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説明員(本田武雄君) 昨日、
四山鉱で起こりました山代組等を中心とする
暴力団の
争議介入と、それに伴って起こりました負傷者につきまして概略御説明申し上げます。
この
争議に山代組等が介入に乗り出したというような情報が昨日の十時ごろからぼつぼつ
警察に入って参ったのでございます。これは福岡の
警察の方に入って参ったのであります。すなわち、所轄の
大牟田署に昨日の午前十時ごろから、山代組の一派が団体を組んで、市内をハイヤー等で多数人を集めておるというような情報を入手いたしておりましたので、
警察といたしましてもこれに対して警戒をいたしておりました。
午後一時三十分ごろになりまして、山代組の一行が笹林公園に来ているというような情報が
入りましたので、直ちに
大牟田署の警備
課長以下五名が同公園に急行いたしました。一行はさらに旧労の本部に向かったということでございましたので、これを追って警備
課長らも旧労本部におもむいたわけでございます。警備
課長らが旧労本部に到着いたしましたときは、山代組の代表約十四、五名の者が旧労の
幹部に対しまして、新労に対して
暴力をふるったり、村八分にするとは何事かといったような抗議をしておったようでございますが、間もなく引き揚げて参りましたので、警備
課長らは旧労の本部前におきまして、山代組の
幹部らに対しまして厳重な警告を行ないましたところ、山代組の
幹部らもこの警告を受け入れて、穏健な
行動をとる旨を約したのでございます。
ところで、その後、四時五十五分ごろに、山代組の百名が、トラック一台、ハイヤー十四台に分乗いたしまして、
四山鉱の南門に向かったわけでございまするが、これに対しまして福岡県の
警察の方で、これを一個小隊約三十名の部隊でもって追尾していったわけでございます。ところで、この山代組の一行は、その前に
四山鉱の南門付近を通過したのでございまするが、その際に、そこに
警察の方で検問所を設けておりまして検問班員七名がおったわけでございますけれども、そこで警告をしたわけでございまするけれども、その線を突破いたしまして正門に向かったわけでございます。そうして午後五時十五分ごろに
四山鉱の正門前に到着をいたしまして、そのうち数名が車からおりまして、同所に張られておりましたところの旧労の
ピケ隊約三百五十名と口論をしておったわけでございまするが、間もなく全員が降車をいたしまして、所持しておりましたこん棒とか、その正門の付近にありました棒ぎれのようなものを持ちまして、そこへかけつけた四名の
警察官——これは正門前に四名の
警察官が配置してあったわけでございますが、その四名の
警察官の警告を無視いたしまして、午後五時十七分ごろから双方がなぐり合いに入ったわけでございます。さらに山代組四、五名の者が正門前の小高い山の中腹にかけのぼりまして、そこにありましたこぶし大の石などを旧労組員に向けて投げつけるというような
事態が
発生いたしました。そこで、先ほどから追尾いたしておりました——福岡県からずっとつけて参りました一個小隊の部隊がそこへ到着して、これが制止に当たったわけでございます。その追尾しておった一個小隊が、なぜすぐかけつけなかったかと申しますと、ちょうど県境いに当たっておりますので、この現場はこれは熊本県警の管轄でございますので、追尾して参りました福岡県警の一個小隊と熊本県の
警察官とが南門の付近で打ち合わせをしておったそのすきにもう乱闘が始まっておったわけでございます。そこで、この一個小隊が少しおくれましたがかけつけまして、双方の間に入って制止をした。さらに急報によりまして午後五時二十八分ごろに熊本の方から二個中隊、これは荒尾署に待機しておった部隊でございますが、二個中隊約二百三十名が参りまして、そのほか私服部隊など合わせまして合計三百十八名で協力いたしまして
事態を鎮圧いたしまして、そうして山代組の連中五十一名を荒尾
警察署に連行いたしたわけでございます。この際の乱闘に際しまして、旧労組員十三名が負傷いたして、そのうちの一名、久保さんが病院に入られましてからなくなられましたことはまことに遺憾なことでございまして、お気の権にたえない点でございまするが、
警察官は五名の負傷者、それから山代組が一名負傷をいたしております。
そこで、荒尾
警察署では、この五十一名を現場から連れて参りまして、直ちに取り調べを始めたわけでございまするが、いずれも現場にいた事実だけは認めましたけれども、
暴力行為につきましては否認をいたしました。また一方、被害を受けました労組側の協力ということが
捜査上必要でございますけれども、最初はその協力が十分に得られませんでしたために犯行を
確認することができませず、やむを得ず一応取り調べを終えましたのちに、午後九時ごろ全員を帰したわけでございますが、その後、
組合側から協力が得ら出るようになりまして、きょう、つまり三十日に被害者及び目撃者を出頭させる旨の確約を得ましたので、現在までの採証結果とあわせて本日から本格的な
捜査に移る予定でございます。
なお凶器といたしましては、
日本刀、ピストル等を持っておったというような情報がございましたので、鋭意
捜査に努めたわけでございますが、短刀に肉切り包丁、ジャック・ナイフおのおの一個、計三が現場のみぞ等に遺留されておりましたのを没収いたしましたが、その他につきましては
確認をいたしておりません。今後の方針でございますが、このような
事態にかんがみまして、今までよりも福岡県側も熊本県側も増強いたしまして、現在福岡県側では二千七十七名、従来よりも六百五十名増強したわけでございまして、二千七十七名、この部隊を
大牟田市内に。熊本県側では一個大隊四百五十五名を増強いたしまして、全部で九百九十八名、両県合わせまして三千七十五名の
警察部隊で警戒に当っております。目下のところ、
紛争は
発生いたしておりません。
なお、一方、この
暴力団の
事件につきましては、今後徹底的な
捜査を進めて真相の究明に乗り出す所存でございます。以上でございます。