運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-28 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十八日(月曜日)    午後二時三十三分開会   —————————————   委員異動 本日委員紅露みつ君、山本杉君、藤原 道子君、秋山長造君及び村尾重雄君辞 任につき、その補欠として青田源太郎 君、石谷憲男君、北村暢君、山本伊三 郎君及び片岡文重君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            大谷藤之助君            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            佐藤 芳男君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            久保  等君            小柳  勇君            山本伊三郎君            田畑 金光君            片岡 文重君   衆議院議員            齋藤 邦吉君            田中 正巳君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    労 働 大 臣 松野 頼三君   政府委員    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    労働大臣官房長 三治 重信君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局厚   生年金保険課長  加藤 威二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○失業保険法及び職業安定法の一部を  改正する法律案衆議院提出) ○厚生年金保険法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○日雇労働者健康保険法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○船員保険法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  まず委員異動を報告いたします。三月二十八日付をもって藤原道子君、村尾重雄君、秋山長造君、紅露みつ君、山本杉君が辞任し、その補欠として北村暢君、片岡文重君、山本伊三郎君、青田源太郎君、石谷憲男君が選任されました。御報告をいたします。   —————————————
  3. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二十三号)、厚生年金保険法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二十四号)、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二十五号)、船員保険法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二十六号)、以上四案を一括して議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと速記をとめて。
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として。    〔速記中止
  6. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。質疑のおありの方は御発言を願います。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 衆議院並び参議院の方と、今までの委員会質問がありました点は努めて重複を避けまして、基本的な問題を二、三質問いたしたいと存じますが、第一は全般的に通ずる問題でありますが、被扶養者の問題について衆議院の方で相当突っ込んだ質問をされておりますが、その年令制限などについての明確な線がない、いわゆる判定の基準というものが明確にされておらぬようでありますが、そのようなことで将来法的にこの制限をはっきりさせるような意図があるのかないのか、お聞きしておきたいと思います。
  8. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 便宜私からお答え申し上げます。それぞれの法律におきまして被扶養者に関します定義がございまして、大体本人によって生計を維持されておるというような規定、それにつきましてさらにたとえばもう少し年令のかげんとか何とかで明確にする余地はないかという御質問趣旨かと存じますけれども、これはむしろ明確にそういうふうに年令なら年令で切ります場合において、かえってそのために実態にそぐわない場合が起り得ると存じます。今日のような規定実態をにらんできめるということの方がかえってよろしいじゃないであろうか、もちろん適正なきめ方がございますればそれはよろしいかと思うのでありますけれども、今日の段階では、私ども今の法律規定によってその上であまり間違いのない認定ができる。かようにただいまのところ考えておる次第であります
  9. 小柳勇

    小柳勇君 公社関係共済組合法などでは、被扶養者範囲というものを大体明確に年令あるいは親族の親等によって決定されておるようでありますが、今上程されておる保険四法の被扶養者認定というものが非常にはっきりしておらない、共済組合法によるそういう被扶養者判定に比べてあまりにも明確化されておらないために若干問題が発生しておるようですが、そういう点いかがですか。
  10. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) たとえば健康保険法で申し上げますと、そこの第一条に、被扶養者範囲というものが一号、二号、三号、四号と分けて規定してございまして、まあ相当範囲は明らかになっておると思います。ただ、今御指摘のように、年令でもって何才から何才というような規定がないのでございますが、これは私どもといたしましては、これを年令でもって区分けするということにつきましては、よほどこれは考えませんと、かえって実態にそぐわないようなことが起こるおそれなきにしもあらずと、かように考えております。その点について共済組合の方で年令で云々というお話でございますが、これはなおそういう方面をも調べまして、そういうようなものがはたしてうまくそれで運営されていくかどうかというようなことについては、十分検討をしてやりたいと存じます。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 次に、その被扶養者認定、一体最終的にはだれが責任でしょうか。たとえば、文句が出た場合、それの最終的な責任者はだれになるのでしょうか。
  12. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) たとえば健康保険法、あるいは日雇健康保険法でもそうでございますが、一応行政庁におきまして、この法律に基づく認定をいたします。で、不服がございますれば、これをただいまの法律では社会保険審査官、これは各地方庁に所属しております審査官に不服の申し立てをする、審査官になおかつ不服のものは、厚生大臣のもとに、厚生省にございます社会保険審査会、これにさらに請求をいたします。社会保険審査会委員、これは国会の承認を受けた、法律上のまあきちんとした規定に基づいて選任されました委員がこれを十分取り調べまして、そこでまあ判断をいたすわけでございます。なお、それにすらもさらに不服がございますれば、裁判所の方へ出ることに相なりますが、このように、一応行政庁認定に対しましても不服があります場合には、救済の措置はかくのように講じてある次第でございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 今までそういうことで苦情なり異議申し立てがあったというような統計ございませんか。
  14. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 御質問に、私の今記憶でお答えいたしますと、これはないと存じます。これはやはり客観的に、健全なる常識でもって判断いたしますれば相当明瞭でございますしするので、こういうようなもので非常に大きく問題になって、そのためにまあその請求人の権利が非常におくれたというような事例は私まだ耳にしてございませんので、あるいは私の記憶の外にあるいはあるかもしれませんが、こんなものはそんなにたくさんあるはずはない、まずまずないと申し上げてそう間違いはないという感じでございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 その問題は、今までわれわれも異議を聞くようでございますけれども、そういうことを、審査官のところに届いた異議申し立て統計として出ておらないようでありますから、今後の具体的な問題として、われわれとしてもう少し検討してみたいと思います。  次の問題は、厚生年金を主体として話しますと、給付率の問題が若干よくなったと、考え方として前進しておるということを、大臣局長も、衆議院でも参議院でも答弁しておられますが、失保など私どもが見ますというと、政府負担は非常に軽減されていくけれども個人負担の方はごくわずかであって、前進しておると言われるほど給付が増加していない。四法をずっと並べて見ましても、失業保険の方が一番冷遇されて、あと厚生年金船員保険の方が若干前進の跡が見える、そういうふうに私は考えまするが、その問題について、全般的に、労働大臣、いかがでしょう、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  16. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 失業保険は、一見非常に冷遇という言葉が出ましたが、必ずしもこれは冷遇とは考えておりません。こういうような非常な好況によりまして、保険財政が非常に健全になった、従って、給与及び給付に関しては何ら変更せずに、健全な財政が保てるという見通しで、保険料率を千分の二下げる、これは事業者及び労働者負担の軽減であります。なお、待期日数の六日、四日を五日、三日に切り下げる、これは日雇いに対する優遇であります。ただ、保険財政的な観点からいうと、積立金が、より以上積み立てられるものが減るじゃないかというところが私は疑問ではなかろうかと思いまするけれども、今日の事情では、約六百億以上、三十五年には七百億の積立金の予想がされますので、この程度のものは私は保険財政としても危険はない、こう考えますと、必ずしも、その後退だとか、あぶないとか、冷遇だとかいう言葉は、まだ今日の段階では私は当てはまらない。しかし、将来、それじゃあどうだという不安もございますので、法律案には三十四年——六年とやってみて、そうしてその結果、八年までにさらに検討しろという一条の安全弁をつけきました。なお、毎年会計で、赤字が出たときには政府がそれを補てんしろという、また、もう一つ安全弁をつけておりますので、私は、ただ保険財政積立金の増減からいうならば、いろいろ議論はございましょうが、保険者に対する私は待遇としては、何らこれは後退にあらずと、こう信じております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 厚生年金の方では、標準報酬月額利率をかけます。すぐ標準報酬が変わるとは思いませんが、賃金上昇によりましては、保険率給付率も変わって参りましょう、失保の方は、固定給付でありますから、この厚生年金などに比べて、失業保険の方としては、一応原則はこの率はきまっておりますけれどもあとは固定した支給率である、こういうことで、その面からだけでも給付が悪いという印象をわれわれ待つわけです。失業保険は、特にまあどの委員も言っているように、ぎりぎり結着生活をしている人たち失業保険である。そういうものが固定して幾らだときまる、片一方は、厚生年金の方は標準月額利率をかけていく、こういうことで、すぐスライドするとは考えませんが、この所得倍増論ども言われまして、経済の好転に伴いまして、ぐんぐん給付率が増加するその傾向線に比べて、失業保険給付率というものは前進できない。これが四法を見まして一番感ずる点です。そういうものに対して、一応基礎は、この率ときまっておりますけれどもあと失業保険の方はそういう固定した給付金額になりますから、前進する率が非常に少ない、そういう面でも冷遇しておるのではないかと思いますが、その点いかが、でしょうか。
  18. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 失業保険は、御承知のごとく、その性質がやはり雇用賃金に私は関連を持たしておる。従って、賃金上昇ということがやはり労働者に対する福祉でありますので、賃金上昇にあわせて、失業保険も当然上昇ということは考えられるものであって、ただいたずらに、保険というよりも、やはり総体的な、雇用の中の一つ安全対策でありますから、従って、これを定率とか定額とかいうのでなしに、やはり賃金にあわせて当然失業保険というものをきめて、従って、賃金上昇を期することが私は基本じゃなかろうか、こういうふうな考えを持っています。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、この前、質問途中で藤田委員質問が続けられたのでありますが、今までの統計的な例をずっと取りますと、失業保険給付率というものが、全体的な、月平均にいたしましても、わずか四・八か、まあ多くて五くらいにしかなりませんでしょう。そういたしますと、生活保護のズレというか、それより以下の場面すら出るのではないか、全体的な平均としては。そういうもので、まあ厚生年金についてはあとでまた若干質問いたしますが、まずそういうふうな給付率を、四法を見てみまして、平均してみて、失業保険の力が冷遇されておる、そういう点についでの将来のこれはまあ全体的に見て、また、三年ぐらいを一つ嘱機にして改正するようなものの思想が入っているようでありますが、将来ですね、一つ労働省として何か抱負でもあるか、あるいは、検討するというまあ方向にありますから、もう少し基本的なものを御意見を聞かせておいていただきたいと存じます。
  20. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御趣旨のようなことは、実は今回この法の一部改正案あとにおきまして議論が非常に出ております。一瞬出ましたのが一番最低の日雇いの問題であります。日雇い失業保険のいわゆる六割というものに対する、あるいはこれは定率になっておりますが、定率定額に対するいろいろな実は議論が出まして、衆議院からは附帯決議が実はこの問題について出ております。私は一つの大きな、ごもっともと申しますか、当然なことじゃなかろうかと感じて、この改正一つ政府も誠意をもって考えなければならないと、実はまず問題点の第一をあげております。将来におきまして、大きな意味失業保険法改正をやはり基本的にやるべき時期は私はこの二、三年のうちにはあると存じております。しかし、やはり失業保険そのもの給付の問題か、あるいは内容の問題か、いろいろ議論はございますが、私は基本的に失業保険改善をはかるべき時期はあると存じます。ただ、今回の改正につきましては、すでに一年二ヵ月前に政府が出したものでございますが、その後与党修正である程度改正は加えておりますが、この時期にやるには私はまだ手続と方法が熟していない、やはりあらゆる機関に諮ってやるには多少時間もかかると存じます。しかし、基本的にはこれでいいのだと私は考えておりません。やはりこういう健全財政になったときにはやはり基本的に改善すべきところ多々あると私は信じております。しかし、保険ですから相当長期計数計算から成り立って参りませんと間に合いませんで、今回の改正には、方向としては御趣旨のような方向かと思いますけれども、どこどこと触れるにはまだ問題は私は多いんじゃなかろうか、かように考えております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 この前も藤田委員がいろいろ質問をいたしておりましたが、まあ三年間検討してみて、その収支が償わなければ三分の一まであるいは国庫負担を増加してもいいというような思想がありますが、そういうのであればこういうこの今四法を画期的な——画期的ではないが一応前進する法改正がなされたときに政府負担を減らすということがよけい目立つわけです。で、被保険者生活中心にすることよりも、むしろ国の、国庫財政中心にして法案改正が考えられたとしか言えない。まあいろいろありましょう、衆議院修正もありましたから、衆議院の方でも最大の努力をしてここまで持ってきたと思いまするが、私どもがずっとこの四法を並べてみたときに、こういうような改正の時期に、被保険者生活中心にするよりもむしろ国財政なり保険財政中心にしてこの法案改正されようとしておる。そういうところは、むしろこの今の岸内閣国民保険を唱え、社会福祉十分関心を持って施策をやっておられるのですから、こういう重要な時期に、いま少し国民生活中心にし、社会福祉あるいは厚生というものを中心にして法改正をなすべきではないか、こういう一番いい絶好の機会ではないかと思うわけです。そういうのにかかわらず、国庫負担の方の減少だけが目立って給付率改善があまり目立たないという点については私どもとして不満でありますが、厚生大臣、その点いかがでございましょうか。
  22. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 便宜私から先に御答弁申し上げます。  あえて申し上げるまでもなく、御存じのように、今回の改正は一年前に提案申し上げた次第でございまして、その当時といたしまして、まあ厚生年金あるいは船員保険等について、まあ給付内容改善するとかあるいは保険料率引き上げというようなこと、それから日雇健康保険国庫負担引き上げということについて、これまた給付内容の充実をはかるような措置をとっておるわけであります。失業保険については、実はただいま労働大臣が御答弁申し上げましたような趣旨によりまして、法は後退一つもしておらぬわけであります。さらにその後の修正によりまして内容もよくして参ったわけでございます。  まだ私どもといったとしますれば、さらにこの皆保険になったときに、各社会保険内容を充実し、及び各制度間のまあバランスを調整をはかりまして、均衡のとれた形で全体が進んでいくようにしなきゃならぬということで、それについては社会保障制度審議会総理大臣からただいま諮問して審議をされておる段階でございまして、この全般の均衡のとれた発展ということになりますると、これなかなか大きな根本の問題でございまするので、これはただいま申し上げた程度のことは今回いたしましたけれども、それ以上のことになりますると、やはり社会保障制度審議会基本方針を、意見を求めまして、それとも相待って政府部内において諮って参ると、こういうのが最も妥当な措置じゃないかと、かように考えております。国庫負担関係と、あるいは料率の関係とについて、若干の点のまあ調整は今回いたしましたけれども、これはごく一部でございまして、全般的な均衡のとれた姿にいたしますには、やはり制度審議会とも相待って今後検討して参らなけれでならぬものと考えておる次第でございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 大臣どうでしょう。
  24. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 事務当局のただいまの答弁ですべてでございますけれども、やはり将来被保険者負担というものにつきまして、やはりこのたび保険料率引き上げたということは、保険財政健全化のために、やはりこのたび修正積立金方式というものを五年ごとにこれをやらなければ被保険者に多大の迷惑をかけると、こういう意味からでありまして、被保険者のために給付率引き上げると、いわゆる年金額引き上げるということはそういう意味からでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 たとえば、厚生年金三千億、健康保険二百億、あるいは失業保険六百億など、四千数十億の積立金などの運用が、まあ主として、預託をされて運用されておりまするが、そういうようなその積立金の大きさ、そういうものがあるにかかわらず、今回この国の負担は減らす方向思想がここにある。そういうことであるならば、われわれとしては、もし被保険者生活中心に考えていくならば、むしろ積立金もその方向に回すように、あるいはいろいろ方法があるでしょう。病院を作ることもありましょうし、福祉施設を作ることもありましょう。いろいろそういうふうな生活をよくする方向に回すことができるでしょう。また、国庫負担も今急にこれを減らそうと、予算がだんだん年々増加して参りますに、経済も五%から七%増加するにかかわらず、国庫負担を減らして被保険者生活をあまり中心に考えておらぬ、こういうことを私は中心に言っておるわけですが、四法の改正を見て私どもが感ずることは、国民全部そういうふうに感じやしないかということです。今の日本生活実態を考えてみますと、この四法の四つの法律に含まれる被保険者生活というものは決して楽なものじゃないと思います。たとえば公務員あるいは公社関係共済組合制度が充実しておるところにおいてすら、退職いたしますると何らか仕事をしなければ生活ができないのが実態であります。従って、そういうような日本国民生活実態を考えますと、こういうような改正の時期には努めて生活実態をよくする方向に、これは具体的ないろいろありましょうが、そういう思想法案改正をするということが一番大事なことではないか、そういう思想にすれば、今度の法律というものは、特に失業保険、あるいは日雇健保などはその思想が非常に足らない、むしろ保険経済中心にして法案改正をなされつつある、こういうことを私は質問しておるわけでありますが、具体的にはいろいろありましょうから、もう少し具体的な問題から質問いたして参りまするが、たとえば厚生年金積立金などが預金してありますが、そういうものをもっと別に何か社会福祉施設、あるいは厚生年金に向いた何らかの使い道を考慮される、考慮しておられる、そういうことはございませんか。あるいは諮問されている事実はございませんか、そういうことをお聞きしておきたいと思います。
  26. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 実は御指摘のように、私ども厚生年金還元自主融資ということは数年来考えておることでございます。しかし一面、今預金部資金といたしまして、これが各種の産業に使われるということも、労働者生活に関するところの大きな雇用問題、その他についてのいろいろな問題にも影響することだろうと思いますが、しかし、私どもはやはり厚生年金運用問題というものは、現在われわれは毎年、年とともにこれが自主還元融資方向に今目下努力中でございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 もう少し具体的にですね、今大臣おっしゃったやつを具体的に御説明願いたいと思います。
  28. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 厚生年金で申し上げますると、厚生年金積立金が約三千億をこしておりますが、それは法規の規定に基づきまして全部大蔵省の資金運用部に預託することに相なる、ただいまそのように預託しております。その運用の利回りは大体約六分弱でございます。五分九厘八毛かと存じますが、それで運用いたして参っておるわけでございます。そのうちから還元融資として、まあ三十四年度は八十五億という金が勤労者のために、あるいは病院なり、あるいは住宅なり、あるいは各種厚生施設というものにこれは低利でもって貸し出されておるというのが現状であります。その現状につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、私ども各被保険者が積み立てたその積立金は、将来の年金給付の重要なる原資一つをなすものでございますので、できるだけこれは安全確実に保管をすると同時に、有利にこれを運用いたしまして、そうしてできるだけ多くの原資をもって将来の給付に遺憾なきを期せねばならぬ、かように考えております。同時にまた、長い問の積み立てでございますから、その間の被保険者心理等を考えまして、その金の一部は当然還元融資として被保険者福祉のために使うということも考えなければならない、かようにも存じておるわけでございます。その点から考て参りますと、今日の資金運用部に預託しておる状況は、これは私どもとしては、必ずしもこれが一番いいと、満足すべきものとは思っておりません。それで、できるだけこれを将来の積立給付原資として十分なる額にするために、私どもはさらに改善余地はないものであろうかというようなこと、あるいはまた、自主運用という問題についても検討する余地がある、あるいは今日の資金運用部の運営の仕方についてもいろいろ意見もあるというようなことでございまして、これにつきましては、ただいま原仇大臣諮問機関でございまする国民年金審議会等についても、またそれぞれの方々の御意見も承ったりいたしまして、私どもとしては、これを検討しておる段階でございまして、もちろん政府部内のことでございまするし、相当大きな額でございますから、これが財政投融資一つ原資にもなっておる状況でございまするから、今後いろいろとまた検討して調整をはからねばならない面はこれはあることは存じますけれども、私どもといたしましては、極力先ほど申し上げましたように、将来の被保険者のためにこれが安全、有利に運用されるように努力して参らねばならぬ、かように覚悟しておる次第でございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまのような答弁は、もう二年くらい前の決算委員会でも再々言っておられるわけです。それでまあ、国会答弁としては同じような答弁であるし、具体的にちっとも説明になっておらない。私は衆議院速記録を一度一通り読んでみましたけれども、そのような答弁であるわけです。もう少し具体的に、少なくとも厚生年金だけでも三千億の積立金ですから、これを政府資金運用部の方で六分で貸してありますが、もう少し具体的に論議されたことがないのかどうか、あればお教え願いたいと思います。
  30. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 部内ではいろいろとただいま検討しておる最中でございまして、今ここで具体的に申し上げるというほどのことにまではただいまのところではまだ固まっておらぬわけでありまして、大体の方向は先ほど大臣がお述べになりました方向で私どもは参りたいということで、いろいろ具体的な点を検討している段階でございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 私がずっと速記録を読み、かつ今御答弁を聞きまして感ずることは、保険経済というものが非常に将来不安がられておる。たとえば、はっきりした見通しは、一応推定はあるけれども、先の方で不安であるというようなことで、四法ともそういう思想がみなぎっておるように思うのです。たとえば今までずっと統計から見ましても、収入と支出、大体グラフに書けますから、そういうものを見ておりまするというと、たとえば三千億円あるけれども、これは将来どうなるかわからぬから、この金は大事にとっておかなければならぬというようなことが答弁の中にも再々言われておりまするが、保険経済というものは一体そういうものでしょうか、そのことを少し意見を聞いておきたいと思うのです。
  32. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 現在は御承知の通り、厚生年金保険、それから船員保険にいたしましても積立方式というものをとっておるわけ、でございます。つまりわれわれがふだんからそれぞれ賃金に応じまして一定の料率をかけておきまして、将来あるいは年をとったというような場合において、その積み立てたものを先ほど申し上げましたような安全、確実に、かつ有利に運用しましたそれによる原資からの利子と、それからその年における保険料とをもってまかなう、こういう建前をとっておるわけでございます。従いまして、この三千億円という積立金は今後さらにふえて参ると存じますが、私どもとしては、これは非常に大事なものとして運用して参らねばならぬ、そのためには、この実質価値が減るようなことを極力避けるいろいろな手当をして参らなければならぬと思うのであります。これをもし当該年度の支出を当該年度の収入でまかなうというような、いわゆる賦課方式と言われるようなものをとりまするとするならば、こういう積立金というものはそんなに必要ではないかもしれません。しかし、それは今日の実情から申しますると非常に高い保険料となって現われてくるわけでございまして、それは必ずしも被保険者全体のために決して有利な運用の仕方じゃないと、こういうふうに私ども思いまして、今日においては全部積立方式——ただしその積立方式もやはりそのときどきの国民経済なりあるいは被保険者賃金実態等をにらみ合わせて考えて参りまするために、このいわゆる修正積立方式という、段階的に平準料率まで引き上げていくという方式をとっておるわけであります。昭和二十九年にこの厚生年金の全面的改正をいたしました場合にもその修正積立方式をとりまして、それからまあ五年ごとに再計算をして、そして段階的に必要な料率まで引き上げていきなさい、こういうことでもって今日までやっておる状況でありまして、この点から申しまして、この積立金というものについて、私どもはこれを将来不安を起こさせないように、今日から安全確実にそしてできるだけ有利に、こういう運営をはかっていくべきものだと考えておる次第でございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 不安を起こさせないということで、その言葉保険数理といいますか、保険経済といいますか、これだけ収入は今あるけれども、これから三年先には支出がうんとふえて収入でまかなえないようになるであろうというような不安があるのか。これだけのものは、積立金がたとえば今三千億あるが、そういうものを中心に、それは減らさないように今後バランスをとっていかなければならぬとお考えになるのか、その点はどうでしょうか。
  34. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 大体数理計算をいたしまして、必要なる料率によって保険料を徴収いたしまして、これを積み立ておく、その額はただいまのところは三千億でございますが、これは逐年ふえて参ります。そのふえて参りましたものについては、私どもといたしましては、それを保存しておきまして、それから出ますところの果実と、それから当該年度における保険料と、この両者でもってその年の給付をまかなうように計算をいたしておるわけでございます。やはり原資が減るということは私どもとしてはこれは極力避けなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、今からこの法律が通ったといたしましてこれから三年いたしましてこの収支のバランスですね、これが保険料率の今回の改訂によりましてどういうふうな見通しですか。
  36. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) ちょっとこまかい数字で今申し上げます。ちょうど、三年とおっしゃいましたが、三十八年のあれで申し上げますと、そのときの収入は一千三十二億九千三百万円でございます。その内訓といたしまして、保険料の収入が六百六十億五千五百万円、それから利息の収入が三百三十九億八千八百万円、それから給付をいたしますのに国庫負担がございますので、国庫負担が三十二億五千万円、合わせまして一千三十二億九千三百万円の収入、それからそのときの保険給付費が二百十億四千万円でございます。結局、差し引きいたしまして八百億足らずのものがやはり積み立てに相なることになる数理計算でございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 三十八年度では八百二十億の積み立てが出るわけです。そういたしましてなお具体的に、こういう金を厚生年金的に、社会福祉の方にも厚生年金的にこの金を使う具体的な案もないままに積立金が八百二十億もこれから三年するとふえる、こういうようなやり方を、私はさっきから、被保険者生活よりもむしろ国保険経済、そういうものを中心に考えておるのではないかとさっきからお尋ねしておるわけですが、この八百二十億三年間するとプラスになる。そういうものは次にはどういうふうな仕組みで使われていくのですか。
  38. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これはただいまのところは、先ほど申し上げましたように、保険給付費というものがまだ少のうございます。そこで収入の方がはるかに多いのでありまして、積み立てた形になりますが、保険計算で参りますると、あと何十年かいたしますると、保険給付というものが非常にふえて参ります。そのときにはおそらく保険料だけではまかなえなくなる。支出超過になる。それまでにこの積み立てをしておきまして、そこから出ましたところの利息収入、それとその年の保険料収入、それとも合わせまして、さらに国庫負担がございますが、合わせまして、そうしてようやく保険給付ととんとんにする、こういうふうに計算しておりますものでございますから、ただいまの段階では、この収入が超過になっておりまするけれども、これは当然の経過でございまして、これは私どもとしては、これがそういうふうになってしばらく積み立てられるということがやはり必要なことだと思うわけであります。それの運用の問題につきましてはこれは先ほど申し上げましたように、できるだけ確実にまた有利にしなければなりません。しかし、また同時に、長い間の積み立てでございまするから、被保険者のためにも還元融資ということも必要だと存じます。しかし、還元融資もあまり高い利子を取ったのでは、せっかく被保険者のためにということには相ならないわけでございまするから、これはおのずから利子は低い利子で貸すということになるだろうと思います。そうしますと、先ほど申しました極力有利に運営するということと少し矛盾しておるようなこともございましょうが、その辺は調整をとって参らねばならぬむずかしいところだと存ずるわけであります。そういうような運営の問題につきましては、私どもといたしましては、今日の運用それ自体については必ずしもこれは最善だとは思わないので、先ほど大臣からお答え申し上げましたような線に沿って今後私どもはさらに検討し、また、これの改善をいたして参らねばならぬ、かように存じておる次第であります。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 改善の、具体的にお聞きするとまだ具体的な案もなさそうです。何年か先の方の計算数字が出ておるかわかりませんが、国の経済の伸長率やあるいは各個人々々の生活水準の上昇などをいろいろ計算して、もちろん計算してあると思いまするが、今三十八年度までの見込みを言われましたので、もう少しできましたら五年先、十年先くらいのことを参考のためにお教えいただきたいと思います。  その次にそれに関連してもう一問お伺いいたしたいと思います。
  40. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 保険の数理計算でございますので、これは全体のバランスがとれるときまで計算をしてございます。実際は今後いろいろな要素が変化いたしまするから、それはなかなか今日から予測できませんが、今日の段階をもととして、基礎として数理計算というものをいたしております。それを申し上げますと、三十八年をただいま申し上げましたので、あと四十五年を申し上げますると、収入の総計が、千六百十八億一千七百方円でございます。内訳といたしまして、保険料収入が、八百二十八億六千百万円、利息の収入が、七百十九億三千九百万円、それから国庫負担が、七十億一千七百万円、合わせまして、一千六百十八億一千七百万円の収入になります。支出の方が、四百五十四億五千五百万円、かように相なります。それから十年先の五十五年で申し上げますと、収入の合計が、二千三百五十一億八千万円、その内訳といたしまして、保険料の収入が八百四十二億六百万円、利息の収入が千三百五十六億一千九百万円、利息の方が保険料よりも多くなります。国庫負担が百五十三億五千五百万円、合わせまして、二千三百五十一億八千万円、そのときの保険給付が九百九十九億一千九百万円、さらにあと少し飛ばしまして、八十五年の予想でございますが、収入の計は、四千六億五千三百万円、その内訳といたしまして、保険料が八百十八億八千万円、それから利息の収入が二千五百八十一億六千万円、国庫負担が六百六億一千三百万円、合わせまして、四千六億五千三百万円、これに出ます保険給付が、三千九百八十五億五千六百万円、このごろになりますると、大体申し上げましたように、保険料それ自体は、六百六十から八百十八、その額としては、さほど大きな開きはありませんが、利息の収入は、だんだん積み立てが多くなって参りますので、これが加速度的にふえまして、八十五年では、保険料の三倍ぐらいの二千五百八十一億と、こういうことになります。これが積立方式でございます。それで、四千億の収入に相なりますが、同時に、保険給付の方が、そのころになりますと、ほとんどフルに給付が出るものでございますから、先ほど申し上げました三十八年の二百十億ぐらいのときから、それが四百五十四億、あるいは九百九十九億、さらに八十五年になりますると、三千九百八十億と、ほとんどとんとんぐらいまで支出が参っております。そういうふうにいたしまして、あと省略いたしますが、大体数理計算でございまするから、多少夢物語みたいな先になりますが、八十五年ごろになりますと、大体両者が一致すると、それの中身が、保険料は大体ふえません。もっぱら積立金の利息というものが非常に多くなる。それと、その年の保険料というものでもって、大体、多くなりました給付をまかなう、こういう式でございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 四十五年、五十五年、八十五年の、そのときの積立金の概略を教えて下さい。
  42. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 三十八年から申しますと、積立金の累計でございますが、六千七百六十億九千二百万円、それが四十五年になりますと一兆四千二十一億三千二百万円、それから五十五年になりますと三兆六千八十九億一千九百万円、八十五年ごろになりますと四兆八千二百三十八億二千三百万円ほどに相なろうかと思います。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、非常に不安のような品でありますが、保険数理としては、ここ二十年ぐらいは、そう保険料の支払いができないというような不安は全然考えないで、厚生年金均な病院とその他、そういうような方向の経営はできるのではありませんか。
  44. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 私どもは、この厚生年金の収支に不安というようなものは、実は考えておらないわけであります。先ほど申し上げましたように、ただいまのところでは収入の方が非常に多いのでありまするが、この積立収入増に伴いまするところの積立金というものを、これを大事に、それから極力有利に運用して参るということによって、将来給付が本格化いたします場合の遺憾なきを期して参るという建前で、数理計算をいたして、保険料率もきめている次第でございまして、まあ、不安というものは私どもは抱いておりません。また、そういうものであっては相ならぬと、かように考えている次第であります。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、そういうような事業の問題については、いろいろ検討しておられるようですけれども、具体的焦眉の問題として、年金の率の引き上げとか、あるいは保険料掛金の減少とか——掛金の減少よりはむしろ年金の増額なんてすか、そういうものについても、もっと根本的に検討し直す、それから被扶養者に対する適用の範囲その他についても、もっと国民生活中心に検討し直すという大きな柱が打ち立てられるべきではないでしょうか、その点いかがでしょう。
  46. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まあ、私どもといしましては、先ほどお答えいたしましたように、今日積立方式をとっております。そうして保険でございまするので、平素からそれぞれの賃金に合ったところの保険料というものを納めてもらって、それを運用いたしまして、それによる果実と、それからそのときの保険料でもって、将来の増大した給付をまかなっていく、こういう次第でございます。これは現在の給付程度というものを頭に置いての数理計算でございまして、これも長い将来には、内容もさらによくしていくということは、私は当然起こると思います。しかし、その場合の数理計算というものは、またあらためてせにゃならぬわけでありまして、現在程度給付を将来確保するために、先ほど申し上げたような数理計算をいたしておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、今日の段階においても、保険料率引き上げということは、本来あるべき料率まで、実はまだ引き上げておらないのでございまして、いわゆる二十九年の改正の際に、修正積立方式といいましても、まだ実際より低い段階に一応きめて、そうして急激な変化、影響というものを避けまして、それを五年目ごとの再計算によって、逐次本来あるべき料率まで引き上げていく、そういうふうにして参る方針を立ててございまするので、今回の料率の引き上げということは、やはり私どもとしては忠実にこれをやって参りませんと、将来の給付にまた非常な悪影響を及ぼす、給付ができないようになるおそれもあろうかと思います。  それから給付内容改善でございますが、これも今日の厚生年金保険にはどうも魅力が薄いと、何とかしてもう少し内容をよくしなければいかぬじゃないかという御意見は方々から承っておるのでございますが、やはりその給付内容改善ということにつきましては、保険料との見合いにおいて考えて参らねばなりません。それで先ほど申しました保険料率引き上げというものは、今回のものは本来あるべき料率まで引き上げていないものを段階的に引き上げるのでございまするから、この金をもって直ちに給付内容改善に振り向けるということは私どもいかがであろうかということで、厚生年金保険給付内容改善は、この等級の区分の改訂をやる、現在賃金実態に合わせて標準報酬等級をきめてございます。それが一万八千円で頭打ちになります。実際賃金は二万円、三万円を取っておる人がおる。たくさんおるのでございますが、その人たちに対しても一万八千円という賃金を擬制いたしまして、それでもってやっていく、これは御本人のためにも、将来老後になって年金給付をもらう場合にも、今の等級が基礎になって年金額が計算されますから、御本人のためにもそれは不利であります。従いまして、それをできるだけ賃金実態に合わせるという意味において、今回三万六千円までそれを引き上げることにいたした。その一万八千円から三万六千円まで引き上げることによりまして、出ましたところの額をもって給付内容改善に充てた、こういうことであります。給付内容改善は、実際はできるだけしたいということはやまやまでございまするけれども、これもやはり無条件にそういうことはかり考えてやりますると、結局最後の収支の違いというものが出て参りまして、これを将来の後代の国民に負わせなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。これは積立方式の趣旨とも違っておりますので、私どもといたしましては、今回の給付内容改善は、大体厚生年金につきましては等級の改訂というものによって生じたものをもって給付改善をはかる、こういうふうにいたした次第でございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 五十八年度末の一件当たりの平均年金額が四万一千百二十六円という統計が出ておりますが、今回これが上がりましてどのくらいの見当でございますか。五十八年末というのは一九五八年度末のことです。去年のことです。昭和三十四年の話です。だからこれが、この法律が通ったといたしまして、平均すぐ統計は出ないでしょうが、一九五八年の末に比べて、一九五八年の末を大体、四万一千百二十六円という統計が出ておりますが、年金が幾らくらいになりましょうかという質問です。
  48. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 法律改正による給付の増額の一件当たりでございます。三十四年の十月末の実績が、老齢年金四万九百十円でございます。大体四万一千円でございます。それが法律改正によりますると四万二千四百八十七円、増額分が一千五百七十七円、こういうことでございます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 そういうことで、まだこれは年間四万二千四百八十七円ですが、月に平均いたしますと、三千八百円か三千九百円になります。一般の普通の公務員などの年金に比べても少ないし、国民年金よりも若干いいようでありますが、そういうことで莫大な積立金を持っておる厚生年金給付としては、もう少し前進する余地がある、私どもはそう考えるわけです。で、そのことを言っても今ここで法律改正されようといたしておりまするが、全般的に見まして国民生活というものをもう少し具体的に、数字の上から見て、年金なり保険を全般的に国民生活中心主義に切りかえていくことが法改正では中心ではないかと思いますが、最後に国民年金法が実施されて、掛金の通算について将来どのように調整していく考えであるかお尋ねいたします。
  50. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは非常に重要な問題でございまして、今日わが国では被用者関係では厚生年金保険その他各種共済組合法でございます。それから一般の国民に対しては国民年金があるわけでございます。必ずしも一つ制度の中でずっと老齢になるまで終始する人はかりとは限りませんので、それぞれに移り変わった場合に、ただいま御指摘の通算というものはどうするかということは非常な大きな問題でございます。それで実は私どもといたしましては、三十六年度から、国民年金の拠出が始まりますので、それまでの間にぜひその各種年金相互間の通算調整というものについて、一つの結論を得たいというので、ただいま内閣の審議室を中心といたしまして、関係の省が集まって、事務的にそれぞれ検討もいたし、また、国民年金審議会等中心にいたしまして、それぞれ学識経験者の方々の御意見を拝聴しながらただいま検討している段階でございます。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も厚生年金の問題について二、三質問をいたしたいと思います。今小柳委員質問いたしました将来の展望の問題が話されましたが、今御承知の通り、共済年金厚生年金、それから今度の国民年金というのがございます。大筋だけです、こまかいのはたくさんある。問題はその年金の将来をどう考えているか、ただ、現状のままの数理計算で八十五年までえらい詳しい数字をお聞きしたんでございますけれども、何と言っても社会保障の——、所得保障、冨の再配分、社会保障の原則である……。日本経済が発展していく中で、今のような厚生年金でよいということは、あなたも考えておられないと思う。だから内容改善向上というもの、たとえば本来言えば全体の国民に対する所得保障、生活ができるという年金制度をこしらえるべきだ。それにいくまでの段階においても、一般年金と被用者印金という統合の問題がまず出てくると私は思う。今から考えておかなければこの問題は解決しないと私は思う。なとえば今の公共企業体の共済年金は、平均十七万円というようなところがある。これは四万円だ。こういうことにおいては私は進歩がないと思うのです。問題は老後の生活をどう見るかということが根本の問題なんですから、一般年金とこの三つの関連、将来の展望について局長大臣から御意見聞かしてほしい。
  52. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 先に私の方から。  御指摘のように、今日わが国のこういう所得保障の分野は大きく分けまして、被用者に関する年金制度、それから一般国民に対する年金制度というふうに、大別して申し上げることができると思います。それで被用者の方は、いろいろ厚生年金のほかに各種共済組合等がございます。あるいは船員保険もございますが、そのそれぞれの内容は、沿革的な事由にもよりまして、確かに御指摘のように、給付内容が異なっております。しかし、同時にまた、掛金も非常に異なっております。今日の厚生年金共済組合給付に比較いたしまして、必ずしもいいとは私どもも思っておりません。しかし、同時に、掛金の方を見ますと、相当商い保険料を共済組合の方では払っております。そういう点もございまして、どの緯度の掛金をするかということの見合いで、給付もある程度きまってくるというようなこともございます。これはこれとして、だんだん調整をはかって参らなければならぬだろうと存じます。しかし、将来の問題として、私どもといたしましては遠い将来はいざ知らず、まあ私どもの考えられる程度のところにおいては、一般国民に対する国民年金制度と、それから被用者階層に対しまする被用者年金というものを、一本にしてがらがらにしてしまうということは、少しいろいろな点からしてまだ無理がある、一般国民年金の方については、今日の国民年金制度をそれぞれ充実して参るということで一歩進めて参る、それから被用者に関します方面につきましては、これはできるだけ整備統合して、相なるべくは一つのものにもっていく努力をすべきではなかろうかと、私どもはかように存じております。ただし、それも先ほど申し上げましたようなそれぞれ沿革的な事由があって、今日まで発達して参った各制度でございまするから、今直ちにそれを一本にするということは、言うべくして行たわれがたいことであろうと存じまするが、方向といたしましてはそういう方向に進んで参るものでなかろうかと私どもは存じておる次第でございます。
  53. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 各種年金制度の通算を含めまして、相互調整の問題は、段階的にこれは考えていきたい、かように思っております。  なお、厚生年金給付内容は、将来の経済の発展等ともにらみ合わせまして、順次これを引き上げていきたい、かように考えております。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 年金制度というのは本来老後の五十五歳、六十歳からの生活をどう守っていくかという、やはりそういうところに問題点があるのであるから、今掛金が違うから云々というようなことでなしに、能力のあるときには場合によっては掛金を引き上げることもあるでしょうけれども、根本はやはり外国がやっているように、国がそのおもなめんどうを見るということで、老後の生活ができるようにしていくという配慮がなければ、私はこの問題は進歩した形で解決する問題でないと私はそう思う。そこでこれに関連して五人未満の事業所には適用されていないんですね。失業保険の問題にもこれがあるわけですけれども、五人未満で働いておろうと労働者なんだから、これはやはり五人未満の労働者に対しても、これを解決するという心がまえがなくてはいけないんじゃないか、私はそう思う、この点についてはどうですか。
  55. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 五人未満の事業所に働いておる人たちにつきましても、厚生年金保険は適用して参るということは、私どもは同じ被用者でございますから、そういう方向に進めるべきだとは存じます。ただ、今日の段階におきましては、これらのいわば零細事業所というその事業所におきまする雇用の形態とか、あるいは賃金の支払いの形態というようなものは、まだ必ずしも明瞭でございません。これを被用者保険の系列において適用して参ります以外には、技術的にも事務的にも非常にまだ困難があるわけでございます。こういうようなことにつきましてはまあ逐次検討いたしまして、できるだけそういう人たちも、将来は被用者保険の系列において吸収して参るようにいたすべきだと存ずるわけでありますが、これはなお今後の検討によらざるを得ない。むしろ現在の段階におきましては、いわゆる任意加入制度を活用いたしまして、逐次範囲を広げていくようにいたしたい、かように存じている次第でございます。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 次の問題は積立金運用の問題です。これは小柳委員からも質疑があったから、私は深く触れませんけれども、しかし、今までもお話の出ているように、積立金運用が今の現状のままでも四兆、八十五年になる。近い将来でも、三十八年には六千七百六十億になるというような膨大なものが、今の資金運用部資金で、そのまま直接回っていく。労働者が半分出している。これは当然この保険経済厚生行政の自主管理によって、福祉事業、労働者に還元ということが行なわれなければならぬ、私はそう思うのです。だからこの点が一つ。  それから次の点は、厚生年金の支給の処置です。この支給の処理をぜひ大臣に承っておきたいのですけれども、二月、五月、八月、十一月ですか、そういう工合になっていると思う。三月ずつあけた月に上げる。だから死亡したときに消滅するということは、これはどの問題でも年金制度はそうでしょうけれども、たとえば共済年金その他には遺族が半額を支給されるという建前もございます。それからまた、この制度と、最近行なわれている福祉年金の問題についても、一つの端的な例を言うと、十一月から予算がとられて、二月まで四ヵ月を三月に払う。この厚生年金も同じですよ、払う。三月一日に生存していなければこの四ヵ月分は払わぬ、死亡したとき消滅するというけれども、これは私はそれはそういう性格のものだと思います。この福祉年金なんかについては。だけれども、生存していたときの年金まで払わぬというようなことが、どの法律によって、根拠によってやられたのか知らぬけれども、これと関連して、まず福祉年金の方から承り、厚生年金の支給の仕方についても承りたい。この二点です。
  57. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) この死亡したときに支払ったらどうかという、これは保険制度の建前からいろいろと現在問題になっておりますので、しかし、われわれも特にこの零細な人々のことを考えまして、目下検討中でございます。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は先のお答えがないのですけれども、今の答弁に関連して申し上げたい。検討するという問題じゃない。法律は十一月から施行する福祉年金の面からだけ見ると、十一月から支給する、死亡したら消滅すると書いてある。それ以外何もない。二月まで生存して、二月の月末に死亡したときに、三月に支給するから、そのときに死亡しているから、四ヵ月分は払わぬ。これはずいぶん私は本来の年金の精神を逸脱していると思う。それを検討しますというのは、それはいつ検討してもらえるのか。これこそはっきり支給しなければ法の目的は達せられないと思う。厚生年金の問題については検討中という言葉はあることでしょうけれども福祉年金の問題については、そういう答えでは私は承服できない。
  59. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは、請求権に基づきまして支給できるように今検討しておる、こういうわけでございます。
  60. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 補足して申し上げます。今の未支給年金の問題でございますが、厚生年金におきましても、国民年金におきましても、まあ支給期が三回とか四回ということがございますけれども、その支給期の前になくなられました場合においてはその請求権利を失う。ただし、そこにたとえば小さい子供を持った寡婦がいるとかというような場合は、これは従来加給年金の対象になっておったということで認められますが、請求権がなくなる場合がある。この点は、実は恩給などにおきましては、それは一つの財産権というふうに考えまして、それが遺族にそのまま請求権が移るということと違っておるわけでございます。これ自体は今日社会保障という建前で、この厚生年金保険なり、あるいは国民年金法を貫いておりまするので、建前といたしましては、その方の一身に専属する権利であって、それはその方がなくなったからといって普通の財産権のように他の遺族の何人でもそれが承継できるというような筋ではない。ただし、先ほど申し上げたように、加給年金の対象になっている人があれば、その人たちについてはそれが承継される。こういうふうな仕組みになっております。社会保障の建前から言いますと、これは一つの筋だとは思うわけでございますが、御指摘のように、今日の国民感情からいたしますと、なおこれはそぐわないものが現実問題としてあろうかと思います。そういう点で実は大臣が、そういう国民感情にそぐわない面を除去できるようにいま少し検討してみたい、こういうお答えを申し上げておるわけでございます。その線で私どもも検討して参りたいということを申し上げる次第でございます。補足でございます。
  61. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 積立金運用問題も、これは私ども今年の六月ころくらいまでには大体めどをつけまして、来年の四月——拠出年金が始まる四月ころまでに何らか法的措置を……。積立金は、将来やはり私が先ほど厚生年金の自主運営と申しましたあの線に谷うて関係当局と目下折衝中でございます。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 田畑君が質問されますので、もう一つだけ厚生関係質問しておきたいと思います。  北朝鮮に引き揚げられた方々は全然切られている。あるいは加入されて、具体的にどういうふうに加入されていて、あとの処置はどうなっておるか、聞いておきたい。北朝鮮に引き揚げられた労働者ですね。つまり厚生年金
  63. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 北朝鮮の人々に対する厚生年金保険の適用につきましては、これは日本人と同様に適用いたしております。
  64. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その処置をどうしているかということを聞いているのです。
  65. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 引き揚げられる場合につきまして、給付をどうするかという問題があるわけでございます。その場合、たとえば脱退手当金につきましては、五十五才まで支給停止という措置がございますので、不当ではないかという北朝鮮の方々に御意見があるようでございます。これにつきましては、現在国交が回復していないという状態でございまして、私どもといたしましては、特別措置法律改正するかというやり方が一つあるわけです。臨時立法か何かいたしまして特別にやるという問題がございます。それからもう一つは、五十五才になったときにこちらからその金を送るという問題にするか、こういう二つの問題があるわけでございます。私どものところでは、現在目下検討中ということでございます。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今のような事情で、引き揚げられた方々からいろいろ私たちに意見が出てきているわけです。だから、一つの面は、国交が回復していないという面が一つございましょう。しかし、現実に保険料を払って積み立ててきて、そうして国交の状態がこのままであれば送金ができないという場合をたとえば予想してきた場合に、その方々の保険料というものはかけっぱなし、そのままで終わる、こういうことになるわけです。だから、将来の展望が二つの場合がある。払える場合と払えない場合。これは国民と同じように五十五歳以上の問題ですから、ありますけれども、しかし、今のような二つの将来の場合が予想されますから、私は、やはり現状の状態でやっぱり処置をすべき問題じゃなかろうかと思うのです。そうでなければ、何らかの保証を与えるとか、約束を、どういう格好で、どのような場合であっても、この脱退手当金の問題は処置をする、どういう工合に処置をするということをここでやはり明確に厚生省としてはしておかれることが、国際信義の上からいっても私はいいことじゃないかと、こう思う。それをお聞きしている。
  67. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 今まで日本で働いておって、厚生年金保険保険者として掛金をかけておられる。そういう方々が北鮮へ引き揚げられた場合に、私どもといたしましては、将来その人たち給付し得る状態が発生いたしますれば、それはこちらから送金するというふうなこをととるべきだと思います。現在でも国交が回復しておりまする地域においてはやっておるわけとあります。ただ、国交がまだ回復していないという点に問題があろうと思います。これも、いつまでもそういうことであるということは望ましくありませんので、これは早晩漸次みんな解決されるものという建前として考えておるわけであります。そのときにまた事務的には、ああいう遠くに行かれた人がはたして生存しておられるかどうかというような問題が事務的には私はあると思います。そういうことは別といたしまして、基本的には、日本から去られた方、もうそれは全部捨てちまうのだということでなしに、またそういう方が日本に再び来られて働かれることもございましょうし、また、そうでなしに、ある一定の期限をこえて給付を受ける権利が発生しました場合に、私たちは、それに対して法律で定められた所定の年金給付をいたすということはやぶさかじゃございません。当然なことだと考える次第でございます。
  68. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 御指摘のように、これは国際信義の上からも、ぜひ何らか法的措置を考えて、向こうへ引き揚げられたときにおいては、あるいは脱退支給金とか何とかということが考えられるのは当然だと思います。今の段階では、ただ法律的にちょっと困難でありまするが、当然私は考えてもいい問題であろうと、かように考える次第であります。
  69. 田畑金光

    ○田畑金光君 私の質問しようと思っておりました点は、小柳並びに藤田委員からそれぞれ質問になったようで、私要点だけ簡潔に質問したいと思うんですが、まず第一に伺いたいのは、これはすでに質問あったかと思いますけれども厚生省厚生年金積立金について自主的運用ということを強く主張されて、大蔵省等とも長らくの間にわたって折衝されておられるように聞いております。そこで自主運用の具体的な内容だけ、どういうような面に、厚生省自主運用する場合にはこれを運用したいか、要点だけでよろしいので一つ大臣の方から簡単に御答弁願います。
  70. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは長い間の厚生省の主張でございまして、先ほども実は同じ答弁をいたしたのでございますが、私ども自主運用をいたしたいと、こういうふうに考えておる次等でございまして、今年度の予算の編成当初におきましても、大蔵当局ともいろいろ話し合ったところでございます。しかし、先般の総理大臣衆議院におきます委員会における答弁におきましては、やはり二つながら調整を保ちながら、一つ考えてみたいと、こういうことを言っておられるのでございますが、われわれといたしましては、いわゆる零細な労働者の金でございまするから、こういうやはり下層社会の人々の利益をもたらすような、そういう方向において努力いたしておるような次第でございます。
  71. 田畑金光

    ○田畑金光君 その程度の御答弁でございますれば、お聞きする必要も何もないわけで、新聞ですでに総理大臣衆議院の社労委員会で答えられたことも見ております。厚生省として自主運用と言われるからには、もっと具体的な計画があってしかるべきだと思うのでございますが、そういう御答弁を私は期待しているわけじゃございません。たとえば先ほど、これも質疑応答の中に出ておるはずでございますが、昭和三十三年度の還元融資が七十五億、三十四年度が八十五億、本年度が百五億、ところが本年の一月末でございますか、すでに三十五年の二月末三千三百億に積立金は到達しておる。この一年間の平均残高が何ぼに上るか、おそらく運用利率を年六分といたしましても、二百億をこえる額に上ると思うのです。もし七分にこれを運用すれば、年間の利息だけでも三十億から四十億の増額が出てくるわけで、そうしますと、わずか半額の還元融資で、一体厚生省としては満足しておられるのか。岸総理大臣の答弁は、突き詰めて言うと、この還元融資等でまかなっていきたいという思想でございます。厚生省は岸総理のあの答弁で満足しておられるのか、大蔵省に対して自主運営を言われるからには、計数のこまかな、しかも計画的な仕事を万事進めておられる大蔵省に厚生省が主張されて、これを取り戻すためにはもっと私は具体的な積極的な勤労者のためにこういうような合理的なことをやっていきたいんだと、これがなければ主張はとうてい達成できないと思うのです。ただそれだけなんですか。
  72. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 自主運用内容につきましては、目下具体的に私どもの方で準備を進めております。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 局長、答弁して下さい。
  74. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まだ大蔵省の方について私どもの方から要求を持ち出しておるという段階ではございません。私の方なりあるいは国民年金審議会などにおいて、いろいろ学識経験者の御意見を承りつつ今検討しておる段階でございまして、その中身はまだ固まっておりません。大臣お答え申しましたように、申し上げるまでに至りません。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 そういうことだからいつまでたっても皆さんの方の声というものは、達成し、実現できないのです。今日のこの段階において、私は後ほどお尋ねしたいと思うのですが、たびたびの国会において、これは関係委員会において付帯決議をつけて政府に要求し、要望をしておるわけです。それが今日承りますと、なお何らの具体化も見えない、まことに遺憾でございまして、これは厚生省厚生年金保険課からいただきました資料を見ましても、厚生年金保険積立金の概要報告書第一ページを見れば、大蔵省側は積立金の戦時下における国家資金としての重要性を主張し、他の一般財政資金とともに一元的に管理を要すべきであるとの立場からこれに反対した。と、沿革的な歴史から述べられて、実に勇ましいことを書いておられるのです。勇ましいことを書いておられるから、どれだけ具体的なことを考えておるかとあとを読んでみると、何もない。こういうようなことだから、あなた方の言うことは、答弁をうまくやればそれで万事終われり、こういう態度だからだめなんです。厚生省としてはもっと具体的にすみやかなる機会に、最近の機会に、今度はこの法律が通ったから、もうしばらくはお預けだという態度じゃなくて、この委員会一つ方針を示していただきたいと思います。  それから関連して私労働大臣にお尋ねいたしますが、厚生年金積立金のようなこういう特別会計の原資というものがやはり私は労働金庫等を通じ、労働者のたとえば住宅建設あるいは託児所の建設あるいは病院、診療所の建設、こういうような面にもっとこれは利用されて、初めて私は還元融資の精神にあるいはこの厚生年金積立金の建前に即するものであると考えまするが、労働大臣の今後の方針はどうでございましょうか。
  76. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 厚生年金積立金は、隣の厚生大臣にお伺いいたしますが、私も基本的にはそうあるべきだと存じます。ただ、失業保険の方を考えますと、失業保険は相当経済変動が多いものでありますから、厚生年金はやはり一つの年次、年令によって左右される。まあ失業保険の方は経済変動が多くて、昨年は平均三十五、六万円という月もございました。しかし、大体五十万人くらいの失業者に対する手当が毎月行っております。一千万人の加入がございますと、約五%、これがかりに一割変動いたしますと、金額におきまして三百四、五十億の変動があるわけであります。七百億というのは非常に膨大なようでもありますが、逆に経済の不況のときには赤字を出した年もございます。従って、厚生年金はこれは厚生省の、厚生大臣の御意見でありますが、失業保険を直ちに労働金庫に出すということは、私は非常にまだそんな安定した保険財政ではこれはない、こういうふうに、多少厚生年金失業保険は違うと存じます。厚生年金が非常に安定ならば、私は御趣旨のようなことは当然だと考えます。ただ労働金庫は、金庫法そのものを改正いたしませんと、ただ金があったら労働金庫に出せるかというと、今の労働金庫法では出せません。従って、これは労働金庫法そのものを改正いたしませんと、資金運用部資金がかりにありましても、今の労働金庫法では出せない、従って労働金庫法そのものを改正いたしませんと、この問題はまた別な意味がありはせぬかと、こう考えております。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 今のお答えですが、労働金庫法の改正じゃなくして、資金運用部資金法の内容改正がなければこれはできないと思うので、資金運用部資金法が、そのような、労働金庫やその他これに類する方面にも融資ができると、こういうことになれば、これは私はできると思うのですが、その点はどうなんですか。肝心の資金運用部資金法を動かさないで、この資金運用部資金の原資を動かすということは、これはできないことで、むしろ私は逆だと、こう思うのですが、どうでしょうか。
  78. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 法律的には田畑委員の御趣旨の通りのところが一番問題です。ただ私の申しますことは、今日の労働金庫法の管理監督権というのは一般銀行とほとんど同じであります。今日、やはり政府資金を流しますときには、管理監督権の問題で、労働金庫法の改正をしなければならない、もう一つは、出す方は資金運用部資金法の改正であります。これは二つの面が私はあるという意味で、さしあたり、御指摘の通り、基本的に、出す方は資金運用部資金法の法律、受ける方は労働金庫法の法律、この二つがやはりマッチいたしませんと、今日、政府資金を出します政府機関の金融機関は、管理監督というものが非常に厳重になっております。従って一般銀行には出さない。これは両面が私はあることと思います。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 今、労働金庫の監督上の問題が法的に不備のようなお話でございますが、御存じのように、大蔵大臣労働大臣の共管です、労働金庫は。毎年大蔵大臣並びに労働大臣の検査を受けておるおるわけで、その面においては、他の金融機関と何ら変わりはない、むしろ労働金庫の場合は、最近は労働省の所管であるがゆえにこそ、より一そう厳重な検査にあっておるわけです、金融の面からいっても、給与の面からいっても、貸し出しの面からいいましても。でありますから、問題は、資金運用部資金法の立て方を、たとえば厚生年金積立金は、厚生省のお考えのように、もっと積み立てて零細な勤労者福祉に還元しようというならば、法の建前そのものにさかのぼらなければこれはできないと思うのです。私は、この法律資金運用部資金法の改正の問題は、これは単に厚生省の問題とか労働省の問題じゃなくして、もっとこれは政府全体の問題として、共通の課題として取り組まなければ、幾ら、先ほどのようなふまじめな厚生省の取り組み方で、国会のたびにやりますやりますということを聞いても、これは一歩も前進しません。でありますから、労働大臣としては、労働金庫法がどうのこうのというような答弁をなさっておるようでございますが、これはまた、資金運用部資金法そのものを立て面さなければこれはできないのです。だからまた、この厚生年金積立金は、これは厚生大臣の所管だからということじゃなくして、これは最も労働大臣の所管される労働行政とうらはらの関係がある仕事ですから、労働大臣もこの本質的な問題に着眼されて努力を払っていただきたいと、こう思うので、それくらい一つ松野労政も前進するようにお願いしたいと、こう希望申し上げるわけです。  それから、同じく労働大臣にお尋ねしたいことは、中小企業退職金共済法、この五十三条を読みますと、事業団の余裕金の運用の面がございままするが、この中小企業の退職共済事業団ごとに積み立てられた資金を政令に基づいて、一部資金運用部資金に積み立てられておるわけですね。そこでこの問題について、また同じような議論は繰り返しませんが私は、こういう積立金運用については、労働大臣と通産大臣が、今度は通産大臣が協議をして、金融機関への預金、または金銭信託の取り扱い等について協議をする、余裕金の運用について協議をする、こうなっておるわけですね。そこで、こういうような金の性格も、いっか私は申し上げましたが、労働金庫等に預ける、あるいは労働金庫で取り扱わしめる、こういうようなことは、これは労働行政として当然やられてしかるべき措置であると思っておりますが、労働大臣は、現在この問題についてはどのようにお考えになっておられるか承りたいと思います。
  80. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この事業団の取り扱いは、特に労働金庫を指定しておりません。その理由といたしましては、所在別、地域別におきまして、約二百くらいの金融機関を指定しております。それは主としてどういう金融だという、金融機関の性質できめておるわけではございませんが、安全で、しかもその地域の事業団の利用できる管囲という、地域的立場からこれを指定いたしました。労働金庫は、御承知のごとく、まだ支店というものは全国的に普及しておるわけではございませんので、各府県単位ではこの事務ができませんので、一般的に、相互銀行——いわゆる銀行はほとんど指定をいたしました。まだ余裕金というのも大してございませんが、今後におきましては、私は当然これは中小企業金融を対象とする金融機関に、ある程度の預託を私はして参りたい、こう考えておりますが、一応大蔵大臣と協議の結果でございますが、私は中小企業——やはりその事業に金融をする金融機関になるべく預託をして参りたい。そういう方針で、今日、七月発足以来そういった方向をきめております。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 あなたの言われることは、まあ初めから労働金庫というものを相手にしないでそのような理屈を立てておられるわけです。時間があれば一々反駁しますけれども、労働金庫の支店、出張所が少ないからとおっしゃいますが、あなた方の方でだけ指定されておる、相互銀行とか信用金庫、信用組合、これに比べれば、よほど現在の労働金庫の支店、出張所綱というのは、もっと広範な地域にわたっておるわけです。実情をお調べになれば、労働省の関係部局の統計の中にはっきり出ておるわけです。また、指定金融機関の中に、日本のすべての金融機関を指定しながら、特殊銀行は別にいたしまして、その他一般銀行、あるいは特殊銀行は別と申しましたが、相互銀行にしても、あるいは信用組合、信用金庫といたしましても、その実態のよしあしは別にいたしまして、すべてのものを指定しておるにかかわらず、最も中小企業に関係の深い労働金庫を除外しておるということは、これは片寄った労働政策の現われだと言われても仕方がないと思うのです。この点は、すでに関係委員会等においても関連審議をされておると聞いております。これは労働大臣としては、この問題については、このままの形で手をつけないという方針なのかどうか、それを明確に承っておきたいと思うのです。
  82. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御承知のように、退職共済の負担は、主として事業王が負荷をいたします。従って事業主の取引の多い金融機関というもの、それから地域的に便利なものというものがこの審査の対象になったわけでございます。もちろん労働金庫も全然利用していないとは申しませんが、労働金庫そのものは主としてやはり労務者の方の金融機関というのが設立の趣旨であります。従って、今回の退職金は事業主負担でありますから、事業主の取引のある便利なものという趣旨で選考したわけで、あえて労働金庫は私の方は最初から除外して色目で見たわけではございません。事業主の取引のある銀行及び信用金庫というものを指定したわけであって、将来同じように事業主が労働金庫に関与されるというなら、私の方は何らこれを色目で見たわけじゃございません。  なお、将来の労働金庫の運営につきましては、やはりある程度改正すべき点も私どもは感じますので、将来は労働金庫そのものをある程度改正する必要があると私は痛切に感じております。先般予算委員会でもこの問題が出まして、大蔵大臣もともに出ましたので、お互い兵曹だから労働金庫については一つよく改善できるように研究しようじゃないかという話をしたぐらいでありまして、もちろん今までの労働金庫を是なりというのじゃなしに、新しい意味で労働金庫の改正というものを漸進的に考えるべき時期は私はきたと考えております。対象の調査とか、事業主の負担が事業主でありますから、事業主の取引の便利という意味で指定をしただけでありまして、特に労働金庫を色目で見たわけじゃございません。
  83. 田畑金光

    ○田畑金光君 あなたは、今の議論を聞いておりますと、労働金庫の実情をあるいは実態を、あるいは労働金庫法の建前を、正しく理解し判断されておると私は聞くわけには参りません。この点は直接の議題に、議案に離れて参りますから、この辺で私はこの点は終わりますが、とどめておきますが、今審議されておる四つの法案について衆議院の社労委員会附帯決議がつけられ、本会議でもちろんこの附帯決議は通っておるわけです。私は、このこういう附帯決議について、労働大臣あるいは厚生大臣としては、こういう附帯決議というものをどのように考えておられるか、まずそれを承りたいと思うのです。
  84. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 十分に附帯決議趣旨を尊重しております。
  85. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 附帯決議趣旨に沿いましてこの実現方を労働省として実行いたしたい、ことに日雇失業保険の問題でございますから、日雇賃金の改訂等にも影響するところがございますので、これは当然その問題にあわせて研究いたしたいと考えております。
  86. 田畑金光

    ○田畑金光君 二人ともりっぱな、殊勝な御答弁で敬服にたえませんが、渡邊厚生大臣にお尋ねいたしますけれども、今度船員保険法の一部改正法案が出ておるわけでございます。すでにこれは昭和三十二年の三月国会におきまして、例の健康保険法改正されまして、その節健康保険標準報酬月額は五万二千円に引き上げられたわけです。ところが、船員保険標準報酬月額の最高は従来の三万六千円に据え置かれた。このために、同一の海運会社の中で陸上労務者と海上労務者の問に保険給付上いろいろな差別や不均衡が生まれて非常に困っておるわけです。そこで、これはこの法律案の最後の採決の節に、委員会附帯決議がつけられておる。その附帯決議内容を読みますと、「船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」これは第二十六国会です。「健康保険の被保険者標準報酬額を引き上げた反面、船員保険の被保険者標準報酬を最高三万六千円に据え置き、しかも被保険者の一部負担制度をなすことは、船員保険の療養給付の主旨から見て、矛盾を感ぜられるから船員保険法については、早急に根本的な改正について検討の必要がある。右決議する。」厚生大臣は善処を約束しておるのです。ちょうどあんたと同じような答えをやっておるのです。何もやってないじゃないですか。何もやっていないじゃないですか。決議は決議のしっぱなしです。しかも今度は健康保険法についても標準報酬月額は三万六千円に引き上げられておるわけです。船員保険については第二十六国会以来据え置かれたまま今日に至ってきておるのです。一体厚生省としては、船員保険の問題についてこのような矛盾を残しておきながら、どうしようというお考えなんですか。附帯決議までやっていて、何にもあなた方は手をつけていないじゃないですか。そうして善処をするなどとごまかすことばかり考えて……、もっと誠意のある具体的な施策を、今後どうするのかということをはっきりここで述べて下さい。
  87. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 御指摘のように、三十二年の改正に際しまして附帯決議がついてございます。私どもは今回の改正におきまして健康保険法標準報酬等級は一万八千円から三万六千円に引き上げたのでございますが、船員保険法の分については、今回その改正を一応見合わしていると申しまするのは、健康保険法の方は一万八千円に、低いところに頭打ちをいたしました結果ですね、この一般男子においては四四%の人がですね、その頭打ちにひっかかっている。つまり一万八千円以上の賃金を取っておるのだけれども法律がそうなっているために四四%の人が一万八千円というところに、低いところにまあ等級をきめられておると、それがその人の将来の年金給付をいたします場合の算定の基礎になるわけでございますから、はなはだその賃金実態に合わないと同時にまたその人にとっても非常な不利である。かようなことから今回それを三万六千円まで一応引き上げた次第でございますが、船員保険の被保険者につきましては、現在頭打ちになっておりまするのが六%ぐらいでございまするので、今回は一応六%の程度でございますので見送ったわけでございます。それじゃ何もできないかということにお考えになるかもしれませんが、実は船員保険制度につきましては、これを全面的に一つ検討しなければならないいろいろな問題がございまして、そこで昨年来この問題につきまして厚生大臣諮問機関でございまするところの社会保険審議会、その中に特別の船員保険関係の部会を設けまして、そこで関係者の方々、あるいは学識経験者の方々と御意見を述べ合うように、ただいまその研究的な検討をやっておる最中でございます。今回の改正までにそれが間に合いませんでしたものですから一応見透った次第でありまするが、これを目下引き続き関係の船主あるいは船員の代表者あるいは学識経験者という方々において、今日熱心に検討を続けている段階でございます。これが結論を得られましたならば、私どもはそれを十分に参考といたしましてこの船員保険法改正をいたしたい、さように考えておる次第でございます。  なお、ちょっと、私の、健康保険の等級が一万八千円と申しましたのは、厚生年金の間違いでございます。
  88. 田畑金光

    ○田畑金光君 局長の資料はあるいは政府の資料ということでございましょうが、頭打ち六%にとどまっておるので、今の時期においては手をつけるに及ばないという考え方に立った、私のいただいておる、私が関係団体等からもらっておる資料と比べますと相当の開きがあるわけなんです。相当資料の開きがあるわけなんです。あなたのような、そう内部で矛盾の少ない問題ではないわけでございます。そうしますと、今特別の機関を設けて検討しておる、こういうお話ですが、この結論はいつごろ出る見通しであるのか、その結論が出た場合には、政府としてはすみやかなる機会に法改正をやるという御意思はあるのかどうか、この辺をはっきりこの際御説明を願っておきたいと思います。
  89. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 昨年来社会保険審議会の船員保険部会にお願いいたしまして、検討をやっていただいております。これがまあいつごろ結論が出るかということにつきましては、船員保険の全般について相当問題点がございまして、まあこれはある場合によっては全面的改正にでもあるいはなろうかというような筋合いのものでございますので、まあこれはなかなか期間もあるいはかかる、しかし私どもといたしましては、極力早く、私どもでできるならば、協力し得るものは極力協力し、また資料も出したりいたしましてその審議を促進いたしたいと存じております。で、それが出ましたならば、その趣旨に基づきまして、私どもといたしましては早急に法案改正のようなものについて手をつけて参りたい、これははっきりと申し上げることができると思います。
  90. 田畑金光

    ○田畑金光君 厚生大臣は鯨処すると約束されましたので、今の保険局長の答弁の趣旨に基づいて、文字通り答申が出てきたならばすみやかなる機会に、次期国会等に法案の提案ができるように御努力を願いたいと思うのです。もっともそのころはやめておられるかもしれませんが、(笑声)そのときは一つ明確に申し継ぎをされて、答弁にいいかげんなごまかしのないようにお願いしておきます。
  91. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 御趣旨を尊重しておきます。
  92. 田畑金光

    ○田畑金光君 ついでに、さらに私は労働大臣附帯決議の問題でお尋ねいたしますが、先ほど労働大臣は、特に日雇労働失業保険の問題等については善処されるということでございますので、この点は堀安定局長からも同様な趣旨がございましたので、すみやかなる機会に善処されるように要望いたしておきます。同時に、その前に附帯決議を見ますと、失業保険は被保険者が失業した場合、その生活の安定をはかることを目的とするものであること及び最近における賃金の実情にかんがみ、政府は一般失業保険の低額保険給付等々について善処することを附帯決議は要望しておるわけです。でありますから、ことにこの委員会でしばしば議論をされて明らかにされましたように、失業保険積立金はすでに三十四年末は七百億をこえると、こういわれておるわけで、これに対しまして、いろいろ失業保険特別会計は経済の変動が激しいから油断にならない、こういうお話でございますが、その御議論も一環があると思うのです。しかし、政府の長期経済計画は何年かの間に所得倍増をするというお話です。所得倍増をしようというお話です。年率五ないし六%、あるいはそれ以上の経済成長率を予定されておるわけです。あるいは平均七・二%等とも言っておりますが、いずれにいたしましても、所得倍増ということを皆さんは天下に公約をされておるわけです。当然その裏づけとしては雇用政策を考えておられましょうし、雇用の増強ということも考えておられましょうし、そうなってきますと、あなた方の天下に対する公約から見ますならば、雇用情勢というものがだんだん安定されていくものと私たちは判断するのです。そうなってくれば、失業保険保険財政というものは、これを維持し、むしろ高めていくものと私たちは見ているわけで、そういう観点から見ますならば、今日七百億をこえるであろう失業保険特別会計というものは、ふえこそすれあなたの御心配のようなことはないと思うのです。そういうような見通しの上に立つならば、低額所得者の保険給付引き上げ、あるいは保険期間の延長、ことに私たちの切に望むことは、零細規模、零細経常の中における任意加入、これを労働者の強制加入の制度として確立されることは、最も私は大事な今後の労働行政の重点でなければならない、こう考えておるわけです。この点について、松野労働大臣は、どのような今後に対処する方針をお持ちであるか、明らかにしていただきたいと思います。
  93. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御趣旨のように、私は失業保険は長期に見れば改善されると信じております。ただ失業保険の中に、御指摘のように五人未満とか、あるいは農漁村の未加入の労働者というものが、まだこの失業保険の対象になっておらない層が相当の数がございます。そういう改善を私ははかっていくべきであるというのが今日の急務であろうと存じます。同時に、この安定したときには、もちろん内容改善も私ははかり得ると存じております。従って、長期的に見れば失業保険財政は私は健全だと信じております。ただ時間的には、ある年には、急激に出る場合には、こういう事情がございますという話を申し上げただけであって、これは失業保険の特殊性に私は応ずる、長期に見れば私は失業保険はますます健全に、長期的になると信じております。しかし、今の、千人の雇用者がいかに健全であっても、必ずしも全労働者が幸福だとは言えません。従って五人未満とか、あるいは農漁村の未加入の労働者というものの改善を加えるべきものが当面の急務である。その上に立って、将来ともに、失業保険社会保障制度審議会関係もございますから、根本的な改善はその機会に私はやりたいというのが、今日ただいま考えておりますのは、その点であります。  なお、一般失業保険の付帯決議の低額保険給付はこれは行政措置でできるということでございますから、労働省は誠意をもって行ないたい、一番目の失業保険金額につきましては。二番目の日雇いのこの問題は法律施行でございますので、あわせて検討して改正を加えて参りたい、こういうふうに、二つの意味でこの問題は誠意をもって私は努力いたしたいと存じております。
  94. 高野一夫

    ○高野一夫君 委員長速記をとめて下さい。
  95. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  96. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。
  97. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 労働大臣が見えませんでしたから……私は労働大臣質問をしたい。  第一点は、保険経済の面から見てこのような改正というものが必要なのかどうか、本来の失業保障というものは、私は、今は日本の失業保障の問題は、社会保障的な要素が少なくて、相互扶助的な保険制度の中に多く突っ込んでおります。ところが、その突っ込んでいる保険経済の面を見ると、この前の質疑で、この三月現在で七百六十億の黒字が出、来年度、三十五年度は百二十億の黒字が見通しされるというような状態なんであります。今ちょうど大臣の答弁を聞いておりますと、五人未満の労働者や農漁村の労働者の失業保障の対策を立てるのが急務である、こういう御答弁がありました。急務であると言うなら、なぜこのような改正案をお出しになったか。たとえば保険料の面から見ますと、被保険者は料率が下がることはいいのでございます。しかしその労働者がこぞって、われわれの料率を下げてわれわれの負担が少々軽くなるより、今失業されている方々をどうして救済するか、これがまず第一なんだ、こういう格好でまず給付内容改善や、五人未満の労働者の加入の問題、こういうところに焦点が置かれて陳情や要請が労働大臣にされていることは私は労働大臣もよく御承知の通りだと思うのです。そういうのにもかかわらず、このような改正案で、大蔵省の金繰りの面から国庫負担を減らし、そして申しわけ的に経済の面からは保険料を減らすというのは根本的に間違ってはせぬかという私は感じを持っているわけです。ちょうど三年前でございましたけれども、非常にたくさんの日本に失業者が出た。保険経済を見ると五百億近くの黒字がある。だから、この黒字によって——失業者が今日の状態ですから九カ月、この前の質疑の中で九ヵ月のうちに五〇%も再就職されていない。二年、三年前のあの失業の多いときにはほとんどの人が再就職の機会がなかった。だから何とかこの失業されている方々を救済する措置保険法を改正してやるべきじゃないか、私はそういう議論をここでいたしました。ところが、そういうものには目も触れずに強引に、この法には触れずに今日まで来られた。そして結果がこういうことになったのです。国の負担を少なくするという、支出を少なくして他の社会保障の調整ということで、金繰りの面からこういう処置がとられると、私は非常に残念でしょうがないのです。たとえば今日の欧州の状態を見てみますと、工業国の状態を見てみますと、完全雇用の施策がとられている、これが第一でございます。だから、失業の状態もほんに職場交換という摩擦失業の状態——日本はそうじゃないのです。潜在失業者、一時間以上働いたら失業者でないという概念の中に多くの低所得者や失業者を追い込んでいる。そして長期に失業した人が救い場のないところに追い込まれているというのが私は現状じゃなかろうかと思うのです。それになぜこういう法律を出されたか。あの当時でも、アメリカの例をとって申し上げますと、大統領の命令で二十六州を三十九州にふやせということを大統領が命令して失業がふえてきたときにそういう処置をとっている。アメリカですら……。それに日本はそのときには知らぬ顔をしておいて、そうして今日こういう改正をする。まず第一にやらなければならぬことは、大胆が今その品から言われた中小企業、要するに五人未満の労働者や農漁村の者の失業の問題を早く処置しなければならぬのが急務である、こういう工合に言われておる。それにもかかわらず、こういう法案を出してこられたというこの考え方を私は大臣から承りたい。
  98. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私は今でも零細事業者及び今日の失業保険の対象にならない方を何とかこの対象にいたしたいという熱意に現実にございます。この法律は、御承知のごとく三十三年に任意加入制度という制度法律改正されまして、その後いまだ日浅くであります。従って、これは行政面における努力もまだ足らなかったであろうし、事業主そのものの研究も足らなかったかと存じておりますので、今後はこの趣旨をなるべく一つの企画のもとに入れまして、そうしてより以上入りやすいような方向に私は前進したいという意味で、今回申し上げておるのであります。従って法律はまだ三十三年でございますから、一年半ぐらいしかたっておりません。しかし、行政的にまだずいぶんこれはおくれておるところもございましょうから、一つの企画をきめて、より以上入りやすいような指導をして参りたいというのが今回の私の失業保険に対する方向でございます。なお、失業保険の三分の一を四分の一にすることによってのいろいろな問題がございますが、今日三分の一を四分の一に減らしたからといって、保険財政に不安はない。また不安があるときには政府は三分の一までの負担をするという法律案になっておることと、なお、今後の雇用問題として与党修正によりますところは、失業多発地帯に対する藤田委員の御趣旨が今回のこの中に入っております。失業多発地帯に対しましては保険給付期間の延長ということが今回出ております。なお、雇用促進のために早期に就職された方には支度金として残余の支度金として残余の保険金を差し上げるという雇用促進の方向がこの中にとられておる。この二つはおそらく満足とはおっしゃいませんかもしれませんが、藤田委員の御趣旨は、そうした方向改正案の中には私は含まれた、これは確かに改善であります。労働省としては全般的に見ておりますけれども、全般的にはやはり社会保障制度審議会とか総合的な機関に諮らなければ、事非常に保険経理に関することでございますので、さしあたって今回の場合は、でき得る最大限の改正をもって期間の延長というものも多発地帯に今回は特に入れてある次第であります。
  99. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今、大臣の答弁にありました五人未満のは労働省の統計で二百四十万人今日まで努力されたと言われて、十四万六千人そこで加入されておる。そうすると二百三十万人近くの人がまだ残っておる。そこへ農漁村の労働者という問題が出てくるわけでございます。だから私は簡単でないのです。それから長期の失業者の保護をどうしていくのか。これは何といったって自分の労働を通じて社会に貢献する、勤労の中で生存を、一生を終わるというのが人間の大体の私はこれはもう道だと思う。だから、一つ雇用政策であります。これを論議すると長くなりますからやめますけれども雇用政策であります。一つはやはり失業した人をどうこの保険で救済するか。根本の問題は雇用政策になると私は思うのです。だからその面が、雇用政策の面が不満足でありますから、長期の失業者というものが継続するわけでございます。それが潜在失業者という格好に追い込まれるというのが私は今の現状でなかろうか、こういうことを思うて参りますると、何としてでもこの五人未満の方々、長期の要するに失業者を私は救済するというところに、今日の事態において七百五十億、来年八百六、七十億も保険積立金ができるという経済の中で私は考えるべきではなかろうかということがどうも理解できない。衆議院修正に、なるほど一部修正があります。ありますけれども政府の出されたのは何んですか。政府の出されたのは待期期間の一日だけではないですか。そのほかに何をお出しになったのかということも私は言いたいのであります。  それから日雇労働春の問題ですが、先ほど田畑委員からの質疑がありましたから私は端折りますけれども、今日改正されて通算が五日、継続が三日です。二十日働いたとしても六千六百八十円であります。こういう低い収入で生活をされて家族を養っておる。それに、これでなければ保険金を払わないというようなことでいいのかということが一つ。もう一つは、何といっても保険料の額です。百四十円の保険金をもらって生活ができるかというのが、ここに問題になってこようと思います。ですから、この保険金の改正というものも、これも重大な機運であると私は思います。この面については早急にというお話が次官からも、局長からもありました。私は一応了解をいたしましたけれども、私は大臣からこの点も待期期間の問題と、それから保険金の引き上げの問題、単に抽象的に早急ということでなしに、明確に一つしていただきたいと思うのです。
  100. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 五人未満の事業所は、法律が通りましてから実施いたしましたのが三十四年の四月、十四万人は十一月末であります。約半年間に十四万人という意味でありますから、私は、これは今後もし行政指導さえよくやれば相当、加入の問題は解決するのじゃなかろうか、そう考えてどうぞ一つ御了承をいただきたいと存じますが、日雇いの問題は、御趣旨のように、非常に零細な方でございますし、その立場から申しましても、非常にこれは問題の多いところでございますから、できるだけ早期に関係省に打ち合わせをいたしまして、行政的あるいは法律的にこの問題をまとめたいという意味で、これは私の方としても熱意を持って研究いたすことを衆議院でもお約束して参りました。
  101. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは、最後の問題は、何ヵ月くらいしたらできるかということを一つ御返答いただきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、この保険の面からいうと、国の負担は三十四年度予算から三分の一が四分の一になり、保険料は取った、こういうことになるんですね。この法律が通ると、結局保険料は三十四年度は現状のままですね。国の負担だけは少なくなる、一年間。これは保険料は返すんですか。
  102. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この法律がいろいろな矛盾と御議論がありましたように、提案いたしましたのが三十四年の二月であります。ちょうど約一年二カ月くらいになるわけでございます。その当時の事情と多少事情が変わりましたのが与党修正案という形である程度変わったかと存じます。従って、法律があります以上、法律に従って徴収いたしました金額は返すことはできません。
  103. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、自分の意思に反してよけいな保険料を取った、それは政府の方だけは都合よう三分の一が四分の一になった、被保険者から取る分はそのまま取りっぱなし、こういうことになるんですか、これはそれでいいんですか。いや、法律がそうなっているからと言うけれども、この法律改正する意思とは違った格好になりはせぬか。私はそこを言っているんですよ。だから保険料が返せないなら、国の負担は三十四年度はバランスをとるとか何かしなければ、片一方は、同じ趣旨法律でありながら、保険料だけは取りっぱなし、国の負担だけは引っ込めている、これじゃ理屈が通らぬじゃないですか。法律改正しようという趣旨との関係はどうなるんですか。
  104. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 法律改正しようという趣旨は、同時に行ないましたが、法律が通りませんので、現行法で徴収をいたしてしまいました。
  105. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 徴収をいたしてしまいました、結果論ですね。現状論ですね。いや、だからそういうことになったら法律趣旨と違ってくるから、保険料を返すとか、国の負担を三十五年度から同じようにくつわを並べて出発するとかいう問題が出てこなければ、法の趣旨に沿わぬじゃないですか。そこを聞いているんですよ。
  106. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 法律趣旨は、昨年通るということを期待してこの法律は作ったわけでございます。その法律が一年二ヵ月通過いたしませんでしたから、その期間は、法律的に現行法で運用する以外ございません。従って、今回の場合、昨年の徴収はそのまま徴収をいたしました。
  107. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 法律を提案したというのは、国会における議題ですね。議題として提案、その議案が通らなければそれができない。本来の趣旨は、両方一緒に並べてやろうというんです。それを片一方だけの国の方だけの措置は出さずでもいいようにして、保険料は取る。趣旨に違反していませんかということを言っている。法律だから取ってもいい、そういう勝手な法律というものは、いかなる法律でも私はないと思う。
  108. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 昨年提案のときの趣旨とその後における現状とは多少ずれております。ただ、その後におきまして、今回の改正には三十一億という、昨年出しました政府提案に三十一億という給付の増額というものが、今回の実はこの一年間の状況の変化によりまして、修正として今回御審議をいただいているわけであります。従って、おそらく相当大幅な徴収をしたと同時に、それだけ法律がずれた、そのためにまた改善されべきところも新しく今回追加して三十一億の増、支給増というものが改正になったわけであります。
  109. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、そこのところをもう少し事務的に説明をして下さい、そういう説明はありませんでしたから。
  110. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 今回の改正案が三十四年の二月に提案されました。現在まで成立がおくれたという関係上、保険料の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現行法の規定に従って徴収したわけでございます。その後の雇用、失業情勢を見ますと、やはり炭鉱地帯その他におきまして、雇用情勢が非常に悪いというようなところが目立ってきて、関係者からも、この分だけはぜひ早急に実現してもらいたいというような要望もありまして、議員修正法案によりまして、職業訓練中の保険給付支給期間の延長、就職仕度金の支給、それから特別な地域につきまして、失業保険の支給時期の延長、このような諸制度を設けたわけでございます。このために保険金の増額になります分は、給付が約三十一億円の増になるわけでございます。初めの予定と、その後における情勢の変化、それから法案が成立しなかった、成立がおくれた、このようないろいろな経緯から今の実唐が出てきたわけでございます。大臣が御答弁になりましたのは、今のようなことを申し上げたわけでございます。
  111. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、事務的内容はわかりました。しかし、それは他の例を見ても、一時帰休の場合に、保険経済から支出するような措置をとっている。それは平常の措置の中の一つの特例なんですね。だから、私は、今の三十四年度国庫負担を減らし、三十五年度保険料を返さないというのと根本的に私は違うと思うんですね。そういう私はものの考え方で、とったらいいというような、他からとって保険経済を維持すればいいというようなものの考え方で失業保障の問題を考えてもらったらいかぬ。私はそこが言いたいんです。いろいろ言いましたけれども、きょうは大臣基本的な問題だけを伺っているわけです。だから労働行政一般についても、労働省は労働者の保護、サービスをする機関なんですね。だからそういう意味からいって、大蔵省の金繰りがとうこうというようなことで、こういう措置を講じて、本来の失業保障という問題がそれていくというような格好で、私は労働行政をやってもらっては困るということを言いたい。それはよく、労働大臣としては五人未満の会社、日雇いその他農民、漁民に至急に手当をしなければならぬということは急務だ、こういう工合にお気持は持っておられると私は思う。のに、そういう発言が出る、次々と反対の法案が出てくる。私が、日本経済政策において、がんばって下さい、がんばらなければいかぬということを常々言っているように、あなたは、やはり労働行政というものには、もっと腹をきめてやってもらわなければ私はいかぬと思う。だから、こういう法案に、与党の諸君でも、私は心から賛成する諸君はほとんどないと思う。そういうことをここでおやりになるということは、私はやはり将来うんと考えてもらわなければならぬ。衆議院の諸君が、一部はこれにつけ加えて修正をされました。努力をされました。だけれども、私は、労働行政として、労働省から出てくるこの考え方というものは納得できない。どうか一つ改めてもらいたい。これを強く主張したいと思います。
  112. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、労働大臣がおいでになる席で、政府委員並びに労働大臣に確認しておきいことがありますが、この四法案の施行に要する経費がどうなっておるか。ことに日雇労働者健保法の改正については、衆議院修正をされた段階もありまするし、そのときに、衆議院の社労委員会で、おそらくこの修正案によって予算がふえたことになるだろうと想像いたしますが、その辺のところは、社労委員会において、どういうような審議があったか。またふえたとすれば、そのふえただけの金は、どういうように始末ができるようなことになっておるかどうか、それを一つ、まず政府委員から……。
  113. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) まず失業保険関係について申し上げます。今回の改正によりまして、三つの点につきまして給付改善がなされるわけでありますが、その第一に、公共職業訓練を受ける場合には、給付時間の延長、それから給付日数の延長に関する特別な措置、就職の支度金の措置、この三点につきまして、給付は約三十億三千万円の増が予定されます。これに要す経費は、すでに編成いたしました予算の流用によって措置いたし、それからなお足らざるものがございますれば、予備費から支出する、このような措置をとりたい考えでございます。
  114. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 本案施行に要する経費でございますが、厚生年金保険法の施行に要する経費、平年度で約六千百八十九万円、日雇健康保険の分は、衆議院修正分を含めまして、約二億六千七百四十五万円、船員保険法改正に要します経費、約二千五百三十一万円でございます。
  115. 高野一夫

    ○高野一夫君 太宰保険局長に伺いますが、衆議院修正によって増額されたものは、二億六千七百万円のうちの幾らぐらいになりますか。
  116. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 千七百二十四万円でございます。
  117. 高野一夫

    ○高野一夫君 それで、今堀安定局長から、その金の出し方の始末についての話がありましたが、厚生省関係の増額された分もあるわけですが、これはどういうような処置をとられるか。
  118. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 衆議院修正になりました分につきましては、これは一応予備金でもって、中に約二億三千万円持っておりますから、それでまかないたいと思います。
  119. 高野一夫

    ○高野一夫君 労働大臣厚生大臣に一応確認いたしておきますが、労働省においては、三十億余りの金については、予算のやりくりと予備金、日雇労働者関係については厚生省において予備金から支出する、こういうようなふうの政府委員の答弁でありますが、その点について間違いないか、また間違いなくそういうような支出がやれることに、ちゃんと話し合いがついているかどうか、それを大臣から一つ
  120. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) すでに関係財政当局とも話し合いまして、その点は間違いございません。
  121. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 十分やれるように各般の準備はいたしております。
  122. 坂本昭

    ○坂本昭君 先日伺いましたが、もう一ぺん改めて厚生大臣に、厚生年金保険の問題に関してお尋ねをしておきたい。その前に局長に、日雇健康保険に加入している人で、厚生年金保険に入っている数、大体おわかりになりますか。
  123. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) ただいま資料がございませんので……。
  124. 坂本昭

    ○坂本昭君 入っている人があるかないかはおわかりになると思うのですが、全然ないのか、それとも若干あるのか、数万あるのか、その程度の返答をまずいただきたい。
  125. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 便宜上私から御説明申し上げます。現在の厚生年金保険法の建前でございますと、日雇健康保険法の被保険者は、新たに入る制度にはなっておりません。ただし、従来健康保険の適用事業所、厚生年金保険の適用事業所に働いていた人が、事業をやめまして、日雇労務者になった場合には、厚生年金保険法の任意制度保険者として残り得る制度がございますので、その人々があるいは若干お入りになっていると思いますが、その数は的確につかんでおりません。
  126. 坂本昭

    ○坂本昭君 厚生年金保険法の十二条には、適用除外として、被保険者としない者の中に、臨時に使用される者であって、日日雇い入れられる者という項があります。しかし、これにはただし書きがあって、一カ月をこえ引き続き使用されるに至った場合は除く、つまり日雇いで引き続き一カ月以上雇い入れられる者は、厚生年金保険法に加入ができると思いますが、いかがでしょうか。
  127. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 今、御指摘厚生年金保険法の十二条の三号の規定でございますが、一カ月をこえて引き続き使用されるという場合には、これは健康保険の被保険者の方に相なりまするが、従って厚生年金法の被保険者になる、こういうことでございます。
  128. 坂本昭

    ○坂本昭君 厚生省のこの説明の中に、事業所に使用される者というのは、必ずしも事業主との間に法律上の雇用関係が存在することを必要としない、従業員が事実上労務を提供し、これに対して事業主が、一定の報酬を支払う事実上の使用関係があればいい、そういう説明を見たのでありますが、こうした場合に、事業所あるいは事業主というのは、不特定であってもよろしいのですか。
  129. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 便宜私から御説明申し上げます。これは特定の事業主との使用関係でございますが、たまたま事業主の中には、法律上の形式的な明瞭な契約関係を結んでおらない場合がございますので、それをさすわけでございます。
  130. 坂本昭

    ○坂本昭君 そうしましたら、任意単独被保険者というのがありますね。任意単独被保険者、こういうものの扱いを日雇労働者は受けることができませんか。
  131. 加藤威二

    説明員加藤威二君) 任意単独被保険者と申しますのは一応日雇いという形態の雇用関係と申しますか、そういう関係にあるものにつきましては適用しないということになっております。
  132. 坂本昭

    ○坂本昭君 なかなか日雇労働者というのは冷遇されますね。もう日雇労働者自体の問題については、先ほど来労働大臣にいろいろと意見が出ましたからもう申し上げませんが、この厚生年金保険法というのは、最初から目的にも、労働者保険であるということ、それからまた残念ながら常時五人以上という規定はありますけれども、とにかく労働者保険制度であるということについては間違いがない。で、何とかしてこの日雇労働者雇用の安定は雷うまでもなく、さらに生活の安定をはかりたい、そういうつもりで何かいい道はないかと思ってお尋ねをしたのですが、厚生大臣は日雇労働者のこの厚生年金加入について、先般来局長は技術的に非常に困難だと言っておりましたが、何らか適当なこれを解決する方法はございませんか。
  133. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) この問題につきましては、日雇労働者という性質からなかなか困難な問題でございまするが、私どもこれは将来は国民年金を適用せざるを得ないのではないかと、かように考えて目下検討しておる次第であります。
  134. 坂本昭

    ○坂本昭君 今の、国民ですか、厚生ですか。
  135. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 国民です。
  136. 坂本昭

    ○坂本昭君 今回の四法の審議の中で、日雇労働者というものが、厚生行政と労働行政の谷間にあるという点が深く指摘されてきたのでございますが、少なくとも労働者としての労働保険の系列の中で取り上げるというのが私は原則であると思う。で、厚生大臣のように、国民年金で取り上げるということを明確にお答えされたのでははなはだ迷惑なのであって、労働行政の中で、労働保険の系列の中で原則として扱っていく、そのためにいろいろな技術的な隘路があるだろうと思いますが、ぜひともそういうふうな解決の方途を一つ探していただきたい。時間もありませんからこれ以上お尋ねいたしませんが、今のようにただ安易な道につくということでははなはだ国民としては迷惑をいたします。また先日少し触れたことですが、厚生行政についてはともすれば安易な道につこうとして、日雇労働者健康保険についても、いろいろな適用除外を悪用しているという傾向があるのであります。で、私は労働者保険制度を確立するために、安きにつくのではなくて、ほんとうに労働者生活を安定する、そういうために行政を推進していただきたい、その点を最後にお願いして質問を終わります。
  137. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは本四法案に対する質疑は、これを終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認めます。よって本案に対する質疑は終局いたしました。  暫時休憩いたします。    午後五時十四分休憩    —————・—————    午後五時四十三分開会
  139. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから再開いたします。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。
  140. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この保険法案について、私たちの立場を表明するものであります。  まず第一に、私たちは、失業保険法及び職業安定法改正法案でありますけれども、今日までの質疑の経過を経て参りまして、今日の失業保険制度というのが、本来の社会保障制度と違って、相互扶助的な保険制度によってまかなわれているということでございます。で、こういう運営の仕方が、今日問題になっておりますような、保険経済というものを中心に問題を議していく、運営をしていく、こういう格好に流れてきておりますことを非常に残念に思うわけでございます。失業保障の問題の根本は何かといいますと、国民が、勤労の中で人生を全うしていくその勤労の機会が与えられないという方たちを、どうして職業の場につけるか、生産を通じて社会に貢献してもらい、人生を全うしていただくかという雇用政策の問題が一つございます。ところが、そういう問題が十分に実効をあげていないところに、または失業をされた方々の救済の問題が出てくるわけでありまして、何と言っても国の施策として、私はこの失業保障という問題を考うべきところでありますのに、こういう格好になっているわけでございます。このたび衆議院議員が提案して参りました失業保険内容を検討してみますと、今日三十五年の三月現在において七百五十億も黒字が出るという、こういう状態にあります。来年度を含めますと、来年の三月末には九百億という財源ができるような見通しが、今日の状態で見通しされるわけでございます。ところが、この失業保険法の中で、やはり問題になってくるのは、第一点、五人未満の労働者が二百四十万人かおる、こういう方々の実行の面では、十四万六千人しか実行、この適用を受けていないで、この二百三十万余の人が置いてきぼりを食っているということであります。  第二の問題は、長期の失業者の救済であります。四段階において失業保険金が給付されておりますけれども政府の調査を見ましても、最近においても九ヵ月して半分も再就職していないという、こういう方々は失業統計に表われない潜在失業者に仲間入りをしておる低所得者として、その日の生活すら危ぶまれるぎりぎり一ぱいの生活に追い込まれている、この方々も、生産についていない、社会に貢献されたのでありますけれども、その場の、職場がなくなったから、こういうところに追い込まれておる、こういう方々の救済をしなければならない。  第三番目に、何と言っても日雇労働者失業保険の問題、給付の問題でございます。たとえば通算五日、継続三日、これでなければ失業保険はもらえない、そうしてまた、二百円、百四十円という二段になっておりますけれども、百四十円では生活することはできません。こういうものこそ今度の法改正については中心をなすものだと思うのでありますけれども衆議院議員の提案して参りましたこの法案を見ますと、社会保障費の金ぐりの面で、この三分の一の政府支出金、国の支出金を四分の一に減らす、片方においては保険料の引き下げも行なっておりますけれども労働者は何といっても失業者の救済ということがまず第一でありますので、われわれの給付が楽になることはけっこうであるけれども、それより先に失業されている方々の救済をすべきだというのが一致した被保険者労働者意見でございます。これは、こういうものの考え方はこの船員保険法にもあります。失業保険の面を見ましても同様でございます。だから私たちはなぜこのような、政府の答弁を聞いておりますと、中小企業や零細企業、要するに五人未満や、農村や、漁村の方々が非常に困っているから、これを守ることがまず今日の急務であると言いながら、全く逆な形で法案が提出されてきている。衆議院で一部職業訓練中の方々その他について修正がございましたけれども失業保険、失業保障をする根本の問題からはずれて、保険経済をいかにして維持していくか、その面からの操作だけしかここで生まれていないというのは、非常に残念でありました。私たちは、この失業保険並びにこの要素の入っておりまする船員保険にどうしても賛成ができないのであります。私たちは何といたしましても、こういう私があげましたような問題点国会においてつまびらかにして、ほんとうに生きた失業保障が実現するような法案改正すべきだ、こういう立場から失業保険並びに職業安定の一部改正法案船員保険法法案には反対をいたす次第でございます。  厚生年金並びに日雇健康保険の問題についてでありますけれども、私たちは、この厚生年金について五人未満の加入がしていないとか、または他の年金との関係において改善しなければならぬ点であるとか、または失業保険の二ヵ月の待期期間をどうするか、どういう工合に、その間の医療保障がない状態をどう救済するかという、いろいろのたくさん残された問題はございますけれども、この点は次回に譲りたいと思います。  そういう意味で、この二つの法案については、一応わが党としてこの国会を通して立法化したい、こういう考えでございます。  終わります。
  141. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私は自由民主党を代表いたしまして、本委員会に提案されました社会保険の四法案につきまして賛成の意を表するものでございます。  まず第一に、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案でございますが、これは失業保険が開始されまして今日まで非常に失業者の救済のために大きな役割を演じて参りましたが、何心に、保険経済において今日非常な余裕金を生じておりますために、今回国の負担を一部引き下げるとともに保険料率の引き下げを行なったのでありまするが、それと同時に、保険給付改善をはかられ、すなわち就職が苦しく困難な地域における給付の延長の措置を講じ、あるいはまた、就職支度金の制度を始める、あるいはまた、日雇失業保険につきましては待期を短縮する等の改善がなされておりますので、私どもはこれに賛成をするものでございます。  なお、厚生年金保険につきましても若干の改善の処置が講ぜられておりまするので、私どもこれに賛成をいたします。  なお、日雇労働保険につきましても、五日から支給することを四日より支給、一日短縮をいたしまするとともに、出産手当支給の限度を十四日から三十一日に延長するというふうに、些少ではございまするが、改善の方策を講ぜられておりまするので、本案につきましても、われわれは賛成をいたすのでございます。  船員保険法の一部改正案につきましても若干の改正が加えられておりまするので、私どもこの法案に賛成をいたす次第でございます。
  142. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は民主社会党を代表し、ただいま議題となっておる四つの法案のうち、失業保険法及び職業安定法の一部改正法案船員保険法の一部改正法案に反対し、厚生年金法の一部改正法案日雇労働者健康保険法の一部改正法案に賛成の意を表します。  最初の二法案に反対の理由を申し上げますが、第一の、しかも最大の理由は、社会保障制度を前進せしめる内容ではなくして、著しくこれを後退させる法律案に終わっておることでございます。政府みずからの説明によるまでもなく、失業保険特別会計は昭和三十四年三月末に七百五、六十億に上る予測でありまして、保険財政の今後の基調は年々黒字を持続するという見通しが立つわけでございます。かりに政府の長期経済計画に見合う所得倍増が曲がりなりにも好転ずるということを仮定に立てれば、保険財政の基調は健全な方向をたどることも予測されるわけでございます。こういうときにこそ、社会保障に誠意と真剣さを持つ政府のやることは、保険給付内容の向上であるとか、あるいは五人未満の事業所、すなわち零細経営企業に働く人々に失業保険法を強制適用し、被雇用者の全体の福祉増進に重点を置くことでなければならないと考えております。しかるに、長年の労働者の要望であり、世論の希望である方向を無視しておりますことは、審議会等の答申等を待つまでもなく、まことに遺憾でございまして、他の社会保険との費用負担調整、こういう名前で三分の一国庫負担を四分の一に引き下げを断行いたしておりますが、政府の考え方の端的な姿を示すものであるわけでございまして、われわれはこの法案に反対する一番大きな理由でございます。政府の猛省を促し、委員会における質疑応答を通ずる政府の将来の善処の約束を、今後すみやかに実行に移されるよう強く希望するものでございます。同時に、政府にこの際希望することは、議会の意思というものをもっと尊重してほしいということです。たとえば附帯決議に例をとりますと、いつもそのときの決議に終わっておるわけでございます。昭和三十二年三月、第二十六国会における船員保険健康保険法改正が行なわれ、健保の標準月額が最同額五万二千円に引き上げられたのでございますが、船員保険標準報酬月額は、従来の三万六千円に据え置かれて、このためいろんな矛盾を船員保険の中で陸上、海上労働者相互間に来たしておるわけです。被保険者の一部負担制度も、当時断行されたわけでございますが、これは明らかに改善でございますが、船員法の八十九条の建前から見ましても、船員保険法の第二十九条の三に見ましても、一部負担金というものは、船主から船員に支払われることになっておるわけです。標準報酬月額労働者の実際の賃金収入の実情に近づけることが正しいあり方でありまして、そうでなければ、労働者の失うものは大きいわけでございます。今回の船員保険法改正にあたり、船主側の圧力等に政府が屈服しておると見られる節があることは遺憾でございます。さらに厚生年金保険特別会計の積立金運用についても、しばしば本委員会あるいは衆議院においても議論されておるわけでございまして、これらの膨大な積立金が、政府はいつも国民経済均衡ある発展を促すのだ、雇用の増大をはかり、勤労者生活の安定に寄与するためには、政府のやり方が正しいのだ、こういう理屈で片ずけてきておりますが、遺憾でございます。戦時下にとられた国家資金の動員計画が一貫してなお今日続けられ、その大部分というものは、政府機関を通じ、あるいは電源開発会社であるとか、輸出入銀行、開発銀行等を通じまして、あるいはまた、金融債というような形をとって大資本、大企業に奉仕しているということは、これは本来のあり方に反すると考えます。還元融資といっても、昭和三十三年七十五億、三十四年八十五億、三十五年百五億、年間利子相当額の半額に満たない。これでは労働者は納得できないと考えます。厚生省、労働省はもっと福祉還元に積極的な熱意を持って進まれるように希望するわけでございます。  最後に、厚生年金保険法の一部改正法案日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案については、不十分でございますが、一歩前進していることが認められますから、これには賛成をいたします。ただ、失業保険、日雇労働者健康保険の矛盾点等については、すみやかな機会に検討を加えられ、向上の措置を講ずるように強く希望を申し上げます。  以上をもって、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案に関しましては、反対の意思を明らかにし、厚生年金保険法の一部を改正する法律案日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案については、賛成の意思を明らかにして討論を終わります。
  143. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 他に御発言はございませんか。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認め、討論は終局いたしました。  それでは、これから採決に入ります。まず、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二三号)を議題といたします。原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  145. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案(第二十三回国会衆第二四号)を議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二五号)を議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、船員保険法の一部を改正する法律案(第三十三回国会衆第二六号)を議題といたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
  149. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 私はただいま議決されました社会保険に関する四法案に対しまして各派共同提案で、次のような附帯決議をすることの動議を提出いたします。  まず、附帯決議の案文を朗読いたします。    失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案に関する附帯決議案   失業保険は被保険者が失業した場合にその生活の安定を図ることを目的とするものであることにかんがみ、政府は一般失業保険を五人未満の事業所に拡大するとともに長期失業者の救済と低額保険給付及び日雇労働者失業保険失業保険金日額等について、すみやかに検討の上、その改善について成案を得るよう努力すべきである。  次に、    厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、厚生年金保険に関し、特に、次の諸施策の実現に努力すべきである。  一、給付内容改善に努めると共に他の年金制度との通算調整をはかること。  二、適用範囲を従業員五人未満の事業所へ拡大すること。  三、積立金の管理運用については、特に拠出者の意向を反映し得るよう自主管理を図るとともに還元融資の枠を拡大すること。  次に、    日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   日雇労働者健康保険法は、今次の改正により給付内容について若干の改善が行なわれたがなお、不十分な点が多いので皆保険の実を上げうる如く政府は日雇労働者健康保険制度について根本的な検討を加え、一般健康保険との均衡を考慮し早急にその改善を図るべきである。  以上でございます。  なお、    船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府船員保険については左の事項に努力すべきである。  一、船員保険の被保険者標準報酬は最高三万六千円に据置かれているが賃金実態に即して引上げるようすみやかに措置すること。  二、船員勤務の特殊な実態にかんがみ療養給付における一部負担制度についてすみやかに検討をすること。  三、積立金の自主管理をはかり船員の厚生福祉の向上のために運用される措置をとること。  以上でございます。
  150. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま吉武君提出の動議を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それでは吉武君提出の附帯決議案を議題といたします。ただいま案文の朗読がございましたが、提案理由の説明をお願いいたします。
  152. 吉武恵市

    ○吉武恵市君 ただいま朗読いたしましたように、失業保険につきましては、本委員会でしばしば指摘されましたように、五人未満の小さい事業所に働いておられまする方々に、その恩典の及ばないのが多々ございます。そこでこの以下の事業所にもできるだけ適用されまして、皆保険の実を上げたい、なお、長期失業者が、ときによっては相当ございまするので、現在保険経済において相当の余裕金がございまするので、これらを長期失業者の救済のために使うような方途を考えていただきたい。なお、低額保険給付引き上げあるいは日雇労働者失業保険日額の低額なものにつきましては、その引き上げをはかるように努力してほしいということでございます。  なお、厚生年金附帯決議につきましては、全般的に給付内容改善することはもちろんのこと、他の共済年金あるいは国民年金等との通算の制度がまだ講じられておりませんので、それらの点をすみやかにはかっていただきたい。それから本委員会でしばしば指摘されましたように、従業員五人未満の小さい事業所におきましては、せっかくのこの厚生年金の恩典が及びませんので、これをそれ以下のものにも広く恩典の及ぶように一つ考慮を払っていただきたい、こういうことであります。  なお、積立金運用につきましても本委員会でしばしば指摘されましたように、膨大な金額に上っておりまするので、これを自主管理に移し、そうして還元融資のワクを拡大するとともに、この資金を福祉厚生のために使うように努力をはかりたいということであります。  なお、日雇労働保険につきましても、本委員会でしばしば指摘されましたように、せっかく手帳をもらいましても、その資格要件を欠くために健康保険の恩典に浴されないというものがたくさんございます。今日国民保険制度が取り入れられておるときでありまするから、できるだけこれら日雇労働者の諸君にも一般健康保険のような内容を持つ保険制度一つ改号をはかってもらいたいということでございます。  なお、船員保険につきましても、先ほど来本委員会指摘されましたように、先般、前の附帯決議がありましたにもかかわらず、標準報酬が最高三万六千円に据え置かれております。これらの点につきましても、これが実情に即するように引き上げてほしいということであります。  なお、療養給付について一部負担制度が現在ございまするが、これらをできるだけなくしていきたい、こういうこと。  なお、この積立金運用につきましては、他の保険と同様に、これらの保険を自主管理に移しまして、そうして労働者福祉厚生のために使うようにしてほしいということでございます。  何とぞ政府におかれましては、各派共同の提案でございまするから、委員会質疑の間において、政府の誠意のある御答弁は承りましたが、ただ委員会だけの御答弁に終わらないで、この実現に誠実に努力されんことをつけ加えてお願いを申し上げます。
  153. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまの附帯決議案に対しまして、御質疑がありますれば御発言を願います。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 別に質疑もないようでありますから、これより採決をいたします。  吉武君提出の附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 全会一致と認めます。よって吉武君提出の附帯決議案を、本委員会の決議として関係法案に付するごとに決定いたしました。  大臣から発言を求められております。
  156. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ただいま本委員会におきまして、附帯決議といたしまして決定いたされましたこの問題につきまして、今後十分研究いたしまして、御趣旨に沿いたいと、かように考えております。
  157. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいまの附帯決議趣旨を尊重して、極力その実現に努力をいたします。
  158. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認めます。本日はこれで散会いたします。    午後六時十一分散会