事態が起こったかということは、事後ではありまするが、十分に究明し、今後ああいうことの起こらないように、さらに警備を厳にするということが必要であろうかと思いますが、状況はそのようでございます。  ただいま田畑委員の御発言に対して、ちょっと私気になりますことは、いかにも警察が、私を初めとして、法が不備であるためにわざわざ職務を怠慢にして、何か事態を起こして、法の不備を補おうというようなけしからぬ計画があるようにお話でございましたが、そういうことは絶対ございません。そういうことはお考えいただきたくないと思うのであります。
  129. 田畑金光

    田畑金光君 あなたはそのようにおっしゃるが、現地の大牟田の警察の次席は、明確にわれわれの前でそう言ってれわれわれから突っ込まれて、実はそれは取り消します、こういうことを言っておりますが、こういう末端の警察署のいやしくも次席です。署長や警察署の次席がこのようなことをわれわれに発言する、警察庁長官としては、かりにあなたの今最後に答弁せられたような態度であられても、末端においてこのようなことを明確に言っておる。こういうような諸君に対して、どういう取り締まりを、あるいは指導をなさいますか。これは現にわれわれは数名で行ってしかもわれわれの口の前において法の不備ですから、一つ警察官職務法を、だから一つ国会で改正してもらわなくちゃ困ります、こう言うのです。あなたはそうであっても、末端の一警察官じゃございません。警察者の次席です。こういう責任ある諸君がこう言っているというならば、われわれは中央から末端に至るまで、あなた方はかような考えでなるほどこの問題を処理しているのだな、こう見る以外にはない。この点はどういうように指導なさいますか、
  130. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 法の整備ということは、私どもは責任を持って必要と思うことを当国会に御審議願って、改善をして参るということは、今度の事件とは関係なしに、一般的にわれわれとして、責任をもってやることであって、第一線におきましては、与えられた法制のもとにおいて全力を尽くして治安の維持に当たるということが警察官の信念としてとるべきものと考えておるわけでございます。たまたま田畑委員のお話のように、法の不備なためにできないということをかりに言ったとすれば、そういうことは、そういう考えを持つ者が私は絶対ないとは申しませんが、また、そういう改正を要望する声があるということも事実でございますけれども、そういうことによって責任を回避するという態度はとるべきものではない。与えられた法制のもとにおいて全力を尽くすということが、警察官の信条でなければならぬと考えておるわけでございましてそういう方向で今後も指導して参りたいと思います。
  131. 田畑金光

    田畑金光君 そこで私は、今後まだこの争議が続きまするし、同じようなケースがしばしば繰り返されることをおそれるわけです。ことにきょうもまた就労する、一方はこれを阻止する、しかし、その後、情勢の判断できょうの就労はやめたとわれわれは聞いておりまするが、就労に応じてますますこういうような傾向が助長され、あるいは社会においてこういうふうな行為が続発するとするなら、これはまさに法の守れない地域、無法の場所だと言わなければならぬ、こう思うのです。すでに山代組等については、十数名を検挙されたということをわれわれも新聞で見ておりまするが、労働争議において暴行行為というものは許されるものかどうか、一つこれをお尋ねしたいと思うのです。
  132. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 労働争議においてのみならず、暴力というものは絶対許さるべきものでないと私は考えます。また、法律上もそういうことは明記されておるわけでございます。先ほど来仰せのように、この遺憾な事態というものを今後再びないように、警察としても全力をあけて努力して参りたいというふうに考えております。
  133. 田畑金光

    田畑金光君 それじゃ、お尋ねしますが、二十八日のあの暴行事件で、先ほど申し上げたように、二十数名の方ですか、入院しておるのです。それで新聞に載っておった、年とったのが最後に残って、長い竿で突かれたり、引っぱたかれたり、足をけがして腰をたたかれてまあとにかく今でも痛がって病院に入院している者もいるのです。これは私も見てきました。これはちゃんとだれがやったかということを覚えている。やはりこれはあなたがお話のように、争議に伴う度をこえた暴力というものが許されないというならば、こういうような諸君についても、やはり法は仮借なく適用されるべきものだと思う。この点はどうですか。
  134. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 争議に関連いたしまして暴力が行なわれ、それによって犯罪が構成される場合におきましては、奔放なくこれを取り締まる考えであります。さらにそういう場合におきましては、第一組合と第二組合であるとを問わず、警察の捜査にできるだけ御協力を願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 田畑金光

    田畑金光君 私は、そこで労働大臣にお尋ねしたいと考えておるわけですが、きょうは、警察庁長も大へんからだをこわされているようで、無理して出ておられるようですから、きょうはこの程度でとどめますが、どうせまた次の機会に、さらにその後とられた措置等について、私はお尋ねしようと考えておりますが、とにかく、警察庁長官に考えていただきたいことは、自分の、安住の住居におれなくて、引っ越しをしなくちゃならぬ、こういう事態だけは一つやめさしてもらいたいと思います。こういうようなことは、やはり私たちは、労働再議は労働争議として常々と戦えばいいと思うのです。その前に無辜の婦女子にこのように精神的に肉体的に脅迫を与えるということは、許される措置じゃない、こういうようなことこそ、警察はもっとしっかりしてもらわなければならぬ、民主的な警察の運営をわれわれは強く期待しておるわけです。この具体的な措置をこの次の機会にはとられて、もうこういうようなことは安心な状態になったということを一つ答えられるように、あなたの善処を強く求めておきたいと思うのです。また、労働大臣には、次の機会に私質問することにして、きょうはこの程度で、約束の瞬間もきたようですから、終わっておきます。
  136. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この問題は、非常に重大でありますから、私の方も今調査に行っておりますので、調査帰りましたら、この問題の質疑をあらためてする、こういうことにしたいと思います。
  137. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 今後の運営につきましては、きょうの委員会の散会後、理事会で具体的に相談をしたい、かように考えております。  それではこの問題に対する本日の質疑は、この程度にしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後二時十三分散会