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藤田藤太郎君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、この
保険四
法案について、私たちの立場を表明するものであります。
まず第一に、私たちは、
失業保険法及び
職業安定法の
改正法案でありますけれ
ども、今日までの
質疑の経過を経て参りまして、今日の
失業保険制度というのが、本来の社会保障
制度と違って、相互扶助的な
保険制度によってまかなわれているということでございます。で、こういう運営の仕方が、今日問題になっておりますような、
保険経済というものを
中心に問題を議していく、運営をしていく、こういう格好に流れてきておりますことを非常に残念に思うわけでございます。失業保障の問題の根本は何かといいますと、
国民が、勤労の中で人生を全うしていくその勤労の機会が与えられないという方たちを、どうして職業の場につけるか、生産を通じて社会に貢献してもらい、人生を全うしていただくかという
雇用政策の問題が
一つございます。ところが、そういう問題が十分に実効をあげていないところに、または失業をされた方々の救済の問題が出てくるわけでありまして、何と言っても国の施策として、私はこの失業保障という問題を考うべきところでありますのに、こういう格好になっているわけでございます。このたび
衆議院議員が提案して参りました
失業保険の
内容を検討してみますと、今日三十五年の三月現在において七百五十億も黒字が出るという、こういう状態にあります。来年度を含めますと、来年の三月末には九百億という財源ができるような見通しが、今日の状態で見通しされるわけでございます。ところが、この
失業保険法の中で、やはり問題になってくるのは、第一点、五人未満の
労働者が二百四十万人かおる、こういう方々の実行の面では、十四万六千人しか実行、この適用を受けていないで、この二百三十万余の人が置いてきぼりを食っているということであります。
第二の問題は、長期の失業者の救済であります。四
段階において
失業保険金が
給付されておりますけれ
ども、
政府の調査を見ましても、最近においても九ヵ月して半分も再就職していないという、こういう方々は失業
統計に表われない潜在失業者に仲間入りをしておる低所得者として、その日の
生活すら危ぶまれるぎりぎり一ぱいの
生活に追い込まれている、この方々も、生産についていない、社会に貢献されたのでありますけれ
ども、その場の、職場がなくなったから、こういうところに追い込まれておる、こういう方々の救済をしなければならない。
第三番目に、何と言っても日雇
労働者の
失業保険の問題、
給付の問題でございます。たとえば通算五日、継続三日、これでなければ
失業保険はもらえない、そうしてまた、二百円、百四十円という二段になっておりますけれ
ども、百四十円では
生活することはできません。こういうものこそ今度の
法改正については
中心をなすものだと思うのでありますけれ
ども、
衆議院議員の提案して参りましたこの
法案を見ますと、社会保障費の金ぐりの面で、この三分の一の
政府支出金、国の支出金を四分の一に減らす、片方においては
保険料の引き下げも行なっておりますけれ
ども、
労働者は何といっても失業者の救済ということがまず第一でありますので、われわれの
給付が楽になることはけっこうであるけれ
ども、それより先に失業されている方々の救済をすべきだというのが一致した被
保険者労働者の
意見でございます。これは、こういうものの考え方はこの
船員保険法にもあります。
失業保険の面を見ましても同様でございます。だから私たちはなぜこのような、
政府の答弁を聞いておりますと、中小企業や零細企業、要するに五人未満や、農村や、漁村の方々が非常に困っているから、これを守ることがまず今日の急務であると言いながら、全く逆な形で
法案が提出されてきている。
衆議院で一部職業訓練中の方々その他について
修正がございましたけれ
ども、
失業保険、失業保障をする根本の問題からはずれて、
保険経済をいかにして維持していくか、その面からの操作だけしかここで生まれていないというのは、非常に残念でありました。私たちは、この
失業保険並びにこの要素の入っておりまする
船員保険にどうしても賛成ができないのであります。私たちは何といたしましても、こういう私があげましたような
問題点を
国会においてつまびらかにして、ほんとうに生きた失業保障が実現するような
法案に
改正すべきだ、こういう立場から
失業保険並びに職業安定の一部
改正の
法案、
船員保険法の
法案には反対をいたす次第でございます。
厚生年金並びに日雇
健康保険の問題についてでありますけれ
ども、私たちは、この
厚生年金について五人未満の加入がしていないとか、または他の
年金との
関係において
改善しなければならぬ点であるとか、または
失業保険の二ヵ月の待期期間をどうするか、どういう工合に、その間の医療保障がない状態をどう救済するかという、いろいろのたくさん残された問題はございますけれ
ども、この点は次回に譲りたいと思います。
そういう
意味で、この二つの
法案については、一応わが党としてこの
国会を通して立法化したい、こういう考えでございます。
終わります。